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技術 香料前駆体としてのジエステル化合物

出願人 長谷川香料株式会社
発明者 川畑和也赤尾寛子佐々木久美子前田良瀧嶋俊介大橋輝久
出願日 2018年12月12日 (2年0ヶ月経過) 出願番号 2018-232669
公開日 2020年6月18日 (6ヶ月経過) 公開番号 2020-093997
状態 拒絶査定
技術分野 洗浄性組成物 脂肪類、香料 調味料 有機低分子化合物及びその製造
主要キーワード 繊維状製品 手ぬぐい 芳香発生 左右対称構造 洗浄剤類 タオル類 添加モル数 虫除け剤
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年6月18日)のものです。
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図面 (2)

課題

香料前駆体として使用可能な新規ジエステル化合物を提供する。

解決手段

シクロヘキサノールまたはその誘導体水酸基を有する香気化合物、およびこの2つを連結するジエステル結合分子内に有し、香料前駆体として使用可能なジエステル化合物、それを含有する香料組成物、および当該ジエステル化合物または香料組成物を含有する消費財を提供し、さらには、当該ジエステル化合物または香料組成物を消費財に配合することを含む消費財の残香性付与または増強方法を提供する。

概要

背景

昨今、飲食品香粧品における消費者の要求は高度化および多様化しているが、特に、香りに注目が集まっており、香りの特性が製品訴求力重要な要素となっている。例えば、香粧品においては、各種衣料用洗剤残香性を高める技術が数多く提案されており、なかでも、光、熱、物理的接触などによって香気化合物を放出可能な分子構造を有する、いわゆる香料前駆体に関する研究が盛んに行われている。

例えば、エステル結合分子内に含む各種香料前駆体が提案されている。

特許文献1では、皮膚に適用した際に皮膚上から十分な強度の香り立ち持続的に得られる香料前駆体組成物として、成分(A)〜(C)を含有し、かつ条件1〜3を満たす香料前駆体組成物であって、成分(A)〜(C)が、(A):炭素数6以上10以下の不飽和アルコール香料と、炭素数12以上18以下の飽和モノカルボン酸若しくは炭素数4以上10以下の飽和ジカルボン酸とのエステルから選ばれる、1種又は2種以上の香料前駆体、(B):HLB8以上15以下のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの1種又は2種以上、(C):炭素数16以上22以下の脂肪酸、及び当該脂肪酸のモノグリセリドから選ばれる1種又は2種以上であり、条件1〜3が、条件1:質量比(B)/(A)が0.0001以上0.8以下、条件2:質量比(C)/(A)が0.02以上4以下、条件3:質量比[(B)+(C)]/(A)が0.55以上2以下である組成物が開示されており、実施例では、(A)としては炭素数6以上10以下の不飽和アルコール香料とジカルボン酸とのジエステルであって、当該不飽和アルコール2分子とジカルボン酸とのジエステル、すなわち左右対称構造ジエステル化合物であって、不飽和アルコール香料がジゲラニルなどの場合において徐放効果を奏するとされている。

特許文献2では、フェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料と、炭素数6以上20以下の脂肪族ジカルボン酸とのエステルからなる香料前駆体が提案されており、実施例にはエチルバニリンの徐放効果に優れるとされている。

特許文献3では、フェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料と、炭素数8以上、18以下の脂肪族モノカルボン酸とのエステルからなる香料前駆体が提案されており、エチルバニリン、バニリンエチルマルトールマルトールラズベリーケトンについて徐放効果が高いとされている。

また、そのほかのエステル構造を有する前駆体については、特許文献4には、セリンプロリルエステル結合及びその類似構造を有する化合物を用いることで、中性水溶液中において、アミド結合切断を伴うN−to−Oアシル基転移反応が進行し(ジケトピペラジンが形成され)、続いて生成したエステル部分にて加水分解を受けることで機能性分子が放出され、かかる反応を連続的(カスケード)に起こるように分子設計された徐放担体材料が提案されている。

また、ケイ酸エステル構造を有する香料前駆体として、特許文献5には、式(R1O)4Siまたは(RO)3SiOSi(RO)3で表されるケイ酸エステルが提案され、ROHおよびR1OHで表される香料アルコールとしてゲラニオールの徐放効果があると記載されており、特許文献6には、ラズベリーケトン(4−(3−オキソブチルフェノールとも記載)を徐放するケイ酸エステルが記載されている。

さらには、香気化合物の配糖体人体表面にて分解により徐放、特許文献7)、炭酸エステル(皮膚との接触で芳香発生、特許文献8)、β-ケトエステル(特許文献9)なども提案されている。

しかし、従来の香料前駆体は、残香性の高さや発現する香気の質などの点で必ずしも満足いくものではなく、より優れた新規な香料前駆体の開発が待たれている。

概要

香料前駆体として使用可能な新規なジエステル化合物を提供する。シクロヘキサノールまたはその誘導体水酸基を有する香気化合物、およびこの2つを連結するジエステル結合を分子内に有し、香料前駆体として使用可能なジエステル化合物、それを含有する香料組成物、および当該ジエステル化合物または香料組成物を含有する消費財を提供し、さらには、当該ジエステル化合物または香料組成物を消費財に配合することを含む消費財の残香性付与または増強方法を提供する。なし

目的

本発明の課題は、香料前駆体として使用可能な新規なジエステル化合物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記式Aで表されるジエステル化合物。[式A中、RはR−OHで表される香気化合物から水酸基を除いた残基を表し、nは2〜11の整数を表し、R2、R3はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖型アルキル基を表す。(ただし、nが2〜11で、かつR−OH、R1−OHで表される化合物がどちらもl−メントールである場合を除く。)]

請求項2

R1−OHで表される化合物がメントールまたはシクロヘキサノールである、請求項1に記載のジエステル化合物。

請求項3

R−OHで表される香気化合物の炭素数が4〜12個である、請求項1または2に記載のジエステル化合物。

請求項4

R−OHで表される香気化合物において、前記OHがフェノール性水酸基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のジエステル化合物。

請求項5

請求項1〜4のいずれか一項に記載のジエステル化合物を含有する、香料組成物

請求項6

請求項1〜4のいずれか一項に記載のジエステル化合物または請求項5に記載の香料組成物を含有する、消費財

請求項7

請求項1〜4のいずれか一項に記載のジエステル化合物、または請求項5に記載の香料組成物を消費財に配合することを含む、消費財の残香性付与または増強方法

技術分野

0001

本発明は、ジエステル化合物に関し、より詳しくは、シクロヘキサノールまたはその誘導体水酸基を有する香気化合物、およびこの2つを連結するジエステル結合分子内に有し、香料前駆体として使用可能なジエステル化合物に関する。

背景技術

0002

昨今、飲食品香粧品における消費者の要求は高度化および多様化しているが、特に、香りに注目が集まっており、香りの特性が製品訴求力重要な要素となっている。例えば、香粧品においては、各種衣料用洗剤残香性を高める技術が数多く提案されており、なかでも、光、熱、物理的接触などによって香気化合物を放出可能な分子構造を有する、いわゆる香料前駆体に関する研究が盛んに行われている。

