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技術 液冷ジャケットの製造方法及び摩擦攪拌接合方法

出願人 日本軽金属株式会社
発明者 堀久司瀬尾伸城
出願日 2018年11月5日 (2年0ヶ月経過) 出願番号 2018-208094
公開日 2020年5月21日 (5ヶ月経過) 公開番号 2020-075255
状態 未査定
技術分野 圧接、拡散接合 処理全般、補助装置、継手、開先形状
主要キーワード 材料抵抗 品質管理作業 傾斜角度γ 接触割合 アルミニウム合金展伸材 アルミニウム合金鋳造材 Cu系アルミニウム合金 段差側面
関連する未来課題
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図面 (16)

課題

材種の異なる金属を好適に接合することができるとともに、回転ツールの通過位置を把握することができる液冷ジャケットの製造方法を提供することを課題とする。

解決手段

回転する回転ツールFの攪拌ピンF2の先端を段差底面12aと同一の深さか、それよりもわずかに深く挿入し、攪拌ピンF2のみをジャケット本体2の少なくとも上側にわずかに接触させた状態で第一突合せ部J1に沿って回転ツールFを一周させて摩擦攪拌しつつ、塑性化領域W1内の段差側面12bに近接する部位に所定幅粗密部を形成する本接合工程と、本接合工程後、粗密部を検出する深傷検査を行うことにより、攪拌ピンF2の通過位置を特定する検査工程と、を含むことを特徴とする。

概要

背景

例えば、特許文献1には、液冷ジャケットの製造方法が開示されている。図15は、従来の液冷ジャケットの製造方法を示す断面図である。従来の液冷ジャケットの製造方法では、アルミニウム合金製のジャケット本体101の段差部に設けられた段差側面101cと、アルミニウム合金製の封止体102の側面102cとを突き合わせて形成された突合せ部J10に対して摩擦攪拌接合を行うというものである。また、従来の液冷ジャケットの製造方法では、回転ツールFの攪拌ピンF2のみを突合せ部J10に挿入して摩擦攪拌接合を行っている。また、従来の液冷ジャケットの製造方法では、回転ツールFの回転中心軸Cを突合せ部J10に重ねて相対移動させるというものである。

概要

材種の異なる金属を好適に接合することができるとともに、回転ツールの通過位置を把握することができる液冷ジャケットの製造方法を提供することを課題とする。回転する回転ツールFの攪拌ピンF2の先端を段差底面12aと同一の深さか、それよりもわずかに深く挿入し、攪拌ピンF2のみをジャケット本体2の少なくとも上側にわずかに接触させた状態で第一突合せ部J1に沿って回転ツールFを一周させて摩擦攪拌しつつ、塑性化領域W1内の段差側面12bに近接する部位に所定幅粗密部を形成する本接合工程と、本接合工程後、粗密部を検出する深傷検査を行うことにより、攪拌ピンF2の通過位置を特定する検査工程と、を含むことを特徴とする。

目的

本発明は、材種の異なるアルミニウム合金を好適に接合することができるとともに、回転ツールの通過位置を把握することができる液冷ジャケットの製造方法及び摩擦攪拌接合方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

底部、前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体と、を攪拌ピンを備える回転ツールを用いて接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は、前記封止体よりも硬度が高い材種であり、前記攪拌ピンの外周面先細りとなるように傾斜しており、前記周壁部の内周縁に、段差底面と、当該段差底面から前記開口部に向かって立ち上がる段差側面と、を有する周壁段差部を形成する準備工程と、前記ジャケット本体に前記封止体を載置して前記周壁段差部の段差側面と前記封止体の外周側面とを突き合わせて第一突合せ部を形成するとともに、前記段差底面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンの先端を前記段差底面と同一の深さか、それよりもわずかに深く挿入し、前記攪拌ピンのみを前記ジャケット本体の少なくとも上側にわずかに接触させた状態で前記第一突合せ部に沿って回転ツールを一周させて摩擦攪拌しつつ、塑性化領域内の前記段差側面に近接する部位に所定幅粗密部を形成する本接合工程と、前記本接合工程後、前記粗密部を検出する深傷検査を行うことにより、前記攪拌ピンの通過位置を特定する検査工程と、を含むことを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。

請求項2

底部、前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体と、を攪拌ピンを備える回転ツールを用いて接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は、前記封止体よりも硬度が高い材種であり、前記攪拌ピンの外周面は先細りとなるように傾斜しており、前記周壁部の内周縁に、段差底面と、当該段差底面から前記開口部に向かって立ち上がる段差側面と、を有する周壁段差部を形成するとともに、板厚が前記周壁段差部の前記段差側面の高さ寸法よりも大きくなるように前記封止体を形成する準備工程と、前記ジャケット本体に前記封止体を載置して前記周壁段差部の段差側面と前記封止体の外周側面とを突き合わせて第一突合せ部を形成するとともに、前記段差底面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンの先端を前記段差底面と同一の深さか、それよりもわずかに深く挿入し、前記攪拌ピンのみを前記ジャケット本体の少なくとも上側にわずかに接触させた状態で前記第一突合せ部に沿って回転ツールを一周させて摩擦攪拌しつつ、塑性化領域内の前記段差側面に近接する部位に所定幅の粗密部を形成する本接合工程と、前記本接合工程後、前記粗密部を検出する深傷検査を行うことにより、前記攪拌ピンの通過位置を特定する検査工程と、を含むことを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。

