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技術 光伝送方法および光伝送装置

出願人 国立大学法人東北大学
発明者 中沢正隆岩月勝美廣岡俊彦吉田真人葛西恵介
出願日 2017年4月28日 (3年6ヶ月経過) 出願番号 2017-089861
公開日 2020年7月16日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-109887
状態 未査定
技術分野 交流方式デジタル伝送 光通信システム
主要キーワード 将来予想 非混合型 本光検出器 位相ドリフト 光キャリヤ 任意波形 電気フィルタ 絶対周波数
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (14)

課題

簡便な構成で経済性が高く、且つロスバジェットの大きい後方レイリー散乱非混合型光伝送方法及び光伝送装置を提供する。

解決手段

基地ベースバンド部1とアンテナ無線部3との間で無線信号を、光ファイバ2を介して伝送させる。基地局ベースバンド部1に配置されたレーザ光源11を、アンテナ無線部3への下り信号の伝送用光源として用いると共に、アンテナ無線部3からの上り信号受信用局発光源として用いる。アンテナ無線部3に配置されたレーザ光源31を、基地局ベースバンド部1への上り信号の伝送用光源として用いると共に、基地局ベースバンド部1からの下り信号の受信用局発光源として用いる。上り信号と下り信号は互いに異なる周波数で伝送する。基地局ベースバンド部1および/またはアンテナ無線部3で、注入同期法又は光位相同期ループを用いて、信号光と受信用局発光源との光位相同期を行う。

概要

背景

スマートフォンの普及とLTE(Long Term Evolution)に代表されるモバイルブロードバンドサービス進展に伴い、移動通信トラフィック急増している。このような中、次世代の大容量モバイル通信システムとして第5世代移動通信システム(5G)の研究開発が国内外で精力的に進められている(例えば、非特許文献1参照)。

伝送ステムでは、伝送制御ベースバンド信号処理を行う基地ベースバンド部(BBU: Base Band Unit)を1ヵ所に集約し、アンテナ及び高周波信号処理を担うアンテナ無線部(RRH: Remote Radio Head)を分散配置するC-RAN(Centralized-Radio Access Network)の適用が検討されている(例えば、非特許文献2参照)。C-RANの構成ではBBUとRRH間(モバイルフロントホール)は光ファイバで接続され、アンテナより送受信される無線信号を光波に重畳して伝送する。

無線信号を光波に重畳して伝送する手法としては、CPRI(Common Public Radio Interface)によるデジタルRoF(Radio over Fiber)方式が広く用いられている(例えば、非特許文献3参照)。デジタルRoFでは、無線信号をデジタル化して光ファイバ伝送するため、一般に無線信号の16倍程度の光伝送帯域が要求される。10 Gbit/s以上の無線通信容量が想定される5G及びそれ以降の大容量無線アクセスシステムでは、モバイルフロントホールに要求される伝送容量は100 Gbit/s以上となる。

モバイルフロントホールの大容量化を実現する光伝送方式の一つとして、TWDM-PON(Time and Wavelength Division Multiplexing Passive Optical Network)が検討されている(例えば、非特許文献4参照)。本方式は、従来の光アクセスネットワーク技術であるTDM-PONに波長多重伝送技術を適用して大容量化を図るものであり、これまでに10 Gbit/s, OOK(On-Off Keying)信号を4波多重する40 Gbit/s伝送システムが実現されている(例えば、非特許文献5参照)。

一方、近年の光通信では、デジタルコヒーレント方式を用いた大容量光伝送技術が急速に進展している。本伝送においては、無線通信と同様に多値変調が採用されており、高度なデジタル信号処理技術を用いてキャリヤ位相推定偏波分離波形歪の補正および復調処理を行うことが大きな特徴である。これまで、1波長当たり100 Gbit/sの通信容量を有する25 Gbaud, QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)伝送システムが商用化されており、基幹伝送系への導入が始まっている(例えば、非特許文献6参照)。本光伝送においては、データ信号多値度を増大することによって、波長多重伝送方式を用いることなくシンプルな構成で100 Gbit/sを越える大容量通信を実現することができる。また、低い変調速度でも高速伝送が実現できるため、比較的安価である低速な電子デバイスを用いて伝送系を構築することが可能であり、経済的な面でもメリットが大きい。

このような特徴から、将来予想される無線アクセスネットワークのさらなる大容量化・高度化に対応するために、モバイルフロントホールにおいてもデジタルコヒーレント光伝送を適用することに高い関心が寄せられている。

概要

簡便な構成で経済性が高く、且つロスバジェットの大きい後方レイリー散乱非混合型光伝送方法及び光伝送装置を提供する。基地局ベースバンド部1とアンテナ無線部3との間で無線信号を、光ファイバ2を介して伝送させる。基地局ベースバンド部1に配置されたレーザ光源11を、アンテナ無線部3への下り信号の伝送用光源として用いると共に、アンテナ無線部3からの上り信号受信用局発光源として用いる。アンテナ無線部3に配置されたレーザ光源31を、基地局ベースバンド部1への上り信号の伝送用光源として用いると共に、基地局ベースバンド部1からの下り信号の受信用局発光源として用いる。上り信号と下り信号は互いに異なる周波数で伝送する。基地局ベースバンド部1および/またはアンテナ無線部3で、注入同期法又は光位相同期ループを用いて、信号光と受信用局発光源との光位相同期を行う。

目的

本発明は、このような課題を解決するためのものであり、簡便な構成で経済性が高く、且つロスバジェットの大きい後方レイリー散乱非混合型の光伝送方法および光伝送装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

基地ベースバンド部とアンテナ無線部との間で上り信号および下り信号を、光ファイバを介して一芯双方向伝送させるための光伝送方法において、前記基地局ベースバンド部に配置されたレーザ光源を、前記アンテナ無線部への下り信号の伝送用光源として用いると共に、前記アンテナ無線部からの上り信号の受信用局発光源として用い、前記アンテナ無線部に配置されたレーザ光源を、前記基地局ベースバンド部への上り信号の伝送用光源として用いると共に、前記基地局ベースバンド部からの下り信号の受信用局発光源として用い、前記基地局ベースバンド部および/または前記アンテナ無線部において、注入同期法又は光位相同期ループを用いて、前記上り信号と前記上り信号の受信用局発光源との光位相同期、および/または、前記下り信号と前記下り信号の受信用局発光源との光位相同期を行い、前記上り信号と前記下り信号は互いに異なる周波数で伝送することを特徴とする光伝送方法。

