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技術 シートの製造方法

出願人 トヨタ紡織株式会社
発明者 狹間良今井美希
出願日 2018年12月18日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-236346
公開日 2020年6月25日 (8ヶ月経過) 公開番号 2020-097161
状態 未査定
技術分野 プラスチック等のブロー成形,熱成形 マットレス,及びいす,ベッドに関するその他
主要キーワード ネジ溝付き 同形同寸 縮み率 樹脂シート材料 ハンガー部材 一般糸 保持部位 送り込み量
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年6月25日)のものです。
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図面 (13)

課題

シートパッドの外面に沿うようにシートカバーを性能良く賦形することにある。

解決手段

シートカバー4Sを、加熱して軟化させたのちに、シートパッドの外形に倣った成形面41aを有する成形型40で賦形する際に、シートカバー4Sを、その面方向に弛ませて成形型40内に送りみつつ、成形面41aに吸引して配置する。

概要

背景

この種のシートの製造方法では、シートカバー成形型内に配置したのち、この成形型内でシートパッド成形すると同時にシートカバーに一体化する。このときシートカバーは、シートパッドの外面形状に沿うように、予め所定形状に賦形された状態で成形型内に配置されていることが望ましい。例えば特許文献1に開示の樹脂成形方法では、本発明のシートカバーに相当する樹脂シート材料と、本発明のシートパッドに相当する基材とを一体化する。このとき公知技術では、樹脂シート材料を、保持工程と加熱工程と延伸工程と成形工程を経て、基材の外形に倣った所定形状に賦形している。

すなわち公知技術では、保持工程にて、樹脂シート材料を枠体で保持して概ね水平に張った状態とし、つづく加熱工程にて、樹脂シート材料を加熱して軟化させておく。また延伸工程では、加熱された樹脂シート材料を、適宜の方向に張引しながら基材の形状に合わせた立体形状とする。すなわち樹脂シート材料を面方向に張引し、さらに基材の湾曲部分に合わせて折り曲げた状態としておく。そして成形工程において、延伸された樹脂シート材料を成形型内にセットしたのち、真空吸引などの手法で成形型の成形面(基材の外面)に沿った形状に賦形する。このとき成形面には、基材の湾曲部に倣った凹み状の部分が設けられており、この凹み状の部分に、樹脂シート材料の折り曲げられた部分が沿うように配置される。この状態で基材を成形型内で成形することにより、基材の成形と同時に樹脂シート材料を一体化することができる。そこで公知技術の構成を適用して、シートカバーを賦形したのち、シートパッドに一体化することが考えられる。

概要

シートパッドの外面に沿うようにシートカバーを性能良く賦形することにある。シートカバー4Sを、加熱して軟化させたのちに、シートパッドの外形に倣った成形面41aを有する成形型40で賦形する際に、シートカバー4Sを、その面方向に弛ませて成形型40内に送りみつつ、成形面41aに吸引して配置する。

目的

本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、シートパッドの外面に沿うようにシートカバーを性能良く賦形することにある

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

シート外観をなすシートカバーを所定形状に賦形したのち、人体弾性的に支持するシートパッドの外面に沿って配設するためのシートの製造方法において、前記シートカバーを、加熱して軟化させたのちに、前記シートパッドの外形に倣った成形面を有する成形型で賦形する際に、前記シートカバーを、その面方向に弛ませて前記成形型内に送りみつつ、前記成形面に吸引して配置するシートの製造方法。

請求項2

前記シートカバーを面方向に広げた状態で保持する保持部材を用いるとともに、前記保持部材は、前記シートカバーの周縁側の一部を保持する第一保持部位と、前記一部とは異なる前記シートカバーの周縁側の他部を保持する第二保持部位とを有し、前記第一保持部位と前記第二保持部位とを互いに近づく向きに相対移動させることにより前記シートカバーを弛ませる構成となっている請求項1に記載のシートの製造方法。

請求項3

前記第一保持部位と前記第二保持部位とは、前記シートカバーの賦形が終了するまで対応する周縁側の部分を保持している請求項2に記載のシートの製造方法。

請求項4

前記成形面には、前記シートパッドの盛り上がり箇所である凸状部に倣った凹状部が設けられており、前記シートカバーの賦形の際に、前記シートカバーを、その面方向に弛ませて前記成形型内に送り込みつつ、前記凹状部を含む前記成形面に沿わせて配置する請求項1〜3のいずれか一項に記載のシートの製造方法。

請求項5

前記成形型は、前記成形面を備えた第一型と、前記第一型に閉じ合わせ可能な第二型とを有し、前記シートカバーの賦形の際に、前記第一型と前記第二型とを対向配置して両型の間にキャビティを形成するとともに、前記第一型と前記第二型の間に、前記シートカバーの前記キャビティへの送り込みを許容する隙を設けておく請求項1〜4のいずれか一項に記載のシートの製造方法。

請求項6

前記シートカバーは、その外形形状をなす合皮又は編物を有するとともに、前記合皮又は編物の構成糸の少なくとも一部に融着糸が用いられている請求項1〜5のいずれか一項に記載のシートの製造方法。

請求項7

前記シートカバーは、前記シートパッドの盛り上がり箇所である凸状部を被覆可能な一枚物の面材である請求項6に記載のシートの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、シートカバーを所定形状に賦形して、シートパッドの外面に沿って配設するためのシートの製造方法に関する。

背景技術

0002

この種のシートの製造方法では、シートカバーを成形型内に配置したのち、この成形型内でシートパッドを成形すると同時にシートカバーに一体化する。このときシートカバーは、シートパッドの外面形状に沿うように、予め所定形状に賦形された状態で成形型内に配置されていることが望ましい。例えば特許文献1に開示の樹脂成形方法では、本発明のシートカバーに相当する樹脂シート材料と、本発明のシートパッドに相当する基材とを一体化する。このとき公知技術では、樹脂シート材料を、保持工程と加熱工程と延伸工程と成形工程を経て、基材の外形に倣った所定形状に賦形している。

0003

すなわち公知技術では、保持工程にて、樹脂シート材料を枠体で保持して概ね水平に張った状態とし、つづく加熱工程にて、樹脂シート材料を加熱して軟化させておく。また延伸工程では、加熱された樹脂シート材料を、適宜の方向に張引しながら基材の形状に合わせた立体形状とする。すなわち樹脂シート材料を面方向に張引し、さらに基材の湾曲部分に合わせて折り曲げた状態としておく。そして成形工程において、延伸された樹脂シート材料を成形型内にセットしたのち、真空吸引などの手法で成形型の成形面(基材の外面)に沿った形状に賦形する。このとき成形面には、基材の湾曲部に倣った凹み状の部分が設けられており、この凹み状の部分に、樹脂シート材料の折り曲げられた部分が沿うように配置される。この状態で基材を成形型内で成形することにより、基材の成形と同時に樹脂シート材料を一体化することができる。そこで公知技術の構成を適用して、シートカバーを賦形したのち、シートパッドに一体化することが考えられる。