請求項3

底部、前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体と、を攪拌ピンを備える回転ツールを用いて接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は、前記封止体よりも硬度が高い材種であり、前記攪拌ピンの外周面は先細りとなるように傾斜しており、前記周壁部の内周縁に、段差底面と、当該段差底面から前記開口部に向かって広がるように斜めに立ち上がる段差側面と、を有する周壁段差部を形成するとともに、板厚が前記周壁段差部の前記段差側面の高さ寸法よりも大きくなるように前記封止体を形成する準備工程と、前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより、前記周壁段差部の前記段差側面と前記封止体の外周側面との間に隙間があるように第一突合せ部を形成するとともに、前記段差底面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンの先端を前記段差底面と同一の深さか、それよりもわずかに深く挿入し、前記攪拌ピンのみを前記ジャケット本体の少なくとも上側にわずかに接触させた状態で前記第一突合せ部に沿って回転ツールを一周させて摩擦攪拌しつつ、塑性化領域内の前記段差側面に近接する部位に所定幅の粗密部を形成する本接合工程と、前記本接合工程後、前記粗密部を検出する深傷検査を行うことにより、前記攪拌ピンの通過位置を特定する検査工程と、を含むことを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。

請求項4

前記封止体は、アルミニウム合金展伸材で形成し、前記ジャケット本体はアルミニウム合金鋳造材で形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の液冷ジャケットの製造方法。

請求項5

前記回転ツールの外周面に基端から先端に向うにつれて左回り螺旋溝刻設した場合、前記回転ツールを右回転させ、前記回転ツールの外周面に基端から先端に向うにつれて右回りの螺旋溝を刻設した場合、前記回転ツールを左回転させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の液冷ジャケットの製造方法。

請求項6

前記本接合工程では、前記回転ツールの移動軌跡に形成される塑性化領域のうち、前記ジャケット本体側がシアー側となり、前記封止体側がフロー側となるように前記回転ツールの回転方向及び進行方向を設定することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の液冷ジャケットの製造方法。

請求項7

前記本接合工程では、前記回転ツールを傾斜させた状態で摩擦攪拌を行い、前記回転ツールの回転中心軸の鉛直面に対する傾斜角度をγとし、前記段差側面の鉛直面に対する傾斜角度をβとし、前記攪拌ピンの外周面の前記回転中心軸に対する傾斜角度をαとすると、γ<α−βとした状態で摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項3に記載の液冷ジャケットの製造方法。

請求項8

前記本接合工程では、0<α−βにした状態で摩擦攪拌接合を行うことを特徴とする請求項7に記載の液冷ジャケットの製造方法。

請求項9

攪拌ピンを備える回転ツールを用いて第一部材と第二部材とを接合する摩擦攪拌接合方法であって、前記第一部材は、前記第二部材よりも硬度が高い材種であり、前記攪拌ピンの外周面は先細りとなるように傾斜しており、前記第一部材に、段差底面と、当該段差底面から立ち上がる段差側面と、を有する段差部を形成する準備工程と、前記第一部材に前記第二部材を載置して前記段差部の段差側面と前記第二部材の側面とを突き合わせて第一突合せ部を形成するとともに、前記段差底面と前記第二部材の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンの先端を前記段差底面と同一の深さか、それよりもわずかに深く挿入し、前記攪拌ピンのみを前記第一部材の少なくとも上側にわずかに接触させた状態で前記第一突合せ部に沿って回転ツールを一周させて摩擦攪拌しつつ、塑性化領域内の前記段差側面に近接する部位に所定幅の粗密部を形成する本接合工程と、前記本接合工程後、前記粗密部を検出する深傷検査を行うことにより、前記攪拌ピンの通過位置を特定する検査工程と、を含むことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。

技術分野

0001

本発明は、液冷ジャケットの製造方法及び摩擦攪拌接合方法に関する。

背景技術

0002

例えば、特許文献1には、液冷ジャケットの製造方法が開示されている。図15は、従来の液冷ジャケットの製造方法を示す断面図である。従来の液冷ジャケットの製造方法では、アルミニウム合金製のジャケット本体101の段差部に設けられた段差側面101cと、アルミニウム合金製の封止体102の側面102cとを突き合わせて形成された突合せ部J10に対して摩擦攪拌接合を行うというものである。また、従来の液冷ジャケットの製造方法では、回転ツールFの攪拌ピンF2のみを突合せ部J10に挿入して摩擦攪拌接合を行っている。また、従来の液冷ジャケットの製造方法では、回転ツールFの回転中心軸Cを突合せ部J10に重ねて相対移動させるというものである。

先行技術

0003

特開2015−131321号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ここで、ジャケット本体101は複雑な形状となりやすく、例えば、4000系アルミニウム合金鋳造材で形成し、封止体102のように比較的単純な形状のものは、1000系アルミニウム合金の展伸材で形成するというような場合がある。このように、アルミニウム合金の材種の異なる部材同士接合して、液冷ジャケットを製造する場合がある。このような場合は、ジャケット本体101の方が封止体102よりも硬度が高くなることが一般的であるため、図15のように摩擦攪拌接合を行うと、攪拌ピンF2が封止体102側から受ける材料抵抗に比べて、ジャケット本体101側から受ける材料抵抗が大きくなる。そのため、回転ツールFの攪拌ピンによって異なる材種をバランスよく攪拌することが困難となり、接合後の塑性化領域空洞欠陥が発生し接合強度が低下するという問題がある。

0005

また、液冷ジャケットが完成した後に、例えば、超音波傷検査を行うことにより液冷ジャケットの品質管理を行う場合ある。このとき、超音波深傷検査による接合不良の有無は把握することができるが、回転ツールがどの位置を通過したか把握することができないという問題がある。

0006

このような観点から、本発明は、材種の異なるアルミニウム合金を好適に接合することができるとともに、回転ツールの通過位置を把握することができる液冷ジャケットの製造方法及び摩擦攪拌接合方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0007

