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技術 電気化学システム、および、電気化学システムの作動方法

出願人 学校法人早稲田大学
発明者 逢坂哲彌門間聰之横島時彦向山大吉奈良洋希
出願日 2018年9月19日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-175365
公開日 2020年3月26日 (8ヶ月経過) 公開番号 2020-047487
状態 未査定
技術分野 二次電池の保守(充放電、状態検知) 抵抗、インピーダンスの測定 電池等の充放電回路
主要キーワード アナログ応答 周波数応答信号 X線解析 作用信号 周波数特性分析器 静的測定 バイポーラ電源 任意範囲
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図面 (20)

課題

電気化学セル10のインピーダンスが取得できる電気化学システム1を提供する

解決手段

電気化学システム1は、複数の電極11、12、13と電解質14とを含む電気化学セル10と、経時変化する第1信号に、複数の周波数の成分を含む補助信号重畳された第2信号を、前記電気化学セル10に印加する電源20と、前記応答信号を連続して記憶する記憶部30と、前記記憶部30に記憶されている、変化している前記応答信号から、解析範囲が選択される選択部40と、前記解析範囲の前記応答信号を、フーリエ変換して、前記複数の周波数におけるそれぞれのインピーダンスを算出する算出部50と、を具備する。

概要

背景

複数の電極電解質とを含む電気化学セルインピーダンス測定は、電気化学反応メカニズム解明等のために広く使用されている。インピーダンス測定法として、測定対象の電気化学セルに、印加する正弦波信号周波数走査する交流インピーダンス法が知られている。

交流インピーダンス法では、周波数特性分析器(FRA:Frequency Response Analyzer)とポテンショスタットとが用いられる。FRAは、電気化学セルに所定の周波数の正弦波信号を印加するための周波数応答信号を出力する。ポテンショスタットは電気化学セルに印加する電圧電流)をFRAからの周波数信号に基づき制御する。

正弦波信号の周波数を走査することで、複数の周波数におけるインピーダンス、すなわちインピーダンスの周波数特性が取得される。インピーダンスの周波数特性を、Z’(実数インピーダンス)軸を抵抗成分、Z”(虚数インピーダンス)軸をリアクタンス成分(通常は容量性)とする複素平面図に表したインピーダンスの軌跡が、ナイキストプロットコールコールプロット)である。

図1に示したナイキストプロットは、電解質抵抗Rs(R1)と、電荷移動抵抗及び被膜抵抗などからなる反応抵抗Rct(R2)と、それらに付随する電気二重層などの容量Cと、電荷キャリア拡散Zwと、を考慮したモデルの場合である。すなわち、参照極を用いた電気化学セル系の電気化学反応は、電解質中のイオンの移動、電極界面での電荷移動反応、それに伴うイオンの拡散から構成される。なお、参照極を用いない電気化学セルでは,2つの電極(正極、負極)のインピーダンスが含まれるので、半円の軌跡は少なくとも2つの半円が重なった軌跡となる。軌跡を等価回路モデルを用いて解析することで、電気化学セルを構成する複数の電極、及び電解質等の構成要素毎の特性を把握できる。

例えば、反応抵抗Rct(R2)を示す半円の径が大きくなった場合には、セル劣化したことを示している。すなわち、電気化学セルが二次電池の場合では、結晶構造の変化など活物質自身の劣化や、電解質中のイオン電解質成分や有機溶媒が分解し、電解質分生成物として負極及び正極の表面に有機物無機物の形で堆積し、イオンの挿入脱離阻害されるため、抵抗が上昇する。

特開2014−126532号公報には、定電圧(浸漬電位:0.221V)の第1信号(作用信号)に、矩形波重畳した第2信号を電池に印加し、応答信号フーリエ変換することで、複数の高調波の周波数におけるインピーダンスを取得する測定装置が開示されている。

しかし、第1信号が経時変化する場合には、応答信号も変化するため、従来の方法では、動的測定は出来なかった。変化する信号に対しては、信号の増減を停止してインピーダンスの静的測定されていた。

