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図面 (20)

課題

解決手段

環状部を有するペプチド化合物の製造方法であって、1)アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基、もしくは、アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基並びにN末端カルボン酸類縁体により構成される非環状のペプチド化合物を、該ペプチド化合物をコードする核酸から翻訳して合成する工程であって、該非環状のペプチド化合物は、側鎖の1つに反応点を有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体残基、及び、N末端にもう1つの反応点を有するアミノ酸、アミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体を含む、工程;2)N末端のアミノ酸残基、N末端のアミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体の反応点と、側鎖に1つの反応点を有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体の反応点とを炭素‐炭素結合させる工程を含む、方法。

概要

背景

分子化合物分子量500〜2000)を用いて、タンパクータンパク相互作用阻害アゴニスト分子シャペロンに代表されるtough targetへの創薬を可能とする創薬技術開発が近年注目を集めている。(非特許文献1)。これまで抗体以外での創薬が困難とされてきたtough targetへの有効な阻害が分子量500〜2000の化合物でも可能であるという考察がなされている(非特許文献2)。また、Lipinskiが提唱したrule of 5の範囲外(その多くは分子量500を超える分子量)であっても、経口剤細胞内標的への阻害が可能である例も天然物を中心に報告されている(非特許文献3)。中分子化合物は、tough targetにアクセスできる点で低分子には出来ないこと、細胞内に移行できる点(細胞内標的創薬可、経口化可)で抗体にも出来ないことが実現できる可能性がある点で価値の高い分子種である。

従来の低分子創薬のほとんどは分子量500未満の範囲で実施されてきたため、人類が有するTough target(HTS(ハイスループットスクリーニング)を用いた従来の低分子化合物からではHit(ヒット)化合物の取得が困難な薬効標的の総称。低分子が結合し得る深い穴(キャビティ)を持たないことを特徴とする。例えば、IL-6とIL-6Rの結合阻害に代表されるタンパクータンパク相互作用阻害が挙げられる。その他RNA−タンパク相互作用阻害、核酸‐核酸相互作用阻害などが挙げられる。)への創薬を可能にする中分子のほとんどが天然物に限定される。天然物を由来とした薬剤は現在でもFirst In Class(FIC)化合物の30%を占めると分析されており、有効な手法である。しかしながら、既知化合物全てを併せても106化合物程度の多様性であるので、活性化合物が得られる標的が限定される。また、活性化合物の膜透過性や代謝安定性に難がある場合が多く、低分子にも抗体にも創薬出来ない領域への創薬を可能とする膜透過可能な分子種類は106を大きく下回ると考えられる。また、天然物Hitの膜透過性や代謝安定性を向上させたい場合でも、複雑な化学合成が必要なため化学修飾による改良が困難である場合が多い。このため、天然物医薬品の多くが化学修飾されないまま上市されている。

バイオ創薬にて実用化されているin vitro display技術を活用すれば、短期間で高い多様性を有する新規高分子化合物群を創出することができるが、この技術を中分子化合物でのtough target創薬へ展開するためには、現状では様々な限界がある。この限界は、既に実用化されているバイオ創薬である抗体創薬と比較すると理解し易い。大規模ライブラリーからあらゆる標的に対する分子を作出できる抗体は、巨大タンパク質スキャフォルドであり長い可変領域を有し、さらに二次構造三次構造を形成するために立体的に多様な構造の結合面を形成できる。このため1010種類程度のライブラリーにて多くの細胞外タンパクに対して強力に結合・阻害する化合物を創出することが出来る。一方、バイオ技術を活用して得られる中分子である環状ペプチドでは、抗体にはできない膜透過性が求められるため鎖長(分子量)にも制限があるうえに、現状バイオ技術では天然型アミノ酸に限定されるため立体的な多様性にも限界がある。

簡便に合成、化学修飾でき、膜透過性や代謝安定性を有し、かつ構造的に多様で多数の中分子を短期間で作成でき、かつこれらを薬効評価できる技術創出は価値が高い。このような技術の候補の1つとして上記のDisplay Library(ディスプレイライブラリー)技術が挙げられる(1012種類の化合物を一度に合成して評価可能)。Display libraryで獲得できる化合物は、現状ではペプチドに限定されるが、ペプチド医薬品は既に40種以上上市されている価値の高い化学種である(非特許文献4)。シクロスポリンAはその代表例で、11残基から成る微生物が産生するペプチドで、経口投与可能な細胞内標的(サイクロフィリン)を阻害するペプチドである。ペプチドは一般に代謝安定性や膜透過性が低いとされてきたが、ペプチドの環化やN−メチル化などの非天然化により改良可能であることも明らかとなってきている(非特許文献5)。

一方で、非天然ペプチド化、特にN−メチル化などの主鎖変換により天然ペプチドの構造が変化するため、天然ペプチドをリード化合物として、その薬効を維持しながらペプチドへの膜透過性と代謝安定性の両方を付与させて臨床候補化合物を得ることは極めて困難である。成功例としてインテグリン阻害ペプチドを環化し、さらに非天然化により経口剤として臨床試験入した例が報告されている(非特許文献6)が、このような薬剤開発は長い研究期間の末にもたらされた数少ない例である。例えば、インシュリンGLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)、PTH副甲状腺ホルモン)、カルシトニンなど価値の高い医薬品注射剤の経口剤開発は未だに成功していない。

近年、非天然型アミノ酸ヒドロキシカルボン酸誘導体(非特許文献22)を含むペプチドがリボゾームにて合成できることが報告されたことにより、非天然型アミノ酸を含むDisplay Library実現が現実味を帯びてきた。特にN−メチルアミノ酸を含むペプチドがPureSystem(登録商標)などの無細胞翻訳系非天然アミノ酸を結合したtRNAの活用によりリボゾームにて合成できることが相次いで報告された(非特許文献7、8,9,10,11)。非天然型アミノ酸を1つ含むDisplay libraryへの挑戦例も報告された(非特許文献12、13)。また、N−メチルアミノ酸を含むペプチドのDisplayが作製された例も報告されている(非特許文献23)。

分子ペプチドに膜透過性と代謝安定性の両立を達成させる条件の考察も進行している。Lokeyらは6つのアミノ酸からなる環状ペプチドのプロリンもしくはN−メチル化を実施し、PAMPA(Parallel Artificial Membrane Permeation Assay)測定法を用いた膜透過に影響を与える因子の特定(非特許文献14)、さらにはラットにてBA(バイオアベイラビリティ)28%のペプチドを創出している(非特許文献15)。Kesslerらは5つもしくは6つのアミノ酸からなる環状ペプチドのN−メチル化を実施して、膜透過や代謝安定性に好ましい条件を見出す総説を報告している(非特許文献16、17)。一方、一般論としてどのようなペプチドであれば膜透過性と代謝安定性が両立するのか、また、より多様性が高いためHit創出割合が高くなると想定されるより分子量の大きい(アミノ酸数7以上)中分子ペプチドの幅広いDruglikeness条件への考察例は我々の知る限り報告されていない。

Display libraryにて中分子Hit化合物を獲得するためには、環化法にも改良の余地がある。例えば、従来Phage Display(ファージディスプレイ)で環化するには2つのCysがS−S結合する場合に限定されていた(非特許文献18)。S−S結合を利用した環化方法で作製された環状ペプチドは代謝不安定であるため血中半減期が短いだけではなく、細胞内の弱酸性還元・切断されて分解に至る、経口吸収が困難である、切断されて生成したSH基体内タンパクとランダム共有結合を形成することによる毒性が発現する可能性があるなど、Druglikenessな中分子ペプチドという点からはさまざまな改良を必要とされるものであった。近年これを改良する技術として、メシチレンを介して2つのCysを環化させる手法が報告された(非特許文献19)。この手法を用いればより安定なチオエーテルを介した環化になるが、その効果は部分的で改良の余地が残る。例えば、チオエーテルが酸化代謝を受けやすいことは広く一般に知られている。チトクロムP450によりRSCH2R'→RSH+R'CHOに分解されることや、フラビン含有モノオキシゲナーゼにより、スルホキシドへと代謝されることが報告されている(非特許文献20)。前者は生成すると反応性代謝物(Reactive metabolite)となるため、毒性発現にもつながる。
一方、ペプチドの環化方法としてドラックライクな環化法であるアミド環化が実現できた画期的な報告もなされている(非特許文献21、非特許文献25、非特許文献26、非特許文献27)が、それらはいずれも、主鎖アミド結合を切断させた結果得られる活性種アミノ酸主鎖アミノ基を化学反応させた構造を生成させるため、本方法を、そのままDisplay libraryにおける環化方法としては適用することはできない。これらの手法は、シクロスポリンAなど多くの天然物の、主鎖のカルボン酸と主鎖のアミノ基で縮合環化させる手法として有用である。一方、Display libraryでは、主鎖カルボン酸末端mRNAと結合させる必要があるため、このように主鎖アミド結合の分解により活性種を発生させる手法を用いることはできない。

mRNAdisplayでは、これまで2つの新たな環化法が提案されてきたが、上記点が改良されたDisplay手法の確立にはいまだ至っていない。N末端メチオニンのアミノ基と下流(C末端側)に配置したリジンのアミノ基をジスクシンイミジル・グルタレート(DSG)でクロスリンクさせることによる環化方法(非特許文献12)やN末端の翻訳開始アミノ酸としてクロロアセチル基を有するアミノ酸誘導体を導入し、下流にCysを配置することによって分子内環化反応によりチオエーテルを形成させることによる環化方法(非特許文献11、特許文献1)を用いた場合でも上記点の改善は不十分であり、これらに代わる新たな環化方法の開発が求められていた。例えば、2つのシステインを利用したS−S環化法では2箇所のアミノ酸を特定のもの(システイン)にする必要があるが、DSGを用いたクロスリンクによる環化法ではリジンを含めて3箇所のアミノ酸を特定のものにしてしまうことになり、一定の残基数ペプチドライブラリーにおいて構造の多様性を減少させてしまうことになる。
また、環化部位の構造を変化させると、当該環化部位を有するペプチドが持つ活性(薬効の強度)が大きく低下してしまうことが報告されている(非特許文献24)。この例では、環化部位を有するペプチドを取得した後、膜透過性と代謝安定性に優れたペプチドとするために、その環化部位を改変することが困難であることが示されている。
医薬品の開発に利用できる膜透過性と代謝安定性に優れた環状部位を有するペプチドライブラリーが求められるが、そのようなペプチドライブラリーの確立には様々な点で改善の余地がある。

概要

ペプチドディスプレイライブラリー構築のための、ペプチド化合物新規な環化方法、分枝ペプチド合成法の提供。環状部を有するペプチド化合物の製造方法であって、1)アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基、もしくは、アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基並びにN末端カルボン酸類縁体により構成される非環状のペプチド化合物を、該ペプチド化合物をコードする核酸から翻訳して合成する工程であって、該非環状のペプチド化合物は、側鎖の1つに反応点を有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体残基、及び、N末端にもう1つの反応点を有するアミノ酸、アミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体を含む、工程;2)N末端のアミノ酸残基、N末端のアミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体の反応点と、側鎖に1つの反応点を有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体の反応点とを炭素‐炭素結合させる工程を含む、方法。なし

目的

本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、本発明はペプチドディスプレイライブラリー構築のための、ペプチド化合物の新規な環化方法、分枝ペプチド合成法を提供し、また、これらを用いてドラッグライクなディスプレイライブラリーおよびドラッグライクなペプチド化合物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

環状部を有するペプチド化合物の製造方法であって、1)天然型アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基、もしくは、天然型アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基並びにN末端カルボン酸類縁体により構成される非環状のペプチド化合物を、該ペプチド化合物をコードする核酸から翻訳して合成する工程であって、該非環状のペプチド化合物は、側鎖の1つにアリールハライドを有するアミノ酸類縁体残基、及び、N末端に炭素炭素二重結合を有するアミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体を含む、工程;2)前記炭素‐炭素二重結合と、前記アリールハライドとを、Pdを触媒としたHeck型の反応により炭素‐炭素結合させる工程を含み、前記炭素‐炭素結合により形成される環状部を構成する、天然型アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基、もしくは、天然型アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基並びにN末端カルボン酸類縁体の総数が、5〜12であり、前記環状部を有するペプチド化合物を構成する、天然型アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基、もしくは、天然型アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基並びにN末端カルボン酸類縁体の総数が、9〜13であり、前記環状部を有するペプチド化合物がN−アルキル化されたアミノ酸残基を少なくとも2つ含み、かつ、N−アルキル化されていないアミノ酸残基を少なくとも1つ含み、前記環状部を有するペプチド化合物のClogP値が6以上である、前記方法。

請求項2

ペプチド化合物のC末端と該ペプチド化合物をコードする核酸とがスペーサーを介して結合しているペプチド化合物−核酸複合体を製造することを特徴とする、請求項1に記載の方法。

請求項3

ペプチド化合物−核酸複合体が、翻訳合成に用いられる非環状ペプチド化合物をコードする核酸の3'末端リンカーを介してピューロマイシンが結合している核酸を用いて合成される、請求項2に記載の方法。

請求項4

スペーサーがペプチド、RNA、DNA、またはヘキサエチレングリコールポリマー、又は、これらの組合せである、請求項2又は3に記載の方法。

請求項5

ペプチド化合物を、互いに異なる配列を有する複数の核酸から成る核酸ライブラリーを翻訳して製造することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の方法。

技術分野

0001

本発明はペプチド化合物新規環化方法、及び新規なペプチド化合物及びそれらを含むライブラリーに関する。

背景技術

0002

分子化合物分子量500〜2000)を用いて、タンパクータンパク相互作用阻害アゴニスト分子シャペロンに代表されるtough targetへの創薬を可能とする創薬技術開発が近年注目を集めている。(非特許文献1)。これまで抗体以外での創薬が困難とされてきたtough targetへの有効な阻害が分子量500〜2000の化合物でも可能であるという考察がなされている(非特許文献2)。また、Lipinskiが提唱したrule of 5の範囲外(その多くは分子量500を超える分子量)であっても、経口剤細胞内標的への阻害が可能である例も天然物を中心に報告されている(非特許文献3)。中分子化合物は、tough targetにアクセスできる点で低分子には出来ないこと、細胞内に移行できる点(細胞内標的創薬可、経口化可)で抗体にも出来ないことが実現できる可能性がある点で価値の高い分子種である。

0003

従来の低分子創薬のほとんどは分子量500未満の範囲で実施されてきたため、人類が有するTough target(HTS(ハイスループットスクリーニング)を用いた従来の低分子化合物からではHit(ヒット)化合物の取得が困難な薬効標的の総称。低分子が結合し得る深い穴(キャビティ)を持たないことを特徴とする。例えば、IL-6とIL-6Rの結合阻害に代表されるタンパクータンパク相互作用阻害が挙げられる。その他RNA−タンパク相互作用阻害、核酸‐核酸相互作用阻害などが挙げられる。)への創薬を可能にする中分子のほとんどが天然物に限定される。天然物を由来とした薬剤は現在でもFirst In Class(FIC)化合物の30%を占めると分析されており、有効な手法である。しかしながら、既知化合物全てを併せても106化合物程度の多様性であるので、活性化合物が得られる標的が限定される。また、活性化合物の膜透過性や代謝安定性に難がある場合が多く、低分子にも抗体にも創薬出来ない領域への創薬を可能とする膜透過可能な分子種類は106を大きく下回ると考えられる。また、天然物Hitの膜透過性や代謝安定性を向上させたい場合でも、複雑な化学合成が必要なため化学修飾による改良が困難である場合が多い。このため、天然物医薬品の多くが化学修飾されないまま上市されている。

0004

バイオ創薬にて実用化されているin vitro display技術を活用すれば、短期間で高い多様性を有する新規高分子化合物群を創出することができるが、この技術を中分子化合物でのtough target創薬へ展開するためには、現状では様々な限界がある。この限界は、既に実用化されているバイオ創薬である抗体創薬と比較すると理解し易い。大規模なライブラリーからあらゆる標的に対する分子を作出できる抗体は、巨大タンパク質スキャフォルドであり長い可変領域を有し、さらに二次構造三次構造を形成するために立体的に多様な構造の結合面を形成できる。このため1010種類程度のライブラリーにて多くの細胞外タンパクに対して強力に結合・阻害する化合物を創出することが出来る。一方、バイオ技術を活用して得られる中分子である環状ペプチドでは、抗体にはできない膜透過性が求められるため鎖長(分子量)にも制限があるうえに、現状バイオ技術では天然型アミノ酸に限定されるため立体的な多様性にも限界がある。

0005

簡便に合成、化学修飾でき、膜透過性や代謝安定性を有し、かつ構造的に多様で多数の中分子を短期間で作成でき、かつこれらを薬効評価できる技術創出は価値が高い。このような技術の候補の1つとして上記のDisplay Library(ディスプレイライブラリー)技術が挙げられる(1012種類の化合物を一度に合成して評価可能)。Display libraryで獲得できる化合物は、現状ではペプチドに限定されるが、ペプチド医薬品は既に40種以上上市されている価値の高い化学種である(非特許文献4)。シクロスポリンAはその代表例で、11残基から成る微生物が産生するペプチドで、経口投与可能な細胞内標的(サイクロフィリン)を阻害するペプチドである。ペプチドは一般に代謝安定性や膜透過性が低いとされてきたが、ペプチドの環化やN−メチル化などの非天然化により改良可能であることも明らかとなってきている(非特許文献5)。

0006

一方で、非天然ペプチド化、特にN−メチル化などの主鎖変換により天然ペプチドの構造が変化するため、天然ペプチドをリード化合物として、その薬効を維持しながらペプチドへの膜透過性と代謝安定性の両方を付与させて臨床候補化合物を得ることは極めて困難である。成功例としてインテグリン阻害ペプチドを環化し、さらに非天然化により経口剤として臨床試験入した例が報告されている(非特許文献6)が、このような薬剤開発は長い研究期間の末にもたらされた数少ない例である。例えば、インシュリンGLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)、PTH副甲状腺ホルモン)、カルシトニンなど価値の高い医薬品注射剤の経口剤開発は未だに成功していない。

0007

近年、非天然型アミノ酸ヒドロキシカルボン酸誘導体(非特許文献22)を含むペプチドがリボゾームにて合成できることが報告されたことにより、非天然型アミノ酸を含むDisplay Library実現が現実味を帯びてきた。特にN−メチルアミノ酸を含むペプチドがPureSystem(登録商標)などの無細胞翻訳系非天然アミノ酸を結合したtRNAの活用によりリボゾームにて合成できることが相次いで報告された(非特許文献7、8,9,10,11)。非天然型アミノ酸を1つ含むDisplay libraryへの挑戦例も報告された(非特許文献12、13)。また、N−メチルアミノ酸を含むペプチドのDisplayが作製された例も報告されている(非特許文献23)。

0008

分子ペプチドに膜透過性と代謝安定性の両立を達成させる条件の考察も進行している。Lokeyらは6つのアミノ酸からなる環状ペプチドのプロリンもしくはN−メチル化を実施し、PAMPA(Parallel Artificial Membrane Permeation Assay)測定法を用いた膜透過に影響を与える因子の特定(非特許文献14)、さらにはラットにてBA(バイオアベイラビリティ)28%のペプチドを創出している(非特許文献15)。Kesslerらは5つもしくは6つのアミノ酸からなる環状ペプチドのN−メチル化を実施して、膜透過や代謝安定性に好ましい条件を見出す総説を報告している(非特許文献16、17)。一方、一般論としてどのようなペプチドであれば膜透過性と代謝安定性が両立するのか、また、より多様性が高いためHit創出割合が高くなると想定されるより分子量の大きい(アミノ酸数7以上)中分子ペプチドの幅広いDruglikeness条件への考察例は我々の知る限り報告されていない。

