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課題

FcγRIIBを介して抗原消失を促進する抗原結合分子の提供。

解決手段

抗原に対する結合活性イオン濃度の条件によって変化する抗原結合ドメイン、及びEUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAspであり、更にEUナンバリングで表される;233位のアミノ酸がAsp、234位のアミノ酸がTrp又はTyr、237位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Leu、Met、Trp又はTyr、239位のアミノ酸がAsp、267位のアミノ酸がAla、Gln又はVal、268位のアミノ酸がAsp、Glu又はAsn、296位のアミノ酸がAsp、323位のアミノ酸がIle、Leu又はMet、326位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Leu、Met、Asn、Gln、Ser又はThr、330位のアミノ酸がLys、MetまたはArg、のいずれかひとつ以上であるFc領域を含む抗原結合分子。

概要

背景

抗体は血漿中での安定性が高く、副作用も少ないことから医薬品として注目されている。中でもIgG型の抗体医薬は多数上市されており、現在も数多くの抗体医薬が開発されている(非特許文献1および非特許文献2)。一方、第二世代の抗体医薬に適用可能な技術として様々な技術が開発されており、エフェクター機能抗原結合能薬物動態、安定性を向上させる、あるいは、免疫原性リスクを低減させる技術等が報告されている(非特許文献3)。抗体医薬は一般に投与量が非常に高いため、皮下投与製剤の作製が困難であること、製造コストが高いこと等が課題として考えられる。抗体医薬の投与量を低減させる方法として、抗体の薬物動態を改善する方法と、抗体と抗原の親和性(アフィニティー)を向上させる方法が考えられる。

抗体の薬物動態を改善する方法として、定常領域の人工的なアミノ酸置換が報告されている(非特許文献4および5)。抗体の抗原に対する結合活性、および/または中和活性を増強させる技術として、アフィニティーマチレーション技術(非特許文献6)が報告されており、可変領域のCDR領域などのアミノ酸に変異を導入することで抗原に対する結合活性を増強することが可能である。抗原結合能の増強によりin vitroの生物活性を向上させる、あるいは投与量を低減することが可能であり、さらにin vivo(生体内)での薬効を向上させることも可能である(非特許文献7)。

一方、中和活性を有する抗体一分子あたりが中和できる抗原量はアフィニティーに依存するため、少ない抗体量で抗原を中和することを目的として、様々な方法で抗体のアフィニティーが増強されている(非特許文献6)。さらに抗原に共有結合的に結合し、抗原に対するアフィニティーが無限大である抗体であれば、一分子の抗体で一分子の抗原(二価の場合は二抗原)を中和することが可能である。しかし、こうした方法では一分子の抗体で一分子の抗原(二価の場合は二抗原)の化学量論的な中和反応限界であり、抗原量以下の抗体量で抗原を完全に中和することは不可能であった。つまり、アフィニティーを強くすることによって抗原を中和する効果には限界が存在していた(非特許文献8)。中和抗体の場合、その中和効果を一定期間持続させるためには、その期間に生体内で産生される抗原量以上の抗体量が投与される必要があり、上述の抗体の薬物動態改善、あるいは、アフィニティーマチュレーション技術だけでは、必要抗体投与量の低減には限界が存在していた。そのため、抗原量以下の抗体量で抗原の中和効果を目的期間持続するためには、一つの抗体で複数の抗原を中和する必要がある。これを達成する新しい方法として、最近、pHおよび/または金属イオン濃度に依存的に抗原に結合する抗原結合分子が報告された(特許文献1および2)。抗原に対して血漿中のpH中性および/または高カルシウムイオン濃度の条件下においては強く結合し、エンドソーム内のpH酸性および/または低カルシウムイオン濃度の条件下において抗原から解離するイオン濃度依存的抗原結合分子はエンドソーム内で抗原から解離することが可能である。イオン濃度依存的抗原結合分子は、抗原を解離した後に当該分子がFcRnによって血漿中にリサイクルされると再び抗原に結合することが可能である。そのため、一つのイオン濃度依存的抗原結合分子は複数の抗原に繰り返し結合することが可能となる。

一方、FcRnに結合してリサイクルされる抗体と比較して、抗原の血漿中滞留性は非常に短い。しかしながら、抗原自体の血漿中滞留性が短くても、このような血漿中滞留性が長い通常の抗体が当該抗原に結合すると、抗体抗原複合体の血漿中滞留性は抗体と同様に長くなる。そのため、通常、抗体を投与すると、当該抗体が結合した抗原は抗体抗原複合体の形で存在することから、むしろ血漿中滞留性が長くなり(血漿中から消失されにくくなり)、血漿中の抗原濃度は上昇する。一方、イオン濃度依存的抗原結合分子はエンドソーム内で抗原から解離することによって、血漿中抗原濃度の上昇を抑制することができる。しかしながら、上記の血漿中における抗原濃度の上昇の抑制は、当該抗原の生体内における産生量とのバランスに影響される。よって、このようなイオン濃度依存的抗原結合分子の投与によって、当該分子の投与前と比較して、血漿中抗原濃度が上昇してしまう場合がある可能性も考えられた(特許文献3)。

最近、中性条件下においてFcRnへの結合を有する抗原結合分子が作製された。イオン濃度依存的に抗原に結合し、中性条件下においてFcRnへの結合を有する抗原結合分子を投与することによって、当該分子の投与前と比較して血漿中抗原濃度を低下できることが見出された(特許文献3)。通常の抗体は、抗体の投与により血漿中の抗原濃度を上昇させるのに対して、pH中性条件下においてFcRnへの結合活性を有する抗原結合分子、およびイオン濃度依存的に抗原に結合し、pH中性条件下においてFcRnへの結合活性を有する抗原結合分子は、当該分子の投与により血漿中の抗原濃度を低下させることが可能である。このような抗原結合分子は、FcRnに対する結合の結果起こるエンドサイトーシスを介して血漿中から積極的に抗原を除去することが可能であることから、医薬品として極めて有用である。

一方、IgGのレセプターとしては、FcRnだけでなく、複数のFcγレセプター(FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa)が存在する(非特許文献9)。抗体の活性型Fcγレセプターに対する結合活性は、抗体の細胞傷害活性に重要な役割を果たしていることから、これまでに、活性型Fcγレセプターに対する結合活性を増強することにより細胞傷害活性が増強された膜型抗原を標的とした抗体が開発されている(非特許文献10、11)。同様に、抑制型Fcγレセプター(FcγRIIb)に対する結合活性が免疫抑制活性(非特許文献12、13、14)、アゴニスト活性(非特許文献15、16)等に重要な役割を果たしていることから、抑制型Fcγレセプターに対する結合活性が増強された膜型抗原を標的とした抗体の研究が進められている(非特許文献17、18)。

溶型抗原に結合する抗体のFcγRに対する結合の影響は、主にその副作用の観点で検討されている。例えば、VEGFに対する抗体であるbevacizumabが投与された患者群では血栓塞栓症のリスクが上昇することが知られている(非特許文献19)。また、CD40リガンドに対する抗体の臨床開発試験においても同様に血栓塞栓症が観察され、臨床試験中止された(非特許文献20)。血小板細胞上には抑制型FcγレセプターであるFcγRIIbではなく活性型FcγレセプターであるFcγRIIaが発現している(非特許文献21)が、動物モデルなどを使ったその後の研究により、投与されたいずれの抗体も血小板上のFcγRIIaに対する結合を介して血小板が凝集し、その結果血栓を形成することが示唆されている(非特許文献22、 非特許文献23)。自己免疫疾患の一つである全身性エリテマトーデスの患者においてはFcγRIIa依存的な機構によって血小板が活性化し、血小板の活性化が重症度相関すると報告されている(非特許文献24)。また、FcγRIIbに対する結合を増強した抗体を医薬品として用いる場合、抗抗体の産生のリスクの低減が期待できること(非特許文献25)、膜型抗原に結合する抗体のFcγRIIaに対する結合を増強させた抗体は、樹状細胞マクロファージを介した抗体依存的貪食活性ADCP)が増強すること(非特許文献26)が報告されている。しかしながら、可溶型抗原を標的とした抗体の活性型および/または抑制型Fcγレセプターに対する結合活性によって、当該抗体が投与された生体における当該抗体または当該抗体が結合する抗原の血漿中動態に対する効果は知られていなかった。

概要

FcγRIIBを介して抗原の消失を促進する抗原結合分子の提供。抗原に対する結合活性がイオン濃度の条件によって変化する抗原結合ドメイン、及びEUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAspであり、更にEUナンバリングで表される;233位のアミノ酸がAsp、234位のアミノ酸がTrp又はTyr、237位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Leu、Met、Trp又はTyr、239位のアミノ酸がAsp、267位のアミノ酸がAla、Gln又はVal、268位のアミノ酸がAsp、Glu又はAsn、296位のアミノ酸がAsp、323位のアミノ酸がIle、Leu又はMet、326位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Leu、Met、Asn、Gln、Ser又はThr、330位のアミノ酸がLys、MetまたはArg、のいずれかひとつ以上であるFc領域を含む抗原結合分子。なし

目的

本発明は、血漿中から抗原を消失させるための抗原結合分子の使用、抗原結合分子を投与することを含む血漿中から抗原を消失させる方法、血漿中から抗原を消失させることが可能な抗原結合分子を含む医薬組成物、および血漿中から抗原を消失させるための抗原結合分子の製造方法を提供する

効果

実績

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請求項1

抗原に対する結合活性イオン濃度の条件によって変化する抗原結合ドメイン、およびEUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、ならびに271位のアミノ酸がGlyであるFc領域を含む抗原結合分子の当該抗原を血漿中から消失させるための使用。

請求項2

前記Fc領域が、さらにEUナンバリングで表される、233位、234位、237位、264位、265位、266位、267位、268位、269位、272位、274位、296位、326位、327位、330位、331位、332位、333位、355位、356位、358位、396位、409位、および419位の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である請求項1に記載の使用。

請求項3

前記Fc領域のEUナンバリングで表される;233位のアミノ酸がAsp、234位のアミノ酸がTyr、237位のアミノ酸がAsp、264位のアミノ酸がIle、265位のアミノ酸がGlu、266位のアミノ酸がPhe、Met、またはLeuのいずれか、267位のアミノ酸がAla、Glu、Gly、またはGlnのいずれか、268位のアミノ酸がAsp、Glu、またはGlnのいずれか、269位のアミノ酸がAsp、272位のアミノ酸がAsp、Phe、Ile、Met、Asn、Pro、またはGln、274位のアミノ酸がGln、296位のアミノ酸がAsp、またはPheのいずれか、326位のアミノ酸がAla、またはAspのいずれか、327位のアミノ酸がGly、330位のアミノ酸がLys、またはArgのいずれか、331位のアミノ酸がSer、332位のアミノ酸がThr、333位のアミノ酸がThr、Lys、またはArgのいずれか、355位のアミノ酸がGln、356位のアミノ酸がGlu、358位のアミノ酸がMet、396位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Ile、Lys、Leu、Met、Gln、Arg、またはTyrのいずれか、409位のアミノ酸がArg、419位のアミノ酸がGlu、のいずれかひとつ以上であるFc領域である請求項2に記載の使用。

請求項4

前記抗原結合ドメインが、前記抗原に対する結合活性がカルシウムイオン濃度の条件によって変化する抗原結合ドメインである、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。

請求項5

前記抗原結合ドメインが、前記抗原に対する低カルシウムイオン濃度の条件下での結合活性が、前記抗原に対する高カルシウムイオン濃度の条件下での結合活性よりも低いように結合活性が変化する抗原結合ドメインである、請求項4に記載の使用。

請求項6

前記抗原結合ドメインが、前記抗原に対する結合活性がpHの条件によって変化する抗原結合ドメインである、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。

請求項7

前記抗原結合ドメインが、前記抗原に対するpH酸性域の条件下での結合活性がpH中性域の条件下での結合活性よりも低いように結合活性が変化する抗原結合ドメインである、請求項6に記載の使用。

請求項8

前記抗原結合ドメインが抗体の可変領域である、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用。

請求項9

前記Fc領域が配列番号:14、15、16または17のいずれかに含まれるFc領域においてEUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、ならびに271位のアミノ酸がGlyであるFc領域である請求項1から8のいずれか一項に記載の使用。

請求項10

前記Fc領域のpH酸性域の条件下でのFcRnに対する結合活性が、配列番号:14、15、16または17のいずれかに含まれるFc領域のFcRnに対する結合活性より増強されているFc領域である、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用。

請求項11

前記の増強されているFc領域が、配列番号:14、15、16、または17のいずれかに含まれるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される244位、245位、249位、250位、251位、252位、253位、254位、255位、256位、257位、258位、260位、262位、265位、270位、272位、279位、283位、285位、286位、288位、293位、303位、305位、307位、308位、309位、311位、312位、314位、316位、317位、318位、332位、339位、340位、341位、343位、356位、360位、362位、375位、376位、377位、378位、380位、382位、385位、386位、387位、388位、389位、400位、413位、415位、423位、424位、427位、428位、430位、431位、433位、434位、435位、436位、438位、439位、440位、442位または447位の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である請求項10に記載の使用。

請求項12

前記の増強されているFc領域が、配列番号:14、15、16、または17に含まれるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;244位のアミノ酸がLeu、245位のアミノ酸がArg、249位のアミノ酸がPro、250位のアミノ酸がGlnまたはGluのいずれか、もしくは251位のアミノ酸がArg、Asp、Glu、またはLeuのいずれか、252位のアミノ酸がPhe、Ser、Thr、またはTyrのいずれか、254位のアミノ酸がSerまたはThrのいずれか、255位のアミノ酸がArg、Gly、Ile、またはLeuのいずれか、256位のアミノ酸がAla、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、Pro、またはThrのいずれか、257位のアミノ酸がAla、Ile、Met、Asn、Ser、またはValのいずれか、258位のアミノ酸がAsp、260位のアミノ酸がSer、262位のアミノ酸がLeu、270位のアミノ酸がLys、272位のアミノ酸がLeu、またはArgのいずれか、279位のアミノ酸がAla、Asp、Gly、His、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Trp、またはTyrのいずれか、283位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Trp、またはTyrのいずれか、285位のアミノ酸がAsn、286位のアミノ酸がPhe、288位のアミノ酸がAsn、またはProのいずれか、293位のアミノ酸がVal、307位のアミノ酸がAla、Glu、Gln、またはMetのいずれか、308位のアミノ酸がIle、Pro、またはThrのいずれか、309位のアミノ酸がPro、311位のアミノ酸がAla、Glu、Ile、Lys、Leu、Met、Ser 、Val、またはTrpのいずれか、312位のアミノ酸がAla、Asp、またはProのいずれか、314位のアミノ酸がAlaまたはLeuのいずれか、316位のアミノ酸がLys、317位のアミノ酸がPro、318位のアミノ酸がAsn、またはThrのいずれか、332位のアミノ酸がPhe、His、Lys、Leu、Met、Arg、Ser、またはTrpのいずれか、339位のアミノ酸がAsn、Thr、またはTrpのいずれか、341位のアミノ酸がPro、343位のアミノ酸がGlu、His、Lys、Gln、Arg、Thr、またはTyrのいずれか、375位のアミノ酸がArg、376位のアミノ酸がGly、Ile、Met、Pro、Thr、またはValのいずれか、377位のアミノ酸がLys、378位のアミノ酸がAsp、Asn、またはValのいずれか、380位のアミノ酸がAla、Asn、Ser、またはThrのいずれか、382位のアミノ酸がPhe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、またはTyrのいずれか、385位のアミノ酸がAla、Arg、Asp、Gly、His、Lys、Ser、またはThrのいずれか、386位のアミノ酸がArg、Asp、Ile、Lys、Met、Pro、Ser、またはThrのいずれか、387位のアミノ酸がAla、Arg、His、Pro、Ser、またはThrのいずれか、389位のアミノ酸がAsn、Pro、またはSerのいずれか、423位のアミノ酸がAsn、427位のアミノ酸がAsn、428位のアミノ酸がLeu、Met、Phe、Ser、またはThrのいずれか、430位のアミノ酸がAla、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、またはTyrのいずれか、431位のアミノ酸がHis、またはAsnのいずれか、433位のアミノ酸がArg、Gln、His、Ile、Lys、Pro、またはSerのいずれか、434位のアミノ酸がAla、Gly、His、Phe、Ser、Trp、またはTyrのいずれか、436位のアミノ酸がArg、Asn、His、Ile、Leu、Lys、Met、またはThrのいずれか、438位のアミノ酸がLys、Leu、Thr、またはTrpのいずれか、440位のアミノ酸がLys、もしくは、442位のアミノ酸がLys、の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸である、請求項11に記載の使用。

請求項13

前記抗原結合分子が抗体である、請求項1から12のいずれか一項に記載の使用。

請求項14

抗原に対する結合活性がイオン濃度の条件によって変化する抗原結合ドメイン、およびEUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、ならびに271位のアミノ酸がGlyであるFc領域を含む抗原結合分子を含む医薬組成物

請求項15

前記Fc領域が、さらにEUナンバリングで表される、233位、234位、237位、264位、265位、266位、267位、268位、269位、272位、274位、296位、326位、327位、330位、331位、332位、333位、355位、356位、358位、396位、409位、および419位の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である請求項14に記載の医薬組成物。

請求項16

前記Fc領域のEUナンバリングで表される;233位のアミノ酸がAsp、234位のアミノ酸がTyr、237位のアミノ酸がAsp、264位のアミノ酸がIle、265位のアミノ酸がGlu、266位のアミノ酸がPhe、Met、またはLeuのいずれか、267位のアミノ酸がAla、Glu、Gly、またはGlnのいずれか、268位のアミノ酸がAsp、Glu、またはGlnのいずれか、269位のアミノ酸がAsp、272位のアミノ酸がAsp、Phe、Ile、Met、Asn、Pro、またはGlnのいずれか、274位のアミノ酸がGln、296位のアミノ酸がAsp、またはPheのいずれか、326位のアミノ酸がAla、またはAspのいずれか、330位のアミノ酸がLys、またはArgのいずれか、327位のアミノ酸がGly、331位のアミノ酸がSer、332位のアミノ酸がThr、333位のアミノ酸がThr、Lys、またはArgのいずれか、355位のアミノ酸がGln、356位のアミノ酸がGlu、358位のアミノ酸がMet、396位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Ile、Lys、Leu、Met、Gln、Arg、またはTyrのいずれか、409位のアミノ酸がArg、419位のアミノ酸がGlu、のいずれかひとつ以上であるFc領域である請求項15に記載の医薬組成物。

請求項17

以下の(a)から(e)の工程;(a)抗原に対する結合活性がイオン濃度の条件によって変化する抗原結合ドメインを得る工程、(b)前記工程(a)で選択された抗原結合ドメインをコードする遺伝子を得る工程、(c)前記工程(b)で得られた遺伝子を、EUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、ならびに271位のアミノ酸がGlyであるFc領域をコードする遺伝子と作動可能に連結する工程、(d)前記工程(c)で作動可能に連結された遺伝子を含む宿主細胞を培養する工程、(e)前記工程(d)で得られた培養液から抗原結合分子を単離する工程、を含む抗原結合分子の製造方法。

請求項18

前記Fc領域が、さらにEUナンバリングで表される、233位、234位、237位、264位、265位、266位、267位、268位、269位、272位、274位、296位、326位、327位、330位、331位、332位、333位、355位、356位、358位、396位、409位、および419位の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である請求項17に記載の製造方法。

請求項19

前記Fc領域のEUナンバリングで表される;233位のアミノ酸がAsp、234位のアミノ酸がTyr、237位のアミノ酸がAsp、264位のアミノ酸がIle、265位のアミノ酸がGlu、266位のアミノ酸がPhe、Met、またはLeuのいずれか、267位のアミノ酸がAla、Glu、Gly、またはGlnのいずれか、268位のアミノ酸がAsp、Glu、またはGlnのいずれか、269位のアミノ酸がAsp、272位のアミノ酸がAsp、Phe、Ile、Met、Asn、Pro、またはGlnのいずれか、274位のアミノ酸がGln、296位のアミノ酸がAsp、またはPheのいずれか、326位のアミノ酸がAla、またはAspのいずれか、327位のアミノ酸がGly、330位のアミノ酸がLys、またはArgのいずれか、331位のアミノ酸がSer、332位のアミノ酸がThr、333位のアミノ酸がThr、Lys、またはArgのいずれか、355位のアミノ酸がGln、356位のアミノ酸がGlu、358位のアミノ酸がMet、396位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Ile、Lys、Leu、Met、Gln、Arg、またはTyrのいずれか、409位のアミノ酸がArg、419位のアミノ酸がGlu、のいずれかひとつ以上であるFc領域である請求項18に記載の製造方法。

請求項20

以下の(a)から(e)の工程;(a)抗原に対する結合活性がイオン濃度の条件によって変化する抗原結合ドメインを得る工程、(b)前記工程(a)で選択された抗原結合ドメインをコードする遺伝子を得る工程、(c)前記工程(b)で得られた遺伝子を、EUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、ならびに271位のアミノ酸がGlyであるFc領域をコードする遺伝子と作動可能に連結する工程、(d)前記工程(c)で作動可能に連結された遺伝子を含む宿主細胞を培養する工程、(e)前記工程(d)で得られた培養液から抗原結合分子を単離する工程、を含む当該抗原結合分子を含む医薬組成物の製造方法。

請求項21

前記Fc領域が、さらにEUナンバリングで表される、233位、234位、237位、264位、265位、266位、267位、268位、269位、272位、274位、296位、326位、327位、330位、331位、332位、333位、355位、356位、358位、396位、409位、および419位の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である請求項20に記載の製造方法。

請求項22

前記Fc領域のEUナンバリングで表される;233位のアミノ酸がAsp、234位のアミノ酸がTyr、237位のアミノ酸がAsp、264位のアミノ酸がIle、265位のアミノ酸がGlu、266位のアミノ酸がPhe、Met、またはLeuのいずれか、267位のアミノ酸がAla、Glu、Gly、またはGlnのいずれか、268位のアミノ酸がAsp、Glu、またはGlnのいずれか、269位のアミノ酸がAsp、272位のアミノ酸がAsp、Phe、Ile、Met、Asn、Pro、またはGlnのいずれか、274位のアミノ酸がGln、296位のアミノ酸がAsp、またはPheのいずれか、326位のアミノ酸がAla、またはAspのいずれか、327位のアミノ酸がGly、330位のアミノ酸がLys、またはArgのいずれか、331位のアミノ酸がSer、332位のアミノ酸がThr、333位のアミノ酸がThr、Lys、またはArgのいずれか、355位のアミノ酸がGln、356位のアミノ酸がGlu、358位のアミノ酸がMet、396位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Ile、Lys、Leu、Met、Gln、Arg、またはTyrのいずれか、409位のアミノ酸がArg、419位のアミノ酸がGlu、のいずれかひとつ以上であるFc領域である請求項21に記載の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、血漿中から抗原消失させるための抗原結合分子の使用、抗原結合分子を投与することを含む血漿中から抗原を消失させる方法、血漿中から抗原を消失させることが可能な抗原結合分子を含む医薬組成物、および血漿中から抗原を消失させるための抗原結合分子の製造方法を提供する。

