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図面 (20)

課題

脂肪細胞由来幹細胞からの肝細胞様細胞の産生において、コストの低下、培養時間の低下、効率の増加、および収量の増加のための方法の提供。

解決手段

脂肪細胞由来幹細胞の集団三次元培養(例えば、懸滴浮遊培養高密度培養スピナーフラスコ培養、マイクロキャリア培養など)に置く工程、ならびに細胞アクチビンAおよび線維芽細胞成長因子を含む第1の培養培地および肝細胞成長因子を含む第2の培養培地と接触させる工程を含む方法。

概要

背景

背景
再生医療の主な目標は、容易に入手可能な組織から収集され得る幹細胞移植を通じて、ヒト組織の置き換えを容易にすることである。例えば、同所性肝移植は、末期肝疾患または重度肝障害にとっての唯一の有効な治療であるが、その実用性は、ドナー肝組織の不足によっておよび生涯にわたる免疫抑制が必要であることによって非常に限定されている。

よく実施される手順であるリポサクションを用いて、大量の脂肪細胞由来幹細胞(ASC)を簡単に入手することができる。加えて、肝細胞様細胞(iHep)へのASC分化誘導するための方法が開発されている。iHep(例えば、自己iHep)の移植による肝再生は、再生医療の極めて魅力的な可能性である。この方法によって、リポサクションによって入手されたASCは、インビトロでiHepに分化するように誘導され、次いでiHepはドナーの肝臓内に移植される。脂肪組織豊富さおよび入手しやすさにより、容易に入手可能なASCの供給源が存在することが保証される。さらに、自己iHepを用いた肝再生は、免疫抑制を要しないと考えられる。

しかしながら、患者は、急性肝不全(例えば、アセトアミノフェン毒性によって引き起こされる)の後、急速に死亡し得るため、ASCからiHepを産生する現在公知の方法に伴う長期の培養期間は、iHepを産生することに対する臨床的実用性を非常に限定している。さらには、ASCからiHepを産生する公知の方法は、低効率および低収量によっても特徴付けされる。

療法および/または研究における使用のための、脂肪細胞由来幹細胞からの肝細胞様細胞の産生は、コストの低下、培養時間の低下、効率の増加、および収量の増加により恩恵を受けるであろう。

刊行物
Amos et al., Tissue Eng Part A. 2010 May; 16(5):1595-606(非特許文献1);Maclsaac et al., Exp Cell Res. 2012 February 15;318(4):416-423(非特許文献2);Kapur et al, Biofabrication. 2012 Jun;4(2):025004(非特許文献3);Gutierrez et al., Exp Hematol. 2005 Oct;33(10):1083-91(非特許文献4);Banerjee et al, Cytotechnology. 2006 May;51(1):1-5.-2006(非特許文献5);Banas et al., Hepatology. 2007 Jul;46(1):219-28(非特許文献6);Banas et al., J Gastroenterol Hepatol. 2009 Jan;24(1):70-7(非特許文献7);Green et al., 2011. Nat Biotechnol 29:267-272(非特許文献8);So et al., Biol Open. 2013 Jan 15;2(1):30-6(非特許文献9);Payne et al., Vitam Horm. 2011;85:207-16(非特許文献10);Hay et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2008 Aug 26;105(34):12301-6(非特許文献11);Lue et al, Liver Int. 2010 Jul;30(6):913-22(非特許文献12);Hasegawa et al, Biochem Biophys Res Commun. 2011 Feb 18;405(3):405-10(非特許文献13);Haraguchi et al, J Tissue Eng Regen Med. 2013 Jun 3(非特許文献14);Cameron et al, Biotechnol Bioeng. 2006 Aug 5;94(5):938-48(非特許文献15);WO2007089798(特許文献1);US20100098739(特許文献2);およびUS20100112031(特許文献3)。

概要

脂肪細胞由来幹細胞からの肝細胞様細胞の産生において、コストの低下、培養時間の低下、効率の増加、および収量の増加のための方法の提供。脂肪細胞由来幹細胞の集団三次元培養(例えば、懸滴浮遊培養高密度培養スピナーフラスコ培養、マイクロキャリア培養など)に置く工程、ならびに細胞アクチビンAおよび線維芽細胞成長因子を含む第1の培養培地および肝細胞成長因子を含む第2の培養培地と接触させる工程を含む方法。なし

目的

背景
再生医療の主な目標は、容易に入手可能な組織から収集され得る幹細胞の移植を通じて、ヒト組織の置き換えを容易にすることである

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

(a)脂肪細胞由来幹細胞(ASC)の集団を、ASC由来細胞凝集体を産生するのに十分な期間、三次元培養に置く工程;(b)前駆体細胞集団を産生するために、ASC由来細胞凝集体の細胞と、アクチビンAおよび線維芽細胞成長因子(FGF)を含む第1の培養培地とを接触させる工程;ならびに(c)誘導肝細胞様細胞(iHep)を含む誘導細胞集団を産生するために、前駆体細胞集団の細胞と、肝細胞成長因子HGF)を含む第2の培養培地とを接触させる工程を含み、工程(a)の開始から工程(c)における誘導細胞集団の産生までの総経過時間が13日間未満である、ASCの集団から肝細胞様細胞の集団を産生する方法。

請求項2

三次元培養がスピナーフラスコ培養である、請求項1記載の方法。

請求項3

三次元培養がマイクロキャリア培養である、請求項1記載の方法。

請求項4

三次元培養が懸滴浮遊培養である、請求項1記載の方法。

請求項5

工程(a)の開始から工程(c)における誘導細胞集団の産生までの総経過時間が10日間またはそれ未満である、請求項1記載の方法。

請求項6

ASC由来細胞凝集体を産生するのに十分な期間が3日間またはそれ未満である、請求項1記載の方法。

請求項7

ASC由来細胞凝集体の細胞が第1の培養培地と7日間またはそれ未満の間接触する、請求項1記載の方法。

請求項8

ASC由来細胞凝集体の細胞が第1の培養培地と7日間またはそれ未満の間接触する、請求項1記載の方法。

請求項9

FGFがFGF4である、請求項1記載の方法。

請求項10

第1の培養培地がWntシグナル伝達アゴニストをさらに含む、請求項1記載の方法。

請求項11

Wntシグナル伝達アゴニストがWnt3aである、請求項3記載の方法。

請求項12

第2の培養培地が、オンコスタチンM(OSM)、デキサメタゾン(Dex)、ジメチルスルホキシドDMSO)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される化合物をさらに含む、請求項1記載の方法。

請求項13

第2の培養培地が、オンコスタチンM(OSM)、デキサメタゾン(Dex)、およびジメチルスルホキシド(DMSO)をさらに含む、請求項1記載の方法。

請求項14

誘導細胞集団のうちのiHepである細胞のパーセンテージを決定する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。

請求項15

前記細胞のパーセンテージを決定する工程が、誘導細胞集団の細胞と、肝細胞マーカー分子に対する特異的結合作用物質とを接触させる工程;および肝細胞マーカー分子の発現について陽性である細胞のパーセンテージを決定する工程を含み、肝細胞マーカー分子の発現について陽性である細胞がiHepである、請求項14記載の方法。

請求項16

誘導細胞集団の細胞のうちの11%以上がiHepである、請求項14記載の方法。

請求項17

誘導細胞集団の細胞のうちの25%以上がiHepである、請求項16記載の方法。

請求項18

誘導細胞集団をiHepについて富化する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。

請求項19

富化する工程が蛍光活性細胞選別FACS)を含む、請求項18記載の方法。

請求項20

(a)(i)脂肪由来幹細胞(ASC)の集団を、ASC由来細胞凝集体を産生するのに十分な期間、三次元培養に置く工程、(ii)前駆体細胞集団を産生するために、ASC由来細胞凝集体の細胞と、アクチビンAおよび線維芽細胞成長因子(FGF)を含む第1の培養培地とを接触させる工程、ならびに(iii)誘導肝細胞様細胞(iHep)を含む誘導細胞集団を産生するために、前駆体細胞集団の細胞と、肝細胞成長因子(HGF)を含む第2の培養培地とを接触させる工程を含み、工程(i)の開始から工程(iii)における誘導細胞集団の産生までの総経過時間が13日間未満である方法によって、ASCの集団から肝細胞様細胞の集団を産生する工程;ならびに(b)肝機能を改善するために、有効数のiHepを個体内投与する工程を含む、低下した肝機能を有する個体を治療する方法。

請求項21

三次元培養がスピナーフラスコ培養である、請求項20記載の方法。

請求項22

三次元培養がマイクロキャリア培養である、請求項20記載の方法。

請求項23

三次元培養が懸滴浮遊培養である、請求項20記載の方法。

請求項24

工程(a)の開始から工程(c)における誘導細胞集団の産生までの総経過時間が10日間またはそれ未満である、請求項20記載の方法。

請求項25

ASC由来細胞凝集体を産生するのに十分な期間が3日間またはそれ未満である、請求項20記載の方法。

請求項26

ASC由来細胞凝集体の細胞が第1の培養培地と7日間またはそれ未満の間接触する、請求項20記載の方法。

請求項27

ASC由来細胞凝集体の細胞が第1の培養培地と7日間またはそれ未満の間接触する、請求項20記載の方法。

請求項28

FGFがFGF4である、請求項20記載の方法。

請求項29

第1の培養培地がWntシグナル伝達アゴニストをさらに含む、請求項20記載の方法。

請求項30

Wntシグナル伝達アゴニストがWnt3aである、請求項29記載の方法。

請求項31

第2の培養培地が、オンコスタチンM(OSM)、デキサメタゾン(Dex)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される化合物をさらに含む、請求項20記載の方法。

請求項32

工程(i)の開始から工程(iii)における誘導肝細胞様細胞(iHep)を含む誘導細胞集団の産生までの総経過時間が13日間未満である、請求項20記載の方法。

請求項33

誘導細胞集団のうちのiHepである細胞のパーセンテージを決定する工程をさらに含む、請求項20記載の方法。

請求項34

前記細胞のパーセンテージを決定する工程が、誘導細胞集団の細胞と、肝細胞マーカー分子に対する特異的結合作用物質とを接触させる工程;および肝細胞マーカー分子の発現について陽性である細胞のパーセンテージを決定する工程を含み、肝細胞マーカー分子の発現について陽性である細胞がiHepである、請求項33記載の方法。

請求項35

誘導細胞集団の細胞のうちの15%以上がiHepである、請求項20記載の方法。

請求項36

誘導細胞集団の細胞のうちの25%以上がiHepである、請求項35記載の方法。

請求項37

工程(b)の前に、誘導細胞集団をiHepについて富化する工程をさらに含む、請求項20記載の方法。

請求項38

富化する工程が蛍光活性化細胞選別(FACS)を含む、請求項37記載の方法。

請求項39

少なくとも1×104個のiHepが投与される、請求項20記載の方法。

請求項40

iHepが肝臓内移植される、請求項20記載の方法。

請求項41

超音波ガイド下注射を用いてiHepが肝臓内に移植される、請求項40記載の方法。

請求項42

個体が哺乳動物である、請求項20記載の方法。

請求項43

哺乳動物がヒトである、請求項42記載の方法。

請求項44

ASCが、個体から単離されたASCである、請求項20記載の方法。

請求項45

工程(a)の前に、個体からASCを単離する工程をさらに含む、請求項44記載の方法。

技術分野

0001

政府権利
本発明は、国立衛生研究所によって授与された契約DK090992の下で政府支援によりなされた。政府は、本発明においてある程度の権利を有する。

背景技術

0002

背景
再生医療の主な目標は、容易に入手可能な組織から収集され得る幹細胞移植を通じて、ヒト組織の置き換えを容易にすることである。例えば、同所性肝移植は、末期肝疾患または重度肝障害にとっての唯一の有効な治療であるが、その実用性は、ドナー肝組織の不足によっておよび生涯にわたる免疫抑制が必要であることによって非常に限定されている。

0003

よく実施される手順であるリポサクションを用いて、大量の脂肪細胞由来幹細胞(ASC)を簡単に入手することができる。加えて、肝細胞様細胞(iHep)へのASC分化誘導するための方法が開発されている。iHep(例えば、自己iHep)の移植による肝再生は、再生医療の極めて魅力的な可能性である。この方法によって、リポサクションによって入手されたASCは、インビトロでiHepに分化するように誘導され、次いでiHepはドナーの肝臓内に移植される。脂肪組織豊富さおよび入手しやすさにより、容易に入手可能なASCの供給源が存在することが保証される。さらに、自己iHepを用いた肝再生は、免疫抑制を要しないと考えられる。

0004

しかしながら、患者は、急性肝不全(例えば、アセトアミノフェン毒性によって引き起こされる)の後、急速に死亡し得るため、ASCからiHepを産生する現在公知の方法に伴う長期の培養期間は、iHepを産生することに対する臨床的実用性を非常に限定している。さらには、ASCからiHepを産生する公知の方法は、低効率および低収量によっても特徴付けされる。

0005

療法および/または研究における使用のための、脂肪細胞由来幹細胞からの肝細胞様細胞の産生は、コストの低下、培養時間の低下、効率の増加、および収量の増加により恩恵を受けるであろう。

0006

刊行物
Amos et al., Tissue Eng Part A. 2010 May; 16(5):1595-606(非特許文献1);Maclsaac et al., Exp Cell Res. 2012 February 15;318(4):416-423(非特許文献2);Kapur et al, Biofabrication. 2012 Jun;4(2):025004(非特許文献3);Gutierrez et al., Exp Hematol. 2005 Oct;33(10):1083-91(非特許文献4);Banerjee et al, Cytotechnology. 2006 May;51(1):1-5.-2006(非特許文献5);Banas et al., Hepatology. 2007 Jul;46(1):219-28(非特許文献6);Banas et al., J Gastroenterol Hepatol. 2009 Jan;24(1):70-7(非特許文献7);Green et al., 2011. Nat Biotechnol 29:267-272(非特許文献8);So et al., Biol Open. 2013 Jan 15;2(1):30-6(非特許文献9);Payne et al., Vitam Horm. 2011;85:207-16(非特許文献10);Hay et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2008 Aug 26;105(34):12301-6(非特許文献11);Lue et al, Liver Int. 2010 Jul;30(6):913-22(非特許文献12);Hasegawa et al, Biochem Biophys Res Commun. 2011 Feb 18;405(3):405-10(非特許文献13);Haraguchi et al, J Tissue Eng Regen Med. 2013 Jun 3(非特許文献14);Cameron et al, Biotechnol Bioeng. 2006 Aug 5;94(5):938-48(非特許文献15);WO2007089798(特許文献1);US20100098739(特許文献2);およびUS20100112031(特許文献3)。

0007

WO2007089798
US20100098739
US20100112031

先行技術

0008

Amos et al., Tissue Eng Part A. 2010 May; 16(5):1595-606
Maclsaac et al., Exp Cell Res. 2012 February 15;318(4):416-423
Kapur et al, Biofabrication. 2012 Jun;4(2):025004
Gutierrez et al., Exp Hematol. 2005 Oct;33(10):1083-91
Banerjee et al, Cytotechnology. 2006 May;51(1):1-5.-2006
Banas et al., Hepatology. 2007 Jul;46(1):219-28
Banas et al., J Gastroenterol Hepatol. 2009 Jan;24(1):70-7
Green et al., 2011. Nat Biotechnol 29:267-272
So et al., Biol Open. 2013 Jan 15;2(1):30-6
Payne et al., Vitam Horm. 2011;85:207-16
Hay et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2008 Aug 26;105(34):12301-6
Lue et al, Liver Int. 2010 Jul;30(6):913-22
Hasegawa et al, Biochem Biophys Res Commun. 2011 Feb 18;405(3):405-10
Haraguchi et al, J Tissue Eng Regen Med. 2013 Jun 3
Cameron et al, Biotechnol Bioeng. 2006 Aug 5;94(5):938-48

0009

概要
脂肪細胞由来幹細胞(ASC)の集団から肝細胞様細胞(iHep)の集団を産生するための方法が提供される。該方法の局面は、ASCの集団を三次元培養(例えば、懸滴浮遊(hanging drop suspension)培養、高密度培養スピナーフラスコ培養、マイクロキャリア培養など)に置く工程、ならびに細胞と第1および第2の培養培地とを接触させる工程を含む。個体を治療する方法も提供され、それは、ASCの集団からiHepの集団を産生すること、および有効数のiHepを個体内投与することを含む。

0010

iHepの存在は、例えば誘導細胞集団と肝細胞マーカータンパク質に特異的な抗体とを接触させる工程、および発現陽性である細胞のパーセンテージを決定する工程を含む、種々の方法によって確認され得る。一部の態様において、誘導細胞集団の15%以上が、肝細胞様細胞である。ある場合には、誘導細胞集団の37%以上が、肝細胞様細胞である。一部の態様において、ASCからiHepを作製するのに経過する時間は、13日間未満(例えば、10日間未満)である。肝損傷(例えばアセトアミノフェン毒性による、例えば肝不全)は急速に(例えば、2週間またはそれ未満のうちに)死を引き起こし得るため、主題の方法による、iHep産生の高い効率、およびiHepが産生され得る短い時間枠は、治療法を容易にする。本開示の方法を実践するためのキットも提供される。
[本発明1001]
(a)脂肪細胞由来幹細胞(ASC)の集団を、ASC由来細胞凝集体を産生するのに十分な期間、三次元培養に置く工程;
(b)前駆体細胞集団を産生するために、ASC由来細胞凝集体の細胞と、アクチビンAおよび線維芽細胞成長因子(FGF)を含む第1の培養培地とを接触させる工程;ならびに
(c)誘導肝細胞様細胞(iHep)を含む誘導細胞集団を産生するために、前駆体細胞集団の細胞と、肝細胞成長因子HGF)を含む第2の培養培地とを接触させる工程
を含み、工程(a)の開始から工程(c)における誘導細胞集団の産生までの総経過時間が13日間未満である、
ASCの集団から肝細胞様細胞の集団を産生する方法。
[本発明1002]
三次元培養がスピナーフラスコ培養である、本発明1001の方法。
[本発明1003]
三次元培養がマイクロキャリア培養である、本発明1001の方法。
[本発明1004]
三次元培養が懸滴浮遊培養である、本発明1001の方法。
[本発明1005]
工程(a)の開始から工程(c)における誘導細胞集団の産生までの総経過時間が10日間またはそれ未満である、本発明1001の方法。
[本発明1006]
ASC由来細胞凝集体を産生するのに十分な期間が3日間またはそれ未満である、本発明1001の方法。
[本発明1007]
ASC由来細胞凝集体の細胞が第1の培養培地と7日間またはそれ未満の間接触する、本発明1001の方法。
[本発明1008]
ASC由来細胞凝集体の細胞が第1の培養培地と7日間またはそれ未満の間接触する、本発明1001の方法。
[本発明1009]
FGFがFGF4である、本発明1001の方法。
[本発明1010]
第1の培養培地がWntシグナル伝達アゴニストをさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1011]
Wntシグナル伝達アゴニストがWnt3aである、本発明1003の方法。
[本発明1012]
第2の培養培地が、オンコスタチンM(OSM)、デキサメタゾン(Dex)、ジメチルスルホキシドDMSO)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される化合物をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1013]
第2の培養培地が、オンコスタチンM(OSM)、デキサメタゾン(Dex)、およびジメチルスルホキシド(DMSO)をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1014]
誘導細胞集団のうちのiHepである細胞のパーセンテージを決定する工程をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1015]
前記細胞のパーセンテージを決定する工程が、
誘導細胞集団の細胞と、肝細胞マーカー分子に対する特異的結合作用物質とを接触させる工程;および
肝細胞マーカー分子の発現について陽性である細胞のパーセンテージを決定する工程
を含み、肝細胞マーカー分子の発現について陽性である細胞がiHepである、本発明1014の方法。
[本発明1016]
誘導細胞集団の細胞のうちの11%以上がiHepである、本発明1014の方法。
[本発明1017]
誘導細胞集団の細胞のうちの25%以上がiHepである、本発明1016の方法。
[本発明1018]
誘導細胞集団をiHepについて富化する工程をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1019]
富化する工程が蛍光活性細胞選別FACS)を含む、本発明1018の方法。
[本発明1020]
(a)
(i)脂肪由来幹細胞(ASC)の集団を、ASC由来細胞凝集体を産生するのに十分な期間、三次元培養に置く工程、
(ii)前駆体細胞集団を産生するために、ASC由来細胞凝集体の細胞と、アクチビンAおよび線維芽細胞成長因子(FGF)を含む第1の培養培地とを接触させる工程、ならびに
(iii)誘導肝細胞様細胞(iHep)を含む誘導細胞集団を産生するために、前駆体細胞集団の細胞と、肝細胞成長因子(HGF)を含む第2の培養培地とを接触させる工程
を含み、工程(i)の開始から工程(iii)における誘導細胞集団の産生までの総経過時間が13日間未満である方法
によって、ASCの集団から肝細胞様細胞の集団を産生する工程;ならびに
(b)肝機能を改善するために、有効数のiHepを個体内に投与する工程
を含む、低下した肝機能を有する個体を治療する方法。
[本発明1021]
三次元培養がスピナーフラスコ培養である、本発明1020の方法。
[本発明1022]
三次元培養がマイクロキャリア培養である、本発明1020の方法。
[本発明1023]
三次元培養が懸滴浮遊培養である、本発明1020の方法。
[本発明1024]
工程(a)の開始から工程(c)における誘導細胞集団の産生までの総経過時間が10日間またはそれ未満である、本発明1020の方法。
[本発明1025]
ASC由来細胞凝集体を産生するのに十分な期間が3日間またはそれ未満である、本発明1020の方法。
[本発明1026]
ASC由来細胞凝集体の細胞が第1の培養培地と7日間またはそれ未満の間接触する、本発明1020の方法。
[本発明1027]
ASC由来細胞凝集体の細胞が第1の培養培地と7日間またはそれ未満の間接触する、本発明1020の方法。
[本発明1028]
FGFがFGF4である、本発明1020の方法。
[本発明1029]
第1の培養培地がWntシグナル伝達アゴニストをさらに含む、本発明1020の方法。
[本発明1030]
Wntシグナル伝達アゴニストがWnt3aである、本発明1029の方法。
[本発明1031]
第2の培養培地が、オンコスタチンM(OSM)、デキサメタゾン(Dex)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される化合物をさらに含む、本発明1020の方法。
[本発明1032]
工程(i)の開始から工程(iii)における誘導肝細胞様細胞(iHep)を含む誘導細胞集団の産生までの総経過時間が13日間未満である、本発明1020の方法。
[本発明1033]
誘導細胞集団のうちのiHepである細胞のパーセンテージを決定する工程をさらに含む、本発明1020の方法。
[本発明1034]
前記細胞のパーセンテージを決定する工程が、
誘導細胞集団の細胞と、肝細胞マーカー分子に対する特異的結合作用物質とを接触させる工程;および
肝細胞マーカー分子の発現について陽性である細胞のパーセンテージを決定する工程
を含み、肝細胞マーカー分子の発現について陽性である細胞がiHepである、本発明1033の方法。
[本発明1035]
誘導細胞集団の細胞のうちの15%以上がiHepである、本発明1020の方法。
[本発明1036]
誘導細胞集団の細胞のうちの25%以上がiHepである、本発明1035の方法。
[本発明1037]
工程(b)の前に、誘導細胞集団をiHepについて富化する工程をさらに含む、本発明1020の方法。
[本発明1038]
富化する工程が蛍光活性化細胞選別(FACS)を含む、本発明1037の方法。
[本発明1039]
少なくとも1×104個のiHepが投与される、本発明1020の方法。
[本発明1040]
iHepが肝臓内に移植される、本発明1020の方法。
[本発明1041]
超音波ガイド下注射を用いてiHepが肝臓内に移植される、本発明1040の方法。
[本発明1042]
個体が哺乳動物である、本発明1020の方法。
[本発明1043]
哺乳動物がヒトである、本発明1042の方法。
[本発明1044]
ASCが、個体から単離されたASCである、本発明1020の方法。
[本発明1045]
工程(a)の前に、個体からASCを単離する工程をさらに含む、本発明1044の方法。

