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技術 (メタ)アクリル系樹脂発泡体、(メタ)アクリル系樹脂発泡体の製造方法、及び、発泡用樹脂組成物

出願人 国立研究開発法人産業技術総合研究所積水化成品工業株式会社
発明者 武学麗依田智森田裕史堀内伸新納弘之田井哲朗田積皓平
出願日 2018年11月14日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2018-213845
公開日 2020年5月28日 (10ヶ月経過) 公開番号 2020-079374
状態 未査定
技術分野 多孔性物品の製造および廃物の回収・処理
主要キーワード 樹脂円板 高温チャンバー アクリル発泡体 シェアストレス 加工ソフトウェア フィラメント材 アクリル系樹脂発泡体 比重測定キット
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重要な関連分野

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図面 (12)

課題

ナノサイズの核剤を使用しなくてもナノサイズの気泡を有する状態に調製可能な樹脂発泡の提供。

解決手段

鉄又は鉄よりもイオン化傾向の低い金属で少なくとも表面が構成されているナノ粒子と、(メタアクリル系樹脂とを含有する樹脂組成物によって構成されている(メタ)アクリル系樹脂発泡体を提供する。

概要

背景

従来、樹脂発泡体軽量性緩衝性断熱性などの種々の特性が要求される場面で広く用いられている。
樹脂発泡体を作製する際には、その発泡度気泡の大きさなどを調整すべく“核剤”や“気泡調整剤”などと称される添加剤が従来用いられている。
核剤は、通常、樹脂との親和性に乏しい物質からなる微粒子であり、樹脂との界面に発泡剤ガス析出し易い環境を与えて気泡の核となるため、樹脂発泡体を作製する際の発泡性を調整するのに有効である。

ところで、一般的な樹脂発泡体の気泡のサイズは、通常、小さくても数μm程度であるが、これをナノオーダーのサイズにすることが試みられている(下記特許文献1参照)。
ナノサイズの気泡を有する樹脂発泡体は、気泡サイズが空気の平均自由行程と同レベルか、それ以下になるため一般的な樹脂発泡体よりも格段に高い断熱性を発揮することが期待される。
また、ナノサイズの気泡を有する樹脂発泡体については、断熱性以外にも従来の樹脂発泡体とは異なる特徴を発揮し得る。
このようなことからナノサイズの気泡を有する樹脂発泡体の応用方法が検討されている。
ここで、下記特許文献1にはナノサイズの気泡を有する樹脂発泡体を作製する方法が記載され、用いる核剤をナノ粒子とすることが記載されている。

概要

ナノサイズの核剤を使用しなくてもナノサイズの気泡を有する状態に調製可能な樹脂発泡の提供。 鉄又は鉄よりもイオン化傾向の低い金属で少なくとも表面が構成されているナノ粒子と、(メタアクリル系樹脂とを含有する樹脂組成物によって構成されている(メタ)アクリル系樹脂発泡体を提供する。

目的

本発明は、上記のような問題を解決することを課題としており、ナノサイズの核剤を使用しなくてもナノサイズの気泡を有する状態に調製可能な樹脂発泡体と、そのような樹脂発泡体を作製するのに適した樹脂発泡体の製造方法や発泡用樹脂組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

鉄又は鉄よりもイオン化傾向の低い金属で少なくとも表面が構成されているナノ粒子と、(メタアクリル系樹脂とを含有する樹脂組成物によって構成され、ナノサイズの気泡を有している(メタ)アクリル系樹脂発泡体

請求項2

断面において長さ5μm以上の気泡が占める割合が20%以下である請求項1記載の(メタ)アクリル系樹脂発泡体。

請求項3

前記ナノ粒子の平均粒子径が1nm以上100nm以下である請求項1又は2記載の(メタ)アクリル系樹脂発泡体。

請求項4

樹脂発泡体で構成された断熱材であって、該樹脂発泡体が請求項1乃至3の何れか1項に記載の(メタ)アクリル系樹脂発泡体である断熱材。

請求項5

(メタ)アクリル系樹脂発泡体の製造方法であって、鉄又は鉄よりもイオン化傾向の低い金属で少なくとも表面が構成されているナノ粒子と(メタ)アクリル系樹脂とを含む発泡用樹脂組成物を調製する第1工程と、前記発泡用樹脂組成物に発泡剤を含ませて発泡性樹脂組成物を調製する第2工程と、前記発泡性樹脂組成物を発泡させる第3工程と、を実施し、ナノサイズの気泡を有している(メタ)アクリル系樹脂発泡体を製造する(メタ)アクリル系樹脂発泡体の製造方法。

請求項6

前記発泡剤が二酸化炭素窒素アルゴンヘリウム、水の何れか1つ以上を含む請求項5記載の(メタ)アクリル系樹脂発泡体の製造方法。

請求項7

前記第1工程では、内部が前記表面と同じ金属によって構成されている金属ナノ粒子を前記ナノ粒子として含む前記発泡用樹脂組成物を調製する請求項5又は6記載の(メタ)アクリル系樹脂発泡体の製造方法。

請求項8

前記第1工程では、前記金属ナノ粒子の前駆体であり、還元されて前記金属ナノ粒子となる金属錯体と、前記(メタ)アクリル系樹脂とを含有する前駆体組成物を調製することと、前記金属錯体を還元することにより、前記前駆体組成物中に前記金属ナノ粒子を析出させて前記発泡用樹脂組成物を調製することとを含む請求項7記載の(メタ)アクリル系樹脂発泡体の製造方法。

請求項9

(メタ)アクリル系樹脂発泡体を作製すべく用いられる発泡用樹脂組成物であって、(メタ)アクリル系樹脂と、金属ナノ粒子の前駆体とを含有し、前記前駆体が還元されて前記金属ナノ粒子となる金属錯体であり、該金属錯体は、鉄又は鉄よりもイオン化傾向の低い金属を含む錯体である発泡用樹脂組成物。

技術分野

0001

本発明は、(メタアクリル系樹脂発泡体、(メタ)アクリル系樹脂発泡体の製造方法、及び、発泡用樹脂組成物に関する。

背景技術

0002

従来、樹脂発泡体軽量性緩衝性断熱性などの種々の特性が要求される場面で広く用いられている。
樹脂発泡体を作製する際には、その発泡度気泡の大きさなどを調整すべく“核剤”や“気泡調整剤”などと称される添加剤が従来用いられている。
核剤は、通常、樹脂との親和性に乏しい物質からなる微粒子であり、樹脂との界面に発泡剤ガス析出し易い環境を与えて気泡の核となるため、樹脂発泡体を作製する際の発泡性を調整するのに有効である。

