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図面 (17)

課題

治癒および腱の生体力学的特性を調節するための方法を提供する。

解決手段

傷害および腱の生体力学的特性の調節におけるマイクロRNA29ならびにその前駆体およびミミックの使用。特に、テノサイトでの1型コラーゲン合成の方が、3型コラーゲンの合成よりもmiR−29に対する感受性が低く、このため、コラーゲンサブタイプ間のバランスを1型コラーゲンに傾くよう調節し、治癒過程での生体力学的特性の低下を軽減することが可能である。

概要

背景

障害を含めたよくみられる筋骨格病理の多くは、組織修復および炎症の調節不全が特徴となっている1。腱障害初期治療の筋骨格診察の原因としてよくみられるものであり2〜3、スポーツ外傷全体の30〜50%を占めている3。腱障害は、コラーゲン産生サブタイプ1から3に変化することにより、臨床的断裂前兆となり得る引張り強度の低下が生じることを特徴とする4。

腱障害の発生および永続化には炎症性メディエーターが極めて重要であると考えられている5。炎症細胞系およびテノサイトには様々なサイトカイン発現することが明らかにされており、このことは、浸潤する集団常在する集団の両方が病理に関与することを示唆している6〜9。IL−6欠損マウスは正常対照と比較して腱治癒力学的特性が劣っている10が、ラット傷害モデルではTNF−α遮断により腱−骨治癒力の改善がみられる11。これらのデータは、サイトカイン標的化が治療的に有用であるという興味深い可能性をもたらすものであるが、現時点では、腱疾患におけるサイトカイン/マトリックス生物学的機構に関する理解は不十分であり、この可能性を実際に実現するには至っていない。

インターロイキン33はIL−1サイトカインファミリーメンバーであり、自然免疫応答に重要な役割を果たしている。IL−33は内皮細胞および線維芽細胞に発現し、核内にクロマチンと共局在している12。IL−33は細胞損傷13および生体力学的過負荷14が加わると放出され、このため、「アラーミン」の1つであると考えられている15。IL−33は、肺疾患皮膚疾患および関節疾患を含めた様々な病理に関与すると考えられている16。IL−33は、膜結合型(mST2)または可溶型(sST2)で存在するその同族受容体ST2のほか、古典的なIL−1Rシグナル伝達カスケードを介して機能する。サイトカインは多くの場合、標的mRNA翻訳抑制および不安定化によって遺伝子発現を制御するマイクロRNA(miRNA)により転写後レベルで調節される17。幹細胞生物学、炎症、低酸素応答および血管新生において提唱される基本的役割を有し、組織修復の鍵となる恒常性調節因子として、マイクロRNAネットワークが浮上しつつある18。

マイクロRNA(miR)は、翻訳の抑制(翻訳の阻害またはmRNA分解の誘導のいずれかを介するもの)を介して細胞機能に大きな影響を及ぼす小分子非コードRNAである。マイクロRNAは、RNA pol IIによって合成され長さ数千ヌクレオチドになり得る一次RNA転写産物(pri−miRNA)から生じる。単一のpri−miRNA転写産物から活性なmiRNAが2つ以上生じ得る。

核内では、TypeIII型RNアーゼ酵素であるDroshaによってpri−miRNA転写産物がプロセシングされて、ステムループまたはヘアピン構造からなり長さが通常70〜100ヌクレオチド前後の前駆体miRNA(pre−miRNA)になる。次いで、pre−miRNAは細胞質輸送され、そこでRNアーゼであるDicerによってさらにプロセシングを受けてループが除去され、全体または一部が相補的な「パッセンジャー」鎖とハイブリダイズした活性な「ガイド」鎖(通常、長さ15〜25ヌクレオチド)を有する、成熟二本鎖miRNA分子が生じる。

次いで、この成熟二本鎖miRNAがRNA誘導型サイレンシング複合体に組み込まれ、そこでガイド鎖が標的mRNAの結合部位とハイブリダイズする。

ガイド鎖は標的結合部位と完全には相補的でなくてもよい。しかし、ガイド鎖の「シード配列」と呼ばれる領域は通常、標的結合部位の対応する配列と完全に相補的である。シード配列は通常、長さが2〜8ヌクレオチドであり、ガイド鎖の5’末端またはその付近(1または2ヌクレオチド以内)に位置する。

対を形成していない一本鎖のガイド鎖でもRISCに組み込まれ得ると考えられている。このほか、パッセンジャー鎖にそのRISCへの組込みを阻害する修飾(例えば、糖、塩基または骨格構造への修飾)を施しても二本鎖miRNAによる標的阻害の効率が増大し得ると考えられている。

概要

腱の治癒および腱の生体力学的特性を調節するための方法を提供する。腱傷害および腱の生体力学的特性の調節におけるマイクロRNA29ならびにその前駆体およびミミックの使用。特に、テノサイトでの1型コラーゲン合成の方が、3型コラーゲンの合成よりもmiR−29に対する感受性が低く、このため、コラーゲンサブタイプ間のバランスを1型コラーゲンに傾くよう調節し、治癒過程での生体力学的特性の低下を軽減することが可能である。なし

目的

本発明はこのほか、腱治癒を調節する方法に使用するmiR−29、そのミミックまたはいずれかの前駆体を提供する

効果

実績

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請求項1

対象の治癒を調節する方法であって、腱細胞のmiR−29の発現または活性を増大させることを含む、方法。

請求項2

腱細胞にmiR−29、そのミミックまたはいずれかの前駆体を送達する段階を含む、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記miR−29ミミックまたは前駆体が、1つまたは複数の改変糖残基を含む、請求項2に記載の方法。

請求項4

前記miR−29ミミックまたは前駆体が、1つまたは複数の改変ヌクレオシド間結合を含む、請求項2または3に記載の方法。

請求項5

前記miR−29ミミックまたは前駆体が、1つまたは複数の改変塩基を含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。

請求項6

前記miR−29ミミックまたは前駆体が膜通過部分を含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。

請求項7

前記miR−29、ミミックまたは前駆体が担体と結合している(例えば、担体と複合体を形成しているか、担体に封入されている)、請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。

請求項8

前記担体が、薬学的に許容される脂質またはポリマーを含む、請求項7に記載の方法。

請求項9

前記担体分子が、標的細胞の表面に結合することが可能な標的化剤を含む、請求項7または8に記載の方法。

請求項10

腱細胞にmiR−29、そのミミックまたはいずれかの前駆体が発現するように、前記腱細胞に前記miR−29、ミミックまたは前駆体をコードする核酸を送達する段階を含む、請求項1に記載の方法。

請求項11

前記核酸が担体と結合している(例えば、担体と複合体を形成しているか、担体に封入されている)、請求項10に記載の方法。

請求項12

前記担体が、薬学的に許容される脂質またはポリマーを含む、請求項11に記載の方法。

請求項13

前記担体分子が、前記標的細胞の表面に結合することが可能な標的化剤を含む、請求項11または12に記載の方法。

請求項14

ウイルスベクターを介して前記核酸を送達する、請求項10に記載の方法。

請求項15

前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクターアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターレトロウイルスベクターまたはヘルペスウイルスベクターである、請求項14に記載の方法。

請求項16

前記レトロウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、請求項15に記載の方法。

請求項17

前記miR−29が、miR−29a、miR−29b1、miR29b2もしくはmiR−29cまたはその組合せである、請求項2〜16のいずれか1項に記載の方法。

請求項18

前記組合せがmiR−29aを含む、請求項17に記載の方法。

請求項19

前記miR−29またはそのミミックが、シード配列GCACCAを含むガイド鎖を含む、請求項2〜18のいずれか1項に記載の方法。

請求項20

前記ガイド鎖が、配列:UAGCACCAUCUGAAAUCGGUUA(hsa−miR−29a);UAGCACCAUUUGAAAUCAGUGUU(hsa−miR−29b1;hsa−miR−29b2);またはUAGCACCAUUUGAAAUCGGUUA(hsa−miR−29c).を含む、請求項19に記載の方法。

請求項21

前記前駆体がpre−mir−29である、請求項2〜20のいずれか1項に記載の方法。

請求項22

前記pre−mir−29が配列:AUGACUGAUUUCUUUUGGUGUUCAGAGUCAAUAUAAUUUUCUAGCACCAUCUGAAAUCGGUUAU(hsa−pre−mir−29a:選択肢(i));AUGACUGAUUUCUUUUGGUGUUCAGAGUCAAUAUAAUUUUCUAGCACCAUCUGAAAUCGGUUAUAAUGAUUGGGG(hsa−pre−mir−29a:選択肢(ii));CUUCAGGAAGCUGGUUUCAUAUGGUGGUUUAGAUUUAAAUAGUGAUUGUCUAGCACCAUUUGAAAUCAGUGUUCUUGGGGG(hsa−pre−mir−29b1);CUUCUGGAAGCUGGUUUCACAUGGUGGCUUAGAUUUUUCCAUCUUUGUAUCUAGCACCAUUUGAAAUCAGUGUUUUAGGAG(hsa−pre−mir−29b2);またはAUCUCUUACACAGGCUGACCGAUUUCUCCUGGUGUUCAGAGUCUGUUUUUGUCUAGCACCAUUUGAAAUCGGUUAUGAUGUAGGGGGA(hsa−pre−mir−29c)(配列中、成熟ガイド鎖配列には下線が施されている)を含む、請求項21に記載の方法。

請求項23

前記miR−29ミミックが、配列:UAGCACCAUCUGAAAUCGGUUA(hsa−miR−29a);UAGCACCAUUUGAAAUCAGUGUU(hsa−miR−29b1および2);もしくはUAGCACCAUUUGAAAUCGGUUA(hsa−miR−29c)(上記の各配列のシード配列には下線が施されている);または前記配列と:(i)前記シード配列内の3つ以下の位置;および(ii)前記シード配列外の5つ以下の位置で異なる配列を含むガイド鎖を含む、請求項2〜16のいずれか1項に記載の方法。

請求項24

前記腱細胞がテノサイトまたは腱芽細胞である、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。

請求項25

前記腱が腱傷害または腱障害罹患している、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。

請求項26

前記対象がヒトまたはウマである、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。

請求項27

前記罹患している腱が、アキレス腱棘上筋腱、総屈筋腱、総伸筋腱または浅屈筋腱である、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。

請求項28

腱治癒の調節が、腱の引張り強度を増大させることを含む、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。

請求項29

腱治癒を調節する方法に使用する、miR−29、そのミミックまたはいずれかの前駆体。

請求項30

腱治癒を調節するための薬物の製造における、miR−29、そのミミックまたはいずれかの前駆体の使用。

請求項31

腱治癒を調節する方法に使用する、miR−29、そのミミックまたはいずれかの前駆体をコードする核酸。

請求項32

腱治癒を調節するための薬物の製造における、miR−29、そのミミックまたはいずれかの前駆体をコードする核酸の使用。

技術分野

0001

本発明は、傷害治療および腱の生体力学的特性の調節のためのマイクロRNA29ならびにその前駆体およびミミックの使用に関する。

背景技術

0002

腱の障害を含めたよくみられる筋骨格病理の多くは、組織修復および炎症の調節不全が特徴となっている1。腱障害初期治療の筋骨格診察の原因としてよくみられるものであり2〜3、スポーツ外傷全体の30〜50%を占めている3。腱障害は、コラーゲン産生サブタイプ1から3に変化することにより、臨床的断裂前兆となり得る引張り強度の低下が生じることを特徴とする4。

0003

腱障害の発生および永続化には炎症性メディエーターが極めて重要であると考えられている5。炎症細胞系およびテノサイトには様々なサイトカイン発現することが明らかにされており、このことは、浸潤する集団常在する集団の両方が病理に関与することを示唆している6〜9。IL−6欠損マウスは正常対照と比較して腱治癒力学的特性が劣っている10が、ラット腱傷害モデルではTNF−α遮断により腱−骨治癒力の改善がみられる11。これらのデータは、サイトカイン標的化が治療的に有用であるという興味深い可能性をもたらすものであるが、現時点では、腱疾患におけるサイトカイン/マトリックス生物学的機構に関する理解は不十分であり、この可能性を実際に実現するには至っていない。

0004

インターロイキン33はIL−1サイトカインファミリーメンバーであり、自然免疫応答に重要な役割を果たしている。IL−33は内皮細胞および線維芽細胞に発現し、核内にクロマチンと共局在している12。IL−33は細胞損傷13および生体力学的過負荷14が加わると放出され、このため、「アラーミン」の1つであると考えられている15。IL−33は、肺疾患皮膚疾患および関節疾患を含めた様々な病理に関与すると考えられている16。IL−33は、膜結合型(mST2)または可溶型(sST2)で存在するその同族受容体ST2のほか、古典的なIL−1Rシグナル伝達カスケードを介して機能する。サイトカインは多くの場合、標的mRNA翻訳抑制および不安定化によって遺伝子発現を制御するマイクロRNA(miRNA)により転写後レベルで調節される17。幹細胞生物学、炎症、低酸素応答および血管新生において提唱される基本的役割を有し、組織修復の鍵となる恒常性調節因子として、マイクロRNAネットワークが浮上しつつある18。

0005

マイクロRNA(miR)は、翻訳の抑制(翻訳の阻害またはmRNA分解の誘導のいずれかを介するもの)を介して細胞機能に大きな影響を及ぼす小分子非コードRNAである。マイクロRNAは、RNA pol IIによって合成され長さ数千ヌクレオチドになり得る一次RNA転写産物(pri−miRNA)から生じる。単一のpri−miRNA転写産物から活性なmiRNAが2つ以上生じ得る。

0006

核内では、TypeIII型RNアーゼ酵素であるDroshaによってpri−miRNA転写産物がプロセシングされて、ステムループまたはヘアピン構造からなり長さが通常70〜100ヌクレオチド前後の前駆体miRNA(pre−miRNA)になる。次いで、pre−miRNAは細胞質輸送され、そこでRNアーゼであるDicerによってさらにプロセシングを受けてループが除去され、全体または一部が相補的な「パッセンジャー」鎖とハイブリダイズした活性な「ガイド」鎖(通常、長さ15〜25ヌクレオチド)を有する、成熟二本鎖miRNA分子が生じる。

0007

次いで、この成熟二本鎖miRNAがRNA誘導型サイレンシング複合体に組み込まれ、そこでガイド鎖が標的mRNAの結合部位とハイブリダイズする。

0008

ガイド鎖は標的結合部位と完全には相補的でなくてもよい。しかし、ガイド鎖の「シード配列」と呼ばれる領域は通常、標的結合部位の対応する配列と完全に相補的である。シード配列は通常、長さが2〜8ヌクレオチドであり、ガイド鎖の5’末端またはその付近(1または2ヌクレオチド以内)に位置する。

0009

対を形成していない一本鎖のガイド鎖でもRISCに組み込まれ得ると考えられている。このほか、パッセンジャー鎖にそのRISCへの組込みを阻害する修飾(例えば、糖、塩基または骨格構造への修飾)を施しても二本鎖miRNAによる標的阻害の効率が増大し得ると考えられている。

0010

腱傷害の治癒は、少なくとも一部の理由として、腱障害時にコラーゲン合成1型から3型に変化することにより、最適以下になることが多い。3型コラーゲンは力学的に1型コラーゲンに劣るため、腱の引張り強度の低下が生じる。コラーゲンサブタイプのバランスを調節して1型コラーゲンに戻すことができれば、腱の生体力学的特性が改善されるものと考えられる。

0011

miR−29はこれまで、線維症および強皮症などの様々な生物学的過程におけるコラーゲン合成の調節因子であると考えられてきた。しかし、本発明者らは、テノサイトには代わりにスプライス型の1型コラーゲン転写産物が含まれていることを初めて発見した。1a1型および1a2型コラーゲンに優勢な転写産物は、miR−29結合部位を含まない短い3’非翻訳領域(UTR)を有するものであるのに対し、3型コラーゲンの転写産物は、長いmiR−29感受性型で存在するものが圧倒的に多い。

