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技術 抵抗スポット溶接用電極および抵抗スポット溶接継手の製造方法

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 松田和貴児玉真二明島一彦菊地貴裕
出願日 2018年11月12日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-212438
公開日 2020年5月28日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-078811
状態 未査定
技術分野 溶接材料およびその製造 スポット溶接
主要キーワード ふさがり 幾何学的形 直接水冷 電極先端面 A1変態 波線状 冷却水供給装置 流水孔
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

本発明は、溶接中金属板を十分に冷却することができる抵抗スポット溶接用電極、およびそれを用いた抵抗スポット溶接継手の製造方法を提供するものである。

解決手段

本発明において、抵抗スポット溶接用電極(1)は、電極先端面(S1)に冷却水を供給するための貫通孔(11)と、前記冷却水または前記冷却水から生じる水蒸気を前記電極先端面(S1)から外部へ排出するための、溝部(12)または穴部(13)からなる排出手段(14)と、を備えるものである。

概要

背景

亜鉛めっき鋼板等の金属板を用いた抵抗スポット溶接においては、連続打点性の点から、熱伝導率の高い金属によって形成され、かつ、内部に冷却水循環するように構成された溶接用電極が用いられている。このような電極を用いることで、溶接中の金属板や電極の温度上昇が抑制される。

さらに、このような電極の中には、電極や被溶接物を効率よく冷却する観点から、電極表面に冷却水を供給し得るように構成された電極が知られている。
例えば、特許文献1には、電極チップチップ表面に開口する流水孔を設けて、少量の冷却水をチップ表面に供給し得るように構成されたスポット溶接装置が開示されている。この特許文献1に開示されたスポット溶接装置によれば、電極チップが効率よく冷却されて、被溶接物から融解熱を効率的に除去することができる上、被溶接物の溶接歪を生じにくくすることができるとされている。

概要

本発明は、溶接中の金属板を十分に冷却することができる抵抗スポット溶接用電極、およびそれを用いた抵抗スポット溶接継手の製造方法を提供するものである。本発明において、抵抗スポット溶接用電極(1)は、電極先端面(S1)に冷却水を供給するための貫通孔(11)と、前記冷却水または前記冷却水から生じる水蒸気を前記電極先端面(S1)から外部へ排出するための、溝部(12)または穴部(13)からなる排出手段(14)と、を備えるものである。

目的

本発明は、溶接中の金属板を十分に冷却することができる抵抗スポット溶接用電極、およびそれを用いた抵抗スポット溶接継手の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

重ね合わされた複数枚金属板溶接に用いる抵抗スポット溶接用電極であって、電極先端面冷却水を供給するための貫通孔と、前記冷却水または前記冷却水から生じる水蒸気を前記電極先端面から外部へ排出するための、溝部または穴部からなる排出手段と、を備えた、前記抵抗スポット溶接用電極。

請求項2

前記抵抗スポット溶接用電極は、前記貫通孔を1本または複数本有し、前記貫通孔の断面積の合計が0.2mm2以上である、請求項1に記載の抵抗スポット溶接用電極。

請求項3

前記電極先端面は、前記金属板との接触部分の形状が前記貫通孔を囲み、かつ0.2mm〜2.5mmの幅を有する環状の形状である、請求項1または2に記載の抵抗スポット溶接用電極。

請求項4

前記排出手段が、0.5mm以上の深さを有する前記溝部または0.5mm以上の直径を有する前記穴部からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抵抗スポット溶接用電極。

請求項5

前記排出手段が、2個以上の前記溝部または2個以上の前記穴部からなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抵抗スポット溶接用電極。

請求項6

前記2個以上の前記溝部または前記2個以上の前記穴部が、前記貫通孔を中心として対称となる位置にそれぞれ配置されている、請求項5に記載の抵抗スポット溶接用電極。

請求項7

前記抵抗スポット溶接用電極は、前記貫通孔の開口周縁部から外方側に延在するとともに前記排出手段と連通する窪み部を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の抵抗スポット溶接用電極。

請求項8

前記窪み部は、電極先端側の開口面積が前記電極先端面の面積の50%以上である、請求項7に記載の抵抗スポット溶接用電極。

請求項9

重ね合わされた複数枚の金属板を一対の電極で挟持して通電する工程を含む、抵抗スポット溶接継手の製造方法であって、前記一対の電極のうちの少なくとも一方の電極として、請求項1〜8のいずれか一項に記載の抵抗スポット溶接用電極を用いる、前記製造方法。

請求項10

前記複数枚の金属板は、少なくとも一枚のめっき鋼板を含み、前記少なくとも一方の電極は、前記複数枚の金属板を通電する際に、前記めっき鋼板と接触するように配置される、請求項9に記載の製造方法。

請求項11

前記冷却水の流量が3L/分以上である、請求項9または10に記載の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、抵抗スポット溶接用電極および抵抗スポット溶接継手の製造方法に関する。

