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技術 生薬鑑別用プライマーセット及びそれを用いた生薬鑑別方法

出願人 株式会社ツムラ
発明者 司馬真央山路弘樹曽根美佳子
出願日 2019年12月6日 (11ヶ月経過) 出願番号 2019-221497
公開日 2020年7月9日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-103279
状態 未査定
技術分野 突然変異または遺伝子工学 微生物・酵素関連装置 酵素、微生物を含む測定、試験
主要キーワード 選択構成要素 流通品 シリカマトリクス 鑑別対象 バーコード配列 類似品 吸着精製 ニンドウ
関連する未来課題
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図面 (20)

課題

加工処理された生薬候補の被検植物基原植物であるか否かを正確に同定し、その生薬候補が目的の生薬であることを鑑別することのできる手段、及びそれを用いた鑑別方法を開発し、提供する。

解決手段

加工処理された被検植物から安定的に塩基配列情報を取得でき、かつ基原植物に特異的な塩基配列を有する基原植物のゲノムDNA又は葉緑体DNAにおける特定領域を増幅可能なプライマーセットを各生薬について設計した。このプライマーセット及びそれを用いた生薬鑑別方法を提供する。

概要

背景

生薬は、第十七改正日本薬局方又は局外生規2015において、基原植物が規定されている。基原植物とは、ある生薬の原料となる植物(原植物)であり、生薬ごとに種単位で定められている。例えば、生薬「ジオウ」の基原植物は、アカヤジオウRehmannia glutinosa Liboschitz var. purpurea Makino又はRehmannia glutinosa Liboschitz (Scrophulariaceae)であり、それ以外の植物種は、例え同属近縁種であっても、原則として「ジオウ」とは認められていない。しかし、一般に生薬は、基原植物を加熱、乾燥等の様々な加工処理を施した状態で流通している。それ故に、基原植物に外観が類似する植物種(類似種)を原料とした疑似生薬と、基原植物を原料とする生薬とを外見的に区別できない場合も少なくない。疑似生薬の多くは、生薬本来の薬効が期待できない場合が多く、また価格も安価である。したがって、流通する生薬が、本来の基原植物を原料としているか否かを正確に確認することは重要な作業である。通常、生薬候補の植物に含まれる核酸を抽出し、種特異的な領域の塩基配列を決定することで、検査対象である被検植物が対象生薬の基原植物であるか否かを同定することができる(非特許文献1)。しかし、生薬は、前述のように、多くが加工処理されており、また長期にわたる保存によって経時変化を受けることで、試料中のDNAが損傷及び/又は断片化している場合や、カビキノコ等の菌類由来のDNAの混入している場合が多い。そのため、生薬から採取した核酸の塩基配列決定自体が困難であり、これまで原植物の正確な同定ができなかった。

そこで、加熱等の加工処理がなされた生薬候補の被検植物から、安定的に、かつ正確に塩基配列情報を取得することによって、その被検植物が基原植物であるか否かを正確に同定し、異種植物が混入、又は置換されていない正しい生薬であることを確認する技術が望まれていた。

概要

加工処理された生薬候補の被検植物が基原植物であるか否かを正確に同定し、その生薬候補が目的の生薬であることを鑑別することのできる手段、及びそれを用いた鑑別方法を開発し、提供する。加工処理された被検植物から安定的に塩基配列情報を取得でき、かつ基原植物に特異的な塩基配列を有する基原植物のゲノムDNA又は葉緑体DNAにおける特定領域を増幅可能なプライマーセットを各生薬について設計した。このプライマーセット及びそれを用いた生薬鑑別方法を提供する。なし

目的

そこで、加熱等の加工処理がなされた生薬候補の被検植物から、安定的に、かつ正確に塩基配列情報を取得することによって、その被検植物が基原植物であるか否かを正確に同定し、異種植物が混入、又は置換されていない正しい生薬であることを確認する技術が望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

生薬鑑別プライマーセットであって、前記生薬がブクリョウジオウエンゴサク、カッコンボウフウオンジハッカマオウ、タイソウサンソウニン、カロコン/カロニンゴシュユ、ゼンコ、チモバクモンドウビャクシ、イレイセンインチンコウジコッピシュクシャニンドウ、センコツソウハクヒ、キョウカツビワヨウ、シコン、及びトチュウからなる群から選択され、前記プライマーセットは、ブクリョウのときに配列番号1及び2、又は配列番号3及び4、ジオウのときに配列番号17及び18、エンゴサクのときに配列番号26及び27、カッコンのときに配列番号37及び38、又は配列番号39及び40、ボウフウのときに配列番号51及び52、オンジのときに配列番号65及び66、ハッカのときに配列番号73及び74、マオウのときに配列番号85及び86、又は配列番号385及び386、タイソウ/サンソウニンのときに配列番号101及び102、又は配列番号103及び104、カロコン/カロニンのときに配列番号125及び126、又は配列番号127及び128、ゴシュユのときに配列番号141及び142、又は配列番号143及び144、ゼンコのときに配列番号171及び172、又は配列番号401及び402、チモのときに配列番号186及び187、バクモンドウのときに配列番号199及び200、ビャクシのときに配列番号213及び214、又は配列番号416及び417、イレイセンのときに配列番号227及び228、インチンコウのときに配列番号241及び242、又は配列番号243及び244、ジコッピのときに配列番号261及び262、シュクシャのときに配列番号275及び276、ニンドウのときに配列番号284及び285、センコツのときに配列番号298及び299、ソウハクヒのときに配列番号312及び313、キョウカツのときに配列番号324及び325、ビワヨウのときに配列番号332及び333、又は配列番号334及び335、シコンのときに配列番号360及び361、及び、トチュウのときに配列番号374及び375、で示す塩基配列からなるポリヌクレオチドである、前記プライマーセット。

請求項2

請求項1に記載の生薬の鑑別用プライマーセットからなる群から選択される1以上を含む生薬鑑別キット

請求項3

生薬の基原植物から調製された核酸鋳型に、その生薬の鑑別用プライマーを用いて核酸増幅反応して得られる増幅産物塩基配列情報を記載した塩基配列表を含む、請求項2に記載の生薬鑑別キット。

請求項4

ブクリョウの鑑別方法であって、ブクリョウ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号1及び2、又は配列番号3及び4で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び配列番号1及び2で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号1で示す塩基配列と配列番号2で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号5で示す塩基配列、又は配列番号3及び4で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号3で示す塩基配列と配列番号4で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号11で示す塩基配列を比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はブクリョウの基原植物であって、前記ブクリョウ候補がブクリョウであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項5

ジオウの鑑別方法であって、ジオウ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号17及び18で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号17で示す塩基配列と配列番号18で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号19又は20で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はジオウの基原植物であって、前記ジオウ候補がジオウであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項6

エンゴサクの鑑別方法であって、エンゴサク候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号26及び27で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号26で示す塩基配列と配列番号27で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号28で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はエンゴサクの基原植物であって、前記エンゴサク候補がエンゴサクであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項7

カッコンの鑑別方法であって、カッコン候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号37及び38、又は配列番号39及び40で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び配列番号37及び38で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号37で示す塩基配列と配列番号38で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号41で示す塩基配列、又は配列番号39及び40で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号39で示す塩基配列と配列番号40で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号46で示す塩基配列を比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はカッコンの基原植物であって、前記カッコン候補がカッコンであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項8

ボウフウの鑑別方法であって、ボウフウ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号51及び52で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号51で示す塩基配列と配列番号52で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号53で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はボウフウの基原植物であって、前記ボウフウ候補がボウフウであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項9

オンジの鑑別方法であって、オンジ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号65及び66で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのpsbA-trnH領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号65で示す塩基配列と配列番号66で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号67で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はオンジの基原植物であって、前記オンジ候補がオンジであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項10

ハッカの鑑別方法であって、ハッカ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号73及び74で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号73で示す塩基配列と配列番号74で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号75で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はハッカの基原植物であって、前記ハッカ候補がハッカであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項11

マオウの鑑別方法であって、マオウ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号85及び86、又は配列番号385及び386で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのrbcL領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び配列番号85及び86で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号85で示す塩基配列と配列番号86で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号87〜89のいずれかで示す塩基配列、又は配列番号385及び386で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号385で示す塩基配列と配列番号386で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号387〜389のいずれかで示す塩基配列を比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はマオウの基原植物であって、前記マオウ候補がマオウであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項12

タイソウ/サンソウニンの鑑別方法であって、タイソウ/サンソウニン候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号101及び102、又は配列番号103及び104で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び配列番号101及び102で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号101で示す塩基配列と配列番号102で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号105で示す塩基配列、又は配列番号103及び104で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号103で示す塩基配列と配列番号104で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号115で示す塩基配列を比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はタイソウ/サンソウニンの基原植物であって、前記タイソウ/サンソウニン候補がタイソウ/サンソウニンであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項13

カロコン/カロニンの鑑別方法であって、カロコン/カロニン候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号125及び126、又は配列番号127及び128で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのrpl16イントロン領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び配列番号125及び126で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号125で示す塩基配列と配列番号126で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号129〜131のいずれかで示す塩基配列、又は配列番号127及び128で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号127で示す塩基配列と配列番号128で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号135〜137のいずれかで示す塩基配列を比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はカロコン/カロニンの基原植物であって、前記カロコン/カロニン候補がカロコン/カロニンであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項14

ゴシュユの鑑別方法であって、ゴシュユ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号141及び142、又は配列番号143及び144で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び配列番号141及び142で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号141で示す塩基配列と配列番号142で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号145〜147のいずれかで示す塩基配列、又は配列番号143及び144で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号143で示す塩基配列と配列番号144で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号158〜160のいずれかで示す塩基配列を比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はゴシュユの基原植物であって、前記ゴシュユ候補がゴシュユであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項15

ゼンコの鑑別方法であって、ゼンコ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号171及び172、又は配列番号401及び402で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び配列番号171及び172で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号171で示す塩基配列と配列番号172で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号173又は174で示す塩基配列、又は配列番号401及び402で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号401で示す塩基配列と配列番号402で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号403又は404で示す塩基配列を比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はゼンコの基原植物であって、前記ゼンコ候補がゼンコであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項16

チモの鑑別方法であって、チモ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号186及び187で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号186で示す塩基配列と配列番号187で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号188で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はチモの基原植物であって、前記チモ候補がチモであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項17

バクモンドウの鑑別方法であって、バクモンドウ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号199及び200で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号199で示す塩基配列と配列番号200で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号201で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はバクモンドウの基原植物であって、前記バクモンドウ候補がバクモンドウであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項18

ビャクシの鑑別方法であって、ビャクシ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号213及び214、又は配列番号416及び417で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び配列番号213及び214で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号213で示す塩基配列と配列番号214で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号215で示す塩基配列、又は配列番号416及び417で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号416で示す塩基配列と配列番号417で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号418で示す塩基配列を比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はビャクシの基原植物であって、前記ビャクシ候補がビャクシであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項19

イレイセンの鑑別方法であって、イレイセン候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号227及び228で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号227で示す塩基配列と配列番号228で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号229〜231のいずれかで示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はイレイセンの基原植物であって、前記イレイセン候補がイレイセンであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項20

インチンコウの鑑別方法であって、インチンコウ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号241及び242、又は配列番号243及び244で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのpetD-rpoA領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び配列番号241及び242で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号241で示す塩基配列と配列番号242で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号245で示す塩基配列、又は配列番号243及び244で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号243で示す塩基配列と配列番号244で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号253で示す塩基配列を比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はインチンコウの基原植物であって、前記インチンコウ候補がインチンコウであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項21

ジコッピの鑑別方法であって、ジコッピ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号261及び262で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのtrnH-psbA領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号261で示す塩基配列と配列番号262で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号263又は264で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はジコッピの基原植物であって、前記ジコッピ候補がジコッピであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項22

シュクシャの鑑別方法であって、シュクシャ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号275及び276で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号275で示す塩基配列と配列番号276で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号277で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はシュクシャの基原植物であって、前記シュクシャ候補がシュクシャであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項23

ニンドウの鑑別方法であって、ニンドウ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号284及び285で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのpsbA-trnH領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号284で示す塩基配列と配列番号285で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号286で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はニンドウの基原植物であって、前記ニンドウ候補がニンドウであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項24

センコツの鑑別方法であって、センコツ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号298及び299で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号298で示す塩基配列と配列番号299で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号300で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はセンコツの基原植物であって、前記センコツ候補がセンコツであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項25

ソウハクヒの鑑別方法であって、ソウハクヒ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号312及び313で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号312で示す塩基配列と配列番号313で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号314で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はソウハクヒの基原植物であって、前記ソウハクヒ候補がソウハクヒであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項26

キョウカツの鑑別方法であって、キョウカツ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号324及び325で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号324で示す塩基配列と配列番号325で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号326又は327で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はキョウカツの基原植物であって、前記キョウカツ候補がキョウカツであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項27

ビワヨウの鑑別方法であって、ビワヨウ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号332及び333、又は配列番号334及び335で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び配列番号332及び333で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号332で示す塩基配列と配列番号333で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号336で示す塩基配列、又は配列番号334及び335で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号334で示す塩基配列と配列番号335で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号348で示す塩基配列を比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はビワヨウの基原植物であって、前記ビワヨウ候補がビワヨウであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項28

シコンの鑑別方法であって、シコン候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号360及び361で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号360で示す塩基配列と配列番号361で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号362で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はシコンの基原植物であって、前記シコン候補がシコンであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

請求項29

トチュウの鑑別方法であって、トチュウ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号374及び375で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのpsbA-trnH領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号374で示す塩基配列と配列番号375で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号376で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はトチュウの基原植物であって、前記トチュウ候補がトチュウであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

技術分野

0001

本発明は、様々な生薬試料日本薬局方又は局外生規で規定された基原植物であることを確認できる核酸増幅反応プライマーセット、及びそのプライマーセットを用いた生薬鑑別方法に関する。

背景技術

0002

生薬は、第十七改正日本薬局方又は局外生規2015において、基原植物が規定されている。基原植物とは、ある生薬の原料となる植物(原植物)であり、生薬ごとに種単位で定められている。例えば、生薬「ジオウ」の基原植物は、アカヤジオウRehmannia glutinosa Liboschitz var. purpurea Makino又はRehmannia glutinosa Liboschitz (Scrophulariaceae)であり、それ以外の植物種は、例え同属近縁種であっても、原則として「ジオウ」とは認められていない。しかし、一般に生薬は、基原植物を加熱、乾燥等の様々な加工処理を施した状態で流通している。それ故に、基原植物に外観が類似する植物種(類似種)を原料とした疑似生薬と、基原植物を原料とする生薬とを外見的に区別できない場合も少なくない。疑似生薬の多くは、生薬本来の薬効が期待できない場合が多く、また価格も安価である。したがって、流通する生薬が、本来の基原植物を原料としているか否かを正確に確認することは重要な作業である。通常、生薬候補の植物に含まれる核酸を抽出し、種特異的な領域の塩基配列を決定することで、検査対象である被検植物が対象生薬の基原植物であるか否かを同定することができる(非特許文献1)。しかし、生薬は、前述のように、多くが加工処理されており、また長期にわたる保存によって経時変化を受けることで、試料中のDNAが損傷及び/又は断片化している場合や、カビキノコ等の菌類由来のDNAの混入している場合が多い。そのため、生薬から採取した核酸の塩基配列決定自体が困難であり、これまで原植物の正確な同定ができなかった。

0003

そこで、加熱等の加工処理がなされた生薬候補の被検植物から、安定的に、かつ正確に塩基配列情報を取得することによって、その被検植物が基原植物であるか否かを正確に同定し、異種植物が混入、又は置換されていない正しい生薬であることを確認する技術が望まれていた。

先行技術

0004

丸山卓郎他, 2013年, 特産種苗, 16: 70-76

発明が解決しようとする課題

0005

本発明の課題は、加工処理された生薬候補の被検植物が目的とする生薬の基原植物であるか否かを正確に確認し、その生薬候補が目的の生薬であることを鑑別することのできる手段、及びそれを用いた鑑別方法を開発し、提供することである。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、様々な生薬の基原植物におけるゲノムDNA、又は葉緑体DNA網羅的に調べた結果、各生薬の基原植物に特異的な塩基配列が特定領域に存在すること、またその領域は、加工処理された被検植物からも安定的に塩基配列情報を取得できることを見出した。これらの知見に基づき、前記特定領域を増幅することのできるプライマーセットを開発し、それを用いて生薬候補の被検植物が基原植物であるか否かを正確に同定し、生薬候補が目的の生薬であることを鑑別できる方法を開発することに成功した。本明細書では、当該鑑別手段であるプライマーセット及びそれを用いた生薬鑑別方法に基づく以下の発明を提供する。

