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技術 熱可塑性樹脂組成物、及び成形品

出願人 旭化成株式会社
発明者 野村一幸
出願日 2019年7月26日 (1年5ヶ月経過) 出願番号 2019-137673
公開日 2020年4月16日 (8ヶ月経過) 公開番号 2020-059840
状態 未査定
技術分野 高分子組成物
主要キーワード 臨界歪 キッチン部材 直接原因 環境応力破壊 流動変形 タブゲート 浴室部材 アタック性
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課題

実用上十分な機械的強度を有し、耐薬品性に優れる成形品が得られる熱可塑性樹脂組成物を提供する。

解決手段

ゴム質重合体45〜60質量%と、芳香族ビニル単量体単位シアン化ビニル単量体単位を含むグラフト鎖40〜55質量%とを、有するグラフト共重合体(I)と、芳香族ビニル単量体単位とシアン化ビニル単量体単位とを含む共重合体(II)と、を、含有する熱可塑性樹脂組成物であり、 熱可塑性樹脂組成物中におけるアセトン不溶分の割合が18〜32質量%、前記ゴム質重合体を除いた前記アセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合が15〜26質量%、熱可塑性樹脂組成物中におけるアセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合が32〜50質量%であり、 前記アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合から、前記アセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合を引いた差が12〜24質量%である熱可塑性樹脂組成物。

概要

背景

スチレン系樹脂、特にABS樹脂アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)は、耐衝撃性剛性などの機械的特性加工特性に優れていることから、従来より、自動車住宅建材家庭電気製品化粧品容器などの様々な用途に使用されている。
しかしながら、ABS樹脂は薬液などが接触した場合に、浸透、吸収によって溶解や膨潤、あるいはクラック破断などが起こることが知られている。
特に、攻撃試薬によるクラックや破断の発生は、樹脂材料としては大きな問題であり、環境応力破壊ESC;Environmental Stress Cracking)と呼ばれている。
この環境応力破壊は、成形品内部に残留する成形時の歪みによって発生するため、樹脂材料の成形品に外力負荷されていない状態でも起こる可能性があり、ABS樹脂の用途に大きな制限を与えている。

近年、屋外での作業やレジャー中に日に晒される皮膚を、日焼け、癌、及び光老化から保護する目的で日焼け止め化粧品が使用されている。
当該日焼け止め化粧品は、樹脂材料への攻撃性アタック性)が高いため、日焼け止め化粧品が、ABS樹脂を用いた成形品、例えば化粧品容器等に接触すると、割れが生じ、商品価値を損なうおそれがある。このため、ABS樹脂を用いた成形品には高い耐薬品性が要求されている。

ABS樹脂を用いた成形品の耐薬品性を向上させる方法として、ABS樹脂のアクリロニトリル(AN)成分の量を増大させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載されている方法は、ABS樹脂に対する影響が高い日焼け止め化粧品に対しては耐薬品性が不十分であるという問題を有している。

ABS樹脂を用いた成形品の耐薬品性を向上させるためのその他の方法としては、ABS樹脂に耐薬品性に優れるポリエステルを添加する方法が知られている。例えば、特許文献2には、所定の固有粘度共重合体成分を含む樹脂組成物飽和ポリエステル樹脂を0.1〜50質量%添加する方法、特許文献3には、ポリブチレンテレフタレートを5〜55質量%添加する方法が、それぞれ記載されている。
しかしながら、これらの方法によると、ポリエステルの添加量が多い場合には、成形品外観塗装後の外観が著しく悪化したり、耐熱性、剛性などの機械的特性が低下したりするなどの問題があり、ポリエステルの添加量が少ない場合には、耐薬品性向上効果において満足な結果を得ることができないという問題を有している。

また、特許文献4には、ABS樹脂のジエン系ゴム成分アクリル酸エステル系ゴム成分(以下、アクリル系ゴムと記載する場合がある)に置き換える方法が開示されている。
しかしながら、アクリル系ゴムは、ジエン系ゴムに比べて弾性率が低く、弾性回復が遅く、塑性変形しやすいため、アクリル系ゴム成分を含む樹脂組成物を成形材料として射出成形法によって成形品を製造すると、アクリル系ゴム成分の粒子流動変形及び配向が著しくなり、成形品の表面に真珠様の光沢を呈したり、フローマーク色別れを生じたりし、外観が著しく悪化する場合があるという問題を有している。

上述したように、ABS樹脂にポリエステルやアクリル酸エステル系ゴム(アクリル系ゴム)などの耐薬助剤を添加することにより、ABS樹脂の耐薬品性を高めることができるが、これらの方法は、ABS樹脂が本来有する外観を損なったり、機械的特性が低下したりするという問題を有している。

また、特許文献5には、ABS樹脂の芳香族ビニル単量体単位を特定の割合とし、かつ紫外線吸収剤と耐候剤を添加することにより耐候性を向上させる方法が開示されているが、耐薬品性に対する効果に関する記載はない。

概要

実用上十分な機械的強度を有し、耐薬品性に優れる成形品が得られる熱可塑性樹脂組成物を提供する。ゴム質重合体45〜60質量%と、芳香族ビニル単量体単位とシアン化ビニル単量体単位を含むグラフト鎖40〜55質量%とを、有するグラフト共重合体(I)と、芳香族ビニル単量体単位とシアン化ビニル単量体単位とを含む共重合体(II)と、を、含有する熱可塑性樹脂組成物であり、 熱可塑性樹脂組成物中におけるアセトン不溶分の割合が18〜32質量%、前記ゴム質重合体を除いた前記アセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合が15〜26質量%、熱可塑性樹脂組成物中におけるアセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合が32〜50質量%であり、 前記アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合から、前記アセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合を引いた差が12〜24質量%である熱可塑性樹脂組成物。なし

目的

本発明は、実用上十分な機械的特性を有し、かつ、日焼け止め化粧品などの種々の薬品に対する耐薬品性に優れた成形体が得られる熱可塑性樹脂組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

