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技術 電力供給システム、供給電力管理装置、及び供給電力管理方法

出願人 株式会社日立製作所
発明者 木村祥太宮内努高橋弘隆
出願日 2018年11月22日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-219749
公開日 2020年6月4日 (8ヶ月経過) 公開番号 2020-083013
状態 未査定
技術分野 電車への給配電
主要キーワード 等価電源 補助対象 漏れコンダクタンス シリコン整流器 計測端子 各設定電圧 複数編成 電車電流
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図面 (20)

課題

施工コスト増大の原因となる変電所数の増加を招くことなく、交流き電方式のみならず直流き電方式においてもレール対地電圧絶対値が過度に上昇することを抑制することが可能な鉄道電力供給システム供給電力管理装置、及び供給電力管理方法を提供する。

解決手段

路線に在線する電車204に架線経由で電力を供給する電力供給システム1Sは、電力供給システム1Sの所定の近傍におけるレール対地電圧に基づいて電力の設定電圧を制御して電車204に電力を供給する電力変換手段103を有する。

概要

背景

電気鉄道では、変電所から供給された電流電車消費された後、レールを経由して変電所に戻るように回路が構成されている。この際、レールの抵抗値とレールを流れる電流(以下、「帰線電流」と呼ぶ)の積で、変電所近傍と電車近傍で電位差が発生する。

一般的に、レールは電食防止の観点から大地絶縁される処理が施されるが、完全な絶縁処理は不可能であり、若干の電流の漏れが発生する。その結果、変電所近傍では、レールと大地の電位差であるレール対地電圧が負の方向に高くなり、電車近傍ではレール対地電圧が正の方向に高くなる。

レールの抵抗値は、レールの長さに比例して高くなるため、変電所と電車の距離が遠くなるほどレール対地電圧の絶対値は高くなる。また、レール対地電圧の絶対値の高さはレールを流れる電流に比例するため、変電所間に多くの電車が在線している場合や、消費電流の大きい電車が在線している場合には、レール対地電圧の絶対値が高くなる。レールの対地電圧の絶対値が高くなりすぎると、信号の軌道回路電気的に絶縁するためのパットなどに高い電圧が加わり、寿命を短くする恐れがある。

これに対し、通常は設計の段階で、運行する電車の本数や消費電流を考慮し、間隔に余裕を持たせて変電所設置数を決定することで、大電流が流れる距離を短くし、レール対地電圧の絶対値が一定の範囲に収まるようにしている。

しかしながら、ダイヤ乱れ等により変電所間の電車本数が激増すると、通常より多くの帰線電流が流れ、レール対地電圧の絶対値が過度に上昇する可能性がある。また、変電所が故障して変電所間隔が広がった場合などにも、電車と変電所の距離が離れすぎ、レール対地電圧の絶対値が過度に上昇する可能性がある。この事態を想定し、変電所をさらに増やして間隔を詰めれば解決できるが、コストの大幅な増加につながるため経済的損失が大きくなる。

変電所を増やすことなく、レール対地電圧の絶対値を低減する手段として、特許文献1には、ATき電線方式において、インピーダンスボンド点や高架橋などの構造物鉄筋活用しレールを低抵抗接地することで、レール対地電圧の絶対値を低減する技術が提案されている。

概要

施工コスト増大の原因となる変電所数の増加を招くことなく、交流き電方式のみならず直流き電方式においてもレール対地電圧絶対値が過度に上昇することを抑制することが可能な鉄道電力供給システム供給電力管理装置、及び供給電力管理方法を提供する。路線に在線する電車204に架線経由で電力を供給する電力供給システム1Sは、電力供給システム1Sの所定の近傍におけるレール対地電圧に基づいて電力の設定電圧を制御して電車204に電力を供給する電力変換手段103を有する。

目的

本発明は、上述の課題に鑑み、施工コスト増大の原因となる変電所数の増加を招くことなく、交流き電方式のみならず直流き電方式においてもレール対地電圧絶対値が過度に上昇することを抑制することが可能な鉄道の電力供給システム、供給電力管理装置、及び供給電力管理方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

路線に在線する電気鉄道車両架線経由で電力を供給する電力供給システムにおいて、前記電力供給システムの所定の近傍におけるレール対地電圧に基づいて電力の設定電圧を制御して前記電気鉄道車両に電力を供給する電力変換手段を有することを特徴とする電力供給システム。

請求項2

前記電力変換手段の所定の近傍におけるレール対地電圧を取得するレール対地電圧取得手段と、前記レール対地電圧取得手段により取得されたレール対地電圧に基づいて決定した設定電圧情報を前記電力変換手段に対して出力する供給電力管理装置とを有し、前記電力変換手段は、前記供給電力管理装置から出力された設定電圧情報に基づいて前記設定電圧を制御して前記電気鉄道車両に電力を供給することを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。

請求項3

前記供給電力管理装置は、前記レール対地電圧が基準範囲外であるか否かを判定し、前記レール対地電圧が基準範囲外である場合に、前記路線において前記電力変換手段に隣接して配置されている他の電力変換手段に対して、設定電圧をより高く制御する前記設定電圧情報を出力することを特徴とする請求項2に記載の電力供給システム。

請求項4

前記供給電力管理装置は、前記他の電力変換手段の所定の近傍におけるレール対地電圧が基準範囲外、もしくは、前記他の電力変換手段に設定可能な設定電圧の範囲外、又は、前記電力変換手段の所定の近傍における前記レール対地電圧が基準範囲内となるまで、前記他の電力変換手段に対して、設定電圧をより高く制御する前記設定電圧情報を出力することを特徴とする請求項3に記載の電力供給システム。

請求項5

前記供給電力管理装置は、前記レール対地電圧が基準範囲外であるか否かを判定し、前記レール対地電圧が基準範囲外である場合に、前記電力変換手段に対して、設定電圧をより低く制御する前記設定電圧情報を出力することを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の電力供給システム。

請求項6

前記供給電力管理装置は、前記レール対地電圧が基準範囲外である場合に、前記路線において、前記電力変換手段に隣接する第1の区間に在線する前記電気鉄道車両に起因する第1のレール対地電圧と、前記電力変換手段を挟んで前記第1の区間の反対側で前記電力変換手段に隣接する第2の区間に在線する前記電気鉄道車両に起因する第2のレール対地電圧との算出結果を基に、前記レール対地電圧が基準範囲外となる要因が前記第1の区間及び前記第2の区間の何れであるかを判定し、前記レール対地電圧が基準範囲外となる要因と判定した区間を補助対象区間と特定することを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の電力供給システム。

請求項7

前記供給電力管理装置は、前記レール対地電圧が基準範囲外である場合に、前記補助対象区間の一端に配置されている前記電力変換手段と共に、前記補助対象区間を挟んで前記電力変換手段に隣接するように前記補助対象区間の他端に配置されて前記補助対象区間に電力を直接供給している第1の他の電力変換手段に対して、設定電圧をより高く制御する前記設定電圧情報を出力することを特徴とする請求項6に記載の電力供給システム。

請求項8

前記供給電力管理装置は、前記レール対地電圧が基準範囲外である場合に、前記電力変換手段と共に、前記電力変換手段を挟んで前記補助対象区間の反対側で前記電力変換手段に隣接するように配置されて前記補助対象区間に電力を供給している第2の他の電力変換手段に対して、設定電圧をより高く制御する前記設定電圧情報を出力することを特徴とする請求項7に記載の電力供給システム。

請求項9

前記供給電力管理装置は、前記レール対地電圧が基準範囲外である場合に、前記電力変換手段と共に、前記第1の他の電力変換手段を挟んで前記補助対象区間の反対側で前記第1の他の電力変換手段に隣接するように配置されて前記補助対象区間に電力を供給している第3の他の電力変換手段に対して、設定電圧をより高く制御する前記設定電圧情報を出力することを特徴とする請求項8に記載の電力供給システム。

請求項10

前記供給電力管理装置は、前記第1の他の電力変換手段、前記第2の他の電力変換手段、及び前記第3の他の電力変換手段のうちの何れか1つ又は複数に対して、設定電圧をより高く制御する前記設定電圧情報を出力することを特徴とする請求項9に記載の電力供給システム。

