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技術 成形型および磁石材料の成形方法

出願人 大同特殊鋼株式会社
発明者 牧野直幸濱崎竜男
出願日 2019年1月8日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-001342
公開日 2020年7月27日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-113578
状態 未査定
技術分野 粉体及び可塑状体プレス コア、コイル、磁石の製造 粉末冶金
主要キーワード 同心円弧 コイル印加電圧 外部ヨーク 円弧型 鉄族遷移金属 隔離壁 磁界発生用コイル 空間的均一性
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年7月27日)のものです。
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図面 (5)

課題

磁石材料粉末を直線的でない方向に配向させて成形する成形型において、成形型内に配置する磁性体の端部における磁束の漏れを抑制し、磁石材料粉末の配向を、均一性高く、また効率的に行うことができる成形型、およびそのような成形型を用いて、磁石材料粉末を、均一性高く、また効率的に配向させることができる磁石材料の成形方法を提供する。

解決手段

磁界H中で磁石材料粉末を配向させて成形する成形型1を、磁性体よりなる1対のヨーク部材20,30を有するものとする。1対のヨーク部材20,30は、相互に離間して配置されており、1対のヨーク部材20,30の間に設けられた充填空間11に、磁石材料粉末を充填可能であり、1対のヨーク部材20,30の少なくとも一方は、充填空間11に面する成形面21,31に開口して、磁界Hの印加方向yに対して傾斜した方向に切り欠かれた、複数のスリット22,32を有するものとする。

概要

背景

希土類磁石等の磁石材料粉末原料として、異方性焼結磁石を製造する際に、磁界中で、成形型を用いて、磁石材料粉末の配向と、成形が行われる。製造すべき焼結磁石の形状が、棒状、板状、柱状等、単純な形状であり、それらの形状を構成する辺や面、軸等に沿って、直線的な方向に磁石材料粉末を配向させる場合には、一方向に配向磁場を形成して、磁石材料粉末の配向と成形を行えばよい。しかし、モータ等の用途において、弧形状(形状)等、曲面部を有する形状の焼結磁石が用いられる。それらの焼結磁石においては、磁石材料粉末の配向方向として所望される方向も、直線的でない場合が多い。弧形状の磁石においては、ラジアル方向の配向が求められる。

ラジアル方向等、直線的でない方向に磁石材料粉末を配向させるためには、外部から印加される磁界を、その配向方向に沿わせるように曲げる必要がある。そこで、内部に磁性体を配置した成形型が用いられる場合がある。例えば、特許文献1には、外部に向く外弧と内部に向く内弧と二本の線で構成される瓦状断面のキャビティを形成するダイスと、該キャビティ内を圧縮するためにプレス連動可能なパンチと、該キャビティの外弧と内弧に沿うように該ダイス内に設けられた少なくとも2つの磁性コアとを含んでなる金型が開示されている。

概要

磁石材料粉末を直線的でない方向に配向させて成形する成形型において、成形型内に配置する磁性体の端部における磁束の漏れを抑制し、磁石材料粉末の配向を、均一性高く、また効率的に行うことができる成形型、およびそのような成形型を用いて、磁石材料粉末を、均一性高く、また効率的に配向させることができる磁石材料の成形方法を提供する。磁界H中で磁石材料粉末を配向させて成形する成形型1を、磁性体よりなる1対のヨーク部材20,30を有するものとする。1対のヨーク部材20,30は、相互に離間して配置されており、1対のヨーク部材20,30の間に設けられた充填空間11に、磁石材料粉末を充填可能であり、1対のヨーク部材20,30の少なくとも一方は、充填空間11に面する成形面21,31に開口して、磁界Hの印加方向yに対して傾斜した方向に切り欠かれた、複数のスリット22,32を有するものとする。

目的

本発明が解決しようとする課題は、磁石材料粉末を直線的でない方向に配向させて成形する成形型において、成形型内に配置する磁性体の端部における磁束の漏れを抑制し、磁石材料粉末の配向を、均一性高く、また効率的に行うことができる成形型、およびそのような成形型を用いて、磁石材料粉末を、均一性高く、また効率的に配向させることができる磁石材料の成形方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

磁界中で磁石材料粉末配向させて成形する成形型において、前記成形型は、磁性体よりなる1対のヨーク部材を有し、前記1対のヨーク部材は、相互に離間して配置されており、前記1対のヨーク部材の間に設けられた充填空間に、前記磁石材料粉末を充填可能であり、前記1対のヨーク部材の少なくとも一方は、前記充填空間に面する成形面に開口して、前記磁界の印加方向に対して傾斜した方向に切り欠かれた、複数のスリットを有することを特徴とする成形型。

請求項2

前記1対のヨーク部材の成形面は、同方向に凸となった、相互に曲率半径の異なる弧形状に形成されており、前記スリットは、それら弧形状を結ぶ放射方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の成形型。

請求項3

前記1対のヨーク部材は、ともに、前記スリットを有することを特徴とする請求項1または2に記載の成形型。

請求項4

前記成形型は、前記充填空間に充填した前記磁石材料粉末に対して、機械的圧力を印加することなく、配向と成形を行うものであり、前記1対のヨーク部材を保持する非磁性体よりなる保持型をさらに有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の成形型。

請求項5

前記1対のヨーク部材のそれぞれは、前記スリットを挟んで前記成形面から離れた位置に、前記磁界に交差する方向に突出して、前記保持型に係止される係止部を有することを特徴とする請求項4に記載の成形型。

請求項6

前記成形型はさらに、前記成形面に面する前記充填空間の壁面を構成する、非磁性体よりなる隔離壁を、前記保持型と一体に有することを特徴とする請求項4または5に記載の成形型。

