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課題

血漿中から抗原消失させる為の、抗原結合分子使用方法の提供。

解決手段

Fc領域及び二以上の抗原結合ドメインを含む抗原結合分子の使用で、ドメインの一つ以上がイオン濃度の条件により抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインであり、(a)二分子以上の抗原結合分子及び(b)二分子以上の抗原(但し、当該抗原は二以上の抗原結合単位を含む)を含む免疫複合体の形成可能な抗原結合分子の、血漿中から当該抗原を消失させる為の使用方法。イオン濃度の条件が、Caイオン濃度であり、前記結合ドメインが、低Caイオン濃度での抗原に対する結合活性が高Caイオン濃度での抗原に対する結合活性より低い抗原ドメインである、使用方法。更にイオン濃度条件が、pH条件であり、pH酸性域での抗原に対する結合活性が、pH中性域での抗原に対する結合活性よりも低い抗原結合ドメインである使用方法。

概要

背景

抗体は血漿中での安定性が高く、副作用も少ないことから医薬品として注目されている。中でもIgG型の抗体医薬は多数上市されており、現在も数多くの抗体医薬が開発されている(非特許文献1、および非特許文献2)。一方、第二世代の抗体医薬に適用可能な技術として様々な技術が開発されており、エフェクター機能抗原結合能薬物動態、安定性を向上させる、あるいは、免疫原性リスクを低減させる技術等が報告されている(非特許文献3)。抗体医薬は一般に投与量が非常に高いため、皮下投与製剤の作製が困難であること、製造コストが高いこと等が課題として考えられる。抗体医薬の投与量を低減させる方法として、抗体の薬物動態を向上する方法と、抗体と抗原アフィニティーを向上する方法が考えられる。

抗体の薬物動態を向上させる方法として、定常領域の人工的なアミノ酸置換が報告されている(非特許文献4、および5)。抗原結合能、抗原中和能を増強させる技術として、アフィニティーマチレーション技術(非特許文献6)が報告されており、可変領域のCDR領域などのアミノ酸に変異を導入することで抗原への結合活性を増強することが可能である。抗原結合能の増強によりインビトロ生物活性を向上させる、あるいは投与量を低減することが可能であり、さらにin vivo(生体内)での薬効を向上させることも可能である(非特許文献7)。

一方、抗体一分子あたりが中和できる抗原量はアフィニティーに依存し、アフィニティーを強くすることで少ない抗体量で抗原を中和することが可能であり、様々な方法で抗体のアフィニティーを強くすることが可能である(非特許文献6)。さらに抗原に共有結合的に結合し、アフィニティーを無限大にすることができれば一分子の抗体で一分子の抗原(二価の場合は二抗原)を中和することが可能である。しかしながら、これまでの方法では一分子の抗体は、一分子の抗原(二価の場合は二抗原)に結合することが限界であった。一方、最近になって抗原に対してpH依存的に結合する抗原結合分子を用いることで、一分子の抗原結合分子が複数分子の抗原に結合することが可能であることが報告された(特許文献1、非特許文献8)。pH依存的抗原結合分子は、抗原に対して血漿中の中性条件下においては強く結合し、エンドソーム内の酸性条件下において抗原を解離する。さらに抗原を解離した後に当該抗原結合分子がFcRnによって血漿中にリサイクルされると再び抗原に結合することが可能であるため、一つのpH依存的抗原結合分子で複数の抗原に繰り返し結合することが可能となる。

さらに、中性条件下(pH7.4)におけるFcRn結合を増強するように改変されたpH依存的抗原結合分子は、抗原に繰り返し結合できる効果、および、血漿中から抗原を消失させる効果を有しているため、こうした抗原結合分子の投与によって血漿中から抗原を除去することが可能であることが報告された(特許文献2)。通常のIgG抗体Fc領域を含むpH依存的抗原結合分子は、中性条件下においてFcRnに対してほとんど結合が認められない。そのため、当該抗原結合分子と抗原の複合体が細胞内に取り込まれるのは、主に非特異的な取込みによると考えられる。この報告によれば、中性条件下(pH7.4)におけるFcRn結合を増強するように改変されたpH依存的抗原結合分子は、通常のIgG抗体のFc領域を含むpH依存的抗原結合分子よりも、その抗原消失をさらに加速することが可能である(特許文献2)。

抗原の血漿中滞留性は、FcRnを介したリサイクル機構を有する抗体と比較して非常に短いため、抗原は血漿中で当該リサイクル機構を有する(その結合がpH依存的でない)抗体と結合することによって、通常血漿中滞留性が長くなり、血漿中抗原濃度は上昇する。例えば、血漿中抗原が複数種類生理機能を有する場合、仮に抗体の結合によって一種類の生理活性遮断されたとしても、当該抗原の血漿中濃度が抗体の結合によって他の生理機能が病因となる症状を増悪することも考えられる。このような観点から血漿中の抗原を消失させることが好ましい場合があるところ、抗原の消失を加速する目的で上記のようなFcRnへの結合を増強するFc領域に対する改変を加える方法が報告されているが、それ以外の方法で抗原の消失を加速する方法はこれまでに報告されていない。

なお、本発明における先行技術文献を以下に示す。

概要

血漿中から抗原を消失させる為の、抗原結合分子の使用方法の提供。Fc領域及び二以上の抗原結合ドメインを含む抗原結合分子の使用で、ドメインの一つ以上がイオン濃度の条件により抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインであり、(a)二分子以上の抗原結合分子及び(b)二分子以上の抗原(但し、当該抗原は二以上の抗原結合単位を含む)を含む免疫複合体の形成可能な抗原結合分子の、血漿中から当該抗原を消失させる為の使用方法。イオン濃度の条件が、Caイオン濃度であり、前記結合ドメインが、低Caイオン濃度での抗原に対する結合活性が高Caイオン濃度での抗原に対する結合活性より低い抗原ドメインである、使用方法。更にイオン濃度条件が、pH条件であり、pH酸性域での抗原に対する結合活性が、pH中性域での抗原に対する結合活性よりも低い抗原結合ドメインである使用方法。なし

目的

本発明は、血漿中から抗原を消失させるための抗原結合分子の使用、抗原結合分子を投与することを含む血漿中から抗原を消失させる方法、血漿中から抗原を消失させることが可能な抗原結合分子を含む医薬組成物、血漿中から抗原を消失させるための抗原結合分子のスクリーニング方法、および血漿中から抗原を消失させるための抗原結合分子の製造方法を提供する

効果

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請求項1

以下の工程(a)〜(g)を含む、血漿中から抗原消失する機能を有する、二以上の抗原結合ドメインを有する抗原結合分子スクリーニング方法;(a)少なくとも1つの抗原結合ドメインが、イオン濃度の条件によって二以上の抗原結合単位を含む抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインであって、当該抗原に対して100μMから10mMの高カルシウム濃度条件下において結合し、0.1μMから30μMの低カルシウム濃度条件下において解離する抗原結合ドメイン、又は、当該抗原に対してpH6.7から10の低水素イオン濃度条件下において結合し、pH4.0から6.5の高水素イオン濃度条件下において解離する抗原結合ドメインを得る工程、(b)前記工程(a)で選択された抗原結合ドメインをコードする遺伝子を得る工程、(c)前記工程(b)で得られた遺伝子を、Fc領域をコードする遺伝子と作動可能に連結する工程、(d)前記工程(c)で作動可能に連結された遺伝子を含む宿主細胞を培養する工程、(e)前記工程(d)で得られた培養液から抗原結合分子を単離する工程、(f)前記工程(e)で得られた抗原結合分子を当該抗原と接触させる工程、(g)当該抗原結合分子と当該抗原を含む免疫複合体の形成を評価する工程であって、当該免疫複合体は、(a)二分子以上の当該抗原結合分子、および、(b) 二分子以上の当該抗原を含む免疫複合体である、工程。

請求項2

以下の工程(a)〜(d)を含む、血漿中から抗原を消失する機能を有する抗原結合分子の製造方法;(a)Fc領域、および、二以上の抗原結合ドメインであって少なくとも一つの抗原結合ドメインがイオン濃度の条件によって二以上の抗原結合単位を含む抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを含む抗原結合分子と二以上の抗原結合単位を含む抗原を接触させる工程であって、当該抗原結合ドメインが、当該抗原に対して100μMから10mMの高カルシウム濃度条件下において結合し、0.1μMから30μMの低カルシウム濃度条件下において解離する抗原結合ドメイン、又は、当該抗原に対してpH6.7から10の低水素イオン濃度条件下において結合し、pH4.0から6.5の高水素イオン濃度条件下において解離する抗原結合ドメインである、工程、(b)当該抗原結合分子と当該抗原を含む免疫複合体の形成を評価する工程であって、当該免疫複合体は、(a)二分子以上の当該抗原結合分子、および、(b) 二分子以上の当該抗原を含む免疫複合体である、工程、(c) 前記工程(b)で免疫複合体の形成が確認された抗原結合分子をコードする遺伝子を含むベクターを含む宿主細胞を培養する工程、(d) 前記工程(c)で得られた培養液から抗原結合分子を単離する工程。

請求項3

以下の工程(a)〜(i)を含む、血漿中から抗原を消失する機能を有する、二以上の抗原結合ドメインを有する抗原結合分子の製造方法;(a)少なくとも1つの抗原結合ドメインが、イオン濃度の条件によって二以上の抗原結合単位を含む抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインであって、当該抗原に対して100μMから10mMの高カルシウム濃度条件下において結合し、0.1μMから30μMの低カルシウム濃度条件下において解離する抗原結合ドメイン、又は、当該抗原に対してpH6.7から10の低水素イオン濃度条件下において結合し、pH4.0から6.5の高水素イオン濃度条件下において解離する抗原結合ドメインを得る工程、(b)前記工程(a)で選択された抗原結合ドメインをコードする遺伝子を得る工程、(c)前記工程(b)で得られた遺伝子を、Fc領域をコードする遺伝子と作動可能に連結する工程、(d)前記工程(c)で作動可能に連結された遺伝子を含む宿主細胞を培養する工程、(e)前記工程(d)で得られた培養液から抗原結合分子を単離する工程、(f)前記工程(e)で得られた抗原結合分子を当該抗原と接触させる工程、(g)当該抗原結合分子と当該抗原を含む免疫複合体の形成を評価する工程であって、当該免疫複合体は、(a)二分子以上の当該抗原結合分子、および、(b) 二分子以上の当該抗原を含む免疫複合体である、工程、(h)前記工程(g)で免疫複合体の形成が確認された抗原結合分子をコードする遺伝子を含むベクターを含む宿主細胞を培養する工程、(i)前記工程(h)で得られた培養液から抗原結合分子を単離する工程。

請求項4

以下の工程(a)〜(f)を含む、血漿中から抗原を消失する機能を有する、二以上の抗原結合ドメインを有する抗原結合分子の製造方法;(a)少なくとも1つの抗原結合ドメインが、イオン濃度の条件によって二以上の抗原結合単位を含む抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインであって、当該抗原に対して100μMから10mMの高カルシウム濃度条件下において結合し、0.1μMから30μMの低カルシウム濃度条件下において解離する抗原結合ドメイン、又は、当該抗原に対してpH6.7から10の低水素イオン濃度条件下において結合し、pH4.0から6.5の高水素イオン濃度条件下において解離する抗原結合ドメインを得る工程、(b)前記工程(a)で選択された抗原結合ドメインをコードする遺伝子を得る工程、(c)前記工程(b)で得られた遺伝子を、Fc領域をコードする遺伝子と作動可能に連結する工程、(d)前記工程(c)で作動可能に連結された遺伝子を含む宿主細胞を培養する工程、(e)前記工程(d)で得られた培養液から抗原結合分子を単離する工程、(f)前記工程(e)で得られた抗原結合分子と当該抗原を接触させて当該抗原結合分子と当該抗原を含む免疫複合体の形成を評価する工程であって、当該免疫複合体は、(a)二分子以上の当該抗原結合分子、および、(b) 二分子以上の当該抗原を含む免疫複合体である、工程。

請求項5

以下の工程(a)および(b)を含む、血漿中から抗原を消失する機能を有する抗原結合分子の製造方法:(a) 請求項1に記載のスクリーニング方法で免疫複合体の形成が確認された抗原結合分子をコードする遺伝子を含むベクターを含む宿主細胞を培養する工程、(b) 前記工程(a)で得られた培養液から抗原結合分子を単離する工程。

技術分野

0001

本発明は、血漿中から抗原消失させるための抗原結合分子の使用、抗原結合分子を投与することを含む血漿中から抗原を消失させる方法、血漿中から抗原を消失させることが可能な抗原結合分子を含む医薬組成物、血漿中から抗原を消失させるための抗原結合分子のスクリーニング方法、および血漿中から抗原を消失させるための抗原結合分子の製造方法を提供する。

背景技術

0002

抗体は血漿中での安定性が高く、副作用も少ないことから医薬品として注目されている。中でもIgG型の抗体医薬は多数上市されており、現在も数多くの抗体医薬が開発されている(非特許文献1、および非特許文献2)。一方、第二世代の抗体医薬に適用可能な技術として様々な技術が開発されており、エフェクター機能抗原結合能薬物動態、安定性を向上させる、あるいは、免疫原性リスクを低減させる技術等が報告されている(非特許文献3)。抗体医薬は一般に投与量が非常に高いため、皮下投与製剤の作製が困難であること、製造コストが高いこと等が課題として考えられる。抗体医薬の投与量を低減させる方法として、抗体の薬物動態を向上する方法と、抗体と抗原のアフィニティーを向上する方法が考えられる。

0003

抗体の薬物動態を向上させる方法として、定常領域の人工的なアミノ酸置換が報告されている(非特許文献4、および5)。抗原結合能、抗原中和能を増強させる技術として、アフィニティーマチレーション技術(非特許文献6)が報告されており、可変領域のCDR領域などのアミノ酸に変異を導入することで抗原への結合活性を増強することが可能である。抗原結合能の増強によりインビトロ生物活性を向上させる、あるいは投与量を低減することが可能であり、さらにin vivo(生体内)での薬効を向上させることも可能である(非特許文献7)。

0004

一方、抗体一分子あたりが中和できる抗原量はアフィニティーに依存し、アフィニティーを強くすることで少ない抗体量で抗原を中和することが可能であり、様々な方法で抗体のアフィニティーを強くすることが可能である(非特許文献6)。さらに抗原に共有結合的に結合し、アフィニティーを無限大にすることができれば一分子の抗体で一分子の抗原(二価の場合は二抗原)を中和することが可能である。しかしながら、これまでの方法では一分子の抗体は、一分子の抗原(二価の場合は二抗原)に結合することが限界であった。一方、最近になって抗原に対してpH依存的に結合する抗原結合分子を用いることで、一分子の抗原結合分子が複数分子の抗原に結合することが可能であることが報告された(特許文献1、非特許文献8)。pH依存的抗原結合分子は、抗原に対して血漿中の中性条件下においては強く結合し、エンドソーム内の酸性条件下において抗原を解離する。さらに抗原を解離した後に当該抗原結合分子がFcRnによって血漿中にリサイクルされると再び抗原に結合することが可能であるため、一つのpH依存的抗原結合分子で複数の抗原に繰り返し結合することが可能となる。

0005

さらに、中性条件下(pH7.4)におけるFcRn結合を増強するように改変されたpH依存的抗原結合分子は、抗原に繰り返し結合できる効果、および、血漿中から抗原を消失させる効果を有しているため、こうした抗原結合分子の投与によって血漿中から抗原を除去することが可能であることが報告された(特許文献2)。通常のIgG抗体Fc領域を含むpH依存的抗原結合分子は、中性条件下においてFcRnに対してほとんど結合が認められない。そのため、当該抗原結合分子と抗原の複合体が細胞内に取り込まれるのは、主に非特異的な取込みによると考えられる。この報告によれば、中性条件下(pH7.4)におけるFcRn結合を増強するように改変されたpH依存的抗原結合分子は、通常のIgG抗体のFc領域を含むpH依存的抗原結合分子よりも、その抗原消失をさらに加速することが可能である(特許文献2)。

0006

抗原の血漿中滞留性は、FcRnを介したリサイクル機構を有する抗体と比較して非常に短いため、抗原は血漿中で当該リサイクル機構を有する(その結合がpH依存的でない)抗体と結合することによって、通常血漿中滞留性が長くなり、血漿中抗原濃度は上昇する。例えば、血漿中抗原が複数種類生理機能を有する場合、仮に抗体の結合によって一種類の生理活性遮断されたとしても、当該抗原の血漿中濃度が抗体の結合によって他の生理機能が病因となる症状を増悪することも考えられる。このような観点から血漿中の抗原を消失させることが好ましい場合があるところ、抗原の消失を加速する目的で上記のようなFcRnへの結合を増強するFc領域に対する改変を加える方法が報告されているが、それ以外の方法で抗原の消失を加速する方法はこれまでに報告されていない。

0007

なお、本発明における先行技術文献を以下に示す。

0008

国際公開第WO2009/125825号
国際公開第WO2011/122011号

先行技術

0009

Monoclonal antibody successes in the clinic, Janice M Reichert, Clark J Rosensweig, Laura B Faden & Matthew C Dewitz, Nat. Biotechnol. (2005) 23, 1073 - 1078
Pavlou AK, Belsey MJ., The therapeutic antibodies market to 2008., Eur. J. Pharm. Biopharm. (2005) 59 (3), 389-396
Kim SJ, Park Y, Hong HJ., Antibody engineering for the development of therapeutic antibodies., Mol. Cells. (2005) 20 (1), 17-29
Hinton PR, Xiong JM, Johlfs MG, TangMT, Keller S, Tsurushita N, J. Immunol. (2006) 176 (1), 346-356
Ghetie V, Popov S, Borvak J, Radu C, Matesoi D, Medesan C, Ober RJ, WardES., Nat. Biotechnol. (1997) 15 (7), 637-640
Rajpal A, Beyaz N, Haber L, Cappuccilli G, Yee H, BhattRR, Takeuchi T, Lerner RA, Crea R., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. (2005) 102 (24), 8466-8471
Wu H, Pfarr DS, Johnson S, Brewah YA, WoodsRM, Patel NK, White WI, Young JF, Kiener PA., J. Mol. Biol. (2007) 368, 652-665
Igawa T, et al., Nat. Biotechnol. (2010) 28, 1203-1207

発明が解決しようとする課題

0010

本発明はこのような状況に鑑みて為されたものであり、その目的は、血漿中から抗原を消失させるための抗原結合分子の使用、抗原結合分子を投与することを含む血漿中から抗原を消失させる方法、血漿中から抗原を消失させることが可能な抗原結合分子を含む医薬組成物、血漿中から抗原を消失させるための抗原結合分子のスクリーニング方法、および血漿中から抗原を消失させるための抗原結合分子の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を進めたところ、(i)Fc領域、および、(ii) 二以上の抗原結合ドメインを含む抗原結合分子であって、当該ドメインの少なくとも一つがイオン濃度の条件によって抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインであり、
(a)二分子以上の当該抗原結合分子、および、(b) 二分子以上の抗原であって、当該抗原は二以上の抗原結合単位を含む抗原、を含む免疫複合体を形成することが可能な抗原結合分子を創作した。また、本発明者らは、当該抗原結合分子が血漿中から抗原を消失するために使用できることを見出した。さらに、本発明者らは、当該抗原結合分子が医薬組成物として有用であることを見出すとともに、当該抗原結合分子を投与することを含む血漿中から当該抗原を消失させる方法を創作した。また、本発明者らは前記の性質を有する抗原結合分子のスクリーニング方法を見出すとともに、その製造方法を創作して本発明を完成した。

