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技術 アルミナ繊維および自動車排ガス浄化装置用の把持材

出願人 デンカ株式会社
発明者 大橋寛之酒井謙嘉大島康孝相京輝洋岡田拓也
出願日 2019年1月16日 (1年11ヶ月経過) 出願番号 2019-005424
公開日 2020年7月27日 (5ヶ月経過) 公開番号 2020-111860
状態 未査定
技術分野 機械的応力負荷による材料の強さの調査 無機繊維 排気の後処理
主要キーワード 中空円板 傾き比 面圧測定 綿状繊維 紡糸助剤 ブランケット状 把持材 非繊維化
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題

十分な強度を発揮するとともに、信頼性を長期にわたり維持することができるアルミナ繊維を提供する。

解決手段

本発明のある態様のアルミナ繊維は、アルミナを70質量%以上98質量%以下含み、シリカを2質量%以上30質量%以下含む。当該アルミナ繊維を測定対象としてナノインデンテーション法を実施して得られる、荷重変位曲線中の除荷曲線において、最大荷重から10%除荷した時点における変位をh1、最大荷重から20%除荷した時点における変位をh2、最大荷重から80%除荷した時点における変位をh3、最大荷重から90%除荷した時点における変位をh4とし、点(変位h2、荷重P(80))と点(変位h1、荷重P(90))とを結ぶ線の傾きをS1、点(変位h4、荷重P(10))と点(変位h3、荷重P(20))とを結ぶ線の傾きをS2としたとき、傾き比S2/S1が0.4以上0.8以下である。

概要

背景

アルミナシリカを主成分とするアルミナ繊維は、1500℃を超える高温下においても高い耐久性を発揮することから、鉄鋼、金属、セラミックス自動車などの幅広い分野で高温用耐火断熱材として使用されている。
こうした高温用耐火断熱材の用途の例として、自動車用排ガス浄化装置ケーシング内の把持材がある。把持材は、触媒担体を固定して振動による破損を防ぐ目的や排ガスシール材としての目的のため設けられる(たとえば、特許文献1参照)。

概要

十分な強度を発揮するとともに、信頼性を長期にわたり維持することができるアルミナ繊維を提供する。本発明のある態様のアルミナ繊維は、アルミナを70質量%以上98質量%以下含み、シリカを2質量%以上30質量%以下含む。当該アルミナ繊維を測定対象としてナノインデンテーション法を実施して得られる、荷重変位曲線中の除荷曲線において、最大荷重から10%除荷した時点における変位をh1、最大荷重から20%除荷した時点における変位をh2、最大荷重から80%除荷した時点における変位をh3、最大荷重から90%除荷した時点における変位をh4とし、点(変位h2、荷重P(80))と点(変位h1、荷重P(90))とを結ぶ線の傾きをS1、点(変位h4、荷重P(10))と点(変位h3、荷重P(20))とを結ぶ線の傾きをS2としたとき、傾き比S2/S1が0.4以上0.8以下である。

目的

本発明は、十分な強度を発揮するとともに、信頼性を長期にわたり維持することができるアルミナ繊維を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

アルミナを70質量%以上98質量%以下含み、シリカを2質量%以上30質量%以下含むアルミナ繊維であって、当該アルミナ繊維を測定対象として以下の条件でナノインデンテーション法を実施して得られる、横軸変位縦軸荷重とする荷重−変位曲線中の除荷曲線において、最大荷重から10%除荷した時点における変位をh1、最大荷重から20%除荷した時点における変位をh2、最大荷重から80%除荷した時点における変位をh3、最大荷重から90%除荷した時点における変位をh4とし、点(変位h2、荷重P(80))と点(変位h1、荷重P(90))とを結ぶ線の傾きをS1、点(変位h4、荷重P(10))と点(変位h3、荷重P(20))とを結ぶ線の傾きをS2としたとき、傾き比S2/S1が0.4以上0.8以下であるアルミナ繊維。(条件)・ISO14577に準拠した方式で押し込み試験を実施する。・測定圧子:稜間角115度ダイヤモンド三角圧子・最大荷重:5mN・負荷速度:0.3mN/秒・最大荷重保持時間:5秒

