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図面 (20)

課題

自己放電を抑制した実用電池を生み出し、かつ水に溶解している卑金属元素から電気分解により卑金属元素を直接回収することができる化学反応装置の提供。

解決手段

電解質あるいは非電解質または水からなる第1の水溶液の中に少なくとも1面が撥水性多孔質フッ素樹脂膜を隔てた容器を配置し、該容器内部の物質気体発生剤または発熱剤または吸熱剤から成る加水分解剤とし、かつ該容器と該第1の水溶液とが互いに撥水性多孔質フッ素樹脂膜で絶縁され、該撥水性多孔質フッ素樹脂膜の耐水圧以上の液圧下で該第1の水溶液が該撥水性多孔質フッ素樹脂膜内孔浸透して該容器内部の該物質と該第1の水溶液との間で加水分解反応を行う化学反応装置の提供。

概要

背景

撥水性多孔質膜気体を通すが、水は通さない。このため水の存在下で容器の窓に撥水性多孔質膜を用いれば、水に対して密閉容器と成る。ところが撥水性多孔質膜の耐水圧以上の水圧印加すると、水は撥水性多孔質膜を通過する。すなわち密閉容器の窓を水圧によって人為的に開閉することができる。この性質水溶液の扉に用いることができる。
さらに、撥水性多孔質膜が炭素から成る場合は耐熱性導電体隔離膜として用いることができるため、溶融塩電気分解に利用できる。
周期表第1族、第2族および第13族に属する卑金属元素は、水に触れると、イオン化し、即座に自己放電を起こし、水素を発生する。このため、これら金属にとって水との接触は厳禁で、これらの金属を析出させる電解精製として溶融塩電気分解以外製造方法は無い。実用電池においても、水との反応が著しい周期表第1族元素および第2族のCa、Ba、Srについては、電解質水溶液を用いた一次および二次電池は存在しない。また、周期表第2族元素のうちのBeおよびMgあるいは第13族元素であるAlについては、一次電池はあるが、二次電池はない。二次電池としては、第1族元素を用いたリチウムイオン電池ナトリウムイオン電池には非水電解質溶液有機電解質)や固体電解質が開発され、さらに第1族元素であるナトリウムを用いる電池には、それを溶融塩電解質として用いた、300℃以上の高温で動作するナトリウム硫黄電池(NS電池)が開発されている。

実用電池では、電極材料が軽く、かつ起電力が高く、しかも放電容量が大きいものが望まれる。このため周期表第1族元素は理想的な負極材料であるが、自己放電を回避することは難しい。これら実用電池や電解精製あるいはキャパシタが自己放電を引き起こす原因は、負極および正極が同一電解質水溶液内に存在するためである。そこで、電解質と電極を分離し、自己放電を抑制し、かつ周期表第1、第2および第13族に属する卑金属元素と水とを遮断するための技術開発が急がれる。

電力貯蔵用キャパシタ(コンデンサ)では、大容量で、かつ急速充放電が可能なものが望まれる。これを満たすキャパシタとして、電気化学キャパシタが理想的であり、電気二重層キャパシタレドックスキャパシタハイブリッドキャパシタがこれに該当する。これらのキャパシタの欠点は漏れ電流や自己放電が高いことである。そこで、この漏れ電流を抑制するための技術開発が急がれる。

自己放電とは負極の金属が溶解すると同時に、発生した電子水素イオンが反応して水素が生成し、電子が正極に移動せず電流が流れない現象のことである。一般に、電解質水溶液中で自己放電を抑制する方法として、特許文献1は、アルカリ蓄電池用正極上にニッケル基孔体を設け、そのニッケル基孔体にニッケル及び添加物を含む活物質粒子充填することにより自己放電を減らすことを開示している。特許文献2は、アルカリ蓄電池電極の対向面積の増大を図っても実反応面積が減少しない電極形状を設定し、自己放電を抑制する方法を開示している。特許文献3は、スルホン化ポリオレフィン系樹脂繊維を主成分として含む繊維からなるシートと、スルホン化以外の親水化処理がなされたシートとの積層体セパレータとして使った、自己放電が少なく容量保持率に優れた長寿命アルカリ電池を開示している。特許文献4は、微結晶シリコン薄膜及び非晶質シリコン薄膜などの、リチウム吸蔵・放出する活物質薄膜が中間層を介して集電体上に設けられたリチウム電池用電極を開示している。特許文献5は、リチウム電池における電極活物質として、多孔質チタン酸リチウムが、非水電解質含浸性に優れ、充放電サイクル特性を高めることを開示している。特許文献6は、アニオンを吸蔵及び放出が可能な炭素系正極活物質を有する正極と、Naの吸蔵及び放出が可能な負極活物質であるSn、Znなどを有する負極を有するナトリウム二次電池を開示している。ナトリウムを溶融したナトリウム硫黄電池は溶融塩を形成するために300℃の雰囲気温度を必要とした。しかし、特許文献7は、ビスフルオロスルホニルイミドFSI)をアニオンとし、アルカリ金属Mをカチオンとする溶融塩MFSIを2種以上含む溶融塩組成物を用いることにより雰囲気温度60〜130℃の間で電池を動作させることを開示している。

電解質と電極との間の隔離膜について、特許文献8は、孔径0.1μm以下のポリオレフィン微多孔膜熱安定性があり、高容量/高出力電池のセパレータに好適であることを開示している。特許文献9は、シリカアルミナ等からなる鱗片無機多孔膜を正、負電極またはセパレータに設けることにより、イオン伝導度を損なうことなく、電池性能を維持することを開示している。特許文献10は、非水系二次電池に使用する隔離膜が、塩素を含有した耐熱性多孔質膜、あるいは耐熱性樹脂多孔質ポリオレフィンとの積層膜、又は耐熱性樹脂とフィラーとからなる層と多孔質レオレフィンの積層膜であることを開示している。

撥水性多孔質膜の利用としては、特許文献11は、気孔率が60から90%で通気度が20秒以下であるフッ素系撥水性多孔質膜を固体高分子型燃料電池に用いることを開示している。特許文献12、特許文献13および特許文献14は、フッ素系撥水性多孔質膜に、結合エネルギーが128kcal/mol以上の原子親水基を有する化合物の存在下でエキシマレーザー光照射してフッ素系撥水性多孔質膜を製造する方法を開示している。さらに、特許文献15は、フッ素系撥水性多孔質膜の内孔紫外線による光反応により、親水基で置換し、その親水性を呈する細孔内壁ドーパミン産生細胞繊維芽細胞コラーゲン増産細胞幹細胞髄核細胞インシュリン産生細胞などを培養して、パーキンソン病アルツハイマー病糖尿病骨軟化症などの患者のための三次元細胞培養素子製作する方法を開示している。さらに、原正隆らは、非特許文献1において、孔径33μmの撥水性多孔質フッ素樹脂フィルムの耐水圧は1500torrであるが、細孔内部を親水性に光改質して、耐水圧を20torrに降下させ、この改質フィルム緑内障患者房水調整弁に使用することを報告している。

概要

自己放電を抑制した実用電池を生み出し、かつ水に溶解している卑金属元素から電気分解により卑金属元素を直接回収することができる化学反応装置の提供。電解質あるいは非電解質または水からなる第1の水溶液の中に少なくとも1面が撥水性多孔質フッ素樹脂膜を隔てた容器を配置し、該容器内部の物質気体発生剤または発熱剤または吸熱剤から成る加水分解剤とし、かつ該容器と該第1の水溶液とが互いに撥水性多孔質フッ素樹脂膜で絶縁され、該撥水性多孔質フッ素樹脂膜の耐水圧以上の液圧下で該第1の水溶液が該撥水性多孔質フッ素樹脂膜内孔を浸透して該容器内部の該物質と該第1の水溶液との間で加水分解反応を行う化学反応装置の提供。

目的

本発明が解決しようとする課題である

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

電解質あるいは非電解質または水からなる第1の水溶液の中に少なくとも1面が撥水性多孔質フッ素樹脂膜を隔てた容器を配置し、該容器内部の物質気体発生剤または発熱剤または吸熱剤から成る加水分解剤とし、かつ該容器と該第1の水溶液とが互いに撥水性多孔質フッ素樹脂膜で絶縁され、該撥水性多孔質フッ素樹脂膜の耐水圧以上の液圧下で該第1の水溶液が該撥水性多孔質フッ素樹脂膜内孔浸透して該容器内部の該物質と該第1の水溶液との間で加水分解反応を行う化学反応装置

請求項2

電解質あるいは非電解質または水からなる第1の水溶液の中に少なくとも1面が撥水性多孔質フッ素樹脂膜を隔てた容器を配置し、該容器内部の物質が薬や栄養剤または水分や肥料から成る第2の水溶液とし、かつ該第1の水溶液と該第2の水溶液とが互いに撥水性多孔質膜で絶縁され、該撥水性多孔質フッ素樹脂膜の耐水圧以上の液圧下で該第2の水溶液が該撥水性多孔質フッ素樹脂膜内孔を浸透して第1の水溶液中に供給されることを特徴とする請求項1記載の化学反応装置。

請求項3

患部に薬や栄養剤を移送する内視鏡型医療装置であって、前記第1の水溶液中に撥水性多孔質フッ素樹脂密閉袋からなる該容器を備え、該容器内部の第2の水溶液に該容器の外圧内圧の差が該撥水性多孔質膜の耐水圧以上の圧力を圧力印加具で加え、患部に医療薬や栄養剤の生体移送を行う請求項2に記載の化学反応装置。

請求項4

水耕栽培における水または栄養分補給装置であって、前記撥水性多孔質膜で作られたチューブまたは袋からなる該容器の外側に第2の水溶液を供給するに際し、該第2の水溶液を薬品供給口から薬品散布用該容器までチューブやホース配送し、供給口で必要に応じ連続または間欠的に該第2の水溶液に該撥水性多孔質膜の耐水圧以上の圧力を加えて該容器から植物の根部に該第2の水溶液を供給する請求項2に記載の化学反応装置。

請求項5

内視鏡型医療装置であって、水を封入したカプセルの中に前記発熱剤を封入した前記撥水性多孔質膜からなる該容器を封入した二重構造カプセルが内視鏡の先端部分であり、該容器の外圧と内圧の差が該撥水性多孔質膜の耐水圧以上にした状態で該容器に外壁の該水を浸入させて加水分解発熱反応を起こさせ、この発熱癌細胞を温加熱する請求項1および請求項2に記載の化学反応装置。

請求項6

深海において浮力用気体を製造するための加水分解制御装置であって、撥水性多孔質フッ素樹脂密閉袋の中に気体発生剤を挿入し、海底に沈降させ、該撥水性多孔質フッ素樹脂密閉袋外部から耐水圧以上の差圧で水を侵入させ、加水分解により気体発生させ、潜水艇あるいは浮力重力発電装置の浮力気体として用いることを特徴とする請求項1に記載の化学反応装置。

請求項7

該撥水性多孔質フッ素樹脂密閉袋の中に油類と第1族元素とを共に挿入し、該撥水性多孔質フッ素樹脂密閉袋外部から耐水圧以上の差圧で水を侵入させ、加水分解により水素を発生させることを特徴とする請求項1および請求項6に記載の化学反応装置。

請求項8

該撥水性多孔質フッ素樹脂密閉袋の中に酸化カルシウムアルミニウムから成る前記加水分解剤を挿入し、該密閉袋の外部から耐水圧以上の差圧で水を侵入させ、高温水素を発生させることを特徴とする請求項1に記載の化学反応装置。

請求項9

前記酸化カルシウムとアルミニウムから成る前記加水分解剤の重量を前記潜水艇あるいは浮力重力発電装置が沈降するときのとして用い、かつ前記撥水性多孔質フッ素樹脂密閉袋の外部から耐水圧以上の差圧で水を侵入させ、海水水源として用いて水素を発生させ、かつ同時に発生する熱でさらに気体の容積を大きくして、潜水艇あるいは浮力重力発電装置の浮力気体として用い、あるいは、前記発生した熱でドライアイスを1300mよりも深い深海底昇華させ、浮力気体として使うことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の化学反応装置。

請求項10

前記撥液性多孔質膜隔離壁と負極とを兼ねた多孔質炭素からなる前記気体透過電極室であり、かつ該気体透過用電極室の構造が電極背面に隙間を有する中空電極室からなり、該負極の背面の中空部浸透ガス圧以上の水素ガス圧入し、該負極と前記正極との間に前記溶融塩を接触させ、かつ溶融塩槽の内部に加熱機構を備え、該溶融塩槽に卑金属元素水酸化物を満たし、両電極間水素マイナスイオン生成の分解電圧を与え、該多孔質炭素で生成された水素マイナスイオンが該溶融塩中の卑金属元素と結合して水素化卑金属を生成し、結晶固化しながら該溶融塩から上滓として浮上したMgH2及びAlH3を除く水素化卑金属を重液選別し、MgH2及びAlH3は該溶融塩槽上部に備えた冷却壁再結晶させる水素化卑金属製造装置

請求項11

海水中の塩化ナトリウム水溶液原料とし、海上における風力発電太陽光発電あるいは浮力重力発電などの自然エネルギー電力として用いる洋上工場で、あるいは臨海火力発電所原子力発電所の電力を用いる臨海工場で、海面下での水素製造および苛性ソーダ製造を行い、これら水素と苛性ソーダを請求項10による水素化ナトリウムを洋上または上で製造し、陸上で水素化ナトリウムに水を注ぎ水素を製造し、副産物の苛性ソーダで再度水素化ナトリウムを製造する苛性ソーダ燃料サイクルに供するか、または苛性ソーダを二次電池用電解質水溶液として、発電所車載用電池に供することを目的とする撥水性多孔質膜の耐水圧を用いた請求項10記載の苛性ソーダ燃料サイクル。

技術分野

0001

本発明は、撥水性多孔質膜耐水圧を利用した、化学反応装置に関する。

背景技術

0002

撥水性多孔質膜は気体を通すが、水は通さない。このため水の存在下で容器の窓に撥水性多孔質膜を用いれば、水に対して密閉容器と成る。ところが撥水性多孔質膜の耐水圧以上の水圧印加すると、水は撥水性多孔質膜を通過する。すなわち密閉容器の窓を水圧によって人為的に開閉することができる。この性質水溶液の扉に用いることができる。
さらに、撥水性多孔質膜が炭素から成る場合は耐熱性導電体隔離膜として用いることができるため、溶融塩電気分解に利用できる。
周期表第1族、第2族および第13族に属する卑金属元素は、水に触れると、イオン化し、即座に自己放電を起こし、水素を発生する。このため、これら金属にとって水との接触は厳禁で、これらの金属を析出させる電解精製として溶融塩電気分解以外製造方法は無い。実用電池においても、水との反応が著しい周期表第1族元素および第2族のCa、Ba、Srについては、電解質水溶液を用いた一次および二次電池は存在しない。また、周期表第2族元素のうちのBeおよびMgあるいは第13族元素であるAlについては、一次電池はあるが、二次電池はない。二次電池としては、第1族元素を用いたリチウムイオン電池ナトリウムイオン電池には非水電解質溶液有機電解質)や固体電解質が開発され、さらに第1族元素であるナトリウムを用いる電池には、それを溶融塩電解質として用いた、300℃以上の高温で動作するナトリウム硫黄電池(NS電池)が開発されている。

0003

実用電池では、電極材料が軽く、かつ起電力が高く、しかも放電容量が大きいものが望まれる。このため周期表第1族元素は理想的な負極材料であるが、自己放電を回避することは難しい。これら実用電池や電解精製あるいはキャパシタが自己放電を引き起こす原因は、負極および正極が同一電解質水溶液内に存在するためである。そこで、電解質と電極を分離し、自己放電を抑制し、かつ周期表第1、第2および第13族に属する卑金属元素と水とを遮断するための技術開発が急がれる。

0004

電力貯蔵用キャパシタ(コンデンサ)では、大容量で、かつ急速充放電が可能なものが望まれる。これを満たすキャパシタとして、電気化学キャパシタが理想的であり、電気二重層キャパシタレドックスキャパシタハイブリッドキャパシタがこれに該当する。これらのキャパシタの欠点は漏れ電流や自己放電が高いことである。そこで、この漏れ電流を抑制するための技術開発が急がれる。

0005

自己放電とは負極の金属が溶解すると同時に、発生した電子水素イオンが反応して水素が生成し、電子が正極に移動せず電流が流れない現象のことである。一般に、電解質水溶液中で自己放電を抑制する方法として、特許文献1は、アルカリ蓄電池用正極上にニッケル基孔体を設け、そのニッケル基孔体にニッケル及び添加物を含む活物質粒子充填することにより自己放電を減らすことを開示している。特許文献2は、アルカリ蓄電池電極の対向面積の増大を図っても実反応面積が減少しない電極形状を設定し、自己放電を抑制する方法を開示している。特許文献3は、スルホン化ポリオレフィン系樹脂繊維を主成分として含む繊維からなるシートと、スルホン化以外の親水化処理がなされたシートとの積層体セパレータとして使った、自己放電が少なく容量保持率に優れた長寿命アルカリ電池を開示している。特許文献4は、微結晶シリコン薄膜及び非晶質シリコン薄膜などの、リチウム吸蔵・放出する活物質薄膜が中間層を介して集電体上に設けられたリチウム電池用電極を開示している。特許文献5は、リチウム電池における電極活物質として、多孔質チタン酸リチウムが、非水電解質含浸性に優れ、充放電サイクル特性を高めることを開示している。特許文献6は、アニオンを吸蔵及び放出が可能な炭素系正極活物質を有する正極と、Naの吸蔵及び放出が可能な負極活物質であるSn、Znなどを有する負極を有するナトリウム二次電池を開示している。ナトリウムを溶融したナトリウム硫黄電池は溶融塩を形成するために300℃の雰囲気温度を必要とした。しかし、特許文献7は、ビスフルオロスルホニルイミドFSI)をアニオンとし、アルカリ金属Mをカチオンとする溶融塩MFSIを2種以上含む溶融塩組成物を用いることにより雰囲気温度60〜130℃の間で電池を動作させることを開示している。