背景技術

0002

亜鉛めっき鋼板等の金属板を用いた抵抗スポット溶接においては、連続打点性の点から、熱伝導率の高い金属によって形成され、かつ、内部に冷却水循環するように構成された溶接用電極が用いられている。このような電極を用いることで、溶接中の金属板や電極の温度上昇が抑制される。

0003

さらに、このような電極の中には、電極や被溶接物を効率よく冷却する観点から、電極表面に冷却水を供給し得るように構成された電極が知られている。
例えば、特許文献1には、電極チップチップ表面に開口する流水孔を設けて、少量の冷却水をチップ表面に供給し得るように構成されたスポット溶接装置が開示されている。この特許文献1に開示されたスポット溶接装置によれば、電極チップが効率よく冷却されて、被溶接物から融解熱を効率的に除去することができる上、被溶接物の溶接歪を生じにくくすることができるとされている。

先行技術

0004

実開平2−138081号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、この特許文献1に開示されたスポット溶接装置のように、電極先端部に孔部を形成しただけでは、複数枚の金属板を一対の電極で挟持する際に上述の孔部がふさがり、さらに、通電による発熱で金属板近傍の冷却水が蒸発するため、その水蒸気が外部へ逃げられずに上述の孔部内滞留したり、孔部内を逆流したりするおそれがあった。
このように、冷却水や冷却水から生じる水蒸気が孔部内に滞留したり、孔部内を逆流したりすると、冷却水が溶接中の金属板に接触しにくくなるため、溶接中の金属板を十分に冷却することができず、所期の効果が得られにくくなる。

0006

そこで、本発明は、溶接中の金属板を十分に冷却することができる抵抗スポット溶接用電極、およびそれを用いた抵抗スポット溶接継手の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明の一態様(態様1)は、重ね合わされた複数枚の金属板の溶接に用いる抵抗スポット溶接用電極であって、
電極先端面に冷却水を供給するための貫通孔と、前記冷却水または前記冷却水から生じる水蒸気を前記電極先端面から外部へ排出するための、溝部または穴部からなる排出手段と、を備えた、前記抵抗スポット溶接用電極である。

0008

本態様1の抵抗スポット溶接用電極は、上記の排出手段を備えていることによって、溶接中に電極先端面に供給された冷却水または当該冷却水から生じる水蒸気を、電極先端面から外部へ排出しやすくすることができる。
これにより、本態様1の抵抗スポット溶接用電極は、溶接中に冷却水や水蒸気が貫通孔内に滞留したり、貫通孔内を逆流したりするようなことが生じにくく、溶接中の金属板に対して常に新鮮な冷却水を供給し続けることができるため、溶接中の金属板を十分に冷却することができる。
なお、このようにして溶接中の金属板が十分に冷却されると、金属板表面マルテンサイト組織が生じにくく、硬化しにくくなるため、溶接後に継手を加工する際に金属板が変形しやすく、また、金属板の表面割れも生じにくくなるという利点がある。

0009

また、本発明の別の態様(態様2)では、上記態様1の抵抗スポット溶接用電極において、当該抵抗スポット溶接用電極は、前記貫通孔を1本または複数本有し、前記貫通孔の断面積の合計が0.2mm2以上である。

0010

本発明の更に別の態様(態様3)では、上記態様1または2の抵抗スポット溶接用電極において、前記電極先端面は、前記金属板との接触部分の形状が前記貫通孔を囲み、かつ0.2mm〜2.5mmの幅を有する環状の形状である。

0011

本発明の更に別の態様(態様4)では、上記態様1〜3のいずれかの抵抗スポット溶接用電極において、前記排出手段が、0.5mm以上の深さを有する前記溝部または0.5mm以上の直径を有する前記穴部からなる。

0012

本発明の更に別の態様(態様5)では、上記態様1〜4のいずれかの抵抗スポット溶接用電極において、前記排出手段が、2個以上の前記溝部または2個以上の前記穴部からなる。

0013

本発明の更に別の態様(態様6)では、上記態様5の抵抗スポット溶接用電極において、前記2個以上の前記溝部または前記2個以上の前記穴部が、前記貫通孔を中心として対称となる位置にそれぞれ配置されている。

0014

本発明の更に別の態様(態様7)では、上記態様1〜6のいずれかの抵抗スポット溶接用電極において、当該抵抗スポット溶接用電極は、前記貫通孔の開口周縁部から外方側に延在するとともに前記排出手段と連通する窪み部を有する。

0015

本発明の更に別の態様(態様8)では、上記態様7の抵抗スポット溶接用電極において、前記窪み部は、電極先端側の開口面積が前記電極先端面の面積の50%以上である。

0016

また、本発明の更に別の態様(態様9)は、重ね合わされた複数枚の金属板を一対の電極で挟持して通電する工程を含む、抵抗スポット溶接継手の製造方法であって、
前記一対の電極のうちの少なくとも一方の電極として、上記態様1〜8のいずれかの抵抗スポット溶接用電極を用いる、前記製造方法である。

0017

本発明の更に別の態様(態様10)は、上記態様9の製造方法において、前記複数枚の金属板は、少なくとも一枚のめっき鋼板を含み、
前記少なくとも一方の電極は、前記複数枚の金属板を通電する際に、前記めっき鋼板と接触するように配置される。

