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課題
解決手段
概要
背景
自動車、建材、船舶、航空機等の分野において、樹脂や鉄、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属、ガラス、セラミックス等を接着固定するために様々な接着剤が使用されている。近年、自動車や航空機の分野では燃費向上のために軽量化を進めており、プラスチックや繊維強化プラスチック(Fiber-Reinforced Plastics:以下、FRPと記す)からなる材料の使用比率を高め、さらには、金属を鉄からより軽量のアルミニウムに置き換えようとする動きが活発になっている。そこで、アルミニウム同士、もしくは、プラスチックやFRPと、アルミニウムとを強固に接合(接着)することが求められている。
例えば特許文献1では、常温における接合強度を改善するために、前処理を施したアルミニウム基材を、ポリプロピレン樹脂層を介して熱可塑性樹脂と接合する金属樹脂複合成形体及びその製造方法が提案されている。しかしながら、特許文献1にかかる技術ではインサート成形を採用しているため、接合時に熱可塑性樹脂の加熱が必要となりエネルギーコストがかかる。
これに対して、常温で接合が可能であり、エネルギーコストを抑制可能なウレタン接着剤がFRPや金属の接着固定に広く使用されている。
例えば特許文献2では、(I)ポリイソシアネートと高分子量ポリオールとの反応により得られるプレポリマー中に特定の無機フィラーを添加して得られるポリイソシアネート成分と、(II)分子量の異なる2種のポリオールを含有するポリオール成分と、を用いた2液のウレタン系接着剤組成物が提案されている。
他にも、例えば特許文献3では、芳香族ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られるプレポリマーと、窒素を含まないポリオールと第三級ポリアミンからなるポリオール成分とを用い、これらが特定比率で配合されたウレタン系接着剤組成物が提案されている。
概要
製造プロセス中の高温による接着不具合の発生が抑制され、生産性に優れたアルミニウム基材の接合体の提供。アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミニウム基材と樹脂、あるいはアルミニウム基材同士が接着剤で接合されてなり、アルミニウム基材の接着剤塗布面は、水酸基を有するアルミニウム化合物を含有し、かつ、水との接触角が70°以下であり、接着剤は水酸基末端硬化剤(A)およびイソシアネート基末端主剤(B)を含む2液型ポリウレタン系接着剤組成物であり、水酸基末端硬化剤(A)に由来する水酸基のモル数と、イソシアネート基末端主剤(B)に由来するイソシアネート基のモル数の比が0.6〜1.5である接合体。なし
目的
効果
実績
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請求項1
アルミニウム基材および樹脂、または、複数のアルミニウム基材を備え、前記アルミニウム基材および樹脂、または、前記複数のアルミニウム基材同士が接着剤で接着された接合体であって、前記アルミニウム基材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、かつ、前記接着剤が塗布される接着剤塗布面を有し、該接着剤塗布面は、水酸基を有するアルミニウム化合物を含有し、かつ、水との接触角が70°以下であり、前記接着剤は、2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物であり、該2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物は、水酸基末端硬化剤(A)と、イソシアネート基末端主剤(B)と、を含み、前記水酸基末端硬化剤(A)に由来する水酸基のモル数(molA)と、前記イソシアネート基末端主剤(B)に由来するイソシアネート基のモル数(molB)と、のモル比(molA/molB)が、0.6以上1.5以下であることを特徴とする接合体。
請求項2
前記水酸基末端硬化剤(A)が、第3級アミノ基を含有する平均官能基数3以上4以下のポリオール(a1)と、第3級アミノ基を含有しない平均官能基数2以上3以下のポリオール(a2)と、を含み、前記2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物は、前記ポリオール(a1)に基づく架橋点の量が、前記水酸基末端硬化剤(A)の質量および前記イソシアネート基末端主剤(B)の質量の総和に対して0.4mmol/g以上1.3mmol/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の接合体。
請求項3
前記水酸基を有するアルミニウム化合物がベーマイトを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の接合体。
請求項4
前記2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物が、無機フィラーをさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の接合体。
請求項5
請求項6
請求項1〜5のいずれか1項に記載の接合体を備えることを特徴とする自動車部材。
請求項7
二次硬化されることで接合体を形成する一次硬化接合体であって、アルミニウム基材および樹脂、または、複数のアルミニウム基材を備え、前記アルミニウム基材および樹脂、または、前記複数のアルミニウム基材同士が接着剤で接着されて一次硬化されてなり、前記アルミニウム基材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、かつ、前記接着剤が塗布される接着剤塗布面を有し、該接着剤塗布面は、水酸基を有するアルミニウム化合物を含み、かつ、水との接触角が70°以下であり、前記接着剤は、2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物であり、該2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物は、水酸基末端硬化剤(A)と、イソシアネート基末端主剤(B)と、を含み、前記水酸基末端硬化剤(A)に由来する水酸基のモル数(molA)と、前記イソシアネート基末端主剤(B)に由来するイソシアネート基のモル数(molB)と、のモル比(molA/molB)が、0.6以上1.5以下であり、前記一次硬化接合体は、該一次硬化接合体を170℃で20分間放置し、続いて170℃の環境下においてJISK6850:1999に基づいて測定した引張せん断強度が、2MPa以上であることを特徴とする一次硬化接合体。
請求項8
前記一次硬化接合体は、該一次硬化接合体を170℃で20分間放置した後、25℃の環境下においてJISK6850:1999に基づいて測定した引張せん断強度が、5MPa以上であることを特徴とする請求項7に記載の一次硬化接合体。
請求項9
前記一次硬化接合体は、25℃の環境下においてJISK6850:1999に基づいて測定した引張せん断強度が、3MPa以上であることを特徴とする請求項7または8に記載の一次硬化接合体。
請求項10
前記水酸基を有するアルミニウム化合物がベーマイトを含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の一次硬化接合体。
技術分野
背景技術
0002