0007

(1)生薬の鑑別用プライマーセットであって、前記生薬がブクリョウ、ジオウ、エンゴサク、カッコンボウフウオンジハッカマオウ、タイソウサンソウニン、カロコン/カロニンゴシュユ、ゼンコ、チモバクモンドウビャクシ、イレイセンインチンコウジコッピシュクシャニンドウ、センコツソウハクヒ、キョウカツビワヨウ、シコン、及びトチュウからなる群から選択され、前記プライマーセットは、ブクリョウのときに配列番号1及び2、又は配列番号3及び4、ジオウのときに配列番号17及び18、エンゴサクのときに配列番号26及び27、カッコンのときに配列番号37及び38、又は配列番号39及び40、ボウフウのときに配列番号51及び52、オンジのときに配列番号65及び66、ハッカのときに配列番号73及び74、マオウのときに配列番号85及び86、又は配列番号385及び386、タイソウ/サンソウニンのときに配列番号101及び102、又は配列番号103及び104、カロコン/カロニンのときに配列番号125及び126、又は配列番号127及び128、ゴシュユのときに配列番号141及び142、又は配列番号143及び144、ゼンコのときに配列番号171及び172、又は配列番号401及び402、チモのときに配列番号186及び187、バクモンドウのときに配列番号199及び200、ビャクシのときに配列番号213及び214、又は配列番号416及び417、イレイセンのときに配列番号227及び228、インチンコウのときに配列番号241及び242、又は配列番号243及び244、ジコッピのときに配列番号261及び262、シュクシャのときに配列番号275及び276、ニンドウのときに配列番号284及び285、センコツのときに配列番号298及び299、ソウハクヒのときに配列番号312及び313、キョウカツのときに配列番号324及び325、ビワヨウのときに配列番号332及び333、又は配列番号334及び335、シコンのときに配列番号360及び361、及び、トチュウのときに配列番号374及び375で示す塩基配列からなるポリヌクレオチドである、前記プライマーセット。
(2)(1)に記載の生薬の鑑別用プライマーセットからなる群から選択される1以上を含む生薬鑑別キット
(3)生薬の基原植物から調製された核酸を鋳型に、その生薬の鑑別用プライマーを用いて核酸増幅反応して得られる増幅産物の塩基配列情報を記載した塩基配列表を含む、(2)に記載の生薬鑑別キット。
(4)ブクリョウの鑑別方法であって、ブクリョウ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号1及び2、又は配列番号3及び4で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び配列番号1及び2で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号1で示す塩基配列と配列番号2で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号5で示す塩基配列、又は配列番号3及び4で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号3で示す塩基配列と配列番号4で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号11で示す塩基配列を比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はブクリョウの基原植物であって、前記ブクリョウ候補がブクリョウであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(5)ジオウの鑑別方法であって、ジオウ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号17及び18で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号17で示す塩基配列と配列番号18で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号19又は20で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はジオウの基原植物であって、前記ジオウ候補がジオウであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(6)エンゴサクの鑑別方法であって、エンゴサク候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号26及び27で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号26で示す塩基配列と配列番号27で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号28で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はエンゴサクの基原植物であって、前記エンゴサク候補がエンゴサクであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(7)カッコンの鑑別方法であって、カッコン候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号37及び38、又は配列番号39及び40で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び配列番号37及び38で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号37で示す塩基配列と配列番号38で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号41で示す塩基配列、又は配列番号39及び40で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号39で示す塩基配列と配列番号40で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号46で示す塩基配列を比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はカッコンの基原植物であって、前記カッコン候補がカッコンであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(8)ボウフウの鑑別方法であって、ボウフウ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号51及び52で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号51で示す塩基配列と配列番号52で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号53で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はボウフウの基原植物であって、前記ボウフウ候補がボウフウであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(9)オンジの鑑別方法であって、オンジ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号65及び66で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのpsbA-trnH領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号65で示す塩基配列と配列番号66で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号67で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はオンジの基原植物であって、前記オンジ候補がオンジであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(10)ハッカの鑑別方法であって、ハッカ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号73及び74で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号73で示す塩基配列と配列番号74で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号75で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はハッカの基原植物であって、前記ハッカ候補がハッカであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(11)マオウの鑑別方法であって、マオウ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号85及び86、又は配列番号385及び386で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのrbcL領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び配列番号85及び86で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号85で示す塩基配列と配列番号86で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号87〜89のいずれかで示す塩基配列、又は、配列番号385及び386で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号385で示す塩基配列と配列番号386で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号387〜389のいずれかで示す塩基配列を比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はマオウの基原植物であって、前記マオウ候補がマオウであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(12)タイソウ/サンソウニンの鑑別方法であって、タイソウ/サンソウニン候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号101及び102、又は配列番号103及び104で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び配列番号101及び102で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号101で示す塩基配列と配列番号102で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号105で示す塩基配列、又は配列番号103及び104で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号103で示す塩基配列と配列番号104で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号115で示す塩基配列を比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はタイソウ/サンソウニンの基原植物であって、前記タイソウ/サンソウニン候補がタイソウ/サンソウニンであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(13)カロコン/カロニンの鑑別方法であって、カロコン/カロニン候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号125及び126、又は配列番号127及び128で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのrpl16イントロン領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び配列番号125及び126で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号125で示す塩基配列と配列番号126で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号129〜131のいずれかで示す塩基配列、又は配列番号127及び128で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号127で示す塩基配列と配列番号128で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号135〜137のいずれかで示す塩基配列を比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はカロコン/カロニンの基原植物であって、前記カロコン/カロニン候補がカロコン/カロニンであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(14)ゴシュユの鑑別方法であって、ゴシュユ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号141及び142、又は配列番号143及び144で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び配列番号141及び142で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号141で示す塩基配列と配列番号142で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号145〜147のいずれかで示す塩基配列、又は配列番号143及び144で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号143で示す塩基配列と配列番号144で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号158〜160のいずれかで示す塩基配列を比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はゴシュユの基原植物であって、前記ゴシュユ候補がゴシュユであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(15)ゼンコの鑑別方法であって、ゼンコ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号171及び172、又は配列番号401及び402で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び配列番号171及び172で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号171で示す塩基配列と配列番号172で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号173又は174で示す塩基配列、又は配列番号401及び402で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号401で示す塩基配列と配列番号402で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号403又は404で示す塩基配列を比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はゼンコの基原植物であって、前記ゼンコ候補がゼンコであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(16)チモの鑑別方法であって、チモ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号186及び187で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号186で示す塩基配列と配列番号187で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号188で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はチモの基原植物であって、前記チモ候補がチモであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(17)バクモンドウの鑑別方法であって、バクモンドウ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号199及び200で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号199で示す塩基配列と配列番号200で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号201で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はバクモンドウの基原植物であって、前記バクモンドウ候補がバクモンドウであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(18)ビャクシの鑑別方法であって、ビャクシ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号213及び214、又は配列番号416及び417で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び配列番号213及び214で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号213で示す塩基配列と配列番号214で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号215で示す塩基配列、又は配列番号416及び417で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号416で示す塩基配列と配列番号417で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号418で示す塩基配列を比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はビャクシの基原植物であって、前記ビャクシ候補がビャクシであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(19)イレイセンの鑑別方法であって、イレイセン候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号227及び228で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号227で示す塩基配列と配列番号228で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号229〜231のいずれかで示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はイレイセンの基原植物であって、前記イレイセン候補がイレイセンであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(20)インチンコウの鑑別方法であって、インチンコウ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号241及び242、又は配列番号243及び244で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのpetD-rpoA領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び配列番号241及び242で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号241で示す塩基配列と配列番号242で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号245で示す塩基配列、又は配列番号243及び244で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号243で示す塩基配列と配列番号244で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号253で示す塩基配列を比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はインチンコウの基原植物であって、前記インチンコウ候補がインチンコウであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(21)ジコッピの鑑別方法であって、ジコッピ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号261及び262で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのtrnH-psbA領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号261で示す塩基配列と配列番号262で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号263又は264で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はジコッピの基原植物であって、前記ジコッピ候補がジコッピであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(22)シュクシャの鑑別方法であって、シュクシャ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号275及び276で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号275で示す塩基配列と配列番号276で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号277で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はシュクシャの基原植物であって、前記シュクシャ候補がシュクシャであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(23)ニンドウの鑑別方法であって、ニンドウ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号284及び285で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのpsbA-trnH領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号284で示す塩基配列と配列番号285で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号286で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はニンドウの基原植物であって、前記ニンドウ候補がニンドウであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(24)センコツの鑑別方法であって、センコツ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号298及び299で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号298で示す塩基配列と配列番号299で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号300で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はセンコツの基原植物であって、前記センコツ候補がセンコツであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(25)ソウハクヒの鑑別方法であって、ソウハクヒ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号312及び313で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号312で示す塩基配列と配列番号313で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号314で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はソウハクヒの基原植物であって、前記ソウハクヒ候補がソウハクヒであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(26)キョウカツの鑑別方法であって、キョウカツ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号324及び325で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号324で示す塩基配列と配列番号325で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号326又は327で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はキョウカツの基原植物であって、前記キョウカツ候補がキョウカツであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(27)ビワヨウの鑑別方法であって、ビワヨウ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号332及び333、又は配列番号334及び335で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び配列番号332及び333で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号332で示す塩基配列と配列番号333で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号336で示す塩基配列、又は配列番号334及び335で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号334で示す塩基配列と配列番号335で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号348で示す塩基配列を比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はビワヨウの基原植物であって、前記ビワヨウ候補がビワヨウであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(28)シコンの鑑別方法であって、シコン候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号360及び361で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号360で示す塩基配列と配列番号361で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号362で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はシコンの基原植物であって、前記シコン候補がシコンであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。
(29)トチュウの鑑別方法であって、トチュウ候補の被検植物から核酸を抽出する工程、抽出された核酸を鋳型に、配列番号374及び375で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのpsbA-trnH領域を増幅する工程、増幅産物の塩基配列を決定する工程、及び増幅産物における配列番号374で示す塩基配列と配列番号375で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列と配列番号376で示す塩基配列とを比較し、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はトチュウの基原植物であって、前記トチュウ候補がトチュウであると鑑別する工程を含む前記鑑別方法。

発明の効果

0008

本発明の生薬鑑別用プライマーセットを用いて、本発明の生薬鑑別方法を行うことで、生薬加工処理された植物であっても、その植物が日本薬局方・局外生規で認められた生薬の基原植物であるか否かを正確に同定することができ、それによって、異種植物の混入等を確実に防止することができる。

0009

本発明の生薬鑑別用キットによれば、本発明の生薬鑑別方法を容易に実施でき、様々な生薬を簡便に鑑別することができる。

図面の簡単な説明

0010

標準となるブクリョウの配列と他系茯苓相同配列とを比較した図である。
標準となるブクリョウの配列と他系統茯苓の相同配列とを比較した図である。
標準となるジオウの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
標準となるエンゴサクの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図4−1の続きである。
標準となるカッコンの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
標準となるカッコンの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
標準となるボウフウの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図7−1の続きである。
標準となるオンジの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図8−1の続きである。
標準となるハッカの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図9−1の続きである。
標準となるマオウの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図10−1の続きである。
図10−2の続きである。
標準となるタイソウ・サンソウニンの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図11−1の続きである。
標準となるタイソウ・サンソウニンの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図12−1の続きである。
標準となるカロコン・カロニンの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
標準となるカロコン・カロニンの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図14−1の続きである。
標準となるゴシュユの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図15−1の続きである。
図15−2の続きである。
標準となるゴシュユの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図16−1の続きである。
標準となるゼンコの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図17−1の続きである。
図17−2の続きである。
標準となるチモの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図18−1の続きである。
標準となるバクモンドウの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図19−1の続きである。
標準となるビャクシの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図20−1の続きである。
標準となるイレイセンの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図21−1の続きである。
標準となるインチンコウの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図22−1の続きである。
図22−2の続きである。
標準となるインチンコウの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図23−1の続きである。
標準となるジコッピの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図24−1の続きである。
標準となるシュクシャの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図25−1の続きである。
標準となるニンドウの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図26−1の続きである。
標準となるセンコツの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図27−1の続きである。
標準となるソウハクヒの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図28−1の続きである。
標準となるキョウカツの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
標準となるビワヨウの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図30−1の続きである。
図30−2の続きである。
標準となるビワヨウの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
標準となるシコンの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図32−1の続きである。
標準となるトチュウの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図33−1の続きである。
標準となるマオウの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図34−1の続きである。
標準となるゼンコの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
図35−1の続きである。
図35−2の続きである。
標準となるビャクシの配列と近縁他種の相同配列とを比較した図である。
生薬の鑑別用プライマーセットにより、生薬と近縁植物由来の生薬だけが増幅され、遠縁のものは増幅されないことを示す電気泳動写真である。
図37−1の続きである。
図37−2の続きである。
図37−3の続きである。
図37−4の続きである。
図37−5の続きである。

0011

1.生薬鑑別用プライマーセット
1−1.概要
本発明の第1の態様は、生薬鑑別用プライマーセットである。本態様のプライマーセットは、核酸で構成され、後述する第3態様に記載の生薬鑑別方法において被検植物が目的とする生薬の基原植物であるか否かを同定するための手段として使用される。

0012

1−2.定義
以下で本明細書において頻用する用語について定義する。

0013

本明細書において「生薬」とは、漢方薬の原料となり得る、薬理効果を有する天然物由来物質をいい、動物、植物、又は菌類の全部又は一部、及び鉱物が含まれる。本明細書においては、特に第十七改正日本薬局方(平成28年3月7日厚生労働省告示第64号)、日本薬局方外生薬規格2015(平成27年12月25日薬生審査発1225第1号厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長通知)に定める植物及び菌類由来の以下の生薬が該当する。具体的には、ブクリョウ、ジオウ、エンゴサク、カッコン、ボウフウ、オンジ、ハッカ、マオウ、タイソウ、サンソウニン、カロコン、カロニン、ゴシュユ、ゼンコ、チモ、バクモンドウ、ビャクシ、イレイセン、インチンコウ、ジコッピ、シュクシャ、ニンドウ、センコツ、ソウハクヒ、キョウカツ、ビワヨウ、シコン、及びトチュウである。

0014

なお、分類学上、菌類は植物ではないが、本明細書では便宜的に菌類を植物に含める。したがって、特に断りのない限り、本明細書で「植物」と記載した場合、「植物及び/又は菌類」を指すものとする。例えば、本明細書で「基原植物」と記載した場合、「基原植物及び/又は基原菌類」を意味するものとする。

0015

生薬の「基原」とは、生薬の原料となる植物、動物、又は鉱物とその用部、及び加工方法を表す用語である。例えば、ある生薬の原料となる植物の種類、その生薬に用いられる植物の部位、及び生薬にした際の加工方法を含む。このうち、生薬の原料となる植物、すなわち生薬の原植物を「基原植物」という。「原植物」とは、原料となる植物を意味する。基原植物は、原則として生薬ごとに定められている。例えば、上記生薬に関しては、ブクリョウであればマツホドWolfiporia cocos Ryvarden et Gilbertson (Poria cocos Wolf) (Polyporaceae)が、ジオウであればアカヤジオウRehmannia glutinosa Liboschitz var. purpurea Makino又はRehmannia glutinosa Liboschitz (Scrophulariaceae)が、エンゴサクであればCorydalis turtschaninovii Besser forma yanhusuo Y. H. Chou et C. C. Hsu (Papaveraceae)が、カッコンであればクズPueraria lobata Ohwi (Leguminosae)が、ボウフウであればSaposhnikovia divaricata Schischkin (Umbelliferae)が、オンジであればイトヒメハギPolygala tenuifolia Willdenow (Polygalaceae)が、ハッカであればハッカMentha arvensis Linne var. piperascens Malinvaud (Labiatae)が、マオウであればEphedra sinica Stapf、Ephedra intermedia Schrenk et C. A. Meyer又はEphedra equisetina Bunge (Ephedraceae)が、タイソウであればナツメZiziphus jujuba Miller var. inermis Rehder (Rhamnaceae)が、サンソウニンであればサネブトナツメZiziphus jujuba Miller var. spinosa Hu ex H. F. Chou (Rhamnaceae)が、カロコン/カロニンであればTrichosanthes kirilowii Maximowicz、キカラスウリTrichosanthes kirilowii Maximowicz var. japonica Kitamura又はオオカラスウリTrichosanthes bracteata Voigt (Cucurbitaceae)が、ゴシュユであればゴシュユEuodia ruticarpa Hooker filius et Thomson (Evodia rutaecarpa Bentham)、Euodia officinalis Dode (Evodia officinalis Dode)又はEuodia bodinieri Dode (Evodia bodinieri Dode) (Rutaceae)が、ゼンコであればPeucedanum praeruptorum Dunn(白花ゼンコ)又はノダケAngelica decursiva Franchet et Savatier (Peucedanum decursivum Maximowicz) (Umbelliferae)(紫花ゼンコ)が、チモであればハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bunge (Liliaceae)が、バクモンドウであればジャノヒゲOphiopogon japonicus Ker-Gawler (Liliaceae)が、ビャクシであればヨロイグサAngelica dahurica Bentham et Hooker filius ex Franchet et Savatier (Umbelliferae)が、イレイセンであればサキシマボタンヅルClematis chinensis Osbeck、Clematis mandshurica Ruprecht又はClematis hexapetala Pallas (Ranunculaceae)が、インチンコウであればカワラヨモギArtemisia capillaris Thunberg (Compositae)が、ジコッピであればクコLycium chinense Miller又はLycium barbarum Linne (Solanaceae)が、シュクシャであればAmomum xanthioides Wallich (Zingiberaceae)が、ニンドウであればスイカズラLonicera japonica Thunberg (Caprifoliaceae)が、センコツであればコウホネNuphar japonicum De Candolle (Nymphaeaceae)が、ソウハクヒであればマグワMorus alba Linne (Moraceae)が、キョウカツであればNotopterygium incisum Ting ex H. T. Chang又はNotopterygium forbesii Boissieu (Umbelliferae)が、ビワヨウであればビワEriobotrya japonica Lindley (Rosaceae)が、シコンであればムラサキLithospermum erythrorhizon Siebold et Zuccarini (Boraginaceae)が、トチュウであればトチュウEucommia ulmoides Oliver (Eucommiaceae)が、それぞれ基原植物となる。各生薬の基原植物は、1種類のみの場合もあれば、同属近縁の数種を含み、そのいずれであってもよい場合もある。

