図面 (/)

技術 熱電変換材料及びそれを用いた熱電変換素子

出願人 東洋インキSCホールディングス株式会社
発明者 中曽根大輔木田佳奈岩田貫
出願日 2018年12月26日 (1年11ヶ月経過) 出願番号 2018-242429
公開日 2020年7月9日 (5ヶ月経過) 公開番号 2020-107643
状態 未査定
技術分野 熱電素子 炭素・炭素化合物
主要キーワード 日本黒鉛工業社製 インキ分散性 人工衛星用 薄片状黒鉛 導電性炭素繊維 酸性分散剤 非イオン性官能基 ペットフィルム
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年7月9日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (3)

課題

本発明は、ゼーベック係数導電性との両立を達成し、高いパワーファクターを示す熱電変換材料を提供することを課題とする。また、当該材料を用いて、優れた熱電性能を発揮する熱電変換素子を提供することを課題とする。

解決手段

上記課題は、炭素材料(A)、フタロシアニン化合物(B)、及び分散剤(C)を含有する、熱電変換材料、及び熱電変換材料を用いて形成された熱電変換膜具備する熱電変換素子によって解決される。

概要

背景

熱エネルギー電気エネルギーを相互に変換できる熱電変換材料は、熱電発電素子ペルチェ素子のような熱電変換素子に用いられている。熱電変換素子は、熱を電力に変換する素子であり、半導体や金属の組合せによって構成される。代表的な熱電変換素子としては、p型半導体単独、n型半導体単独、又はp型半導体とn型半導体との組合せ、に分類される。熱電変換素子では、半導体の両端に温度差が生じるように熱を加えると起電力が生じるゼーベック効果を利用する。より大きな電位差を得るために、熱電変換素子では、一般的に、材料としてp型半導体とn型半導体とを組合せて使用する。

また、熱電変換素子は、多数の素子を板状、又は円筒状に組合せてなる熱電モジュールとして使用される。熱エネルギーを直接電力に変換することが出来、例えば、体温で作動する腕時計地上用発電及び人工衛星用発電における電源として利用できる。熱電変換素子の性能は、熱電変換材料の性能、及びモジュール耐久性等に依存する。

非特許文献1に記載されているとおり、熱電変換材料の性能を表す指標として、無次元熱電性能指数(ZT)が用いられる。また、熱電変換材料の性能を表す指標として、パワーファクターPF(=S2・σ)を用いる場合もある。
上記無次元熱電性能指数「ZT」は、下式(1)により表される。
ZT=(S2・σ・T)/κ・・・式(1)
ここで、Sはゼーベック係数(V/K)、σは導電率(S・m)、Tは絶対温度(K)、及びκは熱伝導率(W/(m・K))である。熱伝導率κは下式(2)で表される。
κ=α・ρ・C ・・・式(2)
ここで、αは熱拡散率(m2/s)、ρは密度(kg/m3)、及びCは比熱容量(J/(kg・K))である。
つまり、熱電変換の性能(以下、熱電特性とも称す)を向上させるには、ゼーベック係数又は導電率を向上させ、その一方で熱伝導率を低下させることが重要である。

代表的な熱電変換材料として、例えば、常温から500Kまではビスマステルル系(Bi−Te系)、常温から800Kまでは鉛・テルル系(Pb−Te系)、及び常温から1000Kまではシリコンゲルマニウム系(Si−Ge系)等の無機材料が使用されている。

しかし、これらの無機材料を含む熱電変換材料は、しばしば希少元素を含み高コストであるか、又は有害物質を含む場合がある。また、無機材料は加工性に乏しいため、製造工程が複雑となる。そのため、無機材料を含む熱電変換材料については、製造エネルギー及び製造コストが高くなり、汎用化が困難である。さらに、無機材料は剛直であるため、平面ではない形状にも設置可能な、フルキシブル性を有する熱電変換素子を形成することは困難である。

これに対し、従来の無機材料に代えて、有機材料を用いた熱電変換素子に関する検討が進められている。有機材料は、優れた成形性を有し、かつ無機材料よりも優れた可撓性を有するため、それ自身が分解しない温度範囲での汎用性が高い。また、印刷技術等を容易に活用できるため、製造エネルギーや製造コストの面でも無機材料より有利である。

例えば、特許文献1では、有機色素骨格高分子分散剤に結合させ、カーボンナノチューブ(CNT)と共に含有させることで、CNT分散性が良く塗布方法に適し、且つ優れた熱起電力を示す熱電材料が記載されている。
また、特許文献2には、ポルフィリン骨格アルキル基を含む置換基とが結合した、高いゼーベック係数を示す熱電変換材料が記載されている。

概要

本発明は、ゼーベック係数と導電性との両立を達成し、高いパワーファクターを示す熱電変換材料を提供することを課題とする。また、当該材料を用いて、優れた熱電性能を発揮する熱電変換素子を提供することを課題とする。 上記課題は、炭素材料(A)、フタロシアニン化合物(B)、及び分散剤(C)を含有する、熱電変換材料、及び熱電変換材料を用いて形成された熱電変換膜具備する熱電変換素子によって解決される。

目的

本発明は、ゼーベック係数と導電性との両立を達成し、高いパワーファクターを示す熱電変換材料を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

炭素材料(A)、フタロシアニン化合物(B)、及び分散剤(C)を含有する、熱電変換材料

請求項2

前記分散剤(C)の分子量が、100以上1,000以下である、請求項1に記載の熱電変換材料。

請求項3

前記フタロシアニン化合物(B)の含有量が、前記炭素材料(A)の全量に対して5〜200質量%である、請求項1又は2に記載の熱電変換材料。

請求項4

前記分散剤(C)の含有量が、前記炭素材料(A)の全量に対して5〜200質量%である、請求項1〜3いずれか1項に記載の熱電変換材料。

請求項5

前記フタロシアニン化合物(B)が、下記一般式(1)又は(2)で表される構造を有するフタロシアニンを含む、請求項1〜4いずれか1項に記載の熱電変換材料。一般式(1) 一般式(2) [一般式(1)及び(2)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、アルキル基アルコキシ基又は水素原子を表し、M1は、金属原子を表す。]

請求項6

前記炭素材料(A)が、カーボンナノチューブケッチェンブラックグラフェンナノプレート及びグラフェンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5いずれか1項に記載の熱電変換材料。

請求項7

前記炭素材料(A)が、カーボンナノチューブである、請求項1〜6いずれか1項に記載の熱電変換材料。

請求項8

請求項1〜7いずれか1項に記載の熱電変換材料からなる熱電変換膜と、電極とを有し、該熱電変換膜及び該電極が互いに電気的に接続されている熱電変換素子

技術分野

0001

本発明の実施形態は、熱電変換材料及び該材料を用いた熱電変換素子に関する。

背景技術

0002

熱エネルギー電気エネルギーを相互に変換できる熱電変換材料は、熱電発電素子ペルチェ素子のような熱電変換素子に用いられている。熱電変換素子は、熱を電力に変換する素子であり、半導体や金属の組合せによって構成される。代表的な熱電変換素子としては、p型半導体単独、n型半導体単独、又はp型半導体とn型半導体との組合せ、に分類される。熱電変換素子では、半導体の両端に温度差が生じるように熱を加えると起電力が生じるゼーベック効果を利用する。より大きな電位差を得るために、熱電変換素子では、一般的に、材料としてp型半導体とn型半導体とを組合せて使用する。

0003

また、熱電変換素子は、多数の素子を板状、又は円筒状に組合せてなる熱電モジュールとして使用される。熱エネルギーを直接電力に変換することが出来、例えば、体温で作動する腕時計地上用発電及び人工衛星用発電における電源として利用できる。熱電変換素子の性能は、熱電変換材料の性能、及びモジュール耐久性等に依存する。

