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技術 ジケトピペラジンを含有する植物エキス及びその製造方法

出願人 サントリーホールディングス株式会社
発明者 山本憲司別府佳紀中原光一鈴木智典島壮一郎村上由佳
出願日 2020年1月24日 (11ヶ月経過) 出願番号 2020-009795
公開日 2020年5月14日 (7ヶ月経過) 公開番号 2020-073578
状態 未査定
技術分野 食品の着色及び栄養改善 ペプチド又は蛋白質 食品の調整及び処理一般 茶・コーヒー
主要キーワード 測定計測 生成度合い 高温高圧流体 耐熱性プロテアーゼ 亜臨界領域 水溶性タンパク 物理的性 水不溶性タンパク質
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年5月14日)のものです。
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図面 (3)

課題

飲食物への配合に適したジケトピペラジン混合体とその製造法の提供。

解決手段

植物性ペプチド液体中で高温高圧処理し、シクロロイシルロイシン及びシクロロイシルフェニルアラニンを含むジケトピペラジンを高濃度に含有する植物エキスを製造することで、植物性天然物由来香味に優れたジケトピペラジンが得られ、そのまま飲食物に配合してジケトピペラジンの有する機能が付加された飲食物を製造することができる。

概要

背景

アミノ酸が二つ結合した「ジペプチド」が機能性物質として注目されている。ジペプチドは単体アミノ酸にない物理的性質や新たな機能を付加することが可能であり、アミノ酸以上の応用範囲を有するものとして期待されている。特に、環状のジペプチドであるジケトピペラジンは、抗菌作用抗酸化作用非特許文献1,2)、学習意欲改善作用(特許文献1)などの様々な生理活性を持つことが知られており、医療薬理分野において需要が拡大することが予想されている。

通常、ジケトピペラジンは、化学合成法(非特許文献3)や酵素法(非特許文献2,4)などで製造されている。また、直鎖ペプチド超臨界領域又は亜臨界領域にある高温高圧水脱水環化反応させることにより、任意のアミノ酸配列を持った環状ペプチドを合成する方法(特許文献2)、直鎖ジペプチド又は直鎖トリペプチド水溶媒中加熱処理して環状ジペプチドを製造する方法(特許文献3,4)も提案されている。

概要

飲食物への配合に適したジケトピペラジン混合体とその製造法の提供。植物性ペプチド液体中で高温高圧処理し、シクロロイシルロイシン及びシクロロイシルフェニルアラニンを含むジケトピペラジンを高濃度に含有する植物エキスを製造することで、植物性天然物由来香味に優れたジケトピペラジンが得られ、そのまま飲食物に配合してジケトピペラジンの有する機能が付加された飲食物を製造することができる。なし

目的

本発明の目的は、天然由来であって安全性が高いジケトピペラジンを高濃度で含有する香味良好なエキスとその製造法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

シクロアラニルグルタミン、シクロアラニルアラニン、シクロセリルチロシン、シクログリシルロイシン、シクログリシルトリプトファン、シクロバリルバリン、シクロトリプトファニルチロシン、シクロロイシルトリプトファン及びシクロフェニルアラニルフェニルアラニンのいずれか一以上を、10μg/100g/Bx以上の濃度で含有する、植物エキス

請求項2

Bxあたりのジケトピペラジンの総量が、900μg/100g/Bx以上である、請求項1記載の植物エキス。

請求項3

植物エキスが、茶エキス大豆エキス又は麦芽エキスである、請求項1または2記載の植物エキス。

請求項4

タンパク質を含有する植物体分解処理を施して植物性ペプチドを生成させ、この植物性ペプチドを液体中で高温高圧処理することにより得られる植物エキス。

請求項5

植物性ペプチドを、液体中で高温高圧処理する工程を含む、シクロロイシルロイシン及びシクロロイシルフェニルアラニンを含むジケトピペラジンを高濃度に含有する植物エキスの製造方法。

請求項6

高温高圧処理工程での加熱条件が、100〜170℃の液体中で30〜数時間である、請求項5に記載の製造方法。

請求項7

植物性ペプチドがオリゴペプチドである、請求項5又は6に記載の製造方法。

請求項8

植物性ペプチドが、植物由来のタンパク質又はタンパク質を含有する植物体に分解処理を施して得られたものである、請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法。

請求項9

分解処理が加熱処理または酵素処理である、請求項8に記載の製造方法。

請求項10

分解処理が酵素処理であり、酵素エンド型プロテアーゼである、請求項9記載の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ジケトピペラジン高濃度に含有する植物エキス及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

アミノ酸が二つ結合した「ジペプチド」が機能性物質として注目されている。ジペプチドは単体アミノ酸にない物理的性質や新たな機能を付加することが可能であり、アミノ酸以上の応用範囲を有するものとして期待されている。特に、環状のジペプチドであるジケトピペラジンは、抗菌作用抗酸化作用非特許文献1,2)、学習意欲改善作用(特許文献1)などの様々な生理活性を持つことが知られており、医療薬理分野において需要が拡大することが予想されている。

0003

通常、ジケトピペラジンは、化学合成法(非特許文献3)や酵素法(非特許文献2,4)などで製造されている。また、直鎖ペプチド超臨界領域又は亜臨界領域にある高温高圧水脱水環化反応させることにより、任意のアミノ酸配列を持った環状ペプチドを合成する方法(特許文献2)、直鎖ジペプチド又は直鎖トリペプチド水溶媒中加熱処理して環状ジペプチドを製造する方法(特許文献3,4)も提案されている。

0004

特表2012−517998号公報
特開2003−252896号公報
韓国公開特許10−2011−0120051
特許5456876号公報
特開2010−166911号公報
特表2012−517214号公報

先行技術

0005

Peptides, 16(1), 151-164 (1995)
バイオサイエンスインダストリー, 60(7), 454-457 (2002)
J. Comb, Chem., 3, 453-460 (2001)
Chemistry Biology, 8, 997-1010 (2001)
Agr. Biol. Chem., 38 (5), 927-932 (1974)

発明が解決しようとする課題

0006

このように、生体内で種々の生理活性が期待されるジケトピペラジンであるが、天然由来のジケトピペラジンや、ジケトピペラジンを高濃度に含有する食品はほとんど存在していない。天然由来のジケトピペラジンとしては、シェリー酒紹興酒醤油、みりん、酢等の発酵食品中にジケトピペラジンが存在することが知られている(非特許文献5)が、その含有量は極微量であり、これらの食品をジケトピペラジンの有する機能性を期待して摂取するには、相当量を摂取しなければならず、何れも実用性に乏しいものである。また、Cyclo(Pro-Phe)やCyclo(Pro-Leu)を含有するコーヒー飲料も知られている(特許文献5)が、これらのジケトピペラジンは苦味が強く、他の飲料に応用するのは難しい。

0007

さらに、コラーゲンや蓄肉などの動物性タンパク質起源とする、ジケトピペラジンを比較的多く含有する組成物も知られている(特許文献4,6)。しかし、これら動物性タンパク質を起源とするジケトピペラジン含有組成物を、茶飲料、コーヒー飲料、大豆飲料果汁飲料等の植物の抽出液又は搾汁液等を主成分として配合して得られる飲料や、フレーバードウォーター、ミネラル飲料炭酸飲料などの清涼飲料に、そのまま使用することは香味の影響から難しい。

0008

本発明の目的は、天然由来であって安全性が高いジケトピペラジンを高濃度で含有する香味良好なエキスとその製造法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、タンパク質を含有する植物体分解処理を施して植物性ペプチドを生成させ、この植物性ペプチドを液体中で高温高圧処理することにより、高濃度にジケトピペラジンを含有する植物エキスが製造できることを見出した。そして、この植物エキスが風味良好であることを確認し、本発明を完成するに至った。

0010

すなわち、本発明は、以下に関する。
(1)シクロアラニルグルタミン、シクロアラニルアラニン、シクロセリルチロシン、シクログリシルロイシン、シクログリシルトリプトファン、シクロバリルバリン、シクロトリプトファニルチロシン、シクロロイシルトリプトファン及びシクロフェニルアラニルフェニルアラニンのいずれか一以上を、10μg/100g/Bx以上の濃度で含有する、植物エキス。
(2)Bxあたりのジケトピペラジンの総量が、900μg/100g/Bx以上である、(1)記載の植物エキス。
(3)植物エキスが、茶エキス大豆エキス又は麦芽エキスである、(1)または(2)記載の植物エキス。
(4)タンパク質を含有する植物体に分解処理を施して植物性ペプチドを生成させ、この植物性ペプチドを液体中で高温高圧処理することにより得られる植物エキス。
(5)植物性ペプチドを、液体中で高温高圧処理する工程を含む、シクロロイシルロイシン及びシクロロイシルフェニルアラニンを含むジケトピペラジンを高濃度に含有する植物エキスの製造方法。
(6)高温高圧処理工程での加熱条件が、100〜170℃の液体中で30〜数時間である、(5)に記載の製造方法。
(7)植性ペプチドオリゴペプチドである、(5)又は(6)に記載の製造方法。
(8)植物性ペプチドが、植物由来のタンパク質又はタンパク質を含有する植物体に分解処理を施して得られたものである、(5)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9)分解処理が加熱処理または酵素処理である、(8)に記載の製造方法。
(10)分解処理が酵素処理であり、酵素エンド型プロテアーゼである、(9)記載の製造方法。

発明の効果

0011

本発明によれば、天然由来であって安全性が高いジケトピペラジンを高濃度で含有する植物エキスを、大量生産規模で煩雑な工程や複雑な設備を伴うことなく簡便に製造することができる。

