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課題

一般消費者が手軽に購入でき、家庭における排便ガスの測定によって癌等の重大な疾病になってしまうのを未然に防止できるシステムを提供する。

解決手段

本発明のシステムは、トイレ室に設けられた被験者側装置6と、被験者側装置6と通信可能なサーバー12とを含み、被験者側装置6は、含硫ガスに反応し、検出データを出力する含硫ガスセンサ26と、含硫ガスセンサ26により検出された含硫ガスの検出データを含む測定データをサーバー12に送信する送受信機56と、を含み、サーバー12は、被験者識別情報に対応づけて、含硫ガスセンサ26により検出された含硫ガスの検出データを含む測定データを、排便行為の日時とともに蓄積して記録されるデータベースと、データベースに蓄積記録された測定データの経時変動傾向に基づいて被験者の体調解析するサーバー側データ解析手段と、を含む。

概要

背景

近年、医療技術進化とともに癌などの大病の診断技術や、癌治療そのものの技術進化によって癌による死亡率は極めて低くなっている。しかし、癌の予防のために診断を定期的に受けるために病院に通うのは患者にとっては負担が大きい。このため、現実としては、体調不良を実感してから通院する患者が多く、残念ながら癌になってしまう方は未だに多い。また、癌になることを抑制するための実用的な装置は未だ開発されておらず、癌予防の実現に対しては十分とは言えないのが実情であった。

このような状況に鑑みて本発明者らは、病院に行かずとも家庭でもっと手軽に癌等の大病の診断ができるような装置を作り、大病の予防、もしくは早期治療を実現できるような本当に市場から求められている装置を製造したいという強い思いを持ち、長期に渡り研究を進めていた。

これまで出願人は、洋式大便器便座に搭載され、被験者排便時にボウル内に排出される排便ガス採取し、この排便ガス中に含まれる二酸化炭素濃度に基づいて、生体情報指標としての排泄大便量を求める装置(特許文献1参照)や、被験者の排便時に併発される排便ガスを水洗大便器の便座に組み込まれた脱臭装置吸引し、吸引されたガスの二酸化炭素濃度を二酸化炭素ガスセンサで測定し、測定された二酸化炭素濃度に基づいて、被験者の腸内状態推定する装置(特許文献2参照)を開発してきた。しかしながら、これら装置では現在の腸内状態を推定するのみであり、手軽に癌等の大病の診断やそのリスク状況を把握できるという、発明者の目的を達成できるものではなかった。さらに、人の排泄部付近の空気に接触するようにガスセンサを配置し、このガスセンサ出力ピーク値に基づいておならを検出するおなら検出装置(特許文献3)も知られている。このおなら検出装置では、ベッドに寝ている患者のおむつや下着の中の排泄部からチューブを引き出し、吸引ポンプで空気を吸引することにより、患者のおならを捕集している。さらに、このおなら検出装置は、ガスセンサ出力のピーク半値幅に基づいておならと排尿を区別して、盲腸手術後におならが出たかどうかを医師が確認したり、おむつの交換時期を検出するものに過ぎず発明者の目的を達成できるものではない。一方、特開2014−160049号公報(特許文献4)に、被験者が放屁した屁の成分からメチルメルカプタンガスを測定するセンサと、このセンサから得られるメチルメルカプタンガス濃度を演算する演算部と、表示部とを備え、大腸癌罹患リスクを推定する携帯型大腸癌リスク測定機器は知られている。

また、特開平9−43182号公報(特許文献5)には、生体モニタ装置が記載されている。この生体モニタ装置では、布製のT字帯にガスセンサを装着して、ガスセンサが肛門付近に配置されるようにしておき、肛門から放出されたおならを検出する。ガスセンサからの信号は処理装置に伝達され、メモリ蓄積される。メモリに蓄積されたデータは過去データと比較され、差が大きい場合等、異常がある場合には表示装置に警告が表示されるものも知られている。
特許第3525157号公報(特許文献6)には、腸内ガス成分測定方法が記載されている。この腸内ガス成分測定方法では、トイレ便器の便座の部分に試料採取管を配置しておく。被測定者が装置のメインスイッチを投入すると、吸引ポンプが稼働して、肛門付近のガスが吸引される。指標ガス検知器は吸引されたガス中炭酸ガス濃度を常時測定しており、測定された濃度が急激に増大すると、制御・演算処理部は腸内ガスの放散があったと認識する。腸内ガスが放散されると、別の吸引ポンプが作動を開始し、吸引されたガスの一部がサンプル計量管に取り込まれる。取り込まれたサンプルはカラム送り込まれてガス成分が分離され、イオン化される。このイオン化量電気信号に変換され、腸内ガス中の検出対象ガス成分の濃度が測定されるものも知れられている。
特開2014−206945号公報(特許文献7)には、健康情報利用システムが記載されている。この健康情報利用システムにおいては、複数のデータセンタデータベースに、端末装置から入力された健康管理に関する個人健康情報が別々に保存されており、分析サーバー装置が個人健康情報を読み出し分析する。ビッグデータ作成サーバー装置は、個人健康情報を特定の条件で検索し、ビッグデータを作成し保存する。健康情報利用システムは、専門分野の知識に基づいた健康コンテンツを端末装置にて閲覧させ、個人健康情報を複数のデータセンタに保存して管理すると共に、個人健康情報を自動判定処理した健康判定結果や、専門家判定処理した健康判定結果を端末にて閲覧させる。こういうものも知られている。

ここで、癌等の大病の診断ができる装置を開発するにあたり、例えば上記特許文献4にもあるように、近年、大腸癌の疾病と、おならや排便に含まれる腸内のガス成分とに相関があるということが知られてきている。具体的には、大腸癌患者健常者に比べて、腸内のガス成分中の硫黄成分を含むメチルメルカプタンガスが多くなる。

概要

一般消費者が手軽に購入でき、家庭における排便ガスの測定によって癌等の重大な疾病になってしまうのを未然に防止できるシステムを提供する。本発明のシステムは、トイレ室に設けられた被験者側装置6と、被験者側装置6と通信可能なサーバー12とを含み、被験者側装置6は、含硫ガスに反応し、検出データを出力する含硫ガスセンサ26と、含硫ガスセンサ26により検出された含硫ガスの検出データを含む測定データをサーバー12に送信する送受信機56と、を含み、サーバー12は、被験者識別情報に対応づけて、含硫ガスセンサ26により検出された含硫ガスの検出データを含む測定データを、排便行為の日時とともに蓄積して記録されるデータベースと、データベースに蓄積記録された測定データの経時変動傾向に基づいて被験者の体調を解析するサーバー側データ解析手段と、を含む。

目的

本発明の目的は、一般消費者が手軽に購入でき、家庭における排便ガスの測定によって癌等の重大な疾病になってしまうのを未然に防止し、もしくは軽度な状態で病院に通院して治療を受けることを促すことができ、真に市場から求められている、実用性の高い診断システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

水洗大便器ボウル内に排出される排便ガスに基づいて、被験者体調を測定する生体情報測定システムであって、前記水洗大便器が設置された空間内に設けられた被験者側装置と、前記被験者側装置と通信可能なサーバーとを含み、前記被験者側装置は、被験者の排便行為中に排便ガスが排出された前記ボウル内の気体吸引する吸引装置と、この吸引装置によって吸引された気体に含まれ、硫黄成分を含む臭気性ガスであるメチルメルカプタンガス及びメチルメルカプタンガス以外の臭気性ガスに反応し、第1検出データを出力するガス検出装置と、被験者識別情報の入力を受け付ける被験者識別装置と、前記吸引装置及び前記ガス検出装置を制御する制御装置と、前記ガス検出装置により検出された臭気性ガスの第1検出データを含む測定データを前記サーバーに送信する通信装置と、を含み、前記サーバーは、前記被験者識別装置が受け付けた被験者識別情報に対応づけて、前記ガス検出装置により検出された臭気性ガスの第1検出データを含む測定データを、前記排便行為の日時とともに蓄積して記録されるデータベースと、前記データベースに蓄積記録された前記測定データの経時変動傾向に基づいて被験者の体調を解析するサーバー側データ解析手段と、前記サーバー側データ解析手段による解析結果を出力するサーバー側出力装置と、を含むことを特徴とする生体情報測定システム。

請求項2

前記被験者側装置は、さらに、前記測定データの経時変動傾向に基づいて被験者の体調を解析する被験者側データ解析装置と、前記被験者側データ解析装置による解析結果を出力する被験者側出力装置と、を含む、請求項1記載の生体情報測定システム。

請求項3

前記ガス検出装置は、さらに、前記吸引装置によって吸引された気体に含まれる水素ガス二酸化炭素、又はメタンガスの少なくとも一つからなる健康系ガスに反応し、第2検出データを出力し、前記測定データには、前記健康系ガスの第2検出データが含まれ、前記被験者側データ解析装置による解析は、前記サーバー側データ解析手段による解析よりも簡易である、請求項2記載の生体情報測定システム。

請求項4

前記サーバー側出力装置が出力する解析結果は、疾病に関する判定結果を含み、前記被験者側出力装置が出力する解析結果は、前記測定データの履歴を含み、かつ、前記疾病に関する判定結果を含まない、請求項2又は3記載の生体情報測定システム。

請求項5

前記被験者側データ解析装置は、前記測定データのうちの排便行為中の一部のデータに基づいて被験者の体調を解析し、前記サーバー側データ解析手段は、前記測定データのうちの前記排便行為中の前記一部のデータよりも長い期間のデータに基づいて被験者の体調を解析する、請求項2乃至4の何れか1項に記載の生体情報測定システム。

請求項6

前記データベースには、前記排便行為の全期間の測定データが記録され、前記サーバー側データ解析手段は、前記排便行為の全期間の測定データに基づいて被験者の体調を解析する、請求項2乃至5の何れか1項に記載の生体情報測定システム。

請求項7

被験者側データ解析装置は、さらに、前記ガス検出装置により出力される第1検出データの信頼度を判定する信頼度判定手段を備え、前記被験者側データ解析装置は、前記測定データのうちの前記信頼度判定手段により判定された信頼度の高い期間の測定データに基づいて被験者の体調を解析する、請求項2乃至6の何れか1項に記載の生体情報測定システム。

請求項8

前記被験者側データ解析装置は、前記測定データにおける排便行為の期間中の初回の排便ガス検出期間を特定し、前記測定データのうちの特定した初回の排便ガス検出期間のデータに基づき分析を行う、請求項2乃至7の何れか1項に記載の生体情報測定システム。

請求項9

被験者側データ解析装置は、さらに、前記ガス検出装置により出力される第1検出データの信頼度を判定する信頼度判定手段を備え、前記データベースは、前記測定データとともに前記信頼度が記録され、前記サーバー側出力装置には、解析結果とともに前記信頼度が出力される、請求項2乃至8の何れか1項に記載の生体情報測定システム。

請求項10

前記被験者側装置は、さらに、入力装置を備え、前記入力装置は、前記被験者の排便履歴状況に関する排便履歴情報の入力を受け付け、前記データベースは、前記測定データとともに、前記排便履歴情報が記録され、前記サーバー側出力装置には、解析結果とともに前記排便履歴情報が出力される、請求項1乃至9の何れか1項に記載の生体情報測定システム。

請求項11

前記被験者側装置は、さらに、被験者が排便した便の便量及び便の状態の少なくも一方を判定する便状態判定センサを含み、前記データベースは、前記測定データとともに、前記便量及び便の状態の少なくも一方を含む便状態情報が記録され、前記サーバー側出力装置には、解析結果とともに前記便状態情報が出力される、請求項1乃至10の何れか1項に記載の生体情報測定システム。

請求項12

前記被験者側データ解析装置は、さらに、前記ガス検出装置により出力される第1検出データの信頼度を判定する信頼度判定手段を備え、前記被験者側装置は、前記信頼度判定手段により判定された信頼度が低い場合には、前記サーバーへ前記測定データを送信しない、請求項2乃至11の何れか1項に記載の生体情報測定システム。

請求項13

前記被験者側データ解析装置は、前記サーバーの前記データベースに記録された前記測定データに基づいて被験者の体調を解析する、請求項2乃至12の何れか1項に記載の生体情報測定システム。

請求項14

前記サーバーは、前記データベースに蓄積されて記録された測定データに基づいて、前記被験者側データ解析装置による解析の基準となる新たな基準データを構成し、前記被験者側データ解析装置の基準データは、前記サーバーにより構成された新たな基準データに更新される、請求項2乃至13の何れか1項に記載の生体情報測定システム。

技術分野

0001

本発明は、生体情報測定システムに関し、特に、トイレ室に設置された大便器ボウル内に排出される排便ガスに基づいて、被験者体調を測定する生体情報測定システムに関する。

背景技術

0002

近年、医療技術進化とともに癌などの大病の診断技術や、癌治療そのものの技術進化によって癌による死亡率は極めて低くなっている。しかし、癌の予防のために診断を定期的に受けるために病院に通うのは患者にとっては負担が大きい。このため、現実としては、体調不良を実感してから通院する患者が多く、残念ながら癌になってしまう方は未だに多い。また、癌になることを抑制するための実用的な装置は未だ開発されておらず、癌予防の実現に対しては十分とは言えないのが実情であった。

0003

このような状況に鑑みて本発明者らは、病院に行かずとも家庭でもっと手軽に癌等の大病の診断ができるような装置を作り、大病の予防、もしくは早期治療を実現できるような本当に市場から求められている装置を製造したいという強い思いを持ち、長期に渡り研究を進めていた。

0004

これまで出願人は、洋式大便器便座に搭載され、被験者の排便時にボウル内に排出される排便ガスを採取し、この排便ガス中に含まれる二酸化炭素濃度に基づいて、生体情報指標としての排泄大便量を求める装置(特許文献1参照)や、被験者の排便時に併発される排便ガスを水洗大便器の便座に組み込まれた脱臭装置吸引し、吸引されたガスの二酸化炭素濃度を二酸化炭素ガスセンサで測定し、測定された二酸化炭素濃度に基づいて、被験者の腸内状態推定する装置(特許文献2参照)を開発してきた。しかしながら、これら装置では現在の腸内状態を推定するのみであり、手軽に癌等の大病の診断やそのリスク状況を把握できるという、発明者の目的を達成できるものではなかった。さらに、人の排泄部付近の空気に接触するようにガスセンサを配置し、このガスセンサ出力ピーク値に基づいておならを検出するおなら検出装置(特許文献3)も知られている。このおなら検出装置では、ベッドに寝ている患者のおむつや下着の中の排泄部からチューブを引き出し、吸引ポンプで空気を吸引することにより、患者のおならを捕集している。さらに、このおなら検出装置は、ガスセンサ出力のピーク半値幅に基づいておならと排尿を区別して、盲腸手術後におならが出たかどうかを医師が確認したり、おむつの交換時期を検出するものに過ぎず発明者の目的を達成できるものではない。一方、特開2014−160049号公報(特許文献4)に、被験者が放屁した屁の成分からメチルメルカプタンガスを測定するセンサと、このセンサから得られるメチルメルカプタンガス濃度を演算する演算部と、表示部とを備え、大腸癌罹患リスクを推定する携帯型大腸癌リスク測定機器は知られている。

0005

また、特開平9−43182号公報(特許文献5)には、生体モニタ装置が記載されている。この生体モニタ装置では、布製のT字帯にガスセンサを装着して、ガスセンサが肛門付近に配置されるようにしておき、肛門から放出されたおならを検出する。ガスセンサからの信号は処理装置に伝達され、メモリ蓄積される。メモリに蓄積されたデータは過去データと比較され、差が大きい場合等、異常がある場合には表示装置に警告が表示されるものも知られている。
特許第3525157号公報(特許文献6)には、腸内ガス成分測定方法が記載されている。この腸内ガス成分測定方法では、トイレ便器の便座の部分に試料採取管を配置しておく。被測定者が装置のメインスイッチを投入すると、吸引ポンプが稼働して、肛門付近のガスが吸引される。指標ガス検知器は吸引されたガス中炭酸ガス濃度を常時測定しており、測定された濃度が急激に増大すると、制御・演算処理部は腸内ガスの放散があったと認識する。腸内ガスが放散されると、別の吸引ポンプが作動を開始し、吸引されたガスの一部がサンプル計量管に取り込まれる。取り込まれたサンプルはカラム送り込まれてガス成分が分離され、イオン化される。このイオン化量電気信号に変換され、腸内ガス中の検出対象ガス成分の濃度が測定されるものも知れられている。
特開2014−206945号公報(特許文献7)には、健康情報利用システムが記載されている。この健康情報利用システムにおいては、複数のデータセンタデータベースに、端末装置から入力された健康管理に関する個人健康情報が別々に保存されており、分析サーバー装置が個人健康情報を読み出し分析する。ビッグデータ作成サーバー装置は、個人健康情報を特定の条件で検索し、ビッグデータを作成し保存する。健康情報利用システムは、専門分野の知識に基づいた健康コンテンツを端末装置にて閲覧させ、個人健康情報を複数のデータセンタに保存して管理すると共に、個人健康情報を自動判定処理した健康判定結果や、専門家判定処理した健康判定結果を端末にて閲覧させる。こういうものも知られている。

