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技術 編地製造方法、生地製造方法、及び縫製品製造方法

出願人 株式会社近藤紡績所
発明者 川上正敏渡井芳明神田匡祐清水勇希
出願日 2018年11月19日 (2年7ヶ月経過) 出願番号 2018-216662
公開日 2020年6月4日 (1年1ヶ月経過) 公開番号 2020-084344
状態 特許登録済
技術分野 編地 編機 糸;糸またはロープの機械的な仕上げ
主要キーワード 後側ローラ 前側ローラ ネックウォーマー 掴み具 アームカバー ファスニング せん断荷重 接結点
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

手触りが柔らかく、軽量な編地を実現可能な、編地製造方法を提供する。

解決手段

編地製造方法は、可溶性ポリマーからなる線状のコア部材CPの周囲に繊維束FBを配置し、所定の第1方向へ旋回する空気流を用いて、繊維束FBに仮撚りをかけつつ、前記第1方向とは反対の第2方向へ旋回する空気流を用いて、前記仮撚りがかけられた繊維束FBの外周面に、オープンエンドファイバーOFを付着させ、繊維束FBにかけられた仮撚りを戻して無撚糸Y0を製造しながら、前記製造された無撚糸Y0を用いて編地K1を製造する工程を含む。

概要

背景

従えば、下記特許文献1に記載されているように、複数枚編地を重ねて生地を製造する方法は知られている。このようにして製造された生地は、前記重ねられた編地と編地との間に空気の層を有する。これにより、前記生地は、優れた保温性と柔らかい風合いを持つ。これらの生地は、例えば、寝具に用いられている。

概要

手触りが柔らかく、軽量な編地を実現可能な、編地製造方法を提供する。 編地製造方法は、可溶性ポリマーからなる線状のコア部材CPの周囲に繊維束FBを配置し、所定の第1方向へ旋回する空気流を用いて、繊維束FBに仮撚りをかけつつ、前記第1方向とは反対の第2方向へ旋回する空気流を用いて、前記仮撚りがかけられた繊維束FBの外周面に、オープンエンドファイバーOFを付着させ、繊維束FBにかけられた仮撚りを戻して無撚糸Y0を製造しながら、前記製造された無撚糸Y0を用いて編地K1を製造する工程を含む。

目的

本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、手触りが柔らかく、軽量な編地を実現可能な、編地製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

可溶性ポリマーからなる線状のコア部材の周囲に繊維束を配置し、所定の第1方向へ旋回する空気流を用いて、前記繊維束に仮撚りをかけつつ、前記第1方向とは反対の第2方向へ旋回する空気流を用いて、前記仮撚りがかけられた繊維束の外周面に、オープンエンドファイバーを付着させ、前記繊維束にかけられた仮撚りを戻して無撚糸を製造しながら、前記製造された無撚糸を用いて編地を製造する工程を含む、編地製造方法。

請求項2

請求項1に記載の編地製造方法において、前記編地を構成する前記無撚糸のコア部材を溶解させる工程を含む、編地製造方法。

請求項3

可溶性ポリマーからなる線状のコア部材の周囲に繊維束を配置し、所定の第1方向へ旋回する空気流を用いて、前記繊維束に仮撚りをかけつつ、前記第1方向とは反対の第2方向へ旋回する空気流を用いて、前記仮撚りがかけられた繊維束の外周面に、オープンエンドファイバーを付着させ、前記繊維束にかけられた仮撚りを戻して無撚糸を製造しながら、前記製造された無撚糸を用いて編地を製造する工程と、前記編地を構成する前記無撚糸のコア部材を溶解させて除去する工程と、前記コア部材が除去された編地を重ね合わせる工程と、を含む、生地製造方法。

