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図面 (7)

課題

複製能を有する制御組換えウイルスの有効量を含んでなるワクチン組成物、該組成物を用いる、免疫化における使用、および免疫化する方法の提供。

解決手段

複製能を有する制御ヘルペスウイルスの有効量を含み、ヘルペスウイルスが、そのゲノム中に挿入された、熱ショックプロモーターに加えてトランス活性化因子応答性プロモーター役割を果たす核酸配列又は熱ショックプロモーターの役割を果たす核酸配列と機能的に連結された、小分子制御因子により活性化されるトランス活性化因子の遺伝子と、ヘルペスウイルスの複製必須遺伝子と機能的に連結されたトランス活性化因子応答性プロモーターとを含む組み換え体ヘルペスウイルス。

概要

背景

予防接種は、その200年以上の歴史にわたって無数人命を救った、恐らく最も費用効率が高い医学介入である。その最も壮観な成功の中には、天然痘撲滅だけでなく、ジフテリア破傷風、および麻痺性灰白髄炎の実質的な消滅が数えられる。Andre,F.E.(2003)Vaccinology:past achievements,present roadblocks and future promises.Vaccine 21:593−5。さらに、予防接種は、世界の少なくとも一部で、黄熱病百日咳ヘモフィルスインフルエンザエ(Haemophilus influenzae)B型麻疹おたふく風邪風疹腸チフス、および狂犬病を制御している。依然として、重大な感染症は、予防不能なままであり、また治療ワクチンによって治療できない。さらに、いくつかのワクチンの有効性は、期待に満たない。明らかに、新規ワクチンの創造日常的になっておらず、特定の疾患に対する免疫化剤の開発は、新規アプローチを必要としてもよい。以下の例は、現在の難題のいくつかを例示する。

10の米国人およびヨーロッパ小児の約50%は、単純ヘルペスウイルスSV−1について血清陽性である。Stanberry,L.R.Herpes simplex virus vaccines.In:Vaccines(Plotkin,S.A.et al.,eds.)5th edition.2008.Saunders Elsevier。有病率は、60〜70年以内に70〜80%に増大する。単純ヘルペスウイルスHSV−2有病率は青年期に上昇し、ヨーロッパおよび米国では、それぞれ20%および30%のピークに達する。皮膚障害がある対象では、潜在的に生命にかかわる感染症が起こり得る。目のHSV感染は、結膜角膜または網膜に影響を及ぼすことがあり、失明を引き起こし得る。周産期ヘルペス感染症としては、脳炎または播種性感染症が挙げられる。HIV患者などの免疫機能が低下した対象における感染症もまた、生命にかかわることもある。HSV感染症は多数の合併症を有し、顕著な罹患率および死亡率をもたらす。急性性器ヘルペス感染症が、HIV獲得リスクを顕著に高めることは、注目に値する。HSV−1およびHSV−2感染症は、侵入部位における複製と、そこで潜伏期確立される知覚神経節への神経繊維に沿ったウイルス拡散を伴う。ウイルスは、周期的に/散発性再活性化して、末梢戻り、末梢で自己複製し得る。いくつかの予防的および治療的ワクチン候補が開発されて、臨床的試験された。Stanberry,L.R.(2008)。現時点で、効果的な治療的または予防的ワクチンは入手不能である。成功裏の治療的または予防的ワクチンは、強力な抗体だけでなく、T細胞(Th−1)応答もまた惹起すべきであると主張されている。Cunningham,A.L.and Mikloska,Z.(2001)The holy grail:immune control of human herpes simplex virus infection and disease.Herpes 8(Supplement 1):6A−10A。

予防的なHSV−1またはHSV−2ワクチンを開発するという目標は、あまりにも野心的かもしれないこと、そして焦点は、治療的ワクチンの生成に置かれるべきであることが提言されている。この点において、帯状ヘルペス帯状疱疹)の予防に有効性を示すワクチンが開発できたことは、望みを与える。Johnson,R.et al.(2007)Prevention of herpes zoster and its painful and debilitating consequences.Int.J.Infect.Dis.11(Supplement 2):S43−S48。後者の疾患は、別のアルファヘルペスウイルスである、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の知覚神経節における再活性化によって引き起こされる。弱毒生Oka株から製造されたワクチンは、疾患負荷または帯状疱疹後神経痛を低下させるのに、>60%有効である。この保護は、増強された細胞媒介性免疫応答と関係がある。Oka株はまた、水疱瘡水痘予防のために、高度に効果的な弱毒生ワクチンを開発するのにも使用された。Gershon,A.A.et al.Varicella vaccine.In:Vaccines(Plotkin,S.A.et al.,eds.)5th edition.2008.Saunders Elsevier。したがって、効果的な単純ヘルペスワクチンを創造することは、不可能なはずはないと主張し得る。なおもより効果的な帯状疱疹ワクチン(または再活性化し得ない水痘ワクチン)の開発が、有意義な目標であることに留意されたい。

インフルエンザは、典型的に、突然の発熱咽喉痛咳嗽頭痛筋痛悪寒食欲不振、および疲労によって特徴付けられる。Bridges,C.B.et al.Inactivated influenza vaccines.In:Vaccines(Plotkin,S.A.et al.,eds.)5th edition.2008.Saunders Elsevier;Belshe,R.B.et al.Influenza vaccine−live.In:Vaccines(Plotkin,S.A.et al.,eds.)5th edition.2008.Saunders Elsevier。インフルエンザは、罹患率は高いが、死亡率は比較的低い疾患である。季節性罹患率は、典型的に5%〜20%である。疾患の合併症からの死者数は、相当数である。WHOによると、全世界の年間死者数は、25万人から50万人の間である。インフルエンザウイルスエンベロープに覆われて、セグメント化マイナスセンスRNAゲノムを含有する。球状ウイルス粒子は、赤血球凝集素HA)およびノイラミニダーゼ(NA)からなるスパイクを有する。HAは、それに対して宿主抗体応答が向けられる、主要な抗原である。A型インフルエンザウイルスは、それらのエンベロープタンパク質HAおよびNAの特性に基づいて、亜群分類される。16のH(A)および9のN(A)亜型が、目下知られている。現在のところ、H1N1、H1N2、およびH3N2亜型のインフルエンザウイルスが、ヒトの間に流行している。インフルエンザタイプAはまた、家禽をはじめとする鳥類ブタウマイヌに感染し、海洋哺乳類にさえも感染する。全ての既知のHAおよびNA亜型は、野生水鳥から単離され得て、それは世界的流行A型ウイルス遺伝子天然リザバーおよび起源を構成する。宿主における複製および選択の誤りがちな様式の理由から、A型インフルエンザおよびBウイルスは、それらの2つの表面抗原、HAおよびNAタンパク質に漸進的な抗原性変化を被る。抗原ドリフトとして知られているこの現象は、継続的な警戒、そしてワクチン製造のために使用される株の毎年の再調査更新を余儀なくさせる。世界的流行は、抗原性の移行、すなわち、新規HA亜型のみ、または新規HAおよびNA亜型双方のどちらかを含有する、新規A型インフルエンザウイルスのヒト集団への導入に起因する。

不活性化全ウイルスインフルエンザワクチンは、1945年以来使用されている。典型的に、ワクチンウイルスは、有鶏卵尿膜腔内で増殖されている。より最近では、このようなワクチンはまた、哺乳類細胞株内で増幅されたウイルスからも製造されている。1970年代以来、ほとんどの不活性化ワクチンは、サブウイルスまたは分割ワクチンである。使用されている典型的なワクチンは、H1N1およびH3N2亜型A型インフルエンザ株からのHAと、B型インフルエンザ株(TIVと称される)とを含んでなる、三価ワクチンである。不活性化ウイルスワクチン(TIV)の変わりやすい有効性、短い保護持続期間、非経口投与(使用される主要経路)に対する有害反応、および効果的細胞性免疫誘導不在が、弱毒生インフルエンザウイルスワクチン(LAIV)の開発を導いた。鼻腔内ワクチンは、温度感受性および寒冷適応インフルエンザウイルスAおよびB株をベースとして製造された。

ワクチンの有効性および有効性データの更新された系統レビューおよびメタ分析が、つい先出版された。Osterholm,M.T.et al.(2012)Efficacy and effectiveness of influenza vaccines:a systematic review and meta−analysis.Lancet Infect.Dis.12:36−44。分析は、1967〜2011年に米国で実施され出版された調査に、焦点を合わせている。研究は、科学的な厳密さ保証して、可能な限りバイアスを排除するように意図された、基準セットに基づいて選択された。全ての基準は、ワクチン有効性(95%CI>0)を示す17の無作為化対照試験によって満たされ、その内、8試験はTIVに、9試験はLAIVに関連した。試験は、24のインフルエンザ流行期をカバーして、ほぼ54,000人の参加者を含んだ。TIVに対する有意な有効性を明らかにした試験の内、6試験には18〜64才の参加者、1試験には6〜23ヶ月齢の小児が関与し、1試験は全ての年齢群を含んで、合わせた効果を報告した。これらの試験によって明らかにされた平均ワクチン有効性は、62%であった。いずれの試験も、65才以上の成人、または2〜17才の子供におけるワクチン効果を特に試験しなかったことに留意されたい。特に興味深いのは、そのどちらにおいてもワクチンと流行株の間に良好な一致があった、2回の流行期にわたり実施された小児における研究である。Hoberman,A.et al.(2003)Effectiveness of inactivated influenza vaccine in preventing acute otitis media in young children:a randomized controlled trial.JAMA 290:1608−16。最初の流行期のワクチン有効性は66%であり、2回目の流行期では7%であった。LAIVについて、6ヶ月齢〜7才の小児における8研究からの平均有効性は、78%であった。Osterholm,M.T.et al.(2012)。18〜49才の対象に関する3研究は、有意な保護がないことを明らかにした。60才を超える人々に関する1研究は、42%の全体的有効性を示したが、60〜69才における有効性は、70才を超える人々における有効性よりも大幅に低いようであった。8〜17才の子供または50〜59才の成人に関する、適格な研究はない。

組み入れ規準を満たす14の観察的な研究のいずれも、季節性インフルエンザワクチンの有効性を報告しなかった。Osterholm,M.T.et al.(2012)。これらの研究は、17の埋め込みまたはコホート分析を含んだ。17の分析の内、6つ(35%)は、治療され、検査で確認されたインフルエンザに対する有意な有効性を示した。6〜59ヶ月齢の小児では、有意なワクチン有効性が、8回の流行期の内、3回の(38%)流行期で見られた。このような2つの研究の1つは、65才以上の対象におけるワクチン有効性を報告した。これらのデータに基づいて、目下利用できるインフルエンザワクチンは、ウイルス学的に確認された疾患に対する中程度の保護を提供し、その保護は長続きしないと結論付け得る。数流行期にわたる保護は、得られない。最大リスク集団、すなわち、65才以上の人々の保護の証拠は、確かに非常に脆弱である。より効果的なワクチンが、明らかに必要である。現在のワクチンは、保護的効果のために、HA抗体の誘導に大きく依存する。将来のインフルエンザワクチンは、強力な(エフェクター)T細胞応答を誘導できるべきであり、すなわちより完全な免疫応答を誘導すべきであることが提案されている。Osterhaus,A.et al.(2011)Towardsuniversal influenza vaccines.Phil.Trans.R.Soc.B 366:2766−73;Thomas,P.G.et al.(2006)Cell−mediated protection in influenza infection.Emerging Infectious Diseases 12:48−54。

HIV/AIDSは、サハラのアフリカにおける主な死亡原因であり、世界の死亡率の重要な原因である。HIVは、特徴的に緩慢な感染症を引き起こすレトロウイルスであるレンチウイルスであり、それは活性化された宿主免疫応答の存在下で、長い潜伏期後に疾患を生じさせる。HIVにはHIV−1およびHIV−2が含まれ、HIV−1はより高悪性度かつより迅速に拡散するウイルスである。感染過程の第1段階として、ウイルスエンベロープタンパク質gp120は、標的細胞表面のCD4受容体、次にCCR−5またはCXCR−4共受容体と結合する。CD4は、Tヘルパーリンパ球単球マクロファージ濾胞性DC、皮膚のランゲルハンス細胞、および中枢神経系の小膠細胞内に存在する。
現時点で、HIV/AIDSに対して利用できる効果的ワクチンはない。いくつかの観察は、ワクチンが有効であるためには、かなりの細胞性免疫応答始動しなくてはならないことを示唆する。いくつかのワクチン候補が、臨床試験で試験された。最近の重要な治験は、T細胞応答を誘導するためにウイルスベクターを利用した。有効性をさらに増大させるために、これらの治験はプライムブースト措置もまた実施した。このような第III相試験の1つは、HIV gp120抗原を発現するカナリアポックスプライミングと、HIVgp120ブーストとの組み合わせを使用した。HIV−1予防に向けた傾向が見られたが、ワクチンは、感染後ウイルス負荷またはCD4+細胞数に対する有益な効果を生じなかった。Draper,S.J.and Heeney,J.L.(2010)Viruses as vaccine vectors for infectious diseases and cancer.Nat.Rev.Microbiology 8:62−73;Kim,J.H.et al.(2012)HIV vaccines−lessions learned and the way forward.Curr.Opin.HIV AIDS 5:428−34。様々なHIVタンパク質を発現する複製能力がないAd5をワクチンとして使用する、別の最近の一連の治験は、いかなる有効性の徴候も示さなかった。後者の経験、ならびに狭いCTL応答がCTL回避変異体の出現をもたらし得るという認識は、将来のワクチン候補には、幅広いCTL応答をはじめとする、完全な免疫応答を誘導できるべきであることを示唆する。Goulder,P.J.R.and Watkins,D.I.(2004)HIV and SIV CTL escape:implications for vaccine design.Nat.Rev.Immunol.4:630−40;Barouch,D.H.et al.(2002)Eventual AIDS vaccine failure in a rhesus monkey by viral escape from cytotoxic lymphocytes.Nature 415:335−9。

結核は、マイコバクテリウムツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)によって引き起こされる。Smith,K.C.et al.(2008)Tuberculosis vaccines.In:Vaccines(Plotkin,S.A.et al.,eds.)5th edition.2008.Saunders Elsevier。疾患は、広範な予防接種プログラムにもかかわらず、世界(word)人口のおよその3分の1がこの微生物に感染する、巨大公衆衛生問題に相当する。潜在型結核感染は、疾患の前臨床状態である。疾患の発生は、潜在的感染症の確立時点から、数週間または数10年以内に起こり得る。結核からの年間死亡数は、数百万の範囲にある。M.ツベルクローシス(M.tuberculosis)に対するヒト耐性の根底にある正確な免疫学的機序は、未だに解明されていない。しかし、進行性疾患が、Th2または混合Th1/Th2反応に関連する一方で、純粋なTh1反応は、保護と関連があることが知られている。Surcel,H−M.et al.(1994)Th1/Th2 profiles in tuberculosis,based on the proliferation and cytokine response of blood lymphocytes to mycobacterial antigens.Immunology 81:171−6;Schauf,V.et al.(1993)Cytokine gene activation and modified responsiveness to interleukin−2 in the blood of tuberculosis patients.J.Infect.Dis.168:1056−9。カルメットゲラン桿菌BCG)ワクチンは、目下使用されている最も古いワクチンである。不運にも、ワクチンが効くかどうかという質問は、確定的に答えられていない。0〜80%の間の有効率が報告されている。BCG予防接種によって引き起こされる正確な免疫応答、ならびに宿主内の作用機序は、良く分かっていない。Smith,K.C.et al.(2008).Animal studies have been infrequent.Smith,D.W.(1985)Protective effect of BCG in experimental tuberculosis.Adv.Tuberc.Res.22:1−97。それでもなお、入手できる情報は、保護的効果がCD4T細胞によって移入され得るが、血清では移入され得ないことを示唆する。さらに、ワクチン接種動物中ではT細胞応答がより迅速であり、より迅速なマクロファージ活性化がもたらされた。

概要

複製能を有する制御組換えウイルスの有効量を含んでなるワクチン組成物、該組成物を用いる、免疫化における使用、および免疫化する方法の提供。複製能を有する制御ヘルペスウイルスの有効量を含み、ヘルペスウイルスが、そのゲノム中に挿入された、熱ショックプロモーターに加えてトランス活性化因子応答性プロモーター役割を果たす核酸配列又は熱ショックプロモーターの役割を果たす核酸配列と機能的に連結された、小分子制御因子により活性化されるトランス活性化因子の遺伝子と、ヘルペスウイルスの複製必須遺伝子と機能的に連結されたトランス活性化因子応答性プロモーターとを含む組み換え体ヘルペスウイルス。

目的

本発明は、複製能を有する制御ヘルペスウイルスの有効量を含んでなる組成物を含んでなる、改善されたワクチンを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