請求項2

前記除荷曲線において、{荷重P(90)−荷重P(80)}/(h1−h2)が30mN/μm以上75mN/μm以下である請求項1に記載のアルミナ繊維。

請求項3

前記除荷曲線において、{荷重P(20)−荷重P(10)}/(h3−h4)が20mN/μm以上50mN/μm以下である請求項1または2に記載のアルミナ繊維。

請求項4

自動車用排ガス浄化装置把持材の形成に用いられる請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアルミナ繊維。

請求項5

請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアルミナ繊維を用いて形成された自動車排ガス浄化装置用の把持材。

技術分野

0001

本発明は、アルミナ繊維および自動車排ガス浄化装置用の把持材に関する。

背景技術

0002

アルミナシリカを主成分とするアルミナ繊維は、1500℃を超える高温下においても高い耐久性を発揮することから、鉄鋼、金属、セラミックス自動車などの幅広い分野で高温用耐火断熱材として使用されている。
こうした高温用耐火断熱材の用途の例として、自動車用排ガス浄化装置ケーシング内の把持材がある。把持材は、触媒担体を固定して振動による破損を防ぐ目的や排ガスシール材としての目的のため設けられる(たとえば、特許文献1参照)。

先行技術

0003

特開平7−286514号公報

発明が解決しようとする課題

0004

自動車用排ガス浄化装置のケーシングは、排ガスの熱により膨張し、自動車が走行と停止を繰り返すたびに、上記ケーシングに収められる把持材は負荷を受ける。このため、把持材には、繰り返し負荷を受け続けても、長期にわたり触媒担体を保持する性能が要求される。一方で、把持材には、繰り返し負荷を受けても、縦割れなどの破損が生じず、長期にわたり信頼性を良好に発揮するという性能が要求される。
こうした性能について求められる水準は年々高まっており、従来のアルミナ繊維についてもさらなる改良が求められている。把持材以外の用途においても、アルミナ繊維の高温使用時における諸特性に関し、より高い水準のものが求められている。具体的には、高温環境下の使用時において、より硬い強度を発揮するとともに、信頼性を高い水準で維持することができるアルミナ繊維が求められている。
上記を踏まえ、本発明は、十分な強度を発揮するとともに、信頼性を長期にわたり維持することができるアルミナ繊維を提供するものである。

課題を解決するための手段

0005

本発明によれば、アルミナを70質量%以上98質量%以下含み、シリカを2質量%以上30質量%以下含むアルミナ繊維であって、
当該アルミナ繊維を測定対象として以下の条件でナノインデンテーション法を実施して得られる、横軸変位縦軸荷重とする荷重−変位曲線中の除荷曲線において、
最大荷重から10%除荷した時点における変位をh1、
最大荷重から20%除荷した時点における変位をh2、
最大荷重から80%除荷した時点における変位をh3、
最大荷重から90%除荷した時点における変位をh4とし、
点(変位h2、荷重P(80))と点(変位h1、荷重P(90))とを結ぶ線の傾きをS1(mN/μm)、点(変位h4、荷重P(10))と点(変位h3、荷重P(20))とを結ぶ線の傾きをS2(mN/μm)としたとき、
傾き比S2/S1が0.4以上0.8以下であるアルミナ繊維が提供される。
(条件)
・ISO14577に準拠した方式で押し込み試験を実施する。
・装置:島津製作所製ダイナミック微小硬度計DUH−211
圧子弾性率:1.14×106N/mm2
測定圧子:稜間角115度ダイヤモンド三角圧子
・最大荷重:5mN
負荷速度:0.2926mN/秒
・最大荷重保持時間:5秒