0018

本発明の更に別の態様(態様11)では、上記態様9または10の製造方法において、前記冷却水の流量が3L/分以上である。

発明の効果

0019

本発明によれば、溶接中の金属板を十分に冷却することができる。

図面の簡単な説明

0020

図1は、本発明の一実施形態に係る抵抗スポット溶接用電極1の使用態様を説明するための断面図である。
図2は、図1に示す抵抗スポット溶接用電極1の斜視図である。
図3は、図2に示す抵抗スポット溶接用電極1を先端側から見た上面図である。
図4は、抵抗スポット溶接用電極1を、図3に示す矢印IVの方向に見た正面図である。
図5は、本発明の別の実施形態に係る抵抗スポット溶接用電極10の正面図である。
図6は、本発明の更に別の実施形態に係る抵抗スポット溶接用電極1’の正面図である。
図7は、本発明の実施例に用いた抵抗スポット溶接用電極1’’の正面図である。
図8(a)は、本発明の実施例で得られた抵抗スポット溶接継手の硬さ分布の測定位置を示す図であり、図8(b)および(c)は、それぞれ本発明の実施例で得られた抵抗スポット溶接継手の水平方向および板厚方向の硬さ分布図である。

0021

以下、本発明の抵抗スポット溶接用電極および抵抗スポット溶接継手の製造方法の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。

0022

<抵抗スポット溶接用電極>
本発明の一実施形態に係る抵抗スポット溶接用電極1は、図1に示すように、スポット溶接において、重ね合わされた2枚の金属板3を挟持して通電する一対の電極のうち、下側の電極として用いられる。なお、この図1に示す本実施形態においては、上側の電極は、通常の抵抗スポット溶接用電極2が用いられる。

0023

そして、本実施形態の抵抗スポット溶接用電極1は、図1図4に示すように、電極先端面S1に冷却水CWを供給するための、電極内部から電極先端面S1に連通する貫通孔11と、冷却水CWまたは当該冷却水CWから生じる水蒸気を電極先端面S1から外部へ排出するための、電極先端面S1に形成された4個の溝部12からなりかつ端部が上記貫通孔11と連通する排出手段14と、電極先端面S1において上記貫通孔11の開口周縁部から外方側に延在するとともに上記排出手段14と連通する窪み部15と、を備えている。

0024

本実施形態の抵抗スポット溶接用電極1は、上記貫通孔11および排出手段14を備えた特定の構造を有しているため、上記排出手段14によって、溶接中に電極先端面S1に供給された冷却水CWまたは当該冷却水CWから生じる水蒸気を、電極先端面S1から外部へ排出しやすくすることができる。
これにより、抵抗スポット溶接用電極1は、溶接中に冷却水CWや水蒸気が貫通孔11内に滞留したり、貫通孔11内を逆流したりするようなことが生じにくく、溶接中の金属板に対して常に新鮮な冷却水CWを供給し続けることができるため、溶接中の金属板を十分に冷却することができる。

0025

なお、本実施形態の抵抗スポット溶接用電極1は、図1図4に示すように、上記貫通孔11、排出手段14および窪み部15を備えていること以外は、通常の抵抗スポット溶接用電極と同様の構造を有している。
また、本発明において、抵抗スポット溶接用電極の構造はこのような実施形態のものに限定されず、後述するような態様の貫通孔および排出手段を備えていてもよいし、また、窪み部ついては有していても、有していなくてもよい。

0026

以下、本発明の抵抗スポット溶接用電極の具体的な構造について、上述の実施形態の抵抗スポット溶接用電極1を用いて詳説する。

0027

[貫通孔]
上述の実施形態において、貫通孔11は、図1および図4に示すように、抵抗スポット溶接用電極1の内部において電極の中心軸線CLに沿って直線状に延びるとともに、電極先端面S1側に開口するように形成されている。
貫通孔11は、任意の冷却水供給装置から供給された冷却水CWを、電極先端面S1側の開口から放出して電極先端面S1上に供給するための流路として機能するものであり、この貫通孔11を通って電極先端面S1上に供給された冷却水が、溶接中の金属板3(具体的には、下側の金属板31)の表面に接触することにより、当該金属板3を効率よく冷却することができる。

0028

本発明において、貫通孔の構造および配置形態は、冷却水を電極先端面に供給し得るものであれば、上述の実施形態の構造および配置形態に限定されず、例えば、貫通孔は、電極の中心軸線に沿って直線状に延びていてもよいし、らせん状や波線状などの形態で延びていてもよい。

0029

また、貫通孔の断面形状については、上述の実施形態のように円形状の断面形状を有していてもよいし、四角形状などの幾何学的形状を有していてもよい。ただし、電極の冷却効率などの点から、貫通孔は、円形状の断面形状を有していることが好ましい。

