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技術 アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 松井剛
出願日 2018年10月4日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2018-189439
公開日 2020年4月16日 (10ヶ月経過) 公開番号 2020-059610
状態 未査定
技術分野 セラミック製品3 熱的手段による材料の調査、分析 鋳造用とりべ 酸化物セラミックスの組成1
主要キーワード 相対的低温 耐火物質 熱膨張挙動 熱膨張収縮 剥離損傷 非接触法 原料粒子間 鋳造完了後
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (3)

課題

アルミナマグネシア質キャスタブル耐火物剥離損耗するか否かの耐剥離性を評価する方法を提供する。

解決手段

アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法であって、前記耐火物は、1400℃以上1600℃以下で3時間以上焼成後の残存線変化率が0%以上であり、前記耐火物の液相が生成する温度以上の温度T1にて前記キャスタブル耐火物を3時間以上熱処理する工程と、前記熱処理後の耐火物を、室温から前記温度T1よりも高い温度T2まで昇温しつつ前記耐火物の線熱膨張率を測定する工程と、前記温度T2から室温まで冷却しつつ、前記耐火物の線熱膨張率を測定する工程と、前記T1以下の温度T3における前記昇温過程の線熱膨張率と前記冷却過程の線熱膨張率との差分値を算出する工程と、前記差分値から耐剥離性を判断する工程と、を備える。

概要

背景

溶鋼取鍋等に用いられるアルミナマグネシア質キャスタブル耐火物は、使用中に発生する亀裂が原因で剥離損耗を生じる課題があった。使用中に発生するアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の亀裂の主な原因は、耐火物構成原料であるアルミナとマグネシアとのスピネル生成反応に伴う体積膨張により引き起こされる座屈と考えられている。

アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の使用中の座屈を防止するためには、次の2点の方法が検討されてきた。1点目は、座屈の原因となるアルミナとマグネシアとのスピネル生成反応に伴う体積膨張により発生する応力緩和するために、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に荷重軟化性を付与する方法である。2点目は、アルミナとマグネシアとのスピネル生成反応に伴う体積膨張を制御し、その体積膨張により発生する応力を低減する方法である。

特許文献1と特許文献2では、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の構成原料であるアルミナとマグネシアとのスピネル生成反応に伴う体積膨張が大きくなる1400℃以上の高温下において適度な荷重軟化性を付与させたアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物が開示されている。
特許文献3では、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の使用中の体積膨張の試験方法として大気中1500℃で3時間焼成後のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の残存線変化率を採用することにより、使用中のアルミナとマグネシアとのスピネル生成反応に伴う体積膨張を制御したアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物が開示されている。

概要

アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物が剥離損耗するか否かの耐剥離性を評価する方法を提供する。アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法であって、前記耐火物は、1400℃以上1600℃以下で3時間以上焼成後の残存線変化率が0%以上であり、前記耐火物の液相が生成する温度以上の温度T1にて前記キャスタブル耐火物を3時間以上熱処理する工程と、前記熱処理後の耐火物を、室温から前記温度T1よりも高い温度T2まで昇温しつつ前記耐火物の線熱膨張率を測定する工程と、前記温度T2から室温まで冷却しつつ、前記耐火物の線熱膨張率を測定する工程と、前記T1以下の温度T3における前記昇温過程の線熱膨張率と前記冷却過程の線熱膨張率との差分値を算出する工程と、前記差分値から耐剥離性を判断する工程と、を備える。

目的

本発明は、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物が、使用中に生成した液相が原因で生じる亀裂により剥離損耗が生じるか否かの耐剥離性の評価方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

アルミナマグネシア質キャスタブル耐火物耐剥離性評価方法であって、前記キャスタブル耐火物は、1400℃以上1600℃以下で3時間以上焼成後の残存線変化率が0%以上であり、前記キャスタブル耐火物の液相が生成する温度以上の温度T1にて前記キャスタブル耐火物を3時間以上熱処理する工程と、前記熱処理後のキャスタブル耐火物を、室温から前記温度T1よりも高い温度T2まで昇温しつつ前記キャスタブル耐火物の線熱膨張率を測定する工程と、前記温度T2から室温まで冷却しつつ、前記キャスタブル耐火物の線熱膨張率を測定する工程と、前記T1以下の温度T3における前記昇温過程の線熱膨張率と前記冷却過程の線熱膨張率との差分値を算出する工程と、前記差分値から耐剥離性を判断する工程と、を備えることを特徴とするキャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法。

