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図面 (20)

課題

HIV感染の予防、処置のための組成物の提供。

解決手段

CD4分子に対する抗体であって、抗体が特定配列CDR1、CDR2、CDR3を有する重鎖及び軽鎖可変領域アミノ酸配列と特定配列の重鎖及び軽鎖定常領域アミノ酸配列を有する抗体。抗体が、CD4分子のドメイン周りの領域に結合する抗体。抗体が、架橋の際、休止CD4+細胞活性化する抗体。抗体が、CD4分子のドメイン1におけるCDR2領域周りの領域に結合する抗体。抗体が、重鎖可変領域にN−グリコシル化部位を有する抗体。抗体が、糖分子に結合する重鎖可変領域のCDR3に局在化するアスパラギン(Asn)残基を有する抗体。抗体が、モノクローナル抗体ポリクローナル抗体、又はそれらの組合せである抗体。抗体がヒト化モノクローナル抗体である抗体。

概要

背景

後天性免疫不全症候群AIDS)は、ヒト免疫不全ウイルスHIV)によって引き起こされるヒト免疫系の疾患である(http://en.wikipedia.org/wiki/HIV/AIDS)。遺伝子研究によると、HIVは、19世紀後期または20世紀初期にアフリカ中西部で始まったことがわかる。AIDSは1981年に米国疾病管理予防センター(U.S. Centres for Disease Control andPrevention)によって最初に認められ、その原因であるHIVは1980年代初期に特定された。この流行病の開始から7000万人を超える人々がHIVに感染し、3500万人の人々がAIDSで死亡している。世界的には、2011年の終わりに3400万人の人々がHIVを抱えて生きていた(http://www.who.int/gho/hiv/en/)。

HIV感染は免疫系の有効性を次第に減少させ、個体を日和見感染症腫瘍罹患しやすい状態にする。HIVは、粘膜又は血流が血液、精液液、前精液(pre seminal fluid)および母乳などのHIVを含む体液直接接触することにより感染する。この感染は、肛門、膣内もしくは口腔性交輸血汚染された皮下注射針妊娠出産授乳時の母親と乳児とのやり取り(exchange)または上記体液のうちの1つへの他の曝露により生じ得る。

30年間、科学者らは休止細胞ではなく「ウイルス産生」CD4 T細胞によってAIDSが引き起こされると考えていた。しかし、AIDSを発症している患者体内幅広い範囲のT細胞が壊滅されていることを説明するのに、これらの「ウイルス産生」感染細胞は十分でなかった。Greeneおよび彼の同僚は、静止(休止)リンパCD4 T細胞の95%が不稔ウイルス感染によって引き起こされるピロトーシスにより死滅すると報告した(Doitsh, G.ら、2014)。これらの細胞は細胞質内ウイルスDNAを有するがウイルス複製単位になるT細胞とは異なり、これらの「HIVに感染した」休止T細胞は、炎症誘発性サイトカインの放出を伴う高炎症型のプログラム細胞死(ピロトーシス)により自滅する。細胞タンパク質であるインターフェロンγ誘導性タンパク質16(IFI16)はウイルスDNAを認識し、ピロトーシスを媒介するカスパーゼ−1酵素活性化を含むT細胞における一連応答を引き起こし、細胞膨張細胞膜の透過および細胞質内容物の漏出を生じさせる。休止T細胞はウイルスの死滅を無駄に試みて自滅する。このプロセスは最終的に、AIDSへの疾患の進行を早めるHIVの病理発生に繋がる。

AIDSの発症を遅らせるHIV感染症の現在の処置は、ウイルス複製を防止するための高活性抗レトロウイルス療法、即ちHAARTからなる。現在の最適なHAARTの選択肢は、少なくとも2つのクラスの抗レトロウイルス剤に属する少なくとも3種類の薬剤からなる組み合わせ(即ち「カクテル」)(cART)で構成されている。典型的なレジメンは、2種類のヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NARTIまたはNRTI)+プロテアーゼ阻害剤または非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤NNRTI)のどちらか一方からなる。

先進国において、医師は、HAART処置の開始をいつ勧めるかを決定する際に、ウイルス量、CD4 T細胞数、CD4陽性細胞減少速度および患者の迅速性(readiness)を評価する。慣例上、処置は、CD4 T細胞数が1マイクロリットルの血液当たり200〜250細胞に減少した際に無症状の患者に勧められてきた。しかし、より早期に(350細胞/マイクロリットルのCD4レベルの時点で)処置を開始することで、AIDSおよび死亡のリスクを著しく減少させることができる。

処置を行わない場合、HIV感染後の正味生存期間中央値は、HIVサブタイプに応じて9〜11年と推定されており、AIDSと診断された後の生存期間中央値は6〜19ヶ月の範囲である。HAART処置が広く利用可能な地域では、この疾患の死亡率は80%低下し、次いで、これにより新たに診断されたHIV感染者の平均余命は約20年まで上昇する。

HAARTの標準的な目標としては、患者の生活の質の向上、合併症の減少、及び検出限界未満へのHIVウイルス血症の減少が挙げられる。

しかし、HAART処置にはいくつかの問題がある。第一に、この処置は、HIV感染患者を治癒することはなく、処置が一旦停止されると大部分が「HAART耐性」のHIV血中濃度が再び高くなるのを防止することもない。第二に、HAARTは倦怠感、疲労、下痢頭痛悪心および嘔吐などの不快な副作用を有し得る。HIV感染患者は長期間にわたって、神経認知障害骨粗鬆症神経障害、癌、腎症および心血管疾患を経験することがある。より新しい抗レトロウイルス剤は昔のものよりも副作用が少ないが、生涯使用すればなお被害をもたらす可能性はある。非遵守により、HIVのリバウンド薬剤耐性および疾患の進行が生じ得る。第三に、最大50%超の患者では、薬剤不耐性、以前の効果のない抗レトロウイルス療法およびHIVの薬剤耐性株による感染により、HAARTは最適にはほど遠い結果をもたらす。

研究者らは、HIV感染を治癒する方法、又は抗レトロウイルス剤なしに長期間または永久的な寛解を少なくとも達成する方法の研究をさらに行っている。

表1に示すように、HIV感染のための2つの治癒的戦略、即ち完全(sterilizing)(即ち根絶)治癒および機能的治癒について現在研究されている。完全治癒法は、HIV感染細胞を全て排除し、HIVを体から完全に一掃することを目標とし、ウイルス量を血液1ミリリットル当たり1コピー未満まで減少させる方法として定められている。機能的治癒は、抗レトロウイルス療法の非存在下での低いウイルス量などの寛解状態およびHIVの長期間の制御を目標とし、永久的または長期間にわたってウイルス量を血液1ミリリットル当たり50コピー未満まで減少させる方法として定められている。

「完全治癒」の現在の唯一の例は、急性骨髄性白血病に罹患して突然変異型または他の型のCCR5遺伝子を有するドナーから骨髄移植を受けた、HIV感染を有する「ベルリン患者(The Berlin Patient)」というニックネーム男性症例研究から得られたものである。処置なしで45ヶ月後に、医師は彼の系中にHIVを検出することができなかった。それにも関わらず、CCR5突然変異体のドナーによる骨髄移植を用いる戦略は、その毒性および処置の複雑さを考慮するとHIVの現実的な治癒ではない。「機能的治癒」の自然な例の1つは、長期非進行者(エリートコントローラー)(elite controller)において認めることができる。長期非進行者はその免疫系が抗レトロウイルス剤なしにウイルスを自然に制御することができるHIVに感染した個体である。これらの個体は、安定なCD4細胞(白血球)数、低いか又は検出不能なウイルス量、およびそれらの細胞中の著しく少量の「潜伏HIV」の維持に成功している。

治癒を妨げる主な障害の1つは、抗レトロウイルス剤での処置中に長い寿命を有する記憶細胞などの免疫系細胞中に潜伏している「潜伏HIVリザーバー(reservoir)」が存在するということである。なぜなら、そのような処置は複製を阻止することにより活性なウイルス感染に対して作用することはできるが潜伏HIVに対しては作用しないからである。但し、そのような抗レトロウイルス剤処置を停止すれば、潜伏HIVを活性化させ、HIV感染プロセスを再開させることができる。

これらの「問題となる」潜伏HIVリザーバーを標的にする現在の戦略としては、HAART処置の存在下でウイルス発現の活性化により潜伏リザーバーを枯渇させ、それにより感染細胞を全滅させ、非感染細胞のみを残すことが挙げられる。活性化剤グループの1つは、表2に示すヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤である。現在、HDAC阻害剤は、気分安定薬抗てんかん薬および抗癌処置薬として使用されている。癌遺伝子悪性度および/または再活性化のリスクを高めるHDAC阻害剤の長期間の影響は依然として主な懸念事項である。この戦略は、併用抗レトロウイルス療法(cART)により活性なウイルス複製が完全に阻害される場合には実行可能である。これまでのところ、これらの努力により長期間のウイルス抑制または機能的治癒は得られていない。

HIV感染を有する人々における潜伏HIVリザーバーのサイズの制限または減少のための2つの計画は、(1)新しいART剤を患者のレジメンに追加することによる強化処置、および(2)感染後すぐにARTを開始することによる早期処置を含む。いくつかの研究の結果から、HIV感染の後期の慢性段階ではなく初期の急性段階の間にcARTを開始したとき、HIV感染細胞数が著しく減少することが分かった。

要約すると、強力かつ安全な薬剤は、(1)無細胞および細胞間伝播モードの両方においてHIV侵入を阻止し、それらの寿命の長い記憶T細胞を含む活性化もしくは休止CD4 T細胞におけるHIV感染を著しく減少させることができ、(2)特に、HIV感染した休止CD4 T細胞を再活性化させてHIVを放出させ、それにより潜在的に感染した細胞においてアポトーシスを引き起こすことができ、かつ/または(3)そのような活性化によりAIDSに繋がる正常なCD4陽性T細胞のピロトーシスおよび大量の枯渇を引き起こし得る場合には、抗原サイトカイン刺激時のHIV感染した休止CD4 T細胞の活性化/炎症を阻害することができる限り、単独またはcARTへの補助剤としてHIV処置で使用するのに非常に望ましいものとなる。その後のcARTの非存在下での長期間または永久的な寛解に繋がるHIV感染の機能的または完全治癒に向けた協力は、世界的な公衆衛生課題の上位にあり、世界中で積極的に探究されており、これが入手可能になれば、HIV感染処置に革新を引き起こすものとなる。

参考文献
1. Briant, L., Reynes, J., Coudronniere, N., et al. “HIVReactivation in resting peripheral blood mononuclear cells of infected Adults upon in vitro CD4 cross-linking by ligandsof theCDR2-loop in extracellular domain 1.” J.AIDS. 1999. 21:9-19.
2. Briant, L., Coudronniere, N., Robert-Hebmann, V., et al. “Binding of HIV virions or gp120-anti-gp120 immune complexes to HIV-1 infected quiescent peripheral blood mononuclear cells reveals latent infection.” J. Immunol., 1996. 156:3994-4004.
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4. Carr, F.J., Carter, G., Hamilton, A.A. & Adair, F.S. “Reducing immunogenicity of proteins - by modifying the amino acid sequence of the protein to eliminate potential epitopes for T-cells of a given species.” PCT Publication WO 1998-052976.
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6. Doitsh, G. Galloway, K., Geng, X., et al. “Cell Death by pyroptosis derives CD4 T-cell depletion in HIV infection.” Nature. 2014. 505:509-514.
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10. Jameson, B.D., Rao, P.E., Kong, L.L. et al. Location and chemical synthesis of a binding site for HIV-1 on the CD4 protein. Science. 1988, 240, 1335-1339.
11. Jones, T.D., et al. “Deimmunization of Monoclonal Antibodies.” Methods Mol. Bio. 2009. 525:405-423.
12. Kuritzkes, D.R., Jacobson, J.L., Powderly, W.G., et al. “Antiretroviral activity of the anti-CD4 monoclonal antibody TNX-355 in patients infected with HIV type I.” J. Infect. Dis. 2004. 189:286-291.
13. Lynn, S. and Wang, C.Y. “Designed deimmunized monoclonal antibodies for protection against HIV exposure and treatment of HIV infection.” US Patent No. 7,501,494 (Issued March 10, 2009).
14. Pace, C.S., Fordyce, M.W., Franco, D. ,et al. “Anti-CD4 Monoclonal Antibody ibalizumab Exhibits Breadth and Potency Against HIV-1, with Natural Resistance Medicated by the loss of a V5 Glycan in Envelope.” J.AIDS. 2013. 62:1-9.
15. Pace G, Fordyce M, Franco D. “Anti-CD4 monoclonal antibody ibalizumab exhibits exceptional breadth and potency against HIV, which adopts a unique pathway to resistance.” Abstract 585, 18th CROI2011, Boston.
16. Sawyer, L.S.W., Wrin, M.T., Crawford-Miksza, L., et al. “Neutralization sensitivity of human immunodeficiency virus type 1 is determined in part by the cell in which the virus is propagated.” J. Virol. 1994, 68(3), 1342-1349.
17. Sigal, A., Kim, J.T., Balazs, A.B., et al. “Cell-to-Cell spread of HIV permits ongoing replication despite antiretroviral therapy.” Nature. 2011. 477:95-98.
18. Than, S., Oyaizu, N., Tetali, S., et al. “Upregulation of human immunodeficiency virus (HIV) replication by CD4 cross-linking on peripheral blood mononuclear cells of HIV-infected adults.” J. Virol. 1997: 71(8):6230-6232.
19. Toma, T., Weinheimer, S.P., Stawiski, E., et al. “Loss of Asparagine-linked glycosylation sites in variable region 5 of human immunodeficiency virus type 1 envelope is associated with resistance to CD4 antibody ibalizumab.” J. Virol. 2011. 85:3872-3880
20. Wang, C.Y. “Antibodies against a host cell antigen complex for pre and post exposure protection from infection by HIV.” US Patent No. 5,912,176, 1999.
21. Wang, C.Y., Sawyer, L.S.W., Murthy, K.K., et al. “Postexposure immunoprophylaxis of primary isolates by an antibody to HIV receptor complex.” Proc. Nat. Acad. Sci. USA. 1999, 96, 10367-10372.