請求項2

信号光の送信側でデータ信号パイロットトーン重畳し、前記信号光の受信側で前記パイロットトーンを介して前記信号光と前記受信用局発光源との位相を同期させ、前記パイロットトーンと前記上り信号および前記下り信号とは、互いに異なる周波数で伝送することを特徴とする請求項1記載の光伝送方法。

請求項3

信号光の送信側でデータ信号に複数本のパイロットトーンを重畳し、前記信号光の受信側で前記複数のパイロットトーンのうち、いずれか1本を介して前記信号光と前記受信用局発光源との位相を同期させると共に、前記複数のパイロットトーンのうち、いずれか2本を光検出することで前記2本のパイロットトーンの差周波電気信号を抽出し、前記差周波電気信号を、前記受信用局発光源に接続され、前記受信用局発光源の出力光変調する光変調器を駆動する変調信号または光位相同期ループの基準信号として用い、前記複数のパイロットトーンと前記上り信号および前記下り信号とは、互いに異なる周波数で伝送することを特徴とする請求項1記載の光伝送方法。

請求項4

基地局ベースバンド部とアンテナ無線部との間で上り信号および下り信号を、光ファイバを介して一芯双方向伝送させるための光伝送装置において、前記基地局ベースバンド部に配置されたレーザ光源が、前記アンテナ無線部への下り信号の伝送用光源であると共に、前記アンテナ無線部からの上り信号の受信用局発光源であり、前記アンテナ無線部に配置されたレーザ光源が、前記基地局ベースバンド部への上り信号の伝送用光源であると共に、前記基地局ベースバンド部からの下り信号の受信用局発光源であり、前記基地局ベースバンド部もしくは前記アンテナ無線部に配置された前記レーザ光源は、外部から光を注入できる構造を有し、注入同期によって前記上り信号と前記上り信号の受信用局発光源との間の位相もしくは前記下り信号と前記下り信号の受信用局発光源との間の位相を同期するよう構成されている、または、前記基地局ベースバンド部もしくは前記アンテナ無線部に、前記上り信号と前記上り信号の受信用局発光源との間の位相もしくは前記下り信号と前記下り信号の受信用局発光源との間の位相を同期させるための電圧制御型発振器及び光位相同期ループが配置されていることを特徴とする光伝送装置。

請求項5

前記基地局ベースバンド部または前記アンテナ無線部は、前記上り信号または前記下り信号と共にパイロットトーンを生成する回路と、前記パイロットトーンを介して、前記上り信号と前記上り信号の受信用局発光源とを光位相同期する回路または前記下り信号と前記下り信号の受信用局発光源とを光位相同期する回路とを有し、前記上り信号と前記下り信号と前記パイロットトーンとを、互いに異なる周波数で生成するよう構成されていることを特徴とする請求項4記載の光伝送装置。

請求項6

前記基地局ベースバンド部または前記アンテナ無線部は、前記上り信号または前記下り信号と共に複数のパイロットトーンを生成する回路と、前記複数のパイロットトーンのうちいずれか1本を介して、前記上り信号と前記上り信号の受信用局発光源とを光位相同期する回路または前記下り信号と前記下り信号の受信用局発光源とを光位相同期する回路と、前記複数のパイロットトーンのうちいずれか2本を光検出して差周波電気信号を抽出する回路とを有し、前記上り信号と前記下り信号と前記複数のパイロットトーンとを、互いに異なる周波数で生成するよう構成されていることを特徴とする請求項4記載の光伝送装置。

技術分野

0001

本発明は、デジタルコヒーレント光伝送技術ならびに光アクセスネットワークを用いて、基地局とアンテナとの間で高速無線信号を、一芯の光ファイバを介して長距離双方向伝送させるための光伝送方法及び光伝送装置に関するものである。

背景技術

0002

スマートフォンの普及とLTE(Long Term Evolution)に代表されるモバイルブロードバンドサービス進展に伴い、移動通信トラフィック急増している。このような中、次世代の大容量モバイル通信システムとして第5世代移動通信システム(5G)の研究開発が国内外で精力的に進められている(例えば、非特許文献1参照)。

0003

伝送ステムでは、伝送制御ベースバンド信号処理を行う基地局ベースバンド部(BBU: Base Band Unit)を1ヵ所に集約し、アンテナ及び高周波信号処理を担うアンテナ無線部(RRH: Remote Radio Head)を分散配置するC-RAN(Centralized-Radio Access Network)の適用が検討されている(例えば、非特許文献2参照)。C-RANの構成ではBBUとRRH間(モバイルフロントホール)は光ファイバで接続され、アンテナより送受信される無線信号を光波に重畳して伝送する。

0004

無線信号を光波に重畳して伝送する手法としては、CPRI(Common Public Radio Interface)によるデジタルRoF(Radio over Fiber)方式が広く用いられている(例えば、非特許文献3参照)。デジタルRoFでは、無線信号をデジタル化して光ファイバ伝送するため、一般に無線信号の16倍程度の光伝送帯域が要求される。10 Gbit/s以上の無線通信容量が想定される5G及びそれ以降の大容量無線アクセスシステムでは、モバイルフロントホールに要求される伝送容量は100 Gbit/s以上となる。

0005

モバイルフロントホールの大容量化を実現する光伝送方式の一つとして、TWDM-PON(Time and Wavelength Division Multiplexing Passive Optical Network)が検討されている(例えば、非特許文献4参照)。本方式は、従来の光アクセスネットワーク技術であるTDM-PONに波長多重伝送技術を適用して大容量化を図るものであり、これまでに10 Gbit/s, OOK(On-Off Keying)信号を4波多重する40 Gbit/s伝送システムが実現されている(例えば、非特許文献5参照)。

0006

一方、近年の光通信では、デジタルコヒーレント方式を用いた大容量光伝送技術が急速に進展している。本伝送においては、無線通信と同様に多値変調が採用されており、高度なデジタル信号処理技術を用いてキャリヤ位相推定偏波分離波形歪の補正および復調処理を行うことが大きな特徴である。これまで、1波長当たり100 Gbit/sの通信容量を有する25 Gbaud, QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)伝送システムが商用化されており、基幹伝送系への導入が始まっている(例えば、非特許文献6参照)。本光伝送においては、データ信号多値度を増大することによって、波長多重伝送方式を用いることなくシンプルな構成で100 Gbit/sを越える大容量通信を実現することができる。また、低い変調速度でも高速伝送が実現できるため、比較的安価である低速な電子デバイスを用いて伝送系を構築することが可能であり、経済的な面でもメリットが大きい。

