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技術 距離測定装置

出願人 JRCモビリティ株式会社
発明者 西山拓真小田康明
出願日 2018年12月27日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2018-246207
公開日 2020年7月9日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-106432
状態 未査定
技術分野 レーダ方式及びその細部
主要キーワード 測定制御プログラム ビート波形 強度ピーク値 距離基準値 送信波周波数 周波数スペクトラムデータ 送信側ブロック サンプリング期間内
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (16)

課題

目標物までの距離測定に好適なモードがいずれであるかを適切に判別することができ、ひいては該モードの適正化により、近距離及び遠距離のいずれの目標物についても満足のゆく距離測定結果を得られるようにする。

解決手段

距離測定装置は、連続変調されるマイクロ波送信波の周波数偏移幅送信強度とが互いに相違する近距離測定モードと遠距離測定モードとを具備し、目標物までの距離測定をそれら近距離測定モードと遠距離測定モードとにより順次実施する。各モードで得られるビート波形信号を周波数スペクトラムに変換し、該周波数スペクトラムから近距離測定モード強度ピークと遠距離測定モード強度ピークとを各々取得する。そして、近距離測定モード強度ピークと遠距離測定モード強度ピークとの間でピーク周波数位置及び受信強度レベルの少なくともいずれかを比較し、その比較結果に基づいて近距離測定モードと遠距離測定モードとのいずれが適正モードであるかを判定する。

概要

背景

周波数変調連続波レーダーは、周波数変調した連続波を目標物に送信し、送信波反射波周波数差由来したビート波形信号から距離を求めるものである。周波数変調連続波レーダーは送信波として連続波を使用するので、高い送信出力がなくても所望の信号雑音比SN比)を得やすい利点がある。

周波数変調連続波レーダーは、送信波の周波数偏移幅Δfとし、光速をcとして、距離測定分解能がc/(2・Δf)に比例することが知られており、Δfを拡大することで高分解能化を実現することができる。しかしながら、高分解能を得るためにΔfを拡大した場合、広帯域化により受信雑音が増加して検知距離が減少するので、遠方の目標物が検知しにくくなるという問題がある。そこで、Δfを大きく設定する代わりに送信出力を下げ、近距離目標物に対する分解能を向上させた近距離測定モードと、これとは逆にΔfを縮小して送信出力を上げ、受信機雑音を低減しつつ検知距離を増加させた遠距離測定モードとを1つの測定系に組み込み、目標物までの距離に応じてモードを切り替えつつ使用可能とした距離測定装置が提案されている(特許文献1)。

概要

目標物までの距離測定に好適なモードがいずれであるかを適切に判別することができ、ひいては該モードの適正化により、近距離及び遠距離のいずれの目標物についても満足のゆく距離測定結果を得られるようにする。距離測定装置は、連続変調されるマイクロ波送信波の周波数偏移幅と送信強度とが互いに相違する近距離測定モードと遠距離測定モードとを具備し、目標物までの距離測定をそれら近距離測定モードと遠距離測定モードとにより順次実施する。各モードで得られるビート波形信号を周波数スペクトラムに変換し、該周波数スペクトラムから近距離測定モード強度ピークと遠距離測定モード強度ピークとを各々取得する。そして、近距離測定モード強度ピークと遠距離測定モード強度ピークとの間でピーク周波数位置及び受信強度レベルの少なくともいずれかを比較し、その比較結果に基づいて近距離測定モードと遠距離測定モードとのいずれが適正モードであるかを判定する。

目的

本発明の課題は、遠距離測定モードと近距離測定モードとの双方が使用可能な距離測定装置において、目標物までの距離測定に好適なモードがいずれであるかを適切に判別することができ、ひいてはモードの適正化を自動で行うことにより、近距離及び遠距離のいずれの目標物についても満足のゆく距離測定結果を得られるようにすることにある

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

予め定められた変調パターンにて周波数が連続変調される送信波形信号を生成する信号生成部と、前記送信波形信号の入力に基づき周波数が連続変調されるマイクロ波送信波を目標物に向けて送信する送信出力部とを備え、前記連続変調の周波数偏移幅が第一の帯域幅に設定され前記送信波送信強度が第一の送信強度に設定される近距離測定モードと、前記周波数偏移幅が前記第一の帯域幅よりも狭い第二の帯域幅に設定され前記送信波の送信強度が第一の送信強度よりも高い第二の送信強度に設定される遠距離測定モードとが切り替え可能に設定される送信部と、前記マイクロ波送信波の反射波を受信する受信部と、前記送信波形信号と前記反射波の前記受信部による受信波形信号とを混合し、前記送信波形信号と前記受信波形信号との周波数差に基づくビート波形信号を出力する混合部と、前記ビート波形信号の周波数スペクトラムを生成する周波数スペクトラム生成部と、前記周波数スペクトラム上にて前記目標物の距離を特定するための強度ピークを取得する強度ピーク取得部とを有する信号処理部と、前記送信部に対し前記近距離測定モードを設定して前記マイクロ波送信波を前記目標物に向け送信させることにより、前記信号処理部に近距離測定モード強度ピークを取得させる近距離測定モード測定処理と、前記送信部に対し前記遠距離測定モードを設定して前記マイクロ波送信波を前記目標物に向け送信させることにより、前記信号処理部に遠距離測定モード強度ピークを取得させる遠距離測定モード測定処理とを順次実行する測定制御部と、前記近距離測定モード強度ピークと前記遠距離測定モード強度ピークとの間でピーク周波数位置及び受信強度レベルの少なくともいずれかを比較し、該比較結果に基づいて、前記近距離測定モードと前記遠距離測定モードのいずれが前記目標物までの距離測定に適した適正モードであるかを判定する適正モード判定部と、前記適正モードにて生成された前記周波数スペクトラム上の前記強度ピークの周波数位置に基づき前記目標物までの距離情報を生成する距離情報生成部と、生成された前記距離情報を出力する距離情報出力部と、を備えたことを特徴する距離測定装置

