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技術 キノン及びヒドロキノン系フロー電池

出願人 プレジデントアンドフェローズオブハーバードカレッジ
発明者 ハスキンソン,ブライアンマーシャク,マイケルアジズ,マイケルジェイ.ゴードン,ロイジー.アスプル-グジク,アレインエア,スレイマンスー,チャンウォントン,リウチュアンリン,カイシャン
出願日 2019年10月24日 (1年2ヶ月経過) 出願番号 2019-193172
公開日 2020年6月25日 (6ヶ月経過) 公開番号 2020-098769
状態 未査定
技術分野
  • -
主要キーワード ピーク電力密度 グリッドスケール 最終システム 温度補正項 輸送限界 電気化学変換 コア構成要素 キャリブレーションモデル
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図面 (11)

課題

規模、例えば、グリッドスケールでの電気エネルギー貯蔵のためのフロー電池に向けた新たな化学的性質に基づく電気化学セルを提供する。

解決手段

電池充電時、一方の電極におけるキノン分子は、電子及びプロトンを放出することによって酸化され、他方の電極におけるキノン分子は、電子及びプロトンを受け取ることによって還元される。これらの反応を逆にして電気エネルギーを供給する。本発明は、再充電可能電池において有用であるさらなる高電位及び低電位キノンも提供する。

概要

背景

風力太陽光発電(PV)など、間欠的な再生可能電源は、間欠性の問題が解決されない限り、現在の化石燃料に基づく発電のかなりの割合に取って代わることはできない。再生可能電源の変動が一般には、天然ガス火力ピーカー(peaker)」発電所によってバックアップされる。発電サイトにおける、又は発電サイト近くにおける安価で信頼性のあるエネルギー貯蔵により、再生可能資源が実施可能(例えば、要求追従)となる。また、その貯蔵により、発電サイトからの電力線送電容量を十分に活用することが可能となり、送電容量拡大の必要性を先送りにしながら供給容量拡大が可能となる。

フロー電池の利点により、グリッドスケール(grid-scale)蓄電に対する関心が高まっている(T. Nguyen及びR.F. Savinell, Electrochem. Soc. Int. 19, 54 (2010))。反応物及び生成物のすべてが、電気化学変換デバイスの外にあるタンクに貯蔵されるため、所要電力向けにデバイス自体を最適化することができ、一方必要となるエネルギーは、反応物の質量及び貯蔵タンクのサイズによって独立に決定される。これにより、グリッドスケール貯蔵にとって唯一最も難しい要件である、1kWh当たりの貯蔵コストを低減することができる。対照的に、固体電極電池においては、エネルギー/電力比(すなわち、ピーク-電力放電時間)が拡大せず、間欠的な再生可能電源を実施可能とするには不十分である。大半の固体電極電池がピーク-電力放電時間<1hrであるが、PV及び風力を実施可能とするには数時間から数日も必要となる(J.S. Rugolo及びM.J. Aziz, Energy & Env. Sci. 5, 7151 (2012))。

その性質上、電気化学変換デバイス内のZnめっきを伴う、亜鉛-臭素ハイブリッドフロー電池の設計では、フロー電池のようなエネルギースケーリングが可能となることはなく、デンドライト短絡の危険性も示される(T. Nguyen及びR.F. Savinell, Electrochem. Soc. Int. 19, 54 (2010))。ほぼ間違いなく、最も開発されているフロー電池技術は、バナジウム酸還元フロー電池(VRB)及びナトリウム-硫黄電池(NaSB)である。1kW当たりのコストは同程度であるが、VRBは、VRBの1kWh当たりの最終コストについての底値を設定するバナジウム値段が高いことを1つの原因として、1kWh当たりのコストベースではかなりコストがかかる(B. Dunn, H. Kamath及びJ.M. Tarascon, Science 334, 928 (2011))。バナジウム自体には、V2O5の最近の原価に基づいて、約$160/kWhのコストがかかる("Mineral Commodity Summaries," (U.S. Geological Survey, Reston, VA, 2012), p. 178)。VRBは、10,000回を超えて循環させることができる能力と共に、より長いサイクル寿命から利益を享受するが、NaSBは通常、約4,500サイクルに制限される(B. Dunn, H. Kamath, and J.M. Tarascon, Science 334, 928 (2011))。VRBでは、最近のVRBセル設計の改善により、それぞれ1.4W/cm2及び1.6 A/cm2という値でより一層高電力密度及び電流密度がもたらされているので、1kW当たりのコストがより低く移行する可能性が高いが(M.L. Perry, R.M. Darling及びR. Zaffou, "High Power Density Redox Flow Battery Cells", ECS Trans. 53, 7, 2013)、これらは1kWh当たりのコストについての最終底値を下げる助けにはならない。これらの値は、知る限りでは、文献でこれまでに報告されているVRBで実現される最高の性能を示している。NaSBは、反応物の溶融を維持するために300℃を上回って作動しなければならず、こうして運転コストについての底値が設定される。日本では、100MWを超えるNaSBがグリッド上に設置されているが、これは市場原理ではなく政府の認可によるものである。VRBは積極的な開発の対象であるが、NaSBはかなり静的な対象である。ハロゲン化水素酸から二ハロゲン及び二水素への再生電気分解に関する最近の研究(V. Livshits, A. Ulus及びE. Peled, Electrochem. Comm. 8, 1358 (2006)、T.V. Nguyen, H. Kreutzer, E. McFarland, N. Singh, H. Metiu, A. Ivanovskaya,及びR.-F. Liu, ECS Meeting Abstracts 1201, 367 (2012)、K.T. Cho, P. Albertus, V. Battaglia, A. Kojic, V. Srinivasan,及びA.Z. Weber, "Optimization and Analysis of High‐Power Hydrogen/Bromine‐Flow Batteries for Grid‐Scale Energy Storage", Energy Technology 1, 596 (2013)、B.T. Huskinson, J.S. Rugolo, S.K. Mondal及びM.J. Aziz, arXiv:1206.2883 [cond-mat.mtrl-sci]; Energy & Environmental Science 5, 8690 (2012))もある。ここで、ハロゲンは塩素又は臭素である。これらの系は、化学反応物コストがより低いため、VRBよりも1kWh当たりの貯蔵コストがより低くなる可能性がある。

概要

規模、例えば、グリッドスケールでの電気エネルギー貯蔵のためのフロー電池に向けた新たな化学的性質に基づく電気化学セルを提供する。電池の充電時、一方の電極におけるキノン分子は、電子及びプロトンを放出することによって酸化され、他方の電極におけるキノン分子は、電子及びプロトンを受け取ることによって還元される。これらの反応を逆にして電気エネルギーを供給する。本発明は、再充電可能電池において有用であるさらなる高電位及び低電位キノンも提供する。

目的

本発明は、大規模、例えば、グリッドスケール、電気エネルギー貯蔵のためのフロー電池に向けた新たな化学的性質に基づく電気化学セルを提供する

効果

実績

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請求項1

第1及び第2の電極を有する再充電可能電池であって、その充電状態において、電池は、第1の電極に接触している水溶液中に溶解又は懸濁している、3つ以上の酸化状態を有するキノン酸化型と、第2の電極に接触している水溶液中に溶解又は懸濁している、3つ以上の酸化状態を有する前記キノンの還元型とを含み、放電時には、前記キノンの酸化型は第1の電極で還元され、前記キノンの還元型は第2の電極で酸化される再充電可能電池。

請求項2

前記キノンが、水溶性アントラキノンである、請求項1に記載の再充電可能電池。

請求項3

第1及び第2の電極が、イオン伝導性バリアによって離隔されている、請求項1又は2に記載の再充電可能電池。

請求項4

バリアが、多孔質物理的バリア又はサイズ排除バリアである、請求項3に記載の再充電可能電池。

請求項5

前記キノンが、下記式のものである、請求項1から4のいずれかに記載の再充電可能電池(式中、R1〜R8はそれぞれ独立に、H、置換されていてもよいC1-6アルキルハロヒドロキシ、置換されていてもよいC1-6アルコキシ、SO3H、アミノニトロ、カルボキシルホスホリルホスホニルチオール、カルボキシル、置換されていてもよいC1-6アルキルエステル、置換されていてもよいC1-6アルキルチオ及びオキソ、或いはこれらのイオンから選択される)。