0009

Display libraryにて中分子Hit化合物を獲得するためには、環化法にも改良の余地がある。例えば、従来Phage Display(ファージディスプレイ)で環化するには2つのCysがS−S結合する場合に限定されていた(非特許文献18)。S−S結合を利用した環化方法で作製された環状ペプチドは代謝不安定であるため血中半減期が短いだけではなく、細胞内の弱酸性還元・切断されて分解に至る、経口吸収が困難である、切断されて生成したSH基体内タンパクとランダム共有結合を形成することによる毒性が発現する可能性があるなど、Druglikenessな中分子ペプチドという点からはさまざまな改良を必要とされるものであった。近年これを改良する技術として、メシチレンを介して2つのCysを環化させる手法が報告された(非特許文献19)。この手法を用いればより安定なチオエーテルを介した環化になるが、その効果は部分的で改良の余地が残る。例えば、チオエーテルが酸化代謝を受けやすいことは広く一般に知られている。チトクロムP450によりRSCH2R'→RSH+R'CHOに分解されることや、フラビン含有モノオキシゲナーゼにより、スルホキシドへと代謝されることが報告されている(非特許文献20)。前者は生成すると反応性代謝物(Reactive metabolite)となるため、毒性発現にもつながる。
一方、ペプチドの環化方法としてドラックライクな環化法であるアミド環化が実現できた画期的な報告もなされている(非特許文献21、非特許文献25、非特許文献26、非特許文献27)が、それらはいずれも、主鎖アミド結合を切断させた結果得られる活性種アミノ酸主鎖アミノ基を化学反応させた構造を生成させるため、本方法を、そのままDisplay libraryにおける環化方法としては適用することはできない。これらの手法は、シクロスポリンAなど多くの天然物の、主鎖のカルボン酸と主鎖のアミノ基で縮合環化させる手法として有用である。一方、Display libraryでは、主鎖カルボン酸末端mRNAと結合させる必要があるため、このように主鎖アミド結合の分解により活性種を発生させる手法を用いることはできない。

0010

mRNAdisplayでは、これまで2つの新たな環化法が提案されてきたが、上記点が改良されたDisplay手法の確立にはいまだ至っていない。N末端メチオニンのアミノ基と下流(C末端側)に配置したリジンのアミノ基をジスクシンイミジル・グルタレート(DSG)でクロスリンクさせることによる環化方法(非特許文献12)やN末端の翻訳開始アミノ酸としてクロロアセチル基を有するアミノ酸誘導体を導入し、下流にCysを配置することによって分子内環化反応によりチオエーテルを形成させることによる環化方法(非特許文献11、特許文献1)を用いた場合でも上記点の改善は不十分であり、これらに代わる新たな環化方法の開発が求められていた。例えば、2つのシステインを利用したS−S環化法では2箇所のアミノ酸を特定のもの(システイン)にする必要があるが、DSGを用いたクロスリンクによる環化法ではリジンを含めて3箇所のアミノ酸を特定のものにしてしまうことになり、一定の残基数ペプチドライブラリーにおいて構造の多様性を減少させてしまうことになる。
また、環化部位の構造を変化させると、当該環化部位を有するペプチドが持つ活性(薬効の強度)が大きく低下してしまうことが報告されている(非特許文献24)。この例では、環化部位を有するペプチドを取得した後、膜透過性と代謝安定性に優れたペプチドとするために、その環化部位を改変することが困難であることが示されている。
医薬品の開発に利用できる膜透過性と代謝安定性に優れた環状部位を有するペプチドライブラリーが求められるが、そのようなペプチドライブラリーの確立には様々な点で改善の余地がある。

0011

0012

国際公開第2008/117833号

先行技術

0013

Satyanarayanajois, S. D., Hill, R. A. Medicinal chemistry for 2020, Future Med. Chem. 2011, 3, 1765
Wells, J. A., McClendon, C. L., Reaching for high-hanging fruit in drug discovery at protein-protein interfaces. Nature, 2007, 450, 1001
Ganesan, A. The impact ofnatural products upon modern drug discovery. Curr. Opin. Chem. Bio. 2008, 12, 306.
Gracia, S. R., Gaus, K., Sewald, N. Synthesis of chemically modified bioactive peptides: recent advances, challenges and developments for medicinal chemistry. Future Med. Chem. 2009, 1, 1289
Chatterjee, J., Gilon, C., Hoffman, A., Kessler, H., N-Methylation of peptides: A new perspective in medicinal chemistry. 2008, 41, 1331.
Kessler, H. et. al.,Cilengitide: The first anti-angiogenic small molecule drug candidate. Design, synthesis and clinical evaluation. Anti-cancer Agents in Medicinal Chemistry 2010, 10, 753
Roberts, R. W., et al. Encodamers: Unnatural peptide oligomers encoded in RNA. Chem. Bio. 2003, 10, 1043.
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薬物代謝医療薬学毒性学基礎として 第2版 加隆一・哲也 編
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発明が解決しようとする課題

0014

薬効、膜透過性、代謝安定性の全てを具備したペプチド臨床開発化合物を得るためには、膜透過性と代謝安定性を具備したペプチドをデザインしてそれらの化合物群をDisplayさせ、その中から薬効を有するペプチドを選択するDisplay library技術の実現が有効と考えられる。予め膜透過性と代謝安定性をある程度備えたHit化合物が獲得できると、天然物とは異なり容易に合成、化学修飾可能なため、従来のrule of 5内での低分子創薬と同様Hit化合物の構造変化を小さくしたまま構造最適化を実施することが可能となり、比較的容易に臨床開発化合物を創出できると期待できる。このような創薬技術、手法を確立するためには、rule of 5の範囲外である中分子ペプチドのDruglikeness(薬らしさ:本明細書では、好ましくは、膜透過性と代謝安定性の両立を示す。)を満たす条件の把握、およびその条件を満足させる分子群からなる非天然型アミノ酸を含むDisplay libraryの構築の2つが必須となると考えた。
一方、中分子ペプチドdisplayの限られた規模(ドラックライクネスを考慮するとペプチド鎖長に制限があることを指す)を有効に利用するためには、ライブラリーに全く異なる構造のペプチド(非天然型アミノ酸を含んだペプチド)を多く含ませることが肝要である。側鎖の性質の異なるアミノ酸を多種類導入することも然ることながら、制限された分子量の中で固定された部位を少なくして可変領域を拡大すること、主鎖構造の異なるペプチドを含ませることにより様々な標的に対して結合ペプチドが得られる可能性が高められることになり価値がある。この観点から有効な方法として例えば、様々な環化部位を有するペプチド、分枝ペプチドをディスプレイさせることなどが挙げられる。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、本発明はペプチドディスプレイライブラリー構築のための、ペプチド化合物の新規な環化方法、分枝ペプチド合成法を提供し、また、これらを用いてドラッグライクなディスプレイライブラリーおよびドラッグライクなペプチド化合物を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0015

本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、ドラックライクな環状ペプチドに必要とされる条件を初めて明らかにした。また、当該条件を満たした多様性の高い環化部を有するペプチド化合物からなるディスプレイライブラリー合成法を見出した。すなわち、新規な翻訳方法および翻訳後修飾を用いて環化部を有するペプチド化合物ライブラリーを合成する方法、および目的の活性を有するドラッグライクなペプチドの取得の可能性がより高まめるため、更に直鎖部を有するペプチド化合物のライブラリーを合成する法を見出し、標的分子に対する結合および阻害を示す化合物取得を可能とし、本発明を完成するに至った。

0016

すなわち、本発明は、以下を含む。
〔1〕
環状部を有するペプチド化合物の製造方法であって、
1)アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基、もしくは、アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基並びにN末端カルボン酸類縁体により構成される非環状のペプチド化合物を、該ペプチド化合物をコードする核酸から翻訳して合成する工程であって、
該非環状のペプチド化合物は、C末端側に側鎖の1つに反応点を有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体残基、及び、N末端側にもう1つの反応点を有するアミノ酸残基、アミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体を含む、工程;
2)N末端側のアミノ酸残基、アミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体の反応点と、C末端側の側鎖に有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体残基の反応点とを結合させ、アミド結合又は炭素−炭素結合を形成させる工程
を含む、前記方法。
〔2〕
環状部を有するペプチド化合物の製造方法であって、
1)アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基、もしくは、アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基並びにN末端カルボン酸類縁体により構成される非環状のペプチド化合物を、該ペプチド化合物をコードする核酸から翻訳して合成する工程であって、
該非環状のペプチド化合物は、活性エステル基を側鎖に有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体残基、及び、アミン近傍に反応補助基を有するアミノ酸残基、アミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体を含む、工程;
2)前記反応補助基を有するアミノ酸残基、アミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体と、活性エステル基を側鎖に有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体残基をアミド結合させて環状化合物を得る工程
を含む、〔1〕に記載の方法。
〔3〕
活性エステルチオエステルである、〔2〕に記載の方法。
〔4〕
前記反応補助基が、SH基である、〔2〕又は〔3〕に記載の方法。
〔5〕
前記環状化合物を得る工程の後、反応補助基を除去する工程を含む、〔3〕または〔4〕に記載の方法。
〔6〕
前記アミン近傍に反応補助基を有するアミノ酸、アミノ酸類縁体又はN末端カルボン酸類縁体が、下記一般式で表される化合物N−1または化合物N−2である、〔2〕から〔5〕のいずれかに記載の方法;

(式中、R1は、水素原子、S−R23(R23は、置換基を有していてもよいアルキル基アリール基もしくはアラルキル基を示す。)、またはHS基の保護基を示し;
R2、R3は、それぞれ独立して、水素原子、または、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基もしくはシクロアルキル基を示し;またはR2とR3が環を形成した置換基、またはR2もしくはR3がR4と環を形成した置換基を示し;
R4は、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい2価のアラルキル基を示し;
R11、R12は、それぞれ独立して、単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい2価のアラルキル基を示す。)。
〔7〕
前記活性エステル基を側鎖に有するアミノ酸又はアミノ酸類縁体が、下記一般式で表される化合物C−1である、〔2〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法;

(式中、R25は、OH、ハロゲン原子、OR、またはSR1を示し(RはBt、At、NSuまたはPfpを示し、R1は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキレン基を示す。);
R26は、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい2価のアラルキル基を示し;
R2、R3は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を示す。)。
〔8〕
前記環状部を有するペプチド化合物の環状部を構成する、アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基、あるいは、アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基並びにN末端カルボン酸類縁体の総数が、5〜12である、〔1〕から〔7〕のいずれかに記載の方法。
〔9〕
前記環状部を有するペプチド化合物を構成する、アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基、あるいは、アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基並びにN末端カルボン酸類縁体の総数が、9〜13である、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の方法。
〔10〕
環状部を有するペプチド化合物の製造方法であって、
1)アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基、あるいは、アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基並びにN末端カルボン酸類縁体により構成される非環状のペプチド化合物を、該ペプチド化合物をコードする核酸から翻訳して合成する工程であって、
該非環状のペプチド化合物は、活性エステル基を側鎖に有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体残基、及び、N末端の主鎖アミノ基を有するアミノ酸残基、あるいは、主鎖もしくは側鎖にアミノ基を有するアミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体を含む、工程;
2)N末端のアミノ酸残基、N末端のアミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体と活性エステル基を側鎖に有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体をアミド結合させて環状化合物を得る工程
を含む、〔1〕に記載の方法。
〔11〕
活性エステル基がアルキルチオエステル基又はアラルキルチオエステル基であって、工程1)の翻訳合成後に活性化剤を添加させることにより、より活性な活性エステル基に変換させる工程を含む、〔10〕に記載の方法。
〔12〕
活性剤が、アリールチオール又はN−ヒドロキシスクシンイミドである、〔11〕に記載の方法。
〔13〕
翻訳されたチオエステルとの反応性が高い活性化剤と、環化させるアミンとの反応性が高い活性化剤を添加させ、より活性の高い活性エステル基に変換させる工程である、〔12〕に記載の方法。
〔14〕
アリールチオエステルで活性エステル基に変換させた後、オキシマおよびその誘導体で更に活性の高いエステル基に変換させる工程である、〔13〕に記載の方法。
〔15〕
工程1)のN末端部位の翻訳合成が、フォルミルメチオニン以外の翻訳可能なアミノ酸、翻訳可能なアミノ酸類縁体又は翻訳可能なN末端カルボン酸類縁体をアシル化した翻訳開始tRNAを用いて導入する方法にて行われる、〔1〕から〔14〕のいずれかに記載の方法。
〔16〕
工程1)のN末端部位の翻訳合成が、開始コドンを読み飛ばし、N末端にMet以外の翻訳可能なアミノ酸、翻訳可能なアミノ酸類縁体又は翻訳可能なN末端カルボン酸類縁体を導入する方法を用いて行われる、〔10〕から〔14〕のいずれかに記載の方法。
〔17〕
工程1)のN末端部位の翻訳合成が、アミノペプチダーゼにてN末端のアミノ酸、アミノ酸類縁体又はカルボン酸類縁体を切断する方法を用いて行われる、〔10〕から〔14〕のいずれかに記載の方法。
〔18〕
前記N末端部位の翻訳合成が、メチオニンアミノペプチダーゼにて処理することによりN末端のフォルミルMetを除去しN末端に他のの翻訳可能なアミノ酸、翻訳可能なアミノ酸類縁体又は翻訳可能なN末端カルボン酸類縁体を導入する方法を用いて行われる、〔17〕に記載の方法。
〔19〕
前記N末端部位の翻訳合成が、Metの代わりにノルロイシンを含む翻訳系にて翻訳され、メチオニン アミノペプチダーゼにて処理することによりN末端のフォルミルノルロイシンを除去しN末端に他のの翻訳可能なアミノ酸、翻訳可能なアミノ酸類縁体又は翻訳可能なN末端カルボン酸類縁体を導入する方法を用いて行われる、〔10〕〜〔14〕のいずれかに記載の方法。
〔20〕
前記N末端のアミノ酸、アミノ酸類縁体又はカルボン酸類縁体の除去に、さらに、ペプチドデフルミラーゼが用いられる、〔17〕から〔19〕のいずれかに記載の方法。
〔21〕
前記環状部を有するペプチド化合物が、さらに直鎖部を有する、〔1〕から〔2〕0のいずれかに記載の製造方法。
〔22〕
前記非環状ペプチド化合物がα−ヒドロキシカルボン酸、及び、側鎖に保護されていてもよいアミノ基を有するアミノ酸又はアミノ酸類縁体を含み、工程2)の環状化合物を形成する工程の後で、工程3)α—ヒドロキシカルボン酸部位と側鎖に保護されていてもよいアミノ基を有するアミノ酸又はアミノ酸類縁体部位を化学反応させて分枝部位を形成させる工程を含む、〔1〕から〔21〕のいずれかに記載の方法。
〔23〕
環状部と直鎖部とを有するペプチド化合物の製造方法であって、
1)アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基、もしくは、アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基、N末端カルボン酸類縁体並びにα−ヒドロキシカルボン酸により構成される非環状のペプチド化合物を、該ペプチド化合物をコードする核酸から翻訳して合成する工程であって、該非環状のペプチド化合物が、
i)C末端側に側鎖の1つに反応点を有するアミノ酸残基(又はアミノ酸類縁体残基)、及び、N末端側にもう1つの反応点を有するアミノ酸残基、アミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体を含み、
ii)前記i)に記載の2つの反応点の間にα位にRf5を有するα−ヒドロキシカルボン酸(Rf5は水素原子、置換されてもよいアルキル基、アラルキル基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、アリケニル基、アルキニル基から選択される)、及び、非環状ペプチド化合物中に保護されていてもよいアミノ基を側鎖に有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体残基を含む、
非環状のペプチド化合物である、工程;
2)N末端側のアミノ酸残基、アミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体の反応点と、C末端側の側鎖に有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体残基の反応点とを結合させる、環化反応工程;
3)工程1)のii)に記載のα−ヒドロキシカルボン酸のエステル結合を切断してチオエステル基を発生させる工程
4)工程3)において発生させたチオエステル基と工程1)のii)に記載のアミノ基を結合させる環化反応工程、
を含む、方法。
〔24〕
工程1)のii)に記載のα−ヒドロキシカルボン酸とアミノ基を側鎖に有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体残基の間に含まれるアミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基の数が7つ以下である、〔23〕に記載の方法。
〔25〕
工程1)のii)に記載のα−ヒドロキシカルボン酸が、Cys−Pro−α−ヒドロキシカルボン酸として非環状ペプチド化合物中に含まれる、〔23〕又は〔24〕に記載の方法。
〔26〕
工程1)のi)に記載のN末端側にもう1つの反応点を有するアミノ酸残基、アミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体が反応補助基を有している、〔23〕から〔25〕のいずれかに記載の方法。
〔27〕
工程1)のi)に記載のN末端側にもう1つの反応点を有するアミノ酸残基、アミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体が反応補助基を有さず、ii)に記載のアミノ基を側鎖に有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体残基のアミノ基が保護基を有し、活性化剤を添加することによって、工程2)の環化反応が行われ、工程2)の環化反応後、工程3)の環化反応前に、前記ii)に記載のアミノ基を側鎖に有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体残基のアミノ基の保護基を除去する工程を含む、〔23〕から〔26〕のいずれかに記載の方法。
〔28〕
環状部を有するペプチド化合物の製造方法であって、
1)アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基、もしくは、アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基並びにN末端カルボン酸類縁体により構成される非環状のペプチド化合物を、該ペプチド化合物をコードする核酸から翻訳して合成する工程であって、
該非環状のペプチド化合物は、側鎖の1つに反応点を有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体残基、及び、N末端にもう1つの反応点を有するアミノ酸、アミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体を含む、工程;
2)N末端のアミノ酸残基、N末端のアミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体の反応点と、側鎖に1つの反応点を有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体の反応点とを炭素‐炭素結合させる工程
を含む、〔1〕に記載の方法。
〔29〕
N末端のアミノ酸残基、N末端のアミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体の反応点として炭素‐炭素2重結合を選択し、側鎖に1つの反応点を有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体残基の反応点としてアリールハライドを選択して、遷移金属触媒とした炭素−炭素結合反応により環化反応を実施する工程を含む、〔28〕に記載の方法。
〔30〕
遷移金属を触媒とした炭素−炭素結合反応が、Pdを触媒としたHeck型の化学反応である、〔29〕に記載の方法。
〔31〕
前記環状部を有するペプチド化合物の環状部を形成するアミノ酸又はアミノ酸類縁体の合計が5〜12となる位置に環化反応を実施するための反応点を有する、〔1から〔30〕のいずれかに記載の方法。
〔32〕
前記環状部を有するペプチド化合物のアミノ酸及びアミノ酸類縁体残基の総数が9〜13である、〔31〕に記載の方法。
〔33〕
ペプチド化合物のC末端と翻訳合成に用いた鋳型とがスペーサーを介して結合しているペプチド化合物−核酸複合体を製造することを特徴とする、〔1〕〜〔32〕のいずれかに記載の方法。
〔34〕
ペプチド化合物−核酸複合体が、翻訳合成に用いられる非環状ペプチド化合物をコードする核酸の3'末端にリンカーを介してピューロマイシンが結合している核酸を用いて合成される、〔33〕に記載の方法。
〔35〕
スペーサーがペプチド、RNA、DNA、またはヘキサエチレングリコールポリマー、又は、これらの組合せである、〔33〕又は〔34〕に記載の方法。
〔36〕
ペプチド化合物を、互いに異なる配列を有する複数の核酸から成る核酸ライブラリーを翻訳して製造することを特徴とする、〔1〕から〔35〕のいずれかに記載の方法。
〔37〕
〔1〕から〔36〕のいずれかに記載の製造方法により作製されるペプチド化合物又はペプチド化合物−核酸複合体。
〔38〕
異なる構造を有する複数の〔37〕記載のペプチド化合物又はペプチド化合物−核酸複合体からなるライブラリー。
〔39〕
以下の(i)〜(iv)を有することを特徴とする、環状部を有するペプチド化合物;
(i)アミノ酸及びアミノ酸類縁体残基数の合計が5〜12からなる環状部を含み、アミノ酸及びアミノ酸類縁体の総数が9〜13である、
(ii)N置換アミノ酸を少なくとも2つ含み、N置換されていないアミノ酸を少なくとも1つ含む、
(iii)ClogP値が6以上である、
(iv)環状部を形成しているアミノ酸又はアミノ酸類縁体の結合が、アミノ酸又はアミノ酸類縁体の側鎖にある活性エステル基と、他のアミノ酸又はアミノ酸類縁体のアミン基とからなる結合を少なくとも1つ有する。
〔40〕
ペプチド化合物に含まれるアミノ酸及びアミノ酸類縁体が、翻訳合成可能なアミノ酸又はアミノ酸類縁体、若しくは、翻訳可能なアミノ酸又はアミノ酸類縁体の側鎖またはN置換部位を化学修飾することによって得られるアミノ酸又はアミノ酸誘導体から選択されるアミノ酸又はアミノ酸類縁体である、〔39〕に記載のペプチド化合物。
〔41〕
さらに、アミノ酸及びアミノ酸類縁体残基数の合計が1〜8からなる直鎖部を少なくとも1つ含む、〔39〕又は〔40〕に記載のペプチド化合物。
〔42〕
環状部を形成しているアミノ酸又はアミノ酸類縁体の結合がアミド結合又は炭素−炭素結合である、〔39〕から〔41〕のいずれかに記載のペプチド化合物。
〔43〕
環状部が下記一般式(I)で示される交差ユニットを含む、〔39〕から〔42〕のいずれかに記載のペプチド化合物;