請求項2

前記適正モード判定部は、前記強度ピーク取得部が前記近距離測定モードと前記遠距離測定モードとのうちいずれか一方のみにおいて前記強度ピークが取得できた場合に、該強度ピークが取得できたモードを前記適正モードとするように判定する請求項1記載の距離測定装置。

請求項3

前記適正モード判定部は、前記強度ピーク取得部が前記近距離測定モードと前記遠距離測定モードとの双方において前記強度ピークが取得できた場合に、前記近距離測定モード強度ピークと前記遠距離測定モード強度ピークとの周波数位置の比較に基づき、前記遠距離測定モード強度ピークが前記目標物との間の多重反射由来した多重反射ピークであるか否かを判別するとともに、前記遠距離測定モード強度ピークが前記多重反射ピークであると判別された場合は前記近距離測定モードを前記適正モードとするように判定する請求項1又は請求項2に記載の距離測定装置。

請求項4

前記適正モード判定部は、前記近距離測定モード強度ピークの周波数位置に基づいて前記距離情報生成部が生成する近距離測定モード距離RNと前記遠距離測定モード強度ピークの周波数位置に基づいて前記距離情報生成部が生成する遠距離測定モード距離RFとの間に予め定められた値を超える差が生じており、さらに、前記近距離測定モード距離RNが前記遠距離測定モードにおいて距離検出が可能となる下限距離RFCよりも小さく、かつ、前記遠距離測定モード距離RFが予め定められた近距離基準値R0よりも小さい場合に、前記遠距離測定モード強度ピークは前記多重反射ピークであると判別する請求項3記載の距離測定装置。

請求項5

前記周波数スペクトラム生成部は、前記線形変調パターンの各周期サンプリングデータ長が一定となる複数のサンプリング期間に区切るとともに、前記周期内にて新たなサンプリング期間が到来するごとに前記ビート波形信号のデータサンプリングを行ない、サンプリングされた波形データに基づいて前記周波数スペクトラムを更新するものであり、前記距離情報生成部は、前記近距離測定モードと前記遠距離測定モードの双方において、前記サンプリング期間の起点に相当する周波数位置を距離測定のゼロ点に対応させ、前記サンプリング期間の終点に対応する周波数位置を前記サンプリング期間内測定可能最大距離とする形で前記目標物までの距離情報を生成するものであり、前記適正モード判定部は、前記強度ピーク取得部が前記近距離測定モードと前記遠距離測定モードとの双方において前記強度ピークが取得できた場合に、前記近距離測定モード強度ピークと前記遠距離測定モード強度ピークとの周波数位置の比較に基づき、前記近距離測定モードにおいて、前記近距離測定モード強度ピークの周波数位置に基づいて前記距離情報生成部が生成する近距離測定モード距離が、前記サンプリング期間内に測定可能な最大距離よりも前記目標物が遠方に存在することに由来して該目標物までの実距離よりも小さく誤測定されたものであるか否かを判別するとともに、前記誤測定であると判別された場合は前記遠距離測定モードを前記適正モードとするように判定する請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の距離測定装置。

請求項6

前記適正モード判定部は、前記近距離測定モード強度ピークの周波数位置に基づいて前記距離情報生成部が生成する近距離測定モード距離と前記遠距離測定モード強度ピークの周波数位置に基づいて前記距離情報生成部が生成する遠距離測定モード距離との間に予め定められた値を超える差が生じており、前記遠距離測定モード距離が前記最大距離よりも大きく、かつ、前記近距離測定モード距離と前記最大距離の自然数倍との合計値と、前記遠距離測定モード距離との差が予め定められた範囲内に収まっている場合に、前記近距離測定モード距離を前記誤測定であると判別する請求項5記載の距離測定装置。

技術分野

0001

この発明は、周波数変調連続波FMCW:Frequency Modulated Continuous Wave)レーダー原理に基づいて目標物までの距離を測定する距離測定装置に関するものである。

背景技術

0002

周波数変調連続波レーダーは、周波数変調した連続波を目標物に送信し、送信波反射波周波数差由来したビート波形信号から距離を求めるものである。周波数変調連続波レーダーは送信波として連続波を使用するので、高い送信出力がなくても所望の信号雑音比SN比)を得やすい利点がある。

0003

周波数変調連続波レーダーは、送信波の周波数偏移幅Δfとし、光速をcとして、距離測定分解能がc/(2・Δf)に比例することが知られており、Δfを拡大することで高分解能化を実現することができる。しかしながら、高分解能を得るためにΔfを拡大した場合、広帯域化により受信雑音が増加して検知距離が減少するので、遠方の目標物が検知しにくくなるという問題がある。そこで、Δfを大きく設定する代わりに送信出力を下げ、近距離目標物に対する分解能を向上させた近距離測定モードと、これとは逆にΔfを縮小して送信出力を上げ、受信機雑音を低減しつつ検知距離を増加させた遠距離測定モードとを1つの測定系に組み込み、目標物までの距離に応じてモードを切り替えつつ使用可能とした距離測定装置が提案されている(特許文献1)。

先行技術

0004

特開2001−183449号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、上記の従来技術に開示された距離測定装置では、遠距離測定モードと近距離測定モードとのいずれを採用するかは、どの目標物を測定したいかに応じてユーザーに選択が委ねられている。このため、距離測定に慣れていないユーザーには、採用しようとするモードが当該目標物の距離測定に適しているか否かの把握が難しい問題がある。例えば、目標物までの距離が近距離と遠距離のいずれであるかが判然としない場合や、広い空間のどこに目標物が存在するかの把握が難しいような場合、ユーザーは2つのモードを適当に選んで測定を行なうこともあり得る。このとき、得られる距離測定結果が目標物までの正しい距離を反映しているかどうかについても、適切な判断ができない問題を生じる。

