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課題

T細胞による標的癌細胞に対する細胞傷害活性を示すポリペプチド会合体、当該ポリペプチド会合体の製造方法、および当該ポリペプチド会合体を有効成分として含む細胞傷害誘導治療剤の提供。当該細胞傷害誘導治療剤を有効成分として含む、様々な癌を治療または予防するための医薬組成物または当該医薬組成物を用いる治療方法の提供。

解決手段

(1)抗原結合ドメイン、(2)Fcγ受容体に対する結合活性が低下しているFc領域を含むドメイン、及び、(3)T細胞受容体複合結合ドメイン、を含むポリペプチド会合体。ポリペプチド会合体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを保持する細胞。前記細胞を培養し培養上清からポリペプチド会合体を回収することを含むポリペプチド会合体の製造方法。ポリペプチド会合体を有効成分として含む細胞傷害誘導治療剤、および治療が必要な患者投与することを特徴とする、治療方法。

概要

背景

これまでに優れた抗腫瘍効果を示す複数の治療用抗体が、癌治療を目的とする医薬品として開発されている(非特許文献1)。これらの治療用抗体は、癌細胞の増殖に必要なシグナル阻害細胞死シグナルの誘発、あるいはADCC(Antibody Dependent Cell-mediated Cytotoxicity;抗体依存性細胞傷害)、CDC(Complement Dependent Cytotoxicity;補体依存性細胞傷害)によって、癌細胞に対する抗腫瘍効果を発揮することが知られている(非特許文献2)。抗体のFc領域NK細胞マクロファージなどのエフェクター細胞上に存在するFcレセプターに結合することにより、抗体が結合した標的の癌細胞に対してこれらのエフェクター細胞が発揮する細胞傷害がADCCである。抗体の構造中に存在する補体結合部位には補体複合体が結合する。抗体が結合した細胞細胞膜上に当該複合体中に存在する補体成分が孔を形成することにより、水やイオンの細胞内への流入が促進され細胞が破壊されて起こる細胞傷害がCDCである。既存の治療用抗体には優れた作用が認められるものの、こうした抗体の投与によって得られる治療成績はまだ満足できるものではない。そこで、さらに強力な殺細胞活性を発揮する癌に対する治療抗体の開発が望まれている。

上記のNK細胞やマクロファージをエフェクター細胞として動員するADCCをその抗腫瘍効果のメカニズムとする抗体とは別に、T細胞をエフェクター細胞として動員する細胞傷害をその抗腫瘍効果のメカニズムとする抗体であるT細胞リクルート抗体(T cell recruiting抗体、TR抗体)も1980年代から知られている(非特許文献3−5)。TR抗体は、T細胞上のT細胞レセプター(TCR)複合体の構成サブユニットのいずれかに対する抗体、特にCD3 epsilon鎖に結合する抗体と、標的である癌細胞上の抗原に結合する抗体を含むbi-specific(二重特異性)抗体である。TR抗体がCD3 epsilon鎖と癌抗原に同時に結合することにより、T細胞が癌細胞に接近する。その結果、T細胞の持つ細胞傷害作用により癌細胞に対する抗腫瘍効果が発揮されると考えられている。

TR抗体の一つとしてtrifunctional抗体と称される抗体も知られている(非特許文献6、7)。これは、癌抗原に結合するFabとCD3 epsilon鎖に結合するFabがそれぞれ片腕に含まれるwholeIgG型のbi-specific抗体である。EpCAMに対するtrifunctional抗体であるcatumaxomabをEpCAM発現陽性の癌細胞を持つ悪性腹水患者腹腔内に対して投与することにより悪性腹水症に対する治療の効果が示されている。EUにおいて上記の治療を目的とするcatumaxomabの使用が承認されている。

さらに最近になり、BiTE(bispecific T-cell engager)と称されるTR抗体が強い抗腫瘍作用を示すことが知られるようになった(非特許文献8、9)。BiTEは癌抗原に対する抗体のscFvとCD3 epsilon鎖に対する抗体のscFvが短いポリペプチドリンカーを介して連結された分子型を有するTR抗体である。BiTEはそれまでに知られていた様々なTR抗体に比べて優れた抗腫瘍作用を持つことが報告されている(非特許文献9、10)。すなわちBiTEは、他のTR抗体に比較し、著しく低い濃度、および低いエフェクター細胞:癌細胞比率(ETレシオ)の下で抗腫瘍効果を発揮する。またこの効果の発現に、予めエフェクター細胞をIL-2やCD28アゴニスト抗体などにより活性化させる必要がないことも示されている。臨床的に優れた効果があることが知られているリツキサンよりもはるかに強いin vitroでの癌細胞に対する傷害作用をCD19に対するBiTEであるblinatumomab(MT103)が示した。さらに最近行なわれた第一相臨床試験第二相臨床試験において極めて優れた抗腫瘍効果を示したことが報告されている(非特許文献11)。

catumaxomabが臨床で薬効を示し治療薬として承認されていること、およびblinatumomabを始めとする複数のBiTEが強い抗腫瘍効果を発揮することから、T細胞をエフェクター細胞として動員するTR抗体には、通常のADCCをその作用機序とする抗体に比べて極めて高い抗腫瘍薬としてのポテンシャルがあることが示唆された。

しかしながら、trifunctional抗体が癌抗原非依存的にT細胞とNK細胞やマクロファージなどの細胞と同時に結合する結果、これらの細胞に発現する受容体架橋されることにより、癌抗原非依存的な各種サイトカインの発現を誘導することが知られている。こうしたサイトカインの発現の誘導は、trifunctional抗体の全身投与によるサイトカインストーム様の副作用の発生につながるものと考えられる。実際、非小細胞肺癌患者に対するcatumaxomabの全身投与による第一相臨床試験においては、5μg/bodyという極めて低い用量が最大許容投与量であり、それ以上の用量の投与により様々な重篤な副作用が起こることが報告されている(非特許文献12)。こうした低い用量のcatumaxomabの投与によっては、その有効血中濃度には到底達し得ない。すなわち、こうした低い用量のcatumaxomabの投与によっては期待される抗腫瘍作用が得られない。

一方、BiTEはcatumaxomabとは異なりFcγ受容体に対する結合部位を持たないため、癌抗原非依存的にT細胞とNK細胞やマクロファージなどに発現する受容体が架橋されることはない。そのため、catumaxomabが投与された場合に観察された癌抗原非依存的なサイトカインの誘導は起こらないことが示されている。しかしながら、BiTEはFc領域を欠く低分子量型の改変抗体分子であるために、治療用抗体として通常用いられるIgG型の抗体に比較して、患者に投与されたBiTEの血中半減期は著しく短いという問題点が存在する。実際、生体に投与されたBiTEの血中半減期は数時間程度であることが示されており(非特許文献13、14)、blinatumomabの臨床試験においてはミニポンプを用いた持続静脈内投与によりblinatumomabの投与が行なわれている。こうした投与は患者にとって著しく利便性の悪い投与法であるばかりでなく、機器故障などによる医療事故リスクも潜在し、望ましい治療法であるとはいえない。

概要

T細胞による標的癌細胞に対する細胞傷害活性を示すポリペプチド会合体、当該ポリペプチド会合体の製造方法、および当該ポリペプチド会合体を有効成分として含む細胞傷害誘導治療剤の提供。当該細胞傷害誘導治療剤を有効成分として含む、様々な癌を治療または予防するための医薬組成物または当該医薬組成物を用いる治療方法の提供。(1)抗原結合ドメイン、(2)Fcγ受容体に対する結合活性が低下しているFc領域を含むドメイン、及び、(3)T細胞受容体複合体結合ドメイン、を含むポリペプチド会合体。ポリペプチド会合体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを保持する細胞。前記細胞を培養し培養上清からポリペプチド会合体を回収することを含むポリペプチド会合体の製造方法。ポリペプチド会合体を有効成分として含む細胞傷害誘導治療剤、および治療が必要な患者に投与することを特徴とする、治療方法。なし

目的

これまでに優れた抗腫瘍効果を示す複数の治療用抗体が、癌治療を目的とする

効果

実績

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請求項1

下記のドメイン;(1)抗原結合ドメイン、(2)Fcγ受容体に対する結合活性が低下しているFc領域を含むドメイン、及び、(3)T細胞受容体複合結合ドメイン、を含むポリペプチド会合体。

請求項2

T細胞受容体複合体結合ドメインがT細胞受容体結合ドメインである、請求項1に記載のポリペプチド会合体。

請求項3

T細胞受容体複合体結合ドメインがCD3結合ドメインである、請求項1に記載のポリペプチド会合体。

請求項4

抗原結合ドメインが二価の抗原結合ドメインである、請求項1から3のいずれかに記載のポリペプチド会合体。

請求項5

二価の抗原結合ドメインがF(ab’)2の構造を有するドメインである、請求項4に記載のポリペプチド会合体。

請求項6

F(ab’)2の構造を有するドメインの重鎖定常領域を構成する二つのポリペプチドがFc領域を構成する二つのポリペプチドの各々に連結された、請求項5に記載のポリペプチド会合体。

請求項7

CD3結合ドメインがFc領域を構成する一つ又は二つのCH3に連結された、請求項6に記載のポリペプチド会合体。

請求項8

CD3結合ドメインを構成する重鎖Fv断片がFc領域を構成する一方のCH3に連結され、CD3結合ドメインを構成する軽鎖Fv断片がFc領域を構成するもう一方のCH3に連結された、請求項7に記載のポリペプチド会合体。

請求項9

CD3結合ドメインを構成する重鎖Fv断片に抗体のCH1ドメイン、及び、軽鎖Fv断片に抗体のCLドメインが連結された、請求項8に記載のポリペプチド会合体。

請求項10

CD3結合ドメインがF(ab’)2を構成する一つ又は二つのCLに連結された、請求項6に記載のポリペプチド会合体。

請求項11

CD3結合ドメインがF(ab’)2を構成する一つ又は二つのVHに連結された、請求項6に記載のポリペプチド会合体。

請求項12

CD3結合ドメインがF(ab’)2を構成する一つ又は二つのVLに連結された、請求項6に記載のポリペプチド会合体。

請求項13

CD3結合ドメインがFvである、請求項1から12のいずれかに記載のポリペプチド会合体。

請求項14

CD3結合ドメインがFabである、請求項1から7及び10から12のいずれかに記載のポリペプチド会合体。

請求項15

CD3結合ドメインがscFvである、請求項1から7及び10から12のいずれかに記載のポリペプチド会合体。

請求項16

CD3結合ドメインが一価である、請求項1から15のいずれかに記載のポリペプチド会合体。

請求項17

抗原結合ドメインが一価のscFv及び一価のFabである、請求項1から3のいずれかに記載のポリペプチド会合体。

請求項18

一価のscFvがCD3結合ドメインを構成するscFvを介してFc領域を構成する一つのポリペプチドに、一価のFabの重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する一つのポリペプチドに各々連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCL領域と連結された、請求項17に記載のポリペプチド会合体。

請求項19

抗原結合ドメインが二価のscFvである、請求項1から3のいずれかに記載のポリペプチド会合体。

請求項20

一価のscFvがCD3結合ドメインを構成する重鎖Fv断片を介してFc領域を構成する一つのポリペプチドに、他方の一価のscFvがCD3結合ドメインを構成する軽鎖Fv断片を介してFc領域を構成する他方の一つのポリペプチドに連結された、請求項19に記載のポリペプチド会合体。

請求項21

一価のscFvがCD3結合ドメインを構成するscFvを介してFc領域を構成する一つのポリペプチドに、他方の一価のscFvがFc領域を構成する他方の一つのポリペプチドに連結された、請求項19に記載のポリペプチド会合体。

請求項22

抗原結合ドメイン、及び、T細胞受容体複合体結合ドメインが各々一価のFabである、請求項1から3のいずれかに記載のポリペプチド会合体。

請求項23

抗原結合ドメインを構成する一価のFabの重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する一方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCL領域と連結され、T細胞受容体結合ドメインを構成するFabの重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する他方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCL領域と連結された、請求項22に記載のポリペプチド会合体。

請求項24

抗原結合ドメインを構成する一価のFabの重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する一方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCL領域と連結され、T細胞受容体結合ドメインを構成するFabの軽鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する他方のポリペプチドに連結され、当該Fabの重鎖Fv断片がCL領域と連結された、請求項22に記載のポリペプチド会合体。

請求項25

抗原結合ドメインを構成する一価のFabの重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する一方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCL領域と連結され、T細胞受容体結合ドメインを構成するFabの重鎖Fv断片がCL領域を介してFc領域を構成する他方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCH1領域と連結された、請求項22に記載のポリペプチド会合体。

請求項26

T細胞受容体結合ドメインを構成する一価のFabの重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する一方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCL領域と連結され、抗原結合ドメインを構成するFabの軽鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する他方のポリペプチドに連結され、当該Fabの重鎖Fv断片がCL領域と連結された、請求項22に記載のポリペプチド会合体。

請求項27

T細胞受容体結合ドメインを構成する一価のFabの重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する一方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCL領域と連結され、抗原結合ドメインを構成するFabの重鎖Fv断片がCL領域を介してFc領域を構成する他方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCH1領域と連結された、請求項22に記載のポリペプチド会合体。

請求項28

(1)抗原に結合する一価のFab構造の重鎖Fv断片がCH1領域を介して前記Fc領域を構成する一方のポリペプチドに連結され、当該Fab構造の軽鎖Fv断片がCL領域と連結された抗原結合ドメイン、及び、(2)T細胞受容体複合体に結合する一価のFab構造の重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する他方のポリペプチドに連結され、当該Fab構造の軽鎖Fv断片がCL領域と連結されたT細胞受容体複合体結合ドメイン、を含むポリペプチド会合体であって、抗原結合ドメイン中の重鎖Fv断片と抗原結合ドメイン中の軽鎖Fv断片またはT細胞受容体結合ドメイン中の重鎖Fv断片とT細胞受容体結合ドメイン中の軽鎖Fv断片が会合するようにCH1領域とCL領域の電荷が制御されている、請求項22に記載のポリペプチド会合体。

請求項29

T細胞受容体複合体結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および抗原結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに同種の電荷を有する、請求項28に記載のポリペプチド会合体。

請求項30

抗原結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基およびT細胞受容体複合体結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに同種の電荷を有する、請求項28に記載のポリペプチド会合体。

請求項31

T細胞受容体複合体結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および抗原結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに同種の電荷を有し、抗原結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基およびT細胞受容体複合体結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに同種の電荷を有する、請求項28に記載のポリペプチド会合体。

請求項32

T細胞受容体複合体結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基およびT細胞受容体結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに異種の電荷を有する、請求項29又は31に記載のポリペプチド会合体。

請求項33

抗原結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および抗原結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基がともに異種の電荷を有する、請求項30または31に記載のポリペプチド会合体。

請求項34

T細胞受容体複合体結合ドメインがT細胞受容体結合ドメインである、請求項22から33のいずれかに記載のポリペプチド会合体。

請求項35

T細胞受容体結合ドメインがCD3結合ドメインである、請求項34に記載のポリペプチド会合体。

請求項36

CH1領域のアミノ酸残基およびCL領域のアミノ酸残基が、以下の(a)〜(f)に示される1組又は2組以上のアミノ酸残基の組からなる群;(a)CH1領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング147位のアミノ酸残基、及びCL領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング180位のアミノ酸残基、(b)CH1領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング147位のアミノ酸残基、及びCL領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング131位のアミノ酸残基(c)CH1領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング147位のアミノ酸残基、及びCL領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング164位のアミノ酸残基(d)CH1領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング147位のアミノ酸残基、及びCL領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング138位のアミノ酸残基(e)CH1領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング147位のアミノ酸残基、及びCL領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング123位のアミノ酸残基(f)CH1領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング175位のアミノ酸残基、及びCL領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング160位のアミノ酸残基より選択され、CH1領域のアミノ酸残基とCL領域のアミノ酸残基とが互いに異種の電荷を有するアミノ酸残基である、請求項32又は33に記載のポリペプチド会合体。

請求項37

さらに、以下の(g)に示されるアミノ酸残基の組を含む群より選択される、請求項36に記載のポリペプチド会合体。(g)CH1領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング213位のアミノ酸残基、及びCL領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング123位のアミノ酸残基

請求項38

前記異種の電荷を有するアミノ酸残基が、以下の(X)または(Y)のいずれかの群;(X)グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D);(Y)リジン(K)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H);に含まれるアミノ酸残基から選択される、請求項36又は37に記載のポリペプチド会合体。

請求項39

前記異種の電荷を有するアミノ酸残基が、CH1領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング175位のアミノ酸残基がLys、CL領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング180位、131位及び160位のアミノ酸残基がいずれもGluである、請求項36から38のいずれかに記載のポリペプチド会合体。

請求項40

前記異種の電荷を有するアミノ酸残基が、CH1領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング147位及び175位のアミノ酸残基がGlu、CL領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング180位、131位及び160位のアミノ酸残基がいずれもLysである、請求項36から38のいずれかに記載のポリペプチド会合体。

請求項41

さらに、CH1領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング213位のアミノ酸残基がGluであり、CL領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング123位のアミノ酸残基がLysである、請求項40に記載のポリペプチド会合体。

請求項42

Fc領域がFcγI、FcγIIA、FcγIIB、FcγIIIA及び/又はFcγIIIBのいずれかのFcγ受容体に対する結合活性が低下しているFc領域である請求項1から41のいずれかに記載のポリペプチド会合体。

請求項43

Fc領域が、配列番号:23に記載のFc領域、配列番号:24に記載のFc領域、配列番号:25に記載のFc領域、又は配列番号:26に記載のFc領域を構成するアミノ酸が変異しているFc領域であることを特徴とする、請求項1から42のいずれかに記載のポリペプチド会合体。

請求項44

Fc領域を構成するアミノ酸のうちEUナンバリングに従って特定される下記のいずれかのアミノ酸;118位から260位のアミノ酸配列が配列番号:24に記載の配列、261位から447位のアミノ酸配列が配列番号:26に記載の配列であるFc領域である、請求項43に記載のポリペプチド会合体。

請求項45

Fc領域を構成するアミノ酸のうちEUナンバリングに従って特定される下記のいずれかのアミノ酸;220位、226位、229位、231位、232位、233位、234位、235位、236位、237位、238位、239位、240位、264位、265位、266位、267位、269位、270位、295位、296位、297位、298位、299位、300位、325位、327位、328位、329位、330位、331位、332位、が変異しているFc領域である、請求項43に記載のポリペプチド会合体。

請求項46

Fc領域が配列番号:23に記載のFc領域を構成するアミノ酸が変異しているFc領域であることを特徴とする、請求項45に記載のポリペプチド会合体。

請求項47

Fc領域を構成するアミノ酸のうちEUナンバリングに従って特定される下記のいずれかのアミノ酸;233位、234位、235位、236位、237位、327位、330位、331位、が対応するIgG2またはIgG4においてそのEUナンバリングが対応するアミノ酸に置換されたFc領域である、請求項46に記載のポリペプチド会合体。

請求項48

Fc領域を構成するアミノ酸のうち、EUナンバリングに従って特定される下記のいずれかのアミノ酸;234位、235位、297位、が変異しているFc領域であることを特徴とする、請求項46に記載のポリペプチド会合体。

請求項49

234位のアミノ酸がアラニン、235位のアミノ酸がアラニン、及び/又は、297位のアミノ酸がアラニンに変異していることを特徴とする、請求項48に記載のポリペプチド会合体。

請求項50

Fc領域を構成する二つのポリペプチドの配列が互いに異なる配列を有することを特徴とする、請求項43から49のいずれかに記載のポリペプチド会合体。

請求項51

Fc領域を構成する二つのポリペプチドの一方のポリペプチドのアミノ酸残基のうちEUナンバリングに従って特定される349位のアミノ酸がシステイン、366位のアミノ酸がトリプトファンに、他方のポリペプチドのアミノ酸残基のうちEUナンバリングに従って特定される356位のアミノ酸がシステイン、366位のアミノ酸がセリンに、368位のアミノ酸がアラニンに、407位のアミノ酸がバリンに変異していることを特徴とする、請求項1から50のいずれかに記載のポリペプチド会合体。

請求項52

Fc領域を構成する二つのポリペプチドの一方のポリペプチドのアミノ酸残基のうちEUナンバリングに従って特定される356位のアミノ酸がリジンに、他方のポリペプチドのアミノ酸残基のうちEUナンバリングに従って特定される439位のアミノ酸がグルタミン酸に変異し、いずれか一方のポリペプチドのアミノ酸残基のうちEUナンバリングに従って特定される435位のアミノ酸がアルギニンに変異していることを特徴とする、請求項1から50のいずれかに記載のポリペプチド会合体。

請求項53

Fc領域を構成する二つのポリペプチドのカルボキシ末端に存在する配列GKが欠失していることを特徴とする、請求項51又は52に記載のポリペプチド会合体。

請求項54

抗原結合ドメインが同一のエピトープに結合する、請求項1から53のいずれかに記載のポリペプチド会合体。

請求項55

同一のエピトープが配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質中に存在する、請求項54に記載のポリペプチド会合体。

