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技術 動脈内皮細胞集団の生成

出願人 ウィスコンシンアラムニリサーチファンデーション
発明者 トムソンジェイムズエイジャンジュエ
出願日 2020年1月9日 (1年11ヶ月経過) 出願番号 2020-002254
公開日 2020年5月14日 (1年7ヶ月経過) 公開番号 2020-072722
状態 未査定
技術分野 突然変異または遺伝子工学 微生物、その培養処理
主要キーワード 環境履歴 ライン経由 EMOS トレーサビリティー 再スケール データ処理ソフトウェア ZST 生きている状態
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年5月14日)のものです。
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図面 (18)

課題

動脈内皮細胞を生成する方法を提供する。

解決手段

動脈内皮細胞を得る方法であって、インスリンを実質的に含まず、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮増殖因子VEGF)、並びにNotch作動薬、TGF−ベータ阻害剤、およびイノシトールモノホスファターゼの阻害剤のうちの少なくとも1つを含む、血清非含有、アルブミン非含有の化学的に規定された培養培地中で、中胚葉細胞を培養することにより、動脈内皮細胞を含む細胞集団を得るステップを含み、該集団の動脈内皮細胞が、エフリンB2(EFNB2)、ニューロピリン1(NRP−1)、デルタ様4(DLL4)、CD44、CXCR4/CD184、Gap結合タンパク質α−4(GJA4)、Hey1、ジャギド−1(JAG1)、Notch1及びNotch4からなる群から選択される1つ又は複数のマーカー発現する、方法。

概要

背景

心血管系疾患は、米国内の主な死亡原因であり、アテローム性動脈硬化症等の血管疾患のほとんどは動脈内で生ずる。アテローム性動脈硬化症は、内皮細胞活性化、機能障害、および構造的変化により開始する慢性炎症性疾患であり、白血球内皮接着の増加を引き起こす。
多能性幹細胞から動脈内皮細胞が生成できれば、それは、心血管系疾患を治療すると予想される疾患または状態に対する治療の開発にとって極めて有望である。ただし、一次動脈内皮細胞は培養中に脱分化するので、動脈内皮の開発が課題である。例えば、Prosperらの米国特許出願公開第2009/0104159号は、動脈分化に対する「潜在能力」を実証する血管内皮細胞を培養および使用する方法について記載している(段落[0136])。さらに、McCloskeyらの米国特許出願公開第2012/0064040号は、胚性幹細胞から内皮細胞を誘導するための、化学的に規定された培養条件について記載する。ただし、この開示もやはり、動脈内皮細胞を胚性幹細胞から分化させる潜在能力を単に実証するに過ぎないようであり、その成果は極めて低い。
ヒト胚性幹細胞から動脈内皮細胞を誘導する既存のプロトコールは、ほとんど成功していない。したがって、ヒト多能性幹細胞からヒト動脈内皮細胞を生成する効率的で、規定された、スケーラブルな方法に対する必要性が、当技術分野において今なお存在する。

概要

動脈内皮細胞を生成する方法を提供する。動脈内皮細胞を得る方法であって、インスリンを実質的に含まず、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮増殖因子VEGF)、並びにNotch作動薬、TGF−ベータ阻害剤、およびイノシトールモノホスファターゼの阻害剤のうちの少なくとも1つを含む、血清非含有、アルブミン非含有の化学的に規定された培養培地中で、中胚葉細胞を培養することにより、動脈内皮細胞を含む細胞集団を得るステップを含み、該集団の動脈内皮細胞が、エフリンB2(EFNB2)、ニューロピリン1(NRP−1)、デルタ様4(DLL4)、CD44、CXCR4/CD184、Gap結合タンパク質α−4(GJA4)、Hey1、ジャギド−1(JAG1)、Notch1及びNotch4からなる群から選択される1つ又は複数のマーカー発現する、方法。A−1D

目的

ただし、一次動脈内皮細胞は培養中に脱分化するので、動脈内皮の開発が課題である

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

動脈内皮細胞を得る方法であって、インスリンを実質的に含まず、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮増殖因子VEGF)、ならびにNotch作動薬、TGF−ベータ阻害剤、およびイノシトールモノホスファターゼの阻害剤のうちの少なくとも1つを含む、血清非含有、アルブミン非含有の化学的に規定された培養培地中で、中胚葉細胞を培養することにより、動脈内皮細胞を含む細胞集団を得るステップを含み、該集団の動脈内皮細胞が、エフリンB2(EFNB2)、ニューロピリン1(NRP−1)、デルタ様4(DLL4)、CD44、CXCR4/CD184、Gap結合タンパク質α−4(GJA4)、Hey1、ジャギド−1(JAG1)、Notch1、およびNotch4からなる群から選択される1つまたは複数のマーカー発現する、方法。

請求項2

細胞集団が、少なくとも80%の動脈内皮細胞を含む、請求項1に記載の方法。

請求項3

血清非含有、アルブミン非含有の化学的に規定された培養培地が、FGF、VEGF、Notch作動薬、TGF−ベータ阻害剤、およびイノシトールモノホスファターゼの阻害剤を含む、請求項1に記載の方法。

請求項4

中胚葉細胞が、Brachyury(T)、EMOS、FOXA2、MIXL1、MSX1、およびMSX2からなる群から選択される1つまたは複数の中胚葉マーカーを発現する、請求項1に記載の方法。

請求項5

骨形成タンパク質(BMP)、アクチビンA、およびWnt/β−カテニンシグナル伝達活性化因子を含む、血清非含有、アルブミン非含有の化学的に規定された細胞培養培地中で、ヒト多能性幹細胞を約2日の期間わたり培養して、中胚葉細胞を含む細胞集団を得ることによって、中胚葉細胞が得られる、請求項1に記載の方法。

請求項6

中胚葉細胞が、Brachyury(T)、EMOS、FOXA2、MIXL1、MSX1、およびMSX2からなる群から選択される1つまたは複数の中胚葉マーカーを発現する、請求項5に記載の方法。

請求項7

多能性幹細胞が、ヒト胚性幹細胞またはヒト誘導多能性幹細胞である、請求項5に記載の方法。

請求項8

Wnt/β−カテニンシグナル伝達の活性化因子が、Gsk3阻害剤である、請求項5に記載の方法。

請求項9

Gsk3阻害剤が、CHIR99021、CHIR98014、BIO−アセトキシム、BIO、LiCl、SB216763、SB415286、ARA014418、1−アザケンパウロン、およびビス−7−インドリルマレイミドからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。

請求項10

Notch作動薬が、レスベラトロール(3,4’,5−トリヒドロキシスチルベン)、バルプロ酸、およびスベロイルビスヒドロキサム酸からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。

請求項11

TGF−ベータ阻害剤が、SB431542である、請求項5に記載の方法。

請求項12

イノシトールモノホスファターゼの阻害剤が、L−690,330である、請求項5に記載の方法。

請求項13

請求項1に記載の方法に従って得られた、実質的に純粋な、動脈内皮細胞の単離された集団。

請求項14

少なくとも90%の動脈内皮細胞を含む、請求項13に記載の単離された集団。

請求項15

少なくとも99%の動脈内皮細胞を含む、請求項13に記載の単離された集団。

請求項16

請求項5の方法に従って得られた、実質的に純粋な、多能性幹細胞に由来する動脈内皮細胞の単離された集団。

請求項17

少なくとも90%の動脈内皮細胞を含む、請求項16に記載の単離された集団。

請求項18

少なくとも99%の動脈内皮細胞を含む、請求項16に記載の単離された集団。

請求項19

薬剤をinvitroでスクリーニングする方法であって、(a)試験薬剤を、請求項1に記載の方法に従って得られた動脈内皮細胞と接触させるステップと、(b)接触させた動脈内皮細胞への白血球接着に対する該薬剤の効果を検出するステップとを含む方法。

請求項20

検出するステップが、白血球接着アッセイRNA配列決定、遺伝子発現プロファイリングトランスクリプトーム解析メタボローム解析レポーターまたはセンサーの検出、タンパク質発現プロファイリング、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)、メタボリックプロファイリング、およびマイクロダイアリシスからなる群から選択される方法を実施するステップを含む、請求項19に記載の方法。

請求項21

工学的に作出された組織構築物を血管化させる方法であって、請求項1に記載の方法に従って得られた動脈内皮細胞を、工学的に作出された組織構築物と接触させるステップを含む方法。

請求項22

工学的に作出された組織構築物が、血管平滑筋細胞を含む、請求項21に記載の方法。

請求項23

動脈内皮細胞を得るためのキットであって、(i)中胚葉細胞を動脈内皮細胞に分化させるのに適する血清非含有、アルブミン非含有の化学的に規定された培養培地であって、インスリンを実質的に含まず、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、ならびにNotch作動薬、TGF−ベータ阻害剤、およびイノシトールモノホスファターゼの阻害剤のうちの少なくとも1つを含む、培養培地と、(ii)該培養培地を利用する、中胚葉細胞を動脈内皮細胞に分化させる方法を説明する説明書とを含む、キット。

請求項24

(a)ヒト多能性幹細胞を中胚葉細胞に分化させるのに適する、血清非含有、アルブミン非含有の化学的に規定された培養培地であって、BMP、アクチビンA、およびWnt/β−カテニンシグナル伝達の活性化因子を含む、培養培地と、(b)ヒト多能性幹細胞を動脈内皮細胞に分化させる方法であって、(a)の培養培地を利用する方法について記載する説明書とをさらに含む、請求項23のキット。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照として本明細書に組み込まれている2015年2月20日出願の米国仮特許出願第62/118,553号に付与された優先権を主張する。
連邦政府資金による研究または開発に関する記述
本発明は、米国国立衛生研究所(国立先進トランスレーシナル科学センター)より授与されたUH2−TR000506に基づく政府支援を受けてなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。

背景技術

0002

心血管系疾患は、米国内の主な死亡原因であり、アテローム性動脈硬化症等の血管疾患のほとんどは動脈内で生ずる。アテローム性動脈硬化症は、内皮細胞活性化、機能障害、および構造的変化により開始する慢性炎症性疾患であり、白血球内皮接着の増加を引き起こす。
多能性幹細胞から動脈内皮細胞が生成できれば、それは、心血管系疾患を治療すると予想される疾患または状態に対する治療の開発にとって極めて有望である。ただし、一次動脈内皮細胞は培養中に脱分化するので、動脈内皮の開発が課題である。例えば、Prosperらの米国特許出願公開第2009/0104159号は、動脈分化に対する「潜在能力」を実証する血管内皮細胞を培養および使用する方法について記載している(段落[0136])。さらに、McCloskeyらの米国特許出願公開第2012/0064040号は、胚性幹細胞から内皮細胞を誘導するための、化学的に規定された培養条件について記載する。ただし、この開示もやはり、動脈内皮細胞を胚性幹細胞から分化させる潜在能力を単に実証するに過ぎないようであり、その成果は極めて低い。
ヒト胚性幹細胞から動脈内皮細胞を誘導する既存のプロトコールは、ほとんど成功していない。したがって、ヒト多能性幹細胞からヒト動脈内皮細胞を生成する効率的で、規定された、スケーラブルな方法に対する必要性が、当技術分野において今なお存在する。

発明が解決しようとする課題

0003

第1の態様では、動脈内皮細胞を得る方法が本明細書に提示される。本方法は、インスリンを実質的に含まず、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮増殖因子VEGF)、ならびにNotch作動薬、TGF−ベータ阻害剤、およびイノシトールモノホスファターゼの阻害剤のうちの少なくとも1つを含む、血清非含有、アルブミン非含有の化学的に規定された培養培地中で、中胚葉細胞を培養することにより、動脈内皮細胞を含む細胞集団を得るステップを含む、またはそれから本質的になり得る。集団の動脈内皮細胞は、エフリン2、ニューロピリン1(NRP−1)、デルタ様4(DLL4)、エフリン−B2(EFNB2)、CD44、CXCR4/CD184、Gap接合タンパク質アルファ−4(GJA4)、Hey1、ジャギド−1(JAG1)、Notch1、およびNotch4からなる群から選択される1つまたは複数のマーカー発現することができる。細胞集団は、少なくとも80%の動脈内皮細胞を含み得る。

0004

血清非含有、アルブミン非含有の化学的に規定された培養培地は、FGF、VEGF、Notch作動薬、TGF−ベータ阻害剤、およびイノシトールモノホスファターゼの阻害剤を含み得る。中胚葉細胞は、Brachyury(T)、EMOS、FOXA2、MIXL1、MSX1、およびMSX2からなる群から選択される1つまたは複数の中胚葉マーカーを発現することができる。
いくつかのケースでは、骨形成タンパク質(BMP)、アクチビンA、およびWnt/β−カテニンシグナル伝達活性化因子を含む、血清非含有、アルブミン非含有の化学的に規定された細胞培養培地中で、ヒト多能性幹細胞を約2日の期間にわたり培養して、中胚葉細胞を含む細胞集団を得ることによって、中胚葉細胞が得られる。中胚葉細胞は、Brachyury(T)、EMOS、FOXA2、MIXL1、MSX1、およびMSX2からなる群から選択される1つまたは複数の中胚葉マーカーを発現することができる。多能性幹細胞は、ヒト胚性幹細胞またはヒト誘導多能性幹細胞であり得る。Wnt/β−カテニンシグナル伝達の活性化因子は、Gsk3阻害剤であり得る。Gsk3阻害剤は、CHIR99021、CHIR98014、BIO−アセトキシム、BIO、LiCl、SB216763、SB415286、ARA014418、1−アザケンパウロン、およびビス−7−インドリルマレイミドからなる群から選択され得る。Notch作動薬は、レスベラトロール(3,4’,5−トリヒドロキシスチルベン)、バルプロ酸、およびスベロイルビスヒドロキサム酸からなる群から選択され得る。TGF−ベータ阻害剤は、SB431542であり得る。イノシトールモノホスファターゼの阻害剤は、L−690,330であり得る。

