図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2020年5月14日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (17)

課題

治療法又は疾患モデリングにおける使用に対するヒト肝細胞マトリクス(ECM)スキャフォールドを製造するためのヒト肝組織脱細胞化する方法の提供。

解決手段

ヒト肝臓スキャフォールドを製造する方法であって、(i)ヒト肝臓組織を準備することと、(ii)前記組織中の細胞機械的に傷害することと、(iii)前記組織中の細胞を浸透圧ストレスに供することと、(iv)任意に、前記組織をプロテアーゼ及び/又はDNAaseに暴露することと、(v)前記組織を洗浄剤に暴露することと、(vi)工程(iii)、工程(iv)及び工程(v)の各々を任意の順序で1回又は複数回繰り返すことと、を含み、それによりヒト肝臓スキャフォールドを製造する、方法。

概要

背景

生体組織工学は、臓器の機能を回復することによって世界中の数百万の人々の生活の質を改善することを目的とする新たに発展しつつある分野である。生体組織工学は、臓器を再生するため、またin vitroで疾患を再現するため、細胞と3D構造の発生のためのスキャフォールドとを組み合わせる。臓器の機能回復に加えて、生体組織工学は、治療薬及び生物学的製剤のin vitro試験、薬物の毒性試験、新たな装置及び介入技術の評価、並びに新たなバイオマーカー発見に対するプラットフォームを含む重要な生医学的用途を提供することができる。

ヒトの肝臓は、区域(個々の門脈及び動脈の供給、肝静脈、及び胆管ドレナージを含む8つの区域)及び領域(血管柄及び胆管柄(vascular and biliary pedicles:血管
び胆管茎)を共有するより多くの区域)と呼ばれる機能的サブユニットに分けられる単一の臓器である。これらの解剖学的特徴は、肝臓切除及び肝臓部移植の実施において利用され得るいくつかの機能的サブユニットにヒト肝臓を仕切ることを可能とする。ヒト肝臓は、古典的には、門脈及び肝動脈系から順行様式で血液により灌流される(すなわち、血液は肝静脈系から排出され、胆汁胆管系によって肝臓により排泄される)。

肝臓は、解毒タンパク質合成消化に必要な生化学物質の産生、並びに糖代謝及び脂質代謝における主要な役割を含む幅広い機能を有する。肝臓は生存に必要であり、長期にわたって肝機能欠如補償する方法は今のところ存在しない。この独特の機能は、3Dスキャフォールドを構成する細胞外マトリクス(ECM)タンパク質ネットワークにおいて厳密に組織された実質細胞及び非実質細胞によって編成される。

ウイルス感染アルコール、及び他の状態に起因する肝疾患は増加しつつあり、現在、毎年、英国で10000名、米国で32000名の死亡をもたらしている。肝臓移植は進行した急性又は慢性の肝疾患に対する唯一の有効な治療であり、優れた長期生存及び生活の質と関連する。しかしながら、利用可能性は制限され、要求が増加しつつある。肝移植に適した人々の15%〜25%で待ち時間が増加し、順番待ちリストにある間に死亡するか、又は病状が悪くなりすぎる(becoming too unwell)。人工肝臓の開発は、肝疾患に
起因する死を減少し、現在臓器移植を利用できない患者に対する解決策を提供する。

さらに、肝線維症(HF)及び肝細胞癌(HCC)の発症調査するために使用されるモデルはいずれも生得的な問題を有する。したがって、2D単層単一細胞培養物又は共培養物における研究は、大半のin vitro研究の根幹をなすが、現実とは大きくかけ離れている。さらに、ヒト疾患と多くの性質を共有するものの、大半の動物モデルはヒトと同じ様式の遺伝子発現を共有せず、in vivoモデルとしての妥当性は限定される。したがって、ヒト疾患の複雑性を再現するモデルを開発する必要性は満たされていない。

近年、ブタ及びヒツジ等の大型動物の肝臓を使用して、ヒト細胞との再増殖(repopulation)に対して使用される好適なスキャフォールドを得る可能性が評価されてきた。しかしながら、肝臓の代謝能力における生得的な相違以外に、細胞外ECMスキャフォールド
は、異なる種において明らかに異なる巨視的及び微視的な特徴を有する。特に、ヒト肝臓の区域化及び分葉は、他の種ほど明らかではない。さらに、ヒト肝臓の微視的な小葉解剖及び構造は独特であり、肝臓小葉間線維性境界はヒトには存在しないことから(また、ヒトの小葉の構造は形式上、構造境界を有しない)、ブタ等の他の哺乳動物とは異なる。ブタ肝臓に典型的な線維性の境界の存在は、ヒト細胞との再増殖後、ヒトでの移植におけるブタ肝臓から得られたスキャフォールドの使用に対して重大な問題を提示する。実際、ブタにおける異なる構造は、つなぎ目(bridging)が正常なヒト肝臓におけるフローバリヤ(flow barrier)になりやすいことから、門脈圧亢進をもたらす場合がある。

概要

治療法又は疾患モデリングにおける使用に対するヒト肝細胞マトリクス(ECM)スキャフォールドを製造するためのヒト肝臓組織を脱細胞化する方法の提供。ヒト肝臓スキャフォールドを製造する方法であって、(i)ヒト肝臓組織を準備することと、(ii)前記組織中の細胞を機械的に傷害することと、(iii)前記組織中の細胞を浸透圧ストレスに供することと、(iv)任意に、前記組織をプロテアーゼ及び/又はDNAaseに暴露することと、(v)前記組織を洗浄剤に暴露することと、(vi)工程(iii)、工程(iv)及び工程(v)の各々を任意の順序で1回又は複数回繰り返すことと、を含み、それによりヒト肝臓スキャフォールドを製造する、方法。なし

目的

生体組織工学は、臓器の機能を回復することによって世界中の数百万の人々の生活の質を改善することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

ヒト肝スキャフォールドを製造する方法であって、(i)ヒト肝臓組織を準備することと、(ii)前記組織中の細胞機械的に傷害することと、(iii)前記組織中の細胞を浸透圧ストレスに供することと、(iv)任意に、前記組織をプロテアーゼ及び/又はDNAaseに暴露することと、(v)前記組織を洗浄剤に暴露することと、(vi)工程(iii)、工程(iv)及び工程(v)の各々を任意の順序で1回又は複数回繰り返すことと、を含み、それによりヒト肝臓スキャフォールドを製造する、方法。

請求項2

工程(ii)が1回又は複数回繰り返される、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記肝臓を工程(iii)、工程(iv)及び工程(v)の1つ、2つ又は3つ全てを含む複数のサイクルに供する、請求項1又は2に記載の方法。

請求項4

工程(ii)を含む複数のサイクルに前記肝臓を供する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。

請求項5

前記肝臓組織が正常な肝臓組織である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。

請求項6

前記肝臓組織が病的な肝臓組織である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。

請求項7

前記病的な肝臓組織が急性又は慢性肝疾患と関連する病状を呈する、請求項6に記載の方法。

請求項8

前記組織を1巡又は複数巡回(round)の凍結及び解凍に供することによって前記細胞を機械的に傷害する、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。

請求項9

前記組織をHIFU又は超音波処理に供することによって前記細胞を機械的に傷害する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。

請求項10

前記肝臓組織を低張性試薬に暴露することによって該組織を浸透圧ストレスに供する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。

請求項11

前記低張性剤が脱イオン水である、請求項10に記載の方法。

請求項12

前記肝臓組織を高張性試薬に暴露することによって該組織を浸透圧ストレスに供する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。

請求項13

前記高張性剤が水又は生理食塩水である、請求項12に記載の方法。

請求項14

工程(iv)を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。

請求項15

前記組織を工程(iv)においてプロテアーゼに暴露する、請求項14に記載の方法。

請求項16

前記プロテアーゼがトリプシン又はプロナーゼである、請求項15に記載の方法。

請求項17

前記組織を工程(iv)においてDNAseに暴露する、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。

請求項18

工程(iv)を含まない、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。

請求項19

前記洗浄剤がアニオン性洗浄剤である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。

請求項20

前記アニオン性洗浄剤がドデシルリン酸ナトリウム(SDS)又はデオキシコール酸ナトリウム(SdC)である、請求項19に記載の方法。

請求項21

前記洗浄剤がイオン性洗浄剤である、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。

請求項22

前記イオン性洗浄剤がポリエチレングリコールp−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニルエーテル(TritonX100(商標))である、請求項21に記載の方法。

請求項23

前記ヒト肝臓組織をイオン性洗浄剤及びアニオン性洗浄剤の両方に暴露する、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。

請求項24

前記肝臓組織を工程(iii)〜工程(iv)の間にフローせん断応力に供する、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。

請求項25

前記フローせん断応力を灌流によって発生させる、請求項24に記載の方法。

請求項26

前記肝臓組織を逆行性に灌流する、請求項25に記載の方法。

請求項27

灌流速度を標的値まで増加する、請求項25又は請求項26に記載の方法。

請求項28

初期灌流速度が0.1ml/分/組織グラム〜1.99ml/分/組織グラムである、請求項27に記載の方法。

請求項29

前記標的灌流速度が2ml/分/組織グラム〜20ml/分/組織グラムである、請求項27又は28に記載の方法。

請求項30

前記肝臓組織を固形組織グラム当たり約0.004時間〜約4時間に亘って各脱細胞化試薬で灌流する、請求項25〜29のいずれか一項に記載の方法。

請求項31

工程(vi)が前記肝臓組織を通る灌流によって工程(iii)及び工程(v)を1回〜25回繰り返すことを含む、請求項25〜30のいずれか一項に記載の方法。

請求項32

工程(vi)が、前記肝臓組織を通る灌流によって次の順序:(iii)、(iv)、(iii)、(iv)、(v)、[(iii)、(v)]n、(iii)、(iv)、[(iii)、(v)]n(ここで、nは1〜25である)で工程(iii)〜工程(v)を繰り返すことを含む、請求項25〜31のいずれか一項に記載の方法。