0012

このため、テノサイトでの1型コラーゲンの合成がmiR−29によって受ける影響は、3型コラーゲンの合成よりもはるかに小さい。さらには、驚くべきことに、miR−29活性をアップレギュレートすることにより、コラーゲンサブタイプのバランスを1型コラーゲンに有利になるよう調節し、これにより、腱の引張り強度の低下を軽減または抑制し、腱の最終破断強度などの生体力学的特性を調節することが可能である。

0013

本発明は、その最も広範な形態では、腱の治癒および腱の生体力学的特性を調節するためのマイクロRNA−29(miR−29)ならびにその前駆体、ミミックおよびアゴニストの使用に関する。

0014

したがって、本発明は、腱治癒を調節するための方法を提供し、この方法は、腱細胞のmiR−29の発現または活性を増大させることを含む。これは、miR−29の送達標的細胞方向付けることにより、miR−29ミミックを送達することにより、あるいは標的細胞内でプロセシングを受けて活性なmiR−29またはmiR−29ミミックになる前駆体分子を送達することにより達成され得る。

0015

この方法は、腱細胞にmiR−29、そのミミックまたはいずれかの前駆体を送達する段階を含み得る。

0016

miR−29、ミミックまたは前駆体は、薬学的に許容される脂質またはポリマーなどの適切な担体分子とともに(例えば、担体分子と複合体を形成するか、それに封入されて)送達され得る。

0017

担体分子は、標的細胞の表面に結合することが可能な標的化剤をさらに含み得る。

0018

この方法は、腱細胞にmiR−29、そのミミックまたはいずれかの前駆体が発現するように、腱細胞に前記miR−29、ミミックまたは前駆体をコードする核酸を送達する段階を含み得る。

0019

あるいは、この方法は、内因性のmiR−29活性をアップレギュレートすることが可能なアゴニストを腱細胞に送達する段階を含み得る。

0020

記載される方法はいずれも、in vitro、in vivoまたはex vivoで実施され得る。最も典型的には、この方法は、対象に適切な組成物投与することによりin vivoで実施される。

0021

本発明はこのほか、腱治癒を調節する方法に使用するmiR−29、そのミミックまたはいずれかの前駆体を提供する。

0022

本発明はこのほか、腱治癒を調節する薬物の製造におけるmiR−29、そのミミックまたはいずれかの前駆体の使用を提供する。

0023

本発明はこのほか、腱治癒を調節する方法に使用するmiR−29、そのミミックまたはいずれかの前駆体をコードする核酸を提供する。

0024

本発明はこのほか、腱治癒を調節する薬物の製造におけるmiR−29、そのミミックまたはいずれかの前駆体をコードする核酸の使用を提供する。

0025

いずれの態様でもmiR−29は、miR−29a、miR−29b(b1および/またはb2)、miR−29cまたはその組合せであり得る。miR−29は、miR−29aまたはmiR−29aを含む組合せであるのが望ましいものであり得る。

0026

miR−96、ミミックまたは前駆体をコードする核酸は、の核酸として送達され得る。あるいは、miR−96、ミミックまたは前駆体をコードする核酸は、適切な担体分子、例えば薬学的に許容される脂質もしくはポリマーまたはその組合せなどとともに(例えば、それと複合体を形成するか、それに封入されて)送達され得る。いずれの場合も、核酸は通常、DNAである。

0027

担体分子は、標的細胞の表面に結合することが可能な標的化剤をさらに含み得る。

0028

あるいは、ウイルスベクターを介して、miR−96、ミミックまたは前駆体をコードする核酸を送達し得る。

0029

アデノウイルスベクターアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターレトロウイルス(特にレンチウイルス)ベクターおよびヘルペスウイルスベクターを含めた任意の適切な種類のウイルスベクターを使用し得る。アデノウイルスおよびレンチウイルスは、活発分裂していない細胞に送達した遺伝子(1つまたは複数)の発現を達成することが可能であることから、特に好ましいものであり得る。

0030

miR−29およびその前駆体
ヒトの3つの主要なアイソフォームはmiR−29a、miR−29b1、miR−29b2およびmiR−29cである。

0031

「miR−29」という用語は、本明細書では、上記3つのアイソフォームのいずれか1つの成熟「ガイド鎖」配列からなるRNAオリゴヌクレオチドを指すのに使用される。

0032

成熟ヒトmiR−29a(「hsa−miR−29a」)は配列:
UAGCACCAUCUGAAAUCGGUUA
を有する。

0033

成熟miR−29b1とmiR−29b2(「hsa−miR−29b1」と「hsa−miR−29b2」)は同一のものであり、配列:
UAGCACCAUUUGAAAUCAGUGUU
を有する。

0034

成熟ヒトmiR−29c(「hsa−miR−29c」)は配列:
UAGCACCAUUUGAAAUCGGUUA
を有する。

0035

マイクロRNAの命名には、マイクロRNAが由来する種を表す3文字接頭辞を含めるのが従来の方法である。したがって、「hsa」はヒト(Homo sapiens)を表す。上記の成熟miR29の配列は、を含めたほとんどの哺乳動物で同じようにみられるものである。

0036

4つの成熟ガイド鎖はいずれも、標的mRNAと結合し配列:
AGCACCA
を有する同じ「シード」領域を共通に持つ。

0037

miR−29ガイド鎖オリゴヌクレオチドは、一本鎖であるか、あるいは「パッセンジャー鎖」と呼ばれる第二のRNAオリゴヌクレオチとハイブリダイズしたものであり得る。ハイブリダイズした複合体では、ガイド鎖とパッセンジャー鎖が互いに逆並行になっており、「二本鎖miR−2」と呼ばれることがある。(ガイド鎖が分離して存在する場合、「一本鎖miR−29」と呼ばれることがある。)

0038

パッセンジャー鎖とガイド鎖には多数のミスマッチが含まれている場合があり、その結果、一方または両方の鎖のヌクレオチドがすべて他方の鎖の相補的なヌクレオチドとハイブリダイズするわけではない。したがって、二本鎖miR−96は、1つまたは複数のバルジ(バルジとは、1本のみの鎖にみられる対形成していない1つのヌクレオチドまたは対形成していない複数の連続するヌクレオチドのことである)または内部ループ(両鎖で相対する対形成していないヌクレオチド)を含み得る。ほかにも、末端の1つまたは複数のヌクレオチドが対形成していない場合がある。

0039

パッセンジャー鎖は、ガイド鎖のシード配列に100%相補的であり得る。

0040

天然のヒトパッセンジャー鎖は配列:
ACUGAUUUCUUUUGGUGUUCAG(miR29a)
GCUGGUUUCAUAUGGUGGUUUAGA(miR−29b1);
CUGGUUUCACAUGGUGGCUUAG(miR−29b2);および
UGACCGAUUUCUCCUGGUGUUC(miR−29c)
を有する。

0041

二本鎖miR−29の一方または両方の鎖が、例えば1ヌクレオチド、2ヌクレオチドまたは3ヌクレオチドの3’オーバーハングを含み得る。つまり、鎖の3’末端にある1つまたは2つのヌクレオチドが相補鎖の最も5’側のヌクレオチド(対形成していない任意の末端ヌクレオチドを含む)を超えて伸長しており、このため、相補鎖に対応するヌクレオチドがない。例えば、両方の鎖が1ヌクレオチド、2ヌクレオチドまたは3ヌクレオチドの3’オーバーハングを含み得る。あるいは、複合体は、一端または両端が平滑末端であり得る。いくつかの実施形態では、パッセンジャー鎖は、ガイド鎖と同じ長さであるか、あるいは2本の鎖の間のミスマッチの程度および任意の3’オーバーハングの長さに応じて、長さが例えば最大5ヌクレオチドまたはそれ以上異なる。

0042

miR−29の前駆体は、3つのアイソフォームのうちのいずれかのpre−mir−29およびpri−mir−29ならびにプロセシングを受けて成熟miR−29(一本鎖であるか二本鎖であるかを問わない)になり得るそのフラグメントおよび変異体を含む。

0043

「pre−mir−29」という用語は、任意の完全長哺乳動物pre−mir−29配列またはループ配列によって全体もしくは一部がガイド配列に相補的な対応するパッセンジャー配列と接続された成熟miR−29ガイド配列を含むそのフラグメントもしくは変異体からなるRNAオリゴヌクレオチドを指すのに使用され、ここでは、オリゴヌクレオチドは、ガイド配列とパッセンジャー配列が互いにハイブリダイズするステムループ構造(または「ヘアピン」)を形成することが可能である。

0044

pre−mir−29は、二本鎖RNA特異的リボヌクレアーゼ(III型RNアーゼ酵素)であるDicerの基質としての役割を果たし、プロセシングを受けて成熟二本鎖miR−29になることが可能である。

0045

完全長哺乳動物pre−mir−29配列はヒト配列
AUGACUGAUUUCUUUUGGUGUUCAGAGUCAAUAUAAUUUUCUAGCACCAUCUGAAAUCGGUUAU(hsa−pre−mir−29a:選択肢(i));
AUGACUGAUUUCUUUUGGUGUUCAGAGUCAAUAUAAUUUUCUAGCACCAUCUGAAAUCGGUUAUAAUGAUUGGGG(hsa−pre−mir−29a:選択肢(ii));
CUUCAGGAAGCUGGUUUCAUAUGGUGGUUUAGAUUUAAAUAGUGAUUGUCUAGCACCAUUUGAAAUCAGUGUUCUUGGGGG(hsa−pre−mir−29b1);
CUUCUGGAAGCUGGUUUCACAUGGUGGCUUAGAUUUUUCCAUCUUUGUAUCUAGCACCAUUUGAAAUCAGUGUUUUAGGAG(hsa−pre−mir−29b2);および
AUCUCUUACACAGGCUGACCGAUUUCUCCUGGUGUUCAGAGUCUGUUUUUGUCUAGCACCAUUUGAAAUCGGUUAUGAUGUAGGGGGA(hsa−pre−mir−29c)
を含む。

0046

対応する成熟ガイド鎖配列には下線が施されている。

0047

pre−mir−29は、示される配列と比較して、成熟配列外に1つまたは複数の改変を有し得る。

0048

成熟配列の上流(5’)にある配列は、対応するヒト配列と例えば、少なくとも50%の同一性、少なくとも55%の同一性、少なくとも60%の同一性、少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性または少なくとも99%の同一性を有し得る。

0049

例えば、miR−29a成熟配列の上流(5’)にある配列は、対応する5’ヒト配列と最適に整列させたとき、これと最大20ヌクレオチド、例えば1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチド、10ヌクレオチド、11ヌクレオチド、12ヌクレオチド、13ヌクレオチド、14ヌクレオチド、15ヌクレオチド、16ヌクレオチド、17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、19ヌクレオチドまたは20ヌクレオチド異なり得る。

0050

miR−29b1またはmiR−29b2成熟配列の上流の配列は、対応する5’ヒト配列と最適に整列させたとき、これと最大25ヌクレオチド、例えば、1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチド、10ヌクレオチド、11ヌクレオチド、12ヌクレオチド、13ヌクレオチド、14ヌクレオチド、15ヌクレオチド、16ヌクレオチド、17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、19ヌクレオチド、20ヌクレオチド、21ヌクレオチド、22ヌクレオチド、23ヌクレオチド、24ヌクレオチドまたは25ヌクレオチド異なり得る。

0051

miR−29c成熟配列の上流にある配列は、対応する5’ヒト配列と最適に整列させたとき、これと最大25ヌクレオチド、例えば1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチド、10ヌクレオチド、11ヌクレオチド、12ヌクレオチド、13ヌクレオチド、14ヌクレオチド、15ヌクレオチド、16ヌクレオチド、17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、19ヌクレオチド、20ヌクレオチド、21ヌクレオチド、22ヌクレオチド、23ヌクレオチド、24ヌクレオチドまたは25ヌクレオチド異なり得る。

0052

成熟配列の下流(3’)にある配列は、対応するヒト配列と例えば、少なくとも50%の同一性、少なくとも55%の同一性、少なくとも60%の同一性、少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性または少なくとも99%の同一性を有し得る。

0053

miR−29a成熟配列の下流(3’)にある配列は、3’ヒト配列と同じであっても異なっていてもよい。この配列は、上に示した2つの配列のうち短い方の配列、すなわち選択肢(i)にみられるヌクレオチドと異なるヌクレオチドであり得る。この配列は、選択肢(i)に示される配列よりも長いものであり得る。例えば、この配列は、上に示した(ii)の対応する3’配列と最大6ヌクレオチド異なり得る。

0054

miR−29b1またはmiR−29b2成熟配列の下流(3’)にある配列は、対応する3’ヒト配列と最適に整列させたとき、これと最大4ヌクレオチド、例えば1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチドまたは4ヌクレオチド異なり得る。

0055

miR−29c成熟配列の下流(3’)にある配列は、対応する3’ヒト配列と最適に整列させたとき、これと最大7ヌクレオチド、例えば1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、6ヌクレオチドまたは7ヌクレオチド異なり得る。

0056

「pri−mir−29」という用語は、任意の完全長哺乳動物pri−mir−29配列またはpre−mir−29配列を含み、二本鎖RNA特異的リボヌクレアーゼ(III型RNアーゼ酵素)であるDroshaによるプロセシングを受けてpre−mir−29配列になることが可能なそのフラグメントもしくは変異体からなるRNAオリゴヌクレオチドを指すのに使用される。

0057

単一の転写産物は、プロセシングを受けて2つ以上のmir−29分子、そのミミックまたは前駆体になることが可能なものであり得る。

0058

hsa−mir29aおよびmir29b1は、GenBankアクセッション番号EU154353(EU154353.1GI:161824377)を有する転写産物の最終エキソンにコードされている。mir29aおよびmir29b1をコードする領域とこれに隣接する配列を下に示す。(Hsa−mir29aは太字大文字フォントで示されており、成熟miR−29a配列には下線が施されている。Hsa−mir29bは太字フォントで示されており、miR−29bには下線が施されている。)

0059

0060

hsa−pri−miR29b2およびhsa−pri−mir29cは下に示す単一の転写産物にコードされている。hsa−mir29b2は太字フォントで示されており、成熟hsa−miR−29b2には下線が施されている。hsa−mir29cは太字の太字フォントで示されており、成熟hsa−miR−29cには下線が施されている。

0061

0062

したがって、pri−mir−29は2つ以上の成熟miR−29またはミミック配列を含み得る。例えば、pri−mir−29は、miR−29aとmiR−29b1もしくはそのミミックまたはmiR−29b2とmiR−29cもしくはそのミミックを含み得る。

0063

あるいは、pri−mir−29は、そのミミックの成熟miR−29配列を1つのみ含み得る。

0064

pri−mir−29は、上に示したpri−mir−29配列のいずれかまたは成熟miR−29配列のうちの1つを含むこれらの配列のうちの1つのフラグメントと少なくとも50%の同一性、少なくとも55%の同一性、少なくとも60%の同一性、少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性または少なくとも99%の同一性を有し得る。

0065

pri−mir−29は、示される配列と比較して、成熟配列外または天然のpre−mir−29配列外に1つまたは複数の改変を有し得る。

0066

例えば、成熟配列の上流(5’)にある配列は、対応するヒト配列と例えば、少なくとも50%の同一性、少なくとも55%の同一性、少なくとも60%の同一性、少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性または少なくとも99%の同一性を有し得る。

0067

pre−mir−29配列の上流(5’)にある配列は、対応するヒト配列と例えば、少なくとも50%の同一性、少なくとも55%の同一性、少なくとも60%の同一性、少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性または少なくとも99%の同一性を有し得る。

0068

成熟配列の下流(3’)にある配列は、対応するヒト配列と例えば、少なくとも50%の同一性、少なくとも55%の同一性、少なくとも60%の同一性、少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性または少なくとも99%の同一性を有し得る。

0069

天然のpre−mir−29配列の下流(3’)にある配列は、対応するヒト配列と例えば、少なくとも50%の同一性、少なくとも55%の同一性、少なくとも60%の同一性、少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性または少なくとも99%の同一性を有し得る。