ヘルペス性疾患に対する免疫化のための組成物であって、前記組成物が複製能を有する制御ヘルペスウイルスの有効量を含み、前記複製能を有するヘルペスウイルスが、そのゲノム中に挿入された、熱ショックプロモーターに加えてトランス活性化因子応答性プロモーター役割を果たす核酸配列又は熱ショックプロモーターの役割を果たす核酸配列と機能的に連結された、小分子制御因子により活性化されるトランス活性化因子の遺伝子と、前記複製能を有するヘルペスウイルスの1つ又は複数の複製必須遺伝子と機能的に連結された、1つ又は複数のトランス活性化因子応答性プロモーターとを含む組み換え体ヘルペスウイルスであり、(a)前記組成物が、前記ヘルペス性疾患の治療又は予防を必要とする哺乳類対象の身体の接種部位領域投与され、(b)前記哺乳類対象の前記接種部位領域が、前記接種部位領域における、トランス活性化因子を活性化する小分子制御因子の有効濃度の存在下での、活性化熱線量の投与からなる局所的活性化治療に曝露され、前記局所的活性化治療が、前記組み換えヘルペスウイルスの前記接種部位領域における1回の複製周期を引き起こし、前記免疫化が、前記ヘルペス性疾患の重症度持続期間又は死亡率を、複製欠陥を有する弱毒型ヘルペスウイルスを用いた免疫化よりも効率的に低下させることを特徴とする、組成物。

請求項2

請求項1に記載の免疫化のための組成物において、前記接種部位領域が、皮膚領域若しくは皮下領域、又は粘膜であることを特徴とする、組成物。

請求項3

請求項1又は2に記載の免疫化のための組成物において、前記組み換え体ヘルペスウイルスが、ヘルペスウイルスの1つ又は複数の複製必須遺伝子と機能的に連結された、1つ又は複数の熱ショックプロモーターをさらに含むことを特徴とする、組成物。

請求項4

請求項1乃至3の何れか一項に記載の免疫化のための組成物において、前記複製能を有する制御ヘルペスウイルスが、HSV−1、HSV−2、水痘帯状疱疹ウイルスサイトメガロウイルス、及びバラ疹ウイルスからなる群から選択されるウイルスに由来することを特徴とする、組成物。

請求項5

請求項1乃至3の何れか一項に記載の免疫化のための組成物において、前記複製能を有する制御ヘルペスウイルスが、HSV−1又はHSV−2に由来し、前記トランス活性化因子応答性プロモーターと機能的に連結された前記複製必須ウイルス遺伝子が、少なくともICP4遺伝子又はICP8遺伝子の全コピーを含むことを特徴とする、組成物。

請求項6

請求項1乃至5の何れか一項に記載の免疫化のための組成物において、前記複製能を有する制御ヘルペスウイルスが、別の病原体からの遺伝子、免疫調節性ポリペプチドをコードする異種遺伝子、及び別のポリペプチドをコードする異種遺伝子の少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする、組成物。

請求項7

請求項6に記載の免疫化のための組成物において、前記別の病原体からの遺伝子が、インフルエンザウイルス表面抗原、インフルエンザウイルス内部タンパク質、又は後者タンパク質の部分をコードし、免疫化がインフルエンザウイルス媒介性の疾患に対するものであることを特徴とする、組成物。

請求項8

請求項6に記載の免疫化のための組成物において、前記別の病原体からの遺伝子が、HIV表面抗原、HIV内部タンパク質、又は後者タンパク質の部分をコードすることを特徴とする、組成物。

請求項9

請求項1乃至8の何れか一項に記載の免疫化のための組成物において、前記小分子制御因子により活性化されるトランス活性化因子が、切断されたプロゲステロン受容体からのリガンド結合ドメインを含有し、トランス活性化因子を活性化できるプロゲステロン受容体拮抗薬によって活性化されることを特徴とする、組成物。

請求項10

請求項1に記載の免疫化のための組成物において、前記複製能を有する制御ヘルペスウイルスが、HSV−GS1、HSV−GS2、HSV−GS3、及びHSV−GS4からなる明細書に記載のウイルス組み換え体の群から選択されることを特徴とする、組成物。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、どちらもその内容全体があらゆる図面を含めて参照により本明細書に援用される、2014年8月26日に出願された米国仮特許出願第62/070,443号明細書;および2014年10日10月に出願された米国仮特許出願第62/122,088号明細書の優先権を主張する。

0002

配列表への言及
本出願は、電子形態の配列表と共に出願される。配列表は、2015年8月25日に作成された、4KBサイズの「VIR2APCT_ST25.txt」と題されたファイルとして提供される。配列表の電子形態情報は、その内容全体が参照により本明細書に援用される。

0003

本発明は、特定の複製能を有する制御ウイルスと、免疫化のためのそれらの使用とに関する。

背景技術

0004

予防接種は、その200年以上の歴史にわたって無数人命を救った、恐らく最も費用効率が高い医学介入である。その最も壮観な成功の中には、天然痘撲滅だけでなく、ジフテリア破傷風、および麻痺性灰白髄炎の実質的な消滅が数えられる。Andre,F.E.(2003)Vaccinology:past achievements,present roadblocks and future promises.Vaccine 21:593−5。さらに、予防接種は、世界の少なくとも一部で、黄熱病百日咳ヘモフィルスインフルエンザエ(Haemophilus influenzae)B型麻疹おたふく風邪風疹腸チフス、および狂犬病を制御している。依然として、重大な感染症は、予防不能なままであり、また治療ワクチンによって治療できない。さらに、いくつかのワクチンの有効性は、期待に満たない。明らかに、新規ワクチンの創造日常的になっておらず、特定の疾患に対する免疫化剤の開発は、新規アプローチを必要としてもよい。以下の例は、現在の難題のいくつかを例示する。

0005

10の米国人およびヨーロッパ小児の約50%は、単純ヘルペスウイルスSV−1について血清陽性である。Stanberry,L.R.Herpes simplex virus vaccines.In:Vaccines(Plotkin,S.A.et al.,eds.)5th edition.2008.Saunders Elsevier。有病率は、60〜70年以内に70〜80%に増大する。単純ヘルペスウイルスHSV−2有病率は青年期に上昇し、ヨーロッパおよび米国では、それぞれ20%および30%のピークに達する。皮膚障害がある対象では、潜在的に生命にかかわる感染症が起こり得る。目のHSV感染は、結膜角膜または網膜に影響を及ぼすことがあり、失明を引き起こし得る。周産期ヘルペス感染症としては、脳炎または播種性感染症が挙げられる。HIV患者などの免疫機能が低下した対象における感染症もまた、生命にかかわることもある。HSV感染症は多数の合併症を有し、顕著な罹患率および死亡率をもたらす。急性性器ヘルペス感染症が、HIV獲得リスクを顕著に高めることは、注目に値する。HSV−1およびHSV−2感染症は、侵入部位における複製と、そこで潜伏期確立される知覚神経節への神経繊維に沿ったウイルスの拡散を伴う。ウイルスは、周期的に/散発性再活性化して、末梢戻り、末梢で自己複製し得る。いくつかの予防的および治療的ワクチン候補が開発されて、臨床的試験された。Stanberry,L.R.(2008)。現時点で、効果的な治療的または予防的ワクチンは入手不能である。成功裏の治療的または予防的ワクチンは、強力な抗体だけでなく、T細胞(Th−1)応答もまた惹起すべきであると主張されている。Cunningham,A.L.and Mikloska,Z.(2001)The holy grail:immune control of human herpes simplex virus infection and disease.Herpes 8(Supplement 1):6A−10A。

0006

予防的なHSV−1またはHSV−2ワクチンを開発するという目標は、あまりにも野心的かもしれないこと、そして焦点は、治療的ワクチンの生成に置かれるべきであることが提言されている。この点において、帯状ヘルペス帯状疱疹)の予防に有効性を示すワクチンが開発できたことは、望みを与える。Johnson,R.et al.(2007)Prevention of herpes zoster and its painful and debilitating consequences.Int.J.Infect.Dis.11(Supplement 2):S43−S48。後者の疾患は、別のアルファヘルペスウイルスである、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の知覚神経節における再活性化によって引き起こされる。弱毒生Oka株から製造されたワクチンは、疾患負荷または帯状疱疹後神経痛を低下させるのに、>60%有効である。この保護は、増強された細胞媒介性免疫応答と関係がある。Oka株はまた、水疱瘡水痘予防のために、高度に効果的な弱毒生ワクチンを開発するのにも使用された。Gershon,A.A.et al.Varicella vaccine.In:Vaccines(Plotkin,S.A.et al.,eds.)5th edition.2008.Saunders Elsevier。したがって、効果的な単純ヘルペスワクチンを創造することは、不可能なはずはないと主張し得る。なおもより効果的な帯状疱疹ワクチン(または再活性化し得ない水痘ワクチン)の開発が、有意義な目標であることに留意されたい。

0007

インフルエンザは、典型的に、突然の発熱咽喉痛咳嗽頭痛筋痛悪寒食欲不振、および疲労によって特徴付けられる。Bridges,C.B.et al.Inactivated influenza vaccines.In:Vaccines(Plotkin,S.A.et al.,eds.)5th edition.2008.Saunders Elsevier;Belshe,R.B.et al.Influenza vaccine−live.In:Vaccines(Plotkin,S.A.et al.,eds.)5th edition.2008.Saunders Elsevier。インフルエンザは、罹患率は高いが、死亡率は比較的低い疾患である。季節性罹患率は、典型的に5%〜20%である。疾患の合併症からの死者数は、相当数である。WHOによると、全世界の年間死者数は、25万人から50万人の間である。インフルエンザウイルスエンベロープに覆われて、セグメント化マイナスセンスRNAゲノムを含有する。球状ウイルス粒子は、赤血球凝集素HA)およびノイラミニダーゼ(NA)からなるスパイクを有する。HAは、それに対して宿主抗体応答が向けられる、主要な抗原である。A型インフルエンザウイルスは、それらのエンベロープタンパク質HAおよびNAの特性に基づいて、亜群分類される。16のH(A)および9のN(A)亜型が、目下知られている。現在のところ、H1N1、H1N2、およびH3N2亜型のインフルエンザウイルスが、ヒトの間に流行している。インフルエンザタイプAはまた、家禽をはじめとする鳥類ブタウマイヌに感染し、海洋哺乳類にさえも感染する。全ての既知のHAおよびNA亜型は、野生水鳥から単離され得て、それは世界的流行A型ウイルス遺伝子天然リザバーおよび起源を構成する。宿主における複製および選択の誤りがちな様式の理由から、A型インフルエンザおよびBウイルスは、それらの2つの表面抗原、HAおよびNAタンパク質に漸進的な抗原性変化を被る。抗原ドリフトとして知られているこの現象は、継続的な警戒、そしてワクチン製造のために使用される株の毎年の再調査更新を余儀なくさせる。世界的流行は、抗原性の移行、すなわち、新規HA亜型のみ、または新規HAおよびNA亜型双方のどちらかを含有する、新規A型インフルエンザウイルスのヒト集団への導入に起因する。

0008

不活性化全ウイルスインフルエンザワクチンは、1945年以来使用されている。典型的に、ワクチンウイルスは、有鶏卵尿膜腔内で増殖されている。より最近では、このようなワクチンはまた、哺乳類細胞株内で増幅されたウイルスからも製造されている。1970年代以来、ほとんどの不活性化ワクチンは、サブウイルスまたは分割ワクチンである。使用されている典型的なワクチンは、H1N1およびH3N2亜型A型インフルエンザ株からのHAと、B型インフルエンザ株(TIVと称される)とを含んでなる、三価ワクチンである。不活性化ウイルスワクチン(TIV)の変わりやすい有効性、短い保護持続期間、非経口投与(使用される主要経路)に対する有害反応、および効果的細胞性免疫誘導不在が、弱毒生インフルエンザウイルスワクチン(LAIV)の開発を導いた。鼻腔内ワクチンは、温度感受性および寒冷適応インフルエンザウイルスAおよびB株をベースとして製造された。

0009

ワクチンの有効性および有効性データの更新された系統レビューおよびメタ分析が、つい先出版された。Osterholm,M.T.et al.(2012)Efficacy and effectiveness of influenza vaccines:a systematic review and meta−analysis.Lancet Infect.Dis.12:36−44。分析は、1967〜2011年に米国で実施され出版された調査に、焦点を合わせている。研究は、科学的な厳密さ保証して、可能な限りバイアスを排除するように意図された、基準セットに基づいて選択された。全ての基準は、ワクチン有効性(95%CI>0)を示す17の無作為化対照試験によって満たされ、その内、8試験はTIVに、9試験はLAIVに関連した。試験は、24のインフルエンザ流行期をカバーして、ほぼ54,000人の参加者を含んだ。TIVに対する有意な有効性を明らかにした試験の内、6試験には18〜64才の参加者、1試験には6〜23ヶ月齢の小児が関与し、1試験は全ての年齢群を含んで、合わせた効果を報告した。これらの試験によって明らかにされた平均ワクチン有効性は、62%であった。いずれの試験も、65才以上の成人、または2〜17才の子供におけるワクチン効果を特に試験しなかったことに留意されたい。特に興味深いのは、そのどちらにおいてもワクチンと流行株の間に良好な一致があった、2回の流行期にわたり実施された小児における研究である。Hoberman,A.et al.(2003)Effectiveness of inactivated influenza vaccine in preventing acute otitis media in young children:a randomized controlled trial.JAMA 290:1608−16。最初の流行期のワクチン有効性は66%であり、2回目の流行期では7%であった。LAIVについて、6ヶ月齢〜7才の小児における8研究からの平均有効性は、78%であった。Osterholm,M.T.et al.(2012)。18〜49才の対象に関する3研究は、有意な保護がないことを明らかにした。60才を超える人々に関する1研究は、42%の全体的有効性を示したが、60〜69才における有効性は、70才を超える人々における有効性よりも大幅に低いようであった。8〜17才の子供または50〜59才の成人に関する、適格な研究はない。

0010

組み入れ規準を満たす14の観察的な研究のいずれも、季節性インフルエンザワクチンの有効性を報告しなかった。Osterholm,M.T.et al.(2012)。これらの研究は、17の埋め込みまたはコホート分析を含んだ。17の分析の内、6つ(35%)は、治療され、検査で確認されたインフルエンザに対する有意な有効性を示した。6〜59ヶ月齢の小児では、有意なワクチン有効性が、8回の流行期の内、3回の(38%)流行期で見られた。このような2つの研究の1つは、65才以上の対象におけるワクチン有効性を報告した。これらのデータに基づいて、目下利用できるインフルエンザワクチンは、ウイルス学的に確認された疾患に対する中程度の保護を提供し、その保護は長続きしないと結論付け得る。数流行期にわたる保護は、得られない。最大リスク集団、すなわち、65才以上の人々の保護の証拠は、確かに非常に脆弱である。より効果的なワクチンが、明らかに必要である。現在のワクチンは、保護的効果のために、HA抗体の誘導に大きく依存する。将来のインフルエンザワクチンは、強力な(エフェクター)T細胞応答を誘導できるべきであり、すなわちより完全な免疫応答を誘導すべきであることが提案されている。Osterhaus,A.et al.(2011)Towardsuniversal influenza vaccines.Phil.Trans.R.Soc.B 366:2766−73;Thomas,P.G.et al.(2006)Cell−mediated protection in influenza infection.Emerging Infectious Diseases 12:48−54。

0011

HIV/AIDSは、サハラのアフリカにおける主な死亡原因であり、世界の死亡率の重要な原因である。HIVは、特徴的に緩慢な感染症を引き起こすレトロウイルスであるレンチウイルスであり、それは活性化された宿主免疫応答の存在下で、長い潜伏期後に疾患を生じさせる。HIVにはHIV−1およびHIV−2が含まれ、HIV−1はより高悪性度かつより迅速に拡散するウイルスである。感染過程の第1段階として、ウイルスエンベロープタンパク質gp120は、標的細胞表面のCD4受容体、次にCCR−5またはCXCR−4共受容体と結合する。CD4は、Tヘルパーリンパ球単球マクロファージ濾胞性DC、皮膚のランゲルハンス細胞、および中枢神経系の小膠細胞内に存在する。
現時点で、HIV/AIDSに対して利用できる効果的ワクチンはない。いくつかの観察は、ワクチンが有効であるためには、かなりの細胞性免疫応答始動しなくてはならないことを示唆する。いくつかのワクチン候補が、臨床試験で試験された。最近の重要な治験は、T細胞応答を誘導するためにウイルスベクターを利用した。有効性をさらに増大させるために、これらの治験はプライムブースト措置もまた実施した。このような第III相試験の1つは、HIV gp120抗原を発現するカナリアポックスプライミングと、HIVgp120ブーストとの組み合わせを使用した。HIV−1予防に向けた傾向が見られたが、ワクチンは、感染後ウイルス負荷またはCD4+細胞数に対する有益な効果を生じなかった。Draper,S.J.and Heeney,J.L.(2010)Viruses as vaccine vectors for infectious diseases and cancer.Nat.Rev.Microbiology 8:62−73;Kim,J.H.et al.(2012)HIV vaccines−lessions learned and the way forward.Curr.Opin.HIV AIDS 5:428−34。様々なHIVタンパク質を発現する複製能力がないAd5をワクチンとして使用する、別の最近の一連の治験は、いかなる有効性の徴候も示さなかった。後者の経験、ならびに狭いCTL応答がCTL回避変異体の出現をもたらし得るという認識は、将来のワクチン候補には、幅広いCTL応答をはじめとする、完全な免疫応答を誘導できるべきであることを示唆する。Goulder,P.J.R.and Watkins,D.I.(2004)HIV and SIV CTL escape:implications for vaccine design.Nat.Rev.Immunol.4:630−40;Barouch,D.H.et al.(2002)Eventual AIDS vaccine failure in a rhesus monkey by viral escape from cytotoxic lymphocytes.Nature 415:335−9。