0006

本発明の課題は、遠距離測定モードと近距離測定モードとの双方が使用可能な距離測定装置において、目標物までの距離測定に好適なモードがいずれであるかを適切に判別することができ、ひいてはモードの適正化を自動で行うことにより、近距離及び遠距離のいずれの目標物についても満足のゆく距離測定結果を得られるようにすることにある。

課題を解決するための手段

0007

上記の課題を解決するために、本発明の距離測定装置は、予め定められた線形変調パターンにて周波数が連続変調される送信波形信号を生成する信号生成部と、送信波形信号の入力に基づき周波数が連続変調されるマイクロ波送信波を目標物に向けて送信する送信出力部とを備え、連続変調の周波数偏移幅が第一の帯域幅に設定され送信波の送信強度が第一の送信強度に設定される近距離測定モードと、周波数偏移幅が第一の帯域幅よりも狭い第二の帯域幅に設定され送信波の送信強度が第一の送信強度よりも高い第二の送信強度に設定される遠距離測定モードとが切り替え可能に設定される送信部と、マイクロ波送信波の反射波を受信する受信部と、送信波形信号と受信部の受信波形信号とを混合し、送信波形信号と受信波形信号との周波数差に基づくビート波形信号を出力する混合部と、ビート波形信号の周波数スペクトラムを生成する周波数スペクトラム生成部と、周波数スペクトラム上にて目標物の距離を特定するための強度ピークを取得する強度ピーク取得部とを有する信号処理部と、送信部に対し近距離測定モードを設定してマイクロ波送信波を目標物に向け送信させることにより、信号処理部に近距離測定モード強度ピークを取得させる近距離測定モード測定処理と、送信部に対し遠距離測定モードを設定してマイクロ波送信波を目標物に向け送信させることにより、信号処理部に遠距離測定モード強度ピークを取得させる遠距離測定モード測定処理とを順次実行する測定制御部と、近距離測定モード強度ピークと遠距離測定モード強度ピークとの間でピーク周波数位置及び受信強度レベルの少なくともいずれかを比較し、該比較結果に基づいて、近距離測定モードと遠距離測定モードとのいずれが適正モードであるかを判定する適正モード判定部と、適正モードにおいて生成された周波数スペクトラム上の強度ピークの周波数位置に基づき目標物までの距離情報を生成する距離情報生成部と、生成された距離情報を出力する距離情報出力部と、を備えたことを特徴する。

発明の効果

0008

本発明の距離測定装置においては、連続変調されるマイクロ波送信波の周波数偏移幅と送信強度とが互いに相違する近距離測定モードと遠距離測定モードとを具備し、目標物までの距離測定をそれら近距離測定モードと遠距離測定モードとにより順次実施する。そして、各モードで得られるビート波形信号を周波数スペクトラムに変換し、該周波数スペクトラムから近距離測定モード強度ピークと遠距離測定モード強度ピークとを各々取得する。そして、近距離測定モード強度ピークと遠距離測定モード強度ピークとの間でピーク周波数位置及び受信強度レベルの少なくともいずれかを比較し、その比較結果に基づいて近距離測定モードと遠距離測定モードとのいずれが適正モードであるかを判定する。これにより、目標物までの距離測定に好適なモードが近距離測定モードと遠距離測定モードとのいずれであるかを適切に判別することができ、ひいては該モードの適正化により、近距離及び遠距離のいずれの目標物についても満足のゆく距離測定結果を得られるようになる。

図面の簡単な説明

0009

本発明の一実施形態である距離測定装置の電気的構成を示すブロック図。
遠距離測定モード及び近距離測定モードの送信波変調パターンを比較して示す模式図。
フーリエ変換によりビート波形信号の周波数スペクトルを生成する概念を示す図。
測定制御プログラムの全体の処理流れを示すフローチャート
図4の測定処理の流れを示すフローチャート。
図4の適正モード判定処理の流れを示すフローチャート。
通常の反射多重反射とを比較して示す模式図。
近距離測定モードと遠距離測定モードとを順次実行した場合の送信波周波数変化と、各モードで得られるビート波形信号の例を示す説明図。
近距離測定モードが適正モードと判定される場合の第一例を示す説明図。
近距離測定モードが適正モードと判定される場合の第二例を示す説明図。
近距離測定モードにおいて、目標物があいまい距離RAよりも遠方に存在することに由来して、近距離測定モード距離RNが目標物までの実距離RN’よりも小さく誤測定される状況を説明する図。
遠距離測定モードが適正モードと判定される場合の第一例を示す説明図。
遠距離測定モードが適正モードと判定される場合の第二例を示す説明図。
送信波変調パターンの変形例を示す図。
測定制御の変形例の流れを示すフローチャート。

実施例

0010

以下、本発明の実施の形態を添付の図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である距離測定装置1の電気的構成を示すブロック図である。距離測定装置1は、周波数変調連続波(FMCW:Frequency Modulated Continuous Wave)レーダーの原理に基づいて目標物までの距離を測定する装置として構成され、マイクロプロセッサ部2と、これに接続されるセンサ部3とを有する。マイクロプロセッサ部2は、センサ部3の作動制御部及び信号処理部として機能するものであり、CPU31、RAM32、ROM33、入出力部34とそれらを接続するバス30を有する。センサ部3は、送信側ブロックとして、送信コントローラ35、PLL制御部41、発振回路40、方向性結合器39、送信アンプ38t及び送信アンテナ37tを有する。他方、受信ブロックは、受信アンテナ37r、低雑音アンプ38r、混合部42、入力アンプ44及びA/D変換部45を有する。