請求項6

前記キノンが、又はこれらのイオンからなる群から選択される、請求項1に記載の再充電可能電池。

請求項7

水溶液中に溶解又は懸濁している前記キノンの酸化型及び還元型用の貯蔵部と、溶液循環させるための機構とをさらに備える、請求項1から5のいずれかに記載の再充電可能電池。

請求項8

第1及び第2の電極を有する再充電可能電池であって、その充電状態において、電池は、第1の電極に接触している第1の酸化還元活性種と、第2の電極に接触している第2の酸化還元活性種とを含み、第1の酸化還元活性種は水溶液中に溶解又は懸濁しているキノンであり、放電時にキノンは第1の電極で還元され、且つ/又は第2の酸化還元活性種は水溶液中に溶解又は懸濁しているヒドロキノンであり、放電時にヒドロキノンは第2の電極で酸化され、酸化型のヒドロキノン又はキノンは、式(k)、(n)又は(t)の化合物から選択される、再充電可能電池(式中、各Rは独立にH、NH2、OH、PO3H2又はSO3Hであるが、すべてがHというわけではない)(式中、各Rは独立にH、NH2又はOHであるが、すべてがHというわけではない)(式中、各Rは独立にH、NH2又はOHであるが、すべてがHというわけではない)。

請求項9

第1及び第2の電極を有する再充電可能電池であって、その充電状態において、電池は、第1の電極と接触している第1の酸化還元活性種と、第2の電極と接触している第2の酸化還元活性種とを含み、第1の酸化還元活性種は、水溶液中に溶解又は懸濁している、表2から選択されるキノンであり、放電時にキノンは第1の電極で還元され、且つ/又は第2の酸化還元活性種は、水溶液中に溶解又は懸濁している、表1から選択されるキノンに由来するヒドロキノンであり、放電時にヒドロキノンは第2の電極で酸化される再充電可能電池。

請求項10

第1及び第2の電極が、イオン伝導性バリアによって離隔されている、請求項8又は9に記載の再充電可能電池。

請求項11

バリアが、多孔質物理的バリア又はサイズ排除バリアである、請求項10に記載の再充電可能電池。

請求項12

水溶液中に溶解又は懸濁しているキノン及び/又はヒドロキノンのための貯蔵部と、キノン及び/又はヒドロキノンを循環させるための機構とをさらに備える、請求項8から11のいずれかに記載の再充電可能電池。

請求項13

第1及び第2の電極間電圧印加すること、及び請求項1から12のいずれか一項に記載の電池を充電することを含む、電気エネルギーを貯蔵する方法。

請求項14

第1及び第2の電極に負荷を接続し、請求項1から12のいずれか一項に記載の電池の放電を可能にすることによって、電気エネルギーを提供する方法。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本願は、2013年9月26日に出願された米国仮特許出願第61/883,110号の利益を請求し、この米国仮特許出願は参照により本明細書に援用される。

0002

連邦政府資金による研究に関する声明
本発明は、エネルギー省高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency -Energy)-米国エネルギー省からの許可番号DE-AR0000348の下の政府支援により行われた。政府は本発明に対して一部権利を有する。

背景技術

0003

風力太陽光発電(PV)など、間欠的な再生可能電源は、間欠性の問題が解決されない限り、現在の化石燃料に基づく発電のかなりの割合に取って代わることはできない。再生可能電源の変動が一般には、天然ガス火力ピーカー(peaker)」発電所によってバックアップされる。発電サイトにおける、又は発電サイト近くにおける安価で信頼性のあるエネルギー貯蔵により、再生可能資源が実施可能(例えば、要求追従)となる。また、その貯蔵により、発電サイトからの電力線送電容量を十分に活用することが可能となり、送電容量拡大の必要性を先送りにしながら供給容量拡大が可能となる。

0004

フロー電池の利点により、グリッドスケール(grid-scale)蓄電に対する関心が高まっている(T. Nguyen及びR.F. Savinell, Electrochem. Soc. Int. 19, 54 (2010))。反応物及び生成物のすべてが、電気化学変換デバイスの外にあるタンクに貯蔵されるため、所要電力向けにデバイス自体を最適化することができ、一方必要となるエネルギーは、反応物の質量及び貯蔵タンクのサイズによって独立に決定される。これにより、グリッドスケール貯蔵にとって唯一最も難しい要件である、1kWh当たりの貯蔵コストを低減することができる。対照的に、固体電極電池においては、エネルギー/電力比(すなわち、ピーク-電力放電時間)が拡大せず、間欠的な再生可能電源を実施可能とするには不十分である。大半の固体電極電池がピーク-電力放電時間<1hrであるが、PV及び風力を実施可能とするには数時間から数日も必要となる(J.S. Rugolo及びM.J. Aziz, Energy & Env. Sci. 5, 7151 (2012))。

0005

その性質上、電気化学変換デバイス内のZnめっきを伴う、亜鉛-臭素ハイブリッドフロー電池の設計では、フロー電池のようなエネルギースケーリングが可能となることはなく、デンドライト短絡の危険性も示される(T. Nguyen及びR.F. Savinell, Electrochem. Soc. Int. 19, 54 (2010))。ほぼ間違いなく、最も開発されているフロー電池技術は、バナジウム酸還元フロー電池(VRB)及びナトリウム-硫黄電池(NaSB)である。1kW当たりのコストは同程度であるが、VRBは、VRBの1kWh当たりの最終コストについての底値を設定するバナジウム値段が高いことを1つの原因として、1kWh当たりのコストベースではかなりコストがかかる(B. Dunn, H. Kamath及びJ.M. Tarascon, Science 334, 928 (2011))。バナジウム自体には、V2O5の最近の原価に基づいて、約$160/kWhのコストがかかる("Mineral Commodity Summaries," (U.S. Geological Survey, Reston, VA, 2012), p. 178)。VRBは、10,000回を超えて循環させることができる能力と共に、より長いサイクル寿命から利益を享受するが、NaSBは通常、約4,500サイクルに制限される(B. Dunn, H. Kamath, and J.M. Tarascon, Science 334, 928 (2011))。VRBでは、最近のVRBセル設計の改善により、それぞれ1.4W/cm2及び1.6 A/cm2という値でより一層高電力密度及び電流密度がもたらされているので、1kW当たりのコストがより低く移行する可能性が高いが(M.L. Perry, R.M. Darling及びR. Zaffou, "High Power Density Redox Flow Battery Cells", ECS Trans. 53, 7, 2013)、これらは1kWh当たりのコストについての最終底値を下げる助けにはならない。これらの値は、知る限りでは、文献でこれまでに報告されているVRBで実現される最高の性能を示している。NaSBは、反応物の溶融を維持するために300℃を上回って作動しなければならず、こうして運転コストについての底値が設定される。日本では、100MWを超えるNaSBがグリッド上に設置されているが、これは市場原理ではなく政府の認可によるものである。VRBは積極的な開発の対象であるが、NaSBはかなり静的な対象である。ハロゲン化水素酸から二ハロゲン及び二水素への再生電気分解に関する最近の研究(V. Livshits, A. Ulus及びE. Peled, Electrochem. Comm. 8, 1358 (2006)、T.V. Nguyen, H. Kreutzer, E. McFarland, N. Singh, H. Metiu, A. Ivanovskaya,及びR.-F. Liu, ECS Meeting Abstracts 1201, 367 (2012)、K.T. Cho, P. Albertus, V. Battaglia, A. Kojic, V. Srinivasan,及びA.Z. Weber, "Optimization and Analysis of High‐Power Hydrogen/Bromine‐Flow Batteries for Grid‐Scale Energy Storage", Energy Technology 1, 596 (2013)、B.T. Huskinson, J.S. Rugolo, S.K. Mondal及びM.J. Aziz, arXiv:1206.2883 [cond-mat.mtrl-sci]; Energy & Environmental Science 5, 8690 (2012))もある。ここで、ハロゲンは塩素又は臭素である。これらの系は、化学反応物コストがより低いため、VRBよりも1kWh当たりの貯蔵コストがより低くなる可能性がある。