0005

別の態様では、本明細書に提示する方法に従って得られた、実質的に純粋な、動脈内皮細胞の単離された集団が本明細書に提示される。該単離された集団は、少なくとも90%の動脈内皮細胞、または少なくとも99%の動脈内皮細胞を含み得る。
別の態様では、本明細書に提示する方法に従って得られた、実質的に純粋な、多能性幹細胞に由来する動脈内皮細胞の単離された集団が本明細書に提示される。単離された集団は、少なくとも90%の動脈内皮細胞、または少なくとも99%の動脈内皮細胞を含み得る。

0006

さらなる態様では、薬剤をin vitroでスクリーニングする方法が本明細書に提示される。本方法は、試験薬剤を、本明細書に提示する方法に従って得られた動脈内皮細胞と接触させるステップと、接触させた動脈内皮細胞に対する薬剤の効果を検出するステップとを含み得る。検出するステップは、RNA配列決定、遺伝子発現プロファイリングトランスクリプトーム解析メタボローム解析レポーターまたはセンサーの検出、タンパク質発現プロファイリング、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)、メタボリックプロファイリング、およびマイクロダイアリシスからなる群から選択される方法を実施するステップを含み得る。

0007

なおも別の態様では、動脈内皮細胞を得るためのキットであって、(i)中胚葉細胞を動脈内皮細胞に分化させるのに適する血清非含有、アルブミン非含有の化学的に規定された培養培地であって、インスリンを実質的に含まず、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、ならびにNotch作動薬、TGF−ベータ阻害剤、およびイノシトールモノホスファターゼの阻害剤のうちの少なくとも1つを含む、培養培地と、(ii)培養培地を利用する、中胚葉細胞を動脈内皮細胞に分化させる方法を説明する説明書とを含む、キットが本明細書に提示される。キットは、(a)ヒト多能性幹細胞を中胚葉細胞に分化させるのに適する、血清非含有、アルブミン非含有の化学的に規定された培養培地であって、BMP、アクチビンA、およびWnt/β−カテニンシグナル伝達の活性化因子を含む、培養培地と、(b)ヒト多能性幹細胞を動脈内皮細胞に分化させる方法であって、(a)の培養培地を利用する方法について記載する説明書とをさらに含み得る。

0008

本発明のこれらおよびその他の特質、態様、および長所は、下記の記載からよりよく理解されるようになる。記載では、本明細書の一部をなす添付図面が参照され、図面では、説明を目的として非限定的に、本発明の実施形態が示されている。好ましい実施形態の記載では、修正形態、同等形態、および代替形態のすべてを含めるために、本発明を限定することは意図しない。したがって、本発明の範囲を解釈するには、本明細書に挙げた特許請求の範囲を参照すべきである。

0009

下記の図面は、本明細書の一部をなし、また本明細書に提示する組成物および方法の特定の態様をさらに実証するために掲載する。本発明は、本明細書に提示する特定の実施形態の詳細な記載と組み合わせて、1つまたは複数のこれらの図面を参照することにより、よりよく理解され得る。

図面の簡単な説明

0010

単一細胞のRNA−seqを実証する図である。(A)単一細胞の動脈および静脈の遺伝子に関する階層的クラスタリング分析。(B)5つの細胞部分集団の動脈および静脈遺伝子発現平均値。各部分集団では、各遺伝子の平均TPM(百万個当たり転写物)を計算し、集団P1(動脈遺伝子)またはP3(静脈遺伝子)に正規化した。すべての動脈遺伝子または静脈遺伝子の正規化した発現をさらに平均化し、棒グラフで示す。データを平均値±SDとして表す。*:P<0.05、P1では細胞数n=13、P3では細胞数n=10。(C)P1およびP3の主成分分析。Singular(商標分析ツールセット2.1によりプロットを生成した。(D)動脈富化遺伝子。P1における各遺伝子の平均TPMを、P3と比較して倍率変化を計算した。p値もP1をP3と比較して計算した。倍率変化>2、P値<0.1、およびP1の平均TPM>10のとき、動脈富化遺伝子を識別した。これまでに報告され動脈遺伝子、VEGFa、Fzd4、Fzd7、Fzd10、Dll4、およびNotch4のP値は、0.01〜0.1であったので、P<0.1を、カットオフ値として使用した。
図2Aは表1に列挙する化学的に規定された培地を使用して、ヒト多能性幹細胞から動脈内皮細胞を生成するプロトコールの概略を示す図である。まず、E8BAC培地を使用して、ヒト胚性ES細胞を、中胚葉細胞に分化させた。次いで、増殖因子または小分子(E6FVB)が補充されたE6培地を、中胚葉細胞を誘発して内皮細胞に分化させるのに使用した。図2Bは、0日目(分化前の多能性状態)および5日目(分化後の状態)におけるCD31およびCD34発現に関するフローサイトメトリーデータを示す図である。図2Cは、0日目および5日目におけるKDR、NANOG、およびOCT4発現に関するフローサイトメトリーデータを示す図である。図2Dは、精製後の内皮細胞におけるCD144発現を、免疫染色により示す図である。図2Eは、LDL(低密度リポタンパク質)取り込みアッセイを示す図である。図2Fは、in vitroでのMATRIGEL(登録商標)(BD Biosciences、Falcon(登録商標))カプセル化アッセイを示す図である。図2Gは、移動および血管形成分析するin vivoでのMATRIGEL(登録商標)ゲルプラグアッセイの結果を示す図である。回収されたゲルプラグにおける血管形成を検出する免疫染色に、抗ヒトCD31特異的抗体を使用した。図2Hは、増殖因子および小分子の示すような組み合わせにおける、分化から5日後のCD31およびCD34発現に関するフローサイトメトリー分析を示す図である。インスリンを各組合せに含めた。分化培地にTGF阻害剤を含むとき、SB431542が10μMで含まれた。
動静脈特異化において重要である候補経路を示す図である。(A)CD31およびCD144ゲート化内皮細胞上でのEFNB2−tdTomatoおよびEPHB4−EGFP発現に関するフローサイトメトリー分析。まず、EFNB2−tdTomato/EPHB4−EGFPデュアルレポーター細胞(各遺伝子がヘテロノックインされたH1細胞)を、E8BAC培地(BMP4、アクチビン−A、およびCHIR99021が補充されたE8培地)により、中胚葉細胞に分化させた。2日目〜6日目に、100ng/mlのFGF2、50ng/mlのVEGFA、および50ng/mlのBMP4が補充されたE5(E8培地からFGF2、TGFβ1、およびインスリンを除いた)培地を、中胚葉細胞を誘発して内皮細胞に分化させるのに使用した。2日目〜6日目に、インスリン(20μg/ml)またはLy294002(16μM、PI3K阻害剤)のいずれかを、示すように培地に添加した。(B)EFNB2−tdTommatohigh/EPHB4−EGFPlow細胞の統計学。データを平均値±SDとして表す。*:P<0.05、n=5。(C)AKT活性を示すウェスタンブロット。タンパク質を3日目に採取した。(D)CD31およびCD144ゲート化内皮細胞上でのEFNB2−tdTomatoおよびEPHB4−EGFP発現のフローサイトメトリー分析。2日目〜6日目に、50ng/mlのVEGFA、50ng/mlのBMP4、または10μMのSB431542が補充されたE5培地を、中胚葉細胞を誘発して内皮細胞に分化させるのに使用した。(E)CD31およびCD144ゲート化内皮細胞上でのEFNB2−tdTomatoおよびEPHB4−EGFP発現のフローサイトメトリー分析。まず、ES細胞を、上記のように中胚葉細胞に分化させた。2日目〜6日目に、50ng/mlのVEGFAおよび10μMのSB431542が補充されたE5培地をベース培地として、中胚葉細胞を誘発して内皮細胞に分化させるのに使用した。その他の因子を、示すようにベース培地に添加した。(F)EFNB2−tdTomatohigh/EPHB4−EGFPlow細胞の統計学。5μMのL690、5μg/mlのLDL、および100ng/mlのPDGF−BBを使用した。*:P<0.05、n=3。
記載するように、様々な培地において分化させた後に得られるCD31−およびCD144−ゲート化内皮細胞上でのエフリンB2およびエフリンB型受容体レポーター構築物(EFNB2−tdTomatoおよびEPHB4−EGFP)の発現に関するフローサイトメトリー分析を示す図である。図4Bは、図4Aの様々な培地条件で分化させた後に得られた動脈内皮細胞(AEC)(EFNB2−tdTomatohigh/EPHB4−EGFPlow)のパーセントについて例示する。データを平均値±SDとして表す。図4Cは、図4Aの条件下で3日間分化させた後の細胞から採取したタンパク質のウェスタンブロットによるAKT(タンパク質キナーゼB)活性を示す。図4Dは、記載するように、様々な培地中で分化させた後に得られるCD31−およびCD144−ゲート化内皮細胞上でのEFNB2−tdTomatoおよびEPHB4−EGFP発現に関するフローサイトメトリー分析を示す。図4Eは、図4Dの様々な培地条件で分化させた後に得られるAEC(EFNB2−tdTomatoHigh/EPHB4−EGFPlow)のパーセントについて例示する。5μMのL−690,330(イノシトールモノホスファターゼのビスホスホネート阻害剤)、および100ng/mlのPDGF−BB(血小板由来の増殖因子BB)を使用した。図4Fは、記載する分化プロトコールに従い実施した、AEC(EFNB2−tdTomatohigh/EPHB4−EGFPlow)および内皮細胞(EC)(EFNB2−tdTomatolow/EPHB4−EGFPhigh)のソーティングを示す。図4Gは、図4Fの記載に従いソーティングすることにより得られたAECおよびECについてRT−qPCR動脈および静脈の遺伝子発現を行い、それをβ−アクチンに対して正規化して、対数目盛で示す。データを平均値±SDとして表す。*:p<0.05。図4Hは、動脈内皮細胞分化に関するワーキングモデルを示す。
動脈内皮細胞の特徴付けを示す図である。すべての動脈内皮細胞は、「5因子」培地により誘導した。(A)バルクRNA−seqのTPMを示す。EFNB2−tdTomatohigh/EPHB4−EGFPlow(AEC)をRNA−seq用にソーティングした。HUVECに対するAEC(AEC1およびAEC2の平均TPM)の比を計算した。AoEC、培養後の大動脈内皮細胞。(B)単一細胞RNA−seqのPCA。AEC:ソーティング後のEFNB2−tdTomatohigh/EPHB4−EGFPlow細胞、pAEC:新たに単離されたヒト胎児背側大動脈に由来する一次動脈内皮細胞、H1:H1ES細胞。(C)LDLの取り込み。スケールバー=100μm。野生型H1細胞に由来する動脈内皮細胞(継代2)を使用した。純度は、継代後約93%であり、そのためパネルC〜Hで使用した細胞については精製しなかった。(D)Matrigelカプセル化アッセイ。レポーター細胞系統に由来する動脈内皮細胞(継代3)を使用した。スケールバー=100μm。(E)フィブリンゲル内血管形成。野生型H1細胞に由来する動脈内皮細胞(継代2)をパネルE〜Fについて使用した。スケールバー=100μm。(F)フィブリンゲル中で同時培養された内皮細胞および周皮細胞管腔形成管腔視覚化するために、細胞をCMFDA(緑色)で染色した。y−zおよびx−z投影図を示す。スケールバー=100μm。(G)内皮細胞は、in vivoで機能的な血管を形成した。野生型H1由来の動脈内皮細胞(継代2、CD144マイクロビーズにより精製)をMatrigelと混合し、SCIマウスに注射した。4週間後、ローダミンデキストランを、後眼窩注射して灌流血管を強調した。スケールバー=100μm。CD31:抗ヒトおよび抗マウスCD31抗体、Santa Cruz、カタログ番号SC−1506。hCD144:抗ヒトCD144−647抗体、BD Biosciences、カタログ番号561567。
動脈内皮細胞は血管機能を改善することを実証する図である。(A)酸素誘発性網膜症の平面的に嵌め込まれた網膜。内皮細胞をCD31抗体により染色した。血管退縮部位を線で囲んだ。スケールバー=0.5mm。(B)血管退縮の統計学。**:P<0.01。P値をビヒクル群と比較することにより計算した。ビヒクル群:n=12、独立した3実験PBSを使用した。AEC群:n=16、独立した2実験。HUVEC群:n=5。線維芽細胞群:n=5。(C)新生血管房を矢印で示した。内皮細胞をCD31抗体により染色した。スケールバー=0.5mm。(D)虚血無胸腺マウスにおける血流を示す、代表的なレーザードップラー潅流画像。(E)術後40日目の生理学的状態を示す積み上げ棒グラフ。ビヒクル群:n=10、DF12培地を使用した。0.3M AEC群:n=11、マウス1匹当たり3×105個のAECを注射した。1M AEC群:n=10、マウス1匹当たり1×106個のAECを注射した。1M CB−ECFC群:n=10、マウス1匹当たり1×106個のCB−ECFCを注射した。動物の死亡は、虚血関連の感染症により引き起こされた。**、P<0.001(カイ二乗検定、ビヒクル群と比較)。(F)AECは血管を形成し、また平滑筋細胞をマウス四肢に補充した。AECを、ヒト特異的CD31抗体で染色した。スケールバー=100μm。hCD31:抗ヒトCD31抗体、BD Biosciences、カタログ番号550274。
内皮細胞の動脈固有の機能に関する特徴付けを示す図である。(A)一酸化窒素生成を、DAFFMの強度により明らかにした。動脈内皮細胞(AEC)は、「5因子」培地による野生型H1細胞に由来し、継代2または4の実験で使用した。DAF−FMは、それがNOと反応して蛍光ベンゾトリアゾールを形成するまで、非蛍光性である。蛍光強度を、フローサイトメトリーにより測定した。実験を3回実施し、代表的な結果の1つを示す。(B)酸素消費速度を、XF24アナライザー(Seahorse Bioscience)上で測定した。オリゴマイシンを、酸素消費を無効にするのに使用した。FCCPを、酸化的リン酸化から電子伝達鎖を脱カップリングさせ、したがって最大の呼吸能を測定するのに、使用した。電子伝達鎖を完全に遮断するために、アンチマイシンAおよびロテノンを同時に適用した。*:P<0.05、n=3。HUVECと比較してP値を計算した。HCAEC、ヒト冠動脈内皮細胞。(C)剪断応力応答を、ibidiポンプシステム(Red perfusion set、μ−Slide VI0.4)上で実施した。(D)剪断応力応答の統計学データ。細胞の幅に対する長さ比を、剪断応力に応答して細胞が伸長することを実証するのに使用した。細胞型毎に、100個の細胞を、統計学を実施するために測定した。データを平均値±SDとして表す。*:P<0.05;***:P<0.001、独立した3実験に由来する細胞数n=100。(E)白血球(円形の細胞)接着アッセイ。スケールバー=200μm。継代1または4においてAECを使用した。(F)白血球接着アッセイの統計学。画像毎に白血球数計測した。データを平均値±SDとして表す。*:P<0.05、独立した3実験に由来する画像数n=3。P値を、HUVECとTNFα処理を比較することにより計算した。
レポーター細胞株の生成および特徴付けに関するデータを示す図である。(A)野生型および標的EFNB2−tdTomato対立遺伝子の模式図。H1ES細胞を遺伝子標的化に使用した。Tom:tdTomato。(B)野生型および標的EPHB4−EGFP対立遺伝子の模式図。(C)EFNB2−tdTomato対立遺伝子の5’アームおよび3’アームのジャンクションPCR。WT:野生型、C14:標的細胞クローン14。(D)EFNB2野生型およびノックイン(EFNB2−tdTomato)対立遺伝子のサザンブロット。(E)EPHB4−EGFP対立遺伝子の5’アームおよび3’アームのジャンクションPCR。C29:標的細胞のクローン29。(F)EPHB4−EGFP対立遺伝子のサザンブロット。(G)EFNB2−tdTomato細胞株(クローン14)のtdTomatoコピー数に関するqPCR分析。データを平均値±SDとして表す。n=3。Con:tdTomatoの1つのコピーを有する対照サンプル。(H)EFNB2−tdTomato/EPHB4−EGFP細胞株(クローン29)のEGFPコピーに関するqPCR分析。データを平均値±SDとして表す。n=3。Con:EGFPの1つのコピーを有する対照サンプル。(I)野生型およびレポーター細胞株の内因性EFNB2およびEPHB4遺伝子発現のRT−qPCRによる比較。5日目、5日間分化。データを平均値±SDとして表す。n=3。(J)EFNB2−tdTomato/EPHB4−EGFP細胞株(クローン29)の核型分類
EFNB2−tdTomatoおよびEPHB4−EGFP発現のフローサイトメトリー分析を示す図である。精製済みのAECを、増殖因子または小分子が補充されたE5培地中で3日間培養した。F:100ng/ml、V:50ng/mlのVEGFA、I:10μMのSB431542、W:100ng/mlのWNT3A、L:10μMのL−690,330、R:5μMのRESV。Ins:10μg/mlのインスリン。低めのEPHB4−EGFP発現、および高めのEFNB2−tdTomato発現が、FVIR、FVIR+Ins、およびFVIRLW培地において見出された。
単一細胞RNA−seqを使用して得られた発現のヒートマップを示す図である。本明細書に記載する「5因子」プロトコールにより誘導したEFNB2−tdTomatohigh/EPHB4−EGFPlow AECの動脈および静脈の遺伝子について階層的クラスタリング分析を実施した。
動脈内皮細胞分化データを示す図である。(A)動脈内皮細胞分化プロトコールの模式図。まず、ES細胞を、E8BAC培地(5ng/mlのBMP4、25ng/mlのアクチビンA、および1μMのCHIR99021が補充されたE8培地)により、中胚葉細胞に分化させた。次いで、100ng/mlのFGF2および10μMのSB431542が補充されたE5(E8培地からFGF2、TGFβ1、およびインスリンを除いた)培地を、中胚葉細胞を誘発して内皮細胞に分化させるのに使用した。(B)CD31およびCD34発現のフローサイトメトリー分析。E5+100ng/mlのFGF2+10μMのSB431542からなる培地(「対照」)と、それに50ng/mlのVEGF、5μMのRESV(レスベラトロール、Notch活性化因子)、または50ng/mlのWNT3Aを補充した培地を、中胚葉細胞を誘発して動脈内皮細胞に分化させるのに使用した。(C)EFNB2−tdTomatoおよびEPHB4−EGFP発現のフローサイトメトリー分析。
マウスの心臓、四肢、および腸内のMYH11陽性血管平滑筋を実証する図である。マウスの心臓および四肢では、MYH11陽性血管平滑筋が血管に補充される。腸では、平滑筋細胞は、MYH11およびCD31の両方を発現し(矢印で示す)、MYH11+CD31-細胞は血管平滑筋細胞である一方、MYH11+CD31+細胞は、腸の平滑筋細胞であることを実証する。

0011

本明細書で引用する特許および特許出願を含むが、それらに限定されないすべての公開資料は、本出願にそれらの全体が記載されているかのように、本明細書において参照として組み込まれる。
本発明は、いくつかの特定の因子を組み合わせることにより、単一の因子と比較して、動脈内皮細胞の分化が大幅に改善したという、本発明者らの発見に少なくとも部分的に基づく。本明細書に記載するように、本発明者らは、ある特定の因子(インスリン、TGFβ、およびPDGF)が動脈内皮の分化を阻害することをさらに発見した。
方法
代表的な実施形態では、本明細書に提示する方法は、中胚葉幹細胞を動脈内皮細胞に分化させるステップを含む。本明細書で使用する場合、用語「動脈内皮細胞」(AEC)とは、本明細書に提示する方法に従って得られた動脈血管内皮系列の細胞を意味する。本発明のAECは、動脈内皮細胞マーカー、例えばエフリンB2、DLL4、Hey−2、ジャギド−1、およびジャギド−2等の高レベルの発現により特徴付けられる。AECは、白血球接着が低く、NO生成および酸素消費量、剪断応力に対する応答、ならびにin vitroおよびin vivoでの血管ネットワーク形成能力がより高い一方、そのようなネットワークにおいて動脈マーカーの発現が維持されることによっても特徴付けられる。AECは、本明細書に記載するように、細胞のin vitroでの特徴的な発現プロファイルおよび機能的特性に基づいて、内皮細胞(EC)、静脈内皮細胞、および内皮前駆細胞を含むその他の細胞型から区別可能である。

0012

第1の態様では、動脈内皮細胞を得る方法が本明細書に提示される。代表的な実施形態では、本方法は、中胚葉細胞の動脈内皮細胞系列の細胞への分化を指示するステップを含む。本明細書で使用する場合、用語「中胚葉細胞(mesodermal cell)」および「中胚葉細胞(mesoderm cell)」は交換可能に使用され、中胚葉に特異的な遺伝子発現を有し、中胚葉系列、例えば骨、筋肉、例えば心筋骨格筋、および平滑筋(例えば、腸の)等、結合組織、例えば真皮および軟骨等、腎臓泌尿生殖系、血液または造血細胞、心臓および脈管構造等に分化する能力を有する細胞を指す。中胚葉特異的バイオマーカーには、Brachyury(T)が含まれる。

0013

本明細書に提示するAEC分化ステップ全体を通じて、中胚葉細胞は、インスリン、アルブミン、またはヒト以外の動物に由来する構成成分をまったく含まない、実質的に含まない、または本質的に含まない(すなわち、異種物質を含まない)培養培地中で一般的に培養される。本明細書で使用する場合、用語「実質的に含まない」とは、特定の構成成分または試薬が実質的に欠損している細胞培養条件を意味する。インスリンを実質的に含まないとは、培地が、インスリンの元の濃度の1%未満、または2×10-5質量%未満のインスリンを含有する、および好ましくは1×10-5%未満、0.5×10-5%未満、0.2×10-5%未満、0.1×10-5%未満のインスリンを含有することを意味する。

0014

さらに、培養培地は、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、TGF−ベータシグナル伝達の阻害剤(例えば、SB431542)、レスベラトロール(RESV)、およびイノシトールモノホスファターゼの阻害剤のうちの1つまたは複数を含む、またはそれらから実質的になり、その場合、培養は、培養対象の中胚葉細胞が動脈内皮細胞に分化するのに十分な長さの時間行われる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するAEC分化法で使用される細胞培養培地は、これらの構成成分のそれぞれを含む。その他のケースでは、培養培地は、これらの成分のうちの1つまたは複数を実質的に含まない。培養は、任意の適する表面上で(例えば、二次元または三次元培養で)実施され得る。

0015

いくつかのケースでは、中胚葉細胞(いくつかのケースでは、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を含む)は、中胚葉細胞の動脈内皮系列への分化を指示するのに有効な量で、FGF、VEGF、Notch作動薬、TGFβ受容体阻害剤、およびイノシトールモノホスファターゼの阻害剤を含む培地中で培養される。いくつかのケースでは、FGFは、FGF2である。VEGFは、特異的内皮細胞分裂促進因子として作用するヘパリン結合性糖タンパク質である。いくつかのケースでは、VEGFは、VEGF−A(血管内皮増殖因子A)、またはそのアイソフォーム(例えば、VEGF−165)である。代表的なヒトVEGF−Aタンパク質配列は、Genbank:AAH65522.2、およびGenBank:AAH1 1177.2を含み、ならびにそのすべてをコードする核酸、またはその非前駆体部分をコードする核酸が包含される。
本発明の方法で使用するのに適するTGFβ受容体阻害剤には、SB−431542、SB−525334、A83−01、LY2157299、LY210976、GW788388、RepSox、SB−505124、D4476、GW788388、SD208、およびEW−7197が非限定的に含まれる。好ましくは、TGF−ベータシグナル伝達の阻害剤は、SB431542、内因性アクチビンの小分子阻害剤、およびI型受容体(TGFβ受容体I)である(Inman et al., Mol Pharmacol. 62(1):65-74 (2002))。

0016

Notchは、デルタ様およびジャギドファミリーを含む細胞表面リガンドのファミリーと結合するシングルパス細胞表面受容体である。本明細書で使用する場合、用語「Notch作動薬」および「Notch活性化因子」とは、Notch受容体に結合し、Notch活性化と関連したシグナル伝達イベントを開始する、または媒介する分子(例えば、生体分子、小分子、化学物質)を指す。レスベラトロール(3,4’,5−トリヒドロキシスチルベン)は、スチルベンと呼ばれるポリフェノール系化合物クラスに属し、Notchシグナル伝達の活性化因子(作動薬)である。本明細書に提示する動脈分化を促進する方法に従う使用に適するその他のNotch作動薬として、バルプロ酸およびスベロイルビスヒドロキサム酸が挙げられる。さらに、固定化または多量体化した可溶性Notchリガンド、例えば固定化DLL4および固定化ジャギド−1ペプチド等も、Notch活性化因子として使用できる。

0017

イノシトールモノホスファターゼ(IMPase)は、ミオイノシトールモノホスフェートがミオイノシトールに加水分解するのを触媒し、同酵素は、ホスホイノシチド細胞シグナル伝達経路で必要とされる。いくつかのケースでは、IMPaseの阻害剤は、ビホスホネートL−690,330([1−(4−ヒドロキシフェノキシエチリデンビスホスホン酸)である。リチウムも、IMPaseを阻害して、ホスホイノシチドシグナル伝達を弱める(Berridge et al., Cell 59:411-419 (1989))。ホスホイノシチドシグナル伝達経路のその他の阻害剤として、ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)阻害剤Ly294002、ピクチリシブ(Pictilisib)、HS−173、GSK2636771、デュベリシブ(Duvelisib)、TG100−115、GSK1059615、PF−04691502、PIK−93、BGT226、AZD6482,SAR245409、BYL719、CUDC−907、IC−87114、TG100713、ゲダトリシブ(Gedatolisib)、CH5132799、PKI−402、BAY80−6946、XL147、PIK−90、PIK−293、PIK−294、ケルセチンウォルトマンニン(Wortmannin)、ZSTK474、AS−252424、AS−604850、およびアピトリシブ(Apitolisib)が非限定的に挙げられる。

0018

本明細書に記載するもの等の化学的阻害剤の適する作用濃度範囲は、約0.1μM〜約100μM、例えば約2μM、5μM、7μM、10μM、12μM、15μM、18μMであるか、または約0.1μM〜約100μMの間の1つまたは複数の上記化学的阻害剤の別の作用濃度である。
好ましくは、中胚葉細胞は、得られた細胞集団の少なくとも約80%(例えば、少なくとも80%、85%、90%、95%、99%)が動脈内皮細胞となるまでAEC分化培地中で培養される。動脈内皮細胞は、下記の発現プロファイル:CD31+/CD144+/CD41-/CD45-を特徴的に有する。

0019

本明細書に記載するいくつかの生物学的マーカーでは、発現はレベルが低いまたは中程度である。特定のマーカーについて「陽性」または「陰性」として細胞を呼ぶのが一般的であるが、実際の発現レベルは、定量的特性である。細胞表面上の分子の数は、数ログにわたり変化し得るが、なおも「陽性」として特徴付けられる。したがって、染色レベルの特徴付けにより、細胞集団間の微妙な区別が可能となる。発現レベルは、フローサイトメトリーにより検出またはモニタリング可能であり、その場合、レーザーが蛍光色素定量レベル(抗体が結合した細胞表面の抗原の量に比例する)を検出する。フローサイトメトリーまたは蛍光活性セルソーティング法(FACS)が、抗体染色強度、ならびにその他のパラメーター、例えば細胞サイズおよび光散乱等に基づき、細胞集団を分離するのに使用できる。染色の絶対的なレベルは、特定の蛍光色素および抗体調製物によって異なる可能性があり、データは対照に対して正規化され得る。