自動車、建材、船舶、航空機等の分野において、樹脂や鉄、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属、ガラス、セラミックス等を接着固定するために様々な接着剤が使用されている。近年、自動車や航空機の分野では燃費向上のために軽量化を進めており、プラスチックや繊維強化プラスチック(Fiber-Reinforced Plastics:以下、FRPと記す)からなる材料の使用比率を高め、さらには、金属を鉄からより軽量のアルミニウムに置き換えようとする動きが活発になっている。そこで、アルミニウム同士、もしくは、プラスチックやFRPと、アルミニウムとを強固に接合(接着)することが求められている。
0003
例えば特許文献1では、常温における接合強度を改善するために、前処理を施したアルミニウム基材を、ポリプロピレン樹脂層を介して熱可塑性樹脂と接合する金属樹脂複合成形体及びその製造方法が提案されている。しかしながら、特許文献1にかかる技術ではインサート成形を採用しているため、接合時に熱可塑性樹脂の加熱が必要となりエネルギーコストがかかる。
0004
これに対して、常温で接合が可能であり、エネルギーコストを抑制可能なウレタン接着剤がFRPや金属の接着固定に広く使用されている。
例えば特許文献2では、(I)ポリイソシアネートと高分子量ポリオールとの反応により得られるプレポリマー中に特定の無機フィラーを添加して得られるポリイソシアネート成分と、(II)分子量の異なる2種のポリオールを含有するポリオール成分と、を用いた2液のウレタン系接着剤組成物が提案されている。
0005
他にも、例えば特許文献3では、芳香族ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られるプレポリマーと、窒素を含まないポリオールと第三級ポリアミンからなるポリオール成分とを用い、これらが特定比率で配合されたウレタン系接着剤組成物が提案されている。
先行技術
発明が解決しようとする課題
0007
しかしながら、特許文献2にかかるウレタン系接着剤組成物は、FRP同士を常温で接着し、高い接着性を発現しているが、硬化に24時間以上を要しており、生産性の面で劣る。また、特許文献3にかかるウレタン系接着剤組成物の接着強度は低く、実用的に満足しないレベルであり、接着強度の向上が望まれている。なお、特許文献3ではFRPとアルミニウムや、アルミニウム同士の接着に関して具体的な例は示されていない。
したがって、優れた接着強度と生産性とを兼ね備えたアルミニウム基材の接合体が強く望まれている。
0008
ところで、例えば、流れ作業で組み立てられる自動車の場合、常温で材料を貼り合わせた後に高い接着力を発現できる常温硬化性と、その後の150℃を超える高温に曝される塗装工程に耐え、最終的に実用的な接着性を維持することと、が必要となる。
このように、塗装工程等の高温に曝される製造プロセスを経る接合体は、高温においても材料同士が強固に接合している必要がある。しかしながら、特許文献1〜3では接合体の高温における接合強度については言及されていない。そして、本発明者等がさらに検討を重ねたところ、特許文献1〜3にかかる技術では高温の製造プロセスにおいて生じる接着不具合(例えば、異種材料間の接着の場合であれば膨張率(材料の線膨脹係数)の違いに基づく剥がれ現象、同種材料間の接着であれば不均一な加熱状態における膨張度の差に基づく剥がれ現象、などがある。)について十分な検討が為されておらず、さらなる改善が必要であることを新たに知見した。
0009
そこで本発明の目的は、高温の製造プロセスによって生じる接着不具合の発生が抑制され、接着性および生産性に優れた接合体、および該接合体を備える自動車部品、並びに二次硬化されることで前記接合体を形成する一次硬化接合体を提供することにある。
課題を解決するための手段
0010
本発明の一実施形態にかかる接合体は、アルミニウム基材および樹脂、または、複数のアルミニウム基材を備え、前記アルミニウム基材および樹脂、または、前記複数のアルミニウム基材同士が接着剤で接着された接合体であって、前記アルミニウム基材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、かつ、前記接着剤が塗布される接着剤塗布面を有し、該接着剤塗布面は、水酸基を有するアルミニウム化合物を含有し、かつ、水との接触角が70°以下であり、前記接着剤は、2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物であり、該2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物は、水酸基末端硬化剤(A)と、イソシアネート基末端主剤(B)と、を含み、前記水酸基末端硬化剤(A)に由来する水酸基のモル数(molA)と、前記イソシアネート基末端主剤(B)に由来するイソシアネート基のモル数(molB)と、のモル比(molA/molB)が、0.6以上1.5以下である。
0011
また、本発明の他の実施形態にかかる自動車部材は、上記接合体を備える。
0012
さらに、本発明のさらに他の実施形態にかかる一次硬化接合体は、二次硬化されることで接合体を形成する一次硬化接合体であって、アルミニウム基材および樹脂、または、複数のアルミニウム基材を備え、前記アルミニウム基材および樹脂、または、前記複数のアルミニウム基材同士が接着剤で接着されて一次硬化されてなり、前記アルミニウム基材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、かつ、前記接着剤が塗布される接着剤塗布面を有し、該接着剤塗布面は、水酸基を有するアルミニウム化合物を含み、かつ、水との接触角が70°以下であり、前記接着剤は、2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物であり、該2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物は、水酸基末端硬化剤(A)と、イソシアネート基末端主剤(B)と、を含み、前記水酸基末端硬化剤(A)に由来する水酸基のモル数(molA)と、前記イソシアネート基末端主剤(B)に由来するイソシアネート基のモル数(molB)と、のモル比(molA/molB)が、0.6以上1.5以下であり、前記一次硬化接合体は、該一次硬化接合体を170℃で20分間放置し、続いて170℃の環境下においてJIS K 6850:1999に基づいて測定した引張せん断強度が、2MPa以上である。
発明の効果
0013
本発明の各実施形態によれば、高温の製造プロセスによって生じる接着不具合の発生が抑制され、接着性および生産性に優れた接合体、および該接合体を備える自動車部品、並びに二次硬化されることで前記接合体を形成する一次硬化接合体を提供することができる。
0014
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を詳細に説明する。
なお、以下において「一次硬化」とは、常温において(加熱等をせずに)進行する2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物の硬化を意味する。したがって、一次硬化接合体とは、被接合物(アルミニウム基材等)が一次硬化した2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物によって接着されてなるものである。「二次硬化」とは、一次硬化した後の硬化であって、加熱等の処理をすることにより高温環境において進行する2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物の硬化を意味する。したがって、接合体(以下、二次硬化接合体とも記す)とは、被接合物が二次硬化した2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物によって接着されてなるものであり、一次硬化接合体が二次硬化されたものである。また、「高温」とは150℃以上の温度であり、特に150℃以上220℃以下の温度を意味するものであって、例えば、一般的な塗装工程における温度の170℃である。一次硬化接合体が高温に曝されることによって、二次硬化が進行する。なお、「常温」とは特に制限はなく、一般的な作業環境における温度を指すが、例えば、20℃以上30℃以下、代表的には25℃である。