0004

非特許文献1に記載されているとおり、熱電変換材料の性能を表す指標として、無次元熱電性能指数(ZT)が用いられる。また、熱電変換材料の性能を表す指標として、パワーファクターPF(=S2・σ)を用いる場合もある。
上記無次元熱電性能指数「ZT」は、下式(1)により表される。
ZT=(S2・σ・T)/κ・・・式(1)
ここで、Sはゼーベック係数(V/K)、σは導電率(S・m)、Tは絶対温度(K)、及びκは熱伝導率(W/(m・K))である。熱伝導率κは下式(2)で表される。
κ=α・ρ・C ・・・式(2)
ここで、αは熱拡散率(m2/s)、ρは密度(kg/m3)、及びCは比熱容量(J/(kg・K))である。
つまり、熱電変換の性能(以下、熱電特性とも称す)を向上させるには、ゼーベック係数又は導電率を向上させ、その一方で熱伝導率を低下させることが重要である。

0005

代表的な熱電変換材料として、例えば、常温から500Kまではビスマステルル系(Bi−Te系)、常温から800Kまでは鉛・テルル系(Pb−Te系)、及び常温から1000Kまではシリコンゲルマニウム系(Si−Ge系)等の無機材料が使用されている。

0006

しかし、これらの無機材料を含む熱電変換材料は、しばしば希少元素を含み高コストであるか、又は有害物質を含む場合がある。また、無機材料は加工性に乏しいため、製造工程が複雑となる。そのため、無機材料を含む熱電変換材料については、製造エネルギー及び製造コストが高くなり、汎用化が困難である。さらに、無機材料は剛直であるため、平面ではない形状にも設置可能な、フルキシブル性を有する熱電変換素子を形成することは困難である。

0007

これに対し、従来の無機材料に代えて、有機材料を用いた熱電変換素子に関する検討が進められている。有機材料は、優れた成形性を有し、かつ無機材料よりも優れた可撓性を有するため、それ自身が分解しない温度範囲での汎用性が高い。また、印刷技術等を容易に活用できるため、製造エネルギーや製造コストの面でも無機材料より有利である。

0008

例えば、特許文献1では、有機色素骨格高分子分散剤に結合させ、カーボンナノチューブ(CNT)と共に含有させることで、CNT分散性が良く塗布方法に適し、且つ優れた熱起電力を示す熱電材料が記載されている。
また、特許文献2には、ポルフィリン骨格アルキル基を含む置換基とが結合した、高いゼーベック係数を示す熱電変換材料が記載されている。

0009

国際公開第2015/050113号
国際公開第2015/129877号

先行技術

0010

梶川武信著「熱電変換技術ハンドブック初版)」エヌ・ティーエス出版、p.19

発明が解決しようとする課題

0011

しかしながら、特許文献1の発明では、高分子分散剤のポリマー鎖がCNTとの相互作用阻害し十分な性能が得られてはいない。また、特許文献2の発明では、導電率が10−8〜10−7S/cmと低く、熱電素子として実用的な値を得ることはできていない。
よって本発明は、ゼーベック係数と導電性との両立を達成し、高いパワーファクターを示す熱電変換材料を提供することを課題とする。また、当該材料を用いて、優れた熱電性能を発揮する熱電変換素子を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、下記〔1〕〜〔8〕に関する。

0013

〔1〕炭素材料(A)、フタロシアニン化合物(B)、及び分散剤(C)を含有する、熱電変換材料。

0014

〔2〕 前記分散剤(C)の分子量が、100以上1,000以下である、〔1〕に記載の熱電変換材料。

0015

〔3〕 前記フタロシアニン化合物(B)の含有量が、前記炭素材料(A)の全量に対して5〜200質量%である、〔1〕又は〔2〕に記載の熱電変換材料。

0016

〔4〕 前記分散剤(C)の含有量が、前記炭素材料(A)の全量に対して5〜200質量%である、〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載の熱電変換材料。

0017

〔5〕 前記フタロシアニン化合物(B)が、下記一般式(1)又は(2)で表される構造を有するフタロシアニンを含む、〔1〕〜〔4〕いずれか1項に記載の熱電変換材料。

0018

一般式(1)

0019

一般式(2)

0020

[一般式(1)及び(2)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基又は水素原子を表し、M1は、金属原子を表す。]

0021

〔6〕 前記炭素材料(A)が、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラックグラフェンナノプレート及びグラフェンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、〔1〕〜〔5〕いずれか1項に記載の熱電変換材料。

0022

〔7〕 前記炭素材料(A)が、カーボンナノチューブである、〔1〕〜〔6〕いずれか1項に記載の熱電変換材料。

0023

〔8〕 〔1〕〜〔7〕いずれか1項に記載の熱電変換材料からなる熱電変換膜と、電極とを有し、該熱電変換膜及び該電極が互いに電気的に接続されている熱電変換素子。

発明の効果

0024

本発明により、ゼーベック係数と導電性との両立を達成し、高いパワーファクターを示す熱電変換材料を提供することができる。また、当該材料を用いて、優れた熱電性能を発揮する熱電変換素子を提供することができる。

図面の簡単な説明

0025

本発明の実施形態である熱電変換素子の一例の構造を示す模式図である。
本発明の実施形態である熱電変換素子の起電力の測定方法を説明する模式図である。

0026

本発明の熱電変換材料は、炭素材料(A)、フタロシアニン化合物(B)、及び分散剤(C)を含むことを特徴とする。上記を組み合わせることで、ゼーベック係数と導電性とを両立し高いパワーファクターを示す、優れた熱電性能を発揮することができる。これは、分散剤の効果により炭素材料及びフタロシアニン化合物の分散性が向上することで、炭素材料が有する導電性が効率的に発揮されたこと、及び、フタロシアニン化合物が炭素材料表面に均一化することで、フタロシアニン化合物が有する高いゼーベック係数が効率的に発揮されたこと、の両方によるものであると考えられる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。

0027

<炭素材料(A)>
炭素材料(A)は、導電性向上に寄与するものである。炭素材料(A)の含有量を増やすことで導電性を向上させることが出来る。
炭素材料(A)は、導電性を持つ炭素材料であれば特に制限はなく、例えば、黒鉛、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック、グラフェンナノプレート及びグラフェン等を用いることができる。ゼーベック係数と導電率との両立の観点で、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック、グラフェンナノプレート及びグラフェンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、より好ましくはカーボンナノチューブであり、特に好ましくは単層カーボンナノチューブである。