請求項33

工程(vi)が前記肝臓組織を通る灌流によって工程(iii)及び工程(v)を1回〜25回繰り返すことを含む、請求項25〜31のいずれか一項に記載の方法。

請求項34

工程(ii)を1回又は複数回繰り返す、請求項31〜33のいずれか一項に記載の方法。

請求項35

前記肝臓組織を表1に示される灌流レジメンに供する、請求項25〜34のいずれか一項に記載の方法。

請求項36

前記肝臓組織が全肝臓又はその機能的単位である、請求項25〜35のいずれか一項に記載の方法。

請求項37

前記フローせん断応力が撹拌によって発生される、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。

請求項38

前記肝臓組織を脱細胞化試薬に浸漬し、100rpm〜1000rpmで撹拌する、請求項37に記載の方法。

請求項39

前記肝臓組織が2cm3以下の血管柄のない肝臓切片である、請求項37又は38に記載の方法。

請求項40

撹拌された組織を、(a)前記組織を浸透圧ストレスに供することと、(b)前記組織をプロテアーゼ及び/又はDNAaseに暴露することと、(c)前記組織を洗浄剤に暴露することと、の1又は複数のサイクルに供し、(a)、(b)及び(c)は各サイクルにおいて任意の順序で行ってもよい、請求項37〜39のいずれか一項に記載の方法。

請求項41

前記組織を前記低張性試薬に12時間〜36時間暴露する、請求項40に記載の方法。

請求項42

前記組織を前記洗浄剤に12時間〜36時間暴露する、請求項37〜41のいずれか一項に記載の方法。

請求項43

前記組織を前記DNAseに約3時間暴露する、請求項37〜42のいずれか一項に記載の方法。

請求項44

撹拌された組織を、(a)前記組織を浸透圧ストレスに供することと、(b)前記組織をプロテアーゼに暴露することと、(c)前記組織をアニオン性洗浄剤に暴露することと、(d)前記組織をイオン性洗浄剤に暴露することと、の1又は複数のサイクルに供する、請求項37〜43のいずれか一項に記載の方法。

請求項45

前記組織を浸透圧ストレスに15分間〜3時間供する、請求項43に記載の方法。

請求項46

前記組織を周囲温度で12時間〜36時間に亘って前記プロテアーゼに暴露する、請求項37〜45に記載の方法。

請求項47

前記組織を前記アニオン性洗浄剤に12時間〜96時間暴露する、請求項37〜46のいずれか一項に記載の方法。

請求項48

前記組織を前記イオン性洗浄剤に12時間〜72時間暴露する、請求項37〜47のいずれか一項に記載の方法。

請求項49

前記脱細胞化試薬への各サイクルの暴露期間が1日間〜3日間である、請求項37〜48のいずれか一項に記載の方法。

請求項50

前記肝臓組織を表3〜表6のいずれか1つに示されるレジメンに供する、請求項37〜49のいずれか一項に記載の方法。

請求項51

前記スキャフォールドを脱細胞化の後に滅菌することを含む、請求項1〜50のいずれか一項に記載の方法。

請求項52

前記スキャフォールドを細胞により再増殖させて人工肝臓組織を製造することを含む、請求項1〜51のいずれか一項に記載の方法。

請求項53

前記細胞が、ヒト初代肝臓細胞及び細胞株肝臓細胞、ヒト初代肝細胞内皮細胞、ヒトiPSC又は患者特異的iPSC由来細胞ヒト胚性幹細胞(hESC)、ヒト間葉系幹細胞(hMSC)、ヒト胎生幹細胞ヒト癌細胞、及びヒト内皮前駆細胞(EPC)である、請求項52に記載の方法。

請求項54

請求項1〜53のいずれか一項に記載の方法によって製造されたヒト肝臓スキャフォールド又は人工肝臓組織。

請求項55

invitroの疾患モデリングに対するヒト肝臓スキャフォールド又は人工肝臓組織の使用。

請求項56

疾患モデリングの方法であって、請求項1〜53のいずれか一項に記載の方法によって製造されたヒト肝臓スキャフォールド又は人工ヒト肝臓組織を準備することと、前記スキャフォールド又は前記組織に対する化合物、薬物、生物学的製剤、装置又は治療的介入の効果を特定することと、を含む、方法。

請求項57

ヒト個体において肝疾患を診断する方法であって、請求項1〜53のいずれか一項に記載の方法によって製造された前記個体に由来する肝臓スキャフォールドの試料を準備することと、前記試料中の1又は複数の肝臓スキャフォールドタンパク質の存在及びその量を特定することと、を含んでもよい、方法。

請求項58

肝疾患又は肝機能障害治療方法であって、請求項1〜53のいずれか一項に記載の方法によって製造されたヒト肝臓スキャフォールド又は人工ヒト肝臓組織を、それを必要とする個体に移植することを含む、方法。

請求項59

個体における肝疾患又は肝機能障害の治療における使用に対する、請求項1〜53のいずれか一項に記載の方法によって製造されたヒト肝臓スキャフォールド又は人工ヒト肝臓組織。

請求項60

肝疾患又は肝機能障害の治療方法であって、請求項52又は53に記載の方法によって製造された体外人工ヒト肝臓組織を、それを必要とする個体の血管系に、前記個体からの循環血が前記組織を通過して前記個体へと戻るように接続することを含む、方法。

請求項61

請求項1〜51のいずれか一項に記載の方法によって製造されたヒト肝臓スキャフォールドと、前記スキャフォールドへの培養培地の導入のための入力導管と、前記スキャフォールドからの培養培地の排出のための出力導管と、を備える、バイオリアクター

請求項62

前記ヒト肝臓スキャフォールドを細胞により播種する、請求項61に記載のバイオリアクター。

請求項63

請求項52又は53に記載の方法によって製造された人工ヒト肝臓組織と、前記スキャフォールド又は前記人工ヒト肝臓組織への血液の導入のための入力導管と、前記スキャフォールド又は前記人工ヒト肝臓組織からの血液の排出のための出力導管と、を備える、バイオリアクター。

技術分野

0001

本発明は、例えば、治療法、薬物スクリーニングバイオマーカー同定、又は疾患モデリングにおける使用に対する、ヒト肝細胞マトリクス(ECM)スキャフォールドの製造に関する。

背景技術

0002

生体組織工学は、臓器の機能を回復することによって世界中の数百万の人々の生活の質を改善することを目的とする新たに発展しつつある分野である。生体組織工学は、臓器を再生するため、またin vitroで疾患を再現するため、細胞と3D構造の発生のためのスキャフォールドとを組み合わせる。臓器の機能回復に加えて、生体組織工学は、治療薬及び生物学的製剤のin vitro試験、薬物の毒性試験、新たな装置及び介入技術の評価、並びに新たなバイオマーカーの発見に対するプラットフォームを含む重要な生医学的用途を提供することができる。

0003

ヒトの肝臓は、区域(個々の門脈及び動脈の供給、肝静脈、及び胆管ドレナージを含む8つの区域)及び領域(血管柄及び胆管柄(vascular and biliary pedicles:血管
び胆管茎)を共有するより多くの区域)と呼ばれる機能的サブユニットに分けられる単一の臓器である。これらの解剖学的特徴は、肝臓切除及び肝臓部移植の実施において利用され得るいくつかの機能的サブユニットにヒト肝臓を仕切ることを可能とする。ヒト肝臓は、古典的には、門脈及び肝動脈系から順行様式で血液により灌流される(すなわち、血液は肝静脈系から排出され、胆汁胆管系によって肝臓により排泄される)。

0004

肝臓は、解毒タンパク質合成消化に必要な生化学物質の産生、並びに糖代謝及び脂質代謝における主要な役割を含む幅広い機能を有する。肝臓は生存に必要であり、長期にわたって肝機能欠如補償する方法は今のところ存在しない。この独特の機能は、3Dスキャフォールドを構成する細胞外マトリクス(ECM)タンパク質ネットワークにおいて厳密に組織された実質細胞及び非実質細胞によって編成される。

0005

ウイルス感染アルコール、及び他の状態に起因する肝疾患は増加しつつあり、現在、毎年、英国で10000名、米国で32000名の死亡をもたらしている。肝臓移植は進行した急性又は慢性の肝疾患に対する唯一の有効な治療であり、優れた長期生存及び生活の質と関連する。しかしながら、利用可能性は制限され、要求が増加しつつある。肝移植に適した人々の15%〜25%で待ち時間が増加し、順番待ちリストにある間に死亡するか、又は病状が悪くなりすぎる(becoming too unwell)。人工肝臓の開発は、肝疾患に
起因する死を減少し、現在臓器移植を利用できない患者に対する解決策を提供する。

0006

さらに、肝線維症(HF)及び肝細胞癌(HCC)の発症調査するために使用されるモデルはいずれも生得的な問題を有する。したがって、2D単層単一細胞培養物又は共培養物における研究は、大半のin vitro研究の根幹をなすが、現実とは大きくかけ離れている。さらに、ヒト疾患と多くの性質を共有するものの、大半の動物モデルはヒトと同じ様式の遺伝子発現を共有せず、in vivoモデルとしての妥当性は限定される。したがって、ヒト疾患の複雑性を再現するモデルを開発する必要性は満たされていない。

0007

近年、ブタ及びヒツジ等の大型動物の肝臓を使用して、ヒト細胞との再増殖(repopulation)に対して使用される好適なスキャフォールドを得る可能性が評価されてきた。しかしながら、肝臓の代謝能力における生得的な相違以外に、細胞外ECMスキャフォールド
は、異なる種において明らかに異なる巨視的及び微視的な特徴を有する。特に、ヒト肝臓の区域化及び分葉は、他の種ほど明らかではない。さらに、ヒト肝臓の微視的な小葉解剖及び構造は独特であり、肝臓小葉間線維性境界はヒトには存在しないことから(また、ヒトの小葉の構造は形式上、構造境界を有しない)、ブタ等の他の哺乳動物とは異なる。ブタ肝臓に典型的な線維性の境界の存在は、ヒト細胞との再増殖後、ヒトでの移植におけるブタ肝臓から得られたスキャフォールドの使用に対して重大な問題を提示する。実際、ブタにおける異なる構造は、つなぎ目(bridging)が正常なヒト肝臓におけるフローバリヤ(flow barrier)になりやすいことから、門脈圧亢進をもたらす場合がある。

