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課題
解決手段
概要
背景
固体撮像装置は、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、撮像機能を有する携帯端末装置などの電子機器に用いられている。固体撮像装置としては、光電変換素子であるフォトダイオードに蓄積された電荷を、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタを介して読み出すCMOS(complementary MOS)イメージセンサがある(例えば、特許文献1参照)。
グローバルシャッター機能を有するCMOSイメージセンサでは、各画素内に電荷蓄積部が設けられている。電荷蓄積部には前フレームの信号が保持されているので、電荷蓄積部に次フレームの信号が入らないように電荷蓄積部を遮光する構造が必要となる。しかし、そのような構造が設けられているだけでは、電荷蓄積部への光の漏れ込みを十分に防ぐことが難しい。そこで、その対策として、例えば、特許文献1,2に記載の方法が考えられる。
概要
解像度の減少や変換効率の低下を抑えつつ、電荷蓄積部への斜入射による光の漏れ込みの影響を正確に除くことの可能な固体撮像装置およびそれを備えた電子機器を提供する。本開示の一実施の形態に係る固体撮像装置は、受光面と、受光面と対向配置された複数の画素とを備えている。各画素は、受光面を介して入射した光を光電変換する光電変換部と、光電変換部から転送された電荷を保持する第1電荷保持部と、全体または一部が平面レイアウト上で第1電荷保持部と重なり合う位置に配置され、第1電荷保持部とは非導通に形成された第2電荷保持部とを有している。各画素は、さらに、第1電荷保持部に保持された電荷をフローティングディフュージョンに転送する第1転送トランジスタと、第2電荷保持部に保持された電荷を前記フローティングディフュージョンに転送する第2転送トランジスタとを有している。
目的
従って、解像度の減少や変換効率の低下を抑えつつ、電荷蓄積部への斜入射による光の漏れ込みの影響を正確に除くことの可能な固体撮像装置およびそれを備えた電子機器を提供する
効果
実績
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請求項1
受光面と、前記受光面と対向配置された複数の画素とを備え、各前記画素は、前記受光面を介して入射した光を光電変換する光電変換部と、前記光電変換部から転送された電荷を保持する第1電荷保持部と、全体または一部が平面レイアウト上で前記第1電荷保持部と重なり合う位置に配置され、前記第1電荷保持部とは非導通に形成された第2電荷保持部と、前記第1電荷保持部に保持された電荷をフローティングディフュージョンに転送する第1転送トランジスタと、前記第2電荷保持部に保持された電荷を前記フローティングディフュージョンに転送する第2転送トランジスタとを有する固体撮像装置。
請求項2
前記第1電荷保持部、前記第2電荷保持部および前記フローティングディフュージョンは、ともに、共通の導電型の不純物半導体領域によって構成されており、前記第1電荷保持部および前記第2電荷保持部の不純物濃度は、前記フローティングディフュージョンの不純物濃度よりも低くなっている請求項1に記載の固体撮像装置。
請求項3
前記第2転送トランジスタは、前記第2電荷保持部にまで達する垂直ゲートを有する請求項2に記載の固体撮像装置。
請求項4
前記第2転送トランジスタは、前記第2電荷保持部にまで達する、前記第2電荷保持部の不純物濃度よりも高い濃度の不純物半導体領域によって、前記第2電荷保持部と電気的に接続されている請求項2に記載の固体撮像装置。
請求項5
各前記画素は、前記光電変換部に蓄積されている電荷を前記第1電荷保持部に転送する第3転送トランジスタを更に有し、前記光電変換部は、平面レイアウト上で前記第1電荷保持部および前記第2電荷保持部に隣接する位置に配置され、前記受光面は、前記光電変換部との位置関係で前記第3転送トランジスタ側の位置に形成されている請求項1に記載の固体撮像装置。
請求項6
各前記画素は、前記受光面の周囲であって、かつ少なくとも前記第1電荷保持部と対向する位置に配置された遮光層を有する請求項5に記載の固体撮像装置。
請求項7
各前記画素は、前記光電変換部に蓄積されている電荷を前記第1電荷保持部に転送する第3転送トランジスタを更に有し、前記光電変換部は、一部が平面レイアウト上で前記第1電荷保持部および前記第2電荷保持部と重なり合う位置に配置され、前記受光面は、前記光電変換部との位置関係で前記第3転送トランジスタとは反対側の位置に形成されている請求項1に記載の固体撮像装置。
請求項8
各前記画素は、前記光電変換部と前記第2電荷保持部との間に遮光層を有する請求項7に記載の固体撮像装置。
請求項9
入射光に応じた画像データを出力する固体撮像装置と、前記画像データを処理する信号処理回路とを備え、前記固体撮像装置は、受光面と、前記受光面と対向配置された複数の画素とを有し、各前記画素は、前記受光面を介して入射した光を光電変換する光電変換部と、前記光電変換部から転送された電荷を保持する第1電荷保持部と、全体または一部が平面レイアウト上で前記第1電荷保持部と重なり合う位置に配置され、前記第1電荷保持部とは非導通に形成された第2電荷保持部と、前記第1電荷保持部に保持された電荷をフローティングディフュージョンに転送する第1転送トランジスタと、前記第2電荷保持部に保持された電荷を前記フローティングディフュージョンに転送する第2転送トランジスタとを有し、前記信号処理回路は、前記第1電荷保持部に保持された電荷に基づいて生成された第1画像データと、前記第2電荷保持部に保持された電荷に基づいて生成された第2画像データとに基づいて、前記第1画像データに含まれるノイズを低減する電子機器。
請求項10
前記信号処理回路は、前記第1画像データから、前記第2画像データに対して所定の補正係数をかけることにより得られた第3画像データを差し引くことにより、前記第1画像データに含まれるノイズを低減する請求項9に記載の電子機器。
技術分野
背景技術
0002
固体撮像装置は、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、撮像機能を有する携帯端末装置などの電子機器に用いられている。固体撮像装置としては、光電変換素子であるフォトダイオードに蓄積された電荷を、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタを介して読み出すCMOS(complementary MOS)イメージセンサがある(例えば、特許文献1参照)。
0003
グローバルシャッター機能を有するCMOSイメージセンサでは、各画素内に電荷蓄積部が設けられている。電荷蓄積部には前フレームの信号が保持されているので、電荷蓄積部に次フレームの信号が入らないように電荷蓄積部を遮光する構造が必要となる。しかし、そのような構造が設けられているだけでは、電荷蓄積部への光の漏れ込みを十分に防ぐことが難しい。そこで、その対策として、例えば、特許文献1,2に記載の方法が考えられる。
先行技術
0004
特開2013−150232号公報
特開2012−175259号公報
発明が解決しようとする課題
0005
しかし、特許文献1に記載の方法では、解像度が大きく減少してしまうという問題がある。また、特許文献2に記載の方法では、電荷蓄積部への斜入射による光の漏れ込みの影響を正確に除くことが難しく、しかも、変換効率が低いという問題がある。従って、解像度の減少や変換効率の低下を抑えつつ、電荷蓄積部への斜入射による光の漏れ込みの影響を正確に除くことの可能な固体撮像装置およびそれを備えた電子機器を提供することが望ましい。
課題を解決するための手段
0006
本開示の一実施の形態に係る固体撮像装置は、受光面と、受光面と対向配置された複数の画素とを備えている。各画素は、受光面を介して入射した光を光電変換する光電変換部と、光電変換部から転送された電荷を保持する第1電荷保持部と、全体または一部が平面レイアウト上で第1電荷保持部と重なり合う位置に配置され、第1電荷保持部とは非導通に形成された第2電荷保持部とを有している。各画素は、さらに、第1電荷保持部に保持された電荷をフローティングディフュージョンに転送する第1転送トランジスタと、第2電荷保持部に保持された電荷を前記フローティングディフュージョンに転送する第2転送トランジスタとを有している。