0028

炭素材料(A)としては、例えば、薄片状黒鉛として、日本黒鉛工業社製のCMX、UP−5、UP−10、UP−20、UP−35N、CSSP、CSPE、CSP、CP、CB−150、CB−100、ACP、ACP−1000、ACB−50、ACB−100、ACB−150、SP−10、SP−20、J−SP、SP−270、HOP、GR−60、LEP、F#1、F#2、F#3、中越黒鉛社製のCX−3000、FBF、BF、CBR、SSC−3000、SSC−600、SSC−3、SSC、CX−600、CPF−8、CPF−3、CPB−6S、CPB、96E、96L、96L−3、90L−3、CPC、S−87、K−3、CF−80、CF−48、CF−32、CP−150、CP−100、CP、HF−80、HF−48、HF−32、SC−120、SC−80、SC−60、SC−32、伊黒鉛工業社製のEC1500、EC1000、EC500、EC300、EC100、EC50、西黒鉛社製の10099M、PB−99等が挙げられる。球状天然黒鉛としては、日本黒鉛工業社製のCGC−20、CGC−50、CGB−20、CGB−50が挙げられる。土状黒鉛としては、日本黒鉛工業社製の青P、AP、AOP、P#1、中越黒鉛社製のAPR、S−3、AP−6、300Fが挙げられる。人造黒鉛としては、日本黒鉛工業社製のPAG−60、PAG−80、PAG−120、PAG−5、HAG−10W、HAG−150、中越黒鉛社製のRA−3000、RA−15、RA−44、GX−600、G−6S、G−3、G−150、G−100、G−48、G−30、G−50、SECカーボン社製のSGP−100、SGP−50、SGP−25、SGP−15、SGP−5、SGP−1、SGO−100、SGO−50、SGO−25、SGO−15、SGO−5、SGO−1、SGX−100、SGX−50、SGX−25、SGX−15、SGX−5、SGX−1が挙げられる。市販のカーボンブラックとしては、例えば、東海カーボン社製のトーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500、デグサ社製のプリンテックスL、コロンビヤン社製のRaven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA、Conductex SC ULTRA、Conductex 975 ULTRA、PUERBLACK100、115、205、三菱化学社製の#2350、#2400B、#2600B、#3050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B、キャボット社製のMONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、BlackPearls2000、TIMCAL社製のEnsaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP−Li等のファーネスブラック)、ライオン社製のEC−300J、EC−600JD等のケッチェンブラック、電気化学工業社製のデンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35等のアセチレンブラックが挙げられる。市販の導電性炭素繊維やカーボンナノチューブとしては、昭和電工社製のVGCF等の気相法炭素繊維、名ナノカーボン社製のEC1.0,EC1.5,EC2.0,EC1.5−P、化成社製のTUBALL、ゼオンナノテクノロジー社製のZEONANO等の単層カーボンナノチューブ、CNano社製のFloTube9000、FloTube9100、FloTube9110、FloTube9200、Nanocyl社製のNC7000、Knano社製の100T、100P等が挙げられる。これらは特に限定されることなく、単独、又は2種以上を混合して使用することが出来る。

0029

<フタロシアニン化合物(B)>
フタロシアニン化合物(B)は、熱電変換材料中でゼーベック係数の向上に寄与し、特に限定されるものではなく、 従来公知のものを、単独又は2種以上を混合して使用することが出来る。
フタロシアニン化合物(B)の含有量を増やすことでゼーベック係数を向上させることが出来るが、絶縁性が増すことにより導電性が低下するため、ゼーベック係数と導電率との両立の観点から、フタロシアニン化合物(B)の含有量は、前記炭素材料(A)の全量に対して400質量%以下が好ましく、より好ましくは200質量%以下であり、更に好ましくは3〜120質量%であり、特に好ましくは5〜100%質量%である。

0030

また、炭素材料(A)に対する表面吸着及び均一化を促進し、さらに分子割合を増加させるために、フタロシアニン化合物(B)の分子量は小さい方が好ましく、質量平均分子量(Mw)は、好ましくは2,000以下であり、より好ましくは1,000以下である。

0031

フタロシアニン化合物(B)は、下記一般式(1)又は(2)のいずれかで表されるものであることが好ましい。

0032

一般式(1)

0033

一般式(2)

0034

[一般式(1)及び(2)中、
R1〜R4は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基又は水素原子を表し、
M1は、金属原子を表す。]

0035

一般式(1)〜(2)のR1〜R4のアルキル基及びアルキルオキシ基については、特に制限はないが、溶剤への親和性の及びアルキル鎖同士の結晶性の観点から、炭素数は、好ましくは1〜30であり、より好ましくは3〜12であり、特に好ましくは4〜6である。また、立体反発の観点から直鎖型よりも分岐型の方が好ましい。

0036

一般式(2)のM1は、金属原子であれば特に制限はないが、立体反発、分子の非対称性観点から、軸配位可能な金属原子が好ましく、より好ましくはTi、Al、Si、Sn又はVである。

0037

本発明では、前述のように、炭素材料(A)とフタロシアニン化合物(B)が均一に分散することによりゼーベック係数及び導電率の向上に繋がる。そのため、フタロシアニン化合物(B)は、膜形成時に使用する塗液状態において、分散媒(溶剤)に溶解又は分散していることが好ましい。炭素材料(A)とフタロシアニン化合物(B)の両方を溶解又は分散させるための分散媒としては、N−メチルピロリドンが特に好ましい。

0038

また、フタロシアニン化合物(B)は、有機溶剤に可溶であることが好ましい。「可溶性」の指標としては、有機溶剤への溶解度が挙げられ、25℃における可溶性フタロシアニン化合物(B)のN−メチルピロリドン100gへの溶解度が、好ましくは0.5g以上であり、より好ましくは1g以上であり、特に好ましくは5g以上である。上記溶解度であることにより、熱電特性を損なうことなく、炭素材料への効率的な表面吸着及び均一化が進行し、炭素材料が有する導電性を効果的に発揮させることができるため好ましい。

0039

このような可溶性のフタロシアニン化合物を得る方法としては、アルキル鎖等をフタロシアニン骨格又は、中心金属の軸配位とすることで、溶剤への親和性を向上させたり、分子同士の立体分子反発により凝集を抑制することで、溶解性を付与することが出来る。また、フタロシアニン骨格の対称性を崩すような置換基、軸配位子を持つ金属種を付けることで、分子の結晶性を低下させ、溶解性を付与することが出来る。

0040

上記のような可溶性を示すフタロシアニン化合物(B)として特に好ましくは、下記一般式(1a)、(2a)又は(2b)のいずれかで表されるものである。

0041

一般式(1a)

0042

一般式(2a)

0043

一般式(2b)

0044

[一般式(1a)、(2a)及び(2b)中、
R1〜R4は、それぞれ独立に、アルキル基、アルキルオキシ基又は水素原子を表し、
R1〜R4は全て水素原子になることはない。
M1は、金属原子を表し、
M2は、Ti、Al、Si、Sn又はVを表す。]

0045

一般式(1a)及び一般式(2a)中、R1〜R4のアルキル基及びアルキルオキシ基については、特に制限はないが、溶剤への親和性の及びアルキル鎖同士の結晶性の観点から、炭素数は、好ましくは1〜30であり、より好ましくは3〜12であり、特に好ましくは4〜6である。また、立体反発の観点から直鎖型よりも分岐型の方が好ましい。

0046

一般式(2a)のM1は、金属原子であれば特に制限はないが、立体反発、分子の非対称性観点から、軸配位可能な金属原子が好ましく、より好ましくはTi、Al、Si、Sn又はVである。

0047

一般式(2b)に示す化合物は、軸配位が可能な金属のフタロシアニン化合物であり、上記一般式(1a)及び一般式(2a)と同様に、軸配位の立体反発及び分子の非対称性により、可溶性が付与される。可溶性のフタロシアニン化合物(B)として特に好ましくは、溶解度の観点から一般式(1a)で表されるものである。

0048

<分散剤(C)>
分散剤(C)は、無機材料や有機材料を媒体中に均一に分散させ安定な分散体を調整するために用いるものであり、特に制限されず、カーボンやフタロシアニンの分散に用いられる従来公知のものを使用することができる。分散剤(C)は、単独又は2種以上を併用して使用してもよい。

0049

分散剤(C)としては、酸性分散剤塩基性分散剤両性分散剤非イオン型分散剤等が挙げられる。また、酸性分散剤の酸性官能基としては、カルボン酸基スルホン酸基及びリン酸基等が挙げられ、塩基性分散剤の極性官能基としては、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基及び4級アンモニウム塩基等が挙げられ、非イオン型分散剤の非イオン性官能基としては、水酸基アミド基ケトン基エポキシ基、及びエステル基等が挙げられる。

