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技術 熱可塑性樹脂組成物、及びその成形品

出願人 旭化成株式会社
発明者 野村一幸
出願日 2018年10月26日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-202095
公開日 2020年4月30日 (8ヶ月経過) 公開番号 2020-066717
状態 未査定
技術分野 高分子組成物
主要キーワード 臨界歪 キッチン部材 直接原因 環境応力破壊 有機薬品 タブゲート 浴室部材 アタック性
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課題

表面硬度耐衝撃性、及び透明性に優れ、かつ耐薬品性に優れている成形品が得られる熱可塑性樹脂組成物を提供する。

解決手段

ゴム質重合体と、芳香族ビニル単量体単位シアン化ビニル単量体単位を含むグラフト鎖を有するグラフト共重合体(A)と、 芳香族ビニル単量体単位と、シアン化ビニル単量体単位を含み、これらの合計量100質量%に対して、芳香族ビニル単量体単位を73〜85質量%、シアン化ビニル単量体単位15〜27質量%を含む共重合体(B)と、メタクリル酸メチル単量体単位を含む重合体(C)と、ハードセグメント芳香族ポリエステルであり、ソフトセグメント脂肪族ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルであるポリエステルエラストマー(D)と、を、含有する熱可塑性樹脂組成物であり、(A)が15〜45質量%であり、(C)が26〜55質量%であり、(D)が0.5〜20質量%である熱可塑性樹脂組成物。

概要

背景

HIPS、ABSなどのゴム強化スチレン系樹脂は、外観機械的特性、ならびに成形加工性に優れているため、従来から、車両部品電気製品などの種々の分野において利用されている。
このようなゴム強化スチレン系樹脂は一般的に不透明であるが、製品によってはPMMAポリカーボネート樹脂のように透明性が要求される場合がある。このような透明性の要求に対して、樹脂を構成する各構成成分の組成割合を調整することによりゴム強化スチレン系樹脂においても透明性を得ることができることが知られている(例えば、特許文献1参照)。

透明性を有するゴム強化スチレン系樹脂として、ポリスチレン、あるいはスチレン−(メタアクリル酸エステル共重合体から選ばれた1種以上の樹脂と、スチレン−ブタジエンブロック共重合体とのブレンド系の熱可塑性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、これらの樹脂に対して、ABS樹脂、AS樹脂、PMMA樹脂を混合して得られるブレンド系の熱可塑性樹脂組成物は、透明性、剛性耐衝撃性表面硬度の物性が優れていることが知られている(例えば、特許文献3、4参照)。

しかしながら、前記透明性を有する熱可塑性樹脂組成物は、薬液などが接触した場合、浸透、吸収によって、溶解や膨潤あるいはクラック破断などが起こるという問題を有している。
特に、攻撃試薬によるクラックや破断は材料としては大きな問題であり、環境応力破壊ESC;Environmental Stress Cracking)と呼ばれている。
この環境応力破壊は成形品内部に残留する成形時の歪みによって発生するため、樹脂成形品外力負荷されていない状態でも起こる可能性があり、成形品の用途に大きな制限を与えている。

近年、屋外での作業やレジャー中に、日に晒される皮膚を、日焼けや、癌、及び光老化から保護する目的で日焼け止め化粧品が使用されている。
当該日焼け止め化粧品は、樹脂材料への攻撃性アタック性)が高いため、日焼け止め化粧品が、成形品、例えば化粧品容器に接触すると割れが生じ、商品価値を損なうおそれがある。
このため、透明性に優れるとともに高い耐薬品性を有する樹脂材料が要求されている。

また、ABS樹脂、AS樹脂、PMMA樹脂を混合して得られるブレンド系樹脂組成物に、ポリエステルエラストマーをさらに配合することにより、酢酸有機薬品に対する優れた耐性発現できる熱可塑性樹脂組成物が開示されているが(例えば、特許文献5参照)、この熱可塑性樹脂組成物は、透明性が低いという問題点を有している。

概要

表面硬度、耐衝撃性、及び透明性に優れ、かつ耐薬品性に優れている成形品が得られる熱可塑性樹脂組成物を提供する。ゴム質重合体と、芳香族ビニル単量体単位シアン化ビニル単量体単位を含むグラフト鎖を有するグラフト共重合体(A)と、 芳香族ビニル単量体単位と、シアン化ビニル単量体単位を含み、これらの合計量100質量%に対して、芳香族ビニル単量体単位を73〜85質量%、シアン化ビニル単量体単位15〜27質量%を含む共重合体(B)と、メタクリル酸メチル単量体単位を含む重合体(C)と、ハードセグメント芳香族ポリエステルであり、ソフトセグメント脂肪族ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルであるポリエステルエラストマー(D)と、を、含有する熱可塑性樹脂組成物であり、(A)が15〜45質量%であり、(C)が26〜55質量%であり、(D)が0.5〜20質量%である熱可塑性樹脂組成物。なし