0030

さらに、貫通孔の断面寸法については、電極および金属板の冷却効率などの点から、貫通孔の断面積が0.2mm2以上となる断面寸法を有していることが好ましい。
なお、本発明の抵抗スポット溶接用電極は、1本または複数本の貫通孔を有することができるため、電極が貫通孔を複数本有するような場合は、複数本の貫通孔の断面積の合計が0.2mm2以上であることが好ましい。また、貫通孔の断面積の合計の上限は、所望の冷却効率や生産性などを考慮した所定の値を採用することができ、例えば、電極先端面の面積の1/9の断面積である。
ここで、貫通孔の断面積の合計が0.2mm2以上であるとは、電極が延びる方向のすべての切断箇所(なお、この切断箇所の切断は、電極が延びる方向に対して直交する方向の切断を意味する。)において、貫通孔の断面積の合計が0.2mm2以上であることを意味する。

0031

また、貫通孔1本の直径の上限は、電極先端径通電条件などを考慮した所定の値を採用することができ、例えば、電極先端径の1/3の直径である。
なお、本明細書において、貫通孔の直径は、貫通孔の延びる方向に対して直交する断面形状の直径を意味し、例えば、貫通孔の断面形状が円形状の場合は、その円の直径を意味し、貫通孔の断面形状が四角形状等の非円形状の場合は、その形状の断面積と等しい面積を有する円の直径を意味する。

0032

なお、貫通孔を2本以上設ける場合は、冷却効率などの点から、電極の中心軸線に対して対称となる位置に貫通孔を設けることが好ましい。

0033

[排出手段]
上述の実施形態において、排出手段14は、図2図4に示すように、抵抗スポット溶接用電極1の電極先端面S1において貫通孔11を中心として対称となる位置にそれぞれ配置され、かつ、貫通孔11側から外方側へ向かって放射状に延びる、4個の溝部12によって形成されている。なお、4個の溝部12は、窪み部15を介して上記貫通孔11と連通するように配置されている。

0034

排出手段14は、溶接中に、上記貫通孔11を通って電極先端面S1上に供給された冷却水CWまたは当該冷却水CWから生じる水蒸気を、窪み部15を介して電極先端面S1から外部へ排出する流路として機能するものである。
上述のとおり、本実施形態の抵抗スポット溶接用電極1は、このような排出手段14を備えていることによって、溶接中に冷却水CWや水蒸気が貫通孔11内に滞留したり、貫通孔11内を逆流したりするようなことが生じにくく、溶接中の金属板に対して常に新鮮な冷却水CWを供給し続けることができるため、当該金属板を十分に冷却することができる。

0035

なお、本発明において、抵抗スポット溶接用電極の排出手段は、上述の実施形態のような溝部に限定されず、後述するような穴部によって形成されていてもよい。

0036

排出手段が溝部からなる場合、溝部の構造や配置形態は、電極先端面に供給された冷却水や水蒸気を電極先端面から外部へ排出し得るものであれば、上述の実施形態の構造や配置形態に限定されない。例えば、溝部は、貫通孔側から外方側へ向かって直線状に延びていても、曲線状に延びていてもよく、さらに、溝部の延びる方向に対して直交する断面形状が四角形状であっても、V字形状三角形状)やU字形状であってもよい。

0037

また、上述の実施形態においては、4個の溝部12は、窪み部15を介して間接的に貫通孔11と連通するように配置されているが、本発明においては、このような態様に限定されず、例えば、後述する実施形態のように、窪み部を設けずに、排出手段が貫通孔と直接連通するように構成してもよい。
なお、打角などの条件によって、冷却水や水蒸気が電極先端面から外部へ排出しやすい場合には、排出手段は、必ずしも上記貫通孔と連通していなくてもよい。ここで、打角とは、電極が金属板に当接する際の、電極の中心軸線と金属板の板面とのなす角度を意味し、通常は90°の打角で溶接するが、90°以外の打角で溶接することもある。

0038

また、溝部の深さについては、冷却水や水蒸気の排出効率などを考慮した所定の深さを採用することができる。
ただし、電極先端面は、電極が金属板を加圧する際に金属板に入り込んでしまうため、このような電極先端面に形成される溝部は、当該溝部が塞がらないように0.5mm以上の深さを有していることが好ましい。溝部の深さの上限は、電極先端形状や通電条件などを考慮した所定の値を採用することができ、例えば、5mmの深さである。
なお、本明細書において、溝部の深さは、当該溝部における最深部の深さを意味する。

0039

さらに、溝部の幅については、冷却水や水蒸気の排出効率などを考慮した所定の幅(例えば、0.5mm以上の幅)を採用することができる。なお、本明細書において、溝部の幅は、当該溝部の延びる方向および電極の延びる方向のそれぞれに対して直交する方向の最大長さを意味する。

0040

また、溝部の個数および配置位置については、冷却水や水蒸気の排出効率などを考慮した所定の個数および配置位置を採用することができるが、冷却水や水蒸気の排出をより効率よく行う点から、溝部は、1個の抵抗スポット溶接用電極に対して2個以上設けることが好ましく、さらに、冷却水や水蒸気の滞留をより生じにくくする点から、2個以上の溝部が貫通孔を中心として対称となる位置にそれぞれ配置されていることが特に好ましい。