0012

結核は、マイコバクテリウムツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)によって引き起こされる。Smith,K.C.et al.(2008)Tuberculosis vaccines.In:Vaccines(Plotkin,S.A.et al.,eds.)5th edition.2008.Saunders Elsevier。疾患は、広範な予防接種プログラムにもかかわらず、世界(word)人口のおよその3分の1がこの微生物に感染する、巨大公衆衛生問題に相当する。潜在型結核感染は、疾患の前臨床状態である。疾患の発生は、潜在的感染症の確立時点から、数週間または数10年以内に起こり得る。結核からの年間死亡数は、数百万の範囲にある。M.ツベルクローシス(M.tuberculosis)に対するヒト耐性の根底にある正確な免疫学的機序は、未だに解明されていない。しかし、進行性疾患が、Th2または混合Th1/Th2反応に関連する一方で、純粋なTh1反応は、保護と関連があることが知られている。Surcel,H−M.et al.(1994)Th1/Th2 profiles in tuberculosis,based on the proliferation and cytokine response of blood lymphocytes to mycobacterial antigens.Immunology 81:171−6;Schauf,V.et al.(1993)Cytokine gene activation and modified responsiveness to interleukin−2 in the blood of tuberculosis patients.J.Infect.Dis.168:1056−9。カルメットゲラン桿菌BCG)ワクチンは、目下使用されている最も古いワクチンである。不運にも、ワクチンが効くかどうかという質問は、確定的に答えられていない。0〜80%の間の有効率が報告されている。BCG予防接種によって引き起こされる正確な免疫応答、ならびに宿主内の作用機序は、良く分かっていない。Smith,K.C.et al.(2008).Animal studies have been infrequent.Smith,D.W.(1985)Protective effect of BCG in experimental tuberculosis.Adv.Tuberc.Res.22:1−97。それでもなお、入手できる情報は、保護的効果がCD4T細胞によって移入され得るが、血清では移入され得ないことを示唆する。さらに、ワクチン接種動物中ではT細胞応答がより迅速であり、より迅速なマクロファージ活性化がもたらされた。

発明が解決しようとする課題

0013

新しい、より効果的なワクチンが明らかに必要である。本発明は、複製能を有する制御ウイルスを含んでなるワクチン組成物、ならびに後者の(latter)組成物を利用する免疫化方法に関する。

0014

SafeSwitchまたはSafeSwitch様遺伝子スイッチによって制御される、複製能を有するウイルスおよびウイルス対は、米国特許第7,906,312号明細書および米国特許第8,137,947号明細書で、概して開示された。

課題を解決するための手段

0015

一実施形態では、本発明は、複製能を有する制御ヘルペスウイルスの有効量を含んでなる組成物を含んでなる、改善されたワクチンを提供する。改善されたワクチンは、弱毒型ヘルペスウイルスおよび複製能を有する制御ヘルペスウイルスが、同一野性型ウイルス由来するという条件で、同等量の複製欠陥弱毒型ヘルペスウイルスを含んでなる比較ワクチンと比較すると、哺乳類攻撃モデルにおいて優れた防御免疫を誘導する。この野性型ウイルスはまた、哺乳類攻撃モデルにおける攻撃ウイルスでもあり、すなわち、評価される防御免疫は、この野性型ウイルスを対象とする。ヒトのデータは未だに入手できないため、妥当な哺乳類攻撃モデルを使用して改善が確立されたことに留意されたい。適切な哺乳類攻撃モデルは、関心のある野性型ウイルスによる選択された哺乳類種動物の感染が、動物において、ヒト宿主で誘発される疾患または病状の適切な側面の顕在化を再現性良くもたらすものである。利用できれば、小型哺乳類動物モデルが好ましく、マウスモデルが最も好ましい。「防御免疫」は、野性型ウイルスの接種によって誘発される疾患または病状の側面の後者の(latter)顕在化を予防し、または重症度または持続期間を軽減し/低下させる、またはそれから帰結する死亡率を低下させる、免疫応答と理解される。

0016

本発明の複製能を有する制御ヘルペスウイルスは、以下の特性の組を有する:
(1)哺乳類対象身体領域への投与時に、複製能を有する制御ウイルスが、活性化不在下において身体領域で本質的に非自己複製のままであり、または代案としては(すなわち、異なる実施形態では)、複製能を有する制御ウイルスと同様の組成物中で、同様の量で、同様の対象の同様の身体領域に投与された複製欠陥比較ウイルスと、同様の低い効率で自己複製する、
(2)身体領域の局在性活性化処置への曝露が、複製能を有する制御ウイルスが、身体領域中で1周期の複製を受けるように活性化させる、
(3)活性化に際して、複製能を有する制御ウイルスは、哺乳類対象において免疫応答を誘導するのに十分な効率で自己複製し、この免疫応答は、複製能を有する制御ウイルスがそれに由来する野性型ウイルスによる感染を低下させ、および/または前記野性型ウイルスによる感染に引き続く疾患重症度、疾患持続期間または死亡率を低下させる上で、複製欠陥比較ウイルスによって同様の対象において誘導される免疫応答よりも、効果的である(複製能を有する制御ウイルスおよび複製欠陥比較ウイルスは、同様の組成物中で、同様の量で、同様の対象の同様の身体領域に投与される)。

0017

複製欠陥比較ウイルスは、複製能を有する制御組換えヘルペスウイルスと同一の野性型ウイルスに由来するウイルスであり、複製能を有する制御組換えヘルペスウイルスに対して、比較の役割を果たす。このような複製欠陥比較ウイルスでは、複製能を有する制御ウイルス中では意図的制御の対象となる遺伝子の内、少なくとも1つが無効化される。無効化は、遺伝子が機能性遺伝子産物を発現できないようにする、操作または事象の結果を指す。野性型ウイルスは、対象または環境から単離されたウイルスであり、生体外でまたは動物において増殖するが、いかなる意図的選択または変異プロセスも受けていない。
複製欠陥比較ウイルスまたは複製能を有する制御ウイルスがそれに由来する野性型ウイルスと比較した、複製能を有する制御ヘルペスウイルスの複製効率は、伝染性ウイルス数プラーク形成単位またはpfu)またはウイルス粒子数を測定できるようにする、任意の方法によって推定され得る。ウイルス複製効率を推定するための生化学的方法もまた、利用し得る。これらの方法は、ウイルスDNA、RNAまたはタンパク質産物量の定量化を目的とし、適切な組織化学的または免疫組織化学的方法、および増幅の生化学的アッセイおよび核酸検出(例えばリアルタイムPCRRT−PCR、プローブハイブリダイゼーション)またはウイルスタンパク質産物の検出(例えば、ウエスタンブロットまたはその他の免疫学的アッセイ)を含んでもよい。活性化された複製能を有する制御ウイルスは、比較されるウイルスがそれに由来する野性型ウイルスが本質的に定量的に1回の複製周期を完了する、同数の伝染性ウイルスまたはウイルス粒子接種後の時点で、より高いレベルの伝染性ウイルスまたはウイルス粒子、またはウイルスDNAなどの生化学的相関物が測定されれば、比較ウイルスよりも高い効率で自己複製するとされる。活性化されていない複製能を有する制御ウイルスは、比較されるウイルスがそれに由来する野性型ウイルスが本質的に定量的に1回の複製周期を完了する、同数の伝染性ウイルスまたはウイルス粒子による接種後の時点で、より低いレベルの伝染性ウイルスまたはウイルス粒子、またはウイルスDNAなどの生化学的相関物が測定されれば、複製能を有する制御ウイルスがそれに由来する野性型ウイルスまたは比較ウイルスよりも低い効率で自己複製するとされる。後の時点で行われた測定には、より早期に行われた測定よりも多くの重み付けが与えられるべきであろう(活性化されていない複製能を有する制御ウイルスが関与する比較の場合のみ)。活性化された複製能を有する制御ウイルスの複製効率を判定するための典型的な生体外実験は、一段成長曲線である。この種の実験はまた、実施例セクションでも例示される。

0018

活性化されていない複製能を有する制御ウイルスの生体内複製挙動を特徴付けるために使用される「本質的に非自己複製」という用語は、活性化されていない複製能を有する制御ウイルスが、それが由来する野性型ウイルスよりも少なくとも10倍低い効率で自己複製することを意味する。より好ましくは、活性化されていない複製能を有する制御ウイルスの複製効率は、それが由来する野性型ウイルスよりも少なくとも25倍低い。なおもより好ましくは、活性化されていない複製能を有する制御ウイルスの複製効率は、それが由来する野性型ウイルスよりも少なくとも100倍低い。

0019

「複製欠陥比較ウイルスと同様に低い効率で自己複製する」という用語は、比較ウイルスの効率の10倍以下、好ましくは比較ウイルスの効率の5倍以下、より好ましくは比較ウイルスの効率の2倍以下、最も好ましくは比較ウイルスの効率よりも検出可能に高くない、活性化されていない複製能を有する制御ウイルスの複製効率を指す。5倍高い複製効率とは、それに対してウイルスが投与された身体領域中の比較ウイルスについて測定されたものとの比較で、活性化されていない複製能を有する制御ウイルスの5倍高い測定値、またはその生化学的相関物の5倍高いレベルを指し、それによって、測定は、比較されるウイルスがそれに由来する野性型ウイルスが(本質的に定量的に)少なくとも1回の複製周期を完了した時点後になされる。

0020

「同様の対象」とは、同一生物種同一性別、およびほぼ同年齢からの対象を指す。用語は統計学的意味を有すると理解され得て、その場合、比較ウイルスを投与された同様の対象は、複製能を有する制御ウイルスを投与された対象群と同一の哺乳類種、同一の性別または混合性別で、ほぼ同一の年齢または年齢分布の対象群である。

0021

「同様の組成物で、同様の量で、同様の身体領域に」は、それが比較される組成物、量または身体領域と同一の、または合理的な努力で達成され得る非常に類似した、組成物、量または身体領域を指す。

0022

特定の実施形態では、ワクチン組成物は、そのゲノムが小分子制御因子活性化トランス活性化因子の遺伝子を含んでなり、その遺伝子が熱ショックプロモーターの役割を果たす核酸配列と、または熱ショックプロモーターならびにトランス活性化因子応答性プロモーターの役割を果たす核酸配列と、機能的に連結する、複製能を有する制御組換えヘルペスウイルス;および複製必須遺伝子とも称される効率的複製に必要な1つまたは複数のウイルス遺伝子と機能的に連結する、1つまたは複数のトランス活性化因子応答性プロモーターを含んでなる。哺乳類対象の身体領域へのウイルス投与に引き続いて、それは、有効濃度の適切な小分子制御因子の身体領域中の存在下において、身体領域を活性化熱線量の対象とすることで活性化され得る。このような活性化処置は、1周期のウイルス複製をもたらす。便宜上、後者の複製能を有する制御ヘルペスウイルスは、本明細書で、加熱および小分子制御因子活性化ウイルスと称される。複製能を有する制御ヘルペスウイルスは、別の病原体からの((異種)トランス活性化因子をコードする遺伝子に加えて)発現可能異種遺伝子免疫調節性ポリペプチドをコードする発現可能異種遺伝子、または別のポリペプチドをコードする発現可能異種遺伝子、またはこのような遺伝子の任意の組み合わせをさらに含んでなり得る。このような異種遺伝子は、トランス活性化因子応答性プロモーターの制御下、または例えば、構成的活性型プロモーターなどの別のプロモーターの制御下で発現され得る。例えば、免疫調節性ポリペプチドのための異種遺伝子は、サイトカインまたはケモカインをコードする遺伝子であり得る。異種遺伝子はまた、例えば、マトリックスメタロプロテイナーゼ遺伝子などのウイルスの局所播種、感染または複製を促進する、タンパク質をコードする遺伝子であり得る。特定の異種遺伝子は、別の病原体(すなわち、複製能を有する制御ウイルスまたはそれが由来する野性型ウイルス以外の病原体)のタンパク質(抗原)の遺伝子であり得る。例えば、本発明の複製能を有する制御ヘルペスウイルスは、そのゲノムに挿入された、インフルエンザ表面抗原HAおよび/またはNAの発現可能遺伝子を含有し得る。さらなる例として、異種遺伝子は、末端反復配列欠損しており、発現されると複製欠陥ウイルス粒子を生じる、レトロウイルスの修飾ゲノムRNAをコードしてもよい。このようなウイルス粒子は、個々に発現されるウイルスタンパク質よりも強力な免疫原になると考え得る。

0023

別の特定の実施形態では、ワクチン組成物は、複製能を有する制御組換えヘルペスウイルスを含んでなり、そのゲノムは、小分子制御因子活性化トランス活性化因子の遺伝子を含んでなり、その遺伝子は、構成的活性型またはトランス活性化因子促進プロモーターの役割を果たす核酸配列、第1の複製必須ウイルス遺伝子と機能的に連結する熱ショックプロモーターの役割を果たす核酸配列、および第2の複製必須ウイルス遺伝子と機能的に連結するトランス活性化因子応答性プロモーターと機能的に連結する。哺乳類対象の身体領域へのウイルス投与に引き続いて、それは、有効濃度の適切な小分子制御因子の身体領域中の存在下において、身体領域を活性化熱線量の対象とすることで活性化され得る。このような活性化処置は、1周期のウイルス複製をもたらす。複製能を有する制御組換えウイルスは、別の病原体からの異種遺伝子、免疫調節性ポリペプチドをコードする異種遺伝子、または別のポリペプチド、またはその双方をコードする異種遺伝子をさらに含んでなり得る。このような異種遺伝子は、トランス活性化因子応答性プロモーターの制御下、または例えば、構成的活性型プロモーターなどの別のプロモーターの制御下で発現され得る。後者の複製能を有する制御ヘルペスウイルスは、本明細書で、加熱および小分子制御因子活性化ウイルスとも称される。「トランス活性化因子促進プロモーター」という用語は、トランス活性化因子不在下で、必然的にいくつかの残効性を有して、その活性がトランス活性化因子のレベル増大の関数として増大するプロモーターを指す(自動活性化プロモーターとも称される)。「トランス活性化因子応答性プロモーター」は、それを活性化するトランス活性化因子の不在下では、理想的には不活性のプロモーターである。

0024

なおも別の実施形態では、ワクチン組成物は、複製能を有する制御組換えヘルペスウイルスを含んでなり、そのゲノムは、小分子制御因子活性化トランス活性化因子の遺伝子を含んでなり、その遺伝子は、構成的活性型またはトランス活性化因子促進プロモーターの役割を果たす核酸配列、および複製必須ウイルス遺伝子と機能的に連結するトランス活性化因子応答性プロモーターと機能的に連結する。哺乳類対象の身体領域へのウイルスの投与に引き続いて、それは、身体領域を有効濃度の適切な小分子制御因子の対象とすることで、活性化され得る。このような活性化処置は、少なくとも1周期のウイルス複製をもたらす。複製能を有する制御ウイルスは、別の病原体からの異種遺伝子、免疫調節性ポリペプチドをコードする異種遺伝子、または別のポリペプチド、またはその双方をコードする異種遺伝子をさらに含んでなり得る。このような異種遺伝子は、トランス活性化因子応答性プロモーターの制御下、または例えば、構成的活性型プロモーターなどの別のプロモーターの制御下で発現され得る。便宜上、後者の複製能を有する制御ウイルスは、本明細書で、小分子制御因子活性化ウイルスと称される。