このような課題を解決するために本発明は、底部、前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体と、を攪拌ピンを備える回転ツールを用いて接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は、前記封止体よりも硬度が高い材種であり、前記攪拌ピンの外周面先細りとなるように傾斜しており、前記周壁部の内周縁に、段差底面と、当該段差底面から前記開口部に向かって立ち上がる段差側面と、を有する周壁段差部を形成する準備工程と、前記ジャケット本体に前記封止体を載置して前記周壁段差部の段差側面と前記封止体の外周側面とを突き合わせて第一突合せ部を形成するとともに、前記段差底面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンの先端を前記段差底面と同一の深さか、それよりもわずかに深く挿入し、前記攪拌ピンのみを前記ジャケット本体の少なくとも上側にわずかに接触させた状態で前記第一突合せ部に沿って回転ツールを一周させて摩擦攪拌しつつ、塑性化領域内の前記段差側面に近接する部位に所定幅粗密部を形成する本接合工程と、前記本接合工程後、前記粗密部を検出する深傷検査を行うことにより、前記攪拌ピンの通過位置を特定する検査工程と、を含むことを特徴とする。

0008

かかる製造方法によれば、封止体と攪拌ピンとの摩擦熱によって第一突合せ部の主として封止体側の金属が攪拌されて塑性流動化され、第一突合せ部において段差側面と封止体の外周側面とを接合することができる。また、攪拌ピンのみをジャケット本体の段差側面の少なくとも上側にわずかに接触させて摩擦攪拌を行うため、接合強度を確保しつつジャケット本体から封止体への金属の混入を極力少なくすることができる。これにより、第一突合せ部においては主として封止体側の金属が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。
また、攪拌ピンを段差底面と同一かそれよりもわずかに深く挿入するため、第二突合せ部における接合強度を高めつつ、ジャケット本体から封止体への金属の混入を極力少なくすることができる。また、所定幅の粗密部をあえて形成することで、深傷検査によって攪拌ピンの通過位置を把握することができる。これにより、品質管理作業をより容易に行うことができる。

0009

また、本発明は、底部、前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体と、を攪拌ピンを備える回転ツールを用いて接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は、前記封止体よりも硬度が高い材種であり、前記攪拌ピンの外周面は先細りとなるように傾斜しており、前記周壁部の内周縁に、段差底面と、当該段差底面から前記開口部に向かって立ち上がる段差側面と、を有する周壁段差部を形成するとともに、板厚が前記周壁段差部の前記段差側面の高さ寸法よりも大きくなるように前記封止体を形成する準備工程と、前記ジャケット本体に前記封止体を載置して前記周壁段差部の段差側面と前記封止体の外周側面とを突き合わせて第一突合せ部を形成するとともに、前記段差底面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンの先端を前記段差底面と同一の深さか、それよりもわずかに深く挿入し、前記攪拌ピンのみを前記ジャケット本体の少なくとも上側にわずかに接触させた状態で前記第一突合せ部に沿って回転ツールを一周させて摩擦攪拌しつつ、塑性化領域内の前記段差側面に近接する部位に所定幅の粗密部を形成する本接合工程と、前記本接合工程後、前記粗密部を検出する深傷検査を行うことにより、前記攪拌ピンの通過位置を特定する検査工程と、を含むことを特徴とする。

0010

かかる製造方法によれば、封止体と攪拌ピンとの摩擦熱によって第一突合せ部の主として封止体側の金属が攪拌されて塑性流動化され、第一突合せ部において段差側面と封止体の外周側面とを接合することができる。また、攪拌ピンのみをジャケット本体の段差側面の少なくとも上側にわずかに接触させて摩擦攪拌を行うため、接合強度を確保しつつジャケット本体から封止体への金属の混入を極力少なくすることができる。これにより、第一突合せ部においては主として封止体側の金属が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。
また、攪拌ピンを段差底面と同一かそれよりもわずかに深く挿入するため、第二突合せ部における接合強度を高めつつ、ジャケット本体から封止体への金属の混入を極力少なくすることができる。また、所定幅の粗密部をあえて形成することで、深傷検査によって攪拌ピンの通過位置を把握することができる。これにより、品質管理作業をより容易に行うことができる。また、封止体の厚さを大きくすることで接合部の金属不足を防ぐことができる。

0011

また、本発明は、底部、前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体と、を攪拌ピンを備える回転ツールを用いて接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は、前記封止体よりも硬度が高い材種であり、前記攪拌ピンの外周面は先細りとなるように傾斜しており、前記周壁部の内周縁に、段差底面と、当該段差底面から前記開口部に向かって広がるように斜めに立ち上がる段差側面と、を有する周壁段差部を形成するとともに、板厚が前記周壁段差部の前記段差側面の高さ寸法よりも大きくなるように前記封止体を形成する準備工程と、前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより、前記周壁段差部の前記段差側面と前記封止体の外周側面との間に隙間があるように第一突合せ部を形成するとともに、前記段差底面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンの先端を前記段差底面と同一の深さか、それよりもわずかに深く挿入し、前記攪拌ピンのみを前記ジャケット本体の少なくとも上側にわずかに接触させた状態で前記第一突合せ部に沿って回転ツールを一周させて摩擦攪拌しつつ、塑性化領域内の前記段差側面に近接する部位に所定幅の粗密部を形成する本接合工程と、前記本接合工程後、前記粗密部を検出する深傷検査を行うことにより、前記攪拌ピンの通過位置を特定する検査工程と、を含むことを特徴とする。