概要

HIV感染の予防、処置のための組成物の提供。CD4分子に対する抗体であって、抗体が特定配列のCDR1、CDR2、CDR3を有する重鎖及び軽鎖可変領域アミノ酸配列と特定配列の重鎖及び軽鎖定常領域アミノ酸配列を有する抗体。抗体が、CD4分子のドメイン周りの領域に結合する抗体。抗体が、架橋の際、休止CD4+細胞を活性化する抗体。抗体が、CD4分子のドメイン1におけるCDR2領域周りの領域に結合する抗体。抗体が、重鎖可変領域にN−グリコシル化部位を有する抗体。抗体が、糖分子に結合する重鎖可変領域のCDR3に局在化するアスパラギン(Asn)残基を有する抗体。抗体が、モノクローナル抗体ポリクローナル抗体、又はそれらの組合せである抗体。抗体がヒト化モノクローナル抗体である抗体。なし

目的

mAb B4によって媒介される中和モードは、mAb B4または同様のFv領域を有するそのヒト対応類似体による処置を受けているHIV患者において薬剤耐性ウイルス突然変異株の発生を防止するという独特HIV剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

CD4のドメイン1に対する抗体を薬理学上有効量で対象に投与する工程を含む、HIV曝露された対象の処置方法

請求項2

前記抗体がCD4のドメイン1のCDR2領域に特異的に結合する請求項1記載の方法。

請求項3

前記抗体がモノクローナル抗体ポリクローナル抗体、又はそれらの組み合わせである請求項2記載の方法。

請求項4

前記抗体がヒト化モノクローナル抗体である請求項2記載の方法。

請求項5

前記ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号1のCDR1、配列番号2のCDR2、及び配列番号3のCDR3を有する重鎖アミノ酸配列;及び配列番号4のCDR1、配列番号5のCDR2、及び配列番号6のCDR3を有する軽鎖アミノ酸配列;を有する請求項4記載の方法。

請求項6

前記ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号11のアミノ酸配列を有する重鎖;及び配列番号13のアミノ酸配列を有する軽鎖;を有する請求項4記載の方法。

請求項7

前記ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖;及び配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖;を有する請求項4記載の方法。

請求項8

前記重鎖が配列番号7のアミノ酸配列を有する請求項7記載の方法。

請求項9

HIVへの曝露前に前記ヒト化抗体を前記対象に投与する請求項8記載の方法。

請求項10

HIVへの曝露後に前記ヒト化抗体を前記対象に投与する請求項8記載の方法。

請求項11

HIVへの曝露後48時間以内に前記ヒト化抗体を投与する請求項10記載の方法。

請求項12

前記ヒト化抗体を少なくとも約5mg/kg体重の投与量で前記対象に投与する請求項8記載の方法。

請求項13

前記ヒト化抗体を前記対象に複数回投与する請求項12記載の方法。

請求項14

前記ヒト化抗体を1週間に1回または2週間に1回の間隔で前記対象に投与する請求項13記載の方法。

請求項15

抗ウイルス剤を前記対象に投与する工程をさらに有する請求項13記載の方法。

請求項16

前記抗ウイルス剤が高活性抗レトロウイルス療法(HAART)剤である請求項15記載の方法。

請求項17

前記HAART剤が、プロテアーゼ阻害剤又は非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤と組み合わせたヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤を有する請求項16記載の方法。

請求項18

前記ヒト化抗体を前記HAART剤と同時に投与する請求項16記載の方法。

請求項19

前記ヒト化抗体およびHAART剤を前記対象にあるサイクルに亘って投与する請求項16記載の方法であって、前記サイクルがi)前記ヒト化抗体を4ヶ月の期間にわたって1週間に1回または2週間に1回の間隔で前記対象に投与し、その後の2ヶ月間を休薬期間とする工程;及びii)i)における6ヶ月の期間にHAART剤を前記対象に連続的に投与する工程;を有する、上記方法。

請求項20

前記対象を2サイクルに亘って処置する請求項18記載の方法。

請求項21

HIV感染を有する対象の処置方法であって、a)CD4のドメイン1に対する抗体を薬理学上有効量;及びb)高活性抗レトロウイルス療法(HAART)剤;を有する処置レジメンを前記対象に投与する工程を有する、上記方法。

請求項22

前記抗体がCD4のドメイン1のCDR2領域に特異的に結合する請求項21記載の方法。

請求項23

前記抗体がモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、又はそれらの組み合わせである請求項22記載の方法。

請求項24

前記抗体がヒト化モノクローナル抗体である請求項22記載の方法。

請求項25

前記ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号1のCDR1、配列番号2のCDR2、及び配列番号3のCDR3を有する重鎖アミノ酸配列;及び配列番号4のCDR1、配列番号5のCDR2、及び配列番号6のCDR3を有する軽鎖アミノ酸配列;を有する請求項24記載の方法。

請求項26

前記ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号11のアミノ酸配列を有する重鎖;及び配列番号13のアミノ酸配列を有する軽鎖;を有する請求項24記載の方法。

請求項27

前記ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖;及び配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖;を有する請求項24記載の方法。

請求項28

前記ヒト化抗体を少なくとも約5mg/kg体重の投与量で前記対象に投与する請求項27記載の方法。

請求項29

前記処置レジメンをあるサイクルに亘って前記対象に投与する請求項21記載の方法であって、前記サイクルがi)前記ヒト化抗体を4ヶ月の期間にわたって1週間に1回または2週間に1回の間隔で前記対象に投与し、その後の2ヶ月間を休薬期間とする工程;及びii)i)における6ヶ月の期間にHAART剤を前記対象に連続的に投与する工程;を有する、上記方法。

請求項30

前記対象を2サイクルで処置する請求項18記載の方法。

技術分野

0001

本願は、2014年9月16日に出願された米国仮出願第62/051,200号の利益を主張するPCT国際出願であり、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。

0002

本発明は、HIV感染処置及び機能的治癒のための、競合HIV侵入阻害を媒介するCD4に対するモノクローナル抗体、その組成物及びそのような組成物の使用方法に関する。

背景技術

0003

後天性免疫不全症候群AIDS)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされるヒト免疫系の疾患である(http://en.wikipedia.org/wiki/HIV/AIDS)。遺伝子研究によると、HIVは、19世紀後期または20世紀初期にアフリカ中西部で始まったことがわかる。AIDSは1981年に米国疾病管理予防センター(U.S. Centres for Disease Control andPrevention)によって最初に認められ、その原因であるHIVは1980年代初期に特定された。この流行病の開始から7000万人を超える人々がHIVに感染し、3500万人の人々がAIDSで死亡している。世界的には、2011年の終わりに3400万人の人々がHIVを抱えて生きていた(http://www.who.int/gho/hiv/en/)。

0004

HIV感染は免疫系の有効性を次第に減少させ、個体を日和見感染症腫瘍罹患しやすい状態にする。HIVは、粘膜又は血流が血液、精液液、前精液(pre seminal fluid)および母乳などのHIVを含む体液直接接触することにより感染する。この感染は、肛門、膣内もしくは口腔性交輸血汚染された皮下注射針妊娠出産授乳時の母親と乳児とのやり取り(exchange)または上記体液のうちの1つへの他の曝露により生じ得る。

0005

30年間、科学者らは休止細胞ではなく「ウイルス産生」CD4 T細胞によってAIDSが引き起こされると考えていた。しかし、AIDSを発症している患者体内幅広い範囲のT細胞が壊滅されていることを説明するのに、これらの「ウイルス産生」感染細胞は十分でなかった。Greeneおよび彼の同僚は、静止(休止)リンパCD4 T細胞の95%が不稔ウイルス感染によって引き起こされるピロトーシスにより死滅すると報告した(Doitsh, G.ら、2014)。これらの細胞は細胞質内ウイルスDNAを有するがウイルス複製単位になるT細胞とは異なり、これらの「HIVに感染した」休止T細胞は、炎症誘発性サイトカインの放出を伴う高炎症型のプログラム細胞死(ピロトーシス)により自滅する。細胞タンパク質であるインターフェロンγ誘導性タンパク質16(IFI16)はウイルスDNAを認識し、ピロトーシスを媒介するカスパーゼ−1酵素活性化を含むT細胞における一連応答を引き起こし、細胞膨張細胞膜の透過および細胞質内容物の漏出を生じさせる。休止T細胞はウイルスの死滅を無駄に試みて自滅する。このプロセスは最終的に、AIDSへの疾患の進行を早めるHIVの病理発生に繋がる。

0006

AIDSの発症を遅らせるHIV感染症の現在の処置は、ウイルス複製を防止するための高活性抗レトロウイルス療法、即ちHAARTからなる。現在の最適なHAARTの選択肢は、少なくとも2つのクラスの抗レトロウイルス剤に属する少なくとも3種類の薬剤からなる組み合わせ(即ち「カクテル」)(cART)で構成されている。典型的なレジメンは、2種類のヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NARTIまたはNRTI)+プロテアーゼ阻害剤または非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤NNRTI)のどちらか一方からなる。

0007

先進国において、医師は、HAART処置の開始をいつ勧めるかを決定する際に、ウイルス量、CD4 T細胞数、CD4陽性細胞減少速度および患者の迅速性(readiness)を評価する。慣例上、処置は、CD4 T細胞数が1マイクロリットルの血液当たり200〜250細胞に減少した際に無症状の患者に勧められてきた。しかし、より早期に(350細胞/マイクロリットルのCD4レベルの時点で)処置を開始することで、AIDSおよび死亡のリスクを著しく減少させることができる。

0008

処置を行わない場合、HIV感染後の正味生存期間中央値は、HIVサブタイプに応じて9〜11年と推定されており、AIDSと診断された後の生存期間中央値は6〜19ヶ月の範囲である。HAART処置が広く利用可能な地域では、この疾患の死亡率は80%低下し、次いで、これにより新たに診断されたHIV感染者の平均余命は約20年まで上昇する。

0009

HAARTの標準的な目標としては、患者の生活の質の向上、合併症の減少、及び検出限界未満へのHIVウイルス血症の減少が挙げられる。

0010

しかし、HAART処置にはいくつかの問題がある。第一に、この処置は、HIV感染患者を治癒することはなく、処置が一旦停止されると大部分が「HAART耐性」のHIV血中濃度が再び高くなるのを防止することもない。第二に、HAARTは倦怠感、疲労、下痢頭痛悪心および嘔吐などの不快な副作用を有し得る。HIV感染患者は長期間にわたって、神経認知障害骨粗鬆症神経障害、癌、腎症および心血管疾患を経験することがある。より新しい抗レトロウイルス剤は昔のものよりも副作用が少ないが、生涯使用すればなお被害をもたらす可能性はある。非遵守により、HIVのリバウンド薬剤耐性および疾患の進行が生じ得る。第三に、最大50%超の患者では、薬剤不耐性、以前の効果のない抗レトロウイルス療法およびHIVの薬剤耐性株による感染により、HAARTは最適にはほど遠い結果をもたらす。

0011

研究者らは、HIV感染を治癒する方法、又は抗レトロウイルス剤なしに長期間または永久的な寛解を少なくとも達成する方法の研究をさらに行っている。

0012

表1に示すように、HIV感染のための2つの治癒的戦略、即ち完全(sterilizing)(即ち根絶)治癒および機能的治癒について現在研究されている。完全治癒法は、HIV感染細胞を全て排除し、HIVを体から完全に一掃することを目標とし、ウイルス量を血液1ミリリットル当たり1コピー未満まで減少させる方法として定められている。機能的治癒は、抗レトロウイルス療法の非存在下での低いウイルス量などの寛解状態およびHIVの長期間の制御を目標とし、永久的または長期間にわたってウイルス量を血液1ミリリットル当たり50コピー未満まで減少させる方法として定められている。

0013

「完全治癒」の現在の唯一の例は、急性骨髄性白血病に罹患して突然変異型または他の型のCCR5遺伝子を有するドナーから骨髄移植を受けた、HIV感染を有する「ベルリン患者(The Berlin Patient)」というニックネーム男性症例研究から得られたものである。処置なしで45ヶ月後に、医師は彼の系中にHIVを検出することができなかった。それにも関わらず、CCR5突然変異体のドナーによる骨髄移植を用いる戦略は、その毒性および処置の複雑さを考慮するとHIVの現実的な治癒ではない。「機能的治癒」の自然な例の1つは、長期非進行者(エリートコントローラー)(elite controller)において認めることができる。長期非進行者はその免疫系が抗レトロウイルス剤なしにウイルスを自然に制御することができるHIVに感染した個体である。これらの個体は、安定なCD4細胞(白血球)数、低いか又は検出不能なウイルス量、およびそれらの細胞中の著しく少量の「潜伏HIV」の維持に成功している。

0014

治癒を妨げる主な障害の1つは、抗レトロウイルス剤での処置中に長い寿命を有する記憶細胞などの免疫系細胞中に潜伏している「潜伏HIVリザーバー(reservoir)」が存在するということである。なぜなら、そのような処置は複製を阻止することにより活性なウイルス感染に対して作用することはできるが潜伏HIVに対しては作用しないからである。但し、そのような抗レトロウイルス剤処置を停止すれば、潜伏HIVを活性化させ、HIV感染プロセスを再開させることができる。

0015

これらの「問題となる」潜伏HIVリザーバーを標的にする現在の戦略としては、HAART処置の存在下でウイルス発現の活性化により潜伏リザーバーを枯渇させ、それにより感染細胞を全滅させ、非感染細胞のみを残すことが挙げられる。活性化剤グループの1つは、表2に示すヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤である。現在、HDAC阻害剤は、気分安定薬抗てんかん薬および抗癌処置薬として使用されている。癌遺伝子悪性度および/または再活性化のリスクを高めるHDAC阻害剤の長期間の影響は依然として主な懸念事項である。この戦略は、併用抗レトロウイルス療法(cART)により活性なウイルス複製が完全に阻害される場合には実行可能である。これまでのところ、これらの努力により長期間のウイルス抑制または機能的治癒は得られていない。

0016

HIV感染を有する人々における潜伏HIVリザーバーのサイズの制限または減少のための2つの計画は、(1)新しいART剤を患者のレジメンに追加することによる強化処置、および(2)感染後すぐにARTを開始することによる早期処置を含む。いくつかの研究の結果から、HIV感染の後期の慢性段階ではなく初期の急性段階の間にcARTを開始したとき、HIV感染細胞数が著しく減少することが分かった。

0017

要約すると、強力かつ安全な薬剤は、(1)無細胞および細胞間伝播モードの両方においてHIV侵入を阻止し、それらの寿命の長い記憶T細胞を含む活性化もしくは休止CD4 T細胞におけるHIV感染を著しく減少させることができ、(2)特に、HIV感染した休止CD4 T細胞を再活性化させてHIVを放出させ、それにより潜在的に感染した細胞においてアポトーシスを引き起こすことができ、かつ/または(3)そのような活性化によりAIDSに繋がる正常なCD4陽性T細胞のピロトーシスおよび大量の枯渇を引き起こし得る場合には、抗原サイトカイン刺激時のHIV感染した休止CD4 T細胞の活性化/炎症を阻害することができる限り、単独またはcARTへの補助剤としてHIV処置で使用するのに非常に望ましいものとなる。その後のcARTの非存在下での長期間または永久的な寛解に繋がるHIV感染の機能的または完全治癒に向けた協力は、世界的な公衆衛生課題の上位にあり、世界中で積極的に探究されており、これが入手可能になれば、HIV感染処置に革新を引き起こすものとなる。

0018

参考文献
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0019

本開示は、HIV感染の予防、処置および/または機能的治癒のための組成物および方法に関する。本開示の一面として、HIV感染の予防、処置および機能的治癒のためのCD4に対するモノクローナル抗体、その組成物およびそのような組成物の使用方法に関する。

0020

本開示の一面として、HIV感染の予防、処置および/または機能的治癒のためのCD4に対する抗体、その組成物およびそのような組成物の使用方法に関する。特定の態様において、本抗体は、CD4のドメイン1のCDR2領域に特異的に結合する。本開示の抗体は、無細胞系および細胞間系の両方においてそのCD4のドメイン1への結合によって強力な競合的HIV侵入阻害を発揮する。本開示の抗体は、ピロトーシスの病理発生サイクル(pathogenic cycle)に関与する抗原誘導性T細胞増殖およびCD4陽性T細胞のサイトカイン産生IL2およびIFN−γ)も阻害する。本開示の抗体は、休止CD4陽性T細胞を再活性化する能力も有する。この性質は、休止T細胞におけるHIVの潜伏リザーバーを再活性化させて、これらの細胞を抗レトロウイルス剤によって処置しやすくするのに特に有用である。そのようなCD4に対する高親和性抗体は、HIVの放出のために休止HIV感染細胞を活性化することができる。HIV感染した休止CD4+T細胞の再活性化により、HIV感染した患者において本発明の抗体をHAARTと共に組み込んだ併用処置が可能になり、機能的治癒が生じる。

0021

本開示は、HIV感染の処置、予防および機能的治癒のための方法に関する。特定の態様において、本製剤はCD4に対する抗体を含む。本開示は、HIV感染の処置、予防および機能的治癒のための方法に用いることができる抗ウイルス剤も含む。

0022

特定の態様において、本発明は、単剤療法として1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約10mg/kg以上の用量で投与したとき、血清抗体レベルが10μg/mLよりも高い限り、そのような処置によりウイルス量のリバウンドなしに処置される対象においてウイルス量を検出不能なレベルまで減少させることができる、上記結合特性を有するモノクローナルヒト、ヒト化またはキメラ抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0023

別の態様において、本発明は、処置未経験HIV患者に1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約10mg/kg以上で投与したとき、患者の機能的治癒を生じさせる、HAARTへの補助療法における重要な成分として上記結合特性を有するモノクローナルヒト化抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