0006

また、本発明によれば、上述したアルミナ繊維を用いて形成された自動車排ガス浄化装置用の把持材が提供される。

発明の効果

0007

本発明によれば、十分な強度を発揮するとともに、信頼性を長期にわたり維持することができるアルミナ繊維を提供することができる。

図面の簡単な説明

0008

ナノインデンテーション法によって得られる荷重−変位曲線の模式図である。

0009

以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。

0010

実施形態に係るアルミナ繊維は、アルミナ(Al2O3)を70質量%以上98質量%以下含み、シリカ(SiO2)を2質量%以上30質量%以下含む。
当該アルミナ繊維を測定対象として以下の条件でナノインデンテーション法を実施して得られる、横軸を変位、縦軸を荷重とする荷重−変位曲線中の除荷曲線において、
最大荷重から10%除荷した時点における変位をh1、
最大荷重から20%除荷した時点における変位をh2、
最大荷重から80%除荷した時点における変位をh3、
最大荷重から90%除荷した時点における変位をh4とし、
点(変位h2、荷重P(80))と点(変位h1、荷重P(90))とを結ぶ線の傾きをS1、点(変位h4、荷重P(10))と点(変位h3、荷重P(20))とを結ぶ線の傾きをS2としたとき、傾き比S2/S1が0.4以上0.8以下である。
(条件)
・ISO14577に準拠した方式で押し込み試験を実施する。
・装置:島津製作所製ダイナミック微小硬度計DUH−211
・圧子弾性率:1.14×106N/mm2
・測定圧子:稜間角115度ダイヤモンド三角錘圧子
・最大荷重:5mN
・負荷速度:0.3mN/秒
・最大荷重保持時間:5秒

0011

本実施形態のアルミナ繊維は、アルミナおよびシリカの含有率と上述した傾き比S2/S1を同時に制御することにより、十分な強度を発揮するとともに、信頼性を長期にわたり維持することができる。

0012

以下、本実施形態のアルミナ繊維について詳細に説明する。
(アルミナ繊維の成分)
本実施形態のアルミナ繊維はアルミナおよびシリカを含む。本実施形態のアルミナ繊維におけるアルミナの含有率の下限は、70質量%以上であり、72質量%以上がより好ましい。一方、実施形態に係るアルミナ繊維におけるアルミナの含有率の上限は、98質量%以下であり、97質量%以下がより好ましい。

0013

アルミナ繊維におけるアルミナの含有率を70質量%以上とすることにより、耐熱性を向上させることができ、特に、自動車排ガス浄化装置の把持材として使用したとき、高温の排気ガスによってアルミナ繊維が劣化することを抑制することができる。また、アルミナ繊維におけるアルミナの含有率を98質量%以下とすることにより、アルミナ繊維の強度を十分なものとすることができ、特に、自動車排ガス浄化装置の把持材として使用したときの強度や保持力を十分なものとすることができる。

0014

また、実施形態に係るアルミナ繊維におけるシリカの含有率の下限は、2質量%以上であり、3質量%以上がより好ましい。一方、実施形態に係るアルミナ繊維におけるシリカの含有率の上限は、30質量%以下であり、28質量%以下がより好ましい。

0015

アルミナ繊維におけるシリカの含有率の下限を3質量%以上とすることにより、強度を高めることができる。一方、アルミナ繊維におけるシリカの含有率の上限を30質量%以下とすることにより、耐熱性を高めることができる。

0016

本実施形態のアルミナ繊維において、アルミナとシリカの総質量に対するアルミナの含有率の下限は、70質量%以上であり、72質量%以上がより好ましい。一方、アルミナとシリカの総質量に対するアルミナの含有率の上限は、98質量%以下であり、97質量%以下がより好ましい。

0017

アルミナとシリカの総質量に対するアルミナの含有率の下限を70質量以上とすることにより、耐熱性を向上させることができ、特に、自動車排ガス浄化装置の把持材として使用したとき、高温の排気ガスによってアルミナ繊維が劣化することを抑制することができる。また、アルミナとシリカの総質量に対するアルミナの含有率を98質量%以下とすることにより、アルミナ繊維の強度を十分なものとすることができ、特に、自動車排ガス浄化装置の把持材として使用したときの強度や保持力を十分なものとすることができる。