背景技術

0002

抗体は血漿中での安定性が高く、副作用も少ないことから医薬品として注目されている。中でもIgG型の抗体医薬は多数上市されており、現在も数多くの抗体医薬が開発されている(非特許文献1および非特許文献2)。一方、第二世代の抗体医薬に適用可能な技術として様々な技術が開発されており、エフェクター機能抗原結合能薬物動態、安定性を向上させる、あるいは、免疫原性リスクを低減させる技術等が報告されている(非特許文献3)。抗体医薬は一般に投与量が非常に高いため、皮下投与製剤の作製が困難であること、製造コストが高いこと等が課題として考えられる。抗体医薬の投与量を低減させる方法として、抗体の薬物動態を改善する方法と、抗体と抗原の親和性(アフィニティー)を向上させる方法が考えられる。

0003

抗体の薬物動態を改善する方法として、定常領域の人工的なアミノ酸置換が報告されている(非特許文献4および5)。抗体の抗原に対する結合活性、および/または中和活性を増強させる技術として、アフィニティーマチレーション技術(非特許文献6)が報告されており、可変領域のCDR領域などのアミノ酸に変異を導入することで抗原に対する結合活性を増強することが可能である。抗原結合能の増強によりin vitroの生物活性を向上させる、あるいは投与量を低減することが可能であり、さらにin vivo(生体内)での薬効を向上させることも可能である(非特許文献7)。

0004

一方、中和活性を有する抗体一分子あたりが中和できる抗原量はアフィニティーに依存するため、少ない抗体量で抗原を中和することを目的として、様々な方法で抗体のアフィニティーが増強されている(非特許文献6)。さらに抗原に共有結合的に結合し、抗原に対するアフィニティーが無限大である抗体であれば、一分子の抗体で一分子の抗原(二価の場合は二抗原)を中和することが可能である。しかし、こうした方法では一分子の抗体で一分子の抗原(二価の場合は二抗原)の化学量論的な中和反応限界であり、抗原量以下の抗体量で抗原を完全に中和することは不可能であった。つまり、アフィニティーを強くすることによって抗原を中和する効果には限界が存在していた(非特許文献8)。中和抗体の場合、その中和効果を一定期間持続させるためには、その期間に生体内で産生される抗原量以上の抗体量が投与される必要があり、上述の抗体の薬物動態改善、あるいは、アフィニティーマチュレーション技術だけでは、必要抗体投与量の低減には限界が存在していた。そのため、抗原量以下の抗体量で抗原の中和効果を目的期間持続するためには、一つの抗体で複数の抗原を中和する必要がある。これを達成する新しい方法として、最近、pHおよび/または金属イオン濃度に依存的に抗原に結合する抗原結合分子が報告された(特許文献1および2)。抗原に対して血漿中のpH中性および/または高カルシウムイオン濃度の条件下においては強く結合し、エンドソーム内のpH酸性および/または低カルシウムイオン濃度の条件下において抗原から解離するイオン濃度依存的抗原結合分子はエンドソーム内で抗原から解離することが可能である。イオン濃度依存的抗原結合分子は、抗原を解離した後に当該分子がFcRnによって血漿中にリサイクルされると再び抗原に結合することが可能である。そのため、一つのイオン濃度依存的抗原結合分子は複数の抗原に繰り返し結合することが可能となる。

0005

一方、FcRnに結合してリサイクルされる抗体と比較して、抗原の血漿中滞留性は非常に短い。しかしながら、抗原自体の血漿中滞留性が短くても、このような血漿中滞留性が長い通常の抗体が当該抗原に結合すると、抗体抗原複合体の血漿中滞留性は抗体と同様に長くなる。そのため、通常、抗体を投与すると、当該抗体が結合した抗原は抗体抗原複合体の形で存在することから、むしろ血漿中滞留性が長くなり(血漿中から消失されにくくなり)、血漿中の抗原濃度は上昇する。一方、イオン濃度依存的抗原結合分子はエンドソーム内で抗原から解離することによって、血漿中抗原濃度の上昇を抑制することができる。しかしながら、上記の血漿中における抗原濃度の上昇の抑制は、当該抗原の生体内における産生量とのバランスに影響される。よって、このようなイオン濃度依存的抗原結合分子の投与によって、当該分子の投与前と比較して、血漿中抗原濃度が上昇してしまう場合がある可能性も考えられた(特許文献3)。

0006

最近、中性条件下においてFcRnへの結合を有する抗原結合分子が作製された。イオン濃度依存的に抗原に結合し、中性条件下においてFcRnへの結合を有する抗原結合分子を投与することによって、当該分子の投与前と比較して血漿中抗原濃度を低下できることが見出された(特許文献3)。通常の抗体は、抗体の投与により血漿中の抗原濃度を上昇させるのに対して、pH中性条件下においてFcRnへの結合活性を有する抗原結合分子、およびイオン濃度依存的に抗原に結合し、pH中性条件下においてFcRnへの結合活性を有する抗原結合分子は、当該分子の投与により血漿中の抗原濃度を低下させることが可能である。このような抗原結合分子は、FcRnに対する結合の結果起こるエンドサイトーシスを介して血漿中から積極的に抗原を除去することが可能であることから、医薬品として極めて有用である。

0007

一方、IgGのレセプターとしては、FcRnだけでなく、複数のFcγレセプター(FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa)が存在する(非特許文献9)。抗体の活性型Fcγレセプターに対する結合活性は、抗体の細胞傷害活性に重要な役割を果たしていることから、これまでに、活性型Fcγレセプターに対する結合活性を増強することにより細胞傷害活性が増強された膜型抗原を標的とした抗体が開発されている(非特許文献10、11)。同様に、抑制型Fcγレセプター(FcγRIIb)に対する結合活性が免疫抑制活性(非特許文献12、13、14)、アゴニスト活性(非特許文献15、16)等に重要な役割を果たしていることから、抑制型Fcγレセプターに対する結合活性が増強された膜型抗原を標的とした抗体の研究が進められている(非特許文献17、18)。

0008

溶型抗原に結合する抗体のFcγRに対する結合の影響は、主にその副作用の観点で検討されている。例えば、VEGFに対する抗体であるbevacizumabが投与された患者群では血栓塞栓症のリスクが上昇することが知られている(非特許文献19)。また、CD40リガンドに対する抗体の臨床開発試験においても同様に血栓塞栓症が観察され、臨床試験中止された(非特許文献20)。血小板細胞上には抑制型FcγレセプターであるFcγRIIbではなく活性型FcγレセプターであるFcγRIIaが発現している(非特許文献21)が、動物モデルなどを使ったその後の研究により、投与されたいずれの抗体も血小板上のFcγRIIaに対する結合を介して血小板が凝集し、その結果血栓を形成することが示唆されている(非特許文献22、 非特許文献23)。自己免疫疾患の一つである全身性エリテマトーデスの患者においてはFcγRIIa依存的な機構によって血小板が活性化し、血小板の活性化が重症度相関すると報告されている(非特許文献24)。また、FcγRIIbに対する結合を増強した抗体を医薬品として用いる場合、抗抗体の産生のリスクの低減が期待できること(非特許文献25)、膜型抗原に結合する抗体のFcγRIIaに対する結合を増強させた抗体は、樹状細胞マクロファージを介した抗体依存的貪食活性ADCP)が増強すること(非特許文献26)が報告されている。しかしながら、可溶型抗原を標的とした抗体の活性型および/または抑制型Fcγレセプターに対する結合活性によって、当該抗体が投与された生体における当該抗体または当該抗体が結合する抗原の血漿中動態に対する効果は知られていなかった。

0009

WO2009/125825
WO2012/073992
WO2011/122011

先行技術

0010

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Pavlou AK, Belsey MJ., The therapeutic antibodies market to 2008., Eur. J. Pharm. Biopharm., (2005) 59 (3), 389-396
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発明が解決しようとする課題

0011

本発明はこのような状況に鑑みて為されたものである。前述したように、可溶型抗原を標的とした抗体の活性型および/または抑制型Fcγレセプターに対する結合活性によって、当該抗体が投与された生体における当該抗体または当該抗体が結合する抗原の血漿中動態に対する効果は知られていなかった。すなわち本発明は、血漿中に可溶型で存在し病因となる抗原に対する結合活性を有し、活性型および/または抑制型Fcγレセプターに対して所望の結合活性を有する抗原結合分子の投与によって、当該分子が結合する抗原の血漿中濃度の上昇を抑制することを課題とする。さらに本発明は血漿中に可溶型で存在し病因となる抗原に対する抗原結合分子の活性型および/または抑制型Fcγレセプターに対する結合活性を最適化することによって、当該分子が結合する抗原の血漿中濃度の上昇の抑制を最適化することを課題とする。

課題を解決するための手段

0012

すなわち、本発明は、(i)イオン濃度の条件によって抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメイン、(ii) FcγRIIb選択的な結合活性を有するFcγ結合ドメイン、ならびに(iii) pH酸性域の条件下でFcRnに対する結合活性を有するFcRn結合ドメインを含む抗原結合分子、および当該分子を投与することを含む当該分子の投与前と比較して当該抗原の血漿中濃度を低下させる方法を提供する。また、本発明は、(i) イオン濃度の条件によって抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメイン、(ii) FcγRIIb選択的な結合活性を有するFcγ結合ドメイン、ならびに(iii) pH酸性域の条件下でFcRnに対する結合活性を有するFcRn結合ドメインを含む抗原結合分子を含む、当該抗原の血漿中濃度の低下剤を提供する。さらに、本発明は、(i) イオン濃度の条件によって抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメイン、(ii) FcγRIIb選択的な結合活性を有するFcγ結合ドメイン、ならびに(iii) pH酸性域の条件下でFcRnに対する結合活性を有するFcRn結合ドメインを含む抗原結合分子を含む医薬組成物を提供する。また、本発明は、(i) イオン濃度の条件によって抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメイン、(ii) FcγRIIb選択的な結合活性を有するFcγ結合ドメイン、ならびに(iii) pH酸性域の条件下でFcRnに対する結合活性を有するFcRn結合ドメインを含む、当該抗原の血漿中濃度を低下させるための当該分子の使用を提供する。上記に加えて、本発明は当該分子の製造方法および/またはスクリーニング方法を提供する。特に以下に限定されることが意図されるものではないが、非限定な一態様として、具体的には以下を提供するものである。
〔1〕抗原に対する結合活性がイオン濃度の条件によって変化する抗原結合ドメイン、およびEUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、ならびに271位のアミノ酸がGlyであるFc領域を含む抗原結合分子の当該抗原を血漿中から消失させるための使用、
〔2〕前記Fc領域が、さらにEUナンバリングで表される、233位、234位、237位、264位、265位、266位、267位、268位、269位、272位、274位、296位、326位、327位、330位、331位、332位、333位、355位、356位、358位、396位、409位、および419位の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である〔1〕に記載の使用、
〔3〕前記Fc領域のEUナンバリングで表される;
233位のアミノ酸がAsp、
234位のアミノ酸がTyr、
237位のアミノ酸がAsp、
264位のアミノ酸がIle、
265位のアミノ酸がGlu、
266位のアミノ酸がPhe、Met、またはLeuのいずれか、
267位のアミノ酸がAla、Glu、Gly、またはGlnのいずれか、
268位のアミノ酸がAsp、Glu、またはGlnのいずれか、
269位のアミノ酸がAsp、
272位のアミノ酸がAsp、Phe、Ile、Met、Asn、Pro、またはGlnのいずれか、
274位のアミノ酸がGln、
296位のアミノ酸がAsp、またはPheのいずれか、
326位のアミノ酸がAla、またはAspのいずれか、
327位のアミノ酸がGly、
330位のアミノ酸がLys、またはArgのいずれか、
331位のアミノ酸がSer、
332位のアミノ酸がThr、
333位のアミノ酸がThr、Lys、またはArgのいずれか、
355位のアミノ酸がGln、
356位のアミノ酸がGlu、
358位のアミノ酸がMet、
396位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Ile、Lys、Leu、Met、Gln、Arg、またはTyrのいずれか、
409位のアミノ酸がArg、
419位のアミノ酸がGlu、
のいずれかひとつ以上であるFc領域である〔2〕に記載の使用、
〔4〕前記抗原結合ドメインが、前記抗原に対する結合活性がカルシウムイオン濃度の条件によって変化する抗原結合ドメインである、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の使用、
〔5〕前記抗原結合ドメインが、前記抗原に対する低カルシウムイオン濃度の条件下での結合活性が、前記抗原に対する高カルシウムイオン濃度の条件下での結合活性よりも低いように結合活性が変化する抗原結合ドメインである、〔4〕に記載の使用、
〔6〕前記抗原結合ドメインが、前記抗原に対する結合活性がpHの条件によって変化する抗原結合ドメインである、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の使用、
〔7〕前記抗原結合ドメインが、前記抗原に対するpH酸性域の条件下での結合活性がpH中性域の条件下での結合活性よりも低いように結合活性が変化する抗原結合ドメインである、〔6〕に記載の使用、
〔8〕前記抗原結合ドメインが抗体の可変領域である、〔1〕から〔7〕のいずれかに記載の使用、
〔9〕前記Fc領域が配列番号:14、15、16または17のいずれかに含まれるFc領域においてEUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、ならびに271位のアミノ酸がGlyであるFc領域である〔1〕から〔8〕のいずれかに記載の使用、
〔10〕前記Fc領域のpH酸性域の条件下でのFcRnに対する結合活性が、配列番号:14、15、16または17のいずれかに含まれるFc領域のFcRnに対する結合活性より増強されているFc領域である、〔1〕から〔8〕のいずれかに記載の使用、
〔11〕前記の増強されているFc領域が、配列番号:14、15、16、または17のいずれかに含まれるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される244位、245位、249位、250位、251位、252位、253位、254位、255位、256位、257位、258位、260位、262位、265位、270位、272位、279位、283位、285位、286位、288位、293位、303位、305位、307位、308位、309位、311位、312位、314位、316位、317位、318位、332位、339位、340位、341位、343位、356位、360位、362位、375位、376位、377位、378位、380位、382位、385位、386位、387位、388位、389位、400位、413位、415位、423位、424位、427位、428位、430位、431位、433位、434位、435位、436位、438位、439位、440位、442位または447位の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である〔10〕に記載の使用、
〔12〕前記の増強されているFc領域が、配列番号:14、15、16、または17に含まれるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;
244位のアミノ酸がLeu、
245位のアミノ酸がArg、
249位のアミノ酸がPro、
250位のアミノ酸がGlnまたはGluのいずれか、もしくは
251位のアミノ酸がArg、Asp、Glu、またはLeuのいずれか、
252位のアミノ酸がPhe、Ser、Thr、またはTyrのいずれか、
254位のアミノ酸がSerまたはThrのいずれか、
255位のアミノ酸がArg、Gly、Ile、またはLeuのいずれか、
256位のアミノ酸がAla、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、Pro、またはThrのいずれか、
257位のアミノ酸がAla、Ile、Met、Asn、Ser、またはValのいずれか、
258位のアミノ酸がAsp、
260位のアミノ酸がSer、
262位のアミノ酸がLeu、
270位のアミノ酸がLys、
272位のアミノ酸がLeu、またはArgのいずれか、
279位のアミノ酸がAla、Asp、Gly、His、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Trp、またはTyrのいずれか、
283位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Trp、またはTyrのいずれか、
285位のアミノ酸がAsn、
286位のアミノ酸がPhe、
288位のアミノ酸がAsn、またはProのいずれか、
293位のアミノ酸がVal、
307位のアミノ酸がAla、Glu、Gln、またはMetのいずれか、
308位のアミノ酸がIle、Pro、またはThrのいずれか、
309位のアミノ酸がPro、
311位のアミノ酸がAla、Glu、Ile、Lys、Leu、Met、Ser 、Val、またはTrpのいずれか、
312位のアミノ酸がAla、Asp、またはProのいずれか、
314位のアミノ酸がAlaまたはLeuのいずれか、
316位のアミノ酸がLys、
317位のアミノ酸がPro、
318位のアミノ酸がAsn、またはThrのいずれか、
332位のアミノ酸がPhe、His、Lys、Leu、Met、Arg、Ser、またはTrpのいずれか、
339位のアミノ酸がAsn、Thr、またはTrpのいずれか、
341位のアミノ酸がPro、
343位のアミノ酸がGlu、His、Lys、Gln、Arg、Thr、またはTyrのいずれか、
375位のアミノ酸がArg、
376位のアミノ酸がGly、Ile、Met、Pro、Thr、またはValのいずれか、
377位のアミノ酸がLys、
378位のアミノ酸がAsp、Asn、またはValのいずれか、
380位のアミノ酸がAla、Asn、Ser、またはThrのいずれか、
382位のアミノ酸がPhe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、またはTyrのいずれか、
385位のアミノ酸がAla、Arg、Asp、Gly、His、Lys、Ser、またはThrのいずれか、
386位のアミノ酸がArg、Asp、Ile、Lys、Met、Pro、Ser、またはThrのいずれか、
387位のアミノ酸がAla、Arg、His、Pro、Ser、またはThrのいずれか、
389位のアミノ酸がAsn、Pro、またはSerのいずれか、
423位のアミノ酸がAsn、
427位のアミノ酸がAsn、
428位のアミノ酸がLeu、Met、Phe、Ser、またはThrのいずれか、
430位のアミノ酸がAla、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、またはTyrのいずれか、
431位のアミノ酸がHis、またはAsnのいずれか、
433位のアミノ酸がArg、Gln、His、Ile、Lys、Pro、またはSerのいずれか、
434位のアミノ酸がAla、Gly、His、Phe、Ser、Trp、またはTyrのいずれか、
436位のアミノ酸がArg、Asn、His、Ile、Leu、Lys、Met、またはThrのいずれか、
438位のアミノ酸がLys、Leu、Thr、またはTrpのいずれか、
440位のアミノ酸がLys、もしくは、
442位のアミノ酸がLys、
の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸である、〔11〕に記載の使用、
〔13〕前記抗原結合分子が抗体である、〔1〕から〔12〕のいずれかに記載の使用、
〔14〕抗原に対する結合活性がイオン濃度の条件によって変化する抗原結合ドメイン、およびEUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、ならびに271位のアミノ酸がGlyであるFc領域を含む抗原結合分子を含む医薬組成物、
〔15〕前記Fc領域が、さらにEUナンバリングで表される、233位、234位、237位、264位、265位、266位、267位、268位、269位、272位、274位、296位、326位、327位、330位、331位、332位、333位、355位、356位、358位、396位、409位、および419位の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である〔14〕に記載の医薬組成物、
〔16〕前記Fc領域のEUナンバリングで表される;
233位のアミノ酸がAsp、
234位のアミノ酸がTyr、
237位のアミノ酸がAsp、
264位のアミノ酸がIle、
265位のアミノ酸がGlu、
266位のアミノ酸がPhe、Met、またはLeuのいずれか、
267位のアミノ酸がAla、Glu、Gly、またはGlnのいずれか、
268位のアミノ酸がAsp、Glu、またはGlnのいずれか、
269位のアミノ酸がAsp、
272位のアミノ酸がAsp、Phe、Ile、Met、Asn、Pro、またはGlnのいずれか、
274位のアミノ酸がGln、
296位のアミノ酸がAsp、またはPheのいずれか、
326位のアミノ酸がAla、またはAspのいずれか、
327位のアミノ酸がGly、
330位のアミノ酸がLys、またはArgのいずれか、
331位のアミノ酸がSer、
332位のアミノ酸がThr、
333位のアミノ酸がThr、Lys、またはArgのいずれか、
355位のアミノ酸がGln、
356位のアミノ酸がGlu、
358位のアミノ酸がMet、
396位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Ile、Lys、Leu、Met、Gln、Arg、またはTyrのいずれか、
409位のアミノ酸がArg、
419位のアミノ酸がGlu、
のいずれかひとつ以上であるFc領域である〔15〕に記載の医薬組成物、
〔17〕以下の(a)から(e)の工程;
(a) 抗原に対する結合活性がイオン濃度の条件によって変化する抗原結合ドメインを得る工程、
(b) 前記工程(a)で選択された抗原結合ドメインをコードする遺伝子を得る工程、
(c) 前記工程(b)で得られた遺伝子を、EUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、ならびに271位のアミノ酸がGlyであるFc領域をコードする遺伝子と作動可能に連結する工程、
(d) 前記工程(c)で作動可能に連結された遺伝子を含む宿主細胞を培養する工程、
(e) 前記工程(d)で得られた培養液から抗原結合分子を単離する工程、
を含む抗原結合分子の製造方法、
〔18〕前記Fc領域が、さらにEUナンバリングで表される、233位、234位、237位、264位、265位、266位、267位、268位、269位、272位、274位、296位、326位、327位、330位、331位、332位、333位、355位、356位、358位、396位、409位、および419位の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である〔17〕に記載の製造方法、
〔19〕前記Fc領域のEUナンバリングで表される;
233位のアミノ酸がAsp、
234位のアミノ酸がTyr、
237位のアミノ酸がAsp、
264位のアミノ酸がIle、
265位のアミノ酸がGlu、
266位のアミノ酸がPhe、Met、またはLeuのいずれか、
267位のアミノ酸がAla、Glu、Gly、またはGlnのいずれか、
268位のアミノ酸がAsp、Glu、またはGlnのいずれか、
269位のアミノ酸がAsp、
272位のアミノ酸がAsp、Phe、Ile、Met、Asn、Pro、またはGlnのいずれか、
274位のアミノ酸がGln、
296位のアミノ酸がAsp、またはPheのいずれか、
326位のアミノ酸がAla、またはAspのいずれか、
327位のアミノ酸がGly、
330位のアミノ酸がLys、またはArgのいずれか、
331位のアミノ酸がSer、
332位のアミノ酸がThr、
333位のアミノ酸がThr、Lys、またはArgのいずれか、
355位のアミノ酸がGln、
356位のアミノ酸がMet、
358位のアミノ酸がMet、
396位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Ile、Lys、Leu、Met、Gln、Arg、またはTyrのいずれか、
409位のアミノ酸がArg、
419位のアミノ酸がGlu、
のいずれかひとつ以上であるFc領域である〔18〕に記載の製造方法、
〔20〕以下の(a)から (e)の工程;
(a) 抗原に対する結合活性がイオン濃度の条件によって変化する抗原結合ドメインを得る工程、
(b) 前記工程(a)で選択された抗原結合ドメインをコードする遺伝子を得る工程、
(c) 前記工程(b)で得られた遺伝子を、EUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、ならびに271位のアミノ酸がGlyであるFc領域をコードする遺伝子と作動可能に連結する工程、
(d) 前記工程(c)で作動可能に連結された遺伝子を含む宿主細胞を培養する工程、
(e) 前記工程(d)で得られた培養液から抗原結合分子を単離する工程、
を含む当該抗原結合分子を含む医薬組成物の製造方法、
〔21〕前記Fc領域が、さらにEUナンバリングで表される、233位、234位、237位、264位、265位、266位、267位、268位、269位、272位、274位、296位、326位、327位、330位、331位、332位、333位、355位、356位、358位、396位、409位、および419位の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である〔20〕に記載の製造方法、
〔22〕前記Fc領域のEUナンバリングで表される;
233位のアミノ酸がAsp、
234位のアミノ酸がTyr、
237位のアミノ酸がAsp、
264位のアミノ酸がIle、
265位のアミノ酸がGlu、
266位のアミノ酸がPhe、Met、またはLeuのいずれか、
267位のアミノ酸がAla、Glu、Gly、またはGlnのいずれか、
268位のアミノ酸がAsp、Glu、またはGlnのいずれか、
269位のアミノ酸がAsp、
272位のアミノ酸がAsp、Phe、Ile、Met、Asn、Pro、またはGlnのいずれか、
274位のアミノ酸がGln、
296位のアミノ酸がAsp、またはPheのいずれか、
326位のアミノ酸がAla、またはAspのいずれか、
327位のアミノ酸がGly、
330位のアミノ酸がLys、またはArgのいずれか、
331位のアミノ酸がSer、
332位のアミノ酸がThr、
333位のアミノ酸がThr、Lys、またはArgのいずれか、
355位のアミノ酸がGln、
356位のアミノ酸がGlu、
358位のアミノ酸がMet、
396位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Ile、Lys、Leu、Met、Gln、Arg、またはTyrのいずれか、
409位のアミノ酸がArg、
419位のアミノ酸がGlu、
のいずれかひとつ以上であるFc領域である〔21〕に記載の製造方法、
〔23〕抗原に対する結合活性がイオン濃度の条件によって変化する抗原結合ドメイン、およびEUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、ならびに271位のアミノ酸がGlyであるFc領域を含む抗原結合分子の有効量を投与する工程を含む、当該抗原を血漿中から消失させる方法、
〔24〕前記Fc領域が、さらにEUナンバリングで表される、233位、234位、237位、264位、265位、266位、267位、268位、269位、272位、274位、296位、326位、327位、330位、331位、332位、333位、355位、356位、358位、396位、409位、および419位の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である〔23〕に記載の方法、
〔25〕前記Fc領域のEUナンバリングで表される;
233位のアミノ酸がAsp、
234位のアミノ酸がTyr、
237位のアミノ酸がAsp、
264位のアミノ酸がIle、
265位のアミノ酸がGlu、
266位のアミノ酸がPhe、Met、またはLeuのいずれか、
267位のアミノ酸がAla、Glu、Gly、またはGlnのいずれか、
268位のアミノ酸がAsp、Glu、またはGlnのいずれか、
269位のアミノ酸がAsp、
272位のアミノ酸がAsp、Phe、Ile、Met、Asn、Pro、またはGlnのいずれか、
274位のアミノ酸がGln、
296位のアミノ酸がAsp、またはPheのいずれか、
326位のアミノ酸がAla、またはAspのいずれか、
327位のアミノ酸がGly、
330位のアミノ酸がLys、またはArgのいずれか、
331位のアミノ酸がSer、
332位のアミノ酸がThr、
333位のアミノ酸がThr、Lys、またはArgのいずれか、
355位のアミノ酸がGln、
356位のアミノ酸がGlu、
358位のアミノ酸がMet、
396位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Ile、Lys、Leu、Met、Gln、Arg、またはTyrのいずれか、
409位のアミノ酸がArg、
419位のアミノ酸がGlu、
のいずれかひとつ以上であるFc領域である〔24〕に記載の方法、
〔26〕前記抗原結合ドメインが、前記抗原に対する結合活性がカルシウムイオン濃度の条件によって変化する抗原結合ドメインである、〔23〕から〔25〕のいずれかに記載の方法、
〔27〕前記抗原結合ドメインが、前記抗原に対する低カルシウムイオン濃度の条件下での結合活性が、前記抗原に対する高カルシウムイオン濃度の条件下での結合活性よりも低いように結合活性が変化する抗原結合ドメインである、〔26〕に記載の方法、
〔28〕前記抗原結合ドメインが、前記抗原に対する結合活性がpHの条件によって変化する抗原結合ドメインである、〔23〕から〔25〕のいずれかに記載の方法、
〔29〕前記抗原結合ドメインが、前記抗原に対するpH酸性域の条件下での結合活性がpH中性域の条件下での結合活性よりも低いように結合活性が変化する抗原結合ドメインである、〔28〕に記載の方法、
〔30〕前記抗原結合ドメインが抗体の可変領域である、〔23〕から〔29〕のいずれかに記載の方法、
〔31〕前記Fc領域が配列番号:14、15、16または17のいずれかに含まれるFc領域においてEUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、ならびに271位のアミノ酸がGlyであるFc領域である〔23〕から〔30〕のいずれかに記載の方法、
〔32〕前記Fc領域のpH酸性域の条件下でのFcRnに対する結合活性が、配列番号:14、15、16または17のいずれかに含まれるFc領域のFcRnに対する結合活性より増強されているFc領域である、〔23〕から〔30〕のいずれかに記載の方法、
〔33〕前記の増強されているFc領域が、配列番号:14、15、16、または17のいずれかに含まれるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される244位、245位、249位、250位、251位、252位、253位、254位、255位、256位、257位、258位、260位、262位、265位、270位、272位、279位、283位、285位、286位、288位、293位、303位、305位、307位、308位、309位、311位、312位、314位、316位、317位、318位、332位、339位、340位、341位、343位、356位、360位、362位、375位、376位、377位、378位、380位、382位、385位、386位、387位、388位、389位、400位、413位、415位、423位、424位、427位、428位、430位、431位、433位、434位、435位、436位、438位、439位、440位、442位または447位の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である〔32〕に記載の方法、
〔34〕前記の増強されているFc領域が、配列番号:14、15、16、または17に含まれるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;
244位のアミノ酸がLeu、
245位のアミノ酸がArg、
249位のアミノ酸がPro、
250位のアミノ酸がGlnまたはGluのいずれか、もしくは
251位のアミノ酸がArg、Asp、Glu、またはLeuのいずれか、
252位のアミノ酸がPhe、Ser、Thr、またはTyrのいずれか、
254位のアミノ酸がSerまたはThrのいずれか、
255位のアミノ酸がArg、Gly、Ile、またはLeuのいずれか、
256位のアミノ酸がAla、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、Pro、またはThrのいずれか、
257位のアミノ酸がAla、Ile、Met、Asn、Ser、またはValのいずれか、
258位のアミノ酸がAsp、
260位のアミノ酸がSer、
262位のアミノ酸がLeu、
270位のアミノ酸がLys、
272位のアミノ酸がLeu、またはArgのいずれか、
279位のアミノ酸がAla、Asp、Gly、His、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Trp、またはTyrのいずれか、
283位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Trp、またはTyrのいずれか、
285位のアミノ酸がAsn、
286位のアミノ酸がPhe、
288位のアミノ酸がAsn、またはProのいずれか、
293位のアミノ酸がVal、
307位のアミノ酸がAla、Glu、Gln、またはMetのいずれか、
308位のアミノ酸がIle、Pro、またはThrのいずれか、
309位のアミノ酸がPro、
311位のアミノ酸がAla、Glu、Ile、Lys、Leu、Met、Ser 、Val、またはTrpのいずれか、
312位のアミノ酸がAla、Asp、またはProのいずれか、
314位のアミノ酸がAlaまたはLeuのいずれか、
316位のアミノ酸がLys、
317位のアミノ酸がPro、
318位のアミノ酸がAsn、またはThrのいずれか、
332位のアミノ酸がPhe、His、Lys、Leu、Met、Arg、Ser、またはTrpのいずれか、
339位のアミノ酸がAsn、Thr、またはTrpのいずれか、
341位のアミノ酸がPro、
343位のアミノ酸がGlu、His、Lys、Gln、Arg、Thr、またはTyrのいずれか、
375位のアミノ酸がArg、
376位のアミノ酸がGly、Ile、Met、Pro、Thr、またはValのいずれか、
377位のアミノ酸がLys、
378位のアミノ酸がAsp、Asn、またはValのいずれか、
380位のアミノ酸がAla、Asn、Ser、またはThrのいずれか、
382位のアミノ酸がPhe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、またはTyrのいずれか、
385位のアミノ酸がAla、Arg、Asp、Gly、His、Lys、Ser、またはThrのいずれか、
386位のアミノ酸がArg、Asp、Ile、Lys、Met、Pro、Ser、またはThrのいずれか、
387位のアミノ酸がAla、Arg、His、Pro、Ser、またはThrのいずれか、
389位のアミノ酸がAsn、Pro、またはSerのいずれか、
423位のアミノ酸がAsn、
427位のアミノ酸がAsn、
428位のアミノ酸がLeu、Met、Phe、Ser、またはThrのいずれか、
430位のアミノ酸がAla、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、またはTyrのいずれか、
431位のアミノ酸がHis、またはAsnのいずれか、
433位のアミノ酸がArg、Gln、His、Ile、Lys、Pro、またはSerのいずれか、
434位のアミノ酸がAla、Gly、His、Phe、Ser、Trp、またはTyrのいずれか、
436位のアミノ酸がArg、Asn、His、Ile、Leu、Lys、Met、またはThrのいずれか、
438位のアミノ酸がLys、Leu、Thr、またはTrpのいずれか、
440位のアミノ酸がLys、もしくは、
442位のアミノ酸がLys、
の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸である、〔33〕に記載の方法、
〔35〕前記抗原結合分子が抗体である、〔23〕から〔34〕のいずれかに記載の方法。