0006

電解質と電極との間の隔離膜について、特許文献8は、孔径0.1μm以下のポリオレフィン微多孔膜熱安定性があり、高容量/高出力電池のセパレータに好適であることを開示している。特許文献9は、シリカアルミナ等からなる鱗片無機多孔膜を正、負電極またはセパレータに設けることにより、イオン伝導度を損なうことなく、電池性能を維持することを開示している。特許文献10は、非水系二次電池に使用する隔離膜が、塩素を含有した耐熱性多孔質膜、あるいは耐熱性樹脂多孔質ポリオレフィンとの積層膜、又は耐熱性樹脂とフィラーとからなる層と多孔質レオレフィンの積層膜であることを開示している。

0007

撥水性多孔質膜の利用としては、特許文献11は、気孔率が60から90%で通気度が20秒以下であるフッ素系撥水性多孔質膜を固体高分子型燃料電池に用いることを開示している。特許文献12、特許文献13および特許文献14は、フッ素系撥水性多孔質膜に、結合エネルギーが128kcal/mol以上の原子親水基を有する化合物の存在下でエキシマレーザー光照射してフッ素系撥水性多孔質膜を製造する方法を開示している。さらに、特許文献15は、フッ素系撥水性多孔質膜の内孔紫外線による光反応により、親水基で置換し、その親水性を呈する細孔内壁ドーパミン産生細胞繊維芽細胞コラーゲン増産細胞幹細胞髄核細胞インシュリン産生細胞などを培養して、パーキンソン病アルツハイマー病糖尿病骨軟化症などの患者のための三次元細胞培養素子製作する方法を開示している。さらに、原正隆らは、非特許文献1において、孔径33μmの撥水性多孔質フッ素樹脂フィルムの耐水圧は1500torrであるが、細孔内部を親水性に光改質して、耐水圧を20torrに降下させ、この改質フィルム緑内障患者房水調整弁に使用することを報告している。

0008

特開平9−180714
特開2009−181710
特開2002−63890
国際公開WO 01/031724
特開2012−12261
特開2013−54987
特開2009−67644
特開2013−32535
特開2011−222129
特開2009−224097
国際公開番号WO 2007/80763
特開2005−253305
米国特許第6167497号
欧州特許第0644227号
特開2011−184260
特開2009−295789
特開2013−138050
特開2006−193612
特開2012−30637
特開2013−166406

先行技術

0009

Proceeding of SPIEVol.4245, P.221-227 (2001)
電気二重層キャパシタと蓄電システム日刊工業新聞社(1999 )
再生可能エネルギーを考える《原発に有終の美を》パワー出版( 2011)
風力よ”エタノール化からトウモロコシを救え《風力発電による海洋資源回収養生工場》パワー社出版(2007)

発明が解決しようとする課題

0010

フッ素樹脂から成る撥水性多孔質膜に耐水圧以上の水圧を印加すると、水は撥水性多孔質膜を通過するため、密閉容器の窓として用いれば、水圧によって人為的に窓を開閉できる。このため、水溶液が関与する化学反応を制御して、医療応用として、患部医療薬や栄養剤生体移送、あるいは内視鏡型医療装置に応用し、加水分解による薬品発熱反応を利用して臓器内の癌細胞死滅することができる。また植物の水耕栽培における水または肥料養分補給にも応用できる。さらに深海で、気体発生剤を加水分解して、水素ガスを発生させ、潜水艇浮力重力発電装置の浮力気体として利用できる。
周期表第1、第2および第13族に属する卑金属元素は、水に溶解すると、同時に発生した電子と、同時に水から電離した水素イオンとが反応して水素ガスを生成する。この水素ガスにより、卑金属(負極)で発生した電子は消滅し、負極から正極に電流が移動しなくなる。この現象を自己放電という。この自己放電を抑制した実用電池を生み出し、かつ水に溶解している卑金属元素から電気分解により卑金属元素を直接回収することが、本発明が解決しようとする課題である。

0011

電気化学キャパシタの内、電気二重層キャパシタやレドックスキャパシタまたはハイブリッドキャパシタなどに用いる電解質には、非特許文献2に開示されているように、強酸強アルカリ水溶液が用いられる。特許文献16は、第1電極及び第2電極並びに第1セパレータ及び第2セパレータが扁平形状に巻き回された電気二重層キャパシタにおいて、巻芯を備えることにより両電極の面圧を一定以上に上げ、かつセパレータを厚くすることなく内部抵抗を抑え、漏れ電流を抑制することを開示している。特許文献17は、レッドクスキャパシタの電極基材をニッケルやステンレスからアルミニウムや銅に変更することにより内部抵抗を低減することを開示している。これら電気化学キャパシタの内部抵抗を抑えて漏れ電流を低減することが、本発明が解決しようとする課題である。

0012

金属の電解精製において、電解液中で所望の金属のみを負極に析出させる場合、イオン化エネルギーが水素のそれよりも小さく、水または酸に容易に侵される金属を卑金属元素といい、リチウム、カリウムバリウムカルシウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、チタンマンガン亜鉛クロム、鉄、カドミウムコバルト、ニッケル、スズ、鉛などがある。これらのうち、初めに掲げたのものほど水と激しく反応する。後に掲げたものほど水とは反応しにくくなるが、酸とは反応する。しかし、マグネシウム、アルミニウムやチタンなどは空気中において化学的に安定な表面酸化皮膜を形成しやすく、このような皮膜が形成されると、その後は水の中でも高い耐食性を示すようになる。とくに周期律表第1族元素であるリチウム、カリウムまたはナトリウム、第2族元素であるバリウム、カルシウムまたはマグネシウム、第13族元素であるアルミニウムは、水と激しく反応するため、これら金属塩の水溶液電気分解は不可能で、これら金属の塩を高温で溶融し、この溶融塩(電解質)に電流を流す溶融塩電気分解法により電解精製が行なわれている。この溶融塩電気分解を水溶液電解質中で行わせることを見いだすこととが、本発明が解決しようとする課題である。

0013

一般に、充電できない電池を一次電池と言い、充電と放電が共にできる電池を二次電池という。これら電池は、少量の活物質を用いて、多くの電気量と高い起電力を供給できることが望まれる。電極電位差は、電極を構成する物質および電解質中のイオン濃度により異なる。水素イオン(H+)の電極電位差を±0Vとすると、Li=−3.045V >
K=−2.925V > Ba=−2.925V > Ca=−2.840V > Na=−2
.714V > Mg=−2.356V > Be=−1.84V > Al=−1.67V
> Pb=−1.26V > Mn=−1.26V > Zn=−0.76V > Ni=−0
.72V > S=−0.55V > Cr=−0.509V > Fe=−0.44V > C
d=−0.4V > Sn=−0.14V > Cd=−0.4V > Co=−0.28Vが
負極材料であり、(H=±0V)以上のCu=+0.337V > O2=+0.401V
> Tc=+0.4V > Ru=+0.46V > I2=+0.5346V>Rh=+0.
758V > Ag=+0.7991V > Pd=+0.915V >Br2=+1.087
4V > Ir=+1.16V > Pt=+1.19V > Cl2=+1.3583V >
Au=+1.68V > F2=+2.87Vが正極材料である。実用電池の負極にはイオ
ン化し易い金属が必要で、正極にはイオン化傾向が極めて小さい金属または酸化剤(ガス状または液体状の酸化剤を含む)が必要である。これらの電極電位を考慮して、電解質水溶液を用いた実用二次電池を開発することが本発明が解決しようとする課題である。

0014

電解精製あるいは実用電池における電解質の電気分解で生成する金属や金属化合物あるいはガスなどの負極生成物と正極生成物の混合を防止するために隔離膜(セパレータ)が必要である。この隔離膜が備えるべき要件としては、イオンは通過して、物質や電解質が通過しないことが最も重要である。隔離膜には、さらに、絶縁抵抗が大きく、酸やアルカリに強く、熱や振動に強く、機械的強度もあり、長寿命であることも求められる。従来、隔離膜としては、素焼き材料、固体電解質、濾紙などが使われてきた。この中で電解質水溶液と負極生成物を分離するにはアルミナなどのセラミック製固体電解質が相応しいが、これらセラミック製固体電解質は高温環境下でないと電解質として機能しない。固体の中で素焼き隔膜は電解質水溶液で使用できるが、素焼き内部に水溶液が自由に浸透するため、水分を遮断することはできない。濾紙も同様である。そこで、電極部と電解質水溶液を遮断し、さらに必要に応じて、イオンの出入を制御できる膜を開発することが本発明の課題である。

課題を解決するための手段

0015

本発明が課題を解決するための従来法と異なる点は、隔離膜としての撥水性多孔質フッ素樹脂膜を圧力スイッチとして用いることである。ここで、撥水性多孔質フッ素樹脂膜に耐水圧以上の水圧を印加すると、水圧によって人為的に撥水性多孔質フッ素樹脂膜から成る隔離膜を物理的に開閉できるため、水溶液が関与する加水分解反応溶解反応を制御することができる。
従来、水溶液電気化学反応では電解質水溶液の中に正負電極を設置していた。このため電気化学反応時には、電解質水溶液と電極との境界面で発生するガスによる絶縁現象を回避することが難しかった。そこで本発明では電解質水溶液に挟まれた正極および負極をそれぞれ撥水性多孔質膜で電気的に絶縁隔離し、電気化学反応を起こさせる時のみ電解質水溶液を加圧して、撥水性多孔質膜内部の細孔に電解質水溶液を充填させ、その加圧時のみ、絶縁体である隔離膜を導電体に変化させる電気回路のスイッチとしての役割を持たせることができる。とくに実用電池においては電解質水溶液を撥水性多孔質膜製袋密閉し、該撥水性多孔質膜製袋を加圧しているときに充放電を行い、蓄電時は加圧を解除する。この加圧解除により、電極と電解質は絶縁され、自己放電や内部抵抗の増大は回避される。また電気分解(電解精製)においても電極全体が電解質水溶液と接触していないため、夫々の電極での生成物が再度電解質に溶け出す確率は少なく、かつ電極生成ガスが電極と電解質水溶液との間で起こす絶縁現象を回避することができる。また、撥水性多孔質膜によって隔離された電解質水溶液と油との境界面に網状の負電極を備え、電解質水溶液を加圧した状態で電解質水溶液を電気分解すれば、網電極の背面の油の中に負極生成物が析出する。ここで電解質に卑金属塩水溶液を用いれば、嫌水金属(水と激しく反応する周期表第1族および第2族元素)である卑金属元素を油の中で析出でき、しかも重液選別比重選鉱)することができる。

0016

卑金属元素化合物と水の接触を絶つ最も簡便な方法は、卑金属元素の溶融塩の使用である。水が存在しない溶融塩は理想的な電解質液である。しかし、この溶融塩を作るためには、卑金属元素の塩を融点以上の高温に保つ必要がある。このための熱源消費量が軽視できない。したがって、この塩の溶融温度下げるために、他の金属塩を混合して混合溶融塩を作ることが広く行われている。特許文献15の、各混合塩と融点の関係を示す図2にもそれら混合塩と融点の関係が示されている。自然界に存在する常温で液体の元素は水銀と臭素だけであり、他の元素は常温で液体にすることはできない。もし、ここで、卑金属と卑金属塩電解質水溶液とを隔離した状態で電気分解できれば、電解精製や実用二次電池が可能になる。この隔離膜の開発こそが本発明の使命である。この隔離膜の必要十分条件は、当該隔離膜が電解液の保液性に優れ、電気抵抗が小さいことである。本発明では、この課題を解決するために、水溶液に対して撥水性を呈するフッ素樹脂膜を採用する。このフッ素樹脂膜の採用により電解質の保液性に優れていることは勿論のこと、電気抵抗もゼロに保つことができる。さらにこのフッ素樹脂膜として多孔質膜を採用するため、内部をイオン通過可能にすることができる。すなわち、この撥水性多孔質フッ素樹脂膜に耐水圧に等しい圧力で電解質水溶液を加圧すると、イオン透過性膜が実現する。この耐水圧の印加は電気抵抗ゼロ/導電機械的スイッチの役割をする。

0017

したがって、電解精製や実用電池又はキャパシタの充電時および放電時には、電解質水溶液を耐水圧に等しい圧力で印加し、蓄電期間は加圧しないため、電解質の保液性は持続される。すなわち、蓄電時は正負極の活物質は絶縁された状態であり、活物質が反応しないため自然放電は皆無である。さらに隔離膜は材質がフッ素樹脂であるから高温下(約80℃)でも、耐アルカリ性耐酸性耐薬品性に優れている。しかも、機械強度と柔軟性、耐熱性に優れている。しかも充放電時に電解質水溶液側から圧をかけるため、稼動時は膜が電極に密着している。このように隔膜として撥水性多孔質フッ素樹脂膜を用いることが課題を解決する最善の方法であると考える。

0018

キャパシタ(コンデンサ)は誘電体が油などの絶縁体のみであれば正負両電極間の内部抵抗を無視できるが、誘電体と導電体とが電気的に並列直列に組み合わされた等価回路を構成する場合には、内部抵抗が漏れ電流となる。とくに、電気二重層キャパシタやレドックスキャパシタまたはハイブリッドキャパシタなどの電気化学キャパシタにおいては、電極内部や両電極間の電解質による内部抵抗の増大が避けられない。その他に電解質が水系の場合には液漏れも起こる。そこで本発明では、蓄電時の液漏れ及び電流漏れを防止するために、撥水性多孔質フッ素樹脂膜からなる袋の中に強酸や強アルカリなどの電解質水溶液が封入させ、この撥水性多孔質フッ素樹脂膜からなる袋を正極及び負極からなる一対の電極で挟み、充放電時には撥水性多孔質膜の耐水圧を印加して、両電極面と電解質水溶液とを接触させ、かつ撥水性多孔質フッ素樹脂膜からなる袋の内部に金属繊維又は炭素繊維などの空隙を有する導電材料を電解質と一緒に封入することにより、電解質水溶液が加圧された状態にある充放電時には、電解質水溶液間の電気抵抗が小さく、電解質水溶液の加圧が解除された蓄電時には、撥水性多孔質フッ素樹脂膜の内孔部の電解質水溶液が排除されて、内部が空隙になるため、低誘電体として働き、自己放電が抑えられる。一方、充放電時は、電解質水溶液加圧により撥水性多孔質フッ素樹脂膜細孔内に電解質が充填され、導電性に変わり、電気二重層キャパシタあるいはレドックスキャパシタに高電荷の授受が行われる。

0019

撥水性多孔質膜については、非特許文献1のFig.6には、細孔径3μm、厚さ100μmの撥水性多孔質フッ素樹脂膜(ePTFE)の液が浸透し始める時点の膜の両側における圧力の差(差圧)を当該膜の耐水圧とすると、溶液を生理食塩水BSS)としたときの耐水圧は300mmHgであり、その値以上では生理食塩水の流量が上昇することが示されている。そこで、この撥水性多孔質フッ素樹脂膜を電気絶縁膜と見なすと、膜の両側の差圧が耐水圧より低い場合には絶縁膜として働き、耐水圧において液の浸透が始まり導電膜として働く。この撥水性多孔質膜の耐水圧をイオン通過の圧力スイッチとして用いることが本発明の骨子である。特にフッ素樹脂は撥水性を呈するので、膜の両面での差圧が耐水圧未満では水溶液は多孔質膜の細孔内部に入らない。また、細孔径の大小により、あるいは電解質の塩濃度の大小により耐水圧が異なる。多孔質フッ素樹脂膜(細孔径3μm)の塩濃度と膜の両面での透過差圧の関係は、水(塩類を含まない;以下同じ)での耐水圧は430mmHg、塩化ナトリウム濃度が10%で330mmHg、20%で280mmHgと、電解質濃度が高くなると耐水圧は降下する。また多孔質フッ素樹脂膜(細孔径10μm)の塩濃度と膜の両面での透過差圧の関係は、水での耐水圧は130mmHg、塩化ナトリウム濃度が1%で7mmHg、2%で50mmHgと耐水圧は低い。この撥水性多孔質膜の耐水圧ON/OFFの操作を利用すれば、電解質水溶液中での電解精製や実用電池が可能になる。

0020

実用電池の負極材料の電位差は、Li=Li+=−3.045V、K=K+=−2.925V、Ba=Ba2+=−2.925V、Sr=Sr2+=−2.89V、Ca=Ca2+=−2.840V、Na=Na+=−2.714V、Mg=Mg2+=−2.356V、Al=Al3+=−1.67Vであり、それらの比重は、Li:0.54、K:0.86、Na:0.97、Ca:1.55、Mg:1.74、Sr:2.54、Al:2.6、Ba:3.51、Fe:7.87、Cu:8.96、Pb:11.35である。一方、電流供給量から見ると、3価のイオンを出すアルミニウム(Al)、2価のイオンを出すマグネシウム(Mg)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)などである。さらに実用電池においては、蓄えられている電気量が、時間経過と共に徐々に減少する自己放電を低減させ、内部抵抗を低減させることが望まれる。さらに二次電池においては、充電時に水素が発生しないこと、充電時のオーム抵抗および分極が小さいこと、実用性からは、充放電後再生状態が良く、繰り返し使用ができることが望まれる。しかし、これらの条件を全て満足する電極材は、不可能に近い。負極材を取って見ても、最も起電力が高いリチウムは水の存在で激しく反応するため水素を発生して自己放電が起き、電子の流れを阻害する。

0021

そこで本願発明では、理論上の発電効率を、負極のイオン化電位(V)、電流密度=電子価(I)、比重(g/cm3)として、便宜上VI/gと定める。金属をVI/gが高い順に列挙すると、Li=−3.045×1÷0.54=−5.64、Ca=−2.84×2÷1.55=−3.66、K=−2.925×1÷0.86=−3.40、Na=−2.724×1÷0.97=−2.81、Mg=−2.356×2÷1.74=−2.71、Al=−1.67×3÷2.6=−1.92、Ba=−2.925×2÷3.51=−1.67、Sr=−2.89×2÷2.54=−1.57、S(−2価)=−0.55×2÷2.07=−0.53、Mん=−1.1×2÷7.42=−0.3、Zn=−0.76×2÷7.12=−0.27、Pb=−0.13×2÷11.34=−0.23、Cr=−0.51×3÷7.2=−0.21、Fe(2価)=−0.44×2÷7.876=−0.11、Sn=−0.14×2÷7.28=−0.04、Fe(3価)=−0.04×3÷7.86=−0.015である。