0003

例えば、エステル結合を分子内に含む各種香料前駆体が提案されている。

0004

特許文献1では、皮膚に適用した際に皮膚上から十分な強度の香り立ち持続的に得られる香料前駆体組成物として、成分(A)〜(C)を含有し、かつ条件1〜3を満たす香料前駆体組成物であって、成分(A)〜(C)が、(A):炭素数6以上10以下の不飽和アルコール香料と、炭素数12以上18以下の飽和モノカルボン酸若しくは炭素数4以上10以下の飽和ジカルボン酸とのエステルから選ばれる、1種又は2種以上の香料前駆体、(B):HLB8以上15以下のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの1種又は2種以上、(C):炭素数16以上22以下の脂肪酸、及び当該脂肪酸のモノグリセリドから選ばれる1種又は2種以上であり、条件1〜3が、条件1:質量比(B)/(A)が0.0001以上0.8以下、条件2:質量比(C)/(A)が0.02以上4以下、条件3:質量比[(B)+(C)]/(A)が0.55以上2以下である組成物が開示されており、実施例では、(A)としては炭素数6以上10以下の不飽和アルコール香料とジカルボン酸とのジエステルであって、当該不飽和アルコール2分子とジカルボン酸とのジエステル、すなわち左右対称構造のジエステル化合物であって、不飽和アルコール香料がジゲラニルなどの場合において徐放効果を奏するとされている。

0005

特許文献2では、フェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料と、炭素数6以上20以下の脂肪族ジカルボン酸とのエステルからなる香料前駆体が提案されており、実施例にはエチルバニリンの徐放効果に優れるとされている。

0006

特許文献3では、フェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料と、炭素数8以上、18以下の脂肪族モノカルボン酸とのエステルからなる香料前駆体が提案されており、エチルバニリン、バニリンエチルマルトールマルトールラズベリーケトンについて徐放効果が高いとされている。

0007

また、そのほかのエステル構造を有する前駆体については、特許文献4には、セリンプロリルエステル結合及びその類似構造を有する化合物を用いることで、中性水溶液中において、アミド結合切断を伴うN−to−Oアシル基転移反応が進行し(ジケトピペラジンが形成され)、続いて生成したエステル部分にて加水分解を受けることで機能性分子が放出され、かかる反応を連続的(カスケード)に起こるように分子設計された徐放担体材料が提案されている。

0008

また、ケイ酸エステル構造を有する香料前駆体として、特許文献5には、式(R1O)4Siまたは(RO)3SiOSi(RO)3で表されるケイ酸エステルが提案され、ROHおよびR1OHで表される香料アルコールとしてゲラニオールの徐放効果があると記載されており、特許文献6には、ラズベリーケトン(4−(3−オキソブチルフェノールとも記載)を徐放するケイ酸エステルが記載されている。

0009

さらには、香気化合物の配糖体人体表面にて分解により徐放、特許文献7)、炭酸エステル(皮膚との接触で芳香発生、特許文献8)、β-ケトエステル(特許文献9)なども提案されている。

0010

しかし、従来の香料前駆体は、残香性の高さや発現する香気の質などの点で必ずしも満足いくものではなく、より優れた新規な香料前駆体の開発が待たれている。

先行技術

0011

特開2018−70806号公報
特開2016−117655号公報
特開2015−134754号公報
特開2015−168669号公報
特開2014−141420号公報
特開2013−47325号公報
特開2000−96078号公報
特開平10−95752号公報
特表2000−502746号公報

発明が解決しようとする課題

0012

本発明の課題は、香料前駆体として使用可能な新規なジエステル化合物を提供することである。

課題を解決するための手段

0013

本発明者らは、優れた香料前駆体を鋭意探索したところ、シクロヘキサノールまたはその誘導体と水酸基を有する香気化合物とを脂肪族ジカルボン酸でジエステル結合により連結してなるジエステル化合物が、優れた残香性を示し、香料前駆体として有用であることを見出した。

0014

かくして、本発明は以下のものを提供する。
[1] 下記式Aで表されるジエステル化合物。

0015

0016

[式A中、RはR−OHで表される香気化合物から水酸基を除いた残基を表し、nは2〜11の整数を表し、R2、R3はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖型アルキル基を表す。(ただし、nが2〜11で、かつR−OH、R1−OHで表される化合物がどちらもl−メントールである場合を除く。)]
[2] R1−OHで表される化合物がメントールまたはシクロヘキサノールである、[1]に記載のジエステル化合物。
[3] R−OHで表される香気化合物の炭素数が4〜12個である、[1]または[2]に記載のジエステル化合物。
[4] R−OHで表される香気化合物において、前記OHがフェノール性水酸基である、[1]〜[3]のいずれかに記載のジエステル化合物。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載のジエステル化合物を含有する、香料組成物
[6] [1]〜[4]のいずれかに記載のジエステル化合物または[5]に記載の香料組成物を含有する、消費財
[7] [1]〜[4]のいずれかに記載のジエステル化合物、または[5]に記載の香料組成物を消費財に配合することを含む、消費財の残香性付与または増強方法

発明の効果

0017

本発明によって、香料前駆体として使用可能な新規なジエステル化合物を提供できるようになった。

図面の簡単な説明

0018

図1は、本発明のジエステル化合物(または本発明の香料前駆体)の残香性を示す図である。
図2は、本発明のジエステル化合物(または本発明の香料前駆体)の残香性を示す図である。

0019

(本発明の香料前駆体)
本発明のジエステル化合物は下記式Aで表される化合物であり、香料前駆体として使用できる。

0020

0021

[式A中、RはR−OHで表される香気化合物から水酸基を除いた残基を表し、nは2〜11の整数を表し、R1はR1−OHで表されるシクロヘキサノールまたはその誘導体から水酸基を除いた残基を表し、R2、R3はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖型のアルキル基を表す。(ただし、nが2〜11で、かつR−OHおよびR1−OHで表されるシクロヘキサノールまたはその誘導体がl−メントールである場合を除く。)]
以下、本明細書では、本発明のジエステル化合物を本発明の香料前駆体とも称する。香料前駆体とは、分子内に香気化合物部分を含み、その香気化合物をそれ単体として放出可能な化合物を意味する。

0022

なお、原理は明らかではないが、本発明のジエステル化合物の分子中、香気化合物とジエステル結合によって連結される部分がシクロヘキサン構造を有すること、すなわちシクロヘキサノールまたはその誘導体を用いることによって、従来の前駆体と比べて残香性を顕著に向上させた可能性が考えられる。シクロヘキサン構造によって疎水性が向上し、繊維状製品など前駆体が付着する基材との相互作用がより強くなり、水系溶媒による流出を抑制している可能性や、疎水性が向上することで、エステル基部分に対する水分子の作用が疎水性基によって阻害されるため、水系溶媒を用いた製品中でも加水分解を受けにくく、安定性が向上し、残香性の向上に寄与している可能性が考えられる(ただし、本発明は以上の原理に限定されるものではない)。

0023

本発明のジエステル化合物(香料前駆体)は、徐放の結果、R1−OHで表されるシクロヘキサノール誘導体部分およびR−OHで表される香気化合物に由来する香気を感じさせるものであってもよいが、R−OHで表される香気化合物のみに由来する香気を感じさせるものであることが好ましい。

0024

本発明のジエステル化合物(香料前駆体)は、それ自体またはそれを配合した香料組成物を、各種物品に配合することによってそれら物品の香気の残香性を高めることができるものである。詳細は後述する。

