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課題
解決手段
概要
背景
一般にプラスチックは、ガラスや金属等に比して成形が容易であり、種々の形状に容易に成形できるため、種々の用途に使用されている。その中でも、袋状容器(パウチ)やボトルなどの包装容器の分野は、プラスチックの用途の代表的な分野である。
包装容器の分野においては、内容物の排出性が要求され、特に粘稠なペースト状物については、容器の内面に付着残存し易く、また速やかな排出が困難であるため、これまでに多くの検討がなされている。
例えば、特許文献1には、表面に不織布が積層された包装容器が開示されている。この容器は、味噌やバターなどの水膜介在剥離性粘性物の収容に使用されるものであり、内容物との容器内面(不織布)との接触により、毛管現象により内容物の水分が不織布内に浸透し、気体が混在した水膜が形成され、この水膜が示す撥油性により内容物を速やかに排出することができるというものである。
また、特許文献2には、平均粒子径が10μm〜50μmの球状粒子が表面に露出して表面凹凸を形成している熱シール樹脂層を有しており、この熱シール樹脂層上に平均一次粒子径が5nm〜1nmの酸化物微粒子を分散させた無機バインダー層が形成され、さらに無機バインダー層表面に、撥水処理によって撥水コート層が形成された熱シール性フィルムが開示されている。このフィルムは、ヨーグルト、ゼリー、プリン、シロップ、御粥、スープなどの液体、半固体或いはゲル状物質などを収容する包装材に適用される。即ち、このフィルム表面には、メチル基などの疎水性官能基を有するシランカップリング剤により形成された撥水コート層の表面に、球形粒子と微粒子分散とによりフラクタル状の凹凸表面が形成されており、撥水コート層による撥水性とフラクタル状凹凸による撥水性とにより、包装される物質に対して優れた取出し性が発現されている。
さらに、特許文献3には、拡径したピラーの配列により形成されたリエントラント構造表面を有しており、このリエントラント構造表面にはフッ素原子が分布して撥液性表面となっているプラスチック成形体が開示されている。このプラスチック成形体は、特にカレーのような粘稠な流動体が収容される容器に適用される。
このように、内容物が容器内に付着残存せず、その排出性を高める手段としては、数多くの提案がなされており、その例を挙げれば枚挙に暇がないが、その多くは、上記の特許文献に開示されているように、内容物と接触する面に凹凸構造を形成し、さらには、フッ素化合物やシリコーン化合物などにより化学的に撥液性を付与するというものである。
ところで、上記のような内容物排出性は、全て粘稠な液体、ペースト、ゲル状物質などの流動体についてであり、固形製品についての検討はなされていない。固形製品は、それぞれ、独立して挙動する多数の粒状物もしくは塊状物の集合体であり、通常の公知の包装容器でも速やかに排出させることができ、容器内に付着残存することもないからである。
しかしながら、このような固形製品において、粒状物や塊状物に液体が含浸され、表面がウエットな状態となっているものがある。例えば、食品類では、通常のフリカケなどは乾燥粉末であり、ウエットではないが、フリカケでも、醤油、ミリン、ゴマ油、サラダ油等の調味液などにより味付けしたものや、つくだ煮、甘露煮などの煮つけ食品などは、ウエットな状態となっている。このようなウエットな固形製品は、袋詰めして販売されているものが多いが、固形製品の表面に存在している液体のべた付きなどのため、袋から取り出したとき、その一部が袋内に付着残存するという問題がある。また、ウエットな固形製品が他の製品と同梱され収容されているものもあり、フィルムなどの部材により仕切られて収容されている場合は、その部材にウエットな固形製品が付着してしまうという問題もある。しかしながら、付着する量がさほど多くなく、また、箸などを用いての掻きだし等により取り出すこともできるため、その排出性についての検討はほとんどなされていない。
概要