図面の簡単な説明

0011

本発明は、添付の図面と合わせて読んだ場合に、以下の詳細な説明から最も良く理解される。慣行に従い、図面の種々の特徴は正確な縮尺ではない(not to-scale)ことが強調される。それどころか、種々の特徴の寸法は、明確性のために任意に拡大または縮小されている。図面には、以下の図が含まれる。

0012

SCi-HepとChi-Hepとの比較、ならびにSCi-HepおよびChi-Hepを作製する方法の比較を提供している。(A)ASCのiHepへの分化を誘導するための2つの異なる方法が示されている。上段パネルは、ASCをChi-Hepに化学的に分化させるための方法を示している。脂肪吸引物から単離された細胞を3〜15日間培養してASC細胞を得る。次いで、これらの細胞を中胚葉から内胚葉細胞に3日間の期間にわたって分化させ(ステージ1)、次いで、成長因子を含有する合成培地(defined media)を用いてChi-Hepにさらに分化させる(ステージ2)。下段のパネルは、SCi-Hepを産生するための主題の方法の一態様を示している。
SCi-HepとChi-Hepとの比較、ならびにSCi-HepおよびChi-Hepを作製する方法の比較を提供している。(B)形状ASCが、Chi-Hepに(化学的分化による)、またはSCi-Hepを産生するための主題の方法を用いてSCi-Hepに分化する際の、紡錘形状ASCの形態の変化を示した明視野像(100×)。Chi-Hepと比較して、SCi-Hepはより高い細胞密度、および肝細胞により酷似するコロニー様形態を有する。
SCi-HepとChi-Hepとの比較、ならびにSCi-HepおよびChi-Hepを作製する方法の比較を提供している。(C)成熟肝細胞上に見出されるCK8/18マーカーを発現する、ASC、Chi-Hep、SCi-Hep、およびiPS-Hepのパーセンテージ。染色のバックグラウンドレベルを特徴付けするために未染色ASCを用いており(対照)、かつヒト肝細胞の100%はこのマーカーを発現する。パネルCにおいて、各バーは、分析された生物学的に独立した4つのサンプルの平均(+SEM)を表す。
SCi-HepとChi-Hepとの比較、ならびにSCi-HepおよびChi-Hepを作製する方法の比較を提供している。(D)ヒトCK8/18発現、LDL取り込み、またはPAS染色に関する、対照ASC、Chi-Hep、SCi-Hep、または肝細胞の免疫蛍光染色画像(100×における)。Chi-HepおよびSCi-Hepは、LDLをエンドサイトーシスによって取り込むことができ、かつグリコーゲンを合成することが可能である(PAS染色)が、ASCはそうではない。
SCi-HepとChi-Hepとの比較、ならびにSCi-HepおよびChi-Hepを作製する方法の比較を提供している。(E)示された期間培養されたChi-Hep、SCi-Hep、およびASCによって上清分泌されたヒトアルブミンまたは尿素の量。SCi-Hepは、Chi-Hepが検出可能な量のこれらの分析物を産生する前に、アルブミンおよび尿素を十分に産生したが、一方でASCはアルブミンまたは尿素を産生しなかった。パネルEにおいて、各バーは、分析された生物学的に独立した4つのサンプルの平均(+SEM)を表す。
Chi-Hep、SCi-Hep、および脂肪細胞における遺伝子発現を示している。(A)iHepは、増加したレベルの肝細胞特異的mRNAおよび減少したレベルの脂肪細胞特異的mRNAを有する。RT-PCR分析を用いて、Chi-Hep、SCi-Hep、iPS-Hep、またはASCにおける肝細胞特異的(FoxA2、AFP、ALB、AAT、TDO2)または脂肪細胞特異的(CD37)mRNA発現のレベルを測定した。各遺伝子に関して、Chi-Hep(15日間の分化後)、SCi-Hep(9日間の分化後)、およびiPS-Hep(30日間の分化後)におけるmRNAレベルは、ASCにおけるものに対して正規化されている。パネルAにおける各データ点は、3つの独立した測定に対する平均±SEMを表す。
Chi-Hep、SCi-Hep、および脂肪細胞における遺伝子発現を示している。(B)ASCにおける、ならびに3、6、および12日間の誘導された分化後のSCi-Hepにおける遺伝子発現についてのRT-PCR分析。(ASCマーカーである)CD105 mRNA発現のレベルは35倍減少し(p=0.001);一方で、肝細胞(FoxA2およびALB)mRNA発現のレベルは、12日間の肝細胞分化後のSCi-Hepにおいて、それぞれ25倍および51倍(それぞれp=0.0007および9×10-5)増加した。SCi-HepにおけるmRNAレベルを、ASCにおけるものに対して正規化した。パネルBにおける各データ点は、3つの独立した測定に対する平均±SEMを表す。図11に示されるように、3、6、および12日間の分化後のSCi-Hepにおいて、各遺伝子の発現のレベルの有意な変化があった。
Chi-Hep、SCi-Hep、および脂肪細胞における遺伝子発現を示している。(C)ASC、Chi-Hep、SCi-Hep、iPS-Hep、および肝細胞から得られた遺伝子発現プロファイル間の空間的関係性についての図解マイクロアレイベース包括遺伝子発現データを、方法の節に記載されるように分析した。それぞれの接続している辺の長さ(および示されている数)は、対応する頂点のそれぞれにある細胞タイプに関する発現プロファイル間の距離を示す。この距離は、各線の頂点にある2種類の細胞タイプについてのアレイ上の各遺伝子の発現のレベルの差異平方を合計することによって決定される。この略図は、iPS-Hepの遺伝子発現パターンよりも、Chi-HepおよびSCi-Hepにおける遺伝子発現パターンが、肝細胞の遺伝子発現パターンにより近いことを示している。また、ASC-肝細胞軸からのiPS-Hepパターン偏差はiHepのものよりも大きく、これは、iPS-Hepが、Chi-HepまたはSCi-Hepにおいて見出されるよりも、ASCおよび肝細胞の両方と無縁のより多くの数の遺伝子発現変化を有することを示している。
マウス肝臓内へのSCi-Hepの移植(注射による)を実証している。(A)TK-NOGマウス肝臓右葉内に、30Gニードルを介して直接注射されているSCi-Hepについての、超音波により作成された画像(横断図)。
マウス肝臓内へのSCi-Hepの移植(注射による)を実証している。(B)キメラマウスは、SCi-Hep移植後にヒトアルブミンを産生した。血漿中のヒトアルブミンの量を、4匹のガンシクロビル条件付けマウスへのSCi-Hepの移植後8週間の期間にわたって継続的に測定した。各破線は、示された時点でキメラマウスにおいて測定されたヒトアルブミンの量を示している。4匹すべてのキメラマウスにおいて、ヒト血清アルブミンは移植の4週間後に検出可能であり、かつ量は移植後の時間とともに増加した。対照的に、対照の未分化ASCのレシピエントである4匹のマウスはいずれもアルブミンを産生しなかった(赤色の三角および実線)。
マウス肝臓内へのSCi-Hepの移植(注射による)を実証している。(C)SCi-Hep(a〜c)または未分化ASC(d〜f)の移植から4週間後のTK-NOGマウスから得られた肝臓切片の免疫蛍光染色(倍率100×)。肝臓切片を、ヒト特異的な抗アルブミン(a、d)、抗CK8/18(b、e)、または抗ASGR1抗体で染色し、かつ、細胞核を示すDAPIで対比染色した。
マウス肝臓内へのSCi-Hepの移植(注射による)を実証している。(D)SCi-Hepまたは未分化ASCの移植から4週間後のTK-NOGマウスから得られた肝臓切片の免疫蛍光染色(倍率200×)。肝臓切片を、抗CK8/18、抗Ki67、または抗ZO-1抗体で染色し、次いで、細胞核を示すDAPIで対比染色した。
SCi-Hepは免疫機能低下マウスにおいて腫瘍を形成しないが、iPS-Hepは形成することを実証している。(A)NOGマウスの腎臓被膜下に5×104個のiPS-Hepを移植してから早ければ3週間後に、触診可能な腫瘍が移植領域に形成された。対照的に、同数のChi-HepまたはSCi-Hepを移植してから2ヶ月後に、腫瘍は検出されなかった(上段)。iPS-Hep移植領域から得られた組織切片では腫瘍が目に見えたが、一方でChi-Hep移植領域には正常な組織のみが存在していた(中段)。上段および中段における画像の倍率は、10×である。下段における画像は、対応する画像の枠で囲まれた領域から得られたものであり、かつ倍率200×で示されている。
SCi-Hepは免疫機能低下マウスにおいて腫瘍を形成しないが、iPS-Hepは形成することを実証している。(B)iPS-Hep移植後の腫瘍形成。上段:iPS-Hep細胞を腎臓被膜下に移植してから3週間後に形成された腫瘍の画像。300×および100×の画像を、対応する40×および100×の画像の示された領域(破線の枠)から得た。下段:iPS-iHep細胞を移植してから2ヶ月後、腫瘍は、3種すべての胚細胞層由来の細胞を含んだ。これらの画像は、倍率200×におけるものである。示されているスケールバーは、50μmである。
内胚葉細胞に対するマーカーを認識する抗Sox17抗体を用いて実施されたFACS分析を提供している。ASCを3人の異なるドナーから単離し、かつ標準培養法(Chi-Hep)または球状培養法(SCi-Hep)を用いて、分化するように誘導した。4日間の分化後、内胚葉細胞に対するマーカーを認識する抗Sox17抗体を用いて、FACSを実施した。球状培養後に内胚葉細胞に分化するASCのパーセンテージ(61.2±2.4)は、標準的方法を用いて得られたもの(25.7±1.3)の2倍を上回った。
内胚葉細胞に対するマーカーを認識する抗Sox17抗体を用いて実施されたFACS分析を提供している。ASCを3人の異なるドナーから単離し、かつ標準的培養法(Chi-Hep)または球状培養法(SCi-Hep)を用いて、分化するように誘導した。4日間の分化後、内胚葉細胞に対するマーカーを認識する抗Sox17抗体を用いて、FACSを実施した。球状培養後に内胚葉細胞に分化するASCのパーセンテージ(61.2±2.4)は、標準的方法を用いて得られたもの(25.7±1.3)の2倍を上回った。
内胚葉細胞に対するマーカーを認識する抗Sox17抗体を用いて実施されたFACS分析を提供している。ASCを3人の異なるドナーから単離し、かつ標準的培養法(Chi-Hep)または球状培養法(SCi-Hep)を用いて、分化するように誘導した。4日間の分化後、内胚葉細胞に対するマーカーを認識する抗Sox17抗体を用いて、FACSを実施した。球状培養後に内胚葉細胞に分化するASCのパーセンテージ(61.2±2.4)は、標準的方法を用いて得られたもの(25.7±1.3)の2倍を上回った。
ASCに対するマーカーに結合する抗CD105抗体を用いて実施されたFACS分析を提供している。ASCを3人の異なるドナーから単離し、かつ球状培養法を用いてSCi-Hepに分化するように誘導した。9日間の分化後、ASCに対するマーカーに結合する抗CD105抗体を用いて、FACSを実施した。ASCの98.6±0.5%がCD105を発現した一方で、このASCマーカーを発現するSCi-Hepのパーセンテージは、ほんの9.0±0.5%であった。
ASCに対するマーカーに結合する抗CD105抗体を用いて実施されたFACS分析を提供している。ASCを3人の異なるドナーから単離し、かつ球状培養法を用いてSCi-Hepに分化するように誘導した。9日間の分化後、ASCに対するマーカーに結合する抗CD105抗体を用いて、FACSを実施した。ASCの98.6±0.5%がCD105を発現した一方で、このASCマーカーを発現するSCi-Hepのパーセンテージは、ほんの9.0±0.5%であった。
図7は、iPS-Hepがグリコーゲンを合成し得(a、b)、かつ低密度リポタンパク質(LDL)をエンドサイトーシスによって取り込むことができる(c、d)ことを実証している。LDL免疫蛍光画像およびPAS染色画像は、100×(a、c)および400×(b、d)の倍率で示されている。対照的に、ASCはLDLをエンドサイトーシスによって取り込むことができず(e、100×)、それらはPASで染色もされなかった(f、100×)。
iPS-Hepが肝細胞特性を有することを実証している。示された時点における、Chi-Hep、iPS-Hep、およびASCによって上清に分泌されたヒトアルブミン(A)の量が示されている。Chi-Hepは、iPS-Hepが検出可能な量の分析物を産生する前に、アルブミンを十分に産生したが、一方で対照ASCはアルブミンを産生しなかった。パネルにおける各バーまたはデータ点は、分析された生物学的に独立した4つのサンプルの平均(±SEM)を表す。
iPS-Hepが肝細胞特性を有することを実証している。示された時点における、Chi-Hep、iPS-Hep、およびASCによって上清に分泌された尿素窒素(B)の量が示されている。Chi-Hepは、iPS-Hepが検出可能な量の分析物を産生する前に、尿素を十分に産生したが、一方で対照ASCは尿素を産生しなかった。パネルにおける各バーまたはデータ点は、分析された生物学的に独立した4つのサンプルの平均(±SEM)を表す。
iPS-Hepが肝細胞特性を有することを実証している。(C)Chi-Hep(15日後)およびiPS-Hep(30日間の分化後)は、CYP3A4依存的な薬物生体内変換(biotransformation)反応を仲介し得るが、ASCはそうではない。パネルにおける各バーまたはデータ点は、分析された生物学的に独立した4つのサンプルの平均(±SEM)を表す。
iPS-Hepが肝細胞特性を有することを実証している。(D)iPS-Hepは、増加したレベルの肝細胞特異的mRNAおよび減少したレベルの脂肪細胞特異的mRNAを有する。RT-PCR分析を用いて、s、iPS-Hep、またはASCにおける肝細胞特異的(FoxA2、AFP、ALB、AAT、A1AT、TDO2)または脂肪細胞特異的(CD37、CD29)mRNA発現のレベルを測定した。各遺伝子に関して、Chi-Hep(15日間の分化後)およびiPS-Hep(30日間の分化後)におけるmRNAレベルは、ASCにおける対応するmRNAレベルのものに対して正規化されている。パネルにおける各バーまたはデータ点は、分析された生物学的に独立した4つのサンプルの平均(±SEM)を表す。
図9は、ASC、Chi-Hep、SCi-Hep、iPS-Hep、および肝細胞から得られた遺伝子発現データに対する主成分分析を提供している。第1(x軸)および第2(y軸)の主成分(PC)は、発現プロファイルの全分散のそれぞれ46.4%および26.5%を説明した。留意すべきことに、iPS-Hepは、ASCおよび肝細胞と比較して、PC2に沿って大量の偏差を有したが、一方でChi-HepおよびSCi-hepは、ASCと肝細胞とのちょうど間にあった。他の分析(図2Cに示される分析を含めた)と一致して、このグラフは、iPS-Hepが、肝細胞には存在していなかった多くの数の遺伝子発現変化(ASCと比較)を有したことを示している。
図10は、SCi-Hepが、インビトロでASGR-1を発現しないことを実証している。9日間のインビトロ分化後に分析された、透過処理したヒト肝細胞(a〜c)またはSCi-Hep(d〜f)を抗ヒトASGR-1抗体で染色し、かつDAPIで対比染色した。免疫蛍光画像(倍率200×)は、ヒト肝細胞はASGR-1を発現したが、SCi-Hepはそうではないことを示している。示されているスケールバーは、50μmである。
図11は、ASCと比較して、肝細胞、Chi-Hep、SCi-Hep、およびiPS-hepにおいて差異的に発現した遺伝子の数を示した表を提示している。マイクロアレイデータの分析から、その発現が、ASCと比較して肝細胞において有意に増加した、減少した、または不変であった、示された数の遺伝子を選択した。(倍数変化(fold change)の絶対値が>5であり、かつ調整p値が<0.01である場合、遺伝子の発現は、肝細胞において変化したと見なされた。)3つのパネルのそれぞれは、Chi-Hep、SCi-Hep、またはiPS-Hepにおける発現プロファイルの場合の、その発現が増加した、減少した、または有意に変化しなかった(NS)選択遺伝子の数(およびパーセンテージ)を示している(ASCと比較)。これらの比較のそれぞれに関して、倍数変化の絶対値が>2であり、かつ調整p値が<0.01である場合、遺伝子の発現は、iHepにおいて変化したと見なされた。発現が肝細胞において変化しなかった遺伝子の18%が、iPS-Hepにおいて変化したレベルの発現を有したことは注目に値する。
図12は、肝細胞において発現される遺伝子(Foxa2、アルブミン)の発現のレベルの変化、および誘導されたSCi-Hep分化の間の脂肪細胞特異的(CD105)mRNAの変化を示した表を提示している。RT-PCRを用いて、ASCにおける、ならびに3、6、および12日間の誘導された分化後のSCi-Hepにおける、3種類の遺伝子(Foxa2、アルブミン、およびCD105)の発現のレベルを測定した。示された日のSCi-Hepにおける各遺伝子についての測定された平均発現レベル(ASCにおけるその発現のレベルと比較)、および発現差異に対する対応するp値が示されている。各値は、3つの独立した測定に対する平均倍数変化であり;正の値は、その発現が、ASCと比較してSCi-Hepにおいて増加したことを示し、一方で負の値は、それが減少したことを示す。対数変換された発現レベルを用いて1サンプルt検定を適用して、測定された発現差異の統計的有意性P値)を査定した。
図13A〜Bは、かき混ぜ式浮遊培養(この場合は、スピナーフラスコ培養)によって培養されたASCが、懸滴浮遊培養の間に形成されたスフェアに類似する高密度細胞凝集体を形成することを実証している。示される画像は、倍率10×におけるものである。(A)24時間のASCのスピナーフラスコ培養の後に形成された、ASC細胞凝集体の形態。凝集体の形態は、ASCを懸滴法によって培養した後に形成された「スフェア」のものに非常に似ている。スピナーフラスコ培養における細胞密度の増加(それゆえ、「高密度培養」という用語)は、パネル(A)とパネル(B)とを比較した場合に容易に明白である。(B)ASCを懸滴法によって48時間培養した後に形成された「スフェア」。
図14A〜Bは、かき混ぜ式浮遊培養(この場合は、スピナーフラスコ培養)によって培養されたASCが、懸滴法によって培養されたASCと比較して、より大きなパーセンテージの(A)CD34+細胞(脂肪幹細胞)および大体等しいパーセンテージの(B)SOX17+細胞(内胚葉前駆体細胞)を形成することを実証している。x軸は、検出されたシグナルの強度である。
図15A〜Bは、スピナーフラスコ培養を用いて産生されたiHep(SS-Hep)が、特異的シトクロムCYP酵素であるCYP3A4およびCYP1A1を有し、かつCYP3A4の活性が、デキサメタゾン(Dex)処理によって強力に誘導されたことを実証している。YJMはヒト肝細胞の細胞株である。CYP活性を細胞生存率に対して正規化した。結果は、Dex誘導あり(+)およびなし(−)で提示されている。
図16は、スピナーフラスコ培養を用いて産生されたiHep(SS-Hep)が、Chi-HepおよびSCi-Hepと比較して、増加したレベルのヒトアルブミン(hAlb)を分泌したことを実証している(SCi-Hepと比較しておよそ16倍、およびChi-Hepと比較しておよそ96倍)。