0016

生薬は、その形態に応じて、全形生薬切断生薬又は粉末生薬に分類される。「全形生薬」は、その薬用とする植物体やその一部を乾燥し、及び/又は簡単な加工をしたものである。ここでいう「簡単な加工」には、切断、(高圧蒸気処理、加熱、溶液への浸漬等が挙げられる。「切断生薬」は、全形生薬を小片若しくは小塊に切断若しくは破砕したもの、又は粗切、中切若しくは細切したものである。「粉末生薬」は、全形又は切断生薬を粗末、中末、細末又は微末としたものである。本明細書における生薬は、いずれの形態であってもよい。好ましくは全形生薬又は切断生薬である。

0017

前述の基原の定義において述べたように、生薬が植物の一部で構成される場合、それが基原植物のいずれの部分であるか、その薬用とする部分は、生薬ごとに定められている。各生薬の薬用とする部分は、当該分野において周知されており、例えば、第十七改正日本薬局方(既述)に記載されている。

0018

本明細書において「疑似生薬」とは、特定の生薬において、基原植物以外の植物種(例えば、同属近縁種)等を原料として、その特定の生薬と同じ部位を用いて、同様の加工処理を行って得られる産物をいう。疑似生薬は、多くの場合、外見等が生薬に類似するため生薬との識別が困難であることが多い。しかし、前述のように各生薬において、基原植物以外の植物種を原料とした産物は、その植物種がたとえ基原植物の近縁種であったとしても、また、たとえ生薬と同じ薬理作用を有していたとしても、原則として、その生薬とは認められない。

0019

本明細書において「鑑別」とは、生薬候補の被検植物が目的とする生薬の基原植物であるか否かを同定することによって、その生薬候補が真の生薬か疑似生薬かを見分けること、又は生薬における異種植物由来の疑似生薬混入の有無を見分けることをいう。

0020

本明細書において「生薬候補」とは、外観や加工状態が特定の生薬に類似するものの、その原植物が基原植物か否かが明らかでないものをいう。生薬候補は、真の生薬、疑似生薬、又はそれらの混合物包含し得る。例えば、市場に流通する生薬のうち、その基原植物由来であることが保証されていないものは、本発明の生薬候補に該当する。

0021

本明細書において「被検植物」とは、生薬候補の原植物であって、後述する第3態様に記載の生薬鑑別方法に供される検査対象植物をいう。本明細書では、生薬候補を構成する植物組織が、第3態様に記載の生薬鑑別方法の検査対象となり得る。例えば、葉、葉鞘葉柄、球芽、地下茎球茎鱗茎球根根茎塊茎等を含む)、根(塊根気根等を含む)、種子、胚軸、実等が挙げられる。

0022

本明細書において「核酸(分子)」とは、原則としてヌクレオチド構成単位とし、それらがホスホジエステル結合によって連結した生体高分子をいう。通常は、DNA、RNA等の天然核酸で構成される。DNAの場合、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNA等の細胞内に存在し得るあらゆるDNA分子に加え、mRNAから逆転写反応によって調製されたcDNAを包含する。また、RNAの場合、mRNA、rRNAtRNA、snRNA、snoRNA、tmRNA、miRNA等の細胞内に存在し得るあらゆるRNA分子を包含する。その他、本態様の生薬鑑別用プライマーのように、人工的に合成される核酸分子の場合、天然核酸だけでなく、化学修飾核酸や擬似核酸を含んでいてもよい。化学修飾核酸や擬似核酸には、例えば、ペプチド核酸(PNA:Peptide Nucleic Acid)、ホスフェート基を有するペプチド核酸(PHONA)、架橋化核酸(BNA/LNA:Bridged Nucleic Acid/Locked Nucleic Acid)、モルホリノ核酸等が挙げられる。メチルホスホネート型DNA/RNA、ホスホロチオエート型DNA/RNA、ホスホルアミデート型DNA/RNA、2'-O-メチル型DNA/RNA等が挙げられる。

0023

1−3.構成
本明細書において「生薬鑑別用プライマー」(本明細書では、しばしば「プライマー」と省略して表記する。したがって、特段の断りがない限り、本明細書におけるプライマーとは、生薬鑑別用プライマーを意味する。)とは、後述する生薬鑑別方法で使用される核酸増幅用プライマーであり、19塩基〜25塩基からなる核酸分子(オリゴヌクレオチド)で構成される。天然核酸(DNA及び/又はRNA)で構成されていることが好ましい。安定性が高く、合成が容易で、かつ低廉な点で、DNAで構成されているプライマーが特に好ましい。必要に応じて、プライマーを構成する塩基配列の全部又は一部に化学修飾核酸や擬似核酸を含んでいてもよい。さらに、プライマーは、標識物質及び/又は修飾物質で修飾されていてもよい。標識物質は、特に限定はしない。例えば、蛍光物質及び/又はクエンチャー物質、又は放射性同位元素(例えば、32P、33P、35S)等を利用できる。蛍光物質の具体例として、FITC、DIG、Texas、Cy3、Cy5、Cy7、Cyanine3、Cyanine5、Cyanine7、FAM、HEX、VIC、フルオレサミン及びその誘導体、及びローダミン及びその誘導体等が挙げられる。また、クエンチャー物質の具体例として、TAMRA、DABCYL、BHQ-1、BHQ-2、又はBHQ-3等が挙げられる。修飾物質も、特に限定はしない。例えば、ビオチン及びアビジンストレプトアビジン若しくはニュートラアビジン、又は磁気ビーズ等が挙げられる標識物質や修飾物質は、各メーカー販売される市販のものを用いることができる。

0024

プライマー塩基配列上の標識物質や修飾物質の修飾位置は、特に限定しない。使用する標識物質や修飾物質の特性や、目的に応じて適宜定めればよい。標識物質であれば、通常は5’又は3’末端部に修飾されることが多いが、もちろんこれに限られない。また、一つのプライマーを一以上の標識物質や修飾物質で修飾することもできる。標識物質や修飾物質のプライマーへの修飾方法は公知の方法で行えばよい。

0025

本明細書において「生薬鑑別用プライマーセット」とは、フォワードプライマー及びリバースプライマーで構成される生薬鑑別用プライマーの1つの組である。本態様の生薬鑑別用プライマーセットは、表1に示すように、各生薬に対して1組以上が設計される。

0026

0027

具体的には、フォワードプライマー及びリバースプライマーがそれぞれ、ブクリョウであれば配列番号1及び2、又は配列番号3及び4、ジオウであれば配列番号17及び18、エンゴサクであれば配列番号26及び27、カッコンであれば配列番号37及び38、又は配列番号39及び40、ボウフウであれば配列番号51及び52、オンジであれば配列番号65及び66、ハッカであれば配列番号73及び74、マオウであれば配列番号85及び86、又は配列番号385及び386、タイソウ/サンソウニンであれば配列番号101及び102、又は配列番号103及び104、カロコン/カロニンであれば配列番号125及び126、又は配列番号127及び128、ゴシュユであれば配列番号141及び142、又は配列番号143及び144、ゼンコであれば配列番号171及び172、又は配列番号401及び402、チモであれば配列番号186及び187、バクモンドウであれば配列番号199及び200、ビャクシであれば配列番号213及び214、又は配列番号416及び417、イレイセンであれば配列番号227及び228、インチンコウであれば配列番号241及び242、又は配列番号243及び244、ジコッピであれば配列番号261及び262、シュクシャであれば配列番号275及び276、ニンドウであれば配列番号284及び285、センコツであれば配列番号298及び299、ソウハクヒであれば配列番号312及び313、キョウカツであれば配列番号324及び325、ビワヨウであれば配列番号332及び333、又は配列番号334及び335、シコンであれば配列番号360及び361、及び、トチュウであれば配列番号374及び375で示す塩基配列からなるポリヌクレオチドである。

0028

本態様の生薬鑑別用プライマーセットは、核酸増幅法によって被検植物における特定の核酸領域を増幅することができる。本明細書において「特定の核酸領域」とは、各生薬における基原植物の核酸分子において特異的な塩基配列を有する領域である。特定の核酸領域として選択される領域は、基原植物を構成する原植物種と、基原植物に含まれない近縁種との間で塩基配列が異なる領域でなければならない。しかしながら、一般に近縁種、特に同属近縁種内では、遺伝子の塩基配列における同一性が高い場合が多く、基原植物に特異的な特定の核酸領域は限定される。一方で、基原植物特異性が高く、近縁種との間で塩基配列の差が大き過ぎると、プライマーは基原植物のみにハイブリダイズし得るため、プライマー設計が困難となる。したがって、特定の核酸領域は、基原植物と近縁種間で保存された領域であり、かつ、両者の塩基配列にある程度の差異を有した領域である必要がある。このような特定の核酸領域は、各生薬で定まる。具体的には、ブクリョウ、ジオウ、エンゴサク、カッコン、ボウフウ、ハッカ、タイソウ/サンソウニン、ゴシュユ、ゼンコ、チモ、バクモンドウ、ビャクシ、イレイセン、シュクシャ、センコツ、ソウハクヒ、キョウカツ、ビワヨウ及びシコンであれば、核ゲノム中のリボソームDNAのITS領域が、オンジ、ニンドウ及びトチュウであれば、葉緑体DNAのpsbA-trnH領域が、マオウであれば、葉緑体DNAのrbcL領域が、カロコン/カロニンであれば、葉緑体DNAのrpl16イントロン領域が、インチンコウであれば、葉緑体DNAのpetD-rpoA領域が、そしてジコッピであれば、葉緑体DNAのtrnH-psbA領域が該当する。

0029

「リボソーム(リボゾーム)DNA」(本明細書では、しばしば「rDNA」と表記する)とは、タンパク質合成関与するリボソームRNA(本明細書では、しばしば「rRNA」と表記する)をコードする遺伝子をいう。真核生物のrRNAは、その種類は問わず、18S rRNA、5.8S rRNA、及び28S rRNAの3種が知られており、それぞれをコードする18S rDNA、5.8S rDNA、28S rDNAというがゲノム上に連続して存在し、数百から数万コピー反復配列を繰り返している。「ITS(Internal Transcribed Spacer)」とは、18S rDNAと5.8S rDNA間、及び5.8S rDNAと28S rDNA間に存在する配列で、それぞれITS1及びITS2と称する。一般にrDNAの塩基配列は、酵母から高等植物哺乳動物に至るまで種間で広く保存されているが、ITS1及びITS2はプロセッシング過程で除去されるため、高度な変異の蓄積が観察される。本明細書においては、上記2つのITSとその間にある5.8s rDNAをまとめて「ITS領域」と称する。

0030

「psbA」とは、光化学系II反応中心であるD1タンパク質をコードする遺伝子で、植物と藻類葉緑体ゲノムおよびシアノバクテリアゲノムに存在する。植物のpsbA遺伝子は、葉緑体ゲノム中に1コピー存在し、その上流にtrnH遺伝子が隣接する。また、「trnH」とは、アミノ酸一種であるヒスチジン運搬する転移RNAトランスファーRNA)をコードする遺伝子である。近年、DNA配列を用いた生物種の同定に関して、DNAバーコーディングプロジェクトが進められており、植物では葉緑体DNAのtrnH-psbA遺伝子間領域が候補の一つとして提案されている。本明細書において「psbA-trnH領域」及び「trnH-psbA領域」とは、当該のtrnH-psbA遺伝子間領域をいう。

0031

「rbcL」とは、リブロース1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(rbc:ribulose 1,5-bisphosphate carboxylase)を構成するLサブユニット(Large subunit)である。rbcは、還元ペントースリン酸回路を有する全ての原核真核光合成生物および化学合成細菌に存在し、種間で高度に保存されている。「rbcL領域」は、葉緑体DNA上に存在し、rbcLをコードするrbcL遺伝子の部分領域をいう。

0032

「rpl16」とは、リボソームタンパク質大サブユニット(Large subunit)を構成するタンパク質の1つであるRPL16をコードする遺伝子で、葉緑体DNA上に存在する。「rpl16イントロン領域」とは、rpl16遺伝子のイントロン部分領域をいう。リボソームタンパク質遺伝子の塩基配列は、生物種間で高度に保存されているが、イントロン領域はスプライシングの過程で除去されるため、高度な変異の蓄積が観察される。

0033

「petD」とは、光合成電子伝達系のタンパク質をコードする遺伝子で、photosyntheticelectron transportに由来する。pet遺伝子はシトクロムb6f複合体のサブユニットをコードする遺伝子と、可動性電子伝達成分である光化学系Iの電子供与体として機能するプラストシアニンおよびシトクロムc553、および光化学系Iの電子受容体であるフェレドキシンとフェレドキシン-NADP+オキシドレダクターゼをコードする遺伝子を含んでいる。petD遺伝子はサブユニットIVをコードする遺伝子である。また、「rpoA」とは、細菌RNAポリメラーゼおよびplastid-encoded plastid RNA polymerase(PEP)の*コア酵素を構成するサブユニット(α2ββ'ωおよびα2ββ'β")の遺伝子である。細菌におけるα、β、β'、およびω遺伝子は、それぞれ、rpoA、rpoB、rpoC、およびrpoZ(rpo:RNA polymerase)と呼ばれる。高等植物において、α、β、β'、およびβ"遺伝子は、すべて色素体ゲノムにコードされており、それぞれ、rpoA、rpoB、rpoC1、およびrpoC2と表記される。本明細書において「petD-rpoA領域」とは、petD-rpoA遺伝子間領域をいう。

0034

各生薬鑑別用プライマーセットで増幅される特定の核酸領域の塩基配列は、生薬の基原植物の核酸分子(ゲノムDNA又は葉緑体DNA)を鋳型にした時の塩基配列がその生薬の「生薬標準配列」となる。プライマー1セットあたりの生薬標準配列数は、生薬ごとに異なる。これは、各生薬において、基原植物の原植物数や特定の核酸領域数が異なるためである。各生薬鑑別用プライマーセットに対応する標準配列の配列番号を表2に示す。なお、本明細書において、各標準配列は、生薬の基原植物の特定の核酸領域の塩基配列において、生薬鑑別用プライマーセットのフォワードプライマーの塩基配列とリバースプライマーの塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まされた塩基配列である。換言すれば、各標準配列は、生薬鑑別用プライマーセットのフォワードプライマーの塩基配列とリバースプライマーの塩基配列に相補的な塩基配列を含まない。