0013

本発明において、「抗原に対する結合活性がイオン濃度の条件によって変化する抗原結合ドメイン、およびEUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、ならびに271位のアミノ酸がGlyであるFc領域を含む抗原結合分子の当該抗原を血漿中から消失させるための使用」と、「抗原に対する結合活性がイオン濃度の条件によって変化する抗原結合ドメイン、およびEUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、ならびに271位のアミノ酸がGlyであるFc領域を含む抗原結合分子を投与することを含む当該抗原に起因する疾患を治療する方法」、および「抗原に対する結合活性がイオン濃度の条件によって変化する抗原結合ドメイン、およびEUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、ならびに271位のアミノ酸がGlyであるFc領域を含む抗原結合分子を含む医薬組成物」、「抗原に対する結合活性がイオン濃度の条件によって変化する抗原結合ドメイン、およびEUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、ならびに271位のアミノ酸がGlyであるFc領域を含む抗原結合分子の、医薬組成物の製造における使用」、および「抗原に対する結合活性がイオン濃度の条件によって変化する抗原結合ドメイン、およびEUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、ならびに271位のアミノ酸がGlyであるFc領域を含む抗原結合分子を使用する工程を含む、医薬組成物を製造するためのプロセス」 とは互いに同義に用いられる。

図面の簡単な説明

0014

既存の中和抗体に比べて中性pHにおけるFcγレセプターに対する結合を増強したイオン濃度依存的に抗原に対して結合する抗体の投与により、血漿中から可溶型抗原が消失する非限定の作用メカニズムを表す図である。
H54/L28-IgG1またはヒトIL-6レセプターに対してpH依存的に結合するFv4-IgG1が、ヒトFcRnトランスジェニックマウスに投与されたときの当該マウスの血漿中のヒトIL-6レセプター濃度推移を示す図である。
ヒトIL-6レセプターに対してpH依存的に結合するFv4-IgG1、マウスFcγRに対する結合が欠損したFv4-IgG1の改変体であるFv4-IgG1-F760、マウスFcγRに対する結合が増強されたFv4-IgG1の改変体であるFv4-IgG1-F1022、またはFv4-IgG1の低フコース型抗体であるFv4-IgG1-Fucが、ヒトFcRnトランスジェニックマウスに投与されたときの当該マウスの血漿中のヒトIL-6レセプター濃度推移を示す図である。
Fv4-IgG1、Fv4-IgG1-F1022、およびFv4-IgG1-F1022の改変体であってpH酸性域におけるFcRnに対する結合が向上したFv4-IgG1-F1093を重鎖として含む抗原結合分子が、ヒトFcRnトランスジェニックマウスに投与されたときの当該マウスの血漿中のヒトIL-6レセプター濃度推移を示す図である。
Fv4-IgG1、Fv4-IgG1-F1022、およびFv4-IgG1-F1022の改変体であってpH酸性域におけるFcRnに対する結合が向上したFv4-IgG1-F1093を重鎖として含む抗原結合分子が、ヒトFcRnトランスジェニックマウスに投与されたときの当該マウスの血漿中における投与された抗原結合分子の濃度推移を示す図である。
Fv4-IgG1、マウスFcγRに対する結合が増強された(特にマウスFcγRIIb、マウスFcγRIIIに対する結合が増強された)Fv4-IgG1の改変体であるFv4-IgG1-F1087、およびマウスFcγRに対する結合が増強された(特にマウスFcγRI、マウスFcγRIVに対する結合が増強された)Fv4-IgG1の改変体であるFv4-IgG1-F1182が、ヒトFcRnトランスジェニックマウスに投与されたときの当該マウスの血漿中のヒトIL-6レセプター濃度推移を示す図である。
Fv4-IgG1、Fv4-IgG1-F1087、およびpH酸性域におけるFcRnに対する結合が向上したFv4-IgG1-F1087の改変体であるFv4-IgG1-F1180、Fv4-IgG1-F1412が、ヒトFcRnトランスジェニックマウスに投与されたときの当該マウスの血漿中における投与された抗原結合分子の濃度推移を示す図である。
Fv4-IgG1、Fv4-IgG1-F1182、およびpH酸性域におけるFcRnに対する結合が向上したFv4-IgG1-F1182の改変体であるFv4-IgG1-F1181が、ヒトFcRnトランスジェニックマウスに投与されたときの当該マウスの血漿中における投与された抗原結合分子の濃度推移を示す図である。
Fv4-IgG1、Fv4-IgG1-F1087、およびpH酸性域におけるFcRnに対する結合が向上したFv4-IgG1-F1087の改変体であるFv4-IgG1-F1180、Fv4-IgG1-F1412が、ヒトFcRnトランスジェニックマウスに投与されたときの当該マウスの血漿中のヒトIL-6レセプター濃度推移を示す図である。
Fv4-IgG1、Fv4-IgG1-F1182、およびpH酸性域におけるFcRnに対する結合が向上したFv4-IgG1-F1182の改変体であるFv4-IgG1-F1181が、ヒトFcRnトランスジェニックマウスに投与されたときの当該マウスの血漿中のヒトIL-6レセプター濃度推移を示す図である。
Fv4-mIgG1、マウスFcγRIIb、マウスFcγRIIIに対する結合が増強されたFv4-mIgG1の改変体であるFv4-mIgG1-mF44、および更にマウスFcγRIIb、マウスFcγRIIIに対する結合が増強されたFv4-mIgG1の改変体であるFv4-mIgG1-mF46が、ノーマルマウスに投与されたときの当該マウスの血漿中のヒトIL-6レセプター濃度推移を示す図である。
Fv4-mIgG1、マウスFcγRIIb、マウスFcγRIIIに対する結合が増強されたFv4-mIgG1の改変体であるFv4-mIgG1-mF44、および更にマウスFcγRIIb、マウスFcγRIIIに対する結合が増強されたFv4-mIgG1の改変体であるFv4-mIgG1-mF46が、FcγRIII欠損マウスに投与されたときの当該マウスの血漿中のヒトIL-6レセプター濃度推移を示す図である。
Fv4-mIgG1、マウスFcγRIIb、マウスFcγRIIIに対する結合が増強されたFv4-mIgG1の改変体であるFv4-mIgG1-mF44、および更にマウスFcγRIIb、マウスFcγRIIIに対する結合が増強されたFv4-mIgG1の改変体であるFv4-mIgG1-mF46が、Fc受容体γ鎖欠損マウスに投与されたときの当該マウスの血漿中のヒトIL-6レセプター濃度推移を示す図である。
Fv4-mIgG1、マウスFcγRIIb、マウスFcγRIIIに対する結合が増強されたFv4-mIgG1の改変体であるFv4-mIgG1-mF44、および更にマウスFcγRIIb、マウスFcγRIIIに対する結合が増強されたFv4-mIgG1の改変体であるFv4-mIgG1-mF46が、FcγRIIb欠損マウスに投与されたときの当該マウスの血漿中のヒトIL-6レセプター濃度推移を示す図である。
FcγRIIaの多型(R/H) を有するドナー由来の血小板を用いた血小板凝集アッセイにおけるomalizumab-G1d-v3/IgE免疫複合体による血小板凝集能の評価結果を示した図である。
FcγRIIaの多型 (H/H) を有するドナー由来の血小板を用いた血小板凝集アッセイにおけるomalizumab-G1d-v3/IgE免疫複合体による血小板凝集能の評価結果を示した図である。
洗浄血小板の膜表面のCD62p発現を評価した結果を表した図である。黒色塗りつぶされたグラフPBSと反応させた後ADPを加え刺激した場合の結果を示し、グラフの中が塗りつぶされていないものは免疫複合体と反応させた後ADPで刺激した場合の結果を示した図である。
洗浄血小板の膜表面の活性型インテグリン発現を評価した結果を表した図である。黒色で塗りつぶされたグラフはPBSと反応させた後ADPを加え刺激した場合の結果を示し、グラフの中が塗りつぶされていないものは免疫複合体と反応させた後ADPで刺激した場合の結果を示した図である。
横軸は各PD variantのFcγRIIbに対する相対的な結合活性の値、縦軸は各PD variantのFcγRIIaR型に対する相対的な結合活性の値を表す。各PD variantの各FcγRに対する結合量の値を、コントロールとした改変導入前の抗体であるIL6R-F652/IL6R-L(IL6R-F652は配列番号:61で規定された、EUナンバリングで表される238位のProをAspに置換した改変Fcを含む抗体重鎖)の各FcγRに対する結合量の値で割り、さらに100倍した値を各PD variantの各FcγRに対する相対的な結合活性の値とした。図中のF652というプロットはIL6R-F652/IL6R-Lの値を示す。
縦軸はP238D改変を有さないGpH7-B3(配列番号:63)/GpL16-k0に各改変を導入した改変体のFcγRIIbに対する相対的な結合活性の値、横軸はP238D改変を有するIL6R-F652(配列番号:61)/IL6R-Lに各改変を導入した改変体のFcγRIIbに対する相対的な結合活性の値を示す。なお、各改変体のFcγRIIbに対する結合量の値を、改変導入前の抗体のFcγRIIbに対する結合量の値で割り、さらに100倍した値を相対的な結合活性の値とした。ここで、P238Dを有さないGpH7-B3/GpL16-k0に導入した場合、P238Dを有するIL6R-F652/IL6R-Lに導入した場合共にFcγRIIbに対する結合増強効果を発揮した改変は領域Aに含まれ、P238Dを有さないGpH7-B3/GpL16-k0に導入した場合にはFcγRIIbに対する結合増強効果を発揮するが、P238Dを有するIL6R-F652/IL6R-Lに導入した場合にはFcγRIIbに対する結合増強効果を発揮しない改変は領域Bに含まれる。
Fc (P238D) / FcγRIIb細胞外領域複合体の結晶構造を表す。
Fc (P238D) / FcγRIIb細胞外領域複合体の結晶構造とFc (WT) / FcγRIIb細胞外領域複合体のモデル構造とを、FcγRIIb細胞外領域ならびにFc CH2ドメインAに対しCα原子間距離をもとにした最小二乗法により重ね合わせた図を表す。
Fc (P238D) / FcγRIIb細胞外領域複合体の結晶構造とFc (WT) / FcγRIIb細胞外領域複合体のモデル構造について、Fc CH2ドメインAならびにFc CH2ドメインB単独同士でCα原子間距離をもとにした最小二乗法により重ね合わせをおこない、P238D付近詳細構造を比較した図を表す。
Fc (P238D) / FcγRIIb細胞外領域複合体の結晶構造において、Fc CH2ドメインAのEUナンバリングで表される237位のGlyの主鎖とFcγRIIbの160位のTyrとの間に水素結合が認められることを示す図である。
Fc (P238D) / FcγRIIb細胞外領域複合体の結晶構造において、Fc CH2ドメインBのEUナンバリングで表される270位のAspとFcγRIIbの131番目のArgとの間に静電的な相互作用が認められることを示す図である。
横軸は各2B variantのFcγRIIbに対する相対的な結合活性の値、縦軸は各2B variantのFcγRIIa R型に対する相対的な結合活性の値をそれぞれ示す。各2B variantの各FcγRに対する結合量の値を、コントロールとした改変導入前の抗体(EUナンバリングで表される238位のProをAspに置換した改変Fc)の各FcγRに対する結合量の値で割り、さらに100倍した値を各2B variantの各FcγRに対する相対的な結合活性の値とした。
Fc (P238D) / FcγRIIb細胞外領域複合体の結晶構造においてFc Chain AのEUナンバリングで表される233位のGluとFcγRIIb細胞外領域におけるその周辺残基を表す図である。
Fc (P238D) / FcγRIIb細胞外領域複合体の結晶構造においてFc Chain AのEUナンバリングで表される330位のAlaとFcγRIIb細胞外領域におけるその周辺残基を表す図である。
Fc (P238D) / FcγRIIb細胞外領域複合体および、Fc (WT) / FcγRIIIa細胞外領域複合体の結晶構造を、Fc Chain Bに対しCα原子間距離をもとにした最小二乗法により重ね合わせ、Fc Chain BのEUナンバリングで表される271位のProの構造を示した図である。
X線結晶構造解析によって決定されたFc (P208)/FcγRIIb細胞外領域複合体の図である。Fc部分CH2ドメイン、CH3ドメインのそれぞれについて、向かって左側をドメインA、右側をドメインBとした。
X線結晶構造解析によって決定されたFc (P208)/FcγRIIb細胞外領域複合体の構造とFc (WT)/FcγRIIa細胞外領域複合体の構造(PDB code:3RY6)を、Fc部分CH2ドメインAにおいてCα原子間距離をもとにした最小二乗法により重ね合わせをおこない、比較したものである。図中太線で描画されたものがFc (P208) / FcγRIIb細胞外領域複合体であり、細線で描画されたものがFc (WT) / FcγRIIa細胞外領域複合体の構造である。なお、Fc (WT)/FcγRIIa細胞外領域複合体の構造においては、Fc部分CH2ドメインAのみを描画してある。
Fc (P208)/FcγRIIb細胞外領域複合体のX線結晶構造において、FcγRIIbの160番目Tyrと主鎖部分において水素結合を形成するFc部分CH2ドメインAのEUナンバリングで表わされる237位のAsp付近の構造の詳細を示したものである。
Fc (P208)/FcγRIIb細胞外領域複合体のX線結晶構造において、FcγRIIbの160番目のTyrと主鎖部分で水素結合を形成するFc部分CH2ドメインAのEUナンバリングで表わされる237位のAsp側鎖周囲のアミノ酸残基の構造を示した図である。
実施例10において示されたFc (P238D)/FcγRIIb細胞外領域複合体のX線結晶構造とFc (P208)/FcγRIIb細胞外領域複合体のX線結晶構造を、Fc部分CH2ドメインBにおいてCα原子間距離をもとにした最小二乗法により重ね合わせをおこない、EUナンバリングで表わされる266位から271位のループ周辺で比較した図である。本ループ中、Fc (P208)はFc (P238D)と比較し、EUナンバリングで表わされる268位にH268Dの改変を、EUナンバリングで表わされる271位にP271Gの改変を持つ。
Fc (P208)/FcγRIIb細胞外領域複合体のX線結晶構造において、Fc部分CH2ドメインBのSer239周辺の構造を、X線結晶構造解析によって得られた2Fo-Fc係数とする電子密度とともに示した図である。
X線結晶構造解析によって決定されたFc (P208)/FcγRIIaR細胞外領域複合体の立体構造とFc (P208)/FcγRIIb細胞外領域複合体の立体構造を、Cα原子間距離をもとにした最小二乗法により重ね合わせをおこない、比較した図である。
Fc (P208)/FcγRIIaR細胞外領域複合体のX線結晶構造とFc (P208)/FcγRIIb細胞外領域複合体のX線結晶構造を、Fc部分CH2ドメインAのEUナンバリングで表わされる237位のAsp付近において、X線結晶構造解析によって得られた2Fo-Fc係数とする電子密度とともに比較した図である。
Fc (P208)/FcγRIIaR細胞外領域複合体のX線結晶構造とFc (P208)/FcγRIIb細胞外領域複合体のX線結晶構造を、Fc部分CH2ドメインBのEUナンバリングで表わされる237位のAsp付近において、X線結晶構造解析によって得られた2Fo-Fc係数とする電子密度とともに比較した図である。
G1dとG4dの定常領域の配列を比較した図である。図中、太枠で囲んだアミノ酸は、G1dとG4dで異なるアミノ酸残基となっている部位を示す。
ノーマルマウスにおけるGA2-IgG1およびGA2-F1087の血漿中抗体濃度推移を示した図である。
GA2-IgG1およびGA2-F1087が投与されたノーマルマウスにおける血漿中hIgA濃度推移を示した図である。
ノーマルマウスにおける278-IgG1および278-F1087の血漿中抗体濃度推移を示した図である。
278-IgG1および278-F1087が投与されたC57BL/6Jマウスにおける血漿中hIgE(Asp6)濃度推移を示した図である。
Fv4-mIgG1およびマウスFcγRIIbに対する結合が増強されたFv4-mIgG1の改変体であるFv4-mIgG1-MB367が、ノーマルマウスに投与されたときの当該マウスの血漿中の抗ヒトIL-6レセプターマウス抗体濃度推移を示す図である。
Fv4-mIgG1およびマウスFcγRIIbに対する結合が増強されたFv4-mIgG1の改変体であるFv4-mIgG1-MB367が、ノーマルマウスに投与されたときの当該マウスの血漿中の可溶型ヒトIL-6レセプター濃度推移を示す図である。