0012

かかる製造方法によれば、封止体と攪拌ピンとの摩擦熱によって第一突合せ部の主として封止体側の金属が攪拌されて塑性流動化され、第一突合せ部において段差側面と封止体の外周側面とを接合することができる。また、攪拌ピンのみをジャケット本体の段差側面の少なくとも上側にわずかに接触させて摩擦攪拌を行うため、接合強度を確保しつつジャケット本体から封止体への金属の混入を極力少なくすることができる。これにより、第一突合せ部においては主として封止体側の金属が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。
また、攪拌ピンを段差底面と同一かそれよりもわずかに深く挿入するため、第二突合せ部における接合強度を高めつつ、ジャケット本体から封止体への金属の混入を極力少なくすることができる。また、所定幅の粗密部をあえて形成することで、深傷検査によって攪拌ピンの通過位置を把握することができる。これにより、品質管理作業をより容易に行うことができる。また、攪拌ピンの外周面及び段差側面を傾斜するように形成することで、攪拌ピンと段差側面とが大きく接触することを回避することができる。また、封止体の厚さを大きくすることで接合部の金属不足を防ぐことができる。

0013

また、前記封止体は、アルミニウム合金展伸材で形成し、前記ジャケット本体はアルミニウム合金鋳造材で形成することが好ましい。

0014

また、前記回転ツールの外周面に基端から先端に向うにつれて左回り螺旋溝刻設した場合、前記回転ツールを右回転させ、前記回転ツールの外周面に基端から先端に向うにつれて右回りの螺旋溝を刻設した場合、前記回転ツールを左回転させることが好ましい。これにより、螺旋溝によって塑性流動化した金属が攪拌ピンの先端側に導かれるため、バリの発生を少なくすることができる。

0015

また、前記本接合工程では、前記回転ツールの移動軌跡に形成される塑性化領域のうち、前記ジャケット本体側がシアー側となり、前記封止体側がフロー側となるように前記回転ツールの回転方向及び進行方向を設定することが好ましい。これにより、前記ジャケット本体側がシアー側となり、第一突合せ部の周囲における攪拌ピンによる攪拌作用が高まり、第一突合せ部における温度上昇が期待でき、第一突合せ部において段差側面と封止体の外周側面とをより確実に接合することができる。

0016

また、前記本接合工程では、前記回転ツールを傾斜させた状態で摩擦攪拌を行い、前記回転ツールの回転中心軸の鉛直面に対する傾斜角度をγとし、前記段差側面の鉛直面に対する傾斜角度をβとし、前記攪拌ピンの外周面の前記回転中心軸に対する傾斜角度をαとすると、γ<α−βとした状態で摩擦攪拌を行うことが好ましい。
また、前記本接合工程では、0<α−βにした状態で摩擦攪拌接合を行うことが好ましい。
これにより、回転ツールの回転中心軸を傾斜させて摩擦攪拌接合を行うことができる。

0017

また、本発明は、第一部材と第二部材とを攪拌ピンを備える回転ツールを用いて接合する摩擦攪拌接合方法であって、前記第一部材は、前記第二部材よりも硬度が高い材種であり、前記攪拌ピンの外周面は先細りとなるように傾斜しており、前記第一部材に、段差底面と、当該段差底面から立ち上がる段差側面と、を有する段差部を形成する準備工程と、前記第一部材に前記第二部材を載置して前記段差部の段差側面と前記第二部材の側面とを突き合わせて第一突合せ部を形成するとともに、前記段差底面と前記第二部材の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンの先端を前記段差底面と同一の深さか、それよりもわずかに深く挿入し、前記攪拌ピンのみを前記第一部材の少なくとも上側にわずかに接触させた状態で前記第一突合せ部に沿って回転ツールを一周させて摩擦攪拌しつつ、塑性化領域内の前記段差側面に近接する部位に所定幅の粗密部を形成する本接合工程と、前記本接合工程後、前記粗密部を検出する深傷検査を行うことにより、前記攪拌ピンの通過位置を特定する検査工程と、を含むことを特徴とする。

発明の効果

0018

本発明に係る液冷ジャケットの製造方法及び摩擦攪拌接合方法によれば、材種の異なる金属を好適に接合しつつ、回転ツールの通過位置を把握することができる。

図面の簡単な説明

0019

本発明の第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の準備工程を示す斜視図である。
第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の載置工程を示す断面図である。
第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の本接合工程を示す斜視図である。
第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の本接合工程を示す断面図である。
第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の本接合工程後を示す断面図である。
第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の検査工程を示す平面図である。
第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の本接合工程を示す断面図である。
第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の準備工程を示す斜視図である。
第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の本接合工程を示す断面図である。
試験1における回転ツール位置と引張強さとの関係を表したグラフである。
試験1の重ね継手を示す模式図である。
試験1の重ね継手+突合せ継手を示す模式図である。
試験1の突合せ継手(一部重ね)を示す模式図である。
試験2における比較例1〜3及び実施例のマクロ組織断面である。
従来の液冷ジャケットの製造方法を示す断面図である。

0020

[第一実施形態]
本発明の実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。図1に示すように、本発明の実施形態に係る液冷ジャケット1の製造方法は、ジャケット本体2と、封止体3とを摩擦攪拌接合して液冷ジャケット1を製造するものである。液冷ジャケット1は、封止体3の上に発熱体(図示省略)を設置するとともに、内部に流体を流して発熱体と熱交換を行う部材である。なお、以下の説明における「表面」とは、「裏面」の反対側の面という意味である。