0007
本開示の一実施の形態に係る電子機器は、入射光に応じた画像データを出力する固体撮像装置と、画像データを処理する信号処理回路とを備えている。電子機器に設けられた固体撮像装置は、上記の固体撮像装置と同一の構成を有している。
0008
本開示の一実施の形態に係る固体撮像装置および電子機器では、光電変換部から転送された電荷を保持する第1電荷保持部と、第1電荷保持部とは非導通に形成された第2電荷保持部とが設けられている。これにより、第1電荷保持部から読み出した信号電荷と、第2電荷保持部から読み出したノイズ電荷とに基づいて、信号電荷に含まれるPLS(Parastic Light Sensitibity)成分を低減することが可能となる。また、本開示の一実施の形態に係る固体撮像装置および電子機器では、第2電荷保持部の全体または一部が平面レイアウト上で第1電荷保持部と重なり合う位置に配置されている。これにより、第1電荷保持部および第2電荷保持部を平面レイアウト上で並列に配置した場合と比べて、斜入射によるPLS成分を正確に見積もることが可能となる。また、本開示の一実施の形態に係る固体撮像装置および電子機器では、第1電荷保持部からの電荷の読み出しに第1転送トランジスタが用いられ、第2電荷保持部からの電荷の読み出しに第2転送トランジスタが用いられる。これにより、第1電荷保持部からの電荷の読み出しの際にスイッチ素子を常時オンさせている場合と比べて、高い変換効率が得られる。
図面の簡単な説明
0009
本開示の一実施の形態に係る固体撮像装置の概略構成の一例を表す図である。
図1のセンサ画素および読み出し回路の回路構成の一例を表す図である。
図1のセンサ画素の平面構成の一例を表す図である。
図3のA−A線における断面構成の一例を表す図である。
図4のセンサ画素を備えた固体撮像装置における撮像時のタイミングチャート一例を表す図である。
図4のセンサ画素を備えた固体撮像装置における撮像時のタイミングチャート一変形例を表す図である。
図1のセンサ画素の平面構成の一変形例を表す図である。
図7のA−A線における断面構成の一例を表す図である。
図7のA−A線における断面構成の一変形例を表す図である。
図3のA−A線における断面構成の一変形例を表す図である。
上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像装置を備えた電子機器の概略構成の一例を表す図である。
図11の電子機器における撮像手順の一例を表す図である。
各画素における補正係数の一例を表す図である。
各画素における補正係数の一例を表す図である。
車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
実施例
0010
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(固体撮像装置)…図1〜図6
2.変形例(固体撮像装置)…図7〜図10
3.適用例(電子機器)…図11〜図14
4.応用例…図15、図16
0011
<1.実施の形態>
[構成]
本開示の一実施の形態に係る固体撮像装置1について説明する。固体撮像装置1は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等からなる上面照射型のイメージセンサである。固体撮像装置1は、被写体からの光を受光して光電変換し、画像信号を生成することで画像を撮像する。固体撮像装置1は、入射光に応じた画素信号を出力する。
0012
上面照射型のイメージセンサとは、被写体からの光が入射する受光面と、半導体基板の裏面との間に、被写体からの光を受光し、電気信号に変換するフォトダイオード等の光電変換部が設けられている構成のイメージセンサである。なお、本開示は、CMOSイメージセンサへの適用に限られるものではない。
0013
図1は、本開示の一実施の形態に係る固体撮像装置1の概略構成の一例を表す。固体撮像装置1は、画素アレイ部10と、ロジック回路20とを備えている。画素アレイ部10は、複数のセンサ画素11と、複数の読み出し回路12(後述)とを有している。センサ画素11は、本開示の「画素」の一具体例に相当する。各センサ画素11は、光電変換を行って受光量に応じた電荷を出力する。複数のセンサ画素11は、受光面10A(後述)と対向配置されており、画素アレイ部10において、行列状に配置されている。各読み出し回路12は、センサ画素11から出力された電荷に基づく画素信号もしくはノイズ信号(後述)を出力する。複数の読み出し回路12は、例えば、画素アレイ部10において、1つのセンサ画素11ごとに1つずつ設けられている。なお、複数の読み出し回路12は、画素アレイ部10において、複数のセンサ画素11ごとに1つずつ設けられていてもよい。
0014
画素アレイ部10は、複数の画素駆動線HSLと、複数のデータ出力線VSLとを有している。画素駆動線HSLは、センサ画素11に蓄積された電荷の出力を制御する制御信号が印加される配線であり、例えば、行方向に延在している。データ出力線VSLは、各読み出し回路12から出力された画素信号もしくはノイズ信号をロジック回路20に出力する配線であり、例えば、列方向に延在している。
0015
ロジック回路20は、例えば、垂直駆動回路21、カラム信号処理回路22、水平駆動回路23およびシステム制御回路24を有している。ロジック回路20(具体的には水平駆動回路23)は、センサ画素11ごとの出力電圧を外部機器に出力することにより、外部機器に画像データを提供する。
0016
垂直駆動回路21は、例えば、複数のセンサ画素11を所定の単位画素行ごとに順に選択する。「所定の単位画素行」とは、同一アドレスで画素選択可能な画素行を指している。例えば、1つの読み出し回路12に1つのセンサ画素11が割り当てられている場合、「所定の単位画素行」は、1画素行を指している。また、例えば、複数のセンサ画素11が1つの読み出し回路12を共有する場合、読み出し回路12を共有する複数のセンサ画素11のレイアウトが2画素行×n画素列(nは1以上の整数)となっているときには、「所定の単位画素行」は、2画素行を指している。同様に、読み出し回路12を共有する複数のセンサ画素11のレイアウトが4画素行×n画素列(nは1以上の整数)となっているときには、「所定の単位画素行」は、4画素行を指している。垂直駆動回路21は、画素駆動線HSLを介して、各センサ画素11内のトランジスタ(例えば、転送トランジスタTRX,TRG,DMGおよび排出トランジスタOFG)を制御し、さらに、各読み出し回路12内のトランジスタ(例えば、リセットトランジスタRSTおよび選択トランジスタSEL)を制御する。
0017
カラム信号処理回路22は、例えば、垂直駆動回路21によって選択された行の各センサ画素11から出力される画素信号もしくはノイズ信号に対して、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling:CDS)処理を施す。カラム信号処理回路22は、例えば、CDS処理を施すことにより、画素信号もしくはノイズ信号の信号レベルを抽出し、各センサ画素11の受光量に応じた画素データ、もしくはPLSに応じたノイズ画素データを保持する。カラム信号処理回路22は、例えば、データ出力線VSLごとにカラム信号処理部を有している。カラム信号処理部は、例えば、シングルスロープA/D変換器を含んでいる。シングルスロープA/D変換器は、例えば、比較器およびカウンタ回路を含んで構成されている。水平駆動回路23は、例えば、カラム信号処理回路22に保持されている画素データもしくはノイズ画素データを順次、外部に出力する。システム制御回路24は、例えば、ロジック回路20内の各ブロック(垂直駆動回路21、カラム信号処理回路22および水平駆動回路23)の駆動を制御する。
0018
図2は、センサ画素11および読み出し回路12の回路構成の一例を表す。図2には、1つの読み出し回路12に1つのセンサ画素11が割り当てられている場合が例示されている。各センサ画素11は、互いに共通の構成要素を有している。各センサ画素11は、例えば、フォトダイオードPDと、転送トランジスタTRX,TRG,DMGと、電荷保持部MEM,DMと、フローティングディフュージョンFDと、排出トランジスタOFGと、排出フローティングディフュージョンOFDとを有している。転送トランジスタTRX,TRG,DMGおよび排出トランジスタOFGは、例えば、NMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。