0006

ここで、癌等の大病の診断ができる装置を開発するにあたり、例えば上記特許文献4にもあるように、近年、大腸癌の疾病と、おならや排便に含まれる腸内のガス成分とに相関があるということが知られてきている。具体的には、大腸癌患者健常者に比べて、腸内のガス成分中の硫黄成分を含むメチルメルカプタンガスが多くなる。

先行技術

0007

特許第5131646号
特許第5019267号
特開2003−90812号
特開2014−160049号
特開平9−43182号
特許第3525157号
特開2014−206945号

発明が解決しようとする課題

0008

腸内のガス成分は、排便時に便とともにおならや排便ガスとして排出される。そこで、発明者らは、2015年1月5日の日本経済新聞にも掲載した通り、先の特許文献4などと同様に排便時に排出されるおならや排便ガス中のメチルメルカプタンガスなどの特定のガスを測定すれば腸内の大腸癌を発見することができると考え、研究を続けていた。しかしながら、このメチルメルカプタンガスなどの特定のガスのみを精度良く測定できる測定装置は非常に高価で大型である。また、排便ガスに含まれるメチルメルカプタンガスは微量であり、さらに、癌になる前の段階となるとより微量となるため測定は非常に難しく、少なくともこのような正確に測定できるガス分析装置を家庭のトイレ装置に組み込んで民生品として普及させることはコスト的にもサイズ的にも、とても現実的ではないという課題に発明者らは直面した。

0009

しかし、発明者らは癌等の大病になる人を一人でも減らしたい。そのためには一般消費者が手軽に購入できて、家庭で手軽に診断できる装置を作る必要があるというとても強い思いで研究を続け、遂にその実現に向けた技術的な解決策を見出したものである。

0010

本発明の目的は、一般消費者が手軽に購入でき、家庭における排便ガスの測定によって癌等の重大な疾病になってしまうのを未然に防止し、もしくは軽度な状態で病院に通院して治療を受けることを促すことができ、真に市場から求められている、実用性の高い診断システムを提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

本発明は、水洗大便器のボウル内に排出される排便ガスに基づいて、被験者の体調を測定する生体情報測定システムであって、水洗大便器が設置された空間内に設けられた被験者側装置と、被験者側装置と通信可能なサーバーとを含み、被験者側装置は、被験者の排便行為中に排便ガスが排出されたボウル内の気体を吸引する吸引装置と、この吸引装置によって吸引された気体に含まれ、硫黄成分を含む臭気性ガスであるメチルメルカプタンガス及びメチルメルカプタンガス以外の臭気性ガスに反応し、第1検出データを出力するガス検出装置と、被験者識別情報の入力を受け付ける被験者識別装置と、吸引装置及びガス検出装置を制御する制御装置と、ガス検出装置により検出された臭気性ガスの第1検出データを含む測定データをサーバーに送信する通信装置と、を含み、サーバーは、被験者識別装置が受け付けた被験者識別情報に対応づけて、ガス検出装置により検出された臭気性ガスの第1検出データを含む測定データを、排便行為の日時とともに蓄積して記録されるデータベースと、データベースに蓄積記録された測定データの経時変動傾向に基づいて被験者の体調を解析するサーバー側データ解析手段と、サーバー側データ解析手段による解析結果を出力するサーバー側出力装置と、を含むことを特徴とする。

0012

従来、癌等の大病になっているかどうかの確認、もしくは、大病の予防のための確認は、病院での診断以外に有効な装置が存在しないというのが実情であった。これに対して、本発明によれば、一般消費者が被験者側装置を手軽に購入し、家庭において測定できる。さらに、排便時に排出される排便ガスを測定するため、被験者がわざわざ新たな測定行為を行うという手間もなく、単に毎日行う排便行為を普通に行うだけで、癌等の重大な疾病になってしまうのを未然に防止したり、もしくは軽度な状態で病院に通院して治療を受けたりすることができる。このように、本発明によれば、真に市場から求められていた装置を実現し、実用性の高い診断システムを提供できるという優れた効果を奏するものである。

0013

ここで、本発明の効果を具体的に説明する前に、民生品として一般家庭に普及できるようなシステムを可能とした技術的な考え方を説明する。そのキーポイントは、逆転発想と、癌等の大病の特性を理解し、それを利用した有効的な割り切りの知見にある。

0014

具体的には、まず本発明のシステムのキーポイントの一つは、各家庭に設置される被験者側装置では癌等の大病になっていることを診断しないという逆転の発想である。すなわち、被験者側装置を購入する一般消費者である被験者は癌になっていることを知りたいのではなく、癌になる前の段階(以下この段階を未病という)で癌リスクが高まっていることを認識し、癌にならないように今後の生活を改善していきたいというのが本音である。すなわち、一般家庭に求められる装置には、健康な人が癌リスクを正確に把握できて、癌にならないように体調改善できることにこそ価値があると考えたことにある。

0015

次に、本発明のシステムのキーポイントの一つは、特定の例えば直腸癌という特定の種類の癌を診断する装置、もしくは、特定の種類の癌のリスクが高まっているということを診断できる装置ではないという割り切りにある。これは、被験者が例えば直腸癌というような特定の種類の癌に対して不安となるのではなく、如何なる癌に対しても不安に思っている特性にある。よって、発明者らは、特定の種類の癌を診断しなければ商品価値がないというものではなく、癌の種類を特定するような精度の必要性は全くないと考え、癌の種類を特定できるような測定の精度は不要であると割り切ることとした。

0016

次に、本発明のシステムのキーポイントの一つは、各回の排便行為に対する診断精度は極めて低くても構わないという割り切りである。これは、癌は数年という長い期間をかけて進行する病気であるという特性に基づく考えであり、診断チャンスは年単位の長期間に渡るという気付きである。よって、健康な人が癌になるリスクを自ら軽減するための装置という位置づけであれば、一度の診断精度が低くてもその影響は実質的に何ら問題がないということに気づき、これに基づく有効的な割り切りがキーの一つとなっている。

0017

以下、これらの知見や有効的な割り切りに基づき構築された本発明に基づくシステムの特有の効果を説明する。
本発明では、大便器のボウル内に排出される排便ガスの測定で被験者の体調を解析するものであるため、被験者がわざわざ測定行為を行うという手間が一切必要なく、単に毎日行う排便を普通に行うというだけで診断できる。また、一切の手間がないため被験者には負担とならず、長期的に測定を継続し、確実に健康状態の変化や、癌リスクが高まっているような状況を確実に情報入手できる。

0018

また、本発明ではメチルメルカプタンガスをピンポイントで測定するセンサを用いず、排便ガス中のメチルメルカプタンガス以外の臭気性ガスにも広く反応するセンサを用いている。メチルメルカプタンガスをピンポイントで測定するセンサを用いた場合には、メチルメルカプタンガス量と大腸癌に相関があるため大腸癌であることは確実に検知でき、また、癌のリスクが高まっていることもその量から確実にわかる。しかし、これでは癌のリスクがある程度高まり、メチルメルカプタンガス量が増えないと癌のリスクが高まっていると判断できず、癌になるのを防止させることを目的とする本件発明においては不向きであることに気付いた。

0019

これに対して、臭気性ガスにも広く反応するセンサの場合は、癌リスクの上昇のみならず体調不良状態から検知できる。具体的には、まず、癌のリスクが高まった状態では、メチルメルカプタンガスや硫化水素などの硫黄成分を含む非常に強い臭気性ガスが多くなる。そして、臭気性ガスに広く反応するセンサであれば、必ずこのようなガスの増加を検知できる。また、後述するように、日々の体調変化により臭気性ガスのガス量は一時的に増加することはあるものの、癌になった場合には、メチルメルカプタンガスや硫化水素などの硫黄成分を含む非常に強い臭気性ガスが強くなった状態が長期にわたり続く。このため、排便ガス中のメチルメルカプタンガス以外の臭気性ガスにも広く反応するセンサを用いたとしても、長期にわたりガス量が高い場合には、癌の疾病の可能性が高く、癌リスクが増加していると判断することができる。よって、臭気性ガスにも広く反応するセンサは、この点において、メチルメルカプタンガスをピンポイントで測定するセンサと同様に機能する。

0020

また、本発明では、メチルメルカプタンガスのみならず、メチルメルカプタンガス以外の排便ガス中の臭気性ガスにも反応するガス検出装置を用いており、排便ガス中の臭気性ガス量がわかるだけで、メチルメルカプタンガス量が計測できるわけではなく、癌の状態を正確に特定することはできない。しかし、発明者らは、メチルメルカプタンガスのみならず、メチルメルカプタンガス以外の排便ガス中の臭気性ガスにも反応するガス検出装置を用いることにより、逆に健康な人が癌のリスクが高まっている状態や、癌になるようなリスクを未然に防止するための装置として有効に機能することを見出した。詳述すると、健康な人は、メチルメルカプタンガス及びメチルメルカプタンガス以外の臭気性ガスの総量が少ない。これに対して、メチルメルカプタンガス及びメチルメルカプタンガス以外の臭気性ガスの総量は、癌になる以外にも、腸内環境の悪化で一時的に高まる。腸内環境の悪化とは、具体的には、過度便秘や、食事の種類、睡眠不足、暴飲暴食、飲み過ぎ、過度なストレスなどの要因による腸内環境の悪化である。しかし、これらの要因はいずれも悪しき生活習慣と言える。悪しき生活習慣の末に癌となるが、これまでは、癌リスクが高まっていたとしても、それを認識する手段がなく、現状としては多くの人が自分は大夫という都合の良い思い込みで悪しき生活習慣を続けている。

0021

このように、上述のような悪しき生活習慣を行うと、メチルメルカプタン、硫化水素、酢酸トリメチルアミンアンモニアなどの排便ガス中の臭気性ガスの全てか、もしくはいずれかが増加する。これに対して、本発明は、メチルメルカプタンガスのみならず、硫化水素、酢酸、トリメチルアミン、アンモニアなどのメチルメルカプタンガス以外の排便ガス中の臭気性ガスを検出するガス検出装置の検出データに基づき体調の解析を行っている。このため、排便ガス中の臭気性ガスの総量に基づく解析結果は、被験者の体調不良や悪しき生活習慣の結果を反映しており、解析結果をこのような癌リスクを高めるような体調や生活習慣を改善させるための客観的なデータに基づく指標、すなわち、健康状態を維持し、癌になるリスクを下げるための有効な指標として用いることができ、生活習慣の改善、癌リスクの抑制という目的に極めて有効に作用する優れた効果になると見出したものである。

0022

このように、本発明によれば、メチルメルカプタンガス及びメチルメルカプタンガス以外の臭気性ガスを測定するので、癌リスクが高まるような状態になっていることや、このような状態を長期に続けると癌になってしまうという好適な警鐘を、被験者に通知できるような測定が可能になったものである。所謂、逆転の発想によって癌になる人を減らしたいという目的に対して好適な知見を見出したものである。

0023

さらに、本発明によれば、メチルメルカプタンガスのみならずメチルメルカプタンガス以外の臭気性ガスに広く反応するセンサを用いているため、安価に装置を製造することができ、民生品として提供することが可能になった。これにより、家庭で手軽に診断でき、癌等の重大な疾病になってしまうのを未然に防止し、もしくは軽度な状態で病院に通院して治療を受けることを促すことができるという、被験者の要求を十分に満たすことができたものである。

0024

また、本発明によれば、排便という毎日の通常行為で排便ガスを測定するため、各回の測定精度が低くても、データベースに蓄積記憶された膨大な回数の測定データを用いることにより、癌になるリスクが高まっている、もしくは癌になりつつあるという解析の精度を必要十分に確保できた。

0025

更に、本発明では、1回の排便行為の測定データのみに基づいて体調の解析を行う装置ではないため、長期的な測定データを蓄積する必要があり、さらには、長期的な測定データに基づく解析が必要である。このような測定データの蓄積や解析システムを各家庭に設置される被験者用装置に組み込むことは高コスト化の要因となり、被験者用装置を民生品として広く普及させることの妨げとなる。これに対して、本発明では、測定データをサーバーに送信してデータベースにおいて管理するとともに、体調の解析をサーバー側で行うようにしたことにより、消費者が購入する被験者用装置を安価に提供できた。また、体調の解析の精度もサーバーで行うことで飛躍的に高精度化できた。

0026

また、本発明において、好ましくは、被験者側装置は、さらに、測定データの経時変動傾向に基づいて被験者の体調を解析する被験者側データ解析装置と、被験者側データ解析装置による解析結果を出力する被験者側出力装置と、を含む。

0027

このような構成の本発明によれば、被験者側装置においても被験者の体調の解析を行い、被験者に対して出力することができるため、サーバーにおける解析や通知の頻度を少なくして負担を軽減できるとともに、被験者は被験者側出力装置への表示に基づき日々の生活改善を迅速に確実に手軽に行うことができる。

0028

また、本発明において、好ましくは、ガス検出装置は、さらに、吸引装置によって吸引された気体に含まれる水素ガス二酸化炭素、又はメタンガスの少なくとも一つからなる健康系ガスに反応し、第2検出データを出力し、測定データには、健康系ガスの第2検出データが含まれ、被験者側データ解析装置による解析は、サーバー側データ解析手段による解析よりも簡易である。

0029

癌の疾病等の詳細な解析は、癌が長期間をかけて進行するものであるため、診断の頻度は低くても問題ないが、その精度については非常に高いものが要求される。一方、癌になる前段階の未病状態で生活改善を行うためには、毎日、体調の解析結果を被験者が排便行為時等に迅速に入手できることが望ましい。しかしながら、毎日、サーバー側で詳細な解析を行なったり、解析結果に基づき医師等が診断したりすることはサーバーの解析負担や医師の負担を考えても現実的ではない。また、サーバー側で高頻度かつ高精度に解析を行うシステムでは、システムの使用料も高額になるため、この点からも現実的ではない。これに対して、上記構成の本発明によれば、癌は長期間を費やした末に発病する病気であるという特性を利用し、サーバー側解析装置と、被験者側装置で上手役割分担を図ったことによって、被験者側装置の価格上昇を抑えながら、サーバー側で詳細な解析を行うことができる。すなわち、上記構成の本発明によれば、上記要求の双方を満足できる、癌等の大病に対する優れた実用的なシステムを提供できた。具体的には、サーバー側解析装置と被験者側データ解析装置で機能分離し、サーバー側解析装置には、頻度は低いが高い精度の医療診断機能を与える一方、被験者側データ解析装置には、癌等の大病リスクが高まっていることを明らかにする程度の簡易な健康管理的な機能を与え、簡易解析ではあるが高頻度の通知を行えるようにした。これによって、被験者は高頻度でかつタイムリーに情報を入手して体調管理を行うことができるようになった。一方、サーバー側における詳細な解析の頻度は低いが、癌は長期間かけて進行するものであるため、その影響はない。逆にサーバー側での解析の頻度を抑えることにより解析負担を減らしつつ、正確に癌リスクの状況を解析でき、正しく解析結果を通知できるようにできた。このように役割を分離したことで、サーバー側において癌の疾病の詳細状況や癌リスクの上昇を正確に把握できるとともに、被験者側データ解析装置に悪しき生活習慣に伴う体調変化を日々正確に判断し、その改善に向けた努力を促すことが可能となった。