0006

本発明は、大規模、例えば、グリッドスケール、電気エネルギー貯蔵のためのフロー電池に向けた新たな化学的性質に基づく電気化学セルを提供する。キノンと呼ばれる有機分子ヒドロキノンへのプロトン化によって、電気化学電極化学的電気エネルギーを貯蔵する。もう一方の電極における相補的電気化学反応によって、プロトンが提供される。これらの反応を逆にして電気エネルギーを供給する。この概念に基づくフロー電池は、閉鎖系として作動することができる。このフロー電池アーキテクチャは、大規模エネルギー貯蔵用固体電極電池に対してスケーリングの利点がある。光合成作用においてキノンからヒドロキノンへと迅速且つ可逆的に循環するため、フロー電池において高電流密度、高効率及び長寿命を得るために用いることができると期待される。高電流密度により、電力関連コストが低減される。他のフロー電池に対してこの特定の技術が有することになる他の利点として、安価な化学物質、より安全な液体の形のエネルギー貯蔵、安価なセパレータ、電極における貴金属の使用が全く又はほとんどないこと、腐食保護を提供することができると証明されているコーティングを有するプラスチック製又は安価な金属製の他の構成要素が挙げられる。

0007

キノン系セルの変形形態について記載する。一態様において、本発明は、第1及び第2電極を有する再充電可能電池であって、その充電状態において、電池は、第1の電極に接触している水溶液中に溶解又は懸濁している、3つ以上の酸化状態を有するキノンの酸化型と、第2の電極に接触している水溶液中に溶解又は懸濁している、3つ以上の酸化状態を有するキノンの還元型とを含み、放電時には、キノンの酸化型は第1の電極で還元され、キノンの還元型は第2の電極で酸化される、再充電可能電池を提供する。特定の実施形態においては、キノンは水溶性アントラキノンである。他の実施形態においては、第1及び第2の電極が、イオン伝導性バリア、例えば、多孔質物理的バリア又はサイズ排除バリアによって離隔されている。例示的なキノンは下記式(A)、(B)又は(C)のものである。

0008

式中、R1〜R8(すなわち、式A及び式BについてはR1〜R4)のそれぞれが独立に、H、任意選択置換されたC1-6アルキルハロヒドロキシ、任意選択で置換されたC1-6アルコキシ、SO3H、アミノニトロ、カルボキシルホスホリルホスホニルチオール、カルボキシル、任意選択で置換されたC1-6アルキルエステル、任意選択で置換されたC1-6アルキルチオ及びオキソ、或いはこれらのイオンから選択される。好ましくは、R1〜R8(すなわち、式A及び式BについてはR1〜R4)の少なくとも1つがHではない。

0009

キノンの具体例として、下記式又はそのイオンが挙げられる。

0010

0011

電池は、水溶液中に溶解又は懸濁しているキノンの酸化型及び還元型用の貯蔵部と、溶液を循環させるための機構、例えば、ポンプを備えることもできる。

0012

別の実施形態において、本発明は、第1及び第2の電極を有する再充電可能電池であって、その充電状態において、電池は、第1の電極に接触している第1の酸化還元活性種と、第2の電極に接触している第2の酸化還元活性種とを含み、第1の酸化還元活性種は水溶液中に溶解又は懸濁しているキノンであり、放電時にキノンは第1の電極で還元され、且つ/又は第2の酸化還元活性種は水溶液中に溶解又は懸濁しているヒドロキノンであり、放電時にヒドロキノンは第2の電極で酸化され、酸化型のヒドロキノン又はキノンは、式(a)〜(qq)、特に式(k)、(n)又は(t)の化合物から選択される、再充電可能電池を提供する。

0013

式中、各Rは独立にH、NH2、OH、PO3H2又はSO3Hであるが、すべてがHというわけではない。

0014

式中、各Rは独立にH、NH2又はOHであるが、すべてがHというわけではない。

0015

式中、各Rは独立にH、NH2又はOHであるが、すべてがHというわけではない。

0016

別の態様において、本発明は、第1及び第2の電極を有する再充電可能電池であって、その充電状態において、電池は、第1の電極と接触している第1の酸化還元活性種と、第2の電極と接触している第2の酸化還元活性種とを含み、第1の酸化還元活性種は、水溶液中に溶解又は懸濁している、本明細書中に記載の表2から選択されるキノンであり、放電時にキノンは第1の電極で還元され、且つ/又は第2の酸化還元活性種は、水溶液中に溶解又は懸濁している、本明細書中に記載の表1から選択されるキノンに由来するヒドロキノンであり、放電時にヒドロキノンは第2の電極で酸化される、再充電可能電池を提供する。

0017

式(a)〜(qq)、表1又は表2のキノンを備える再充電可能電池において、第1及び第2の電極は、イオン伝導性バリア、例えば、多孔質物理的バリア又はサイズ排除バリアによって離隔されていてもよい。

0018

第1又は第2の酸化還元活性種が表1若しくは表2又は式(a)〜(qq)のものではない場合、別のキノン又はヒドロキノンであってもよい。そのようなキノン及びヒドロキノンが、国際公開第WO2014/052682号に記載されている。

0019

本発明の任意の再充電可能電池が、水溶液中に溶解又は懸濁しているキノン及び/又はヒドロキノン用の貯蔵部と、キノン及び/又はヒドロキノンを循環させるための機構、例えば、ポンプをさらに備えることができる。特定の諸実施形態においては、再充電可能電池がフロー電池である。

0020

本発明はまた、第1及び第2の電極間電圧印加すること、及び本発明の任意の電池を充電することによって、電気エネルギーを貯蔵する方法も提供する。

0021

本発明はまた、第1及び第2の電極に負荷を接続し、本発明の任意の電池の放電を可能にすることによって、電気エネルギーを提供する方法も提供する。

0022

本発明はまた、本明細書に記載されている任意のキノン、例えば、式(A)〜(C)、実施例2〜7、式(a)〜(qq)、表1又は表2のキノンも特徴とする。

0023

酸化還元化学及び触媒のいずれにおいても活性金属成分が存在しないことが、現代の電池からの大きな転換を示している。特に、9,10-アントラキノン-2,7-ジスルフォネートなどのキノンを使用すると、現在のフロー電池技術に対していくつかの利点がある。
(1)拡張性:炭素硫黄、水素、酸素など地球上に豊富原子を含有し、大規模に安い費用で製造することができる。一部のキノンは天然物であるため、電解質材料を再生可能に調達することができる可能性もある。
(2)反応速度論:単一炭素電極上で急速な二電子酸化還元を起こし、コストのかかる貴金属触媒を必要としない。
(3)安定性:キノンは、その比較的大きいサイズ及び二価陰イオン状態の電位のため、最小限の膜クロスオーバーを示すはずである。
(4)溶解度:溶解度はpH0で1Mであり、比較的高いエネルギー密度で貯蔵することができる。
(5)可変性:-OHなどの電子供与官能基又は-SO3Hなどの電子求引官能基の導入によって、キノンの還元電位及び溶解度をさらに最適化することができる。
これらの特徴により、1kWh当たりの貯蔵化学物質の資本コストが削減され、いずれの規模であっても1kWh当たりの最終システムコストについての底値が設定される。流れ場形状、電極設計膜セパレータ、温度などの工学及び作動パラメータの最適化により、100mWcm-2を上回るために何年もかかったバナジウムフロー電池のように、著しい性能向上が将来的にはもたらされるはずである。キノンを使用することにより、費用対効果の優れた大規模エネルギー貯蔵に向けた新たな見込みのある方向性が示される。

0024

本発明の目的のため、用語「キノン」には、酸化型では2つ以上のオキソ基により置換されている1つ以上の共役C3-10炭素環式縮合環を有し、そのオキソ基がその1つ以上の共役環と共役している化合物が含まれる。好ましくは、環の数は1〜10、例えば、1、2又は3で、各環は6員環である。