請求項2

前記温度T1が、1400〜1500℃から選ばれる一定温度であることを特徴とする請求項1に記載のキャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法。

請求項3

前記温度T1が1400℃であることを特徴とする請求項1に記載のキャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法。

請求項4

前記温度T2が、1400℃超1600℃以下から選ばれる一定温度であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のキャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法。

請求項5

前記温度T2が1500℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のキャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法。

請求項6

前記耐剥離性を判断する工程は、前記熱処理後のキャスタブル耐火物の液相の固相への析出が完了する温度と前記温度T1との間において前記差分値の最大値を決定し、前記最大値と予め定めた目標値とを比較し、前記最大値が前記目標値以下であるか否かを判定することによって耐剥離性を判断することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のキャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法。

請求項7

前記温度T3が、1200〜1400℃から選ばれる一定温度であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のキャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法。

請求項8

前記温度T3が1200℃であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のキャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法。

請求項9

前記目標値を予め0.1%に定め、前記差分値が0.1%以下である前記キャスタブル耐火物を耐剥離性が高いと判断することを特徴とする請求項8に記載のキャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法。

技術分野

背景技術

0002

溶鋼取鍋等に用いられるアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物は、使用中に発生する亀裂が原因で剥離損耗を生じる課題があった。使用中に発生するアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の亀裂の主な原因は、耐火物構成原料であるアルミナとマグネシアとのスピネル生成反応に伴う体積膨張により引き起こされる座屈と考えられている。

0003

アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の使用中の座屈を防止するためには、次の2点の方法が検討されてきた。1点目は、座屈の原因となるアルミナとマグネシアとのスピネル生成反応に伴う体積膨張により発生する応力緩和するために、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に荷重軟化性を付与する方法である。2点目は、アルミナとマグネシアとのスピネル生成反応に伴う体積膨張を制御し、その体積膨張により発生する応力を低減する方法である。

0004

特許文献1と特許文献2では、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の構成原料であるアルミナとマグネシアとのスピネル生成反応に伴う体積膨張が大きくなる1400℃以上の高温下において適度な荷重軟化性を付与させたアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物が開示されている。
特許文献3では、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の使用中の体積膨張の試験方法として大気中1500℃で3時間焼成後のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の残存線変化率を採用することにより、使用中のアルミナとマグネシアとのスピネル生成反応に伴う体積膨張を制御したアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物が開示されている。

先行技術

0005

特開平5−185202号公報
特開2001−253781号公報
特開平9−30859号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかし、特許文献1〜3に記載のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物を用いても使用中にキャスタブル耐火物に発生する亀裂を起点とした剥離損耗が解消しない問題が生じていた。

0007

本発明者は、溶鋼取鍋に用いられるアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の損耗機構を調べた結果、剥離損耗の原因となる使用中に耐火物に生じる亀裂は、耐火物の構成原料であるアルミナとマグネシアとのスピネル生成反応に伴う体積膨張により引き起こされる座屈が原因で発生するものでは無く、使用中に耐火物の構成材料溶融して生じる液相と、前記液相からの固体の生成(析出)が関与していることを見出した。しかしながら、従来技術ではアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物において、使用中に生成する液相が原因で生じる亀裂により剥離損耗が生じるか否かの耐剥離性を評価する方法がなかった。