0015
≪接合体(二次硬化接合体)、一次硬化接合体≫
本発明の一実施形態にかかる接合体は、アルミニウム基材および樹脂、または、複数のアルミニウム基材を備え、前記アルミニウム基材および樹脂、または、前記複数のアルミニウム基材同士が接着剤で接着された接合体であって、前記アルミニウム基材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、かつ、前記接着剤が塗布される接着剤塗布面を有し、該接着剤塗布面は、水酸基を有するアルミニウム化合物を含有し、かつ、水との接触角が70°以下であり、前記接着剤は、2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物であり、該2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物は、水酸基末端硬化剤(A)と、イソシアネート基末端主剤(B)と、を含み、前記水酸基末端硬化剤(A)に由来する水酸基のモル数(molA)と、前記イソシアネート基末端主剤(B)に由来するイソシアネート基のモル数(molB)と、のモル比(molA/molB)が、0.6以上1.5以下である。アルミニウム基材が特定の親水性の表面を有し、接着剤が特定の2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物である接合体によれば、高温時における接着不具合の発生を抑制し、二次硬化後の接着性に優れる。
0016
また、本発明の他の実施形態にかかる一次硬化接合体は、二次硬化されることで接合体を形成する一次硬化接合体であって、アルミニウム基材および樹脂、または、複数のアルミニウム基材を備え、前記アルミニウム基材および樹脂、または、前記複数のアルミニウム基材同士が接着剤で接着されて一次硬化されてなり、前記アルミニウム基材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、かつ、前記接着剤が塗布される接着剤塗布面を有し、該接着剤塗布面は、水酸基を有するアルミニウム化合物を含み、かつ、水との接触角が70°以下であり、前記接着剤は、2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物であり、該2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物は、水酸基末端硬化剤(A)と、イソシアネート基末端主剤(B)と、を含み、前記水酸基末端硬化剤(A)に由来する水酸基のモル数(molA)と、前記イソシアネート基末端主剤(B)に由来するイソシアネート基のモル数(molB)と、のモル比(molA/molB)が、0.6以上1.5以下であり、前記一次硬化接合体は、該一次硬化接合体を170℃で20分間放置し、続いて170℃の環境下においてJIS K 6850:1999に基づいて測定した引張せん断強度が、2MPa以上である。アルミニウム基材が特定の親水性の表面を有し、接着剤が特定の2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物であり、特定の条件における引張せん断強度が所定の値以上である一次硬化接合体によれば、高温の製造プロセスに供された際の接着不具合の発生を抑制し、二次硬化後の接着性に優れる。
0017
[アルミニウム基材]
アルミニウム基材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。アルミニウム基材は、樹脂または他のアルミニウム基材と接着剤を介して接着され、接合体を形成する。したがって、アルミニウム基材は接着剤が塗布される接着剤塗布面を有する。接着剤塗布面は、アルミニウム基材の表面全域であってもよく、表面の一部であってもよい。
0018
アルミニウム基材の接着剤塗布面は、水酸基を有するアルミニウム化合物を含有する。水酸基を有するアルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムの水酸化物やオキシ水酸化物等が挙げられる。より具体的には、ベーマイト、ダイアスポア、ギブサイト、バイヤーライト、無定形水酸化アルミニウム、擬ベーマイト等が挙げられ、これらの中でもベーマイトが特に好ましい。なお、アルミニウム基材の接着剤塗布面は、その全域にわたり水酸基を有するアルミニウム化合物を含むことが好ましい。
0019
アルミニウム基材の接着剤塗布面は、水との表面接触角が70°以下である。また、接着剤塗布面の水との表面接触角が50°以下であることが好ましく、30°以下であることがより好ましい。水との表面接触角が70°より大きく、ベーマイト処理等の親水性処理の進行がわずかであるとアルミニウム表面の水酸基密度が低く、ポリウレタン樹脂接着剤組成物との相互作用が弱いため、十分な接着強度を得ることができない。
0020
水との表面接触角は、23℃環境下において静的な接触角を測定する液滴法に基づいて測定した値である。また、θ/2法を用いることで解析を行った。
0021
アルミニウム基材の接着剤塗布面に水酸基を有するアルミニウム化合物を形成する方法としては特に制限はなく、公知の方法、例えば陽極酸化処理、ベーマイト処理等によって形成することができる。これらの中でもベーマイト処理によって水酸基を有するアルミニウム化合物を形成することが特に好ましい。
0022
なお、後述する接着試験では、アルミニウム基材として縦100mm×横25mm×厚さ1mmのアルミニウム板を用い、ベーマイト処理としてアルミニウム板を80℃以上の純水に30秒以上10分間以下浸漬させて水酸基を有するアルミニウム化合物を得た。ただし、アルミニウム基材の接着剤塗布面に施される処理は、かかるベーマイト処理に何ら限定されるものではない。ベーマイト処理水には反応促進剤としてトリエタノールアミンなどの各種アルカリ剤を使用してもよいが、反応促進剤は使用しないことが好ましい。その他、高圧蒸気、熱水処理等でベーマイト処理をしたアルミニウム板を使用してもよい。
0023
[接着剤(2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物)]
接着剤は、2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物である。
2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物は、水酸基末端硬化剤(A)と、イソシアネート基末端主剤(B)と、を含む。
0024
2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物中、水酸基末端硬化剤(A)に由来する水酸基のモル数(molA)と、イソシアネート基末端主剤(B)に由来するイソシアネート基のモル数(molB)と、のモル比(molA/molB)が、0.6以上1.5以下である。また、molA/molBは0.6以上1.3以下であることが好ましい。
0025
molA/molBが1.5を超える場合は、過剰の水酸基成分が多くなり、未反応イソシアネート基が少なくなるため、アルミニウム基材表面の水酸基とのイソシアネートの反応確率が低下し、十分な接着強度が得られなくなる。また、molA/molBが0.6未満の場合は、イソシアネート基成分が過剰となることでポリウレタン樹脂の脆性が上がることや、接着界面に気泡が発生しやすくなることで接着強度が低下してしまう。