0025

一実施形態では、複製能を有する制御ヘルペスウイルスが提供され、そのゲノムは、小分子制御因子活性化トランス活性化因子遺伝子を含んでなり、その遺伝子は、熱ショックプロモーターの役割を果たす核酸配列、または熱ショックプロモーターならびにトランス活性化因子応答性プロモーターの役割を果たす核酸配列、および1つまたは複数の複製必須ウイルス遺伝子と機能的に連結する、1つまたは複数のトランス活性化因子応答性プロモーターと機能的に連結し、それにおいては、複製能を有する制御ヘルペスウイルスがHSV−1またはHSV−2に由来する場合は、複製必須ウイルス遺伝子の1つはICP4遺伝子またはICP8遺伝子であり、または複製必須ウイルス遺伝子の内2つはICP4およびICP8遺伝子であり、あるいは複製能を有する制御ヘルペスウイルスが別のヘルペスウイルスに由来する場合は、これらの遺伝子の機能性類似体またはオルソログである。このようなヘルペスウイルスを含んでなるワクチン組成物もまた、提供される。

0026

一実施形態では、複製能を有する制御ヘルペスウイルスが提供され、そのゲノムは、小分子制御因子活性化トランス活性化因子遺伝子を含んでなり、その遺伝子は、構成的活性型またはトランス活性化因子促進プロモーターの役割を果たす核酸配列、第1の複製必須ウイルス遺伝子と機能的に連結する、熱ショックプロモーターの役割を果たす核酸配列、および第2の複製必須ウイルス遺伝子と機能的に連結する、トランス活性化因子応答性プロモーターと機能的に連結し、それにおいては、第2の複製必須ウイルス遺伝子は、複製能を有する制御ヘルペスウイルスがHSV−1またはHSV−2に由来する場合は、ICP4遺伝子であり、または複製能を有する制御ヘルペスウイルスが別のヘルペスウイルスに由来する場合は、この遺伝子の機能性アナログまたはオルソログである。このようなヘルペスウイルスを含んでなるワクチン組成物もまた、提供される。

0027

一実施形態では、哺乳類対象において、複製能を有する制御ヘルペスウイルスがそれに由来する野性型ウイルスに対する防御免疫を誘導するために使用される、複製能を有する制御ヘルペスウイルスの有効量を含んでなる組成物が提供され、それによって、複製能を有する制御ヘルペスウイルスのゲノムは、小分子制御因子活性化トランス活性化因子の遺伝子を含んでなり、その遺伝子は、熱ショックプロモーターの役割を果たす核酸配列、または熱ショックプロモーターならびにトランス活性化因子応答性プロモーターの役割を果たす核酸配列、および1つまたは複数の複製必須ウイルス遺伝子と機能的に連結する1つまたは複数のトランス活性化因子応答性プロモーターと機能的に連結し、防御免疫は、哺乳類対象の皮膚または粘膜内のまたはその直下の領域に、組成物を投与するステップと、小分子制御因子の有効量を含んでなる組成物を哺乳類対象に投与するステップと、前記領域を複製能を有する制御ヘルペスウイルスの活性化をもたらす加熱処置の対象とするステップとによって誘導される。

0028

本発明の複製能を有する制御ウイルスは、ヘルペスウイルス科(herpesviridae)のウイルスに由来する。より具体的な実施形態では、複製能を有する制御組換えヘルペスウイルスは、HSV−1、HSV−2、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、およびバラ疹ウイルスから選択されるウイルスに由来する。

0029

特定の実施形態は、加熱および小分子制御因子活性化ウイルスまたは小分子制御因子活性化ウイルスを含んでなるワクチン組成物に関し、それによってウイルスはHSV−1またはHSV−2に由来し、トランス活性化因子制御複製必須ウイルス遺伝子は、ICP4遺伝子またはICP8遺伝子の全コピーである。より具体的な実施形態では、ウイルスはHSV−GS1と同一であり、またはHSV−GS1に由来する。さらなる実施形態は、加熱および小分子制御因子活性化ウイルスまたは小分子制御因子活性化ウイルスを含んでなる組成物に関し、それによってウイルスはHSV−1またはHSV−2に由来し、第1のトランス活性化因子制御複製必須ウイルス遺伝子は、ICP4遺伝子の全コピーであり、第2のトランス活性化因子制御または熱ショックプロモーター駆動性複製必須ウイルス遺伝子は、ICP8遺伝子である。より具体的な実施形態では、ウイルスはHSV−GS3と同一であり、またはHSV−GS3に由来する。その他の実施形態では、加熱および小分子制御因子活性化ウイルスまたは小分子制御因子活性化ウイルスは、HSV−1またはHSV−2に由来して、機能性ICP47遺伝子を欠く。このウイルスはHSV−GS4と同一であり得て、またはそれに由来する。

0030

加熱および小分子制御因子活性化ウイルスまたは小分子制御因子活性化ウイルスを含んでなるワクチン組成物の特定の実施形態では、小分子制御因子活性化トランス活性化因子は、プロゲステロン受容体からのリガンド結合ドメインを含有し、リガンド結合ドメインと相互作用してトランス活性化因子を活性化できる、プロゲステロン受容体拮抗薬またはその他の分子によって活性化される。代案としては、それはエクジソン受容体からのリガンド結合領域を含有し、リガンド結合領域と相互作用してトランス活性化因子を活性化できる、エクジステロイドジアシルヒドラジンまたはその他の分子によって活性化される。さらに別の代案では、それは、細菌テトラサイクリンリプレッサーからのリガンド結合領域を含有し、テトラサイクリンリプレッサードメインと相互作用してトランス活性化因子を活性化できる、テトラサイクリンまたはその他の分子によって活性化される。加熱および小分子制御因子活性化ウイルスまたは小分子制御因子活性化ウイルスを含んでなる組成物のさらに別の実施形態では、小分子制御因子活性化トランス活性化因子は、エストロゲン受容体からのリガンド結合ドメインを含有し、リガンド結合ドメインと相互作用してトランス活性化因子を活性化できる、エストロゲン受容体拮抗薬またはその他の分子によって活性化される。さらなる実施形態では、小分子制御因子活性化トランス活性化因子は、mTORからのFKBP12配列を含有するポリペプチドとFRB配列を含有するポリペプチドとの複合体であり、双方のポリペプチドと相互作用してトランス活性化因子を活性化できる、ラパマイシンラパマイシン誘導体またはその他の分子によって活性化される。

0031

加熱および小分子制御因子活性化ヘルペスウイルス(hepresvirus)または小分子制御因子活性化ヘルペスウイルスを含んでなる、本発明のワクチン組成物は、複製能を有する制御ウイルスの宿主域重複する宿主域を有してトランス活性化因子応答性プロモーターと機能的に連結する複製必須遺伝子を有する、第2のウイルスをさらに含んでなり得て、その結果、複製能を有する制御ウイルスのトランス活性化因子の発現および活性化は、同時感染した第2のウイルスの制御複製必須遺伝子の発現もまたもたらし、それによって第2のウイルスが複製できるようにする。後者の組成物によって引き起こされる免疫応答は、複製能を有する制御ウイルスだけでなく、第2のウイルスも対象とすることが期待される。第2のウイルスは、アデノウイルスであり得て、トランス活性化因子応答性プロモーターと機能的に連結する(第2のウイルスの)複製必須遺伝子は、E1またはE4遺伝子のどちらかまたはこれらの遺伝子の双方であり得る。

0032

代案としては、加熱および小分子制御因子活性化ヘルペスウイルスまたは小分子制御因子活性化ヘルペスウイルスを含んでなる本発明の組成物は、複製能を有する制御ウイルスの宿主域と重複する宿主域を有する第2のウイルスをさらに含んでなり得て、それによって第2のウイルスは、複製必須遺伝子を欠き、またはそれらの非機能性バージョンのみを含有して、その結果、複製必須遺伝子の欠損している機能性産物がトランスに提供される場合にのみ、自己複製し得る。この組成物中では、複製能を有する制御ウイルスは、後者の(第2のウイルスの)複製必須遺伝子の機能性バージョンを含んでなり、その遺伝子は、トランス活性化因子応答性プロモーターと機能的に連結し、その結果、複製能を有する制御ウイルスのトランス活性化因子の発現および活性化は、第2のウイルスの制御複製必須遺伝子の発現もまたもたらし、それによって第2のウイルスを補完する。後者の組成物によって引き起こされる免疫応答は、複製能を有する制御ウイルスのみでなく、第2のウイルスもまた対象とするはずである。第2のウイルスは、非機能性E1および/またはE4遺伝子を有するアデノウイルスであり得て、複製能を有する制御ウイルスから発現される複製必須遺伝子は、E1および/またはE4遺伝子であり得る。

0033

その他の実施形態は、加熱および小分子制御因子活性化ヘルペスウイルスまたは小分子制御因子活性化ヘルペスウイルスの有効量と、加熱および小分子制御因子活性化ヘルペスウイルスまたは小分子制御因子活性化ヘルペスウイルスの複製を制御するトランス活性化因子を活性化できる小分子制御因子の有効量とを含んでなる、ワクチン組成物に関する。

0034

本発明はまた、免疫化における、複製能を有する制御ヘルペスウイルスの有効量を含んでなるワクチン組成物の使用にも関する。特定の実施形態では、本発明は、免疫化における、加熱および小分子制御因子活性化ヘルペスウイルスまたは小分子制御因子活性化ヘルペスウイルスの有効量を含んでなる組成物の使用に関与する。ウイルスは、別の病原体からの異種遺伝子、免疫調節性ポリペプチドをコードする異種遺伝子、または別のポリペプチドをコードする異種遺伝子の1つまたは複数を含んでなり得る。このような異種遺伝子は、トランス活性化因子応答性プロモーターの制御下、または例えば、構成的活性型プロモーターなどの別のプロモーターの制御下で発現され得る。ウイルスおよび小分子制御因子の有効量は、同一組成物中に存在し得る。後者の組成物は、それが投与された後に活性化処置を受けた哺乳類対象において、同様の対象において、複製欠陥比較ウイルスによって誘導される免疫応答よりも、複製能を有する制御ウイルスがそれに由来する野性型ウイルスによる感染を低下させ、および/または前記野性型ウイルスの感染に引き続く、疾患重症度、疾患持続期間または死亡率を低下させるのに、より効果的な免疫応答を誘導できる(複製能を有する制御ウイルスおよび比較ウイルスは同様の組成物中で、同様の量で、同様の対象の同様の身体領域に投与される)。

0035

本発明は、その中で本発明の組成物が対象に投与される、免疫化方法もまた包含する。免疫化方法の一実施形態は、(1)発現可能異種遺伝子もまた含有してもよい、加熱および小分子制御因子活性化ヘルペスウイルスの有効量を含んでなる本発明の組成物を哺乳類対象の身体領域に投与するステップと、(2)(加熱および小分子制御因子活性化ヘルペスウイルスのトランス活性化因子を活性化できる小分子制御因子である)有効濃度の適切な小分子制御因子の身体領域中の存在下で、前記身体領域を活性化熱線量に曝露させるステップとを含んでなる。関連方法では、ウイルスおよび小分子制御因子の有効量が単一組成物中で同時投与されて、身体領域が活性化熱線量に曝露される。

0036

関連方法では、発現可能異種遺伝子もまた含有してもよい、小分子制御因子活性化ヘルペスウイルスの有効量を含んでなる本発明の組成物が身体領域に投与されて、身体領域は有効濃度の小分子制御因子に曝露される。さらなる関連方法では、ウイルスおよび小分子制御因子の有効量は、単一組成物中で同時投与される。上記の方法の派生方法では、加熱および小分子制御因子活性化ヘルペスウイルスは、有効濃度の小分子制御因子の存在下で、身体領域(接種領域)の活性化熱線量への2回以上の曝露によって2回以上活性化され得て、あるいは小分子制御因子活性化ウイルスは、身体領域の有効濃度の小分子制御因子への2回以上の曝露によって再活性化され得る(2回以上の活性化が、ウイルスクリアランスに先だって起こるという条件で)。

0037

本発明の組成物がそれに投与される身体領域(接種部位領域)は、対象の身体表面または体内の任意の領域であり得て、その領域に、例えば、熱線量および/または有効用量の適切な小分子制御因子などの活性化処置が施され得る。身体領域は、対象の体躯または四肢の任意の場所に位置する皮膚または皮下の領域であり得る。好ましくは、組成物の投与は、対象の上肢に位置する、皮膚または皮下の領域への投与であり得る。投与はまた、対象のまたは気道、または開口部粘膜への投与であり得る。もう一つの好ましい身体領域は、対象の鼻粘膜である。

0038

一実施形態では、(1)加熱および小分子制御因子活性化ウイルスの有効量を含んでなる組成物を哺乳類対象の身体領域に投与するステップと、(2)有効濃度の(加熱および小分子制御因子活性化ウイルスのトランス活性化因子を活性化できる小分子制御因子である)適切な小分子制御因子の身体領域中の存在下で、前記身体領域を活性化熱線量に曝露させるステップとを含んでなる、免疫化する方法が提供される。一実施形態では、ウイルスおよび小分子制御因子の有効量が単一組成物中で同時投与されて、身体領域が活性化熱線量に曝露される。一実施形態では、ウイルスおよび小分子制御因子の有効量が別々に同時投与されて、身体領域が活性化熱線量に曝露される。一実施形態では、組成物は、本明細書に記載される任意のワクチン組成物である。一実施形態では、ウイルスは、本明細書に記載される複製能を有する制御ヘルペスウイルスを含んでなる、任意のウイルス組成物である。一実施形態では、方法は、対象をヘルペス性疾患または病状に対して免疫化する方法である。一実施形態では、ステップ(1)および(2)は、任意選択的に少なくとも1週間、1ヶ月間などの間隔で、さらに2回以上のサイクルにわたり反復される。任意選択的に、組成物の投与は、対象の体肢に位置する、皮膚または皮下の領域への投与であり得る。

0039

一実施形態では、(1)加熱および小分子制御因子活性化ヘルペスウイルスの有効量を含んでなる組成物を哺乳類対象の身体領域に投与するステップと、(2)有効濃度の(加熱および小分子制御因子活性化ヘルペスウイルスのトランス活性化因子を活性化できる小分子制御因子である)適切な小分子制御因子の身体領域中の存在下で、前記身体領域を活性化熱線量に曝露させるステップとを含んでなる、対象において実質的にウイルスの1周期の複製を達成する方法が提供される。任意選択的に、先行する活性化処置後の1日から数日間以内にステップ2を反復することで、複数の複製周期が達成され得る。一実施形態では、ウイルスおよび小分子制御因子の有効量が単一組成物中で同時投与されて、身体領域が活性化熱線量に曝露される。一実施形態では、ウイルスおよび小分子制御因子の有効量が別々に同時投与されて、身体領域が活性化熱線量に曝露される。一実施形態では、組成物は、本明細書に記載される任意のワクチン組成物である。一実施形態では、ウイルスは、本明細書に記載される複製能を有する制御ヘルペスウイルスを含んでなる、任意のウイルス組成物である。一実施形態では、方法は、対象をヘルペス性疾患または病状に対して免疫化する方法である。任意選択的に、組成物の投与は、対象の体肢に位置する、皮膚または皮下の領域への投与であり得る。

0040

一実施形態では、
(i)選択された野性型ヘルペスウイルスからの核酸配列を選択された遺伝子内挿入部位の側面に挿入することで、第1の前駆型組換えベクターを調製するステップと、
(ii)熱ショックプロモーターの役割を果たす核酸配列または熱ショックプロモーターならびにトランス活性化因子応答性プロモーターの役割を果たす核酸配列と機能的に連結する、小分子制御因子活性化トランス活性化因子の遺伝子を含んでなる、トランス活性化因子遺伝子カセットを側面のウイルスヌクレオチド配列間の部位にある第1の前駆物質組換えベクター中に挿入することで、第1の組換えベクターを調製するステップと、
(iii)第1の組換えベクターと野性型ビリオンDNAとで同時形質導入された細胞内の組換えによって、野性型ヘルペスウイルスゲノム中に遺伝子カセットを導入し、子孫ウイルスのゲノム内の遺伝子カセットの存在を検出することで第1の組換えウイルスを同定し、それからビリオンDNAを調製するステップと、
(iv)野性型ヘルペスウイルスからの核酸配列を制御のために選択された複製必須ウイルス遺伝子のプロモーター領域側面に挿入することで、第2の前駆型組換えベクターを調製するステップと、
(v)トランス活性化因子応答性プロモーターを側面のウイルスヌクレオチド配列間の部位にある第2の前駆型組換えベクターに挿入することで、第2の組換えベクターを調製するステップと、
(vi)第2の組換えベクターと第1の組換えウイルスのビリオンDNAとの細胞同時形質導入組換えによって、トランス活性化因子応答性プロモーターを第1の組換えウイルスのゲノム内に導入し、子孫ウイルスのゲノム内のトランス活性化因子応答性プロモーターの存在を検出することで、第2の組換えウイルスを同定し、トランス活性化因子遺伝子カセットとトランス活性化因子制御複製必須ウイルス遺伝子との双方を含有する、子孫ウイルスの系統を調製するステップとを含んでなる、複製能を有する制御ヘルペスウイルスを製造する方法が提供される。一実施形態では、トランス活性化因子応答性プロモーターが野性型ヘルペスウイルス中に挿入されて、第1の組換えウイルスが生成され、トランス活性化因子カセットが第1の組換えウイルス中に挿入される。