図面の簡単な説明

0024

競合的対非競合的HIV侵入阻害機序図1aは、HIVエンベロープタンパク質gp120及び阻害剤(例えば、抗体薬剤)が共通の標的表面分子の同じ部分(即ち、CD4ドメイン1のCDR2)に結合するために競合する競合的HIV侵入阻害モデルにおいて得られる理論上の結果を示すグラフである。このモデルでは、阻害剤の濃度が特定の閾値に達したとき、HIV結合/侵入の100%阻害を達成することができる。それと比較して、図1bは、HIV及び阻害剤が同じ標的分子上の異なる部位(例えば、TMB−355ではCD4のドメイン2)に結合する非競合的HIV侵入阻害モデルにおいて得られる理論上の結果を示すグラフである。この非競合的阻害モデルでは、HIV結合/侵入を阻害剤により減少させることができるが、阻害剤の濃度に関わらず完全な阻害は達成されていない。本抗体薬剤に対するHIVの耐性は、薬剤濃度に関わらず%阻害において「平坦域」として反映されている。
TMB−355を用いた、11種類の分岐群網羅する118種類の多様なHIV−1 Env偽ウイルス株のパネルのHIV−1侵入阻害結果(Pace, G.ら、2011)。各ウイルスについて、黒色の線は最大10μg/mLのTMB−355濃度で処置した場合の最大阻害率(MPI)(左のY軸)を示し、灰色の線は対応するIC50(右のY軸)を示す。TMB−355は50%以上の阻害でウイルス株の92%を中和し、95%以上の阻害でウイルス株の31%のみを中和した。
mAb B4を用いて10年間にわたって収集した850種を超えるEnv偽型HIVウイルスのパネルのHIV−1侵入阻害。mAb B4は、850種類全てのEnv偽型ウイルスにおいてほぼ100%の最大阻害率(MPI)と共に、一方が0.01〜1μg/mLで他方が約10μg/mLの2種類の濃度の周りに集中しているIC50により、HIV侵入阻害において広域性(breadth)および効力の両方を与える。
UB−421に用いられる、mAb dB4C7抗体のFv領域の重鎖の全アミノ酸配列(配列番号7)。その親マウスB4抗体に由来する、対応するCDR1、2および3領域を表す配列には下線が引かれている(表4、配列番号1〜3)。可変および定常領域はそれぞれ薄い灰色および濃い灰色で網かけされている(それぞれ配列番号11および12)。そのFv領域位置には珍しいN−グリコシル化部位として機能する重鎖のaa101にあるアミノ酸残基Asn(N)は、B4抗体結合に不可欠である。置換されたヒトIgGFc領域配列では、そのアミノ酸をHis(H)で置換すること、即ちN298Hにより、aa298にあるアミノ酸残基Asn(N)のN−グリコシル化部位が除去されている。この突然変異により、抗体B4の存在下でのIgG媒介性補体依存性細胞傷害(CdC)およびCD4陽性T細胞枯渇がなくなることが分かっている。
UB−421に用いられる、dB4C7抗体のFv領域の軽鎖の全アミノ酸配列(配列番号8)。その親マウスB4抗体に由来する、対応するCDR1、2および3領域を表す配列には下線が引かれている(表4、配列番号4〜6)。可変および定常領域はそれぞれ薄い灰色および濃い灰色で網かけされている(それぞれ配列番号13および14)。
重鎖のFc領域位置aa253、aa255およびaa257における、それぞれMet(M)からTyr(Y)、即ちM253Y、Ser(S)からThr(T)、即ちS255T、およびThr(T)からGlu(E)、即ちT257Eへのアミノ酸置換により、より長い半減期を有する、さらに改良されたヒト化抗体の重鎖の全アミノ酸配列(配列番号9)。
図4および図6に記載されている可変アミノ酸を包含するヒト化抗体mAb dB4の重鎖の全アミノ酸配列(配列番号10)。
本抗体を細胞の上に3回通した後のHPB−ALL細胞の表面CD4に対するmAb B4の結合親和性抗体濃度)および結合能遊離抗体および結合抗体)を示すグラフ。
ELISAプレート被覆された可溶性CD4(sCD4)およびp2704aペプチド捕捉合物に対するmAb B4(−−−)およびmAb dB4(———)の結合親和性を比較するグラフ。B4−ビオチンおよびdB4C7−Alexaそれぞれの上記捕捉混合物への結合を競合的に阻害するためにmAb B4およびmAb dB4を用いて結合親和性を決定した。
HPB−ALL細胞のCD4に対するmAb B4(−−−)およびmAb dB4(———)の結合親和性を比較するグラフ。B4−ビオチンおよびdB4C7−AlexaそれぞれのHPB−ALL細胞の表面CD4への結合を競合的に阻害するためにmAb B4およびmAb dB4を用いるFACSにより結合親和性を決定した。
HPB−ALL細胞のCD4に対するmAb dB4(−−−)およびgp120MN(———)の結合親和性を比較するグラフ。dB4C7−AlexaのHPB−ALL細胞の表面CD4への結合を競合的に阻害するためにmAb dB4およびgp120MNを用いるFACSにより結合親和性を決定した。
mAb dB4C7のPBMCCD4+T細胞への結合の温度依存性MFI)を示すグラフ。
mAb dB4濃度の関数として6人の感染していない個体の血液試料からの占有されていないCD4受容体(———)およびmAb dB4で占有/結合されたCD4受容体(−−−)の平均割合(±SD)を示すグラフ。占有されていない受容体をdB4C7−Alexaの血液CD4+T細胞の表面の遊離結合部位への結合により検出し、mAb dB4で占有された受容体をヤギ抗huIgG−FITCにより検出した。
現在の抗レトロウイルス療法(cART)剤テノホビル(Tenofovir)のHIVの無細胞および細胞間伝播に対する効果を示す棒グラフ(Sigal, A.ら、2011)。Y軸は、テノホビルの存在または非存在下で異なる感染源から単離された末梢血単核細胞(PBMC)からの伝播指数を表す(Sigal, A.ら、2011)。
図の説明文に示されている以下の刺激:無刺激(レーン1)、PHA(レーン2)、非活性化HIV(iHIV)溶解物(レーン3)、CD4ドメイン1のCDR2領域に対するモノクローナル抗体(レーン4)、CD4ドメインのCDR3領域に対するモノクローナル抗体(レーン5)、CD4ドメイン1/2に対するモノクローナル抗体(レーン6)、可溶性CD4の存在下におけるiHIV(レーン7)、可溶性CD4の存在下におけるCD4ドメイン1のCDR2領域に対するモノクローナル抗体(レーン8)、可溶性CD4の存在下におけるCD4ドメイン1のCDR3領域に対するモノクローナル抗体(レーン9)、および可溶性CD4の存在下におけるCD4ドメイン1/2に対するモノクローナル抗体(レーン10)によって誘導された休止PBMCにおけるウイルスの再活性化を示す棒グラフ(HIV−1 p24 gag産生によって測定)(出典:Briant, L.ら、1999)。
ELISAで測定した、抗HIV RCポリクローナル抗体によるビオチン化B4のrsCD4への結合の競合的阻害を示すグラフ。
mAb dB4および抗HIV RCポリクローナル抗体のPBMCの表面CD4への抗体滴定を示すグラフ。この抗体滴定は、抗体濃度(単位:μg/mL)に対するCD4結合率(%)として測定した。
図18a〜図18c。処置未経験HIV陽性およびHIV陰性対象におけるCD4+およびCD8+T細胞を増殖させることによるサイトカインIL2およびIFN−γのスーパー抗原SEB誘導性産生に対するmAb dB4および抗HIV RCポリクローナル抗体阻害の分析。HIV陰性図18a)およびHIV陽性(図18b)対象について、CD4+T細胞のスーパー抗原誘導性増殖によるIL2産生に対するmAb dB4および抗HIV RCポリクローナル抗体阻害が示されている。HIV陰性対象および年齢適合HIV陽性対象(図18c)について、CD8+T細胞のスーパー抗原誘導性増殖によるIL2産生に対するmAb dB4および抗HIV RCポリクローナル抗体阻害も示されている。
図18d〜図18g。HIV陰性(図18d)およびHIV陽性(図18e)対象について、CD4+T細胞のスーパー抗原誘導性増殖によるIFN−γ産生に対するmAb dB4および抗HIV RCポリクローナル抗体阻害が示されている。HIV陰性(図19f)およびHIV陽性(図19g)対象について、CD8+T細胞のスーパー抗原誘導性増殖によるIFN−γ産生に対するmAb dB4および抗HIV RCポリクローナル抗体阻害も示されている。
図19a〜図19c。感染後の時間の経過に伴ってPBMC中のHIV−1RNAコピー/mLによって測定した場合の、HIV−1初代分離株DH12(HIV−1DH12)への曝露前(図19a)および曝露後(図19b)のmAb B4投与によるチンパンジーのHIV感染からの保護を示すグラフ。抗体投与なしでHIV−1DH12に曝露した対照動物の結果を示すグラフ(図19c)も示されている。下向きの矢印はHIV−1DH12抗原投与投与前または投与から1時間後のいずれかにmAb B4を投与した研究の開始を示す。
図20aおよび図20b。時間の経過に伴ってHIV−1 RNAコピー/mLにより測定した場合の、未処置およびmAb B4で処置したHIV−1感染チンパンジーのHIVウイルス量を示すグラフ。図20aは、mAb B4の3回の注入を受けたチンパンジーX356(黒丸)における血漿ウイルス血症の持続期間を、前の研究でmAb B4の単回投与を以前に受けた未処置の対照チンパンジーX084(白丸)と比較している。図20bは、mAb B4の3回の注入を受けたチンパンジーX356(黒丸)における血漿ウイルス血症の持続期間を、以前にmAb B4の投与を受けなかった未処置の対照チンパンジーX259(白丸)と比較している。
図21。mAb dB4のヒト(−−−)およびヒヒ(———)CD4陽性T細胞に対する結合親和性を比較するグラフ。
図22aおよび図22b。用量増加(1、5、10および25mg/kg)第I相臨床研究における抗体薬剤UB−421(mAb dB4C7)の単回投与を受けた患者に関する、研究日数に対するHIV−1 RNAにおける平均Log10の変化を示すグラフ。図22aは研究の過程にわたって各用量によって示されるウイルス減少を示すグラフである。図22bは各用量の平均および最大の個々の最下点を示すグラフである。
図23a。 UB−421(mAb dB4C7)の有効性の理論上の比較およびTMB−355(TNX−355として以前から知られている、Kuritzkes, D. R.ら、2004、図1)について以前に報告された有効性データを示すグラフ。図23aは5mg/kgのUB−421および3mg/kgのTMB−355の単回投与後に観察されたウイルス量の減少を比較するグラフである。
図23b。 UB−421(mAb dB4C7)の有効性の理論上の比較およびTMB−355(TNX−355として以前から知られている、Kuritzkes, D. R.ら、2004、図1)について以前に報告された有効性データを示すグラフ。図23bは、10mg/kgのUB−421またはTMB−355の単回投与後に観察されたウイルス量の減少を比較するグラフである。
図23c。 UB−421(mAb dB4C7)の有効性の理論上の比較およびTMB−355(TNX−355として以前から知られている、Kuritzkes, D. R.ら、2004、図1)について以前に報告された有効性データを示すグラフ。図23cは、25mg/kgのUB−421またはTMB−355の単回投与後に観察されたウイルス量の減少を比較するグラフである。
図24a。 8週間の処置期間にわたってUB−421(mAb dB4C7)の投与を10mg/kgで1週間に1回(図24a)または25mg/kgで2週間に1回(図24b)受けた対象における平均PBMC CD4 T細胞数/mm3を示すグラフ。CD4のドメイン2に対するビオチン化抗体によってUB−421処置患者において安定なCD4 T細胞数が検出された。
図24b。 8週間の処置期間にわたってUB−421(mAb dB4C7)の投与を10mg/kgで1週間に1回(図24a)または25mg/kgで2週間に1回(図24b)受けた対象における平均PBMC CD4 T細胞数/mm3を示すグラフ。CD4のドメイン2に対するビオチン化抗体によってUB−421処置患者において安定なCD4 T細胞数が検出された。
図25a。第IIa相臨床試験の過程で、ウイルス量の減少によって測定したUB−421処置の臨床的有効性(上側のパネル)および血清中濃度(μg/mL)によって測定したUB−421の薬物動態(下側のパネル)を示すグラフ。以下の代表的な患者:UB−421の投与を10mg/kgで1週間に1回受けた患者1−1−01(図25a)、UB−421の投与を10mg/kgで1週間に1回受けた患者1−1−02(図25b)、UB−421の投与を25mg/kgで2週間に1回受けた患者1−2−03(図25c)およびUB−421の投与を25mg/kgで2週間に1回受けた患者1−2−06(図25d)の関連データが提供されている。細胞の完全被覆を示すPBMC CD4+細胞上へのUB−421結合の持続期間は灰色で網かけされている。
図25b。第IIa相臨床試験の過程で、ウイルス量の減少によって測定したUB−421処置の臨床的有効性(上側のパネル)および血清中濃度(μg/mL)によって測定したUB−421の薬物動態(下側のパネル)を示すグラフ。以下の代表的な患者:UB−421の投与を10mg/kgで1週間に1回受けた患者1−1−01(図25a)、UB−421の投与を10mg/kgで1週間に1回受けた患者1−1−02(図25b)、UB−421の投与を25mg/kgで2週間に1回受けた患者1−2−03(図25c)およびUB−421の投与を25mg/kgで2週間に1回受けた患者1−2−06(図25d)の関連データが提供されている。細胞の完全被覆を示すPBMC CD4+細胞上へのUB−421結合の持続期間は灰色で網かけされている。
図25c。第IIa相臨床試験の過程で、ウイルス量の減少によって測定したUB−421処置の臨床的有効性(上側のパネル)および血清中濃度(μg/mL)によって測定したUB−421の薬物動態(下側のパネル)を示すグラフ。以下の代表的な患者:UB−421の投与を10mg/kgで1週間に1回受けた患者1−1−01(図25a)、UB−421の投与を10mg/kgで1週間に1回受けた患者1−1−02(図25b)、UB−421の投与を25mg/kgで2週間に1回受けた患者1−2−03(図25c)およびUB−421の投与を25mg/kgで2週間に1回受けた患者1−2−06(図25d)の関連データが提供されている。細胞の完全被覆を示すPBMC CD4+細胞上へのUB−421結合の持続期間は灰色で網かけされている。
図25d。第IIa相臨床試験の過程で、ウイルス量の減少によって測定したUB−421処置の臨床的有効性(上側のパネル)および血清中濃度(μg/mL)によって測定したUB−421の薬物動態(下側のパネル)を示すグラフ。以下の代表的な患者:UB−421の投与を10mg/kgで1週間に1回受けた患者1−1−01(図25a)、UB−421の投与を10mg/kgで1週間に1回受けた患者1−1−02(図25b)、UB−421の投与を25mg/kgで2週間に1回受けた患者1−2−03(図25c)およびUB−421の投与を25mg/kgで2週間に1回受けた患者1−2−06(図25d)の関連データが提供されている。細胞の完全被覆を示すPBMC CD4+細胞上へのUB−421結合の持続期間は灰色で網かけされている。
図26a。他の研究者ら(Jacobson, J. L.ら、2009;Toma, J.ら、2011およびPace, C. S.ら、2013)によって行われたTMB−355(イバリズマブ、かつてのTNX−355)に関する同様の研究で観察されたウイルス量の減少に対して、UB−421を用いた第IIa相臨床試験で観察されたウイルス量の減少の理論上の比較を示すグラフ。図26aは10mg/kgおよび25mg/kgのUB−421で処置した対象において観察されたウイルス量の変化を要約したものであり、図26bは同じ投与量レベルのTMB−355で処置した対象において観察されたウイルス量の変化を要約したものである。
図26b。他の研究者ら(Jacobson, J. L.ら、2009;Toma, J.ら、2011およびPace, C. S.ら、2013)によって行われたTMB−355(イバリズマブ、かつてのTNX−355)に関する同様の研究で観察されたウイルス量の減少に対して、UB−421を用いた第IIa相臨床試験で観察されたウイルス量の減少の理論上の比較を示すグラフ。図26aは10mg/kgおよび25mg/kgのUB−421で処置した対象において観察されたウイルス量の変化を要約したものであり、図26bは同じ投与量レベルのTMB−355で処置した対象において観察されたウイルス量の変化を要約したものである。
図27。処置未経験HIV患者およびHAART処置で安定したHIV患者において、HAART療法の代わりとしてUB−421単剤療法を用いたHIV患者集団における処置法を示す概略図。
図28。処置未経験HIV患者、HAART処置で安定したHIV患者およびHAART処置に失敗したHIV患者において、HIV感染の機能的治癒のためにUB−421をHAART療法と併用したHIV患者集団における処置法を示す概略図。

0025

本開示は、HIV感染の予防、処置および/または機能的治癒のための組成物および方法に関する。本開示の一面として、CD4に対する抗体、その製剤、ならびにHIV感染の予防、処置および/または機能的治癒のためにそのような製剤を用いる方法に関する。

0026

本明細書で使用されている節の見出しは単に構成のためのものであり、記載されている主題を限定するものとして解釈されるべきではない。本願に引用されている全ての参考文献または参考文献の一部は、あらゆる目的のためにその内容全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。

