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技術 運行管理装置

出願人 株式会社日立製作所
発明者 小熊賢司宮内努鈴木基也水津宏志
出願日 2020年5月22日 (7ヶ月経過) 出願番号 2020-089367
公開日 2020年8月13日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-121721
状態 未査定
技術分野 鉄道交通の監視、制御、保安 電車への給配電
主要キーワード 設定変更データ 所定時間差 影響箇所 時間目標 エネルギー消費状態 途中情報 端部位置情報 運転間隔
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年8月13日)のものです。
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図面 (15)

課題

列車走行標準運転曲線に従わない場合には、列車の回生ブレーキ動作までの時間が不明となり、回生ブレーキ動作を待つ列車の発車待ち時間が不明となり列車運行に影響が出る。

解決手段

第二の列車が第一の列車の回生ブレーキ動作開始位置から所定距離以内に存在し且つ第一の列車の回生ブレーキ動作開始時刻から所定時間差以内で出発することを満足させる第一の列車を基に算出した第一の回生電力有効消費列車数より、上限値以下の時間幅駅出発時刻を変更した第二の列車が第一の列車の回生ブレーキ動作開始位置から所定距離以内に存在し且つ変更した第二の列車の駅出発時刻が第一の列車の回生ブレーキ動作開始時刻から所定時間差以内であることを満足させる第一の列車を基に算出した第二の回生電力有効消費列車数が多く且つ最大となる列車ダイヤデータの変更を保持し、当該変更をした駅出発時刻の変更内容表示出力する。

概要

背景

本発明に係る技術分野の背景技術として、まず特許文献1が挙げられる。この特許文献1には、対象とする列車と同一変電所区間における他列車の在線情報から、回生電力予測を得て、対象とする列車の発車イミングを決定する方法が示されている。また、予測に必要な情報として、時刻路線上の列車位置および次停車駅の情報が示されている。

また、特許文献2には、列車の速度と位置とエネルギー消費量を、無線通信手段を用いて把握し、各列車に対する走行位置時間目標及びエネルギー消費量目標値を作成して各列車に無線通信手段を用いて与える方法が示されている。

ここにおいて、公知の運行管理装置では、列車の駅間の走行時間を作成する情報として、標準運転曲線を用いる。標準運転曲線とは、列車が路線を走行する際に、当該列車の加速力減速力最高速度及び走行抵抗などの車両性能曲線による速度制限及び勾配による加減速度の影響、各駅停車快速などの列車種別に対応した各駅停車や通過の設定状態及びで用いる番線に応じた分岐器の速度制限を考慮して、当該列車が先行する列車の不在状態での位置と速度の関係を記した情報である。

標準運転曲線は、当該列車が最も早く走行した状態を表しているので、当該列車は標準運転曲線から得た走行時間より短い時間で駅間を走行することはできない。すなわち、公知の運行管理装置は、標準運転曲線から得た走行時間を保持し、ダイヤの作成や変更を行う際の各駅間における各列車の走行時間の最小値として用いている。また運転曲線に従った走行を行う際の列車の時間間隔最小値である最小運転時隔を計算する方法は、公知の技術である。

また、公知のATSATCなどの信号装置は、各列車の位置に応じて他列車に対する制御情報を作成するために、列車が走行する軌道に複数の軌道回路を設定する。そして、軌道回路とは、列車の存在有無を検知する装置であり、列車の車軸で左右のレール短絡することを利用するものである。

概要

列車の走行が標準運転曲線に従わない場合には、列車の回生ブレーキ動作までの時間が不明となり、回生ブレーキ動作を待つ列車の発車待ち時間が不明となり列車運行に影響が出る。第二の列車が第一の列車の回生ブレーキ動作開始位置から所定距離以内に存在し且つ第一の列車の回生ブレーキ動作開始時刻から所定時間差以内で駅を出発することを満足させる第一の列車を基に算出した第一の回生電力有効消費列車数より、上限値以下の時間幅駅出発時刻を変更した第二の列車が第一の列車の回生ブレーキ動作開始位置から所定距離以内に存在し且つ変更した第二の列車の駅出発時刻が第一の列車の回生ブレーキ動作開始時刻から所定時間差以内であることを満足させる第一の列車を基に算出した第二の回生電力有効消費列車数が多く且つ最大となる列車ダイヤデータの変更を保持し、当該変更をした駅出発時刻の変更内容表示出力する。

目的

本発明の目的は、列車の走行が標準運転曲線に従わない場合においても、列車の回生ブレーキを動作するタイミングを計算して他列車の出発時機に反映しその出発時刻を調整することにより、列車の回生ブレーキ動作によるエネルギー電力)を効率的に消費する列車運行及び列車ダイヤ作成を可能にする装置を、別の計算装置や計算量の大きい処理を追加することなしに提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

軌道上の地点列車が到達したことを検知する検知部と、列車ダイヤデータ及び駅出発時刻の変更時間幅の上限値を保持するデータ保持部と、演算部とを備え、前記演算部は、第一の列車が走行により前記地点に到達したことの検知情報から、当該第一の列車の到着時刻回生ブレーキ動作開始時刻を計算して、第二の列車が前記第一の列車の回生ブレーキ動作開始位置から所定距離以内に存在し且つ前記第一の列車の回生ブレーキ動作開始時刻から所定時間差以内で駅を出発することを満足させる前記第一の列車を前記列車ダイヤデータから抽出し、前記列車ダイヤデータの全体について集計して第一の回生電力有効消費列車数を算出し、前記列車ダイヤデータから駅出発時刻を前記上限値以下の時間幅で変更した前記第二の列車が、前記第一の列車の回生ブレーキ動作開始位置から前記所定距離以内に存在し且つ変更した前記第二の列車の駅出発時刻が前記第一の列車の回生ブレーキ動作開始時刻から前記所定時間差以内であることを満足させる前記第一の列車を前記列車ダイヤデータから抽出し、前記列車ダイヤデータの全体について集計して第二の回生電力有効消費列車数を算出し、前記第二の回生電力有効消費列車数が前記第一の回生電力有効消費列車数より多く且つ最大となる前記列車ダイヤデータの変更を保持し、当該変更をした列車ダイヤデータの駅出発時刻の変更内容を駅の表示装置に出力することを特徴とする運行管理装置