ウエットな状態にある固形製品が充填されている包装容器において、容器への付着が有効に防止された包装容器を提供する。固形製品が充填されている包装容器において、前記固形製品は、互いに独立して挙動する多数の固形粒子5(流粒状物もしくは塊状物)からなり、これら固形粒子は、それぞれ液体7が含浸されて表面がウエットな状態で存在しており、前記固形製品が接触する容器の面1は、粗面となっていることを特徴とする。
目的
本発明の目的は、ウエットな状態にある固形製品が収容されている包装容器において、容器内面あるいは仕切り部材への付着が有効に防止された包装容器を提供する
効果
実績
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請求項1
固形製品が収容されている包装容器において、前記固形製品は、互いに独立して挙動する多数の粒状物もしくは塊状物からなり、これら粒状物もしくは塊状物は、それぞれ液体が含浸されて表面がウエットな状態で存在しており、前記固形製品が接触する面は凹凸構造の粗面となっており、該粗面が容器内面、あるいは、前記固形製品を仕切る部材に設けられていることを特徴とする包装容器。
請求項2
前記粗面の算術平均粗さRaが15μmより大きいことを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
請求項3
前記粗面の凹部に、前記固形製品由来の液体が存在する請求項1または2に記載の包装容器。
請求項4
請求項5
前記粗面は熱可塑性樹脂により形成されている請求1〜4の何れかに記載の包装容器。
請求項6
前記粗面は、固形製品が収容されている容器を25℃で1日放置した後、収容されている固形製品を排出し、即座に固形製品が付着していない部分について、凹凸度を測定したとき、前記粗面の凸部頂点と凹部液面の振幅における最大高さであるRZが10μm以上となっている請求項4に記載の包装容器。
請求項7
前記液体が油分を含有する請求項1〜6の何れかに記載の包装容器。
請求項8
前記固形製品のサイズが1μm〜10mmであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の包装容器。
請求項9
袋の形態を有している請求項1〜8の何れかに記載の包装容器。
技術分野
背景技術
0002
一般にプラスチックは、ガラスや金属等に比して成形が容易であり、種々の形状に容易に成形できるため、種々の用途に使用されている。その中でも、袋状容器(パウチ)やボトルなどの包装容器の分野は、プラスチックの用途の代表的な分野である。
0004
例えば、特許文献1には、表面に不織布が積層された包装容器が開示されている。この容器は、味噌やバターなどの水膜介在剥離性粘性物の収容に使用されるものであり、内容物との容器内面(不織布)との接触により、毛管現象により内容物の水分が不織布内に浸透し、気体が混在した水膜が形成され、この水膜が示す撥油性により内容物を速やかに排出することができるというものである。
0005
また、特許文献2には、平均粒子径が10μm〜50μmの球状粒子が表面に露出して表面凹凸を形成している熱シール樹脂層を有しており、この熱シール樹脂層上に平均一次粒子径が5nm〜1nmの酸化物微粒子を分散させた無機バインダー層が形成され、さらに無機バインダー層表面に、撥水処理によって撥水コート層が形成された熱シール性フィルムが開示されている。このフィルムは、ヨーグルト、ゼリー、プリン、シロップ、御粥、スープなどの液体、半固体或いはゲル状物質などを収容する包装材に適用される。即ち、このフィルム表面には、メチル基などの疎水性官能基を有するシランカップリング剤により形成された撥水コート層の表面に、球形粒子と微粒子分散とによりフラクタル状の凹凸表面が形成されており、撥水コート層による撥水性とフラクタル状凹凸による撥水性とにより、包装される物質に対して優れた取出し性が発現されている。
0006