図面の簡単な説明

0012

図1は、大豆タンパク質を用いて得られた植物ペプチド加工品中のシクロフェニルアラニルフェニルアラニン濃度定量結果を示す。
図2は、米タンパク質を用いて得られた植物ペプチド加工品中のシクロフェニルアラニルフェニルアラニン濃度の定量結果を示す。
図3は、前抽出の回数可溶性成分除去率の関係を示す。

0013

(植物性ペプチド)
本発明の植物エキスは、植物性ペプチドを液体中で高温高圧処理して製造することが可能である。ここで、本明細書における「植物性ペプチド」とは、特に断りがない限り、植物由来のタンパク質又はタンパク質を含む植物体に既知の分解処理(熱や圧力による分解処理、酸やアルカリによる分解処理、酵素による分解処理等)を施して低分子化(オリゴペプチド)することにより生じるアミノ酸が数個つながったペプチドをいう。

0014

本発明の植物性ペプチドには、大豆ペプチド大麦ペプチド、小麦ペプチド、小麦胚芽ペプチド、エンドウペプチド、コメペプチド等を用いることができる。後述するように植物由来のタンパク質又はタンパク質を含む植物体から植物性ペプチドを調製して用いてもよいが、市販品を用いてもよい。市販の植物性ペプチドとしては、例えばハイニュートAM、ハイニュートDC、ハイニュートHK(以上、不二精油社製)などの大豆ペプチド、オリザペプチドP60(オリザ油化社製)などのコメペプチド、グルタミンペプチドGP−1N、グルタミンペプチドGP−N(以上、日清ファルマ社製)などの小麦ペプチド、ゴマペプチドKM−20(KISCO社製)などのゴマペプチドを例示できる。

0015

本発明者らの検討によると、ペプチドの大きさにより得られるジケトピペラジン混合物収率に差が生じる。植物性ペプチドは、分子量5000以下のペプチドの割合が高いものを用いるのが好ましく、分子量3000以下のペプチドの割合が高いものを用いるのがより好ましく、分子量1000以下のペプチドの割合が高いものを用いるのが特に好ましい。また、アミノ酸スコアの高い大豆を用いると、複数種のジケトピペラジンがより高い濃度で生成することから、大豆ペプチドは好ましい態様の一例である。

0016

本発明の植物性ペプチドには、植物由来のタンパク質や、タンパク質を含む植物体を原料として製造されるペプチド混合体を用いることができる。具体的には、大豆タンパク質、小麦タンパク質、小麦胚芽タンパク質、米タンパク質、ゴマたんぱく質等の植物由来のタンパク質や、緑茶葉などの葉類、大麦、小麦、麦芽胡麻、米などの種子類、大豆、小豆黒豆などの豆類、さつまいも、じゃがいもなどの芋類など、タンパク質を含有し飲食可能な植物体を原料として、既知の分解処理(熱や圧力による分解処理、酸やアルカリによる分解処理、酵素による分解処理等)を施して製造されるペプチド混合体を挙げることができる。これらタンパク質を含む植物体の中でも、本発明では大豆、麦芽、茶葉が好適に用いられる。特に、大豆や茶葉を用いることが好ましく、茶葉を用いることがより好ましい。 上記の植物由来のタンパク質や、タンパク質を含む植物体を原料として分解処理を施し、植物性ペプチドであるペプチド混合体を得るが、この分解処理は、オリゴペプチドが生成される条件下で行う。具体的には、分子量5000以下のペプチド(好ましくは分子量3000以下のペプチド、より好ましくは分子量1000以下のペプチド)の割合が高くなるように、分解処理を行う。

0017

分解処理は、目的とするオリゴペプチドの生成のしやすさ(反応速度の速さ)、多量処理の容易さから、熱による分解処理および/又は酵素による分解処理が好ましく、特に酵素による分解処理(以下、酵素処理)が好適に用いられる。

0018

加熱による分解処理を行う場合、植物体やタンパク質の焦げを防止するため、溶媒中で行う。その量は、通常、植物体1質量部あたり溶媒を10〜100質量部、好ましくは15〜80質量部、より好ましくは20〜60質量部、特に好ましくは20〜40質量部程度である。溶媒としては、水、エタノール、またはこれらの混合物等を用いるのが好ましく、特に水を用いるのが好ましい。加熱条件は、ペプチドが生成される条件であれば特に限定されない。加熱条件として100℃以上、さらに125℃以上の温度で、30分〜数時間、好ましくは2〜7時間程度の加熱を例示できる。加熱処理装置としては、圧力鍋オートクレーブなどを条件に合わせて用いることができる。なお、この加熱処理は、本発明の「液体中での高温高圧処理工程」と同時に行うことができる。

0019

酵素処理により植物性ペプチドを製造する場合、酵素には、タンパク質分解酵素プロテアーゼ)が用いられるが、エンド型分解活性の強いプロテアーゼを用いることが好ましい。プロテアーゼは、また、作用至適pH差異によりアルカリ性プロテアーゼ中性プロテアーゼおよび酸性プロテアーゼの3種類に大別される。さらにプロテアーゼの起源としては、植物起源動物起源あるいは微生物起源のものがあるが、酵素起源および至適pHは、分解効率が悪い場合や得られた分解抽出液の香味が悪かった等の悪影響がない限り、特に限定されるものではない。

0020

例えば、本発明の使用可能な細菌由来のプロテアーゼとして、プロテアーゼN、プロテアーゼNL、プロテアーゼS、プロレザー登録商標)FG−F、(以上、アマノエンザイム社製);プロチンNY、プロチンP、デスキン、デピレイス、プロチンA、サモアーゼ(登録商標)(以上、大和化成社製);ビオプラーゼ(登録商標)XL−416F、ビオプラーゼ(登録商標)SP−4FG、ビオプラーゼ(登録商標)SP−15FG(以上、ナガセケムテックス社製);オリエンターゼ(登録商標)90N、ヌクレイシン(登録商標)、オリエンターゼ(登録商標)10NL、オリエンターゼ(登録商標)22BF(以上、エイチビィアイ社製);アロアーゼ(登録商標)AP−10(ヤクルト薬品工業社製);プロタメクス(登録商標)、ニュートラーゼ(登録商標)、アルカラーゼ(登録商標)(以上、ノボザイムズ社製);COROLASEN、COROLASE 7089、VERON W、VERON P(以上、ABエンザイム社製);エンチロNBS(洛東化成工業社製);アルカリプロテアーゼGL440、ピュラフクト(登録商標)4000L、プロテアーゼ899、プロテックス6L(以上、ジェネコ協和社製)などが挙げられる。また、本発明の使用可能な麹菌由来のプロテアーゼとして、プロテアーゼA、プロテアーゼM、プロテアーゼP、ウマミザイム、ぺプチダーゼR、ニューラーゼ(登録商標)A、ニューラーゼ(登録商標)F(以上、天野エンザイム社製);スミチーム(登録商標)AP、スミチーム(登録商標)LP、スミチーム(登録商標)MP、スミチーム(登録商標)FP、スミチーム(登録商標)LPL(以上、新日本化学工業社製);プロチン(登録商標)FN(大和化成社製);デナプシン2P、デナチーム(登録商標)AP、XP−415(以上、ナガセケムテックス社製);オリエンターゼ(登録商標)20A、オリエンターゼ(登録商標)ONS、テトラーゼ(登録商標)S(以上、エイチビィアイ社製);モルシン(登録商標)F、PD酵素、IP酵素、AO−プロテアーゼ(以上、キッコーマン社製);サカナーゼ(科研ファルマ社製)パンチダーゼ(登録商標)YP−SS、パンチダーゼ(登録商標)NP−2、パンチダーゼ(登録商標)P(以上、ヤクルト薬品工業社製);フレーバザイム(登録商標)(ノボザイムズジャパン社製);コクラーゼ(登録商標)SS、コクラーゼ(登録商標)P(以上、三共ライフテック社製);VERON PS、COROLASE PN−L(以上、ABエンザイム社製)などを挙げることができる。その他、本発明で使用可能なプロテアーゼとして、放線菌由来プロテアーゼ(例えばアクチナーゼ(登録商標)AS、アクチナーゼ(登録商標)AF(以上、科研ファルマ社製)、タシナーゼ(登録商標)(ジェネンコア協和社製))や、植物由来プロテアーゼ(例えばパパインW−40(アマノエンザイム社製)、食品用精製パパイン(ナガセケムテックス社製))や、動物由来ペプシントリプシンなどを挙げることができる。

0021

上記のプロテアーゼのなかでも、分解効率や得られるペプチド含有液の香味の観点から、細菌由来のプロテアーゼを用いることが好ましく、バチルスサブティリス(Bacillus subtilis)由来の中性プロテアーゼや、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)由来のプロテアーゼや、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)由来のプロテアーゼを用いることがより好ましく、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来の中性プロテアーゼを用いることが特に好ましい。

0022

このようなプロテアーゼを、植物由来のタンパク質やタンパク質を含む植物体に対して0.1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは3〜10重量%の範囲で用いることが好ましい。上記範囲より添加量が少ない場合は、ペプチド生成収率を向上させる効果を発揮することができず、一方上記範囲より多く添加しても大幅なペプチド生成収率の向上が期待できず、コスト面で不利となる。なお、酵素処理は、植物由来のタンパク質や植物体に水を加え、湿潤させた状態で酵素を作用させる。添加する水の量は、通常、乾燥状態のタンパク質や植物体1質量部あたり水を10〜50質量部、より好ましくは10〜30質量部、特に好ましくは10〜20質量部程度である。