0003

ところで、一般的な樹脂発泡体の気泡のサイズは、通常、小さくても数μm程度であるが、これをナノオーダーのサイズにすることが試みられている(下記特許文献1参照)。
ナノサイズの気泡を有する樹脂発泡体は、気泡サイズが空気の平均自由行程と同レベルか、それ以下になるため一般的な樹脂発泡体よりも格段に高い断熱性を発揮することが期待される。
また、ナノサイズの気泡を有する樹脂発泡体については、断熱性以外にも従来の樹脂発泡体とは異なる特徴を発揮し得る。
このようなことからナノサイズの気泡を有する樹脂発泡体の応用方法が検討されている。
ここで、下記特許文献1にはナノサイズの気泡を有する樹脂発泡体を作製する方法が記載され、用いる核剤をナノ粒子とすることが記載されている。

先行技術

0004

特許第5856974号公報

発明が解決しようとする課題

0005

前述のように気泡の核となる機能を発揮するために、発泡させる樹脂と良好な親和性を有するものは核剤とはなり難い。
そのため、樹脂発泡体の原料樹脂中に核剤を分散させる際には、核剤どうしが凝集し易く良好な分散性が発揮され難い。
そのようなことから、従来の核剤は、樹脂発泡体を作製する際にはマスターバッチのような状態で用いられたりしている。
この種のマスターバッチを作製する際には、通常、樹脂発泡体の原料樹脂と同じか、原料樹脂に親和性の高い樹脂に対して核剤を高濃度に含有させる必要があり、しかも、核剤が良好な分散状態となるように作製される必要があるため高いシェアストレスが加わる方法が採用されている。
そこで、マスターバッチを作製する際には、シェアストレスによってマスターバッチのベース樹脂特性低下が生じうる。
マスターバッチを用いて樹脂発泡体を作製する場合、樹脂発泡体の原料樹脂に対して使用されるマスターバッチの量は僅かであるが、特性低下が生じた樹脂が樹脂発泡体に混在することは好ましいことではない。

0006

核剤の分散性に係る問題は、核剤が微粒子化されるほど顕在化され得る。
そして、ナノサイズの核剤を用いて樹脂発泡体を作製することについて記載された上記の特許文献1においても、核剤として用いるシリカシルセスキオキサンは、ゲル溶媒に分散させた状態で樹脂に混合されている(特許文献1の段落0071〜0072、段落0082等参照)。
溶剤に分散させたナノ粒子を樹脂に分散させて樹脂発泡体を作製する方法は、溶剤を除去する操作が必要になるなどして工程を複雑化させるおそれがあるという問題を有する。

0007

ナノサイズの核剤を用いるような方法とは異なる違った方法でナノサイズの気泡を有する樹脂発泡体が作製する手段があれば、上記のような問題が解決され得るもののそのような手段はいまだ見出されていない。
そこで本発明は、上記のような問題を解決することを課題としており、ナノサイズの核剤を使用しなくてもナノサイズの気泡を有する状態に調製可能な樹脂発泡体と、そのような樹脂発泡体を作製するのに適した樹脂発泡体の製造方法や発泡用樹脂組成物を提供することを課題としている。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、鉄や鉄よりもイオン化傾向の低い金属が(メタ)アクリル系樹脂に対して優れた親和性を示し、(メタ)アクリル系樹脂を含む(メタ)アクリル系樹脂発泡体を作製する際に、このような金属で少なくとも表面が形成されているナノ粒子を含有させておくことで、核剤での発泡の機構とは異なった機構により気泡が形成され、ナノ粒子の存在していない部分でナノサイズの気泡が形成されることを見出して本発明を完成させるに至った。

0009

即ち、上記課題を解決するための本発明は、鉄又は鉄よりもイオン化傾向の低い金属で少なくとも表面が構成されているナノ粒子と、(メタ)アクリル系樹脂とを含有する樹脂組成物によって構成され、ナノサイズの気泡を有している(メタ)アクリル系樹脂発泡体を提供する。

0010

本発明は、また、(メタ)アクリル系樹脂発泡体の製造方法であって、鉄又は鉄よりもイオン化傾向の低い金属で少なくとも表面が構成されているナノ粒子と(メタ)アクリル系樹脂とを含む発泡用樹脂組成物を調製する第1工程と、前記発泡用樹脂組成物に発泡剤を含ませて発泡性樹脂組成物を調製する第2工程と、前記発泡性樹脂組成物を発泡させる第3工程と、を実施し、ナノサイズの気泡を有している(メタ)アクリル系樹脂発泡体を製造する(メタ)アクリル系樹脂発泡体の製造方法を提供する。

0011

本発明は、(メタ)アクリル系樹脂発泡体を作製すべく用いられる発泡用樹脂組成物であって、(メタ)アクリル系樹脂と、金属ナノ粒子の前駆体とを含有し、前記前駆体が還元されて前記金属ナノ粒子となる金属錯体であり、該金属錯体は、鉄又は鉄よりもイオン化傾向の低い金属を含む錯体である発泡用樹脂組成物を提供する。

発明の効果

0012

従来の樹脂発泡体で用いられている核剤では、当該核剤と樹脂との界面に働く力が樹脂の分子鎖間に作用する凝集力よりも弱いことで前記界面において発泡剤ガスが析出し易くなって当該界面を起点に気泡が発生するが、本発明においては、ナノ粒子と樹脂との界面に働く力が核剤の場合よりも高いので、樹脂中ではナノ粒子とナノ粒子との間で気泡が発生し易くなると考えられる。
しかも、本願発明では樹脂に対して優れた親和性を示すナノ粒子を用いるため、当該ナノ粒子によって気泡膜補強される効果を期待でき、隣り合う気泡の間に形成される気泡膜が破泡して複数の気泡が1つの粗大気泡となることが抑制され得る。
このことにより、本発明では、ナノサイズの核剤を用いる場合と同等、又は、それ以上の細かな気泡を有する樹脂発泡体が容易に得られることになる。