また、電気化学反応を測定するときに、測定系の一般的な電気化学測定とインピーダンス測定とを行うことは重要である。

しかし、従来の測定方法では、測定開始前測定点を含むすべての測定条件を設定する必要があった。このため、複数の測定項目がある場合、ある一つの測定項目の結果を基に他の測定条件を定める必要がある。例えば、測定系の電流−電位特性サイクリックボルタンメトリCV)を取得した後に、CV曲線に基づいて、インピーダンスを測定する測定点が設定され、再測定が行われていた。

すなわち、2種類の測定項目(CV特性とインピーダンス)の測定を行う場合、2回の測定が行われていた。しかし、1回目の測定の後に行われる2回目の測定では、測定対象の電気化学セルの状態が変化しているおそれがあった。このため、電気化学セルの電気化学測定と同時にインピーダンス測定を行う、いわゆるオペランド測定が望まれていた。オペランド(Operando)とはラテン語で動作中(working)を意味する。

なお、板垣らは、測定後に測定前に設定されていない任意の測定範囲のインピーダンスが取得できる3Dインピーダンス法を提案している。しかし、3Dインピーダンス法では、測定後に得られる任意の測定範囲のインピーダンスは、数回から数十回のインピーダンス測定結果をもとに補完処理によって得られた計算データであり、実際の測定データではなかった。

概要

電気化学セル10のインピーダンスが取得できる電気化学システム1を提供する電気化学システム1は、複数の電極11、12、13と電解質14とを含む電気化学セル10と、経時変化する第1信号に、複数の周波数の成分を含む補助信号が重畳された第2信号を、前記電気化学セル10に印加する電源20と、前記応答信号を連続して記憶する記憶部30と、前記記憶部30に記憶されている、変化している前記応答信号から、解析範囲が選択される選択部40と、前記解析範囲の前記応答信号を、フーリエ変換して、前記複数の周波数におけるそれぞれのインピーダンスを算出する算出部50と、を具備する。

目的

このため、電気化学セルの電気化学測定と同時にインピーダンス測定を行う、いわゆるオペランド測定が望まれていた

効果

実績

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請求項1

複数の電極電解質とを含む電気化学セルと、経時変化する第1信号に、複数の周波数の成分を含む補助信号重畳された第2信号を、前記電気化学セルに印加する電源と、前記第2信号の応答信号を連続して記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている、変化している前記応答信号から、解析範囲が選択される選択部と、前記解析範囲の前記応答信号を、フーリエ変換して、前記複数の周波数におけるそれぞれのインピーダンスを算出する算出部と、を具備することを特徴とする電気化学システム

請求項2

前記補助信号が、第1周波数の矩形波であり、前記算出部が、前記第1周波数の複数の高調波におけるそれぞれのインピーダンスを算出することを特徴とする請求項1に記載の電気化学システム。

請求項3

前記補助信号に、異なる周波数の複数の矩形波が重畳されており、前記算出部が、複数の異なる周波数のそれぞれの複数の高調波における、それぞれのインピーダンスを算出することを特徴とする請求項2に記載の電気化学システム。

請求項4

前記複数の周波数におけるそれぞれのインピーダンスからなるナイキストプロットをもとに、等価回路モデルを用いて、前記電気化学セルの特性を解析する解析部を、更に具備することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気化学システム。

請求項5

前記第1信号が、前記電気化学セルの酸化還元反応を測定するための測定信号であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電気化学システム。

請求項6

前記電気化学セルが、二次電池であり、前記第1信号が、充電信号であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電気化学システム。

請求項7

前記二次電池の放電信号が、前記充電信号と同じ方法により解析されることを特徴とする請求項6に記載の電気化学システム。

請求項8

前記応答信号をデジタル化するAD変換部を具備し、デジタル化された前記応答信号が、前記記憶部に記憶されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電気化学システム。