0023

プロテアーゼによる酵素処理条件は、使用するプロテアーゼの至適条件を鑑みて設定すればよいが、通常、20〜70℃(好ましくは30〜60℃、より好ましくは40〜60℃)で、30分〜24時間(好ましくは1時間〜12時間、より好ましくは1時間〜6時間)程度である。

0024

酵素の種類により、基質であるタンパク質への作用部位が異なり、結果として本発明で得られるジケトピペラジン混合体の組成を変えることができるので、所望するジケトピペラジン混合体の組成を鑑みて、酵素を選択することもできる。酵素は2種以上を併用して用いてもよい。

0025

植物性ペプチドとして、植物体を用いる場合、上述の分解処理によるペプチド生成工程を施す前に、植物体に含有される水溶性タンパク質を予め低減する前処理を行っておくことが好ましい。本発明者らの検討によると、水溶性タンパク質を予め低減しておくことで、分解処理によるペプチドの生成収率や、本発明の加熱処工程によるジケトピペラジンの生成収率が格段に向上する。水溶性タンパク質を除去する前処理の方法としては、植物体を液体中にて加熱して水溶性タンパク質を溶出させる方法であってその後に固液分離して得られる固体(植物体)を分解処理に供する方法、植物体に水等の水性溶媒抽出処理を施す方法であってその抽出残渣を分解処理に供す方法などが挙げられる(以下、総称して「前抽出」という)。前抽出の際には、植物体の重量に対して好ましくは15倍重量以上、より好ましくは15〜150倍重量程度の抽出溶媒に浸漬して植物体に含まれる水溶性タンパク質などの可溶性成分を溶出させることが好ましい。この場合、予め抽出溶媒を加熱しておいてもよいが、植物体を抽出溶媒に浸漬した後に加熱して抽出してもよい。抽出溶媒としては純水を好適に用いることができるが、これにエタノール等有機溶媒を適宜含有させることもできる。また、抽出溶媒にミネラル分を添加することにより適宜硬度を調整することもできる。

0026

前抽出において、その抽出温度は特に限定されないが、通常、50〜100℃、好ましくは60〜95℃、より好ましくは70〜90℃程度である。また、抽出時間は、1分〜24時間、好ましくは3分〜20時間程度である。抽出温度、時間などの抽出条件は、得られる抽出残渣の可溶性成分除去率が60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%となるようにする。可溶性成分の除去率は、最大限除去できる可溶性成分を100%とした場合における抽出液で回収される固形分の相対的な割合をいい、式「(前抽出で得られた採液量(総量)(g)×そのブリックス[Bx])/(最大限除去できる可溶性成分(g)×そのブリックス[Bx])×100(%)」で算出される値をいう。本明細書では、「最大限除去できる可溶性成分」として、便宜的に「植物体の重量に対して30倍量の熱湯で10分間抽出することを10回繰り返した際の採液量」で表すものとする。ここで、本明細書でいうBxは、市販のBx測定計測器にて計測することができる。

0027

植物体の前抽出は、1回だけ行ってもよいし、複数回行ってもよい。前抽出で得られる抽出液は廃棄してもよいが、飲食物に配合して利用することもでき、例えば本発明で得られるジケトピペラジンを含有する植物エキスと混合して飲食物に配合することもできる。

0028

(加熱処理)
本発明の製造方法では、このような植物性ペプチドを液体中で高温高圧処理することにより、ジケトピペラジンを生成する。高温高圧処理における液体としては純水を好適に用いることができるが、これにエタノール等有機溶媒を適宜含有させることもできる。また、抽出溶媒にミネラル分を添加することにより適宜硬度を調整することもできる。加熱処理に供す液体のブリックス(Bx)は、0.1〜50程度になるように必要に応じて濃縮又は希釈しておくことが好ましい。

0029

本明細書でいう高温高圧とは、100℃以上の温度かつ大気圧を越える圧力を意味する。高温高圧抽出装置としては、耐圧性抽出装置や圧力鍋、オートクレーブなどを条件に合わせて用いることができる。

0030

高温高圧の温度は、100〜170℃が好ましく、110〜150℃がより好ましく、120〜140℃が特に好ましい。なお、この温度は、加熱装置として耐圧性抽出装置を用いた場合には抽出カラム出口温度を測定した値を示し、加熱装置としてオートクレーブを用いた場合には、圧力容器内の中心温度の温度を測定した値を示す。また、圧力は、0.101〜0.79MPaが好ましく、0.101〜0.48MPaがより好ましい。さらに、加熱時間は、30〜500分が好ましく、60〜300分程度がより好ましい。

0031

より最適な加熱処理条件は、横軸を時間(min.)、縦軸を温度(℃)とした座標系において、次の座標系(i)〜(Vi)によって囲まれる時間及び温度の範囲内で保持される加熱処理である。

0032

(i)(170℃,30 min.)、(ii)(150℃,30 min.)、(iii)(115℃,180min.)、(iv)(105℃,480min.)、(v)(135℃,480min.)、(vi)(150℃,180min.)
液体中での高温高圧処理の後、必要に応じて固液分離を行って液部を回収して、本発明のジケトピペラジンを高濃度に含有する植物エキスが得られる。固液分離には、ろ過及び/又は遠心分離手段が用いられる。

0033

植物性ペプチドの由来(原料となる植物の種類)や酵素の種類によって、得られるジケトピペラジン高濃度に含有する植物エキス中のジケトピペラジンの組成は異なるが、本発明の植物性ペプチドの液体中での高温高圧処理により、シクロアラニルグルタミン(CAS Registry Number:268221-76-7;Cyclo(Ala-Gln))、シクロヒスチジルプロリン(CAS Registry Number:53109-32-3;Cyclo(His-Pro))、シクロアラニルアラニン(CAS Registry Number: 5845-61-4;Cyclo(Ala-Ala))、シクログリシルプロリン(CAS Registry Number:3705-27-9;Cyclo(Gly-Pro))、シクロセリルチロシン(CAS Registry Number:21754-31-4;Cyclo(Ser-Tyr))、シクロプロリルスレオニン(CAS Registry Number:227777-31-3;Cyclo(Pro-Thr))、シクロヒスチジルフェニルアラニン(CAS Registry Number:56586-95-9;Cyclo(His-Phe))、シクロアラニルプロリン(CAS Registry Number:65556-33-4;Cyclo(Ala-Pro))、シクロフェニルアラニルセリン(CAS Registry Number:35591-00-5;Cyclo(Phe-Ser))、シクログリシルロイシン(CAS Registry Number:5845-67-0;Cyclo(Gly-Leu))、シクログリシルフェニルアラニン(CAS Registry Number:10125-07-2;Cyclo(Gly-Phe))、シクロプロリルプロリン(Cyclo(Pro-Pro))、シクログリシルトリプトファン(Cyclo(Gly-Trp))、シクロアスパルチルフェニルアラニン(CAS Registry Number:5262-10-2;Cyclo(Asp-Phe))、シクロバリルプロリン(Cyclo(Val-Pro))、シクロプロリルチロシン(Cyclo(Pro-Tyr))、シクロメチオニルプロリン(Cyclo(Met-Pro))、シクロメチオニルメチオニン(Cyclo(Met-Met))、シクロバリルバリン(Cyclo(Val-Val))、シクロロイシルプロリン(CAS Registry Number:2873-36-1;Cyclo(Leu-Pro))、シクロトリプトファニルチロシン(Cyclo(Trp-Tyr))、シクロフェニルアラニルプロリン(CAS Registry Number:3705-26-8;Cyclo(Phe-Pro))、シクロロイシルトリプトファン(CAS Registry Number:15136-34-2;Cyclo(Leu-Trp))、シクロフェニルアラニルトリプトファン(CAS Registry Number:82597-82-8;Cyclo(Phe-Trp))、シクロロイシルフェニルアラニン(CAS Registry Number:7280-77-5;Cyclo(Leu-Phe))、シクロロイシルロイシン(CAS Registry Number:952-45-4;Cyclo(Leu-Leu))、シクロフェニルアラニルフェニルアラニン(CAS Registry Number:2862-51-3;Cyclo(Phe-Phe))からなる群より選択される少なくとも1種のジケトピペラジンを増加させることができる。

0034

特に本発明は、Cyclo(Leu-Leu)及びCyclo(Leu-Phe)を比較的高濃度に含有するジケトピペラジンを高濃度に含有する植物エキスの製造に有利である。また、本発明は、Cyclo(Phe-Phe) を高濃度に含有する植物エキスの製造に有利である。

0035

本発明のジケトピペラジンを高濃度に含有する植物エキスから、公知の精製処理を施すことにより、特定のジケトピペラジンを高濃度に含有する天然植物由来のジケトピペラジンを選択的に製造することもできる。したがって、1つの観点から本発明はCyclo(Leu-Leu)、及びCyclo(Phe-Phe)を含むジケトピペラジンを高濃度に含有する植物エキスの製造方法であり、また別の観点から本発明は、特定のジケトピペラジン(例えばCyclo(Ala-Ala)、Cyclo(Leu-Phe)、Cyclo(Leu-Leu)、Cyclo(Phe-Phe))の製造方法である。

0036

(植物エキス)
本明細書でいうエキスとは液体状の抽出物をいい、本発明の「植物エキス」とは、植物体に抽出処理を施して得られる液体状の抽出物又はその加工品をいう。

0037

本発明によると、Cyclo(Ala-Gln)、Cyclo(Ala-Ala)、Cyclo(Ser-Tyr)、Cyclo(Gly-Trp)、Cyclo(Val-Val)、Cyclo(Trp-Tyr)、Cyclo(Leu-Trp)及びCyclo(Phe-Phe)のいずれか一以上を、Bxあたりの含量が10μg/100g/Bx以上の植物エキスが得られる。