0021

本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法は、準備工程と、載置工程と、本接合工程と、検査工程と、を行う。準備工程は、ジャケット本体2と封止体3とを準備する工程である。ジャケット本体2は、底部10と、周壁部11とで主に構成されている。ジャケット本体2は、第一アルミニウム合金を主に含んで形成されている。第一アルミニウム合金は、例えば、JISH5302ADC12(Al-Si-Cu系)等のアルミニウム合金鋳造材を用いている。ジャケット本体2は、本実施形態ではアルミニウム合金を例示したが、摩擦攪拌可能な他の金属でもよい。

0022

図1に示すように、底部10は、平面視矩形を呈する板状部材である。周壁部11は、底部10の周縁部から矩形枠状に立ち上がる壁部である。周壁部11の内周縁には周壁段差部12が形成されている。周壁段差部12は、段差底面12aと、段差底面12aから立ち上がる段差側面12bとで構成されている。図2に示すように、段差側面12bは、段差底面12aから開口部に向かって外側に広がるように傾斜している。段差側面12bの鉛直面に対する傾斜角度βは適宜設定すればよいが、例えば、鉛直面に対して3°〜30°になっている。底部10及び周壁部11で凹部13が形成されている。ここで鉛直面とは、回転ツールFの進行方向ベクトルと鉛直方向ベクトルで構成される平面と定義する。

0023

封止体3は、ジャケット本体2の開口部を封止する板状部材である。封止体3は、周壁段差部12に載置される大きさになっている。封止体3の板厚は、段差側面12bの高さ寸法よりも大きくなっている。封止体3の板厚寸法は、後記する本接合工程の際に接合部が金属不足にならない程度に適宜設定する。封止体3は、第二アルミニウム合金を主に含んで形成されている。第二アルミニウム合金は、第一アルミニウム合金よりも硬度の低い材料である。第二アルミニウム合金は、例えば、JIS A1050,A1100,A6063等のアルミニウム合金展伸材で形成されている。封止体3は、本実施形態ではアルミニウム合金を例示したが、摩擦攪拌可能な他の金属でもよい。

0024

載置工程は、図2に示すように、ジャケット本体2に封止体3を載置する工程である。載置工程では、段差底面12aに封止体3の裏面3bを載置する。段差側面12bと封止体3の外周側面3cとが突き合わされて第一突合せ部J1が形成される。第一突合せ部J1は本実施形態のように断面略V字状の隙間をあけて突き合わされる場合も含み得る。また、段差底面12aと、封止体3の裏面3bとが突き合わされて第二突合せ部J2が形成される。

0025

本接合工程は、図3及び図4に示すように、回転する回転ツールFを封止体3の周囲で一周させてジャケット本体2と封止体3とを摩擦攪拌接合する工程である。回転ツールFは、連結部F1と、攪拌ピンF2とで構成されている。回転ツールFは、例えば工具鋼で形成されている。連結部F1は、摩擦攪拌装置(図示省略)の回転軸に連結される部位である。連結部F1は円柱状を呈し、ボルト締結されるネジ孔(図示省略)が形成されている。回転ツールFが連結される摩擦攪拌装置は、例えば先端にスピンドルユニット等の回転駆動手段を備えたロボットアームであり、回転ツールFの回転中心軸Cを自在に傾斜させることができる。

0026

攪拌ピンF2は、連結部F1から垂下しており、連結部F1と同軸になっている。攪拌ピンF2は連結部F1から離間するにつれて先細りになっている。図4に示すように、攪拌ピンF2の先端には、回転中心軸Cに対して垂直であり、かつ、平坦な平坦面F3が形成されている。つまり、攪拌ピンF2の外面は、先細りとなる外周面F10と、先端に形成された平坦面F3とで構成されている。側面視した場合において、回転中心軸Cと攪拌ピンF2の外周面F10とのなす傾斜角度αは、例えば5°〜40°の範囲で適宜設定すればよい。

0027

攪拌ピンF2の外周面には螺旋溝が刻設されている。本実施形態では、回転ツールFを右回転させるため、螺旋溝は、基端から先端に向かうにつれて左回りに形成されている。言い換えると、螺旋溝は、螺旋溝を基端から先端に向けてなぞると上から見て左回りに形成されている。

0028

なお、回転ツールFを左回転させる場合は、螺旋溝を基端から先端に向かうにつれて右回りに形成することが好ましい。言い換えると、この場合の螺旋溝は、螺旋溝を基端から先端に向けてなぞると上から見て右回りに形成されている。螺旋溝をこのように設定することで、摩擦攪拌の際に塑性流動化した金属が螺旋溝によって攪拌ピンF2の先端側に導かれる。これにより、被接合金属部材(ジャケット本体2及び封止体3)の外部に溢れ出る金属の量を少なくすることができる。

0029

図3に示すように、回転ツールFを用いて摩擦攪拌を行う際には、封止体3に右回転した攪拌ピンF2のみを挿入し、封止体3と連結部F1とは離間させつつ移動させる。言い換えると、攪拌ピンF2の基端部は露出させた状態で摩擦攪拌を行う。回転ツールFの移動軌跡には摩擦攪拌された金属が硬化することにより塑性化領域W1が形成される。本実施形態では、封止体3に設定した開始位置Spに攪拌ピンF2を挿入し、封止体3に対して右廻りに回転ツールFを相対移動させる。

0030

図4に示すように、本接合工程では、回転ツールFの回転中心軸Cを鉛直線(鉛直面)と平行にした状態で摩擦攪拌を行う。段差底面12bの傾斜角度βは、攪拌ピンF2の外周面の傾斜角度αよりも小さく設定している。本接合工程では、回転ツールFの外周面F10の上側を周壁段差部12の段差側面12bの上部にわずかに接触させつつ、外周面F10の下側を周壁段差部12の段差側面12bに接触させないように設定する。攪拌ピンF2の平坦面F3は、段周壁差部12の段差底面12aと同一の高さでもよいが、本実施形態では周壁段差部12の段差底面12aよりもわずかに深い位置となるように挿入する。本接合工程では、封止体3の周囲に一周させ、塑性化領域W1の始端終端とを重複させたら回転ツールFをジャケット本体2及び封止体3から離脱させる。