0030

さらに、上記構成の本発明においては、硫黄成分を含む臭気性ガスの第1検出データと、健康系ガスの第2検出データとに基づいて体調の解析を行うようにした。これは、硫黄成分を含む臭気性ガス及び健康系ガスに基づき解析を行うことにより、解析の精度を飛躍的に向上し、簡易測定を行っても腸内変化や癌リスクが高まっているという程度の解析の精度を確保できるという、発明者らによる優れた技術知見に基づくものである。具体的には、臭気性ガスの量は体調変化によって一時的な増減がみられるが、腸内の環境変化に起因して癌リスクが高まっている状態では、確実に継続的に臭気性ガスの量は増加する。さらに、臭気性のガス量増加に反比例するように健康系ガスの量が確実に継続的に減少する。したがって、臭気性のガス量と健康系ガス量の間のこれらの関係を利用すれば、被験者の排便ガスを全て採集し、その中の臭気性ガス量の全体量を正確に把握していなくても、硫黄成分を含む臭気性ガス及び健康系ガスに基づき解析を行うことにより、簡易解析であっても正確な体調の解析が可能になる。これにより、短期間に収集した排便ガス中の、臭気性ガスと健康系ガスの関係に基づく簡易解析で体調変化を検出することができると共に、癌リスクが高まっているということも正確に解析できるのである。この知見に基づいた本発明によれば、被験者側に設置した簡易な解析を行う被験者側装置を使用しても、有用な解析を行うことが可能となり、高頻度で簡易解析を実行すると共に、高頻度で体調状態を通知することができるようになった。

0031

一方、臭気性ガスは非常に微量であるため、臭気性ガスだけで解析するには測定誤差も考慮すると測定システムや測定精度には問題があった。測定データの信頼性を十分確保するためには感度の高い、非常に高価な臭気性ガスのセンサが必要であり、消費者側のシステムの価格上昇を抑えることが困難であった。上記構成の本発明によれば、発明者らにより見出された上記の技術知見に基づく解析手法を使用することにより、高価なセンサを使用しなくとも、簡易な臭気性ガスのセンサに、安価な健康系ガスのセンサを追加するだけで十分な解析の信頼性を確保することが可能になると共に、体調の解析の精度を飛躍的に高めることができた。

0032

また、臭気性のガスと健康系のガスの両方を解析するためには、解析負荷が大きくなることが考えられるが、上記構成の本発明では、被験者側装置では2つのガスの関係を利用した簡易解析としているため、被験者側装置における解析負荷を抑制することが可能になった。また、サーバー側における解析についても、安価な臭気センサにより収集されたデータを用いても十分に正確な解析が可能となった。さらに、上記構成の本発明によれば、硫黄成分を含む臭気性ガス及び健康系ガスに基づき解析を行うことによりサーバー側の解析の精度が向上され、医師による診断においても誤診無用な通院指示を抑制できるため、被験者に無用な心理負担を与えるのを防止することができ、被験者にも大きなメリットが生まれたものである。

0033

また、本発明において、好ましくは、サーバー側出力装置が出力する解析結果は、特定疾病に関する判定結果を含み、被験者側出力装置が出力する解析結果は、測定データの履歴を含み、かつ、特定疾病に関する判定結果を含まない。

0034

疾病に関する解析結果の通知は被験者に対して心理的負担を強いるため、より正確な解析に基づき行われることが好ましい。しかしながら、上記の通り、被験者側データ解析装置における解析は簡易である。上記構成の本発明によれば、被験者側出力装置による解析結果には特定疾病に関する判定結果を含んでいないため、被験者に心理的な負担を強いることはなく、さらに、被験者側出力装置に測定データの履歴が出力される。このため、被験者はデータ変化の確認で体調変化を把握でき、また暴飲暴食など悪しき生活習慣を行った翌日などにデータ変化が生じれば、悪しき生活習慣に基づく悪い結果として変化量を直接把握できる。このため、被験者に、悪しき生活習慣を改め、体調改善に確実に努めてもらえることになる。また、上記構成の本発明によれば、サーバー側でより精度の高い解析を行っているため、誤診等を防止することができる。このように、上記構成の本発明によれば、癌診断等の高精度が必要な解析はサーバー側で詳細に行い、健康な人が癌になるリスクを抑制する役割は被験者側装置に持たせるという工夫で民生品としての価格を実現しつつ、癌等の診断精度も高いレベルで確保できるという実用上優れたシステムを構築できたものである。

0035

また、本発明において、好ましくは、被験者側データ解析装置は、測定データのうちの排便行為中の一部の期間のデータに基づいて被験者の体調を解析し、サーバー側データ解析手段は、測定データのうちの排便行為中の一部の期間よりも長い期間のデータに基づいて被験者の体調を解析する。

0036

サーバー側解析装置における癌等の特定疾病の解析は、癌とメチルメルカプタンガス量に関連性があるため、排便行為中の長い期間に渡って臭気性のガス量を正確に測定することがその精度確保の面では望ましい。これに対して、被験者側装置における解析は、疾病の判定を含まない体調管理であるため、先に述べたように臭気性ガスと健康系ガスの相関で解析する手法を見出したため、体内で生成された臭気性ガスの全量を正確に把握する必要がない。よって、被験者側装置では、短時間で収集したガス中における臭気性ガス量と健康系ガスの相関に基づき解析できるため、解析負担なく、正確に、かつ迅速に解析が行なえるようになった。この有用な発見により有効的な割り切りが実現し、被験者側装置における解析精度を確保できたものである。

0037

また、被験者側装置における解析では、排便後にすぐに結果を受けられることが望ましい。すなわち、排便行為の期間全てのデータを用いた解析を行う場合には、排便行為が終わって退出準備が開始されてから解析がスタートすることになるため、排便行為後も被験者はトイレ空間内で結果を受けるまで無駄に待つ必要性があって使い勝手が非常に悪い。しかし、上記構成の本発明によれば、被験者側装置における解析は排便行為期間の一部の短い特定期間のデータだけで行うため、排便行為中に解析を開始することが可能となった。これによって、排便行為中や排便行為後すぐに結果を受けることが可能となり、出勤前などの時間がない時にトイレ空間内で結果を得る為に待たせるという状態を回避させることが可能となる。トイレ空間内で体調管理を行うというシステムにおけるこの効果は、非常に有用な特有の効果である。

0038

また、本発明において、好ましくは、データベースには、排便行為の全期間の測定データが記録され、サーバー側データ解析手段は、排便行為の全期間の測定データに基づいて被験者の体調を解析する。

0039

癌になると癌細胞によって体内で生成されるメチルメルカプタンガス量が多くなるという知見がある。疾病の判定を行うサーバーでは臭気性のガスの排便行為の期間中の全量に基づき解析するため、メチルメルカプタンガスの生成量と相関のある癌の診断を一層高精度化でき、正確な疾病解析が可能となる。

0040

本発明において、好ましくは、被験者側データ解析装置は、さらに、ガス検出装置により出力される第1検出データの信頼度を判定する信頼度判定手段を備え、被験者側データ解析装置は、測定データのうちの信頼度判定手段により判定された信頼度の高い期間の測定データに基づいて被験者の体調を解析する。

0041

臭気成分に広く反応するセンサを用いた本件発明では、第1検出データは、被験者に付着したや尿などの異臭ガス成分や、香水、また、便器に付着した便やトイレ空間残留した臭気ガス芳香剤、またアルコール除菌剤等の影響を受ける。特に、香水や芳香剤が強い場合や、体やトイレ空間が不衛生であればあるほど測定精度が低下するおそれがある。また、他の人が排便した直後に使用する場合などは、前に使用した人の排便ガスや付着臭などの異臭成分便器内やトイレ空間内に残っている可能性も高く、不衛生な空間でなくても測定に影響が生じることが考えられる。これに対して、上記構成の本発明によれば、信頼度判定手段により第1検出データの信頼度を判定し、信頼度の高い期間の測定データに基づき体調の解析を行うため、被験者側データ解析装置における体調の解析を正確で安定したものとすることができる。また、サーバー側の解析に対してもノイズによる影響で誤診されることが抑制でき、被験者に無用な心理負担を与えることを防止できる。

0042

本発明において、好ましくは、被験者側データ解析装置は、測定データにおける排便行為の期間中の初回の排便ガス検出期間を特定し、測定データのうちの特定した初回の排便ガス検出期間のデータに基づき分析を行う。

0043

これまで、癌細胞によってメチルカプタンガスが生成されるため、排便期間中の癌細胞の位置に対応したタイミングでこのガスが多く排出されると考えられていたが、発明者らは排便行為期間の初期にガスが多く排出される傾向を見つけた。これは排便時、便よりガスの方が排出されやすいという特性や、生成されたガスは時間とともに肛門近くに集まるという特性によるものであると考えられる。この知見に基づく本件発明においては、被験者側装置において、排便行為の初回に排出される排便ガスに基づき解析するため、簡易測定であっても、健康管理のために必要な体調解析の精度を飛躍的に向上できたものである。また、初回の排便ガスで簡易解析することで排便行為期間中に解析を確実に開始できるようになったため、解析結果を排便行為中や排便行為直後に、確実に提供できる。被験者は、悪しき生活習慣を行った心当たりがある場合には、解析結果を閲覧することに対しては消極的になることがある。しかしながら、本発明によれば、解析結果が、排便行為中や排便行為直後に提供されるため、被験者は必ず解析結果を閲覧することになる。このため、解析結果を閲覧することに対して消極的な被験者に対しても、体調改善を促すことができる。

0044

本発明において、好ましくは、被験者側データ解析装置は、さらに、ガス検出装置により出力される第1検出データの信頼度を判定する信頼度判定手段を備え、データベースは、測定データとともに信頼度が記録され、サーバー側出力装置には、解析結果とともに信頼度が出力される。

0045

上記構成の本発明によれば、サーバー側出力装置には、解析結果とともに信頼度が出力されるため、解析結果が悪い状態が体調不良に起因するものなのか、または不衛生な環境などによるノイズに起因するかを正確に判断でき、無用な心理負担を与えることを確実に防止できるようになった。また、ノイズの除去を被験者が自ら正すように、例えば便器の清掃や香水の除去などの行動を取ってもらえるようにでき、より正確な診断を行うことが可能となった。

0046

本発明において、好ましくは、被験者側装置は、さらに、入力装置を備え、入力装置は、被験者の排便履歴状況に関する排便履歴情報の入力を受け付け、データベースは、測定データとともに、排便履歴情報が記録され、サーバー側出力装置には、解析結果とともに排便履歴情報が出力される。

0047

例えば便秘状態であると、臭気成分ガスの生成が長時間になるため診断の精度が低下してしまう。データベースに記録される測定データの日時が離れている場合には、便秘であると判断することができ、癌リスクが高まっているなどの誤診をしてしまう恐れを防止できる。また、被験者は必ずしも、被験者側装置が設けられたトイレにおいて排便するとは限られない。上記構成の本発明によれば、データベースに記録される測定データの日時が離れている場合であっても、便秘であるか否かを判断することができるため、より正確な診断を行うことができる。逆に異なった場所で排便した場合には、排便ガスに含まれる臭気性ガス量が少なくなるおそれがある。これに対して、上記構成の本発明によれば、今回の臭気性ガス量が少ない場合であっても、誤って健康であると診断してしまうことも防止できる。排便ガスから体調を管理したり、癌リスクを判断したりする本発明においては、体内に保持されている便の時間に臭気性ガスの量が関係するため、本発明による排便履歴情報の入手は診断精度を高める上で非常に有用な手段であると言える。

0048

本発明において、好ましくは、被験者側装置は、さらに、被験者が排便した便の便量及び便の状態の少なくも一方を判定する便状態判定センサを含み、データベースは、測定データとともに、便量及び便の状態の少なくも一方を含む便状態情報が記録され、サーバー側出力装置には、解析結果とともに便状態情報が出力される。

0049

便量が多いほど、排便ガス量も一般的には多くなるため正確な体調の解析を行うことができる。また、便が下痢状態であると、排便頻度が高くなること、及び便中の水分量が多くなるため臭気性ガスの生成量が低下することを多くの検証で見出した。上記構成の本発明によれば、便量及び便の状態の少なくとも一方を考慮に入れた上で、診断を行うことができるため、正確な診断を行うことができる。

0050

本発明において、好ましくは、被験者側データ解析装置は、さらに、ガス検出装置により出力される第1検出データの信頼度を判定する信頼度判定手段を備え、被験者側装置は、信頼度判定手段により判定された信頼度が低い場合には、サーバーへ測定データを送信しない。

0051

上記構成の本発明によれば、信頼度の低いデータのサーバーへの送信を省略することができるため、無駄なデータの送受信及びサーバーへの負荷を軽減することができる。

0052

本発明において、好ましくは、被験者側データ解析装置は、サーバーのデータベースに記録された測定データに基づいて被験者の体調を解析する。

0053

上記の構成の本発明によれば、被験者側装置に測定データを記憶するための記憶装置を設ける必要がなくなり、被験者側装置をより廉価で提供することができる。

0054

本発明において、好ましくは、サーバーは、データベースに蓄積されて記録された測定データに基づいて、被験者側データ解析装置による解析の基準となる新たな基準データを構成し、被験者側データ解析装置の基準データは、サーバーにより構成された新たな基準データに更新される。

0055

排便ガスに含まれる硫黄成分を含む臭気性ガス及び健康系ガスのガス量は個人差があり、さらに、食事の種類や食事の量、運動量、年齢性別等に応じた個人差があることも多くの検証でわかった。基準データを固定すると個人差の影響を抑えることが難しく、場合によっては被験者に無用な不安や逆に誤った安心を与える恐れがある。一方サーバー側では多くの情報が集まり詳細な解析が行なわれ、また医師による診断結果等も得られる。上記構成の本発明によれば、被験者側データ解析装置における基準データを被験者に最適に適合するものにサーバー結果から更新させるようにしたため、被験者側データ解析装置における解析を個人差の影響を抑えた基準データに簡単に更新できるため被験者は安心して健康管理を行うことが可能になった。

発明の効果

0056

本発明によれば、一般消費者が手軽に購入でき、家庭における排便ガスの測定によって癌等の重大な疾病になってしまうのを未然に防止し、もしくは軽度な状態で病院に通院して治療を受けることを促すことができ、真に市場から求められている、実用性の高い診断システムを提供される。

図面の簡単な説明

0057

トイレ室に設置された水洗大便器に本発明の第1実施形態による生体情報測定システムを取り付けた状態を示す図である。
本発明の第1実施形態の生体情報測定システムの構成を示すブロック図である。
本発明の第1実施形態の生体情報測定システムに備えられているガス検出装置の構成を示す図である。
本発明の第1実施形態の生体情報測定システムによる体調測定の流れを説明する図である。
本発明の第1実施形態の生体情報測定システムに備えられているリモコンの表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
本発明の第1実施形態の生体情報測定システムに備えられているリモコンの表示装置に表示される体調表示テーブルの一例を示す図である。
(a)は、最新データのプロット点の、補正による移動の一例を示す図であり、(b)はプロット点の移動量に対するリミット処理を示す図である。
本発明の第1実施形態の生体情報測定システムにおいて、サーバー側に表示される診断テーブルの一例を示す図である。
被験者の1回の排便行動における、生体情報測定システム1に備えられた各センサによる検出信号を模式的に示したグラフである。
(a)残留ガス基準値が一定でない場合における臭気性ガスの排出量推定を説明する図であり、(b)は被験者がアルコール系便座除菌剤を使用した場合における臭気性ガスセンサによる検出値の一例を示すグラフである。
診断テーブルの更新の一例を示す図である。
測定信頼度を判定する方法を説明するための図である。
被験者の体や衣服に付着した異臭ガスの影響を判定するための被験者付着異臭ガスノイズ補正テーブルを示す図である。
湿度の影響を判定するための湿度補正テーブルを示す図である。
温度の影響を判定するための温度補正テーブルを示す図である。
排泄回数の影響を判定するための排泄回数補正テーブルを示す図である。
データ解析装置に記録された信頼度と、測定値補正率との関係を示す補正テーブルを示す図である。
環境ノイズ補正テーブルを示す図である。
基準値安定度補正テーブルを示す図である。
除菌便座洗浄補正テーブルを示す図である。
排便ガス総量補正値テーブルを示す図である。
おなら補正値テーブルを示す図である。
便量補正値テーブルを示す図である。
便種補正値テーブルを示す図である。
排便間隔補正値テーブルを示す図である。
データ蓄積量補正テーブルを示す図である。
風量補正値テーブルを示す図である。
CO2補正テーブルを示す図である。
メタンガス補正テーブルを示す図である。
硫化ガス補正テーブルを示す図である。
排便ガスのガス吐出総量は一定であるが、吐出時間及び時間当たりの吐出量吐出濃度)が異なる各条件S1、S2、S3の吐出時間及び吐出量の関係を示す図である。
吐出時間及び時間当たりの吐出量を変更した場合のガスセンサの検出波形を示す図である。
ガスセンサの検出波形に基づき算出したガス量を示す。
図32に示す、ガスセンサの検知波形初期部分を、時間軸を拡大して示す図である。
時間当たりの吐出量(吐出濃度)と、センサで検出される検出データ波形立ち上がりの傾きの関係を示すグラフである。
吐出時間及び時間当たりの吐出量(吐出濃度)が異なる各条件S1、S2、S3に対して、半導体ガスセンサの検出波形の傾き及びピークまでの到達時間の積(ガスセンサ波形面積)に基づき推定したガス量を示す図である。
(a)は、別の実施形態による生体情報測定システムの被験者側装置をトイレ室に設置された水洗大便器に取り付けた状態を示す図であり、(b)は、同図(a)に示す被験者側装置の測定装置を示す斜視図である。
本発明の別の実施形態の吸引装置の構成を示す図である。
本発明の別の実施形態による水素ガスと臭気性ガスの臭気性ガスセンサへの到達時間をずらすことにより、水素ガスの影響を分離するように構成されたガス検出装置の構成を示す図である。
図39に示すガス検出装置の半導体ガスセンサにより検出された検出波形を示す図である。
60代以下の健常者、60〜70代の健常者、早期がんの患者、進行癌の患者の排便ガスに含まれる健康系ガスと、臭気性ガスの量を測定した結果を示す図である。
排便ガス中に含まれる硫化水素のガス量を健常者と大腸がん患者で比較した図である。
排便ガス中に含まれるメチルメルカプタンガスのガス量を健常者と大腸がん患者で比較した図である。
排便ガス中に含まれる水素ガスのガス量を健常者と大腸がん患者で比較した図である。
排便ガス中に含まれる二酸化炭素ガスのガス量を健常者と大腸がん患者で比較した図である。
排便ガス中に含まれるプロピオン酸ガスのガス量を健常者と大腸がん患者で比較した図である。
排便ガス中に含まれる酢酸ガスのガス量を健常者と大腸がん患者で比較した図である。
排便ガス中に含まれる酪酸ガスのガス量を健常者と大腸がん患者で比較した図である。