0038

また、本発明によると、ジケトピペラジンの総量が、900μg/100g以上、好ましくは1000μg/100g以上、より好ましくは2000μg/100g以上、特に好ましくは5000μg/100g以上となる植物エキスを得ることができる。なお、本明細書では、特に断りがない限り、ジケトピペラジンの総量は、Cyclo(Ala-Gln)、Cyclo(His-Pro)、Cyclo(Ala-Ala)、Cyclo(Gly-Pro)、Cyclo(Ser-Tyr)、Cyclo(Pro-Thr)、Cyclo(His-Phe)、Cyclo(Ala-Pro)、Cyclo(Phe-Ser)、Cyclo(Gly-Leu)、Cyclo(Gly-Phe)、Cyclo(Pro-Pro)、Cyclo(Gly-Trp)、Cyclo(Asp-Phe)、Cyclo(Val-Pro)、Cyclo(Pro-Tyr)、Cyclo(Met-Pro)、Cyclo(Met-Met)、Cyclo(Val-Val)、Cyclo(Leu-Pro)、Cyclo(Trp-Tyr)、Cyclo(Phe-Pro)、Cyclo(Leu-Trp)、Cyclo(Phe-Trp)、Cyclo(Leu-Phe)、Cyclo(Leu-Leu)、及びCyclo(Phe-Phe)の総量を表すものとする。

0039

一般に、Bxが高いエキスは、原料由来の様々な物質(例えば、苦味成分)が高濃度で含まれることを意味しており、そのものが飲料に不適なだけでなく、香味や舌触りなどへの影響から飲料への添加にも不適である。したがって、飲料への添加を考えた場合、Bxは低い方が好ましい。本発明によると、生理活性物質であるジケトピペラジンを多く含み、かつBxが低い植物エキス、すなわち、ジケトピペラジンの含有量とBxの比が高い植物エキスが得られる。具体的には、上記のジケトピペラジンの総量(単位:μg/100g)とブリックス(Bx)の比が900(μg/100g/Bx)以上、好ましくは1000(μg/100g/Bx)以上、より好ましくは2000(μg/100g/Bx)、さらに好ましくは5000(μg/100g/Bx)である植物エキスが得られる。エキス中のジケトピペラジンの上限は、特に制限されず、ジケトピペラジンの溶解性等を考慮して適宜設定すればよいが、通常、1000mg/100g以下、好ましくは500mg/100g以下、より好ましくは200mg/100g以下程度である。

0040

植物体を原料として本発明の製造方法を適用して得られる植物エキスの場合には、発酵を伴わないことから副生成物が少なく、また前抽出を行った場合には可溶性成分が低く、極めて苦味が少ないという香味的な特徴を有する。

0041

このような植物エキスは、香味がよく、沈殿濁り等もなく外観にも優れるので、特別な後処理を施さなくても、エキス、調味料、飲料等にそのまま利用可能である。また、本発明の植物エキスは、ジケトピペラジンを高含有量で含むにも関わらず、Bxが相対的に低いため、飲食物(特に、飲料)への配合量が少なくてよく、飲食物の設計の自由度が増すという利点もある。特に、茶飲料、コーヒー飲料、大豆飲料、果汁飲料等の植物の抽出液又は搾汁液等を主成分として配合して得られる飲料や、フレーバードウォーター、ミネラル飲料、炭酸飲料などの清涼飲料に、そのまま配合して利用できる。例えば、本発明の植物エキスを飲料に配合すると、ジケトピペラジンの総量が10μg/100g以上、好ましくは20μg/100g以上、より好ましくは40μg/100g以上、さらに好ましくは60μg/100g以上となるような飲料で、かつ苦味を呈しない風味良好な飲料を得ることができる。

0042

本発明により得られる植物エキスは、添加する飲食物の態様に合わせて、清澄化処理等を行うこともできる。この場合、油分がないこと、繊維質が存在すること等の理由から、清澄化が容易に行えるという利点もある。

0043

本発明の植物エキスの好適な態様として、茶エキス、大豆エキス及び麦芽エキスが例示できる。以下、これらエキスについて詳述する。

0044

(茶エキス)
本明細書でいう「茶エキス」とは、茶葉を抽出処理して得られる茶抽出物をいう。抽出原料となる茶葉としては、茶樹(学名:Camellia sinensis)を用いて製造された茶葉の葉、など、抽出して飲用可能な部位を使用することができる。また、その形態も大葉、粉状など制限されない。茶葉の収穫期についても、所望する香味に合わせて適宜選択できる。

0045

本発明で得られるジケトピペラジンを高濃度に含有する植物エキス(茶エキス)は、発酵過程を経ずに製造することで副生成物の生成を抑え、香味のよいものが得られることを特徴とする。この香味の観点から、茶葉は、煎茶番茶、ほうじ、玉露、かぶせ茶、甜茶等の蒸し製の不発酵茶緑茶)や、嬉野茶、青柳茶、各種中国茶等の炒茶等の不発酵茶を用いることが好ましい。

0046

本発明者らは、市販の茶葉を抽出して得られる茶エキス中のジケトピペラジン濃度を測定している。その結果、発酵茶に極微量(0〜200μg/100g/Bx程度)含まれること、また緑茶には殆ど含まれないことを確認している(表1参照、測定方法は後述の実施例1と同じ)。

0047

0048

一方、本発明の茶エキスは、従来の茶類には含まれていなかったジケトピペラジンであるCyclo(Ala-Gln)、Cyclo(Ala-Ala)、Cyclo(Ser-Tyr)、Cyclo(Gly-Trp)、Cyclo(Val-Val)、Cyclo(Trp-Tyr)、Cyclo(Leu-Trp)及びCyclo(Phe-Phe)のいずれか一以上を、10μg/100g/Bx以上の濃度で含有する。

0049

また、本発明の茶エキスは、Cyclo(Ala-Gln)、Cyclo(His-Pro)、Cyclo(Ala-Ala)、Cyclo(Gly-Pro)、Cyclo(Ser-Tyr)、Cyclo(Pro-Thr)、Cyclo(His-Phe)、Cyclo(Ala-Pro)、Cyclo(Phe-Ser)、Cyclo(Gly-Leu)、Cyclo(Gly-Phe)、Cyclo(Pro-Pro)、Cyclo(Asp-Phe)、Cyclo(Val-Pro)、Cyclo(Pro-Tyr)、Cyclo(Met-Pro)、Cyclo(Leu-Pro)、Cyclo(Phe-Pro)、Cyclo(Leu-Phe)、及びCyclo(Leu-Leu)をそれぞれ0.1ppm/Bx(10μg/100g/Bx)以上の濃度で含有する。好ましくは上記のジケトピペラジンそれぞれを0.2ppm/Bx以上、より好ましくは0.3ppm/Bx以上、さらに好ましくは0.4ppm/Bx以上、特に好ましくは0.5ppm/Bx以上の濃度で含有する茶エキスである。さらに、Cyclo(Gly-Trp)、 Cyclo(Val-Val)、Cyclo(Trp-Tyr)、Cyclo(Leu-Trp)、Cyclo(Phe-Trp)及びCyclo(Phe-Phe)を、それぞれ0.1ppm/Bx(10μg/100g/Bx)以上、好ましくは0.2ppm/Bx以上、より好ましくは0.3ppm/Bx以上の濃度で含有させることができる。

0050

苦味が強いジケトピペラジンとして、コーヒー飲料中のジケトピペラジンであるCyclo(Leu-Pro)やCyclo(Phe-Pro)(特開2010-166911号公報参照)、カゼイン分解処理物であるCyclo(Leu-Trp)(蛋白質研究奨励会ペプチド研究所報,No.2,1974)が知られている。本発明の茶エキスは、これら強い苦味を有するジケトピペラジンを含有するにも関わらず、エキス自体は苦味をほとんど有さない。茶エキスと同じ濃度のCyclo(Leu-Pro)、Cyclo(Phe-Pro)及びCyclo(Leu-Trp)を含有する水溶液を調製した場合には、強い苦い感じられたことから、共存する他のジケトピペラジンや茶由来の成分が相加的又は相乗的にCyclo(Leu-Pro)、Cyclo(Phe-Pro)及びCyclo(Leu-Trp)の苦味を低減していると考えられる。特に、Cyclo(Leu-Leu)とCyclo(Leu-Phe)の総量(A)に対する苦味を有するジケトピペラジンCyclo(Leu-Pro)、Cyclo(Phe-Pro)及びCyclo(Leu-Trp)の総量(B)の割合[(B)/(A)]が、1.0以下(好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下、特に好ましくは0.4以下)となる茶エキスは、苦味を始めとする味を伴わないジケトピペラジン含有エキスであり、飲食品(特に、飲料)へそのまま配合することができる。

0051

茶エキス中のBxあたりのジケトピペラジンの総量は、900μg/100g/Bx以上、好ましくは900〜30000μg/100g/Bx、より好ましくは2000〜25000μg/100g/Bx、特に好ましくは5000〜20000μg/100g/Bxである。このような濃度範囲にすると、ジケトピペラジンの有する機能(生理活性等)が付加された飲食品を製造するのに有利である。