請求項11

路線に在線する電気鉄道車両に架線経由で電力を供給する電力変換手段を有する電力供給システムにおける供給電力管理装置であって、前記電力変換手段は、前記供給電力管理装置から出力された設定電圧情報に基づいて設定電圧を制御して前記電気鉄道車両に電力を供給し、前記電力変換手段の所定の近傍におけるレール対地電圧を取得するレール対地電圧取得手段から取得したレール対地電圧に基づいて決定した設定電圧情報を前記電力変換手段に対して出力する電圧計算部を有することを特徴とする供給電力管理装置。

請求項12

路線に在線する電気鉄道車両に架線経由で電力を供給する電力変換手段を有する電力供給システムにおける供給電力管理装置が実行する供給電力管理方法であって、前記電力変換手段は、前記供給電力管理装置から出力された設定電圧情報に基づいて設定電圧を制御して前記電気鉄道車両に電力を供給し、前記供給電力管理装置が、前記電力変換手段の所定の近傍におけるレール対地電圧を取得するレール対地電圧取得手段から取得したレール対地電圧に基づいて決定した設定電圧情報を前記電力変換手段に対して出力することを特徴とする供給電力管理方法。

技術分野

0001

本発明は、鉄道電力供給システム供給電力管理装置、及び供給電力管理方法に関する。

背景技術

0002

電気鉄道では、変電所から供給された電流電車消費された後、レールを経由して変電所に戻るように回路が構成されている。この際、レールの抵抗値とレールを流れる電流(以下、「帰線電流」と呼ぶ)の積で、変電所近傍と電車近傍で電位差が発生する。

0003

一般的に、レールは電食防止の観点から大地絶縁される処理が施されるが、完全な絶縁処理は不可能であり、若干の電流の漏れが発生する。その結果、変電所近傍では、レールと大地の電位差であるレール対地電圧が負の方向に高くなり、電車近傍ではレール対地電圧が正の方向に高くなる。

0004

レールの抵抗値は、レールの長さに比例して高くなるため、変電所と電車の距離が遠くなるほどレール対地電圧の絶対値は高くなる。また、レール対地電圧の絶対値の高さはレールを流れる電流に比例するため、変電所間に多くの電車が在線している場合や、消費電流の大きい電車が在線している場合には、レール対地電圧の絶対値が高くなる。レールの対地電圧の絶対値が高くなりすぎると、信号の軌道回路電気的に絶縁するためのパットなどに高い電圧が加わり、寿命を短くする恐れがある。

0005

これに対し、通常は設計の段階で、運行する電車の本数や消費電流を考慮し、間隔に余裕を持たせて変電所設置数を決定することで、大電流が流れる距離を短くし、レール対地電圧の絶対値が一定の範囲に収まるようにしている。

0006

しかしながら、ダイヤ乱れ等により変電所間の電車本数が激増すると、通常より多くの帰線電流が流れ、レール対地電圧の絶対値が過度に上昇する可能性がある。また、変電所が故障して変電所間隔が広がった場合などにも、電車と変電所の距離が離れすぎ、レール対地電圧の絶対値が過度に上昇する可能性がある。この事態を想定し、変電所をさらに増やして間隔を詰めれば解決できるが、コストの大幅な増加につながるため経済的損失が大きくなる。

0007

変電所を増やすことなく、レール対地電圧の絶対値を低減する手段として、特許文献1には、ATき電線方式において、インピーダンスボンド点や高架橋などの構造物鉄筋活用しレールを低抵抗接地することで、レール対地電圧の絶対値を低減する技術が提案されている。

先行技術

0008

特開2003−260963号公報

発明が解決しようとする課題

0009

特許文献1に記載の従来技術は、交流き電方式電化された鉄道路線において、レールを低抵抗接地することで、レール対地電圧の絶対値の過度な上昇を抑制するものであり、変電所設置数を増加させるよりも施工コストが小さい。

0010

しかし、この従来技術は電車電流が小さい交流き電方式において有効な手段であり、電車の消費電流が大きい直流き電方式に適用した場合、大地に多くの電流(以下、「迷走電流」と呼ぶ)が流れることで、埋設菅の電食等を引き起こす恐れがある。

0011

本発明は、上述の課題に鑑み、施工コスト増大の原因となる変電所数の増加を招くことなく、交流き電方式のみならず直流き電方式においてもレール対地電圧絶対値が過度に上昇することを抑制することが可能な鉄道の電力供給システム、供給電力管理装置、及び供給電力管理方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

上述の課題を解決するため、本発明は、路線に在線する電気鉄道車両架線経由で電力を供給する電力供給システムにおいて、前記電力供給システムの所定の近傍におけるレール対地電圧に基づいて電力の設定電圧を制御して前記電気鉄道車両に電力を供給する電力変換手段を有するようにした。

発明の効果

0013

本発明によれば、変電所を増設することなく、交流き電方式のみならず直流き電方式においてもレール対地電圧の絶対値が基準範囲を逸脱するのを抑制することが可能となる。

図面の簡単な説明

0014

実施例1の電力供給システムの概略構成の一例を示す図である。
帰線電流及び迷走電流の経路と、各距離程におけるレール対地電圧の一例を示す図である。
実施例1のエネルギ管理装置の構成の一例を示す図である。
実施例1のレール対地電圧データベース情報の一例を示す図である。
実施例1の電圧計算処理の一例を示すフローチャートである。
実施例1の補助対象電力変換手段と電車の各距離程における架線電圧及びレール電圧の一例を示した図である。
実施例1の電圧計算処理の「直接型隣接電力変換手段の設定電圧及びレール対地電圧計算処理」の一例を示すフローチャートである。
実施例1の補助対象電力変換手段及び直接型隣接電力変換手段と電車の距離程における架線電圧及びレール電圧及びレール対地電圧の一例を示す図である。
実施例1の「直接型隣接電力変換手段の設定電圧及びレール対地電圧計算処理」の「レール対地電圧計算処理」の一例を示すフローチャートである。
実施例2の電力供給システムの概略構成の一例を示す図である。
実施例2のエネルギ管理装置の構成の一例を示す図である。
実施例2の電圧計算処理の一例を示すフローチャートである。
実施例2の電圧計算処理の「間接型隣接電力変換手段の設定電圧及びレール対地電圧計算処理」の一例を示すフローチャートである。
実施例2の補助対象電力変換手段及び間接型隣接電力変換手段と電車の距離程における架線電圧及びレール電圧及びレール対地電圧の一例を示す図である。
実施例2の「間接型隣接電力変換手段の設定電圧及びレール対地電圧計算処理」の「レール対地電圧計算処理」の一例を示すフローチャートである。
実施例3の電力供給システムの概略構成の一例を示す図である。
実施例3のエネルギ管理装置の構成の一例を示す図である。
実施例3の電圧計算処理の一例を示すフローチャートである。
実施例3の電圧計算処理の「遠方型隣接電力変換手段の設定電圧及びレール対地電圧計算処理」の一例を示すフローチャートである。
実施例3の補助対象電力変換手段及び遠方型隣接電力変換手段と電車の距離程における架線電圧及びレール電圧及びレール対地電圧の一例を示す図である。
実施例3の「遠方型隣接電力変換手段の設定電圧及びレール対地電圧計算処理」の「レール対地電圧計算処理」の一例を示すフローチャートである。
実施例1〜3のエネルギ管理装置を実現するコンピュータの一例を示す図である。

0015

以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。

0016

[実施例1の電力供給システムの構成]
図1は、実施例1の電力供給システムの概略構成の一例を示す図である。図1に示す電力供給システム1Sは、レール対地電圧取得手段101と、エネルギ管理装置102と、電力変換手段103とから構成される。図1の例では、レール対地電圧取得手段101と電力変換手段103が2つの例を示している。エネルギ管理装置102は、電力変換手段103が架線203に供給する供給電力を管理及び制御する装置である。エネルギ管理装置102は、例えば鉄道路線毎に設けられ、鉄道路線毎の複数の電力変換手段103を管理処理対象とするコンピュータである。電力変換手段103は、鉄道路線に沿って設置されている。