0008

本発明は、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物が、使用中に生成した液相が原因で生じる亀裂により剥離損耗が生じるか否かの耐剥離性の評価方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明者等が鋭意検討した結果、使用中のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物において、溶鋼と接したときの高温状態と、溶鋼を排出した後に相対的低温状態において耐火物組織に生成される液相/固相の量の変化が、耐剥離性と相関し、耐剥離性を線熱膨張率(「線膨張係数」とも呼ばれる。)の変化から把握できることを知見し、本発明を成すに至った。
即ち、本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
(1)アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法であって、前記キャスタブル耐火物は、1400℃以上1600℃以下で3時間以上焼成後の残存線変化率が0%以上であり、前記キャスタブル耐火物の液相が生成する温度以上の温度T1にて前記キャスタブル耐火物を3時間以上熱処理する工程と、前記熱処理後のキャスタブル耐火物を、室温から前記温度T1よりも高い温度T2まで昇温しつつ前記キャスタブル耐火物の線熱膨張率を測定する工程と、前記温度T2から室温まで冷却しつつ、前記キャスタブル耐火物の線熱膨張率を測定する工程と、前記T1以下の温度T3における前記昇温過程の線熱膨張率と前記冷却過程の線熱膨張率との差分値を算出する工程と、前記差分値から耐剥離性を判断する工程と、を備えることを特徴とするキャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法。
(2)前記所定温度T1が、1400〜1500℃から選ばれる一定温度であることを特徴とする(1)に記載のキャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法。
(3)前記所定温度T1が1400℃であることを特徴とする(1)に記載のキャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法。
(4)前記所定温度T2が1400℃超1600℃以下から選ばれる一定温度であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のキャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法。
(5)前記所定温度T2が1500℃であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のキャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法。
(6)前記耐剥離性を判断する工程は、前記熱処理後のキャスタブル耐火物の液相の固相への析出が完了する温度と前記温度T1との間において前記差分値の最大値を決定し、前記最大値と予め定めた目標値とを比較し、前記最大値が前記目標値以下であるか否かを判定することによって耐剥離性を判断することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のキャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法。
(7)前記所定温度T3が1200〜1400℃から選ばれる一定温度であることを特徴とする(1)〜(5)の何れかに記載のキャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法。
(8)前記所定温度T3が1200℃であることを特徴とする(1)〜(5)の何れかに記載のキャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法。
(9)前記目標値を予め0.1%に定め、前記差分値が0.1%以下である前記キャスタブル耐火物を耐剥離性が高いと判断することを特徴とする(8)に記載のキャスタブル耐火物の耐剥離性の評価方法。

発明の効果

0010

本発明によれば、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物が、使用中に生成した液相が原因で生じる亀裂により剥離損耗が生じるか否か、耐剥離性を正確に評価することができる。

図面の簡単な説明

0011

1400℃で焼成した後のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の、室温から1600℃までの昇温過程、及び1600℃から室温までの冷却過程の線熱膨張率曲線概念図である。
試験例1の、室温から1500℃までの昇温過程、及び1500℃から室温までの冷却過程の線熱膨張率を測定した結果を示す図である。

0012

本発明に係る評価方法の適用の対象とするアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物は、主に溶鋼取鍋に使用されることから、以下溶鋼取鍋に使用した場合を例として述べる。他の容器に用いた場合も同様に適用できる。

0013

溶鋼取鍋は、転炉から出鋼された溶鋼を連続鋳造機まで搬送する溶融金属処理容器である。そのため、溶鋼取鍋に用いられるアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物は、溶鋼が滞留している期間は加熱され、鋳造完了後から転炉での受鋼開始直前までの溶鋼が取鍋内に存在しない期間は冷却されることになる。すなわち、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物は、加熱と冷却が繰り返される環境下で使用されている。

0014

そのような環境下で使用されているアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物において、亀裂が原因となる剥離損傷は、耐火物内部の温度分布定常状態となった後に発生している。その際の、亀裂が発生している位置は、使用中の耐火物内部の定常伝熱計算によれば、約1400℃に到達している位置であることが分かった。

0015

ところで、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物は、アルミナ、マグネシア、シリカ、及びCaO・Al2O3を主結晶相とするアルミナセメント等の耐火物原料から構成されている。そして耐火物内部の温度が1400℃以上となる領域においては、これらの耐火物原料は、次の(1)式の反応を起こすと考えられる。

0016

即ち、使用中に耐火物原料が反応し、1400℃以上においては、マグネシアとアルミナの一部との反応から生成するスピネル以外に、アルミナセメントとアルミナの一部との反応から生成するCaO・6Al2O3、及びシリカと他の酸化物との反応から液相が生成する。(1)式の反応において生成するスピネル、CaO・6Al2O3、及び液相の各々の量は、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に含有される耐火物原料の含有量に依存する。そして、温度の上昇と共に、液相の生成量は増大する。

0017

次に、使用中の溶鋼取鍋のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の組織挙動を推察してみる。最初の受鋼後、溶鋼が滞留している期間では、耐火物内部の1400℃以上となる領域においては(1)式の反応に基づいて液相が生成し、約1600℃の溶鋼と接する耐火物稼働面で、液相の生成量が最大となる。液相が生成すると、液相の毛細管力により、耐火物は収縮することになる。すなわち、使用中には、耐火物内部の1400℃となる領域から、溶鋼と接する耐火物稼働面にかけて、生成する液相のために耐火物組織は収縮することになる。そして、使用中に耐火物内部で生成される液相の量が多いほど、耐火物組織の収縮量は大きくなる。