実施例

0058

以下、本発明の生体情報測定システムの一実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
また、図1は、トイレ室に設置された水洗大便器に本発明の第1実施形態による生体情報測定システムを取り付けた状態を示す図である。図2は、本実施形態の生体情報測定システムの構成を示すブロック図である。図3は、本実施形態の生体情報測定システムに備えられているガス検出装置の構成を示す図である。

0059

図1に示すように、生体情報測定システム1は、トイレ室Rに設置された水洗大便器2の上に載置した便座4の内部に組み込まれた測定装置6、及びトイレ室Rの壁面に取り付けられたリモコン8からなる被験者側装置10を有する。さらに、図2に示すように、生体情報測定システム1は、サーバー12と、スマートフォン等に専用のソフトウェアを組み込んだ被験者用端末14と、病院等の医療機関に設置された医療機関端末16と、を備え、これらは被験者側装置10との間でデータを交換することにより生体情報測定システム1の機能の一部を果たしている。また、サーバー12及び医療機関端末16には、多数の被験者側装置10から送信される測定データが集積され、データ分析が行われる。

0060

本実施形態の生体情報測定システム1では、被験者が排便時に放出する排便ガス中の硫黄成分を含む臭気性ガス、特に、メチルメルカプタン(CH3SH)ガスに基づいて癌の判定を含む体調状態の分析を行うものである。さらに、本実施形態の生体情報測定システム1においては、臭気性ガスの他に、健康系ガスについても測定し、これらの相関に基づいて体調状態の分析精度を向上させている。健康系ガスとは、腸内発酵由来で腸内の健康度が高い程多くなるガスであり、具体的には、二酸化炭素、水素メタン短鎖脂肪酸などのガスである。本実施形態では、健康系ガスとして、測定が容易で量も多いため健康指標の測定の信頼性を高く保てる二酸化炭素ガス、水素ガスを測定している。ここで、各被験者側装置10では、被験者の排便中もしくは排便直後に分析結果が表示されるように構成されている。これに対して、サーバー12においては、多数の被験者による測定結果が集積され、他の被験者との比較等により、より詳細な分析が可能になっている。このように、本実施形態の生体情報測定システム1では、トイレ室R内に設置された被験者側装置10において簡易な分析を行い、サーバー12においてより詳細な分析を行うものである。

0061

ここで、本実施形態の生体情報測定システム1における体調の測定原理を説明する。
消化器系の癌、特に大腸癌を患うと、患部からメチルメルカプタンや硫化水素等の硫黄成分を含む臭気性ガスが、排便と同時に排出されることが文献等で報告されている。消化器とは食道十二指腸小腸大腸肝臓すい臓胆嚢、であり、大腸も、虫垂、盲腸、直腸結腸分類できるが、以下この4つの部位を総称して大腸とする。癌は、日々の変化は少なく、徐々に進行していくものである。癌が進行すると硫黄成分を含む臭気性ガス、特に、メチルメルカプタンの量が増加していく。すなわち、硫黄成分を含む臭気性ガスのガス量が増加した場合には、癌が進行していると判断することができる。さらには、近年「未病」という考えが広がっており、疾病状態となる以前に体調が悪化した時点で、体調改善を行い、疾病を防止するという考えが広がっている。このため、癌、特に大腸癌のような進行性の癌を、癌になる以前に検知し、体調改善することが求められている。

0062

ここで、排便時に排泄される排便ガスには、硫化水素及びメチルメルカプタン以外に、窒素酸素アルゴン水蒸気、二酸化炭素、水素、メタン、酢酸、トリメチルアミン、アンモニア、プロピオン酸、二硫化メチル、三硫化メチルなどが含まれている。このうち、癌の疾病を判定するためには、硫黄系成分を含む臭気性ガス、特に、メチルメルカプタンを測定する必要がある。排便ガス中に含まれるプロピオン酸、二硫化メチル、三流化メチルは、メチルメルカプタンに比べて非常に微量であるため、癌の判定等の体調の解析には問題とならないので無視することができる。しかしながら、その他のガス成分は無視できる程度まで微量とはいえない。正確に癌の判定を行うためには、硫黄成分を含む臭気性ガスのみを検出することができるセンサを用いることが当然考えられる。しかしながら、硫黄成分を含む臭気性ガスのみを検出するセンサは大型でかつ非常に高価であるため、家庭用機器として構成することは難しい。

0063

これに対して、発明者らは、鋭意研究の結果、排便ガス中のメチルメルカプタンのみを検出するのではなく、その他の臭気性ガスも含めた臭気性ガスを検出するガスセンサを用いることにより、安価で家庭用の機器として構成することができるとの着想に至った。具体的には、発明者らは、ガスを検知するセンサとして、硫黄成分を含む含硫ガスだけではなく、その他の臭気性のガスにも反応する汎用的な半導体ガスセンサや固体電解質センサを用いることとした。

0064

癌のリスクが高まった状態では、メチルメルカプタンガスなどの硫黄成分を含む非常に強い臭気性ガスが多くなる。そして、半導体ガスセンサや固体電解質センサのような臭気性ガスに広く反応するセンサであれば、必ずこのようなガスの増加を検知できる。しかしながら、後述するように、半導体ガスセンサや固体電解質センサのような臭気性ガスに広く反応するセンサは、悪しき生活習慣により体調不良となると増加する硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸、トリメチルアミン、及びアンモニアなどの臭気性ガスも検知してしまう。しかしながら、癌は数年という長い期間をかけて進行する病気であり、癌になった場合には、メチルメルカプタンガスや硫化水素などの硫黄成分を含む非常に強い臭気性ガスが強くなった状態が長期にわたり続く。このため、硫黄成分を含む含硫ガスだけではなく、その他の臭気性のガスにも反応する汎用的な半導体ガスセンサや固体電解質センサを用いたとしても、長期にわたりガス量が高い場合には、癌の疾病の可能性が高く、癌リスクが増加していると判断することができる。

0065

また、酸化還元反応を用いた半導体センサや固体電解質センサは、メチルメルカプタンガスのみならず、排便ガス中の臭気性ガスである酢酸、トリメチルアミン、及びアンモニアなども検出してしまう。しかしながら、発明者らは、実験の結果、硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸、トリメチルアミン、及びアンモニアなどの臭気性ガスの混合量は、悪しき生活習慣により体調が悪化すると多くなり、体調が良好であると減少する傾向を示すことを発見した。具体的には、健康な人は、メチルメルカプタンガス及びメチルメルカプタンガス以外の臭気性ガスの総量が少ない。これに対して、メチルメルカプタンガス及びメチルメルカプタンガス以外の臭気性ガスの総量は、過度な便秘や、食事の種類、睡眠不足、暴飲暴食、飲み過ぎ、過度なストレスなどの要因による腸内環境の悪化で一時的に高まる。

0066

なお、排便ガス中の酢酸は、下痢などにより体調が悪化した場合のみならず、体調が良好な場合にも多くなる傾向を有する。すなわち、上述した体調変化にともなうメチルメルカプタン等の他の臭気性ガスのガス量の傾向と必ずしも一致していない。しかしながら、排便ガスに含まれる酢酸のガス量は、メチルメルカプタンに比べて非常に小さく、体調が良好な場合に酢酸のガス量が増えたとしても、その増加量はその他の臭気性ガスの減少量に比べて非常に小さい。さらに、下痢などにより体調が悪化した場合の酢酸の増加量は、体調が良好な場合の増加量に比べて非常に大きい。よって、排便ガスに含まれる臭気性ガスの量は、全体として、悪しき生活習慣により体調が悪化すると多くなり、体調が良好であると減少する傾向を示す。そして、このような悪しき生活習慣による腸内環境の悪化の末、癌となってしまうため、排便ガスに含まれる臭気性ガスの量は、癌が未病状態にあるうちに、体調改善を行うための好適な指標となる。
本実施形態では、メチルメルカプタンガスのみならず、硫化水素、酢酸、トリメチルアミン、アンモニアなどのメチルメルカプタンガス以外の排便ガス中の臭気性ガスに反応する半導体センサや固体電解質センサの検出データに基づき体調の解析を行う。これにより、体調不良や悪しき生活習慣の結果を反映した解析結果が得られ、この解析結果を、癌リスクを高めるような体調や生活習慣を改善させるための客観的なデータに基づく指標として用いることができる。

0067

また、排便ガスには、臭気性ガスのみならず、H2やメタンが含まれており、ガスセンサに半導体ガスセンサや固体電解質センサを用いた場合には、これらセンサはH2やメタンにも反応してしまう。さらには、各家庭に半導体ガスセンサや固体電解質センサを用いた測定装置を設定した場合には、これらセンサが芳香剤や香水にも反応してしまうおそれがある。
これに対して、発明者らは、後に詳述するように、水素センサメタンセンサやカラムを用いて、半導体ガスセンサや固体電解質センサの検出データから水素やメタンの影響を分離する方法、及び、排便行動を検知することにより芳香剤や香水の影響をノイズとして除去する方法を確立した。これにより、半導体ガスセンサや固体電解質センサの検出したデータから水素やメタンの影響を分離し、さらには、芳香剤や香水の影響を除去して、排便ガス中の臭気性ガス量だけを推定することが可能となった。

0068

また、排便ガス中に含まれるメチルメルカプタンやその他の臭気性ガスのガス量は、H2やメタンに比べて非常に少ない。このため、半導体ガスセンサや固体電解質センサを用いたとしても、これら臭気性ガスの混合ガス量を正確に測定できないおそれがある。
これに対して、発明者らは、健常者は、腸内環境が酸性であるが、癌患者になると、硫黄成分を含む臭気性ガスが発生し、そのガス量が多くなる。また、腸内環境がアルカリ性になり、さらに、ビフィズス菌等の量が減ってしまい、CO2、H2、脂肪酸などの醗酵系成分の健康系ガス量が臭気性ガス量の増加に反比例するように確実に継続的に少なくなることに着目した。
このため、発明者らは、各回の測定では測定精度が必ずしも高くないが、メチルメルカプタン等の臭気性ガス量と、CO2、H2などの健康系ガス成分のガス量との相関を毎日の排便時にモニタリングすることにより、進行癌の発生を検知できるのではないかと考えた。

0069

そこで、発明者らは、60代以下の健常者、60〜70代の健常者、早期がんの患者、進行癌の患者の排便ガスに含まれる健康系ガスと、臭気性ガスの量を測定したところ、図41に示すような結果となった。すなわち、健常者の排便ガスは、健康系ガス量が多く、臭気性ガスのガス量が少ない。これに対して、がん患者の排便ガスは、健康系ガス量が少なく、臭気性ガスの量が多い。そして、早期癌に比べて進行癌の排便ガスに含まれる健康系ガスの量は減少している。さらに、健康系ガス量及び臭気性ガス量ががん患者と健常者の中間量である場合には、グレーゾーン、すなわち、未病状態であると考えられる。このため、発明者らは、上記の知見に基づき、被験者の健康系ガスのガス量と臭気性ガスのガス量を測定し、これらの相関に基づき健康状態の判定精度を高めることができると考えた。

0070

さらに、図42乃至図48に、排便ガス中に含まれる各種ガス量を健常者と大腸がん患者(進行がん、早期がんを含む)で比較した測定データを示す。
図42は排便ガス中に含まれる硫化水素のガス量を健常者と大腸がん患者で比較した図であり、図43はメチルメルカプタンガス、図44は水素ガス、図45は二酸化炭素ガス、図46はプロピオン酸ガス、図47は酢酸ガス、図48は酪酸ガスの量を健常者と大腸がん患者で夫々比較した図である。これらの各図において、(a)には各ガス量の測定データを、健常者は丸印のプロットで、大腸がん患者は三角印のプロットで示している。また、(b)には各測定データ平均値棒グラフで、測定データの標準偏差線分で示している。

0071

図42乃至図48の測定データから明らかなように、排便ガス中に含まれる各種ガス量は、健常者、大腸がん患者とも大きくばらついているものの、臭気性ガスである硫化水素ガス及びメチルメルカプタンガスについては、大腸がん患者では大量のガス量を示すデータが多くみられ、健常者では大量のガス量を示すデータは殆ど存在しない。一方、水素ガス、二酸化炭素ガスについては、健常者において多量のガス量を示すデータが多くみられ、大腸がん患者では大量のガス量を示すデータは殆どみられない。このように、排便ガス中に含まれている大腸がんのリスクを示す臭気性ガスのガス量は大腸がん患者に多く、健常者では少ないのに対し、健康系ガスである水素ガス及び二酸化炭素ガスのガス量は健常者に多く、大腸がん患者では少なくなる。このように、健常者と大腸がん患者では、臭気性ガス量と健康系ガス量の大小関係が逆転している。この測定データは、これら臭気性ガス、健康系ガスの1回のガス量測定では被験者の体調を十分に測定することは困難であるものの、臭気性ガスと健康系ガスの関係を、所定期間に亘って複数回継続的に測定することにより、被験者の体調を確実に測定できることを示している。

0072

また、発明者らは、排便ガスを測定したところ、1回の排便時に、複数回の排泄行為(1回のおならや1回の便を排出する行為)を行う場合には、初回の排泄行為に伴って排出される排便ガス量が多く臭気性ガスも多く含まれることが判明した。したがって、本実施形態では、微量な臭気性ガスを正確に測定するために初回の排便ガスに基づき被験者の健康状態の分析を行うことにした。これによって、2回目以降の排泄行為のガス量を測定する際には、初回の排泄行為により排出された便やおならの影響を受ける可能性があるため、この影響を軽減できた。
本実施形態の生体情報測定システム1は、上述した測定原理に基づくものである。なお、以下の説明における臭気性ガスとは、硫黄成分を含む臭気性ガスであるメチルメルカプタンガス、及び、メチルメルカプタン以外の硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸、トリメチルアミン、及びアンモニアなどの臭気性ガスを含むものである。

0073

次に、本実施形態の生体情報測定システム1の具体的構成を詳細に説明する。
図1に示すように、生体情報測定システム1における被験者側装置10は、トイレ室R内の水洗大便器2に取り付けられ、おしり洗浄機能付き便座4に一部が組み込まれている。おしり洗浄機能付き便座4には、測定装置6として、水洗大便器2のボウル2a内のガスを吸引する吸引装置18と、吸引されたガスに含まれる特定の成分を検出するガス検出装置20が組み込まれている。なお、吸引装置18は、通常のおしり洗浄機能付き便座4に組み込まれている脱臭装置と一部の機能を兼ねており、吸引装置18により吸引されたガスは脱臭装置により脱臭され、その後ボウル2a内に戻される。また、吸引装置18、ガス検出装置20等、便座4に組み込まれた各装置は、便座側に内蔵された制御装置22(図2)によって制御される。

