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課題

光センシング情報を用いて簡易かつ迅速に国産ゴマと外国産ゴマとを判別することができる、ゴマの産地判別装置および方法を提供する。

解決手段

光センシング情報として、蛍光X線分光情報(ICaKα、IFeKα、及びISrKα)、赤外分光情報(d2Abs1095cm-1と2Abs1238cm-1d2、又はAbs1313cm-1)、及び色彩情報のうち、いずれか1種または複数種を組み合わせて、国産ゴマと外国産ゴマとを判別する。

概要

背景

近年、食品原産地偽装する事件が問題となっている。我が国では多くの食料飼料輸入に依存しており、日本のカロリーベース総合食料自給率は約40%と、先進国の中でも最低水準にある。外国産が国産よりも安価である食品は特に産地偽装の対象となりやすく、日本では2001年のJAS法の改正により、全ての農畜水産物の産地を表示することが義務付けられた。しかし、その後も地域の特産品プレミアムを利用した偽装の摘発が相次ぎ、消費者食品表示への不信感が非常に高まっている。

そこで、原産地表示の信頼性を高め、消費者の商品選択に資するために科学的に農畜水産物の原産地を判別する手法の開発が求められている。健康食品として知られるゴマも同様である。日本では、ゴマの自給率が0.1%未満と非常に低く、他の食品と比べても国産の希少価値が高い。したがって、国産のゴマなのか、外国産のゴマなのかを判別できると、その意義は非常に高い。

ゴマに限らず農畜水産物の産地判別に関する研究として、微量元素分析法(非特許文献1)、安定同位体分析法(非特許文献2)、及びDNA分析法(非特許文献3)などが報告されている。

微量元素分析法では、例えば発光分光分析法原子吸光法により微量元素が測定される。発光分光分析法は、試料アークスパーク又は高周波放電により励起し、得られる発光スペクトル波長位置から定性分析を、発光強度から定量分析をする方法である。中でも、発光分光分析法の一種であるプラズマ発光分析法は、高感度で多くの無機元素が少量から微量まで定量でき、多元素同時分析が可能な点が大きな利点である。ただし、複雑な発光スペクトル線解析ならびに良好な再現性を得るためには、多くの経験と熟練を必要とする。

また、発光分光分析法の別の一種であるICP分析法では、試料を溶液とするのが一般的である。固体試料溶液試料に調整する際、前処理を適切に選択し、沈殿などが生成しないように注意する。プラズマ中に導入された試料は瞬時に気化・励起されるため、アーク放電の場合のような予備放電時間を必要とせず、直ちに測光できる。また、試料マトリックスによる影響も小さい。

微量元素分析法のもう一つの方法である原子吸光法では、試料を化学炎などで熱解離し、精製した基底状態原子蒸気に、特定波長の光を照射したとき起こる原子の吸光現象を利用した分析法である。共存イオンの妨害が少なく、選択性が良いため、ほとんどの金属元素の分析に適している。しかし、一回の測定で単一元素のみしか測定できないため定性分析には適さず、分析目的の数が比較的少ない試料の定量分析にしか適さない。

安定同位体比分析法では、同位体比質量分析計(IR−MS)による安定同位体比の計測が一般的である。IR−MSでは、まず試料を燃焼装置で加熱し、測定元素ガス化する。そして、ガス化された元素イオン化させた後、加圧電圧をかける。加圧電圧をかけられた分子イオンは、マグネット部の磁場に高速進入し、質量に応じた曲率で進行方向が変わっていく。分子イオンの進行方向には複数のイオン検出器が配置されており、異なる質量の分子イオン、すなわち異なる同位体は別の検出器入射して電流値に変換される。

DNA分析法では、均一な配列をもつ1μg程度のDNA断片制限酵素で分解し、一本になったDNA鎖放射線標識する。これにジメチル硫酸を加えると、Gにメチル基が結合する。さらにアルカリで処理すると、Gの部分が崩壊し、核酸つなぐ鎖の断裂が起こる。メチル化はGで部分的、かつランダムに起こるので、電気泳動X線フィルム露光すると、末端がGのところだけに断片が現れる。同様な選択的修飾と切断反応をGとAや、CとTなどの条件で行い、各反応で生じた化学反応物ゲル電気泳動に供し、そのバンドパターンを解析することで塩基配列を決定する。このDNA分析を活用した食品の判別においては、品種によって生息地が異なる場合には品種の判別を通じて産地を判別することは可能であるが、農産物のように自国の品種が海外に持ち出されて現地生産され自国に輸入される場合は、品種が同じであることから産地の判別にはつながらない。

概要

光センシング情報を用いて簡易かつ迅速に国産ゴマと外国産ゴマとを判別することができる、ゴマの産地判別装置および方法を提供する。光センシング情報として、蛍光X線分光情報(ICaKα、IFeKα、及びISrKα)、赤外分光情報(d2Abs1095cm-1と2Abs1238cm-1d2、又はAbs1313cm-1)、及び色彩情報のうち、いずれか1種または複数種を組み合わせて、国産ゴマと外国産ゴマとを判別する。

目的

本発明は、光センシングによって簡易かつ迅速に国産ゴマと外国産のゴマとを判別することができる、ゴマの産地判別装置とゴマの産地判別方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

光センシング情報から外国産のゴマと国産のゴマとを判別する、ゴマの産地判別装置であって、蛍光X線分光情報を取得する蛍光X線分光計測部と、前記蛍光X線分光情報から主成分分析を行って、所定の判定基準に基づき産地を判別する演算部とを有し、前記蛍光X線分光情報が、カルシウム(Ca)、鉄(Fe)、及びストロンチウム(Sr)の蛍光X線強度である、CaKα、FeKα、及びSrKαの蛍光X線スペクトルピークである、ゴマの産地判別装置。