0041

方法のいずれでも、特に「発明の詳細な説明」をはじめとする)本出願に記載される任意のステップを含んでなるとして、さらに特徴付けられ得る。本発明は、本明細書に記載される組成物を同定、試験および/または製造する方法にさらに関する。本開示は、医薬品、特にワクチン、本明細書で開示される組成物の調合物にさらに関する。本開示は、例えば、ヘルペス性疾患または病状などの疾患の治療または予防法において、組成物を使用する方法にさらに関する。

図面の簡単な説明

0042

図1は、ルシフェラーゼ標的遺伝子を制御する、抗黄体ホルモンミフェプリストン装備および熱活性化(または加熱および抗黄体ホルモン(ミフェプリストン)活性化)SafeSwitchを提示する。Vilaboa,N.and Voellmy,R.(2009)Deliberate regulation of therapeutic transgenes.In:Gene and Cell Therapy:Therapeutic Mechanisms and Strategies,Third Edition(Smyth Templeton,N.ed.)CRCPress,Boca Raton,FL,pp.619−36からの転載。
図2は、ヒト系統の安定形移入細胞内のSafeSwitch性能に関する。上部パネル:43℃での活性化加熱処置(HS)の1日後における標的遺伝子活性。下部パネル:ミフェプリストン(Mif)の存在下における、加熱活性化(43℃/2時間)の1日(1d)および6日(6d)後の遺伝子活性、および活性化の可逆性。*Mifは、HSの1日後に洗い流された。Vilaboa,N.and Voellmy,R.(2009)からの転載。
図3は、Vero細胞内のHSV−GS1を用いた一段成長実験に関する。(A)複製の制御可能性。4つの基本的な条件が試験された。(1)10nMミフェプリストンの存在下(活性化処置)における、43.5℃で30分間の加熱処置(2)加熱処置のみ、(3)ミフェプリストン曝露のみ、および(4)無処理。加熱処置は、感染直後(すなわち、ウイルス接種材料除去の直後)に施された。(B)活性化処置の存在下または不在下における、野性型17syn+株およびHSV−GS1の複製効率の比較。加熱処置は、感染の4時間後に適用された。Mif:ミフェプリストン。PFU/ml値および標準偏差が示される。
図4は、HSV−GS3を用いた一段増殖実験に関する。(A)ICP8発現プラスミド(HSV−GS3)で形質移入されたE5細胞(17syn+)またはE5細胞内における、活性化処置の存在下または不在下における、野性型17syn+株およびHSV−GS3の複製効率の比較。(B)Vero細胞内のHSV−GS3の複製の制御。(C)SCC−15細胞内の類似実験で試験された4つの基本的な条件の説明については、図3説明文を参照されたい。これらの実験では、加熱処置が感染直後に施された。PFU/ml値および標準偏差が示される。
図5は、HSV−GS3で感染させたVero細胞内における、ウイルスDNA複製および転写の制御に関する。複数の感染培養物が、パネルに示される処理を受けた。加熱処置(43.5℃で30分間)は、感染の4時間後に施され、培養物のセットが1、4、12、および24時間後に収集されて、DNAおよびRNAが抽出され、それぞれqPCRおよびRT−qPCRによって分析された。Uli:ウリプリスタル。(A)HSV DNA。(B)ICP4 RNA。(C)gC RNA。値および標準偏差は、各パネル中の最大値に対して正規化された。
図6は、マウス足蹠モデルにおける、HSV−GS3 DNA複製および転写の制御、およびHSV−GS3とKD6の間の複製収率の比較に関する。成体非近交系マウスは、軽く擦過された後肢の足蹠に、1×105PFUのHSV−GS3またはKD6が接種された。感染の時点で、示される用量のウリプリスタルが腹腔内投与された。ウイルス投与の3時間後に、45℃で10分間の局在性の加熱処置が実施された。マウスは、加熱処置の24時間後(パネルA〜C)、または4日後(パネルD)に殺処分されて、DNAおよびRNAが肢および後根神経節(DRG)から単離され、それぞれPCRおよびRT−qPCRによって分析された。(A)HSV DNA。(B)ICP4 RNA。(C)gC RNA。(D)加熱処置の4日後のHSV DNA。値および標準偏差は、各パネル中の最大値に対して正規化された。ND:検出なし。

0043

本明細書において、下でまたは他の箇所で特に断りのない限り、全ての用語は、関連技術分野におけるそれらの通常の意味を有するのもとする。

0044

「ウイルスの複製」または「ウイルス/ウイルス性複製」は、ウイルス粒子の増殖を意味するものと理解される。複製は、例えば、ウイルスのプラーク形成単位(pfu)などの伝染性ウイルスの数の判定によって測定されることが多い。しかし、複製はまた、例えば、リアルタイムPCR法などのウイルスDNA量の測定、例えば、遺伝子転写物のRT−PCRなどのウイルス遺伝子発現レベルの測定などの生化学的方法によっても評価され得る。しかし閾値効果のために、ウイルスDNAまたはウイルス遺伝子転写物またはタンパク質産物のレベルのわずかな増大は、対応するウイルス複製のわずかな増大に転換されなくてもよいものと理解される。

0045

「タンパク質毒性ストレス」は、タンパク質アンフォールディングの増大をもたらし、新規合成ポリペプチド成熟を低下させ、または適切に折り畳みできないタンパク質の合成を引き起こす、物理的または化学的傷害である。

0046

「小分子制御因子」は、本発明に関連して使用される、トランス活性化因子の低分子量リガンドであると理解される。小分子制御因子は、トランス活性化因子を活性化できる。小分子制御因子は、必ずしもそうではないが、典型的に、約1000ダルトン(1kDa)より小さい。

0047

「トランス活性化因子」という用語は、小分子制御因子によって活性化されると、トランス活性化因子応答性プロモーターによって制御される遺伝子の転写にプラス方向の影響を及ぼし得る、非ウイルス性で、典型的に、遺伝子操作された転写因子を指すために、本明細書で使用される。

0048

「活性化」は、トランス活性化遺伝子に関連して使用されると、遺伝子の発現速度が、活性化前よりも活性化後に、測定可能な程度に大きいことを意味する。トランス活性化因子に関連して使用されると、「活性」または「活性化」は、トランス活性化能力がある、トランス活性化因子の形態を指す。

0049

「熱ショック遺伝子のプロモーター」、「熱ショック遺伝子プロモーター」、および「熱ショックプロモーター」は、同意語として使用される。「熱ショックプロモーターの役割を果たす核酸」は、熱ショックプロモーター、または熱ショックプロモーター内に存在するタイプの配列要素を含有する核酸であり得て、その要素は、機能的に連結する遺伝子に加熱活性化をもたらす。

0050

本明細書では、そのゲノムが外来性(異種)非ウイルスまたはウイルス遺伝子を含むウイルスは、「ウイルス」または「ウイルスベクター」のどちらかで言及される。

0051

「複製能を有する制御ウイルス」は、その複製能力が意図的に活性化され得る、遺伝子スイッチの制御下にある組換えウイルスである。

0052

「組換えウイルス」は、特に、実験者によって改変されているウイルスを指す。多くの場合、「組換えウイルス」は、単に「ウイルス」と称される。

0053

「複製必須遺伝子」または「効率的複製に必須の遺伝子」は、その機能喪失が複製効率を10倍以上低下させるウイルス遺伝子として、本明細書において自由裁量で定義される。複製効率は、例えば、一段増殖実験で推定され得る。多くのウイルスでは、どの遺伝子が複製必須遺伝子であるかは周知である。例えば、ヘルペスウイルスについては、Nishiyama,Y.(1996)Herpesvirus genes:molecular basis of viral replication and pathogenicitiy.Nagoya L.Med.Sci.59:107−19を参照されたい。

0054

「複製能を有する制御ウイルスの有効量」は、対象への単回または反復投与と、それに続く活性化に際して、複製能を有する制御ウイルスがそれに由来する野性型ウイルスによる感染に対する対象の耐性を検出可能に促進し、および/または前記野性型ウイルスによる感染に引き続いて疾患重症度、疾患持続期間または死亡率を検出可能に低下させるような、ウイルスの量である。同様の組成物中で同様の対象の同様の身体領域に投与される、複製欠陥比較ウイルスの対応量は、このような機能性免疫のより低いレベルを誘導する。

0055

「小分子制御因子の有効量」は、所望の経路によって対象に投与されると、加熱および小分子制御因子活性化ウイルスを(加熱処置との併用で)同時活性化でき、または小分子制御因子活性化ウイルスを活性化できる量であり、それによって対象が同時に接種されているまたは接種されるであろうウイルスは、接種部位領域において1周期の複製(または小分子制御因子活性化ウイルスの場合は、少なくとも1周期の複製)を受ける。

0056

「対象」または「哺乳類対象」は、哺乳類動物またはヒトである。

0057

「熱ショック遺伝子」は、遺伝子を含有する細胞が、その通常の増殖温度を超える温度に曝露されると、その活性が増大される、任意の真核生物からの任意の遺伝子として、本明細書で定義される。典型的に、このような遺伝子は、細胞が通常曝露される温度が3〜10℃上昇すると、活性化される。熱ショック遺伝子は、「古典的」熱ショックタンパク質の遺伝子、すなわち、Hsp110、Hsp90、Hsp70、Hsp60、Hsp40、およびHsp20−30を含んでなる。それらはまた、MDR1、ユビキチン、FKBP52、ヘムオキシダーゼ、およびその他のタンパク質の遺伝子などのその他の加熱誘導性遺伝子も含む。これらの遺伝子のプロモーターである「熱ショックプロモーター」は、そのモジュールが交互の方向に配列される、タイプNGAANまたはAGAANの完全なまたは不完全な配列モジュールからなる、熱ショック要素(HSE)と称される、特徴的な配列要素を含有する。(Amin,J.et al.(1988)Key features of heat shock regulatory elements.Mol.Cell.Biol 8:3761−3769;Xiao,H.and Lis,J.T.(1988)Germline transformation used to define key features of heat−shock response elements.Science 239:1139−1142;Fernandes,M.et al.(1994)Fine structure analyses of the Drosophila and Saccharomyces heat shock factor−heat shock element interactions.Nucleic AcidsRes.22:167−173)。これらの要素は、全ての真核細胞で高度に保存され、例えば、ミバエからの熱ショックプロモーターは、カエルの細胞内で機能性であり加熱制御される。(Voellmy,R.and Rungger,D.(1982)Transcription of a Drosophila heat shock gene is heat−induced in Xenopus oocytes.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:1776−1780)。HSE配列は、熱ショック転写因子(HSF;Wu,C.(1995)Heat shock transcription factors:structure and regulation.Annu.Rev.Cell Dev.Biol.11,441−469で概説される)の結合部位である。加熱またはタンパク質毒性ストレスに曝露された脊椎動物細胞内における、熱ショック遺伝子の活性化に関与する主な要因は、熱ショック転写因子1である(本明細書で「HSF1」と称される)(Baler,R.et al.(1993)Activation of human heat shock genes is accompanied by oligomerization,modification,and rapid translocation of heat shock factor HSF1.Mol.Cell.Biol.13:2486−2496;McMillan,D.R.et al.(1998)Targeted disruption of heat shock factor 1 abolishes thermotolerance and protection against heat−inducible apoptosis.J.Biol.Chem.273,7523−7528)。本明細書で考察される複製能を有する制御ウイルスで使用される好ましいプロモーターは、誘導性hsp70遺伝子からのものである。特に好ましい熱ショックプロモーターは、ヒトhsp70B遺伝子のプロモーターである(Voellmy,R.et al.(1985)Isolation and functional analysis of a human 70,000−dalton heat shock protein gene fragment.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82,4949−4953)。

0058

「ワクチン」は、典型的に、死滅、複製欠陥または別の様式で弱毒化された微生物を含んでなる、組成物を指す。本明細書では、用語は拡大されて、それらが投与された対象において免疫応答を誘導し得る、複製能を有する制御ウイルスを含んでなる組成物もまた含む。

0059

背発明景の下で間接的に触れたように、それぞれ、効果的またはより効果的であるためには、ヘルペス、HIV、結核またはインフルエンザなどの疾患を予防または治療するための改善されたワクチン候補は、強力なエフェクターT細胞反応もまた含む、均衡のとれた免疫応答を惹起する必要があるというのが、現行の考えのようである。本発明は、活性化されると、それぞれの野性型ウイルスに近い効率で自己複製する、複製能を有する制御ウイルスに関する。本発明者らは、これらの組換えウイルスおよびそれらが発現する任意の異種タンパク質が、均衡のとれた免疫応答を惹起する、強力な免疫原になるという仮説を立てた。

0060

提案される免疫化の新規アプローチは、注意深く制御された様式で、選択されたウイルスベクターに非弱毒型複製能を持たせることを意図する。基本的概念は、種痘として知られている、天然痘予防に対する歴史的アプローチを参照して例示されてもよい。Flower,D.R.(2008)Bioinformatics for vaccinology.John Wiley & Sons;Henderson,D.A.et al.(2008)Smallpox and vaccinia.In:Vaccines(Plotkin,S.A.et al.,eds.)5th edition.2008.Saunders Elsevier。最初のワクチンより前にさかのぼる手法は、天然痘から回復しつつあるヒトからの乾燥瘡蓋または膿疱性体液を典型的に皮下に、健康人に接種することに関する。それが慣例的に実施されていた当時(ヨーロッパおよび米国では19世紀初頭まで、アフリカおよびアジアの辺境では20世紀の少なくとも後半まで)、手法は、約0.5〜2%の感染後致死率を有し、これは疾患によって引き起こされる約20〜30%の死亡率と比較して遜色がない。種痘は、ヒトに天然痘に対する免疫を持たせるのに効果的であった。この手法がこれほど功を奏したいくつかの理由があるかもしれない一方で、一つには接種部位の選択に関連するようである:天然痘(すなわち、痘瘡ウイルス)は、小さなエアロゾル液滴の形態で肺に入る。ウイルスは、そこから迅速に広がる。皮下接種された場合、進行はより緩慢であり、免疫系が初期段階で疾患に追いつける。かなりの感染後致死率の理由から、Edward Jennerの予防接種法が一般的に利用できるようになると、それは迅速に種痘法に取って代わった。種痘は、別の深刻な問題を抱えていることが、さらに注目される痘苗を接種された人々は、一定期間、感染性である。この期間中、特に、彼らは典型的に病気でなく、または軽度にのみ病気であるため、彼らは動き回ることができ、ウイルスを未感作の人々に拡散する。

0061

種痘によって例示される、無害局所部位病原性微生物因子を投与し、因子を局限定期間にわたり局所的に激しく増殖させ、その結果、強力な先天性および適応性免疫応答を誘発することで、対象において免疫を誘導する基本手順は、(1)免疫化ウイルス因子の増殖が、選択される接種領域に効果的に限定され、ならびに短い時間に限定されることが保証され得る、(2)接種部位または他の箇所における顕著なウイルス複製再発の可能性が、予防され得る、(3)免疫化対象による病原性ウイルス内転移可能性が排除され得るのであれば、安全にされ得る。本明細書で考察される複製能を有する制御ウイルスが関与する新規免疫法は、この必要な安全性を提供するという特定の目的で開発されている。野性型ウイルスは、少なくとも1つの選択された複製必須遺伝子を,広範なダイナミックレンジを有し、すなわち、本質的にオンオフスイッチとして機能する遺伝子スイッチの制御下に置くことで、遺伝的に改変されている。最も好ましいのは、例えば、Vilaboa,N.et al.(2011)Gene switches for deliberate regulation of transgene expression:recent advances in system development and uses.J.Genet.Syndr.Gene Ther.2:107で考察された、加熱および小分子制御因子活性化(二重応答性)遺伝子スイッチである。SafeSwitchと称されるこの種の特定の遺伝子スイッチ(加熱および抗黄体ホルモンによって同時活性化される)は、実施例で使用され、図1に例示される。特に指示がない限り、続く説明は、その複製が、このような二重応答遺伝子スイッチの制御下に置かれているウイルスに関する。しかし、説明はまた、本発明のその他の複製能を有する制御ウイルス(すなわち、その他の加熱および小分子制御因子活性化ウイルスおよび小分子制御因子活性化ウイルス)にも関連がある。