請求項56

同一のエピトープが配列番号:4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質中に存在する、請求項54に記載のポリペプチド会合体。

請求項57

抗原結合ドメインが互いに異なるエピトープに結合する、請求項1から53のいずれかに記載のポリペプチド会合体。

請求項58

異なるエピトープが配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質中に存在する、請求項57に記載のポリペプチド会合体。

請求項59

異なるエピトープが配列番号:4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質中に存在する、請求項57に記載のポリペプチド会合体。

請求項60

請求項1から59のいずれかに記載のポリペプチド会合体をコードするポリヌクレオチド

請求項61

請求項60に記載のポリヌクレオチドを含むベクター

請求項62

請求項61に記載のベクターを保持する細胞

請求項63

請求項62に記載の細胞を培養し培養上清からポリペプチド会合体を回収することを含むポリペプチド会合体の製造方法。

請求項64

請求項1から59のいずれかに記載のポリペプチド会合体を有効成分として含む細胞傷害誘導治療剤

請求項65

細胞傷害誘導治療剤が癌治療剤である、請求項64に記載の治療剤。

請求項66

癌が肝癌又は肺癌である、請求項65に記載の治療剤。

請求項67

請求項1から59のいずれかに記載のポリペプチド会合体を治療が必要な患者投与することを特徴とする、癌の治療又は予防方法

請求項68

癌が肝癌又は肺癌である、請求項67に記載の治療又は予防方法。

技術分野

0001

本発明は、T細胞を標的癌細胞近接せしめT細胞による標的癌細胞に対する細胞傷害活性を通じて癌を治療することを可能とするポリペプチド会合体、当該ポリペプチド会合体の製造方法、および当該ポリペプチド会合体を有効成分として含む細胞傷害誘導治療剤に関する。また当該細胞傷害誘導治療剤を有効成分として含む、様々な癌を治療または予防するための医薬組成物または当該医薬組成物を用いる治療方法に関する。

背景技術

0002

これまでに優れた抗腫瘍効果を示す複数の治療用抗体が、癌治療を目的とする医薬品として開発されている(非特許文献1)。これらの治療用抗体は、癌細胞の増殖に必要なシグナル阻害細胞死シグナルの誘発、あるいはADCC(Antibody Dependent Cell-mediated Cytotoxicity;抗体依存性細胞傷害)、CDC(Complement Dependent Cytotoxicity;補体依存性細胞傷害)によって、癌細胞に対する抗腫瘍効果を発揮することが知られている(非特許文献2)。抗体のFc領域NK細胞マクロファージなどのエフェクター細胞上に存在するFcレセプターに結合することにより、抗体が結合した標的の癌細胞に対してこれらのエフェクター細胞が発揮する細胞傷害がADCCである。抗体の構造中に存在する補体結合部位には補体複合体が結合する。抗体が結合した細胞の細胞膜上に当該複合体中に存在する補体成分が孔を形成することにより、水やイオンの細胞内への流入が促進され細胞が破壊されて起こる細胞傷害がCDCである。既存の治療用抗体には優れた作用が認められるものの、こうした抗体の投与によって得られる治療成績はまだ満足できるものではない。そこで、さらに強力な殺細胞活性を発揮する癌に対する治療抗体の開発が望まれている。

0003

上記のNK細胞やマクロファージをエフェクター細胞として動員するADCCをその抗腫瘍効果のメカニズムとする抗体とは別に、T細胞をエフェクター細胞として動員する細胞傷害をその抗腫瘍効果のメカニズムとする抗体であるT細胞リクルート抗体(T cell recruiting抗体、TR抗体)も1980年代から知られている(非特許文献3−5)。TR抗体は、T細胞上のT細胞レセプター(TCR)複合体の構成サブユニットのいずれかに対する抗体、特にCD3 epsilon鎖に結合する抗体と、標的である癌細胞上の抗原に結合する抗体を含むbi-specific(二重特異性)抗体である。TR抗体がCD3 epsilon鎖と癌抗原に同時に結合することにより、T細胞が癌細胞に接近する。その結果、T細胞の持つ細胞傷害作用により癌細胞に対する抗腫瘍効果が発揮されると考えられている。

0004

TR抗体の一つとしてtrifunctional抗体と称される抗体も知られている(非特許文献6、7)。これは、癌抗原に結合するFabとCD3 epsilon鎖に結合するFabがそれぞれ片腕に含まれるwholeIgG型のbi-specific抗体である。EpCAMに対するtrifunctional抗体であるcatumaxomabをEpCAM発現陽性の癌細胞を持つ悪性腹水患者腹腔内に対して投与することにより悪性腹水症に対する治療の効果が示されている。EUにおいて上記の治療を目的とするcatumaxomabの使用が承認されている。

0005

さらに最近になり、BiTE(bispecific T-cell engager)と称されるTR抗体が強い抗腫瘍作用を示すことが知られるようになった(非特許文献8、9)。BiTEは癌抗原に対する抗体のscFvとCD3 epsilon鎖に対する抗体のscFvが短いポリペプチドリンカーを介して連結された分子型を有するTR抗体である。BiTEはそれまでに知られていた様々なTR抗体に比べて優れた抗腫瘍作用を持つことが報告されている(非特許文献9、10)。すなわちBiTEは、他のTR抗体に比較し、著しく低い濃度、および低いエフェクター細胞:癌細胞比率(ETレシオ)の下で抗腫瘍効果を発揮する。またこの効果の発現に、予めエフェクター細胞をIL-2やCD28アゴニスト抗体などにより活性化させる必要がないことも示されている。臨床的に優れた効果があることが知られているリツキサンよりもはるかに強いin vitroでの癌細胞に対する傷害作用をCD19に対するBiTEであるblinatumomab(MT103)が示した。さらに最近行なわれた第一相臨床試験第二相臨床試験において極めて優れた抗腫瘍効果を示したことが報告されている(非特許文献11)。

0006

catumaxomabが臨床で薬効を示し治療薬として承認されていること、およびblinatumomabを始めとする複数のBiTEが強い抗腫瘍効果を発揮することから、T細胞をエフェクター細胞として動員するTR抗体には、通常のADCCをその作用機序とする抗体に比べて極めて高い抗腫瘍薬としてのポテンシャルがあることが示唆された。

0007

しかしながら、trifunctional抗体が癌抗原非依存的にT細胞とNK細胞やマクロファージなどの細胞と同時に結合する結果、これらの細胞に発現する受容体架橋されることにより、癌抗原非依存的な各種サイトカインの発現を誘導することが知られている。こうしたサイトカインの発現の誘導は、trifunctional抗体の全身投与によるサイトカインストーム様の副作用の発生につながるものと考えられる。実際、非小細胞肺癌患者に対するcatumaxomabの全身投与による第一相臨床試験においては、5μg/bodyという極めて低い用量が最大許容投与量であり、それ以上の用量の投与により様々な重篤な副作用が起こることが報告されている(非特許文献12)。こうした低い用量のcatumaxomabの投与によっては、その有効血中濃度には到底達し得ない。すなわち、こうした低い用量のcatumaxomabの投与によっては期待される抗腫瘍作用が得られない。

0008

一方、BiTEはcatumaxomabとは異なりFcγ受容体に対する結合部位を持たないため、癌抗原非依存的にT細胞とNK細胞やマクロファージなどに発現する受容体が架橋されることはない。そのため、catumaxomabが投与された場合に観察された癌抗原非依存的なサイトカインの誘導は起こらないことが示されている。しかしながら、BiTEはFc領域を欠く低分子量型の改変抗体分子であるために、治療用抗体として通常用いられるIgG型の抗体に比較して、患者に投与されたBiTEの血中半減期は著しく短いという問題点が存在する。実際、生体に投与されたBiTEの血中半減期は数時間程度であることが示されており(非特許文献13、14)、blinatumomabの臨床試験においてはミニポンプを用いた持続静脈内投与によりblinatumomabの投与が行なわれている。こうした投与は患者にとって著しく利便性の悪い投与法であるばかりでなく、機器故障などによる医療事故リスクも潜在し、望ましい治療法であるとはいえない。

先行技術

0009

Clin Cancer Res. (2010) 16 (1), 11-20
Drug Des Devel Ther (2009) 3, 7-16
Nature (1985) 314 (6012), 628-31
Int J Cancer (1988) 41 (4), 609-15.
Proc Natl Acad Sci USA (1986) 83 (5), 1453-7
Cancer Treat Rev. (2010) 36 (6), 458-67
Expert Opin Biol Ther (2010) 10 (8), 1259-69
Proc Natl Acad Sci USA. (1995) 92 (15), 7021-5
Drug Discov Today (2005), 10 (18), 1237-44
TrendsBiotechnol (2004) 22 (5), 238-44
Science (2008), 321 (5891), 974-7
Cancer Immunol Immunother(2007) 56 (10), 1637-44
Cancer Immunol Immunother. (2006) 55(5), 503-14
Cancer Immunol Immunother. (2009) 58(1), 95-109

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は上記の情況に鑑みてなされたものであり、T細胞を標的癌細胞に近接せしめT細胞による標的癌細胞に対する細胞傷害活性を通じて癌を治療することを可能とするポリペプチド会合体、当該ポリペプチド会合体の製造方法、および当該ポリペプチド会合体を有効成分として含む細胞傷害誘導治療剤を提供することを目的とする。また当該細胞傷害誘導治療剤を有効成分として含む、様々な癌を治療または予防するための医薬組成物または当該医薬組成物を用いる治療方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、BiTEが持つ強い抗腫瘍活性と、癌抗原非依存的にサイトカインストームなどを誘導しないという安全性上の優れた性質が維持され、かつ長い血中半減期を持つ新たなポリペプチド会合体を見出した。さらに、ポリペプチド会合体における抗原結合ドメイン置換することにより、当該ポリペプチド会合体が様々な細胞を標的として細胞傷害をもたらすことを見出した。本発明者らは、かかる発見に基づいて、本発明に係るポリペプチド会合体が癌細胞を傷害することを明らかにした。また、ポリペプチド会合体に、CH1/CL界面会合制御導入およびKnob into Hole (KiH)改変を導入することで、さらに効率よく細胞傷害をもたらすことを見出した。また、本発明者らは、本発明に係るポリペプチド会合体を有効成分とする細胞傷害誘導治療剤が、様々な癌を治療又は予防することを見出した。

0012

すなわち、本発明は以下を提供するものである。
〔1〕 下記のドメイン
(1)抗原結合ドメイン、
(2)Fcγ受容体に対する結合活性が低下しているFc領域を含むドメイン、及び、
(3)T細胞受容体複合体結合ドメイン
を含むポリペプチド会合体。
〔2〕 T細胞受容体複合体結合ドメインがT細胞受容体結合ドメインである、〔1〕に記載のポリペプチド会合体。
〔3〕 T細胞受容体複合体結合ドメインがCD3結合ドメインである、〔1〕に記載のポリペプチド会合体。
〔4〕 抗原結合ドメインが二価の抗原結合ドメインである、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体。
〔5〕 二価の抗原結合ドメインがF(ab’)2の構造を有するドメインである、〔4〕に記載のポリペプチド会合体。
〔6〕 F(ab’)2の構造を有するドメインの重鎖定常領域を構成する二つのポリペプチドがFc領域を構成する二つのポリペプチドの各々に連結された、〔5〕に記載のポリペプチド会合体。
〔7〕 CD3結合ドメインがFc領域を構成する一つ又は二つのCH3に連結された、〔6〕に記載のポリペプチド会合体。
〔8〕 CD3結合ドメインを構成する重鎖Fv断片がFc領域を構成する一方のCH3に連結され、CD3結合ドメインを構成する軽鎖Fv断片がFc領域を構成するもう一方のCH3に連結された、〔7〕に記載のポリペプチド会合体。
〔9〕 CD3結合ドメインを構成する重鎖Fv断片に抗体のCH1ドメイン、及び、軽鎖Fv断片に抗体のCLドメインが連結された、〔8〕に記載のポリペプチド会合体。
〔10〕 CD3結合ドメインがF(ab’)2を構成する一つ又は二つのCLに連結された、〔6〕に記載のポリペプチド会合体。
〔11〕 CD3結合ドメインがF(ab’)2を構成する一つ又は二つのVHに連結された、〔6〕に記載のポリペプチド会合体。
〔12〕 CD3結合ドメインがF(ab’)2を構成する一つ又は二つのVLに連結された、〔6〕に記載のポリペプチド会合体。
〔13〕 CD3結合ドメインがFvである、〔1〕から〔12〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体。
〔14〕 CD3結合ドメインがFabである、〔1〕から〔7〕及び〔10〕から〔12〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体。
〔15〕 CD3結合ドメインがscFvである、〔1〕から〔7〕及び〔10〕から〔12〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体。
〔16〕 CD3結合ドメインが一価である、〔1〕から〔15〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体。
〔17〕 抗原結合ドメインが一価のscFv及び一価のFabである、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体。
〔18〕 一価のscFvがCD3結合ドメインを構成するscFvを介してFc領域を構成する一つのポリペプチドに、一価のFabの重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する一つのポリペプチドに各々連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCL領域と連結された、〔17〕に記載のポリペプチド会合体。
〔19〕 抗原結合ドメインが二価のscFvである、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体。
〔20〕 一価のscFvがCD3結合ドメインを構成する重鎖Fv断片を介してFc領域を構成する一つのポリペプチドに、他方の一価のscFvがCD3結合ドメインを構成する軽鎖Fv断片を介してFc領域を構成する他方の一つのポリペプチドに連結された、〔19〕に記載のポリペプチド会合体。
〔21〕 一価のscFvがCD3結合ドメインを構成するscFvを介してFc領域を構成する一つのポリペプチドに、他方の一価のscFvがFc領域を構成する他方の一つのポリペプチドに連結された、〔19〕に記載のポリペプチド会合体。
〔22〕 抗原結合ドメイン、及び、T細胞受容体複合体結合ドメインが各々一価のFabである、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体。
〔23〕 抗原結合ドメインを構成する一価のFabの重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する一方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCL領域と連結され、T細胞受容体結合ドメインを構成するFabの重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する他方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCL領域と連結された、〔22〕に記載のポリペプチド会合体。
〔24〕 抗原結合ドメインを構成する一価のFabの重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する一方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCL領域と連結され、T細胞受容体結合ドメインを構成するFabの軽鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する他方のポリペプチドに連結され、当該Fabの重鎖Fv断片がCL領域と連結された、〔22〕に記載のポリペプチド会合体。
〔25〕 抗原結合ドメインを構成する一価のFabの重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する一方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCL領域と連結され、T細胞受容体結合ドメインを構成するFabの重鎖Fv断片がCL領域を介してFc領域を構成する他方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCH1領域と連結された、〔22〕に記載のポリペプチド会合体。
〔26〕 T細胞受容体結合ドメインを構成する一価のFabの重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する一方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCL領域と連結され、抗原結合ドメインを構成するFabの軽鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する他方のポリペプチドに連結され、当該Fabの重鎖Fv断片がCL領域と連結された、〔22〕に記載のポリペプチド会合体。
〔27〕 T細胞受容体結合ドメインを構成する一価のFabの重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する一方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCL領域と連結され、抗原結合ドメインを構成するFabの重鎖Fv断片がCL領域を介してFc領域を構成する他方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCH1領域と連結された、〔22〕に記載のポリペプチド会合体。
〔28〕 (1)抗原に結合する一価のFab構造の重鎖Fv断片がCH1領域を介して前記Fc領域を構成する一方のポリペプチドに連結され、当該Fab構造の軽鎖Fv断片がCL領域と連結された抗原結合ドメイン、及び、
(2)T細胞受容体複合体に結合する一価のFab構造の重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する他方のポリペプチドに連結され、当該Fab構造の軽鎖Fv断片がCL領域と連結されたT細胞受容体複合体結合ドメイン、
を含むポリペプチド会合体であって、抗原結合ドメイン中の重鎖Fv断片と抗原結合ドメイン中の軽鎖Fv断片またはT細胞受容体結合ドメイン中の重鎖Fv断片とT細胞受容体結合ドメイン中の軽鎖Fv断片が会合するようにCH1領域とCL領域の電荷が制御されている、〔22〕に記載のポリペプチド会合体。
〔29〕 T細胞受容体複合体結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および抗原結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに同種の電荷を有する、〔28〕に記載のポリペプチド会合体。
〔30〕 抗原結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基およびT細胞受容体複合体結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに同種の電荷を有する、〔28〕に記載のポリペプチド会合体。
〔31〕 T細胞受容体複合体結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および抗原結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに同種の電荷を有し、抗原結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基およびT細胞受容体複合体結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに同種の電荷を有する、〔28〕に記載のポリペプチド会合体。
〔32〕 T細胞受容体複合体結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基およびT細胞受容体結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに異種の電荷を有する、〔29〕又は〔31〕に記載のポリペプチド会合体。
〔33〕 抗原結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および抗原結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基がともに異種の電荷を有する、〔30〕または〔31〕に記載のポリペプチド会合体。
〔34〕 T細胞受容体複合体結合ドメインがT細胞受容体結合ドメインである、〔22〕から〔33〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体。
〔35〕 T細胞受容体結合ドメインがCD3結合ドメインである、〔34〕に記載のポリペプチド会合体。
〔36〕 CH1領域のアミノ酸残基およびCL領域のアミノ酸残基が、以下の(a)〜(f)に示される1組又は2組以上のアミノ酸残基の組からなる群;
(a)CH1領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング147位のアミノ酸残基、及びCL領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング180位のアミノ酸残基、
(b)CH1領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング147位のアミノ酸残基、及びCL領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング131位のアミノ酸残基
(c)CH1領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング147位のアミノ酸残基、及びCL領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング164位のアミノ酸残基
(d)CH1領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング147位のアミノ酸残基、及びCL領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング138位のアミノ酸残基
(e)CH1領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング147位のアミノ酸残基、及びCL領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング123位のアミノ酸残基
(f)CH1領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング175位のアミノ酸残基、及びCL領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング160位のアミノ酸残基
より選択され、CH1領域のアミノ酸残基とCL領域のアミノ酸残基とが互いに異種の電荷を有するアミノ酸残基である、〔32〕又は〔33〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体。
〔37〕 さらに、以下の(g)に示されるアミノ酸残基の組を含む群より選択される、〔36〕に記載のポリペプチド会合体。
(g)CH1領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング213位のアミノ酸残基、及びCL領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング123位のアミノ酸残基
〔38〕 前記異種の電荷を有するアミノ酸残基が、以下の(X)または(Y)のいずれかの群;
(X)グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D);
(Y)リジン(K)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H);
に含まれるアミノ酸残基から選択される、〔36〕又は〔37〕に記載のポリペプチド会合体。
〔39〕 前記異種の電荷を有するアミノ酸残基が、CH1領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング175位のアミノ酸残基がLys、CL領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング180位、131位及び160位のアミノ酸残基がいずれもGluである、〔36〕から〔38〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体。
〔40〕 前記異種の電荷を有するアミノ酸残基が、CH1領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング147位及び175位のアミノ酸残基がGlu、CL領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング180位、131位及び160位のアミノ酸残基がいずれもLysである、〔36〕から〔38〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体。
〔41〕 さらに、CH1領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング213位のアミノ酸残基がGluであり、CL領域のアミノ酸残基であってEUナンバリング123位のアミノ酸残基がLysである、〔40〕に記載のポリペプチド会合体。
〔42〕 Fc領域がFcγI、FcγIIA、FcγIIB、FcγIIIA及び/又はFcγIIIBのいずれかのFcγ受容体に対する結合活性が低下しているFc領域である、〔1〕から〔41〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体。
〔43〕 Fc領域が、配列番号:23に記載のFc領域、配列番号:24に記載のFc領域、配列番号:25に記載のFc領域、又は配列番号:26に記載のFc領域を構成するアミノ酸が変異しているFc領域であることを特徴とする、〔1〕から〔42〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体。
〔44〕 Fc領域を構成するアミノ酸のうちEUナンバリングに従って特定される下記のいずれかのアミノ酸;
118位から260位のアミノ酸配列が配列番号:24に記載の配列、261位から447位のアミノ酸配列が配列番号:26に記載の配列であるFc領域である、〔43〕に記載のポリペプチド会合体。
〔45〕 Fc領域を構成するアミノ酸のうちEUナンバリングに従って特定される下記のいずれかのアミノ酸;
220位、226位、229位、231位、232位、233位、234位、235位、236位、237位、238位、239位、240位、264位、265位、266位、267位、269位、270位、295位、296位、297位、298位、299位、300位、325位、327位、328位、329位、330位、331位、332位、
が変異しているFc領域である、〔43〕に記載のポリペプチド会合体。
〔46〕 Fc領域が配列番号:23に記載のFc領域を構成するアミノ酸が変異しているFc領域であることを特徴とする、〔45〕に記載のポリペプチド会合体。
〔47〕 Fc領域を構成するアミノ酸のうちEUナンバリングに従って特定される下記のいずれかのアミノ酸;
233位、234位、235位、236位、237位、327位、330位、331位、
が対応するIgG2またはIgG4においてそのEUナンバリングが対応するアミノ酸に置換されたFc領域である、〔46〕に記載のポリペプチド会合体。
〔48〕 Fc領域を構成するアミノ酸のうちEUナンバリングに従って特定される下記のいずれかのアミノ酸;
234位、235位、297位、
が変異しているFc領域であることを特徴とする、〔46〕に記載のポリペプチド会合体。
〔49〕 234位のアミノ酸がアラニン、235位のアミノ酸がアラニン、及び/又は、297位のアミノ酸がアラニンに変異していることを特徴とする、〔48〕に記載のポリペプチド会合体。
〔50〕 Fc領域を構成する二つのポリペプチドの配列が互いに異なる配列を有することを特徴とする、〔43〕から〔49〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体。
〔51〕 Fc領域を構成する二つのポリペプチドの一方のポリペプチドのアミノ酸残基のうちEUナンバリングに従って特定される349位のアミノ酸がシステイン、366位のアミノ酸がトリプトファンに、他方のポリペプチドのアミノ酸残基のうちEUナンバリングに従って特定される356位のアミノ酸がシステイン、366位のアミノ酸がセリンに、368位のアミノ酸がアラニンに、407位のアミノ酸がバリンに変異していることを特徴とする、〔1〕から〔50〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体。
〔52〕 Fc領域を構成する二つのポリペプチドの一方のポリペプチドのアミノ酸残基のうちEUナンバリングに従って特定される356位のアミノ酸がリジンに、他方のポリペプチドのアミノ酸残基のうちEUナンバリングに従って特定される439位のアミノ酸がグルタミン酸に変異し、いずれか一方のポリペプチドのアミノ酸残基のうちEUナンバリングに従って特定される435位のアミノ酸がアルギニンに変異していることを特徴とする、〔1〕から〔50〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体。
〔53〕 Fc領域を構成する二つのポリペプチドのカルボキシ末端に存在する配列GKが欠失していることを特徴とする、〔51〕又は〔52〕に記載のポリペプチド会合体。
〔54〕 抗原結合ドメインが同一のエピトープに結合する、〔1〕から〔53〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体。
〔55〕 同一のエピトープが配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質中に存在する、〔54〕に記載のポリペプチド会合体。
〔56〕 同一のエピトープが配列番号:4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質中に存在する、〔54〕に記載のポリペプチド会合体。
〔57〕 抗原結合ドメインが互いに異なるエピトープに結合する、〔1〕から〔53〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体。
〔58〕 異なるエピトープが配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質中に存在する、〔57〕に記載のポリペプチド会合体。
〔59〕 異なるエピトープが配列番号:4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質中に存在する、〔57〕に記載のポリペプチド会合体。
〔60〕 〔1〕から〔59〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体をコードするポリヌクレオチド
〔61〕 〔60〕に記載のポリヌクレオチドを含むベクター
〔62〕 〔61〕に記載のベクターを保持する細胞。
〔63〕 〔62〕に記載の細胞を培養し培養上清からポリペプチド会合体を回収することを含むポリペプチド会合体の製造方法。
〔64〕 〔1〕から〔59〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体を有効成分として含む細胞傷害誘導治療剤。
〔65〕 細胞傷害誘導治療剤が癌治療剤である、〔64〕に記載の治療剤。
〔66〕 癌が肝癌又は肺癌である、〔65〕に記載の治療剤。
〔67〕 〔1〕から〔59〕のいずれかに記載のポリペプチド会合体を治療が必要な患者に投与することを特徴とする、癌の治療又は予防方法
〔68〕 癌が肝癌又は肺癌である、〔67〕に記載の治療又は予防方法。