請求項2

前記演算部には、白ゴマの産地判別用の判定基準として、前記蛍光X線分光情報から得られる国産ゴマのデータ領域が記憶されており、黒ゴマの産地判別用の判定基準として、前記蛍光X線分光情報から得られる外国産ゴマのデータ領域が記憶されている、請求項1に記載のゴマの産地判別装置。

請求項3

赤外分光情報を取得する赤外分光計測部を有し、前記赤外分光情報が、波数1095cm-1の吸光度及び1238cm-1の吸光度である、請求項1に記載のゴマの産地判別装置。

請求項4

前記演算部には、金ゴマの産地判別用の判定基準として、前記蛍光X線分光情報と前記赤外分光情報とを組み合わせた複合情報から得られる国産ゴマのデータ領域が記憶されており、白ゴマの産地判別用の判定基準として、前記赤外分光情報から得られる国産ゴマのデータ領域が記憶されており、黒ゴマの産地判別用の判定基準として、前記赤外分光情報から得られる国産ゴマのデータ領域が記憶されている、請求項3に記載のゴマの産地判別装置。

請求項5

色彩情報を取得する色彩画像計測部を有し、前記色彩情報が色相(H)または彩度(S)の少なくとも1つである、請求項1または請求項3に記載のゴマの産地判別装置。

請求項6

前記演算部には、白ゴマの産地判別用の判定基準として、前記色彩情報から得られる国産ゴマのデータ領域が記憶されている、請求項5に記載のゴマの産地判別装置。

請求項7

光センシング情報に基づいて、外国産のゴマと国産のゴマとを判別する、ゴマの産地判別方法

請求項8

前記光センシング情報が、少なくとも蛍光X線分光情報である、請求項7に記載のゴマの産地判別方法。

請求項9

前記蛍光X線分光情報が、カルシウム(Ca)、鉄(Fe)、及びストロンチウム(Sr)の蛍光X線強度である、請求項8に記載のゴマの産地判別方法。

請求項10

前記光センシング情報として、赤外分光情報も組み合わせる、請求項8または請求項9に記載のゴマの産地判別方法。

請求項11

前記赤外分光情報が、波数1095cm-1の吸光度及び1238cm-1の吸光度である、請求項10に記載のゴマの産地判別方法。

請求項12

前記光センシング情報として、色彩情報も組み合わせる、請求項8ないし請求項11のいずれかに記載のゴマの産地判別方法。

請求項13

金ゴマの産地判定には、前記蛍光X線分光情報と前記赤外分光情報とを同時に併用して判別する、請求項11に記載のゴマの産地判別方法。

請求項14

白ゴマの産地判定には、前記蛍光X線分光情報から判別した後、次いで前記赤外分光情報から判別し、最後に色彩情報から判別する、請求項12に記載のゴマの産地判別方法。

請求項15

前記色彩情報が、色相(H)または彩度(S)の少なくとも1つである、請求項14に記載のゴマの産地判別方法。

請求項16

黒ゴマの産地判定には、前記蛍光X線分光情報から判別した後、次いで前記赤外分光情報から判別する、請求項11に記載のゴマの産地判別方法。

技術分野

0001

本発明は、国産のゴマか外国産のゴマかを判別することができる、ゴマの産地判別装置及びゴマの産地判別方法に関する。

背景技術

0002

近年、食品原産地偽装する事件が問題となっている。我が国では多くの食料飼料輸入に依存しており、日本のカロリーベース総合食料自給率は約40%と、先進国の中でも最低水準にある。外国産が国産よりも安価である食品は特に産地偽装の対象となりやすく、日本では2001年のJAS法の改正により、全ての農畜水産物の産地を表示することが義務付けられた。しかし、その後も地域の特産品プレミアムを利用した偽装の摘発が相次ぎ、消費者食品表示への不信感が非常に高まっている。

0003

そこで、原産地表示の信頼性を高め、消費者の商品選択に資するために科学的に農畜水産物の原産地を判別する手法の開発が求められている。健康食品として知られるゴマも同様である。日本では、ゴマの自給率が0.1%未満と非常に低く、他の食品と比べても国産の希少価値が高い。したがって、国産のゴマなのか、外国産のゴマなのかを判別できると、その意義は非常に高い。

0004

ゴマに限らず農畜水産物の産地判別に関する研究として、微量元素分析法(非特許文献1)、安定同位体分析法(非特許文献2)、及びDNA分析法(非特許文献3)などが報告されている。

0005

微量元素分析法では、例えば発光分光分析法原子吸光法により微量元素が測定される。発光分光分析法は、試料アークスパーク又は高周波放電により励起し、得られる発光スペクトル波長位置から定性分析を、発光強度から定量分析をする方法である。中でも、発光分光分析法の一種であるプラズマ発光分析法は、高感度で多くの無機元素が少量から微量まで定量でき、多元素同時分析が可能な点が大きな利点である。ただし、複雑な発光スペクトル線解析ならびに良好な再現性を得るためには、多くの経験と熟練を必要とする。

0006

また、発光分光分析法の別の一種であるICP分析法では、試料を溶液とするのが一般的である。固体試料溶液試料に調整する際、前処理を適切に選択し、沈殿などが生成しないように注意する。プラズマ中に導入された試料は瞬時に気化・励起されるため、アーク放電の場合のような予備放電時間を必要とせず、直ちに測光できる。また、試料マトリックスによる影響も小さい。