0013

態様の詳細な説明
脂肪細胞由来幹細胞(ASC)の集団から肝細胞様細胞(iHep)の集団を産生するための方法が提供される。該方法の局面は、ASCの集団を三次元培養(例えば、懸滴浮遊培養、高密度培養、スピナーフラスコ培養、マイクロキャリア培養など)に置く工程、ならびに細胞と第1および第2の培養培地とを接触させる工程を含む。個体を治療する方法も提供され、それは、ASCの集団からiHepの集団を産生すること、および有効数のiHepを個体内に投与することを含む。該方法を実践するためのキットも本明細書において記載される。

0014

本方法および組成物を記載する前に、本発明は、記載される特定の方法または組成物に限定されるわけではないことが理解されるべきである、というのはそのようなものは当然変動し得るためである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書において用いられる専門用語は、特定の態様のみを記載する目的のためのものであり、限定することを意図されるものではないことも理解されるべきである。

0015

値の値域が提供される場合、文脈はっきりと別様に述べられていない限り、その値域の上限および下限の間にある各介在値も、下限の単位の10分の1まで具体的に開示されていると理解される。記述される値域内の任意の記述される値または介在値と、その記述される値域内の他の任意の記述される値または介在値との間にあるより小さな各値域は、本発明の内に包含される。これらのより小さな値域の上限および下限は、独立して、該値域内に含まれ得または除外され得、かつより小さな値域内にいずれか一方の限度が含まれる、どちらの限度も含まれない、または両方の限度が含まれる場合の各値域も、記述される値域における具体的に除外される任意の限度次第で、本発明の内に包含される。記述される値域が限度の一方または両方を含む場合、そうした含まれた限度のいずれかまたは両方を除外する値域も、本発明に含まれる。

0016

別様に定義されていない限り、本明細書において用いられるすべての技術的および科学的な用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において記載されるものと同様または同等の任意の方法および材料を、本発明の実践または試験において用いることができるものの、一部の潜在的なかつ好ましい方法および材料がここに記載されている。刊行物を引用しているものに関連した方法および/または材料を開示しかつ記載する、本明細書において言及されるすべての刊行物は、参照により本明細書に組み入れられる。本開示は、矛盾が存在する程度まで、組み入れられた刊行物の任意の開示に優先する。

0017

本開示を読めば当業者に明白であろうように、本明細書において記載されかつ例証される個々の態様のそれぞれは、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの態様のいずれかのものの特色と容易に分離され得るまたはそれと組み合わされ得る個別の成分および特色を有する。列挙される任意の方法は、列挙される事象順序でまたは論理的に可能である他の任意の順序で行われ得る。

0018

本明細書においておよび添付の特許請求の範囲において用いられるとき、「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈上はっきりと別様に述べられていない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。ゆえに、例えば、「細胞(a cell)」への言及には複数のそのような細胞が含まれ、かつ「ペプチド(the peptide)」への言及には、1つまたは複数のペプチドおよびそれらの同等物、例えば当業者に公知であるポリペプチドなどへの言及が含まれる。

0019

本明細書において論じられる刊行物は、本出願の提出日より前のそれらの開示に関してのみ提供される。本明細書におけるいかなるものも、先行発明という理由で、本発明がそのような刊行物に先行する権利を与えられないという承認として解釈されるべきでない。さらに、提供される刊行物の日付は実際の刊行日とは異なり得、それは独立して確認される必要があり得る。

0020

定義
「特異的結合」、「特異的に結合する」等の用語は、溶液または反応混合物における他の分子または部分と比較した、分子への優先的な非共有結合または共有結合を指す(例えば、抗体は、他の利用可能なポリペプチドと比較して、特定のポリペプチドまたはエピトープに特異的に結合する)。一部の態様において、一方の分子の、それが特異的に結合するもう一方の分子に対する親和性は、10-5Mまたはそれ未満(例えば、10-6Mもしくはそれ未満、10-7Mもしくはそれ未満、10-8Mもしくはそれ未満、10-9Mもしくはそれ未満、10-10Mもしくはそれ未満、10-11Mもしくはそれ未満、10-12Mもしくはそれ未満、10-13Mもしくはそれ未満、10-14Mもしくはそれ未満、10-15Mもしくはそれ未満、または10-16Mもしくはそれ未満)のKD(解離定数)によって特徴付けされる。「親和性」とは結合の強度を指し、結合親和性の増加はより低いKDと相関する。

0021

本明細書において用いられる「特異的結合メンバー」という用語は、特異的結合ペアメンバー(すなわち、非共有的な手段を介して、分子の一方、例えば第1の特異的結合メンバーが、他方の分子、例えば第2の特異的結合メンバーに特異的に結合する場合の2種類の分子、通常2種類の異なる分子)を指す。

0022

本明細書において用いられる「特異的結合作用物質」という用語は、生体分子に特異的に結合する任意の作用物質(例えば、核酸マーカー分子、タンパク質マーカー分子などのマーカーなど)を指す。ある場合には、マーカー分子(例えば、肝細胞マーカー分子)に対する「特異的結合作用物質」が用いられる。特異的結合作用物質は、任意のタイプの分子であり得る。ある場合には、特異的結合作用物質は、抗体またはそのフラグメントである。ある場合には、特異的結合作用物質は、核酸プローブ(例えば、RNAプローブDNAプローブ;RNA/DNAプローブ;修飾された核酸プローブ、例えばロックド核酸(LNA)プローブモルフォリノプローブなど;および同類のもの)である。

0023

本明細書において使用するとき、「マーカー分子」は、確定的である必要はない(すなわち、マーカーは、細胞を特定のタイプのものとして確定的にマーク付けする必要はない)。例えば、細胞によるマーカー分子の発現は、該細胞が特定の細胞タイプのものであるという指標(すなわち、示唆的)であり得る。例えば、3種類の細胞タイプ(タイプA、タイプB、およびタイプC)が特定のマーカー分子(例えば、特定のmRNA、特定のタンパク質など)を発現する場合、細胞によるそのマーカー分子の発現は、必ずしもそれだけで該細胞がタイプA細胞であると確定的に判定するために用いられるとは限らない。しかしながら、そのようなマーカーの発現は、該細胞がタイプA細胞であると示唆し得る。ある場合には、他の証拠と組み合わせたそのようなマーカーの発現は、該細胞がタイプA細胞であることを確定的に示し得る。別の例証的な例として、特定の細胞タイプが2種またはそれを上回る種類の特定のマーカー分子(例えば、mRNA、タンパク質、それらの組み合わせなど)を発現することが公知である場合には、細胞による該2種またはそれを上回る種類の特定のマーカー分子のうちの1つの発現は、該細胞が問題となっている特定のタイプのものであることを示唆し得るが、確定的ではない。そのような場合でも、マーカーは、依然としてマーカー分子と見なされる。

0024

「抗体」という用語は最も広い意味で用いられ、具体的には、モノクローナル抗体全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、およびそれらが所望の生物学的活性を呈する限りは抗体フラグメント網羅する。「抗体」(Ab)および「免疫グロブリン」(Ig)は、同じ構造特徴を有する糖タンパク質である。抗体が特異的抗原への結合特異性を呈する一方で、免疫グロブリンは、抗体、および抗原特異性欠く他の抗体様分子の両方を含む。後者の種類のポリペプチドは、例えば、リンパ系によって低レベルで、かつ骨髄腫によって増加したレベルで産生される。

0025

本明細書において用いられる「抗体フラグメント」およびそのすべての文法的変化形は、抗原結合部位を含む無傷抗体の一部分または無傷抗体の可変領域として定義され、該一部分は、無傷抗体のFc領域定常重鎖ドメイン(すなわち、抗体アイソタイプに応じて、CH2、CH3、およびCH4)を含んでいない。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2、およびFvフラグメント;ダイアボディ(diabody);(1)一本鎖Fv(scFv)分子、(2)結び付いた重鎖部分を有しない、1つのみの軽鎖可変ドメインを含有する一本鎖ポリペプチド、または軽鎖可変ドメインの3つのCDRを含有するそのフラグメント、(3)結び付いた軽鎖部分を有しない、1つのみの重鎖可変領域を含有する一本鎖ポリペプチド、または重鎖可変領域の3つのCDRを含有するそのフラグメント、および(4)非ヒト種由来の単一Igドメインまたは他の特異的単一ドメイン結合分子を含むナノボディ(nanobody)を含むがそれらに限定されない、連続アミノ酸残基の途切れることのない1つの配列からなる一次構造を有するポリペプチドである任意の抗体フラグメント(本明細書において、「一本鎖抗体フラグメント」または「一本鎖ポリペプチド」と称される);ならびに抗体フラグメントから形成される多重特異的なまたは多価の構造が含まれる。1つまたは複数の重鎖を含む抗体フラグメントにおいて、重鎖は、無傷抗体の非Fc領域に見出される任意の定常ドメイン配列(例えば、IgGアイソタイプにおけるCH1)を含有し得、かつ/または無傷抗体に見出される任意のヒンジ領域配列を含有し得、かつ/または重鎖のヒンジ領域配列もしくは定常ドメイン配列に融合されたもしくはそこに配置されたロイシンジッパー配列を含有し得る。

0026

本開示において使用するとき、「エピトープ」という用語は、抗体のパラトープが結合する抗原上の任意の抗原決定基を意味する。エピトープ決定基は、通常、アミノ酸または糖側鎖など、分子の化学的に活性な表面団からなり、かつ通常、特異的三次元構造特徴ならびに特異的帯電特徴を有する。

0027

「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基ポリマーを指すために本明細書において互換可能に用いられる。該用語は、1個または複数個のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的模倣体であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーおよび天然に存在しないアミノ酸ポリマーにも適用される。

0028

本明細書において用いられる「TK-NOGマウス」とは、高度に免疫欠損のNOGマウスの肝臓内で、単純ヘルペスウイルス1型チミジンキナーゼ(HSVtk)導入遺伝子が発現しているマウスを指す。HSVtk導入遺伝子を発現するマウス肝臓細胞は、非毒性用量のガンシクロビル(GCV)への短時間の曝露後に取り除かれ得る。一部の態様において、治療を受ける個体はマウスであり得る。例えば、肝臓細胞が取り除かれたTK-NOGマウスは、低下した肝機能を有する個体(すなわち、肝損傷を有する個体)と見なされ得、したがって該マウスは、主題のiHEPS(下記で詳細に記載される)をマウスに移植する場合に治療を受けている個体と見なされ得る。移植されたヒト肝臓細胞は、TK-NOGマウスの肝臓内で安定して維持され得、かつ移植されたヒト肝臓細胞を有するTK-NOGマウスは、本明細書において、ヒト化TK-NOGマウスと称される。ヒト化TK-NOGマウスの再構成された肝臓は、成熟したかつ機能的なヒト臓器であり得、かつ薬物代謝のヒト特異的プロファイルを生じ得る。「ヒト化肝臓」は、長期の期間(例えば、少なくとも8ヶ月間)、高レベルの機能を有してヒト化TK-NOGマウスにおいて安定して維持され得る。TK-NOGマウスについてのより多くの情報に関しては、(i)Hasegawa et al, Biochem Biophys Res Commun. 2011 Feb 18;405(3):405-10;(ii)Yamazaki et al, Chem Res Toxicol. 2012 Feb 20;25(2):274-6;(iii)Hu et al., Pharmacogenet Genomics. 2013 Feb;23(2):78-83;および(iv)Yamazaki et al, Chem Res Toxicol. 2013 Mar 18;26(3):486-9を参照されたく、これらは参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。

0029

「幹細胞」という用語は、本明細書において、自己再生し得かつ分化した細胞タイプを生じ得る両方の能力を有する哺乳動物細胞を指すために用いられる(Morrison et al. (1997) Cell 88:287-298を参照されたい)。細胞個体発生(ontogeny)の文脈において、「分化した」または「分化している」という形容詞は相対的な用語である。「分化した細胞」とは、それが比較されている細胞よりも、発生経路のさらに下へ進んでいる細胞である。ゆえに、分化万能性(pluripotent)幹細胞は、系統制限された前駆細胞(例えば、脂肪細胞由来幹細胞)に分化し得、それは今度は最終段階の細胞(例えば、脂肪細胞、骨芽細胞軟骨細胞など)に分化し得、それはある特定の組織タイプにおいて特徴的役割を果たし、かつさらに増殖する能力を保持し得るまたは保持し得ない。幹細胞(および分化した子孫)は、特異的マーカー(例えば、タンパク質、RNAなど)の存在および特異的マーカーの非存在の両方によって特徴付けされ得る。幹細胞は、インビトロおよびインビボの両方の機能的アッセイ、とくに複数種類の分化した子孫を生じ得る幹細胞の能力に関係したアッセイによっても同定され得る。

0030

関心対象の幹細胞は哺乳動物のものであり、該用語は、ヒト、家庭用および農業用動物、ならびにイヌウマネコウシ、マウス、ラットウサギなどの動物園用、実験室用スポーツ用、またはペット用の動物を含めた、哺乳動物として分類される任意の動物から単離された細胞を指す。一部の態様において、哺乳動物はヒトであり、したがって哺乳動物細胞(例えば、脂肪細胞由来幹細胞の集団)はヒト細胞(例えば、ヒト脂肪細胞由来幹細胞の集団)である。

0031

細胞培養の文脈における「継代している」または「継代」(すなわち、分割しているまたは分割)という用語は、当技術分野において公知であり、かつ新たな容器内に少数の細胞を移すことを指す。細胞は、それらが定期的に分割された場合に培養され得、なぜならそれは高い細胞密度に伴う老化を回避するためである。付着性細胞に関して、細胞は、継代プロトコールの一部として、成長表面から剥離される。剥離は、一般に、トリプシン酵素および/または他の市販の試薬(例えば、TrypLEEDTAエチレンジアミン四酢酸)、表面から細胞を物理的にかき落とすためのポリスマン(例えば、ラバーポリスマン)など)により実施される。次いで、例えば付加的培地による希釈後に、少数の剥離細胞(例えば、わずか1個の細胞)を用いて、新たな細胞集団播種することができる。したがって、細胞集団を継代することは、細胞集団の細胞の少なくとも一部を解離し、解離された細胞を希釈し、かつ希釈された解離細胞を播くこと(すなわち、新たな細胞集団を播種すること)を意味する。

0032

「培地(media)」および「培地(medium)」という用語は、本明細書において互換可能に用いられる。細胞培養培地は、インビトロ培養の間に細胞を浸す液体混合物である。

0033

本明細書において用いられる「集団」、例えば「細胞集団」または「細胞の集団」という用語は、他の細胞および/または細胞団から分離している(すなわち、単離されている)2個またはそれを上回る数の細胞の団(すなわち、集団)を意味する。例えば、6ウェル培養ディッシュは、各集団が個々のウェル内に滞在する6つの細胞集団を含有し得る。細胞集団の細胞は、互いのクローン誘導体であり得るが、そうである必要はない。細胞集団は、個々の1個の細胞に由来し得る。例えば、個々の細胞が6ウェル培養ディッシュの単一ウェルに置かれ、かつ各細胞が1回分裂した場合には、該ディッシュは6つの細胞集団を含有する。細胞集団は任意の所望のサイズであり得、かつ1個の細胞よりも多い任意の数の細胞を含有し得る。例えば、細胞集団は、2個もしくはそれを上回る、10個もしくはそれを上回る、100個もしくはそれを上回る、1,000個もしくはそれを上回る、5,000個もしくはそれを上回る、104個もしくはそれを上回る、105個もしくはそれを上回る、106個もしくはそれを上回る、107個もしくはそれを上回る、108個もしくはそれを上回る、109個もしくはそれを上回る、1010個もしくはそれを上回る、1011個もしくはそれを上回る、1012個もしくはそれを上回る、1013個もしくはそれを上回る、1014個もしくはそれを上回る、1015個もしくはそれを上回る、1016個もしくはそれを上回る、1017個もしくはそれを上回る、1018個もしくはそれを上回る、1019個もしくはそれを上回る、または1020個もしくはそれを上回る数の細胞であり得る。

0034

方法
本開示の局面は、脂肪細胞由来幹細胞(ASC)の集団から肝細胞様細胞の集団を産生する方法を含む。該方法は、概して、ASCの集団を三次元培養(例えば、懸滴浮遊培養、高密度培養、スピナーフラスコ培養、マイクロキャリア培養など)に置いて、ASC由来細胞凝集体(例えば、スフェア)を産生する工程;前駆体細胞集団を産生するために、ASC由来細胞凝集体の細胞と、アクチビンAおよび線維芽細胞成長因子(FGF)を含む第1の培養培地とを接触させる工程;ならびに誘導肝細胞様細胞(iHep)を含む誘導細胞集団を産生するために、前駆体細胞集団の細胞と、肝細胞成長因子(HGF)を含む第2の培養培地とを接触させる工程を伴う。

0035

脂肪由来幹細胞(ASC)
「脂肪由来幹細胞」という用語は、分化万能性であり、かつ骨形成系統、脂肪形成系統、および軟骨形成系統の細胞を含むがそれらに限定されない、様々な細胞タイプに分化する潜在力を有する、出生後哺乳動物に見出される脂肪細胞の集団を指す。ASCは、肝細胞様細胞にも分化し得る。ASCは、文献において、脂肪由来成体(ADAS)細胞、脂肪由来成体間質細胞脂肪由来間質細胞(ADSC)、脂肪間質細胞(ASC)、脂肪間葉系幹細胞(AdMSC)、脂肪芽細胞周皮細胞前脂肪細胞、および処理された脂肪吸引PLA)細胞と称されている。国際脂応用技術学会(International Fat Applied Technology Society)(IFATS)は、単離された、プラスチック付着性の、分化多能性(multipotent)の細胞集団を識別するために、「脂肪由来幹細胞」(ASC)という用語を採用する合意に達した。ゆえに、「脂肪由来幹細胞」(ASC)という用語は、本明細書において、当業者に公知であろうIFATS合意に従って用いられる。細胞株とは対照的に、ASCは不死化を受けていない。