0041

上述のとおり、本発明において抵抗スポット溶接用電極の排出手段は、溝部に限定されず、穴部によって形成されていてもよい。
ここで、図5は、本発明の別の実施形態に係る抵抗スポット溶接用電極10の正面図である。

0042

この別の実施形態においては、抵抗スポット溶接用電極10は、図5に示すように、排出手段が4個の穴部13によって形成されていること以外は、上述の実施形態の抵抗スポット溶接用電極1と同様の構成を備えている。
すなわち、抵抗スポット溶接用電極10における4個の穴部13は、上述の溝部12と同様に、電極先端面S1において貫通孔11を中心として対称となる位置にそれぞれ配置され、かつ、貫通孔11側から外方側へ向かって放射状に延びるように設けられている。

0043

この穴部13もまた、溶接中に、上記貫通孔11を通って電極先端面S1上に供給された冷却水CWまたは当該冷却水CWから生じる水蒸気を、窪み部15を介して電極先端面S1から外部へ排出する流路として機能するものである。
抵抗スポット溶接用電極10は、このような穴部13からなる排出手段を備えていることによって、上述の溝部12からなる排出手段14と同様の作用効果を奏することができる上、電極が金属板を加圧する際に電極先端面が金属板に入り込んだとしても、穴部13が塞がりにくく、排出手段としての機能をより確実に発揮することができるという利点がある。

0044

排出手段が穴部からなる場合も、当該穴部の構造や配置形態は、電極先端面に供給された冷却水や水蒸気を電極先端面から外部へ排出し得るものであれば、上述の実施形態の構造や配置形態に限定されない。例えば、穴部は、上述の溝部と同様に、貫通孔側から外方側へ向かって直線状に延びていても、曲線状に延びていてもよく、さらに、穴部の延びる方向に対して直交する断面形状が円形状であっても、多角形状であってもよい。

0045

また、穴部の断面寸法については、冷却水や水蒸気の排出効率などを考慮した所定の断面寸法を採用することができるが、より優れた排出効率が得られる点から、穴部は、0.5mm以上の直径を有していることが好ましい。かかる穴部の直径の上限は、電極先端径や通電条件などを考慮した所定の値を採用することができ、例えば、電極先端径の1/3の直径である。
なお、本明細書において、穴部の直径は、穴部の延びる方向に対して直交する断面形状の直径を意味し、例えば、穴部の断面形状が円形状の場合は、その円の直径を意味し、穴部の断面形状が四角形状等の非円形状の場合は、その形状の断面積と等しい面積を有する円の直径を意味する。

0046

さらに、穴部の個数および配置位置については、冷却水や水蒸気の排出効率などを考慮した所定の個数および配置位置を採用することができるが、冷却水や水蒸気の排出をより効率よく行う点から、穴部は、1個の抵抗スポット溶接用電極に対して2個以上設けることが好ましく、さらに、冷却水や水蒸気の滞留をより生じにくくする点から、2個以上の穴部が貫通孔を中心として対称となる位置にそれぞれ配置されていることが特に好ましい。

0047

[窪み部]
本発明における抵抗スポット溶接用電極は、上述の各実施形態のように、貫通孔の開口周縁部から外方側に延在するとともに排出手段と連通する窪み部を有していてもよい。
例えば、図1図4に示す実施形態においては、抵抗スポット溶接用電極1は、貫通孔11の電極先端側の開口周縁部から略V字形状に拡径しながら外方側に延在するとともに、排出手段14である4個の溝部12と連通する窪み部15を有している。
窪み部15は、電極先端面S1に供給された冷却水CWまたは当該冷却水CWから生じる水蒸気を、排出手段14によって外部へ排出しつつ、電極先端面S1において常に一定量以上の冷却水を確保する液溜まり部として機能するものである。なお、この窪み部15は、電極先端面S1における金属板との接触部分S2の形状を調整する機能も有している。

0048

本発明において、抵抗スポット溶接用電極がこのような貫通孔の開口周縁部から外方側に延在するとともに排出手段と連通する窪み部を有することは、必須の構成要件ではないものの、抵抗スポット溶接用電極は、このような窪み部を有していることが好ましい。
抵抗スポット溶接用電極がこのような窪み部を有していると、溶接中に電極先端面に供給された冷却水や水蒸気を、排出手段によって外部に排出しつつ、電極先端面において常に一定量以上の冷却水を確保することができるため、冷却水や水蒸気が貫通孔内に滞留したり、貫通孔内を逆流したりするようなことがより一層生じにくくなる上、冷却水と金属板表面との接触面積をより広く確保することができ、溶接箇所の金属板表面を更に効率よく冷却することができるという利点がある。