請求項7

前記隔離壁の厚さは、0.5mm以下であることを特徴とする請求項6に記載の成形型。

請求項8

請求項1から7のいずれか1項に記載の成形型の前記充填空間に、磁石材料粉末を充填し、前記成形型の外側から磁界を印加しながら、前記磁石材料粉末を配向させて成形することを特徴とする磁石材料の成形方法

技術分野

0001

本発明は、成形型および磁石材料成形方法に関し、さらに詳しくは、磁石材料粉末配向させて成形するための成形型、およびそのような成形型を用いて磁石材料を成形する方法に関するものである。

背景技術

0002

希土類磁石等の磁石材料粉末を原料として、異方性焼結磁石を製造する際に、磁界中で、成形型を用いて、磁石材料粉末の配向と、成形が行われる。製造すべき焼結磁石の形状が、棒状、板状、柱状等、単純な形状であり、それらの形状を構成する辺や面、軸等に沿って、直線的な方向に磁石材料粉末を配向させる場合には、一方向に配向磁場を形成して、磁石材料粉末の配向と成形を行えばよい。しかし、モータ等の用途において、弧形状(形状)等、曲面部を有する形状の焼結磁石が用いられる。それらの焼結磁石においては、磁石材料粉末の配向方向として所望される方向も、直線的でない場合が多い。弧形状の磁石においては、ラジアル方向の配向が求められる。

0003

ラジアル方向等、直線的でない方向に磁石材料粉末を配向させるためには、外部から印加される磁界を、その配向方向に沿わせるように曲げる必要がある。そこで、内部に磁性体を配置した成形型が用いられる場合がある。例えば、特許文献1には、外部に向く外弧と内部に向く内弧と二本の線で構成される瓦状断面のキャビティを形成するダイスと、該キャビティ内を圧縮するためにプレス連動可能なパンチと、該キャビティの外弧と内弧に沿うように該ダイス内に設けられた少なくとも2つの磁性コアとを含んでなる金型が開示されている。

先行技術

0004

特開2005−286081号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1に記載されるように、磁石材料粉末を配向させ、成形するための成形型に、磁性体を配置することで、ラジアル配向等、直線的な方向以外の方向に、磁石材料粉末を配向させることが可能となる。しかし、図3(b)に、磁束の分布シミュレーションを示すように、磁性体(上下の濃いグレーの弧形状の部位)において、円で囲んで表示した端部に磁束が集中しやすくなる。その結果、磁束密度に空間的な不均一性が生じるとともに、磁束の漏れが起こり、得られる成形体の各部で、磁石材料粉末を、均一性高く、所望の方向に配向させることが難しくなる。すると、製造される焼結磁石において、所望の磁気特性が達成されない場合や、磁気特性に不均一な空間分布が生じる場合がありうる。また、端部からの磁束の漏れを補うべく、高磁界を印加するとすれば、磁界を発生させるためのコイルの大型化や、必要電力の増大を招き、磁石材料粉末の配向における効率が悪くなってしまう。

0006

特許文献1では、キャビティの外弧に沿う磁性コアが、該外弧の両端から延びてオーバーハングする形状を有するものとすることで、キャビティの両端でもラジアル配向磁場を実現できるとされている。磁性コアをそのような形状とすることで、端部の磁石材料粉末の配向性を高められるとしても、磁性コアが大型化しやすい。また、磁性コアの端部での磁束の漏れ自体を阻止できる訳ではないため、コイルの大型化や必要電力の増大は、回避しにくい。

0007

本発明が解決しようとする課題は、磁石材料粉末を直線的でない方向に配向させて成形する成形型において、成形型内に配置する磁性体の端部における磁束の漏れを抑制し、磁石材料粉末の配向を、均一性高く、また効率的に行うことができる成形型、およびそのような成形型を用いて、磁石材料粉末を、均一性高く、また効率的に配向させることができる磁石材料の成形方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

上記課題を解決するため、本発明にかかる成形型は、磁界中で磁石材料粉末を配向させて成形する成形型において、前記成形型は、磁性体よりなる1対のヨーク部材を有し、前記1対のヨーク部材は、相互に離間して配置されており、前記1対のヨーク部材の間に設けられた充填空間に、前記磁石材料粉末を充填可能であり、前記1対のヨーク部材の少なくとも一方は、前記充填空間に面する成形面に開口して、前記磁界の印加方向に対して傾斜した方向に切り欠かれた、複数のスリットを有するものである。

0009

ここで、前記1対のヨーク部材の成形面は、前記磁界の印加方向に沿って同方向に凸となった、相互に曲率半径の異なる弧形状に形成されており、前記スリットは、それら弧形状を結ぶ放射方向に沿って形成されているとよい。

0010

また、前記1対のヨーク部材は、ともに、前記スリットを有するとよい。

0011

そして、前記成形型は、前記充填空間に充填した前記磁石材料粉末に対して、機械的圧力を印加することなく、配向と成形を行うものであり、前記1対のヨーク部材を保持する非磁性体よりなる保持型をさらに有するとよい。

0012

この場合に、前記1対のヨーク部材のそれぞれは、前記スリットを挟んで前記成形面から離れた位置に、前記磁界に交差する方向に突出して、前記保持型に係止される係止部を有するとよい。また、前記成形型はさらに、前記成形面に面する前記充填空間の壁面を構成する、非磁性体よりなる隔離壁を、前記保持型と一体に有するとよい。また、前記隔離壁の厚さは、0.5mm以下であるとよい。