0036

多数の科学的刊行物が、ASCの根底にある生物学を記載しており、種々の分野での再生医療におけるASCの使用のための前臨床研究が実施されており、かつASCの有効性がいくつかの臨床試験において判定されている。

0037

主題の方法における使用のためのASCは、当業者に公知であろう任意の好都合な方法によって単離され得る。皮下脂肪組織サンプルは、一般的に、局所麻酔下で入手され得る。ASCを単離するために用いられる現在の方法は、一般的に、コラゲナーゼ消化、その後に初代脂肪細胞から間質血管画分を単離する遠心式分離が続く。

0038

非限定的な例として、ASCを単離するために、切除された外科標本(例えば、生検)としてまたは脂肪吸引物として入手された脂肪組織を、カルシウムの存在下においてコラゲナーゼ酵素(例えば、細菌由来のコラゲナーゼ)で消化して、個々の細胞成分を切り離すことができる。その後、成熟脂肪細胞を、残存細胞から(例えば、分画遠心分離(differential centrifugation)により)分離することができ、それは間質血管画分(SVF)ペレットを形成する。SVF細胞集団は、内皮細胞線維芽細胞、BおよびTリンパ球マクロファージ骨髄細胞、周皮細胞、前脂肪細胞、平滑筋細胞、ならびに付着性培養ASCを含む。約10%ウシ胎仔血清を含有する培地(任意の好都合な培養培地が用いられ得る)を用いた培養(例えば、4〜6日間)後、1ミリリットルのヒト脂肪吸引物は、脂肪形成系統(脂肪細胞)、軟骨形成系統(軟骨細胞)、および骨形成系統(骨芽細胞)に沿ってインビトロで分化し得る0.25〜0.375×106個のASCをもたらす。ASCは、線維芽細胞様形態を表示し、かつ脂肪細胞に見られる細胞間脂肪滴を欠く。単離されたASCは、典型的に、10%ウシ胎仔血清を含有する基礎培地を用いて、標準的組織培養プラスチック上にて単層培養で増やされる。1人の患者からのリポサクションは、1Lを超える組織をもたらすことが多いため、1回のインビトロ細胞培養継代内で、1人のドナーから何億個ものASCを作製することが実現可能である。SVF細胞とは対照的に、ASCは、表面抗原についてのそれらの発現プロファイルに基づき、比較的均一である。

0039

一般的に、脂肪吸引物からのASCの単離は、(1)緩衝生理食塩水中で脂肪吸引物を洗浄すること;(2)脂肪吸引物をコラゲナーゼ消化に供すること;(3)遠心分離しかつ間質血管画分(SVF)ペレットを単離すること;(4)付着性表面上で不均一SVF細胞を培養すること;かつ(5)付着性ASCを単離すること、を含み得る。標準的条件下でのSVF細胞の培養は、(最初の数回の継代のうちは)最終的に、中胚葉細胞または間質細胞の比較的均一な集団であるASCの出現をもたらす。ASCは、例えば、細胞が複数種類の異なる系統に分化し得ることを実証することによって立証され得る(例えば、脂肪細胞は、例えばオイルレッドO染色を用いて識別され得;骨芽細胞は、例えばアリザリンレッド染色を用いて識別され得;かつ軟骨細胞は、例えばアルシアンブルー染色を用いて識別され得る)。タンパク質および核酸マーカーを用いて、複数種類の系統への分化を立証することもできる。

0040

細胞療法のための国際学会(International Society for Cellular Therapy)(ISCT)およびIFATSは、機能的かつ定量的な基準に基づいてSVF細胞およびASCを規定する最小基準を制定している。本明細書において用いられる4つの基準は、(1)ASCは、標準的培養条件下で維持された場合にプラスチック付着性である;(2)ASCは、骨形成、脂肪形成、および軟骨形成の分化能を有する;(3)ASCは、CD29、CD34、CD36、CD49f、CD73、CD90(Thy-1)、CD105、CD133、c-kit、およびc-metマーカー(すなわち、分子マーカー)を発現する;かつ(4)ASCは、CD45、CD106、およびCD31に対して陰性である、である。脂肪細胞、軟骨芽細胞、および骨芽細胞の分化アッセイ(例えば、それぞれ、オイルレッドO染色、アルシアンブルー染色、およびアリザリンレッド染色)は、潜在力および分化能を査定するために用いられ得、かつ生化学的なまたは逆転写ポリメラーゼ連鎖反応による、分化についての定量的評価と合わせて用いられ得る。ASCの集団倍加能を算出するために、コロニー形成単位-線維芽細胞(CFU-F)がIFATSによって推奨されている。

0041

ASCの単離および培養を含めた、ASCの性質についてのより多くの情報に関しては、(i)Gimble et al.,Circ Res. 2007 May 11;100(9):1249-60:「Adipose-derived stem cells for regenerative medicine」;(ii)Gimble et al., Organogenesis. 2013 Jan 1;9(1):「Adipose-derived stromal/stem cells: A primer」;(iii)Bourin et al, Cytotherapy. 2013 Jun;15(6):641-8:「Stromal cells from the adipose tissue-derived stromal vascular fraction and culture expanded adipose tissue-derived stromal/stem cells: a joint statement of the International Federation for Adipose Therapeutics and Science (IFATS) and the International Society for Cellular Therapy (ISCT)」;(iv)Gentile et al, Stem Cells Transl Med. 2012 Mar;1(3):230-6:「Concise review: adipose-derived stromal vascular fraction cells and platelet-rich plasma:basicand clinical implications for tissue engineering therapies in regenerative surgery」;および(v)Mizuno et al., Stem Cells. 2012 May;30(5):804-10:「Concise review: Adipose-derived stem cells as a novel tool for future regenerative medicine」を参照されたい。これらのすべては参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。

0042

本明細書において使用するとき、「脂肪組織」という用語は、脂を蓄える結合組織を含めた脂を指す。脂肪組織は、ASCならびに内皮前駆細胞および前駆体細胞を含めた、複数種類の再生細胞タイプを含有する。

0043

三次元培養
本開示の方法は、ASCの集団を三次元培養に置いて、ASC由来細胞凝集体(例えば、スフェア)を産生する工程を含む。本明細書において用いられる「三次元培養」という用語は、低い剪断力(およびその結果として、低い乱流)、および栄養素の高い質量移動を含む方法での細胞の培養を指す。「三次元培養」の非限定的な一例は、凝集体(例えばスフェア、すなわち球状体形成)としての細胞の培養である。細胞(例えば、ASC)の集団を三次元培養に置くことにより、該細胞に細胞凝集体(例えば、細胞スフェア)を形成させることができる。ゆえに、対象となる細胞(例えば、ASCの集団)を三次元培養に置いて、ASC由来細胞凝集体(例えば、スフェア)を産生することができる。細胞凝集体(例えば、スフェア)は、懸滴浮遊培養、高密度細胞培養(例えば、例えばマイクロキャリアを有するまたは有しない、スピナーフラスコ培養などのかき混ぜ式浮遊培養;例えばマイクロキャリアを有するまたは有しない、バイオリアクター培養;など)、および同類のものを含むがそれらに限定されない、いくつかの三次元培養技法によって産生され得る(実施例の節を参照されたい)。

0044

一部の態様において、細胞を、任意の好都合な選定密度(例えば、希釈または濃縮を介する)で三次元培養に置くことができる。例えば、ある場合には、細胞を、1×102細胞/ml〜1×107細胞/mlの値域にある細胞密度(例えば、5×102細胞/ml〜5×106細胞/ml、1×103細胞/ml〜5×106細胞/ml、5×103細胞/ml〜5×106細胞/ml、5×103細胞/ml〜1×105細胞/ml、5×103細胞/ml〜5×104細胞/ml、7×103細胞/ml〜3×104細胞/ml、8×103細胞/ml〜3×104細胞/ml、1×104細胞/ml、1×104細胞/ml〜1×106細胞/ml、5×104細胞/ml〜1×106細胞/ml、7×104細胞/ml〜7×105、1×105細胞/ml〜7×105、3×105細胞/ml〜7×105、4×105細胞/ml〜6×105、または5×105)で三次元培養に置く。

0045

本開示の方法を実践する際に、細胞凝集体(例えば、胚様体に類似し得るスフェア)の形成に十分な期間、ASCを三次元培養で培養することができる。一部の態様において、ASCを、3日間またはそれ未満(例えば、2.5日間もしくはそれ未満、2日間もしくはそれ未満、1.5日間もしくはそれ未満、1日間もしくはそれ未満、12時間もしくはそれ未満、8時間もしくはそれ未満、6時間もしくはそれ未満、または4時間もしくはそれ未満)、三次元培養を用いて培養する(すなわち、ASCを三次元培養に置く)。一部の態様において、ASCを、2時間〜3日間の値域にある期間(例えば、2時間〜3日間、2時間〜2.5日間、2時間〜2日間、2時間〜1.5日間、2時間〜1日間、6時間〜3日間、6時間〜2.5日間、6時間〜2日間、6時間〜1.5日間、6時間〜1日間、6時間〜12時間、8時間〜3日間、8時間〜2.5日間、8時間〜2日間、8時間〜1.5日間、8時間〜1日間、8時間〜12時間、12時間〜2.5日間、12時間〜2日間、12時間〜1.5日間、12時間〜1日間、1日間〜3日間、1日間〜2.5日間、1日間〜2日間、1日間〜1.5日間、1.5日間〜3日間、1.5日間〜2.5日間、1.5日間〜2日間、2日間〜3日間、1日間から、1.5日間、2日間から、2.5日間から、または3日間)、三次元培養を用いて培養する。

0046

懸滴浮遊培養
一部の態様において、三次元培養は懸滴浮遊培養である。ゆえに、一部の態様において、対象となる細胞(例えば、ASC)の凝集体は、細胞を懸滴浮遊培養に置くことによって形成される。懸滴浮遊培養は、胚性幹細胞ESC)から胚様体を形成するためにしばしば用いられる技法である。流体中の細胞を、表面(例えば、ペトリディッシュカバースリップガラス、プラスチックなどの表面)上に液滴状(通常、サイズが5〜50μlの値域にある)に置き、かつ細胞が表面からぶら下がるように表面を反転させる。ゆえに、細胞は、前記表面の上面で培養されるのではなく、ぶら下がった液滴中で表面の下で培養される。ぶら下がった液滴は、懸滴と称されることもある。一部の細胞は、懸滴浮遊培養を用いて培養された場合に、凝集体(「スフェア」および/または「球状体」と称される)を形成する。

0047

一部の態様において、細胞を、選定密度(例えば、希釈または濃縮を介する)で懸滴浮遊培養に置くことができる。例えば、ある場合には、細胞を、1×102細胞/ml〜1×107細胞/mlの値域にある細胞密度(例えば、5×102細胞/ml〜5×106細胞/ml、1×103細胞/ml〜5×106細胞/ml、5×103細胞/ml〜5×106細胞/ml、5×103細胞/ml〜1×105細胞/ml、5×103細胞/ml〜5×104細胞/ml、7×103細胞/ml〜3×104細胞/ml、8×103細胞/ml〜3×104細胞/ml、1×104細胞/ml、1×104細胞/ml〜1×106細胞/ml、5×104細胞/ml〜1×106細胞/ml、7×104細胞/ml〜7×105、1×105細胞/ml〜7×105、3×105細胞/ml〜7×105、4×105細胞/ml〜6×105、または5×105)で懸滴浮遊培養に置く。

0048

本開示の方法を実践する際に、細胞凝集体(例えば、胚様体に類似し得るスフェア)の形成に十分な期間、ASCを懸滴法によって培養する(すなわち、懸滴浮遊培養を用いて培養する)ことができる。一部の態様において、ASCを、3日間またはそれ未満(例えば、2.5日間もしくはそれ未満、2日間もしくはそれ未満、1.5日間もしくはそれ未満、1日間もしくはそれ未満、12時間もしくはそれ未満、8時間もしくはそれ未満、6時間もしくはそれ未満、または4時間もしくはそれ未満)、懸滴浮遊培養を用いて培養する(すなわち、ASCを懸滴浮遊培養に置く)。一部の態様において、ASCを、2時間〜3日間の値域にある期間(例えば、2時間〜3日間、2時間〜2.5日間、2時間〜2日間、2時間〜1.5日間、2時間〜1日間、6時間〜3日間、6時間〜2.5日間、6時間〜2日間、6時間〜1.5日間、6時間〜1日間、6時間〜12時間、8時間〜3日間、8時間〜2.5日間、8時間〜2日間、8時間〜1.5日間、8時間〜1日間、8時間〜12時間、12時間〜2.5日間、12時間〜2日間、12時間〜1.5日間、12時間〜1日間、1日間〜3日間、1日間〜2.5日間、1日間〜2日間、1日間〜1.5日間、1.5日間〜3日間、1.5日間〜2.5日間、1.5日間〜2日間、2日間〜3日間、1日間から、1.5日間、2日間から、2.5日間から、または3日間)、懸滴浮遊培養を用いて培養する。

0049

一部の態様において、ASC由来細胞凝集体(例えば、スフェア)を、三次元培養(例えば、懸滴浮遊培養、高密度培養、スピナーフラスコ培養、マイクロキャリア培養など)から取り出す。例えば、細胞凝集体(例えば、スフェア)を流体中に懸濁し、かつ三次元培養とは見なされない二次元表面上に播くことができる。ある場合には、凝集体(例えば、スフェア)を回収し(例えば、遠心分離により)、かつ懸濁する。ある場合には、凝集体(例えば、スフェア)を回収し、かつ15個の凝集体/ml〜45個の凝集体/mlの値域にある密度(例えば、20個の凝集体/ml〜40個の凝集体/ml、25個の凝集体/ml〜35個の凝集体/ml、または30個の凝集体/ml)で懸濁する。凝集体を、任意の好都合な培地(例えば、下記で記載されるステージ1培地)中に懸濁することができる。ある場合には、回収された(懸濁された)凝集体(例えば、スフェア)を播種する(すなわち、例えばマトリゲルコートされたディッシュ上に播く)。一部の態様において、ASC由来細胞凝集体(例えば、スフェア)とステージ1培地とを接触させるのと同時にまたはその前に、ASC由来細胞凝集体(例えば、スフェア)を、三次元培養(例えば、懸滴浮遊培養、高密度培養、スピナーフラスコ培養、マイクロキャリア培養など)から取り出す。ゆえに、ある場合には、細胞を、三次元培養から取り出した後に、ステージ1培地中で培養する(例えば、それと接触させる)。一部の態様において、ASC由来細胞凝集体(例えば、スフェア)の細胞を、依然として三次元培養にありながら、ステージ1培地と接触させる(例えば、細胞を非反転培養条件に移すため)。

0050

高密度培養−マイクロキャリア培養
一部の態様において、三次元培養は高密度培養である。ゆえに、対象となる細胞(例えば、ASC)の凝集体(例えば、スフェア)は、細胞を高密度培養に置くことによって形成される。一部の態様において、高密度培養はマイクロキャリア培養である。一部の態様において、三次元培養はマイクロキャリア培養である。ゆえに、対象となる細胞(例えば、ASC)の凝集体(例えば、スフェア)は、細胞をマイクロキャリア培養に置くことによって形成される。「マイクロキャリア培養」という用語は、本明細書において、支持マトリックス(例えば、球状支持マトリックス)上での細胞の培養を指すために用いられる。このシステムにおいて、細胞は、ゆっくりとした撹拌によって成長培地中に浮遊した小さな固体粒子の表面上で増殖する。細胞は、マイクロキャリアの表面上に接着し、かつコンフルエンスまで増大する。

0051

マイクロキャリアは、種々の形状およびサイズで産生され得、球状が最も一般的であり、かつそれらの密度により、それらは穏やかなかき混ぜで浮遊状態に維持されることが可能となる。各マイクロキャリアは、いくらか増倍への細胞増大を容易にし得る寸法を有するべきである。このようにして細胞増大の終わりには、各マイクロキャリアは、その表面上に数百個の細胞を支持する。球状マイクロキャリアは、通常100〜250μmの直径を有する。一部の態様において、マイクロキャリアは、100μm〜250μmの値域にある直径を有するスフェアである。球状マイクロキャリアのサイズ分布は、マイクロキャリア上の細胞の不均等な分布を阻止するために低くあるべきである(例えば、±25μm)。マイクロキャリアの密度は、最小限の撹拌速度でマイクロキャリアを浮遊状態に維持するために、1をわずかに上回るべきである(例えば、1.02〜1.05g/ml)。

0052

マイクロキャリアは、ジエチルアミノエタノールDEAE)-デキストラン、デキストラン、ガラス、ポリスチレンプラスチックアクリルアミド(例えば、ポリアクリルアミド)、コラーゲンなどを含めた、多数の異なる材料から作製され得る。ある場合には、生分解性マイクロキャリアを、細胞のインビボ移植のための足場として用いることができる。MC表面は細胞増大に利用可能であるが、一方で培地中でのMCの可動性は、伝統的な哺乳動物および微生物液中培養において用いられる浮遊環境と同程度である均一性を生み出す。

0053

マイクロキャリアの表面は、組換えタンパク質、正に帯電した第三級第四級、または第一級アミンゼラチン、コラーゲン、他の細胞外マトリックス(ECM)タンパク質およびペプチド(例えば、RGDペプチド)などの官能基誘導体化され得る。正に帯電したMCは、静電気力によって、(負に帯電している)細胞に接着する。正電荷の最適な量は、一般的に、1〜2ミリ当量/g乾燥材料であることが見出されている(第三級アミンで誘導体化された、架橋デキストランまたはポリアクリルアミドビーズに関して)。このレベルで、細胞は、細胞増大に負の影響なく、マイクロキャリアに効率的に(1時間以内に約90%)接着する。コラーゲンまたはECMタンパク質によるコーティングは、より低い細胞接着をもたらすが、通常、低い接種レベルで、細胞のより良好な増大を支持する。

0054

デキストランベース(Cytodex、GE Healthcare)、コラーゲンベース(Cultispher、Percell)、およびポリスチレンベース(SoloHill Engineering)のマイクロキャリアを含めた、いくつかのタイプのマイクロキャリアが市販されている。それらは、その多孔度比重光学特性動物性成分の存在、および表面化学の点で異なる。マイクロキャリアを以下の6つのグループカテゴリー化することが可能である。

0055

グループ1:正電荷を有する、非多孔性の滑らかなマイクロキャリア(例えば、ポリスチレンマイクロキャリア)または微孔性マイクロキャリア(例えば、Cytodex 1)。これらのマイクロキャリアは、かき混ぜ式培養においてマイクロキャリアの表面上で細胞の連続的単層を形成する付着性細胞を培養するのに適している。このグループには、細胞株(BHKおよびMDCK)を培養することに用いられ成功している、円筒形状のマイクロキャリアであるWhatmanの陰イオン交換セルロース(DE-53)も含まれる。

0056

グループ2:コラーゲンコートされたマイクロキャリア(例えば、Cytodex 3およびFACT 102-L)。これらのマイクロキャリアは、コラーゲンと化学的にカップリングしており、かつ低い播き効率を有する感受性細胞を培養するのに適している。コラーゲンコーティングは、細胞収集を容易にするようにも設計されている。

0057

グループ3:ECMコートされたマイクロキャリア(ProF 102-L)。ProF 102-Lは組換えフィブロネクチンでコートされており、それは、血清不含条件において感受性細胞を培養するために設計されている。

0058

グループ4:非帯電マイクロキャリア(例えば、ガラスビーズおよび組織培養ポリスチレンMC P 102-L)。これらのマイクロキャリアは、伝統的な2D組織培養表面と同様の表面特性を有する。

0059

グループ5:マクロ多孔性マイクロキャリア(例えば、CytoporeおよびCultispher)。表面上に10〜70μmの値域にある孔サイズを有するマクロ多孔性マイクロキャリア。それらは、増大のためのより高い細胞表面面積を提供し、かつかき混ぜ器、スパージャー、またはスピンフィルターによって生み出される剪断ストレスからのより良好な力学的保護を細胞に付与する。

0060

グループ6:重みを加えたマイクロキャリア(Cytoline)。これらのマイクロキャリアは、流動床灌流培養における使用のために設計されている。これらの商業的マイクロキャリアは、ワクチンおよびバイオ医薬品の産生において用いられる固定物(anchorage)依存的細胞株を増殖させる必要性に従って設計されている。

