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技術 ジョイント部材及びジョイント部材の製造方法

出願人 株式会社ジェイテクト
発明者 吉永慎太郎池田憲次郎秋田秀樹大磯憲司
出願日 2018年12月27日 (2年0ヶ月経過) 出願番号 2018-243914
公開日 2020年7月9日 (5ヶ月経過) 公開番号 2020-105560
状態 未査定
技術分野 継手 鍛造 物品の熱処理
主要キーワード 代表部分 部分焼き入れ 含有炭素量 単相領域 二相領域 A1変態 機械加工装置 焼き入れ温度
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

ジョイント部材カップ部の内面側は硬く、しかも、カップ部の靭性を向上させて、強度の低下を抑制する。

解決手段

ジョイント部材の製造方法は、炭素成分が0.30重量%以上であり0.70重量%以下である炭素鋼による材料W0を、熱間鍛造によって、筒部及び底部を有するカップ部と当該底部から軸方向に延びている軸部とを備えた第一中間品W1に成形する鍛造工程と、前記熱間鍛造から続けて温度が保たれた前記第一中間品W1を冷却して第二中間品とする焼き入れ工程と、を含む。前記焼き入れ工程では、前記カップ部の内面側の冷却開始温度よりも当該カップ部の外面側の冷却開始温度が低く、前記内面側をオーステナイト単相域から冷却し、前記外面側をフェライト及びオーステナイトの二相域から冷却する。

概要

背景

自動車及び各種産業機械では、動力伝達装置の一部に等速ジョイントが用いられる。自動車の場合、車輪を支持するハブユニットドライブシャフトの等速ジョイントが連結される。等速ジョイントは、ハブユニットと連結される外側ジョイント部材車両中央側の内側ジョイント部材、これら外側ジョイント部材と内側ジョイント部材との間に設けられる複数のボール、及び、複数のボールを保持するケージを備える(例えば、特許文献1参照)。

概要

ジョイント部材カップ部の内面側は硬く、しかも、カップ部の靭性を向上させて、強度の低下を抑制する。ジョイント部材の製造方法は、炭素成分が0.30重量%以上であり0.70重量%以下である炭素鋼による材料W0を、熱間鍛造によって、筒部及び底部を有するカップ部と当該底部から軸方向に延びている軸部とを備えた第一中間品W1に成形する鍛造工程と、前記熱間鍛造から続けて温度が保たれた前記第一中間品W1を冷却して第二中間品とする焼き入れ工程と、を含む。前記焼き入れ工程では、前記カップ部の内面側の冷却開始温度よりも当該カップ部の外面側の冷却開始温度が低く、前記内面側をオーステナイト単相域から冷却し、前記外面側をフェライト及びオーステナイトの二相域から冷却する。

目的

前記のようなジョイント部材90において、その製造工程を短縮し、コストを低減することが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

炭素成分が0.30重量%以上であり0.70重量%以下である炭素鋼による材料を、熱間鍛造によって、筒部及び底部を有するカップ部と当該底部から軸方向に延びている軸部とを備えた第一中間品成形する鍛造工程と、前記熱間鍛造から続けて温度が保たれた前記第一中間品を冷却して第二中間品とする焼き入れ工程と、を含み、前記焼き入れ工程では、前記カップ部の内面側の冷却開始温度よりも当該カップ部の外面側の冷却開始温度が低く、前記内面側をオーステナイト単相域から冷却し、前記外面側をフェライト及びオーステナイトの二相域から冷却する、ジョイント部材の製造方法。

請求項2

筒部及び底部を有するカップ部と、前記底部から軸方向に延びている軸部と、を備え、前記筒部は、焼き入れ硬化層により構成され第一硬さを有する内面側層と、前記第一硬さよりも低い第二硬さを有する外面側層と、前記内面側層から前記外面側層に向かうにしたがって前記第一硬さから前記第二硬さまでの範囲内で徐々に硬さの値が小さくなっている中間層と、を有する、ジョイント部材。

請求項3

前記第一硬さは、650HV以上であり、前記第二硬さは、500HV以下である、請求項2に記載のジョイント部材。

技術分野

0001

本発明は、ジョイント部材及びジョイント部材の製造方法に関する。

背景技術

0002

自動車及び各種産業機械では、動力伝達装置の一部に等速ジョイントが用いられる。自動車の場合、車輪を支持するハブユニットドライブシャフトの等速ジョイントが連結される。等速ジョイントは、ハブユニットと連結される外側ジョイント部材車両中央側の内側ジョイント部材、これら外側ジョイント部材と内側ジョイント部材との間に設けられる複数のボール、及び、複数のボールを保持するケージを備える(例えば、特許文献1参照)。