先行技術

0004

国際公開2017/047564号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ところで公知技術の製造方法では、樹脂シート材料(シートカバー)を、延伸工程にて張引して伸長させることで、基材(シートパッド)に沿うような立体形状に賦形する。このような構成では、樹脂シート材料が部分的に伸長することで、当該伸長した部分が薄くなるなどして耐久性が低下するおそれがあり、特に基材の湾曲部分においてシートカバーの厚みが過度に薄くなる傾向にある。また樹脂シート材料の伸びには一定の限界があるため、公知技術の構成をそのまま適用すると、適用可能なシート形状の選択の自由度が狭まったり、シートの意匠制約されたりすることが懸念される。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、シートパッドの外面に沿うようにシートカバーを性能良く賦形することにある。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決するための手段として、第1発明のシートの製造方法は、シートの外観をなすシートカバーを所定形状に賦形したのち、人体弾性的に支持するシートパッドの外面に沿って配設するためのシートの製造方法である。そしてシートカバーを、加熱して軟化させたのちに、シートパッドの外形に倣った成形面を有する成形型で賦形するのであるが、この種の構成では、シートパッドの外面に沿うようにシートカバーを性能良く賦形できることが望まれる。そこで本発明では、シートカバーを、その面方向に弛ませて成形型内に送りみつつ、成形面に吸引して配置することとした。本発明では、シートカバーを積極的に成形型内に送り込んで成形面に沿わせておくことができるため、シートカバーが部分的に薄くなることを極力回避することが可能となる。また本発明では、シートカバーを成形面に沿わせて配置する際に、シートカバーを過度に伸長させずとも、送り込まれたシートカバー部分で補うことができるため、シートの形状や意匠が制約を受けるといった事態を極力回避することができる。

0007

第2発明のシートの製造方法は、第1発明のシートの製造方法において、シートカバーを面方向に広げた状態で保持する保持部材を用いる。そして保持部材は、シートカバーの周縁側の一部を保持する第一保持部位と、一部とは異なるシートカバーの周縁側の他部を保持する第二保持部位とを有し、第一保持部位と第二保持部位とを互いに近づく向きに相対移動させることによりシートカバーを弛ませる構成となっている。本発明では、保持部材によってシートカバーの適宜の部分を動かすことにより、シートカバーの所望の部分をより確実に弛ませることが可能となっている。

0008

第3発明のシートの製造方法は、第2発明のシートの製造方法において、第一保持部位と第二保持部位とは、シートカバーの賦形が終了するまで対応する周縁側の部分を保持している。本発明では、保持部材によってシートカバーを保持しておくことで、賦形の際においてシートカバーが過度に動くことを極力抑えることができる。

0009

第4発明のシートの製造方法は、第1発明〜第3発明のいずれかのシートの製造方法において、成形面には、シートパッドの盛り上がり箇所である凸状部に倣った凹状部が設けられている。そしてシートカバーの賦形の際に、シートカバーを、その面方向に弛ませて成形型内に送り込みつつ、凹状部を含む成形面に沿わせて配置することとした。本発明では、シートカバーを、成形型内に送り込んで凹状部等に沿わせておくことにより、より確実に所定形状に賦形することができる。

0010

第5発明のシートの製造方法は、第1発明〜第4発明のいずれかのシートの製造方法において、成形型は、成形面を備えた第一型と、第一型に閉じ合わせ可能な第二型とを有している。そしてシートカバーの賦形の際に、第一型と第二型とを対向配置して両型の間にキャビティを形成するとともに、第一型と第二型の間に、シートカバーのキャビティへの送り込みを許容する隙を設けておく。本発明では、シートカバーを、第一型と第二型の間の隙から成形型のキャビティ内にスムーズに送り込むことができる。

0011

第6発明のシートの製造方法は、第1発明〜第5発明のいずれかのシートの製造方法において、シートカバーは、その外形形状をなす合皮又は編物を有するとともに、合皮又は編物の構成糸の少なくとも一部に融着糸が用いられている。本発明では、シートカバーの外形形状を意匠性に優れる合皮又は伸長性に優れる編物で形成する。このとき合皮又は編物中の融着糸を、加熱冷却を経て所望の形状に保持することで、シートカバーを更に確実に所定形状に賦形することができる。

0012

第7発明のシートの製造方法は、第6発明のシートの製造方法において、シートカバーは、シートパッドの盛り上がり箇所である凸状部を被覆可能な一枚物の面材である。本発明では、一枚物のシートカバーを適切に賦形することで、シートパッドの凸状部を見栄えよく覆うことができる。

発明の効果

0013

本発明に係る第1発明によれば、シートパッドの外面に沿うようにシートカバーを性能良く賦形することができる。また第2発明によれば、シートカバーをより性能良く賦形することができる。また第3発明によれば、シートカバーを更に性能良く賦形することができる。また第4発明によれば、シートパッドの外面により確実に沿うようにシートカバーを性能良く賦形することができる。また第5発明によれば、シートカバーをより確実に性能良く賦形することができる。また第6発明によれば、シートカバーを更に確実に性能良く賦形することができる。そして第7発明によれば、シートカバーを見栄えよく賦形することができる。

図面の簡単な説明

0014

乗物用シートの概略斜視図である。
図1のII−II線断面図である。
シートカバーの概略断面図である。
別例のシートカバーの概略断面図である
保持部材とシートカバーの概略斜視図である。
加熱工程を示す加熱装置の概略図である。
シートカバーを弛める際の保持部材の概略図である。
成形型の概略図である。
賦形工程を示す成形型とシートカバーの概略断面図である。
試験用の成形型一部の概略斜視図である。
シートカバーのヨコ方向性能評価の結果を示すグラフである。
シートカバーのタテ方向の性能評価の結果を示すグラフである。

実施例

0015

以下、本発明を実施するための形態を、図1図12を参照して説明する。図1及び図2には、便宜上、乗物用シートの前後方向と左右方向と上下方向を示す矢線を適宜図示する。また図〜図には、便宜上、保持部材と加熱部材と成形型の前後方向と左右方向と上下方向を示す矢線を適宜図示する。

0016

図1に示す乗物用シート2(シートの一例)は、シートクッション4と、シートバック6と、ヘッドレスト8を有する。これらシート構成部材は、各々、シート骨格をなすシートフレーム(4F,6F,8F)と、シート外形をなすシートパッド(4P,6P,8P)と、シートパッドを被覆するシートカバー(4S,6S,8S)を有する。そしてシートクッション4(詳細後述)の後部にシートバック6の下部が起倒可能に連結しているとともに、起立状態のシートバック6の上部にヘッドレスト8が配設されている。