0070

miR−29前駆体は、それがプロセシングを受けて成熟miR−29(一本鎖であるか二本鎖であるかを問わない)になり得る限り、任意の適切な長さであってよい。したがって、miR−29a前駆体は、長さが少なくとも23ヌクレオチドであり、miR29b前駆体は、長さが少なくとも24ヌクレオチドであり、miR−29c前駆体は、長さが少なくとも25ヌクレオチドである。

0071

miR29前駆体は、長さが少なくとも25ヌクレオチド、少なくとも30ヌクレオチド、少なくとも35ヌクレオチド、少なくとも40ヌクレオチド、少なくとも45ヌクレオチド、少なくとも50ヌクレオチド、少なくとも55ヌクレオチド、少なくとも60ヌクレオチド、少なくとも65ヌクレオチド、少なくとも70ヌクレオチド、少なくとも75ヌクレオチド、少なくとも80ヌクレオチド、少なくとも85ヌクレオチド、少なくとも90ヌクレオチド、少なくとも95ヌクレオチド、少なくとも100ヌクレオチド、少なくとも110ヌクレオチド、少なくとも120ヌクレオチド、少なくとも130ヌクレオチド、少なくとも140ヌクレオチド、少なくとも150ヌクレオチド、少なくとも200ヌクレオチド、少なくとも250ヌクレオチド、少なくとも300ヌクレオチド、少なくとも350ヌクレオチド、少なくとも400ヌクレオチド、少なくとも450ヌクレオチド、少なくとも500ヌクレオチド、少なくとも1000ヌクレオチド、少なくとも1500ヌクレオチドまたは少なくとも2000ヌクレオチドであり得る。

0072

あるいは、前駆体は、長さが最大25ヌクレオチド、30ヌクレオチド、35ヌクレオチド、40ヌクレオチド、45ヌクレオチド、50ヌクレオチド、55ヌクレオチド、60ヌクレオチド、65ヌクレオチド、70ヌクレオチド、75ヌクレオチド、80ヌクレオチド、85ヌクレオチド、90ヌクレオチド、95ヌクレオチド、100ヌクレオチド、110ヌクレオチド、120ヌクレオチド、130ヌクレオチド、140ヌクレオチド、150ヌクレオチド、200ヌクレオチド、250ヌクレオチド、300ヌクレオチド、350ヌクレオチド、400ヌクレオチド、450ヌクレオチド、500ヌクレオチド、1000ヌクレオチド、1500ヌクレオチド、2000ヌクレオチドまたは2500ヌクレオチドであり得るが、さらに長い前駆体転写産物も考えられる。

0073

「オリゴヌクレオチド」という用語は、任意の特定の長さを示すことを意図するものではなく、単に任意の単一の連続して連結されたヌクレオチド鎖を指すのに使用されるものであることに留意するべきである。

0074

miR−29ミミックおよびその前駆体
miR−29ミミックとは、天然に存在するmiR−29と比較して、構造または配列に1つまたは複数の改変を有するが、miR−29によって調節されるmRNAのmiR−29結合部位とハイブリダイズする能力およびこのようなmRNAの翻訳を阻害するか、その分解を促進して、例えば、そのmRNAによってコードされるタンパク質の産生を阻害する能力を保持している、オリゴヌクレオチドのことである。miR−29によって調節されるmRNAとしては3型コラーゲン(Col3a1)が挙げられる。

0075

miR−29結合部位としては:
CCAUUUUAUACCAAAGGUGCUAC(Col1a1mRNA由来);
UGUUCAUAAUACAAAGGUGCUAA(Col1a2 mRNA由来);および
UUCAAAAUGUCUCAAUGGUGCUA(col3a1 mRNA由来)
が挙げられる。

0076

miR−29ミミックオリゴヌクレオチドは通常、長さが15〜35ヌクレオチド、例えば、長さが15〜30ヌクレオチド、15〜25ヌクレオチド、18〜25ヌクレオチド、20〜25ヌクレオチド、例えば20〜23ヌクレオチド、例えば20ヌクレオチド、21ヌクレオチド、22ヌクレオチドまたは23ヌクレオチドである。

0077

miR−29ミミックは、天然のmiR−29成熟配列のうちの1つと比較して、塩基配列、ヌクレオチドの構造および/または骨格の結合が異なり得る。

0078

miR−29ミミックは、天然のシード配列:
AGCACCA
と同一であり得るか、天然のシード配列と最大3つの位置、例えば2つ以下の位置、例えば1つ以下の位置で異なり得る、シード配列を含む。好ましくは、シード配列は示されるシード配列と同一である。

0079

miR−29ミミックは、天然の成熟miR−29ガイド配列、例えば:
UAGCACCAUCUGAAAUCGGUUA(hsa−miR−29a);
UAGCACCAUUUGAAAUCAGUGUU(hsa−miR−29b1およびhsa−miR−29b2);もしくは
UAGCACCAUUUGAAAUCGGUUA(hsa−miR−29c);など
(上記の各配列のシード配列には下線が施されている);
を有するオリゴヌクレオチドまたは天然の成熟配列と:
(i)シード配列内の3つ以下の位置;および
(ii)シード配列外の5つ以下の位置
で異なるオリゴヌクレオチドを含むか、これよりなるものであり得る。

0080

したがって、ミミックシード配列は、天然のシード配列と3つ以下の位置、例えば2つ以下の位置、例えば1つ以下の位置で異なる。好ましくは、シード配列は天然のシード配列と同一である。

0081

上記のものに加えて、またはこれに代えて、ミミックは、シード配列外の天然の配列と5つ以下の位置、例えば4つ以下の位置、3つ以下の位置、2つ以下の位置、例えば1つ以下の位置で異なる。

0082

miR−29ミミックは第二のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズし得る。天然のmiR−29と同じく、活性なオリゴヌクレオチドは「ガイド鎖」、その結合オリゴヌクレオチドは「パッセンジャー鎖」と呼ばれ得る。ハイブリダイズした複合体は、二本鎖miR−29ミミックと呼ばれ得る。

0083

ミミックパッセンジャー鎖の配列は、天然のパッセンジャー鎖の配列と同一であっても、あるいは天然のパッセンジャー鎖と1つまたは複数の位置で異なっていてもよい。例えば、ミミックパッセンジャー鎖の配列は、天然のパッセンジャー鎖と10個以下の位置、9つ以下の位置、8つ以下の位置、7つ以下の位置、6つ以下の位置、5つ以下の位置、4つ以下の位置、3つ以下の位置、2つ以下の位置または1つ以下の位置で異なり得る。

0084

二本鎖miR−29ミミックの一方または両方の鎖が、1ヌクレオチドまたは2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含み得る。例えば、両方の鎖が2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含み得る。あるいは、複合体は、一端または両端が平滑末端であり得る。いくつかの実施形態では、パッセンジャー鎖は、ガイド鎖と同じ長さであるか、長さが1ヌクレオチドまたは2ヌクレオチド異なる。

0085

miR−29ミミックの前駆体とは、標的細胞内で通常、酵素Dicerの作用によって、あるいは酵素DroshaおよびDicerの連続的な作用によってプロセシングを受けて、上で定義したmiR−29ミミックになり得る、任意の分子のことである。

0086

したがって、前駆体は、ミミック配列の上流(5’)および/または下流(3’)に追加のオリゴヌクレオチド配列を有し得る。

0087

前駆体は、ループ配列によって全体または一部がガイド配列に相補的な対応するパッセンジャー配列と接続されたmiR−29ミミックガイド配列を含み得るものあり、ここでは、オリゴヌクレオチドは、ガイド配列とパッセンジャー配列が互いにハイブリダイズするステムループ構造(または「ヘアピン」)を形成することが可能である。このようなオリゴヌクレオチドはpre−mir−29ミミックと見なされ得るものであり、二本鎖RNA特異的リボヌクレアーゼ(III型RNアーゼ酵素)であるDiceの基質としての役割を果たし、プロセシングを受けて、分離したガイド鎖とパッセンジャー鎖とを含む二本鎖miR−29ミミックになることが可能である。

0088

成熟配列の上流(5’)にある配列は、対応するヒト配列と例えば、少なくとも50%の同一性、少なくとも55%の同一性、少なくとも60%の同一性、少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性または少なくとも99%の同一性を有し得る。

0089

成熟配列の下流(3’)にある配列は、対応するヒト配列と例えば、少なくとも50%の同一性、少なくとも55%の同一性、少なくとも60%の同一性、少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性または少なくとも99%の同一性を有し得る。

0090

あるいは、前駆体は、pri−mir−29ミミックであり(すなわち、pre−mir−29ミミック配列の上流(5’)および/または下流(3’)に追加のオリゴヌクレオチド配列を有する)、二本鎖RNA特異的リボヌクレアーゼ(III型RNアーゼ酵素)であるDroshaによるプロセシングを受けてpre−mir−29ミミック配列になることが可能なものであり得る。

0091

例えば、成熟miR−29ミミック配列の上流(5’)にある配列は、対応するヒト配列と例えば、少なくとも50%の同一性、少なくとも55%の同一性、少なくとも60%の同一性、少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性または少なくとも99%の同一性を有し得る。

0092

pre−mir−29ミミック配列の上流(5’)にある配列は、対応するヒト配列と例えば、少なくとも50%の同一性、少なくとも55%の同一性、少なくとも60%の同一性、少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性または少なくとも99%の同一性を有し得る。

0093

成熟miR−29ミミック配列の下流(3’)にある配列は、対応するヒト配列と例えば、少なくとも50%の同一性、少なくとも55%の同一性、少なくとも60%の同一性、少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性または少なくとも99%の同一性を有し得る。

0094

pre−mir−29ミミック配列の下流(3’)にある配列は、対応するヒト配列と例えば、少なくとも50%の同一性、少なくとも55%の同一性、少なくとも60%の同一性、少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性または少なくとも99%の同一性を有し得る。

0095

miR−29ミミック前駆体は、それがプロセシングを受けて成熟miR−29ミミック(一本鎖であるか二本鎖であるかを問わない)になり得る限り、任意の適切な長さであってよい。したがって、前駆体は、長さが少なくとも23ヌクレオチドであるほか、長さが少なくとも25ヌクレオチド、少なくとも30ヌクレオチド、少なくとも35ヌクレオチド、少なくとも40ヌクレオチド、少なくとも45ヌクレオチド、少なくとも50ヌクレオチド、少なくとも55ヌクレオチド、少なくとも60ヌクレオチド、少なくとも65ヌクレオチド、少なくとも70ヌクレオチド、少なくとも75ヌクレオチド、少なくとも80ヌクレオチド、少なくとも85ヌクレオチド、少なくとも90ヌクレオチド、少なくとも95ヌクレオチド、少なくとも100ヌクレオチド、少なくとも110ヌクレオチド、少なくとも120ヌクレオチド、少なくとも130ヌクレオチド、少なくとも140ヌクレオチド、少なくとも150ヌクレオチド、少なくとも200ヌクレオチド、少なくとも250ヌクレオチド、少なくとも300ヌクレオチド、少なくとも350ヌクレオチド、少なくとも400ヌクレオチド、少なくとも450ヌクレオチド、少なくとも500ヌクレオチド、少なくとも1000ヌクレオチド、少なくとも1500ヌクレオチドまたは少なくとも2000ヌクレオチドであり得る。

0096

あるいは、前駆体は、長さが最大25ヌクレオチド、30ヌクレオチド、35ヌクレオチド、40ヌクレオチド、45ヌクレオチド、50ヌクレオチド、55ヌクレオチド、60ヌクレオチド、65ヌクレオチド、70ヌクレオチド、75ヌクレオチド、80ヌクレオチド、85ヌクレオチド、90ヌクレオチド、95ヌクレオチド、100ヌクレオチド、110ヌクレオチド、120ヌクレオチド、130ヌクレオチド、140ヌクレオチド、150ヌクレオチド、200ヌクレオチド、250ヌクレオチド、300ヌクレオチド、350ヌクレオチド、400ヌクレオチド、450ヌクレオチド、500ヌクレオチド、1000ヌクレオチド、1500ヌクレオチド、2000ヌクレオチドまたは2500ヌクレオチドであり得る。

0097

構造改変
上記の配列改変に加えて、またはこれに代えて、miR−29ミミックまたはその前駆体は、RNAオリゴヌクレオチドと比較して1つまたは複数の構造改変を含み得る。

0098

miR−29ミミックまたは前駆体は、改変糖残基、すなわちリボース残基以外の糖を含む1つまたは複数のヌクレオチドを含み得る。このような改変糖残基の例としては、2’−O−メチルリボース、2’−O−メトキシエチルリボース、2’−フルオロ−リボースおよび4−チオ−リボースならびに二環式糖が挙げられる。二環式糖は通常、環をC3’エンド構造に制限する2’,4’架橋(例えば、メチレン架橋)を有するフラノシル環を含む。二環式糖を含むヌクレオチドはロックト核酸(「LNA」)残基と呼ばれることが多い。

0099

miR−29ミミックまたは前駆体は、上に挙げた種類の改変糖残基のいずれかまたはすべてのうちの1つまたは複数を独立して含み得る。例えば、ミミックは、改変糖残基を1個、2個、3個、4個、5個、最大10個、最大15個、最大20個またはそれ以上含み得る。ある特定の実施形態では、全ヌクレオチドが改変糖残基を含む。

0100

上記のものに加えて、またはこれに代えて、miR−29ミミックまたは前駆体は、1つまたは複数の骨格改変、例えば、改変ヌクレオシド間結合を含み得る。

0101

したがって、1つまたは複数の隣接したヌクレオチドが、リン酸部分の代わりに代替的結合部分を介して結合し得る。

0102

改変ヌクレオシド間結合は、miR−29ミミックの一端または両端、すなわち、5’末端ヌクレオチドとこれに隣接するヌクレオチドとの間および/または3’末端ヌクレオチドとこれに隣接するヌクレオチドとの間に存在するのが特に好ましいものであり得る。

0103

ヌクレオシド間結合として用いるのに適した部分としては、ホスホチオアート部分、モルホリノ部分およびホスホノカルボキシラート部分のほかにも、シロキサン部分、スルフィド部分、スルホキシド部分、スルホン部分、アセチル部分、ホルムアセチル部分、チオホルムアセチル部分、メチレンホルムアセチル部分、チオホルムアセチル部分、アルケニル部分、スルファマート部分、メチレンイミノ部分、メチレンヒドラジノ部分、スルホナート部分およびスルホンアミド部分が挙げられる。

0104

ホスホロチオアート部分では、非架橋酸素原子硫黄原子に置き換わっている。ホスホロチオアート基は、血清タンパク質結合を促進し得るため、ミミックのin vivo分布およびバイオアベイラビリティを改善し得る。このことは、ミミックを被投与者全身投与する場合に望ましいものであり得る。

0105

上記のものに加えて、またはこれに代えて、miR−29ミミックまたは前駆体は、天然に存在するアデニンシトシングアニンおよびウラシル代わるものとして、1つまたは複数の改変塩基を含み得る。このような改変塩基としては、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシンキサンチンヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6−メチルをはじめとするアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2−プロピルをはじめとするアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニルウラシルおよびシトシンをはじめとするピリミジン塩基アルキニル誘導体、6−アゾウシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(プソイドウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルをはじめとする8−置換アデニンおよびグアニン、5−ハロ(5−ブロモ、5−トリフルオロメチルをはじめとする5−置換ウラシルおよびシトシンを含む)、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、2−F−アデニン、2−アミノ−アデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニンおよび3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンが挙げられる。

0106

パッセンジャー鎖の改変が多いほど、それがRISC複合体に組み込まれる可能性が低くなり、このため、ガイド鎖の効果が高くなることが示唆されている。したがって、ガイド鎖が天然のmiR−29であっても、パッセンジャー鎖が1つもしくは複数の改変、例えば、1つもしくは複数の改変糖残基、1つもしくは複数の改変ヌクレオシド間結合および/または1つもしくは複数の改変塩基を含むのが望ましいものであり得る。

0107

上記のものに加えて、またはこれに代えて、miR−29ミミックまたは前駆体は、標的細胞の細胞膜横断して通過するのを促進する膜通過部分を含み得る。この部分は、特に限定されないがコレステロール部分およびステアロイル部分を含めた、適切な脂質部分をはじめとする脂肪部分であり得る。