0074

図2に示すように、被験者側装置10は、便座4に組み込まれた測定装置6と、リモコン8に内蔵されたデータ解析装置60から構成されている。
測定装置6は、CPU22aと記憶装置22bを有する制御装置22を備えている。この制御装置22は、水素ガスセンサ24と、臭気性ガスセンサ26と、二酸化炭素センサ28と、湿度センサ30と、温度センサ32と、入室検知センサ34と、着座検知センサ36と、排便・排尿検知センサ38と、便蓋開閉装置40と、ノズル駆動装置42と、ノズル洗浄装置44と、便器洗浄装置46と、便器除菌装置48と、芳香剤噴射装置である芳香剤噴霧機50と、脱臭エアー供給器52と、吸引装置18と、センサ加ヒータ54と、送受信機56と、ダクトクリーナー58に接続されている。なお、後述するように、水素ガスセンサと、臭気性ガスセンサとは一体のセンサとすることができる。

0075

温度センサ32は、臭気性ガスセンサ26等の触媒の温度を測定する。また、湿度センサ30はボウル2a内から吸引されたガスの湿度を測定する。これらのセンサのセンサ感度は、触媒の温度により僅かに変化してしまう。また、排尿等による湿度変化が同様にセンサの感度に影響を与える。本実施形態では、臭気性ガス量が非常に少量であるためこの微量なガスを精度よく安定して測定できるように、これらのセンサ30、32により測定された温度及び湿度に応じて、便器側CPU22aはセンサ30、32のセンサ温度や吸引湿度を所定の範囲に正確に保つように、後述するセンサ加温ヒータ54や湿度調整装置59(図3)を制御して、所定の温度や湿度環境に調整する。なお、これらのセンサや装置は必須なものではなく、精度を向上させる上で備えることが望ましい。

0076

入室検知センサ34は、例えば、赤外線センサであり、被験者のトイレ室Rへの入退出を検知する。
着座検知センサ36は、例えば、赤外線センサや圧力センサ等であり、被験者が便座4に着座しているか否かを検知する。
排便・排尿検知センサ38は、本実施形態においては、マイクロ波センサで構成されており、被験者により排出されたものが小便であるか、大便であるか、さらに、大便が封水に浮いているか、沈んでいるか、また、便が下痢状態であるか否か等の排便の状態を検知するように構成されている。或いは、CCDや、封水の推移を測定する水位センサ等で排便・排尿検知センサ38を構成することもできる。

0077

便蓋開閉装置40は、入室検知センサ34等の検出信号に基づいて、状況に応じて便蓋開閉するための装置である。
ノズル駆動装置42は、おしり洗浄に用いられる装置であり、排便後の被験者のおしりの洗浄を行う装置である。ノズル駆動装置42は、ノズルを駆動して、水洗大便器2の洗浄を行うように構成されている。
ノズル洗浄装置44は、ノズル駆動装置42のノズルを洗浄するための装置であり、本実施形態においては、水道水から次亜塩素酸を生成し、生成した次亜塩素酸によりノズルを洗浄するように構成されている。

0078

便器洗浄装置46は、洗浄水タンク(図示せず)に貯留されていた水や水道水を便器内に放出し、水洗大便器2のボウル2a内を洗浄するための装置である。便器洗浄装置46は、通常は被験者によるリモコン8の操作により作動され、ボウル2a内を洗浄するが、後述するように、状況に応じて制御装置22により自動的に作動される。
便器除菌装置48は、例えば、水道水から次亜塩素酸水などの除菌水を生成し、生成した除菌水を水洗大便器2のボウル2aに噴霧し、ボウル2aの殺菌を行う装置である。

0079

芳香剤噴霧機50は、トイレ室R内に所定の芳香剤を噴霧するための装置である。これは、被験者が任意の芳香剤をトイレ室R内に噴霧し、これが測定の外乱となるような臭気成分が噴霧されるのを防止するために備えられたものである。芳香剤噴霧機50を備えることにより、予め決められた測定に影響を与えない芳香剤を、状況に応じて所定の時期に所定量噴霧することができ、芳香剤が噴霧されたことを生体情報測定システム1が認識することができる。これにより、体調測定に対する外乱が減少し、解析結果が安定化されるので、芳香剤噴霧機50は出力結果安定化手段として機能する。
吸引装置18は、水洗大便器2のボウル2a内のガスを吸引するためのファンを備えており、吸引されたガスは臭気性ガスセンサ26等の検出部を流れた後、脱臭フィルタにより脱臭される。吸引装置18の詳細な構成については後述する。

0080

脱臭エアー供給器52は、吸引装置18により吸引され、脱臭された後の空気をボウル2a内に排出する装置である。
センサ加温ヒータ54は、臭気性ガスセンサ26等の触媒を加熱活性させるためのものである。各センサは触媒が所定温度に維持されることにより、所定の気体成分を正確に検出することができる。
ダクトクリーナー58は、吸引装置18に取り付けられたダクト18a内を、例えば、水道水を電気分解した次亜塩素酸等により清掃するための装置である。

0081

なお、図1に示す本実施形態においては、吸引装置18と、脱臭エアー供給器52と、ダクトクリーナー58は、脱臭装置として一体に構成されている。すなわち、ダクト18a内に吸引装置18によりボウル2a内のガスを吸引し、吸引したガスを脱臭フィルタ78(図3)により脱臭処理し、脱臭処理されたガスは再びボウル2a内に放出される。これにより、外部からボウル2a内に臭気性ガスセンサ26に反応する気体が流入し、被験者の排便期間中においてボウル2a内の気体成分が被験者から排出された排便ガス以外の要因で変化することが抑制される。従って、脱臭フィルタ78を備えた脱臭装置及び脱臭エアー供給器52は、出力結果安定化手段として機能する。或いは、変形例として、各ガスセンサに反応しない気体をボウル2a内に流入させる測定用ガス供給装置(図示せず)を設けておき、吸引装置18によって吸引された気体と等量の測定用ガスをボウル2a内に流入させるように本発明を構成することもできる。この場合、測定用ガス供給装置(図示せず)は、解析結果を安定させる出力結果安定化手段として機能する。

0082

次に、図2に示すように、リモコン8にはデータ解析装置60が内蔵されており、このデータ解析装置60には、被験者特定装置62と、入力装置64と、送受信機66と、表示装置68と、スピーカー70が接続されている。本実施形態においては、これら送受信機66、表示装置68、及びスピーカー70は、データ解析装置60による解析結果を出力する出力装置として機能する。また、データ解析装置60は、CPU、記憶装置、及びこれらを作動させるプログラム等から構成され、記憶装置内にはデータベースが構築されている。

0083

入力装置64及び表示装置68は、本実施形態においては、タッチパネルで構成されており、被験者の名前等の被験者識別情報等、各種の入力を受け付けると共に、体調の測定結果等、種々の情報が表示されるようになっている。
スピーカー70は、生体情報測定システム1が発する各種の警報、メッセージ等を出力するように構成されている。
被験者特定装置62には、予め、被験者の名前等の被験者識別情報を登録しておく。被験者が生体情報測定システム1を使用する際には、登録された被験者がタッチパネル上に表示され、被験者は自分の名前を選択する。

0084

さらに、リモコン8側の送受信機66は、ネットワークを介してサーバー12と通信可能に接続されている。被験者用端末14は、例えば、スマートフォン、タブレットPC、又はPC等の受信したデータを表示可能な装置からなる。

0085

サーバー12は、排便ガスデータベースを備える。排便ガスデータベースには、生体情報測定システム1を使用している各被験者の被験者識別情報に対応づけて各排便行動における臭気性ガス量及び健康系ガスのガス量を含む測定データと、信頼度データとが測定日時ともに記録されている。また、サーバー12には、診断テーブルが記録されており、またデータ解析手段を有する。このサーバー側データ解析手段はサーバー12に内蔵された電気回路により構成されている。
さらに、サーバー12は、病院や保健機関等に設置された医療機関端末16とネットワークを介して接続されている。医療機関端末16は、例えば、PCなどからなり、サーバー12のデータベースに記録されたデータを閲覧可能である。

0086

次に、図3を参照して、便座4に内蔵されているガス検出装置20の構成を説明する。
まず、本実施形態の生体情報測定システム1では、臭気性ガス及び水素ガスを検出するために、ガス検出装置20には、ガスセンサとして半導体ガスセンサが用いられている。また、二酸化炭素を検出するために、ガス検出装置20には、固体電解質型センサが用いられている。
半導体ガスセンサは、酸化スズ等を含む酸化金属膜からなる触媒を有する。触媒は、数百度に加熱された状態で、加熱された触媒が還元性ガスに曝されると、表面に吸着している酸素と還元性ガスの間で酸化・還元反応がおこる。半導体ガスセンサは、この酸化・還元反応による触媒の抵抗値の変化を電気的に検出することにより、還元性ガスを検出することができる。半導体ガスセンサが検出可能な還元性ガスには、水素ガスや、臭気性ガスが含まれる。なお、本実施形態においては、臭気性ガスを検出するセンサ、水素ガスを検出するセンサ共に半導体ガスセンサが使用されているが、臭気性ガスセンサに使用されている触媒は臭気性ガスに強く反応するように、水素ガスセンサに使用されている触媒は水素ガスに強く反応するように、夫々触媒の成分が調整されている。

0087

このように、本実施形態においては、「臭気性ガスセンサ」として「半導体ガスセンサ」が使用されているが、上記のようにこの「半導体ガスセンサ」は検出対象としているメチルメルカプタンガスの他、それ以外の臭気性ガスにも広く反応する一般的な物を使用している。また、後述するように「臭気性ガスセンサ」として固体電解質センサを用いることも可能であるが、固体電解質センサも、半導体ガスセンサと同様にメチルメルカプタンガスの他、それ以外の臭気性ガスにも広く反応する一般的な物を使用してかまわない。換言すれば、メチルメルカプタンガスのみに反応するガスセンサは、極めて製作困難であり、製作することができたとしても極めて大型で高価なガスセンサとなってしまう。このように大型で高価なガスセンサを採用したとすれば、高度な臨床検査で使用される医療機器としては実現可能であったとしても、民生品として販売可能なコストで生体情報測定システムを製造することは不可能になる。本実施形態の生体情報測定システムにおいては、検出対象であるメチルメルカプタンガス以外の、他の臭気性ガスにも反応してしまう簡易な、汎用的なガスセンサを「臭気性ガスセンサ」として採用することにより、民生品としての生体情報測定システムを実現可能にしたのである。上記のように、本実施形態において採用されているガスセンサは、メチルメルカプタンガス、及びメチルメルカプタンガス以外の臭気性ガスにも反応してしまうセンサであるが、本明細書においては、便宜上、これを「臭気性ガスセンサ」と呼ぶことにする。本実施形態において採用されている「臭気性ガスセンサ」が反応する臭気性ガスとして、代表的には、メチルメルカプタンガス、硫化水素ガス、アンモニアガス、アルコール系のガスが挙げられる。

0088

また、本実施形態の生体情報測定システム1において採用されている「臭気性ガスセンサ」は、対象としているメチルメルカプタンガスの他、それ以外の臭気性ガスにも反応してしまうセンサであるが、後述する種々の工夫により、このようなガスセンサを使用しても民生品として必要にして十分な精度の測定を可能にしている。具体的には、トイレ室という種々の臭気性ガスが存在する空間において、測定環境整備するための工夫、ガスセンサによる検出信号から、被験者の排便行動を想定して、排便ガスに関するデータを抽出するデータ処理上の工夫、誤差の大きい検出データが得られた場合でも、それにより被験者に過度の心理的負担を与えないための工夫等が挙げられる。各工夫点についての詳細は後述する。

0089

なお、本実施形態では、臭気性ガス及び水素ガスを検出するためのセンサとして半導体ガスセンサを用いた場合について説明するが、これに代えて、固体電解質センサを用いることも可能である。固体電解質センサは、例えば、安定ジルコニア等の固体電解質を加熱しておき、固体電解質を透過するイオン透過量に基づいて、ガスを検知するセンサである。固体電解質センサが検出可能なガスには、水素ガス及び臭気性ガスが含まれる。また、本実施形態では、二酸化炭素を検出するためのセンサとして、固体電解質センサが用いられている。二酸化炭素センサはこれらに限られるものではなく赤外方式などでも良い。なお、二酸化炭素を検出するセンサは省略することもできる。

0090

図3に示すように、本実施形態においては、吸引装置18の内部にガス検出装置20が配置されている。
吸引装置18は、下方に向けられたダクト18aと、概ね水平方向に向けられた吸気通路18bと、吸気通路18bの下流側に配置された吸引ファン18cにより構成されている。また、ダクト18aの内部には、ダクトクリーナー58、及び湿度調整装置59が設けられている。
ガス検出装置20は、吸気通路18bの内部に配置されたフィルタ72と、臭気性ガスセンサ26と、水素ガスセンサ24と、二酸化炭素センサ28によって構成されている。図3に示すように、吸気通路18bを横断するようにフィルタ72が配置され、フィルタ72の下流側に臭気性ガスセンサ26、水素ガスセンサ24、及び二酸化炭素センサ28が並置されている。

0091

さらに、臭気性ガスセンサ26の下流側に脱臭フィルタ78が設けられ、この脱臭フィルタ78によって吸気されたガスを脱臭することにより、吸引装置18は脱臭装置としても機能している。
また、脱臭フィルタ78の下流側には湿度調整装置59が設けられている。湿度調整装置59には吸湿剤封入されており、ボウル2a内の湿度を低下させる必要がある場合には、脱臭フィルタ78を通過した空気が、封入されている吸湿剤の中を通過するように流路が切り替えられ、ボウル2a内を循環している空気から水分が除去される。これにより、ボウル2a内の湿度は適正値に維持され、各ガスセンサの検出感度がほぼ一定に維持される。従って、湿度調整装置59は、ボウル2a内の湿度変化を抑制する出力結果安定化手段として機能する。

0092

吸引ファン18cは、水洗大便器2のボウル2a内の、臭気性ガス等を含む異臭ガスを一定速度で吸引し、脱臭した上でボウル2a内に戻すものである。脱臭用のダクト18aは、内部へ小便等の飛沫入り込まないように、吸引口が下方に向けられた状態でボウル2a内に開口している。メチルメルカプタン等の臭気性ガスや、水素ガスは分子量が小さいため、排便後すぐに上昇してしまう。これに対して、本実施形態では、ボウル2a内に開口したダクト18aの入口から吸引ファン18cによって吸引することにより、排出された臭気性ガス及び水素ガスを確実にガス検出装置20内へ導入することができる。このように、吸引装置18は、被験者が排便を開始する前から作動され、被験者の排便期間中において一定流速の気体を各ガスセンサに接触させる。これにより、安定した測定値を得ることができる。従って、吸引装置18及びこれを作動させる制御装置22は、出力結果安定化手段として機能する。

0093

フィルタ72は、脱臭機能を備えていないフィルタであって、臭気性ガス、水素、及び二酸化炭素を通過し、尿や洗浄剤等の異物の通過を妨げるように構成されている。このようなフィルタ72としては、化学反応を利用せず、機械的に異物を捕集する部材、例えば、細かいネット状部材を用いることができる。これにより、臭気性ガスセンサ26、水素ガスセンサ24、及び二酸化炭素センサ28が尿石等により汚染されるのを防止できる。

0094

さらに、各ガスセンサに対して、各ガスセンサの上流側、かつ、フィルタ72の下流側にセンサ加温ヒータ54が夫々設けられている。上述の通り、半導体ガスセンサである臭気性ガスセンサ26及び水素ガスセンサ24は、触媒を所定の温度に加熱した状態において、水素及び臭気性ガスを検出することができる。センサ加温ヒータ54は、臭気性ガスセンサ26及び水素ガスセンサ24の触媒を加熱するために設けられている。また、二酸化炭素センサ28も固体電解質を所定の温度に加熱する必要があり、センサ加温ヒータ54が設けられている。これらセンサ加温ヒータ54はセンサに付着した異臭ガス成分を加熱除去するための異臭除去装置としても機能する。なお、臭気性ガスセンサ、水素ガスセンサとして固体電解質センサを使用する場合においても触媒を加熱するためのセンサ加温ヒータを設ける必要がある。

0095

さらに、センサ加温ヒータ54は、各センサに付着した堆積物を除去するための手段としても機能する。フィルタ72を通過したガスは異物が除かれているものの、吸引したガスには様々な異臭ガス成分が含まれている。このような異臭ガス成分は各ガスセンサに付着し、微量な臭気性ガスを測定する際のノイズの原因となりうる。これに対して、センサ加温ヒータ54により、センサの触媒を加熱することにより、新たな装置を設けることなく、センサに付着した異臭ガスを加熱除去することができる。また、制御装置22は、被験者の排便行動が開始される前から、各ガスセンサの温度が一定になるようにセンサ加温ヒータ54を制御する。即ち、制御装置22は、気流が接触することにより、各ガスセンサの温度が低下するのを抑制するように、センサ加温ヒータ54を制御する。これにより、被験者の排便期間中において、各ガスセンサの感度が所定の値に管理され、各ガスセンサによる測定誤差を抑制することができる。従って、制御装置22及びセンサ加温ヒータ54は、出力される解析結果を安定化させる出力結果安定化手段として機能する。