0017

図1に示すシートクッション4は、乗員の座部となる部材であり、金属製のシートフレーム4F上にシートパッド4Pを配置し、さらにシートパッド4Pの外面にシートカバー4S(詳細後述)を配設することで形成されている。ここでシートパッド4Pは、乗員(人体)を弾性的に支持可能な上面視で概ね矩形の部材であり、図1及び図2を参照して、着座部4aと、左右一対の凸状部4bとを有している。着座部4aは、シート幅方向中央で前後に延びている箇所であり、各凸状部4bは、着座部4aの左右両側で上方に盛り上がっている箇所である。これら左右の凸状部4bは、断面視で概ね半楕円形状をなしてRのきつい箇所であるとともに、各々、シート内側の天板サイド部4baと、側面をなすカマチ部4bbに区分けできる。なおシートパッド4Pの素材として、後述する成形型等で成形可能な各種の樹脂を使用でき、例えばポリウレタンフォーム密度:10kg/m3〜60kg/m3)などの発泡樹脂を使用できる。

0018

[シートカバー]
そして図1及び図2に示すシートカバー4Sは、シートの外観をなす面材であり、シートパッド4Pの外面に一体化されて配設されている。このシートカバー4Sは、後述するようにシートパッド4Pの外形に倣って所定形状に賦形されたのち、シートパッド4Pの着座部4aや凸状部4bの外面に沿った状態で一体化されている。そしてシートカバー4Sの一部は、凸状部4bの外形形状に倣って上方に凸の湾曲形状に賦形されるのであるが、このときシートカバー4Sが過度に伸長して部分的に薄くなるといった事態は極力回避すべきである。そこで本実施形態においては、後述する構成によって、シートパッド4Pの外面に沿うようにシートカバー4Sを性能良く賦形することとした。以下、シートカバー4Sと製造方法について詳述する。

0019

ここでシートカバー4Sの素材として、合皮(合成皮革)や布帛織物,編物,不織布)を用いることができ、さらにシートカバー4Sの構成糸の一部に融着糸(詳細後述)が用いられている。例えば図3に示す本実施形態のシートカバー4Sは、皮革調の外観を備えた合皮製の面材であり、保護層10と、表皮層11(塗装層11a)と、基材層12(編物)と、パッド層13と、裏層14を積層状態で有している(各層の詳細は後述)。そしてシートカバー4Sは、無縫製で且つ一枚物の面材であり、後述する製造方法にて立体的な形状に賦形されて、図1に示す着座部4aと左右の凸状部4bに跨るように配設される。

0020

ここで図3に示す表皮層11は、皮革調の外観を備えている樹脂層であり、主としてシートカバー4Sの外観(意匠)を構成している。この表皮層11は、後述する基材層12に対して液状の樹脂又はその原料を含む溶剤を付与したのち、基材層12上で硬化又は固化させた樹脂に皮革調の外観を付与することで形成できる。また別の手法として、離型性の基材層12に、液状の樹脂又はその原料を含む溶剤を付与し、当該基材層12上で硬化または固化させて表皮層11を形成する。次いで、表皮層11の表面に接着剤を塗布し、接着剤が粘稠性を有する状態のうちに、基材層12を貼り合わせることで形成できる。なお表皮層11を構成する樹脂の種類は特に限定しないが、適度な伸縮性と可撓性を備えた樹脂であることが望ましい。この種の樹脂として、ポリ塩化ビニルPVC)樹脂、ポリウレタン樹脂ポリアクリル樹脂、ポリアミド樹脂ポリエステル樹脂エポキシ樹脂などの合成樹脂を例示でき、これらの樹脂は、単独で使用することができ、2種以上を併用することもできる。また表皮層11に対して皮革調の外観を付与する手法は特に限定しないが、3Dプリントなどの印刷や、エンボス加工シボ加工シボ付け)などの凹凸加工を例示できる。そして本実施形態では、表皮層11の表面側に、印刷による塗装層11aを設けることで、この表皮層11がより天然皮革に近い外観を備えた状態となっている。

0021

また図3に示す保護層10は、外部に露出する表皮層11の表面に沿って設けられている樹脂層であり、表皮層11の表面略全面に設けることができる。この保護層10は、表皮層11に対して液状の樹脂又はその原料を含む溶剤を付与したのち、表皮層11上で硬化又は固化させることで形成できる。そして保護層10を構成する樹脂の種類は特に限定しないが、適度な伸縮性と可撓性を備え且つ光透過性を備えた透明又は半透明の樹脂であることが望ましい。このように光透過性を備えた保護層10を用いることで、保護層10を通して表皮層11の外観を目視で確認可能となる。この種の光透過性を備えた樹脂として、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン系樹脂を例示でき、これらの樹脂は、単独で使用することができ、2種以上を併用することもできる。なかでも好適な耐熱性を備えて黄変しにくいポリウレタン樹脂や、強度に優れて破断しにくいアクリル樹脂が保護層10の樹脂として望ましい。なお保護層10は、表皮層11の外観を外部から認識可能ならば不透明な樹脂で形成することもできる。

0022

[基材層(編物)]
また図3に示す基材層12は、表皮層11の裏面に沿って設けられている層であり、表皮層11の裏面略全面に設けることができる。この基材層12は、シートカバー4Sの外形形状をなす部分であるとともに、表皮層11及び保護層10とともに撓み変形可能である。そして基材層12の素材として、相対的に伸長性に優れている編物を用いており、この種の編物として、経編や緯編(丸編を含む)を用いることができる。また基材層12に求められる性能に応じて、編物の編組織を適宜設定することができる。例えば緯編の編組織として、基本組織平編ゴム編パール編)やその変化組織を例示でき、経編の編組織として、基本組織(デンビー編コード編アトラス編鎖編)やその変化組織を例示できる。例えば本実施形態では、基材層12として、緯編の一種であるシングルジャージを用いることができる。この緯編の編物は、面方向の伸長性に優れた低モジュラスの素材であるため、後述する賦形時に、シートカバー4Sを適度に伸長させて適切な形状に撓み変形させることができる。さらに基材層12としての編物の構成糸として、後述するように、一般糸Y1と、融着糸Y2とを用いることができる。そして後述するように融着糸Y2にて基材層12の立体形状が維持され、さらにこの基材層12の立体形状によってシートカバー4Sの立体的な外形形状が保持されることとなる。

0023

[一般糸]
ここで図3に示す一般糸Y1として、動物系又は植物系天然繊維合成繊維又はこれらの混紡繊維の糸を適宜用いることができる。合成繊維として、ポリエステル系繊維ポリアミド系繊維ポリビニルアルコール系繊維セルロース系繊維又はこれらの混紡繊維のフィラメントを例示でき、これらの合成繊維は、単独で使用することができ、2種以上を併用することもできる。なかでもポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリトリメチレンテレフタレートPTT),ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリ乳酸など)のフィラメントや、ポリアミド系繊維(ナイロン6ナイロン66など)のフィラメントは、使用時の耐久性に優れるため一般糸Y1として好適に使用できる。なお一般糸Y1の繊度(太さ)は特に限定しないが、例えば30d〜3000d程度に設定できる。