請求項2

請求項1に記載の運行管理装置であって、前記上限値は、前記列車ダイヤデータ及び前記列車の運転曲線を基に作成することを特徴とする運行管理装置。

請求項3

請求項2に記載の運行管理装置であって、前記上限値として、前記列車の運転曲線から算出した最小運転時隔と前記列車ダイヤデータの列車着発時刻で定まる列車の運転間隔との差分値を用い、前記演算部は、前記列車ダイヤデータの駅出発時刻情報を変更する際に、当該変更する駅出発時刻情報と駅出発時刻との時間幅が前記上限値以下の場合にのみ前記表示部に当該変更による駅出発時刻を表示することを特徴とする運行管理装置。

技術分野

0001

本発明は、車両が走行に用いる電力架線第三軌条などのき電系統を介して車両外から車両に供給する場合に、出発時機情報を作成し、それを表示装置に表示する運行管理装置に関する。

背景技術

0002

本発明に係る技術分野の背景技術として、まず特許文献1が挙げられる。この特許文献1には、対象とする列車と同一変電所区間における他列車の在線情報から、回生電力予測を得て、対象とする列車の発車イミングを決定する方法が示されている。また、予測に必要な情報として、時刻路線上の列車位置および次停車駅の情報が示されている。

0003

また、特許文献2には、列車の速度と位置とエネルギー消費量を、無線通信手段を用いて把握し、各列車に対する走行位置時間目標及びエネルギー消費量目標値を作成して各列車に無線通信手段を用いて与える方法が示されている。

0004

ここにおいて、公知の運行管理装置では、列車の駅間の走行時間を作成する情報として、標準運転曲線を用いる。標準運転曲線とは、列車が路線を走行する際に、当該列車の加速力減速力最高速度及び走行抵抗などの車両性能曲線による速度制限及び勾配による加減速度の影響、各駅停車快速などの列車種別に対応した各駅停車や通過の設定状態及び駅で用いる番線に応じた分岐器の速度制限を考慮して、当該列車が先行する列車の不在状態での位置と速度の関係を記した情報である。

0005

標準運転曲線は、当該列車が最も早く走行した状態を表しているので、当該列車は標準運転曲線から得た走行時間より短い時間で駅間を走行することはできない。すなわち、公知の運行管理装置は、標準運転曲線から得た走行時間を保持し、ダイヤの作成や変更を行う際の各駅間における各列車の走行時間の最小値として用いている。また運転曲線に従った走行を行う際の列車の時間間隔最小値である最小運転時隔を計算する方法は、公知の技術である。

0006

また、公知のATSATCなどの信号装置は、各列車の位置に応じて他列車に対する制御情報を作成するために、列車が走行する軌道に複数の軌道回路を設定する。そして、軌道回路とは、列車の存在有無を検知する装置であり、列車の車軸で左右のレール短絡することを利用するものである。

先行技術

0007

特開2014−148277号公報
特開2013−230775号公報

発明が解決しようとする課題

0008

特許文献1に示されるように、列車の発車タイミングを決定するために必要な回生電力の予測を行うには、回生を行う列車について時刻と路線上の位置および次停車駅の情報から回生ブレーキを動作するタイミングを計算する必要がある。列車の時刻、路線上の位置および次停車駅の情報は、標準運転曲線に記載してある。ところが、例えばラッシュ時など列車相互の間隔が小さくなったことにより、列車の走行に対して前を走行する他列車の影響が発生し、列車が標準運転曲線に従った走行ができない状態になると、列車の走行時間は標準運転曲線から作成した走行時間と異なってくる。この状態で回生ブレーキを動作するタイミングを計算すると、前提とする列車の走行が標準運転曲線とは異なるため、タイミングを正しく計算することができないという事態が発生する。

0009

ここで、特許文献2に示される無線通信手段を用いて、各列車からエネルギー消費量を得る場合では、エネルギー消費状態から当該列車が回生ブレーキを動作させたことを判定できる。ところが、回生ブレーキの動作結果と同時に対象とする列車の発車タイミングを制御することが必要となる。この状態では、対象とする列車は発車待ちの状態で回生ブレーキ動作を待つので、列車の走行が標準運転曲線に従わない状態では回生ブレーキ動作までの時間が不明となる。これにより、発車待ち時間が不明となって他の列車の運行に影響が波及する。

0010

また、特許文献2に示される無線通信手段を用いて、列車の速度と位置を把握する手段を用いる場合では、列車の各位置における速度が標準運転曲線で示された値以下になっていることが取得できる。ところが、列車の走行状態を示す情報は、標準運転曲線だけであるため、標準運転曲線の位置と速度に従わない状態の列車について、位置と速度を得ることができない。これは、公知のATSやATCなどの信号装置において、軌道回路を用いて列車の存在を検知する場合でも同じである。

0011

更に、列車運行省エネルギー化を進める場合、省エネルギー化によるコスト削減が省エネルギー化に必要な装置や処理の追加によるコストの増加よりも小さいと、省エネルギー化の効果が無くなることにつながる。これによると、省エネルギー化に必要な装置や処理の追加によるコストの増加を抑えること、具体的には、別の計算装置を追加することや計算量の大きい処理を行うことなしに、省エネルギー化を実施できることが望ましい。

0012

本発明の目的は、列車の走行が標準運転曲線に従わない場合においても、列車の回生ブレーキを動作するタイミングを計算して他列車の出発時機に反映しその出発時刻を調整することにより、列車の回生ブレーキ動作によるエネルギー(電力)を効率的に消費する列車運行及び列車ダイヤ作成を可能にする装置を、別の計算装置や計算量の大きい処理を追加することなしに提供することである。