0025

(本発明のジエステル化合物に使用可能なシクロヘキサノールまたはその誘導体)
本発明のジエステル化合物(または本発明の香料前駆体)に使用可能なシクロヘキサノールまたはその誘導体は、以下に示す範囲内であれば任意である。すなわち、前記式Aにおいて、R1−OHで表されるシクロヘキサノールまたはその誘導体から水酸基を除いた残基を表し、R2、R3はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖型のアルキル基を表す。

0026

0027

好ましくは、R1−OHで表されるシクロヘキサノールまたはその誘導体は、メントールまたはシクロヘキサノールであるが、これらに限定されない。

0028

なお、本明細書では、シクロヘキサノールそのもの、およびメントールなどを含むシクロヘキサノール誘導体を、総じて「シクロヘキサノール誘導体」とも称することがある。

0029

(本発明のジエステル化合物に使用可能な香気化合物)
本発明のジエステル化合物(または本発明の香料前駆体)に使用可能な香気化合物は、1個以上の水酸基を有する香気化合物であれば特に限定されない。なお、本明細書において、香気化合物とは、ヒト、動物昆虫など、嗅覚を有する生物に当該香気化合物の香りを知覚させ得るものを意味する。

0030

香気化合物が香りを呈するためには揮発性である必要があり、一般的には、分子量約350以下程度のものが香気化合物として香料に使用されている。このことから、炭素数は、上限としては20以下程度であり、また、下限値としては2個または3個が一般的である。通常、香料組成物に使用可能な香気化合物の炭素数は2〜20の範囲内である。本発明においては、香気化合物の炭素数は、2〜20の範囲内が好ましく、3〜15の範囲内がさらに好ましく、4〜12の範囲がさらに好ましく、5〜10の範囲内がさらに好ましい。

0031

本発明の香料前駆体に使用可能な香気化合物は、直鎖、分岐、または環状の飽和または不飽和脂肪族アルコール、または芳香族アルコールであってよい。例えば、10−ウンデセノール、1−ウンデカノール、1−オクタノール、1−ドデカノール1−ノナノール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、2,6−ジメトキシフェノール、2−ウンデカノール、2−エトキシ−p−クレゾール、3,6−ジメチル−3−オクタノール、3−フェニルプロピルアルコール、3−メトキシm−クレゾール、4−エチルグアイアコール、4−ツヤノール、4−ヒドロキシベンジルアルコール、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、6−カンフェノール、p−t−ブチルシクロヘキサノール、p−エチルフェノール、tert−ブチルハイドロキノンジメチルエーテル、trans−2−ヘキセノール、cis−3−ヘキセノール、trans−3−ヘキセノール、α−フェンキルアルコールアニスアルコールアミルシンナミックアルコールアンブリノール、イソオイゲノールイソボルネオール、エチルバニリン、エチルリナロールオイゲノール、オランチオールカルバクロールカルベオールグアイアコールクミンアルコール、クレオゾール、ゲラニオール、サリチルアルデヒドサンタリノール、サンタレクス登録商標)、サンダロール(登録商標)、シトロネロールジヒドロリナロール、ジヒドロオイゲノール、ジヒドロテルピネオールジヒドロミルセノールショウガオールジンゲロン、シンナミックアルコール、スチラリルアルコールセサモールセドレノールセドロールターピネオールチモールチャコールチンベロールテトラヒドロミルセノール、テトラヒドロリナロール、テルピネオール、ネロールネロリドールバクダノール、パチュリアルコール、バニリルアルコール、バニリン、ヒドロキシシトロネロール、ヒドラトロパアルコール、ヒノキチオールピペロニルアルコールファルネソールフェネチルアルコールフェノキシエチルアルコール、プレノールベチベロールペリラアルコールベンジルアルコールポリサトールボルネオールマツタケオール、ミルセノール、ミルテノール、ムゴール、ラズベリーケトン、ラバンジュロール、リナロール、などが挙げられるが、これらに限定されない。

0032

中でも、フェノール性水酸基を有する香気化合物が好ましい。式AにおいてR−OHで示される香気化合物のOH部分、すなわちジカルボン酸の一方のカルボキシル基とエステル結合を形成する水酸基が、フェノール性水酸基であることがより好ましい。好適なフェノール化合物の例として、バニリン、ラズベリーケトン、オイゲノールなどが挙げられるが、これらに限定されない。

0033

また、脂肪族アルコールに属する香気化合物としては、cis−3−へキセノール、テトラヒドロリナロールなどが好適な例として挙げられるが、これらに限定されない。

0034

(本発明のジエステル化合物の取得方法
本発明のジエステル化合物(または本発明の香料前駆体)の取得方法は任意である。例えば、以下の反応を含む合成法によって製造することができるが、この方法に限定されない。
反応(1) R1−OHで表されるシクロヘキサノールまたはその誘導体とジカルボン酸とのモノエステルまたはそのカルボン酸塩化物(酸クロリド)を合成する
反応(2) 反応(1)で得たシクロヘキサノールまたはその誘導体とジカルボン酸とのモノエステルまたはカルボン酸塩化物(酸クロリド)と、R−OHで表される水酸基を有する香気化合物とのジエステルを得る
反応(1)および(2)の具体的な反応条件試薬については所望の反応産物が得られる限り任意であり、以下のように例示できるが、これらに限定されない。

0035

反応(1)については、カルボン酸とアルコールとのエステル化に関する一般的な反応条件を採用してよい。ジカルボン酸モノエステルと水酸基を有する香気化合物とのエステル化反応は酸または塩基触媒(例えば、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンDMAP))を用い、適宜各種縮合剤(例えば、ジイソプロピルカルボジイミドDIC))の存在下で行うことができる。または、シクロヘキサノール誘導体−ジカルボン酸モノエステルは、適宜市販のものを用いてもよく、例えば、モノ−l−メンチルグルタレートなどが市販されている。

0036

カルボン酸塩化物の合成法はよく知られており、例えば、必要であれば触媒の存在下、カルボン酸と塩化チオニル塩化オキサリル三塩化リン五塩化リン塩化スルフリルなど(好ましくは、塩化チオニルまたは塩化オキサリル)とを反応させて得ることができる。触媒の例としては、N,N−ジメチルホルムアミドDMF)が挙げられ、より穏和な条件で塩化物を生成することができる。

0037

反応(2)のエステル化については、上記ジカルボン酸モノエステル、カルボン酸塩化物のいずれを用いてもよく、反応(1)と同様、一般的なカルボン酸または酸クロリドとアルコールとのエステル化反応条件を採用してよく、ジカルボン酸モノエステルと水酸基を有する香気化合物とのエステル化反応は酸または塩基触媒(例えば、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP))を用い、適宜各種縮合剤(例えば、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC))の存在下で行うことができる。カルボン酸塩化物と水酸基とのエステル反応の場合は、通常、ピリジンなどの塩基の存在下で行うことができる。