0027

CD4
CD4(分化抗原群4)は、Tヘルパー細胞単球マクロファージおよび樹状細胞などの免疫細胞の表面に存在する糖タンパク質(UniProtKB/Swiss−Prot:P01730.1)である(http://en.wikipedia.org/wiki/CD4)。CD4は、免疫グロブリンスーパーファミリーメンバーであり、細胞の細胞外表面に露出される4種類の免疫グロブリンドメイン(D1〜D4)を有する。CD4ドメインのD1およびD3は免疫グロブリン可変(IgV)ドメインに似ており、D2およびD4は免疫グロブリン定常(IgC)ドメインに似ている。CD4は、そのD1ドメインを使用してMHCクラスII分子β2ドメインと相互作用する。したがって、それらの表面でCD4分子を発現しているT細胞は、MHCIIによって提示される抗原に特異的である。CD4の短い細胞質尾部/細胞内末端(intracellular tail)は、それをlck分子と相互作用させることができる特殊なアミノ酸配列を含む。

0028

CD4の第一の細胞外ドメインは、免疫グロブリン鎖と類似する3つの相補性決定領域(CDR)において免疫グロブリンと相同性共有している。CD4分子の細胞外領域のドメイン1およびドメイン2はどちらもMHCクラスII分子の結合部位に寄与することが分かったが、ドメイン1のみがHIV結合および合胞体形成に関与することが分かった。特に、HIVエンベロープ糖タンパク質gp120との結合部位はドメイン1のCDR2様ループ局在化されていることが分かった。

0029

HIV−1は、CD4を使用して宿主T細胞に入り込み、gp120として知られているそのウイルスエンベロープタンパク質を介してこれを達成する。CD4への結合によりgp120の立体構造における変化が生じ、HIV−1は、宿主細胞上に発現されているケモカイン受容体CCR5またはCXCR4に結合することができる。別のウイルスタンパク質(gp41)における構造的変化後に、HIVは、ウイルスの外膜を細胞膜と融合させることができる融合ペプチドを宿主細胞の中に挿入する。HIV感染によりCD4を発現しているT細胞の数の漸減が生じる。

0030

抗体
本開示の一面として、HIV感染の予防、処置および/または機能的治癒のためのCD4に対する抗体、その組成物およびそのような組成物の使用方法に関する。

0031

本開示の抗体は、インタクトな(intact)ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単一特異性抗体、多特異性抗体、キメラ抗体脱免疫化(deimmunized)抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体霊長類化抗体、単鎖抗体単一ドメイン抗体合成抗体および組換え抗体ならびに所望の活性または機能を有する抗体断片を含むインタクトな抗体分子を広く包含する。

0032

本開示の抗体は、CD4のドメイン1を認識する。ある態様において、該抗体は、CD4のドメイン1のCDR2領域に特異的に結合する。

0033

本開示の抗体は、あらゆる標準的な方法によって産生させことができる。いくつかの態様において、本開示の抗体は、動物(例えば、マウス、イヌモルモットブタ、ヤギ、ウマなど)を組換えCD4タンパク質、組換えCD4タンパク質の断片またはその表面においてCD4を発現している細胞で免疫化することにより産生される。または、該抗体は、化学合成することができる。

0034

ある態様において、抗体は、動物をCD4のドメイン1のアミノ酸配列を含むペプチドで免疫化することにより産生される。例えば、動物をCD4ドメイン1のCDR2領域のアミノ酸配列を含むペプチドまたはペプチドの組み合わせで免疫化することによりポリクローナル抗体を産生させることができる。いくつかの態様において、該ペプチドは、HIVがCD4のこの部分に結合するという理由から、HIV受容体複合体(「HIV RC」)としても知られているCD4のaa39−66を含む。具体的な態様において、HIV RCペプチドは、ジスルフィド結合により環状になる。

0035

いくつかの態様において、ポリクローナル抗体は、動物を環状HIVRCペプチドで免疫化することにより産生される。本明細書で用いられる「抗HIV RCポリクローナル抗体」という用語は、CD4ドメイン1のCDR2領域のaa39−66を含む環状ペプチドに対する免疫血清を指す。

0036

他の態様において、抗体は、動物をCD4陽性細胞で免疫化することにより産生される。例えば、ある態様において、BALB/cマウスをインタクトな感染していないCD4+ヒトHPB−ALL細胞、即ちT細胞性急性リンパ芽球性白血病細胞株で免疫化することにより該抗体を産生させた。この抗体は、Wangによる米国特許第5,912,176号並びに第6,090,388号及び1999年のWangらによる雑誌論文にさらに詳細に記載されており、それらの内容全体が参照により組み込まれる。

0037

他の態様において、抗体は、配列表に含まれる配列の重鎖および軽鎖アミノ酸配列を含む。本開示は、配列表に含まれるアミノ酸配列を含む抗体の相同体および機能的類似体を包含する。

0038

本開示の抗体の機能的類似体は、元の抗体と実質的に同じ機能特性(結合認識、結合親和性など)を保持する配列変異体および相同体を含む。例えば、機能的類似体または相同体である抗体変異体は、アミノ酸位置における保存的置換、全電荷(overall charge)における変化、別の部分への共有結合または小さい付加、挿入、欠失または保存的置換および/またはそれらのあらゆる組み合わせを有していてもよい。したがって、抗体の変異抗体の機能的類似体および相同体は、CD4を認識して結合し、対象におけるHIVを処置するのに用いることができる。

0039

一態様において、抗体の機能的類似体または相同体は一般に、配列表に開示されているアミノ酸配列を含む抗体と少なくとも約50%の配列同一性を有する。この態様の変形において、抗体の機能的類似体または相同体は、配列表に開示されているアミノ酸配列を含む抗体と少なくとも約50%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約99%の同一性を有する。

0040

保存的置換は、1つのアミノ酸残基が同様の化学的特性を有する別のアミノ酸残基で置換された場合の置換である。例えば、非極性疎水性)アミノ酸として、アラニンロイシンイソロイシンバリンプロリンフェニルアラニントリプトファンおよびメチオニンが挙げられ;極性中性アミノ酸として、グリシンセリントレオニンシステインチロシンアスパラギン、およびグルタミンが挙げられ;正電荷を有する(塩基性)アミノ酸として、アルギニンリジンおよびヒスチジンが挙げられ;負電荷を有する(酸性)アミノ酸として、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。

0041

別の態様において、抗体の機能的類似体を、N末端C末端へのアミノ酸付加または欠失、および/または配列の中央への挿入によって修飾することができる。本発明の各種態様において、付加または欠失はペプチドのN末端またはC末端への付加または欠失である。付加または欠失は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個のアミノ酸残基の付加または欠失である。そのような付加または欠失は、抗体の一般的な機能特性を変化させない配列表に含まれている配列中に存在しないアミノ酸配列を構成してもよい。

0042

ある態様において、本開示の抗体は、化学物質タグ付けまたは標識化されている。例えば、抗体を、ビオチン、スペーサーアームプローブ(例えば、FITC、PE、TRITC、DyLight Fluors、Alexa、GFP、R−フィコエリトリン量子ドットなど)、酵素複合体およびそれらの組み合わせで標識化することができる。具体的な態様において、本抗体はビオチンまたは蛍光プローブで標識化されている。

0043

具体的な態様において、脱免疫化として知られているプロセスにより抗体を修飾することができる。本明細書で使用される「脱免疫化」という用語は一般に、動物の体内で免疫応答を引き起こすことなく動物に投与することができるように抗体の一部を修飾するためのプロセスを指す。具体的には、脱免疫化は、抗体が投与される特定の動物において免疫原性になる抗体のアミノ酸配列の一部(例えば、T細胞エピトープ)の位置を突き止めて除去するためのプロセスを含む。このプロセスは免疫学的および分子生物学的技術の併用により達成することができる。このプロセスについては以前に記載されている(例えば、Jones, T. D.ら、2009)。抗体の脱免疫化の場合、一般に、抗体の結合親和性を著しく減少させることなくT細胞エピトープを除去するための突然変異を導入することができる。

0044

本明細書で使用される「ヒト化」という用語は、ヒトに投与されるとき、抗体の免疫原性を除去するようにそのタンパク質配列が修飾(脱免疫化)された非ヒト生物種によって最初に産生された抗体を指す。ある態様において、本開示の抗体は、その定常領域をヒト定常領域で置換すること、および/または哺乳類細胞においてこれらの抗体をコードする遺伝子を発現させることにより、ヒトへの使用のために脱免疫化されている。

0045

ある態様において、本開示の抗体は、表4に示す、抗体の重鎖および軽鎖アミノ酸配列を有する。

0046

本明細書で用いられる「mAb B4」または「B4」または「マウスB4」という用語は、配列番号1〜6の重鎖および軽鎖のCDR1、2、3領域のアミノ酸配列をそれぞれ有するマウスモノクローナル抗体を指す(表4)。このマウスモノクローナル抗体は、CD4を認識することが分かっており、HIV侵入を阻害することができる。この抗体の構造および機能特性については以下の実施例でさらに詳細に考察する。

0047

本明細書で用いられる「mAb dB4」または「dB4」という用語は、mAb B4に由来するヒト脱免疫化抗体を指す。ヒト脱免疫化mAb dB4は、配列番号1〜6の重鎖および軽鎖のCDR1、2、3領域のアミノ酸配列をそれぞれ有する(表4)。いくつかの態様において、mAb dB4の軽鎖は、図5に示す配列番号8のアミノ酸配列を有する。いくつかの態様において、mAb dB4の重鎖は、図4に示す配列番号7のアミノ酸配列を有する。変形態様において、mAb dB4の重鎖は、図6に示す配列番号9のアミノ酸配列を有する。当該分野で知られている任意の適当な方法により、mAb B4を脱免疫化することができる。一態様において、米国特許第7,501,494号および第7,872,110号(これらの開示内容全体が参照により組み込まれる)に記載されている方法に従って、ヒトへの使用のためにmAb B4を脱免疫化する。特定の態様において、mAb B4のマウス抗体の定常領域(CHおよびCκ)を除去してヒトIgG1の定常領域で置換することにより、ヒト脱免疫化mAb dB4が産生される。mAb dB4はあらゆる好適な細胞性クローンによって産生されるdB4を包含する。具体的な態様において、クローン7によってmAb dB4を産生させる。

0048

本明細書で用いられる「mAb dB4C7」または「dB4C7」という用語は、米国特許第7,501,494号および第7,872,110号(これらの開示内容全体が参照により組み込まれる)以前に記載された組換え遺伝子B4DIVHv1/VK1CHO#7を含むクローン7によって発現されたmAb dB4を指す。C7クローンは、多量のmAb dB4抗体を産生することが分かっている。特に、mAb B4C7は、配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖(図5)および配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖(図4)を含むヒト脱免疫化抗体である。さらに、mAb dB4C7中の298位のAsn(N)残基は、His(H)で置換され、N−グリコシル化部位が除去され、このようにして抗体B4の存在下でのIgG媒介性補体依存性細胞傷害(CdC)をなくしてCD4陽性T細胞の枯渇を防止する。

0049

本明細書で用いられる「UB−421」という用語は、ヒト対象に投与するのに適した形態で使用されるmAb dB4C7を指す。

0050

本開示の抗体を、その興味深くかつ独特な機能特性によって説明することもできる。

0051

例えば、本開示の抗体は、そのCD4のドメイン1への結合により、強力な競合的HIV侵入阻害を発揮する。特に、本開示の抗体は、試験した全てのEnv偽型ウイルスにおいてほぼ100%の最大阻害率(MPI)を有すると共に、一方が0.01〜1μg/mLで他方が約10μg/mLの2種類の濃度の周りに集中しているIC50を有する。本開示の抗体の結合活性は、HIV gp120エンベロープタンパク質によって示されるCD4結合親和性よりも約2log高い(即ち、100倍より密な結合)。さらに、本開示の抗体の平均Kdは、5.6×10−11M(範囲:3.1〜8.1×10−11M)と推定され、Bmaxは、1細胞当たり1.2×106Ab(範囲:0.93〜1.4×106)と推定された。

0052

本開示の抗体の競合的阻害特性は、無細胞系および細胞間系の両方において示された。本開示の抗体は、HIV−1エンベロープタンパク質gp120MNよりも少なくとも50倍高い親和性でCD4受容体に結合する。また、本開示の抗体は、Leu3aなどの他の市販されている抗体と比較してより大きな親和性および特異性によりCD4に結合する。

0053

本開示の抗体は、ピロトーシスの病理発生サイクルに関与する、抗原誘導性T細胞増殖およびCD4陽性T細胞のサイトカイン産生(IL2およびIFN−γ)を阻害することもできる。そのようなCD4に対する高親和性モノクローナル抗体は、スーパー抗原SEB(ブドウ球菌性エンテロトキシンB、SEB)などの抗原誘導性CD4陽性T細胞活性化およびサイトカイン(例えば、IL2およびIFN−γ)産生を阻害する。不稔HIV感染を有する静止CD4+T細胞においてサイトカイン産生を生じさせるそのような抗原誘導性活性化は、これらの静止CD4+T細胞および近くの正常な休止CD4陽性細胞のピロトーシスを引き起こし、その結果、CD4+T細胞の大量の枯渇が生じ、このようにしてAIDSが生じる。

0054

本開示の抗体は、休止CD4陽性T細胞を再活性化する能力も有する。この特性は、休止T細胞におけるHIVの潜伏リザーバーを再活性化させて、これらの細胞を抗レトロウイルス剤によって処置しやすくするのに特に有用である。そのようなCD4に対する高親和性抗体は、HIVの放出のために休止HIV感染細胞を活性化することができる。HIV感染した休止CD4+T細胞の再活性化により、HIV感染した患者において本発明の抗体をHAARTと共に組み込んだ併用処置が可能になり、機能的治癒が生じる。

0055

本開示の抗体のさらなる構造および機能特性は、以下の実施例に提供されている。

0056

製剤
本開示は、HIV感染の予防、処置および/または機能的治癒のために使用することができる医薬製剤にも関する。ある態様において、本製剤はCD4に対する抗体を含む。具体的な態様において、本開示は、CD4ドメイン1のCDR2領域内またはその近傍の部位に向けられるCD4に対する高親和性モノクローナル抗体を有する医薬組成物に関する。そのような抗体の結合活性(EC50)は、HIVgp120エンベロープタンパク質によって示されるCD4結合親和性(gp120のEC50=97nM)よりも約2log高い(即ち100倍より密な結合)。

0057

本開示の抗体タンパク質の医薬製剤は、抗体タンパク質を薬学上許容可能な担体と任意に混合することにより、調製することができる。薬学上許容可能な担体として、溶媒分散媒等張剤などが挙げられる。該担体は、液体半固体、例えばペースト、または固体の担体であってもよい。担体の例として、水、生理食塩水または他の緩衝液リン酸クエン酸緩衝液など)、油、アルコール、タンパク質(血清アルブミンゼラチンなど)、炭水化物グルコーススクローストレハロースマンノースマンニトールソルビトールまたはデキストリンなどの単糖類二糖類および他の炭水化物など)、ゲル、脂質、リポソーム樹脂多孔性マトリックス結合剤充填剤被覆剤安定化剤防腐剤アスコルビン酸およびメチオニンなどの抗酸化剤EDTAなどのキレート剤ナトリウムなどの塩を形成する対イオン;TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤、またはそれらの組み合わせが挙げられる。

0058

製剤は、2種類以上の活性化合物を含むことができる。例えば、製剤は、HIV感染を予防または処置するための1種以上の抗体および/または1種以上のさらなる有利な化合物を含むことができる。該有効成分を任意の好都合かつ実用的な方法、例えば、混合、溶解、懸濁、乳化カプセル化、吸収などにより担体と組み合わせることができ、注射、経口摂取、注入などに適した錠剤カプセル粉末凍結乾燥した粉末を含む)、シロップ、懸濁液などの製剤に調製することができる。徐放性調製物も調製することができる。

0059

ある態様において、医薬製剤は、ヒトへの使用のためにmAb dB4C7を含む。mAb dB4C7を含む医薬製剤は、限定されるものではないが、pH6.0〜7.0のクエン酸、リン酸、Tris、BIS−Trisなどの適当な緩衝液で調製することができ、糖類(50mM〜500mMスクロース、トレハロース、マンニトールまたはそれらの混合物)、界面活性剤(例えば、0.025%〜0.5% Tween20またはTween80)および/または他の試薬などの賦形剤も含むことができる。具体的な態様において、製剤は、20mMグリシン中にmAb dB4C7と、pH6.5のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に0.05%(v/v)Tween(ポリソルベート20)とを含む。別の具体的な態様において、皮下注射などの特定の用途で使用するために、10mMヒスチジンを含むmAb dB4の高濃度製剤も調製した。