課題を解決するための手段

0013

上記の課題を解決するために、本発明に係る運行管理装置は、軌道上の地点に列車が到達したことを検知する検知部と、列車ダイヤデータ及び駅出発時刻の変更時間幅の上限値を保持するデータ保持部と、演算部とを備え、演算部は、第一の列車が走行により前記地点に到達したことの検知情報から、当該第一の列車の駅到着時刻と回生ブレーキ動作開始時刻を計算して、第二の列車が第一の列車の回生ブレーキ動作開始位置から所定距離以内に存在し且つ第一の列車の回生ブレーキ動作開始時刻から所定時間差以内で駅を出発することを満足させる第一の列車を列車ダイヤデータから抽出し、列車ダイヤデータの全体について集計して第一の回生電力有効消費列車数を算出し、列車ダイヤデータから駅出発時刻を上限値以下の時間幅で変更した第二の列車が、第一の列車の回生ブレーキ動作開始位置から所定距離以内に存在し且つ変更した第二の列車の駅出発時刻が第一の列車の回生ブレーキ動作開始時刻から所定時間差以内であることを満足させる第一の列車を列車ダイヤデータから抽出し、列車ダイヤデータの全体について集計して第二の回生電力有効消費列車数を算出し、第二の回生電力有効消費列車数が第一の回生電力有効消費列車数より多く且つ最大となる列車ダイヤデータの変更を保持し、当該変更をした列車ダイヤデータの駅出発時刻の変更内容を駅の表示装置に出力することを特徴とする。

発明の効果

0014

本発明によれば、列車の走行が標準運転曲線に従わない場合においても、列車の回生ブレーキを動作するタイミングを計算して他列車の出発時機に反映しその出発時刻を調整することができる列車の運行管理装置及び列車のダイヤ作成装置を提供することにより、別の計算装置や計算量の大きい処理を追加することなしに、列車の回生ブレーキ動作によるエネルギーを効率的に活用消費エネルギーを削減することができる。

図面の簡単な説明

0015

図1は、本発明に係る軌道回路を用いた運行管理装置の構成の一例を示す図である。
図2は、本発明に係る運行管理装置における処理構成の関係を示す図である。
図3は、位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データの内容を示す図である。
図4は、本発明に係る出発時機情報作成処理を説明するフローチャートの一例を示す図である。
図5は、落下及び扛上の判定時素データの一例を示す図である。
図6は、列車ダイヤデータの一例を示す図である。
図7は、回生ブレーキ動作開始時刻位置駅発時刻位置差分上限データの一例を示す図である。
図8は、駅間における列車の位置と速度の関係を示す運転曲線の一例を示す図である。
図9は、駅出発位置データの一例を示す図である。
図10は、軌道回路の端部位置データの一例を示す図である。
図11は、本発明に係る、他列車の発時刻と発位置との差分が共に指定値以下となる列車数を取得する処理を説明するフローチャートの一例を示す図である。
図12は、延発設定データの一例を示す図である。
図13は、列車ダイヤの設定変更データの一例を示す図である。
図14は、延発時間幅上限値データの内容を示す図である。

0016

本発明を実施するための形態として、実施例1について、図面を参照しながら以下に説明する。

0017

実施例1では、列車は、走行標準運転曲線に従わない位置と速度の状態で軌道回路を走行する。運行管理装置は、走行する列車が複数の軌道回路に進入した際の当該軌道回路の落下検知時刻を用いて当該軌道回路名と時間差より回生ブレーキ動作時刻を計算する。そして、運行管理装置は、その計算結果を他列車に対する表示装置に出発時機として表示する。

0018

図1は、実施例1に係る運行管理装置の構成の一例を示す図である。列車2Bは、軌道回路5Jから順に軌道回路5Gに向けて走行し、駅8Aの番線6Bに停車する。列車2Aは、駅8Aの番線6Aで、駅8Aを出発する合図が表示装置4Aに表示されることを待っている状態で、出発の後に軌道回路5Bから軌道回路5Eに向けて走行する。ここで、各軌道回路5A〜5Jは、列車在線管理装置3と接続される。運行管理装置1には、列車在線管理装置3及び表示装置4A、4Bが接続される。

0019

列車2A及び2Bは、図示しない運転士によって制御が行われる。列車2Aの運転士は、表示装置4Aの出発表示に従い、駅8Aの番線6Aを出発することになる。
運行管理装置1及び列車在線管理装置3は、演算部101、情報インタフェース部102及び演算データ保持部103を有する。

0020

演算部101は、プログラムの実行や制御途中情報の一時的な保持を行う。例えば、パソコンのCPU及びメモリなどの公知の部品を利用できる。
情報インタフェース部102は、各装置間の情報の送受信を行う。例えば、イーサネット登録商標)のコネクタUSBポート光ファイバを用いたネットワーク無線LAN携帯電話などの無線ネットワーク及び地上子と列車の間では周波数変調を用いた無線通信などの公知の部品及び手段を利用できる。

0021

演算データ保持部103は、プログラムやデータの記憶を行う。例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブSSD)及びフラッシュメモリなどの公知の部品を利用できる。
表示装置4A〜4Bは、運行管理装置1から出発時機情報を受け取って表示する機能を持つ。表示する機能としては、例えば、液晶ディスプレイドットマトリクスLED及びCRTディスプレイなど、公知の部品を利用できる。

0022

図2は、図1に示す運行管理装置における処理構成の関係を示す図である。
列車在線管理装置3の機能について説明する。入出力インタフェース機能302は、軌道回路5A〜5Jの状態情報を受け取る。落下扛上判定機能301は、判定時素データ303を用いて各軌道回路5A〜5Jの落下扛上情報を作成し、入出力インタフェース機能302を介して運行管理装置1に送る。図1との対応を示すと、入出力インタフェース機能302は情報インタフェース部102に、落下扛上判定機能301は演算部101に、判定時素データ303は演算データ保持部103に、それぞれ対応する。

0023

ここで、落下扛上については、軌道回路区間に列車が在線している時に、列車によりレールが短絡されることから、リレー電流が流れない(リレーが動作しない)ことをリレーが「落下」するといい、列車在線を意味し、軌道回路区間に列車が在線していない時に、リレーに電流が流れる(リレーが動作する)ことをリレーが「扛上」するといい、列車不在を意味する。