ゴム質重合体45〜60質量%と、芳香族ビニル単量体単位シアン化ビニル単量体単位を含むグラフト鎖40〜55質量%と、を、有するグラフト共重合体(I)と、芳香族ビニル単量体単位とシアン化ビニル単量体単位とを含む共重合体(II)と、を、含有する熱可塑性樹脂組成物であって、当該熱可塑性樹脂組成物中におけるアセトン不溶分の割合が18〜32質量%であり、前記ゴム質重合体を除いた前記アセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合が15〜26質量%であり、前記熱可塑性樹脂組成物中におけるアセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合が32〜50質量%であり、前記アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合から、前記ゴム質重合体を除いたアセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合を引いた差が、12〜24質量%である、熱可塑性樹脂組成物。

請求項2

前記グラフト共重合体(I)のグラフト率が20〜70%である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。

請求項3

前記熱可塑性樹脂組成物中のアセトン可溶分のメチルエチルケトン溶液の30℃の還元粘度が0.30〜0.70(dl/g)である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。

請求項4

前記共重合体(II)が、アクリル酸エステル単量体単位を有する共重合体成分を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。

請求項5

請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を含有する成形品

技術分野

0001

本発明は、熱可塑性樹脂組成物、及び成形品に関する。

背景技術

0002

スチレン系樹脂、特にABS樹脂アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)は、耐衝撃性剛性などの機械的特性加工特性に優れていることから、従来より、自動車住宅建材家庭電気製品化粧品容器などの様々な用途に使用されている。
しかしながら、ABS樹脂は薬液などが接触した場合に、浸透、吸収によって溶解や膨潤、あるいはクラック破断などが起こることが知られている。
特に、攻撃試薬によるクラックや破断の発生は、樹脂材料としては大きな問題であり、環境応力破壊ESC;Environmental Stress Cracking)と呼ばれている。
この環境応力破壊は、成形品内部に残留する成形時の歪みによって発生するため、樹脂材料の成形品に外力負荷されていない状態でも起こる可能性があり、ABS樹脂の用途に大きな制限を与えている。

0003

近年、屋外での作業やレジャー中に日に晒される皮膚を、日焼け、癌、及び光老化から保護する目的で日焼け止め化粧品が使用されている。
当該日焼け止め化粧品は、樹脂材料への攻撃性アタック性)が高いため、日焼け止め化粧品が、ABS樹脂を用いた成形品、例えば化粧品容器等に接触すると、割れが生じ、商品価値を損なうおそれがある。このため、ABS樹脂を用いた成形品には高い耐薬品性が要求されている。

0004

ABS樹脂を用いた成形品の耐薬品性を向上させる方法として、ABS樹脂のアクリロニトリル(AN)成分の量を増大させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載されている方法は、ABS樹脂に対する影響が高い日焼け止め化粧品に対しては耐薬品性が不十分であるという問題を有している。

0005

ABS樹脂を用いた成形品の耐薬品性を向上させるためのその他の方法としては、ABS樹脂に耐薬品性に優れるポリエステルを添加する方法が知られている。例えば、特許文献2には、所定の固有粘度共重合体成分を含む樹脂組成物飽和ポリエステル樹脂を0.1〜50質量%添加する方法、特許文献3には、ポリブチレンテレフタレートを5〜55質量%添加する方法が、それぞれ記載されている。
しかしながら、これらの方法によると、ポリエステルの添加量が多い場合には、成形品外観塗装後の外観が著しく悪化したり、耐熱性、剛性などの機械的特性が低下したりするなどの問題があり、ポリエステルの添加量が少ない場合には、耐薬品性向上効果において満足な結果を得ることができないという問題を有している。

0006

また、特許文献4には、ABS樹脂のジエン系ゴム成分アクリル酸エステル系ゴム成分(以下、アクリル系ゴムと記載する場合がある)に置き換える方法が開示されている。
しかしながら、アクリル系ゴムは、ジエン系ゴムに比べて弾性率が低く、弾性回復が遅く、塑性変形しやすいため、アクリル系ゴム成分を含む樹脂組成物を成形材料として射出成形法によって成形品を製造すると、アクリル系ゴム成分の粒子流動変形及び配向が著しくなり、成形品の表面に真珠様の光沢を呈したり、フローマーク色別れを生じたりし、外観が著しく悪化する場合があるという問題を有している。

0007

上述したように、ABS樹脂にポリエステルやアクリル酸エステル系ゴム(アクリル系ゴム)などの耐薬助剤を添加することにより、ABS樹脂の耐薬品性を高めることができるが、これらの方法は、ABS樹脂が本来有する外観を損なったり、機械的特性が低下したりするという問題を有している。

0008

また、特許文献5には、ABS樹脂の芳香族ビニル単量体単位を特定の割合とし、かつ紫外線吸収剤と耐候剤を添加することにより耐候性を向上させる方法が開示されているが、耐薬品性に対する効果に関する記載はない。

先行技術

0009

特公昭60−28311号公報
特開昭59−219362号公報
特開平02−294347号公報
特開平10−145373号公報
特開2005−48081号公報

発明が解決しようとする課題

0010

上述したように、従来開示されている技術では、実用上十分な機械的特性を有し、かつ優れた耐薬品性も有する、ABS樹脂を用いた成形品が実現できていないという問題を有している。

0011

そこで本発明は、実用上十分な機械的特性を有し、かつ、日焼け止め化粧品などの種々の薬品に対する耐薬品性に優れた成形体が得られる熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決するために鋭意研究した結果、ゴム質重合体と、芳香族ビニル単量体単位とシアン化ビニル単量体単位を含むグラフト鎖とを有するグラフト共重合体(I)(以下、単に「グラフト共重合体(I)」と記載する場合がある。)と、芳香族ビニル単量体単位とシアン化ビニル単量体単位とを含む共重合体(II)(以下、単に「共重合体(II)」と記載する場合がある。)と、
を、含有する熱可塑性樹脂組成物において、
ゴム質重合体とグラフト鎖の割合、
当該熱可塑性樹脂組成物中のアセトン不溶分の割合、
前記ゴム質重合体を除いた前記アセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合、
前記アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合、
前記アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合から、前記ゴム質重合体を除いたアセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体割合を引いた差、
を、特定することにより、上述した従来技術の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。