0018

次いで、鋳造が完了した後の溶鋼が取鍋内に存在しない期間、つまり、前記耐火物が冷却されている期間では、次の(2)式の反応が進行する。

0019

即ち、冷却される過程で、液相からCaO・6Al2O3とCaO−MgO−SiO2−Al2O3系化合物等の固相が析出する。
(1)式の反応は1400℃以上に達したときに非可逆的に起こる。一方で(2)式の反応は、一旦1400℃以上の熱履歴を受けた組織において、温度変化に応じて可逆的に起こる。即ち溶鋼取鍋の使用中の剥離損耗が生じる領域では、(1)式の非可逆的な反応と(2)式の可逆的な反応が起こっている。

0020

本発明者は、状態図を用いて冷却過程中の液相からの固相の析出現象を詳細に調査した結果、異なる成分が以下のように段階的に析出していると推測した。

0021

まず、液相からCaO・6Al2O3成分が、未溶融のまま存在しているCaO・6Al2O3粒子の表面に析出して、CaO・6Al2O3粒子の粒子径が大きくなり、体積膨張を引き起こす(第一の析出過程)。続いて、残存する液相からCaO−MgO−SiO2−Al2O3系化合物が、既に固相として存在する粒子間に析出することにより、液相からの固相の析出は完了する(第二の析出過程)。液相からのCaO−MgO−SiO2−Al2O3系化合物の析出時には、両者の密度差から体積の減少が生じる。第一の析出過程において耐火物は膨張し、CaO・6Al2O3成分が全て析出する1200℃近辺で最も膨張率が大きい。

0022

次に、使用中に約1600℃までに昇温し、加熱と冷却を繰り返す耐火物の熱膨張収縮挙動を推定する。

0023

図1に、大気中1400℃で3時間の熱処理を施したアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の、室温から1600℃までの昇温過程、及び1600℃から室温までの冷却過程の連続的な線熱膨張率曲線の概念図を示す。

0024

1400℃で3時間熱処理を施したアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物には、前記(1)、(2)式の反応が起きているために、室温においては、アルミナ、スピネル、CaO・6Al2O3、及びCaO−MgO−SiO2−Al2O3系化合物の固相が存在する。

0025

室温から1600℃までの昇温過程において、1200℃程度まで(過程O→A)は、これら固体の膨張が起きるのみである。更に1200℃から1600℃まで昇温する過程では(過程A→B)、CaO・6Al2O3とCaO−MgO−SiO2−Al2O3系化合物が溶融し、液相が生成し始める。そして、温度の上昇と共に、液相の生成量は増大し、前述のように液相の生成により耐火物は収縮する。溶鋼を受けた場合のように、その温度が1600℃となる耐火物稼働面は、固相の減少と液相の生成によって最も収縮する。

0026

引き続いて、溶鋼が取鍋から排出される場合のように、耐火物が1200℃程度まで冷却されると(過程B→C→D)、液相からCaO・6Al2O3が析出する第一の析出過程と、CaO−MgO−SiO2−Al2O3系化合物が析出する第二の析出過程によって、稼働面近傍の耐火物組織は体積膨張する。前記過程B→C→Dの途中で前記取鍋が再度溶鋼を受ければ、析出した固相が液相に戻り収縮する(過程D→C→B)。

0027

以上は、1400℃で3時間熱処理を施したアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の挙動であり、使用中に1400℃以上の熱履歴を受けた稼働面側の熱膨張収縮挙動である。

0028

一方で、使用中に1400℃以上に達していない部位では、前記(1)式の反応は起こらず、図1において1200℃に達しても液相は生成しないため、収縮することなくそのまま耐火物原料の膨張が継続する(過程A→B’)。即ち1400℃以上に達していない部位では、過程A→B’における線熱膨張率を示すのに対し、1400℃以上に達した部位では、前記過程B→C→Dにおける線熱膨張率を示す。そして使用中1400℃以上となる部位は液相による少なからず応力緩和が有るため、剥離損耗の起こるのは、図1に示されるような1200℃〜1400℃になっている部位である。

0029

このように、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物は、使用中に稼働面近傍の耐火物が溶融による組成変化と体積減少、及び液相から固相へ析出による体積増加の過程を繰り返し、耐火物組織内部との熱膨張が不連続となって、その境界となる約1400℃に至った位置近傍に歪が蓄積されることになり、剥離損耗の原因となる亀裂が発生することになる。