0015

以下の定義および詳細な説明は、本明細書において説明される本発明の理解を容易にするために提供される。

0016

アミノ酸
本明細書において、たとえば、Ala/A、Leu/L、Arg/R、Lys/K、Asn/N、Met/M、Asp/D、Phe/F、Cys/C、Pro/P、Gln/Q、Ser/S、Glu/E、Thr/T、Gly/G、Trp/W、His/H、Tyr/Y、Ile/I、Val/Vと表されるように、アミノ酸は1文字コードまたは3文字コード、またはその両方で表記されている。

0017

アミノ酸の改変
抗原結合分子のアミノ酸配列中のアミノ酸の改変のためには、部位特異的変異誘発法(Kunkelら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1985) 82, 488-492))やOverlap extensionPCR等の公知の方法が適宜採用され得る。これらの公知の方法によってアミノ酸の付加、欠失、および/または置換が適宜加えられる。アミノ酸残基を置換するとは、別のアミノ酸残基に置換することで、例えば次の(a)〜(c)のような点について改変する事を目的とする。
(a)シート構造、若しくは、らせん構造の領域におけるポリペプチド背骨構造
(b)標的部位における電荷若しくは疎水性、または
(c) 側鎖の大きさ。

0018

アミノ酸残基はその構造に含まれる側鎖の特性に基づいて以下のグループ分類される:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5) 鎖の配向に影響する残基:Gly、Pro;及び
(6)芳香族性:Trp、Tyr、Phe。

0019

これらの各グループ内でのアミノ酸残基の置換は保存的置換と呼ばれ、一方、他グループ間同士でのアミノ酸残基の置換は非保存的置換と呼ばれる。本発明における置換は、保存的置換であってもよく、非保存的置換であってもよく、また保存的置換と非保存的置換の組合せであってもよい。また、天然のアミノ酸以外のアミノ酸に置換するアミノ酸の改変方法として、複数の公知の方法もまた採用され得る(Annu. Rev. Biophys. Biomol. Struct. (2006) 35, 225-249、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (2003) 100 (11), 6353-6357)。例えば、終止コドンの1つであるUAGコドンアンバーコドン)の相補的アンバーサプレッサーtRNA非天然アミノ酸が結合されたtRNAが含まれる無細胞翻訳系ステム(Clover Direct(Protein Express))等も好適に用いられる。

0020

また、アミノ酸の改変を表す表現として、特定の位置を表す数字の前後に改変前と改変後のアミノ酸の1文字コードを用いた表現が適宜使用され得る。例えば、抗体定常領域に含まれるFc領域にアミノ酸の置換を加える際に用いられるP238Dという改変は、EUナンバリングで表される238位のProのAspへの置換を表す。すなわち、数字はEUナンバリングで表されるアミノ酸の位置を表し、その前に記載されるアミノ酸の一文字コードは置換前のアミノ酸、そのあとに記載されるアミノ酸の1文字コードは置換後のアミノ酸を表す。

0021

および/または
本明細書において、「および/または」の用語の意義は、成句「および/または」の前後の用語の組合せであって、「および」と「または」が適宜組み合わされたあらゆる組合せを含む。具体的には、例えば「326位、328位、および/または428位のアミノ酸が置換されている」とは以下のアミノ酸の改変のバリエーションが含まれる;
(a) 326位、(b) 328位、(c) 428位、(d)326位および328位、(e) 326位および428位、(f) 328位および428位、(g) 326位および328位および428位。

0022

抗原
本明細書において「抗原」は抗原結合ドメインが結合するエピトープを含む限りその構造は特定の構造に限定されない。別の意味では、抗原は無機物でもあり得るし有機物でもあり得る。抗原としては下記のような分子;17-IA、4-1BB、4Dc、6-ケト-PGF1a、8-イソ-PGF2a、8-オキソ-dG、A1アデノシン受容体、A33、ACE、ACE-2、アクチビン、アクチビンA、アクチビンAB、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンRIA、アクチビンRIA ALK-2、アクチビンRIB ALK-4、アクチビンRIIA、アクチビンRIIB、ADAM、ADAM10、ADAM12、ADAM15、ADAM17/TACE、ADAM8、ADAM9、ADAMTS、ADAMTS4、ADAMTS5、アドレシン、aFGF、ALCAM、ALK、ALK-1、ALK-7、アルファ-1-アンチトリプシン、アルファ−V/ベータ-1アンタゴニスト、ANG、Ang、APAF-1、APE、APJ、APP、APRIL、AR、ARC、ARTアルテミン、抗Id、ASPARTIC、心房性ナトリウム利尿因子、av/b3インテグリン、Axl、b2M、B7-1、B7-2、B7-H、B-リンパ球刺激因子(BlyS)、BACE、BACE-1、Bad、BAFF、BAFF-R、Bag-1、BAK、Bax、BCA-1、BCAM、Bcl、BCMA、BDNF、b-ECGF、bFGF、BID、Bik、BIM、BLC、BL-CAM、BLK、BMP、BMP-2 BMP-2a、BMP-3オステオゲニン(Osteogenin)、BMP-4 BMP-2b、BMP-5、BMP-6 Vgr-1、BMP-7(OP-1)、BMP-8(BMP-8a、OP-2)、BMPR、BMPR-IA(ALK-3)、BMPR-IB(ALK-6)、BRK-2、RPK-1、BMPR-II(BRK-3)、BMP、b-NGF、BOK、ボンベシン、骨由来神経栄養因子、BPDE、BPDE-DNA、BTC補体因子3(C3)、C3a、C4、C5、C5a、C10、CA125、CAD-8、カルシトニンcAMP癌胎児性抗原CEA)、癌関連抗原カテプシンA、カテプシンBカテプシンC/DPPI、カテプシンDカテプシンE、カテプシンH、カテプシンL、カテプシンO、カテプシンS、カテプシンV、カテプシンX/Z/P、CBL、CCI、CCK2、CCL、CCL1、CCL11、CCL12、CCL13、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL2、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CCL3、CCL4、CCL5、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9/10、CCR、CCR1、CCR10、CCR10、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CD1、CD2、CD3、CD3E、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8、CD10、CD11a、CD11b、CD11c、CD13、CD14、CD15、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD27L、CD28、CD29、CD30、CD30L、CD32、CD33(p67タンパク質)、CD34、CD38、CD40、CD40L、CD44、CD45、CD46、CD49a、CD52、CD54、CD55、CD56、CD61、CD64、CD66e、CD74、CD80(B7-1)、CD89、CD95、CD123、CD137、CD138、CD140a、CD146、CD147、CD148、CD152、CD164、CEACAM5、CFTR、cGMP、CINCボツリヌス菌毒素ウェルシュ菌毒素、CKb8-1、CLC、CMV、CMV UL、CNTF、CNTN-1、COX、C-Ret、CRG-2、CT-1、CTACK、CTGF、CTLA-4、CX3CL1、CX3CR1、CXCL、CXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16、CXCR、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、サイトケラチン腫瘍関連抗原、DAN、DCC、DcR3、DC-SIGN、補体制御因子(Decay accelerating factor)、des(1-3)-IGF-I(脳IGF-1)、Dhh、ジゴキシン、DNAM-1、Dnase、Dpp、DPPIV/CD26、Dtk、ECAD、EDA、EDA-A1、EDA-A2、EDAR、EGF、EGFR(ErbB-1)、EMA、EMMPRIN、ENA、エンドセリン受容体エンケファリナーゼ、eNOS、Eot、エオタキシン1、EpCAM、エフリンB2/EphB4、EPO、ERCC、E-セレクチン、ET-1、ファクターIIa、ファクターVII、ファクターVIIIc、ファクターIX、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、Fas、FcR1、FEN-1、フェリチン、FGF、FGF-19、FGF-2、FGF3、FGF-8、FGFR、FGFR-3、フィブリンFL、FLIP、Flt-3、Flt-4、卵胞刺激ホルモンフラクタルカイン、FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9、FZD10、G250、Gas6、GCP-2、GCSFGD2、GD3、GDF、GDF-1、GDF-3(Vgr-2)、GDF-5(BMP-14、CDMP-1)、GDF-6(BMP-13、CDMP-2)、GDF-7(BMP-12、CDMP-3)、GDF-8(ミオスタチン)、GDF-9、GDF-15(MIC-1)、GDNF、GDNF、GFAP、GFRa-1、GFR-アルファ1、GFR-アルファ2、GFR-アルファ3、GITR、グルカゴン、Glut4、糖タンパク質IIb/IIIa(GPIIb/IIIa)、GM-CSF、gp130、gp72、GRO、成長ホルモン放出因子ハプテン(NP-capまたはNIP-cap)、HB-EGF、HCC、HCMV gBエンベロープ糖タンパク質、HCMV gHエンベロープ糖タンパク質、HCMV UL、造血成長因子HGF)、Hep B gp120、ヘパラナーゼ、Her2、Her2/neu(ErbB-2)、Her3(ErbB-3)、Her4(ErbB-4)、単純ヘルペスウイルス(HSV) gB糖タンパク質、HSV gD糖タンパク質、HGFA、高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、HIVgp120、HIV IIIB gp 120 V3ループ、HLA、HLA-DR、HM1.24、HMFG PEM、HRG、Hrk、ヒト心臓ミオシンヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、ヒト成長ホルモン(HGH)、HVEM、I-309、IAP、ICAM、ICAM-1、ICAM-3、ICE、ICOS、IFNg、IgIgA受容体、IgE、IGF、IGF結合タンパク質、IGF-1R、IGFBP、IGF-I、IGF-II、IL、IL-1、IL-1R、IL-2、IL-2R、IL-4、IL-4R、IL-5、IL-5R、IL-6、IL-6R、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、IL-18、IL-18R、IL-23、インターフェロンINF)-アルファ、INF-ベータ、INF-ガンマインヒビン、iNOS、インスリンA鎖、インスリンB鎖インスリン様増殖因子1、インテグリンアルファ2、インテグリンアルファ3、インテグリンアルファ4、インテグリンアルファ4/ベータ1、インテグリンアルファ4/ベータ7、インテグリンアルファ5(アルファV)、インテグリンアルファ5/ベータ1、インテグリンアルファ5/ベータ3、インテグリンアルファ6、インテグリンベータ1、インテグリンベータ2、インターフェロンガンマ、IP-10、I-TAC、JE、カリクレイン2、カリクレイン5、カリクレイン6、カリクレイン11、カリクレイン12、カリクレイン14、カリクレイン15、カリクレインL1、カリクレインL2、カリクレインL3、カリクレインL4、KC、KDR、ケラチノサイト増殖因子(KGF)、ラミニン5、LAMPLAP、LAP(TGF-1)、潜在的TGF-1、潜在的TGF-1 bp1、LBP、LDGF、LECT2、レフティルイス−Y抗原、ルイス−Y関連抗原、LFA-1、LFA-3、Lfo、LIF、LIGHT、リポタンパク質、LIX、LKN、Lptn、L-セレクチン、LT-a、LT-b、LTB4、LTBP-1、表面、黄体形成ホルモンリンホトキシンベータ受容体、Mac-1、MAdCAM、MAG、MAP2、MARC、MCAM、MCAM、MCK-2、MCP、M-CSF、MDC、Mer、METALLOPROTEASES、MGDF受容体、MGMT、MHC(HLA-DR)、MIFMIG、MIP、MIP-1-アルファ、MK、MMAC1、MMP、MMP-1、MMP-10、MMP-11、MMP-12、MMP-13、MMP-14、MMP-15、MMP-2、MMP-24、MMP-3、MMP-7、MMP-8、MMP-9、MPIF、Mpo、MSK、MSP、ムチン(Muc1)、MUC18、ミュラー管抑制物質、Mug、MuSK、NAIP、NAP、NCAD、N-Cアドヘリン、NCA 90、NCAM、NCAM、ネプリライシンニューロトロフィン-3、-4、または-6、ニュールツリン神経成長因子(NGF)、NGFR、NGF−ベータ、nNOS、NO、NOS、Npn、NRG-3、NT、NTN、OB、OGG1、OPG、OPN、OSM、OX40L、OX40R、p150、p95、PADPr、副甲状腺ホルモン、PARC、PARP、PBR、PBSF、PCAD、P-カドヘリン、PCNA、PDGF、PDGF、PDK-1、PECAM、PEM、PF4、PGE、PGF、PGI2、PGJ2、PIN、PLA2、胎盤アルカリホスファターゼ(PLAP)、PlGF、PLP、PP14、プロインスリン、プロレラキシンプロテインC、PS、PSA、PSCA前立腺特異的膜抗原(PSMA)、PTEN、PTHrp、Ptk、PTN、R51、RANK、RANKL、RANTES、RANTES、レラキシンA鎖、レラキシンB鎖レニン呼吸器多核体ウイルス(RSV)F、RSV Fgp、Ret、リウマイド因子、RLIP76、RPA2、RSK、S100、SCF/KL、SDF-1、SERINE、血清アルブミン、sFRP-3、Shh、SIGIRR、SK-1、SLAM、SLPI、SMAC、SMDF、SMOH、SOD、SPARC、Stat、STEAP、STEAP-II、TACE、TACI、TAG-72(腫瘍関連糖タンパク質−72)、TARC、TCA-3、T細胞受容体(例えば、T細胞受容体アルファ/ベータ)、TdT、TECK、TEM1、TEM5、TEM7、TEM8、TERT、睾丸PLAP様アルカリホスファターゼ、TfR、TGF、TGF-アルファ、TGF-ベータ、TGF-ベータ Pan Specific、TGF-ベータRI(ALK-5)、TGF-ベータRII、TGF-ベータRIIb、TGF-ベータRIII、TGF-ベータ1、TGF-ベータ2、TGF-ベータ3、TGF-ベータ4、TGF-ベータ5、トロンビン胸腺Ck-1、甲状腺刺激ホルモン、Tie、TIMP、TIQ組織因子、TMEFF2、Tmpo、TMPRSS2、TNF、TNF-アルファ、TNF-アルファベータ、TNF-ベータ2、TNFc、TNF-RI、TNF-RII、TNFRSF10A(TRAIL R1 Apo-2、DR4)、TNFRSF10B(TRAIL R2 DR5、KILLER、TRICK-2A、TRICK-B)、TNFRSF10C(TRAIL R3 DcR1、LIT、TRID)、TNFRSF10D(TRAIL R4 DcR2、TRUNDD)、TNFRSF11A(RANK ODF R、TRANCE R)、TNFRSF11B(OPG OCIF、TR1)、TNFRSF12(TWEAK R FN14)、TNFRSF13B(TACI)、TNFRSF13C(BAFF R)、TNFRSF14(HVEM ATAR、HveA、LIGHT R、TR2)、TNFRSF16(NGFR p75NTR)、TNFRSF17(BCMA)、TNFRSF18(GITR AITR)、TNFRSF19(TROY TAJ、TRADE)、TNFRSF19L(RELT)、TNFRSF1A(TNF RI CD120a、p55-60)、TNFRSF1B(TNF RII CD120b、p75-80)、TNFRSF26(TNFRH3)、TNFRSF3(LTbR TNF RIII、TNFC R)、TNFRSF4(OX40 ACT35、TXGP1 R)、TNFRSF5(CD40 p50)、TNFRSF6(Fas Apo-1、APT1、CD95)、TNFRSF6B(DcR3 M68、TR6)、TNFRSF7(CD27)、TNFRSF8(CD30)、TNFRSF9(4-1BB CD137、ILA)、TNFRSF21(DR6)、TNFRSF22(DcTRAIL R2 TNFRH2)、TNFRST23(DcTRAIL R1 TNFRH1)、TNFRSF25(DR3 Apo-3、LARD、TR-3、TRAMP、WSL-1)、TNFSF10(TRAIL Apo-2リガンド、TL2)、TNFSF11(TRANCE/RANKリガンド ODF、OPGリガンド)、TNFSF12(TWEAK Apo-3リガンド、DR3リガンド)、TNFSF13(APRIL TALL2)、TNFSF13B(BAFF BLYS、TALL1、THANK、TNFSF20)、TNFSF14(LIGHT HVEMリガンド、LTg)、TNFSF15(TL1A/VEGI)、TNFSF18(GITRリガンド AITRリガンド、TL6)、TNFSF1A(TNF-aコネクチン(Conectin)、DIF、TNFSF2)、TNFSF1B(TNF-b LTa、TNFSF1)、TNFSF3(LTb TNFC、p33)、TNFSF4(OX40リガンド gp34、TXGP1)、TNFSF5(CD40リガンド CD154、gp39、HIGM1、IMD3、TRAP)、TNFSF6(Fasリガンド Apo-1リガンド、APT1リガンド)、TNFSF7(CD27リガンド CD70)、TNFSF8(CD30リガンド CD153)、TNFSF9(4-1BBリガンド CD137リガンド)、TP-1、t-PA、Tpo、TRAIL、TRAIL R、TRAIL-R1、TRAIL-R2、TRANCE、トランスフェリン受容体、TRF、Trk、TROP-2、TSG、TSLP、腫瘍関連抗原CA125、腫瘍関連抗原発現ルイスY関連炭水化物、TWEAK、TXB2、Ung、uPAR、uPAR-1、ウロキナーゼVCAM、VCAM-1、VECAD、VE-Cadherin、VE-cadherin-2、VEFGR-1(flt-1)、VEGF、VEGFR、VEGFR-3(flt-4)、VEGI、VIM、ウイルス抗原、VLA、VLA-1、VLA-4、VNRインテグリン、フォン・ヴィレブランド因子、WIF-1、WNT1、WNT2、WNT2B/13、WNT3、WNT3A、WNT4、WNT5A、WNT5B、WNT6、WNT7A、WNT7B、WNT8A、WNT8B、WNT9A、WNT9A、WNT9B、WNT10A、WNT10B、WNT11、WNT16、XCL1、XCL2、XCR1、XCR1、XEDAR、XIAP、XPD、HMGB1、IgA、Aβ、CD81, CD97, CD98, DDR1, DKK1, EREG、Hsp90, IL-17/IL-17R、IL-20/IL-20R、酸化LDL,PCSK9, prekallikrein , RON, TMEM16F、SOD1, Chromogranin A, Chromogranin B、tau, VAP1、高分子キニノーゲン、IL-31、IL-31R、Nav1.1、Nav1.2、Nav1.3、Nav1.4、Nav1.5、Nav1.6、Nav1.7、Nav1.8、Nav1.9、EPCR、C1、C1q、C1r、C1s、C2、C2a、C2b、C3、C3a、C3b、C4、C4a、C4b、C5、C5a、C5b、C6、C7、C8、C9、factor B、factor D、factor H、properdin、sclerostin、fibrinogen、fibrin、prothrombin、thrombin、組織因子、factor V、factor Va、factor VII、factor VIIa、factor VIII、factor VIIIa、factor IX、factor IXa、factor X、factor Xa、factor XI、factor XIa、factor XII、factor XIIa、factor XIII、factor XIIIa、TFPI、antithrombin III、EPCR、トロンボモデュリン、TAPI、tPA、plasminogen、plasmin、PAI-1、PAI-2、GPC3、Syndecan-1、Syndecan-2、Syndecan-3、Syndecan-4、LPA、S1Pならびにホルモンおよび成長因子のための受容体が例示され得る。