0011

送信コントローラ35は、マイクロプロセッサ部2から入出力部34を介して送信波の周波数指示値と送信波の出力強度設定指示とを受け、PLL制御部41及び送信アンプ38tの作動制御を行なう。PLL制御部41は、送信コントローラ35から転送される周波数指示値に基づき、発振回路40の発信出力動作を位相同期させた形でフィードバック制御し、周波数が連続的に変調された送信波形信号(詳細は図2を用いて後述する)を該発振回路40に出力させる役割を果たす。すなわち、マイクロプロセッサ部2、送信コントローラ35、PLL制御部41及び発振回路40は、送信波形信号を生成する信号生成部として機能する。

0012

発振回路40からの送信波形信号は送信アンプ38tで増幅された後、送信アンテナ37tより周波数が連続変調された送信波として出力される。送信アンプ38tの送信出力は、マイクロプロセッサからの出力強度設定指示を受けて送信コントローラ35から入力されるゲイン設定入力値に基づき調整される。そして、該送信アンプ38tの送信出力は送信アンテナ37tから目標物に向けて送信波として送出される。よって、送信アンプ38t及び送信アンテナ37tは、マイクロ波送信波を目標物に向けて送信する送信出力部として機能する。また、該送信出力部は前述の信号生成部とともに送信部を形成する。

0013

一方、送信波の反射波は受信アンテナ37rにより受信され、その受信波形信号が低雑音アンプ38rで増幅された後、方向性結合器39から分配される送信波形信号と混合部42にて混合される。混合部42からは送信波形信号と受信波形信号とが作るビート波形信号が出力される。該ビート波形信号は入力アンプ44にて増幅され、さらにA/D変換部45によりデジタル化され、入力波形データとしてマイクロプロセッサ部2に入力される。

0014

距離測定装置1は、周波数が連続変調される送信波を送信し、目標物によるその反射波を受信する。そして、その送信波形信号と受信波形信号とを混合し、それらの周波数差に基づくビート波形信号を検知信号として抽出し、該ビート波形信号の周波数解析に基づいて目標物までの距離を測定する。図2は送信波の波形の例を示すものであり、周波数偏移幅(占有周波数帯域)と周期とが一定に定められた線形変調パターンに従うものが使用されている。

0015

送信波の周波数は、送信波が出てからその反射波が返ってくるまでの期間、すなわち電波飛行期間中にも刻々変化する。その結果、ある時刻に送信された送信波が反射波となって帰ってきたとき、その受信波受信時点での送信波とを混合すれば、両者の差分周波数に相当する定在波うなりビート)となって発生する。具体的には、検知モジュールから反射体までの距離をR、ビート波形信号の周波数(=送信周波数f1と受信周波数f2の差分周波数)をδf、光速をcとすれば、
δf=2・R・Δf/(c・T)
となる。c、T及びΔfが一定であるから、ビート波形信号の周波数δfは反射体までの距離Rに単純に比例することがわかる。したがって、δfの測定から反射体までの距離Rを直接的に求めることができる。

0016

距離測定装置1においては、上記の送信出力部において、連続変調の周波数偏移幅が第一の帯域幅に設定され送信波の送信強度が第一の送信強度に設定される近距離測定モードと、周波数偏移幅が第一の帯域幅よりも狭い第二の帯域幅に設定され送信波の送信強度が第一の送信強度よりも高い第二の送信強度に設定される遠距離測定モードとが切り替え可能に設定される。図2下段には近距離測定モードの送信波MPNの例を、図2上段には遠距離測定モードの送信波MPFの例をそれぞれ示している。

0017

本実施形態においては、近距離測定モードと遠距離測定モードのいずれにおいても、送信波の中心周波数が所定の周波数帯域、例えば、75GHz以上80GHz以下の帯域に設定されている。この程度の高周波帯域を利用することで、例えば目標物が人などの場合、その相対移動に基づくドップラーシフトの影響を受けにくくなる利点が生ずる。近距離測定モードの送信波MPNの周波数偏移幅ΔfNは1GHz以上3GHz以下(例えば2GHz)の広帯域に設定され、距離測定の分解能は例えば10cm〜30cm(例えば15cm)程度に確保されている。また、近距離測定モードの変調周期TNは0.05ms〜0.5ms程度に設定される。他方、遠距離測定モードの送信波MPFの周波数偏移幅ΔfFは300MHz以上1GHz以下(例えば900Mz)の狭帯域に設定され、距離測定の分解能は例えば30cm〜1m(例えば33cm)程度に確保されている。また、遠距離測定モードの送信波MPNの変調周期TFは0.5ms〜1.0ms程度に設定される。

0018

なお、図2のこぎり波状の線形変調パターンを例示しており、各周期Tの周波数変化率は常時一定である。他方、図14に示すような三角波状の線形変調パターンを採用することも可能である。この場合、周波数変化率の絶対値は一定であるが、符号は半周期(T/2)ごとに反転する。しかし、ビート波形信号の周波数δfは、送信周波数f1と受信周波数f2の差分として出現するので、周波数差分値の符号を無視すれば、のこぎり波状の線形変調パターンを使用する場合と同じである。

0019

図1戻り、マイクロプロセッサ部2のROM33には次のようなプログラムが格納されている。いずれもRAM32を実行エリアとしてCPU31により実行され、個別の機能実現部具現化する。
・測定制御プログラム33a:送信部に対し近距離測定モードを設定してマイクロ波送信波を目標物に向け送信させることにより信号処理部に近距離測定モード強度ピークを取得させる近距離測定モード測定処理と、送信部に対し遠距離測定モードを設定してマイクロ波送信波を目標物に向け送信させることにより信号処理部に遠距離測定モード強度ピークを取得させる遠距離測定モード測定処理と、を順次実行する機能を実現する。
デジタルフィルタ近距離用)33b:近距離測定モードで取得されるビート信号波形データをRAM32のフィルタ処理メモリ32aに取り込み、高調波等に由来したノイズなどを除去するデジタルフィルタリング処理を行なう。ローパスフィルタないしバンドパスフィルタとして構成される。
・デジタルフィルタ(遠距離用)33c:遠距離測定モードで取得されるビート信号波形データについて、デジタルフィルタ(近距離用)33bと同様のデジタルフィルタリング処理を行なう。ローパスフィルタないしバンドパスフィルタとして構成される。