0019
フォトダイオードPDは、本開示の「光電変換部」の一具体例に相当する。電荷保持部MEMは、本開示の「第1電荷保持部」の一具体例に相当する。電荷保持部DMは、本開示の「第2電荷保持部」の一具体例に相当する。転送トランジスタTRGは、本開示の「第1転送トランジスタ」の一具体例に相当する。転送トランジスタDMGは、本開示の「第2転送トランジスタ」の一具体例に相当する。転送トランジスタTRXは、本開示の「第3転送トランジスタ」の一具体例に相当する。
0020
フォトダイオードPDは、受光面10A(後述)を介して入射した光を光電変換する。フォトダイオードPDは、光電変換を行って受光量に応じた電荷を発生する。フォトダイオードPDは、例えば、PN接合型の光電変換素子である。フォトダイオードPDのカソードが転送トランジスタTRXのソースに電気的に接続されており、フォトダイオードPDのアノードが基準電位線(例えばグラウンドGND)に電気的に接続されている。
0021
転送トランジスタTRXは、フォトダイオードPDと転送トランジスタTRGとの間に接続されており、転送トランジスタTRXのゲートに印加される制御信号に応じて、電荷保持部MEMのポテンシャルを制御する。例えば、転送トランジスタTRXがオンしたとき、電荷保持部MEMのポテンシャルが深くなる。また、例えば、転送トランジスタTRXがオフしたとき、電荷保持部MEMのポテンシャルが浅くなる。転送トランジスタTRXがオンすると、フォトダイオードPDに蓄積されている電荷が、転送トランジスタTRXを介して、電荷保持部MEMに転送される。転送トランジスタTRXのドレインが転送トランジスタTRGのソースに電気的に接続されており、転送トランジスタTRXのゲートは画素駆動線HSLに接続されている。
0022
電荷保持部MEMは、フォトダイオードPDに蓄積された電荷を一時的に保持する不純物半導体領域である。電荷保持部MEMは、フォトダイオードPDから転送された電荷を保持する。電荷保持部DMは、PLS(Parastic Light Sensitibity)補正用の電荷を一時的に保持する不純物半導体領域である。電荷保持部DMは、PLSによって生じた電荷を一時的に保持する。電荷保持部DMは、電荷保持部MEMとは非導通に形成された不純物半導体領域である。電荷保持部MEM、電荷保持部DMおよび後述のフローティングディフュージョンFDは、ともに、共通の導電型の不純物半導体領域によって構成されている。さらに、電荷保持部MEMおよび電荷保持部DMの不純物濃度は、後述のフローティングディフュージョンFDの不純物濃度よりも低くなっている。
0023
PLSとは、フォトダイオードPDに強い光が入射したときに入射光量に応じて生じる迷光を指している。迷光によって生じた電荷(以下、「ノイズ電荷」と称する。)が電荷保持部MEMに混入すると、電荷保持部MEMに保持されている電荷(以下、「信号電荷」と称する。)にノイズ成分として重畳されてしまう。これにより、画素信号にはノイズが含まれることになるので、得られる画像は、画質が劣化したものとなる。電荷保持部DMは、画素信号からノイズ成分を除くために、信号電荷に重畳されるノイズ電荷と相関のあるノイズ電荷を保持する。
0024
転送トランジスタTRGは、転送トランジスタTRXとフローティングディフュージョンFDとの間に接続されており、転送トランジスタTRGのゲートに印加される制御信号に応じて、電荷保持部MEMに保持されている電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。例えば、転送トランジスタTRXがオフし、転送トランジスタTRGがオンすると、電荷保持部MEMに保持されている電荷が、転送トランジスタTRGを介して、フローティングディフュージョンFDに転送される。転送トランジスタTRGのドレインがフローティングディフュージョンFDに電気的に接続されており、転送トランジスタTRGのゲートは画素駆動線HSLに接続されている。
0025
転送トランジスタDMGは、電荷保持部DMとフローティングディフュージョンFDとの間に接続されており、転送トランジスタDMGのゲートに印加される制御信号に応じて、電荷保持部DMに保持されている電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。例えば、転送トランジスタDMGがオンすると、電荷保持部DMに保持されている電荷が、転送トランジスタDMGを介して、フローティングディフュージョンFDに転送される。転送トランジスタDMGのドレインがフローティングディフュージョンFDに電気的に接続されており、転送トランジスタTRGのゲートは画素駆動線HSLに接続されている。
0026
フローティングディフュージョンFDは、転送トランジスタTRXおよび転送トランジスタTRGを介してフォトダイオードPDから出力された電荷を一時的に保持する浮遊拡散領域(不純物半導体領域)である。フローティングディフュージョンFDには、例えば、リセットトランジスタRSTが接続されるとともに、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELを介して垂直信号線VSLが接続されている。フローティングディフュージョンFDは、さらに、転送トランジスタDMGを介して電荷保持部DMから出力された電荷を一時的に保持する浮遊拡散領域でもある。
0027
排出トランジスタOFGは、フォトダイオードPDと電源線VDDとの間に接続されており、排出トランジスタOFGのゲートに印加される制御信号に応じて、フォトダイオードPDを初期化(リセット)する。例えば、排出トランジスタOFGがオンすると、フォトダイオードPDの電位が電源線VDDの電位レベルにリセットされる。すなわち、フォトダイオードPDの初期化が行われる。また、排出トランジスタOFGは、例えば、転送トランジスタTRXと電源線VDDの間にオーバーフローパスを形成し、フォトダイオードPDから溢れた電荷を電源線VDDに排出する。排出トランジスタOFGのドレインが電源線VDDに接続されるとともに、排出トランジスタOFGのソースがフォトダイオードPDと転送トランジスタTRXとの間に接続されており、排出トランジスタOFGのゲートが画素駆動線HSLに接続されている。
0028
リセットトランジスタRSTは、フローティングディフュージョンFDと電源線VDDとの間に接続されており、リセットトランジスタRSTのゲートに印加される制御信号に応じて、電荷保持部MEMからフローティングディフュージョンFDまでの各領域を初期化(リセット)する。例えば、転送トランジスタTRG,DMGおよびリセットトランジスタRSTがオンすると、電荷保持部MEM,DMおよびフローティングディフュージョンFDの電位が電源線VDDの電位レベルにリセットされる。すなわち、電荷保持部MEM,DMおよびフローティングディフュージョンFDの初期化が行われる。リセットトランジスタRSTのドレインが電源線VDDに接続されており、リセットトランジスタRSTのソースがフローティングディフュージョンFDに接続されており、リセットトランジスタRSTのゲートが画素駆動線HSLに接続されている。
0029
増幅トランジスタAMPでは、ゲートがフローティングディフュージョンFDに接続されており、ドレインが電源線VDDに接続されており、ソースが選択トランジスタSELのドレインに接続されている。増幅トランジスタAMPは、フォトダイオードPDでの光電変換によって得られる電荷もしくは電荷保持部DMに蓄えられた電荷を読み出すソースフォロワ回路の入力部となっている。増幅トランジスタAMPは、増幅トランジスタAMPのソースが選択トランジスタSELを介して垂直信号線VSLに接続されていることから、垂直信号線VSLの一端に接続される定電流源とソースフォロワ回路を構成する。増幅トランジスタAMPは、フォトダイオードPDでの光電変換によって得られる電荷を画素信号に変換し、選択トランジスタSELを介して垂直信号線VSLに出力する。また、増幅トランジスタAMPは、電荷保持部DMに蓄えられた電荷をノイズ信号に変換し、選択トランジスタSELを介して垂直信号線VSLに出力する。