0007

微量元素分析法のもう一つの方法である原子吸光法では、試料を化学炎などで熱解離し、精製した基底状態原子蒸気に、特定波長の光を照射したとき起こる原子の吸光現象を利用した分析法である。共存イオンの妨害が少なく、選択性が良いため、ほとんどの金属元素の分析に適している。しかし、一回の測定で単一元素のみしか測定できないため定性分析には適さず、分析目的の数が比較的少ない試料の定量分析にしか適さない。

0008

安定同位体比分析法では、同位体比質量分析計(IR−MS)による安定同位体比の計測が一般的である。IR−MSでは、まず試料を燃焼装置で加熱し、測定元素ガス化する。そして、ガス化された元素イオン化させた後、加圧電圧をかける。加圧電圧をかけられた分子イオンは、マグネット部の磁場に高速進入し、質量に応じた曲率で進行方向が変わっていく。分子イオンの進行方向には複数のイオン検出器が配置されており、異なる質量の分子イオン、すなわち異なる同位体は別の検出器入射して電流値に変換される。

0009

DNA分析法では、均一な配列をもつ1μg程度のDNA断片制限酵素で分解し、一本になったDNA鎖放射線標識する。これにジメチル硫酸を加えると、Gにメチル基が結合する。さらにアルカリで処理すると、Gの部分が崩壊し、核酸つなぐ鎖の断裂が起こる。メチル化はGで部分的、かつランダムに起こるので、電気泳動X線フィルム露光すると、末端がGのところだけに断片が現れる。同様な選択的修飾と切断反応をGとAや、CとTなどの条件で行い、各反応で生じた化学反応物ゲル電気泳動に供し、そのバンドパターンを解析することで塩基配列を決定する。このDNA分析を活用した食品の判別においては、品種によって生息地が異なる場合には品種の判別を通じて産地を判別することは可能であるが、農産物のように自国の品種が海外に持ち出されて現地生産され自国に輸入される場合は、品種が同じであることから産地の判別にはつながらない。

先行技術

0010

土田英央、中野明正、中井Sr同位体比と微量元素濃度分析によるパプリカの産地判別の可能性分析化学、63、625−628、2014
K. Ariyama,Y. Aoyama,A. Mochizuki,Y. Homura,M. Kadokura,A. Yasui. Determination of the Geographic Origin of Onions between Three Main Production Areas in Japan and Other Countries by Mineral Composition. Journal of Agricultural and Food Chemistry,55,347-354,2007
澤田桂子、井口潤、浪越充司 DNA分析によるのりの原産地判別法の検討 農林水産消費安全技術センター食品関係等調査研究報告、38、16−22、2014

発明が解決しようとする課題

0011

微量元素分析法では、数種類の酸を用いて試料を分解するという煩雑な前処理が必要であるため、化学実験が可能な実験室を必要とし、化学の専門知識や熟練した技術をもった人でなければ信頼できる分析結果が得られない。

0012

安定同位体比分析法やDNA分析法も同様に測定の前処理に時間がかかり、操作に熟練が必要である。しかも、DNA分析では、国産種であっても海外で生産された場合は産地の判別は不可能である。これらのことから、食品加工現場で簡便に実施できる産地判別法が求められている。

0013

そこで本発明者らは、非破壊簡易であり、且つ化学薬品を用いず迅速に国産ゴマと外国産のゴマとを判別することができないか鋭意検討の結果、光センシングによれば可能であることを知見した。すなわち、ゴマなどの農作物土壌中のミネラル成分を吸収して成長し、代謝によって有機成分を生合成するとともに、色彩や形状などの外観を形成する。つまり、品種毎に本来持っている遺伝情報のみならず、同じ品種であっても、土壌や天候などの生育環境(産地)の影響を受けながら農作物は生育する。このような産地の違いによる特徴は表現型と呼ばれ、生物の持つ様々な形質網羅的に解析するフェノミクス研究として注目されており、光センシングは、このフェノミクス研究のための情報取得ツールとして有望である。

0014

本発明は、光センシングによって簡易かつ迅速に国産ゴマと外国産のゴマとを判別することができる、ゴマの産地判別装置とゴマの産地判別方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0015