0024

[融着糸]
また図3に示す融着糸Y2は、加熱により溶けたのち固化可能な糸材であり、一般糸Y1の融点より低い融点を有している。この種の融着糸Y2として、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ナイロン系の樹脂からなる融着糸Y2を例示でき、これらの樹脂は、単独で使用することができ、2種以上を併用することもできる。また融着糸Y2は、その一部が溶融固化可能であればよく、この種の融着糸Y2として混繊型や芯鞘型の融着糸Y2を例示できる。なお混繊型の融着糸Y2とは、比較的高融点の繊維と、比較的低融点の繊維(溶融固化部分)が混在する合成繊維の糸である。また芯鞘型の融着糸Y2とは、比較的高融点の芯材部分と、比較的低融点の鞘部分(溶融固化部分)とを有する合成繊維の糸である。なお融着糸Y2の繊度(太さ)も特に限定しないが、例えば30d〜3000d程度に設定できる。

0025

そして構成糸の一部に融着糸Y2を用いる場合には、融着糸Y2を局所的に配置することもできるが、基材層12の面方向に概ね均等に融着糸Y2を配置することが望ましい。そして基材層12の単位面積当たりの一般糸Y1に対する融着糸Y2の本数(g/m2)を調整して、融着糸Y2の含有量を、基材層12の全質量に対して5質量%以上に設定することが望ましい。このように5質量%以上の融着糸Y2が基材層12に含まれることで、後述するように固化した融着糸Y2にて基材層12の立体形状がより確実に維持されることとなる。なお融着糸Y2の含有量が5質量%未満の場合には、後述する基材層12の立体形状が適切に維持されず、シートカバー4Sが型崩れをおこすおそれがある。

0026

さらに基材層12の全質量に対する融着糸Y2の含有量は、シートカバー4Sの性能向上の観点などから20質量%より大きいことが望ましく、25質量%以上であることがより好ましい。すなわち融着糸Y2の含有量を20質量%より多くすることにより、シートカバー4Sの戻り率(賦形後に伸長率が何%戻ったかを示す値)を所望の値に収束させることができる。例えば戻り率を7%未満(好ましくは6%以下)に設定して、成形後のシートカバー4Sを適度に収縮させた状態とすることにより、製品段階のシートカバー4Sを、乗員からの押圧で安定的に伸長させることが可能となる。そして融着糸Y2の含有量の下限値を25質量%に設定することにより、シートカバー4Sの戻り率をより確実に所望の値(6%以下)に収束させることが可能となる。

0027

また融着糸Y2は、固化後に硬くなって相対的に伸長性が低下し、さらに伸縮を繰り返すことで折れの発生が懸念される。このため融着糸Y2の含有量が過度に多くなると、シートカバー4Sの柔軟性が低下してしまうおそれがある。このため融着糸Y2の含有量の上限値は、シートカバー4Sの柔軟性維持の観点などから75質量%以下とすることがより好ましい。さらに融着糸Y2は相対的に滑らかで一般糸Y1と絡みにくいため、融着糸Y2の含有量が過度に多いと、基材層12としての編物を製造しにくくなる。そこで融着糸Y2の含有量を75質量%以下とすることにより、シートカバー4Sの柔軟性を維持しつつ、シートカバー4Sを比較的容易に製造することが可能となる。

0028

[パッド層]
図3に示すパッド層13は、弾性的に厚み方向に伸縮可能な素材で形成されているマット状の部材であり、必要に応じて基材層12の裏側に一体化することができる。この種のパッド層13の素材として、基材層12に比して柔軟で且つ適度な可撓性を備えた素材を用いることができ、スラブウレタンなどの発泡樹脂、綿材、3Dネット体(一般糸を三次元状編製してなる部材)を例示できる。そして基材層12の裏側にパッド層13を配置したのち、これらを接着融着縫合等の手法で一体化でき、例えばフレームラミネーションによって比較的強固に一体化することができる。

0029

[裏層]
図3に示す裏層14は、基材層12側へのシートパッド4P(成形材料)の入り込みを規制する部位であり、必要に応じてシートカバー4Sの裏面に配設することができる。この種の裏層14の素材は特に限定しないが、例えばシート状の樹脂体や、低通気性発泡樹脂体通気度:0cc/cm2・sec〜10cc/cm2・sec)や、繊維を密に交絡させたフェルトなどの面材で構成できる。そしてシートカバー4Sの裏側を裏層14にて覆っておくことにより、後述するシートパッド4Pとの一体化の際に、基材層12側へのシートパッド4Pの成形材料の含浸を規制することができる。

0030

[シートカバーの別例]
ここでシートカバーは、上述の構成のほか、各種の構成を取り得る。例えば図4に示す別例のシートカバー4SSは、基材層12Aと、パッド層13と、裏層14とを積層状態で有し、パッド層13と裏層14は実施形態と概ね同一構成である。そして基材層12Aは、表側の第一組織K1と裏側の第二組織K2を備えた経編や緯編(丸編を含む)の二重編地を備えた編物で構成されている。例えば本別例の基材層12Aは、丸編の一種であるダブルジャージの編物や、経編の一種であるダブルラッセルの編物で構成でき、なかでもダブルジャージは面方向の伸長性に特に優れている。また第一組織K1と第二組織K2は、これら各組織に求められる性能に応じて、それぞれ独立に、各種の編組織で構成することができる。例えば緯編の編組織として、基本組織やその変化組織を例示でき、経編の編組織として、基本組織やその変化組織を例示できる。

0031

[別例の基材層(編物)の形成例]
そして基材層12Aを形成する場合、専ら第二組織K2の構成糸に融着糸Y2を用いることができる。すなわちダブルジャージの基材層12Aでは、第二組織K2だけをなしている構成糸に融着糸Y2を用いており、こうすることでシートカバー4SSの表側に配置する第一組織K1の伸長性を好適に維持することが可能となる。また基材層12Aの構成糸の一部に融着糸Y2を用いる場合には、融着糸Y2を局所的に配置することもできるが、第二組織K2の面方向に概ね均等に融着糸Y2を配置することが望ましい。そして基材層12Aの単位面積当たりの一般糸Y1に対する融着糸Y2の本数(g/m2)を調整して、融着糸Y2の含有量を、基材層12Aの全質量に対して14質量%〜75質量%の範囲に設定することが望ましい。このように14質量%以上の融着糸Y2が基材層12Aに含まれることで、後述するように固化した融着糸Y2にて第二組織K2の立体形状がより確実に維持されることとなる。なお融着糸Y2の含有量が14質量%未満の場合には、後述する第二組織K2の立体形状が適切に維持されず、シートカバー4SSが型崩れをおこすおそれがある。