0013

本発明にかかる磁石材料の成形方法は、上記のような成形型の前記充填空間に、磁石材料粉末を充填し、前記成形型の外側から磁界を印加しながら、前記磁石材料粉末を配向させて成形するものである。

発明の効果

0014

上記発明にかかる成形型においては、ヨーク部材にスリットが設けられていることにより、ヨーク部材が複数の領域に分割され、磁界の印加方向に対して傾斜した複数の幅の狭い磁路を形成している。磁束は、その幅の狭い磁路のそれぞれを通ることにより、ヨーク部材の端部に集中せず、ヨーク部材の全域に分散される。そのため、ヨーク部材の端部から磁束が漏れにくくなり、外部からの磁界の印加方向に対して傾斜した方向の配向磁場を、充填空間の各部位に、均一性高く印加し、各部位に充填された磁石材料粉末を配向させることができる。また、磁束の漏れを補うために、磁界の発生に用いるコイルを過度に大型化させることや、コイルに大電流を印加することが必要でなくなるため、磁石材料粉末の配向を効率的に達成することができる。その結果、成形体が、単純形状をとらず、所望される磁石材料粉末の配向方向が直線的でない場合でも、成形体の各部において、磁石材料粉末を、効率的に、均一性高く配向させることができる。そして、成形体の焼結を経て、磁気特性の均一性に優れた異方性焼結磁石を、効率的に製造することができる。

0015

ここで、1対のヨーク部材の成形面が、磁界の印加方向に沿って同方向に凸となった、相互に曲率半径の異なる弧形状に形成されており、スリットが、それら弧形状を結ぶ放射方向に沿って形成されている場合には、弧形状に形成された充填空間の各部に、放射方向(ラジアル方向)の配向磁場が印加され、磁石材料粉末がラジアル配向する。ヨーク部材にスリットが設けられていることにより、成形体の各部で均一性の高いラジアル配向を、効率的に実現することができる。

0016

また、1対のヨーク部材が、ともに、スリットを有する場合には、両方のヨーク部材において、各部に均一性高く磁束を分散させることができるとともに、端部からの磁束の漏れを抑制することができるので、磁石材料粉末の配向の均一性、および配向の効率を、特に高めることができる。

0017

そして、成形型が、充填空間に充填した磁石材料粉末に対して、機械的圧力を印加することなく、配向と成形を行うものであり、1対のヨーク部材を保持する非磁性体よりなる保持型をさらに有する場合には、プレス工程を伴わずに、雰囲気制御したまま磁石材料粉末の配向と成形、焼結を完了することができる、いわゆるプレスレス法(PLP法)による異方性焼結磁石の製造に、成形型を好適に利用することができる。上記のように、スリットを設けたヨーク部材を用いた磁石材料粉末の配向を、PLP法に適用することで、不純物の影響が少なく、形状の精度が高く、かつ磁石材料粉末の配向性の高さと均一性に優れた異方性焼結磁石を、効率的に製造することができる。

0018

この場合に、1対のヨーク部材のそれぞれが、スリットを挟んで成形面から離れた位置に、磁界に交差する方向に突出して、保持型に係止される係止部を有する構成によれば、保持型に対して、ヨーク部材を強固に固定することができるので、PLP法においてパルス状の磁界を印加した際にも、衝撃によってヨーク部材が位置ずれを起こすのを、抑制することができる。

0019

また、成形型がさらに、成形面に面する前記充填空間の壁面を構成する、非磁性体よりなる隔離壁を、保持型と一体に有する構成によれば、充填空間に充填した磁石材料粉末が、磁化してヨーク部材に付着したり、スリットに入り込んだりすることを防止し、成形型を用いた磁石材料粉末の配向と成形を、効率的に進めることができる。

0020

また、隔離壁の厚さが、0.5mm以下である構成によれば、隔離壁による配向磁場の減衰を避けながら、磁石材料粉末のヨーク部材への付着やスリットへの侵入を、防止することができる。

0021

上記発明にかかる磁石材料の成形方法においては、上記のような成形型を用いて、磁界中で、磁石材料粉末の配向と成形を行う。成形型のヨーク部材が、スリットによって分割され、磁界の印加方向に対して傾斜した複数の幅の狭い磁路を形成していることにより、磁束の漏れを抑制しながら、充填空間の各部に充填した磁石材料粉末に対して、外部からの磁界の印加方向に対して傾斜した方向の配向磁場を、均一性高く印加することができる。その結果、単純形状をとらず、磁石材料粉末の配向方向が直線的でない成形体を製造する場合でも、効率的に、磁石材料粉末を、成形体の各部において、均一性高く配向させることができる。

図面の簡単な説明

0022

本発明の一実施形態にかかる成形型を、磁界発生用コイル等とともに示す概略断面図である。なお、断面を示すハッチングは省略している(図2も同様)。
上記成形型に含まれるヨーク部材を拡大して示す断面図である。
成形型における磁束の分布を示すシミュレーション結果であり、(a)はヨーク部材にスリットを設けた場合、(b)はスリットを設けていない場合を示している。
円弧型焼結磁石の各部での配向性の評価について説明する図である。(a)は、焼結磁石の形状および測定位置を示している。(b)はヨーク部材にスリットを設けた場合の結果、(c)はヨーク部材にスリットを設けていない場合の結果を示している。