0020

任意の適する方法が、本明細書に記載する細胞型に特徴的な生物学的マーカーの発現を検出するのに使用できる。例えば、1つまたは複数の生物学的マーカーの有無は、例えばRNA配列決定法(例えば、RNA−seq)、免疫組織化学ポリメラーゼ連鎖反応、定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)等、または遺伝子発現を検出もしくは測定するその他の技術を使用して検出できる。RNA−seqは、生物組織、または細胞のRNA含有量について、ゲノム全域にわたる評価を提供するハイスループット配列決定技術である。代替的または付加的に、例えば蛍光in situハイブリダイゼーション;(FISH;1998年10月に公開された国際公開第98/45479号を参照)、サザンブロッティングノーザンブロッティング、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技法、例えばqRT−PCR等を使用して、AECの1つもしくは複数の生物学的マーカーの有無を検出またはそのレベルを測定できる。代表的な実施形態では、本明細書に提示する方法に従って得られた細胞集団は、動脈内皮細胞の生物学的マーカー、例えばEFNB2、Cxcr4、デルタ様4(DLL4)、Gja4、Hey1、Jag1、Notch1、Notch4、およびNrp1等の発現(またはその不存在)について評価される。好ましくは、AECは、下記の動脈内皮細胞マーカーのうちの1つまたは複数を発現する:エフリンB2(EFNB2)、ニューロピリン−1(NRP−1)/CD304、デルタ様4(DLL4)、およびCD184(分化のクラスター184)。エフリンB2(EFNB2)遺伝子は、EPHB4およびEPHA3受容体と結合するEFNBクラスのエフリンをコードする。血管内皮細胞増殖因子165受容体(VEGF165R)としても知られるニューロピリン−1(NRP1)は、動脈内皮細胞内で主に発現する。DLL4は、動脈内皮細胞内で発現するNotchリガンドである(Shutter et al., Genes & Dev. 14:1313-18 (2000))。CD184は、CXCR4(C−X−Cケモカイン受容体4型)またはフーシンとしても知られている。細胞集団内で、マーカーの発現をタンパク質レベルで評価する定量的方法も、当技術分野において公知である。例えば、フローサイトメトリーが、目的とする生物学的マーカーを発現する、または発現しない所定の細胞集団内の細胞分画を決定するのに使用される。

0021

用語「規定された培養培地」、「規定された培地」等とは、本明細書で使用する場合、各培地成分組成および量が既知であることを指す。本明細書で使用する場合、用語「化学的に規定された培養条件」、「十分に規定された増殖因子非含有培養条件」、および「十分に規定された条件」とは、各培地成分の組成および量が既知であり、支持表面の組成および量が既知であることを指す。本明細書で使用る場合、用語「アルブミン非含有条件」とは、使用される培養培地には、添加されるアルブミンを、ウシ血清アルブミンBSA)、組換えアルブミンの任意の形態、または任意のその他動物の構成成分を非限定的に含め、その形態を問わず含有しないことを指す。

0022

ヒト多能性幹細胞(hPSC)は、胚性であっても、また誘発性であっても、最初期段階のヒトの発生に関わる機会をもたらし、また多数の血管原性細胞が誘導される、細胞療法および組織工学用プラットフォームを提供する。したがって、代表的な実施形態では、本明細書に提示する方法は、中胚葉幹細胞が動脈内皮細胞に分化するのを促進する条件下で、ヒト多能性幹細胞を分化させるステップをさらに含む。その場合、動脈内皮細胞を生成する方法は、中胚葉の分化を促進する、血清非含有、アルブミン非含有の化学的に規定された培養培地中で、ヒト多能性幹細胞を培養するステップを含む。このように、多能性幹細胞由来の中胚葉細胞は、本明細書に提示するAEC分化法に従い分化し、したがって多能性幹細胞由来のAECを生成する。代表的な実施形態では、中胚葉の分化を促進する、血清非含有、アルブミン非含有の化学的に規定された培養培地は、アクチビンA、骨形成タンパク質4(BMP4)、FGF2、およびWnt/β−カテニンシグナル伝達の活性化因子を含む。

0023

本明細書に記載する方法で使用されるような、多能性幹細胞を培養するための規定された培地および基質条件は、当技術分野において周知である。本明細書で使用する培地は、それがアルブミン非含有であるという点でのみ、限定される。いくつかのケースでは、本明細書に開示する方法に従い分化される多能性幹細胞は、血清非含有、アルブミン非含有の培地中で培養される。

0024

業者が認識するように、Wnt/β−カテニンシグナル伝達は、Wnt/β−カテニンシグナル伝達経路に関与してβ−カテニンの発現レベルもしくは活性、TCFおよびLEFの発現レベル、またはβ−カテニン/TCF/LEF誘発型転写活性を高める1つもしくは複数のタンパク質の機能を調節することにより活性化され得る。

0025

いくつかの実施形態では、Wnt/β−カテニンシグナル伝達の活性化は、Gsk3ホスホトランスフェラーゼ活性またはGsk3結合相互作用の阻害により達成される。理論に束縛されるつもりはないが、β−カテニンのGsk3リン酸化を阻害すると、β−カテニンの促進的分解が阻害され、これによりβ−カテニンのレベルおよび活性が高まり、多能性幹細胞の内胚葉系列/中胚葉系列への分化が促進されると考えられている。Gsk3の阻害は、Gsk3ホスホトランスフェラーゼ活性を阻害する小分子の提供、Gsk3のRNA干渉ノックダウン、およびドミナントネガティブ型Gsk3の過剰発現を含むが、これらに限定されない様々な方法で達成され得る。ドミナントネガティブ型Gsk3は、例えばR96A突然変異を含むGsk3について記載するHagen, T. et al. J Biol Chem, 277:23330-5 (2002)に記載されているように、当技術分野において公知である。

0026

いくつかの実施形態では、Wnt/β−カテニンシグナル伝達経路は、多能性幹細胞をGsk3ホスホトランスフェラーゼ活性、またはGsk3結合相互作用を阻害する小分子と接触させて、多能性幹細胞内のGsk3を阻害することにより活性化される。適する小分子のGsk3阻害剤として、CHIR99021、CHIR98014、BIO−アセトキシム、BIO、LiCl、SB216763、SB415286、ARA014418、1−アザケンパウロン、ビス−7−インドリルマレイミド、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、CHIR99021、CHIR98014、およびBIO−アセトキシムのいずれかが、本明細書に記載する分化法において、多能性幹細胞内のGsk3を阻害するのに使用される。一実施形態では、使用される小分子のGsk3阻害剤は、約1μM〜約9μMの範囲の濃度、例えば約1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μMのCHIR99021である、または約1μM〜約9μMの別の濃度のCHIR99021である。別の実施形態では、使用される小分子のGsk3阻害剤は、約0.1μM〜約1μMの範囲の濃度、例えば約0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1.0μMのCHIR98014、または約0.1μM〜約1μMの別の濃度のCHIR−98014である。別の実施形態では、使用される小分子のGsk3阻害剤は、約0.1μM〜約1μMの範囲の濃度、例えば約0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1.0μMのBIO−アセトキシムは、または約0.1μM〜約1μMの別の濃度のBIO−アセトキシムである。

0027

その他の実施形態では、Gsk3活性は、Gsk3のRNA干渉ノックダウンにより阻害される。例えば、Gsk3発現レベルは、市販のGsk3に対するsiRNA、例えばSignalSilence(登録商標)GSK−3α/β siRNA(カタログ番号6301、Cell Signaling Techology(登録商標)、Danvers、MA)、またはGsk3に関する誘導可能な発現カセットを備えたレトロウイルスベクター、例えばClontech(Mountainview、CA)から市販されているTet−誘導可能レトロウイルスRNAiシステム、カタログ番号630926、またはSystems Biosciences,Inc.(Mountainview、CA)からのcumate誘導可能システム、例えばSparQ(登録商標)システム、カタログ番号QM200PA−2を使用してノックダウンされ得る。その他の実施形態では、Wnt/β−カテニンシグナル伝達経路は、β−カテニンそのもの、例えば、ヒトβ−カテニン(ヌクレオチドおよびタンパク質の配列について、それぞれGenBank受託番号:X87838およびCAA61107.1)を過剰発現させることにより活性化される。一実施形態では、β−カテニンの過剰発現は、例えば任意の上記誘導可能な発現系を使用して達成される誘導可能なβ−カテニン過剰発現である。あるいは、例えばBaba, Y. et al. Constitutively active β-catenin confers multi-lineage differentiation potential on lymphoid and myeloid progenitors. Immunity 23:599-609 (2005)に記載されている点突然変異S33A、S37A、T41A、およびS45Aを含有する、β−カテニンの構成的に活性な安定化したアイソフォームが使用される。

0028

なおもその他の実施形態では、多能性幹細胞におけるWnt/β−カテニンシグナル伝達経路の活性化は、β−カテニンとβ−カテニン分解複合体のメンバーであるアキシンとの相互作用破壊する薬剤に細胞を接触させることにより達成される。アキシン−β−カテニン相互作用を破壊すると、β−カテニンが分解複合体による分解を回避することが可能となり、これによりβ−カテニンの正味のレベルが増加して、β−カテニンシグナル伝達が促進される。例えば、多能性細胞を、例えばカタログ番号681667としてEMD4 Biosciencesから市販されている化合物5−(フラン−2−イル)−N−(3−(1H−イミダゾール−1−イル)プロピル)−1,2−オキサゾール−3−カルボキサミド(「SKL2001」)と接触させることにより、アキシン−β−カテニン相互作用は多能性細胞内で破壊され得る。Wnt/β−カテニンシグナル伝達を活性化させるSKL2001の有効濃度は、約10μM〜約100μMの範囲、約20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μMであり、または約10μM〜約100μMのSKL2001の別の濃度である。いくつかの実施形態では、Wnt/β−カテニンシグナル伝達の活性化因子は、Gsk3阻害剤である。いくつかの実施形態では、Gsk3阻害剤は、CHIR99021、CHIR98014、BIO−アセトキシム、BIO、LiCl、SB216763、SB415286、AR A014418、1−アザケンパウロン、およびビス−7−インドリルマレイミドからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Gsk3阻害剤は、培地中で約0.1μM〜約10μMの濃度のCHIR99021またはCHIR98014である。一実施形態では、使用される小分子のGsk3阻害剤は、約1μM〜約9μMの範囲、例えば約1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μMの濃度のCHIR99021である、または約1μM〜約9μMの別の濃度のCHIR99021である。別の実施形態では、使用される小分子のGsk3阻害剤は、約0.1μM〜約1μMの範囲、例えば約0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1.0μMの濃度のCHIR98014である、または約0.1μM〜約1μMの別の濃度のCHIR98014である。

0029

代表的な実施形態では、多能性幹細胞は、DMEM/F12培養培地、L−アスコルビン酸−2−ホスフェートマグネシウムナトリウムセレニウム、ヒトFGF2、インスリン、NaHCO3、トランスフェリン、TGFβ1、BMP4、アクチビン−A、およびCHIR99021(「E8BAC培地」)を含む、またはそれらから実質的になる化学的に規定された培養培地中で2日間培養される。好ましくは、培養培地は、DMEM/F12培地;L−アスコルビン酸−2−ホスフェートマグネシウム(64mg/l);ナトリウムセレニウム(14μg/l);ヒトFGF2(100μg/l);インスリン(20mg/l);NaHCO3(543mg/l);トランスフェリン(10.7mg/l);TGFβ1(2μg/l);BMP4(5μg/l);アクチビンA(25μg/l);およびCHIR99021(1μM)を含む、またはそれらから実質的になる。ヒト多能性幹細胞は培養培地中で約2日間培養される。約2日後、得られた細胞集団の少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、99%)が中胚葉細胞である。本明細書で使用する場合、用語「中胚葉細胞」とは、中胚葉固有の遺伝子発現を有し、中胚葉系列、例えば骨、筋肉、例えば心筋、骨格筋、および平滑筋(例えば、腸の)等、結合組織、例えば真皮および軟骨等、腎臓、泌尿生殖系、血液または造血細胞、心臓および脈管構造等に分化する能力を有する細胞を意味する。中胚葉固有のバイオマーカーとして、Brachyury(T)が挙げられる。培養は、任意の適する表面上で(例えば、二次元または三次元培養で)実施され得る。

0030

本明細書で使用する場合、本発明の方法に従う使用に適する「多能性幹細胞」は、3種類の胚葉すべてに分化する能力を有する細胞である。本明細書で使用するのに適する多能性細胞として、ヒト胚性幹細胞(hESC)およびヒト誘導多能性幹(iPS)細胞が挙げられる。本明細書で使用する場合、「胚性幹細胞」または「ESC」とは、胚盤胞内部細胞塊に由来する多能性細胞または多能性細胞集団を意味する。Thomson et al., Science 282:1145-1147 (1998)を参照。このような細胞は、Oct−4、SSEA−3、SSEA−4、TRA−1−60、およびTRA−1−81を発現する。多能性幹細胞は、細胞質に対する核の比が高く、顕著な核小体を有する細胞を含むコンパクトコロニーとして現れる。ESCは、WiCell Research Institute(Madison、Wis.)等の供給元から市販されている。本明細書で使用する場合、「誘導多能性幹細胞」または「iPS細胞」とは、その分化した体細胞起源に関して異なり得、潜在能力決定因子の特定のセットに関して異なり得、およびそれを分離するのに使用される培養条件に関して異なり得るが、それにもかかわらず、その各分化した体細胞の起源と実質的に遺伝的に同一であり、本明細書に記載するようなより高い能力を有する細胞、例えばESC等と類似した特徴を示す多能性細胞または多能性細胞集団を意味する。例えば、Yu et al., Science 318:1917-1920 (2007)を参照。

0031

誘導多能性幹細胞は、ESCと類似した形態特性(例えば、円形、大型の核小体、および乏細胞質)、および増殖特性(例えば、2倍に増える時間が約17〜18時間)を示す。さらに、iPS細胞は、多能性細胞特異的マーカー(例えば、Oct−4、SSEA−3、SSEA−4、Tra−1−60、またはTra−1−81、ただしSSEA−1を除く)を発現する。しかし、誘導多能性幹細胞は、すぐにから誘導されない。本明細書で使用する場合、「すぐに胚から誘導されない」とは、iPS細胞生成用の開始細胞型は、非多能性細胞、例えば多能性細胞(multipotent cell)等、または最終分化細胞、例えば出生後の個体から得られる体細胞等であることを意味する。