0017

レール対地電圧取得手段101は、電力変換手段103近傍のレール対地電圧を取得し、その結果をレール対地電圧関連情報171としてエネルギ管理装置102へ出力する。レール対地電圧取得手段101は、電力変換手段103ごとに設置されており、各電力変換手段103近傍におけるレール対地電圧を取得する。レール対地電圧取得手段101は、例えば2点間の電圧を計測可能な電圧計測装置で構成されており、一方の計測端子はレール205と帰線ケーブル206が電気的に接続されている点に接続され、他方の計測端子は近傍の地面に接地され、レール205と帰線ケーブル206の接続点の対地電圧が計測できる形態が望ましい。

0018

ただし、一方の計測端子は必ずしも帰線ケーブル206とレール205の接続点に接続されていなくてもよく、例えば、帰線ケーブル206は抵抗値が小さいため、帰線ケーブル206とレール205の電圧はほぼ同じ値であるとみなせることから、帰線ケーブル206上のいずれかの点に接続されていてもよい。また、帰線ケーブル206とレール205の接続点に近く、帰線ケーブル206とレール205の接続位置の対地電圧が十分推定できる範囲であれば、帰線ケーブル206とレール205の接続点から離れた点に接続されていてもよい。

0019

エネルギ管理装置102は、各電力変換手段103に設置されたレール対地電圧取得手段101から出力された、レール対地電圧関連情報171を入力とし、レール対地電圧をパラメータとして各電力変換手段103の設定電圧を決定し、設定電圧情報172として、各電力変換手段103へ出力する。エネルギ管理装置102の処理については、後述する。

0020

電力変換手段103は、設定電圧情報172を入力とし、系統から供給される電力を、電車へ供給するのに適切な電力に変換する、例えば変電所である。電力変換手段103は、設定電圧情報172に基づき変圧器巻き線比を切り替えることで設定電圧を変化させる構成であってもよいし、整流器として自励式素子を用いた構成の自励式変圧器であってもよいし、蓄電装置充放電装置を整流器と並列に接続した構成であってもよく、設定電圧を変更できる構成であれば特に手段は問わない。

0021

[帰線電流及び迷走電流の経路と、各距離程におけるレール対地電圧]
図2は、帰線電流及び迷走電流の経路と、各距離程におけるレール対地電圧の一例を示す図である。エネルギ管理装置102の説明をする前に、レール対地電圧の特徴について説明する。

0022

電気鉄道においては、電力は電力変換手段103から送電ケーブル202、架線203を通り、電車204に供給される。電車204で消費された電流の多くは帰線電流としてレール205を通り、帰線ケーブル206を介して電力変換手段103へ流れる。レールは漏れコンダクタンス210を介して大地211に接地されているため、一部の電流は迷走電流として、漏れコンダクタンス210と大地211に流れる。大地211に流れた迷走電流は、電力変換手段103近傍でレール205に戻り、帰線ケーブル206を介して電力変換手段103へ流れる。

0023

漏れコンダクタンス210に迷走電流が流れると、大地とレールの間で電圧降下が生じる。電車204近傍では、レール205から大地211へ迷走電流が流れるため、レール対地電圧は正となる。一方、電力変換手段103近傍では、大地211からレール205へ迷走電流が流れるため、レール対地電圧は負となる。

0024

電車204と電力変換手段103とが1対1である場合、レール対地電圧の絶対値は、電力変換手段103近傍(電力変換手段の接続位置近傍)と電車204近傍(電車位置近傍)とでほぼ同じ値になるが、電車204が複数編成存在し、同時に電力を消費している場合、電力変換手段103近傍の漏れコンダクタンス210には電車204の複数編成分の迷走電流がまとめて流れるため、電力変換手段103近傍におけるレール対地電圧の絶対値は電車204近傍のレール対地電圧の絶対値よりも高くなる。つまり、電力変換手段103近傍は路線上で最もレール対地電圧の絶対値が高くなりやすい地点であるといえるため、電力変換手段103近傍のレール対地電圧が基準範囲を超えるのを抑制することで、路線内全体でのレール対地電圧を基準範囲に抑えることができる。

0025

[実施例1のエネルギ管理装置の構成]
図3は、実施例1のエネルギ管理装置の構成の一例を示す図である。エネルギ管理装置102は、電車距離取得部301と、路線電圧取得部302と、架線抵抗取得部303と、レール対地電圧データベース304と、電圧計算部305とで構成されている。

0026

電車距離取得部301は、エネルギ管理装置102が管轄する電力変換手段103と、路線上の各電車の距離を取得し、電車距離情報371を架線抵抗取得部303と電圧計算部305へ出力する。電車距離取得部301は、電力変換手段103と各電車の距離を、データベースに記憶した電力変換手段103の距離程と、運行指令装置(不図示)から無線通信で取得した各電車の距離程の差分から計算する形が望ましいが、それ以外の形態であってもよく、電力変換手段103と各電車の距離が取得できる形態であれば特に手段は問わない。

0027

路線電圧取得部302は、各電車と電力変換手段103における、架線とレールの電位差である架線レール間電圧を取得し、路線電圧情報372として電圧計算部305へ出力する。路線電圧取得部302は、架線レール間電圧を、各電力変換手段103や各電車から無線通信で取得する形態が望ましいが、各電車と電力変換手段103の架線レール間電圧が取得できる形態であれば特に手段は問わない。

0028

架線抵抗取得部303は、電車距離情報371を入力とし、各電力変換手段103から各電車までの架線抵抗値及びレール抵抗値である、架線抵抗情報373を電圧計算部305へ出力する。架線抵抗取得部303は、路線上の各距離程における架線抵抗率(Ω/km)及びレール抵抗率(Ω/km)を記憶しており、式(1)及び式(2)を用いて電力変換手段103と電車までの架線抵抗値及びレール抵抗値を計算する。

0029

架線抵抗値[Ω]=電力変換手段103から電車までの距離[km]
×架線抵抗率[Ω/km] ・・・(1)
レール抵抗値[Ω]=電力変換手段103から電車までの距離[km]
×レール抵抗率[Ω/km] ・・・(2)

0030

レール対地電圧データベース304は、電車への供給電流と、電力変換手段103から電車までの距離に対するレール対地電圧の関係を、レール対地電圧データベース情報374として電圧計算部305へ出力する。レール対地電圧データベース情報374の詳細については後述する。

0031

電圧計算部305は、電車距離情報371と、路線電圧情報372と、架線抵抗情報373と、レール対地電圧データベース情報374を入力とし、設定電圧情報172を出力する。電圧計算部305の処理の詳細については、後述する。

0032

[実施例1のレール対地電圧データベース情報]
図4は、実施例1のレール対地電圧データベース情報の一例を示す図である。レール対地電圧データベース情報374は、電力変換手段103から電車までの距離と、その距離に在線する電車への供給電流に対する、電力変換手段103近傍におけるレール対地電圧の関係を示したものである。この値は、実測結果を統計的に処理して作成した値を入力としてもよいし、シミュレーションモデルを用いて算出した値を入力としてもよい。

0033

[実施例1の電圧計算処理]
図5は、実施例1の電圧計算処理の一例を示すフローチャートである。エネルギ管理装置102の電圧計算部305は、図5に示すフローチャートのステップS501からステップS504のループ処理を、自装置が管理する電力変換手段103の全てについて繰り返す。

0034

ステップS502では、電圧計算部305は、現在のループで参照している電力変換手段103(以降、「補助対象電力変換手段」と呼ぶ)のレール対地電圧の絶対値が予め設定した基準値を上回っているかを判定する。電圧計算部305は、補助対象電力変換手段のレール対地電圧の絶対値が予め設定した基準値を上回っている場合はステップS502へ処理を移し、基準値以下の場合は、次の電力変換手段103を補助対象電力変換手段とする次ループへ処理を移す。

0035

ステップS503では、電圧計算部305は、補助対象電力変換手段近傍のレール対地電圧の絶対値が基準値を上回る主要因となっている電力供給先(以降、「補助対象区間」と呼ぶ)を設定する(補助対象区間設定処理)。補助対象区間設定処理の詳細については、後述する。