目的

本発明は、表面硬度、耐衝撃性、及び透明性に優れ、かつ日焼け止め化粧品などの種々の薬品に対する耐薬品性に優れた成形体が得られる熱可塑性樹脂組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ゴム質重合体と、芳香族ビニル単量体単位シアン化ビニル単量体単位を含むグラフト鎖と、を、有するグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル単量体単位と、シアン化ビニル単量体単位を含み、当該芳香族ビニル単量体単位とシアン化ビニル単量体単位の合計量100質量%に対して、芳香族ビニル単量体単位を73〜85質量%、シアン化ビニル単量体単位15〜27質量%を含む共重合体(B)と、メタクリル酸メチル単量体単位を含む重合体(C)と、ハードセグメント芳香族ポリエステルであり、ソフトセグメント脂肪族ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルであるポリエステルエラストマー(D)と、を、含有する熱可塑性樹脂組成物であって、当該熱可塑性樹脂組成物中における前記グラフト共重合体(A)の割合が15質量%以上45質量%以下であり、前記重合体(C)の割合が26質量%以上55質量%以下であり、前記ポリエステルエラストマー(D)の割合が0.5質量%以上20質量%以下である、熱可塑性樹脂組成物。

請求項2

前記熱可塑性樹脂組成物中の前記共重合体(B)の割合((B)質量%)と、前記熱可塑性樹脂組成物中の前記重合体(C)の割合((B)質量%)と、が、(B)質量%/((B)質量%+(C)質量%)=0.25〜0.60である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。

請求項3

前記ポリエステルエラストマー(D)のショア硬度Dが20〜80である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。

請求項4

請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物の成形品

技術分野

0001

本発明は、熱可塑性樹脂組成物、及びその成形品に関する。

背景技術

0002

HIPS、ABSなどのゴム強化スチレン系樹脂は、外観機械的特性、ならびに成形加工性に優れているため、従来から、車両部品電気製品などの種々の分野において利用されている。
このようなゴム強化スチレン系樹脂は一般的に不透明であるが、製品によってはPMMAポリカーボネート樹脂のように透明性が要求される場合がある。このような透明性の要求に対して、樹脂を構成する各構成成分の組成割合を調整することによりゴム強化スチレン系樹脂においても透明性を得ることができることが知られている(例えば、特許文献1参照)。

0003

透明性を有するゴム強化スチレン系樹脂として、ポリスチレン、あるいはスチレン−(メタアクリル酸エステル共重合体から選ばれた1種以上の樹脂と、スチレン−ブタジエンブロック共重合体とのブレンド系の熱可塑性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、これらの樹脂に対して、ABS樹脂、AS樹脂、PMMA樹脂を混合して得られるブレンド系の熱可塑性樹脂組成物は、透明性、剛性耐衝撃性表面硬度の物性が優れていることが知られている(例えば、特許文献3、4参照)。

0004

しかしながら、前記透明性を有する熱可塑性樹脂組成物は、薬液などが接触した場合、浸透、吸収によって、溶解や膨潤あるいはクラック破断などが起こるという問題を有している。
特に、攻撃試薬によるクラックや破断は材料としては大きな問題であり、環境応力破壊ESC;Environmental Stress Cracking)と呼ばれている。
この環境応力破壊は成形品内部に残留する成形時の歪みによって発生するため、樹脂成形品外力負荷されていない状態でも起こる可能性があり、成形品の用途に大きな制限を与えている。

0005

近年、屋外での作業やレジャー中に、日に晒される皮膚を、日焼けや、癌、及び光老化から保護する目的で日焼け止め化粧品が使用されている。
当該日焼け止め化粧品は、樹脂材料への攻撃性アタック性)が高いため、日焼け止め化粧品が、成形品、例えば化粧品容器に接触すると割れが生じ、商品価値を損なうおそれがある。
このため、透明性に優れるとともに高い耐薬品性を有する樹脂材料が要求されている。

0006

また、ABS樹脂、AS樹脂、PMMA樹脂を混合して得られるブレンド系樹脂組成物に、ポリエステルエラストマーをさらに配合することにより、酢酸有機薬品に対する優れた耐性発現できる熱可塑性樹脂組成物が開示されているが(例えば、特許文献5参照)、この熱可塑性樹脂組成物は、透明性が低いという問題点を有している。

先行技術

0007

特開平4−180907号公報
特開平8−12847号公報
特開2007−91809号公報
特開2007−91810号公報
特開平10−330581号公報

発明が解決しようとする課題

0008

上述したように、従来開示されている技術においては、優れた透明性を有するとともに、高い耐薬品性を有する成形品が得られる熱可塑性樹脂組成物が得られていない。

0009

そこで本発明は、表面硬度、耐衝撃性、及び透明性に優れ、かつ日焼け止め化粧品などの種々の薬品に対する耐薬品性に優れた成形体が得られる熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決するため鋭意研究した結果、ゴム質重合体と、芳香族ビニル単量体単位シアン化ビニル単量体単位を含むグラフト鎖とを有するグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル単量体単位とシアン化ビニル単量体単位とを、それぞれ所定量含む共重合体(B)と、メタクリル酸メチル単量体単位を含む重合体(C)と、所定のハードセグメントソフトセグメントを有するポリエステルエラストマー(D)とを、所定量含有する熱可塑性樹脂組成物により、上述した従来の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。