さらに、特許文献3には、拡径したピラーの配列により形成されたリエントラント構造表面を有しており、このリエントラント構造表面にはフッ素原子が分布して撥液性表面となっているプラスチック成形体が開示されている。このプラスチック成形体は、特にカレーのような粘稠な流動体が収容される容器に適用される。
0007
このように、内容物が容器内に付着残存せず、その排出性を高める手段としては、数多くの提案がなされており、その例を挙げれば枚挙に暇がないが、その多くは、上記の特許文献に開示されているように、内容物と接触する面に凹凸構造を形成し、さらには、フッ素化合物やシリコーン化合物などにより化学的に撥液性を付与するというものである。
0008
ところで、上記のような内容物排出性は、全て粘稠な液体、ペースト、ゲル状物質などの流動体についてであり、固形製品についての検討はなされていない。固形製品は、それぞれ、独立して挙動する多数の粒状物もしくは塊状物の集合体であり、通常の公知の包装容器でも速やかに排出させることができ、容器内に付着残存することもないからである。
0009
しかしながら、このような固形製品において、粒状物や塊状物に液体が含浸され、表面がウエットな状態となっているものがある。例えば、食品類では、通常のフリカケなどは乾燥粉末であり、ウエットではないが、フリカケでも、醤油、ミリン、ゴマ油、サラダ油等の調味液などにより味付けしたものや、つくだ煮、甘露煮などの煮つけ食品などは、ウエットな状態となっている。このようなウエットな固形製品は、袋詰めして販売されているものが多いが、固形製品の表面に存在している液体のべた付きなどのため、袋から取り出したとき、その一部が袋内に付着残存するという問題がある。また、ウエットな固形製品が他の製品と同梱され収容されているものもあり、フィルムなどの部材により仕切られて収容されている場合は、その部材にウエットな固形製品が付着してしまうという問題もある。しかしながら、付着する量がさほど多くなく、また、箸などを用いての掻きだし等により取り出すこともできるため、その排出性についての検討はほとんどなされていない。
先行技術
0010
特開2002−120861号公報
特開2014−69557号公報
特開2018−176743号公報
発明が解決しようとする課題
0011
本発明の目的は、ウエットな状態にある固形製品が収容されている包装容器において、容器内面あるいは仕切り部材への付着が有効に防止された包装容器を提供することにある。
課題を解決するための手段
0012
本発明者等は、ウエットな状態にある固形製品についての付着性について多くの実験を行った結果、容器の固形製品が接触する面を、凹凸構造を有する粗面とするときには、付着量を大きく低減させ得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
0013
即ち、本発明によれば、固形製品が収容されている包装容器において、
前記固形製品は、互いに独立して挙動する多数の粒状物もしくは塊状物からなり、これら粒状物もしくは塊状物は、それぞれ液体が含浸されて表面がウエットな状態で存在しており、
前記固形製品が接触する面は凹凸構造の粗面となっており、該粗面が容器内面、あるいは、前記固形製品を仕切る部材に設けられていることを特徴とする包装容器が提供される。
0014
本発明の包装容器においては、
(A)前記粗面の算術平均粗さRaが15μmより大きいこと
(B)前記粗面の凹部に、前記固体製品由来の液体が存在すること、
(C)前記粗面の凹部に存在する液体と固体製品との間に空気層が存在すること、
(D)前記粗面は、熱可塑性樹脂により形成されていること、
(E)前記粗面は、固形製品が収容されている容器を25℃で1日放置した後、収容されている固形製品を排出し、即座にその粗面の固形製品が付着していない部分について、凹凸度を測定したとき、前記粗面の凸部頂点と凹部液面の振幅における最大高さであるRZが10μm以上となっていること、
(F)前記液体が油分を含有すること、
(G)前記固形製品のサイズが1μm〜10mmであること、
(H)袋の形態を有していること、
が好適である。
発明の効果
0015