0012

すなわち本発明は下記;
〔1〕(i)Fc領域、および、
(ii) 二以上の抗原結合ドメイン、
を含む抗原結合分子の使用であって、当該ドメインの少なくとも一つがイオン濃度の条件によって抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインであり、
(a)二分子以上の当該抗原結合分子、および、(b) 二分子以上の抗原、ただし当該抗原は二以上の抗原結合単位を含む、
を含む免疫複合体を形成することが可能な抗原結合分子の、血漿中から当該抗原を消失させるための使用、
〔2〕イオン濃度の条件が、カルシウムイオン濃度の条件である、〔1〕に記載の使用、
〔3〕前記抗原結合ドメインが、低カルシウムイオン濃度の条件下での抗原に対する結合活性が高カルシウムイオン濃度の条件下での抗原に対する結合活性よりも低い抗原結合ドメインである、〔2〕に記載の使用、
〔4〕イオン濃度の条件が、pHの条件である、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の使用、
〔5〕前記抗原結合ドメインが、pH酸性域における抗原に対する結合活性がpH中性域の条件における抗原に対する結合活性よりも低い抗原結合ドメインである、〔4〕に記載の使用、
〔6〕二以上の抗原結合単位を含む前記抗原が多量体である〔1〕から〔5〕のいずれかに記載の使用、
〔7〕前記抗原が、GDF、GDF-1、GDF-3(Vgr-2)、GDF-5(BMP-14、CDMP-1)、GDF-6(BMP-13、CDMP-2)、GDF-7(BMP-12、CDMP-3)、GDF-8(ミオスタチン)、GDF-9、GDF-15(MIC-1)、TNF、TNF-アルファ、TNF-アルファベータ、TNF-ベータ2、TNFSF10(TRAIL Apo-2リガンドTL2)、TNFSF11(TRANCE/RANKリガンドODF、OPGリガンド)、TNFSF12(TWEAK Apo-3リガンド、DR3リガンド)、TNFSF13(APRIL TALL2)、TNFSF13B(BAFFBLYS、TALL1、THANK、TNFSF20)、TNFSF14(LIGHTHVEMリガンド、LTg)、TNFSF15(TL1A/VEGI)、TNFSF18(GITRリガンド AITRリガンド、TL6)、TNFSF1A(TNF-aコネクチン(Conectin)、DIF、TNFSF2)、TNFSF1B(TNF-b LTa、TNFSF1)、TNFSF3(LTb TNFC、p33)、TNFSF4(OX40リガンド gp34、TXGP1)、TNFSF5(CD40リガンド CD154、gp39、HIGM1、IMD3、TRAP)、TNFSF6(Fasリガンド Apo-1リガンド、APT1リガンド)、TNFSF7(CD27リガンド CD70)、TNFSF8(CD30リガンド CD153)、TNFSF9(4-1BBリガンド CD137リガンド)、VEGF、IgEIgA、IgG、IgM、RANKL、TGF-アルファ、TGF-ベータ、TGF-ベータ Pan Specific、またはIL-8のいずれかである〔6〕に記載の使用、
〔8〕二以上の抗原結合単位を含む前記抗原が単量体である〔1〕から〔5〕のいずれかに記載の使用、
〔9〕抗原結合分子が、多重特異性または多重パラトピックな抗原結合分子、もしくは抗原結合分子カクテルである〔1〕から〔8〕のいずれかに記載の使用、
〔10〕前記Fc領域が、それぞれ配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域である、〔1〕から「9〕のいずれかに記載の使用、
〔11〕前記Fc領域のpH酸性域の条件下でのFcRnに対する結合活性が、配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域の結合活性より増強されているFc領域である、〔1〕から〔9〕のいずれかに記載の使用、
〔12〕前記Fc領域が、配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される238位、244位、245位、249位、250位、251位、252位、253位、254位、255位、256位、257位、258位、260位、262位、265位、270位、272位、279位、283位、285位、286位、288位、293位、303位、305位、307位、308位、309位、311位、312位、314位、316位、317位、318位、332位、339位、340位、341位、343位、356位、360位、362位、375位、376位、377位、378位、380位、382位、385位、386位、387位、388位、389位、400位、413位、415位、423位、424位、427位、428位、430位、431位、433位、434位、435位、436位、438位、439位、440位、442位または447位のアミノ酸の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である〔11〕に記載の使用、
〔13〕 前記Fc領域が、配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;
238位のアミノ酸がLeu、
244位のアミノ酸がLeu、
245位のアミノ酸がArg、
249位のアミノ酸がPro、
250位のアミノ酸がGlnまたはGluのいずれか、もしくは
251位のアミノ酸がArg、Asp、Glu、またはLeuのいずれか、
252位のアミノ酸がPhe、Ser、Thr、またはTyrのいずれか、
254位のアミノ酸がSerまたはThrのいずれか、
255位のアミノ酸がArg、Gly、Ile、またはLeuのいずれか、
256位のアミノ酸がAla、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、Pro、またはThrのいずれか、
257位のアミノ酸がAla、Ile、Met、Asn、Ser、またはValのいずれか、
258位のアミノ酸がAsp、
260位のアミノ酸がSer、
262位のアミノ酸がLeu、
270位のアミノ酸がLys、
272位のアミノ酸がLeu、またはArgのいずれか、
279位のアミノ酸がAla、Asp、Gly、His、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Trp、またはTyrのいずれか、
283位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Trp、またはTyrのいずれか、
285位のアミノ酸がAsn、
286位のアミノ酸がPhe、
288位のアミノ酸がAsn、またはProのいずれか、
293位のアミノ酸がVal、
307位のアミノ酸がAla、Glu、Gln、またはMetのいずれか、
311位のアミノ酸がAla、Glu、Ile、Lys、Leu、Met、Ser 、Val、またはTrpのいずれか、
309位のアミノ酸がPro、
312位のアミノ酸がAla、Asp、またはProのいずれか、
314位のアミノ酸がAlaまたはLeuのいずれか、
316位のアミノ酸がLys、
317位のアミノ酸がPro、
318位のアミノ酸がAsn、またはThrのいずれか、
332位のアミノ酸がPhe、His、Lys、Leu、Met、Arg、Ser、またはTrpのいずれか、
339位のアミノ酸がAsn、Thr、またはTrpのいずれか、
341位のアミノ酸がPro、
343位のアミノ酸がGlu、His、Lys、Gln、Arg、Thr、またはTyrのいずれか、
375位のアミノ酸がArg、
376位のアミノ酸がGly、Ile、Met、Pro、Thr、またはValのいずれか、
377位のアミノ酸がLys、
378位のアミノ酸がAsp、Asn、またはValのいずれか、
380位のアミノ酸がAla、Asn、Ser、またはThrのいずれか
382位のアミノ酸がPhe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、またはTyrのいずれか、
385位のアミノ酸がAla、Arg、Asp、Gly、His、Lys、Ser、またはThrのいずれか、
386位のアミノ酸がArg、Asp、Ile、Lys、Met、Pro、Ser、またはThrのいずれか、
387位のアミノ酸がAla、Arg、His、Pro、Ser、またはThrのいずれか、
389位のアミノ酸がAsn、Pro、またはSerのいずれか、
423位のアミノ酸がAsn、
427位のアミノ酸がAsn、
428位のアミノ酸がLeu、Met、Phe、Ser、またはThrのいずれか
430位のアミノ酸がAla、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、またはTyrのいずれか、
431位のアミノ酸がHis、またはAsnのいずれか、
433位のアミノ酸がArg、Gln、His、Ile、Lys、Pro、またはSerのいずれか、
434位のアミノ酸がAla、Gly、His、Phe、Ser、Trp、またはTyrのいずれか、
436位のアミノ酸がArg、Asn、His、Ile、Leu、Lys、Met、またはThrのいずれか、
438位のアミノ酸がLys、Leu、Thr、またはTrpのいずれか、
440位のアミノ酸がLys、もしくは、
442位のアミノ酸がLys、308位のアミノ酸がIle、Pro、またはThrのいずれか、
の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸である、〔12〕に記載の使用、
〔14〕前記Fc領域のpH中性域の条件下でのFcRnに対する結合活性が、配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域の結合活性より増強されているFc領域である、〔1〕から〔9〕のいずれかに記載の使用、
〔15〕前記Fc領域が、配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される237位、248位、250位、252位、254位、255位、256位、257位、258位、265位、286位、289位、297位、298位、303位、305位、307位、308位、309位、311位、312位、314位、315位、317位、332位、334位、360位、376位、380位、382位、384位、385位、386位、387位、389位、424位、428位、433位、434位または436位の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である〔14〕に記載の使用、
〔16〕前記Fc領域が、配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;
237位のアミノ酸がMet、
248位のアミノ酸がIle、
250位のアミノ酸がAla、Phe、Ile、Met、Gln、Ser、Val、Trp、またはTyrのいずれか、
252位のアミノ酸がPhe、Trp、またはTyrのいずれか、
254位のアミノ酸がThr、
255位のアミノ酸がGlu、
256位のアミノ酸がAsp、Asn、Glu、またはGlnのいずれか、
257位のアミノ酸がAla、Gly、Ile、Leu、Met、Asn、Ser、Thr、またはValのいずれか、
258位のアミノ酸がHis、
265位のアミノ酸がAla、
286位のアミノ酸がAlaまたはGluのいずれか、
289位のアミノ酸がHis、
297位のアミノ酸がAla、
303位のアミノ酸がAla、
305位のアミノ酸がAla、
307位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Val、Trp、またはTyrのいずれか、
308位のアミノ酸がAla、Phe、Ile、Leu、Met、Pro、Gln、またはThrのいずれか、
309位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Pro、またはArgのいずれか、
311位のアミノ酸がAla、His、またはIleのいずれか、
312位のアミノ酸がAlaまたはHisのいずれか、
314位のアミノ酸がLysまたはArgのいずれか、
315位のアミノ酸がAla、AspまたはHisのいずれか、
317位のアミノ酸がAla、
332位のアミノ酸がVal、
334位のアミノ酸がLeu、
360位のアミノ酸がHis、
376位のアミノ酸がAla、
380位のアミノ酸がAla、
382位のアミノ酸がAla、
384位のアミノ酸がAla、
385位のアミノ酸がAspまたはHisのいずれか、
386位のアミノ酸がPro、
387位のアミノ酸がGlu、
389位のアミノ酸がAlaまたはSerのいずれか、
424位のアミノ酸がAla、
428位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Asn、Pro、Gln、Ser、Thr、Val、Trp、またはTyrのいずれか、
433位のアミノ酸がLys、
434位のアミノ酸がAla、Phe、His、Ser、Trp、またはTyrのいずれか、もしくは
436位のアミノ酸がHis 、Ile、Leu、Phe、Thr、またはVal、
の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸である、〔15〕に記載の使用、
〔17〕前記Fc領域が、天然型ヒトIgGのFc領域のFcγレセプターに対する結合活性よりもFcγレセプターに対する結合活性が高いFc領域を含む〔1〕から〔13〕のいずれかに記載の使用、
〔18〕前記Fc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される221位、222位、223位、224位、225位、227位、228位、230位、231位、232位、233位、234位、235位、236位、237位、238位、239位、240位、241位、243位、244位、245位、246位、247位、249位、250位、251位、254位、255位、256位、258位、260位、262位、263位、264位、265位、266位、267位、268位、269位、270位、271位、272位、273位、274位、275位、276位、278位、279位、280位、281位、282位、283位、284位、285位、286位、288位、290位、291位、292位、293位、294位、295位、296位、297位、298位、299位、300位、301位、302位、303位、304位、305位、311位、313位、315位、317位、318位、320位、322位、323位、324位、325位、326位、327位、328位、329位、330位、331位、332位、333位、334位、335位、336位、337位、339位、376位、377位、378位、379位、380位、382位、385位、392位、396位、421位、427位、428位、429位、434位、436位または440位の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸が天然型ヒトIgGのFc領域のアミノ酸と異なるアミノ酸を含む〔17〕に記載の使用、
〔19〕前記Fc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;
221位のアミノ酸がLysまたはTyrのいずれか、
222位のアミノ酸がPhe、Trp、GluまたはTyrのいずれか、
223位のアミノ酸がPhe、Trp、GluまたはLysのいずれか、
224位のアミノ酸がPhe、Trp、GluまたはTyrのいずれか、
225位のアミノ酸がGlu、LysまたはTrpのいずれか、
227位のアミノ酸がGlu、Gly、LysまたはTyrのいずれか、
228位のアミノ酸がGlu、Gly、LysまたはTyrのいずれか、
230位のアミノ酸がAla、Glu、GlyまたはTyrのいずれか、
231位のアミノ酸がGlu、Gly、Lys、ProまたはTyrのいずれか、
232位のアミノ酸がGlu、Gly、LysまたはTyrのいずれか、
233位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
234位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
235位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
236位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
237位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
238位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
239位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
240位のアミノ酸がAla、Ile、MetまたはThrのいずれか、
241位のアミノ酸がAsp、Glu、Leu、Arg、TrpまたはTyrのいずれか、
243位のアミノ酸がLeu、Glu、Leu、Gln、Arg、TrpまたはTyrのいずれか、
244位のアミノ酸がHis、
245位のアミノ酸がAla、
246位のアミノ酸がAsp、Glu、HisまたはTyrのいずれか、
247位のアミノ酸がAla、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Thr、ValまたはTyrのいずれか、
249位のアミノ酸がGlu、His、GlnまたはTyrのいずれか、
250位のアミノ酸がGluまたはGlnのいずれか、
251位のアミノ酸がPhe、
254位のアミノ酸がPhe、MetまたはTyrのいずれか、
255位のアミノ酸がGlu、LeuまたはTyrのいずれか、
256位のアミノ酸がAla、MetまたはProのいずれか、
258位のアミノ酸がAsp、Glu、His、SerまたはTyrのいずれか、
260位のアミノ酸がAsp、Glu、HisまたはTyrのいずれか、
262位のアミノ酸がAla、Glu、Phe、IleまたはThrのいずれか、
263位のアミノ酸がAla、Ile、MetまたはThrのいずれか、
264位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、TrpまたはTyrのいずれか、
265位のアミノ酸がAla、Leu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
266位のアミノ酸がAla、Ile、MetまたはThrのいずれか、
267位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
268位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、Gln、Arg、Thr、ValまたはTrpのいずれか、
269位のアミノ酸がPhe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
270位のアミノ酸がGlu、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、TrpまたはTyrのいずれか、
271位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
272位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
273位のアミノ酸がPheまたはIleのいずれか、
274位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
275位のアミノ酸がLeuまたはTrpのいずれか、
276位のアミノ酸が、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
278位のアミノ酸がAsp、Glu、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、ValまたはTrpのいずれか、
279位のアミノ酸がAla、
280位のアミノ酸がAla、Gly、His、Lys、Leu、Pro、Gln、TrpまたはTyrのいずれか、
281位のアミノ酸がAsp、Lys、ProまたはTyrのいずれか、
282位のアミノ酸がGlu、Gly、Lys、ProまたはTyrのいずれか、
283位のアミノ酸がAla、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、ArgまたはTyrのいずれか、
284位のアミノ酸がAsp、Glu、Leu、Asn、ThrまたはTyrのいずれか、
285位のアミノ酸がAsp、Glu、Lys、Gln、TrpまたはTyrのいずれか、
286位のアミノ酸がGlu、Gly、ProまたはTyrのいずれか、
288位のアミノ酸がAsn、Asp、GluまたはTyrのいずれか、
290位のアミノ酸がAsp、Gly、His、Leu、Asn、Ser、Thr、TrpまたはTyrのいずれか、
291位のアミノ酸がAsp、Glu、Gly、His、Ile、GlnまたはThrのいずれか、
292位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Pro、ThrまたはTyrのいずれか、
293位のアミノ酸がPhe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
294位のアミノ酸がPhe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
295位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
296位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、ThrまたはValのいずれか、
297位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
298位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、Met、Asn、Gln、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
299位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
300位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、ValまたはTrpのいずれか、
301位のアミノ酸がAsp、Glu、HisまたはTyrのいずれか、
302位のアミノ酸がIle、
303位のアミノ酸がAsp、GlyまたはTyrのいずれか、
304位のアミノ酸がAsp、His、Leu、AsnまたはThrのいずれか、
305位のアミノ酸がGlu、Ile、ThrまたはTyrのいずれか、
311位のアミノ酸がAla、Asp、Asn、Thr、ValまたはTyrのいずれか、
313位のアミノ酸がPhe、
315位のアミノ酸がLeu、
317位のアミノ酸がGluまたはGln、
318位のアミノ酸がHis、Leu、Asn、Pro、Gln、Arg、Thr、ValまたはTyrのいずれか、
320位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Asn、Pro、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
322位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Pro、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
323位のアミノ酸がIle、
324位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Pro、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
325位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
326位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Gly、Ile、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
327位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
328位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
329位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
330位のアミノ酸がCys、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
331位のアミノ酸がAsp、Phe、His、Ile、Leu、Met、Gln、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
332位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
333位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Pro、Ser、Thr、ValまたはTyrのいずれか、
334位のアミノ酸がAla、Glu、Phe、Ile、Leu、ProまたはThrのいずれか、
335位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
336位のアミノ酸がGlu、LysまたはTyrのいずれか、
337位のアミノ酸がGlu、HisまたはAsnのいずれか、
339位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、Ile、Lys、Met、Asn、Gln、Arg、SerまたはThrのいずれか、
376位のアミノ酸がAlaまたはValのいずれか、
377位のアミノ酸がGlyまたはLysのいずれか、
378位のアミノ酸がAsp、
379位のアミノ酸がAsn、
380位のアミノ酸がAla、AsnまたはSerのいずれか、
382位のアミノ酸がAlaまたはIleのいずれか、
385位のアミノ酸がGlu、
392位のアミノ酸がThr、
396位のアミノ酸がLeu、
421位のアミノ酸がLys、
427位のアミノ酸がAsn、
428位のアミノ酸がPheまたはLeuのいずれか、
429位のアミノ酸がMet、
434位のアミノ酸がTrp、
436位のアミノ酸がIle、もしくは
440位のアミノ酸がGly、His、Ile、LeuまたはTyrのいずれか、
の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸を含む〔18〕に記載の使用、
〔20〕前記Fc領域が、活性型Fcγレセプターに対する結合活性よりも抑制型Fcγレセプターに対する結合活性が高いFc領域である、〔1〕から〔16〕のいずれかに記載の使用、
〔21〕前記抑制型FcγレセプターがヒトFcγRIIbである、〔20〕に記載の使用、
〔22〕前記活性型FcγレセプターがヒトFcγRIa、ヒトFcγRIIa(R)、ヒトFcγRIIa(H)、ヒトFcγRIIIa(V)またはヒトFcγRIIIa(F)である、〔20〕または「21〕のいずれかに記載の使用、
〔23〕前記Fc領域のEUナンバリングで表される238位または328位のアミノ酸が天然型ヒトIgGのFc領域のアミノ酸と異なるアミノ酸を含む、〔20〕から〔22〕のいずれかに記載の使用、
〔24〕前記Fc領域のEUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、または328位のアミノ酸をGluである、〔23〕に記載の使用、
〔25〕前記Fc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;
233位のアミノ酸がAsp、
234位のアミノ酸がTrp、またはTyrのいずれか、
237位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Leu、Met、Phe、TrpまたはTyrのいずれか、
239位のアミノ酸がAsp、
267位のアミノ酸がAla、GlnまたはValのいずれか、
268位のアミノ酸がAsn、Asp、またはGluのいずれか、
271位のアミノ酸がGly、
326位のアミノ酸がAla、Asn、Asp、Gln、Glu、Leu、Met、SerまたはThrのいずれか、
330位のアミノ酸がArg、Lys、またはMetのいずれか、
323位のアミノ酸がIle、Leu、またはMetのいずれか、もしくは、
296位のアミノ酸がAsp、
の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸である、〔23〕または〔24〕に記載の使用、
〔26〕以下の工程(a)〜(i)を含む、血漿中から当該抗原を消失する機能を有する抗原結合分子のスクリーニング方法;
(a) イオン濃度の条件によって抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを得る工程、
(b) 前記工程(a)で選択された抗原結合ドメインをコードする遺伝子を得る工程、
(c) 前記工程(b)で得られた遺伝子を、Fc領域をコードする遺伝子と作動可能に連結する工程、
(d) 前記工程(c)で作動可能に連結された遺伝子を含む宿主細胞を培養する工程、
(e) 前記工程(d)で得られた培養液から抗原結合分子を単離する工程、
(f) 前記工程(e)で得られた抗原結合分子を抗原と接触させる工程、
(g) 当該抗原結合分子と当該抗原を含む免疫複合体の形成を評価する工程、
〔27〕以下の工程(a)〜(d)を含む、血漿中から当該抗原を消失する機能を有する抗原結合分子の製造方法;
(a) Fc領域、および、二以上の抗原結合ドメインであって少なくとも一つの抗原結合ドメインがイオン濃度の条件によって抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを含む抗原結合分子と抗原を接触させる工程、
(b) 当該抗原結合分子と当該抗原を含む免疫複合体の形成を評価する工程、
(c) 前記工程(b)で免疫複合体の形成が確認された抗原結合分子をコードする遺伝子を含むベクターを含む宿主細胞を培養する工程、
(d) 前記工程(c)で得られた培養液から抗原結合分子を単離する工程、
〔28〕以下の工程(a)〜(i)を含む、血漿中から当該抗原を消失する機能を有する抗原結合分子の製造方法;
(a) イオン濃度の条件によって抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを得る工程、
(b) 前記工程(a)で選択された抗原結合ドメインをコードする遺伝子を得る工程、
(c) 前記工程(b)で得られた遺伝子を、Fc領域をコードする遺伝子と作動可能に連結する工程、
(d) 前記工程(c)で作動可能に連結された遺伝子を含む宿主細胞を培養する工程、
(e) 前記工程(d)で得られた培養液から抗原結合分子を単離する工程、
(f) 前記工程(e)で得られた抗原結合分子を抗原と接触させる工程、
(g) 当該抗原結合分子と当該抗原を含む免疫複合体の形成を評価する工程、
(h) 前記工程(g)で免疫複合体の形成が確認された抗原結合分子をコードする遺伝子を含むベクターを含む宿主細胞を培養する工程、
(i) 前記工程(h)で得られた培養液から抗原結合分子を単離する工程、
〔29〕以下の工程(a)〜(e)を含む製造方法であって、さらに当該製造方法で得られた抗原結合分子と抗原を接触させて当該抗原結合分子と当該抗原を含む免疫複合体の形成を評価する工程を含む、血漿中から当該抗原を消失する機能を有する抗原結合分子の製造方法;
(a) イオン濃度の条件によって抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを得る工程、
(b) 前記工程(a)で選択された抗原結合ドメインをコードする遺伝子を得る工程、
(c) 前記工程(b)で得られた遺伝子を、Fc領域をコードする遺伝子と作動可能に連結する工程、
(d) 前記工程(c)で作動可能に連結された遺伝子を含む宿主細胞を培養する工程、
(e) 前記工程(d)で得られた培養液から抗原結合分子を単離する工程、
を提供する。