0060

製剤は、各種量の抗体を含むように調製することができる。一般に、対象への投与のための製剤は、約0.1mg/mL〜約200mg/mLの抗体を含む。ある態様において、製剤は、約0.5mg/mL〜約50mg/mL;約1.0mg/mL〜約50mg/mL;約1mg/mL〜約25mg/mL;または約10mg/mL〜約25mg/mLの抗体を含むことができる。具体的な態様において、製剤は、約1.0mg/mL、約5.0mg/mL、約10.0mg/mL、または約25.0mg/mLの抗体を含む。

0061

具体的な態様において、本発明は、HIV感染を有する患者における免疫療法として、競合的HIV侵入阻害及びCD4+T細胞の活性化を示す、上記結合特性を有するCD4のドメイン1のCDR2領域を標的とするモノクローナルヒト、ヒト化またはキメラ抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0062

別の態様において、本発明は、処置される対象において、10μg/mLよりも高い血清抗体レベルでウイルス量を検出不能なレベルまで減少させることができる単剤療法剤として機能する、上記結合特性を有するモノクローナルヒト、ヒト化またはキメラ抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0063

別の態様において、本発明は、処置される対象において10μg/mLよりも高い血清抗体レベルでウイルス量を検出不能なレベルまで減少させ、かつ12週間の処置期間中に安定なCD4 T細胞数を維持することができる単剤療法剤として機能する、上記結合特性を有するモノクローナルヒト、ヒト化またはキメラ抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0064

ある態様において、本発明は、単剤療法として1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約10mg/kg以上の用量で投与したとき、そのような処置により12週間の処置期間中に処置される対象において、ウイルス量を検出不能なレベルまで減少させることができる、上記結合特性を有するモノクローナルヒト、ヒト化またはキメラ抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0065

さらに別の好ましい態様において、本発明は、処置未経験HIV患者に1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約10mg/kg以上で投与したとき、患者の機能的治癒を生じさせる、HAARTへの補助療法における重要な成分として上記結合特性を有するモノクローナルヒト化抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0066

さらに別の好ましい態様において、本発明は、HAART下で安定したウイルス量を有する患者に1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約10mg/kg以上で投与したとき、患者の機能的治癒を生じさせる、HAARTへの補助療法における重要な成分として上記結合特性を有するモノクローナルヒト化抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0067

抗ウイルス剤
本開示は、HIV感染の処置、予防および機能的治癒のための方法で用いることができる抗ウイルス剤も含む。

0068

抗ウイルス剤として、哺乳類におけるHIVの形成および/または複製を阻害するのに有効なあらゆる薬剤(化合物または生物製剤)が挙げられる。抗ウイルス剤の例として、侵入/融合阻害剤(例えば、マラビロク(maraviroc)、エンビルチド(enfuvirtide));ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)およびヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NtRTI)(例えば、ジドブジン(zidovudine)、アバカビル(abacavir)、ラミブジン(lamivudine)、エムトリシタビン(emtricitabine)およびテノホビル(tenofovir));非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)(例えば、ネビラピン(nevirapine)、エファビレンツ(efavirenz)、エトラビリン(etravirine)、およびリルピビリン(rilpivirine));インテグラーゼ核鎖転移阻害剤(nuclear strand transfer inhibitor)またはINSTIとしても知られているインテグラーゼ阻害剤(例えば、ラルテグラビル(raltegravir)、ドルテグラビル(dolutegravir));プロテアーゼ阻害剤(例えば、サキナビル(saquinavir)、メシル酸サキナビル(saquinavir mesylate)、ホスアンプレナビル(fosamprenavir)、チプラナビル(tipranavir)、ロピナビル(lopinavir)、インジナビル(indinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、アンプレナビル(amprenavir)、リトナビル(ritonavir)、ダルナビル(darunavir)、アタザナビル(atazanavir)、ベビリマット(bevirimat)、ビベコン(vivecon));ウイルス成熟阻害剤;HIV遺伝子の発現を標的とする薬剤;HIV複製に関与する重要な宿主細胞遺伝子および遺伝子産物を標的とする薬剤;及び他の抗HIV剤iRNA剤アンチセンスRNA、iRNA発現ベクター剤(vectors expressing iRNA agent)またはアンチセンスRNA;PNAおよび抗ウイルス抗体;及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。

0069

抗ウイルス剤は、個々に使用することも併用することもできる。抗ウイルス剤の併用は、抗レトロウイルス療法(ART)、併用抗レトロウイルス療法(cART)または高活性抗レトロウイルス療法(HAART)として知られている。抗レトロウイルス(ARV)剤は、その薬剤が阻害するレトロウイルス生活環の段階によって大きく分類される。典型的な組み合わせは、「ベース」としての1種類のNNRTI、PIまたはINSTIと共に「バックボーン」として2種類のNRTIを含む。ある態様において、コンビビル(Combivir)、トリジビル(Trizivir)、カレトラ(Kaletra)、エプジコム(Epzicom)、ツルバダ(Truvada)、アロリプラ(Atripla)、コムプレラ(Complera)、スタリビルド(Stribild)、トリーメク(Triumeq)などの抗ウイルス剤の組み合わせが用いられる。

0070

処置、予防および機能的治癒方法
本開示は、HIV感染の処置、予防および機能的治癒のための方法にも関する。ある態様において、製剤はCD4に対する抗体を含む。

0071

さらなる面において、対象におけるHIV感染の処置、予防、および/または機能的治癒ならびにHIV感染の予防のために、薬学上許容可能な担体と混合して任意に提供される本明細書に開示されている抗体を用いることができる。

0072

HIV感染の「処置」という用語は、その発症を遅らせるか、その進行を減速させるか、ウイルス量を減少させるか、および/またはHIV感染によって引き起こされる症状を改善させるためのHIV感染の有効な阻害を指す。処置は、HIVへの曝露前および曝露後の両方を含む。

0073

HIV感染の「予防」という用語は、HIV感染の発症を遅らせること、および/またはHIV感染の発生率または可能性を減少または皆無にすることを意味する。HIV伝播の「予防」という用語は、HIVがある個体から別の個体に(例えば、妊娠、陣痛または出産または授乳中にHIV陽性の女性からその子供に)伝播する発生率または可能性を減少または皆無にすることを意味する。

0074

「対象」という用語は、ヒト、アカゲザル、ヒヒおよびチンパンジー対象などのあらゆる霊長類対象を指す。

0075

HIV感染を処置および/または予防するために、治療量の本明細書に開示されている抗体をそれを必要としている対象に投与する。

0076

治療上有効量」という用語は、HIV感染を処置および/または予防するためにHIV感染の阻害をもたらすのに必要な投与量を意味する。抗体の投与量は、疾患状態、対象の体重および状態などの他の臨床的因子、対象の療法への応答、製剤の種類および投与経路によって決まる。治療上有効かつ有害でない正確な投与量は、当業者によって決定することができる。

0077

一般に、成人のヒトへの投与のための抗体の好適な用量は、対象の体重の約3〜50mg/kgの範囲であり、使用される典型的な初回範囲は、対象の体重の約5〜25mg/kgの範囲である。好適な投与量として、患者の体重の約5.0mg/kg、約10.0mg/kg、または約25.0mg/kgも挙げられる。

0078

本発明のヒトモノクローナル抗体を含む治療用組成物は、例えば単位用量の注射により、従来通りに静脈内投与される。本発明の治療用組成物の単位用量とは一般に、各単位が所要希釈液、即ち担体または溶媒と共に所望の処置効果を生じさせるように計算された所定量の活性物質を含有する対象に適した単位投与量として物理的に分離した単位をさらに指す。

0079

組成物は、該投与剤形(dosage formulation)に適合可能な方法、および治療上有効量で投与される。投与される量は、処置される対象、有効成分を利用する対象の系の容量、および所望の治療効果の程度によって決まる。投与するのに必要な有効成分の正確な量は、実務者の判断によって決まり、各個体に特有である。但し、全身投与に適した投与量範囲は、本明細書に開示されており、投与経路によって決まる。投与に適したレジメンも可変的であるが、初回投与、次いでその後の注射または他の投与による1時間以上の間隔での反復投与が典型的である。または、血中濃度をインビボ療法のために指定された範囲に維持するのに十分な連続的な静脈内注入が想定される。

0080

対象におけるHIV感染の処置、予防、および/または機能的治癒のための方法は、抗体を含む製剤を有効量で対象に投与する工程を含む。ある態様において、製剤は、単回投与で対象に与えられる。他の態様において、製剤は、複数回投与で対象に与えられる。製剤が複数回投与で対象に与えられる場合、本製剤を1日1回、1週間に1回、2週間に1回(隔週)または1ヶ月に1回投与することができる。具体的な態様において、処置スケジュールが1週間に1回である場合、製剤は、対象の体重の約5.0mg/kgの投与量で対象に投与される。別の態様において、処置スケジュールが2週間に1回である場合、製剤は、対象の体重の約25.0mg/kgの投与量で対象に投与される。

0081

ある態様において、モノクローナル抗体を含む製剤は、高い安全性因子を示し、計8週間にわたって5mg/kgまたは25mg/kgを1週間に1回の頻度で対象に繰り返し投与したとき、十分に忍容性があった。具体的な態様において、HIV感染後数時間以内にモノクローナル抗体を5mg/kgで対象に投与してHIV感染の完全治癒を得ることができる。他の態様において、HIV感染後数日以内にモノクローナル抗体を5mg/kgで対象に投与してHIV感染の機能的治癒を得ることができる。

0082

ある態様において、本発明は、ウイルス量を減少させるための免疫療法としてIVまたはSC経路によりHIV患者に投与することができる、上記結合特性を有するモノクローナルヒト、ヒト化またはキメラ抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。具体的な態様において、本発明は、HIV感染を有する患者における免疫療法として競合的HIV侵入阻害ならびにCD4+T細胞の活性化を示す、上記結合特性を有するCD4のドメイン1のCDR2領域を標的とするモノクローナルヒト、ヒト化またはキメラ抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0083

他のある態様において、本発明は、1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約10mg/kg以上の用量でウイルス量を減少させるための免疫療法としてIVまたはSC経路によりHIV患者に投与することができる、上記結合特性を有するモノクローナルヒト、ヒト化またはキメラ抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0084

別の態様において、本発明は、処置される対象において10μg/mLよりも高い血清抗体レベルでウイルス量を検出不能なレベルまで減少させることができる単剤療法剤として機能する、上記結合特性を有するモノクローナルヒト、ヒト化またはキメラ抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0085

別の態様において、本発明は、処置される対象において10μg/mLよりも高い血清抗体レベルでウイルス量を検出不能なレベルまで減少させ、かつ12週間の処置期間中に安定なCD4 T細胞数を維持することができる単剤療法剤として機能する、上記結合特性を有するモノクローナルヒト、ヒト化またはキメラ抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0086

別の態様において、本発明は、単剤療法として1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約10mg/kg以上の用量で投与したとき、そのような処置により12週間の処置期間中に処置される対象においてウイルス量を検出不能なレベルまで減少させることができる、上記結合特性を有するモノクローナルヒト、ヒト化またはキメラ抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0087

別の態様において、本発明は、単剤療法として1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約10mg/kg以上の用量で投与したとき、血清抗体レベルが10μg/mLよりも高い限りそのような処置によりウイルス量のリバウンドなしに処置される対象においてウイルス量を検出不能なレベルまで減少させることができる、上記結合特性を有するモノクローナルヒト、ヒト化またはキメラ抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0088

別の態様において、本発明は、処置未経験HIV患者に1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約10mg/kg以上で投与したとき、患者の機能的治癒を生じさせる、HAARTへの補助療法における重要な成分として上記結合特性を有するモノクローナルヒト化抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0089

別の態様において、本発明は、HAART下で安定したウイルス量を有する患者に1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約10mg/kg以上で投与したとき、患者の機能的治癒を生じさせる、HAARTへの補助療法における重要な成分として上記結合特性を有するモノクローナルヒト化抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0090

別の態様において、本発明は、HAART処置に失敗した患者にHAARTへの補助療法において1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約10mg/kg以上の用量でIVまたはSC経路のいずれかにより投与することができ、それによりさらなるウイルスの減少を生じさせる、上記結合特性を有するモノクローナルヒト化抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0091

別の態様において、本発明は、HAART下で安定した検出不能なウイルス量を経験している患者のために1〜4またはそれ以上のサイクルにわたって各処置サイクルを2〜4ヶ月間の抗CD4抗体処置で開始し、休薬期間(treatment holiday)を設け、次いでHAART処置を行い、それにより機能的治癒を生じさせる、HAART代替療法における重要な成分としてIVまたはSC経路のいずれかにより投与することができる上記結合特性を有するモノクローナルヒト化抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0092

別の態様において、本発明は、処置未経験HIV患者のために1〜4またはそれ以上のサイクルにわたって各処置サイクルを2〜4ヶ月間の抗CD4抗体処置で開始し、次いで2〜4ヶ月間のHAART処置を行い、それにより機能的治癒を生じさせる、HAART代替療法における重要な成分としてIVまたはSC経路のいずれかにより投与することができる上記結合特性を有するモノクローナルヒト化抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0093

別の態様において、本発明は、HAART下で安定した検出不能なウイルス量を経験している患者のために1〜4またはそれ以上のサイクルにわたって各処置サイクルを1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約5mg/kg以上の用量の2〜4ヶ月間の抗CD4抗体処置で開始し、休薬期間を設け、次いでHAART処置を行い、それにより機能的治癒を生じさせる、HAART代替療法における重要な成分としてIVまたはSC経路のいずれかにより投与することができる上記結合特性を有するモノクローナルヒト化抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0094

別の態様において、本発明は、処置未経験HIV患者のために1〜4またはそれ以上のサイクルにわたって各処置サイクルを1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約5mg/kg以上の用量の2〜4ヶ月間の抗CD4抗体処置で開始し、次いで2〜4ヶ月間のHAART処置を行い、それにより機能的治癒を生じさせる、HAART代替療法における重要な成分としてIVまたはSC経路のいずれかにより投与することができる上記結合特性を有するモノクローナルヒト化抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0095

別の態様において、本発明は、処置未経験HIV患者に1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約10mg/kg以上で投与したとき、患者の機能的治癒を生じさせる、HAARTへの補助療法における重要な成分として上記結合特性を有するモノクローナルヒト化抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0096

別の態様において、本発明は、HAART下で安定したウイルス量を有する患者に1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約10mg/kg以上で投与したとき、患者の機能的治癒を生じさせる、HAARTへの補助療法における重要な成分として上記結合特性を有するモノクローナルヒト化抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0097

別の態様において、本発明は、HAART処置に失敗した患者にHAARTへの補助療法において1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約10mg/kg以上の用量でIVまたはSC経路のいずれかにより投与することができ、それによりさらなるウイルスの減少を生じさせる、上記結合特性を有するモノクローナルヒト化抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0098

別の態様において、本発明は、処置未経験HIV患者に集中的HAART処置モードにおける補助療法として、1〜4またはそれ以上のサイクルにわたってサイクルごとに2〜4ヶ月間の処置期間で開始し、かつ1〜2ヶ月間の休薬期間を設ける断続モードで、HAARTへの補助療法における重要な成分としてIVまたはSC経路のいずれかにより投与することができ、それにより患者の機能的治癒を生じさせる、上記結合特性を有するモノクローナルヒト化抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0099

別の態様において、本発明は、処置未経験HIV患者に集中的HAART処置モードにおける補助療法として、1〜4またはそれ以上のサイクルにわたってサイクルごとに1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約5mg/kg以上の用量の2〜4ヶ月間の処置期間で開始し、かつ1〜2ヶ月間の休薬期間を設ける断続モードで、HAARTへの補助療法における重要な成分としてIVまたはSC経路のいずれかにより投与することができ、それにより患者の機能的治癒を生じさせる、上記結合特性を有するモノクローナルヒト化抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0100