0030

(耐剥離性の評価対象
本発明に係る評価方法の適用対象とするアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物は、1400℃以上1600℃以下で3時間以上焼成後の残存線変化率が0%以上のものである。残存線変化率の試験方法としては、JIS−R2554「キャスタブル耐火物の線変化率試験方法」を用いるのが好ましい。当該方法では焼成温度や焼成時間を特定してはいないが、本発明では、1600℃で3時間以上を推奨する。

0031

一般にアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物は、熱履歴を受けた後に適度な残存膨張のあることが好ましい。残存収縮する耐火物、すなわち、残存線変化率が0%未満のものは、加熱され冷却された後の寸法が元の加熱前の寸法より小さくなる。1400℃近傍で残存線変化率が0%未満の耐火物は、使用中に亀裂が発生することが明白であり、そもそも耐剥離性に劣ることが多いので、実機の製造に利用することができない。そこで本発明は、残存膨張が正、換言すれば残存収縮しないアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に適用するものである。

0032

アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物は、使用中に溶鋼と接することで稼働面において最高1600℃まで加熱されうることから、1600℃までの温度で焼成する。また約1600℃の溶鋼を受けている時間を考慮し、3時間以上焼成すれば、十分である。従って本発明は、1400℃以上1600℃以下の温度で3時間以上加熱したときの残存線変化率が0%以上、即ち残存収縮しないアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に適用する。

0033

(キャスタブル耐火物の熱処理工程)
本発明では、先ず、前記評価対象となるアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に対して、当該キャスタブル耐火物の液相が生成する温度以上の温度(この温度を「所定温度T1」と定義する)で3時間以上の熱処理をする。

0034

事前に所定温度T1で3時間以上の熱処理を行うのは、前記(1)式の反応を起こさせるためである。前記式(1)の反応は約1400℃以上で不可逆的に起こる。当該熱処理を行わない耐火物に対して、本発明に係る評価方法を行っても、適切な耐剥離性評価はできない。実際の使用環境において1400℃以上に加熱された耐火物の部位は、初期に式(1)の反応が起きて以降は、式(2)の反応による膨張収縮を繰り返すためである。式(1)の反応が完了した耐火物の熱膨張挙動が耐剥離性に影響するからである。

0035

所定温度T1は、式(1)反応が進行する温度であればよいが、1400〜1500℃から選ばれる一定温度が好ましい。より好ましくは1400℃にできる限り近い温度である。また熱処理時間を3時間以上とするのは、前記(1)式の反応を平衡にまで到達させるためである。1400℃で3時間以上熱処理を行った試験片を用いれば、使用中の耐火物の熱膨張挙動を再現することができる。

0036

アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の材質によっては、熱処理温度が1400℃を超過する程、前記(1)式の反応において液相の生成量が過剰となって、液相焼結による原料粒子間の強固な結合の生成を伴った耐火物の組織の緻密化が生じる場合がある。このような、原料粒子間に強固な結合が生成してしまった耐火物では、線熱膨張率を測定する際、昇温過程で液相が生成したとしても、昇温の最高到達温度から室温までの冷却過程において液相からのCaO・6Al2O3の析出時におこる体積膨張が抑制される。その結果、冷却過程において、前記所定温度T1以下の温度領域で測定される線熱膨張率の値には、実際の使用環境における耐火物組織の状態変化が適切に反映されない場合がある。従って、本発明では耐火物によって所定温度T1を選択できるものの、1400℃が最も好ましく、1400℃であれば十分適用可能である。

0037

(室温〜所定温度T2間の昇温過程及び冷却過程における線熱膨張率の測定工程)
前記熱処理工程を経たアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物は、室温から所定温度T2(T2>T1)まで昇温しつつその線熱膨張率が測定される。尚、前記式(2)の逆反応を進行させるために、前記所定温度T2は前記温度T1よりも高く設定される。また、昇温後、前記所定温度T2から室温まで冷却しつつその線熱膨張率が測定される。

0038

前記所定温度T2は、線熱膨張率測定温度の最高到達温度であり、前記熱処理工程で到達した平衡状態が達成できる温度で、最大でも溶鋼温度の範囲内であれば良い。尚、前記所定温度T2は、1400℃超1600℃以下から選ばれる一定温度が好ましい。より好ましくは1500℃である。

0039

所定温度T2を1500℃とすると、一般に普及しているJIS−R2207−1に準拠した耐火物の熱膨張試験を実施できる試験装置を用いることができる。また1500℃まで昇温すれば、液相が生成して応力緩和が起こる領域でもあるため、溶鋼温度の約1600℃まで昇温しなくとも、耐剥離性を評価することは十分可能である。