0013

また本発明は、本発明のポリペプチド会合体または本発明の製造方法により製造されたポリペプチド会合体を含む、本発明の方法に用いるためのキットに関する。また本発明は、本発明のポリペプチド会合体もしくは本発明の製造方法により製造されたポリペプチド会合体の、細胞傷害誘導治療剤の製造における使用に関する。また本発明は、本発明の方法に使用するための、本発明のポリペプチド会合体または本発明の製造方法により製造されたポリペプチド会合体に関する。

発明の効果

0014

本発明によって、BiTEが持つ強い抗腫瘍活性と、癌抗原非依存的にサイトカインストームなどを誘導しないという安全性上の優れた性質が維持され、かつ長い血中半減期を持つ新たなポリペプチド会合体が提供された。本発明のポリペプチド会合体における抗原結合ドメインを置換することにより、当該ポリペプチド会合体を有効成分として含む細胞傷害誘導治療剤が癌細胞を含む様々な細胞を標的として細胞傷害をもたらし、様々な癌を治療又は予防することができる。患者にとっても、安全性が高いばかりでなく、身体的負担が少なく利便性も高いという、望ましい治療ができるようになる。

図面の簡単な説明

0015

GPC3ERY1(GPC3 BiTE)、GPC3 ERY2、IgG型GPC3抗体の細胞傷害活性の比較を表すグラフである。黒四角(■)はGPC3 ERY1(GPC3 BiTE)、黒三角(▲)はGPC3 ERY2、白四角(□)はIgG型GPC3抗体の細胞傷害活性をそれぞれ表す。
GPC3 BiTE、GPC3 ERY5の細胞傷害活性の比較を表すグラフである。黒四角(■)はGPC3 BiTE、白丸(○)はGPC3 ERY5の細胞傷害活性をそれぞれ表す。
GPC3 BiTE、GPC3 ERY6の細胞傷害活性の比較を表すグラフである。黒四角(■)はGPC3 BiTE、黒三角(▲)はGPC3 ERY6の細胞傷害活性をそれぞれ表す。
GPC3 BiTE、GPC3 ERY7の細胞傷害活性の比較を表すグラフである。黒四角(■)はGPC3 BiTE、黒菱(◆)はGPC3 ERY7の細胞傷害活性をそれぞれ表す。
GPC3 BiTE、GPC3 ERY8-2、GPC3 ERY9-1、GPC3 ERY10-1の細胞傷害活性の比較を表すグラフである。黒四角(■)はGPC3 BiTE、黒三角(▲)はGPC3 ERY8-2、白丸(○)はGPC3 ERY9-1、白四角(□)はGPC3 ERY10-1の細胞傷害活性をそれぞれ表す。
PC-10 pre-mixモデルにおけるGPC3 ERY8-2のin vivo抗腫瘍効果を表すグラフである。白四角(□)はGPC3 ERY7投与群腫瘍体積の変化を表す。黒菱(◆)は対照群PBS投与)の腫瘍体積の変化を表す。
PC-10 pre-mixモデルにおけるGPC3 ERY10-1のin vivo抗腫瘍効果を表すグラフである。白四角(□)はGPC3 ERY10-1投与群の腫瘍体積の変化を表す。黒菱(◆)は対照群(PBS投与)の腫瘍体積の変化を表す。
PC-10 T細胞移入モデルにおけるGPC3 ERY10-1のin vivo抗腫瘍効果を表すグラフである。白四角(□)はGPC3 ERY10-1投与群の腫瘍体積の変化を表す。黒菱(◆)は対照群(PBS投与)の腫瘍体積の変化を表す。
GPC3発現Ba/F3細胞を用いて測定したGPC3 ERY9-1及びGPC3 ERY10-1の血漿中濃度推移を表すグラフである。黒菱(◆)はGPC3 ERY9-1、白四角(□)はGPC3 ERY10-1の血漿中濃度の推移を表す。
CD3発現Ba/F3細胞を用いて測定したGPC3 ERY9-1及びGPC3 ERY10-1の血漿中濃度の推移を表すグラフである。黒菱(◆)はGPC3 ERY9-1、白四角(□)はGPC3 ERY10-1の血漿中濃度の推移を表す。
GPC3 BiTE、GPC3 ERY9-1、GPC3 ERY10-1、GPC3 ERY15-1、及びcatumaxomabによる癌抗原非依存的なサイトカイン誘導能の評価を示すグラフである。
GPC3 ERY18 L1、GPC3 ERY18L2、GPC3 ERY18L3、GPC3 ERY18L4、GPC3 ERY18S1のin vitro細胞傷害活性を示すグラフである。黒三角(▲)はGPC3 ERY18 L1、黒丸(●)はGPC3 ERY18 L2、黒四角(■)はGPC3 ERY18 L3、白四角(□)はGPC3 ERY18 L4、白菱(◇)はGPC3 ERY18 S1の細胞傷害活性を表す。
GPC3 ERY18 L3とGPC3 ERY10-1のin vitro細胞傷害活性の比較を表すグラフである。黒四角(■)はGPC3 ERY18 L3、白四角(□)はGPC3 ERY10-1の細胞傷害活性を表す。
GPC3 ERY19-3とGPC3 BiTEのin vitro細胞傷害活性の比較を表すグラフである。白四角(□)はGPC3 ERY19-3、黒四角(■)はGPC3 BiTEの細胞傷害活性を表す。
A.NTA1L/NTA1R/GC33-k0を発現させたCMのサイズ排除クロマトグラフィー分析の結果を表すクロマトグラムである。B.NTA2L/NTA2R/GC33-k0を発現させたCMのサイズ排除クロマトグラフィー分析の結果を表すクロマトグラムである。
本願明細書の実施例に記載されるポリペプチド会合体であるGPC3 BiTE、GPC3 ERY2、GPC3 ERY5、GPC3 ERY6、GPC3 ERY7、GPC3 ERY8-2、GPC3 ERY9-1、GPC3 ERY 10-1、GPC3 ERY15、GPC3 ERY18、およびGPC3 ERY19-3を構成する各ドメインの表示である;交差線で表されるドメインは抗癌抗原(GPC3、EpCAM、EGFR抗体H鎖可変領域、斜線で表されるドメインは抗癌抗原(GPC3、EpCAM、EGFR)抗体L鎖可変領域、点線で表されるドメインは抗CD3抗体H鎖可変領域、黒塗りで表されるドメインは抗CD3抗体L鎖可変領域、白塗りで表されるドメインは抗体定常領域クロス字はサイレントFc変異、星印はヘテロFcを会合化させる変異、をそれぞれ表す。
A:GPC3 BiTEの模式図、B:GPC3 ERY 10の模式図、C:GPC3 ERY2の模式図、D:GPC3 ERY5の模式図、E:GPC3 ERY6の模式図、F:GPC3 ERY7の模式図、G:GPC3 ERY8-2の模式図、H:GPC3 ERY9-1の模式図、I:GPC3 ERY10-1の模式図、J:GPC3 ERY15の模式図、K:GPC3 ERY18の模式図、L:GPC3 ERY19-3の模式図、を示す。
IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4のFc領域を構成するアミノ酸残基と、kabatのEUナンバリング(本明細書においてEU INDEXとも呼ばれる)との関係を表す。
本願明細書の実施例に記載されるポリペプチド会合体であるGPC3 ERY17-2、GPC3 ERY17-3、EpCAM ERY17-2、およびEpCAM ERY17-3を構成する各ドメインの表示である;交差線で表されるドメインは抗癌抗原(GPC3、EpCAM、EGFR)抗体H鎖可変領域、斜線で表されるドメインは抗癌抗原(GPC3、EpCAM、EGFR)抗体L鎖可変領域、点線で表されるドメインは抗CD3抗体H鎖可変領域、黒塗りで表されるドメインは抗CD3抗体L鎖可変領域、白塗りで表されるドメインは抗体定常領域、クロス字はサイレントFc変異、星印はヘテロFcを会合化させる変異、をそれぞれ表す。
GPC3 BiTE、GPC3 ERY17-2、GPC3 ERY17-3、GPC3 ERY10-1の細胞傷害活性の比較を表すグラフである。黒四角(■)はGPC3 BiTE、黒三角(▲)はGPC3 ERY17-2、白丸(○)はGPC3 ERY17-3、白四角(□)はGPC3 ERY10-1の細胞傷害活性をそれぞれ表す。
PC-10 T細胞移入モデルにおけるGPC3 ERY17-2のin vivo抗腫瘍効果を表すグラフである。白四角(□)はGPC3 ERY17-2投与群の腫瘍体積の変化を表す。黒菱(◆)は対照群(PBS投与)の腫瘍体積の変化を表す。
GPC3 ERY17-2、GPC3 ERY17-2-M20の細胞傷害活性の比較を表すグラフである。黒三角(▲)はGPC3 ERY17-2、白丸(○)はGPC3 ERY17-2-M20の細胞傷害活性をそれぞれ表す。
EpCAM ERY17-2、EpCAM ERY17-3の細胞傷害活性の比較を表すグラフである。黒三角(▲)はEpCAM ERY17-2、白四角(□)はEpCAM ERY17-3の細胞傷害活性をそれぞれ表す。
本願明細書の実施例に記載されるポリペプチド会合体であるGM1又はGM2、およびGM0を構成する各ドメインの表示である。CH1/CL界面会合制御が導入され、さらにKnob into Hole (KiH)の改変が導入されたポリペプチド会合体をA、CH1/CL界面会合制御もKiHも導入されていないポリペプチド会合体をBとして示した;交差線で表されるドメインは抗癌抗原(GPC3, EpCAM)抗体H鎖可変領域、斜線で表されるドメインは抗癌抗原(GPC3, EpCAM)抗体L鎖可変領域、点線で表されるドメインは抗CD3抗体H鎖可変領域、黒塗りで表されるドメインは抗CD3抗体L鎖可変領域、白塗りで表されるドメインは抗体定常領域、クロス字はサイレントFc変異、星印はヘテロFcを会合化させる変異、中空円はCH1/CL界面会合制御が導入された変異、をそれぞれ表す。
GM1、GM2、GM0の細胞傷害活性の比較を表すグラフである。黒三角(▲)はGM1、白四角(□)はGM2、白丸(○)はGM0の細胞傷害活性をそれぞれ表す。
EGFR ERY17-2の細胞傷害活性を表すグラフである。黒三角(▲)はEGFR ERY17-2の細胞傷害活性を表す。

0016

以下の定義は、本明細書において説明する本発明の理解を容易にするために提供される。

0017

抗体
本明細書において、抗体とは、天然のものであるかまたは部分的もしくは完全合成により製造された免疫グロブリンをいう。抗体はそれが天然に存在する血漿血清等の天然資源や抗体を産生するハイブリドーマ細胞の培養上清から単離され得るし、または遺伝子組換え等の手法を用いることによって部分的にもしくは完全に合成され得る。抗体の例としては免疫グロブリンのアイソタイプおよびそれらのアイソタイプのサブクラスが好適に挙げられる。ヒトの免疫グロブリンとして、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgDIgEIgMの9種類のクラス(アイソタイプ)が知られている。本発明の抗体には、これらのアイソタイプのうちIgG1、IgG2、IgG3、IgG4が含まれ得る。

0018

所望の結合活性を有する抗体を作製する方法は当業者において公知である。以下に、GPIアンカー型受容体ファミリーに属する、GPC3(Int J Cancer. (2003) 103 (4), 455-65)に結合する抗体(抗GPC3抗体)を作製する方法が例示される。GPC3以外の抗原に結合する抗体も下記の例示に準じて適宜作製され得る。

0019

抗GPC3抗体は、公知の手段を用いてポリクローナルまたはモノクローナル抗体として取得され得る。抗GPC3抗体としては、哺乳動物由来のモノクローナル抗体が好適に作製され得る。哺乳動物由来のモノクローナル抗体には、ハイブリドーマにより産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクター形質転換した宿主細胞によって産生されるもの等が含まれる。

0020

モノクローナル抗体産生ハイブリドーマは、公知技術を使用することによって、例えば以下のように作製され得る。すなわち、GPC3タンパク質を感作抗原として使用して、通常の免疫方法にしたがって哺乳動物が免疫される。得られる免疫細胞が通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合される。次に、通常のスクリーニング法によって、モノクローナル抗体産生細胞スクリーニングすることによって抗GPC3抗体を産生するハイブリドーマが選択され得る。

0021

具体的には、モノクローナル抗体の作製は例えば以下に示すように行われる。まず、RefSeq登録番号NM_001164617.1(配列番号:1)にそのヌクレオチド配列が開示されたGPC3遺伝子を発現することによって、抗体取得の感作抗原として使用されるRefSeq登録番号NP_001158089.1(配列番号:2)で表されるGPC3タンパク質が取得され得る。すなわち、GPC3をコードする遺伝子配列を公知の発現ベクターに挿入することによって適当な宿主細胞が形質転換される。当該宿主細胞中または培養上清中から所望のヒトGPC3タンパク質が公知の方法で精製される。培養上清中から可溶型のGPC3を取得するためには、例えば、配列番号:2で表されるGPC3ポリペプチド配列のうち、GPC3が細胞膜上に係留されるために用いられるGPIアンカー配列に相当する疎水性領域を構成する564-580アミノ酸を欠失したタンパク質が配列番号:2で表されるGPC3タンパク質の代わりに発現される。また、精製した天然のGPC3タンパク質もまた同様に感作抗原として使用され得る。

0022

哺乳動物に対する免疫に使用する感作抗原として当該精製GPC3タンパク質が使用できる。GPC3の部分ペプチドもまた感作抗原として使用できる。この際、該部分ペプチドはヒトGPC3のアミノ酸配列より化学合成によっても取得され得る。また、GPC3遺伝子の一部を発現ベクターに組込んで発現させることによっても取得され得る。さらにはタンパク質分解酵素を用いてGPC3タンパク質を分解することによっても取得され得るが、部分ペプチドとして用いるGPC3ペプチドの領域および大きさは特に特別の態様に限定されない。好ましい領域は配列番号:2のアミノ酸配列において564-580アミノ酸に相当するアミノ酸配列から任意の配列が選択され得る。感作抗原とするペプチドを構成するアミノ酸の数は少なくとも5以上、例えば6以上、或いは7以上であることが好ましい。より具体的には8〜50、好ましくは10〜30残基のペプチドが感作抗原として使用され得る。

0023

また、GPC3タンパク質の所望の部分ポリペプチドやペプチドを異なるポリペプチドと融合した融合タンパク質が感作抗原として利用され得る。感作抗原として使用される融合タンパク質を製造するために、例えば、抗体のFc断片ペプチドタグなどが好適に利用され得る。融合タンパク質を発現するベクターは、所望の二種類又はそれ以上のポリペプチド断片をコードする遺伝子がインフレームで融合され、当該融合遺伝子が前記のように発現ベクターに挿入されることにより作製され得る。融合タンパク質の作製方法はMolecular Cloning 2nd ed. (Sambrook,J et al., Molecular Cloning 2nd ed., 9.47-9.58(1989)Cold Spring Harbor Lab. press)に記載されている。感作抗原として用いられるGPC3の取得方法及びそれを用いた免疫方法は、WO2003/000883、WO2004/022754、WO2006/006693等にも具体的に記載されている。

0024

該感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特定の動物に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましい。一般的にはげ歯類の動物、例えば、マウスラットハムスター、あるいはウサギサル等が好適に使用される。

0025

公知の方法にしたがって上記の動物が感作抗原により免疫される。例えば、一般的な方法として、感作抗原が哺乳動物の腹腔内または皮下に注射によって投与されることにより免疫が実施される。具体的には、PBS(Phosphate-Buffered Saline)や生理食塩水等で適当な希釈倍率希釈された感作抗原が、所望により通常のアジュバント、例えばフロイント完全アジュバントと混合され、乳化された後に、該感作抗原が哺乳動物に4から21日毎に数回投与される。また、感作抗原の免疫時には適当な担体が使用され得る。特に分子量の小さい部分ペプチドが感作抗原として用いられる場合には、アルブミンキーホールリンペットヘモシアニン等の担体タンパク質と結合した該感作抗原ペプチドを免疫することが望ましい場合もある。

0026

また、所望の抗体を産生するハイブリドーマは、DNA免疫を使用し、以下のようにしても作製され得る。DNA免疫とは、免疫動物中で抗原タンパク質をコードする遺伝子が発現され得るような態様で構築されたベクターDNAが投与された当該免疫動物中で、感作抗原が当該免疫動物の生体内で発現されることによって、免疫刺激が与えられる免疫方法である。蛋白質抗原が免疫動物に投与される一般的な免疫方法と比べて、DNA免疫には、次のような優位性が期待される。
−GPC3のような膜蛋白質の構造を維持して免疫刺激が与えられ得る
免疫抗原を精製する必要が無い

0027

DNA免疫によって本発明のモノクローナル抗体を得るために、まず、GPC3タンパク質を発現するDNAが免疫動物に投与される。GPC3をコードするDNAは、PCRなどの公知の方法によって合成され得る。得られたDNAが適当な発現ベクターに挿入され、免疫動物に投与される。発現ベクターとしては、たとえばpcDNA3.1などの市販の発現ベクターが好適に利用され得る。ベクターを生体に投与する方法として、一般的に用いられている方法が利用され得る。たとえば、発現ベクターが吸着した金粒子が、gene gunで免疫動物個体の細胞内に導入されることによってDNA免疫が行われる。さらに、GPC3を認識する抗体の作製は国際公開WO2003/104453に記載された方法を用いても作製され得る。

0028

このように哺乳動物が免疫され、血清中におけるGPC3に結合する抗体力価の上昇が確認された後に、哺乳動物から免疫細胞が採取され、細胞融合に供される。好ましい免疫細胞としては、特に脾細胞が使用され得る。