先行技術

0003

特開2017−149253号公報

発明が解決しようとする課題

0004

図7は、外側ジョイント部材(以下、ジョイント部材90と称する)の断面図である。ジョイント部材90は、筒部99及び底部98を有する有底筒状(椀形)のカップ部91と、底部98から軸方向に延びている軸部92とを有する。カップ部91の内面97の一部には、前記ボールが転がり接触することから、この内面97では所定の硬さが必要とされる。また、軸部92の外周面にはスプライン95が形成され、軸部92は、前記ハブユニットの内軸スプライン結合される。このため、軸部92の外周面(スプライン95)においても、所定の硬さが必要とされる。

0005

そこで、所定形状に成形されたジョイント部材90に対して、従来、高周波加熱による部分焼き入れが行われる。つまり、カップ部91の内面97及び軸部92の外周面に対して高周波加熱が行われ、その後、冷却液噴射して急冷が行われる。

0006

前記のようなジョイント部材90において、その製造工程を短縮し、コストを低減することが望まれている。そこで、本発明の発明者は、鍛造焼き入れによりジョイント部材90を製造する方法について研究を進めている。鍛造焼き入れによる製造方法では、炭素鋼による材料を加熱し、熱間鍛造により、カップ部91及び軸部92を備えた第一中間品に成形する鍛造工程と、前記熱間鍛造から続けて温度が保たれた第一中間品を、外側から及びカップ部91の内面97側から冷却し、第二中間品とする焼き入れ工程とが行われる。

0007

前記のような鍛造焼き入れの場合、焼き入れ工程において、カップ部の全体が硬化される。すると、靭性不足により強度が低下する可能性があることが、本発明の発明者によって見出された。

0008

そこで、本発明は、カップ部の内面側は硬く、しかも、カップ部の靭性を向上させて、強度の低下を抑制することが可能となるジョイント部材の製造方法、及び、この製造方法によって製造されるジョイント部材を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明のジョイント部材の製造方法は、炭素成分が0.30重量%以上であり0.70重量%以下である炭素鋼による材料を、熱間鍛造によって、筒部及び底部を有するカップ部と当該底部から軸方向に延びている軸部とを備えた第一中間品に成形する鍛造工程と、前記熱間鍛造から続けて温度が保たれた前記第一中間品を冷却して第二中間品とする焼き入れ工程と、を含み、前記焼き入れ工程では、前記カップ部の内面側の冷却開始温度よりも当該カップ部の外面側の冷却開始温度が低く、前記内面側をオーステナイト単相域から冷却し、前記外面側をフェライト及びオーステナイトの二相域から冷却する。

0010

この製造方法によれば、カップ部の内面側は硬く、外面側は内面側よりも柔らかくなり、カップ部の靭性を向上させ、強度低下を抑制することができる。従来のように、鍛造によって鍛造品を得て、温度を低下させ、その後、鍛造品を部分加熱し焼き入れするという製造方法ではなく、鍛造焼き入れによってジョイント部材を製造することが可能となる。このため、製造工程の削減が可能となる。

0011

また、本発明のジョイント部材は、筒部及び底部を有するカップ部と、前記底部から軸方向に延びている軸部と、を備え、前記筒部は、焼き入れ硬化層により構成され第一硬さを有する内面側層と、前記第一硬さよりも低い第二硬さを有する外面側層と、前記内面側層から前記外面側層に向かうにしたがって前記第一硬さから前記第二硬さまでの範囲内で徐々に硬さの値が小さくなっている中間層と、を有する。

0012

前記ジョイント部材では、カップ部の内面側は硬く、外面側は内面側よりも柔らかくなっていて、カップ部の靭性が向上し、強度低下が抑制されている。前記ジョイント部材は、従来のように、鍛造によって鍛造品を得て、温度を低下させ、その後、鍛造品を部分加熱し焼き入れするという製造方法ではなく、前記のような鍛造焼き入れを含む方法によって製造される。このため、製造工程の削減が可能となる。