0061

本開示の方法を実践する際に、細胞凝集体(例えば、胚様体に類似し得るスフェア)の形成に十分な期間、ASCをマイクロキャリア培養によって培養する(すなわち、マイクロキャリア培養を用いて培養する)ことができる。一部の態様において、ASCを、3日間またはそれ未満(例えば、2.5日間もしくはそれ未満、2日間もしくはそれ未満、1.5日間もしくはそれ未満、1日間もしくはそれ未満、12時間もしくはそれ未満、8時間もしくはそれ未満、6時間もしくはそれ未満、または4時間もしくはそれ未満)、マイクロキャリア培養を用いて培養する(すなわち、ASCをマイクロキャリア培養に置く)。一部の態様において、ASCを、2時間〜3日間の値域にある期間(例えば、2時間〜3日間、2時間〜2.5日間、2時間〜2日間、2時間〜1.5日間、2時間〜1日間、6時間〜3日間、6時間〜2.5日間、6時間〜2日間、6時間〜1.5日間、6時間〜1日間、6時間〜12時間、8時間〜3日間、8時間〜2.5日間、8時間〜2日間、8時間〜1.5日間、8時間〜1日間、8時間〜12時間、12時間〜2.5日間、12時間〜2日間、12時間〜1.5日間、12時間〜1日間、1日間〜3日間、1日間〜2.5日間、1日間〜2日間、1日間〜1.5日間、1.5日間〜3日間、1.5日間〜2.5日間、1.5日間〜2日間、2日間〜3日間、1日間から、1.5日間、2日間から、2.5日間から、または3日間)、マイクロキャリア培養を用いて培養する。

0062

種々の目的のための、および種々のタイプの細胞を用いる、(例えば、スピナーフラスコ、バイオリアクターなどを用いた)マイクロキャリアの使用の例に関しては、(i)Chen et al, Biotechnol Adv. 2013 Mar 24. pii:S0734-9750(13)00065-7: Application of human mesenchymal and pluripotent stem cell microcarrier cultures in cellular therapy: Achievements and future direction;(ii)Pacak et al,PLoS One. 2013;8(1):e55187: Microcarrier-based expansion of adult murine side population stem cells;(iii)Torgan et al, Med Biol Eng Comput. 2000 Sep;38(5):583-90: Differentiation of mammalian skeletal muscle cells cultured on microcarrier beadsin a rotating cell culture system;および(iv)Park et al, Tissue Eng Part B Rev. 2013 Apr;19(2):172-90: Microcarriers designed for cell culture and tissue engineering of boneなどの科学的文献;ならびに米国特許第8524492号、第8426176号、第7947471号、第7670839号、第7361493号、第6214618号、および第5153133号、第4910142号、および第4824946号などの特許文献を参照されたく、そのすべては参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。

0063

マイクロキャリア培養は、一般的に、マイクロキャリア(例えば、細胞を積んだマイクロキャリア)の撹拌を要する。撹拌には、単純な撹拌もしくは振とう、スピナーフラスコを用いた撹拌、および/またはバイオリアクター(回転(rotating)細胞培養システム(RCCS)、回転式(rotary)細胞培養システム(RCCS)、または回転チャンバーシステムとしても知られる)を用いた撹拌が含まれ得る。

0064

高密度培養−スピナーフラスコ培養
一部の態様において、三次元培養は高密度培養である。ゆえに、対象となる細胞(例えば、ASC)の凝集体(例えば、スフェア)は、細胞を高密度培養に置くことによって形成される。一部の態様において、高密度培養はスピナーフラスコ培養である。スピナーフラスコ培養は、かき混ぜ式浮遊培養の例である。かき混ぜ式浮遊培養(すなわち、大量浮遊培養)(例えば、スピナーフラスコ培養、バイオリアクター培養など)を用いて、マイクロキャリアの非存在下でまたはマイクロキャリアの存在下で、細胞を培養することができる。ゆえに、一部の態様において、マイクロキャリア培養は、スピナーフラスコを用いて撹拌される。一部の態様において、三次元培養(例えば、高密度培養)は、マイクロキャリアなしの(すなわち、その非存在下における)スピナーフラスコ培養である。マイクロキャリアの非存在下において、かき混ぜ式浮遊培養(例えば、スピナーフラスコ培養、バイオリアクター培養)に置かれたASCは、依然として細胞凝集体(例えば、スフェア)を形成する(図13)。ゆえに、一部の態様において、三次元培養(例えば、高密度培養)は、マイクロキャリアなしの(すなわち、その非存在下における)スピナーフラスコ培養である。

0065

スピナーフラスコ(すなわち、かき混ぜボトル)は、一般的に、細胞(例えば、マイクロキャリアの非存在下での細胞、マイクロキャリア上の細胞など)および培地(すなわち、栄養素)の均一な循環、ならびに優れたガス交換(例えば、酸素供給)を提供することによって、大量の細胞の培養を容易にするように設計されている。スピナーフラスコは、任意の好都合な材料(例えば、ホウケイ酸ガラス、組織培養グレードのプラスチックなど)から作製され得、かつ通常、磁性かき混ぜ板を用いて制御され得るかき混ぜ装置(例えば、通常、縦型インペラまたはぶら下がり式かき混ぜ棒)を備えた平底フラスコである。スピナーフラスコは、ピペットの導入を可能にする、角度がついた2つのサイドアームも含み得る。高密度培養を提供する任意の好都合なスピナーフラスコを、主題の方法を実践する際に用いることができる。

0066

一部の態様において、細胞を、任意の好都合な選定密度(例えば、希釈または濃縮を介する)でスピナーフラスコ培養に置くことができる。例えば、ある場合には、細胞を、1×102細胞/ml〜1×107細胞/mlの値域にある細胞密度(例えば、5×102細胞/ml〜5×106細胞/ml、1×103細胞/ml〜5×106細胞/ml、5×103細胞/ml〜5×106細胞/ml、5×103細胞/ml〜1×105細胞/ml、5×103細胞/ml〜5×104細胞/ml、7×103細胞/ml〜3×104細胞/ml、8×103細胞/ml〜3×104細胞/ml、1×104細胞/ml、1×104細胞/ml〜1×106細胞/ml、5×104細胞/ml〜1×106細胞/ml、7×104細胞/ml〜7×105、1×105細胞/ml〜7×105、3×105細胞/ml〜7×105、4×105細胞/ml〜6×105、または5×105)でスピナーフラスコ培養に置く。

0067

本開示の方法を実践する際に、細胞凝集体(例えば、胚様体に類似し得るスフェア)の形成に十分な期間、ASCをスピナーフラスコ培養によって培養する(すなわち、スピナーフラスコ培養を用いて培養する)ことができる。一部の態様において、ASCを、3日間またはそれ未満(例えば、2.5日間もしくはそれ未満、2日間もしくはそれ未満、1.5日間もしくはそれ未満、1日間もしくはそれ未満、12時間もしくはそれ未満、8時間もしくはそれ未満、6時間もしくはそれ未満、または4時間もしくはそれ未満)、スピナーフラスコ培養を用いて培養する(すなわち、ASCをスピナーフラスコ培養に置く)。一部の態様において、ASCを、2時間〜3日間の値域にある期間(例えば、2時間〜3日間、2時間〜2.5日間、2時間〜2日間、2時間〜1.5日間、2時間〜1日間、6時間〜3日間、6時間〜2.5日間、6時間〜2日間、6時間〜1.5日間、6時間〜1日間、6時間〜12時間、8時間〜3日間、8時間〜2.5日間、8時間〜2日間、8時間〜1.5日間、8時間〜1日間、8時間〜12時間、12時間〜2.5日間、12時間〜2日間、12時間〜1.5日間、12時間〜1日間、1日間〜3日間、1日間〜2.5日間、1日間〜2日間、1日間〜1.5日間、1.5日間〜3日間、1.5日間〜2.5日間、1.5日間〜2日間、2日間〜3日間、1日間から、1.5日間、2日間から、2.5日間から、または3日間)、スピナーフラスコ培養を用いて培養する。

0068

高密度培養−バイオリアクター培養
一部の態様において、三次元培養は高密度培養である。ゆえに、対象となる細胞(例えば、ASC)の凝集体(例えば、スフェア)は、細胞を高密度培養に置くことによって形成される。一部の態様において、高密度培養はバイオリアクター培養である。バイオリアクター培養は、かき混ぜ式浮遊培養の例である。かき混ぜ式浮遊培養(すなわち、大量浮遊培養)(例えば、スピナーフラスコ培養、バイオリアクター培養など)を用いて、マイクロキャリアの非存在下でまたはマイクロキャリアの存在下で、細胞を培養することができる。ゆえに、一部の態様において、マイクロキャリア培養は、バイオリアクターを用いて撹拌される。一部の態様において、三次元培養(例えば、高密度培養)は、マイクロキャリアなしの(すなわち、その非存在下における)バイオリアクター培養である。マイクロキャリアの非存在下において、かき混ぜ式浮遊培養(例えば、スピナーフラスコ培養、バイオリアクター培養)に置かれたASCは、依然として細胞凝集体(例えば、スフェア)を形成する。ゆえに、一部の態様において、三次元培養(例えば、高密度培養)は、マイクロキャリアなしの(すなわち、その非存在下における)バイオリアクター培養である。

0069

バイオリアクター(回転細胞培養システム(RCCS)、回転式細胞培養システム(RCCS)、または回転チャンバーシステムとしても知られる)は、ガス(例えば、大気酸素窒素二酸化炭素流速、温度、pH、溶存酸素レベル、撹拌速度/循環率などの環境条件を制御し得る。スピナーフラスコのように、バイオリアクターは、細胞(例えば、マイクロキャリアの非存在下での細胞、マイクロキャリア上の細胞など)および培地(すなわち、栄養素)の均一な循環、ならびに優れたガス交換(例えば、酸素供給)を提供することによって、大量の細胞の培養を容易にするように設計されている。高密度細胞培養を提供する任意の好都合なバイオリアクターを、開示される方法とともに用いることができ、かつ種々の適切なバイオリアクターが、当技術分野において公知である。適切なバイオリアクターの例には、回転壁微小重力バイオリアクター、回転壁容器バイオリアクター(RWVB)、かき混ぜ式タンクバイオリアクター、潅流バイオリアクター、流動床バイオリアクターが含まれるが、それらに限定されるわけではない。バイオリアクターは、ステンレス鋼ポリテトラフルオロエチレンPTFE)、ガラスなどを含むがそれらに限定されない、多種多様の異なる材料から作製され得る。

0070

バイオリアクターは、浮遊した哺乳動物細胞の増殖に用いられる例えば好都合なステンレス鋼または使い捨てバイオリアクターにおける培養のスケールアップを可能にし得る。バイオリアクターは、サイズに幅がある。ある場合には、バイオリアクター培養は、5リットル〜105リットルの値域にある培養(例えば、5リットル〜15リットル、8リットル〜12リットル、15リットル〜25リットル、25リットル〜40リットル、40リットル〜50リットル、45リットル〜55リットル、55リットル〜65リットル、65リットル〜75リットル、75リットル〜85リットル、85リットル〜95リットル、または95リットル〜105リットル)である。

0071

一部の態様において、細胞を、任意の好都合な選定密度(例えば、希釈または濃縮を介する)でバイオリアクター培養に置くことができる。例えば、ある場合には、細胞を、1×102細胞/ml〜1×107細胞/mlの値域にある細胞密度(例えば、5×102細胞/ml〜5×106細胞/ml、1×103細胞/ml〜5×106細胞/ml、5×103細胞/ml〜5×106細胞/ml、5×103細胞/ml〜1×105細胞/ml、5×103細胞/ml〜5×104細胞/ml、7×103細胞/ml〜3×104細胞/ml、8×103細胞/ml〜3×104細胞/ml、1×104細胞/ml、1×104細胞/ml〜1×106細胞/ml、5×104細胞/ml〜1×106細胞/ml、7×104細胞/ml〜7×105、1×105細胞/ml〜7×105、3×105細胞/ml〜7×105、4×105細胞/ml〜6×105、または5×105)でバイオリアクター培養に置く。

0072

本開示の方法を実践する際に、細胞凝集体(例えば、胚様体に類似し得るスフェア)の形成に十分な期間、ASCをバイオリアクター培養で培養することができる。一部の態様において、ASCを、3日間またはそれ未満(例えば、2.5日間もしくはそれ未満、2日間もしくはそれ未満、1.5日間もしくはそれ未満、1日間もしくはそれ未満、12時間もしくはそれ未満、8時間もしくはそれ未満、6時間もしくはそれ未満、または4時間もしくはそれ未満)、バイオリアクター培養を用いて培養する(すなわち、ASCをバイオリアクター培養に置く)。一部の態様において、ASCを、2時間〜3日間の値域にある期間(例えば、2時間〜3日間、2時間〜2.5日間、2時間〜2日間、2時間〜1.5日間、2時間〜1日間、6時間〜3日間、6時間〜2.5日間、6時間〜2日間、6時間〜1.5日間、6時間〜1日間、6時間〜12時間、8時間〜3日間、8時間〜2.5日間、8時間〜2日間、8時間〜1.5日間、8時間〜1日間、8時間〜12時間、12時間〜2.5日間、12時間〜2日間、12時間〜1.5日間、12時間〜1日間、1日間〜3日間、1日間〜2.5日間、1日間〜2日間、1日間〜1.5日間、1.5日間〜3日間、1.5日間〜2.5日間、1.5日間〜2日間、2日間〜3日間、1日間から、1.5日間、2日間から、2.5日間から、または3日間)、バイオリアクター培養を用いて培養する。

0073

分化培地中での細胞培養
本明細書において用いられる「分化培地」という用語は、細胞が分化するように誘導するために用いられ得る培地を指す。例えば、ステージ1およびステージ2培地(下記で記載される)は、ASCが肝細胞様細胞に分化するように誘導するために用いられる2種類のタイプの分化培地である。一部の態様において、方法は、ASC由来細胞凝集体(例えば、スフェア)を三次元培養(懸滴浮遊培養、高密度培養、スピナーフラスコ培養、バイオリアクター培養、かき混ぜ式浮遊培養、マイクロキャリア培養など)から取り出す工程、ならびに前駆体細胞集団を産生するために、ASC由来細胞凝集体の細胞と、アクチビンAおよび線維芽細胞成長因子(FGF)を含む第1の培養培地(例えば、ステージ1培地)とを接触させる(例えば、3日間またはそれ未満)工程を含む。一部の態様において、誘導肝細胞様細胞(iHep)を含む誘導細胞集団を産生するために、前駆体細胞集団の細胞と、肝細胞成長因子(HGF)を含む第2の培養培地(例えば、ステージ2培地)とを接触させる(例えば、7日間またはそれ未満)。適切な分化培地中に含まれ得る、下記で挙げられるすべてのタンパク質は、任意の好都合な供給源から提供され得る(例えば、組織から精製される、組換えなど)。

0074

一部の態様において、前駆体細胞集団を産生するために、ASC由来細胞凝集体(例えば、スフェア)の細胞と、ステージ1培地(下記で規定されるもの、例えばアクチビンAおよびFGFを有する培養培地)とを3日間またはそれ未満(例えば、2.5日間もしくはそれ未満、2日間もしくはそれ未満、1.5日間もしくはそれ未満、1日間もしくはそれ未満、または12時間もしくはそれ未満)接触させる。一部の態様において、前駆体細胞集団を産生するために、ASC由来細胞凝集体(例えば、スフェア)の細胞とステージ1培地とを、12時間〜3日間の値域にある期間(例えば、12時間〜2.5日間、12時間〜2日間、12時間〜1.5日間、12時間〜1日間、1日間〜3日間、1日間〜2.5日間、1日間〜2日間、1日間〜1.5日間、1.5日間〜3日間、1.5日間〜2.5日間、1.5日間〜2日間、2日間〜3日間、1日間、1.5日間、2日間、2.5日間、または3日間)接触させる。

0075

一部の態様において、誘導肝細胞様細胞を含む誘導細胞集団を産生するために、前駆体細胞集団の細胞と、ステージ2培地(下記で規定されるもの、例えば肝細胞成長因子(HGF)を有する培養培地)とを8日間またはそれ未満(例えば、7.5日間もしくはそれ未満、7日間もしくはそれ未満、6.5日間もしくはそれ未満、6日間もしくはそれ未満、5.5日間もしくはそれ未満、5日間もしくはそれ未満、4.5日間もしくはそれ未満、4日間もしくはそれ未満、3.5日間もしくはそれ未満、3日間もしくはそれ未満、2.5日間もしくはそれ未満、2日間もしくはそれ未満、1.5日間もしくはそれ未満、1日間もしくはそれ未満、または12時間もしくはそれ未満)接触させる。一部の態様において、誘導肝細胞様細胞を含む誘導細胞集団を産生するために、前駆体細胞集団の細胞とステージ2培地とを、12時間〜8日間の値域にある期間(例えば、12時間〜8日間、1日間〜8日間、2日間〜8日間、3日間〜8日間、4日間〜8日間、5日間〜8日間、6日間〜8日間、2日間〜7日間、3日間〜7日間、4日間〜7日間、5日間〜7日間、6日間〜7日間、5.5日間〜8日間、5.5日間〜7.5日間、5.5日間〜6.5日間、6日間〜7.5日間、6.5日間〜7.5日間、1日間、2日間、3日間、または3日間)接触させる。

0076

一部の態様において、(i)ASCの集団を三次元培養に置く工程から、(ii)誘導肝細胞様細胞(iHep)を含む誘導細胞集団を産生する工程までの総経過時間は、13日間未満(例えば、12.5日間未満、12日間未満、11.5日間未満、11日間未満、10.5日間未満、10日間未満、9.5日間未満、9日間未満、8.5日間未満、8日間未満、7.5日間未満、7日間未満、6.5日間未満、6日間未満、5.5日間未満、5日間未満、4.5日間未満、または4日間未満)である。

0077

一部の態様において、(i)ASCの集団を三次元培養に置く工程から、(ii)誘導肝細胞様細胞(iHep)を含む誘導細胞集団を産生する工程までの総経過時間は、13日間またはそれ未満(例えば、12.5日間もしくはそれ未満、12日間もしくはそれ未満、11.5日間もしくはそれ未満、11日間もしくはそれ未満、10.5日間もしくはそれ未満、10日間もしくはそれ未満、9.5日間もしくはそれ未満、9日間もしくはそれ未満、8.5日間もしくはそれ未満、8日間もしくはそれ未満、7.5日間もしくはそれ未満、7日間もしくはそれ未満、6.5日間もしくはそれ未満、6日間もしくはそれ未満、5.5日間もしくはそれ未満、5日間もしくはそれ未満、4.5日間もしくはそれ未満、または4日間もしくはそれ未満)である。

0078

一部の態様において、(i)ASCの集団を三次元培養に置く工程から、(ii)誘導肝細胞様細胞(iHep)を含む誘導細胞集団を産生する工程までの総経過時間は、12時間〜13日間の値域にある(例えば、1日間〜13日間、2日間〜13日間、3日間〜13日間、4日間〜13日間、4.5日間〜13日間、5日間〜13日間、5.5日間〜13日間、6日間〜13日間、6.5日間〜13日間、7日間〜13日間、7.5日間〜13日間、8日間〜13日間、8.5日間〜13日間、9日間〜13日間、9.5日間〜13日間、10日間〜13日間、10.5日間〜13日間、11日間〜13日間、11.5日間〜13日間、12時間〜12.5日間、1日間〜12.5日間、2日間〜12.5日間、3日間〜12.5日間、4日間〜12.5日間、4.5日間〜12.5日間、5日間〜12.5日間、5.5日間〜12.5日間、6日間〜12.5日間、6.5日間〜12.5日間、7日間〜12.5日間、7.5日間〜12.5日間、8日間〜12.5日間、8.5日間〜12.5日間、9日間〜12.5日間、9.5日間〜12.5日間、10日間〜12.5日間、10.5日間〜12.5日間、11日間〜12.5日間、11.5日間〜12.5日間、12時間〜12日間、1日間〜12日間、2日間〜12日間、3日間〜12日間、4日間〜12日間、4.5日間〜12日間、5日間〜12日間、5.5日間〜12日間、6日間〜12日間、6.5日間〜12日間、7日間〜12日間、7.5日間〜12日間、8日間〜12日間、8.5日間〜12日間、9日間〜12日間、9.5日間〜12日間、10日間〜12日間、10.5日間〜12日間、11日間〜12日間、3日間〜11日間、3日間〜10日間、3日間〜9.5日間、3日間〜9日間、6日間〜10日間、または4日間〜10日間)。