0038

反応(1)および(2)は、同時に行ってもよいし、反応(1)の次に反応(2)を行ってもよい。

0039

(本発明の香料組成物)
本発明の香料組成物は、本発明のジエステル化合物(または本発明の香料前駆体)を所定量含有するものであって、各種物品に配合することができる。物品の例としては、香粧品、保健衛生品、医薬品、飲食品、その他各種嗜好品などの消費財が挙げられる(詳細は後述する)。本発明の香料組成物の形態は特に限定されず、水溶性香料組成物油溶性香料組成物、乳化香料組成物粉末香料組成物カプセル化香料組成物などが例示できる。さらに残香性を高めたい場合には、公知の残香性向上技術を利用してよく、例えば公知のカプセル化技術が挙げられる。

0040

本発明の香料組成物中の本発明のジエステル化合物(香料前駆体)の濃度は、香気化合物の香調、香料組成物の使用対象、香料組成物の香調、所望の残香性の程度など、目的に応じて任意に決定できる。通常は、1ppb〜10%の範囲内でよいが、これらに限定されない。なお、本明細書において、「〜」は下限値および上限値を含む範囲を意味し、濃度は特に断りのない限り質量濃度を表すものとする。

0041

また、本発明の香料組成物は、本発明のジエステル化合物(香料前駆体)に加えて、さらに他の任意の化合物または成分を含有し得る。

0042

そのような化合物または成分の例として、各種類の香気化合物または香料組成物、油溶性色素類、ビタミン類機能性物質植物エキス類、動植物タンパク質類、溶剤などを例示することができる。例えば、「特許公報、周知・慣用技術集(香料)第II部食品用香料、平成12年1月14日発行」、「日本における食品香気化合物の使用実態調査」(平成12年度厚生科学研究報告書、日本香料工業会、平成13年3月発行)、および「合成香料化学商品知識」(2016年12月20日増補新版発行、合成香料編集委員会編集、化学工業日報社)に記載されている天然精油天然香料、合成香料などを挙げることができる。香料組成物やその配合対象の香りや風味に応じて任意に決定することができる。

0043

(本発明のジエステル化合物(香料前駆体)または香料組成物を配合可能な消費財)
本発明のジエステル化合物は、香料前駆体として、それ自体または香料組成物に含まれる成分として、任意の消費財に配合することができる。消費財は特に限定されないが、好ましい例として、香粧品、保健衛生用品、医薬品、飲食品、その他各種嗜好品などが挙げられる。

0044

より具体的な例として、香粧品であれば、オーデコロンオードトワレ、オードパファム、パルファムなどの香水類;シャンプーリンス整髪料ヘアクリームポマードなど)などのヘアケア製品ファンデーション口紅リップクリームリップグロス化粧水化粧用乳液化粧用クリーム化粧用ゲル美容液パック剤などの化粧品類制汗スプレーデオドラントシート、デオドラントクリーム、デオドラントスティックなどのデオドラント製品無機塩類系、清涼系、炭酸ガス系スキンケア系、酵素系生薬系などの入浴剤サンタン製品、サンスクリーン製品などの日焼け化粧品類;フェイス石鹸洗顔クリームなどの洗顔料ボディー用石鹸やボディソープ洗濯用石鹸、洗濯用洗剤消毒用洗剤、防臭洗剤、柔軟剤台所用洗剤清掃用洗剤などの洗浄剤類歯みがきティッシュペーパートイレットペーパーなどの保健・衛生材料類;室内や車内などの空間のための空間用芳香消臭剤日用品や家具などのための各種物品用芳香消臭剤、ルームフレグランスなどの芳香剤虫除け剤防虫剤殺虫剤などの有害動物忌避殺虫剤;などを挙げることができるが、これらに限定されない。特に、布、皮膚、毛髪などの物品に対して本発明の香料前駆体を付着可能な使用形態の消費財が好ましい。物品としては、表面に繊維状構造を有する物品が好ましく、タオル類手ぬぐい布巾寝具カーテン敷物衣類などの各種繊維製品が好適な例として挙げられる。飲食品であれば、せんべい、餅などの米菓、餡を含む菓子、ういろう、羊かんゼリーカステラビスケットクッキーパイ、ケーキ、チップスなどの焼きまたは揚げ菓子プリン、クリーム、チョコレートガムキャラメルキャンディーディップスプレッドペーストなどの菓子類パン類;うどん、そば、拉麺などの麺類;すし、五目飯、チャーハンピラフなどの米飯類餃子シューマイ春巻などの中華食品類;お好み焼き、たこ焼きなど粉物類;漬物類および漬物の素;魚介類の加工飲食物類畜肉を用いた加工飲食物類;塩、調味塩、醤油類味噌類、ふりかけ、お漬けの素、マーガリンマヨネーズドレッシング酢類、つゆ類、ソースケチャップタレ類カレールーシチューの素、スープの素、だしの素、複合調味料、新みりんミックス粉などの調味料類チーズヨーグルトバターなどの乳製品野菜煮物、おでん、鍋物などの煮物類;持ち帰り弁当の具や惣菜類果物果汁果汁飲料または果汁入り清涼飲料、果物の果肉果粒入り果実飲料野菜類を含む飲料、スープなどの野菜含有飲食品;スポーツドリンクハチミツ飲料、栄養補助飲料乳酸菌飲料コーヒー飲料ココア飲料緑茶紅茶、烏龍茶、清涼飲料、コーラ飲料、果汁飲料、乳飲料ビールテイスト飲料等の嗜好飲料品;生薬やハーブを含む飲料;ワインビールチューハイカクテルドリンク発泡酒果実酒薬味酒、いわゆる「第三のビール」などのその他醸造酒発泡性)またはリキュール(発泡性)などのアルコール飲料類;などが挙げられるが、これらに限定されない。その他嗜好品としては、たばこ、電子タバコなどが挙げられるが、これらに限定されない。

0045

使用可能な香調も特に限定されず、本発明の前記式Aの香料前駆体に含まれる香気化合物またはそれを含有する香料組成物の香気、用途、配合対象などに応じて任意に決定してよい。例えば、バニラ調、シトラス調、フローラル調、フルーティ調、グリーン調、モス調、ハーバル調などに使用することができ、好ましい香調の例として、バニラ調が挙げられるが、これらに限定されない。

0046

以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。

0047

[実施例1]
以下に説明するように、本発明の各種ジエステル化合物(香料前駆体)を合成した。

0048

(1)香料前駆体の合成1:4−ホルミル−2−メトキシフェニルl−メンチルグルタレート
下記式(1)の4−ホルミル−2−メトキシフェニル l−メンチル グルタレートを、下記反応経路(1)に従って合成した。

0049

0050

0051

50mLフラスコにモノ−l−メンチルグルタレート(10.0g,37mmol)を仕込み、40℃に加温して攪拌しつつ、塩化チオニル4.4g(37mmol)を滴下して酸クロリドを得た。次いで、塩化カルシウム管を備えた50mL二口フラスコに、バニリン(4.6g,0.03mol)およびピリジン(10.0g,0.125mol)を仕込み、氷水冷下で撹拌した。ここに前工程で得た酸クロリド(7.4g,0.025mol)のn−ヘキサン(10g)溶液を氷水冷下0.5時間かけて滴下した。氷水冷下で1時間撹拌後、室温下で終夜撹拌した。反応液を氷水に空け、エーテル抽出した。得られるエーテル層希塩酸重層水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧濃縮し、得られた残渣(10.2g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(48mm i.d.×20cm L、n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製し、目的物である4−ホルミル−2−メトキシフェニルl−メンチル グルタレート(8.8g)を得た(収率87%)。得られた化合物の物性値を以下に示す。