0031

図5に示すように、本接合工程を行うと、回転ツールFの移動軌跡に塑性化領域W1が形成されるとともに、塑性化領域W1の下部のうち段差側面12bの内側近傍に粗密部Zが形成される。粗密部Zは、塑性流動材の攪拌が不十分な領域であって、他の部位よりも塑性流動材が粗密になっている領域である。粗密部Zは、塑性化領域W1の長手方向において連続的又は断続的に形成されている。

0032

検査工程は、図6に示すように、液冷ジャケット1の深傷検査を行う工程である。検査工程では、超音波深傷装置(例えば、超音波映像装置(SAT)株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いる。図6中の検査結果画面Rのうち、液冷ジャケット1の中空部Bは色付きで表示されている。また、中空部Bの周囲に粗密部Zが色付きで、枠状かつ線状に表示されている。つまり、検査結果画面Rに粗密部Zが表示されることで、封止体3の全周に亘って回転ツールFが通過していることが特定できる。中空部Bと粗密部Zの間は塑性化領域W1に相当する部位である。

0033

ここで、粗密部Zの幅Zwは400μm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下に設定することが好ましい。粗密部Zの幅Zwが400μmを超えると第一突合せ部J1の接合強度が不十分になるおそれがある。換言すると、粗密部Zの幅Zwが400μm以下であれば十分な接合強度が得られる。一方、粗密部Zの幅Zwは100μm以上であることが好ましい。粗密部Zの幅Zwが100未満であると超音波深傷装置で、粗密部Z部分が検査結果画面Rに表示されないおそれがある。

0034

図4に示すように、本接合工程において、攪拌ピンF2の外周面F10と段差側面12bとが接触する領域と、接触しない領域との割合は本実施形態では、2:8くらいになっているが、ジャケット本体2と封止体3とが所望の強度で接合されつつ、前記した所定幅の粗密部Zが形成される範囲で適宜設定すればよい。換言すると、攪拌ピンF2の外周面F10の傾斜角度α、周壁段差部12の段差側面12bの傾斜角度β、攪拌ピンF2の回転中心軸Cの位置(幅方向の位置)は、ジャケット本体2と封止体3とが所望の強度で接合されつつ、前記した所定幅の粗密部Zが形成される範囲で適宜設定すればよい。

0035

攪拌ピンF2と段差側面12bとの接触割合が大きくなると、ジャケット本体2の金属が封止体3側に多く流入するため、ジャケット本体2と封止体3との攪拌のバランスが悪くなり、接合強度が低下するおそれがある。また、攪拌ピンF2の外周面F10と段差側面12bとが離間していても接合強度が低下するおそれがあるため、少なくとも段差側面12bの上部に攪拌ピンF2を接触させることが好ましい。また、段差底面12a付近において、外周面F10と段差側面12bとが近接しすぎても、又は、離間しすぎても上記した所定幅の粗密部Zは形成することができない。

0036

以上説明した本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法によれば、封止体3と攪拌ピンF2との摩擦熱によって第一突合せ部J1の主として封止体3側の金属が攪拌されて塑性流動化され、第一突合せ部J1において段差側面12bと封止体3の外周側面3cとを接合することができる。また、攪拌ピンF2のみをジャケット本体2の段差側面12bの少なくとも上側にわずかに接触させて摩擦攪拌を行うため、接合強度を確保しつつジャケット本体2から封止体3への金属の混入を極力少なくすることができる。これにより、第一突合せ部J1においては主として封止体3側の金属が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。

0037

また、攪拌ピンF2を段差底面12aと同一かそれよりもわずかに深く挿入するため、第二突合せ部J2における接合強度を高めつつ、ジャケット本体2から封止体3への金属の混入を極力少なくすることができる。また、所定幅の粗密部Zをあえて形成することで、深傷検査によって攪拌ピンF2の通過位置を把握することができる。これにより、品質管理作業をより容易に行うことができる。また、攪拌ピンF2の外周面F10及び段差側面12bを傾斜するように形成することで、攪拌ピンF2と段差側面12bとが大きく接触することを回避できるとともに、粗密部Zの幅Zw、大きさ等を容易に制御することができる。また、封止体3の厚さを大きくすることで接合部の金属不足を防ぐことができる。

0038

また、本接合工程では、回転ツールFの回転方向及び進行方向は適宜設定すればよいが、本実施形態では回転ツールFの移動軌跡に形成される塑性化領域W1のうち、ジャケット本体2側がシアー側となり、封止体3側がフロー側となるように回転ツールFの回転方向及び進行方向を設定した。これにより、第一突合せ部J1の周囲における攪拌ピンF2による攪拌作用が高まり、第一突合せ部J1における温度上昇が期待でき、第一突合せ部J1において段差側面12bと封止体3の外周側面3cとをより確実に接合することができる。

0039

なお、シアー側(Advancing side)とは、被接合部に対する回転ツールの外周の相対速度が、回転ツールの外周における接線速度の大きさに移動速度の大きさを加算した値となる側を意味する。一方、フロー側(Retreating side)とは、回転ツールの移動方向の反対方向に回転ツールが回動することで、被接合部に対する回転ツールの相対速度が低速になる側を言う。