0023

上記の抗原の例示には受容体も記載されるが、これらの受容体が血漿中等の生体液中に可溶型で存在する場合、本発明の抗原結合分子と複合体を形成することが可能であるため、上記に挙げた受容体が可溶型で血漿中等の生体液中に存在する限り、本発明の抗原結合分子が結合して本発明の複合体を形成し得る抗原として使用され得る。そのような可溶型受容体の非限定な一態様として、例えば、Mullbergら(J. Immunol. (1994) 152 (10), 4958-4968)によって記載されているような可溶型IL-6Rである、配列番号:1で表されるIL-6Rポリペプチド配列のうち、1から357番目のアミノ酸からなるタンパク質が例示され得る。

0024

上記の抗原の例示には可溶型抗原も記載されるが、当該抗原が存在する溶液に限定はなく生体液、すなわち生体内の脈管又は組織・細胞の間を満たす全ての液体に本可溶型抗原は存在し得る。非限定な一態様では、本発明の抗原結合分子が結合する抗原は、細胞外液に存在することができる。細胞外液とは、脊椎動物では血漿、組織間液リンパ液、密な結合組織脳脊髄液髄液穿刺液、または関節液等の骨および軟骨中の成分、肺胞液(気管支肺胞洗浄液)、腹水胸水心嚢水、嚢胞液、または眼房水房水)等の細胞透過液(細胞の能動輸送分泌活動の結果生じた各種腺腔内の液、および消化管腔その他の体腔内液)の総称をいう。

0025

エピトープ
抗原中に存在する抗原決定基を意味するエピトープは、本明細書において開示される抗原結合分子中の抗原結合ドメインが結合する抗原上の部位を意味する。よって、例えば、エピトープは、その構造によって定義され得る。また、当該エピトープを認識する抗原結合分子中の抗原に対する結合活性によっても当該エピトープが定義され得る。抗原がペプチド又はポリペプチドである場合には、エピトープを構成するアミノ酸残基によってエピトープを特定することも可能である。また、エピトープが糖鎖である場合には、特定の糖鎖構造によってエピトープを特定することも可能である。

0026

直線状エピトープは、アミノ酸一次配列が認識されたエピトープを含むエピトープである。直線状エピトープは、典型的には、少なくとも3つ、および最も普通には少なくとも5つ、例えば約8ないし約10個、6ないし20個のアミノ酸が固有の配列において含まれる。

0027

立体構造エピトープは、直線状エピトープとは対照的に、エピトープを含むアミノ酸の一次配列が、認識されたエピトープの単一の規定成分ではないエピトープ(例えば、アミノ酸の一次配列が、必ずしもエピトープを規定する抗体により認識されないエピトープ)である。立体構造エピトープは、直線状エピトープに対して増大した数のアミノ酸を包含するかもしれない。立体構造エピトープの認識に関して、抗体は、ペプチドまたはタンパク質の三次元構造を認識する。例えば、タンパク質分子が折り畳まれて三次元構造を形成する場合には、立体構造エピトープを形成するあるアミノ酸および/またはポリペプチド主鎖は、並列となり、抗体がエピトープを認識するのを可能にする。エピトープの立体構造を決定する方法には、例えばX線結晶学、二次元核磁気共鳴分光学並びに部位特異的なスピン標識および電磁常磁性共鳴分光学が含まれるが、これらには限定されない。例えば、Epitope MappingProtocols in Methodsin Molecular Biology (1996)、第66巻、Morris(編)を参照。

0028

結合活性
下記にIL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子によるエピトープへの結合の確認方法が例示されるが、IL-6R以外の抗原に対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子によるエピトープへの結合の確認方法も下記の例示に準じて適宜実施され得る。

0029

例えば、IL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子が、IL-6R分子中に存在する線状エピトープを認識することは、たとえば次のようにして確認することができる。上記の目的のためにIL-6Rの細胞外ドメインを構成するアミノ酸配列からなる線状のペプチドが合成される。当該ペプチドは、化学的に合成され得る。あるいは、配列番号:2で表されるIL-6RのcDNA中の、細胞外ドメインに相当するアミノ酸配列をコードする領域を利用して、遺伝子工学的手法により得られる。次に、細胞外ドメインを構成するアミノ酸配列からなる線状ペプチドと、IL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子との結合活性が評価される。たとえば、固定化された線状ペプチドを抗原とするELISAによって、当該ペプチドに対する当該抗原結合分子の結合活性が評価され得る。あるいは、IL-6R発現細胞に対する当該抗原結合分子の結合における、線状ペプチドによる阻害のレベルに基づいて、線状ペプチドに対する結合活性が明らかにされ得る。これらの試験によって、線状ペプチドに対する当該抗原結合分子の結合活性が明らかにされ得る。

0030

また、IL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子が立体構造エピトープを認識することは、次のようにして確認され得る。上記の目的のために、IL-6Rを発現する細胞が調製される。IL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子がIL-6R発現細胞に接触した際に当該細胞に強く結合する一方で、当該抗原結合分子が固定化されたIL-6Rの細胞外ドメインを構成するアミノ酸配列からなる線状ペプチドに対して実質的に結合しないとき等が挙げられる。ここで、実質的に結合しないとは、ヒトIL-6R発現細胞に対する結合活性の80%以下、通常50%以下、好ましくは30%以下、特に好ましくは15%以下の結合活性をいう。

0031

IL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子のIL-6R発現細胞に対する結合活性を測定する方法としては、例えば、Antibodies A Laboratory Manual記載の方法(Ed Harlow, David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory (1988) 359-420)が挙げられる。即ちIL-6R発現細胞を抗原とするELISAやFACS(fluorescence activated cell sorting)の原理によって評価され得る。

0032

ELISAフォーマットにおいて、IL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子のIL-6R発現細胞に対する結合活性は、酵素反応によって生成するシグナルレベルを比較することによって定量的に評価される。すなわち、IL-6R発現細胞を固定化したELISAプレートに被験ポリペプチド会合体を加え、細胞に結合した被験抗原結合分子が、被験抗原結合分子を認識する酵素標識抗体を利用して検出される。あるいはFACSにおいては、被験抗原結合分子の希釈系列を作成し、IL-6R発現細胞に対する抗体結合力価(titer)を決定することにより、IL-6R発現細胞に対する被験抗原結合分子の結合活性が比較され得る。

0033

緩衝液等に懸濁した細胞表面上に発現している抗原に対する被験抗原結合分子の結合は、フローサイトメーターによって検出することができる。フローサイトメーターとしては、例えば、次のような装置が知られている。
FACSCantoTM II
FACSAriaTM
FACSArrayTM
FACSVantageTM SE
FACSCaliburTM (いずれもBD Biosciences社の商品名)
EPICSALTRA HyPerSort
Cytomics FC 500
EPICS XL-MCLADCEPICS XL ADC
Cell Lab Quanta / Cell Lab Quanta SC(いずれもBeckman Coulter社の商品名)

0034

例えば、IL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子の抗原に対する結合活性の好適な測定方法の一例として、次の方法が挙げられる。まず、IL-6Rを発現する細胞と反応させた被験抗原結合分子を認識するFITC標識した二次抗体で染色する。被験抗原結合分子を適宜好適な緩衝液によって希釈することによって、当該抗原結合分子が所望の濃度に調製して用いられる。例えば、10μg/mlから10 ng/mlまでの間のいずれかの濃度で使用され得る。次に、FACSCalibur(BD社)により蛍光強度細胞数が測定される。当該細胞に対する抗体の結合量は、CELLQUEST Software(BD社)を用いて解析することにより得られた蛍光強度、すなわちGeometric Meanの値に反映される。すなわち、当該Geometric Meanの値を得ることにより、被験抗原結合分子の結合量によって表される被験抗原結合分子の結合活性が測定され得る。

0035

IL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子が、ある抗原結合分子とエピトープを共有することは、両者の同じエピトープに対する競合によって確認され得る。抗原結合分子間の競合は、交叉ブロッキングアッセイなどによって検出される。例えば競合ELISAアッセイは、好ましい交叉ブロッキングアッセイである。

0036

具体的には、交叉ブロッキングアッセイにおいては、マイクロタイタープレートウェル上にコートしたIL-6Rタンパク質が、候補となる競合抗原結合分子の存在下、または非存在下でプレインキュベートされた後に、被験抗原結合分子が添加される。ウェル中のIL-6Rタンパク質に結合した被験抗原結合分子の量は、同じエピトープへの結合に対して競合する候補となる競合抗原結合分子の結合能間接的に相関している。すなわち同一エピトープに対する競合抗原結合分子の親和性が大きくなればなる程、被験抗原結合分子のIL-6Rタンパク質をコートしたウェルへの結合活性は低下する。

0037

IL-6Rタンパク質を介してウェルに結合した被験抗原結合分子の量は、予め抗原結合分子を標識しておくことによって、容易に測定され得る。たとえば、ビオチン標識された抗原結合分子は、アビジンペルオキシダーゼコンジュゲートと適切な基質を使用することにより測定される。ペルオキシダーゼなどの酵素標識を利用した交叉ブロッキングアッセイは、特に競合ELISAアッセイといわれる。抗原結合分子は、検出あるいは測定が可能な他の標識物質で標識され得る。具体的には、放射標識あるいは蛍光標識などが公知である。

0038

候補の競合抗原結合分子会合体の非存在下で実施されるコントロール試験において得られる結合活性と比較して、競合抗原結合分子が、IL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子の結合を少なくとも20%、好ましくは少なくとも20-50%、さらに好ましくは少なくとも50%ブロックできるならば、当該被験抗原結合分子は競合抗原結合分子と実質的に同じエピトープに結合するか、又は同じエピトープへの結合に対して競合する抗原結合分子である。

0039

IL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子が結合するエピトープの構造が同定されている場合には、被験抗原結合分子と対照抗原結合分子とがエピトープを共有することは、当該エピトープを構成するペプチドにアミノ酸変異を導入したペプチドに対する両者の抗原結合分子の結合活性を比較することによって評価され得る。

0040

こうした結合活性を測定する方法としては、例えば、前記のELISAフォーマットにおいて変異を導入した線状のペプチドに対する被験抗原結合分子及び対照抗原結合分子の結合活性を比較することによって測定され得る。ELISA以外の方法としては、カラムに結合した当該変異ペプチドに対する結合活性を、当該カラムに被検抗原結合分子と対照抗原結合分子を流下させた後に溶出液中に溶出される抗原結合分子を定量することによっても測定され得る。変異ペプチドを例えばGSTとの融合ペプチドとしてカラムに吸着させる方法は公知である。

0041

また、同定されたエピトープが立体エピトープの場合には、被験抗原結合分子と対照抗原結合分子とがエピトープを共有することは、次の方法で評価され得る。まず、IL-6Rを発現する細胞とエピトープに変異が導入されたIL-6Rを発現する細胞が調製される。これらの細胞がPBS等の適切な緩衝液に懸濁された細胞懸濁液に対して被験抗原結合分子と対照抗原結合分子が添加される。次いで、適宜緩衝液で洗浄された細胞懸濁液に対して、被験抗原結合分子と対照抗原結合分子を認識することができるFITC標識された抗体が添加される。標識抗体によって染色された細胞の蛍光強度と細胞数がFACSCalibur(BD社)によって測定される。被験抗原結合分子と対照抗原結合分子の濃度は好適な緩衝液によって適宜希釈することによって所望の濃度に調製して用いられる。例えば、10μg/mlから10 ng/mlまでの間のいずれかの濃度で使用される。当該細胞に対する標識抗体の結合量は、CELLQUEST Software(BD社)を用いて解析することにより得られた蛍光強度、すなわちGeometric Meanの値に反映される。すなわち、当該Geometric Meanの値を得ることにより、標識抗体の結合量によって表される被験抗原結合分子と対照抗原結合分子の結合活性を測定することができる。

0042

本方法において、例えば「変異IL-6R発現細胞に実質的に結合しない」ことは、以下の方法によって判断することができる。まず、変異IL-6Rを発現する細胞に対して結合した被験抗原結合分子と対照抗原結合分子が、標識抗体で染色される。次いで細胞の蛍光強度が検出される。蛍光検出フローサイトメトリーとしてFACSCaliburを用いた場合、得られた蛍光強度はCELLQUEST Softwareを用いて解析され得る。ポリペプチド会合体存在下および非存在下でのGeometric Meanの値から、この比較値(ΔGeo-Mean)を下記の計算式に基づいて算出することにより、抗原結合分子の結合による蛍光強度の増加割合を求めることができる。

0043

ΔGeo-Mean=Geo-Mean(ポリペプチド会合体存在下)/Geo-Mean(ポリペプチド会合体非存在下)

0044

解析によって得られる被験抗原結合分子の変異IL-6R発現細胞に対する結合量が反映されたGeometric Mean比較値(変異IL-6R分子ΔGeo-Mean値)を、被験抗原結合分子のIL-6R発現細胞に対する結合量が反映されたΔGeo-Mean比較値と比較する。この場合において、変異IL-6R発現細胞及びIL-6R発現細胞に対するΔGeo-Mean比較値を求める際に使用する被験抗原結合分子の濃度は互いに同一又は実質的に同一の濃度で調製されることが特に好ましい。予めIL-6R中のエピトープを認識していることが確認された抗原結合分子が、対照抗原結合分子として利用される。

0045

被験抗原結合分子の変異IL-6R発現細胞に対するΔGeo-Mean比較値が、被験抗原結合分子のIL-6R発現細胞に対するΔGeo-Mean比較値の、少なくとも80%、好ましくは50%、更に好ましくは30%、特に好ましくは15%より小さければ、「変異IL-6R発現細胞に実質的に結合しない」ものとする。Geo-Mean値(Geometric Mean)を求める計算式は、CELLQUEST Software User's Guide(BD biosciences社)に記載されている。比較値を比較することによってそれが実質的に同視し得る程度であれば、被験抗原結合分子と対照抗原結合分子のエピトープは同一であると評価され得る。

0046

抗原結合ドメイン
本明細書において、「抗原結合ドメイン」は目的とする抗原に結合するかぎりどのような構造のドメインも使用され得る。そのようなドメインの例として、例えば、抗体の重鎖および軽鎖の可変領域、生体内に存在する細胞膜タンパクであるAvimerに含まれる35アミノ酸程度のAドメインと呼ばれるモジュール国際公開WO2004/044011、WO2005/040229)、細胞膜に発現する糖たんぱく質であるfibronectin中のタンパク質に結合するドメインである10Fn3ドメインを含むAdnectin(国際公開WO2002/032925)、ProteinAの58アミノ酸からなる3つのヘリックスの束(bundle)を構成するIgG結合ドメインをscaffoldとするAffibody(国際公開WO1995/001937)、33アミノ酸残基を含むターンと2つの逆並行ヘリックスおよびループのサブユニットが繰り返し積み重なった構造を有するアンキリン反復(ankyrin repeat:AR)の分子表面に露出する領域であるDARPins(Designed Ankyrin Repeat proteins)(国際公開WO2002/020565)、好中球ゲラチナーゼ結合リポカリン(neutrophil gelatinase-associated lipocalin(NGAL))等のリポカリン分子において高度に保存された8つの逆並行ストランドが中央方向にねじれバレル構造の片側を支える4つのループ領域であるAnticalin等(国際公開WO2003/029462)、ヤツメウナギヌタウナギなど無顎類の獲得免疫システムとしてイムノグロブリンの構造を有さない可変性リンパ球受容体(variable lymphocyte receptor(VLR))のロイシン残基に富んだリピート(leucine-rich-repeat(LRR))モジュールが繰り返し積み重なったてい形の構造の内部の並行型シート構造のくぼんだ領域(国際公開WO2008/016854)が好適に挙げられる。本発明の抗原結合ドメインの好適な例として、抗体の重鎖および軽鎖の可変領域を含む抗原結合ドメインが挙げられる。こうした抗原結合ドメインの例としては、「scFv(single chain Fv)」、「単鎖抗体(single chain antibody)」、「Fv」、「scFv2(single chain Fv 2)」、「Fab」または「F(ab')2」等が好適に挙げられる。

0047

本発明の抗原結合分子における抗原結合ドメインは、同一のエピトープに結合することができる。ここで同一のエピトープは、例えば、配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質中に存在することができる。あるいは、本発明の抗原結合分子における抗原結合ドメインは、互いに異なるエピトープに結合することができる。ここで異なるエピトープは、例えば、配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質中に存在することができる。

0048

特異的
本発明によって提供される抗原結合分子の抗原に対する結合に関して「特異的」とは、特異的に結合する分子の一方の分子がその一または複数の結合する相手方の分子以外の分子に対しては実質的に結合しない状態をいう。ここで、実質的に結合しないとは、前記の結合活性の項で記載されるように、当該相手方の分子に対する結合活性の80%以下、通常50%以下、好ましくは30%以下、特に好ましくは15%以下の結合活性を当該相手方の分子以外の分子に対して示すことをいう。また、抗原結合ドメインが、ある抗原中に含まれる複数のエピトープのうち特定のエピトープに対して特異的である場合にも用いられる。また、抗原結合ドメインが結合するエピトープが複数の異なる抗原に含まれる場合には、当該抗原結合ドメインを有する抗原結合分子は当該エピトープを含む様々な抗原と結合することができる。

0049

中和活性
本発明の非限定な一態様では、(i)イオン濃度の条件によって抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメイン、(ii) FcγRIIb選択的な結合活性を有するFcγ結合ドメイン、ならびに(iii) pH酸性域の条件下でFcRnに対する結合活性を有するFcRn結合ドメインを含み、当該抗原に対する中和活性を有する抗原結合分子を有効成分として含む医薬組成物が提供される。一般的に、中和活性とは、ウイルスや毒素など、細胞に対して生物学的活性を有するリガンドの当該生物学的活性を阻害する活性をいう。即ち、中和活性を有する物質とは、当該リガンド又は当該リガンドが結合するレセプターに結合し、当該リガンドとレセプターの結合を阻害する物質をさす。中和活性によりリガンドとの結合を阻止されたレセプターは、当該レセプターを通じた生物学的活性を発揮することができなくなる。抗原結合分子が抗体である場合、このような中和活性を有する抗体は一般に中和抗体と呼ばれる。ある被検物質の中和活性は、リガンドの存在下における生物学的活性をその被検物質の存在又は非存在下の条件の間で比較することにより測定され得る。

0050

例えば、IL-6レセプターの主要なリガンドとして考えられているものは配列番号:3で表されるIL-6が好適に挙げられる。そのアミノ末端が細胞外ドメインを形成するI型膜タンパク質であるIL-6レセプターは、IL-6によって二量体化誘導されたgp130レセプターとともにヘテロ四量体を形成する(Heinrichら(Biochem. J. (1998) 334, 297-314))。当該ヘテロ四量体の形成によって、gp130レセプターに会合しているJakが活性化される。Jakは自己リン酸化とレセプターのリン酸化を行う。受容体及びJakのリン酸化部位は、Stat3のようなSH2を持つStatファミリーに属する分子や、MAPキナーゼ、PI3/Akt、そのほかのSH2を持つタンパク質やアダプターに対して、結合部位の役割を果たす。次に、gp130レセプターに結合したStatが、Jakによってリン酸化される。リン酸化されたStatは二量体を形成して核内に移行し、標的遺伝子転写を調節する。JakまたはStatは他のクラスのレセプターを介してシグナルカスケード関与することもできる。脱制御されたIL-6のシグナルカスケードは、自己免疫疾患の病態や炎症、多発性骨髄腫前立腺癌などの癌で観察される。癌遺伝子として作用し得るStat3は、多くの癌において恒常的に活性化している。前立腺癌と多発性骨髄腫では、IL-6レセプターからのシグナルカスケードと、上皮成長因子受容体(EGFR)ファミリーメンバーからのシグナルカスケードとの間にクロストークがある(Ishikawaら(J. Clin. Exp. Hematopathol. (2006) 46 (2), 55-66))。

0051

こうした細胞内のシグナルカスケードは細胞種毎に異なるため、目的とする標的細胞毎に適宜標的分子を設定することができ、上記の因子に限定されるものではない。生体内シグナルの活性化を測定することにより、中和活性を評価することができる。また、生体内シグナルカスケードの下流に存在する標的遺伝子に対する転写誘導作用を指標として、生体内シグナルの活性化を検出することもできる。標的遺伝子の転写活性の変化は、レポーターアッセイの原理によって検出することができる。具体的には、標的遺伝子の転写因子又はプロモーター領域の下流にGFP(Green Fluorescence Protein)やルシフェラーゼなどのレポーター遺伝子を配し、そのレポーター活性を測定することにより、転写活性の変化をレポーター活性として測定することができる。生体内シグナルの活性化の測定キットは市販のものを適宜使用することができる(例えば、Mercury Pathway Profiling Luciferase System(Clontech)等)。