0026
[水酸基末端硬化剤(A)]
水酸基末端硬化剤(A)は、第3級アミノ基を含有する平均官能基数3以上4以下のポリオール(a1)と、第3級アミノ基を含有しない平均官能基数2以上3以下のポリオール(a2)と、を含むことが好ましい。
0027
<ポリオール(a1)>
ポリオール(a1)としては、例えばN,N−ビスヒドロキシプロピル−N−ヒドロキシエチルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミンプロピレンオキサイド変性体等のポリオール等が挙げられる。これらは1種を使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも常温下での取り扱いやすさの観点から、N,N−ビスヒドロキシプロピル−N−ヒドロキシエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミンプロピレンオキサイド変性体が好ましく、N,N−ビスヒドロキシプロピル−N−ヒドロキシエチルアミンが更に好ましい。
0028
<ポリオール(a2)>
ポリオール(a1)とともに使用するポリオール(a2)としては、例えばポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等を挙げることができる。
0029
<<ポリカーボネートポリオール>>
ポリカーボネートポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β−ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール等の低分子ポリオールの1種類以上と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート類、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジアントリルカーボネート、ジフェナントリルカーボネート、ジインダニルカーボネート等のジアリールカーボネート類の1種類以上との重合物が挙げられる。
0030
<<ポリエステルポリオール>>
ポリエステルポリオールとしては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、α−ハイドロムコン酸、β−ハイドロムコン酸、α−ブチル−α−エチルグルタル酸、α,β−ジエチルサクシン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸、又はこれらの無水物等の1種類以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β−ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール等の分子量500以下の低分子ポリオール類の1種類以上との縮重合反応から得られるものを挙げることができる。また、低分子ポリオールの一部をヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、モノエタノールアミン等の低分子ポリアミンや低分子アミノアルコールに代えて得られるポリエステル−アミドポリオールを使用することもできる。
0031
<<ポリエーテルポリオール>>
ポリエーテルポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールA、ビス(β−ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール等の低分子ポリオール類、またはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、トルエンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、キシリレンジアミン等の低分子ポリアミン類等の活性水素基を2個有する化合物を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド類を付加重合させることによって得られるポリエーテルポリオール;メチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、フェニルグリシジルエーテル等のアリールグリシジルエーテル類、テトラヒドロフラン等の環状エーテルモノマーを開環重合することで得られるポリエーテルポリオール等を挙げることができる。
これらのポリオールは1種を使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
0032
<ポリオール(a1)に基づく架橋点の量>
2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物は、ポリオール(a1)に基づく架橋点の量が、水酸基末端硬化剤(A)の質量およびイソシアネート基末端主剤(B)の質量の総和に対して0.4mmol/g以上1.3mmol/g以下であることが好ましく、0.6mmol/g以上1.0mmol/g以下であることがより好ましい。ポリオール(a1)に基づく架橋点の量が0.4mmol/g以上であると耐熱性がより良好となり、高温を経由する際に発生し得る剥離をさらに抑制することができる。一方、ポリオール(a1)に基づく架橋点の量が1.3mmol/g以下であると、得られる接着剤の硬化物の堅牢性に優れ、より優れた接着強度を得ることができる。架橋点の量(架橋濃度)の算出方法については後述する。
0033
[イソシアネート基末端主剤(B)]
イソシアネート基末端主剤(B)は、例えば脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネート、芳香脂肪族イソシアネート等の未変性イソシアネート(b1)、及びイソシアネート(b1)をポリオールで変性して得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
これらのうち、反応性や粘度の観点から、芳香族イソシアネートと、前記水酸基末端硬化剤(A)で示した平均官能基数2以上3以下の第3級アミノ基を含有しないポリオール(a2)とを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーが好ましい。
0034
<脂肪族イソシアネート>
脂肪族イソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2’−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアネートメチルオクタン、ビス(イソシアネートエチル)カーボネート、ビス(イソシアネートエチル)エーテル、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテル−α,α’−ジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、2−イソシアネートプロピル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート等を挙げることができる。
0035
<脂環族イソシアネート>