0011

〔1〕
ゴム質重合体と、芳香族ビニル単量体単位、シアン化ビニル単量体単位を含むグラフト鎖と、を、有するグラフト共重合体(A)と、
芳香族ビニル単量体単位と、シアン化ビニル単量体単位を含み、当該芳香族ビニル単量体単位とシアン化ビニル単量体単位の合計量100質量%に対して、芳香族ビニル単量体単位を73〜85質量%、シアン化ビニル単量体単位15〜27質量%を含む共重合体(B)と、
メタクリル酸メチル単量体単位を含む重合体(C)と、
ハードセグメントが芳香族ポリエステルであり、ソフトセグメントが脂肪族ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルであるポリエステルエラストマー(D)と、
を、含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
当該熱可塑性樹脂組成物中における前記グラフト共重合体(A)の割合が15質量%以上45質量%以下であり、前記重合体(C)の割合が26質量%以上55質量%以下であり、前記ポリエステルエラストマー(D)の割合が0.5質量%以上20質量%以下である、熱可塑性樹脂組成物。
〔2〕
前記熱可塑性樹脂組成物中の前記共重合体(B)の割合((B)質量%)と、
前記熱可塑性樹脂組成物中の前記重合体(C)の割合((B)質量%)と、
が、
(B)質量%/((B)質量%+(C)質量%)=0.25〜0.60である、
前記〔1〕に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔3〕
前記ポリエステルエラストマー(D)のショア硬度Dが20〜80である、
前記〔1〕又は〔2〕に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔4〕
前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の熱可塑性樹脂組成物の成形品。

発明の効果

0012

本発明によれば、表面硬度、耐衝撃性、及び透明性に優れ、かつ耐薬品性に優れている成形品が得られる熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。

0013

以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。

0014

〔熱可塑性樹脂組成物〕
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、
ゴム質重合体と、芳香族ビニル単量体単位、シアン化ビニル単量体単位を含むグラフト鎖と、を、有するグラフト共重合体(A)と、
芳香族ビニル単量体単位と、シアン化ビニル単量体単位を含み、当該芳香族ビニル単量体単位とシアン化ビニル単量体単位の合計量100質量%に対して、芳香族ビニル単量体単位を73〜85質量%、シアン化ビニル単量体単位15〜27質量%を含む共重合体(B)と、
メタクリル酸メチル単量体単位を含む重合体(C)と、
ハードセグメントが芳香族ポリエステルであり、ソフトセグメントが脂肪族ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルであるポリエステルエラストマー(D)と、
を、含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
当該熱可塑性樹脂組成物中における前記グラフト共重合体(A)の割合が15質量%以上45質量%以下であり、前記重合体(C)の割合が26質量%以上55質量%以下であり、前記ポリエステルエラストマー(D)の割合が0.5質量%以上20質量%以下である。
上述した構成を有する本実施形態の熱可塑性樹脂組成物によれば、優れた表面硬度、耐衝撃性を有し、かつ透明性に優れ、日焼け止め化粧品をはじめとする種々の薬品に対する耐薬品性に優れ、特に、薬品が付着して流されることなく乾燥していき、濃度が高くなった薬品が長時間付着した状態になるような、より過酷な使用環境にも広範囲に使用できる成形品が得られる。

0015

以下、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を構成するグラフト共重合体(A)、共重合体(B)、重合体(C)、及びポリエステルエラストマー(D)について説明する。

0016

(グラフト共重合体(A))
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)を含有し、当該グラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体と、芳香族ビニル単量体単位、シアン化ビニル単量体単位を含むグラフト鎖と、を有する。
当該グラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体に、少なくともシアン化ビニル単量体芳香族ビニル単量体とをグラフト共重合させた共重合体である。

0017

グラフト共重合体(A)を構成するゴム質重合体としては、特に限定されないが、例えば、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下のゴム質重合体が挙げられる。
ゴム質重合体としては、以下に限定されないが、例えば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合ゴムアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、ポリイソプレンポリクロロプレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合ゴム等の共役ジエン系ゴムポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴムエチレン−プロピレンゴムシリコンゴムシリコンアクリル複合ゴム、及びこれらの水素添加物等が挙げられる。
これらのゴム質重合体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

0018

これらの中でも、耐衝撃性の観点から、ゴム質重合体は、共役ジエン系ゴムであることが好ましく、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムであることがより好ましい。

0019

また、グラフト共重合体(A)に含まれるゴム質重合体は、耐衝撃性の観点から、粒子状の形態であることが好ましい。
ゴム質重合体が粒子状であるとき、当該粒子質量平均粒子径は、100nm以上500nm未満が好ましい。100nm以上であると、耐衝撃性の改良効果が大きくなり、500nm未満であれば、耐衝撃性に加えて光沢等の外観を保持する傾向にある。
ゴム質重合体の質量平均粒子径は、動的光散乱法等により求められる。

0020

ゴム質重合体にグラフト共重合させることが可能なシアン化ビニル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、及びエタクリニトリルが挙げられる。これらのシアン化ビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0021

ゴム質重合体にグラフト共重合させることが可能な芳香族ビニル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン及びp−t−ブチルスチレン、及びビニルナフタレンが挙げられる。これらの芳香族ビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0022

ゴム質重合体にグラフト共重合させる単量体としては、シアン化ビニル単量体及び芳香族ビニル単量体以外の、ゴム質重合体とグラフト共重合可能な単量体(以下、「他の単量体」という。)を用いてもよい。
当該他の単量体としては、以下に限定されないが、例えば、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等のN−置換マレイミド系単量体、及びグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体が挙げられる。
これらの他の単量体は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0023

グラフト共重合体(A)を構成するゴム質重合体の製造方法としては、特に限定されず、例えば、塊状重合法溶液重合法懸濁重合法、塊状懸濁重合法、及び乳化重合法が挙げられる。
これらの中でも、粒子状のゴム成分が得られ、その粒子径の制御が容易である観点から、乳化重合法、懸濁重合法、又は塊状懸濁重合法が好ましい。