0052

更に、通常は細胞増殖を促進する方向に働くシグナルカスケードに作用するEGFレセプターファミリー等のレセプターリガンドの中和活性を測定する方法として、標的とする細胞の増殖活性を測定することによって、抗原結合分子の中和活性を評価することができる。例えば、例えばHB-EGF等その増殖がEGFファミリーの成長因子によって促進される細胞の増殖に対する、抗HB-EGF抗体の中和活性に基づく抑制効果を評価又は測定する方法として、以下の方法が好適に使用される。試験管内において当該細胞増殖抑制活性を評価又は測定する方法としては、培地中に添加した[3H]ラベルしたチミジン生細胞による取り込みをDNA複製能力の指標として測定する方法が用いられる。より簡便な方法としてトリパンブルー等の色素細胞外に排除する能力を顕微鏡下で計測する色素排除法や、MTT法が用いられる。後者は、生細胞がテトラゾリウム塩であるMTT(3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyl tetrazolium bromide)を青色のホルマザン産物へ転換する能力を有することを利用している。より具体的には、被検細胞の培養液にリガンドと共に被検抗体を添加して一定時間を経過した後に、MTT溶液を培養液に加えて一定時間静置することによりMTTを細胞に取り込ませる。その結果、黄色の化合物であるMTTが細胞内のミトコンドリア内コハク酸脱水素酵素により青色の化合物に変換される。この青色生成物を溶解し呈色させた後にその吸光度を測定することにより生細胞数の指標とするものである。MTT以外に、MTS、XTT、WST-1、WST-8等の試薬も市販されており(nacalai tesqueなど)好適に使用することができる。活性の測定に際しては、対照抗体として抗HB-EGF抗体と同一のアイソタイプを有する抗体で当該細胞増殖抑制活性を有しない結合抗体を、抗HB-EGF抗体と同様に使用して、抗HB-EGF抗体が対照抗体よりも強い細胞増殖抑制活性を示すことにより活性を判定することができる。

0053

活性を評価するための細胞として、例えば、その増殖がHB-EGFによって促進される細胞である、卵巣癌細胞であるRMG-1細胞株や、ヒトEGFRの細胞外ドメインとマウスG-CSF受容体の細胞内ドメインをインフレームで融合した融合タンパク質であるhEGFR/mG-CSFRをコードする遺伝子を発現する様に結合したベクターによって形質転換されたマウスBa/F3細胞等も好適に使用され得る。このように、当業者は、活性を評価するための細胞を適宜選択することによって前記の細胞増殖活性の測定に使用することが可能である。

0054

抗体
本明細書において、抗体とは、天然のものであるかまたは部分的もしくは完全合成により製造された免疫グロブリンをいう。抗体はそれが天然に存在する血漿や血清等の天然資源や抗体を産生するハイブリドーマ細胞培養上清から単離され得るし、または遺伝子組換え等の手法を用いることによって部分的にもしくは完全に合成され得る。抗体の例としては免疫グロブリンのアイソタイプおよびそれらのアイソタイプのサブクラスが好適に挙げられる。ヒトの免疫グロブリンとして、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgMの9種類のクラス(アイソタイプ)が知られている。本発明の抗体には、これらのアイソタイプのうちIgG1、IgG2、IgG3、IgG4が含まれ得る。ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、ヒトIgG4定常領域としては、遺伝子多型による複数のアロタイプ配列がSequences of proteins of immunological interest, NIH Publication No.91-3242 に記載されているが、本発明においてはそのいずれであっても良い。特にヒトIgG1の配列としては、EUナンバリングで表される356-358位のアミノ酸配列がDELであってもEEMであってもよい。また、ヒトIgκ(Kappa)定常領域とヒトIgλ (Lambda)定常領域としては、遺伝子多型による複数のアロタイプ配列がSequences of proteins of immunological interest, NIH Publication No.91-3242に記載されているが、本発明においてはそのいずれであっても良い。

0055

所望の結合活性を有する抗体を作製する方法は当業者において公知である。以下に、IL-6Rに結合する抗体(抗IL-6R抗体)を作製する方法が例示される。IL-6R以外の抗原に結合する抗体も下記の例示に準じて適宜作製され得る。

0056

抗IL-6R抗体は、公知の手段を用いてポリクローナルまたはモノクローナル抗体として取得され得る。抗IL-6R抗体としては、哺乳動物由来のモノクローナル抗体が好適に作製され得る。哺乳動物由来のモノクローナル抗体には、ハイブリドーマにより産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主細胞によって産生されるもの等が含まれる。なお本願発明のモノクローナル抗体には、「ヒト化抗体」や「キメラ抗体」が含まれる。

0057

モノクローナル抗体産生ハイブリドーマは、公知技術を使用することによって、例えば以下のように作製され得る。すなわち、IL-6Rタンパク質を感作抗原として使用して、通常の免疫方法にしたがって哺乳動物が免疫される。得られる免疫細胞が通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合される。次に、通常のスクリーニング法によって、モノクローナル抗体産生細胞スクリーニングすることによって抗IL-6R抗体を産生するハイブリドーマが選択され得る。

0058

具体的には、モノクローナル抗体の作製は例えば以下に示すように行われる。まず、配列番号:2にそのヌクレオチド配列が開示されたIL-6R遺伝子を発現することによって、抗体取得の感作抗原として使用される配列番号:1で表されるIL-6Rタンパク質が取得され得る。すなわち、IL-6Rをコードする遺伝子配列を公知の発現ベクターに挿入することによって適当な宿主細胞が形質転換される。当該宿主細胞中または培養上清中から所望のヒトIL-6Rタンパク質が公知の方法で精製される。培養上清中から可溶型のIL-6Rを取得するためには、例えば、Mullbergら(J. Immunol. (1994) 152 (10), 4958-4968)によって記載されているような可溶型IL-6Rである、配列番号:1で表されるIL-6Rポリペプチド配列のうち、1から357番目のアミノ酸からなるタンパク質が、配列番号:1で表されるIL-6Rタンパク質の代わりに発現される。また、精製した天然のIL-6Rタンパク質もまた同様に感作抗原として使用され得る。

0059

哺乳動物に対する免疫に使用する感作抗原として当該精製IL-6Rタンパク質が使用できる。IL-6Rの部分ペプチドもまた感作抗原として使用できる。この際、当該部分ペプチドはヒトIL-6Rのアミノ酸配列より化学合成によっても取得され得る。また、IL-6R遺伝子の一部を発現ベクターに組込んで発現させることによっても取得され得る。さらにはタンパク質分解酵素を用いてIL-6Rタンパク質を分解することによっても取得され得るが、部分ペプチドとして用いるIL-6Rペプチドの領域および大きさは特に特別の態様に限定されない。好ましい領域は配列番号:1のアミノ酸配列において20-357番目のアミノ酸に相当するアミノ酸配列から任意の配列が選択され得る。感作抗原とするペプチドを構成するアミノ酸の数は少なくとも5以上、例えば6以上、或いは7以上であることが好ましい。より具体的には8〜50、好ましくは10〜30残基のペプチドが感作抗原として使用され得る。

0060

また、IL-6Rタンパク質の所望の部分ポリペプチドやペプチドを異なるポリペプチドと融合した融合タンパク質が感作抗原として利用され得る。感作抗原として使用される融合タンパク質を製造するために、例えば、抗体のFc断片ペプチドタグなどが好適に利用され得る。融合タンパク質を発現するベクターは、所望の二種類又はそれ以上のポリペプチド断片をコードする遺伝子がインフレームで融合され、当該融合遺伝子が前記のように発現ベクターに挿入されることにより作製され得る。融合タンパク質の作製方法はMolecular Cloning 2nd ed. (Sambrook, J et al., Molecular Cloning 2nd ed., 9.47-9.58(1989)Cold Spring Harbor Lab. press)に記載されている。感作抗原として用いられるIL-6Rの取得方法及びそれを用いた免疫方法は、国際公開WO2003/000883、WO2004/022754、WO2006/006693等にも具体的に記載されている。

0061

当該感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特定の動物に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましい。一般的にはげ歯類の動物、例えば、マウス、ラットハムスター、あるいはウサギサル等が好適に使用される。

0062

公知の方法にしたがって上記の動物が感作抗原により免疫される。例えば、一般的な方法として、感作抗原が哺乳動物の腹腔内または皮下に注射によって投与されることにより免疫が実施される。具体的には、PBS(Phosphate-Buffered Saline)や生理食塩水等で適当な希釈倍率で希釈された感作抗原が、所望により通常のアジュバント、例えばフロイント完全アジュバントと混合され、乳化された後に、該感作抗原が哺乳動物に4から21日毎に数回投与される。また、感作抗原の免疫時には適当な担体が使用され得る。特に分子量の小さい部分ペプチドが感作抗原として用いられる場合には、アルブミンキーホールリンペットヘモシアニン等の担体タンパク質と結合した該感作抗原ペプチドを免疫することが望ましい場合もある。

0063

また、所望の抗体を産生するハイブリドーマは、DNA免疫を使用し、以下のようにしても作製され得る。DNA免疫とは、免疫動物中で抗原タンパク質をコードする遺伝子が発現され得るような態様で構築されたベクターDNAが投与された当該免疫動物中で、感作抗原が当該免疫動物の生体内で発現されることによって、免疫刺激が与えられる免疫方法である。蛋白質抗原が免疫動物に投与される一般的な免疫方法と比べて、DNA免疫には、次のような優位性が期待される。
−IL-6Rのような膜蛋白質の構造を維持して免疫刺激が与えられ得る
免疫抗原を精製する必要が無い

0064

DNA免疫によって本発明のモノクローナル抗体を得るために、まず、IL-6Rタンパク質を発現するDNAが免疫動物に投与される。IL-6RをコードするDNAは、PCRなどの公知の方法によって合成され得る。得られたDNAが適当な発現ベクターに挿入され、免疫動物に投与される。発現ベクターとしては、たとえばpcDNA3.1などの市販の発現ベクターが好適に利用され得る。ベクターを生体に投与する方法として、一般的に用いられている方法が利用され得る。たとえば、発現ベクターが吸着した金粒子が、gene gunで免疫動物個体の細胞内に導入されることによってDNA免疫が行われる。さらに、IL-6Rを認識する抗体の作製は国際公開WO2003/104453に記載された方法を用いても作製され得る。

0065

このように哺乳動物が免疫され、血清中におけるIL-6Rに結合する抗体力価の上昇が確認された後に、哺乳動物から免疫細胞が採取され、細胞融合に供される。好ましい免疫細胞としては、特に脾細胞が使用され得る。

0066

前記免疫細胞と融合される細胞として、哺乳動物のミエローマ細胞が用いられる。ミエローマ細胞は、スクリーニングのための適当な選択マーカーを備えていることが好ましい。選択マーカーとは、特定の培養条件の下で生存できる(あるいはできない)形質を指す。選択マーカーには、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損(以下HGPRT欠損と省略する)、あるいはチミジンキナーゼ欠損(以下TK欠損と省略する)などが公知である。HGPRTやTKの欠損を有する細胞は、ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン感受性(以下HAT感受性と省略する)を有する。HAT感受性の細胞はHAT選択培地中でDNA合成を行うことができず死滅するが、正常な細胞と融合すると正常細胞のサルベージ回路を利用してDNAの合成を継続することができるためHAT選択培地中でも増殖するようになる。

0067

HGPRT欠損やTK欠損の細胞は、それぞれ6チオグアニン、8アザグアニン(以下8AGと省略する)、あるいは5'ブロモデオキシウリジンを含む培地で選択され得る。これらのピリミジンアナログをDNA中に取り込む正常な細胞は死滅する。他方、これらのピリミジンアナログを取り込めないこれらの酵素を欠損した細胞は、選択培地の中で生存することができる。この他G418耐性と呼ばれる選択マーカーは、ネオマイシン耐性遺伝子によって2-デオキシストレプタミン系抗生物質ゲンタマイシン類似体)に対する耐性を与える。細胞融合に好適な種々のミエローマ細胞が公知である。

0068

このようなミエローマ細胞として、例えば、P3(P3x63Ag8.653)(J. Immunol.(1979)123 (4), 1548-1550)、P3x63Ag8U.1(Current Topics in Microbiology and Immunology(1978)81, 1-7)、NS-1(C. Eur. J. Immunol.(1976)6 (7), 511-519)、MPC-11(Cell(1976)8 (3), 405-415)、SP2/0(Nature(1978)276 (5685), 269-270)、FO(J. Immunol. Methods(1980)35 (1-2), 1-21)、S194/5.XX0.BU.1(J. Exp. Med.(1978)148 (1), 313-323)、R210(Nature(1979)277 (5692), 131-133)等が好適に使用され得る。

0069

基本的には公知の方法、たとえば、ケーラーミルステインらの方法(MethodsEnzymol.(1981)73, 3-46)等に準じて、前記免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合が行われる。

0070

より具体的には、例えば細胞融合促進剤の存在下で通常の栄養培養液中で、前記細胞融合が実施され得る。融合促進剤としては、例えばポリエチレングリコール(PEG)、センダイウイルスHVJ)等が使用され、更に融合効率を高めるために所望によりジメチルスルホキシド等の補助剤が添加されて使用される。

0071

免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合は任意に設定され得る。例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細胞を1から10倍とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRPMI1640培養液、MEM培養液、その他、この種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用され、さらに、牛胎児血清FCS)等の血清補液が好適に添加され得る。

0072

細胞融合は、前記免疫細胞とミエローマ細胞との所定量を前記培養液中でよく混合し、予め37℃程度に加温されたPEG溶液(例えば平均分子量1000から6000程度)が通常30から60%(w/v)の濃度で添加される。混合液が緩やかに混合されることによって所望の融合細胞(ハイブリドーマ)が形成される。次いで、上記に挙げた適当な培養液が逐次添加され、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等が除去され得る。

0073

このようにして得られたハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えばHAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択され得る。所望のハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間(通常、係る十分な時間は数日から数週間である)上記HAT培養液を用いた培養が継続され得る。次いで、通常の限界希釈法によって、所望の抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよび単一クローニングが実施される。

0074

このようにして得られたハイブリドーマは、細胞融合に用いられたミエローマが有する選択マーカーに応じた選択培養液を利用することによって選択され得る。例えばHGPRTやTKの欠損を有する細胞は、HAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択され得る。すなわち、HAT感受性のミエローマ細胞を細胞融合に用いた場合、HAT培養液中で、正常細胞との細胞融合に成功した細胞が選択的に増殖し得る。所望のハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間、上記HAT培養液を用いた培養が継続される。具体的には、一般に、数日から数週間の培養によって、所望のハイブリドーマが選択され得る。次いで、通常の限界希釈法によって、所望の抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよび単一クローニングが実施され得る。

0075

所望の抗体のスクリーニングおよび単一クローニングが、公知の抗原抗体反応に基づくスクリーニング方法によって好適に実施され得る。例えば、IL-6Rに結合するモノクローナル抗体は、細胞表面に発現したIL-6Rに結合することができる。このようなモノクローナル抗体は、たとえば、FACS(fluorescence activated cell sorting)によってスクリーニングされ得る。FACSは、蛍光抗体と接触させた細胞をレーザー光で解析し、個々の細胞が発する蛍光を測定することによって細胞表面への抗体の結合を測定することを可能にするシステムである。

0076

FACSによって本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングするためには、まずIL-6Rを発現する細胞を調製する。スクリーニングのための好ましい細胞は、IL-6Rを強制発現させた哺乳動物細胞である。宿主細胞として使用した形質転換されていない哺乳動物細胞を対照として用いることによって、細胞表面のIL-6Rに対する抗体の結合活性が選択的に検出され得る。すなわち、宿主細胞に結合せず、IL-6R強制発現細胞に結合する抗体を産生するハイブリドーマを選択することによって、IL-6Rモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマが取得され得る。

0077

あるいは固定化したIL-6R発現細胞に対する抗体の結合活性がELISAの原理にもとづいて評価され得る。たとえば、ELISAプレートのウェルにIL-6R発現細胞が固定化される。ハイブリドーマの培養上清をウェル内の固定化細胞に接触させ、固定化細胞に結合する抗体が検出される。モノクローナル抗体がマウス由来の場合、細胞に結合した抗体は、抗マウスイムノグロブリン抗体によって検出され得る。これらのスクリーニングによって選択された、抗原に対する結合能を有する所望の抗体を産生するハイブリドーマは、限界希釈法等によりクローニングされ得る。

0078

このようにして作製されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは通常の培養液中で継代培養され得る。また、当該ハイブリドーマは液体窒素中で長期にわたって保存され得る。

0079

当該ハイブリドーマを通常の方法に従い培養し、その培養上清から所望のモノクローナル抗体が取得され得る。あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物に投与して増殖せしめ、その腹水からモノクローナル抗体が取得され得る。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに好適なものである。

0080

当該ハイブリドーマ等の抗体産生細胞からクローニングされる抗体遺伝子によってコードされる抗体も好適に利用され得る。クローニングした抗体遺伝子を適当なベクターに組み込んで宿主に導入することによって、当該遺伝子によってコードされる抗体が発現する。抗体遺伝子の単離と、ベクターへの導入、そして宿主細胞の形質転換のための方法は例えば、Vandammeらによって既に確立されている(Eur. J. Biochem.(1990)192 (3), 767-775)。下記に述べるように組換え抗体の製造方法もまた公知である。

0081

たとえば、抗IL-6R抗体を産生するハイブリドーマ細胞から、抗IL-6R抗体の可変領域(V領域)をコードするcDNAが取得される。そのために、通常、まずハイブリドーマから全RNAが抽出される。細胞からmRNAを抽出するための方法として、たとえば次のような方法を利用することができる。
グアニジン超遠心法(Biochemistry (1979) 18 (24), 5294-5299)
−AGPC法(Anal. Biochem. (1987) 162 (1), 156-159)

0082

抽出されたmRNAは、mRNA Purification Kit (GEヘルスケアバイオサイエンス製)等を使用して精製され得る。あるいは、QuickPrep mRNA Purification Kit (GEヘルスケアバイオサイエンス製)などのように、細胞から直接全mRNAを抽出するためのキットも市販されている。このようなキットを用いて、ハイブリドーマからmRNAが取得され得る。得られたmRNAから逆転写酵素を用いて抗体V領域をコードするcDNAが合成され得る。cDNAは、AMV Reverse Transcriptase First-strand cDNA Synthesis Kit(生化学工業社製)等によって合成され得る。また、cDNAの合成および増幅のために、SMARTRACE cDNA増幅キット(Clontech製)およびPCRを用いた5'-RACE法(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1988) 85 (23), 8998-9002、Nucleic AcidsRes. (1989) 17 (8), 2919-2932)が適宜利用され得る。更にこうしたcDNAの合成の過程においてcDNAの両末端に後述する適切な制限酵素サイトが導入され得る。

0083

得られたPCR産物から目的とするcDNA断片が精製され、次いでベクターDNAと連結される。このように組換えベクターが作製され、大腸菌等に導入されコロニーが選択された後に、該コロニーを形成した大腸菌から所望の組換えベクターが調製され得る。そして、当該組換えベクターが目的とするcDNAの塩基配列を有しているか否かについて、公知の方法、例えば、ジデオキシヌクレオチドチェインターミネーション法等により確認される。

0084

可変領域をコードする遺伝子を取得するためには、可変領域遺伝子増幅用のプライマーを使った5'-RACE法を利用するのが簡便である。まずハイブリドーマ細胞より抽出されたRNAを鋳型としてcDNAが合成され、5'-RACE cDNAライブラリが得られる。5'-RACE cDNAライブラリの合成にはSMARTRACE cDNA増幅キットなど市販のキットが適宜用いられる。

0085

得られた5'-RACEcDNAライブラリを鋳型として、PCR法によって抗体遺伝子が増幅される。公知の抗体遺伝子配列をもとにマウス抗体遺伝子増幅用のプライマーがデザインされ得る。これらのプライマーは、イムノグロブリンのサブクラスごとに異なる塩基配列である。したがって、サブクラスは予めIso Stripマウスモノクローナル抗体アイタイピングキット(ロシュダイアグスティックス)などの市販キットを用いて決定しておくことが望ましい。

0086

具体的には、たとえばマウスIgGをコードする遺伝子の取得を目的とするときには、重鎖としてγ1、γ2a、γ2b、γ3、軽鎖としてκ鎖λ鎖をコードする遺伝子の増幅が可能なプライマーが利用され得る。IgGの可変領域遺伝子を増幅するためには、一般に3'側のプライマーには可変領域に近い定常領域に相当する部分にアニールするプライマーが利用される。一方5'側のプライマーには、5' RACEcDNAライブラリ作製キット付属するプライマーが利用される。

0087

こうして増幅されたPCR産物を利用して、重鎖と軽鎖の組み合せからなるイムノグロブリンが再構成され得る。再構成されたイムノグロブリンの、IL-6Rに対する結合活性を指標として、所望の抗体がスクリーニングされ得る。たとえばIL-6Rに対する抗体の取得を目的とするとき、抗体のIL-6Rへの結合は、特異的であることがさらに好ましい。IL-6Rに結合する抗体は、たとえば次のようにしてスクリーニングされ得る;
(1)ハイブリドーマから得られたcDNAによってコードされるV領域を含む抗体をIL-6R発現細胞に接触させる工程、
(2)IL-6R発現細胞と抗体との結合を検出する工程、および
(3)IL-6R発現細胞に結合する抗体を選択する工程。

0088

抗体とIL-6R発現細胞との結合を検出する方法は公知である。具体的には、先に述べたFACSなどの手法によって、抗体とIL-6R発現細胞との結合が検出され得る。抗体の結合活性を評価するためにIL-6R発現細胞の固定標本が適宜利用され得る。

0089

結合活性を指標とする抗体のスクリーニング方法として、ファージベクターを利用したパニング法も好適に用いられる。ポリクローナルな抗体発現細胞群より抗体遺伝子を重鎖と軽鎖のサブクラスのライブラリとして取得した場合には、ファージベクターを利用したスクリーニング方法が有利である。重鎖と軽鎖の可変領域をコードする遺伝子は、適当なリンカー配列で連結することによってシングルチェインFv(scFv)を形成することができる。scFvをコードする遺伝子をファージベクターに挿入することにより、scFvを表面に発現するファージが取得され得る。このファージと所望の抗原との接触の後に、抗原に結合したファージを回収することによって、目的の結合活性を有するscFvをコードするDNAが回収され得る。この操作を必要に応じて繰り返すことにより、所望の結合活性を有するscFvが濃縮され得る。