(式中の記号は以下の意味を示す;
R51は、置換基を有していても良いC1−C6アルキル基、C5−C10アリール基、アラルキル基、エステル基、又は式1で示されるアミドであり、
R52は、置換基を有していても良いC1−C6アルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり、
R53は、置換基を有していても良いC1−C6アルキル基、もしくは水素原子であるか、または、R53とR51とが互いに結合してC3−C5のアルキレン基を形成し窒素原子を含む5員〜7員環を形成していてもよく、
R54は、0−8アミノ酸残基より構成されるペプチドであり、
R55は、置換基を有していても良いC1−C6アルキル基、C5−C10アリール基、アラルキル基、エステル基、置換基を有していても良いアミド基であり、
*は、環状部における結合部位を示す。)。
〔44〕
〔39〕から〔43〕のいずれかに記載のペプチド化合物を含む医薬組成物
〔45〕
前記医薬組成物が経口剤である、〔44〕の医薬組成物。
〔46〕
〔39〕から〔45〕のいずれかに記載のペプチド化合物の製造方法であって、工程(i)〜(v)を含む方法:
(i)アミノ酸及びアミノ酸類縁体の総数が9〜13である非環状ペプチド化合物を翻訳合成して、当該非環状ペプチド化合物とそれをコードする核酸配列を有する複合体がリンカーを介して結合している非環状ペプチド化合物−核酸複合体を形成する工程;
(ii)工程(i)で翻訳合成された複合体の非環状ペプチド化合物をアミド結合又は炭素−炭素結合によって環化し、環状部のアミノ酸及びアミノ酸類縁体の残基数の合計が5〜12となる環状化合物を形成する工程;および、
(iii)工程(ii)で得られた環状部を有するペプチド化合物−核酸複合体ライブラリーと生体内分子とを接触させ、当該生体内分子に対して結合活性を有する複合体を選択する工程。
〔47〕
さらに、以下の工程を含む、〔46〕に記載の製造方法;
(iv)前記工程(iii)で選択された複合体の核酸配列からペプチド化合物の配列情報を得る工程、および、
(v)前記工程(iv)で得られた配列情報に基づきペプチド化合物を化学合成する工程。
〔48〕
前記非環状ペプチド化合物がα−ヒドロキシカルボン酸、及び、保護されていてもよい側鎖にアミノ基を有するアミノ酸又はアミノ酸類縁体を含み、工程(ii)の環状化合物を形成する工程の後で、α—ヒドロキシカルボン酸部位と側鎖にアミノ基を有するアミノ酸又はアミノ酸類縁体部位を化学反応させて分枝部位を形成させる工程を含む、〔46〕又は〔47〕に記載の方法。
〔49〕
生体内分子が、分子量500未満の化合物が結合し得る領域を有していない分子である、〔46〕から〔48〕いずれかに記載の製造方法。
〔50〕
生体内分子に対して結合活性を有する複合体が、さらに該生体内分子が他の生体内分子との結合を阻害する活性を有する、〔46〕から〔49〕のいずれかに記載の製造方法。
〔51〕
環化反応するN末端側のアミノ酸又はアミノ酸類縁体が、前記化合物N−1または化合物N−2で表わされる化合物から選択されるアミノ酸又はアミノ酸類縁体であり、C末端側のアミノ酸又はアミノ酸類縁体が前記化合物C−1で表わされる化合物から選択されるアミノ酸又はアミノ酸類縁体であり、工程(ii)の環状化合物を得る工程の後、反応補助基を除去する工程を含む、〔46〕から〔50〕のいずれかに記載の製造方法。
〔52〕
核酸配列が3'末端にスペーサーを有し、翻訳合成されるペプチド化合物のC末端が、当該スペーサーを介して、当該核酸配列と複合体を形成する、〔46〕から〔51〕のいずれかに記載の製造方法。
〔53〕
ペプチド化合物−核酸複合体が、翻訳合成に用いられる非環状ペプチド化合物をコードする核酸の3'末端にリンカーを介してピューロマイシンが結合している核酸を用いて合成される、〔52〕に記載の方法。
〔54〕
スペーサーがペプチド、RNA、DNA、またはヘキサエチレングリコールのポリマーである、〔52〕又は〔53〕に記載の製造方法。

発明の効果

0017

本発明によれば、翻訳合成することができるドラックライクな(膜透過性と代謝安定性に優れた)環状部を有するペプチド化合物又は環状部と直鎖部を有するペプチド化合物、及び、当該化合物のディスプレイライブラリーが提供される。また、本発明のディスプレイライブラリーは、多様性に富んだライブラリーであることから、所望の標的分子に対するヒット化合物を取得できる確率が高い。さらに、本発明のディスプレイライブラリーから得られた該ヒット化合物は、既に優れた膜透過性と代謝安定性を有していることからことから、大きな構造変換をすることなく、従来の低分子化合物の考え方と同様医薬品としての最適化を効率的に実施することが可能である。このように本発明は、これまで医薬品として知られている低分子化合物や抗体とは異なる新しい医薬品のためのScaffoldの提供と効率的に医薬品を創出するための新しい創薬システムを提供するものである。

図面の簡単な説明

0018

側鎖カルボン酸が活性エステル化されたアミノアシル化pdCpA化合物群の一般的合成法を示した図である。
Glu(SBn)を含むペプチド配列P−1をコードするmRNAの翻訳産物マススペクトル解析を示した図である。
Asp(SMe)を含むペプチド配列P−2をコードするmRNAの翻訳産物のマススペクトル解析したことを示した図である。Asp(SMe)の翻訳にて、翻訳された全長ペプチドから脱MeSHされた化合物が主生成物として検出された(翻訳ペプチドP-3)。
翻訳ペプチドP−6の加水分解反応によるペプチドP-4の生成を示した図である。
Tyrを含まず、チオエステルを含むペプチド配列の翻訳を示した図である。
N末端アミノ基を持たないチオエステル含有ペプチドの翻訳合成を示した図である。
側鎖がチオエステル化されたアミノ酸に続くC末端側アミノ酸にN−アルキル化されたアミノ酸を導入させたモデルペプチドの翻訳合成を示した図である。
チオエステルとグリシン誘導体あるいはシステイン誘導体との化学反応性の比較を示した図である。
図8−1の続きを示す図である。
イミダゾール添加条件でのチオエステル5b−1とグリシン誘導体との反応によるアミド5d−1の合成を示した図である。
システイン誘導体のアミノアシル化pdCpAの一般的合成法を示した図である。
システイン誘導体のアミノアシル化pdCpAの合成例を示した図である。
Cys(StBu)をN末端としたペプチド翻訳合成を示した図である。
化合物2n−A及び化合物2e−Aの翻訳模擬液中での安定性を示した図である。
Initiation read-throughを積極活用したN末端 Cysの効率的翻訳導入を示した図である。
Cys直後の3番目コドンに様々なアミノ酸をコードさせた翻訳産物のマススペクトルを示した図である(P-15:Phe)。
Cys直後の3番目のコドンに様々なアミノ酸をコードさせた翻訳産物のマススペクトルを示した図である(P-16:Leu)。
Cys直後の3番目のコドンに様々なアミノ酸をコードさせた翻訳産物のマススペクトルを示した図である(P-17:Tyr)。
Cys直後の3番目のコドンに様々なアミノ酸をコードさせた翻訳産物のマススペクトルを示した図である(P-18:Cys)。
Cys直後の3番目のコドンに様々なアミノ酸をコードさせた翻訳産物のマススペクトルを示した図である(P-19:Trp)。
Cys直後の3番目のコドンに様々なアミノ酸をコードさせた翻訳産物のマススペクトルを示した図である(P-20:Leu)。
Cys直後の3番目のコドンに様々なアミノ酸をコードさせた翻訳産物のマススペクトルを示した図である(P-21:Leu)。
Cys直後の3番目のコドンに様々なアミノ酸をコードさせた翻訳産物のマススペクトルを示した図である(P-22:Pro)。
Cys直後の3番目のコドンに様々なアミノ酸をコードさせた翻訳産物のマススペクトルを示した図である(P-23:His)。
Cys直後の3番目のコドンに様々なアミノ酸をコードさせた翻訳産物のマススペクトルを示した図である(P-24:Gln)。
Cys直後の3番目のコドンに様々なアミノ酸をコードさせた翻訳産物のマススペクトルを示した図である(P-25:Arg)。
Cys直後の3番目のコドンに様々なアミノ酸をコードさせた翻訳産物のマススペクトルを示した図である(P-26:Arg)。
Cys直後の3番目のコドンに様々なアミノ酸をコードさせた翻訳産物のマススペクトルを示した図である(P-27:Ile)。
Cys直後の3番目のコドンに様々なアミノ酸をコードさせた翻訳産物のマススペクトルを示した図である(P-29:Asn)。
Cys直後の3番目のコドンに様々なアミノ酸をコードさせた翻訳産物のマススペクトルを示した図である(P-30:Ser)。
Cys直後の3番目のコドンに様々なアミノ酸をコードさせた翻訳産物のマススペクトルを示した図である(P-32:Val)。
Cys直後の3番目のコドンに様々なアミノ酸をコードさせた翻訳産物のマススペクトルを示した図である(P-33:Ala)。
システイン以外のSH基付き非天然型アミノ酸およびそのアミノアシル化pdCpAの一般的合成法を示した図である。
SH基を含有する安定化アミノアシル化tRNAを用いた翻訳ペプチドのマススペクトルを示した図である(P-34:tBuSSEtGly, P-35:tBuSSEtβAla, P-36:tBuSSEtGABA、[M+H]が標的化合物、S脱保護は、標的化合物のSH基に付与されていた保護基が脱離された化合物であり、標的化合物が翻訳されたことを示す、Read-throughは2番目のThrから開始された翻訳生成物であり、副生成物である)
SH基を含有する安定化アミノアシル化tRNAを用いた翻訳ペプチドのマススペクトルを示した図である(P-41:Cys(StBu), P-40:PenCys(StBu), P-38:NVOC-Cys(StBu))。
メチオニン以外のアミノ酸、アミノ酸類縁体又はN末端カルボン酸類縁体をN末端に導入する方法を用いた翻訳合成及びアミド環化ペプチドのマススペクトルを示した図である。
Initiation read-throughを用いた翻訳及びアミド環化ペプチドのマススペクトルを示した図である(NCL:標的化合物)。
Initiation read-throughを用いた翻訳及びアミド環化ペプチドのマススペクトルを示した図である(NCL:標的化合物)。
Initiation read-throughを用いた翻訳及びアミド環化ペプチドの構造決定のためのMSおよびMS/MS解析を示した図である。
図30−1の続きを示す図である。
モデル基質を用いたラジカル脱硫反応を示した図である。
モデル基質を用いたラジカル脱硫反応の条件検討を示した図である。
翻訳ペプチドP−50の脱硫反応条件、および得られたペプチドP−51のマススペクトルを示した図である。
脱硫反応の蛋白への影響評価を示した図である。
代謝物マスクロマトグラムを示した図である。
Peak1のMS/MSスペクトルを示す図である。
Peak2のMS/MSスペクトルを示す図である。
Peak3のMS/MSスペクトルを示す図である。
Peak4のMS/MSスペクトルを示す図である。
環化反応による化合物P-136の生成反応液をLCMSで分析した結果を示す図である。
環化反応による化合物P-136の生成反応液をLCMSで分析した結果を示す図である。
環化反応による化合物P-137の生成反応液をLCMSで分析した結果を示す図である。
ベンジルチオエステル化されたアスパラギン酸誘導体を含むペプチドの翻訳合成により得られた翻訳反応物のマススペクトルによる分析結果を示す図である。
翻訳ペプチドP141上のチオエステルとN末端α−アミノ基を用いたペプチドのアミド環化実験により得られた生成物のマススペクトルによる分析結果を示す図である。
化合物10の合成条件の対比を示す図である。
化合物P-151の生成反応をLCMSで分析した結果を示す図である。
環化反応後のmRNA-ペプチドフュージョン分子を鋳型とした逆転写反応の結果を示す図である。
N末端Phe, Alaとベンジルチオエステル化されたアスパラギン酸誘導体を含むペプチドのMALDI−MSによる分析結果を示す図である。
N末端Phe, Alaとベンジルチオエステル化されたアスパラギン酸誘導体を含むペプチドのMALDI−MSによる分析結果を示す図である。
環化反応条件におけるRNA安定性を電気泳動により評価した結果を示す図である。
ペプチド環化反応の反応生成物の電気泳動による解析結果を示す図である。
ノルロイシンで翻訳開始され、ベンジルチオエステル化されたアスパラギン酸誘導体を側鎖に含むペプチドを用いた、翻訳後開始アミノ酸除去と反応補助基を利用しないペプチド環化による環化ペプチドのMALDI−MSによる分析結果を示す図である。
化合物SP-606の生成反応液をLCMSで分析した結果を示す図である。
システニルプロリルエステル配列及び側鎖アミノ基を持つ環状ペプチド(化合物P−H1)のMALDI−MSによる分析結果を示す図である。
翻訳ペプチドP-H1を用いた分子内分枝ペプチド(直鎖部2)生成反応における生成物のMALDI−MSによる分析結果を示す図である。
化合物SP-606の生成反応液をLCMSで分析した結果を示す図である。
化合物SP-606の生成反応液をLCMSで分析した結果を示す図である。
化合物SP-606の生成反応液をLCMSで分析した結果を示す図である。
化合物SP-607の生成反応液をLCMSで分析した結果を示す図である。
脱硫反応前(化合物 SP606)のマスクロマトグラム(上段)と脱硫反応3時間後における保持時間0.34分から0.39分までを積算し平均化したマスクロマトグラム(下段)(分析条件SQDFA05)の図である。この範囲で積算すれば、目的化合物反応原料のみならず、類似の構造を有する副生成物が存在すればその分子量が観測されるはずであるため、全体の反応選択性を正確に評価することが可能である。図56に限らず、一定領域のマススペクトルで時間範囲を積算しているものは、全てこの意図に従っている。
化合物SP-607の生成反応液をLCMSで分析した結果を示す図である。
脱硫反応前(化合物 SP606)のマスクロマトグラム(上段)と脱硫反応3時間後における保持時間0.34分から0.39分までを積算し平均化したマスクロマトグラム(下段)(分析条件SQD FA05)の図である。
化合物SP618の生成反応液をLCMSで分析した結果を示す図である。
化合物SP619の生成反応液をLCMSで分析した結果を示す図である。
図61は、LCMS 0.3分から0.6分のマスクロマトグラフである。なお、ペプチド成分は本分析条件では0.3分から0.6分に全て溶出される。従って、反応の選択性を評価する目的で0.3分から0.6分までのマスクロマトグラフを積算して平均化させた結果、本反応が選択的に新区したことが明らかとなったことを示す図である。
図62は、N末端フォルミルメチオニンを含み、側鎖チオール基とカルボン酸でチオエステル環化したペプチドP−E1(ピークI)と、N末端フォルミルメチオニンが除去され、その結果露出したN末端アミノ基の窒素原子とAspの側鎖カルボン酸でアミド環化した化合物P−E2(ピークII)のMALDI−MSによる分析結果を示す図である。
化合物SP618の生成反応液をLCMSで分析した結果を示す図である。
化合物SP619の生成反応液をLCMSで分析した結果を示す図である。
図65は、LCMS 0.3分から0.6分のマスクロマトグラフである。なお、ペプチド成分は本分析条件では0.3分から0.6分に全て溶出される。従って、反応の選択性を評価する目的で0.3分から0.6分までのマスクロマトグラフを積算して平均化させた図である。
計算機によるシミュレーションを活用した仮想ライブラリによるCLOGP値、NMeアミノ酸数、分子量の平均値および分布の推測図である。
計算機によるシミュレーションを活用した仮想ライブラリによるCLOGP値、NMeアミノ酸数、分子量の平均値および分布の推測図である。
LCMS全範囲を積算して平均化させたマスクロマトグラフである。
LCMS 全範囲を積算して平均化させたマスクロマトグラフである。
LCMS 全範囲を積算して平均化させたマスクロマトグラフである。
化合物SP664の生成反応液をLCMSで分析した結果を示す図である。
化合物SP672の生成反応液をLCMSで分析した結果を示す図である。
実施例26で得られた化合物(SP854、SP855、SP857、SP859)のhIL-6及びshIL-6Rによる細胞増殖阻害活性を示す図である。
分子内分枝ペプチド(直鎖部2)を有するペプチド−RNA複合体を含む反応生成物の電気泳動による解析結果を示す図である。
翻訳反応物のMALDI−MS分析による結果を示す図である。
翻訳反応物のマスクロマトグラムおよびマススペクトルによる分析結果を示す図である。
翻訳反応物のマスクロマトグラムおよびマススペクトルによる分析結果を示す図である。
翻訳反応物のマスクロマトグラムおよびマススペクトルによる分析結果を示す図である。
翻訳反応物のマスクロマトグラムおよびマススペクトルによる分析結果を示す図である。
側鎖アミノ基脱保護条件でのRNA安定性を電気泳動により評価した結果を示す図である。
RNase処理済みサンプルを処理して得られたサンプルのLC/MS分析の結果を示す図である。
10のアミノ酸にて環状を形成し、3つのアミノ酸が分岐された13残基からなるペプチドとタンパク質の相互作用を示す図である。
10のアミノ酸にて環状を形成し、3つのアミノ酸が分岐された13残基からなるペプチドとタンパク質の相互作用を示す図である(左側)。13アミノ酸のアミノ酸にて環状を形成するペプチドとタンパク質の相互作用を示す図である(右側)。
側鎖アミノ基脱保護条件でのRNA安定性を電気泳動により評価した結果を示す図である。