発明が解決しようとする課題

0008

3DヒトECMタンパク質組成及び機構を再現する3Dヒト肝臓組織のin vitroでの開発は、生体組織工学分野における主な課題の1つである。有望なアプローチは、組織の脱細胞化(decellularisation)のプロセスによる生物学的スキャフォールドの
確立を含む。しかしながら、他の著者らによる以前の報告は、ヒト特有であって他の哺乳動物とは特徴的に異なるマクロ構造及びミクロ構造固有の相違のため3Dヒト肝臓スキャフォールドを得ることができなかった。マウスラットフェレット、ヒツジ及びブタの肝臓の脱細胞化が報告されているが、ヒト肝臓の生物学的スキャフォールドの作製の成功を記載する文献は存在しない。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、種々の細胞傷害剤のセットを用いる1又は複数のサイクルの処理を含むレジメン(regimes:レジーム)が、細胞外マトリクスを傷害することなく、ヒト肝臓組
織を脱細胞化するために使用され得ることを認識した。これは、ヒト肝臓の細胞外マトリクスの構造及び形態を維持する無細胞スキャフォールドの再現可能な製造に有用な可能性がある。

0010

本発明の1つの態様は、ヒト肝臓スキャフォールドを製造する方法であって、
(i)ヒト肝臓組織を準備することと、
(ii)上記組織中の細胞を機械的に傷害することと、
(iii)上記組織中の細胞を浸透圧ストレスに供することと、
(iv)任意に、上記組織をプロテアーゼ及び/又はDNAaseに暴露することと、
(v)上記組織を洗浄剤に暴露することと、
(vi)工程(iii)、工程(iv)及び工程(v)、任意に工程(ii)の各々を任意の順序で1回又は複数回繰り返すことと、
を含み、それによりヒト肝臓スキャフォールドを製造する、方法を提供する。

0011

幾つかの実施形態では、上記方法は工程(iv)を含み得る。他の実施形態では、工程(iv)は省略されてもよい(すなわち、上記方法は工程(iv)を含まない)。

0012

特許請求の範囲に記載される方法によって製造されたヒト肝臓スキャフォールドは、無細胞ヒト肝臓細胞外マトリクス(ECM)(すなわち、該スキャフォールドは脱細胞化されている)からなり、三次元構造及び起源肝臓組織のECMの生物活性を保持する。

0013

細胞を機械的に傷害した後、肝臓組織を種々の脱細胞化試薬(すなわち、浸透圧ストレス試薬、プロテアーゼ/DNAase、及び洗浄剤)に順次暴露する。工程(iii)、工程(iv)及び工程(v)、並びに任意に工程(ii)を任意の順序で1回又は複数回行って、上記スキャフォールドを脱細胞化してもよい。幾つかの実施形態では、肝臓組織を工程(iii)、工程(iv)及び工程(v)、並びに任意に工程(ii)のいずれか1つ、2つ、又は3つ全てを任意の順序で含む複数サイクルに暴露してもよい。

0014

幾つかの実施形態では、工程(ii)を1回又は複数回繰り返してもよい。例えば、工程(ii)を含む複数サイクルに肝臓組織を暴露してもよい。これは、例えば、超音波処理等の非凍結解凍技法を使用して細胞を機械的に傷害する場合に有用な可能性がある。

0015

肝臓組織を工程(iii)〜工程(vi)の間にフローせん断応力に供することが好ましい。これは、組織内、例えば肝シヌソイドへの脱細胞化試薬の浸透を促進し、細胞外マトリクス(ECM)から細胞及び細胞片剥離する。

0016

灌流、撹拌又は陰圧を含む任意の簡便な技法を使用して、肝臓組織においてフローせん断応力を発生させてもよい。フローせん断応力は、灌流又は撹拌によってヒト肝臓組織において発生されることが好ましい。

0017

フローせん断応力の発生に対する技法の選択は、肝臓組織又は用途に依存する場合がある。例えば、全肝臓、単一の肝葉領域、区域又は他の肝構造単位を脱細胞化試薬によって灌流し、フローせん断応力を発生させてもよい。肝臓細胞キューブLTC)等の小さい肝臓試料を脱細胞化試薬に浸漬して撹拌し、フローせん断応力を発生させてもよい。

0018

本明細書に記載される脱細胞化に対するヒト肝臓組織は、移植における臨床使用に適していないヒト肝臓から得られてもよい。好適な肝臓は、関連する国内法及び倫理指針に従って得られてもよい。

0019

幾つかの実施形態では、肝臓組織は、傷害又は疾患と関連する病状を呈しない正常組織であってもよい。

0020

他の実施形態では、肝臓組織は傷害又は疾患と関連する病状を呈する病的組織であってもよい。例えば、肝臓組織は、脂肪質線維化、炎症性であってもよく、又は疾患若しくは傷害と関連する1若しくは複数の他の特徴を呈してもよい。幾つかの実施形態では、病的肝臓組織は、A型、B型C型D型若しくはE型の肝炎等のウイルス性感染症、アルコール若しくは毒物による傷害、肝線維症(HF)、非アルコール性脂肪性肝疾患、(NAFLD)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、アルコール性肝疾患、虚血性肝炎(ischaemic hepatitis)、巨細胞性肝炎、及び肝細胞癌(HC
C)等の肝臓癌を含む急性又は慢性の肝炎と関連する病状を呈し得る。代替的には、病的な肝臓組織は、アミロイドーシス等の肝臓を冒す他の疾患と関連する病状を呈し得る。

0021

病的な肝臓組織から製造される肝臓スキャフォールドは、健康な肝臓組織から製造されるスキャフォールドとは異なる構造及び組成を有する場合がある。例えば、病的なスキャフォールドの形態、又はコラーゲンテネイシン、及びラミニン等のECM成分の量若しくは相対量は、健康な肝臓組織と比較して病的な肝臓組織に由来するスキャフォールドにおいて変更される場合がある。これは、疾患モデリングに対して特異的な疾患修飾肝臓スキャフォールドを得るのに有用な可能性がある。

0022

病的な肝臓組織は、肝疾患又は肝臓を冒す疾患(例えば、肝臓傷害又は肝機能の変更を特徴とする疾患)を有する個体から得られてもよい。

0023

本明細書に記載される脱細胞化のために肝臓組織を取得及び保存する方法は当該技術分野でよく知られている。例えば、肝臓を、凝集を予防するためヘパリン処理してもよく、及び/又は解凍後組織破壊を減少若しくは予防するため凍結保護剤で灌流してもよい。

0024

本明細書に記載される脱細胞化に適したヒト肝臓組織として、全肝臓、又は肝臓の肝葉
領域、区域若しくは亜区域、又は小さな試料若しくは切片等の肝機能単位を含む肝臓の一部が挙げられる。

0025

肝臓の一部は、肝葉領域、区域若しくは亜区域等の1又は複数の肝機能単位を含んでもよい。好適な機能単位は、血管柄付(vascularised)であってもよく、及び/又は血管胆管柄(vasculo-biliary pedicle)を含んでもよい。例えば、肝臓組織は、ヒト肝臓のS
8の亜区域、ヒト肝臓のS1〜S8の1若しくは複数の区域、又は肝臓左外側(S2+S3±S1)、左肝(S2+S3+S4+S1)、右肝(S5+S6+S7+S8)、肝臓右外側(S6+S7)、拡大右肝(S4+S5+S6+S7+S8+S1)等の複数区域部分を含んでもよい。幾つかの好ましい実施形態では、肝臓組織はヒト肝臓の左外側(S2+S3±S1)又は左肝(S2+S3+S4+S1)の部分であってもよい。

0026

本明細書に記載される脱細胞化される肝臓組織の量及び質量は、スキャフォールドの意図される用途に依存する場合がある。例えば、インプラントにおける使用に対して脱細胞化される肝臓組織の質量は、個体の体重、及び個体における機能性肝臓組織の量に依存する場合がある。

0027

他の実施形態では、上記部分は幅、長さ及び/又は直径が0.2cm〜2cm、好ましくは0.2cm〜1.25cm、より好ましくは0.2cm〜1.0cmの小さな血管柄のない肝臓切片又はウェッジ(wedge)(例えば、0.008cm3〜2cm3、より好
ましくは0.008cm3〜1cm3、例えば約0.125cm3の体積を有する切片)であってもよい。上記切片はマルチウェルプレート等の標準的な実験室容器における操作に適したサイズであることが好ましく、例えば約0.5cmのサイズの略立方体であってもよい。

0028

肝疾患モデリング、薬物スクリーニング、バイオマーカー同定及び確認、並びに疾患診断薬の開発のための小規模の3Dヒト微小環境の複雑性の再現において小さな血管柄のない肝臓の切片又はウェッジが有用な場合がある。好適な切片は、組織ダイサーパンチ生検針生検を使用して、又は実質組織のキューブ等の切片の単純外科切開(simple scalpelcleavage)によって得られてもよい。

0029

本明細書に記載される脱細胞化のための複数の肝臓の部分を1つの肝臓から得てもよく、したがって、一人のドナーのヒト肝臓を二人以上の患者に使用してもよく、又は臨床及び疾患モデリングの両方の用途に使用してもよい。

0030

方法は、廃棄された全ヒト肝臓又はその一部を準備することを含む。本明細書に記載される脱細胞化の前に全ヒト肝臓を1又は複数の部分に分けてもよい。

0031

幾つかの実施形態では、工程(i)の前にヒト肝臓組織を凍結保護剤で処理してもよい。例えば、該組織を凍結前に細胞内及び/又は細胞外の凍結保護剤で処理してもよい。好適な凍結保護剤として、DMSO、エチレングリコールプロピレングリコールグリセロール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(MPD)、及びショ糖が挙げられる。

0032

第1の脱細胞化工程では、ヒト肝臓組織中の細胞を機械的傷害に供して細胞の破壊及び除去を促進する。凍結/解凍、超音波処理、又は高密度焦点式超音波処理(HIFU:high intensity focused ultrasound)を含む、細胞外マトリクスに影響することなく肝臓
組織の細胞を傷害する任意の好適な技法によって細胞を機械的に傷害してもよい。