0024

グラフト共重合体(A)を構成するゴム質重合体として、複数のTgを有する重合体を用いる場合は、異なる単量体組成のものを、多段階に分けて重合する、すなわち、各々異なる単量体組成で重合した、各々が異なるTgを有する複数種類の重合体を得、これらの混合物とすることにより、上記のようなゴム質重合体を製造することができる。
この場合、乳化重合法を用い、多段重合により製造することが好ましい。

0025

また、ゴム質重合体として、組成勾配を有する重合体を用いる場合、単量体組成を連続的に変化させて重合することにより、当該ゴム質重合体を製造することができる。例えば、乳化重合において、いわゆるパワーフィード法を用いることにより、上記のようなゴム質重合体を製造することができる。

0026

ゴム質重合体として、芳香族ビニル系単量体と、共役ジエン系単量体ブロック共重合体(例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体)を用いる場合、溶液中でリビングアニオン重合を行うことにより、上記のようなゴム質重合体を製造することができる。

0027

また、グラフト共重合体(A)を製造する方法、例えば、ゴム質重合体に単量体混合物グラフト重合させる方法としては、特に限定されず、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状懸濁重合法、乳化重合法が挙げられる。
なお、粒子状のゴム質重合体を製造した後、同一の反応器で連続的にグラフト重合を行ってもよく、ゴム質重合体粒子を一旦ラテックスとして単離した後、グラフト重合を行ってもよい。
また、グラフト重合においてラジカル開始剤を使用する場合、ラジカル開始剤としては、ペルオキソ二硫酸塩、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等を用いることができる。
これらの中でも、乳化重合法によりゴム質重合体を製造する場合には、熱によりラジカルを発生する熱分解型開始剤や、レドックス型の開始剤を用いることができる。乳化重合法では、例えば、別途乳化重合で得たゴム質重合体を使用し、さらにシアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物を乳化重合させる方法等を用いることができる。

0028

また、グラフト共重合体(A)の製造方法において、溶液重合法を使用する場合は、共役ジエン系単量体をリビングアニオン重合して無架橋のゴム質重合体を得た後、得られた無架橋のゴム質重合体と芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体とを溶かし合わせて重合を行うことにより、ゴム質重合体成分と高Tgの樹脂成分との複合体を析出させて、グラフト共重合体(A)を得る方法等を用いることができる。

0029

グラフト共重合体(A)中の、ゴム質重合体に対するグラフト共重合した単量体の割合(グラフト率)は、20〜150%が好ましく、25〜100%であることがより好ましく、30〜70%がさらに好ましい。
グラフト共重合体(A)のグラフト率は、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物から溶剤アセトン等)により溶剤可溶分を取り除き、溶剤不溶分としてグラフト共重合体(A)を取り出し、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)測定により、ゴム質重合体及びグラフト成分(すなわち、グラフト重合した単量体)の割合を測定し、これらの値からゴム質重合体の質量に対する、グラフト重合した単量体の質量の割合を算出することにより求めることができる。
グラフト率が20%以上であると、耐衝撃性の観点から好ましい。また、グラフト率が150%以下であると、流動性の観点から好ましい。
なお、グラフト率は重合条件重合開始剤連鎖移動剤の種類又は量等の調整によって制御できる。

0030

グラフト共重合体(A)において、グラフト共重合しているシアン化ビニル単量体単位と芳香族ビニル単量体単位の合計量100質量%に対する、シアン化ビニル単量体単位の割合は10〜30質量%であることが好ましく、12〜27質量%であることがより好ましく、15〜25質量%であることがさらに好ましい。
グラフト共重合しているシアン化ビニル単量体単位の割合が10質量%以上であると、透明性の観点から好ましい。また、シアン化ビニル単量体単位の割合が30質量%以下であると、耐衝撃性の観点から好ましい。

0031

グラフト共重合体(A)の好ましい態様としては、例えば、ポリブタジエンをゴム質重合体として用い、当該ポリブタジエンにシアン化ビニル単量体としてアクリロニトリルを、芳香族ビニル単量体としてスチレンをグラフト共重合させたグラフト共重合体が挙げられる。

0032

本実施形態の熱可塑性樹脂組成物100質量%に含まれるグラフト共重合体(A)の含有量は、耐衝撃性の観点から15質量%以上であり、好ましくは17質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上である。また、流動性の観点から45質量%以下であり、好ましくは42質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下である。

0033

((B)共重合体)
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、シアン化ビニル単量体単位と、芳香族ビニル単量体単位とを構成単位として含む共重合体(B)を含有する。

0034

共重合体(B)を構成するシアン化ビニル単量体単位に対応するシアン化ビニル単量体及び芳香族ビニル単量体単位に対応する芳香族ビニル単量体としては、グラフト共重合体(A)に含まれるシアン化ビニル単量体及び芳香族ビニル単量体の具体例として例示したものが挙げられる。

0035

共重合体(B)は、シアン化ビニル単量体及び芳香族ビニル単量体と共重合可能なその他の単量体に対応する単量体単位を含んでもよい。
その他の単量体としては、アクリル酸エステル単量体が挙げられる。
アクリル酸エステル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルメタクリレートシクロヘキシルメタクリレートメチルフェニルメタクリレートイソプロピルメタクリレート等のアルキルメタクリレートメチルアクリレートエチルアクリレートブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート等が挙げられる。
メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、ブチルアクリレート、メチルメタクリレートがより好ましく、さらに好ましくは、n−ブチルアクリレートである。