0022

実用電池の正極には、イオン化傾向が極めて小さい金属または酸化剤(ガス状または液体上の酸化剤を含む)が必要である。金属としてはSb=Sb3+=+0.2V、 Bi=
Bi3+=+0.28、Cu=Cu2+=+0.345、Hg=Hg2+=+0.793、Ag=Ag+=+0.808、Hg=Hg3+=+0.86、あるいは酸化気体または液体としてO2=OH-=+0.4V、Br2=Br-=+1.08V、Cl2=Cl-=+1.36V、F2=F-=+2.87、過マンガン酸塩クロム酸類、硝酸類、ハロゲン過酸化物酸化物金属塩類酸素類、硫酸類などが相応しい。それらの比重は、Sb:6.69、Bi:8.8、Cu:8.93、Hg:13.59、Ag:10.5、O2:1.429、Br2(液体):3.14、Cl2:3.21、F2:1.696である。そこで理論上の発電効率を、正極のイオン化電位(V)、電流密度=電子価(I)、比重(g/cm3)として、VI/gが高い順に列挙すると、F2=+2.87×1÷1.696=+1.692、Cl2=+1.36×1÷3.21=+0.424、Br2=+1.08×1÷3.14=+0.344、O2=+0.4×1÷1.429=+0.28、Hg(3価)=+0.86×3÷13.59=+0.19、Hg=+0.793×2÷13.59=+0.117、Bi=+0.28×3÷8.8=+0.095、Sb=+0.2×3÷6.69=+0.09、Cu=+0.345×2÷8.93=+0.077、Ag=+0.808×1÷10.5=+0.077である。したがって、最高起電力が得られる理想的な電極の組み合わせは、負極にLi、正極にF2を用いることであり、その起電力は5.915V(=+2.87−(−3.045))である。かくして、正極で最も起電力が得られるのはフッ素ガス(F2=−2.87V)であるが、毒性が強いため、一般的には、酸素ガス(O2=−0.4V)が使われている。しかも、酸素(空気)/卑金属電池は、正極が空気なので、容量は無限である。しかし、この酸素/卑金属電池でも、負極材料に使われるマグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)などは電極面が酸化して、負極表面に電気絶縁膜が形成され、電子の流れが阻止される。ところが、本発明の撥水性多孔質フッ素樹脂膜を用いれば、自己放電を抑制できるため、これら電極面の酸化を防止することができる。

0023

電解精製において、電解質を電気分解して、負極生成物として、1g当量(Eq)の金属を析出(分解)するのに必要な電気量は1ファラデ(F)=96500クーロンである(Eq=分子量(M)/イオンの価数(n))。1クーロンの電気量が1秒間流れる時の電流強度が1アンペアであるから、Aアンペアの電流がt秒間流れた時の通過電気量(Qクーロン)は、Q=Atであり、負極生成物として析出する金属の量(m)は、m=Eq×Q/96500=Eq×At/96500である(m:Q=Eq:96500)。

0024

実用電池に蓄えられるエネルギー量は電解精製に必要とした電力量と同値であるから、1秒間でm(g)を析出するために必要な電流(A)は、A=m×96500/Eq×tである。したがって、1時間に1kgを析出するに必要な電流(A)は、A=1000×96500/(Eq×3600)=26806/Eqである。

0025

したがって、実用電池の単位時間・単位重量当たりの放電容量(電池に蓄える重量エネルギー密度(W×時間(h)/kg)=電圧(V)×電気量(A×h)÷電極の密度(kg)=AVh/kg=W・h/kg)は26806×V×n/M[Wh/kg]で与えられる(V:起電力、M:反応物質量数、n:価数)。実用電池にこの式を適用すると、各種卑金属負極材料及び各種ガス正極材料(酸素またはハロゲン)の組み合わせによる放電容量(Wh/kg)を図1に示す。ただし、正極材料のガス重量を無視(質量をゼロ)したときの放電容量を括弧内に記す。とくに卑金属/ハロゲン電池は起電力が高く魅力的である。例えば、Li/Cl2(16,888)>Li/Br2(15,815)>Li/I2(13,709)>Al/F2(13,522)>Al/Cl2(9,025)>Mg/Cl2(8,185)>Na/F2(6,515)>CaBr2(5,254)>Ca/Cl2(5,112)>Na/Br2(4,429)>K/F2(3,980)>Na/I2(3,788)>Mg/Br2(3,784)>Mg/I2(3,177)であるが、ハロゲンガスを扱うため、危険を伴い、取り扱いに注意を要す。その点、卑金属/酸素は正極として空気を用いることができるため、安全かつ軽量電池を提供できる。正極に酸素を用いた場合、電池の放電容量を多い順に列挙すると、Li/O2(11,680)>Be/O2(6,672)>Al/O2(6,165)>Mg/O2(6,067)>Ca/O2(4,343)>Na/O2(3,636)である。

0026

かくして、本発明は、まず、第1の側面に従い、第1の主面とこの第1の主面と反対側の第2の主面を有する正極;第1の主面とこの第1の主面と反対側の第2の主面を有する負極、ここで、前記正極と負極とは、前記第1の主面同士が対面し、互いに離間配置されてそれらの間にスペースを規定しており;前記スペースを満たす導電性液体および/または誘電性液体;前記正極の第1の面に配置されて前記正極を前記液体から隔離する第1の(溶液)隔離具(隔離手段)、ここで、前記第1の隔離具は複数の細孔を有する第1の撥液性多孔質膜を含み;前記負極の第1の面に配置されて前記負極を前記液体から隔離する第2の(溶液)隔離具(隔離手段)、ここで、前記第2の隔離具は複数の細孔を有する第2の撥液性多孔質膜を含み;および前記液体を加圧して前記第1および第2の撥液性多孔質膜の細孔を前記液体で満たさせ、それにより前記正極および前記負極が関与する電気化学反応を生起させる圧力印加具を備える電気化学反応装置を提供する。

0027

本発明の一つの態様において、前記撥液性多孔質膜は、フッ素樹脂、ポリププレ樹脂、またはポリエチレン樹脂で形成することができ、そして前記液体は、電解質水溶液であり、かつ液体を撥液性多孔質膜の耐液圧に等しい圧力で加圧することができる。

0028

他の態様において、前記撥液性多孔質膜は、フッ素樹脂で形成され、液体が油であり、かつ液体(油)を撥液性多孔質膜の耐液圧に等しい圧力で加圧することができる。

0029

さらに他の態様において、前記撥液性多孔質膜は多孔質炭素からなり、液体が溶融塩電解質であり得る。

0030

さらに、本発明の一つの態様において、前記第1の撥液性多孔質膜と前記第2の撥液性多孔質膜とは、一緒になって、一つの密閉容器を構成することができる。密閉容器の内部が前記スペースに相当し得る。また、他の態様において、前記第1の撥液性多孔質膜と前記第2の撥液性多孔質膜とは互いに別々の膜であり得る。また、正電極および負電極は、互いに対向する開口がそれぞれ撥液性多孔質膜で閉鎖された正極電極室および負電極内室にそれぞれ配置することができる。

0031

本発明による電気化学反応装置は、電気分解装置、一次電池、二次電池、およびキャパシタを含む。

0032

上記電気化学反応装置において、導電性もしくは誘電性液体に所定の圧力を印加することにより、各撥水性多孔質膜の細孔内に該液体が入り込み、各電極と該液体との接触が達成され、所望の電気化学反応(正極、負極が関与する)が生起する。そして、上記圧力を解放することにより、各電極と該液体との接触が解除される。すなわち、隔離膜は、所定の圧力印加の有無によって電気化学反応の生起/停止を行わせるON/OFFスイッチとして作用する。

0033

この撥水性多孔質膜(隔離膜)のON/OFFスイッチの原理図2に示す。撥水性多孔質膜11で作られた密閉容器1を負極を収容する負極電極室3と正極を収容する負正極電極室4とで挟み、電解質水溶液14を密閉容器1に収容する。そして、図2(A)に示すように圧力印加具6(例えば、円柱状錘)により電解質水溶液14を撥水性多孔質膜11の耐水圧未満の圧力で加圧する(図では、加圧しない)場合には撥水性多孔質膜11の細孔内に電解質溶液が浸入しないので、電圧計VMが0を示すように電気的に絶縁状態確立する。
これに対し、図2(B)に示すように電解質水溶液14に圧力印加具6により圧力をかけると撥水性多孔質膜11の細孔内に電解質水溶液が入り電圧計VMがプラス側に振れて起電力を示す。

0034

この撥水性多孔質膜は電気分野に限定しただけでも、電気分解装置や実用電池あるいはキャパシタ(蓄電器)に使うことができる(図3Aおよび図3B参照)。本発明の電気化学反応装置(電気分解装置や実用電池装置またはキャパシタ(蓄電器))において、所定の圧力(耐液圧)を液体に印加することにより充放電を行わせ、該圧力未満の圧力下で充放電を停止させる。こうして、撥液性多孔質膜(隔離膜)は、液体に耐液圧に等しい圧力を印加することによって細孔に溶液やイオンを通過させて、導電状態を生み出すためのスイッチ、すなわち電子ON/OFFスイッチの役割を担う。

0035

ここで、撥水(液)性多孔質膜の耐水(液)圧とは、撥水(液)性多孔質膜の圧入側1次側)の圧力と出口側2次側)の圧力との差圧であって、液体が当該多孔質膜の細孔内に浸入し得る最小の差圧をいう。一方の側が液体であり、他方の側が気体または液体である。液体とは電解質、非電解質などの水溶液、また油や純水などの誘電性液体、あるいは卑金属元素系溶融塩溶液である。気体は水溶液電気分解で負極または正極で生成する水素、酸素、塩素ガスあるいは溶融塩に圧入する水素ガスなどである。

0036

液体は、その電気的性質により、導電体と誘電体に区分できる。導電性液体には、電解質水溶液と溶融塩電解質があり、電解質水溶液は電気分解や電池または電気化学キャパシタに使用される。この場合、撥液性多孔質膜は、フッ素樹脂、あるいはポリプロプレン樹脂、ポリエチレン樹脂で形成することができ、上述したように、電子スイッチとして作用する。溶液が溶融塩導電体の場合には、多孔質炭素膜を溶融塩の隔離膜兼負電極として使用し、負電極側から水素ガスのマイナスイオンを溶融塩の正極側に移動させる過程水素化金属を形成させる。他方、誘電性液体には、油系液体水系液体があり、油系液体は負極生成物の回収あるいは油キャパシタ兼負極生成物の回収または油系キャパシタに用いることができる。とくに負極生成物の回収では、周期表第1族元素を水から分離して油の中で比重選鉱し、油キャパシタ兼負極生成物の回収では油側に電荷を与えて電解質水溶液と油との境界面を負電極面として油側で負極生成物を比重選鉱する。

0037

キャパシタのみに供する場合は、誘電率の高いニトロベンゼンや油を油系キャパシタとし、純水やギ酸などを水系キャパシタとして、キャパシタの構造は正極板、撥水性多孔質膜、誘電体溶液、撥水性多孔質膜、負極板の順に並べられ、充放電時は撥水性多孔質膜に誘電体溶液を耐液圧で加圧して撥水性多孔質膜内部が誘電体溶液で満たされ、蓄電時は誘電体溶液の液圧が解除されて、撥水性多孔質膜内部の誘電体溶液が除かれ、撥水性多孔質膜自身は低誘電率キャパシタとして働く。このように蓄電時は、高誘電率キャパシタが2個の低誘電率キャパシタで挟まれた3個直列のキャパシタ構造であり、充放電時には1個のキャパシタ構造を成している。

0038

一方、隔離膜が撥油性を呈する固体誘電体の場合には、とくにフッ素樹脂の場合には、水溶液中に油を混入させれば、フッ素樹脂は親油性を呈するので、フッ素樹脂面に油が吸着する。この性質を利用して、水系誘電体の中に微量の油を混入させ、フッ素樹脂の誘電体溶液側に極薄油層を形成させ、かつフッ素樹脂の反対面に電極を密着させて高誘電体を形成させ、電極間電子移動を制御するアナログスイッチを用いた電気化学反応装置を提供することができる。

0039

本発明の電気化学反応装置において、前記撥水性多孔質膜が高分子樹脂からなる場合には、当該膜の耐水圧の圧力値を変化させる目的で、既存の多孔質膜の表面や細孔壁に撥水基あるいは親水基を導入するか、あるいは適宜細孔の直径寸法の異なる素材を選択し、あるいは電解質水溶液の塩濃度や液温を変え、あるいは該撥水性多孔質膜間に電位を与えることにより、電解質水溶液の水圧に応じて撥水性多孔質膜を通過できる電解質水溶液および/またはイオンの量を制御することができる。

0040

耐水圧を高くしたい場合には、撥水性多孔質膜の細孔径を大きくすれば良い。ただし細孔径を大きくすれば膜の機械的高度が弱くなる。そこで撥水性と撥油性を呈するフッ素樹脂を親水性に改質すれば水との濡れ性増し耐水圧が低くなる。ところがフッ素系多孔質膜の両面が親水性に改質されてしまうと当該膜が水溶液とも電極とも濡れ性が増し電気的絶縁性の維持が損なわれる。特許文献12、特許文献13、特許文献14は、フッ素系撥水性多孔質膜に、結合エネルギーが128kcal/mol以上の原子と親水基を有する化合物の存在下でエキシマレーザー光を照射してフッ素系撥水性多孔質膜を製造する方法が、特許文献15はフッ素系撥水性多孔質膜の内孔を紫外線の光反応により親水基で置換して内孔壁に濡れ性を付与する方法が、非特許文献1は、孔径33μmの撥水性多孔質フッ素樹脂フィルムの耐水圧は1500torrであるが、細孔内部を親水性に光改質して、耐水圧を20torrに降下させることを記載している。さらに非特許文献1は電解質水溶液の塩濃度が高くなると耐水圧が下がることを開示している。さらに、特許文献18は、電解質水溶液の液温を高くすると耐水圧が下がること、あるいは該撥水性多孔質膜間に電位を与えて親水性を高くするエレクトロウエティングをに開示している。このように水溶液の水圧に応じて該撥水性多孔質膜を透過できるイオンの量をアナログ的に制御できる。

0041

本発明の電気化学反応装置において、一つの態様によれば、撥液性多孔質膜(隔離膜)が海、塩温泉地獄鉱泉池、水溶液廃棄物貯蔵池、貯温槽貯水池、用水、プール、大型水槽などの開放容器あるいは袋、チューブ小型容器などの密閉容器あるいは該開放容器あるいは該密閉容器の中にさらに小さな密閉容器が挿入された状態で、前記スペース内の電解質水溶液が加圧により撥水性多孔質膜から滲み出て正極と負極間で電解質水溶液の電気化学反応が行われる。

0042

これら隔離具内の該電解質水溶液を圧力印加具で加圧することにより撥水性多孔質膜から滲み出て正極と負極間が電気的に結合し電解質水溶液の電気化学反応が行われる。この隔離具は図4に示すように、密閉容器と開放容器に区分できる。

0043

密閉容器を用いた化学反応装置(図4(A))とは、正負一対を成す電極と接する面が撥水性多孔質膜である袋やチューブあるいは小型容器などを指し、この密閉容器の中に電解質や誘電体などの溶液を封入して外側の任意の面に、図5の圧力印加具6に示すように直接加圧(図5(A))をするか、あるいは図5(B)該密閉容器内の溶液に連通管5を介してシリンダ注射器)6やスポイトゴムやピペター7などで手動加圧をするか、または電動であるいはラチェット加圧装置8で圧力を与えるか、または耐水圧に等しい圧力水頭が得られる高所に設置した貯水槽9と連通管5で繋ぎ該電解質水溶液の位置水頭(h)10を設定して溶液加圧を行う。

0044

図4(B)に示すように、開放容器11は、莫大な量の電解質溶液が満たされた海、塩湖、温泉地獄、鉱泉池あるいは水溶液廃棄物や電解質を貯蔵している貯蔵池、貯温槽、貯水池、用水、プールなどの水槽などである。一般に、海や湖など水面から深度が深くなると水圧は10メートルで約1気圧上昇する。これは当該水深における溶液の圧力に等しいので、この領域の隔離具を開放容器と見なし、これら莫大な量の電解質溶液の中に、撥水性多孔質膜を挟んで電極を配置した正極及び負極からなる一対の電極生成物回収室を、一定間隔を保って一定深さが得られる撥水性多孔質膜の耐水圧に等しい水圧まで沈めて電解質水溶液の直接電気分解を行う。

0045

開放容器の中に密閉容器を用いた化学反応装置とは、図4(C)に示すように、開放容器2の中に密閉容器1を挿入した構造体により、開放容器2内の水圧で密閉容器1を加圧して、密閉容器1に密着させた正及び負の電極室間で電気分解を行う。密閉容器1には一対の電極に密着した2枚の撥水性多孔質膜の他に少なくとも1枚の撥水性多孔質膜aが装着され、かつ密閉容器1内には硫酸苛性ソーダ水酸化ナトリウム)などの導電性が高い水溶液を入れておき、開放容器の水圧で撥水性多孔質膜aを通過した水又は電解質水溶液が供給されて密閉容器1で電気分解が行われる。この開放容器の代わりに大型の密閉容器の中に密閉容器1を挿入した二重容器構造体により、大型密閉容器内の水圧で密閉容器1を加圧して、密閉容器1に密着させた正及び負の電極間で電気分解を行うこともできる。この二重容器構造体からなる水素発生装置では海水などの電解質でない水からも効率よく水素製造ができるため湖やなどの淡水または塩水あるいは鉱泉などの低濃度電解質水溶液の中に当該化学反応装置を挿入して水素を製造できることも本発明の特徴である。あるいは、前記撥液性多孔質膜からなる密閉容器内部に充填したガスを加圧して該撥液性多孔質膜の細孔から溶融塩に浸透させるための該ガスを圧入させるための圧力印加具を備える電気化学反応装置も提供される。