0024

運行管理装置1の機能について説明する。入出力インタフェース機能202は、列車在線管理装置3から各軌道回路の落下扛上情報を受け取る。出発時機作成機能201は、指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203と列車ダイヤデータ204を用いて出発時機情報を作成し、入出力インタフェース機能202を介して表示装置4A及び4Bに送る。図1との対応を示すと、入出力インタフェース機能202は情報インタフェース部102に、出発時機作成機能201は演算部101に、指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203、列車ダイヤデータ204、回生ブレーキ動作開始時刻位置駅発時刻位置差分上限データ205、駅出発位置データ206、延発設定データ207、列車ダイヤ変更条件データ208及び延発時間幅上限値データ210は、演算データ保持部103に、それぞれ対応する。

0025

列車在線管理装置3の落下扛上判定機能301は、公知の軌道回路を用いた列車在線検知処理を行う。公知の軌道回路は、列車の車軸で左右のレールを短絡することで電気回路を形成する技術である。ここで、ノイズ等による誤動作を防ぐ公知の手段として、軌道回路の落下状態あるいは扛上状態が一定時間継続した時点で、落下あるいは扛上が確定したと判定する。落下扛上判定機能301が判定に用いる落下状態あるいは扛上状態の継続時間値の例として、落下及び扛上の判定時素データの一例を図5に示す。

0026

図5によれば、列車2Bが軌道回路5Hに進入した場合では、進入により軌道回路の状態が5秒間落下状態を継続した時点で、「軌道回路5H落下」と判定する。同様に、列車2Bが軌道回路5Iを進出した場合では、進出により軌道回路の状態が15秒扛上状態を継続した時点で、「軌道回路5I扛上」と判定する。落下扛上判定機能301は、作成した各軌道回路5A〜5Jの落下扛上状態を在線情報として入出力インタフェース機能302を介して運行管理装置1に送る。この送る周期は、予め定められた一定時間の周期とするか、あるいは各軌道回路5A〜5Jの落下扛上状態に変化が生じた時点でもよい。

0027

出発時機作成機能201は、列車在線管理装置3が判定した各軌道回路5A〜5Jの落下扛上状態を受け取り、その落下扛上状態から列車が回生ブレーキ動作を開始する時刻と場所を計算する。そして、表示装置4A、4Bに列車出発時機の情報を出力する。出発時機作成機能201は、指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203、列車ダイヤデータ204、回生ブレーキ動作開始時刻位置駅発時刻位置差分上限データ205及び駅出発位置データ206を用いる。

0028

指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203の作成について、図8に示す運転曲線、図10に示す軌道回路の端部位置データ及び図6に示す列車ダイヤデータ204を用いる手順を説明する。
図3に、指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203の内容を示す。指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203としては、列車種別、出発駅と出発番線、到着駅到着番線、第一地点、第二地点、第一地点〜第二地点到達時間差、第二地点〜回生ブレーキ動作時間差、回生ブレーキ動作開始地点位置、駅発〜回生ブレーキ動作開始時間差及び駅間走行時間を関連付けて保持する。

0029

実施例1では、第一地点は軌道回路5Iに進入した時点、第二地点は軌道回路5Hに進入した時点とする。これより指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203の第一地点と、第二地点の情報は、次の内容となる。
第一地点 = 軌道回路5I進入
第二地点 = 軌道回路5H進入

0030

作成に用いる情報のうち、列車ダイヤデータ204は、各列車の種別、出発駅及び出発番線並びに到着駅及び到着番線の情報を持つ。ここでは、列車2Bについて作成する場合を対象とする。列車ダイヤデータ204より、列車Bは、駅8Bの番線6Dを出発し、駅8Aの番線6Bに到着する各駅停車であることが分かる。これより、指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203の列車の種別、出発駅及び出発番線並びに到着駅及び到着番線の情報は、次の内容となる。
列車の種別 = 各駅停車
出発駅及び出発番線 = 駅8B番線6D
到着駅及び到着番線 = 駅8A番線6B

0031

図10に示す軌道回路の端部位置データは、各軌道回路の端部位置情報を持つ。これより、列車2Bが軌道回路5Iに進入した時点は、列車2Bが位置1.789kmに到達した時が対応する。また、列車2Bが軌道回路5Hに進入した時点は、列車2Bが位置1.456kmに到達した時が対応する。

0032

図8に示す運転曲線は、標準運転曲線501、標準運転曲線より低い速度での走行を表した運転曲線502A及び502Bを持つ。各運転曲線のデータは、列車2Bが駅8Bの番線6Dから駅8Aの番線6Bに走行する場合の位置と速度の関係を持つ。これにより、運転曲線が定まれば、第一地点として軌道回路5Iに進入した時刻、第二地点として軌道回路5Hに進入した時刻が定まる。若しくは、第一地点として軌道回路5Iに進入した時刻、第二地点として軌道回路5Hに進入した時刻が定まれば、対応する運転曲線が定まり、運転曲線に対応する駅間の走行時間を得ることができる。

0033

標準運転曲線より低い速度での走行を表した運転曲線502A及び502Bは、例えば実際の走行記録について、統計処理による作成または計算機シミュレーションによる作成により定めてよい。例えば、統計処理による作成では、実際の列車走行記録データを曜日時間帯分類し、分類したデータ毎に平均値を作成する方法がある。また、計算機シミュレーションによる作成では、ラッシュ時などで列車間隔が小さい状態で走行する状態を模擬するように、列車間隔を秒単位で変更した条件についてシミュレーションを行い、その計算結果より各列車の位置と速度の関係を適用する方法がある。

0034

最初に、列車2が標準運転曲線501に従った走行を行う場合について説明する。標準運転曲線501は位置と速度の関係を示し、列車2Bは、駅8Bを出発した後に標準運転曲線501で示された各位置における速度に従って走行を行い、回生ブレーキ動作開始地点位置503で回生ブレーキ動作を開始し、駅8Aに停車する。

0035

列車2Bが走行する位置と速度の関係が、標準運転曲線501と定まったので、列車2Bが駅8Bの番線6Dを出発した時点から、以下順に、第一地点に到達するまでの走行時間(T1)、第二地点に到達するまでの走行時間(T2)、回生ブレーキ動作開始地点位置503に到達するまでの走行時間(T3)及び駅8Aの番線6Bに到着するまでの走行時間(T4)が定まる。