0052

4−ホルミル−2−メトキシフェニルl−メンチルグルタレートの物性データ
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δppm
9.93(s,1H),7.47(d,J=2.0Hz,1H),7.44(dd,J=8.0,2.0Hz,1H),7.21(d,J=8.0Hz,1H),4.71(dt,J=11,4.4Hz,1H),3.88(s,3H),2.65(br.t,J=6.8Hz,2H),2.45(br.t,J=8.0Hz,2H),2.00〜1.94(m,1H),1.95(d.sept,J=7,2.8Hz,1H),1.8〜1.7(m,2H),1.68〜1.61(m,2H),1.52〜1.40(m,1H),1.40〜1.32(m,1H),1.06〜0.98(m,1H),0.95(q,J=11Hz,1H),0.89(d,J=7Hz,3H),0.86(d,J=7Hz,3H),0.88〜0.79(m,1H),0.74(d,J=7Hz,3H)
13C−NMR(100MHz、CDCl3):δppm
191.04、172.39、170.44、151.88、144.92、135.19、124.78、123.36、110.71、74.30、56.02、47.00、40.94、34.21、33.39、33.01、31.36、26.28、23.38、22.01、21.75、20.30、16.28
IR(液膜法):2950、2875、1765、1730、1700、1605、1500、1455、1420、1385、1280、1205、1130、1030、720cm−1

0053

(2)香料前駆体の合成2:4−ホルミル−2−メトキシフェニルl−メンチルサクシネート
下記式(2)の4−ホルミル−2−メトキシフェニル l−メンチル サクシネートを、下記反応経路(2)に従って合成した。

0054

0055

0056

Physcool(登録商標)2.94g(11.5mmol)、バニリン1.53g(10.1mmol)および触媒量のN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)をCH2Cl2(7mL)に溶かし、氷冷下、N,N−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)1.89g(15.0mmol)を滴下し、室温で22.5時間撹拌した。無色の沈殿濾別し、酢酸エチルで洗浄後、濾液洗浄液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレーター溶媒を溜去し、残渣(4.70g)を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(48mm i.d.×20cm L,n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製し、目的物である4−ホルミル−2−メトキシフェニルl−メンチルサクシネート(3.79g)を得た(収率97%)。得られた化合物の物性値を以下に示す。

0057

4−ホルミル−2−メトキシフェニルl−メンチルサクシネートの物性データ:
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δppm
9.92(s,1H),7.47(d,J=2.0Hz,1H),7.45(dd,J=8.0,2.0Hz,1H),7.21(d,J=8.0Hz,1H),4.71(dt,J=11,4.4Hz,1H),3.87(s,3H),2.92(br.t,J=6.8Hz,2H)/2.71(br.t,J=6.8Hz,2H)),2.00〜1.94(m,1H),1.84(d.sept,J=7,2.8Hz,1H),1.68〜1.61(m,2H),1.52〜1.40(m,1H),1.40〜1.32(m,1H),1.08〜0.98(m,1H),0.95(q,J=11Hz,1H),0.87(d,J=7Hz,3H),0.85(d,J=7Hz,3H),0.88〜0.79(m,1H),0.72(d,J=7Hz,3H)
13C−NMR(100MHz、CDCl3):δppm
191.01,171.43,169.86,151.88,144.83,135.17,124.72,123.39,110.72,74.74,56.05,46.95,40.82,34.17,31.34,29.34/29.01,26.22,23.37,21.98,20.71,16.26
IR(液膜法):2950、2860、2720、1770、1720、1700、1600、1500、1460、1420、1380、1270、1195、1120、1030、990、980、880、790、740cm−1

0058

(3)香料前駆体の合成3:4−ホルミル−2−メトキシフェニルl−メンチルアジペート
下記式(3)の4−ホルミル−2−メトキシフェニル l−メンチル アジペートを、下記反応経路(3)に従って合成した。

0059

0060

0061

l−メントール2.53g(16.2mmol)、アジピン酸2.37g(16.2mmol)をCH2Cl2(10mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(7g)の混合溶媒に溶かし、氷冷下、N,N−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)3.06g(24.2mmol)を滴下し、室温で24時間撹拌後、さらにN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)0.40g(3.3mmol)を加え、58℃に加熱しながら3.5時間撹拌した。バニリン2.47g(16.2mmol)およびN,N−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)2.04g(16.2mmol)を加え、58℃で7.5時間、室温で62時間撹拌した。ここで反応を停止し、沈殿を濾別し、酢酸エチルで洗浄した。濾液と洗浄液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレーターで溶媒を溜去し、残渣(8.80g)を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(48mm i.d.×34.5cm L、n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製し、目的物である4−ホルミル−2−メトキシフェニルl−メンチルアジペート(1.75g)を得た(収率26%)。得られた化合物の物性値を以下に示す。

0062

4−ホルミル−2−メトキシフェニルl−メンチルアジペートの物性データ:
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δppm
9.90(s,1H),7.45(d,J=1.6Hz,1H),7.44(dd,J=7.6,1.6Hz,1H),7.17(d,J=7.6Hz,1H),4.66(dt,J=11,4.5Hz,1H),3.86(s,3H),2.60(br.t,J=7.0Hz,2H),2.33(br.t,J=6.8Hz,2H),1.98〜1.92(m,1H),1.83(d.sept,J=6.8,2.8Hz,1H),1.8〜1.7(m,4H),1.68〜1.60(m,2H),1.52〜1.39(m,1H),1.37〜1.29(m,1H),1.07〜0.97(m,1H),0.93(q,J=12Hz,1H),0.86(d,J=6.8Hz,3H)/0.85(d,J=6.8Hz,3H),0.87〜0.77(m,1H),0.72(d,J=6.8Hz,3H)
13C−NMR(100MHz、CDCl3):δppm
190.98,172.76,170.65,151.88,144.92,135.10,124.68,123.31,110.68,74.05,55.96,46.93,40.88,34.17,34.17,33.52,31.29,26.21,24.29/24.26,23.32,21.96,20.69,16.22
IR(液膜法):2950、2860、2730、1770、1720、1700、1600、1500、1460、1420、1390、1270、1145、1120、1030、990、910、790、730cm−1

0063

(4)香料前駆体の合成4:4−ホルミル−2−メトキシフェニルl−メンチルセバケート
下記式(4)の4−ホルミル−2−メトキシフェニル l−メンチル セバケートを、下記反応経路(4)に従って合成した。

0064

0065

0066

l−メントール1.61g(10.3mmol)およびバニリン1.57g(10.3mmol)をCH2Cl2(10mL)に溶かし、ピリジン4.07g(51.5mmol)を加え、さらに氷冷下、塩化セバコイル2.62g(11.0mmol)を加え、0℃で20分撹拌後、室温で19時間撹拌した。反応液中に水を加えて沈殿を溶かし、エーテル抽出を行った。有機層を1NHCl水溶液飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレーターで溶媒を溜去し、残渣(4.78g)を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(48mm i.d.×19cm L、n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1〜5:1)にて精製し、5:1で、4−ホルミル−2−メトキシフェニルl−メンチルセバケート(1.20g)を得た(収率25%)。得られた化合物の物性値を以下に示す。