0013

〔1〕
ゴム質重合体45〜60質量%と、芳香族ビニル単量体単位とシアン化ビニル単量体単位を含むグラフト鎖40〜55質量%と、を、有するグラフト共重合体(I)と、
芳香族ビニル単量体単位とシアン化ビニル単量体単位とを含む共重合体(II)と、
を、含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
当該熱可塑性樹脂組成物中におけるアセトン不溶分の割合が18〜32質量%であり、
前記ゴム質重合体を除いた前記アセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合が15〜26質量%であり、
前記熱可塑性樹脂組成物中におけるアセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合が32〜50質量%であり、
前記アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合から、前記ゴム質重合体を除いたアセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合を引いた差が、12〜24質量%である、熱可塑性樹脂組成物。
〔2〕
前記グラフト共重合体(I)のグラフト率が20〜70%である、前記〔1〕に記載の
熱可塑性樹脂組成物。
〔3〕
前記熱可塑性樹脂組成物中のアセトン可溶分のメチルエチルケトン溶液の30℃の還元粘度が0.30〜0.70(dl/g)である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔4〕
前記共重合体(II)が、アクリル酸エステル単量体単位を有する共重合体成分を含む、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔5〕
前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の熱可塑性樹脂組成物を含有する成形品。

発明の効果

0014

本発明によれば、実用上十分な機械的強度を有し、かつ耐薬品性に優れている成形品が得られる熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。

0015

以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。

0016

〔熱可塑性樹脂組成物〕
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、
ゴム質重合体45〜60質量%と、芳香族ビニル単量体単位とシアン化ビニル単量体単位を含むグラフト鎖40〜55質量%と、を、有するグラフト共重合体(I)と、
芳香族ビニル単量体単位とシアン化ビニル単量体単位とを含む共重合体(II)と、
を、含有する。
当該熱可塑性樹脂組成物中におけるアセトン不溶分の割合が18〜32質量%であり、
前記ゴム質重合体を除いた前記アセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合が15〜26質量%であり、
前記熱可塑性樹脂組成物中におけるアセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合が32〜50質量%であり、
前記アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合から、前記ゴム質重合体を除いたアセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合を引いた差が、12〜24質量%である。
上述した構成を有する本実施形態の熱可塑性樹脂組成物によれば、日焼け止め化粧品などの種々の薬品に対して耐薬品性に優れ、かつ実用上十分な機械的特性を有する成形体が得られる。
特に、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を用いた成形体は、薬品が付着して洗い流されることなく乾燥していき、濃度が高くなった薬品が長時間付着した状態になるような、より過酷な使用環境にも広範囲に使用できる。

0017

本実施形態の熱可塑性樹脂組成物中におけるアセトン不溶分の割合は、18〜32質量%であり、好ましくは20〜30質量%、より好ましくは23〜28質量%である。
アセトン不溶分の割合が18質量%以上であると、耐衝撃性及び耐薬品性の観点から好ましく、32質量%以下であると、流動性の観点から好ましい。
なお、本明細書において、熱可塑性樹脂組成物中におけるアセトン不溶分とは、具体的に、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を1.0g、アセトン20mLに溶解し、2時間振とうし、これを20000rpmで1時間、遠心分離することにより得られる固形分であり、溶解している成分はアセトン可溶分である。アセトン不溶分の割合は、前記固形分の質量割合を測定することにより得られる。
熱可塑性樹脂組成物中におけるアセトン不溶分は、グラフト共重合体量を示す。グラフト共重合体を重合する際に、共重合体(II)も同時に重合されるため、当該共重合体(II)を除いたものがアセトン不溶分となる。
グラフト共重合体を重合する際にグラフト率を制御することにより、共重合体(II)の量を制御できる。すなわち、グラフトの構造とその添加量を調整することによって、アセトン不溶分を制御できる。

0018

また、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物中における前記ゴム質重合体を除いたアセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合は15〜26質量%であり、好ましくは16〜25質量%であり、より好ましくは18〜25質量%である。
前記ゴム質重合体を除いたアセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合が15質量%以上であると、耐衝撃性の観点から好ましく、26質量%以下であると、耐薬品性の観点から好ましい。
前記ゴム質重合体を除いたアセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合は、重合条件及び重合組成を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。

0019

以下、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を構成するグラフト共重合体(I)、及び共重合体(II)について説明する。

0020

((I)グラフト共重合体)
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物に含有されるグラフト共重合体(I)は、ゴム質重合体に、シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体とを含む単量体成分グラフト共重合させた共重合体である。
グラフト共重合体(I)は、ゴム質重合体45〜60質量%と、グラフト鎖40〜55質量%とを有する。
ゴム質重合体の割合は、耐衝撃性の観点から45質量%以上であるものとし、流動性の観点から60質量%以下であるものとする。好ましくは47〜58質量%であり、より好ましくは45〜55質量%である。
グラフト鎖の割合は、耐衝撃性の観点から40質量%以上であるものとし、流動性の観点から55質量%であるものとする。好ましくは42〜53質量%であり、より好ましくは40〜50質量%である。
ゴム質重合体とグラフト鎖の割合は、単量体量、重合条件、重合開始剤連鎖移動剤の種類または量等を調整することにより、上記の数値範囲に制御することができる。

0021

グラフト共重合体(I)を構成するゴム質重合体としては、特に限定されないが、例えば、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下のゴム質重合体が挙げられる。
ゴム質重合体としては、以下に限定されないが、例えば、ポリブタジエンスチレンブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、ポリイソプレンポリクロロプレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合ゴム等の共役ジエン系ゴムポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、エチレン−プロピレンゴムシリコンゴムシリコンアクリル複合ゴム、及びこれらの水素添加物等が挙げられる。耐衝撃性及び光沢性の観点から、より好ましくはポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合ゴム等の共役ジエン系ゴム、エチレン−プロピレンゴム、シリコンゴムのいずれか少なくとも1つである。
これらのゴム質重合体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

0022

これらの中でも、耐衝撃性の観点から、ゴム質重合体は、共役ジエン系ゴムであることが好ましく、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムであることがより好ましい。

0023

また、グラフト共重合体(I)に含まれるゴム質重合体は、耐衝撃性の観点から、粒子状の形態であることが好ましい。
ゴム質重合体が粒子状であるとき、当該粒子の質量平均粒子径は、100nm以上500nm未満が好ましい。100nm以上であると、耐衝撃性の改良効果が大きくなり、500nm未満であれば、耐衝撃性に加えて光沢の外観を保持する傾向にある。
ゴム質重合体の質量平均粒子径は、動的光散乱法等により求めることができる。

0024

ゴム質重合体にグラフト共重合させることが可能なシアン化ビニル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、及びエタクリニトリルが挙げられる。これらのシアン化ビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0025