本発明の包装体は、その内部に表面がウエットな状態にある固形製品が収容されているものであり、該固形製品が接触する面が、凹凸構造の粗面となっている点に大きな特徴を有している。本発明では、凹凸構造の粗面を容器の固形製品と接触する面とすることにより、後述する実施例に示されているように、ウエットな固形製品の付着量を低減することができる。
また、本発明は、特に袋状容器として、食品用の固形製品の収容に極めて有用である。
図面の簡単な説明
0016
本発明の包装容器の固形製品と接触する面を形成している凹凸構造の粗面の形態を示す概略断面図。
本発明の原理を説明するための図。
粗面を形成する柱状体の他の形状を示す図。
粗面の形成方法を説明するための図。
本発明の実施例の排出試験後の外観を撮影した図。
0017
<ウエットな固形製品>
本発明において、ウエットな固形製品とは、互いに独立して挙動する多数の粒状物もしくは塊状物(以下、単に固形粒子と呼ぶことがある)からなり、これら固形粒子は、それぞれ液体が含浸されて表面がウエットな状態となっている製品である。即ち、ある種のゲル状体や乳化物(例えば寒天、豆腐、ヨーグルト、マヨネーズ)などは、表面がウエットな状態となっているものの、形状が定まっておらず、一定の応力を加えると形状が変化してしまうため固形ではなく、本発明における固形製品ではない。また、固形の粒子が液体に分散されてペースト状となっているものは、粒子が独立して挙動するものではなく、粒子群が一体となって流動するため、本発明における固形製品ではなく、本発明は適用されない。
0018
また、本発明が適用される固体製品は、独立して挙動する固形粒子に液体が含浸され、この液体が表面に存在して濡れた状態にあるものである。勿論、魚介類のフレークのように、固形粒子がもともと多くの液体成分を含んでおり、この液体成分が表面に分布しているものであってもよい。この表面の濡れの程度(表面に存在している液体量に対応)は一概に規定することはできないが、多量に存在していると、この液体が隣接する粒状物若しくは塊状物の表面に存在する液体と合一してしまい、この結果、ペースト状物などと同様、固形粒子が液体と共に一体に流動してしまうこととなる。従って、本発明を適用することはできない。また、固形粒子表面に存在している液量が少な過ぎると、容器内に固形粒子が付着残存するという問題を生じることが無く、本発明を適用する意味は無い。
従って、固形粒子の表面に存在する液体量は、ある程度の量であることが必要である。このような液体量は、含浸させる液体の種類が多く、厳密に規定することはできないが、水分を含浸する場合は水分活性が0.30〜0.99程度であり、油分のみを含浸する場合は固体製品の脂質が5〜50質量%程度である。
尚、水分活性とは、食品中に含まれる自由水を示すパラメータであり、食品の水蒸気圧を同一条件での純水の水蒸気圧で除した値である。
0019
さらに、本発明における固体製品は、上記の固形粒子が多数、容器内に収容されるものであり、過度に大きいものは、その重量により、包装容器に付着するという問題はほとんど生じない。このため、上記の固形粒子は、そのサイズが1μm〜10mm、特に10μm〜10mmであることが好ましい。
0020
上記のような観点から、本発明が適用される固体製品は、これに限定されるものではないが、鮭フレーク・そぼろ・のりたま・昆布・たらこ・明太子・梅干し・高菜・ツナマヨ・うなぎなどの濡れた各種フリカケ、時雨煮、甘露煮等が代表的である。
0021
<包装容器の固形製品と接触する面>
図1を参照して、本発明の包装容器の固形製品と接触する面1には、多数の突起3が形成されており、これにより、この固形製品と接触する面1は粗面となっている。
本発明の包装容器では、このような固形製品と接触する面(粗面)1に多数の固形粒子5が収容されており、この固形粒子5の表面には、それぞれ、液体7が分布している。
0022
本発明においては、上記のように突起3が形成されて面1が粗面となっているため、固形粒子5の固形製品と接触する面1への付着を有効に抑制することができる。
0023