0007

このような特徴から、将来予想される無線アクセスネットワークのさらなる大容量化・高度化に対応するために、モバイルフロントホールにおいてもデジタルコヒーレント光伝送を適用することに高い関心が寄せられている。

先行技術

0008

箕輪守彦、関宏之、奥幸彦、須山聡、大高明浩、木村俊二、中津川征士、浅野弘明、市川泰史、平野、山尾泰、安達文幸、中沢正隆、「5 G実現に向けた超高密度マルチバンドマルチアクセス多層セル構成による大容量化技術の研究開発の概要」、電子情報通信学会、2015年、信学技報、RCS2015-250、pp. 43-48
清嶋耕平、瀧口貴啓、河辺泰宏、佐々木優輔、「高度化C-RANアーキテクチャ活用したLTE-Advancedの開発」、NTTDOCOMOテクカルジャーナル、2015年、vol. 23、no. 2、pp. 6-10
CPRI、“Specification仕様の概略”、[online]、[平成27年11月17日検索]、インターネット〈URL:http://www.cpri.info/jp/spec.html〉
田純、野茂、鈴木裕生、浅井孝浩、奥野幸彦、大高明浩、「5 Gの実現に向けたモバイル光ネットワーキング技術」、電子情報通信学会、2014年、信学技報、RCS2014-238、pp. 37-41
K. Taguchi, K. Asaka, M. Fujiwara, S. Kaneko, T. Yoshida, Y. Fujita, H. Iwamura, M. Kashima, S. Furusawa, M. Sarashina, H. Tamai, A. Suzuki, T. Mukojima, S. Kimura, K. Suzuki, and A. Otaka, “First field trial of 40-km reach and 1024-split symmetric-rate 40-Gbit/s λ-tunableWDM/TDM-PON”, Optical Fiber Communication Conference (OFC), 2015, Postdeadline paper Th5A.6
E. Yamazaki, S. Yamanaka, Y. Kisaka, T. Nakagawa, K. Murata, E. Yoshida, T. Sakano, M. Tomizawa, Y. Miyamoto, S. Matsuoka, J. Matsui, A. Shibayama, J. Abe, Y. Nakamura, H. Noguchi, K. Fukuchi, H. Onaka, K. Fukumitsu, K. Komaki, O. Takeuchi, Y. Sakamoto, H. Nakashima, T. Mizuochi, K. Kubo, Y. Miyata, H. Nishimoto, S. Hirano, and K. Onohara, “Fast optical channel recovery in field demonstration of 100-Gbit/s Ethernet over OTN using real-time DSP”, Opt. Express, 2011, vol. 19, pp. 13179-13184

発明が解決しようとする課題

0009

多数のアンテナ(RRHに含まれる)が高密度に配置される5G伝送システムにおいては、効率的かつ経済的なモバイルフロントホール光ネットワークが不可欠となる。そのためには、光伝送系をシンプルに構築することが重要であり、これを構成する光・電子部品点数を出来るだけ削減することが求められる。

0010

経済性効率性が重要視されるモバイルフロントホール伝送には、多値信号を用いたデジタルコヒーレント伝送方式が好適である。しかしながら、デジタルコヒーレント伝送は、送信用光源に加えて受信側で局発光源が必要であり、上り回線下り回線の各送受信を合計すると、1チャネルあたり4台の光源が必要となる。また、多値データ信号を高精度に復調するためには、データ信号と局発光源との高精度な光位相同期技術が不可欠となる。

0011

モバイルフロントホール光伝送系においては、敷設ファイバ数を削減して経済的な伝送システムを実現するため、一芯の光ファイバに上り下り両方向の信号を伝送させる一芯双方向伝送方式が用いられる。このような伝送形態においては、光ファイバ伝送路中で生じる上り・下りそれぞれの信号の後方レイリー散乱光が、反対方向の信号にノイズとして混入する。その結果、ロスバジェット伝送距離が制限される等、伝送特性が大きく劣化する。

0012

本発明は、このような課題を解決するためのものであり、簡便な構成で経済性が高く、且つロスバジェットの大きい後方レイリー散乱非混合型の光伝送方法および光伝送装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

かかる目的を達成するために、本発明に係る光伝送方法は、基地局ベースバンド部とアンテナ無線部との間で上り信号および下り信号を、光ファイバを介して一芯双方向伝送させるための光伝送方法において、前記基地局ベースバンド部に配置されたレーザ光源を、前記アンテナ無線部への下り信号の伝送用光源として用いると共に、前記アンテナ無線部からの上り信号の受信用局発光源として用い、前記アンテナ無線部に配置されたレーザ光源を、前記基地局ベースバンド部への上り信号の伝送用光源として用いると共に、前記基地局ベースバンド部からの下り信号の受信用局発光源として用い、前記基地局ベースバンド部および/または前記アンテナ無線部において、注入同期法又は光位相同期ループを用いて、前記上り信号と前記上り信号の受信用局発光源との光位相同期、および/または、前記下り信号と前記下り信号の受信用局発光源との光位相同期を行い、前記上り信号と前記下り信号は互いに異なる周波数で伝送することを特徴とする。

0014

また、本発明に係る光伝送方法において、信号光の送信側でデータ信号にパイロットトーンを重畳し、前記信号光の受信側で前記パイロットトーンを介して前記信号光と前記受信用局発光源との間の位相を同期させ、前記パイロットトーンと前記上り信号および前記下り信号とは互いに異なる周波数で伝送してもよい。

0015

また、本発明に係る光伝送方法において、信号光の送信側でデータ信号に複数のパイロットトーンを重畳し、前記信号光の受信側で前記複数のパイロットトーンのうち、いずれか1本を介して前記信号光と前記受信用局発光源との位相を同期させると共に、前記複数のパイロットトーンのうち、いずれか2本を光検出することで前記2本のパイロットトーンの差周波電気信号を抽出し、前記差周波電気信号を、前記受信用局発光源に接続され、前記受信用局発光源の出力光変調する光変調器を駆動する変調信号または光位相同期ループの基準信号として用い、前記複数のパイロットトーンと前記上り信号および前記下り信号とは、互いに異なる周波数で伝送してもよい。