0040

本発明に用いる線熱膨張率の試験方法は、室温から所定温度T2までの線熱膨張率を測定できれば、特に限定されない。尚、後述するように、昇温過程時の線熱膨張率と冷却過程時の線熱膨張率との差分値の最大値を求める場合、室温から前記所定温度T1までの線熱膨張率を経時的に測定できることが好ましい。従来の評価結果や物性値と比較し易いことから、JIS−R2207「耐火物の熱膨張の試験方法」に準拠した試験片と試験条件を用いのが好ましい。より好ましくは、液相の膨張収縮に影響の少ないJIS−R2207-1「非接触法」を用いる。

0041

(昇温過程時の線熱膨張率と冷却過程時の線熱膨張率との差分値の算出)
本発明は、前記所定温度T1以下の温度(この温度を、「所定温度T3」と定義する。)における前記昇温過程中の線熱膨張率と前記冷却過程中の線熱膨張率との差分値を算出する工程を含む。前述のように、剥離は耐火物稼働面側と内部の線熱膨張率の不連続によって生じる歪が原因であるから、昇温過程中と冷却過程中との線熱膨張率に差の生じる領域、前記第一の析出過程が完了する温度、例えば、1200℃以上で評価すればよい。

0042

本発明に係る評価方法の評価対象の耐火物は、線熱膨張率測定工程の昇温過程中において1200℃以上になると、液相が生成し始めて、線熱膨張率は低下していき、所定温度T2で最小となるが、液相が生成している間の熱膨張差は、応力緩和のために、あまり歪を生じない。その後の冷却過程では結晶析出により膨張が起こって、1200℃で最大の線熱膨張率となる。

0043

一方で前述のように、(1)式の非可逆的な反応が生じる温度未満、例えば、実使用中の耐火物の1400℃未満の熱履歴しか受けていない領域では、1200℃以上になっても、1400℃以上に加熱されない間は液相が生成せず、その熱膨張挙動は、1400℃まで固相のままの膨張を示す。従って線熱膨張率の差によって歪が生じるのは、1400℃程度までである。そこで、前記所定温度T3は、前記第一の析出過程が完了する温度から前記(1)式の非可逆的な反応が生じる温度までを含む温度範囲とすれば良い。具体的には、前記所定温度T3は、前記所定温度T1にて前記熱処理した後のキャスタブル耐火物の液相の固相への析出が完了する温度から前記所定温度T1までの温度範囲、或いは、1200〜1400℃から選ばれる一定温度であるのが好ましい。

0044

更に、稼働面近傍の1400℃以上の熱履歴を受けた部位と、耐火物内の1400℃以下の熱履歴しか受けていない部位との線熱膨張率の差分値が、1200〜1400℃の間で最大を示すのは、1200℃においてと考えられる。そして差分値が大きいほど歪が大きく剥離に影響すると考えられることから、本発明では、所定温度T3が1200℃における線熱膨張率の差分値によって耐剥離性を判断することを推奨する。差分値については、耐火物の材質や、事前の焼成温度、使用環境に依存し、最も剥離性と相関がある数値を用いればよい。

0045

(耐剥離性の判断工程)
本発明は、前記差分値から耐剥離性を判断する工程を含む。この工程は、前記差分値の絶対値の最大値を決定し、前記最大値と目標値とを比較し、前記最大値が目標値以下であるか否かを判定することによって耐剥離性を判断することによって行われる。前記目標値は、予め適宜設定することができ、例えば、前記所定温度T3が1200℃のときに前記差分値が0.1%以下である場合に、耐剥離性が高いと判断しても良い。

0046

発明者等は鋭意調査した結果、1200℃においては昇温過程中及冷却過程中とも殆ど液相の生成がなく、且つ使用温度範囲内(〜1600℃)において線熱膨張率の差が最大となることから、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の剥離損耗の発生の有無と良い相関が得られ、特に取鍋に使用した時には差分値が0.1%以下である場合に、耐剥離性が顕著に高くなることを知見した。

0047

(アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物原料組成
本発明に係る評価方法の評価対象は、例えば、以下の組成の材料を原料として用いることによって作製することができる。但し、本発明に係る評価方法の評価対象は、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物であって、1400℃以上1600℃以下の温度で3時間以上焼成後の残存線変化率が0%以上であれば、その組成は以下の例に限定されない。