0029

前記免疫細胞と融合される細胞として、哺乳動物のミエローマ細胞が用いられる。ミエローマ細胞は、スクリーニングのための適当な選択マーカーを備えていることが好ましい。選択マーカーとは、特定の培養条件の下で生存できる(あるいはできない)形質を指す。選択マーカーには、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損(以下HGPRT欠損と省略する)、あるいはチミジンキナーゼ欠損(以下TK欠損と省略する)などが公知である。HGPRTやTKの欠損を有する細胞は、ヒポキサンチン−アミノプテリンチミジン感受性(以下HAT感受性と省略する)を有する。HAT感受性の細胞はHAT選択培地中でDNA合成を行うことができず死滅するが、正常な細胞と融合すると正常細胞のサルベージ回路を利用してDNAの合成を継続することができるためHAT選択培地中でも増殖するようになる。

0030

HGPRT欠損やTK欠損の細胞は、それぞれ6チオグアニン、8アザグアニン(以下8AGと省略する)、あるいは5'ブロモデオキシウリジンを含む培地で選択され得る。これらのピリミジンアナログをDNA中に取り込む正常な細胞は死滅する。他方、これらのピリミジンアナログを取り込めないこれらの酵素を欠損した細胞は、選択培地の中で生存することができる。この他G418耐性と呼ばれる選択マーカーは、ネオマイシン耐性遺伝子によって2-デオキシストレプタミン系抗生物質ゲンタマイシン類似体)に対する耐性を与える。細胞融合に好適な種々のミエローマ細胞が公知である。

0031

このようなミエローマ細胞として、例えば、P3(P3x63Ag8.653)(J. Immunol.(1979)123 (4), 1548-1550)、P3x63Ag8U.1(Current Topics in Microbiology and Immunology(1978)81, 1-7)、NS-1(C. Eur. J. Immunol.(1976)6 (7), 511-519)、MPC-11(Cell(1976)8 (3), 405-415)、SP2/0(Nature(1978)276 (5685), 269-270)、FO(J. Immunol. Methods(1980)35 (1-2), 1-21)、S194/5.XX0.BU.1(J. Exp. Med.(1978)148 (1), 313-323)、R210(Nature(1979)277 (5692), 131-133)等が好適に使用され得る。

0032

基本的には公知の方法、たとえば、ケーラーミルステインらの方法(MethodsEnzymol.(1981)73, 3-46)等に準じて、前記免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合が行われる。
より具体的には、例えば細胞融合促進剤の存在下で通常の栄養培養液中で、前記細胞融合が実施され得る。融合促進剤としては、例えばポリエチレングリコール(PEG)、センダイウイルスHVJ)等が使用され、更に融合効率を高めるために所望によりジメチルスルホキシド等の補助剤が添加されて使用される。

0033

免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合は任意に設定され得る。例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細胞を1から10倍とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRPMI1640培養液、MEM培養液、その他、この種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用され、さらに、牛胎児血清FCS)等の血清補液が好適に添加され得る。

0034

細胞融合は、前記免疫細胞とミエローマ細胞との所定量を前記培養液中でよく混合し、予め37℃程度に加温されたPEG溶液(例えば平均分子量1000から6000程度)が通常30から60%(w/v)の濃度で添加される。混合液が緩やかに混合されることによって所望の融合細胞(ハイブリドーマ)が形成される。次いで、上記に挙げた適当な培養液が逐次添加され、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等が除去され得る。

0035

このようにして得られたハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えばHAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択され得る。所望のハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間(通常、係る十分な時間は数日から数週間である)上記HAT培養液を用いた培養が継続され得る。次いで、通常の限界希釈法によって、所望の抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよび単一クローニングが実施される。

0036

このようにして得られたハイブリドーマは、細胞融合に用いられたミエローマが有する選択マーカーに応じた選択培養液を利用することによって選択され得る。例えばHGPRTやTKの欠損を有する細胞は、HAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択され得る。すなわち、HAT感受性のミエローマ細胞を細胞融合に用いた場合、HAT培養液中で、正常細胞との細胞融合に成功した細胞が選択的に増殖し得る。所望のハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間、上記HAT培養液を用いた培養が継続される。具体的には、一般に、数日から数週間の培養によって、所望のハイブリドーマが選択され得る。次いで、通常の限界希釈法によって、所望の抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよび単一クローニングが実施され得る。

0037

所望の抗体のスクリーニングおよび単一クローニングが、公知の抗原抗体反応に基づくスクリーニング方法によって好適に実施され得る。例えば、GPC3に結合するモノクローナル抗体は、細胞表面に発現したGPC3に結合することができる。このようなモノクローナル抗体は、たとえば、FACS(fluorescence activated cell sorting)によってスクリーニングされ得る。FACSは、蛍光抗体と接触させた細胞をレーザー光解析し、個々の細胞が発する蛍光を測定することによって細胞表面への抗体の結合を測定することを可能にするシステムである。

0038

FACSによって本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングするためには、まずGPC3を発現する細胞を調製する。スクリーニングのための好ましい細胞は、GPC3を強制発現させた哺乳動物細胞である。宿主細胞として使用した形質転換されていない哺乳動物細胞を対照として用いることによって、細胞表面のGPC3に対する抗体の結合活性が選択的に検出され得る。すなわち、宿主細胞に結合せず、GPC3強制発現細胞に結合する抗体を産生するハイブリドーマを選択することによって、GPC3モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマが取得され得る。

0039

あるいは固定化したGPC3発現細胞に対する抗体の結合活性がELISA原理に基づいて評価され得る。たとえば、ELISAプレートウェルにGPC3発現細胞が固定化される。ハイブリドーマの培養上清をウェル内の固定化細胞に接触させ、固定化細胞に結合する抗体が検出される。モノクローナル抗体がマウス由来の場合、細胞に結合した抗体は、抗マウスイムノグロブリン抗体によって検出され得る。これらのスクリーニングによって選択された、抗原に対する結合能を有する所望の抗体を産生するハイブリドーマは、限界希釈法等によりクローニングされ得る。

0040

このようにして作製されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは通常の培養液中で継代培養され得る。また、該ハイブリドーマは液体窒素中で長期にわたって保存され得る。

0041

当該ハイブリドーマを通常の方法に従い培養し、その培養上清から所望のモノクローナル抗体が取得され得る。あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物に投与して増殖せしめ、その腹水からモノクローナル抗体が取得され得る。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに好適なものである。

0042

当該ハイブリドーマ等の抗体産生細胞からクローニングされる抗体遺伝子によってコードされる抗体も好適に利用され得る。クローニングした抗体遺伝子を適当なベクターに組み込んで宿主に導入することによって、当該遺伝子によってコードされる抗体が発現する。抗体遺伝子の単離と、ベクターへの導入、そして宿主細胞の形質転換のための方法は例えば、Vandammeらによって既に確立されている(Eur.J. Biochem.(1990)192 (3), 767-775)。下記に述べるように組換え抗体の製造方法もまた公知である。

0043

たとえば、抗GPC3抗体を産生するハイブリドーマ細胞から、抗GPC3抗体の可変領域(V領域)をコードするcDNAが取得される。そのために、通常、まずハイブリドーマから全RNAが抽出される。細胞からmRNAを抽出するための方法として、たとえば次のような方法を利用することができる。
グアニジン超遠心法(Biochemistry (1979) 18 (24), 5294-5299)
−AGPC法(Anal. Biochem. (1987) 162 (1), 156-159)

0044

抽出されたmRNAは、mRNA Purification Kit (GEヘルスケアバイオサイエンス製)等を使用して精製され得る。あるいは、QuickPrep mRNA Purification Kit (GEヘルスケアバイオサイエンス製)などのように、細胞から直接全mRNAを抽出するためのキットも市販されている。このようなキットを用いて、ハイブリドーマからmRNAが取得され得る。得られたmRNAから逆転写酵素を用いて抗体V領域をコードするcDNAが合成され得る。cDNAは、AMV Reverse Transcriptase First-strand cDNA Synthesis Kit(生化学工業社製)等によって合成され得る。また、cDNAの合成および増幅のために、SMARTRACE cDNA増幅キット(Clontech製)およびPCRを用いた5’-RACE法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1988) 85 (23), 8998-9002、Nucleic AcidsRes. (1989) 17 (8), 2919-2932)が適宜利用され得る。更にこうしたcDNAの合成の過程においてcDNAの両末端に後述する適切な制限酵素サイトが導入され得る。

0045

得られたPCR産物から目的とするcDNA断片が精製され、次いでベクターDNAと連結される。このように組換えベクターが作製され、大腸菌等に導入されコロニーが選択された後に、該コロニーを形成した大腸菌から所望の組換えベクターが調製され得る。そして、該組換えベクターが目的とするcDNAの塩基配列を有しているか否かについて、公知の方法、例えば、ジデオキシヌクレオチドチェインターミネーション法等により確認される。

0046

可変領域をコードする遺伝子を取得するためには、可変領域遺伝子増幅用のプライマーを使った5’-RACE法を利用するのが簡便である。まずハイブリドーマ細胞より抽出されたRNAを鋳型としてcDNAが合成され、5’-RACE cDNAライブラリーが得られる。5’-RACE cDNAライブラリーの合成にはSMARTRACE cDNA増幅キットなど市販のキットが適宜用いられる。

0047

得られた5’-RACEcDNAライブラリーを鋳型として、PCR法によって抗体遺伝子が増幅される。公知の抗体遺伝子配列をもとにマウス抗体遺伝子増幅用のプライマーがデザインされ得る。これらのプライマーは、イムノグロブリンのサブクラスごとに異なる塩基配列である。したがって、サブクラスは予めIso Stripマウスモノクローナル抗体アイタイピングキット(ロシュダイアグスティックス)などの市販キットを用いて決定しておくことが望ましい。

0048

具体的には、たとえばマウスIgGをコードする遺伝子の取得を目的とするときには、重鎖としてγ1、γ2a、γ2b、γ3、軽鎖としてκ鎖λ鎖をコードする遺伝子の増幅が可能なプライマーが利用され得る。IgGの可変領域遺伝子を増幅するためには、一般に3'側のプライマーには可変領域に近い定常領域に相当する部分にアニールするプライマーが利用される。一方5'側のプライマーには、5’ RACEcDNAライブラリー作製キット付属するプライマーが利用される。

0049

こうして増幅されたPCR産物を利用して、重鎖と軽鎖の組み合せからなるイムノグロブリンが再構成され得る。再構成されたイムノグロブリンの、GPC3に対する結合活性を指標として、所望の抗体がスクリーニングされ得る。たとえばGPC3に対する抗体の取得を目的とするとき、抗体のGPC3への結合は、特異的であることがさらに好ましい。GPC3に結合する抗体は、たとえば次のようにしてスクリーニングされ得る;
(1)ハイブリドーマから得られたcDNAによってコードされるV領域を含む抗体をGPC3発現細胞に接触させる工程、
(2)GPC3発現細胞と抗体との結合を検出する工程、および
(3)GPC3発現細胞に結合する抗体を選択する工程。

0050

抗体とGPC3発現細胞との結合を検出する方法は公知である。具体的には、先に述べたFACSなどの手法によって、抗体とGPC3発現細胞との結合が検出され得る。抗体の結合活性を評価するためにGPC3発現細胞の固定標本が適宜利用され得る。

0051

結合活性を指標とする抗体のスクリーニング方法として、ファージベクターを利用したパニング法も好適に用いられる。ポリクローナルな抗体発現細胞群より抗体遺伝子を重鎖と軽鎖のサブクラスのライブラリーとして取得した場合には、ファージベクターを利用したスクリーニング方法が有利である。重鎖と軽鎖の可変領域をコードする遺伝子は、適当なリンカー配列で連結することによってシングルチェインFv(scFv)を形成することができる。scFvをコードする遺伝子をファージベクターに挿入することにより、scFvを表面に発現するファージが取得され得る。このファージと所望の抗原との接触の後に、抗原に結合したファージを回収することによって、目的の結合活性を有するscFvをコードするDNAが回収され得る。この操作を必要に応じて繰り返すことにより、所望の結合活性を有するscFvが濃縮され得る。

0052

目的とする抗GPC3抗体のV領域をコードするcDNAが得られた後に、当該cDNAの両末端に挿入した制限酵素サイトを認識する制限酵素によって該cDNAが消化される。好ましい制限酵素は、抗体遺伝子を構成する塩基配列に出現する頻度が低い塩基配列を認識して消化する。更に1コピー消化断片をベクターに正しい方向で挿入するためには、付着末端を与える制限酵素の挿入が好ましい。上記のように消化された抗GPC3抗体のV領域をコードするcDNAを適当な発現ベクターに挿入することによって、抗体発現ベクターが取得され得る。このとき、抗体定常領域(C領域)をコードする遺伝子と、前記V領域をコードする遺伝子とがインフレームで融合されれば、キメラ抗体が取得される。ここで、キメラ抗体とは、定常領域と可変領域の由来が異なることをいう。したがって、マウス−ヒトなどの異種キメラ抗体に加え、ヒト−ヒト同種キメラ抗体も、本発明におけるキメラ抗体に含まれる。予め定常領域を有する発現ベクターに、前記V領域遺伝子を挿入することによって、キメラ抗体発現ベクターが構築され得る。具体的には、たとえば、所望の抗体定常領域(C領域)をコードするDNAを保持した発現ベクターの5’側に、前記V領域遺伝子を消化する制限酵素の制限酵素認識配列が適宜配置され得る。同じ組み合わせの制限酵素で消化された両者がインフレームで融合されることによって、キメラ抗体発現ベクターが構築される。

0053

抗GPC3モノクローナル抗体を製造するために、抗体遺伝子が発現制御領域による制御の下で発現するように発現ベクターに組み込まれる。抗体を発現するための発現制御領域とは、例えば、エンハンサープロモーターを含む。また、発現した抗体が細胞外分泌されるように、適切なシグナル配列アミノ末端に付加され得る。後に記載される実施例ではシグナル配列として、アミノ酸配列MGWSCIILFLVATATGVHS(配列番号:72)を有するペプチドが使用されているが、これ以外にも適したシグナル配列が付加される。発現されたポリペプチドは上記配列のカルボキシル末端部分で切断され、切断されたポリペプチドが成熟ポリペプチドとして細胞外に分泌され得る。次いで、この発現ベクターによって適当な宿主細胞が形質転換されることによって、抗GPC3抗体をコードするDNAを発現する組換え細胞が取得され得る。

0054

抗体遺伝子の発現のために、抗体重鎖(H鎖)および軽鎖(L鎖)をコードするDNAは、それぞれ別の発現ベクターに組み込まれる。H鎖とL鎖が組み込まれたベクターによって、同じ宿主細胞に同時に形質転換(co-transfect)されることによって、H鎖とL鎖を備えた抗体分子が発現され得る。あるいはH鎖およびL鎖をコードするDNAが単一の発現ベクターに組み込まれることによって宿主細胞が形質転換され得る(国際公開WO 94/11523を参照のこと)。

0055

単離された抗体遺伝子を適当な宿主に導入することによって抗体を作製するための宿主細胞と発現ベクターの多くの組み合わせが公知である。これらの発現系は、いずれも本発明の抗原結合ドメインやCD3結合ドメインを単離するのに応用され得る。真核細胞が宿主細胞として使用される場合、動物細胞植物細胞、あるいは真菌細胞が適宜使用され得る。具体的には、動物細胞としては、次のような細胞が例示され得る。
(1)哺乳類細胞、:CHO、COS、ミエローマ、BHK(baby hamster kidney)、Hela、Veroなど
(2)両生類細胞:アフリカツメガエル卵母細胞など
(3)昆虫細胞:sf9、sf21、Tn5など

0056

あるいは植物細胞としては、ニコティアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)などのニコティアナ(Nicotiana)属由来の細胞による抗体遺伝子の発現系が公知である。植物細胞の形質転換には、カルス培養した細胞が適宜利用され得る。

0057

更に真菌細胞としては、次のような細胞を利用することができる。
酵母サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces serevisiae)などのサッカロミセス(Saccharomyces)属、メタノール資化酵母(Pichia pastoris)などのPichia属
糸状菌アススギルス・ニガー(Aspergillus niger)などのアスペルギルス(Aspergillus)属

0058

また、原核細胞を利用した抗体遺伝子の発現系も公知である。たとえば、細菌細胞を用いる場合、大腸菌(E. coli)、枯草菌などの細菌細胞が適宜利用され得る。これらの細胞中に、目的とする抗体遺伝子を含む発現ベクターが形質転換によって導入される。形質転換された細胞をin vitroで培養することにより、当該形質転換細胞培養物から所望の抗体が取得され得る。

0059

組換え抗体の産生には、上記宿主細胞に加えて、トランスジェニック動物も利用され得る。すなわち所望の抗体をコードする遺伝子が導入された動物から、当該抗体を得ることができる。例えば、抗体遺伝子は、乳汁中固有に産生されるタンパク質をコードする遺伝子の内部にインフレームで挿入することによって融合遺伝子として構築され得る。乳汁中に分泌されるタンパク質として、たとえば、ヤギβカゼインなどを利用され得る。抗体遺伝子が挿入された融合遺伝子を含むDNA断片はヤギの注入され、当該注入された胚が雌のヤギへ導入される。胚を受容したヤギから生まれるトランスジェニックヤギ(またはその子孫)が産生する乳汁からは、所望の抗体が乳汁タンパク質との融合タンパク質として取得され得る。また、トランスジェニックヤギから産生される所望の抗体を含む乳汁量を増加させるために、ホルモンがトランスジェニックヤギに対して投与され得る(Bio/Technology (1994), 12 (7), 699-702)。

0060

本明細書において記載されるポリペプチド会合体がヒトに投与される場合、当該会合体における抗原結合ドメインとして、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体由来の抗原結合ドメインが適宜採用され得る。遺伝子組換え型抗体には、例えば、ヒト化(Humanized)抗体等が含まれる。これらの改変抗体は、公知の方法を用いて適宜製造される。

0061

本明細書において記載されるポリペプチド会合体における抗原結合ドメインを作製するために用いられる抗体の可変領域は、通常、4つのフレームワーク領域(FR)にはさまれた3つの相補性決定領域(complementarity-determining region ;CDR)で構成されている。CDRは、実質的に、抗体の結合特異性を決定している領域である。CDRのアミノ酸配列は多様性富む。一方FRを構成するアミノ酸配列は、異なる結合特異性を有する抗体の間でも、高い同一性を示すことが多い。そのため、一般に、CDRの移植によって、ある抗体の結合特異性を、他の抗体に移植することができるとされている。

0062

ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称される。具体的には、ヒト以外の動物、たとえばマウス抗体のCDRをヒト抗体に移植したヒト化抗体などが公知である。ヒト化抗体を得るための一般的な遺伝子組換え手法も知られている。具体的には、マウスの抗体のCDRをヒトのFRに移植するための方法として、たとえばOverlap ExtensionPCRが公知である。Overlap Extension PCRにおいては、ヒト抗体のFRを合成するためのプライマーに、移植すべきマウス抗体のCDRをコードする塩基配列が付加される。プライマーは4つのFRのそれぞれについて用意される。一般に、マウスCDRのヒトFRへの移植においては、マウスのFRと同一性の高いヒトFRを選択するのが、CDRの機能の維持において有利であるとされている。すなわち、一般に、移植すべきマウスCDRに隣接しているFRのアミノ酸配列と同一性の高いアミノ酸配列からなるヒトFRを利用するのが好ましい。

0063

また連結される塩基配列は、互いにインフレームで接続されるようにデザインされる。それぞれのプライマーによってヒトFRが個別に合成される。その結果、各FRにマウスCDRをコードするDNAが付加された産物が得られる。各産物のマウスCDRをコードする塩基配列は、互いにオーバーラップするようにデザインされている。続いて、ヒト抗体遺伝子を鋳型として合成された産物のオーバーラップしたCDR部分を互いにアニールさせて相補鎖合成反応が行われる。この反応によって、ヒトFRがマウスCDRの配列を介して連結される。

0064

最終的に3つのCDRと4つのFRが連結されたV領域遺伝子は、その5'末端と3'末端にアニールし適当な制限酵素認識配列を付加されたプライマーによってその全長が増幅される。上記のように得られたDNAとヒト抗体C領域をコードするDNAとをインフレームで融合するように発現ベクター中に挿入することによって、ヒト型抗体発現用ベクターが作成できる。該組込みベクターを宿主に導入して組換え細胞を樹立した後に、該組換え細胞を培養し、該ヒト化抗体をコードするDNAを発現させることによって、該ヒト化抗体が該培養細胞の培養物中に産生される(欧州特許公開EP 239400、国際公開WO1996/002576参照)。

0065

上記のように作製されたヒト化抗体の抗原への結合活性を定性的又は定量的に測定し、評価することによって、CDRを介して連結されたときに該CDRが良好な抗原結合部位を形成するようなヒト抗体のFRが好適に選択できる。必要に応じ、再構成ヒト抗体のCDRが適切な抗原結合部位を形成するようにFRのアミノ酸残基を置換することもできる。たとえば、マウスCDRのヒトFRへの移植に用いたPCR法を応用して、FRにアミノ酸配列の変異を導入することができる。具体的には、FRにアニーリングするプライマーに部分的な塩基配列の変異を導入することができる。このようなプライマーによって合成されたFRには、塩基配列の変異が導入される。アミノ酸を置換した変異型抗体の抗原への結合活性を上記の方法で測定し評価することによって所望の性質を有する変異FR配列が選択され得る(Sato, K.et al., Cancer Res, 1993, 53, 851-856)。