0049

なお、抵抗スポット溶接用電極がこのような窪み部を有していない場合は、上述の貫通孔が、電極先端面において開口し、排出手段と連通することとなる。
ここで、図6は、本発明の更に別の実施形態に係る抵抗スポット溶接用電極1’の正面図である。この図6に示す実施形態においては、抵抗スポット溶接用電極1’が窪み部を有していないため、貫通孔11が、電極先端面S1において開口し、かつ、電極先端面S1に形成された4個の溝部12からなる排出手段14と直接連通するように構成されている。

0050

このような抵抗スポット溶接用電極1’においても、上記4個の溝部12からなる排出手段14を備えていることによって、溶接中に電極先端面S1に供給された冷却水CWや水蒸気を、電極先端面S1から外部へ排出しやすくすることができる。
なお、このような窪み部を有していない電極においては、冷却効率の点から、上述の窪み部を有する電極よりも、貫通孔の直径を大きくすることが好ましい。

0051

また、本発明において、上述の窪み部の構造は、本発明の効果を阻害しないものであれば、上述の各実施形態の構造に限定されない。例えば、窪み部は、貫通孔の開口周縁部から略V字形状に拡径しながら外方側に延在する構造を有していても、貫通孔の開口周縁部から弧を描くように曲線状に拡径しながら外方側に延在する構造を有していてもよい。
なお、窪み部において、貫通孔の開口周縁部から拡径する部分の構造は、電極の中心軸線とのなす角が90°以上180°未満となる構造を採用することができる。ここで、貫通孔の開口周縁部から拡径する部分と電極の中心軸線とのなす角は、これらによって形成される角度のうち、電極先端側とは反対側の角度を意味する。

0052

また、本発明において、窪み部は、電極先端側の開口面積が電極先端面の面積の50%以上であることが好ましい。窪み部がこのように形成されていると、溶接箇所の金属板表面をより効率よく冷却することができる。窪み部の電極先端側の開口面積の上限は、電極先端形状などを考慮した所定の値を採用することができ、例えば、電極先端面の面積に対して80%の開口面積である。
さらに、窪み部は、電極先端から深さ5mm以内の範囲において、電極先端面の面積(mm2)×1(mm)の水量(mm3)を確保できる構造を有していることが好ましい。窪み部がこのような構造を有していると、電極先端面において、冷却水をより安定的に確保することができるため、上述の窪み部による作用効果をより確実に得ることができる。

0053

[電極先端面]
本明細書において、抵抗スポット溶接用電極の電極先端面は、溶接時に溶接対象となる金属板の表面に接触する表面であって、当該金属板の表面に接触する部分の外縁によって区画される範囲内の表面を意味する。
したがって、図1図4に示す実施形態のように、電極先端面に溝部や窪み部などが形成されている場合には、電極先端面は、溶接時に金属板の表面に接触する部分と、金属板の表面に接触しない部分(すなわち、溝部や窪み部などが形成されている部分)とを有することになる。

0054

なお、本発明において、抵抗スポット溶接用電極の先端形状は、例えば、JIS C 9304:1999に記載される、ドームラジアス形(DR形)、ドーム形D形)、ラジアス形(R形)などの公知の形状を採用することができる。

0055

また、図1図4に示す実施形態においては、電極先端面S1における金属板との接触部分S2の形状は、図3に示すように、4個の溝部12によって断続的に形成された、上記貫通孔11を囲む環状の形状を有している。
本発明において、抵抗スポット溶接用電極の電極先端面における金属板との接触部分の形状は、上述の実施形態のような貫通孔を囲む環状の形状であることが好ましく、さらに、0.2mm〜2.5mmの幅を有する環状の形状であることが特に好ましい。接触部分の形状が環状の形状であると、溶接箇所の金属板表面に対して冷却水を効率よく接触させることができ、さらに、接触部分の形状が上記特定の幅を有する環状の形状であると、溶接箇所の金属板表面をより効率よく冷却することができる。

0056

なお、上述の環状の形状は、円形に限定されず、貫通孔を囲むような形状であれば、三角形や四角形以上の多角形であってもよい。
また、図1図4に示す実施形態においては、排出手段14が溝部12によって形成されているため、接触部分S2は、断続的な環状の形状を有しているが、本発明においてはこのような態様に限定されず、排出手段が上述の穴部によって形成されるような場合には、接触部分は、連続的な環状の形状を有していてもよい。

0057

なお、本発明における抵抗スポット溶接用電極は金属板を直接水冷するもの、すなわち直接水冷型電極であるため、電極先端面を形成する材料は、銅などの熱伝導率の高い材料に限定されない。

0058

[冷却水]
本発明において、抵抗スポット溶接用電極に用いられる冷却水は、通常の抵抗スポット溶接用電極に使用される冷却水と同様のものを用いることができる。
また、冷却水の温度や流量については、通常の抵抗スポット溶接用電極に使用される冷却水の条件と同程度の条件を採用することができるが、冷却水の流量については、3L/分以上の流量であることが好ましい。冷却水の流量がこのような流量であると、溶接箇所の金属板表面をより安定的に、かつ、より効率よく冷却することができる。
なお、冷却水の流量は、電極を外した状態で冷却水を流したときの流量を意味する。