0016

本発明に係る光伝送装置は、基地局ベースバンド部とアンテナ無線部との間で上り信号および下り信号を、光ファイバを介して一芯双方向伝送させるための光伝送装置において、前記基地局ベースバンド部に配置されたレーザ光源が、前記アンテナ無線部への下り信号の伝送用光源であると共に、前記アンテナ無線部からの上り信号の受信用局発光源であり、前記アンテナ無線部に配置されたレーザ光源が、前記基地局ベースバンド部への上り信号の伝送用光源であると共に、前記基地局ベースバンド部からの下り信号の受信用局発光源であり、前記基地局ベースバンド部もしくは前記アンテナ無線部に配置された前記レーザ光源は、外部から光を注入できる構造を有し、注入同期によって前記上り信号と前記上り信号の受信用局発光源との間の位相もしくは前記下り信号と前記下り信号の受信用局発光源との間の位相を同期するよう構成されている、または、前記基地局ベースバンド部もしくは前記アンテナ無線部に、前記上り信号と前記上り信号の受信用局発光源との間の位相もしくは前記下り信号と前記下り信号の受信用局発光源との間の位相を同期させるための電圧制御型発振器及び光位相同期ループが配置されていることを特徴とする。

0017

本発明に係る光伝送装置において、前記基地局ベースバンド部または前記アンテナ無線部は、前記上り信号または前記下り信号と共にパイロットトーンを生成する回路と、前記パイロットトーンを介して、前記上り信号と前記上り信号の受信用局発光源とを光位相同期する回路または前記下り信号と前記下り信号の受信用局発光源とを光位相同期する回路とを有し、前記上り信号と前記下り信号と前記パイロットトーンとを、互いに異なる周波数で生成するよう構成されていてもよい。また、本発明に係る光伝送装置において、前記基地局ベースバンド部または前記アンテナ無線部は、前記上り信号または前記下り信号と共に複数のパイロットトーンを生成する回路と、前記複数のパイロットトーンのうちいずれか1本を介して、前記上り信号と前記上り信号の受信用局発光源とを光位相同期する回路または前記下り信号と前記下り信号の受信用局発光源とを光位相同期する回路と、前記複数のパイロットトーンのうちいずれか2本を光検出して差周波電気信号を抽出する回路とを有し、前記上り信号と前記下り信号と前記複数のパイロットトーンとを、互いに異なる周波数で生成するよう構成されていてもよい。

発明の効果

0018

本発明に係る光伝送方法及び光伝送装置は、1台のレーザで送信用光源および局発光源の両方の役割を担わせ、光位相同期の位相基準信号として、例えばパイロットトーンを信号光と共に伝送することにより、光源を有効利用できると同時に、受信器での位相同期光回路で実現することができる。また、上り信号および下り信号を(光位相同期用のパイロットトーンを用いる場合にはパイロットトーンも)互いに異なる光周波数で伝送することによって、後方レイリー散乱光による伝送性能の劣化を抑制し、ロスバジェットの大きい長距離双方向伝送を実現することができる。これにより、簡便な構成で且つ経済性の高い、後方レイリー散乱非混合型の光伝送方法および光伝送装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

0019

本発明の第1の実施形態における光伝送装置(ホモダイン方式)を示すブロック構成図である。
本発明の第1の実施形態における光伝送装置の、(a)下り信号の周波数配置、(b)上り信号の周波数配置を示す説明図である。
本発明の第1の実施形態における光伝送装置の、伝送実験の実験系を示すブロック図である。
図3に示す伝送実験における、(a)BBU1からRRH3へ伝送する下り信号の光スペクトル、(b)RRH3からBBU1へ伝送する上り信号の光スペクトル、(c)伝送後の下り信号の光ペクトル、(d)伝送後の上り信号の光スペクトルである。
図3に示す伝送実験における、(a)光ファイバ伝送後の下り信号の256QAMコンスタレーション、(b)光ファイバ伝送後の上り信号の256 QAMコンスタレーションである。
本発明の第2の実施の形態における光伝送装置(ヘテロダイン方式)を示すブロック構成図である。
本発明の第3の実施の形態における光伝送装置(ホモダイン方式)を示すブロック構成図である。
本発明の第3の実施の形態における光伝送装置の、ヘテロダイン方式を用いる変形例を示すブロック構成図である。
本発明の第4の実施の形態における光伝送装置(ホモダイン方式)を示すブロック構成図である。
本発明の第4の実施の形態における光伝送装置の、ヘテロダイン方式を用いる変形例を示すブロック構成図である。
本発明の第5の実施の形態における光伝送装置を示すブロック構成図である。
図11に示す光伝送装置の、(a)下り信号の周波数配置、(b)上り信号の周波数配置を示す説明図である。
本発明の第6の実施の形態における光伝送装置を示すブロック構成図である。

実施例

0020

コヒーレント伝送における受信方式には、ホモダイン検波ヘテロダイン検波とがある。具体的には、信号光と局発光の周波数が等しい場合をホモダイン検波、異なる場合をヘテロダイン検波と呼ぶ。ホモダイン方式は、中間周波数帯ダウンコンバートした際、その帯域がヘテロダイン方式に比べて半分となり、それに伴い雑音帯域も半分となるため、受信感度がヘテロダイン方式より3dB改善される。また、光検出器の帯域に関しても、ヘテロダイン方式では信号帯域に加え、セルフビート信号の分だけ広くとる必要があるのに対して、ホモダイン方式では信号帯域の半分だけで良い。一方、ホモダイン方式は、局発光の周波数だけではなく位相も安定化させるために、高精度な位相同期が必要となる。