0046

次に、撥水性多孔質膜からなる中空密閉袋内部に電解質水溶液を注入する方法を説明する。撥水性多孔質膜の材質はフッ素樹脂、ポリプロプレン樹脂、ポリエチレン樹脂などであるが、最も耐薬品性が高く、耐熱温度が高い素材はフッ素樹脂である。図6に示すように、これら撥水性多孔質膜11からなる中空密閉袋内部1に電解質水溶液14を充填する方法として、中空の袋の中に電解質水溶液14を液注入シリンダ(注射器)6で直接注入する方法(図6(A))、撥水性多孔質膜11が水は通さないが気体は透過することを利用して、予め薬品などの溶質15が封入された中空密閉袋1を水蒸気雰囲気に置いて、溶質と加水分解や溶解反応を行い、内部に水を抑留する方法や予め薬品などの溶質が封入された中空密閉袋の内部を連通管で大気開放した状態で密閉容器の中に挿入して、密閉容器内の水を耐水圧に等しい水圧で加圧して密閉容器内部に水を圧入して加水分解をさせて電解質水溶液を製造する方法(図6(B))、あるいは中空密閉袋の一方の撥水性多孔質膜11を吸引口94より真空ポンプにより耐水圧より低い陰圧で吸引して、密閉容器1内の電解質水溶液14を密閉容器内に抑留させるために、他方側の撥水性多孔質膜11から電解質水溶液14を圧入する方法(図6(C))、あるいは中空密閉容器の一方の壁面にアルコール13を塗布し、このアルコール塗布面から溶媒あるいは該電解質水溶液14を侵入させた後、自然放置または加温してアルコールを発散させることにより袋内に電解質水溶液を抑留させる方法(図6(D))などがある。このアルコール塗布方法に関しては、非特許文献1及び特許文献12には、水の表面張力は72.3dyn/cm、フッ素樹脂のそれは28.5dyn/cm、メチルアルコールのそれは22.3dyn/cmであり、多孔質フッ素樹脂の場合フッ素樹脂より表面張力が高い水は多孔質の細孔には浸透しないが、フッ素樹脂より表面張力が低いメチルアルコールは多孔質の細孔に浸透することが記載されている。一方アルコールは水と親和性が高いので、多孔質フッ素樹脂にアルコールを浸透させた状態でその上に水を載せると、アルコールが存在している時点のみ水が多孔質の細孔に浸透することも開示されている。

0047

図7に示すように電解質水溶液の電気化学反応に際し、正極および負極からなる一対の電極は、電池においては電極板からなり、電気分解装置においては電極生成物を回収する手段を備えた電極室からなり、キャパシタの場合は電極板からなる。

0048

電極が電池に供される場合には、電極板の負極が両性元素またはMgあるいは、第1族および第2族元素を除くイオン化傾向が水素より大きい金属元素であり、かつ正極が酸素またはフッ化グラファイトあるいはイオン化傾向が水素より小さい金属元素の場合には両電極は外気に開放された裸電極とされ、負極が第1族、第2族元素からなり、かつ正極がハロゲンまたはハロゲン化合物の場合には両電極とも外気遮蔽を施した電極室とすることができる。

0049

電極が電気分解に供される場合には、電極室を気体透過性電極室、油が充填される卑金属回収電極室、および水が充填される酸・塩基水溶液回収電極室に分類し、電極生成物が気体の場合には、両電極内部が金属または炭素からなる網状、繊維状、多孔質状あるいは粒状などの形状を呈する空隙電極あるいは該空隙電極の背面に隙間を有する構造の気体透過性電極室とされ、電極生成物が第1族、第2族または第13族元素からなる場合には、負極を油が充填される電極室構造とし、かつ負極生成物を重液選別するために該空隙電極の空隙部にあるいは該空隙電極の背面の隙間部に油を満たし、あるいは該油の背面に板電極を配置して誘電体キャパシタ及び供給電力貯蔵用媒体として併用するための油を満たした電極室(油充填電極室)とされ、水とのイオン反応により電極生成物が酸水溶液である場合には、正極板の前面に予め希酸を添加した水を満たした構造とし、あるいは電極生成物が塩基性水溶液である場合には負極板の前面に予め希塩基を添加した水を満たした構造の電極室(水充填電極室)であり、かつ両電極の水充填電極室には水の供給口と生成した酸性水溶液や塩基性水溶液の取出口および水充填電極室の上部には生成ガス採集口を備えた構造であるか、あるいは正極で生成されるハロゲン、亜流酸、亜硝酸などの気体を水に吸収させて回収するために炭素からなる該空隙電極の空隙や背面の隙間に水を循環させる構造を有する水充填電極室とすることができる。

0050

電極がキャパシタに供される場合には、正負電極板が裸電極であり共に撥水性多孔質膜を介して油系または水系誘電体を挟む単板型であるか、あるいは活性炭電極の表面に有機分子を吸着させた電気二重層型であるか、あるいは金属酸化物導電性ポリマー活性炭などのレドックス型電極であり撥水性多孔質膜で隔離された両レドックス電極間は電解質が充填した導電繊維短絡されている。このドレックス構造により正負両電極板酸化膜に高電荷を蓄えることができ、かつ撥水性多孔質膜製密閉容器(袋)内部の酸やアルカリなどの電解質水溶液溜めには導電繊維が封入されているので内抵抗を軽減することができる。

0051

一つの態様において、電気化学反応装置は、図8に示す等価回路で示すことができる。この回路を「村原サーキット」と命名する。この電気化学反応装置は、図8の等価回路に示すように、電解質水溶液面と油面との境界面を負電極として電解質水溶液を電気分解して、陰極生成物を油層内で析出させ、かつ重液選別(比重選鉱)するものであり、電気抵抗(R)なる電解質水溶液14を電気分解して油充填電極室16内に卑金属を析出させるための仮想負電極19を含む。仮想負極19は油面と水面の境界を指すが、この境界面は油面と水面が地軸に対して鉛直の場合は成立するが、それ以外の場合は撥水性多孔質膜を利用する。この撥水性多孔質膜11をスイッチ(S)と考えて、撥水性多孔質膜11に耐水圧に等しい電解質水溶液の圧力が印加されたときのみスイッチ(S)は短絡して、電気分解が行われる。より詳細には、油充填電極室16を構成する油層の油面と電解質水溶液面との境界面を負電極19と想定し、油層を油キャパシタ(C1+C2)、電解質水溶液14を水抵抗器(R)とした電気回路において、油層と電解質水溶液の境界面を油キャパシタの負極19とし、油キャパシタの正極17と負極19の間に中間電極18を備え、正極17と中間電極18の間を誘電体1(C1)として中間電極18と負極19の間を誘電体2(C2)とするものである。

0052

ここで、本発明の特徴の一つは、油層と電解質水溶液の境界面が負極の働きをすることである。すなわち正極17と中間電極18の間の誘電体1(C1)に電圧(E)20を印加し続け、かつ油キャパシタの正極17を電解質水溶液14の正極とした状態で撥水性多孔質膜11のスイッチ(S)が短絡された時のみ直列回路が形成されて油キャパシタ(C1+C2)に蓄えられた電荷が電解質水溶液14に移り、分解電圧以上の電圧20を与えて誘電体2(C2)内の油層で負極生成物を重液選別する。ここで誘電体1(C1)を固定キャパシタ代替させ、誘電体1(C1)に電荷を与え、同時に誘電体2(C2)の負極19と誘電体1(C1)の正極16との間に水抵抗器(R)としての電解質水溶液14を接続して分解電圧以上の電圧20を与えて誘電体2(C2)内の油層で負極生成物を重液選別することもできる。

0053

上記油面と電解質水溶液面との境界面を負極とした油キャパシタの概念図を図9に示す。図9(A)は撥水性多孔質膜を用いた仮想負極に関する構造図で、油と電解質水溶液との界面は地軸に左右されない、図9(B)は仮想負極が地軸と鉛直面を成し、油の比重が1未満の場合の構造図、図9(C)は仮想負極が地軸と鉛直面を成し、油の比重が1を超える場合の構造図である。

0054

図9(A)に示すように、仮想負極(油面と電解質水溶液面との境界面)19が地軸に対して任意の傾きを成す場合には、油面と電解質水溶液面19との間に撥水性多孔質膜11を挿入して電解質水溶液14を加圧した時のみ仮想負極19を形成させ、仮想負極19が地軸に対して鉛直面である場合には撥水性多孔質膜11は必ずしも必要とせず、かつ油の密度(比重)が電解質水溶液14の密度(比重)より低い場合(比重1未満)には該電解質水溶液14の上部に油層23を形成させ、油の密度が電解質水溶液14の密度より高い場合(比重1超)には該電解質水溶液14の下部に油層24を形成させ、かつ誘電体1(図8(A)のC1)に電荷20を与え、同時に該誘電体2(図8(A)のC2)の負極19と該誘電体1の正極17との間に電解質水溶液14を接続して分解電圧以上の電圧20を与えて該誘電体2(図7(A)のC2)内の油中で重液選別された負極生成物を回収口26から取り出す。

0055

一つの態様において、海や塩湖などの低濃度電解質水溶液の海面下水頭位置に正負一対の気体透過電極室を降下させ、海水から水素及び酸素あるいは塩素を直接生成させることができる(水素製造装置図10参照)。一般に海水面や水面から10m沈めれば約1気圧水圧上昇する。この自然現象を利用し、気体透過性正負極電極室を撥水性多孔質膜の耐水圧の水圧まで沈めれば、人為的な圧力印加の必要は無い。例えば両電極面を僅かに隔てた正および負一組の電極室を海面下の撥水性多孔質膜の耐水圧が得られる深さまで沈め、両極に電位を与えると水素と酸素または塩素とを生成することができる。そこで、図10(A)に示すように、開放容器2である海や塩湖などの低濃度電解質水溶液(塩化ナトリウム水溶液)14を撥水性多孔質膜11を介して一対の負極電極室3と正極電極室4とに圧入させる。この気体透過電極室3,4を用い、塩水を電気分解して負極電極室3で水素を正極電極室4で酸素または塩素を生成するに際し、正負電極がそれぞれ網状または繊維状あるいは多孔質状あるいは粒状を成す金属または炭素からなる空隙電極からなり、かつそれぞれの気体回収用電極室3,4の最上部には夫々の生成ガス回収ホース12を備え、両電極室3,4を電解質水溶液(海水)14中で近接させた一組の電極室を構成し、これを一組または複数組連結させて正負極電極室群を構成し、電極室群を撥水性多孔質膜の耐水圧に等しい水圧が得られる海面下に設置し、両電極間に電位を与えるだけで電気分解を行い、負極電極室で水素を、正極電極室で酸素または塩素を分別回収する。本発明では、電極を電解質水溶液の中に直接挿入しないため電極生成物により電極と電解質との絶縁状態を発生させない。さらに撥水性多孔膜を境として、電解質側の圧力が電極生成物側より高圧であるため、電極生成物の回収効率が高い。開放容器2を密閉容器1に代替すれば、図10(B)に示すように上でも使用できる。密閉容器1の電解質水溶液(塩水)14を圧力印加具6で加圧し、または連通管5を介して水頭位置10に設置した貯水槽9により海水または濃縮海水をあるいは水に電解質を添加して直接電気分解して、負極電極室3で水素ガスを、正極電極室4で酸素や塩素などの気体を分別回収することができる。

0056

一つの態様において、密閉容器の中に封入された濃縮電解質溶液に密閉容器の外壁から撥水性多孔質膜(淡水浸透用)27を介して淡水を圧入した状態で電気分解を行い、水素及び酸素あるいは塩素を高効率で直接生成することができる(図11参照)。

0057

図11(A)に示すように、希硫酸または苛性ソーダ水溶液などの高溶解度・高電導率電解質水溶液(高濃度電解質水溶液)で満たされた撥水性多孔質膜製密閉容器を備える水素製造装置30を淡水湖、池、海水、温泉地獄などの開放容器2内に沈め、密閉容器1に付けられた水溶液圧入用撥水性多孔質膜27から淡水あるいは海水あるいは温泉水あるいは高温排水などの低濃度電解質水溶液14を圧入した状態で水溶液電気分解して水素を製造する。密閉容器1内に封入された希硫酸または苛性ソーダ水溶液などの高濃度電解質水溶液が密閉容器内に入れられた状態で、密閉容器1の外壁に取り付けた撥水性多孔質膜(淡水浸透用)27から密閉容器内部に順次低濃度電解質水溶液14を供給して、連続して水素を発生させる。尚、密閉容器1の内部と外部とで濃度の異なる2種類の電解質水溶液を同一耐水圧下で撥水性多孔質膜の細孔に浸透させるために、該撥水性多孔質膜a(11)、b(27)が異なる種類の場合には、撥水性多孔質膜a(11)よりも撥水性多孔質膜b(27)の細孔径の寸法を大きな孔径の膜を選定する。あるいは、撥水性多孔質膜a(11)、b(27)が同一種類の場合には、撥水性多孔質膜b(27)の低濃度電解質水溶液に接触する側の孔壁に親水基を置換して水との濡れ性を増進させ、低濃度電解質水溶液と高濃度電解質水溶液とが共に同値またはその近傍値の水圧で撥水性多孔質膜a(11)および撥水性多孔質膜b(27)を浸透可能とする。撥水性多孔質膜a(11),b(27)が同一種類の場合で、最も簡便な方法は、低濃度電解質水溶液圧側の水圧を陽圧(高く)にするか、あるいは高濃度電解質水溶液圧が圧入された撥水性多孔質膜aの出口側の圧の圧力を陰圧(吸引)にすることである。陰圧とは撥水性多孔質膜a(11)に接触して備えた負極電極室3や正極電極室4などの気体透過電極室で生成する電極生成ガスを気体輸送式真空ポンプで吸引して、低濃度電解質水溶液に印加された水圧と撥水性多孔質膜a(11)の出口側の気体透過電極室における生成気体の圧力との差圧を撥水性多孔質膜b(27)の耐水圧と撥水性多孔質膜a(11)の耐水圧との和と等しいかそれ以上になる範囲で吸引することである。この気体透過電極室では電気分解中は生成ガスが大量に生成されるため、生成ガスの回収と、ガス圧とを同時に行う必要がある。このため極電極室3や正極電極室4などの気体透過電極室の生成ガス回収口12の前段圧力調整弁93を備えることが望ましい。

0058

一般に、図28の多孔質フッ素樹脂膜の耐水圧と塩濃度の関係に示すように、撥水性多孔質膜の耐水圧は電解質の濃度が高くなると耐水圧は低くなる。

0059

とくに、低濃度電解質水溶液14や淡水88などが撥水性多孔質膜b(27)を介して密閉容器1内の希硫酸や希アルカリなどの高濃度電解質水溶液に混入してできた電解質水溶液を撥水性多孔質膜a(11)に接触させた負極電極室3と正極電極室4間で電気分解し、各気体透過電極室で生成するガスを含めた該気体透過電極室内の圧力(Pg)が存在する場合には、低濃度電解質水溶液14が撥水性多孔質膜b(27)に加える水圧Plbと高濃度電解質水溶液が撥水性多孔質膜a(11)に加える水圧Plaの差圧が撥水性多孔質膜a(11)の耐水圧Plbaであり、かつ高濃度電解質水溶液の水圧P3lagと該気体透過電極室内の圧力(Pg)の差圧が撥水性多孔質膜a(11)の耐水圧Plagにさせるためには、Plb−Pla ≧P1baおよびPla−Pg=P1agを同時に満たさなければならない。すな
わちPlb−Pg ≧Plba+ Plagを満足させるためには、低濃度電解質水溶液14に加え
る水圧Plbを高く(陽圧)設定するか、あるいは該気体透過電極室内の圧力(Pg)を維持するために、圧力調整弁93を介して真空ポンプで吸引して、該気体透過電極室内の圧力(Pg)を陰圧にすることにより、複数枚の撥水性多孔質膜の夫々の耐水圧の累計が反応系の最初にかかる水圧Plbと最後にかかるガス圧Pgとを調整して水の電気分解による水素と酸素または塩素を製造することができる。実用的には、撥水性多孔質膜a(11)、b(27)を同一な撥水性多孔質膜を用い、低濃度電解質水溶液14に加える水圧Plbに陽圧を加えるか、或いは気体透過電極室内の圧力Pgを陰圧にする簡便な操作を行いながら電気分解を施し、海水中や湖中で直接水素を製造できる。すなわち希硫酸や希アルカリなどの高濃度電解質水溶液が封入された密閉容器1を低濃度電解質水溶液が存在する海や湖である開放容器2の中に挿入し、該密閉容器1を圧力水頭位置まで降下させた状態で電気分解を連続的に行う。

0060

本方法は、図11(B)に示すように陸上でも使用できる。密閉容器1を大型密閉容器29の中に挿入し、水道28の水圧を撥水性多孔質膜11および撥水性多孔質膜(淡水浸透用)27の耐水圧以上で加圧と水供給を行いながら連続して水素を製造することができる。この水道水の代わりに淡水または海水が満たされた容器または温泉の貯温槽の中に入れて該撥水性多孔質膜の耐水圧以上の圧力で加圧させた状態で、機械加圧または水頭位置から連通管を介して加圧と水供給を行うことができる。ここで重要なことは撥水性多孔質フッ素樹脂膜(電極隔離膜)11の耐水圧と淡水に起因する撥水性多孔質膜(淡水浸透用)88の耐水圧を同値または近値にすることである。これら一組の気体透過用電極室3,4からなる水素製造装置30を一対または複数組つなげ、該電解質水溶液を撥水性多孔質膜の耐水圧に等しい圧力下で水の分解電圧以上の電圧で電気分解して負極電極室で水素ガスを正極電極室で酸素ガスまたは塩素ガスを発生させることができる。

0061

一つの態様において、従来法における隔膜やイオン交換膜を用いず、撥水性多孔質膜に水圧をかけた状態で電気分解を行い負極電極室内部で直接苛性ソーダを製造することができる。図12に示すように、苛性ソーダ31は撥水性多孔質膜11の耐水圧またはそれ以上の水圧を印加した塩化ナトリウムチリ硝石硫酸ソーダなどの卑金属塩水溶液32を電気分解し、撥水性多孔質膜11で隔離された水充填電極室40で卑金属水酸化物(苛性ソーダ)31を生成する。

0062

図12(A)に示すように、密閉容器1内の卑金属塩水溶液(塩化ナトリウム水溶液)32に耐水圧に等しい水圧を印加し、かつ水充填電極室40内部にはニッケルなどの金属または炭素電極を備え、かつ高々80℃の水を水供給口34から供給する。ここで供給する水は室温でもよいが、高温では苛性ソーダの溶解度が高いため、濃縮苛性ソーダを効率良く製造するには80℃内外が望ましい。とくに電気分解開始時は水充填電極室40内の水の電気抵抗が高いので、予め希苛性ソーダ水溶液を添加しておくことが必要である。この水充填電極室40に給水するための水供給口34と生成された濃縮卑金属水酸化物(濃縮苛性ソーダ水溶液)31を回収するための負極生成物回収口35および最上部には発生ガス(水素ガス)回収管12を備えている。一方、正極は気体透過電極室41からなり、撥水性多孔質膜11に密着して備えた炭素繊維、炭素粒、多孔質炭素などの正電極37を備え、正極表面で生成する塩素ガス、亜硝酸ガス亜硫酸ガスなどの気体を直接回収するための生成ガス回収管12を備えている。ただし、製品輸送を考えると気体よりも水溶液の方が都合がよい。そこで図12(B)に示すように、正極に水充填電極室40構造を採用し、負イオンと水との反応を行うために、水供給口34から給水した室温水に予め希塩酸水溶液を添加した後、撥水性多孔質膜11を介して負電極板36と正電極板38との間で電気分解を行い、イオン反応(2Cl-+2H2O→2HCl+O2)を行う。ここで生成した酸(塩酸)33は濃酸(塩酸)取り出し口42から、酸素は生成ガス回収管12から夫々回収する。