0096

また、脱臭フィルタ78は、臭気性ガス等の異臭ガスを吸着する触媒フィルタである。脱臭フィルタ78により臭気性ガス等のガスが取り除かれた空気は、ボウル2aへ戻される。この際、ボウル2a内に還流されたガスに臭気性ガス等が含まれていると、ボウル2a内に流入した臭気性ガス等が再びダクト18aから吸引され、臭気性ガスセンサ26が再度検出してしまうおそれがある。このため、本実施形態では、臭気性ガスセンサ26の下流側に脱臭フィルタ78を配置することにより、ボウル2a内に戻されるガスから臭気性ガス等の臭気成分を確実に除去している。

0097

なお、被験者が便座4に着座すると、下着等によりボウル2a上部が閉鎖される。ボウル2a内が負圧になってしまうと、被験者の体や、着衣等に付着した異臭ガス成分がボウル2a内に吸引されてしまう。本実施形態の生体情報測定システム1においては、排便ガス内に微量しか含まれていない臭気性ガスを検出するため、臭気性ガスセンサ26の感度が極めて高く設定されており、被験者の体や、着衣等に付着した異臭ガス成分すら測定に対する外乱となる。これに対して、本実施形態においては、脱臭後のガスをボウル2a内に戻しているため、ボウル2a内が負圧となることはなく、被験者の体や、着衣等に付着した異臭ガス成分がボウル2a内に引き込まれるのを防止することができる。

0098

ここで、臭気性ガスセンサ26として用いている半導体ガスセンサは、臭気性ガスのみならず、水素も検出してしまう。このため、半導体ガスセンサの検出した検出データから水素ガスの影響を分離する必要がある。本実施形態においては、このような水素ガスの影響を分離するための水素分離機構として、ガス検出装置20内において半導体ガスセンサにより検出された臭気性ガスの検出値から、水素ガスセンサ24により検出された水素ガスの検出値を減算することにより、水素ガスの影響を分離して臭気性ガスセンサ26の検出値として出力している。このような水素分離機構と半導体ガスセンサと、水素ガスセンサ24とを含み、臭気性ガス量及び水素ガス量に応じた検出値を出力する構成を検出値出力機構という。なお、上記の半導体ガスセンサにより検出された臭気性ガスの検出値から、水素ガスセンサ24により検出された水素ガスの検出値を減算する演算処理は、データ解析装置60等において行ってもよい。また、本実施形態では、半導体ガスセンサの検出した検出データから水素ガスの影響を分離するための水素分離機構について説明するが、メタンを検知するメタンセンサを設けることにより、半導体ガスセンサの検出した検出データからメタンの影響を分離することも可能である。メタンガスセンサとしては、触媒の成分をメタンに強く反応するように調整した半導体ガスセンサを用いればよい。

0099

なお、多くの人の腸内には、メタンを生成するメタン生成菌が存在しない、又は、存在してもその量は非常に少ないため、多くの人は排便ガスに含まれるメタン量は非常に少ない。このため、本実施形態では、健康系ガスセンサとして、水素センサ24及び二酸化炭素センサ26を設けている。しかしながら、稀に、腸内のメタン生成菌が非常に多い人が存在する。このように腸内のメタン生成菌が非常に多い人の排便ガスは、メタンの生成量が多くなるが、水素の生成量が少なくなる。このため、水素センサ24及び二酸化炭素センサ26のみを設けた場合には、腸内のメタン生成菌が非常に多い人の排便ガスは、健康系ガスの排出量が少なく判断され、好ましくない。本実施形態では、多くの人に合わせるため、健康系ガスセンサとして、水素センサ24及び二酸化炭素センサ26を設ける構成としているが、メタンガス量の多い人に合わせて水素センサ24に代えてメタンガスセンサを設けてもよい。さらには、予め、水素センサ24及び二酸化炭素センサ26に加えてメタンガスセンサを設けておくことにより、如何なる被験者にも対応することができるため、より好ましい。

0100

以上説明したように、排便ガスには大量の水素が含まれるが、半導体ガスセンサは臭気性ガスのみならず、水素も検出してしまう。これに対して、半導体ガスセンサである臭気性ガスセンサ26により検出されたガス量から、水素ガスセンサ24により検出された水素ガス量を減算することにより、水素の影響を分離することができるため、正確に臭気性ガスのガス量を測定できる。
また、排便ガスに含まれる水素ガスは分子量が空気に比べて非常に小さく、ボウル2aから逃げ出しやすい。これに対して、本実施形態では、吸引装置18のファン18cにより排便ガスを吸引しているため、確実に水素ガスを含む排便ガスを捕集することができる。

0101

また、吸引した排便ガスをそのままボウル2a内に戻すと、臭気性ガスセンサ26による測定精度が低下する。これに対して、本実施形態では、吸引した排便ガスを脱臭フィルタ78により脱臭してボウル内に戻しているため、臭気性ガス量や水素量を正確に測定できる。さらに、このような脱臭フィルタ78は、各センサの下流側に配置する必要があるが、このような脱臭フィルタ78を各センサの下流に設けると、センサが異物により直接汚染される可能性がある。これに対して、本実施形態では、センサの上流側に脱臭機能を備えていないフィルタ72を設けているため、臭気成分測定に影響を与えず異物によるセンサの汚染を低減できる。

0102

また、ボウル2a内のガスを吸引するとボウル2a内の圧力が下がり、被験者の体や衣服に付着した異臭ガス成分がボウル2a内に流れこむ恐れがある。これに対して、本実施形態では、脱臭後の臭気成分を除去した空気をボウル2a内に戻しているため、ボウル2a内への被験者の体や衣服に付着した異臭ガス成分の流れ込みを防止し、正確な測定が可能となった。

0103

ただし、脱臭後の臭気成分を除去した空気をボウル2a内に戻すのは必須の構成ではない。このように脱臭後の臭気成分を除去した空気をボウル2a内に戻す構成を採用しない場合には、被験者の体や衣服に付着した異臭ガス成分がボウル2a内に流れこむおそれがある。しかしながら、後述に図9を参照して説明するように、残留ガスの基準値を設定する際に、これら被験者の体や衣服に付着した異臭ガス成分の影響を含めた上で、残留ガスの基準値が設定される。このため、脱臭後の臭気成分を除去した空気をボウル2a内に戻さなくても、ガス量の推定を行うことは可能である。

0104

次に、図4及び図5を参照して、本発明の第1実施形態による生体情報測定システム1により体調を測定する流れを説明する。
図4は、体調測定の流れを説明する図であり、上段には体調測定における各工程を示し、下段には、各工程においてリモコンの表示装置に表示される画面の一例を示している。図5は、リモコンの表示装置に表示される画面の一例を示す図である。

0105

本実施形態の生体情報測定システム1では、被験者が排便時に放出する排便ガス中の臭気性ガスと、健康系ガスとの相関に基づき、癌の判定を含む体調状態の分析を行うものである。ここで、各被験者側装置では、排便期間中もしくは、一回の排便期間が終了した後、退出するまでの短時間で分析結果が表示されることが好ましい。しかしながら、短時間で分析を行うと分析精度が低くなるおそれがある。また、被験者が排出した排便ガスの全てを吸引装置18によって吸引することは困難であると共に、便器内やトイレ内が非常に不衛生な状態や芳香剤が強い測定環境では、これらが外乱となって影響をおよぼし測定精度が低下するおそれがある。このため、各被験者側装置において、被験者へ疾病の有無を含む体調を伝える際には、被験者の心理負担を考慮し、長期間に亘る多数回の排便行動時に測定を行った経時的な結果に基づいて、癌と関連性の高い臭気性ガスの絶対量だけを強く伝えるのではなく、被験者の体調の変化、すなわち腸内状態の変化が強く伝わるようにしている。また、各排便行動時における測定誤差も考慮して、本実施形態においては、一回の排便行動時の測定結果に基づいて、被験者に通知する体調が大きく変化することがないように、被験者に通知されるように工夫している。これは癌という病気が長期に渡って進行する病気であるという特性を利用したものであり、短期間で癌と関連性の強い臭気性ガス量を大きく変化するのは、癌との関連性が強いのではなく、悪しき生活習慣の結果やノイズの影響に起因することが大きいためであり、体調が大きく変化すると被験者への不要な心理不安となるためである。

0106

上記の点に鑑み、本実施形態においては、まず、被験者側装置10では、一回の排便行動のうちの最初の排便ガスの測定結果、すなわち一回目の排泄行為時に排出された排便ガスに基づき、簡易に健康状態の分析を行い、健康状態の分析結果を表示する。これに対して、サーバー12においては、一回の排便行動の間に排出された総ガス量に基づき、他の被験者との比較等を行うことにより、より詳細な分析が可能である。そこで、本実施形態の生体情報測定システム1では、トイレ室R内に設置された被験者側装置10において簡易な分析を行い、サーバー12においてより詳細な分析を行う。

0107

図4に示すように、本実施形態の生体情報測定システム1による一回の排便行動時における測定においては、測定前環境整備工程S1と、測定開始準備工程S2と、測定基準値設定工程S3と、測定工程S4と、検診工程S5と、通信工程S6と、測定後環境整備工程S7が実行される。

0108

測定前環境整備工程S1とは、被験者がトイレ室Rに入室する前に行われる工程である。なお、被験者がトイレ室Rに入室したか否かは、入室検知センサ34(図2)により検知される。
測定前環境整備工程S1では、便座側の制御装置22はセンサ加温ヒータ54、吸引装置18、及び便蓋開閉装置40を測定待機モードに変更して制御する。センサ加温ヒータ54は、測定待機モードでは、温度センサ32により測定された温度に基づき、臭気性ガスセンサ26の触媒の温度が測定を行う際の温度よりも低い温度(例えば、370℃)になるように制御される。吸引装置18は、測定待機モードでは、吸引風量が最少限となるように制御される。便蓋開閉装置40は、測定待機モードでは、便蓋が閉じた状態となるように制御される。

0109

また、測定前環境整備工程S1において、臭気性ガスセンサ26の触媒は、センサ加温ヒータ54が測定待機モードであるため、最適温度よりは低くなっているものの、臭気性ガスのガス濃度の測定は可能である。水洗大便器2に付着便等がある等、ボウル2a内に異臭ガスの発生源がある場合には、臭気性ガスセンサ26により測定されるガス濃度が所定値以上となる。制御装置22は、測定前環境整備工程S1において、臭気性ガスセンサ26により測定されたガス濃度の値が所定値を超えた場合には便器洗浄を実行する。具体的には、制御装置22は、ノズル駆動装置42によりノズルから洗浄水を放出してボウル2aを洗浄する、便器洗浄装置46により洗浄水タンクに貯留されていた水をボウル2a内に放出してボウル2a内を洗浄する、あるいは、便器除菌装置48により、水道水から次亜塩素酸水などの除菌水を生成し、生成した除菌水をボウル2aに吹きかけ、ボウル2aの殺菌を行う。

0110

また、臭気性ガスセンサ26により測定されるガス濃度が所定値以上の場合において、制御装置22が吸引装置18を作動させてボウル2a内の気体を排出して、ガス濃度を低下させることもできる。吸引装置18により吸引された気体は、脱臭フィルタ78により脱臭されるので、吸引装置18及び脱臭フィルタ78は脱臭装置として機能する。また、便蓋を開放させた状態で吸引装置18により気体を吸引することにより、ボウル2a内のみではなく、トイレ室R内も脱臭することができるので、吸引装置18及び脱臭フィルタ78はトイレ室脱臭装置としても機能させることができる。好ましくは、吸引装置18及び脱臭フィルタ78を脱臭装置として機能させる場合には、被験者の排便期間内において体調測定を行っているときよりも、吸引装置18による気体の吸引量を大きくする。

0111

或いは、トイレ室Rに設けられた換気装置(図示せず)を制御装置22が制御できるように構成しておき、換気装置を作動させることによりガス濃度を低下させても良い。このようにして、ボウル2a内に残留している臭気性ガスの濃度を低下させ、残留している気体に起因する残留ガスノイズの影響が軽減される。従って、測定前環境整備工程S1において実行されるノズル駆動装置42、便器洗浄装置46又は便器除菌装置48によるボウル2aの洗浄又は殺菌、及びボウル2a内又はトイレ室R内の排気/脱臭は、残留ガスノイズの影響を軽減するノイズ対応手段、及び残留している臭気性ガスの濃度を低下させる残留ガス除去手段として機能する。また、被験者がトイレ室Rに入室していない、被験者の排便期間以外のときに実行されるノイズ対応手段は、第1ノイズ対応手段として機能すると共に、残留ガス除去手段として機能する。

0112

さらに、測定前環境整備工程S1において、上述した便器洗浄を行っても、臭気性ガスセンサ26により測定されるガス量が所定値未満とならない場合には、制御装置22は、送受信機56により清掃ワーニング指令信号を送信する。リモコン8側の送受信機66が清掃ワーニング指令信号を受信すると、表示装置68又はスピーカ70により被験者に対してトイレの洗浄をするよう報知する。

0113

また、測定前環境整備工程S1において、制御装置22は、定期的に吸引環境クリーニングを行う。具体的には、制御装置22は、ダクトクリーナー58を駆動し、吸引装置18のダクト18a内に洗浄水を吹き付けてダクト18a等を洗浄する。さらに、センサ加温ヒータ54により水素ガスセンサ24、臭気性ガスセンサ26及び二酸化炭素センサ28を高温に加熱して、これらガスセンサ24、26、28の表面に付着した異臭ガス成分を焼失させる。

0114

次に、制御装置22は、入室検知センサ34により被験者の入室が検知されると、送受信機56を介してリモコン8側の送受信機66に測定開始準備工程S2を開始する旨の信号を送信し、リモコン側と同期しながら測定開始準備工程S2を行う。

0115

測定開始準備工程S2では、まず、リモコン8に内蔵された被験者特定装置62は被験者を特定する。具体的には、生体情報測定システム1には、システムが設置された住宅の居住者が登録されており、登録されている居住者が被験者の候補として表示される。即ち、図5に示すように、リモコン8の表示装置68の上部には、「被験者A」、「被験者B」、「被験者C」..として候補者のボタンが表示され、トイレ室Rに入室した被験者が自己に対応するボタンを押すことにより、被験者が特定される。さらに、リモコン8に内蔵されたデータ解析装置60は、記憶装置を参照して、被験者特定装置62が受け付けた個人識別情報の過去の測定データ及び解析の基準となる基準データとしての体調表示テーブルを取得する。

0116

また、測定開始準備工程S2において、データ解析装置60は、図5に示すように、表示装置の二段目に、例えば、「前回別の場所で排便しましたか?」といった、前回の排便がこの装置が設置されているトイレにおいて行われたか否かに関する質問と、その回答選択肢「はい(今朝)」、「はい(昨日午後)」、「はい(昨日午前)」、「一昨日以前」、「いいえ」を表示する。被験者がこの質問に回答することにより、データ解析装置60の入力装置64に被験者の排便履歴情報が入力される。このような被験者の前回の排便行動からの経過時間に関する排便履歴情報はリモコン8に内蔵された記憶装置(被験者情報記憶装置)に記憶され、この被験者情報記憶装置には、予め登録されている被験者の体重、年齢、性別等に関する被験者情報も記憶されている。また、排便履歴情報は、サーバー12に送信され、サーバー12のデータベースに記録される。

0117

また、測定開始準備工程S2において、便器側の制御装置22は、センサ加温ヒータ54、吸引装置18、及び便蓋開閉装置40を測定モードに制御する。センサ加温ヒータ54は、測定モードでは、温度センサ32により測定された温度に基づき、臭気性ガスセンサ26の触媒の温度が測定に適した温度(400℃)となるように、制御される。また、吸引装置18は、測定モードでは、吸引風量を、排便ガスがボウル2aから外部に漏れないような風量まで上昇させ、このような風量から変動しないように一定に制御される。また、便蓋開閉装置40は、測定モードでは、便蓋を開放するように制御される。