0062

このように修飾されたウイルス、複製能を有する制御(組換え)ウイルスの複製は、二重応答遺伝子スイッチが、適切な小分子制御因子を備え、ならびに一過性の加熱処置(火傷または疼痛を引き起こすレベル未満であるが、熱のある患者において遭遇されてもよいレベルを超える)によって起動された場合にのみ起こる。ひとたび遺伝子スイッチが活性化されたら、ウイルスは、ウイルスタンパク質の完全補体(または所望のウイルスタンパク質補体、そして任意選択的に、異種RNAまたはタンパク質)を発現し、野性型ウイルスに近い効率で自己複製する。

0063

加熱は、容易に焦点を合わせることができる。(小分子制御因子の存在下における)二重応答遺伝子スイッチの活性化を始動する、複製能を有する制御ウイルスが投与された身体領域(すなわち、接種部位)に焦点を置いた加熱の投与は、加熱領域に厳密に限定されるウイルス複製をもたらす。加熱および小分子制御因子に対する二重の必要性は、偶発的ウイルス複製に対する、高レベルの安全保証を提供することを意図する。小分子制御因子の不在下では、ウイルスの活性化/再活性化は、実質的に不可能である。同様に、同時の加熱処置の不在下では、ウイルス複製は、通常は活性化されない。

0064

装備小分子制御因子は、いくつかの基準を満たす必要がある。最重要であるのはその物質が安全であり;悪影響は、最大でも極めて低率で生じるべきであり、通常穏和な性質であるべきである。理想的には、選択される小分子制御因子は、ヒトの治療で使用されない化学物質に属するであろう。しかし、さもなければヒトの治療のために開発されていない任意の物質が、免疫法において小分子調節剤として使用され得る前に、それは大規模な前臨床および臨床試験を受けなればならない。さもなければ免疫化の対象になる特定集団に投与されることがない、既知の良好に特性解析された原薬を選択する方が、より効率的なこともある。代案としては、(1)免疫化後、少なくとも最初の数週間以内に、対象に投与される必要がなく、(2)好ましくは医療管理下で、短期発型投与にのみに適応される、既知の原薬が選択されてもよい。したがって、潜在的な低レベルのリスクは、その間に免疫化ウイルスが全身性に存在する期間中の原薬投与の回避によって、さらに低下される。医療管理下における散発型の原薬使用は、免疫化ウイルスの任意の顕著な偶発性複製が迅速に診断され、抗ウイルス手段が遅滞なく取られることを保証するであろう。本明細書に記載される例証的ステムでは、装備小分子制御因子は、例えば、ミフェプリストンまたはウリプリスタルなどのプロゲステロン受容体(PR)拮抗物質または抗黄体ホルモンである。ミフェプリストンおよびウリプリスタルは、典型的に、免疫化後に間もなく投与される必要がなく、まれにのみ(そして集団の特定区分でのみ)および医療管理下でのみ使用されるという、後者の要件を満たす。ミフェプリストンおよびウリプリスタルは、優れた安全記録を有する。

0065

新規免疫法がどのように実施され得るかは、以下の具体例で例示される。複製能を有する制御ウイルスの有効量と、小分子制御因子の有効量とを含んでなる組成物は、対象に皮内または皮下投与される。投与後間もなく、加熱パッチが活性化されて、対象または医師のどちらかによって、接種部位に適用される。約43.5〜45.5℃(皮膚に接触するパッチ表面の温度)での加熱は、約10〜60分間にわたる。後者の加熱処置は、1周期のウイルス複製を始動するであろう。もう1周期の複製が所望であれば、後から適切な時点で、接種部位に、もう1つの活性化パッチが適用される。免疫法が逐次加熱処置を伴う場合、小分子制御因子はまた、逐次投与される必要があってもよい。代案としては、徐放製剤を使用して、その間にウイルス複製が所望される期間にわたる、接種部位領域中の有効濃度の小分子制御因子の存在が保証されてもよい。

0066

より一般的には、本発明の複製能を有する制御ウイルスが投与される身体領域、すなわち、接種部位領域は、任意の適切な方法によって加熱されてもよい。熱は、加熱表面または加熱液体、超音波赤外線、またはマイクロ波または高周波照射への直接接触をはじめとする、異なる手段によって標的領域に送達され、またはその中で生成されてもよい。上記特定例で提案されるように、実用的かつ安価な解決策は、機械擾乱によって結晶化され得て、使用される化学物質の融解温度で熱を放出する過冷却液体を含有する、パッチ(または例えば、粘膜表面を加熱するための円柱または錐体などのその他の形状の類似装置など)を加熱することで提供されてもよい。有用な化学物質は、約48℃の融解温度を有するチオ硫酸ナトリウム五水和物であってもよい。米国特許第3,951,127号明細書、米国特許第4,379,448号明細書、および米国特許第4,460,546号明細書。技術は容易に利用でき、既にいくつかの医療製品で使用されている。

0067

「活性化熱線量」は、接種部位領域中の細胞内において、HSF1の一過性の活性化を引き起こす熱線量である。この転写因子の活性化は、熱線量に曝露されていない細胞内に存在するレベルを超える、加熱誘導性熱ショック遺伝子のRNA転写物の検出可能に増大したレベルによって証明される。代案としては、それは、このような熱ショック遺伝子のタンパク質産物の量の検出可能な増大として証明されてもよい。さらに、活性化熱線量は、有効濃度の適切な小分子制御因子の存在下における、複製能を有する制御ウイルスの複製の発生によって証明されてもよい。

0068

活性化熱線量は、約1分間〜約180分間にわたり、約41℃〜約47℃の温度で、標的領域に送達され得る。熱線量は、曝露温度と曝露時間の双方の関数であることに留意されたい。したがって、同様の熱線量は、温度範囲下端の曝露温度と時間範囲上端の曝露時間との組み合わせ、または温度範囲上端の曝露温度と時間範囲下端の曝露時間との組み合わせによって達成され得る。好ましくは、熱曝露は、約5分間〜約150分間にわたる、約42℃〜約46℃の温度である。最も好ましくは、加熱処置は、約10分間〜約60分間にわたり、約43.5℃〜約45.5℃の温度で施される。

0069

接種部位領域中の小分子制御因子の有効濃度は、適切な熱線量もまた受けた領域中の感染細胞内で、複製能を有する制御ウイルスが(1周期の)複製ができるようにする濃度である。有効濃度が何であるかは、その標的トランス活性化因子に対する小分子制御因子の親和性に依存する。このような有効濃度がどのようにして得られるか、そしてどれほど長く維持されるかもまた、特定の小分子制御因子の薬物動態に依存し、それは次に、小分子制御因子の投与経路、小分子制御因子の代謝および排出経路、検査される対象、すなわち、対象のタイプ(ヒトまたはその他の哺乳類)、その年齢、病状、体重などに依存する。これは、投与される組成物のタイプ、すなわち、組成物が調節物質即時放出または徐放を可能にするどうかにさらに依存する。いくつかの良好に特性解析された小分子制御因子トランス活性化因子システムでは、特定の実験対象における有効濃度が推定されており、文献から入手できる。これは、プロゲステロン受容体、エクジソン受容体、エストロゲン受容体、およびテトラサイクリンリプレッサーに基づくシステム、ならびにダイマライザーシステム、すなわち、ラパマイシンまたは(非免疫抑制類似体をはじめとする)類似体、またはFK506または類似体によって活性化されるトランス活性化因子にあてはまる。例えば、ラットにおける有効濃度のミフェプリストンは、体重1kg当たりわずか5μgのミフェプリストン(5μg/kg)のi.p.(腹腔内)投与によって得られ得る。小分子制御因子が経口投与される場合、量はおよそ2倍(約10μg/kg)でなければならない。Wang,Y.et al.(1994)A regulatory system for use in gene transfer.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:8180−84。選択された経路による投与時に有効濃度をもたらす小分子制御因子の量は、当該小分子制御因子の有効量と称される。有効濃度をもたらす小分子制御因子の有効量がどのように判定され得るかは、十分に当業者技能の範囲内であり、実施例セクションでもまた取り扱われる。

0070

新規免疫法がどのように実施されてもよいかという前述の特定例では、本発明の複製能を有する制御ウイルス(加熱および小分子制御因子活性化ウイルス)と、適切な小分子制御因子とが、単一組成物中で同時投与される。複製能を有する制御ウイルスおよび小分子制御因子はまた、別々の組成物中で投与され得る。免疫化ウイルスおよび小分子制御因子の局所同時投与は、小分子制御因子の可能な副次的影響の最小化、免疫化期間中にウイルスが全身性に自己複製し得るという既にわずかである可能性のさらなる低下、および小分子制御因子排除の環境影響の最小化をはじめとするいくつかの理由から、有利なようである。これらの利点にもかかわらず、小分子制御因子は、例えば、経口経路などの全身経路によって投与されてもよく、それは、特定の投与経路について試験された選択された原薬の製剤が、既に利用可能である場合に、好ましいこともある。複製能を有する制御ウイルスの接種、適切な熱線量の投与、および小分子制御因子の有効量の投与の相対的タイミングは、二重応答遺伝子スイッチ抑制の動作必要条件派生的である。典型的に、免疫化ウイルスの接種は、加熱処置に先行する。これは、熱ショック転写因子(HSF1)の加熱活性化が一過性であり、活性化因子が最大で、活性化後の数時間以内に不活性状態に戻るためである。ウイルスゲノム中に存在する二重応答性トランス活性化因子遺伝子は、後者の短時間の因子活性中に、HSF1媒介転写のために利用可能でなくてはならない。後者の遺伝子が転写に利用可能になるためには、免疫化ウイルスは、宿主細胞吸着されて細胞に侵入し、解体してそのゲノムを細胞転写機構に提示しなくてはならない。好ましくはないが、免疫化ウイルス投与の直後に(または直前にさえ)接種部位領域を熱曝露させることが可能である。典型的に、接種部位領域は、ウイルス投与の約30分間〜約10時間後の時点で熱曝露されるが、加熱処置は、なおも後時に施されてもよい。小分子制御因子の投与については、1日から数日間にわたり、全身的に、または特に接種部位領域中において、有効濃度を維持することが可能なので、典型的により融通性があるであろう。その結果、小分子制御因子は、ウイルス投与に先だって、その時点で、またはそれに引き続いて、投与され得て、唯一の必要条件は、標的トランス活性化因子が、ウイルス複製を可能にするその役割を果たすのに要する時間にわたり、調節物質が接種部位領域中に有効濃度で存在することである。典型的に、この時間は、一周期の誘導性ウイルス複製の完了に要する時間に相当する。典型的に、1周期のウイルス複製は、約1日以内に完成する。

0071

先に間接的に触れたように、新規免疫法では、複製能を有する制御ウイルスを1回または数回自己複製させてもよい。複製は、先の1周期の複製の1日から数日後に再誘導されてもよい。このような反復される複製は、対象におけるウイルス負荷の増大に役立つであろう。1周期の複製が起こるためには、複製能を有する制御ウイルスで感染させた標的細胞に、活性化熱線量を投与する必要があり、後者の細胞がその一部である組織(接種領域)は、有効濃度の小分子制御因子を含有しなくてはならない。

0072

免疫化は、投与される複製能を有する制御ウイルスの一部が、焦点/局在性加熱処置を受け得る狭い画定領域内で細胞に感染し、後者の細胞内のウイルスの複製が(疾病または過度不快感を引き起こすことなく)所望の免疫応答を引き起こすという条件で、任意の適切な経路により得る。免疫化ウイルスが投与される身体領域(接種部位領域)は、対象の体躯または四肢の任意の場所に位置する、皮膚または皮下領域であってもよい。好ましくは、複製能を有する制御ウイルスを含んでなる本発明の組成物の投与は、対象の上肢に位置する、皮膚または皮下領域への投与であってもよい。投与はまた、対象の肺または気道、または開口部粘膜への投与であってもよい。これは、対象の鼻粘膜を含む。

0073

二重応答遺伝子スイッチは、(1)熱およびトランス活性化因子に応答性のプロモーターまたはプロモーターカセットと機能的に連結する、小分子制御因子活性化トランス活性化因子遺伝子、および(2)目的遺伝子を調節するためのトランス活性化因子に対して応答性のプロモーターからなる。Vilaboa,N.et al.(2005)Novel gene switches for targeted and timed expression of proteins of interest.Mol.Ther.12:290−8。図1は、ミフェプリストン(およびウリプリスタル)依存キメラトランス活性化因子GLp65(またはglp65)が組み込まれた、二重応答遺伝子スイッチ(「SafeSwitch」と称される特定の遺伝子スイッチ)の一例を示す。このトランス活性化因子は、酵母転写因子GAL4からのDNA結合ドメイン、ヒトプロゲステロン受容体からの領域トランケート型リガンド結合、およびヒトRelAタンパク質からのトランス活性化領域を含んでなる。Burcin,M.M.et al.(1999)Adenovirus−mediated regulable target gene expression in vivo.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:355−60;Ye,X.et al.(2002)Ligand−inducible transgene regulation for gene therapy.Meth.Enzymol.346:551−61。遺伝子スイッチおよび標的遺伝子を含有する細胞内では、例えば、ミフェプリストンなどの小分子制御因子、または活性化加熱処置の不在下で、標的遺伝子が発現されることは予期されない。細胞が適切な強度の加熱処置を受けると、妥当な強度、(内在性)熱ショック転写因子1(HSF1)が活性化されて、トランス活性化因子遺伝子からの転写が開始される。短時間後に、HSF1は不活性化されて、HSF1駆動性のトランス活性化因子の発現が中断する。小分子制御因子不在下では、合成されたトランス活性化因子は不活性のままであり、最終的に分解によって除去される。しかし、小分子制御因子の存在下では、トランス活性化因子は活性化されて、それ自身の遺伝子からのならびに標的遺伝子からの発現を媒介する。結果として、小分子制御因子がなおも存在する限り、特定のトランス活性化因子レベルが維持され、標的タンパク質は(理論的には)合成され続ける。小分子制御因子の除去/排除は、トランス活性化因子の不活性化を引き起こす。標的ならびにトランス活性化因子遺伝子発現は低減して、最終的に中断され、システムはそれ自体をリセットするであろう。

0074

ミフェプリストン装備および熱活性化SafeSwitchは、一過性形質移入形式および安定細胞株形式で生体外で、そして遺伝子スイッチおよび標的遺伝子のマウス腓腹筋筋肉中への電気穿孔後に生体内で、広範に試験された。Vilaboa et al.(2005)。遺伝子スイッチとルシフェラーゼ標的遺伝子とを安定して含有する細胞株を用いた実験から得られた結果が、図2に転載される。データは、システムが意図されたように機能したことを示す。ミフェプリストン不在下では、細胞が活性化加熱処置を受けた場合でさえ、本質的に、標的化タンパク質発現は起こらなかった。ミフェプリストン存在下における加熱処置は、標的遺伝子発現の活性化をもたらしたが、不在下ではもたらさなかった。熱閾値が比較的上昇したことに留意されたい。43℃で1時間の加熱処置でさえ、準最大活性化のみをもたらした。標的遺伝子発現の活性化は、明確に加熱用量依存性である。単回加熱処置は、持続性の標的遺伝子発現を少なくとも6日間誘導したが、ミフェプリストンの継続的存在下でのみ誘導した。活性化に引き続くミフェプリストンの除去は、標的遺伝子発現の中断をもたらした(動揺性標的遺伝子産物消失によって証明される)。

0075

ラパマイシンまたは非免疫抑制ラパマイシン誘導体の存在下で、加熱処置によって活性化される、相似性の二重応答遺伝子スイッチもまた、開発された。Martin−Saavedra,F.M.et al.(2009)Heat−activated,rapamycin−dependent gene switches for tight control of transgene expression.Hum.Gene Ther.20:1060−1。ZFHD1結合部位を含有するプロモーター(最初に、Rivera,V.M.et al.(1996)A humanized system for pharmacologic control of gene expression.Nat.Med.2:1028−32に記載された)、またはGAL4プロモーターによって駆動される、標的遺伝子をトランス活性化できる、2つの異なるバージョンがそれぞれ調製された。