0018

(ナノインデンテーション法により規定される指標
本実施形態では、アルミナ繊維について、ナノインデンデーション法により上述した測定条件で取得される荷重−変位曲線から以下の指標が規定される。
図1は、ナノインデンテーション法によって得られる荷重−変位曲線の模式図である。荷重P(90)、荷重P(80)、荷重P(20)、荷重P(10)は、最大荷重Pmaxから、それぞれ10%、20%、80%、90%除荷された荷重である。
除荷曲線上の点(変位h2、荷重P(80))と点(変位h1、荷重P(90))とを結ぶ直線の傾きS1(mN/μm)は、下記式(1)で表される。
(P(90)−P(80))/(h1−h2)・・・・(1)
また、除荷曲線上の点(変位h3、荷重P(20))と点(変位h4、荷重P(10))とを結ぶ直線の傾きS2(mN/μm)は、下記式(2)で表される。
(P(20)−P(10))/(h3−h4)・・・・(2)
本実施形態のアルミナ繊維では、傾き比S2/S1の下限が0.4以上であり、0.45以上が好ましく、0.5以上がより好ましい。また、傾き比S2/S1の上限が0.8以下であり、0.75以下が好ましく、0.7以下がより好ましい。

0019

アルミナ繊維について、ナノインデンテーション法によって得られる傾き比S2/S1の上限を上記範囲とすることにより、十分な強度を発揮するとともに、信頼性を長期にわたり維持することができる。特に、本実施形態のアルミナ繊維を把持材に用いた場合には、繰り返し負荷を受け続けても、触媒担体の保持性能と信頼性をバランス良く長期にわたり発揮させることができる。

0020

また、本実施形態のアルミナ繊維では、上述した傾きS1の下限は30mN/μm以上が好ましく、35mN/μm以上がより好ましく、40mN/μm以上がさらに好ましい。一方、当該傾きS1の上限は75mN/μm以下が好ましく、70mN/μm以下がより好ましく、65mN/μm以下がさらに好ましい。
傾きS1を上記範囲とすることにより、アルミナ繊維に適度な弾性を持たせることができ、たとえば、把持材に用いたときに、触媒担体の保持性能をより一層高めることができる。

0021

また、本実施形態のアルミナ繊維では、上述した傾きS2の下限は20mN/μm以上が好ましく、25mN/μm以上がより好ましく、30mN/μm以上がさらに好ましい。一方、当該傾きS2の上限は50mN/μm以下が好ましく、45mN/μm以下がより好ましく、40mN/μm以下がさらに好ましい。

0022

傾きS2を上記範囲とすることにより、アルミナ繊維のしなやかさやクッション性を適度にすることができる。これにより、繰り返し負荷を受け続けても、縦割れなどの破損を生じにくくすることができ、たとえば、把持材に用いたときに、繰り返し負荷を受け続けても縦割れなどの破損がより一層生じにくくさせることができる。

0023

(アルミナ繊維の製造方法1)
実施形態に係るアルミナ繊維の製造方法1は、バルク状のアルミナ繊維(綿状繊維)の製法であり、原液調製工程、紡糸工程、集綿工程および焼成工程を含む。以下、各工程の詳細について説明する。

0024

(原液調製工程)
アルミナ源として、たとえば、オキシ塩アルミニウム水溶液アルミナゾル等が用いられ、シリカ源として、たとえば、シリカゾルポリシロキサン等を用いられる。必要に応じて、紡糸助剤として、ポリビニルアルコールポリエチレングリコール等を用いることができる。これらを所望の割合に混合し、減圧濃縮することで紡糸原液が得られる。