0036

ステップS504では、電圧計算部305は、補助対象区間に直接電力を供給している、補助対象電力変換手段以外の電力変換手段(以降、「直接型隣接電力変換手段」と呼ぶ)の設定電圧とその設定電圧時のレール対地電圧を計算する(直接型隣接電力変換手段の設定電圧及びレール対地電圧計算処理)。直接型隣接電力変換手段の設定電圧及びレール対地電圧計算処理の詳細については、後述する。

0037

[補助対象区間設定処理]
図6は、実施例1の補助対象電力変換手段と電車の各距離程における架線電圧及びレール電圧の一例を示した図である。図6を参照して、図5のステップS503で実施される、補助対象区間の設定方法について説明する。図6は、電力変換手段と電車の、架線電圧及びレール電圧(対補助対象電力変換手段の帰線電位基準)を、距離程を横軸にして示す。

0038

補助対象電力変換手段及び各電車の架線レール間電圧は、路線電圧情報372に含まれており既知である。また、補助対象電力変換手段から各電車までの距離についても、電車距離情報371に含まれており既知である。これらの既知情報から、式(3)、式(4)、及び式(5)を用いて、補助対象電力変換手段が各電車にどれだけ電流を供給しているかを計算することができる。

0039

IA=(VA−V0)÷((Rt+Rr)×LA) ・・・(3)
IB=(VB−V0)÷((Rt+Rr)×LB)−IC ・・・(4)
IC=(VC−VB)÷((Rt+Rr)×(LC−LB)) ・・・(5)
IA:電車Aに供給している電流
IB:電車Bに供給している電流
IC:電車Cに供給している電流
V0:補助対象電力変換手段の架線レール間電圧
VA:電車Aの架線レール間電圧
VB:電車Bの架線レール間電圧
VC:電車Cの架線レール間電圧
Rt:架線抵抗率(路線で一様と仮定
Rr:レール抵抗率(路線で一様と仮定)
LA:補助対象電力変換手段から電車Aまでの距離
LB:補助対象電力変換手段から電車Bまでの距離
LC:補助対象電力変換手段から電車Cまでの距離

0040

シリコン整流器ベースとした電力変換手段では、整流に用いるダイオードの特性により、出力電流に応じた電圧降下が生じる。そのため、補助対象電力変換手段の架線レール間電圧V0は、補助対象電力変換手段の設定電圧V0nlを用いて、式(6)で計算される。

0041

V0=V0nl−I0×Rd ・・・(6)
V0:補助対象電力変換手段の架線レール間電圧
V0nl:補助対象電力変換手段の設定電圧
I0:補助実施前の補助対象電力変換手段の出力電流
Rd:整流器の等価電源抵抗

0042

なお、自励式整流器のように、架線レール間電圧と設定電圧が同じ値になる特性の電力変換手段を用いる場合には、式(6)において、整流器の等価抵抗Rd値を0として計算することで対応可能である。

0043

補助対象電力変換手段から各電車までの距離と、式(3)、式(4)、及び式(5)で計算した各電車への供給電流から、図3に示したレール対地電圧データベース情報374を用いて、各電車によるレール対地電圧を計算する。各電車による補助対象電力変換手段近傍のレール対地電圧を、図6における補助対象電力変換手段の左右でそれぞれ合算し比較することで、補助対象電力変換手段の左右どちらの方が、補助対象電力変換手段近傍のレール対地電圧を低下させる主要因となっているかを判断し、補助対象区間として設定する。また、補助対象区間に、補助対象電力変換手段と共に電力を供給している電力変換手段を、直接型隣接電力変換手段として設定する。

0044

[直接型隣接電力変換手段の設定電圧及びレール対地電圧計算処理]
図7は、実施例1の電圧計算処理の「直接型隣接電力変換手段の設定電圧及びレール対地電圧計算処理」の一例を示すフローチャートである。図7に示したフローチャートでは、ステップS705及びステップS707の判定結果に応じて、ステップS702、ステップS703、ステップS704、ステップS705、及びステップS707で、ループ処理となる。

0045

ステップS701では、電圧計算部305は、直接型隣接電力変換手段から補助対象区間に流す補助電流値を初期化する。

0046

ステップS702では、電圧計算部305は、直接型隣接電力変換手段への補助電流値を加算し(補助電流を増加させ)、ステップS703へ処理を移す。補助電流値の加算量は、あらかじめ設定した任意の値を用いる。

0047

ステップS703では、電圧計算部305は、ステップS702の補助電流値加算実施後の、直接型隣接電力変換手段の設定電圧を計算する。つまり、直接型隣接電力変換手段にどれだけの設定電圧を設定すれば、直接型隣接電力変換手段が、ステップS702の補助電流値加算実施後の電流値の電力を架線203に供給することができるかを計算する。ステップS703の詳細については、後述する。

0048

ステップS704では、電圧計算部305は、ステップS702の補助電流値加算実施後の、補助対象電力変換手段と直接型隣接電力変換手段のレール対地電圧を計算する(レール対地電圧計算処理)。ステップS704の処理の詳細については、後述する。

0049

ステップS705では、電圧計算部305は、(11)ステップS704で計算した直接型隣接電力変換手段のレール対地電圧(計算値)の絶対値が基準値を上回っている、又は、(12)ステップS703で計算した直接型隣接電力変換手段の設定電圧が設定可能範囲を超えているかを判定する。電圧計算部305は、この(11)又は(12)の条件が満たされる場合(ステップS705:Yes)はステップS706へ処理を移し、(11)及び(12)の何れの条件も満たされない場合(ステップS705:No)はステップS707へ処理を移す。

0050

ステップS706では、電圧計算部305は、直接型隣接電力変換手段の補助電流値を加算した結果、直接型隣接電力変換手段のレール対地電圧が基準を超えてしまうか、直接型隣接電力変換手段の設定電圧が設定可能最大値を超えており、これ以上補助電流値を加算することができない状態であるため、1ループ前で計算した直接型隣接電力変換手段の設定電圧を設定電圧情報172として出力し、本処理を終了する。つまり、電圧計算部305は、今回のステップS702の実行までで直接型隣接電力変換手段の補助電流を増加させた累積の設定電圧ではなく、前回のステップS702の実行までで直接型隣接電力変換手段の補助電流を増加させた累積の設定電圧を、補助実施のための直接型隣接電力変換手段への設定電圧情報172として出力する。これにより、直接型隣接電力変換手段のレール対地電圧を基準範囲内に収めつつ、補助対象電力変換手段のレール対地電圧を可能な限り改善することができる。

0051

ステップS707では、電圧計算部305は、ステップS704で計算した補助対象電力変換手段のレール対地電圧計算値の絶対値が基準値を下回っているかを判定する。電圧計算部305は、補助対象電力変換手段のレール対地電圧計算値の絶対値(計算値)が基準値を下回っている場合(ステップS707:Yes)はステップS708へ処理を移し、下回っていない場合(ステップS707:No)は、直接型隣接電力変換手段にまだ補助電流値を加算する余裕があり、かつ補助対象電力変換手段のレール対地電位を基準値まで上昇させるための補助電流が不足している状態であることから、ループ処理を実施しステップS702へ処理を移す。

0052

ステップS708では、電圧計算部305は、補助対象電力変換手段のレール対地電圧の絶対値(計算値)が基準値を下回っており、これ以上補助電流を増加する必要はない状態であるため、現在のループで計算した直接型隣接電力変換手段の設定電圧を、補助実施のための直接型隣接電力変換手段への設定電圧情報172として出力し、処理を終了する。

0053

[直接型隣接電力変換手段の設定電圧の計算方法
図8は、実施例1の補助対象電力変換手段及び直接型隣接電力変換手段と電車の距離程における架線電圧及びレール電圧及びレール対地電圧の一例を示す図である。ステップS703における、直接型隣接電力変換手段の設定電圧計算方法について、図8を用いて説明する。図8では、補助対象区間に、2編成の電車が在線している状況における、架線電圧及びレール電圧(補助対象電力変換手段の帰線基準)と、レール対地電圧の例を示している。

0054

電流は電圧が高いところから低いところにしか流れないため、図8の例では、電車Aは補助対象電力変換手段からのみ、電車Bは補助対象電力変換手段と直接型隣接電力変換手段の両方から電力供給されている状態である。補助実施後の、補助対象電力変換手段から電車Aまでの架線電流IAK´と、電車Aから電車Bまでの架線電流IBK´は式(7)、式(8)で計算される。