0059

<抵抗スポット溶接継手の製造方法>
次に、上記特定の抵抗スポット溶接用電極を用いた本発明の抵抗スポット溶接継手の製造方法について、図1図4に示す実施形態の抵抗スポット溶接用電極1を用いて詳説する。

0060

上述の実施形態の抵抗スポット溶接用電極1を用いた抵抗スポット溶接継手の製造方法は、図1に示すように、重ね合わされた2枚の金属板3を下側に位置する抵抗スポット溶接用電極1と、上側に位置する通常の抵抗スポット溶接用電極2とで挟持して通電する工程(以下、「通電工程」と称することがある。)を含むものである。
かかる通電工程は、上側および下側に位置する一対の電極によって、2枚の金属板3に所定の加圧力および電流通電電流)を付与して、2枚の金属板の重ね合わせ面およびその近傍領域を溶融し、ナゲットを形成させる工程である。このような工程を経ることにより、重ね合わされた2枚の金属板3が強固に接合された抵抗スポット溶接継手を得ることができる。

0061

そして、この製造方法においては、下側の電極として上記貫通孔11および排出手段14を備えた特定の抵抗スポット溶接用電極1を用いているため、当該抵抗スポット溶接用電極1の排出手段14によって、溶接中に電極先端面S1に供給された冷却水CWまたは当該冷却水CWから生じる水蒸気を、電極先端面S1から外部へ排出しやすくすることができる。
これにより、本製造方法は、溶接中に冷却水CWや水蒸気が貫通孔11内に滞留したり、貫通孔11内を逆流したりするようなことが生じにくく、溶接中の金属板に対して常に新鮮な冷却水CWを供給し続けることができるため、当該金属板を十分に冷却することができる。

0062

なお、本発明において、上記特定の貫通孔および排出手段を備えた抵抗スポット溶接用電極(以下、単に「特定の抵抗スポット溶接用電極」と称することがある。)を適用する電極は、溶接中の複数枚の金属板を十分に冷却し得る限り上述の実施形態の態様(すなわち、下側の電極)に限定されず、かかる特定の抵抗スポット溶接用電極は、上側の電極のみまたは下側の電極のみに適用しても、上側および下側の両方の電極に適用してもよい。
すなわち、本発明の抵抗スポット溶接継手の製造方法は、溶接に用いる一対の電極の両方の電極が上記特定の抵抗スポット溶接用電極からなる態様、または、溶接に用いる一対の電極のうちの一方の電極のみが上記特定の抵抗スポット溶接用電極からなり、他方の電極が通常の抵抗スポット溶接用電極からなる態様を含む。

0063

なお、溶接に用いる一対の電極のうちの一方の電極のみに、上記特定の抵抗スポット溶接用電極を適用した場合は、溶接中に当該抵抗スポット溶接用電極に接触する金属板はもとより、その金属板を介して隣接する金属板も冷却することができる。
一方、溶接に用いる一対の電極の両方の電極に、上記特定の抵抗スポット溶接用電極を適用した場合は、複数枚の金属板をその両側からより確実かつより効率よく冷却することができる。
このようにして溶接中の金属板が冷却されると、金属板表面にマルテンサイト組織が生じにくく、すなわち硬化しにくくなるため、溶接後に継手を加工する際に金属板が変形しやすく、また、金属板の表面割れも生じにくくなるという利点がある。

0064

なお、本発明において、各種溶接条件(例えば、通電電流、通電時間、電極の加圧力、スクイズ時間等)は、所望の継手強度や生産性などを考慮した所定の条件を採用することができる。

0065

[通常の抵抗スポット溶接用電極]
本発明の抵抗スポット溶接継手の製造方法においては、溶接に用いる一対の電極のうちの、少なくとも一方の電極が上記特定の抵抗スポット溶接用電極であればよいため、他方の電極については、通常の抵抗スポット溶接用電極を用いてもよいし、上記一方の電極と同様の特定の抵抗スポット溶接用電極を用いてもよい。
なお、本明細書において、通常の抵抗スポット溶接用電極は、上記特定の抵抗スポット溶接用電極以外の抵抗スポット溶接に用い得る公知の電極であれば、特に限定されない。

0066

<金属板>
本発明において、溶接対象となる金属板は、所望の継手強度等に応じた金属板を用いることができる。そのような金属板としては、例えば、引張強度が270MPa〜2500MPa級の鋼板などが挙げられ、かかる鋼板は、亜鉛等のめっき処理が施された鋼板(すなわち、めっき鋼板)であってもよい。

0067

金属板としてこのようなめっき鋼板を用いると、耐食性などに優れた溶接継手を得ることができるため、本発明においては、複数枚の金属板が、少なくとも一枚のめっき鋼板を含むことが好ましい。
さらに、複数枚の金属板がめっき鋼板を含む場合、上記特定の抵抗スポット溶接用電極は、複数枚の金属板を通電する際に、めっき鋼板と接触するように配置されること(すなわち、複数枚の金属板において、めっき鋼板が上記特定の抵抗スポット溶接用電極と接触し得るように重ね合わされること)が好ましい。
一般に、めっき鋼板を含む複数枚の金属板の抵抗スポット溶接においては、溶接時に、溶融しためっき金属が電極の加圧力や母材熱膨張ないし収縮による引張応力の影響により母材の結晶粒界侵入して粒界強度を低下させること(いわゆる、液体金属脆性(LME))で、表面割れが生じやすくなるが、本発明は、このような表面割れの生じやすい金属板(めっき鋼板)を用いた抵抗スポット溶接においても、金属板を十分に冷却することができるため、特に有利な効果を発揮することができる。