この原理を説明する図2を参照して、例えば、包装容器の固形製品と接触する面1が粗面でない場合、この容器内に収容されている固形粒子5は、固形製品と接触する面1に接触した状態で保存されているため、その表面に存在している液体7が固形粒子5と内面1との間に過剰に存在することになる(図2(a)参照)。この結果、固形粒子5は、液体7を介して固形製品と接触する面1に完全に密着した状態となり、固形製品と接触する面1から剥がれ難くなってしまう。このことは、後述する実施例で確認されている。
一方、本発明にしたがい、容器の固形製品と接触する面1が粗面の場合、この容器内に収容されている固形粒子5は、固形製品と接触する面1に接触した状態で保存されたとき、毛管現象などにより多少液体7が、突起3の間の空間9に侵入し液体7が、突起9間の空間に充満するため、柱状突起3による光の散乱が緩和されることとなり、固形粒子5を収容する前では不透明であったものが透明となっている。上述した理由より固形粒子5と固形製品と接触する面1の密着に寄与する液体7の量を低減できる(図2(b)参照)。
さらに好ましくは、突起3の間の空間9に空気層11が存在している(図2(c)参照)。即ち、この場合には、突起3が露出しているため、後述する実施例に示されているように、突起3による光の散乱が保持されているため、固形粒子5を収容する前と同様、不透明となっている。
0024
このように、本発明では、固体粒子5と固形製品と接触する面1との間には、液体7が介在しているものの、粗面により液体量を低減しているため、固形粒子5の付着を有効に回避することができる。例えば、後述する実施例では、袋状容器にフレーク状のサケフリカケを収容して実験を行っているが、本発明では、袋の一端を引き裂いて開口を形成し、倒立状態にして2〜3回振る程度でほぼ全量を容易に取り出すことができる。
一方、粗面を形成していない比較例では、何度繰り返し振っても、かなりの量が容器内に付着残存していた。
0025
上記説明から理解されるように、本発明では、粗面により、固体粒子5の表面に存在する液体7の量を低減している。例えば、固体粒子5が収容されている包装容器の固体製品と接触している面を観察したとき、空間9に液体が存在することを確認でき、特に好ましくは空間9に存在する液体7と固体粒子5の間に空気層が存在する。例えば、固形製品が収容されている容器を25℃で1日放置した後、収容されている固形製品を排出した後、即座に、突起3の頂点と空間9に存在する液体7の液面の振幅における最大高さRZが4μm以上、特に10μm以上となっていることが好ましい。
0026
上記のRZは、この包装容器に収容される固形製品が本発明により好適に使用可能か否かを判断するパラメータとして利用することもできる。即ち、本発明が適用されるには、この形成品を構成する固形粒子5の表面が、適度な量の液体7により濡れていることが必要である。この量は、液体7の種類によっても異なるため、予めラボ試験を行い、上記のRZが十分な値であればより本発明をより好適に使用可能と判断することができる。
これにより、種々の液体7、例えば、糖類が溶解もしくは分散した粘調液、みりん等の含水アルコールや各種の煮液、サラダ油、ゴマ油などの植物油、各種動物の肉汁などが表面に存在する固形粒子5からなる固体製品について、本発明をより好適に使用し得るか否かを正確に判定することができる。
0027
また、本発明における凹凸構造においては、突起3の間隔が必要以上に大きいと、液体7のみならず固体粒子5が空間9内に侵入し易くなってしまうため、通常、この間隔は、固体粒子に対して十分小さいことが好ましい。
0028
さらに、凹凸構造を形成する突起3の形態は、図1の例では、断面が長方形で示されているが、これに限定されるものではないが、特に、図3に示されるように、上端部に拡径した頭部3aが形成されている形態とすることもできる他、柱形状以外にも、球体状やドーム状、錐形状、その他不規則な形状であってもよく、凹凸構造を有する粗面となるものであれば良い。
0029