0032

[シートの製造方法]
本実施形態では、図1及び図2に示すシートカバー4Sを所定形状に賦形したのち、シートパッド4Pの外面に沿って配設する。すなわちシートパッド4Pに対するシートカバー4Sの配設作業に先立って、シートカバー4Sを、着座部4aと各凸状部4bの形状に倣った形状に賦形する。このとき各凸状部4bに対応するシートカバー4S部分を、例えばRのきつい湾曲形状に賦形するのであるが、この種の構成では、当該シートカバー4S部分が過度に伸長して薄くなるといった事態は極力回避すべきである。そこで本実施形態においては、シートカバー4Sを、後述する加熱工程と賦形工程を経て、所定形状に性能良く賦形することとした。

0033

[保持部材]
ここで本実施形態では、図5図8を参照して、シートカバー4Sの賦形用設備として、保持部材20と、加熱部材30と、成形型40とを用意することができる。図5に示す保持部材20は、上方視で概ね矩形の枠状部材であり、シートカバー4Sを面方向に広げた状態で保持することができる。この保持部材20は、第一保持部位21と、第二保持部位22と、左右一対の保持柱23,24とを有している。第一保持部位21と第二保持部位22とは、それぞれ左右方向に長尺角柱状の部材であり、シートカバー4Sを間に配置可能なように前後に適宜の間隔をあけて配置されている。そして第一保持部位21は、保持部材20の前側に配置されているとともに、左右に延びる回転軸AMを介して板状の前側係止部21aが取付けられている。この前側係止部21aは、回転軸AMを中心に上下に回転可能とされており、後述するようにシートカバー4Sの前縁側の部分を係止して保持することができる。また第二保持部位22は、保持部材20の後側に配置されているとともに、左右に延びる回転軸AMを介して板状の後側係止部22aが取付けられている。この後側係止部22aも、回転軸AMを中心に上下に回転可能とされており、後述するようにシートカバー4Sの後縁側の部分を係止して保持することができる。

0034

また図5に示す左右一対の保持柱(左側保持柱23,右側保持柱24)は、それぞれ前後方向に延びる柱状の部材であり、第一保持部位21と第二保持部位22の間に橋渡し状に配設されている。これら各保持柱23,24は、シートカバー4Sを間に配置可能なように左右に適宜の間隔をあけて配置されているとともに、各保持部位21,22に対して前後に移動可能な状態で保持されている。また各保持柱23(24)は、概ね同形同寸の部材で構成されている。例えば左側保持柱23は、左右方向における中央部分23xが一段高くなっているとともに、前部23yと後部23zとが一段低くなるように屈曲している。そして各保持柱23(24)の中央部分23x(24x)には、板状の側方係止部23a(24a)がそれぞれ取付けられており、これら各側方係止部23a(24a)によって、シートカバー4Sの左縁側の部分(右縁側の部分)を係止して保持できる。

0035

[保持部材によるシートカバーの保持]
後述の各工程に先立って、図5に示すように保持部材20内にシートカバー4Sを面状に広げた状態で配置しつつ、このシートカバー4Sの周縁側の部分を対応する係止部21a〜24aを介して保持部材20に保持しておく。例えば第一保持部位21には、前側係止部21aが下方回転することで、シートカバー4Sの前縁側の部分が係止されて保持される。また第二保持部位22には、後側係止部22aが下方回転することで、シートカバー4Sの後縁側の部分が係止されて保持される。そして本実施形態では、シートカバー4Sの前縁側の部分が、本発明のシートカバーの周縁側の一部に相当し、シートカバー4Sの後縁側の部分が、本発明のシートカバーの周縁側の他部に相当する。さらにシートカバー4Sの左縁側の部分(右縁側の部分)は、対応する支持柱23(24)の中央部分23x(24x)に設けた側方係止部23a(24a)に係止されて保持される。なおシートカバー4Sは、前後左右に若干の弛みを持たせた状態で保持部材20に保持しておくことができ、この状態のシートカバー4Sは、中央に向かうにつれて次第に下方に凹んだ状態となっている。

0036

またシートカバー4Sを保持した保持部材20は、図5に示す搬送部材25によって、後述の加熱部材30から成形型40に向けて搬送することができる。ここで搬送部材25は、左右一対の案内レール26a,26bと、搬送機構(27a,27b)を有している。左右一対の案内レール26a,26bは、それぞれ前後方向に延びている板状部材であり、断面横U字をなして内側が解放状とされている。これら各案内レール26a,26bは、左右に適宜の間隔をあけて概ね平行に設置され、後述する加熱部材30から成形型40にかけての部分に配置されている。そして各案内レール26a,26bには、シートカバー4Sを保持した保持部材20が、ブラケット(図示省略)を介して摺動可能な状態で組付けられている。

0037

また図5に示す搬送部材25の搬送機構は、左右一対の第一ネジ軸27aと、左右一対の第二ネジ軸27bと、各ネジ軸を軸線周りに回転させるモータ(図示省略)を有している。各第一ネジ軸27aは、前後方向に延びるネジ溝付き棒状部材であり、対応する案内レール26a,26bの下方に配置されるように左右に分かれて配設されている(図5では、便宜上、左右の第一ネジ軸に同一の符号を付す)。そして第一保持部位21の左端と右端は、それぞれナットNを介して対応する第一ネジ軸27aに連結されている。このため第一保持部位21は、各第一ネジ軸27aの軸線周りの回転によって前後方向に移動することができる。また各第二ネジ軸27bは、第一ネジ軸27aの内側で前後方向に延びるネジ溝付きの棒状部材であり、対応する案内レール26a,26bの下方に配置されるように左右に分かれて配設されている(図5では、便宜上、左右の第二ネジ軸に同一の符号を付す)。そして第二保持部位22の左端と右端も、それぞれナットNを介して第二ネジ軸27bに連結されている。このため第二保持部位22は、第二ネジ軸27bの軸線周りの回転によって前後方向に移動することができる。

0038

[加熱工程(加熱部材)]
加熱工程では、図6に示す加熱部材30を用いてシートカバー4Sを加熱することにより、シートカバー4S中の融着糸Y2を軟化させた状態としておく。ここで加熱部材30は、搬送部材25の後側に設けられているとともに、上下一対の加熱部(上側加熱部31,下側加熱部32)を有している。そして上側加熱部31と下側加熱部32は、上下に適宜の間隔をあけて対向配置されており、各加熱部31,32の間には、各案内レール26a等の後部側が配設されている。これら各加熱部31,32は、それぞれシートカバー4Sを所定温度まで加熱可能な加熱機構HMを有し、本実施形態では遠赤外線ヒータ温風ヒータなどの非接触型の加熱機構HMを用いているが、接触式の加熱機構を用いることも可能である。そして加熱工程では、搬送部材25を介して加熱部材30に保持部材20を搬送し、この保持部材20に保持されたシートカバー4Sを各加熱部31,32の間に配置する。この状態で各加熱部31,32にてシートカバー4Sを上下から加熱することにより、シートカバー4S中の融着糸Y2を加熱して軟化させておくことができる。