そのための手段として、本発明は次の手段を採る。
[1]光センシング情報から外国産のゴマと国産のゴマとを判別する、ゴマの産地判別装置であって、
前記光センシング情報として、蛍光X線分光情報を取得する蛍光X線分光計測部と、
前記蛍光X線分光情報から主成分分析を行って、所定の判定基準に基づき産地を判別する演算部とを有し、
前記蛍光X線分光情報が、カルシウム(Ca)、鉄(Fe)、及びストロンチウム(Sr)の蛍光X線強度である、CaKα、FeKα、及びSrKαの蛍光X線スペクトルピークである、ゴマの産地判別装置。
[2] 前記演算部には、白ゴマの産地判別用の判定基準として、前記蛍光X線分光情報から得られる国産ゴマのデータ領域が記憶されており、
黒ゴマの産地判別用の判定基準として、前記蛍光X線分光情報から得られる外国産ゴマのデータ領域が記憶されている、[1]に記載のゴマの産地判別装置。
[3]前記光センシング情報として、赤外分光情報を取得する赤外分光計測部を有し、
前記赤外分光情報が、波数1095cm-1の吸光度及び1238cm-1の吸光度である、[1]に記載のゴマの産地判別装置。
[4] 前記演算部には、金ゴマの産地判別用の判定基準として、前記蛍光X線分光情報と前記赤外分光情報とを組み合わせた複合情報から得られる国産ゴマのデータ領域が記憶されており、
白ゴマの産地判別用の判定基準として、前記赤外分光情報から得られる国産ゴマのデータ領域が記憶されており、
黒ゴマの産地判別用の判定基準として、前記赤外分光情報から得られる国産ゴマのデータ領域が記憶されている、[3]に記載のゴマの産地判別装置。
[5]前記光センシング情報として、色彩情報を取得する色彩画像計測部を有し、
前記色彩情報が色相(H)または彩度(S)の少なくとも1つである、[1]または[3]に記載のゴマの産地判別装置。
[6]前記演算部には、白ゴマの産地判別用の判定基準として、前記色彩情報から得られる国産ゴマのデータ領域が記憶されている、[5]に記載のゴマの産地判別装置。
[7]光センシング情報に基づいて、外国産のゴマと国産のゴマとを判別する、ゴマの産地判別方法。
[8]前記光センシング情報が、少なくとも蛍光X線分光情報である、[7]に記載のゴマの産地判別方法。
[9]前記蛍光X線分光情報が、カルシウム(Ca)、鉄(Fe)、及びストロンチウム(Sr)の蛍光X線強度である、[8]に記載のゴマの産地判別方法。
[10]前記光センシング情報として、赤外分光情報も組み合わせる、[8]または[9]に記載のゴマの産地判別方法。
[11]前記赤外分光情報が、波数1095cm-1の吸光度及び1238cm-1の吸光度である、[10]に記載のゴマの産地判別方法。
[12]前記光センシング情報として、色彩情報も組み合わせる、[8]ないし[11]のいずれかに記載のゴマの産地判別方法。
[13]金ゴマの産地判定には、前記蛍光X線分光情報と前記赤外分光情報とを同時に併用して判別する、[11]に記載のゴマの産地判別方法。
[14]白ゴマの産地判定には、前記蛍光X線分光情報から判別した後、次いで前記赤外分光情報から判別し、最後に色彩情報から判別する、[12]に記載のゴマの産地判別方法。
[15]前記色彩情報が、色相(H)または彩度(S)の少なくとも1つである、[14]に記載のゴマの産地判別方法。
[16]黒ゴマの産地判定には、前記蛍光X線分光情報から判別した後、次いで前記赤外分光情報から判別する、[11]に記載のゴマの産地判別方法。

発明の効果

0016

本発明によれば、ゴマの産地を光センシング情報により判別するため、非破壊で簡易であり、且つ化学薬品を用いず迅速に判別することができる。したがって、大掛かりな設備や特殊な機器及び薬品のある研究室でなくても、例えば食品加工現場等でも容易に判別が可能であり、実用性が高い。そのため、希少価値が高い国産ゴマに関して原産地表示の信頼性を高め、消費者が自らの嗜好にあった商品を正確に選択するための情報を、比較的簡便に提供することができるようになる。

図面の簡単な説明

0017

金ゴマの産地判定手順を示すフローチャートである。
白ゴマの産地判定手順を示すフローチャートである。
黒ゴマの産地判定手順を示すフローチャートである。
波数1095cm-1及び1238cm-1の吸光度に着目した、金ゴマの赤外分光情報の選定結果である。
波数1095cm-1及び1238cm-1の吸光度に着目した、白ゴマの赤外分光情報の選定結果である。
波数1095cm-1及び1238cm-1の吸光度に着目した、黒ゴマの赤外分光情報の選定結果である。
金ゴマの判別方法選定試験結果である。
白ゴマの判別方法選定試験結果である。
黒ゴマの判別方法選定試験結果である。
金ゴマの産地判別結果である。
白ゴマの第1判別ステップ結果である。
白ゴマの第2判別ステップ結果である。
白ゴマの第3判別ステップ結果である。
黒ゴマの第1判別ステップ結果である。
黒ゴマの第2判別ステップ結果である。

0018

本発明の判別対象であるゴマは、ゴマ科(pedaliaceae)、ゴマ属(Sesamum)に属する1年生草本であり、種皮の色により金ゴマ、白ゴマ、黒ゴマに大別される。ゴマは油糧種子の一つであり、約50%が脂質である。他にタンパク質炭水化物をそれぞれ約20%弱含んでおり、その他の微量成分として、セサミンセサモリンセサミノールなどのゴマリグナン類のほか、ミネラルも含む。ミネラルとしては、カルシウム(Ca),鉄(Fe),ストロンチウム(Sr),リン(P),ナトリウム(Na),カリウム(K),マグネシウム(Mg),亜鉛(Zn),銅(Cu)などが挙げられる。

0019

判別に供するゴマは、脱皮・焙煎・粉砕等の加工を行わず未加工のものを使用する。加工を施すと、色彩や含有成分量が変化して、正確な判別を行えなくなるからである。特にカルシウムは、その殆どが種皮に含まれており、脱皮すると激減する。ゴマに含まれるカルシウムは、シュウ酸と結合して約53%がシュウ酸カルシウム結晶として存在している。

0020

ゴマは、光センシング法によって外国産か国産かを産地判別する。具体的には、蛍光X線分光計測法、赤外分光計測法、及び色彩画像計測法を用いて判別する。これらの計測法により得られたマルチバンド光センシング情報として、蛍光X線分光情報、赤外分光情報、及び色彩情報に基づき判別する。これらの光センシング情報の中では、少なくとも蛍光X線分光情報を必須の情報として判別する。すなわち、蛍光X線分光情報のみによってもある程度高い信頼性でゴマの産地を判別することができる。そのうえで、判別結果の信頼性(確実性)を高めるために、蛍光X線分光情報に加えて、必要に応じて赤外分光情報や色彩情報を組み合わせればよい。