0021

(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態における光伝送装置の構成を、図1に示す。本実施形態では、コヒーレント検波としてホモダイン方式を用いる。基地局においてベースバンド信号処理を行う基地局ベースバンド部(以下、BBUと称する)1は、レーザ光源11、IQ変調器12、光変調器13、RF発振器14、光フィルタ15、90度光ハイブリッド回路16、平衡光検出器17、A/D変換器18、デジタル信号処理回路(DSP: Digital Signal Processor)19、D/A変換器20、光サーキュレータ21を備える。一方、アンテナ及び高周波信号処理を担うアンテナ無線部(以下、RRHと称する)3は、レーザ光源31、IQ変調器32、光変調器33、光フィルタ34及び35、90度光ハイブリッド回路36、平衡光検出器37、A/D変換器38、デジタル信号処理回路(DSP: Digital Signal Processor)39、D/A変換器40、光増幅器41、光フィルタ42、光サーキュレータ43、光検出器44、分周器45、光サーキュレータ46を備える。なお、光サーキュレータ21、43、46は、ポート1(P1)へ入射された信号光をポート2(P2)へ出力し、ポート2(P2)へ入射された信号光をポート3(P3)へ出力するようになっている。

0022

f1 [Hz]の光周波数で発振するレーザ光源11の出力光は、2分岐され、一方はBBU1からRRH3への下り回線用の信号光として、もう一方はRRH3からBBU1へ伝送してきた上り信号の受信に必要な局発光として、それぞれ用いる。前者は、IQ変調器12によってデータ変調される。ここでIQ変調器12は、ベースバンド信号Ix, Qx, Iy, Qyで駆動され、偏波多重機能を備えている。あるいは2台のIQ変調器12を用い、1台をIx, Qx、もう1台をIy, Qyでデータ変調し、その後両者を偏波多重させてもよい。ベースバンド信号は、必要に応じて高周波増幅器増幅された後、IQ変調器12に供給されてもよい。ここで、データ信号から±Δf [Hz]だけ離れた周波数にパイロットトーン1およびパイロットトーン2の2本の信号を立てておく。その結果、信号光は、周波数f1 [Hz]のデータ信号および周波数f2 [Hz]、f3 [Hz]の2本パイロットトーンで構成される。下り信号のデータとパイロットトーンの周波数配置を、図2(a)に示す。ここでは、f1よりΔf [Hz]だけ低周波数側の信号をパイロットトーン1(f2)、高周波数側の信号をパイロットトーン2(f3)としている。

0023

パイロットトーンが重畳された信号光は、光サーキュレータ21のポート1(P1)へ入射される。光サーキュレータ21のポート2より出力された信号光は、光ファイバ伝送路2を伝搬し、RRH3で受信される。RRH3では、伝送後の信号は、まずサーキュレータ46のポート2に入射され、ポート3より受信部へ出力される。2分岐された信号光の一方は、90度光ハイブリッド回路36および平衡光検出器37で構成されるホモダイン検波回路へ入力される。もう一方は、光フィルタ42によってパイロットトーンが抽出され、これを必要に応じて光増幅器41で増幅した後、光サーキュレータ43のポート1(P1)へ入力し、ポート2(P2)からレーザ光源31に注入する。パイロットトーンが十分なパワーを有し、且つその周波数がレーザ光源31の発振周波数に十分近いとき(正確には、パイロットトーンのパワー及び周波数が、レーザ光源31のロッキングレンジの範囲にあるとき)、注入同期現象により、レーザ光源31の位相はパイロットトーンの位相、即ち下り信号光の位相に同期する。注入同期に用いるパイロットトーンは、パイロットトーン1、パイロットトーン2のいずれでも構わないが、ここではパイロットトーン1(f2 [Hz])にレーザ光源31が注入同期するとして以降の動作を説明する。

0024

注入同期され、f2 [Hz]の光周波数で発振するレーザ光源31の出力はfclock(=Δf)[Hz]のRF信号で駆動される光変調器33に入力される。ここで光強度または光位相変調を行うことで、fclock [Hz]間隔の複数のCW(Continuous Wave)光が光周波数軸上に並ぶ光コム信号が生成される。fclock [Hz]のRF信号は、伝送されてきたパイロットトーン1とパイロットトーン2とを光検出器44に入力し、本光検出器44より出力される周波数2 fclock(=f3-f2)[Hz]のヘテロダインビート電気信号を、分周器45を用いて1/2分周することで得られる。生成された光コム信号を2分岐し、一方では、光フィルタ34を介して周波数f4(=f2-Δf)[Hz]のCW光を一本抽出し、これをRRH3からBBU1への上りの信号光として用いる。もう一方では、光フィルタ35を介して周波数f1 [Hz]のCW光を一本抽出し、これを局発光として下り信号光とともに、90度光ハイブリッド回路36および平衡光検出器37で構成されるホモダイン検波回路へ入力する。ホモダイン検波された信号は、A/D変換器38でデジタル信号に変換され、DSP回路39で偏波分離、復調、適応等化等の信号処理を行った後、D/A変換器40で再びアナログ信号へ変換され、データ信号Ix, Qx, Iy, Qyが出力される。

0025

一方、上り信号については、RRH3において、BBU1と同様に、レーザ光源31の出力をIQ変調器32によってデータ変調および偏波多重する。なお、このとき、データ信号にはパイロットトーンを重畳させなくてよい。上り信号のデータとパイロットトーンの周波数配置を、図2(b)に示す。

0026

信号光は、光ファイバ伝送路2を伝搬し、BBU1で受信される。BBU1では、レーザ光源11から分岐された周波数f1 [Hz]の光を、2fclock [Hz]の電気信号で駆動される光変調器13へ入射し、光強度または光位相変調を行う。ここで、2fclock [Hz]の電気信号としては、下りのベースバンド信号を生成する際に使用されるクロック信号逓倍して用いてもよい。光変調によって生成された2fclock [Hz]間隔の光コム信号より、光フィルタ15を用いて周波数f4 [Hz]のCW光を一本抽出し、本信号をBBU1における局発光として用いる。本信号を上り信号(f4 [Hz])と共に、90度光ハイブリッド回路16および平衡光検出器17で構成されるホモダイン検波回路へ入力する。ホモダイン検波された信号は、A/D変換器18でデジタル信号に変換され、DSP回路19で偏波分離、復調、適応等化等の信号処理を行った後、D/A変換器20で再びアナログ信号へ変換され、データ信号Ix, Qx, Iy, Qyが出力される。

0027

本実施形態では2つのレーザ光源11、31は、RRH3における注入同期によって互いに位相同期されているため、BBU1においては、光位相同期回路は不要である。しかしながら、コヒーレント検波を行う際、90度光ハイブリッド回路16または36へ入力される信号光および局発光は、それぞれ異なる光路を通るため、光路長の変動に伴って(例えば温度変化に伴う光ファイバ長の変動)、データ信号と局発光間の位相はゆっくりとした速度で僅かに変動する。このような低速な位相ドリフト変動は、受信部のDSP19または39にて補正を行う。