0033

幾つかの実施形態では、機械的傷害技法は、最初の処理の後繰り返されなくてもよい。例えば、他の脱細胞化試薬への暴露の後の凍結/解凍処理等は、ECM傷害を引き起こす
可能性がある。

0034

他の実施形態では、肝臓組織中の細胞を最初の処理(例えば、上の工程(vi))の後、1回又は複数回の機械的傷害に供してもよい。例えば、上記組織をHIFU又は超音波処理に1回又は複数回供してもよい。

0035

ヒト肝臓組織を1回又は複数回の凍結/解凍サイクルに供することによって上記細胞を機械的に傷害することが好ましい。例えば、上記組織は、−20℃以下、好ましくは−50℃以下、−60℃以下、−70℃以下で凍結された後、1回又は複数回解凍されてもよい。凍結された組織は、簡便には4℃〜37℃で解凍されてもよい。幾つかの好ましい実施形態では、ECMを傷害し得る組織内での温度勾配を最小化するため、上記組織を約4℃で解凍してもよい。例えば、上記組織は約−80℃で24時間以上凍結された後、約4℃で解凍されてもよい。

0036

凍結/解凍に供されるヒト肝臓組織は、ECM傷害を防止するため乾燥していることが好ましい。幾つかの実施形態では、ヒト肝臓組織は、例えば5分間〜30分間の室温での暴露によって凍結/解凍工程の前に乾燥されてもよい。

0037

肝臓組織を、0.90%(重量/体積)NaCl等の生理食塩水又はPBS等の等張緩衝液中の凍結/解凍に供してもよい。

0038

機械的傷害に続き、ヒト肝臓組織を浸透性試薬、酵素(複数の場合がある)及び洗浄剤(すなわち、脱細胞化試薬)への一連の連続的な暴露によって脱細胞化する。これらの種々の脱細胞化試薬への連続する暴露は、細胞及び細胞片を細胞外マトリクス(ECM)から剥離し、肝臓組織からそれらを除去する。

0039

浸透圧ストレスは、肝臓組織における細胞の溶解を引き起こし、機械的傷害の効果を増幅する。浸透圧ストレスは、組織中の細胞に対して異なる浸透圧ストレスを有する1又は複数の浸透性試薬(すなわち、非等張性試薬)に上記組織を暴露することによって誘導され得る。組織を、細胞よりも低い浸透圧を有する1又は複数の低張性試薬に暴露して細胞を低張性環境に供してもよく、及び/又は細胞よりも高い浸透圧を有する1又は複数の高張性試薬に供して細胞を高張性環境に供してもよい。幾つかの実施形態では、低張性試薬が好ましい場合がある。

0040

高張性試薬は、例えば、タンパク質からDNAを分離するのに有用な場合がある。好適な高張性試薬は当該技術分野でよく知られており、例えばリン酸塩ホウ酸塩又はtrisによって緩衝されてもよい生理食塩水(例えば、0.9%(重量/体積)超のNaCl、例えば3%〜7%(重量/体積)のNaCl)、及びポリエチレングリコール溶液が挙げられる。

0041

低張性試薬は、例えば、ECMの分子及び構造における最小の変化を伴って単純な浸透圧効果により細胞の溶解を誘導するのに有用な場合がある。好適な低張性試薬は当該技術分野でよく知られており、水、脱イオン水、及び0.9%(重量/体積)未満のNaClの生理食塩水が挙げられる。

0042

幾つかの実施形態では、酵素を使用して肝臓組織中の細胞及び細胞内の構造を崩壊させ、ECMとの細胞結合を破壊する。例えば、組織中のタンパク質をプロテアーゼによって分解してもよい。好適なプロテアーゼは当該技術分野でよく知られており、トリプシンが挙げられる。肝臓組織を0.0025%〜0.25%(重量/体積)のトリプシン、例えば0.025%のトリプシンに暴露してもよい。幾つかの実施形態では、Ca2+等の二
価の金属イオンキレートし、ECMへの細胞接着を妨害するEDTA等のキレート剤を含む溶液中のプロテアーゼに肝臓組織を暴露してもよい。

0043

一連の脱細胞化試薬への暴露において、洗浄剤に暴露する前に肝臓組織をプロテアーゼに暴露してもよい。これは、プロテアーゼによってECMから剥離される細胞又は細胞形質成分を洗浄剤によって組織から洗い流すことを可能とする。

0044

他の実施形態では、プロテアーゼを使用せずに肝臓組織を脱細胞化してもよい。

0045

幾つかの実施形態では、上記組織中のゲノム構造及びデオキシリボ核酸デオキシリボヌクレアーゼ(DNAase)によって分解してもよい。好適なDNAseは当該技術分野でよく知られており、DNAseIが挙げられる。上記肝臓組織を1000KU〜10000KU DNAse 1、例えば約2000KU DNAse 1に暴露してもよい。デオキシリボヌクレアーゼ処理は、デオキシコール酸ナトリウム等の穏やかな洗浄剤を採用する方法において特に有用な場合がある。幾つかの実施形態では、DNAseは、平衡塩類溶液、例えば1M NaCl中に存在してもよい。他の実施形態では、デオキシリボヌクレアーゼを使用せずに肝臓組織を脱細胞化してもよい。

0046

幾つかの実施形態では、デオキシリボヌクレアーゼ又はプロテアーゼを使用せずに肝臓組織を脱細胞化してもよい。

0047

洗浄剤は上記組織中の脂質及び脂肪可溶化し、ECMからの細胞片の除去を促進する。

0048

洗浄剤は、ドデシルリン酸ナトリウム(sodium dodecyl phosphate)(SDS)、デオキシコール酸ナトリウム(SdC)、及びTriton(商標) X−200等のアニオン性洗浄剤を含んでもよい。例えば、上記肝臓組織を0.01%〜5%のSDS、例えば0.01%〜1%のSDS、0.01%〜5%のデオキシコール酸ナトリウム(SdC)、例えば約4%のデオキシコール酸ナトリウム、及び/又は0.01%〜5%のTriton(商標) X−200、例えば3%のTriton(商標) X−200に暴露してもよい。

0049

洗浄剤は、ポリエチレングリコール及びTriton(商標) X100等、例えばポリエチレングリコールp−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニルエーテル非イオン性洗浄剤を含んでもよい。例えば、上記肝臓組織を0.01%〜5%のTriton(商標) X−100、又は1%〜3%のTriton(商標) X−100、例えば3%のTriton(商標) X−100に暴露してもよい。

0050

洗浄剤は、CHAPS(3−[(3−コラミドプロピルジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート)、スルホベタイン−10(3−(デシルジメチルアンモニオ)プロパンスルホネート)、スルホベタイン−16(n−ヘキサデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート)、及びトリn−ブチルホスフェート等の両性イオン性洗浄剤を含んでもよい。例えば、上記肝臓組織を0.01%〜5%の両性イオン性洗浄剤、例えば0.01%〜1%の両性イオン性洗浄剤に暴露してもよい。

0051

多数の他の好適な洗浄剤が当該技術分野でよく知られており、商業的供給元(例えば、米国ミズーリ州のSigma Aldrich CoLLC)から入手可能である。

0052

幾つかの好ましい実施形態では、上記肝臓組織を別々の工程で第1の洗浄剤及び第2の洗浄剤に暴露してもよい。例えば、方法は、(a)SDS等のアニオン性洗浄剤に上記組
織を暴露すること、及び(b)Triton(商標) X−100等の非イオン性洗浄剤に上記組織を暴露することを含んでもよい。

0053

幾つかの実施形態では、各処理工程において採用される脱細胞化試薬の濃度は、最大値まで次第に増加されてもよい。例えば、採用される洗浄剤の濃度は、最大値まで次第に増加されてもよい。最初の洗浄剤の濃度は、肝臓組織の血管を閉塞させる細胞形質成分の集合体又は凝集塊の形成を回避するのに十分低くてもよい。最初の洗浄剤処理の後、該洗浄剤の濃度を増して全ての細胞形質成分を効果的に除去する。

0054

したがって、工程(iii)は、次第に増加する濃度の洗浄剤に上記肝臓組織を暴露することを含んでもよい。最も高い濃度は工程(iii)が繰り返される際に採用されることが好ましい。例えば、上記肝臓組織を、0.005%〜0.02%SDS、例えば約0.01%SDSに暴露した後、0.05%SDS〜0.2%SDS、例えば約0.1%SDSに暴露し、その後0.5%SDS〜2%SDS、例えば約1%SDSに暴露してもよい。

0055

後の洗浄剤処理工程(すなわち、工程iiiの繰り返し)は、0.5%SDS〜2%SDS、例えば約1%SDSを用いてもよい。

0056

幾つかの好ましい実施形態では、上記肝臓組織を、試薬によって該組織を灌流することにより脱細胞化試薬に暴露してもよい。上記肝臓組織を順行性ではなく逆行性に灌流することが好ましい。

0057

in vitroにおける組織灌流に対する好適な技術は当該技術分野でよく知られている。例えば、肝臓組織は、血管、導管又は腔、例えば大静脈又は肝静脈へのカニューレの挿入によって灌流のため準備されてもよい。その後、カニューレ挿入された組織を、カニューレ挿入により脱細胞化試薬で灌流してもよい。

0058

好ましい実施形態では、脱細胞化試薬による肝臓組織の灌流速度は一定ではない。例えば、組織の灌流の初期速度は、肝臓組織に対する構造上の傷害を回避するため低くてもよい(例えば、0.99ml/分/組織グラム未満)。脱細胞化の間、工程(iii)〜工程(v)が繰り返されるにつれて、肝臓組織は灌流に対してより抵抗性が低くなり、灌流速度が増加する(例えば、1ml/分/組織グラム超)。これは、上記組織におけるフローせん断応力を増す。