0108

これ以外の膜通過部分としては、細胞透過性ペプチド(「CPP」、例えばHIV−1のTATおよびMPGペネトラチンポリアルギニンなど)および膜融合ペプチド(例えば、HIV−1エンベロープ(HGP)のエンドドメイン誘導体またはインフルエンザ膜融合ペプチド(diINF−7))が挙げられる。膜通過部分をmiR−29ミミックまたは前駆体そのものと非共有結合的に結合する担体分子とコンジュゲートしてもよい。あるいは、膜通過部分をmiR−29ミミックまたは前駆体そのものとコンジュゲートしてもよい。

0109

膜通過部分は、ガイド鎖またはパッセンジャー鎖のいずれとコンジュゲートしてもよいが、ガイド鎖の機能を損なわないためにはパッセンジャー鎖が好ましい。5’末端でのコンジュゲーションまたは3’末端でのコンジュゲーションのいずれも好ましいものであり得るが、内部の残基とのコンジュゲーションも可能である。

0110

誤解を避けるために、miR−29分子(すなわち、ほかに天然の分子と構造的にも配列的にも全く差がない)は、膜通過部分と連結されている場合、miR−29ミミックまたは前駆体であると見なされる。

0111

miR−29ミミックの一例にはガイド鎖:
5’−rUrArGrCrArCrCrArUrCrUrGrArArArUrCrGrGmUmUmA−3’
であり、配列中、「r」はリボース糖を表し、「m」は2’−O−メチルリボースを表す。

0112

ガイド鎖は、パッセンジャー鎖と組み合わさった二本鎖miR−29ミミックの一部であり得る。適切なパッセンジャー鎖の例には:
5’mAmCrCmGrAmUrUmUrCmArGmArUmGrGmUrGmCrUA−3’
および
5’−mAmCrCmGrAmUrUmUrCmArGmArUmGrGmUrGmCrUmAdG−3’
がある。

0113

miR−29、ミミックおよび前駆体の送達
miR−29、ミミックおよび前駆体が適切な担体と結合した(例えば、担体と複合体を形成しているか、担体に封入された)組成物が提供され得る。

0114

適切な担体としては、薬学的に許容される脂質およびポリマーならびにその組合せが挙げられる。例えば、組成物は、リポソーム脂質小胞脂質複合体またはポリマー複合体の形態を有し得る。

0115

例えば、脂質小胞およびリポソームは、オリゴヌクレオチドカーゴを含んだ水性コアを有する脂質二重層粒子である。

0116

脂質複合体(または「リポプレックス」)およびポリマー複合体(「ポリプレックス」)には通常、正に帯電した脂質またはポリマーが含まれており、これが負に帯電したオリゴヌクレオチドと相互作用して複合体を形成する。

0117

カチオン性のポリマーまたは脂質はほかにも、標的細胞の表面にある負荷電分子と相互作用し得る。脂質および頭部基を適切に選択することにより、標的細胞の細胞膜または選択した内部膜エンドソーム膜または核膜など)との融合を容易にするよう複合体を適合させて、しかるべき細胞内区画へのオリゴヌクレオチドカーゴの送達を容易にすることができる。リポプレックスおよびポリプレックスによる遺伝子送達については、例えば、Eur.J.Pharm.Sci.40(2010)159−170でTros de Ilarduyaらにより概説されている。

0118

ほかにも、中性脂質エマルジョンを用いて、直径がナノメートルの桁となるmiRNAとの粒子状複合体を形成させ得る。

0119

しかるべき脂質は、用途、カーゴおよび標的細胞に応じて当業者により選択され得る。単一の脂質を用いても、あるいはより一般的に、脂質を組み合わせて用いてもよい。

0120

例えば国際公開第2011/088309号およびそこに引用されている参考文献には、適切な脂質が記載されており、これには以下のものが含まれる:
−中性脂質およびリン脂質、例えばスフィンゴミエリンホスファチジルコリンホスファチジルエタノールアミンホスファチジルセリンホスファチジルイノシトールホスファチジン酸パルミトイルオレオイルホスファトルコリン(palmitoyloleoyl phosphatdylcholine)、リゾホスファチジルコリンリゾホスファチジルエタノールアミンジパルミトイルホスファチジルコリンジオレオイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリンジリノレオイルホスファチジルコリン、ホスファチジルコリン(PC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスフォコリンDOPC)、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、スフィノゴミエリン(sphinogomyelin)(SM)、カルジオリピン、ホスホスファチジン酸(phosphosphatidic acid)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスフォコリン(DSPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンDPPE)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスフォコリン(POPC)、1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスフォコリン(DLPC)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスフォコリン(DMPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスフォコリン(DPPC)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DMPE)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DOPE)、ジパルミトオレオイル−PE、ジフィタノイル−PE、DSPE、ジエライドイル−PE、ジリノレオイル−SMおよびジリノレオイル−PEなど;
ステロール、例えばコレステロール
ポリマー修飾脂質、例えば、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジン酸、PEG−セラミドコンジュゲート、PEG修飾ジアルキルアミンおよびPEG修飾1,2−ジアシルオキシプロパン−3−アミンを含めたポリエチレングリコール(PEG)修飾脂質。特に適切なものとして、PEG修飾ジアシルグリセロールおよびジアルキルグリセロール、例えば、PEG−ジジミリストイルグリセロール(didimyristoyl glycerol)(PEG−DMG)、PEG−ジスチリルグリセロール(PEG−DSG)およびPEG−カルバモイル−1,2−ジミリスチルオキシプロピルアミン(PEG−cDMA);
カチオン性脂質、例えばN,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド(「DODAC」);N−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル−N,N−N−トリエチルアンモニウムクロリド(「DOTMA」);N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミド(「DDAB」);N−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(「DOTAP」);1,2−ジオレイルオキシ−3−トリメチルアミノプロパンクロリド塩(「DOTAP.C1」);3β−(N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル)コレステロール(「DC−Chol」)、N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N−2−(スペルミンカルボキサミドエチル)−N,N−ジメチルアンモニウムトリフルオロアセタート(「DOSPA」)、ジオクタデシルアミドグリシルカルボキシスペルミン(「DOGS」)、1,2−ジレオイル(dileoyl)−sn−3−ホスホエタノールアミン(「DOPE」)、1,2−ジオレオイル−3−ジメチルアンモニウムプロパン(「DODAP」)、N,N−ジメチル−2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(「DODMA」)、N−(1,2−ジミリスチルオキシプロパ−3−イル)−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(「DMRIE」)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)1,2−ジリノレオイル−3−ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1−リノレオイル−2−リノエイルオキシ(linoeyloxy)−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−2−DMAP)、1,2−ジリノレイルカルバモイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−C−DAP)、1,2−ジリノレイルチオ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−S−DMA)および2,2−ジリノレイル−4−10ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)など。市販されているカチオン性脂質の調製物としては、Lipofectin(商標)(DOTMAとDOPEとを含む、Gibco/BRL社から入手可能)およびLipofectamine(商標)(DOSPAとDOPEとを含む、Gibco/BRL社から入手可能)が挙げられる。
ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N−ドデカノイルホスファチジルエタノロアミン(dodecanoyl phosphatidylethanoloamine)、N−スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N−グルタリルホスファチジルエタノールアミンおよびリシルホスファチジルグリセロールを含めたアニオン性脂質

0121

国際公開第0071096号には、DOTAP:オリゴヌクレオチド送達に効率的に使用し得るコレステロールまたはコレステロール誘導体などの様々な製剤が記載されている。

0122

miRNAをに良好に送達することが可能な市販の組成物には、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスフォコリンと、スクアレン油と、ポリソルベート20と、抗酸化剤とからなる中性脂質エマルジョン、MaxSuppressor in vivo RNALancerII(BIOO Scientific社、オースティン、テキサス州)がある。この組成物は、合成miRNAとの複合体において直径がナノメートルの範囲内のナノ粒子を形成する。

0123

適切なポリマーとしては、ヒストンおよびプロタミン(およびその他のDNA結合タンパク質)、ポリエチレンイミン)(PEI)、ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーなどのカチオン性デンドリマー、2−ジメチル(アミノエチルメタクリラート(pDMAEM)、ポリ(L−リジン)(PLL)、キトサンなどの炭水化物系ポリマーなどが挙げられる。概説については、Tros de IlarduyaらのEur.J.Pharm.Sci.40(2010)159−17を参照されたい。

0124

このほか、アテロコラーゲンなどのタンパク質およびペプチドを使用することができる。アテロコラーゲンは、プロテアーゼ処理、特にペプシン処理した仔ウシ真皮由来I型コラーゲンによって得られる水溶性型のコラーゲンである。

0125

このほか、シクロデキストリンを送達に用いてもよい。

0126

標的化剤
担体分子はほかにも、標的細胞の表面に結合することが可能な標的化剤を運搬し得る。例えば、標的化剤は、標的腱細胞の表面に発現する分子と特異的に結合することが可能な特異的結合パートナーであり得る。適切な結合パートナーとしては、細胞表面分子またはこのような細胞表面分子のリガンドもしくは受容体に対する抗体などが挙げられる。腱細胞への標的化を補助し得る表面マーカーとしては、テネイシンC、CD55およびテノモジュリンが挙げられる。

0127

特異的結合ペア」という用語は、互いに特有特異性を有し、通常条件では他の分子との結合よりも優先的に互いに結合する特異的結合メンバー(sbm)とその結合パートナー(bp)とを含む、1対の分子を表すのに使用される。特異的結合ペアの例には、抗体とそのコグネイトエピトープ抗原、リガンド(ホルモンなど)と受容体、アビジンストレプトアビジンビオチンレクチン炭水化物および相補的なヌクレオチド配列がある。

0128

全抗体のフラグメントが抗原結合機能を発揮し得ることはよく知られている。機能的結合フラグメントの例には、(i)VL,VH,CLおよびCH1の各ドメインからなるFabフラグメント;(ii)VHドメインとCH1ドメインとからなるFdフラグメント;(iii)単一抗体のVLドメインとVHドメインとからなるFvフラグメント;(iv)VHドメインからなるdAbフラグメント(Ward,E.S.ら,Nature 341,544−546(1989));(v)単離CDR領域;(vi)連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメントであるF(ab’)2フラグメント;(vii)VHドメインとVLドメインとを結合させて抗原結合部位を形成させるペプチドリンカーによって両ドメインが連結された、一本鎖Fv分子(scFv)(Birdら,Science,242,423−426,1988;Hustonら,PNAS USA,85,5879−5883,1988);(viii)二重特異性一本鎖Fv二量体(国際出願PCT/US92/09965号)ならびに(ix)遺伝子融合により構築された多価または多重特異性フラグメントである「ダイアボディ」(国際公開第94/13804号;P.Holligerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90 6444−6448,1993)がある。

0129

抗体は多数の方法で改変することができるため、したがって、「抗体」という用語は、必要とされる特異性を有する結合ドメインを有する任意の特異的結合物質に適用されるものとして解釈されるべきである。したがって、この用語は、上記の抗体フラグメントのほかにも、天然であるか合成であるかを問わず、免疫グロブリン結合ドメインを含む任意のポリペプチドを含めた、抗体の誘導体、機能的同等物およびホモログに適用される。したがって、免疫グロブリン結合ドメインまたはその同等物を含み、別のポリペプチドと融合したキメラ分子包含される。キメラ抗体クローニングおよび発現については、欧州特許出願公開第0120694号および同第0125023号に記載されている。

0130

抗体の代替物が利用できるようになってきている。いわゆる「親和性タンパク質」または「設計されたタンパク質足場」を特定の標的に対する親和性に合わせて常法により作製することができる。これらは通常、立体構造的に安定または強固なコアを有し、標的に対する親和性を有するよう改変された非免疫グロブリン足場タンパク質土台とするものである。改変には、足場タンパク質表面における1つまたは複数の表面残基の置換および/または1つまたは複数の残基の挿入が含まれ得る。例えば、標的に対して親和性を有するペプチドを、足場タンパク質の表面ループに挿入しても、あるいは足場タンパク質表面ループの一部または全部の代わりに置き換えてもよい。適切な足場および設計されたその同等物としては:
−BPTI、LAC−DI、ITI−D2(クニッツドメイン足場);
−ETI−II、AGRP(Knottin);
チオレドキシンペプチドアプタマー);
−Fn3(AdNectin);
リポカリン(BBP)(Anticalin);
アンキリン反復(DARPin);
プロテインAのZドメイン(Affibody);
ガンマ−B−クリスタリンユビキチン(Affilin);
−LDLR−A−ドメイン(Avimer)
が挙げられる。

0131

例えば、Gebauer,MおよびSkerra,A,Current Op.Chem.Biol.2009,13:245−255ならびにFriedman,MおよびStahl,S,Biotechnol.Appl.Biochem.(2009)53:1−29ならびにそこに引用されている参考文献を参照されたい。

0132

miR−29、ミミックおよび前駆体をコードする核酸
miR−29オリゴヌクレオチド、ミミックおよび前駆体を標的細胞に直接送達する代わりに、miR−29オリゴヌクレオチド、そのミミックまたはいずれかの前駆体をコードする核酸を標的細胞に送達して、標的細胞内でmiR−29オリゴヌクレオチド、ミミックまたは前駆体を発現させることが可能である。このような方法は「遺伝子治療」と見なされ得る。

0133

当業者には、核酸が、RNAからなる、すなわち、改変された塩基、糖およびヌクレオシド間結合のいずれも含まず、RNAの天然に存在する4つのヌクレオチド成分からなるmiR−29、そのミミックおよび前駆体をコードするためのみに使用され得ることが容易に明らかになるであろう。

0134

核酸は通常、miR−29オリゴヌクレオチド、ミミックまたは前駆体をコードし発現を容易にするしかるべき制御配列作動可能に連結された核酸配列を含む、発現構築物を含む。制御配列は標的細胞に応じて選択してもよいが、通常、しかるべきプロモーターのほか、任意選択で、RNAポリメラーゼIIによる転写を指令するエンハンサーおよび転写ターミネーター(通常、ポリアデニル化シグナルを含む)を含むものである。

0135

プロモーターは、他の種類の細胞または組織に対して標的細胞または標的組織で優先的または排他的に転写を駆動する、組織特異的プロモーターであり得る。

0136

したがって、プロモーターは、腱細胞で優先的または排他的に転写を駆動するプロモーターであり得る。コラーゲン1a1(col1a1)プロモーターが適切なプロモーターの1つであり得る。

0137

標的細胞への核酸の送達
miR−29、ミミックおよび前駆体をコードする核酸は、任意の好都合経路によって送達され得る。

0138

核酸をin vitroで細胞に送達する方法としては、リン酸カルシウム沈殿法DEAEデキストランエレクトロポレーションマイクロインジェクション、DNA負荷リポソーム、超音波処理および核酸でコートした微粒子(例えば、金またはタングステンマイクロビーズ)を用いるボンバードメントが挙げられる。上記の様々な技術は、in vivoまたはex vivoでの使用に適合させることに成功しているものである。

0139

したがって、核酸は、裸の状態で投与しても、ポリマーまたは脂質などの適切な担体(本明細書の他の箇所に記載されている)とともに(例えば、担体と複合体を形成させるか、それに封入して)投与しても、粒子表面にコーティングして投与してもよい。このような実施形態では、核酸は通常、DNAである。核酸または担体はこのほか、本明細書の他の箇所に記載されている標的化部分または膜輸送部分を含み得る。これらの方法はいずれも、必要に応じてmiR96、前駆体およびミミックそのものの送達に適合させてもよい。

0140

核酸は通常、発現ベクターの形態をとる。当業者であれば、治療的使用(および本明細書に記載される他の用途)に適した核酸発現ベクターを設計することが可能であろう。ベクターには通常、miR−29、ミミックまたは前駆体をコードし、プロモーター配列および転写終止配列を含めたしかるべき制御配列と作動可能に連結した核酸配列を、具体的な用途に応じて、任意選択でエンハンサー配列マーカー遺伝子およびその他の配列とともに含む、発現構築物が含まれている。ベクターは、宿主細胞染色体に組み込むことを目的とするものであっても、エピソーム、例えばプラスミドとして宿主染色体とは独立して存在し複製するものであってもよい。