0036

これにより、指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203の第一地点〜第二地点到達までの時間差、第二地点〜回生ブレーキ動作開始地点までの時間差、回生ブレーキ動作開始地点位置、駅発〜回生ブレーキ動作開始までの時間差及び駅間走行時間は、それぞれ次の式で定まる。
第一地点〜第二地点到達までの時間差 = T2 − T1
第二地点〜回生ブレーキ動作開始までの時間差 = T3 − T2
回生ブレーキ動作開始地点位置 = 回生ブレーキ動作開始地点位置503
駅発〜回生ブレーキ動作開始時間差 = T3
駅間走行時間 = T4
ここで、図3に示す指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203は、T2−T1=30秒、T3−T2=15秒、回生ブレーキ動作開始地点位置503=上り1.345km、T3=2分、T4=3分、である場合について記している。

0037

同様にして、標準運転曲線より低い速度での走行を表した運転曲線502A及び502Bについても計算を行い、それぞれの場合の、第一地点〜第二地点到達時間差、第二地点〜回生ブレーキ動作時間差、回生ブレーキ動作開始地点位置及び駅間走行時間を求めて、図3に示す指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203に記す。
図3には、標準運転曲線より低い速度での走行を表した運転曲線502Aについて、T2−T1=35秒、T3−T2=20秒、回生ブレーキ動作開始地点位置503A=上り1.234km、T3=2分15秒、T4=3分20秒、である場合を記している。
また、標準運転曲線より低い速度での走行を表した運転曲線502Bについて、T2−T1=45秒、T3−T2=25秒、回生ブレーキ動作開始地点位置503B=上り1.111km、T3=3分15秒、T4=3分40秒、である場合を記している。

0038

以上の手順により、指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203を作成する。ここでは、ひとつの列車種別と駅間についてのみ説明したが、同じ手順で列車ダイヤデータ204に保持する全ての列車種別と駅間に対応して作成し、指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203に保持する。

0039

出発時機作成機能201が、指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203を用いて列車の出発時機情報を作成する処理手順を、図4のフローチャートに沿って説明する。

0040

まず、出発時機作成機能201は、処理1002で、現在のダイヤを対象に、全駅間全列車の回生ブレーキ動作開始時刻と開始地点位置について、他列車の発時刻と発位置との差分が共に指定値以下となる列車数を取得する。
現在のダイヤとして、初期状態では、図6に示す列車ダイヤデータ204を用いて処理結果を反映した列車ダイヤを列車ダイヤデータ204として保持する。次回以降は、保持する処理結果を反映した列車ダイヤデータ204について処理を行う。

0041

処理1002で行う処理を、図11のフローチャートに沿って説明する。処理1002に対応する処理が、処理2001から処理2012までの処理に対応する。
出発時機作成機能201は、処理2002で、現在のダイヤを対象に、全駅間全列車について到着時刻の早い順に処理を行う。現在のダイヤは、初期状態では図6に示す列車ダイヤデータ204であり、次回以降では処理結果を反映した列車ダイヤとなる。図6に示す列車ダイヤデータ204より、処理の順序としては、列車2Bが駅8A番線6Bに時刻10:10:10に到着する場合を行い、次に、列車2Aが駅8B番線6Cに時刻10:12:00に到着する場合を行う。

0042

まず、列車2Bが駅8A番線6Bに時刻10:10:10に到着する場合について説明する。前提として、列車2Bは駅8B番線6Dを時刻10:07:00に出発し、第一地点に到達済み、第二地点に到達した時点にあり、第一地点到達時刻と第二地点到達時刻の差は25秒であるとする。

0043

出発時機作成機能201は、処理2003で、当該列車2Bが出発駅を出発したかを判定し、出発した場合には(YES)、処理2004を行う。出発していない場合には(NO)、出発時機作成機能201は、処理2009で、ダイヤの駅間走行時間に対応する回生ブレーキ開始時刻を計算する。ここでは、列車2Bは出発駅8Bを出発している前提であるため、処理2004が実行される。

0044

出発時機作成機能201は、処理2004で、出発時刻を列車ダイヤデータ204に反映する。列車2Bの出発時刻が列車ダイヤデータ204と同じであるならば、反映による出発時刻の変更はない。出発時刻が列車ダイヤデータ204と異なる場合は、実際の出発時刻が反映される。ここでは、列車2Bは出発駅8Bを出発している前提であるため、出発時刻が列車ダイヤデータ204に反映される。

0045

次に、出発時機作成機能201は、処理2005で、到着駅へ到着したかを判定する。到着した場合には(YES)、出発時機作成機能201は、処理2006で、到着時刻を列車ダイヤデータ204に反映し、続いて処理2009で、ダイヤの駅間走行時間に対応する回生ブレーキ開始時刻を計算する。到着していない場合には(NO)、出発時機作成機能201は、処理2007を行う。ここでは、列車2Bは到着駅8Aに到着していない前提であるため、処理2007が実行される。

0046

出発時機作成機能201は、処理2007で、当該列車2Bが第一地点及び第二地点に到達したかを判定し、到達した場合には(YES)、処理2008を行う。到達していない場合には(NO)、出発時機作成機能201は、処理2009で、ダイヤの駅間走行時間に対応する回生ブレーキ開始時刻を計算する。ここでは、列車2Bは第一地点に既に到達し、かつ第二地点に到達した時点を前提とするため、処理2008が実行される。

0047

出発時機作成機能201は、処理2008で、第一地点及び第二地点到達時刻に対応する回生ブレーキ開始時刻と駅間走行時間を計算する。第一地点に到達した時刻と第二地点に到達した時刻の差が35秒であるとすると、図3において、指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203の第一地点〜第二地点到達時間差が35秒である場合が該当する。指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203にて第一地点〜第二地点到達時間差が35秒である行のデータ(図3の2行目)より、列車2Bの駅8A到着時刻と、駅8B番線6Dから駅8A番線6Bに向けた走行における回生ブレーキ動作開始時刻は、次の式で計算できる。
駅8A到着時刻 = 駅8B出発時刻+ 駅間走行時間
=10:07:00 + 3分20秒(図3の2行目)
=10:10:20
回生ブレーキ動作開始時刻
= 駅8B出発時刻 + 駅発〜回生ブレーキ動作開始時間差
=10:07:00 + 2分15秒(図3の2行目)
=10:09:15