0052

このような茶エキスは、茶葉中のタンパク質を分解処理して茶ペプチドを調製し、これを液体中で高温高圧処理をすることにより、簡便に製造できる。茶葉中にはタンパク質が約25%と豊富に含まれている(5訂食品成分表)。したがって、この茶葉タンパク質をプロテアーゼ等の酵素で分解処理すれば、茶ペプチドが得られるはずであるが、茶葉にプロテアーゼを作用させても、それほど多くの茶ペプチドは得られない。茶葉中の全タンパク質の80%以上は不溶性タンパク質であるため、茶葉に含まれているタンパク質に効率よくタンパク質分解酵素を作用させて、茶ペプチドを得ることが好ましい。具体的には、茶葉から水溶性タンパク質を除去する前処理を行った後、その抽出残渣にプロテアーゼ等のタンパク質分解酵素を作用させて茶ペプチドを調製する。すなわち、本発明の茶エキスは、以下の工程を順次行うことにより、水不溶性のタンパク質を効率よく分解して、ジケトピペラジンを高濃度に含有する茶エキスを簡便に製造することができる。
(a)茶葉を水で抽出し、抽出残渣を回収する工程、
(b)抽出残渣に、水存在下でエンド型プロテアーゼを作用させて茶葉タンパク質を分解し、茶ペプチドを含む液を得る工程、
(c)茶ペプチドを含む液を高温高圧処理して反応液を得る工程、及び
(d)反応液を固液分離処理して、ジケトピペラジンを含む液体を回収する工程
または、
(a)茶葉を水で抽出し、抽出残渣を回収する工程、
(b)抽出残渣に、水存在下でエンド型プロテアーゼを作用させて茶葉タンパク質を分解し、茶ペプチドを含む液を得る工程、
(d’)茶ペプチドを含む液を固液分離処理して、茶ペプチドを含む液体を回収する工程、及び
(C’)茶ペプチドを含む液体を高温高圧処理してジケトピペラジンを含む反応液を得る工程
各工程の条件は、前述したとおりであるが、工程(a)の前抽出では、茶飲料の製造等で抽出処理を行って得られる茶滓等の抽出残渣を用いることもできる。従来、茶葉中の水不溶性茶タンパク質は、栄養源としては利用されておらず、例えば、国内の緑茶飲料製造時に生じる2.2万トンに上る抽出残渣は、その殆どが未利用資源として廃棄されているが、上記の茶エキスの製造方法は、従来廃棄されていた茶滓の有効利用にも有効である。

0053

この方法によると、Cyclo(Leu-Leu)、Cyclo(Leu-Phe)、及びCyclo(Ala-Ala)を高濃度に含有する茶エキスが製造できる。具体的には、茶エキス中のジケトピペラジン全量に対して、Cyclo(Leu-Leu)が10%以上(重量基準)、Cyclo(Leu-Phe)が10%以上、Cyclo (Ala-Ala)が7%以上となるエキスである。これらを濃度で表わすと、それぞれ5.0ppm/Bx(500μg/100g/Bx)以上、好ましくは8.0ppm/Bx以上、より好ましくは10.0ppm/Bx以上の濃度となる茶エキスとなる。これらの上限は、50.0ppm/Bx以下、好ましくは40.0ppm/Bx以下、より好ましくは35.0ppm/Bx以下、さらに好ましくは30.0ppm/Bx以下程度である。

0054

また、工程(a)における茶葉の水抽出(前抽出)を複数回繰り返して行うことにより、Cyclo(Leu-Leu)、Cyclo(Leu-Phe)、及びCyclo(Phe-Phe)の濃度が顕著に高くなることを見出した。したがって、この方法は、Cyclo(Phe-Phe)の製造にも有利である。本発明者らは、この方法で得られたCyclo(Phe-Phe)を3.0ppm/Bx以上含有する茶エキスが、学習意欲改善作用を有することを確認している。

0055

ところで、疎水性官能基を有するジケトピペラジンは、環状化することにより、直鎖ペプチドより、その疎水性が高まることが知られている。Cyclo(Phe-Phe)は、最も疎水性が高い成分であるが、上記の茶エキスを加速保存試験(55℃、2週間)した結果、Cyclo(Phe-Phe)が安定に維持されることを確認している。したがって、本発明の茶エキスは、Cyclo(Phe-Phe)含有エキスとしても有用なものである。茶エキス中のCyclo(Phe-Phe)含量は、10μg/100g/Bx以上、20μg/100g/Bx以上、30μg/100g/Bx以上とすることが好ましい。

0056

(大豆エキス)
本明細書でいう「大豆エキス」とは、大豆に加水して抽出処理又はミリング処理して得られる液体をいう。原料となる大豆(学名:Glycine max)は品種産地などの制限なく用いることができ、粉砕品などの加工品段階のものを用いることもできる。また、本明細書でいう大豆エキスには、大豆タンパク分解物に加水して得られる液体も便宜上含まれるものとする。

0057

大豆中のタンパク質は、約3割を占めると言われている。大豆タンパク質は、茶タンパク質のように水不溶性タンパク質が多くはないため、水溶性タンパク質を除去する前処理は必須ではなく、必要に応じて行えばよい。水溶性タンパク質を除去する前処理がない場合、ワンポット(One-Pot)反応で、より簡便にジケトピペラジンを高濃度に含有する植物エキス(大豆エキス)を製造することができる。

0058

本発明者らは、市販の大豆ペプチド(粉体)が、噴霧乾燥時に180〜220℃程度の熱が加わっていることを鑑みて、大豆ペプチド中のジケトピペラジン濃度を測定している。その結果、市販の大豆ペプチドには、極微量(650μg/100g/Bx程度)含まれることを確認している(表2参照)。

0059

一方、本発明の大豆エキスは、従来の大豆タンパク分解物(大豆ペプチド)には含まれていなかったジケトピペラジンであるCyclo(Ala-Gln)、Cyclo(Ala-Ala)、Cyclo(Ser-Tyr)、Cyclo(Gly-Trp)、Cyclo(Val-Val)、Cyclo(Trp-Tyr)、Cyclo(Leu-Trp)及びCyclo(Phe-Phe)のいずれか一以上をBxあたりの含量が10μg/100g/Bx以上で含有する。

0060

また、本発明の大豆エキスは、Cyclo(Ala-Gln)、Cyclo(His-Pro)、Cyclo(Ala-Ala)、Cyclo(Gly-Pro)、Cyclo(Ser-Tyr)、Cyclo(Pro-Thr)、Cyclo(His-Phe)、Cyclo(Ala-Pro)、Cyclo(Phe-Ser)、Cyclo(Gly-Leu)、Cyclo(Gly-Phe)、Cyclo(Gly-Trp)、Cyclo(Asp-Phe)、Cyclo(Val-Pro)、Cyclo(Pro-Tyr)、Cyclo(Met-Pro)、Cyclo(Val-Val)、Cyclo(Leu-Pro)、Cyclo(Trp-Tyr)、Cyclo(Phe-Pro)、Cyclo(Leu-Trp)、Cyclo(Leu-Phe)、Cyclo(Leu-Leu)及びCyclo(Phe-Phe)をそれぞれ0.1ppm/Bx(10μg/100g/Bx)の濃度で含有する。好ましくは上記のジケトピペラジンそれぞれを0.5ppm/Bx以上、より好ましくは0.7ppm/Bx以上、さらに好ましくは0.9ppm/Bx以上、特に好ましくは1.0ppm/Bx以上、特に好ましくは1.2ppm/Bx以上の濃度で含有する大豆エキスである。さらに、Cyclo(Pro-Pro) 及びCyclo(Phe-Trp)を、それぞれ0.1ppm/Bx(10μg/100g/Bx)以上、好ましくは0.2ppm/Bx以上、より好ましくは0.3ppm/Bx以上の濃度で含有させることができる。

0061

この大豆エキス(特に、大豆又はその粉砕物を原料として得られるエキス)は、苦味が強いジケトピペラジンとして知られているCyclo(Leu-Pro)、Cyclo(Phe-Pro)及びCyclo(Leu-Trp)を含有するにも関わらず、その苦味が低減されている。同じ濃度のCyclo(Leu-Pro)及びCyclo(Phe-Pro)を含有する水溶液を調製した場合には、強い苦いが感じられたことから、共存する他のジケトピペラジンや大豆由来の成分が相加的又は相乗的にCyclo(Leu-Pro)、及びCyclo(Phe-Pro)及びCyclo(Leu-Trp)の苦味を緩和していると考えられる。特に、Cyclo(Leu-Leu)とCyclo(Leu-Phe)の総量(A)に対する苦味を有するジケトピペラジンCyclo(Leu-Pro)、Cyclo(Phe-Pro)及びCyclo(Leu-Trp)の総量(B)の割合[(B)/(A)]が、1.0以下(好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下、特に好ましくは0.5以下)となる大豆エキスは、苦味が顕著に低減されたジケトピペラジン含有エキスであり、飲食品(特に、飲料)に有利に配合することができる。

0062

大豆エキス中のBxあたりのジケトピペラジンの総量は、900μg/100g/Bx以上、好ましくは900〜30000μg/100g/Bx、より好ましくは2000〜25000μg/100g/Bx、特に好ましくは5000〜20000μg/100g/Bxである。このような濃度範囲にすると、ジケトピペラジンの有する機能(生理活性等)が付加された飲食品を製造するのに有利である。

0063

本発明のジケトピペラジンを高濃度に含有する大豆エキスは、以下の工程を順次行うことにより、製造することができる。
(x)大豆又は大豆タンパク分解物に、水存在下でエンド型プロテアーゼを作用させて、大豆ペプチドを含む液を得る工程、
(y)大豆ペプチドを含む液を高温高圧処理して反応液を得る工程、及び
(z)反応液を固液分離処理して、ジケトピペラジンを含む液体を回収する工程
茶エキスの製造と同様に、工程(y)及び(z)は順序交換してもよい。また、工程(x)の前に、水溶性タンパクを除去する工程(w)を加えてもよい。ジ又はトリペプチドを多く含有する大豆ペプチドを原料として用いる場合、工程(x)は、
(x’)ジ又はトリペプチドを多く含有する大豆ペプチドに加水して、大豆ペプチドを含む液を得る工程
となる。その他、各工程の条件は前述したとおりである。