0059

灌流速度を脱細胞試薬への2以上のサイクルの暴露に亘って最大値まで次第に増加した(補償相)後、この最大値で又はその付近で維持する(安定化相)ことが好ましい。幾つかの実施形態では、最初に上記組織を0.1ml/分/組織グラム〜1.99ml/分/組織グラム、例えば0.5ml/分/グラム〜1.5ml/分/グラムの流速で脱細胞試薬により灌流し、2ml/分/組織グラム〜20ml/分/組織グラム、例えば2ml/分/グラム〜8ml/分/グラムまで次第に増加してもよい。他の実施形態では、最初に上記組織を0.01ml/分/組織グラム〜0.99ml/分/組織グラム、例えば0.5ml/分/グラム〜1.5ml/分/グラムの流速で脱細胞化試薬によって灌流し、5日間〜10日間、好ましくは約9日間に亘って1ml/分/組織グラム〜10ml/分/組織グラム、例えば2ml/分/グラム〜8ml/分/グラムまで次第に増加してもよい。

0060

肝臓組織を、固形組織グラム当たり約0.004時間〜約5時間(40グラム超の組織試料に対して)、又は固形組織1グラム当たり約2時間〜約12時間(40グラム未満の組織試料に対して)に亘り各脱細胞化試薬によって灌流してもよい。

0061

例えば、本明細書に記載される脱細胞化は、肝臓組織の初期の質量に応じて、1日間〜60日間、例えば7日間〜60日間を要する場合がある。

0062

組織を異なる脱細胞化試薬によって灌流する順番は、脱細胞化のうちに少なくとも1回、少なくとも2回又は少なくとも3回各試薬によって灌流される肝臓組織によって変化してもよい。

0063

種々の洗浄剤への暴露の順番は、それらの異なる作用機構に基づく。機械的傷害(第1の工程)は、強い細胞破壊を促進する。低張性溶液への暴露(第2の工程)は、細胞形質成分を洗い流しながら、細胞溶解を増幅する。その後、該肝臓組織を、任意にタンパク質分解酵素に暴露して(第3の工程)ECMに付着した細胞形質成分を除去する。最後に、肝臓を異なる洗浄剤に暴露して(第4の工程)細胞形質成分を効果的に洗い流す。第4の工程を流速に応じて繰り返すことができる。

0064

工程(i)の機械的傷害は、ヒト組織内での強い細胞破壊を促進する。典型的には、脱細胞化の開始時に工程(i)を1回行うが、幾つかの実施形態では、HIFU又は超音波処理によって媒介される機械的傷害を脱細胞化の間に2回以上誘導してもよい。機械的傷害によって引き起こされる細胞溶解は、工程(ii)における浸透圧ストレスによって増幅される。浸透性溶液への暴露もまた、組織から細胞片を洗い流す。その後、該肝臓組織を工程(iii)において任意にDNase又は好ましくはタンパク質分解酵素に暴露してECMに付着する細胞形質成分を除去する。最後に、肝臓を工程(iv)において1又は複数の洗浄剤に暴露して組織から細胞形質成分を洗い流す。フローせん断応力を増しながら工程(iii)〜工程(iv)を1回又は複数回繰り返すことができる。

0065

幾つかの実施形態では、方法は、上記肝臓組織を通る灌流によって次の順序:(iii)、(iv)、(iii)、(iv)、(v)、[(iii)、(v)]n、(iii)、(iv)、[(iii)、(v)]n(ここで、nは1〜25である)で工程(iii)〜工程(v)を繰り返すことを含むことができる。好適な灌流による脱細胞化レジメンを表1に示す。また、任意には、上記方法において工程(ii)を1回又は複数回繰り返してもよい。

0066

脱細胞化試薬は、起源組織のサイズ及び構造と一致するECMスキャフォールドを作製するため全肝臓又はその機能的単位を通って灌流されてもよい。幾つかの実施形態では、例えば、ヒトへの直接移植に適し得る機能性肝組織を得るため、このスキャフォールドを後に細胞を用いて再増殖させてもよい。

0067

幾つかの実施形態では、上記肝臓組織は病的なものであってもよい。病的な肝臓組織の脱細胞化試薬による灌流は、例えば、3D疾患モデリングのため細胞により再増殖され得るECMスキャフォールドの作製において有用な可能性がある。

0068

他の好ましい実施形態では、脱細胞化試薬中にヒト肝臓組織を浸漬し、例えば回転撹拌機上で撹拌に供することによって、該組織を該試薬に暴露してもよい。

0069

肝疾患モデリング用に小規模で3Dヒト微小環境の複雑性を再現するスキャフォールドを作製するため、肝臓組織の切片又は試料を脱細胞化試薬中で撹拌してもよい。上記試料は、正常又は病的な肝臓組織であってもよい。好適な試料は、幅/長さ又は直径0.2cm〜2cm、又は0.2cm〜1.0cmの範囲であってもよい。例えば、上記試料は、本明細書において「肝臓組織キューブ」(LTC)と名付けられる、およそ5mmの幅の切片又はキューブであってもよい。

0070

撹拌レジメンによる脱細胞化のための肝臓組織試料は、標準的な技法に従って、組織ダイサー、針生検、パンチ生検を使用して、又はヒト肝臓実質組織の切片若しくはキューブの単純外科切開によって得られてもよい。

0071

脱細胞化試薬に浸漬された肝臓組織の撹拌は、フローせん断応力に肝臓組織を供してもよい。好適な撹拌は、例えば100rpm〜1000rpm、好ましくは約900rpmでの回転撹拌機又はマグネチックスターラーにおける回転揺動を含んでもよい。

0072

幾つかの実施形態では、撹拌された組織を、
(a)上記組織を浸透圧ストレス試薬、例えば低張性試薬又は高張性試薬に暴露することと、
(b)上記組織をプロテアーゼ及び/又はDNAaseに暴露することと、
(c)上記組織を洗浄剤に暴露することと、
の1又は複数のサイクル供することができ、(a)、(b)及び(c)は各サイクルにおいて任意の順序で行ってもよい。

0073

例えば、上記組織を、
(a)低張性試薬に上記組織を暴露することと、
(b)洗浄剤に上記組織を暴露することと、
(c)DNAaseに上記組織を暴露することと、
の1又は複数のサイクルに供してもよい。

0074

例えば、1サイクル〜25サイクルを行ってもよい。

0075

上記組織を、水等の低張性試薬に12時間〜36時間、好ましくは約24時間暴露してもよい。上記組織を4℃で低張性試薬に暴露してもよい。

0076

上記組織を、SdC等の洗浄剤、例えば4%SdCに4時間〜12時間、好ましくは約6時間、暴露してもよい。上記組織を周囲温度で洗浄剤に暴露してもよい。

0077

上記組織をDNAseに約3時間暴露してもよい。上記組織を周囲温度でDNAseに暴露してもよい。例えば、上記組織を1M NaCl中2000KU DNAse1に暴露してもよい。

0078

方法は、上に述べられる脱細胞化試薬のいずれかに暴露した後、洗浄溶液に上記組織を暴露することを更に含んでもよい。上記組織を、1若しくは複数の上記工程の間、及び/又はサイクルの間、例えば工程(a)と工程(b)との間、工程(b)と工程(c)との間、及び/又は工程(c)の後、並びに任意のサイクル反復の前に洗浄してもよい。例えば、周囲温度で5分間〜30分間、好ましくは約5分間、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)又は抗生物質抗真菌剤補足されたPBSで上記組織を洗浄してもよい。好適な抗生物質−抗真菌剤は当該技術分野でよく知られている。

0079

他の実施形態では、上記組織を、
(a)水等の低張性試薬に上記組織を暴露することと、
(b)好ましくはdH2O(脱イオン水)中のトリプシン等のプロテアーゼに上記組織を暴露することと、
(c)第1の洗浄剤、例えばSDS等のアニオン性洗浄剤に上記組織を暴露することと、(d)第2の洗浄剤、例えばTriton(商標)X−100等のイオン性洗浄剤に上記組織を暴露することと、
の1又は複数のサイクルに供してもよい。

0080

上記組織を周囲温度で15分間〜30分間、水等の低張性試薬に暴露してもよい。

0081

上記組織を、周囲温度で12時間〜36時間、dH2O(脱イオン水)中のプロテアーゼ、例えば0.025%トリプシン又はEDTAに暴露してもよい。

0082

上記組織を、周囲温度で12時間〜96時間、第1の洗浄剤、例えば0.01%〜1%SDSに暴露してもよい。

0083

上記組織を、周囲温度で12時間〜72時間、第2の洗浄剤、例えば0.01%〜3%Triton(商標) X−100に暴露してもよい。

0084

1又は複数の上の工程の間及び/又はサイクルの間に上記組織を洗浄してもよい。1又は複数の上の工程の間、及び/又はサイクルの間、例えば工程(a)と工程(b)との間、工程(b)と工程(c)との間、工程(c)と工程(d)との間、及び/又は工程(d)の後、並びに任意のサイクル反復の前に上記組織を洗浄してもよい。例えば、周囲温度で5分間〜3時間、例えば30分間〜1時間、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)又は抗生物質−抗真菌剤で補足されたPBSで上記組織を洗浄してもよい。

0085

例えば、方法は、撹拌した組織を、
(a)上記組織を脱イオン水に暴露することと、
(b)上記組織をPBS中で洗浄することと、
(c)上記組織をSdCに暴露することと、
(d)上記組織をPBS中で洗浄することと、
(e)上記組織をDNAaseに暴露することと、
(f)上記組織をPBS中で洗浄することと、
の1又は複数のサイクルに供することを含んでもよい。

0086

工程(a)〜工程(f)を、4回〜8回、好ましくは約4回繰り返してもよい。

0087

好適な撹拌は、600rpm〜1200rpm、例えば約900rpmでのオービタルシェーカー、又は150rpm〜600rpm、例えば300rpm〜400rpmでのマグネチックスターラーによって提供され得る。

0088

幾つかの実施形態では、代替的には工程(a)の前に4時間〜12時間、例えば8時間、上記組織を水及びデキストロース溶液に暴露してもよい。

0089

他の実施形態では、上に記載される方法は、
(f)9%生理食塩水等の高張性剤に上記組織を暴露すること、
を更に含んでもよい。

0090

脱細胞化試薬への暴露の各サイクルの期間は、2日間〜3日間であってもよい。撹拌レジメンを使用するスキャフォールドの脱細胞化のための合計時間は、2.5日間〜25日間、例えば約8日間であってもよい。