0063

一つの態様において、撥水性多孔質膜をイオンのON/OFFスイッチとして用いることで、水を最も嫌う卑金属元素の析出を、水溶液の電気分解で行うことができる(卑金属回収装置)。図13(A),(B)に示すように、密閉容器1内の卑金属塩化物水溶液を電気分解して負極に卑金属を生成するために、密閉容器1の負極側に撥水性多孔質膜11からなる隔離膜を介して金属または炭素からなる網状負電極43を接触させ、その背面を油23で満たした油充填電極室16とし、負極生成物で油23よりも比重が軽い卑金属(Li,K,Na)は油充填電極室16の上部に備えられた負極生成物回収口35から、油23よりも比重が重い卑金属(Mg,Ca,Ba,Sr)は油充填電極室16の最下部に備えられた負極生成物回収口35から回収される。正極生成物を取り出すにはガスとして回収する方法と液体として回収する方法がある。ガスとして取り出すには図13(A)に示すように、正極は気体透過電極室41からなり、撥水性多孔質膜11に密着して備えた炭素繊維、炭素粒、多孔質炭素などの正電極37を備え、正極表面で生成する正極生成ガス(塩素)を直接回収するための生成ガス回収管12を備えている。ただし、製品の輸送を考えると気体よりも水溶液の方が都合がよい。そこで図13(B)に示すように、正極に水充填電極室40構造を採用し、負イオンと水との反応を行うために、水供給口34から給水した室温水に予め希塩酸水溶液を添加した後、撥水性多孔質膜11を介して網状負電極板43と正電極板38との間で電気分解を行い、イオン反応(2Cl-+2H2O→2HCl+O2)を行う。ここで生成した酸(塩酸)33は濃酸(塩酸)取り出し口42から、酸素は生成ガス回収管12から夫々回収する。

0064

一つの態様において、周期表第1族または第2族元素からなる卑金属塩水溶液面と油面との境界面を仮想負電極面として、卑金属塩水溶液を電気分解して、陰極生成物を油層内で析出させることができる。図14(A),(B)に示すように、密閉容器1と撥水性多孔質膜11で隔てられた油充填電極室16において、油23と卑金属塩水溶液32との境界面の仮想負極面19と正極37(気体透過電極室を用いた場合)または正電極板38(水充填電極室用いた場合)との間で卑金属塩水溶液32を電気分解し、油充填電極室16中の油23内に負極生成物を析出させる。図13では正極に気体回収電極41を示しているが、水充填電極室40を使うこともできる。図14(A)は油充填電極室16内に2つのキャパシタC1とC2を直列に並べる構造の物であり、油充填電極室16の撥水性多孔質膜11との対向面に正極板17を備え、かつ撥水性多孔質膜11と正極板17との間に中間電極板18を挿入し、この油槽内の中間電極板18と油槽内の正極板17との間に形成されるキャパシタC1に電圧(E)20を与える。一方密閉容器1内の卑金属塩水溶液32を加圧して、撥水性多孔質膜11から滲み出た卑金属塩水溶液32の水溶液面と油面との境界面を仮想負極面19として、油充填電極室16内の正極板17と気体回収電極41内の正電極37とをあるいは水充填電極室40内の正電極板とを夫々短絡すると、油槽内の中間電極板18と仮想負極面19との間のキャパシタC2が形成され、かつ卑金属塩水溶液32の水圧が撥水性多孔質膜の耐水圧に等しい圧力で加圧された時のみ電気分解が行われ、油充填電極室16の油の中で卑金属が析出される。図14(B)は油充填電極室16の油槽内に中間電極板18を設定せず、油充填電極室16の系外に固体キャパシタC1を備え、油槽内の正極板17と気体回収電極41内の正電極37あるいは水充填電極室40内の正電極板とを夫々短絡すると、油槽内の正極板17と仮想負極面19との間のキャパシタC2が形成され、正電極37(気体回収電極41)あるいは正電極板38(水充填電極室40)と仮想負極面19との間に置かれた卑金属塩水溶液32の水圧が撥水性多孔質膜の耐水圧に等しい圧力で加圧された時のみ電気分解が行われ、油充填電極室16の油の中で卑金属が析出される。このように卑金属塩水溶液32の水圧を撥水性多孔質膜11の耐水圧に等しい圧力に保つことにより油充填電極室16の油の中で所望の卑金属を重液選別し、正極が該気体透過用電極室の場合には正極生成ガスを、あるいは該水電解室の場合には濃塩酸など濃縮無機酸あるいは酸素ガスなどの正極生成ガスを連続的に取り出すことができる。

0065

一つの態様において、多孔質炭素膜を溶融塩の隔離膜兼負電極とし、負電極側から水素ガスのマイナスイオンを溶融塩の正極側に移動させる過程で水素化金属を形成させることができる。図15に示すように、卑金属水酸化物溶融塩(苛性ソーダ)46は溶融塩加熱ヒータ48で電離されてNa++OH-の状態にある。一方、負極を構成する電極室は気体透過電極室41であり、気体透過電極室41に水素ガス圧入口47から圧入された水素ガスが多孔質炭素負極板兼隔離膜44を通過して卑金属水酸化物溶融塩(苛性ソーダ)46に圧入される。この状態下で多孔質炭素負極板兼隔離膜44と正電極板38との間に水素マイナスイオン生成の分解電圧以上の電圧(E)20を印加すると水素マイナスイオン(H-)50が生成され、Na++OH-のイオン状態にある卑金属水酸化物溶融塩(苛性ソーダ)46とイオン反応を起こし、水素化卑金属(Na++H-=NaH)が形成される。ここで苛性ソーダ溶融塩(NaOH)の比重は2.13であるが、水素化ナトリウム(NaH)は比重が0.92と軽いため、結晶固化しながら卑金属水酸化物溶融塩(苛性ソーダ)46から上滓として浮上した水素化卑金属(水素化ナトリウム)49は水素化卑金属回収口51から回収される。これら水素化卑金属は激しく水と加水分解を起こし卑金属元素単体に比べて2倍の水素を発生する。さらに、図16に示すよう卑金属元素の内1族元素(Li,K,Na)、2族元素(Mg,Ca,Sr,Br)、13族元素(Al)の水酸化物の融点は酸化物に比べて著しく低い。その中でも、MgとAlを除くと水素化物の融点は水酸化物よりも高い。しかも水素化物の比重は水酸化物より低い。したがってMgとAl以外は比較的低温度で溶融塩を形成でき、水素マイナスイオンと反応させて生成した水素化物を上滓として浮上させて簡単に比重選別できる。とくに1族元素は元素自体の融点よりも水素化物の方が高い。Naの融点は98℃であるがNaHは800℃、Kは64℃であるがKHの融点は417℃と高い。このため、融点が極端に低いKやNaは取り扱いに厳重な注意が必要であるが、水素化物にすれば融点は高く、比重は軽く、加水分解により2倍の水素が得られるため、水素発電水素自動車などの水素発生源として有望である。消防法によればNaは危険物第3類であり自然発火性物質及び禁水物質である、しかしNaHはさらにそのためとくにNaは融点が98℃と低い。大気中でも水分と反応して爆発するなど、取り扱いに注意が必要である。一般に金属ナトリウム(Na)と水素化ナトリウム(NaH)の安全性を比較すると、消防法では共に「禁水」薬品であり共に水と激しく反応する危険物第3類である。ただし、危険等級は金属ナトリウムの等級Iに対し、水素化ナトリウムは等級IIと低く、比較的安全であり、取り扱いが楽である。一般には、金属ナトリウムが灯油に保存されているが、水素化ナトリウム(NaH)は粒子パラフィンコーティングされているぐらいで、比較的安全に使用できる。更に、金属ナトリウムを水と反応させた時には0.5モルの水素(H)を生成する(Na+H2O→1/2H2+NaOH)。ところが水素化ナトリウム(NaH)の場合には1モル(2倍の水素)を生成する(NaH+H2O→H2+NaOH)。従って水素化ナトリウム(NaH)は、水素(H2)発生物質として有望である。このようにナトリウム(Na)は、油中で保管しないと不安定で、条件によっては爆発の危険性もあるが、一端水素化させ、水素化ナトリウム(NaH)にすると、融点が800℃になり、安全にかつ、長期間の保管にも耐え、必要時に水と反応させて水素を発生させるのに好適に用いられるようになる。一方水酸化物よりも融点が低いMgH2及びAlH3の場合には溶融塩槽上部に備えた冷却壁蒸気冷却回収する方法を採用する。ただし、フッ素樹脂に金属ナトリウムを直接触れさせるとフッ素樹脂は侵されるので、撥水性多孔質フッ素膜と金属ナトリウムを近接させる場合には軽油石油などの油類を混存させなければならない。

0066

一つの態様において、電解質水溶液を充填した撥水性多孔質膜製密閉容器(封筒型)を正極および負極の板電極で挟む構造の一次または二次電池が提供される。この電池は、充電および放電時には該電解質水溶液に撥水性多孔質膜の耐水圧に等しい圧力を与えて正負両電極間で電気化学反応を行い、蓄電時は該電解質水溶液の加圧を解除して両電極間の自己放電を回避させる機構を有する。図17に示すように、電解質水溶液14を封入した両面が撥水性多孔質膜11からなる密閉容器(封筒型)55を負極電極室(電池用)52および正極電極室(電池用)53で挟み込み、充電時(図17(A))は密閉容器(封筒型)55内の電解質水溶液14に撥水性多孔質11の耐水圧に等しい圧力を圧力印加具6で加圧し、撥水性多孔質11から滲み出た電解質水溶液14を介して負極電極室(電池用)52と正極電極室(電池用)53とに電荷を与え充電を行う。充電完了後密閉容器(封筒型)55内の電解質水溶液14の加圧を解除して両電極間の自己放電を回避させで蓄電を維持する(図17(B))。放電時(図17(C))は撥水性多孔質膜製密閉容器(封筒型)55内の電解質水溶液14に再度耐水圧に等しい圧力で加圧を行う。電池の電極では安全と長期安定が重要である。そこで電極室の構造上の配慮点は、負極の板電極が両性元素(Zn,Al,Sn,Pb)あるいはMg及び第1族および第2族元素を除くイオン化傾向が水素より大きい金属元素(Ti,Mn,Cr,Ga,Fe、Cd,Co,Ni,Fe)の場合には、撥水性多孔質膜に密着した該板電極の周囲は必ずしも外界と遮断しなくてもよく、負極が第1族または第2族元素であり、かつ第1族または第2族元素の中実の板電極からなる場合及び第1族または第2族元素からなる負極生成物が炭素からなる空隙電極内部の空隙に貯留させる場合には、板電極の周囲が箱、コーティング、撥水性処理膜あるいは樹脂フィルムで覆われて外界と遮断する必要がある。正極の場合には、正極の板電極が水素よりイオン化傾向が小さい金属および金属酸化物または空気あるいは酸素を用いる場合には、撥水性多孔質膜に密着した板電極は必ずしも外界と遮断しなくても良く、正極がフッ素を除くハロゲンガスあるいはハロゲン化金属の場合には撥水性多孔質膜に密着した電極板の周囲が箱、コーティング、撥水性処理膜あるいは樹脂フィルムで覆われ、あるいは電池全体モールドして外界と遮断する必要がある。ただし、正極の板電極が撥水性材料または撥水性処理されている場合には撥水性多孔質膜を必要とせず、直接電解質水溶液に挿入することができる。

0067

本発明の一次または二次電池において、負極に卑金属を、正極に酸素またはハロゲンを用いることにより高い起電力と放電容量が得られる(図1)。この電池において、卑金属元素と酸素やハロゲン元素との化合物から電解質水溶液を作ることができる。その場合、これら化合物の水への溶解度が室温で高いほど放電容量が高くなる。高効率充電を行うには充電開始時には水酸化卑金属(図18)やハロゲン化卑金属(図19)の水に対する溶解度が室温で高く、放電開始時には大容量の電力を長時間放出し続けるために水酸化卑金属やハロゲン化卑金属の溶解密度が放電開始時は低い状態であり、放電終了時には溶解密度が高く、かつ飽和度に近いことが望ましく、さらに高速充電または高電力放電を行う場合には該電解質水溶液を加温(温泉、工業廃熱内燃機関冷却巡回水)することが好ましい。これら化合物は、温度上昇に無関係なNaCl以外は、多かれ少なかれ温度が高くなると溶解度は高くなる。とくにBa(OH)2は室温では溶解度5%であるが40℃から急上昇し80℃で溶解度60%に達する。これら化合物の60℃での水への溶解度を、図20に示す。図2において、溶解度80%を4重丸、溶解度60〜80%を3重丸、溶解度30〜60%を2重丸、溶解度10〜30%を1重丸、溶解度1〜10%を小丸、溶解度1%以下を×、アルカリを添加すると溶解する化合物を三角(△)で示す。これら図18に示す溶解度が高く、かつ図1に示す放電容量が高い電解質水溶液が望ましい。

0068

本発明による電池は、酸素/卑金属電池を含む。電池を軽量化するには負極を比重の軽い金属を採用し、正極には大気中の空気を用いることが行われている。図1の卑金属/酸素電池の放電容量計算値で示すように、Li/O電池では酸素の重量を入れて計算すると6,165Wh/kgであるが、酸素は大気から調達できるので、その重さを無視すれば(11,680Wh/kg)と高い放電容量が得られる。同様にMg/O電池は3,658Wh/kg、空気を無視すると(6,067Wh/kg)、Al/O電池は3,264Wh/kg、空気を無視すると(6,165Wh/kg)である。しかし、図18の水酸化卑金属の溶解度と温度の関係では、Mg(OH)2もAl(OH)3も殆ど水に溶けず、その結果として負極が酸化膜に覆われ電子の流れを阻害する。Ca(OH)2も同様である。両性元素に属するAlは電解質水溶液中に苛性ソーダを添加すると(Al(OH)3+NaOH→Na[Al(OH)4])となり溶解することが知られているが、本発明ではNa/O、K/O、Ba/O、Li/O、Sr/O電池のみを考える。その理由は室温環境での効率順位はK/O>Na/O>Li/O>Ba/O>Sr/O(温泉など高温が得られる場所ではBa/O)電池であり、放電容量の効率順位ではLi/O>Be/O>Al/O>Mg/O>Ca/O>Na/O>Sr/O>K/O>Ba/Oであるに他ならない。これらの結果を考慮した電池の構造を図21に示す。ここで、正極電極室(電池用)53には酸素や空気、負極電極室(電池用)52には第1族、第2族および/または第13族金属を用いる。また対向壁が撥水性多孔質膜11で構成される密閉容器(封筒型)55の中に電解質水溶液14として苛性ソーダ、苛性カリ水酸化カリウム)、水酸化バリウムなどの塩基あるいは硫酸、塩酸、硝酸などの酸を収容する。とくに正極電極室(電池用)53の酸素電極炭素製該空隙板電極(活性炭)58に空気または酸素を吸着させ、正極の集電極板64とし、かつ撥水性多孔質膜11と炭素製空隙板電極(活性炭)58との間に充電用補助正電極(網状電極)56を配置して炭素製空隙板電極(活性炭)58の発熱を無くし(図21(A))、あるいは正電極の撥水性多孔質膜11と接触する面を金属板60の金属酸化物(CuOまたはAl2O3)59として酸素の供給源とする(図21(B))。

0069

一方、負極電極室(電池用)52は第1族、第2族および/または第13族元素の中実電極あるいは炭素製空隙電極板内部や表面の空隙に第1族元素、第2族元素および/または第13族元素の負極生成物を吸着させた外気遮蔽型負電極57とし、かつ負電極の周囲を樹脂フィルム61で包囲するか、あるいは負電極内部に油22を含ませた状態にすることにより外界と遮蔽する。

0070

この電池(一次または二次電池)において、電解質水溶液14を加圧した状態で充電を行い、充電を完了させた時点で電解質水溶液14の加圧を解除して蓄電状態を維持し、放電時には電解質水容液14を加圧して放電を開始させる。

0071

本発明の電池は、金属/塩素電池を含み、その電極構造メンテナンスフリーとすることができる。一般に、ハロゲンガスは有毒である。そこで本発明では、金属塩化物(固体)を正極にする。図22に示すように、対向壁が撥水性多孔質膜11からなる密閉容器(封筒型)55の中に電解質水溶液14として金属塩化物水溶液を封入する。撥水性多孔質膜11に密着させた電極室52は負電極板(電池用)62/65を備え、正極電極室53は金属板(電池用)64が金属塩化物63を介して設けられている。正極としての金属塩化物63は多孔質膜11と直接接している。この電池(一次電池または二次電池)において、電解質水溶液14を圧力印加具6で加圧した状態で充電を行い、負電極板62に電解質水溶液14を構成する金属の正イオンを析出させ、正極に備えた金属板64の表面に当該金属の金属塩化物63を生成させて充電を完了させた時点で電解質水溶液14の加圧を解除して蓄電状態を維持し、放電時には電解質水溶液14を圧力印加具6で加圧を加える。
図22(A)は単層電池の概念図、図22(B)は積層電池の概念図である。