0050

塩基性分散剤は、市販品として例えば、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−9000、11200、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、22000、24000SC、24000GR、26000、28000、32000、32500、32550、32600、33000、34750、35100、35200、37500、38500、39000、53095、56000、71000、76500、X300等、ビックケミー・ジャパン社製のDISPERBYK−108、109、112、116、130、161、162、163、164、166、167、168、182、183、184、185、2000、2008、2009、2022、2050、2150、2155、2163、2164、9077、101、106、140、142、145、180、2001、2020、2025、2070、9076等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPB821、PB822、PB824、PB881等、BASF社製のEFKA−4015、4020、4046、4047、4050、4055、4080、4300、4330、4400、4401、4402等が挙げられる。

0051

酸性分散剤は、市販品としては例えば、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、5000、21000、36000、36600、41000、41090、43000、44000、46000、47000、55000等、ビックケミー・ジャパン社製のDISPERBYK−102、110、111、170、171、174、P104、P104S、P105、220S等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111等が挙げられる。

0052

非イオン型分散剤は、市販品としては例えば、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−27000、54000等が挙げられる。

0053

分散剤(C)は、低分子系又は高分子系のいずれでもよいが、炭素材料(A)の分散性、並びに炭素材料(A)とフタロシアニン化合物(B)とを近接させΠ−Π相互作用を発現させやすくすることから、低分子系が好ましく、より好ましくは分子量が100以上1,000以下であり、特に好ましくは200以上600以下である。分散剤(C)の分子量が 100以上1,000以下 であると、炭素材料(A)表面へのフタロシアニン化合物(B)の吸着が均一化され、フタロシアニン化合物(B)が有する高いゼーベック係数が効率的に発揮されるため、好ましい。
なお、分散剤(C)が高分子系である場合、質量平均分子量(Mw)の値を分子量とする。

0054

また、分散剤として、有機色素誘導体又はトリアジン誘導体を使用してもよく、より好ましくは酸性官能基を有するトリアジン誘導体(b2)である。

0055

[酸性官能基を有するトリアジン誘導体(b2)]
酸性官能基を有するトリアジン誘導体(b2)の酸性官能基としては、後述に示すとおり、SO3M、CO2M、又はP(O)(OM)2であることが好ましく、より好ましくは、SO3M、又はCO2Mであり、特に好ましくはCO2Mである。Mは、1〜3価のカチオンの一当量を表し、中でも金属カチオン又は4級アンモニウムカチオンであることが好ましい。

0056

酸性官能基を有するトリアジン誘導体(b2)として、好ましくは、下記一般式(3)で示されるトリアジン誘導体、又は下記一般式(4)で示されるトリアジン誘導体である。

0057

(一般式(3)で示されるトリアジン誘導体)
一般式(3)

0058

[一般式(3)中、
X1は、NH、O、CONH、SO2NH、CH2NH、CH2NHCOCH2NH又はX3YX4を表し、
X2及びX4は、各々独立して、NH又はOを表し、
X3は、CONH、SO2NH、CH2NH、NHCO又はNHSO2を表し、
Yは、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルケニレン基又は置換基を有してもよい炭素数1〜20のアリーレン基を表し、
Zは、SO3M、CO2M又はP(O)(OM)2を表し、
Mは、1〜3価のカチオンの一当量を表し、
R1は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基又は下記一般式(5)で表される基を表し、
Qは、OR2、NHR2、ハロゲン原子、X1R1又はX2YZを表し、
R2は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアルケニル基を表す。]

0059

一般式(5)

0060

[一般式(5)中、
X5は、NH又はOを表し、
X6及びX7は、各々独立して、NH、O、CONH、SO2NH、CH2NH又はCH2NHCOCH2NHを表し、
R3及びR4は、各々独立して、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基又はYZを表し、
Yは、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルケニレン基又は置換基を有してもよい炭素数1〜20のアリーレン基を表し、
Zは、SO3M、CO2M又はP(O)(OM)2を表す。]

0061

一般式(3)のR1及び一般式(5)のR3、R4で表される有機色素残基としては、例えば、ジケトピロロピロール色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素フタロシアニン系色素ジアミノアントラキノンアントラピリミジンフラバントロンアンアントロンインダントロンピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリーレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素スレン系色素、金属錯体系色素等が挙げられる。
とりわけ、金属錯体系色素ではない有機色素残基の使用が好ましく、中でもアゾ系色素、ジケトピロロピロール系色素、無金属フタロシアニン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素の使用が分散性や光吸収性に優れるため好ましい。

0062

一般式(3)のR1及び一般式(5)のR3、R4で表される複素環残基及び芳香族環残基としては、例えば、チオフェンフランピリジンピラゾ−ル、ピロールイミダゾ−ル、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロンベンズチアゾ−ル、ベンズトリアゾ−ル、インド−ル、キノリンカルバゾ−ル、アクリジンベンゼンナフタリンアントラセンフルオレンフェナントレン、アントラキノン等が挙げられる。とりわけ、少なくともS、N、Oのヘテロ原子のいずれかを含む複素環残基の使用が分散性に優れるため好ましい。

0063

一般式(3)及び一般式(5)のYとしては、好ましくは、置換されていてもよいフェニレン基ビフェニレン基ナフチレン基又は置換基を有していてもよい炭素数が10以下のアルキレン基が挙げられる。

0064

一般式(3)のR2におけるアルキル基及びアルケニル基は、好ましくは炭素数20以下であり、更に好ましくは置換基を有していてもよい炭素数が10以下のアルキル基が挙げられる。

0065

有してもよい置換基としては、フッ素原子塩素原子臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メルカプト基等が挙げられる。

0066

一般式(3)中のMで表される1〜3価のカチオンとしては、水素原子(プロトン)、金属カチオン、4級アンモニウムカチオンが挙げられる。また、構造中にMを2つ以上有する場合、Mは、水素原子(プロトン)、金属カチオン、4級アンモニウムカチオンのいずれかひとつのみでも良いし、これらの組み合わせでも良い。
金属カチオンの金属としては、リチウムナトリウムカリウムカルシウムバリウムマグネシウムアルミニウムニッケルコバルト等が挙げられる。また、4級アンモニウムカチオンとしては、下記一般式(20)で表される構造を有する単一化合物又は、混合物が挙げられる。

0067

一般式(20)

0068

[一般式(20)中、
R5〜R8は、各々独立して、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいアリ−ル基を表す。]

0069

一般式(20)のR5〜R8は、各々同一でもよいし、異なっていてもよい。また、R5〜R8における炭素数は、1〜40、好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜20である。

0070

級アンモニウムの具体例としては、例えば、ジメチルアンモニウムトリメチルアンモニウムジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウムヒドロキシエチルアンモニウム、ジヒドロキシエチルアンモニウム、2−エチルヘキシルアンモニウム、ジメチルアミノプロピルアンモニウム、ラウリルアンモニウム、ステアリルアンモニウム、オクチルアンモニウム等が挙げられるが、これらに限定されない。

0071

また、1〜3価のカチオンが金属カチオン又は4級アンモニウムカチオンである場合、塩交換でカチオンを導入することができる。塩交換は分散剤の製造時に行ってもよいし、熱電変換材料の製造時に行ってもよい。

0072

上記分散剤の合成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特公昭39−28884号公報、特公昭45−11026号公報、特公昭45−29755号公報、特公昭64−5070号公報、特開2004−217842号公報等に記載されている方法で合成することができる。