請求項9

経時変化する第1信号に、複数の周波数の成分を含む補助信号が重畳された第2信号が、複数の電極と電解質とを含む電気化学セルに印加される信号印加工程と、前記信号印加工程と同時に行われる、前記第2信号の応答信号が記憶部に連続して記憶される記憶工程と、前記信号印加工程および前記記憶工程の後に行われる、前記記憶部に記憶されている、変化している前記応答信号から、解析範囲が選択される選択工程と、前記解析範囲の前記応答信号を、フーリエ変換して、前記複数の周波数におけるそれぞれのインピーダンスが算出される算出工程と、を具備することを特徴とする電気化学システムの作動方法

請求項10

前記補助信号が、第1周波数の矩形波であり、前記算出工程において、前記第1周波数の複数の高調波におけるそれぞれのインピーダンスが算出されることを特徴とする請求項9に記載の電気化学システムの作動方法。

請求項11

前記補助信号に、異なる周波数の複数の矩形波が重畳されており、前記算出工程において、複数の異なる周波数のそれぞれの複数の高調波における、それぞれのインピーダンスが算出されることを特徴とする請求項10に記載の電気化学システムの作動方法。

請求項12

前記複数の周波数におけるそれぞれのインピーダンスからなるナイキストプロットをもとに、等価回路モデルを用いて、前記電気化学セルの特性が解析される解析工程を、更に具備することを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の電気化学システムの作動方法。

技術分野

0001

本発明の実施形態は、複数の電極電解質とを含む電気化学セルを測定する電気化学システム、および、複数の電極と電解質とを含む電気化学システムの作動方法に関する。

背景技術

0002

複数の電極と電解質とを含む電気化学セルのインピーダンス測定は、電気化学反応メカニズム解明等のために広く使用されている。インピーダンス測定法として、測定対象の電気化学セルに、印加する正弦波信号周波数走査する交流インピーダンス法が知られている。

0003

交流インピーダンス法では、周波数特性分析器(FRA:Frequency Response Analyzer)とポテンショスタットとが用いられる。FRAは、電気化学セルに所定の周波数の正弦波信号を印加するための周波数応答信号を出力する。ポテンショスタットは電気化学セルに印加する電圧電流)をFRAからの周波数信号に基づき制御する。

0004

正弦波信号の周波数を走査することで、複数の周波数におけるインピーダンス、すなわちインピーダンスの周波数特性が取得される。インピーダンスの周波数特性を、Z’(実数インピーダンス)軸を抵抗成分、Z”(虚数インピーダンス)軸をリアクタンス成分(通常は容量性)とする複素平面図に表したインピーダンスの軌跡が、ナイキストプロットコールコールプロット)である。

0005

図1に示したナイキストプロットは、電解質抵抗Rs(R1)と、電荷移動抵抗及び被膜抵抗などからなる反応抵抗Rct(R2)と、それらに付随する電気二重層などの容量Cと、電荷キャリア拡散Zwと、を考慮したモデルの場合である。すなわち、参照極を用いた電気化学セル系の電気化学反応は、電解質中のイオンの移動、電極界面での電荷移動反応、それに伴うイオンの拡散から構成される。なお、参照極を用いない電気化学セルでは,2つの電極(正極、負極)のインピーダンスが含まれるので、半円の軌跡は少なくとも2つの半円が重なった軌跡となる。軌跡を等価回路モデルを用いて解析することで、電気化学セルを構成する複数の電極、及び電解質等の構成要素毎の特性を把握できる。

0006

例えば、反応抵抗Rct(R2)を示す半円の径が大きくなった場合には、セル劣化したことを示している。すなわち、電気化学セルが二次電池の場合では、結晶構造の変化など活物質自身の劣化や、電解質中のイオン電解質成分や有機溶媒が分解し、電解質分生成物として負極及び正極の表面に有機物無機物の形で堆積し、イオンの挿入脱離阻害されるため、抵抗が上昇する。