0079

基礎細胞培養培地
対象となる細胞(例えば、ASC、iHep、分化しているASCなど)を、本明細書において「基礎細胞培養培地」と称される適当な液体栄養培地中で培養する。下記で記載されるように、ステージ1およびステージ2培地は、少なくとも1種類の付加的成分補給された基礎培養培地である。種々の基礎培地調合物が入手可能である(例えば、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、RPMIイスコフ培地、肝細胞培養培地(HCM)(Lonza、カタログ番号:cc-3198)など)。

0080

任意の好都合な培養培地が、基礎培養培地としての役割を果たし得る。例えば、適切な組織培養培地は、ビタミン;アミノ酸(例えば、必須アミノ酸非必須アミノ酸など);pH緩衝剤;塩;抗微生物剤(例えば、抗菌剤抗真菌剤など);血清(例えば、ウシ胎仔血清、ヒト血清子ウシ血清ウマ血清ヤギ血清など);エネルギー源(例えば、糖類);ヌクレオシド;脂質;微量金属サイトカイン;成長因子;刺激因子添加物(例えば、ピルベート(0.1〜5mM)、グルタミン(0.5〜5mM)など);および同類のものなどの成分を含有し得る。任意の好都合な細胞培養培地を用いることができ、かつ当技術分野において公知であるように、種々の細胞タイプは、特定の培地調製物中でより良好に増大する。例えば、ある場合には、特定の培地調合物は、特定のタイプの細胞(例えば、ASC、肝細胞(肝細胞培養培地(HCM)(Lonza、カタログ番号:cc-3198))、神経前駆細胞、胚性幹細胞など)を培養するために最適化されている。したがって、任意の好都合な細胞培養培地を、基礎培養培地として用いることができ、かつASCおよび/またはそれらの分化子孫の培養に合わせて調製してもよい。

0081

1つの例示的、非限定的な適した基礎培地は、RPMI(ロズウェルパーク記念研究所(Roswell Park Memorial Institute)1640であり、それは、血清(ウシ胎仔血清(FBS))補給により哺乳動物細胞の培養を可能にする基礎培地として当技術分野において周知である。別の適切な基礎培養培地はアドバンストRPMI 1640であり、それは、伝統的なRPMI 1640に似ているが、増大率または形態の変化なく血清補給を50〜90%低下させることが可能である。アドバンストRPMI 1640は、例えばグルコース、非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、およびフェノールレッドを含有し得る。RPMI 1640に関して、アドバンストRPMI 1640に関して、および多くの適切な市販の基礎培養培地に関して、完全な処方は、当業者にとって容易に入手可能である(例えば、オンラインで)。別の適切な基礎培養培地は、CLONETICS(商標)肝細胞培養培地(HCM(商標))である(例えば、Lonza−カタログ番号3198より入手可能)。

0082

ステージ1培地
「ステージ1培地」は、本明細書において、「第1の培養培地」とも称される。適切なステージ1培地は、少なくともアクチビンA(例えば、100ng/ml)および線維芽細胞成長因子(例えばFGF4、例えば20ng/ml)が補給された、細胞(例えば、ASC、分化しているASCなど)の培養に適した基礎培養培地(例えば、アドバンストRPMI1640、RPMI 1640など)である。ある場合には、ステージ1培地は、Wntシグナル伝達アゴニスト(例えばWnt3a、例えば50ng/ml)を含む。ある場合には、ステージ1培地は、当技術分野において公知であるB27(例えば、20%)などの補給剤を含む。ある場合には、ステージ1培地は、Wntシグナル伝達アゴニストおよび補給剤(例えば、B27)を含む。ある場合には、ステージ1培地に用いられる基礎培養培地はアドバンストRPMI 1640であり、かつそれは、アクチビンA(例えば、100ng/ml)、FGF4(例えば、20ng/ml)、Wnt3a(例えば、50ng/ml)、および20% B27が補給されている。一般的に、ステージ1培地は、ASCを内胚葉系統へ分化させる。

0083

アクチビンは、ジスルフィド結合によって結合しているβサブユニットからなる二量体タンパク質である。次の3つの異なる様態のアクチビンが存在する:(i)ホモ二量体型アクチビンA(2つのβAサブユニット);(ii)ホモ二量体型アクチビンB(2つのβBサブユニット);および(iii)ヘテロ二量体型アクチビンAB(1つのβAおよび1つのβBサブユニット)。本明細書において用いられる「アクチビンA」という用語は、βAサブユニットのホモ二量体を指す。βAサブユニットは、「インヒビンβA鎖」または「INHBA」とも称されるポリペプチドである。インヒビンβA鎖のアミノ酸配列は、

である。

0084

一部の態様において、対象となるステージ1培地は、アクチビンAを約50ng/ml〜約150ng/mlの値域にある濃度(例えば、約60ng/ml〜約140ng/ml、約70ng/ml〜約130ng/ml、約80ng/ml〜約120ng/ml、約85ng/ml〜約115ng/ml、約90ng/ml〜約110ng/ml、約95ng/ml〜約105ng/ml、約97.5ng/ml〜約102.5ng/ml、または約100ng/ml)で含む。

0085

線維芽細胞成長因子(FGF)は、18種類の哺乳動物メンバーを有する、(配列、構造、および機能によって関連付けられた)十分に記載されたタンパク質のファミリーである。FGFは、配列相同性および系統発生における差異に基づき、次の6つのサブファミリーグループ化される:FGF1および2;FGF3、7、10、および22;FGF4〜6;FGF8、17、および18;FGF9、16、および20;ならびにFGF19、21、および23。ある場合には、適切なFGFは、FGF1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、16、17、18、20、および/または22である。ある場合には、適切なFGFは、FGF4、FGF5、および/またはFGF6である。ある場合には、適切なFGFはFGF4である。

0086

例示的なヒトFGFのアミノ酸配列は、



である。

0087

一部の態様において、対象となるステージ1培地は、FGF(例えば、FGF4、FGF5、FGF6など)を5ng/ml〜50ng/mlの閾値にある濃度(例えば、5ng/ml〜40ng/ml、10ng/ml〜40ng/ml、10ng/ml〜30ng/ml、15ng/ml〜25ng/ml、17.5ng/ml〜22.5ng/ml、15ng/ml、17.5ng/ml、20ng/ml、22.5ng/ml、25ng/ml、または30ng/ml)で含む。

0088

Wntシグナル伝達アゴニスト
一部の態様において、適切な「ステージ1培地」は、Wntシグナル伝達アゴニストを含む。Wntシグナル伝達アゴニストは、β-カテニン核局在化を誘発し、かつ古典的(canonical)Wntシグナル伝達の活性化をもたらす。Wntシグナル伝達経路の次の2つの主要な分岐が存在する:(1)β-カテニン依存的な古典的Wntシグナル伝達経路、および(2)平面内細胞極性(PCP)シグナル伝達ならびにカルシウムシグナル伝達(Gao, et. al, Cell Signal. 2010 May;22(5):717-27. Epub 2009 Dec 13)を含む、β-カテニンから独立した非古典的経路。本明細書において使用するとき、「Wntシグナル伝達」および「Wnt/β-カテニンシグナル伝達」という用語は、β-カテニン依存的な古典的Wntシグナル伝達経路を指すために互換可能に用いられる。従って、「Wntシグナル伝達アゴニスト」は、β-カテニン依存的Wntシグナル伝達経路からの出力を増加させる。Wnt経路の活性化は、β-カテニンタンパク質が細胞核に入った時点で最高に達する(β-カテニン依存的な古典的Wntシグナル伝達経路の最近の総説に関しては、Clevers et. al., Cell. 2012 Jun 8;149(6):1192-205: Wnt/β-catenin signaling and diseaseを参照されたい)。しかしながら、Wntシグナル伝達の非存在下では、遊離した細胞質β-カテニンは、アキシン腺腫様大腸ポリポーシスAPC)、およびグリコーゲン合成酵素キナーゼ(GSK-3β)タンパク質を含むβ-カテニン破壊複合体(destruction complex)として当技術分野において公知である複合体内に組み入れられる。GSK-3βによるβ-カテニンのリン酸化は、β-カテニンをユビキチン経路、およびプロテアソームによる分解(βTRCPを介した)に指定する。

0089

古典的Wntのその受容体フリズル(Frizzled)タンパク質)への結合は、ディシブルド(Dishevelled)(Dvl)タンパク質の活性化につながり、それはグリコーゲン合成酵素キナーゼ-3β(GSK-3β)活性(すなわち、β-カテニンのリン酸化)を阻害し、β-カテニンの細胞質での安定化につながる。次いで、安定化したβ-カテニンは核に入り、かつ転写因子のTCF/LEF(T細胞特異的転写因子/リンパ系エンハンサー因子)ファミリーと結び付いて、重要な下流標的遺伝子転写を誘導する。ゆえに、Wntシグナル伝達の非存在下では、β-カテニンの細胞質内(したがって、核内)レベルは、該経路の負の調節成分によって低く保たれる一方で、Wntシグナル伝達の存在下では、β-カテニンの細胞質内(したがって、核内)レベルは、該経路の正の調節成分によって安定化される。

0090

Wnt経路の「負の調節成分」は、Wnt経路に拮抗することによって機能しゆえに経路出力の減少(すなわち、標的遺伝子発現の減少)をもたらすタンパク質を意味する。Wnt経路の公知の負の調節成分の例には、WIF、sFRP、Dkk、APCDD1、Notum、SOST、アキシン、APC、GSK-3β、CK1γ、WTX、およびβTrCPが含まれるが、決してそれらに限定されるわけではない。

0091

Wnt経路の「正の調節成分」、Wnt経路を増強することによって機能しゆえに経路出力の増加(すなわち、標的遺伝子発現の増加)をもたらすタンパク質を意味する。Wnt経路の公知の正の調節成分の例には、Wnt(例えば、Wnt1、Wnt3、Wnt3a、Wnt7a、および/またはWnt8)、Norrin、R-スポンジン(spondin)、PORCN、Wls、フリズル、LRP5およびLRP6、Tspan12、Lgr4、Lgr5、Lgr6、Dvl、β-カテニン、ならびにTCF/LEFが含まれるが、決してそれらに限定されるわけではない。一部の態様において、対象となるWntシグナル伝達アゴニストは、古典的Wntシグナル伝達経路の正の調節成分(例えば、Wnt1、Wnt3、Wnt3a、Wnt7a、Wnt8など)である。

0092

一部の態様において、対象となるWntシグナル伝達アゴニストは、Wntシグナル伝達経路の成分に「特異的であり」または「特異的に結合し」、それにより、結合は経路出力(すなわち、標的遺伝子の転写)の増加をもたらす。アゴニストの結合は、共有結合もしくは非共有結合による相互作用、または共有結合および非共有結合による相互作用の組み合わせによって仲介され得る。アゴニストと、それが特異的に結合する成分との相互作用が、非共有結合により結合した複合体を産生する場合、生じる結合は、典型的に、静電気的、水素結合、または親油性相互作用の結果である。とくに、特異的結合は、結合メンバーのうちの対応するメンバーが属する化合物のファミリー内の他の種と比較した、特定の種に対する、ペアの一方のメンバーの優先的結合によって特徴付けされる。ゆえに、例えば、負の調節成分GSK-3に特異的であるWntシグナル伝達アゴニストは、細胞内の他のタンパク質と比較して、GSK-3に好んで結合する。

0093

対象となるWntシグナル伝達アゴニストは、Wntシグナル伝達経路からの出力の増加(すなわち、標的遺伝子発現の増加)をもたらす任意の分子(例えば、化学的化合物;非コード核酸、例えば非コードRNA;ポリペプチド;ポリペプチドをコードする核酸など)である。例えば、Wntシグナル伝達アゴニストは、該経路の正の調節成分を安定化する、その発現を増強する、もしくはその機能を増強することによって、または該経路の負の調節成分を不安定化する、その発現を減少させる、もしくはその機能を阻害することによって機能し得る。ゆえに、Wntシグナル伝達アゴニストは、ポリペプチドの正の調節成分(例えば、Wnt3、wnt3a、Wnt1など)、および/または該経路の1つもしくは複数の正の調節成分をコードする核酸であり得る。Wntシグナル伝達アゴニストは、mRNAまたはタンパク質のレベルのいずれかで、該経路の正の調節成分を安定化する小分子または核酸でもあり得る。

0094

一部の態様において、Wntシグナル伝達アゴニストは、β-カテニンを安定化し、ゆえにβ-カテニンの核内レベルを上昇させることによって機能する。β-カテニンは、複数の異なる様式で安定化され得る。Wntシグナル伝達経路の複数種類の異なる負の調節成分は、β-カテニンの分解を助長することによって機能するため、対象となるWntシグナル伝達アゴニストは、該経路の負の調節成分の(mRNAまたはタンパク質のレベルで機能する)小分子阻害剤または核酸阻害剤(例えば、マイクロRNA、shRNAなど)であり得る。例えば、一部の態様において、Wntシグナル伝達アゴニストは、GSK-3βの阻害剤である。一部のそのような態様において、GSK-3βの阻害剤は小分子化学的化合物(例えば、TWS119、BIO、CHIR-99021、SB 216763、SB 415286、CHIR-98014など)である。

0095

TWS119:3-(6-(3-アミノフェニル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルオキシ)フェノール
(Ding et. al, Proc Natl Acad Sci U S A. 2003 Jun 24;100(13):7632-7. Epub 2003 Jun 6)
BIO:6-ブロモ-3-[(3E)-1,3-ジヒドロ-3-(ヒドロキシイミノ)-2H-インドール-2-イリデン]-1,3-ジヒドロ-(3Z)-2H-インドール-2-オン
または (2'Z,3'E)-6-ブロモインジルビン-3'-オキシム
(Meijer et. al, Chem Biol. 2003 Dec;10(12):1255-66)
CHIR-99021:6-[[2-[[4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-(5-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)-2-ピリミジニル]アミノ]エチル]アミノ]-3-ピリジンカルボニトリル
(Bennett et al., J Biol Chem. 2002 Aug 23;277(34):30998-1004. Epub 2002 Jun 7)
SB 216763:3-(2,4-ジクロロフェニル)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)-1H-ピロール-2,5-ジオン
(Cross et al., J Neurochem. 2001 Apr;77(1):94-102)
SB 415286:3-(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニルアミノ)-4-(2-ニトロフェニル)-1H-ピロール-2,5-ジオン
(Cross et al., J Neurochem. 2001 Apr;77(1):94-102)
CHIR-98014:N2-(2-(4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-(1H-イミダゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)エチル)-5ニトロピリジン-2,6-ジアミン
(Ring et al., Diabetes. 2003 Mar;52(3):588-95)

0096

任意の好都合なWntアゴニストが用いられ得る。一部の態様において、WntアゴニストはWnt3aである。ヒトWnt3aのアミノ酸配列は、

である。

0097

ある場合には、対象となるステージ1培地は、Wnt3aを約20ng/ml〜約80ng/mlの値域にある濃度(例えば、約20ng/ml〜約80ng/ml、約25ng/ml〜約75ng/ml、約30ng/ml〜約70ng/ml、約35ng/ml〜約65ng/ml、約40ng/ml〜約60ng/ml、約45ng/ml〜約55ng/ml、約47.5ng/ml〜約52.5ng/ml、または約50ng/ml)で含む。

0098

ステージ2培地
「ステージ2培地」は、本明細書において、「第2の培養培地」とも称される。適切なステージ2培地は、少なくとも肝細胞成長因子(HGF)が補給された、細胞(例えば、分化しているASC、肝細胞など)の培養に適した基礎培養培地(例えば、肝細胞培養培地(HCM(商標))、アドバンストRPMI1640、RPMI 1640など)である。ある場合には、ステージ2培地は、線維芽細胞成長因子(例えばFGF4、例えば25ng/ml)を含む。

0099

一部の態様において、ステージ2培地は、FGF(例えばFGF4、例えば25ng/ml)、オンコスタチンM(OSM、例えば30ng/ml)、デキサメタゾン(Dex、例えば2×10-5M)、ジメチルスルホキシド(DMSO、例えば0.1%)、およびそれらの組み合わせより選択される成分をさらに含む。ある場合には、ステージ2培地に用いられる基礎培養培地は、CLONETICS(商標)であり(例えば、Lonza−カタログ番号3198より入手可能)、かつそれは、HGF(例えば、150ng/ml)、FGF(例えばFGF4、例えば25ng/ml)、オンコスタチンM(例えば、30ng/ml)、デキサメタゾン(例えば、2×10-5M)、およびDMSO(例えば、0.1%)を補給されている。

0100

肝細胞成長因子(HGF)は、強力なマイトジェン、肝再生(hepatotrophic)因子、および/または成長因子として機能するタンパク質である。ヒトHGFのアミノ酸配列は、

である。

0101

一部の態様において、対象となるステージ2培地は、HGFを75ng/ml〜250ng/mlの値域にある濃度(例えば、100ng/ml〜200ng/ml、120ng/ml〜180ng/ml、125ng/ml〜175ng/ml、130ng/ml〜170ng/ml、135ng/ml〜165ng/ml、140ng/ml〜160ng/ml、145ng/ml〜155ng/ml、120ng/ml、125ng/ml、130ng/ml、135ng/ml、140ng/ml、145ng/ml、150ng/ml、155ng/ml、160ng/ml、または175ng/ml)で含む。

0102

一部の態様において、対象となるステージ2培地は、FGF(例えば、FGF4)を5ng/ml〜55ng/mlの値域にある濃度(例えば、5ng/ml〜45ng/ml、10ng/ml〜45ng/ml、10ng/ml〜35ng/ml、15ng/ml〜35ng/ml、20ng/ml〜30ng/ml、22.5ng/ml〜27.5ng/ml、15ng/ml、17.5ng/ml、20ng/ml、22.5ng/ml、25ng/ml、27.5ng/ml、または30ng/ml)で含む。

0103

オンコスタチンM(OSM)は、サイトカインとして機能しかつサイトカインのインターロイキン6グループに属するポリペプチドである。ヒトOSMのアミノ酸配列は、

である。

0104

一部の態様において、対象となるステージ2培地は、オンコスタチンM(OSM)を10ng/ml〜50ng/mlの値域にある濃度(例えば、15ng/ml〜45ng/ml、20ng/ml〜40ng/ml、22.5ng/ml〜37.5ng/ml、25ng/ml〜35ng/ml、27.5ng/ml〜32.5ng/ml、25ng/ml、27.5ng/ml、30ng/ml、32.5ng/ml、または35ng/ml)で含む。

0105

デキサメタゾン(Dex)は、抗炎症特性および免疫抑制特性を有する、ステロイド薬物のグルココルチコイド類の合成メンバーである。Dexは、(11β,16α)-9-フルオロ-11,17,21-トリヒドロキシ-16-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン、9α-フルオロ-16α-メチル-11β,17α,21-トリヒドロキシ-1,4-プレグナジエン-3,20-ジオン、9α-フルオロ-16α-メチルプレドニゾロン、およびプレドニゾロンFとしても知られる。Dexは、CAS番号50-02-2および化学構造

を有する。

0106

一部の態様において、対象となるステージ2培地は、デキサメタゾン(Dex)を1×10-6M〜1×10-4Mの値域にある濃度(例えば、5×10-6M〜5×10-5M、1×10-5M〜3×10-5M、1.5×10-5M〜2.5×10-5M、または2×10-5M)で含む。

0107

ジメチルスルホキシド(DMSO)は、無色の液体であり、かつ極性および非極性の化合物の両方を溶解する極性非プロトン性溶媒である、式(CH3)2SOを有する有機硫黄化合物である。DMSOは、メチルスルホキシドとしても知られ、CAS番号67-68-5を有し、かつ化学構造:

を有する。

0108

一部の態様において、対象となるステージ2培地は、DMSOを0.01%〜1%の値域にある濃度(例えば、0.025%〜0.5%、0.05%〜0.2%、または0.1%)で含む。