ゴム質重合体にグラフト共重合させることが可能な芳香族ビニル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン及びp−t−ブチルスチレン、及びビニルナフタレンが挙げられる。これらの芳香族ビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0026

ゴム質重合体にグラフト共重合させる単量体としては、シアン化ビニル単量体及び芳香族ビニル単量体以外の、ゴム質重合体とグラフト共重合可能な単量体(以下、「他の単量体」という。)を用いてもよい。
当該他の単量体としては、以下に限定されないが、例えば、カルボン酸アルキルエステル系単量体無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等のN−置換マレイミド系単量体、及びグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体が挙げられる。
これらの他の単量体は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0027

グラフト共重合体(I)を構成するゴム質重合体の製造方法としては、特に限定されず、例えば、塊状重合法溶液重合法懸濁重合法、塊状懸濁重合法、及び乳化重合法が挙げられる。
これらの中でも、粒子状のゴム成分が得られ、その粒子径の制御が容易である観点から、乳化重合法、懸濁重合法、又は塊状懸濁重合法が好ましい。

0028

グラフト共重合体(I)を構成するゴム質重合体として、複数のTgを有するゴム質重合体を用いる場合は、異なる単量体組成のものを、多段階に分けて重合する、すなわち、各々異なる単量体組成で重合した、各々が異なるTgを有する複数種類重合体を得、これらの混合物とすることにより上記のような複数のTgを有するゴム質重合体を製造することができる。
この場合、乳化重合法を用い、多段重合により製造することが好ましい。

0029

また、ゴム質重合体として、組成勾配を有するゴム質重合体を用いる場合、単量体組成を連続的に変化させて重合することにより、上記のような組成勾配を有するゴム質重合体を製造することができる。例えば、乳化重合において、いわゆるパワーフィード法を用いることにより、上記のようなゴム質重合体を製造することができる。

0030

ゴム質重合体として、芳香族ビニル系単量体と、共役ジエン系単量体ブロック共重合体(例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体)を用いる場合、溶液中でリビングアニオン重合を行うことにより、上記のようなゴム質重合体を製造することができる。

0031

また、グラフト共重合体(I)を製造する方法、例えば、ゴム質重合体に所定の単量体混合物グラフト重合させる方法としては、特に限定されず、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状懸濁重合法、乳化重合法が挙げられる。
なお、粒子状のゴム質重合体を製造した後、同一の反応器で連続的にグラフト重合を行ってもよく、ゴム質重合体粒子を一旦ラテックスとして単離した後、グラフト重合を行ってもよい。
また、ラジカル開始剤を使用する場合、ラジカル開始剤としては、ペルオキソ二硫酸塩、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等を用いることができる。これらの中でも、乳化重合法によりゴム質重合体を製造する場合には、熱によりラジカルを発生する熱分解型開始剤や、レドックス型の開始剤を用いることができる。乳化重合法では、例えば、別途乳化重合で得たゴム質重合体を使用し、さらにシアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物を乳化重合させる方法等を用いることができる。

0032

また、グラフト共重合体(I)の製造方法において、溶液重合法を使用する場合は、共役ジエン単量体をリビングアニオン重合して無架橋のゴム質重合体を得た後、得られた無架橋のゴム質重合体と芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体とを溶かし合わせて重合を行うことにより、ゴム質重合体成分と高Tgの樹脂成分との複合体を析出させて、グラフト共重合体(I)得る方法等を用いることができる。

0033

グラフト共重合体(I)中の、ゴム質重合体に対するグラフト共重合した単量体の割合(グラフト率)は、20〜70%が好ましく、30〜70%であることがより好ましく、46〜70%がさらに好ましい。
グラフト共重合体(I)のグラフト率が20%以上であると、耐衝撃性の観点から好ましく、70%以下であると、流動性の観点から好ましい。
グラフト共重合体(I)のグラフト率は、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物から溶剤(アセトン等)により溶剤可溶分を取り除き、溶剤不溶分としてグラフト共重合体(I)を取り出し、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)測定により、ゴム質重合体及びグラフト成分(すなわち、グラフト重合した単量体)の質量を測定し、これらの値からゴム質重合体の質量に対する、グラフト重合した単量体の質量の割合を算出することにより求めることができる。
具体的には、熱可塑性樹脂組成物1.0gをアセトン20mLに溶解し、2時間振とうし、これを20000rpmで1時間、遠心分離することによりアセトン可溶分、及びアセトン不溶分に分離する。アセトン不溶分を0.5g採取し、230℃条件でコンプレッションすることにより0.1mm厚のフィルムを作製し、透過法FT−IRで測定することにより求めることができる。
なお、グラフト率は重合条件、重合開始剤や連鎖移動剤の種類又は量等の調整によって制御できる。

0034

グラフト共重合体(I)において、グラフト共重合しているシアン化ビニル単量体単位と芳香族ビニル単量体単位の合計量100質量%に対する、シアン化ビニル単量体単位の割合は15〜26質量%であることが好ましく、16〜25質量%であることがより好ましく、18〜25質量%であることがさらに好ましい。
グラフト共重合しているシアン化ビニル単量体単位の割合が15質量%以上であると、耐衝撃性の観点から好ましい。また、シアン化ビニル単量体単位の割合が26質量%以下であると、耐薬品性の観点から好ましい。

0035

グラフト共重合体(I)として好ましい態様としては、例えば、ポリブタジエンをゴム質重合体として用い、当該ポリブタジエンにシアン化ビニル単量体としてアクリロニトリルを、芳香族ビニル単量体としてスチレンをグラフト共重合させたグラフト共重合体が挙げられる。

0036

((II)共重合体)
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物に含有される共重合体(II)は、シアン化ビニル単量体と、芳香族ビニル単量体とを含む単量体成分を共重合してなるものであり、すなわち、少なくとも、シアン化ビニル単量体単位と芳香族ビニル単量体単位を構成単位とする共重合体である。

0037

共重合体(II)を構成するシアン化ビニル単量体単位に対応するシアン化ビニル単量体、及び芳香族ビニル単量体単位に対応する芳香族ビニル単量体としては、上述したグラフト共重合体(I)に含まれるシアン化ビニル単量体及び芳香族ビニル単量体の具体例として例示したものが挙げられる。