0118

また、測定開始準備工程S2において、臭気性ガスセンサ26によって検出された臭気性ガス濃度が高い場合には、制御装置22は、便器除菌装置48によりボウル2a内の除菌を行う。
また、測定開始準備工程S2において、湿度センサ30により測定された湿度が臭気性ガスセンサ26による排便ガスの測定に適していないような値の場合には、制御装置22は、湿度調整装置59に信号を送り、ボウル内の湿度が適正値となるように制御を行う。

0119

また、測定開始準備工程において、アルコール系除菌剤を使用したシートや、スプレーにより便座4の清掃が行われると、アルコールに臭気性ガスセンサ26が反応しガス濃度値急増する。このように臭気性ガスセンサ26により測定されるガス濃度が急増した場合には、データ解析装置60は、表示装置68に警告を表示する。

0120

また、データ解析装置60は、臭気性ガスセンサ26による測定値を、排便ガス測定のベースとなるノイズレベルである環境基準値として記憶する。この環境基準値に基づき、データ解析装置60は、測定が可能な状態であるか否かを判断する。そして、データ解析装置60は、ノイズレベルの測定中、及び測定が可能でないと判定した場合には、表示装置68により、図4の下段に示すように、「測定準備中! できればちょっと待って下さい」といった、被験者に排便を待機するように促す表示を提示する。

0121

次に、制御装置22は、着座検知センサ36により被験者が着座したことが検知されると、送受信機56を介してデータ解析装置60に測定基準値設定工程S3を開始する旨の信号を送信し、データ解析装置60と同期しながら測定基準値設定工程S3を行う。なお、着座検知センサ36が検出と非検出とを所定回繰り返すような場合は、被験者による便座の清掃の影響であるため、このような場合はS1に戻ることが望ましい。
測定基準値設定工程S3では、データ解析装置60が臭気性ガスセンサ26により測定された測定値に基づき、被験者に起因するノイズレベルの判定である被験者付着異臭ノイズ判定を行う。即ち、臭気性ガスセンサ26により測定された測定値が十分に低下し、安定していない場合には、アルコール系除菌剤等による除菌が行われた可能性があると判断して、図4の下段に示す「測定準備中! できればちょっと待って下さい」の表示を継続する。或いは、被験者に起因するノイズレベルが所定値以上の場合において、データ解析装置60は、局部洗浄装置であるノズル駆動装置42に信号を送ってこれを作動させ、被験者のおしり洗浄を実行する。または、データ解析装置60は、被験者がおしり洗浄を実行するよう、表示装置68により被験者に報知する。このように、データ解析装置60によるおしり洗浄の実行及びそれを促す報知、及び被験者へのノイズが大きいことの報知は、第1ノイズ対応手段とは異なる対応によって被験者ノイズを軽減する第2ノイズ対応手段として機能する。また、上述した第1ノイズ対応手段は、被験者がトイレ室Rに入室していないときに実行されるのに対して、第2ノイズ対応手段は被験者がトイレ室Rに入室しているとき実行される。一方、臭気性ガスセンサ26により測定された測定値が十分に低下している場合には、この表示は消去される。また、所定時間経過しても臭気性ガスセンサ26により測定された測定値が十分に低下しない場合には、データ解析装置60は体調の測定を中止し、その旨を表示装置68に表示して被験者に報知する。このように、データ解析装置60は、被験者の排便期間前におけるボウル2a内の気体成分が、測定に適さないと判断した場合には、被験者の体調測定を中止するので、出力結果安定化手段として機能する。

0122

また、測定基準値設定工程S3において、データ解析装置60は、後に詳述するように、臭気性ガスセンサ26により測定されたガス濃度に基づきガス量推定のための基準値を設定する。
次に、データ解析装置60は、後に詳述するように、臭気性ガスセンサ26による測定値が、基準値から大きく立ち上がると、被験者が排泄行為を行ったと判定する。このように被験者が排泄行為を行ったと判定してから、着座検知センサ36により被験者が離座したことが検知されるまで、データ解析装置60は、測定工程S4を行う。

0123

測定工程S4では、制御装置22は、水素ガスセンサ24、臭気性ガスセンサ26、二酸化炭素センサ28と、湿度センサ30と、温度センサ32と、入室検知センサ34と、着座検知センサ36と、排便・排尿検知センサ38とにより測定された検出データが、被験者特定装置62により特定された被験者毎に記憶装置に記憶される。制御装置22は、記憶装置に記憶したこれら測定値を、測定工程S4終了後に送受信機56を介して、データ解析装置60に送信する。なお、本実施形態では、測定値は測定工程S4終了後に制御装置22からデータ解析装置60に送信することとしているが、これに限らず、測定と並行してリアルタイムで送信してもよい。
また、制御装置22は、被験者が被験者を特定する情報を被験者特定装置62に入力していない状態であっても、排便ガスの測定を開始させる。情報が入力される前に検出された検出データは、その後被験者が一回の排便中に被験者情報を入力すると、入力された被験者情報と関連づけて記憶装置に記憶される。排便という切羽詰った状況において各種の入力を先にさせず、落ち着いてから入力を行えるようにした排便という特性に合わせた実用的な工夫である。さらに、測定開始後、所定時間経過しても被験者が被験者情報を入力しない場合には、被験者に入力を促すメッセージが表示装置68及びスピーカ70から出力され、被験者に報知する。これにより、被験者の入力忘れを防止することができる。

0124

また、これと同時に、測定基準値設定工程S3と同様に、データ解析装置60は、測定可能か否かを判断する。データ解析装置60により測定可能と判定された場合には、データ解析装置60は表示装置68により、図4下段に示すように、「検診者:東陶太郎(被験者識別情報)様」、「測定OK! 測定しています」というような、被験者に対して測定が行われている旨の表示を提示する。

0125

次に、制御装置22は、着座検知センサ36により被験者が離座したことが検知されると、送受信機56を介してデータ解析装置60に検診工程S5を開始する旨の信号を送信する。データ解析装置60は、この信号を受信すると健診工程S5を開始する。
データ解析装置60は、まず、各センサにより測定された測定値に基づき、後に詳述する測定信頼度の演算を行う。
一方、被験者が離座した後も被験者を特定する情報が入力されていない場合には、制御装置22は、水洗大便器2の洗浄を禁止する。即ち、被験者特定情報が入力されない場合には、被験者がリモコン8の洗浄ボタン(図示せず)を操作しても、制御装置22は水洗大便器2の洗浄水を吐出させず、入力を促すメッセージを表示させる。これにより、被験者に被験者特定情報の入力を強く促すことができる。

0126

また、データ解析装置60は、後に詳述するように、臭気性ガスと、水素ガス(健康系ガス)のガス量を推定する。
また、検診工程S5において、データ解析装置60は、所定期間内に行われた複数回の排便において検出され、記憶装置に記憶された複数の検出データの経時変化に基づいて被験者の体調を解析する検診結果演算を行うと共に、記憶値に基づく経時診断を行う。そして、経時診断に基づくアドバイス内容を選択する。データ解析装置60は、図5の3段目に示すように、表示装置68に選択したアドバイス内容を健康管理に関するメッセージとして表示する。図5に示す例においては、検診結果として、被験者の現在の体調状態は「体調不全」に該当すること、アドバイスとして「腸内環境が悪いようです。健康的な生活を心がけましょう。」と表示されている。

0127

さらに、検診結果の下には、今回の測定における水素ガス、二酸化炭素ガス等の健康系のガス量、臭気性ガス等の体調不良系のガス量が表示される。また、アドバイスの下には、過去4回分の測定結果が併せて表示される。さらに、被験者が表示画面上の「詳細画面」ボタンを押すと、過去1ヶ月の被験者の体調変化を示したテーブルが表示される。この表示については後述する。このように、リモコン8の表示装置68に表示される解析結果には、体調状態、アドバイス及び、体調変化(測定データの履歴)のみであり、医療機関端末16に表示されるようながんの疾病の判定結果に関する通知は含まれていない。なお、これらの解析結果は、被験者用端末14に通知してもよい。

0128

また、図5最下段に示すように、表示装置68の下部には、今回の測定データの信頼度が表示されている。図5に示す例では、信頼度は比較的高い「4」と表示されている。また、信頼度が低い場合には、信頼度の表示の下に、信頼度が低下した理由及びそれを改善するためのアドバイスが表示される。例えば、ボウル内に残留している気体に起因する残留ガスノイズ、又は被験者に起因する被験者ノイズが大きい場合には、信頼度を低下させ、ノイズが測定結果に影響していることを被験者に報知する。従って、表示装置68による信頼度の表示は、ノイズ対応手段として機能する。信頼度の計算については後述する。

0129

次に、制御装置22は、入室検知センサ34により被験者が退室したことを検知すると、送受信機56を介してデータ解析装置60に対してデータ送信を行う旨の信号を送信する。データ解析装置60は、この信号を受信すると通信工程S6を行う。
データ解析装置60は、通信工程S6において、被験者特定装置62により特定された被験者を識別する情報と、各種センサにより測定したデータ、算出した信頼度、測定日時情報、排便・排尿検知センサ38により取得された便量及び便の状態の少なくとも一方に関する便状態情報、及び排便履歴情報を含む通知用データを、ネットワークを介してサーバー12へ送信する。サーバー12は、受信したこれら情報をデータベースに記録する。

0130

また、制御装置22は、入室検知センサ34により被験者が退室した後、測定後環境整備工程S7を行う。
制御装置22は、測定後環境整備工程S7において、臭気性ガスセンサ26によりガス濃度を測定する。そして、制御装置22は、排便期間終了後所定時間経過しても臭気性ガスセンサ26により測定されたガス濃度が所定の値よりも大きい場合には、水洗大便器2のボウル2aに便付着があると判定し、便器洗浄装置46により洗浄水タンクに貯留されていた洗浄水をボウル2a内に放出してのボウル2a内を洗浄する、あるいは、便器除菌装置48により、水道水から次亜塩素酸水などの除菌水を生成し、生成した除菌水をボウル2aに噴霧し、ボウル2aの殺菌を行う。

0131

これらの便器洗浄装置46による追加の便器洗浄、及び便器除菌装置48によるボウル2aの殺菌は、残留している臭気性ガスの濃度を低下させる残留ガス除去手段として機能する。好ましくは、残留ガス除去手段によって自動的に実行される便器洗浄は、被験者がリモコン8の洗浄スイッチ(図示せず)を操作することにより実行される通常の便器洗浄よりも、洗浄力を高く設定しておく。具体的には、残留ガス除去手段によって実行される便器洗浄は、ボウル2aへの洗浄水の吐出回数を多く設定しておき、或いは、洗浄水の流速を高く設定しておくのがよい。また、残留ガス除去手段が実行するボウル2aの殺菌は、被験者がリモコン8の殺菌スイッチ(図示せず)を操作することにより実行される通常のボウルの殺菌よりも、殺菌力を強く設定しておく。具体的には、残留ガス除去手段が実行するボウルの殺菌では、通常の殺菌よりも高濃度殺菌水が噴霧され、又は多量の殺菌水が噴霧されるように設定する。

0132

さらに、残留ガス除去手段は、排便期間終了後所定時間経過しても臭気性ガスセンサ26により測定されたガス濃度が所定の値よりも大きい場合には、ダクト18a内に汚れがあると判断して、ダクトクリーナー58を作動させる。ダクトクリーナー58は、吸引装置18に取り付けられたダクト18a内を、水道水を電気分解した次亜塩素酸等により洗浄する。
また、残留ガス除去手段は、以上の洗浄、殺菌処理を実行しても依然として臭気性ガスセンサ26により測定されたガス濃度が十分に低下せず、所定の値よりも大きい場合には、水洗大便器2の清掃を促すメッセージを表示装置68に表示する。

0133

そして、制御装置22は、測定後環境整備工程S7において、センサ加温ヒータ54、吸引装置18、及び便蓋開閉装置40を測定待機モードに変更して、一回の測定を終了する。

0134

次に、図6を参照して、体調表示テーブルを説明する。この体調表示テーブルは図5に示す表示画面において「詳細画面」ボタンを押すことにより表示されるテーブルである。
リモコン8側の記憶装置には、体調表示テーブルと、被験者識別情報に対応づけられて各被験者の排便日時と、過去の測定データが被験者ごとに記録されている。リモコン8側の記憶装置に記憶された過去の測定データは、排便期間中の全期間のデータであってもよいが、記憶装置の容量との関係から、排便期間中の初回の排泄行為により排出された排便ガスの測定データ(初回の排泄行為の期間の測定データ)であることが好ましい。

0135

図6に示すように、体調表示テーブルは、上述した発明者らが行った実験に基づき決定されたテーブルであり、縦軸に第1の指標である臭気性ガス(表示上は体調不良系ガスとしている)のガス量に関する指標、横軸に第2の指標である健康系ガスのガス量に関する指標を表したグラフである。第1の指標は、ガス検出装置20によって検出された第1検出データに基づく、臭気性ガスの量に関するものであり、第2の指標は、ガス検出装置20によって検出された第2検出データに基づく、健康系ガスである水素ガスの量に関するものである。リモコン8の表示装置68には、このような縦軸、横軸を有する体調表示テーブル上に、被験者の排便ガスの測定結果が経時的にプロット点として表示される。即ち、図6に示すように、同一の被験者の最新の測定結果を表すプロット点を「1」とし、前回の結果を「2」、前々回の結果を「3」...として、過去30回分のプロット点が数字と共に表示される。これにより、被験者は自己の体調の経時変化を認識することができる。なお、本実施形態では30回分としたが、数週間分、数か月分でもよく、また癌の進行が年単位であることを考えて年単位でも良い。被験者が状況に応じて表示範囲を変えることができるようにすることは更に望ましく、更に、表示範囲が多い場合は月平均にして1年分とか2年分というように表示の仕方も見易さを考慮して変更すると更に良いことは言うまでもない。

0136

また、体調表示テーブルでは、健康系ガスに関する指標と臭気性ガスに関する指標との関係に応じて、「疾病疑いレベル2」、「疾病疑いレベル1」、「体調不全レベル2」、「体調不全レベル1」、「体調良好」といった体調状態の良否に応じた複数段階の領域が設定されている。ここで、図6に示すように、最も体調の悪い状態に対応する「疾病疑いレベル2」は、臭気性ガスのガス量が最も多く、健康系ガスのガス量が最も少ない、体調表示テーブルの左上の領域に設定されている。一方、最も体調の良い状態に対応する「体調良好」は、臭気性ガスのガス量が最も少なく、健康系ガスのガス量が最も多い、体調表示テーブルの右下の領域に設定されている。これらの間の体調レベルを示す「疾病疑いレベル1」、「体調不全レベル2」、及び「体調不全レベル1」の領域は、体調表示テーブル上で右上がり帯状の領域として、左上から順に設定されている。このような体調表示テーブルは、被験者の体重、年齢、性別等に合わせて予め設定されており、このテーブル上に第1、第2の指標に基づくプロット点を表示することにより、検出データ及び被験者情報に基づく解析を行うことができる。

0137

このように、本実施形態においては、臭気性ガスのガス量に関する指標、及び健康系ガスのガス量に関する指標の2つの指標を使用しているので、より詳細に被験者の体調や体調の変化を評価することができる。例えば、体調が良いことを表す健康系ガスのガス量が多い場合であっても、臭気性ガスのガス量も多い場合には、最も体調が良好なレベルの評価にはならない(体調表示テーブルの右上の領域)。逆に、体調が良いことを表す健康系ガスのガス量が非常に少ない場合であっても、臭気性ガスのガス量が少なければ、最も体調が悪いレベルを示す評価にはならない(体調表示テーブルの左下の領域)。
また、例えば、「体調不全レベル1」と、これよりも体調が悪い状態を表す「体調不全レベル2」の境界線は、横軸の健康系ガス量に関する指標が増大すると共に縦軸の臭気性ガス量に関する指標も増大するように右上がりに引かれ、体調が悪い状態を表す「体調不全レベル2」は、この境界線の臭気性ガス量に関する指標が大きい側に分布している。このように境界線が設定されているため、本実施形態においては、横軸の健康系ガス量に関する指標が同一の値であっても、縦軸の臭気性ガス量に関する指標の値によって体調の評価が異なるものとなる。また、同等の評価を得るためには、縦軸の臭気性ガス量の値が大きくなるにつれ、横軸の健康系ガス量の値も大きくなる必要がある。