0013

なお、上記の〔1〕〜〔25〕は別の表現では、
〔1'〕(i)Fc領域、および、
(ii) 二以上の抗原結合ドメイン、
を含む抗原結合分子の使用であって、当該ドメインの少なくとも一つがイオン濃度の条件によって抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインであり、
(a)二分子以上の当該抗原結合分子、および、(b) 二分子以上の抗原、ただし当該抗原は二以上の抗原結合単位を含む、
を含む免疫複合体を形成することが可能な抗原結合分子を含む、血漿中から当該抗原を消失させるための医薬組成物、
〔2'〕イオン濃度の条件が、カルシウムイオン濃度の条件である、〔1'〕に記載の医薬組成物、
〔3'〕前記抗原結合ドメインが、低カルシウムイオン濃度の条件下での抗原に対する結合活性が高カルシウムイオン濃度の条件下での抗原に対する結合活性よりも低い抗原結合ドメインである、〔2'〕に記載の医薬組成物、
〔4'〕イオン濃度の条件が、pHの条件である、〔1'〕から〔3'〕のいずれかに記載の医薬組成物、
〔5'〕前記抗原結合ドメインが、pH酸性域における抗原に対する結合活性がpH中性域の条件における抗原に対する結合活性よりも低い抗原結合ドメインである、〔4'〕に記載の医薬組成物、
〔6'〕二以上の抗原結合単位を含む前記抗原が多量体である〔1'〕から〔5'〕のいずれかに記載の医薬組成物、
〔7'〕前記抗原が、GDF、GDF-1、GDF-3(Vgr-2)、GDF-5(BMP-14、CDMP-1)、GDF-6(BMP-13、CDMP-2)、GDF-7(BMP-12、CDMP-3)、GDF-8(ミオスタチン)、GDF-9、GDF-15(MIC-1)、TNF、TNF-アルファ、TNF-アルファベータ、TNF-ベータ2、TNFSF10(TRAIL Apo-2リガンド、TL2)、TNFSF11(TRANCE/RANKリガンドODF、OPGリガンド)、TNFSF12(TWEAK Apo-3リガンド、DR3リガンド)、TNFSF13(APRIL TALL2)、TNFSF13B(BAFFBLYS、TALL1、THANK、TNFSF20)、TNFSF14(LIGHTHVEMリガンド、LTg)、TNFSF15(TL1A/VEGI)、TNFSF18(GITRリガンド AITRリガンド、TL6)、TNFSF1A(TNF-aコネクチン(Conectin)、DIF、TNFSF2)、TNFSF1B(TNF-b LTa、TNFSF1)、TNFSF3(LTb TNFC、p33)、TNFSF4(OX40リガンド gp34、TXGP1)、TNFSF5(CD40リガンド CD154、gp39、HIGM1、IMD3、TRAP)、TNFSF6(Fasリガンド Apo-1リガンド、APT1リガンド)、TNFSF7(CD27リガンド CD70)、TNFSF8(CD30リガンド CD153)、TNFSF9(4-1BBリガンド CD137リガンド)、VEGF、IgE、IgA、IgG、IgM、RANKL、TGF-アルファ、TGF-ベータ、TGF-ベータ Pan Specific、またはIL-8のいずれかである〔6'〕に記載の医薬組成物、
〔8'〕二以上の抗原結合単位を含む前記抗原が単量体である〔1'〕から〔5'〕のいずれかに記載の医薬組成物、
〔9'〕抗原結合分子が、多重特異性または多重パラトピックな抗原結合分子、もしくは抗原結合分子カクテルである〔1'〕から〔8'〕のいずれかに記載の医薬組成物、
〔10'〕前記Fc領域が、それぞれ配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域である、〔1'〕から〔9'〕のいずれかに記載の医薬組成物、
〔11'〕前記Fc領域のpH酸性域の条件下でのFcRnに対する結合活性が、配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域の結合活性より増強されているFc領域である、〔1'〕から〔9'〕のいずれかに記載の医薬組成物、
〔12'〕前記Fc領域が、配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される238位、244位、245位、249位、250位、251位、252位、253位、254位、255位、256位、257位、258位、260位、262位、265位、270位、272位、279位、283位、285位、286位、288位、293位、303位、305位、307位、308位、309位、311位、312位、314位、316位、317位、318位、332位、339位、340位、341位、343位、356位、360位、362位、375位、376位、377位、378位、380位、382位、385位、386位、387位、388位、389位、400位、413位、415位、423位、424位、427位、428位、430位、431位、433位、434位、435位、436位、438位、439位、440位、442位または447位の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸のアミノ酸が置換されているFc領域である〔11'〕に記載の医薬組成物、
〔13'〕前記Fc領域が、配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;
238位のアミノ酸がLeu、
244位のアミノ酸がLeu、
245位のアミノ酸がArg、
249位のアミノ酸がPro、
250位のアミノ酸がGlnまたはGluのいずれか、もしくは
251位のアミノ酸がArg、Asp、Glu、またはLeuのいずれか、
252位のアミノ酸がPhe、Ser、Thr、またはTyrのいずれか、
254位のアミノ酸がSerまたはThrのいずれか、
255位のアミノ酸がArg、Gly、Ile、またはLeuのいずれか、
256位のアミノ酸がAla、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、Pro、またはThrのいずれか、
257位のアミノ酸がAla、Ile、Met、Asn、Ser、またはValのいずれか、
258位のアミノ酸がAsp、
260位のアミノ酸がSer、
262位のアミノ酸がLeu、
270位のアミノ酸がLys、
272位のアミノ酸がLeu、またはArgのいずれか、
279位のアミノ酸がAla、Asp、Gly、His、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Trp、またはTyrのいずれか、
283位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Trp、またはTyrのいずれか、
285位のアミノ酸がAsn、
286位のアミノ酸がPhe、
288位のアミノ酸がAsn、またはProのいずれか、
293位のアミノ酸がVal、
307位のアミノ酸がAla、Glu、Gln、またはMetのいずれか、
311位のアミノ酸がAla、Glu、Ile、Lys、Leu、Met、Ser 、Val、またはTrpのいずれか、
309位のアミノ酸がPro、
312位のアミノ酸がAla、Asp、またはProのいずれか、
314位のアミノ酸がAlaまたはLeuのいずれか、
316位のアミノ酸がLys、
317位のアミノ酸がPro、
318位のアミノ酸がAsn、またはThrのいずれか、
332位のアミノ酸がPhe、His、Lys、Leu、Met、Arg、Ser、またはTrpのいずれか、
339位のアミノ酸がAsn、Thr、またはTrpのいずれか、
341位のアミノ酸がPro、
343位のアミノ酸がGlu、His、Lys、Gln、Arg、Thr、またはTyrのいずれか、
375位のアミノ酸がArg、
376位のアミノ酸がGly、Ile、Met、Pro、Thr、またはValのいずれか、
377位のアミノ酸がLys、
378位のアミノ酸がAsp、Asn、またはValのいずれか、
380位のアミノ酸がAla、Asn、Ser、またはThrのいずれか
382位のアミノ酸がPhe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、またはTyrのいずれか、
385位のアミノ酸がAla、Arg、Asp、Gly、His、Lys、Ser、またはThrのいずれか、
386位のアミノ酸がArg、Asp、Ile、Lys、Met、Pro、Ser、またはThrのいずれか、
387位のアミノ酸がAla、Arg、His、Pro、Ser、またはThrのいずれか、
389位のアミノ酸がAsn、Pro、またはSerのいずれか、
423位のアミノ酸がAsn、
427位のアミノ酸がAsn、
428位のアミノ酸がLeu、Met、Phe、Ser、またはThrのいずれか
430位のアミノ酸がAla、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、またはTyrのいずれか、
431位のアミノ酸がHis、またはAsnのいずれか、
433位のアミノ酸がArg、Gln、His、Ile、Lys、Pro、またはSerのいずれか、
434位のアミノ酸がAla、Gly、His、Phe、Ser、Trp、またはTyrのいずれか、
436位のアミノ酸がArg、Asn、His、Ile、Leu、Lys、Met、またはThrのいずれか、
438位のアミノ酸がLys、Leu、Thr、またはTrpのいずれか、
440位のアミノ酸がLys、もしくは、
442位のアミノ酸がLys、308位のアミノ酸がIle、Pro、またはThrのいずれか、
の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸である、〔12'〕に記載の医薬組成物、
〔14'〕前記Fc領域のpH中性域の条件下でのFcRnに対する結合活性が、配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域の結合活性より増強されているFc領域である、〔1'〕から〔9'〕のいずれかに記載の医薬組成物、
〔15'〕前記Fc領域が、配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される237位、248位、250位、252位、254位、255位、256位、257位、258位、265位、286位、289位、297位、298位、303位、305位、307位、308位、309位、311位、312位、314位、315位、317位、332位、334位、360位、376位、380位、382位、384位、385位、386位、387位、389位、424位、428位、433位、434位または436位の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である〔14'〕に記載の医薬組成物、
〔16'〕前記Fc領域が、配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;
237位のアミノ酸がMet、
248位のアミノ酸がIle、
250位のアミノ酸がAla、Phe、Ile、Met、Gln、Ser、Val、Trp、またはTyrのいずれか、
252位のアミノ酸がPhe、Trp、またはTyrのいずれか、
254位のアミノ酸がThr、
255位のアミノ酸がGlu、
256位のアミノ酸がAsp、Asn、Glu、またはGlnのいずれか、
257位のアミノ酸がAla、Gly、Ile、Leu、Met、Asn、Ser、Thr、またはValのいずれか、
258位のアミノ酸がHis、
265位のアミノ酸がAla、
286位のアミノ酸がAlaまたはGluのいずれか、
289位のアミノ酸がHis、
297位のアミノ酸がAla、
303位のアミノ酸がAla、
305位のアミノ酸がAla、
307位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Val、Trp、またはTyrのいずれか、
308位のアミノ酸がAla、Phe、Ile、Leu、Met、Pro、Gln、またはThrのいずれか、
309位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Pro、またはArgのいずれか、
311位のアミノ酸がAla、His、またはIleのいずれか、
312位のアミノ酸がAlaまたはHisのいずれか、
314位のアミノ酸がLysまたはArgのいずれか、
315位のアミノ酸がAla、AspまたはHisのいずれか、
317位のアミノ酸がAla、
332位のアミノ酸がVal、
334位のアミノ酸がLeu、
360位のアミノ酸がHis、
376位のアミノ酸がAla、
380位のアミノ酸がAla、
382位のアミノ酸がAla、
384位のアミノ酸がAla、
385位のアミノ酸がAspまたはHisのいずれか、
386位のアミノ酸がPro、
387位のアミノ酸がGlu、
389位のアミノ酸がAlaまたはSerのいずれか、
424位のアミノ酸がAla、
428位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Asn、Pro、Gln、Ser、Thr、Val、Trp、またはTyrのいずれか、
433位のアミノ酸がLys、
434位のアミノ酸がAla、Phe、His、Ser、Trp、またはTyrのいずれか、もしくは
436位のアミノ酸がHis 、Ile、Leu、Phe、Thr、またはVal、
の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸である、〔15'〕に記載の医薬組成物、
〔17'〕前記Fc領域が、天然型ヒトIgGのFc領域のFcγレセプターに対する結合活性よりもFcγレセプターに対する結合活性が高いFc領域を含む〔1'〕から〔13'〕のいずれかに記載の医薬組成物、
〔18'〕前記Fc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される221位、222位、223位、224位、225位、227位、228位、230位、231位、232位、233位、234位、235位、236位、237位、238位、239位、240位、241位、243位、244位、245位、246位、247位、249位、250位、251位、254位、255位、256位、258位、260位、262位、263位、264位、265位、266位、267位、268位、269位、270位、271位、272位、273位、274位、275位、276位、278位、279位、280位、281位、282位、283位、284位、285位、286位、288位、290位、291位、292位、293位、294位、295位、296位、297位、298位、299位、300位、301位、302位、303位、304位、305位、311位、313位、315位、317位、318位、320位、322位、323位、324位、325位、326位、327位、328位、329位、330位、331位、332位、333位、334位、335位、336位、337位、339位、376位、377位、378位、379位、380位、382位、385位、392位、396位、421位、427位、428位、429位、434位、436位または440位の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸が天然型ヒトIgGのFc領域のアミノ酸と異なるアミノ酸を含む〔17'〕に記載の医薬組成物、
〔19'〕前記Fc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;
221位のアミノ酸がLysまたはTyrのいずれか、
222位のアミノ酸がPhe、Trp、GluまたはTyrのいずれか、
223位のアミノ酸がPhe、Trp、GluまたはLysのいずれか、
224位のアミノ酸がPhe、Trp、GluまたはTyrのいずれか、
225位のアミノ酸がGlu、LysまたはTrpのいずれか、
227位のアミノ酸がGlu、Gly、LysまたはTyrのいずれか、
228位のアミノ酸がGlu、Gly、LysまたはTyrのいずれか、
230位のアミノ酸がAla、Glu、GlyまたはTyrのいずれか、
231位のアミノ酸がGlu、Gly、Lys、ProまたはTyrのいずれか、
232位のアミノ酸がGlu、Gly、LysまたはTyrのいずれか、
233位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
234位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
235位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
236位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
237位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
238位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
239位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
240位のアミノ酸がAla、Ile、MetまたはThrのいずれか、
241位のアミノ酸がAsp、Glu、Leu、Arg、TrpまたはTyrのいずれか、
243位のアミノ酸がLeu、Glu、Leu、Gln、Arg、TrpまたはTyrのいずれか、
244位のアミノ酸がHis、
245位のアミノ酸がAla、
246位のアミノ酸がAsp、Glu、HisまたはTyrのいずれか、
247位のアミノ酸がAla、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Thr、ValまたはTyrのいずれか、
249位のアミノ酸がGlu、His、GlnまたはTyrのいずれか、
250位のアミノ酸がGluまたはGlnのいずれか、
251位のアミノ酸がPhe、
254位のアミノ酸がPhe、MetまたはTyrのいずれか、
255位のアミノ酸がGlu、LeuまたはTyrのいずれか、
256位のアミノ酸がAla、MetまたはProのいずれか、
258位のアミノ酸がAsp、Glu、His、SerまたはTyrのいずれか、
260位のアミノ酸がAsp、Glu、HisまたはTyrのいずれか、
262位のアミノ酸がAla、Glu、Phe、IleまたはThrのいずれか、
263位のアミノ酸がAla、Ile、MetまたはThrのいずれか、
264位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、TrpまたはTyrのいずれか、
265位のアミノ酸がAla、Leu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
266位のアミノ酸がAla、Ile、MetまたはThrのいずれか、
267位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
268位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、Gln、Arg、Thr、ValまたはTrpのいずれか、
269位のアミノ酸がPhe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
270位のアミノ酸がGlu、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、TrpまたはTyrのいずれか、
271位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
272位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
273位のアミノ酸がPheまたはIleのいずれか、
274位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
275位のアミノ酸がLeuまたはTrpのいずれか、
276位のアミノ酸が、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
278位のアミノ酸がAsp、Glu、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、ValまたはTrpのいずれか、
279位のアミノ酸がAla、
280位のアミノ酸がAla、Gly、His、Lys、Leu、Pro、Gln、TrpまたはTyrのいずれか、
281位のアミノ酸がAsp、Lys、ProまたはTyrのいずれか、
282位のアミノ酸がGlu、Gly、Lys、ProまたはTyrのいずれか、
283位のアミノ酸がAla、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、ArgまたはTyrのいずれか、
284位のアミノ酸がAsp、Glu、Leu、Asn、ThrまたはTyrのいずれか、
285位のアミノ酸がAsp、Glu、Lys、Gln、TrpまたはTyrのいずれか、
286位のアミノ酸がGlu、Gly、ProまたはTyrのいずれか、
288位のアミノ酸がAsn、Asp、GluまたはTyrのいずれか、
290位のアミノ酸がAsp、Gly、His、Leu、Asn、Ser、Thr、TrpまたはTyrのいずれか、
291位のアミノ酸がAsp、Glu、Gly、His、Ile、GlnまたはThrのいずれか、
292位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Pro、ThrまたはTyrのいずれか、
293位のアミノ酸がPhe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
294位のアミノ酸がPhe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
295位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
296位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、ThrまたはValのいずれか、
297位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
298位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、Met、Asn、Gln、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
299位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
300位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、ValまたはTrpのいずれか、
301位のアミノ酸がAsp、Glu、HisまたはTyrのいずれか、
302位のアミノ酸がIle、
303位のアミノ酸がAsp、GlyまたはTyrのいずれか、
304位のアミノ酸がAsp、His、Leu、AsnまたはThrのいずれか、
305位のアミノ酸がGlu、Ile、ThrまたはTyrのいずれか、
311位のアミノ酸がAla、Asp、Asn、Thr、ValまたはTyrのいずれか、
313位のアミノ酸がPhe、
315位のアミノ酸がLeu、
317位のアミノ酸がGluまたはGln、
318位のアミノ酸がHis、Leu、Asn、Pro、Gln、Arg、Thr、ValまたはTyrのいずれか、
320位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Asn、Pro、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
322位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Pro、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
323位のアミノ酸がIle、
324位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Pro、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
325位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
326位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Gly、Ile、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
327位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
328位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
329位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
330位のアミノ酸がCys、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
331位のアミノ酸がAsp、Phe、His、Ile、Leu、Met、Gln、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
332位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
333位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Pro、Ser、Thr、ValまたはTyrのいずれか、
334位のアミノ酸がAla、Glu、Phe、Ile、Leu、ProまたはThrのいずれか、
335位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
336位のアミノ酸がGlu、LysまたはTyrのいずれか、
337位のアミノ酸がGlu、HisまたはAsnのいずれか、
339位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、Ile、Lys、Met、Asn、Gln、Arg、SerまたはThrのいずれか、
376位のアミノ酸がAlaまたはValのいずれか、
377位のアミノ酸がGlyまたはLysのいずれか、
378位のアミノ酸がAsp、
379位のアミノ酸がAsn、
380位のアミノ酸がAla、AsnまたはSerのいずれか、
382位のアミノ酸がAlaまたはIleのいずれか、
385位のアミノ酸がGlu、
392位のアミノ酸がThr、
396位のアミノ酸がLeu、
421位のアミノ酸がLys、
427位のアミノ酸がAsn、
428位のアミノ酸がPheまたはLeuのいずれか、
429位のアミノ酸がMet、
434位のアミノ酸がTrp、
436位のアミノ酸がIle、もしくは
440位のアミノ酸がGly、His、Ile、LeuまたはTyrのいずれか、
の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸を含む〔18'〕に記載の医薬組成物、
〔20'〕前記Fc領域が、活性型Fcγレセプターに対する結合活性よりも抑制型Fcγレセプターに対する結合活性が高いFc領域である、〔1〕から〔16'〕のいずれかに記載の医薬組成物、
〔21'〕前記抑制型FcγレセプターがヒトFcγRIIbである、〔20'〕に記載の医薬組成物、
〔22'〕前記活性型FcγレセプターがヒトFcγRIa、ヒトFcγRIIa(R)、ヒトFcγRIIa(H)、ヒトFcγRIIIa(V)またはヒトFcγRIIIa(F)である、〔20'〕または〔21'〕のいずれかに記載の医薬組成物、
〔23'〕前記Fc領域のEUナンバリングで表される238位または328位のアミノ酸が天然型ヒトIgGのFc領域のアミノ酸と異なるアミノ酸を含む、〔20'〕から〔22'〕のいずれかに記載の医薬組成物、
〔24'〕前記Fc領域のEUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、または328位のアミノ酸がGluである、〔23'〕に記載の医薬組成物、
〔25'〕前記Fc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;
233位のアミノ酸がAsp、
234位のアミノ酸がTrp、またはTyrのいずれか、
237位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Leu、Met、Phe、TrpまたはTyrのいずれか、
239位のアミノ酸がAsp、
267位のアミノ酸がAla、GlnまたはValのいずれか、
268位のアミノ酸がAsn、Asp、またはGluのいずれか、
271位のアミノ酸がGly、
326位のアミノ酸がAla、Asn、Asp、Gln、Glu、Leu、Met、SerまたはThrのいずれか、
330位のアミノ酸がArg、Lys、またはMetのいずれか、
323位のアミノ酸がIle、Leu、またはMetのいずれか、もしくは、
296位のアミノ酸がAsp、
の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸である、〔23'〕または〔24'〕に記載の医薬組成物、
といい換えることも可能である。