0048

なお、第一地点到達時刻と第二地点到達時刻の差と、指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203の第一地点〜第二地点到達時間差が合致しない場合には、例えば、第一地点到達時刻と第二地点到達時刻の差と最も近い指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203の第一地点〜第二地点到達時間差を用いる、または、指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203の第一地点〜第二地点到達時間差の各値で、第一地点到達時刻と第二地点到達時刻の差を内挿補間あるいは外挿補間を行い対応するデータを取得する方法を適用してもよい。

0049

出発時機作成機能201は、処理2008を実行すると、次に処理2010で、全駅間全列車について実施したかを判定する。全駅間全列車のうち未実施の組み合わせがある場合は(NO)、処理2002に戻って未実施の組み合わせについて上記の手順が繰り返される。未実施の組み合わせがない場合には(YES)、処置2011が実行される。

0050

出発時機作成機能201は、処理2011で、求めた全駅間全列車の列車ダイヤデータ204について、出発時刻と回生ブレーキ動作開始時刻の差、かつ出発位置と回生ブレーキ動作開始地点位置の差が、共に指定値以下となる条件に合致する出発列車と回生ブレーキ動作開始列車の組み合わせを抽出する。時刻の指定値及び距離の指定値は、回生ブレーキ動作開始時刻位置駅発時刻位置差分上限データ205として保持する。図7に、回生ブレーキ動作開始時刻位置駅発時刻位置差分上限データ205の例を示す。また、各駅の出発位置は駅出発位置データ206として保持する。図9に、駅出発位置データ206の例を示す。

0051

これらにより、列車2Bについては、次の関係となる。
駅出発時刻回生ブレーキ開始時刻差分上限
= 列車2A駅8A発時刻− 列車2B駅8B8A間回生ブレーキ動作開始時刻
= 10:08:30 − 10:09:15
= 45秒 > 30秒(時刻差分上限データ)

駅出発位置回生ブレーキ開始地点位置差分上限
= 列車2A駅8A発位置 − 列車2B駅8B8A間回生ブレーキ動作開始地点位置
= 1.000km − 1.234km
= 0.234km < 3.500km(位置差分上限データ)

0052

上記関係は、図7に示す指定値(回生ブレーキ動作開始時刻位置駅発時刻位置差分上限データ205)以下ではないため、回生ブレーキ動作として列車2B、出発列車として列車2Aの組み合わせは抽出対象とならない。そして、抽出した全組み合わせの中で回生ブレーキ動作開始列車の列車番号を、重複を除いて集計する。ここでの列車2Bは集計されない。

0053

これにより、ダイヤに従った列車運行を行った際に、回生ブレーキ動作により得られるエネルギーのうち、他列車の出発により消費されるエネルギーを列車本数として集計することができる。集計した回生ブレーキ動作開始列車の数が図4に示す出発時機情報作成処理の処理1002へ返され、次の処理2012で一連の処理が終了し、元の処理(図4に示す出発時機情報作成処理の処理1002)に戻る。

0054

出発時機作成機能201は、処理2009で、未だ出発していない箇所と、出発したが第一地点及び第二地点の両方に到達していない場合の処理を実行する。
指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203は、駅発〜回生ブレーキ動作開始時間差と走行時間の関係を持つため、ダイヤの出発時刻と到着時刻の差からダイヤの走行時間を計算し、ダイヤの走行時間に合致する駅間走行時間を持つ指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203の行(図3)を検索し、検索した行の出発時刻〜回生ブレーキ動作開始時刻の時間差(dTreg)と、駅発時刻(Tdep)から、回生ブレーキ開始時刻(Treg)を次の式で計算する。
Treg = Tdep + dTreg

0055

出発時機作成機能201は、得られた回生ブレーキ開始時刻を当該列車当該駅間の回生ブレーキ開始時刻として保持する。また、回生ブレーキ開始は、指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203の当該行に記載された回生ブレーキ動作開始位置を適用する。

0056

なお、ダイヤの出発時刻と到着時刻の差から求めたダイヤの走行時間と、指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203に記された駅間走行時間が完全に合致する行が無い場合、例えばダイヤの走行時間と指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203に記された駅間走行時間のうち最も近い値で代用する、また、指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ203に記された駅間走行時間の各値でダイヤの走行時間を内挿補間あるいは外挿補間を行い対応するデータを取得する方法を適用してもよい。

0057

以上の処理2001〜2012を行うことで、図4に示す出発時機情報作成処理の処理1002は、他列車の駅出発時刻及び位置が図7に示す回生ブレーキ動作開始時刻位置駅発時刻位置差分上限データ205を満たす回生ブレーキ開始時期の列車数を得る。なお、この例では列車2Bは含まれない。

0058

図4のフローチャートに戻り、次に、出発時機作成機能201は、処理1003で、延発設定最小単位時間及び延発設定最大時間を取得する。延発設定最小単位時間及び延発設定最大時間は、図12に示す延発設定データ207として保持している。それぞれの値は、例えば、延発設定最小単位時間が10秒、延発設定最大時間は2分とする。

0059

続いて、出発時機作成機能201は、処理1004で、全駅間全列車について発時刻の早い順に処理を開始する。そして、対象となる列車について繰り返し処理が行われる。ここでは、図6に示す列車ダイヤデータ204より、出発時機作成機能201は、列車2Bが駅8A番線6Bに時刻10:10:10に到着する場合の処理を行い、次に、列車2Aが駅8B番線6Cに時刻10:12:00に到着する場合の処理を行う。

0060

まず、列車2Bが駅8A番線6Bに時刻10:10:10に到着する場合の処理について説明する。
出発時機作成機能201は、処理1005で、未出発の当該駅間当該列車について現在のダイヤの発時刻及び最小停車時間を取得する。列車2Bが駅8A番線6Bに時刻10:10:10に到着する場合のダイヤの発時刻は、図6に示す列車ダイヤデータ204より10:07:00である。ここで、最小停車時間は、図13に示す列車ダイヤ設定変更データ208として保持している。この例では、一律30秒とする。