0021

光センシングでは、センシングに用いる電磁波の領域が赤外線領域可視光領域、紫外線領域、及びX線領域と様々であり、計測方法により取得可能な情報が異なる。そのうえで本発明では、光センシング情報として、少なくとも蛍光X線分光情報を採用している。蛍光X線分光情報は、ゴマに含有されている複数のミネラル元素を同時に計測可能であり、産地の違いによる含有ミネラルの傾向から、他の光センシング情報と比べても比較的高精度に産地を判別することができる。したがって、蛍光X線分光情報のみによっても、確実ではないとしても、ある程度信頼性の高い判別も可能となる。

0022

蛍光X線分光分析を行う場合は、ゴマに含有されている全てのミネラル元素に由来する蛍光X線スペクトルピークに基づく情報により判別することもできる。しかし、ゴマには多数種のミネラル元素が含まれているため、情報が多すぎて反ってその信頼性が低下する。そこで、ゴマに含有されているミネラル元素の中でも、特に産地の違い(特に国産ゴマ)による特徴が現れ易いカルシウム(Ca)、鉄(Fe)、及びストロンチウム(Sr)に由来する蛍光X線スペクトルであるCaKα、FeKα、及びSrKαの蛍光X線スペクトルピークから得られる情報に絞って判別することが好ましい。これにより、情報が絞られてその信頼性が向上し、的確に判別することができる。なお、蛍光X線のスペクトル波長の短い方からK、L、Mなどの系列があり、K殻にある空孔L殻からの電子によって埋められて生ずるX線をKα線と言う。

0023

また、光センシング情報としては、蛍光X線分光情報に加えて、赤外分光情報も組み合わせることが好ましい。これにより、蛍光X線分光情報のみでは判別できない産地でも判別することができ、判別結果の信頼性(確実性)が向上する。

0024

この場合、波数1095cm-1の吸光度及び1238cm-1の吸光度から得られる情報により判別することが好ましい。他の波数でも判別が不可能ではないが、上記波数による吸光度が最も産地の違いによる影響が大きく現れるため、最も効率よく且つ的確に判別することができる。また、吸光度の代わりに、吸光度の二次微分値を用いて判別することもできる。

0025

さらに光センシング情報として、蛍光X線分光情報及び/又は赤外分光情報に加えて、色彩情報も組み合わせることが好ましい。これにより、蛍光X線分光情報及び/又は赤外分光情報では判別できない産地でも判別することができ、判別結果の信頼性(確実性)がより向上する。

0026

この場合、色相(H)または彩度(S)の少なくとも1つを基準に判別することが好ましい。他の色彩情報によっても判別が不可能ではないが、上記色彩情報であれば最も産地の違いによる影響が大きく現れるため、最も効率よく且つ的確に判別することができる。

0027

このような各光センシングは、蛍光X線分光情報を取得する蛍光X線分光計測部と、赤外分光情報を取得する赤外分光計測部と、色彩情報を取得する色彩画像計測部と、これらの光センシング情報から主成分分析を行って、所定の判定基準に基づき産地を判別する演算部とを有する産地判別装置を用いて行う。

0028

<蛍光X線分光計測部>
蛍光X線分光計測部は、蛍光X線を利用した分析法で、炭素(C)からウラン(U)までの多元素についてppmオーダーから分析が可能である。この方法は試料の形態に関係なく非破壊で定性−定量ができる。測定時間は、1元素当たり数分程度である。蛍光X線分光分析は、試料表面の数μmないし数十μmの厚さについて分析を行う。検出されるスペクトル線が単純であり、元素の化学的状態の影響を殆ど受けない等のメリットがある。各元素は固有エネルギーを持っているため、試料から発生する蛍光X線のエネルギー(波長)を測定すれば含有元素の定性が可能であり、各波長のX線強度を測定すれば定量が可能である。蛍光X線のスペクトルは波長の短い方からK、L、Mなどの系列があり、K殻にある空孔がL殻からの電子によって埋められて生ずるX線をKα線、M殻からの電子によって生ずるX線をKβ線という。

0029

蛍光X線分光計測部において得られる蛍光X線分光情報(I)のうち、産地により少しでも違いが現れ得る情報(蛍光X線スペクトルのピーク)としては、SiKα,KKα,CaKα,CaKβ,FeKα,FeKβ,CuKα,ZnKα,SrKαがある。これら全てを用いて判別すると、情報が多すぎてデータが分散し、信頼性が低下する(第2主成分までの累積寄与率60〜70%程度)。そこで、国産ゴマにおいて特徴的なピークが最も現れる、エネルギー1.5〜4.5keV、5.5〜10keV、及び12〜16keVの範囲にある、CaKα、FeKα、及びSrKαのピーク(ICaKα、IFeKα、及びISrKα)を用いることが好ましい。これにより、情報が絞られて信頼性が向上する(累積寄与率約90%)。なお、CaKαとCaKβ、及びFeKαとFeKβは、同じ情報を捉えている。

0030

国産ゴマではCaKα、FeKα、及びSrKαに特徴的なピークが現れる理由としては、日本特有の土壌性質が考えられる。日本は降水量が多く、雨水のpHは約5.6で弱酸性である。この弱酸性の雨水が土壌中を下方に移動すれば、この雨水に含まれるH+によって土壌中のCaやMgなどの交換性塩基が交換浸出され、かわりにH+が交換侵入する。したがって、日本の土壌は酸性土壌になりやすい。土壌の酸性化が進むと土壌中のFeが可溶化し、植物に吸収されやすくなる。Caに関しては、雨水による流亡に加え、酸性条件下では植物による吸収効率が低下する。同じ2価の元素であるSrもCa同様に酸性条件下では植物による吸収効率が低下する。これらの理由により、国産ゴマではCaKα、FeKα、及びSrKαのピークに特徴が現れたと考えられる。