0023

以下に、本発明の実施形態にかかる成形型および磁石材料の成形方法について、詳細に説明する。本発明の一実施形態にかかる成形型は、磁石材料粉末を磁界中で配向させて成形するものである。また、本発明の一実施形態にかかる磁石材料の成形方法においては、そのような成形型を用いて磁石材料粉末の配向と成形を行う。磁界中で、磁石材料粉末を配向させて成形するものであれば、本発明の実施形態にかかる成形型を利用して行う成形の具体的な方式は、特に限定されるものではないが、以下では、機械的圧力の印加を伴わずに磁石材料粉末の配向と成形を行うプレスレス法(PLP法)に適した成形型、およびそのような成形型を用いたPLP法による磁石材料の成形を中心に、説明を行う。

0024

[成形型の構成]
図1に、本発明の一実施形態にかかる成形型1を、磁界発生用コイル2および外部ヨーク3,3とともに示す。また、図2に、成形型1を構成するヨーク部材20,30を拡大して示す。ここでは、成形型1の幅方向(図中横方向)をx方向、前後方向(図中上下方向)をy方向、それらに直交する厚さ方向(図中奥行き方向)をz方向としている。前後方向については、前方(図中上方)を+y方向、後方(図中下方)を−y方向とする。磁石材料粉末を充填した成形型1に、y方向に沿った外部磁界Hを印加して、成形型1を使用することになる。

0025

成形型1は、内部に磁石材料粉末を充填することができ、充填した磁石材料粉末を、y方向に印加した外部磁界Hによって配向させるとともに、所定の形状に成形する。用いる磁石材料粉末は、形状異方性を有しており、磁界Hの印加によって、特定の方向に配向させられる強磁性体よりなる粉末であれば、特に限定されるものではないが、Nd−Fe−B系磁石等、R−T−B系磁石材料(Rは希土類金属、Tは鉄族遷移金属)の粉末を、好適な対象とすることができる。

0026

本実施形態にかかる成形型1は、保持型10と、1対のヨーク部材20,30と、を有している。ヨーク部材は、相互に独立した前方ヨーク部材20と後方ヨーク部材30の対よりなっている。

0027

保持型10は、成形型1の外郭を構成するものであり、非磁性体、好ましくはカーボン材よりなっている。成形型1は、内部に、空洞として、充填空間11を有している。充填空間11は、磁石材料粉末を成形すべき所定の形状を有している。充填空間11の具体的な形状は、所望される成形体の形状に合わせて規定すればよく、特に限定されるものではないが、外部から印加する磁界Hの方向(y方向)、およびその磁界Hに垂直な方向(x方向)に対して、充填空間11の外縁が、傾斜または曲面形状を有していることが好ましい。特に、弧形状(瓦形状)の成形体を得るために、図示したように、充填空間11のxy平面内の断面形状が、弧形状となっていることが好ましい。この場合、充填空間11が、前方(+y側)の端面として、断面が後方(−y側)に凸の弧形状よりなる前端面11aを有するとともに、後方の端面として、断面が、前端面11aよりも曲率半径の大きい、後方に凸の弧形状よりなる後端面11bを有しており、さらに、前端面11aと後端面11bを両端部で結ぶ1対の側端面を有している。好ましくは、断面において、前端面11aと後端面11bが、同心の円弧よりなっているとよい。

0028

保持型10は、さらに、充填空間11の前方および後方(±y方向)に、前方ヨーク部材20と後方ヨーク部材30をそれぞれ嵌め込むことができる空洞として、ヨーク設置部12,13を有している。ヨーク設置部12,13は、各ヨーク部材20,30の外形よりもわずかに大きく形成されており、ヨーク部材20,30をほぼ隙間なく嵌め込むことができる。2つのヨーク設置部12,13と、充填空間11の間は、それぞれ、薄板状の隔離壁14,15によって区画されている。換言すると、隔離壁14,15が、2つのヨーク設置部12,13に面する充填空間11の壁面を構成している。隔離壁14,15は、保持型10の他の部位を構成しているのと同じ非磁性体よりなっており、保持型10の他の部位と連続して、一体に形成されている。隔離壁14,15は、厚さが略均一な薄板状に形成されており、好ましくは、その厚みは0.5mm以下である。また、隔離壁14,15の厚みは、後で詳しく説明するヨーク部材20,30においてスリット22,32が形成された領域の長さ(L)に対して、10%以下であることが好ましい。

0029

前方ヨーク部材20および後方ヨーク部材30は、それぞれ、磁性体よりなるブロック状の部材として形成されている。ヨーク部材20,30を構成する材料は、特に限定されるものではないが、軟磁性体、特に、成形対象の磁石材料粉末よりも高い軟磁気特性低保磁力および高透磁率)を示すものであることが好ましい。鉄や、パーメンジュール等のFe−Co合金を好適に用いることができる。

0030

前方ヨーク部材20および後方ヨーク部材30はそれぞれ、保持型10の充填空間11の前後に設けられたヨーク設置部12,13に嵌め込まれ、締結部材40によって、保持型10に固定されている。前方ヨーク部材20と後方ヨーク部材30は、充填空間11および2枚の隔離壁14,15を挟んで、相互に離間して、保持型10内に配置された状態となっている。

0031

前方ヨーク部材20および後方ヨーク部材30はそれぞれ、端面として、成形面21,31を有している。成形面21,31は、隔離壁14,15を介して、充填空間11に面している。前方ヨーク部材20の成形面である前方成形面21は、充填空間11の前端面11aに沿った形状を有し、後方ヨーク部材30の成形面である後方成形面31は、充填空間11の後端面11bに沿った形状を有している。つまり、充填空間11が、上記のような弧形状の断面を有している場合に、前方成形面21および後方成形面31は、磁界Hの印加方向に沿って同方向に凸となった、相互に曲率半径の異なる弧形状の断面を有している。後方成形面31の曲率半径が、前方成形面21の曲率半径よりも大きくなっている。好ましくは、前方成形面21と後方成形面31は、同心状の円弧形状の断面を有しているとよい。