0025

(紡糸工程)
原液調製工程で調製された紡糸原液は、紡糸装置を用いて細孔から大気中に押出され、アルミナ繊維前駆体となる。使用される紡糸装置に特に制限はなく、ブローイング紡糸装置や回転円盤紡糸装置等を用いることができる。細孔から押し出された繊維の融着を防ぎ、高面圧を有するアルミナ繊維を製造するという観点からは、特開2010−31416号公報に記載されている回転円盤紡糸法が好適に用いられる。

0026

細孔の大きさや押出条件を調節することにより、得られるアルミナ繊維の平均繊維径繊維径分布、およびショットと呼ばれる非繊維化物の含有量を制御することができる。典型的には、アルミナ繊維の平均繊維径は3μm以上8μm以下の範囲に調整される。なお、50μm以上の長さのショット含有率は1%未満であることが好ましい。

0027

(集綿工程)
紡糸工程で得られたアルミナ繊維前駆体は、集綿室内に設置したネットコンベアの下部から吸引を行うことにより、アルミナ繊維前駆体が集積され、アルミナ繊維前駆体の集積体が得られる。ネットコンベアの速度を調節することにより、得られる集積体の厚みや面重量が調整される。

0028

(焼成工程)
集綿工程で得られたアルミナ繊維前駆体は、焼成工程で焼成される。焼成工程では、焼成装置を用いて、脱脂工程、結晶化工程がこの順に行われる。

0029

脱脂工程の焼成速度は3℃/分以下が好ましい。脱脂工程では前駆体に含まれる水分、塩酸分、有機物分解反応が生じるとともに焼成生成物が発生し、アルミナ繊維前駆体の体積が急激に収縮する。脱脂工程の焼成速度を3℃/分以下とすることにより、水分、塩酸分、有機物の分解を十分に生じさせた状態で体積の収縮が起こる。この結果、欠陥の発生が抑制されたアルミナ繊維となり、面圧を十分に高めることができる。たとえば、脱脂工程では3℃/分以下の焼成速度で800℃となるまで焼成が行われる。

0030

脱脂工程ではアルミナ繊維前駆体1kgあたり0.1Nm3/h以上3Nm3/h以下の排気が行われる。排気量を0.1Nm3/h以上とすることにより、焼成装置内での分解ガス対流が十分なものとなり、分解反応の促進により欠陥の発生が抑制された繊維となり、ひいては面圧を高めることができる。また、排気量を3Nm3/h以下とすることにより、排気による持ち去り熱量が増加しすぎることを抑制し、炉内の温度制御が容易になり、ひいては、均一な加熱を行い易くなる。脱脂工程での焼成速度および排気量を制御することでアルミナ繊維の細孔構造を制御することができる。たとえば、全細孔容積が0.0055ml/g以下の微細構造を有するアルミナ繊維を製造することが可能となる。

0031

結晶化工程では最高焼成温度を変えることにより、アルミナ繊維の鉱物組成を制御することが可能である。

0032

結晶化工程では、無機繊維源の結晶化を生じさせる通常の条件(温度・保持時間)で焼成を行えばよいが、排ガス浄化装置の把持材に適したアルミナ繊維とする場合には、耐熱温度と優れた面圧とを達成するために、最高焼成温度1000℃以上1230℃以下で5分以上60分以下保持する工程とすることが好ましい。結晶化温度を1000℃以上とすることにより、アルミナ繊維の耐熱性が向上し、排ガス浄化装置の把持材の使用温度適合させることができる。一方、結晶化温度を1230℃以下とすることにより、ムライト化等のアルミナ繊維の結晶化が進みすぎて繊維強度が低下することを抑制し、面圧を十分な値に保つことができる。最高温度での保持時間を5分以上とすることにより、結晶化が十分に進行することから焼きムラの発生が抑制され、アルミナ繊維の面圧を十分な値に保持することができる。保持時間を60分以下とすることによりアルミナ繊維の結晶成長が進みすぎ、面圧が低下することを抑制することができる。