0064

この方法によると、Cyclo(Leu-Leu)、Cyclo(Leu-Phe)、Cyclo(Ser-Tyr)及びCyclo (Pro-Thr)を高濃度に含有する大豆エキスが製造できる。具体的には、大豆エキス中のジケトピペラジン全量に対して、Cyclo(Leu-Leu)が8%以上(重量基準)、Cyclo(Leu-Phe)が8%以上、Cyclo(Ser-Tyr)が6%以上となるエキスである。これらの濃度がそれぞれ5.0ppm/Bx(500μg/100g/Bx)以上、好ましくは6.0ppm/Bx以上、より好ましくは7.0ppm/Bx以上の濃度となる大豆エキスとなる。特に、Cyclo(Leu-Leu)及びCyclo(Leu-Phe)は、10.0ppm/Bx以上、好ましくは12.0ppm/Bx以上となる大豆エキスが得られる。これらの上限は、50.0ppm/Bx以下、好ましくは40.0ppm/Bx以下、より好ましくは35.0ppm/Bx以下、さらに好ましくは30.0ppm/Bx以下程度である。

0065

また、この方法により、大豆ペプチドには含まれていないCyclo(Phe-Phe)を3.0ppm/Bx以上、好ましくはCyclo(Phe-Phe)を4.0ppm/Bx以上含有する大豆エキスが得られるので、この方法は、Cyclo(Phe-Phe)の製造にも有利である(後述の実施例参照)。Cyclo(Phe-Phe)は疎水性が高い成分であるが、この大豆エキス中では、安定に維持されることを確認している。

0066

(麦芽エキス)
本明細書でいう「麦芽エキス」とは、麦芽又はその粉砕物に抽出処理して得られる抽出物をいう。原料となる麦芽大豆(malt)は、品種や産地などの制限なく用いることができるが、特に大麦の種子を発させた大麦麦芽が好適に用いられる。大麦麦芽は、皮部を除去してタンパク質含量の高い画分を分離して用いるのが実用的であり効率的である。タンパク質含量の高い画分は、麦芽を表面から徐々に削り、穀皮を除去し、その後、アリューロン層および胚乳といったタンパク質が多く含まれる画分を削りとるという方法が挙げられる。或いは、茶エキスで実施したように、前抽出を行った抽出残渣を利用することができる。抽出残渣としては、ビール製造時に発生する麦芽の絞り粕を例示できる。

0067

タンパク質含量の高い画分を原料とすれば、ワンポット(One-Pot)反応で、より簡便にジケトピペラジンを高濃度に含有する植物エキス(麦芽エキス)を製造することができる。

0068

本発明の麦芽エキスは、従来、抽出されにくかったジケトピペラジンであるCyclo(Ala-Gln)、Cyclo(Ala-Ala)、Cyclo(Ser-Tyr)、Cyclo(Gly-Trp)、Cyclo(Val-Val)、Cyclo(Trp-Tyr)、Cyclo(Leu-Trp)及びCyclo(Phe-Phe)のいずれか一以上を、10μg/100g/Bx以上の濃度で含有する。

0069

また、本発明の麦芽エキスは、Cyclo(Ala-Gln)、Cyclo(His-Pro)、Cyclo(Ala-Ala)、Cyclo (Gly-Pro)、Cyclo(Ser-Tyr)、Cyclo(Pro-Thr)、Cyclo(His-Phe)、Cyclo(Ala-Pro)、Cyclo (Phe-Ser)、Cyclo(Gly-Leu)、Cyclo(Gly-Phe)、Cyclo(Gly-Trp)、Cyclo(Asp-Phe)、Cyclo (Val-Pro)、Cyclo(Pro-Tyr)、Cyclo(Met-Pro)、Cyclo(Val-Val)、Cyclo(Leu-Pro)、Cyclo (Trp-Tyr)、Cyclo(Phe-Pro)、Cyclo(Leu-Trp)、Cyclo(Leu-Phe)、Cyclo(Leu-Leu) 及びCyclo(Phe-Phe)をそれぞれ0.1ppm/Bx(50μg/100g/Bx)以上の濃度で含有する。好ましくは上記のジケトピペラジンそれぞれを0.3ppm/Bx以上、より好ましくは0.4ppm/Bx以上、さらに好ましくは0.5ppm/Bx以上、特に好ましくは0.6ppm/Bx以上の濃度で含有する麦芽エキスである。

0070

この麦芽エキスは、苦味が強いジケトピペラジンとして知られているCyclo(Leu-Pro)、Cyclo(Phe-Pro)及びCyclo(Leu-Trp)を含有するにも関わらず、その苦味が低減されている。特に、 Cyclo(Leu-Leu)とCyclo(Leu-Phe)の総量(A)に対する苦味を有するジケトピペラジンCyclo(Leu-Pro)、Cyclo(Phe-Pro)及びCyclo(Leu-Trp)の総量(B)の割合[(B)/(A)]が、1.0以下(好ましくは0.8以下)となる麦芽エキスは、苦味が顕著に低減されたジケトピペラジン含有エキスであり、飲食品(特に、飲料)に有利に配合することができる。

0071

麦芽エキス中のBxあたりのジケトピペラジンの総量は、900μg/100g/Bx以上、好ましくは900〜30000μg/100g/Bx、より好ましくは2000〜25000μg/100g/Bx、特に好ましくは5000〜20000μg/100g/Bxである。このような濃度範囲にすると、ジケトピペラジンの有する機能(生理活性等)が付加された飲食品を製造するのに有利である。

0072

本発明のジケトピペラジンを高濃度に含有する麦芽エキスは、以下の工程を順次行うことにより、製造することができる。
(x)麦芽又は麦芽タンパク分解物に、水存在下でエンド型プロテアーゼを作用させて、麦芽ペプチドを含む液を得る工程、
(y)麦芽ペプチドを含む液を高温高圧処理して反応液を得る工程、及び
(z)反応液を固液分離処理して、ジケトピペラジンを含む液体を回収する工程
茶エキスの製造と同様に、工程(y)及び(z)は順序を交換してもよい。また、工程(x)の前に、水溶性タンパクを除去する工程(w)を加えてもよい。その他、各工程の条件は前述したとおりである。

0073

この方法によると、Cyclo(Leu-Leu)、Cyclo(Leu-Phe)及びCyclo(Ala-Ala)を高濃度に含有する麦芽エキスが製造できる。具体的には、これらの濃度がそれぞれ5.0ppm/Bx(500μg/100g/Bx)以上、好ましくは6.0ppm/Bx以上、より好ましくは7.0ppm/Bx以上の濃度となる麦芽エキスとなる。これらの上限は、50.0ppm/Bx以下、好ましくは40.0ppm/Bx以下、より好ましくは30.0ppm/Bx以下、さらに好ましくは20.0ppm/Bx以下程度である。

0074

また、この方法により、Cyclo(Phe-Phe)を1.0ppm/Bx以上、好ましくは2.0ppm/Bx以上、さらに好ましくは3.0ppm/Bx以上含有する麦芽エキスが得られるので、この方法は、Cyclo(Phe-Phe)の製造にも有利である。

0075

以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、本明細書において特記しない限り、濃度等は重量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。

0076

(実施例1)植物性ペプチドからのジケトピペラジンの製造
植物性ペプチドとして大豆ペプチドおよびゴマペプチドを用い、液体中にて高温高圧処理してジケトピペラジンを高濃度に含有する植物エキスを製造した。具体的には、大豆ペプチド(ハイニュートAM、不二製油社製)およびゴマペプチド(KM-20、KISCO社製)3gに、それぞれ15mlの蒸留水を加え、オートクレーブ(トミー精工社製)に入れて、135℃、0.31MPa、3時間高温高圧処理を加えた。また、比較例として、同じペプチドを用いて高温高圧処理を行わないものを調製した。処理後の液体10mlを50倍希釈して膜処理したものをLC-MS/MSに供し、各種ジケトピペラジン濃度を求めた。分析条件詳細は、下記の通り。また、ジケトピペラジンを高濃度に含有する植物エキスのブリックス(Bx)をデジタル屈折計RX-5000a(ATAGO社製)を用いて測定し、ジケトピペラジンの総量(単位:μg/100g)とブリックス(Bx)の比を算出した。

0077

0078

表2に結果を示す(本明細書中、Cyclo(Leu-Leu)はCyclo(Leu-Leu)とCyclo(Ile-Ile)の合算値を表わす)。本発明の液体中での高温高圧処理により、ジケトピペラジンを高濃度に含有する植物エキスが簡便に製造できることがわかった。また、Cyclo(Ala-Gln)、Cyclo(His-Pro)、Cyclo(Ala-Ala)、Cyclo(Gly-Pro)、Cyclo(Ser-Tyr)、Cyclo(Pro-Thr)、Cyclo(His-Phe)、Cyclo(Ala-Pro)、Cyclo(Phe-Ser)、Cyclo(Gly-Leu)、Cyclo(Gly-Phe)、Cyclo(Pro-Pro)、Cyclo(Gly-Trp)、Cyclo(Asp-Phe)、Cyclo(Val-Pro)、Cyclo(Pro-Tyr)、Cyclo(Met-Pro)、Cyclo(Met-Met)、Cyclo(Val-Val)、Cyclo(Leu-Pro)、Cyclo(Trp-Tyr)、Cyclo(Phe-Pro)、Cyclo(Leu-Trp)、Cyclo(Phe-Trp)、Cyclo(Leu-Phe)、Cyclo(Leu-Leu)、及びCyclo(Phe-Phe)からなる群より選択される少なくとも1種のジケトピペラジンを増加させることができることが示唆された。特に、Cyclo(Leu-Leu)およびCyclo(Leu-Phe)を高濃度に含有し、その含有量は、ジケトピペラジンを高濃度に含有する植物エキス中21.5%であった。