0035

0036

具体的には、配列番号1及び2で示す塩基配列からなるブクリョウ鑑別用プライマーセットを使用したときのブクリョウ標準配列は配列番号5で示す塩基配列、配列番号3及び4で示す塩基配列からなるブクリョウ鑑別用プライマーセットを使用したときのブクリョウ標準配列は配列番号11で示す塩基配列、配列番号17及び18で示す塩基配列からなるジオウ鑑別用プライマーセットを使用したときのジオウ標準配列は配列番号19又は20で示す塩基配列、配列番号26及び27で示す塩基配列からなるエンゴサク鑑別用プライマーセットを使用したときのエンゴサク標準配列は配列番号28で示す塩基配列、配列番号37及び38で示す塩基配列からなるカッコン鑑別用プライマーセットを使用したときのカッコン標準配列は配列番号41で示す塩基配列、配列番号39及び40で示す塩基配列からなるカッコン鑑別用プライマーセットを使用したときのカッコン標準配列は配列番号46で示す塩基配列、配列番号51及び52で示す塩基配列からなるボウフウ鑑別用プライマーセットを使用したときのボウフウ標準配列は配列番号53で示す塩基配列、配列番号65及び66で示す塩基配列からなるオンジ鑑別用プライマーセットを使用したときのオンジ標準配列は配列番号67で示す塩基配列、配列番号73及び74で示す塩基配列からなるハッカ鑑別用プライマーセットを使用したときのハッカ標準配列は配列番号75で示す塩基配列、配列番号85及び86で示す塩基配列からなるマオウ鑑別用プライマーセットを使用したときのマオウ標準配列は配列番号87〜89のいずれかで示す塩基配列、配列番号385及び386で示す塩基配列からなるマオウ鑑別用プライマーセットを使用したときのマオウ標準配列は配列番号387〜389のいずれかで示す塩基配列、配列番号101及び102で示す塩基配列からなるタイソウ/サンソウニン鑑別用プライマーセットを使用したときのタイソウ/サンソウニン標準配列は配列番号105で示す塩基配列、配列番号103及び104で示す塩基配列からなるタイソウ/サンソウニン鑑別用プライマーセットを使用したときのタイソウ/サンソウニン標準配列は配列番号115で示す塩基配列、配列番号125及び126で示す塩基配列からなるカロコン/カロニン鑑別用プライマーセットを使用したときのカロコン/カロニン標準配列は配列番号129〜131のいずれかで示す塩基配列、配列番号127及び128で示す塩基配列からなるカロコン/カロニン鑑別用プライマーセットを使用したときのカロコン/カロニン標準配列は配列番号135〜137のいずれかで示す塩基配列、配列番号141及び142で示す塩基配列からなるゴシュユ鑑別用プライマーセットを使用したときのゴシュユ標準配列は配列番号145〜147のいずれかで示す塩基配列、配列番号143及び144で示す塩基配列からなるゴシュユ鑑別用プライマーセットを使用したときのゴシュユ標準配列は配列番号158〜160のいずれかで示す塩基配列、配列番号171及び172で示す塩基配列からなるゼンコ鑑別用プライマーセットを使用したときのゼンコ標準配列は配列番号173又は174で示す塩基配列、配列番号401及び402で示す塩基配列からなるゼンコ鑑別用プライマーセットを使用したときのゼンコ標準配列は配列番号403又は404で示す塩基配列、配列番号186及び187で示す塩基配列からなるチモ鑑別用プライマーセットを使用したときのチモ標準配列は配列番号188で示す塩基配列、配列番号199及び200で示す塩基配列からなるバクモンドウ鑑別用プライマーセットを使用したときのバクモンドウ標準配列は配列番号201で示す塩基配列、配列番号213及び214で示す塩基配列からなるビャクシ鑑別用プライマーセットを使用したときのビャクシ標準配列は配列番号215で示す塩基配列、配列番号416及び417で示す塩基配列からなるビャクシ鑑別用プライマーセットを使用したときのビャクシ標準配列は配列番号418で示す塩基配列、配列番号227及び228で示す塩基配列からなるイレイセン鑑別用プライマーセットを使用したときのイレイセン標準配列は配列番号229〜231のいずれかで示す塩基配列、配列番号241及び242で示す塩基配列からなるインチンコウ鑑別用プライマーセットを使用したときのインチンコウ標準配列は配列番号245で示す塩基配列、配列番号243及び244で示す塩基配列からなるインチンコウ鑑別用プライマーセットを使用したときのインチンコウ標準配列は配列番号253で示す塩基配列、配列番号261及び262で示す塩基配列からなるジコッピ鑑別用プライマーセットを使用したときのジコッピ標準配列は配列番号263又は264で示す塩基配列、配列番号275及び276で示す塩基配列からなるシュクシャ鑑別用プライマーセットを使用したときのシュクシャ標準配列は配列番号277で示す塩基配列、配列番号284及び285で示す塩基配列からなるニンドウ鑑別用プライマーセットを使用したときのニンドウ標準配列は配列番号286で示す塩基配列、配列番号298及び299で示す塩基配列からなるセンコツ鑑別用プライマーセットを使用したときのセンコツ標準配列は配列番号300で示す塩基配列、配列番号312及び313で示す塩基配列からなるソウハクヒ鑑別用プライマーセットを使用したときのソウハクヒ標準配列は配列番号314で示す塩基配列、配列番号324及び325で示す塩基配列からなるキョウカツ鑑別用プライマーセットを使用したときのキョウカツ標準配列は配列番号326又は327で示す塩基配列、配列番号332及び333で示す塩基配列からなるビワヨウ鑑別用プライマーセットを使用したときのビワヨウ標準配列は配列番号336で示す塩基配列、配列番号334及び335で示す塩基配列からなるビワヨウ鑑別用プライマーセットを使用したときのビワヨウ標準配列は配列番号348で示す塩基配列、配列番号360及び361で示す塩基配列からなるシコン鑑別用プライマーセットを使用したときのシコン標準配列は配列番号362で示す塩基配列、配列番号374及び375で示す塩基配列からなるトチュウ鑑別用プライマーセットを使用したときのトチュウ標準配列は配列番号376で示す塩基配列となる。

0037

各生薬鑑定用プライマーは、5’末端側に、必要に応じてタグ配列バーコード配列アダプター配列等を含んでいてもよい。

0038

プライマーは、化学合成法によって合成することが好ましい。上述の生薬の鑑定用プライマーセットにおけるフォワードプライマー及びリバースプライマーの塩基配列情報に基づいて合成すればよい。合成は、核酸合成受託サービスを利用することもできる。

0039

2.生薬鑑別キット
2−1.概要
本発明の第2の態様は生薬鑑別キットである。本態様の生薬鑑別キットは、被験植物が生薬の基原植物であるか否かを鑑別する第3態様に記載の生薬鑑別方法を実施する上で必要な要素を構成要素として包含する。本態様に生薬鑑別キットを用いることで、簡便に被験植物の生薬鑑別を行うことができる。

0040

2−2.構成
本態様の生薬鑑別キットは、第1態様に記載の生薬鑑別用プライマーセットを必須の構成要素として含む。本態様の生薬鑑別キットにおいて、一の生薬に対する鑑別用プライマーセットは、2組以上含んでいてもよい。また、一つのキットに含まれる生薬の種類は2種以上であってもよい。

0041

生薬鑑別キットは、選択構成要素として、各生薬の標準配列情報を含むことができる。「各生薬の標準配列情報」とは、各生薬の基原植物から調製された核酸を鋳型に、その生薬の鑑別用プライマーを用いて核酸増幅反応して得られる増幅産物の塩基配列情報である。生薬鑑別キットには、包含する生薬鑑別用プライマーセットに対応する標準配列情報を、紙媒体、又はCD-ROM等の電子媒体等の情報伝達媒体に記録した状態で、あるいはインターネットを介して情報提供するURLとして、含むことができる。

0042

その他、生薬鑑別キットは、被験植物から核酸分子を抽出するための試薬(例えば、塩化ベンジル界面活性剤等)、生薬鑑別用プライマーを用いて核酸増幅反応を行うための試薬(耐熱性DNAポリメラーゼ、dNTP、Mg2+等)、及び/又は使用説明書等を包含することができる。

0043

3.生薬鑑別方法
3−1.概要
本発明の第3の態様は、生薬鑑別方法である。本態様の生薬鑑別方法は、第1態様に記載の生薬鑑別用プライマーセットを用いて生薬候補の被検植物が目的とする生薬の基原植物であるか否かを正確に同定することによって、その生薬候補が目的の生薬であることを鑑別する方法である。本態様の方法を用いることで、簡便かつ正確に生薬を鑑別することが可能となる。

0044

3−2.方法
本態様の生薬鑑別方法は、必須工程として核酸抽出工程、核酸増幅工程、塩基配列決定工程、及び比較鑑別工程を含む。以下、各工程について具体的に説明する。

0045

(1)核酸抽出工程
「核酸抽出工程」とは、生薬候補の被検植物から核酸分子を抽出する工程である。本方法で検査対象となる被検植物は、多くの場合、蒸気処理、加熱、乾燥、溶液浸漬等の加工処理が施されている。したがって、それらの加工処理された被検植物の一部を採取し、当該分野における常法により核酸分子を抽出すればよい。核酸抽出方法は、抽出すべき核酸分子の種類によって好適な方法をもちいればよい。例えば、DNAを抽出する場合、CTAB(Cetyl trimethyl ammonium bromide)法、塩化ベンジル法等を利用することができる。またAGPC(酸性グアニジンチオシアネートフェノールクロロホルム)法が挙げられる。これらの具体的な手順等については、当該分野のプロトコルを参照すればよい。プロトコルには、例えば、Green,MRand Sambrook, J, (2012) Molecular Cloning: A Laboratory Manual Fourth Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkが挙げられる。さらに、植物体から各種核酸分子を抽出するキットが、キアゲン社タカラバイオ社、TOYOBO社、Thermo Fisher Scientific社、プロメガ社等の各ライフサイエンスメーカーから市販されており、それらを利用することもできる。

0046

(2)核酸増幅工程
「核酸増幅工程」とは、前記核酸抽出工程で得られた被検植物の核酸分子を鋳型に、第1態様に記載の生薬鑑定用プライマーセットを用いて、特定の核酸領域を増幅させる工程である。

0047

本明細書において「核酸増幅法」とは、プライマーを用いて、核酸ポリメラーゼにより標的核酸を増幅させる方法をいう。例えば、PCR法RT-PCR法を含む)、NASBA(Nucleic Acid Sequence-Based Amplification)法、ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids)法、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)(登録商標)法(RT-LAMP法を含む)が挙げられる。本発明で使用する核酸増幅法について限定はしないが、好ましくはPCR法である。また、鋳型として使用する核酸分子が、mRNAの場合(例えばrbcL mRNAの場合)、核酸増幅工程は、NASBA法のようなRNA増幅法を使用するか、RT-PCR法やRT-LAMP法のように、逆転写反応によりmRNAをcDNAに調製した後にDNA増幅法を使用する。

0048

本工程で使用する生薬鑑定用プライマーセットは、生薬候補が鑑別対象とする目的の生薬の基原植物用のプライマーセットである。

0049

核酸増幅方法については、当該分野で公知であり、各種プロトコルに記載の条件を参考に行えばよい。プロトコル集の例として、前述のGreen,MRand Sambrook, J, (2012)、Domingues L. (2017)PCR: Methodsand Protocols, Methods in Molecular Biology, Humana Press、又はPark DJ, (2010) PCR Protocols, Methods in Molecular Biology, Third Edition, Humana Press等が挙げられる。なお、本工程において、鋳型の相補鎖合成時に、G-C塩基対、又はA-T塩基対以外のエラーが入ると、後述する比較鑑別工程で、標準配列との塩基配列の相違を検証する際に、誤った比較結果をもたらし得るため、鑑別精度が著しく低下する。そこで、核酸増幅反応に使用するポリメラーゼには、相補鎖合成時のエラー率が低いハイフィデリティポリメラーゼ(例えば、Pfu DNA ポリメラーゼ)を使用することが好ましい。

0050

核酸増幅用のキットが前述のような各ライフサイエンスメーカーから市販されており、それらを利用することもできる。その場合、核酸増幅方法の条件等については、添付又は各メーカーが推奨するプロトコルに従えばよい。

0051

(3)塩基配列決定工程
「塩基配列決定工程」とは、前記核酸増幅工程で得られた増幅産物の塩基配列を決定する工程である。

0052

核酸増幅工程後に得られる増幅産物は、被検植物における特定の核酸領域である。この増幅産物の塩基配列を決定する。

0053

増幅産物は、塩基配列決定前に、必要に応じて精製、及び/又はクローニングをすることもできる。増幅産物の精製は、当該分野で公知の各種核酸精製法を利用することができる。例えば、ゲル電気泳動による分離抽出方法、シリカマトリクスシリカメンブレン等を用いた吸着精製方法等が挙げられる。核酸の精製方法については、各種プロトコル集に記載の方法を参考にしてもよい。例えば、前述のGreen,MRand Sambrook, J, (2012)、Domingues L. (2017)、又はPark DJ, (2010)等が挙げられる。さらに、核酸精製キットは、前述のような各ライフサイエンスメーカーからも多数が市販されており、それらを利用してもよい。その場合、核酸精製方法の具体的な条件等については、添付又は各メーカーが推奨するプロトコルに従えばよい。

0054

増幅産物のクローニングは、得られた増幅産物をプラスミド等に組み込み、大腸菌等の宿主内に導入し、その形質転換体から回収することで達成できる。増幅産物のクローニング法についても当該分野では公知であり、前述のプロトコル集等に記載の方法に従って行えばよい。この増幅産物のクローニングについても各ライフサイエンスメーカーが各種クローニング用キットを市販している。例えば、増幅産物のクローニング用であればMighty TA-cloning Kit(タカラバイオ社)等が挙げられる。それらの市販のキットを利用すると便利である。

0055

増幅産物の塩基配列決定法は、当該分野における公知の塩基配列決定法により実施すればよい。例えば、一般的なサンガー法ジデオキシ法)の他、パイロシーケンシング法(Roche社)、合成シーケンシング法(Illumina社)、ライゲーションシーケンシング法(Thermo Fisher Scientific社)、イオン半導体シーケンシング法(Thermo Fisher Scientific社)等の次世代シーケンシング法が挙げられる。これらの方法は、当該分野で公知であり、各種プロトコル集の他、各社Webサイトに開示された方法を参考にすることができる。

0056

本工程で決定される増幅産物の塩基配列の正確性は、本発明の主旨から重要である。したがって、サンガー法のような配列読取のエラー率が低い塩基配列決定法が好ましい。

0057

(4)比較鑑別工程
「比較鑑別工程」とは、前記塩基配列決定工程で決定された被検植物における特定の核酸領域の塩基配列を、目的とする生薬の基原植物における標準配列と比較して、両者の塩基配列が一致したときに、その被検植物は、その基原植物であって、前記生薬候補は、目的の生薬であると鑑別する工程である。

0058

基原植物の標準配列は、被検植物と同じ条件で、基原植物に対して核酸抽出工程、核酸増幅工程、及び塩基配列決定工程を行って得られる特定の核酸領域の塩基配列である。この標準配列は、基原植物に特異的な配列を有し、基原植物の同属近縁種や類似種であっても、原則としてその一部塩基が異なる。

0059

なお、上述のように、本明細書において、標準配列は、生薬の基原植物の特定の核酸領域の塩基配列において、生薬鑑別用プライマーセットのフォワードプライマーの塩基配列とリバースプライマーの塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まされた塩基配列である。

0060

したがって、被検植物の増幅産物における生薬鑑別用プライマーセットのフォワードプライマーの塩基配列とリバースプライマーの塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まされた塩基配列と、基原植物の標準配列とを比較して、その配列が完全に一致すれば、被検植物は、基原植物であると正確に同定することができる。被検植物が目的とする生薬の基原植物であれば、その生薬候補は、目的の生薬であると鑑別することができる。一方、当該配列が一致しない場合、被検植物は基原植物ではないか、又は基原植物ではない植物種が混在している、と認定される。それ故に、生薬候補は目的の生薬ではないと鑑別することができる。

0061

以下、それぞれの生薬において、被検植物が目的の生薬の基原植物か否かを正確に同定し、その結果に基づいて生薬を鑑別する具体的な工程について説明する。

0062

(ブクリョウの鑑別方法)
ブクリョウ候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号1及び2、又は配列番号3及び4で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、配列番号1及び2で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号1で示す塩基配列と配列番号2で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とブクリョウの標準配列である配列番号5で示す塩基配列、又は配列番号3及び4で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号3で示す塩基配列と配列番号4で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とブクリョウの標準配列である配列番号11で示す塩基配列を比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はブクリョウの基原植物であって、前記ブクリョウ候補がブクリョウであると鑑別する。

0063

(ジオウの鑑別方法)
ジオウ候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号17及び18で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、増幅産物における配列番号17で示す塩基配列と配列番号18で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とジオウの標準配列である配列番号19又は20で示す塩基配列とを比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はジオウの基原植物であって、前記ジオウ候補がジオウであると鑑別する。

0064

(エンゴサクの鑑別方法)
エンゴサク候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号26及び27で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、増幅産物における配列番号26で示す塩基配列と配列番号27で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とエンゴサクの標準配列である配列番号28で示す塩基配列とを比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はエンゴサクの基原植物であって、前記エンゴサク候補がエンゴサクであると鑑別する。

0065

(カッコンの鑑別方法)
カッコン候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号37及び38、又は配列番号39及び40で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、配列番号37及び38で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号37で示す塩基配列と配列番号38で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とカッコンの標準配列である配列番号41で示す塩基配列、又は配列番号39及び40で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号39で示す塩基配列と配列番号40で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とカッコンの標準配列である配列番号46で示す塩基配列を比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はカッコンの基原植物であって、前記カッコン候補がカッコンであると鑑別する。

0066

(ボウフウの鑑別方法)
ボウフウ候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号51及び52で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、増幅産物における配列番号51で示す塩基配列と配列番号52で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とボウフウの標準配列である配列番号53で示す塩基配列とを比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はボウフウの基原植物であって、前記ボウフウ候補がボウフウであると鑑別する。

0067

(オンジの鑑別方法)
オンジ候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号65及び66で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのpsbA-trnH領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、増幅産物における配列番号65で示す塩基配列と配列番号66で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とオンジの標準配列である配列番号67で示す塩基配列とを比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はオンジの基原植物であって、前記オンジ候補がオンジであると鑑別する。

0068

(ハッカの鑑別方法)
ハッカ候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号73及び74で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、増幅産物における配列番号73で示す塩基配列と配列番号74で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とハッカの標準配列である配列番号75で示す塩基配列とを比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はハッカの基原植物であって、前記ハッカ候補がハッカであると鑑別する。

0069

(マオウの鑑別方法)
マオウ候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号85及び86、又は配列番号385及び386で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのrbcL領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、配列番号85及び86で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号85で示す塩基配列と配列番号86で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とマオウの標準配列である配列番号87〜89のいずれかで示す塩基配列、又は配列番号385及び386で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号385で示す塩基配列と配列番号386で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とマオウの標準配列である配列番号387〜389のいずれかで示す塩基配列を比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はマオウの基原植物であって、前記マオウ候補がマオウであると鑑別する。

0070

(タイソウ/サンソウニンの鑑別方法)
タイソウ/サンソウニン候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号101及び102、又は配列番号103及び104で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、配列番号101及び102で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号101で示す塩基配列と配列番号102で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とタイソウ/サンソウニンの標準配列である配列番号105で示す塩基配列、又は配列番号103及び104で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号103で示す塩基配列と配列番号104で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とタイソウ/サンソウニンの標準配列である配列番号115で示す塩基配列を比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はタイソウ/サンソウニンの基原植物であって、前記タイソウ/サンソウニン候補がタイソウ/サンソウニンであると鑑別する。