0028

本実施形態においては、BBU1からRRH3へ伝送する下り信号(f1 [Hz])、パイロットトーン1(f2 [Hz])、パイロットトーン2(f3 [Hz])と、RRH3からBBU1へ伝送する上り信号(f4 [Hz])をそれぞれ異なる周波数に割り当てている。そのため、これらの信号を伝送した際に光ファイバ伝送路中で生じるそれぞれの信号の後方レイリー散乱光は、前方へ伝搬するそれぞれの信号光にノイズとしての混入することがない。例えば、RRH3からBBU1へ向けて伝送した上り信号(f4 [Hz])の後方レイリー散乱光がRRH3の受信部へ戻って来ても、BBU1からRRH3へ伝送されてきた下り信号(f1 [Hz])、パイロットトーン1(f2 [Hz])およびパイロットトーン2(f3 [Hz])と周波数的に互いに重なることがないため、パイロットトーン1(f2 [Hz])のレーザ光源31への注入同期動作や下り信号(f1 [Hz])の復調に影響を及ぼすことはない。

0029

(第1の実施形態で行った伝送実験の実施例)
第1の実施形態で行った、80 Gbit/s、偏波多重5 Gbaud、256QAM (Quadrature Amplitude Modulation)信号のSMF (Single Mode Fiber) 26 km双方向伝送実験について説明する。

0030

伝送系の構成を示すブロック図を、図3に示す。なお、本図において、図1と同じ構成要素には同じ符号を付している。本伝送実験では、BBU1において、レーザ光源11として波長1.55 μmで発振する(光周波数f1 [Hz]とする)線幅8 kHzのCW半導体レーザを用いた。I、Qベースバンドデータ信号は、サンプリング速度65 GS/sのDAC(Digital Analogue Converter)とDSP回路とから成る任意波形生成装置22を用いて生成した。本装置から出力される5 Gbaud, 256QAMベースバンド信号と、12GHz(=Δf=fclock)の正弦波信号パイロットトーン信号として用いる)とをIQ変調器12へ入力してレーザ光源11の出力光を変調し、5 Gbaud, 256 QAMデータ信号(f1 [Hz])と、f2 [Hz]およびf3 [Hz]の2本のパイロットトーンを生成している。ここで、任意波形生成装置22から出力される256 QAMデータ信号には、ロールオフ率が0.2のroot raised cosine Nyquist filterを施しており、その帯域を3 GHzに狭窄化している。偏波多重には、偏波ビームスプリッタ遅延回路とで構成される光回路から成る偏波多重回路23を用いた。生成した80 Gbit/s、偏波多重5 Gbaud、256QAM信号と2本のパイロットトーンは、-5dBm伝送パワーで、光ファイバ2として用いた長さ26 kmのSMFを伝搬しRRH3へ到達する。なお、本実施例におけるデータ信号とパイロットトーンの周波数関係は、図2(a)と等しい。

0031

RRH3では、まず周波数f2 [Hz]のパイロットトーン信号を光フィルタ42で抽出し、これをレーザ光源31へ入射して注入同期を行うことで、レーザ光源31を下りのデータ信号に位相同期する。レーザ光源31としては、波長1.55 μm帯で発振する線幅200 kHz程度のCW半導体レーザを用いた。本実験では、およそ0.3 度の位相雑音でデータ信号と局発光源との位相同期を行っている。256QAM信号の場合、最隣接するシンボル間位相差として求められる許容位相雑音は、およそ2度である。したがって、本実験における注入同期回路は、256 QAM信号を復調するに十分な性能を有している。注入同期によってf2 [Hz]で発振するレーザ光源31の出力光を、Δf [Hz]の正弦波で駆動される光変調器33に入射し、光変調によってサイドバンドの生成を行っている。本実験では、光変調器33としてLN (LiNbO3)光強度変調器を用いたが、LN光位相変調器SSB (Single Side-Band)変調器を用いても良い。また、第1の実施形態では、Δf [Hz]のクロック信号は2本のパイロットトーンのヘテロダインビート信号から生成しているが、本実験では簡単のため、RF発振器47を用いて生成した。f2 [Hz]から12GHz(=Δf [Hz])低い周波数側(f4 [Hz])および高い周波数側(f1 [Hz])のサイドバンドを、光フィルタ34および35を用いて抽出し、それぞれを上り信号の光キャリヤ、下りのデータ信号をホモダイン検波する局発光として用いている。ホモダイン検波された下りのデータ信号は、40 GS/sのサンプリング速度でA/D変換され、その後DSP39を用いてオフラインで復調される。なお、90度光ハイブリッド回路36へ入力する信号光と局発光とが異なる光路を通ることに起因するホモダイン検波信号の低速な位相変動は、DSP39内で補正を行っている。

0032

RRH3における上り信号生成部では、下りのデータ信号と同様の方法で偏波多重5 Gbaud、256QAM信号を生成し、-5dBmの伝送パワーで、26 kmのSMF をBBU1側へ伝送する。BBU1の受信部では、レーザ光源11から分岐された周波数f1 [Hz]の光を、光変調器13、発振器14、光フィルタ15から成る光周波数シフタによってf4 [Hz]に変換し、これを局発光として用いて、下りの信号光をホモダイン検波する。ここで、発振器14の代わりとして、任意波形生成装置22を駆動する基準クロック信号源を用いてもよい。検波後の信号は、40 GS/sのサンプリング速度のA/D変換器17でデジタル化され、その後DSP19を用いてオフラインで復調される。BBU1においても、信号光と局発光とが異なる光路を通ることに起因するホモダイン検波信号の位相変動が生じるが、これはDSP19内で補正している。