0014

さらに、上記の〔1〕〜〔25〕は別の表現では、
〔1"〕(i)Fc領域、および、
(ii)二以上の抗原結合ドメイン、
を含む抗原結合分子の使用であって、当該ドメインの少なくとも一つがイオン濃度の条件によって抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインであり、
(a)二分子以上の当該抗原結合分子、および、(b) 二分子以上の抗原、ただし当該抗原は二以上の抗原結合単位を含む、
を含む免疫複合体を形成することが可能な抗原結合分子を対象に投与することを含む、当該対象の血漿中から当該抗原を消失させるための方法、
〔2"〕前記イオン濃度の条件が、カルシウムイオン濃度の条件である、〔1"〕に記載の方法、
〔3"〕前記抗原結合ドメインが、低カルシウムイオン濃度の条件下での抗原に対する結合活性が高カルシウムイオン濃度の条件下での抗原に対する結合活性よりも低い抗原結合ドメインである、〔2"〕に記載の方法、
〔4"〕前記イオン濃度の条件が、pHの条件である、〔1"〕から〔3"〕のいずれかに記載の方法、
〔5"〕前記抗原結合ドメインが、pH酸性域における抗原に対する結合活性がpH中性域の条件における抗原に対する結合活性よりも低い抗原結合ドメインである、〔4"〕に記載の方法、
〔6"〕二以上の抗原結合単位を含む前記抗原が多量体である〔1"〕から〔5"〕のいずれかに記載の方法、
〔7"〕前記抗原が、GDF、GDF-1、GDF-3(Vgr-2)、GDF-5(BMP-14、CDMP-1)、GDF-6(BMP-13、CDMP-2)、GDF-7(BMP-12、CDMP-3)、GDF-8(ミオスタチン)、GDF-9、GDF-15(MIC-1)、TNF、TNF-アルファ、TNF-アルファベータ、TNF-ベータ2、TNFSF10(TRAIL Apo-2リガンド、TL2)、TNFSF11(TRANCE/RANKリガンドODF、OPGリガンド)、TNFSF12(TWEAK Apo-3リガンド、DR3リガンド)、TNFSF13(APRIL TALL2)、TNFSF13B(BAFFBLYS、TALL1、THANK、TNFSF20)、TNFSF14(LIGHTHVEMリガンド、LTg)、TNFSF15(TL1A/VEGI)、TNFSF18(GITRリガンド AITRリガンド、TL6)、TNFSF1A(TNF-aコネクチン(Conectin)、DIF、TNFSF2)、TNFSF1B(TNF-b LTa、TNFSF1)、TNFSF3(LTb TNFC、p33)、TNFSF4(OX40リガンド gp34、TXGP1)、TNFSF5(CD40リガンド CD154、gp39、HIGM1、IMD3、TRAP)、TNFSF6(Fasリガンド Apo-1リガンド、APT1リガンド)、TNFSF7(CD27リガンド CD70)、TNFSF8(CD30リガンド CD153)、TNFSF9(4-1BBリガンド CD137リガンド)、VEGF、IgE、IgA、IgG、IgM、RANKL、TGF-アルファ、TGF-ベータ、TGF-ベータ Pan Specific、またはIL-8のいずれかである〔6"〕に記載の方法、
〔8"〕二以上の抗原結合単位を含む前記抗原が単量体である〔1"〕から〔5"〕のいずれかに記載の方法、
〔9"〕抗原結合分子が、多重特異性または多重パラトピックな抗原結合分子、もしくは抗原結合分子カクテルである〔1"〕から〔9"〕のいずれかに記載の方法、
〔10"〕前記Fc領域が、それぞれ配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域である、〔1"〕から〔9"〕のいずれかに記載の方法、
〔11"〕前記Fc領域のpH酸性域の条件下でのFcRnに対する結合活性が、配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域の結合活性より増強されているFc領域である、〔1"〕から〔9"〕のいずれかに記載の方法、
〔12"〕前記Fc領域が、配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される238位、244位、245位、249位、250位、251位、252位、253位、254位、255位、256位、257位、258位、260位、262位、265位、270位、272位、279位、283位、285位、286位、288位、293位、303位、305位、307位、308位、309位、311位、312位、314位、316位、317位、318位、332位、339位、340位、341位、343位、356位、360位、362位、375位、376位、377位、378位、380位、382位、385位、386位、387位、388位、389位、400位、413位、415位、423位、424位、427位、428位、430位、431位、433位、434位、435位、436位、438位、439位、440位、442位または447位の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である〔11"〕に記載の方法、
〔13"〕前記Fc領域が、配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;
238位のアミノ酸がLeu、
244位のアミノ酸がLeu、
245位のアミノ酸がArg、
249位のアミノ酸がPro、
250位のアミノ酸がGlnまたはGluのいずれか、もしくは
251位のアミノ酸がArg、Asp、Glu、またはLeuのいずれか、
252位のアミノ酸がPhe、Ser、Thr、またはTyrのいずれか、
254位のアミノ酸がSerまたはThrのいずれか、
255位のアミノ酸がArg、Gly、Ile、またはLeuのいずれか、
256位のアミノ酸がAla、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、Pro、またはThrのいずれか、
257位のアミノ酸がAla、Ile、Met、Asn、Ser、またはValのいずれか、
258位のアミノ酸がAsp、
260位のアミノ酸がSer、
262位のアミノ酸がLeu、
270位のアミノ酸がLys、
272位のアミノ酸がLeu、またはArgのいずれか、
279位のアミノ酸がAla、Asp、Gly、His、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Trp、またはTyrのいずれか、
283位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Trp、またはTyrのいずれか、
285位のアミノ酸がAsn、
286位のアミノ酸がPhe、
288位のアミノ酸がAsn、またはProのいずれか、
293位のアミノ酸がVal、
307位のアミノ酸がAla、Glu、Gln、またはMetのいずれか、
311位のアミノ酸がAla、Glu、Ile、Lys、Leu、Met、Ser 、Val、またはTrpのいずれか、
309位のアミノ酸がPro、
312位のアミノ酸がAla、Asp、またはProのいずれか、
314位のアミノ酸がAlaまたはLeuのいずれか、
316位のアミノ酸がLys、
317位のアミノ酸がPro、
318位のアミノ酸がAsn、またはThrのいずれか、
332位のアミノ酸がPhe、His、Lys、Leu、Met、Arg、Ser、またはTrpのいずれか、
339位のアミノ酸がAsn、Thr、またはTrpのいずれか、
341位のアミノ酸がPro、
343位のアミノ酸がGlu、His、Lys、Gln、Arg、Thr、またはTyrのいずれか、
375位のアミノ酸がArg、
376位のアミノ酸がGly、Ile、Met、Pro、Thr、またはValのいずれか、
377位のアミノ酸がLys、
378位のアミノ酸がAsp、Asn、またはValのいずれか、
380位のアミノ酸がAla、Asn、Ser、またはThrのいずれか
382位のアミノ酸がPhe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、またはTyrのいずれか、
385位のアミノ酸がAla、Arg、Asp、Gly、His、Lys、Ser、またはThrのいずれか、
386位のアミノ酸がArg、Asp、Ile、Lys、Met、Pro、Ser、またはThrのいずれか、
387位のアミノ酸がAla、Arg、His、Pro、Ser、またはThrのいずれか、
389位のアミノ酸がAsn、Pro、またはSerのいずれか、
423位のアミノ酸がAsn、
427位のアミノ酸がAsn、
428位のアミノ酸がLeu、Met、Phe、Ser、またはThrのいずれか
430位のアミノ酸がAla、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、またはTyrのいずれか、
431位のアミノ酸がHis、またはAsnのいずれか、
433位のアミノ酸がArg、Gln、His、Ile、Lys、Pro、またはSerのいずれか、
434位のアミノ酸がAla、Gly、His、Phe、Ser、Trp、またはTyrのいずれか、
436位のアミノ酸がArg、Asn、His、Ile、Leu、Lys、Met、またはThrのいずれか、
438位のアミノ酸がLys、Leu、Thr、またはTrpのいずれか、
440位のアミノ酸がLys、もしくは、
442位のアミノ酸がLys、308位のアミノ酸がIle、Pro、またはThrのいずれか、
の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸である、〔12"〕に記載の方法、
〔14"〕前記Fc領域のpH中性域の条件下でのFcRnに対する結合活性が、配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域の結合活性より増強されているFc領域である、〔1"〕から〔9"〕のいずれかに記載の方法、
〔15"〕前記Fc領域が、配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される237位、248位、250位、252位、254位、255位、256位、257位、258位、265位、286位、289位、297位、298位、303位、305位、307位、308位、309位、311位、312位、314位、315位、317位、332位、334位、360位、376位、380位、382位、384位、385位、386位、387位、389位、424位、428位、433位、434位または436位の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である〔14"〕に記載の方法、
〔16"〕前記Fc領域が、配列番号:13、14、15、または16のいずれかで表されるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;
237位のアミノ酸がMet、
248位のアミノ酸がIle、
250位のアミノ酸がAla、Phe、Ile、Met、Gln、Ser、Val、Trp、またはTyrのいずれか、
252位のアミノ酸がPhe、Trp、またはTyrのいずれか、
254位のアミノ酸がThr、
255位のアミノ酸がGlu、
256位のアミノ酸がAsp、Asn、Glu、またはGlnのいずれか、
257位のアミノ酸がAla、Gly、Ile、Leu、Met、Asn、Ser、Thr、またはValのいずれか、
258位のアミノ酸がHis、
265位のアミノ酸がAla、
286位のアミノ酸がAlaまたはGluのいずれか、
289位のアミノ酸がHis、
297位のアミノ酸がAla、
303位のアミノ酸がAla、
305位のアミノ酸がAla、
307位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Val、Trp、またはTyrのいずれか、
308位のアミノ酸がAla、Phe、Ile、Leu、Met、Pro、Gln、またはThrのいずれか、
309位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Pro、またはArgのいずれか、
311位のアミノ酸がAla、His、またはIleのいずれか、
312位のアミノ酸がAlaまたはHisのいずれか、
314位のアミノ酸がLysまたはArgのいずれか、
315位のアミノ酸がAla、AspまたはHisのいずれか、
317位のアミノ酸がAla、
332位のアミノ酸がVal、
334位のアミノ酸がLeu、
360位のアミノ酸がHis、
376位のアミノ酸がAla、
380位のアミノ酸がAla、
382位のアミノ酸がAla、
384位のアミノ酸がAla、
385位のアミノ酸がAspまたはHisのいずれか、
386位のアミノ酸がPro、
387位のアミノ酸がGlu、
389位のアミノ酸がAlaまたはSerのいずれか、
424位のアミノ酸がAla、
428位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Asn、Pro、Gln、Ser、Thr、Val、Trp、またはTyrのいずれか、
433位のアミノ酸がLys、
434位のアミノ酸がAla、Phe、His、Ser、Trp、またはTyrのいずれか、もしくは
436位のアミノ酸がHis 、Ile、Leu、Phe、Thr、またはVal、
の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸である、〔15"〕に記載の方法、
〔17"〕前記Fc領域が、天然型ヒトIgGのFc領域のFcγレセプターに対する結合活性よりもFcγレセプターに対する結合活性が高いFc領域を含む〔1"〕から〔13"〕のいずれかに記載の方法、
〔18"〕前記Fc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される221位、222位、223位、224位、225位、227位、228位、230位、231位、232位、233位、234位、235位、236位、237位、238位、239位、240位、241位、243位、244位、245位、246位、247位、249位、250位、251位、254位、255位、256位、258位、260位、262位、263位、264位、265位、266位、267位、268位、269位、270位、271位、272位、273位、274位、275位、276位、278位、279位、280位、281位、282位、283位、284位、285位、286位、288位、290位、291位、292位、293位、294位、295位、296位、297位、298位、299位、300位、301位、302位、303位、304位、305位、311位、313位、315位、317位、318位、320位、322位、323位、324位、325位、326位、327位、328位、329位、330位、331位、332位、333位、334位、335位、336位、337位、339位、376位、377位、378位、379位、380位、382位、385位、392位、396位、421位、427位、428位、429位、434位、436位または440位の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸が天然型ヒトIgGのFc領域のアミノ酸と異なるアミノ酸を含む〔17"〕に記載の方法、
〔19"〕前記Fc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;
221位のアミノ酸がLysまたはTyrのいずれか、
222位のアミノ酸がPhe、Trp、GluまたはTyrのいずれか、
223位のアミノ酸がPhe、Trp、GluまたはLysのいずれか、
224位のアミノ酸がPhe、Trp、GluまたはTyrのいずれか、
225位のアミノ酸がGlu、LysまたはTrpのいずれか、
227位のアミノ酸がGlu、Gly、LysまたはTyrのいずれか、
228位のアミノ酸がGlu、Gly、LysまたはTyrのいずれか、
230位のアミノ酸がAla、Glu、GlyまたはTyrのいずれか、
231位のアミノ酸がGlu、Gly、Lys、ProまたはTyrのいずれか、
232位のアミノ酸がGlu、Gly、LysまたはTyrのいずれか、
233位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
234位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
235位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
236位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
237位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
238位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
239位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
240位のアミノ酸がAla、Ile、MetまたはThrのいずれか、
241位のアミノ酸がAsp、Glu、Leu、Arg、TrpまたはTyrのいずれか、
243位のアミノ酸がLeu、Glu、Leu、Gln、Arg、TrpまたはTyrのいずれか、
244位のアミノ酸がHis、
245位のアミノ酸がAla、
246位のアミノ酸がAsp、Glu、HisまたはTyrのいずれか、
247位のアミノ酸がAla、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Thr、ValまたはTyrのいずれか、
249位のアミノ酸がGlu、His、GlnまたはTyrのいずれか、
250位のアミノ酸がGluまたはGlnのいずれか、
251位のアミノ酸がPhe、
254位のアミノ酸がPhe、MetまたはTyrのいずれか、
255位のアミノ酸がGlu、LeuまたはTyrのいずれか、
256位のアミノ酸がAla、MetまたはProのいずれか、
258位のアミノ酸がAsp、Glu、His、SerまたはTyrのいずれか、
260位のアミノ酸がAsp、Glu、HisまたはTyrのいずれか、
262位のアミノ酸がAla、Glu、Phe、IleまたはThrのいずれか、
263位のアミノ酸がAla、Ile、MetまたはThrのいずれか、
264位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、TrpまたはTyrのいずれか、
265位のアミノ酸がAla、Leu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
266位のアミノ酸がAla、Ile、MetまたはThrのいずれか、
267位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
268位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、Gln、Arg、Thr、ValまたはTrpのいずれか、
269位のアミノ酸がPhe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
270位のアミノ酸がGlu、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、TrpまたはTyrのいずれか、
271位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
272位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
273位のアミノ酸がPheまたはIleのいずれか、
274位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
275位のアミノ酸がLeuまたはTrpのいずれか、
276位のアミノ酸が、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
278位のアミノ酸がAsp、Glu、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、ValまたはTrpのいずれか、
279位のアミノ酸がAla、
280位のアミノ酸がAla、Gly、His、Lys、Leu、Pro、Gln、TrpまたはTyrのいずれか、
281位のアミノ酸がAsp、Lys、ProまたはTyrのいずれか、
282位のアミノ酸がGlu、Gly、Lys、ProまたはTyrのいずれか、
283位のアミノ酸がAla、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、ArgまたはTyrのいずれか、
284位のアミノ酸がAsp、Glu、Leu、Asn、ThrまたはTyrのいずれか、
285位のアミノ酸がAsp、Glu、Lys、Gln、TrpまたはTyrのいずれか、
286位のアミノ酸がGlu、Gly、ProまたはTyrのいずれか、
288位のアミノ酸がAsn、Asp、GluまたはTyrのいずれか、
290位のアミノ酸がAsp、Gly、His、Leu、Asn、Ser、Thr、TrpまたはTyrのいずれか、
291位のアミノ酸がAsp、Glu、Gly、His、Ile、GlnまたはThrのいずれか、
292位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Pro、ThrまたはTyrのいずれか、
293位のアミノ酸がPhe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
294位のアミノ酸がPhe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
295位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
296位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、ThrまたはValのいずれか、
297位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
298位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、Met、Asn、Gln、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
299位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
300位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、ValまたはTrpのいずれか、
301位のアミノ酸がAsp、Glu、HisまたはTyrのいずれか、
302位のアミノ酸がIle、
303位のアミノ酸がAsp、GlyまたはTyrのいずれか、
304位のアミノ酸がAsp、His、Leu、AsnまたはThrのいずれか、
305位のアミノ酸がGlu、Ile、ThrまたはTyrのいずれか、
311位のアミノ酸がAla、Asp、Asn、Thr、ValまたはTyrのいずれか、
313位のアミノ酸がPhe、
315位のアミノ酸がLeu、
317位のアミノ酸がGluまたはGln、
318位のアミノ酸がHis、Leu、Asn、Pro、Gln、Arg、Thr、ValまたはTyrのいずれか、
320位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Asn、Pro、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
322位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Pro、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
323位のアミノ酸がIle、
324位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Pro、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
325位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
326位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Gly、Ile、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
327位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
328位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
329位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
330位のアミノ酸がCys、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
331位のアミノ酸がAsp、Phe、His、Ile、Leu、Met、Gln、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
332位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
333位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Pro、Ser、Thr、ValまたはTyrのいずれか、
334位のアミノ酸がAla、Glu、Phe、Ile、Leu、ProまたはThrのいずれか、
335位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
336位のアミノ酸がGlu、LysまたはTyrのいずれか、
337位のアミノ酸がGlu、HisまたはAsnのいずれか、
339位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、Ile、Lys、Met、Asn、Gln、Arg、SerまたはThrのいずれか、
376位のアミノ酸がAlaまたはValのいずれか、
377位のアミノ酸がGlyまたはLysのいずれか、
378位のアミノ酸がAsp、
379位のアミノ酸がAsn、
380位のアミノ酸がAla、AsnまたはSerのいずれか、
382位のアミノ酸がAlaまたはIleのいずれか、
385位のアミノ酸がGlu、
392位のアミノ酸がThr、
396位のアミノ酸がLeu、
421位のアミノ酸がLys、
427位のアミノ酸がAsn、
428位のアミノ酸がPheまたはLeuのいずれか、
429位のアミノ酸がMet、
434位のアミノ酸がTrp、
436位のアミノ酸がIle、もしくは
440位のアミノ酸がGly、His、Ile、LeuまたはTyrのいずれか、
の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸を含む〔18"〕に記載の方法、
〔20"〕前記Fc領域が、活性型Fcγレセプターに対する結合活性よりも抑制型Fcγレセプターに対する結合活性が高いFc領域である、〔1〕から〔16"〕のいずれかに記載の方法、
〔21"〕前記抑制型FcγレセプターがヒトFcγRIIbである、〔20"〕に記載の方法、
〔22"〕前記活性型FcγレセプターがヒトFcγRIa、ヒトFcγRIIa(R)、ヒトFcγRIIa(H)、ヒトFcγRIIIa(V)またはヒトFcγRIIIa(F)である、〔20"〕または〔21"〕のいずれかに記載の方法、
〔23"〕前記Fc領域のEUナンバリングで表される238位または328位のアミノ酸が天然型ヒトIgGのFc領域のアミノ酸と異なるアミノ酸を含む、〔20"〕から〔22"〕のいずれかに記載の方法、
〔24"〕前記Fc領域のEUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、または328位のアミノ酸がGluである、〔23"〕に記載の方法、
〔25"〕前記Fc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;
233位のアミノ酸がAsp、
234位のアミノ酸がTrp、またはTyrのいずれか、
237位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Leu、Met、Phe、TrpまたはTyrのいずれか、
239位のアミノ酸がAsp、
267位のアミノ酸がAla、GlnまたはValのいずれか、
268位のアミノ酸がAsn、Asp、またはGluのいずれか、
271位のアミノ酸がGly、
326位のアミノ酸がAla、Asn、Asp、Gln、Glu、Leu、Met、SerまたはThrのいずれか、
330位のアミノ酸がArg、Lys、またはMetのいずれか、
323位のアミノ酸がIle、Leu、またはMetのいずれか、もしくは、
296位のアミノ酸がAsp、
の群から選択される少なくともひとつ以上のアミノ酸である、〔23"〕または〔24"〕に記載の方法、
といい換えることも可能である。

図面の簡単な説明

0015

pH依存的結合抗体が繰り返し可溶型抗原に結合することを示す図である。(i) 抗体が可溶型抗原と結合する、(ii) 非特異的に、ピノサイトーシスにより細胞内へ取り込まれる、(iii)エンドソーム内で抗体はFcRnと結合し、可溶型抗原は抗体から解離する、(iv) 可溶型抗原はライソソーム移行し分解される、(v) 可溶型抗原が解離した抗体はFcRnにより血漿中にリサイクルされる、(vi) リサイクルされた抗体は、再び可溶型抗原へ結合することが可能となる。
中性条件下でFcRnへの結合を増強することによって、pH依存的結合抗体が抗原に繰り返し結合できる効果をさらに向上させることを示す図である。(i) 抗体が可溶型抗原と結合する、(ii) FcRnを介して、ピノサイトーシスにより細胞内へ取り込まれる、(iii) エンドソーム内で可溶型抗原は抗体から解離する、(iv) 可溶型抗原はライソソームに移行し分解される、(v) 可溶型抗原が解離した抗体はFcRnにより血漿中にリサイクルされる、(vi) リサイクルされた抗体は、再び可溶型抗原へ結合することが可能となる。
Biacoreを用いた抗ヒトIgA抗体のCa2+1.2 mM およびCa2+ 3μM におけるヒトIgAへの相互作用を示すセンサーグラムを示す図である。
ヒトIgA+GA1-IgG1抗体投与群、ヒトIgA+GA2-IgG1抗体投与群、ヒトIgA+GA2-FcγR (-)およびGA2-N434W抗体投与群のノーマルマウス血漿中抗体濃度推移を示す図である。
ヒトIgA単独投与群、ヒトIgA+GA1-IgG1抗体投与群、ヒトIgA+GA2-IgG1抗体投与群、ヒトIgA+GA2-FcγR (-)抗体投与群およびヒトIgA+GA2-N434W抗体投与群のノーマルマウス血漿中ヒトIgAの濃度推移を示す図である。
ヒトIgA+GA1-IgG1抗体投与群、ヒトIgA+GA2-IgG1抗体投与群、ヒトIgA+GA2-FcγR (-)抗体投与群およびヒトIgA+GA2-N434W抗体投与群のノーマルマウス血漿中の非結合型ヒトIgAの濃度推移を示す図である。
多量体抗原に対して大きな免疫複合体を形成する天然IgG1の定常領域を含むpH/Ca依存性抗体の、抗体1分子あたりの抗原を消失させる効率を例示する図である。
単量体抗原に存在する2つ以上のエピトープを認識し大きな免疫複合体を形成するのに適切なmultispecific pH/Ca依存性抗体の、抗体1分子あたりの抗原を消失させる効率を例示する図である。
ヒトIgEとpH依存的抗IgE抗体であるクローン278がpH依存的に大きな免疫複合体を形成することを確認したゲルろ過クロマトグラフィー分析の結果を示す図である。
ヒトIgE+クローン278投与群およびヒトIgE+Xolair抗体投与群のノーマルマウス血漿中抗体濃度推移を示す図である。
ヒトIgE単独投与群、ヒトIgE+クローン278抗体投与群、および、ヒトIgE+クローン278抗体投与群のノーマルマウス血漿中ヒトIgEの濃度推移を示す図である。
ノーマルマウスにおけるGA2-IgG1およびGA2-F1087の血漿中抗体濃度推移を示した図である。
GA2-IgG1およびGA2-F1087が投与されたノーマルマウスにおける血漿中hIgA濃度推移を示した図である。
C57BL/6Jマウスにおける278-IgG1および278-F1087の血漿中抗体濃度推移を示した図である。
278-IgG1および278-F1087が投与されたC57BL/6Jマウスにおける血漿中hIgE(Asp6)濃度推移を示した図である。
GA2-F760またはGA2-F1331が投与されたヒトFcRnトランスジェニックマウスにおける血漿中のGA2-F760またはGA2-F1331の濃度推移を示した図である。
GA2-F760またはGA2-F1331が投与されたヒトFcRnトランスジェニックマウスにおける血漿中のヒトIgAの濃度推移を示した図である。
278-F760または278-F1331が投与されたヒトFcRnトランスジェニックマウスにおける血漿中の278-F760または278-F1331の濃度推移を示した図である。
278-F760または278-F1331が投与されたヒトFcRnトランスジェニックマウスにおける血漿中のヒトIgEの濃度推移を示した図である。
pH7.4, pH6.0におけるPHX-IgG1のhsIL-6Rに対するセンサーグラムを示す図である。
Fv4-IgG1とPHX-F29が同時にIL6Rに結合できるかをECL法(電気化学発光法)で評価した結果である。
hsIL6R+Fv4-IgG1投与群およびhsIL6R+Fv4-IgG1+PHX-IgG1投与群のノーマルマウス血漿中抗IL6R抗体の濃度推移を示したグラフである。
hsIL6R+Fv4-IgG1投与群およびhsIL6R+Fv4-IgG1+PHX-IgG1投与群のノーマルマウス血漿中ヒトIL6Rの濃度推移を示したグラフである。
FcγRと抗体のみの溶液もしくは抗体と抗原の混合溶液を作用させたときのBiacoreセンサーグラムである。破線は抗体のみの溶液を作用させた場合であり、実線は抗体と抗原を混合した溶液を作用させた場合のセンサーグラムを示す図である。
ヒトFcRnと抗体のみの溶液もしくは抗体と抗原の混合溶液を作用させたときのBiacoreセンサーグラムである。実線は抗体のみの溶液を作用させた場合であり、破線は抗体と抗原を混合した溶液を作用させた場合のセンサーグラムを示す図である。
マウスFcRnと抗体のみの溶液もしくは抗体と抗原の混合溶液を作用させたときのBiacoreセンサーグラムである。破線は抗体のみの溶液を作用させた場合であり、実線は抗体と抗原を混合した溶液を作用させた場合のセンサーグラムを示す図である。
マウスFcRnと抗体のみの溶液もしくは抗体と抗原の混合溶液を作用させたときのBiacoreセンサーグラムである。破線は抗体のみの溶液を作用させた場合であり、実線は抗体と抗原を混合した溶液を作用させた場合のセンサーグラムを示す図である。

0016

以下の定義および詳細な説明は、本明細書において説明する本発明の理解を容易にするために提供される。
アミノ酸
本明細書において、たとえば、Ala/A、Leu/L、Arg/R、Lys/K、Asn/N、Met/M、Asp/D、Phe/F、Cys/C、Pro/P、Gln/Q、Ser/S、Glu/E、Thr/T、Gly/G、Trp/W、His/H、Tyr/Y、Ile/I、Val/Vと表されるように、アミノ酸は1文字コードまたは3文字コード、またはその両方で表記されている。

0017

アミノ酸の改変
抗原結合分子のアミノ酸配列中のアミノ酸の改変のためには、部位特異的変異誘発法(Kunkelら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1985) 82, 488-492))やOverlap extensionPCR等の公知の方法が適宜採用され得る。また、天然のアミノ酸以外のアミノ酸に置換するアミノ酸の改変方法として、複数の公知の方法もまた採用され得る(Annu. Rev. Biophys. Biomol. Struct. (2006) 35, 225-249、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (2003) 100 (11), 6353-6357)。例えば、終止コドンの1つであるUAGコドンアンバーコドン)の相補的アンバーサプレッサーtRNA非天然アミノ酸が結合されたtRNAが含まれる無細胞翻訳系ステム(Clover Direct(Protein Express))等も好適に用いられる。

0018

本明細書において、アミノ酸の改変部位を表す際に用いられる「および/または」の用語の意義は、「および」と「または」が適宜組み合わされたあらゆる組合せを含む。具体的には、例えば「33位、55位、および/または96位のアミノ酸が置換されている」とは以下のアミノ酸の改変のバリエーションが含まれる;
(a) 33位、(b)55位、(c)96位、(d)33位および55位、(e)33位および96位、(f)55位および96位、(g)33位および55位および96位。