0073

一般式(3)中のMで表される1〜3価のカチオンは、より好ましくは、金属カチオン又は4級アンモニウムカチオンであり、特に好ましくは4級アンモニウムカチオンである。

0074

一般式(3)で表される誘導体の一例を以下に示す。なお、例示化合物における酸性官能基(SO3H、CO2H又はP(O)(OH)2)は、金属カチオン又は4級アンモニウムカチオンと造塩物を形成していてもよい。

0075

0076

0077

0078

0079

0080

0081

0082

0083

一般式(3)で表されるトリアジン誘導体は、より好ましくは、X1がNH、且つR1がベンズイミダゾロン残基であるX1R1構造を含み、且つMが金属カチオン又は4級アンモニウムカチオンであるものであり、上述の例示誘導体(b2−5)、(b2−7)、(b2−9)、(b2−12)〜(b2−15)、(b2−18〜b2−26)が該当する。

0084

(一般式(4)で示されるトリアジン誘導体)
一般式(4)

0085

[一般式(4)中、
R1は、X1Y1で表される基を表し、
X1は、置換基を有してもよいアリーレン基を表し、
Y1は、SO3M、CO2M又はP(O)(OM)2を表し、
Mは、1〜3価のカチオンの一当量を表す。]

0086

一般式(4)のX1におけるアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、より好ましくはフェニレン基である。
上記アリーレン基が有してもよい置換基は、同一でも異なっても良く、その具体例としては、スルホ基カルボキシル基ヒドロキシル基フッ素塩素臭素等のハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、アルコキシル基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、複数であっても良い。

0087

一般式(4)のY1としては、SO3M又はCO2Mがより好ましく、特に好ましくはCO2Mである。また、一般式(4)中のMで表される1〜3価のカチオンとしては、前述の一般式(3)中のMで表される1〜3価のカチオンと同義であり、より好ましくは、金属カチオン又は4級アンモニウムカチオンである。

0088

金属カチオンを導入する方法としては、一般式(4)で表され、且つMが水素原子であるトリアジン誘導体に対し、無機塩基を添加することで導入することができ、無機塩基としては、アルカリ金属水酸化物アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩、アルカリ土類金属のリン酸塩等を用いることができる。

0089

アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム水酸化ナトリウム水酸化カリウム等;アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化マグネシウム水酸化カルシウム水酸化ストロンチウム水酸化バリウム等;アルカリ金属の炭酸塩としては、炭酸リチウム炭酸ナトリウム炭酸水素ナトリウム炭酸カリウム炭酸水素カリウム等;アルカリ土類金属の炭酸塩としては、炭酸マグネシウム炭酸カルシウム炭酸ストロンチウム炭酸バリウム等;アルカリ金属のリン酸塩としては、リン酸リチウムリン酸三ナトリウムリン酸水素二ナトリウムリン酸三カリウムリン酸水素二カリウム等;アルカリ土類金属のリン酸塩としては、リン酸マグネシウムリン酸カルシウムリン酸ストロンチウム、リン酸バリウム等;が挙げられ、適宜最適なものを選択すればよい。無機塩基の添加量は、特に限定されるものではないが、トリアジン誘導体1モルに対して、0.1モル以上5モル以下が好ましく、0.3モル以上2モル以下がより好ましい。

0090

一般式(4)で表される誘導体の一例を以下に示す。下記例示化合物における酸性官能基におけるMはいずれも水素原子で表されているが、水素原子に限定されるものではなく、金属カチオンや4級アンモニウム塩であってもよい。

0091

0092

0093

分散剤(C)としては、前述のとおり、酸性官能基を有するトリアジン誘導体(b2)が好ましく、より好ましくは、上述の一般式(3)及び一般式(4)で表されるトリアジン誘導体である。中でも、水酸基が2個、直接結合したトリアジン構造、又は、NH結合を介してベンズイミダゾロン基が結合したトリアジン構造、のいずれかを有することが好ましい。

0094

分散剤(C)の含有量は、インキ分散性の観点から、好ましくは炭素材料(A)の全量に対して5〜200質量%であり、より好ましくは30〜150質量%であり、特に好ましくは80〜120質量%である。

0095

<その他の成分>
本発明の熱電変換材料は、その特性を向上させる観点から、必要に応じて、追加の成分を含んでよい。例えば、以下に例示する助剤を添加することによって、塗工性、導電性及び熱電特性のさらなる向上が可能となる。

0096

(溶剤)
本発明において使用する溶剤は、炭素材料(A)、可溶性フタロシアニン化合物(B)及び分散剤(C)の溶解又は分散媒として使用され、インキ化による塗工性向上が可能とする。使用できる溶剤としては、炭素材料(A)、フタロシアニン化合物(B)及び分散剤(C)が溶解又は良分散できれば、特に限定されず、有機溶剤や水を挙げることができ、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機溶剤としては、例えば、メタノールエタノールプロパノールブタノールエチレングリコールメチルエーテルジエチレングリコールメチルエーテル等のアルコール類アセトンメチルエチルケトンメチルイソブチルケトンシクロヘキサノン等のケトン類テトラヒドロフランジオキサンエチレングリコールジメチルエーテルジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類ヘキサンヘプタンオクタン等の炭化水素類、ベンゼン、トルエンキシレンクメン等の芳香族類酢酸エチル酢酸ブチル等のエステル類ターピネオールジヒドロターピネオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1、3−ブチレングリコールイソボルニルシクロヘキサノール、N−メチルピロリドン等から、必要に応じて適宜選択することができる。
炭素材料(A)とフタロシアニン化合物(B)、及び分散剤(C)を分散する溶剤としては、前述のとおり、N−メチルピロリドンが特に好ましい。

0097

(助剤)
使用可能な助剤の一例として、ラクタム類、アルコール類、アミノアルコール類、カルボン酸類酸無水物類、及びイオン性液体が挙げられる。特に限定するものではないが、具体例は以下のとおりである。
ラクタム類:N−メチルピロリドン、ピロリドンカプロラクタム、N−メチルカプロラクタム、及びN−オクチルピロリドン等、
アルコール類:ショ糖グルコースフルクトースラクトースソルビトールマンニトールキシリトール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールグリセリンポリエチレングリコールポリプロピレングリコールトリフルオロエタノールm−クレゾール、及びチオジグリコール等、
アミノアルコール類:ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミン等、
カルボン酸類:2−フランカルボン酸、3−フランカルボン酸、ジクロロ酢酸、及びトリフルオロ酢酸等、
酸無水物類:無水酢酸無水プロピオン酸無水アクリル酸無水メタクリル酸無水安息香酸無水コハク酸無水マレイン酸無水イタコン酸、無水グルタル酸無水フタル酸テトラヒドロ無水フタル酸ヘキサヒドロ無水フタル酸(別名:シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物)、無水トリメリット酸、ヘキサヒドロ無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸無水ハイミック酸ビフェニルテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、及び9,9−フルオレニリデンビス無水フタル酸等。スチレン無水マレイン酸コポリマーエチレン−無水マレイン酸コポリマー、イソブチレン−無水マレイン酸コポリマー、アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマー等の、無水マレイン酸と他のビニルモノマーとを共重合したコポリマー等。

0098

導電性及び熱電特性の観点から、助剤として、ラクタム類及びアルコール類の少なくとも一方を使用することが好ましい。助剤の含有量は、熱電変換材料の全質量を基準として、0.1〜30質量%の範囲が好ましく、1〜10質量%の範囲がより好ましく、1〜5質量%の範囲がさらに好ましい。助剤の含有量を0.1質量%以上にすることで、導電性及び熱電特性の向上効果を容易に得ることができる。また、助剤の含有量を50質量%以下にした場合、膜物性の低下を抑制することができる。