0066

また、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物(国際公開WO1993/012227、WO1992/003918、WO1994/002602、WO1994/025585、WO1996/034096、WO1996/033735参照)を免疫動物とし、DNA免疫により所望のヒト抗体が取得され得る。

0067

さらに、ヒト抗体ライブラリーを用いて、パンニングによりヒト抗体を取得する技術も知られている。例えば、ヒト抗体のV領域が一本鎖抗体(scFv)としてファージディスプレイ法によりファージの表面に発現される。抗原に結合するscFvを発現するファージが選択され得る。選択されたファージの遺伝子を解析することにより、抗原に結合するヒト抗体のV領域をコードするDNA配列が決定できる。抗原に結合するscFvのDNA配列を決定した後、当該V領域配列を所望のヒト抗体C領域の配列とインフレームで融合させた後に適当な発現ベクターに挿入することによって発現ベクターが作製され得る。当該発現ベクターを上記に挙げたような好適な発現細胞中に導入し、該ヒト抗体をコードする遺伝子を発現させることにより当該ヒト抗体が取得される。これらの方法は既に公知である(国際公開WO1992/001047、WO1992/020791、WO1993/006213、WO1993/011236、WO1993/019172、WO1995/001438、WO1995/015388参照)。

0068

抗原結合ドメイン
本明細書において「抗原結合ドメイン」とは、抗原の一部または全部に特異的に結合し且つ相補的である領域を含んで成る抗体の部分をいう。抗原の分子量が大きい場合、抗体は抗原の特定部分にのみ結合することができる。当該特定部分はエピトープと呼ばれる。抗原結合ドメインは一または複数の抗体の可変ドメインより提供され得る。好ましくは、抗原結合ドメインは抗体軽鎖可変領域(VL)と抗体重鎖可変領域(VH)とを含む。こうした抗原結合ドメインの例としては、「scFv(single chain Fv)」、「単鎖抗体(single chain antibody)」、「Fv」、「scFv2(single chain Fv 2)」、「Fab」または「F(ab')2」等が好適に挙げられる。

0069

本発明のポリペプチド会合体における抗原結合ドメインは、同一のエピトープに結合することができる。ここで同一のエピトープは、配列番号:2あるいは配列番号:4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質中に存在することができる。あるいは本発明のポリペプチド会合体における抗原結合ドメインは、互いに異なるエピトープに結合することができる。ここで異なるエピトープは、配列番号:2あるいは配列番号:4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質中に存在することができる。

0070

特異的
特異的とは、特異的に結合する分子の一方の分子がその一または複数の結合する相手方の分子以外の分子に対しては何ら有意な結合を示さない状態をいう。また、抗原結合ドメインが、ある抗原中に含まれる複数のエピトープのうち特定のエピトープに対して特異的である場合にも用いられる。また、抗原結合ドメインが結合するエピトープが複数の異なる抗原に含まれる場合には、当該抗原結合ドメインを有するポリペプチド会合体は当該エピトープを含む様々な抗原と結合することができる。

0071

抗原
本明細書において抗原は特に限定されず、CD3を除きどのような抗原でもよい。抗原の例としては、例えば、受容体、癌抗原、MHC抗原、分化抗原等が好適に挙げられる。受容体の例としては、例えば、造血因子受容体ファミリー、サイトカイン受容体ファミリー、チロシンキナーゼ型受容体ファミリー、セリン/スレオニンキナーゼ型受容体ファミリー、TNF受容体ファミリー、Gタンパク質共役型受容体ファミリー、GPIアンカー型受容体ファミリー、チロシンホスファターゼ型受容体ファミリー、接着因子ファミリー、ホルモン受容体ファミリー、等の受容体ファミリーに属する受容体などを挙げることができる。これら受容体ファミリーに属する受容体、及びその特徴に関しては、多数の文献、例えば、Cooke BA., King RJB., van der Molen HJ. ed. New Comprehesive Biochemistry Vol.18B "Hormones and their Actions Part II"pp.1-46 (1988) Elsevier Science Publishers BV.、又は、昌之監修,細胞工学別冊ハンドブックシリーズ「接着因子ハンドブック」(1994) (秀潤社, 東京, 日本)等のレビューの他、Patthy(Cell (1990) 61 (1), 13-14)、Ullrichら(Cell (1990) 61 (2), 203-212)、Massague(eにはアキュート・アクセント記号が付く)(Cell (1992) 69 (6), 1067-1070)、Miyajimaら(Annu. Rev. Immunol. (1992) 10, 295-331)、Tagaら(FASEB J. (1992) 6, 3387-3396)、Fantlら(Annu. Rev. Biochem. (1993), 62, 453-481)、Smithら(Cell (1994) 76 (6) 959-962)、Flower DR. Biochim. Biophys. Acta, Flower(Biochim. Biophys. Acta (1999) 1422 (3) 207-234等に記載されている。

0072

上記受容体ファミリーに属する具体的な受容体としては、例えば、ヒト又はマウスエリスロポエチン(EPO)受容体(Blood (1990) 76 (1), 31-35、Cell (1989) 57 (2), 277-285)、ヒト又はマウス顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)受容体(Proc. Natl. Acad. Sci. USA. (1990) 87 (22), 8702-8706、mG-CSFR、Cell (1990) 61 (2), 341-350)、ヒト又はマウストロンボポイエチンTPO)受容体(Proc Natl Acad Sci U S A. (1992) 89 (12), 5640-5644、EMBO J. (1993) 12(7), 2645-53)、ヒト又はマウスインスリン受容体(Nature (1985) 313 (6005), 756-761)、ヒト又はマウスFlt-3リガンド受容体(Proc. Natl. Acad. Sci. USA. (1994) 91 (2), 459-463)、ヒト又はマウス血小板由来増殖因子(PDGF)受容体(Proc. Natl. Acad. Sci. USA. (1988) 85 (10) 3435-3439)、ヒト又はマウスインターフェロン(IFN)-α、β受容体(Cell (1990) 60 (2), 225-234.及びCell (1994) 77 (3), 391-400)、ヒト又はマウスレプチン受容体、ヒト又はマウス成長ホルモンGH)受容体、ヒト又はマウスインターロイキン(IL)-10受容体、ヒト又はマウスインスリン様増殖因子(IGF)-I受容体、ヒト又はマウス白血病抑制因子(LIF)受容体、ヒト又はマウス毛様体神経栄養因子(CNTF)受容体等が好適に例示される。

0073

癌抗原は細胞の悪性化に伴って発現する抗原であり、腫瘍特異性抗原とも呼ばれる。又、細胞が癌化した際に細胞表面やタンパク質分子上に現れる異常な糖鎖も癌抗原であり、癌糖鎖抗原とも呼ばれる。癌抗原の例としては、例えば、上記の受容体としてGPIアンカー型受容体ファミリーに属するが肝癌を初めとする幾つかの癌において発現しているGPC3(Int J Cancer. (2003) 103 (4), 455-65)、肺癌を初めとする複数の癌で発現するEpCAM(Proc Natl Acad Sci U S A. (1989) 86 (1), 27-31)(そのポリヌクレオチド配列はRefSeq登録番号NM_002354.2(配列番号:3)に、ポリペプチド配列はRefSeq登録番号NP_002345.2(配列番号:4)にそれぞれ記載されている。)、EGFR、CA19-9、CA15-3、シリアルSSEA-1(SLX)等が好適に挙げられる。

0074

MHC抗原は、主にMHC classI抗原とMHC classII抗原分類され、MHC class I抗原には、HLA-A、-B、-C、-E、-F、-G、-Hが含まれ、MHC class II抗原には、HLA-DR、-DQ、-DPが含まれる。

0075

分化抗原には、CD1、CD2、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8、CD10、CD11a、CD11b、CD11c、CD13、CD14、CD15s、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD23、CD25、CD28、CD29、CD30、CD32、CD33、CD34、CD35、CD38、CD40、CD41a、CD41b、CD42a、CD42b、CD43、CD44、CD45、CD45RO、CD48、CD49a、CD49b、CD49c、CD49d、CD49e、CD49f、CD51、CD54、CD55、CD56、CD57、CD58、CD61、CD62E、CD62L、CD62P、CD64、CD69、CD71、CD73、CD95、CD102、CD106、CD122、CD126、CDw130が含まれ得る。

0076

エピトープ
抗原中に存在する抗原決定基を意味するエピトープは、本明細書において開示されるポリペプチド会合体中の抗原結合ドメインが結合する抗原上の部位を意味する。よって、例えば、エピトープは、その構造によって定義され得る。また、当該エピトープを認識するポリペプチド会合体中の抗原に対する結合活性によっても当該エピトープが定義され得る。抗原がペプチド又はポリペプチドである場合には、エピトープを構成するアミノ酸残基によってエピトープを特定することも可能である。また、エピトープが糖鎖である場合には、特定の糖鎖構造によってエピトープを特定することも可能である。

0077

直線状エピトープは、アミノ酸一次配列が認識されたエピトープを含むエピトープである。直線状エピトープは、典型的には、少なくとも3つ、および最も普通には少なくとも5つ、例えば約8〜約10個、6〜20個のアミノ酸が固有の配列において含まれる。

0078

立体構造エピトープは、直線状エピトープとは対照的に、エピトープを含むアミノ酸の一次配列が、認識されたエピトープの単一の規定成分ではないエピトープ(例えば、アミノ酸の一次配列が、必ずしもエピトープを規定する抗体により認識されないエピトープ)である。立体構造エピトープは、直線状エピトープに対して増大した数のアミノ酸を包含するかもしれない。立体構造エピトープの認識に関して、抗体は、ペプチドまたはタンパク質の三次元構造を認識する。例えば、タンパク質分子が折り畳まれて三次元構造を形成する場合には、立体構造エピトープを形成するあるアミノ酸および/またはポリペプチド主鎖は、並列となり、抗体がエピトープを認識するのを可能にする。エピトープの立体構造を決定する方法には、例えばX線結晶学、二次元核磁気共鳴分光学並びに部位特異的なスピン標識および電磁常磁性共鳴分光学が含まれるが、これらには限定されない。例えば、Epitope MappingProtocols in Methodsin Molecular Biology (1996)、第66巻、Morris(編)を参照。

0079

下記にGPC3に対する抗原結合ドメインを含む被験ポリペプチド会合体によるエピトープへの結合の確認方法が例示されるが、GPC3以外の抗原に対する抗原結合ドメインを含む被験ポリペプチド会合体によるエピトープへの結合の確認方法も下記の例示に準じて適宜実施され得る。

0080

例えば、GPC3に対する抗原結合ドメインを含む被験ポリペプチド会合体が、GPC3分子中に存在する線状エピトープを認識することは、たとえば次のようにして確認することができる。上記の目的のためにGPC3の細胞外ドメインを構成するアミノ酸配列からなる線状のペプチドが合成される。当該ペプチドは、化学的に合成され得る。あるいは、GPC3のcDNA中の、細胞外ドメインに相当するアミノ酸配列をコードする領域を利用して、遺伝子工学的手法により得られる。次に、細胞外ドメインを構成するアミノ酸配列からなる線状ペプチドと、GPC3に対する抗原結合ドメインを含む被験ポリペプチド会合体との結合活性が評価される。たとえば、固定化された線状ペプチドを抗原とするELISAによって、当該ペプチドに対する当該ポリペプチド会合体の結合活性が評価され得る。あるいは、GPC3発現細胞に対する当該ポリペプチド会合体の結合における、線状ペプチドによる阻害のレベルに基づいて、線状ペプチドに対する結合活性が明らかにされ得る。これらの試験によって、線状ペプチドに対する当該ポリペプチド会合体の結合活性が明らかにされ得る。

0081

また、GPC3に対する抗原結合ドメインを含む被験ポリペプチド会合体が立体構造エピトープを認識することは、次のようにして確認され得る。上記の目的のために、GPC3を発現する細胞が調製される。GPC3に対する抗原結合ドメインを含む被験ポリペプチド会合体がGPC3発現細胞に接触した際に当該細胞に強く結合する一方で、当該ポリペプチド会合体が固定化されたGPC3の細胞外ドメインを構成するアミノ酸配列からなる線状ペプチドに対して実質的に結合しないとき等が挙げられる。ここで、実質的に結合しないとは、ヒトGPC3発現細胞に対する結合活性の80%以下、通常50%以下、好ましくは30%以下、特に好ましくは15%以下の結合活性をいう。

0082

GPC3に対する抗原結合ドメインを含む被験ポリペプチド会合体のGPC3発現細胞に対する結合活性を測定する方法としては、例えば、Antibodies A Laboratory Manual記載の方法(Ed Harlow, David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory (1988) 359-420)が挙げられる。即ち、GPC3発現細胞を抗原とするELISAやFACS(fluorescence activated cell sorting)の原理によって評価され得る。

0083

ELISAフォーマットにおいて、GPC3に対する抗原結合ドメインを含む被験ポリペプチド会合体のGPC3発現細胞に対する結合活性は、酵素反応によって生成するシグナルレベルを比較することによって定量的に評価される。すなわち、GPC3発現細胞を固定化したELISAプレートに被験ポリペプチド会合体を加え、細胞に結合した被験ポリペプチド会合体が、被験ポリペプチド会合体を認識する酵素標識抗体を利用して検出される。あるいはFACSにおいては、被験ポリペプチド会合体の希釈系列を作成し、GPC3発現細胞に対する抗体結合力価(titer)を決定することにより、GPC3発現細胞に対する被験ポリペプチド会合体の結合活性が比較され得る。

0084

緩衝液等に懸濁した細胞表面上に発現している抗原に対する被験ポリペプチド会合体の結合は、フローサイトメーターによって検出することができる。フローサイトメーターとしては、例えば、次のような装置が知られている。
FACSCantoTM II
FACSAriaTM
FACSArrayTM
FACSVantageTM SE
FACSCaliburTM (いずれもBD Biosciences社の商品名)
EPICSALTRA HyPerSort
Cytomics FC 500
EPICS XL-MCLADCEPICS XL ADC
Cell Lab Quanta / Cell Lab Quanta SC(いずれもBeckman Coulter社の商品名)

0085

例えば、GPC3に対する抗原結合ドメインを含む被験ポリペプチド会合体の抗原に対する結合活性の好適な測定方法の一例として、次の方法が挙げられる。まず、GPC3を発現する細胞と反応させた被験ポリペプチド会合体を認識するFITC標識した二次抗体で染色する。被験ポリペプチド会合体を適宜好適な緩衝液によって希釈することによって、当該会合体が所望の濃度に調製して用いられる。例えば、10μg/mlから10 ng/mlまでの間のいずれかの濃度で使用され得る。次に、FACSCalibur(BD社)により蛍光強度細胞数が測定される。当該細胞に対する抗体の結合量は、CELLQUEST Software(BD社)を用いて解析することにより得られた蛍光強度、すなわちGeometric Meanの値に反映される。すなわち、当該Geometric Meanの値を得ることにより、被験ポリペプチド会合体の結合量によって表される被験ポリペプチド会合体の結合活性が測定され得る。

0086

GPC3に対する抗原結合ドメインを含む被験ポリペプチド会合体が、あるポリペプチド会合体とエピトープを共有することは、両者の同じエピトープに対する競合によって確認され得る。ポリペプチド会合体間の競合は、交叉ブロッキングアッセイなどによって検出される。例えば競合ELISAアッセイは、好ましい交叉ブロッキングアッセイである。

0087

具体的には、交叉ブロッキングアッセイにおいては、マイクロタイタープレートのウェル上にコートしたGPC3タンパク質が、候補となる競合ポリペプチド会合体の存在下、または非存在下でプレインキュベートされた後に、被験ポリペプチド会合体が添加される。ウェル中のGPC3タンパク質に結合した被験ポリペプチド会合体の量は、同じエピトープへの結合に対して競合する候補となる競合ポリペプチド会合体の結合能に間接的に相関している。すなわち同一エピトープに対する競合ポリペプチド会合体の親和性が大きくなればなる程、被験ポリペプチド会合体のGPC3タンパク質をコートしたウェルへの結合活性は低下する。

0088

GPC3タンパク質を介してウェルに結合した被験ポリペプチド会合体の量は、予めポリペプチド会合体を標識しておくことによって、容易に測定され得る。たとえば、ビオチン標識されたポリペプチド会合体は、アビジンペルオキシダーゼコンジュゲートと適切な基質を使用することにより測定される。ペルオキシダーゼなどの酵素標識を利用した交叉ブロッキングアッセイは、特に競合ELISAアッセイといわれる。ポリペプチド会合体は、検出あるいは測定が可能な他の標識物質で標識され得る。具体的には、放射標識あるいは蛍光標識などが公知である。

0089

候補の競合ポリペプチド会合体の非存在下で実施されるコントロール試験において得られる結合活性と比較して、競合ポリペプチド会合体が、GPC3に対する抗原結合ドメインを含む被験ポリペプチド会合体の結合を少なくとも20%、好ましくは少なくとも20−50%、さらに好ましくは少なくとも50%ブロックできるならば、当該被験ポリペプチド会合体は競合ポリペプチド会合体と実質的に同じエピトープに結合するか、又は同じエピトープへの結合に対して競合するポリペプチド会合体である。

0090

GPC3に対する抗原結合ドメインを含む被験ポリペプチド会合体が結合するエピトープの構造が同定されている場合には、被験ポリペプチド会合体と対照ポリペプチド会合体とがエピトープを共有することは、当該エピトープを構成するペプチドにアミノ酸変異を導入したペプチドに対する両者のポリペプチド会合体の結合活性を比較することによって評価され得る。

0091

こうした結合活性を測定する方法としては、例えば、前記のELISAフォーマットにおいて変異を導入した線状のペプチドに対する被験ポリペプチド会合体及び対照ポリペプチド会合体の結合活性を比較することによって測定され得る。ELISA以外の方法としては、カラムに結合した当該変異ペプチドに対する結合活性を、当該カラムに被検ポリペプチド会合体と対照ポリペプチド会合体を流下させた後に溶出液中に溶出されるポリペプチド会合体を定量することによっても測定され得る。変異ペプチドを例えばGSTとの融合ペプチドとしてカラムに吸着させる方法は公知である。

0092

また、同定されたエピトープが立体エピトープの場合には、被験ポリペプチド会合体と対照ポリペプチド会合体とがエピトープを共有することは、次の方法で評価され得る。まず、GPC3を発現する細胞とエピトープに変異が導入されたGPC3を発現する細胞が調製される。これらの細胞がPBS等の適切な緩衝液に懸濁された細胞懸濁液に対して被験ポリペプチド会合体と対照ポリペプチド会合体が添加される。次いで、適宜緩衝液で洗浄された細胞懸濁液に対して、被験ポリペプチド会合体と対照ポリペプチド会合体を認識することができるFITC標識された抗体が添加される。標識抗体によって染色された細胞の蛍光強度と細胞数がFACSCalibur(BD社)によって測定される。被験ポリペプチド会合体と対照ポリペプチド会合体の濃度は好適な緩衝液によって適宜希釈することによって所望の濃度に調製して用いられる。例えば、10μg/mlから10 ng/mlまでの間のいずれかの濃度で使用される。当該細胞に対する標識抗体の結合量は、CELLQUEST Software(BD社)を用いて解析することにより得られた蛍光強度、すなわちGeometric Meanの値に反映される。すなわち、当該Geometric Meanの値を得ることにより、標識抗体の結合量によって表される被験ポリペプチド会合体と対照ポリペプチド会合体の結合活性を測定することができる。

0093

本方法において、例えば「変異GPC3発現細胞に実質的に結合しない」ことは、以下の方法によって判断することができる。まず、変異GPC3を発現する細胞に対して結合した被験ポリペプチド会合体と対照ポリペプチド会合体を、標識抗体で染色する。次いで細胞の蛍光強度を検出する。蛍光検出フローサイトメトリーとしてFACSCaliburを用いた場合、得られた蛍光強度はCELLQUEST Softwareを用いて解析され得る。ポリペプチド会合体存在下および非存在下でのGeometric Meanの値から、この比較値(ΔGeo-Mean)を下記の計算式に基づいて算出することにより、ポリペプチド会合体の結合による蛍光強度の増加割合を求めることができる。

0094

ΔGeo-Mean=Geo-Mean(ポリペプチド会合体存在下)/Geo-Mean(ポリペプチド会合体非存在下)

0095

解析によって得られる被験ポリペプチド会合体の変異GPC3発現細胞に対する結合量が反映されたGeometric Mean比較値(変異GPC3分子ΔGeo-Mean値)を、被験ポリペプチド会合体のGPC3発現細胞に対する結合量が反映されたΔGeo-Mean比較値と比較する。この場合において、変異GPC3発現細胞及びGPC3発現細胞に対するΔGeo-Mean比較値を求める際に使用する被験ポリペプチド会合体の濃度は互いに同一又は実質的に同一の濃度で調整されることが特に好ましい。予めGPC3中のエピトープを認識していることが確認されたポリペプチド会合体が、対照ポリペプチド会合体として利用される。