0036

また、その他の単量体としては、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等のN−置換マレイミド系単量体、及びグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。

0037

共重合体(B)を構成するシアン化ビニル単量体単位及び芳香族ビニル単量体単位の合計量(100質量%)に対する、シアン化ビニル単量体単位の割合は15質量%以上27質量%以下であり、17質量%以上25質量%未満であることが好ましく、18質量%以上22質量%未満であることがより好ましい。
シアン化ビニル単量体単位の割合が15質量%以上であると、耐衝撃性の観点から好ましい。また、シアン化ビニル単量体単位の割合が27質量%以下であると、透明性の観点から好ましい。
また、共重合体(B)を構成するシアン化ビニル単量体単位及び芳香族ビニル単量体単位の合計量(100質量%)に対する、芳香族ビニル単量体単位の割合は、73質量%以上85質量%以下であり、75質量%以上83質量%以下であることがより好ましく、78質量%以上82質量%以下であることがさらに好ましい。
芳香族ビニル単量体単位の割合が73質量%以上であると透明性の観点から好ましく、85質量%以下であると、耐衝撃性の観点から好ましい。

0038

((C)重合体)
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、メタクリル酸メチル単量体単位を含む重合体(C)を含有する。
重合体(C)は、メタクリル酸メチル単量体単独重合体であってもよく、当該メタクリル酸メチル単量体とその他の共重合可能な単量体とを含む共重合体であってもよい。
その他の共重合可能な単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル、α,β−不飽和カルボン酸芳香族ビニルシアン化ビニル、N−置換マレイミド類、無水マレイン酸等が挙げられる。
また、上述したゴム質重合体を含有していてもよい。
これらの中ではα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルが好ましい。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0039

α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチルアクリル酸エチルアクリル酸プロピルアクリル酸ブチルアクリル酸−2−エチルヘキシルアクリル酸ヒドロキシエチルアクリル酸グリシジルアクリル酸シクロヘキシルアクリル酸フェニルアクリル酸ベンジルメタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシエチルメタクリル酸グリシジルメタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸フェニルメタクリル酸ベンジル等が挙げられる。
これらの中では、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ブチルシクロヘキシルが好ましい。

0040

α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
芳香族ビニルとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、アルキル化スチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
シアン化ビニルとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられる。
N−置換マレイミド類としては、例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。

0041

重合体(C)中のメタクリル酸メチル単量体単位の質量割合(質量%)は、耐薬品性の観点から80〜100質量%であることが好ましい。より好ましくは90〜100質量%である。
重合体(C)は、透明性、及び耐薬品性の観点から、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物中、26質量%以上55質量%以下であり、27質量%以上45質量%以下であることが好ましく、30質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。

0042

本実施形態の熱可塑性樹脂組成物中の共重合体(B)の割合((B)質量%)と、熱可塑性樹脂組成物中の重合体(C)の割合((C)質量%)とが、(B)質量%/((B)質量%+(C)質量%)=0.25〜0.60の関係を有することが好ましく、0.30〜0.55であることがより好ましく、0.35〜0.50であることがさらに好ましい。
(B)質量%/((B)質量%+(C)質量%)が0.25以上であると、耐衝撃性の観点から好ましい。また、0.60以下であると、耐薬品性の観点から好ましい。

0043

((D)ポリエステルエラストマー)
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、ハードセグメントが芳香族ポリエステルであり、ソフトセグメントが脂肪族ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルであるポリエステルエラストマー(D)を含有する。

0044

芳香族ポリエステルとしては、例えば、ポリブチレンテレフタレートポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。これらの中ではポリブチレンテレフタレートが好ましい。
脂肪族ポリエーテルとしては、例えば、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールポリペンタメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等が挙げられ、これらの一種もしくは二種以上の混合物を用いることができる。また、これらの共重合体も用いることができる。
脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリカプロラクトン、ポリエナントラクトン、ポリカプリラクトンポリエチレンアジペートポリブチレンアジペート等のアジピン酸アルキレングリコールとのポリエステルポリエチレンサクシネート等のコハク酸とアルキレングリコールとのポリエステル;ポリブチレンセバセート等のセバシン酸とアルキレングリコールとのポリエステル;ポリシクロヘキサンジメチレンサクシネート等のジカルボン酸シクロヘキサンジメチレングリコールとのポリエステル等が挙げられ、これらの一種もしくは二種以上の混合物を用いることができる。また、これらの共重合体も用いることができる。
ポリエステルエラストマー(D)のソフトセグメントとしては脂肪族ポリエーテルが好ましい。

0045

ポリエステルエラストマー(D)中におけるハードセグメントとソフトセグメントの構成比は、ハードセグメントが20〜70質量%が好ましく、より好ましくは30〜60質量%、ソフトセグメントが30〜80質量%が好ましく、より好ましくは40〜70質量%の範囲である。
ハードセグメントは20質量%以上であると耐薬品性の観点から好ましく、70質量%以下であると衝撃性の観点から好ましい。

0046

ポリエステルエラストマー(D)のショア硬度Dは、20〜80が好ましく、より好ましくは30〜78、さらに好ましくは42〜75である。
ポリエステルエラストマー(D)のショア硬度Dが20以上であると耐薬品性の観点から好ましく、80以下であると耐衝撃性の観点から好ましい。
ポリエステルエラストマー(D)のショア硬度Dは、ハードセグメントとソフトセグメントの割合により上記範囲に制御することができ、90℃で3時間以上熱風乾燥したペレットを、射出成形機を用いて、所定のシリンダー温度金型温度成形条件で、120mm×75mm×2mm厚の角板を成形し、JIS K 7215に従って測定することができる。