0091

脱細胞化に続き、例えば殺菌剤に暴露することにより上記スキャフォールドを滅菌してもよい。好適な殺菌剤として、γ線照射電解水、及び過酢酸等の化学薬剤が挙げられる。上記スキャフォールドを、例えば30分間〜2時間、0.01%過酢酸及び4%エタノールに暴露してもよい。

0092

上記スキャフォールドを、本明細書に記載されるように殺菌剤で灌流してもよく、又は殺菌剤に浸漬して撹拌に供してもよい。

0093

脱細胞化及び滅菌に続き、例えば、細胞の不在について、及び/又はコラーゲン、ラミニン、エラスチンプロテオグリカンヒアルロン酸フィブロネクチン成長因子、及び細胞外プロテアーゼ等のECM成分の存在について、上記肝臓スキャフォールドを試験してもよい。

0094

好適な技法として、巨視的な可視化顕微鏡、及び免疫組織化学の技法が挙げられ、当該技術分野でよく知られている。

0095

脱細胞化されたヒト肝臓スキャフォールドは、標準的な組織学的染色の手法を使用して組織学的切片中に検出可能な筋フィラメント内皮細胞平滑筋細胞、並びに細胞片及び核を欠く場合がある。

0096

本明細書に記載されるように製造された脱細胞化されたヒト肝臓スキャフォールドは、3Dの臓器形態及び構造、並びに起源肝臓組織のECM生物活性を保存する。

0097

幾つかの実施形態では、上に記載される方法によって製造された脱細胞化肝臓スキャフォールドの構造及び形態は電子顕微鏡検査によって確認することができる。

0098

起源組織に応じて、肝臓スキャフォールドは正常ECMを含んでもよく、又は疾患により修飾されたECMであってもよい。例えば、肝臓スキャフォールドは、肝疾患又は病態の特徴である1又は複数の構造変化を含んでもよい。

0099

ヒト肝細胞スキャフォールドは、該スキャフォールド中で培養される細胞の効果的な付着、遊走、増殖及び三次元組織化を可能とする。また、脱細胞化されたヒト肝臓スキャフォールドは、細胞表現型及び機能特性を維持する生物活性分子及び生体誘導(bioinductive)特性を提供し、組織特異的マトリクスの産生を促進し得る。

0100

本明細書に記載される脱細胞化されたヒト肝細胞スキャフォールドの製造の後、方法は、人工肝臓組織を製造するため細胞によって該スキャフォールドを再増殖することを含んでもよい。

0101

好適な細胞として、ヒト初代及び細胞株の肝臓細胞(例えば肝星細胞Kupffer細胞、肝臓シヌソイド細胞)、初代肝細胞、内皮細胞、iPSC又は患者特異的iPSC由来細胞胚性幹細胞(hESC)、間葉系幹細胞(hMSC)、肝細胞由来間葉系幹細胞(HDMSC)、胎生幹細胞(例えば、羊水幹細胞及び胎児肝臓細胞)、癌細胞及び内皮前駆細胞(EPC)が挙げられる。

0102

幾つかの実施形態では、例えば、患者への移植用の人工肝臓組織を製造するため、脱細胞化されたヒト肝臓スキャフォールドを患者から得られた自己ヒト細胞によって再増殖させてもよい。他の実施形態では、例えば、患者への移植用の人工肝臓組織を製造するため、脱細胞化されたヒト肝臓スキャフォールドを同種ヒト細胞、すなわち異なるヒト個体に由来する細胞によって再増殖させてもよい。幾つかの実施形態では、移植前に患者との免疫適合性について同種のヒト細胞をスクリーニングしてもよい。

0103

脱細胞化スキャフォールドは、該スキャフォールドへの細胞によるスキャフォールドの播種及び好適な条件下での培養によって再増殖されてもよい。例えば、該細胞は、脱細胞
化されたスキャフォールドの実質組織へと直接注入されてもよく、主要な血管アクセスによって灌流されてもよく、及び/又は脱細胞化されたスキャフォールドの表面に滴下されてもよい。

0104

本発明の他の態様は、非ヒト肝臓スキャフォールドを製造するため、上に記載される方法に必要な変更を加えて使用することで、非ヒト霊長類、ブタ、ヒツジ、ウマ、又はウシ等の非ヒト動物に由来する肝臓組織の脱細胞化を提供する。上に記載されるヒト細胞を用いて非ヒトスキャフォールドを再増殖させ、非ヒトスキャフォールド内にヒト細胞を含む人工肝臓組織を作製することができる。これは、患者への移植用の人工肝臓組織の製造に有用な可能性がある。

0105

幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるように製造された脱細胞化されたヒト肝臓スキャフォールド又は人工肝臓組織は、導管及び血管等の1又は複数の肝臓組織構造を除去するため解剖されてもよい。脱細胞化されたヒト肝臓スキャフォールドから除去された構造を、上に記載される細胞を用いて再増殖させてもよい。肝臓スキャフォールド又は組織から除去された構造は、例えば、以下に記載される疾患の治療のための移植又は疾患モデリングに有用な可能性がある。

0106

本発明の他の態様は、上に記載される方法によって製造されたヒト肝臓スキャフォールド又は人工肝臓組織を提供する。

0107

本明細書に記載されるように製造されたヒト肝臓スキャフォールドは無細胞性であり、起源肝臓組織の細胞外マトリクス孔構造及び形態を呈する。脂肪質の起源肝臓組織から製造されたヒト肝臓スキャフォールドは、起源組織に特徴的な増加した脂質含有量を呈する。線維性の起源肝臓組織から製造されたヒト肝臓スキャフォールドは、起源組織に特徴的なECM成分の増加を呈する。

0108

上記スキャフォールド又は組織は、疾患モデリングに有用な可能性がある。好適なスキャフォールドは、上に記載される正常な肝臓組織又は病的な肝臓組織に由来し得る。

0109

疾患モデリングの方法は、
上記のように製造されたヒト肝臓スキャフォールド又は人工ヒト肝臓組織を準備することと、
上記スキャフォールド若しくは上記組織、又はその中の細胞に対する化合物、薬物、生物学的製剤、装置又は治療的介入の効果を特定することと、
を含むことができる。

0110

本明細書に記載される方法は、肝線維症、肝臓癌及び転移、肝臓薬物毒性、移植後免疫応答、並びに自己免疫性肝炎等の肝疾患又は肝臓を冒す疾患のモデリングにおいて有用な可能性がある。

0111

生物学的製剤として、HBV及びHCV等のウイルスが挙げられ得る。

0112

脱細胞化された肝臓スキャフォールドは肝疾患の診断に有用な可能性がある。好適なスキャフォールドは、肝疾患を有することが疑われる個体からの肝臓組織に由来してもよい。

0113

ヒト個体において肝疾患を診断する方法は、
上記のように製造された上記個体に由来する肝臓スキャフォールドの試料を提供することと、
上記試料中の1又は複数の肝臓スキャフォールドタンパク質の存在及びその量を特定することと、
を含むことができる。

0114

試料中の肝臓スキャフォールドタンパク質の存在及び量は、個体における肝疾患の存在の指標となり得る。

0115

上記スキャフォールド又は組織は、例えば、個体における肝臓組織の置換又は補足に対する治療法において有用な可能性がある。

0116

肝疾患の治療方法は、
上記のように製造されたヒト肝臓スキャフォールド又は人工ヒト肝臓組織を、それを必要とする個体に移植することを含むことができる。

0117

移植されたスキャフォールド又は組織は、その個体に既存の肝臓と置き換えられてもよく、又はそれを補足してもよい。

0118

本発明の別の態様は、個体における肝疾患又は肝機能障害の治療における使用に対する、上記のように製造されたヒト肝臓スキャフォールド又は人工ヒト肝臓組織を提供する。

0119

例えば、ヒト肝臓スキャフォールド又は人工ヒト肝臓組織を個体に移植して、完全に新しい肝臓を再生する若しくは傷害された肝臓の修復を改善してもよく、又は体外から個体の肝機能を支持してもよい。

0120

本発明の他の態様は、上に記載される方法に必要な変更を加えて使用することで、ヒト膵臓スキャフォールドを製造するためのヒト膵臓組織の脱細胞化を提供する。ヒト膵臓スキャフォールドは、ヒトECMスキャフォールド内にヒト細胞を含む人工膵臓組織を製造するための上に記載されるヒト細胞による再増殖であってもよい。これは、患者への移植用人工膵臓組織の製造に有用な可能性がある。

0121

例えば、本発明の別の態様は、ヒト膵臓スキャフォールドを製造する方法であって、
(i)ヒト膵臓組織を準備することと、
(ii)上記組織中の細胞を機械的に傷害することと、
(iii)上記組織中の細胞を浸透圧ストレスに供することと、
(iv)上記組織をプロテアーゼ及び/又はDNAaseに暴露することと、
(v)上記組織を洗浄剤に暴露することと、
(vi)工程(iii)、工程(iv)、及び工程(v)、並びに任意に工程(ii)の各々を1回又は複数回繰り返すことと、
を含み、それによってヒト膵臓スキャフォールドを製造する、方法を提供する。

0122

ヒト膵臓スキャフォールドは、「肝臓(liver)」及び「肝臓の(hepatic)」の用語を「膵臓」及び「膵臓の」に置き換える以外は、肝臓スキャフォールドに関して上に記載される方法のいずれかに従って製造され得る。

0123

上に記載される方法によって製造された脱細胞化ヒト膵臓スキャフォールドを、細胞によって再増殖し、人工膵臓組織を生じてもよい。

0124

本発明の態様は、本明細書に記載される方法によって製造された脱細胞化されたヒト膵臓スキャフォールド及び人工膵臓組織を提供する。

0125

ヒト膵臓スキャフォールド及び人工膵臓組織は、肝臓のスキャフォールド及び組織について上に記載される疾患モデリング、診断及び治療方法に必要な変更を加えて使用され得る。

0126

本発明の別の態様は、
上記のように製造されたヒト肝臓スキャフォールドと、
上記スキャフォールドへの培養培地の導入のための入力導管と、
上記スキャフォールドからの培養培地の排出のための出力導管と、
を備える、バイオリアクターを提供する。