0019

<ペプチド化合物>
・環状部を有するペプチド化合物
本発明の環状部を有するペプチド化合物とは、アミノ酸あるいはアミノ酸類縁体がアミド結合あるいはエステル結合して形成される化合物であり、環状部がアミド結合あるいは炭素‐炭素結合形成反応などの共有結合を介して環化された化合物である。当該化合物をさらに化学修飾して得られる化合物も本発明のペプチド化合物に含まれる。本発明のペプチド化合物は直鎖部を有していてもよく、例えば、スキームA(スキームA−1、A−2)のように記載することができる。環状部を有するペプチド化合物は、さらに、直鎖部を有していてもよい。アミド結合あるいはエステル結合の数(アミノ酸又はアミノ酸類縁体の数・長さ)を特に限定しないが、直鎖部を有する場合、環状部と直鎖部を併せて30残基以内が好ましい。高い膜透過性を獲得するためには、環化部位と直鎖部位を併せた総アミノ酸数は13残基以下であることがより好ましい。高い代謝安定性を獲得するためには、総アミノ酸数が9以上であることがより好ましい。膜透過性と代謝安定性の両立(ドラックライクネス)を考慮すると上記に加えて環状部を構成するアミノ酸及びアミノ酸類縁体の数は5〜12であることが好ましい。さらに、上の記載に加えて環状部を構成するアミノ酸及びアミノ酸類縁体の数はより好ましくは5〜11、さらに7〜11残基が好ましい。特に9〜11残基が好ましい。直鎖部のアミノ酸及びアミノ酸類縁体の数(ユニットの数)は0〜8であることが好ましい。さらに、0〜3が好ましい。尚、本願では特に限定しない限り、アミノ酸にはアミノ酸類縁体も含まれる場合があるものとする。また、ここで、「ドラックライクネス」あるいは「ドラックライク」とは、ペプチド化合物が、少なくとも経口剤、あるいは、細胞内蛋白、核酸、膜蛋白の細胞内領域又は膜蛋白の膜貫通ドメインを標的とした場合に、医薬品として利用できる程度の膜透過性と代謝安定性を有することを意味する。

0020

本発明の環状部を有するペプチド化合物の環状部位は環状を形成しているペプチドであれば特に限定されないが、翻訳後環化部は膜透過性と代謝安定性を両立(Druglikeness)できる官能基を形成する環化ユニットであることが必要である。そのような環化法であれば特に限定されない。例えばカルボン酸とアミンから形成されるアミド結合や、鈴木反応、Heck反応(ヘック反応)、Sonogashira反応等の遷移金属を触媒とした炭素—炭素結合反応などが挙げられる。従って本発明のペプチド化合物は、これらの結合反応が可能な少なくとも1組の官能基を含む。特に代謝安定性の観点からは、結合反応によってアミド結合が形成される官能基が含まれることが好ましい。

0021

本発明のペプチド化合物の環状部としては、例えば、スキームAに記載のような翻訳合成後の化学反応により環化されることにより形成される環状部が好ましい。さらに、翻訳後にRNAやDNAなどの核酸に影響を与えることのない反応条件でも形成することができる環状部が好ましい。

0022

環状部の形成はドラックライクな環化であることが好ましい。ドラックライクな環化とは、生成される結合がドラックライクである結合を意味する。例えば、容易に酸化される可能性を有するヘテロ原子を含むような結合であって、代謝安定性の妨げとなる結合が含まれないことが好ましい。環化によって生成される結合としては、例えば、活性エステルとアミンとの結合によるアミド結合、炭素—炭素2重結合とアリールハライドによるHeck反応生成物などによって生成される結合が含まれる。これらはスキームAにも記載の三角ユニット(環化N端側ユニット)や交差ユニットに反応性官能基を要求するため、三角ユニットや交差ユニットには必ずしもドラックライクに適したアミノ酸が選択されない。しかしながら、翻訳後修飾を実施した後にドラックライクな官能基を有する化合物へと変換される。本発明においては、このような結合もドラックライクな環化の結合に含まれる。

0023

スキームAの曲線部分が翻訳後に環化される部位(翻訳後環化部)であり、この部分はアミド結合あるいはHeck反応などの炭素‐炭素結合形成反応に代表される様々な翻訳後修飾化学反応にて結合されて環状部が形成される。なお、本明細書において「翻訳合成」は、ペプチド化合物をコードする核酸(たとえば、DNA、RNA)から、該ペプチド化合物を翻訳して合成すること意味する。翻訳とは、リボゾームの作用によってmRNAを鋳型にアミド結合やエステル結合反応を繰り返すことによって直鎖ペプチドを得る工程である。
翻訳後修飾とは、翻訳後にリボゾームの作用以外で自動的あるいは別試薬を添加させて生じさせる化学反応を指し、例えば環化反応や脱保護反応を挙げることができる。
翻訳後環化とは、翻訳後修飾の中で環形成反応を伴うものである。(スキームA:本発明のペプチド化合物を説明したスキームである。白丸ユニット、黒丸ユニット、三角ユニット、四角ユニットはそれぞれアミノ酸あるいはアミノ酸類縁体を意味する。また、それぞれのユニットは同一あるいは別々のアミノ酸あるいはアミノ酸類縁体を意味する。三角ユニットはN末端カルボン酸類縁体の場合もあり得る。例えば、8個の黒丸ユニットはそれぞれ別種類のアミノ酸あるいはアミノ酸類縁体であってもよく、その中のいくつか、あるいは全てが同一のものであってもよい。また、翻訳後に実施可能な化学修飾により、アミノ酸あるいはアミノ酸類縁体は、別骨格を有する化合物へ化学変換や骨格変換されていてもよい。ここで、1ユニットとは、翻訳後修飾が終了した時点でのアミノ酸あるいはアミノ酸類縁体が、これに該当するが、1つのtRNAによって翻訳されたアミノ酸あるいはアミノ酸類縁体が、翻訳後修飾により、別骨格を有する化合物へ化学変換や骨格変換されたものも、これに含まれる。ユニットの数についても同様に計算される。尚、本願では特に限定しない限り、アミノ酸にはアミノ酸類縁体も含まれるものとする。また、本明細書中において、翻訳後環化は単に環化という場合がある。

0024

例えば、環状部とはスキームA−1においては、1つの三角(▲)ユニット(残基)(環化N端側ユニット)と8つの黒丸(●)ユニット(環状部主鎖ユニット)および1つの白丸(○)ユニット(交差ユニット)から成る部位であり、直鎖部とは6つの四角(■)ユニット(直鎖部主鎖ユニット)から成る部位である。またスキームA−2では環状部とは1つの三角ユニットと8個の黒丸ユニットおよび1つの交差ユニットから成る部位であり、直鎖部とは4つの四角および3つの四角ユニットから成る部位である。

0025

本発明において交差ユニットとは、翻訳後に形成される環化前のペプチド化合物(非環化ペプチド化合物)において、アミノ酸側鎖に当該ペプチド化合物中の三角ユニットのアミノ酸又はアミノ酸類縁体が持つ官能基あるいはN末端カルボン酸類縁体が持つ官能基と、化学反応によって環化される官能基を有するアミノ酸あるいはアミノ酸類縁体であり、当該三角ユニットとの環化に必要な官能基を有していれば特に限定されない。スキームAの白丸ユニットがこれに該当する。交差ユニットは、上記のアミノ酸あるいはアミノ酸類縁体から選択され、核酸からの翻訳が可能であるものが好ましい。また、そのものが翻訳困難であっても、その誘導体が翻訳される場合には、そのものが翻訳されることが必須ではない。例えば、Asp(SBn)が翻訳される場合には、交差ユニットとしてはAspの側鎖メチレン鎖を自由に置換した化合物も許容される(例えば化合物C−3のR28やR29は、翻訳されないものであってもよい)。交差ユニットでは、主鎖のアミノ基、カルボキシル基が翻訳合成での共有結合形成に使用され、かつ第三の官能基が翻訳後環化に必要であるため、合計3つ以上の官能基を有する必要がある。この中で、翻訳後環化部位は交差ユニットの側鎖部位の官能基により環化される。

0026

ここで、交差ユニットと環化する官能基を有するアミノ酸あるいはアミノ酸類縁体、もしくはN末端カルボン酸類縁体は、交差ユニットと環化する官能基を有する限り特に限定されない。スキームAの三角ユニットがこれに該当する。三角ユニットは、例えば、スキームA中ではN末端に配置された例を示した。このような例では、三角ユニットとしてアミノ酸を選択した場合には主鎖アミノ基を環化官能基として使用することができる。例えば、交差ユニットに活性エステルを活用した場合、三角ユニットの主鎖アミノ基とアミド結合による翻訳後環化させることが可能である。このように、主鎖アミノ基を反応性官能基として活用する場合、三角ユニットの側鎖には反応性官能基を有していなくともよい。側鎖にSH基(チオール基)などの反応補助基を導入することもできる。また、三角ユニットとしてアミノ酸類縁体を利用した場合、主鎖のヒドロキシル基を反応性官能基として使用してもよく、また側鎖に配置させた反応性官能基を利用してもよい。また、N末端カルボン酸類縁体を利用した場合には、上述と同様アミノ基やヒドロキシル基を反応性官能基として利用してもよいが、アミノ基やヒドロキシル基を持たない自由な反応性ユニットとして様々な官能基を導入させることができる。三角ユニットは、上記のアミノ酸あるいはアミノ酸類縁体、もしくはN末端カルボン酸類縁体から選択され、翻訳されるものが好ましい。また、そのものが翻訳困難であっても、その誘導体が翻訳される場合には、そのものが翻訳されることが必須ではないことは、交差ユニットと同様である。

0027

交差ユニットと三角ユニットは、環化可能な位置であれば、環化前のペプチド化合物中の所望の位置に組み込むことが可能であるが、環化、もしくは環化後の翻訳後修飾が施された後の環状部位のアミノ酸またはアミノ酸類縁体あるいはN末端カルボン酸類縁体を併せた数が5〜12となるような位置に組み込まれることが好ましい。さらに、環化、もしくは環化後の翻訳後修飾が施された後の環状部のアミノ酸またはアミノ酸類縁体あるいはN末端カルボン酸類縁体を併せた数が5〜11となるような位置に組み込まれることが好ましい。

0028

また、三角ユニットはスキームAではN末端に配置させているが、N末端以外の位置に配置させることもできる。その場合、その位置は、交差ユニットよりN末端側に配置させる必要がある。三角ユニットをN末端以外の位置に配置させる場合、三角ユニットには、アミノ酸およびアミノ酸類縁体から選択され、側鎖に交差ユニットと環化反応する官能基を有する。

0029

黒丸ユニット、四角ユニットは、アミノ酸あるいはアミノ酸類縁体より選択される。また、アミノ酸あるいはアミノ酸類縁体で翻訳された後、翻訳後修飾により生じさせることのできる化学構造も含まれる(例えば直鎖部2の構造)。アミノ酸を選択した場合、黒丸ユニットは特に限定されないが、好ましくはドラックライクなアミノ酸、もしくは反応性官能基を有し翻訳後修飾にて化学反応させてドラックライクな官能基に変換させるアミノ酸から選択される(例えば直鎖部2のアミノ酸残基としてリジンが挙げられる。)。アミノ酸類縁体から選択した場合、黒丸ユニットは特に限定されないが、好ましくはドラックライクなアミノ酸類縁体もしくは側鎖に様々な反応性官能基を有するアミノ酸類縁体が翻訳後の修飾により反応性官能基が化学修飾され、ドラックライクなアミノ酸類縁体に変換されるアミノ酸類縁体から選択される。

0030

直鎖部の数(分枝の数)は特に限定されず、スキームA−1のように1つであってもよく、スキームA−2のように2つ以上であってもよい。また、スキームA−1の四角ユニットの数が0個になった化合物でもよく、またスキームA−2の四角ユニットのうち直鎖部1の数が0個になった化合物でもよい。直鎖部を有することで、本発明の環状部を有するペプチド化合物の機能を強化することが可能である。例えば、あるレセプターリガンドの結合を阻害するために本発明のペプチド化合物を利用する場合、当該ペプチド化合物が直鎖部を有することで、直鎖部がない場合と比較して、ペプチド化合物の、レセプターあるいはリガンドに対する結合活性を高めることができる。当該結合活性の増強により、レセプターとリガンドの結合阻害効果を高めることが可能である。特に本発明の直鎖部は、例えば後述の方法に従って、環状部の所望の位置に直鎖部を付与することが可能であり、より高い機能を得るために最適の位置に直鎖部が付与されたペプチド化合物を得ることができる(以後、直鎖部2)。

0031

またこれらの直鎖部は、環状部を有するペプチド化合物のライブラリーから、所望の活性を有するペプチド化合物をより効率よく得る上でも好ましい。所望の活性を有するペプチド化合物とは、標的物質に対してけ結合活性を有するもの、標的物質の機能を阻害する作用を有するもの、あるいは標的物質の機能を活性化させる作用を有するもの、標的物質の機能を変更させる作用を有するものなどが挙げられ、これらの中から目的に応じて機能を選択することができる。本発明の環状部を有するペプチド化合物が標的物質に対して結合活性を有する場合、これらのペプチド化合物は膜透過性と脂質安定性に優れていることから、例えば、該ペプチド化合物を標識することで、生体内だけでなく、細胞内の標的物質の分布をリアルタイムモニタリングすることが可能となる。更に標的物質が疾患の原因因子である場合には、該疾患の診断に利用できる可能性もある。また、本発明の環状部を有するペプチド化合物が、標的物質の機能を阻害、活性化又は変更させる効果を有する場合、例えば、標的物質が疾患の原因因子である場合には該疾患の治療薬として利用できる。また、例えば、本発明の環状部を有するペプチド化合物が直鎖部2を有する場合、無い場合と比較して阻害化合物取得割合を向上させることが可能となる。タンパクAと結合して、タンパクAとタンパクBのタンパク‐タンパク相互作用を阻害する13残基環状部を有するペプチド化合物の場合、当該ペプチド化合物が結合しているタンパクA内のペプチドの接触部位を図82−2の右側に示した。環状化合物であるため、ペプチドとタンパクAの接触領域を円で近似させると約3〜5残基分の直径であると判断できる。この接触領域にタンパクBが結合する場合には効果的にタンパクAとタンパクBのタンパク‐タンパク相互作用を阻害することが可能であるが、この接触領域以外でタンパクBがタンパクAと結合する場合には、有効な阻害が得られない可能性が考えられる(いわゆるアロステリック阻害例はタンパクータンパク相互作用阻害例としては報告例が少ない)。

0032

このように考えると、なるべく広い領域にてタンパクと結合するペプチド化合物を得ることが重要となる。一方で、膜透過可能な総アミノ酸数は限定されているので、直鎖部が有効となる。例えば、図82−1には先と同じ13残基の環状ペプチドではあるが、10残基にて環状を構築し、残り3つが分枝されたペプチドを示した。特に直鎖部2は後述の手法に従って、ペプチド化合物の任意の場所に直鎖部を付与することが可能であるので、図82−1の4つの分枝ポイントだけでなく、さらに多くの分枝ポイントを獲得できるが、仮に4つを重ねると、図82−2の左に示す領域まで接触領域が拡大される。同一の場所(穴)に作用しているにも関わらず、タンパクAとタンパクBの結合領域と重なることにより阻害剤等の機能を有するペプチド化合物を取得できる割合が高まる。

0033

なお、本明細書において、ペプチド化合物を構成する「アミノ酸」、「アミノ酸類縁体」を、それぞれ、「アミノ酸残基」、「アミノ酸類縁体残基」ということがある。
アミノ酸とはα、βおよびγアミノ酸であり、天然型アミノ酸(本願では天然型アミノ酸とはタンパク質に含まれる20種類のアミノ酸を指す。具体的にはGly、Ala、Ser、Thr、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、His、Glu、Asp、Gln、Asn、Cys、Met、Lys、Arg、Proを指す。)に限定されず、非天然型アミノ酸であってもよい。α−アミノ酸の場合、L型アミノ酸でもD型アミノ酸でもよく、α,α−ジアルキルアミノ酸でもよい。アミノ酸側鎖の選択は特に制限を設けないが、水素原子の他にも例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、シクロアルキル基から自由に選択される。それぞれには置換基が付与されていてもよく、それら置換基も例えば、N原子、O原子、S原子、B原子、Si原子、P原子を含む任意の官能基の中から自由に選択される(すなわち、置換されていてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、シクロアルキル基など)。
ペプチド化合物を構成する「アミノ酸」、「アミノ酸類縁体」にはそれぞれに対応する全ての同位体を含む。「アミノ酸」、「アミノ酸類縁体」の同位体は、少なくとも1つの原子が、原子番号(陽子数)が同じで,質量数陽子中性子の数の和)が異なる原子で置換されたものである。本発明ペプチド化合物を構成する「アミノ酸」、「アミノ酸類縁体」に含まれる同位体の例としては、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子リン原子硫黄原子フッ素原子塩素原子などがあり、それぞれ、2H、3H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl等が含まれる。

0034

置換基として、例えば、ハロゲン由来の置換基として、フルオロ(−F)、クロロ(−Cl)、ブロモ(−Br)、ヨウド(−I)などが挙げられる。これらで1つ以上置換された、ハロゲンを置換基に有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基などが挙げられる。

0035

O原子由来の置換基としてエーテルを形成させるための置換基として、アルコキシ基(−OR)が挙げられ、アルコキシ基はアルキルアルコキシ基シクロアルキルアルコキシ基アルケニルアルコキシ基、アルキニルアルコキシ基、アリールアルコキシ基ヘテロアリールアルコキシ基、アラルキルアルコキシ基、などの中から選択される。アルコール部位を形成させる置換基として、ヒドロキシル基(−OH)が挙げられ、カルボニル基を形成させる置換基として、カルボニル基(−C=O−R)が挙げられ、カルボニル基は、ヒドロカルボニル基(−C=O−H,化合物としてはアルデヒドが得られる)、アルキルカルボニル基(化合物としてはケトンが得られる)、シクロアルキルカルボニル基アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、アリールカルボニル基ヘテロアリールカルボニル基、アラルキルカルボニル基などの中から選択される。カルボン酸を形成させる置換基(−CO2H)としてカルボキシル基が挙げられ、エステル基を形成させる置換基として、オキシカルボニル基(−O−C=O−R)およびカルボニルアルコキシ基(−C=O−OR)が挙げられ、カルボニルアルコキシ基は、アルキルオキシカルボニル基シクロアルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基アルキニルオキシカルボニル基アリールオキシカルボニル基ヘテロアリールオキシカルボニル基アラルキルオキシカルボニル基などの中から選択され、オキシカルボニル基は、アルキルカルボニルオキシ基シクロアルキルカルボニルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基ヘテロアリールカルボニルオキシ基、アラルキルカルボニルオキシ基などの中から選択される。

0036

チオエステルを形成させる置換基としてメルカプトカルボニル基(−S−C=O−R)およびカルボニルアルキルメルカプト基(−C=O−SR)などが挙げられ、メルカプトアルキルカルボニル基、メルカプトシクロアルキルカルボニル基、メルカプトアルケニルカルボニル基、メルカプトアルキニルカルボニル基、メルカプトアリールカルボニル基、メルカプトヘテロアリールカルボニル基、メルカプトアラルキルカルボニル基などの中から選択され、あるいは、カルボニルアルキルメルカプト基、カルボニルシクロアルキルメルカプト基、カルボニルアルケニルメルカプト基、カルボニルアルキニルメルカプト基、カルボニルアリールメルカプト基、カルボニルヘテロアリールメルカプト基、カルボニルアラルキルメルカプト基が挙げられる。

0037

アミド基を形成する置換基としては、アミノアルキルカルボニル基(−NH−CO−R)、アミノシクロアルキルカルボニル基、アミノアルケニルカルボニル基、アミノアルキニルカルボニル基、アミノシクロアルキルカルボニル基、アミノアリールカルボニル基、アミノヘテロアリールカルボニル基、アミノアラルキルカルボニル基などが挙げられ、もしくはカルボニルアルキルアミノ基(−CO−NHR)、カルボニルシクロアルキルアミノ基、カルボニルアルケニルアミノ基、カルボニルアルキニルアミノ基、カルボニルアリールアミノ基、カルボニルヘテロアリールアミノ基、カルボニルアラルキルアミノ基などが挙げられる。さらに、N原子と結合したH原子がアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基に置き換わった化合物も挙げられる。