0099

熱電変換材料は、成膜性や膜強度の調整等を目的として、導電性及び熱電特性に影響しない範囲で、樹脂を含んでもよい。

0100

樹脂は、熱電変換材料の各成分に相溶又は混合分散するものであればよい。熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂のいずれを用いても良い。使用可能な樹脂の具体例として、ポリエステル樹脂ポリイミド樹脂ポリアミド樹脂フッ素樹脂ビニル樹脂エポキシ樹脂キシレン樹脂アラミド樹脂ポリウレタン樹脂ポリウレア樹脂メラミン樹脂フェノール樹脂ポリエーテル樹脂アクリル樹脂アクリルアミド樹脂、及びこれらの共重合樹脂等が挙げられる。特に限定するものではないが、一実施形態において、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、及びアクリルアミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。

0101

熱電変換材料は、熱電変換性能を高めるために、必要に応じて、無機熱電材料から成る微粒子を含んでもよい。 無機熱電材料の一例として、Bi−(Te、Se)系、Si−Ge系、Mg−Si系、Pb−Te系、GeTe−AgSbTe系、(Co、Ir、Ru)−Sb系、(Ca、Sr、Bi)Co2O5系等を挙げることができる。より具体的には、Bi2Te3、PbTe、AgSbTe2、GeTe、Sb2Te3、NaCo2O4、CaCoO3、SrTiO3、ZnO、SiGe、Mg2Si、FeSi2、Ba8Si46、MnSi1.73、ZnSb、Zn4Sb3、GeFe3CoSb12、及びLaFe3CoSb12からなる群から選択される少なくとも1種を使用することができる。このとき、上記無機熱電材料に不純物を加えて極性(p型、n型)や導電率を制御して利用してもよい。無機熱電材料を使用する場合、その使用量は、成膜性や膜強度に影響しない範囲で調整する。

0102

<熱電変換素子>
本発明の実施形態である熱電変換素子は、上記熱電変換材料を用いて構成されることを特徴とする。一実施形態において、熱電変換素子は、上記熱電変換材料を用いて形成された熱電変換膜と、電極とを有し、上記熱電変換膜及び上記電極は互いに電気的に接続されている。熱電変換膜は、導電性及び熱電特性に加えて、耐熱性及び可撓性の点でも優れる。そのため、本実施形態によれば、高品質な熱電変換素子を容易に実現することができる。

0103

熱電変換膜は、基材上に熱電変換材料を塗布して得られる膜であってよい。熱電変換材料は優れた成形性を有するため、塗布法によって良好な膜を得ることが容易である。熱電変換膜の形成には、主に湿式製膜法が用いられる。具体的には、スピンコート法スプレー法ローラーコート法グラビアコート法ダイコート法コンマコート法、ロールコート法、カーテンコート法、バーコート法インクジェット法ディスペンサー法シルクスクリーン印刷フレキソ印刷等の各種手段を用いた方法が挙げられる。塗布する厚み、及び材料の粘度等に応じて、上記方法から適宜選択することができる。

0104

熱電変換膜の膜厚は、特に限定されるものではないが、後述するように、熱電変換膜の厚さ方向又は面方向に温度差を生じ、かつ伝達できるように、一定以上の厚みを有するように形成されることが好ましい。一実施形態において、熱電特性の点から、熱電変換膜の膜厚は、0.1〜200μmの範囲が好ましく、1〜100μmの範囲が好ましく、1〜50μmの範囲がさらに好ましい。

0105

また、熱電変換材料を塗布する基材として、ポリエチレン、ポリエチレンテレフテレート、ポリエチレンナフタレートポリエーテルサルフォンポリプロピレンポリイミド、ボリカーボネート、及びセルローストリアセテート等の材料からなるプラスチックフィルム、又はガラス等を用いることができる。

0106

基材と熱電変換膜との密着性を向上させる目的で、基材表面に様々な処理を行うことができる。具体的には、熱電変換材料の塗布に先立ちUVオゾン処理コロナ処理プラズマ処理、又は易接着処理を行ってもよい。

0107

本発明の実施形態である熱電変換素子は、上記熱電変換材料を用いて構成されることを除き、当技術分野で周知の技術を適用して構成することができる。代表的に、熱電変換素子のより具体的な構成、及びその製造方法について説明する。

0108

一実施形態において、熱電変換素子は、熱電変換材料を用いて得た熱電変換膜と、この熱電変換膜と電極的に接続する一対の電極とを有する。ここで、「電気的に接続する」とは、互いに接合しているか、又はワイヤ等の他の構成部材を介して通電できる状態であることを意味する。

0109

電極の材料は、金属、合金、及び半導体から選択することができる。一実施形態において、導電率が高いこと、熱電変換膜を構成する本発明による熱電変換材料との接触抵抗が低いことから、金属及び合金が好ましい。具体例として、電極は、金、銀、銅、及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。電極は、銀を含むことがさらに好ましい。

0110

電極は、真空蒸着法電極材料箔や電極材料膜を有するフィルム熱圧着、電極材料の微粒子を分散したペーストの塗布、等の方法によって形成することができる。プロセスが簡便な観点で、電極材料箔や電極材料膜を有するフィルムの熱圧着、電極材料を分散したペーストの塗布による方法が好ましい。

0111

熱電変換素子の構造の具体例は、熱電変換膜と一対の電極との位置関係から、(1)本発明による熱電変換膜の両端に電極が形成されている構造、(2)本発明の熱電変換膜が2つの電極で挟持されている構造に大別される。
例えば、上記(1)の構造を有する熱電変換素子は、基材上に熱電変換膜を形成した後に、その両端にそれぞれ銀ペーストを塗布して第1及び第2の電極を形成することによって得ることができる。このように熱電変換膜の両端に電極が形成された熱電変換素子は、2つの電極間の距離を広くすることが容易である。そのため、2つの電極間で大きな温度差を発生させて、効率良く熱電変換を行うことが容易である。

0112

上記(2)の構造を有する熱電変換素子は、例えば、基材上に銀ペーストを塗布して第1の電極を形成し、その上に本発明の熱電変換膜を形成し、さらにその上に銀ペーストを塗工して第2の電極を形成することによって得ることができる。このように2つの電極で本発明の熱電変換膜を挟持する熱電変換素子では、二つの電極間の距離を広くすることは難しい。そのため、2つの電極間に大きな温度差を発生させることは難しいが、熱電変換膜の膜厚を大きくすることによって、温度差を大きくすることが可能である。また、このような構造を有する熱電変換素子は、基材に対して垂直な方向の温度差を利用できることから、発熱体に貼り付ける形態での利用が可能である。そのため、熱源の広い面積の活用が容易となる点で好ましい。

0113

熱電変換素子は、直列に接続することで高い電圧を発生させることが可能であり、並列に接続することで大きな電流を発生させることが可能である。また、熱電変換素子は、2つ以上の熱電変換素子を接続したものであってもよい。本発明によれば、熱電変換素子が優れた可撓性を有するため、平面ではない形状を有する熱源に対しても追随して良好に設置することが可能である。