0071

(カロコン/カロニンの鑑別方法)
カロコン/カロニン候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号125及び126、又は配列番号127及び128で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのrpl16イントロン領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、配列番号125及び126で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号125で示す塩基配列と配列番号126で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とカロコン/カロニンの標準配列である配列番号129〜131のいずれかで示す塩基配列、又は配列番号127及び128で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号127で示す塩基配列と配列番号128で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とカロコン/カロニンの標準配列である配列番号135〜137のいずれかで示す塩基配列を比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はカロコン/カロニンの基原植物であって、前記カロコン/カロニン候補がカロコン/カロニンであると鑑別する。

0072

(ゴシュユの鑑別方法)
ゴシュユ候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号141及び142、又は配列番号143及び144で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、配列番号141及び142で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号141で示す塩基配列と配列番号142で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とゴシュユの標準配列である配列番号145〜147のいずれかで示す塩基配列、又は配列番号143及び144で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号143で示す塩基配列と配列番号144で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とゴシュユの標準配列である配列番号158〜160のいずれかで示す塩基配列を比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はゴシュユの基原植物であって、前記ゴシュユ候補がゴシュユであると鑑別する。

0073

(ゼンコの鑑別方法)
ゼンコ候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号171及び172、又は配列番号401及び402で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、配列番号171及び172で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号171で示す塩基配列と配列番号172で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とゼンコの標準配列である配列番号173又は174で示す塩基配列、又は配列番号401及び402で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号401で示す塩基配列と配列番号402で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とゼンコの標準配列である配列番号403又は404で示す塩基配列を比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はゼンコの基原植物であって、前記ゼンコ候補がゼンコであると鑑別する。

0074

(チモの鑑別方法)
チモ候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号186及び187で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、増幅産物における配列番号186で示す塩基配列と配列番号187で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とチモの標準配列である配列番号188で示す塩基配列とを比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はチモの基原植物であって、前記チモ候補がチモであると鑑別する。

0075

(バクモンドウの鑑別方法)
バクモンドウ候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号199及び200で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、増幅産物における配列番号199で示す塩基配列と配列番号200で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とバクモンドウの標準配列である配列番号201で示す塩基配列とを比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はバクモンドウの基原植物であって、前記バクモンドウ候補がバクモンドウであると鑑別する。

0076

(ビャクシの鑑別方法)
ビャクシ候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号213及び214、又は配列番号416及び417で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、配列番号213及び214で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号213で示す塩基配列と配列番号214で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とビャクシの標準配列である配列番号215で示す塩基配列、又は配列番号416及び417で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号416で示す塩基配列と配列番号417で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とビャクシの標準配列である配列番号418で示す塩基配列を比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はビャクシの基原植物であって、前記ビャクシ候補がビャクシであると鑑別する。

0077

(イレイセンの鑑別方法)
イレイセン候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号227及び228で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、増幅産物における配列番号227で示す塩基配列と配列番号228で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とイレイセンの標準配列である配列番号229〜231のいずれかで示す塩基配列とを比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はイレイセンの基原植物であって、前記イレイセン候補がイレイセンであると鑑別する。

0078

(インチンコウの鑑別方法)
インチンコウ候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号241及び242、又は配列番号243及び244で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのpetD-rpoA領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、配列番号241及び242で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号241で示す塩基配列と配列番号242で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とインチンコウの標準配列である配列番号245で示す塩基配列、又は配列番号243及び244で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号243で示す塩基配列と配列番号244で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とインチンコウの標準配列である配列番号253で示す塩基配列を比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はインチンコウの基原植物であって、前記インチンコウ候補がインチンコウであると鑑別する。

0079

(ジコッピの鑑別方法)
ジコッピ候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号261及び262で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのtrnH-psbA領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、増幅産物における配列番号261で示す塩基配列と配列番号262で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とジコッピの標準配列である配列番号263又は264で示す塩基配列とを比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はジコッピの基原植物であって、前記ジコッピ候補がジコッピであると鑑別する。

0080

(シュクシャの鑑別方法)
シュクシャ候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号275及び276で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、増幅産物における配列番号275で示す塩基配列と配列番号276で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とシュクシャの標準配列である配列番号277で示す塩基配列とを比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はシュクシャの基原植物であって、前記シュクシャ候補がシュクシャであると鑑別する。

0081

(ニンドウの鑑別方法)
ニンドウ候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号284及び285で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのpsbA-trnH領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、増幅産物における配列番号284で示す塩基配列と配列番号285で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とニンドウの標準配列である配列番号286で示す塩基配列とを比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はニンドウの基原植物であって、前記ニンドウ候補がニンドウであると鑑別する。

0082

(センコツの鑑別方法)
センコツ候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号298及び299で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、増幅産物における配列番号298で示す塩基配列と配列番号299で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とセンコツの標準配列である配列番号300で示す塩基配列とを比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はセンコツの基原植物であって、前記センコツ候補がセンコツであると鑑別する。

0083

(ソウハクヒの鑑別方法)
ソウハクヒ候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号312及び313で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。増幅産物における配列番号312で示す塩基配列と配列番号313で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とソウハクヒの標準配列である配列番号314で示す塩基配列とを比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はソウハクヒの基原植物であって、前記ソウハクヒ候補がソウハクヒであると鑑別する。

0084

(キョウカツの鑑別方法)
キョウカツ候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号324及び325で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、増幅産物における配列番号324で示す塩基配列と配列番号325で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とキョウカツの標準配列である配列番号326又は327で示す塩基配列とを比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はキョウカツの基原植物であって、前記キョウカツ候補がキョウカツであると鑑別する。

0085

(ビワヨウの鑑別方法)
ビワヨウ候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号332及び333、又は配列番号334及び335で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、配列番号332及び333で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号332で示す塩基配列と配列番号333で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とビワヨウの標準配列である配列番号336で示す塩基配列、又は配列番号334及び335で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いたときの増幅産物における配列番号334で示す塩基配列と配列番号335で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とビワヨウの標準配列である配列番号348で示す塩基配列を比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はビワヨウの基原植物であって、前記ビワヨウ候補がビワヨウであると鑑別する。

0086

(シコンの鑑別方法)
シコン候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号360及び361で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いてリボソームDNAのITS領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、増幅産物における配列番号360で示す塩基配列と配列番号361で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とシコンの標準配列である配列番号362で示す塩基配列とを比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はシコンの基原植物であって、前記シコン候補がシコンであると鑑別する。

0087

(トチュウの鑑別方法)
トチュウ候補の被検植物から核酸を抽出し、その核酸を鋳型に、配列番号374及び375で示す塩基配列からなるプライマーセットを用いて葉緑体DNAのpsbA-trnH領域を増幅した後、増幅産物の塩基配列を決定する。その後、増幅産物における配列番号374で示す塩基配列と配列番号375で示す塩基配列に相補的な塩基配列とに挟まれた塩基配列とトチュウの標準配列である配列番号376で示す塩基配列とを比較して、両者の塩基配列が一致したときに前記被検植物はトチュウの基原植物であって、前記トチュウ候補がトチュウであると鑑別する。

0088

以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。

0089

<実施例1:ブクリョウの鑑別方法>
1.緒言
第十七改正日本薬局方において、ブクリョウの基原植物は、マツホドWolfiporia cocos Ryvarden et Gilbertson (Poria cocos Wolf) (Polyporaceae)と規定されている。しかし同種には多くの種内変異が知られ、市場には日局適合種ではあるものの、塩基配列の異なる複数系統が流通する可能性がある。異なる系統では含有成分が異なる可能性があり、医薬品の品質確保のためには、これら異なる系統の混用を避けることが有効な方法と考えられる。

0090

そこで、本発明者らは、ブクリョウ各系統及びその近縁菌のゲノムDNAを網羅的に調査した。その結果、核リボゾームDNA中のITS領域の配列において、主な市場流通品であるブクリョウは固有の配列を有し、同種内の別系統などと区別できることが明らかとなった。したがって、同領域はブクリョウ各系統を区別するのに有用なDNAマーカーである。

0091

しかし、生薬からの配列決定は、1)経時変化、加工等によるDNAの損傷・断片化、2)菌類由来のDNAの混入により、しばしば困難である。

0092

そこで、ブクリョウ各系統の配列情報を比較し、これらがPCR増幅可能で、かつ鑑別サイトを含むようにプライマーを設計し、その増幅最適条件を設定することで、従来は配列決定が困難だったサンプルからの配列情報の取得が安定して可能となった。

0093

本実施例は、ブクリョウ各系統に対して、系統間の区別が可能なDNA領域を様々なサンプルからPCR増幅、配列決定を可能とするプライマーセットを中心とし、得られた配列中の鑑別サイトを提示するものである。

0094

2.方法
2−1.核酸抽出方法
鋳型DNAは、生薬サンプル(マツホドWolfiporia cocos Ryvarden et Gilbertson (Poria cocos Wolf) (Polyporaceae)の菌核)の一部を採取し、市販のDNeasy(登録商標)Plant Mini Kit(QIAGEN社)を用いて、添付のプロトコルに従って抽出した。

0095

同じ基原種内の各系統についてはGenBank(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/)より相同配列を得た。

0096

2−2.核酸増幅方法
抽出した鋳型DNAを用いて、PCRにより特定の核酸領域を増幅した。核酸増幅反応条件は以下の通りである。

0097

PCR反応液1)核リボゾームDNA中のITS領域増幅用
D.W. 19.02μL、10× EX Taq Buffer(タカラバイオ社)2.80μL、dNTP Mix(タカラバイオ社)2.24μL、EX Taq (タカラバイオ社)0.14μL、フォワードプライマー:007-5F(Bukuryou-f1)(GAGCGTCGCGGAACCCTCAAC ;配列番号1; 10pmol/μL) 1μL、リバースプライマー:007-5R(Bukuryou-r3)(CAATCCGGTCCGGGCTAATG ;配列番号2;10pmol/μL) 1μL、鋳型DNA 1μL。

0098

PCRサイクル条件1)
PCR反応液1を0.2mlマイクロチューブに入れ、95℃×5min、(95℃×30sec, 55℃×30sec, 72℃×1min)×40サイクル、72℃×7minの条件で、GeneAmp9700(Thermo Fisher Scientific社)等のサーマルサイクラーを用いて反応させた。

0099

(PCR反応液2)核リボゾームDNA中のITS領域増幅用
D.W. 17.02μL、10× gene Taq Buffer(ニッポンジーン社)2.80μL、dNTP Mix (ニッポンジーン社)2.24μL、DMSO 2.80μL、gene Taq (ニッポンジーン社)0.14μL、フォワードプライマー:007-6F(Bukuryou-f2)(CTCAACTCCGTCCGCCTTTG;配列番号3; 10pmol/μL) 1μL、リバースプライマー:007-6R(Bukuryou-r3)(CAATCCGGTCCGGGCTAATG ;配列番号4;10pmol/μL) 1μL、鋳型DNA 1μL。

0100

(PCRサイクル条件2)
PCR反応液2を0.2mlマイクロチューブに入れ、Stepdown法の条件で、GeneAmp9700(Thermo Fisher Scientific社)等のサーマルサイクラーを用いて反応させた。

0101

※Stepdown法:94℃, 4 min、(95℃, 30 sec; 70℃, 15 sec; 72℃, 15 sec) × 3サイクル、(95℃, 30 sec; 66℃, 15 sec; 72℃, 15 sec) × 3 サイクル、(95℃, 30 sec; 62℃, 15 sec; 72℃, 15 sec) × 3 サイクル、(95℃, 30 sec; 58℃, 15 sec; 72℃, 15 sec) × 3 サイクル、(95℃, 30 sec; 54℃, 15 sec; 72℃, 15 sec) × 3 サイクル、(95℃, 30 sec; 48℃, 1.5 min; 72℃, 2.5 min) × 20 サイクル、及び(72℃, 7 min.) × 1 サイクル。

0102

2−3.ゲル電気泳動による増幅産物の確認とゲル抽出
PCR後に、ゲル電気泳動法により目的とする特定の核酸領域の増幅産物を確認し、それを単離した。具体的にはPCR後の反応液に2μLのBlue Juiceを添加してサンプル溶液を調製した。total 2% NuSieve+SeaKEM (タカラバイオ社)+1×TAEのゲルを、Mupid EX-U(ミューピッド社)に充填した1×TAEバッファ中に浸漬し、well中にサンプル溶液を積載した後、100V×約30分間の条件で電気泳動を行った。目標PCR産物Loading量は、15μLLED 500nmトランスイルミネーターLB-16BG(日本ジェネティクス社)+ゲル撮影装置Printgraph AE-6931 FXCF(ATTO社)で確認し、画像撮影を行った。

0103

続いて、目的の増幅産物から予想されるサイズのバンド使い捨てメス切り出し、illustra GFXPCRPurification Kit (GEヘルスケアジャパン社)を用いて抽出した後、同キット中のType4 buffer 20μLで溶出した。

0104

2−4.増幅産物の塩基配列決定
サイクルシーケンス反応の最適化のためにNanodrop 2000C(バイオメディカルサイエンス社)を用いて増幅産物の濃度測定を行い、適正濃度になるようにTEで希釈した。

0105

BigDyeTerminator v.3.1溶液(Thermo Fisher Scientific社)0.8μL、5× Buffer(Thermo Fisher Scientific社)0.4μL、D.W. 0.8μL、核酸増幅時に使用したプライマー(1pmol/μL)1μL、精製増幅産物1μLを混合し、GeneAmp9700(Thermo Fisher Scientific社)+200μLを96wellプレートでBigDye Terminator v.3.1マニュアルで指定された条件でサイクルシーケンシングを行った。

0106

反応後、BigDye Terminator v.3.1マニュアル中で指定されたEDTAエタノール沈殿法により、精製増幅産物を得た。

0107

ABIPRISM(登録商標)3500xL Genetic Analyzer(Thermo Fisher Scientific社)で、50cmキャピラリーPOP7を用いて同機器のマニュアルに従い、増幅産物の塩基配列を決定した。

0108

その後、VerctorNTI 9.0 for Windows(Thermo Fisher Scientific社)中のContigExpressにて、PCR反応液1及びPCR反応液2のそれぞれの各種増幅産物のフォワード配列及びリバース配列を比較して信頼性の高い配列を決定した。

0109

BioEdit v7.2.5 for Windows (Tom Hall 2013)を用いて、得られた配列を、標準となるブクリョウ及び他系統茯苓の相同配列と比較した(表3及び表4並びに図1及び図2)。

0110

0111

0112

3.結果
図1図2で得られた核リボゾームDNA中のITS領域はそれぞれPrimer set 007-5F & 007-5RとPrimer set 007-6F & 007-6RでPCR増幅し、塩基配列決定した部分領域の配列である。フラグメントの長さはそれぞれ153bpと138bpであり(Primerを含む長さ)、通常Primer set 007-5F & 007-5Rを用いてフラグメントの長さが153bpの部分領域を決定できれば、Primer set 007-6F & 007-6Rで試験する必要がない。なお、断片化がひどいサンプルについては、Primer set 007-5F & 007-5RにてPCR増幅が成功しない場合は、より短いフラグメントにも対応可能なPrimer set 007-6F & 007-6Rを用いることによって、138bp(Primerを含む長さ)の塩基配列決定が可能となる。これら2組のPrimer setでは、共通して6サイトの鑑別サイトを示した。

0113

図1では、まず、27位、32位、83位でCおよび89位でTとなるのはマツホドWolfiporia cocos Ryvarden et Gilbertson (Poria cocos Wolf) (Polyporaceae)の主な系統であり、サンプルはこの系統と一致する。56位、59位では、個々のサイトではマツホドWolfiporia cocos Ryvarden et Gilbertson (Poria cocos Wolf) (Polyporaceae)の主要な系統と同種内の他系統とは区別できないが、複数のサイトの組み合わせで区別が可能となる。

0114

マツホドWolfiporia cocos Ryvarden et Gilbertson (Poria cocos Wolf) (Polyporaceae)の主要な系統と同種内の他系統を区別するためには、27位、32位、83位もしくは89位を評価することが必要要件となるが、より高い確度の鑑別のためには上記の合計6サイトの評価をすることが望ましい。

0115

また、図2では図1と同様、まず、13位、18位、69位でCおよび75位でTとなるのはマツホドWolfiporia cocos Ryvarden et Gilbertson (Poria cocos Wolf) (Polyporaceae)の主な系統であり、サンプルはこの系統と一致する。42位、45位では、個々のサイトではマツホドWolfiporia cocos Ryvarden et Gilbertson (Poria cocos Wolf) (Polyporaceae)の主要な系統と同種内の他系統とは区別できないが、複数のサイトの組み合わせで区別が可能となる。

0116

マツホドWolfiporia cocos Ryvarden et Gilbertson (Poria cocos Wolf) (Polyporaceae)の主要な系統と同種内の他系統を区別するためには、13位、18位、69位もしくは75位を評価することが必要要件となるが、より高い確度の鑑別のためには上記の合計6サイトの評価をすることが望ましい。

0117

<実施例2:ジオウの鑑別方法>
1.緒言
第十七改正日本薬局方において、ジオウの基原植物は、アカヤジオウRehmannia glutinosa Liboschitz var. purpurea Makino又はRehmannia glutinosa Liboschitz (Scrophulariaceae)と規定されている。しかし市場には近縁他種であるRehmannia henryiなどが流通する可能性があり、これらの誤用・混用を避けることは医薬品の品質確保のために、重要である。