0038

カルバメート基を形成する置換基としては、アミノアルキルカルバメート基(−NH−CO−OR)、アミノシクロアルキルカルバメート基、アミノアルケニルカルバメート基、アミノアルキニルカルバメート基、アミノシクロアルキルカルバメート基、アミノアリールカルバメート基、アミノヘテロアリールカルバメート基、アミノアラルキルカルバメート基などが挙げられる。さらに、N原子と結合したH原子がアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基に置き換わった化合物も挙げられる。

0039

スルホンアミド基を形成する置換基としては、アミノアルキルスルホニル基(−NH−SO2−R)、アミノシクロアルキルスルホニル基、アミノアルケニルスルホニル基、アミノアルキニルスルホニル基、アミノシクロアルキルスルホニル基、アミノアリールスルホニル基、アミノヘテロアリールスルホニル基、アミノアラルキルスルホニル基などが挙げられ、もしくはスルホニルアルキルアミノ基(−SO2−NHR)、スルホニルシクロアルキルアミノ基、スルホニルアルケニルアミノ基、スルホニルアルキニルアミノ基、スルホニルアリールアミノ基、スルホニルヘテロアリールアミノ基、スルホニルアラルキルアミノ基などが挙げられる。さらに、N原子と結合したH原子がアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基に置き換わった化合物も挙げられる。

0040

スルファミド基を形成する置換基としては、アミノアルキルスルファモイル基(−NH−SO2−NHR)、アミノシクロアルキルスルファモイル基、アミノアルケニルスルファモイル基、アミノアルキニルスルファモイル基、アミノシクロアルキルスルファモイル基、アミノアリールスルファモイル基、アミノヘテロアリールスルファモイル基、アミノアラルキルスルファモイル基などが挙げられる。さらに、N原子と結合したH原子がアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基の中から同一あるいは別物の任意の2つ、あるいはこれらが環を形成しても良い置換基から選択された置換基に置き換わった化合物も挙げられる。

0041

チオカルボン酸を形成させる置換基としては、チオカルボン酸基(−C(=O)−SH)が挙げられ、ケト酸を形成させる官能基としてケト酸基(−C(=O)−CO2H)が挙げられる。

0042

さらに、S原子由来の置換基としてチオール基を形成する置換基としては、チオール基(−SH)が挙げられ、アルキルチオール、シクロアルキルチオール、アルケニルチオール、アルキニルチオール、アリールチオール、ヘテロアリールチオール、アラルキルチオールが形成される。チオエーテル(−S−R)を形成する置換基としては、アルキルメルカプト基、シクロアルキルメルカプト基、アルケニルメルカプト基、アルキニルメルカプト基、アリールメルカプト基、ヘテロアリールメルカプト基、アラルキルメルカプト基などの中から選択され、スルホキシド基(−S=O−R)を形成させる置換基としては、アルキルスルホキシド基、シクロアルキルスルホキシド基、アルケニルスルホキシド基、アルキニルスルホキシド基、アリールスルホキシド基、ヘテロアリールスルホキシド基、アラルキルスルホキシド基などの中から選択され、スルホン基(−S(O)2−R)を形成させる置換基としては、アルキルスルホン基、シクロアルキルスルホン基、アルケニルスルホン基、アルキニルスルホン基、アリールスルホン基、ヘテロアリールスルホン基、アラルキルスルホン基などの中から選択され、スルホン酸を形成させる置換基としてスルホン酸基(−SO3H)が挙げられる。

0043

N原子由来の置換基として、例えばアジド基(−N3)が挙げられ、ニトリル基(−CN)が挙げられ、1級アミンを形成させる置換基としてアミノ基(−NH2)が挙げられ、2級アミン(−NH−R)を形成させる置換基として、アルキルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、アルキニルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、アラルキルアミノ基などが挙げられ、3級アミン(−NR(R'))を形成させる置換基として、アルキル(アラルキル)アミノ基など、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基などの中から、任意の2つあるいは同一の置換基を2つ、あるいはこれらが環を形成しても良い置換基から選択された置換基などが挙げられ、アミジノ基(−C(=NR)−NR'R")を形成させる置換基として、アミジノ基(−C(=NH)−NH2)、あるいはN原子上の置換基3点が、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基の同一あるいは別々の任意の3つで置換された、例えばアルキル(アラルキル)(アリール)アミジノ基などが挙げられ、グアニジノ基(−NR−C(=NR''')−NR'R")を形成させる置換基として、グアニジン基(−NH−C(=NH)−NH2)あるいは、R,R',R",R'''がアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基の中から同一あるいは別物の任意の4つ、あるいはこれらが環を形成しても良い置換基から選択された置換基などが挙げられる。

0044

ウレア基を形成する置換基としては、アミノカルバモイル基(−NR−CO−NR'R")が挙げられる。R,R',R"はそれぞれ水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基の中から同一あるいは別物の任意の3つ、あるいはこれらが環を形成しても良い置換基から選択された置換基などが挙げられる。

0045

またB原子由来の官能基として、アルキルボラン(−BR(R'))やアルコキシボラン(−B(OR)(OR'))などが挙げられる。これらの2つの置換基はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基などの中から、任意の2つあるいは同一の置換基を2つ、あるいはこれらが環を形成しても良い置換基から選択された置換基などが挙げられる。

0046

このように、ハロゲン基等通常低分子化合物にて利用されるO原子、N原子、S原子、B原子、P原子、Si原子、ハロゲン原子が含まれる様々官能基が1つあるいは2つ以上付与されていてもよい。つまり、これら置換基の1つに示されるアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基にさらに別の置換基が1つ以上付与されていても良い。これら全てを満たす官能基の条件を、自由に置換基を選択することと定義する。βやγ−アミノ酸の場合にも任意の立体配置が、α—アミノ酸の場合と同様に許容され、その側鎖の選択も特に制限なくα—アミノ酸の場合と同様である。また、アミノ酸の主鎖アミノ基部位はフリー(NH2基)でもよく、N−メチル化などのN−アルキル化(NHR基:Rは自由に置換されていてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、シクロアルキル基を示し、またプロリンのようにN原子から出た炭素原子とα位からの炭素原子が環を形成していてもよい。置換基としては、自由に選択することが可能であり、たとえばハロゲン基、エーテル基、ヒドロキシル基などが挙げられる。)されていてもよい。

0047

本明細書では、「翻訳アミノ酸」又は「翻訳可能なアミノ酸」とは、「アミノ酸」のうち、翻訳させることのできる側鎖を有するものを指す。以下明細書で述べるとおり、ハロゲン基、ヒドロキシル基(−OH)、アルコキシ基(−OR)、エステル基(−C(=O)−OR)、チオエステル基(−C(=O)−SR)、カルボキシル基(−CO2H)、アミド基(−CO−NRR"または−NR−CO−R')、チオール基(−SH)、アルキルチオ基(−SR)、スルホキシド基(−S(=O)−R)、スルホン基(−SO2−R)、アミノ基(−NH2)、モノ置換アミノ基(−NHR)、ジ置換アミノ基(−NRR')、アジド基(−N3)、ニトリル基(−CN)、アミジノ基(−N−C(=N)−NH2)などによって1つ以上置換されてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基を有するL型のαアミノ酸や、N−メチル化されたL型のαアミノ酸、N−エチル化やN−プロピル化などのC1〜C4アルキル置換やN−ベンジル化などのN−アラルキル置換されたグリシン誘導体や、チオール基などの反応補助基を有する置換基やアミノ基などの三角ユニットや交差ユニットに活用できる反応性の高い様々な官能基を有するL型のαアミノ酸などが含まれる。また、D−チロシンなど一部のD型のαアミノ酸やβ—アラニンなどのβアミノ酸や、α—メチル−アラニン(Aib)などのα、α—ジアルキルアミノ酸なども含まれる。

0048

本明細書では、「ドラックライクなアミノ酸」とは「アミノ酸」と同一の骨格、すなわち、α、βおよびγアミノ酸であり、主鎖アミノ基(NH2基)の水素原子2つのうちの1つ、およびメチレン基(−CH2−基)の水素原子のうち1つあるいは2つはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基などで置換されてもよい。CH2基の水素原子が上記の基によって置換された基を側鎖とする。これら置換基は、さらにドラックライクなペプチド化合物の構成要素として機能する置換基で置換されたものも含まれる。これらは、好ましくは別途上述で定義した置換基の中から選択され、例えば、ヒドロキシル基(−OH)、アルコキシ基(−OR)、アミド基(−NR−CO−R'もしくは−CO−NRR')、スルホン基(−SO2−R)、スルホキシド基(−SO−R)、ハロゲン基、ヒドロキシルアミノ基(−NR−OR')、アミノヒドロキシ基(−O−NRR')などの中から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。また、L型アミノ酸およびD型アミノ酸、α、α—ジアルキルアミノ酸に対応するものいずれでもよい。ドラックライクなアミノ酸は、翻訳可能な必要は必ずしも無い。「翻訳アミノ酸」から得られたペプチドの側鎖部分(例えばD−チロシンにてヒット化合物が取得された場合には、そこから化学修飾させたD型のアミノ酸、β—アラニンにてヒット化合物が取得された場合には、そこから化学修飾させたβ—アミノ酸)、あるいはNメチルアミノ酸の化学変換によるN置換部分の構造最適化により化学的に合成し得る全てのアミノ酸を含む。これらのアミノ酸はドラックライクなペプチド化合物の構成要素として機能するため、翻訳後に実施する化学修飾によって得られるペプチド化合物がドラックライクとなるような範囲から選択される。以下にて述べるとおり、例えばアミノアルキル基を有するリジンは、アミノ基が翻訳後修飾に関与しない場合にはドラックライクなアミノ酸には含まれない。しかしながら、リジンのアミノ基を翻訳後修飾の反応性官能基として活用する場合(例えば交差ユニット)にはリジンユニットをドラックライクなアミノ酸のユニットとして含む。このように、「ドラックライクなアミノ酸」に該当するかどうかは、翻訳後の修飾によって変換された後の官能基にて判断される。このような置換基になり得る例として、別途上で定義した置換基の中から、例えばエステル基(−CO−OR)、チオエステル基(−CO−SR)、チオール基(−SH)、あるいは保護されたチオール基、アミノ基(−NH2)、モノ置換アミノ基(−NH−R)あるいはジ置換アミノ基(−NRR')、あるいは保護されたアミノ基、置換スルホニルアミノ基(−NH−SO2−R)、アルキルボラン基(−BRR')、アルコキシボラン基(−B(OR)(OR'))、アジド基(−N3)、ケト酸基(−CO−CO2H)、チオカルボン酸基(−CO−SH)、ホスホリルエステル基(−CO−PO(R)(R'))、アシルヒドロキシルアミノ基(−NH−O−CO−R)などが挙げられる。

0049

本発明のアミノ酸類縁体とは、好ましくはα−ヒドロキシカルボン酸を意味する。α—ヒドロキシカルボン酸の側鎖は、アミノ酸と同様水素原子以外にも様々な置換基を有していてもよい(自由な置換基を有していてもよい)。α−ヒドロキシカルボン酸の立体構造はアミノ酸のL型でもD型に対応するものでもよく、側鎖の選択には特に制限を設けないが、例えば自由に置換されていてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、シクロアルキル基などの中から自由に選択される。置換基の数は1つに限定されず、2つ以上有していてもよい。例えば、S原子を有し、さらにアミノ基やハロゲン基などの官能基を有していてもよい。

0050

本明細書では、「翻訳アミノ酸類縁体」又は「翻訳可能なアミノ酸類縁体」とは、「アミノ酸類縁体」のうち、翻訳させることのできるアミノ酸類縁体を意味する。具体的には、例えば、L型アミノ酸の主鎖アミノ基がヒドロキシル基に置き換わった化合物が挙げられる。L−lactic acid、α—ヒドロキシ酢酸、LもしくはD−phenyllactic acidなどが挙げられる。また、「ドラックライクなアミノ酸類縁体」とは「アミノ酸類縁体」のうちドラックライクなペプチド化合物の構成要素として機能するものであれば特に限定されない。この範囲は上述のドラックライクなアミノ酸の側鎖あるいはN置換部分の定義と同様である。具体的には、例えば、LもしくはD−lactic acid、もしくはその側鎖メチル基に様々なドラックライクな置換基(例えば、ハロゲン基、ヒドロキシル基、置換されてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基など)が付与された化合物、α—ヒドロキシ酢酸、LもしくはD−phenyllactic acid、もしくはその側鎖ベンジル基に様々なドラックライクな置換基(例えば、ハロゲン基、ヒドロキシル基、置換されてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基など)が付与された化合物などが挙げられる。また、ドラックライクなアミノ酸類縁体は、翻訳可能な必要は必ずしも無い。「翻訳アミノ酸類縁体」を翻訳後に化学修飾によって、ペプチド化合物がドラックライクとなるような場合には、当該アミノ酸類縁体も「ドラックライクなアミノ酸類縁体」に含まれる。そのようなアミノ酸類縁体としては、例えば、側鎖にSH基が付与されたα—ヒドロキシカルボン酸や側鎖にアミノ基、あるいは保護されたアミン部位が付与されたα—ヒドロキシカルボン酸が挙げられる。例えば、SH基は、翻訳後修飾後に、脱硫反応によって除去することが可能であり、アミノ基は翻訳後修飾によりアミド等に変換させることができる。個別例として、R−2−hydroxy−3−sulfanylpropanoic acidなどが挙げられる。

0051

本発明のN末端カルボン酸類縁体とはアミノ基とカルボキシル基とを同時に持ち、両者の間の原子数が3つ以上の化合物、アミノ基を持たない様々なカルボン酸誘導体や、2残基〜4残基から形成されるペプチド、主鎖アミノ基がカルボン酸とのアミド結合などで化学修飾されたアミノ酸でもよい。また、曲線部での環化に使用できるホウ酸ホウ酸エステル部位を有していてもよい。また、二重結合部位三重結合部位を有するカルボン酸でもよく、ケトンやハライドを有するカルボン酸でもよい。なお、これらの化合物も規定した官能基以外の部分は、置換されてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基などの中から幅広く選択(自由な置換基)される。

0052

本明細書では、「翻訳N末端カルボン酸類縁体」又は「翻訳可能なN末端カルボン酸類縁体」とは、「N末端カルボン酸類縁体」のうち、翻訳させることのできるN末端カルボン酸類縁体を意味する。具体的には、例えば、2重結合とカルボン酸がアルキル基で接続された化合物(ブタ−3−エン酸、ペンタ−4−エン酸など)、N末端がアセチル化などでアミド化されたL型アミノ酸(Ac−Phe,Ac−Ala,Ac−Leuなど)、OH基がアルキル化されたα—ヒドロキシカルボン酸誘導体やジペプチドトリペプチドなどが挙げられる。また、「ドラックライクなN末端カルボン酸類縁体」とは「N末端カルボン酸類縁体」のうちドラックライクなペプチド化合物の構成要素として機能するものであれば特に限定されない。これらの置換基はドラックライクなアミノ酸の側鎖で定義した置換基と同一のものが含まれる。具体的には、例えば、2重結合とカルボン酸がアルキル基で接続された化合物(ブタ−3−エン酸、ペンタ−4−エン酸など)のうち、炭素原子からドラックライクな範囲で置換基が付与された化合物、N末端がアセチル化などでアミド化されたL型アミノ酸(Ac−Phe,Ac−Ala,Ac−Leuなど)のうち、アセチル基あるいは側鎖あるいはα位の水素原子がドラックライクな範囲で置換された化合物、OH基がアルキル化されたα—ヒドロキシカルボン酸誘導体のうち、OH基のアルキル基やヒドロキシカルボン酸の側鎖やα位の水素原子などがドラックライクな範囲で置換された化合物、ドラックライクな範囲で置換されたジペプチド、トリペプチドなどが挙げられる。また、ドラックライクなN末端カルボン酸類縁体は、翻訳可能な必要は必ずしも無い。「翻訳N末端カルボン酸類縁体」を翻訳後に化学修飾によって、ペプチド化合物がドラックライクとなるような場合には、当該N末端カルボン酸類縁体も「ドラックライクなN末端カルボン酸類縁体」に含まれる。そのようなN末端カルボン酸類縁体としては、例えば、N末端にアミノ基が残存したままのジペプチド、γ—アミノカルボン酸、δ—アミノカルボン酸など挙げられる。

0053

ペプチド化合物の膜透過性
本発明のペプチド化合物が良好な膜透過性を有するためには、ペプチド化合物中に含まれる総アミノ酸数が13以下であることが好ましい。
それぞれのユニット(アミノ酸残基)の選択に特に制限はないが、翻訳後化学修飾が全て完了した形式の分子の形(主鎖構造)に考慮し直して、形成される分子のCLogP(コンピューターで計算した分配係数であって、Daylight Chemical Information Systems, Inc. 社のDaylight Version 4.9を用いて計算した)が6を超えるように選択することが好ましい。特に良好な膜透過性を確保するために、CLogPは8を超え、15を超えないように選択することが好ましい。

0054

膜透過性を確保するために、より好ましくはアミノ酸側鎖の選択としては、ドラックライクな置換基の中から選択される。例えば、置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基の中から、例えば置換基としてハロゲン基、水酸基(−OH)、アミド基(−CO-NRR'あるいは−NR−CO−R')、スルホン基(−SO2−R)、エーテル基(−OR)などが付与されたものがよい(R、R'は同様にこれらで置換されてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基の中から選択される)。アリール基、アラルキル基のアリール基部位としては、フェニル基の他、ピリジン基などの塩基性基チアゾール基などの2つ以上のヘテロ原子含有基イミダゾール基などの水素原子ドナーインドール基などの縮合芳香環も許容される。

0055

一方、膜透過性を獲得するために好ましくない極性官能基としては生体中(pH=7付近)で極度イオン化される官能基であるアルキルアミノ基やアルキルグアジニノ基などが挙げられ、これらの官能基が含まれないことが好ましい。

0056

膜透過性を獲得する目的で、ペプチド化合物を構成するアミノ酸あるいはアミノ酸類縁体としてN−メチル化やプロリンのようなα位炭素原子との環化などのN−アルキル化されたものを用いてもよく、その数が1つのペプチド分子あたり2個以上存在することが好ましい。また、1つのペプチド分子あたり、N−アルキル化されていないアミド結合が、少なくとも1個は存在することが好ましい。望ましくは、1つのペプチド分子あたり、N−アルキル化されたものが3個以上存在し、N−アルキル化されていないものが3個以上存在することが好ましい。このN−アルキル化とは、NH以外の化学修飾を全て含み、従って、置換されてもよい(置換基の選択は、上の膜透過性を確保するためのアミノ酸側鎖の置換基と同様)アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基の中から選択されるものとする。また、N−アルキル化とはプロリンのように、N原子とα炭素との間で環構造を形成するものも含まれる。

0057

ペプチド化合物のC末端部位はカルボン酸のままではなく、化学修飾されることがより好ましい。例えば、カルボン酸部位をピペリジンなどと反応させたピペリジンアミドなどの置換されてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基アミド化合物(−CO−NRR':のRとR'の1つが水素原子で、他方が化学修飾されてもよく、RとR'の両方が化学修飾されていてもよく、RとR'が環を形成して、例えばピペリジンアミドのように化学修飾されていてもよい。また、RとR'がともに水素原子でもよい)への変換や、カルボン酸基をメチル基やトリフルオロメチル基などの置換されてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基などの様々な非イオン性官能基に変換させることが好ましい。置換基の選択は、上の膜透過性を確保するためのアミノ酸側鎖の置換基と同様である。また、ペプチド化合物を構成するアミノ酸は、翻訳合成された化合物を最適化することもできる。また、得られたペプチド化合物を構成するアミノ酸は、翻訳合成されるものに限定されるものではない。