0030
選択トランジスタSELでは、ドレインが増幅トランジスタAMPのソースに接続されており、ソースが垂直信号線VSLに接続されており、ゲートが画素駆動線HSLに接続されている。選択トランジスタSELは、選択トランジスタSELのゲートに印加される制御信号に応じて、増幅トランジスタAMPから出力される画素信号もしくはノイズ信号の垂直信号線VSLへの出力を制御する。選択トランジスタSELは、制御信号がオンすると導通状態となり、選択トランジスタSELに連結されたセンサ画素11が選択状態となる。センサ画素11が選択状態になると、増幅トランジスタAMPから出力される画素信号もしくはノイズ信号が垂直信号線VSLを介してカラム信号処理回路22に読み出される。
0031
次に、センサ画素11の構成について詳細に説明する。図3は、センサ画素11の平面構成の一例を表す。図4は、図3のA−A線における断面構成の一例を表す。図3、図4は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。図4には、不純物濃度の濃さが、「P+」、「N−」、「N+」、「N++」といった表現で示されている。ここで、「P+」と記載された箇所では、例えば、p型不純物(アクセプタ)の濃度が1×1016cm-3〜5×1018cm-3の範囲内の値よりも大きな値となっている。「N+」は「N−」よりもn型不純物(ドナー)の濃度が高いことを示している。「N++」は「N+」よりもn型不純物(ドナー)の濃度が高いことを示している。「N−」と記載された箇所では、例えば、n型不純物(ドナー)の濃度が1×1016cm-3〜5×1018cm-3の範囲内の値となっている。
0032
センサ画素11は、半導体基板30上に形成されている。半導体基板30は、例えば、シリコン基板である。半導体基板30は、半導体基板30の上面およびその近傍にpウェル層32を有しており、pウェル層32よりも深い箇所にn型半導体層31を有している。pウェル層32は、半導体基板30の上面およびその近傍に形成されたp型半導体領域である。pウェル層32には、n型半導体領域33およびp型半導体領域34が形成されている。p型半導体領域34は、半導体基板30の上面に形成されており、n型半導体領域33と接している。n型半導体領域33およびp型半導体領域34は、半導体基板30の厚さ方向(法線方向)に積層されており、フォトダイオードPDを構成している。フォトダイオードPDは、平面レイアウト上で電荷保持部MEMおよび電荷保持部DMに隣接する位置に配置されている。半導体基板30の上面のうち、p型半導体領域34の形成されている領域が受光面10Aとなっている。受光面10Aは、フォトダイオードPDとの位置関係で転送トランジスタTRX側の位置に形成されている。
0033
pウェル層32のうち、転送トランジスタTRXのゲートと対向する箇所には、電荷保持部MEMが形成されている。電荷保持部MEMは、半導体基板30の上面から所定の深さに形成されている。電荷保持部MEMは、pウェル層32内に形成されたn型不純物の半導体領域によって構成されている。半導体基板30の上面と電荷保持部MEMとの間には、p型半導体領域35が形成されている。
0034
pウェル層32のうち、全体または一部が平面レイアウト上で電荷保持部MEMと重なり合う位置には、電荷保持部DMが形成されている。つまり、センサ画素11は、pウェル層32のうち、全体または一部が平面レイアウト上で電荷保持部MEMと重なり合う位置に電荷保持部DMを有している。p型半導体領域35、電荷保持部MEMおよび電荷保持部DMは、pウェル層32内において、半導体基板30の上面(もしくは受光面10A)側からこの順に配置されている。電荷保持部DMは、pウェル層32内に形成されたn型不純物の半導体領域によって構成されている。電荷保持部DMは、電荷保持部MEMとは非導通に形成されている。電荷保持部MEMおよび電荷保持部DMのn型不純物(ドナー)の濃度は、フローティングディフュージョンFDのn型不純物(ドナー)の濃度よりも低くなっている。
0035
フォトダイオードPD、p型半導体領域35および電荷保持部DMを含む領域の周囲には、フローティングディフュージョンFDおよび排出フローティングディフュージョンOFDが形成されている。つまり、センサ画素11は、フォトダイオードPD、p型半導体領域35および電荷保持部DMを含む領域の周囲に、フローティングディフュージョンFDおよび排出フローティングディフュージョンOFDを備えている。フローティングディフュージョンFDおよび排出フローティングディフュージョンOFDは、ともに、pウェル層32内に形成されたn型不純物濃度の高い半導体領域によって構成されている。
0036
フローティングディフュージョンFDの近傍には、転送トランジスタDMGが形成されている。つまり、センサ画素11は、フローティングディフュージョンFDの近傍に、転送トランジスタDMGを備えている。転送トランジスタDMGは、電荷保持部DMにまで達する垂直ゲートVGを有している。垂直ゲートVGは、例えば、金属材料によって形成されている。排出フローティングディフュージョンOFDの近傍には、排出トランジスタOFGが形成されている。つまり、センサ画素11は、排出フローティングディフュージョンOFDの近傍に、排出トランジスタOFGを有している。
0037
センサ画素11は、半導体基板30上に、遮光層36を有している。遮光層36は、フォトダイオードPDと対向する位置に開口部36Aを有している。開口部36A内には、受光面10Aが露出している。遮光層36は、受光面10Aの周囲であって、かつ少なくとも光電変換部MEMと対向する位置に配置されている。遮光層36は、例えば、金属材料によって形成されている。
0038
[動作]
次に、本実施の形態に係る固体撮像装置1の撮像動作について説明する。
0039
固体撮像装置1(具体的にはシステム制御回路24)は、例えば後述の操作部250からの撮像指令に従って、グローバルシャッター方式で撮像動作を実行する。グローバルシャッター方式では、現フレームの電荷が各センサ画素11の電荷保持部MEMに蓄積された後、各センサ画素11の電荷保持部MEMに蓄積された電荷が順次読み出される。図5は、固体撮像装置1における撮像時のタイミングチャートの一例を表す。
0040
まず、固体撮像装置1(具体的にはシステム制御回路24)は、撮像を開始する前に、排出トランジスタOFGをオンして、フォトダイオードPDに残留する余分な電荷を外部に排出する。その後、固体撮像装置1(具体的にはシステム制御回路24)は、撮像を開始する。具体的には、固体撮像装置1(具体的にはシステム制御回路24)は、転送トランジスタTRX,TRG,DMGおよび排出トランジスタOFGがオフしている状態で、電荷の蓄積を開始する。光が受光面10Aを介してフォトダイオードPDに入射すると、フォトダイオードPDにおける光電変換によって電荷が生じる。フォトダイオードPDで生じた電荷は、フォトダイオードPDに溜まり始める。
0041
その後、固体撮像装置1(具体的にはシステム制御回路24)は、フォトダイオードPDに蓄積された電荷を電荷保持部MEMに転送する前に、転送トランジスタTRG,DMGおよびリセットトランジスタRSTをオンして、電荷保持部MEMおよびフローティングディフュージョンFDに残留する余分な電荷を外部に排出する。続いて、固体撮像装置1(具体的にはシステム制御回路24)は、フォトダイオードPDにおける光電変換が完了する前に、転送トランジスタTRXをオンして、電荷保持部MEMのポテンシャルを深くすることで、フォトダイオードPDに蓄積された電荷を電荷保持部MEMに転送する。このとき、固体撮像装置1(具体的にはシステム制御回路24)は、この転送動作を、全てのセンサ画素11に対して同時に行う。
0042
固体撮像装置1(具体的にはシステム制御回路24)は、フォトダイオードPDにおける光電変換が完了したとき、転送トランジスタTRXをオフして、現フレームの撮像による電荷を電荷保持部MEMに閉じ込める。その後、固体撮像装置1(具体的にはシステム制御回路24)は、リセットトランジスタRSTをオンして、もう一度、フローティングディフュージョンFDに残留する余分な電荷を外部に排出する。