0019

抗原結合単位
本明細書において、「抗原結合単位」とは、「本発明の抗原結合分子に含まれる抗原結合ドメインの一価の結合単位が結合するエピトープを含む抗原分子が当該抗原結合分子の非存在下において血漿中で通常存在する形態の一分子当りに存在する当該エピトープの数」をいう。抗原結合単位が二単位である抗原の例として、GDF、PDGF、またはVEGF等のホモ二量体の形態で通常血漿中に存在する多量体を含む抗原が例示される。例えば、同一配列の可変領域を二つその分子中に含む(すなわち後述する二重特異性抗体ではない)抗GDF抗体に含まれる可変領域の一価の結合単位が結合するエピトープは、ホモ二量体を形成するGDFの分子中に二単位存在する。また、抗原結合単位が二単位である抗原の例として、IgE等のイムノグロブリン分子も例示される。IgEは、血漿中では重鎖二量体軽鎖二量体を含む四量体で通常存在するが、同一配列の可変領域を二つその分子中に含む(すなわち後述する二重特異性抗体ではない)抗IgE抗体に含まれる可変領域の一価が結合するエピトープは、当該四量体中に二単位存在することとなる。IgAは、血漿中では重鎖二量体と軽鎖二量体を含む四量体、または当該四量体がJ鎖を介してさらに複合体を形成する八量体の二つの態様で通常存在するが、同一配列の可変領域を二つその分子中に含む(すなわち後述する二重特異性抗体ではない)抗IgA抗体に含まれる可変領域の一価が結合するエピトープは、当該四量体中、および八量体中にはそれぞれ二単位、または四単位が存在することとなる。また、抗原結合単位が三単位である抗原の例として、TNFスーパーファミリーであるTNFα、RANKL、またはCD154等のホモ三量体の形態で通常血漿中に存在する多量体を含む抗原が例示される。

0020

抗原結合単位が一単位である抗原分子の例として、可溶型IL-6受容体(以下sIL-6Rとも呼ばれる)、IL-6、HMGB-1、CTGF等の単量体の形態で通常血漿中に存在する分子が例示される。IL-12p40およびIL-12p35を含むIL-12、IL-12p40および(IL-30Bとも呼ばれる)IL-23p19を含むIL-23、もしくはEBI3およびIL27p28を含むIL-23、もしくはIL-12p35およびEBI3を含むIL-35等のヘテロ二量体は、互いに構造の異なる二分子のサブユニットを含む。これらのサブユニットのいずれかに結合する可変領域を二つその分子中に含む(すなわち後述する二重特異性抗体ではない)抗サブユニット抗体に含まれる可変領域の一価が結合するエピトープは一単位であるため、これらのヘテロ二量体の抗原結合単位は一単位である。TNFα-TNFβ-hCGマルチサブユニット複合体等のヘテロ三量体も同様に、その抗原結合単位は一単位である。

0021

なお、抗原結合単位は、抗原結合ドメインの一価の結合単位が結合するエピトープの数を意味することから、抗原結合分子中のパラトープが一種類存在する場合と複数種類存在する場合では、これらの抗原結合分子が結合する抗原が同一の抗原であっても、当該抗原における抗原結合単位は異なることとなる。例えば、上記のヘテロ二量体の例では、抗原結合分子が含む抗原結合ドメイン中の一価の結合単位が当該ヘテロ二量体中の一種類のサブユニットに結合する場合には、当該抗原中の抗原結合単位は一単位であるのに対して、抗原結合分子が、ヘテロ二量体を形成する各サブユニットに結合する一価の結合単位を二つ含む二重特異性または、二重パラトピックな抗原結合分子である場合には、当該抗原中の抗原結合単位は二単位である。

0022

多量体(multimer)
本明細書において単に二以上の多量体と記載される場合、多量体という用語にはホモ多量体ヘテロ多量体の両方が含まれる。多量体に含まれるサブユニット間結合様式としては、ペプチド結合またはジスルフィド結合等の共有結合、もしくはイオン結合ファンデルワールス結合または水素結合等の安定な非共有結合を含むが、これらに限定されない。ホモ多量体は、複数の同一サブユニットを含み、一方、ヘテロ多量体は、複数の異なるサブユニットを含む。例えば、二量体という用語にはホモ二量体とヘテロ二量体の両方が含まれ、ホモ二量体は、二つの同一サブユニットを含み、一方、ヘテロ二量体は、二つの異なるサブユニットを含む。また、多量体を形成するそれぞれの単位を表す単量体とは、当該単位がポリペプチドの場合には、ペプチド結合によって連結された連続する各構造単位を意味する。

0023

抗原
本明細書において「抗原」は抗原結合ドメインが結合するエピトープを含む限りその構造は特定の構造に限定されない。別の意味では、抗原は無機物でもあり得るし有機物でもあり得る。抗原としては下記のような分子;17-IA、4-1BB、4Dc、6-ケト-PGF1a、8-イソ-PGF2a、8-オキソ-dG、A1アデノシン受容体、A33、ACE、ACE-2、アクチビン、アクチビンA、アクチビンAB、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンRIA、アクチビンRIA ALK-2、アクチビンRIB ALK-4、アクチビンRIIA、アクチビンRIIB、ADAM、ADAM10、ADAM12、ADAM15、ADAM17/TACE、ADAM8、ADAM9、ADAMTS、ADAMTS4、ADAMTS5、アドレシン、aFGF、ALCAM、ALK、ALK-1、ALK-7、アルファ-1-アンチトリプシン、アルファ−V/ベータ-1アンタゴニスト、ANG、Ang、APAF-1、APE、APJ、APP、APRIL、AR、ARC、ARTアルテミン、抗Id、ASPARTIC、心房性ナトリウム利尿因子、av/b3インテグリン、Axl、b2M、B7-1、B7-2、B7-H、B-リンパ球刺激因子(BlyS)、BACE、BACE-1、Bad、BAFF、BAFF-R、Bag-1、BAK、Bax、BCA-1、BCAM、Bcl、BCMA、BDNF、b-ECGF、bFGF、BID、Bik、BIM、BLC、BL-CAM、BLK、BMP、BMP-2 BMP-2a、BMP-3オステオゲニン(Osteogenin)、BMP-4 BMP-2b、BMP-5、BMP-6 Vgr-1、BMP-7(OP-1)、BMP-8(BMP-8a、OP-2)、BMPR、BMPR-IA(ALK-3)、BMPR-IB(ALK-6)、BRK-2、RPK-1、BMPR-II(BRK-3)、BMP、b-NGF、BOK、ボンベシン、骨由来神経栄養因子、BPDE、BPDE-DNA、BTC補体因子3(C3)、C3a、C4、C5、C5a、C10、CA125、CAD-8、カルシトニンcAMP癌胎児性抗原CEA)、癌関連抗原カテプシンA、カテプシンBカテプシンC/DPPI、カテプシンDカテプシンE、カテプシンH、カテプシンL、カテプシンO、カテプシンS、カテプシンV、カテプシンX/Z/P、CBL、CCI、CCK2、CCL、CCL1、CCL11、CCL12、CCL13、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL2、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CCL3、CCL4、CCL5、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9/10、CCR、CCR1、CCR10、CCR10、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CD1、CD2、CD3、CD3E、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8、CD10、CD11a、CD11b、CD11c、CD13、CD14、CD15、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD27L、CD28、CD29、CD30、CD30L、CD32、CD33(p67タンパク質)、CD34、CD38、CD40、CD40L、CD44、CD45、CD46、CD49a、CD52、CD54、CD55、CD56、CD61、CD64、CD66e、CD74、CD80(B7-1)、CD89、CD95、CD123、CD137、CD138、CD140a、CD146、CD147、CD148、CD152、CD164、CEACAM5、CFTR、cGMP、CINC、ボツリヌス菌毒素ウェルシュ菌毒素、CKb8-1、CLC、CMV、CMV UL、CNTF、CNTN-1、COX、C-Ret、CRG-2、CT-1、CTACK、CTGF、CTLA-4、CX3CL1、CX3CR1、CXCL、CXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16、CXCR、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、サイトケラチン腫瘍関連抗原、DAN、DCC、DcR3、DC-SIGN、補体制御因子(Decay accelerating factor)、des(1-3)-IGF-I(脳IGF-1)、Dhh、ジゴキシン、DNAM-1、Dnase、Dpp、DPPIV/CD26、Dtk、ECAD、EDA、EDA-A1、EDA-A2、EDAR、EGF、EGFR(ErbB-1)、EMA、EMMPRIN、ENA、エンドセリン受容体エンケファリナーゼ、eNOS、Eot、エオタキシン1、EpCAM、エフリンB2/EphB4、EPO、ERCC、E-セレクチン、ET-1、ファクターIIa、ファクターVII、ファクターVIIIc、ファクターIX、線維芽細胞活性化タンパク質FAP)、Fas、FcR1、FEN-1、フェリチン、FGF、FGF-19、FGF-2、FGF3、FGF-8、FGFR、FGFR-3、フィブリンFL、FLIP、Flt-3、Flt-4、卵胞刺激ホルモンフラクタルカイン、FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9、FZD10、G250、Gas6、GCP-2、GCSF、GD2、GD3、GDF、GDF-1、GDF-3(Vgr-2)、GDF-5(BMP-14、CDMP-1)、GDF-6(BMP-13、CDMP-2)、GDF-7(BMP-12、CDMP-3)、GDF-8(ミオスタチン)、GDF-9、GDF-15(MIC-1)、GDNF、GDNF、GFAP、GFRa-1、GFR-アルファ1、GFR-アルファ2、GFR-アルファ3、GITR、グルカゴン、Glut4、糖タンパク質IIb/IIIa(GPIIb/IIIa)、GM-CSF、gp130、gp72、GRO、成長ホルモン放出因子ハプテン(NP-capまたはNIP-cap)、HB-EGF、HCC、HCMV gBエンベロープ糖タンパク質、HCMV gHエンベロープ糖タンパク質、HCMV UL、造血成長因子HGF)、Hep B gp120、ヘパラナーゼ、Her2、Her2/neu(ErbB-2)、Her3(ErbB-3)、Her4(ErbB-4)、単純ヘルペスウイルス(HSV) gB糖タンパク質、HSV gD糖タンパク質、HGFA、高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、HIVgp120、HIV IIIB gp 120 V3ループHLA、HLA-DR、HM1.24、HMFG PEM、HRG、Hrk、ヒト心臓ミオシンヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、ヒト成長ホルモン(HGH)、HVEM、I-309、IAP、ICAM、ICAM-1、ICAM-3、ICE、ICOS、IFNg、Ig、IgA受容体、IgE、IGF、IGF結合タンパク質、IGF-1R、IGFBP、IGF-I、IGF-II、IL、IL-1、IL-1R、IL-2、IL-2R、IL-4、IL-4R、IL-5、IL-5R、IL-6、IL-6R、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、IL-18、IL-18R、IL-23、インターフェロンINF)-アルファ、INF-ベータ、INF-ガンマインヒビン、iNOS、インスリンA鎖、インスリンB鎖インスリン様増殖因子1、インテグリンアルファ2、インテグリンアルファ3、インテグリンアルファ4、インテグリンアルファ4/ベータ1、インテグリンアルファ4/ベータ7、インテグリンアルファ5(アルファV)、インテグリンアルファ5/ベータ1、インテグリンアルファ5/ベータ3、インテグリンアルファ6、インテグリンベータ1、インテグリンベータ2、インターフェロンガンマ、IP-10、I-TAC、JE、カリクレイン2、カリクレイン5、カリクレイン6、カリクレイン11、カリクレイン12、カリクレイン14、カリクレイン15、カリクレインL1、カリクレインL2、カリクレインL3、カリクレインL4、KC、KDR、ケラチノサイト増殖因子(KGF)、ラミニン5、LAMPLAP、LAP(TGF-1)、潜在的TGF-1、潜在的TGF-1 bp1、LBP、LDGF、LECT2、レフティルイス−Y抗原、ルイス−Y関連抗原、LFA-1、LFA-3、Lfo、LIF、LIGHT、リポタンパク質、LIX、LKN、Lptn、L-セレクチン、LT-a、LT-b、LTB4、LTBP-1、表面、黄体形成ホルモンリンホトキシンベータ受容体、Mac-1、MAdCAM、MAG、MAP2、MARC、MCAM、MCAM、MCK-2、MCP、M-CSF、MDC、Mer、METALLOPROTEASES、MGDF受容体、MGMT、MHC(HLA-DR)、MIFMIG、MIP、MIP-1-アルファ、MK、MMAC1、MMP、MMP-1、MMP-10、MMP-11、MMP-12、MMP-13、MMP-14、MMP-15、MMP-2、MMP-24、MMP-3、MMP-7、MMP-8、MMP-9、MPIF、Mpo、MSK、MSP、ムチン(Muc1)、MUC18、ミュラー管抑制物質、Mug、MuSK、NAIP、NAP、NCAD、N-Cアドヘリン、NCA 90、NCAM、NCAM、ネプリライシンニューロトロフィン-3、-4、または-6、ニュールツリン神経成長因子(NGF)、NGFR、NGF−ベータ、nNOS、NO、NOS、Npn、NRG-3、NT、NTN、OB、OGG1、OPG、OPN、OSM、OX40L、OX40R、p150、p95、PADPr、副甲状腺ホルモン、PARC、PARP、PBR、PBSF、PCAD、P-カドヘリン、PCNA、PDGF、PDGF、PDK-1、PECAM、PEM、PF4、PGE、PGF、PGI2、PGJ2、PIN、PLA2、胎盤アルカリホスファターゼ(PLAP)、PlGF、PLP、PP14、プロインスリン、プロレラキシンプロテインC、PS、PSA、PSCA前立腺特異的膜抗原(PSMA)、PTEN、PTHrp、Ptk、PTN、R51、RANK、RANKL、RANTES、RANTES、レラキシンA鎖、レラキシンB鎖レニン呼吸器多核体ウイルス(RSV)F、RSV Fgp、Ret、リウマイド因子、RLIP76、RPA2、RSK、S100、SCF/KL、SDF-1、SERINE、血清アルブミン、sFRP-3、Shh、SIGIRR、SK-1、SLAM、SLPI、SMAC、SMDF、SMOH、SOD、SPARC、Stat、STEAP、STEAP-II、TACE、TACI、TAG-72(腫瘍関連糖タンパク質−72)、TARC、TCA-3、T細胞受容体(例えば、T細胞受容体アルファ/ベータ)、TdT、TECK、TEM1、TEM5、TEM7、TEM8、TERT、睾丸PLAP様アルカリホスファターゼ、TfR、TGF、TGF-アルファ、TGF-ベータ、TGF-ベータ Pan Specific、TGF-ベータRI(ALK-5)、TGF-ベータRII、TGF-ベータRIIb、TGF-ベータRIII、TGF-ベータ1、TGF-ベータ2、TGF-ベータ3、TGF-ベータ4、TGF-ベータ5、トロンビン胸腺Ck-1、甲状腺刺激ホルモン、Tie、TIMP、TIQ組織因子、TMEFF2、Tmpo、TMPRSS2、TNF、TNF-アルファ、TNF-アルファベータ、TNF-ベータ2、TNFc、TNF-RI、TNF-RII、TNFRSF10A(TRAIL R1 Apo-2、DR4)、TNFRSF10B(TRAIL R2 DR5、KILLER、TRICK-2A、TRICK-B)、TNFRSF10C(TRAIL R3 DcR1、LIT、TRID)、TNFRSF10D(TRAIL R4 DcR2、TRUNDD)、TNFRSF11A(RANK ODF R、TRANCE R)、TNFRSF11B(OPG OCIF、TR1)、TNFRSF12(TWEAK R FN14)、TNFRSF13B(TACI)、TNFRSF13C(BAFF R)、TNFRSF14(HVEM ATAR、HveA、LIGHT R、TR2)、TNFRSF16(NGFR p75NTR)、TNFRSF17(BCMA)、TNFRSF18(GITR AITR)、TNFRSF19(TROY TAJ、TRADE)、TNFRSF19L(RELT)、TNFRSF1A(TNF RI CD120a、p55-60)、TNFRSF1B(TNF RII CD120b、p75-80)、TNFRSF26(TNFRH3)、TNFRSF3(LTbR TNF RIII、TNFC R)、TNFRSF4(OX40 ACT35、TXGP1 R)、TNFRSF5(CD40 p50)、TNFRSF6(Fas Apo-1、APT1、CD95)、TNFRSF6B(DcR3 M68、TR6)、TNFRSF7(CD27)、TNFRSF8(CD30)、TNFRSF9(4-1BB CD137、ILA)、TNFRSF21(DR6)、TNFRSF22(DcTRAIL R2 TNFRH2)、TNFRST23(DcTRAIL R1 TNFRH1)、TNFRSF25(DR3 Apo-3、LARD、TR-3、TRAMP、WSL-1)、TNFSF10(TRAIL Apo-2リガンド、TL2)、TNFSF11(TRANCE/RANKリガンド ODF、OPGリガンド)、TNFSF12(TWEAK Apo-3リガンド、DR3リガンド)、TNFSF13(APRIL TALL2)、TNFSF13B(BAFF BLYS、TALL1、THANK、TNFSF20)、TNFSF14(LIGHT HVEMリガンド、LTg)、TNFSF15(TL1A/VEGI)、TNFSF18(GITRリガンド AITRリガンド、TL6)、TNFSF1A(TNF-aコネクチン(Conectin)、DIF、TNFSF2)、TNFSF1B(TNF-b LTa、TNFSF1)、TNFSF3(LTb TNFC、p33)、TNFSF4(OX40リガンド gp34、TXGP1)、TNFSF5(CD40リガンド CD154、gp39、HIGM1、IMD3、TRAP)、TNFSF6(Fasリガンド Apo-1リガンド、APT1リガンド)、TNFSF7(CD27リガンド CD70)、TNFSF8(CD30リガンド CD153)、TNFSF9(4-1BBリガンド CD137リガンド)、TP-1、t-PA、Tpo、TRAIL、TRAIL R、TRAIL-R1、TRAIL-R2、TRANCE、トランスフェリン受容体、TRF、Trk、TROP-2、TSG、TSLP、腫瘍関連抗原CA125、腫瘍関連抗原発現ルイスY関連炭水化物、TWEAK、TXB2、Ung、uPAR、uPAR-1、ウロキナーゼVCAM、VCAM-1、VECAD、VE-Cadherin、VE-cadherin-2、VEFGR-1(flt-1)、VEGF、VEGFR、VEGFR-3(flt-4)、VEGI、VIM、ウイルス抗原、VLA、VLA-1、VLA-4、VNRインテグリン、フォン・ヴィレブランド因子、WIF-1、WNT1、WNT2、WNT2B/13、WNT3、WNT3A、WNT4、WNT5A、WNT5B、WNT6、WNT7A、WNT7B、WNT8A、WNT8B、WNT9A、WNT9A、WNT9B、WNT10A、WNT10B、WNT11、WNT16、XCL1、XCL2、XCR1、XCR1、XEDAR、XIAP、XPD、HMGB1、IgA、Aβ、CD81, CD97, CD98, DDR1, DKK1, EREG、Hsp90, IL-17/IL-17R、IL-20/IL-20R、酸化LDL,PCSK9, prekallikrein , RON, TMEM16F、SOD1, Chromogranin A, Chromogranin B、tau, VAP1、高分子キニノーゲン、IL-31、IL-31R、Nav1.1、Nav1.2、Nav1.3、Nav1.4、Nav1.5、Nav1.6、Nav1.7、Nav1.8、Nav1.9、EPCR、C1, C1q, C1r, C1s, C2, C2a, C2b, C3, C3a, C3b, C4, C4a, C4b, C5, C5a, C5b, C6, C7, C8, C9, factor B, factor D, factor H, properdin、sclerostin、fibrinogen, fibrin, prothrombin, thrombin, 組織因子, factor V, factor Va, factor VII, factor VIIa, factor VIII, factor VIIIa, factor IX, factor IXa, factor X, factor Xa, factor XI, factor XIa, factor XII, factor XIIa, factor XIII, factor XIIIa, TFPI, antithrombin III, EPCR,トロンボモデュリン、TAPI, tPA, plasminogen, plasmin, PAI-1, PAI-2、GPC3、Syndecan-1、Syndecan-2、Syndecan-3、Syndecan-4、LPA、S1Pならびにホルモンおよび成長因子のための受容体が例示され得る。

0024

後述されるように、二重特異性抗体等のように抗原結合分子が抗原分子中の複数のエピトープに結合する場合、当該抗原結合分子と複合体を形成することが可能な抗原は上記に例示される抗原のいずれか、またはその組合せ、換言すれば単量体またはヘテロ多量体であり得る。ヘテロ多量体の非限定な例として、IL-12p40およびIL-12p35を含むIL-12、IL-12p40および(IL-30Bとも呼ばれる)IL-23p19を含むIL-23、もしくはEBI-3およびIL27p28を含むIL-23、もしくはIL-12p35およびEBI-3を含むIL-35等のヘテロ二量体、が挙げられる。

0025

上記の抗原の例示には受容体も記載されるが、これらの受容体が血漿中等の生体液中に可溶型で存在する場合、本発明の抗原結合分子と複合体を形成することが可能であるため、上記に挙げた受容体が可溶型で血漿中等の生体液中に存在する限り、本発明の抗原結合分子が結合して本発明の複合体を形成し得る抗原として使用され得る。そのような可溶型受容体の非限定な一態様として、例えば、Mullbergら(J. Immunol. (1994) 152 (10), 4958-4968)によって記載されているような可溶型IL-6Rである、配列番号:1で表されるIL-6Rポリペプチド配列のうち、1から357番目のアミノ酸からなるタンパク質が例示され得る。

0026

上記の抗原の例示には可溶型抗原も記載されるが、当該抗原が存在する溶液に限定はなく生体液、すなわち生体内の脈管又は組織・細胞の間を満たす全ての液体に本可溶型抗原は存在し得る。非限定な一態様では、本発明の抗原結合分子が結合する抗原は、細胞外液に存在することができる。細胞外液とは、脊椎動物では血漿、組織間液リンパ液、密な結合組織脳脊髄液髄液穿刺液、または関節液等の骨および軟骨中の成分、肺胞液(気管支肺胞洗浄液)、腹水胸水心嚢水、嚢胞液、または眼房水房水)等の細胞透過液(細胞の能動輸送分泌活動の結果生じた各種腺腔内の液、および消化管腔その他の体腔内液)の総称をいう。

0027

また、抗原結合分子に含まれる抗原結合ドメインが結合するエピトープが単一のエピトープである場合、当該抗原結合分子が結合して本発明の複合体を形成し得る抗原の非限定な一態様として、抗原結合単位にホモ二量体、あるいは、ホモ三量体等を含む下記のような分子;GDF、GDF-1、GDF-3(Vgr-2)、GDF-5(BMP-14、CDMP-1)、GDF-6(BMP-13、CDMP-2)、GDF-7(BMP-12、CDMP-3)、GDF-8(ミオスタチン)、GDF-9、GDF-15(MIC-1)、TNF、TNF-アルファ、TNF-アルファベータ、TNF-ベータ2、TNFSF10(TRAIL Apo-2リガンド、TL2)、TNFSF11(TRANCE/RANKリガンドODF、OPGリガンド)、TNFSF12(TWEAK Apo-3リガンド、DR3リガンド)、TNFSF13(APRIL TALL2)、TNFSF13B(BAFFBLYS、TALL1、THANK、TNFSF20)、TNFSF14(LIGHTHVEMリガンド、LTg)、TNFSF15(TL1A/VEGI)、TNFSF18(GITRリガンド AITRリガンド、TL6)、TNFSF1A(TNF-aコネクチン(Conectin)、DIF、TNFSF2)、TNFSF1B(TNF-b LTa、TNFSF1)、TNFSF3(LTb TNFC、p33)、TNFSF4(OX40リガンド gp34、TXGP1)、TNFSF5(CD40リガンド CD154、gp39、HIGM1、IMD3、TRAP)、TNFSF6(Fasリガンド Apo-1リガンド、APT1リガンド)、TNFSF7(CD27リガンド CD70)、TNFSF8(CD30リガンド CD153)、TNFSF9(4-1BBリガンド CD137リガンド)、VEGF、IgE、IgA、IgG、IgM、RANKL、TGF-アルファ、TGF-ベータ、TGF-ベータ Pan Specific、IL-8が例示され得る。