0047

本実施形態の熱可塑性樹脂組成物中におけるポリエステルエラストマー(D)の割合は0.5質量%以上20質量%以下である。好ましくは2質量%以上15質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以上10質量%以下である。ポリエステルエラストマー(D)の質量割合が0.5質量%以上であると耐薬品性の観点から好ましく、20質量%以下であると耐熱性、耐衝撃性、及び相剥離の防止の観点から好ましい。

0048

ポリエステルエラストマー(D)は公知の重合方法により製造することができる。通常は芳香族ジカルボン酸と低分子量のポリアルキレングリコールエーテル及び低分子ジオール二段階溶融エステル交換することによって製造でき、その製法は連続又はバッチプロセスが用いられる。

0049

上記ポリエステルエラストマー(D)としては、以下に限定されないが、例えば、ジカルボン酸化合物ジヒドロキシ化合物との重縮合オキシカルボン酸化合物の重縮合ラクトン化合物開環重縮合、又はこれらの各成分の混合物の重縮合などによって得られるポリエステルが挙げられ、ホモポリエステルであってもよく、コポリエステルであってもよい。

0050

ポリエステルエラストマー(D)を構成するジカルボン酸化合物としては、以下に限定されないが、例えば、テレフタル酸イソフタル酸フタル酸ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウムなどの芳香族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキシル−4,4−ジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸ジフェニルエーテルジカルボン酸ジフェニルエタンジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸;及びこれらのジカルボン酸の混合物が挙げられ、これらのアルキルアルコキシ、又はハロゲン置換体も含まれる。
また、これらのジカルボン酸化合物は、エステル形成可能な誘導体、例えば、ジメチルエステルのような低級アルコールエステルの形で使用することも可能である。
本実施形態においては、これらのジカルボン酸化合物を単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、アジピン酸及びドデカンジカルボン酸が好ましい。

0051

ポリエステルエラストマーを構成するジヒドロキシ化合物としては、以下に限定されないが、例えば、エチレングリコールプロピレングリコールブタンジオールネオペンチルグリコールブテンジオールハイドロキノンレゾルシンジヒドロキシジフェニルエーテルシクロヘキサンジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、シクロヘキサンジオール、及び2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニルプロパンなどが挙げられ、これらのポリオキシアルキレングリコール及びこれらのアルキル、アルコキシ又はハロゲン置換体であってもよい。
これらのジヒドロキシ化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

0052

ポリエステルエラストマーを構成するオキシカルボン酸化合物としては、以下に限定されないが、例えば、オキシ安息香酸オキシナフトエ酸、及びジフニレオキシカルボン酸が挙げられ、これらのアルキル、アルコキシ及びハロゲン置換体であってもよい。
これらのオキシカルボン酸化合物は、1種を単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ポリエステルエラストマーの製造のために、ε−カプロラクトンなどのラクトン化合物を用いてもよい。

0053

添加剤
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、添加剤を配合して用いてもよい。
上記添加剤としては、以下に限定されないが、例えば、ホスファイト系、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、及びシアノアクリレート系の紫外線吸収剤並びに酸化防止剤高級脂肪酸、酸エステル系、及び酸アミド系、さらに高級アルコール等の滑剤及び可塑剤モンタン酸及びその塩、そのエステル、そのハーフエステルステアリルアルコール、ステラアマイド及びエチレンワックス等の離型剤亜リン酸塩次亜リン酸塩等の着色防止剤核剤アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系等の帯電防止剤;1,3−フェニレンビス(2,6−ジメチルフェニルホスファート)、テトラフェニル−m−フェニレンビスホスファート、フェノキシホスホリルフェノキシホスファゼン等のリン系難燃剤ハロゲン系難燃剤が挙げられる。

0054

上記滑剤としては、以下に限定されないが、例えば、脂肪酸金属塩ポリオレフィン類、及びポリアミドエラストマーが挙げられる。
これらの滑剤を配合する場合、その好ましい量は、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を100質量部としたとき、0.01質量部以上10質量部以下である。0.01質量部以上であれば、流動性や離型性の観点から好ましく、10質量部以下であれば、耐衝撃性や剛性等の機械物性の観点から好ましい。

0055

上記脂肪酸金属塩としては、以下に限定されないが、例えば、ナトリウム、マグネシウムカルシウムアルミニウム、及び亜鉛から選択される少なくとも1種が含まれた金属と脂肪酸の塩が挙げられる。
上記脂肪酸金属塩としては、以下に限定されないが、例えば、ステアリン酸ナトリウムステアリン酸マグネシウムステアリン酸カルシウムステアリン酸アルミニウムモノ、ジ、トリ)、ステアリン酸亜鉛モンタン酸ナトリウムモンタン酸カルシウムリシノール酸カルシウム、及びラウリン酸カルシウムが挙げられる。これらの中でも、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸系金属塩であるが好ましい。
上記ステアリン酸系の金属塩の中でも、成形時のシルバーストローク抑制の観点からステアリン酸カルシウムがより好ましい。