0032

ヒトiPS細胞は、特定のヒト対象について遺伝的に相補であるAECを得るために、本明細書に記載する方法に従い使用できる。例えば、特定の哺乳動物対象の特定の疾患または障害と関連した、またはそれに起因する1つもしくは複数の特定の表現型を示すAECを得ることは有利であり得る。そのようなケースでは、iPS細胞は、当技術分野において公知の方法に従い、特定のヒト対象の体細胞をリプログラミングすることにより得られる。例えば、Yu et al., Science 324(5928):797-801 (2009);Chen et al., Nat. Methods8(5):424-9 (2011);Ebert et al., Nature 457(7227):277-80 (2009);Howden et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 108(16):6537-42 (2011)を参照。誘導多能性幹細胞由来のAECは、例えば特定の疾患を有する個体において、血管組織再現する組織構築物内で生ずる薬物応答モデル化することができる。最も安全な薬物でさえも、特定の遺伝的背景または環境履歴を有する特定の個体において有害反応を引き起こすおそれがある。したがって、ヒト対象特異的iPS細胞由来のAECは、様々な薬物応答に寄与する遺伝因子およびエピジェネティックな影響を識別するのに有用である。

0033

iPS細胞にリプログラミングするための対象特異的体細胞は、生検またはその他の組織サンプリング法により、目的とする標的組織から得るまたは単離することができる。いくつかのケースでは、対象特異的細胞は、使用する前に、本発明の三次元ヒドロゲルベースの組織構築物内でin vitroで操作される。例えば、対象特異的細胞は、三次元組織構築物に導入する前に、増殖、分化、遺伝子改変ポリペプチド、核酸、もしくはその他の因子と接触、冷凍保存、またはさもなければ修飾できる。

0034

本明細書に記載する方法で使用される、多能性幹細胞培養用の規定された培地および基質条件は、当技術分野において周知である。いくつかのケースでは、本明細書に開示の方法に従い分化される多能性幹細胞は、製造業者のプロトコールに従い、MATRIGEL(商標)基質(BD Biosciences、NJ)上で、またはCorning(登録商標)Synthemax surface上で、mTESR−1(登録商標)培地(StemCell Technologies,Inc.、Vancouver、British Columbia)、またはEssential8(登録商標)培地(Life technologies,Inc.)中で培養される。

0035

好ましくは、ヒト多能性幹細胞(例えば、ヒトESCまたはiPS細胞)はフィーダー層(例えば、線維芽細胞フィーダー層)、順化培地、または十分に規定されないまたは未規定の構成成分を含む培養培地が存在しない条件で培養される。本明細書で使用する場合、用語「化学的に規定された培地」および「化学的に規定された培養培地」とは、正確な量が既知または識別可能であり、個別に制御され得る十分に開示された製剤、または識別可能な成分を含有する培養培地も指す。したがって、(1)全培地成分の化学的および構造的な組成が既知でない、(2)培地が未知の量の任意の成分を含有する、または(3)その両方に該当する場合、培養培地は、化学的に規定されていない。化学的に規定された培養培地を使用することにより培養条件を標準化すれば、細胞培養の間に細胞が曝露される材料のロット間またはバッチ間変動の可能性が最低限に抑えられる。したがって、化学的に規定された条件下で培養される細胞および組織に添加したときに、様々な分化因子の効果がより予測可能となる。本明細書で使用する場合、用語「血清非含有」とは、血清もしくは血清交換を含まない、または血清もしくは血清交換を実質的に含まない細胞培養材料を意味する。例えば、実質的に血清非含有の培地は、約1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、または0.1%未満の血清を含み得る。また「血清非含有」とは、動物(例えば、ウシ胎児)血液から得られる血清または動物由来の材料を含まない培養構成成分も意味し、これは異種間ウイルスまたはプリオン伝染の可能性を低減する、または取り除く上で重要である。疑義を避けるため、血清含有培地は、化学的に規定されていない。

0036

本明細書に提示する方法は、単離された多能性幹細胞由来AEC集団を生成し、その場合、単離された集団は、実質的に純粋なAEC集団である。本明細書で使用する場合、「単離する」および「単離された」とは、周囲を取り巻く、隣接する、もしくは汚染細胞から、または別の型の細胞から、目的とする細胞型または細胞の部分集団を分離する、選択する、または富化することを指す。本明細書で使用する場合、用語「実質的に純粋」とは、細胞集団全体を構成するAECに関して、少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、82%、83%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ超)純粋である細胞の集団を意味する。換言すれば、用語「実質的に純粋」とは、分化を指示して動脈内皮細胞系列の細胞を得る際に、少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、82%、83%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ超)のAECを含有する本発明のAECの集団を意味する。用語「実質的に純粋」とは、富化、増殖ステップ、または分化ステップのいずれかを実施する前、単離された集団中には、約20%、約10%、または約5%未満の非AECを含有する本発明のAECの集団も意味する。いくつかのケースでは、本明細書に提示する方法に従い生成されるAECの実質的に純粋な単離された集団は、総細胞集団全体を構成するAECに関して、少なくとも約95%(例えば、少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%)純粋である。

0037

特定の個体に由来するiPS細胞から生み出される動脈内皮細胞と、その同一の個体から単離された一次動脈内皮細胞との間の重要な差異は、iPS細胞由来の細胞は、無限にスケーラブルであり、ヘイフリック限界細胞分裂所定数)を上回る能力を有することである。本明細書で使用する場合、用語「ヘイフリック限界」とは、細胞がもはや増殖不能となり老化に入る前の、in vitroで集団が2倍に増加する有限の数を意味する(Hayflick L. Exp Cell Res 37:614-36, 1965)。一次培養された動脈内皮細胞の固有の自己再生能力には限界があるが、本明細書に提示する方法によれば、単一の供給源(例えば、個体の体細胞)から動脈内皮細胞を、ほぼ無尽蔵に供給を得ることができる。したがって、本発明の一実施形態では、AECは、得られる細胞の数が、2名以上の患者を治療するのに十分であるように、組織培養ラボ内で増殖する能力を有し、好ましい実施形態では、細胞バンクを形成する能力を有する。

0038

いくつかの実施形態では、記載する方法で得られた細胞の集団における動脈内皮細胞の割合は、細胞分離、セルソーティング、または富化法、例えば蛍光活性化セルソーティング法(FACS)、酵素結合免疫吸着測定法ELISA)、磁気ビーズ磁気活性化セルソーティング法(MACS)、非内皮細胞レーザー標的アブレーション、およびそれらの組合せを使用して富化される。好ましくは、FACSが、細胞表面抗原の発現に基づき細胞を識別および分離するのに使用される。

0039

本発明の方法は、スケーラブルで安価で再現性のあるヒトAECの生成を提供する。例えば、本明細書に記載する方法に従いヒトAECを含む細胞集団を得た後に、ヒトAEC集団は、ヒト内皮細胞無血清培地(Life technologies、カタログ番号11111−044)、EGM−2(Lonza、カタログ番号CC−3162)、および内皮細胞用培養培地(BD Biosciences、カタログ番号355054)を非限定的に含む、ヒトAECの増殖に適する培養培地中で増殖可能である。

0040

0041

別の態様では、本明細書に提示する方法に従って得られた動脈内皮細胞を含む治療組成物、および対象を治療するために該治療組成物を使用する方法が、本明細書に提示される。
さらなる態様では、したがって、本発明は、細胞移植、細胞の補充、および細胞または組織の交換、および脈管形成強化のための方法および組成物を提供する。本方法は、本明細書に提示する方法に従い誘導される、治療有効量の動脈内皮細胞を、それを必要としている対象に提供するステップを含み得、それにより動脈内皮細胞による対象の治療を提供する。細胞または組織の交換、および脈管形成の改善を必要とする障害として、心筋および末梢血管の虚血、その他の末梢動脈疾患心筋梗塞(MI)、脳卒中、および糖尿病性神経障害、ならびに罹患した個体が血管形成の再生医療から利益を得るような任意のその他の障害または疾患が、非限定的に挙げられる。本発明による好ましい個々の対象として、ヒトおよび非ヒト霊長類、ならびにイヌネコヒツジブタウマ、およびウシを非限定的に含む、哺乳動物が挙げられる。いくつかのケースでは、実質的に純粋な動脈内皮細胞の集団が、治療を必要とする対象の多能性細胞(例えば、誘導多能性幹細胞)を使用して得られる。ただし、実質的に純粋な動脈内皮細胞の集団は、好ましくは同系または同種のドナーの多能性幹細胞を使用しても得ることができる。それほど好ましくはないが、異種のドナーも使用される。

0042

別の態様では、本文書は、血管の潅流を改善する方法を提供する。特に、患者の末梢動脈疾患を治療する方法が本明細書に提示され、該方法は、本明細書に記載されるように得られた動脈内皮細胞の治療用量を患者に投与するステップを含む。本明細書で使用する場合、用語「末梢動脈疾患」とは、急性および慢性の重大な四肢の虚血、ならびに組織への血液供給に影響を及ぼす障害、例えば糖尿病または動脈硬化症等と関連した虚血を意味する。いくつかのケースでは、本明細書に提示する方法に従って得られた動脈内皮細胞は、末梢動脈疾患を治療するために、患者対象に直接注射される。特定の理論のいずれにも拘束されるものではないが、そのような動脈内皮細胞は、四肢の虚血(例えば、糖尿病または心臓梗塞と関連した虚血)に対して治療的であり、非動脈内皮細胞による治療よりも有益であると期待される。代表的な実施形態では、in vitroで誘導したAECは、患者に移植して虚血を治療する場合、患者特異的細胞またはHLA適合細胞である。例えば、AECは、患者の体細胞を多能性にリプログラミングすることにより得られたiPS細胞から誘導され得、次いで本明細書に提示する方法に従うiPS細胞を使用して、患者特異的AECを含む集団が得られる。患者由来のiPS細胞から得られるAECは、任意の薬学的に許容される担体バッファー、または賦形剤に含めて患者に投与され得る。患者に対する細胞の投与経路は、静脈内または筋肉内注射であり得る。いくつかのケースでは、例えば、ヒト多能性幹細胞に由来するAECは、生理食塩溶液中に再懸濁され、そして1つまたは複数の四肢の虚血部位において筋肉注射される。

0043

任意の適する投与量が、本明細書に提示する治療法で使用できる。細胞の投与量は、虚血の範囲および重症度に依存するが、好ましい範囲は、1回の投与につき、約1×108個の細胞/患者〜約1×1010個の細胞/患者である。いくつかのケースでは、本明細書に記載されるように得られたAECは、例えば平滑筋細胞(例えば、血管平滑筋細胞)を含むその他の細胞型と共に対象に同時投与される。

0044

細胞を対象に投与した後、治療法の効果が、所望の場合には、当技術分野の医師に公知の任意の適する方法を使用して評価され得る。治療は、必要または要求に応じて反復され得る。本明細書に提示する方法に従う治療の後、治療された対象は、四肢の虚血の陽性または陰性変化について、モニタリングされ得る。好ましい実施形態では、虚血組織への血液供給量の治療による増加は、前記細胞の移植後に血管形成(血管新生)が増加した結果である。本明細書に提示する方法は、移植後に血管形成促進性となる細胞を提供する。いくつかのケースでは、陽性の変化として、虚血性の組織に対する血液供給量の増加、切断手術を行わない生存率の増加、四肢切断の必要性の低下、対象休息時の四肢疼痛の低下、および疼痛を感じない歩行の改善(例えば、より長距離にわたる無疼痛歩行)が、非限定的に挙げられる。
別の態様では、本明細書に提示する方法に従って得られたAECは、一酸化窒素(NO)の生成が、対象に対して治療または予防上の利益をもたらすような方法で有用である。例えば、AECを対象に投与する方法が、NOを対象に提供する方法として本明細書に提示され、これにより、AECの投与がアテローム性動脈硬化症を治療または予防する、DNA損傷を低減する、および/または血管機能が改善するように平滑筋細胞を弛緩させる。

0045

治療有効量のAECをレシピエント対象に投与する際のそのような投与は、当技術分野において周知の方法を使用して一般的に実施され、当業者にとって公知の臨床的ツールを使用して、治療上有効なAECを対象に直接注射するステップ、さもなければ導入するステップを通常含む(例えば、米国特許第6,447,765号;同第6,383,481号;同第6,143,292号;および同第6,326,198号)。例えば、本発明のAECの導入は、血管内投与、例えば、静脈内等、筋肉内、または動脈内投与、腹腔内投与等により、局所的または全身的に実施可能である。細胞は、無菌シリンジまたはその他の無菌の移送機構を使用して輸液バッグ(例えば、Fenwal輸液バッグ(Fenwal,Inc.))内に注入され得る。次いで、細胞は、15分間等の時間、IV投与により、自由流IVライン経由で患者に速やかに注入され得る。いくつかの実施形態では、さらなる試薬、例えばバッファーまたは塩等が、レシピエント対象に対して細胞と同時に提供される。

0046

代表的な実施形態では、本発明のAECは、細胞、および1つまたは複数の薬学的に許容される担体、バッファー、または賦形剤を含む医薬組成物として対象に提供される。投与用の医薬組成物は、しかるべき滅菌性および安定性を提供する標準法に従い、製剤化、製造、および保管されなければならない。また、本発明の医薬組成物は、移植される細胞の生存率もしくは生着を促進する、血管形成を促進する、細胞外マトリックスもしくは間質マトリックスの組成を調節する、および/またはその他の細胞型を移植部位に補充する1つまたは複数の増殖因子またはサイトカイン(例えば、血管形成性のサイトカイン)も含み得る。

0047

別の態様では、本明細書に提示する方法に従って得られた動脈内皮細胞を使用して、工学的に作出された血管を生み出す方法が本明細書に提示される。AECは、in vitroまたはin vivoで血管を形成するために、さらなる細胞集団と併用してもよい原材料としても使用できる。そのような血管は、例えば損傷を受けた組織の血管再生や末梢動脈疾患の治療において有用である。外部から注射した細胞による生着および脈管形成は、in vivoでの動物試験により示されている。例えば、Kim et al., J. Am. Coll. Cardiol. 56:593-607 (2010)を参照。