請求項4

可溶性ポリマーからなる線状のコア部材の周囲に繊維束を配置し、所定の第1方向へ旋回する空気流を用いて、前記繊維束に仮撚りをかけつつ、前記第1方向とは反対の第2方向へ旋回する空気流を用いて、前記仮撚りがかけられた繊維束の外周面に、オープンエンドファイバーを付着させ、前記繊維束にかけられた仮撚りを戻して無撚糸を製造しながら、前記製造された無撚糸を用いて編地を製造する工程と、前記編地を構成する前記無撚糸のコア部材を溶解させて除去する工程と、前記コア部材が除去された編地を重ね合わせて生地を製造する工程と、前記生地を縫製する工程と、を含む、縫製品製造方法

技術分野

0001

本発明は、編地を製造する方法、前記編地を用いて生地を製造する方法、及び前記生地を用いて縫製品を製造する方法に関する。

背景技術

0002

従えば、下記特許文献1に記載されているように、複数枚の編地を重ねて生地を製造する方法は知られている。このようにして製造された生地は、前記重ねられた編地と編地との間に空気の層を有する。これにより、前記生地は、優れた保温性と柔らかい風合いを持つ。これらの生地は、例えば、寝具に用いられている。

先行技術

0003

特開昭60−65154号公報

0004

一般に、例えばリング精紡機を用いて製造された実撚りを有する糸の繊維間の空隙に比べて、無撚糸の繊維間の空隙が大きい。そのため、無撚糸を用いて編地を編成すれば、手触りが柔らかく、軽量な編地を製造できる。しかし、無撚糸単体では、その強度が低い。特に綿などの天然繊維を用いて製造された無撚糸の強度を、編成に耐え得る程度に高く保つことは困難である。

0005

また、特許文献1の生地においては、2枚の編地の複数箇所同士が接結されている。これにより、生地としての構造(多重構造)が保持される。しかし、接結点を持った生地を用いて製造された縫製品においては、洗濯によって生地が収縮した際に、生地にねじれしわが生じ易い。

0006

本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、手触りが柔らかく、軽量な編地を実現可能な、編地製造方法を提供することにある。また、本発明の目的は、軽量でボリュームがあり、保温性に優れ、柔らかい風合いを持ち、且つ収縮によるねじれ及びしわの発生を抑えた生地を実現可能な生地製造方法及び縫製品製造方法を提供することにある。

0007

上記目的を達成するため、本発明の編地製造方法は、可溶性ポリマーからなる線状のコア部材(CP)の周囲に繊維束(FB)を配置し、所定の第1方向へ旋回する空気流を用いて、前記繊維束に仮撚りをかけつつ、前記第1方向とは反対の第2方向へ旋回する空気流を用いて、前記仮撚りがかけられた繊維束の外周面に、オープンエンドファイバー(OF)を付着させ、前記繊維束にかけられた仮撚りを戻して無撚糸を製造しながら、前記製造された無撚糸を用いて編地(K1)を製造する工程を含む。

0008

また、本発明の一態様は、前記編地を構成する前記無撚糸のコア部材を溶解させる工程を含む。

0009

上記のように、一般に、無撚糸単体の強度は低いが、本発明のように、可溶性ポリマーからなるコア部材を芯材として有する無撚糸を用いれば、編地を編成することができる。そして、編地を編成した後、コア部材を溶解させて除去すれば、編地を構成する繊維間の空隙がさらに大きくなり、編地を構成する無撚糸の見かけ上の太さ(実質番手)が細くなる。つまり、本発明によれば、手触りが柔らかく、軽量な編地を実現可能である。また、無撚糸自体は撚りがないため、一般的なリング精紡機で製造された糸に比べて、その伸縮性が劣る。しかし、本発明の編地製造方法を用いて製造された編地は、無撚糸によって形成されたループの連続によって構成されているため、伸縮性を持つ。つまり、本発明に係る編地は、無撚糸のみで構成されているにもかかわらず、十分な伸縮性を持つ。

0010

また、本発明の生地製造方法は、可溶性ポリマーからなる線状のコア部材の周囲に繊維束を配置し、所定の第1方向へ旋回する空気流を用いて、前記繊維束に仮撚りをかけつつ、前記第1方向とは反対の第2方向へ旋回する空気流を用いて、前記仮撚りがかけられた繊維束の外周面に、オープンエンドファイバーを付着させ、前記繊維束にかけられた仮撚りを戻して無撚糸を製造しながら、前記製造された無撚糸を用いて編地を製造する工程と、前記編地を構成する前記無撚糸のコア部材を溶解させて除去する工程と、前記コア部材が除去された編地を重ね合わせる工程と、を含む。