0025

「アルキル」とは、炭素数1〜6の直鎖又は分岐飽和基を意味する。メチルエチル、n-及びiso-プロピル、n-、sec-、iso-及びtert-ブチルネオペンチル等でアルキル基が例示されるが、ハロ、ヒドロキシル、C1-6アルコキシ、SO3H、アミノ、ニトロ、カルボキシル、ホスホリル、ホスホニル、チオール、C1-6アルキルエステル、任意選択で置換されたC1-6アルキルチオ、オキソ又はこれらのイオンからなる群から独立に選択される1つ、2つ、3つ、又は炭素数2以上のアルキル基の場合には4つの置換基により、任意選択で置換することができる。

0026

「アルコキシ」とは、式-ORの基を意味し、ここでRは本明細書中で定義したアルキル基である。

0027

「アルキルチオ」とは、式-S-Rの基を意味し、ここでRは本明細書中で定義したアルキル基である。

0028

「アルキルエステル」とは、式-COORの基を意味し、ここでRは本明細書中で定義したアルキル基である。

0029

「ハロ」とは、フルオロクロロ、ブロモ又はヨードを意味する。

0030

「ヒドロキシ」とは、-OHを意味する。

0031

「アミノ」とは、-NH2を意味する。アミノの例示的イオンが-NH3+である。

0032

「ニトロ」とは、-NO2を意味する。

0033

「カルボキシル」とは、-COOHを意味する。カルボキシルの例示的イオンが-COO-である。

0034

「ホスホリル」とは、-PO3H2を意味する。ホスホリルの例示的イオンが-PO3H-及び-PO32-である。

0035

「ホスホニル」とは、-PO3R2を意味し、各RはH、又は本明細書中で定義したアルキルであるが、少なくとも1つのRはアルキルである。ホスホリルの例示的イオンが-PO3R-である。

0036

「オキソ」とは、=Oを意味する。

0037

スルホニル」とは、-SO3Hを意味する。スルホニルの例示的イオンが-SO3-である。

0038

「チオール」とは、-SHを意味する。

図面の簡単な説明

0039

Q、QH2、及びQH4で表される3つの酸化状態を有するキノンをセルの両側に有する電池のスキームである。
セルのそれぞれの側に異なるキノンを有する電池のスキームである。
気相におけるキノン反応の標準ギブス自由エネルギー溶液相におけるキノン反応の標準ギブス自由エネルギーに変換するための熱力学反応サイクルの図である。
2,7-AQDSの(a)E0及び(b)G0solvに対する置換-OH基の影響を示す図であって、線分は、置換-OH基の各数についてE0又はG0solvの平均値を表す。
水溶液中の6種のキノンの計算ΔHfと実験E0との間の直線関係(R2=0.975)を示すキャリブレーションモデルグラフである(BQ:ベンゾキノン、NQ:ナフトキノン、AQ:アントラキノン及びPQ:フェナントレン)。
1,4-ジヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3-スルホン酸についてのサイクリックボルタンメトリ(CV)曲線である。
1,2-ジヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3-スルホン酸についてのCV曲線である。
1,2,4-トリヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3,6-ジスルホン酸と1,2,4-トリヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3,7-ジスルホン酸との混合物についてのCV曲線である。
異性体1,2-ジヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3,6-ジスルホン酸及び1,2-ジヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3,7-ジスルホン酸の混合物の0.1M水溶液を用いて構成した再充電可能フロー電池の電流密度の関数としての電圧及び電力密度のグラフである。
2,2'-((1,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2,3-ジイル)ビス(スルファンジイル))ビス(エタン-1-スルホン酸)についてのCV曲線である。

実施例

0040

本発明は、酸化還元活性種としてキノン又はヒドロキノンを用いる再充電可能電池を提供する。好ましくは、電池において、セルの両側でキノンが用いられる。一実施形態において、キノンは、複数の、例えば、3つの酸化状態を有することで、同じキノン骨格をセルの両側で用いることが可能となる。両側のキノンが同じ分子である、又は酸化若しくは還元して同じ分子とすることができるため、そのような配置は、交差汚染の影響を軽減する点で有益である。3つの酸化状態を有するキノンをその両側で用いるセルの例示的なスキームを図1に示す。放電時、セルの片側ではQがQH2に還元され、セルの反対側ではQH4がQH2に酸化される。ここで、Qは同じキノン骨格を表す。したがって、QH4がキノンの還元型であると考えられ、Qがキノンの酸化型であると考えられる。セルの両側が、同じ2つの酸化状態の間で循環することはないことが理解されよう。R及びXは、異なる置換基、又は置換基の異なる位置、又は置換基の異なる組合せを表し、両側のキノンは同じ数の環を有していても、又は異なる数の環を有していてもよい。

0041

別の実施形態において、本発明は、再充電可能電池で使用するキノン又はヒドロキノンを提供し、これらは、セルの反対側で別のキノンを用いて又は用いずに、使用することができる。セルのそれぞれの側で異なるキノンを用いるセルの例示的スキームを図2に示す。充電時、QRはQRH2に還元され、QXH2はQXに酸化される。ここでQR及びQXは、異なる骨格を有するキノンである。

0042

本発明は、発電コスト妥当で、エネルギーコストが低く、フロー電池のエネルギースケーリングの利点をすべて有する、高効率でサイクル寿命が長い酸化還元フロー電池への方向性を示している。一部の実施形態においては、セパレータが、フッ化炭素の代わりに安価な炭化水素であってもよく、反応物クロスオーバー(reactant crossover)は無視できるほどであろう。他の実施形態においては、セパレータが、イオン選択性膜の代わりに多孔質物理的バリアであってもよい。電極は安価な導体でよく、コストが無視できるほど薄い活物質の層でコンフォーマルコーティングしてもよい(B.T. Huskinson, J.S. Rugolo, S.K. Mondal,及びM.J. Aziz, arXiv:1206.2883 [cond-mat.mtrl-sci]; Energy & Environmental Science 5, 8690 (2012))。構造用部品の多くを安価なプラスチックで作製することができ、導電性である必要がある部品は、コンフォーマルコーティングした超薄膜で保護することができる。化学貯蔵は、安価なプラスチックタンクに保持される安価な流動液体の形とすることができ、圧縮の必要も、液体の沸点より高く加熱する必要もない。キノンからヒドロキノンへの循環は急速に、及び可逆的に起こり、、フロー電池において高電流密度(系の1kW当たりのコストは通常、電流密度と電圧との積である電力密度に反比例する、電気化学スタックの1kW当たりのコストによって支配されているため、高電流密度は非常に重要である)、高効率及び長寿命が提供される。容易に計算で選別し合成することができる多くの構造がある。例えば、酸化還元電位が高いキノン候補、及び他の所望の特性と併せて酸化還元電位が低い候補を、計算による選別に基づき特定することができる。一実施形態においては、全セルが、高酸化還元電位キノン/ヒドロキノン対と、それに対する低酸化還元電位キノン/ヒドロキノン対とを備える。性能目標が、0.25W/cm2で各セルにおいて往復効率80%である。別の実施形態においては、全セルが、正極上で2つの異なる酸化状態間で作用し、及び負極上で2つの酸化状態間で作用するキノンを備え、酸化状態の少なくとも一方は、正極上における酸化状態とは異なる。

0043

キノンからヒドロキノンへの還元反応は、sp2C6環に二重結合(「=O」)している酸素を、単結合ヒドロキシル(「-OH」)に変換することで構成される。酸性電解質がプロトンを提供すると、電極が電子を提供する。これは通常、酸素対がオルト又はパラ構成であると生じる。酸性水溶液においては、2つの酸素部位が、実質的には区別できない電位で反応する。ヒドロキノンからキノンへの遷移は、結合の残りを分断させることなく、プロトンと、プロトンを酸素に結合させる電子とを単純に取り除くため、これらの分子は極めて安定であり、反応速度が非常に速い。キノン系フロー電池を作製する際の第1の関心事は、適切な酸化還元電位値を有するキノンの選択である。水溶液中においては、標準水素電極(SHE)に対して約1.5Vを超える電圧では正極は作動することができず、そうでなければ、O2発生が重要となる。負極は、SHEに対して約-0.2V〜0V(電極触媒による)を下回る電圧では作動できず、そうでなければ、H2発生が重要となる。