0141

あるいは、ウイルスベクターを用いて核酸を送達してもよい。

0142

遺伝子送達媒体として任意の適切な種類のウイルスベクターを用い得る。このようなウイルスベクターとしては、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、レトロウイルス(特にレンチウイルス)ベクターおよびヘルペスウイルスベクターが挙げられる。アデノウイルスおよびレンチウイルスは、活発に分裂していない細胞内に送達した遺伝子(1つまたは複数)の発現を達成することが可能であることから、特に好ましいものであり得る。

0143

ウイルスベクターは通常、ウイルス構造タンパク質と、標的細胞または標的組織内で遺伝子を発現する機能を有する形態で所望の発現構築物を含む核酸ペイロードとを含む。したがって、遺伝子は通常、プロモーターをはじめとするしかるべき転写調節シグナルと作動可能に連結されている。

0144

アデノウイルスベクターでは、核酸ペイロードは通常、二本鎖DNAdsDNA)分子である。レトロウイルスベクターでは、核酸ペイロードは通常、一本鎖RNAである。

0145

核酸ペイロードは通常、それが遺伝子送達媒体にパッケージングされ、標的細胞または標的組織内で適宜プロセシングを受けるのに必要な要素をさらに含む。

0146

アデノウイルスベクターでは、これらはアデノウイルス逆方向末端反復(ITR)配列と、しかるべきパッケージングシグナルとを含み得る。

0147

レトロウイルスベクターでは、これらは特有の末端配列(いわゆる「R−U5」配列および「U3−R」配列)とパッケージングシグナルとを含む。末端配列は、逆転写によって生じるプロウイルスの両端に直接反復配列(「長い末端反復配列」または「LTR」)を生じさせ、次いでこの配列が宿主細胞ゲノム内へのプロウイルスの組込みを容易にし、それに続く発現を指令する。

0148

核酸ペイロードはほかにも、選択マーカー、すなわち、形質導入細胞の容易な検出を可能にする産物をコードする遺伝子を含み得る。その例としては、蛍光タンパク質(例えば、GFP)の遺伝子、可視反応産物(例えば、β‐ガラクトシダーゼルシフェラーゼ)を生じる酵素の遺伝子および抗生物質耐性遺伝子が挙げられる。

0149

ウイルスベクターは通常、複製能がない。つまり、核酸ペイロードには、ウイルスの複製に必要なウイルス遺伝子(およびその他の遺伝子要素)がすべて含まれているわけではない。それでも、ウイルスベクターには、宿主細胞内にペイロードを導入し、コードされるmiR−29、ミミックまたは前駆体が発現できるようにペイロードがしかるべきプロセシングを受けるのに必要な構造タンパク質および酵素活性がすべて含まれている。これらが核酸ペイロードによってコードされていない場合は通常、パッケージング細胞系によってこれを補給する。当業者であれば、しかるべきウイルス送達媒体の作製に使用し得る適切な細胞系に精通しているであろう。

0150

したがって、アデノウイルスベクターでは、核酸ペイロードは通常、E1、E2、E3またはE4の各領域由来の1つまたは複数の機能的アデノウイルス遺伝子欠けている。これらの遺伝子は、欠失していてもよく、あるいは別の方法で、例えば、異種遺伝子または選択マーカーを含む転写単位の挿入によって不活性化されていてもよい。

0151

いくつかの実施形態では、核酸は機能的ウイルス遺伝子を全く含まない。したがって、アデノウイルスベクターでは、存在する唯一ウイルス成分がITRおよびパッケージングシグナルであり得る。

0152

機能的ウイルス遺伝子を全く持たない核酸は、ウイルスタンパク質が合成されたことにより形質導入した標的細胞または標的組織に対する宿主免疫応答が発現するリスクを低下させることから、このような核酸が好ましいものであり得る。

0153

標的細胞上のマーカーと結合することが可能な改変表面タンパク質を有するようにウイルスベクターを設計し、これにより所望の標的細胞に形質導入される可能性を増大させ、他の種類の細胞または組織の非特異的形質導入の可能性を低下させ得る。この方法はシュードタイピングと呼ばれることがある。したがって、ウイルスベクターは、腱細胞上の表面マーカーと結合することが可能な表面タンパク質を含み得る。腱細胞への標的化に役立ち得る表面マーカーとしては、テネイシンCおよびCD55が挙げられる。

0154

腱および腱損傷
腱は筋肉と骨とを結びつける結合組織である。筋肉の収縮により生じた力を筋肉そのものから少し離れて付着している骨格構造に伝達する1。

0155

腱は体系的に組織化された複雑な組織であり、いくつかの異なる層を含む。

0156

腱そのものは、様々な種類の細胞、特にテノサイトを含む細胞外マトリックスに埋め込まれた形で約30%のコラーゲンと2%のエラスチン湿重量)を含む、ほぼ一軸性の複合体である3。

0157

主要なコラーゲンは直径が大きい(40〜60nm)1型コラーゲンであり、互いに結び付いて強固な線維束を形成している。ほかにも3型コラーゲンが存在し、このコラーゲンはI型よりも直径が小さく(10〜20nm)、緩い網状の束を形成している。

0158

コラーゲンは細線維線維、線維束、束へと(複雑性増しながら)組織化され、緩くラーゲン性で脂質に富むエンドテノンとして知られる結合組織マトリックスの層がこれを取り囲む4。同じ材料からなるエピテノンと呼ばれる層が腱全体の表面を覆っている。エピテノンは、1型および3型コラーゲン細線維、少しの弾性細線維および滑膜細胞層を含むパラテノンと呼ばれる結合組織に取り囲まれている。一部の腱はさらに腱鞘に取り囲まれている。

0159

腱内にある主要な細胞型はテノサイトと腱芽細胞であり、ともに線維芽細胞様細胞である14。2つの細胞型はともにコラーゲンを産生し細胞外マトリックスを維持しているため、健常な腱の維持にはその両方が重要である15。したがって、本明細書で使用される「腱細胞」という用語は、テノサイトと腱芽細胞の両方を包含する。

0160

テノサイトは平坦で先が細くなった細胞であり、縦方向紡錘形をなし、断面は星状であり、コラーゲン線維の間に列をなしているのがわずかに検出される。テノサイトには細胞外マトリックス全体に及ぶ三次元ネットワークを形成する精巧な細胞突起があり、テノサイトは細胞突起を介してコミュニケートし、また運動性があると思われる。

0161

腱芽細胞はテノサイトの前駆体である。この細胞は紡錘形または星状の細胞であり、長く先細りエオシン好性の平坦な核を持つ。テノサイトは運動性であり、増殖性が高い。

0162

胚発生過程で、腱芽細胞、したがってテノサイトは、骨格筋芽細胞軟骨細胞および骨芽細胞と同じように中胚葉区画から生じる16。この区画から生じる多能性間葉系前駆細胞の一部は、塩基性ヘリックス−ループ−ヘリックス転写因子であるスクレラキシスを発現する。しかし、特定の組織を構成する細胞になることが決定されると、スクレラキシスを発現する能力を保持する細胞は腱芽細胞とテノサイトのみとなる。したがって、スクレラキシス遺伝子は、発生の過程で腱系の確立に不可欠であることが明らかになった最初のマスター遺伝子である。テノモジュリンは、発達段階後期令[E]17.5)にマウス腱で誘導されるII型膜貫通糖タンパク質であり、ほかにも成体の腱に観察される。したがって、スクレラキシスは腱芽細胞およびテノサイトの両方のマーカーになるのに対し、テノモジュリンは成熟テノサイトの表面マーカーである19。

0163

腱損傷は、(特に限定されないが)外傷、機械的ストレス(過使用を含む)、変性、炎症およびその組合せを含めた多数の因子によって引き起こされ得る、あるいはこれらを原因とし得るものであり、「腱障害」と呼ばれることが多い。

0164

「腱傷害」という用語は一般に、外傷および腱断裂(すなわち、腱の完全な破損)を含めた単発的外傷事象による急性傷害を指すのに使用される。

0165

腱障害は多因子性で、急性から慢性までのスペクトルがあり、多くの場合、瞬間的なものであるか長期間にわたるものであるかを問わず腱の過使用が原因である。腱障害では、顕微鏡ないし肉眼レベルでのコラーゲンの変性をはじめとする機械的損傷(「腱症」と呼ばれることもある)、炎症またはその両方の組合せ(「腱炎」と呼ばれることもある)が起こり得る。

0166

腱の生体力学的特性、特に腱の引張り強度は、断面積(すなわち、太さ)、コラーゲン含有量および異なる種類のコラーゲン間の比と関係がある。急性傷害後、腱障害時および腱損傷の治癒過程では、1型コラーゲンから3型コラーゲンへのコラーゲン合成の変化が起こる。1型コラーゲン合成は最初に低下した後、正常レベルまで回復し得るが、3型の合成の増大が持続すると、長期的なコラーゲン比不均衡を招く。このことは、腱の生体力学的特性に重大かつ有害な作用を及ぼす。具体的には、腱の引張り強度が低下し、腱の最終破断強度が低下し、ひいてはその後も断裂を起こしやすくなる。

0167

本発明の方法は、損傷を受けたあらゆる腱に適用され得る。ヒトで腱障害が起こる主要な腱には、アキレス腱棘上筋腱、総屈筋腱および総伸筋腱がある。ウマ対象で腱障害が起こる主要な腱には浅屈筋腱がある。これらは特に重要な治療標的となり得る。

0168

miR−29、ミミックおよび前駆体の治療的適用
本発明者らは、腱細胞のmiR−29活性を増大させることにより、コラーゲンバランスを1型コラーゲン合成に傾き3型コラーゲン合成から離れるよう変化させることが可能であることを明らかにした。

0169

したがって、本発明は、miR−29の治療的適用によって腱の治癒を調節する方法を提供する。本明細書に記載される方法は、腱における相対的コラーゲン組成および/または合成、特に、腱における1型コラーゲンと3型コラーゲンの相対的含有量および合成を調節する方法と見なされ得る。バランスは、1型コラーゲンに傾くよう、すなわち、腱内のコラーゲン1の合成または含有量が3型コラーゲンよりも増大するよう調節されると考えられる。miR−29が1型コラーゲン合成を阻害し得ることから、この調節が必ずしも、1型コラーゲンの合成または含有量の純粋な増大を含むものではないことが理解されよう。しかし、3型コラーゲンの合成の方が1型コラーゲンの合成よりも大きく阻害される。

0170

生理的レベルでは、本明細書に記載される方法は、腱の生体力学的特性を調節する、好ましくは腱の生体力学的特性を改善する、例えば腱の引張り強度を改善または増大させる方法と見なされ得る。

0171

本発明の方法は、腱障害のあらゆる段階で、あるいは受傷した腱の治癒過程のあらゆる段階で適用され得る。例えば、腱障害の治癒過程または腱断裂などの急性腱傷害の治癒過程で、この方法を用いてコラーゲン比、ひいては腱の生体力学的特性を調節し得る。

0172

したがって、本発明の方法は同様に、腱傷害および腱障害に起因する損傷を含めた腱損傷を治療する方法と見なされ得る。

0173

受傷後の短い期間および腱障害の初期段階では、腱にIL−33が観察され得る。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、IL−33は1型コラーゲン合成から3型コラーゲン合成への切替えに関与すると考えられる。しかし、最初にIL−33が関与した後もコラーゲン合成の不均衡が継続すると考えられる。本発明の方法は、腱傷害の初期段階の治療に限定されず、後期段階の傷害または疾患、例えば慢性腱障害にも同様に適用可能である。

0174

したがって、症状発生後または腱に損傷を引き起こす外傷事象後のあらゆる段階で治療を実施し得る。例えば、症状発生または外傷事象から1日後、2日後、3,日後、4,日後、5日後、6日後、7日後またはそれよりも後に治療を実施し得る。症状発生または外傷事象から1週間後、2週間後、3週間後、4週間後またはそれよりも後に治療を実施し得る。症状発生または外傷事象から1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後またはそれよりも後に治療を実施し得る。

0175

治療の対象
治療の対象として最も一般的なのはヒトであるが、本発明の方法は、ヒト以外の霊長類(特に、ゴリラチンパンジーおよびオランウータンなどの大型類人猿のほかにも、旧世界ザルおよび新世界ザル)およびげっ歯類(マウスおよびラットを含む)をはじめとする一般的な実験動物飼育動物および農業動物(特に限定されないが、ウサギイヌネコ、ウマ、ウシヒツジヤギなどを含む)を含めた他のあらゆる動物に及び得る。

0176

この方法は、特にウマ対象、すなわちウマに適用され得る。ウマ、特に競走馬などの純血馬は特に腱傷害を起こしやすい。関心のある動物の多くに価値があることを考えると、効果的な治療法が長年の間必要とされている。

0177

医薬組成物および治療方法
本明細書に記載される分子は医薬組成物に製剤化することができる。これらの組成物は、上記物質のうちの1つに加えて、薬学的に許容される補形剤、担体、緩衝剤、安定剤をはじめとする当業者に周知の材料を含み得る。このような材料は、無毒性でなければならず、また有効成分の効果に干渉するものであってはならない。担体をはじめとする材料の正確な性質は、投与経路、例えば、経口、静脈内、皮内または皮下、経鼻、筋肉内および腹腔内の各経路によって左右され得る。投与に適した組成物および方法の例については、EssekuおよびAdeyeye(2011)ならびにVan den Mooter G.(2006)に記載されている。

0178

経口投与用の医薬組成物は、錠剤カプセル粉末または液体の形態であり得る。錠剤は、ゼラチンまたは補助剤などの固体担体を含み得る。液体医薬組成物は一般に、水、石油動物油もしくは植物油鉱油または合成油などの液体担体を含む。生理的食塩水デキストロースをはじめとする糖類の溶液またはエチレングリコールプロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールなどのグリコールを含ませてもよい。

0179

静脈内、皮内もしくは皮下への注射または患部への注射には、有効成分は、発熱物質を含まず、適切なpH、等張性および安定性を有する非経口的に許容される水溶液の形態となる。当業者であれば、例えば、塩化ナトリウム注射液リンゲル注射液、乳酸リンゲル注射液などの等張溶媒を用いて、適切な溶液を調製することが十分可能である。必要に応じて、保存剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤および/またはその他の添加剤を含ませてもよい。

0180

治療する病態局所性を考慮すると、局所注射による投与が特に適切なものであり得る。注射は罹患腱に実施しても、罹患腱のごく近傍に実施してもよい。

0181

個体に投与する活性薬剤性状(例えば、本発明による細胞、ポリペプチド、核酸分子、その他の薬学的に有用な薬剤)に関係なく、投与は、個体に対して有益性を示すのに十分な量である「予防有効量」または「治療有効量」(場合によるが、予防は治療と見なされ得る)であるのが好ましい。実際の投与量、投与の速度および経時変化は、治療するものの性状および重症度に左右される。治療の処方、例えば用量の決定などは、一般開業医をはじめとする医師および獣医師責任の範囲内にあり、通常、治療する障害、個々の患者の状態、送達部位投与方法をはじめとする医師に公知の因子が考慮に入れられる。上記の技術およびプロトコルの例については、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第20版,2000年出版,Lippincott,Williams & Wilkinsに記載されている。

0182

これより、限定するものではなく例として、添付図面および実施例を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明する。