0038

共重合体(II)は、シアン化ビニル単量体及び芳香族ビニル単量体と共重合可能なその他の単量体に対応する単量体単位を含んでもよい。
その他の単量体としては、アクリル酸エステル単量体が挙げられる。
アクリル酸エステル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルメタクリレートシクロヘキシルメタクリレートメチルフェニルメタクリレートイソプロピルメタクリレート等のアルキルメタクリレートメチルアクリレートエチルアクリレートブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートが挙げられる。
メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、ブチルアクリレート、メチルメタクリレートがより好ましく、さらに好ましくは、n−ブチルアクリレートである。

0039

また、その他の単量体としては、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等のN−置換マレイミド系単量体、及びグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体も挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。

0040

共重合体(II)を構成するシアン化ビニル単量体単位及び芳香族ビニル単量体単位の合計量(100質量%)に対する、シアン化ビニル単量体単位の割合は32〜50質量%であることが好ましく、34〜45質量%であることがより好ましく、36〜40質量%であることがさらに好ましい。シアン化ビニル単量体単位の割合が32質量%以上であると、耐薬品性の観点から好ましい。また、シアン化ビニル単量体単位の割合が50質量%以下であると、成形機内での滞留などによる着色、あるいはゲル化を防止する観点から好ましい。

0041

本実施形態の熱可塑性樹脂組成物中のアセトン不溶分は、上述したように18〜32質量%であるが、当該含有量は、機械的強度、剛性、耐熱性に応じて決められる。
好ましくは、20〜30質量%であり、より好ましくは22〜28質量%である。

0042

本実施形態の熱可塑性樹脂組成物中のアセトン可溶分の、メチルエチルケトン溶液の30℃の還元粘度は0.30〜0.70(dl/g)であることが好ましく、より好ましくは0.35〜0.65(dl/g)であり、さらに好ましくは0.40〜0.60(dl/g)である。
アセトン可溶分のメチルエチルケトン溶液の30℃の還元粘度が0.30(dl/g)以上であると、耐衝撃性の観点から好ましく、0.70(dl/g)以下であると、流動性の観点から好ましい。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物中のアセトン可溶分の、メチルエチルケトン溶液の30℃の還元粘度は、当該アセトン可溶分の分子量を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。なお、分子量は、重合条件や重合開始剤の量、連鎖移動剤の量等を調整することにより制御することができる。
アセトン可溶分のメチルエチルケトン溶液の30℃の還元粘度の測定方法について、具体的に説明する。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物1.0gをアセトン20mLに溶解し、2時間振とうし、これを20000rpmで1時間、遠心分離することによりアセトン可溶分とアセトン不溶分に分離する。
熱可塑性樹脂組成物におけるゴム状重合体にグラフトしていない成分(非グラフト成分)の還元粘度、すなわちアセトン可溶分のメチルエチルケトン溶液の30℃の還元粘度は、アセトン可溶分0.25gをメチルエチルケトン50mLにて溶解した溶液を、30℃にてCannon−Fenske型毛細管中の流出時間を測定することにより得られる。

0043

また、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物中におけるアセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合は、32〜50質量%であり、好ましくは、34〜45質量%であり、より好ましくは36〜42質量%である。
アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合が32質量%以上であると、耐薬品性の観点から好ましく、50質量%以下であると、成形機内での滞留などによる着色、あるいはゲル化を防止する観点から好ましい。
アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合は、重合条件及び重合組成を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合は、まず、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物をアセトンに溶解し、これを遠心分離機によりアセトン可溶分とアセトン不溶分に分離し、アセトン可溶分についてはFT−IR等を行うことにより算出できる。
なお、アセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合は、まず、重合処方及び重合転化率から算出する方法、FT−IRによりゴム質重合体の質量を測定し、その後、FT−IR等を行うことにより算出できる。

0044

アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合から、ゴム質重合体を除いたアセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合を引いた差は、12〜24質量%であり、13〜24質量%であることが好ましく、14〜24質量%であることがより好ましい。
アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合と、アセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合の差が12質量%以上であると耐薬品性の効果が得られやすく、24質量%以下であると、耐衝撃性の観点から好ましい。

0045

また、アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合から、ゴム質重合体を除いたアセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合を引いた差が12質量%以上17質量%未満である場合、耐薬品性の観点からグラフト共重合体(I)のグラフト率は46%以上70%以下であることが好ましく、53%以上70%以下であることがより好ましく、62%以上70%以下であることがさらに好ましい。
アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合から、ゴム質重合体を除いたアセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合を引いた差が17質量%以上24質量%以下である場合は、耐薬品性の観点からグラフト共重合体(I)のグラフト率は20%以上70%以下であることが好ましく、32%以上70%以下であることがより好ましく、46%以上70%以下であることがさらに好ましい。

0046

添加剤
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、添加剤を配合して用いてもよい。ただし、透明性低下及び剛性低下の観点からエチレン/(メタアクリル酸エステル一酸化炭素からなる共重合体を除くことが好ましい。
上記添加剤としては、以下に限定されないが、例えば、ホスファイト系、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、及びシアノアクリレート系の紫外線吸収剤並びに酸化防止剤高級脂肪酸、酸エステル系、及び酸アミド系、さらに高級アルコール等の滑剤及び可塑剤モンタン酸及びその塩、そのエステル、そのハーフエステルステアリルアルコール、ステラアマイド及びエチレンワックス等の離型剤亜リン酸塩次亜リン酸塩等の着色防止剤核剤アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系等の帯電防止剤;1,3−フェニレンビス(2,6−ジメチルフェニルホスファート)、テトラフェニル−m−フェニレンビスホスファート、フェノキシホスホリルフェノキシホスファゼン等のリン系難燃剤ハロゲン系難燃剤が挙げられる。

0047

上記滑剤としては、以下に限定されないが、例えば、脂肪酸金属塩ポリオレフィン類ポリエステルエラストマー、及びポリアミドエラストマーが挙げられる。
これらの滑剤を配合する場合、その好ましい量は、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を100質量部としたとき、0.01質量部以上10質量部以下である。0.01質量部以上であれば、流動性や離型性の観点から好ましく、10質量部以下であれば、耐衝撃性や剛性等の機械物性の観点から好ましい。