0044

酸化還元電位に加え、重要な分子の特性として、溶解度、安定性、酸化還元反応速度、毒性、潜在的又は現行市場価格が挙げられる。全セルにおける高電流密度での大量輸送限界は溶解度に正比例するため、高溶解度が重要となる。スルホン酸基などの極性基を結合させることによって、溶解度を高めることができる。長いサイクル寿命に向けて化学的損失を防止するためだけではなく、電極上の重合が電極の有効性を損なうこともあることから、安定性が重要である。C=O基に隣接する損傷を受けやすいC-H基を、C-Rなどより安定な基に置き換えることによって、水及び重合に対する安定性を高めることができ、ここでRは、任意選択で置換されたC1-6アルキル、ヒドロキシ、任意選択で置換されたC1-6アルコキシ、SO3H、アミノ、ニトロ、カルボキシル、ホスホリル又はホスホニルである。

0045

複数の酸化状態を有するキノンとしては、下記式(A)、(B)又は(C)のものが挙げられる。

0046

式中、R1〜R8のそれぞれが独立に、H、任意選択で置換されたC1-6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、任意選択で置換されたC1-6アルコキシ、SO3H、アミノ、ニトロ、カルボキシル、ホスホリル、ホスホニル、チオール、カルボキシル、任意選択で置換されたC1-6アルキルエステル、任意選択で置換されたC1-6アルキルチオ及びオキソ、或いはこれらのイオンから選択される。環内の二重結合は、環系の完全共役を表す。R1〜R8のうち1つ以上がオキソである場合、環内の二重結合の数が少なくなること、及び描かれている二重結合の位置が変化する場合があることが理解されよう。具体的な化合物については実施例で示す。

0047

放電時にアノードで有用な具体的なヒドロキノンは、表1に示すキノンに由来する。表1についてのナンバリングは以下の通りである。

0048

0049

或いは、これらのイオンである。ここで、AQがアントラキノン、NQがナフトキノンである。クラスに記載されている置換の位置が、オキソ基の位置に対応することが理解されよう。「完全」置換とは、オキソ基を有していないすべての環位置において、記載されたR基が存在することを示す。他の実施形態において、キノンは、ヒドロキシル、アミノ、ホスホリル、-SO3H、カルボキシル又はこれらのイオンのうちの少なくとも1つで置換された1,2-、1,4-、1,5-、1,7-、1,10-、2,3-、2,6-、2,9-又は9,10-AQである。他の実施形態において、キノンは、ヒドロキシル、アミノ、ホスホリル、-SO3H、カルボキシル又はこれらのイオンのうちの少なくとも1つで置換された1,2-、1,4-、1,5-、1,7-又は2,6-NQである。

0050

放電時にカソードで有用な具体的なキノンが、表2に示してある。ナンバリングは、表1についてと同じである。

0051

或いは、これらのイオンである。ここで、BQがベンゾキノン、AQがアントラキノン、NQがナフトキノンである。クラスに記載されている置換の位置が、オキソ基の位置に対応することが理解されよう。「完全」置換とは、オキソ基を有していないすべての環位置において、記載されたR基が存在することを示す。完全置換以外のキノンについては、残りの環位置がHと結合している。他の実施形態において、キノンは、ヒドロキシル、アミノ、ホスホリル、-SO3H、チオール、C1-6アルキルエステル、カルボキシル、-CHO又はこれらのイオンのうちの少なくとも1つで置換された1,2-又は1,4-BQである。他の実施形態において、キノンは、ヒドロキシル、アミノ、ホスホリル、-SO3H、チオール、C1-6アルキルエステル、カルボキシル、-CHO又はこれらのイオンのうちの少なくとも1つで置換された1,5-、1,7-、2,3-又は2,6--AQである。他の実施形態において、キノンは、ヒドロキシル、アミノ、ホスホリル、-SO3H、チオール、C1-6アルキルエステル、カルボキシル、-CHO又はこれらのイオンのうちの少なくとも1つで置換された1,5-、1,7-、2,3-又は2,6-NQである。

0052

再充電可能電池で使用するための他のキノンは式(a)〜(qq)のものである。

0053

式中、各Rは独立にH、NH2又はOHであるが、すべてがHというわけではない。

0054

式中、各RはNH2である。

0055

式中、RはNH2又はOHである。

0056

式中、RはNH2又はOHである。

0057

式中、各Rは独立にNH2又はOHである。

0058

式中、RはNH2又はOHである。

0059

式中、各Rは独立にNH2又はOHである。

0060

0061

式中、RはNH2、OH、PO3H2又はSO3Hである。

0062

式中、RはNH2、OH、PO3H2又はSO3Hである。

0063

式中、各Rは独立にH、NH2、OH、PO3H2又はSO3Hであるが、すべてがHというわけではない。

0064

式中、RはNH2又はOHである。

0065

式中、RはNH2又はOHである。

0066

式中、各Rは独立にH、NH2、OH、PO3H2又はSO3Hであるが、すべてがHというわけではないい。

0067

0068

式中、RはNH2、OH又はPO3H2である。

0069

式中、RはNH2、OH、PO3H2又はSO3Hである。

0070

式中、RはNH2、OH又はSO3Hである。

0071

式中、RはNH2、OH又はSO3Hである。

0072

式中、各Rは独立にH、NH2、OH、PO3H2又はSO3Hであるが、すべてがHというわけではない。

0073

0074

式中、RはPO3H2又はSO3Hである。

0075

式中、各Rは独立にPO3H2又はSO3Hである。

0076

0077

式中、RはNH2、OH、PO3H2又はSO3Hである。

0078

式中、RはNH2、OH、PO3H2又はSO3Hである。

0079

式中、各Rは独立にH、PO3H2又はSO3Hであるが、すべてがHというわけではない。

0080

式中、RはNH2又はOHである。

0081

式中、各Rは独立にH、PO3H2又はSO3Hであるが、すべてがHというわけではない。

0082

0083

式中、RはPO3H2又はSO3Hである。

0084

式中、RはNH2又はOHである。

0085

式中、RはPO3H2又はSO3Hである。

0086

式中、RはPO3H2又はSO3Hである。

0087

式中、RはPO3H2又はSO3Hである。

0088

式中、RはSO3Hである。

0089

式中、RはPO3H2である。

0090

式中、RはPO3H2である。

0091

式中、RはPO3H2である。

0092

式中、各Rは独立にH、PO3H2又はSO3Hであるが、すべてがHというわけではない。

0093

式中、RはPO3H2である。

0094

式中、RはSO3Hである。

0095

式中、各RはSO3H又はそのイオンである。
特に好ましいキノンは式(k)、(n)及び(t)のものである。

0096

-PO3H2、-COOH又は-SO3H基で置換されたキノンが、キノン-PO3H-、キノン-COO-、キノン-SO3-などのアニオンとして、又はキノン-PO3H2などの中性として溶液中に存在してもよいことも理解される。また、それらキノンは、キノン-PO3HNa、キノン-COONa、キノン-SO3Naなどのイオン対塩として、又はNa+とキノン-PO3H-、キノン-COO-、若しくはキノン-SO3-などの分離したイオンとして存在してもよいことも理解される。-NH2基で置換されたキノンが、キノン-NH3+イオンとして、又はキノン-NH3Clなどの塩として溶液中に存在してもよいことも理解される。

0097

表1又は表2並びに式(a)〜(qq)のキノン及びヒドロキノンと共に用いることができる他のキノン及びヒドロキノンとして、国際公開第WO2014/052682号におけるもの、例えば、この文献の式(A)〜(D)、(I)〜(VII)、表3又は表4のキノンが挙げられる。

0098

キノン又はヒドロキノンが混合物で存在してもよい。例えば、硫酸をアントラキノン、例えば、9,10-アントラキノンと反応させることによって、スルホン化キノンの混合物を生成することができる。

0099

キノンは、電池の水溶液中に溶解又は懸濁させることができる。キノンの濃度は、例えば、液体キノンに対して0.1Mから、例えば、0.1〜15Mの範囲である。水に加えて、アルコール(メチル、エチル又はプロピルなど)、及び特定のキノンの溶解度を高めるための他の共溶媒が、溶液に含まれていてもよい。一部の実施形態において、キノンの溶液は、少なくとも10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%又は80質量%が水である。特定の濃度のキノンとするために必要となる量で、アルコール又は他の共溶媒が存在していてもよい。キノンについての水溶液のpHは、例えば、キノンの可溶化を助けるための、酸又は塩基の添加によって調整することもできる。