図面の簡単な説明

0013

(メタ)アクリル系樹脂発泡体を製造するための成形型を示した概略斜視図である。
円板状の(メタ)アクリル系樹脂発泡体樹脂を切断する様子を示した概略斜視図。
気泡径測定方法を示した説明図。
実施例1の(メタ)アクリル系樹脂発泡体の拡大写真A。
実施例1の(メタ)アクリル系樹脂発泡体の拡大写真B。
比較例1の(メタ)アクリル系樹脂発泡体の拡大写真A。
比較例1の(メタ)アクリル系樹脂発泡体の拡大写真B。
実施例4で得られた(メタ)アクリル系樹脂発泡体の透過型電子顕微鏡写真TEM写真)。
参考例1で得られた(メタ)アクリル系樹脂発泡体の透過型電子顕微鏡写真(TEM写真)。
実施例4で得られた(メタ)アクリル系樹脂発泡体のX線CT写真。
参考例2で得られた(メタ)アクリル系樹脂発泡体のX線CT写真。

0014

以下に、本発明の実施の形態について説明する。
まず、(メタ)アクリル系樹脂発泡体の原材料について説明する。

0015

本実施形態の(メタ)アクリル系樹脂発泡体は、ナノサイズの気泡を有する発泡体である。
尚、以下においては、気泡の断面形状における最大寸法を、その気泡の“長さ”などと称し、この“長さ”の方向とは直交する方向での気泡の最大寸法をその気泡の“幅”などと称することがある。
また、以下においては、“長さ”と“幅”とを足して2分した値を気泡の“径”などと称することがある。
そして、本明細書において“ナノサイズの気泡”とは、気泡の“径”がナノオーダーであることを意味し、“(メタ)アクリル系樹脂発泡体がナノサイズの気泡を有する”とは“(メタ)アクリル系樹脂発泡体が、1μm未満の径の気泡を有している”ということを意味する。

0016

本実施形態の(メタ)アクリル系樹脂発泡体は、鉄又は鉄よりもイオン化傾向の低い金属で少なくとも表面が構成されているナノ粒子と、(メタ)アクリル系樹脂とを含有する樹脂組成物によって構成されている。
前記(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、1種類の(メタ)アクリル系モノマーのみを構成単位とする樹脂であっても複数種類の(メタ)アクリル系モノマーを構成単位とする樹脂であってもよい。
前記(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能ビニルモノマーを構成単位に含んでいてもよい。

0017

ここで、本明細書における“(メタ)アクリル”との用語は、“アクリル”と“メタクリル”とを包括的に表現する意図で用いている。
即ち、(メタ)アクリル系モノマーとの用語には、アクリル系モノマーとメタクリル系モノマーとが含まれている。

0018

本実施形態での前記(メタ)アクリル系樹脂は、上記のような(メタ)アクリル系モノマーどうし、又は、(メタ)アクリル系モノマーと(メタ)アクリル系モノマー以外のモノマーとを重合開始剤の存在下で重合させることにより得られる樹脂とすることができる。

0019

本実施形態での前記ナノ粒子は、中実粒子であっても中空粒子であってもよく、前記金属を外殻シェル)とし、該金属とは異なる物質で核(コア)が形成されているコアシェル粒子であってもよい。
本実施形態での前記ナノ粒子は、表面から内部まで同じ金属で形成されている金属ナノ粒子であることが好ましい。

0020

前記(メタ)アクリル系樹脂の構成単位となる前記(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、マレイン酸無水マレイン酸フマル酸イタコン酸無水イタコン酸クロトン酸、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミドマレイン酸アミドマレイン酸イミドなどが挙げられる。
前記(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のエチレングリコールの両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸エステル化したもの、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の2価のアルコールの水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したものなどであってもよい。

0021

本実施形態における(メタ)アクリル系モノマーは、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロプロピル、(メタ)アクリル酸シクロブチル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルメタクリル酸イソボルニルなどの架橋環型(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トリル、(メタ)アクリル酸キシリル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸ビナフチル、(メタ)アクリル酸アントリル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等の(メタ)アクリル酸フェノキシアルキルが挙げられる。

0022

本実施形態における(メタ)アクリル系モノマーは、炭素数6以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが特に好ましい。

0023

(メタ)アクリル系モノマー以外の構成単位としては、スチレン、α−アルキルスチレンビニルトルエンクロロスチレンなどの芳香族ビニルモノマーエチレンプロピレンブテンなどのアルケンモノマーブタジエンペンタジエンなどのアルカジエンモノマーなどが挙げられる。

0024

(メタ)アクリル系樹脂は、その構成単位に占める(メタ)アクリル系モノマーの割合が80質量%以上であることが好ましい。
前記割合は、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。
即ち、(メタ)アクリル系樹脂における(メタ)アクリル系モノマー以外の構成単位の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂は、その構成単位に占める(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合が85質量%以上であることがより好ましい。
該割合は、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。

0025

これらのモノマーによって(メタ)アクリル系樹脂を構成させるための前記重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリルアゾビスジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物が挙げられる。
前記重合開始剤は、過酸化ベンゾイルラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエートイソプロピル−t−ブチルパーオキシカーボネート過安息香酸ブチル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−アミルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートなどの有機過酸化物であってもよい。
前記重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても良い。

0026

前記モノマーによって(メタ)アクリル系樹脂を構成させる際には、作製される(メタ)アクリル系樹脂の分子量を制御するなどの目的において連鎖移動剤禁止剤を用いてもよい。
前記連鎖移動剤は、例えば、ドデシルメルカプタンラウリルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン類チオグリコール酸エステル類;メルカプトエタノールα−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。
前記禁止剤としては、例えば、ヒドロキノンヒドロキノンモノメチルエーテルパラ−t−ブチルヒドロキノン、パラベンゾキノンなどのヒドロキノン類;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、6−t−ブチル−2,4−ジメチルフェノールなどのフェノール類カテコール類アミン類などが挙げられる。

0027

本実施形態の(メタ)アクリル系樹脂発泡体を構成する前記樹脂組成物には、(メタ)アクリル系樹脂以外の樹脂を含有させることも可能であるが、前記樹脂組成物に含有される全ての樹脂に占める(メタ)アクリル系樹脂の割合は、80質量%以上であることが好ましい。
前記割合は、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。
前記(メタ)アクリル系樹脂発泡体に含有される樹脂は、実質的に(メタ)アクリル系樹脂のみであることがとりわけ好ましい。
即ち、前記樹脂組成物に含有される全ての樹脂に占める(メタ)アクリル系樹脂以外の樹脂の割合は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以下であることが特に好ましく、実質的に0質量%であることがとりわけ好ましい。