0020

FFTモジュール33d:フィルタリング処理後のビート信号波形データをRAM32のFFT処理メモリ32bに取り込み、図3のようにビート波形信号に高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transformation)を施して周波数スペクトラムSpmのデータに変換する。
ピーク解析プログラム33e:周波数スペクトラムデータをRAM32のピーク解析メモリ32cに取り込み、図3に示すように、周波数スペクトラムSpm上に表れる閾値LT以上の強度ピークPを抽出・取得する処理を行なう。
・適正モード判定プログラム33f:適正モード判定部の機能を実現する。具体的には、近距離測定モード強度ピークと遠距離測定モード強度ピークとの間で、ピーク周波数位置及び受信強度レベルの少なくとも一方を比較し、該比較結果に基づいて近距離測定モードと遠距離測定モードとのうち、目標物までの距離測定に適した適正モードがいずれであるかを判定する。

0021

次に、1回の高速フーリエ変換を実施するためのビート波形信号のサンプリングデータ長は、近距離測定モード及び遠距離測定モードのいずれにおいても同じに設定されている。また、FFT処理メモリ32bのサイズも、該サンプリングデータ長に応じて定められている。例えば、図2を用いて近距離測定モードを例にとり説明すると、ビート波形信号のサンプリング期間tNは変調周期TNよりも短く設定され、1つの変調周期TNの周波数偏移幅ΔfNを時間軸上で等間隔に分割する形で、同じ時間長を有するサンプリング期間tNが複数設定される。互いに異なるサンプリング期間tNに割り振られる周波数偏移区間は、周波数絶対値は互いに異なるものとなるが、周波数変調パターンMPNが線形であるため各区間の周波数偏移幅及び勾配は全て等価となる。その結果、目標物の位置が変化しなければ、各サンプリング期間tNで得られるビート波形信号も互いに等価なものとなる。この事情は、遠距離測定モードにおいても全く同じであり、ここでも1つの変調周期TF内にて周波数偏移幅ΔfFを時分割する形で、同じサンプリングデータ長を有するサンプリング期間tFが複数設定される。

0022

近距離の目標物は遠距離の目標物よりも距離測定のための電波飛行時間が小さいので、図2に示すように、近距離測定モードのサンプリング期間tNは遠距離測定モードのサンプリング期間tFよりも小さく設定される。上記のように、近距離測定モードと遠距離測定モードにてサンプリングデータ長が同じに設定されることは、各々のサンプリング期間tN及びtFに含まれるビート波形信号のサンプリング点(S1,S2,・・・,Sn)の数nが互いに等しくなることを意味する。すなわち、サンプリング期間内に配列するサンプリング点の時間間隔は近距離測定モードの方が遠距離測定モードよりも密となる。送信波の変調パターンが線形であり、かつ、フーリエ変換の線形写像としての数学的性質から、ビート波形信号をフーリエ変換して得られる周波数スペクトラムのデータ点周波数軸上での出現間隔もまた、近距離測定モードの方が遠距離測定モードよりも密となる。このことは、近距離測定モードが遠距離測定モードよりも距離測定の分解能が良好であり、かつ、より近くの目標物の距離測定も可能となることに対応している。

0023

また、近距離測定モードと遠距離測定モードの各サンプリング期間tN及びtFの長さは、それぞれのモードにおける測定可能な距離の最大値を決定するものとなる。具体的には、近距離測定モードにおける測定可能な最大距離RAは、サンプリング期間tNに光速cを乗じて得られる目標物までの1往復分の距離を2で割ることにより、
RA=c・tN・/2
として表される(この距離RAは、以下「あいまい距離」と称することがある)。同様に、遠距離測定モードにおける測定可能な距離の最大値RBは、
RB=c・tF・/2
として表される。さらに、遠距離測定モードの方が近距離測定モードよりも距離測定の分解能が低いため、遠距離測定モードにおいて距離検出が可能となる下限距離RFCは、近距離測定モードにおいて距離検出が可能となる下限距離RNCよりも大きくなる。

0024

以下、距離測定装置1における距離測定制御の処理の流れについて説明する。
図4は、測定制御プログラムの全体処理の流れを示すフローチャートである。S1では測定モードを近距離測定モードに設定し、S2にて近距離測定モードでの距離測定を行なう。続いてS3では測定モードを遠距離測定モードに設定し、S4にて遠距離測定モードでの距離測定を行なう。なお、近距離測定モードでの距離測定と遠距離測定モードでの距離測定とは順序入れ替えて実施してもよい。

0025

図5は、測定処理の詳細を示すフローチャートである。すでに詳細は上記した通りであるが、まずS51にてビート波形信号のサンプリングを行ない、S52にてサンプリングされたビート波形信号データのデジタルフィルタリング処理を行なう。続いてS53において、図3に示すように、フィルタリング処理後のビート波形信号データを高速フーリエ変換処理し、周波数スペクトラムSpmのデータを得る。S54では、該周波数スペクトラムSpm上の閾値LT以上のレベルを有する強度ピークを抽出・取得する。そして、S55では、取得された強度ピークの周波数値から目標物までの距離Rを算出する。近距離測定モード強度ピークのピーク強度レベル(受信強度レベル)LNと、ピーク周波数位置及び算出された測定距離RNとはRAM32内の近距離測定モード結果メモリ32dに、遠距離測定モードで取得した強度ピーク値LFと、ピーク周波数位置及び算出された測定距離RFとは、同じく遠距離測定モード結果メモリ32eにそれぞれ記憶される。なお、目標物が存在しなかったり、種々の理由により距離の測定が実施できなかったりした場合は、近距離測定モード結果メモリ32dないし遠距離測定モード結果メモリ32eに距離の算出結果が記憶されない。