0100

両側でキノンを使用する電池が好ましいが、別の酸化還元活性種、例えば、臭素、塩素、ヨウ素、酸素、バナジウム、クロムコバルト、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、銅又は鉛、例えば、酸化マンガン酸化コバルト又は酸化鉛と併せて、片側のみでキノンを使用することもできる。

0101

電極材料
優れた分子特異的な電極反応速度に関して、電極材料を選別することができる。キノン/ヒドロキノン触媒が重大な障害ではないことは証拠により示されているが、一部の電極材料は、分子若しくは断片の化学吸着、又は反応物の重合により不活性化されることが予測される。キノン又はヒドロキノンと共に使用するための電極として、任意の炭素電極、例えば、ガラス状炭素電極カーボン紙電極、炭素フェルト電極、又はカーボンナノチューブ電極が挙げられる。チタン電極を用いることもできる。他の酸化還元活性種に適している電極が当技術分野では公知である。

0102

全セルの作製には、適切な電極の選択が必要となる。電気化学脱合金化(J.D. Erlebacher, M.J. Aziz, A. Karma, N. Dmitrov,及びK. Sieradzki, Nature 410, 450 (2001))によってあらかじめ合成されたナノポーラス金属スポンジ(T. Wada, A.D. Setyawan, K. Yubuta,及びH. Kato, Scripta Materialia 65, 532 (2011))などの高比表面積導電性材料、又は湿式化学法(B.T. Huskinson, J.S. Rugolo, S.K. Mondal,及びM.J. Aziz, arXiv:1206.2883 [cond-mat.mtrl-sci]; Energy & Environmental Science 5, 8690 (2012)、S.K. Mondal, J.S. Rugolo,及びM.J. Aziz, Mater. Res. Soc. Symp. Proc. 1311, GG10.9 (2010))によって合成された導電性金属酸化物で電極を作製することができる。極薄電極触媒膜による複雑な三次元電極形状のコンフォーマルコーティングには、化学気相成長法を使用することができる。

0103

試験用ハードウェアの作製及びセル試験
セル周辺の系の残部には、流体ハンドリング及び貯蔵が含まれ、電圧及び往復エネルギー効率の測定を行うことができる。陰極液流及び陽極液流、並びにpH、圧力、温度、電流密度及びセル電圧の測定のための機器が搭載されたシステムを、セルを評価するために備え、使用することもできる。反応物濃度及び酸濃度並びにセル温度を変化させながら、試験を行うことができる。一連の試験において、電圧効率が90%に低下する電流密度を測定する。また、エネルギー変換効率を決定するために電圧を追跡しながら同数アンペア分を放電及び充電することによって、往復効率を評価する。これは最初、低電流密度で行われ、その後往復効率が80%を下回るまで電流密度を系統的に増大させる。流体サンプルポートを設けて両電解液サンプリングを可能とすることができ、これにより、反応物クロスオーバー又は副反応による寄生損失の評価が可能になる。標準的な技法で電解液を採取分析することができる

0104

イオン伝導性バリア
イオン伝導性バリアによりプロトンの通過が可能となるが、キノン、ヒドロキノン又は他の酸化還元活性種はそれほど多くの量が通過可能となるわけではない。イオン伝導性バリアの例が、Nafion、すなわち、スルホン化テトラフルオロエチレンフッ素重合体-共重合体、炭化水素、例えば、ポリエチレン、またサイズ排除バリア、例えば、分画分子量が100、250、500又は1,000Daである限外ろ過又は透析膜である。サイズ排除バリアでは、用いるキノン、ヒドロキノン又は他の酸化還元活性種の分子量に基づき分画分子量を決定することになる。プロトン以外の酸化還元活性種の通過が許容される場合には、多孔質物理的バリアを備えることもできる。

0105

追加の構成要素
本発明の電池は、当技術分野で公知である追加の構成要素を備えることができる。水溶液中に溶解又は懸濁しているキノン、ヒドロキノン及び他の酸化還元活性種が、適切な貯蔵部に収容されることになる。電池が、片方又は両方の電極を超えて水溶液又は懸濁液をくみ上げるためのポンプをさらに備えることもできる。或いは、かくはん貯蔵部内に、又は他の任意の方法、例えば、対流超音波処理等によって溶液若しくは懸濁液が再循環する貯蔵部内に、電極を設置することもできる。電池が、グラファイト流板及び耐食性金属集電体を備えることもできる。

0106

理論手法
Harvard Clean Energy Project (CEP) (The Harvard Clean Energy Project, http[[://]]cleanenergy.harvard.edu)は、太陽電池向けの新たな有機光起電材料の計算による選別及び設計のための、自動ハイスループットフレームワークである。本発明では、既存のCEPインフラストラクチャ(J. Hachmann, R. Olivares-Amaya, S. Atahan-Evrenk, C. Amador-Bedolla, R.S. Sanchez-Carrera, A. Gold-Parker, L. Vogt, A.M. Brockway,及びA. Aspuru-Guzik, J. Phys. Chem. Lett. 2, 2241 (2011))を用い、またCEP機械コア構成要素を使用して、フロー電池向けの候補分子の特性を特徴付けることができる。フレームワークに見られる第一原理分子量子力学スケール及びレベルを組み合わせた分子の計算による研究は、これまでに例がない。この研究は、従来の分子モデリング新薬発見からの戦略と組み合わせるため、他の計算材料科学手法より抜きん出ている。この研究ではまた、化学情報学、材料情報科学及び機械学習による技法を採用して、構造・物性関係を発展させるプロセスをスケーリングし、フロー電池向けの既存の効率モデルを改善する。

0107

分子候補ライブラリの生成
グラフに基づくコンビナトリアル分子生成器を使用して、スクリーニング分子ライブラリを構築する。そのエンジンは、分子のSMILES(simplified molecular input line entry specification)記法も、SMARTS(SMILES arbitrary target specification)も用いる(D. Weininger, J. Chem. Inf. Comp. Sci. 28, 31 (1988)、R. Olivares-Amaya, C. Amador-Bedolla, J. Hachmann, S. Atahan-Evrenk, R.S. Sanchez-Carrera, L. Vogt,及びA. Aspuru-Guzik, Energy & Env. Sci. 4, 4849 (2011))。本ライブラリ生成器は、フラグメント接続パターンとの異なる組を用いることによって、有機化学薬品のライブラリを容易に生成することができる。同様にして置換基を組み込むことができる。可能なビルディングブロック及び結合ルールに基づき、キノン分子の第1のライブラリを生成することができる。このコンビナトリアルライブラリにより、キノンの綿密で体系的な調査が可能となる。

0108

第一原理量子化学スクリーニング
分子を、その酸化還元電位と、重合又は付加副反応に対する安定性とについて選別することができる。目的とするスクリーニングでは、電極の化学的性質は、スクリーニングした分子群にわたってほぼ一定であると仮定することができる。