0033

図4(a)および(b)は、それぞれBBU1から送信される下り信号およびRRH3から送信される上り信号の光スペクトルである。これらはそれぞれ、図1のサーキュレータ21のP2またはサーキュレータ46のP2からの出力光を測定したものである。図のように本実験では、f1〜f4 [Hz]のそれぞれ異なる光周波数に、上り信号、下り信号および2本のパイロットトーン信号を割り当てて伝送している。図4(c)および(d)は、SMFを26 km双方向伝送した後の下り信号および上り信号の光スペクトルであり、それぞれ、図1のサーキュレータ46のP3またはサーキュレータ21のP3からの出力光を測定した結果である。本図から、光ファイバ伝送路中で生じた上りおよび下り信号の後方レイリー散乱光が、前方へ伝送したそれぞれの信号に混入している様子がわかる。例えば、図4(c)では、RRH3へ伝送された下り信号にRRH3よりBBU1へ向けて送信した上り信号(f4 [Hz])の後方レイリー散乱光が混入していることがわかる。なお、本実験では、光サーキュレータ21および46のP1からP3への漏れ光量クロストーク)は十分に小さいことを確認している。

0034

図5に光ファイバ伝送後の偏波多重5 Gbaud、256QAM信号の復調結果示す。図5(a)および(b)は、それぞれ下り信号および上り信号のコンスタレーションである。いずれの結果も8ビットの情報を有する各シンボル点が明確に分離できており、ビット情報を正確に復調できていることがわかる。

0035

本実施例において、例えばRRH3で生成する上り信号の周波数を、下りのデータ信号と同じf1 [Hz]で生成して伝送すると、上り、下りいずれのデータ信号も復調することが出来なくなる。これは、下り、上りそれぞれの信号の後方レイリー散乱光が互いにノイズとして前方へ伝搬した復調対象となるデータ信号光に混入し、データ信号のS/N (Signal-to-Noise Ratio)を劣化させるためである。また、上り信号の周波数を下り信号のパイロットトーン2と同じf3 [Hz]として伝送させた場合には、下りのデータ信号の復調が不可となる。この場合は、上り信号の後方レイリー散乱光が前方へ伝搬したパイロットトーン2へノイズとして混入し、RRH3においてレーザ光源31の注入同期特性を大きく劣化させるためである。

0036

以上のように、上り、下り信号を互いに異なる周波数に割り当て、且つ光注入同期によってデータと局発光との位相同期を行う本発明に係る伝送方式を用いることにより、簡便な伝送系で大容量モバイルフロントホールを実現することが出来る。

0037

(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態における光伝送装置の構成を、図6に示す。本構成は、図1とほぼ同一であるため、図1と同じ構成要素には同じ符号を付して重複する説明を省略する。また、本実施形態における上り信号、下り信号の周波数配置は、図2と同じである。本構成では、BBU1およびRRH3における局発光は、それぞれレーザ光源11および31の出力の周波数がf2 [Hz]となるように周波数シフトした後、ヘテロダイン検波回路24に供給される。即ち、BBU1では、信号光および局発光の周波数がそれぞれf4 [Hz]、f2 [Hz]、RRH3ではそれぞれf1 [Hz]、f2 [Hz]となり、IF(Intermediate Frequency)信号の周波数がΔf [Hz]となるヘテロダイン検波を行っている。

0038

本構成では、コヒーレント検波回路の構成が簡便化できるため、部品点数が削減され、コストが低減できる。その一方で、ヘテロダイン検波方式は、ホモダイン検波に比べて受信感度が3 dB劣化するため、ロスバジェットの確保に注意を要する。

0039

(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態における光伝送装置の構成を、図7に示す。本構成は、光位相同期の手法として、注入同期ではなくOVCO(Optical Voltage Controlled Oscillator)方式に基づいた光位相同期ループ(OPLL: Optical Phase-Locked Loop)を用いる。また、本実施形態における上り信号、下り信号の周波数配置は、図2と同じである。BBU1の構成は、第1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。RRH3では、狭帯域電気フィルタ48、ミキサ49、フィードバック回路50、RF帯電圧制御型発振器(RF-VCO: Voltage Controlled Oscillator)51、光変調器33で構成されるOPLL回路を備える。

0040

下り信号をRRH3でホモダイン検波するには、まず平衡光検出器37より出力されるレーザ光源31とパイロットトーン1とのヘテロダインビート信号(IF信号)を、狭帯域電気フィルタ48を用いて抽出する。IF信号の位相は、ミキサ(DBM: Double Balanced Mixer)49において、下り信号の2本のパイロットトーンから生成されるクロック信号(fclock [Hz])の位相と比較され、その差が誤差電圧信号として検出される。この誤差信号を、フィードバック回路(ループフィルタ)50を介してRF-VCO51に帰還することにより、IF信号は常にクロック信号と同期した高安定な信号となる。最後に、レーザ光源31の出力光を、RF-VCO51からの出力信号(fclock[Hz])で駆動される光変調器33によって光強度または光位相変調し、周波数f1 [Hz]のサイドバンド1本を光フィルタ35で抽出し、これを局発光として用いる。また、光フィルタ34を介して周波数f4 [Hz]のサイドバンドを1本抽出し、これをRRH3からBBU1への上りの信号光として用いる。ここで、光変調器33としては、LN強度変調器、LN位相変調器SSB変調器などを用いてよい。

0041

本実施形態では、2つのレーザ光源11、31は、RRH3におけるOPLL回路によって互いに位相同期されているため、BBU1においては、光位相同期回路は不要である。しかしながら、90度光ハイブリッド回路16へ入射される信号光と局発光とがそれぞれ異なる光路を通ることに起因する、ホモダイン検波信号の低速な位相揺らぎは、DSP19にて補正を行う。

0042

本実施形態において、コヒーレント検波としてヘテロダイン方式を用いる場合の構成を、図8に示す。尚、本変形例では、図6と同じ構成要素には同じ符号を付して重複する説明を省略する。本構成では、BBU1における光フィルタ15の中心周波数とRRH3における光フィルタ35の中心周波数とをf2 [Hz]に設定し、光変調器13および33を用いて、レーザ光源11、31の出力の周波数がf2 [Hz]となるように周波数シフトする。これを、局発光としてヘテロダイン検波回路24に供給する。

0043

(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態における光伝送装置の構成を、図9に示す。本構成は、第3の実施形態(図7)において、OPLLの機能の一部をデジタル信号処理で実現したものである。具体的には、RRH3においては光検出器44、分周器45、狭帯域電気フィルタ48、ミキサ49の4つのアナログ回路で実現していた位相比較をDSP39上で行い、得られた誤差信号(デジタル信号)をD/A変換器40によってD/A変換し、フィードバック回路50を介してRF-VCO51に帰還させている。これにより、図7と比較して、構成を簡素化することができる。なお、図9はホモダイン方式の例を示しているが、本実施形態においても、第3の実施形態の変形例(図8参照)と同様に、図10のようにヘテロダイン方式で構成することも可能である。