0072

積層電池(図22(B))は単層電池(図22(A))を直列に接続してなる。単層電池の正極電極室53の構成は1枚の金属板の撥水性多孔質膜11に接触する部分が塩化した金属塩化膜63であり、塩化されていない金属部分を集電極板64とする。積層電池の1層目と2層目の間の電極構成は1層目に接触させる正極(負極に用いた金属の塩化物)66であり、単層電池の集電極板64を2層目の負電極板65として用い、以降の層も同様である。一次電池の場合の電解質水溶液14は塩化ナトリウムも含めた任意の金属塩化物で良く、単層電池では負極と正極の組み合わせがZn、Mg、Al、Ni、Pbなどから同一金属も含めて任意に選ばれた金属であり、正極は任意の金属の塩化物で良い。積層一次電池では負極と正極は共に同一金属とし、正極は負極で用いた金属の塩化物から構成される。二次電池の場合の電解質水溶液14は負極に用いた金属の塩化物とし、かつ単層二次電池では負極と正極の組み合わせがZn、Mg、Al、Ni、Pbなどの金属から同一金属も含めて任意に選ばれた金属からなる。尚、密閉容器(封筒型)55の対向面に挟まれた正極側の電極面を粗面化して表面積を増大させ、かつ正極電極室外壁または電池装置全体に金属塩化物を防湿するための覆いを施すことが望ましい。この金属/塩素電池は、図19に示したように金属塩化物の室温での溶解度を高い順に並べると、ZnCl2 > C
dCl2 > LiCl > BeCl2 > CaCl2 > MnCl2 > NiCl2 > Fe
Cl2 > CoCl2 > MgCl2 > AlCl3 > BaCl2 > KCl> NaClで
あり、放電容量は図1に示したように、多い順に並べると、BeCl2 > LiCl >A
lCl3 >MgCl2 > CaCl2 > NaCl > KCl > SrCl2 > ZnCl2
> BaCl2である。そこで本発明では空気中で使える負極板としてZn、Mg、Al、
Ni、Pbを推奨するが、第1族金属および第2族金属も使える。この場合は負極が1,2族元素の中実電極あるいは炭素製空隙電極板内部や表面の空隙に第1,2族元素を負極生成物として吸着させた電極であり、かつ該負電極の周囲を樹脂フィルムで包囲するか、あるいは該負電極内部に油を含ませた状態にすることにより外界と遮蔽することが必要である。

0073

本発明の電池は、さらに、金属/臭素および金属/沃素電池を含む。一般にハロゲンガスは有毒気体であるが、室温において臭素(沸点58.8℃)は液体であり、沃素(沸点113.6℃)は固体である。さらに、金属臭化物の室温での溶解度を高い順に並べるとZnBr2 > LiBr > CaBr2 > MnBr2 > NiBr2 > FeBr2 > C
oBr2 > SrBr2 > CdBr2 > NaBr >KBrであり、放電容量は図1
示したように多い順に並べるとCaBr2 > MgBr2 > NaBr > LiBr > K
Br > SrBr2 > MnBr2 > NiBr2 > FeBr2 > BaBr2である。ま
金属沃化物の室温での溶解度を高い順に並べるとZnI2 > CaI2 > BaI2> N
aI > SrI2 > LiI >KI> MgI2 > CaI2> CoI2 > PbI2であ
り、放電容量は図1に示したように多い順に並べると、LiI>NaI > CaI2 >
MgI2 > KI > SrI2 > ZnI2 > BaI2 > PbI2 > CoI2 > CdI
2である。そこで本発明では、これらハロゲンを固体内部の空隙に貯留する正極電極室を考えた。正極は図22(A)(B)に示すように正極電極室53を外界と遮断した容器の中の活性炭粒または炭素繊維67に臭素液68あるいは沃素粒69を混ぜ、密閉容器(封筒型)55の撥水性多孔質膜11に密着させて正極として背面に集電極板64を備えている。他方、負極には両性元素およびMgあるいは1,2族元素を除くイオン化傾向が水素より大きい金属元素からなる板電極を用いるか、あるいは第1族元素、第2族元素を用いる場合は中実電極とするか、あるいは炭素製空隙電極板内部の空隙に第1族、第2族元素の負極生成物を析出貯蔵させ、かつ負電極の周囲を樹脂フィルムで包囲するか、あるいは該負電極内部に油を含ませた状態にすることにより外界と遮蔽する必要がある。この電池の電解質水溶液14には、負極で使われる金属元素の臭化物あるいは沃化物の水溶液を用い、常に正極の雰囲気温度を沸点以下に保つことが必要である。負極には図22(A)に示すように、外気に曝されても影響がない負極電極板(裸板電極)62として両性元素(Zn,Al,Sn,Pb)およびMgあるいは1,2族元素を除くイオン化傾向が水素より大きい金属元素(Ni、Pb、Ti、Mn、Cr、Ga、Fe、Cd、Co、Ni、Fe)を用いるか、または図22(B)に示すように、第1,2族金属を用いる場合は、負極電極室(電池用)52は1,2族元素(Li,Na,K,Ca,Sr,Ba)の中実電極あるいは炭素製空隙電極板内部や表面の空隙に1,2族元素の負極生成物を吸着させた外気遮蔽型負電極57として電子は集電極板64から取り出し、かつ負電極の周囲を樹脂フィルム61で包囲するか、あるいは負電極内部に油22を含ませた状態にすることにより外界と遮蔽する。この電池(一次または二次電池)において、電解質水溶液14を加圧した状態で充電を行い、充電を完了させた時点で電解質水溶液14の加圧を解除して蓄電状態を維持し、放電時には電解質水容液14を加圧して放電を開始させる。

0074

本発明の電池は、さらにまた金属/フッ素電池を含む。一般にフッ素ガスは猛毒で使用は難しい。しかし図1に示すように、電極電位は+2.87Vと酸素の+0.4Vの7.175倍であり、放電容量は、NaF(3,568Wh/kg)> KF(2,676W
h/kg)> AlF3(2,589Wh/kg)と大きいが種類は少ない。しかもフッ化
物は結合が強く、殆どが水に難溶であり、溶解度が室温で50%のKF、4%のNaF、0.5%のAlF3は例外中の例外である。したがって有望な負極材料はカリウム(K)のみであり、ナトリウム(Na)やアルミニウム(Al)は効率が悪い。一方正極にフッ化グラファイトを用いれば猛毒フッ素ガスを回避でき、K/F、Na/F、Al/F電池ができる。これら電池の電解質水溶液14としてはフッ化カリ水溶が最適であるが、フッ化アルミニウムは難溶であるので電解質水溶液14に苛性ソーダや苛性カリを添加すれば起電力4.54VのAl/F一次電池ができる。K/F一次もしくは二次電池の起電力は5.79Vと共に軽量で高放電容量電池として有望である。正極は図24(A,B)に示すように正極電極室53をグラファイト70とし、密閉容器(封筒型)55の撥水性多孔質膜11に密着させて正極として背面に集電極板64を備えている。他方、負極にはAl負極電極板71を密閉容器(封筒型)55の撥水性多孔質膜11に密着させ、電解質水溶液にはフッ化アルミに苛性ソーダまたは苛性カリを添加して、一次電池として使用する(図24(A))。一次または二次電池は、図24(B)に示すように、カリウム(K)やナトリウム(Na)を用いる場合は、負極電極室(電池用)52は第1族元素および/または第2族元素(Li、Na、K、Ca、Sr、Ba)で形成された中実電極あるいは炭素製空隙電極板内部や表面の空隙に第1族元素および/または第2族元素の負極生成物を吸着させた外気遮蔽型負電極57として電子は集電極板64から取り出し、かつ負電極の周囲を樹脂フィルム61で包囲するか、あるいは負電極内部に油22を含ませた状態にすることにより外界と遮蔽している。ここで、密閉容器(封筒型)55の電解質水容液14を加圧して放電または充電を行う。

0075

本発明のキャパシタは、誘電性液体あるいは電解質溶液を封入した撥液性多孔質膜製密閉容器(封筒型)の対向面にそれぞれ接して正極および負極の板電極を設けた構造のキャパシタを含む。このキャパシタにおいて、充電および放電時には該電解質溶液に撥液性多孔質膜の耐液圧に等しい圧力を与えて両電極間で電気化学反応を行い、蓄電時は該電解質溶液の加圧を解除させる。このキャパシタは図25(概念図)に示すように、油系あるいは水系誘電性液体72あるいは電解質水溶液14を封入した撥水性多孔質膜製密閉容器(封筒型)55の両対向側壁の外側面に正極電極室53および負極電極室52を設けた構造を有する。撥水性多孔質膜製密閉容器(封筒型)55の両対向側壁に配置した正負一対の電極室52、53を構成する電極は、板電極73あるいは活性炭、グラファイト、ナノカーボンなどの炭素電極の表面に有機分子を吸着させた電気二重層キャパシタ電極74、あるいは電気伝導体の表面に形成した酸化皮膜、導電性ポリマー、活性炭などからなるレドックスキャパシタ電極75、または活性炭、ポリフェノール,グラファイトチタン酸リチウムなどのハイブリッドキャパシタ電極76などで構成される。このキャパシタにおいて、充電時には誘電性液体72あるいは電解質溶液14に撥液性多孔質膜11の耐液圧に等しい圧力を印加して両電極間に電荷を与え(図25(A))、蓄電時は圧力印加を解除し(図25(B))、放電時は耐液圧に等しい圧力を印加する。図25(B)に示す包囲点線部77は撥液性多孔質膜11と電極室52、53の電極73,74,75,76とは便宜上は離れているように描かれているが、実際は接触しているが、加圧が無いため撥液性多孔質膜11の細孔には液体が無い。このため撥水性多孔質膜11を低誘電率フィルムと考えられる。

0076

したがって、図25(D)に示すように、細孔に誘電体溶液が浸入すれば加圧に応じ電気回路的には可変キャパシタ(C2)、細孔に電解質水溶液が浸入すれば可変抵抗器(R)で表示することができる。すなわち、蓄電時には、撥液性多孔質膜11の細孔には誘電性液体が無く、空気のみであるため、電荷を貯めたキャパシタ(C1)が両端で低誘電率のキャパシタ(C2)で直列に繋がれていると考える。これに圧力をかければ、誘電性液体の場合にはC1=C2、電解質の場合にはRは0に限りなく近づき充電や放電が行われる。

0077

本発明のキャパシタは、電気二重層キャパシタおよびレドックスキャパシタ電気化学キャパシタを含む。このキャパシタ装置において、正および負極電極室が高誘電率キャパシタであり、撥水性多孔質膜製密閉容器(封筒型)内部は導電体と電解質であり、撥水性多孔質膜が正負極電極室間の導通をON/OFFするスイッチである。図26に電気二重層キャパシタの概略図を、図27レドクッスキャパシタの概略図を示す。図26,27に示すように、正負一対の電極室52、53に挟まれた撥水性多孔質膜製密閉容器(封筒型)55の中に充填された金属繊維、炭素繊維あるいは活性炭などの含空隙導電材料78に希硫酸79あるいは希苛性ソーダ80などの電解質水溶液14を含ませ、電解質水溶液14を撥液性多孔質膜11の耐水圧に等しい圧力で圧力印加具6により加圧し、撥液性多孔質膜11の細孔に電解質水溶液を通過させて充電を行い(図26(A),図27(A))、蓄電時は該電解質溶液の加圧を解除し(図26(B),図27(B))、放電時は再度圧力印加具6で耐水圧に等しい圧力を与える。図26(B),図27(B)に示す包囲点線部77は撥水性多孔質膜11と電極室52,53とは便宜的に離れているように描かれているが、実際は接触しているが、圧力が印加されていないため撥液性多孔質膜11の細孔には液体が無い。この状態の撥水性多孔質膜11は低誘電率フィルムとみなすことができる。したがって、等価回路として考えると図26(D),図27(D)に示すように、電解質水溶液14が加圧されていない時は撥水性多孔質膜11の細孔に電解質水溶液14が浸入しないため低誘電率キャパシタ(C2)であるが、電解質水溶液14が加圧されれば撥水性多孔質膜11の細孔に電解質水溶液が浸入して電気回路的にはスイッチ(S)がONになり、正極室と負極室は撥水性多孔質膜製密閉容器(封筒型)55を介して短絡されて、2個の高誘電率キャパシタ(C1)が直列の状態で充放電が行われ、電解質水溶液14の加圧が解除されると2個の低誘電率キャパシタ(C2)と2個の高誘電率キャパシタ(C1)が直列となり蓄電を保つ。他方、負極電極室52と正極電極室53の構造は同じであるが、電気二重層キャパシタとレドックスキャパシタにおいては異なっている。

0078

電気二重層キャパシタの負極電極室52と正極電極室53の構造は、図26(A),(B),(C)に示すように、撥水性多孔質膜11に活性炭粒67が密着しその反対面に集電極板64が設けられて、正負極電極室52、53は外気と遮蔽されている。

0079

レドックスキャパシタの負極電極室52と正極電極室53の構造は、図27(A),(B),(C)に示すように、レドックスキャパシタ用金属板(Al)108と、この金属板の撥水性多孔質膜11に面する面を電気的に酸化させたレドックスキャパシタ用金属酸化皮膜(Al2O3)109を誘電体として備える。正負電極として作用する金属板108のそれぞれは、金属酸化皮膜109を介して多孔質膜11に密着している。

0080

本発明において、混合卑金属元素塩の水溶液からそれぞれの卑金属元素を分離回収するすることができる。上記水素製造装置と上記卑金属回収装置を複数台直列に連結し、水素生成装置からはじめて、複数の卑金属塩が混入している電解質水溶液から被析出金属の分解電圧が低い順に電解精製を行い、未反応の電解質水溶液を次の卑金属回収装置に移送し、当該電解質水溶液を加圧下で電解精製し、分解電圧が低い金属から順次高い金属へ移行しながら当該卑金属の回収操作を行う。

0081

本発明の一つの態様によると、海水を原料とし、海上で得られる自然エネルギーや臨海火力発電所深夜電力などの電力を用いて水素や苛性ソーダをその場生産する洋上工場または臨海工場が提供される。この態様において、洋上および/または臨海工場では上で説明した水素の製造および上で説明した苛性ソーダの製造を行い、その製造された水素と苛性ソーダから、上で説明したように水素化ナトリウムを洋上または陸上で製造し、陸上でその水素化ナトリウムに水を注ぎ水素を製造し、副産物の苛性ソーダを再度水素化ナトリウムとして再生産するという苛性ソーダ燃料サイクルを確立することができる。さらに中間生成物である苛性ソーダを二次電池用電解質水溶液として利用することもできる。

0082

さらに、本発明によると、撥水性多孔質膜で形成された容器に所定の物質を入れ、その容器を電解質もしくは非電解質の水溶液または水からなる液体に入れる。撥水性多孔質膜の耐水圧に等しい液圧下では、該液体が該撥水性多孔質膜の細孔に浸透して該容器内部の物質との間でイオン反応あるいは加水分解反応あるいは溶解反応を行うことができる。

0083

例えば、本発明によると、撥水性多孔質膜で作られた容器(反応室)の中に、加水分解もしくは水との接触により気体を発生する物質、加水分解もしくは水との接触により発熱する物質、加水分解もしくは水との接触により吸熱する物質あるいは水溶性有機化合物などを収容し、その反応室を、密閉容器に収容された水または非電解質水溶液からなる液体の中に入れる。そして、反応室の外圧内圧の差が撥水性多孔質膜の耐水圧以上となるような圧力を該液体を介して撥水性多孔質膜に印加して、該液体を反応室内に導入する。すると、反応室内に収容された物質は、該水と反応して、気体発生熱発生、熱吸収、および溶解反応を起こす。得られた気体や水溶液を医薬や栄養剤の生体移送あるいは水溶液への有機化合物の添加などに使うことができる。

0084

また、本発明によると、撥水性多孔質膜で作られた薬品散布のためのチューブ等を所望の場所に提供し、チューブの薬品供給口から薬品水溶液供給源までの間をホースで繋ぎ、薬品供給口にて必要に応じ連続または間欠的に該薬品水溶液に撥水性多孔質膜の耐水圧以上の圧力を加えて、薬品水溶液を所望の場所で供給することができる。薬品水溶液は、薬品、栄養、肥料などの水溶液を含む。

0085

さらに本発明によると、内視鏡の先端に加水分解発熱剤を封入したカプセルに撥水性多孔質膜を介して耐水圧以上の水圧を印加して加水分解発熱反応を起こさせ、この発熱で器官内の癌細胞を温加熱することができる。

発明の効果

0086

上記のように、本発明によれば、化学反応装置の隔離膜としての撥水性多孔質フッ素樹脂膜に耐水圧以上の水圧を印加すると、水は撥水性多孔質フッ素樹脂膜を通過するため、隔離膜を密閉容器の窓として用いれば、水圧によって人為的に窓を開閉できる。このため、水溶液が関与する化学反応を制御して、医療応用として、患部に医療薬や栄養剤の生体移送、あるいは内視鏡型医療装置に応用し、加水分解による薬品の発熱反応を利用して臓器内の癌細胞を死滅することができる。また植物の水耕栽培における水または肥料養分補給にも応用できる。さらに深海で、気体発生剤を加水分解して、水素ガスを発生させ、潜水艇や浮力重力発電装置の浮力気体として利用できる。
さらに海水や塩湖水などの電解質水溶液中で高い電気絶縁性を呈する多孔質フッ素樹脂膜に耐水圧またはそれ以上の水圧をかけると多孔質フッ素樹脂膜の細孔内部に電解質水溶液および/またはイオンが通過し、その水圧に応じて撥水性多孔質膜を透過できる水溶液やイオンの量をアナログ的に制御するスイッチの役割を担わすことができる。この撥水性多孔質膜を電解質水溶液と正負極電極室との隔離膜として用い、電解質水溶液に圧力を加えた状態で水溶液電気分解を行い、正負夫々の電極室で生成する電極生成物を電解質水溶液から分離回収させる。これにより海水や塩湖水などの電解質水溶液から直接、水素、苛性ソーダ、卑金属元素などを取り出すことができる。この技術は電解精製に留まらず、実用電池や大容量キャパシタにも利用でき、従来大電力を用い、高温下で溶融塩電気分解する方法しか無かったが、本発明によれば、常温で、しかも水溶液電気分解でできるため経済効果大である。とくに海水から得られる金属ナトリウムは石油の代替エネルギーとして、枯渇心配もなく、地域偏存も無いエネルギー資源として、資源戦争の無い世界の創生に貢献する。さらに電解質を水溶液のまま使えるリチウムやナトリウム、カルシウムなどを原料とする卑金属元素/空気電池や卑金属元素/ハロゲン電池は、天候に左右される再生可能エネルギーの貯蔵バッテリーとしてまたは軽量で高効率のバッテリーとして電気自動車発展に寄与し、二酸化炭素放射線も出さない水素社会進展に寄与すると考える。