0028

(メタ)アクリル系樹脂とともに前記樹脂組成物に含まれるナノ粒子の少なくとも表面を構成する金属としては、鉄、コバルトニッケル、スズ、鉛、銅、銀、金、白金族ルテニウムロジウムパラジウムオスミウムイリジウム白金)などが挙げられる。
前記ナノ粒子の少なくとも表面を構成する金属は、鉄、銅、銀、金、白金、パラジウムの何れかであることが好ましい。
上記のような金属は、比較的高価であるため、材料コストの観点からはコアシェル粒子の方が有利であるといえるが、このようなコアシェル粒子は必ずしも容易に入手できるものではない。
そのようなことから前記ナノ粒子は、前記のように表面から内部まで同じ金属で構成されていることが好ましい。
本実施形態での前記ナノ粒子は、金属錯体を還元することによって得られる金属ナノ粒子とすることができる。

0029

前記樹脂組成物における前記ナノ粒子の含有量は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.02質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましく、0.2質量%以上であることが特に好ましい。
前記含有量は、5質量%以下であることが好ましく、4質%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、2.5質量%以下であることが特に好ましい。

0030

該金属ナノ粒子としては、例えば、金属錯体の還元によって得られるものが挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂中における優れた分散性を発揮する上で、前記金属ナノ粒子は、(メタ)アクリル系樹脂中に分散させた前記金属錯体を還元することによって形成されることが好ましい。
即ち、前記金属ナノ粒子は(メタ)アクリル系樹脂中での還元物であることが好ましい。

0031

前記金属錯体としては、(メタ)アクリル系樹脂に対する良好な親和性を発揮する点において、配位子有機化合物であることが好ましい。
該金属錯体としては、例えば、アセチルアセトナート錯体カルボキシラト錯体、シクロペンタジエニル錯体などが挙げられる。
前記金属錯体は、例えば、ジメチルアミド錯体、ジエチルアミド錯体、メチルエチルアミド錯体などのアルキルアミド系錯体などであってもよい。
前記金属錯体は、要すれば、アンミン錯体ジアミン錯体トリアミン錯体、テトラミン錯体などのアミン系錯体;ピリジン錯体、ジイミン錯体、トリイミン錯体、ポルフィリン錯体などのイミン系錯体;ホスフィン系錯体などであってもよい。
前記金属錯体は、単座配位子との錯体であっても多座配位子との錯体であってもよく、多座配位子との錯体である場合、エチレンジアミンビピリジンエチレンジアミン四酢酸フェナントロリンポルフィリンクラウンエーテルなどとのキレート錯体であってもよい。

0032

前記金属錯体としては、アセチルアセトナート錯体、カルボキシラト錯体、シクロペンタジエニル錯体などが好適である。

0033

前記ナノ粒子がナノサイズであることは、例えば、(メタ)アクリル系樹脂発泡体から作製した薄片試料透過型電子顕微鏡TEM)で観察することによって確認することができる。
具体的には、TEMを使って前記薄片試料の写真を撮影し、該写真における前記ナノ粒子の面積投影面積)を求め、該面積と同じ面積を有する円の直径が1μm未満であることで前記ナノ粒子がナノサイズであることを確認できる。
前記ナノ粒子は、平均粒子径無作為に選択した複数(例えば、20個以上)のナノ粒子に対して上記のような直径を求めた際の平均値)が500nm以下となる大きさであることが好ましく、300nm以下となる大きさであることがより好ましく、100nm以下となる大きさであることがさらに好ましい。
前記ナノ粒子の平均粒子径は、0.5nm以上であることが好ましく、1nm以上であることがより好ましい。
該平均粒子径は、1nm以上100nm以下であることが好ましい。

0034

本実施形態の(メタ)アクリル系樹脂発泡体を構成する樹脂組成物には、(メタ)アクリル系樹脂に対する可塑化効果を発揮し得る可塑剤を含有させてもよい。
前記可塑剤としては、アジピン酸エステルトリメリット酸エステルポリエステルリン酸エステルクエン酸エステルエポキシ化植物油、セバシル酸エステル、アゼライン酸エステルマレイン酸エステル安息香酸エステルスルホン酸エステル等が挙げられる。
前記スルホン酸エステルとしては、アルキルスルホン酸エステルが挙げられる。
アルキルスルホン酸エステルにおいて、アルキル基の炭素数は、例えば、12〜20とすることができる。

0035

本実施形態の(メタ)アクリル系樹脂発泡体を構成する樹脂組成物には、これら以外に、例えば、滑剤、可塑剤、酸化防止剤帯電防止剤光安定剤紫外線吸収剤難燃剤顔料染料シランカップリング剤レベリング剤消泡剤蛍光剤、等の各種添加剤を含有させてもよい。

0036

(メタ)アクリル系樹脂発泡体を作製する際に用いる発泡剤としては、反応によって気体を発生する化学発泡剤であってもよいが、化学発泡剤は、核剤としても作用する場合があるため、本実施形態においては物理発泡剤が好適である。
該物理発泡剤としては、無機ガス揮発性有機溶剤が挙げられる。
前記無機ガスとしては、二酸化炭素窒素アルゴンヘリウム、水などが挙げられる。
前記揮発性有機溶剤としては、例えば、ブタンペンタンヘキサンオクタンノナンデカンウンデカンシクロペンタン、シクロヘキサンなどの鎖状又は環状炭化水素類;シクロペンタノンシクロヘキサノンメチルエチルケトンなどのケトン類酢酸エチル酢酸ブチルなどのエステル類テトラヒドロフラン等のエーテル類ベンゼントルエンキシレンエチルベンゼン等の芳香族類アセトニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド等の含窒素類塩化メチレンクロロホルムフロン等の含ハロゲン類等が挙げられる。
本実施形態における発泡剤は、これらの物理発泡剤のなかでは、無機ガスが好ましい。