0048

in vitroで血管形成し、また血管ネットワークを欠く工学的に作出(engineered)された組織、例えば工学的に作出された心筋組織または心臓等を血管化(vascularization)させるために、in vitroで誘導したAECを使用する方法も、本明細書に提示される。例えば、AECは、臨床用途、例えば患部血管の交換等を目的として、組織工学により作出された血管グラフトを生成する方法において有用である。いくつかのケースでは、組織工学により作出された血管グラフト、in vitroで生成された血管、またはその他の工学的に作出された血管化組織で患者を治療する方法では、患者特異的またはHLA適合AECを使用するのが有利である。上記のように、AECは、患者の体細胞を多能性にリプログラミングすることにより得られたiPS細胞から誘導され得、次いで本明細書に提示する方法に従いiPS細胞を使用して、患者特異的AECを含む集団が得られる。いくつかのケースでは、臨床用途、例えばバイパス手術等を目的として、工学的に作出された血管化組織構築物、例えば工学的に作出された血管等を得るために、AECをその他の細胞型、例えば血管平滑筋細胞(VSMC)等と同時培養するのが有利である。好ましくは、AECは、このような方法のために、in vitroで誘導した患者特異的血管平滑筋細胞と併用される。血管平滑筋細胞は、ACTA2、TAGLN、MYH11、およびELNの発現について陽性であるが、CD31については陰性である。その他のケースでは、AECは、心臓機能を改善するのに役立つ血管化した心臓組織パッチを形成するために心筋細胞と同時培養され得る。

0049

さらなる態様では、薬剤をin vitroでスクリーニングする方法が本明細書に提示される。例えば、候補のハイスループットスクリーニングを目的として、in vitroで誘導された動脈内皮細胞を使用する方法が、本明細書に提示される。例えば、本明細書に記載されるように得られたAECは、アテローム性動脈硬化症の潜在的治療薬または予防薬として、白血球接着を低下させる薬剤を識別するのにスクリーニングされ得る。スクリーニング法は、(a)試験薬剤を、本明細書に記載されるように得られた動脈内皮細胞または動脈内皮細胞と接触させるステップと、(b)1つの細胞または複数の細胞に対する薬剤の効果(例えば、AECへの白血球接着の低下)を検出するステップとを含む、またはそれらから実質的になり得る。いくつかのケースでは、スクリーニング法は、血管組織の発達を促進する試験薬剤を識別するために、候補化合物をスクリーニングするステップを含む。その他のケースでは、候補化合物は、ヒト動脈内皮細胞または血管組織に対する毒性についてスクリーニングされ得る。いくつかのケースでは、検出するステップは、細胞の形態または寿命に対する薬剤の少なくとも1つの陽性または陰性の効果を検出するステップを含み、これにより細胞の寿命を延ばす、もしくは縮める薬剤、または細胞の形態に対して陽性もしくは陰性の効果を有する薬剤が、ヒト動脈内皮細胞または血管組織に対する効果を有するものとして識別される。いくつかのケースでは、検出するステップは、接着アッセイ、RNA配列決定、遺伝子発現プロファイリング、トランスクリプトーム解析、メタボローム解析、レポーターまたはセンサーの検出、タンパク質発現プロファイリング、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)、メタボリックプロファイリング、およびマイクロダイアリシスからなる群から選択される方法を実施するステップを含む。薬剤は、遺伝子発現に対する効果についてスクリーニングされ得、検出するステップは、非接触の細胞または細胞集団と比較して差次的遺伝子発現をアッセイするステップを含み得る。

0050

代表的な実施形態では、試験化合物を動脈内皮細胞に曝露(例えば、接触)した後に、少なくとも1つの遺伝子の発現レベルについて、陽性または陰性の変化を検出するステップおよび/または測定するステップは、例えばRNA配列決定を使用した全トランスクリプトーム解析を含む。そのような場合には、遺伝子発現は、例えばデータ処理ソフトウェアプログラム、例えばLight Cycle、RSEM(予測最大化(Expectation-Maximization)によるRNA−seq)、Excel、およびPrism等を使用して計算される。Stewart et al.,PLoS Comput. Biol. 9:e1002936 (2013)を参照。該当する場合には、統計比較が、ANOVA解析ボンフェローニ補正、または両側スチューデントt検定による分散分析を使用して実施され得、その場合、値は、P<0.05のとき、有意と判定される。任意の適する方法が、神経構築物からRNAまたはタンパク質を単離するのに使用できる。例えば、全RNAが、配列決定用としてcDNAを得るために単離および逆転写され得る。

0051

試験化合物は、本明細書に提示するAECと接触させる前に、溶媒、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)等に溶解され得る。いくつかのケースでは、識別試薬は、遺伝子発現、タンパク質の発現、細胞生存率、および細胞増殖を非限定的に含む、生物学的活性における陽性または陰性の変化について、接触させたAECを分析するステップを含む。例えば、複数の試験化合物をAECと接触させる前、間、または後に、遺伝子発現プロファイルを分析するのに、マイクロアレイ法が使用できる。いくつかのケースでは、本発明の方法は、追加の分析、例えば代謝アッセイおよびタンパク質の発現プロファイリング等をさらに含む。

0052

組成物
別の態様では、AECの調製物が本明細書に提示される。例えば、AEC、実質的に精製されたAECの集団、AECを含む医薬製剤、および凍結保存されたAECの調製物が、本明細書に提示される。本明細書に記載するAECは、その天然の環境に見出される少なくとも1つのタンパク質、分子、またはその他の不純物について実質的に非含有であり得る(例えば、「単離された」)。AECは、ヒトを含む哺乳動物AECであり得る。本発明は、ヒトAEC、実質的に精製されたヒトAECの集団、ヒトAECを含む医薬製剤、および凍結保存されたヒトAECの調製物も提供する。調製物は、ヒト胚性幹細胞由来のAEC、ヒトiPS細胞由来のAECを含む調製物、および分化後の多能性幹細胞由来のAECを含む、実質的に精製された(非AECに関して)調製物であり得る。

0053

本明細書に提示する細胞調製物は、様々なin vitroおよびin vivoでの用途、例えば新規血管の工学、心筋再生を目的とする心臓への内皮細胞移植、局所的虚血の治療を目的とする血管形成の誘発、および脈管構造に対して影響、例えば癌進行を減速させる血管形成阻害等を有する薬物のスクリーニングに有用である。ほとんどの血管疾患は動脈に生ずることから(Go et al., 2014)、動脈細胞は、動脈内皮細胞が活性化する様式を調査し、また活性化を防止する薬物をスクリーニングするのに使用でき、これはアテローム性動脈硬化症の理解および治癒を促進するため、疾患のモデリングにおいて極めて有用である。AECを得るのがこれまで非常に困難であったので、この細胞は、組織工学により作出された血管グラフトおよび組織移植予備的血管新生からほとんど除外されており(Bae et al., 2012;Campbell and Campbell, 2007)、これは不良な臨床転帰の一因であったと考えられる。本開示する方法は、AEC集団の製造および使用を促進する。

0054

臨床用途で役立つAEC細胞を含む調製物は、政府機関、例えば米国食品医薬品局等が施行する規則に従い取得しなければならない。したがって、代表的な実施形態では、本明細書に提示する方法は、医薬製造管理および品質管理基準GMP)、適正組織管理実施基準GTP)、および医薬品安全性試験実施基準(GLP)に従い実施される。動物由来の構成成分を含む試薬は使用されず、すべての試薬は、GMPに準拠する供給元から購入される。細胞療法製品、例えばin vitroのヒト動脈内皮細胞集団等の臨床製造の環境において、GTPはドナーの同意トレーサビリティー、および感染性疾患スクリーニングについて規定し、その場合、GMPは、一貫して安全かつ有効なヒト使用の製品を製造するための施設、プロセス、試験、および実践法に関連する。Lu et al. Stem Cells 27: 2126-2135 (2009)を参照。該当する場合には、インフォームドコンセントが得られること、安全、生物活性、適切な投与量、および製品の有効性各相で試験されること、結果が統計的に有意であること、ならびに倫理ガイドラインに従っていることを保証するために、当局および施設パネルによる患者プロトコールの監視が想定される。

0055

別の態様では、ヒト多能性幹細胞由来の中胚葉細胞をAECに分化させるための培養培地または培養培地を含む培養システムが本明細書に提示され、培養培地は、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、TGF−ベータシグナル伝達の阻害剤(例えば、SB431542)、Notch作動薬(例えば、レスベラトロール(RESV))、およびイノシトールモノホスファターゼの阻害剤を含む、またはそれらから実質的になる。代表的な実施形態では、培養培地は、ヒトFGF2(100μg/l)、VEGF−165(50μg/l)、SB431542(10μM)、RESV(5μM)、およびL−690,330(10μM)が補充されたE5培地を含む、またはそれらから実質的になる。そのような培養培地はインスリンを含まない。

0056

製品
本発明は、ヒト多能性幹細胞をAECに分化させるキットであって、(i)ヒト多能性幹細胞を中胚葉細胞に分化させるのに適する第1の培養培地と、(ii)多能性幹細胞由来の中胚葉細胞を動脈内皮細胞に分化させるのに適する第2の培養培地と、(iii)ヒト多能性幹細胞をCD31+/CD144+/CD41-/CD45-動脈内皮細胞に分化させる方法であって、第1の培養培地および第2の培養培地を利用する方法について記載する説明書とを含むキットも提供する。
別途規定しない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者により一般的に理解される意味と同一の意味を有する。本明細書に記載する方法および材料と類似する、または同等の任意の方法および材料が、本発明の実践または試験に使用できるが、好ましい方法および材料が本明細書に記載されている。

0057

本明細書および本特許請求の範囲では、用語「を含む(including)」および「を含む(comprising)」は、非制限的な用語であり、「〜を含むが、これらに限定されない」を意味するものと解釈すべきである。これらの用語は、より限定的な用語「から実質的になる」、および「からなる」を包含する。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」には、文脈が別途明確に指示しない限り、複数形への言及も含まれる。同様に、用語「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1つまたは複数の」、および「少なくとも1つの」は、本明細書では交換可能に使用できる。用語「を含む(comprising)」、「を含む(including)」、「により特徴付けられる」、および「を有する」は、交換可能に使用できることにも留意されたい。

0058

本明細書で使用する場合、「から実質的になる培地」とは、規定された成分、および培地の基本的特徴に対して物理的に影響を及ぼさない成分を含有する培地を意味する。
本明細書で使用する場合、「有効量」とは、本発明による規定された細胞の効果を惹起するのに十分な薬剤の量を意味する。
本明細書で使用する場合、「約」とは、記載された濃度範囲密度、温度、またはタイムフレームの5%以内を意味する。
本発明は、下記の非限定的な実施例について検討すれば、よりよい理解が得られる。開示する方法は、多能性幹細胞に一般的に適するものと特に考えられる。本明細書に開示するすべての文書および特許は、その全体が記載されているかのように、本明細書に参照として組み込まれる。

0059

例1−多能性幹細胞のAECへの指示された分化に関するプロトコール
動脈の分化を調べるために、血清およびウシ血清アルブミンの両方を欠いている規定された培養培地を使用して、内皮細胞分化プロトコールを策定した。まず、BMP4、アクチビン−A、およびCHIR99021が補充された培養培地(E8BAC培地)中で、異物を含まない多能性幹細胞を、中胚葉細胞に2日間分化させた。次いで、中胚葉細胞を、FGF2、VEGFA、およびBMP4でさらに3日間処理し、70%のCD31+/CD34+内皮細胞集団を得た(図2A〜B)。インスリンが、この中胚葉から内皮細胞への分化培地に含まれた。内皮細胞の生死を、NANOGおよびOCT4の下方制御(図2C)、KDR/VEGFR2の上方制御、CD144の発現(CDH5/VE−カドヘリン)(図2D)、LDLのインターナリゼーション(図2E)、ならびにin vitroおよびin vivoでの毛細血管ネットワークの形成(図2F〜G)によりさらに確認した。このプロトコールを用いて、本発明者らは、完全に規定された培養条件下で、個々の培地構成成分の効果を調べることができた(図2H)。

0060

CD31+/CD34+内皮細胞集団の細胞は、AECのマーカーをほとんど発現することができなかったので(データ図示せず)、本発明者らは、CD31+/CD144+/CD41-/CD45-内皮細胞の集団をE11.5日マウス胚胚体中胚葉の大動脈−性腺中腎(AGM)領域から単離した。この細胞を、AGMから単離して、動脈分化を誘発する能力を有する新たな因子を識別した。

0061

個々の内皮細胞のグローバル遺伝子発現プロファイルを特徴付けるために、CD31+/CD144+/CD41-/CD45-内皮細胞について、単一細胞RNA−Seqを実施した。動脈および静脈の内皮細胞集団を区別するために、動脈マーカー(Efnb2、Cxcr4、Dll4、Gja4、Hey1、Jag1、Notch1、Notch4、およびNrp1)、および静脈マーカー(Aplnr、Ephb4、Flt4、Nr2f2、およびNrp2)のセットを、SINGuLAR(商標)分析ツールセットを使用して分析した。多くのマーカーは、動脈群または静脈群のいずれかにクラスタリングされたが、AplnrおよびNotch1はいずれの群にもクラスタリングされなかった(図1A)。この結果は、いくつかの動静脈マーカーは、一時的に非特異的であることを示唆する過去の研究と整合する(Chong et al., 2011)。マーカーの発現に基づき、CD31+/CD144+/CD41-/CD45-内皮細胞を5つの部分集団にクラスタリングした(図1A)。動脈細胞と静脈細胞を区別するために、各部分集団に含まれる動脈および静脈の遺伝子セットの正規化された発現について、その平均値を計算した(図1B)。集団1(P1)は、動脈マーカー発現最高であり、また静脈マーカー発現が最低であったので、動脈内皮細胞として識別した(図1B)。対照的に、集団3(P3)は、動脈遺伝子発現が最低であった(図1B)。主成分分析により、P1細胞およびP3細胞間の明確な分離が明らかとなり(図1C)、P3細胞と比較して、P1細胞(動脈内皮細胞)内で918個の遺伝子が富化していることが判明した(p<0.1、FC>2、TMP>1)(表4を参照)。