0079

0080

(実施例2)植物性ペプチドからのCyclo(Phe-Phe)の製造
植物性ペプチドとして、以下のペプチドを用いた。
1)大豆ペプチド「ハイニュートAM」(不二製油社製):ジ・トリペプチドが67%、平均分子量500
2)大豆ペプチド「ハイニュートDC」(不二製油社製):鎖長3〜7、平均分子量1000
3)大豆ペプチド「ハイニュートHK」(不二製油社製)
4)コメペプチド「オリザペプチド」(オリザ油化社製):トリペプチドが40〜50%
5)小麦ペプチド「グルタミンペプチドGP-1N」(日清ファルマ社製):分子量5000〜10000
6)小麦ペプチド「グルタミンペプチドGP-N」(日清ファルマ社製):分子量5000〜10000
植物性ペプチド3gに、それぞれ15mlの蒸留水を加え、オートクレーブ(トミー精工社製)に入れて、132℃、0.29MPa、2時間高温高圧処理を加えた。処理後の液体10mlをOASIS MAX(Waters社製)を用いて固相抽出し、得られた固相抽出物を減圧濃縮後、DMSO 100μlに溶解し、そのうち10μlを用いて高速液体クロマトグラフィーHPLC)によりシクロフェニルアラニルフェニルアラニン濃度を求めた。

0081

表3に結果を示す。ペプチドの種類により、シクロフェニルアラニルフェニルアラニンの生成度合いに違いがあった。大豆ペプチドは、コメペプチドや小麦ペプチドを用いた場合に比べて、シクロフェニルアラニルフェニルアラニンが高濃度に生成した。これより、分子量5000以下(特に分子量1000以下)のペプチドの割合が高い大豆ペプチドを用いるのが好ましいことが示唆された。また、大豆ペプチドで比較すると、分子量がより小さく、ジ・トリペプチドを多く含むオリゴペプチドを原料とするのが好ましいことが示唆された。

0082

0083

(実施例3)植物由来のタンパク質からのジケトピペラジンの製造
植物由来のタンパク質を原料として酵素による分解処理を施したものを用いた。植物由来のタンパク質には、大豆タンパク質(プロリーナ900(不二製油社製))と米タンパク質(オリザプロテインP70(オリザ油化社製))を用いた。タンパク質300mgを15mlの蒸留水に加えた。次いで、酵素A(プロテアックス)、酵素B(ニューラーゼF3G;Rhizopus niveus由来の酸性プロテアーゼ(エンドペプチダーゼ))、酵素C(パパインW-40;Carica papaya 由来のプロテアーゼ)、酵素D(プロテアーゼA「アマノ」SD;Aspergillus sp. 由来のプロテアーゼ)、酵素E(プロテアーゼM「アマノ」SD;Aspergillus sp. 由来のプロテアーゼ)、酵素F(プロテアーゼP「アマノ」3SD;Aspergillus sp. 由来のプロテアーゼ)、酵素G(プロメラインF;Ananas comosus 由来のプロテアーゼ)、酵素H(ペプチダーゼR)、酵素I(サモアーゼPC10F;Bacillus stearothermophilus由来のプロテアーゼ(エンドペプチダーゼ))、酵素J(プロチンSD-NY10;Bacillus sp. 由来のプロテアーゼ)、酵素K(プロチンSD-AY10;Bacillus sp. 由来のプロテアーゼ)(以上、いずれも天野エンザイム社製)のいずれかを15mg添加し、37℃、2時間振とう混和した。その後、この酵素処理液を固液分離せずに加熱処理した。加熱処理はオートクレーブ(トミー精工社製)にて、132℃、2時間高温高圧処理を行った。また、大豆タンパク質および米タンパク質を酵素で処理せずに同様に処理したものも製造した。処理後の液体10mlをOASIS MAX(Waters社製)を用いて固相抽出し、得られた固相抽出物を減圧濃縮後、DMSO 100μlに溶解し、そのうち10μlを用いて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりシクロフェニルアラニルフェニルアラニン濃度を求めた。

0084

大豆タンパク質を用いた場合の結果を図1に、米タンパク質を用いた場合の結果を図2に示す。酵素による分解処理を行わないもの(未)も加熱による処理により、ジケトピペラジンが生成した。酵素の種類により、シクロフェニルアラニルフェニルアラニンの生成度合いに違いがあり、Bacillus sp.由来のプロテアーゼを用いた場合に多く生成する傾向にあることがわかった。

0085

(実施例4)植物体からのジケトピペラジンの製造(1)
植物体として、鹿児島県産の一番茶茶葉(品種:やぶきた、全窒素:6.3%)を用いた。この茶葉に対して、まず、水溶性タンパク質を低減する前処理(3回の前抽出)を行った。すなわち、茶葉10gに対して、熱湯200gを加えて適宜攪拌し、5分間抽出を行った。抽出終了後、140メッシュでろ過し、抽出残渣(茶滓)を回収した。この茶滓に対して、200gの熱湯を注ぎ5分間抽出を行って茶滓を回収した。再度、この茶滓に対して同様に抽出処理を行い茶滓を回収した。

0086

次に、この前抽出を行った茶葉(茶滓)に対して、酵素による分解処理を行った。茶滓(全量)に対して50℃の湯を200g注ぎ、プロテアーゼ(商品名:プロチンNY100、大和化成社製)を1g添加し、攪拌子で攪拌(300rpm)しながら、55℃のウォーターバス内にて3時間反応させた。その後、95℃、30分間保持して酵素を失活させた。

0087

この酵素処理液を固液分離せずに茶葉液体混合物の形態で、加熱処理を施した。加熱処理は、オートクレーブ(トミー精工社製)に入れて、135℃、3時間の高温高圧流体による加熱処理とした。処理後の液体を140メッシュでろ過し、茶エキス(エキスA)を得た。この茶エキス(エキスA)(Bx0.99)について、実施例1と同様に、エキス中のジケトピペラジンの分析を行った。

0088

表4に結果を示す。茶葉(茶滓)に液体中での高温高圧処理を行うことにより、ジケトピペラジンを高濃度に含有する植物エキスを高濃度に含有する茶エキスが簡便に製造できることがわかった。また、Cyclo(Ala-Gln)、Cyclo(His-Pro)、Cyclo(Ala-Ala)、Cyclo(Gly-Pro)、Cyclo(Ser-Tyr)、Cyclo(Pro-Thr)、Cyclo(His-Phe)、Cyclo(Ala-Pro)、Cyclo(Phe-Ser)、Cyclo(Gly-Leu)、Cyclo(Gly-Phe)、Cyclo(Pro-Pro)、Cyclo(Gly-Trp)、Cyclo(Asp-Phe)、Cyclo(Val-Pro)、Cyclo(Pro-Tyr)、Cyclo(Met-Pro)、Cyclo(Met-Met)、Cyclo(Val-Val)、Cyclo(Leu-Pro)、Cyclo(Trp-Tyr)、Cyclo(Phe-Pro)、Cyclo(Leu-Trp)、Cyclo(Phe-Trp)、Cyclo(Leu-Phe)、Cyclo(Leu-Leu)、及びCyclo(Phe-Pheからなる群より選択される少なくとも1種のジケトピペラジンを増加させることができることが示唆された。特に、シクロロイシルロイシンおよびシクロロイシルフェニルアラニンを高濃度に含有し、その含有量は、ジケトピペラジンを高濃度に含有する植物エキス中27.2%であった。この茶エキスの風味を官能評価すると、ほとんど無味無臭であった。

0089

0090

(実施例5)植物体からのジケトピペラジンの製造(2)
植物体として、市販の水煮大豆および麦芽を使用した。水煮大豆および麦芽に対し、それぞれ実施例4と同様に、植物体(大豆)の乾燥重量に対して20倍量の熱湯で前抽出を3度行った後に、実施例3と同様の酵素処理及び液体中での高温高圧処理を行い、大豆エキス(エキスB)および麦芽エキス(エキスC)を得た。なお、五訂データに基づき、大豆の乾燥重量は水煮大豆全量の36.5%として換算した。エキスBおよびエキスCについて、Bxを1に調整した後に実施例1と同様に、エキス中のジケトピペラジンの分析を行った。表5に結果を示す。大豆や麦芽からもジケトピペラジンを高濃度に含有する植物エキスが簡便に製造できることがわかった。

0091

0092

(実施例6)植物体からのジケトピペラジンの製造(3)
植物体として、実施例4と同じ茶葉を用い、前抽出、酵素処理、加熱処理の影響について検討した。サンプルを表6に示す。サンプルNo.5及び6は、植物体からオリゴペプチドを生成させる工程と液体中での高温高圧処理によりオリゴペプチドを環化させてジペプチドを生成させる工程とを同時に加熱処理で実施していることを示す。前抽出は回数を2回にする他は、実施例4と同様にして行い、酵素処理は反応温度を50℃に、また加熱処理は加熱時間を8時間に変える他は、実施例4と同様にして行った。得られた茶エキス(サンプルNo.1〜8)について、実施例1と同様にLC-MS/MSを用いて分析を行った。