0048

上記脂肪酸金属塩としては、以下に限定されないが、例えば、ナトリウムマグネシウムカルシウムアルミニウム、及び亜鉛から選択される少なくとも1種が含まれた金属と脂肪酸の塩が挙げられる。上記脂肪酸金属塩としては、以下に限定されないが、例えば、ステアリン酸ナトリウムステアリン酸マグネシウムステアリン酸カルシウムステアリン酸アルミニウムモノ、ジ、トリ)、ステアリン酸亜鉛モンタン酸ナトリウムモンタン酸カルシウムリシノール酸カルシウム、及びラウリン酸カルシウムが挙げられる。これらの中でも、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸系金属塩が好ましい。
上記ステアリン酸系の金属塩の中でも、成形時のシルバーストローク抑制の観点からステアリン酸カルシウムがより好ましい。

0049

上記ポリオレフィン類としては、以下に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレンα−オレフィンなどの少なくとも1種から生成されるポリマーが挙げられ、これらは当該ポリマーを原料誘導されたポリマーも含む。
具体的には、以下に限定されないが、ポリプロピレンエチレン−プロピレン共重合体ポリエチレン(高密度低密度直鎖状低密度)、酸化型ポリオレフィン、及びグラフト重合ポリオレフィンが挙げられる。
これらの中でも、酸化型ポリオレフィンワックス、スチレン系樹脂をグラフトしたポリオレフィンが好ましく、ポリプロピレンワックスポリエチレンワックス酸化型ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックスアクリロニトリル−スチレン共重合体グラフトポリプロピレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体グラフトポリエチレンスチレン重合体グラフトポリプロピレン、及びスチレン重合体グラフトポリエチレンがより好ましい。

0050

上記ポリエステルエラストマーとしては、以下に限定されないが、例えば、ジカルボン酸化合物ジヒドロキシ化合物との重縮合オキシカルボン酸化合物の重縮合ラクトン化合物開環重縮合、又はこれらの各成分の混合物の重縮合などによって得られるポリエステルが挙げられ、ホモポリエステルであってもよく、コポリエステルであってもよい。

0051

ポリエステルエラストマーを構成するジカルボン酸化合物としては、以下に限定されないが、例えば、テレフタル酸イソフタル酸フタル酸ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウムなどの芳香族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキシル−4,4−ジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸ジフェニルエーテルジカルボン酸ジフェニルエタンジカルボン酸、コハク酸シュウ酸アジピン酸セバシン酸ドデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸;及びこれらのジカルボン酸の混合物が挙げられ、これらのアルキルアルコキシ、又はハロゲン置換体も含まれる。
また、これらのジカルボン酸化合物は、エステル形成可能な誘導体、例えば、ジメチルエステルのような低級アルコールエステルの形で使用することも可能である。
本実施形態においては、これらのジカルボン酸化合物を単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、アジピン酸及びドデカンジカルボン酸であることが好ましい。

0052

ポリエステルエラストマーを構成するジヒドロキシ化合物としては、以下に限定されないが、例えば、エチレングリコールプロピレングリコールブタンジオールネオペンチルグリコールブテンジオールハイドロキノンレゾルシンジヒドロキシジフェニルエーテルシクロヘキサンジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、シクロヘキサンジオール、及び2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニルプロパンなどが挙げられ、これらのポリオキシアルキレングリコール及びこれらのアルキル、アルコキシ又はハロゲン置換体であってもよい。
これらのジヒドロキシ化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

0053

ポリエステルエラストマーを構成するオキシカルボン酸化合物としては、以下に限定されないが、例えば、オキシ安息香酸オキシナフトエ酸、及びジフニレオキシカルボン酸が挙げられ、これらのアルキル、アルコキシ及びハロゲン置換体であってもよい。
これらのオキシカルボン酸化合物は、1種を単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ポリエステルエラストマーの製造のために、ε−カプロラクトンなどのラクトン化合物を用いてもよい。

0054

滑剤としてのポリアミドエラストマーとしては、以下に限定されないが、例えば、炭素数6以上のアミノカルボン酸もしくはラクタム、及びm+nが12以上のナイロンmn塩が挙げられ、ハードセグメント(X)としては、以下に限定されないが、例えば、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノナン酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノベルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸;カプロラクタムラウロラクタムなどのラクタム類ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン11,6、ナイロン11,10、ナイロン12,6、ナイロン11,12、ナイロン12,10、ナイロン12,12などのナイロン塩が挙げられる。
また、ポリオールなどのソフトセグメント(Y)としては、ポリエチレングリコールポリ(1,2−及び1,3−プロピレンオキシドグリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロック又はランダム共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとのブロック又はランダム共重合体が挙げられる。
これらのソフトセグメント(Y)の数平均分子量は2.0×102〜6.0×103であることが好ましく、より好ましくは2.5×102〜4.0×103である。上記数平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレンとの比較からポリスチレン換算分子量として測定することができる。
なお、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの両末端を、アミノ化又はカルボキシル化して用いてもよい。

0055

本実施形態の熱可塑性樹脂組成物に滑剤を添加する場合には、その相容性を向上させる目的で、さらに酸変性又はエポキシ変性した変性樹脂を混合してもよい。

0056

〔熱可塑性樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(I)、共重合体(II)、及び必要に応じて各種の添加剤を、単軸又は2軸のベント付き押出機プラストミルニーダーバンバリーミキサーブラベンダー等の熱可塑性樹脂組成物の製造に一般的に用いられる各種混合装置を用いて混合することにより製造することができる。