0032

前方ヨーク部材20および後方ヨーク部材30は、それぞれ、複数のスリット22,32を有している。それらのスリット22,32は、各ヨーク部材20,30の成形面21,31に開口して、切り欠かれている。つまり、前方ヨーク部材20においては、前方スリット22が、前方成形面21から、前方(+y側)に向かって、細長い切り欠きとして形成されている。一方、後方ヨーク部材30においては、後方スリット32が、後方成形面31から、後方(−y側)に向かって、細長い切り欠きとして形成されている。

0033

前方スリット22および後方スリット32は、複数設けられているうち、少なくとも一部が、磁界Hの印加方向(y方向)に対して傾斜した方向に切り欠かれている。図示した形態では、前方スリット22および後方スリット32は、幅方向(x方向)中央のスリットを除いて、磁界Hの印加方向に対して傾斜している。スリット22,32の具体的な切り欠き方向は、充填空間11に充填した磁石材料粉末を配向させるための磁場(配向磁場)を印加したい方向に沿って設定すればよい。充填空間11を弧形状に形成し、弧形状の成形体を作製する場合には、通常、成形体の内弧と外弧を結ぶ放射方向(ラジアル方向)に磁石材料粉末を配向させることが所望されるため(ラジアル配向)、成形型1において、同方向に凸に形成された充填空間11の前端面11aと後端面11bを結ぶラジアル方向に、配向磁場を発生させることが求められる。この場合には、図示するように、前方スリット22および後方スリット32を、前方成形面21と後方成形面31を結ぶラジアル方向に切り欠いておけばよい。

0034

スリット22,32の長さ(深さ)や間隔は、特に限定されるものではないが、後に理由を説明するように、スリット22,32によってヨーク部材20,30が分割されて形成される分割領域23,33のそれぞれについて、成形面21,31における幅(D)に対する長さ(L)の比(L/D)が、5以上、また10以下になるように、スリット22,32の長さおよび間隔を設定すればよい(図面では後方ヨーク部材30についてのみ、DおよびLの符号を表示しているが、前方ヨーク部材20についても同様である)。また、前方ヨーク部材20の分割領域23と後方ヨーク部材30の分割領域33をそれぞれ延長したものが、充填空間11を挟んで連続するように、前方スリット22と後方スリット32の間で、角度間隔が揃っていることが好ましい。つまり、前方成形面21と後方成形面31が同心円弧よりなる場合に、前方スリット22と後方スリット32の間を結ぶ直線群が、それら同心円弧の径方向に延びるものとなることが好ましい。

0035

各ヨーク部材20,30の具体的な寸法も特に限定されるものではないが、前後方向(y方向)に厚い形状を有していることが好ましい。例えば、スリット22,32がラジアル方向に形成されている場合に、スリット22,32が形成された領域の前端と後端に相当する円弧の径の比(R1/R2;図面では後方ヨーク部材30についてのみ、R1およびR2の符号を表示しているが、前方ヨーク部材20についても同様である)が、前方ヨーク部材20、後方ヨーク部材30とも、1.2以上であることが好ましい。

0036

前方ヨーク部材20および後方ヨーク部材30は、スリット22,32が設けられた領域を挟んで、成形面21,31から離れた位置に、各1対の係止部24,34を有している。つまり、前方ヨーク部材20は、前方スリット22が設けられた領域よりも前方(+y側)に、1対の係止部24,24を有し、後方ヨーク部材30は、後方スリット32が設けられた領域よりも後方(−y側)に、1対の係止部34,34を有している。各係止部24,34は、磁界Hの印加方向(y方向)に交差する方向に沿って、スリット22,32が設けられた領域から外側に突出している。図示した形態では、係止部24,34は、ヨーク部材20,30の幅方向外側(±x方向)に突出している。各ヨーク部材20,30は、係止部24,34によって、保持型10に係止された状態で、締結部材40によって、保持型10に取り付けられている。

0037

[磁石材料の成形方法]
次に、上記の成形型1を用いて、磁石材料を成形する方法について説明する。ここでは、PLP法によって、成形を行う。

0038

成形に先立って、保持型10のヨーク設置部12,13に、前方ヨーク部材20および後方ヨーク部材30をはめ込み、締結部材40によって固定しておく。そして、充填空間11に、磁石材料粉末を充填しておく。充填密度は、特に限定されるものではないが、PLP法によるR−T−B系磁石材料の成形においては、比較的低い密度が採用されることが多く、例えば、3.3〜3.6g/cm2とすることができる。

0039

そして、図1のように、成形型1の外周に、磁束の乱れを低減するために、軟磁性体よりなる外部ヨーク3,3を配置して、円筒型の磁界発生用コイル2の内部に配置する。この際、コイル2の軸に、成形型1の前後方向(y方向)を揃えておく。さらに、不活性ガスの充填や真空排気により、保持型10の中の雰囲気を制御しておくことが好ましい。

0040

この状態で、コイル2にパルス電流を流し、パルス状の磁界Hを発生させる。磁界Hの方向は、コイル2の軸方向、つまり成形型1の前後方向(y方向)となる。

0041

外部から磁界Hを印加すると、成形型1のヨーク部材20,30を磁束が通過し、充填空間11に配向磁場が形成される。充填空間11に充填された異方性を有する磁石材料粉末は、配向磁場によって、配向される。配向磁場の方向は、ヨーク部材20,30に形成された磁路に沿った方向、つまりスリット22,32の方向に沿ったものとなる。スリット22,32が、外部磁界Hの印加方向(y方向)に対して傾斜を有しているため、ヨーク部材20,30の各分割領域23,33に形成された磁路を通過する磁束は、y方向に対して、曲げられることになる。充填空間11が弧形状を有しており、スリット22,32がラジアル方向に形成されている場合には、ラジアル方向の配向磁場が形成され、磁石材料粉末がラジアル配向する。

