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技術 獣毛繊維製品の製造方法、獣毛繊維製品製造用薬剤キットおよび獣毛繊維製品

出願人 日本蚕毛染色株式会社
発明者 平本健竹内正昭
出願日 2019年1月24日 (1年11ヶ月経過) 出願番号 2019-010239
公開日 2020年8月6日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-117832
状態 未査定
技術分野 繊維製品への有機化合物の付着処理
主要キーワード 紡毛糸 参考試料 ビキューナ ウェル方向 表皮部分 ラクダ毛 等級判定 縦糸方向
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

良好な風合いが得られ、かつ耐洗濯性および抗ピリング性の両者に優れた獣毛繊維製品の製造方法を提供する。

解決手段

獣毛繊維製品の製造方法は、獣毛繊維を含む第1前駆製品に対し、硫黄系化合物を用いて処理することにより第2前駆製品を得る工程と、前記第2前駆製品に対し、酸素化合物を用いて処理することにより獣毛繊維製品を得る工程とを含む。

概要

背景

獣毛繊維製品は、風合い、保湿性などに優れるため、セーターマフラー手袋肌着下などとして様々な衣料用途に利用されている。しかしながら獣毛繊維製品は、洗濯などによって獣毛繊維収縮するフエルト収縮と呼ばれる現象、ならびに獣毛繊維製品の表面に突き出た毛羽が互いに摩擦などによって絡まって玉状の塊となるピリングと呼ばれる現象が起こり、使用に伴って品質劣化を招くことが知られている。

このような品質劣化を抑制するため、従来から獣毛繊維に対し、スケールまたはキューティクルと呼ばれる鱗片状の表皮エッジ塩素で溶解し、残存した表皮を樹脂被覆するクロイハーコセット法が適用される場合がある。これによりフエルト収縮に対する一定の効果(以下、「耐洗濯性」とも記す)が示されている。さらに国際公開第1989/002497号(特許文献1)では、水溶性有機ホスフィン化合物を有効成分とする獣毛繊維処理剤および処理方法が開示されている。特許文献1では、水溶性有機ホスフィン化合物を有効成分とする薬剤を用いて獣毛繊維製品を処理することにより、ピリングの発生を防ぐことができるとされている。

概要

良好な風合いが得られ、かつ耐洗濯性および抗ピリング性の両者に優れた獣毛繊維製品の製造方法を提供する。獣毛繊維製品の製造方法は、獣毛繊維を含む第1前駆製品に対し、硫黄系化合物を用いて処理することにより第2前駆製品を得る工程と、前記第2前駆製品に対し、酸素化合物を用いて処理することにより獣毛繊維製品を得る工程とを含む。なし

目的

本発明は、良好な風合いが得られ、かつ耐洗濯性および抗ピリング性の両者に優れた獣毛繊維製品の製造方法、これに用いる獣毛繊維製品製造用薬剤キットおよび獣毛繊維製品を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

獣毛繊維を含む第1前駆製品に対し、硫黄系化合物を用いて処理することにより第2前駆製品を得る工程と、前記第2前駆製品に対し、酸素化合物を用いて処理することにより獣毛繊維製品を得る工程とを含む、獣毛繊維製品の製造方法。

請求項2

前記硫黄系化合物は、亜硫酸塩重亜硫酸塩およびチオール類からなる群より選ばれる1種または2種以上である、請求項1に記載の獣毛繊維製品の製造方法。

請求項3

前記亜硫酸塩は、モノエタノールアミンサルファイトであり、前記重亜硫酸塩は、モノエタノールアミンバイサルファイトであり、前記チオール類は、チオグリコール酸チオ乳酸システインシステアミンホモシステイングルタチオンチオグリセロールチオリンゴ酸2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸チオジグリコール2−メルカプトエタノールジチオトレイトールチオキサンチンチオサリチル酸チオプロピオン酸リポ酸およびN−アセチルシステイン、ならびにそれらの塩からなる群より選ばれる1種または2種以上である、請求項2に記載の獣毛繊維製品の製造方法。

請求項4

前記酸素系化合物は、エポキシ化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の獣毛繊維製品の製造方法。

請求項5

硫黄系化合物からなるA剤と、酸素系化合物からなるB剤とを備える、獣毛繊維製品製造用薬剤キット

請求項6

前記硫黄系化合物は、亜硫酸塩、重亜硫酸塩およびチオール類からなる群より選ばれる1種または2種以上である、請求項5に記載の獣毛繊維製品製造用薬剤キット。

請求項7

前記亜硫酸塩は、モノエタノールアミンサルファイトであり、前記重亜硫酸塩は、モノエタノールアミンバイサルファイトであり、前記チオール類は、チオグリコール酸、チオ乳酸、システイン、システアミン、ホモシステイン、グルタチオン、チオグリセロール、チオリンゴ酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオジグリコール、2−メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、チオキサンチン、チオサリチル酸、チオプロピオン酸、リポ酸およびN−アセチルシステイン、ならびにそれらの塩からなる群より選ばれる1種または2種以上である、請求項6に記載の獣毛繊維製品製造用薬剤キット。