脂環族イソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネート、2,2’−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネート−n−ブチリデン)ペンタエリスリトール、水素化された水添ダイマー酸ジイソシアネート、2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−5−イソシアネートメチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−6−イソシアネートメチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−5−イソシアネートメチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−6−イソシアネートメチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−5−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ−〔2.2.1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−6−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ−〔2.2.1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−5−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ−〔2.2.1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−6−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ−〔2.2.1〕−ヘプタン、2,5−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタン、水素化された水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素化された水添トリレンジイソシアネート、水素化された水添キシレンジイソシアネート、水素化された水添テトラメチルキシレンジイソシアネート等を挙げることができる。
0036
<芳香族イソシアネート>
芳香族イソシアネートとしては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート/2,6−トリレンジイソシアネート混合物、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート混合物、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート等を挙げることができる。
0037
<芳香脂肪族イソシアネート>
芳香脂肪族イソシアネートとしては、例えば1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、1,3−または1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン等を挙げることができる。
0038
イソシアネート基末端主剤(B)を得るために用いることができるポリオールとしては、例えばポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール等を挙げることができる。
ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールの具体例としては、前記水酸基末端硬化剤(A)で示したポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールを挙げることができる。
これらのなかでも、優れた物性を発現する点から、テトラヒドロフラン等の環状エーテルモノマーを開環重合することで得られるポリテトラメチレングリコールが好ましい。
0039
[触媒]
水酸基末端硬化剤(A)は、必要に応じてウレタン化反応時において作用する触媒を含有してもよい。
触媒としては、例えばイソシアヌレート化触媒、アロファネート化触媒、ウレタン化触媒等を用いることができ、これらを併用することもできる。
0040
<イソシアヌレート化触媒>
イソシアヌレート化触媒としては、公知の触媒から適宜選択して用いることができ、例えばトリエチルアミン、N−エチルピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−エチルモルフォリン、フェノール化合物のマンニッヒ塩基等の第三級アミン;テトラメチルアンモニウム炭酸水素塩、メチルトリエチルアンモニウム炭酸水素塩、エチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、プロピルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ブチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ペンチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ヘキシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ヘプチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、オクチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ノニルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、デシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ウンデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ドデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、トリデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、テトラデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、オクタデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、(2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、1−メチル−1−アザニア−4−アザビシクロ[2.2.2]オクタニウム炭酸水素塩、1,1−ジメチル−4−メチルピペリジニウム炭酸水素塩等の第四級アンモニウム炭酸水素塩;テトラメチルアンモニウム炭酸塩、メチルトリエチルアンモニウム炭酸塩、エチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、プロピルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ブチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ペンチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ヘキシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ヘプチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、オクチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ノニルトリメチルアンモニウム炭酸塩、デシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ウンデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ドデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、トリデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、テトラデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、オクタデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、(2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム炭酸塩、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、1−メチル−1−アザニア−4−アザビシクロ[2.2.2]オクタニウム炭酸塩、1,1−ジメチル−4−メチルピペリジニウム炭酸塩等の第四級アンモニウム炭酸塩;トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや有機弱酸塩、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリン酸、吉草酸、オクチル酸、ミリスチン酸、ナフテン酸等のカルボン酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。また、これらのイソシアヌレート化触媒は、単独、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
0041
なお、イソシアヌレート化触媒の使用量は、水酸基末端硬化剤(A)と、イソシアネート基末端主剤(B)の総和質量に対して、0.0005質量%以上0.1質量%以下の範囲で用いられることが好ましく、中でも、反応制御の容易さという観点から、0.001質量%以上0.08質量%以下の範囲で用いられることがより好ましい。
0042
<アロファネート化触媒>
アロファネート化触媒としては本発明の効果を奏すれば特に限定されず、公知の触媒から適宜選択することができ、例えば、カルボン酸金属塩やアルカノールアミンを用いることができる。
0043
なお、アロファネート化触媒の使用量は、水酸基末端硬化剤(A)と、イソシアネート基末端主剤(B)の総和質量に対して、0.0005質量%以上0.1質量%以下の範囲で用いられることが好ましく、中でも、反応制御の容易さという観点から、0.001質量%以上0.1質量%以下の範囲で用いられることがより好ましい。
0044
<<カルボン酸金属塩>>
カルボン酸の金属塩を構成するカルボン酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、オクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸等の飽和脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸等の飽和単環カルボン酸、ビシクロ[4.4.0]デカン−2−カルボン酸等の飽和複環カルボン酸、ナフテン酸等の上述したカルボン酸の混合物、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、大豆油脂肪酸、トール油脂肪酸等の不飽和脂肪族カルボン酸、ジフェニル酢酸等の芳香脂肪族カルボン酸、安息香酸、トルイル酸等の芳香族カルボン酸等のモノカルボン酸類;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、α−ハイドロムコン酸、β−ハイドロムコン酸、α−ブチル−α−エチルグルタル酸、α,β−ジエチルサクシン酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のポリカルボン酸類等が挙げられる。
0045
カルボン酸の金属塩を構成する金属としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、スズ、鉛等のその他の典型金属、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム等の遷移金属等が挙げられる。これらのカルボン酸金属塩は、単独、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
0046
<<アルカノールアミン>>
アルカノールアミンとしては、例えばN−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール等が挙げられる。
0047
<ウレタン化触媒>
ウレタン化触媒としては、公知の触媒から適宜選択して用いることができ、例えばアミン系触媒、イミダソール系触媒、金属触媒系等を挙げることができる。
なお、ウレタン化触媒の使用量は、水酸基末端硬化剤(A)とイソシアネート基末端主剤(B)との総和質量に対して、0.0005質量%以上0.05質量%以下の範囲で用いることが好ましく、中でも、反応制御の容易さという観点から、0.001質量%以上0.01質量%以下の範囲で用いることがより好ましい。
0048
<<アミン系触媒>>
アミン系触媒としては、例えばトリエチレンジアミン、2−メチルトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン等を挙げることができる。
0049
<<イミダゾール系触媒>>
イミダソール系触媒としては、例えば1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ジメチルアミノプロピルイミダゾール、N,N−ジメチルヘキサノールアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール等を挙げることができる。
0050
<<金属系触媒>>
金属系触媒としては、例えばスタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート等の有機スズ触媒や、オクチル酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等を挙げることができる。
0051
[その他添加剤]
2液型ポリウレタン接着剤組成物は、さらに必要に応じて、添加剤として、酸化防止剤、消泡剤等を含んでいてもよい。
0052
[無機フィラー]
2液型ポリウレタン系接着剤組成物は、無機フィラーを含んでいてもよい。使用可能なフィラーとしては、例えばタルク、ゼオライト、シリカ、マイクロバルーン、クレイ、ガラスバルーン、カーボンブラック等の無機フィラーを挙げることができる。これらのうち、ゼオライトとタルクを併用することが好ましい。ゼオライトは発泡抑制効果を奏し、タルクは液だれ防止といった効果を奏する。
0053
ゼオライトとタルクを併用する際、その総量は2液型ポリウレタン系接着剤組成物中に5質量%以上60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。フィラーを混練りする方法としては、3本ロール、プラネタリーミキサー、公転自転撹拌機等で容易に混合することができる。この際、外気による水分混入を防ぐことを目的に窒素雰囲気下で実施することが好ましい。
0054
[樹脂]
アルミニウム基材と接着剤を介して接合される樹脂は、上記した2液型ポリウレタン接着剤組成物で接着可能な樹脂であれば特に制限はなく、例えば、炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic;CFRP)などの各種FRP、ポリカーボネート系ウレタン、ポリエステル系ウレタン、ポリエーテル系ウレタンなどが挙げられる。