0039

[シートカバーを弛ませる手法]
つぎに図7に示す加熱状態のシートカバー4Sを、保持部材20で保持しつつ、搬送部材25によって加熱部材30から前方に移動させて後述の成形型40まで搬送する。そして本実施形態では、図5に示す第一ネジ軸27aと第二ネジ軸27bとを回転させることで保持部材20の各保持部位21,22を前方に搬送するのであるが、この搬送の際に、保持部材20によってシートカバー4Sを適度に弛ませておくことができる。すなわち加熱部材30から成形型40に至るまでの間に、第一ネジ軸27aの回転数を調整して第一保持部位21の前方への移動量を相対的に抑えることで、第一保持部位21が、第二保持部位22側に近づきながら前方に搬送されていく。こうして第一保持部位21を第二保持部位22側に相対移動させて、これら両保持部位21,22の前後の隙を狭めることにより、図7の二点破線を参照して、シートカバー4Sが前後に弛んだ状態となる(なお図7では、便宜上、シートカバーの弛んだ状態を単純化して示している)。なおシートカバー4Sの弛みの程度は、後述する図8の成形型40の下側成形面41aの形状に応じて適宜設定され、本実施形態ではシートカバー4Sの前部と後部にそれぞれ同程度の弛みを持たせた状態としている。

0040

[賦形工程(成形型)]
賦形工程では、図8に示す成形型40を用いて、加熱されたシートカバー4Sをシートパッドの外形に倣った所定形状に賦形する。ここで成形型40は、下側に配置された第一型41と、上側に配置された第二型42とを有し、これら両型41,42の間に、各案内レール26a等の前部側が配設されている。ここで第二型42は、図2及び図8を参照して、上側の駆動機構43に昇降可能に設置されているとともに、第二型42の下側には、シートパッド4Pの下側の形状に倣った上側成形面42aが設けられている。そして第二型42は、後述の第一型41に対して閉じ合わせ可能な位置に配置されており、上方視においては、図5に示す保持部材20の各保持部位21,22と各保持柱23,24で形成される枠の内部に配置されている。

0041

また図1図2及び図8を参照して、第一型41は、下側の駆動機構44に昇降可能に設置されているとともに、第一型41の上側には、シートパッド4Pの上側の形状に倣った下側成形面41aが設けられている。そして図8に示す下側成形面41aは、本発明の成形面に相当する部分であり、下方に向けて凹んだ窪み状に形成されている。この下側成形面41aには、平坦部41bと、前後一対の凹状部41c,41dとが設けられており、これら各部41b〜41dの適宜の位置には吸引孔41Hが開口している。そして図1図2及び図8を参照して、平坦部41bは、下側成形面41aの概ね中央に設けられており、シートパッド4Pの着座部4aに倣った形状を有している。また各凹状部41c,41dは、平坦部41bを挟んで下側成形面41aの前部と後部とに分かれて設けられており、それぞれシートパッド4Pの対応する凸状部4bに倣った形状を有している。

0042

そして賦形工程に際しては、保持部材20を、図8に示すように搬送部材25を介して成形型40に搬送し、保持部材20に保持されているシートカバー4Sを第一型41と第二型42の間に配置する。つぎに図9を参照して、第一型41と第二型42とを互いに近づくように昇降させてこれらを上下に対向配置する。そして対向配置された下側成形面41aと上側成形面42aの間にキャビティ50が形成され、さらに第一型41と第二型42の間には、シートカバー4Sの送り込みを許容する隙(CS)が設けられる。こうしてシートカバー4Sは、第一型41と第二型42の間に形成されたキャビティ50内に配置され、さらに弛んだ状態のシートカバー4S部分がキャビティ50の前側と後側とに配置された状態となる。つぎにキャビティ50内のシートカバー4Sを、下側成形面41aの各吸引孔41Hから吸引しつつ、下側成形面41aに沿わせるように配置する。このときキャビティ50内のシートカバー4Sが、若干伸長しつつ下側成形面41aに向けて吸引されて平坦部41bに沿うように配置されていく。そして各凹状部41c,41dにも、キャビティ50内のシートカバー4Sが同様に配置されていくのであるが、これら各凹状部41c,41dは、平坦部41bよりも下方に凹んで相対的に大きな周長を有している。このため各凹状部41c,41dでは、相対的に広い面積のシートカバー4Sが配置されることとなり、必要とされる面積に応じてシートカバー4Sが過度に伸長されるおそれがある。

0043

そこで本実施形態では、図9に示すシートカバー4Sを、その面方向に弛ませて成形型40のキャビティ50内に送り込みつつ、下側成形面41aに吸引して配置することとした。すなわち前側の凹状部41cにおいては、第一型41と第二型42の間の隙(CS)から前側の弛んだシートカバー4S部分がスムーズに送り込まれる(図9の矢線X1を参照)。このため前側の凹状部41cでは、キャビティ50内のシートカバー4S部分と、成形型40の前部側から送り込まれたシートカバー4S部分とが吸引されて配置されることとなる。また同様に後側の凹状部41dにおいては、第一型41と第二型42の間の隙(CS)から後側の弛んだシートカバー4S部分がスムーズに送り込まれる(図9の矢線X2を参照)。このため後側の凹状部41dにおいても、キャビティ50内のシートカバー4S部分と、成形型40の後部側から送り込まれたシートカバー4S部分が吸引されて配置されることとなる。そして本実施形態では、保持部材20によってシートカバー4Sの周縁側の部分を賦形工程の終了まで保持しておく。こうしてシートカバー4Sを保持部材20で位置決めして過度に動くことを極力抑えることにより、シートカバー4Sの狙いとする箇所を成形型40により確実に送り込むことが可能となっている。

0044

こうして本実施形態では、シートカバー4Sを面方向に弛ませて成形型40に積極的に送り込むことで、各凹状部41c,41d等に沿ってシートカバー4Sを過不足なく配置することが可能となる。そしてシートカバー4Sを下側成形面41aに沿わせる際に、シートカバー4Sを過度に伸長させずとも、送り込まれたシートカバー4S部分で補うことができるため、シートの形状や意匠が制約を受けるといった事態を極力回避することができる。こうしてシートカバー4Sが下側成形面41aに沿って配置されて、シートカバー4S中の融着糸Y2が下側成形面41aに倣った形状に維持されることにより、シートカバー4Sを所定の形状に賦形することができる。