0011

また、本発明の縫製品製造方法は、可溶性ポリマーからなる線状のコア部材の周囲に繊維束を配置し、所定の第1方向へ旋回する空気流を用いて、前記繊維束に仮撚りをかけつつ、前記第1方向とは反対の第2方向へ旋回する空気流を用いて、前記仮撚りがかけられた繊維束の外周面に、オープンエンドファイバーを付着させ、前記繊維束にかけられた仮撚りを戻して無撚糸を製造しながら、前記製造された無撚糸を用いて編地を製造する工程と、前記編地を構成する前記無撚糸のコア部材を溶解させて除去する工程と、前記コア部材が除去された編地を重ね合わせて生地を製造する工程と、前記生地を縫製する工程と、含む。

0012

上記のように、編地を構成する繊維間の空隙が比較的大きい。そのため、編地を構成する繊維のうちの多くの繊維の一端部が繊維束内に入り込んでいて、他端部が繊維束の外側へ突出している。つまり、編地は、適度な毛羽立ちを有する。このような2枚の編地を重ね合わせることにより、編地の毛羽同士が絡み合う。また、一方の編地の毛羽が、他方の編地を構成する無撚糸であって、隣接する無撚糸の間に入り込んで、前記他方の編地の無撚糸に絡みつく。また、一方の編地の毛羽が、他方の編地を構成する無撚糸の短繊維ステープル)同士の間に入り込んで、前記他方の編地の無撚糸に絡みつく。これにより、編地同士が密着する(ファスニング現象)。2枚の編地を重ね合わせて形成された生地の構造(多重構造)が、このファスニング現象によって保持される。つまり、本発明に係る生地は、2枚の編地を接結する接結点を持たない。よって、本発明に係る生地を用いて製造された縫製品においては、従来の接結点を有する生地(接結天竺など)を用いて製造された縫製品において問題となる、洗濯による生地のねじれやしわが生じ難い。また、2枚の編地が重ね合わせられることにより、一枚の生地としての強度が高くなる。さらに、本他発明に係る生地は、伸縮性を持つため、破れ難い。すなわち、縫製品PDの耐久性が高い。また、2枚の編地K1の間に空気の層が形成されるため、生地C1及び縫製品PDは、保温性に優れる。また、本発明の糸は無撚糸であるため、縫製品の洗濯や着用によって生じる毛玉ピリング)が脱落し易い。そのため、本発明に係る縫製品は、リング糸を用いて製造した生地からなる縫製品に比べてピリング性に優れる。一方、本発明に係る生地及び縫製品を構成する糸は、無撚糸ではあるが、無撚糸の繊維束がオープンエンドファイバーによって部分的に結束されている。そのため、従来の無撚糸に比べて繊維の脱毛が少ない。

図面の簡単な説明

0013

本発明の一実施形態に係る縫製品の正面図である。
編地製造装置の概略図である。
精紡機の概略図である。
編地の表面の拡大写真である。
染色装置の概略図である。
乾燥機の概略図である。
毛羽同士が絡み合う様子を模式的に示す断面図である。
隣接する2つの無撚糸の間に毛羽が入り込んだ様子を模式的に示す断面図である。
無撚糸を構成するステープルの間に毛羽が入り込んだ様子を模式的に示す断面図である。
無撚糸を構成するステープルの間に毛羽が入り込んだ様子を模式的に示す斜視図である。

実施例

0014

以下、一例として、本実施形態に係る縫製品製造方法を用いて、図1に示すような縫製品PDを製造する工程(編成工程、重ね合わせ工程及び縫製工程)について説明する。なお、編成工程が本発明の編地製造方法に対応する。また、編成工程及び重ね合わせ工程からなる一連の工程が本発明の生地製造方法に対応する。また、編成工程、重ね合わせ工程及び縫製工程からなる一連の工程が本発明の縫製品製造方法に対応する。