0067

4−ホルミル−2−メトキシフェニルl−メンチルセバケートの物性データ:
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δppm
9.93(s,1H),7.47(d,J=1.7Hz,1H),7.45(dd,J=7.6,1.7Hz,1H),7.19(d,J=7.6Hz,1H),4.65(dt,J=11,4.7Hz,1H),3.87(s,3H),2.58(br.t,J=7.6Hz,2H),2.26(br.t,J=7.6Hz,2H),1.99〜1.93(m,1H),1.84(d.sept,J=6.8,2.8Hz,1H),1.74(br.quint,J=7.7Hz,2H),1.7〜1.6(m,2H),1.60〜1.55(m,2H),1.5〜1.35(m,2H),1.35〜1.3(m,8H),1.08〜0.97(m,1H),0.93(q,J=12Hz,1H),0.88(d,J=6.8Hz,3H),0.87(d,J=6.8Hz,3H),0.9〜0.79(m,1H),0.73(d,J=6.8Hz,3H)
13C−NMR(100MHz、CDCl3):δppm
191.08,173.40,171.18,151.98,145.07,135.10,124.80,123.42,110.71,73.88,56.04,47.00,40.95,34.71,34.25,33.95,31.36,29.10/29.08/29.05/28.94,26.22,25.08/24.87,23.37,22.02,20.77,16.27

0068

(5)香料前駆体の合成5:l−メンチルテトラヒドロリナリルグルタレート
下記式(5)のl−メンチル テトラヒドロリナリル グルタレートを、下記反応経路(5)に従って合成した。

0069

0070

0071

モノ−l−メンチルグルタレート2.70g(9.99mmol)を塩化メチレン(6.5mL)に溶かし、テトラヒドロリナロール1.58g(9.98mmol)及びN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)0.15g(1.2mmol)を加え、氷冷下、N,N−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)1.89g(15.0mmol)を滴下し、35℃の湯浴上で6時間、さらに室温で63.5時間撹拌した。この時点で反応を停止し、沈殿を濾別し、酢酸エチルで洗浄した。濾液と洗浄液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレーターで溶媒を溜去し、残渣(5.12g)を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(48mm i.d.×19.5cm L、n−ヘキサン:酢酸エチル=25:1)にて精製し、l−メンチル テトラヒドロリナリルグルタレート(2.02g)を得た(収率49%)。得られた化合物の物性値を以下に示す。

0072

l−メンチルテトラヒドロリナリルグルタレートの物性データ
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δppm
4.64(dt,J=11,4.4Hz,1H),2.29(br.t,J=7.2Hz,2H),2.24(t,J=7.2Hz),1.96〜1.90(m,1H),1.86(br.quint,J=7.2Hz),1.85〜1.75(m,1H),1.85〜1.65(m,2H),1.8〜1.6(m,2H),1.66〜1.58(m,2H),1.52〜1.37(m,2H),1.35〜1.3(m,1H),1.33(s,3H),1.24〜1.16(m,2H),1.13〜1.08(m,2H),1.06〜0.95(m,1H),0.91(br.q,J=11Hz,1H),0.86〜0.80(m,16H),0.70(d,J=6.8Hz,3H)
13C−NMR(100MHz、CDCl3):δppm
172.54,172.07,85.23,74.04,46.91,40.86,39.16,37.94,34.47,34.19,33.73,31.30,30.82,27.73,26.17,23.31,23.28,22.54/22.54,21.96,21.27,20.71,20.52,16.20,7.94
IR(液膜法):2950、2865、1730、1460、1420、1320、1240、1180、1135、1020、980cm−1

0073

(6)香料前駆体の合成6:cis−3−ヘキセニルl−メンチルグルタレート
下記式(6)のcis−3−ヘキセニル l−メンチル グルタレートを、下記反応経路(6)に従って合成した。

0074

0075

0076

モノ−l−メンチルグルタレート2.70g(9.99mmol)を塩化メチレン(6.5mL)に溶かし、cis−3−ヘキセノール1.00g(9.98mmol)および触媒量のN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)を加え、氷冷下、N,N−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)1.89g(15.0mmol)を滴下し、0℃で40分、さらに室温で17.5時間撹拌した。沈殿を濾別し、酢酸エチルで洗浄した。濾液と洗浄液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレーターで溶媒を溜去し、残渣(3.92g)を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(48mm i.d.×16cm L、n−ヘキサン:酢酸エチル=25:1)にて精製し、cis−3−ヘキセニルl−メンチル グルタレート(3.31g)を得た(収率94%)。得られた化合物の物性値を以下に示す。

0077

cis−3−ヘキセニルl−メンチルグルタレートの物性データ:
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δppm
5.50〜5.43(m,1H),5.30〜5.24(m,1H),4.65(dt,J=11,4.4Hz,1H),4.04(t,J=6.8Hz,2H),2.36〜2.29(m,6H),2.02(br.quint,J=7.6Hz,2H),1.96〜1.9(m,1H),1.89(br.quint,J=7.2Hz,2H),1.81(d.sept,J=6.8,2.8Hz,1H),1.67〜1.60(m,2H),1.51〜1.38(m,1H),1.36〜1.29(m,1H),1.07〜0.95(m,1H),1.0〜0.9(m,1H),0.93(t,J=7.6Hz,3H),0.86(t,J=6.8Hz,3H)/0.85(t,J=6.8Hz,3H),0.9〜0.77(m,1H),0.71(d,J=6.8Hz,3H)
13C−NMR(100MHz、CDCl3):δppm
172.93,172.44,134.52,123.61,74.12,63.88,46.92,40.87,34.19,33.63/33.27,31.32,29.67,26.21,23.34,21.97,20.71,20.55/20.25,16.23,14.19
IR(液膜法):3010、2955、2925、2870、1735、1460、1420、1385、1365、1305、1240、1175、1140、1060、1135、1015、980cm−1

0078

(7)香料前駆体の合成7:l−メンチル4−(3−オキソブチル)フェニルグルタレート
下記式(7)のl−メンチル 4−(3−オキソブチル)フェニル グルタレートを、下記反応経路(7)に従って合成した。

0079

0080

0081

モノ−l−メンチルグルタレート2.70g(9.99mmol)を塩化メチレン(7.5mL)に溶かし、ラズベリーケトン1.64g(9.99mmol)および触媒量のN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)を加え、氷冷下、N,N−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)1.89g(15.0mmol)を滴下し、室温で21時間撹拌した。沈殿を濾別し、酢酸エチルで洗浄した。濾液と洗浄液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレーターで溶媒を溜去し、残渣(4.34g)を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(48mm i.d.×17cm L、n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1〜5:1)にて精製し、l−メンチル 4−(3−オキソブチル)フェニルグルタレート(3.95g)を得た(収率95%)。得られた化合物の物性値を以下に示す。