0114

一実施形態において、本発明の熱電変換素子を他の熱電材料から成る熱電変換素子と組み合わせることも有効である。例えば、無機熱電材料として、Bi−(Te、Se)系、Si−Ge系、Mg−Si系、Pb−Te系、GeTe−AgSbTe系、(Co、Ir、Ru)−Sb系、(Ca、Sr、Bi)Co2O5系等を挙げることができ、具体的には、Bi2Te3、PbTe、AgSbTe2、GeTe、Sb2Te3、NaCo2O4、CaCoO3、SrTiO3、ZnO、SiGe、Mg2Si、FeSi2、Ba8Si46、MnSi1.73、ZnSb、Zn4Sb3、GeFe3CoSb12、及びLaFe3CoSb12などからなる群から選択される少なくとも1種を使用することができる。このとき、上記無機熱電材料に、不純物を加えて、極性(p型、n型)や導電率を制御して利用しても良い。その他、有機熱電材料として、ポリチオフェンポリアニリンポリアセチレンフラーレン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なく1種を使用することができる。これら材料から構成される他の熱電変化素子を組合せる場合、素子のフレキシブル性を損なわない範囲内で、他の熱電変換素子を作製することが好ましい。

0115

複数の熱電変換素子を接続する場合、1つの基材に集積した状態で接続して利用することもできる。このような実施形態において、本発明による熱電変換素子と、n型としての極性を示す熱電材料から成る熱電変換素子との組合せが好ましく、これらを直列に接続することがより好ましい。本実施形態によれば、熱電変換素子を緻密に集積することが容易となる。

0116

以下、実験例により、本発明をより具体的に説明する。なお、例中、「部」とあるのは「質量部」を、「%」とあるのは「質量%」をそれぞれ意味するものとする。また、NMPはN−メチルピロリドンを示す。

0117

<質量平均分子量(Mw)の測定方法>
Mwの測定は東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC−8020」を用いた。GPCは溶剤(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーである。本発明における測定は、カラムに「LF−604」(昭和電工株式会社製:迅速分析用GPCカラム:6mmID×150mmサイズ)を直列に2本接続して用い、流量0.6ml/min、カラム温度40℃の条件で行い、質量平均分子量(Mw)の決定はポリスチレン換算で行った。

0118

<溶解度の測定方法>
溶解度の測定は、NMP100gに対して、対象サンプルを各々5g、1g、0.5gずつ混合し、超音波撹拌にて、1h撹拌後、25℃で1日静置し、析出部、沈殿物が出ないことを確認して評価した。

0119

<フタロシアニン化合物の合成>
(合成例1:フタロシアニン化合物(P−1))
還流管窒素導入管を付けた300ml4つ口フラスコへ、9.13部の4−へキシルオキシフタロニトリル、6.7部の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、160部の1−ペンタノールを入れ、窒素下、160℃まで加熱した。8時間加熱還流後、放冷し、内容物をメタノール1Lに入れ1時間撹拌した。その後、ろ過洗浄を行い、ろ集物を一晩、真空乾燥(80℃)し、7.5部の下記構造で表される可溶性のフタロシアニン化合物(P−1)を得た。得られた化合物のNMPへの溶解度は5g以上であった。

0120

0121

(合成例2:フタロシアニン化合物(P−2))
還流管、窒素導入管の付けた300ml4つ口フラスコへ、7.29部の4−tert−ブチルフタロニトリル、6.7部の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、160部の1−ペンタノールを入れ、窒素下、160℃まで加熱した。8時間加熱還流後、放冷し、内容物をメタノール1Lに入れ1時間撹拌した。その後、ろ過洗浄を行い、ろ集物を一晩、真空乾燥(80℃)し、6.2部の下記構造で表される可溶性のフタロシアニン化合物(P−2)を得た。得られた化合物のNMPへの溶解度は5g以上であった。

0122

0123

(合成例3:フタロシアニン化合物(P−102))
還流管、窒素導入管の付けた300ml4つ口フラスコへ、7.35部の3、4−ジへキシルオキシフタロニトリル、6.7部の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、160部の1−ペンタノールを入れ、窒素下、160℃まで加熱した。8時間加熱還流後、放冷し、内容物をメタノール1Lに入れ1時間撹拌した。その後、ろ過洗浄を行い、ろ集物を一晩、真空乾燥(80℃)し、6.2部の下記構造で表される可溶性のフタロシアニン化合物(P−102)を得た。得られた化合物のNMPへの溶解度は0.5g以下であった。

0124

0125

(合成例4:フタロシアニン化合物(P−105))
還流管、窒素導入管の付けた300ml4つ口フラスコへ、7.36部の3、4−ジエチルオキシフタロニトリル、6.7部の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、3部の塩化亜鉛、160部の1−ペンタノールを入れ、窒素下、160℃まで加熱した。8時間加熱還流後、放冷し、内容物をメタノール1Lに入れ1時間撹拌した。その後、ろ過洗浄を行い、ろ集物を一晩、真空乾燥(80℃)し、6.1部の下記構造で表される可溶性のフタロシアニン化合物(P−104)を得た。得られた化合物のNMPへの溶解度は0.5g以下であった。

0126

0127

<側鎖に有機色素を導入したポリマーの合成>
(合成例5:色素導入ポリマー1)
国際公開第2015/050113号の段落0074及び0075を参考にして、質量平均分子量(Mw)が約21,000の、下記構造で表される側鎖にペリレン骨格導入したアクリルポリマーである色素導入ポリマー1を得た。

0128

色素導入ポリマー1

0129

<樹脂成分の合成>
(合成例6:バインダー樹脂1)
攪拌機温度計還流冷却器滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、テレフタル酸アジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールとから得られるポリエステルポリオール((株)クラレ製「クラレポリオールP−2011」、Mn=2011)455.5部、ジメチロールブタン酸16.5部、イソホロンジイソシアネート105.2部、トルエン140部を仕込み窒素雰囲気下90℃3時間反応させ、これにトルエン360部を加えてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、イソホロンジアミン19.9部、ジ−n−ブチルアミン0.63部、2−プロパノール294.5部、トルエン335.5部を混合したものに、得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液969.5部を添加し、50℃で3時間続いて70℃2時間反応後、100℃の真空乾燥を行い、質量平均分子量(Mw)=61,000の、ウレタンウレア樹脂であるバインダー樹脂1を得た。

0130

<分散剤の合成>
(合成例7:分散剤9(酸性官能基を有する有機色素誘導体))
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、キナクリドン色素(C.Iピグメントバイオレット19)10部、98%硫酸50部を仕込み、80℃で8時間撹拌することで、下記構造で表される、酸性官能基を有するキナクリドン誘導体である分散剤9を得た。

0131

0132

(合成例8:分散剤10(塩基性官能基を有する有機色素誘導体))
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、3,6−ジフェニル−2,5−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン(C.I.ピグメントレッド255)10部、98%硫酸50部、及び塩化チオニル15部を仕込み、70℃で6時間撹拌したのちに、4−(3−アミノプロピルモルフォリンを20部加えて、60℃で2時間撹拌することで、下記構造で表される、塩基性官能基を有するジケトピロロピロール誘導体である分散剤10を得た。

0133

0134

<熱電変換材料の製造>
[実施例1]
(分散液1)
楠本化成社製単層カーボンナノチューブ「TUBALL」(SWCNT)0.4部、フタロシアニン化合物(P−1)0.4部、分散剤1(b2−12)0.4部、NMP78.8部をそれぞれ量して混合した。更にジルコニアビーズ(φ1.25mm)を140部加え、スキャンデックスで2時間振とう後、ろ過してジルコニアビーズを取り除き、熱電変換材料の分散液1を得た。

0135

[実施例2〜24]
(分散液2〜24)
構成成分及びその含有量を表1に示す内容に変更した以外は分散液1と同様にして、熱電変換材料の分散液2〜24を得た。
なお、表1に記載の分散剤としては、分散剤2はb2−8、分散剤3はb2−18、分散剤4はb2−26、分散剤5はb2−109、分散剤6はb2−118、分散剤7は日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−41000、分散剤8は日油社製のマリアリムAKM−0531、分散剤9は合成例7記載の酸性官能基を有するキナクリドン誘導体、分散剤10は合成例8記載の塩基性官能基を有するジケトピロロピロール誘導体を用いた。また「その他」記載のバインダー樹脂1は合成例6記載の合成化合物を用いた。