0043
次に、固体撮像装置1(具体的にはシステム制御回路24)は、転送トランジスタDMGをオンして、電荷保持部DMに蓄積された電荷をフローティングディフュージョンFDに排出(転送)する。このとき、固体撮像装置1(具体的にはシステム制御回路24)は、選択トランジスタSELをオンしておく。これにより、フローティングディフュージョンFDの電位に対応する信号レベルのノイズ信号を増幅トランジスタAMPで生成し、生成されたノイズ信号が選択トランジスタSELを介して垂直信号線VSLに出力される。ノイズ信号とは、電荷保持部MEMに蓄積された信号電荷に重畳されるノイズ電荷と相関のあるノイズ電荷に基づいて生成される。固体撮像装置1(具体的にはシステム制御回路24)は、この読み出し動作を、所定の単位画素行ごとに行う。
0044
続いて、固体撮像装置1(具体的にはシステム制御回路24)は、転送トランジスタTRGをオンして、電荷保持部MEMに蓄積された電荷をフローティングディフュージョンFDに排出(転送)する。このとき、固体撮像装置1(具体的にはシステム制御回路24)は、選択トランジスタSELをオンしておく。これにより、フローティングディフュージョンFDの電位に対応する信号レベルの画素信号を増幅トランジスタAMPで生成し、生成された画素信号が選択トランジスタSELを介して垂直信号線VSLに出力される。固体撮像装置1(具体的にはシステム制御回路24)は、この読み出し動作を、所定の単位画素行ごとに行う。このようにして、本実施の形態に係る固体撮像装置1の撮像動作が行われる。
0045
なお、固体撮像装置1(具体的にはシステム制御回路24)は、例えば、図6に示したように、電荷保持部MEMから電荷を読み出す動作を、電荷保持部DMにから電荷を読み出す動作の前に実行してもよい。
0046
[効果]
次に、本実施の形態に係る固体撮像装置1の効果について説明する。
0047
グローバルシャッター機能を有するCMOSイメージセンサでは、各画素内に電荷蓄積部が設けられている。電荷蓄積部には前フレームの信号が保持されているので、電荷蓄積部に次フレームの信号が入らないように電荷蓄積部を遮光する構造が必要となる。しかし、そのような構造が設けられているだけでは、電荷蓄積部への光の漏れ込みを十分に防ぐことが難しい。そこで、その対策として、例えば、上記特許文献1,2に記載の方法が考えられる。
0048
特許文献1では、複数の画素によって共有されている画素の内、一つがPLS補正用画素として利用されている。しかし、このようにした場合には、PLS補正用画素が画素アレイに埋め込まれるので、解像度が大きく減少する。
0049
特許文献2では、本実施の形態と同様、PLS補正用の電荷蓄積部が設けられている。しかし、特許文献2では、PLS補正用の電荷蓄積部がフローティングディフュージョンの隣に配置される。そのため、斜入射によるPLS成分を正確に見積もることが困難となる。例えば、PLS補正用の電荷蓄積部およびフローティングディフュージョンに隣接してフォトダイオードが形成されている場合に、PLS補正用の電荷蓄積部の方からフォトダイオードに光が斜めに入射した場合には、PLS補正用の電荷蓄積部に蓄積されるノイズ電荷よりも、フローティングディフュージョンに蓄積されるノイズ電荷の方が多くなる。逆に、フローティングディフュージョンの方からフォトダイオードに光が斜めに入射した場合には、フローティングディフュージョンに蓄積されるノイズ電荷よりも、PLS補正用の電荷蓄積部に蓄積されるノイズ電荷の方が多くなる。このように、光の入射方向によって、フローティングディフュージョンに蓄積されるノイズ電荷と、PLS補正用の電荷蓄積部に蓄積されるノイズ電荷との比が変わってしまう。そのため、特許文献2に記載の方法では、画素信号からノイズ成分を正確に除くことができない。また、特許文献2では、フローティングディフュージョンと増幅トランジスタとの間にスイッチ素子が設けられており、さらに、PLS補正用の電荷蓄積部と増幅トランジスタとの間にもスイッチ素子が設けられている。そのため、フローティングディフュージョンから電荷を読み出す時には、フローティングディフュージョンと増幅トランジスタとの間のスイッチを常時オンしておく必要がある。その結果、変換効率が低い状態で読み出し動作をすることになる。
0050
一方、本実施の形態では、フォトダオードPDから転送された電荷を保持する電荷保持部MEMと、電荷保持部MEMとは非導通に形成された電荷保持部DMとが設けられている。これにより、電荷保持部MEMから読み出した信号電荷と、電荷保持部DMから読み出したノイズ電荷とに基づいて、信号電荷に含まれるPLS成分を低減することが可能となる。また、本実施の形態では、電荷保持部DMの全体または一部が平面レイアウト上で電荷保持部MEMと重なり合う位置に配置されている。これにより、電荷保持部MEMおよび電荷保持部DMを平面レイアウト上で並列に配置した場合と比べて、斜入射によるPLS成分を正確に見積もることが可能となる。また、本実施の形態では、電荷保持部MEMからの電荷の読み出しに転送トランジスタTRGが用いられ、電荷保持部DMからの電荷の読み出しに転送トランジスタDMGが用いられる。これにより、電荷保持部MEMからの電荷の読み出しの際にスイッチ素子を常時オンさせている場合と比べて、高い変換効率が得られる。従って、解像度の減少や変換効率の低下を抑えつつ、電荷蓄積部への斜入射による光の漏れ込みの影響を正確に除くことが可能となる。
0051
また、本実施の形態では、電荷保持部MEM、電荷保持部DMおよびフローティングディフュージョンFDは、ともに、共通の導電型の不純物半導体領域によって構成されている。さらに、電荷保持部MEMおよび電荷保持部DMの不純物濃度は、フローティングディフュージョンFDの不純物濃度よりも低くなっている。これにより、電荷保持部MEMおよび電荷保持部DMと、フローティングディフュージョンFDとの間に電位差が生じるので、電荷保持部MEMおよび電荷保持部DMからの電荷の完全排出を実現することができる。
0052
また、本実施の形態では、転送トランジスタDMGは、電荷保持部DMにまで達する垂直ゲートVGを有している。これにより、電荷保持部DMからの電荷の転送を確実に行うことができる。
0053
また、本実施の形態では、フォトダイオードPDは、平面レイアウト上で電荷保持部MEMおよび電荷保持部DMに隣接する位置に配置されている。さらに、受光面10Aは、フォトダイオードPDとの位置関係で転送トランジスタDMG側の位置に形成されている。つまり、本実施の形態に係る固体撮像装置1は、上面照射型のイメージセンサとなっている。このように、本開示は、上面照射型のイメージセンサにも適用可能となっている。
0054
また、本実施の形態では、各センサ画素11は、受光面10Aの周囲であって、かつ少なくとも電荷保持部DMと対向する位置に配置された遮光層36を有している。これにより、外光が、受光面10Aを介さずに直接、電荷保持部DMに入射するのを低減することができる。その結果、電荷保持部DMから読み出される電荷にノイズ成分が混入するのを低減することができる。
0055
<2.変形例>
以下に、上記実施の形態に係る固体撮像装置1の変形例について説明する。
0056
[変形例A]
上記実施の形態において、受光面10Aが半導体基板30の裏面に設けられていてもよい。図7は、センサ画素11の平面構成の一変形例を表す。図8は、図7のA−A線における断面構成の一例を表す。図7、図8は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。図8には、不純物濃度の濃さが、「P+」、「N−」、「N+」、「N++」といった表現で示されている。ここで、「P+」と記載された箇所では、例えば、p型不純物(アクセプタ)の濃度が1×1016cm-3〜5×1018cm-3の範囲内の値よりも大きな値となっている。「N+」は「N−」よりもn型不純物(ドナー)の濃度が高いことを示している。「N++」は「N+」よりもn型不純物(ドナー)の濃度が高いことを示している。「N−」と記載された箇所では、例えば、n型不純物(ドナー)の濃度が1×1016cm-3〜5×1018cm-3の範囲内の値となっている。
0057