図面の簡単な説明

0183

腱におけるIL−33/ST2発現を示す図である。腱試料における(A)IL−33、(B)可溶性ST2(sST2)及ぼす(C)膜ST2(mST2)の遺伝子発現。対照(n=10)、断裂棘上筋およびマッチした肩甲下筋ヒト腱試料(n=17)におけるIL−33、可溶性/膜ST2の遺伝子発現の変化倍数。示されるデータの点はハウスキーピング遺伝子18Sに対する相対発現量である(二連分析平均値)。平均±SDはt検定による患者集団比較を表す。(D)腱試料の改変Bonarスコアリングを平均およびSEMとともに示したもの。対照腱腱(Ctl)はn=10、断裂腱および初期腱障害はn=17である。改変Bonarスコアリング法は、10例の高倍率視野に基づく1試料当たりの平均スコアを示す。0=染色が認められない、1=高倍率視野1例当たりのポジティブ染色細胞が10%未満である、2=同ポジティブ染色細胞が10〜20%である、3=同ポジティブ染色細胞が20%超である。(E)TNFα単独、IL−1β単独および両者の組合せをそれぞれ投与してインキュベートした24時間後のIL−33およびST2の遺伝子発現の変化倍数。データは三連試料の平均±SDで示されており、さらに3例の個々の患者試料で実施した実験の代表的なものである。対照試料と比較して*p<0.05、**p<0.01である。(F)50ng/mlおよび100ng/mlのrhIL−33を加えてインキュベートした24時間後のcol1およびcol3の遺伝子発現の変化倍数。(G)100ng/mlのIL−33とのインキュベーション後のcol1遺伝子およびcol3遺伝子発現の経時変化。(H)rhIL−33を漸増させてインキュベートした24時間後のコラーゲン1型および3型タンパク質の発現。F、GおよびHでは、データは3連試料の平均±SDで示されており、さらに3例の個々の患者試料で実施した実験の代表的なものである。対照試料と比較して*p<0.05、**p<0.01である。
in vivoの腱治癒におけるIL−33/ST2系を示す図である。(A、B)受傷後第1日、第3日、第7日および第21日のIL−33遺伝子発現および可溶性ST2遺伝子発現。示されるデータは平均変化倍数±SDである(1グループ当たり4匹のマウスに4回連続して実施して得られたデータをプールしたものであり、したがって、1条件当たりn=16である)。対照マウスと受傷マウスとの比較で*p<0.05、**p<0.01である。(C、D)受傷後第1日および第3日におけるWTおよびST2−/−のcol1mRNAおよびコラーゲン1型タンパク質のレベル。(E、F)受傷後第1日および第3日におけるWTおよびST2−/−のcol3 mRNAおよびコラーゲン3型タンパク質のレベル。示されるデータは二連試料の平均±SDであり、1条件あたり4匹のマウス(n=16)を用いた実験の代表的なものである。対照マウスと受傷マウスとの比較で*p<0.05、**p<0.01である。WT受傷マウスとST2−/−受傷マウスとの比較で+p<0.05、++p<0.01である。(G)WTおよびST2−/−の受傷腱および未受傷腱の受傷後第1日および第3日における腱強度の百分率変化。データは平均±SDで示されており、1条件当たり4匹のマウス(n=16)を用いた実験の代表的なものである。対照マウスと受傷マウスとの比較で*p<0.05、**p<0.01である。ST2−/−受傷マウスとWT受傷マウスとの比較で#p<0.05である。
in vivoの腱損傷において、IL−33はコラーゲン3型産生を促進し腱強度を低下させるのに対し、抗IL−33はこれらの変化を弱めることを示す図である。rhIL−33で処置したWTマウスおよびST2−/−マウスの受傷後第1日における(A)col1 mRNA、(B)コラーゲン1型タンパク質、(C)col3 mRNAおよび(D)コラーゲン3型タンパク質。データは二連試料の平均±SDで示されており、1条件当たり4匹のマウス(n=16)を用いた実験の代表的なものである。受傷マウスと未受傷マウスとの比較で*p<0.05、**p<0.01である。WTマウスとST2−/−マウスとの比較で+p<0.05である。(E)rhIL−33による治療後第1日および第3日におけるWT未受傷マウスの腱強度の百分率変化。データは平均±SDで示されており、1群当たり4匹のマウス(n=16)を用いた実験の代表的なものである。受傷マウスと未受傷マウスとの比較で**p<0.01である。WTマウスの腱傷害後第1日および第3日における抗IL−33による処置後の(F)col1 mRNA、(G)コラーゲン1型タンパク質、(H)col3 mRNAおよび(I)コラーゲン3型タンパク質レベル。(J)抗IL−33処置WTマウスの受傷後第1日および第3日における腱強度の百分率変化。データは平均±SDで示されており、1条件当たり4匹のマウス(n=16)を用いた実験の代表的なものである。受傷マウスと未受傷マウスとの比較で*p<0.05、**p<0.01である。A〜Jでは、データは二連試料の平均±SDで示されており、1条件当たり4匹のマウス(n=16)を用いた実験の代表的なものである。
マイクロRNA29が可溶性ST2を直接標的とし、腱疾患におけるコラーゲンマトリックス変化に影響を及ぼすことを示す図である。(A)腱障害テノサイトにmiR−29ファミリーの全メンバー(miR−29a、miR−29bおよびmiR−29c)の発現が認められた(患者試料n=6)。ΔCt値が低いほど発現レベルが高いことを示す。対照、断裂棘上筋(断裂腱)およびマッチした肩甲下筋腱(初期腱障害)におけるmiR−29ファミリー遺伝子の発現。データは二連試料の平均±SDで示されており、患者試料10例で実施した実験の代表的なものである。*p<0.05、**p<0.01。(B)100ng/mlのrhIL−33を加えた後のmiR−29a発現の経時変化。(CおよびD)スクランブルミミック、miR−29aミミックまたはmiR29aアンタゴマートランスフェクトした後のcol1 mRNAおよびcol3 mRNAならびにコラーゲン1型タンパク質およびコラーゲン3型タンパク質の発現。(E)miR−29aミミック/アンタゴマーおよび100ng rhIL−33を加えた後のコラーゲン3型タンパク質レベル。B〜Eでは、示されるデータは二連試料の平均±SDであり、腱外植試料5例で実施した実験の代表的なものである。(n=5)p<0.05、**p<0.01。(F)Col 1a1、Col 1a2またはCol 3a1の3’UTRを含む前駆体miR−29aをトランスフェクトした初代ヒトテノサイトのルシフェラーゼ活性。活性は、スクランブルRNAをトランスフェクトした対照を100%とし、それに対して相対的に求めたものである。これを3つの独立した実験で繰り返した。スクランブル対照と比較して*p<0.05、**p<0.01である。(G)代替的ポリアデニル化部位を強調したcol3a1およびcol1a1/col1a2の長型/短型上のmiR−29a結合部位およびMRE。(H)テノサイト(T)にmiR−29aをトランスフェクトした後の長い/短いコラーゲン転写産物の割合。(I)スクランブルミミックおよびmiR−29aアンタゴマーをトランスフェクトした後のcol1a1、col1a2およびcol3a1 mRNA。示されるデータは二連試料の平均±SDであり、腱外植試料3例で実施した実験の代表的なものである。(n=3)p<0.05、**p<0.01。
IL−33/ST2がin vivoの腱治癒においてmiR−29を調節することを示す図である。(A)HEK293細胞への可溶性ST2の3’UTRを含むpre−miR−29aと可溶性ST2の3’UTRのmiRNA調節エレメント(MRE)との共トランスフェクションおよびルシフェラーゼ活性アッセイの結果。スクランブル対照と比較して***p<0.001(n=3)である。(B)スクランブルミミック、miR−29aミミックまたはmiR−29aアンタゴマーを加えた後のsST2および膜結合ST2のmRNAレベル。(C)miR29aミミック/アンタゴマーとインキュベートした後のヒトsST2タンパク質産生(ng/ml)。(n=5)p<0.05、**p<0.01。(D)受傷後第1日および第3日におけるmiR−29aの平均変化倍数±SDをWT受傷個体とWT未受傷個体とで比較して示した定量的PCR。(E)受傷後第1日におけるmiR-29のarhIL−33またはPBSで処置した後の平均変化倍数±SDをWTマウスおよびST2−/−マウスのの受傷個体とで比較して示した定量的PCR。(F)第1日および第3日における受傷WT個体の抗IL−33を加えた後のmiR−29a発現。データは二連試料の平均変化倍数±SDで示されており、1グループ当たり4匹のマウスを用いた実験の代表的なものである。(n=16)p<0.05、**p<0.01。
腱病理におけるIL−33/miR−29系を示す図である。腱病理におけるIL−33/miR−29aの役割を示す模式図。腱傷害または繰り返される微小断裂が腱細胞にストレスを生じさせることにより、IL−33が放出され、下流でNFκBがリン酸化され、次いでmiR−29aが抑制され、コラーゲン3型および可溶性ST2の産生増大が引き起こされる。コラーゲン3型が増大すると腱の最終引張り強度が低下して破断までの時間が短くなるのに対して、可溶性ST2はオートクリンで作用し、これが最終的には保護的機序となり得、この系から過剰なIL−33が除去される。
(A)Targetscanで予測された2つのmiR−29a MRE部位のシード領域である29−1および29−2を示す図である。(B)Col 1またはCol 3の3’UTRを含む前駆体miR−29a/b/c(pre−miR−29)とトランスフェクトしたHEK293細胞のルシフェラーゼ活性を示す図である。活性は、スクランブルRNAをトランスフェクトした対照を100%とし、それに対して相対的に求めたものである。これを3つの独立した実験で繰り返した。スクランブル対照と比較して*p<0.05、**p<0.01である。(C)可溶性ST2の3’UTRを含むpre−miR−29a、pre−miR−29b、pre−miR−29cのHEK293細胞への共トランスフェクトを示す図であり、miR−29aがスクランブルRNAをトランスフェクトした対照に比して相対ルシフェラーゼ活性を有意に低下させることを示している(n=3)。(D)短いcol3a1 3’UTR変異体に存在する残りのmiR−29結合部位のmiR−29aに対する感受性ルシフェラーゼアッセイ試験し、完全に活性であることが明らかになったことを示す図である。(E)ヒトおよびウマ由来のテノサイトコラーゲン転写産物の3’RACE産物の配列を示す図である。ポリアデニル化シグナルには下線が施されている。ヒトCol3a1(短い3’UTR)転写産物およびウマCol3a1転写産物においてmiR29a MREがイタリック体で示されている。
WTマウスを腱傷害後にmiR−29aミミックで治療した後の(A)Col3 mRNA、(B)コラーゲン3型タンパク質、(C)Col1 mRNAおよび(D)コラーゲン1型タンパク質のレベルを示す図である。mRNAのデータは、二連試料の18Sハウスキーピング遺伝子に対する遺伝子の総コピー数である。データは二連試料の平均±SDであり、1グループ当たり6匹のマウスの代表的なものである。対照と比較して*p<0.05、**p<0.01である。(ANOVA)。

実施例

0184

発明の詳細な説明
材料および方法
腱障害のヒトモデル
手順およびプロトコルはいずれも、ACEC番号99/101の下、倫理委員会承認を受けたものである。肩の外科手術を受けている回旋筋腱板断裂の患者から棘上筋腱の試料15例を採取した(表1)。回旋筋腱板断裂患者の平均年齢は54(範囲35〜70歳)、断裂の平均の大きさは2.5cmであった。同患者からほかにも、肩甲下筋腱を採取した。術前MRIスキャン時の肩甲下筋腱障害、関節鏡検査時の肩甲下筋腱の肉眼的損傷のいずれについても臨床的に検出可能な証拠が認められない患者のみを組み入れ、この基準により、患者は厳密に前臨床コホートとなった。回旋筋腱板断裂がなく肩の安定化のための関節鏡下手術を受けている患者から採取した肩甲下筋腱の試料10例を含む独立した対照群を得た。関節鏡検査により回旋筋腱板断裂がないことを確認した。対照群の平均年齢は35歳(範囲20〜41歳)であった。

0185

組織採取および標本作成
既に記載されている標準的な3点法を用いて、回旋筋腱板の関節鏡下修復術を施行した。既に記載されている通りに、回旋筋腱板断裂の横断面の大きさを推定し記録した39。関節鏡下、関節唇側方1cmの位置にある腱の上方境界から肩甲下筋腱を採取した。外科手術による修復を実施する前、断裂部の端1.5cm以内のところから棘上筋腱を採取した。免疫組織化学染色には、組織試料を直ちに10%(v/v)ホルマリンで4〜6時間固定した後、パラフィン包埋した。Leica−LMミクロトーム(Leica Microsystems社、ドイツ)を用いて厚さ5μmの切片薄切し、Superfrost Ultra Plusガラススライド(Gerhard Menzel社、ドイツ)に載せた。既に確立されている方法論に従って、キシレン組織切片からパラフィンを除去し、段階的に濃度を変化させたアルコール脱水し、組織染色および免疫組織化学染色に用いた40。

0186

屈筋腱ACL再建術を受けている患者5例(年齢18〜30歳)の膝屈筋腱組織からヒト腱由来細胞を外植した。培養物を5%CO2の加湿雰囲気下、37℃で28日間維持した。細胞を継代し、サブコンフルエントになった時点でトリプシン処理した。第三継代細胞および第四継代細胞を正常酸素圧条件下で用いた。

0187

組織学法および免疫組織化学
ヒト切片をヘマトキシリンエオシンおよびトルイジンブルーで染色し、Bonarスコアの改変版による評価で腱障害の程度を判定した41(グレード4=著明な腱障害、グレード3=進行した腱障害、2=中等度の変性、1=軽度の変性、0=正常な腱)。これには、浮腫および変性の有無とともに線維芽細胞の細胞充実性および類軟骨化生の程度を含めた。次いで、切片を以下のマーカー:IL−33(Alexis社、マウスモノクローナル)、ST2(SigmaAldrich社、ウサギポリクローナル)、IL−1RaCP(ProSci社、ウサギポリクローナル)、CD68(汎マクロファージ)、CD3(T細胞)、CD4(Tヘルパー細胞)、CD206(M2マクロファージ)および肥満細胞トリプターゼ(肥満細胞)(Vector Labs社)に対する抗体で染色した。

0188

3%(v/v)H2O2で内因性ペルオキシダーゼ活性を停止させ、TBS緩衝液に溶かした2.5%ウマ血清で30分間、非特異的抗体結合をブロックした。マイクロ波中、0.01Mクエン酸緩衝液で20分間、抗原回復を実施した。切片を2.5%(w/v)ウマ血清/ヒト血清/TBST中、一次抗体と4℃で一晩インキュベートした。2回洗浄した後、スライドをVector ImmPRESS Reagentキット製造業者指示通りに30分間インキュベートした。スライドを洗浄し、Vector ImmPACT DAB色素原溶液を2分間インキュベートした後、十分に洗浄した。最後に、ヘマトキシリンで切片を対比染色した。それぞれの抗体染色法には、外科手術標本に加えて、ポジティブ対照(ヒト扁桃組織)およびネガティブ対照標本を含めた。一次抗体の省略およびネガティブ対照アイソタイプの使用により染色の特異性を確認した。

0189

本発明者らは、免疫組織化学染色の定量化にこれまでの方法42を土台としたスコアリング法を適用した。ランダムな10の高倍率視野(×400)を3名の無関係な査定者NLM、JHR、ALC)により評価した。各視野のポジティブ染色細胞とネガティブ染色細胞の数をカウントしてポジティブ細胞の割合を計算し、以下の半定量的段階に分けた;グレード0=染色が認められない、グレード1=ポジティブ染色細胞が10%未満である、2=ポジティブ染色細胞が10〜20%である、グレード3=ポジティブ細胞が20%超である。

0190

上記プロトコルに以下のマーカー:IL−33(R&D systems社、マウスモノクローナル)、ST2(SigmaAldrich社、ウサギポリクローナル)、F4/80(Serotec社、マウスモノクローナル)および抗ヒスタミン(Sigma Aldrich社、ウサギポリクローナル)に対する抗体を用いて、マウス切片を処理した。