0040

また、ジャケット本体2の第一アルミニウム合金は、封止体3の第二アルミニウム合金よりも硬度の高い材料になっている。これにより、液冷ジャケット1の耐久性を高めることができる。また、ジャケット本体2の第一アルミニウム合金をアルミニウム合金鋳造材とし、封止体3の第二アルミニウム合金をアルミニウム合金展伸材とすることが好ましい。第一アルミニウム合金を例えば、JISH5302ADC12等のAl−Si−Cu系アルミニウム合金鋳造材とすることにより、ジャケット本体2の鋳造性、強度、被削性等を高めることができる。また、第二アルミニウム合金を例えば、JIS A1000系又はA6000系とすることにより、加工性熱伝導性を高めることができる。

0041

例えば、本実施形態では、封止体3の板厚を段差側面12bの高さ寸法よりも大きくしているが、両者を同一にしてもよい。また、段差側面12bは傾斜させずに、段差底面12aに対して垂直でもよい。

0042

なお、前記した実施形態ではジャケット本体と封止体とを接合して形成される液冷ジャケットの製造方法を例示したが、これに限定されるものではない。図示は省略するが、本発明は、液冷ジャケットの形状に限定されることなく段差部を備えた第一部材と、当該段差部に配置される第二部材とを接合する摩擦攪拌接合としても適用することができる。

0043

[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。図7に示すように、第二実施形態では、回転ツールFを傾斜させて摩擦攪拌を行う点で第一実施形態と相違する。本実施形態では、準備工程、載置工程、本接合工程、検査工程を行う。本実施形態では、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。

0044

本実施形態の本接合工程では、図7に示すように、回転ツールFを鉛直面(封止体3の外周側面3c)に対して傾斜角度γ外側に傾斜させた状態で摩擦攪拌を行う。このようにしても、攪拌ピンF2を段差側面12bにわずかに接触させつつ、攪拌ピンF2の先端を段差底面12aよりもわずかに深く挿入することができる。また、攪拌ピンF2の先端側は、段差側面12bに接触していない。

0045

これにより、第一実施形態と同じように所定幅の粗密部Zを形成することができる。傾斜角度は適宜設定すればよいが、例えば、γ<α−βと設定することが好ましい。また、0<α−βとすることが好ましい。本実施形態では、回転ツールFを外側(封止体3から離間する側)に傾斜させているが、内側に傾斜させてもよい。回転ツールFの傾斜角度、傾斜させる方向については、ジャケット本体2と封止体3とが所望の強度で接合されつつ、前記した所定幅の粗密部Zが形成される範囲で適宜設定すればよい。

0046

[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。図8及び図9に示すように、第三実施形態では、ジャケット本体2Aの支柱15と封止体3Aとを接合する点で第一実施形態と相違する。本実施形態では、準備工程、載置工程、本接合工程、検査工程を行う。本接合工程では、第一本接合工程と、第二本接合工程を行う。本実施形態では、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。

0047

準備工程では、ジャケット本体2A及び封止体3Aを用意する。ジャケット本体2Aは、底部10、周壁部11、複数の支柱15(本実施形態では4つ)を備えている。支柱15は、底部10から立設し柱状を呈する。支柱15の先端には先細りとなる突出部16が形成されている。突出部16を設けることにより、支柱15の先端側には支柱段差部17が形成されている。支柱段差部17は、段差底面17aと、段差底面17aから軸中心側に傾斜する段差側面17bとで構成されている。封止体3Aには、支柱15の対応する位置に孔部4が形成されている。孔部4は、突出部16が挿入される大きさになっている。

0048

載置工程では、ジャケット本体2Aに封止体3Aを載置する工程である。これにより、第一実施形態と同様に第一突合せ部J1が形成される。また、図9に示すように、支柱段差部17の段差側面17bと孔部4の孔壁4aとが突き合わされて第三突合せ部J3が形成される。また、支柱段差部17の段差底面17aと封止体3の裏面3bとが突き合わされて第四突合せ部J4が形成される。

0049

本接合工程では、第一突合せ部J1及び第二突合せ部J2を接合する第一本接合工程と、第三突合せ部J3及び第四突合せ部J4を接合する第二本接合工程とを行う。第一本接合工程は、第一実施形態の本接合工程と同一であるため説明を省略する。

0050

図9に示すように、第二本接合工程では、回転ツールFの外周面F10の上側を支柱段差部17の段差側面17bの上部にわずかに接触させつつ、外周面F10の下側を支柱段差部17の段差側面17bに接触させないように設定する。攪拌ピンF2の平坦面F3は、支柱段差部17の段差底面17aよりもわずかに深い位置となるように挿入する。

0051

図9に示すように、本接合工程を行うと、回転ツールFの移動軌跡に塑性化領域W2が形成されるとともに、塑性化領域W2の下部のうち段差側面17bの外側近傍に粗密部Zが形成される。粗密部Zは、塑性流動材の攪拌が不十分な領域であって、他の部位よりも塑性流動材が粗密になっている領域である。粗密部Zは、塑性化領域W2において連続的又は断続的に形成されている。粗密部Zの形成方法や条件については第一実施形態と同一である。

0052

本実施形態によれば、第一実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態によれば、支柱15と封止体3Aとを接合するため接合強度を高めることができる。また、塑性化領域W2内において、突出部16の基端側の外側近傍に粗密部Zを形成することにより、検査工程において支柱15周りにおける回転ツールFの移動軌跡を確認することができる。

0053

次に、本発明の実施例について説明する。ここでは、所定の条件下で本接合工程を行った後、引張試験を行って回転ツール位置と引張強さとの関係を確認した試験1と、所定の条件下で本接合工程を行った後、接合部のマクロ組織断面を確認した試験2とを行った。図10は、試験1における回転ツール位置と引張強さとの関係を表したグラフである。