センサ画素11は、半導体基板30上に形成されている。半導体基板30は、例えば、シリコン基板である。半導体基板30は、半導体基板30の上面およびその近傍にpウェル層32を有しており、pウェル層32よりも深い箇所にn型半導体層31を有している。pウェル層32は、半導体基板30の上面およびその近傍に形成されたp型半導体領域である。pウェル層32には、フォトダイオードPDが形成されている。フォトダイオードPDは、例えば、pウェル層32内に形成されたn型半導体領域によって構成されている。フォトダイオードPDは、一部が平面レイアウト上で電荷保持部MEMおよび電荷保持部DMと重なり合う位置に配置されている。半導体基板30の裏面のうち、フォトダイオードPDと対向するが受光面10Aとなっている。受光面10Aは、フォトダイオードPDとの位置関係で転送トランジスタTRXとは反対側の位置に形成されている。
0058
pウェル層32のうち、転送トランジスタTRXのゲートと対向する箇所には、電荷保持部MEMが形成されている。電荷保持部MEMは、半導体基板30の上面から所定の深さに形成されている。電荷保持部MEMは、pウェル層32内に形成されたn型不純物の半導体領域によって構成されている。半導体基板30の上面と電荷保持部MEMとの間には、p型半導体領域35が形成されている。
0059
pウェル層32のうち、全体または一部が平面レイアウト上で電荷保持部MEMと重なり合う位置には、電荷保持部DMが形成されている。つまり、センサ画素11は、pウェル層32のうち、全体または一部が平面レイアウト上で電荷保持部MEMと重なり合う位置に電荷保持部DMを有している。さらに、フォトダイオードPDは、一部が平面レイアウト上で電荷保持部MEMおよび電荷保持部DMと重なり合う位置に配置されている。従って、フォトダイオードPD、電荷保持部DM、電荷保持部MEMおよびp型半導体領域35は、pウェル層32内において、半導体基板30の裏面(受光面10A)側からこの順に配置されている。電荷保持部DMは、pウェル層32内に形成されたn型不純物の半導体領域によって構成されている。電荷保持部DMは、電荷保持部MEMとは非導通に形成されている。電荷保持部MEMおよび電荷保持部DMのn型不純物(ドナー)の濃度は、フローティングディフュージョンFDのn型不純物(ドナー)の濃度よりも低くなっている。
0060
フォトダイオードPD、電荷保持部DM、電荷保持部MEMおよびp型半導体領域35を含む領域の周囲には、フローティングディフュージョンFDおよび排出フローティングディフュージョンOFDが形成されている。つまり、センサ画素11は、フォトダイオードPD、電荷保持部DM、電荷保持部MEMおよびp型半導体領域35を含む領域の周囲に、フローティングディフュージョンFDおよび排出フローティングディフュージョンOFDを備えている。フローティングディフュージョンFDおよび排出フローティングディフュージョンOFDは、ともに、pウェル層32内に形成されたn型不純物濃度の高い半導体領域によって構成されている。
0061
フローティングディフュージョンFDの近傍には、転送トランジスタDMGが形成されている。つまり、センサ画素11は、フローティングディフュージョンFDの近傍に、転送トランジスタDMGを有している。転送トランジスタDMGは、電荷保持部DMにまで達する垂直ゲートVG1を有している。垂直ゲートVG1は、例えば、金属材料によって形成されている。
0062
排出フローティングディフュージョンOFDの近傍には、排出トランジスタOFGが形成されている。つまり、センサ画素11は、排出フローティングディフュージョンOFDの近傍に、排出トランジスタOFGを有している。排出トランジスタOFGは、フォトダイオードPDにまで達する垂直ゲートVG2を有している。垂直ゲートVG2は、例えば、金属材料によって形成されている。
0063
センサ画素11は、光電変換部MEMと対向する箇所に、転送トランジスタTRXを備えている。転送トランジスタTRXは、フォトダイオードPDにまで達する垂直ゲートVG3を有している。垂直ゲートVG3は、例えば、金属材料によって形成されている。
0064
センサ画素11は、半導体基板30上に、遮光層37を有している。遮光層37は、少なくとも光電変換部MEMと対向する位置に配置されている。遮光層36は、例えば、金属材料によって形成されている。センサ画素11は、さらに、フォトダイオードPDと電荷保持部DMとの間に、遮光層38を有している。遮光層38は、例えば、光電変換部MEMおよび光電変換部DMと対向する位置に配置されている。遮光層37,38は、例えば、金属材料によって形成されている。なお、例えば、図9に示したように、必要に応じて、遮光層38が省略されてもよい。
0065
本変形例では、上記実施の形態と同様、フォトダオードPDから転送された電荷を保持する電荷保持部MEMと、電荷保持部MEMとは非導通に形成された電荷保持部DMとが設けられている。これにより、電荷保持部MEMから読み出した信号電荷と、電荷保持部DMから読み出したノイズ電荷とに基づいて、信号電荷に含まれるPLS成分を低減することが可能となる。また、本実施の形態では、電荷保持部DMの全体または一部が平面レイアウト上で電荷保持部MEMと重なり合う位置に配置されている。これにより、電荷保持部MEMおよび電荷保持部DMを平面レイアウト上で並列に配置した場合と比べて、斜入射によるPLS成分を正確に見積もることが可能となる。また、本実施の形態では、電荷保持部MEMからの電荷の読み出しに転送トランジスタTRGが用いられ、電荷保持部DMからの電荷の読み出しに転送トランジスタDMGが用いられる。これにより、電荷保持部MEMからの電荷の読み出しの際にスイッチ素子を常時オンさせている場合と比べて、高い変換効率が得られる。従って、解像度の減少や変換効率の低下を抑えつつ、電荷蓄積部への斜入射による光の漏れ込みの影響を正確に除くことが可能となる。
0066
また、本変形例では、転送トランジスタDMGは、電荷保持部DMにまで達する垂直ゲートVG1を有している。これにより、電荷保持部DMからの電荷の転送を確実に行うことができる。
0067
また、本変形例では、フォトダイオードPDは、一部が平面レイアウト上で電荷保持部MEMおよび電荷保持部DMと重なり合う位置に配置されている。さらに、受光面10Aは、フォトダイオードPDとの位置関係で転送トランジスタDMG側とは反対側の位置に形成されている。つまり、本変形例に係る固体撮像装置1は、裏面照射型のイメージセンサとなっている。このように、本開示は、裏面照射型のイメージセンサにも適用可能となっている。
0068
また、本実施の形態では、各センサ画素11は、フォトダイオードPDと電荷保持部DMとの間に、遮光層38を有している。これにより、外光が、受光面10Aを介さずに直接、電荷保持部DMに入射するのを低減することができる。その結果、電荷保持部DMから読み出される電荷にノイズ成分が混入するのを低減することができる。
0069
[変形例B]
上記実施の形態において、例えば、図10に示したように、垂直ゲートVGが省略されていてもよい。この場合、垂直ゲートVGの代わりに、電荷保持部DMにまで達する、電荷保持部DMの不純物濃度よりも高い濃度のn型半導体領域39がpウェル層32内に形成されている。つまり、本変形例では、各センサ画素11は、電荷保持部DMにまで達する、電荷保持部DMの不純物濃度よりも高い濃度のn型半導体領域39を備えている。このようにした場合であっても、電荷保持部DMからの電荷の転送を確実に行うことができる。
0070
<3.適用例>
本開示は、固体撮像装置への適用に限られるものではない。すなわち、本技術は、固体撮像装置のほかに光学レンズ系等を有するカメラモジュール、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置、撮像機能を有する携帯端末装置(例えばスマートフォンやタブレット型端末)、又は画像読取部に固体撮像装置を用いる複写機など、固体撮像装置を有する電子機器全般に対して適用可能である。
0071
図11は、上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像装置1を備えた電子機器2の構成例を示すブロック図である。
0072