0056

上記ポリオレフィン類としては、以下に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレンα−オレフィンなどの少なくとも1種から生成されるポリマーが挙げられ、これらは当該ポリマーを原料誘導されたポリマーも含む。
具体的には、以下に限定されないが、ポリプロピレンエチレン−プロピレン共重合体、ポリエチレン(高密度低密度直鎖状低密度)、酸化型ポリオレフィン、及びグラフト重合ポリオレフィンが挙げられる。
これらの中でも、酸化型ポリオレフィンワックス、スチレン系樹脂グラフトしたポリオレフィンが好ましく、ポリプロピレンワックスポリエチレンワックス酸化型ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックスアクリロニトリル−スチレン共重合体グラフトポリプロピレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体グラフトポリエチレンスチレン重合体グラフトポリプロピレン、及びスチレン重合体グラフトポリエチレンがより好ましい。

0057

滑剤としてのポリアミドエラストマーとしては、以下に限定されないが、例えば、炭素数6以上のアミノカルボン酸もしくはラクタム、及びm+nが12以上のナイロンmn塩が挙げられ、ハードセグメント(X)としては、以下に限定されないが、例えば、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナン酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノベルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸;カプロラクタムラウロラクタムなどのラクタム類ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン11,6、ナイロン11,10、ナイロン12,6、ナイロン11,12、ナイロン12,10、ナイロン12,12などのナイロン塩が挙げられる。
また、ポリオールなどのソフトセグメント(Y)としては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−及び1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロック又はランダム共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとのブロック又はランダム共重合体が挙げられる。
これらのソフトセグメント(Y)の数平均分子量は2.0×102〜6.0×103であることが好ましく、より好ましくは2.5×102〜4.0×103である。上記数平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレンとの比較からポリスチレン換算分子量として測定することができる。
なお、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの両末端を、アミノ化又はカルボキシル化して用いてもよい。

0058

本実施形態の熱可塑性樹脂組成物に滑剤を添加する場合には、その相容性を向上させる目的で、さらに酸変性又はエポキシ変性した変性樹脂を混合してもよい。

0059

〔熱可塑性樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)、共重合体(B)、重合体(C)、及びポリエステルエラストマー(D)及び必要に応じて各種の添加剤を、単軸又は2軸のベント付き押出機プラストミルニーダーバンバリーミキサーブラベンダー等の熱可塑性樹脂組成物の製造に一般的に用いられる各種混合装置を用いて混合することにより製造することができる。

0060

〔成形品(成形体)〕
本実施形態の成形品は、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物の成形品であれば、特に限定されるものではなく、公知の成形法により製造することができる。
成形法としては、以下に限定されず、例えば、プレス成形法射出成形法ガスアシスト射出成形法溶着成形法、押出成形法吹込成形法フィルム成形法中空成形法多相成形法、及び発泡成形法が挙げられる。
これらの中でも、生産性の観点から、射出成形法、ガスアシスト射出成形法が好ましい。
射出成形法を用いる場合、シリンダー設定温度は230〜300℃が好ましい。射出成形に十分な流動性を確保するために230℃以上が好ましく、より好ましくは240℃以上、さらに好ましくは250℃以上である。また、樹脂の熱劣化防止の観点から、300℃以下が好ましく、より好ましくは290℃以下、さらに好ましくは280℃以下である。
また射出成形法においては、金属とのインサート成形アウトサート成形ガスアシスト成形等を組み合わせて使用してもよい。使用する金型についても特に限定されず、ゲート形状についてもピンゲートタブゲートフィルムゲートサブマリンゲートファンゲートリングゲートダイレクトゲート、及びディスクゲートのいずれの種類であってもよい。
金型温度は、40〜100℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。40℃以上であることにより、成形品の表面平滑性が高くなる。100℃以下であることにより冷却速度が上がるため生産性が向上する。
また、射出成形法を用いる場合、射出速度は30〜120mm/秒の範囲にあることが好ましく、50〜75mm/秒であることがより好ましい。射出速度が30mm/秒以上であることにより、得られる成形品の表面平滑性が高くなる。120mm/秒以下であることにより、外観不良になり得るシルバーストリークヤケ等の発生を抑制することができる。

0061

また、本実施形態の成形品は、シャルピー衝撃値が8kJ/m2以上であることが、成形品強度の観点から好ましい。
さらに、本実施形態の成形品は、鉛筆硬度がHB以上であることから耐傷付き性の観点から好ましい。
シャルピー衝撃値、及び鉛筆硬度は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。

0062

さらにまた、本実施形態の成形品は、全光透過率が50%以上であることが、着色性の観点から好ましい。全光透過率はより好ましくは55%以上、さらに好ましくは57%以上である。
またさらに、本実施形態の成形品は、臨界歪(%)が0.5%以上であることが、日焼け止め化粧品の接触がクラックの発生の直接原因にはならない観点から好ましい。
全光線透過率、及び臨界歪は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。

0063

本実施形態の成形品及び熱可塑性樹脂組成物は、特に制限されることなく、各種製品への展開が可能であるが、耐薬品性に優れているため、日焼け止め化粧品を直接的又は間接的に接触しうる製品への展開が好ましい。例えば、化粧品容器、家庭電気製品浴室部材キッチン部材トイレ部材、自動車内装部材などが好ましい。

0064

以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態について詳細に説明する。
なお、本実施形態は、以下の例に限定されるものではない。
実施例及び比較例中の評価、各種測定は以下の方法で行った。
また、組成及び配合は、特に記述がない限り質量単位を示す。