請求項8

前記酸素系化合物は、エポキシ化合物である、請求項5〜7のいずれかに記載の獣毛繊維製品製造用薬剤キット。

請求項9

獣毛繊維を含む獣毛繊維製品であって、前記獣毛繊維は、その表皮エッジが溶解されておらず、かつ前記表皮が樹脂により被覆されておらず、前記獣毛繊維製品は、JISL0217の家庭洗濯試験方法における103法に準拠した洗濯を5回行った場合、前記洗濯の実行前に対して縦方向および横方向の寸法変化率がそれぞれ±5%以下であり、かつJISL1076A法に準拠した抗ピリング性が3級以上である、獣毛繊維製品。

技術分野

0001

本発明は、獣毛繊維製品の製造方法、獣毛繊維製品製造用薬剤キットおよび獣毛繊維製品に関する。

背景技術

0002

獣毛繊維製品は、風合い、保湿性などに優れるため、セーターマフラー手袋肌着下などとして様々な衣料用途に利用されている。しかしながら獣毛繊維製品は、洗濯などによって獣毛繊維収縮するフエルト収縮と呼ばれる現象、ならびに獣毛繊維製品の表面に突き出た毛羽が互いに摩擦などによって絡まって玉状の塊となるピリングと呼ばれる現象が起こり、使用に伴って品質劣化を招くことが知られている。

0003

このような品質劣化を抑制するため、従来から獣毛繊維に対し、スケールまたはキューティクルと呼ばれる鱗片状の表皮エッジ塩素で溶解し、残存した表皮を樹脂被覆するクロイハーコセット法が適用される場合がある。これによりフエルト収縮に対する一定の効果(以下、「耐洗濯性」とも記す)が示されている。さらに国際公開第1989/002497号(特許文献1)では、水溶性有機ホスフィン化合物を有効成分とする獣毛繊維処理剤および処理方法が開示されている。特許文献1では、水溶性有機ホスフィン化合物を有効成分とする薬剤を用いて獣毛繊維製品を処理することにより、ピリングの発生を防ぐことができるとされている。

先行技術

0004

国際公開第1989/002497号

発明が解決しようとする課題

0005

クロイハーコセット法は、耐洗濯性に優れる一方、抗ピリング性を付与することができない。クロイハーコセット法は、上記表皮のエッジを塩素で溶解し、残存した表皮を樹脂で被覆するので、獣毛繊維を脆化させ、かつ製品の風合いを損なうという欠点もある。さらに、上記特許文献1に開示された獣毛繊維製品は、その抗ピリング性が十分ではない。したがって、未だ耐洗濯性および抗ピリング性の両者に優れた獣毛繊維製品の実現には至っておらず、その開発が切望されている。

0006

上記実情に鑑み、本発明は、良好な風合いが得られ、かつ耐洗濯性および抗ピリング性の両者に優れた獣毛繊維製品の製造方法、これに用いる獣毛繊維製品製造用薬剤キットおよび獣毛繊維製品を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、良好な風合いが得られ、かつ耐洗濯性および抗ピリング性の両者に優れた獣毛繊維製品の製造方法を検討する中で、羊毛をはじめとする獣毛に備わる寸法および形状を保持する性質(以下、「セット性」とも記す)に注目した。すなわち獣毛繊維製品に対し、その製織製編または縫製された状態において獣毛繊維の鱗片状の表皮におけるシスチン結合(以下、「ジスルフィド結合」とも記す)の開裂と、その再結合を促すことにより上記セット性を強化することに想到した。これにより獣毛繊維製品に優れた耐洗濯性および抗ピリング性を付与できることを見出し、本発明に到達した。本発明は、具体的には以下のとおりである。

0008

本発明に係る獣毛繊維製品の製造方法は、獣毛繊維を含む第1前駆製品に対し、硫黄系化合物を用いて処理することにより第2前駆製品を得る工程と、上記第2前駆製品に対し、酸素化合物を用いて処理することにより獣毛繊維製品を得る工程とを含む。

0009

上記硫黄系化合物は、亜硫酸塩重亜硫酸塩およびチオール類からなる群より選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。

0010

上記亜硫酸塩は、モノエタノールアミンサルファイトであり、上記重亜硫酸塩は、モノエタノールアミンバイサルファイトであり、上記チオール類は、チオグリコール酸チオ乳酸システインシステアミンホモシステイングルタチオンチオグリセロールチオリンゴ酸2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸チオジグリコール2−メルカプトエタノールジチオトレイトールチオキサンチンチオサリチル酸チオプロピオン酸リポ酸およびN−アセチルシステイン、ならびにそれらの塩からなる群より選ばれる1種または2種以上であることがさらに好ましい。

0011

上記酸素系化合物は、エポキシ化合物であることが好ましい。
本発明に係る獣毛繊維製品製造用薬剤キットは、硫黄系化合物からなるA剤と、酸素系化合物からなるB剤とを備える。

0012

上記硫黄系化合物は、亜硫酸塩、重亜硫酸塩およびチオール類からなる群より選ばれる1種または2種以上であることが好ましいことが好ましい。

0013

上記亜硫酸塩は、モノエタノールアミンサルファイトであり、上記重亜硫酸塩は、モノエタノールアミンバイサルファイトであり、上記チオール類は、チオグリコール酸、チオ乳酸、システイン、システアミン、ホモシステイン、グルタチオン、チオグリセロール、チオリンゴ酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオジグリコール、2−メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、チオキサンチン、チオサリチル酸、チオプロピオン酸、リポ酸およびN−アセチルシステイン、ならびにそれらの塩からなる群より選ばれる1種または2種以上であることがさらに好ましい。