0033

なお、アルミナ繊維を排ガス浄化装置の把持材以外の用途(たとえば、加熱炉焼成炉などの工業炉)に用いる場合には、ムライト化等のアルミナ繊維の結晶化度を高めてもよく、結晶化温度の上限を1400℃としてもよい。

0034

上述した脱脂工程および結晶化工程の焼成速度、排気条件を満たすことができれば、焼成に用いる焼成装置に特に制限はない。たとえば、カンタル炉、シリコニット炉等のバッチ炉ローラーハース炉メッシュベルト型炉等の連続炉などを好適に用いることが可能である。また必要に応じてこれらの焼成装置を適宜組み合わせて用いることも可能である。

0035

(アルミナ繊維の製造方法2)
実施形態に係るアルミナ繊維の製造方法2は、ブランケット状のアルミナ繊維(綿状のアルミナ繊維の積層体、通常、厚さ5mm以上25mm以下)の製法であり、原液調製工程、紡糸工程、集綿工程、ニードリング工程および焼成工程を含む。このうち、原液調製工程、紡糸工程、集綿工程および焼成工程は上述の製造方法1と同様である。

0036

本製造方法では、以下に説明するニードリング工程が、集綿工程と焼成工程との間に実施される。

0037

(ニードリング工程)
ニードリング工程では、アルミナ繊維前駆体からなる集積体に対してニードルの突き刺しが行われる。ニードリング工程では、上記集積体の上面から下方向への突き刺し、上記集積体の下面から上方向への突き刺しを同時または順次行うことが好ましい。ニードリング工程を実施することにより、ブランケット状成形体の厚さを制御でき、また、ブランケット状成形体の面圧、引張硬度剥離強度などの特性を高めることができる。

0038

実施形態においては、アルミナ繊維に含まれる各成分の種類や配合割合、およびアルミナ繊維の製造条件を適切に調整することにより、上述のパラメータを満たすアルミナ繊維を得ることができる。

0039

なお、ブランケット状のアルミナ繊維の製造方法として、クロスラッパー(たとえば特開2000−80547号公報参照)によってアルミナ繊維前駆体からなる薄層積層体を重ね合わせる方法のように、一般のウエブ製造で用いられる方法を採用することができる。

0040

以上説明したアルミナ繊維は、十分な強度を発揮するとともに、信頼性についても長期にわたり維持することができる。

0041

(把持材)
実施形態に係るアルミナ繊維は、十分な面圧を発揮するとともに、繰り返し負荷を受け続けても縦割れなどの破損が生じにくいため、走行時の振動によって自動車用排ガス浄化装置に使用される触媒担体を固定して走行時の振動による破損を防ぐための把持材として好適に使用される。

0042

上述した製造方法1で得られるバルク状のアルミナ繊維を抄造原料とする場合には、湿式成型により、把持材に加工することができる。また、上述した製造方法2で得られるブランケット状成形体のアルミナ繊維を用いる場合には、乾式成型により把持材に加工することができる。

0043

以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。

0044

以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0045

(実施例1)
アルミナ成分が73質量%、シリカ成分が27質量%となるように、アルミナ濃度が20.0質量%のオキシ塩化アルミニウム水溶液5000gと、シリカ濃度が20.0質量%のコロイダルシリカ1850gとを混合し、さらに紡糸助剤として10質量%濃度の重合度1700の部分ケン化ポリビニルアルコール水溶液1096gを混合してから減圧脱水濃縮を行い、3300mPa・sの紡糸原液を調製した。
この紡糸原液を直径350mmφの中空円板円周面に等間隔に開いた300個の直径0.2mmφの細孔から、円盤周速度47.6m/secで回転させることにより放射状に噴出させた。噴出した原液は、150℃の熱風中に浮遊落下させながら乾燥しアルミナ繊維前駆体を製造した。
このアルミナ繊維前駆体をローラーハース炉を用い大気雰囲気下で焼成した。焼成は、雰囲気温度が800℃までの脱脂工程を前駆体1kgあたり1.8Nm3/hの排気を行いながら2℃/分で連続的に昇温し、800℃を超え1200℃までの結晶化工程は30℃/分の速度で昇温し、1200℃で30分間保持した後、1200℃から800℃までを40℃/分の冷却速度で、800℃から300℃までを125℃/分の冷却速度で冷却することで、アルミナ繊維を製造した。