0068

なお、本発明において、複数枚の金属板は、すべての金属板が同一種類の金属板であっても、一部の金属板のみが同一種類の金属板であっても、すべての金属板がそれぞれ異なる種類の金属板であってもよい。

0069

さらに、金属板の枚数については、継手の用途などに応じた2枚以上の枚数を採用することができる。

0070

また、本発明においては、上述の通電工程以外の工程として、例えば、通電工程の前後に、所定の処理工程を有していてもよい。

0071

なお、本発明の抵抗スポット溶接用電極および抵抗スポット溶接継手の製造方法は、上述した各実施形態や後述する実施例等に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組み合わせや代替、変更等が可能である。

0072

以下、実施例を例示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこのような実施例のみに限定されるものではない。

0073

上側の電極として通常の抵抗スポット溶接用電極(Cr−Cu製のDR型電極、電極直径:16mm、電極先端径(直径):6.0mm、電極軸付近曲率半径:R8、電極先端曲率半径:R40)を備え、下側の電極として図7に示す本発明の抵抗スポット溶接用電極1’’(Cr−Cu製のDR型電極、電極直径:16mm、電極軸部付近の曲率半径:R8)を備えた、定置式スポット溶接機を用意した。
なお、本実施例で用いた抵抗スポット溶接用電極1’’は、寸法以外は、図1〜4に示す実施形態の抵抗スポット溶接用電極1と同様の構造を有している。

0074

さらに、供試材として、引張強度が590MPa級の亜鉛めっき鋼板(板厚1.6mm)を2枚用意し、この2枚の鋼板を重ね合わせて板組を形成した後、当該板組を上記定置式スポット溶接機の上側および下側の電極で挟持して通電することにより、2枚の鋼板を溶接した。
なお、溶接条件は、以下のとおりである。
電極の加圧力:1.96kN
スクイズ時間:1秒
通電時間:0.36秒
通電後の加圧保持時間:0.2秒
通電電流:9.5kA

0075

このようにして得られた抵抗スポット溶接継手について、溶接中に抵抗スポット溶接用電極1’’が接触していた鋼板の表面を観察したところ、表面割れは確認されなかった。

0076

ここで、図8(a)は、本発明の実施例で得られた抵抗スポット溶接継手の硬さ(ビッカース硬さ:HV)分布の測定位置を示す図であり、図8(b)および(c)は、それぞれ抵抗スポット溶接継手の水平方向および板厚方向の硬さ分布図である。
なお、図8(a)に示す抵抗スポット溶接継手の硬さ分布の具体的な測定位置は、以下のとおりである。
(1)水平方向の硬さ測定位置
下側の鋼板の上側表面から0.1mmの深さとなる水平方向において、ナゲット中心を基点として水平方向の+方向に7mmおよび−方向に7mmの各範囲を、0.5mmピッチで測定した。
ただし、ナゲットと母材の境界近傍からナゲット側に1mmおよび母材側に2mmの各範囲は、0.25mmピッチで測定した。
(2)板厚方向の硬さ測定位置
ナゲット中心を通る板厚方向において、下側の鋼板の下側表面から0.1mmの深さとなる位置を基点として、上側に向かって0.2mmピッチで測定した。

実施例

0077

図8(c)に示すように、溶接中に通常の抵抗スポット溶接用電極に接触していた上側の鋼板は、溶接中の鋼板温度高温A1変態点以上の温度)となり、溶接後に急冷されるため、部分的にマルテンサイト変態が生じて、280HVと硬くなっている。これに対し、溶接中に抵抗スポット溶接用電極1’’に接触していた下側の鋼板は、溶接中に十分に冷却されて、鋼板温度がA1変態点を超えるような高温になっていないため、200HV程度の硬さとなり、溶接前の母材鋼板の硬さとほとんど変わっていなかった。

0078

本発明によれば、溶接中の金属板を十分に冷却することができ、溶接後の金属板が硬化しにくくなるため、例えば、自動車車体部品建築物構造体などの、加工性や強度が求められる様々な構造部品に適用することが可能である。
したがって、本発明の抵抗スポット溶接用電極および抵抗スポット溶接継手の製造方法は、産業上の利用可能性が高いものである。

0079

1抵抗スポット溶接用電極
11貫通孔
12 溝部
13穴部
14 排出手段
15 窪み部
2 通常の抵抗スポット溶接用電極
3複数枚の金属板
31 下側の金属板
32 上側の金属板
CW冷却水
S1電極先端面
S2 接触部分

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