0138

また、リモコン8側の記憶装置には、これら体調状態に応じたアドバイスが記録されている。具体的には、体調状態「疾病疑いレベル2」には「通院して下さい」というアドバイスが、体調状態「疾病疑いレベル1」には「通院を推奨します」というアドバイスが、体調状態「体調不全レベル2」には「疾病懸念が高まります。ストレス軽減、生活習慣を至急改善しましょう」というアドバイスが、体調状態「体調不全レベル1」には「腸内環境が悪いようです。健康的な生活を心がけましょう」というアドバイスが、体調状態「体調良好」には「体調は良好です」というアドバイスが対応付けられて記録されている。体調表示テーブル上には、被験者の体調を示すプロット点と共に、最新のプロット点が位置する領域に対応したアドバイスが表示される。

0139

しかしながら、リモコン8の表示装置68の体調表示テーブル上に示されるプロット点は、データ解析装置60により解析された解析結果をそのまま示したものではなく、所定の補正を施して移動された位置にプロット点が示される。ここで、本実施形態の生体情報測定システム1により検出することを想定している疾病は大腸癌等であり、このような疾病は数日のうちに急激に進行するものではない。一方、本実施形態の生体情報測定システム1は、トイレ室Rに設置した水洗大便器2のボウル2aから排便ガスを吸引して、吸引したガスを分析するものであるから、排便ガスを全量採集することはできない。また、被験者が香水を付けていた場合や、トイレ室R内に臭気性ガス等、臭気性ガスセンサ26に反応するガスが残留している場合等、様々な要因により体調の測定結果に誤差が生じる虞がある。

0140

このため、被験者の1回の測定結果に基づいて、表示される体調が大きく体調の悪い側に振れると、被験者に不要な心理的負担を与えてしまう。また、体調の測定結果が一回の測定毎に大きく振れると、体調の測定結果に対する被験者の信頼を失ってしまう結果となる。このため、本実施形態の生体情報測定システム1においては、データ解析装置60による解析結果に補正を施し、表示される測定結果が一回の測定毎に大きく振れることがないようにしている。しかしながら、リモコン8の記憶装置に保存される検出データ及びサーバー12に送信され保存される検出データは、補正を施していないものが検出データの信頼度と共に記憶される。また、リモコン8の記憶装置には次回の表示も考慮して補正して表示した表示の座標を記憶しておくことが良い。このように、本実施形態の生体情報測定システム1によって得られる検出データは、全てが高い信頼性を有するものではない。しかしながら、毎日の排便行動について長期間継続的にデータを取得し、これをリモコン8の記憶装置やサーバー12に集積しておくことにより、被験者の長期間に亘る体調の変化を検知することが可能となり、被験者の体調が大きく悪化する前に、大腸癌等の大きな疾病に至ることのないよう注意喚起することができる。
このように、検出データに施す補正は、表示装置68に出力される被験者の体調の指標が、検出誤差等によって体調不良の方向に振れるのを抑制する出力結果安定化手段として機能する。
なお、本実施形態では、リモコン8の記憶装置に保存される検出データとしては、必ずしも、補正を施していないものでなくてもよく、補正後の検出データを記録してもよい。

0141

次に、図7を参照して、プロット点の補正を説明する。
図7(a)は、最新データのプロット点の、補正による移動の一例を示す図であり、(b)は、プロット点の移動量に対するリミット処理を示す図である。
まず、図7(a)に示すように、最新の測定に基づいてデータ解析装置60が算出したプロット点が「1」であり、この点が、過去30回の測定データのプロット点の重心Gから大きくずれている。このように、前回までの測定データの分布に対して大きく外れたプロット点「1」が表示されると、被験者に過度の心理負担を与えてしまう。癌リスクは1日で高まるようなものではないため、このような測定データの大きな変化は、癌リスクが高まったというより、前日の悪しき生活習慣の結果、または、ノイズの影響である可能性が高い。そこで、本実施形態では、過度な心理負担を被験者に与えないように配慮し、補正を行っている。このため、データ解析装置60は、最新の解析結果が体調不良の側(左上方向)に変化した場合には、プロット点「1」を体調表示テーブル上に表示する位置を、今回の測定データの信頼度に基づいて、重心Gの方向に所定距離移動させて表示する。即ち、図7(a)に示す例においては、プロット点「1」を重心Gの方向(体調良好の側)に移動するように補正したプロット点「1’」の位置に最新の測定データが表示される(実際にはプロット点「1」は表示されない)。このプロット点「1」の重心G方向への移動距離は、最新の測定データの信頼度が低いほど大きくされる。このように、最新のプロット点を良好な体調を示す側に移動することにより、被験者への心理負担を軽減することができる。なお、測定データの信頼度の計算については後述する。しかしながら、データ解析装置60は、最新のプロット点の体調不良の側への移動が所定回数以上連続した場合には、補正量(補正による移動量)を小さくする。これにより、被験者が自己の体調が悪化していることを認識し、体調改善に努めることを促すことができる。

0142

また、最新の体調測定において非常に大きなノイズが入り、最新のプロット点が非常に大きくずれた場合には、図7(a)で説明した補正を施した場合でも、なお表示される体調が、体調不良の側に大きく移動することが考えられる。このため、図7(b)に示すように、最新データの、重心Gからの移動距離には所定のリミッタかけられている。即ち、最新データの重心Gからの移動は±40%に制限され、最新のデータが重心Gの座標から40%以上ずれた場合であっても、40%ずれた位置に最新データがプロットされる。例えば、重心Gの座標値が(x,y)である場合、最新データがプロットされうる座標値の範囲は(0.6x〜1.4x,0.6y〜1.4y)となり、これ以上ずれた位置にはプロットされないようになっている。

0143

さらに、このような40%を超える最新データの移動が2回連続した場合には、最新のデータが移動し得る範囲を60%に緩和する。これにより、例えば、重心Gの座標値が(x,y)である場合、最新のデータがプロットされうる座標値の範囲は(0.4x〜1.6x,0.4y〜1.6y)に変更される。これは、このように大きな最新データの移動が高頻度で発生している場合には、単なる測定誤差ではなく、被験者の何らかの体調の変化が反映されていると考えられるためである。

0144

次に、図8を参照して、サーバー側の診断テーブルを説明する。なお、以下のサーバーにおける処理はサーバー12に設けられたデータ解析手段により行われる。
図8は、サーバー側に表示される診断テーブルの一例を示す図である。上述したように、本実施形態の生体情報測定システム1においては、データ解析装置60により解析された全排便期間の測定データがインターネットを介して、逐次サーバー12に送信され、サーバー側のデータベースに記録されている。この蓄積された測定データは、被験者などによって登録されている医療機関に設置された医療機関端末16に表示可能に構成されている。例えば、リモコン8の表示装置68に表示された「通院を推奨します」というメッセージを受けて、被験者が医療機関を受診した場合には、医療機関端末16では、サーバー用の診断テーブルが表示できるようになっている。診断テーブルは、その縦軸、横軸はリモコン8の表示装置68に表示される体調表示テーブルと同一の指標を表すものであるが、各領域に割り当てられている体調の状態が、より具体的になっている。医師は、サーバー12側のデータベースに記録されている被験者の測定データを医療機関端末16で参照することにより、被験者の経時的な体調を参照することができ、医療機関における検査や治療に役立てることができる。或いは、サーバー12に送信される測定データが、著しい体調不良を示している場合において、被験者が登録している医療機関から診察を受けるよう該当する被験者の被験者用端末14に通知がなされるように本発明を構成することもできる。

0145

この医療機関端末16に表示される診断テーブルは、上記のように被験者の表示装置68上に表示される体調表示テーブルとは異なるものになっている。図8に示すように、サーバー12側の診断テーブルは、上述した発明者らが行った実験に基づき決定されたテーブルであり、健康系ガスのガス量と、臭気性ガスのガス量との関係に対応して、疾病状態が関連づけられている。具体的には、診断テーブルでは、健康系ガスのガス量と臭気性ガスのガス量との関係に応じて、「大腸癌懸念大」、「早期大腸癌懸念大」、「早期大腸癌疑い」、「体調不全レベル3」、「体調不全レベル2」、「体調不全レベル1」、「健康状態」、「腸内不全(下痢)」、及び、「誤測定疑い」の領域が設定されている。

0146

このように設定されたサーバー側の診断テーブル上に、被験者の過去の測定データが経時的にプロットされ、プロット点の位置に基づき「大腸癌懸念大」、「早期大腸癌懸念大」、「早期大腸癌疑い」等の癌の疾病に関する判定が行われる。なお、サーバー側の診断テーブルに表示されるプロット点には、補正やリミッタは施されておらず、医師は、表示されたデータを、その信頼度と共に総合的に判断する。また、医療機関端末16に表示される診断テーブル及び判定結果は、医師が参照することを前提に設定されているため、疾病の名称や、その進行度合い等がより具体的に表示されるようになっている。また、長期にわたり、プロット点が、例えば、「大腸癌懸念大」、「早期大腸癌懸念大」、「早期大腸癌疑い」等の癌の疾病に関する領域内に位置する場合には、より、疾病の可能性が高い旨表示する。医師は、示されたプロット点や、測定の信頼度等を総合的に判断して、被験者に対して、その体調の状態を告げることができる。また、医療機関端末16は、過去の測定データが継時的にプロットされた診断テーブルに加えて、データベースを参照して算出した信頼度、各種センサにより測定したデータ、便量及び便の状態の少なくとも一方に関する便状態情報、及び排便履歴情報も表示可能に構成されている。

0147

また、サーバー12には、多数の被験者側装置10が接続され、多数の被験者の測定データが集積されている。さらに、サーバー12側のデータベースには、或る測定データに基づいて医療機関を受診した被験者が、医療機関で精密な検査を受けた結果、どのような病状であったか、についてもデータが蓄積されている。従って、本実施形態の生体情報測定システム1によって測定されたデータと、実際の病状とを関連づけたデータをサーバー12側に集積することができる。このように集積された多数の被験者の測定データを基にサーバー側の診断テーブルは逐次更新され、更新された診断テーブルに基づいて、より精度の高い診断を行うことができる。また、サーバー側に集積されたデータに基づいて、体調表示テーブルを更新することもできる。サーバー側のデータに基づいて更新された体調表示テーブルは、インターネットを介して各被験者側装置10にダウンロードされ、リモコン8の表示装置68に表示される。しかしながら、体調表示テーブルが更新された場合であっても、被験者に直接提示される体調表示テーブルは、被験者に示すことが適切な内容に修正されている。

0148

次に、図9を参照して、本実施形態の生体情報測定システム1に備えられた各センサによって検出されるデータと、それに基づくガス量の推定を説明する。
図9は、被験者の1回の排便における、生体情報測定システム1に備えられた各センサによる検出信号を模式的に示したグラフである。図9には、上段から順に、水素ガスセンサ24、二酸化炭素センサ28、臭気性ガスセンサ26、湿度センサ30、温度センサ32、着座検知センサ36、及び入室検知センサ34による検出信号の波形を示している。

0149

上記各センサの検出信号に基づくガス量の推定は、体調状態を判別する体調状態判別手段であるデータ解析装置60、即ち、リモコン8に内蔵されたCPU及び記憶装置、又は、サーバー12のCPU及び記憶装置において行われる。データ解析装置60には、リモコン8の記憶手段から読み込んだ、排泄行為の開始時点を判定するための、ガス量の変化率開始閾値、及び、安定した測定を行うことができるようなガス量に関する安定性閾値が予め設定されている。なお、ここでいう排泄行為にはおならも含まれる。

0150

まず、図9時刻t1において、入室検知センサ34は、被験者の入室を検知する。データ解析装置60は、入室検知センサ34によりトイレ室R内に被験者が入出する前の状態(時刻t0〜t1)においても、臭気性ガスセンサ26により臭気性ガスのガス量を測定している。この状態においても、芳香剤や水洗大便器2のボウル2aに付着している残留便の影響により、臭気性ガスセンサ26は反応し、或る程度の検出信号を出力している。このように、被験者の入室前の臭気性ガスセンサ26の測定値を残留ガスノイズであるガス量の環境基準値とする。なお、入室検知センサ34が入室を検知する前の状態では、臭気性ガスセンサ26や吸引装置18は節電状態となっており、臭気性ガスセンサ26の触媒を加熱するためのセンサ加温ヒータ54の温度が低めに設定され、吸引ファン18cの回転数が抑えられて通過する流量も低くなっている。

0151

次に、時刻t1において、入室検知センサ34により被験者が入室したことが検知されると、臭気性ガスセンサ26及び吸引装置18が起動状態となる。これにより、臭気性ガスセンサ26のセンサ加温ヒータ54の温度が上昇するとともに、吸引装置18のファンの回転数が上がり、所定の流量のガスを吸引するようになる。これにより、温度センサ32による検出値が一旦大きく上昇した後、適正温度に収束する(図9の時刻t1〜)。なお、本明細書においては、入室検知センサ34が被験者のトイレ室Rへの入室を検知している期間(図9の時刻t1〜t8)を一回の「排便行動」と呼んでいる。また、被験者が入室すると、臭気性ガスセンサ26により検出される検出信号が上昇する。これは、臭気性ガスセンサ26が、被験者の体臭や、使用している香水、整髪料等に反応するためである。即ち、被験者がトイレ室Rに入室する前の残留ガスノイズからの増加分が、被験者に起因する被験者ノイズである。データ解析装置に内蔵されたノイズ測定手段は、ボウル2a内に残留している気体に起因する残留ガスノイズ、及び被験者に起因する被験者ノイズを検出する。また、臭気性ガスセンサ26は、便器内に排出された排便ガス中にppbオーダーで含まれる極めて微量の臭気性ガスを検出することを目的として、極めて高感度に設定されているため、人間の嗅覚感じ取ることができない程度の臭気にも反応する。

0152

次に、図9の時刻t2において、着座検知センサ36により被験者が便座4に着座したことが検知されると、この時点が被験者の1回の排便期間の開始時点として設定される。なお、本明細書においては、着座検知センサ36が被験者の便座4への着座を検知している期間(図9の時刻t2〜t7)を一回の「排便期間」と呼んでいる。そして、排便期間の開始時点(時刻t2)より後であり、かつ、後述する最初の排泄行為の開始(図9の時刻t5)直前における臭気性ガスセンサ26による検出値を残留ガスの基準値として設定する。

0153

図9に示す例では、時刻t2において被験者が着座した後、時刻t3〜t4の間で湿度センサ30検出値が上昇している。これは、被験者の放尿を検知したものであり、臭気性ガスセンサ26の検出値は殆ど変化していないため、データ解析装置60は、排泄行為は行われていないと判断する。次いで、時刻t5において水素ガスセンサ24及び臭気性ガスセンサ26の検出値が急激に立ち上がっている。このように、被験者の着座後の排便期間において、臭気性ガスセンサ26の検出値が急激に立ち上がると、データ解析装置60は、排泄行為が行われたと判断する。

0154

排泄行為が行われると、データ解析装置60は、臭気性ガスセンサ26による検出値の、残留ガスの基準値からの増加分(臭気性ガスセンサ26による検出値のグラフの斜線部分)である変動幅に基づいて、被験者から排出された臭気性ガス量を推定する。即ち、データ解析装置60は、被験者による排便期間開始時点における検出データの値を、被験者に起因するノイズレベルである基準値とし、臭気性ガスセンサにより検出された検出値と、基準値との差分を始点から終点まで時間積分することにより、一回目の排泄行為に伴う臭気性ガス量として推定する。このように、データ解析装置60は、基準値との差分に基づいて臭気性ガス量を推定しているので、被験者に起因するノイズの影響を抑制することができる。従って、この演算を行う、データ解析装置60に内蔵された回路ノイズ抑制手段として機能すると共に、被験者ノイズの影響を軽減する第2ノイズ対応手段として機能する。また、データ解析装置60は、被験者に起因するノイズレベルが所定値以上の場合には、表示装置68によりその旨を報知する。なお、臭気性ガス量の推定の詳細については後述する。同様に、データ解析装置60は、水素ガスセンサ24による検出値の、残留ガスの基準値からの増加分に基づいて、被験者から排出された水素ガス量を推定する。被験者による排泄行為が行われた(図9の時刻t5)後、臭気性ガスセンサ26及び水素ガスセンサ24による検出値は、残留ガスの基準値に復帰する。次いで、時刻t6において、被験者による2回目の排泄行為が行われると、再び臭気性ガスセンサ26、二酸化炭素センサ28及び水素ガスセンサ24による検出値が急激に立ち上がる。この2回目の排泄行為についても1回目の排泄行為と同様に、残留ガスの基準値からの増加分に基づいて、被験者から排出された臭気性ガス量、水素ガス量が推定される。なお、2回目以降の排泄行為の臭気性ガス量、水素ガス量を推定する際には、ボウル内の封水に浮遊する浮遊便等の影響を考慮し、それぞれの回ごとに基準値を変更してもよい。

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