0055
[架橋点の量(架橋濃度)の算出方法]
次に、架橋点の量の算出方法について説明する。
接合体における各種架橋点の量は、以下に示す式1、及び式2で求めることができる。式1は、ポリウレタン樹脂接着剤組成物中における、水酸基末端硬化剤(A)の質量およびイソシアネート基末端主剤(B)の質量の総和に対する、ポリオール(a1)に基づく架橋点の量(mmol/g)を求める式である。また、式2は、ポリウレタン樹脂接着剤組成物中における、水酸基末端硬化剤(A)の質量およびイソシアネート基末端主剤(B)の質量の総和に対する、水酸基末端硬化剤(A)およびイソシアネート基末端主剤(B)に基づく架橋点の量(mmol/g)の総和を求める式である。
0056
・((W1/M1)×(F1−2))×1000/T ・・・(式1)
・((W1/M1)×(F1−2)+(W2/M2)×(F2−2)+(WB/MB)×(FB−2))×1000/T ・・・(式2)。
0057
式1及び式2における略号は以下の通り。
・W1:水酸基末端硬化剤(A)とイソシアネート基末端主剤(B)の合計質量中のポリオール(a1)の含有量(g)
・M1:ポリオール(a1)の平均分子量
・F1:ポリオール(a1)の平均官能基数
・T :水酸基末端硬化剤(A)とイソシアネート基末端主剤(B)の合計質量(g)
・W2:水酸基末端硬化剤(A)とイソシアネート基末端主剤(B)の合計質量中のポリオール(a2)の含有量(g)
・M2:ポリオール(a2)の平均分子量
・F2:ポリオール(a2)の平均官能基数
・WB:水酸基末端硬化剤(A)とイソシアネート基末端主剤(B)の合計質量中の未変性イソシアネート(b1)の含有量(g)
・MB:未変性イソシアネート(b1)の平均分子量
・FB:未変性イソシアネート(b1)の平均官能基数
0058
[引張せん断接着強度]
接合体(二次硬化接合体)は、常温において極めて優れた接着力をもって接着されていることが好ましい。したがって、一次硬化接合体を170℃で20分間放置(二次硬化)した後、25℃の環境下においてJIS K 6850:1999(接着剤−剛性被接着材の引張せん断接着強さ試験方法)に基づいて測定した引張せん断強度が、5MPa以上であることが好ましい。
0059
また、接合体は、自動車の塗装工程等のような高温に曝される製造プロセスを経て製造されるため、常温下において一次硬化(接着)された一次硬化接合体が高温に曝された場合であっても、接着力の低下等の接着不具合が抑制されていることが好ましい。したがって、一次硬化接合体を170℃で20分間放置し、続いて170℃の環境下においてJIS K 6850:1999に基づいて測定した引張せん断強度が、2MPa以上であることが好ましい。本実施形態にかかる一次硬化接合体において、この引張せん断強度が2MPa以上である場合、アルミニウム基材の接着剤塗布面の表面に十分な量の水酸基を有するアルミニウム化合物が存在し、ポリウレタン樹脂接着剤組成物と強固な接合を形成し得るといえる。
0060
さらに、一次硬化接合体は、常温において優れた接着力をもって接着されていることが好ましい。したがって、一次硬化接合体は、25℃の環境下においてJIS K 6850:1999に基づいて測定した引張せん断強度が、3MPa以上であることが好ましい。
0061
一次硬化接合体および接合体(二次硬化接合体)の接着部における引張せん断接着強度の測定ならびに測定用の接着試験片の作製は、JIS K 6850:1999の接着剤−剛性被接着材の引張せん断接着強さ試験方法に準拠して行うことができる。また、測定は、例えば引張試験機(商品名:テンシロンUTA−500、オリエンテック社製)により測定することができる。ここで、測定条件はチャック間距離を115mm、テストスピードを10mm/分とした。
0062
≪自動車部材≫
本発明の一実施形態にかかる自動車部材は、前述した接合体を備える。自動車部材としては特に制限はなく、例えば、ボディ、ルーフ、ピラーなどが挙げられる。
前述した接合体において接着に用いられるポリウレタン樹脂接着剤組成物は、特に自動車用の構造用接着剤としての特性を有し(接着性や作業性に優れ)、高温に曝される塗装工程に耐え得る高温接着性を有する。したがって、例えば一次硬化接合体の温度条件170℃における接着試験では、2MPa以上の引張せん断接着強度を達成することが可能である。また塗装工程終了後、常温に放冷後には高い接着強度を発現し、具体的には5MPa以上の引張せん断接着強度を達成することが可能である。さらに、水酸基末端硬化剤(A)中のポリオール(a1)に基づく架橋点の量が0.4mmol/g以上1.3mmol/g以下であるとき、常温での硬化性、すなわち、一次硬化時の硬化性が良好であり、作業性にも優れる。
0063
本発明について、実施例および比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
0064
水酸基末端硬化剤(A)の合成例を表1に示す。窒素を満たした5Lの攪拌容器内に2官能ポリオールもしくは、3官能ポリオール(a2)と、3官能以上のアミノ基含有ポリオール(a1)と、を表1に従い投入攪拌し、攪拌容器内の温度を40〜70℃に保ちながら、1〜3時間程度、混合攪拌することで、OH1〜OH11の各種水酸基末端硬化剤(A)を得た。
0065
また、イソシアネート基末端主剤(B)の合成例を表2に示す。窒素を満たした5Lの攪拌容器内に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを含む混合物、又はポリメリックMDIと、平均官能基数2のポリオールを表2の配合比率に従い投入し、必要に応じて反応抑制剤、酸化防止剤、消泡剤を投入攪拌した。その後、攪拌容器内の温度を70〜90℃に保ちながら、2〜5時間程度ウレタン化反応を進めることで、NCO1〜NCO4の各種イソシアネート基末端主剤(B)を得た。
0067
[原料]
(A)水酸基末端硬化剤
・「MA−170」;レオコンMA−170(ライオンスペシャリティケミカルズ社製)、N,N−ビスヒドロキシプロピル−N−ヒドロキシエチルアミン、水酸基価=950KOHmg/g、f=3
・「EDP−300」;アデカポリエーテルEDP−300(ADEKA社製)、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、水酸基価=760KOHmg/g、f=4
・「TEA」;トリエタノールアミン(三井化学社製)、水酸基価=1133KOHmg/g、f=3
・「EDP−450」;アデカポリエーテルEDP−450(ADEKA社製)、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、水酸基価=499KOHmg/g、f=4
・「PCD−500」;Kuraray Polyol C−590(クラレ社製)、ポリカーボネートポリオール、水酸基価=224KOHmg/g、f=2
・「PCD−1000」;ニッポラン965(東ソー社製)、ポリカーボネートポリオール、水酸基価=112KOHmg/g、f=2
・「P−1000」;アデカポリエーテルP−1000(ADEKA社製)、ポリプロピレングリコール、水酸基価=112KOHmg/g、f=2
・「PES−1000」;クラレポリオールP−1010(クラレ社製)、ポリエステルポリオール[アジピン酸/3−メチルペンタンジオール]、水酸基価=112KOHmg/g、f=2
・「TMP」;トリメチロールプロパン(三菱ガス化学社製)トリメチロールプロパン、水酸基価=1255KOHmg/g、f=3
・「MBD」;アミノアルコールMDA(日本乳化剤社製)、N−ブチルジエタノールアミン、水酸基価=696KOHmg/g、f=2
0068
(B)イソシアネート基末端主剤