0014

上記酸素系化合物は、エポキシ化合物であることが好ましい。
本発明に係る獣毛繊維製品は、獣毛繊維を含む獣毛繊維製品であって、上記獣毛繊維は、その表皮のエッジが溶解されておらず、かつ上記表皮が樹脂により被覆されておらず、上記獣毛繊維製品は、JIS L 0217の家庭洗濯試験方法における103法に準拠した洗濯を5回行った場合、上記洗濯の実行前に対して縦方向および横方向の寸法変化率がそれぞれ±5%以下であり、かつJIS L 1076 A法に準拠した抗ピリング性が3級以上である。

発明の効果

0015

本発明によれば、良好な風合いが得られ、かつ耐洗濯性および抗ピリング性の両者に優れた獣毛繊維製品を提供することができる。

0016

以下、本発明に係る実施形態について、さらに詳細に説明する。本明細書において「A〜B」という形式表記は、範囲の上限下限(すなわちA以上B以下)を意味し、Aにおいて単位の記載がなく、Bにおいてのみ単位が記載されている場合、Aの単位とBの単位とは同じであることに留意すべきである。

0017

≪獣毛繊維製品の製造方法≫
本発明の一実施形態に係る獣毛繊維製品の製造方法は、獣毛繊維を含む第1前駆製品に対し、硫黄系化合物を用いて処理することにより第2前駆製品を得る工程(第1工程)と、上記第2前駆製品に対し、酸素系化合物を用いて処理することにより獣毛繊維製品を得る工程(第2工程)とを含む。上記製造方法により、良好か風合いが得られ、かつ耐洗濯性および抗ピリング性の両者に優れた獣毛繊維製品を製造することができる。

0018

本明細書において「獣毛」とは、動物から得られる毛糸の総称であり、この毛糸が由来する動物種等については特に限定されない。「獣毛」としては、具体的には羊毛、モヘアカシミヤ毛、アルパカ毛、ビキューナ毛、ヤク毛、ウサギ毛、ラクダ毛などを例示することができる。「獣毛」は、あらかじめ染色されたものであってもよい。本明細書において「獣毛繊維」とは、上記獣毛を構成する繊維の一本一本をいう。「獣毛繊維製品」とは、上記獣毛繊維の不織布であるフェルト、または上記獣毛繊維が製織、製編または縫製されることにより得られる製品をいう。「獣毛繊維製品」は、具体的には上記フェルトの形態、または織物編物および縫物のいずれかの形態の衣料品などをいい、より詳細にはセーター、ベストカーディガン、マフラー、スカーフストール、手袋、靴下、下着、肌着などが例示される。但し、本明細書において「獣毛繊維製品」の範疇には、獣毛のトップ糸、紡績糸梳毛および紡毛も含まれる。また「獣毛繊維製品」には、本発明の効果を逸脱しない限り、上記獣毛と合成繊維とからなる「混紡」により製織され、あるいは製編され、もしくは縫製された製品が含まれるものとする。

0019

さらに本明細書において「第1前駆製品」とは、本発明に係る獣毛繊維製品の製造方法が実行される前の状態の獣毛繊維製品をいう。より詳細には、紡績糸、梳毛糸、紡毛糸およびその他の獣毛の紡績糸からなる群より選ばれる1種を単独で、または2種以上を併用して従来公知の方法により製織され、あるいは製編され、もしくは縫製されることにより製造され、かつ本発明に係る獣毛繊維製品の製造方法が実行される前の獣毛繊維製品をいう。「第2前駆製品」とは、上記第1工程により得られる製品をいい、特に当該製品中の獣毛繊維の表皮において一部または全部のシスチン結合が開裂されたものを指す。

0020

<第1工程>
第1工程は、獣毛繊維を含む第1前駆製品に対し、硫黄系化合物を用いて処理することにより第2前駆製品を得る工程である。本工程では、硫黄系化合物を含む20〜100℃の水浴中に第1前駆製品を5〜60分間浸漬し、硫黄系化合物を第1前駆製品に作用させることにより、獣毛繊維の鱗片状の表皮におけるシスチン結合の開裂を促すことができると考えられる。さらに硫黄系化合物を第1前駆製品に作用させることにより、上記獣毛繊維の表皮における塩結合および水素結合の開裂を促すこともできる。硫黄系化合物は、獣毛繊維の鱗片状の表皮を膨潤させる作用も併せ持つ場合がある。これらの作用によって第1前駆製品を第2前駆製品とし、後述する第2工程において酸素系化合物が作用する状態を整えることができる。本工程では、硫黄系化合物を含む20〜100℃の溶液を第1前駆製品に噴霧することにより、硫黄系化合物を第1前駆製品に作用させることもできる。