0031

蛍光X線分光計測部としては、エネルギー分散型蛍光X線分析装置波長分散型蛍光X線分析装置を使用し得るが、エネルギー分散型蛍光X線分析装置が好ましい。

0032

<赤外分光計測部>
吸収波数から定性分析、すなわち物質の同定が可能となる。吸収波数における吸光度から、Lambert-Beerの法則に基づき定量分析が可能となる。試料濃度と吸光度は比例関係にあるためである。

0033

ゴマの産地を判別する際は、赤外分光計測部において得られる赤外分光情報のうち、波数1095cm-1(C-O伸縮)及び1238cm-1(C-O伸縮、CH2変角)の吸光度(A1095cm-1及びA1238cm-1又はd2Abs1095cm-1及びd2Abs1238cm-1)を用いる。この波数およびこの波数における吸光度は、金ゴマ、白ゴマ、黒ゴマいずれの判別でも使用でき、種皮に存在する糖質に由来するピークである。これらの波数の吸光度において、ゴマの産地の違いによる特徴が最も顕著に現れる。

0034

この赤外分光計測部としては、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)や分散型赤外分光光度計を使用し得るが、フーリエ変換赤外分光光度計が好ましい。

0035

<色彩画像計測部>
デジタルカメラによる撮像情報から色相H(Hue)、彩度S(Saturation)、及び明度L(Lightness)が得られる。HSL色座標系は色の三属性に準じているため、人間の感覚に近い色表現ができる。また、H、S情報とL情報を分離できるという特徴を有している。したがって、H、S情報は照明光量に依存しないため、照明光量に影響されることなく画像処理が施せる利点がある。

0036

ゴマの産地を判別する際は、色彩画像計測部における色彩情報のうち、白ゴマでは彩度Sを用いる。ゴマの産地の違いによる特徴が最も顕著に現れるからである。

0037

<演算部>
上記各計側部において得られた各光センシング情報は、演算部において主成分分析することで判別基準と照らし合わせて産地を判別できる。主成分分析(Principal Component Analysis:PCA)は多変量解析の重要な方法で、多変量の特徴をもつデータを説明するため、得られた変量を合成して、全体を説明するのに適した少量の変数をつくりだす分析法である。主成分分析では、データの分布の分散が最大となるように得られた多くの変量を合成して数個説明変量ローディングベクトル)をつくりだし、分析をおこなう。データの分散を最大にとらえた軸が第1ローディングベクトルであり、第2ローディングベクトルはこれに直交する。主成分分析では、解析により得られる各主成分に対する変量に、係数aの大きさから強く寄与している変量xを見つけだすことで、主成分Zの因子が何であるかをさぐり、意味づけができる。主成分分析では、横軸が第1主成分(PC1)であり、縦軸が第2主成分(PC2)である。

0038

また、演算部には、各計側部において得られた各光センシング情報に基づきゴマの産地を判別する、金ゴマ、白ゴマ、黒ゴマ用の各判定基準が記憶されている。

0039

この演算部としてはパソコンを使用することができる。蛍光X線分光計測部、赤外分光計測部、及び色彩画像計測部は、それぞれケーブルを介して演算部と繋がっており、各計側部から得られた各光センシング情報はケーブルを介して演算部へ送信され主成分分析される。

0040

以下に、本発明の具体例について説明する。各試験には、表1に示す品種・産地のゴマを使用した。

0041

また、各光センシング情報の測定は次のように行った。
<蛍光X線分光情報の測定>
蛍光X線分光計測部として、エネルギー分散蛍光X線分光分析装置(Energy dispersive X-ray Fluorescence Spectrometer)である、島津製作所製のRayny EDX-700を使用した。解析ソフトには、島津製作所社製のEDXソフトウェアDXP-700 Version 1.00 Rel.008を用いた。測定の際は、ゴマを専用の測定用容器すりきれまで詰め、測定間でのX線の侵入深さの影響を抑えるため、測定間で重量を一定にした。

0042

表2に、蛍光X線分光計測部における蛍光X線分光情報の測定条件を示す。

0043

赤外分光スペクトル測定>
赤外分光計測部として、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いた。FT-IRには、ATRアクセサリ付属したBruker Optics社製のALPHAを用いてATR法により赤外分光スペクトルを取得した。ATR法とは、光が接触している屈折率の異なる2つの物質中を通過するとき、ある入射角度全反射する。この時、光は相手側の物質(試料)に若干潜り込んでから全反射する。したがって、試料に吸収のない領域では光は全反射するだけであるが、吸収のある領域では一部の光が試料に吸収される。このような全反射の性質から、赤外領域に吸収を持たない物質をATR結晶として用いれば赤外分光を測定することができる。試料のスペクトル測定は、パソコン上で専用のアプリケーションソフト(OPUS)にて行った。

0044

表3に、赤外分光計測部における赤外分光情報の測定条件を示す。

0045

<色彩情報の測定>
外からの光が進入しないように暗幕で覆った。色彩画像計測部として、高性能一眼レフカメラレンズから試料台までの高さが約45cmになるようにコピースタンドに取り付けた。色彩劣化が起こりにくいRAW形式撮影するため、高精細な画像を取得できる一眼レフカメラであるCanon社製のEOS 70Dを採用した。蛍光X線スペクトルを測定したそのままの状態(容器に入れた状態)で色彩情報を取得した。