0109

肝細胞様細胞
本明細書において用いられる「肝細胞様細胞」という用語は、1つまたは複数の肝細胞特徴に対して陽性である(すなわち、それを呈する)細胞(例えば細胞集団の細胞、例えば主題の方法に従って誘導される細胞)を指す。肝細胞特徴(すなわち、肝細胞様細胞の特徴)には、以下が含まれるが、それらに限定されるわけではない:
(i)1つまたは複数の肝細胞マーカー(例えば、グルコース-6-ホスファターゼ、アルブミン(ALB)、α-1-アンチトリプシン(AAT、SERPINA1としても知られる)、サイトケラチン8(CK8)、サイトケラチン18(CK18)、サイトケラチン8/18(CK8/18)、アシアロ糖タンパク質受容体1(ASGR1)、アルコールデヒドロゲナーゼ1、I型アルギナーゼシトクロムp450 3A4(CYP3A4)、肝特異的有機アニオン輸送体(LST-1)、フォークヘッドボックスタンパク質A2(FoxA2)、α-フェトプロテイン(AFP)、トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO2)、またはそれらの組み合わせ)の発現(すなわち、それに対して陽性);
(ii)グルコース-6-ホスファターゼ、CYP3A4、および/またはCYP1A1などの肝酵素の活性;
(iii)(例えば、血液、血清、血漿などの体液において測定される)肝臓産物(例えば、胆汁、尿、および/またはアルブミン)の産生および/または分泌;
(iv)肝細胞代謝特性(例えば、生体異物解毒し得る能力;LDLのエンドサイトーシス、グリコーゲンの合成、シトクロムP450 1A2解毒活性など)の呈示
(v)肝細胞形態学的特色の呈示;
(vi)免疫欠損個体(例えば、マウス、ヒトなど)の肝臓に生着し得る能力;ならびに
(vii)1つまたは複数の非肝細胞マーカー(例えば、脂肪細胞マーカー、例えばCD37、CD29など;ASCマーカー、例えばCD105;および同類のもの)の発現の欠如(それに対して陰性)。

0110

対象となる肝細胞様細胞は、該細胞が肝細胞様細胞と見なされるために、試験されるすべての肝細胞特徴に対して陽性である必要はない。例えば、ある場合には、対象となる肝細胞様細胞は、試験されるすべての肝細胞特徴に対して陽性である。しかしながら、ある場合には、対象となる肝細胞様細胞は、1つまたは複数の肝細胞特徴に対して陽性であり;かつ1つまたは複数の肝細胞特徴に対して陰性でもある。ある場合には(下記でより詳細に記載される)、肝細胞様細胞は、個体内に移植される。そのような場合、肝細胞様細胞は、(i)試験されるすべての肝細胞特徴に対して陽性であり得る;または(ii)1つもしくは複数の肝細胞特徴に対して陽性であり;かつ1つもしくは複数の肝細胞特徴に対して陰性であり得る。

0111

ゆえに、ある場合には、肝細胞様細胞は、すべての公知の肝細胞マーカーを発現するわけではなく、かつ/またはすべての肝細胞機能試験に対して試験で陽性を示すわけではない。例えば、ある場合には、主題の方法に従って誘導される肝細胞様細胞は、ASGR1を発現しない。しかしながら、下記の実施例の節(例えば、図3C)において実証されるように、ある場合には、肝細胞様細胞は、それらが移植前には呈しなかった肝細胞特徴を、(例えば、マウスおよび/またはヒトなどの個体内への)移植後に呈する(例えば、ASGR1などの肝細胞マーカーを発現する)。例えば、ある場合には、主題の方法に従って誘導される肝細胞様細胞は、個体内への移植前には肝細胞マーカーASGR1を発現しないが、移植後にASGR1を発現する。ゆえに、ある場合には、主題の方法に従って誘導された肝細胞様細胞は、移植のための細胞の使用前に、すべての公知の肝細胞特徴(例えば、肝臓産物の産生、肝細胞マーカーの発現など)を呈することも、さらには試験されたすべての肝細胞特徴を呈することも必要とされない。例えば、ある場合には、主題の方法に従って誘導される肝細胞様細胞は、1つまたは複数の肝細胞特徴に対して陽性でありかつ1つまたは複数の肝細胞特徴に対して陰性であるが、依然として肝細胞様細胞と見なされかつ依然として個体に移植され得る。

0112

一部の態様において、主題の方法は、誘導細胞集団における誘導肝細胞様細胞(iHep)の存在を立証する工程を含む。立証は、肝細胞の特徴であることが当技術分野において公知である細胞表現型(例えば、遺伝子またはタンパク質の発現、薬物代謝プロファイル、特定の薬物に対する応答性など)に依存し得る。例えば、立証は、上記で挙げられる肝細胞特徴(例えば、肝細胞マーカーの発現、非肝細胞マーカーの発現の欠如、肝臓産物の産生および/または分泌、肝酵素の活性、肝細胞代謝特性の呈示など)のうちの任意の1つまたは複数を試験することによって実施され得る。ある場合には、立証は、誘導細胞集団のうちのiHepである細胞のパーセンテージを決定する工程を含む。

0113

一部の態様において、立証は、誘導細胞集団の細胞と、肝細胞マーカー(例えば、mRNA、タンパク質など)に特異的な特異的結合作用物質(例えば、核酸プローブ、抗体など)とを接触させる工程、および発現について陽性である細胞のパーセンテージを決定する工程を含み、該発現について陽性である細胞は、iHepである。適切なマーカーは、上記で挙げられている。一部の態様において、立証は、誘導細胞集団と、非肝細胞マーカー(例えば、mRNA、タンパク質など)に特異的な結合作用物質(例えば、核酸プローブ、抗体など)とを接触させる工程、および発現に対して陰性である細胞のパーセンテージを決定する工程を含み、該発現に対して陰性である細胞は、iHepである。適切なマーカーは、上記で挙げられている。ある場合には、誘導細胞集団の細胞のうちの10%以上(例えば、10.5%もしくはそれを上回る、11%もしくはそれを上回る、12.5%もしくはそれを上回る、15%もしくはそれを上回る、17.5%もしくはそれを上回る、20%もしくはそれを上回る、22.5%もしくはそれを上回る、25%もしくはそれを上回る、27.5%もしくはそれを上回る、30%もしくはそれを上回る、32.5%もしくはそれを上回る、35%もしくはそれを上回る、37%もしくはそれを上回る、40%もしくはそれを上回る、45%もしくはそれを上回る、50%もしくはそれを上回る、55%もしくはそれを上回る、60%もしくはそれを上回る、65%もしくはそれを上回る、70%もしくはそれを上回る、75%もしくはそれを上回る、80%もしくはそれを上回る、85%もしくはそれを上回る、90%もしくはそれを上回る、95%もしくはそれを上回る、98%もしくはそれを上回る、99%もしくはそれを上回る、または100%)が、iHepであると判定される。一部の態様において、誘導細胞集団のうちの、iHepであると判定される細胞のパーセントは、10%〜100%の値域にある(例えば、10%〜90%、10%〜80%、10%〜70%、10%〜60%、10%〜50%、10%〜45%、10%〜100%、40%〜100%、10%〜37.5%、10%〜37%、15%〜90%、15%〜80%、15%〜70%、15%〜60%、15%〜50%、15%〜45%、15%〜100%、40%〜100%、15%〜37.5%、15%〜37%、20%〜90%、20%〜80%、20%〜70%、20%〜60%、20%〜50%、20%〜45%、20%〜100%、40%〜100%、20%〜37.5%、20%〜37%、25%〜90%、25%〜80%、25%〜70%、25%〜60%、25%〜50%、25%〜45%、25%〜100%、40%〜100%、25%〜37.5%、25%〜37%、30%〜90%、30%〜80%、30%〜70%、30%〜60%、30%〜50%、30%〜45%、30%〜100%、40%〜100%、30%〜37.5%、または30%〜37%)。

0114

発現レベルは、細胞上および/または細胞内のマーカー(例えば、核酸またはタンパク質)の検出可能な量を反映することが当業者によって理解されるであろう。染色に対して陰性である(例えば、マーカー特異的試薬の結合のレベルが、対応する対照と検出可能なほどには異ならない)細胞は、依然として少量のマーカーを発現し得る。そして、細胞を特定のマーカーに対して「陽性」または「陰性」と言及することは、当技術分野においてよくあることであるものの、実際の発現レベルは量的特質である。検出された分子の数は、いくつかの対数によって変動し得るが、依然として「陽性」として特徴付けされ得る。

0115

タンパク質マーカーが用いられる場合、(例えば、マーカー特異的抗体の)染色強度を、レーザー蛍光色素の量的レベル(特異的試薬、例えば抗体によって結合された細胞マーカーの量に比例する)を検出するフローサイトメトリーによってモニターすることができる。フローサイトメトリー、つまりFACSを用いて、特異的試薬に対する結合の強度、ならびに細胞サイズおよび光散乱などの他のパラメーターに基づき、細胞集団を分離することもできる。染色の絶対レベルは特定の蛍光色素および試薬調製によって異なり得るが、データを対照に対して正規化することができる。

0116

対照に対して分布を正規化するために、各細胞を、特定の染色強度を有するデータ点として記録する。これらのデータ点は対数目盛りに従って表示され得、測定の単位は任意の染色強度である。一例において、サンプル中で最も明るく染色された細胞は、染色されない細胞よりも4対数も強くあり得る。この様式で表示される場合、最も高い対数の染色強度に収まる細胞は明るく、一方で最も低い強度にあるものは陰性であることがはっきりしている。「低く」陽性に染色された細胞は、アイソタイプが適合する対照のものよりも明るい染色のレベルを有するが、集団において通常見出される最も明るく染色している細胞ほど強くはない。代替的な対照は、その表面上に規定密度のマーカーを有する基体、例えば加工されたビーズまたは細胞株を利用してもよく、それは強度に対する陽性対照を提供する。

0117

肝細胞様細胞の富化
iHepである入手された細胞の画分を増加させるために、産生されたiHepを富化する(すなわち、精製する)ことがときには有利である。特定の局面において、本明細書において提供される肝細胞様細胞を、レポーター遺伝子に機能的に連結された成熟肝細胞特異的転写調節エレメントを含む、スクリーニング可能なもしくは選択可能なレポーター発現カセットを用いることによって、または肝細胞特異的マーカー(例えば、ASGR1などの細胞表面抗原)に対する抗体を用いた細胞選別(例えば、磁性細胞選別、蛍光活性化細胞選別(FACS)など)によって選択し得るまたは富化し得る。

0118

選択または富化を促進するために、ASCは、レポーター遺伝子を含む選択可能なまたはスクリーニング可能なレポーター発現カセットを含み得る。レポーター発現カセットは、レポーター遺伝子(例えば、蛍光タンパク質のいずれか、例えば青色、黄色、赤色、緑色など)に機能的に連結された肝細胞特異的転写調節エレメントを含み得る。肝細胞特異的転写調節エレメントの非限定的な例には、グルコース-6-ホスファターゼ、アルブミン(ALB)、α-1-アンチトリプシン(AAT、SERPINA1としても知られる)、サイトケラチン8(CK8)、サイトケラチン18(CK18)、アシアロ糖タンパク質受容体1(ASGR1)、アルコールデヒドロゲナーゼ1、I型アルギナーゼ、シトクロムp450 3A4(CYP3A4)、肝特異的有機アニオン輸送体(LST-1)、フォークヘッドボックスタンパク質A2(FoxA2)、α-フェトプロテイン(AFP)、およびトリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO2)のプロモーターが含まれる。

0119

ASCの細胞表面マーカー(例えば、CD29、CD34、CD36、CD49f、CD73、CD90(Thy-1)、CD105、CD133、c-kit、c-metなど)、内胚葉前駆体細胞の細胞表面マーカー(例えば、SOX17)、肝細胞前駆体/前駆細胞の細胞表面マーカー(例えば、N-カドヘリン、E-カドヘリン、EpCAM、およびNCAM)、および/または肝細胞の細胞表面マーカー(例えば、ASGR1)に特異的な抗体を用いた富化(例えば、磁性細胞選別、FACSなど)は、富化される対象となる細胞の遺伝子改変を要しないという利点を有する。磁性細胞選別およびFACSは、複数種類の表面マーカーを同時に分析し得る能力を有し、かつそれらを用いて、細胞表面マーカーの発現に基づき、ASC、内胚葉前駆体細胞、肝細胞前駆体/前駆細胞、および/または肝細胞(例えば、iHep)を選別することができる。ある場合には、iHepはASGR1を発現しない。しかしながら、ある場合には、例えばそれらがより長く培養されかつ/またはさらに分化した場合、iHepはASGR1を発現する。(i)ASGR1を発現せず、かつ/または(ii)肝細胞前駆体細胞および/もしくは内胚葉前駆体細胞のマーカーを発現する細胞を個体に投与する場合、細胞は、個体内への投与後にさらに分化し得る(下記の実施例の節において実証されるように)。

0120

ある場合には、主題の方法によって産生される細胞を、発現された細胞表面マーカーを用いることによって富化(例えば、選別)することができる。例えば、前駆体細胞集団(例えば、ステージ1培地に接触していたASC)の細胞、および/または誘導細胞集団の細胞(例えば、ステージ2培地と接触していた前駆体細胞集団の細胞)を、肝細胞前駆体/前駆細胞によって発現される任意のマーカー(例えば、N-カドヘリン、E-カドヘリン、EpCAM、およびNCAM)および/または内胚葉前駆体細胞によって発現される任意のマーカー(例えば、SOX17)を用いて富化することができる。誘導細胞集団の細胞(例えば、ステージ2培地と接触していた前駆体細胞集団の細胞)を、さらなる培養(例えば、さらなる分化を助長する)の前におよび/または個体への投与前に、肝細胞前駆体/前駆細胞によって発現される任意のマーカー(例えば、N-カドヘリン、E-カドヘリン、EpCAM、およびNCAMなど)、内胚葉前駆体細胞によって発現される任意のマーカー(例えば、SOX17)、および/または肝細胞によって発現される任意のマーカー(例えば、ASGR1)を用いて富化することができる。ASCを含む細胞集団(例えば、リポサクション由来の細胞の集団)を、ASC細胞表面マーカー(例えば、CD29、CD34、CD36、CD49f、CD73、CD90(Thy-1)、CD105、CD133、c-kit、c-metなど)を用いて、ASCについて富化することができる。

0121

凍結保存
一部の態様において、対象となる細胞(例えば、iHep)を、将来的な使用のために保存する。具体的には、次の工程を実施することによって、iHepを凍結保存することができる:(i)成長細胞表面から細胞を剥離する、(ii)細胞をリンスする(例えば、遠心分離を介してPBSで洗浄する)、(iii)10%DMSOを有する培地中に細胞(例えば、細胞ペレット)を再懸濁する、および(vi)細胞を保存するために当技術分野において一般に用いられる標準的組織培養技法を用いて、液体窒素中で細胞を冷凍しかつ保存する。細胞は、1本のバイアルあたり1〜5000万個の細胞で冷凍され得る。使用の準備をする場合、iHepは、冷凍された培養細胞解凍するための当技術分野において一般に知られる様式で解凍されるべきである。

0122

治療の方法
本開示の局面は、個体を治療する方法を含む。対象となる治療の方法は、概して、(例えば、上記で記載される方法を用いて)脂肪由来幹細胞の集団から肝細胞様細胞を産生する工程、および有効数の肝細胞様細胞を個体内に投与する(例えば、注射する、移植するなど)工程を含む。ASCは任意の供給源由来であり得、かつ任意の好都合な方法によって得ることができる。ASCを単離する/抽出する/入手する例示的な方法は、上記で記載されている。ある場合には、(例えば、免疫応答の可能性および/または重症度を低下させるために、)ASCは自己由来(すなわち、iHepが投与される同じ個体由来)である。ある場合には、(例えば、免疫応答の可能性および/または重症度を低下させるために、)ASCは、血縁関係にある個体由来である。ある場合には、ASCは、血縁関係にない個体由来である。ある場合には、ASCは、別の種の個体由来である(例えば、マウスに投与されるヒトASC)。

0123

「治療」、「治療している」、「治療する」等の用語は、本明細書において、所望の薬理学的および/または生理学的な効果を得ることを概して指すために用いられる。効果は、疾患もしくはその症状を完全にもしくは部分的に阻止するという点で予防的であり得、かつ/または疾患および/もしくは疾患に起因する有害作用の部分的もしくは完全な安定化もしくは治癒という点で療法的であり得る。「治療」という用語は、哺乳動物、とくにヒトにおける疾患の任意の治療を包含し、かつ(a)疾患もしくは症状を生じやすい可能性があるが、それを有するとはまだ診断されていない対象において、疾患および/もしくは症状が生じるのを阻止する工程:(b)疾患および/もしくは症状を阻害する工程、すなわち疾患および/もしくは関連症状発症を食い止める工程;または(c)疾患および関連症状を緩和する工程、すなわち疾患および/もしくは症状の後退を引き起こす工程を含む。治療を必要としているものには、すでに痛手を負っている(inflict)もの(例えば、肝機能障害、肝疾患、肝損傷などを有するもの)、ならびに阻止が望まれるものが含まれ得る。

0124

「レシピエント」、「個体」、「対象」、「宿主」、および「患者」という用語は、本明細書において互換可能に用いられ、かつ診断、治療、または療法が望まれる任意の哺乳動物対象、とくにヒトを指す。治療の目的のための「哺乳動物」とは、ヒト、例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシ、ヒツジヤギブタラクダなどの家庭用および農業用の動物ならびに動物園用、スポーツ用、またはペット用の動物を含む、哺乳動物として分類される任意の動物を指す。一部の態様において、哺乳動物はヒトである。

0125

療法的治療とは、施与前に対象が痛手を負っている場合のものであり、予防的治療とは、施与前に対象が痛手を負っていない場合のものである。一部の態様において、対象は、痛手を負う可能性が増加しているか、または治療前に痛手を負っている疑いがある。一部の態様において、対象は、痛手を負う可能性が増加している疑いがある。

0126

一部の態様において、治療される対象となる個体は、低下した肝機能を有する個体(例えば、肝損傷を有する個体)である。本明細書において用いられる「肝損傷」という用語は、低下した肝機能をもたらす任意の損傷(例えば、疾患、外傷によって引き起こされる、原因不明の、など)を指す。低下した肝機能(例えば、個体の基礎レベルの機能と比較して低下した;比較可能年齢、重量、性別などの健常個体と比較して低下した;および同類のもの)を有する個体は、損傷した肝臓を有する個体(すなわち、肝損傷を有する個体)と称される。ゆえに、「肝損傷」および「低下した肝機能」という用語は、本明細書において同義的に用いられる。ある場合には、「肝損傷」を有する個体は、肝疾患を有する個体である。

0127

低下した肝機能の原因は既知または未知であり得る。所与の個体が低下した肝機能を有するかどうかを判定する方法(したがって、治療を受けている個体が肝機能を回復中であるまたは回復したかどうかを判定する方法でもある)は、当業者に公知であろう。肝機能検査には、肝臓に対する炎症および損傷を検出する一群血液検査である、肝機能検査(LFT)としても知られる肝酵素検査が含まれ得る。肝損傷の血中タンパク質マーカーには、例えばSGOTとしても知られるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼAST)の増加;SGPTとしても知られるアラニンアミノトランスフェラーゼALT)の増加;アルカリホスファターゼの増加;5'ヌクレオチダーゼの増加;アルブミンの減少;グロブリンの減少;およびγ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)の増加が含まれ得る。上記タンパク質マーカーの上昇した量(および/または活性)(または、アルブミンおよび/もしくはグロブリンに関する減少したレベル)が血中において検出される場合、肝損傷が存在し得る。付加的な肝機能検査には、次のものが含まれる:(i)血液サンプル凝固するのにかかる時間の検査であるプロトロンビン時間(PT)(例えば、低レベルの凝固因子が存在している場合、プロトロンビン時間はより長い)。これは国際標準化比(INR)(結果が実験室を超えて精確に比較され得るように、実験室がPTを報告する標準化された様式)として報告され得る;および(ii)ビリルビン検査:ビリルビン血中レベルは損なわれた胆汁流量を有するヒトにおいて上昇し得、これは重度の肝疾患、胆嚢疾患、または他の胆汁系の病状において生じ得る。