0021

水浴中に添加する硫黄系化合物の質量は、第1前駆製品の繊維質量に対し、硫黄原子量換算で0.1〜3%omf(%omfは、繊維質量に対する百分率を表す)とすることが好ましく、0.3〜1%omfとすることがさらに好ましい。硫黄系化合物は、目安として上記水浴中の濃度が水1リットルあたり0.5〜50gであることが好ましい。この目安とした濃度の範囲であれば、硫黄系化合物は、上述した硫黄の原子量換算で示した添加質量の範囲と重複するため、獣毛繊維の鱗片状の表皮におけるシスチン結合の開裂を容易に促すことができる。硫黄系化合物の水浴中の濃度が水1リットルあたり0.5g未満となると、硫黄系化合物の作用が十分に発揮されない傾向がある。硫黄系化合物の水浴中の濃度が水1リットルあたり50gを超える場合、経済的に非効率となる傾向がある。硫黄系化合物を含む水浴と第1前駆製品との使用割合浴比)は、第1前駆製品の質量に対し、水浴を1〜100倍量とすることが好ましく、20〜50倍量とすることがさらに好ましい。

0022

さらに第1前駆製品に対して硫黄系化合物を作用させる水浴の温度は、30〜80℃であることが好ましく、硫黄系化合物を作用させる時間は10〜40分であることが好ましい。上記水浴の温度が20℃以下である場合、硫黄系化合物の作用が十分に発揮されない傾向がある。水浴の温度が100℃を超える場合、高温のために第1工程の管理が困難となる傾向がある。硫黄系化合物を作用させる時間が5分未満となる場合、硫黄系化合物の作用が十分に発揮されない傾向がある。硫黄系化合物を作用させる時間が60分を超える場合、第1工程が効率的に実行されない傾向がある。上記水浴の温度が上述した範囲内であれば、その温度が低いほど(たとえば20℃)、硫黄系化合物を作用させる時間を長くする(たとえば60分)ことが好ましく、その温度が高いほど(たとえば100℃)、硫黄系化合物を作用させる時間を短くする(たとえば5分)ことが好ましい。

0023

硫黄系化合物は、亜硫酸塩、重亜硫酸塩およびチオール類からなる群より選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。上記硫黄系化合物は、上記亜硫酸塩、重亜硫酸塩およびチオール累からなる群より選ばれる1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。

0024

特に亜硫酸塩は、モノエタノールアミンサルファイトであることがより好ましい。重亜硫酸塩は、モノエタノールアミンバイサルファイトであることがより好ましい。チオール類は、チオグリコール酸、チオ乳酸、システイン、システアミン、ホモシステイン、グルタチオン、チオグリセロール、チオリンゴ酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオジグリコール、2−メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、チオキサンチン、チオサリチル酸、チオプロピオン酸、リポ酸およびN−アセチルシステイン、ならびにそれらの塩からなる群より選ばれる1種または2種以上であることがより好ましい。これらの硫黄系化合物を用いることにより、獣毛繊維の鱗片状の表皮におけるシスチン結合の開裂を容易に促すことができる。本実施形態においては、入手容易性および経済性の観点から、硫黄系化合物としてモノエタノールアミンサルファイトまたはモノエタノールアミンバイサルファイトを用いることが最も好ましい。亜硫酸塩は、ジエタノールアミンサルファイトであってもよく、トリエタノールアミンサルファイトであってもよい。重亜硫酸塩は、ジエタノールアミンバイサルファイトであってもよく、トリエタノールアミンバイサルファイトであってもよい。

0025

<第2工程>
第2工程は、上記第2前駆製品に対し、酸素系化合物を用いて処理することにより獣毛繊維製品を得る工程である。本工程では、上記第1工程により得た第2前駆製品を、酸素系化合物を含む20〜100℃の水浴中に1〜90分間浸漬し、酸素系化合物を第2前駆製品に作用させることにより、獣毛繊維の鱗片状の表皮における開裂されたシスチン結合の再結合を促すことができると考えられる。この作用によって獣毛繊維製品のセット性を高め、もって優れた耐洗濯性および抗ピリング性を付与することができる。本工程では、第1工程により得た第2前駆製品を第1工程で用いた水浴から取り出した上で、酸素系化合物を含む20〜100℃の水浴に移して1〜90分間浸漬し、酸素系化合物を第2前駆製品に作用させることが好ましい。本工程では、酸素系化合物を含む20〜100℃の溶液を第2前駆製品に噴霧することにより、酸素系化合物を第2前駆製品に作用させることもできる。

0026

水浴中に添加する酸素系化合物の質量は、第2前駆製品の繊維質量に対し、酸素の原子量換算で0.5〜15%omfとすることが好ましく、1〜8%omfとすることがさらに好ましい。酸素系化合物は、目安として上記水浴中の濃度が水1リットルあたり0.1〜10gであることが好ましい。この目安とした濃度の範囲であれば、酸素系化合物は、上述した酸素の原子量換算で示した添加質量の範囲と重複するため、獣毛繊維の表皮におけるシスチン結合の再結合を容易に促すことができる。酸素系化合物の水浴中の濃度が水1リットルあたり0.1g未満となると、酸素系化合物の作用が十分に発揮されない傾向がある。酸素系化合物の水浴中の濃度が水1リットルあたり10gを超える場合、経済的に非効率となる傾向がある。酸素系化合物を含む水浴と第2前駆製品との使用割合(浴比)は、第2前駆製品の質量に対し、水浴を10〜100倍量とすることが好ましく、20〜50倍量とすることがさらに好ましい。