0026

図4に戻り、S5において適正モード判定プログラム33fを立ち上げ、適正モード判定処理を行なう。図6に、適正モード判定処理の詳細を示す。まず、S101では、強度ピーク(ないし測定距離)を取得できたのが、近距離測定モードと遠距離測定モードとの一方のみであったか否かを判定する。この場合、適正モード判定部は、強度ピーク取得部が近距離測定モードと遠距離測定モードとの一方のみにおいて強度ピークが取得できた場合に、該強度ピークが取得できたモードを適正モードとするように判定する処理となる。これにより、計測成功した方のモードが適正モードして自動設定されるので、ユーザーの利便を図ることができる。

0027

具体的には、S101において近距離測定モード結果メモリ32d及び遠距離測定モード結果メモリ32eの記憶内容読み取り、近距離測定モードと遠距離測定モードのいずれについて、ピーク周波数位置及び算出距離が記憶されているか(つまり、距離を検出できたか)を確認する。S102にて、近距離測定モード測定距離RNのみが検出された場合はS103に進み、近距離測定モードを採用する。一方、S102にて近距離測定モード測定距離RNが検出されず、104にて遠距離測定モード測定距離RFのみが検出された場合はS105に進み、遠距離測定モードを採用する。また、近距離測定モードと遠距離測定モードのいずれについても測定距離が検出されていなかった場合はS118に進み、エラーを出力する。

0028

続いて、S101にて強度ピーク(ないし測定距離)を取得できたのが、近距離測定モードと遠距離測定モードとの双方であった場合はS106に進む。このステップでは、取得された近距離測定モード測定距離RNと遠距離測定モード測定距離RFとの間に大きな隔たりがあるか否かを判定している。具体的には、これら距離の差分|RF−RN|が、予め定められた値ε(例えば、RFとRNの大きい方の値の10%など)よりも小さい場合、近距離測定モード測定距離RNと遠距離測定モード測定距離RFとはほぼ等しいと判断する。そして、S106において|RF−RN|≧εであり、近距離測定モード測定距離RNと遠距離測定モード測定距離RFとの間に顕著な差があると判断された場合はS110に進み、遠距離測定モード測定距離RFと前述のあいまい距離RAとを比較する処理を行なう。この比較結果においてRF>RAの場合の処理はS111以下の処理となるが、その詳細について後述する。

0029

他方、S110にてRF≦RAの場合はS113以下の処理に進む。該処理においては、近距離測定モードと遠距離測定モードとの双方において強度ピークが取得できた場合に、近距離測定モード強度ピークと遠距離測定モード強度ピークとの周波数位置の比較に基づき、遠距離測定モード強度ピークが目標物との間の多重反射に由来した多重反射ピークであるか否かを判別する。そして、遠距離測定モード強度ピークが多重反射ピークであると判別された場合は近距離測定モードを適正モードとするように判定する。なお、近距離測定モード強度ピークと遠距離測定モード強度ピークとの周波数位置の比較は、各周波数位置が示す近距離測定モード測定距離RNと遠距離測定モード測定距離RFとの比較と処理上は等価なものとみなす

0030

図7の左は、測定装置1からのマイクロ波送信波が目標物により通常反射して戻る場合を、同じく右は多重反射して戻る場合を示している。送受信のための電波飛行距離は、n次の多重反射MRが生じた場合、通常反射SRの場合のn倍に増加する。従って、多重反射MRが生じた場合の測定距離は、通常反射SRにより正常に測定される測定距離よりも大きい値として誤検出されることとなる。こうした多重反射は、電波送信強度の大きい遠距離測定モード測定時において、目標物が比較的近距離に存在する場合に起きやすい傾向にある。よって、近距離測定モード強度ピークと遠距離測定モード強度ピークとの周波数位置の比較に基づき、遠距離測定モードでの多重反射による誤検出を判別することで、多重反射の影響を受けにくい近距離測定モードを適正モードとして自動設定でき、より信頼度の高い距離検出が可能となる。

0031

例えば、図8に示すように|RF−RN|<εとなる場合、すなわち、近距離測定モード測定距離RNと遠距離測定モード測定距離RFとがほぼ等しいと判別された場合は、遠距離測定モードでの多重反射による誤検出の可能性は低いと判断できる。この場合、遠方の目標物に対する距離測定には遠距離測定モードが適しており、比較的近くの目標物に対する距離測定には近距離測定モードが適していると判断できることから、図6においてはS106からS107に進み、近距離測定モード測定距離RNと遠距離測定モード測定距離RFとを代表値(例えば、両者の平均値(RF+RN)/2)で置き換え、近距離と遠距離とを区別するための所定の閾値R0と該代表値とを比較する。そして、近距離と判断された場合はS108に進んで近距離測定モードを採用し、遠距離と判断された場合はS109に進んで遠距離測定モードを採用する。

0032

一方、S106において|RF−RN|≧εとなり、S110にてRF<RAの場合のS113以下の処理においては、遠距離測定モードに対する多重反射判定を、以下のようにして行なう。まず、|RF−RN|≧εとなる状態は、「近距離測定モード強度ピークの周波数位置が示す近距離測定モード距離RNと遠距離測定モード強度ピークの周波数位置が示す遠距離測定モード距離RFとの間に予め定められた範囲εを超える差が生じている状態」、つまり「RNとRFとの間に相当の差が生じた状態」ことを意味する。このとき、S113において、遠距離測定モードにおいて距離検出が可能となる下限距離RFCよりも近距離測定モード距離RNが小さく(RN<RFc)、かつ、遠距離測定モード距離RFが予め定められた近距離基準値R0よりも小さい場合(RF<R0)は、遠距離測定モード強度ピークは多重反射ピークであると判別し、S114に進んで近距離測定モードを採用する。