0013

前記のように、カップ部の内面側は硬く、カップ部の靭性が向上したジョイント部材として、好ましくは、前記第一硬さは、650HV以上であり、前記第二硬さは、500HV以下である。このように、カップ部の内面側と外面側とで硬さに差が生じている。

発明の効果

0014

本発明のジョイント部材の製造方法によれば、カップ部の内面側は硬く、外面側は内面側よりも柔らかくなり、カップ部の靭性を向上させ、強度低下を抑制することができる。
本発明のジョイント部材によれば、カップ部の内面側は硬く、外面側は内面側よりも柔らかくなっていて、カップ部の靭性が向上し、強度低下が抑制されている。

図面の簡単な説明

0015

ジョイント部材の断面図である。
製造方法のフロー図である。
製造設備の概略平面図である。
焼き入れ機の一部を側方から見た概略構成図である。
炭素鋼の状態図である。
筒部の硬さを説明する図である。
ジョイント部材の断面図である。

実施例

0016

〔ジョイント部材について〕
図1は、ジョイント部材の断面図である。このジョイント部材10は、自動車に用いられる等速ジョイントの一部(外側ジョイント部材)である。等速ジョイントは、図1に示すジョイント部材10の他に、図示しないが、内側ジョイント部材、これらジョイント部材10と内側ジョイント部材との間に配置される複数のボール、及び、複数のボールを保持するケージを備える。

0017

ジョイント部材10は、椀形(カップ形)のカップ部12と、軸部18とを備える。カップ部12は、筒部14及び底部16を有する有底筒状である。軸部18は、カップ部12の底部16から軸方向に延びている。ジョイント部材10は、更に、ねじ部20を有する。ねじ部20は、カップ部12と軸方向について反対側である軸部18の先部に設けられている。カップ部12の内面22の一部には、前記ボールが転がり接触することから、この内面22では所定の硬さが必要とされる。また、軸部18の外周面にはスプライン19が形成されていて、軸部18は、ハブユニットの内軸とスプライン結合される。このため、軸部18の外周面(スプライン19)は、所定の硬さが必要とされる。

0018

そこで、後にも説明するが、ジョイント部材10に対して熱処理として焼き入れ処理が行われる。本開示の焼き入れ処理は、鍛造焼き入れ処理である。つまり、ジョイント部材10を製造するために、鋼材に対して熱間鍛造が行われ、この熱間鍛造のために前記鋼材に与えられた熱を用いて、そのまま継続して焼き入れが行われる。

0019

ジョイント部材10は炭素鋼(中炭素鋼又は高炭素鋼)からなり、本開示のジョイント部材10は機械構造用炭素鋼(S55C)である。

0020

〔製造方法について〕
前記構成を備えるジョイント部材10の製造方法について説明する。図2は、製造方法のフロー図である。ジョイント部材10を製造するために、鍛造工程S1が行われ、その後、焼き入れ工程S2が行われる。また、焼き入れ工程S2の後、焼き戻し工程S3、及び機械加工工程S4が行われる。図3は、前記製造方法を実施する製造設備の概略平面図である。この製造設備には、鍛造工程S1のためのヒータ装置31及びプレス機を含む鍛造装置32、焼き入れ工程S2のための焼き入れ機33、焼き戻し工程S3のための焼き戻し機34、及び機械加工工程S4のための機械加工装置35が含まれる。装置間には、材料W0又は中間品W1,W2,W3を次の設備(次の工程)に搬送する搬送機(搬送ロボット)36が設けられている。

0021

鍛造工程S1では、先ず、ヒータ装置31によって、炭素鋼による材料W0が全体的に加熱される。材料W0は、オーステナイト組織となる温度(1000℃付近)に加熱される。加熱後の材料W0の温度は、例えば、930℃以上であり1050℃以下である。材料W0のほぼ全体が均一な温度となる。

0022

加熱された材料W0は鍛造装置32によって鍛造される。材料W0は、オーステナイト状態で鍛造される。鍛造工程S1では、材料W0が、熱間鍛造によって、(図1を参考にして)筒部14及び底部16を有するカップ部12と、底部16から軸方向に延びている軸部18と、ねじ部20とを備えた第一中間品W1に成形される。材料W0が第一中間品W1に成形されるまでの工程には、複数のプレス成形工程が含まれ、材料W0が徐々にカップ部12と軸部18とねじ部20とを有する第一中間品W1に成形される。加熱された材料W0から第一中間品W1が得られるまでの間、その温度は徐々に低下する。