0118

そこで、本発明者らは,ジオウ及びその近縁植物のゲノムDNA、又は葉緑体DNAを網羅的に調査した。その結果、核リボゾームDNA中のITS領域の配列において、ジオウは同領域で固有の配列を有し、近縁他種と区別できることが明らかとなった。したがって、同領域はジオウと近縁他種を区別するのに有用なDNAマーカーである。

0119

しかし、生薬からの配列決定は、1)経時変化、加工等によるDNAの損傷・断片化、2)菌類由来のDNAの混入により、しばしば困難である。

0120

そこで、ジオウと近縁他種の配列情報を比較し、これらがPCR増幅可能で、かつ鑑別サイトを含むようにプライマーを設計し、その増幅最適条件を設定することで、従来は配列決定が困難だったサンプルからの配列情報の取得が安定して可能となった。

0121

本実施例は、ジオウ及びその近縁他種に対して、種間の区別が可能なDNA領域を様々なサンプルからPCR増幅、配列決定を可能とするプライマーセットを中心とし、得られた配列中の鑑別サイトを提示するものである。

0122

2.方法
2−1.核酸抽出方法
鋳型DNAは、生薬又は生薬加工前の基原植物(アカヤジオウRehmannia glutinosa Liboschitz var. purpurea Makino又はRehmannia glutinosa Liboschitz (Scrophulariaceae))の一部を採取し、市販のDNeasy(登録商標)Plant Mini Kit(QIAGEN社)を用いて、添付のプロトコルに従って抽出した。

0123

近縁他種についてはGenBank(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/)より相同配列を得た。

0124

2−2.核酸増幅方法
抽出した鋳型DNAを用いて、PCRにより特定の核酸領域を増幅した。核酸増幅反応条件は以下の通りである。

0125

(PCR反応液)核リボゾームDNA中のITS領域増幅用
D.W. 17.02μL、10× gene Taq Buffer(ニッポンジーン社)2.80μL、dNTP Mix (ニッポンジーン社)2.24μL、DMSO 2.80μL、gene Taq (ニッポンジーン社)0.14μL、フォワードプライマー:011-1F(Jiou-ITS1-f1)(CAACCTCTCGCCGCGTTCCC;配列番号17; 10pmol/μL) 1μL、リバースプライマー:011-1R(Jiou-ITS1-r3)(CGAGAGACATCCTTTCCCCCC;配列番号18;10pmol/μL) 1μL、鋳型DNA 1μL。

0126

(PCRサイクル条件)
反応液を0.2mlマイクロチューブに入れ、Stepdown法※の条件で、GeneAmp9700(Thermo Fisher Scientific社)等のサーマルサイクラーを用いて反応させた。
※Stepdown法は、実施例1のPCRサイクル条件2と同様である。

0127

2−3.ゲル電気泳動による増幅産物の確認とゲル抽出
実施例1と同様に、ゲル電気泳動による増幅産物の確認とゲル抽出を行った。

0128

2−4.増幅産物の塩基配列決定
実施例1と同様に、増幅産物の塩基配列決定を行った。

0129

その後、PCR反応液の各種増幅産物のフォワード配列及びリバース配列を比較して信頼性の高い配列を決定した。

0130

BioEdit v7.2.5 for Windows (Tom Hall 2013)を用いて、得られた配列を、標準となるジオウ及び近縁他種の相同配列と比較した(表5及び図3)。

0131

0132

3.結果
図3で得られた核リボゾームDNA中のITS領域を示し、5サイトの鑑別サイトを示した。8位、17位、75位、92位、97位では、個々のサイトではアカヤジオウRehmannia glutinosa Liboschitz var. purpurea Makino又はRehmannia glutinosa Liboschitz (Scrophulariaceae)と近縁他種は区別できないが、複数のサイトの組み合わせで区別が可能となる。

0133

<実施例3:エンゴサクの鑑別方法>
1.緒言
第十七改正日本薬局方において、エンゴサクの基原植物は、Corydalis turtschaninovii Besser forma yanhusuo Y. H. Chou et C. C. Hsu (Papaveraceae)と規定されている。しかし市場には近縁他種であるCorydalis ambiguaなどが流通する可能性があり、これらの誤用・混用を避けることは医薬品の品質確保のために、重要である。

0134

そこで、本発明者らは、エンゴサク及びその近縁植物のゲノムDNA、又は葉緑体DNAを網羅的に調査した。その結果、核リボゾームDNA中のITS領域の配列において、エンゴサクは同領域で固有の配列を有し、近縁他種と区別できることが明らかとなった。したがって、同領域はエンゴサクと近縁他種を区別するのに有用なDNAマーカーである。

0135

しかし、生薬からの配列決定は、1)経時変化、加工等によるDNAの損傷・断片化、2)菌類由来のDNAの混入により、しばしば困難である。

0136

そこで、エンゴサクと近縁他種の配列情報を比較し、これらがPCR増幅可能で、かつ鑑別サイトを含むようにプライマーを設計し、その増幅最適条件を設定することで、従来は配列決定が困難だったサンプルからの配列情報の取得が安定して可能となった。

0137

本実施例は、エンゴサク及びその近縁他種に対して、種間の区別が可能なDNA領域を様々なサンプルからPCR増幅、配列決定を可能とするプライマーセットを中心とし、得られた配列中の鑑別サイトを提示するものである。

0138

2.方法
2−1.核酸抽出方法
鋳型DNAは、生薬又は生薬加工前の基原植物(Corydalis turtschaninovii Besser forma yanhusuo Y. H. Chou et C. C. Hsu (Papaveraceae))の一部を採取し、市販のDNeasy(登録商標)Plant Mini Kit(QIAGEN社)を用いて、添付のプロトコルに従って抽出した。

0139

近縁他種のうち、Corydalis boweri、Corydalis saxicola、Corydalis wilsonii、Corydalis adunca、Corydalis ambigua、Corydalis nobilis、Corydalis hamataについてはGenBank(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/)より相同配列を得た。

0140

2−2.核酸増幅方法
抽出した鋳型DNAを用いて、PCRにより特定の核酸領域を増幅した。核酸増幅反応条件は以下の通りである。

0141

(PCR反応液)核リボゾームDNA中のITS領域増幅用
D.W. 19.02μL、10× EX Taq Buffer(タカラバイオ社)2.80μL、dNTP Mix (タカラバイオ社)2.24μL、EX Taq (タカラバイオ社)0.14μL、フォワードプライマー:019-1F(019-T1F)(ACASAGGCCCCGGGAGGCCGRCG;配列番号26; 10pmol/μL) 1μL、リバースプライマー:019-1R(019-T1R)(TTCAGCGGGTGGTCCCGCCTGAC;配列番号27;10pmol/μL) 1μL、鋳型DNA 1μL。

0142

(PCRサイクル条件)
反応液を0.2mlマイクロチューブに入れ、95℃×5min、(95℃×30sec, 55℃×30sec, 72℃×1min)×35サイクル、72℃×7minの条件で、GeneAmp9700(Thermo Fisher Scientific社)等のサーマルサイクラーを用いて反応させた。

0143

2−3.ゲル電気泳動による増幅産物の確認とゲル抽出
実施例1と同様に、ゲル電気泳動による増幅産物の確認とゲル抽出を行った。

0144

2−4.増幅産物の塩基配列決定
実施例1と同様に、増幅産物の塩基配列決定を行った。

0145

その後、PCR反応液の各種増幅産物のフォワード配列及びリバース配列を比較して信頼性の高い配列を決定した。

0146

BioEdit v7.2.5 for Windows (Tom Hall 2013)を用いて、得られた配列を、標準となるエンゴサク及び近縁他種の相同配列と比較した(表6及び図4)。

0147

0148

3.結果
図4で得られた核リボゾームDNA中のITS領域を示し、10サイトの鑑別サイトを示した。まず、68位でAとなるのはCorydalis turtschaninovii Besser forma yanhusuo Y. H. Chou et C. C. Hsu (Papaveraceae)のみであり、サンプルはCorydalis turtschaninovii Besser forma yanhusuo Y. H. Chou et C. C. Hsu (Papaveraceae)と一致する。35位、47位、62位、63位、93位、99位、104位、105位、122位では、個々のサイトではCorydalis turtschaninovii Besser forma yanhusuo Y. H. Chou et C. C. Hsu (Papaveraceae)と近縁他種は区別できないが、複数のサイトの組み合わせで区別が可能となる。

0149

Corydalis turtschaninovii Besser forma yanhusuo Y. H. Chou et C. C. Hsu (Papaveraceae)と近縁他種を区別するためには、68位を評価することが必要要件となるが、より高い確度の鑑別のためには上記の合計10サイトの評価をすることが望ましい。

0150

<実施例4:カッコンの鑑別方法>
1.緒言
第十七改正日本薬局方において、カッコンの基原植物は、クズPueraria lobata Ohwi (Leguminosae)と規定されている。しかし市場には近縁他種であるPueraria montana var. thomsoniiなどが流通する可能性があり、これらの誤用・混用を避けることは医薬品の品質確保のために、重要である。

0151

そこで、本発明者らは、カッコン及びその近縁植物のゲノムDNA、又は葉緑体DNAを網羅的に調査した。その結果、核リボゾームDNA中のITS領域の配列において、カッコンは同領域で固有の配列を有し、近縁他種と区別できることが明らかとなった。したがって、同領域はカッコンと近縁他種を区別するのに有用なDNAマーカーである。

0152

しかし、生薬からの配列決定は、1)経時変化、加工等によるDNAの損傷・断片化、2)菌類由来のDNAの混入により、しばしば困難である。

0153

そこで、カッコンと近縁他種の配列情報を比較し、これらがPCR増幅可能で、かつ鑑別サイトを含むようにプライマーを設計し、その増幅最適条件を設定することで、従来は配列決定が困難だったサンプルからの配列情報の取得が安定して可能となった。

0154

本実施例は、カッコン及びその近縁他種に対して、種間の区別が可能なDNA領域を様々なサンプルからPCR増幅、配列決定を可能とするプライマーセットを中心とし、得られた配列中の鑑別サイトを提示するものである。

0155

2.方法
2−1.核酸抽出方法
鋳型DNAは、生薬又は生薬加工前の基原植物(クズPueraria lobata Ohwi (Leguminosae))の一部を採取し、市販のDNeasy(登録商標)Plant Mini Kit(QIAGEN社)を用いて、添付のプロトコルに従って抽出した。

0156

近縁他種についてはGenBank(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/)より相同配列を得た。

0157

2−2.核酸増幅方法
抽出した鋳型DNAを用いて、PCRにより特定の核酸領域を増幅した。核酸増幅反応条件は以下の通りである。

0158

(PCR反応液1)核リボゾームDNA中のITS領域増幅用
D.W. 17.02μL、10× gene Taq Buffer(ニッポンジーン社)2.80μL、dNTP Mix (ニッポンジーン社)2.24μL、DMSO 2.80μL、gene Taq (ニッポンジーン社)0.14μL、フォワードプライマー:021-1F(Kakkon-ITS1-f2) (CGGAAGGATCATTGTCGATGC;配列番号37; 10pmol/μL) 1μL、リバースプライマー:021-1R(kakkon-ITS1-r1)(GTGTTTGTTGGGGAAGGAGG;配列番号38;10pmol/μL) 1μL、鋳型DNA 1μL。

0159

(PCR反応液2)核リボゾームDNA中のITS領域増幅用
D.W. 17.02μL、10× gene Taq Buffer(ニッポンジーン社)2.80μL、dNTP Mix (ニッポンジーン社)2.24μL、DMSO 2.80μL、gene Taq (ニッポンジーン社)0.14μL、フォワードプライマー:021-2F(Kakkon-ITS2-f1)(GAACGCAAGTTGCGCCCGAAG;配列番号39; 10pmol/μL) 1μL、リバースプライマー:021-2R(kakkon-ITS2-r1)(CGAACTCGATTTTCAACCAAC;配列番号40;10pmol/μL) 1μL、鋳型DNA 1μL。

0160

(PCRサイクル条件)
反応液を0.2mlマイクロチューブに入れ、Stepdown法※の条件で、GeneAmp9700(Thermo Fisher Scientific社)等のサーマルサイクラーを用いて反応させた。
※Stepdown法は、実施例1のPCRサイクル条件2と同様である。

0161

2−3.ゲル電気泳動による増幅産物の確認とゲル抽出
実施例1と同様に、ゲル電気泳動による増幅産物の確認とゲル抽出を行った。

0162

2−4.増幅産物の塩基配列決定
実施例1と同様に、増幅産物の塩基配列決定を行った。

0163

その後、PCR反応液1及びPCR反応液2のそれぞれの各種増幅産物のフォワード配列及びリバース配列を比較して信頼性の高い配列を決定した。

0164

BioEdit v7.2.5 for Windows (Tom Hall 2013)を用いて、得られた配列を、標準となるカッコン及び近縁他種の相同配列と比較した(表7及び表8並びに図5及び図6)。

0165

0166

0167

3.結果
図5で得られた核リボゾームDNA中のITS1領域を示し、6サイトの鑑別サイトを示した。まず、70位でCとなるのはクズPueraria lobata Ohwi (Leguminosae)のみであり、サンプルはクズPueraria lobata Ohwi (Leguminosae)と一致する。19位、58位、95位、142位、158位では、個々のサイトではクズPueraria lobata Ohwi (Leguminosae)と近縁他種は区別できないが、複数のサイトの組み合わせで区別が可能となる。

0168

クズPueraria lobata Ohwi (Leguminosae)と近縁他種を区別するためには、70位を評価することが必要要件となるが、より高い確度の鑑別のためには上記の合計6サイトの評価をすることが望ましい。

0169

また、図6で得られた核リボゾームDNA中のITS2領域を示し、7サイトの鑑別サイトを示した。まず、60位または89位でGとなるのはクズPueraria lobata Ohwi (Leguminosae)のみであり、サンプルはクズPueraria lobata Ohwi (Leguminosae)と一致する。11位、50位、77位、119位、127位では、個々のサイトではクズPueraria lobata Ohwi (Leguminosae)と近縁他種は区別できないが、複数のサイトの組み合わせで区別が可能となる。

0170

クズPueraria lobata Ohwi (Leguminosae)と近縁他種を区別するためには、60位または89位を評価することが必要要件となるが、より高い確度の鑑別のためには上記の合計7サイトの評価をすることが望ましい。

0171

<実施例5:ボウフウの鑑別方法>
1.緒言
第十七改正日本薬局方において、ボウフウの基原植物は、Saposhnikovia divaricata Schischkin (Umbelliferae)と規定されている。しかし市場には近縁他種であるGlehnia littoralisなどが流通する可能性があり、これらの誤用・混用を避けることは医薬品の品質確保のために、重要である。

0172

そこで、本発明者らは、ボウフウ及びその近縁植物のゲノムDNA、又は葉緑体DNAを網羅的に調査した。その結果、核リボゾームDNA中のITS領域の配列において、ボウフウは同領域で固有の配列を有し、近縁他種と区別できることが明らかとなった。したがって、同領域はボウフウと近縁他種を区別するのに有用なDNAマーカーである。

0173

しかし、生薬からの配列決定は、1)経時変化、加工等によるDNAの損傷・断片化、2)菌類由来のDNAの混入により、しばしば困難である。

0174

そこで、ボウフウと近縁他種の配列情報を比較し、これらがPCR増幅可能で、かつ鑑別サイトを含むようにプライマーを設計し、その増幅最適条件を設定することで、従来は配列決定が困難だったサンプルからの配列情報の取得が安定して可能となった。

0175

本実施例は、ボウフウ及びその近縁他種に対して、種間の区別が可能なDNA領域を様々なサンプルからPCR増幅、配列決定を可能とするプライマーセットを中心とし、得られた配列中の鑑別サイトを提示するものである。

0176

2.方法
2−1.核酸抽出方法
鋳型DNAは、生薬又は生薬加工前の基原植物(Saposhnikovia divaricata Schischkin (Umbelliferae))の一部を採取し、市販のDNeasy(登録商標)Plant Mini Kit(QIAGEN社)を用いて、添付のプロトコルに従って抽出した。

0177

近縁他種についてはGenBank(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/)より相同配列を得た。

0178

2−2.核酸増幅方法
抽出した鋳型DNAを用いて、PCRにより特定の核酸領域を増幅した。核酸増幅反応条件は以下の通りである。

0179

(PCR反応液)核リボゾームDNA中のITS領域増幅用
D.W. 19.02μL、10× EX Taq Buffer(タカラバイオ社)2.80μL、dNTP Mix (タカラバイオ社)2.24μL、EX Taq (タカラバイオ社)0.14μL、フォワードプライマー:031-1F(031-T1F)(GTGAACCTGCGGAAGGATCATTG;配列番号51; 10pmol/μL) 1μL、リバースプライマー:031-1R(031-T2R)(GAGATATCCGTTGTCGAGAGTCG;配列番号52;10pmol/μL) 1μL、鋳型DNA 1μL。

0180

(PCRサイクル条件)
反応液を0.2mlマイクロチューブに入れ、95℃×5min、(95℃×30sec, 55℃×30sec, 72℃×1min)×35サイクル、72℃×7minの条件で、GeneAmp9700(Thermo Fisher Scientific社)等のサーマルサイクラーを用いて反応させた。