0090

目的とする抗IL-6R抗体のV領域をコードするcDNAが得られた後に、当該cDNAの両末端に挿入した制限酵素サイトを認識する制限酵素によって該cDNAが消化される。好ましい制限酵素は、抗体遺伝子を構成する塩基配列に出現する頻度が低い塩基配列を認識して消化する。更に1コピー消化断片をベクターに正しい方向で挿入するためには、付着末端を与える制限酵素の挿入が好ましい。上記のように消化された抗IL-6R抗体のV領域をコードするcDNAを適当な発現ベクターに挿入することによって、抗体発現ベクターが取得され得る。このとき、抗体定常領域(C領域)をコードする遺伝子と、前記V領域をコードする遺伝子とがインフレームで融合されれば、キメラ抗体が取得される。ここで、キメラ抗体とは、定常領域と可変領域の由来が異なることをいう。したがって、マウス−ヒトなどの異種キメラ抗体に加え、ヒト−ヒト同種キメラ抗体も、本発明におけるキメラ抗体に含まれる。予め定常領域を有する発現ベクターに、前記V領域遺伝子を挿入することによって、キメラ抗体発現ベクターが構築され得る。具体的には、たとえば、所望の抗体定常領域をコードするDNAを保持した発現ベクターの5'側に、前記V領域遺伝子を消化する制限酵素の制限酵素認識配列が適宜配置され得る。同じ組み合わせの制限酵素で消化された両者がインフレームで融合されることによって、キメラ抗体発現ベクターが構築される。

0091

抗IL-6Rモノクローナル抗体を製造するために、抗体遺伝子が発現制御領域による制御の下で発現するように発現ベクターに組み込まれる。抗体を発現するための発現制御領域とは、例えば、エンハンサーやプロモーターを含む。また、発現した抗体が細胞外に分泌されるように、適切なシグナル配列がアミノ末端に付加され得る。後に記載される実施例ではシグナル配列として、アミノ酸配列MGWSCIILFLVATATGVHS(配列番号:4)を有するペプチドが使用されているが、これ以外にも適したシグナル配列が付加される。発現されたポリペプチドは上記配列のカルボキシル末端部分で切断され、切断されたポリペプチドが成熟ポリペプチドとして細胞外に分泌され得る。次いで、この発現ベクターによって適当な宿主細胞が形質転換されることによって、抗IL-6R抗体をコードするDNAを発現する組換え細胞が取得され得る。

0092

抗体遺伝子の発現のために、抗体重鎖(H鎖)および軽鎖(L鎖)をコードするDNAは、それぞれ別の発現ベクターに組み込まれる。H鎖とL鎖が組み込まれたベクターによって、同じ宿主細胞に同時に形質転換(co-transfect)されることによって、H鎖とL鎖を備えた抗体分子が発現され得る。あるいはH鎖およびL鎖をコードするDNAが単一の発現ベクターに組み込まれることによって宿主細胞が形質転換され得る(国際公開WO 1994/011523を参照のこと)。

0093

単離された抗体遺伝子を適当な宿主に導入することによって抗体を作製するための宿主細胞と発現ベクターの多くの組み合わせが公知である。これらの発現系は、いずれも本発明の抗原結合ドメインを単離するのに応用され得る。真核細胞が宿主細胞として使用される場合、動物細胞植物細胞、あるいは真菌細胞が適宜使用され得る。具体的には、動物細胞としては、次のような細胞が例示され得る。
(1)哺乳類細胞、:CHO(Chinese hamster ovary cell line)、COS(Monkey kidney cell line)、ミエローマ(Sp2/O、NS0等)、BHK(baby hamster kidney cell line)、Hela、Vero、HEK293(human embryonic kidney cell line with sheared adenovirus (Ad)5 DNA)、Freestyle293、PER.C6 cell (human embryonic retinal cell line transformed with the Adenovirus Type 5 (Ad5) E1A and E1B genes)など(Current Protocols in Protein Science (May, 2001, Unit 5.9, Table 5.9.1))
(2)両生類細胞:アフリカツメガエル卵母細胞など
(3)昆虫細胞:sf9、sf21、Tn5など

0094

あるいは植物細胞としては、ニコティアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)などのニコティアナ(Nicotiana)属由来の細胞による抗体遺伝子の発現系が公知である。植物細胞の形質転換には、カルス培養した細胞が適宜利用され得る。

0095

更に真菌細胞としては、次のような細胞を利用することができる。
酵母サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces serevisiae)などのサッカロミセス(Saccharomyces )属、メタノール資化酵母(Pichia pastoris)などのPichia属
糸状菌アススギルス・ニガー(Aspergillus niger)などのアスペルギルス(Aspergillus )属

0096

また、原核細胞を利用した抗体遺伝子の発現系も公知である。たとえば、細菌細胞を用いる場合、大腸菌(E. coli )、枯草菌などの細菌細胞が適宜利用され得る。これらの細胞中に、目的とする抗体遺伝子を含む発現ベクターが形質転換によって導入される。形質転換された細胞をin vitroで培養することにより、当該形質転換細胞培養物から所望の抗体が取得され得る。

0097

組換え抗体の産生には、上記宿主細胞に加えて、トランスジェニック動物も利用され得る。すなわち所望の抗体をコードする遺伝子が導入された動物から、当該抗体を得ることができる。例えば、抗体遺伝子は、乳汁中に固有に産生されるタンパク質をコードする遺伝子の内部にインフレームで挿入することによって融合遺伝子として構築され得る。乳汁中に分泌されるタンパク質として、たとえば、ヤギβカゼインなどを利用され得る。抗体遺伝子が挿入された融合遺伝子を含むDNA断片はヤギの注入され、当該注入された胚が雌のヤギへ導入される。胚を受容したヤギから生まれるトランスジェニックヤギ(またはその子孫)が産生する乳汁からは、所望の抗体が乳汁タンパク質との融合タンパク質として取得され得る。また、トランスジェニックヤギから産生される所望の抗体を含む乳汁量を増加させるために、ホルモンがトランスジェニックヤギに対して投与され得る(Bio/Technology (1994), 12 (7), 699-702)。

0098

本明細書において記載される抗原結合分子がヒトに投与される場合、当該抗原結合分子における抗原結合ドメインとして、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体由来の抗原結合ドメインが適宜採用され得る。遺伝子組換え型抗体には、例えば、ヒト化(Humanized)抗体等が含まれる。これらの改変抗体は、公知の方法を用いて適宜製造される。

0099

本明細書において記載される抗原結合分子における抗原結合ドメインを作製するために用いられる抗体の可変領域は、通常、4つのフレームワーク領域(FR)にはさまれた3つの相補性決定領域(complementarity-determining region ;CDR)で構成されている。CDRは、実質的に、抗体の結合特異性を決定している領域である。CDRのアミノ酸配列は多様性富む。一方FRを構成するアミノ酸配列は、異なる結合特異性を有する抗体の間でも、高い同一性を示すことが多い。そのため、一般に、CDRの移植によって、ある抗体の結合特異性を、他の抗体に移植することができるとされている。

0100

ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称される。具体的には、ヒト以外の動物、たとえばマウス抗体のCDRをヒト抗体に移植したヒト化抗体などが公知である。ヒト化抗体を得るための一般的な遺伝子組換え手法も知られている。具体的には、マウスの抗体のCDRをヒトのFRに移植するための方法として、たとえばOverlap ExtensionPCRが公知である。Overlap Extension PCRにおいては、ヒト抗体のFRを合成するためのプライマーに、移植すべきマウス抗体のCDRをコードする塩基配列が付加される。プライマーは4つのFRのそれぞれについて用意される。一般に、マウスCDRのヒトFRへの移植においては、マウスのFRと同一性の高いヒトFRを選択するのが、CDRの機能の維持において有利であるとされている。すなわち、一般に、移植すべきマウスCDRに隣接しているFRのアミノ酸配列と同一性の高いアミノ酸配列からなるヒトFRを利用するのが好ましい。

0101

また連結される塩基配列は、互いにインフレームで接続されるようにデザインされる。それぞれのプライマーによってヒトFRが個別に合成される。その結果、各FRにマウスCDRをコードするDNAが付加された産物が得られる。各産物のマウスCDRをコードする塩基配列は、互いにオーバーラップするようにデザインされている。続いて、ヒト抗体遺伝子を鋳型として合成された産物のオーバーラップしたCDR部分を互いにアニールさせて相補鎖合成反応が行われる。この反応によって、ヒトFRがマウスCDRの配列を介して連結される。

0102

最終的に3つのCDRと4つのFRが連結されたV領域遺伝子は、その5'末端と3'末端にアニールし適当な制限酵素認識配列を付加されたプライマーによってその全長が増幅される。上記のように得られたDNAとヒト抗体C領域をコードするDNAとをインフレームで融合するように発現ベクター中に挿入することによって、ヒト型抗体発現用ベクターが作成できる。当該組込みベクターを宿主に導入して組換え細胞を樹立した後に、当該組換え細胞を培養し、当該ヒト化抗体をコードするDNAを発現させることによって、当該ヒト化抗体が当該培養細胞の培養物中に産生される(欧州特許公開EP239400、国際公開WO1996/002576参照)。

0103

上記のように作製されたヒト化抗体の抗原への結合活性を定性的又は定量的に測定し、評価することによって、CDRを介して連結されたときに該CDRが良好な抗原結合部位を形成するようなヒト抗体のFRが好適に選択できる。必要に応じ、再構成ヒト抗体のCDRが適切な抗原結合部位を形成するようにFRのアミノ酸残基を置換することもできる。たとえば、マウスCDRのヒトFRへの移植に用いたPCR法を応用して、FRにアミノ酸配列の変異を導入することができる。具体的には、FRにアニーリングするプライマーに部分的な塩基配列の変異を導入することができる。このようなプライマーによって合成されたFRには、塩基配列の変異が導入される。アミノ酸を置換した変異型抗体の抗原への結合活性を上記の方法で測定し評価することによって所望の性質を有する変異FR配列が選択され得る(Cancer Res., (1993) 53, 851-856)。

0104

また、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物(国際公開WO1993/012227、WO1992/003918、WO1994/002602、WO1994/025585、WO1996/034096、WO1996/033735参照)を免疫動物とし、DNA免疫により所望のヒト抗体が取得され得る。

0105

さらに、ヒト抗体ライブラリを用いて、パンニングによりヒト抗体を取得する技術も知られている。例えば、ヒト抗体のV領域が一本鎖抗体(scFv)としてファージディスプレイ法によりファージの表面に発現される。抗原に結合するscFvを発現するファージが選択され得る。選択されたファージの遺伝子を解析することにより、抗原に結合するヒト抗体のV領域をコードするDNA配列が決定できる。抗原に結合するscFvのDNA配列を決定した後、当該V領域配列を所望のヒト抗体C領域の配列とインフレームで融合させた後に適当な発現ベクターに挿入することによって発現ベクターが作製され得る。当該発現ベクターを上記に挙げたような好適な発現細胞中に導入し、当該ヒト抗体をコードする遺伝子を発現させることにより当該ヒト抗体が取得される。これらの方法は既に公知である(国際公開WO1992/001047、WO1992/020791、WO1993/006213、WO1993/011236、WO1993/019172、WO1995/001438、WO1995/015388参照)。

0106

また、抗体遺伝子を取得する方法としてBernasconiら(Science (2002) 298, 2199-2202)または国際公開WO2008/081008に記載のようなB細胞クローニング(それぞれの抗体のコード配列の同定およびクローニング、その単離、およびそれぞれの抗体(特に、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)の作製のための発現ベクター構築のための使用等)の手法が、上記のほか適宜使用され得る。

0107

EUナンバリングおよびKabatナンバリング
本発明で使用されている方法によると、抗体のCDRとFRに割り当てられるアミノ酸位置はKabatにしたがって規定される(Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institute of Health, Bethesda, Md., 1987年および1991年)。本明細書において、抗原結合分子が抗体または抗原結合断片である場合、可変領域のアミノ酸はKabatナンバリングにしたがい、定常領域のアミノ酸はKabatのアミノ酸位置に準じたEUナンバリングにしたがって表される。
イオン濃度の条件
金属イオン濃度の条件
本発明の一つの態様では、イオン濃度とは金属イオン濃度のことをいう。「金属イオン」とは、水素を除くアルカリ金属および銅族等の第I族、アルカリ土類金属および亜鉛族等の第II族ホウ素を除く第III族炭素ケイ素を除く第IV族鉄族および白金族等の第VIII族、V、VIおよびVII族の各A亜族に属する元素と、アンチモンビスマスポロニウム等の金属元素イオンをいう。金属原子原子価電子を放出して陽イオンになる性質を有しており、これをイオン化傾向という。イオン化傾向の大きい金属は、化学的に活性に富むとされる。

0108

本発明で好適な金属イオンの例としてカルシウムイオンが挙げられる。カルシウムイオンは多くの生命現象の調節に関与しており、骨格筋平滑筋および心筋等の筋肉収縮白血球運動および貪食等の活性化、血小板の変形および分泌等の活性化、リンパ球の活性化、ヒスタミンの分泌等の肥満細胞の活性化、カテコールアミンα受容体アセチルコリン受容体を介する細胞の応答エキソサイトーシスニューロン終末からの伝達物質の放出、ニューロンの軸策流等にカルシウムイオンが関与している。細胞内のカルシウムイオン受容体として、複数個のカルシウムイオン結合部位を有し、分子進化上共通の起源から由来したと考えられるトロポニンC、カルモジュリンパルブアルブミンミオシン軽鎖等が知られており、その結合モチーフも数多く知られている。例えば 、カドヘリンドメイン、カルモジュリンに含まれるEFハンド、Protein kinase Cに含まれるC2ドメイン、血液凝固タンパク質FactorIXに含まれるGlaドメイン、アシアログライプロテインレセプターやマンノース結合レセプターに含まれるC型レクチンLDL受容体に含まれるAドメイン、アネキシントロンボスポンジン3型ドメインおよびEGF様ドメインがよく知られている。

0109

本発明においては、金属イオンがカルシウムイオンの場合には、カルシウムイオン濃度の条件として低カルシウムイオン濃度の条件と高カルシウムイオン濃度の条件が挙げられる。本発明の抗原結合分子に含まれる抗原結合ドメインの抗原に対する結合活性がカルシウムイオン濃度の条件によって変化するとは、低カルシウムイオン濃度と高カルシウムイオン濃度の条件の違いによって抗原結合分子に含まれる抗原結合ドメインの抗原に対する結合活性が変化することをいう。例えば、低カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する抗原結合ドメインの結合活性よりも高カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する抗原結合ドメインの結合活性の方が高い場合が挙げられる。また、高カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する抗原結合ドメインの結合活性よりも低カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する抗原結合ドメインの結合活性の方が高い場合もまた例示される。

0110

本明細書において、高カルシウムイオン濃度とはとくに一義的な数値に限定されるわけではないが、好適には100μMから10 mMの間から選択される濃度であり得る。また、別の態様では、200μMから5 mMの間から選択される濃度でもあり得る。また、異なる態様では400μMから3 mMの間から選択される濃度でもあり得るし、ほかの態様では200μMから2 mMの間から選択される濃度でもあり得る。さらに400μMから1 mMの間から選択される濃度でもあり得る。特に生体内の血漿中(血中)でのカルシウムイオン濃度に近い500μMから2.5 mMの間から選択される濃度が好適に挙げられる。

0111

本明細書において、低カルシウムイオン濃度とはとくに一義的な数値に限定されるわけではないが、好適には0.1μMから30μMの間から選択される濃度であり得る。また、別の態様では、0.2μMから20μMの間から選択される濃度でもあり得る。また、異なる態様では0.5μMから10μMの間から選択される濃度でもあり得るし、ほかの態様では1μMから5μMの間から選択される濃度でもあり得る。さらに2μMから4μMの間から選択される濃度でもあり得る。特に生体内の早期エンドソーム内でのイオン化カルシウム濃度に近い1μMから5μMの間から選択される濃度が好適に挙げられる。

0112

本発明において、低カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する結合活性が高カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する結合活性より低いとは、本発明の抗原結合ドメインまたは当該ドメインを含む抗原結合分子の0.1μMから30μMの間から選択されるカルシウムイオン濃度での抗原に対する結合活性が、100μMから10 mMの間から選択されるカルシウムイオン濃度での抗原に対する結合活性より弱いことを意味する。好ましくは、本発明の抗原結合ドメインまたは当該ドメインを含む抗原結合分子の0.5μMから10μMの間から選択されるカルシウムイオン濃度での抗原に対する結合活性が、200μMから5 mMの間から選択されるカルシウムイオン濃度での抗原に対する結合活性より弱いことを意味し、特に好ましくは、生体内の早期エンドソーム内のカルシウムイオン濃度における抗原結合活性が、生体内の血漿中のカルシウムイオン濃度における抗原結合活性より弱いことを意味し、具体的には、抗原結合分子の1μMから5μMの間から選択されるカルシウムイオン濃度での抗原に対する結合活性が、500μMから2.5 mMの間から選択されるカルシウムイオン濃度での抗原に対する結合活性より弱いことを意味する。

0113

金属イオン濃度の条件によって抗原に対する抗原結合ドメインまたは当該ドメインを含む抗原結合分子の結合活性が変化しているか否かは、例えば前記の結合活性の項で記載されたような公知の測定方法を使用することによって決定され得る。例えば、低カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する抗原結合ドメインまたは当該ドメインを含む抗原結合分子の結合活性よりも高カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する前記ドメインまたは前記分子の結合活性の方が高く変化することを確認するためには、低カルシウムイオン濃度および高カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する前記ドメインまたは前記分子の結合活性が比較される。

0114

さらに本発明において、「低カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する結合活性が高カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する結合活性より低い」という表現は、抗原結合ドメインまたは当該ドメインを含む抗原結合分子の高カルシウムイオン濃度条件下における抗原に対する結合活性が低カルシウムイオン濃度条件下における抗原に対する結合活性よりも高いと表現することもできる。なお本発明においては、「低カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する結合活性が高カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する結合活性より低い」を「低カルシウムイオン濃度条件下における抗原結合活性が高カルシウムイオン濃度条件下における抗原に対する結合活性よりも弱い」と記載する場合もあり、また、「低カルシウムイオン濃度の条件下における抗原結合活性を高カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する結合活性より低下させる」を「低カルシウムイオン濃度条件下における抗原結合活性を高カルシウムイオン濃度条件下における抗原に対する結合活性よりも弱くする」と記載する場合もある。

0115

抗原に対する結合活性を測定する際のカルシウムイオン濃度以外の条件は、当業者が適宜選択することが可能であり、特に限定されない。例えば、HEPESバッファー、37℃の条件において測定することが可能である。例えば、Biacore(GE Healthcare)などを用いて測定することが可能である。抗原結合ドメインまたは当該ドメインを含む抗原結合分子と抗原との結合活性の測定は、抗原が可溶型抗原である場合は、抗原結合ドメインまたは当該ドメインを含む抗原結合分子を固定化したチップへ、抗原をアナライトとして流すことで可溶型抗原に対する結合活性を評価することが可能であり、抗原が膜型抗原である場合は、抗原を固定化したチップへ、抗原結合ドメインまたは当該ドメインを含む抗原結合分子をアナライトとして流すことで膜型抗原に対する結合活性を評価することが可能である。

0116

本発明の抗原結合分子において、低カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性が高カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性よりも弱い限り、低カルシウムイオン濃度条件下における抗原に対する結合活性と高カルシウムイオン濃度条件下における抗原に対する結合活性の比は特に限定されないが、好ましくは抗原に対する低カルシウムイオン濃度の条件におけるKD(Dissociation constant:解離定数)と高カルシウムイオン濃度の条件におけるKDの比であるKD (Ca 3μM)/KD (Ca 2 mM)の値が2以上であり、さらに好ましくはKD (Ca 3μM)/KD (Ca 2 mM)の値が10以上であり、さらに好ましくはKD (Ca 3μM)/KD (Ca 2 mM)の値が40以上である。KD (Ca 3μM)/KD (Ca 2 mM)の値の上限は特に限定されず、当業者の技術において作製可能な限り、400、1000、10000等、いかなる値でもよい。

0117

抗原に対する結合活性の値として、抗原が可溶型抗原の場合はKD(解離定数)を用いることが可能であるが、抗原が膜型抗原の場合は見かけのKD(Apparent dissociation constant:見かけの解離定数)を用いることが可能である。KD(解離定数)、および、見かけのKD(見かけの解離定数)は、当業者公知の方法で測定することが可能であり、例えばBiacore(GE healthcare)、スキャッチャードプロット、フローサイトメーター等を用いることが可能である。

0118

また、本発明の抗原結合ドメインまたは当該ドメインを含む抗原結合分子の低カルシウム濃度の条件における抗原に対する結合活性と高カルシウム濃度の条件における抗原に対する結合活性の比を示す他の指標として、例えば、解離速度定数であるkd(Dissociation rate constant:解離速度定数)もまた好適に用いられ得る。結合活性の比を示す指標としてKD(解離定数)の代わりにkd(解離速度定数)を用いる場合、抗原に対する低カルシウム濃度の条件におけるkd(解離速度定数)と高カルシウム濃度の条件におけるkd(解離速度定数)の比であるkd(低カルシウム濃度の条件)/kd(高カルシウム濃度の条件)の値は、好ましくは2以上であり、さらに好ましくは5以上であり、さらに好ましくは10以上であり、より好ましくは30以上である。Kd(低カルシウム濃度の条件)/kd(高カルシウム濃度の条件)の値の上限は特に限定されず、当業者の技術常識において作製可能な限り、50、100、200等、いかなる値でもよい。

0119

抗原結合活性の値として、抗原が可溶型抗原の場合はkd(解離速度定数)を用いることが可能であり、抗原が膜型抗原の場合は見かけのkd(Apparent dissociation rate constant:見かけの解離速度定数)を用いることが可能である。kd(解離速度定数)、および、見かけのkd(見かけの解離速度定数)は、当業者公知の方法で測定することが可能であり、例えばBiacore(GE healthcare)、フローサイトメーター等を用いることが可能である。なお本発明において、異なるカルシウムイオン濃度における抗原結合ドメインまたは当該ドメインを含む抗原結合分子の抗原に対する結合活性を測定する際は、カルシウム濃度以外の条件は同一とすることが好ましい。

0120

例えば、本発明が提供する一つの態様である低カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性が、高カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性より低い抗原結合ドメインまたは抗原結合分子のスクリーニング方法としてWO2012/073992等(例えば段落0200-0213)に記載された方法が例示され得る。