0046

<主成分分析(PCA)>
演算部にはCAMO Software社製、The Unscrambler X Ver.10.3を用いた。条件は重みを定数1、クロスバリデーションをフル、アルゴリズム特異値分解とした。

0047

《蛍光X線分光情報の選定》
ゴマの蛍光X線分光を計測し、得られた各スペクトルピークから主成分分析(PCA)した結果の寄与率を表4〜表6に示す。表4に金ゴマの結果を、表5に白ゴマの結果を、表6に黒ゴマの結果をそれぞれ示す。これらの結果から、金ゴマ、白ゴマ、黒ゴマのいずれも、寄与率はCaKα、FeKα、及びSrKαのピークを用いたときが最も高いことから、これらのピークで主成分分析を行うのが適していることが確認された。

0048

0049

0050

0051

《赤外分光情報の選定》
ゴマの赤外分光を計測し、得られた各波数の吸光度のうち、差が見られたピークのなかで国産ゴマの判別に有効であると考えられる波数1095cm-1及び1238cm-1の吸光度に着目した。図4図6に、横軸に波数1095cm-1、縦軸に1238cm-1における吸光度の二次微分値をプロットした結果を示す。図4は金ゴマの結果であり、図5は白ゴマの結果であり、図6は黒ゴマの結果である。

0052

図4の結果から、≧−0.17×10-3かつ≦−0.107×10-3の領域に国産の金ゴマが全て集まることから、波数1095cm-1及び1238cm-1の吸光度によって産地を判別できることが確認された。

0053

図5の結果から、−0.18×10-3≦、≦−0.16×10-3、且つ≦−0.11×10-3の領域に国産の白ゴマが集まる傾向があったので、波数1095cm-1及び1238cm-1の吸光度が産地判別に有効であることが確認された。

0054

図6の結果から、−0.17×10-3≦、≦−0.16×10-3、且つ−0.105×10-3≦、≦−0.095×10-3の領域に国産の黒ゴマが集まっていた。これにより、波数1095cm-1及び1238cm-1の吸光度によって産地を判別できることが確認された。

0055

《色彩情報の選定》
白ゴマでは、国産は外国産よりも彩度Sが小さい傾向がある。そこで、ゴマの彩度を測定したところ、国産ゴマは彩度S≦0.32であることが確認された。換言すれば、彩度S>0.32であれば、外国産ゴマである。したがって、蛍光X線分光情報と赤外分光情報との組み合わせでも判別が困難だった国産ゴマでも、色彩情報によれば判別できることがわかった。

0056

《産地判別方法の選定》
(金ゴマ)
上記赤外分光情報の選定試験の結果(図4)から、d2Abs1095cm-1及びd2Abs1238cm-1の赤外分光情報に基づいて国産ゴマを全て判別できる可能性が示されたが、必ずしも100%の信頼性があるとは言い切れないと考えられた。そこで、ICaKα、IFeKα、及びISrKαの蛍光X線分光情報とd2Abs1095cm-1及びd2Abs1238cm-1の赤外分光情報とを同時に併用して主成分分析(PCA)してみた。その結果を図7に示す。この結果から、10PC1+3PC2≦2の領域に全ての国産ゴマのみが集まり、国産ゴマを確実に判別できることが確認され、図1に示すフローで産地判別を行うことが好ましいことがわかった。また、同一品種で産地が異なるサンプルの分布が互いに離れていることから、産地の違いが分光情報の違いとして捉えられていることが再確認された。

0057

つまり、金ゴマの産地判別は、蛍光X線分光情報のみによっても高い信頼性で行うこともできるが、図1に示すフローチャートのように、蛍光X線分光情報(ICaKα、IFeKα、及びISrKα)と赤外分光情報(d2Abs1095cm-1及びd2Abs1238cm-1)とを組み合わせ、両情報を同時に併用(主成分分析:PCA)した複合判別することが好ましい。これにより、どのような産地でも確実に国産か外国産かを判別することができる。このときの判定基準は10PC1(第1主成分値)+3PC2(第2主成分値)=2である。10PC1+3PC2≦2であれば国産であり、10PC1+3PC2>2であれば外国産である。

0058

(白ゴマ)
金ゴマの例に倣い、ICaKα、IFeKα、及びISrKαの蛍光X線分光情報とd2Abs1095cm-1及びd2Abs1238cm-1の赤外分光情報とを同時に併用して主成分分析(PCA)を行ってみたが、国産ゴマを判別することはできなかった(図8参照)。したがって、白ゴマに関しては、図2に示すフローのように、蛍光X線分光情報と赤外分光情報とを段階的に用いる方が適していることがわかった。また、上記色彩情報の選定試験結果から、さらに色彩情報を加えることで、高い信頼性が得られる。

0059

つまり、白ゴマの産地判別は、赤外分光情報のみ、もしくは色彩情報のみによってもそこそこ高い信頼性で行うことができるが、図2に示すフローチャートのように、蛍光X線分光情報(ICaKα、IFeKα、及びISrKα)によって判別した後、次いで赤外分光情報(d2Abs1095cm-1及びd2Abs1238cm-1)によって判別し、最後に色彩情報によって判別することが好ましい。これにより、最も高い信頼性で判別することができる。また、蛍光X線分光情報(ICaKα、IFeKα、及びISrKα)によって判別した後、次いで色彩情報(彩度S)から判別するだけでも、ある程度高い信頼性で判別することができる。