0037

次いで、(メタ)アクリル系樹脂発泡体の製造方法について説明する。
本実施形態で、ナノサイズの気泡を有しているアクリル系樹脂発泡体を製造するにあたっては、以下の(A)〜(C)のような工程を実施することが好ましい。

(A)鉄又は鉄よりもイオン化傾向の低い金属で少なくとも表面が構成されているナノ粒子と(メタ)アクリル系樹脂とを含む発泡用樹脂組成物を調製する第1工程。
(B)前記発泡用樹脂組成物に発泡剤を含ませて発泡性樹脂組成物を調製する第2工程。
(C)前記発泡性樹脂組成物を発泡させる第3工程。

0038

前記第1工程(A)では、前記ナノ粒子として、内部が前記表面と同じ金属によって構成されている金属ナノ粒子を含む発泡用樹脂組成物を調製することが好ましい。
この場合、前記第1工程(A)では、以下の(a1)、(a2)を実施することが好ましい。
(a1)前記金属ナノ粒子の前駆体であり、還元されて前記金属ナノ粒子となる金属錯体と、前記(メタ)アクリル系樹脂とを含有する前駆体組成物を調製する。
(a2)前記金属錯体を還元することにより、前記前駆体組成物中に前記金属ナノ粒子を析出させて前記発泡用樹脂組成物を得る。

0039

前記第1工程(A)は、具体的には、次のようにして実施できる。
まず、前記(メタ)アクリル系モノマーと、前記金属錯体とを含有するモノマー液を調製した後に、該モノマー液にさらに重合開始剤を含有させて反応性混和物を調製する。
次いで、この反応性混和物を加熱して(メタ)アクリル系モノマーの重合を進行させ、(メタ)アクリル系樹脂と前記金属錯体とを含む前駆体組成物を得る。
この後、前駆体組成物に含まれている金属錯体を還元し、前記前駆体組成物中に前記金属ナノ粒子を析出させて前記発泡用樹脂組成物を得る。
前記金属錯体の還元(金属ナノ粒子の析出)は、金属錯体を還元可能な条件下で前駆体組成物を加熱する方法などによって実施できる。
前記第1工程(A)は、前記金属錯体を用いる方法に代え、モノマー液の時点でナノ粒子を含有させるようにして実施することもできる。
この時、ナノ粒子が(メタ)アクリル系モノマーに対して優れた分散性を示すことで、モノマー液中における凝集塊の形成が抑制される。
このように本実施形態においては金属錯体やナノ粒子が良好な分散状態で(メタ)アクリル系樹脂を含む発泡用樹脂組成物中に分散されるため、当該発泡用樹脂組成物が簡便な方法によって作製され得る。

0040

前記第1工程(A)の後に実施される前記第2工程(B)は、具体的には、次のようにして実施できる。
発泡用樹脂組成物に発泡剤を含有させて発泡性樹脂組成物を得るためには、例えば、発泡用樹脂組成物を圧力容器に入れ、該圧力容器の空気を発泡剤ガスと置換するとともに前記圧力容器内が加圧状態となるまで発泡剤ガスを圧力容器に圧入し、当該加圧状態を維持したまま一定以上の時間を保持するような方法を採ることができる。
このようにして加圧状態で発泡用樹脂組成物を保持することで発泡剤が樹脂組成物中に含浸し、該発泡剤が溶解している発泡性樹脂組成物を得ることができる。
このとき発泡剤の含浸性を高めるために、発泡用樹脂組成物を加熱状態にしてもよい。
発泡用樹脂組成物の加熱は、発泡剤の圧入前であっても圧入後であってもよい。
前記圧力容器内は、例えば、ゲージ圧で5MPa以上100MPa以下の圧力とすればよく、10MPa以上50MPa以下のゲージ圧とされることが好ましい。

0041

前記第3工程(C)での発泡性樹脂組成物は、前記発泡剤が十分に含浸された状態において前記圧力容器内の発泡剤を開放して前記圧力容器を大気圧まで減圧することによって実施することができる。
該工程は、発泡性樹脂組成物が適度な軟化状態となるように加熱された状態で実施されることが好ましい。
尚、前記第1工程(A)において、成形空間と外部空間とが連通状態となった成形型に入れて発泡用樹脂組成物を圧力容器に収容させるようにすれば、当該第3工程では、成形型によって所望の形状が賦与された(メタ)アクリル系樹脂発泡体を製造することができる。

0042

本実施形態においては、このように簡便な方法によってナノサイズの気泡を有している(メタ)アクリル系樹脂発泡体を製造することができる。
(メタ)アクリル系樹脂発泡体は、含有する気泡の体積割合を表す空隙率が10%以上であることが好ましい。
前記空隙率は、15%以上であることがより好ましく、20%以上であることがさらに好ましく、25%以上であることが特に好ましい。
前記空隙率の上限は、特に限定されるものではないが、通常、95%以下となる。
尚、本実施形態において作製される(メタ)アクリル系樹脂発泡体は、断面における長さ5μm以上の気泡の割合(面積割合)が20%以下であることが好ましい。
このような粗大な気泡の割合は、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましく、5%以下であることが特に好ましい。

0043

このように粗大な気泡の形成が抑制された(メタ)アクリル系樹脂発泡体は、断熱材として用いられることで優れた断熱性を発揮する。
樹脂発泡体で構成された断熱材であって、該樹脂発泡体が本実施形態の(メタ)アクリル系樹脂発泡体である断熱材は、高度な断熱性が求められるような用途に好適なものとなり得る。

0044

尚、本実施形態の(メタ)アクリル系樹脂発泡体は、断熱材以外にも種々の用途に用いることができる。
即ち、本発明は、上記例示に何等限定されるものではなく、上記に例示されていない技術事項を適宜採用することができる。

0045

以下に、実施例を示して(メタ)アクリル系樹脂発泡体の製造方法を具体的に説明するが、本発明のアクリル系樹脂発泡体の製造方法は以下に例示の方法に限定されるものではない。