0058

ここで最適化とは、「翻訳アミノ酸」から翻訳合成された化合物中のそれぞれのアミノ酸の構造を変換させることにより、よりドラックライクなペプチド化合物となるように化学修飾する、より薬効標的に強い活性を有するペプチド化合物となるように化学修飾する、及び/又は、より毒性が回避されたペプチド化合物となるように化学修飾することを意味する。ここで、回避すべき、あるいは回避した方が好ましい毒性として、例えば、hERG阻害(心臓への毒性)、AMES試験癌原性試験)、CYP阻害(薬物間相互作用試験)、CYP誘導、GSH結合測定試験グルタチオンによるペプチドあるいはペプチド代謝物の共有結合形成試験)、などが挙げられる。これらの試験では、薬効本体のペプチド化合物そのものと、その代謝産物の両方が関与する場合が考えられ、特にAMES試験、CYP誘導、GSH結合能測定試験で陰性結果を確保するためには、共有結合を生成する可能性がある代謝産物を避けることが好ましい。このため、ディスプレイライブラリー中の全てのペプチド化合物に含まれる環化部位がこのような可能性のある官能基を形成しない、特に酸化反応に対してある程度の安定性を有する環化反応で環化されることが好ましい。例えば多くの低分子化合物で実施されている通り、フェニルアラニンが翻訳アミノ酸として同定された場合、フェニル基にアルキル置換、ハロゲン置換など様々な化学修飾が可能である。このような変換は、翻訳合成された化合物の3次元構造を大きく損なうことなく実施できる点で従来の天然ペプチドのN-メチル化や環化による化学修飾とは大きく異なる。なおかつ、天然ペプチドでは多くの場合、極度にイオン化されたアルギニンリジン残基が活性に寄与することが多いため、これらを容易にドラックライクな官能基に変換させるのが困難であるのに対し、本技術を駆使すれば予めドラックライクな官能基のみで限定された官能基が薬効標的に対する活性を獲得し、ドラックライクな環化法で環化されているため、低分子化学で通常実施するような化学修飾が施され、低分子化学と同様な確度成功率で臨床候補化合物を獲得することができる。一方、脂溶性指標であるCLogP値は、最適化の過程で容易に調整することができる。また、通常低分子化合物の最適化でも実施するアルキル化やハロゲン化により、標的に対する結合活性を高めることができる。通常10倍〜50倍の活性向上が期待できる。これらの通常の変換は、同時にCLogP値を高めることもできる。例えばクロロ化にて約0.7、メチル化にて約0.5程度を高めることができる。極度にイオン化された官能基を有する場合、最適化の過程でCLogP値を高めても、優れた膜透過性を得るには不十分であるが、極度にイオン化された官能基を有しない場合、最適化の過程で膜透過に十分なCLogP値を得ることができる。従って、例えば平均のCLogP値が6付近のディスプレイライブラリーから、CLogP値が5のヒット化合物が得られた場合、更にCLogP値を高めて、膜透過に最適な範囲の8〜15の範囲へと最適化することは十分可能であると判断できる

0059

本発明のペプチド化合物の膜透過性の確認は、公知の方法、例えば、ラット腸管法、培養細胞(Caco-2, MDCK,HT-29,LLC-PK1など)単層膜法、Immobilized Artificial Membrane chromatography(固定化人工膜クロマトグラフィー)法、分配係数を用いる方法、リボソーム膜法、PAMPA(Parallel Artificial Membrane Permeation Assay)法等を用いて確認することができる。具体的には、例えばPAMPA法を用いる場合、Holger Fischerらの文献(非特許文献:H.Fischer et. al.Permeation of permanently positive charged molecules through artificial membranes-influence of physic-chemical properties. Eur J. Pharm. Sci. 2007, 31, 32-42)の記載に従って確認することができる。より具体的には、実施例19-2に記載の方法に従って確認することができる。

0060

経口医薬品として膜透過性を有するヒドロクロロジアジドフロセミド及びメトプロロールの膜透過性をPAMPA法で測定した時のiPAMPA Pe値はそれぞれ0.6X10-6、1.5X10-6及び2.9X10-5である。本発明のペプチド化合物の膜透過性は、例えばPAMPA法で測定したときのiPAMPA Peの値が、通常1.0 x 10-6以上である場合に医薬品として使用可能な膜透過性を得ることができたと考えることが可能であり、1.0x 10-6以上であることが好ましく、1.0X10-5以上であることがより好ましく、1.5X10-5以上であることが特により好ましく、2.0X10-5以上であることが更により好ましい。

0061

・ペプチド化合物の代謝安定性
本発明のペプチド化合物が良好な代謝安定性を有するためには、ペプチド化合物中に含まれる総アミノ酸数が9以上であることが好ましく、11以上であることがより好ましい。総アミノ酸数が9以上のペプチド化合物であれば、上述の膜透過性を有するための条件は、当該ペプチド化合物の代謝安定性に影響しない。

0062

本発明のペプチド化合物の代謝安定性の確認は、公知の方法、例えば、肝細胞小腸細胞、肝ミクロソーム、小腸ミクロソーム、肝S9等を用いて確認することができる。具体的には、例えば、肝ミクロソーム中のペプチド化合物の安定性をLLvon Moltke らの文献( Midazolam hydroxylation by human liver microsomes in vitro: inhibition by fluoxetine, norfluoxetine, and by azole antifungal agents. J Clin Pharmacol, 1996, 36(9), 783-791)の記載に従って測定することで確認することができる。より具体的には、実施例18-2に記載の方法に従って確認することができる。

0063

代謝安定性は、例えば肝ミクロソーム中の安定性を上述の方法に従って測定した時の、肝固有クリアランス(CLh int(μL/min/mg protein))の値が、150以下である場合に経口剤の医薬品として使用可能な代謝安定性を得ることができたと考えることが可能であり、好ましくは100以下である。CYP3A4により代謝される薬物の場合、ヒトにおける小腸代謝を回避するためには78以下(非特許文献:M. Kato et al. The intestinal first-pass metabolism of substances of CYP3A4 and P-glycoprotein-quantitative analysis based on information from the literature. Drug Metab. Pharmacokinet. 2003, 18(6), 365-372.)であることが好ましく、ヒトにおいて約30%以上のバイオアベイラビリティを示すためには35以下(FaFg=1、タンパク結合率0%を仮定)であることが、より好ましい。

0064

スキームA

0065

環状部を有するペプチド化合物の製造方法
本発明の環状部を有するペプチド化合物は、以下に記載の方法を利用して製造することが可能である。
例えば、以下の製造方法を含む製造方法を挙げることができる。
1)アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基、もしくは、アミノ酸残基及び/又はアミノ酸類縁体残基並びにN末端カルボン酸類縁体により構成される非環状のペプチド化合物を、該ペプチド化合物をコードする核酸から翻訳して合成する工程であって、
該非環状のペプチド化合物は、C末端側に側鎖の1つに反応点を有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体残基、及び、N末端側にもう1つの反応点を有するアミノ酸残基、アミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体を含む、工程;
2)N末端側のアミノ酸残基、アミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体の反応点と、C末端側の側鎖に有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体残基の反応点とを結合させ、アミド結合又は炭素-炭素結合を形成させる工程
を含む、前記方法。
本発明の翻訳合成には、公知の方法を利用することができる。

0066

翻訳可能なアミノ酸、翻訳可能なアミノ酸類縁体又は翻訳可能なN末端カルボン酸類縁体のN末端導入
本来は、一般的に翻訳開始アミノ酸としてメチオニンをN末端アミノ酸として翻訳されるが、他の所望のアミノ酸をアミノアシル化した翻訳開始tRNAを用いて翻訳させることによってN末端を所望のアミノ酸として翻訳させる方法を使用することもできる。非天然アミノ酸のN末端導入ではアミノ酸の許容度伸長時よりも高く、天然型アミノ酸と大きく構造の異なるアミノ酸、アミノ酸類縁体を利用することが知られている(非特許文献:J Am Chem Soc. 2009 Apr 15;131(14):5040-1.Translation initiation with initiator tRNA charged with exotic peptides.Goto Y, Suga H.)。例えば、本発明において、メチオニン以外の翻訳可能なアミノ酸、翻訳可能なアミノ酸類縁体又は翻訳可能なN末端カルボン酸誘導体をN末端に導入する方法としては、以下の方法がある。翻訳開始tRNAとして、三角ユニットをアシル化したtRNAをメチオニン、フォルミルドナーもしくはメチオニルトランスフェラーゼを抜いた翻訳系に添加し、翻訳開始コドン(例えばATG)に三角ユニットをコードさせ翻訳させることによって末端を三角ユニットとする環化前のペプチド化合物又はペプチド化合物ライブラリーを構築する。アンチコドンがCAUでない翻訳開始tRNAと当該アンチコドンに対応するコドンの様々な組み合わせを翻訳開始tRNA及び開始コドンの組み合わせとして利用するとN末端に多様性をもたせることが可能である。つまり、アンチコドンの異なる複数種類の翻訳開始tRNAに所望のアミノ酸、アミノ酸類縁体又はN末端カルボン酸類縁体をそれぞれアミノアシル化し、これに対応するコドンを開始コドンとしたmRNA又はmRNAライブラリーを翻訳させることによってN末端残基が一種類に限定されない環化前のペプチド化合物又はペプチド化合物のライブラリーを作製することができる。具体的には例えば、Mayer C,et al. Anticodon sequence mutants of Escherichia coli initiator tRNA: effects of overproduction of aminoacyl-tRNA synthetases, methionyl-tRNA formyltransferase, and initiation factor 2 on activity in initiation.Biochemistry. 2003, 42, 4787-99.(CAU以外のanticodonを持つ開始tRNAの変異大腸菌によるf-Met以外のアミノ酸からの翻訳開始と同codonを途中に含む蛋白の発現。)に記載の方法を用いて環化前のペプチド化合物又はペプチド化合物ライブラリーを作製することができる。

0067

また、N末端側のアミノ酸残基、アミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体の反応点と、C末端側の側鎖に有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体残基の反応点とを結合させる方法としては、例えば、N末端側の側鎖にアミノ基と反応補助基を有する、アミノ酸残基、アミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体と、活性エステル基を側鎖に有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体残基をアミド結合させて環状化合物を得る方法、N末端アミノ酸残基、アミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体にアミノ基を有し、これと活性エステル基を側鎖に有するアミノ酸残基又はアミノ酸残基をアミド結合させて環状化合物を得る方法、N末端のアミノ酸残基、N末端のアミノ酸類縁体残基又はN末端カルボン酸類縁体の反応点と、側鎖に1つの反応点を有するアミノ酸残基又はアミノ酸類縁体の反応点とを炭素‐炭素結合させる方法などが挙げられる。また、上記の例に限定されず、例えば、N末端側のアミノ酸残基、N末端側のアミノ酸類縁体又はN末端カルボン酸側に活性エステル基を有し、C末端側の側鎖にアミノ基(反応補助基を有してもよい)をアミド結合させるなど、上記と逆の官能基配置にしてもよい。

0068

以下にアミド環化を利用する場合を例にした反応設計を述べる。三角ユニットの反応させたいアミノ基と反応させたくない塩基性官能基との反応選択性を獲得するためには反応させたいアミンの反応性をその他の官能基に対して向上させる必要がある場合があり得る。通常アミンより活性化させる手法として、例えば、アミン近傍に反応補助基を導入することが可能である。反応補助基としてはRNAが反応しない程度にアミンを活性化できるものであれば特に限定されないが、例えば末端アミンからメルカプトエチル基やメルカプトプロピル基を導入することも可能であり、また、システインのように、アミンのα位からチオール部位を位置させることも可能である(スキームC参照)。これらのチオール基は翻訳導入の過程では、保護されていても、保護されていなくてもよいが、反応時もしくは事前に必要に応じて脱保護反応によりチオール基を生成させる。このように活性化されたアミンとカルボン酸活性エステルとの反応により望みの位置でのアミド環化されたペプチドが得られる。得られた環状ペプチドのSH基をTCEP(トリス(2−カルボキシルエチルホスフィン)とVA−044(2,2'−アゾビスー2−(2−イミダゾリン−2−イルプロパン)などの試薬を加えるRNAが反応しない温和な反応条件で脱硫させることができる。

0069

翻訳によりディスプレイライブラリーを実施する場合、翻訳導入させる交差ユニットの活性エステルとしてはチオエステルが好ましい。反応補助基にSH基を用いる場合、例えば次のような組合せで行われる。SH基を無保護の状態で翻訳合成させる場合には、交差ユニットであるチオエステルとしてアスパラギン酸誘導体を用いることが好ましい。この場合、全ての黒丸ユニットと四角ユニットは翻訳アミノ酸や翻訳アミノ酸類縁体の中から任意に選択され得る。一方、SH基に保護基を有する状態で翻訳合成させる場合には、アスパラギン酸チオエステルのC末端側となりの四角ユニットはN−アルキル化されたアミノ酸(例えばプロリンや、N−メチルアラニンなど)の中から選択されることが好ましい。

0070

スキームC

0071

0072

一般式として、三角ユニットとしてのアミン近傍に反応補助基を有するアミノ酸、N末端カルボン酸類縁体、例えばN末端アミノ酸の例として、化合物N−1あるいはN−2のように書くことができる。これら化合物N−1およびN−2の置換基は、好ましくは、これらのRで表わされる置換基のうち、保護基(R1、R23あるいはトリチル基など)以外で使用される置換基は上述で定義したドラックライクなアミノ酸の側鎖の定義と同様である。また、それらが導入された結果得られた化合物が翻訳合成され得るものがより好ましいが、その誘導体そのものが翻訳合成されなくても、その類縁体が翻訳合成されるものも含まれる(後述の段落(たとえば3つ後ろの段落)を参照)。

0073

R1は水素原子、もしくはS−R23基、あるいはC(Phe)3基(トリチル基)などで表わされるSH基の保護基の中から選択される。R23はメチル基、エチル基イソプロピル基、tert—ブチル基などのアルキル基、フェニル基、p−トリフルオロメチルフェニル基、p−フルオロフェニル基のようなアリール基、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基などから選択される。これらの基は、結果として得られる化合物N−1あるいはN−2が翻訳合成可能となる置換基の中から選択される。例えばジメチルアミノ基によってR23のエチル基が置換された、N,N−ジメチルアミノエチルメルカプト基などでもよい。R1が保護基を有している場合(H原子以外の場合)、選択される保護基は、翻訳合成が可能な保護基の中から選択され、かつ翻訳合成液中で脱保護され、環化させる前に水素原子となるものであれば、特に限定されず選択することができる。S−R23基のような保護基は翻訳合成液中でゆっくりと脱保護されるため、積極的に脱保護条件を別途定める必要なく脱保護させることができる。必要に応じて本明細書記載の様々な反応条件にて脱保護剤を添加させることができる。(SH基の保護基記載。)

0074

R2、R3はドラックライクなアミノ酸の側鎖の定義と同様に定義される。たとえば、R2、R3は、好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、もしくはシクロアルキル基を示し、またはR2とR3が環を形成した置換基、またはR2もしくはR3がR4と環を形成した置換基を示す。さらに好ましくは水素原子、あるいはC1−C4アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基などで置換されてもよいC1−C4アルキル基などから選択される。なお、R3基の立体はL型アミノ酸、D型アミノ酸に対応するもの両方が許容される。好ましくはR3基の立体は、R3基が水素原子と仮定した場合のL型アミノ酸に対応するものがよい。

0075

R4は、S(硫黄)原子とアミノ酸部位を連結するユニットである。以下その代表的構造を示す。両ユニットを置換されていてもよいメチレン基(部分構造N−3、C1ユニット)、置換されてもよいエチレン基(部分構造N−4、C2ユニット)、置換されてもよいプロピレン基(部分構造N−5、C3ユニット)などのC1〜C6ユニットで連結させることができる。置換されていてもよいメチレン基、エチレン基、プロピレン基における置換基の例としては、たとえば、R13がメチル化された(R14=H)化合物N−1や、R13=R14=Meのようにジメチル化された化合物N−1などが挙げられる。これらのうちで、その誘導体のどれかが翻訳合成される場合、その他の誘導体は、仮に翻訳合成されなくても全てこの定義に含まれる。例えば、R13=R14=Hが翻訳合成される場合には、R13=R14=Meのような誘導体が、仮に翻訳合成されない場合でも、これらの置換基はドラックライクアミノ酸側鎖の定義に含まれるため三角ユニットとして含まれる。R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22らも、R4と同様の定義であるが、例えば、水素原子、C1〜C4アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子などで置換されてもよいC1〜C4アルキル基から選択される。これらの間で環化構造となっていてもよい。特に好ましくは、水素原子、メチル基から選択される。また芳香族化合物のアリール炭素から直接連結させることもできる(部分構造N−6)。またアラルキル構造で連結させることもできる(部分構造N−7、N−8)。部分構造N-7では、2価のうち、どちらが窒素原子側であっても、硫黄原子側であってもよい。下スキームでは、連結位置オルトに限定したが、オルトに限定されずメタパラなども可能である。アリール基としてフェニル基で示したが、フェニル基はハロゲン基やアルコキシ基やトリフルオロメチル基などの置換基により置換されていてもよく、またフェニル基以外のアリール基(すなわち、ヘテロアリール基を含む様々な芳香環)を用いてもよい。

0076

0077

R11、R12もR4と同様な部分構造から選択される。例えば部分構造N−3、N−4、N−5、N−6、N−7、N−8の中から選択することができる。R12はC0ユニット(連結部位直接結合している場合)も含むことができる。

0078

化合物構造N−1および化合物構造N−2の好ましい構造式を、化合物構造N−9、N−10、N−11、N−12に示す。化合物N−9では、化合物N−1のR12部位がC0ユニットで連結部位が直接連結している。化合物N−10では、化合物N−2のR11部位がC1ユニット(部分構造N−3に対応)で連結している。化合物N−11では、化合物N−2のR11部位がC2ユニット(部分構造N−4に対応)で連結している。化合物N−12では、化合物N−2のR11部位がC3ユニット(部分結合N−5に対応)で連結している。

R5〜R10は、前記R13〜R18の定義と同様である。

0079

さらに、これらの望ましい構造式を以下化合物N−13、N−14、N−15、N−16、N−17、N−18、N−19、N−20に示す。化合物N−13では、化合物N−9のR4部位がC1ユニット(部分構造N−3に対応)で連結されている。化合物N−14では、化合物N—10のR4部位がC2ユニット(部分構造N−4に対応)で連結されている。化合物N−15では、化合物N−11のR4部位がC2ユニット(部分構造N−4に対応)で連結されている。化合物N−16では、化合物N−12のR4部位がC2ユニット(部分構造N−4に対応)で連結されている。化合物N−17では、化合物N−9のR4部位がC2ユニット(部分構造N−4)で連結されている。化合物N−18では、化合物N−10のR4部位がC3ユニット(部分構造N−5)で連結されている。化合物N−19では、化合物N−11のR4部位がC3ユニット(部分構造N−5)で連結されている。化合物N−20では、化合物N−12のR4部位が、C3ユニット(部分構造N−5)で連結されている。

0080

ここまで一般式化合物N−1および化合物N−2で表わせる化学構造について述べたが、反応補助基SHを含む三角ユニットの定義としては、これらに限定されない。すなわち、交差ユニットと反応させるユニットであるアミノ基と反応補助基を有しており、翻訳合成可能な構造の中から任意の構造から選択される。アミノ基は主鎖由来でも側鎖由来でもよい。三角ユニットはN末端に存在させる必要は必ずしもなく、三角ユニットよりN末端側に四角ユニット(直鎖部)が存在していてもよい。SH基とアミノ基の位置関係がβ(2つの官能基の間に連結原子2つ)、γ(連結原子3つ)など連結原子2〜6までの範囲に存在する化学構造が好ましい。より好ましくは、SH基とアミノ基の位置関係がβあるいはγであることが好ましい。また、三角ユニットに活性エステル官能基を有するユニットが配置されても交差ユニット側にアミンを含むユニットが配置されていてもよい。