0191

マトリックス調節
テノサイトをコラーゲン1型およびコラーゲン3型の免疫細胞化学染色について評価して、テノサイトのマトリックス産生を評価した(Abcam社)。Sircolアッセイキット(Biocolor社、キャリファーガスアイルランド)を製造業者のプロトコル通りに用いて、総可溶性コラーゲン量を測定した。被験試料100μlにSircol色素試薬1mlを加え、室温で30分間かき混ぜた。10,000×gで10分間遠心分離することによりコラーゲン−色素複合体沈殿させた、次いで、エタノール500μlで2回洗浄した。ペレットアルカリ試薬500μlに溶かした。マイクロプレートリーダーで540nmにおける吸光度を測定した。製造業者によって提供されたコラーゲン標準品に基づき検量曲線を作成した。さらに、ELISAを用いて、ヒトおよびマウスのコラーゲン1型および3型の濃度を評価し、製造業者(USCNK Life Science社)によって供給された標準品とともにマイクロプレートリーダーで450nmにおける呈色変化を測定した。

0192

シグナル伝達実験
ヒトホスホ−MAPK Array(R & D Systems Europe社、英国)を製造業者の指示通りに用いて、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)、細胞外シグナル制御キナーゼERK1/2)、c−JunN末端キナーゼ(JNK)およびp38アイソフォームのリン酸化状態を評価した。CalbioChem社(Merck KGaA社、ドイツ)からERK阻害剤(FR180204)を購入し、既に本発明者らの研究室で用いてオフターゲット効果に比べ最適な特異的阻害をもたらすことが既に明らかになっている濃度43、IC50=10μMで使用した。

0193

処理済みおよび未処理のテンコサイト(tencocyte)から得られた細胞溶解物にInstantOneELISAを用いて、NFκβ p65のリン酸化を評価した。製造業者によって供給されたポジティブ対照およびネガティブ対照を用いて、450nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。未刺激細胞に対する刺激細胞の相対吸光度を用いて、各試料の総NFκβ p65量またはリン酸化NFκβ p65量を評価した。

0194

RNA抽出および定量的PCR
正常酸素圧下および低酸素圧下での実験から細胞を分離した後、mRNAを抽出した。RNA精製には、QIAgenミニカラム(Qiagen社、クローリー、英国)に製造業者の指示通りにオンカラムDNアーゼ段階を組み込んで用いた。AffinityScript(商標)(Agilent Technologies社、カリフォルニア州、米国)多温度cDNA合成キットを製造業者の指示通りに用いて、RNA試料からcDNAを調製した。プローブプライマーとともに使用するかどうかによってSYBRグリーンまたはTaqman FastMix(Applied Biosystems社、カリフォルニア州、米国)を用いて、リアルタイムPCRを実施した。RNアーゼフリー水を用いてcDNAを5分の1に希釈した。各試料を三重反復で分析した。プライマー(Integrated DNA Technologies社、ベルギー)は以下の通りであった:GAPDH、5’−TCGACAGTC AGCCGCATCTTCTTT−3’(f)および5’−ACCAAA TCCGTTGAC TCC GAC CTT−3’(r);ヒトIL−33、GGA AGA ACA CAG CAAGCAAAGCCT(f)TAA GGC CAG AGC GGA GCT TCA TAA(r);マウスIL−33、GGA AGA ACA CAG CAA GCA AAG CCT(f)TAA GGC CAG AGC GGA GCT TCA TAA(r);全ヒトST2、ACA ACT GGA CAG CAC CTC TTG AGT(f)ACCTGCGTC CTC AGTCATCAC ATT(r);マウスsST2、CCA ATG TCC CTT GTA GTC GG(f)CTT GTT CTC CCC GCA GTC(r)、TCC CCA TCT CCT CAC CTC CCT TAA T(プローブ);マウスST2L、TCT GCT ATT CTG GAT ACT GCT TTC、TCT GTG GAG TAC TTT GTT CAC C(r)AGA GAC CTG TTA CCT GGG CAA GAT G(プローブ);ヒトST2L、ACA AAG TGC TCT ACA CGA CTG(f)TGTTCT GGA TTG AGG CCA C(r);CCC CAT CTG TAC TGG ATT TGT AGT TCC G(プローブ);ヒトsST2、GAG ACC TGC CAC GAT TAC AC(f)TGTTAAACCCTGAGTTCCCAC(r)、CCC CAC ACC CCT ATC CTT TCT CCT(プローブ);ヒトCol 3A、TTG GCA GCAACGACA CAG AAA CTG(f)TTG AGT GCA GGG TCA GCA CTA CTT(r)マウスCol 3A、GCT TTG TGC AAA GTG GAA CCT GG(f)CAA GGT GGC TGC ATC CCA ATT CAT(r);ヒトCOL 1A1、CCA TGC TGC CCT TTC TGC TCC TTT(f)CAC TTG GGT GTT TGA GCA TTG CCT(r)マウスCOL 1A1、TTC TCC TGG CAA AGA CGG ACT CAA(f)GGA AGC TGA AGT CAT AAC CGC CA(r)。

0195

RNA単離およびmiRNAの定量的リアルタイムPCR
miRNeasyキット(Qiagen社)により全RNAを単離した。cDNA調製にmiScript Reverse Transcription Kit(Qiagen社)を用いた。ヒトmiR−29a(MS00001701)、miR−29b(MS00006566)およびmiR−c(MS00009303)ならびにマウス29a(MS00003262)、29b(MS00005936)およびc(MS00001379)発現の半定量的測定にTaqManmRNAアッセイ(Applied Biosystems社)またはmiScriptプライマーアッセイ(Qiagen社)を用いた。内在性対照としてU6B小分子核RNAまたはベータアクチンの発現を用いた。

0196

代替的ポリアデニル化コラーゲン転写産物の定量化
標準品と比較したq−PCRにより、長い3’UTR型および短い3’UTR型の1型および3型転写産物の絶対レベルを測定した。AffinityScript(Agilent社)にランダムヘキサマーおよびオリゴ−dTプライマーの両方を用いてcDNAを作製した。以下のプライマーを用いてSYBRグリーン定量的PCRを実施し、試料はGAPDH内在性対照に対して正規化した。
Col1a2_S FW 5’GCCTGCCCTTCCTTGATATT 3’
Col1a2_S REV5’TGAAACAGACTGGGCCAATG 3’
col1a2_L FW 5’TCAGATACTTGAAGAATGTTGATGG 3’
col1a2_L REV 5’CACCACACGATACAACTCAATAC 3’
Col1a1_S FW 5’CTTCACCTACAGCGTCACT 3’
Col1a1_S REV 5’TTGTATTCAATCACTGTCTTGCC 3’
col1a1_L FW 5’CCACGACAAAGCAGAAACATC 3’
col1a1_L REV 5’GCAACACAGTTACACAAGGAAC 3’
COL3A1_S FW 5’CTATGACATTGGTGGTCCTGAT 3’
COL3A1_S REV 5’TGGGATTTCAGATAGAGTTTGGT 3’
COL3A1_L FW 5’CCACCAAATACAATTCAAATGC 3’
COL3A1_L REV 5’GATGGGCTAGGATTCAAAGA 3’

0197

cDNA末端の3’迅速伸長(RACE)
ヒト配列を特徴付けるため、ヒトテノサイトから単離した全RNAからMiRscript II逆転写酵素キット(Qiagen社)を用いて作製しておいたcDNAに3’RACEを実施した。以下に挙げる遺伝子特異的順方向プライマーをキットのUniversal逆方向プライマーとともに用いて、cDNA末端をPCRにより増幅した。
ヒト3’RACE遺伝子特異的順方向プライマー:
RACE−Col1a1−L FW 5’GACAACTTCCCAAAGCACAAAG 3’
RACE−Col1a1−S FW 5’CTTCCTGTAAACTCCCTCCATC 3’
RACE−Col1a2−L FW 5’TCTTCTTCCATGGTTCCACAG 3’
RACE−Col1a2−S FW 5’CCTTCCTTGATATTGCACCTTTG 3’
RACE−Col3a1−L FW 5’CTATGACATTGGTGGTCCTGAT 3’
RACE−Col3a1−S FW 5’GTGTGACAAAAGCAGCCCCATA 3’

0198

ウマ配列を特徴付けるため、cDNA末端の3’迅速伸長(3’RACE)を用いて、ウマテノサイトに発現するCol1a1、Col1a2およびCol3a1転写産物の3’UTRを増幅した。増幅したcDNAフラグメントの配列を決定し、ポリA尾部の5’側10ヌクレオチドおよび30ヌクレオチドに位置するAATAAA標準ポリAシグナルの位置に従って、ポリAシグナルを特定した。
ウマ3’RACEプライマー:
ウマcol1a1 GSP1 CCCTGGAAACAGACAAACAAC
ウマcol1a1 GSP2 CAGACAAACAACCCAAACTGAA

ウマcol1a2 GSP1GCTGACCAAGAATTCGGTTTG
ウマcola2 GSP2ACATTGGCCCAGTCTGTTT

ウマcol3a1 GSP1 AGGCCGTGAGACTACCTATT
ウマcol3a1 GSP2 CTATGATGTTGGTGGTCCTGAT

ウマcol1a1 q−PCRfw CAGACTGGCAACCTCAAGAA
ウマcol1a1 q−PCR rev TAGGTGACGCTGTAGGTGAA

ウマcol1a2 q−PCR fw GGCAACAGCAGGTTCACTTAT
ウマcol1a2 q−PCR Rev GCAGGCGAGATGGCTTATTT

ウマcol3a1 q−PCR fw CTGGAGGATGGTTGCACTAAA
ウマcol3a1 q−PCR rev CACCAACATCATAGGGAGCAATA

0199

得られたPCR産物をpCR2.1 TOPO(Invitrogen社)にクローニングし、配列を決定した。

0200

miRNAトランスフェクション
Dharmacon(登録商標)DharmaFECT(登録商標)3 siRNAトランスフェクション試薬(Thermo Scientific社)を用いて、細胞に最終濃度20nMのmiR−29aおよびmiR−29bに対する合成成熟miRNAまたはネガティブ対照(Dy547で標識した線虫(C.elegans)miR−67ミミック、Thermo Scientific社)をトランスフェクトした。48時間後、トランスフェクション細胞溶解物を収集して、目的遺伝子の発現を解析した。

0201

トランスフェクション効率を、標識Dy547ミミックを用いたフローサイトメトリーにより評価し、対照スクランブルミミックおよびそれぞれのmiR29ファミリーミミックの定量的PCRにより確認した。

0202

コラーゲン1型および3型ならびに可溶性ST2を標的化するルシフェラーゼレポーターアッセイ
COL1および3ならびに可溶性ST2 3’UTRに対してオリゴをアニーリングすることによりヒト2 miRNA標的部位を作製し、pMIR−REPORTルシフェラーゼベクター(Ambion社)のルシフェラーゼ遺伝子下流にセンス方向およびアンチセンス方向にクローニングした。これらの構築物の配列を決定してインサートを確認し、pMIR−COL I/COL III/sST2−miR29a/b/cおよびpMIR(A/S)−COL I/COL III/sST2−miR29a/b/cを命名し、HEK293細胞のトランスフェクションに用いた。HEK293細胞を96ウェルプレートで培養し、pMIR−COL I/COL III/sST2−miR29a/b/c、pMIR(A/S)−COL I/COL III/sST2−miR29a/b/cまたはpMIR−REPORTのいずれか0.1μgを、ウミシイタケルシフェラーゼを含むpRL−TKベクター(Promega社)0.01μgおよび40nMのmiR−155またはスクランブルmiRNA(Thermo Scientific Dharmacon(登録商標))とともにトランスフェクトした。Effectene(Qiagen)を製造業者の指示通りに用いてトランスフェクションを実施した。トランスフェクションから24時間後、Dual−Luciferase Reporter Assay(Promega社)を用いてルシフェラーゼ活性を測定した。以下のプライマー、sST2fw 5’AGTTTAAACTGGCTTGAGAAGGCACACCGT3’およびsST2rev 5’AGTCGACGGGCCAAGAAAGGCTCCCTGG3’を用いて、ゲノムDNAからヒトsST2の3’UTRを増幅し、それぞれPmeI部位およびSalI部位を作製した。これらの部位を用いて、PCR増幅産物をpmiRGLO(Promega社)の同じ部位にクローニングした。QuickChange部位特異的変異誘発キット(Agilent社)を用いて、Targetscanで予測された2つのmiR29aMRE部位のシード領域である29−1および29−2を変異させた。Attactene(Qiagen社)を製造業者の指示通りに用いて、各ベクターをmiR29aまたはスクランブル対照ミミックをともにHEK293細胞にトランスフェクトした。24時間後、Dual−Gloルシフェラーゼアッセイ(Promega社)を用いてルシフェラーゼ活性を測定し、ウミシイタケ(Renilla)に対して正規化した。正規化したルシフェラーゼ活性を同じ構築物のスクランブル対照に対する百分率で表した。

0203

サイトカイン産生
25−Plexヒトサイトカインアッセイにより、Luminex技術を用いた25の別個のヒトサイトカインのin vitro定量測定を評価した。上清(n=3)

0204

膝蓋腱傷害モデル
外科的処置の準備には、マウスにイソフラン(3%)と酸素(1%)の混合物による麻酔を実施し、両後肢剪毛した。外科的処置の間、酸素を用いてイソフランのレベルを1%に下げノーズコーンから送達して麻酔を実施した。皮膚切開後、支帯の両側に腱と平行になるよう2つの切れ目を入れ、次いで、膝蓋腱の下に直剪刀を置いた。の刃を支持体として、直径0.75mmの生検パンチ(World Precision Instruments社)を用いて、右膝蓋腱の全層にわたって部分断裂を生じさせた。左膝蓋腱には処置を実施し、この処置は、腱の下にプラスチック製の支持体を置くだけで、傷害を一切生じさせないものであった。皮膚創傷を皮膚ステープルで閉じ、術後1日目、3日目、7日目および21日にマウスを屠殺した。マウスをCO2吸入により屠殺し、直ちに体重を測定した。BALB/c対照(CTL)およびST2−/−BALB/cの2つのグループのマウスを用いた。1時点当たりのマウスは各グループとも16匹(ST2−/−BALB/c、BALB/cそれぞれn=8)とした。上記の実験を別々に4回繰り返した。

0205

IL−33が腱マトリックス調節異常を誘発するかどうかを試験するため、サイトカイン注射モデルを確立した。IL−23またはIL−22の適用について最初に記載した既に報告されているモデル44〜45でIL−33を試験した。受傷3日前、受傷2日前、受傷1日前および受傷当日、ST2−/−マウス(n=4/グループ/治療/実験)にIL−33(マウス1匹当たり0.2μgをPBS100μLで希釈したもの)を連日腹腔内投与した。最後に注射してから24時間後、マウスをプロトコル通りに選別した。対照マウスには等体積のPBSを同様に投与した。このほか、同じく4/グループ/治療/実験のWTマウスおよびST2−/−マウスに受傷直後にIgG対照を腹腔内注射することにより、IL−33(0.5μg/ml、R&D systems社)に対する中和抗体を試験した。

0206

生体力学的解析
生体力学的解析には、各グループのマウスの膝蓋腱を傷害し、3つの時点のうち1つの時点でマウス8匹を屠殺し、Linら10により既に記載されている通りに力学的試験を実施した。簡潔に述べれば、膝蓋腱を解剖して付着物を取り除き、膝蓋、膝蓋腱および脛骨のみを1つの単位として残した。腱の幅と厚さを定量化し、この2つの数値の積として断面積を計算した。特別設計の備品に入れたIsopon p38(High Build Cellulose Filler)に脛骨を包埋し、金属鉗子で適切な位置に固定した。BOSE ElectroForce(登録商標)3200試験機器万力を用いて膝蓋を適切な位置に固定した。各腱標本を370Cの生理食塩水浴に浸漬して以下のプロトコルを実施した−0.02Nに再負荷し、0.1%/秒(0.003mm/秒s)の速度で0.02〜0.04に10サイクル前準備し、10秒間保持した。直後、腱を25%(0.75mm/秒)の速度で5%(0.015mm)の歪みまでの伸長させた後、600秒間弛緩させることにより応力緩和実験を実施した。最後に、破断するまで0.1%/秒(0.003mm/秒)の速度で力を増大させながら加えた。これらの試験から、最大応力を求め、応力歪み曲線のほぼ直線の領域から得られる線形回帰を用いて弾性率を計算した。