別の態様において、本発明は、HAART下で安定した検出不能なウイルス量を経験している患者に集中的HAART処置モードにおける補助療法として、1〜4またはそれ以上のサイクルにわたってサイクルごとに1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約5mg/kg以上の用量の2〜4ヶ月間の処置期間で開始し、かつ1〜2ヶ月間の休薬期間を設ける断続モードで、HAARTへの補助療法における重要な成分としてIVまたはSC経路のいずれかにより投与することができ、それにより患者の機能的治癒を生じさせる、上記結合特性を有するモノクローナルヒト化抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0101

別の態様において、本発明は、ウイルス量を減少させるための免疫療法としてIVまたはSC経路によりHIV患者に投与することができる、上記結合特性を有するモノクローナルヒト、ヒト化またはキメラ抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0102

別の態様において、本発明は、ウイルス量を減少させるための免疫療法として1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約5mg/kg以上の用量でIVまたはSC経路によりHIV患者に投与することができる、上記結合特性を有するモノクローナルヒト、ヒト化またはキメラ抗CD4抗体を有する医薬組成物に関する。

0103

具体的な態様
本開示は以下の具体的な態様を包含する。

0104

(1)HIV感染に曝露された対象の処置方法であって、a)配列番号1のマウス抗体B4の重鎖のCDR1、配列番号2のマウス抗体B4の重鎖のCDR2、配列番号3のマウス抗体B4の重鎖のCDR3、配列番号4のマウス抗体B4の軽鎖のCDR1、配列番号5のマウス抗体B4の軽鎖のCDR2、および配列番号6のマウス抗体B4の軽鎖のCDR3を有する、CD4に対するモノクローナル抗体を薬理学上有効量で投与する工程;b)工程(a)後に、対象の血液1ミリリットル当たりのHIVRNAレベルを評価する工程;を有する、上記方法。

0105

(2)前記抗体の重鎖配列が配列番号7を有する、(1)の方法。
(3)前記抗体の重鎖配列が配列番号9を有する、(1)の方法。
(4)前記抗体の軽鎖配列が配列番号8を有する、(1)の方法。
(5)前記抗体の重鎖配列が配列番号7を有し、かつ前記抗体の軽鎖配列が配列番号8を有する、(1)の方法。
(6)前記抗体の重鎖配列が配列番号9を有し、かつ前記抗体の軽鎖配列が配列番号8を有する、(1)の方法。

0106

(7)HIV感染への曝露後24時間以内に投与工程(a)を行う、(1)の方法。
(8)HIV感染への曝露後48日以内に投与工程(a)を行う、(1)の方法。
(9)12週間の期間中に1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約10μg/ml以上の血清レベルで前記モノクローナル抗体を薬理学上有効量で投与する、(1)の方法。
(10)1ミリリットル当たりのHIVRNAレベル値が1コピー/ml未満をウイルスの根絶とみなす、(1)の方法。
(11)1ミリリットル当たりのHIV RNAレベル値が1〜50コピー/ml未満をウイルスの機能的治癒とみなす、(1)の方法。

0107

(12)HIVを有する患者の処置方法であって、a)配列番号1のマウス抗体B4の重鎖のCDR1、配列番号2のマウス抗体B4の重鎖のCDR2、配列番号3のマウス抗体B4の重鎖のCDR3、配列番号4のマウス抗体B4の軽鎖のCDR1、配列番号5のマウス抗体B4の軽鎖のCDR2、および配列番号6のマウス抗体B4の軽鎖のCDR3:を有する、CD4に対するモノクローナル抗体を有する組成物を薬理学上有効量;及び高活性抗レトロウイルス療法(HAART)剤を投与する工程;及びb) 工程(a)後に、対象の血液1ミリリットル当たりのHIV RNAレベルを評価する工程;を有する上記方法。

0108

(13)前記抗体の重鎖配列が配列番号7を有する、(12)の方法。
(14)前記抗体の重鎖配列が配列番号9を有する、(12)の方法。
(15)前記抗体の軽鎖配列が配列番号8を有する、(12)の方法。
(16)前記抗体の重鎖配列が配列番号7を有し、かつ前記抗体の軽鎖配列が配列番号8を有する、(12)の方法。
(17)前記抗体の重鎖配列が配列番号9を有し、かつ前記抗体の軽鎖配列が配列番号8を有する、(12)の方法。

0109

(18)1週間に1回または2週間に1回の頻度により10mg/kg以上の用量で薬理学上有効量の前記抗体を投与する、(12)の方法。
(19)HAART処置モードにおける補助療法として断続モードで前記抗体を投与する、(12)の方法。
(20)1サイクル当たりHAART処置モードにおける補助療法としての約2〜4ヶ月の期間、次いでHAART処置モードにおける1〜2ヶ月間の休抗体薬期間で前記抗体を投与する、(19)の方法。
(21)1〜4サイクルにわたって中間モードを継続する、(20)の方法。

0110

(22)HIVを有する患者の処置方法であって、a)患者におけるHIVウイルス発現および潜在的に感染した細胞のアポトーシスを活性化させることによりHIV感染患者における潜伏HIVリザーバーを減少させる工程;及びb)薬理学上有効量のHAART剤を患者に投与する工程;を有する、上記方法。

0111

(23)患者におけるHIVウイルス発現および潜在的に感染した細胞のアポトーシスの前記活性化を、配列番号1のマウス抗体B4の重鎖のCDR1、配列番号2のマウス抗体B4の重鎖のCDR2、配列番号3のマウス抗体B4の重鎖のCDR3、配列番号4のマウス抗体B4の軽鎖のCDR1、配列番号5のマウス抗体B4の軽鎖のCDR2、および配列番号6のマウス抗体B4の軽鎖のCDR3:を有する、CD4に対するモノクローナル抗体を薬理学上有効量で患者に投与することにより行う、(22)の方法。

0112

(24)患者におけるHIVウイルス発現および潜在的に感染した細胞のアポトーシスの前記活性化を、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤を患者に投与することにより行う、(22)の方法。

0113

(25)HIV感染に曝露された対象の処置方法であって、a)CD4のCDR2様ドメイン領域に対して高い親和性を有するモノクローナル抗体を薬理学上有効量で投与する工程;及びb) 工程(a)後に、対象の血液1ミリリットル当たりのHIVRNAレベルを評価する工程;を有する、上記方法。

0114

(26)前記抗体の重鎖配列が配列番号7を有する、(25)の方法。
(27)前記抗体の重鎖配列が配列番号9を有する、(25)の方法。
(28)前記抗体の軽鎖配列が配列番号8を有する、(25)の方法。
(29)前記抗体の重鎖配列が配列番号7を有し、かつ前記抗体の軽鎖配列が配列番号8を有する、(25)の方法。
(30)前記抗体の重鎖配列が配列番号9を有し、かつ前記抗体の軽鎖配列が配列番号8を有する、(25)の方法。

0115

(31)HIV感染への曝露後24時間以内に投与工程(a)を行う、(25)の方法。
(32)HIV感染への曝露後48日以内に投与工程(a)を行う、(25)の方法。

0116

(33)12週間の期間中に1週間に1回または2週間に1回のスケジュールにおいて約10μg/ml以上の血清レベルで前記モノクローナル抗体を薬理学上有効量で投与する、(25)に記載の方法。
(34)1ミリリットル当たりのHIVRNAレベル値が1コピー/ml未満をウイルスの根絶とみなす、(25)の方法。
(35)1ミリリットル当たりのHIV RNAレベル値が1〜50コピー/ml未満をウイルスの機能的治癒とみなす、(25)の方法。

0117

追加の具体的な態様
(1)CD4のドメイン1に対する抗体を薬理学上有効量で対象に投与する工程;を有する、HIVに曝露された対象の処置方法。
(2)前記抗体がCD4のドメイン1のCDR2領域に特異的に結合する、(1)記載の方法。
(3)前記抗体がモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはそれらの組み合わせである、(2)に記載の方法。
(4)前記抗体がヒト化モノクローナル抗体である、(2)に記載の方法。

0118

(5)前記ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号1のCDR1、配列番号2のCDR2、および配列番号3のCDR3を有する重鎖アミノ酸配列;及び配列番号4のCDR1、配列番号5のCDR2、および配列番号6のCDR3を有する軽鎖アミノ酸配列;を有する、(4)に記載の方法。
(6)前記ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号11のアミノ酸配列を有する重鎖;及び配列番号13のアミノ酸配列を有する軽鎖;を有する、(4)に記載の方法。
(7)前記ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖;及び配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖;を有する、(4)に記載の方法。
(8)前記重鎖が配列番号7のアミノ酸配列を有する、(7)に記載の方法。

0119

(9)前記ヒト化抗体を、HIVへの曝露前に対象に投与する、(8)に記載の方法。
(10)前記ヒト化抗体を、HIVへの曝露後に対象に投与する、(8)に記載の方法。
(11)前記ヒト化抗体を、HIVへの曝露後48時間以内に投与する、(10)に記載の方法。
(12)前記ヒト化抗体を少なくとも約5mg/kg体重の投与量で対象に投与する、(8)に記載の方法。

0120

(13)前記ヒト化抗体を対象に複数回投与する、(12)に記載の方法。
(14)前記ヒト化抗体を1週間に1回または2週間に1回の間隔で対象に投与する、(13)に記載の方法。
(15)抗ウイルス剤を対象に投与する工程をさらに含む、(13)に記載の方法。
(16)前記抗ウイルス剤が高活性抗レトロウイルス療法(HAART)剤である、(15)に記載の方法。

0121

(17)前記HAART剤が、プロテアーゼ阻害剤または非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤と組み合わせたヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤を有する、(16)に記載の方法。
(18)前記ヒト化抗体をHAART剤と同時に投与する、(16)に記載の方法。
(19)前記ヒト化抗体およびHAART剤をあるサイクルに亘って対象に投与する、(16)に記載の方法であって、前記サイクルが(i)前記ヒト化抗体を4ヶ月の期間にわたって1週間に1回または2週間に1回の間隔で対象に投与し、その後の2ヶ月間を休薬期間とする工程;及び(ii)(i)における6ヶ月の期間にHAART剤を対象に連続的に投与する工程;を有する、上記方法。
(20)対象を2サイクルに亘って処置する、(18)に記載の方法。

0122

(21)処置レジメンを対象に投与する工程を有する、HIV感染を有する対象の処置方法であって、該処置レジメンが、(a)CD4のドメイン1に対する抗体を薬理学上有効量;及び(b)高活性抗レトロウイルス療法(HAART)剤を有する、上記方法。
(22)前記抗体がCD4のドメイン1のCDR2領域に特異的に結合する、(21)に記載の方法。
(23)前記抗体がモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはそれらの組み合わせである、(22)に記載の方法。
(24)前記抗体がヒト化モノクローナル抗体である、(22)に記載の方法。
(25)前記ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号1のCDR1、配列番号2のCDR2、および配列番号3のCDR3:を有する重鎖アミノ酸配列;及び配列番号4のCDR1、配列番号5のCDR2、および配列番号6のCDR3:を有する軽鎖アミノ酸配列;を有する、(24)に記載の方法。

0123

(26)前記ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号11のアミノ酸配列を有する重鎖;及び配列番号13のアミノ酸配列を有する軽鎖;を有する、(24)に記載の方法。
(27)前記ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖;及び配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖;を有する、(24)に記載の方法。
(28)前記ヒト化抗体を少なくとも約5mg/kg体重の投与量で対象に投与する、(27)に記載の方法。
(29)前記処置レジメンをあるサイクルに亘って対象に投与する、(21)に記載の方法であって、前記サイクルが、(i)前記ヒト化抗体を4ヶ月の期間にわたって1週間に1回または2週間に1回の間隔で対象に投与し、その後の2ヶ月間を休薬期間とする工程;及び(ii)(i)における6ヶ月の期間にHAART剤を対象に連続的に投与する工程;を有する、上記方法。
(30)対象を2サイクルで処置する、(18)に記載の方法。

0124

さらなる具体的な態様
(1)CD4のドメイン1に対する抗体を薬理学上有効量で有する、HIVに曝露された対象を処置するための組成物。
(2)前記抗体がCD4のドメイン1のCDR2領域に特異的に結合する、(1)に記載の組成物。
(3)前記抗体がモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、又はそれらの組み合わせである、(2)に記載の組成物。
(4)前記抗体がヒト化モノクローナル抗体である、(2)に記載の組成物。

0125

(5)前記ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号1のCDR1、配列番号2のCDR2、および配列番号3のCDR3:を有する重鎖アミノ酸配列;及び配列番号4のCDR1、配列番号5のCDR2、および配列番号6のCDR3:を有する軽鎖アミノ酸配列;を有する、(4)に記載の組成物。

0126

(6)前記ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号11のアミノ酸配列を有する重鎖;及び配列番号13のアミノ酸配列を有する軽鎖;を有する、(4)に記載の組成物。
(7)前記ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖;及び配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖;を有する、(4)に記載の組成物。
(8)前記重鎖が配列番号7のアミノ酸配列を有する、(7)に記載の組成物。
(9)前記ヒト化抗体を、HIVへの曝露前に対象に投与する、(8)に記載の組成物。
(10)前記ヒト化抗体を、HIVへの曝露後に対象に投与する、(8)に記載の組成物。
(11)前記ヒト化抗体を、HIVへの曝露後48時間以内に投与する、(10)に記載の組成物。

0127

(12)前記ヒト化抗体を少なくとも約5mg/kg体重の投与量で対象に投与する、(8)に記載の組成物。
(13)前記ヒト化抗体を対象に複数回投与する、(12)に記載の組成物。
(14)前記ヒト化抗体を1週間に1回または2週間に1回の間隔で対象に投与する、(13)に記載の組成物。
(15)抗ウイルス剤で対象を処置する(か又は抗ウイルス剤を対象に投与する)、(13)に記載の組成物。
(16)前記抗ウイルス剤が高活性抗レトロウイルス療法(HAART)剤である、(15)に記載の組成物。

0128

(17)HAART剤が、プロテアーゼ阻害剤または非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤と組み合わせたヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤を有する、(16)に記載の組成物。
(18)前記ヒト化抗体をHAART剤と同時に投与する、(16)に記載の組成物。
(19)前記ヒト化抗体およびHAART剤をあるサイクルに亘って対象に投与する、(16)に記載の組成物であって、前記サイクルが、(i)前記ヒト化抗体を4ヶ月の期間にわたって1週間に1回または2週間に1回の間隔で対象に投与し、その後の2ヶ月間を休薬期間とする工程;及び(ii)(i)における6ヶ月の期間にHAART剤を対象に連続的に投与する工程;を有する、上記組成物。
(20)対象を2サイクルに亘って処置する、(18)に記載の組成物。

0129

(21)(a)CD4のドメイン1に対する抗体を薬理学上有効量;及び(b)高活性抗レトロウイルス療法(HAART)剤;を有する、HIV感染を有する対象を処置するための組成物。
(22)前記抗体がCD4のドメイン1のCDR2領域に特異的に結合する、(21)に記載の組成物。

0130

(23)前記抗体がモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはそれらの組み合わせである、(22)に記載の組成物。
(24)前記抗体がヒト化モノクローナル抗体である、(22)に記載の組成物。
(25)前記ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号1のCDR1、配列番号2のCDR2、および配列番号3のCDR3:を有する重鎖アミノ酸配列;及び配列番号4のCDR1、配列番号5のCDR2、および配列番号6のCDR3:を有する軽鎖アミノ酸配列;を有する、(24)に記載の組成物。

0131

(26)前記ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号11のアミノ酸配列を有する重鎖;及び配列番号13のアミノ酸配列を有する軽鎖;を有する、(24)に記載の組成物。
(27)前記ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖;及び配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖;を有する、(24)に記載の組成物。
(28)前記ヒト化抗体を少なくとも約5mg/kg体重の投与量で対象に投与する、(27)に記載の組成物。

0132

(29)前記処置レジメンをあるサイクルに亘って対象に投与する、(21)に記載の組成物であって、前記サイクルが、(i)前記ヒト化抗体を4ヶ月の期間にわたって1週間に1回または2週間に1回の間隔で対象に投与し、その後の2ヶ月間を休薬期間とする工程;及び(ii)(i)における6ヶ月の期間にHAART剤を対象に連続的に投与する工程;を有する、上記組成物。
(30)対象を2サイクルで処置する、(18)に記載の組成物。