0027

さらに第2前駆製品に対して酸素系化合物を作用させる水浴の温度は、30〜80℃であることが好ましく、酸素系化合物を作用させる時間は20〜60分であることが好ましい。上記水浴の温度が20℃以下である場合、酸素系化合物の作用が十分に発揮されない傾向がある。水浴の温度が100℃を超える場合、高温のために第2工程の管理が困難となる傾向がある。酸素系化合物を作用させる時間が1分未満となる場合、酸素系化合物の作用が十分に発揮されない傾向がある。酸素系化合物を作用させる時間が90分を超える場合、第2工程が効率的に実行されない傾向がある。上記水浴の温度が上述した範囲内であれば、その温度が低いほど(たとえば20℃)、酸素系化合物を作用させる時間は長くする(たとえば90分)ことが好ましく、その温度が高いほど(たとえば100℃)、酸素系化合物を作用させる時間は短くする(たとえば1分)ことが好ましい。

0028

酸素系化合物は、エポキシ化合物であることが好ましい。エポキシ化合物としては、モノエポキシ化合物および多価エポキシ化合物からなる群より選ばれる1種または2種以上を用いることができる。より詳細には、単官能性グリシジルエーテル化合物または2官能性以上の多官能性グリシジルエーテル化合物を用いることができる。特に、2官能性ジグリシジルエーテル化合物が好ましく、具体的にはエチレングリコールジグリシジルエーテルジエチレングリコールジグリシジルエーテルポリエチレングリコールジグリシジルエーテルポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルプロピレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテルハイドロキノンジグリシジルエーテルが好ましい。さらに、グリセロールトリグリシジルエーテル、2,2−ビスブロモメチル)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ラウリルアルコールエチレンオキシド付加型グリシジルエーテルソルビタンポリグリシジルエーテルネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルなどを用いることもできる。上記エポキシ化合物は、上述した化合物からなる群より選ばれる1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。

0029

さらに酸素系化合物としては、過マンガン酸カリウム過酸化水素過酢酸、過ギ酸ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ一硫酸塩、ペルオキソ二硫酸ペルオキソ二硫酸塩などを例示することができる。シスチン結合に対する酸化力の観点から、酸素系化合物としてペルオキソ一硫酸、ペルオキソ一硫酸塩、ペルオキソ二硫酸およびペルオキソ二硫酸塩からなる群より選ばれる1種または2種以上を用いることができる。これらの酸素系化合物を用いることにより、獣毛繊維の鱗片状の表皮におけるシスチン結合の再結合を容易に促すことができる。本実施形態においては、入手の容易性および経済性の観点から、酸素系化合物としてエチレングリコールジグリシジルエーテルまたはレゾルシノールジグリシジルエーテルを用いることが最も好ましい。

0030

界面活性剤pH調整剤など>
ここで第1工程に用いる水浴および第2工程で用いる水浴に対し、それぞれ必要に応じて界面活性剤、pH調整剤などを添加することができる。界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系およびカチオン系の界面活性剤を用いることができる。界面活性剤の水浴中の濃度は、0.1〜1質量%とすることができ、0.2〜0.5質量%とすることが好ましい。pH調整剤としては、ギ酸、酢酸クエン酸塩酸硫酸などの酸性化合物アンモニア炭酸ナトリウムリン酸二ナトリウムなどのアルカリ性化合物をそれぞれ用いることができる。第1工程の水浴のpHは、3〜6とすることが好ましく、第2工程の水浴のpHは、8〜10とすることが好ましい。

0031

<その他の工程>
本実施形態に係る獣毛繊維製品の製造方法は、上記第1工程および第2工程に加え、必要に応じてその他の工程を含むことができる。たとえば獣毛繊維製品の製造方法は、第1工程の前に行う工程として、第1前駆製品に対して界面活性剤を用いて精練する工程(精練工程)を含むことができる。

0032

この精練工程は、たとえばノニオン系界面活性剤を含む20〜100℃の水浴中に5〜30分間、第1前駆製品を浸漬することにより行うことができる。これにより第1前駆製品に含まれていた塵、埃などの粒状物を取り除くことができる。

0033

<作用>
以上から、本実施形態に係る獣毛繊維製品の製造方法では、獣毛繊維の鱗片状の表皮におけるシスチン結合の開裂および再結合を促す処理を行うことにより、良好な風合いを有し、耐洗濯性および抗ピリング性の両者に優れた獣毛繊維製品を製造することができる。

0034

≪獣毛繊維製品製造用薬剤キット≫
本発明の一実施形態に係る獣毛繊維製品製造用薬剤キットは、硫黄系化合物からなるA剤と、酸素系化合物からなるB剤とを備える。獣毛繊維製品製造用薬剤キットは、たとえば上述した本実施形態に係る獣毛繊維製品の製造方法に用いることができ、この場合、A剤を第1工程に用い、B剤を第2工程に用いることが好ましい。もって獣毛繊維製品製造用薬剤キットを用いて獣毛繊維製品を製造することにより、良好な風合いが得られ、かつ耐洗濯性および抗ピリング性の両者に優れた獣毛繊維製品を提供することが可能となる。