0057

〔成形品(成形体)〕
本実施形態の成形品は、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を含有し、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を用いて、公知の成形法により製造することができる。
成形法としては、以下に限定されず、例えば、プレス成形法、射出成形法、ガスアシスト射出成形法溶着成形法、押出成形法吹込成形法フィルム成形法中空成形法多相成形法、及び発泡成形法が挙げられる。
これらの中でも、生産性の観点から、射出成形法、押出成形法、ガスアシスト射出成形法が好ましい。
射出成形法を用いる場合、シリンダー設定温度は230〜300℃が好ましい。射出成形に十分な流動性を確保するために230℃以上が好ましく、より好ましくは240℃以上、さらに好ましくは250℃以上である。また、樹脂の熱劣化防止の観点から、300℃以下が好ましく、より好ましくは290℃以下、さらに好ましくは280℃以下である。
また射出成形法においては、金属とのインサート成形アウトサート成形ガスアシスト成形等を組み合わせて使用してもよい。使用する金型についても特に限定されず、ゲート形状についてもピンゲートタブゲートフィルムゲートサブマリンゲートファンゲートリングゲートダイレクトゲート、及びディスクゲートのいずれの種類であってもよい。
金型温度は、40〜100℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。40℃以上であることにより、成形品の表面平滑性が高くなる。100℃以下であることにより冷却速度が上がるため生産性が向上する。
また、射出成形法を用いる場合、射出速度は30〜120mm/秒の範囲にあることが好ましく、50〜75mm/秒であることがより好ましい。射出速度が30mm/秒以上であることにより、得られる成形品の表面平滑性が高くなる。120mm/秒以下であることにより、外観不良になり得るシルバーストリークヤケ等の発生を抑制することができる。
また、押出成形法を用いる場合、シリンダー設定温度は230〜300℃が好ましい。射出成形に十分な流動性を確保するために230℃以上が好ましく、より好ましくは240℃以上、さらに好ましくは250℃以上である。また、樹脂の熱劣化防止の観点から、300℃以下が好ましく、より好ましくは290℃以下、さらに好ましくは280℃以下である。

0058

また、本実施形態の成形品は、曲げ弾性率が2100MPa以上であることが、製品強度の観点から好ましい。
さらに、本実施形態の成形品は、臨界歪(%)が0.5%以上であることが、日焼け止め化粧品の接触がクラックの発生の直接原因にはならない観点から好ましい。

0059

本実施形態の成形品及び熱可塑性樹脂組成物は、特に制限されることなく、各種製品への展開が可能であるが、耐薬品性に優れているため、日焼け止め化粧品を直接的または間接的に接触しうる製品への展開が好ましい。例えば、化粧品容器、家庭電気製品、浴室部材キッチン部材トイレ部材、自動車内装部材などが好ましい。

0060

以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態について詳細に説明する。
なお、本実施形態は、以下の例に限定されるものではない。
実施例及び比較例に適用した評価、各種測定は以下の方法で行った。
また、組成及び配合は、特に記述がない限り質量単位を示す。

0061

〔(1)熱可塑性樹脂組成物の原料〕
(グラフト共重合体(I))
<ABS−1>:
ブタジエン系ゴム50質量%、ゴム質重合体の重量平均粒子径200〜300nm、アクリロニトリル9質量%、スチレン41質量%、グラフト率46%、還元粘度0.42のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体
<ABS−2>:
ブタジエン系ゴム50質量%、ゴム質重合体の重量平均粒子径200〜300nm、アクリロニトリル10質量%、スチレン40質量%、グラフト率53%、還元粘度0.52のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体
<ABS−3>:
ブタジエン系ゴム50質量%、ゴム質重合体の重量平均粒子径200〜300nm、アクリロニトリル12質量%、スチレン38質量%、グラフト率32%、還元粘度0.25のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体
<ABS−4>:
ブタジエン系ゴム50質量%、ゴム質重合体の重量平均粒子径200〜300nm、アクリロニトリル17質量%、スチレン33質量%、グラフト率45%、還元粘度0.30のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体
<ABS−5>:
ブタジエン系ゴム50質量%、ゴム質重合体の重量平均粒子径200〜300nm、アクリロニトリル13.5質量%、スチレン36.5質量%、グラフト率47%、還元粘度0.38のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体
<ABS−6>:
ブタジエン系ゴム50質量%、ゴム質重合体の重量平均粒子径200〜300nm、アクリロニトリル12.5質量%、スチレン37.5質量%、グラフト率62%、還元粘度0.40のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体
<ABS−7>:
ブタジエン系ゴム50質量%、ゴム質重合体の重量平均粒子径200〜300nm、アクリロニトリル12.5質量%、スチレン37.5質量%、グラフト率66%、還元粘度0.40のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体
<ABS−8>:
ブタジエン系ゴム50質量%、ゴム質重合体の重量平均粒子径200〜300nm、アクリロニトリル12質量%、スチレン38質量%、グラフト率62%、還元粘度0.40のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体
<ABS−9>:
ブタジエン系ゴム50質量%、ゴム質重合体の重量平均粒子径200〜300nm、アクリロニトリル12質量%、スチレン38質量%、グラフト率66%、還元粘度0.40のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体
<ABS−10>:
ブタジエン系ゴム50質量%、ゴム質重合体の重量平均粒子径200〜300nm、アクリロニトリル11質量%、スチレン39質量%、グラフト率62%、還元粘度0.40のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体
<ABS−11>:
ブタジエン系ゴム50質量%、ゴム質重合体の重量平均粒子径200〜300nm、アクリロニトリル11質量%、スチレン39質量%、グラフト率66%、還元粘度0.40のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体

0062

上記ABS樹脂の還元粘度は、測定対象のABS樹脂0.25gを、メチルエチルケトン50mLに溶解し、この溶液を、30℃にてCannon−Fenske型毛細管中の流出時間を測定することにより得た。

0063

(共重合体(II))
<AS−1>:
アクリロニトリル45質量%、スチレン55質量%、還元粘度0.50のアクリロニトリル−スチレン共重合体
<AS−2>:
アクリロニトリル40質量%、スチレン60質量%、還元粘度0.58のアクリロニトリル−スチレン共重合体
<AS−3>:
アクリロニトリル39質量%、スチレン51質量%、ブチルアクリレート10質量%、還元粘度0.42のアクリロニトリル−スチレン−ブチルアクリレート共重合体
<AS−4>:
アクリロニトリル35質量%、スチレン55質量%、ブチルアクリレート10質量%、還元粘度0.61のアクリロニトリル−スチレン−ブチルアクリレート共重合体
<AS−5>:
アクリロニトリル40質量%、スチレン60質量%、還元粘度0.47のアクリロニトリル−スチレン−ブチルアクリレート共重合体
<AS−6>:
アクリロニトリル27質量%、スチレン63質量%、ブチルアクリレート10質量%、還元粘度0.51のアクリロニトリル−スチレン−ブチルアクリレート共重合体

0064

〔物性〕
(熱可塑性樹脂組成物中におけるアセトン不溶分の割合)
熱可塑性樹脂組成物1.0gをアセトン20mLに溶解し、2時間振とうし、これを20000rpmで1時間、遠心分離することによりアセトン可溶分、及びアセトン不溶分に分離し、アセトン不溶分の質量%を測定することで算出した。