0015

(編成工程)
編成工程は、編地K1を製造する工程である。編地K1は、図2に示す編地製造装置1を用いて製造される。編地製造装置1は、無撚糸Y0を製造しながら、無撚糸Y0を用いて編地K1を製造する装置である。つまり、編地製造装置1は、精紡と編成を同時に(連続的に)実行する。

0016

つぎに、編地製造装置1の構成について説明する。編地製造装置1は、図2に示すように、精紡機10及び編機20を備える。以下説明するように精紡機10は、無撚糸Y0を製造する装置であり、編機20は、前記無撚糸Y0を用いて編地K1を製造する装置である。

0017

精紡機10は、図3に示すように、フロントローラー11、第1ノズル12、第2ノズル13及びデリベリローラー14を有する。フロントローラー11、第1ノズル12、第2ノズル13及びデリベリローラー14が、この順に、上下方向に並べられている。フロントローラー11が最も下に位置し、デリベリローラー14が最も上に位置する。以下の説明において、水平方向に延び、互いに垂直な2つの方向の一方を左右方向と呼び、他方を前後方向と呼ぶ。

0018

フロントローラー11は、左右方向にそれぞれ延びる円柱状の前側ローラー111及び後側ローラー112を有する。前側ローラー111と後側ローラー112が前後方向に少し離間するように配置されている。前側ローラー111及び後側ローラー112は、それらの中心軸回りに回転可能に支持されている。

0019

第1ノズル12及び第2ノズル13は、上下方向にそれぞれ延びる筒状部材である。第1ノズル12及び第2ノズル13は、それらの内周面に沿って旋回する空気流を発生させる。第1ノズル12の内部の空気の旋回方向と、第2ノズル13の内部の空気の旋回方向とが反対である。第1ノズル12の中心軸と第2ノズル13の中心軸とが上下方向の延びる同一直線上に配置されている。

0020

デリベリローラー14は、左右方向にそれぞれ延びる円柱状の上側ローラー141及び下側ローラー142を有する。上側ローラー141と下側ローラー142が上下方向に少し離間するように配置されている。上側ローラー141及び下側ローラー142は、それらの中心軸回りに回転可能に支持されている。

0021

フロントローラー11の下方から、前側ローラー111と後側ローラー112との間に、原材料としての木綿C0と、水溶性ビニロンからなる糸状のコア部材CPが供給される。フロントローラー11に供給された木綿C0は、フロントローラー11を通過する際に解されるとともに、各繊維の方向が上下方向に延設された状態に揃えられて、上下方向に延びる繊維束FBが形成される。この繊維束FBの中心部にコア部材CPが挿入されている。つまり、コア部材CPは、繊維束FBによって覆われている。

0022

フロントローラー11及びデリベリローラー14が回転駆動されることにより、上記のような、コア部材CPを芯材として有する繊維束FBが、フロントローラー11側からデリベリローラー14側へ送られる。つまり、コア部材CPを芯材として有する繊維束FBが、フロントローラー11から上方へ送り出され、第1ノズル12及び第2ノズル13の中心部を通って、デリベリローラー14に至る。

0023

その際、第2ノズル13の内部に発生された空気流によって、繊維束FBに仮撚りがかけられるとともに、第1ノズル12の内部に発生された空気流によって、前記仮撚りがかけられた繊維束FBの外周面に、オープンエンドファイバーOFが吹き付けられる。なお、オープンエンドファイバーOFは、フロントローラー11によって引き揃えられた繊維のうち、繊維束FBに含まれずに単独で存在している繊維である。上記のようにして、仮撚りがかけられるとともに、その表面にオープンエンドファイバーOFが付着した繊維束FBが、デリベリローラー14から前方へ送り出される。これにより、繊維束FBのうち、デリベリローラー14から送り出された部分の仮撚りが解撚される。その作用により、繊維束FBの表面に付着したオープンエンドファイバーOFが、前記繊維束FBの外周面に、前記仮撚りとは反対方向へ巻きつけられる。このようにして、コア部材CPを芯材として有する無撚糸Y0が製造される。