0081

活性エステル基を側鎖に有するアミノ酸残基の一般式として化合物C−1のように記すことができる。好ましくは、これらの活性エステル部位を除いた置換基は上述で定義したドラックライクなアミノ酸の側鎖の定義と同様である。その誘導体そのものが翻訳合成されなくても、その類縁体が翻訳合成されるものも含まれる。本願では活性エステルとはアミノ基部位と直接あるいは反応補助基を介して反応させることが可能なカルボン酸誘導体を意味し、そのような性質を有する活性エステルあるいは活性チオエステルであれば特に制限されないものとする。R25は水素原子あるいは活性エステル基の中から選択されるものである。活性エステルは、例えば広く一般に使用されているように、N−ヒドロキシスクシンイミド(ONSu)基、OAt基、OBt基などや、メチルチオエステルやアリールチオエステル、アラルキルチオエステルなどに代表される。これらの活性エステル部位には通常広く利用されている化合物置換基(たとえば、置換基としては、反応性を高める目的で使用されることが多いハロゲン基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ニトリル基などの電子吸引基や、反応をより低めて反応選択性を高める目的で使用されることが多いメトキシ基などのアルコキシ基、メチル基などのアルキル基のような電子供与基、t−ブチル基やイソプロピル基に代表されるかさ高い置換基、水中での実施を受けて、水との親和性を考慮した、スルホン酸基や、ジメチルアミノ基のようなジ置換アミノ基などが挙げられ、逆に親脂性との親和性を考慮した長鎖アルキル基などの高脂溶性基などが挙げられる。)が付与された誘導体であっても、同様の反応性を示すものは全て含まれる。

0082

R2およびR3は上記アミン部位で定義したとおりである。

0083

R26はR4の定義と同様であり、以下その代表的構造を示す。両ユニットをメチレン基(部分構造N−3)、エチレン基(部分構造N−4)、プロピレン基(部分構造N−5)などのC1〜C6ユニットで連結させることができる。R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22では、好ましくは、これら置換基は上述で定義したドラックライクなアミノ酸の側鎖の定義と同様である。その誘導体そのものが翻訳合成されなくても、その類縁体が翻訳合成されるものも含まれる。例えば、水素原子、C1〜C4アルキル基、ハロゲン原子などで置換されてもよいC1〜C4アルキル基から選択される。これらの間で環化構造となっていてもよい。より好ましくは、メチレン基(C1ユニット、部分構造N−3)の他、C4ユニット、C5ユニットC−6ユニットから選択される。さらに好ましくは、C1ユニット(部分構造N-3)が選択される。また芳香族化合物のアリール炭素から直接連結させることもできる(部分構造N−6)。またアラルキル構造で連結させることもできる(部分構造N−7、N−8)。下スキームでは、連結位置をオルトに限定したが、オルトに限定されずメタ、パラなども可能である。アリール基としてフェニル基で示したが、フェニル基はハロゲン基やアルコキシ基などの置換基により置換されていてもよく、またフェニル基以外のアリール基を用いてもよい。

0084

化合物C−1の中で、好ましい構造を化合物C−2に示した。R27は水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアルケニル基、置換されてもよいアルキニル基、、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいヘテロアリール基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアルキル基が付与されていてもよいアラルキル基の中から選択される。これら置換基としては、その置換基が選択された結果得られる化合物C−2が翻訳合成され得るものであれば、特に限定されない。たとえば、置換基としては、反応性を高める目的で使用されることが多いハロゲン基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ニトリル基などの電子吸引基や、反応をより低めて反応選択性を高める目的で使用されることが多いメトキシ基などのアルコキシ基、メチル基などのアルキル基のような電子供与基、t−ブチル基やイソプロピル基に代表される、かさ高い置換基、水中での実施を受けて、水との親和性を考慮した、スルホン酸基や、ジメチルアミノ基のようなジ置換アミノ基、逆に親脂性を考慮した長鎖アルキル基などの高脂溶性基などから選択される。好ましくは、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアラルキル基から選択される。さらに好ましくは、アルキル基、アリール部位が置換されていてもよいアラルキル基から選択される。
R3はドラックライクなアミノ酸の側鎖の定義と同様に定義されるが、例えばC1−C4アルキル基、ハロゲンなどで置換されてもよいC1−C4アルキル基から選択されるが、特に水素原子が好ましい。なお、R3基の立体はR3基が水素原子と仮定した場合のL型、D型アミノ酸に対応するもの両方が許容されるが、L型アミノ酸に対応するものが好ましい。

0085

さらに好ましい構造を化合物C−3に示した。R28およびR29はそれぞれ、ドラックライクなアミノ酸の側鎖の定義と同様に定義されるが、例えば水素原子、置換されてもよいC1〜C6アルキル基、置換されてもよいC2〜C6アルケニル基、置換されてもよいC2〜C6アルキニル基、、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいヘテロアリール基、置換されてもよいC1〜C6アルキル基が付与されていてもよいアラルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基の中から選択される。これら置換基としては、たとえば、モノメチル化(R28=Me、R29=H)やジメチル化(R28=R29=Me)、モノトリフルオロメチル化(R28=CF3、R29=H)などが挙げられる。

0086

R3は水素原子、C1−C4アルキル基、ハロゲンなどで置換されてもよいC1−C4アルキル基などから選択されるが、特に水素原子が好ましい。なお、R3基の立体はR3基が水素原子と仮定した場合のL型、D型アミノ酸に対応するもの両方が許容されるが、L型アミノ酸に対応するものが好ましい。
化合物C-1、化合物C-2、化合物C-3と同様に、化合物COH-1、化合物COH−2、化合物COH−3から選択することもできる。

0087

0088

化合物C−2あるいは化合物C−3を用いた場合、化合物N−1あるいは化合物N−2との反応は温和で選択的に進行させることができる。翻訳液中(例えば、37℃、pHは7.3付近)でもスムースに反応を進行させることができる。反応補助基の除去もRNAが安定な反応条件で容易に進行させることができる。

0089

N末端側(三角ユニット)に活性エステルが配置された場合、C末端側(交差ユニット)には反応補助基を有するアミンユニットが配置されてもよい。この場合には、交差ユニットの側鎖にアミノ基とチオール基が配置される。翻訳段階ではこれらは保護されていてもよいが、反応直前には脱保護されている。アミノ基とチオール基は近傍に存在すれば特に限定されないが、両者の関係がβ位あるいはγ位であることが好ましい。

0090

すなわち、三角ユニットの側鎖にチオエステルなどの活性エステルを有し、もう一方(交差ユニット)に側鎖のアミノ基(近傍にチオールなどの反応補助基を有する)とのアミド縮合反応によりドラックライク環化させる手法も全て本願に含まれ、どちらの官能基が三角ユニットもしくは交差ユニットに配置されていてもよい。

0091

以下、反応補助基を有するアミン部位として、化合物N−1および化合物N−2とは異なる構造の具体例を示した。いずれもアミノ基、チオール基は必要に応じて保護されていてもよい。保護基および脱保護反応条件の選択は、本明細書記載の方法を利用することができる。化合物Na−10では図に記載のとおり、アミノ基とチオール基の間に炭素原子が2つ配置させた構造を選択することができる。化合物Na−11では図に記載のとおり、アミノ基とチオール基の間に炭素原子が3つ配置させた構造を選択することができる。Ra20〜Ra25のどれかにNa−7基、Na−8基あるいはNa−9基が置換基として配置される。またRa7の定義は既に記載のとおりであるが、化合物Na−10あるいは化合物Na−11の場合に限り、Ra7にもNa−7基、Na−8基、Na−9基を選択することができる。Na−7基、Na−8基、Na−9基は、Ra−7もしくはRa20〜Ra25の中のどこか1か所のみに限定されて選択される。Na−7基あるいはNa-8基、Na-9基が選択された置換基以外のRa20〜Ra25には、水素原子の他、ドラックライクな官能基で置換されてもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基などがから選択される。好ましくは水素原子、アルキル基から選択される。

0092

三角ユニット(N末端側)にチオエステル基などの活性エステルを有するユニットが選択される場合、それらは例えば化合物C-1、化合物C-2、化合物C-3の他、化合物Ca−1、化合物COH−1、化合物COH−2、化合物COH-3から選択することができる。化合物C-1などは、環化した後に主鎖アミノ基が保持されてしまうのに対し、化合物Ca−1、化合物COH−1、化合物COH−2、化合物COH-3にはアミノ基が存在しないため、よりドラックライクとなるためより好ましい。この場合には、交差ユニットとして化合物Na−10(Na−7基あるいはNa−8基)や化合物Na−11(Na−7基あるいはNa−8基)などから選択される。これらの化合物は保護された状態で翻訳されてもよい。翻訳されうる保護基、およびRNAに安定な反応条件での脱保護条件は本明細書に記載された方法を用いることができる。より好ましくは、より代謝安定性が高いことから化合物Na−7基を利用することが、Na−8基を利用することより好ましい。

0093

また、交差ユニット(C末端側)に活性エステル基を有する化合物C-1、化合物C-2、化合物C-3、あるいは化合物COH−1、化合物COH−2、化合物COH-3などが選択された場合、三角ユニット(N末端側)には既に述べた化合物N−1や化合物N−2の他にも、化合物Na−10および化合物Na−11から選択することができる。三角ユニットをN末端とする場合には、化合物N−1、化合物N-2の他にも化合物Na−10(Na-8基、およびNa−9基)あるいはNa−11(Na-8基、およびNa−9基)を選択することが好ましい。Na−7基を利用すると、主鎖アミンが保持され、ドラックライクネスが低下するためである。一方で、三角ユニットをN末端としない場合には、化合物Na−10(Na−7基およびNa−8基)および化合物Na-11(Na−7基およびNa−8基)を用いることができる。この場合にはN末端にはアミノ酸誘導体もしくはN末端カルボン酸誘導体を用いることがより好ましい。N末端に主鎖アミノ基を保持させないためである。

0094

また、化合物Na−10および化合物Na−11に付与されるものはNa−7基、Na−8基、Na−9基に限定されない。例えば、Na−7基はαアミノ酸骨格由来であるが、これがβアミノ酸骨格であってもよい。

0095

0096

通常アミンより活性化させる手法としては、前述の反応補助基としてSH基を含有するものに限定されない。通常アミンより活性化させる手法として、アミンに直接ヘテロ原子を導入してアミンの反応性を向上させることも可能である。例えばヒドロキシアミン(化合物F−1、化合物F−4、化合物F−5、化合物F−7)やアルコキシアミン(化合物F−2、化合物F−14、化合物F−15、化合物F-16)、アジド(化合物F−3、化合物F−9、化合物F−10、化合物F—11)などが挙げられる。このように、アミノ基に直接あるいはリンカーを伴って近傍に反応補助基となり得るヘテロ原子を導入させることにより、アミノ基を活性化させる手法は全て本願に含まれる。ヒドロキシアミンとの反応では、活性エステル部としては化合物F−7や化合物F-8などが選択される。アルコキシアミンとの反応では、化合物F−17や化合物F−18などが選択される。アジドとの反応では、化合物F−12や化合物F-13などが選択される。

0097

R101、R102、R103、R104、R105、R106、R107は通常使用されるアミノ酸側鎖であり、天然型アミノ酸に限定されない置換基である。すなわち、水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアルケニル基、置換されてもよいアルキニル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいヘテロアリール基、置換されてもよいアラルキル基から選択される。
R101、R102のうち1つが水素原子、R103、R104のうち1つが水素原子、R106、R107のうち1つが水素原子であることがより好ましい。また水素原子の配置はこれらがL型アミノ酸と同じ立体配置になるように配置されることが好ましい。

0098

R105は置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアルケニル基、置換されてもよいアルキニル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアラルキル基の中から選択される。

0099

0100

0101

0102

0103

上記のような活性化アミンを選択した場合に対応する交差ユニット候補となる活性エステルとの組み合わせとして、例えばチオエステルとチオールを近傍に有するアミン、αケトエステルとアジドなどの組み合わせが考えられる。

0104

initiation read through(イニシエーションリードスルー:開始コドンの読み飛ばし)を利用することによって、上記のメチオニン以外のアミノ酸、アミノ酸類縁体又はN末端カルボン酸類縁体のN末端導入による末端が多様なペプチド化合物又はペプチド化合物ライブラリーの合成法での複数種類アミノアシル翻訳開始tRNAの用意の必要がない方法がある。initiation read throughとは、一般的にはタンパクやペプチドはAUCコドンとしてコードされる翻訳開始アミノ酸であるメチオニンから翻訳されるが、無細胞翻訳系において翻訳開始メチオニルtRNAが含まれない場合や翻訳効率の低い非天然アミノ酸が翻訳開始tRNAに付加されたものからの翻訳を開始させようとした際に2番目以降のコドンにコードされるアミノ酸からの翻訳産物が生じる現象を意味する。

0105

Initiation read throughを利用する方法としては、ペプチドをコードするmRNAの開始コドンの次の2番目のコドンに三角ユニットをコードさせ、メチオニンもしくは翻訳開始メチオニンtRNAを含まない翻訳系にて翻訳させることによってN末端を三角ユニットとするペプチド又はペプチドライブラリーを作成する方法が使用できる。別報として、酵素、例えば、peptide deformylase(ペプチドデフォルミラーゼ)とMethionine aminopeptidase(メチオニンアミノペプチダーゼ)を作用させることによってペプチドのN末端のメチオニンを削り取る方法が知られている(非特許文献:Meinnel, T., et al. Biochimie (1993) 75, 1061-1075, Methionine as translation start signal: A review of the enzymes of the pathway in Escherichia coli.)。翻訳開始メチオニンから始まるペプチドのライブラリーを用意し、これにMethionine aminopeptidaseを作用させることによってN末端のメチオニンを除去し、N末端がランダムなライブラリーを調製することも出来る。また、翻訳開始メチオニンなどに続く2番目のアミノ酸を利用して環化した後にアミノペプチダーゼ処理することでメチオニンなどのN末端アミノ酸を除去できることを示した。これらによりメチオニン残基はスキームAのユニットには含まれず(ユニット数は全ての翻訳後修飾が終了した化学構造で判断することは既に定義済である)、三角ユニットに対応するアミノ酸残基は2番目にコードされたアミノ酸となる結果、複数のコドンに三角ユニットをコードさせられるため自由度を2種類以上に拡大させ可変箇所が一つ増えることになる。三角ユニットとして2種類以上のアミノ酸又はアミノ酸類縁体を利用することが可能となるため、本発明のペプチド化合物またはペプチド化合物ライブラリーを作製する際に、より多様性の増大したペプチド化合物またはペプチド化合物ライブラリーを作製することが可能となる。最大ではランダム領域同数のアミノ酸又はアミノ酸類縁体を使用することが可能となり、ランダム領域と同数の自由度にまで拡大させることも可能となった。ここでランダム領域とは、本発明のペプチド化合物において、自由にアミノ酸又はアミノ酸類縁体を選択することができる領域を意味し、本法以外ではスキームAの交差ユニットおよび三角ユニット以外の領域(すなわち黒丸ユニットと四角ユニット)を指すが、本法では三角ユニットもランダム領域となる。三角ユニットの持つ交差ユニットとの反応性を維持したまま、黒丸ユニットや四角ユニットのもつ構造多様性を確保できる。すなわち、本方法を用いれば、翻訳後環化のためにはディスプレイライブラリー中で、従来2つのアミノ酸(三角ユニットと交差ユニットに相当)を固定する必要があったのに対し、固定を1つのアミノ酸(交差ユニット)に減少させることができる。例えば、ランダム領域に選択されるアミノ酸およびアミノ酸類縁体のほとんどは主鎖アミノ基を有しているため、これを三角ユニットにも適用させるとN末端にはアミノ基を有するランダムアミノ酸配列が配置される。この中で共通に存在する主鎖アミノ基との選択的アミ結合形成によりアミド環化を行うことが可能となる。例えば、リジンやアルギニンなどの塩基性アミノ酸を導入しないディスプレイライブラリーを構築する場合に特に有用である。我々の検討結果から、ドラックライクネスを有する残基数は13残基以下であることから、固定すべきユニットの数が2から1へ減少することは、ランダム領域のユニット数は11から12へ増加することを意味する。ランダム化できる残基数が1つ増加することの価値は、ドラックライクネスを維持するための限定された条件下での自由度を最大限活かすという意味で、非常に高い。

0106

具体的には交差ユニット(直鎖部と環状部と三角ユニットの交差するアミノ酸)側鎖にカルボン酸あるいはカルボン酸活性エステルを翻訳導入させることができるため、固定された交差ユニットとランダムなアミノ酸から選択された三角ユニットの間でアミド結合生成が可能となる(スキームB)。ライブラリー構築の際には、交差ユニットは1種類である必要はなく、2種類以上から選択させることも可能である。具体的にはそれぞれの交差ユニットをコードするコドン、(アミノ)アシル化tRNAを用意し、所望の位置に交差ユニットコドンを配置したmRNAを鋳型にライブラリーを構築することが出来る。
スキームB