・「NM」;ミリオネートNM(東ソー社製)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物、NCO含有量=33.5%、f=2
・「MR−200」;ミリオネートMR−200(東ソー社製)、ポリメリックMDI、NCO含量=31%、f=2.7。
・「PTMG−850」;PTMG850(三菱ケミカル製)、ポリテトラメチレングリコール、水酸基価132KOHmg/g、f=2。
0069
0070
0071
<引張せん断接着強度の測定方法>
(1)試験用基材の作製
縦100mm×横25mm×厚さ1mmのアルミニウム板(ユタカパネルサービス社製、A5052P)を用い、90℃の純水に浸漬する時間を30秒から10分までの間で変更することで水との接触角がそれぞれ10〜90°となるようにベーマイト処理を施し、アルミニウム基材を準備した。なお、アルミニウム基材は自動接触角計(商品名:DMo−601、共和界面科学社製)にて水との接触角を計測した。また、基材として使用した処理前のアルミニウム板は水との接触角が100°であった。
0072
(2)ポリウレタン樹脂接着剤組成物(接着剤)の調製
イソシアネート基末端主剤(B)と無機フィラーとを公転自転撹拌機(商品名:カクハンター、写真化学社製)を使用して混合し、イソシアネート基末端主剤(B)と無機フィラーの混合物を得た。得られた混合物と水酸基末端硬化剤(A)とを、表3に示す配合処方に従って、ポリプロピレン製カップ内でステンレス鋼製ヘラを用いて均一になるまで混合し、2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物(以下、接着剤組成物とも言う)を得た。
0073
0075
なお、表3における「水酸基/イソシアネート基(モル比)」、「ポリオール(a1)に基づく架橋濃度(mmol/g)」、「全架橋濃度(mmol/g)」は、水酸基末端硬化剤(A)およびイソシアネート基末端主剤(B)について算出した値である。すなわち、いずれのパラメータも無機フィラーを含まない接着剤組成物について算出した値である。
0076
(3)試験片の作製
接着剤組成物を、前記(1)で作製した試験用基材に均一に塗布し、JIS K 6850:1999に準拠した接着試験片を作製した。試験片は、基材の重なり領域が縦12.5mm×横25mmとなるように接着させ、スペーサーとしてガラスビーズを使用することで接着剤層の厚みを0.25mmに調整し、試験片を作製した。アルミニウム基材同士の試験片の他、アルミニウム基材とCFRP(ABC HOBBY社製)とを使用した接着試験片も作製した。
0077
(4)試験条件
作製した接着試験片は、引張試験機(商品名:テンシロンUTA−500、オリエンテック社製)により、接着部の引張せん断強度を測定した。この測定は、前述した測定方法で、すなわち、JIS K 6850:1999の接着剤−剛性被接着材の引張せん断接着強さ試験方法に準拠して行った。また、測定条件はチャック間距離を115mm、テストスピードは10mm/分とした。
0078
(5)養生条件
各製造工程を想定して接着性評価を行うため、試験を行う際に養生の条件を下記(i)〜(iii)の3段階に分けて評価を行った。
(i)一次硬化時(仮止め時)
前記(3)に記載の方法にて試験片を作製し、前記(2)で作製した接着剤組成物を25℃で10時間反応させた直後に温度25℃下にて測定した。
(ii)二次硬化時(加熱キュア時)
前記(3)に記載の方法にて試験片を作製し、前記(2)で作製した接着剤組成物を25℃で10時間反応させた後、170℃恒温槽で20分静置し、そのまま恒温槽内170℃下で測定した。
(iii)二次硬化後(完全硬化後)
前記(3)に記載の方法にて試験片を作製し、前記(2)で作製した接着剤組成物を25℃で10時間反応させた後、170℃恒温槽で20分静置し、恒温槽から取り出した後、接着試験片を25℃に戻してから25℃下で測定した。
0079
<評価結果>
実施例および比較例は表4〜7に示す。
0080
0081
0082
0083
0084
(I)アルミニウム基材同士の接着評価
実施例1〜7を表4、比較例1〜7を表5に示す。実施例1〜7と比較例1〜7とでは、それぞれ同じ配合例(同組成)の接着剤組成物を使用したが、アルミニウム基材のベーマイト処理の有無が異なっており、これによって基材の水との接触角が異なっている。アルミニウム基材にベーマイト処理を施すことによって引張せん断接着強度が良好になった。特に、ベーマイト処理によって水との接触角が70°以下の実施例1〜7は、比較例1〜7と比較して二次硬化時において引張せん断接着強度に2倍以上の差が現れ、二次硬化時において必要とされる引張せん断接着強度2MPa以上を達成した。
また、水酸基末端硬化剤(A)とイソシアネート基末端主剤(B)とを、イソシアネート基1モルに対する水酸基のモル比を0.6以上1.5以下の範囲外で配合した比較例8、9は引張せん断接着強度が不十分であった。イソシアネート基1モルに対する水酸基末端硬化剤(A)の配合が0.6モル未満の比較例8は、イソシアネート基成分が過剰となることで樹脂の脆性が上がることや、接着界面に気泡が発生しやすくなることで引張せん断接着強度が不十分となる。一方、イソシアネート基1モルに対する水酸基末端硬化剤(A)の配合が1.5モルを超える比較例9は、過剰の水酸基成分が多くなり、未反応イソシアネート基が少なくなるため、アルミニウム基材表面水酸基とのイソシアネートの反応確率が低下し、引張せん断接着強度が不十分となった。
さらに、実施例1〜7で得られた接合体は、一次硬化に要する時間が10時間であり、生産性に優れるものであった。
0085
(II)アルミニウム基材とCFRPの接着評価
実施例8〜13を表6、比較例10〜15を表7に示す。実施例8〜13と比較例10〜15とでは、それぞれ同じ配合例(同組成)の接着剤組成物を使用したが、アルミニウム基材側がベーマイト処理の有無が異なっており、これによって異なっている。試験片はCFRP基材ではなくアルミニウム基材側から剥離するため、それぞれアルミニウム基材にベーマイト処理を施した実施例8〜13は、引張せん断接着強度の測定で良好な結果を示した。特に、ベーマイト処理を施した実施例8〜13は、二次硬化時において引張せん断接着強度が良好であり、二次硬化時において必要とされる2MPaを達成した。
また、配合例4〜7はポリオール(a1)に基づく架橋濃度が0.4mmol/g以上1.3mmol/g以下の範囲のものである。この配合例4〜7の2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物を用い、アルミニウム基材にベーマイト処理を施した実施例8〜11は、一次硬化のみでも十分な引張せん断接着強度(6MPa以上)を得ることができる。
さらに、実施例8〜13で得られた接合体は、一次硬化に要する時間が10時間であり、生産性に優れるものであった。
0086
一方、比較例10〜13はアルミニウム基材がベーマイト処理されていないためアルミニウム基材との接着性が悪く、引張せん断接着強度が不十分であった。また、比較例14、15はポリオール(a1)に基づく架橋点濃度が0.4mmol/g以上1.3mmol/g以下の範囲外となっている配合例10、11を用いているため、これが範囲内の配合例4〜7を用いた比較例10〜13と比較して引張せん断接着強度が劣る。配合例10はポリオール(a1)に基づく架橋濃度が0.4mmol/g未満であり、反応促進に寄与するポリオール(a1)の量が少なく、一次硬化時に良好な引張せん断接着強度が得られなかった。また、配合例10の2液型ポリウレタン樹脂接着剤組成物を用いた比較例14は耐熱性にも劣り、高温を経由する際、良好な引張せん断接着強度が得られなかった。
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