0093

0094

表7に結果を示す。液体中での高温高圧処理を行わないと、ジケトピペラジンは生成しないことが明らかとなった(サンプルNo.1〜4)。また、サンプルNo.5〜8を比較して、以下の知見が得られた。
・前処理(抽出処理)を行うことで、得られる茶エキス中のジケトピペラジン濃度は増加した。
・加熱処理と酵素処理のいずれの方法でもオリゴペプチドが得られるが、酵素処理がより効果的かつ効率的であった。

0095

前抽出、加熱処理及び酵素処理を適切に用いることによて、Bxあたりのジケトピペラジンの総量が、900μg/100g/Bx以上と格段に多量に含む植物エキス(茶エキス)が得られた。これより、本発明が、ジケトピペラジンを高濃度に含む植物エキス及びその製造に有利であることが示唆された。また、Cyclo(Ala-Gln)、Cyclo(His-Pro)、Cyclo(Ala-Ala)、Cyclo(Gly-Pro)、Cyclo(Ser-Tyr)、Cyclo(Pro-Thr)、Cyclo(His-Phe)、Cyclo(Ala-Pro)、Cyclo(Phe-Ser)、Cyclo(Gly-Leu)、Cyclo(Gly-Phe)、Cyclo(Pro-Pro)、Cyclo(Asp-Phe)、Cyclo(Val-Pro)、Cyclo(Pro-Tyr)、Cyclo(Met-Pro)、Cyclo(Leu-Pro)、Cyclo(Phe-Pro)、Cyclo(Leu-Phe)、及びCyclo(Leu-Leu)をそれぞれ10μg/100g/Bx以上の濃度で含有する植物エキス(茶エキス)が得られることが示唆された。本発明は、これらジケトピペラジンの一以上の製造にも有用であることが示唆された。

0096

さらに、前処理や酵素処理を行うことによってCyclo(Phe-Phe)が生成した。これより、本発明によると、BxあたりのCyclo(Phe-Phe)含量が10μg/100g/Bx以上である、植物エキス(茶エキス)が得られることが示唆された。疎水性の高いCyclo(Phe-Phe)は、エキス中(水溶液中)で安定に維持できた。

0097

サンプルNo.5〜8の香味評価を行ったが、エキス自体は苦味を始めとする味を伴わないエキスであった。No5.サンプルと同濃度のCyclo(Leu-Pro)、Cyclo(Phe-Pro)及びCyclo(Leu-Trp)をそれぞれ1種類又は3種類全てを含有する水溶液を調製して香味評価を行ったところ、苦味が顕著に知覚されたことから、茶エキス中で存在することにより、苦味が低減されることが示唆された。

0098

0099

(実施例7)植物体からのジケトピペラジンの製造(4)
実施例6において、前抽出の有用性が確認されたことから、前抽出の回数について検討した。植物体として、鹿児島県産の一番茶茶葉(品種:やぶきた、全窒素:6.3%)を用いた。ジケトピペラジンの濃度をより高めるため、前抽出の最適回数の検討を実施した。前抽出は次の要領で実施した。茶葉10gに対して、熱湯200gを加えて適宜攪拌し5分間抽出を行った。抽出終了後、140メッシュで濾過し、抽出液は廃棄した。前抽出を二回以上実施する水準においては、濾過して得た茶殻に再度熱湯を200g加えて同様の操作を繰り返した。このようにして、前抽出を0回〜3回実施した茶葉(初期量10g)対して50℃の湯を200g注ぎ、酵素プロテアーゼ(天野エンザイム、プロチンNY100)を1g添加し、攪拌子で攪拌(300rpm)しながら、50℃のウォーターバス内にて3時間反応させた。その後、95℃、30分間保持することで酵素を失活させた。得られた茶葉液体混合物をオートクレーブ(トミー精工)に入れて、135℃、8時間高温高圧処理を行った後の液体を140メッシュで濾過し、茶エキスを得た。得られた抽出液はそれぞれBx測定をした後に、実施例1同様にLC-MS/MSを用いてジケトピペラジンの濃度を定量した。

0100

表8に結果を示す。前抽出の回数に応じて、ジケトピペラジンの生成量が増加した。前抽出の回数と可溶性成分の除去率の関係を図3に示す。可溶性成分の除去率は、式「(前抽出で得られた採液量(総量)(g)×そのブリックス[Bx])/(植物体の重量に対して30倍量の熱湯で10分間抽出することを10回繰り返した際の採液量(g)×そのブリックス[Bx])×100(%)」で算出した。前抽出を3回繰り返すことで、可溶性成分を95%以上除去できることがわかった。

0101

0102

(実施例8)植物体からのジケトピペラジンの製造(5)
実施例6において、酵素処理の有用性が確認されたことから、酵素の種類について検討を行った。検討した酵素は次の9種類である。
<サンプルNo.9>プロチンNY100:Bacillus amyloliquefaciens由来のプロテアーゼ(エンドペプチダーゼ)
<サンプルNo.10>サモアーゼ160:Bacillus stearothermophilus由来の耐熱性プロテアーゼ(エンドペプチダーゼ)
<サンプルNo.11>サモアーゼPC10F:Bacillus stearothermophilus由来のプロテアーゼ(エンドペプチダーゼ)
<サンプルNo.12>プロテアックス:Aspergillus oryzae由来の中性プロテアーゼ
<サンプルNo.13>プロテアーゼM:Ananas comosus 由来の中性プロテアーゼ
<サンプルNo.14>プロテアーゼP:Aspergillus melleus由来のアルカリ性プロテアーゼ
<サンプルNo.15>プロテアーゼA:Aspergillus oryzae由来の中性プロテアーゼ
<サンプルNo.16>ペプチダーゼR:Rhizopus oryzae由来の中性プロテアーゼ
<サンプルNo.17>ニューラーゼF3G:Rhizopus niveus由来の酸性プロテアーゼ(エンドペプチダーゼ)
植物体として、鹿児島県産の一番茶茶葉(品種:やぶきた、全窒素:6.3%)を用いた。茶葉10gに実施例6と同様の前抽出を3回実施して得た茶滓に対して55℃(サモアーゼ160およびサモアーゼPC10Fに関しては70℃)の湯を200g注ぎ、各種酵素を1g添加し、攪拌子で攪拌(300rpm)しながら、55℃(サモアーゼ160およびサモアーゼPC10Fに関しては70℃)のウォーターバス内にて3時間反応させた。その後、95℃、30分間保持することで酵素を失活させた。得られた茶葉液体混合物をオートクレーブ(トミー精工)に入れて、135℃、8時間高温高圧処理を加えた。処理後の液体を140メッシュで濾過し、茶エキスを得た。得られた抽出液はそれぞれBx測定をした後に、実施例1同様にLS-MS/MS測定によりジケトピペラジンの濃度を定量した。

0103

表9に結果を示す。細菌由来の酵素でエンドペプチダーゼ活性が高い酵素を用いた場合に、ジケトピペラジンの濃度が顕著に増加することがわかった。細菌由来の酵素の中でも、Bacillus subtilis由来の中性プロテアーゼやBacillus stearothermophilus由来のプロテアーゼを用いた場合に、特にジケトピペラジンの生成量が増加した。

0104

0105

(実施例9)植物体からのジケトピペラジンの製造(6)
茶葉に対する酵素(プロチンNY100)濃度を0〜20%に変える他は、実施例4と同様にして茶エキスを製造した。得られた茶エキスについて、官能評価を実施するとともに、実施例1と同様にLC-MS/MSを用いて表10に示す17種のジケトピペラジンの含有量を定量し、その総量を求めた。

0106

表10に結果を示す。酵素濃度は、植物原料に対して1重量%〜20重量%、好ましくは3重量%〜15重量%、より好ましくは4重量%〜10重量%の範囲であることが示唆された。また、いずれの茶エキスもエキス自体にほとんど風味はなく、飲食物に配合して利用可能なエキスであると判断した。特に、前抽出、酵素処理、加熱処理を組み合わせて行ったものの香味が優れていた。

0107

0108

(実施例10)植物体からのジケトピペラジンの製造(7)
高温高圧処理の条件を変える他は、実施例4と同様にして茶エキスを製造した。具体的には、植物体として、実施例4と同じの茶葉を同量用いた。前抽出を20倍量の水から30倍量の水に変えて3回繰り返して茶葉(茶滓)を得、実施例4と同様に酵素処理を行い、実施例4と同じ加熱処理装置を用いて表11に示す種々の加熱条件で加熱処理を行った。得られた茶エキスについて、実施例1と同様に、エキス中のジケトピペラジンの分析を行った。

0109

表11に結果を示す。ジケトピペラジンを生成するためには、100℃以上(好ましくは115℃以上、より好ましくは125℃以上)の加熱が必要であることが示唆された。また、加熱時間は、30分〜10時間、好ましくは2〜8時間程度の加熱であることが示唆された。

0110

0111

(実施例11)ジケトピペラジン含有飲食物の製造
市販のPET緑茶飲料450gに、実施例4で製造した茶エキスA及び/又は水を表12のとおり50gずつ添加して、全量500gのジケトピペラジン含有茶飲料を調製した。これら茶飲料について香味の官能評価を実施した。評価は、苦味を中心に総合的な好ましさで判断し、◎:香味が非常に良好、○:香味良好、△:飲用可能な香味、×やや飲用が困難な香味、××:飲用が非常に困難な香味の五段階で行った。

0112

表12に結果を示す。飲料500gあたり、ジケトピペラジン混合体として実施例4の茶エキスAを0〜50g含有する茶飲料は、いずれも香味良好であることを確認した。このことから、本発明で得られる茶エキスが飲料香味の配合設計において、汎用性の高い素材であることが示唆された。

実施例

0113

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