0061

次に、出発時機作成機能201は、処理1006で、当該駅発当該列車について出発時刻の変更を仮設定する。ここでは、変更の一例として、一定時間を単位に出発時刻を繰り下げる延発を用いる場合について説明する。先の処理1003から、延発設定最小単位時間として10秒、延発設定最大時間として2分を取得しているため(図12)、延発は、ダイヤで示された時刻に対して、10秒〜120秒を10秒刻みで加算した値となる。

0062

これにより、例えば図6に示す列車ダイヤデータ204において、列車2Aの駅8A発時刻10:08:30に延発を設定する場合、出発時機作成機能201は、列車ダイヤデータ204として次の12条件について順次計算を行うこととなる。
条件1: 列車2Aの駅8A発時刻=10:08:40(10秒延発)
条件2: 列車2Aの駅8A発時刻=10:08:50(20秒延発)

条件12: 列車2Aの駅8A発時刻=10:10:30(120秒延発)

0063

出発時機作成機能201は、処理1007で、出発時刻の変更を仮設定したダイヤを対象に、全駅間全列車の回生ブレーキ動作開始時刻と開始地点位置について、他列車の発時刻と発位置との差分が共に指定値以下となる列車数を取得する。処理手順は、先の処理1002の場合と同様に、処理2001〜2012(図11)を実行することであるため、それぞれの手順の説明は省略して、延発による影響箇所についてのみ説明する。

0064

列車2Aの駅8A発時刻に延発を設定して出発時刻を変更した場合、先の処理2011の駅出発時刻回生ブレーキ開始時刻差分上限と列車2A駅8A発時刻と列車2B駅8B8A間回生ブレーキ動作開始時刻の差分の関係が変化する。例えば、先に説明した条件1及び条件2の場合、次の関係となる。
条件1: 列車2Aの駅8A発時刻=10:08:40(10秒延発)
駅出発時刻回生ブレーキ開始時刻差分上限
= 列車2A駅8A発時刻 − 列車2B駅8B8A間回生ブレーキ動作開始時刻
= 10:08:40 − 10:09:15
= 35秒 > 30秒(時刻差分上限データ)
条件2: 列車2Aの駅8A発時刻=10:08:50(20秒延発)
駅出発時刻回生ブレーキ開始時刻差分上限
= 列車2A駅8A発時刻 − 列車2B駅8B8A間回生ブレーキ動作開始時刻
= 10:08:50 − 10:09:15
= 25秒 < 30秒(時刻差分上限データ)

0065

このように、条件1の延発では、列車2Bの回生ブレーキ動作開始時刻と列車2Aの駅8A発時刻が図7に示す指定値(回生ブレーキ動作開始時刻位置駅発時刻位置差分上限データ205)を満たさないが、条件2の延発ではそれを満たすことになる。
これにより、条件1の延発を設定した場合は、他列車の駅出発時刻及び位置が、図7に示す回生ブレーキ動作開始時刻位置駅発時刻位置差分上限データ205を満たす回生ブレーキ開始時期の列車数に列車2Bが含まれず、列車数は延発無しの列車ダイヤデータ204における列車数と同じとなる。

0066

次に、条件2の延発を設定した場合は、他列車の駅出発時刻及び位置が、図7に示す回生ブレーキ動作開始時刻位置駅発時刻位置差分上限データ205を満たす回生ブレーキ開始時期の列車数に列車2Bが含まれることになり、列車数は延発無しの列車ダイヤデータ204における列車数+1となる。

0067

なお、出発時刻の変更として延発を設定した場合、延発を設定した列車の次駅の到着時刻以降の発車時刻も影響を受けることになる。例えば、条件1で10秒の延発を設定した場合、延発を設定した列車2Aの駅8A番線6Aからの出発時刻が10秒遅くなり、それ以降の駅8B番線6Cに到着する時刻も、延発無しの列車ダイヤデータ204に記された10:12:00より10秒遅くなる。以降の図示していない駅8B番線6Cの出発時刻も影響を受けるが、出発時刻の設定は、延発無しの列車ダイヤデータ204に記された到着時刻と出発時刻の差分だけでなく、例えば公知の方法として列車ダイヤ設定変更データ208(図13)に保持する最小停車時間より大きい値とすることが知られている。延発を設定した場合、その延発以降の列車ダイヤの到着時刻及び出発時刻の計算には、最小停車時間の考慮など公知の方法を適用すればよい。

0068

また、ダイヤ変更により列車の遅れが波及して回復しない状態となる場合がある。この場合は、例えば、延発無しの列車ダイヤデータ204における各列車が終着駅に到着する時刻に対して、延発などのダイヤ変更を行った列車ダイヤデータ204における各列車が終着駅に到着する時刻が遅くなる列車の数を求め、求めた数が指定数を超える場合として判定される。ただし、この計算では、設定した延発の時刻以降に駅を出発する列車全てが計算対象となるため、影響を受ける列車を全て抽出することはできる反面、駅を出発する列車全ての数が多い場合は計算対象が多くなるため、計算量が増大する。
判定結果が指定数を超えた際は、例えば、当該ダイヤ変更を行った列車ダイヤデータ204に対応する前出の他列車の駅出発時刻及び位置が、図7に示す回生ブレーキ動作開始時刻位置駅発時刻位置差分上限データ205を満たす回生ブレーキ開始時期となる列車数を、0に置き換える(リセットする)処理を行う。この処理により、前出の到着時刻が遅くなる列車の数が0を含む指定数以下の場合を対象に、ダイヤ変更を行うことができる。

0069

更に別の方法として、延発時間幅の上限値を設けることにより、出発時機作成時の処理の計算量を減らすことができる。例えば、駅8Bの番線6Dを出発し駅8Aの番線6Bに到着する列車に対して、駅8Bの番線6Dについて延発時間幅上限値210を予め定めて保持する。そして、出発時機作成時に設定する延発時間幅が延発時間幅上限値データ210以下の場合は、他の列車への影響は無いと判断して延発の時刻以降に駅を出発する列車全てを対象に行う計算を省略できる。また、延発時間幅上限値データ210以下の延発時間幅となる列車に対しては、表示装置に延発する駅出発時刻を表示する。