0023

焼き入れ工程S2では、前記のとおりオーステナイト組織の状態で鍛造が施された第一中間品W1に対して、焼き入れ機33により、そのまま焼き入れが行われ、第二中間品W2が得られる。図4は、焼き入れ機33の一部を側方から見た概略構成図である。焼き入れ機33は、冷却ジャケット37とノズル部38とを有する。冷却ジャケット37は、第一中間品W1の軸部18の外周面及びカップ部12の底部16の外面に向かって冷却液を噴射する。ノズル部38は、第一中間品W1のカップ部12の内面22に対して冷却液を噴射する。図4に示すように、カップ部12を下にして第一中間品W1は冷却される。

0024

焼き入れ機33は、第一中間品W1のねじ部20に被せられるカバー40を有する。ねじ部20は、後の機械加工工程S4において、ねじ加工が行われる。このため、第一中間品W1では、ねじ部20は焼き入れされないのが好ましい。カバー40は、冷却ジャケット37からの冷却液がねじ部20に吹き付けられるのを防ぎ、焼き入れされないようにしている。

0025

鍛造工程S1の後、焼き入れ工程S2において第一中間品W1の冷却が開始されるまでの間、鍛造工程S1の熱間鍛造から続けて、第一中間品W1のカップ部12の温度は、その全体として、焼き入れできる臨界温度A1変態点)未満となることなく、この臨界温度以上に保たれている。この温度の維持は、別のヒータ等の熱源によって行われてもよいが、本開示では、別のヒータ等の熱源によって行われるのではなく、第一中間品W1の蓄熱による。なお、カップ部12の温度の詳細については、後にも説明する。第一中間品W1の軸部18においても、カップ部12と同様に、その温度は、焼き入れできる臨界温度以上に保たれている。このように温度が保たれた第一中間品W1が、焼き入れ機33によって、冷却されて(焼き入れされて)第二中間品W2となる。

0026

焼き入れ工程S2での、カップ部12の冷却開始時の温度について説明する。焼き入れ工程S2では、カップ部12の内面22側の冷却開始温度よりも、カップ部12の外面23側の冷却開始温度は低い。前記冷却開始温度は、焼き入れ開始温度であり、焼き入れ温度とも言われる。更に具体的に説明すると、内面22側をオーステナイトの単相域(図5においてシングルハッチの領域)から冷却し、外面23側をフェライト及びオーステナイトの二相域(図5においてクロスハッチの領域)から冷却する。図5は、炭素鋼の状態図である。つまり、内面22側の冷却開始温度は、内面22側がオーステナイトの単相域にある温度であり、外面23側の冷却開始温度は、外面23側がフェライト及びオーステナイトの二相域にある温度である。

0027

焼き入れ工程S2の開始(冷却開始)の際、カップ部12の内面22側と外面23側とで温度を異ならせることのできる理由は、次のとおりである。
内面22側と外面23側との温度差は、焼き入れ工程S2前の鍛造工程S1における内面22側と外面23側との放熱量の差(違い)による。つまり、内面22側は、外面23側と比較すると、周囲の空気の循環が悪いため熱伝達遅れる。また、内面22側は、カップ部12の内側に位置するため輻射熱の影響により、外面23側よりも温度が低下しにくい。また、外面23側は、内面22側よりも、鍛造用金型に接触する時間が長くなり、熱が金型に逃げ、温度が低下しやすいためである。

0028

なお、鍛造工程S1には、第一中間品W1となる成形品放置する時間が含まれる。この時間が放冷時間となり、この放冷時間を調整することで、内面22側及び外面23側を所望の温度とすることができる。
上より、焼き入れ工程S2において、内面22側の冷却開始温度よりも、外面23側の冷却開始温度を低くすることができる。なお、焼き入れ工程S2では、内面22側と外面23側とで冷却(冷却液の噴射)の開始時刻が同じであってもよく、異なっていてもよい。

0029

鍛造工程S1において鍛造を進めると、材料W0(第一中間品W1)の各部の温度は徐々に下がる。そこで、焼き入れ工程S2において、カップ部12の各部(内面22側及び外面23側)の温度を前記のとおり得るために、鍛造工程S1においてヒータ装置31による材料W0の加熱温度が(従来の920℃よりも)高く設定される。