0133

特記しない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。「1つ(種)の(a)」「1つ(種)の(an)」および「その(前記)(the)」という単数の用語は、その文脈が明らかに別の意を示していない限り複数の指示対象を含む。同様に、「または」という用語は、その文脈が明らかに別の意を示していない限り「および」を含むものとする。故に、「AまたはBを有する」は、「AまたはB」あるいは「AおよびB」を含むことを意味する。さらに、ポリペプチドについて与えられる全てのアミノ酸のサイズおよび全ての分子量(molecular weight)または分子量の値(molecular mass value)はおおよそであり、説明のために提供されているものと理解すべきである。本明細書に記載されているものと同様または等価の方法および材料を本開示の方法の実施または試験で使用することができるが、好適な方法および材料について以下に説明する。本明細書で言及されている全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献の内容全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合、用語の説明を含む本明細書を優先する。さらに、材料、方法および実施例は単に例示であり、限定的なものではない。

0134

図および関連する実施例の以下の例示的な説明は、本明細書、特に実施例に頻繁に使用されている特定の用語の理解を容易にするために提供されている。これらの説明は便宜上提供されており、本発明を限定するものではない。

0135

実施例1
mAb B4の免疫学的および機能的特性
モノクローナル抗体B4(mAb B4)は、T細胞の表面(CD4)にあるHIV受容体複合体部位を認識するモノクローナル抗体である。mAb B4は、CD4のHIV共受容体との相互作用に影響を与えて妨害することができる。mAb B4は、初代HIV−1分離株を優先的に中和した。

0136

以下の情報は、2つの米国特許(Wangによる米国特許第5,912,176号および第6,090,388号)ならびにWangらによる1999年の雑誌論文(その開示内容全体が参照により組み込まれる)から引用されたデータを含むマウスmAb B4の発見および予備特性評価研究を要約したものである。

0137

1.HPB−ALL免疫により得られるマウスモノクローナル抗体
BALB/cマウスをインタクトな未感染CD4+ヒトHPB−ALL細胞(T細胞性急性リンパ芽球性白血病細胞株)で免疫化して、mAb B4を得た。
細胞表面にあるCD4に対する特異性を有し、かつHIV−1の初代分離株に対する広域な中和活性を有する、mAb B4によって代表される新規なクラスの抗CD4抗体を得た。

0138

2.mAb B4認識部位の特性評価
mAb B4は、組換え可溶性CD4(rsCD4)と比較して、細胞の表面にある膜結合型CD4を優先的に認識することが分かっている。

0139

HIVの曝露前に膜結合型CD4に結合しているmAb B4は、その後のgp120およびウイルス全体のCD4への結合を阻止することが分かっている。但し、該抗体への曝露前にgp120に結合した膜結合型CD4は、なおmAb B4に結合することができる。したがって、mAb B4はgp120の膜結合型CD4への結合に影響を与えることができるが、gp120はmAb B4のCD4への結合に影響を与えない。

0140

mAb B4の認識部位は、CD4ドメイン1を認識するmAb Leu3aおよびOKT4Aモノクローナル抗体などの他のよく研究されている抗CD4モノクローナル抗体(Chiba,Y. 1992;Jameson, B.D.ら、1988)およびCD4ドメイン2を認識するmAb 5A8モノクローナル抗体(Burklyら、1992)のものとは異なる。

0141

3.mAb B4のインビトロ中和活性
マウスmAb B4は、一般的な定義では中和抗体ではない。その代わり、mAb B4は、ウイルスに結合するのではなく、むしろ宿主細胞受容体を被覆することによりウイルス侵入を阻害する。mAb B4のHIV感染に対する効果は、当該分野で知られているウイルス中和アッセイ(例えば、MT−2マイクロプラーク中和アッセイ(MT−2 Microplaque Neutralization Assay)(Sawyerら、1994))により容易に観察することができる。マウスmAb B4の中和活性は、本発明者らの共同研究者であるCarl Hanson博士カリフォルニア保健サービス省(California Department of Health Services))によって評価され、John Mascola博士(ヘンリージャソン財団(Henry Jackson Foundation)、WRAIR)、David Montefiori博士(デューク大学)およびMalcolm Martin博士(アメリカ国立アレルギー感染症研究所(NIAID))の研究所でも独立して評価された。1995年から2010年に広範囲に特性評価された以下のHIV中和特徴はmAb B4に関連している。

0142

1.PBMCで増殖させた初代分離株は、T細胞株適応(T cell line-adapted)分離株HIV−1IIIBおよびHIV−1MNよりもmAb B4による中和に対して感度が高かった。
2.mAb B4は、CCR5/CXCR4(二重指向性)およびCCR5共受容体利用の初代分離株による感染を中和する。
3.mAb B4は、CXCR4共受容体利用のT細胞株適応HIV−1分離株に対して低い活性を有する。

0143

4.mAb B4は、HIV−1サブタイプA〜Gを表す様々な合胞体誘導性(SI:Syncytial Inducing)および非合胞体誘導性(NSI:Non-Syncytial Inducing)初代分離株を90%終点および3logの感染力まで中和する。
5.mAb B4は、二重指向性(dual co-receptor)HIV−1エンベロープを有するHIV−2、SIVおよびSHIVを中和する。

0144

6.扁桃組織培養(histoculture)システムでは、mAb B4は、HIV−1初代分離株VL135(HIV−1VL135)の感染力を2log減少させる。12.5μg/mL程の少ないmAb B4が、活性なヒト補体の存在下で(これは多くの抗ウイルス抗体が抗体依存性感染増強(antibody-dependent enhancement)を示す条件である)、100TID50(50%扁桃組織感染用量(tonsil infectious dose))超の単細胞向性(monocytotropic)分離株JR−CSFを完全に中和する。

0145

7.mAb B4は、感染後48時間までn添加した場合、HIV−1VL135に対し中和活性を発揮し、その後、72時間までに添加した場合、著しい抗ウイルス効果を示した。
a.これは、細胞またはウイルスと共にプレインキュベートしたか否かに関わらず等しく有効である。
b.これは、侵入後機序(post-entry mechanism)ではなく感染病巣が新しい細胞に広がるのを阻止することにより作用する。
c.これらのアッセイでは、mAb B4は細胞傷害に寄与しなかった。

0146

実施例2
HIV−1中和および耐性アッセイ
1998年から2011年の間、Carl Hanson博士の研究所及びMonogram Biosciences社において、各種分岐群の複数のHIV分離株について以下のウイルス中和および耐性アッセイを行った。これらのアッセイの詳細な説明について以下に記載する。

0147

1.HIV−1中和アッセイ
当該研究のそれぞれに示されているように血液または抗体試料採取した。MT−2マイクロプラークアッセイまたはマイトジェン(PHA)刺激PBMCアッセイのいずれかを用いて、血清または抗体試料をHIV−1分離株の複数分岐群(multi-clade)パネル上で評価した。

0148

1.1.MT−2マイクロプラークアッセイ
MT−2マイクロプラークアッセイはHIVの合胞体誘導性(syncytium-inducing)分離株に限定した。このアッセイを96ウェルプレート内で行い、ここではマイクロプラーク上の合胞体の蛍光染色により、1ウェル当たり最大25個の小さいプラークを数えることができた。このアッセイでは、感染したMT−2細胞は、遠心分離中にゲル化する溶解したアガロースを介した遠心分離により単層を形成した。このアッセイは高感度であり、広いダイナミックレンジを有することが分かった。このアッセイは多数の標本を処理する際に比類なく効率的であることも分かった。多数の反復ウェル(replicate well)によって可能となるコンピュータ化統計分析を用いることにより、他の形式を用いたとき、達成が難しかった程度の品質管理および標準化が提供されることが分かった。

0149

1.2.PBMCアッセイ
PBMCアッセイは、96ウェルマイクロタイタープレートにおける感染細胞の増殖後の抗原捕捉ELISAによりPBMCにおけるp24抗原の発現を定量化する、標準的な抗原減少(antigen-reduction)アッセイである。このアッセイの利点は、全てのHIV株および分離株へのその適用性にある。

0150

1.3.ウイルス株
エクスビボおよびインビボ中和研究のためのHIV−1株は、表3、表5および表6ならびに図1a、図1b、図3図22および図23に列挙されている。サブタイプA〜GおよびHの初代HIV−1ウイルスは、(a)カリフォルニア保健サービス省のサンフランシスコ男性健康研究(San Francisco Men’s Health Study)のウイルスおよびリケッチア症研究室VRDL:Viral and Rickettsial Disease Laboratory)に参加した同性愛者の男性から単離されたもの、(b)HIVの分離および特性評価のための世界保健機関ネットワーク(World Health Organization Network for HIV Isolation and Characterization)から取得したもの、(c)米HIV研究プログラム(U.S. Military HIV Research Program)によって提供されたもの、および(d)アメリカ国立アレルギー・感染症研究所のAIDS研究および標準試薬プログラム(AIDS Research and Reference Reagent Program)から贈呈されたものである。DH−12(チンパンジー末梢血単核細胞(PBMC)において継代された患者分離株)も、アメリカ国立アレルギー・感染症研究所のAIDS研究および標準試薬プログラムによって提供された。

0151

1.4.B4またはdB4中和活性
B4またはdB4中和活性は、抗体を含有しない対照と比較したとき、ウイルスにおける指示された減少率(50〜95%)が得られる抗体濃度として定めた。50%および90%終点の抗体濃度を抗体希釈間の補間により導出した。

0152

2.PhenoSenseHIV侵入アッセイ
薬剤耐性の測定のためのPhenoSense HIV侵入アッセイを、Monogram Biosciences社(カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)で行った。
ベクタープールから産生された組換えウイルスを使用して、各種濃度の薬剤または抗体(例えば、B4またはdB4)の存在下で細胞を感染させた。試験ベクターのウイルス複製を50%(IC50)又は90%(IC90)阻害するのに必要な薬剤の量を測定した。
2.1.PhenoSense HIVアッセイで使用される組換えウイルスの産生
PhenoSense HIVアッセイで使用される組換えウイルスを、HIV感染の横断的研究でスクリーニングしてHIV血清陽性と判定された患者から採取した試料から産生した。偶発的なHIV感染を有する個体では、HIVウイルス量およびCD4細胞数を含む臨床検査評価のために臨床および血漿試料を採取した。最初に血清陰性であったが約1年の経過観察後に血清陽性となった個体では、ウェスタンブロット確認を含む2種類の酵素免疫測定法によりHIV感染を確認した。

0153

表3に示すように、抗体陽転時にサブタイプA、BF、C、D、E、EA、F、GまたはJ(複数のハイブリダイゼーションアッセイを用いる以前のHIVサブタイプ化に基づく)を有していた参加者の試料を組換えウイルスの構築のために採取した。HIVのenvおよびpol領域を試験試料から増幅し、増幅したDNAを試験ベクターにクローン化した。GeneSeq HIVでは、ベクタープールを配列決定してHIV遺伝子型を決定した。PhenoSense HIVアッセイでは、ベクタープールから産生した組換えウイルスを使用して各種濃度の薬剤の存在下で細胞を感染させた。

0154

実施例3
Monogram Biosciences社のPhenoSenseアッセイによる全ての分岐群のHIV分離株に対するmAb B4の中和活性
mAb B4がB分岐群の全てのHIVウイルスを中和することが十分に立証されている。1つの研究において、分岐群A(n=8)、BF(n=1)、C(n=18)、D(n+18)、E(n=4)、EA(n=10)、F(n=8)、G(n+4)、J(N=2)由来の計73種類の代表的なB分岐群以外のHIV分離株+3種類の対照ウイルス92HT594、JRCSF、JRFLを組換えウイルスに調製し、mAb B4に対するそれらの感度についてPhenoSense HIVアッセイで試験した(表3)。全ての組換えウイルスはmAb B4に対して非常に感度が高く、平均IC50=0.018μg/mLおよびIC90=0.062μg/mLという前例がない程に低いIC50およびIC90濃度を有することが分かった。これらのHIV分離株の多くが多剤耐性患者に由来しており、mAb B4またはそのヒト対応物が既にHIV薬剤耐性である患者を処置するのに非常に効率的であるという明らかな兆候を発見したことは注目すべきことであった。

0155

実施例4
モノクローナル抗体B4は競合的HIV侵入阻害を媒介する:処置時のHIV耐性突然変異の防止を予測する予期せぬ特徴
競合的阻害研究により、CD4上の同じ受容体結合部位に対してHIVエンベロープタンパク質と競合し、それによりHIVの細胞への侵入を阻害する阻害剤(例えば、侵入阻害抗体)の能力および有効性を評価することができる。理論上の研究では、mAb B4は、CD4への結合のためにHIVエンベロープタンパク質(gp120)と競合する。図1aはこの研究の予測される結果を示しており、この図の各線は異なるウイルス分離株を表している。具体的には、この理論上の研究から期待される結果は、異なるウイルス分離株がmAb B4に対して異なる感度(IC50)を有するが、mAb B4が十分な濃度で存在する限り全てのウイルス分離株の侵入が100%阻害されることを実証している。

0156

比較として、非競合的阻害研究により、HIVエンベロープタンパク質のCD4に結合する能力を阻害または減少させ、それによりHIVの細胞への侵入を阻害する阻害剤(例えば、CD4の異なる部分に結合する共受容体拮抗薬または抗体)の能力および有効性を評価することができる。理論上の研究では、HIVエンベロープタンパク質(gp120)がCD4に結合するのを阻害する非競合的阻害剤(例えば、TMB−355)の能力を分析する。図1bは、この研究の予測される結果を示し、この図の各線は異なるウイルス分離株を表している。具体的には、この理論上の研究から期待される結果は、異なるウイルス分離株はTMB−355に対して異なる感度(IC50)を有し、TMB−355の存在量に関わらず、ウイルス分離株の少なくとも一部が細胞に侵入することを実証している。この理論上の研究によれば、IC50に関わらずHIV耐性は最大阻害率における「平坦域」として観察されることが期待される。

0157

TMB−355(かつてのTNX−355、イバリズマブともいう)は、アカゲザルおよびヒトCD4の細胞外ドメイン2に結合してHIVのCD4+細胞への結合後侵入(post-binding entry)を防止するように設計されたヒト化IgG4モノクローナル抗体である(例えば、Burkly, LCら、1992およびKurizkes, DRら、2004)。CD4上のTMB−355抗体結合部位はHIV−1エンベロープgp120の結合に必要な部位とは異なり、主要組織適合遺伝子複合体タンパク質との相互作用に必要な部位とは異なる。したがって、TMB−355は非競合的HIV侵入阻害を媒介する。

0158

TMB−355は、幾種かのHIV−1ウイルスに対して強力な中和活性を有することが分かっているが、その阻害活性はHIV株の広いパネルを評価した際に一貫していない。図2は、各棒線が1種類のウイルス分離株を表す118種類のEnv偽型HIVウイルスのパネルに対するTMB−355のMPIが100%〜15%(左のY軸)の範囲であり、それに伴いIC50が0.01μg/mLから10μg/mL(右のY軸)に増加することを示している(Song, R.ら、2013)。分析した全ての分岐群のうち、分岐群AおよびEのウイルスは、AおよびE分岐群以外のウイルスよりもTMB−355に対して著しく感度が高かった。さらに、ウイルス量の減少のためにTMB−355処置を受けている患者からのgp120のV5領域において同定された突然変異によりウイルス耐性突然変異株が発見された(Toma, J.ら、2011;Pace, C. S.ら、2013)。TMB−355(イバリズマブ)によって実証された非競合的阻害作用は、100%未満の阻害を有する分離株ではウイルス複製が生じるため、この抗体処置期間中に耐性HIV突然変異株が発生する可能性が高くなることを示唆している。

0159

対照的に、850種超のEnv偽型HIVウイルスのパネルから10年間にわたって収集されたデータは、mAb B4がHIV侵入阻害において予期せぬ広域性および効力を与えることを示している(図3)。このデータ収集から、mAb B4がほぼ100%のMPIを有すると共に、一方が0.01〜1μg/mLで他方が約10μg/mLの2種類の濃度の周りにIC50が集中していることが分かる。mAb B4のHIV侵入阻害プロファイルは、IC50に関わらずHIVウイルスのそれぞれのMPIが約100%であるという競合的阻害機序の典型的な特性を有する。mAb B4の著しく強力な競合的HIV侵入阻害特性を考慮すると、mAb B4による処置期間中にウイルス耐性突然変異株が発生する可能性は低い。mAb B4によって発揮されるそのような強い(tight)競合的阻害は、これまで試験した他のどのHIV阻害剤でも観察されたことはなかった。