0181

2−3.ゲル電気泳動による増幅産物の確認とゲル抽出
実施例1と同様に、ゲル電気泳動による増幅産物の確認とゲル抽出を行った。

0182

2−4.増幅産物の塩基配列決定
実施例1と同様に、増幅産物の塩基配列決定を行った。

0183

その後、PCR反応液の各種増幅産物のフォワード配列及びリバース配列を比較して信頼性の高い配列を決定した。

0184

BioEdit v7.2.5 for Windows (Tom Hall 2013)を用いて、得られた配列を、標準となるボウフウ及び近縁他種の相同配列と比較した(表9及び図7)。

0185

0186

3.結果
図7で得られた核リボゾームDNA中のITS領域を示し、20サイトの鑑別サイトを示した。まず、14位、85位でC、123位、210位でT、もしくは164位でAとなるのはSaposhnikovia divaricata Schischkin (Umbelliferae)のみであり,サンプルはSaposhnikovia divaricata Schischkin (Umbelliferae)と一致する。6位、19位、38位、46位、51位、55位、65位、78位、88位、101位、105位、117位、156位、179位、198位では、個々のサイトではSaposhnikovia divaricata Schischkin (Umbelliferae)と近縁他種は区別できないが、複数のサイトの組み合わせで区別が可能となる。

0187

Saposhnikovia divaricata Schischkin (Umbelliferae)と近縁他種を区別するためには、14位、85位、123位、210位、もしくは164位を評価することが必要要件となるが、より高い確度の鑑別のためには上記の合計20サイトの評価をすることが望ましい。

0188

<実施例6:オンジの鑑別方法>
1.緒言
第十七改正日本薬局方において,オンジの基原植物は、イトヒメハギPolygala tenuifolia Willdenow (Polygalaceae)と規定されている。しかし市場には近縁他種であるPolygala sibiricaなどが流通する可能性があり、これらの誤用・混用を避けることは医薬品の品質確保のために、重要である。

0189

そこで、本発明者らは、オンジ及びその近縁植物のゲノムDNA、又は葉緑体DNAを網羅的に調査した。その結果、葉緑体DNA中のpsbA-trnH領域の配列において、オンジは同領域で固有の配列を有し、近縁他種と区別できることが明らかとなった。したがって、同領域はオンジと近縁他種を区別するのに有用なDNAマーカーである。

0190

しかし、生薬からの配列決定は、1)経時変化、加工等によるDNAの損傷・断片化、2)菌類由来のDNAの混入により、しばしば困難である。

0191

そこで、オンジと近縁他種の配列情報を比較し、これらがPCR増幅可能で、かつ鑑別サイトを含むようにプライマーを設計し、その増幅最適条件を設定することで、従来は配列決定が困難だったサンプルからの配列情報の取得が安定して可能となった。

0192

本実施例は、オンジ及びその近縁他種に対して、種間の区別が可能なDNA領域を様々なサンプルからPCR増幅、配列決定を可能とするプライマーセットを中心とし、得られた配列中の鑑別サイトを提示するものである。

0193

2.方法
2−1.核酸抽出方法
鋳型DNAは、生薬又は生薬加工前の基原植物(イトヒメハギPolygala tenuifolia Willdenow (Polygalaceae))の一部を採取し、市販のDNeasy(登録商標)Plant Mini Kit(QIAGEN社)を用いて、添付のプロトコルに従って抽出した。

0194

近縁他種についてはGenBank(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/)より相同配列を得た。

0195

2−2.核酸増幅方法
抽出した鋳型DNAを用いて、PCRにより特定の核酸領域を増幅した。核酸増幅反応条件は以下の通りである。

0196

(PCR反応液)葉緑体DNA中のpsbA-trnH領域増幅用
D.W. 17.02μL、10× gene Taq Buffer(ニッポンジーン社)2.80μL、dNTP Mix (ニッポンジーン社)2.24μL、DMSO 2.80μL、gene Taq (ニッポンジーン社)0.14μL、フォワードプライマー:033-2F(onji-psbA-trnH-f1)(CCTAGCTGTTGTAGAAGCTC;配列番号65; 10pmol/μL) 1μL、リバースプライマー:033-2R(onji-psbA-trnH-r1)(CCAATTCTTTTTTATTATGAG;配列番号66;10pmol/μL) 1μL、鋳型DNA 1μL。

0197

(PCRサイクル条件)
反応液を0.2mlマイクロチューブに入れ、95℃×5min、(95℃×30sec, 48℃×30sec, 72℃×1min)×35サイクル、72℃×7minの条件で、GeneAmp9700(Thermo Fisher Scientific社)等のサーマルサイクラーを用いて反応させた。

0198

2−3.ゲル電気泳動による増幅産物の確認とゲル抽出
実施例1と同様に、ゲル電気泳動による増幅産物の確認とゲル抽出を行った。

0199

2−4.増幅産物の塩基配列決定
実施例1と同様に、増幅産物の塩基配列決定を行った。

0200

その後、PCR反応液の各種増幅産物のフォワード配列及びリバース配列を比較して信頼性の高い配列を決定した。

0201

BioEdit v7.2.5 for Windows (Tom Hall 2013)を用いて、得られた配列を、標準となるオンジ及び近縁他種の相同配列と比較した(表10及び図8)。

0202

0203

3.結果
図8で得られた葉緑体DNA中のpsbA-trnH領域を示し、6サイトの鑑別サイトを示した。まず、159位で1塩基の欠失となるのはイトヒメハギPolygala tenuifolia Willdenow (Polygalaceae)のみであり、サンプルはイトヒメハギPolygala tenuifolia Willdenow (Polygalaceae)と一致する。また、187位〜204位の連続18塩基の欠失となるのはイトヒメハギPolygala tenuifolia Willdenow (Polygalaceae)のみであり、サンプルはイトヒメハギPolygala tenuifolia Willdenow (Polygalaceae)と一致する。23位、83位、127位、144位では、個々のサイトではイトヒメハギPolygala tenuifolia Willdenow (Polygalaceae)と近縁他種は区別できないが、複数のサイトの組み合わせで区別が可能となる。

0204

イトヒメハギPolygala tenuifolia Willdenow (Polygalaceae)と近縁他種を区別するためには、159位を評価することが必要要件となるが、より高い確度の鑑別のためには上記の合計6サイトの評価をすることが望ましい。

0205

<実施例7:ハッカの鑑別方法>
1.緒言
第十七改正日本薬局方において、ハッカの基原植物は、ハッカMentha arvensis Linne var. piperascens Malinvaud (Labiatae)と規定されている。しかし市場には近縁他種であるMentha spicataなどが流通する可能性があり、これらの誤用・混用を避けることは医薬品の品質確保のために、重要である。

0206

そこで、本発明者らは、ハッカ及びその近縁植物のゲノムDNA、又は葉緑体DNAを網羅的に調査した。その結果、核リボゾームDNA中のITS領域の配列において、ハッカは同領域で固有の配列を有し、近縁他種と区別できることが明らかとなった。したがって、同領域はハッカと近縁他種を区別するのに有用なDNAマーカーである。

0207

しかし、生薬からの配列決定は、1)経時変化、加工等によるDNAの損傷・断片化、2)菌類由来のDNAの混入により、しばしば困難である。

0208

そこで、ハッカと近縁他種の配列情報を比較し、これらがPCR増幅可能で、かつ鑑別サイトを含むようにプライマーを設計し、その増幅最適条件を設定することで、従来は配列決定が困難だったサンプルからの配列情報の取得が安定して可能となった。

0209

本実施例は、ハッカ及びその近縁他種に対して、種間の区別が可能なDNA領域を様々なサンプルからPCR増幅、配列決定を可能とするプライマーセットを中心とし、得られた配列中の鑑別サイトを提示するものである。

0210

2.方法
2−1.核酸抽出方法
鋳型DNAは、生薬又は生薬加工前の基原植物(ハッカMentha arvensis Linne var. piperascens Malinvaud (Labiatae))の一部を採取し、市販のDNeasy(登録商標)Plant Mini Kit(QIAGEN社)を用いて、添付のプロトコルに従って抽出した。

0211

近縁他種についてはGenBank(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/)より相同配列を得た。

0212

2−2.核酸増幅方法
抽出した鋳型DNAを用いて、PCRにより特定の核酸領域を増幅した。核酸増幅反応条件は以下の通りである。

0213

(PCR反応液)核リボゾームDNA中のITS領域増幅用
D.W. 17.02μL、10× gene Taq Buffer(ニッポンジーン社)2.80μL、dNTP Mix (ニッポンジーン社)2.24μL、DMSO 2.80μL、gene Taq (ニッポンジーン社)0.14μL、フォワードプライマー:036-1F(ITS3)*(GCATCGATGAAGAACGCAGC;配列番号73;10pmol/μL) 1μL、リバースプライマー:036-1R(Hakka_ITS-R1)(GATTGAGATGTTCAACCACCAC;配列番号74;10pmol/μL) 1μL、鋳型DNA 1μL。

0214

*ITS3
White et al. 1990.
White T. J., Bruns T., Lee S. and Taylor J. 1990. Amplification and direct sequencing of fungal ribosomal RNA genes for phylogenetics. In: Innis M. A., Gelfand D. H., Sninsky J. J. and White T. J. (eds.),PCRProtocols: a Guide to Methods and Applications. pp. 315-322. Academic Press, New York.

0215

(PCRサイクル条件)
反応液を0.2mlマイクロチューブに入れ、95℃×5min、(95℃×30sec, 48℃×30sec, 72℃×1min)×35サイクル、72℃×7minの条件で、GeneAmp9700(Thermo Fisher Scientific社)等のサーマルサイクラーを用いて反応させた。

0216

2−3.ゲル電気泳動による増幅産物の確認とゲル抽出
実施例1と同様に、ゲル電気泳動による増幅産物の確認とゲル抽出を行った。

0217

2−4.増幅産物の塩基配列決定
実施例1と同様に、増幅産物の塩基配列決定を行った。

0218

その後、PCR反応液の各種増幅産物のフォワード配列及びリバース配列を比較して信頼性の高い配列を決定した。

0219

BioEdit v7.2.5 for Windows (Tom Hall 2013)を用いて、得られた配列を、標準となるハッカ及び近縁他種の相同配列と比較した(表11及び図9)。

0220

0221

3.結果
図9で得られた核リボゾームDNA中のITS領域を示し、11サイトの鑑別サイトを示した。まず、93位でY、139位でY、140位でM、148位でR、161位でS、もしくは184位でYとなるのはハッカMentha arvensis Linne var. piperascens Malinvaud (Labiatae)のみであり,サンプルはハッカMentha arvensis Linne var. piperascens Malinvaud (Labiatae)と一致する。77位、83位、136位、169位、216位では、個々のサイトではハッカMentha arvensis Linne var. piperascens Malinvaud (Labiatae)と近縁他種は区別できないが、複数のサイトの組み合わせで区別が可能となる。

0222

ハッカMentha arvensis Linne var. piperascens Malinvaud (Labiatae)と近縁他種を区別するためには、93位、139位、140位、148位、161位、もしくは184位を評価することが必要要件となるが、より高い確度の鑑別のためには上記の合計11サイトの評価をすることが望ましい。

0223

<実施例8:マオウの鑑別方法>
1.緒言
第十七改正日本薬局方において、マオウの基原植物は、Ephedra sinica Stapf、Ephedra intermedia Schrenk et C. A. Meyer又はEphedra equisetina Bunge (Ephedraceae)と規定されている。しかし市場には近縁他種であるEphedra gerardianaなどが流通する可能性があり、これらの誤用・混用を避けることは医薬品の品質確保のために、重要である。

0224

そこで、本発明者らは、マオウ及びその近縁植物のゲノムDNA、又は葉緑体DNAを網羅的に調査した。その結果、葉緑体DNA中のrbcL領域の配列において、マオウは同領域で固有の配列を有し、近縁他種と区別できることが明らかとなった。したがって、同領域はマオウと近縁他種を区別するのに有用なDNAマーカーである。

0225

しかし、生薬からの配列決定は、1)経時変化、加工等によるDNAの損傷・断片化、2)菌類由来のDNAの混入により、しばしば困難である。

0226

そこで、マオウと近縁他種の配列情報を比較し、これらがPCR増幅可能で、かつ鑑別サイトを含むようにプライマーを設計し、その増幅最適条件を設定することで、従来は配列決定が困難だったサンプルからの配列情報の取得が安定して可能となった。

0227

本実施例は、マオウ及びその近縁他種に対して、種間の区別が可能なDNA領域を様々なサンプルからPCR増幅、配列決定を可能とするプライマーセットを中心とし、得られた配列中の鑑別サイトを提示するものである。

0228

2.方法
2−1.核酸抽出方法
鋳型DNAは、生薬又は生薬加工前の基原植物(Ephedra sinica Stapf、Ephedra intermedia Schrenk et C. A. Meyer又はEphedra equisetina Bunge (Ephedraceae))の一部を採取し、市販のDNeasy(登録商標)Plant Mini Kit(QIAGEN社)を用いて、添付のプロトコルに従って抽出した。

0229

近縁他種についてはGenBank(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/)より相同配列を得た。

0230

2−2.核酸増幅方法
抽出した鋳型DNAを用いて、PCRにより特定の核酸領域を増幅した。核酸増幅反応条件は以下の通りである。

0231

(PCR反応液1)葉緑体DNA中のrbcL領域増幅用
D.W. 19.02μL、10× EX Taq Buffer(タカラバイオ社)2.80μL、dNTP Mix (タカラバイオ社)2.24μL、EX Taq (タカラバイオ社)0.14μL、フォワードプライマー:037-6F(rbcLEpF0)(GCGTAGGATTTAAAGCTGGTG;配列番号85; 10pmol/μL) 1μL、リバースプライマー:037-6R(037-6R)(ATTGTCTTCTCCCGGAACAGG;配列番号86;10pmol/μL) 1μL、鋳型DNA 1μL。

0232

(PCRサイクル条件1)
反応液を0.2mlマイクロチューブに入れ、95℃×5min、(95℃×30sec, 50℃×30sec, 72℃×1min)×35サイクル、72℃×7minの条件で、GeneAmp9700(Thermo Fisher Scientific社)等のサーマルサイクラーを用いて反応させた。

0233

(PCR反応液2)葉緑体DNA中のrbcL領域増幅用
D.W. 19.02μL、10× EX Taq Buffer(タカラバイオ社)2.80μL、dNTP Mix (タカラバイオ社)2.24μL、EX Taq (タカラバイオ社)0.14μL、フォワードプライマー:037-4F(rbcLEpF1)(CTGGTGTTAAAGATTATAGA;配列番号385; 10pmol/μL) 1μL、リバースプライマー:037-4R(rbcLEpR196)(AAGACCATCAGTCCAAACTG;配列番号386;10pmol/μL) 1μL、鋳型DNA 1μL。

0234

(PCRサイクル条件2)
反応液を0.2mlマイクロチューブに入れ、95℃×5min、(95℃×1min, 45℃×1min, 72℃×2min)×45サイクル、72℃×7minの条件で、GeneAmp9700(Thermo Fisher Scientific社)等のサーマルサイクラーを用いて反応させた。

0235

2−3.ゲル電気泳動による増幅産物の確認とゲル抽出
実施例1と同様に、ゲル電気泳動による増幅産物の確認とゲル抽出を行った。

0236

2−4.増幅産物の塩基配列決定
実施例1と同様に、増幅産物の塩基配列決定を行った。

0237

その後、PCR反応液の各種増幅産物のフォワード配列及びリバース配列を比較して信頼性の高い配列を決定した。

0238

BioEdit v7.2.5 for Windows (Tom Hall 2013)を用いて、得られた配列を、標準となるマオウ及び近縁他種の相同配列と比較した(表12並びに図10及び図34)。

0239

0240

3.結果
反応液1、2の違いは増幅断片長の違いであり、一般的に、短いほど増幅成功率が高くなる一方、得られる鑑別サイトの数が少なくなり、オートシーケンサーでの配列決定が困難となる。本方法では反応液1での配列決定を試み、失敗した場合に反応液2を行うといった2段階の試験を設定することにより、コスト低減とサンプルのDNA品質の差への対応を可能とした。

0241

図10で得られた葉緑体DNA中のrbcL領域を示し、5サイトの鑑別サイトを示した。48位、55位、89位、99位、108位では、個々のサイトではEphedra sinica Stapf、Ephedra intermedia Schrenk et C. A. Meyer又はEphedra equisetina Bunge (Ephedraceae)と近縁他種は区別できないが、複数のサイトの組み合わせで区別が可能となる。

0242

PCR反応液1で増幅・配列が決定できた場合は上記図10の情報により、適合種と近縁他種を区別するための必要要件を満たす。

0243

PCR反応液1で増幅・配列が決定できない場合は、PCR反応液2で増幅・配列決定を行うことで適合種と近縁他種を区別できる。

0244

図34で得られた葉緑体DNA中のrbcL領域を示し、5サイトの鑑別サイトを示した。34位、41位、75位、85位、94位では、個々のサイトではEphedra sinica Stapf、Ephedra intermedia Schrenk et C. A. Meyer又はEphedra equisetina Bunge (Ephedraceae)と近縁他種は区別できないが、複数のサイトの組み合わせで区別が可能となる。