0055

IAK´=IA−(IS−IB) ・・・(7)
IBK´=IB−IS ・・・(8)
IAK´:補助実施後の補助対象電力変換手段から電車Aまでの架線電流
IBK´:補助実施後の電車Aから電車Bまでの架線電流
IA:補助実施前の補助対象電力変換手段から電車Aへの供給電流
IB:補助実施前の補助対象電力変換手段から電車Bへの供給電流
IS:補助電流(補助される側の値が正)

0056

補助電流ISが、補助実施前の補助対象電力変換手段から電車Bへの供給電流IBよりも小さい場合は、補助電流ISは電車Bのみに供給されることになるため、IBK´は正の値となる。一方、補助電流ISが、補助実施前の補助対象電力変換手段から電車Bへの供給電流IBよりも大きい場合は、IBK´は負の値となるため、補助電流は電車Aにも流れることになり、電車Aと電車Bの架線レール間電圧が逆転する。

0057

続いて、直接型隣接電力変換手段にもっとも近い、補助実施後の電車Bの架線レール間電圧VB´を、式(9)、式(10)、式(11)を用いて計算する。

0058

VB´=VA´−IBK´×((Rt+Rr)×(LB−LA)) ・・・(9)
VA´=V0´−IAK´×((Rt+Rr)×LA) ・・・(10)
V0´=V0nl−(I0−IS)×Rd ・・・(11)
VA´:補助実施後の電車Aの架線レール間電圧
VB´:補助実施後の電車Bの架線レール間電圧
V0´:補助実施後の補助対象電力変換手段の架線レール間電圧
V0nl:補助対象電力変換手段の設定電圧
IAK´:補助実施後の補助対象電力変換手段から電車Aまでの架線電流
IBK´:補助実施後の電車Aから電車Bまでの架線電流
I0:補助実施前の補助対象電力変換手段の出力電流
IS:補助電流(補助される側の値が正)
Rd:整流器の等価電源抵抗
Rt:架線抵抗率(路線で一様と仮定)
Rr:レール抵抗率(路線で一様と仮定)
LA:補助対象電力変換手段から電車Aまでの距離
LB:補助対象電力変換手段から電車Bまでの距離

0059

最後に、式(12)、式(13)を用いて、補助実施後の電車Bの架線レール間電圧VB´から補助実施後の直接型隣接電力変換手段の設定電圧V1nl´を計算する。

0060

V1nl´=V1´+(I1+Is)×Rd ・・・(12)
V1´=VB´+IBZ´×((Rt+Rr)×LB1) ・・・(13)
V1nl´:補助実施後の直接型隣接電力変換手段の設定電圧
V1´:補助実施後の補助対象電力変換手段の架線レール間電圧
VB´:補助実施後の電車Bの架線レール間電圧
I1:補助実施前の直接型隣接電力変換手段の出力電流
Is:補助電流(補助される側の値が正)
Rd:整流器の等価電源抵抗
Rt:架線抵抗率(路線で一様と仮定)
Rr:レール抵抗率(路線で一様と仮定)
IBZ´:補助実施後の直接型隣接電力変換手段から電車Bへの供給電流
LB1:直接型隣接電力変換手段から電車Bまでの距離

0061

以上のように直接型隣接電力変換手段の設定電圧を計算し、設定することで、直接型隣接電力変換手段から電車A及び電車Bに供給される電流を増加させ、補助対象電力変換手段の電流を低減することが可能となる。補助対象電力変換手段の電流を低減すれば、レール対地電圧の絶対値が上昇するのを抑制することができる。

0062

なお、本実施例では直接型隣接電力変換手段の電圧を上昇させる例について説明したが、補助対象電力変換手段の電圧を降下させることでも同等の効果を得ることが可能である。また、直接型隣接電力変換手段の電圧の上昇と、補助対象電力変換手段の電圧の降下とを同時に行ってもよい。

0063

[実施例1のレール対地電圧計算処理]
図9は、実施例1の「直接型隣接電力変換手段の設定電圧及びレール対地電圧計算処理」の「レール対地電圧計算処理」の一例を示すフローチャートである。図9を参照して、図7のステップS704における、補助対象電力変換手段と直接型隣接電力変換手段の近傍におけるレール対地電圧の計算方法について説明する。ステップS1002からステップS1004は補助対象電力変換手段のレール対地電圧を計算する処理、ステップS1006からステップS1007は直接型隣接電力供給のレール対地電圧を計算する処理である。

0064

ステップS1001では、電圧計算部305は、補助対象電力変換手段のレール対地電圧計算値と、直接型隣接電力変換手段のレール対地電圧値を、それぞれ初期化する。

0065

ステップS1002はループ処理であり、電圧計算部305は、補助対象電力変換手段が電力を供給している全ての電車についてステップS1003とステップS1004を繰り返す。

0066

ステップS1003では、電圧計算部305は、補助対象電力変換手段が各電車に供給する電流と、補助対象電力変換手段と各電車の距離から、図3に示したレール対地電圧データベース情報374を参照し、各電車に電流を供給することによる補助対象電力変換手段の接続位置でのレール対地電圧を計算する。

0067

ステップS1004では、電圧計算部305は、ステップS1003で計算した、各電車に電流を供給することによる補助対象電力変換手段の接続位置でのレール対地電圧を加算(積算)する。電圧計算部305は、補助対象電力変換手段が補助対象区間内で電力を供給している全ての電車についてステップS1003とステップS1004の処理を繰り返したのち、ステップS1005へ処理を移す。

0068

ステップS1005はループ処理であり、電圧計算部305は、直接型隣接電力変換手段が電力を供給している全ての電車についてステップS1006とステップS1007を繰り返す。

0069

ステップS1006は、直接型隣接電力変換手段が各電車に供給する電流と、直接型隣接電力変換手段と各電車の距離から、図3に示したレール対地電圧データベース情報374を参照し、各電車に電流を供給することによる直接型隣接電力変換手段の接続位置でのレール対地電圧を計算する。

0070

ステップS1007は、ステップS1006で計算した、各電車に電流を供給することによる直接型隣接電力変換手段の接続位置でのレール対地電圧を加算(積算)する。電圧計算部305は、直接型隣接電力変換手段が補助対象区間内で電力を供給している全ての電車についてステップS1006とステップS1007の処理を繰り返したのち、本処理フローを終了する。

0071

本実施例の構成により、補助対象電力変換手段の電流を直接型隣接電力変換手段にも分担させることで、補助対象電力変換手段の電流を低減し、レール対地電圧の絶対値が過度に上昇するのを抑制することができる。

0072

[実施例2の電力供給システムの構成]
図10は、実施例2の電力供給システムの概略構成の一例を示す図である。図10に示す電力供給システム2Sは、レール対地電圧取得手段101と、エネルギ管理装置1002と、電力変換手段103とから構成される。図10の例では、電力変換手段103が2つの例を示している。エネルギ管理装置1002以外の構成については実施例1と同じであるため、エネルギ管理装置1002についてのみ後述し、それ以外は説明を省略する。

0073

[実施例2のエネルギ管理装置の構成]
図11は、実施例2のエネルギ管理装置の構成の一例を示す図である。エネルギ管理装置1002は、電車距離取得部301と、路線電圧取得部302と、架線抵抗取得部303と、レール対地電圧データベース304と、電圧計算部1105とで構成されている。

0074

電圧計算部1105以外の構成については実施例1と同じであるため、電圧計算部1105についてのみ後述し、それ以外は説明を省略する。

0075

[実施例2の電圧計算処理]
図12は、実施例2の電圧計算処理の一例を示すフローチャートである。図12に示す電圧計算処理は、エネルギ管理装置1002の電圧計算部1105により実行される。ステップS501、ステップS502、ステップS503については、実施例1の電圧計算部305の電圧計算処理と同じであるため、説明を省略し、ステップS1204についてのみ詳細を説明する。