0033

上記条件が成立したとき、遠距離測定モード測定での結果を多重反射とみなす理由は次の2つである:
・RN<RFc及びRF<R0のいずれの条件も、目標物が測定装置に相当近接していることを示し、遠距離測定モードでは多重反射につながる高強度の送信波を受けやすい状態になっている;
・RN<RFcの条件は、近距離測定モードで検出された目標物が遠距離測定モードの下限距離RFcよりも近くに位置しており、遠距離測定モードでは本来は検出されるべきではないことを意味する。それにもかかわらず遠距離測定モードで距離検出されたということは、多重反射の影響により下限距離RFCを超えて電波飛行距離が伸びた結果であると考えられる。

0034

よって、上記の方式の採用により、遠距離測定モードにおける多重反射発生の判定を正確に行うことができる。図9は、その事例を示すものである。遠距離測定モード距離RFは近距離測定モード距離RNのほぼ2倍となっており、遠距離測定モードにて2次の多重反射が生じた場合に相当する。つまり、|RF−RN|>εであり、かつR0>RF及びRFc>RNの条件を充足しているので、近距離測定モードが適正モードと判定され、測定値として近距離測定モード距離RNが採用されている。

0035

他方、S113において、RN<RFc及びRF<R0のうち一方でも不成立の場合は、遠距離測定モードにおいて多重反射が発生している可能性が低いとみなし、S115に進む。この場合は、近距離測定モード強度ピークと遠距離測定モード強度ピークとのうち受信強度レベルを高く生じている方のモードを適正レベルとして判定する。すなわち、近距離測定モード強度ピークの強度レベル(受信強度レベル)をLN、遠距離測定モード強度ピークの強度レベルをLFとして、LN>LFのときはS116に進んで近距離測定モードを採用し、そうでない場合はS117に進んで遠距離測定モードを採用する。

0036

図10は、その事例を示すものであり、遠距離測定モード距離RFは近距離測定モード距離RNとの間に差が生じており、|RF−RN|>εを充足している(しかし、RFはRN遠の整数倍になっていない)。そして、R0>RFは充足しているが、RFc>RNは充足していない。そこで、近距離測定モードと遠距離測定モードの各ピークの強度レベルLN,LFが比較され、LN>LFとなっていることから、近距離測定モードが適正モードと判定され、測定値として近距離測定モード距離RNが採用されている。

0037

図6に戻り、次に、S110において、遠距離測定モード測定距離RFがあいまい距離RAを超えていた場合の処理について説明する。遠距離測定モード測定距離RFと近距離測定モード測定距離RNとに大きな差が発生する状況は、上記のように遠距離測定モード測定で多重反射が発生する場合だけでなく、近距離測定モード測定のあいまい距離RAを超えてやや遠方に存在する目標物が、近距離測定モードにおいて、データ処理上の都合により本来よりも小さく測定されてしまう場合にも発生しうる。以下、その詳細につき説明する。

0038

図2を用いてすでに説明したごとく、近距離測定モードにて線形変調パターンMPNの一つの周期TNは、サンプリングデータ長が一定となる複数のサンプリング期間tNに区切られる。そして、変調の周期TN内にて新たなサンプリング期間tNが到来するごとにビート波形信号のデータサンプリングが実行され、サンプリングされた波形データに基づいて周波数スペクトラムが更新される。そのサンプリング期間tNの起点に相当する周波数位置は距離測定のゼロ点を与える。また、サンプリング期間tNの終点に対応する周波数位置は、サンプリング期間tN内にて測定可能な最大距離、すなわち、あいまい距離RAに対応する。このとき、送信波が目標物に反射されて返ってくるまでの電波飛行時間を無制限に長く設定できれば、測定可能な距離の上限は装置の検出感度が確保されている限り制約がない。しかし、上記のように1回の距離測定のためのサンプリングデータ長が一定に制限されると、測定可能な距離の上限も、あいまい距離RAにより制約されることとなる。

0039

図11に示すように、例えば目標物が近距離測定モードの最大距離、すなわちあいまい距離RAを少し超えた距離RF’ に存在している状況を考える。距離RF’に対応する周波数偏移幅wf’は、変調パターンMPNの1周期の周波数偏移幅ΔfN(図2)に収まっており、一見正確な測定が可能なように思われる。しかし、実際には、この場合の距離RF’の測定に必要な電波飛行時間τTがサンプリング期間tNを超えており、あるサンプリング期間の開始点S0で出力された送信波の反射波は、次のサンプリング期間に食い込んだタイミングで受信される。すると、その目標物の距離測定は、次のサンプリング期間の開始点S0'を起点としてなされる形となってしまうのである。その結果、計測される距離RFは、次のサンプリング期間の開始点S0'を基準とした周波数偏移幅wfに基づき、これに対応する電波飛行時間τFを用いて算出されるので、実際の距離RF’からあいまい距離RAを減じた値として誤測定されることとなる。このとき、対応する強度ピークPFは、あいまい距離RAからはみ出した期間が折り返された形で距離軸上に出現する。

0040

つまり、近距離測定モードでは、上記のような位置に目標物が存在する場合、あいまい距離RAの影響により測定距離RFが実際の距離RF’よりも小さく誤測定されてしまう不具合が生じうる。しかし、この不具合は、測定可能な距離の上限が大きい遠距離測定モードでは原理的に生じない。よって、あいまい距離(最大距離)RAよりも遠方に目標物が存在することに由来して、実距離RF’よりも小さい距離が誤測定される可能性がある場合には、近距離測定モードと遠距離測定モードとの双方において強度ピークが取得できたとき、近距離測定モード強度ピークと遠距離測定モード強度ピークとの周波数位置(あるいは測定距離)の比較に基づき、近距離測定モード距離RNについて上記要因による誤測定であるか否かを判別することができる。そして、誤測定であると判別された場合は遠距離測定モードが適正モードとなるように判定を行なう。