0109

酸化還元電位
密度汎関数理論(DFT)を用いて酸化還元電位を予測するためのプロトコルがいくつか存在する(C. Karlsson, E. Jamstorp, M. Stromme,及びM. Sjodin, J. Phys. Chem. C 116, 3793 (2011)、X.-Q. Zhu and C.-H. Wang, J. Org. Chem. 75, 5037 (2010)、J. Li, C.L. Fisher, J.L. Chen, D. Bashford,及びL. Noodleman, Inorg. Chem. 35, 4694 (1996))。1つは図3に示すようにボルン-ハーバーサイクル(Born-Haber cycle)である。溶液中キノンの反応全体を、標準ギブス自由エネルギーΔGredox(sol) = ΔGredox(gas) + ΔGsol(Q-) - ΔGsol(Q)で特徴付けることができ、その後ファラデー定数で除することによって、標準一電子酸化還元電位を得る。図3のスキームを用いて酸化還元電位を見積もるために、まず、中性キノン(Gneutral)とその対応するアニオン(Ganion)との間の、それらそれぞれの最適化形状におけるギブス自由エネルギーの差である、キノンの電子親和力(EA)を計算する。加えて、最適化構造について振動周波数計算を行って、温度補正項を得ることになる。ここで、これら酸化還元電位構成要素の実験的予測は困難であるため、理論的方法が有用であることが分かる。最初の計算レベルは、重要な材料の問題の一部に対処しているにすぎず(G. Heimel, I. Salzmann, S. Duhm, and N. Koch, Chem. Mat. 23, 359 (2011))、用いるモデル化固有の精度に限定されることに留意されたい。いくつかの要因により、これらの計算にかなりの価値が加わる。(a)計算結果は、実際の実験量と相関があることにより、それらの関係を理解する上での手掛かりとなる。(b)構造的類似性測度と組み合わせた、非常に多くの分子からの集計データの分析により、個々の候補についての絶対的な結果がその電子構造計算の特定の制限により不正確な場合であっても、指針となる傾向を明らかにすることができる。(c)様々な異なるモデル化学を用いることで、特定の方法において失敗する可能性が相殺される。これにより、単一レベルの理論に依存する代わりに、多くの寄与を伴う複合的な採点保証される。キノンの酸化還元特定により、それらキノンは化学及び生物学において興味深い化合物群となる。電子移動反応におけるそれらキノンの重要性にもかかわらず、キノン電気化学の知識は乏しい。実験室条件短寿命のキノンアニオンについて研究することは骨の折れるタスクで、現在の理論的研究は少数の公知のキノン化合物に限られている(C. Karlsson, E. Jamstorp, M. Stromme,及びM. Sjodin, J. Phys. Chem. C 116, 3793 (2011)、X.-Q. Zhu及びC.-H. Wang, J. Org. Chem. 75, 5037 (2010)、C.A. Reynolds, P.M. King,及びW.G. Richards, Nature 334, 80 (1988)、R.A. Wheeler, J. Am. Chem. Soc. 116, 11048 (1994)、K.S. Raymond, A.K. Grafton,及びR.A. Wheeler, J. Phys. Chem. B 101, 623 (1997)、M. Namazian, J. Mol. Struc.-Theochem. 664, 273 (2003)、M. Namazian及びH.A. Almodarresieh, J. Mol. Struc.-Theochem. 686, 97 (2004)、M. Namazian, H.A. Almodarresieh, M.R. Noorbala,及びH.R. Zare, Chem. Phys. Lett. 396, 424 (2004)、M. Namazian及びM.L. Coote, J. Phys. Chem. A 111, 7227 (2007)、K.M. Rosso, D.M.A. Smith, Z. Wang, C.C. Ainsworth,及びJ.K. Fredrickson, J. Phys. Chem. A 108, 3292 (2004)。したがって、水溶液中又は他の溶媒中におけるキノン酸化還元電位の予測についての系統的な研究が非常に望ましい。量子化学スクリーニングでは、異なる溶媒中で異なる官能基を有するキノン由来の化合物の熱力学的安定性、及びこのような環境における分子置換のその電子還元電位に対する影響に対応する。研究の基本的性質により、溶液中のキノンの還元機構に関する理解が深まり、また場合によってはより優れた酸化性を有する新たなキノンのための創造設計ルールについての重要な手掛かりがもたらされるはずである。ジメチルスルホキシド中116種のキノンについての計算による研究(X.-Q. Zhu及びC.-H. Wang, J. Org. Chem. 75, 5037 (2010))に見られる一電子還元電位の規模により、キノンの酸化性の向上にはかなり余地があることが示唆されている。しかしながら、すべての酸化還元反応連動しているプロトン移動の可能性を気相及び溶液相の両方で考慮すべきであることから、キノン電気化学を完全に確立することは困難である。関心のある種類に対して利用可能である異なるレベルの酸化及びプロトン化で可能なすべてのプロトン及び電子移動を含めることによって、数多くのキノン由来の化合物の電気化学反応を調査することができる。

0110

重合及び副反応に対する安定性
酸化還元電位の範囲が適切な候補構造については、芳香族環に結合している水素原子結合解離エネルギーの研究を行うことができる。これにより、予測したキノンの安定性を見積もることが可能となる。アルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル基)などの酸化還元電位に影響を与えることができる基、又は溶解度を増大させるための基で置換基の置き換えを行うことができる。ChemAxonなど、化学情報学のパッケージ(N.T. Hansen, I. Kouskoumvekaki, F.S. Jorgensen, S. Brunak,及びS.O. Jonsdottir, J. Chem. Inform. and Mod. 46, 2601 (2006)、M. Hewitt, M.T.D. Cronin, S.J. Enoch, J.C. Madden, D.W. Roberts,及びJ.C. Dearden, J. Chem. Inform. and Mod. 49, 2572 (2009))を用いて水溶解度を見積もることができる。望ましい範囲にある酸化還元電位及びクラスタ化に対する安定性を有することの他に、理想的な化合物は、それらの電解質溶液高溶解性で、且つ多くの充放電サイクルの後でさえも耐久性のある化合物である。そのような化合物により、効率的で手な価格のフロー電池を提供することができる。ハイスループット計算による研究により、効率的有機光起電用途向けの新規材料を探し出す際におけるそれら研究の使用が証明されている(R. Olivares-Amaya, C. Amador-Bedolla, J. Hachmann, S. Atahan-Evrenk, R.S. Sanchez-Carrera, L. Vogt,及びA. Aspuru-Guzik, Energy & Env. Sci. 4, 4849 (2011)、A.N. Sokolov, S. Atahan-Evrenk, R. Mondal, H.B. Akkerman, R.S. Sanchez-Carrera, S. Granados-Focil, J. Schrier, S.C.B. Mannsfeld, A.P. Zoombelt, Z. Bao,及びA. Aspuru-Guzik, Nat. Comm. 2, 437 (2011)、G. Giri, E. Verploegen, S.C.B. Mannsfeld, S. Atahan-Evrenk, D.H. Kim, S.Y. Lee, H.A. Becerril, A. Aspuru-Guzik, M.F. Toney,及びZ. Bao, Nature 480, 504 (2011))。効率的有機太陽電池を開発することを目指す、CEPという化学ライブラリにおいて、幅広電子特性が見出されている。CEPにおいておこなわれたDFT計算の総数は、現在8500万に達する。これらデータの分析により、スクリーニングした化合物のほんの一部だけしか、高効率有機光電池に必要なエネルギーレベルを有していないことが判明している。これにより、合成し試験しようとする化合物を注意深く選択することの重要性が強調され、同時に、このタスクに向かって高速理論的特性評価及び大規模検索により提供することができる価値が強調される。自力の検索ではわずかな成功の見込みしかないが、誘導階層的検索ではかなりの数の適切な構造を予測することができる。

0111

[実施例]
[実施例1]
修飾AQDS構造の理論的研究
アントラキノン骨格への化学構造修飾を行ってE0をさらに下げることにより、セル電圧を上昇させることができる。こうする一つの方法が、キノンの求電子性を弱めるヒドロキシ(-OH)などの電子供与基を、芳香族環に結合させることによるものである(Y. Song及びG.R. Buettner, Free Radical Biology and Medicine 49, 919 (2010))。ヒドロキシ置換アントラキノンは、ダイオウなどの共通資源から数千年間抽出されている天然物である。これにより、将来のアントラキノン系電解質溶液ための再生可能資源を提供することさえできる。

0112

無置換及びヒドロキシ置換AQDSの量子化学計算を行って、置換パターンがキノン/ヒドロキノン対のE0及び水溶液におけるG0solvの両方をどの程度変化させることになるかを予測した。ヒドロキシ基は、AQDS上の水素について系統的に置換された(スキーム1)。

0113

スキーム1.理論計算によってスクリーニングしたAQDS

0114

0115

E0及びG0solvは、AQDS上の水素と置換した-OH基の数を増大させることによってより負となる(図4)。したがって、OH-置換アントラキノンにより、SHEに対してE0を+0.33Vから-0.29 Vまで調整するための幅広い視野が提供される(図4a)。ヒドロキシ基当たりのE0の負の平均シフトは-50mVである。加えて、ヒドロキシ置換基数が増加すると、水素結合により水溶解度が上昇する(図4b)。