0007

特開2014−126532号公報には、定電圧(浸漬電位:0.221V)の第1信号(作用信号)に、矩形波重畳した第2信号を電池に印加し、応答信号フーリエ変換することで、複数の高調波の周波数におけるインピーダンスを取得する測定装置が開示されている。

0008

しかし、第1信号が経時変化する場合には、応答信号も変化するため、従来の方法では、動的測定は出来なかった。変化する信号に対しては、信号の増減を停止してインピーダンスの静的測定されていた。

0009

また、電気化学反応を測定するときに、測定系の一般的な電気化学測定とインピーダンス測定とを行うことは重要である。

0010

しかし、従来の測定方法では、測定開始前測定点を含むすべての測定条件を設定する必要があった。このため、複数の測定項目がある場合、ある一つの測定項目の結果を基に他の測定条件を定める必要がある。例えば、測定系の電流−電位特性サイクリックボルタンメトリCV)を取得した後に、CV曲線に基づいて、インピーダンスを測定する測定点が設定され、再測定が行われていた。

0011

すなわち、2種類の測定項目(CV特性とインピーダンス)の測定を行う場合、2回の測定が行われていた。しかし、1回目の測定の後に行われる2回目の測定では、測定対象の電気化学セルの状態が変化しているおそれがあった。このため、電気化学セルの電気化学測定と同時にインピーダンス測定を行う、いわゆるオペランド測定が望まれていた。オペランド(Operando)とはラテン語で動作中(working)を意味する。

0012

なお、板垣らは、測定後に測定前に設定されていない任意の測定範囲のインピーダンスが取得できる3Dインピーダンス法を提案している。しかし、3Dインピーダンス法では、測定後に得られる任意の測定範囲のインピーダンスは、数回から数十回のインピーダンス測定結果をもとに補完処理によって得られた計算データであり、実際の測定データではなかった。

先行技術

0013

特開2014−126532号公報
M.Itagaki、et al、 Journal of Power Sources、148(2005) 78−84

発明が解決しようとする課題

0014

本発明の実施形態は、変化する応答信号からインピーダンスを取得する電気化学システム、および、変化する応答信号からインピーダンスを取得する電気化学システムの作動方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0015

実施形態の電気化学システムは、複数の電極と電解質とを含む電気化学セルと、経時変化する第1信号に、複数の周波数の成分を含む補助信号が重畳された第2信号を、前記電気化学セルに印加する電源と、前記第2信号の応答信号を連続して記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている、変化している前記応答信号から、解析範囲が選択される選択部と、前記解析範囲の前記応答信号を、フーリエ変換して、前記複数の周波数におけるそれぞれのインピーダンスを算出する算出部と、を具備する。

0016

実施形態の電気化学システムの作動方法は、経時変化する第1信号に、複数の周波数の成分を含む補助信号が重畳された第2信号が、複数の電極と電解質とを含む電気化学セルに印加される信号印加工程と、前記信号印加工程と同時に行われる、前記第2信号の応答信号が記憶部に連続して記憶される記憶工程と、前記信号印加工程および前記記憶工程の後に行われる、前記記憶部に記憶されている、変化している前記応答信号から、解析範囲が選択される選択工程と、前記解析範囲の前記応答信号を、フーリエ変換して、前記複数の周波数におけるそれぞれのインピーダンスが算出される算出工程と、を具備する。

発明の効果

0017

本発明の実施形態によれば、変化する応答信号から任意の時点のインピーダンスを取得する電気化学システム、および、変化する応答信号から任意の時点のインピーダンスを取得する電気化学システムの作動方法を提供できる。