0096

被験ポリペプチド会合体の変異GPC3発現細胞に対するΔGeo-Mean比較値が、被験ポリペプチド会合体のGPC3発現細胞に対するΔGeo-Mean比較値の、少なくとも80%、好ましくは50%、更に好ましくは30%、特に好ましくは15%より小さければ、「変異GPC3発現細胞に実質的に結合しない」ものとする。Geo-Mean値(Geometric Mean)を求める計算式は、CELLQUEST Software User’s Guide(BD biosciences社)に記載されている。比較値を比較することによってそれが実質的に同視し得る程度であれば、被験ポリペプチド会合体と対照ポリペプチド会合体のエピトープは同一であると評価され得る。

0097

Fv(variable fragment)
本明細書において、「Fv(variable fragment)」という用語は、抗体の軽鎖可変領域(VL(light chain variable region))と抗体の重鎖可変領域(VH(heavy chain variable region))とのペアからなる抗体由来の抗原結合ドメインの最小単位を意味する。1988年にSkerraとPluckthunは、バクテリアのシグナル配列の下流に抗体の遺伝子を挿入し大腸菌中で当該遺伝子の発現を誘導することによって、均一でかつ活性を保持した状態で大腸菌のペリプラズム画分から調製されることを見出した(Science (1988) 240 (4855), 1038-1041)。ペリプラズム画分から調製されたFvは、抗原に対する結合を有する態様でVHとVLが会合していた。

0098

本明細書において、Fvとしては、例えば以下のポリペプチド会合体;
二価のscFvのうち一価のscFvがCD3結合ドメインを構成する重鎖Fv断片を介してFc領域を構成する一つのポリペプチドに、他方の一価のscFvがCD3結合ドメインを構成する軽鎖Fv断片を介してFc領域を構成する他方の一つのポリペプチドに連結された二価の抗原結合ドメインが二価のscFvである(1)二価の抗原結合ドメイン、(2)IgG1、IgG2a、IgG3又はIgG4のFc領域を構成するアミノ酸のうちFcγ受容体に対する結合活性を有しないFc領域を含むドメイン、及び、(3)少なくとも一価のCD3結合ドメイン、
を含むポリペプチド会合体等において軽鎖Fv断片及び重鎖Fv断片が、抗原であるCD3に対する結合を有する態様で会合しCD3結合ドメインを構成する一組のFvも好適に含まれる。

0099

scFv、単鎖抗体、またはsc(Fv)2
本明細書において、「scFv」、「単鎖抗体」、または「sc(Fv)2」という用語は、単一のポリペプチド鎖内に、重鎖および軽鎖の両方に由来する可変領域を含むが、定常領域を欠いている抗体断片を意味する。一般に、単鎖抗体は、抗原結合を可能にすると思われる所望の構造を形成するのを可能にする、VHドメインとVLドメインの間のポリペプチドリンカーをさらに含む。単鎖抗体は、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, 113巻, Rosenburg、及び、Moore編, Springer-Verlag, New York, 269〜315(1994)においてPluckthunによって詳細に考察されている。同様に、国際特許出願公開WO1988/001649および米国特許第4,946,778号および同第5,260,203号を参照。特定の態様において、単鎖抗体はまた、二重特異性であるか、かつ/またはヒト化され得る。

0100

scFvはFvを構成するVHとVLとがペプチドリンカーによって連結された抗原結合ドメインである(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1988) 85 (16), 5879-5883)。当該ペプチドリンカーによってVHとVLとが近接した状態に保持され得る。

0101

sc(Fv)2は二つのVLと二つのVHの4つの可変領域がペプチドリンカー等のリンカーによって連結され一本鎖を構成する単鎖抗体である(J Immunol. Methods(1999) 231 (1-2), 177-189)。この二つのVHとVLは異なるモノクローナル抗体から由来することもあり得る。例えば、Journal of Immunology (1994) 152 (11), 5368-5374に開示されるような同一抗原中に存在する二種類のエピトープを認識する二重特異性(bispecific sc(Fv)2)も好適に挙げられる。sc(Fv)2は、当業者に公知の方法によって作製され得る。例えば、scFvをペプチドリンカー等のリンカーで結ぶことによって作製され得る。

0102

本明細書におけるsc(Fv)2を構成する抗原結合ドメインの構成としては、二つのVH及び二つのVLが、一本鎖ポリペプチドN末端側を基点としてVH、VL、VH、VL([VH]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VL])の順に並んでいることを特徴とする抗体が挙げられるが、二つのVHと2つのVLの順序は特に上記の構成に限定されず、どのような順序で並べられていてもよい。例えば以下のような、順序の構成も挙げることができる。
[VL]リンカー[VH]リンカー[VH]リンカー[VL]
[VH]リンカー[VL]リンカー[VL]リンカー[VH]
[VH]リンカー[VH]リンカー[VL]リンカー[VL]
[VL]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VH]
[VL]リンカー[VH]リンカー[VL]リンカー[VH]

0103

sc(Fv)2の分子形態についてはWO2006/132352においても詳細に記載されており、当業者であればこれらの記載に基づいて、本明細書で開示されるポリペプチド会合体の作製のために適宜所望のsc(Fv)2を作製することが可能である。

0104

また本発明のポリペプチド会合体は、PEG等のキャリアー高分子抗がん剤等の有機化合物をコンジュゲートしてもよい。また糖鎖付加配列を挿入し、糖鎖が所望の効果を得ることを目的として好適に付加され得る。

0105

抗体の可変領域を結合するリンカーとしては、遺伝子工学により導入し得る任意のペプチドリンカー、又は合成化合物リンカー(例えば、Protein Engineering, 9 (3), 299-305, 1996参照)に開示されるリンカー等を用いることができるが、本発明においてはペプチドリンカーが好ましい。ペプチドリンカーの長さは特に限定されず、目的に応じて当業者が適宜選択することが可能であるが、好ましい長さは5アミノ酸以上(上限は特に限定されないが、通常、30アミノ酸以下、好ましくは20アミノ酸以下)であり、特に好ましくは15アミノ酸である。sc(Fv)2に3つのペプチドリンカーが含まれる場合には、全て同じ長さのペプチドリンカーを用いてもよいし、異なる長さのペプチドリンカーを用いてもよい。

0106

例えば、ペプチドリンカーの場合:
Ser
Gly・Ser
Gly・Gly・Ser
Ser・Gly・Gly
Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:5)
Ser・Gly・Gly・Gly(配列番号:6)
Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:7)
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号:8)
Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:9)
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号:10)
Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:11)
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号:12)
(Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:7))n
(Ser・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号:8))n
[nは1以上の整数である]等を挙げることができる。但し、ペプチドリンカーの長さや配列は目的に応じて当業者が適宜選択することができる。

0107

合成化学物リンカー(化学架橋剤)は、ペプチドの架橋に通常用いられている架橋剤、例えばN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、ジスクシンイミジルスベレート(DSS)、ビススルホスクシンイミジル)スベレート(BS3)、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(DSP)、ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)(DTSSP)、エチレングリコールビス(スクシンイミジルスクシネート)(EGS)、エチレングリコールビス(スルホスクシンイミジルスクシネート)(スルホ−EGS)、ジスクシンイミジル酒石酸塩(DST)、ジスルホスクシンイミジル酒石酸塩(スルホ−DST)、ビス[2-(スクシンイミドオキシカルボニルオキシエチルスルホンBSOCOES)、ビス[2-(スルホスクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(スルホ-BSOCOES)などであり、これらの架橋剤は市販されている。

0108

4つの抗体可変領域を結合する場合には、通常、3つのリンカーが必要となるが、全て同じリンカーを用いてもよいし、異なるリンカーを用いてもよい。

0109

Fab、F(ab’)2、またはFab’
「Fab」は、一本の軽鎖、ならびに一本の重鎖のCH1領域および可変領域から構成される。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とのジスルフィド結合を形成できない。

0110

「F(ab’)2」及び「Fab’」とは、イムノグロブリン(モノクローナル抗体)をタンパク質分解酵素であるペプシンあるいはパパイン等で処理することにより製造され、ヒンジ領域中の2本のH鎖間に存在するジスルフィド結合の前後で消化されて生成される抗体フラグメントを意味する。例えば、IgGをパパインで処理することにより、ヒンジ領域中の2本のH鎖間に存在するジスルフィド結合の上流で切断されてVL(L鎖可変領域)とCL(L鎖定常領域)からなるL鎖、及びVH(H鎖可変領域)とCHγ1(H鎖定常領域中のγ1領域)とからなるH鎖フラグメントC末端領域でジスルフィド結合により結合した相同な2つの抗体フラグメントが製造され得る。これら2つの相同な抗体フラグメントはそれぞれFab'といわれる。

0111

「F(ab’)2」は、二本の軽鎖、ならびに、鎖間のジスルフィド結合が2つの重鎖間で形成されるようにCH1ドメインおよびCH2ドメインの一部分の定常領域を含む二本の重鎖を含む。本明細書において開示されるポリペプチド会合体を構成するF(ab’)2は、所望の抗原結合ドメインを有する全長モノクローナル抗体等をペプシン等の蛋白質分解酵素にて部分消化した後に、Fc断片をプロテインAカラムに吸着させて除去することにより、好適に取得され得る。かかる蛋白質分解酵素としてはpH等の酵素の反応条件を適切に設定することにより制限的にF(ab’)2を生じるように全長抗体を消化し得るものであれば特段の限定はされず、例えば、ペプシンやフィシン等が例示できる。

0112

Fc領域
本明細書において開示されるポリペプチド会合体を構成するFc領域はモノクローナル抗体等の抗体をペプシン等の蛋白質分解酵素にて部分消化した後に、断片をプロテインAカラム、あるいはプロテインGカラムに吸着させた後に、適切な溶出バッファー等により溶出させることにより好適に取得され得る。かかる蛋白質分解酵素としてはpH等の酵素の反応条件を適切に設定することによりモノクローナル抗体等の抗体を消化し得るものであれば特段の限定はされず、例えば、ペプシンやフィシン等が例示できる。

0113

本明細書に記載されるポリペプチド会合体にはIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4のFc領域を構成するアミノ酸のうちFcγ受容体に対する結合活性が低下しているFc領域が含まれる。

0114

抗体のアイソタイプは、定常領域の構造によって決定される。IgG1、IgG2、IgG3、IgG4の各アイソタイプの定常領域は、それぞれ、Cγ1、Cγ2、Cγ3、Cγ4と呼ばれている。ヒトCγ1、Cγ2、Cγ3、Cγ4のFc領域を構成するポリペプチドのアミノ酸配列が、配列番号:23、24、25、26に例示される。各アミノ酸配列を構成するアミノ酸残基と、kabatのEUナンバリング(本明細書においてEU INDEXとも呼ばれる)との関係は図18に示されている。

0115

Fc領域は、二本の軽鎖、ならびに、鎖間のジスルフィド結合が2つの重鎖間で形成されるようにCH1ドメインおよびCH2ドメイン間の定常領域の一部分を含む二本の重鎖を含むF(ab’)2を除いた領域のことをいう。本明細書において開示されるポリペプチド会合体を構成するFc領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4モノクローナル抗体等をペプシン等の蛋白質分解酵素にて部分消化した後に、プロテインAカラムに吸着された画分を再溶出することによって好適に取得され得る。かかる蛋白質分解酵素としてはpH等の酵素の反応条件を適切に設定することにより制限的にF(ab’)2を生じるように全長抗体を消化し得るものであれば特段の限定はされず、例えば、ペプシンやフィシン等が例示できる。

0116

Fcγ受容体
Fcγ受容体とは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4モノクローナル抗体のFc領域に結合し得る受容体をいい、実質的にFcγ受容体遺伝子にコードされるタンパク質のファミリーのいかなるメンバーをも意味する。ヒトでは、このファミリーには、アイソフォームFcγRIa、FcγRIbおよびFcγRIcを含むFcγRI(CD64);アイソフォームFcγRIIa(アロタイプH131およびR131を含む)、FcγRIIb(FcγRIIb-1およびFcγRIIb-2を含む)およびFcγRIIcを含むFcγRII(CD32);およびアイソフォームFcγRIIIa(アロタイプV158およびF158を含む)およびFcγRIIIb(アロタイプFcγRIIIb-NA1およびFcγRIIIb-NA2を含む)を含むFcγRIII(CD16)、並びにいかなる未発見のヒトFcγR類またはFcγRアイソフォームまたはアロタイプも含まれるが、これらに限定されるものではない。FcγRは、ヒト、マウス、ラット、ウサギおよびサルを含むが、これらに限定されるものではない、いかなる生物由来でもよい。マウスFcγR類には、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、FcγRIII(CD16)およびFcγRIII-2(CD16-2)、並びにいかなる未発見のマウスFcγR類またはFcγRアイソフォームまたはアロタイプも含まれるが、これらに限定されない。こうしたFcγ受容体の好適な例としてはヒトFcγI(CD64)、FcγIIA(CD32)、FcγIIB(CD32)、FcγIIIA(CD16)及び/又はFcγIIIB(CD16)が挙げられる。FcγIのポリヌクレオチド配列及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号:13(NM_000566.3)及び14(NP_000557.1)に、FcγIIAのポリヌクレオチド配列及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号:15(BC020823.1)及び16(AAH20823.1)に、FcγIIBのポリヌクレオチド配列及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号:17(BC146678.1)及び18(AAI46679.1)に、FcγIIIAのポリヌクレオチド配列及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号:19(BC033678.1)及び20(AAH33678.1)に、及びFcγIIIBのポリヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:21(BC128562.1)及び22(AAI28563.1)に記載されている(カッコ内はRefSeq登録番号を示す)。Fcγ受容体が、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4モノクローナル抗体のFc領域に結合活性を有するか否かは、上記に記載されるFACSやELISAフォーマットのほか、ALPHAスクリーン(Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay)や表面プラズモン共鳴(SPR)現象を利用したBIACORE法等によって確認され得る(Proc.Natl.Acad.Sci.USA (2006) 103 (11), 4005-4010)。

0117

また、「Fcリガンド」または「エフェクターリガンド」は、抗体のFc領域に結合してFc/Fcリガンド複合体を形成する、任意の生物に由来する分子、好ましくはポリペプチドを意味する。FcリガンドのFcへの結合は、好ましくは、1つまたはそれ以上のエフェクター機能誘起する。Fcリガンドには、Fc受容体、FcγR、FcαR、FcεR、FcRn、C1q、C3、マンナン結合レクチンマンノース受容体、スタフィロコッカスプロテインA、スタフィロコッカスのタンパク質GおよびウイルスのFcγRが含まれるが、これらに限定されない。Fcリガンドには、FcγRに相同なFc受容体のファミリーであるFc受容体相同体(FcRH)(Davis et al.,(2002)Immunological Reviews 190, 123-136)も含まれる。Fcリガンドには、Fcに結合する未発見の分子も含まれ得る。

0118

Fcγ受容体に対する結合活性
Fc領域がFcγI、FcγIIA、FcγIIB、FcγIIIA及び/又はFcγIIIBのいずれかのFcγ受容体に対する結合活性が低下していることは、上記に記載されるFACSやELISAフォーマットのほか、ALPHAスクリーン(Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay)や表面プラズモン共鳴(SPR)現象を利用したBIACORE法等によって確認することができる(Proc.Natl.Acad.Sci.USA (2006) 103 (11), 4005-4010)。

0119

ALPHAスクリーンは、ドナーアクセプターの2つのビーズを使用するALPHAテクノロジーによって下記の原理に基づいて実施される。ドナービーズに結合した分子が、アクセプタービーズに結合した分子と生物学的に相互作用し、2つのビーズが近接した状態の時にのみ、発光シグナルを検出される。レーザーによって励起されたドナービーズ内のフォトセンシタイザーは、周辺酸素励起状態一重項酸素に変換する。一重項酸素はドナービーズ周辺に拡散し、近接しているアクセプタービーズに到達するとビーズ内の化学発光反応を引き起こし、最終的に光が放出される。ドナービーズに結合した分子とアクセプタービーズに結合した分子が相互作用しないときは、ドナービーズの産生する一重項酸素がアクセプタービーズに到達しないため、化学発光反応は起きない。

0120

例えば、ドナービーズにビオチン標識されたポリペプチド会合体が結合され、アクセプタービーズにはグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)でタグ化されたFcγ受容体が結合される。競合する変異Fc領域を有するポリペプチド会合体の非存在下では、野生型Fc領域を有するポリペプチド会合体とFcγ受容体とは相互作用し520-620 nmのシグナルを生ずる。タグ化されていない変異Fc領域を有するポリペプチド会合体は、野生型Fc領域を有するポリペプチド会合体とFcγ受容体間の相互作用と競合する。競合の結果表れる蛍光の減少を定量することによって相対的な結合親和性が決定され得る。抗体等のポリペプチド会合体をSulfo-NHS-ビオチン等を用いてビオチン化することは公知である。Fcγ受容体をGSTでタグ化する方法としては、Fcγ受容体をコードするポリヌクレオチドとGSTをコードするポリヌクレオチドをインフレームで融合した融合遺伝子を発現可能なベクターに保持した細胞等において発現し、グルタチオンカラムを用いて精製する方法等が適宜採用され得る。得られたシグナルは例えばGRAPHPADPRISM(GraphPad社、San Diego)等のソフトウェアを用いて非線形回帰解析を利用する一部位競合(one-site competition)モデルに適合させることにより好適に解析される。

0121

相互作用を観察する物質の一方(リガンド)をセンサーチップ金薄膜上に固定し、センサーチップの裏側から金薄膜とガラス境界面で全反射するように光を当てると、反射光の一部に反射強度が低下した部分(SPRシグナル)が形成される。相互作用を観察する物質の他方(アナライト)をセンサーチップの表面に流しリガンドとアナライトが結合すると、固定化されているリガンド分子の質量が増加し、センサーチップ表面溶媒屈折率が変化する。この屈折率の変化により、SPRシグナルの位置がシフトする(逆に結合が解離するとシグナルの位置は戻る)。Biacoreシステムは上記のシフトする量、すなわちセンサーチップ表面での質量変化縦軸にとり、質量の時間変化を測定データとして表示する(センサーグラム)。センサーグラムのカーブからカイネティクス結合速度定数(ka)と解離速度定数(kd)が、当該定数の比からアフィニティー(KD)が求められる。BIACORE法では阻害測定法も好適に用いられる。阻害測定法の例はProc.Natl.Acad.Sci.USA (2006) 103 (11), 4005-4010において記載されている。

0122

本明細書において、Fcγ受容体に対する結合活性が低下しているとは、例えば、上記の解析方法に基づいて、対照とするポリペプチド会合体の競合活性に比較して被検ポリペプチド会合体の競合活性が、50%以下、好ましくは45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、20%以下、15%以下、特に好ましくは10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下の結合活性を示すことをいう。

0123

対照とするポリペプチド会合体としては、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4モノクローナル抗体のFc領域を有するポリペプチド会合体が適宜使用され得る。当該Fc領域の構造は、配列番号:23(RefSeq登録番号AAC82527.1のN末にA付加)、24(RefSeq登録番号AAB59393.1のN末にA付加)、25(RefSeq登録番号CAA27268.1のN末にA付加)、26(RefSeq登録番号AAB59394.1のN末にA付加)に記載されている。また、ある特定のアイソタイプの抗体のFc領域の変異体を有するポリペプチド会合体を被検物質として使用する場合には、当該特定のアイソタイプの抗体のFc領域を有するポリペプチド会合体を対照として用いることによって、当該変異体が有する変異によるFcγ受容体への結合活性に対する効果が検証される。上記のようにして、Fcγ受容体に対する結合活性が低下していることが検証されたFc領域の変異体を有するポリペプチド会合体が適宜作製される。

0124

このような変異体の例としては、EUナンバリングに従って特定されるアミノ酸である231A-238Sの欠失(WO 2009/011941)、C226S, C229S, P238S, (C220S)(J.Rheumatol (2007) 34, 11)、C226S, C229S(Hum.Antibod.Hybridomas (1990) 1(1), 47-54)、C226S, C229S, E233P, L234V, L235A(Blood (2007) 109, 1185-1192)等の変異体が公知である。

0125

すなわち、特定のアイソタイプの抗体のFc領域を構成するアミノ酸のうち、EUナンバリングに従って特定される下記のいずれかのアミノ酸;220位、226位、229位、231位、232位、233位、234位、235位、236位、237位、238位、239位、240位、264位、265位、266位、267位、269位、270位、295位、296位、297位、298位、299位、300位、325位、327位、328位、329位、330位、331位、332位が置換されているFc領域を有するポリペプチド会合体が好適に挙げられる。Fc領域の起源である抗体のアイソタイプとしては特に限定されず、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4モノクローナル抗体を起源とするFc領域が適宜利用され得るが、IgG1抗体を起源とするFc領域が好適に利用される。