上述した本発明において、突起3の配列形態は、格子状に形成されていてもよいし、三方配列されていてもよいし、不規則に配列されていても良いし、いわゆるポール状の形態のものが分布している形態とすることもできる。
0030
本発明において、上記のような突起3を有する容器の固形製品と接触する面1は、所定形状に成形され得る限り任意のプラスチック、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などにより形成されていてよく、この成形体の用途に応じて、適宜の樹脂を選択すればよく、多層構造とすることも可能である。また、成形性の点で、熱可塑性樹脂が好適である。
一般に、包装材分野では、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンもしくはプロピレンと他のオレフィンとの共重合体などに代表されるオレフィン系樹脂、エチレンとビニルアルコールとの共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルが代表的である。
0031
<凹凸構造の形成>
本発明において、上述した突起3による凹凸構造は、種々の方法で作成することができ、例えば、転写法、サンドブラスト法、樹脂繊維の吹き付けを利用した方法を採用することできるし、また、原理的には、不織布の貼り付けにより、容器内面を不織布層とすることにより、凹凸構造を形成することも可能である。しかしながら、樹脂繊維や不織布を用いる方法では、繊維屑の発生などの問題があり、サンドブラスト法では使用するメディア(投射材、研磨材)のコンタミなどの問題があるため、転写法により形成することが望ましい。
0032
上述した突起3を形成する転写法は、図4に示すプロセスで実施することができる。
0033
図4(a)に示すように押出機41から出てきた溶融状態のプラスチックを凹凸構造が付与されたロール43上に押出し、ニップロール45にて加圧しながら、冷却固化させることで表面に凹凸構造が転写されたフィルム又はシート47を成形できるし、図示はしないが表面に凹凸構造が転写された金型を用いて公知の射出成形法により成形することもできる。
また、その他の転写法として図4(b)に示すように、予め射出成形、押出成形等により所定形状に成形されたプラスチックに対し、それ自体公知の加熱方法により予熱し、凹凸構造が付与されたロール43とニップロール45間で加圧しながら冷却させてもよいし、図4(c)に示すように表面に凹凸構造が付与されたベルト61とニップベルト63の間で温度制御された複数のロール65にて加圧しながら冷却させてもよいし、図示はしないがホットプレス機を用いて凹凸構造が転写された金型にて押圧し、冷却させてもよい。
0034
前記ロール43、凹凸構造が転写された金型、ベルト61は公知のフォトリソグラフィー法、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、サンドブラスト法、レーザー彫刻法、切削彫刻法などにより凹凸形状の転写するための形状を表面に形成することで作製することができる。
0035
このようにして得られた凹凸構造は、上記基材20の形態に応じて、チューブ、カップ、トレイ、ボトル等の形態の容器内面に適用することができる他、トレイ、カップ容器内の付着防止フィルムやバランに代表される仕切り部材にも適用できるが、一般的には、プラスチック基材20としてフィルムを使用し、このフィルム面に凹凸構造を形成し、得られたフィルムを用いて、それ自体公知の方法によりヒートシールを行うことにより、袋状容器とすることが最も好適である。
このようにして得られる袋状容器に、前述した固形製品を収容し、シールすることにより、本発明の包装容器とすることができる。
0036
本発明の包装容器は、特に固形粒子に調味液などを含浸させる食品関係に好適に適用され、容器への付着を有効に抑制することができる。
0037
本発明を次の実施例によりさらに説明するが、本発明は次の例により何らかの制限を受けるものではない。なお、実施例及び比較例の各種評価方法は以下の通りである。
0038
(排出評価)