0024

なお、無撚糸Y0が糸としての形態を保持可能な範囲で、第2ノズル13の空気流の強さ(圧力及び流速)ができるだけ小さく設定される。また、本実施形態のコア部材CPの繊度(tex表示)は、44dtexであり、無撚糸Y0の英式綿番手は、46番手である。

0025

上記のようにして製造された無撚糸Y0がデリベリローラー14から編機20に直接的に供給される。編機20は、周知のシングル丸編機である。編機20のシリンダ径は、30インチであり、ゲージは、28Gである。また、1周糸長が650cm/round程度に設定されている。編機20は、無撚糸Y0を平編みして、編地K1を製造する。

0026

つぎに、編地K1を60℃の温水に30分間浸漬させて、編地K1を構成している無撚糸Y0のコア部材CPを溶解除去する。このときの浴比は、無撚糸Y0の溶解前では、「1:30」〜「1:50」であり、溶解後では、「1:50」〜「1:70」である。このように。コア部材CPが除去されることにより、編地K1を構成する無撚糸Y0の繊維(ステープル)間の空隙が大きくなり、毛羽立ちが大きくなる(図4参照)。また、コア部材CPの重量が失われる。そのため、コア部材CP溶解前には、無撚糸Y0の英式綿番手は、46番手であるが、溶解後には70番手程度である。

0027

つぎに、上記のようにしてコア部材CPを除去した編地K1を、染色機を用いて染色する。コア部材CPが除去された結束力の弱い無撚糸Y0であることに起因して、染色の際、編地K1にしわが発生し易い。すなわち、一般的な染色機においては、編地が駆動ローラーによって、垂直に引き上げられる際、編地の自重により、縦しわが生じ易い。そこで、本実施形態では、図5に示すような、染色機を用いた。この染色機においては、編地K1が駆動ローラーによって横方向(水平方向に)送られる。また、編地K1は、終始、染液に浸っている(染液に浮いている)。そのため、編地K1に自重による負荷がかかり難く、編地K1に縦しわが生じ難い。なお、本実施形態では、編地K1の送り速度を70〜100m/minに設定する。

0028

つぎに、周知の中和処理ソーピング処理及び柔軟処理を実施する。なお、編地K1に適度な毛羽立ちを持たせるために、柔軟処理では5%owfのアニオン柔軟剤を用いることが好ましい。

0029

つぎに、編地K1を乾燥機にて乾燥する。このとき、図6に示す連続タンブラー乾燥機を用い、温度を80℃に設定することで、編地K1の表面の毛羽立ちが増えた。

0030

(重ね合わせ工程)
つぎに、2枚の編地K1を重ね合わせて生地C1を製造する。このとき、一方の編地K1の表面と他方の編地K1の裏面が接するように両者を重ね合わせる。すると、図7に示すように、前記重ね合わせられた編地K1の毛羽同士が絡み合う。また、図8に示すように、一方の編地K1の毛羽が、他方の編地K1を構成する無撚糸Y0であって、隣接する無撚糸Y0の間に入り込んで、前記他方の編地K1の無撚糸Y0に絡みつく。また、図9及び図10に示すように、一方の編地K1の毛羽が、他方の編地K1を構成する無撚糸Y0の短繊維(ステープル)同士の間に入り込んで、前記他方の編地K1の無撚糸Y0に絡みつく。これにより、編地K1同士が密着する。以下、この現象をファスニング現象と呼ぶ。

0031

ここで、生地C1を構成する2枚の編地K1の密着力に関する測定結果を示す。まず、生地C1の比較例として、リング紡績機を用いて、編地K2を製造した。編地K2を製造する際、編地K2の平米目付が、編地K1の平米目付(69g/m2)に略一致するように、英式綿番手が80番手である糸(通常の実撚りを有する糸)を平編みした(表1参照)。

0032

編地の密着性(密着力)を定量的に測定する手法は現在制定されていない。そこで、「JIS L3416面ファスナー」の接着強度測定方法を参考に、編地K1を重ね合わせた生地C1、及び編地K2を重ね合わせた生地C2の引張せん断強さ剥離強さを測定した。