電子機器2は、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、スマートフォンやタブレット型端末等の携帯端末装置などの電子機器である。電子機器2は、例えば、上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像装置1、DSP回路210、フレームメモリ220、表示部230、記憶部240、操作部250および電源部260を備えている。DSP回路210が、本開示の「信号処理回路」の一具体例に相当する。電子機器2において、DSP回路210、フレームメモリ220、表示部230、記憶部240、操作部250および電源部260は、バスライン270を介して相互に接続されている。
0073
上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像装置1は、入射光に応じた画像データを出力する。DSP回路210は、上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像装置1から出力される信号(画像データ)を処理する信号処理回路である。フレームメモリ220は、DSP回路210により処理された画像データを、フレーム単位で一時的に保持する。表示部230は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像装置1で撮像された動画又は静止画を表示する。記憶部240は、上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像装置1で撮像された動画又は静止画の画像データを、半導体メモリやハードディスク等の記録媒体に記録する。記憶部240は、さらに、後述の補正係数αを、半導体メモリやハードディスク等の記録媒体に記録している。操作部250は、ユーザによる操作に従い、電子機器2が有する各種の機能についての操作指令を発する。電源部260は、DSP回路210、フレームメモリ220、表示部230、記憶部240および操作部250の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
0074
次に、電子機器2における撮像手順について説明する。
0075
図12は、電子機器2における撮像動作のフローチャートの一例を表す。ユーザは、操作部250を操作することにより撮像開始を指示する(ステップS101)。すると、操作部250は、撮像指令を固体撮像装置1に送信する(ステップS102)。固体撮像装置1(具体的にはシステム制御回路24)は、撮像指令を受けると、グローバルシャッター動作での撮像を実行する(ステップS103)。
0076
固体撮像装置1は、撮像により得られた画像データI1およびノイズ画像データI2をDSP回路210に出力する。ここで、画像データI1とは、電荷保持部MEMに蓄えられた電荷に基づいて生成された画素信号の全画素分のデータである。ノイズ画像データI2とは、電荷保持部DMに蓄えられた電荷に基づいて生成されたノイズ信号の全画素分のデータである。
0077
DSP回路210は、固体撮像装置1から入力された画像データI1およびノイズ画像データI2に基づいて所定のノイズ低減処理を行う(ステップS104)。DSP回路210は、記憶部240に記録された補正係数αを用いて、上述のノイズ低減処理を行う。DSP回路210は、ノイズ低減処理により得られた画像データIcをフレームメモリ220に保持させ、フレームメモリ220は、画像データIcを記憶部240に記憶させる(ステップS108)。このようにして、電子機器2における撮像が行われる。
0079
例えば、図13に示したように、複数のセンサ画素11に、赤色光用の複数のセンサ画素11R、緑色光用の複数のセンサ画素11G、青色光用の複数のセンサ画素11Bが含まれている場合に、センサ画素11の色ごとに、赤色光用の補正係数αが設けられていてもよい。なお、図13には、赤色光用のセンサ画素11Rには、補正係数αRが設定され、緑色光用のセンサ画素11Gには、緑色光用の補正係数αGが設定され、青色光用のセンサ画素11Bには、青色光用の補正係数αBが設定されている場合が例示されている。また、図13には、1つのカラーセンサ画素が、1つのセンサ画素11R、2つのセンサ画素11Gおよび1つのセンサ画素11Bによって構成されている様子が模式的に示されている。補正係数αR、補正係数αG、補正係数αBは、例えば、波長に応じた値となっており、互いに異なった値となっている。
0080
また、例えば、図14に示したように、画素アレイ部10内の場所に応じて補正係数αが設けられていてもよい。なお、図14には、画素アレイ部10の中央部分には補正係数αaが設定され、画素アレイ部10の中央上部には補正係数αbが設定され、画素アレイ部10の中央下部には補正係数αcが設定され、画素アレイ部10の左中央には補正係数αdが設定され、画素アレイ部10の左上部には補正係数αeが設定され、画素アレイ部10の左下部には補正係数αdf設定され、画素アレイ部10の右中央には補正係数αgが設定され、画素アレイ部10の右上部には補正係数αhが設定され、画素アレイ部10の右下部には補正係数αiが設定されている場合が例示されている。補正係数αa、補正係数αb、補正係数αc、補正係数αd、補正係数αe、補正係数αf、補正係数αg、補正係数αh、補正係数αiは、例えば、画素アレイ部10内の場所に応じて値となっており、互いに異なった値となっている。
0081
DSP回路210は、固体撮像装置1から入力された画像データI1およびノイズ画像データI2に基づいて所定のノイズ低減処理を行うことにより、PLSノイズの低減された画像データIcを得る。DSP回路210は、例えば、画像データI1から、ノイズ画像データI2に対して所定の補正係数αをかけることにより得られた画像データ(αI2)を差し引くことにより、画像データI1に含まれるノイズを低減する。DSP回路210は、例えば、以下の式(1)により、画像データIcを得る。
Ic=I1−αI2…(1)
0082
電子機器2では、上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像装置1が用いられ、DSP回路210において上述のノイズ低減処理が行われる。これにより、解像度の減少や変換効率の低下を抑えつつ、電荷蓄積部への斜入射による光の漏れ込みの影響を正確に除くことが可能となる。
0083
<4.応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
0085
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図15に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
0086
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
0087
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
0088
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
0089
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であってもよいし、赤外線等の非可視光であってもよい。
0090
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
0091
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
0092
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
0093
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
0094
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図15の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
0095
図16は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
0096
図16では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