0076

ステップS1204では、電圧計算部1105は、補助対象区間に対して、補助対象電力変換手段越しに電力を供給している電力変換手段(以降、「間接型隣接電力変換手段」と呼ぶ)の設定電圧を計算する。ステップS1204の処理の詳細は、後述する。

0077

[実施例2のレール対地電圧計算処理]
図13は、実施例2の電圧計算処理の「間接型隣接電力変換手段の設定電圧及びレール対地電圧計算処理」の一例を示すフローチャートである。図13に示したフローチャートは、図12のステップS1204の処理の詳細を示し、ステップS1305及びステップS1307の結果によって、ステップS1303、ステップS1304、ステップS1305、ステップS1307、ステップS1309がループ処理となるよう構成されている。

0078

ステップS1301では、電圧計算部1105は、間接型隣接電力変換手段から補助対象区間に流す補助電流値を初期化する。

0079

ステップS1302では、電圧計算部1105は、間接型隣接電力変換手段への補助電流値を加算し(補助電流を増加させ)、ステップS1303へ処理を移す。補助電流値の加算量は、あらかじめ設定した任意の値を用いる。

0080

ステップS1303では、電圧計算部1105は、ステップS1302の補助電流値加算後の、間接型隣接電力変換手段の設定電圧を計算する。ステップS1303の詳細については、後述する。

0081

ステップS1304では、電圧計算部1105は、ステップS1302の補助電流値加算実施後の、補助対象電力変換手段と間接型隣接電力変換手段のレール対地電圧を計算する。ステップS1304の処理の詳細については、後述する。

0082

ステップS1305は、電圧計算部1105は、(21)ステップS1304で計算した間接型隣接電力変換手段のレール対地電圧(計算値)の絶対値が基準値を上回っている、又は、(22)ステップS1303で計算した間接型隣接電力変換手段の設定電圧が設定可能範囲を超えているかを判定する。電圧計算部305は、この(21)又は(22)の条件が満たされる場合(ステップS1305:Yes)はステップS1306へ処理を移し、(21)及び(22)の何れの条件も満たされない場合(ステップS1305:No)はステップS1307へ処理を移す。

0083

ステップS1306では、電圧計算部1105は、間接型隣接電力変換手段の補助電流を増加させた結果、間接型隣接電力変換手段のレール対地電圧が基準を超えてしまうか、間接型隣接電力変換手段の設定電圧が設定可能最大値を超えており、これ以上補助電流を増加させることができない状態であるため、1ループ前で計算した間接型隣接電力変換手段の設定電圧を、設定電圧情報172として出力し、本処理を終了する。これにより、間接型隣接電力変換手段のレール対地電圧を基準範囲内に収めつつ、補助対象電力変換手段のレール対地電圧を可能な限り改善することができる。

0084

ステップS1307では、電圧計算部1105は、ステップS1304で計算した補助対象電力変換手段のレール対地電圧計算値の絶対値が基準値を下回っているかを判定する。電圧計算部1105は、補助対象電力変換手段のレール対地電圧計算値の絶対値が基準値を下回っている場合(ステップS1307:Yes)はステップS1308へ処理を移し、下回っていない場合(ステップS1307:No)は、間接型隣接電力変換手段にまだ補助電流を増加させる余裕があり、かつ補助対象電力変換手段のレール電位を基準値まで上昇させるための補助電流が不足している状態であることから、ループ処理を実施そステップS1302へ処理を移す。

0085

ステップS1308では、電圧計算部1105は、補助対象電力変換手段のレール対地電圧計算値が基準を下回っており、これ以上補助電流を増加する必要はない状態であるため、現在のループで計算した間接型隣接電力変換手段の設定電圧を、設定電圧情報172として出力し、処理を終了する。

0086

[間接型隣接電力変換手段の設定電圧の計算方法]
図14は、実施例2の補助対象電力変換手段及び間接型隣接電力変換手段と電車の距離程における架線電圧及びレール電圧及びレール対地電圧の一例を示す図である。図14を参照して、ステップS1303における、間接型隣接電力変換手段の設定電圧計算方法について説明する。図14では、補助対象区間に電車が在線している状況における、架線電圧及びレール電圧(補助対象電力変換手段の帰線電圧基準)と、レール対地電圧の例を示している。なお、図示していないが、電車は補助対象区間に複数在線していることを想定している。

0087

図14に示す状況の場合、補助実施後の間接型隣接電力変換手段の設定電圧V1´を、補助実施後の補助対象電力変換手段の設定電圧V0´よりも高くすることで、補助対象電力変換手段を越えて補助対象区間に補助電流を流すことができる。ステップS1303では、式(14)、式(15)、式(16)を用いて、補助実施後の間接型隣接電力変換手段の設定電圧V1nl´を計算する。

0088

V1nl´=V1´+(I1+IS)×Rd ・・・(14)
V1´=V0´+Is×((Rt+Rr)×L1 ・・・(15)
V0´=V0nl−(I0−IS)×Rd ・・・(16)
V1nl´:補助実施後の間接型隣接電力変換手段の設定電圧
V1´:補助実施後の間接型隣接電力変換手段の架線レール間電圧
V0´:補助実施後の補助対象電力変換手段の架線レール間電圧
V0nl:補助対象電力変換手段の設定電圧
I1:補助実施前の間接型隣接電力変換手段の出力電流
I0:補助実施前の補助対象電力変換手段の出力電流
IS:補助電流(補助される側の値が正)
Rt:架線抵抗率(路線で一様と仮定)
Rr:レール抵抗率(路線で一様と仮定)
Rd:整流器の等価電源抵抗
L1:間接型隣接電力変換手段から補助対象電力変換手段までの距離

0089

ステップS1303の計算の際には、間接型隣接電力変換手段と補助対象電力変換手段の間の路線上に、電力を消費する電車が在線している状況も考えられる。間接型隣接電力変換手段と補助電力変換手段の間に在線している電車には、間接型隣接電力変換手段と補助電力変換手段の両方から電力が供給されている。そのため、このような場合には、この電車への電流を間接型隣接電力変換手段がより多く負担することで、補助対象電力変換手段の電流を低減し、補助対象電力変換手段近傍におけるレール対地電圧が過度に上昇するのを抑制する。このときの間接型電力変換手段の設定電圧計算方法は、実施例1のステップS703の直接型電力変換手段を間接型電力変換手段に置き換えることで計算可能であるため、詳細な説明を省略する。

0090

なお、間接型隣接電力変換手段と補助対象電力変換手段の間に、回生している電車がいる場合は、図14を用いて説明した式(14)で対応可能である。電車が回生すると電車付近の架線レール間電圧が上昇するが、電車の回生電流が補助電流よりも小さい場合は、電車付近の架線レール間電圧が間接型隣接電力変換手段の電圧よりも下がるため、間接型隣接電力変換手段は回生している電車を越して補助対象区間に電流を流すことが可能となる。また、電車の回生電流が補助電流よりも大きい場合は、そもそも間接型隣接電力変換手段が補助しなくても、回生している電車が間接型隣接電力変換手段の役割を果たすことになるため、いずれにせよ補助対象電力変換手段のレール対地電圧絶対値が過渡に上昇するのを抑制することができる。

0091

[実施例2のレール対地電圧計算処理]
図15は、実施例2の「間接型隣接電力変換手段の設定電圧及びレール対地電圧計算処理」の「レール対地電圧計算処理」の一例を示すフローチャートである。図15を参照して、ステップS1304における、補助対象電力変換手段と、間接型隣接電力変換手段の近傍における、レール対地電圧の計算方法について説明する。

0092

ステップS1501では、電圧計算部1105は、補助対象電力変換手段のレール対地電圧計算値と、間接型隣接電力変換手段のレール対地電圧値を、それぞれ初期化する。

0093

ステップS1002からステップS1004は、実施例1のステップS704における処理と同じであるため説明を省略する。

0094

ステップS1505はループ処理であり、電圧計算部1105は、間接型隣接電力変換手段が電力を供給している全ての電車についてステップS1506とステップS1507を繰り返す。

0095

ステップS1506では、電圧計算部1105は、間接型隣接電力変換手段が各電車に供給する電流と、間接型隣接電力変換手段と各電車の距離から、図3に示したレール対地電圧データベース情報374を参照し、各電車に電流を供給することによる間接型隣接電力変換手段の接続位置でのレール対地電圧を計算する。