0116

理論法
高速で堅固な理論的アプローチを使用して、水溶液中キノン/ヒドロキノン対のE0を決定した。測定したE0値に対する、キノン及び水素ガスからの0 Kにおけるヒドロキノンの生成熱ΔHfの経験的線形相関を用いた(Dewar, M. J. S.及びTrinajstic, N. Ground States of Conjugated Molecules-XIV: Redox Potentials of Quinones. Tetrahedron, 25, 4529-4534 (1969))。キノンの還元のエントロピーは非常に類似していることがわかっているため、反応の全自由エネルギーに対するエントロピーの寄与は無視されている(Dewar, M. J. S.及びTrinajstic, N. Ground States of Conjugated Molecules-XIV: Redox Potentials of Quinones. Tetrahedron, 25, 4529-4534 (1969)、Pullman, B.及びPullman, A. Quantum Biochemistry, p475, Interscience Publishers: New York (1963))。また、キノンの還元は、二電子二プロトンプロセスを伴う一段階反応で起こるともされていた(Guin, P. S., Das, S.,及びMandal, P. C. Electrochemical reduction of quinones in different media: a review. International Journal of Electrochemistry, 816202 (2011))。分子の全自由エネルギーは、PBE汎関数を用いる一般化勾配近似(GGA)のレベルで、密度汎関数理論(DFT)内の第一原理量子化学計算から得た(Perdew, J. P., Burke, K.,及びErnzerhof, M. Generalized Gradient Approximation Made Simple. Phys. Rev. Lett., 77, 3865-3868 (1996))。VASP(Kresse, G., Hafner, J. Ab Initio Molecular Dynamics for Liquid Metals. Phys. Rev. B, 47, 558-561 (1993)、Kresse, G., Furthmuller, J. Efficient Iterative Schemes for Ab Initio Total-Energy Calculations Using a Plane-Wave Basis Set. Phys. Rev. B, 54, 11169-11186 (1996))において実行されているようなプロジェクタ増強波(PAW)技法及び平面波基底系(Blochl, P. E. Projector Augmented-Wave Method. Phys. Rev. B, 50, 17953-17979 (1994)、Kresse, G., Joubert, D. From Ultrasoft Pseudopotentials to the Projector Augmented-Wave Method. Phys. Rev. B, 59, 1758-1775 (1999))を用いた。平面波基底についての運動エネルギー遮断は、1meV/原子の規模で全エネルギーを収束させるために十分な500eVに設定した。気相における分子の基底状態の構造を得るために、各分子毎の複数の初期構成を考慮し、25Åのキュービックボックス及びΓ-点サンプリングにおいて最適化した。共役勾配(CG)アルゴリズムを用いて何ら対称制約なしで形状を最適化し、原子上の残留合力が0.01eV/Å未満の場合に収束は完了したと仮定した。

0117

1,2-及び1,4-と2種のベンゾキノン、1,2-及び1,4-と2種のナフトキノン、9,10-アントラキノン並びに9,10-フェナントレンの水性E0の実験値及び計算ΔHfを用いた(Johnsson Wass, J. R. T., Ahlberg, E., Panas, I.,及びSchiffrin, D. J., Quantum Chemical Modeling of the Reduction of Quinones. J. Phys. Chem. A, 110, 2005-2020 (2006))。E0についての開発線形キャリブレーションモデルにより、計算ΔHfとE0との間でR2 =0.975が得られる(図5)。

0118

水中のキノンのG0solvは、Schrodinger suite 2012におけるJaguar 8.0 programを用いて計算した(Jaguar, version 8.0, Schrodinger,LLC, New York, NY, 2011)。標準ポアソン-ボルツマンソルバ(Poisson-Boltzmann solver)を用いた(Tannor, D. J. et al. Accurate First Principles Calculation of Molecular Charge Distributions and Solvation Energies from Ab Initio Quantum Mechanics and Continuum Dielectric Theory. J. Am. Chem. Soc., 116, 11875-11882 (1994)、Marten, B. et al. New Model for Calculation of Solvation Free Energies:Correction of Self-Consistent Reaction Field Continuum Dielectric Theory for Short-Range Hydrogen-Bonding Effects. J. Phys. Chem., 100, 11775-11788 (1996))。このモデルにおいて、分子表面上の電荷層は溶媒を表す。溶媒和構造の全エネルギーと、真空中分子の全エネルギーとの差としてG0solvを計算した。G0solvのより負の値は、より高い水溶解度を有する可能性が高いキノンに対応する。DFTによる分子結晶構造の最も安定な形の正確な予測はオープン問題のままであるため、溶解度の絶対的予測は容易には入手できない(Hongo, K., Watson, M.A., Sanchez-Carrera, R.S., Iitaka, T.,及びAspuru-Guzik, A. Failure of Conventional Density Functionals for the Prediction of Molecular Crystal Polymorphism: A Quantum Monte Carlo Study. J. Phys. Chem. Lett., 1, 1789-1794 (2010))。

0119

[実施例2]
1,4-ジヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3-スルホン酸

0120

の溶液(1M硫酸水溶液中の濃度約1mM)を、サイクリックボルタンメトリ(CV)によって調査した。図6におけるこの化合物についてのCV曲線は、0.11V及び1.08V近くに位置する2組のほぼ可逆的な酸化還元ピークを示す。

0121

[実施例3]
1,2-ジヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3-スルホン酸

0122

の溶液(1M硫酸水溶液中の濃度約1mM)を、CVによって調査した。図7におけるこの化合物についてのCV曲線は、0.10V及び1.3V近くに位置する2組の酸化還元ピークを示す。

0123

[実施例4]
1,2,4-トリヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3,6-ジスルホン酸と、

0124

1,2,4-トリヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3,7-ジスルホン酸と、

0125

の両方を含有する溶液(1M硫酸水溶液中の濃度約1mM)を、CVによって調査した。
図8におけるこの混合物についてのCV曲線は、SHEに対して0.04V及び1.05V近くに主要な酸化還元事象を示す。

0126

[実施例5]
異性体1,2-ジヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3,6-ジスルホン酸と、

0127

1,2-ジヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3,7-ジスルホン酸と、

0128

の混合物の0.1M水溶液をセルの両側で用いて、再充電可能フロー電池を構成した。

0129

この電池の電圧及び電力密度を、電流密度の関数として図9に示す。開路電位は1.02V、ピーク電力密度は50mAcm-2である。クーロン効率は99%を超える。ピーク電力密度は、セル抵抗を増大させる、溶液の比較的低い濃度によって制限される。溶液中の酸化還元活性キノンの濃度が増大すると、電力密度の増大が期待される。

0130

この電池の作動の最初の数サイクルの間は、電池に投入される化合物、1,2-ジヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3,6-ジスルホン酸及び1,2-ジヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3,7-ジスルホン酸は不可逆的に水酸化されて、1,2,4-トリヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3,6-ジスルホン酸及び1,2,4-トリヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3,7-ジスルホン酸を形成し、その後これらは可逆的にプロトン化及び脱プロトン化してキノン/ヒドロキノン対をもたらすと考えられる。

0131

[実施例6]
2,2'-((1,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2,3-ジイル)ビス(スルファンジイル))ビス(エタン-1-スルホン酸)

0132

の水溶液(1M硫酸水溶液中の濃度約1mM)を、CVによって調査した。図10におけるこの化合物についてのCV曲線は、0.11V及び1.08V近くに位置する2組のほぼ可逆的な酸化還元ピークを示す。これらのピークは酸化還元反応に対応すると考えられる。

0133

フロー電池の両側で単一のキノンとして使用する場合は、ほぼ1Vの開路電圧で作動することが期待される。

0134

[実施例7]
4つの酸化状態を有するキノンについてのスキームを以下に示す。

0135

このスキームにおいて、放電中、完全に酸化されている型Q3がQ3H2に還元され、完全に還元されている型Q3H6がQ3H4に酸化される。本実施形態では、充電時にも放電時にもセルの両側が酸化状態を共有することはない。

0136

他の実施形態が特許請求の範囲に記載されている。

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