0028

エピトープ
抗原中に存在する抗原決定基を意味するエピトープは、本明細書において開示される抗原結合分子中の抗原結合ドメインが結合する抗原上の部位を意味する。よって、例えば、エピトープは、その構造によって定義され得る。また、当該エピトープを認識する抗原結合分子中の抗原に対する結合活性によっても当該エピトープが定義され得る。抗原がペプチド又はポリペプチドである場合には、エピトープを構成するアミノ酸残基によってエピトープを特定することも可能である。また、エピトープが糖鎖である場合には、特定の糖鎖構造によってエピトープを特定することも可能である。

0029

直線状エピトープは、アミノ酸一次配列が認識されたエピトープを含むエピトープである。直線状エピトープは、典型的には、少なくとも3つ、および最も普通には少なくとも5つ、例えば約8ないし約10個、6ないし20個のアミノ酸が固有の配列において含まれる。

0030

立体構造エピトープは、直線状エピトープとは対照的に、エピトープを含むアミノ酸の一次配列が、認識されたエピトープの単一の規定成分ではないエピトープ(例えば、アミノ酸の一次配列が、必ずしもエピトープを規定する抗体により認識されないエピトープ)である。立体構造エピトープは、直線状エピトープに対して増大した数のアミノ酸を包含するかもしれない。立体構造エピトープの認識に関して、抗体は、ペプチドまたはタンパク質の三次元構造を認識する。例えば、タンパク質分子が折り畳まれて三次元構造を形成する場合には、立体構造エピトープを形成するあるアミノ酸および/またはポリペプチド主鎖は、並列となり、抗体がエピトープを認識するのを可能にする。エピトープの立体構造を決定する方法には、例えばX線結晶学、二次元核磁気共鳴分光学並びに部位特異的なスピン標識および電磁常磁性共鳴分光学が含まれるが、これらには限定されない。例えば、Epitope MappingProtocols in Methodsin Molecular Biology (1996)、第66巻、Morris(編)を参照。

0031

エピトープに結合する抗原結合ドメインの構造はパラトープと呼ばれる。エピトープとパラトープの間に作用する、水素結合、静電気力ファンデルワールス力疎水結合等によりエピトープとパラトープは安定して結合する。このエピトープとパラトープの間の結合力はアフィニティー(affinity)と呼ばれる。複数のエピトープと複数のパラトープが結合するときの結合力の総和はアビディティ(avidity)と呼ばれる。複数のパラトープを含む(すなわち多価の)抗体等が複数のエピトープに結合する際には、結合力(affinity)が相加的または相乗的に働くため、アビディティはアフィニティーよりも高くなる。

0032

結合活性
下記にIgAに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子によるエピトープへの結合の確認方法が例示されるが、IgA以外の抗原に対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子によるエピトープへの結合の確認方法も下記の例示に準じて適宜実施され得る。

0033

例えば、IgAに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子が、IgA分子中に存在する線状エピトープを認識することは、たとえば次のようにして確認することができる。例えば、上記の目的のためにIgAの定常領域を構成するアミノ酸配列からなる線状のペプチドが合成される。当該ペプチドは、化学的に合成され得る。あるいは、IgAのcDNA中の、定常領域に相当するアミノ酸配列をコードする領域を利用して、遺伝子工学的手法により得られる。次に、定常領域を構成するアミノ酸配列からなる線状ペプチドと、IgAに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子との結合活性が評価される。たとえば、固定化された線状ペプチドを抗原とするELISAによって、当該ペプチドに対する当該抗原結合分子の結合活性が評価され得る。あるいは、IgA細胞に対する当該抗原結合分子の結合における、線状ペプチドによる阻害のレベルに基づいて、線状ペプチドに対する結合活性が明らかにされ得る。これらの試験によって、線状ペプチドに対する当該抗原結合分子の結合活性が明らかにされ得る。

0034

また、IgAタンパク質に対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子が立体構造エピトープを認識することは、次のようにして確認され得る。上記の目的のために、本明細書において記載されるように、一般的な組換え遺伝子手法を用いることによって、IgAタンパク質内のネイティブな立体エピトープの形成を可能にする宿主細胞(例えば、動物細胞昆虫細胞酵母細胞)にIgAをコードする組換え遺伝子が形質導入される。このように作製された組換え細胞の培養液から立体構造エピトープを含むIgAが調製される。IgAに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子が立体構造エピトープを認識するとは、当該被験抗原結合分子が固定化された立体構造エピトープを含むIgAに接触した際に当該IgA分子に強く結合する一方で、固定化されたIgAのアミノ酸配列を構成するアミノ酸配列からなる線状ペプチドに対して、当該抗原結合分子が実質的に結合しないとき等が挙げられる。上記線状ペプチドの代わりに、ジチオスレイトール(dithiothreitol)、ジチオエリトリトール(dithioerythritol)β-メルカプトエタノール(β-mercaptoethanol)、ホスフィン誘導体(phosphines)、水素化ホウ素ナトリウム(sodium borohydride)等のジスルフィド結合を切断する還元剤、および/または、グアニジン塩酸塩尿素ラウリル硫酸ナトリウム等の界面活性剤等のカオトロピック薬剤によって変性されたIgAに対する当該被験抗原結合分子もまた使用され得る。ここで、実質的に結合しないとは、ヒトIgAに対する結合活性の80%以下、通常50%以下、好ましくは30%以下、特に好ましくは15%以下の結合活性をいう。

0035

IgAに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子のIgAに対する結合活性を測定する方法としては、例えば、Antibodies A Laboratory Manual記載の方法(Ed Harlow, David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory (1988) 359-420)が挙げられる。即ちIgAを抗原とするELISAやEIA原理によって評価され得る。

0036

ELISAフォーマットにおいて、IgAに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子のIgAに対する結合活性は、酵素反応によって生成するシグナルレベルを比較することによって定量的に評価される。すなわち、IgAを固定化したELISAプレートに被験抗原結合分子を加え、当該プレートに固定されたIgAに結合した被験抗原結合分子が、被験抗原結合分子を認識する酵素標識抗体を利用して検出される。上記ELISAにおいては、被験抗原結合分子の希釈系列を作成し、IgAに対する抗体結合力価(titer)を決定することにより、IgAに対する被験抗原結合分子の結合活性が比較され得る。

0037

緩衝液等に懸濁した細胞表面上に発現している抗原に対する被験抗原結合分子の結合は、フローサイトメーターによって検出することができる。フローサイトメーターとしては、例えば、次のような装置が知られている。
FACSCantoTM II
FACSAriaTM
FACSArrayTM
FACSVantageTM SE
FACSCaliburTM (いずれもBD Biosciences社の商品名)
EPICSALTRA HyPerSort
Cytomics FC 500
EPICS XL-MCLADCEPICS XL ADC
Cell Lab Quanta / Cell Lab Quanta SC(いずれもBeckman Coulter社の商品名)

0038

例えば、IgEに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子の抗原に対する結合活性の好適な測定方法の一例として、次の方法が挙げられる。まず、IgEを発現する細胞と反応させた被験抗原結合分子を認識するFITC標識した二次抗体で染色する。被験抗原結合分子を適宜好適な緩衝液によって希釈することによって、当該抗原結合分子が所望の濃度に調製して用いられる。例えば、10μg/mlから10 ng/mlまでの間のいずれかの濃度で使用され得る。次に、FACSCalibur(BD社)により蛍光強度細胞数が測定される。当該細胞に対する抗体の結合量は、CELLQUEST Software(BD社)を用いて解析することにより得られた蛍光強度、すなわちGeometric Meanの値に反映される。すなわち、当該Geometric Meanの値を得ることにより、被験抗原結合分子の結合量によって表される被験抗原結合分子の結合活性が測定され得る。

0039

IgAに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子が、ある抗原結合分子とエピトープを共有することは、両者の同じエピトープに対する競合によって確認され得る。抗原結合分子間の競合は、交叉ブロッキングアッセイなどによって検出される。例えば競合ELISAアッセイは、好ましい交叉ブロッキングアッセイである。

0040

具体的には、交叉ブロッキングアッセイにおいては、マイクロタイタープレートウェル上にコートしたIgAタンパク質が、候補となる競合抗原結合分子の存在下、または非存在下でプレインキュベートされた後に、被験抗原結合分子が添加される。ウェル中のIgAタンパク質に結合した被験抗原結合分子の量は、同じエピトープへの結合に対して競合する候補となる競合抗原結合分子の結合能間接的に相関している。すなわち同一エピトープに対する競合抗原結合分子の親和性が大きくなればなる程、被験抗原結合分子のIgAタンパク質をコートしたウェルへの結合活性は低下する。

0041

IgAタンパク質を介してウェルに結合した被験抗原結合分子の量は、予め抗原結合分子を標識しておくことによって、容易に測定され得る。たとえば、ビオチン標識された抗原結合分子は、アビジンペルオキシダーゼコンジュゲートと適切な基質を使用することにより測定される。ペルオキシダーゼなどの酵素標識を利用した交叉ブロッキングアッセイは、特に競合ELISAアッセイといわれる。抗原結合分子は、検出あるいは測定が可能な他の標識物質で標識され得る。具体的には、放射標識あるいは蛍光標識などが公知である。

0042

候補の競合抗原結合分子会合体の非存在下で実施されるコントロール試験において得られる結合活性と比較して、競合抗原結合分子が、IgAに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子の結合を少なくとも20%、好ましくは少なくとも20-50%、さらに好ましくは少なくとも50%ブロックできるならば、当該被験抗原結合分子は競合抗原結合分子と実質的に同じエピトープに結合するか、又は同じエピトープへの結合に対して競合する抗原結合分子である。

0043

IgAに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子が結合するエピトープの構造が同定されている場合には、被験抗原結合分子と対照抗原結合分子とがエピトープを共有することは、当該エピトープを構成するペプチドにアミノ酸変異を導入したペプチドに対する両者の抗原結合分子の結合活性を比較することによって評価され得る。

0044

こうした結合活性を測定する方法としては、例えば、前記のELISAフォーマットにおいて変異を導入した線状のペプチドに対する被験抗原結合分子及び対照抗原結合分子の結合活性を比較することによって測定され得る。ELISA以外の方法としては、カラムに結合した当該変異ペプチドに対する結合活性を、当該カラムに被検抗原結合分子と対照抗原結合分子を流下させた後に溶出液中に溶出される抗原結合分子を定量することによっても測定され得る。変異ペプチドを例えばGSTとの融合ペプチドとしてカラムに吸着させる方法は公知である。

0045

また、細胞上に発現する抗原中の同定されたエピトープが立体エピトープの場合には、被験抗原結合分子と対照抗原結合分子とがエピトープを共有することは、例えば次のような方法で評価され得る。抗原がIgEの場合を例に挙げて以下に説明する。まず、IgEを発現する細胞とエピトープに変異が導入されたIgEを発現する細胞が調製される。これらの細胞がPBS等の適切な緩衝液に懸濁された細胞懸濁液に対して被験抗原結合分子と対照抗原結合分子が添加される。次いで、適宜緩衝液で洗浄された細胞懸濁液に対して、被験抗原結合分子と対照抗原結合分子を認識することができるFITC標識された抗体が添加される。標識抗体によって染色された細胞の蛍光強度と細胞数がFACSCalibur(BD社)によって測定される。被験抗原結合分子と対照抗原結合分子の濃度は好適な緩衝液によって適宜希釈することによって所望の濃度に調製して用いられる。例えば、10μg/mlから10 ng/mlまでの間のいずれかの濃度で使用される。当該細胞に対する標識抗体の結合量は、CELLQUEST Software(BD社)を用いて解析することにより得られた蛍光強度、すなわちGeometric Meanの値に反映される。すなわち、当該Geometric Meanの値を得ることにより、標識抗体の結合量によって表される被験抗原結合分子と対照抗原結合分子の結合活性を測定することができる。

0046

本方法において、例えば「変異IgE発現細胞に実質的に結合しない」ことは、以下の方法によって判断することができる。まず、変異IgEを発現する細胞に対して結合した被験抗原結合分子と対照抗原結合分子が、標識抗体で染色される。次いで細胞の蛍光強度が検出される。蛍光検出フローサイトメトリーとしてFACSCaliburを用いた場合、得られた蛍光強度はCELLQUEST Softwareを用いて解析され得る。ポリペプチド会合体存在下および非存在下でのGeometric Meanの値から、この比較値(ΔGeo-Mean)を下記の計算式に基づいて算出することにより、抗原結合分子の結合による蛍光強度の増加割合を求めることができる。

0047

ΔGeo-Mean=Geo-Mean(ポリペプチド会合体存在下)/Geo-Mean(ポリペプチド会合体非存在下)

0048

解析によって得られる被験抗原結合分子の変異IgE発現細胞に対する結合量が反映されたGeometric Mean比較値(変異IgE分子ΔGeo-Mean値)を、被験抗原結合分子のIgE発現細胞に対する結合量が反映されたΔGeo-Mean比較値と比較する。この場合において、変異IgE発現細胞及びIgE発現細胞に対するΔGeo-Mean比較値を求める際に使用する被験抗原結合分子の濃度は互いに同一又は実質的に同一の濃度で調製されることが特に好ましい。予めIgE中のエピトープを認識していることが確認された抗原結合分子が、対照抗原結合分子として利用される。

0049

被験抗原結合分子の変異IgE発現細胞に対するΔGeo-Mean比較値が、被験抗原結合分子のIgE発現細胞に対するΔGeo-Mean比較値の、少なくとも80%、好ましくは50%、更に好ましくは30%、特に好ましくは15%より小さければ、「変異IgE発現細胞に実質的に結合しない」ものとする。Geo-Mean値(Geometric Mean)を求める計算式は、CELLQUEST Software User's Guide(BD biosciences社)に記載されている。比較値を比較することによってそれが実質的に同視し得る程度であれば、被験抗原結合分子と対照抗原結合分子のエピトープは同一であると評価され得る。

0050

抗原結合ドメイン
本明細書において、「抗原結合ドメイン」は目的とする抗原に結合するかぎりどのような構造のドメインも使用され得る。そのようなドメインの例として、例えば、抗体の重鎖および軽鎖の可変領域、生体内に存在する細胞膜タンパクであるAvimerに含まれる35アミノ酸程度のAドメインと呼ばれるモジュール(国際公開第WO2004/044011号、国際公開第WO2005/040229号)、細胞膜に発現する糖たんぱく質であるfibronectin中のタンパク質に結合するドメインである10Fn3ドメインを含むAdnectin(国際公開第WO2002/032925号)、ProteinAの58アミノ酸からなる3つのヘリックスの束(bundle)を構成するIgG結合ドメインをscaffoldとするAffibody(国際公開第WO1995/001937号)、33アミノ酸残基を含むターンと2つの逆並行ヘリックスおよびループのサブユニットが繰り返し積み重なった構造を有するアンキリン反復(ankyrin repeat:AR)の分子表面に露出する領域であるDARPins(Designed Ankyrin Repeat proteins)(国際公開第WO2002/020565号)、好中球ゲラチナーゼ結合リポカリン(neutrophil gelatinase-associated lipocalin(NGAL))等のリポカリン分子において高度に保存された8つの逆並行ストランドが中央方向にねじれバレル構造の片側を支える4つのループ領域であるAnticalin等(国際公開第WO2003/029462号)、ヤツメウナギヌタウナギなど無顎類の獲得免疫システムとしてイムノグロブリンの構造を有さない可変性リンパ球受容体(variable lymphocyte receptor(VLR))のロイシン残基に富んだリピート(leucine-rich-repeat(LRR))モジュールが繰り返し積み重なったてい形の構造の内部の並行型シート構造くぼんだ領域(国際公開第WO2008/016854号)が好適に挙げられる。本発明の抗原結合ドメインの好適な例として、抗体の重鎖および軽鎖の可変領域を含む抗原結合ドメインが挙げられる。こうした抗原結合ドメインの例としては、「scFv(single chain Fv)」、「単鎖抗体(single chain antibody)」、「Fv」、「scFv2(single chain Fv 2)」、「Fab」または「F(ab')2」等が好適に挙げられる。

0051

本発明の抗原結合分子における抗原結合ドメインは、同一のエピトープに結合することができる。ここで同一のエピトープは、例えば、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質中に存在することができる。あるいは、本発明の抗原結合分子における抗原結合ドメインは、互いに異なるエピトープに結合することができる。ここで異なるエピトープは、例えば、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質中に存在することができる。

0052

免疫複合体(Immune complex)
免疫複合体は、少なくとも一つの抗原と少なくとも一つの抗原結合分子が互いに結合してより大きな分子量の複合体を形成する場合に生じる比較的安定した構造を意味する。免疫複合体の非限定な一態様として、抗原‐抗体凝集体が例示される。二以上の抗原結合分子および二以上の抗原結合単位を含む免疫複合体の形成を評価する方法は、本明細書において後述される。

0053

特異的
特異的とは、特異的に結合する分子の一方の分子がその一または複数の結合する相手方の分子以外の分子に対しては何ら有意な結合を示さない状態をいう。また、抗原結合ドメインが、ある抗原中に含まれる複数のエピトープのうち特定のエピトープに対して特異的である場合にも用いられる。また、抗原結合ドメインが結合するエピトープが複数の異なる抗原に含まれる場合には、当該抗原結合ドメインを有する抗原結合分子は当該エピトープを含む様々な抗原と結合することができる。ここで、何ら有意な結合を示さないとは、当該相手方の分子に対する結合活性の、50%以下、通常30%以下、好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下の結合活性を、当該相手方の分子以外の分子に対して示すことをいう。

0054

抗体
本明細書において、抗体とは、天然のものであるかまたは部分的もしくは完全合成により製造された免疫グロブリンをいう。抗体はそれが天然に存在する血漿や血清等の天然資源や抗体を産生するハイブリドーマ細胞培養上清から単離され得るし、または遺伝子組換え等の手法を用いることによって部分的にもしくは完全に合成され得る。抗体の例としては免疫グロブリンのアイソタイプおよびそれらのアイソタイプのサブクラスが好適に挙げられる。ヒトの免疫グロブリンとして、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgMの9種類のクラス(アイソタイプ)が知られている。本発明の抗体には、これらのアイソタイプのうちIgG1、IgG2、IgG3、IgG4が含まれ得る。ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、ヒトIgG4定常領域としては、遺伝子多形による複数のアロタイプ配列がSequences of proteins of immunological interest, NIH Publication No.91-3242 に記載されているが、本発明においてはそのいずれであっても良い。特にヒトIgG1の配列としては、EUナンバリングで表される356-358位のアミノ酸配列がDELであってもEEMであってもよい。また、ヒトIgκ(Kappa)定常領域とヒトIgλ (Lambda)定常領域としては、遺伝子多形による複数のアロタイプ配列がSequences of proteins of immunological interest, NIH Publication No.91-3242に記載されているが、本発明においてはそのいずれであっても良い。

0055

所望の結合活性を有する抗体を作製する方法は当業者において公知である。以下に、IgAに結合する抗体(抗IgA抗体)を作製する方法が例示される。IgA以外の抗原に結合する抗体も下記の例示に準じて適宜作製され得る。

0056

抗IgA抗体は、公知の手段を用いてポリクローナルまたはモノクローナル抗体として取得され得る。抗IgA抗体としては、哺乳動物由来のモノクローナル抗体が好適に作製され得る。哺乳動物由来のモノクローナル抗体には、ハイブリドーマにより産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクター形質転換した宿主細胞によって産生されるもの等が含まれる。なお本願発明のモノクローナル抗体には、「ヒト化抗体」や「キメラ抗体」が含まれる。

0057

モノクローナル抗体産生ハイブリドーマは、公知技術を使用することによって、例えば以下のように作製され得る。すなわち、IgAタンパク質を感作抗原として使用して、通常の免疫方法にしたがって哺乳動物が免疫される。得られる免疫細胞が通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合される。次に、通常のスクリーニング法によって、モノクローナル抗体産生細胞スクリーニングすることによって抗IgA抗体を産生するハイブリドーマが選択され得る。

0058

具体的には、モノクローナル抗体の作製は例えば以下に示すように行われる。例えば、精製した天然のIgAタンパク質が感作抗原として使用され得る。また、IMGT/GENE-DBにおいてL00022|IGHE*02として記載されている、配列番号:2で表されるIgAポリペプチド配列からなる組換えタンパク質が培養上清中から可溶型のIgAを取得するために精製される。組換えタンパク質を発現させるために、まず、配列番号:3にそのヌクレオチド配列が開示されたIgA重鎖定常領域遺伝子を発現することによって、抗体取得の感作抗原として使用される配列番号:2で表されるIgAタンパク質が取得され得る。すなわち、IgAをコードする遺伝子配列を公知の発現ベクターに挿入することによって適当な宿主細胞が形質転換される。当該宿主細胞中または培養上清中から所望のIgAタンパク質が公知の方法で精製される。IgA重鎖定常領域遺伝子を発現するに際して、配列番号:3に記載されたポリヌクレオチド配列シグナル配列の3'末端に作動可能なように連結され得る。また、別の非限定な一態様では、5'末端にシグナル配列を含む重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド配列の3'末端に作動可能なように配列番号:3に記載されたポリヌクレオチド配列が連結され得る。また、組換えタンパク質を精製するために配列番号:2のアミノ末端またはカルボキシ末端に適宜精製のためのタグペプチドが付加され得る。このような例として、GGGGS(配列番号:31)リンカーを介して連結されるAviタグであるGLNDIFEAQKIEWHE(配列番号:4)等が非限定な一態様として挙げられる。前記のような組換えタンパク質の非限定な作製例として、実施例1で記載されるような軽鎖と組み合わせて発現させた組換えIgAタンパク質を、組換え宿主細胞の培養液から回収後精製する方法が挙げられる。

0059

哺乳動物に対する免疫に使用する感作抗原として当該精製IgAタンパク質が使用され得る。IgAの部分ペプチドもまた感作抗原として使用できる。この際、当該部分ペプチドはヒトIgAのアミノ酸配列より化学合成によっても取得され得る。また、IgA遺伝子の一部を発現ベクターに組込んで発現させることによっても取得され得る。さらにはタンパク質分解酵素を用いてIgAタンパク質を分解することによっても取得され得るが、部分ペプチドとして用いるIgAペプチドの領域および大きさは特に特別の態様に限定されない。好ましい領域は配列番号:2のアミノ酸配列から任意の配列が選択され得る。感作抗原とするペプチドを構成するアミノ酸の数は少なくとも5以上、例えば6以上、或いは7以上であることが好ましい。より具体的には8〜50、好ましくは10〜30残基のペプチドが感作抗原として使用され得る。