図面の簡単な説明

0018

ナイキストプロットの一例を示す図である。
第1実施形態の電気化学システムの構成図である。
第1実施形態の電気化学システムの第1信号を示す図である。
第1実施形態の電気化学システムの補助信号を示す図である。
第1実施形態の電気化学システムの第2信号を示す図である。
第1実施形態の電気化学システムの第2信号を示す拡大図である。
第1実施形態の電気化学システムの応答信号を示す図である。
第1実施形態の電気化学システムの応答信号を示す拡大図である。
第1実施形態の電気化学システムの応答信号のフーリエ変換結果を示す図である。
第1実施形態の電気化学システムの応答信号のフーリエ変換結果を示す図である。
第1実施形態の電気化学システムの応答信号のナイキストプロットを示す図である。
第1実施形態の電気化学システムの応答信号のナイキストプロットを示す図である。
第1実施形態の電気化学システムの作動方法のフローチャートである。
第1実施形態の電気化学システムの応答信号のナイキストプロットを示す図である。
第2実施形態の電気化学システムの構成図である。
第2実施形態の電気化学システムの第2信号を示す図である。
第2実施形態の電気化学システムの応答信号のナイキストプロットを示す図である。
第2実施形態の電気化学システムの応答信号のインピーダンスを示す図である。
第2実施形態の変形例の電気化学システムの第2信号を示す図である。
第2実施形態の変形例の電気化学システムの応答信号のナイキストプロットを示す図である。
第2実施形態の変形例の電気化学システムの応答信号のインピーダンスを示す図である。

実施例

0019

<第1実施形態>
図1に示すように、本実施形態の電気化学システム1は、電気化学セル10と、電源20と、記憶部30と、選択部40と、算出部50と、解析部60と、を具備する。

0020

後述するように、電気化学システム1では、測定データは記憶部30に記憶される。測定終了後に、記憶部30に記憶されている測定データを用いて解析が行われる。本作動方法を、「タイムシフト法」という。

0021

電気化学システム1は、ヘキサシアノ鉄酸化還元反応を解析するためのシステムである。電気化学セル10は、グラッシーカーボンからなる作用極(WE)11と、白金線からなる対極(CE)12と、銀/塩化銀と3M−NaClとからなる参照極(RE)13と、電解質14と、を含む。電解質14は、5mMのK4[Fe(CN)6]と5mMのK3[Fe(CN)6]と0.5MのKNO3とからなる水溶液である。

0022

電源20は、第1信号発生部(第1信号発生回路)21と、補助信号発生部(補助信号発生回路)22と、第1信号と補助信号とを重畳する重畳部(重畳回路)23とを含む。

0023

第1信号発生部21は、電気化学セル10の酸化還元反応を測定するための測定信号(作用信号)である第1信号を発生する。第1信号は、参照極(RE)13を基準とし、電圧が直線的に経時変化する。第1信号は、電圧に替えて電流を基準とする信号でもよい。

0024

図3に示すように、第1信号は時間に応じて、電圧V1が線形に増減するリニアスイープ信号である。電気化学システム1では、第1信号は、1周期が300秒であり、振幅ΔV1は0.6Vであり、スイープ速度は、4mV/sである(周波数、0.0033Hz)。

0025

補助信号発生部22は、複数の周波数の成分を含む補助信号を発生する。図4に示すように、電気化学システム1では、補助信号は、1周期が(1/f1)、すなわち、周波数がf1の連続した矩形波信号である。周波数f1は、例えば3.968Hzである。周波数f1の矩形波信号は、潜在的に、周波数f1の複数の高調波、すなわち、周波数f1の整数倍の周波数f2、f3、f4、、を含んでいる。

0026

なお、補助信号の振幅ΔVsは、測定結果に影響がでないように、第1信号の電圧V1の振幅ΔV1の、1/50以下、好ましくは1/100以下に設定されている。例えば、振幅ΔV1が1.2Vの場合、ΔVsは、10mVに設定されている。

0027

重畳部23は、第1信号に補助信号が重畳された第2信号を、電気化学セル10の作用極(WE)11と対極(CE)12とに印加する。

0028

図5および図6に、重畳部23が出力し、電気化学セル10に入力される、第1信号に補助信号が重畳された第2信号(入力信号)を示す。

0029

電源20は、第1信号と補助信号とが重畳された第2信号を発生する第2信号発生部であってもよい。例えば、電源20は、所定波形の信号を発生するファンクションジェネレータと、所定波形の信号を増幅することによって、第2信号を出力するバイポーラ電源と、を有していてもよい。