0160

この実施例から得られたMPIおよびIC50データは、実施例3で考察した多剤耐性患者に由来するHIV分離株の多くがmAb B4に対して非常に感度が高かったということを示すデータと合わせて、mAb B4またはそのヒト対応物がHAART処置で失敗している薬剤耐性HIV患者を処置するのに非常に効率的であることを示唆していた。mAb B4によって媒介される中和モードは、mAb B4または同様のFv領域を有するそのヒト対応類似体による処置を受けているHIV患者において薬剤耐性ウイルス突然変異株の発生を防止するという独特なHIV剤を提供する。

0161

実施例5
モノクローナル抗体B4のヒト化
マウス抗体として、mAb B4は、ヒトにおいて免疫原性である。マウス抗体のヒト化は、脱免疫化法として現在知られているプロセスにより達成することができる(Jones, T. D.ら、2009)。mAb B4の脱免疫化については、以下に要約されているとおり、Lynn., S.およびWang, C. Y.による米国特許第7,501,494号に詳細に説明されている(その両開示内容全体が参照により組み込まれる)。

0162

最初に、Fv部分を保持したまま、マウス抗体B4の定常領域(CHおよびCκ)を完全に除去してヒトIgG1の定常領域(それぞれ配列番号12および14)で置換し、それによりキメラB4抗体を産生させる。次に、ヒトへの使用のために、潜在的に免疫原性のマウスのTおよびB細胞エピトープの位置を突き止めて除去することにより、マウスmAb B4のFv断片の脱免疫化を達成した。mAb B4の可変領域からそのようなエピトープの位置を突き止めた後に、T細胞エピトープの除去を達成した。3次元「ペプチドスレッディング(peptide threading)」法により、可変領域のアミノ酸配列をMHCクラスII結合モチーフの存在について分析した。抗体認識を妨げない表面残基の「ベニヤリング(veneering)」により、B細胞エピトープの可変領域からの除去を達成した。脱免疫化ヒト化型のmAb B4をmAb dB4と表す。

0163

Lynn., S.およびWang, C. Y.による米国特許第7,501,494号は、IgG1が、標的抗原の除去を生じさせる補体結合および抗体依存性細胞傷害ADCC)などのエフェクター機能にとって重要な二分岐複合型のN−結合型糖鎖をCH2内に含むと述べている。mAb B4はCD4受容体複合体に標的化されるため、補体結合に寄与するIgG1のエフェクター機能によりCD4+細胞の破壊およびCD4+細胞機能免疫抑制を引き起こすことができる。したがって、IgG1のFc領域におけるN−グリコシル化部位の除去により、IgG1がヒトFcR1に結合する能力、補体を活性化させる能力またはC1qに結合する能力を消失させて、それによりIgG1媒介性補体依存性細胞傷害(CdC)をなくす。1つのアミノ酸残基Asn(N)をHis(H)で置換する(即ちN298H)ことにより、IgG1のFc領域内のN−グリコシル化部位の除去を達成した。

0164

本明細書で述べるアミノ酸の番号付け/位置は、本明細書の一部である配列表に含まれている配列に基づいている。なお、上記のaa298におけるグリコシル化部位は、IgG1のEU番号付けシステム(European numbering system)に従って番号付けされた天然のIgG1分子のaa297に存在するグリコシル化部位に対応している。したがって、本出願におけるaa298は、米国特許第7,501,494号に記載されているaa297におけるグリコシル化部位に対応する。

0165

Fvドメインの脱免疫化mAb dB4の重鎖(図4)および軽鎖(図5)のCDR1、2および3領域はそれぞれ、配列番号1〜6のアミノ酸配列を含む(表4)。mAb dB4の重鎖および軽鎖の全長配列は、図4および図5にそれぞれ配列番号7および8として示されている。

0166

本抗体の重鎖内の特定のアミノ酸が突然変異したとき、mAb dB4の半減期が改善(延長)されることが分かった。具体的には、aa253(Met)、aa255(Ser)およびaa257(Thr)位の重鎖Fcアミノ酸をそれぞれTyr、ThrおよびGluで置換したとき、ヒト化抗体の半減期が改善された。ヒト化mAb dB4抗体の改良された重鎖の全長配列が配列番号9として図6に示されている。したがって、改良されたヒト化抗体mAb dB4は、配列番号8の配列を有する軽鎖および配列番号9の配列を有する重鎖を含む。

0167

マウスmAb B4およびヒト化mAb dB4の配列および構造の独特な特徴は、Fvの重鎖内のアミノ酸位置101における糖結合残基Asn(Asn101)の存在である。この糖結合部位はそのFv領域位置には珍しく、予期せずにFvドメイン内に隠れており、完全抗体分子の変性による糖の酵素的切断のためにのみ露出させることができる。Fv領域におけるこの糖の存在は最初、本抗体の特性評価を複雑にした。しかし、糖鎖または結合部位に対する修飾により本抗体のCD4に対する結合親和性が破壊された。したがって、Fv領域におけるこの珍しいN−グリコシル化部位は本抗体のCD4への結合には不可欠である。
図7は、図4および図6について上記で考察したグリコシル化、置換および突然変異部位を強調するmAb dB4の全長重鎖アミノ酸配列を示す。

0168

実施例6
MT−2マイクロプラーク、PBMC中和アッセイおよびPhenoSense侵入アッセイによるmAb dB4とその親mAb B4との生物学的同等性の実証
脱免疫化/ヒト化Fc非グリコシル化(Fc-aglycosylated)mAb dB4とその親マウスmAb B4との生物学的同等性を評価して、霊長類動物およびヒトにおけるさらなる毒性/安全性および有効性の研究のためにそのヒト化型を利用できることを保証するために、広範囲な比較研究を行った。これらの比較研究の結果を以下に要約する。

0169

1.分岐群A、B、C、DおよびEならびに分岐群CおよびE由来の代表的なHIV分離株をそれぞれ用いて、MT−2マイクロプラークおよびマイトジェン刺激PBMCアッセイの両方において非常に高感度のHIV−1中和アッセイを行った。脱免疫化法によってマウスmAb B4をmAb dB4抗体にヒト化した後にHIV中和活性の喪失は認められなかった。同等の結果がMT−2マイクロプラーク(表5)およびPBMC系アッセイ(表6)において示されている。

0170

2.したがって、測定した全ての分岐群の全てのHIV分離株のIC50およびIC90は互いに2倍以内であるため、マウスmAb B4とmAb dB4との間に生物学的同等性が実証された。

0171

3.JRCSF(R5)、HXB2(X4)、92TH594(R5/X4)、初代分離株#5(R5)、初代分離株#6(R5)および初代分離株#7(R5)を含む様々な指向性の選択されたHIV分離株と共に、二重指向性受容体(CXCR4およびCCR5またはX4/R5)を発現する細胞株U87に対して、mAb B4、mAb dB4ならびに2種類の他の周知のHIV−env標的モノクローナル中和抗体2F5および2G12によるHIV侵入阻害を評価した。この研究では、HIV侵入阻害を、何百種類ものHIV株のうちのいずれか1つ由来のエンベロープ糖タンパク質を有する偽型ウイルスおよびルシフェラーゼを用いて、Monogram Biosciences社が評価した。HIVのtatの制御下でルシフェラーゼを発現するように操作されたU87−CD4+/CCR5+/CXCR4+細胞において発生する生物発光を定量化することにより、抗体による中和を測定する。この研究の結果が表7に示されており、以下を実証している:
a.マウスmAb B4(MuB4、行4)は、2種類の最も強力な抗HIV Env抗体2F5(行1)および2G12(行2)と比較したとき、HIV侵入阻害において非常により強力である。異なるHIV分離株の対応するIC50はそれぞれ、0.04:4および0.8、0.4:0.07および0.5、0.05:3および1.3、0.05:50および20、0.05:2および3、0.03:>100および2である。
b.マウスmAb B4(MuB4、行4)およびmAb dB4(行3)は、様々な種類の指向性の同じ代表的なHIV分離株で試験したとき、驚くべきことにそれらのIC50において等しい。

0172

したがって、重鎖及び軽鎖の両方で同じCDRを共有しているマウスmAb B4及び脱免疫化mAb dB4は、生物学的に同等であり、この2種の抗体の機能特性は、各種インビトロ及びインビボ研究において互いを代表していることが十分に立証されている。

0173

実施例7
(A)dB4およびmAb B4のHPB−ALL細胞への結合活性;(B)dB4のPBMCCD4陽性細胞への結合活性;(C)dB4の組換えCD4への結合活性、ならびに(D)dB4およびgp120のHPB−ALL細胞への結合活性についての特性評価

0174

1.背景
先の実施例に示されているmAb dB4およびその親マウスmAb B4の中和アッセイによって実証されているように、抗原結合の定性的側面および機能特性は知られているが、CD4+Tリンパ球におけるmAb B4およびmAb dB4の定量的細胞結合プロファイルは過去に調査されたことはない。

0175

マウスmAb B4およびそのヒト化Fc非グリコシル化IgG1モノクローナル抗体mAb dB4の両方を、正常なヒト血液CD4+Tリンパ球およびCD4+T細胞性白血病HPB−ALL細胞に対する細胞結合プロファイルについて試験した。実施例1で考察したようにマウスをHPB−ALL細胞で免疫化することによりmAb B4を選択したため、HPB−ALL細胞を使用した。FACS分析により一般的な細胞結合を評価し、その結果を平均蛍光強度(MFI)に基づくEC50またはIC50値として報告した。本抗体の一般的な細胞結合の評価に加えて、天然のdB4 IgG1分子のHPB−ALL細胞に対する絶対結合親和性(Kd)および最大結合能(Bmax)も調査した。

0176

2.材料
2.1.培養培地および試薬
HPB−ALL細胞を培養するためのRPMI−1640培地およびウシ胎児血清は、Gibco社製であった(それぞれのカタログ番号:11875−093および10091−148)。ウシ血清アルブミンはApplicChem社製であった(カタログ番号:A−0850)。細胞と試験抗体とのインキュベーションはNunc社製V底96ウェルプレート(カタログ番号:249662)上で行った。試料の調製のための微量希釈管(1.2mL)はBertec社製であった(カタログ番号:1710−00)。細胞固定は2%ホルムアルデヒドで行い、試料を0.05%BSAおよび0.05%アジ化ナトリウムを含むPBS(pH7.4)で希釈し、洗浄緩衝液は0.05%アジ化ナトリウムを含むPBS(pH7.4)であった。

0177

マウスmAb B4およびヒト化mAb dB4の結合をそれぞれ、ヤギ抗マウスIgG−FITC(Sigma社、カタログ番号:F8264)およびヤギF(ab’)2抗ヒトIgG Fcγ−FITC(Jackson ImmunoResearch社、カタログ番号:109−096−098)により追跡した。dB4−Alexa488複合体(本明細書全体を通して省略して「dB4−Alexa」と示す)は、United Biomedical社(「UBI」)の社内で調製した(UBIロット番号:0102143)。B4−ビオチン複合体はUBI製であった(ロット番号:051807)。ヒツジ抗hIgG−HRPはThe Binding Site社製であり(カタログ番号:AP004)、Extravidin−HRPはSigmaAldrich社製であり(カタログ番号:E2886)、可溶性rCD4はR&D system社製であった(カタログ番号:514−CD−050)。ペプチドp2704aHIVエンベロープはUBI社製であり、組換えgp120MNはImmunoDiagnostics社製であった(カタログ番号:1021−2)。結合の追跡のための血液CD4+T細胞のゲーティングは、抗CD4(D2)−FITC抗体(Ancell社、カタログ番号:148−020)を用いて行った。参照標準としてLinearFlow(商標)緑色フローサイトメトリー強度較正キット(Green Flow Cytometry Intensity Calibration Kits)(Molecular Probe社)に含まれている蛍光ビーズを使用して、標識された細胞の相対蛍光を定量化した。使用した他の蛍光検出材料は、FITC−ChromPureヤギIgGのF(ab’)2断片(Jackson ImmunoResearch社、カタログ番号:005−090−006)、CD3 PE(ASR)BD(Biosciences社、カタログ番号:340662)、CD45 PerCP(ASR)BD(Biosciences社、カタログ番号:340665)であった。

0178

2.2.HPB−ALL細胞および末梢血CD4+T細胞
HPB−ALL細胞株(ヒト胸腺急性リンパ性白血病細胞株)をDSMACC社から得た。PBMCCD4+T細胞(健康なドナーからEDTAヴァキュテーナーに新たに採取した血液)は、NH4Clを含む低張溶液(8.3g/L塩化アンモニウム、0.84g/L重炭酸ナトリウムおよび29.4mg/L EDTAの混合物、pH7.4)で赤血球を溶解した後の末梢血白血球(PBL)に由来していた。

0179

2.3.マウスmAb B4およびヒト化mAb dB4
免疫原としてHPB−ALL細胞を用いるハイブリドーマ操作により、マウスのモノクローナルB4IgG1(UBIロット番号:120197)を得た。B4由来ヒト化dB4 IgG1(UBI Asia社基準ロット)は、N298HでFcを非グリコシル化したものである(実施例5)。

0180

2.4.ELISAおよびFACSでの検出
96ウェルマイクロプレートはNalge Nunc International社製であり、光学読み取りのために平底のもの(カタログ番号:442404)を使用し、細胞のインキュベーションのためにV底のもの(カタログ番号:249570)を使用した。光学濃度をVersaMaxマイクロプレートリーダー(Molecular Devices社)で読み取った。BD FACSCaliburスキャナー(DB Biosciences社)で蛍光染色を検出し、得られたデータを関連するCell Questソフトウェアにより取得した。ELISAおよびFACSからの結合データを、定量的分析のためにSigmaPlot11ソフトウェアにインポートした。

0181

3.方法
3.1.dB4のHPB−ALL細胞への結合
3.1.1.平衡時間研究。 V底マイクロプレート上で、1ウェル当たり0.1mL中に一定分量の2×105細胞を添加し、遠心分離し、液体を捨てた。最長180分の様々な持続時間で、細胞を最大100ng/mLの各種濃度で一定分量の100μLのdB7と共に上でインキュベートした。指示された時間で、遊離した未結合の抗体薬剤の決定のために上澄みを回収した。添加した薬剤濃度の合計から遊離画分を減算して結合画分を計算した。

0182

結合溶液中の遊離dB4濃度をELISAで定量化した。簡単に言うと、このアッセイでは、Nunc社製Maxisorpマイクロプレート上に被覆したヒツジ抗hIgL(0.5μg/mL)と検出タンパク質(detector protein)としてのヒツジ抗huIgG−HRP(1/1000希釈)との混合物を使用した。0.14〜18.5ng/mLの範囲の較正標準に基づき未知の試料中の濃度を測定した。

0183

3.1.2.dB4との直接結合研究。 V底マイクロプレート上で、1ウェル当たり0.1mL中に一定分量の2×105細胞を添加し、遠心分離し、液体を捨てた。細胞を2000ng/mLまでの各種濃度の少量のdB4 100μLと共に氷上で1時間インキュベートした。インキュベーション後にdB4を除去し、新しい一定分量のdB4を最初のインキュベーションのために使用した同じ濃度で細胞に添加し、細胞を氷上でもう1時間インキュベートした。この工程をもう1回繰り返した。3回のインキュベーション(継代)を経た細胞を調べた。3回目のインキュベーション後に、細胞を1回洗浄し、300gで5分間遠心分離し、ヤギF(ab)2抗huIgGFc−FITC(250ng/mL)100μLにより氷上で30分間染色した。細胞を1回洗浄し、遠心分離後に液体を捨てた。各ウェルに一定分量の結合緩衝液200μLを添加し、フローサイトメトリー分析のために微量希釈管に移した。1試料当たり5,000細胞の投入に基づく結合強度(平均蛍光強度、MFI)をFACSで読み取った。

0184

3.1.3.dB4の結合親和性(Kd)研究。エッペンドルフ管において、3.1〜2000ng/mL(0.5mL)のdB4抗体を4×105細胞のHPB−ALL細胞(0.5mL)に添加し、穏やかに振盪しながら氷上で1時間インキュベートした。飽和結合の時点で絶対結合親和性を決定し、ここでは、溶液中の遊離dB4濃度([F])をELISAで定量化し、上記平衡研究の箇所で説明したように結合画分([B])を計算した。得られた飽和遊離濃度:結合濃度プロファイルを、方程式:[B]=Bmax・{[F]/([F]+Kd)}(式中、[B]および[F]はそれぞれ結合濃度および遊離濃度を表す)に基づくカーブフィッティングによりSigmaPlotで分析した。

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