固形製品の付着量を評価するために下記条件で排出評価を実施した。
6×8cmのサンプルフィルムAを2枚の3辺をシール幅1cm、加熱条件180℃1.5秒でヒートシールすることで、パウチAを作製する。
そのパウチAにウエットなさけふりかけ(脂質32.5質量%)を3g収容し、残る一辺をシールした。シール後、ふりかけがフィルムA内面に万遍なく接触するようにした後、1日正置状態で室温(25℃)保管した。保管後、一方の短辺側のシール部をハサミにてカットし、長辺側シール部を両手で掴み、ハサミでカットした部分をしたに向け、パウチAをそれ以上排出されなくなるまで何度も閉開口を繰り返した。
このときの残量量即ち付着量が多く、0.2gより大きいものは×、少なく0.2〜0.1は○、極めて少なく0.1未満ものは◎として評価した。
0039
(凹凸度評価)
前述の排出評価後、即座に、パウチAのふりかけが付着していない部分に対し、白色干渉計(ZYGO社NewView7300)にて測定し、測定箇所の凸部同士を結び、例えば、実施例2〜4の場合は円柱の中心同士を結んで断面曲線を取得した後、カットオフ値2.5mm、基準長さ2.5mm、評価長さ12.5mmの条件で線粗さ解析を行い、最大高さRz、Raを算出した。
0040
(実施例1)
まず、メディアとしてホワイトアルミナを用い、サンドブラスト法により凹凸構造を付与し、表面が粗面となった外形形状67mm×67mm×厚さ0.5mmの凹凸金型Aを用意した。
次に上下ラム部を持つホットプレス機において、上ラム部下面に対し、金型Aを取り付け、一方、下ラム部上面に対し押圧力が均一になるようシリコーンゴム製アンビルを取り付け、アンビル上にPPフィルム(東レフィルム加工社製、SH41E)を積載した後、上ラム部に取り付けた金型Aに対し、ハロゲンヒータを照射し、赤外線輻射加熱を行い、金型温度を300℃まで昇温させた。昇温を確認した後、下ラム部を上昇させて、金とアンビルでフィルムを押圧し、金型面に彫刻された凹凸構造をフィルム表面に転写し、押圧状態を10秒間保持し、十分フィルム表面を冷却固化させた後、下ラムを降下させ、サンプルフィルムAを得た。その後、上述した方法にてパウチAを作製し、排出評価並びに凹凸度評価を実施した。
0041
(実施例2)
フォトリソグラフィー法により径60μm、高さ50μm、ピッチ128μm、3方配列の円柱ホール形状の凹凸金型Aを用意した以外は実施例1と同様してサンプルA、パウチAを作製し、排出評価並びに凹凸度評価を実施した。
0042
(実施例3)
凹凸金型Aを径60μm、高さ90μm、ピッチ128μm、3方配列の円柱ホール形状とする以外は実施例2と同様してサンプルA、パウチAを作製し、排出評価並びに凹凸度評価を実施した。
0043
(実施例4)
凹凸金型Aを径60μm、高さ180μm、ピッチ128μm、3方配列の円柱ホール形状とする以外は実施例2と同様してサンプルA、パウチAを作製し、排出評価並びに凹凸度評価を実施した。
0044
(比較例1)
凹凸形状を付与してせず、PPフィルム(東レフィルム加工社製、SH41E)を6×8cmにカットし、サンプルAとする以外は実施例1と同様してパウチAを作製し、排出評価並びに凹凸度評価を実施した。
0045
上述した実施例並びに比較例の評価結果を表1に示す。
実施例
0046
表1からも明らかなように、本発明によりウエットな固形製品の付着量を低減できすることができる。さらに排出評価後の実施例5の外観写真図5から明らかなようにふりかけ由来の液体で凹凸部が充満し、透明になっている箇所71よりも凹凸部が露出し、不透明なまま即ち、ふりかけとパウチAの間に空気層が存在する箇所73のほうがよりふりかけの付着が抑制されていることがわかる。
0047
1:固形製品が接触する面
3:突起
3a:拡径頭部
5:固形粒子
7:液体
9:柱状突起間の空間
41:押出機
43:凹凸構造が付与されたロール
45:ニップロール
47:凹凸構造が転写されたフィルム又はシート
61:凹凸構造が付与されたベルト
63:ニップベルト
65:温度制御されたロール