0030

また、参照極(RE)13を有していない電気化学セル10の対極(CE)を基準にした測定信号に、補助信号が重畳された第2信号が、作用極(WE)11と対極(CE)12とに印加されてもよい。

0031

記憶部30は、第2信号が印加された電気化学セル10の応答信号を連続して記憶する。記憶部30は、デジタル化された応答信号を記憶する。すなわち、電気化学システム1は、応答信号をデジタル化するAD変換部を具備する。

0032

記憶部30は、第2信号の印加開始から印加終了までの間、電圧と電流とを、所定のサンプリングレート、所定のビットレートで記憶する記憶回路である。サンプリングレートは、1kHz以上、ビットレートは、8ビット以上であることが、高精度のデータを得るために好ましい。特に好ましくは、サンプリングレートは、10kHz以上、ビットレートは、16ビット以上である。

0033

記憶部30は、デジタル信号高速に記録する半導体メモリであることが好ましい。半導体メモリに記憶されたデータは、測定終了後に、大容量のデータが記憶可能な磁気記録装置転送されてから以降の工程が行われてもよい。

0034

図7および図8に、測定終了後に、記憶部30に記憶されている、第2信号が印加された電気化学セル10の応答信号(電圧/電流)を示す。図7における(a)〜(h)は、選択回路である選択部40によって選択された解析される解析範囲である。

0035

解析範囲は、図7に示された測定結果(V/I曲線)をもとに、任意に選択可能である。なお、解析範囲は、補助信号の1サイクル以上50サイクル以下が好ましい。前記解析範囲以上であれば、ノイズ成分の影響が少ないデータが得られる。前解析記範囲以下であれば、動的データが得られる。

0036

(a)電圧印加開始
(b)電圧および電流が、増加(電流0A)
(c)電流が、最大
(d)電流が、減少
(e)電圧が、最大(0.6V)
(f)電圧および電流が、減少(電流0A)
(g)電流が、最小
(h)電圧が減少、電流が増加

0037

(a)〜(h)は、第2補助信号(f1=39.68Hz)、5サイクルの範囲である。

0038

図9および図10に、算出回路である算出部50が算出した、選択された解析範囲(a)のフーリエ変換結果を示す。電圧および電流は、補助信号の周波数f1の高調波を含んでいる。

0039

算出部50は、高調波における、電圧および電流から算出部50がインピーダンス(Z‘、Z’‘)、を算出する。

0040

図11および図12に、選択された解析範囲(a)〜(h)のナイキスプロットを示す。なお、図11および図12には、広い周波数範囲のナイキスプロットを得るために、別途、補助信号(f1=39.68Hz、ΔVs=10mV)を重畳した第2信号を印加して測定した応答信号のインピーダンス(Z‘、Z’‘)もプロットされている。

0041

第1補助信号(f1=3.968Hz)を重畳した第2信号の応答信号からは、3.968Hz〜35.712Hzのインピーダンスが取得された。第2補助信号(f1=39.68Hz)を重畳した第2信号の応答信号からは、39.68Hz〜4.008kHzのインピーダンスが取得された。

0042

表1に、解析回路である解析部60が、ナイキストプロットをもとに、等価回路モデルを用いて、電気化学セル10の特性を示す。

0043

(表1)

0044

電位差ΔEが大きくなるにつれて、反応抵抗Rct(R2)が増加しており、界面のイオン状態の動的変化が得られている。電位差ΔEは、電流が最大または最小の50%のときの電位である半波電位E1/2と測定電位Eの差である。

0045

電気化学システム1は、変化する応答信号から任意の時点のインピーダンスを取得できる。さらに、電気化学システム1では、従来のシステムと異なり、サイクリックボルタンメトリ測定を行ってCVカーブを取得した後に解析範囲(測定条件)を設定するだけで、2回目の測定を行うことなく任意の測定電位E(解析範囲)のインピーダンスZ‘、Z’‘を取得できる。すなわち、サイクリックボルタンメトリ測定と同時にインピーダンス測定が行われるオペランド測定と同じ動的な測定結果が得られる。電気化学システム1は、信頼性の高い動的過程でのインピーダンスを取得できる。