0076

二重応答遺伝子スイッチまたは関連遺伝子スイッチに組み込まれ得る(than can be)小分子制御因子活性化トランス活性化因子のその他の例としては、テトラサイクリン/ドキシサイクリン制御tet−onリプレッサー(Gossen,M.and Bujard,H.(1992)Tight control of gene expression in mammalian cells by tetracycline−responsive promoters.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89,5547−5551;Gossen,M.et al.(1996)Transcriptional activation by tetracyclines in mammalian cells.Science 268,1766−1769)および昆虫エクジソン受容体のリガンド結合領域を含有するトランス活性化因子(No,D.et al.(1996)Ecdysone−inducible gene expression in mammalian cells and transgenic mice.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93,3346−3351)が挙げられる。後者のタイプの厳密にリガンド依存性のトランス活性化因子は、Palliおよび同僚によって開発されたRheoSwitchトランス活性化因子である。Palli,S.R.et al.(2003)Improved ecdysone receptor−based inducible gene regulation system.Eur.J.Biochem.270:1308−15;Kumar,M.B.et al.(2004)Highly flexible ligand binding pocket of ecdysone receptor.A single amino acid change leadsto discrimination between two groups of nonsteroidal ecdysone agonists.J.Biol.Chem.279:27211−18。RheoSwitchトランス活性化因子は、ポナステロンAまたはムリステロンAなどのエクジステロイドによって、またはRSL−1(RH−5849としてもまた知られており、最初にRohm and Haas Companyによって合成された)などの合成ジアシルヒドラジンによって活性化され得る。Dhadialla,T.S.et al.(1998)New insecticides with ecdysteroidal and juvenile hormone activity.Annu.Rev.Entomol.43:545−69。それらが宿主細胞遺伝子の広範な調節解除もまた引き起こすことなく、標的遺伝子の活性を制御するために用いられ得るという条件で、そしてさらに関連小分子調節因子がそれらの有効濃度で宿主に対して許容できる低い毒性を有するという条件で、その他の小分子制御トランス活性化因子が使用されてもよい。

0077

上で考察される二重応答遺伝子スイッチに関連する遺伝子スイッチは、(1)熱応答性プロモーターと機能的に連結する、小分子制御因子活性化トランス活性化因子遺伝子、および(2)目的遺伝子を調節するためのトランス活性化因子に対して応答性のプロモーターからなる。上で考察される二重応答遺伝子スイッチとは異なり、トランス活性化因子遺伝子は自己活性化されない。結果として、単回活性化加熱処置に引き続く、このような遺伝子スイッチの活性時間は、自己活性化トランス活性化因子遺伝子を含有する対応する二重応答遺伝子スイッチよりも実質的に短い。

0078

HSV−1由来ウイルスによる、新規免疫化アプローチが本明細書で例示される。その他の各種ヘルペスウイルスをはじめとするその他のウイルスが、本発明の複製能を有する制御ウイルスの骨格として用いられ得る。これらとしては、αヘルペスウイルスであるHSV2および水痘帯状疱疹ウイルス(VZV);サイトメガロウイルス(CMV)およびバラ疹ウイルス(HSV6およびHSV7)をはじめとするβヘルペスウイルス;およびエプスタイン・バーウイルス(EBV)およびカポジ(Karposi’s)肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)などのγヘルペスウイルスが挙げられる。好ましい本発明の複製能を有する制御ウイルスは、HSV−1、HSV2または水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に由来する。

0079

異なる実施形態では、複製能を有する制御ウイルスの2つの複製必須遺伝子は、それらを加熱および小分子制御因子の二重抑制の下に置く二重応答遺伝子スイッチによって制御されないが、熱ショックプロモーターおよびトランス活性化因子応答性プロモーターによって、個々に調節される(少なくとも1つの複製必須遺伝子は熱ショックプロモーターによって制御され、少なくとも1つの複製必須遺伝子はトランス活性化因子応答性プロモーターによって制御される)。トランス活性化因子は、構成的プロモーターから、または自己活性化(トランス活性化因子促進)プロモーターから発現される。1つの複製必須遺伝子が熱ショックプロモーターによって制御され、もう1つが活性化トランス活性化因子応答性プロモーターによって制御される場合、複製もまた、加熱および小分子制御因子によって二重に制御される。しかし、このタイプの複製能を有する制御ウイルスは、いくつかの理由から好ましさに劣る。第1に、活性化HSF1、ひいては熱ショックプロモーターは、数時間以内に不活性化される傾向がある。したがって、熱ショックプロモーター制御下で発現される場合、特定のウイルス遺伝子は、ウイルス複製周期において、それらの正常な役割を果たせないこともある。第2に、熱ショック応答の一過性の性質にも関連するが、2通りに異なって制御される(すなわち、それぞれ熱ショックまたはトランス活性化因子によって制御される)ウイルス遺伝子の発現が、ウイルス生活環の異なる時点で要求される場合、活性化加熱処置および小分子制御因子が異なる時点で施されなくてはならないこともあり、免疫法にかなりの不都合を追加する。非常に類似した発現プロファイルを示す遺伝子のみが、制御のために選択されるという必要条件は、制御ウイルスの設計における顕著な制約に相当する。最後に、活性化刺激の1つ、すなわち、加熱または小分子制御因子の存在下では、2通りに異なって制御される複製必須遺伝子の1つが活性化されて、複製妨害を弱める。双方の複製必須遺伝子が二重に制御される場合は、リガンド存在下で、または宿主細胞が熱曝露された場合に、どちらの遺伝子も活動性されない。したがって、活性化刺激の1つの存在下であってさえも、厳密な複製阻害が維持される。活性化のための適切な熱線量、トランス活性化因子の性質および特性、およびウイルスおよび小分子調節因子の特性および有効濃度などについては、読者は、本明細書の前のセクションを参照されたい。

0080

さらに別の好ましさに劣る実施形態では、複製能を有する制御ウイルスの1つまたは複数の複製必須遺伝子は、加熱および小分子制御因子によって二重に制御されないが、小分子制御因子のみによって制御される。小分子制御因子活性化トランス活性化因子の遺伝子は、構成的プロモーターから、または自己活性化プロモーターから発現される。ウイルス複製の局在の程度を達成するために、小分子調節因子はまた、免疫ウイルスと一緒に、または別々にどちらかで、接種部位に投与される。徐放製剤を使用して、その間にウイルス複製が所望される期間にわたる、接種部位領域中の有効濃度の小分子制御因子の存在が保証されてもよい。トランス活性化因子の性質および特性、およびウイルスおよび小分子調節因子の特性および有効濃度などについては、読者は、本明細書の前のセクションを参照されたい。

0081

本発明の複製能を有する制御ウイルスは、別の感染性因子からの抗原を送達するためのベクターとしてもまた利用され得る。ヘルペスウイルス科(herpesviridae)のウイルスは、それらのゲノム中にかなり大きなDNA挿入物を収容し得て、その挿入が複製効率を顕著に低下させることは予期されない。例えば、インフルエンザウイルス表面抗原または内部タンパク質、HIVエンベロープまたは内部抗原などをコードする挿入遺伝子は、加熱および/または小分子調節物質制御を受けてもよい。これは抗原発現をウイルス複製に関連づけて、それを接種部位領域に限定する。代案としては、挿入遺伝子は、例えば、非増殖性感染細胞内の発現を可能にする構成的プロモーターなどのその他のプロモーターの制御下に置かれて、より長期間の抗原発現ならびに接種部位領域外のウイルス感染細胞内の発現がもたらされてもよい。

0082

ウイルスは、長きにわたり別の病原体の抗原送達のためのビヒクルとして使用されている。Smith,G.L.et al.(1983)Infectious vaccinia virus recombinants that express hepatitis B virus surface antigen.Nature 302:490−5;Moss,B.et al.(1984)Live recombinant vaccinia virus protects chimpanzees against hepatitis B.Nature 311:67−9。用いられた弱毒型ウイルスベクターには、複製欠陥ウイルスならびにいくらかの複製能力を保持するウイルスが包含された。Draper,S.J.and Heeney,J.L.(2010).Viruses as vaccine vectors for infectious diseases and cancer.Nat.Rev.8:62−71。試験されたウイルスベクターには、ヘルペスウイルスが包含された。弱毒型複製能を有するウイルスが、発現される抗原に対して、複製欠陥ウイルスよりも優れより均衡のとれた免疫応答を誘導することを示唆する証拠がある。Peng,B.et al.(2005)Replicating rather than non−replicating adenovirus−human immunodeficiency virus recombinant vaccines are better at eliciting potent cellular immunity and priming high−titer antibodies.J.Virol.79:10200−9;Halford,W.P.et al.(2006)ICP0 antagonizes Stat I−dependent repression of herpes simplex virus:implications for the regulation of viral latency.Virol.J.3:44;Huang,X.et al.(2009)A novel replication−competent vaccinia vector MVTT is superior to MVA for inducing high levels of neutralizing antibody via mucosal vaccination.PLoS ONE 4:e4180。本発明者らは、野性型に近い効率で自己複製する、本発明の複製能を有する制御ウイルスが、弱毒型ウイルスと同様に強力なまたはさらにより強力でさえある「アジュバント」になり得るという仮説を立てた。

0083

最終的には、ウイルスベクターワクチンの有効性に関する懸念がある。1つの問題は、ワクチンベクターが、免疫応答の誘導について、導入遺伝子産物と競合するかどうかである。逆説的に、ベクター抗原に対する強力な免疫応答は、別の病原体からのベクターが発現する抗原に対する免疫応答を亢進させることもある。Truckenmiller,M.E.,Norbury,C.C.(2004)Viral vectors for inducing CD8 T cell responses.Exp.Opin.Biol.Ther.4:861−8。十分な数で存在する場合、CD8 T細胞は、その他の応答CD8+細胞を援助し得る。Wang,B.et al.(2001)Multiple paths for activation of naive CD8+ T cells:CD4−independent help.J.Immunol.167:1283−9。

0084

もう一つの懸念は、ウイルスに対する既存の免疫が、ワクチンベクターとしてのその使用を妨げるかどうかである。この問題は、固有種であるアデノイルおよびヘルペスウイルスなどのウイルスだけでなく、通常はヒトに感染しないが、ワクチンベクターとして繰り返し使用されるウイルスにも関連する。あらゆるその他のベクターよりも、アデノウイルス(5型)に対する、既存の免疫の効果に関するより深刻な懸念もあったかもしれない。Draper,S.J.,Heeney,J.L.(2010)。最近の研究は、異種抗原発現修飾Ad5ベクターによる予防接種時に、既存の免疫が、記憶CD8 T細胞の生成に干渉しないことを実証し、効率的な免疫復活応答および後続の攻撃に対する保護の基礎を提供する。Steffensen,M.A.et al.(2012)Pre−existing vector immunity does not prevent replication−deficient adenovirus from inducing efficient CD8 T−cell memory and recall responses.PLoS ONE 7:e34884。さらに、導入遺伝子産物特異的応答は、再予防接種によって増強され得る。ヘルペスウイルスに対する既存の免疫の問題もまた、複数の研究で調べられている。Brockman,M.A.and Knipe,D.M.(2002)Herpes simplex virus vectors elicit durable immune responses in the presence of preexisting host immunity.J.Virol.76:3678−87;Chahlavi,A.et al.(1999)Effect of prior exposure to herpes simplex virus 1 on viral vector−mediated tumor therapy in immunocompetent mice.Gene Ther.6:1751−58;Delman,K.A.et al.(2000)Effects of preexisting immunity on the response to herpes simplex−based oncolytic therapy.Hum.Gene Ther.11:2465−72;Hocknell,P.K.et al.(2002)Expression of human immunodeficiency virus type 1 gp120 from herpes simplex virus type 1−derived amplicons result in potent,specific,and durable cellular and humoral immune responses.J.Virol.76:5565−80;Lambright,E.S.et al.(2000)Effect of preexisting anti−herpes immunity on the efficacy of herpes simplex viral therapy in a murine intraperitoneal tumor model.Mol.Ther.2:387−93;Herrlinger,U.et al.(1998)Pre−existing herpes simplex virus 1(HSV−1)immunity decreases but does not abolish,gene transfer to experimental brain tumors by a HSV−1 vector.Gene Ther.5:809−19;Lauterbach,H.et al.(2005)Reduced immune responses after vaccination with a recombinant herpes simplex virus type 1 vector in the presence of antiviral immunity.J.Gen.Virol.86:2401−10;Watanabe,D.et al.(2007)Properties of a herpes simplex virus multiple immediate−early gene−deleted recombinant as a vaccine vector.Virology 357:186−98。これらの研究の大多数は、ヘルペスウイルスが送達する異種抗原への免疫応答に対する、または腫瘍退縮ヘルペスウイルスの抗腫瘍有効性に対する、わずかな影響または比較的軽微な影響のみを報告した。Brockman,M.A.and Knipe,D.M.(2002);Chahlavi,A.et al.(1999);Delman,K.A.et al.(2000);Hocknell,P.K.et al.(2002);Lambright,E.S.et al.(2000);Watanabe,D.et al.(2007)。免疫応答の実質的低下を報告する2つの研究が、同定された。Herrlinger,U.et al.(1998);Lauterbach,H.et al.(2005)。しかし、妥協モデルが用いられたため、これらの研究の結果は一般化され得ないようである。研究の1つは、使用された変異HSV株に辛うじて感染可能な腫瘍モデルを用いた。Herrlinger,U.et al.(1998)。別の研究は、検証するワクチンとして、重度無能力HSV株(ICP4−、ICP22−、ICP27−、vhs−)との組み合わせで、キメラマウス免疫モデルを用いた。Lauterbach,H.et al.(2005)。全ての研究は、既存の免疫存在下であってさえも、ヘルペスウイルスのワクチン使用が可能であることで一致した。例えば、ヘルペスウイルスに対する既存の免疫が、小児予防接種に対する一般的問題でなくてもよいことも付け加えられてもよい。

0085

本発明の複製能を有する制御ウイルスはまた、同時感染される第2の免疫化ウイルス(またはその他の微生物)の複製/伝播を制御するために用いられ得る。後者の同時制御ウイルス中では、少なくとも1つの複製必須遺伝子が、複製能を有する制御ウイルスの小分子活性化トランス活性化因子に応答性である、プロモーターの制御下に置かれ得る。一例として、E1および/またはE4プロモーターをトランス活性化因子応答性プロモーターで置換することで、同時制御アデノウイルスが構築されてもよい。複本発明の製能を有する制御ヘルペスウイルスによって、この様式で場合により同時制御されるウイルスとしては、乳頭腫ウイルス(皮膚ケラチノサイトにも感染する)、特定のポリオーマウイルス皮膚線維芽細胞およびケラチノサイトに感染する)、およびパルボウイルスB19(第5病;皮膚線維芽細胞に感染する)がある。同時制御ウイルスは、制御ウイルスと天然に重複する親和性を有してもよいことに留意されたい。特定例では、シュードタイピング(peudotyping)によって、「適合親和性」を生じることもまた可能なこともある。本発明の複製能を有する制御ウイルスによって同時制御されてもよいウイルスのグループはさらに拡大されてもよく、制御された相補性の手段による同時制御もまた考慮されるならば、RNAウイルスを含んでさえなってもよい。(重複する向性を有する)ウイルス対は、例えば、複製必須遺伝子が欠損した同時制御ウイルスと、トランス活性化因子応答性プロモーターの制御下で後者の複製必須遺伝子を発現する、複製能を有する制御ウイルスとからなってもよい。

0086

ウイルスは、免疫検出から逃れて、破壊を回避するための多数の機序を発達させてきた。Tortorella,D.et al.(2000)Viral subversion of the immune system.Annu.Rev.Immunol.18:861−926。これらの機序の一部を排除しまたは弱めることは、免疫化ウイルスまたはウイルスベクターの免疫原性をさらに亢進させる。例えば、HSV−1およびHSV−2は、タンパク質ICP47を発現する。このタンパク質は、抗原処理APに関連する輸送体構成要素である、TAP1およびTAP2の双方の細胞質表面と結合する。Advani,S.J.and Roizman,B.(2005)The strategy of conquest.The interaction of herpes simplex virus with its host.In:Modulation of Host Gene Expression and Innate Immunity by Viruses(ed.P.Palese),pp.141−61,Springer Verlag。ICP47は、TAPの抗原結合部位に結合して、抗原ペプチド結合を競合的に阻害することで、MHCクラスI負荷を特異的に妨害する。ウイルス感染ヒト細胞は、MHCクラスIの文脈において、抗原性ペプチド提示が損なわれることが予期され、CD8+CTLによる死滅に対して抵抗性になる。ICP47をコードする遺伝子の欠失または無効化は、免疫化ウイルスの免疫原性を有意に増大させる。