0030

カップ部12の内面22側を、オーステナイトの単相から焼き入れすることで、内面22側が硬くなる。例えば、内面22の硬さ(ビッカース硬さ)が、650HV以上、更には、700HV以上となる。これに対して、カップ部12の外面23側を、フェライト及びオーステナイトの二相から焼き入れすることで、フェライトを析出させ、外面23側は、内面22側よりも柔らかくなる。例えば、外面23の硬さ(ビッカース硬さ)は、500HV以下となる。ビッカース硬さについては、JISZ2244(2009)に基づく。

0031

本開示では、材料W0は機械構造用炭素鋼(S55C)であり、炭素成分が0.52重量%以上であり0.58重量%以下である。本開示の製造方法は、炭素成分が異なる他の材料W0であっても適用可能である。適用可能である材料W0(炭素鋼)の例として、炭素成分が0.30重量%以上であり0.70重量%以下である。更に、材料W0(炭素鋼)の他の例としては、炭素成分が0.30重量%以上であり0.58重量%以下である。材料W0(炭素鋼)の更に別の例としては、炭素成分が0.42重量%以上であり0.58重量%以下である。

0032

炭素量が0.52重量%以上であり0.58重量%以下である本開示の場合、内面22側の冷却開始温度は、オーステナイトの単相領域となる温度の例として、780℃以上であり1450℃以下であり、外面23側の冷却開始温度は、オーステナイトとフェライトとの二相領域となる温度の例として、730℃以上であり780℃未満である。

0033

材料W0における含有炭素量に応じて、オーステナイトの単相領域及びオーステナイトとフェライトとの二相領域それぞれとなる温度が僅かであるが変化する。このため、内面22側及び外面23側の冷却開始温度を、炭素成分の含有量によって変化させてもよい。

0034

例えば、炭素量が低めである場合(例えば、0.52重量%未満の場合)、内面22側の冷却開始温度は、オーステナイトの単相領域となる温度の例として、780℃以上であり1500℃以下であって、外面23側の冷却開始温度は、オーステナイトとフェライトとの二相領域となる温度の例として、730℃以上であり820℃未満である。

0035

別の例として、炭素量が高めである場合(例えば、0.58重量%よりも大きい場合)、内面22側の冷却開始温度は、オーステナイトの単相領域となる温度の例として、780℃以上であり1450℃以下であって、外面23側の冷却開始温度は、オーステナイトとフェライトとの二相領域となる温度の例として、730℃以上であり780℃未満である。

0036

焼き入れ工程S2の後、焼き戻し機34(図2参照)によって、焼き戻し工程S3が行われる。焼き戻し工程S3では、第二中間品W2が、前記臨界温度(A1変態点)を超えない範囲で再加熱され、焼き戻しがされる。焼き戻しの処理については、従来知られている方法による。焼き戻しにより第三中間品W3が得られる。

0037

機械加工工程S4では、機械加工装置35によって、第三中間品W3に対して所定の機械加工が行われる。具体的に説明すると、カップ部12の内面22に対して機械加工が行われる。その機械加工としては研削加工であり、内面22に、前記ボールが転がり接触する溝等が形成される。また、軸部18にスプライン19の仕上げ加工が行われる。更に、ねじ部20にねじ加工が行われる。
以上のようにして、ジョイント部材10が製造される。

0038

〔本開示のジョイント部材10及びその製造方法について〕
前記製造方法によって製造されるジョイント部材10(図1参照)は、次のとおりである。すなわち、ジョイント部材10は、筒部14及び底部16を有する有底筒状のカップ部12と、底部16から軸方向に延びている軸部18とを備える。筒部14は、その内面22を含む内面側層41と、その外面23を含む外面側層42と、内面側層41と外面側層42との間に存在する中間層43とを有する。内面側層41は、焼き入れ硬化層により構成され第一硬さを有する。外面側層42は、前記第一硬さよりも低い第二硬さを有する。本開示の外面側層42は、焼き入れ硬化層により構成されている。

0039

図6は、筒部14(厚さが5ミリメートルとなる代表部分)の硬さを説明する図である。図6中の「○」は本開示のジョイント部材10の値であり、「△」は従来のジョイント部材の値である。従来のジョイント部材は、鍛造により所定形状とされ、その後、冷却された状態から再加熱されてカップ部の内面側が部分焼き入れされたものである。図6において、横軸は、内面22から外面23に向かう方向の距離であり、横軸の左側が内面22側であり、右側が外面23側である。内面22から外側へ1.0ミリメートルの第一位置(図6のP1)までを内面側層41とし、外面23から内側へ1.0ミリメートルの第二位置(図6のP4)までを外面側層42と定義すると、中間層43は、前記第一位置(図6のP1)と前記第二位置(図6のP4)との間の領域となる。