0127

肝臓スキャフォールドは、該スキャフォールドの再増殖のためヒト細胞により播種されることが好ましい。これは、人工肝臓組織の製造において有用な場合がある。

0128

スキャフォールドの播種に適した細胞は上に記載される。

0129

バイオリアクターは、培養培地貯蔵器を更に備えてもよい。入力導管は、バイオリアクター内のスキャフォールドが貯蔵器からの培養培地によって灌流されてスキャフォールドへと播種された細胞によってスキャフォールドの再細胞化を可能とするように、貯蔵器に接続可能であってもよく、又は貯蔵器への接続に対して適合されてもよい。

0130

バイオリアクターは、肝臓スキャフォールドを順応させるための組織チャンバーを更に備えてもよい。

0131

上記スキャフォールドは、バイオリアクター内の好適な培養培地中に含まれる。

0132

組織チャンバー内の肝臓スキャフォールド及び貯蔵器内の培養培地は、再増殖を可能とするため正常酸素圧条件下、37℃で維持されてもよい。

0133

バイオリアクターは、播種された細胞によって再増殖されるに従い、上記スキャフォールドにおける肝臓機能の存在又は量を特定又はモニタリングするための1又は複数のセンサを更に備えてもよい。

0134

本発明の別の態様は、
上記のように製造された人工ヒト肝臓組織と、
上記人工ヒト肝臓組織への血液の導入のための入力導管と、
上記人工ヒト肝臓組織からの血液の排出のための出力導管と、
を備える、バイオリアクターを提供する。

0135

バイオリアクターは、体外にあることが好ましい。

0136

入力導管及び出力導管は、バイオリアクター内の人工ヒト肝臓組織を個体の血液で灌流して個体に肝臓機能を提供するように、例えば、内因性の肝臓機能の喪失によって引き起こされる毒物の蓄積を減少するように、個体の血管系に接続可能であるか、又は個体の血管系への接続に対して適合されてもよい。

0137

バイオリアクターは、人工ヒト肝臓組織を適合させるための組織チャンバーを更に備えてもよい。

0138

人工ヒト肝臓組織は、バイオリアクター内の好適な培養培地中に含まれてもよい。

0139

本発明の別の態様は、上の記載される方法を使用してヒト肝臓スキャフォールドを製造するために適合された脱細胞化システム及び器具を提供する。

0140

脱細胞化システムは、
脱細胞化に対してヒト肝臓組織を順応させるための組織チャンバーと、
上記組織チャンバーへの導入に対して脱細胞化試薬を適合させるための3以上の試薬貯蔵器と、
を備える脱細胞化装置を備えてもよい。

0141

上記試薬貯蔵器は、該貯蔵器からの試薬を上記チャンバーへと導入することができるように組織チャンバーに制御可能に連結されてもよい。

0142

上記試薬貯蔵器は、低張性試薬、プロテアーゼ及び/又はDNAase、並びに洗浄剤を含んでもよい。

0143

組織チャンバーは肝臓組織を含んでもよい。

0144

幾つかの実施形態では、上記システムは、ヒト肝臓試料から肝臓組織切片を作製して脱細胞化機器(decellulariser)の組織チャンバーへと切片を載せるように適合されたサンプラーを更に備えてもよい。

0145

脱細胞化装置は、試薬貯蔵器から組織チャンバーへと脱細胞化試薬を移動するため、また任意に組織チャンバーから脱細胞化試薬を除去するための1又は複数のポンプを更に備えてもよい。

0146

上記チャンバーは、脱細胞化試薬の導入のための注入口及び試薬の除去のための排出口を備えてもよい。

0147

幾つかの実施形態では、組織チャンバー内のヒト肝臓組織は、注入口を通って貯蔵器からチャンバーへと導入された脱細胞化試薬又は生理学的溶液に浸漬されてもよい。脱細胞化試薬への暴露の後、本明細書に記載される脱細胞化レジメンに従って、排出口を通して該試薬を除去し、更なる脱細胞化試薬を該チャンバーに導入してもよい。上記システムは、組織チャンバーにおいて脱細胞化試薬中に浸漬されたヒト肝臓組織を撹拌するための撹拌機を更に備えてもよい。

0148

他の実施形態では、組織チャンバー内のヒト肝臓組織を試薬貯蔵器からの脱細胞試薬を用いて逆行性に灌流してもよい。本明細書に記載される脱細胞化レジメンに従って、複数の脱細胞化試薬を連続して該組織に通して灌流してもよい。灌流の間、生理学的溶液又は培養培地中に肝臓組織を浸漬してもよい。

0149

脱細胞化装置は、逆行性の灌流を可能とするため、組織チャンバーにおいて肝臓組織にカニューレ挿入するための少なくとも1つのカニューレ挿入装置を備えてもよい。好適なカニューレ挿入装置は、ヒト肝臓組織の血管、導管及び/又は腔への導入のための適切なサイズの中空配管を備えてもよい。典型的には、組織チャンバー内の組織において1又は複数の血管、導管及び/又は腔にカニューレ挿入を行う。幾つかの実施形態では、上記装置は、肝臓組織への脱細胞化試薬の導入のための注入口カニューレ挿入装置と、肝臓組織からの脱細胞化試薬の排出用の排出口カニューレ挿入装置を備えてもよい。

0150

脱細胞化装置は、カニューレ(複数の場合がある)によって肝臓組織を灌流するための灌流器具を更に備えてもよい。灌流器具は、1又は複数のカニューレを介してヒト肝臓組
織を通る貯蔵器からの脱細胞化試薬の移動のための機構(例えば、ポンプ、気圧重力)、また同様に試薬貯蔵器からの脱細胞化試薬による組織チャンバー内のカニューレ挿入された肝臓組織の灌流のための管、アダプタ及び/又はコネクタを備えることができる。

0151

カニューレ挿入及び灌流は、当該技術分野でよく知られている技法である。

0152

上記脱細胞化装置は、組織チャンバー内の肝臓組織に対して無菌環境を維持するように適合されてもよい。気流の制御及び濾過及び/又は望ましくない微生物成長を予防するため例えば抗生物質、抗真菌剤若しくは他の抗菌剤を用いる灌流等、当該技術分野で知られている様々な技法を使用して脱細胞化の間、無菌状態を維持してもよい。好適な抗菌化合物は当該技術分野でよく知られている。

0153

脱細胞化装置は、或る特定の灌流特性(例えば、圧力、容量、フローパターン、温度、気体、pH)、機械力(例えば、心室壁運動及び応力)をモニターするように適合されてもよい。例えば、上記システムは、該システム(例えばバイオリアクター)及び/又は肝臓組織をモニターするセンサを備えてもよい。センサは、カニューレ挿入された肝臓組織を通り抜ける液体の圧力、上記システムの周囲温度及び/又は肝臓組織の温度、カニューレ挿入された肝臓組織を通り抜ける液体のpH及び/又は流速、及び/又は再細胞化している肝臓組織の生物活性をモニターするため使用されてもよい。かかる特徴をモニターするためのセンサを有することに加え、肝臓組織の脱細胞化及び/又は再細胞化に対するシステムは、かかる特徴を維持又は調整するためのコントロールを備えてもよい。

0154

コントロールとして、温度計サーモスタット電極圧力センサ溢出弁、脱細胞化試薬への流体接続開閉、及び流体の速度及び方向の変更に対する弁等の構成要素が挙げられ得る。

0155

安定な条件(例えば温度)を確実にすることを補助するため、チャンバー、貯蔵器、及び配管は、ウォータージャケット化(water-jacketed)されてもよい。

0156

ヒト肝臓スキャフォールドを作製するためのシステムは、プログラム可能プロセッサーによって制御されてもよい。例えば、該プロセッサーは1又は複数のセンサからの情報を受け取り、処理してもよい。該プロセッサーは、バイオリアクター及び/又は肝臓組織へと情報及び指示を送り返してもよい。

0157

肝臓組織の重量及び内部抵抗に基づいて、その特定の肝臓組織に対し、本明細書に記載される脱細胞化方法に従う各脱細胞化試薬に対する暴露時間及び灌流圧力を計算するため、上記プロセッサーを適合してもよく、又はプログラムしてもよい。プロセッサーは、脱細胞試薬を変更して、上記システムの1若しくは複数のポンプ及び/又はバルブ制御によって還流圧力を変化してもよい。プロセッサーは、各脱細胞化工程及び流速に対して前負荷及び後負荷(それぞれ灌流の前及び後の圧力)を記録してもよい。

0158

上記システムを、生物活性について脱細胞化を経る肝臓組織をモニターするため適合してもよい。例えば、肝臓組織の機械的活性機械的圧力及び/又は壁応力をモニターしてもよい。

0159

本発明の様々な更なる態様及び実施形態が、本開示を考慮して当業者に明らかとなる。

0160

本発明の他の態様及び実施形態は、「からなる(consisting of)」の用語によって置
き換えられる「含む、含んでいる(comprising)」の用語を有する上に記載される態様及び実施形態、並びに「本質的にからなる(consisting essentially of)」の用語によっ
て置き換えられる「含む、含んでいる(comprising)」の用語を有する上に記載される態様及び実施形態を提供する。

0161

本出願は、別段の指示がない限り、あらゆる上の態様及び上に記載される実施形態の互いとの全ての組み合わせを開示することが理解される。同様に、本出願は、別段の指示がない限り、好ましい及び/又は任意の特徴の単独の又はあらゆる他の態様とのいずれかの全ての組み合わせを開示する。

0162

上の実施形態の修飾、更なる実施形態及びそれらの修飾は、本開示を読むことによって当業者に明らかとなり、それら自体が本発明の範囲に含まれる。

0163

本明細書で言及される全ての文書及び配列データベースエントリは、全ての目的に対してそれらの全体が引用することにより本明細書の一部をなす。

0164

本明細書で使用される場合、「及び/又は」は、2つの明示される特徴又は成分の各々の他方を含む又は他方を含まない具体的な開示として理解される。例えば、「A及び/又はB」は、(i)A、(ii)B、並びに(iii)A及びBの各々の具体的な開示として、それぞれが本明細書において個別に述べられているかのように理解される。