0041

具体的には、図6において、近距離測定モード強度ピークの周波数位置に基づいて算出される近距離測定モード距離RNと遠距離測定モード強度ピークの周波数位置に基づいて算出される遠距離測定モード距離RFとの間に予め定められた値を超える差εが生じており(|RF−RN|>ε:S106→S110)、かつ、遠距離測定モード距離RFがあいまい距離RA(近距離測定モードにてサンプリング期間内に測定可能な最大距離)よりも大きい場合に(RN>RA:S110→S111)、S111にて、近距離測定モード距離RNと最大距離RAの自然数(n:n≧1)倍との合計値RN+RA×nと、遠距離測定モード距離RFとの差が予め定められた値δ(例えば、(RN+RA×n)とRFとの大きい方の値の10%など)内に収まっているか否かを調べる。図11にて説明したごとく、近距離測定モード距離RNは、あいまい距離RA(あるいは、RA×nの値)を加算して折り返しの影響を補うことにより、実距離RF’に近づくはずである。他方、遠距離測定モード距離RFはあいまい距離RAの影響を受けないから、これが実際の距離RF’を反映していると考えれば、RN+RA×nとRFとの一致度を評価することで、近距離測定モード距離RNがあいまい距離RAに由来した誤測定であるか否かを的確に判別できる。

0042

図12は、その測定事例を示すものであり、実線で示す遠距離測定モード距離RFが近距離測定モードでは、あいまい距離RAによって折り返しを1回受けた近距離測定モード距離RNとなっている。この場合は、S111にて|RF−(RN+RA×1) | <εとなっているか否かを判別するとともに、|RF−(RN+RA×1)|<δとなる場合にあいまい距離の影響を受けたとみなしてS112に進み、遠距離測定モードを適正モードとする判定を行ない、測定値として遠距離測定モード距離RFが採用される。また、目標物までの距離によっては、折り返しの影響が複数回(n回:n>2)生じることもあり得る。例えば、あいまい距離RAが20mであり、目標物の距離が50mである場合、近距離測定モード距離RNは2回の折り返しが生じる結果(つまり、n=2)、10mと測定される。すなわち、折り返しが2回以上生じている場合も考慮すれば、S111にて自然数nの値を順次1ずつ増やしつつ|RF−(RN+RA×n) | の値を計算し、nが2以上のある値となったときに|RF−(RN+RA×n) | <δが成立していれば、あいまい距離の影響を受けたとみなし、遠距離測定モードを適正モードとする判定を行なうようにする。例えば図12においては、破線で示す遠距離測定モード距離RF’が、近距離測定モードでは、あいまい距離RAによって折り返しを3回受けた近距離測定モード距離RNとなっている。

0043

一方、S111にて、|RF−(RN+RA×n)|≧δとなり、RFと(RN+RA)との間に無視できない差が生じていた場合は、あいまい距離RAの影響を受けた不具合ではないと判断し、S115に進む。以下は、遠距離測定モードにおいて多重反射が発生している可能性が低いと判断された場合と同じ処理となる。図13は、その事例を示すものである。すなわち、|RF−(RN+RA×n) | <δが充足されておらず、近距離測定モードと遠距離測定モードの各ピークの強度レベルLN,LFが比較された結果、LN<LFとなっていることから、遠距離測定モードが適正モードと判定され、また、測定値として遠距離測定モード距離RFが採用されている。

0044

以上のようにして適正モード判定処理が実行され、距離測定のための適正モードが決定される。その後、図4の処理に戻り、S6にて、図1の各モードの結果メモリ32d,32eの記憶内容のうち、適正モードと判定された方の測定距離が読み出され、出力される。図1に示すように、該測定距離は、適正モードとして採用された測定モードの種別の情報とともに出力される。S7にて処理終了でなければS1に戻り、以下の処理を繰り返す。

0045

以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図4の測定制御プログラムの処理の流れでは、1回の距離測定ごとに近距離測定モードでの測定と遠距離測定モードでの測定とをその都度繰り返し、どちらが適正モードであるかを毎回繰り返し判定するようにしていた。しかし、距離測定の目標物の存在状況が頻繁に変化しないような場合は、最初の1回目の測定時に図4のS1〜S5の流れを実行して適正モードを決定し、その後は状況に応じて決定した適正モードを維持しつつ測定を繰り返すように構成することもできる。図15に、その場合の処理の例を示している。S1〜S7までの処理は図4と同じである。そして、S7にて処理終了でなければS8に進み、適正モードの再判定を行なうか否かを判断する処理を行なう。例えば目標物に対する距離測定結果が、測定を繰り返すにつれて接近方向ないし離間方向に変化しているような場合、その測定距離が、近距離と遠距離との境界を定める所定の閾値をまたぐ変化が生じたとき、S8において適正モードの再判定が必要と判断する。この場合は、S1〜S5の流れに戻り、適正モードの再設定処理を行なう。一方、測定距離に上記閾値をまたぐ変化が生じていない場合は、S8において適正モードの再判定は不要と判断し、現在の適正モードを維持しつつS9に進んで、図5の測定処理を実施する。測定処理が終了すればS6に戻り、結果出力を行なう。

0046

1距離測定装置
2マイクロプロセッサ部
3センサ部
30バス
31 CPU
32 RAM
33 ROM
33a測定制御プログラム
33bデジタルフィルタ(近距離用)
33c デジタルフィルタ(遠距離用)
33dFFTモジュール
33eピーク解析プログラム
33f 適正モード判定プログラム
34入出力部
35送信コントローラ
38t送信アンプ
37t送信アンテナ
37r受信アンテナ
38r低雑音アンプ
39方向性結合器
40発振回路
41PLL制御部
42 混合部
44入力アンプ
45 A/D変換部

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