図面の簡単な説明

0087

図1は、卑金属/酸素電池および卑金属/ハロゲン電池の放電容量比較を示 す。
図2は、撥液性多孔質膜(隔離膜)の圧力スイッチの原理の説明図であり、 (A)は、電解質水溶液が耐水圧以下の場合を、(B)は電解質水溶液が耐水圧以上 の場合を示す。
図3Aは、撥液性多孔質膜(隔離膜)の電子スイッチにおける溶液の電気的性質と撥液性多孔質膜の役割を比較して示す。
図3Bは、撥液性多孔質膜(隔離膜)の電子スイッチにおける溶液の電気 的性質と撥液性多孔質膜の役割を比較して示す。
図4は、正負電極間に設けられた電解質溶液の隔離具を備える化学反応装置を概略的に示し、(A)は、隔離具が撥液性多孔質膜からなる密閉容器を構成する場 合を、(B)化学反応装置が開放容器中に存在する場合を、(C)は、隔離具が撥液 性多孔質膜からなる密閉容器を構成し、その密閉容器が開放容器中に存在する場合を 示す。
図5は、圧力印加具を概略的に示し、(A)は撥液性多孔質膜で形成された 密閉容器を直接加圧する場合を、(B)は連通管による手動や電動加圧あるいは圧力水頭からの水圧を用いる場合を、(C)は開放容器の中の密閉容器に水頭圧を付与る 場合を示す。
図6は、撥水性多孔質膜製中空密閉容器(袋)内部に電解質水溶液を充填す る方法を説明するための図であり、(A)は、中空密閉容器(袋)に直接電解質水溶 液を注入する場合を、(B)は、中空密閉容器(袋)に挿入された溶質に水や水蒸気を圧入する場合を、(C)は、中空密閉容器(袋)に撥水性多孔質膜を介して電解質水溶液を圧入する場合を、(D)は、中空密閉容器(袋)の撥水性多孔質膜にアルコールを塗布して電解質水溶液を抑留させる場合を示す。
図7は、撥水性多孔質膜で隔離された正負電極の構造と用途の関係を示す。
図8は、電解質水溶液層面と油層面との境界面を負電極面として電解質水溶 液を電気分解するための等価回路であり、(A)は村原サーキット概念図を示し、( B)は電気回路(計算式)を示す。
図9は、油と電解質水溶液との界面を負極とする油キャパシタの概念図であ り、(A)は撥水性多孔質膜を用いた仮想負極に関する構造図であり、(B)は仮想 負極が地軸と鉛直面を成し、油の比重が1未満の場合の構造図であり、(C)は仮想 負極が地軸と鉛直面を成し、油の比重が1を超える場合の構造図である。
図10は、気体透過電極室を海面下に沈め直接海水を電気分解して水素を 製造するため装置の概略図であり、(A)は海面下で水圧を利用した電解装置を示し 、(B)は陸上で塩水を加圧する電解装置を示す。
図11は、開放容器または大型密閉容器に挿入された密閉容器内で水を電 気分解する水素製造装置の概略図であり、(A)は淡水湖の水面下で水圧を利用した 電解装置を示し、(B)は水道水で加圧する電解装置を示す。
図12は、卑金属水酸化物(苛性ソーダ)製造装置の概略図であり、(A )は負極で卑金属水酸化物(苛性ソーダ)、正極で正極生成ガス(塩素)を製造する 装置を示し、(B)は負極で卑金属水酸化物(苛性ソーダ)、正極で酸(塩酸)を製 造する装置を示す。
図13は、卑金属回収装置の概略図であり、(A)は負極油充填電極室の油槽の中に卑金属を、正極で正極生成ガス(塩素)を製造する装置を示し、(B)は 負極油充填電極室の油槽の中に卑金属を、正極で酸(塩酸)を製造する装置を示す。
図14は、油と電解質水溶液との境界面を仮想負電極とした電解精製装置の概略図であり、(A)は油充填電極室内に中間電極板を挿入した電解精製装置を示 し、(B)は油充填電極室の系外に固体キャパシタを備えた電解精製装置を示す。
図15は、水素マイナスイオンと溶融塩とのイオン反応による水素化卑金 属の製造装置の概略図。
図16は、卑金属水素化物と卑金属水酸化物の融点及び比重を比較して示 す。
図17は、電池の概略図であり、(A)は充電時の電池を示し、(B)は蓄電時の電池を示し、(C)は放電時の電池を示す。
図18は、水酸化卑金属の溶解度と温度の関係を示す。
図19は、ハロゲン化(塩化)卑金属の溶解度と温度の関係を示す。
図20は、卑金属/酸素電池および卑金属/ハロゲン電池に用いる電解質 の水に対する溶解度を示す。
図21は、卑金属/空気電池の概略図であり、(A)は正極を空隙を有す る炭素板とし充電用補助電極を持つ電池を示し、(B)は正極を金属の酸化物とした 電池を示す。
図22は、卑金属/塩素電池の概略図であり、(A)は単層電池を示し、 (B)は積層電池を示す。
図23は、卑金属/臭素および卑金属/沃素電池の概略図であり、(A) は負極が大気に影響されない金属の場合の電池を示し、(B)は負極が大気に弱い周 期表第1族金属または第2族金属の場合の電池の概念図。
図24は、卑金属/フッ素電池の概略図であり、(A)はAl/F電池を 示し、(B)はK/FまたはNa/F電池を示す。
図25は、キャパシタ(コンデンサ)の概略図であり、(A)は、充電時 のキャパシタを示し、(B)は蓄電時のキャパシタを示し、(C)は放電時のキャパ シタを示し、(D)は、充電・蓄電・放電の動作回路説明図である。
図26は、電気二重層キャパシタの概略図であり、(A)は充電時のキャ パシタを示し、(B)蓄電時のキャパシタを示し、(C)は放電時のキャパシタを示 し、(D)は充電・蓄電・放電の動作回路説明図である。
図27は、レドックスキャパシタの概略図であり、(A)は充電時のキャ パシタを示し、(B)は蓄電時のキャパシタを示し、(C)は放電時のキャパシタを 示し、(D)は、充電・蓄電・放電の動作回路説明図である。
図28は、多孔質フッ素樹脂膜の耐水圧と塩濃度の関係を示すグラフであ り、(A)は多孔質フッ素樹脂膜の細孔径が3μmの場合を示し、(B)は多孔質フ ッ素樹脂膜の細孔径が約10μmの場合を示す。
図29は、海面下水素製造装置の概略図である。
図30は、多段型海面下水素製造装置の概略図である。
図31は、湖面下水素製造装置の概略図である。
図32は、水道圧を利用する簡易水素製造装置の概略図である。
図33は、塩化ナトリウム水溶液から苛性ソーダと塩素ガスを直接製造す る装置の概略図である。
図34は、塩化ナトリウム水溶液から苛性ソーダと塩酸を直接製造する装 置の概略図である。
図35は、卑金属塩化物水溶液から卑金属元素を直接製造する装置の概略 図である。
図36は、卑金属塩化物水溶液から卑金属元素を塩酸を直接製造する装置 の概略図である。
図37は、仮想負電極を利用した卑金属製造装置の概略図であり、(A) は、その装置を示し、(B)は、等価回路を示す。
図38は、水素化卑金属製造装置の概略図である。
図39は、封筒型密閉容器内への電解質水溶液抑留装置の概略図であり、 (A)電解質水溶液抑留前の装置を示し、(B)は電解質水溶液抑留後の装置を示す 。
図40は、電解質加圧型二次電池の概略図であり、(A)は電解質水溶液無加圧の場合を示し、(B)は電解質水溶液加圧の場合を示す。
図41は、積層型苛性ソーダ二次電池の概略図であり、(A)は断面図、 (B)は外観図である。
図42は、レドックスキャパシタの概略図であり、(A)は断面図、(B )は、等価回路を示す。
図43は、混合卑金属塩の水溶液から個々の卑金属を抽出する装置の概略 図である。
図44は、苛性ソーダ燃料サイクルの概略図である。
図45は、加水分解反応装置の概略図である。
図46は、水耕栽培用水分・肥料供給装置の概略図である。
図47は、内視鏡型医療装置を説明するための図であり、(A)は、人体断面を示し、(B)経管栄養・薬カプセルを示し、(C)は癌の温熱治療カプセルを 示す。

発明を実施するための最良の形態

0088

以下、本発明の効果的な実施の形態を図28図47に基づいて詳細に説明する。

0089

図28は、本発明の根幹をなす撥水性多孔質フッ素樹脂膜の耐水圧に関する測定値で、電解質水溶液が撥水性多孔質フッ素樹脂膜を透過するために必要な最小圧力(撥水性多孔質フッ素樹脂膜の両側における圧力の差であって電解質水溶液が撥水性多孔質フッ素樹脂膜を透過するために必要な最小圧力差、これを透過差圧ともいうことがある)と電解質水溶液の電解質濃度との関係を示すグラフである。耐水圧は、日本工業規格(JIS)L1092:2009に記載されている。

0090

図28(A)は、細孔径が3μmのフッ素樹脂製撥水性多孔質膜(日東電工PTFE多孔質膜NTF−1133)に対し電解質水溶液として濃度の異なる塩化ナトリウム水溶液を用いた場合の結果を示す。一般に耐水圧は純水に対する値である。また、一般の海水の塩分(塩化ナトリウム)濃度は約3重量%であり、塩化ナトリウムの水中飽和濃度は約25重量%である。そこで水に塩化ナトリウムを0%から25重量%までの濃度で添加して、室温における塩化ナトリウム濃度と耐水圧の関係を測定した。上記フッ素樹脂製撥水性多孔質膜の耐水圧は、塩化ナトリウム濃度0%で430mmHg(0.57気圧)、塩塩化ナトリウム濃度10%で320mmHg(0.42気圧)、塩化ナトリウム濃度20%で280mmHg(0.37気圧)、塩化ナトリウム濃度25%で270mmHg(0.36気圧)であった。塩化ナトリウム濃度が高くなるに連れて耐水圧が下がる。また、電解質水溶液の温度が上がると耐水圧は小さくなる傾向にある。

0091

図28(B)は、細孔径が約10μmのフッ素樹脂製撥水性多孔質膜(フロン工業F3011−3)に対し電解質水溶液として塩濃度の異なる塩化ナトリウム水溶液を用いた場合の結果を示す。このフッ素樹脂製撥水性多孔質膜の耐水圧は、塩化ナトリウム濃度0%で120mmHg(0.16気圧)、塩化ナトリウム2%で50mmHg(0.07気圧)であった。

0092

図28(A)に示す結果と図28(B)に示す結果からわかるように、多孔質膜の細孔径が大きくなると耐水圧値は小さくなる。また、電解質濃度が高くなると耐水圧は低くなるので、同じ圧力(水圧)下では、撥液性多孔質膜により隔てられた濃度の異なる電解質は、濃度が高い方から低い方に流れる。すなわち、撥液性多孔質膜で形成された密閉容器の中に濃度の高い電解質水溶液が存在し、密閉容器の外側に濃度の低い電解質水溶液が存在するときは、密閉容器の外側に電解質水溶液が漏れ出す。これを阻止するために、密閉容器に密着させた電極室内の圧力を下げ、密閉容器の外側の低濃度電解質水溶液が撥液性多孔質膜を通って密閉容器内部に入り、もう一方の撥液性多孔質膜を通って電極室に流れるルートを取るような圧力差制御を行う必要がある。

0093

図29は海面下水素製造装置を示す概略図である。図7に示す、電極の中に空隙を持つ気体透過電極室からそれぞれなる負極電極室52および正極電極室53を海面下に沈め直接海水を電気分解して水素を製造する。

0094

図29の海面下水素製造装置84において、正負極電極室52,53の外壁は、それぞれ縦に半割した塩化ビニル樹脂製パイプで構成し、半割による開口をそれぞれ細孔径33μmのPTFE多孔質膜(日東電工NTF−1133)11で塞いだ。負極電極室52の断面図に示すように、負極電極室52内には、ステンレス繊維81(日本精線株式会社ナスロン登録商標)「ウエブ」)を入れ、他方正極電極室53の断面図に示すように、正極電極室内53には、カーボンクロス(炭素繊維)82を入れた。また、電極室52、53の最上部にそれぞれ生成ガス回収ホース12を繋ぎ、回収ホース12の内部にそれぞれ正および負電極リード線を設けた。

0095

ここで、電解質水溶液14は海水であり、海水の平均塩分濃度は3.5重量%である。また、図28(A)に示す、細孔径3μmの多孔質フッ素樹脂膜の耐水圧と塩濃度の関係から、濃度3.5重量%の塩化ナトリウム水溶液についての多孔質膜の耐水圧は380mmHgである。水圧は水深10メートルで1気圧(760mmHg)であるから、位置水頭(h)10は海面下約5mとした。海水の温度は23℃、導電率は0.03S/cmであった。ここで電極間距離d(83)を10mmに固定し、両電極間に1.5Vを与えたところ、水素1m3、酸素0.5m3当たりの所要電力は18.3kWhであった。両電極間の電圧を2.5V以上にすると正極から塩素が生成した。尚、ここで用いた水素製造装置84を陸上において、塩化ナトリウム濃度25重量%に濃縮した電解質水溶液(導電率0.18S/cm)を用い、電極間距離d(83)を10mmに固定し、両電極間に1.5Vを与えたところ、水素1m3、酸素0.5m3当たりの所要電力は約10kWhであった。

0096

図30は海面下で海水を電気分解して水素を製造するための多段型海面下水素製造装置構造図である。図7に示す、電極の中に空隙を持つ気体透過電極室からなる負極電極室52および正極電極室53を海面下に沈め直接海水を電気分解して水素を製造する。電解質水溶液14として用いる海水の平均濃度は3.5重量%である。図28(A)に示す細孔径3μmの多孔質フッ素樹脂膜の耐水圧と塩濃度の関係から、塩化ナトリウム水溶液3.5%での耐水圧は380mmHgである。したがって多段型海面下水素製造装置84を海面下(位置水頭(h)10)約5mまで降下させて実験を行った。

0097

図30の多段型海面下水素製造装置85では、正負極電極室52,53のフッ素樹脂製撥水性多孔質膜11として細孔径3μmのPTFE多孔質膜(日東電工NTF−1133)を用い、正負極電極室52,53の外壁は塩化ビニル製とし、電極室52の最上部に生成ガス回収ホース12を接続し、負極電極室52と正極電極室53を交互に連続して配列し、夫々の負極電極室52で生成する水素ガスおよび正極電極室53で生成する酸素はパイプを通して一括して繋回収する。この実験では多段型海面下水素製造装置84は正負3組の水素回収用電極室52と酸素回収用電極室53を並列に配置し、夫々の電極間距離d(83)を10mmに固定した。負極電極室52の電極材はステンレス繊維81(日本精線株式会社ナスロン(登録商標)「ウエブ」)を用い、正極には負極と同じ構造の電極室の中にカーボンクロス(炭素繊維)82を封入した。電解質の塩濃度は海水中であるから3.5重量%であり、海水の温度は23℃、導電率は0.03S/cmであった。ここで両電極間に1.5Vを与えたところ、水素1m3、酸素0.5m3当たりの所要電力は約17kWhであった。

0098

図31は湖面下水素製造装置構造図である。原理を図11に示すように、撥水性多孔質膜からなる密閉容器の中に封入された高濃度電解質水溶液の中に密閉容器の外壁から水溶液圧入用撥水性多孔質膜を介して淡水を圧入して水素及び酸素あるいは塩素を高効率で直接生成する。高濃度電解質水溶液(高溶解度・高電導率電解質水溶液)で満たされた撥水性多孔質膜製密閉容器を淡水湖、池あるいは海などの開放容器に沈め、密閉容器に付けられた水溶液圧入用撥水性多孔質膜から淡水あるいは低濃度電解質水溶液を圧入した状態で水溶液を電気分解して水素を製造する。

0099

図31に示す湖面下(海面下)水素製造装置86は、負極電極室52と正極電極室53に挟まれた四角柱型密閉容器87を備える。四角柱型密閉容器87は、その4つの側面の内2つの側面(正負極電極室52、53と接する側面)がそれぞれ撥水性多孔質11からなし、その少なくとも1つの他の側面が撥水性多孔質膜(淡水浸透用)27からなる。四角柱型密閉容器87内には約3規定の硫酸や4規定の苛性ソーダ水溶液を電離増強のため入れて置き、四角柱型密閉容器87の淡水浸透用撥水性多孔質膜27に外部から浸入させた淡水88または低濃度電解質水溶液を正負極電極室で電気分解して水素と酸素を製造するもので、ここで用いる酸やアルカリを電離触媒と称する。ただし図28(A)の撥水性多孔質フッ素樹脂膜(細孔径33μm)の塩化ナトリウム水溶液における耐水圧は水で430mmHgに対し10%の塩化ナトリウム水溶液で330mmHgと、100mmHgの圧力差がある。そこで、撥水性多孔質フッ素樹脂膜(電極隔離膜)11の細孔径を撥水性多孔質膜(淡水浸透用)27の細孔径よりも小さい孔径を選択し、あるいは撥水性多孔質フッ素樹脂膜(電極隔離膜)11を親水性処理して、塩濃度に起因する撥水性多孔質フッ素樹脂膜(電極隔離膜)11の耐水圧と淡水に起因する撥水性多孔質膜(淡水浸透用)27の耐水圧を同値または近値にしてあるのが本発明の特徴である。ここで水素製造装置86を湖以外の海や温泉水にも適用できる。本発明の装置構造では正負極電極室の生成ガスを水面上で回収するため、水面上で吸引することができる。このため、正負極電極室の気体圧を真空ポンプで吸引すれば、水素製造装置87を水頭位置まで降下させる必要は無い。また、正負極電極室52,53の気体圧が撥水性多孔質膜(淡水浸透用)27に進入する淡水や希電解質水圧より低いので、硫酸が密閉容器の撥水性多孔質膜(淡水浸透用)88から外部の淡水に流失することも無い。さらに、正負極電極室の気体を真空ポンプで吸引し、正負極電極室のガス圧を制御できるため、撥水性多孔質フッ素樹脂膜(電極隔離膜)11,27は同じもので良い。さらに、撥水性多孔質膜(淡水浸透用)27にかかる密閉容器外の水圧を高くし、電極室側のガス圧を低く設定して、圧力差を持たせることが必要である。さらに、ガス生成側の圧力を一定値以下に保つためには、製造ガス取り出し口の前に、圧力調整弁93を備え、気体透過電極室52,53で生成するガスの圧力で調整するのが最も簡単である。このような構造の湖面下水素製造装置86を用いれば、四角柱密閉容器87内に1〜5規定の硫酸あるいは1〜10規定の苛性ソーダを入れておき、外部から水素と酸素の生成量に相当する淡水88を供給して電気分解することにより、連続して水素と酸素を製造することができる。本発明ではこの硫酸や苛性ソーダを電離触媒と命名する。この実験では正負極電極室間に10〜100mmの幅の四角柱型密閉容器87を配置し、負極電極室52の電極材は断面図に示すようにステンレス繊維81(日本精線株式会社ナスロン(登録商標)「ウエブ」)を用い、正極にはカーボンクロス(炭素繊維)82を封入した。
四角柱型密閉容器87の中には2.5規定の硫酸と2.5規定の苛性ソーダを封入した場合の2回に分け、水素製造装置86を深さ3mのプールに沈め、負極電極室52および正極電極室53のガス圧を夫々200〜400mmHgに保持できるように圧力調整弁93を介して真空排気を行いながら、水素の生成効率を測定した。高濃度電解質水溶液79に入れる硫酸の導電率は0.8S/cmであった。比較のため2.5規定の苛性ソーダの導電率は0.3S/cmであった。そこで水素製造装置86の両電極間に1.5Vを与えたところ、高濃度電解質水溶液が硫酸の場合には水素1m3、酸素0.5m3当たりの所要電力は2.3kWh、苛性ソーダでは5.2kWhであった。