0035

<A剤>
A剤は、硫黄系化合物からなる。A剤は、上述のように第1工程に用いることができる。この場合、A剤の具体的な化合物名、使用量および使用方法などの詳細については、上述した第1工程における硫黄系化合物と同じであるので説明を省略する。獣毛繊維製品製造用薬剤キットにおいて、A剤の形態は粉末であってもよく、該粉末を水またはその他の溶媒に溶解させた溶液であってもよい。さらにA剤の形態は、上記溶液にゲル化剤を添加することによって得られるゲルであってもよい。

0036

<B剤>
B剤は、酸素系化合物からなる。B剤は、上述のように第2工程に用いることができる。この場合、B剤の具体的な化合物名、使用量および使用方法などの詳細については、上述した第2工程における酸素系化合物と同じであるので説明を省略する。獣毛繊維製品製造用薬剤キットにおいて、B剤の形態は粉末であってもよく、該粉末を水またはその他の溶媒に溶解させた溶液であってもよい。さらにB剤の形態は、上記溶液にゲル化剤を添加することによって得られるゲルであってもよい。ここでB剤を第2工程に用いる場合、本発明の効果を十分に奏する観点から、水浴に対し必要に応じて界面活性剤、pH調整剤などをB剤とともに添加することが好ましい。より具体的には、B剤とともにpH調整剤としてアンモニア水を添加することが好ましい。この場合において、たとえば25質量%のアンモニア水であれば、水浴に対して上記アンモニア水を水1リットルあたり0.1〜10gを添加することが好ましい。

0037

<作用>
本実施形態に係る獣毛繊維製品製造用薬剤キットは、これを用いて獣毛繊維製品を製造した場合、良好な風合いが得られ、かつ耐洗濯性および抗ピリング性の両者に優れた獣毛繊維製品を提供することが可能となる。

0038

≪獣毛繊維製品≫
本発明の一実施形態に係る獣毛繊維製品は、獣毛繊維を含む獣毛繊維製品である。上記獣毛繊維は、その表皮のエッジが溶解されておらず、かつ上記表皮の表面が樹脂により被覆されていない。上記獣毛繊維製品は、JIS L 0217の家庭洗濯試験方法における103法に準拠した洗濯を5回行った場合、上記洗濯の実行前に対して縦方向および横方向の寸法変化率がそれぞれ±5%以下であり、かつJIS L 1076 A法に準拠した抗ピリング性が3級以上である。このような獣毛繊維製品は、良好な風合いを有し、耐洗濯性および抗ピリング性の両者にも優れることができる。

0039

<獣毛繊維の表皮>
本実施形態に係る獣毛繊維製品は、獣毛繊維を含む。上記獣毛繊維は、その表皮のエッジが溶解されておらず、かつ上記表皮の表面が樹脂により被覆されていない。ここで獣毛繊維の表皮の「エッジ」とは、獣毛繊維におけるキューティクルまたはスケールと呼ばれる鱗片状の表皮において繊維軸から外側に開いた先端部分をいう。さらに、表皮の表面が「樹脂により被覆されていない」とは、鱗片状の表皮の一部または全部が、化学または成形剤などとして従来公知のビニル系ポリマー、その他のポリマー、または平滑剤であるシリコンなどにより被覆されていないことをいう。獣毛繊維製品に対し耐洗濯性および抗ピリング性を付与する目的で行われるクロイハーコセット法などの従来の処理方法では、獣毛繊維の表皮のエッジが塩素処理によって溶解され、かつ上記表皮を繊維軸に沿った向きに揃えるために、上述したポリマー(樹脂)によって表皮が繊維軸に固定されていた。この場合、獣毛繊維は脆化し、かつ獣毛繊維製品の風合いが損なわれていた。

0040

これに対し本実施形態に係る獣毛繊維製品は、その製造工程において上述の処理が行われないことにより、獣毛繊維の表皮のエッジが溶解されず、かつ上記表皮の表面が樹脂により被覆されない。これにより上記処理に起因した風合いの欠損が起こらなくなる。獣毛繊維製品において獣毛繊維の表皮のエッジが溶解されず、かつ上記表皮の表面が樹脂により被覆されないことは、獣毛繊維製品に対し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて1000〜2000倍の倍率で獣毛繊維の表皮部分を観察することによりそれぞれ特定することができる。

0041

<寸法変化率>
獣毛繊維製品は、JIS L 0217の家庭洗濯試験方法における103法に準拠した洗濯を5回行った場合、上記洗濯の実行前に対して縦方向および横方向の寸法変化率がそれぞれ±5%以下である。上記寸法変化率は、縦方向および横方向においてそれぞれ±4.5%以下であることが好ましい。上記寸法変化率の下限値は0%である。ここで「寸法変化率」の「±」に関し、「+」は上記獣毛繊維製品の膨張を意味し、「−」は上記獣毛繊維製品の収縮を意味するものとする。