0060

また、IgAタンパク質の所望の部分ポリペプチドやペプチドを異なるポリペプチドと融合した融合タンパク質が感作抗原として利用され得る。感作抗原として使用される融合タンパク質を製造するために、例えば、抗体のFc断片ペプチドタグなどが好適に利用され得る。融合タンパク質を発現するベクターは、所望の二種類又はそれ以上のポリペプチド断片をコードする遺伝子がインフレームで融合され、当該融合遺伝子が前記のように発現ベクターに挿入されることにより作製され得る。融合タンパク質の作製方法はMolecular Cloning 2nd ed. (Sambrook,J et al., Molecular Cloning 2nd ed., 9.47-9.58(1989)Cold Spring Harbor Lab. press)に記載されている。感作抗原として用いられるIgAの取得方法及びそれを用いた免疫方法は、PCT/JP2011/077619等にも具体的に記載されている。

0061

該感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特定の動物に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましい。一般的にはげ歯類の動物、例えば、マウス、ラットハムスター、あるいはウサギサル等が好適に使用される。

0062

公知の方法にしたがって上記の動物が感作抗原により免疫される。例えば、一般的な方法として、感作抗原が哺乳動物の腹腔内または皮下に注射によって投与されることにより免疫が実施される。具体的には、PBS(Phosphate-Buffered Saline)や生理食塩水等で適当な希釈倍率で希釈された感作抗原が、所望により通常のアジュバント、例えばフロイント完全アジュバントと混合され、乳化された後に、該感作抗原が哺乳動物に4から21日毎に数回投与される。また、感作抗原の免疫時には適当な担体が使用され得る。特に分子量の小さい部分ペプチドが感作抗原として用いられる場合には、アルブミンキーホールリンペットヘモシアニン等の担体タンパク質と結合した該感作抗原ペプチドを免疫することが望ましい場合もある。

0063

また、所望の抗体を産生するハイブリドーマは、DNA免疫を使用し、以下のようにしても作製され得る。DNA免疫とは、免疫動物中で抗原タンパク質をコードする遺伝子が発現され得るような態様で構築されたベクターDNAが投与された当該免疫動物中で、感作抗原が当該免疫動物の生体内で発現されることによって、免疫刺激が与えられる免疫方法である。タンパク質抗原が免疫動物に投与される一般的な免疫方法と比べて、DNA免疫には、次のような優位性が期待される。
−抗原が膜タンパク質の場合、膜タンパク質の構造を維持して免疫刺激が与えられ得る
免疫抗原を精製する必要が無い

0064

DNA免疫によって本発明のモノクローナル抗体を得るために、まず、IgAタンパク質を発現するDNAが免疫動物に投与される。IgAをコードするDNAは、PCRなどの公知の方法によって合成され得る。得られたDNAが適当な発現ベクターに挿入され、免疫動物に投与される。発現ベクターとしては、たとえばpcDNA3.1などの市販の発現ベクターが好適に利用され得る。ベクターを生体に投与する方法として、一般的に用いられている方法が利用され得る。たとえば、発現ベクターが吸着した金粒子が、gene gunで免疫動物個体の細胞内に導入されることによってDNA免疫が行われる。さらに、IgAを認識する抗体の作製はPCT/JP2011/077619に記載された方法を用いても作製され得る。

0065

このように哺乳動物が免疫され、血清中におけるIgAに結合する抗体力価の上昇が確認された後に、哺乳動物から免疫細胞が採取され、細胞融合に供される。好ましい免疫細胞としては、特に脾細胞が使用され得る。

0066

前記免疫細胞と融合される細胞として、哺乳動物のミエローマ細胞が用いられる。ミエローマ細胞は、スクリーニングのための適当な選択マーカーを備えていることが好ましい。選択マーカーとは、特定の培養条件の下で生存できる(あるいはできない)形質を指す。選択マーカーには、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損(以下HGPRT欠損と省略する)、あるいはチミジンキナーゼ欠損(以下TK欠損と省略する)などが公知である。HGPRTやTKの欠損を有する細胞は、ヒポキサンチン−アミノプテリンチミジン感受性(以下HAT感受性と省略する)を有する。HAT感受性の細胞はHAT選択培地中でDNA合成を行うことができず死滅するが、正常な細胞と融合すると正常細胞のサルベージ回路を利用してDNAの合成を継続することができるためHAT選択培地中でも増殖するようになる。

0067

HGPRT欠損やTK欠損の細胞は、それぞれ6チオグアニン、8アザグアニン(以下8AGと省略する)、あるいは5'ブロモデオキシウリジンを含む培地で選択され得る。これらのピリミジンアナログをDNA中に取り込む正常な細胞は死滅する。他方、これらのピリミジンアナログを取り込めないこれらの酵素を欠損した細胞は、選択培地の中で生存することができる。この他G418耐性と呼ばれる選択マーカーは、ネオマイシン耐性遺伝子によって2-デオキシストレプタミン系抗生物質ゲンタマイシン類似体)に対する耐性を与える。細胞融合に好適な種々のミエローマ細胞が公知である。

0068

このようなミエローマ細胞として、例えば、P3(P3x63Ag8.653)(J. Immunol.(1979)123 (4), 1548-1550)、P3x63Ag8U.1(Current Topics in Microbiology and Immunology(1978)81, 1-7)、NS-1(C. Eur. J. Immunol.(1976)6 (7), 511-519)、MPC-11(Cell(1976)8 (3), 405-415)、SP2/0(Nature(1978)276 (5685), 269-270)、FO(J. Immunol. Methods(1980)35 (1-2), 1-21)、S194/5.XX0.BU.1(J. Exp. Med.(1978)148 (1), 313-323)、R210(Nature(1979)277 (5692), 131-133)等が好適に使用され得る。

0069

基本的には公知の方法、たとえば、ケーラーミルステインらの方法(MethodsEnzymol.(1981)73, 3-46)等に準じて、前記免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合が行われる。
より具体的には、例えば細胞融合促進剤の存在下で通常の栄養培養液中で、前記細胞融合が実施され得る。融合促進剤としては、例えばポリエチレングリコール(PEG)、センダイウイルスHVJ)等が使用され、更に融合効率を高めるために所望によりジメチルスルホキシド等の補助剤が添加されて使用される。

0070

免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合は任意に設定され得る。例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細胞を1から10倍とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRPMI1640培養液、MEM培養液、その他、この種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用され、さらに、牛胎児血清FCS)等の血清補液が好適に添加され得る。

0071

細胞融合は、前記免疫細胞とミエローマ細胞との所定量を前記培養液中でよく混合し、予め37℃程度に加温されたPEG溶液(例えば平均分子量1000から6000程度)が通常30から60%(w/v)の濃度で添加される。混合液が緩やかに混合されることによって所望の融合細胞(ハイブリドーマ)が形成される。次いで、上記に挙げた適当な培養液が逐次添加され、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等が除去され得る。

0072

このようにして得られたハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えばHAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択され得る。所望のハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間(通常、係る十分な時間は数日から数週間である)上記HAT培養液を用いた培養が継続され得る。次いで、通常の限界希釈法によって、所望の抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよび単一クローニングが実施される。

0073

このようにして得られたハイブリドーマは、細胞融合に用いられたミエローマが有する選択マーカーに応じた選択培養液を利用することによって選択され得る。例えばHGPRTやTKの欠損を有する細胞は、HAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択され得る。すなわち、HAT感受性のミエローマ細胞を細胞融合に用いた場合、HAT培養液中で、正常細胞との細胞融合に成功した細胞が選択的に増殖し得る。所望のハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間、上記HAT培養液を用いた培養が継続される。具体的には、一般に、数日から数週間の培養によって、所望のハイブリドーマが選択され得る。次いで、通常の限界希釈法によって、所望の抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよび単一クローニングが実施され得る。

0074

所望の抗体のスクリーニングおよび単一クローニングが、公知の抗原抗体反応に基づくスクリーニング方法によって好適に実施され得る。例えば、固定化したIgAに対する抗体の結合活性がELISAの原理に基づいて評価され得る。たとえば、ELISAプレートのウェルにIgAが固定化される。ハイブリドーマの培養上清をウェル内のIgAに接触させ、IgAに結合する抗体が検出される。モノクローナル抗体がマウス由来の場合、細胞に結合した抗体は、抗マウスイムノグロブリン抗体によって検出され得る。これらのスクリーニングによって選択された、抗原に対する結合能を有する所望の抗体を産生するハイブリドーマは、限界希釈法等によりクローニングされ得る。

0075

このようにして作製されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは通常の培養液中で継代培養され得る。また、当該ハイブリドーマは液体窒素中で長期にわたって保存され得る。

0076

当該ハイブリドーマを通常の方法に従い培養し、その培養上清から所望のモノクローナル抗体が取得され得る。あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物に投与して増殖せしめ、その腹水からモノクローナル抗体が取得され得る。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに好適なものである。

0077

当該ハイブリドーマ等の抗体産生細胞からクローニングされる抗体遺伝子によってコードされる抗体も好適に利用され得る。クローニングした抗体遺伝子を適当なベクターに組み込んで宿主に導入することによって、当該遺伝子によってコードされる抗体が発現する。抗体遺伝子の単離と、ベクターへの導入、そして宿主細胞の形質転換のための方法は例えば、Vandammeらによって既に確立されている(Eur.J. Biochem.(1990)192 (3), 767-775)。下記に述べるように組換え抗体の製造方法もまた公知である。

0078

たとえば、抗IgA抗体を産生するハイブリドーマ細胞から、抗IgA抗体の可変領域(V領域)をコードするcDNAが取得される。そのために、通常、まずハイブリドーマから全RNAが抽出される。細胞からmRNAを抽出するための方法として、たとえば次のような方法を利用することができる。
グアニジン超遠心法(Biochemistry (1979) 18 (24), 5294-5299)
−AGPC法(Anal. Biochem. (1987) 162 (1), 156-159)

0079

抽出されたmRNAは、mRNA Purification Kit (GEヘルスケアバイオサイエンス製)等を使用して精製され得る。あるいは、QuickPrep mRNA Purification Kit (GEヘルスケアバイオサイエンス製)などのように、細胞から直接全mRNAを抽出するためのキットも市販されている。このようなキットを用いて、ハイブリドーマからmRNAが取得され得る。得られたmRNAから逆転写酵素を用いて抗体V領域をコードするcDNAが合成され得る。cDNAは、AMV Reverse Transcriptase First-strand cDNA Synthesis Kit(生化学工業)等によって合成され得る。また、cDNAの合成および増幅のために、SMARTRACE cDNA増幅キット(Clontech製)およびPCRを用いた5'-RACE法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1988) 85 (23), 8998-9002、Nucleic AcidsRes. (1989) 17 (8), 2919-2932)が適宜利用され得る。更にこうしたcDNAの合成の過程においてcDNAの両末端に後述する適切な制限酵素サイトが導入され得る。

0080

得られたPCR産物から目的とするcDNA断片が精製され、次いでベクターDNAと連結される。このように組換えベクターが作製され、大腸菌等に導入されコロニーが選択された後に、当該コロニーを形成した大腸菌から所望の組換えベクターが調製され得る。そして、該組換えベクターが目的とするcDNAの塩基配列を有しているか否かについて、公知の方法、例えば、ジデオキシヌクレオチドチェインターミネーション法等により確認される。

0081

可変領域をコードする遺伝子を取得するためには、可変領域遺伝子増幅用のプライマーを使った5'-RACE法を利用するのが簡便である。まずハイブリドーマ細胞より抽出されたRNAを鋳型としてcDNAが合成され、5'-RACE cDNAライブラリが得られる。5'-RACE cDNAライブラリの合成にはSMARTRACE cDNA増幅キットなど市販のキットが適宜用いられる。

0082

得られた5'-RACEcDNAライブラリを鋳型として、PCR法によって抗体遺伝子が増幅される。公知の抗体遺伝子配列をもとにマウス抗体遺伝子増幅用のプライマーがデザインされ得る。これらのプライマーは、イムノグロブリンのサブクラスごとに異なる塩基配列である。したがって、サブクラスは予めIso Stripマウスモノクローナル抗体アイタイピングキット(ロシュダイアグスティックス)などの市販キットを用いて決定しておくことが望ましい。

0083

具体的には、たとえばマウスIgGをコードする遺伝子の取得を目的とするときには、重鎖としてγ1、γ2a、γ2b、γ3、軽鎖としてκ鎖λ鎖をコードする遺伝子の増幅が可能なプライマーが利用され得る。IgGの可変領域遺伝子を増幅するためには、一般に3'側のプライマーには可変領域に近い定常領域に相当する部分にアニールするプライマーが利用される。一方5'側のプライマーには、5' RACEcDNAライブラリ作製キット付属するプライマーが利用される。

0084

こうして増幅されたPCR産物を利用して、重鎖と軽鎖の組み合せからなるイムノグロブリンが再構成され得る。再構成されたイムノグロブリンの、IgAに対する結合活性を指標として、所望の抗体がスクリーニングされ得る。たとえばIgAに対する抗体の取得を目的とするとき、抗体のIgAに対する結合は、特異的であることがさらに好ましい。IgAに結合する抗体は、たとえば次のようにしてスクリーニングされ得る;
(1)ハイブリドーマから得られたcDNAによってコードされるV領域を含む抗体をIgAに接触させる工程、
(2)IgAと抗体との結合を検出する工程、および
(3)IgAに結合する抗体を選択する工程。

0085

抗体とIgAとの結合を検出する方法は公知である。具体的には、先に述べたELISAなどの手法によって、抗体とIgAとの結合が検出され得る。

0086

結合活性を指標とする抗体のスクリーニング方法として、ファージベクターを利用したパニング法も好適に用いられる。ポリクローナルな抗体発現細胞群より抗体遺伝子を重鎖と軽鎖のサブクラスのライブラリとして取得した場合には、ファージベクターを利用したスクリーニング方法が有利である。重鎖と軽鎖の可変領域をコードする遺伝子は、適当なリンカー配列で連結することによってシングルチェインFv(scFv)を形成することができる。scFvをコードする遺伝子をファージベクターに挿入することにより、scFvを表面に発現するファージが取得され得る。このファージと所望の抗原との接触の後に、抗原に結合したファージを回収することによって、目的の結合活性を有するscFvをコードするDNAが回収され得る。この操作を必要に応じて繰り返すことにより、所望の結合活性を有するscFvが濃縮され得る。

0087

目的とする抗IgA抗体のV領域をコードするcDNAが得られた後に、当該cDNAの両末端に挿入した制限酵素サイトを認識する制限酵素によって該cDNAが消化される。好ましい制限酵素は、抗体遺伝子を構成する塩基配列に出現する頻度が低い塩基配列を認識して消化する。更に1コピー消化断片をベクターに正しい方向で挿入するためには、付着末端を与える制限酵素の挿入が好ましい。上記のように消化された抗IgA抗体のV領域をコードするcDNAを適当な発現ベクターに挿入することによって、抗体発現ベクターが取得され得る。このとき、抗体定常領域C領域)をコードする遺伝子と、前記V領域をコードする遺伝子とがインフレームで融合されれば、キメラ抗体が取得される。ここで、キメラ抗体とは、定常領域と可変領域の由来が異なることをいう。したがって、マウス−ヒトなどの異種キメラ抗体に加え、ヒト−ヒト同種キメラ抗体も、本発明におけるキメラ抗体に含まれる。予め定常領域を有する発現ベクターに、前記V領域遺伝子を挿入することによって、キメラ抗体発現ベクターが構築され得る。具体的には、たとえば、所望の抗体定常領域(C領域)をコードするDNAを保持した発現ベクターの5'側に、前記V領域遺伝子を消化する制限酵素の制限酵素認識配列が適宜配置され得る。同じ組み合わせの制限酵素で消化された両者がインフレームで融合されることによって、キメラ抗体発現ベクターが構築される。

0088

抗IgAモノクローナル抗体を製造するために、抗体遺伝子が発現制御領域による制御の下で発現するように発現ベクターに組み込まれる。抗体を発現するための発現制御領域とは、例えば、エンハンサープロモーターを含む。また、発現した抗体が細胞外に分泌されるように、適切なシグナル配列がアミノ末端に付加され得る。後に記載される実施例ではシグナル配列として、アミノ酸配列MGWSCIILFLVATATGVHS(配列番号:5)を有するペプチドが使用されているが、これ以外にも適したシグナル配列が付加される。発現されたポリペプチドは上記配列のカルボキシル末端部分で切断され、切断されたポリペプチドが成熟ポリペプチドとして細胞外に分泌され得る。次いで、この発現ベクターによって適当な宿主細胞が形質転換されることによって、抗IgA抗体をコードするDNAを発現する組換え細胞が取得され得る。

0089

抗体遺伝子の発現のために、抗体重鎖H鎖)および軽鎖(L鎖)をコードするDNAは、それぞれ別の発現ベクターに組み込まれる。H鎖とL鎖が組み込まれたベクターによって、同じ宿主細胞に同時に形質転換(co-transfect)されることによって、H鎖とL鎖を備えた抗体分子が発現され得る。あるいはH鎖およびL鎖をコードするDNAが単一の発現ベクターに組み込まれることによって宿主細胞が形質転換され得る(国際公開第WO 1994/011523号を参照のこと)。

0090

単離された抗体遺伝子を適当な宿主に導入することによって抗体を作製するための宿主細胞と発現ベクターの多くの組み合わせが公知である。これらの発現系は、いずれも本発明の抗原結合分子を単離するのに応用され得る。真核細胞が宿主細胞として使用される場合、動物細胞、植物細胞、あるいは真菌細胞が適宜使用され得る。具体的には、動物細胞としては、次のような細胞が例示され得る。
(1)哺乳類細胞、:CHO(Chinese hamster ovary cell line)、COS(Monkey kidney cell line)、ミエローマ(Sp2/O、NS0等)、BHK(baby hamster kidney cell line)、HEK293(human embryonic kidney cell line with sheared adenovirus (Ad)5 DNA)、PER.C6 cell (human embryonic retinal cell line transformed with the Adenovirus Type 5 (Ad5) E1A and E1B genes)、Hela、Vero、HEK293(human embryonic kidney cell line with sheared adenovirus (Ad)5 DNA)など(Current Protocols in Protein Science (May, 2001, Unit 5.9, Table 5.9.1))
(2)両生類細胞:アフリカツメガエル卵母細胞など
(3)昆虫細胞:sf9、sf21、Tn5など

0091

あるいは植物細胞としては、ニコティアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)などのニコティアナ(Nicotiana)属由来の細胞による抗体遺伝子の発現系が公知である。植物細胞の形質転換には、カルス培養した細胞が適宜利用され得る。

0092

更に真菌細胞としては、次のような細胞を利用することができる。
酵母サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces serevisiae)などのサッカロミセス(Saccharomyces )属、メタノール資化酵母(Pichia pastoris)などのPichia属
糸状菌アススギルス・ニガー(Aspergillus niger)などのアスペルギルス(Aspergillus )属

0093

また、原核細胞を利用した抗体遺伝子の発現系も公知である。たとえば、細菌細胞を用いる場合、大腸菌(E. coli )、枯草菌などの細菌細胞が適宜利用され得る。これらの細胞中に、目的とする抗体遺伝子を含む発現ベクターが形質転換によって導入される。形質転換された細胞をin vitroで培養することにより、当該形質転換細胞培養物から所望の抗体が取得され得る。

0094

組換え抗体の産生には、上記宿主細胞に加えて、トランスジェニック動物も利用され得る。すなわち所望の抗体をコードする遺伝子が導入された動物から、当該抗体を得ることができる。例えば、抗体遺伝子は、乳汁中に固有に産生されるタンパク質をコードする遺伝子の内部にインフレームで挿入することによって融合遺伝子として構築され得る。乳汁中に分泌されるタンパク質として、たとえば、ヤギβカゼインなどを利用され得る。抗体遺伝子が挿入された融合遺伝子を含むDNA断片はヤギの注入され、当該注入された胚が雌のヤギへ導入される。胚を受容したヤギから生まれるトランスジェニックヤギ(またはその子孫)が産生する乳汁からは、所望の抗体が乳汁タンパク質との融合タンパク質として取得され得る。また、トランスジェニックヤギから産生される所望の抗体を含む乳汁量を増加させるために、ホルモンがトランスジェニックヤギに対して投与され得る(Bio/Technology (1994), 12 (7), 699-702)。

0095

本明細書において記載される抗原結合分子がヒトに投与される場合、当該抗原結合分子における抗原結合ドメインとして、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体由来の抗原結合ドメインが適宜採用され得る。遺伝子組換え型抗体には、例えば、ヒト化(humanized)抗体等が含まれる。これらの改変抗体は、公知の方法を用いて適宜製造される。

0096

本明細書において記載される抗原結合分子における抗原結合ドメインを作製するために用いられる抗体の可変領域は、通常、4つのフレームワーク領域(FR)にはさまれた3つの相補性決定領域(complementarity-determining region ;CDR)で構成されている。CDRは、実質的に、抗体の結合特異性を決定している領域である。CDRのアミノ酸配列は多様性富む。一方FRを構成するアミノ酸配列は、異なる結合特異性を有する抗体の間でも、高い同一性を示すことが多い。そのため、一般に、CDRの移植によって、ある抗体の結合特異性を、他の抗体に移植することができるとされている。

0097

ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称される。具体的には、ヒト以外の動物、たとえばマウス抗体のCDRをヒト抗体に移植するCDR移植技術(CDR grafting technology)を適用したヒト化抗体などが公知である。ヒト化抗体を得るための一般的な遺伝子組換え手法も知られている。具体的には、マウスの抗体のCDRをヒトのFRに移植するための方法として、たとえばOverlap ExtensionPCRが公知である。Overlap Extension PCRにおいては、ヒト抗体のFRを合成するためのプライマーに、移植すべきマウス抗体のCDRをコードする塩基配列が付加される。プライマーは4つのFRのそれぞれについて用意される。一般に、マウスCDRのヒトFRへの移植においては、マウスのFRと同一性の高いヒトFRを選択するのが、CDRの機能の維持において有利であるとされている。すなわち、一般に、移植すべきマウスCDRに隣接しているFRのアミノ酸配列と同一性の高いアミノ酸配列からなるヒトFRを利用するのが好ましい。

0098

また連結される塩基配列は、互いにインフレームで接続されるようにデザインされる。それぞれのプライマーによってヒトFRが個別に合成される。その結果、各FRにマウスCDRをコードするDNAが付加された産物が得られる。各産物のマウスCDRをコードする塩基配列は、互いにオーバーラップするようにデザインされている。続いて、ヒト抗体遺伝子を鋳型として合成された産物のオーバーラップしたCDR部分を互いにアニールさせて相補鎖合成反応が行われる。この反応によって、ヒトFRがマウスCDRの配列を介して連結される。