0126

例えば、IgG1抗体のFc領域を構成するアミノ酸のうち、EUナンバリングに従って特定される下記のいずれかの置換(数字がEUナンバリングに従って特定されるアミノ酸残基の位置、数字の前に位置する一文字のアミノ酸記号が置換前のアミノ酸残基、数字の後に位置する一文字のアミノ酸記号が置換前のアミノ酸残基をそれぞれ表す);
(a)L234F、L235E、P331S、
(b)C226S、C229S、P238S、
(c)C226S、C229S、
(d)C226S、C229S、E233P、L234V、L235A
が施されているFc領域、又は、231位から238位のアミノ酸配列が欠失したFc領域を有するポリペプチド会合体も適宜使用され得る。

0127

また、IgG2抗体のFc領域を構成するアミノ酸のうち、EUナンバリングに従って特定される下記のいずれかの置換(数字がEUナンバリングに従って特定されるアミノ酸残基の位置、数字の前に位置する一文字のアミノ酸記号が置換前のアミノ酸残基、数字の後に位置する一文字のアミノ酸記号が置換前のアミノ酸残基をそれぞれ表す);
(e)H268Q、V309L、A330S、P331S
(f)V234A
(g)G237A
(h)V234A、G237A
(i)A235E、G237A
(j)V234A、A235E、G237A
が施されているFc領域を有するポリペプチド会合体も適宜使用され得る。

0128

また、IgG3抗体のFc領域を構成するアミノ酸のうち、EUナンバリングに従って特定される下記のいずれかの置換(数字がEUナンバリングに従って特定されるアミノ酸残基の位置、数字の前に位置する一文字のアミノ酸記号が置換前のアミノ酸残基、数字の後に位置する一文字のアミノ酸記号が置換前のアミノ酸残基をそれぞれ表す);
(k)F241A
(l)D265A
(m)V264A
が施されているFc領域を有するポリペプチド会合体も適宜使用され得る。

0129

また、IgG4抗体のFc領域を構成するアミノ酸のうち、EUナンバリングに従って特定される下記のいずれかの置換(数字がEUナンバリングに従って特定されるアミノ酸残基の位置、数字の前に位置する一文字のアミノ酸記号が置換前のアミノ酸残基、数字の後に位置する一文字のアミノ酸記号が置換前のアミノ酸残基をそれぞれ表す);
(n)L235A、G237A、E318A
(o)L235E
(p)F234A、L235A
が施されているFc領域を有するポリペプチド会合体も適宜使用され得る。

0130

その他の好ましい例として、IgG1抗体のFc領域を構成するアミノ酸のうち、EUナンバリングに従って特定される下記のいずれかのアミノ酸;233位、234位、235位、236位、237位、327位、330位、331位が、対応するIgG2またはIgG4においてそのEUナンバリングが対応するアミノ酸に置換されているFc領域を有するポリペプチド会合体が挙げられる。

0131

その他の好ましい例として、IgG1抗体のFc領域を構成するアミノ酸のうち、EUナンバリングに従って特定される下記のいずれか一つ又はそれ以上のアミノ酸;234位、235位、297位が他のアミノ酸によって置換されているFc領域を有するポリペプチド会合体が好適に挙げられる。置換後に存在するアミノ酸の種類は特に限定されないが、234位、235位、297位のいずれか一つ又はそれ以上のアミノ酸がアラニンに置換されているFc領域を有するポリペプチド会合体が特に好ましい。

0132

その他の好ましい例として、IgG1抗体のFc領域を構成するアミノ酸のうち、EUナンバリングに従って特定される下記のいずれかのアミノ酸;265位が他のアミノ酸によって置換されているFc領域を有するポリペプチド会合体が好適に挙げられる。置換後に存在するアミノ酸の種類は特に限定されないが、265位のアミノ酸がアラニンに置換されているFc領域を有するポリペプチド会合体が特に好ましい。

0133

二重特異性抗体を起源とするFc領域
本明細書において、Fcγ受容体に対する結合活性が低下しているFc領域としては、二重特異性抗体(bispecific抗体)を起源とするFc領域も適宜使用される。二重特異性抗体とは、二つの異なる特異性を有する抗体である。IgG型の二重特異性抗体はIgG抗体を産生するハイブリドーマ二種を融合することによって生じるhybrid hybridoma(quadroma)によって分泌させることが出来る(Milstein C et al.Nature (1983) 305, 537-540)。

0134

また、IgG型の二重特異性抗体は目的の二種のIgGを構成するL鎖及びH鎖の遺伝子、合計四種の遺伝子を細胞に導入しそれらを共発現させることによって分泌される。しかし、これらの方法で産生されるIgGのH鎖とL鎖の組合せは理論上10通りにもなる。10種類のIgGから目的の組み合わせのH鎖L鎖からなるIgGを精製することは困難である。さらに目的の組み合わせのものの分泌量も理論上著しく低下するため、大きな培養規模が必要になり、製造上のコストはさらに増大する。

0135

この際H鎖のFc領域を構成するCH3領域に適当なアミノ酸置換を施すことによってH鎖についてヘテロな組合せのIgGが優先的に分泌され得る。具体的には、一方のH鎖のCH3領域に存在するアミノ酸側鎖をより大きい側鎖(knob(「突起」の意))に置換し、もう一方のH鎖のCH3領域に存在するアミノ酸側鎖をより小さい側鎖(hole(「空隙」の意))に置換することにより突起が空隙内に配置され得るようにして異種H鎖形成の促進および同種H鎖形成の阻害を引き起こす方法である(WO1996/027011、RidgwayJBet al., Protein Engineering (1996) 9, 617-621、Merchant AM et al. Nature Biotechnology (1998) 16, 677-681)。

0136

また、L鎖に関しては、H鎖可変領域に比べてL鎖可変領域の多様性が低いことから、両H鎖に結合能を与え得る共通のL鎖が得られることが期待される。この共通L鎖と両H鎖遺伝子を細胞に導入することによってIgGを発現させることで効率の良い二重特異性IgGの発現が可能となる(Nature Biotechnology (1998) 16, 677-681)。しかし任意に二種の抗体を選んだ場合、同じL鎖を含む可能性は低く上記のアイデアを実行することは困難であり、任意の異なるH鎖に対応し高い結合能を示す共通L鎖を選択する方法も提案されている(WO2004/065611)。

0137

また、ポリペプチドの会合、またはポリペプチドによって構成される異種多量体の会合の制御方法を、Fc領域を構成する二つのポリペプチドの会合に利用することによって二重特異性抗体を作製する技術も知られている。即ち、Fc領域を構成する二つのポリペプチド内の界面を形成するアミノ酸残基を改変することによって、同一配列を有するFc領域を構成するポリペプチドの会合が阻害され、配列の異なる二つのFc領域を構成するポリペプチド会合体が形成されるように制御する方法が二重特異性抗体の作製に採用され得る(WO2006/106905)。

0138

本発明にかかるFc領域を含むドメインとしては、上記の二重特異性抗体を起源とするFc領域を構成する二つのポリペプチドが適宜使用され得る。より具体的には、Fc領域を構成する二つのポリペプチドであって、その一方のポリペプチドのアミノ酸配列のうちEUナンバリングに従って特定される349位のアミノ酸がシステイン、366位のアミノ酸がトリプトファンであり、他方のポリペプチドのアミノ酸配列のうちEUナンバリングに従って特定される356位のアミノ酸がシステイン、366位のアミノ酸がセリンに、368位のアミノ酸がアラニンに、407位のアミノ酸がバリンであることを特徴とする、二つのポリペプチドが好適に用いられる。

0139

もう一つの態様において、本発明にかかるFc領域を含むドメインとしては、Fc領域を構成する二つのポリペプチドであって、その一方のポリペプチドのアミノ酸配列のうちEUナンバリングに従って特定される409位のアミノ酸がアスパラギン酸であり、他方のポリペプチドのアミノ酸配列のうちEUナンバリングに従って特定される399位のアミノ酸がリジンであることを特徴とする、二つのポリペプチドが好適に用いられる。上記態様では、409位のアミノ酸はアスパラギン酸に代えてグルタミン酸、399位のアミノ酸はリジンに代えてアルギニンであってもよい。また、399位のリジンに加えて360位のアスパラギン酸又は392位のアスパラギン酸も好適に追加されうる。

0140

別の態様において、本発明にかかるFc領域を含むドメインとしては、Fc領域を構成する二つのポリペプチドであって、その一方のポリペプチドのアミノ酸配列のうちEUナンバリングに従って特定される370位のアミノ酸がグルタミン酸であり、他方のポリペプチドのアミノ酸配列のうちEUナンバリングに従って特定される357位のアミノ酸がリジンであることを特徴とする、二つのポリペプチドが好適に用いられる。

0141

更に別の態様において、本発明にかかるFc領域を含むドメインとしては、Fc領域を構成する二つのポリペプチドであって、その一方のポリペプチドのアミノ酸配列のうちEUナンバリングに従って特定される439位のアミノ酸がグルタミン酸であり、他方のポリペプチドのアミノ酸配列のうちEUナンバリングに従って特定される356位のアミノ酸がリジンであることを特徴とする、二つのポリペプチドが好適に用いられる。

0142

さらには本発明にかかるFc領域を含むドメインとしては、これらが組み合わされた態様;
Fc領域を構成する二つのポリペプチドであって、その一方のポリペプチドのアミノ酸配列のうちEUナンバリングに従って特定される409位のアミノ酸がアスパラギン酸、370位のアミノ酸がグルタミン酸であり、他方のポリペプチドのアミノ酸配列のうちEUナンバリングに従って特定される399位のアミノ酸がリジン、357位のアミノ酸がリジンであることを特徴とする、二つのポリペプチド(本態様では、370位のグルタミン酸に代えてアスパラギン酸であってもよく、370位のグルタミン酸に代えて392位のアスパラギン酸であってもよい)、
Fc領域を構成する二つのポリペプチドであって、その一方のポリペプチドのアミノ酸配列のうちEUナンバリングに従って特定される409位のアミノ酸がアスパラギン酸、439位のアミノ酸がグルタミン酸であり、他方のポリペプチドのアミノ酸配列のうちEUナンバリングに従って特定される399位のアミノ酸がリジン、356位のアミノ酸がリジンであることを特徴とする二つのポリペプチド(本態様では、439位のグルタミン酸に代えて360位のアスパラギン酸、392位のアスパラギン酸又は439位のアスパラギン酸であってもよい)、
Fc領域を構成する二つのポリペプチドであって、その一方のポリペプチドのアミノ酸配列のうちEUナンバリングに従って特定される370位のアミノ酸がグルタミン酸、439位のアミノ酸がグルタミン酸であり、他方のポリペプチドのアミノ酸配列のうちEUナンバリングに従って特定される357位のアミノ酸がリジン、356位のアミノ酸がリジンであることを特徴とする二つのポリペプチド、または、
Fc領域を構成する二つのポリペプチドであって、その一方のポリペプチドのアミノ酸配列のうちEUナンバリングに従って特定される409位のアミノ酸がアスパラギン酸、370位のアミノ酸がグルタミン酸、439位のアミノ酸がグルタミン酸であり、他方のポリペプチドのアミノ酸配列のうちEUナンバリングに従って特定される399位のアミノ酸がリジン、357位のアミノ酸がリジン、356位のアミノ酸がリジンであることを特徴とする二つのポリペプチド(本態様では、370位のアミノ酸をグルタミン酸に置換しなくてもよく、更に、370位のアミノ酸をグルタミン酸に置換しない上で、439位のグルタミン酸に代えてアスパラギン酸又は439位のグルタミン酸に代えて392位のアスパラギン酸であってもよい)、
が好適に用いられる。

0143

さらに、別の態様において、本発明にかかるFc領域を含むドメインとしては、Fc領域を構成する二つのポリペプチドであって、その一方のポリペプチドのアミノ酸配列のうちEUナンバリングに従って特定される356位のアミノ酸がリジンであり、他方のポリペプチドのアミノ酸配列のうちEUナンバリングに従って特定される435位のアミノ酸がアルギニン、439位のアミノ酸がグルタミン酸であることを特徴とする二つのポリペプチドも好適に用いられる。

0144

本発明に係るFc領域を含むドメインとして上記の二重特異性抗体を起源とするFc領域を構成する二つのポリペプチドを使用することによって、本発明に係る抗原結合ドメイン及び/又はCD3結合ドメインを所望の組合せで配置することが可能となる。

0145

C末端のヘテロジェニティーが改善されたFc領域
本明細書において、Fcγ受容体に対する結合活性が低下しているFc領域として、上記の特徴に加えてFc領域のC末端のヘテロジェニティーが改善されたFc領域が適宜使用され得る。より具体的には、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4を起源とするFc領域を構成する二つのポリペプチドのアミノ酸配列のうちEUナンバリングに従って特定される446位のグリシン、及び447位のリジンが欠失したFc領域が提供される。

0146

T細胞受容体複合体結合ドメイン
本明細書において、「T細胞受容体複合体結合ドメイン」とは、T細胞受容体複合体の一部または全部に特異的に結合し且つ相補的である領域を含んで成るT細胞受容体複合体抗体の部分をいう。T細胞受容体複合体は、T細胞受容体自身でもよいし、T細胞受容体とともにT細胞受容体複合体を構成するアダプター分子でもよい。アダプターとして好適なものはCD3である。

0147

T細胞受容体結合ドメイン
本明細書において、「T細胞受容体結合ドメイン」とは、T細胞受容体の一部または全部に特異的に結合し且つ相補的である領域を含んでなるT細胞受容体抗体の部分をいう。

0148

T細胞受容体としては、可変領域でもよいし、定常領域でもよいが、好ましいCD3結合ドメインが結合するエピトープは定常領域に存在するエピトープである。定常領域の配列として、例えばRefSeq登録番号CAA26636.1のT細胞受容体α鎖(配列番号:67)、RefSeq登録番号C25777のT細胞受容体β鎖(配列番号:68)、RefSeq登録番号A26659のT細胞受容体γ1鎖(配列番号:69)、RefSeq登録番号AAB63312.1のT細胞受容体γ2鎖(配列番号:70)、RefSeq登録番号AAA61033.1のT細胞受容体δ鎖(配列番号:71)の配列を挙げることができる。

0149

CD3結合ドメイン
本明細書において「CD3結合ドメイン」とは、CD3の一部または全部に特異的に結合し且つ相補的である領域を含んで成るCD3抗体の部分をいう。CD3結合ドメインは一または複数の抗体の可変ドメインより提供され得る。好ましくは、CD3結合ドメインはCD3抗体の軽鎖可変領域(VL)とCD3抗体の重鎖可変領域(VH)とを含む。こうしたCD3結合ドメインの例としては、「scFv(single chain Fv)」、「単鎖抗体(single chain antibody)」、「Fv」、「scFv2(single chain Fv 2)」、「Fab」または「F(ab')2」等が好適に挙げられる。

0150

本発明に係るCD3結合ドメインは、ヒトCD3を構成するγ鎖、δ鎖又はε鎖配列に存在するエピトープであればいずれのエピトープに結合するものであり得る。本発明において、好ましくはヒトCD3複合体のε鎖の細胞外領域に存在するエピトープに結合するCD3抗体の軽鎖可変領域(VL)とCD3抗体の重鎖可変領域(VH)とを含むCD3結合ドメインが好適に用いられる。こうしたCD3結合ドメインとしては、OKT3抗体(Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1980) 77, 4914-4917)や種々の公知のCD3抗体の軽鎖可変領域(VL)とCD3抗体の重鎖可変領域(VH)とを含むCD3結合ドメインが好適に用いられる。また、ヒトCD3を構成するγ鎖、δ鎖又はε鎖を前記の方法によって所望の動物に免疫することによって取得された所望の性質を有するCD3抗体を起源とするCD3結合ドメインが適宜使用され得る。CD3結合ドメインの起源となるCD3抗体は前記のとおり適宜ヒト化された抗体やヒト抗体が適宜用いられる。CD3を構成するγ鎖、δ鎖又はε鎖の構造は、そのポリヌクレオチド配列が、配列番号:27(NM_000073.2)、29(NM_000732.4)及び31(NM_000733.3)に、そのポリペプチド配列が、配列番号:28(NP_000064.1)、30(NP_000723.1)及び32(NP_000724.1)に記載されている(カッコ内はRefSeq登録番号を示す)。

0151

ポリペプチド会合体
本発明に係るポリペプチド会合体は前記の、
(1)抗原結合ドメイン、
(2)Fcγ受容体に対する結合活性が低下しているFc領域を含むドメイン、及び、
(3)T細胞受容体複合体結合ドメイン、
を含むものであればよく、その構造は限定されない。本発明においては、T細胞受容体複合体結合ドメインは、好ましくはT細胞受容体結合ドメインあるいはCD3結合ドメインである。上記の各ドメインはペプチド結合で直接連結することができる。例えば、(1)抗原結合ドメインとしてF(ab')2を用い、(2)Fcγ受容体に対する結合活性が低下しているFc領域を含むドメインとしてこれらのFc領域を用いた場合に(1)に記載された抗原結合ドメインと(2)に記載されたFc領域を含むドメインとをペプチド結合で連結したときは、連結されたポリペプチドは抗体の構造を形成する。そのような抗体を作製するためには前述のハイブリドーマの培養液から精製する他、当該抗体を構成するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが安定に保持された所望の宿主細胞の培養液から当該抗体を精製することもできる。

0152

当該抗体構造に(3)CD3結合ドメインを結合する場合、当該CD3結合ドメインが当該抗体構造の定常領域のC末端にペプチド結合を介して結合され得る。別の態様としては、当該CD3結合ドメインは、当該抗体構造の重鎖可変領域又は軽鎖可変領域のN末端にペプチド結合を介して結合され得る。その他の態様としては、当該CD3結合ドメインは、当該抗体構造の軽鎖定常領域のC末端にペプチド結合を介して結合され得る。結合するCD3結合ドメインは所望の構造を有するCD3結合ドメインが採用され得るが、好ましくはFv、より好ましくはscFvが適宜使用される。当該抗体構造に結合するCD3結合ドメインの価数は限定されない。当該抗体構造に二価のCD3結合ドメインを結合するためには、当該抗体構造の定常領域を構成する二つのFc領域の各C末端にペプチド結合を介して各々一価のCD3結合ドメインが結合され得る。また、当該抗体構造に二価のCD3結合ドメインを結合するためには、二つのFc領域のうち一つのFc領域のC末端にペプチド結合を介して二価のscFv即ちsc(Fv)2が結合され得る。この場合において、前記の二重特異性抗体を起源とするFc領域を用いることによって、当該抗体構造の定常領域を構成する二つのFc領域のうち一つのFc領域のC末端にのみ二価のscFv即ちsc(Fv)2が結合するポリペプチド会合体が効率的に取得される。また、当該抗体構造に一価のCD3結合ドメインを結合するためには、二つのFc領域のうち一つのFc領域のC末端にペプチド結合を介して一価のscFvが結合され得る。この場合において、前記の二重特異性抗体を起源とするFc領域を用いることによって、当該抗体構造の定常領域を構成する二つのFc領域のうち一つのFc領域のC末端にのみ一価のscFvが結合する本発明に係るポリペプチド会合体が効率的に取得される。

0153

また、(3)CD3結合ドメインが当該抗体構造の定常領域のC末端にペプチド結合を介して結合され得る場合に、CD3結合ドメインを構成する重鎖Fv断片がFc領域を構成する一方の定常領域のC末端(CH3ドメイン)に連結され、CD3結合ドメインを構成する軽鎖Fv断片がFc領域を構成するもう一方の定常領域のC末端(CH3ドメイン)に連結されたポリペプチド会合体も適宜使用される。この場合において、重鎖Fv断片又は軽鎖Fv断片を定常領域のC末端(CH3ドメイン)に連結する際にGly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:7)等のリンカーが適挿入される。リンカーの繰返しの数は限定されず、1〜10、好ましくは2〜8、さらには2〜6数から選択される、すなわち1,2,3,4,5,6,7,8,9又は10の繰返しからなるGly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:7)等のリンカーが適宜挿入されうる。

0154

さらに、CD3結合ドメインを構成する重鎖Fv断片がFc領域を構成する一方の定常領域のC末端(CH3ドメイン)に連結され、CD3結合ドメインを構成する軽鎖Fv断片がFc領域を構成するもう一方の定常領域のC末端(CH3ドメイン)に連結されたポリペプチド会合体が作製される場合には、当該重鎖Fv断片と軽鎖Fv断片との会合を強化するために当該重鎖Fv断片と軽鎖Fv断片間にジスルフィド結合を形成させるようなアミノ酸残基の改変も適宜実施されうる。

0155

別の態様において、CD3結合ドメインを構成する重鎖Fv断片がFc領域を構成する一方の定常領域のC末端(CH3ドメイン)に連結され、CD3結合ドメインを構成する軽鎖Fv断片がFc領域を構成するもう一方の定常領域のC末端(CH3ドメイン)に連結されたポリペプチド会合体が作製される場合には、当該重鎖Fv断片と軽鎖Fv断片との会合を強化するために当該重鎖Fv断片と軽鎖Fv断片のそれぞれに抗体のCH1ドメイン及びCLドメインが連結され得る。