0040

前記第一硬さは、650HV以上(好ましくは700HV以上)であり、前記第二硬さは、500HV以下である。なお、前記第一硬さの値は、内面22における硬さであり、前記第二硬さの値は、外面23における硬さである。第一硬さ及び第二硬さについて更に説明すると、第一硬さの上限(目安)は850HVであり、第二硬さの下限(目安)は190HVである。

0041

図6に示すように、本開示のジョイント部材10の中間層43は、内面側層41から外面側層42に向かうにしたがって前記第一硬さから前記第二硬さまでの範囲内で徐々に硬さの値が小さくなっている。前記「徐々に硬さの値が小さく」とは、連続的に硬さの値が小さくなることであり、目安として、中間層43の全域にわたって、内面22側から外面23側に向かう方向(厚さ方向)に沿って1ミリメートルあたりの硬さの変化量が200HV未満(好ましくは、150HV未満)となる場合である。

0042

本開示のジョイント部材10の場合(図6の「○」)、中間層42の硬さの値は、内面側層41から外面側層42に向かうにしたがって徐々に小さくなっていて、中間層43では、全域にわたって、内面22側から外面23側へ向かう方向について1ミリメートルあたりの硬さの変化量が200HV未満(150HV未満)である。
従来のジョイント部材の場合(図6の「△」)、中間層において、図6の第一位置P1と、更にこの第一位置P1から外側へ1.0ミリメートルの位置(図6のP2)との間で、1ミリメートルあたりの硬さの変化量が400HVを超えている。つまり、従来の中間層の硬さの値は、連続的に変化しておらず、不連続的に変化している。更に、従来のジョイント部材の場合、位置P2から外側に向かって、硬さの値が大きくなっている。

0043

そして、本開示のジョイント部材10の製造方法は、図2及び図3に示すように、鍛造工程S1と、焼き入れ工程S2とを含む。鍛造工程S1では、炭素成分が0.30重量%以上であり0.70重量%以下である炭素鋼による材料W0を、熱間鍛造によって、筒部14及び底部16を有するカップ部12と、底部16から軸方向に延びている軸部18とを備えた第一中間品W1に成形する。焼き入れ工程S2では、前記熱間鍛造から続けて温度が保たれた第一中間品W1を冷却して第二中間品W2とする。焼き入れ工程S2では、カップ部12の内面22側の冷却開始温度よりもカップ部12の外面23側の冷却開始温度が低く、内面22側をオーステナイトの単相域から冷却し、外面23側をフェライト及びオーステナイトの二相域から冷却する。

0044

この製造方法によれば、カップ部12の内面22側がオーステナイトの単相域にある温度から冷却開始され、内面22側は硬くなる。外面23側は、フェライト及びオーステナイトの二相域にある温度から冷却開始されることで、内面22側よりも柔らかくなる。よって、カップ部12の靭性を向上させることができ、カップ部12において、例えばき裂による強度低下を抑制することができる。ジョイント部材10において、強度低下が抑制されることで、小型化が可能となり、軽量化にも貢献する。

0045

本開示の製造方法によれば、鍛造焼き入れによってジョイント部材10が製造される。このため、従来の製造方法では必要であった鍛造後の部分焼き入れのための再加熱が不要であり、製造工程の削減が可能となる。つまり、材料W0から完成品であるジョイント部材10が得られるまでの各工程で熱が加えられる処理は、鍛造工程S1の始めに行われるヒータ装置31による加熱処理のみである。

0046

今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
焼き入れ機33(冷却ジャケット37及びノズル部38)は、図示した構成(図4)以外であってもよい。
本開示では、等速ジョイントのうち、自動車のハブユニット側のジョイント部材10について説明したが、車両中央側のジョイント部材も同じ構成を有し、同じ製造方法によって製造される。

0047

10:ジョイント部材12:カップ部 14:筒部
16:底部 18:軸部 41:内面側層
42:外面側層43:中間層 W0:材料
W1:第一中間品W2:第二中間品

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