0048

本発明に係る評価方法の評価対象とされるアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に用いられるアルミナとしては、焼結アルミナ電融アルミナ、重焼アルミナ仮焼アルミナボーキサイト電融ボーキサイト、ばん土頁岩などが使用できる。アルミナの粒度としては最大粒径が10mm未満の一般的なものを使用することができる。アルミナの配合割合は、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物全量中、質量%で78%〜93.5%の範囲が望ましい。

0049

本発明に係る評価方法の評価対象とされるアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に用いられるマグネシアとしては、焼結マグネシアまたは電融マグネシアが使用できる。マグネシアの粒度としては最大粒径が1mm未満の一般的なものを使用することができる。マグネシアの配合割合は、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物全量中、質量%で3%〜10%の範囲が望ましい。

0050

本発明に係る評価方法の評価対象とされるアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に用いられるシリカとしては、シリコンおよびシリコン合金の製造時に副生するシリカフラワーシリカヒュームのようなシリカや、気相法で製造したエアロゾル状のシリカ、及び、湿式法で合成した非晶質含水シリカを乾燥させたものが使用できる。シリカの粒径は1μm以下のものが望ましい。シリカの配合割合は、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物全量中、質量%で0.5%〜2%の範囲が望ましい。

0051

本発明に係る評価方法の評価対象とされるアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に用いられるアルミナセメントとしては、CaO・Al2O3を含有するアルミナセメントが使用できる。CaO・Al2O3以外にアルミナやスピネルを含むアルミナセメントを使用してもよい。アルミナセメントの配合割合は、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物全量中、質量%で3%〜10%の範囲が望ましい。

0052

本発明に係る評価方法の評価対象とされるアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に用いられる分散剤としては、一般に使用されものでよい。例えばトリポリリン酸ソーダヘキサメタリン酸ソーダ酸性ヘキサメタリン酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダスルホン酸ソーダナフタレンスルホン酸ソーダ、リグニンスルホン酸ソーダ、ウルトラポリリン酸ソーダ、炭酸ソーダホウ酸ソーダ、クエン酸ソーダなどが使用できる。分散剤の配合割合も一般的な処方でよい。例えばアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物100質量%に対して、外掛けで0.03%〜0.1%の範囲が望ましい。

0053

本発明に係る評価方法の評価対象とされるアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に用いられる爆裂防止剤としては、一般に使用されものでよい。例えばビニロンファイバー乳酸アルミニウム発泡剤である金属アルミニウムアゾジカルボンアミド等を挙げることができる。爆裂防止剤の配合割合も一般的な処方でよい。例えば、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物100質量%に対して、外掛けで0.01〜0.03%の範囲が望ましい。

0054

(評価対象の試験片の作製)
本発明に係る評価方法を実施するために供するアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の試験片の作製は、実機で施工する条件とできる限り同等とすることが好ましい。しかし、作製された試験片が1400℃以上1600℃以下で3時間以上焼成後の残存線変化率が0%以上であれば、試験片の作製方法は特に限定されない。

0055

例えば、前記組成を満たす耐火物原料100質量%に対し、外掛けで4〜8質量%の水を添加し、ミキサー混練型枠流し込むことによって作製しても良い。作製の際には充填性を向上させるため、混練物流し込んだ型枠に振動を付与しても良い。

0056

以下に本発明の試験例とその参考例を示す。

0057

表1に、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の原料配合と評価結果を示す。表1の配合で作製したキャスタブル耐火物に、分散剤としてポリアクリル酸ソーダを耐火物質量に対する外掛け0.06質量%〜0.1質量%の範囲で添加し、更に水を耐火物質量に対する外掛け5〜6.5質量%の範囲で添加して、二軸ミキサーを用いて3分間混練し、混練物を所定寸法の金枠に振動を付与させながら流し込んだ。そして、室温で24時間養生した後に、110℃で24時間乾燥させることにより評価試料を作製した。

0058

0059

従来の耐剥離性評価の参考例として、1500℃×3時間(h)焼成後の残存線変化率を測定した。残存線変化率の測定はJIS−R2554のキャスタブル耐火物の線変化率試験方法を用いた。

0060

本発明における、アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の線熱膨張率曲線の測定はJIS−R2207−1の耐火物の熱膨張の試験方法に準拠して行った。試験片は、事前に所定温度T1が1400℃で3時間の熱処理を施した。前記試験片の室温から所定温度T2が1500℃までの昇温過程、及び、1500℃から室温までの冷却過程の線熱膨張率を連続的に測定し、冷却過程と昇温過程における所定温度T3が1200℃での線熱膨張率を読み取った。