0046

(実施例1)
<発泡用樹脂組成物の作製>
(1)予備分散工程
100mLナスフラスコに、モノマーとしてメタクリル酸メチルを3.0gと、金属錯体としてビス(アセチルアセトナート)白金(II)を白金の濃度が最終的に得られる発泡用樹脂組成物に対して1.0質量%となるように入れ、室温で30分間攪拌して、モノマー液を得た。
このとき、メタクリル酸メチルは100mbar、50℃の条件にて予め減圧蒸留したものを用いた。
(2)予備重合工程
次に、該モノマー液に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル15mgを添加し、70℃、窒素雰囲気下にて還流させながら30分間攪拌し、反応性混和物を得た。
このときアゾビスイソブチロニトリルは予め100℃のエタノールで溶解させた後、熱濾過し、常温にて再結晶化したものを用いた。
(3)成形重合工程
図1に示すように厚さ1.0mmの金属板の中央部に直径100mmの円形の孔CHが設けられた金型MBを用意し、該金型MBと同じサイズの2枚のステンレス鋼板SB1,SB2と、2枚の離型用フィルムSP1,SP2(ポリイミドフィルム、厚さ:50μm)とを用意した。
一枚の前記ステンレス鋼板SB1を板面が水平となるようにし、その上に一枚の離型用フィルムSP1を外周縁を揃えて重ね、同じように該離型用フィルムSP1の上に前記金型MBを重ね合わせた。
この金型MBの孔CHの部分に反応性混和物を流し入れて、該金型MBの上にもう一枚の離型用フィルムSP2とステンレス鋼板SB2とを順に重ね合わせ、それを70℃のオーブン内に入れ12時間以上静置し、重合固化させた。
その後、室温まで放冷し、発泡用樹脂組成物で構成された円形タブレットを得た。
(4)錯体還元工程
得られた円形タブレットを160℃のオイルバスで1時間加熱し、前記円形タブレットに含まれる金属錯体を還元させることで、ポリメタクリル酸メチルPMMA)のマトリックス中に金属ナノ粒子(白金ナノ粒子)を析出させた。

0047

<(メタ)アクリル系樹脂発泡体の作製>
(メタ)アクリル系樹脂発泡体の作製は、以下の手順で行った。
(1)白金ナノ粒子を含む前記円形タブレットから発泡体用試料として直径8.0mm厚さ1.0mmの樹脂円板切り出した。
(2) 樹脂円板を円筒状の内部空間を有する圧力容器に入れ、密封した。
(3) 圧力容器を設定温度100℃の小型高温チャンバーの中に入れて、5分間、−0.1MPaで圧力容器内を減圧した。
(4) 圧力容器内の圧力が40MPaになるまで二酸化炭素を供給した。
(5) 24時間静置し、樹脂円板に二酸化炭素を含浸させ、発泡性樹脂組成物で構成された円板を作製した。
(6) 小型高温チャンバーは設定温度のままにし、圧力容器のバルブを開放し、急減圧させることで、前記円板を発泡させた。
(7) 圧力容器のバルブを開放後、直ちに圧力容器を水槽に入れて(メタ)アクリル系樹脂発泡体を急冷し圧力容器から取り出した。

0048

<(メタ)アクリル系樹脂発泡体の特性評価
(発泡用樹脂組成物および(メタ)アクリル系樹脂発泡体の密度
発泡前の発泡用樹脂組成物の密度ρ0(g/cm3)と(メタ)アクリル系樹脂発泡体の密度ρ1(g/cm3)は、アルキメデス法により求めた。
具体的には、簡易比重測定キット島津製作所製、型式SMK‐601)を備え付け電子天秤(島津製作所製、型式:AP224X)を用いて、空気中と水中での発泡用樹脂組成物及び(メタ)アクリル系樹脂発泡体の質量をそれぞれ測定し、両者から発泡前の発泡用樹脂組成物の密度ρ0(g/cm3)と(メタ)アクリル系樹脂発泡体の密度ρ1(g/cm3)を自動計算させた。

0049

((メタ)アクリル系樹脂発泡体の空隙率)
(メタ)アクリル系樹脂発泡体の空隙率p(%)は、発泡前の発泡用樹脂組成物の密度ρ0(g/cm3)と(メタ)アクリル系樹脂発泡体の密度ρ1(g/cm3)を用いて以下の式より算出した。

p(%)=(1−(ρ1/ρ0))×100

0050

平均気泡径(A))
(メタ)アクリル系樹脂発泡体の平均気泡径(A)φAは、(メタ)アクリル系樹脂発泡体に存在する気泡のうち、微細な気泡の平均気泡径を表す。
(メタ)アクリル系樹脂発泡体の平均気泡径(A)φAは、次の方法にて測定した。
まず、上記のようにして作製された円板状の(メタ)アクリル系樹脂発泡体を液体窒素で冷却した後、図2に示すように中心点を通る直線CLに沿って切断して(メタ)アクリル系樹脂発泡体FBを2分割し、2枚の半円板状の(メタ)アクリル系樹脂発泡体を作製した。
走査型電子顕微鏡(SEM)(日立製作所製、商品名:S−4800)を用いて、切断面を2000〜5000倍に拡大して撮影し、拡大写真Aを得た。
次に、拡大写真AをA4用紙に印刷し、その用紙の上にトレーシングペーパーを重ね合わせ、それをトレース台トライテック社製、商品名:トレビュアーA4−500)の上に載せた。
拡大写真Aを印刷した用紙の下からトレース台の光を当てながら拡大写真Aうち目視で確認できる気泡をトレーシングペーパーに書き写した。
このとき、拡大写真Aの外周部に存在する気泡のうち、気泡全体が写っていないものについては書き写しから除外した。
次に、トレーシングペーパーに書き写したそれぞれの気泡の図形について、図3に示すように、気泡を書き写した図形FAにおいて、内径が最も長くなるように第1の直線(長辺L1)を引き、さらに長辺L1に対して直交し、且つ、気泡の内径が最も長くなるように第2の直線(短辺L2)を引いた。
そして拡大写真Aにおける各気泡の長辺L1の寸法(長さ)LLと短辺L2の寸法(幅)LSとスケールバーの長さL0(mm)をデジタルノギス(ミツトヨ社製、商品名:デジマチックキャリパ)を用いて1/100mmまで測長した。
各気泡における気泡径φは、実際のスケールバーの長さ(L0’)を元に以下の式によって算出した。

気泡径φ={(LL+LS)/2}×(L0’/L0)

L0’:拡大写真Aに表示されているスケールバーの実際の長さ(mm)