0060

このとき、蛍光X線分光情報に基づく判定基準は、1.2×PC1(第1主成分値)+PC2(第2主成分値)+2.8である。1.2×PC1+PC2+2.8≦0であれば国産であり、1.2×PC1+PC2+2.8>0であれば次ステップの判別を行う。赤外分光情報に基づく判定基準は、−0.16×10−3≦d2Abs1095cm-1≦−0.18×10−3且つd2Abs1238cm-1≦−0.11×10−3である。この条件を満たせば国産であり、外れていれば外国産である。色彩情報に基づく判定基準は、彩度Sが0.32である。彩度S≦0.32であれば国産であり、彩度S>0.32であれば外国産である。

0061

(黒ゴマ)
金ゴマの例に倣い、ICaKα、IFeKα、及びISrKαの蛍光X線分光情報とd2Abs1095cm-1及びd2Abs1238cm-1の赤外分光情報とを同時に併用して主成分分析(PCA)を行ってみたが、白ゴマと同様に国産ゴマを判別することはできなかった(図9参照)。したがって、黒ゴマに関しても、図3に示すフローのように、白ゴマと同様に蛍光X線分光情報と赤外分光情報とを段階的に用いる方が適していることがわかった。

0062

つまり、黒ゴマの産地判別も、蛍光X線分光情報のみによってある程度高い信頼性で行うことができるが、図3に示すフローチャートのように、蛍光X線分光情報(ICaKα、IFeKα、及びISrKα)によって判別した後、次いで赤外分光情報(d2Abs1095cm-1及びd2Abs1238cm-1)によって判別することが好ましい。このとき、蛍光X線分光情報に基づく判定基準は、PC1(第1主成分値)の値が0.5である。PC1≧0.5であれば外国産である。一方、PC1<0.5であれば次ステップの判別を行う。赤外分光情報に基づく判定基準は、−0.17×10−3≦d2Abs1095cm-1≦−0.16×10−3、且つ−0.105×10−3≦d2Abs1238cm-1≦−0.095×10−3である。この条件を満たせば国産であり、外れていれば外国産である。

0063

[産地判別試験]
以下の試験では、各ゴマの産地を敢えて伏せた状態で計測判定し、その結果が得られてから産地を確認し、判定結果と実際の産地とを照会した。各図に示す産地は、産地を伏せた状態で得られた結果に、照会した産地を付したものである。

0064

(金ゴマ)
図1に示すフローに基づき、ICaKα、IFeKα、及びISrKαの蛍光X線分光情報とd2Abs1095cm-1及びd2Abs1238cm-1の赤外分光情報とを同時に併用して主成分分析(PCA)を行った。その結果を図10に示す。このとき、式(1)を用いてPC1(第1主成分)を算出し、式(2)を用いてPC2(第2主成分)を算出した。図10の結果から、未知テストサンプルの国産金ゴマおよび外国産金ゴマを確実に判別することができた。

0065

PC1=0.562*X1-0.386*X2+0.539*X3-0.428*X4+0.249*X5・・・式(1)
PC2=-0.0619*X1-0.0400*X2+0.0481*X3+0.513*X4+0.854*X5・・・式(2)
この式は、得られた各情報の値が解析記憶に入力されて、解析記憶から自動的に得られた式である。

0066

X1〜X5は、それぞれ下記の通りである。

0067

(白ゴマ)
図2に示すフローに基づき、先ず、ICaKα、IFeKα、及びISrKαの蛍光X線分光情報の主成分分析(PCA)を行った。このとき、式(3)を用いてPC1(第1主成分)を算出し、式(4)を用いてPC2(第2主成分)を算出した。その結果を図11に示す。
PC1=0.704*X1-0.0814*X2+0.705*X3・・・式(3)
PC2=-0.0647*X1-0.997*X2-0.0504*X3・・・式(4)
この式は、得られた各情報の値が解析記憶に入力されて、解析記憶から自動的に得られた式である。

0068

X1〜X3は、それぞれ下記の通りである。

0069

図11の結果から、殆どの未知のテストサンプルの産地判別を信頼性高く行えたが、1種類の国産ゴマが判定基準から外れていた。そこで、次の判別ステップとして、d2Abs1095cm-1及びd2Abs1238cm-1の赤外分光情報の二次微分スペクトル強度を求めた。その結果を図12に示す。この結果、第1ステップで誤判定されたゴマでも正しく判別できた。

0070

最後に、色彩情報により判別した。その結果を図13に示す。この結果、国産ゴマを的確に判別できた。

0071

(黒ゴマ)
図3に示すフローに基づき、先ず、ICaKα、IFeKα、及びISrKαの蛍光X線分光情報の主成分分析(PCA)を行った。このとき、式(5)を用いてPC1(第1主成分)を算出し、式(6)を用いてPC2(第2主成分)を算出した。その結果を図14に示す。
PC1=0.601*X1-0.514*X2+0.612*X3・・・式(5)
PC2=-0.413*X1-0.855*X2-0.313*X3・・・式(6)
この式は、得られた各情報の値が解析記憶に入力されて、解析記憶から自動的に得られた式である。

0072

なお、X1〜X3は、それぞれ下記の通りである。

実施例

0073

図14の結果から、全ての未知のテストサンプルの産地判別を誤判別無く行えたが、念のため、次の判別ステップとして、d2Abs1095cm-1及びd2Abs1238cm-1の赤外分光情報の二次微分スペクトル強度も求めた。その結果を図15に示す。この結果、信頼性が比較的高い判別結果が得られた。

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