0096

ステップS1507では、電圧計算部1105は、ステップS1506で計算した、各電車に電流を供給することによる間接型隣接電力変換手段の接続位置でのレール対地電圧を加算(積算)する。電圧計算部1105は、間接型隣接電力変換手段が補助対象区間内で電力を供給している全ての電車についてステップS1506とステップS1507の処理を繰り返したのち、本処理フローを終了する。

0097

本実施例の構成により、補助対象電力変換手段の電流を間接型隣接電力変換手段にも分担させることで、補助対象電力変換手段の電流を低減し、レール対地電圧の絶対値が過度に上昇するのを抑制することができる。

0098

なお、本実施例では、間接型隣接電力変換手段の電圧を上昇させる例について説明したが、補助対象電力変換手段の電圧を降下させることでも同等の効果を得ることが可能である。また、間接型隣接電力変換手段の電圧の上昇と、補助対象電力変換手段の電圧の降下とを同時に行ってもよい。

0099

[実施例3の電力供給システムの構成]
図16は、実施例3の電力供給システムの概略構成の一例を示す図である。図16に示す電力供給システム3Sは、レール対地電圧取得手段101と、エネルギ管理装置1602と、電力変換手段103とから構成される。図16の例では、電力変換手段103が2つの例を示している。

0100

エネルギ管理装置1602以外の構成については実施例1と同じであるため、エネルギ管理装置1602についてのみ後述し、それ以外は説明を省略する。

0101

[実施例3のエネルギ管理装置の構成]
図17は、実施例3のエネルギ管理装置の構成の一例を示す図である。エネルギ管理装置1602は、電車距離取得部301と、路線電圧取得部302と、架線抵抗取得部303と、レール対地電圧データベース304と、電圧計算部1705とで構成されている。

0102

電圧計算部1705以外の構成については実施例1と同じであるため、電圧計算部1705についてのみ後述し、それ以外は説明を省略する。

0103

[実施例3の電圧計算処理]
図18は、実施例2の電圧計算処理の一例を示すフローチャートである。図18に示す電圧計算処理は、エネルギ管理装置1602の電圧計算部1705により実行される。ステップS501、ステップS502、ステップS503については、実施例1の電圧計算部305の電圧計算処理と同じであるため、説明を省略し、ステップS1804についてのみ詳細を説明する。

0104

ステップS1804では、電圧計算部1705は、補助対象区間に対して、直接型隣接電圧変換手段越しに電力を供給している電力変換手段(以降、「遠方型隣接電力変換手段」と呼ぶ)の設定電圧を計算する。ステップS1804の処理の詳細は、後述する。

0105

[実施例3のレール対地電圧計算処理]
図19は、実施例3の電圧計算処理の「遠方型隣接電力変換手段の設定電圧及びレール対地電圧計算処理」の一例を示すフローチャートである。図19に示したフローチャートは、図18のステップS1804の処理の詳細を示し、ステップS1905及びステップS1907の結果によって、ステップS1903、ステップS1904、ステップS1905、ステップS1907、ステップS1909がループ処理となるよう構成されている。

0106

ステップS1901では、電圧計算部1705は、遠方型隣接電力変換手段から補助対象区間に流す補助電流値を初期化する。

0107

ステップS1902では、電圧計算部1705は、遠方型隣接電力変換手段への補助電流値を加算し(補助電流を増加させ)、ステップS1903へ処理を移す。補助電流値の加算量は、あらかじめ設定した任意の値を用いる。

0108

ステップS1903では、電圧計算部1705は、ステップS1902の補助電流値加算実施後の、遠方型隣接電力変換手段の設定電圧を計算する。ステップS1903の詳細については、後述する。

0109

ステップS1904では、電圧計算部1705は、ステップS1302の補助電流値加算実施後の、補助対象電力変換手段と遠方型隣接電力変換手段のレール対地電圧を計算する。ステップS1904の処理の詳細については、後述する。

0110

ステップS1905では、(31)ステップS1904で計算した遠方型隣接電力変換手段のレール対地電圧(計算値)の絶対値が基準値を上回っている、又は、(32)ステップS1903で計算した遠方型隣接電力変換手段の設定電圧が設定可能範囲を超えているかを判定する。電圧計算部1705は、この(31)又は(32)の条件が満たされる場合(ステップS1905:Yes)はステップS1906へ処理を移し、(31)及び(32)の何れの条件も満たされない場合(ステップS1905:No)はステップS1907へ処理を移す。

0111

ステップS1906では、電圧計算部1705は、遠方型隣接電力変換手段の補助電流を増加させた結果、遠方型隣接電力変換手段のレール対地電圧が基準を超えてしまうか、遠方型隣接電力変換手段の設定電圧が設定可能最大値を超えており、これ以上補助電流を増加させることができない状態であるため、1ループ前で計算した遠方型隣接電力変換手段の設定電圧を、設定電圧情報172として出力し、本処理を終了する。これにより、遠方型隣接電力変換手段のレール対地電圧を基準範囲内に収めつつ、補助対象電力変換手段のレール対地電圧を可能な限り改善することができる。

0112

ステップS1907では、電圧計算部1705は、ステップS1904で計算した補助対象電力変換手段のレール対地電圧計算値の絶対値が基準値を下回っているかを判定する。電圧計算部1705は、ステップS1904で計算した補助対象電力変換手段のレール対地電圧計算値の絶対値が基準値を下回っている場合(ステップS1907:Yes)はステップS1908へ処理を移し、下回っていない場合(ステップS1907:No)は遠方型隣接電力変換手段にまだ補助電流を増加させる余裕があり、かつ補助対象電力変換手段のレール電位を基準値まで上昇させるための補助電流が不足している状態であることから、ループ処理を実施しステップS1902へ処理を移す。

0113

ステップS1908では、電圧計算部1705は、補助対象電力変換手段のレール対地電圧計算値が基準を下回っており、これ以上補助電流を増加する必要はない状態であるため、現在のループで計算した遠方型隣接電力変換手段の設定電圧を、設定電圧情報172として出力し、処理を終了する。

0114

[遠方型隣接電力変換手段の設定電圧の計算方法]
図20は、実施例3の補助対象電力変換手段及び遠方型隣接電力変換手段と電車の距離程における架線電圧及びレール電圧及びレール対地電圧の一例を示す図である。図20を参照して、ステップS1903における、遠方型隣接電力変換手段の設定電圧計算方法について説明する。図20では、補助対象区間に電車が在線している状況における、架線電圧及びレール電圧(補助対象電力変換手段の帰線電圧基準)と、レール対地電圧の例を示している。なお、図示していないが、電車は補助対象区間に複数在線していることを想定している。

0115

図20に示す状況の場合、補助実施後の遠方型隣接電力変換手段の設定電圧V2´を、補助実施後の直接型隣接電力変換手段の設定電圧V1´よりも高くすることで、直接型隣接電力変換手段を越えて補助対象区間に補助電流を流すことができる。ステップS1903では、式(17)、式(18)、式(19)を用いて、補助実施後の遠方型隣接電力変換手段の設定電圧V2nl´を計算する。

0116

V2nl´=V2´+(I2+IS2)×Rd ・・・(17)
V2´=V1´+IS2×((Rt+Rr)×L2) ・・・(18)
V1´=V1nl−(I1+IS1−IS2)×Rd ・・・(19)
V1´:補助実施後の直接型隣接電力変換手段の架線レール間電圧(実施例1のステップS703のロジックを用いて計算)
V2´: 補助実施後の遠方型隣接電力変換手段の架線レール間電圧
V1nl:補助実施前の直接型隣接電力変換手段の設定電圧
V2nl´:補助実施後の直接型隣接電力変換手段の設定電圧
I1:補助実施前の補助対象電力変換手段の出力電流
I2:補助実施前の遠方型隣接電力変換手段の出力電流
IS1:直接型隣接電力変換手段による補助電流(補助される側の値が正)
IS2:遠方型隣接電力変換手段による補助電流(補助される側の値が正)
Rt:架線抵抗率(路線で一様と仮定)Rr:レール抵抗率(路線で一様と仮定)
Rd:整流器の等価電源抵抗
L2:遠方型隣接電力変換手段から補助対象電力変換手段までの距離