0046

(実施例2)
アルミナ成分が80質量%、シリカ成分が20質量%となるように、原材料の配合割合を変えたことを除いて、実施例1と同様にアルミナ繊維を製造した。

0047

(実施例3)
最高焼成温度を1230℃とし、1230℃から800℃までを40℃/分の冷却速度で冷却したことを除いて、実施例1と同様にアルミナ繊維を製造した。

0048

(実施例4)
1200℃で30分保持後、1200℃から800℃までを80℃/分の冷却速度で、800℃から300℃までを250℃/分の冷却速度で冷却したことを除いて、実施例1と同様にアルミナ繊維を製造した。

0049

(比較例1)
噴出した原液を500℃の熱風中に浮遊落下させながら乾燥し、1200℃で30分保持した後、1200℃から自然冷却してアルミナ繊維前駆体を製造したことを除いて、実施例1と同様にアルミナ繊維を製造した。

0050

(比較例2)
800℃までの昇温速度を15℃/分とし、1200℃で30分保持した後、1200℃から自然冷却したことを除いて、実施例1と同様にアルミナ繊維を製造した。

0051

(アルミナおよびシリカの含有率)
得られたアルミナ繊維について、蛍光X線分析を実施し、アルミナおよびシリカの含有率をそれぞれ測定した。得られた結果を表1に示す。

0052

(ナノインデンテーション法による評価)
以下の条件によりISO14577に準拠した方式で押し込み試験を実施し、上述した傾きS1、S2および傾き比S2/S1を算出した。得られた結果を表1に示す。
・装置:島津製作所製ダイナミック微小硬度計DUH−211
・圧子弾性率:1.14×106N/mm2
・測定圧子:稜間角115度ダイヤモンド三角錘圧子
・最大荷重(Pmax):5mN
・負荷速度:0.3mN/秒
・最大荷重保持時間:5秒

0053

面圧測定
アルミナ繊維の強度に関連して面圧測定を実施した。具体的には、上記各実施例および各比較例のアルミナ繊維について、オートグラフ(株式会社島津製作所製)を用いて、かさ密度を0.44g/cm3から0.5g/cm3に圧縮してから開放するまでを1サイクルとし、1000サイクルを実施した後の面圧を測定した。

0054

(縦割れの有無)
アルミナ繊維の信頼性に関連して耐久試験後のアルミナ繊維における縦割れの有無を調べた。ここで、縦割れとは、アルミナ繊維の軸方向(または長径方向)に沿って生じたスジクラックを意味する。
具体的には、上記各実施例および各比較例のアルミナ繊維について、上述した1000サイクルの圧縮−開放を実施した後、任意の10本のアルミナ繊維を選び、光学顕微鏡を用いて縦割れが生じているか否かを評価した。

実施例

0055

(評価結果1:面圧測定)
実施例1〜4、比較例1では、面圧がいずれも、アルミナ繊維の面圧として実用上問題ないとされる9N/cm2以上であるのに対して、比較例2では、面圧が9N/cm2未満であった。
(評価結果2:耐久試験後の縦割れの有無)
実施例1〜4、比較例2では、10本のアルミナ繊維中、いずれのアルミナ繊維にも縦割れの発生が認められなかった。耐久試験後に縦割れが発生しないアルミナ繊維は、把持材として用いたときに信頼性を長期にわたり安定的に発揮すると考えられる。これに対して、比較例1では、10本のアルミナ繊維中、1本のアルミナ繊維に縦割れの発生が認められ、把持材として用いたときに信頼性の持続が難しいことが確認された。

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