0099

最終的に3つのCDRと4つのFRが連結されたV領域遺伝子は、その5'末端と3'末端にアニールし適当な制限酵素認識配列を付加されたプライマーによってその全長が増幅される。上記のように得られたDNAとヒト抗体C領域をコードするDNAとをインフレームで融合するように発現ベクター中に挿入することによって、ヒト型抗体発現用ベクターが作成できる。当該組込みベクターを宿主に導入して組換え細胞を樹立した後に、当該組換え細胞を培養し、当該ヒト化抗体をコードするDNAを発現させることによって、当該ヒト化抗体が当該培養細胞の培養物中に産生される(欧州特許公開EP239400、国際公開第WO1996/002576号参照)。

0100

上記のように作製されたヒト化抗体の抗原への結合活性を定性的又は定量的に測定し、評価することによって、CDRを介して連結されたときに該CDRが良好な抗原結合部位を形成するようなヒト抗体のFRが好適に選択できる。必要に応じ、再構成ヒト抗体のCDRが適切な抗原結合部位を形成するようにFRのアミノ酸残基を置換することもできる。たとえば、マウスCDRのヒトFRへの移植に用いたPCR法を応用して、FRにアミノ酸配列の変異を導入することができる。具体的には、FRにアニーリングするプライマーに部分的な塩基配列の変異を導入することができる。このようなプライマーによって合成されたFRには、塩基配列の変異が導入される。アミノ酸を置換した変異型抗体の抗原への結合活性を上記の方法で測定し評価することによって所望の性質を有する変異FR配列が選択され得る(Cancer Res., (1993) 53, 851-856)。

0101

また、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物(国際公開WO1993/012227、WO1992/003918、WO1994/002602、WO1994/025585、WO1996/034096、WO1996/033735参照)を免疫動物とし、DNA免疫により所望のヒト抗体が取得され得る。

0102

さらに、ヒト抗体ライブラリを用いて、パンニングによりヒト抗体を取得する技術も知られている。例えば、ヒト抗体のV領域が一本鎖抗体(scFv)としてファージディスプレイ法によりファージの表面に発現される。抗原に結合するscFvを発現するファージが選択され得る。選択されたファージの遺伝子を解析することにより、抗原に結合するヒト抗体のV領域をコードするDNA配列が決定できる。抗原に結合するscFvのDNA配列を決定した後、当該V領域配列を所望のヒト抗体C領域の配列とインフレームで融合させた後に適当な発現ベクターに挿入することによって発現ベクターが作製され得る。当該発現ベクターを上記に挙げたような好適な発現細胞中に導入し、該ヒト抗体をコードする遺伝子を発現させることにより当該ヒト抗体が取得される。これらの方法は既に公知である(国際公開WO1992/001047、WO1992/020791、WO1993/006213、WO1993/011236、WO1993/019172、WO1995/001438、WO1995/015388参照)。

0103

また、抗体遺伝子を取得する方法としてBernasconiら(Science (2002) 298, 2199-2202)または国際公開WO2008/081008に記載のようなB細胞クローニング(それぞれの抗体のコード配列の同定およびクローニング、その単離、およびそれぞれの抗体(特に、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)の作製のための発現ベクター構築のための使用等)の手法が、上記のほか適宜使用され得る。

0104

EUナンバリングおよびKabatナンバリング
本発明で使用されている方法によると、抗体のCDRとFRに割り当てられるアミノ酸位置はKabatにしたがって規定される(Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institute of Health, Bethesda, Md., 1987年および1991年)。本明細書において、抗原結合分子が抗体または抗原結合断片である場合、可変領域のアミノ酸はKabatナンバリングにしたがい、定常領域のアミノ酸はKabatのアミノ酸位置に準じたEUナンバリングにしたがって表される。

0105

イオン濃度の条件
金属イオン濃度の条件
本発明の一つの態様では、イオン濃度とは金属イオン濃度のことをいう。「金属イオン」とは、水素を除くアルカリ金属および銅族等の第I族、アルカリ土類金属および亜鉛族等の第II族ホウ素を除く第III族炭素ケイ素を除く第IV族鉄族および白金族等の第VIII族、V、VIおよびVII族の各A亜族に属する元素と、アンチモンビスマスポロニウム等の金属元素イオンをいう。金属原子原子価電子を放出して陽イオンになる性質を有しており、これをイオン化傾向という。イオン化傾向の大きい金属は、化学的に活性に富むとされる。

0106

本発明で好適な金属イオンの例としてカルシウムイオンが挙げられる。カルシウムイオンは多くの生命現象の調節に関与しており、骨格筋平滑筋および心筋等の筋肉収縮白血球運動および貪食等の活性化、血小板の変形および分泌等の活性化、リンパ球の活性化、ヒスタミンの分泌等の肥満細胞の活性化、カテコールアミンα受容体アセチルコリン受容体を介する細胞の応答エキソサイトーシスニューロン終末からの伝達物質の放出、ニューロンの軸策流等にカルシウムイオンが関与している。細胞内のカルシウムイオン受容体として、複数個のカルシウムイオン結合部位を有し、分子進化上共通の起源から由来したと考えられるトロポニンC、カルモジュリンパルブアルブミンミオシン軽鎖等が知られており、その結合モチーフも数多く知られている。例えば 、カドヘリンドメイン、カルモジュリンに含まれるEFハンド、Protein kinase Cに含まれるC2ドメイン、血液凝固タンパク質FactorIXに含まれるGlaドメイン、アシアログライプロテインレセプターやマンノース結合レセプターに含まれるC型レクチンLDL受容体に含まれるAドメイン、アネキシントロンボスポンジン3型ドメインおよびEGF様ドメインがよく知られている。

0107

本発明においては、金属イオンがカルシウムイオンの場合には、カルシウムイオン濃度の条件として低カルシウムイオン濃度の条件と高カルシウムイオン濃度の条件が挙げられる。カルシウムイオン濃度の条件によって結合活性が変化するとは、低カルシウムイオン濃度と高カルシウムイオン濃度の条件の違いによって抗原に対する抗原結合分子の結合活性が変化することをいう。例えば、低カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する抗原結合分子の結合活性よりも高カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する抗原結合分子の結合活性の方が高い場合が挙げられる。また、高カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する抗原結合分子の結合活性よりも低カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する抗原結合分子の結合活性の方が高い場合もまた挙げられる。

0108

本明細書において、高カルシウムイオン濃度とはとくに一義的な数値に限定されるわけではないが、好適には100μMから10 mMの間から選択される濃度であり得る。また、別の態様では、200μMから5 mMの間から選択される濃度でもあり得る。また、異なる態様では400μMから3 mMの間から選択される濃度でもあり得るし、ほかの態様では200μMから2 mMの間から選択される濃度でもあり得る。さらに400μMから1 mMの間から選択される濃度でもあり得る。特に生体内の血漿中(血中)でのカルシウムイオン濃度に近い500μMから2.5 mMの間から選択される濃度が好適に挙げられる。

0109

本明細書において、低カルシウムイオン濃度とはとくに一義的な数値に限定されるわけではないが、好適には0.1μMから30μMの間から選択される濃度であり得る。また、別の態様では、0.2μMから20μMの間から選択される濃度でもあり得る。また、異なる態様では0.5μMから10μMの間から選択される濃度でもあり得るし、ほかの態様では1μMから5μMの間から選択される濃度でもあり得る。さらに2μMから4μMの間から選択される濃度でもあり得る。特に生体内の早期エンドソーム内でのイオン化カルシウム濃度に近い1μMから5μMの間から選択される濃度が好適に挙げられる。

0110

本発明において、低カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性が高カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性より低いとは、抗原結合分子の0.1μMから30μMの間から選択されるカルシウムイオン濃度での抗原に対する結合活性が、100μMから10 mMの間から選択されるカルシウムイオン濃度での抗原に対する結合活性より弱いことを意味する。好ましくは、抗原結合分子の0.5μMから10μMの間から選択されるカルシウムイオン濃度での抗原に対する結合活性が、200μMから5 mMの間から選択されるカルシウムイオン濃度での抗原に対する結合活性より弱いことを意味し、特に好ましくは、生体内の早期エンドソーム内のカルシウムイオン濃度における抗原結合活性が、生体内の血漿中のカルシウムイオン濃度における抗原結合活性より弱いことを意味し、具体的には、抗原結合分子の1μMから5μMの間から選択されるカルシウムイオン濃度での抗原に対する結合活性が、500μMから2.5 mMの間から選択されるカルシウムイオン濃度での抗原に対する結合活性より弱いことを意味する。

0111

金属イオン濃度の条件によって抗原に対する抗原結合分子の結合活性が変化しているか否かは、例えば前記の結合活性の項で記載されたような公知の測定方法を使用することによって決定され得る。例えば、低カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する抗原結合分子の結合活性よりも高カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する抗原結合分子の結合活性の方が高く変化することを確認するためには、低カルシウムイオン濃度および高カルシウムイオン濃度の条件下における抗原に対する抗原結合分子の結合活性が比較される。

0112

さらに本発明において、「低カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性が高カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性より低い」という表現は、抗原結合分子の高カルシウムイオン濃度条件下における抗原に対する結合活性が低カルシウムイオン濃度条件下における抗原に対する結合活性よりも高いと表現することもできる。なお本発明においては、「低カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性が高カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性より低い」を「低カルシウムイオン濃度条件下における抗原結合能が高カルシウムイオン濃度条件下における抗原に対する結合能よりも弱い」と記載する場合もあり、また、「低カルシウムイオン濃度の条件における抗原結合活性を高カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性より低下させる」を「低カルシウムイオン濃度条件下における抗原結合能を高カルシウムイオン濃度条件下における抗原に対する結合能よりも弱くする」と記載する場合もある。

0113

抗原への結合活性を測定する際のカルシウムイオン濃度以外の条件は、当業者が適宜選択することが可能であり、特に限定されない。例えば、HEPESバッファー、37℃の条件において測定することが可能である。例えば、Biacore(GE Healthcare)などを用いて測定することが可能である。抗原結合分子と抗原との結合活性の測定は、抗原が可溶型抗原である場合は、抗原結合分子を固定化したチップへ、抗原をアナライトとして流すことで可溶型抗原への結合活性を評価することが可能であり、抗原が膜型抗原である場合は、抗原を固定化したチップへ、抗原結合分子をアナライトとして流すことで膜型抗原への結合活性を評価することが可能である。

0114

本発明の抗原結合分子において、低カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性が高カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性よりも弱い限り、低カルシウムイオン濃度条件下における抗原に対する結合活性と高カルシウムイオン濃度条件下における抗原に対する結合活性の比は特に限定されないが、好ましくは抗原に対する低カルシウムイオン濃度の条件におけるKD(Dissociation constant:解離定数)と高カルシウムイオン濃度の条件におけるKDの比であるKD (Ca 3μM)/KD (Ca 2 mM)の値が2以上であり、さらに好ましくはKD (Ca 3μM)/KD (Ca 2 mM)の値が10以上であり、さらに好ましくはKD (Ca 3μM)/KD (Ca 2 mM)の値が40以上である。KD (Ca 3μM)/KD (Ca 2 mM)の値の上限は特に限定されず、当業者の技術において作製可能な限り、400、1000、10000等、いかなる値でもよい。

0115

抗原に対する結合活性の値として、抗原が可溶型抗原の場合はKD(解離定数)を用いることが可能であるが、抗原が膜型抗原の場合は見かけのKD(Apparent dissociation constant:見かけの解離定数)を用いることが可能である。KD(解離定数)、および、見かけのKD(見かけの解離定数)は、当業者公知の方法で測定することが可能であり、例えばBiacore(GE healthcare)、スキャッチャードプロット、フローサイトメーター等を用いることが可能である。

0116

また、本発明の抗原結合分子の低カルシウム濃度の条件における抗原に対する結合活性と高カルシウム濃度の条件における抗原に対する結合活性の比を示す他の指標として、例えば、解離速度定数であるkd(Dissociation rate constant:解離速度定数)もまた好適に用いられ得る。結合活性の比を示す指標としてKD(解離定数)の代わりにkd(解離速度定数)を用いる場合、抗原に対する低カルシウム濃度の条件におけるkd(解離速度定数)と高カルシウム濃度の条件におけるkd(解離速度定数)の比であるkd(低カルシウム濃度の条件)/kd(高カルシウム濃度の条件)の値は、好ましくは2以上であり、さらに好ましくは5以上であり、さらに好ましくは10以上であり、より好ましくは30以上である。Kd(低カルシウム濃度の条件)/kd(高カルシウム濃度の条件)の値の上限は特に限定されず、当業者の技術常識において作製可能な限り、50、100、200等、いかなる値でもよい。

0117

抗原結合活性の値として、抗原が可溶型抗原の場合はkd(解離速度定数)を用いることが可能であり、抗原が膜型抗原の場合は見かけのkd(Apparent dissociation rate constant:見かけの解離速度定数)を用いることが可能である。kd(解離速度定数)、および、見かけのkd(見かけの解離速度定数)は、当業者公知の方法で測定することが可能であり、例えばBiacore(GE healthcare)、フローサイトメーター等を用いることが可能である。なお本発明において、異なるカルシウムイオン濃度における抗原結合分子の抗原に対する結合活性を測定する際は、カルシウム濃度以外の条件は同一とすることが好ましい。

0118

例えば、本発明が提供する一つの態様である低カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性が、高カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性より低い抗原結合ドメインまたは抗原結合分子は、以下の工程(a)〜(c)を含む抗原結合ドメインまたは抗体のスクリーニングによって取得され得る。
(a) 低カルシウム濃度の条件における抗原結合ドメインまたは抗原結合分子の抗原結合活性を得る工程、
(b) 高カルシウム濃度の条件における抗原結合ドメインまたは抗原結合分子の抗原結合活性を得る工程、
(c) 低カルシウム濃度の条件における抗原結合活性が、高カルシウム濃度の条件における抗原結合活性より低い抗原結合ドメインまたは抗原結合分子を選択する工程。

0119

さらに、本発明が提供する一つの態様である低カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性が、高カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性より低い抗原結合ドメインまたは抗原結合分子は、以下の工程(a)〜(c)を含む抗原結合ドメインまたは抗原結合分子もしくはそれらのライブラリのスクリーニングによって取得され得る。
(a) 高カルシウム濃度の条件における抗原結合ドメインまたは抗原結合分子もしくはそれらのライブラリを抗原に接触させる工程、
(b) 前記工程(a)で抗原に結合した抗原結合ドメインまたは抗原結合分子を低カルシウム濃度条件下に置く工程、
(c) 前記工程(b)で解離した抗原結合ドメインまたは抗原結合分子を単離する工程。

0120

また、本発明が提供する一つの態様である低カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性が、高カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性より低い抗原結合ドメインまたは抗原結合分子は、以下の工程(a)〜(d)を含む抗原結合ドメインまたは抗原結合分子若しくはそれらのライブラリのスクリーニングによって取得され得る。
(a) 低カルシウム濃度条件下で抗原結合ドメイン又は抗原結合分子のライブラリを抗原に接触させる工程、
(b) 前記工程(a)で抗原に結合しない抗原結合ドメイン又は抗原結合分子を選択する工程、
(c) 前記工程(b)で選択された抗原結合ドメイン又は抗原結合分子を高カルシウム濃度条件下で抗原に結合させる工程、
(d) 前記工程(c)で抗原に結合した抗原結合ドメイン又は抗原結合分子を単離する工程。

0121

さらに、本発明が提供する一つの態様である低カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性が、高カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性より低い抗原結合ドメインまたは抗原結合分子は、以下の工程(a)〜(c)を含むスクリーニング方法によって取得され得る。
(a) 抗原を固定したカラムに高カルシウム濃度条件下で抗原結合ドメイン又は抗原結合分子のライブラリを接触させる工程、
(b) 前記工程(a)でカラムに結合した抗原結合ドメイン又は抗原結合分子を低カルシウム濃度条件下でカラムから溶出する工程、
(c) 前記工程(b)で溶出された抗原結合ドメイン又は抗原結合分子を単離する工程。

0122

さらに、本発明が提供する一つの態様である低カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性が、高カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性より低い抗原結合ドメインまたは抗原結合分子は、以下の工程(a)〜(d)を含むスクリーニング方法によって取得され得る。
(a) 抗原を固定したカラムに低カルシウム濃度条件下で抗原結合ドメイン又は抗原結合分子のライブラリを通過させる工程、
(b) 前記工程(a)でカラムに結合せずに溶出した抗原結合ドメイン又は抗原結合分子を回収する工程、
(c) 前記工程(b)で回収された抗原結合ドメイン又は抗原結合分子を高カルシウム濃度条件下で抗原に結合させる工程、
(d) 前記工程(c)で抗原に結合した抗原結合ドメイン又は抗原結合分子を単離する工程。

0123

さらに、本発明が提供する一つの態様である低カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性が、高カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性より低い抗原結合ドメインまたは抗原結合分子は、以下の工程(a)〜(d)を含むスクリーニング方法によって取得され得る。
(a) 高カルシウム濃度条件下で抗原結合ドメイン又は抗原結合分子のライブラリを抗原に接触させる工程、
(b) 前記工程(a)で抗原に結合した抗原結合ドメイン又は抗原結合分子を取得する工程、
(c) 前記工程(b)で取得した抗原結合ドメイン又は抗原結合分子を低カルシウム濃度条件下に置く工程、
(d) 前記工程(c)で抗原結合活性が、前記工程(b)で選択した基準より弱い抗原結合ドメイン又は抗原結合分子を単離する工程。

0124

なお、前記の工程は2回以上繰り返されてもよい。従って、本発明によって、上述のスクリーニング方法において、(a)〜(c)あるいは(a)〜(d)の工程を2回以上繰り返す工程をさらに含むスクリーニング方法によって取得された低カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性が高カルシウムイオン濃度の条件における抗原に対する結合活性より低い抗原結合ドメインまたは抗原結合分子が提供される。(a)〜(c)あるいは(a)〜(d)の工程が繰り返される回数は特に限定されないが、通常10回以内である。

0125

本発明のスクリーニング方法において、低カルシウム濃度条件下における抗原結合ドメイン又は抗原結合分子の抗原結合活性は、イオン化カルシウム濃度が0.1μM〜30μMの間の抗原結合活性であれば特に限定されないが、好ましいイオン化カルシウム濃度として、0.5μM〜10μMの間の抗原結合活性を挙げることができる。より好ましいイオン化カルシウム濃度として、生体内の早期エンドソーム内のイオン化カルシウム濃度が挙げられ、具体的には1μM〜5μMにおける抗原結合活性を挙げることができる。また、高カルシウム濃度条件下における抗原結合ドメイン又は抗原結合分子の抗原結合活性は、イオン化カルシウム濃度が100μM〜10 mMの間の抗原結合活性であれば特に限定されないが、好ましいイオン化カルシウム濃度として200μM〜5 mMの間の抗原結合活性を挙げることができる。より好ましいイオン化カルシウム濃度として、生体内の血漿中でのイオン化カルシウム濃度を挙げることができ、具体的には0.5 mM〜2.5 mMにおける抗原結合活性を挙げることができる。

0126

抗原結合ドメイン又は抗原結合分子の抗原結合活性は当業者に公知の方法により測定することが可能であり、イオン化カルシウム濃度以外の条件については当業者が適宜決定することが可能である。抗原結合ドメイン又は抗原結合分子の抗原結合活性は、KD(Dissociation constant:解離定数)、見かけのKD(Apparent dissociation constant:見かけの解離定数)、解離速度であるkd(Dissociation rate:解離速度定数)、又は見かけのkd(Apparent dissociation:見かけの解離速度定数)等として評価することが可能である。これらは当業者公知の方法で測定することが可能であり、例えばBiacore(GE healthcare)、スキャッチャードプロット、FACS等を用いることが可能である。

0127

本発明において、高カルシウム濃度条件下における抗原結合活性が低カルシウム濃度条件下における抗原結合活性より高い抗原結合ドメイン又は抗原結合分子を選択する工程は、低カルシウム濃度条件下における抗原結合活性が高カルシウム濃度条件下における抗原結合活性より低い抗原結合ドメイン又は抗原結合分子を選択する工程と同じ意味である。

0128

高カルシウム濃度条件下における抗原結合活性が低カルシウム濃度条件下における抗原結合活性より高い限り、高カルシウム濃度条件下における抗原結合活性と低カルシウム濃度条件下における抗原結合活性の差は特に限定されないが、好ましくは高カルシウム濃度条件下における抗原結合活性が低カルシウム濃度条件下における抗原結合活性の2倍以上であり、さらに好ましくは10倍以上であり、より好ましくは40倍以上である。

0129

前記のスクリーニング方法によりスクリーニングされる本発明の抗原結合ドメイン又は抗原結合分子はいかなる抗原結合ドメイン又は抗原結合分子でもよく、例えば上述の抗原結合ドメイン又は抗原結合分子をスクリーニングすることが可能である。例えば、天然の配列を有する抗原結合ドメイン又は抗原結合分子をスクリーニングしてもよいし、アミノ酸配列が置換された抗原結合ドメイン又は抗原結合分子をスクリーニングしてもよい。

0130

ライブラリ
ある一態様によれば、本発明の抗原結合ドメイン又は抗原結合分子は、イオン濃度の条件によって抗原に対する抗原結合分子の結合活性を変化させる少なくとも一つのアミノ酸残基が抗原結合ドメインに含まれている互いに配列の異なる複数の抗原結合分子から主としてなるライブラリから取得され得る。イオン濃度の例としては金属イオン濃度や水素イオン濃度が好適に挙げられる。

0131

本明細書において「ライブラリ」とは複数の抗原結合分子または抗原結合分子を含む複数の融合ポリペプチド、もしくはこれらの配列をコードする核酸ポリヌクレオチドをいう。ライブラリ中に含まれる複数の抗原結合分子または抗原結合分子を含む複数の融合ポリペプチドの配列は単一の配列ではなく、互いに配列の異なる抗原結合分子または抗原結合分子を含む融合ポリペプチドである。

0132

本明細書においては、互いに配列の異なる複数の抗原結合分子という記載における「互いに配列の異なる」との用語は、ライブラリ中の個々の抗原結合分子の配列が相互に異なることを意味する。すなわち、ライブラリ中における互いに異なる配列の数は、ライブラリ中の配列の異なる独立クローンの数が反映され、「ライブラリサイズ」と指称される場合もある。通常のファージディスプレイライブラリでは106から1012であり、リボゾームディスプレイ法等の公知の技術を適用することによってライブラリサイズを1014まで拡大することが可能である。しかしながら、ファージライブラリのパンニング選択時に使用されるファージ粒子の実際の数は、通常、ライブラリサイズよりも10ないし10,000倍大きい。この過剰倍数は、「ライブラリ当量数」とも呼ばれるが、同じアミノ酸配列を有する個々のクローンが10ないし10,000存在し得ることを表す。よって本発明における「互いに配列の異なる」との用語はライブラリ当量数が除外されたライブラリ中の個々の抗原結合分子の配列が相互に異なること、より具体的には互いに配列の異なる抗原結合分子が106から1014分子、好ましくは107から1012分子、さらに好ましくは108から1011、特に好ましくは108から1010存在することを意味する。

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