0042

十分に磁石材料粉末が配向するまで、パルス磁界Hの印加を行った後、適宜、成形型1を加熱室に移動させ、磁石材料粉末の焼結を行う。焼結の間も、保持型10の中の雰囲気の制御を継続することが好ましい。焼結が完了すると、充填空間11から、得られた焼結体を取り出し、異方性焼結磁石を得ることができる。焼結磁石は、弧形状等、充填空間11によって規定される外形を有し、ラジアル方向等、ヨーク部材20,30のスリット22,32の方向によって規定される方向に、磁石材料が配向した組織を有するものとなる。

0043

[成形型を用いた磁石材料粉末の配向]
本実施形態にかかる成形型1においては、充填空間11を挟んで、1対のヨーク部材20,30が設けられている。外部磁界Hによる磁束は、ヨーク部材20,30を通過する際に、ヨーク部材20,30の全体形状に応じて曲げられる。よって、円弧形状等、外部磁界Hの方向に対して角度を有する形状の成形面21,31を備えたヨーク部材20,30を、充填空間11の外側に設けておくことで、充填空間11に形成される配向磁場を、外部磁界Hの印加方向(y方向)に対して傾斜させることができる。さらに、本実施形態のように、ヨーク部材20,30にスリット22,32を設けておけば、スリット22,32に沿った方向に、磁束が通過する磁路が形成されるので、スリット22,32の方向を規定することで、ラジアル方向等、外部磁界Hの方向に対して傾斜した配向磁場を、形成しやすくなる。その結果、ラジアル方向等、直線的でない方向であっても、所望の方向に、磁石材料粉末を配向させやすくなる。

0044

ヨーク部材20,30にスリット22,32を設けておくことで、配向磁場の方向を規定する効果に加え、配向磁場の空間的均一性を高める効果、および配向磁場印加における効率を高める効果を得ることができる。もし、ヨーク部材20,30にスリット22,32が設けられていないとすれば、ヨーク部材20,30の内部で反磁界が発生することにより、ヨーク部材20,30の端部において、磁束の漏れが起こりやすくなる。

0045

図3(b)に、スリット22,32を設けていないブロック状の前方ヨーク部材20および後方ヨーク部材30を用いた場合について、磁束の分布をシミュレーションした結果を示す。図中、濃いグレーで表示した円弧形状の部位が前方ヨーク部材20および後方ヨーク部材30であり、それらの間の薄いグレーで表示した部位が充填空間11である。シミュレーションは、有限要素法(FEM)を用いた電磁界解析によって行っている(分析ソフト:JMAG)。前方ヨーク部材20および後方ヨーク部材30は、同心円弧形状とした。また、充填空間11には、磁石材料粉末を充填せず、空気が存在するとしている。

0046

この場合には、反磁界の効果により、図中に円で囲んで示すように、磁束がヨーク部材20,30の端部に集中し、端部から磁束の漏れが起こっている。磁束がヨーク部材20,30の端部から漏れることにより、充填空間11に形成される配向磁場に、空間的な不均一性が生じ、充填空間11の円弧形状に沿って、端部において、中央部よりも配向磁場が弱くなってしまう。その結果、充填空間11に充填した磁石材料粉末の配向性が、端部において、中央部よりも低くなってしまう。すると、製造される焼結磁石において、所望の磁気特性を均一に得ることができなくなる。さらに、磁束の漏れが発生することで、要求される配向磁場を形成するために、大きな外部磁界Hを印加する必要が生じ、大型のコイル2を使用することや、コイル2に大電流を流すことが必要となる。すると、磁石材料粉末の配向に必要な配向磁場を形成するためのエネルギー効率が、悪くなってしまう。

0047

これに対し、ヨーク部材20,30において、磁路を細長く形成することができれば、反磁界係数が低下して、磁束が磁路を通過しやすくなる。本実施形態にかかる成形型1のように、ヨーク部材20,30の成形面21,31に沿って、複数のスリット22,32を設け、ヨーク部材20,30を細長い分割領域23,33に分割して、磁束の通りやすい細長い磁路を多数形成しておくことで、成形面21,31に沿った各部に、磁束を均一性高く分布させるとともに、ヨーク部材20,30の端部からの磁束の漏れを抑制することができる。

0048

図3(a)に、1対のヨーク部材20,30のそれぞれにスリット22,32を設けた場合について、図3(b)と同様に行った磁束の分布のシミュレーションの結果を示す。これを見ると、ヨーク部材20,30の円弧方向に沿って、各部に、図3(b)の場合よりも磁束が高密度で分布していることが分かる。端部と中央部を比べた際の磁束密度の差もほとんどなく、高い均一性を持って、充填空間11の全域で、高磁束密度が得られていることが分かる。ヨーク部材2,30の端部からの磁束の漏れも、顕著に低減されている。

0049

このように、ヨーク部材20,30の成形面21,31に沿って、各部に、均一性高く、磁束を分布させることで、充填空間11の各部に、均一性高く、配向磁場を形成することができる。その結果、充填空間11の各部に充填された磁石材料粉末を、高い配向性と均一性をもって、ラジアル配向等、所望の方向に配向させることができる。すると、製造される焼結磁石において、所望の磁気特性を、高い空間的均一性をもって、得ることができる。配向磁場の均一化のために、ヨーク部材20,30を大型に形成するようなことは必要でない。