0045

つぎに図2及び図9を参照して、賦形後のシートカバー4Sを配置した成形型40のキャビティ50内に、シートパッド4Pの成形材料(図示省略)を付与する。そして第一型41と第二型42とを型閉じした状態で、成形材料を発泡硬化させてシートパッド4Pを成形しつつシートカバー4Sに一体化する。こうしてシートカバー4Sが、図2に示すようにシートパッド4Pの外面に沿って配設されることとなる。そしてこの状態のシートカバー4Sは、上述のように賦形されることで、適度な厚みを保った状態でシートパッド4Pの外面に見栄えよく配設される。このため本実施形態によれば、シートカバー4Sを、優れた耐久性を確保しつつシートパッド4Pの外面に一体化して配設しておくことができる。そして本実施形態では、一枚物のシートカバー4Sを適切に賦形して、シートパッド4Pの各凸状部4bと着座部4aとに跨らせて配設している。このためシートカバー4Sは、各凸状部4bと着座部4aの間や天板サイド部4baとカマチ部4bbの間に縫合線による分割線が生じない状態で配設されており、シートの意匠性向上に資する構成となっている。

0046

以上説明した通り本実施形態では、シートカバー4Sを積極的に成形型40内に送り込んで下側成形面41aに沿わせておくことができるため、シートカバー4Sが部分的に薄くなることを極力回避することが可能となる。また本実施形態では、シートカバー4Sを下側成形面41aに沿わせて配置する際に、シートカバー4Sを過度に伸長させずとも、送り込まれたシートカバー4S部分で補うことができるため、シートの形状や意匠が制約を受けるといった事態を極力回避することができる。また本実施形態では、保持部材20によってシートカバー4Sの適宜の部分を動かすことにより、シートカバー4Sの所望の部分をより確実に弛ませることが可能となっている。また本実施形態では、保持部材20によってシートカバー4Sを保持しておくことで、賦形の際においてシートカバー4Sが過度に動くことを極力抑えることができる。また本実施形態では、シートカバー4Sを、成形型40内に送り込んで凹状部41c等に沿わせておくことにより、より確実に所定形状に賦形することができる。また本実施形態では、シートカバー4Sを、第一型41と第二型42の間の隙(CS)から成形型40のキャビティ50内にスムーズに送り込むことができる。また本実施形態では、シートカバー4Sの外形形状を意匠性に優れる合皮(基材層12)で形成する。このとき合皮中の融着糸Y2を、加熱冷却を経て所望の形状に保持することで、シートカバー4Sを更に確実に所定形状に賦形することができる。また本実施形態では、一枚物のシートカバー4Sを適切に賦形することで、シートパッド4Pの凸状部4bを見栄えよく被覆することができる。このため本実施形態によれば、シートパッド4Pの外面に沿うようにシートカバー4Sを性能良く賦形することができる。

0047

試験例]
以下、本実施形態を試験例に基づいて説明するが、本発明は試験例に限定されない。下記の[表1]は、各実施例と各比較例のシートカバーの加熱工程と賦形工程の条件を示す表である。また[表2]は、各実施例と各比較例のシートカバーの性能評価を示す表である。そして図11には、実施例1と比較例1と比較例3の展開率送り込み率追従率を図示し、図12には、実施例2と比較例2と比較例4の展開率と送り込み率と追従率を図示する。

0048

[実施例1]
実施例1では、合皮製のシートカバーを作成した。このとき表皮層は、シボ付けされたポリウレタン系の熱可塑性樹脂で形成し、表皮層の厚み寸法(膜厚)を200〜350μmの範囲に設定した。また保護層は、透明なポリウレタン系の熱可塑性樹脂で形成し、保護層の膜厚を5〜15μmの範囲に設定した。また基材層は、ジャージの編物(密度:ウェールコース=42/40(本/2.54cm))を用いて形成した。また基材層の一般糸として、ポリエステル製のフィラメント糸(繊度150d,融点250℃)を使用し、融着糸として、ポリエステルフィラメント糸(繊度100d)と熱融着糸(繊度100d,融点130℃)を使用した。また実施例1では、基材層の単位面積当たりの一般糸に対する融着糸の本数(g/m2)を調整して、融着糸の含有量を、基材層の全質量に対して28質量%に設定した。またパッド層として、ウレタンラミ(密度:20g/cm2、厚み:0.5mm)を使用し、裏層として、シート状の樹脂体(ポリエステル製)を使用した。

0049

そして実施例1のシートカバーに、[表1]に示す条件で加熱工程と賦形工程を施し、このとき図10に示す第一型(詳細後述)を用いて賦形工程を行った。ここで[表1]に示す「吸引」とは、第一型の吸引孔からシートカバーを吸引したことを意味する。また[表1]に示す「第二型のアシスト」とは、賦形工程において第一型と第二型の間にキャビティを形成し、このキャビティ内でシートカバーを吸引したことを意味する。そして[表1]に示す「送り込み」とは、加熱工程から賦形工程に至るまでにシートカバーを弛ませて、この弛んだシートカバー部分を成形型内に送り込んだことを意味する。そして賦形後の実施例1のシートカバーを用いて、後述の性能評価方法でヨコ方向(ウェール方向、車幅方向)の性能を測定した。

0050

[実施例2]
また実施例2では、実施例1と同一構成のシートカバーを、向きを変えた以外は同条件で賦形した。そして賦形後の実施例2のシートカバーを用いて、後述の性能評価方法でタテ方向(コース方向、車両前後方向)の性能を測定した。

0051

[比較例1〜比較例4]
比較例1(比較例2)では、実施例1(2)と同一構成のシートカバーを用いたが、[表1]に示すように賦形工程において「吸引」だけを行った点が各実施例と異なっている。そして以下に示す性能評価方法で、賦形後の比較例1のシートカバーのヨコ方向の性能を測定し、賦形後の比較例2のシートカバーのタテ方向の性能を測定した。また比較例3(比較例4)では、実施例1(2)と同一構成のシートカバーを用いたが、賦形工程において「吸引」及び「第二型のアシスト」だけを行った点が各実施例と異なっている。そして以下に示す性能評価方法で、賦形後の比較例3のシートカバーのヨコ方向の性能を測定し、賦形後の比較例4のシートカバーのタテ方向の性能を測定した。