0100

図32水道圧利用簡易水素製造装置構造図である。原理を図11(B)に示すように、撥水性多孔質膜からなる密閉容器を大型密閉容器の中に挿入し、水道の水圧を撥水性多孔質膜の耐水圧以上で加圧と水道水の供給を行いながら連続して水素を製造する。

0101

図32に示す水道圧利用簡易水素製造装置89は撥水性多孔質膜からなる密閉容器1を大型密閉容器29の中に挿入し、水道28の水圧を撥水性多孔質膜(淡水浸透用)27の耐水圧以上で加圧すると同時に淡水(水道水)88を撥水性多孔質膜(淡水浸透用)27を介して、約3N(約(8%)の硫酸水溶液を維持するように圧入し、同時に正負極電極室3,4(気体透過電極室52,53)で電気分解を行い、負極電極室3の生成ガス回収ホース12から水素を、正極電極室4の生成ガス回収ホース12から酸素を回収する。このガス回収に当たって、淡水(水道水)88の圧力調整することと、ガス生成側の圧力を一定値以下に保つために、製造ガス取り出し口の前に、圧力調整弁93を備え、気体透過電極室52,53で生成するガスの圧力を調整する制御機構が備えられている。とくに硫酸濃度2〜5規定が最も導電率が高いため、この濃度を維持するように水道の蛇口で淡水の圧入圧力を調整し、水素と酸素の発生のバランスをとる真空排気とコンプレッサーによるボンベへの圧入装置付随している。

0102

図33は塩化ナトリウム水溶液から苛性ソーダと塩素を直接製造する装置を示す。原理を図12(A),(B)に示すように、正負極電極室にそれぞれ接する、密閉容器を構成する撥水性多孔質膜の耐水圧に等しい圧力を塩化ナトリウム水溶液に印加した状態で電気分解を行い負極電極室内部で苛性ソーダを製造する。撥水性多孔質膜には耐水圧に等しい圧力が塩化ナトリウム水溶液を介して印加される。

0103

図33に示す塩化ナトリウム水溶液から苛性ソーダと塩素を直接製造する装置90は、中央に、離間配置された2つの撥水性多孔質膜11により画定された密閉容器1を備える。密閉容器1の一方の側に設けられた負極電極室3は水が充填される電極室40を構成し、炭素またはニッケルなどからなるに負電極板36が配置されている。密閉容器1の他方の側に設けられた正極電極室4は気体透過性の電極室41を構成し、空隙を有する電極材が配置されている。そして、密閉容器1内に濃度26重量%の塩化ナトリウム水溶液32を満たす。塩化ナトリウムの溶解度は雰囲気温度に殆ど左右されないが、生成する苛性ソーダは雰囲気温度に左右される。図18に示すように苛性ソーダの溶解度は40℃で56%、80℃で74%と高温ほど溶解度が上がるため、高濃度の苛性ソーダ31を製造するために電極室40に熱水を注入するか電極室40をヒータ加熱することが望ましい。本実験では簡便な方法として、負極電極室3の水供給口34から100℃以下の熱水を注入した。ここで、一つの工夫は、電気分解開始時は負極電極室3の水に予め希苛性ソーダ31を添加することにより電気分解効率が上げることである。そこで塩化ナトリウム水溶液32の濃度を常時26%に維持しながら圧力印加具6で撥水性多孔質膜11を耐水圧に等しい圧力で加圧して、負極室40に苛性ソーダ31を生成させ、負極生成物回収口35から濃縮苛性ソーダを回収し、最上部に取り付けた生成ガス回収ホース12で水素ガスを回収する。また正極電極室4の最上部に取り付けた生成ガス回収ホース12で塩素ガスを回収する。この塩素ガス生成側の圧力を一定値以下に保つために、製造ガス取り出し口の前に、圧力調整弁93を備え、苛性ソーダ生成室31のガス圧が1気圧以上にならないように調整している。両電極間に4Vの電圧をかけ、電流密度を20Aに設定したところ、苛性ソーダの生成量は1kg当たり3kWhであった。

0104

図34は塩化ナトリウム水溶液から苛性ソーダと塩酸を直接製造する装置を示す。原理を図12(B)に示すように、正負極電極室にそれぞれ接する、密閉容器を構成する撥水性多孔質膜の耐水圧に等しい圧力を塩化ナトリウム水溶液に印加した状態で電気分解を行い負極電極室内部で苛性ソーダを製造する。撥水性多孔質膜には耐水圧に等しい圧力が塩化ナトリウム水溶液を介して印加される。

0105

図34に示す塩化ナトリウム水溶液から苛性ソーダと塩素を直接製造する装置91は、中央に、離間配置された2つの撥水性多孔質膜11により画定された密閉容器1を備える。密閉容器1の一方の側に設けられた負極電極室3は水が充填される電極室40を構成し、炭素またはニッケルなどからなるに負電極板36が配置されている。密閉容器1の他方の側に設けられた正極電極室4も水が充填される電極室40を構成し、炭素からなる正電極板38が配置されている。そして密閉容器1内に濃度26重量%の塩化ナトリウム水溶液32を満たし、正極電極室4の水供給口34から水を、負極電極室3の水供給口34から100℃以下の熱水を注入する。さらに電気分解開始時は、負極電極室内3の水に予め苛性ソーダ水溶液31を、正極電極室4の水に予め塩酸を夫々添加することにより電気分解効率が上がる。塩化ナトリウム水溶液の濃度を常時26%に維持しながら、塩化ナトリウム水溶液を介して圧力印加具6で撥水性多孔質膜11を耐水圧に等しい圧力で加圧して、負極室40に苛性ソーダ31を生成させ、負極生成物回収口35から濃縮苛性ソーダを回収し、最上部に取り付けた生成ガス回収ホース12で水素ガスを回収する。また正極電極室40の正極生成物回収口(濃酸取り出し口)42から濃縮塩酸を回収し、最上部に取り付けた生成ガス回収ホース12で酸素ガスを回収する。負極電極室3の電極室40では苛性ソーダ31が製造され、電極室41では塩酸33が製造され、これらは共に電気伝導率が高いので撥水性多孔質膜11で隔離された密閉容器1内の電解質水溶液14である塩化ナトリウム水溶液32は、耐水圧での電解質水溶液の加圧で、効率良く電気分解される。

0106

図35は卑金属塩化物水溶液から卑金属元素を直接製造する装置を示す。原理を図13(A)に示すように、密閉容器の負極側に撥水性多孔質膜からなる隔離膜を介して炭素製空隙電極を接触させ、その背面を油で満たし、油より比重が軽い卑金属(Li,K,Na)を上部から、油23より比重が重い卑金属(Mg,Ca,Ba,Sr,Al)は最下部から回収される。

0107

図35に示す卑金属元素製造装置92は、撥水性多孔質膜11により画定された密閉容器1内に製造を所望する卑金属元素に対応した塩化物として、例えば、NaCl、KCl、LiCl、MgCl2、CaCl2、BaCl2、SrCl2、AlCl3などの水溶液を1種類選択して収容する。図19に示すように、卑金属塩化物は温度依存性が無いNaCl以外は、溶液温度が高くなるにつれて溶解度は上昇する傾向にある。例えば密閉容器1内の卑金属塩化物水溶液32の液温を内部ヒータで加温して60℃にすれば、NaClは27%、KClは31%、LiClは50%、MgCl2は38%、CaCl2は58%、BaCl2は32%、SrCl2は47%、AlCl3は32%である。これらの結果から卑金属塩化物水溶液32の液温を25〜80℃に上げ飽和溶解度まで濃度を上げた状態で耐水圧まで加圧して電気分解を開始すると良い。図35に示す卑金属元素製造装置92の負極電極室3は油が充填される電極室16を構成し、電極には炭素繊維からなる網状負電極43を用い、油23として比重0.8の軽油を用いる。他方、正極電極室4は気体透過性電極室41を構成し、炭素繊維からなる正電極37を用い、正極電極室4からは生成ガス回収ホース12により塩素ガスを回収する。卑金属塩化物水溶液32としてLiClを用いた場合、溶解度は80℃で53%であり、かつLiの融点が179℃、比重0.54(図16)であるからるから、約50%のLiClを80℃で電解し、負極電極室3の軽油23の最上部に金属Liが浮遊し、負極電極室3の最上部に備えた負極生成物回収口35より回収する。他方、正極電極室の最上部の生成ガス回収ホース12で塩素ガスを回収する。この塩素ガス生成側の圧力を一定値以下に保つために、製造ガス取り出し口の前に圧力調整弁93を備えている。予備実験で、28%に濃縮した塩化ナトリウム水溶液を25℃で正負電極間に4〜5V、電流密度は10A、1時間通電し、約油充填電極室16の中に満たした軽油の中に8gの金属ナトリウムを析出した。

0108

図36は卑金属塩化物水溶液から卑金属元素と塩酸を直接製造する装置構造図である。原理を図13(A),(B)に示すように、密閉容器の負極側に撥水性多孔質膜からなる隔離膜を介して炭素製空隙電極を接触させ、その背面を油で満たし、油より比重が軽い卑金属(Li,K,Na)を上部から、油23より比重が重い卑金属(Mg,Ca,Ba,Sr,Al)は最下部から回収される。負極生成物の生成法は上に述べた。一方正極で作る塩酸は、図36の卑金属元素と塩酸を直接製造する装置95の正極電極室4には水充填電極室40を採用し、負イオンと水との反応を行うために、水供給口34から給水した水に予め希塩酸水溶液を添加した後、撥水性多孔質膜11を介して網状負電極板43と正電極板38との間で電気分解を行い、イオン反応(2Cl-+2H2O→2HCl+O2)を行う。ここで生成した酸(塩酸)33は濃酸(塩酸)取り出し口42から回収し、酸素は生成ガス回収管12から回収する構造の装置である。

0109

図37は卑金属塩化物水溶液から仮想負電極を利用した卑金属製造装置構造図である。原理を図14(B)に示すように、周期表第1,2族元素からなる卑金属塩水溶液面と油面との境界面を仮想負電極面として、卑金属塩水溶液を電気分解して、負極析出物を油層内で回収させるものである。油と電解質水溶液の境界面を仮想電極とすることは容易に考えられる。しかし、この仮想電極が負極でなければ負極生成物は発生しない。そこで仮想電極を負極にする方法を図37(B)の等価回路「村原サーキット」および図37(A)の仮想負電極を利用した卑金属製造装置に示すように、圧力印加具6で耐水圧の電解質水溶液14をON/OFFされる撥水性多孔質膜11が図37(B)の等価回路に描かれたスイッチが(S)、電解質水溶液14が(R)、油充填電極室16内の油23が(C2)、電圧が(E)、外部に据え置きした大容量キャパシタが(C1)である。先ず大容量キャパシタが(C1)に電圧(E)を与えた後、耐水圧の圧力が加えられると、両電極室面のスイッチ(S)がONされ、C1に蓄えられた電荷はC1,C2の直列キャパシタとして仮想電極面19が負極として働き、Rに電位がかかり、電気分解が行われ、仮想負極電極面19で、油より比重が軽い卑金属(Li,K,Na)が上部から、油23より比重が重い卑金属(Mg,Ca,Ba,Sr,Al)は最下部から回収される。同時に正極電極室4の気体透過電極室41の最上部の生成ガス回収ホース12で塩素ガスを回収する。この塩素ガス生成側の圧力を一定値以下に保つために、製造ガス取り出し口の前に圧力調整弁93を備えた仮想負電極を利用した卑金属製造装置ある。

0110

図38は水素化卑金属製造装置を示す。一般に水素化ナトリウムは苛性ソーダの溶融塩電気分解により製造した金属ナトリウムを高温で水素と化合させて製造する。この金属ナトリウムの製造費が高価である。図15に関して記載したように、苛性ソーダの融点は318℃と著しく低い。このため苛性ソーダを入れた容器を318℃以上で加熱するとイオン化された状態の溶融塩ができる。図38の水素化金属製造装置97に示すように、苛性ソーダ溶融塩(Na++OH-)の中に水素のプラスイオン(H+)と水素のマイナスイオン(H-)50を反応させると、Na++OH-+H-+H+→NaH+H2Oとなる。そこで苛性ソーダ溶融塩46の中で水素のマイナスイオン(H-)50を生成させるために、気体透過電極室41構造の多孔質炭素負極兼隔離膜44に、水素ガスを圧入口47からから圧入し、この多孔質炭素負極兼隔離膜44からなる負電極44と正電極板38との間に苛性ソーダ溶融塩46を挟み、かつ両電極間に水素マイナスイオン50の生成電位を与えると、苛性ソーダ溶融塩中ナトリウムイオン(Na+)と反応して水素化ナトリウム(NaH)49を、熱反応によらないイオン反応だけで製造できる。さらに水素化ナトリウム(NaH)49の比重が苛性ソーダ溶融塩46の比重より軽く、しかも融点が苛性ソーダ46の融点より著しく高いので、固形物として浮遊し、回収が容易な装置である。

0111

図39は封筒型密閉容器内への電解質水溶液抑留装置を示す。封筒型密閉容器55は撥水性多孔質11のシートを2枚重ね合わせ、四方を350℃内外で熱融着して製作する。
この封筒型密閉容器55は電池の電解質水溶液貯留容器としての用途が非常に多い。そこで、この封筒型密閉容器55に電解質水溶液14,102を抑留するのが電解質水溶液抑留装置98である。封筒型密閉容器55の両面には図39(A),(B)に示すように、撥水性多孔質フッ素樹脂膜100および撥水性多孔質フッ素樹脂膜101を有している。
これら撥水性多孔質フッ素樹脂膜100,101の耐水圧は図28に示すように電解質水溶液の塩濃度により異なる。ここで図39(B)に示すように、圧力印加具6で加圧する抑留用電解質水溶液102の水圧を(WP102)、封筒型密閉容器55内の電解質水溶液の水圧を(WP55)とし、抑留用電解質水溶液102側の撥水性多孔質フッ素樹脂膜100の耐水圧を(WP100)、吸引口99側の撥水性多孔質フッ素樹脂膜101の耐水圧を(WP101)、吸引口99の空気圧を(P99)とすると、抑留用電解質水溶液102を撥水性多孔質フッ素樹脂膜100の細孔を通過させて封筒型密閉容器55内部に封入する条件は、WP102≧WP55+WP100であり、封筒型密閉容器55内の電解質水溶液を抑留させるための吸引口99で吸引する負圧条件はWP101≧P99≧−WP101である。ここで2面に用いる撥水性多孔質フッ素樹脂膜100,101を同一材質とすれば、WP100=WP101である。したがって、先ず図39(B)に示す電解質水溶液抑留装置98の吸引口99側で、撥水性多孔質フッ素樹脂膜101の耐水圧(−WP101)以上の負圧を維持した状態で、圧力印加具6により抑留用電解質水溶液102の加圧を開始し、同時に吸引口99の圧力を(+WP101)に変換して、封筒型密閉容器55に抑留用電解質水溶液102を封入する装置である。

0112

図40は電解質水溶液加圧型二次電池を示す。図40(A)に示す電解質加圧型二次電池103の構造は、撥水性多孔質フッ素樹脂膜11を電極との隔離膜に用いた封筒型密閉容器55に電解質水溶液14を封入し、負極電極室52と正極電極室53とで挟み込み、104で加重をすると、図40(A),(B)のように電位(V)が現れる。ここで錘104を除くと電位(V)は0Vになる。本実施例では負極電極室52の負電極板36にアルミ板を、正極電極室53の正電極板38はAlCl3、ZnCl2、MgCl2などの金属塩化物膜63を用いている。先ず一次電池の予備実験として、内部に濃度10%の塩化ナトリウム水溶液を封入した封筒型密閉容器55の両面を、マグネシウム板からなる負電極と電極面に塩化膜を形成させた亜鉛板からなる正電極とで挟み、細孔径33μmの撥水性多孔質フッ素樹脂膜11に図28に示す耐水圧330mmHgに匹敵する錘104で加圧すると、3.5Vの起電力が得られ、錘104を取り除くと電圧値は0Vを示す。次に二次電池の予備実験として、内部に濃度25%の塩化アルミニウム水溶液を封入した封筒型密閉容器55を用意し、その両面を共にアルミニウム電極板で挟み、撥水性多孔質フッ素樹脂膜11の耐水圧に匹敵する錘104で加重した状態で、10アンペアの直流充電を60分行った。この時点で錘104を取り除き、充電を終えた。この時点での封筒型密閉容器55内部の塩化アルミニウム水溶液の濃度は23%であり、原理的には10%まで充電可能である。ここで錘104を取り除いたまま放置して、1ヵ月後、電解質加圧型二次電池103の上を再度錘104で加圧すると、3.5Vの起電力を示し、錘104を取り除くと電圧値は0Vを示した。この錘104の付加と解除を繰り返しても、封筒型密閉容器55内部の塩化アルミニウム水溶液の濃度の変化は無く、内部で自己放電が起こらないことが実証できた。

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