0062

918個の動脈富化遺伝子内の増殖因子関連遺伝子を識別するために、5つのAmiGo遺伝子オントロジーデータ「用語」:増殖因子結合(GO:0019838)、増殖因子活性(GO:0008083)、増殖因子受容体結合(GO:0070851)、受容体活性(GO:0004872)、および受容体結合(GO:0005102)を組み合わせた。次いで、組み合わせたリストを、原形質膜遺伝子(GO:0005886)と交差させて、非細胞表面遺伝子を除去した(図1Dならびに表2および4)。得られた42個の遺伝子の一部は増殖因子またはその受容体ではなかったが、増殖因子シグナル経路上流または下流に位置した。VEGFA、Wntシグナル伝達(FZD4、FZD7、FZD10)、およびNotchシグナル伝達(DLL4およびNotch4)を含む、いくつかの周知の動静脈制御因子が、これら42個の遺伝子内に存在した(表2)。

0063

ヒト動脈分化における候補因子を試験するために、本発明者らは、規則的な間隔をあけてクラスタリングされた短鎖反復回文配列(CRISPR(規則的な間隔をあけてクラスタリングされた短鎖反復回文配列))−Cas9技術を使用して、ヒトES細胞デュアルレポーター株を作製して、tdTomaoを有するEFNB2(エフリンB2)、およびEGFPを有するEPHB4(エフリンB型受容体4)を標的とした(図8A〜8B)。例えば、Hou et al., 2013を参照。EFNB2およびEPHB4はそれぞれ、最も特徴付けがなされている胚性の動脈および静脈内皮細胞マーカーである(Wang et al., 1998)。EFNB2およびEPHB4遺伝子座に対する特異的標的化は、ジャンクションPCRおよびサザンブロットにより確認した(図8C〜8F)。各レポーターの単一コピーのみがゲノムに組み込まれ(図8G〜8H)、レポーター細胞株内でのEFNB2およびEPHB4の内因性の発現は、野生型細胞内での発現と類似した(図8I)。核型はデュアル標的化後正常であり(図8J)、DNA配列決定により、野生型対立遺伝子内にはCRISPR誘発性の挿入または欠損がないことが判明した。
本発明者らは、EFNB2−tdTomato/EPHB4−EGFPデュアルレポーター細胞株を使用して、単一細胞RNA−Seq分析により識別された個々の増殖因子関連遺伝子の機能を試験した。これまでに記載されているその役割と整合して、VEGFA、WNT3A、およびRESV(Notch作動薬)は、すべて、動脈の特異化の向上を促進した(図11)。

0064

本発明者らは、次いで、内皮細胞分化プロトコールで幅広く使用されているので、組換えタンパク質/小分子、例えばインスリン等を添加または除去することにより、内皮細胞分化の間に認められるその他の増殖因子/シグナル伝達経路について調べた。驚くべきことに、中胚葉形成後にインスリンを除去すると、EFNB2−tdTomatohigh/EPHB4−EGFPlow細胞数の増加により証明されるように、それはAEC分化を引き起こす契機となった(図3A〜B)。インスリンは、動静脈特異化の負の制御因子(Hong et al., 2006)であるAKTを活性化させることができるので(Mackenzie and Elliott, 2014)、本発明者らは、AKT活性を調べた。リン酸化されたAKT(pAKT)は、インスリンの存在により増加し、Ly294002(ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)の可逆的阻害剤)を使用してPI3K活性を阻害すると、pAKTは減少し(図3C)、そして動脈の分化の間に、インスリンの阻害効果反転させた(図3A〜3B)。これらの結果は、インスリン−AKT経路は、動脈の分化抑制において重要な役割を演じていたことを実証する。

0065

さらに、本発明者らは、EFNB2−tdTomatohigh/EPHB4−EGFPlow細胞の増加により証明されるように、下記の因子は、動脈内皮細胞の分化を増加させることを見出した:FGF2、L−690,330(イノシトールモノホスファターゼ阻害剤)、およびLDL(低密度リポタンパク質)(図3F)。対照的に、SB431542(TGF−β受容体阻害剤)を除去する、またはPDGF−BBを添加すると、動脈の分化は阻害された(図3E〜3F)。

0066

これらの結果をさらに確認するために、EFNB2−tdTomatohigh/EPHB4−EGFPlow推定動脈内皮細胞、およびEFNB2−tdTomatolow/EPHB4−EGFPhigh推定静脈内皮細胞を、FACSによりソーティングし、RT−qPCRにより分析した。動脈の遺伝子は、EFNB2−tdTomatohigh/EPHB4−EGFPlow細胞において、有意に上方制御されていた。これらのデータより、FGF、L−690,330、およびLDLは、ヒト多能性幹細胞の動脈内皮分化を促進する一方、インスリン、TGF−β、およびPDGFは動脈内皮分化を阻害することが実証される。

0067

動脈分化をさらに改善するために、本発明者らは、個々の因子の組合せについて調べた。動脈内皮細胞分化は、化学的に規定された培地(表1の「FVIRL培地」;図4A〜4Bも参照)内でFGF、VEGFA、SB431542、RESV、およびL−690,330(「5因子」)を組み合わせることにより、単一の因子を採用した際に観察された分化と比較して大幅に改善した。FGF、VEGF、SB431542、またはRESVを個別に除去すると、EFNB2−tdTomatohigh/EPHB4−EGFPlow細胞の減少を引き起こした(図4A〜4B)。2つのその他の動脈マーカーであるCXCR4およびDLL4は、FGF、VEGF、SB431542、またはRESVを除去すると、同様に減少した(図4C〜4F)。しかし、RESVもしくはL−690,330を除去すると、またはPDGFを添加すると、よりわずかなEFNB2−tdTomatohigh/EPHB4−EGFPlow推定動脈内皮細胞が得られたが、CD144+CXCR4+およびCD144+DLL4+細胞の減少は観察されなかった(図4C〜4F)。単一の因子としてWNT3Aは動脈分化を促進するが、外因性のWNT3Aは、その他の5因子の状況において、動脈分化をさらに増加させなかった(図4A〜4F、図9)。

0068

5因子プロトコールを用いて生成した内皮細胞は、LDLを取り込み、血管ネットワークを形成し、そのようなネットワーク内でEFNB2(エフリンB2)の発現を維持した(図5C〜5D)。機能的AECの別の特徴的な特質は、静脈内皮細胞の特徴的な特質と比較して、白血球接着の減少が挙げられる(Hauser et al., J Immunol 151, 5172-5185 (1993);Kalogeris et al., Am J Physiol 276, L9-L19 (1999))。したがって、本発明者らは、炎症促進性サイトカインであるTNFαが異なる種類の内皮細胞内で白血球接着を誘発するその能力について分析した(De Caterina et al., 1995)。

0069

最終的に、本発明者らは、ヒトES細胞由来のAECが動脈特異的な機能的特徴を示すかどうか調べた。第1に、「5因子」AECは、一次ヒト冠動脈内皮細胞(HCAEC)に匹敵するレベルで、およびHUVEC細胞よりもより高いレベルでNOを生成した(図7A)。第2に、AECは、一次動脈内皮細胞と類似した速度で、およびHUVEC細胞よりも高速度で酸素消費した(図7B)。第3に、AECは剪断応力に応答して伸長したが、その程度は一次動脈内皮細胞と類似し、またHUVEC細胞よりも大きかった(図7C〜7D)。AECは、低レベルのTNFα誘発性の白血球接着を示し(Hauser et al., J Immunol 151, 5172-5185 (1993);Kalogeris et al., Am J Physiol 276, L9-L19 (1999))、その接着は一次動脈内皮細胞に匹敵し、HUVEC細胞よりもかなり低かった(図7E〜7F)。まとめとして、本発明の結果を総合すると、AECは、静脈内皮細胞とは異なるが、動脈内皮細胞と整合する遺伝子発現および機能的特性により特徴付けられることが実証される。

0070

過去の研究より、血管平滑筋は、ACTA2(SMA)、TAGLN(SM22a)、MYH11、およびELNを発現することが判明した(Owens et al., Physiol Rev 84, 767-801 (2004))。本発明者らは、腸および血管の平滑筋細胞を区別するのに、CD31が使用できることをさらに実証した。図12に示す通り、MYH11陽性血管平滑筋が血管に補充される。腸内では、平滑筋細胞は、MYH11およびCD31の両方を発現し(矢印で示す)、MYH11+CD31-細胞は血管平滑筋細胞である一方、MYH11+CD31+細胞は腸の平滑筋細胞であることを実証する。

0071

0072

材料および方法
単一細胞RNA−seq用のマウス内皮細胞の単離:24匹のE11.5マウス(CD−1バックグラウンド)胚を採取した。頭部、尾部、四肢、内臓、および体節を取り出した。大動脈−性腺−中腎(AGM)組織を、2mg/mlのコラゲナーゼIV型(Life technologies、カタログ番号17104−019)、および0.25mg/mlのディスパーゼ(Life technologies、カタログ番号17105−041)を含む溶液中で、酵素が組織に浸透するように、上で15分間インキュベートした。次いで、酵素を含む組織を、37℃で10分間インキュベートした。酵素を2%のFBS−HBSSで中和し、上下にピペット吸引して細胞をさらに解離させた。細胞を免疫染色し、CD31+CD144+CD41-CD45-内皮細胞をフローサイトメトリーによりソーティングした。CD41およびCD45を使用して造血幹細胞枯渇させた。

0073

単一細胞RNA−seq用のヒト胎児動脈内皮細胞の単離:ヒト胎児大動脈組織(妊娠14週)を大動脈弓から腹部分岐まで切開した。イェシーバ大学(Bronx、NY)のアルバートアインシュタイン医科大学にあるヒト胎児組織レポジトリから組織を得た。この研究を、UW−Madison Health SciencesのIRB、およびアルバート・アインシュタイン医科大学のIRBから承認を得て実施した。ヒト胎児背側大動脈の外膜層を完全に除去し、そして残りの組織を細かく切断した。次いで、組織を、300U/mlのコラゲナーゼ/エラスターゼ(Worthington Biochem、カタログ番号LK002067)により、37℃で1時間消化し、組織を、20分毎に上下にピペット吸引した。抗CD31抗体を使用したフローサイトメトリーにより、内皮細胞をソーティングした。

0074

単一細胞RNA配列決定。マウスAGM細胞では、15μlの細胞懸濁物(5×104個の細胞を含有する)を、Fluidigm C1(商標)チップ充填した。RNA単離、cDNAライブラリー調製を、Fluidigm C1(商標)単一細胞自動調製システム上で、製造業者の指示(Smarter−seq1プロトコール)通りに実施した。cDNA濃度を、Quant−iT(商標)PicoGreen(登録商標)dsDNAアッセイキット(Life technologies、カタログ番号P7589)により測定し、そして0.1〜0.3ng/μlに希釈した。Nextera XTDNAサンプル調製キット(Illumina、カタログ番号FC−131−1024)を使用してcDNAをタグ付けし、バーコード印字した。配列決定では(Illumina、HiSeq2500)、18〜24個のサンプルをプールした。合計84個の細胞について配列決定を行った。重複を排除し、外れ値を除去した後、70個の細胞をさらなる分析に使用した。

0075

「5因子」プロトコールにより誘導したAECでは、CD144+/EFNB2−tdTomatohigh/EPHB4−EGFPlow細胞をソーティングし、Fluidigm C1(商標)チップに充填した。上記のようにcDNAを調製し、配列決定した。合計96個の細胞について配列決定を行い、さらなる分析に使用した。
一次AEC(「pAEC」;14週齢のヒト胎児背側大動脈から新たに単離した)では、cDNAを調製するために、smarter−seq2プロトコールを、Fluidigm C1(商標)単一細胞自動調製システムに適用した。Smarter−seq2は、cDNA収率および配列決定感度41を改善することが示されており、したがって、RNAの質が比較的低いサンプルに適する。合計48個の細胞について配列決定を行い、さらなる分析に使用した。

0076

H1ES細胞およびHUVEC細胞を、smarter−seq2プロトコールを使用して、Fluidigm C1(商標)単一細胞自動調製システムにより調製した。24個のH1細胞および48個のHUVEC細胞について配列決定を行い、さらなる分析に使用した。
階層的クラスタリング:単一細胞RNA−seqデータ(TPM)をRSEMから生成した。遺伝子毎に、log2 TPMを平均値0およびばらつき1でzスコアスケール化した。対数化する前に、1未満のTPMを1とした。細胞間のユークリッド距離を用いて階層的クラスタリングを実施した(図1)。
SINGuLAR分析ツールセット2.1によるデータ分析:単一細胞RNA−seqデータ(TPM)をSINGuLAR分析ツールセット2.1に充填した。外れ値を、「identifyOutliers()」コマンドにより除去した。次いで、サンプルの動脈および静脈マーカーを、「autoAnalysis()」コマンドにより分析した。その結果、図1CのPCAプロットを自動的に生成した。AECデータのヒートマップ(図10)も、SINGuLARの「autoAnalysis()」により生成した。

0077

Rプログラムによる主成分分析:主成分分析(PCA)を単一細胞RNA−seqデータについて実施した(図5B)。異なる細胞にわたる配列深度変動を調整するために、期待されるカウント中央値−比の正規化により正規化した。潜在的な外れ値の効果を低減するために、遺伝子毎に、遺伝子特異的発現の95番目分位点を上回る値を、95番目の分位点を使用して補完した。PCA前に、正規化後の遺伝子特異的発現を、すべての遺伝子について、平均値0および標準偏差1の値に再スケール化した。Rのprcomp()関数を使用してPCA分析を実施した。

0078

増殖因子関連遺伝子リストの生成:Amigo Goの5つの用語(バージョン1.8)である増殖因子結合(GO:0019838)、増殖因子活性(GO:0008083)、増殖因子受容体結合(GO:0070851)、受容体活性(GO:0004872)、および受容体結合(GO:0005102)を組み合わせた。次いで、組み合わせたリストを、原形質膜(GO:0005886)と連結して、増殖因子関連遺伝子リストを生成した。リストを、表5からの「動脈富化遺伝子」とさらに連結して、表6の動脈富化増殖因子関連遺伝子リストを生成した。
H1ES細胞上での遺伝子標的化:EFNB2標的化ベクターの5’および3’ホモロジーアームを、IDT(gBlock)により、Sal IおよびBamH I(5’アーム)制限部位、Bmt IおよびMlu I(3’アーム)制限部位を導入しながら合成して、標的化ベクターへのサブクローニングを促進した。EPHB4標的化ベクターの5’および3’ホモロジーアームを、BAC(細菌人工染色体)からPCR増幅した。