0082

l−メンチル4−(3−オキソブチル)フェニルグルタレートの物性データ:
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δppm
7.16(br.d,J=8.8Hz,2H),6.96(br.d,J=8.8Hz,2H),4.68(dt,J=11,4.4Hz,1H),2.86(t,J=7.4Hz,2H),2.72(t,J=7.4Hz,2H),2.59(t,J=7.4Hz,2H),2.41(br.t,J=7.4Hz,2H),2.12(s,3H),2.04(br.quint,J=7.4Hz,2H),1.98〜1.94(m,1H),1.84(d.sept,J=6.8,2.8Hz,1H),1.69〜1.62(m,2H),1.53〜1.40(m,1H),1.39〜1.32(m,1H),1.09〜0.98(m,1H),0.95(br.q,J=11Hz,1H),0.88(t,J=6.8Hz,3H)/0.86(t,J=6.8Hz,3H),0.9〜0.79(m,1H),0.74(d,J=6.8Hz,3H)
13C−NMR(100MHz、CDCl3):δppm
207.67,172.37,172.40,148.84,138.55,129.24,129.24,121.44,121.44,74.28,46.95,45.06,40.89,34.19,33.49/33.30,31.34,30.07,28.98,26.26,23.36,21.99,20.73,20.12,16.27
IR(KB錠剤法):2950、2895,2860、1750、1725、1710、1510、1450、1420、1380、1370、1320、1295、1230、1210、1190、1165、1140、1020、970

0083

(8)香料前駆体の合成8:オイゲニルl−メンチルグルタレート
下記式(8)のオイゲニル l−メンチル グルタレートを、下記反応経路(8)に従って合成した。

0084

0085

0086

モノ−l−メンチルグルタレート2.72g(10.1mmol)をCH2Cl2(6.5mL)に溶かし、オイゲノール1.66g(10.1mmol)および触媒量のN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)を加え、氷冷下、N,N−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)1.91g(15.1mmol)を滴下し、室温で20時間撹拌した。沈殿を濾別し、酢酸エチルで洗浄した。濾液と洗浄液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレーターで溶媒を溜去し、残渣(4.78g)を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(48mm i.d.×18.5cm L、n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)にて精製し、精製物(3.95g)を得た。これに対し、再度シリカゲルカラムクロマトグラフィー(33mm i.d.×37cm L、トルエンアセトン=50:1〜5:1)にて精製し、オイゲニルl−メンチル グルタレート(3.34g)を得た(収率80%)。得られた化合物の物性値を以下に示す。

0087

オイゲニルl−メンチルグルタレートの物性データ:
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δppm
6.91(d,J=8.0Hz,1H),6.76(d,J=2.0Hz,1H),6.73(dd,J=8.0,2.0Hz,1H),5.93(ddt,J=17,10,6.8Hz,1H),5.11〜5.04(m,2H),4.68(dt,J=11,4.4Hz,1H),3.78(s,3H),3.35(br.d,J=6.8Hz,2H),2.61(t,J=7.2Hz,2H),2.44(br.t,J=7.2Hz,2H),2.06(br.quint,J=7.2Hz,2H),2.00〜1.95(m,1H),1.85(d.sept,J=6.8,2.8Hz,1H),1.69〜1.62(m,2H),1.53〜1.41(m,1H),1.39〜1.32(m,1H),1.09〜0.98(m,1H),0.95(br.q,J=11Hz,1H),0.9〜0.79(m,1H),0.88(t,J=6.4Hz,3H),0.87(t,J=6.8Hz,3H),0.74(d,J=6.8Hz,3H)
13C−NMR(100MHz、CDCl3):δppm
172.41,171.11,150.68,138.84,137.83,136.94,122.34,120.54,116.04,112.54,74.07,55.60,46.92,40.85,39.98,34.15,33.40,32.97,31.28,26.17,23.30,21.94,20.68,20.36,16.20
IR(液膜法):2980、2950、2865、1760、1730、1640、1605、1510、1455、1420、1370、1200、1130、1035、980、915cm−1

0088

(9)香料前駆体の合成9:シクロヘキシル4−ホルミル−2−メトキシフェニルグルタレート
下記式(9)のシクロヘキシル 4−ホルミル−2−メトキシフェニル グルタレートを、下記反応経路(9)−1〜2に従って合成した。

0089

0090

0091

シクロヘキサノール10.27g(102.5mmol)をトルエン(22g)に溶かし、95℃に加熱した。そこに、グルタル酸無水物12.84g(112.5mmol)及びp−トルエンスルホン酸一水和物(p−TsOH・H2O)0.20g(1.1mmol)をトルエン(50g)−ジメチルエーテル(7mL)の混合溶媒に溶かした溶液を30分かけて滴下し、95℃で5.5時間加熱を続け、さらに室温で13.5時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、有機層を飽和NaHCO3水溶液、飽和食塩水で洗浄した。全ての有機層を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレーターで溶媒を溜去し、残渣(23.09g)を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(47mm i.d. x 45cm L,n−ヘキサン−酢酸エチル=3:1〜2:1)にて精製し、17.59gを得た(収率80%)。このものを次の反応経路(9)−2の出発物質とした。

0092

0093

次いで、反応経路(9)−2の出発物質3.00g(14.0mmol)、バニリン2.13g(14.0mmol)、DMAP(触媒量)をジクロロメタン(3〜4mL)に溶かし、氷冷下、DIC2.65g(21.0mmol)を滴下し、2℃で10分撹拌後、室温で18時間撹拌した。沈殿を濾別し、酢酸エチルでよく洗浄した。濾液と洗浄液を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレーターで溶媒を溜去し、残渣(5.48g)を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(47mm i.d.x26cm L,n−ヘキサン−酢酸エチル=15:1〜4:1)にて精製し、シクロヘキシル4−ホルミル−2−メトキシフェニルグルタレート(4.55g)を得た(収率93%)。得られた化合物の物性値を以下に示す。

0094

シクロヘキシル4−ホルミル−2−メトキシフェニルグルタレートの物性データ:
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δppm
9.90(s,1H),7.45(d,J=1.6Hz,1H),7.43(dd,J=8.0,1.6Hz,1H),7.17(d,J=8.0Hz,1H),4.75(tt,J=8.8,4.3Hz,1H),3.85(s,3H),2.65(t,J=7.4Hz,2H),2.43(t,J=7.4Hz,2H),2.05(br.quint,J=7.4Hz,2H),1.85〜1.79(m,2H),1.73〜1.65(m,2H),1.54〜1.46(m,1H),1.43〜1.28(m,4H),1.26〜1.17(m,1H)
13C−NMR(100MHz、CDCl3):δppm
190.97,172.19,170.39,151.81,144.85,135.11,124.67,123.29,110.67,72.67,55.95,33.36,32.92,31.57/31.57,25.27,23.65/23.65,20.19
IR(液膜法):2938、2855、2720、1760、1725、1700、1600、1500、1450、1420、1380、1270、1120、1030、910、870、830、780、735cm−1

0095

[実施例2] 本発明の香料前駆体の残香性
本実施例では、各種香料前駆体の残香性について試験を行った。まず、市販の無香料の柔軟剤を基材として用意し、この柔軟剤基材に、実施例1で合成した各香料前駆体のうちフェノール性水酸基を有するもの、または当該香料前駆体を構成する香気化合物単体(すなわち、式AのR−OHで表される分子)を、当該基材の全質量に対しその量が1%となるように配合した。次いで、この柔軟剤0.5gを1.5Lの水(20℃)に溶かし(3000倍希釈)、そこに木綿100%のタオルを浸漬させ、20回手で攪拌したのち、10分間放置した。次いで、タオルの水気を手で搾り、日光の当たる室内で吊り下げた。この際、タオルは、24時間吊り下げた状態で放置する群と、50〜60℃の熱風を30分間当てる群とに分けた。