0117

ステップS1903においては、遠方型隣接電力変換手段と補助対象電力変換手段の間に、電力を消費する電車が在線している状況も考えられる。遠方型隣接電力変換手段と直接型隣接電力変換手段の間に在線している電車には、遠方型隣接電力変換手段と直接型隣接電力変換手段の両方から電力が供給されている。そのため、このような場合には、電車への電流を遠方型隣接電力変換手段が多く負担することで、直接型隣接電力変換手段をアシストし、直接型隣接電力変換手段が補助対象区間に流れせる補助電流を増加させることで、補助対象電力変換手段近傍におけるレール対地電圧の絶対値が過度に上昇するのを抑制する。

0118

遠方型電力変換手段と直接型電力変換手段の間に電力を消費する電車が在線している場合の遠方型電力変換手段の設定電圧計算方法は、直接型電力変換手段を補助対象電力変換手段に置き換え、遠方型電力変換手段を直接型電力変換手段に置き換えることにより、実施例1のステップS703の計算式を用いることが可能であるため、詳細な説明を省略する。

0119

なお、遠方型隣接電力変換手段と直接型隣接電力変換手段の間に、回生している電車がいる場合は、図20を用いて説明した式(17)で対応可能である。電車が回生すると電車付近の架線レール間電圧が上昇するが、電車の回生電流が補助電流よりも小さい場合は、電車付近の架線レール間電圧が遠方型隣接電力変換手段の電圧よりも下がるため、回生している電車を越えて補助対象区間に電流を流すことが可能となる。また、電車の回生電流が補助電流よりも大きい場合は、そもそも遠方型隣接電力変換手段が補助しなくても、回生している電車が遠方型隣接電力変換手段の役割を果たすことになるため、いずれにせよ補助対象電力変換手段のレール対地電圧絶対値が過渡に上昇するのを抑制することができる。

0120

[実施例3のレール対地電圧計算処理]
図21は、実施例3の「遠方型隣接電力変換手段の設定電圧及びレール対地電圧計算処理」の「レール対地電圧計算処理」の一例を示すフローチャートである。図21を参照して、ステップS1904における、補助対象電力変換手段と、遠方型隣接電力変換手段の近傍における、レール対地電圧の計算方法について説明する。

0121

ステップS2101では、電圧計算部1705は、補助対象電力変換手段のレール対地電圧計算値と、遠方型隣接電力変換手段のレール対地電圧値を、それぞれ初期化する。

0122

ステップS1002からステップS1004は、実施例1のステップS704における処理と同じであるため説明を省略する。

0123

ステップS2105はループ処理であり、電圧計算部1705は、遠方型隣接電力変換手段が電力を供給している全ての電車についてステップS2106とステップS2107を繰り返す。

0124

ステップS2106では、電圧計算部1705は、遠方型隣接電力変換手段が各電車に供給する電流と、遠方型隣接電力変換手段と各電車の距離から、図4に示したレール対地電圧データベース情報374を参照し、各電車に電流を供給することによる遠方型隣接電力変換手段の接続位置でのレール対地電圧を計算する。

0125

ステップS2107では、電圧計算部1705は、ステップS2106で計算した、各電車に電流を供給することによる遠方型隣接電力変換手段の接続位置でのレール対地電圧を加算(積算)する。電圧計算部1705は、遠方型隣接電力変換手段が補助対象区間内で電力を供給している全ての電車についてステップS2106とステップS2107の処理を繰り返したのち、本処理フローを終了する。

0126

本実施例の構成により、補助対象電力変換手段の電流を遠方型隣接電力変換手段にも分担させることで、補助対象電力変換手段の電流を低減し、レール対地電圧の絶対値が過度に上昇するのを抑制することができる。

0127

なお、本実施例では遠方型隣接電力変換手段の電圧を上昇させる例について説明したが、補助対象電力変換手段の電圧を降下させることでも同等の効果を得ることが可能である。また、遠方型隣接電力変換手段の電圧の上昇と、補助対象電力変換手段の電圧の降下とを同時に行ってもよい。

0128

上記の実施例1〜3では、直接型隣接電力変換手段と、間接型隣接電力変換手段と、遠方型隣接電力変換手段とが独立している例を示したが、これらが複合した形であってもよい。例えば、直接型隣接電力変換手段のみでは補助対象電力変換手段のレール対地電圧を基準値に抑えることができない場合に、間接型隣接電力変換手段の設定電圧を上げることで、二重で補助を実施してもよい。また、直接型隣接電力変換手段と間接型隣接電力変換手段だけでは、補助対象電力変換手段のレール対地電圧を基準値に抑えることができない場合に、遠方型隣接電力変換手段の設定電圧を上げることで、三重で補助を実施してもよい。あるいは、直接型隣接電力変換手段の設定電圧の上昇、間接型隣接電力変換手段の設定電圧の上昇、遠方型隣接電力変換手段の設定電圧の上昇のうちの適切な何れか1つ又は複数の組合せを実行してもよい。あるいは、直接型隣接電力変換手段の設定電圧の上昇、間接型隣接電力変換手段の設定電圧の上昇、遠方型隣接電力変換手段の設定電圧の上昇のうちの適切な何れか1つ又は複数の組合せの実行と並行して、補助対象電力変換手段の設定電圧を下降させるようにしてもよい。このように直接型隣接電力変換手段、間接型隣接電力変換手段、及び遠方型隣接電力変換手段から電力変換手段を適宜選択して設定電圧を上昇させる、あるいは設定電圧の上昇と並行して補助対象電力変換手段の設定電圧を下降させることで、効率的に補助対象電力変換手段のレール対地電圧を基準値に抑えることができる。

0129

なお、直接型隣接電力変換手段の設定電圧の上昇、間接型隣接電力変換手段の設定電圧の上昇、遠方型隣接電力変換手段の設定電圧の上昇、補助対象電力変換手段の設定電圧の下降の各指令を各電力変換手段に反映させる制御は、各設定電圧の最適な組合せを決定後に同時に行う。

0130

[エネルギ管理装置を実現するコンピュータ]
図22は、実施例1〜3のエネルギ管理装置を実現するコンピュータの一例を示す図である。実施例1〜32のエネルギ管理装置102,1002,1602を実現するコンピュータ5000は、CPU05300、RAM等のメモリ5400、入力装置5600(例えばキーボードマウスタッチパネル等)、及び出力装置5700(例えば外部ディスプレイモニタに接続されたビデオグラフィックカード)が、メモリコントローラ5500を通して相互接続される。コンピュータ5000において、エネルギ管理装置102,1002,1602を実現するためのプログラムがI/O0コントローラ5200を介してSSDやHDD等の外部記憶装置5800から読み出されて、CPU530及びメモリ5400の協働により実行されることにより、エネルギ管理装置102,1002,1602が実現される。あるいは、エネルギ管理装置102,1002,1602を実現するためのプログラムは、ネットワークインターフェース5100を介した通信により外部のコンピュータから取得されてもよい。

実施例

0131

本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例が含まれる。例えば、本発明は、上記の実施例で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。また、ある実施例及び変形例に係る構成の一部を、他の実施例及び他の変形例に係る構成に追加又は置換することが可能である。また、上記の実施例で示した各要素は、実装効率負荷分散の観点から、適宜分散及び統合することができる。

0132

1S,2S,3S:電力供給システム、101:レール対地電圧取得手段、102,1002,1602:エネルギ管理装置、103:電力変換手段、171:レール対地電圧関連情報、172:設定電圧情報、202:送電ケーブル、203:架線、204:電車
205:レール、206:帰線ケーブル、210:コンダクタンス、211:大地、301:電車距離取得部、302:路線電圧取得部、303:架線抵抗取得部、304:レール対地電圧データベース、305、1105,1705:電圧計算部、371:電車距離情報、372:路線電圧情報、373:架線抵抗情報、374:レール対地電圧データベース情報、5000:コンピュータ、5100:ネットワークインターフェース、5200:I/Oコントローラ、5300:CPU、5400:メモリ、5500:メモリコントローラ、5600:入力装置、5700:出力装置

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