0042

上記「寸法変化率」の測定方法は、次のとおりである。まず獣毛繊維製品から30cm×60cmの寸法の織地または編地切り出し、これを2つ折りに重ねて30cm×30cmの正方形とし、かつ開放している3辺を縫製することにより1辺が30cmの大きさとなる試料片前駆体を得る。次に、この試料片前駆体の1頂点(1箇所)と、この1頂点を挟む2辺において上記1頂点から10cmおよび20cm離れた各点(4箇所)と、上記1頂点および上記1頂点を挟む2辺を含む20cm×20cmの寸法の正方形を形成した場合において上記1頂点に対し対頂点となる点(1箇所)と、上記正方形における対頂点を挟む2辺において上記対頂点から10cm離れた各点(2箇所)との合計8箇所に印をつけることにより試料片を得る。上記「寸法変化率」は、上記試料片に対してJIS L 0217の家庭洗濯試験方法における103法に準拠した洗濯を5回実行し、上記8箇所の印により特定される正方形の寸法が、それぞれ「縦方向」および「横方向」においてどの程度収縮または膨張したかを測定することにより求めることができる。

0043

ここで試料片の上記1頂点を挟む2辺が示す方向を、後述する「縦方向」および「横方向」の定義に沿う方向とする。すなわち獣毛繊維製品が編地である場合、獣毛繊維製品の「縦方向」は、当該製品が編まれた方向に対し垂直となる方向(ウェル方向)とし、獣毛繊維製品の「横方向」の方向は、当該製品が編まれた方向に対し平行となる方向(コース方向)とする。獣毛繊維製品が織地である場合、獣毛繊維製品の「縦」の方向は、縦糸方向とし、獣毛繊維製品の「横」の方向は、緯糸方向とする。さらに上述した測定方法によれば、「縦方向」および「横方向」の寸法変化率は、それぞれ2つ求められることとなるが、そのうち寸法変化率が大きい数値を、それぞれ「縦方向」および「横方向」の寸法変化率として確定する。

0044

<抗ピリング性>
獣毛繊維製品は、JIS L 1076 A法に準拠した抗ピリング性が3級以上である。この抗ピリング性は、4級以上であることが好ましく、4.5級以上であることがより好ましい。抗ピリング性が3級未満である場合、獣毛繊維製品を服地として使用すると、ピリングが発現し見映えが悪くなる。抗ピリング性の等級は、JIS L 1076.6.1.A法に記載されたICI試験機を用いることにより測定された測定値を、JIS L 1076.7.2に準じて等級判定することにより求めることができる。簡便な方法として、JIS L 1076のピリング判定標準写真(1号、2号、3号、4号、5号、号数が小さいほど(1号)ピリングが多く、大きいほど(5号)ピリングが少ない)と獣毛繊維製品とを比較することにより、抗ピリング性の等級を判定することも可能である。JIS L 1076 A法に準拠した抗ピリング性の最高等級は5級である。

0045

以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0046

≪獣毛繊維製品(カシミヤセーター)の製造≫
試料1>
獣毛繊維を含む第1前駆製品として、縮絨され、かつ柔軟剤を付与されていないカシミヤセーター(株式会社ルーエンジャパン製、番手1/26×2本、12ゲージ色相:青)を入手することにより準備した。このカシミヤセーター145gに対し、30倍量の水および0.3g/Lのノニオン活性剤商品名:「SSK610」、本油脂株式会社製)を用いて60℃で10分間精練した(精練工程)。

0047

次に、硫黄系化合物としてモノエタノールアミンバイサルファイト(商品名:「モナミンBTN」、明成化学工業株式会社製)を水1リットルあたり10g添加した80℃の水浴中に、上記精練工程を経た第1前駆製品を30分間浸漬することにより、第2前駆製品を得た(第1工程)。次に、第1工程で用いた水浴から第2前駆製品を取り出し、これを酸素系化合物としてエチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名:「エポライト40E」、共栄社化学株式会社製)を水1リットルあたり1.3g、25質量%濃度のアンモニア水を水1リットルあたり1.5gそれぞれ添加した40℃の水浴中に20分間浸漬することにより、獣毛繊維製品を得た(第2工程)。この獣毛繊維製品に対し30℃で10分間水洗し、その後乾燥させることにより試料1のカシミヤセーターを得た。

0048

<試料2>
酸素系化合物としてエチレングリコールジグリシジルエーテルに代えて、レゾルシノールジグリシジルエーテル(商品名:「デナコールEX201」、ナガセケムテックス株式会社製)を水1リットルあたり1.5g用いたこと以外は、試料1の製造方法と同じとすることにより試料2のカシミヤセーターを得た。

0049

比較試料A>
硫黄系化合物(モノエタノールアミンバイサルファイト)に代えて、水溶性有機ホスフィン化合物であるトリスヒロキシホスフィン(商品名:「PP40」、日本化学工業株式会社製)を水1リットルあたり4.5g、68質量%の酢酸を水1リットルあたり2g、それぞれ80℃の水浴中に添加したこと以外は、試料1の製造方法と同じとすることにより比較試料Aのカシミヤセーターを得た。

0050

参考試料α>
上述したカシミヤセーター(株式会社ルーエンジャパン製)を、参考試料αのカシミヤセーターとして準備した。

0051

≪獣毛繊維製品(ラム紡毛糸のミラノリブ編地)の製造≫
<試料3>
ラム紡毛糸(商品名:「CHESS」、番手2/30、17.5μm、東洋紡糸工業株式会社製)からミラノリブ編地(色相:グレー、12ゲージ)を製編することにより、第1前駆製品を準備した。それ以外は、試料1の製造方法と同じとすることにより試料3のラム紡毛糸のミラノリブ編地(獣毛繊維製品)を得た。