0050

さらに、ヨーク部材20,30からの磁束の漏れが抑制されることにより、印加する外部磁界Hを、配向磁場の発生に有効に利用することができるため、所望の配向磁場を得るために、過度に大型のコイル2を使用することや、コイル2に大電流を流すことを、避けられる。よって、配向磁場の印加における効率を高めることができる。

0051

以上のように、ヨーク部材20,30にスリット22,32を設けることで、外部磁界Hの印加方向に対して傾斜した方向を含め、所望の方向の配向磁場を、ヨーク部材20,30の成形面21,31に沿った各部に、均一性高く、また高効率で形成し、磁石材料粉末を配向させることができる。それらの効果は、ヨーク部材20,30の少なくとも一方、特に大面積の後方成形面31を有する後方ヨーク部材30にスリット32を設けておくことで、得ることができるが、両方のヨーク部材20,30にスリット22,32を設ければ、さらに効果を高めることができる。

0052

スリット22,32を、長い切り欠きとして、また小さな間隔で形成するほど、細長い磁路が形成され、磁束の均一分布の促進と漏れの抑制における効果を、高めることができる。上記のように、分割領域22,32の幅(D)に対する長さ(L)の比(L/D)を、5以上としておけば、それらの効果を十分に高めやすい。ただし、多数のスリット22,32を形成しすぎると、ヨーク部材20,30の加工が困難になるとともに、機械的強度が低下する可能性もあるので、L/D比は、10以下に留めておくことが好ましい。

0053

ヨーク部材20,30の全体形状としても、厚みが大きい方が、磁路が長くなることにより、磁束の均一分布の促進と漏れの抑制に、高い効果が得られる。上記のように、両ヨーク部材20,30において、ラジア方向にスリット22,32が形成された領域の前端と後端に相当する円弧の径の比(R1/R2)を、1.2以上としておくと、それらの効果を十分に高めやすい。

0054

本実施形態にかかる成形型1においては、充填空間11の形状を規定することで、任意の外形を有する成形体を形成するとともに、ヨーク部材20,30に形成するスリット22,32の方向を規定することで、磁石材料粉末の配向方向を制御し、均一性高く、また高効率で、磁石材料粉末の配向を達成することができる。特に、ラジアル配向を有する弧形状の焼結磁石は、モータ等の材料として需要が大きく、本実施形態にかかる成形型1を用いて、好適に成形することができる。

0055

本実施形態にかかる成形型1は、PLP法による磁石材料粉末の成形に好適に用いられるものである。PLP法においては、充填空間11に充填した磁石材料粉末に対して、機械的圧力を印加することなく、配向と成形を行い、そのまま焼結まで完了することができるため、磁石材料粉末の製造から成形型1への充填、焼結に至る各工程を、雰囲気制御して行うことができる。そのため、不純物の影響が少なく、かつ形状の精度に優れた、高磁気特性の異方性焼結磁石を製造することができるが、本実施形態にかかる成形型1を用いて、所望の方向への磁石材料粉末の配向を均一性高く行えるようにすることで、得られる焼結磁石の磁気特性をさらに高め、また磁気特性の空間分布を低減することができる。

0056

PLP法においては、強力なパルス磁界Hを成形型1の外部から印加するが、この際、ヨーク部材20,30の成形面21,31に磁石材料粉末が直接接触するとすれば、磁化した磁石材料粉末が、成形面21,31に付着する可能性がある。特に、成形面21,31に開口したスリット22,32に磁石材料粉末が入り込むと、除去が困難となり、磁石材料の成形における作業性が低下してしまう。そこで、ヨーク部材20,30と充填空間11の間に、非磁性材料よりなる隔離壁14,15を設けておくことで、磁石材料粉末が、ヨーク部材20,30の成形面21,31と直接接触しなくなり、磁石材料粉末の成形面21,31への付着、およびスリット22,32への侵入を防止することができる。ただし、隔離壁14,15を厚くしすぎると、充填空間11の中に、配向磁場を効率的に形成しにくくなるので、その厚さは、0.5mm以下、また、スリット22,32が形成された領域の長さ(L)に対して10%以下に留めておくことが好ましい。それによって、充填空間11に充填した磁石材料粉末を効率的に配向させることができる。

0057

さらに、成形型1に強力なパルス磁界Hを印加した際に、パルス印加の衝撃により、ヨーク部材20,30が保持型10に対して位置ずれを起こす可能性がある。しかし、ヨーク部材20,30に、磁界Hの印加方向に交差する方向に突出した係止部24,34を設けておき、保持型10に係止しておくことで、ヨーク部材20,30の位置ずれを抑制することができる。スリット22,32が形成された領域を挟んで、成形面21,31から離れた位置に、係止部24,34を設けておくことで、充填空間11に形成される配向磁場の方向や分布に、係止部24,34の存在が影響を与えるのを回避しながら、位置ずれ抑制の効果を高く得ることができる。

0058

[その他の形態]
以上では、成形型1がPLP法による磁石材料の成形に用いられる場合について、詳細に説明した。しかし、磁界中で磁石材料粉末を配向させて成形するものであれば、本発明の実施形態にかかる成形型は、どのような成形法に適用されるものであってもよい。