0087

ICP47は、マウスTAPに対して、ヒトTAPに対するよりもはるかに弱いインヒビターであるため、このタンパク質の役割を齧歯類モデルで研究することは困難であった。それでもなお1つの研究は、HSV−1 ICP47変異体が、対応する野性型株よりも神経毒性が低いこと、この低下した神経毒性が、保護的CD8 T細胞応答に起因することを示すことができた。Goldsmith,K.et al.(1998)Infected cell protein(ICP)47 enhances herpes simplex virus neurovirulence by blocking the CD8+ T cell response.J.Exp.Med.187:341−8。潜伏感染ニューロンは、まれであるが検出可能なウイルスタンパク質の発現を示してもよい。Feldman,L.T.et al.(2002)Spontaneous molecular reactivation of herpes simplex virus type 1 latency in mice.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:978−83。これらのタンパク質は、MHCクラスIによって、その役割がウイルス再活性化の予防であってもよい、特定のCD8 T細胞に提示されてもよい。Khanna,K.M.et al.(2004)Immune control of herpes simplex virus during latency.Curr.Opin.Immunol.16:463−69。三叉神経結節腫中における、感染細胞とCD8 T細胞の同時局在化が観察されている。Khanna,K.M.et al.(2003)Herpes simplex virus−specific memory CD8 T cells are selectively activated and retained in latently infected sensory ganglia.Immunity 18:593−603。CD8 T細胞が潜伏期からのウイルス再活性化を制御すること、この制御がMHCクラスI提示に依存することは、サイトメガロウイルスMHCクラスIインヒビターを発現するHSV−1組換え体を使用した、マウス研究で実証された。Orr,M.T.et al.(2007)CD8 T cell control of HSV reactivation from latency is abrogated by viral inhibition ofMHCclass I.Cell Host Microbe 2:172−80。したがって、IC47の欠失は、複製能を有する制御ウイルスの免疫原性を亢進させるだけでなく、潜伏期からのその偶発性再活性化の既に低い確率もまた、大幅に低下させることが予期される。

0088

免疫化ウイルス(すなわち、本発明の複製能を有する制御ウイルス)の免疫原性はまた、ウイルスゲノム中にサイトカインまたはその他の免疫系構成要素の発現可能遺伝子を含めることで向上されてもよい。その中で複製欠陥ヘルペスウイルス組換え体が様々なサイトカインを発現する、マウスにおける予防接種試験が比較されて、ウイルス発現IL−4およびIL−2が、アジュバント効果を有することが実証された。Osiorio,Y.,Ghiasi,H.(2003)Comparison of adjuvant efficacy of herpes simplex virus type 1 recombinant viruses expressing TH1 and TH2 cytokine genes.J.Virol.77:5774−83。さらには、GMCSFによる樹状細胞機能の調節は、BCGによって誘導される防御免疫を亢進させ、B型肝炎ワクチンに対する非応答性を克服することが示される。Nambiar,J.K.et al.(2009)Modulation of pulmonary DC function by vaccine−encoded GM−CSF enhances protective immunity against mycobacterium tuberculosis infection.Eur.J.Immunol.40:153−61;Chou,H.Y.et al.(2010)Hydrogel−delivered GM−CSF overcomes nonresponsiveness to hepatitis B vaccine through recruitment and activation of dendritic cells.J.Immunol.185:5468−75。

0089

本発明の複製能を有する制御ウイルスの有効量は、対象への投与時に、その中で誘導された複製が、検出可能に亢進された(複製欠陥比較ウイルスによって誘導される免疫に優る)対象の機能性免疫をもたらす量である。この亢進された機能性免疫は、流行している(野性型)ウイルスへの感染または再感染に対する抵抗性の亢進として顕在化してもよく、または現行の感染の抑制/排除の促進と関連していてもよい。したがって、それはまた、前記野性型ウイルスによる感染に引き続く、疾患重症度、疾患持続時間または死亡率の低下によって、顕在化してもよい。代案としては、またはそれに加えて、異質抗原を発現する免疫化ウイルスの場合、免疫は、後者の異質抗原を発現および/または提示する病原体に対する、予防的または治療的免疫に関し得る。いくつかの要素が、ある程度は対象へのウイルス投与部位および経路、ならびに利用される活性化措置(すなわち、加熱および小分子制御因子投与の相対的タイミング、接種部位領域に送達される熱線量、誘導される複製周期数など)をはじめとする、複製能を有する制御ウイルスの有効量を構成するものに、影響を与えることに留意されたい。複製能を有する制御ウイルスの有効量は、用量設定実験において判定される。概して、本発明の複製能を有する制御ウイルスの有効量は、約102〜約108プラーク形成単位(pfu)のウイルスである。より好ましくは、有効量は、約103〜約107pfuのウイルス、なおもより好ましくは約103〜約106pfuのウイルスである。考えられる限りでは、本発明の複製能を有する制御ウイルスの有効量は、上記の範囲外であってもよい。

0090

本発明のワクチン組成物は、複製能を有する制御ウイルスの有効量と、小分子制御因子もまた組成物の一部として投与される場合は、小分子制御因子の有効量とを含んでなる。それは、特定状況下では(例えば、米国特許出願公開第20080035143号明細書で開示されるように)微粉形態で投与されてもよいが、本発明の組成物は、典型的に、本発明のウイルスと、場合によっては、小分子制御因子とを含んでなる水溶液である。それは、対象に、水溶液として(非経口的に)投与されてもよく、または粘膜投与の場合は、その煙霧剤として投与されてもよい。例えば、米国特許第5,952,220号明細書を参照されたい。本発明の組成物は、緩衝液構成要素を典型的に含む。組成物は、目的の用途と適合性である、典型的に、約6〜約8のpHを有する。リン酸塩クエン酸塩ヒスチジントリス、ビス−トリス、炭酸水素塩、およびそれらの混合物などの多様な従来の緩衝液が用いられてもよい。緩衝液の濃度は、概して約0.01〜約0.25%w/v(重量/容量)の範囲にわたる。

0091

複製能を有する制御ウイルスを含んでなる本発明の組成物は、例えば、保存料、ウイルス安定剤、等張化剤および/または粘度増大物質をさらに含み得る。前述のように、それらはまた、適切な小分子制御因子またはこのような小分子制御因子を含んでなる配合物を含んでもよい。

0092

非経口製品で使用される保存料としては、フェノールベンジルアルコールメチルパラベンプロピルパラベン、およびフェノキシエタノールが挙げられる。フェノキシエタノールは、ワクチンに見られる最も広く使用されている保存料である。保存料は、概して約0.002〜約1%w/vに及ぶ濃度で使用される。Meyer,B.K.2007.Antimicrobial preservative use in parenteral products:past and present.J.Pharm.Sci.96:3155−67。保存料は、ウイルスの複製効率に干渉しない、または最小限度にのみ干渉する濃度で、複製能を有する制御ウイルスを含んでなる組成物中に存在してもよい。

0093

モル浸透圧濃度は、等張化剤によって、組成物の意図される使用と適合性の値に調節され得る。例えば、モル浸透圧濃度は、水中の約0.9%w/vの塩化ナトリウムとほぼ同等である、正常な生理学的流体のおよその浸透圧に調節されてもよい。適切な浸透圧調節剤の例としては、制限なしに、ナトリウムカリウムカルシウム、およびマグネシウムなどの塩化物デキストロースグリセロールプロピレングリコールマンニトールソルビトール;およびそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、等張化剤は、150〜450mOsm/kg、より好ましくは約220〜約350mOsm/kg、最も好ましくは約270〜約310mOsm/kgの最終的な浸透圧値を提供する量で用いられる。

0094

示される場合、本発明の組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヒドロキシエチルセルロースエチルヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルセルロースメチルセルロースカルボキシメチルセルロースをはじめとするセルロースポリマー;グリセロール;カルボマーポリビニルアルコールポリビニルピロリドンアルギン酸塩カラゲナングアーカラヤ、アガロースローカストビーンガム、およびトラガカントおよびキサンタンガムなどの1つまたは複数の粘度調節剤をさらに含み得る。このような粘度調節成分は、典型的に、所望の増粘程度を提供するのに有効な量で用いられる。粘度調節剤は、ウイルスの感染性および複製効率に干渉しない、または最小限度にのみ干渉する濃度で、複製能を有する制御ウイルスを含んでなる組成物中に存在してもよい。

0095

組成物が、小分子制御因子もまた含有する場合、このような小分子制御因子の有効量は、粉末溶液エマルションまたは粒子の形態で、組成物に包含され得る。これも前に提供されたように、複製能を有する制御ウイルスの有効量と共に同時送達される小分子制御因子の有効量は、接種部位領域に有効濃度の小分子制御因子をもたらす量であり、その有効濃度は、その領域の感染細胞内の複製能を有する制御ウイルスの少なくとも1周期の複製を可能にする。小分子制御因子をより長期期間にわたって有効濃度に維持するために、すなわち、ウイルス(加熱および小分子制御因子活性化ウイルス)の複製が、接種部位領域の2回以上の加熱処置によって再開始される場合、小分子制御因子は徐放製剤の形態で含まれてもよい(以下もまた参照されたい)。

0096

ウイルスを増幅する方法は、実験室技巧において周知である。工業的スケールアップもまた、達成されている。ヘルペスウイルスについては、Hunter,W.D.(1999)Attenuated,replication−competent herpes simplex virus type 1 mutant G207:safety evaluation of intracerebral injection in nonhuman primates.J.Virol.73:6319−26;Rampling,R.et al.(2000)Toxicity evaluation of replication−competent herpes simplex virus(ICP34.5 null mutant 1716)in patients with recurrent malignant glioma.Gene Ther.7:859−866;Mundle,S.T.et al.(2013)High−purity preparation of HSV−2 vaccine candidate ACAM529 is immunogenic and efficacious in vivo.PLoS ONE 8(2):e57224を参照されたい。
ウイルスを精製する様々な方法が、開示されている。例えば、Mundle et al.(2013)およびその中の参考文献;Wolf,M.W.and Reichl,U.(2011)Downstream processing of cell culture−derived virus particles.Expert Rev.Vaccines 10:1451−75を参照されたい。

0097

小分子制御因子が、単一組成物中で、複製能を有する制御ウイルスと共に同時投与され得る一方で、複製能を有する制御ウイルスを含んでなる組成物、および小分子制御因子を含んでなる組成物はまた、別々に投与され得る。後者の組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容可能な担体または賦形剤と共に配合された、小分子制御因子の有効量を含んでなる。

0098

小分子制御因子を含んでなる組成物は、経口的に投与され、吸入スプレー、局所、直腸、鼻、口腔内を経由して、または埋め込み式リザバーによって、非経口的に投与されてもよく、好ましくは、経口投与または注射投与される。組成物は、任意の従来の無毒で薬学的に許容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルを含有してもよい。場合によっては、製剤のpHを薬学的に許容可能な酸、塩基または緩衝液によって調節し、調合小分子制御因子またはその送達形態の安定性を高めてもよい。非経口という用語は、本明細書の用法では、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、クモ膜下腔内、病巣内、および頭蓋内注射または輸液技術を含む。

0099

経口投与のための小分子制御因子の液体剤形としては、薬学的に許容可能なエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤が挙げられる。さらに、液体剤形は、例えば、水またはその他の溶媒や、エチルアルコールイソプロピルアルコール炭酸エチル酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールジメチルホルムアミド、油(具体的には、綿実ラッカセイトウモロコシ胚芽オリーブヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールおよび脂肪酸エステルソルビタンなどの可溶化剤および乳化剤、およびそれらの混合物などの当該技術分野で一般に使用される不活性希釈剤を含有してもよい。不活性希釈剤に加えて、経口組成物は、例えば、湿潤剤乳化および懸濁剤甘味剤着香料、および芳香剤もまた含み得る。

0100

注射用製剤、例えば、無菌注射用水性または油性懸濁液は、適当な分散剤、または湿潤剤、および懸濁剤を使用して、公知の技術に従って製剤化されてもよい。無菌注射用製剤はまた、例えば1,3−ブタンジオール溶液などの無毒の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の無菌注射用溶液、懸濁液またはエマルションであってもよい。用いられてもよい許容できるビヒクルおよび溶媒は、水、米国薬局方リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液である。これに加えて、無菌の不揮発性油が、溶媒または懸濁媒として従来法で用いられる。この目的で、合成モノまたはジグリセリドをはじめとする、あらゆる無刺激不揮発性油が用いられ得る。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が、注射剤の調製で使用される。注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通過させる濾過によって、または使用前に滅菌水またはその他の無菌注射用培地中に溶解または分散され得る、無菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって、滅菌され得る。

0101

小分子制御因子の効果を延長するために、例えば、皮下(または、場合により皮内)または筋肉内注射からの化合物吸収を遅延させることが望ましいことがある。これは、水溶性が劣る結晶性または非晶質物質液体懸濁液の使用によって、達成されてもよい。次に小分子制御因子の吸収速度は、その溶出速度に左右され、それは次に、結晶サイズおよび結晶形態に左右されてもよい。代案としては、非経口的に投与される小分子制御因子の遅延性吸収は、化合物を油ビヒクルに溶解または懸濁することで達成される。注射用デポー製剤は、ポリラクチドポリグリコリドなどの生分解性ポリマー内に、化合物の微小カプセルマトリックスを形成することで製造される。化合物とポリマー比率および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、化合物放出速度は調節され得る。その他の生分解性ポリマーの例としては、ポリオルトエステル)およびポリ(酸無水物)が挙げられる。デポー注射用製剤はまた、化合物を身体組織適合性のリポソームまたはマイクロエマルション中に封入することでも調製される。

0102

直腸内または膣内投与のための組成物は、好ましくは坐薬であり、それは環境温度固体であるが体温では液体であり、したがって直腸または膣窩洞内で溶融して小分子制御因子を放出する、カカオ脂、ポリエチレングリコールまたは坐薬ワックスなどの適切な非刺激性の賦形剤または担体に、小分子制御因子を混合することで、調製され得る。

0103

経口投与のための固体剤形としては、カプセル錠剤丸薬、粉末、および顆粒が挙げられる。このような固体剤形中では、小分子制御因子は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの、少なくとも1つの不活性の薬学的に許容可能な賦形剤または担体、および/またはa)デンプン乳糖スクロースグルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤または増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシアなどのバインダー、c)グリセロールなどの湿潤剤、b)寒天炭酸カルシウムジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)四級アンモニウム塩などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセリンなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、およびi)滑石ステアリン酸カルシウムステアリン酸マグネシウム固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物などの潤滑剤と混合される。カプセル、錠剤、および丸薬の場合、剤形は、緩衝剤もまた含んでなってもよい。

0104

類似タイプの固体組成物はまた、乳糖または乳糖類、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用する、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤として用いられてもよい。

0105

錠剤、糖衣丸、カプセル、丸薬、および顆粒の固体剤形は、腸内コーティングおよび製剤処方技術分野で周知のその他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製され得る。それらは不透明剤を任意選択的に含有してもよく、または任意選択的に遅延様式で、腸管特定部分で小分子制御因子のみを放出し、または活性成分優先的に放出する、組成物でもあり得る。使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー物質、およびワックスが挙げられる。

0106

小分子制御因子の局所または経皮投与のための剤形としては、軟膏ペーストクリームローションゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤またはパッチが挙げられる。小分子制御因子は、必要であれば、薬学的に許容できる担体および任意の保存料または緩衝液と共に、無菌条件下で混合される。

0107

軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、小分子制御因子に加えて、動物性および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーンベントナイト、ケイ酸、滑石および酸化亜鉛、またはそれらの混合物などの賦形剤を含有してもよい。

0108

粉末およびスプレーは、小分子制御因子に加えて、乳糖、滑石、ケイ酸、水酸化アルミニウムケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含有し得る。スプレーは、クロフルオロヒドロ炭素およびそれらの代替物などの通例の噴霧剤をさらに含有し得る。

0109

経皮パッチは、身体への化合物の制御送達を供給する追加的利点を有する。このような剤形は、化合物を適切な媒質に溶解または分散することで、製造され得る。吸収促進薬もまた、皮膚を通過する化合物の流動を増大させるために使用され得る。

0110

肺送達のためには、本発明の小分子制御因子の有効量を含んでなる組成物は、固体または液体微粒子形態に配合されて、例えば、呼吸器系への吸入などの直接投与によって対象に投与される。本発明を実施するために調製される小分子制御因子の固体または液体微粒子形態としては、呼吸に適するサイズの粒子、すなわち、吸入時に口および喉頭を通過して、気管支および肺胞に入るのに十分に小さなサイズ粒子が挙げられる。エアロゾル化した治療薬、特にエアロゾル化した抗生物質の送達は、当該技術分野で公知である(例えば、米国特許第5,767,068号明細書、および米国特許第5,508,269号明細書、および国際公開第98/43650号パンフレットを参照されたい)。抗生物質の肺送達の考察はまた、米国特許第6,014,969号明細書にもある。

0111

小分子制御因子の有効量が何であるかは、用いられる特定の小分子制御因子の活性、特定の小分子制御因子の投与経路、投与時間、安定性、および排出速度、ならびに投与される特定の組成物の性質に左右される。それはまた、対象の年齢、体重、総体的な健康、性別および食生活、用いられる特定の小分子制御因子と組み合わせてまたは同時に使用されるその他の薬物、および医療技術分野で周知の同様の要素に左右されてもよい。

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