0052

<試料4>
ラム紡毛糸(商品名:「CHESS」、番手2/30、17.5μm、東洋紡糸工業株式会社製)からミラノリブ編地(色相:グレー、12ゲージ)を製編することにより、第1前駆製品を準備した。それ以外は、試料2の製造方法と同じとすることにより試料4のラム紡毛糸のミラノリブ編地(獣毛繊維製品)を得た。

0053

<比較試料B>
ラム紡毛糸(商品名:「CHESS」、番手2/30、17.5μm、東洋紡糸工業株式会社製)からミラノリブ編地(色相:グレー、12ゲージ)を製編することにより、第1前駆製品を準備した。それ以外は、比較試料Aの製造方法と同じとすることにより比較試料Bのラム紡毛糸のミラノリブ編地を得た。

0054

<参考試料β>
ラム紡毛糸(商品名:「CHESS」、番手2/30、17.5μm、東洋紡糸工業株式会社製)からミラノリブ編地(色相:グレー、12ゲージ)を製編し、これを参考試料βのラム紡毛糸のミラノリブ編地として準備した。

0055

≪獣毛繊維製品(ニッケ梳毛糸の天竺ボーダー編地)の製造≫
<試料5>
ニッケ梳毛糸(品番:「J9500」、番手2/72、19.5μm)から天竺ボーダー編地(色相:白、黒およびグレー、10mmピッチ)を製編することにより、第1前駆製品を準備した。それ以外は、試料1の製造方法と同じとすることにより試料5のニッケ梳毛糸の天竺ボーダー編地(獣毛繊維製品)を得た。

0056

<試料6>
ニッケ梳毛糸(品番:「J9500」、番手2/72、19.5μm)から天竺ボーダー編地(色相:白、黒およびグレー、10mmピッチ)を製編することにより、第1前駆製品を準備した。それ以外は、試料2の製造方法と同じとすることにより試料6のニッケ梳毛糸の天竺ボーダー編地(獣毛繊維製品)を得た。

0057

<比較試料C>
ニッケ梳毛糸(品番:「J9500」、番手2/72、19.5μm)から天竺ボーダー編地(色相:白、黒およびグレー、10mmピッチ)を製編することにより、第1前駆製品を準備した。それ以外は、比較試料Aの製造方法と同じとすることにより比較試料Cのニッケ梳毛糸の天竺ボーダー編地を得た。

0058

<参考試料γ>
ニッケ梳毛糸(品番:「J9500」、番手2/72、19.5μm)から天竺ボーダー編地(色相:白、黒およびグレー、10mmピッチ)を製編し、これを参考試料γのニッケ梳毛糸の天竺ボーダー編地として準備した。

0059

≪風合いの評価≫
各試料、比較試料および参考試料に対し、獣毛繊維製品の製造「前」および「後」に風合いがどのように変化したのかをパネリスト3名の目視および触感を用いて官能評価した。具体的には、獣毛繊維製品の製造「前」および「後」で目視および触感に変化がなかった場合、「変化なし」と評価した。一方、獣毛繊維製品の製造「前」および「後」で触感を通じてやや硬い感覚を得た場合には「若干硬化」、硬い感覚を得た場合には「硬化」と評価した。その他「若干毛羽立ち」、「フェルト収縮」などが認められた場合、これらを付記した。パネリスト3名のうち2名以上が同じ評価を下したときに、当該試料の評価として確定した。その結果を表1〜表3に示す。

0060

≪抗ピリング性の等級評価≫
各試料、比較試料および参考試料に対し、JIS L 1076 A法に準拠することにより抗ピリング性の等級評価を行った。具体的には、各試料、比較試料および参考試料と、JIS L 1076のピリング判定標準写真とを比較することにより、各試料、比較試料および参考試料の抗ピリング性の等級を特定した。その結果を表1〜表3に示す。等級が大きいほど(最高等級は5級)、抗ピリング性に優れる(ピリングが少ない)と評価することができる。

0061

≪寸法変化率の算出≫
各試料、比較試料および参考試料から上述した方法を用いることにより試料片を準備した。上記試料片に対しJIS L 0217の家庭洗濯試験方法における103法に準拠した洗濯を5回行った後、縦方向および横方向の寸法を測定することにより、各試料、比較試料および参考試料の寸法変化率をそれぞれ求めた。その結果を表1〜表3に示す。表1〜表3に示す「寸法変化率」の数値において、「+」は試料片の膨張を表し、「−」は試料片の収縮を表す。縦方向および横方向の「寸法変化率」の絶対値が小さいほど、抗洗濯性に優れると評価することができる。さらに上述した5回洗濯前後の獣毛繊維製品に対しても上述した評価方法による官能評価をパネリスト3名に対して行った。その結果も表1〜表3に示す。

0062

0063

0064

0065

≪考察≫
試料1および試料2は、比較試料Aおよび参考試料αに対し、試料3および試料4は、比較試料Bおよび参考試料βに対し、試料5および試料6は、比較試料Cおよび参考試料γに対し、それぞれ風合い、寸法変化率および抗ピリング性の各評価項目で優れていた。すなわち試料1〜試料6の獣毛繊維製品は、良好な風合いを有し、かつ耐洗濯性および抗ピリング性の両者に優れた獣毛繊維製品であると理解することができる。

実施例

0066

今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

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