0059

例えば、特許文献1に記載されるもののように、磁場中プレス加工に用いる成形型として、本発明の実施形態にかかる成形型を構成することができる。この場合には、上記で説明したPLP法用の成形型1とは異なり、保持型10や隔離壁14,15を設けず、プレス装置の1対のダイスによって形成されるキャビティの内側に、1対のヨーク部材20,30を設置しておく。そして、相互に対向した1対のヨーク部材20,30の間の空間が、磁石材料粉末が充填される充填空間11となる。そして、ダイスの外側から静磁界を印加することで、充填空間11に充填された磁石材料粉末を配向させた状態で、機械的圧力を印加し、磁石材料粉末を成形する。得られた成形体をプレス装置から取り出し、焼結することで、異方性焼結磁石が得られる。

0060

このように、磁場中プレス成形に用いる成形型においても、ヨーク部材20,30にスリット22,32を設けることで、磁界Hの印加方向に対して傾斜した配向磁場を、均一性高く形成することができる。また、磁束の漏れの抑制により、配向磁場形成における効率を高めることができる。

0061

以下に本発明の実施例を示す。なお、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。

0062

試料の作製]
実施例および比較例にかかる試料として、Nd−Fe−B粉末を用いて、PLP法によって、円弧形状の焼結磁石を作製した。円弧形状としては、図4(a)に示すように、外径を37mm、内径を32mm、開角を±40°とした。

0063

粉末磁石材料の配向に際しては、上で説明したようなヨーク部材を備えた成形型を使用した。実施例においては、図1,2に示したとおり、1対のヨーク部材として、スリットを設けたものを使用した。スリットは、4.5°の角度間隔で設けた。比較例においては、スリットを設けていないヨーク部材を用いた。なお、実施例については、ヨーク部材の厚さについても、最適化している。

0064

磁石材料粉末の充填密度は、実施例では、3.5g/cm3とした。比較例では、3.34g/cm3,3.39g/cm3,3.41g/cm3の3通りとした。また、印加する外部磁界の大きさは、コイルに印加するパルス電圧の大きさによって変化させ、実施例では、基準の電圧をV0として、1.0V0,1.5V0,2.0V0の3とおりとした。また、比較例では、2.5V0とした。成形体の焼結温度は、985〜1000℃の範囲で制御した。

0065

[配向性の評価]
実施例および比較例にかかる焼結磁石に対して、図4(a)に斜線で表示した各領域の磁石を切り出して、磁化曲線の測定を行い、磁石材料粉末の配向性を評価した。磁化曲線の測定は、パルス励磁測定装置を用いて、切り出した磁石の長手方向に垂直な方向に磁場を印加して行った。

0066

そして、測定結果に基づき、各試料に対して、残留磁束密度(Br)と飽和磁束密度(4πIs)の値を記録した。飽和磁束密度に対する残留磁束密度の比Br/4πIsは、磁石材料粉末の配向性の指標となり、その値が大きいほど、配向性が高いと評価することができる。

0067

測定は、試料上の3か所で行った。具体的には、図3(a)に示すように、「中心」として、円弧形状の中央部で測定を行うとともに、「端1」および「端2」として、円弧形状に沿って、中心から−20°および+20°の位置で、測定を行った。

0068

[評価結果]
図4(b),(c)に、それぞれ実施例および比較例にかかる試料について、配向性の評価結果を示す。

0069

まず、図4(c)の比較例の結果を見ると、いずれの充填密度についても、配向性が、中心部で高く、両端部で低くなった挙動が見られている。これは、成形型を用いた成形時に、充填空間に、ラジアル方向の配向磁場が均一に形成されず、端部において、中央部よりも配向磁場が弱くなっており、端部において十分な配向が達成できなかったものと解釈される。

0070

次に、図4(b)の実施例の結果を見ると、いずれのコイル印加電圧のデータにおいても、中心部と端部で、配向性にほぼ差が見られない。これは、成形型のヨーク部材にスリットを設けることにより、充填空間に、ラジアル方向の配向磁場が均一性高く形成され、円弧形状に沿った各部で、均一性高く、粉末磁石材料が配向されたものと解釈される。なお、この配向の均一性の改善は、スリットの形成の効果に加え、ヨーク部材の厚さを最適化したことの効果も反映されたものではあるが、ヨーク部材の厚さの最適化だけでは、改善の程度が低くなることを、確認している。

0071

さらに、図4(b)の結果においては、配向性の程度(Br/4πIsの値)、および位置ごとの配向性の均一性のいずれについても、コイル印加電圧を3とおりに変化させた際に、ほぼ変化していない。このことは、コイル印加電圧が1.0V0の場合でも、充填空間の各部における配向性の向上および均一化の効果が、すでに飽和に達していることを示している。それに対し、図4(a)の比較例の場合では、コイル印加電圧を2.5V0としても、配向性の均一化を十分に達成できていない。このことより、実施例のようにスリットを形成したヨーク部材を用いて磁石材料粉末の配向を行うことで、スリットのないヨーク部材を用いる場合に比べて、磁界印加のためにコイルに流す電流を40%まで低減しても、十分に高い配向性を、均一に達成することができ、配向磁場の形成の効率を高められていると言える。これは、ヨーク部材からの磁束の漏れを抑制できていることによると解釈される。

実施例

0072

以上、本発明の実施形態について説明した。本発明は、これらの実施形態に特に限定されることなく、種々の改変を行うことが可能である。

0073

1成形型
2磁界発生用コイル
3外部ヨーク
10保持型
11充填空間
11a前端面
11b後端面
14,15隔離壁
20前方ヨーク部材
21 前方成形面
22 前方スリット
23 分割領域
30後方ヨーク部材
31 後方成形面
32後方スリット
33 分割領域
40締結部材
H (外部)磁界

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