0065

〔(1)熱可塑性樹脂組成物の原料〕
(グラフト共重合体(A))
<ABS−1>:
ブタジエン系ゴム50質量%、ゴム重量平均粒子径200〜300nm、アクリロニトリル9質量%、スチレン41質量%、グラフト率46%、還元粘度0.42のアクリロニトリル−ブタジエンスチレン共重合体
<ABS−2>:
ブタジエン系ゴム50質量%、ゴム重量平均粒子径200〜300nm、アクリロニトリル10質量%、スチレン40質量%、グラフト率53%、還元粘度0.52のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体
<ABS−3>:
ブタジエン系ゴム40質量% 、ゴム重量平均粒子径200〜300nm、アクリロニトリル24質量%、スチレン36質量%、グラフト率50%、還元粘度0.52のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体

0066

(共重合体(B))
<AS−1>:
アクリロニトリル21質量%、スチレン79質量%、還元粘度0.67
のアクリロニトリル−スチレン共重合体
<AS−2>:
アクリロニトリル25質量%、スチレン75質量%、還元粘度0.46
のアクリロニトリル−スチレン共重合体
<AS−3>:
アクリロニトリル40質量%、スチレン60質量%、還元粘度0.47のアクリロニトリル−スチレン共重合体

0067

(重合体(C))
<PMMA−1>
メタクリル酸メチル95.5質量%、アクリル酸メチル4.5質量%からなるアクリル系樹脂
<PMMA−2>
メタクリル酸メチル97.5質量%、アクリル酸メチル2.5質量%からなるアクリル系樹脂

0068

(ポリエステルエラストマー(D))
ハードセグメントがポリブチレンテレフタレート、ソフトセグメントが脂肪族ポリエーテルであり、そのショア硬度Dが以下のブロック共重合体を使用した。
<ポリエステルエラストマー−1>
ショア硬度Dが72であるポリエステルエラストマー
<ポリエステルエラストマー−2>
ショア硬度Dが55であるポリエステルエラストマー
<ポリエステルエラストマー−3>
ショア硬度Dが40であるポリエステルエラストマー
<ポリエステルエラストマー−4>
ショア硬度Dが30であるポリエステルエラストマー
<ポリエステルエラストマー−5>
ショア硬度Dが40である市販のポリエステルエラストマー(大日本インキ化学工業(株)製グリグラクスE500N)

0069

〔(2)評価及び測定方法
((1)シャルピー衝撃値(厚さ4.0mm))
射出成形機(東機械(株)製、EC75S)を用いて、ISO294−1に準拠した厚さ4.0mmのマルチダンベル試験片(TYPE B)を、シリンダー温度250℃、金型温度60℃の条件で成形した。このダンベル試験片から長さ縦80mm、幅10mmの試験片切り出した後、ノッチ加工を行った後試験を行いISO179に基づく試験片を得た。この試験片を用いてISO179に準拠したシャルピー衝撃試験を行った。なお、試験の値は試験片5本の平均値を用いた。

0070

((2)全光線透過率(厚さ2.5mm))
射出成形機(東芝機械(株)製、EC75S)を用いて、厚さ2.5mmの試験片をシリンダー温度250℃、金型温度60℃の条件で成形した。
日本電飾工業社製1001DPを用いて全光線透過率を測定した。

0071

((3)日焼け止め化粧品に対する耐性(成形品のクラック))
3mm厚のコンプレッション成形品から10mm長さに切り出した後、80℃で24時間アニールした後、ベンディングバーに取り付け日焼け止め化粧品を塗布した。
その後、室温23℃、湿度50%の環境で24時間静置し、クラックが生じる臨界歪(%)の値を測定した。
日焼け止め化粧品として資生堂製のアネッサ薬用美白エッセンスフェイシャルUV(SPF50+PA++++)を使用した。
臨界歪0.5%以上あれば、日焼け止め化粧品の接触がクラックの発生の直接原因にはならないと判断し、下記の基準で評価した。
〇:臨界歪0.5%≦
×:臨界歪0.5%>

0072

((4)鉛筆硬度)
射出成形機(東芝機械(株)製、EC75S)を用いて、厚さ2.5mmの試験片をシリンダー温度250℃、金型温度60℃の条件で成形した。
JIS K5400鉛筆ひっかき値に準ずるものとし、表面硬度を測定した。
鉛筆はJIS S6006規定とし、重りは1.0kgとした。
試験片と鉛筆の芯の角度45°で試験した。

0073

〔実施例1〕
表1に示す配合組成に従い、二軸押出機(東芝機械(株)製、ZSK25MC)を用いて押出し機トップフィーダーより材料を供給して溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
その際の溶融混練条件は、温度250〜300℃、回転数200〜300rpm、吐出量15kg/hで行った。
このようにして得られたペレットに対し、上記の評価を行った。

0074

〔実施例2〜18〕、〔比較例1〜6〕
表1〜表3に示す配合組成に従い、実施例1と同様の方法でペレットを得て、評価を行った。

0075

0076

0077

実施例

0078

実施例1〜18においては、表面硬度、耐衝撃性、透明性、及び日焼け止め化粧品に対する耐性において、優れていることが分かった。

0079

本発明の熱可塑性樹脂組成物は、日焼け止め化粧品に対する耐性に優れた効果を有し、日焼け止め化粧品に直接もしくは間接的に接する樹脂製品の材料として、産業上の利用可能性がある。

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