0156

更に別の態様において、当該抗体構造に二価のCD3結合ドメインを結合するためには、当該抗体構造の二つの軽鎖定常領域の各C末端又は軽鎖可変領域の各N末端にペプチド結合を介して各々一価のCD3結合ドメインが結合され得る。また、当該抗体構造に二価のCD3結合ドメインを結合するためには、二つの軽鎖定常領域の各C末端又は軽鎖可変領域の各N末端にペプチド結合を介して二価のscFv即ちsc(Fv)2が結合され得る。この場合において、前記の二重特異性抗体を起源とするFc領域を用いることによって、当該抗体構造の二つの軽鎖可変領域のうち一つの軽鎖可変領域のC末端又はN末端に二価のscFv即ちsc(Fv)2が結合するポリペプチド会合体が効率的に取得される。また、当該抗体構造に一価のCD3結合ドメインを結合するためには、二つの軽鎖可変領域のうち一つの軽鎖可変領域のC末端又はN末端にペプチド結合を介して一価のscFvが結合され得る。この場合において、前記の二重特異性抗体を起源とするFc領域を用いることによって、当該抗体構造の二つの軽鎖可変領域のうち一つの軽鎖可変領域のN末端又はC末端に一価のscFvが結合する本発明に係るポリペプチド会合体が効率的に取得される。

0157

別の態様において、当該抗体構造に二価のCD3結合ドメインを結合するためには、当該抗体構造の二つの重鎖可変領域の各N末端にペプチド結合を介して各々一価のCD3結合ドメインが結合され得る。また、当該抗体構造に二価のCD3結合ドメインを結合するためには、二つの重鎖可変領域のうち一つの重鎖可変領域のN末端にペプチド結合を介して二価のscFv即ちsc(Fv)2が結合され得る。この場合において、前記の二重特異性抗体を起源とするFc領域を用いることによって、当該抗体構造の二つの重鎖可変領域のうち一つの重鎖可変領域のN末端にのみ二価のscFv即ちsc(Fv)2が結合するポリペプチド会合体が効率的に取得される。また、当該抗体構造に一価のCD3結合ドメインを結合するためには、二つの重鎖可変領域のうち一つの重鎖可変領域のN末端にペプチド結合を介して一価のscFvが結合され得る。この場合において、前記の二重特異性抗体を起源とするFc領域を用いることによって、当該抗体構造の二つの重鎖可変領域のうち一つの重鎖可変領域のN末端に一価のscFvが結合する本発明に係るポリペプチド会合体が効率的に取得される。

0158

また、上記のポリペプチド会合体を作製するに際して、各ドメインは直接ペプチド結合で結合される他、各ドメインはペプチドリンカーを介したペプチド結合で結合され得る。この場合において、採用されるリンカーとしては上記記載で例示されるリンカーの他、例えばHisタグ、HAタグ、mycタグ、FLAGタグ等のペプチドタグを有するリンカーも適宜使用され得る。また、水素結合、ジスルフィド結合、共有結合イオン性相互作用またはこれらの結合の組合せにより互いに結合する性質もまた好適に利用され得る。例えば、抗体のCH1とCL間の親和性が利用されたり、ヘテロFc領域の会合に際して前述の二重特異性抗体を起源とするFc領域が用いられたりする。さらに、実施例で記載されるように、ドメイン間に形成されるジスルフィド結合もまた好適に利用され得る。

0159

本発明に係るポリペプチド会合体の別の構造としては、例えば、(1)抗原結合ドメインとして一価のFv及び一価のFabである構造もまた好適に使用される。この場合において、本発明に係るポリペプチド会合体を構成する(2)Fcγ受容体に対する結合活性が低下している二つのFc領域の内一つのFc領域にペプチド結合を介して連結された重鎖CH1領域に一価のFvのうちの重鎖Fv断片(VH)又は軽鎖Fv断片(VL)がペプチド結合を介して連結し、当該重鎖CH1領域にジスルフィド結合を介して結合した軽鎖CH領域に一価のFvのうちのもう一方のVL又はVH断片がペプチド結合を介して連結することにより、重鎖CH1領域及び軽鎖CL領域の末端に結合したVH及びVLが抗体結合ドメインを形成する構造が使用される。二つのFc領域のうち上記の異なるもう一方のFc領域のN末端には(1)抗体結合ドメイン、及び、(3)CD3結合ドメインを形成するsc(Fv)2がペプチド結合を介して連結され得る。この場合において、前記の二重特異性抗体を起源とするFc領域を用いることによって、当該ポリペプチド会合体を構成する二つのFc領域のうち一方ののFc領域に重鎖CH1領域が、もう一方のFc領域にsc(Fv)2がそれぞれペプチド結合を介して連結した構造を有するポリペプチド会合体が作製され得る。上記のポリペプチド会合体を作製するに際して、各ドメインは直接ペプチド結合で結合される他、各ドメインはペプチドリンカーを介したペプチド結合で結合され得る。この場合において、採用されるリンカーとしては上記記載で例示されるリンカーの他、例えばHisタグ、HAタグ、mycタグ、FLAGタグ等のペプチドタグを有するリンカーも適宜使用され得る。

0160

本発明に係るポリペプチド会合体の別の構造としては、例えば、(1)抗原結合ドメインとして二価のscFvである構造もまた好適に使用される。こうした構造の態様として、二価のscFvの内の一方が(3)CD3結合ドメインを構成するVHを介して(2)Fcγ受容体に対する結合活性が低下している二つのFc領域の内一つのFc領域にペプチド結合により連結され、二価のscFvの内のもう一方が(3)CD3結合ドメインを構成するVLを介して(2)Fcγ受容体に対する結合活性が低下している二つのFc領域の内のもう一方のFc領域にペプチド結合により連結された構造を有するポリペプチド会合体が作製され得る。この場合において、前記の二重特異性抗体を起源とするFc領域を用いることも可能である。上記のポリペプチド会合体を作製するに際して、各ドメインは直接ペプチド結合で結合される他、各ドメインはペプチドリンカーを介したペプチド結合で結合され得る。この場合において、採用されるリンカーとしては上記記載で例示されるリンカーの他、例えばHisタグ、HAタグ、mycタグ、FLAGタグ等のペプチドタグを有するリンカーも適宜使用され得る。

0161

(1)抗原結合ドメインとして二価のscFvが用いられる構造のもう一つの態様として、二価のscFvの内一方が(3)CD3結合ドメインを構成するscFvを介して(2)Fcγ受容体に対する結合活性が低下している二つのFc領域の内一つのFc領域にペプチド結合により連結され、二価のscFvの内のもう一方が(2)Fcγ受容体に対する結合活性が低下している二つのFc領域の内のもう一方のFc領域にペプチド結合により連結された構造を有するポリペプチド会合体が作製され得る。この場合において、前記の二重特異性抗体を起源とするFc領域を用いることによって、当該ポリペプチド会合体を構成する二つのFc領域のうち一方ののFc領域にCD3結合ドメインを構成するscFvを介して抗原結合ドメインを構成するscFvが、もう一方のFc領域に抗原結合ドメインを構成するscFvがそれぞれペプチド結合を介して連結した構造を有するポリペプチド会合体が作製され得る。上記のポリペプチド会合体を作製するに際して、各ドメインは直接ペプチド結合で結合される他、各ドメインはペプチドリンカーを介したペプチド結合で結合され得る。この場合において、採用されるリンカーとしては上記で例示されるリンカーの他、例えばHisタグ、HAタグ、mycタグ、FLAGタグ等のペプチドタグを有するリンカーも適宜使用され得る。

0162

本発明に係るポリペプチド会合体の別の構造としては、例えば、抗原結合ドメインおよびT細胞受容体複合体結合ドメインが各々一価のFabである構造も、また好適に使用される。こうした構造の態様として、抗原結合ドメインを構成する一価のFabの重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する一方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCL領域と連結され、T細胞受容体結合ドメインを構成するFabの重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する他方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCL領域と連結された構造を有するポリペプチド会合体が作製され得る。

0163

こうした構造の別の態様として、抗原結合ドメインを構成する一価のFabの重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する一方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCL領域と連結され、T細胞受容体結合ドメインを構成するFabの軽鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する他方のポリペプチドに連結され、当該Fabの重鎖Fv断片がCL領域と連結された構造を有するポリペプチド会合体が作製され得る。また、T細胞受容体結合ドメインを構成する一価のFabの重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する一方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCL領域と連結され、抗原結合ドメインを構成するFabの軽鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する他方のポリペプチドに連結され、当該Fabの重鎖Fv断片がCL領域と連結された構造を有するポリペプチド会合体もまた作製され得る。

0164

さらにこうした構造の別の態様として、抗原結合ドメインを構成する一価のFabの重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する一方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCL領域と連結され、T細胞受容体結合ドメインを構成するFabの重鎖Fv断片がCL領域を介してFc領域を構成する他方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCH1領域と連結された構造を有するポリペプチド会合体が作製され得る。また、T細胞受容体結合ドメインを構成する一価のFabの重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する一方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCL領域と連結され、抗原結合ドメインを構成するFabの重鎖Fv断片がCL領域を介してFc領域を構成する他方のポリペプチドに連結され、当該Fabの軽鎖Fv断片がCH1領域と連結された構造を有するポリペプチド会合体が作製され得る。

0165

本発明に係るポリペプチド会合体の別の構造である、抗原結合ドメインおよびT細胞受容体複合体結合ドメインが各々一価のFabである構造の一態様として、
(1)抗原に結合する一価のFab構造の重鎖Fv断片がCH1領域を介して前記Fc領域を構成する一方のポリペプチドに連結され、当該Fab構造の軽鎖Fv断片がCL領域と連結された抗原結合ドメイン、及び、
(2)T細胞受容体複合体に結合する一価のFab構造の重鎖Fv断片がCH1領域を介してFc領域を構成する他方のポリペプチドに連結され、当該Fab構造の軽鎖Fv断片がCL領域と連結されたT細胞受容体複合体結合ドメイン、
を含み、抗原結合ドメイン中の重鎖Fv断片と抗原結合ドメイン中の軽鎖Fv断片またはT細胞受容体結合ドメイン中の重鎖Fv断片とT細胞受容体結合ドメイン中の軽鎖Fv断片が会合するようにCH1領域とCL領域の電荷が制御されているポリペプチドが好適に挙げられる。本態様においては、抗原結合ドメイン中の重鎖Fv断片と抗原結合ドメイン中の軽鎖Fv断片またはT細胞受容体結合ドメイン中の重鎖Fv断片とT細胞受容体結合ドメイン中の軽鎖Fv断片が会合するようにCH1領域とCL領域の電荷が制御されていればよく、そのポリペプチド会合体の構造(会合制御構造)は特定の一構造に限定されない。

0166

当該会合制御構造の一態様として、当該T細胞受容体複合体結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および当該抗原結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに同種の電荷を有するポリペプチド会合体が作成され得る。

0167

当該会合制御構造の別の一態様として、当該抗原結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基およびT細胞受容体複合体結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに同種の電荷を有するポリペプチド会合体が作成され得る。

0168

当該会合制御構造のさらなる一態様として、当該T細胞受容体複合体結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および当該抗原結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに同種の電荷を有し、抗原結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基およびT細胞受容体複合体結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに同種の電荷を有するポリペプチド会合体が作成され得る。

0169

また、当該会合制御構造の一態様として、当該T細胞受容体複合体結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および当該抗原結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに同種の電荷を有し、当該T細胞受容体複合体結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および当該T細胞受容体結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに異種の電荷を有するポリペプチド会合体が作成され得る。

0170

また、当該会合制御構造の別の一態様として、当該T細胞受容体複合体結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および当該抗原結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに同種の電荷を有し、当該抗原結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および当該T細胞受容体複合体結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに同種の電荷を有し、当該T細胞受容体複合体結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および当該T細胞受容体結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに異種の電荷を有するポリペプチド会合体が作製され得る。

0171

さらに、当該会合制御構造の一態様として、当該抗原結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および当該T細胞受容体複合体結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに同種の電荷を有し、当該抗原結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および当該抗原結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基がともに異種の電荷を有するポリペプチド会合体が作製され得る。

0172

さらに、当該会合制御構造の別の一態様として、当該T細胞受容体複合体結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および当該抗原結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに同種の電荷を有し、当該抗原結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および当該T細胞受容体複合体結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに同種の電荷を有し、当該抗原結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および当該抗原結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基がともに異種の電荷を有するポリペプチド会合体が作製され得る。

0173

加えて、当該会合制御構造の異なる一態様として、当該T細胞受容体複合体結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および当該抗原結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに同種の電荷を有し、当該抗原結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および当該T細胞受容体複合体結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに同種の電荷を有し、当該T細胞受容体複合体結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および当該T細胞受容体結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに異種の電荷を有し、抗原結合ドメイン中の重鎖Fv断片に連結されたCH1領域のアミノ酸残基および抗原結合ドメイン中の軽鎖Fv断片に連結されたCL領域のアミノ酸残基が互いに異種の電荷を有するポリペプチド会合体が作製され得る。

0174

CH1領域とCL領域の電荷の制御
T細胞受容体結合ドメインの重鎖と軽鎖によりT細胞受容体結合ドメインのエピトープを認識し、また、抗原結合ドメインの重鎖と軽鎖により抗原のエピトープを認識するような二重特異性ポリペプチド会合体を取得したい場合、当該ポリペプチド会合体の生産に際して4種のそれぞれの鎖を発現させると理論上10種類のポリペプチド会合体分子が生産される可能性がある。

0175

この場合、例えば、T細胞受容体結合ドメインの重鎖と抗原結合ドメインの軽鎖および/または抗原結合ドメインの重鎖とT細胞受容体結合ドメインの軽鎖の間の会合を阻害するように制御すれば、所望のポリペプチド会合体分子を優先的に取得することが可能である。

0176

例えば、T細胞受容体結合ドメインの重鎖CH1と抗原結合ドメインの軽鎖CL間の界面を形成するアミノ酸残基を正の電荷を有するアミノ酸残基に改変し、抗原結合ドメインの重鎖CH1とT細胞受容体結合ドメインの軽鎖CL間の界面を形成するアミノ酸残基を負の電荷を有するアミノ酸残基に改変する例を挙げることができる。この改変により、目的としないT細胞受容体結合ドメインの重鎖CH1と抗原結合ドメインの軽鎖CLとの会合は界面を形成するアミノ酸残基がどちらも正電荷であるため阻害され、目的としない抗原結合ドメインの重鎖CH1とT細胞受容体結合ドメインの軽鎖CLとの会合は界面を形成するアミノ酸残基がどちらも負電荷であるため阻害される。その結果、目的とするT細胞受容体結合ドメインの重鎖CH1とT細胞受容体結合ドメインの軽鎖CLとの会合及び目的とする抗原結合ドメインの重鎖CH1と抗原結合ドメインの軽鎖CLとの会合が生じた本発明のポリペプチド会合体が効率的に取得され得る。また、好適には、目的とするT細胞受容体結合ドメインの重鎖とT細胞受容体結合ドメインの軽鎖との会合は、界面を形成するアミノ酸残基が互いに異種の電荷を有するために促進され、目的とする抗原結合ドメインの重鎖と抗原結合ドメインの軽鎖との会合も界面を形成するアミノ酸残基が互いに異種の電荷を有するため促進される。その結果、目的とする会合が生じた本発明のポリペプチド会合体が効率的に取得され得る。

0177

また、本発明の会合制御を利用することにより、CH1同士(T細胞受容体結合ドメインの重鎖と抗原結合ドメインの重鎖)、あるいは、CL同士(T細胞受容体結合ドメインの軽鎖と抗原結合ドメインの軽鎖)の会合を抑制することも可能である。

0178

当業者であれば、本発明によって会合を制御したい所望のポリペプチド会合体について、会合した際のCH1とCLの界面において接近するアミノ酸残基の種類を適宜知ることが可能である。

0179

また、ヒト、サル、マウス及びウサギ等の生物において、抗体のCH1又はCLとして利用可能な配列を、当業者は、公共のデータベース等を利用して適宜取得することができる。より具体的には、後述の実施例に記載の手段にて、CH1又はCLのアミノ酸配列情報が取得され得る。

0180

例えば、後述の実施例で示されるように、T細胞受容体結合ドメインまたは抗原結合ドメインを構成するVHおよびVLにそれぞれ連結するCH1とCLが会合する際のCH1とCLの界面において接近(相対または接触)するアミノ酸残基の具体例として、以下の組合せが挙げられる。
・CH1のEUナンバリング147位(例えば、配列番号:1に記載のアミノ酸配列における147位)のリジン(K)と、相対(接触)するCLのEUナンバリング180位のスレオニン(T)
・CH1のEUナンバリング147位のリジン(K)と、相対(接触)するCLのEUナンバリング131位のセリン(S)
・CH1のEUナンバリング147位のリジン(K)と、相対(接触)するCLのEUナンバリング164位のスレオニン(T)
・CH1のEUナンバリング147位のリジン(K)と、相対(接触)するCLのEUナンバリング138位のアスパラギン(N)
・CH1のEUナンバリング147位のリジン(K)と、相対(接触)するCLのEUナンバリング123位のグルタミン酸(E)
・CH1のEUナンバリング175位のグルタミン(Q)と、相対(接触)するCLのEUナンバリング160位のグルタミン(Q)
・CH1のEUナンバリング213位のリジン(K)と、相対(接触)するCLのEUナンバリング123位のグルタミン酸(E)
なお、これら部位のナンバリングについては、Kabatらの文献(Kabat EA et al. 1991. Sequence of Proteins of Immunological Interest. NIH)を参考にしている。
また、本発明におけるEUナンバリングとして記載された番号は、EU numbering(Sequences of proteins of immunological interest, NIH Publication No.91-3242)にしたがって記載した ものである。なお本発明において、「EUナンバリングX位のアミノ酸残基」、「EUナンバリングX位のアミノ酸」(Xは任意の数)は、「EUナンバリングX位に相当するアミノ酸残基」、「EUナンバリングX位に相当するアミノ酸」と読みかえることも可能である。

0181

後述の実施例で示すように、これらアミノ酸残基を改変し、本発明の方法を実施することにより、所望のポリペプチド会合体が優先的に取得され得る。

0182

これらアミノ酸残基は、ヒトおよびマウスにおいて高度に保存されていることが知られている(J. Mol. Recognit. (2003) 16, 113-120)ことから、実施例に示すポリペプチド会合体以外のCH1とCLの会合についても、上記アミノ酸残基に対応するアミノ酸残基を改変することによって、本発明のポリペプチド会合体の定常領域の会合が制御され得る。

0183

即ち、本発明は、重鎖と軽鎖の会合が制御されたポリペプチド会合体であって、以下の(a)〜(f)に示すアミノ酸残基の組からなる群より選択される1組または2組以上のアミノ酸残基が同種の電荷を有するポリペプチド会合体を提供する;
(a)CH1に含まれるアミノ酸残基であってEUナンバリング147位のアミノ酸残基、及びCLに含まれるアミノ酸残基であってEUナンバリング180位のアミノ酸残基、
(b)CH1に含まれるアミノ酸残基であってEUナンバリング147位のアミノ酸残基、及びCLに含まれるアミノ酸残基であってEUナンバリング131位のアミノ酸残基、
(c)CH1に含まれるアミノ酸残基であってEUナンバリング147位のアミノ酸残基、及びCLに含まれるアミノ酸残基であってEUナンバリング164位のアミノ酸残基、
(d)CH1に含まれるアミノ酸残基であってEUナンバリング147位のアミノ酸残基、及びCLに含まれるアミノ酸残基であってEUナンバリング138位のアミノ酸残基、
(e)CH1に含まれるアミノ酸残基であってEUナンバリング147位のアミノ酸残基、及びCLに含まれるアミノ酸残基であってEUナンバリング123位のアミノ酸残基、
(f)CH1に含まれるアミノ酸残基であってEUナンバリング175位のアミノ酸残基、及びCLに含まれるアミノ酸残基であってEUナンバリング160位のアミノ酸残基。

0184

本発明の別の態様として、さらに、以下の(g)に示すアミノ酸残基の組のアミノ酸残基が同種の電荷である抗体を提供する;
(g)CH1に含まれるアミノ酸残基であってEUナンバリング213位のアミノ酸残基、及びCLに含まれるアミノ酸残基であってEUナンバリング123位のアミノ酸残基。

0185

上記組合せに記載のそれぞれのアミノ酸残基は、後述の実施例に示すように、会合した際に互いに接近している。当業者は、所望のCH1またはCLについて、市販のソフトウェアを用いたホモロジーモデリング等により、上記(a)〜(g)に記載のアミノ酸残基に対応する部位を見出すことができ、適宜、該部位のアミノ酸残基を改変に供することが可能である。

0186

上記抗体において、「電荷を有するアミノ酸残基」は、例えば、以下の(X)または(Y)のいずれかの群に含まれるアミノ酸残基から選択されることが好ましい;
(X)グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、
(Y)リジン(K)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)。

0187

上記ポリペプチド会合体において、「同種の電荷を有する」とは、例えば、2つ以上のアミノ酸残基のいずれもが、上記(X)または(Y)のいずれか1の群に含まれるアミノ酸残基を有することを意味する。「反対の電荷を有する」とは、例えば、2つ以上のアミノ酸残基のなかの少なくとも1つのアミノ酸残基が、上記(X)または(Y)のいずれか1の群に含まれるアミノ酸残基を有する場合に、残りのアミノ酸残基が異なる群に含まれるアミノ酸残基を有することを意味する。

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