0096

このようにして得られた各タオルから感じられる香気について官能評価を行った。官能評価では、4〜7名の訓練された調香師がタオルの香気を嗅ぎ、香気の強度について、香気化合物単体の場合の香気強度を1点として、香気化合物単体と比べた香気の強さについて以下の基準で点数づけを行った。
1点:同等に感じられる
2点:わずかに強く感じられる
3点:強く感じられる
4点:明らかに強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
以上の平均的な結果を下記表2に示す。表2において、「室内」とは上述の日光の当たる室内で24時間放置したタオルの場合、「熱」とは50〜60℃の熱風を30分間当てたタオルの場合を示す。

0097

0098

表2に示すように、本発明の香料前駆体はいずれも、香気化合物単体よりも高い残香性を示すことが確認された。なお、いずれの例においても、メントール様またはシクロヘキサノール様の香りは感じられなかった。

0099

以上に示すように、本発明品の香料前駆体は、香気化合物単体に比べて、香気化合物の徐放によって優れた残香性を示すものであった。従って、本発明のようにシクロヘキサノール誘導体を採用することで、優れた残香性を与え得ることが確認された。

0100

[実施例3]香気の持続性確認(分析評価
本発明の香料前駆体の残香性の優位性について、以下のように成分分析を行って確認した。

0101

(1)分析用タオルの調製
実施例1(1)で得られた本発明の香料前駆体である4−ホルミル−2−メトキシフェニルl−メンチルグルタレートを、実施例2に記載の柔軟剤基材に、当該柔軟剤基材全量に対して1質量%の濃度となるよう配合した。また、同様にしてバニリン単体も当該柔軟剤基材全量に対して1質量%の濃度となるように配合した。このようにして、以下の柔軟剤AおよびBを調製した。
柔軟剤A:本発明の香料前駆体(4−ホルミル−2−メトキシフェニル l−メンチル グルタレート(以下MVGとも称する))を配合した柔軟剤
柔軟剤B:バニリン単体を配合した柔軟剤
そして、実施例2と同様にして浸漬および熱風処理(50〜60℃の熱風を30分間当てる)を行い、以下のタオルサンプルAおよびBを調整した。
タオルサンプルA:柔軟剤A(MVG1%含有)を用いたタオル(本発明品)
タオルサンプルB:柔軟剤B(バニリン単体1%含有)を用いたタオル(比較品
(2)分析および結果
タオルサンプルAおよびBに残存する各化合物の定量を行った。以下に、分析用サンプル液を調製した際の手順を示す。

0102

サンプル液調製手順
1)サンプルタオルA、Bをはさみで8等分に切断した
2)1L容オープンカラムに、切断したタオルを4つ折りにして充填した
3)テトラヒドロフラン(THF)(500mL)をカラム仕込んだ
4)1時間静置し、浸漬抽出を行った
5)カラムコック開放し、THFを回収した
6)カラム上からポンプによってタオルを5分加圧して、タオルに浸漬して5)で回収できなかったTHFを絞り出し、回収した
7)5)と6)で回収したTHFを合わせ、回収液1とした
8)上記操作(3〜5)をさらに2回繰り返し、回収液2および回収液3を得た
9)回収液1〜3を合わせて分析用回収液とした
得られた分析用回収液を、以下の分析に供した。

0103

HPLC−PDA法による各化合物の測定]
標準液調製
メスフラスコに、4−ホルミル−2−メトキシフェニルl−メンチルグルタレート(MVG)およびバニリンを精密に量りとり、50%テトラヒドロフラン(THF)水溶液メスアップした後にさらに50%THFで適宜精密に希釈し、標準液を調製した。
HPLC測定試料調製
タオルを抽出したTHF溶液を適宜メスフラスコに精密に量りとり、50%THFでメスアップした後、ポリテトラフルオロエチレンPTFE)メンブランフィルタラボラボカンパニー社、孔径0.45μm)処理を行った。この調製液HPLC分析に供した。
HPLC−PDA測定条件
機種:SHIMADZUPROMNENCE(島津製作所)
カラム:LunaOmega C18(Phenomenex社製)
内径2.1mm×長さ150mm、粒子径1.6μm
カラム温度:40℃
移動相:A液…水:リン酸=1000:1、B液…アセトニトリル:リン酸=1000:1
グラジェント条件:(A):(B)=90:10(0分),10:90(12分)〜10:90(18分)
流速:0.45mL/min
注入量 :2μL
測定時間 :25分
検出器:PDA(MVGの検出波長:260nm、バニリンの検出波長300nm)
得られた分析結果から、タオルへの吸着率および徐放バニリン量を算出した。その結果を、図1〜2を参照しつつ以下に説明する。

0104

(i)タオルへの吸着率
図1は、タオルへのMVG(本発明の香料前駆体)またはバニリンの吸着率を示す図である。当該吸着率は、以下の式にて算出した。

0105

タオルへの吸着率(%)=(A)/(B)×100
(A)タオルに吸着した香料前駆体量+バニリン量をそれぞれモル換算した値の合計
(B)5mg(柔軟剤使用量×1%(配合率))/香料前駆体の分子量(香料前駆体の添加モル数
なお、それぞれの値は回収液1〜3における量を合計したものであり、それぞれの回収液での量は、HPLCで測定した化合物の濃度に回収液の重さを乗じて計算したものである。また、本発明の香料前駆体(MVG)がタオルに吸着した後、タオルの乾燥中に分解してバニリンを徐放するとして、タオルから検出されたバニリンも、室内放置前にタオルに吸着された前駆体内に存在していたものであるとみなして、上記式で計上した。

0106

図1に示すように、シクロヘキサン構造を有する本発明の香料前駆体は、バニリン単体よりもタオルに吸着されやすいことが確認された。すなわち、シクロヘキサン構造が、物品への吸着率を向上させる効果がある可能性が考えられた。なお、バニリンの吸着率が低いことについては、バニリンは水溶性が比較的高いため、柔軟剤基材にそのまま配合するだけではタオルに残存し難いためと考えられる。

0107

(ii)徐放バニリン量
図2は、徐放バニリン量を示す図である。徐放バニリン量とは、前記回収液1〜3に含まれていたバニリン量の合計(mg)、すなわち、タオルに吸着していた本発明の香料前駆体(MVG)から放出され、タオルに吸着していたバニリン量(本発明品)、またはバニリン自体のタオル吸着量(比較品)とし、タオルから放出され得るバニリン量と見なすことができ、残香性の指標とすることができる。

0108

なお、それぞれの値は、回収液1〜3における量を合計したものであり、それぞれの回収液での量は、HPLCで測定した化合物の濃度に回収液の重量を乗じて計算したものである。

0109

図2に示すように、本発明の香料前駆体(MVG)は、バニリン単体よりも徐放バニリン量が格段に高いことが確認された。

実施例

0110

以上に示すように、本発明の香料前駆体が優れた残香性を示すことが、実施例2の官能評価だけではなく、分析値からも確認された。本発明の香料前駆体は、物品への優れた吸着性、優れた放出率などによって顕著に優れた残香性を獲得したものと考えられる。

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