0136

[比較例1]
(分散液101)
分散液1のP−1を、色素導入ポリマー1に変更した以外は分散液1と同様にして、色素導入ポリマーを含む分散液101を得た。

0137

<熱電変換材料の評価>
得られた分散液1〜28、101を、シート状基材である厚さ75μmのPETフィルム上にアプリケータを用いて塗布した後、120℃で30分加熱乾燥して、PET基材上に、膜厚5μmの熱電変換膜を有する積層体を得た。
得られた熱電変換膜を有する積層体について、以下のとおり導電性(導電率)、ゼーベック係数、パワーファクター(PF)及び塗工適性を評価した。結果を表1に示す。

0138

(導電率)
導電率は、得られた積層体を2.5cm×5cmに切り取り、JIS−K7194に準じて、ロレスタGXMCP−T700(三菱化学アナリテック社製)を用いて4端子法で測定した。

0139

(ゼーベック係数)
ゼーベック係数は、得られた積層体を3mm×10mmに切り取り、アドバンス理工株式会社製のZEM−3LWを用いて、80℃におけるゼーベック係数(μW/K)を測定した。

0140

(パワーファクター(PF))
PFは、得られた導電率及びゼーベック係数を用いて、80℃におけるPF(=S2・σ)を算出し、以下の基準に従って評価した。PFが2.5μW/(mK2)以上であれば、実用可能なレベルである。
◎:PFが20μW/(mK2)以上である(非常に良好)
○:PFが10μW/(mK2)以上、20μW/(mK2)未満である(良好)
△:PFが2.5μW/(mK2)以上、10μW/(mK2)未満である(実用可能)
×:PFが2.5μW/(mK2)未満である(実用不可)

0141

(塗工適性)
分散液の塗工適性は、グラインドゲージ(溝の深さ50μm)を用いて評価した。
◎:10μm以上の粗大粒子による筋引きや粗大粒子がない(非常に良好)
〇:10μm以上の粗大粒子による筋引きや粗大粒子はあるが、20μm以上の粗大粒子による筋引きや粗大粒子がない(良好)
△:20μm以上の粗大粒子による筋引きや粗大粒子はあるが、30μm以上の粗大粒子による筋引きや粗大粒子がない(使用可能)
×:30μm以上の粗大粒子による筋引きや粗大粒子がある(使用不可

0142

0143

表1中の略語は以下のとおりである。
≪炭素材料≫
SWCNT:楠本化成社製単層カーボンナノチューブ「TUBALL」
MWCNT:Knano社製多層カーボンナノチューブ「100P」
GNP:東京化成社製グラフェンナノプレートレット
KB:ライオン社製ケッチェンブラックEC−300J
CB:日本黒鉛工業社製カーボンブラックCGC−50
≪フタロシアニン化合物≫
P−1:合成例1で得た化合物(NMPへの溶解度5g以上)
P−2:合成例2で得た化合物(NMPへの溶解度5g以上)
P−3:東京化成社製チタニルフタロシアニン(NMPへの溶解度1g以上5g未満)
P−101:東京化成社製フタロシアニン(NMPへの溶解度0.5g未満)
P−102:合成例3で得た化合物(NMPへの溶解度0.5g未満)
P−103:東京化成社製銅フタロシアニン(NMPへの溶解度0.5g未満)
P−104:Thermo Fisher Scientific社製 2,16−ジスルホン酸化銅フタロシアニン(NMPへの溶解度0.5g未満)
P−105:合成例4で得た化合物(NMPへの溶解度0.5g未満)
≪分散剤≫
分散剤1:前述の化合物(b2−12)
分散剤2:前述の化合物(b2−8)
分散剤3:前述の化合物(b2−18)
分散剤4:前述の化合物(b2−26)
分散剤5:前述の化合物(b2−109)
分散剤6:前述の化合物(b2−118)
分散剤7:酸性樹脂型分散剤(日本ルーブリゾール社製 SOLSPERSE−41000)
分散剤8:塩基性樹脂型分散剤(日油社製 マリアリムAKM−0531)
分散剤9:合成例7で得た酸性官能基を有するキナクリドン誘導体
分散剤10:合成例8で得た塩基性官能基を有するジケトピロロピロール誘導体

0144

≪フタロシアニン化合物≫

0145

表1の結果から、本発明の熱電変換材料は、導電率とゼーベック係数を両立し、高いパワーファクターを示した。さらに、本発明の熱電変換材料はいずれも、良好な塗工適性(塗膜状態)を示した。特に、実施例1、2においては、NMPへの溶解度が高いフタロシアニン化合物を用いたため、より均一な分散膜が可能となり、優れたパワーファクターを示した。
これに対して、色素導入ポリマーを用いた比較例1は、ゼーベック係数を向上させるための色素ユニットの密度が低いため、ゼーベック係数の低下を招き、低いパワーファクターを示した。

0146

<熱電変換素子の製造>
[実施例29]
(熱電変換素子1)
50μmのPETフィルム上に、実施例1で調製した熱電変換材料の分散液1を塗布し、5mm×30mmの形状を有する熱電変換膜を、それぞれ10mm間隔に5つ作製した(図1の符号2を参照)。次いで、各熱電変換膜がそれぞれ直列に接続されるように、銀ペーストを用いて、5mm×33mmの形状を有する銀回路を4つ作製し(図1の符号3を参照)、熱電変換素子1を得た。上記銀ペーストとしては、トーヨーケム株式会社製のREXALPHARAFS074を使用した。

0147

[実施例30〜56]
(熱電変換素子2〜28)
熱電変換素子1で使用した熱電変換材料の分散液を表2に示す分散液に変更した以外は、熱電変換素子1と同様にして、熱電変換素子2〜28を得た。

0148

<熱電変換素子の評価>
得られた熱電変換素子について、以下のようにして起電力を評価した。結果を表2に示す。

0149

(起電力の測定)
各熱電変換素子について、熱電変換膜及び銀回路が内側になるように(図2に示すA−A’線に沿うように)折り曲げ、その状態のまま、100℃に加熱したホットプレート上に設置した。なお、折り曲げの程度は、図2のB−B’間の距離が10mmになるようにそれぞれ調整した。上記のように折り曲げたサンプルをホットプレート上に設置して10分後の塗膜間の起電力について電圧計を用いて測定した。測定は、室温下(20℃)で実施した。以下の基準に従い、測定値から熱電特性について評価した。
◎:起電力が1mV以上である(良好)
〇:起電力が500μV以上、1mV未満である(実用可能)
×:起電力が500μV未満である(不良)

0150

実施例

0151

表2の結果から、本発明の熱電変換素子は、優れた熱電特性を有していた。以上のことから、本願発明の実施形態によれば、ゼーベック係数及び導電性に優れ高いパワーファクターを示す、優れた熱電特性を有する熱電変換材料を実現することができ、効率のよい熱電変換素子を実現できることが分かる。

0152

本発明の実施形態である熱電変換材料は、導電性及びゼーベック係数を両立し熱電特性に優れ、さらに塗工適性が良好で均一な塗膜を形成可能であるため、上記材料を使用して、高性能の熱電変換素子を提供することができる。

0153

1:基材(ペットフィルム)、
2:熱電変換膜、
3:回路、
10:熱電変換素子の試験サンプル、
20:ホットプレート

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