0033

(引っ張りせん断強度の測定方法)
生地C1及び生地C2から、コース方向に延びる7枚の試験片と、ウェール方向に延びる7枚の試験片をそれぞれ採取した。各試験片のサイズは、10cm×2.5cmである。つぎに、各試験片を構成する2枚の編地を一旦分離し、それらを長手方向にずらして配置して重ね合わせる。その際、重ね合わせられた部分の長さが5cmになるように、両者を配置する。つぎに、前記重ね合わせられた部分に、ローラーを載置し、前記ローラーを、前記重ね合わせられた部分の一端から他端に亘り2往復させる。なお、前記ローラーの幅は、各試験片の有効幅と同等又はそれ以上である。また、ローラーの重量は、2.5kgである。

0034

つぎに、試験片の一方の編地の端部(重ね合わせられた部分とは反対側の端部)を引張試験機の上側掴み具に装着し、他方の編地の端部(重ね合わせられた部分とは反対側の端部)を引張試験機の下側掴み具に装着して引っ張り試験を実施した。引張速度は、30cm/minである。各試験片を構成する編地が分離に至るまでの最大引せん断荷重Sを測定した。そして、次の式(1)によって単位面積当たりの引張せん断強さF1を算出した。コース方向に延びる7枚の試験片のうち、引張せん断強さF1が最大である試験片と最小である試験片を除く5枚の試験片の平均値を算出した。また、ウェール方向に延びる7枚の試験片のうち、引張せん断強さF1が最大である試験片と最小である試験片を除く5枚の試験片の引張せん断強さF1の平均値を算出した。

0035

剥離強度の測定方法)
生地C1及び生地C2から、コース方向に延びる7枚の試験片と、ウェール方向に延びる7枚の試験片をそれぞれ採取した。各試験片のサイズは、10cm×2.5cmである。つぎに、各試験片を構成する2枚の編地を一旦分離し、それらを長手方向にずれないように配置する。そして、両編地の長手方向における中央部から一端に亘る部分を重ね合わせる。つまり、重ね合わせられた部分の長さは5cmである。両編地の長手方向における中央部から他端に亘る部分は離間している。つぎに、前記重ね合わせられた部分に、ローラーを載置し、前記ローラーを、前記重ね合わせられた部分の一端から他端に亘り2往復させる。なお、前記ローラーの幅は、各試験片の有効幅と同等又はそれ以上である。また、ローラーの重量は、2.5kgである。

0036

つぎに、試験片の一方の編地の他端部(重ね合わせられた部分とは反対側の端部)を引張試験機の上側掴み具に装着し、他方の編地の他端部(重ね合わせられた部分とは反対側の端部)を引張試験機の下側掴み具に装着して引っ張り試験を実施した。引張速度は、30cm/minである。このようにして、各試験片を構成する編地を剥離した。剥離荷重を次のようにして計算した。剥離の過程の引っ張り荷重極大値のうち、上位の6個を採用する。また、剥離の過程の引っ張り荷重(剥離荷重)の極小値のうち、下位の6個を採用した。つぎに、計12個の剥離荷重の平均値Pを計算した。そして、次の式(2)を用いて、幅1cm当たりの剥離強さF2を算出した。そして、コース方向に延びる7枚の試験片のうち、剥離強さF2が最大である試験片と最小である試験片を除く5枚の試験片の剥離強さF2の平均値を算出した。また、ウェール方向に延びる7枚の試験片のうち、剥離強さF2が最大である試験片と最小である試験片を除く5枚の試験片の剥離強さF2の平均値を算出した。

0037

上記の引張せん断強さと剥離強さの測定結果を表2に示す。なお、生地C2の剥離強度試験では、生地C2の密着度が低く、剥離を示す極大値が得られなかったため、剥離荷重を測定できなかった。一方、生地C1の測定結果より、せん断強さ、剥離強さ共に、生地C2に比べて大きい値を示している。すなわち、生地C1では、図7乃至図10を用いて説明したファスニング現象による比較的大きな密着力が得られた。