0165

ここで、本発明の特定の態様及び実施形態を例として、また以下に記載される図面を参照して解説する。

図面の簡単な説明

0166

14日間の脱細胞化プロセスに亘る異なる相の灌流に関連する流速(ml/分の単位)を示す図である。
脱細胞化前の125mm3の肝臓組織キューブ(LTC:Liver Tissue Cube)を示す図である。
生得組織と4回の脱細胞化サイクル後の脱細胞化LTC(dLTC)の組織学的比較を示す図である。H&E(ヘマトキシリン及びエオシン)染色は、LTC脱細胞化後の細胞の除去を示し、SR(シリウスレッド)染色はコラーゲン(赤色)の保存及び細胞形質成分(黄色)の除去を示した。
脱細胞化後のコラーゲン(上)及びDNA(下)の定量的測定を示す図である。種々の撹拌速度(900C1〜900C4)の後のコラーゲンの定量は、新鮮な組織と比較した場合の保存されたコラーゲン量を示す。脱細胞化は、1回の処理サイクルの後、既にDNA含有量における有意な減少(p<0.01)に効率的であった(下)。
ヒト肝星細胞株LX2によるヒト肝臓スキャフォールドの再増殖を示す図である。(上部パネル)H&E染色は、再細胞化(recellularisation)後1日と21日とを比較した場合のLTCスキャフォールドへの漸進的なLX2細胞遊走を実証する。(下部パネル)再増殖のプロセスは、増殖マーカーKi67に対する免疫染色によって検出される顕著な細胞増殖を特徴とする。
LX2による再増殖後14日の総細胞数の増加を示す図である。重要なことに、ヒト肝臓スキャフォールドにおける総細胞数は、14日〜21日の間に有意に増加した(LHパネル)。KI67免疫組織化学は、85%超の細胞が全ての異なる時間点において増殖していたことを示す(RHパネル)。
ヒト肝細胞癌細胞株SK−Hepによる脱細胞化されたヒト肝臓スキャフォールドの再増殖を示す図である。H&E染色及びHVG(ヘマトキシリン−ワンギーソン)染色は、生体工学処理(bioengineering)後1日における細胞付着、及び再細胞化後1日と14日とを比較した場合のヒト肝臓スキャフォールドへの漸進的な細胞遊走を実証する。
抗ヒトNanog(右)及びアイソタイプ対照(左)によSK−HepのFACS染色を示す図である。
1日後及び7日後のヒト肝細胞癌細胞株SK−Hepによる脱細胞化されたヒト肝臓スキャフォールドの再増殖を示す図である。Nanog発現を免疫組織化学によって分析した。1日目にECMに付着した細胞及び7日目にスキャフォールドで遊走する細胞はNanog陽性細胞であることが明らかである。
14日後のヒト肝細胞癌細胞株SK−Hepによる脱細胞化されたヒト肝臓スキャフォールドの再増殖を示す図である。Nanog発現を免疫組織化学(色)により分析し、細胞をヘマトキシリン(青色)で対比染色した。14日後の再増殖のプロセスは、Nanog陽性及びNanog陰性の細胞の両方を特徴とする(下)。この段階で、ヒト肝細胞癌の発症に似た特徴と共に、Nanog陽性細胞が再増殖したスキャフォールドを囲む(上)ことは注目すべきことである。
血管樹の保存を強調するため2つの異なる背景光を使用する脱細胞化ヒト肝臓左葉肉眼見え外観を示す。
脱細胞化された血管(門脈、肝動脈及び肝門板)及び胆樹の組織学的切片を示す図である。H&Eは、脱細胞化された組織における細胞の不在を示す。SR染色及びEVG染色はコラーゲン(赤色)及びエラスチン(青色)の保存をそれぞれ示す。
新鮮な肝臓組織と脱細胞化された肝臓組織の左葉区域(S1、S2、S3及びS4)の組織学的比較を示す図である。H&E染色は脱細胞化後の細胞の除去を示し、SR染色及びEVG(エラスチカ−ワンギーソン)染色はコラーゲン(赤色)及びエラスチン(青色)の保存をそれぞれ示す。
ヒト肝星細胞株LX2によるヒト肝臓スキャフォールドの再増殖を示す図である。H&E染色及びHVG染色は、生体工学処理後1日の細胞の付着、及び再細胞化の後14日と1日とを比較した場合のヒト肝臓スキャフォールドへの漸進的な細胞遊走を実証する。
典型的な小葉性構造によって囲まれる門脈路を含む低倍率(90倍)のSEM画像を示す図である。
スキャフォールドの無細胞状態を確認し、一旦は肝細胞によって占拠された空間(すなわち、肝細胞不含空間)を明確に規定する300倍のSEM画像を示す図である。
肝細胞不含空間を組織する結合組織線維の非常に保存された三次元網目構造を実証する、高倍率(2500倍)SEM画像を示す図である。

実施例

0167

略語:SdCデオキシコール酸ナトリウム;PBS/AA PBS+抗生物質性抗真菌薬;T/E 0.025%トリプシン/EDTA0.025%;SDSドデシル硫酸ナトリウム;TX100 Triton X 100;RT室温;PAA過酢酸;EtOHエタノール。

0168

1.方法
1.1ヒト肝臓の採取及びカニューレ挿入
肝臓移植に適していない廃棄されたヒト肝臓臓器(DHLO)を移植に対する標準的な手順に従ってヘパリン化した。0.2cm〜1.0cmの小さい血管柄のない肝臓単位(肝臓組織キューブ、LTC)の複数ブロック細区画によって、及び/又は血管−胆管柄が与えられた単位の区域若しくは亜区域の作製により、DHLOを適切に作製した。全ヒト肝臓又は代替的には左葉(区域2−区域3−区域4±区域1)、右葉(区域5〜区域8)、又は左外側の肝臓(区域2−区域3±区域1)、また同様に肝臓組織キューブ(LTC)を−80℃で少なくとも24時間凍結して細胞溶解を促進した。

0169

1.2 全ヒト肝臓左葉の灌流による脱細胞化
最初に、全ヒト肝葉を4℃にてPBS中で一晩解凍した。次に、大静脈又は肝静脈にカ
ニューレ挿入を行い、逆行性灌流系を開始した。

0170

最後に、表1、表2及び図1に示されるように5CDFを適用して臓器全体の脱細胞化を達成した。2相の灌流は、a)抵抗を補償するための急激に上昇する流速、b)脱細胞化の進行に伴った流速の安定化を採用した。2相の流速を図1に示す。

0171

1.3 ヒトLTCの撹拌による脱細胞化
LTCを37℃で1時間〜1.5時間解凍した。LTCの脱細胞化に関するプロトコルを表3〜表5に示す。

0172

2.結果
生得の肝臓組織及び脱細胞化されたLTC(dLTC)を4サイクルの脱細胞化の後に組織学的に比較した。脱細胞化サイクルは、LTCから細胞及び細胞形質成分を除去したのに対し、コラーゲンを保存することが分かった(図3)。

0173

脱細胞化後のdLTC中のコラーゲン及びDNAを定量した。dLTC中のコラーゲン量は、新鮮な組織(900C1〜900C4)と比較した場合に種々の撹拌速度で保存されたことが分かった(図4上)。脱細胞化は、わずか1サイクルの処理の後にDNA含有量の有意な減少(p<0.01)に有効であった(図4下)。

0174

脱細胞化されたヒトLTCをヒト肝星細胞株LX2により再増殖させた。LX2細胞は、再細胞化後21日に亘ってLTCスキャフォールドへと次第に遊走したことが分かった(図5上部パネル)。ヒト肝臓スキャフォールド中の総細胞数は、LX2による再増殖後14日に増加し、14日〜21日の間に顕著に増加したことが分かった(図6のLHパネル)。増殖マーカーであるKi67に対する免疫染色は、再増殖のプロセスが著しい細胞増殖を特徴とし(図5下部パネル)、全ての異なる時間点において85%超細胞が増殖していた(図6のRHパネル)ことを示した。

0175

脱細胞化されたヒト肝臓スキャフォールドをヒト肝細胞癌細胞株SK−Hepにより再増殖した。細胞付着が生体工学処理の1日後に観察され、SK−Hep細胞は再細胞化後14日においてヒト肝臓スキャフォールドへと次第に遊走した(図7)。1日目にECMに付着した細胞及び7日目にスキャフォールド内に遊走する細胞は、Nanog陽性細胞であることが示された(図8及び図9)。14日後の再増殖のプロセスは、Nanog陽性細胞及びNanog陰性細胞の両方を特徴としていた(図10)。注目すべきことに、14日後、Nanog陽性細胞は、ヒト肝細胞癌の発症に似た特徴を伴って再増殖されたスキャフォールドを囲むことが分かった(図10、上部パネル)。

0176

ヒト肝臓左葉の血管樹は、脱細胞化後に観察されるように保存されたことが分かった(図11)。細胞は脱細胞化された組織に存在しないが、コラーゲン及びエラスチンは保存されたことが分かった(図12)。

0177

新鮮な肝臓組織と脱細胞化されたヒト肝臓の左葉区域(S1、S2、S3及びS4)の比較は、脱細胞化の後の細胞の除去、並びにコラーゲン及びエラスチンの保存を確認した(図13)。

0178

脱細胞化されたヒト肝臓の左葉区域をヒト肝星細胞株LX2により再増殖した。LX1細胞は、1日後に脱細胞化されたスキャフォールドに付着し、14日に亘ってスキャフォールドへと次第に遊走することが分かった(図14)。

0179

脱細胞化されたヒト肝臓スキャフォールドを、走査型電子顕微鏡検査により分析した。
SEM画像は、スキャフォールドの無細胞性を確認し、肝細胞によって一旦占拠された明確に規定される空間(すなわち、肝細胞不含空間)の存在を示した。門脈路及び小葉構造と同様に、肝細胞不含空間を組織する結合組織線維の三次元網目構造が非常に保存されていることが分かった(図15図17)。

0180

0181

0182

0183

0184

0185

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