0065

(アセトン可溶分のメチルエチルケトン溶液の30℃の還元粘度)
熱可塑性樹脂組成物1.0gをアセトン20mLに溶解し、2時間振とうし、これを20000rpmで1時間、遠心分離することによりアセトン可溶分、及びアセトン不溶分に分離した。アセトン可溶分0.25gをメチルエチルケトン50mLにて溶解した溶液を、30℃にてCannon−Fenske型毛細管中の流出時間を測定することにより算出した。

0066

(アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合)
熱可塑性樹脂組成物をアセトンに溶解し、これを遠心分離機によりアセトン可溶分、及びアセトン不溶分に分離し、アセトン可溶分を圧縮成形により、0.01〜0.08μmのフィルムを作製し、日本分光工業株式会社製FT/IR−7000により、2262cm-1の吸光度(A1)、2238〜2242cm-1のピーク吸光度(A2)、2222cm-1の吸光度(A3)、1792cm-1の吸光度(E1)、1734〜1738cm-1のピーク吸光度(E2)、1661cm-1の吸光度(E3)、1617cm-1の吸光度(S1)、1600〜1606cm-1のピーク吸光度(S2)、及び1575cm-1の吸光度(S3)を検出し、下記式(1)より求めた。
アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合=A/(A+E+1.0)×100 ・・・ 式(1) 但し、A=AA/SS×0.27599
E=EE/SS×0.0438+0.005
AA=A2−(A1−A3)×(A2の波数−A3の波数)/(A1の波数−A3の波数)−A3
SS=S2−(S1−S3)×(S2の波数−S3の波数)/(S1の波数−S3の波数)−S3
EE=E2−(E1−E3)×(E2の波数−E3の波数)/(E1の波数−E3の波数)−E3

0067

(ゴム質重合体を除いたアセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合)
熱可塑性樹脂組成物をアセトンに溶解し、これを遠心分離機によりアセトン可溶分、及びアセトン不溶分に分離し、アセトン不溶分を圧縮成形により、0.01〜0.08μmのフィルムを作製し、日本分光工業株式会社製FT/IR−7000により、A1、A2、A3、S1、S2、S3を検出し、下記式(2)より求めた。
ゴム質重合体を除いたアセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合=A/(A+1.0)×100 ・・・ 式(2) 但し、A=AA/SS×0.27599
AA=A2−(A1−A3)×(A2の波数−A3の波数)/(A1の波数−A3の波数)−A3
SS=S2−(S1−S3)×(S2の波数−S3の波数)/(S1の波数−S3の波数)−S3

0068

(熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(I)のグラフト率(%))
まず、熱可塑性樹脂組成物1.0gをアセトン20mLに溶解し、2時間振とうし、これを20000rpmで1時間、遠心分離することによりアセトン可溶分、及びアセトン不溶分に分離し、アセトン不溶分の質量%を測定した。
次に、アセトン可溶分を圧縮成形により、0.01〜0.08μmのフィルムを作製し、日本分光工業株式会社製FT/IR−7000により、S1、S2、S3、987cm-1の吸光度(B1)、964〜970cm-1の吸光度(B2)、及び941cm-1の吸光度(B3)を検出し、下記式(3)よりゴム質重合体の割合を求めた。
ゴム質重合体の割合=B/(A+1.0+B)×100 ・・・ 式(3)
但し、A=AA/SS×0.27599、B=BB/SS×0.12554
AA=A2−(A1−A3)×(A2の波数−A3の波数)/(A1の波数−A3の波数)−A3
BB=B2−(B1−B3)×(B2の波数−B3の波数)/(B1の波数−B3の波数)−B3
求めたアセトン不溶分の質量%とアセトン不溶分中のゴム質重合体の割合から下記式(4)よりグラフト共重合体(I)のグラフト率を求めた。
グラフト共重合体(I)のグラフト率=100×(アセトン不溶分の質量%−ゴム重合体の質量%)/(ゴム重合体の質量%)・・・ 式(4)

0069

〔特性〕
〔(2)評価及び測定方法〕
((1)曲げ弾性率(単位:MPa))
射出成形機(東機械(株)製、EC75S)を用いて、ISO294−1に準拠した厚さ4.0mmのマルチダンベル試験片(TYPE B)を、シリンダー温度250℃、金型温度40℃の条件で成形した。このダンベル試験片から長さ縦80mm、幅10mmの試験片切り出した。この試験片を用いてISO178に準拠した曲げ弾性率試験を行った。なお、試験の値は試験片3本の平均値を用いた。

0070

((2)日焼け止め化粧品に対する耐性
250℃で成形した3mm厚のコンプレッション成形品から10mmの長さに切り出した後、80℃で24時間アニールした。その後、ベンディングバーに取り付け日焼け止め化粧品を塗布した。
その後、室温23℃、湿度50%の環境で24時間静置し、クラックが生じる臨界歪(%)の値を測定した。
日焼け止め化粧品としては、資生堂製のアネッサ薬用美白エッセンスフェイシャルUV(SPF50+PA++++)を使用した。
臨界歪が0.5%以上あれば、日焼け止め化粧品の接触がクラックの発生の直接原因にはならないとし、下記の基準で評価した。
〇:臨界歪0.5%以上
×:臨界歪0.5%未満

0071

〔実施例1〕
表1に示す配合組成にて二軸押出機(コペリオン(株)製、ZSK25MCを用いて押出し機トップフィーダーより材料を供給して溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。
その際の溶融混練条件は、温度250〜300℃、回転数200〜300rpm、吐出量15kg/hで行った。
このようにして得られたペレットを用いて上記の評価を行った。

0072

〔実施例2〜19、比較例1〜5〕
表1及び2に記載の配合組成にて、その他の条件は、〔実施例1〕と同様の方法でペレットを作製し、評価を行った。

0073

0074

実施例

0075

表1及び表2に示すように、実施例1〜19の熱可塑性樹脂組成物は、実用上十分な機械的強度を有し、かつ耐薬品性に優れていることが分かった。

0076

本発明の熱可塑性樹脂組成物は、日焼け止め化粧品などの耐薬品性に優れた効果を有し、日焼け止め化粧品に直接又は間接的に接する樹脂製品(例えば、化粧品容器、家庭電気製品、浴室部材、キッチン部材、トイレ部材、自動車内装部材)の材料として、産業上の利用可能性がある。

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