0038

(縫製工程)
最後に、上記のようにして製造された生地C1を適宜裁断し、縫製して縫製品PDを製造する。

0039

上記のように、一般に、無撚糸単体では、その強度が低い。特に綿などの天然繊維を用いて製造された無撚糸の強度を、編成に耐え得る程度に高く保つことは困難である。そこで、本実施形態のように、水溶性ポリマーからなるコア部材CPを芯材として有する無撚糸Y0を用いることで、編地K1を編成することができる。その後、コア部材CPを溶解させて除去すれば、編地K1を構成する繊維間の空隙がより大きくなり、編地K1を構成する無撚糸Y0の見かけ上の太さ(実質番手)が細くなる。これにより、手触りが柔らかく、軽量であり、且つ適度な毛羽立ちを有する編地K1が得られる。また、無撚糸Y0自体は撚りがないため、一般的なリング精紡機で製造された糸に比べて、その伸縮性が劣る。しかし、編地K1は、無撚糸Y0によって形成されたループの連続によって構成されているため、伸縮性を持つ。従って、編地K1は、無撚糸Y0のみで構成されているにもかかわらず、十分な伸縮性を持つ。

0040

さらに、2枚の編地K1を重ね合わせることにより、ファスニング現象を生じさせ、両編地K1を密着させることができる。このファスニング現象によって生地C1の構造(多重構造)が保持される。つまり、生地C1は、2枚の編地K1を接結する接結点を持たない。よって、生地C1を用いて製造された縫製品PDにおいては、従来の接結点を有する生地(接結天竺など)を用いて製造された縫製品において問題となる、洗濯による生地のねじれやしわが生じ難い。また、2枚の編地K1が重ね合わせられることにより、一枚の生地C1としての強度が高くなる。さらに、生地C1は、伸縮性を持つため、破れ難い。よって、縫製品PDの耐久性が高い。また、2枚の編地K1の間に空気の層が形成されるため、生地C1及び縫製品PDは、保温性に優れる。また、縫製品PDは、無撚糸Y0からなるため、縫製品PDの洗濯や着用によって生じる毛玉(ピリング)が脱落し易い。そのため、縫製品PDは、リング糸を用いて製造した生地からなる縫製品に比べてピリング性に優れる。一方、無撚糸Y0の繊維束FBがオープンエンドファイバーOFによって部分的に結束されている。そのため、従来の無撚糸に比べて繊維の脱毛が少ない。

0041

さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。

0042

上記のように、生地C1の特性として、薄く軽量で、かつボリュームがあり、保温性に優れ、柔らかく風合いに優れ、洗濯後の収縮やねじれ、シワが少なく、適度な伸縮性を持つことが挙げられる。これらの特性を活かして、生地C1は、例えば、パジャマガウンベッドシーツなどの寝具類肌着Tシャツブランケット手袋ネックウォーマーアームカバースポーツ衣類、その他の衣料用クッションカバーなどの内装材、その他の工業資材などの広範な用途に使用することができる。

0043

また、例えば、コア部材CPの繊度は、上記実施形態に限られない。ただし、コア部材CPの繊度(tex表示)は、30dtex〜50dtexであることが好ましい。また、無撚糸Y0の英式綿番手は、上記実施形態に限られない。ただし、無撚糸Y0の英式綿番手は、30番手〜70番手であることが好ましい。また、コア部材CPは、水溶性ビニロンに限られず、他の可溶性材料から構成されていてもよい。例えば、コア部材CPは、水溶性ポリエステルから構成されていてもよい。

0044

1・・・編地製造装置、10・・・精紡機、11・・・フロントローラー、12・・・第1ノズル、13・・・第2ノズル、14・・・デリベリローラー、20・・・編機、111・・・前側ローラー、112・・・後側ローラー、141・・・上側ローラー、142・・・下側ローラー、C1・・・生地、CP・・・コア部材、Y0・・・無撚糸、FB・・・繊維束、K1・・・編地、OF・・・オープンエンドファイバー、PD・・・縫製品

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