(メタ)アクリル系樹脂発泡体の平均気泡径(A)φAは、書き写した全ての気泡の気泡径φの相加平均から算出した。

0051

(平均気泡径(B))
(メタ)アクリル系樹脂発泡体の平均気泡径(B)φBは、(メタ)アクリル系樹脂発泡体に存在する気泡のうち、粗大な気泡の平均気泡径を表す。
(メタ)アクリル系樹脂発泡体の平均気泡径(B)φBは、次の方法にて測定した。
まず、(メタ)アクリル系樹脂発泡体を液体窒素で冷却した後、図2に示すように2分割し、2枚の半円板状の(メタ)アクリル系樹脂発泡体を作製した。
走査型電子顕微鏡(日立製作所製、商品名:S−4800)を用いて、切断面を2000〜500倍に拡大して撮影し、拡大写真Bを得た。
次に、拡大写真BをA4用紙に印刷し、その用紙の上にトレーシングペーパーを重ね合わせ、それをトレース台(トライテック社製、商品名:トレビュアーA4−500)の上に載せた。
拡大写真Bを印刷した用紙の下からトレース台の光を当てながら拡大写真Bうち長辺L1が5μm以上の気泡をトレーシングペーパーに書き写した。
このとき、拡大写真Bの外周部に存在する気泡のうち、気泡全体が写っていないものについては書き写しから除外した。
平均気泡径(B)φBは、平均気泡径(A)φAと同様に算出した。
即ち、平均気泡径(B)φBは、平均気泡径(A)φAと同様に長辺L1の寸法(長さ)LLと短辺L2の寸法(幅)LSとによって各気泡の気泡径φを求め、該気泡径φの相加平均によって算出した。

0052

気泡数密度
(メタ)アクリル系樹脂発泡体の気泡数密度Nc(個/cm3)は、以下の式より算出した。

気泡数密度Nc(個/cm3)=(n×M2/A)3/2

nは、拡大写真Aにおける気泡の数(個)
Mは、拡大写真Aにおける拡大倍率(倍)
Aは、拡大写真Aの撮影面積(cm2)

(尚、拡大写真Aにおいて端に存在する気泡のうち、気泡全体が写っていないものについては個数カウントから除外した。)

0053

(粗大気泡の割合)
粗大気泡の割合とは、断面において5μm以上の長さの気泡が占める面積割合であり、以下の方法により求めた。
まず、拡大写真BをA4用紙に印刷し、その用紙の上にトレーシングペーパーを重ね合わせ、それをトレース台(トライテック社製、商品名:トレビュアーA4−500)の上に載せた。
拡大写真Bを印刷した用紙の下からトレース台の光を当てながら拡大写真Bうち長辺L1が5μm以上の気泡をトレーシングペーパーに書き写した。
このとき、拡大写真Bの外周部に存在する気泡のうち、気泡全体が写っていないものについては書き写しから除外した。
次に、気泡を書き写したトレーシングペーパーをスキャナーで読み取ってデータ化し、データ化した画像を、画像編集加工ソフトウェアGIMP(バージョン:2.10.6)を用いて、気泡部分を黒、それ以外の部分を白に二値化処理した。
二値化処理した画像を、画像処理ソフトウェアImageJ(バージョン:1.51)の粒子解析機能(Analyze Particles)を用いて、それぞれ気泡部分のピクセル数を求めた。
粗大気泡の割合(%)は、二値化処理した画像の総ピクセル数N1と気泡部分の総ピクセル数N2の比を用いて以下の式によって算出した。

粗大気泡の割合(%)=(N2/N1)×100

0054

(実施例2〜4)
金属錯体としてビス(アセチルアセトナート)パラジウム(II)を用い、パラジウムの濃度が最終的に得られる発泡用樹脂組成物に対してそれぞれ0.02質量%(実施例2)、0.2質量%(実施例3)、1.0質量%(実施例4)となるようにし、さらに、錯体還元工程時のオイルバスの温度を140℃としたこと以外は、実施例1と同様にして(メタ)アクリル系樹脂発泡体を得た。

0055

(実施例5)
(メタ)アクリル系樹脂発泡体を作製する際の圧力容器内の圧力を20MPaとしたこと以外は、実施例4と同様にして(メタ)アクリル系樹脂発泡体を得た。

0056

(実施例6)
(メタ)アクリル系樹脂発泡体を作製する際の小型高温チャンバーの設定温度を120℃としたこと以外は、実施例4と同様にして発泡体を得た。

0057

(実施例7〜9)
金属錯体としてビス(アセチルアセトナート)金(II)を用い、金の濃度が最終的に得られる金属ナノ粒子含有樹脂組成物に対してそれぞれ0.02質量%(実施例7)、0.2質量%(実施例8)、2.0質量%(実施例9)となるようにし、さらに、錯体還元工程時のオイルバスの温度を120℃としたこと以外は、実施例1と同様にして(メタ)アクリル系樹脂発泡体を得た。

0058

(実施例10)
金属錯体としてビス(アセチルアセトナート)銀(II)を用い、銀の濃度が最終的に得られる金属ナノ粒子含有樹脂組成物に対して1.0質量%となるようにし、さらに、錯体還元工程時のオイルバスの温度を140℃とし、該オイルバスでの加熱時間を2時間としたこと以外は、実施例1と同様にして(メタ)アクリル系樹脂発泡体を得た。

0059

(実施例11)
金属錯体としてトリス(アセチルアセトナート)鉄(III)を用い、鉄の濃度が最終的に得られる金属ナノ粒子含有樹脂組成物に対して1.0質量%となるようにし、さらに、錯体還元工程時のオイルバスの温度を180℃とし、該オイルバスでの加熱時間2時間としたこと以外は、実施例1と同様にして(メタ)アクリル系樹脂発泡体を得た。