0061

一方で実機使用時の損耗速度は、表1の各例の配合割合からなるアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物に、分散剤としてポリアクリル酸ソーダを耐火物質量に対する外掛け0.06質量%〜0.1質量%の範囲で添加し、更に水を耐火物質量に対する外掛け5〜6.5質量%の範囲で添加して、二軸ミキサーを用いて3分間混練し、混練物を容量300tの溶鋼取鍋の側壁部に施工し、この溶鋼取鍋を70回(ch)使用した後に当該耐火物の厚みを測定し、元の厚みから差し引いた値を使用回数で除することにより平均損耗速度(mm/ch)として算出した。同時に使用中の亀裂による剥離損耗の状況を目視観察した。

0062

試験例1につき、室温から所定温度T2が1500℃までの昇温過程、及び、1500℃から室温までの冷却過程の線熱膨張率を連続的に測定した結果を図2に示す。冷却過程と昇温過程における所定温度T3が1200℃での線熱膨張率の差分値は0.1%以下となっていることが分かる。

0063

試験例1〜3のキャスタブル耐火物は、1500℃×3h焼成後の残存線変化率の値が相対的に小さいことから、従来の経験からは剥離の懸念はあまりないと予想された。そして1600℃×3h焼成後の残存線変化率は正の値となったため、大気中1400℃で3時間熱処理を施した試験片において、1500℃から室温までの冷却過程と、室温から1500℃までの昇温過程における線熱膨張率を測定した。両過程の1200℃における線熱膨張率の差分値は0.1%以下であり、耐剥離性は高いと判断した。実機使用の結果、実機使用時に剥離損耗が発生しておらず、損耗速度も比較的小さかったことから、耐火物の耐剥離性を正確に評価することができている。

0064

試験例4は、1500℃×3h焼成後の残存線変化率が試験例1〜3に比べ相対的に大きく、従来の経験からは剥離損耗の懸念があった。しかしながら1600℃×3h焼成後の残存線変化率は正の値となった。引き続き本発明の線熱膨張率を測定したところ、1200℃での線熱膨張率の差分値が0.1%以下であり、耐剥離性は高いと判断された。実機使用したところ、剥離損耗は観察されず、損耗速度の試験例1〜3とほぼ同等であったことから、耐火物の耐剥離性を正確に評価することができた。

0065

試験例5と6は、1500℃×3h焼成後の残存線変化率の値が比較的低いことから、従来の経験からは剥離の懸念はあまりないと予想された。そして、1600℃×3h焼成後の残存線変化率の値も、小さいながら正の値を示した。しかしながら、大気中1400℃で3時間熱処理を施した試験片の線熱膨張率曲線において、1500℃から室温までの冷却過程における1200℃での線熱膨張率と、室温から1500℃までの昇温過程における1200℃での線熱膨張率の差分値は0.1%超となり、耐剥離性に劣ると判断された。実機試験したところ、剥離損耗が発生し、損耗速度が大きくなった。従って、耐火物の耐剥離性を正確に評価することができた。

実施例

0066

参考例1は、1500℃×3h焼成後の残存線変化率の値が低く、従来の経験からは剥離の懸念はあまりないと予想されるものの、残存膨張性がやや低い耐火物である。そこで、1600℃×3h焼成後の残存線変化率を測定したところ、負の値を取ったため、残存膨張性に劣ると予想された。一般にはこのような耐火物は実機に用いることはない。参考として、本発明に相当する、大気中1400℃で3時間熱処理を施した試験片において、1500℃から室温までの冷却過程における1200℃での線熱膨張率と、室温から1500℃までの昇温過程における1200℃での線熱膨張率を測定したところ、その差分値は0.1%以下であった。しかし実機試験を行ったところ、剥離損耗が観察され、損耗速度が大きかった。このように、1600℃×3h焼成後の残存線変化率が負の値を取るキャスタブル耐火物、すなわち残存収縮するキャスタブル耐火物は、線熱膨張率の差分値が小さい場合であっても、溶融金属処理容器の内張り炉材には好適に用いることができないおそれがある。

0067

本発明によれば、実機を施工する前に、使用する予定のアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の試験片を用いて、当該アルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物の耐剥離性を正確に評価することができる。そのため、本発明に係る評価方法を利用することによって、各種のキャスタブル耐火物の耐剥離性を比較検討することができ、耐用性に極めて優れたアルミナ−マグネシア質キャスタブル耐火物及び当該キャスタブル耐火物を用いた実機を製造することができる。

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