0097
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
0098
なお、図16には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
0099
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
0100
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
0101
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
0102
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
0103
以上、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像装置1は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、ノイズの少ない高精細な撮影画像を得ることができるので、移動体制御システムにおいて撮影画像を利用した高精度な制御を行うことができる。
0104
以上、実施の形態およびその変形例、適用例ならびに応用例を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示である。本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されるものではない。本開示が、本明細書中に記載された効果以外の効果を持っていてもよい。
0105
また、本開示は、以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
受光面と、
前記受光面と対向配置された複数の画素と
を備え、
各前記画素は、
前記受光面を介して入射した光を光電変換する光電変換部と、
前記光電変換部から転送された電荷を保持する第1電荷保持部と、
全体または一部が平面レイアウト上で前記第1電荷保持部と重なり合う位置に配置され、前記第1電荷保持部とは非導通に形成された第2電荷保持部と、
前記第1電荷保持部に保持された電荷をフローティングディフュージョンに転送する第1転送トランジスタと、
前記第2電荷保持部に保持された電荷を前記フローティングディフュージョンに転送する第2転送トランジスタと
を有する
固体撮像装置。
(2)
前記第1電荷保持部、前記第2電荷保持部および前記フローティングディフュージョンは、ともに、共通の導電型の不純物半導体領域によって構成されており、
前記第1電荷保持部および前記第2電荷保持部の不純物濃度は、前記フローティングディフュージョンの不純物濃度よりも低くなっている
(1)に記載の固体撮像装置。
(3)
前記第2転送トランジスタは、前記第2電荷保持部にまで達する垂直ゲートを有する
(2)に記載の固体撮像装置。
(4)
前記第2転送トランジスタは、前記第2電荷保持部にまで達する、前記第2電荷保持部の不純物濃度よりも高い濃度の不純物半導体領域によって、前記第2電荷保持部と電気的に接続されている
(2)に記載の固体撮像装置。
(5)
各前記画素は、前記光電変換部に蓄積されている電荷を前記第1電荷保持部に転送する第3転送トランジスタを更に有し、
前記光電変換部は、平面レイアウト上で前記第1電荷保持部および前記第2電荷保持部に隣接する位置に配置され、
前記受光面は、前記光電変換部との位置関係で前記第3転送トランジスタ側の位置に形成されている
(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の固体撮像装置。
(6)
各前記画素は、前記受光面の周囲であって、かつ少なくとも前記第1電荷保持部と対向する位置に配置された遮光層を有する
(5)に記載の固体撮像装置。
(7)
各前記画素は、前記光電変換部に蓄積されている電荷を前記第1電荷保持部に転送する第3転送トランジスタを更に有し、
前記光電変換部は、一部が平面レイアウト上で前記第1電荷保持部および前記第2電荷保持部と重なり合う位置に配置され、
前記受光面は、前記光電変換部との位置関係で前記第3転送トランジスタとは反対側の位置に形成されている
(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の固体撮像装置。
(8)
各前記画素は、前記光電変換部と前記第2電荷保持部との間に遮光層を有する
(7)に記載の固体撮像装置。
(9)
入射光に応じた画像データを出力する固体撮像装置と、
前記画像データを処理する信号処理回路と
を備え、
前記固体撮像装置は、
受光面と、
前記受光面と対向配置された複数の画素と
を有し、
各前記画素は、
前記受光面を介して入射した光を光電変換する光電変換部と、
前記光電変換部から転送された電荷を保持する第1電荷保持部と、
全体または一部が平面レイアウト上で前記第1電荷保持部と重なり合う位置に配置され、前記第1電荷保持部とは非導通に形成された第2電荷保持部と、
前記第1電荷保持部に保持された電荷をフローティングディフュージョンに転送する第1転送トランジスタと、
前記第2電荷保持部に保持された電荷を前記フローティングディフュージョンに転送する第2転送トランジスタと
を有し、
前記信号処理回路は、前記第1電荷保持部に保持された電荷に基づいて生成された第1画像データと、前記第2電荷保持部に保持された電荷に基づいて生成された第2画像データとに基づいて、前記第1画像データに含まれるノイズを低減する
電子機器。
(10)
前記信号処理回路は、前記第1画像データから、前記第2画像データに対して所定の補正係数をかけることにより得られた第3画像データを差し引くことにより、前記第1画像データに含まれるノイズを低減する
(9)に記載の電子機器。
0106
本開示の一実施の形態に係る固体撮像装置および電子機器によれば、光電変換部から転送された電荷を保持する第1電荷保持部と、第1電荷保持部とは非導通に形成された第2電荷保持部とを設け、第2電荷保持部の全体または一部を平面レイアウト上で第1電荷保持部と重なり合う位置に配置し、第1電荷保持部からの電荷の読み出しに第1転送トランジスタを用い、第2電荷保持部からの電荷の読み出しに第2転送トランジスタを用いるようにしたので、解像度の減少や変換効率の低下を抑えつつ、電荷蓄積部への斜入射による光の漏れ込みの影響を正確に除くことが可能となる。
0107
1…固体撮像装置、2…電子機器、10…画素アレイ部、10A…受光面、11…センサ画素、12…読み出し回路、20…ロジック回路、21…垂直駆動回路、22…カラム信号処理回路、23…水平駆動回路、24…システム制御回路、30…半導体基板、31…n型半導体層、32…pウェル層、33…n型半導体領域、34…p型半導体領域、35…p型半導体領域、36,37,38…遮光層、36A…開口部、39…n型半導体領域、210…DSP回路、220…フレームメモリ、230…表示部、240…記憶部、250…操作部、260…電源部、270…バスライン、12000…車両制御システム、12001…通信ネットワーク、12010…駆動系制御ユニット、12020…ボディ系制御ユニット、12030…車外情報検出ユニット、12031…撮像部、12040…車内情報検出ユニット、12041…運転者状態検出部、12050…統合制御ユニット、12051…マイクロコンピュータ、12052…音声画像出力部、12053…車載ネットワークI/F(interface)、12061…オーディオスピーカ、12062…表示部、12063…インストルメントパネル、12100…車両、12101,12102,12103,12104,12105…撮像部、12111,12112,12113,12114…撮像範囲、AMP…増幅トランジスタ、DMG,TRG,TRX…転送トランジスタ、FD…フローティングディフュージョン、MEM…電荷保持部、OFD…排出フローティングディフュージョン、OFG…排出トランジスタ、PD…フォトダイオード、RST…リセットトランジスタ、SEL…選択トランジスタ、VG,VG1,VG2,VG3…垂直ゲート、VSL…垂直信号線。
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