0245

<実施例9:タイソウ/サンソウニンの鑑別方法>
1.緒言
第十七改正日本薬局方において、タイソウ・サンソウニンの基原植物は、タイソウ:ナツメZiziphus jujuba Miller var. inermis Rehder (Rhamnaceae)、サンソウニン:サネブトナツメZiziphus jujuba Miller var. spinosa Hu ex H. F. Chou (Rhamnaceae)と規定されている。しかし市場には近縁他種であるZiziphus maireiなどが流通する可能性があり、これらの誤用・混用を避けることは医薬品の品質確保のために、重要である。

0246

そこで、本発明者らは、タイソウ・サンソウニン及びその近縁植物のゲノムDNA、又は葉緑体DNAを網羅的に調査した。その結果、核リボゾームDNA中のITS領域の配列において、タイソウ・サンソウニンは同領域で固有の配列を有し、近縁他種と区別できることが明らかとなった。したがって、同領域はタイソウ・サンソウニンと近縁他種を区別するのに有用なDNAマーカーである。

0247

しかし、生薬からの配列決定は、1)経時変化、加工等によるDNAの損傷・断片化、2)菌類由来のDNAの混入により、しばしば困難である。

0248

そこで、タイソウ・サンソウニンと近縁他種の配列情報を比較し、これらがPCR増幅可能で、かつ鑑別サイトを含むようにプライマーを設計し、その増幅最適条件を設定することで、従来は配列決定が困難だったサンプルからの配列情報の取得が安定して可能となった。

0249

本実施例は、タイソウ・サンソウニン及びその近縁他種に対して、種間の区別が可能なDNA領域を様々なサンプルからPCR増幅、配列決定を可能とするプライマーセットを中心とし、得られた配列中の鑑別サイトを提示するものである。

0250

2.方法
2−1.核酸抽出方法
鋳型DNAは、生薬又は生薬加工前の基原植物(タイソウ:ナツメZiziphus jujuba Miller var. inermis Rehder (Rhamnaceae)、サンソウニン:サネブトナツメZiziphus jujuba Miller var. spinosa Hu ex H. F. Chou (Rhamnaceae))の一部を採取し、市販のDNeasy(登録商標)Plant Mini Kit(QIAGEN社)を用いて、添付のプロトコルに従って抽出した。

0251

近縁他種のうち、Ziziphus calophylla、Ziziphus mucronata、Ziziphus horsfieldii、Ziziphus spina-christi、Ziziphus glabrata、Ziziphus brunoniana、Ziziphus mairei、Ziziphus xiangchengensis、Ziziphus mauritiana、Ziziphus oenopliaについてはGenBank(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/)より相同配列を得た。

0252

2−2.核酸増幅方法
抽出した鋳型DNAを用いて、PCRにより特定の核酸領域を増幅した。核酸増幅反応条件は以下の通りである。

0253

(PCR反応液1)核リボゾームDNA中のITS領域増幅用
D.W. 17.02μL、10× gene Taq Buffer(ニッポンジーン社)2.80μL、dNTP Mix (ニッポンジーン社)2.24μL、DMSO 2.80μL、gene Taq (ニッポンジーン社)0.14μL、フォワードプライマー:039-1F(048-T2F)(GATGCGCGGTTGCAGCCTTC;配列番号101; 10pmol/μL) 1μL、リバースプライマー:039-1R(048-T3R )(GATATCCGTTGCCGAGAGTCG;配列番号102;10pmol/μL) 1μL、鋳型DNA 1μL。

0254

(PCR反応液2)核リボゾームDNA中のITS領域増幅用
D.W. 17.02μL、10× gene Taq Buffer(ニッポンジーン社)2.80μL、dNTP Mix (ニッポンジーン社)2.24μL、DMSO 2.80μL、gene Taq (ニッポンジーン社)0.14μL、フォワードプライマー:039-2F(048-T3F)(CTTCCCGGCCGCACAAACG;配列番号103; 10pmol/μL) 1μL、リバースプライマー:039-2R(024-1R=Ougon-ITS2)(GAGAGCCGAGATATCCGTTGC;配列番号104;10pmol/μL) 1μL、鋳型DNA 1μL。

0255

(PCRサイクル条件)
反応液を0.2mlマイクロチューブに入れ、Stepdown法※の条件で、GeneAmp9700(Thermo Fisher Scientific社)等のサーマルサイクラーを用いて反応させた。
※Stepdown法は、実施例1のPCRサイクル条件2と同様である。

0256

2−3.ゲル電気泳動による増幅産物の確認とゲル抽出
実施例1と同様に、ゲル電気泳動による増幅産物の確認とゲル抽出を行った。

0257

2−4.増幅産物の塩基配列決定
実施例1と同様に、増幅産物の塩基配列決定を行った。

0258

その後、PCR反応液1及びPCR反応液2のそれぞれの各種増幅産物のフォワード配列及びリバース配列を比較して信頼性の高い配列を決定した。

0259

BioEdit v7.2.5 for Windows (Tom Hall 2013)を用いて、得られた配列を、標準となるタイソウ・サンソウニン及び近縁他種の相同配列と比較した(表13及び表14並びに図11及び図12)。

0260

0261

0262

3.結果
図11、図12で得られた核リボゾームDNA中のITS領域はそれぞれPrimer set 039-1F & 039-1R(Primer set 048-1F & 048-1R)とPrimer set 039-2F & 039-2R(Primer set 048-2F & 048-2R)でPCR増幅し、塩基配列決定した部分領域の配列である。フラグメントの長さはそれぞれ約170bpと約160bpであり(Primerを含む長さ)、通常Primer set 039-1F & 039-1R(048-1F & 048-1R)を用いてフラグメントの長さが約170bpの部分領域を決定できれば、Primer set 039-2F & 039-2R(048-2F & 048-2R)で試験する必要がない。なお、断片化がひどいサンプルについては、Primer set 039-1F & 039-1RにてPCR増幅が成功しない場合は、より短いフラグメントにも対応可能なPrimer set 039-2F & 039-2Rを用いることによって、約160bp (Primerを含む長さ)の塩基配列決定が可能となる。これら2組のPrimer setでは,決定できる主な鑑別サイトが共通しているが、比較対象である近縁他種の種類によって、鑑別サイトは変わることがあり、図11と図12では各々の比較対象との鑑別サイトを示した。

0263

図11では、Primer set 039-1F & 039-1R(Primer set 048-1F & 048-1R)で得られた核リボゾームDNA中のITS領域を示し、9サイトの鑑別サイトを示した。まず、121位でAとなるのはZiziphus jujuba、つまり、タイソウ:ナツメZiziphus jujuba Miller var. inermis Rehder (Rhamnaceae)、サンソウニン:サネブトナツメZiziphus jujuba Miller var. spinosa Hu ex H. F. Chou (Rhamnaceae)のみであり、サンプルはタイソウ:ナツメZiziphus jujuba Miller var. inermis Rehder (Rhamnaceae)、サンソウニン:サネブトナツメZiziphus jujuba Miller var. spinosa Hu ex H. F. Chou (Rhamnaceae)と一致する。18位、70位、76位、81位、92位、113位、118位、122位では、個々のサイトではタイソウ:ナツメZiziphus jujuba Miller var. inermis Rehder (Rhamnaceae)、サンソウニン:サネブトナツメZiziphus jujuba Miller var. spinosa Hu ex H. F. Chou (Rhamnaceae)と近縁他種は区別できないが、複数のサイトの組み合わせで区別が可能となる。

0264

タイソウ:ナツメZiziphus jujuba Miller var. inermis Rehder (Rhamnaceae)、サンソウニン:サネブトナツメZiziphus jujuba Miller var. spinosa Hu ex H. F. Chou (Rhamnaceae)と近縁他種を区別するためには、121位を評価することが必要要件となるが、より高い確度の鑑別のためには上記の合計9サイトの評価をすることが望ましい。

0265

図12では、Primer set 039-2F & 039-2R(Primer set 048-2F & 048-2R)で得られた核リボゾームDNA中のITS領域を示し、9サイトの鑑別サイトを示した。まず、104位でAとなるのはZiziphus jujuba、つまり、タイソウ:ナツメZiziphus jujuba Miller var. inermis Rehder (Rhamnaceae)、サンソウニン:サネブトナツメZiziphus jujuba Miller var. spinosa Hu ex H. F. Chou (Rhamnaceae)のみであり、サンプルはタイソウ:ナツメZiziphus jujuba Miller var. inermis Rehder (Rhamnaceae)、サンソウニン:サネブトナツメZiziphus jujuba Miller var. spinosa Hu ex H. F. Chou (Rhamnaceae)と一致する。32位、54位、60位、65位、96位、101位、105位、106位では、個々のサイトではタイソウ:ナツメZiziphus jujuba Miller var. inermis Rehder (Rhamnaceae)、サンソウニン:サネブトナツメZiziphus jujuba Miller var. spinosa Hu ex H. F. Chou (Rhamnaceae)と近縁他種は区別できないが、複数のサイトの組み合わせで区別が可能となる。

0266

タイソウ:ナツメZiziphus jujuba Miller var. inermis Rehder (Rhamnaceae)、サンソウニン:サネブトナツメZiziphus jujuba Miller var. spinosa Hu ex H. F. Chou (Rhamnaceae)と近縁他種を区別するためには、104位を評価することが必要要件となるが、より高い確度の鑑別のためには上記の合計9サイトの評価をすることが望ましい。

0267

<実施例10:カロコン/カロニンの鑑別方法>
1.緒言
第十七改正日本薬局方において、カロコン・カロニンの基原植物は、共にTrichosanthes kirilowii Maximowicz、キカラスウリTrichosanthes kirilowii Maximowicz var. japonica Kitamura又はオオカラスウリTrichosanthes bracteata Voigt (Cucurbitaceae)と規定されている。しかし市場には近縁他種であるTrichosanthes cucmeroidesなどが流通する可能性があり、これらの誤用・混用を避けることは医薬品の品質確保のために、重要である。

0268

そこで、本発明者らは,カロコン・カロニン及びその近縁植物のゲノムDNA、又は葉緑体DNAを網羅的に調査した。その結果、葉緑体DNA中のrpl16 intron部分領域の配列において、カロコン・カロニンは同領域で固有の配列を有し、近縁他種と区別できることが明らかとなった。したがって、同領域はカロコン・カロニンと近縁他種を区別するのに有用なDNAマーカーである。

0269

しかし、生薬からの配列決定は、1)経時変化、加工等によるDNAの損傷・断片化、2)菌類由来のDNAの混入により、しばしば困難である。

0270

そこで、カロコン・カロニンと近縁他種の配列情報を比較し、これらがPCR増幅可能で、かつ鑑別サイトを含むようにプライマーを設計し、その増幅最適条件を設定することで、従来は配列決定が困難だったサンプルからの配列情報の取得が安定して可能となった。

0271

本実施例は、カロコン・カロニン及びその近縁他種に対して、種間の区別が可能なDNA領域を様々なサンプルからPCR増幅、配列決定を可能とするプライマーセットを中心とし、得られた配列中の鑑別サイトを提示するものである。

0272

2.方法
2−1.核酸抽出方法
鋳型DNAは、生薬又は生薬加工前の基原植物(Trichosanthes kirilowii Maximowicz、キカラスウリTrichosanthes kirilowii Maximowicz var. japonica Kitamura又はオオカラスウリTrichosanthes bracteata Voigt (Cucurbitaceae))およびこれらの近縁植物の一部を採取し、市販のDNeasy(登録商標)Plant Mini Kit(QIAGEN社)を用いて、添付のプロトコルに従って抽出した。
近縁他種については収集した押葉標本の一部より抽出し相同配列を得た。

0273

2−2.核酸増幅方法
抽出した鋳型DNAを用いて、PCRにより特定の核酸領域を増幅した。核酸増幅反応条件は以下の通りである。

0274

(PCR反応液1)葉緑体DNA中のrpl16 intron部分領域増幅用
D.W. 19.02μL、10× EX Taq Buffer(タカラバイオ社)2.80μL、dNTP Mix (タカラバイオ社)2.24μL、EX Taq (タカラバイオ社)0.14μL、フォワードプライマー:063-1F(rpl16/F)(GTTTCTTCTCATCCAGCTCC; Nishizawa & Watano 2000;配列番号125;10pmol/μL) 1μL、リバースプライマー:063-1R(Karokon-rpl16-R1)(CTATAAAGAGTTTAGTTTTCTATC;配列番号126;10pmol/μL) 1μL、鋳型DNA 1μL。

0275

(PCR反応液2)葉緑体DNA中のrpl16 intron部分領域増幅用
D.W. 19.02μL、10× EX Taq Buffer(タカラバイオ社)2.80μL、dNTP Mix (タカラバイオ社)2.24μL、EX Taq (タカラバイオ社)0.14μL、フォワードプライマー:063-2F(Karokon-rpl16-F2)(GATAGAAAACTAAACTCTTTATAG;配列番号127; 10pmol/μL) 1μL、リバースプライマー:063-2R(rpl16/R)(GAAAGAGTCAATATTCGCCC; Nishizawa & Watano 2000;配列番号128;10pmol/μL) 1μL、鋳型DNA 1μL。

0276

(PCRサイクル条件)
反応液を0.2mlマイクロチューブに入れ、95℃×5min、(95℃×30sec, 48℃×30sec, 72℃×1min)×35サイクル、72℃×7minの条件で、GeneAmp9700(Thermo Fisher Scientific社)等のサーマルサイクラーを用いて反応させた。

0277

2−3.ゲル電気泳動による増幅産物の確認とゲル抽出
実施例1と同様に、ゲル電気泳動による増幅産物の確認とゲル抽出を行った。

0278

2−4.増幅産物の塩基配列決定
実施例1と同様に、増幅産物の塩基配列決定を行った。

0279

その後、PCR反応液1及びPCR反応液2のそれぞれの各種増幅産物のフォワード配列及びリバース配列を比較して信頼性の高い配列を決定した。

0280

BioEdit v7.2.5 for Windows (Tom Hall 2013)を用いて、得られた配列を、標準となるカロコン・カロニン及び近縁他種の相同配列と比較した(表15及び表16並びに図13及び図14)。

0281

0282

0283

3.結果
図13、図14で得られた葉緑体DNA中のrpl16 intron部分領域はそれぞれPrimer set 063-1F & 063-1R (Primer set 045-1F & 045-1R)とPrimer set 063-2F & 063-2R (Primer set 045-2F & 045-2R)でPCR増幅し、塩基配列決定した領域の配列である。

0284

図13ではPrimer set 063-1F & 063-1R (Primer set 045-1F & 045-1R)で得られた葉緑体DNA中のrpl16 intron部分領域を示し、5サイトの鑑別サイトを示した。まず、58位でCとなるのはTrichosanthes kirilowii Maximowicz、キカラスウリTrichosanthes kirilowii Maximowicz var. japonica Kitamura又はオオカラスウリTrichosanthes bracteata Voigt (Cucurbitaceae)と近縁他種のTrichosanthes rosthorniiであり、サンプルはこれらの種と一致する。この領域のみではTrichosanthes kirilowii Maximowiczと近縁他種のTrichosanthes rosthorniiを区別することはできない。

0285

図14ではPrimer set 063-2F & 063-2R (Primer set 045-2F & 045-2R)で得られた葉緑体DNA中のrpl16 intron部分領域を示し、4サイトの鑑別サイトを示した。54位、155位、167位、174位では、個々のサイトではTrichosanthes kirilowii Maximowicz、キカラスウリTrichosanthes kirilowii Maximowicz var. japonica Kitamura又はオオカラスウリTrichosanthes bracteata Voigt (Cucurbitaceae)と近縁他種は区別できないが、複数のサイトの組み合わせで区別が可能となる。

0286

Trichosanthes kirilowii Maximowicz、キカラスウリTrichosanthes kirilowii Maximowicz var. japonica Kitamura又はオオカラスウリTrichosanthes bracteata Voigt (Cucurbitaceae)と近縁他種を区別するためには、Primer set 063-2F & 063-2R (Primer set 045-2F & 045-2R)で得られた部分領域(図14)のみを評価することが必要要件となるが、より高い確度の鑑別のためにはPrimer set 063-1F & 063-1R (Primer set 045-1F & 045-1R)で得られた部分領域(図13)も評価することが望ましい。

0287

<実施例11:ゴシュユの鑑別方法>
1.緒言
第十七改正日本薬局方において、ゴシュユの基原植物は、ゴシュユEuodia ruticarpa Hooker filius et Thomson (Evodia rutaecarpa Bentham)、Euodia officinalis Dode (Evodia officinalis Dode)又はEuodia bodinieri Dode (Evodia bodinieri Dode) (Rutaceae)と規定されている。しかし市場には近縁他種であるTetradium danielliiなどが流通する可能性があり、これらの誤用・混用を避けることは医薬品の品質確保のために、重要である。

0288

そこで、本発明者らは、ゴシュユ及びその近縁植物のゲノムDNA、又は葉緑体DNAを網羅的に調査した。その結果、核リボゾームDNA中のITS領域の配列において、ゴシュユは同領域で固有の配列を有し、近縁他種と区別できることが明らかとなった。したがって、同領域はゴシュユと近縁他種を区別するのに有用なDNAマーカーである。

0289

しかし、生薬からの配列決定は、1)経時変化、加工等によるDNAの損傷・断片化、2)菌類由来のDNAの混入により、しばしば困難である。

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