0207

miR29aミミックのin vivo投与
150ng/ml miR−29aミミック、9μg/mlポリエチレンイミン(PEI)および5%グルコースを含有するトランスフェクション複合体を調製した。この複合体50μlを外科手術の直後にマウスの膝蓋腱に注射した。1日後および3日後にマウスを屠殺し、col1a1およびcol3a1のmRNAおよびタンパク質のレベルを測定した。蛍光標識したmiR−29aミミックを用いて、ファロイジン細胞骨格構造を示す)および核(DAPI)に対する対比染色を用いた免疫蛍光法により、腱内のmiR−29aミミックのin vivo分布を評価した。

0208

miR29aミミックは以下の通りであった:
パッセンジャー鎖:
mAmCrCmGrAmUrUmUrCmArGmArUmGrGmUrGmCrUmAdG

ガイド鎖:
/5Phos/rUrArGrCrArCrCrArUrCrUrGrArArArUrCrGrGmUmUmA

/5Phos/=5’リン酸
mA=2’O−メチルアデノシンリボヌクレオチド
mC=2’O−メチルシトシンリボヌクレオチド;
mG=2’O−メチルグアニンリボヌクレオチド;
mU=2’O−メチルウラシルリボヌクレオチド;
rA=アデノシンリボヌクレオチド;
rC=シトシンリボヌクレオチド;
rG=グアニンリボヌクレオチド
rU=ウラシルリボヌクレオチド;

0209

統計解析
図の説明に示される通り、結果はいずれも平均+/−標準誤差平均(SEM)で表し、統計解析はいずれも、Graph Pad Prism 5ソフトウェアを用いてスチューデントのT検定、ANOVA検定またはマンホイニーの検定のいずれかにより実施した。p値が0.05未満であれば統計的に有意であると見なした。

0210

結果
ヒト腱障害におけるIL−33およびST2の発現
本発明者らはまず、本発明者らが既に開発したモデル22を用いて、ヒト腱障害におけるIL−33発現を検討した。初期腱障害では、対照または断裂腱の生検に比して、IL−33、可溶性の膜結合ST2の転写産物が有意にアップレギュレートされていた(図1A〜1C)。初期腱障害の組織には、断裂腱または対象の生検に比して、IL−33およびST2の有意に高い染色がみられた(図1D)。内皮細胞、特に線維芽細胞様細胞、すなわち、初期腱障害の調節に極めて重要であると考えられるテノサイトに顕著な染色がみられた(データ不掲載)。同時に、in vitroで培養したテノサイトをTNFおよびIL−1βで刺激したところ、核IL−33の発現がmRNAレベルおよびタンパク質レベル(図1Eおよびデータ不掲載)の両方でアップレギュレートされた。これに対して、休止テノサイトおよび未刺激テノサイトにはともに、ST2の恒常的発現がみられた(データ不掲載)。

0211

IL−33はテノサイトのコラーゲンマトリックスおよび炎症誘発性サイトカイン合成を調節する
コラーゲン3型発現に傾いたマトリックス調節異常は、腱障害において修復促進の鍵となる初期表現型変化であるが、コラーゲン3型は生体力学的に劣っている。IL−33は、総コラーゲンタンパク質量の用量依存的および時間依存的上方制御を誘導した(データ不掲載)が、これは1型、特に3型コラーゲンのmRNAおよびタンパク質の発現増大によって説明される(図1F、1G)。アレイ解析を実施したところ(データ不掲載)、IL−33の下流シグナル伝達に関する報告12、16と同じく、この作用はERK阻害によって打ち消された(データ不掲載)。ほかにも、rhIL−33によってIL−6、IL−8およびMCP−1の産生が有意に増大し(データ不掲載)、この増大がNF−κB阻害によって調節されたことから、IL−33はテノサイトにおいてその標準的なIL−1Rシグナル伝達経路を介して作用することが示唆された(データ不掲載)。これに対し、他のサイトカインの産生に対しては、線維芽細胞で既に報告されているIL−33誘導性サイトカイン産生プロファイル20〜23と一致する効果は全く見られなかった。

0212

腱傷害後のIL−33/ST2経路のin vivoでのモデル化
本発明者らは、上記の観察を十分に確立されたin vivoの腱傷害モデルまで広げた。WTマウスでは、腱傷害後第1日および第3日にIL−33mRNAの増大がみられた(図2A)。受傷ST2−/−マウスではこれが有意に減少したことから、オートクリン調節が示唆された。WTマウスでは、可溶性ST2が受傷後のいずれの時点でも未受傷対照に比して有意にアップレギュレートされた(図2B)のに対し、膜ST2 mRNAの増大がみられたのは、受傷後第3日までに限られた(データ不掲載)。受傷後第7日、第21日ともに、WTマウスにはIL−33およびST2の転写産物およびタンパク質の発現に有意な変化はみられず、ST2−/−マウスではIL−33発現に有意な変化はみられず、IL−33発現の影響が現れるのは、腱の傷害/修復における「アラーミン」型活性と同じく初期であることが示唆された。

0213

コラーゲン合成の解析から、WTマウスでは、受傷後のいずれの時点でもコラーゲン3型の発現が未受傷対照または受傷ST2−/−マウス(図2Eと2Fおよびデータ不掲載)に比して有意に高いことが明らかになった。WT受傷マウスでは、コラーゲン1型は最初、mRNAレベルでダウンレギュレートされた(第1日、第3日)(図2C)が、第7日および第21日までに受傷前のレベルに戻り(データ不掲載)、これと同様の傾向がコラーゲン1型タンパク質の発現にもみられた(図2D)。これに対し、ST2−/−受傷マウスでは、コラーゲン1型の合成の減少がみられた期間が長く(第1日、第3日および第7日)、第21日になって初めてベースラインに戻った(データ不掲載)。重要なのは、WTマウスの腱が受傷すると、受傷後第1日に生体力学的強度がST2−/−に比して有意に低下し(図2G)、第7日および第21日には回復する(データ不掲載)ということである。以上のデータから、ST2−/−マウスにおけるコラーゲンマトリックス合成の変化は、IL−33/ST2が生体力学的に重要な腱傷害時のコラーゲン変化の初期モジュレーターであることを示すものであることが示唆される。

0214

IL−33の操作によりコラーゲン3型がin vivoで修正される
この可能性を裏付けるため、本発明者らは、IL−33エフェクターの生物学的性質をin vivoで直接修正することを試みた。rhIL−33の投与は、コラーゲン1型の合成には影響を及ぼさなかった(図3A、3B)が、特に受傷腱におけるコラーゲン3型の合成が有意に増大した(図3D、3Eおよびデータ不掲載)。さらにWTマウスでは、rhIL−33投与により、受傷後のいずれの時点でも最終腱強度の有意な低下がみられ(図3Eおよびデータ不掲載)、このような変化が機能的影響を及ぼすことが示唆された。治癒しつつあるST2−/−マウスの腱では、IL−33の投与はコラーゲンマトリックス合成にも最終腱強度にも影響を及ぼさず、IL−33がST2依存性経路を介して作用することが裏付けられた(データ不掲載)。

0215

次に、本発明者らはin vivoでIL−33を直接標的とした。WT受傷マウスでは、IL−33に対する中和抗体により、受傷後第1日および第3日にコラーゲン1型から3型への切替えが弱まり(図3F〜3I)、受傷後第1日のWTマウス腱の生体力学的強度が有意に増大した(図3J)。この効果は、これより後の時点ではみられなかった(データ不掲載)。対照実験では、ST2−/−マウスに何ら効果は観察されず(データ不掲載)、傷害による腱障害には内因性IL−33が寄与していることがさらに裏付けられた。

0216

IL−33はテノサイトにおけるmiR−29を介したコラーゲン1型/3型の差次的調節を促進する
IL−33がテノサイトにおけるコラーゲン1型および3型の差次的調節を駆動することが確認されたため、本発明者らは、この過程にmiRNAネットワークが何らかの機構的役割を果たしていると仮定した。これまでの研究で、miR−29ファミリーが1型および3型コラーゲンを含めた多数の細胞外トリックス遺伝子を直接標的とし24〜25、自然免疫および適応免疫の調節に関与していることが明らかにされている26。コンピュータアルゴリズムでは、miR−29がほかにもsST2を標的とし得ることが予測される。本発明者らは、ヒト腱生検および外植テノサイトにmiR−29ファミリーの全メンバーが発現し(図4A)、miR−29aが最も発現の変化が大きいことを明らかにした。テノサイト培養物では、IL−33がNFκB依存性シグナル伝達を介して作用することにより、6時間後、12時間後および24時間後にmiR−29aの発現が有意に低下する(図4B)のに対し、miR−29bおよびmiR−cに対する効果には一致がみられなかった(データ不掲載)。IL−33が仲介するコラーゲン3型マトリックスの変化がmiR−29aによって調節されたことから、本発明者らは、miR−29aの操作がin vitroでコラーゲンマトリックス合成に及ぼす機能的効果を分析した。まず、ルシフェラーゼアッセイを用いて、既に示されているように27、miR−29aがcol 1a1およびcol 3a1を直接標的とすることを確認した(図7B)。ほかにも、それまで確認されていなかったcol 1a2サブユニット転写産物との相互作用を観察した(図7)。miR−29aが実際に疾患関連細胞の標的mRNA候補のレベルを調節するかどうかを試験するため、テノサイトにmiR−29aのミミックおよびアンタゴマーをトランスフェクトした。初代テノサイトでは、miR−29a操作によりコラーゲン3型のmRNAおよびタンパク質の発現が調節されたが、コラーゲン1型のmRNAおよびタンパク質の発現は調節されなかった(図4C、4D)。さらに、miR−29aの過剰発現により、IL−33誘導によるコラーゲン3型のmRNAおよびタンパク質の合成が有意に阻害された(図4E)。さらに、miR−29aの阻害によりcol 3a1発現が有意に増大し、ヒトテノサイトにおいてmiR−29aがこれらの転写産物を能動的に調節するだけでなく、その減少が腱障害にみられる3型コラーゲン産生の増大に重要な因子であること示された。これに対し、col 1a1転写産物のレベルには変化がみられなかった(図4I)。

0217

ルシフェラーゼレポーターアッセイでは、miR−29aがコラーゲン3型以上の効率でcol 1a1およびcol 1a2を抑制することが可能であったことを考えると、このことが3型転写産物内のmiR−29aのMREに対する親和性の方が高いことに起因する可能性は低いと思われた(図4F)。転写産物がそのmiRNA調節に対する感受性を調節する機構を説明するもので十分に裏付けられたものの1つが、代替的ポリアデニル化シグナルを利用するというものである(図4G)。このことを試験するため、q−PCRにより完全長(miR−29aを含む)転写産物のレベルと全体のレベルとを比較したところ(図4H)、col 1a1およびcol 1a2の転写産物のうち遠位のポリアデニル化シグナルを利用するものが5%未満であったのに対し、3a1 転写産物では大部分が同シグナルを利用することが明らかになった。

0218

cDNA末端の3’迅速増幅(RACE)によりこのことが確認され(図7E)、col 1a1およびcol 1a2がともに、col 3a1とは異なり、それまで確認されていないポリアデニル化シグナルを利用することが裏付けられた(図4G)。生じた短縮3’UTRにはmiR29aMREがない(図7Eに示される配列はcDNA配列であり、対応するmRNA配列には、当然のことながらTではなくUが含まれることが理解されよう)。以上のデータから、テノサイトでは、miR−29aがcol 3a1を特異的に調節するのに対し、col 1a1およびcol 1a2はともに代替的ポリアデニル化シグナルを利用するため、miR−29a阻害に非感受性であることが示唆される。この代替的ポリアデニル化シグナルの利用は、IL−33の存在による影響を受けなかった(データ不掲載)。IL−33シグナル伝達時にmiR−29aが減少するとコラーゲン3型が抑制され、これが受傷腱にみられるコラーゲン3型の増大に寄与する可能性が考えられる。

0219

ヒトテノサイトで得られた3’RACEの結果から、2つのcol 3a1UTRのうち、短い方[図7EではCol3a1(短い3’UTR)と命名されている]にはmiR−29aMREが1つ含まれているのに対し、長い方には2つ含まれていることが明らかになった。図7Dに示されるように、ともにmiR−29aによって調節される。

0220

ウマテノサイトに発現するCol1a1、Cola2およびCol3a1転写産物の3’UTRの特徴付けでは、これらが、ヒトテノサイトに発現するオーソロガスなコラーゲン転写産物で用いられている同じ保存されたポリAシグナルを利用していることが明らかになった。col1a1およびcola2では、これらの近位のポリAシグナルを用いることによって、長さ100〜350ヌクレオチドで、miR−29結合部位を含まず、したがって、このmiRNAによる調節に非感受性の3’UTRを有する転写産物が生じる。これに対し、col3a1 3’UTRはともにmiR−29結合部位を含むため、miR−29による調節に感受性である。

0221

可溶性ST2はmiR−29の直接の標的である
コンピュータ解析では、可溶性ST2がmiR−29aの標的になり得ることが明らかになり、IL−33エフェクター機能に何らかの調節的役割を果たしている可能性が示唆された。2つの有望なmiR−29abc結合部位を有することが予測されるヒトsST2の3’UTRを含むルシフェラーゼレポーター遺伝子を作製した。sST2−ルシフェラーゼレポータープラスミドとmiR−29ミミックとの共トランスフェクションにより、スクランブル対照に比してルシフェラーゼ活性の有意な低下がみられた(図7B)。さらに、sST2の両miR−29MREのシード領域を変異させたところ、ルシフェラーゼ活性が完全に回復したことから、sST2がmiR−29aの直接の標的であることが確証された(図5A)。miR−29aが実際にテノサイトにおいて標的mRNA候補のレベルを調節するかどうかを検討するため、再びヒトテノサイトにmiR−29aのミミックおよびアンタゴマーをトランスフェクトした。miR−29aミミック/アンタゴマーのトランスフェクションによって可溶性ST2のメッセージが有意に(p<0.01)約5倍変化し(図5B)、これに対応して可溶性ST2タンパク質が有意に変化したことから、miR29aが可溶性ST2の標的であることが裏付けられた(図5C)。

0222

IL−33/sST2は腱治癒のin vivoモデルにおいてmiR−29発現を調節する
最後に、本発明者らは、in vivoの腱障害モデルにおけるmiR−29a発現を検討した。WTマウスの腱傷害では、miR29aが第1日に(ベースラインに対して)22分の1に減少し、第3日までに6分の1の減少まで戻り(図5Dおよびデータ不掲載)、第7日には有意差が認められなかった。この効果はST2−/−マウスでは有意に阻害された(データ不掲載)。さらに、未受傷腱では、外来rh−IL−33の投与により、いずれの時点でもPBS注射対照に比してmiR−29a発現の減少がみられた(データ不掲載)。この効果は受傷WTマウスに最も著明にみられ、rhIL−33を加えると、miR−29aのさらに10倍の減少が仲介された(図5E)。ST2−/−マウスにrhIL−33を加えたところ、同じく受傷腱にも未受傷腱にもmiR−29a発現に対する有意な効果は認められず、miR−29aのダウンレギュレーションの一部はIL−33/ST2依存性シグナル伝達によって直接仲介されていることが示唆された。IL−33に対する中和抗体を加えたところ、受傷後第1日および第3日にmiR−29a遺伝子発現に対する傷害の効果の有意な低下がみられた(図5F)。

0223

膝蓋腱傷害モデルにおけるmiR29aミミックのin vivo投与
WTマウスの膝蓋腱にmiR−29a/PEI複合体を直接注射することにより、miR−29aミミックをテノサイトに送達した。ファロイジン(緑、細胞骨格構造に対する染色)およびDAPI(核を示す染色)で対比染色するミミック(赤)の免疫蛍光染色を用いて、miR−29aミミック注射の24時間後におけるテノサイト周辺へのミミックの局在を可視化した(不掲載)。図8に示されるように、miR−29aミミックを注射した腱では、対照群に比してコラーゲン3型のmRNAおよびタンパク質レベルの有意な低下がみられた。これに対し、コラーゲン1型のレベルには変化がみられなかった。

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