0070

この延発時間幅上限値データ210は、列車の走行に先立って作成する情報である。図14に、延発時間幅上限値データ210の例を示す。延発時間幅上限値データ210は列車ダイヤデータ204の全列車全駅について個別に設定してもよいし、列車ダイヤデータ204の列車種別ごとに全駅について、図示していない列車ダイヤデータ204の時間帯ごとに全駅について、それぞれ設定してもよい。

0071

延発時間幅上限値データ210の作成に関しては、例えば、軌道を走行する列車が、図8に示す標準運転曲線501あるいは標準運転曲線より低い速度での走行を表した運転曲線502Aあるいは502Bについて、最小運転時隔を公知の方法で計算し、列車ダイヤデータ204の列車着発時刻で定まる列車の運転間隔との差分を求め、この差分値を延発時間幅上限値210として用いればよい。運転曲線の組み合わせ条件によって最小運転時隔が異なる場合には、例えば異なる最小運転時隔のうち最も大きな値を用いるか、あるいは平均値を計算して用いてもよい。他にも、列車ダイヤデータ204から求めた駅停車時間と列車ダイヤ設定変更データ208(図13)に保持する最小停車時間との差に基づいて、また、列車ダイヤデータ204から求めた走行時間と運転曲線から求めた走行時間との差に基づいて、作成してもよい。

0072

この延発時間幅上限値データ210を用いる方法は、列車ダイヤデータ204における各列車が延発などのダイヤ変更を行った際に終着駅に到着する時刻が遅くなる列車数を求めて指定数を超えるか判定する方法と比較して、ダイヤ変更により列車の遅れが波及して回復しない状態であることの判定を少ない計算量で得ることができる。

0073

出発時機作成機能201は、処理1008で、先の処理1007で取得した列車数、つまり延発を仮設定したダイヤにおける全駅間全列車の回生ブレーキ動作開始時刻と開始地点位置について、他列車の発時刻と発位置との差分が共に指定値以下となる列車数が、先の処理1002で取得した現在のダイヤでの列車数より大きいか否かを判定する。

0074

出発時機作成機能201は、大きくない場合には(NO)、処理1010に進み、大きい場合には(YES)、処理1009を実行して、延発を仮設定したダイヤを現在のダイヤとして保持した後、処理1010に進む。
例えば、先の条件1の延発を設定した場合では、取得した列車数は延発無しの列車ダイヤデータ204における列車数と同じであるため、処理1010に進むことになる。また、先の条件2の延発を設定した場合では、取得した列車数は延発無しの列車ダイヤデータ204における列車数+1であるため、処理1009を行って条件2の延発を設定したダイヤを列車ダイヤデータ204として保持する。

0075

これにより、条件3以降の処理では、条件2の延発を設定した列車ダイヤを対象に判定を行い、条件2による列車数より多い場合には、当該条件の延発を設定した列車ダイヤを列車ダイヤデータ204として保持することになる。
したがって、処理1005で仮設定した延発を持つダイヤと現在のダイヤのうち、全駅間全列車の回生ブレーキ動作開始時刻と開始地点位置について、他列車の発時刻と発位置との差分が共に指定値以下となる列車数が多いダイヤを現在のダイヤとして保持することができる。

0076

出発時機作成機能201は、処理1010で、全駅間全列車について実施したか判定し、全駅間全列車について実施した場合には(YES)、処理1011に進み終了する。全駅間全列車について実施していない場合には(NO)、出発時機作成機能201は、処理1004に戻り、次に発時刻の早い列車と発駅について処理を続ける。

0077

以上の処理を行うことで、出発時機作成機能201は、全駅間全列車の回生ブレーキ動作開始時刻と開始地点位置について、他列車の発時刻と発位置との差分が共に指定値以下となる列車数が最も多くなるダイヤと延発の条件を取得することができる。すなわち、この列車数とは、回生ブレーキ動作を開始する時刻と場所が、他の列車が駅を出発する際に一定の時間差及び距離差にある場合の数である。この状態は、回生ブレーキの動作開始による回生電力を、他の列車が駅を出発する際に必要とする電力として消費できることを示している。このように、当該列車数が最大となる列車ダイヤは、回生ブレーキによる電力を最も有効に消費できる状態にあるダイヤとなる。

0078

また、出発時機作成機能201は、取得したダイヤの延発情報を、入出力インタフェース機能202を介して表示装置4A及び4Bに送る。
表示装置4A及び4Bは、入出力インタフェース機能202を介して受け取った延発情報を表示する。ここでは、列車2Aに対して、条件2の延発つまり駅8A番線6Aを20秒延発の情報を表示する。そして、列車2Aは、表示装置4Aの指示に従い、駅8A番線6Aを20秒遅く出発する。

0079

以上の処理により、列車2Aは、8A番線6Aを20秒遅く出発することになり、列車2Bの回生ブレーキ動作開始時刻及び開始地点位置に対応した出発を実現する。
これらの結果、列車ダイヤと列車の指定した軌道回路に対する進入時刻を基に回生ブレーキによる電力を最も有効に消費できる状態にあるダイヤと延発の条件を、少ない計算量の処理にて作成することができる。また、列車に延発情報を表示し、列車はその延発情報に従った出発を行うことにより、電力を有効に消費する列車運行管理を実現できる。

0080

なお、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。そしてまた、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。

実施例

0081

更に、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカードSDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。

0082

1運行管理装置、2(2A〜2B)列車、3列車在線管理装置、
4(4A〜4B)表示装置、5(5A〜5J)軌道回路、6(6A〜6D)番線、
7軌道、8(8A〜8B)駅、9(9A〜9D)列車到達判定地点
101演算部、102情報インタフェース部、103 演算データ保持部、
201出発時機作成機能、202、302、602入出力インタフェース機能、
203 指定位置列車通過時刻回生ブレーキ動作開始時刻差分データ、
204列車ダイヤデータ、
205 回生ブレーキ動作開始時刻位置駅発時刻位置差分上限データ、
206 駅出発位置データ、207 延発設定データ、
208列車ダイヤ変更条件データ、209地点情報管理データ、
210 延発時間幅上限値データ、
301 落下扛上判定機能、303 判定時素データ、
501標準運転曲線、502(502A〜502B)運転曲線、
503、503A、503B 回生ブレーキ動作開始地点位置

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