0128

「肝損傷」を示すと見なされ得る(かつ、症状、病気、および/または疾患を有する個体に、対象となる誘導肝細胞様細胞を移植することによって治療され得る)症状、病気、および/または疾患の例には、急性肝不全、アルコール関連肝疾患、アラジール症候群、α1-アンチトリプシン欠損多包虫症自己免疫肝炎細菌性肝臓紫斑病胆道閉鎖症バッドキアリ症候群、慢性肝疾患肝硬変先天性肝線維症鬱血ヘパトパシー脂肪肝ガラクトース血症前庭部毛細血管拡張症ジルベール症候群ヘモクロマトーシス肝炎(A、B、および/またはC)、肝性脳症肝胆道疾患肝結石症、肝症候群、肝腎症候群肝脾腫大症肝毒性肝細胞癌腫、肝性脳症、黄疸ラエンネック肝硬変、肝膿瘍肝嚢胞肝癌、肝不全、リングスタダス(Lyngstadaas)症候群、非アルコール性脂肪性肝疾患小児末期肝疾患、肝紫斑病多嚢胞肝疾患、原発性胆汁性肝硬変原発性硬化性胆管炎(PSC)、進行性家族性肝内胆汁鬱滞ライ症候群、I型糖原病ウイルス性肝炎ウィルソン病、ツァーン梗塞、およびジーヴ症候群が含まれるが、それらに限定されるわけではない。

0129

ある場合には、iHepは、移植前に一時期(例えば、HCM(商標)中で2日間)培養される。細胞(例えば、iHep)を、単独で、または適切な基体もしくはマトリックスとともに個体に提供して(すなわち、個体内に投与して)、例えばそれらが移植されている組織(例えば、肝臓)におけるそれらの増大および/または組織化を支持することができる。一部の態様において、マトリックスは足場(例えば、有機足場)である。一部の態様において、1×103個もしくはそれを上回る数の細胞、例えば5×103個もしくはそれを上回る数の細胞、1×104個もしくはそれを上回る数の細胞、5×104個もしくはそれを上回る数の細胞、1×105個もしくはそれを上回る数の細胞、5×105個もしくはそれを上回る数の細胞、1×106個もしくはそれを上回る数の細胞、5×106個もしくはそれを上回る数の細胞、1×107個もしくはそれを上回る数の細胞、5×107個もしくはそれを上回る数の細胞、1×108個もしくはそれを上回る数の細胞、5×108個もしくはそれを上回る数の細胞、1×109個もしくはそれを上回る数の細胞、5×109個もしくはそれを上回る数の細胞、または1×1010個もしくはそれを上回る数の細胞が投与される(例えば、移植される)。一部の態様において、対象となる細胞は、マイクロキャリアに載って、個体内に投与される(例えば、生分解性マイクロキャリア上で増大した細胞)。

0130

主題の方法によって誘導された細胞(iHep)は、生理学的に許容される任意の賦形剤(例えば、ウィリアムE培地)に入れて投与してもよく、そこで該細胞は、生存および機能(例えば、臓器再構成)のための適当な部位を見出し得る。細胞は、任意の好都合な方法(例えば、注射、カテーテルなど)によって導入され得る。

0131

細胞は、以下の経路のいずれかを介して、対象に導入され得る(すなわち、個体内に投与され得る):非経口、皮下、静脈内、頭蓋内、髄腔内、眼内、または髄液内。細胞は、注射(例えば、直接的局所注射)、カテーテルなどによって導入され得る。局所送達(例えば、肝臓への送達)のための方法の例には、例えば関節もしくは臓器内への、例えば注射器による、例えばボーラス注射によるもの;例えば対流を有する、例えば挿管による、例えば連続的注入によるもの(参照によりここに組み入れられる、米国特許出願第20070254842号を参照されたい);または、その上に細胞が可逆的に貼り付けられている装置を移植することによるもの(例えば、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願第20080081064号および第20090196903号を参照されたい)が含まれる。

0132

ある場合には、iHepは、超音波ガイドによる肝注射によって個体内に投与される。このようにして、細胞は、肝葉内に直接置かれ得る(例えば、ヒトにおいて、または小動物用超音波システムを用いてさらにマウスにおいて)。輝度モードBモード)を用いて、変換器により関心対象の領域についての二次元画像を取得することができ、かつ細胞を、溶液(例えば100μl〜300μl、例えば200μlの、例えばウィリアムE培地)に入れて、例えば30Gニードルを用いて、肝臓における1箇所の部位または多くの部位(例えば、1〜30箇所の部位)内に注射することができる。

0133

対象への治療の施与の数は変動し得る。個体内への細胞の導入は、1回の事象であり得るが、ある特定の状況において、そのような治療は、限定された期間の改善を引き出し得かつ一連持続的な反復治療を要し得る。他の状況において、効果が観察される前に、iHepの多数回の投与が要され得る。当業者によって容易に理解されるであろうように、正確なプロトコールは、治療されている個体の疾患または病状、疾患のステージ、およびパラメーターに依存する。

0134

「療法上有効な用量」または「療法的用量」とは、所望の臨床結果を生じさせる(すなわち、療法的有効性を達成する)のに十分な量である。療法上有効な用量を、1回または複数回の投与で投与することができる。本開示の目的のために、iHepの療法上有効な用量は、個体に投与された(例えば、移植された)場合に、例えば、健常な肝臓によって通常提供される機能を提供することによって、疾患状態(例えば、肝損傷)の進行を軽減する、改善させる、安定化する、逆行させる、阻止する、減速させる、または遅延させるのに十分である量である。ある場合には、移植されたiHepは、個体の肝臓に組み込まれかつ肝臓の一部になる。ある場合には、移植されたiHepは、個体の肝臓に組み込まれないが、健常な肝臓によって通常提供される機能を依然として提供し得る。

0135

一部の態様において、iHepの療法上有効な用量は、約1×103個またはそれを上回る数の細胞(例えば、5×103個もしくはそれを上回る、1×104個の細胞、5×104個もしくはそれを上回る、1×105個もしくはそれを上回る、5×105個もしくはそれを上回る、1×106個もしくはそれを上回る、5×106個もしくはそれを上回る、1×107個の細胞、5×107個もしくはそれを上回る、1×108個もしくはそれを上回る、5×108個もしくはそれを上回る、1×109個もしくはそれを上回る、5×109個もしくはそれを上回る、または1×1010個もしくはそれを上回る数)である。一部の態様において、iHepの療法上有効な用量は、約1×103個の細胞〜約1×1010個の細胞の値域にある(例えば、約5×103個の細胞〜約1×1010個の細胞、約1×104個の細胞〜約1×1010個の細胞、約5×104個の細胞〜約1×1010個の細胞、約1×105個の細胞〜約1×1010個の細胞、約5×105個の細胞〜約1×1010個の細胞、約1×106個の細胞〜約1×1010個の細胞、約5×106個の細胞〜約1×1010個の細胞、約1×107個の細胞〜約1×1010個の細胞、約5×107個の細胞〜約1×1010個の細胞、約1×108個の細胞〜約1×1010個の細胞、約5×108個の細胞〜約1×1010個、約5×103個の細胞〜約5×109個の細胞、約1×104個の細胞〜約5×109個の細胞、約5×104個の細胞〜約5×109個の細胞、約1×105個の細胞〜約5×109個の細胞、約5×105個の細胞〜約5×109個の細胞、約1×106個の細胞〜約5×109個の細胞、約5×106個の細胞〜約5×109個の細胞、約1×107個の細胞〜約5×109個の細胞、約5×107個の細胞〜約5×109個の細胞、約1×108個の細胞〜約5×109個の細胞、約5×108個の細胞〜約5×109個、約5×103個の細胞〜約1×109個の細胞、約1×104個の細胞〜約1×109個の細胞、約5×104個の細胞〜約1×109個の細胞、約1×105個の細胞〜約1×109個の細胞、約5×105個の細胞〜約1×109個の細胞、約1×106個の細胞〜約1×109個の細胞、約5×106個の細胞〜約1×109個の細胞、約1×107個の細胞〜約1×109個の細胞、約5×107個の細胞〜約1×109個の細胞、約1×108個の細胞〜約1×109個の細胞、約5×108個の細胞〜約1×109個、約5×103個の細胞〜約5×108個の細胞、約1×104個の細胞〜約5×108個の細胞、約5×104個の細胞〜約5×108個の細胞、約1×105個の細胞〜約5×108個の細胞、約5×105個の細胞〜約5×108個の細胞、約1×106個の細胞〜約5×108個の細胞、約5×106個の細胞〜約5×108個の細胞、約1×107個の細胞〜約5×108個の細胞、約5×107個の細胞〜約5×108個の細胞、または約1×108個の細胞〜約5×108個の細胞)。

0136

本開示の細胞は、ヒト投与のために十分に滅菌した条件下で調製された等張賦形剤を含む薬学的組成物の様態で供給され得る。医療用製剤における一般原則に関しては、G. Morstyn & W. Sheridan edsによるCell Therapy: Stem Cell Transplantation, Gene Therapy, and Cellular Immunotherapy, Cambridge University Press, 1996;およびHematopoietic Stem Cell Therapy, E. D. Ball, J. Lister & P. Law, Churchill Livingstone, 2000を参照されたい。細胞賦形剤、および組成物の任意の付随要素の選定は、投与に用いられる経路および装置に従って適応させる。組成物は、細胞の生着または機能的動員を容易にする1種または複数種類の他の構成要素も含み得るまたは付随し得る。適切な構成要素には、細胞または補完的細胞タイプの付着を支持するまたは促進するマトリックスタンパク質が含まれる。

0137

分化した肝細胞において有用な遺伝子、例えば個体における遺伝子欠陥修復、選択可能なマーカーなどを導入するために、主題の方法の細胞を遺伝的に変化させてもよい。細胞はまた、生存を増強する、増殖を制御する等のために、遺伝的に改変され得る。細胞は、適切なベクターを用いたトランスフェクションもしくは形質導入相同組換え、または他の適当な技法によって遺伝的に変化し得、それにより、それらは関心対象の遺伝子を発現する。一部の態様において、選択可能なマーカーを導入して、所望の分化している細胞のより高い純度を提供する。

0138

本開示の細胞が組織再生関与し得る能力、または投与の部位に療法用遺伝子を送達し得る能力を増強するために、該細胞を遺伝的に変化させることができる。肝細胞において汎特異的(pan-specific)であるまたは特異的に活性を有するプロモーターに機能的に連結された、所望の遺伝子に対する公知のコード配列を用いて、ベクターを設計する。

0139

標的哺乳動物細胞内に外因性遺伝子を移動させるのに有用な多くのベクターが利用可能である。ベクターは、エピソーム性、例えばプラスミドサイトメガロウイルスアデノウイルスなどのようなウイルス由来ベクターであり得るか、または相同組換えもしくはランダムな組み込みを介して標的細胞ゲノム内に組み込まれ得る、例えばMMLV、HIV-1、ALVなどのようなレトロウイルス由来ベクターであり得る。幹細胞の改変に関しては、レンチウイルスベクターが好ましい。HIVまたはFIVのgag配列に基づくものなどのレンチウイルスベクターを用いて、休止期ヒト幹細胞など、非分裂細胞トランスフェクトすることができる(Uchida et al. (1998) P.N.A.S. 95(20):11939-44を参照されたい)。

0140

レトロウイルスと適当なパッケージング株(packaging line)との組み合わせは、カプシドタンパク質が標的細胞に感染するのに機能的である場合にも使用法を見出し得る。通常、細胞とウイルスとを、培養培地中で少なくとも約24時間インキュベートする。次いで、細胞を、ある適用において培養培地中で短い間隔、例えば24〜73時間、または少なくとも2週間増大させ、かつ分析前に、5週間またはそれを上回る期間増大させ得る。一般に用いられるレトロウイルスベクターは「欠陥型」である、すなわち産生性感染に要されるウイルスタンパク質を産生することができない。ベクターの複製は、パッケージング細胞株中での増大を要する。

0141

レトロウイルスの宿主細胞特異性は、エンベロープタンパク質env(p120)によって決定される。エンベロープタンパク質は、パッケージング細胞株によって提供される。エンベロープタンパク質は、少なくとも3種類のタイプ、すなわちエコトロピックアンホトロピック、およびゼノトロピックなものである。エコトロピックなエンベロープタンパク質とともにパッケージされたレトロウイルス、例えばMMLVは、ほとんどのマウスおよびラット細胞タイプに感染することができる。エコトロピックなパッケージング細胞株には、BOSC23(Pear et al. (1993) P.N.A.S. 90:8392-8396)が含まれる。アンホトロピックなエンベロープタンパク質を保持するレトロウイルス、例えば4070A(Danos et al、上記参照)は、ヒト、イヌ、およびマウスを含めた、ほとんどの哺乳動物細胞タイプに感染することができる。アンホトロピックなパッケージング細胞株には、PA12(Miller et al. (1985) Mol. Cell. Biol. 5:431-437);PA317(Miller et al. (1986) Mol. Cell. Biol. 6:2895-2902);GRIP(Danos et al. (1988) PNAS 85:6460-6464)が含まれる。ゼノトロピックなエンベロープタンパク質とともにパッケージされたレトロウイルス、例えばAKR envは、マウス細胞を除いた、ほとんどの哺乳動物細胞タイプに感染することができる。

0142

ベクターは、例えばCre/Loxなどのリコンビナーゼシステムを用いて後で除去されなければならない遺伝子を含み得るか、または、それらを発現する細胞は、例えばヘルペスウイルスTK、bcl-xsなど、選択的毒性を可能にする遺伝子を含めることによって破壊される。適切な誘導性プロモーターは、トランスフェクトされた細胞またはその子孫のいずれかの所望の標的細胞タイプにおいて活性化される。転写活性化により、転写は、標的細胞における基礎レベルを上回って、少なくとも約100倍、より通常では少なくとも約1000倍増加することが意図される。

0143

実用性
下記の実施例において記載される結果は、主題の方法を用いてASCから得られた肝細胞様細胞の肝臓内への直接移植の後、機能的なヒト肝組織がインビボで生じ得ることを実証している。SCi-Hep(主題の方法を用いて誘導されたiHep)を、化学的に規定された培地中での短期間のインビトロ分化によって、ASCから産生した。SCi-Hepは、成熟肝細胞のインビトロ機能特性の多くを呈し、かつそれらは、マウスモデルシステムにおいてインビボで機能的なヒト肝臓を安定して再構成し得、そして移植研究により、SCi-Hepは非常に低い悪性度を有することが実証された。ゆえに、容易に利用可能な幹細胞を用いて、インビボで機能的なヒト肝組織を急速に構築した。ASCからiHepを作製する時間は、主題の方法によって、13日間を下回るまで(例えば、9日間に)大幅に低下する。加えて、iHep産生の効率は、主題の方法によって、10%を上回るまで(例えば、37%に)大幅に増加する。肝損傷(例えばアセトアミノフェン毒性による、例えば肝不全)は急速に(例えば、2週間またはそれ未満のうちに)死を引き起こし得るため、これらの特色の両方は、治療法を容易にする。

0144

これらの手順を、ヒトにおける自己肝再生を可能にするようにスケール変更することができる。1グラムのヒトまたはマウス肝組織あたり約140×106個の肝細胞が存在するため、1500グラムの成人ヒト肝臓は約2×1011個の肝細胞を有し、一方で1.8グラムのマウス肝臓は2.5×108個の細胞を有する。100万個のヒト肝細胞をTK-NOGマウスに移植した後、マウス肝細胞の約50%の置き換えがルーチン的に得られ、それはマウス肝臓における約1.2×108個の機能的なヒト肝細胞に等しい。これは、移植された細胞の数と比較した、インビボで作製されたヒト肝細胞の数における120倍の増加(または7回の集団倍加)に相当する。同程度の再生効率がヒトにおいて達成された場合、8億個のSCi-Hep(1011/120)が移植されて、ヒト肝臓における細胞の50%を置き換えると考えられる。この論点に関連して、単回のリポサクション手順から、1リットル(1000g)の脂肪吸引物を簡単に入手することができる。この量は、2〜10×109個の細胞を含有すると概算され、そのうちの1〜10%はASCであると概算される。ゆえに、1リットルの脂肪吸引物は2×107〜109個のASCを含有し、それは自己ヒト肝臓の置き換えを可能にする十分な数の細胞を提供し得る。超音波ガイドによる直接肝移植(下記の実施例において用いられる)を含めたヒト肝再生手順はスケール変更が可能でありかつヒト臨床用途に適当である。

0145

下記の実施例は、化学的な分化過程連動した球状培養が、他の公知の方法と比較して、SCi-Hepの収量を7倍増加させ得ることを実証している。ゆえに、球状培養法は、ヒト対象における肝再生を可能にする、十分な数のSCi-Hepが入手され得ることを確実にするのに役立つ。球状培養法は、また、培養量を12倍低下させかつ培養している時間を40%減少させ;これらの因子は、ASCをiHepに分化させるコストを劇的に低下させる。Chi-Hepを産生するのに要される培地および成長因子の概算コストは、処理される1リットルの脂肪吸引物あたり約49,000ドルであるが、主題の方法は、これらのコストを20倍を上回って(処理される1リットルの脂肪吸引物あたり約2400ドルに)低下させる。

0146

移植されたSCi-Hepが腫瘍を形成しなかった(下記の実施例を参照されたい)という事実は、これらの細胞が、腫瘍を引き起こす危険性の著しい低下を有することを示している。SCi-Hepに関して得られた結果とは対照的に、iPS-Hepの移植後3週間以内に、容易に触診可能な腫瘍が認められた。このiPS由来細胞集団は大きな割合の未分化細胞を有するため、急速な腫瘍発生は驚くべきことではないはずである。しかしながら、ヒト肝臓を再生するためには約109個の細胞が移植されなければならないが、この集団において悪性度を有する細胞はわずか100〜1000個であっても、腫瘍形成を引き起こし得るであろう。これらの数は、肝再生のためにiPS由来細胞を調製するのに用いられる任意の選択的方法にとって、非常に重大な障壁をもたらす。移植されたSCi-Hepが腫瘍を形成しなかったという事実は、これらの細胞が、腫瘍を形成させる危険性の著しい低下を有することを示している。遺伝子操作されたTK-NOGマウスにおけるガンシクロビル誘導性肝損傷は、外因性毒物または薬物過量摂取によって引き起こされるヒトにおける急性肝不全に類似しているため、ここに開示される方法は、損傷した肝臓(例えば、急性肝不全を有する患者)を治療するために用いられ得る細胞を提供し得る。

0147

主題の方法によって産生された肝細胞様細胞は、損傷した肝臓における細胞置き換えのためのドナー細胞の供給源を提供する。そのようなものとして、肝細胞様細胞は、そのような治療を必要としている個体であるヒト患者における組織の再構成または再生のために、および/または非ヒト動物(例えばマウス、次いでそれは、例えば薬物スクリーニング、薬物試験などを含めた研究目的のために用いられ得る)におけるヒト肝組織の再構成のために用いられ得る。細胞は、それらが、意図される組織部位に生着しまたは移行し、かつ機能的に欠陥のある領域を再構成するまたは再生するのを可能にする様式で投与される。

0148

本開示の分化した細胞を用いて、肝細胞のマーカーに特異的である抗体を調製することもできる。免疫原性様態の本開示の細胞を脊椎動物に注射することによって、ポリクローナル抗体を調製することができる。モノクローナル抗体の産生は、米国特許第4,491,632号、第4,472,500号、および第4,444,887号、ならびにMethodsin Enzymology 73B:3 (1981)のような標準的参考文献に記載されている。免疫適格細胞またはウイルス粒子ライブラリー標的抗原とを接触させ、かつ正に選択されたクローンを増大させることによって、特異的抗体分子を産生することもできる。Marks et al., New Eng. J. Med. 335:730, 1996およびMcGuiness et al., Nature Biotechnol. 14:1449, 1996を参照されたい。さらなる代替策は、欧州特許出願第1,094,108Aに記載されている、抗体コード領域内へのランダムDNAフラグメント再会合である。

0149

遺伝子発現は、主題の方法による肝細胞様細胞の産生前、産生中、および/または産生後調査され得る。当技術分野において公知であるように、発現した遺伝子のセットを、細胞の他の部分集団、前駆細胞、最終分化した肝細胞、ASC等に対して比較してもよい。特異的mRNAを検出するための、当技術分野において公知の任意の適切な定性的または定量的な方法を用いることができる。mRNAは、例えばマイクロアレイへのハイブリダイゼーション、次世代シーケンシングインサイチューハイブリダイゼーション逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(rtPCR)によって、またはポリA mRNAを含有するノーザンブロットにおいて検出され得る。当業者であれば、これらの方法を容易に用いて、2つのサンプル間のmRNA転写産物のサイズまたは量の差異を測定することができる。

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