0079

最良エレクトロポレーション効率を実現するために、ヒトES細胞(H1)を、EDTAで継代し(1:4分割)、実験2日前に80〜90%コンフルエンスに到達するように、培養した。実験当日、ES細胞をアキュターゼ(Accutase)により解離させ、E8培地で1回洗浄し、そして5×106個の細胞/mLの密度で、10mMのHepesバッファーを含むE8培地(pH7.2〜7.5)(Life Technologies)に再懸濁した。エレクトロポレーションでは、400μLの細胞懸濁物、7.5μgのgRNAプラスミド、7.5μgのspCas9プラスミド、および10μgの直線化したDNAテンプレートプラスミドを4mmキュベット(Bio−Rad)中で混合し、Bio−Rad Gene Pulserで速やかに電気穿孔した。エレクトロポレーションパラメーターは、250V、500μF、および無限抵抗であった。次いで、細胞を、E8培地中のMatrigelコーティングプレート上にプレーティングした(第1日目に10μMのY27632を添加した)。EFNB2−tdTomatom細胞株では、細胞が20%コンフルエンスに到達したら(通常、エレクトロポレーション3〜4日後)、100μg/mlのジェネテシン(Geneticin)を培地に添加し、薬物選択を5日間継続した。EPHB4−EGFP細胞株では、細胞が20%コンフルエンスに到達したら、0.5μg/mlのピューロマイシン(puromycin)を培地に添加した。E8培地中の細胞の薬物感受性に起因して、8時間/日のピューロマイシン処理を5日間実施した。薬物選択4〜6日後に生存するコロニーを採取し、そしてE8培地中で増殖させた。

0080

核型分類:核型分類を、WiCell研究機関(WiCell Research Institute)により実施した。
サザンブロット:PCRDIGプローブ合成キット(Roche、カタログ番号11 636 090 910)を使用してプローブを合成した。Rocheから入手したフィルターハイブリダイゼーションに関するDIGアプリケーションマニュアルに従ってサザンブロットを実施した。

0081

0082

ヒト多能性幹細胞の培養および分化:iPS細胞株005B23.1は、皮膚パンチ線維芽細胞に由来し、組換えビトロネクチンコーティングプレート上で維持した。DF19.11は包皮線維芽細胞に由来した。CD−3−1は臍帯血細胞に由来した。PBMC末梢血液単核球に由来した。H1およびH9ES細胞は、男性胚および女性胚にそれぞれ由来した。

0083

ヒト多能性幹細胞では、Matrigelコーティングプレート上、E8培地中で細胞を培養した(005B23.1を除く)。最良の分化結果を実現するために、分化2日前に、ES細胞をEDTAにより1:4の比で分割した。2日後に、細胞は80〜90%の集密度(confluency)に到達した。分化当日、ES細胞をアキュターゼ(Invitrogen)により、37℃で3分間解離させた。細胞をビトロネクチンコーティングプレート(組み換えビトロネクチン、10cmの培養皿枚当たり50μg)上に1:3の比でプレーティングした(1.1〜1.5×105個の細胞/cm2)。細胞は36時間後に100%コンフルエンスに到達した。細胞生存率を改善するために、10μMのY27632を初日に使用した。E8BAC培地(表3を参照:5ng/mlのBMP4、25ng/mlのアクチビンA、および1μMのCHIR99021が補充されたE8培地)内で細胞を2日間培養した。次いで、増殖因子または小分子が補充されたE6培地(E8培地からFGF2およびTGFβ1を除去)を、内皮細胞分化を誘発するのにさらに3日間使用した。培地を毎日交換した。細胞を5日目に採取した。CD31+CD34+細胞を単離するために、細胞をCD34磁気ビーズでラベリングし、そしてautoMACS(Miltenyi Biotec)を通じて処理した。精製した細胞をフィブロネクチンコーティング培養皿(Life technologies、カタログ番号33016−015)(10cmの培養皿1枚当たり100μg)、またはビトロネクチンコーティング培養皿(10cmの培養皿1枚当たり50μg)上で、E7V(E6+100ng/mlのFGF2+50ng/mlのVEGFA)培地を用いて培養した。

0084

動脈内皮細胞の分化および増殖:AEC分化に6日を要した。0日目〜2日目に、上記のように、まずヒトES/iPS細胞を中胚葉細胞に分化させた。2日目〜6日目に、E5培地を使用し、増殖因子または小分子を示すように添加した。「5因子」の組合せを用い、100ng/mlのFGF、50ng/mlのVEGF、10μMのSB431542、5μMのRESV、および10μMのL690が補充されたE5培地により、AECを2日目〜6日目に誘発した。
機能的アッセイの一部について、AECをCD144マイクロビーズ(Miltenyi Biotec、カタログ番号130−097−857)により精製した。最適化後図9)、FVIR(E5+100ng/mlのFGF、50ng/mlのVEGF、10μMのSB431542、5μMのRESV)、またはFVIR+Ins(FVIR培地+10μg/mlのインスリン)培地中、フィブロネクチンまたはビトロネクチンコーティング培養皿上でAECを維持した。

0085

LDL取り込みアッセイ:LDL取り込みアッセイを実施するために、2μg/mlのアセチル化−LDL−FITCを培地に添加し、4時間培養した。画像化する10分前に、2μg/mlのHoechstを培地に添加した。CD144と同時染色するために、抗CD144−647抗体を、画像化する2時間前に培地に添加した。培地を除去し、そして生細胞画像化のためにHBSSを添加した。細胞を固定するとLDL−FITCシグナル減退するので、生きている状態で細胞を画像化することが重要である。
MATRIGEL(登録商標)カプセル化アッセイ:1.5×103個の内皮細胞/μl、および0.75×103個の周皮細胞/μl(ScienCell、カタログ番号1200)を、6.5mg/mlのMatrigel中でカプセル化した。10μLのMatrigel/細胞溶液を24ウェルプレートの中央にスポットし、凝固させるために37℃で5分間インキュベートした。次いで、E7V培地を適用した。免疫染色を4日目に実施し、そしてNikon共焦点顕微鏡を使用して構造を画像化した。

0086

In vivoでのMATRIGEL(登録商標)プラグ血管形成アッセイ:5×105個の内皮細胞を100μlのE7V培地に再懸濁し、200μLのMatrigel、次いで300μLの細胞/Matrigel混合物を、ヌードマウス頸部皮下注射した。イノキュレーションから2週間後に、Matrigelを採取し、固定化し、免疫染色した。デキストラン注射では、イノキュレーションから4週間後に、100μgのローダミン結合デキストランを、マウスに後眼窩注射した。デキストラン注射から10分後に、Matrigelプラグを採取し、固定化し、免疫染色した。

0087

フィブリンゲルカプセル化アッセイ:1.5×103個の内皮細胞/μl、および/または0.75×103個の周皮細胞/μlを、フィブリンゲル内でカプセル化した。2.5mg/mlのフィブリノゲン(EMD、カタログ番号341578)、および0.5U/mlのトロンビン(Sigma、カタログ番号T−9326)により、フィブリンゲルを調製した。10μLのフィブリンゲル/細胞溶液を24ウェルプレートの中央にスポットし、そして凝固させるために、37℃で10分間インキュベートした。次いで、E7V培地を適用した。免疫染色を4日目に実施し、共焦点顕微鏡を使用して構造を画像化した。
酸素誘発性網膜症モデル:実験を、UW−Madisonの眼科学およびビジュアルサイエンス(Ophthalmology and Visual Science)のIRBから承認を得て実施した。これまでの記載の通り21、C57/BL野生型マウスで酸素誘発性網膜症を誘発した。要するに、出生後7日目に、マウスを75%の酸素に5日間曝露した。出生後12日目に、マウスを室内空気に戻し、5×104個の細胞を含有する1μlを硝子体内注射した。リン酸緩衝化生食塩水(PBS)をビヒクルとして使用し、対照として注射した。5日後に網膜を採取し、免疫染色を実施した。

0088

後肢虚血モデル:UW−Madisonの心血管系生理学コア施設(Cardiovascular Physiology Core Facility)のIRBから承認を得て実験を実施した。これまでの記載の通り22、後肢虚血モデルを生成した。要するに、10〜12週齢のメス無胸腺ヌードマウス(Crl:NU(NCr)−Foxn1nu、Charles River Laboratroies、Chicago、Illinois)を使用した。高齢のマウスほど回復が遅くなり、ヒトの四肢虚血とより類似するので、4〜6週齢の代わりに10〜20週齢のマウスを使用した。総腸骨動脈腹腔内で結紮し、鼠径靭帯に対してすぐ尾部側大腿動脈を2箇所結紮し、取り出した。手術直後に、マウスを無作為に4群に割り振り、細胞またはDF12培地を注射した。細胞(マウス1匹当たり0.3×106個、1×106個、または3×106個の細胞)を、300μlのDF12培地に懸濁し、虚血脚部の大腿薄筋の6部位に筋肉内注射した。1日当たり7〜8匹のマウスに手術を実施した。

0089

一酸化窒素生成アッセイ:内皮細胞をビトロネクチンコーティング24ウェルプレートに播種した(1×105個の細胞/ウェル)。AECをFVIR+Ins培地中で培養した。HUVEC(Lonza、カタログ番号CC−2519)をEGM2(Lonza、カタログ番号CC−3202)培地中で培養した。HCAEC(Lonza、カタログ番号CC−2585)をEGM2培地中で1日培養し、次いでFVIR+Ins培地中でもう1日培養した。2日後、すべての培地を1μMのDAF−FMを含有する新鮮なFVIR+Ins培地(Life technologies、カタログ番号D−23844)に交換した。細胞を30分間培養し、次いでフローサイトメトリー分析用に採取した。DAF−FMは、NOと反応して蛍光ベンゾトリアゾールを形成するまで非蛍光性である。一貫した結果を実現するために、DAF−FMを添加した後、同一の細胞密度および同一の培地を使用することが重要である。

0090

酸素消費アッセイ法:4×104個の細胞/ウェルを、XF24ウェルプレート(Seahorse Bioscience)上に一晩播種した。AECをFVIR培地中で培養し、HCAECおよびHUVECをEGM2培地中で培養した。1日後、培地をMitoアッセイ培地(Seahorse Bioscience)に変更し、酸素消費速度をXF24アナライザーにより、製造業者の説明(Seahorse Bioscience)に従い測定した。オリゴマイシン(0.5μM)をタイムポイント3において注射して、ATPシンターゼを阻害することにより、酸素消費を無効にした。FCCP(2μM、ミトコンドリアカップリング剤)をタイムポイント6において注射して、酸化的リン酸化から電子伝達鎖を脱カップリングさせ、したがって最大呼吸能を測定した。非ミトコンドリア呼吸を測定するために、タイムポイント9において、1μMのアンチマイシンAおよび1μMのロテノンを同時に適用して、チトクロームbc1(複合体III)およびNADHデヒドロゲナーゼ(複合体I)のそれぞれにおいて電子伝達鎖を完全に遮断した。

0091

剪断応力応答:ibidiポンプシステム(Red perfusion set、μ−SlideVI0.4)を使用して、剪断応力応答についてアッセイした。μ−Slideのチャンネル毎に、30μlの細胞懸濁物(5×105個の細胞/ml、10μMのY27632を含む)を充填した。細胞が付着した後、130μlの新鮮な培地を各チャンネルに添加した。2日後、μ−Slideをibidiポンプシステムにより灌流した。24時間潅流した後、細胞を採取し、免疫染色した。
FVIR+Ins培地は内皮細胞の伸長を促進したので、24時間剪断応力応答実験の前および間に、E7V培地を、「5因子」AECを培養するのに使用した。

0092

白血球接着アッセイ:すべての内皮細胞をフィブロネクチンコーティング24ウェルプレート上で培養した。AECをFVIR培地中で培養した;HUVECおよびHCAECをEGM−2培地(Lonza)中で培養した。細胞が100%コンフルエンスに到達したら、10ng/mlのTNFαを含めて、または含めないで細胞を4時間処理した。次いで、1×106個のU937細胞を0.5mlの新鮮なRMPI1640+10%のFBSに懸濁し、各ウェルに添加した。20〜60分後、冷却培地(RMPI1640+10%のFBS)を使用して、非付着性の細胞を緩やかに洗い流した。洗浄をさらに2回繰り返した。細胞を速やかに画像化した。

0093

抗体試薬:抗マウスCD41−FITC(Biolegend、カタログ番号133904)、抗マウスCD45−FITC(STEMCELLtechnologies、カタログ番号10710)、抗マウスCD144−PE(BD、カタログ番号562243)、抗マウスCD31−APC(BD、カタログ番号551262)、抗ヒトCD31−FITC(BD、カタログ番号555445)、抗ヒトCD31−V421(BD、カタログ番号564089)、抗ヒトCD31−PE(BD、カタログ番号555446)、抗ヒトCD34−647(BD、カタログ番号555824)、抗ヒトCD144−647(BD、カタログ番号561567)、抗ヒトDLL4−APC(Miltenyi、カタログ番号130−096−560)、抗ヒトCXCR4−APC(BD、カタログ番号560936)、抗CD34マイクロビーズ(Miltenyi、130−046−703)、抗CD144マイクロビーズ(Miltenyi、130−097−857)、抗pAKT(ser473)(Cell signaling、カタログ番号4060)、抗AKT(Cell signaling、カタログ番号4691)、抗GAPDH(EMD Millipore、カタログ番号MAB374)。

0094

参考資料

0095

本発明は、最も実用的で好ましい実施形態であると現在考えられることと関連付けて記載してきた。しかし、本発明は例示目的で提示されており、開示される実施形態に限定するようには意図されない。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲に記載する本発明の精神および範囲内のすべての修正および代替形態を包含するように意図されているものと、当業者は認識する。

実施例

0096

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