0044

(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態における光伝送装置の構成を、図11に示す。本実施形態では、1台のBBU1にN台のRRH3が接続されている場合を想定している。そのため、BBU1は、各RRH3へ送信するためのN台の送信器と、各RRH3からの上り信号を受信するためのN台の受信器を備えている。同図では各送受信器の構成を簡素化して示しているが、具体的には第1〜第4のいずれかの実施形態で示したものを用いればよい。

0045

本構成では、各RRH3に異なる周波数を割り当て、光ファイバ伝送路2中を波長多重(WDM: Wavelength Division Multiplexing)伝送させている。その周波数配置の一例を、図12に示す。ここでは2Δf [Hz]間隔のWDMグリットを定義し、偶数番目周波数チャネル(f2, f4, …f(2N), Nは自然数)に上り信号を割り当てている。例えば、Δf [Hz]は、データ信号の変調周波数と等しくてもよい。一方、下りのデータ信号は、奇数番目の周波数チャネル(f1, f3, …f(2N-1), Nは自然数)に割り当てて伝送する。また、WDMグリットとは絶対周波数がΔf [Hz]だけ異なる周波数間隔2Δf [Hz]のWDMグリットを定義し(f1’, f2’…fN’, Nは自然数とする)、ここに下り信号のパイロットトーンを割り当てている。

0046

下り信号は、N台の送信器からWDM合波器4で合波され、光ファイバ伝送路2をWDM伝送し、パワースプリッタ6でN台のRRH3に分配される。各RRH3では、中心周波数がf1, f3, …f(2N-1)に設定された光フィルタ7によって所望のWDM信号を選択し、コヒーレント検波回路8aで受信する。各RRH3は、周波数f2, f4, …f(2N)のレーザ光源31を備えており、コヒーレント検波回路8aは、第1〜第4の実施形態で示したいずれかの方法で構成する。コヒーレント検波回路8aは、例えば、図1に示す第1の実施形態の、光変調器33、光フィルタ34及び35、90度光ハイブリッド回路36、平衡光検出器37、A/D変換器38、デジタル信号処理回路(DSP: Digital Signal Processor)39、D/A変換器40、光増幅器41、光フィルタ42、光サーキュレータ43、光検出器44、分周器45で構成することができる。光フィルタ7を省略し、コヒーレント検波回路8aにおいてWDM信号の選択と復調とを同時に行うことも可能である。

0047

一方、上り信号は、N台のRRH3からパワースプリッタ6で合波され、光ファイバ伝送路2をWDM伝送し、BBU1中のWDM分波器5でN個の異なる周波数に分離される。各受信器では、レーザ光源11を局発光源として用い、第1〜第4の実施形態で示したいずれかの方法によりコヒーレント検波を行う。この場合のコヒーレント検波回路8bは、例えば、図1に示す第1の実施形態の、光変調器13、RF発振器14、光フィルタ15、90度光ハイブリッド回路16、平衡光検出器17、A/D変換器18、デジタル信号処理回路(DSP: Digital Signal Processor)19、D/A変換器20で構成することができる。

0048

(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態における光伝送装置の構成を、図13に示す。本構成は、第5の実施形態(図11)において、下り信号の各RRH3への分配をパワースプリッタ6の代わりにWDM分波器9で行っており、各RRH3へは波長ごとに分離された信号が送られる。その結果、各RRH3は、光フィルタ7等の波長選択素子が不要となる。

0049

尚、以上の各実施形態においては、パイロットトーンを2本用いる場合を例示したが、これに代えて、信号光の送信側でデータ信号に3本以上のパイロットトーンを重畳し、信号光の受信側でこれらのパイロットトーンのうち、いずれか1本を介して信号光と受信用局発光源との位相を同期させると共に、これらのパイロットトーンのうち、いずれか2本を光検出することで当該2本のパイロットトーンの差周波電気信号を抽出し、当該差周波電気信号を、受信用局発光源の出力光を変調する光変調器を駆動する変調信号や光位相同期ループの基準信号として用いてもよい。この場合、これらのパイロットトーンと上り信号および下り信号とは、互いに異なる周波数で伝送される。あるいは、信号光の送信側でデータ信号に単一のパイロットトーンを重畳し、信号光の受信側でこのパイロットトーンを介して信号光と受信用局発光源との位相を同期させると共に、受信用局発光源の出力光を変調する光変調器を駆動する変調信号や光位相同期ループの基準信号は、別途用意した発振器により発生させてもよい。この場合、このパイロットトーンと上り信号および下り信号とは、互いに異なる周波数で伝送される。

0050

以上詳細に説明したように、本発明は、モバイルフロントホールにおいて、BBUとRRHとの間で無線信号を、光ファイバを介して大きなロスバジェットで長距離双方向伝送するための後方レイリー散乱非混合型の光伝送方法および光伝送装置を提供することができる。本発明は、その光伝送方式としてデジタルコヒーレント伝送技術を用いることを特徴とし、そのコヒーレンスの点で無線信号と高い親和性を有することから、効率的且つ経済性の高い光・無線アクセスネットワークを実現できる。

0051

1基地局ベースバンド部(BBU)
11レーザ光源
12IQ変調器
13光変調器
14 (RF)発振器
15光フィルタ
16 90度光ハイブリッド回路
17平衡光検出器
18 A/D変換器
19デジタル信号処理回路(DSP)
20 D/A変換器
21光サーキュレータ
22任意波形生成装置
23偏波多重回路
24ヘテロダイン検波回路
2光ファイバ伝送路
3アンテナ無線部(RRH)
31 レーザ光源
32 IQ変調器
33 光変調器
34 光フィルタ
35 光フィルタ
36 90度光ハイブリッド回路
37 平衡光検出器
38 A/D変換器
39 デジタル信号処理回路(DSP)
40 D/A変換器
41光増幅器
42 光フィルタ
43 光サーキュレータ
44光検出器
45分周器
46 光サーキュレータ
47RF発振器
48狭帯域電気フィルタ
49ミキサ
50フィードバック回路
51 RF帯電圧制御型発振器(RF-VCO)
4WDM合波器
5 WDM分波器
6パワースプリッタ
7 光フィルタ
8a,8bコヒーレント検波回路
9 WDM分波器

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