0107

N末端(三角ユニット)を固定することなしに環化させたライブラリー構築の手法の例として、アミド環化の例が挙げられる(本手法は、N末端を固定した場合にも利用できる)。交差ユニットとしてアスパラギン酸誘導体を例として挙げるが、これ以外にも制限されず、例えば化合物C-1、化合物C-2、化合物C-3にて表せる化合物群の中から選択される。N−メチルアスパラギン酸などのN−アルキル化体グルタミン酸誘導体などの側鎖にカルボン酸を持つアミノ酸あるいはアミノ酸類縁体であれば何でもよい。(i)側鎖にカルボン酸を有するアミノ酸を導入し、翻訳後に活性エステル化させることが可能である。例えば、化合物E−1に示すとおり、アスパラギン酸自体を翻訳導入させることができる。得られた翻訳ペプチドに対し、カルボン酸とN末端アミンとの縮合反応によりアミド環化させることができる。例えば、化合物E−2に示すようなN−ヒドロキシスクシンイミド活性エステルやHOBt、HOAtなどの活性エステルに変換させることができる。得られた活性エステルは容易にアミンと反応させることができるため、結果としてN末端をランダム化させたアミド環化反応が実現できる。本手法の実現には、カルボン酸部位のみが活性エステル化され、RNA(などの核酸部位)が反応されない手法の選択が鍵となる。 (ii)側鎖にカルボン酸活性エステルを有するアミノ酸を翻訳導入し、その活性エステルとアミンとを反応させることができる。化合物E−2のような活性エステルを予め翻訳合成させる手法である。化合物E−2の他にも化合物E−3のようなベンジルチオエステル、化合物E−4のようなアリールチオエステル、アルキルチオエステルなどを翻訳導入させることも可能である。化合物E−4や化合物E−3の場合、フェニル基を例としているがアリール基やヘテロアリール基であれば制限がない。またアリール基やヘテロアリール基に、たとえば、置換基として、ハロゲン基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ニトリル基などの電子吸引基や、メトキシ基などのアルコキシ基、メチル基などのアルキル基のような電子供与基などを有していてもよい。これらはチオエステル交換反応の速度と交換反応後のチオエステルのアミンとの反応性や水との副反応の選択性を考慮し、これらのバランスが良好な置換基が好ましい。また、置換基としては、t−ブチル基やイソプロピル基に代表されるかさ高い置換基、水中での実施を受けて、水との親和性を考慮した、スルホン酸基や、ジメチルアミノ基のようなジ置換アミノ基、逆に親脂性を考慮した、長鎖アルキル基などの高脂溶性基などから選択される。ニトロ基、トリフルオロメチル基、ハロゲンなど、多種類の置換基が同時に導入されていてもよい。化合物E−4のように、化合物E−3よりも活性化されたチオアリール活性エステルを予め翻訳導入させてもよい。チオエステルとしては、このようなアラルキルやアリールチオエステルの他、アルキルチオエステルからも選択することができる。本手法の実現には、翻訳合成中には安定で、かつ反応補助基の無いアミンと十分な反応性を有する、2つの性質を併せ持つことが鍵となる。(iii)チオエステルなどの中から翻訳合成中に十分に安定性を確保できる活性エステルを翻訳導入させておき、翻訳後に添加剤を添加させて、より活性な活性エステルを系中で発生させて反応補助基の無いアミンと環化反応させることも可能である。例えば、翻訳導入されたチオエステルに対し、より電子不足なチオールを外部から添加してより活性なチオエステルを系中で発生させてアミンと環化反応させることが挙げられる。例えば、化合物E−3などのチオエステルの例の場合、翻訳後に直接アミノ基と反応させてもよいが、トリフルオロメチルフェニルチオールのような、より反応性の高いチオールを翻訳系中に添加して、より活性化された活性エステルE-4に置換させてから、アミノ基と反応させてもよい。その他、例えば、HOBt、HOAt、HONSuなどの活性エステルを形成することが知られている様々な原料を添加させることも可能である。添加剤はこれらの中から1種類選択してもよく、あるいは2種類以上選択してもよい。2種類以上の添加剤を添加する長所は反応性の向上が挙げられる。翻訳液中で十分安定で翻訳可能な活性エステルから、あらゆるアミノ基と十分反応性が高い活性エステルへ返還することはエネルギー的に不利で、このような反応は1段階では困難である場合もある。このような場合、翻訳可能な安定活性エステルから、一度、交換可能なより活性の高い活性エステルへ返還した後、さらにここからあらゆるアミノ基と十分反応性が高い活性エステルへ返還することも可能となる。このような多段階による活性エステルの活性化を用いることで、反応性の低いアミノ基とのアミド化反応も可能となりえる。これらの活性エステルなどの添加剤には置換基が導入されていてもよく、たとえば、置換基として、ハロゲン基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ニトリル基などの電子吸引基や、メトキシ基などのアルコキシ基、メチル基などのアルキル基のような電子供与基などを有していてもよい。t−ブチル基やイソプロピル基に代表されるかさ高い置換基、水中での実施を受けて、水との親和性を考慮した、スルホン酸基や、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ジメチルアミノ基のようなジ置換アミノ基、逆に親脂性を考慮した、長鎖アルキル基などの高脂溶性基などから選択される。(iv)安定な活性エステルを(iii)と同様翻訳導入させておき、翻訳後に化学反応(例えば脱保護反応)を実施させ、分子内反応により活性化させた後に反応補助基を持たないアミンと環化反応させることも可能である。例えば化合物E−5のように、より安定なチオエステルを翻訳導入させておき、翻訳後にS−S結合の脱保護を伴い、分子内反応によって、より反応性の高いアリールチオフェノールなどに変化させてからアミンと反応させてもよい。また、(i)〜(iv)の概念の2つ以上を組み合わせることによって、本課題を達成してもよい。このように、Initiation read through法を有効に活用させる1つの手法として、N末端に共通に存在するアミノ基と交差ユニットを反応させてDruglikeな環化部位を有する、より多様性に富んだDisplay libraryを構築することができる。

0108

0109

この中で、(iii)のアルキルチオエステルもしくはベンジルチオエステルなど翻訳合成中に十分に安定性を確保でき、翻訳導入可能な活性エステルを用い、翻訳後に添加剤を添加させて、より活性な活性エステルを系中で発生させて反応補助基の無いアミンと環化反応させる場合、翻訳合成に用いる活性エステルとして、例えばアスパラギン酸の側鎖カルボン酸をメチルチオエステル(Asp(SMe))などのアルキルチオエステルやベンジルチオエステル(Asp(SBn))などのアラルキルチオエステルを用いることができる。

0110

これらを交差ユニットとして翻訳合成したのち、反応補助基を有しない三角ユニットと化学反応させる目的で加える添加剤として例えば4−(トリフルオロメチルベンゼンチオールなどのアリールチオールやヘテロアリールチオールが挙げられ、これらは電子吸引基や電子供与基、脂溶性基や水溶性基などで置換されていてもよいが、好ましくは電子吸引基である。電子吸引基としてトリフルオロメチル基やニトロ基やフルオロ基などが挙げられるが、好ましくはトリフルオロメチル基程度の電子吸引基が挙げられる。

0111

これらのチオールの添加量は特に限定されないが、反応性を十分高める目的では10mMより多い方が好ましく、添加剤を溶解させる目的では10Mより少ない方が好ましい。より好ましくは50mM〜5Mの範囲がよいが、さらに好ましくは200mM〜2Mがよい。添加剤をチオール(酸性)のまま加えることもできるが、酸性部をトリエチルアミンなどの塩基当量数加えて中和させ、中性条件として添加させることが好ましい。

0112

より活性の高い活性エステルは翻訳反応系内に存在する様々な試薬と反応する場合がある。例えば、通常利用されるトリスバッファー中のアミン成分(トリスヒロキシメチルアミノエタン)もその1つとなりえるため、反応性のアミン成分を含まないバッファー中で翻訳合成および、化学反応のためのバッファーを追加することが好ましい。このようなバッファーとして例えばHEPESバッファー、リン酸バッファーなどが挙げられる。

0113

また、反応の進行とともに副反応である空気中での酸化反応(S-S形成反応)に伴い反応進行に必要なチオール量の減少を避け、かつ、塩基性が高くなり加水分解の生成が優位な条件になることを避ける目的で、反応翻訳液にバッファーを追加することも可能である。また、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンのような還元剤を添加することも可能である。また、環化反応をなるべく空気中酸素に触れさせないことも有効である。

0114

化学反応中の溶媒のpHはRNAが安定に存在する目的では2〜10が好ましい。化学反応を円滑に進行させる目的では7.8以上が好ましく、加水分解の生成を抑制させる目的では9.2以下に維持することが好ましい。反応条件としてはPureSystemなどの反応翻訳液中単独で実施してもよく、これにDMFやNMPなどの有機溶媒を添加してもよい。また、翻訳液をカラム精製などで精製した後に溶媒を変更して実施してもよい。反応温度は通常化学反応が実施できる範囲であれば特に限定されないが、このましくは15℃〜80℃であり、より好ましくは25℃〜50℃である。

0115

環化反応を円滑に進行させる三角ユニットとしては特に制限はなく、アミノ基は1級アミンでも2級アミン(例えばN-メチルなどのN−アルキル基)でも許容され、アミノ酸側鎖部位の置換基も限定されない。特にアミノ基のとなりの炭素原子が無置換(CH2)の場合では1級アミンでも2級アミンでも許容される。2級アミンの中ではメチル基がより好ましい。アミノ基のとなりの炭素原子に置換基が存在する場合、1級アミンがより好ましい。置換基部分としては、AlaやPheのようにβ位がCH2であるほうが、ValやThrなどより好ましい。また、プロリンのように窒素原子とα位の炭素原子とが5員環を形成したアミノ酸や、同様に4員環や6員環などのように、環状の2級アミンも好ましい。

0116

以上、N末端(三角ユニット)を固定することなしに環化させたライブラリー構築の手法の例を述べたが、この反応補助基を用いないアミノ基と活性エステル基との縮合反応によるアミド環化反応の利用は、N末端の主鎖アミノ基との反応に留まらない。アミノ酸、アミノ酸類縁体の側鎖のアミノ基や、N末端カルボン酸誘導体のアミノ基と、アミノ酸、アミノ酸類縁体の側鎖の活性エステルやN末端カルボン酸誘導体の活性エステルとの任意の組み合わせで実施することができる。

0117

また、本手法はスキームCの場合と同様、三角ユニットに活性エステルを有するユニットが配置され、交差ユニット側にアミン側鎖が配置されてもよく、活性エステルとアミノ基が三角ユニットと交差ユニットのどちらに配置されてもよい。

0118

そのような組み合わせの例を以下述べる。
交差ユニットに活性エステル基を有するユニットが選択される場合、交差ユニットは化合物C-1、あるいは化合物C-2、化合物C-3やあるいは化合物COH−1、化合物COH−2、化合物COH−3から選択することもできる。これら6種類の化合物を選択する場合には常に、そのC末端側直後のアミノ酸はN-アルキル化されたユニットの中から選択することが好ましい。この制限は、アスパルチミド形成の副反応を避ける目的であり、これら6種類の化合物が選択された場合の共通の好ましい選択となる。代謝安定性の観点から、化合物C-1、あるいは化合物C-2、化合物C-3がより好ましい。このような場合、三角ユニットは化合物Na-1、化合物Na-2、化合物Na-3の中から選択することもできる。三角ユニットとして、N末端(三角ユニット)を固定させない場合には、これらの化合物から複数個を同時に選択することもできる。
化合物Na-1および化合物Na-2、化合物Na−3のどちらでも側鎖アミノ基は保護されていてもよい。保護されている場合には、環化反応と同時あるいは事前に脱保護させてから環化反応を行う。保護基あるいは脱保護の条件は本明細書に記載の方法を利用することができる。

0119

化合物Na-1のRa13は、水素原子あるいはC1-C6アルキル基もしくはアラルキル基などから選択することができる。これらはヒドロキシル基やフルオロ基、エーテル基などドラックライクで定義される官能基で置換されていても良い。好ましくは、水素原子、あるいはメチル基、エチル基、nプロピル基、ベンジル基が良い。

0120

化合物Na-2のRa1は、Ra13と同様に選択することができる。特に好ましくは、水素原子あるいはメチル基から選択される。Ra2はRa13と同様に選択することができるが、好ましくは水素原子あるいはメチル基が良い。特に好ましくは水素原子が良い。水素原子が選択された場合、その立体配置はアミノ酸としてL型とD型のいずれも許容される。より好ましくはL型の立体配置が好ましい。Ra3はR13と同様に選択することができる。Ra3とRa4とで環を形成していても良い。特に好ましくは水素原子が良い。Ra4は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、ヘテロアリール基、アリール基から選択することができる。これらはドラックライクで定義される官能基で置換されていても良い。また、Ra4はRa1と共に環を形成していても良い。例えば、プロリンなどがこの環に相当する。

0121

化合物Na-3のRa11はRa13と同様に選択することができるが、特に好ましくは水素原子、あるいはメチル基、エチル基、nプロピル基、ベンジル基が良い。特に好ましくは水素原子が良い。Ra9はRa4と同様に選択することができる。水素原子あるいはC1-C6アルキル基もしくはアラルキル基から選択されることが好ましい。これらはドラックライクで定義される官能基で置換されていても良い。また、Ra9とRa11とで環を形成していても良い。環のサイズは3〜8員環が好ましい。環形成としては特に5員環と6員環がより好ましい。Ra9の置換基としては特に好ましくは水素原子が良い。Ra10およびRa12は、Ra4と同様に選択することができる。好ましくはRa13と同様に選択することができる。より好ましくは、Ra10もしくはRa12のいずれかが水素原子である。特に好ましくはRa10およびRa12のいずれもが水素原子である。この場合には、N末端にはアミノ酸誘導体あるいはN末端カルボン酸誘導体から選択されることが好ましい。N末端の主鎖にアミノ基が存在すると反応選択性の点で不利となるうえ、翻訳修飾終了後にもアミノ基が保持されてドラックライクネスが低下するためである。

0122

交差ユニットが化合物C-1、あるいは化合物C-2、化合物C-3から選択された場合、三角ユニットとして、三角ユニットをN末端以外に配置させ、三角ユニットを固定させる場合には、三角ユニットは化合物Na-4もしくは化合物Na-5から選択することができる。

0123

化合物Na-4のRa5は、Ra1と同様に選択することができる。Ra6は、Ra2と同様に選択することができる。Ra7はRa4と同様に選択することができる。より好ましくは水素原子あるいはメチル基が良い。特に好ましくは水素原子である。Ra8は、R4と同様で部分構造N-3、N-4,N-5などのC1〜C6ユニットのアルキレン基、N-6、N-7、N-8(オルト置換のみならず、メタ置換、パラ置換も含む)から選択することができる。なお、ここではR13〜R22の置換基はドラックライクで選択させる官能基のうち、活性エステルやアミノ基と反応しない官能基の中から選択することができる。好ましくは、置換基を有していてもよい、C4〜C6アルキレンユニットやアリール基を有する部分構造N-6、N-7、N-8などから選択されることが好ましい。

0124

化合物Na-5のRa5は、Ra1と同様に選択することができる。Ra6は、Ra2と同様に選択することができる。Ra7はRa4と同様に選択することができる。より好ましくは水素原子あるいはメチル基が良い。特に好ましくは水素原子である。Ra8は、R4と同様で部分構造N-3、N-4,N-5などのC1〜C6ユニットのアルキレン基、N-6、N-7、N-8(オルト置換のみならず、メタ置換、パラ置換も含む)から選択することができる。なお、ここではR13〜R22の置換基はドラックライクで選択させる官能基のうち、活性エステルやアミノ基と反応しない官能基の中から選択することができる。好ましくは、置換基を有していてもよい、C4〜C6アルキレンユニットやアリール基を有する部分構造N-6、N-7、N-8などから選択されることが好ましい。

0125

化合物Na-4および化合物Na-5のどちらでも側鎖アミノ基は保護されていてもよい。保護されている場合には、環化反応と同時あるいは事前に脱保護させてから環化反応を行う。保護基あるいは脱保護の条件は本明細書に記載の方法を利用することができる。

0126

交差ユニットが化合物C-1、あるいは化合物C-2、化合物C-3から選択された場合、三角ユニットとして、三角ユニットをN末端に配置させ、側鎖のアミノ基と環化させる場合には、三角ユニットは、化合物Na−4、化合物Na−5のほか、アミノ基とカルボキシル基を有する幅広い化合物群の中から選択することができる。翻訳合成ではN末端カルボン酸類縁体として、様々なユニットが翻訳合成させることができる。アミド環化されるアミノ基とペプチド翻訳されるカルボン酸を有していれば特に限定されない。好ましくは、アミノ基とカルボン酸基を接合させる2価のユニットの有する官能基はドラックライクな官能基の中から選択される。そのような化合物の一例として例えば化合物Na-6が挙げられる。化合物Na-6のRa9は、ドラックライクな官能基にて置換されてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基から選択されても良い。それ以外にも、−NRCOR'基(RおよびR'はドラックライクな置換基)や‐OR(Rはドラックライクな置換基)やNR基(R部分にアミノ酸やジペプチド、トリペプチドなどを含む)などが許容される。

0127

一方、交差ユニットにアミノ基側のユニットが存在する場合も可能である。例えば化合物Na−4や化合物Na−5が選択された場合、三角ユニットには化合物C-1、化合物C-2、化合物C-3、化合物COH−1、化合物COH−2、化合物COH−3などを選択することもできる。この場合、三角ユニットよりN末端側にも直鎖部が存在して、かつN末端にはN末端カルボン酸誘導体から選択されることが、ドラックライクの点から好ましい。
例えば化合物Na−4や化合物Na−5が選択された場合、三角ユニットには化合物COH−1、化合物COH−2、化合物COH−3などを選択することもできる。この場合、三角ユニットがN末端に存在してもよく、あるいは三角ユニットよりN末端側にも直鎖部が存在して、かつN末端にはN末端カルボン酸誘導体から選択されることが、ドラックライクの点から好ましい。

0128

また、交差ユニットに、化合物Na-4、化合物Na-5などが選択された場合、三角ユニットに化合物Ca−1を選択することもできる。

0129

0130

・直鎖部2(分枝部位)の付与
直鎖部2を発生させる手法として、α—ヒドロキシカルボン酸などの主鎖にアミノ基を持たずにエステル結合を翻訳合成により形成できるアミノ酸類縁体と保護されていてもよいアミノ基側鎖(保護基はアミノ基の保護基として作用し、翻訳合成されるアミノ酸を与えるものであれば、特に限定されない)を有するアミノ酸の両方を翻訳導入して翻訳後修飾させる手法を用いることが可能である(スキームE)。ディスプレイライブラリーへの適用時には、翻訳されるユニットから選択される。しかし、その後の最適化により得られるペプチド化合物では、当該ペプチド化合物そのものが翻訳合成されなくても、翻訳合成後の翻訳後修飾により得られるものも含まれる。α—ヒドロキシカルボン酸部位の側鎖は特に限定はされないが、スキームEに記載の手法では、特に、翻訳合成の点ではRe1が水素原子(グリコール酸(HOGly)そのもの)あるいは、側鎖にチオール基(SH基)あるいは保護されたチオール基を有しているものが好ましい。側鎖の立体配置も特に限定されないが、α位に水素原子が存在する場合にはL型アミノ酸と同様な立体配置を取ることがより好ましい。チオール基あるいは保護されたチオール基の配置も特に限定されないが、OH基のβ位、もしくはγ位に配置されていること(すなわち、Re1が保護されていてもよいメルカプトメチル基あるいはメルカプトエチル基)が特に好ましい。これらのチオール基もしくは保護されたチオール基は、α—ヒドロキシカルボン酸側鎖の置換されてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、から配置(付加)される。これらα—ヒドロキシカルボン酸側鎖の置換基としては、付加されたチオール基あるいは保護されたチオール基を除けば、ドラックライクなアミノ酸の側鎖で定義された置換基であることがより好ましい。

0131

アミノ基側鎖を有するアミノ酸の種類も、アミノ基を有してれば、置換されてもよいアルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、アルキニルアミノ基、アラルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、シクロアルキルアミノ基、のどれも可能であり特に限定されないが、側鎖に同時にチオール基(SH基)あるいは保護されたチオール基を有していてもよい。これらの置換基は反応補助基(例えばSH基)を除けば、ドラックライクなアミノ酸の側鎖で定義された置換基であることが好ましい。さらに、翻訳合成可能な置換基から選択されることがより好ましい。また、スキーム中NH2で表わされている部位の水素原子のうち1つは水素原子に特定されるが、もう1つの水素原子は置換されてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、にて置換されていてもよく、これらに反応補助基が付与されていても良いが、このましくはNH2基がよい。これらの置換基も反応補助基(例えばSH基)を除けば、ドラックライクなアミノ酸の側鎖で定義された置換基であることが好ましい。さらに、翻訳合成可能な置換基から選択されることがより好ましい。α—ヒドロキシカルボン酸などのアミノ基を持たずにエステル結合を形成できるアミノ酸類縁体をコードするコドン(A)、これをアシル化tRNA、アミノ基側鎖を有するアミノ酸をコードするコドン(B)、これをアミノアシル化したtRNAを用意し、コドン(A)とコドン(B)の間に所望の数(好ましくは0〜7個、より好ましくは0〜2個)のランダムなコドンを配置したmRNAを鋳型に翻訳させて得たペプチドを上記の方法あるいは別法にてまず環化させる。コドンAをコドンBよりN末端側に配置させる。得られた環化ペプチド(例えば、スキームBやスキームCの手法を用いることができる)を必要に応じて側鎖アミノ基に保護基が存在する場合には脱保護し、加水分解あるいは外部から添加剤を加えてエステル部位を活性化させるとアミド結合は加水分解されずにエステル結合を加水分解あるいは活性化(活性エステル化、活性チオエステル化)させることができる。得られた主鎖カルボン酸あるいは活性(チオ)エステルと側鎖アミンを分子内環化反応させることにより望みの分枝ペプチドである直鎖部2を有するペプチドを得ることができる。例えば、外部から加える添加剤として、チオール化合物、HONSu、HOBt、HOAtなど様々な活性エステルを形成させる化合物群、あるいはこれらの2種類以上の混合物が挙げられる。スキームEでは、コドンAとしてRe1置換されたヒドロキシカルボン酸、コドンBとしてリジンを用いた例を挙げた。

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