0052

[性能評価方法]
シートカバーの性能評価に際しては、図10に示す成形面を備えた試験用成形型60を使用した。この成形面は、縦長な窪み状に形成されており、成形面の一端側には、対向する周縁60a,60b同士が並列して配置されている。そして対向する周縁60a,60b同士を最短距離で直線的に結ぶ直線部61(長さ:100mm)と、この直線部61を通るように成形面に沿って延びる曲線部62(周長:200mm)とを設定した。また各シートカバーには、賦形前の状態において10mm角グリット方眼)をつけておいた。そして性能評価方法として、各シートカバーにつき、展開率と送り込み率と追従率と戻り率を算出して、これらの値から各シートカバーの性能を評価した。ここで展開率は、賦形前のシートカバーの寸法を1とした場合に、湾曲部に配置された賦形後のシートカバーの伸び率であり、後述の計算式1で算出した。また送り込み率は、湾曲部に配置された賦形後のシートカバーの周長のうち、シートカバーの伸び率(送り込まれたシートカバー量の割合)であり、後述の計算式2で算出した。また追従率は、展開率と送り込み率の和であり、後述の計算式3で算出した。そして戻り率は、湾曲部の周長を1とした場合に、湾曲部に配置された賦形後のシートカバーの縮み率であり、後述の計算式4で算出した。

0053

以下に示す各計算式では、直線部の長さ(mm)をAとし、曲線部の周長(mm)をBとしている。また湾曲部に配置された賦形後のシートカバーの周長の実測値(mm)をB’とし、湾曲部に配置された賦形後のシートカバーのグリット数に10をかけた値(mm)をCとしている。
計算式1:展開率(%)=((B’−C)/A)×100
計算式2:送り込み率(%)=((C−A)/A)×100
計算式3:追従率(%)=((B’−A)/A)×100
計算式4:戻り率(%)=((B’−B)/B)×100

0054

0055

0056

[結果及び考察]
[表2]、図11及び図12を参照して、比較例1及び比較例2のシートカバーでは、展開率が過度に大きく且つ送り込み率が過度に小さくなっていたため、シートカバーが過度に伸長して賦形されたことがわかった。また比較例3及び比較例4のシートカバーにおいても、展開率が大きく且つ送り込み率が小さくなっていたため、シートカバーが過度に伸長して賦形されたことがわかった。

0057

また[表2]及び図11を参照して、実施例1のシートカバーでは、比較例1及び比較例3に比して、ヨコ方向において展開率が小さく且つ送り込み率が十分に大きくなっていた。また[表2]及び図12を参照して、実施例2のシートカバーでは、比較例2及び比較例4に比して、タテ方向において展開率が小さく且つ送り込み率が十分に大きくなっていた。このため各実施例では、賦形時において積極的にシートカバーの送り込みを行ったことで、シートカバーの伸長を抑えた分を、シートカバーの送り込み量で補えたことがわかった。このことから各実施例によれば、シートカバーの厚みを適切に確保しつつ、シートカバーを性能良く賦形してシートパッドに一体化できることが判明した。

0058

本実施形態のシートの製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。本実施形態では、シートカバー4Sの構成(形状,寸法,配置位置など)を例示したが、シートカバーの構成を限定する趣旨ではない。例えばシートカバー全体を、無縫製で一枚物の面材で構成することができるが、シートカバーの少なくとも一部を、無縫製で一枚物の面材で構成することもできる。またシートカバーは、着座部と凸状部のほか、シートの立体的な部分の適宜の位置に配置することができる。そしてシートカバーの賦形後の形状は、左側の凸状部と着座部と右側の凸状部とで形成された凹面形状のほか、凸面形状凹凸面形状などの各種の形状を取り得る。なお本実施形態では、基材層の立体形状と、その他の層の形状とが概ね同形となる場合を説明したが、その他の層の形状は、これらの厚みや凹凸形状などによって基材層の立体形状と若干異なっていてもよい。

0059

また本実施形態では、基材層の外形形状を、その構成糸である融着糸Y2にて維持する例を説明した。これとは異なり基材層の構成糸に対して添え糸や押え糸撚合わせたり引き揃えたりして用いる場合には、これら添え糸や押え糸に、融着糸を使用することもできる。また着座部と凸状部に沿ってシートカバーを配置する場合、シートカバーの湾曲又は屈曲の基点となる部分に融着糸を集中して配置する(局所的に配置する)こともできる。なお合皮の基材層は各種の布帛にて構成することが可能である。

0060

また本実施形態では、保持部材20と加熱部材30と成形型40の構成を例示したが、これら各部材の構成を限定する趣旨ではない。例えば保持部材の第一保持部位は、シートカバーの周縁側の適宜の部分を保持することができ、第二保持部位は、第一保持部位の対向位置におけるシートカバーの周縁側の部分を保持することが可能である。また第一保持部位と第二保持部位とは、シートカバーの前後左右に対向配置される場合のほか、斜め方向に対向して配置することが可能である。なお必要に応じて複数又は単数の保持柱を用いることができ、保持柱を省略することも可能である。そして保持部材を搬送する部材は、実施形態で例示の搬送部材のほか、ハンガー部材台車などの各種の部材を用いることができる。なお搬送部材の搬送機構は、各ネジ軸とナットを用いた構成のほか、ラックアンドピニオン機構ヒンジ機構などの各種の機構を採用できる。また成形型の成形面には、シートパッドの外形形状に応じて、適宜の位置に複数又は単数の凹状部を設けることが可能であり、必要に応じて凹状部を省略することもできる。そして成形型は、シートパッドを成形するための成形型をそのまま使用することができ、シートパッドの成形型とは別の賦形専用の成形型を用いることも可能である。

0061

また本実施形態では、専らシートクッション4を一例に説明したが、本実施形態の構成は、シートバック6やヘッドレスト8やアームレスト等の各種シート構成部材に適用可能である。そして本実施形態の構成は、車両や航空機電車船舶などの乗物用シート全般、室外用又は室内用の各種シート(例えば家庭用のシート)に適用可能である。

0062

2乗物用シート
4シートクッション
6シートバック
8ヘッドレスト
4Fシートフレーム
4Pシートパッド
4a着座部
4b 凸状部
4ba天板サイド部
4bbカマチ部
4Sシートカバー
10 保護層
11表皮層
11a塗装層
12基材層(本発明の編物)
13パッド層
14裏層
Y1一般糸
Y2融着糸
4SS別例のシートカバー
12A 変形例の基材層(本発明の編物)
K1 第一組織
K2 第二組織
20保持部材
21 第一保持部位
21a 前側係止部
22 第二保持部位
22a 後側係止部
AM回転軸
Nナット
23 左側保持柱
23x 左側保持柱の中央部分
23y 左側保持柱の前部
23z 左側保持柱の後部
24 右側保持柱
24x 右側保持柱の中央部分
23a,24a側方係止部
25搬送部材
26a,26b案内レール
27a 第一ネジ軸
27b 第二ネジ軸
30加熱部材
31 上側加熱部
32 下側加熱部
HM加熱機構
40成形型
41 第一型
41a 下側成形面(本発明の成形面)
41b平坦部
41c 前側の凹状部
41d 後側の凹状部
41H吸引孔
42 第二型
42a 上側成形面
43,44駆動機構
50 キャビティ

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