0060

(比較例1)
金属錯体を入れず、錯体還元工程を施さなかったこと以外は、実施例1と同様にして(メタ)アクリル系樹脂発泡体を得た。

0061

(比較例2)
発泡体作製時の圧力容器内の圧力を20MPaとしたこと以外は、比較例1と同様にして(メタ)アクリル系樹脂発泡体を得た。

0062

(比較例3)
発泡体作製時の小型高温チャンバーの設定温度を120℃としたこと以外は、比較例1と同様にして(メタ)アクリル系樹脂発泡体を得た。

0063

(参考例1)
比較例1と同様にして得たPMMA樹脂10gとコロイダルシリカ(SiO2)(アルドリッチ社製、商品名:LUDOXSM−30、シリカ成分が30質量%である水溶液、シリカの平均粒子径:約7nm)を混練し、発泡用樹脂組成物を得た。
具体的には、最終的に得られる発泡用樹脂組成物におけるシリカの含有量が1.0質量%となるようにPMMA樹脂とコロイダルシリカと配合量を調整し、小型セグメントミキサー(東洋精機社製,型式:KF15F)を備え付けたラボプラストミル(東洋精機社製,型式:4C150)を用いて、温度200℃、回転数100rpmにて、5分間溶融混練し、発泡用樹脂組成物を得た。
このようにして得られた発泡用樹脂組成物を、ラボ用粉砕機(大阪ケミカル社製,型式:OML−1)を用いて粉砕し、発泡用樹脂組成物でできた粉砕物を作製した。
前記粉砕物から、実施例1と同様に円形の貫通孔を有する金型を使って円形タブレットに成形した。
但し、ここでは貫通孔の直径が40mm(厚さ1.0mm)の金型を用いた。
また、ここでは円形タブレットを作製するための熱プレスを実施した。
具体的には、以下の通り。
(円形タブレットの作製方法
一枚のステンレス鋼板を板面が水平となるようにし、その上に一枚の離型用フィルムを外周縁を揃えて重ね、同じように該離型用フィルムの上に前記金型を重ね合わせた。
この金型の孔の部分に前記粉砕物を入れて、該金型の上にもう一枚の離型用フィルムとステンレス鋼板とを重ね合わせ、それをミニテストプレス機(東洋精機社製,型式:MP−WCL)にセットした。
このミニテストプレス機を用い、温度180℃、圧力2MPaの条件で5分間保持し粉砕物を軟化させた後、さらに温度180℃、圧力10MPa条件で10分間熱プレスした。
その後、室温まで放冷することで、円形タブレットを得た。

0064

上記のようにして得られた円形タブレットから発泡体用試料として直径8.0mm厚さ1.0mmの樹脂円板を切り出した点、及び、樹脂円板を発泡させて(メタ)アクリル系樹脂発泡体を作製する点については実施例1と同様に実施した。

0065

(参考例2)
PMMA樹脂として市販のPMMA樹脂(アルドリッチ社製,質量平均分子量Mw=120,000)を用いたこと以外は参考例1と同様にして(メタ)アクリル系樹脂発泡体を得た。

0066

(参考例3)
コロイダルシリカの代わりにポリオリゴシルセスキオキサン(POSS)(アルドリッチ社製,メタクリル置換体、n=8,10,12(ここで「n」はポリオリゴシルセスキオキサンのケージ内頂端Si原子の数を表す。))を用いたこと以外は参考例2と同様にして(メタ)アクリル系樹脂発泡体を得た。

0067

(参考例4)
POSSの代わりにタルク(日本タルク社製,商品名:ミクロエース P−6、タルクの平均粒子径:約4μm)を用いたこと以外は参考例3と同様にして(メタ)アクリル系樹脂発泡体を得た。

0068

各実施例、比較例、及び、参考例での得られた(メタ)アクリル系樹脂発泡体の作製条件と特性をそれぞれ下記表に示す。
また、実施例1の(メタ)アクリル系樹脂発泡体の拡大写真Aを図4に示し、拡大写真Bを図5に示す。
さらに、比較例1の(メタ)アクリル系樹脂発泡体の拡大写真Aを図6に示し、拡大写真Bを図7に示す。

0069

0070

0071

実施例4で得られた(メタ)アクリル系樹脂発泡体を透過型電子顕微鏡で撮影した写真(TEM写真)を図8に示す。
図8の写真(上図)は、その解説図(下の3図)にあるように左下白色部が気泡ABであり、残りの灰色部がPMMA樹脂RSで、この灰色部に点在している黒点ナノ金属粒子PC(パラジウム)に該当する部分である。
この図からも本実施形態の(メタ)アクリル系樹脂発泡体は、ナノ粒子以外の部分を起点に発泡していることがわかる。
参考例1で得られた(メタ)アクリル系樹脂発泡体を透過型電子顕微鏡で撮影した写真(TEM写真)を図9に示す。
図9の写真(上図)は、その解説図(下の3図)にあるように白色部が気泡ABであり、濃い灰色部がPMMA樹脂RSで、この灰色部に点在している濃い灰色の点(矢印で示す)ナノシリカ粒子Cxに該当する部分である。
この図からも参考例1の(メタ)アクリル系樹脂発泡体は、シリカを起点に発泡していることがわかる。

0072

TEM観察
尚、上記のTEM写真は、以下のようにして撮影したものである。
(メタ)アクリル系樹脂発泡体をウルトラミクロトームライカマイクロシステムズ社製、商品名:LEICALTRACUTUCT)にて切削し、超薄切片(厚さ:100nm)を作製した。
超薄切片を透過型電子顕微鏡(FEI社製、商品名:Tecnai Osiris)を用いて、STEM−BFモードで加速電圧200kVにて観察した。

0073

(X線CT観察)
実施例4および参考例2で得られた(メタ)アクリル系樹脂発泡体の断面をX線コンピュータ断層撮影した写真(X線CT写真)の一例を図10(実施例4)および図11(参考例2)に示す。

0074

尚、X線コンピュータ断層撮影は、以下ようにして実施した。
(メタ)アクリル発泡体治具に固定後、マイクロX線CT装置(ヤマト科学社製、商品名:DM1000H−Sμ/TDM1600H−II、X線フィラメント材質:LaB6、X線加速電圧:35kV、X線スポット径:0.8μm)を用いて、360°回転モード使い光源試料間距離80mmに設定し、試料透視像を2000枚(透視像分解能:2048×2048ピクセル)取得した。
透視像再構成処理は、2048モードで、画像分解能5μmに設定して実施した。
再構成3Dデータは、VG社製VG−StudioMAX3.2を使って画像解析を行った。

0075

この図からもわかるように、参考例2の(メタ)アクリル系樹脂発泡体には、発泡体の全域において粗大な気泡が確認されるのに対して、実施例4の(メタ)アクリル系樹脂発泡体は、発泡体の全域において粗大気泡が確認されない。

実施例

0076

以上のことからも、本発明によれば、ナノサイズの核剤を使用しなくてもナノサイズの気泡を有する樹脂発泡体が得られることがわかる。

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