0121

ライブラリ
ある一態様によれば、本発明の抗原結合ドメイン又は抗原結合分子は、イオン濃度の条件によって抗原に対する抗原結合分子の結合活性を変化させる少なくとも一つのアミノ酸残基が抗原結合ドメインに含まれている互いに配列の異なる複数の抗原結合分子から主としてなるライブラリから取得され得る。イオン濃度の例としては金属イオン濃度や水素イオン濃度が好適に挙げられる。

0122

本明細書において「ライブラリ」とは複数の抗原結合分子または抗原結合分子を含む複数の融合ポリペプチド、もしくはこれらの配列をコードする核酸ポリヌクレオチドをいう。ライブラリ中に含まれる複数の抗原結合分子または抗原結合分子を含む複数の融合ポリペプチドの配列は単一の配列ではなく、互いに配列の異なる抗原結合分子または抗原結合分子を含む融合ポリペプチドである。

0123

本明細書においては、互いに配列の異なる複数の抗原結合分子という記載における「互いに配列の異なる」との用語は、ライブラリ中の個々の抗原結合分子の配列が相互に異なることを意味する。すなわち、ライブラリ中における互いに異なる配列の数は、ライブラリ中の配列の異なる独立クローンの数が反映され、「ライブラリサイズ」と指称される場合もある。通常のファージディスプレイライブラリでは106から1012であり、リボゾームディスプレイ法等の公知の技術を適用することによってライブラリサイズを1014まで拡大することが可能である。しかしながら、ファージライブラリのパンニング選択時に使用されるファージ粒子の実際の数は、通常、ライブラリサイズよりも10ないし10,000倍大きい。この過剰倍数は、「ライブラリ当量数」とも呼ばれるが、同じアミノ酸配列を有する個々のクローンが10ないし10,000存在し得ることを表す。よって本発明における「互いに配列の異なる」との用語はライブラリ当量数が除外されたライブラリ中の個々の抗原結合分子の配列が相互に異なること、より具体的には互いに配列の異なる抗原結合分子が106から1014分子、好ましくは107から1012分子、さらに好ましくは108から1011、特に好ましくは108から1010存在することを意味する。

0124

また、本発明における、複数の抗原結合分子から主としてなるライブラリという記載における「複数の」との用語は、例えば本発明の抗原結合分子、融合ポリペプチド、ポリヌクレオチド分子、ベクターまたはウイルスは、通常、その物質の2つ以上の種類の集合を指す。例えば、ある2つ以上の物質が特定の形質に関して互いに異なるならば、その物質には2種類以上が存在することを表す。例としては、アミノ酸配列中の特定のアミノ酸位置で観察される変異体アミノ酸が挙げられ得る。例えば、フレキシブル残基以外、または表面に露出した非常に多様なアミノ酸位置の特定の変異体アミノ酸以外は実質的に同じ、好ましくは同一の配列である本発明の2つ以上の抗原結合分子がある場合、本発明の抗原結合分子は複数個存在する。他の例では、フレキシブル残基をコードする塩基以外、または表面に露出した非常に多様なアミノ酸位置の特定の変異体アミノ酸をコードする塩基以外は実質的に同じ、好ましくは同一の配列である本発明の2つ以上のポリヌクレオチド分子があるならば、本発明におけるポリヌクレオチド分子は複数個存在する。

0125

さらに、本発明における、複数の抗原結合分子から主としてなるライブラリという記載における「から主としてなる」との用語は、ライブラリ中の配列の異なる独立クローンの数のうち、イオン濃度の条件によって抗原に対する抗原結合分子の結合活性が異なっている抗原結合分子の数が反映される。具体的には、そのような結合活性を示す抗原結合分子がライブラリ中に少なくとも104分子存在することが好ましい。また、より好ましくは、本発明の抗原結合ドメインはそのような結合活性を示す抗原結合分子が少なくとも105分子存在するライブラリから取得され得る。さらに好ましくは、本発明の抗原結合ドメインはそのような結合活性を示す抗原結合分子が少なくとも106分子存在するライブラリから取得され得る。特に好ましくは、本発明の抗原結合ドメインはそのような結合活性を示す抗原結合分子が少なくとも107分子存在するライブラリから取得され得る。また、好ましくは、本発明の抗原結合ドメインはそのような結合活性を示す抗原結合分子が少なくとも108分子存在するライブラリから取得され得る。別の表現では、ライブラリ中の配列の異なる独立クローンの数のうち、イオン濃度の条件によって抗原に対する抗原結合分子の結合活性が異なっている抗原結合分子の割合としても好適に表現され得る。具体的には、本発明の抗原結合ドメインは、そのような結合活性を示す抗原結合分子がライブラリ中の配列の異なる独立クローンの数の0.1%から80%、好ましくは0.5%から60%、より好ましくは1%から40%、さらに好ましくは2%から20%、特に好ましくは4%から10% 含まれるライブラリから取得され得る。融合ポリペプチド、ポリヌクレオチド分子またはベクターの場合も、上記と同様、分子の数や分子全体における割合で表現され得る。また、ウイルスの場合も、上記と同様、ウイルス個体の数や個体全体における割合で表現され得る。

0126

カルシウムイオン濃度の条件によって抗原に対する抗原結合ドメインの結合活性を変化させるアミノ酸
前記のスクリーニング方法によってスクリーニングされる本発明の抗原結合ドメインまたは抗原結合分子はどのように調製されてもよく、例えば、金属イオンがカルシウムイオン濃度である場合には、あらかじめ存在している抗原結合ドメインまたは抗原結合分子、あらかじめ存在しているライブラリ(ファージライブラリ等)、動物への免疫から得られたハイブリドーマや免疫動物からのB細胞から作製された抗体またはライブラリ、これらの抗体やライブラリにカルシウムキレート可能なアミノ酸(例えばアスパラギン酸グルタミン酸)や非天然アミノ酸変異を導入した抗体またはライブラリ(カルシウムをキレート可能なアミノ酸(例えばアスパラギン酸やグルタミン酸)または非天然アミノ酸の含有率を高くしたライブラリや特定箇所にカルシウムをキレート可能なアミノ酸(例えばアスパラギン酸やグルタミン酸)または非天然アミノ酸変異を導入したライブラリ等)などを用いることが可能である。

0127

前記のようにイオン濃度の条件によって抗原に対する抗原結合分子の結合活性を変化させるアミノ酸の例として、例えば、金属イオンがカルシウムイオンである場合には、カルシウム結合モチーフを形成するアミノ酸であれば、その種類は問わない。カルシウム結合モチーフは、当業者に周知であり、詳細に記載されている(例えばSpringerら(Cell (2000) 102, 275-277)、KawasakiおよびKretsinger(Protein Prof. (1995) 2, 305-490)、Moncriefら(J. Mol. Evol. (1990) 30, 522-562)、Chauvauxら(Biochem. J. (1990) 265, 261-265)、BairochおよびCox(FEBSLett. (1990) 269, 454-456)、Davis(New Biol. (1990) 2, 410-419)、Schaeferら(Genomics (1995) 25, 638〜643)、Economouら(EMBO J. (1990) 9, 349-354)、Wurzburgら(Structure. (2006) 14, 6, 1049-1058))。すなわち、ASGPR, CD23、MBR、DC-SIGN等のC型レクチン等の任意の公知のカルシウム結合モチーフが、本発明の抗原結合分子に含まれ得る。このようなカルシウム結合モチーフの好適な例として、上記のほかには配列番号:5に記載される抗原結合ドメインに含まれるカルシウム結合モチーフも挙げられ得る。

0128

また、本発明の抗原結合分子に含まれる抗原結合ドメインのカルシウムイオン濃度の条件によって抗原に対する結合活性を変化させるアミノ酸の例として、金属キレート作用を有するアミノ酸も好適に用いられ得る。金属キレート作用を有するアミノ酸の例として、例えばセリン(Ser(S))、スレオニン(Thr(T))、アスパラギン(Asn(N))、グルタミン(Gln(Q))、アスパラギン酸(Asp(D))およびグルタミン酸(Glu(E))等が好適に挙げられる。

0129

前記のアミノ酸が含まれる抗原結合ドメインの位置は特定の位置に限定されず、カルシウムイオン濃度の条件によって抗原に対する抗原結合分子の結合活性を変化させる限り、抗原結合ドメインを形成する重鎖可変領域または軽鎖可変領域中のいずれの位置でもあり得る。非限定な一態様では、本発明の抗原結合ドメインは、カルシウムイオン濃度の条件によって抗原に対する抗原結合分子の結合活性を変化させるアミノ酸が重鎖の抗原結合ドメインに含まれている互いに配列の異なる抗原結合分子から主としてなるライブラリから取得され得る。また、非限定な別の一態様では、本発明の抗原結合ドメインは、当該アミノ酸が重鎖のCDR3に含まれている互いに配列の異なる抗原結合分子から主としてなるライブラリから取得され得る。そのほかの態様では、本発明の抗原結合ドメインは、当該アミノ酸が重鎖のCDR3のKabatナンバリングで表される95位、96位、100a位および/または101位に含まれている互いに配列の異なる抗原結合分子から主としてなるライブラリから取得され得る。

0130

また、本発明の非限定な一態様では、本発明の抗原結合ドメインは、カルシウムイオン濃度の条件によって抗原に対する抗原結合分子の結合活性を変化させるアミノ酸が軽鎖の抗原結合ドメインに含まれている互いに配列の異なる抗原結合分子から主としてなるライブラリから取得され得る。また、非限定な別の一態様では、本発明の抗原結合ドメインは、当該アミノ酸が軽鎖のCDR1に含まれている互いに配列の異なる抗原結合分子から主としてなるライブラリから取得され得る。そのほかの態様では、本発明の抗原結合ドメインは、当該アミノ酸が軽鎖のCDR1のKabatナンバリングで表される30位、31位および/または32位に含まれている互いに配列の異なる抗原結合分子から主としてなるライブラリから取得され得る。

0131

また、別の非限定な一態様では、本発明の抗原結合ドメインは、当該アミノ酸残基が軽鎖のCDR2に含まれている互いに配列の異なる抗原結合分子から主としてなるライブラリから取得され得る。そのほかの非限定な一態様では、当該アミノ酸残基が軽鎖のCDR2のKabatナンバリングで表される50位に含まれている互いに配列の異なる抗原結合分子から主としてなるライブラリが提供される。

0132

さらに別の態様では、本発明の抗原結合ドメインは、当該アミノ酸残基が軽鎖のCDR3に含まれている互いに配列の異なる抗原結合分子から主としてなるライブラリから取得され得る。そのほかの態様では、本発明の抗原結合ドメインは、当該アミノ酸残基が軽鎖のCDR3のKabatナンバリングで表される92位に含まれている互いに配列の異なる抗原結合分子から主としてなるライブラリから取得され得る。

0133

また、本発明の抗原結合ドメインは、当該アミノ酸残基が、前記に記載された軽鎖のCDR1、CDR2およびCDR3から選択される2つまたは3つのCDRに含まれている互いに配列の異なる抗原結合分子から主としてなるライブラリから本発明の異なる態様として取得され得る。さらに、本発明の抗原結合ドメインは、当該アミノ酸残基が軽鎖のKabatナンバリングで表される30位、31位、32位、50位および/または92位のいずれかひとつ以上に含まれている互いに配列の異なる抗原結合分子から主としてなるライブラリから取得され得る。

0134

特に好適な実施形態では、抗原結合分子の軽鎖および/または重鎖可変領域のフレームワーク配列は、ヒトの生殖細胞系フレームワーク配列を有していることが望ましい。したがって、本発明の一態様においてフレームワーク配列が完全にヒトの配列であるならば、ヒトに投与(例えば疾病の治療)された場合、本発明の抗原結合分子は免疫原性反応を殆どあるいは全く引き起こさないと考えられる。上記の意味から、本発明における「生殖細胞系列の配列を含む 」とは、本発明におけるフレームワーク配列の一部が、いずれかのヒトの生殖細胞系フレームワーク配列の一部と同一であることを意味する。例えば、本発明の抗原結合分子の重鎖FR2の配列が複数の異なるヒトの生殖細胞系フレームワーク配列の重鎖FR2配列が組み合わされた配列である場合も、本発明における「生殖細胞系列の配列を含む」抗原結合分子である。

0135

フレームワークの例としては、例えばV-Base(http://vbase.mrc-cpe.cam.ac.uk/)等のウェブサイトに含まれている、現在知られている完全にヒト型のフレームワーク領域の配列が好適に挙げられる。 これらのフレームワーク領域の配列が本発明の抗原結合分子に含まれる生殖細胞系列の配列として適宜使用され得る。生殖細胞系列の配列はその類似性にもとづいて分類され得る(Tomlinsonら(J. Mol. Biol. (1992) 227, 776-798)WilliamsおよびWinter(Eur. J. Immunol. (1993) 23, 1456-1461)およびCoxら(Nat. Genetics (1994) 7, 162-168))。 7つのサブグループに分類されるVκ、10のサブグループに分類されるVλ、7つのサブグループに分類されるVHから好適な生殖細胞系列の配列が適宜選択され得る。

0136

完全にヒト型のVH配列は、下記のみに限定されるものではないが、例えばVH1サブグループ(例えば、VH1-2、VH1-3、VH1-8、VH1-18、VH1-24、VH1-45、VH1-46、VH1-58、VH1-69)、VH2サブグループ(例えば、VH2-5、VH2-26、VH2-70)、VH3サブグループ(VH3-7、VH3-9、VH3-11、VH3-13、VH3-15、VH3-16、VH3-20、VH3-21、VH3-23、VH3-30、VH3-33、VH3-35、VH3-38、VH3-43、VH3-48、VH3-49、VH3-53、VH3-64、VH3-66、VH3-72、VH3-73、VH3-74)、VH4サブグループ(VH4-4、VH4-28、VH4-31、VH4-34、VH4-39、VH4-59、VH4-61)、VH5サブグループ(VH5-51)、VH6サブグループ(VH6-1)、VH7サブグループ(VH7-4、VH7-81)のVH配列等が好適に挙げられる。これらは公知文献(Matsudaら(J. Exp. Med. (1998) 188, 1973-1975))等にも記載されており、当業者はこれらの配列情報をもとに本発明の抗原結合分子を適宜設計することが可能である。これら以外の完全にヒト型のフレームワークまたはフレームワークの準領域も好適に使用され得る。

0137

完全にヒト型のVκ配列は、下記のみに限定されるものではないが、例えばVk1サブグループに分類されるA20、A30、L1、L4、L5、L8、L9、L11、L12、L14、L15、L18、L19、L22、L23、L24、O2、O4、O8、O12、O14、O18、Vk2サブグループに分類されるA1、A2、A3、A5、A7、A17、A18、A19、A23、O1、O11、Vk3サブグループに分類されるA11、A27、L2、L6、L10、L16、L20、L25、Vk4サブグループに分類されるB3、Vk5サブグループに分類されるB2(本明細書においてはVk5-2とも指称される))、Vk6サブグループに分類されるA10、A14、A26等(Kawasakiら(Eur. J. Immunol. (2001) 31, 1017-1028)、SchableおよびZachau(Biol. Chem. Hoppe Seyler (1993) 374, 1001-1022)およびBrensing-Kuppersら(Gene (1997) 191, 173-181))が好適に挙げられる。

0138

完全にヒト型のVλ配列は、下記のみに限定されるものではないが、例えばVL1サブグループに分類されるV1-2、V1-3、V1-4、V1-5、V1-7、V1-9、V1-11、V1-13、V1-16、V1-17、V1-18、V1-19、V1-20、V1-22、VL1サブグループに分類されるV2-1、V2-6、V2-7、V2-8、V2-11、V2-13、V2-14、V2-15、V2-17、V2-19、VL3サブグループに分類されるV3-2、V3-3、V3-4、VL4サブグループに分類されるV4-1、V4-2、V4-3、V4-4、V4-6、VL5サブグループに分類されるV5-1、V5-2、V5-4、V5-6等(Kawasakiら(Genome Res. (1997) 7, 250-261))が好適に挙げられる。

0139

通常これらのフレームワーク配列は一またはそれ以上のアミノ酸残基の相違により互いに異なっている。これらのフレームワーク配列は本発明における「イオン濃度の条件によって抗原に対する抗原結合分子の結合活性を変化させる少なくとも一つのアミノ酸残基」と共に使用され得る。本発明における「イオン濃度の条件によって抗原に対する抗原結合分子の結合活性を変化させる少なくとも一つのアミノ酸残基」と共に使用される完全にヒト型のフレームワークの例としては、これだけに限定されるわけではないが、ほかにもKOL、NEWM、REI、EU、TUR、TEI、LAY、POM等が挙げられる(例えば、前記のKabatら (1991)およびWuら(J. Exp. Med. (1970) 132, 211-250))。

0140

本発明は特定の理論に拘束されるものではないが、生殖細胞系の配列の使用がほとんどの個人において有害な免疫反応を排除すると期待されている一つの理由は、以下のとおりであると考えられている。通常の免疫反応中に生じる親和性成熟テップの結果、免疫グロブリンの可変領域に体細胞突然変異が頻繁に生じる。これらの突然変異は主にその配列が超可変的であるCDRの周辺に生じるが、フレームワーク領域の残基にも影響を及ぼす。これらのフレームワークの突然変異は生殖細胞系の遺伝子には存在せず、また患者の免疫原性になる可能性は少ない。一方、通常のヒトの集団は生殖細胞系の遺伝子によって発現されるフレームワーク配列の大多数にさらされており、免疫寛容の結果、これらの生殖細胞系のフレームワークは患者において免疫原性が低いあるいは非免疫原性であると予想される。免疫寛容の可能性を最大にするため、可変領域をコード化する遺伝子が普通に存在する機能的な生殖細胞系遺伝子の集合から選択され得る。

0141

本発明の、カルシウムイオン濃度の条件によって抗原に対する抗原結合分子の結合活性を変化させるアミノ酸が前記の可変領域配列の配列、重鎖可変領域または軽鎖可変領域の配列、もしくはCDR配列またはフレームワーク配列に含まれる抗原結合分子を作製するために部位特異的変異誘発法(Kunkelら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1985) 82, 488-492))やOverlap extensionPCR等の公知の方法が適宜採用され得る。

0142

例えば、カルシウムイオン濃度の条件によって抗原に対する抗原結合分子の結合活性を変化させる少なくとも一つのアミノ酸残基が予め含まれているフレームワーク配列として選択された軽鎖可変領域と、ランダム化可変領域配列ライブラリとして作製された重鎖可変領域と組み合わせることによって本発明の複数の互いに配列の異なる抗原結合分子を含むライブラリが作製され得る。このような非限定的な例として、イオン濃度がカルシウムイオン濃度である場合には、例えば、配列番号:5(Vk5-2)に記載された軽鎖可変領域配列とランダム化可変領域配列ライブラリとして作製された重鎖可変領域とを組み合わせたライブラリが好適に挙げられる。

0143

また、前記のカルシウムイオン濃度の条件によって抗原に対する抗原結合ドメインまたは抗原結合分子の結合活性を変化させる少なくとも一つのアミノ酸残基が予め含まれているフレームワーク配列として選択された軽鎖可変領域の配列に、当該アミノ酸残基以外の残基として多様なアミノ酸が含まれるように設計することも可能である。本発明においてそのような残基は、フレキシブル残基と指称される。本発明の抗原結合ドメインまたは抗原結合分子の抗原に対する結合活性が、イオン濃度の条件によって変化する限り、当該フレキシブル残基の数および位置は特定の態様に限定されることはない。すなわち、重鎖および/または軽鎖のCDR配列および/またはFR配列に一つまたはそれ以上のフレキシブル残基が含まれ得る。例えば、イオン濃度がカルシウムイオン濃度である場合には、配列番号:5(Vk5-2)に記載された軽鎖可変領域配列に導入されるフレキシブル残基の非限定的な例として、表1または表2に記載されたアミノ酸残基が挙げられる。

0144

0145

0146

本明細書においては、フレキシブル残基とは、公知のかつ/または天然抗体または抗原結合ドメインのアミノ酸配列を比較した場合に、その位置で提示されるいくつかの異なるアミノ酸を持つ軽鎖および重鎖可変領域上のアミノ酸が非常に多様である位置に存在するアミノ酸残基のバリエーションをいう。非常に多様である位置は一般的にCDR領域に存在する。一態様では、公知のかつ/または天然抗体の非常に多様な位置を決定する際には、Kabat, Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institute of Health Bethesda Md.) (1987年および1991年)が提供するデータが有効である。また、インターネット上の複数のデータベース(http://vbase.mrc-cpe.cam.ac.uk/、http://www.bioinf.org.uk/abs/index.html)では収集された多数のヒト軽鎖および重鎖の配列とその配置が提供されており、これらの配列とその配置の情報は本発明における非常に多様な位置の決定に有用である。本発明によると、アミノ酸がある位置で好ましくは約2から約20、好ましくは約3から約19、好ましくは約4から約18、好ましくは5から17、好ましくは6から16、好ましくは7から15、好ましくは8から14、好ましくは9から13、好ましくは10から12個の可能な異なるアミノ酸残基の多様性を有する場合は、その位置は非常に多様といえる。いくつかの実施形態では、あるアミノ酸位置は、好ましくは少なくとも約2、好ましくは少なくとも約4、好ましくは少なくとも約6、好ましくは少なくとも約8、好ましくは約10、好ましくは約12の可能な異なるアミノ酸残基の多様性を有し得る。

0147

また、前記のイオン濃度の条件によって抗原に対する抗原結合分子の結合活性を変化させる少なくとも一つのアミノ酸残基が導入された軽鎖可変領域とランダム化可変領域配列ライブラリとして作製された重鎖可変領域とを組み合わせることによっても、本発明の複数の互いに配列の異なる抗原結合分子を含むライブラリが作製され得る。このような非限定的な例として、イオン濃度がカルシウムイオン濃度である場合には、例えば、配列番号:6(Vk1)、配列番号:7(Vk2)、配列番号:8(Vk3)、配列番号:9(Vk4)等の生殖細胞系列の特定の残基が、カルシウムイオン濃度の条件によって抗原に対する抗原結合分子の結合活性を変化させる少なくとも一つのアミノ酸残基に置換された軽鎖可変領域配列とランダム化可変領域配列ライブラリとして作製された重鎖可変領域とを組み合わせたライブラリが好適に挙げられる。当該アミノ酸残基の非限定な例として軽鎖のCDR1に含まれるアミノ酸残基が例示される。ほかにも、当該アミノ酸残基の非限定な例として軽鎖のCDR2に含まれるアミノ酸残基が例示される。また、当該アミノ酸残基の非限定な別の例として軽鎖のCDR3に含まれるアミノ酸残基もまた例示される。

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