0054

試験1では、試験体を8つ用意して各試験体について本接合工程を行った。試験1では、攪拌ピンF2の挿入深さを一定にしつつ、回転ツールFの位置(幅方向位置)を変化させて摩擦攪拌接合を行った。ジャケット本体2はアルミニウム合金ADC12を用い、封止体3はアルミニウム合金A6063を用いた。段差側面12b及び封止体3の高さ寸法は3mmとした。

0055

図10及び図11に示すように、範囲Aは「重ね継手」を示している。範囲Aの「重ね継手」は、攪拌ピンF2の外周面F10は段差側面12bに接触しておらず、攪拌ピンF2の先端が段差底面12aに達している状態である。図10に示すように、4つの試験体が範囲Aに含まれている。回転ツール位置X2は、図11に示す回転ツールFの位置と対応している。

0056

図10及び図11に示すように、範囲Bの「重ね継手+突合せ継手」は、攪拌ピンF2の外周面F10が段差側面12bと接触し、かつ、攪拌ピンF2の先端側は段差側面12bに接触していない状態である。また、攪拌ピンF2の先端が段差底面12aに達している状態である。図10に示すように、2つの試験体が範囲Bに含まれている。範囲Bは、本発明の第一実施形態と同じ形態である。

0057

図10及び図11に示すように、範囲Cの「突合せ継手(一部重ね)」は、攪拌ピンF2が段差側面12bの全体及び段差底面12aの一部と接触している状態である。図10に示すように、2つの試験体が範囲Cに含まれている。回転ツール位置X10は、図13の回転ツールFの位置と対応している。

0058

図10に示すように、範囲A:「重ね継手」であると、他の形態と比べて引張強さが弱いことがわかった。つまり、第二突合せ部J2のみの接合では、引張強さが低いことがわかった。

0059

一方、範囲C:「突合せ継手(一部重ね)」であると第一突合せ部J1及び第二突合せ部J2の二か所が摩擦攪拌されるため引張強さは大きくなるものの回転ツール位置X9付近をピークに引張強さが減少することがわかった。これは、回転ツールFとジャケット本体2との重なり代が大きくなると、ジャケット本体2の金属が封止体3側に多く流入するため、攪拌バランスが悪くなり引張強さが低下すると考えられる。

0060

他方、範囲B:「重ね継手+突合せ継手」であると、第一突合せ部J1及び第二突合せ部J2の二か所が摩擦攪拌されて引張強さが大きくなり、引張強さの数値上昇傾向にあることがわかった。よって、回転ツールFの位置は、攪拌ピンF2が段差側面12bと段差底面12aの両方にそれぞれわずかに接触させる位置が好ましいことがわかった。

0061

図14は、試験2における比較例1〜3及び実施例のマクロ組織断面である。試験2では、新たに試験体を4つ用意し、それぞれ本接合工程を行った。試験2では、回転ツールFの挿入深さ及び位置を変化させてマクロ組織断面によって接合状況を確認した。ジャケット本体2はアルミニウム合金ADC12を用い、封止体3はアルミニウム合金A1100を用いた。段差側面12bの高さ寸法は3.0mmとし、封止体3の高さ寸法は3.5mmとした。段差側面12bの傾斜角度βは10°とした。攪拌ピンF2のテーパー角度は40°とし、溝ピッチは0.5mmとし、平坦面F3の直径は1.5mmとした。

0062

比較例1は、回転ツールFの押込み量を0.65mmとし、段差側面12bとの重なり代を0.55mmに設定した。押込み量とは、段差底面12aから回転ツールFの先端までの距離である。重なり代とは、段差側面12bから攪拌ピンF2の外周面F10までの距離(最大距離)である。重なり代がプラスの場合は、外周面F10と段差側面12bとが接触していることを意味する。

0063

比較例2は、回転ツールFの押込み量を0.5mmとし、段差側面12bとの重なり代を0.35mmに設定した。
比較例3は、回転ツールFの押込み量を0.2mmとし、段差側面12bとの重なり代を−0.15mmに設定した。比較例3では、段差側面12bと攪拌ピンF2の外周面F10とは完全に離間している。
実施例は、回転ツールFの押込み量を0.2mmとし、段差側面12bとの重なり代を0.15mmに設定した。実施例では、攪拌ピンF2と段差側面12bの上部とが接触し、攪拌ピンF2と段差側面12bの下部とは離間している。

0064

図14に示すように、比較例1では、攪拌ピンF2の外周面F10と段差側面12bとの重なり代が大きすぎて塑性化領域W1内に空洞欠陥が多く発生している。
比較例2では、塑性化領域W1内に空洞欠陥は発生していないが、攪拌ピンF2の外周面F10と段差側面12bとの重なり代が大きすぎて粗密部Zが形成されていない。
比較例3では、攪拌ピンF2と段差側面12bとが完全に離間しているため、外周面F10と段差側面12bとの間の下部に大きな粗密部Zaが発生している。当該粗密部Zaの幅は約500μmになっている。また、比較例3ではバリVも多く発生している。

実施例

0065

実施例では、塑性化領域W1内に空洞欠陥はなく、バリも発生していない。段差側面12bの下部の内側に幅約200μmの粗密部Zが形成されている。実施例の条件であれば、接合強度も十分に確保できるとともに、粗密部Zも所定幅で形成されて良好であることがわかった。なお、実施例の数値は、あくまで例示であって本発明を限定するものではない。

0066

1液冷ジャケット
2ジャケット本体(第一部材)
3封止体(第二部材)
F回転ツール
F1 連結部
F2攪拌ピン
F3平坦面
J1 第一突合せ部
J2 第二突合せ部
W1塑性化領域
Z粗密部

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