0046

<電気化学システムの作動方法>
図3に示すように、電気化学システム1の作動方法は、信号印加工程S10と、記憶工程S20と、選択工程S30と、算出工程S40と、解析工程S50と、を具備する。

0047

<ステップS10>信号印加工程
信号印加工程では、経時変化する第1信号に、複数の周波数の成分を含む補助信号が重畳された第2信号が、複数の電極と電解質とを含む電気化学セルに印加される。

0048

<ステップS20>記憶工程
記憶工程は、信号印加工程S10と同時に行われ、第2信号の応答信号が連続してAD変換され、デジタル信号として連続して記憶される。

0049

<ステップS25>
測定が終了するまで(No)、ステップS10からの動作が繰り返し行われる。測定が終了すると(Yes)、ステップS30に移行する。

0050

<ステップS30>選択工程
選択工程は、信号印加工程S10および記憶工程S20の後に行われ、記憶されている、変化している応答信号から、解析する解析範囲が選択(設定)される。モニタに表示された応答信号(図7参照)をもとに、使用者によって解析範囲が選択されてもよいし、予め設定された条件に基づいて解析範囲が自動的に選択されてもよい。

0051

<ステップS40>算出工程
算出工程では、選択された解析範囲の応答信号がフーリエ変換されることによって、複数の高調波におけるそれぞれのインピーダンスが算出される。

0052

<ステップS50>解析工程
解析工程では、複数の周波数におけるそれぞれのインピーダンスからなるナイキストプロットをもとに、等価回路モデルを用いて、電気化学セル10の特性が解析される。

0053

なお、記憶部30、選択部40、算出部50、および解析部60は、物理的に構成されている回路でもよいし、プログラムによって動作するCPUであってもよい。また、1つの回路によって複数の機能部が構成されていてもよい。例えば、アナログ応答信号をデジタル応答信号に変換するAD変換部(AD変換回路)と算出部50を構成するCPUとが、1つの半導体チップ集積されていてもよい。

0054

図14は、第1補助信号(f1=3.968Hz、ΔVs=10mV)に加えて第2補助信号(f1=39.68Hz、ΔVs=10mV)が重畳されている補助信号が重畳されている第2信号の応答信号をもとにしたナイキスプロットを示す。

0055

図14は、図11と良く一致している。すなわち、補助信号に、異なる周波数の複数の矩形波が重畳されていてもよい。また、異なる周波数の正弦波が重畳された補助信号を用いてもよい。

0056

経時変化する第1信号としては、サイクリックボルタンメトリ(CV)、リニアスイープボルタンメトリ(LCV)などの一般の電気化学反応を測定する測定信号があげられる。インピーダンス測定用微少な補助信号を重畳して、CVまたはLCVなどによる電気化学測定を行った後に、任意範囲(電位/電流)のインピーダンスを測定することできるために、電気化学システム1によれば、解析に必要な測定範囲(測定点)のインピーダンスを取得できる。

0057

インピーダンス測定用の補助信号は、測定法にあわせて、所定の振幅の電流または電流で印可される。

0058

さらに、インピーダンス測定だけでなく、電気化学測定と同期して、他のオペランド測定を組み合わせても良い。他のオペランド測定としては、中性子線回折解析、X線回折解析X線吸収微細構造解析、X線光電子分光解析、赤外線分光分析紫外線分光分析ラマン分光分析および光学顕微鏡電子顕微鏡観察などの、X線解析、分光分析および顕微鏡観察などがあげられる。

0059

<第2実施形態>
図15に示すように、本実施形態の電気化学システム1Aは、第1実施形態の電気化学システム1と、基本構成が類似し同じ効果を有している。このため、同じ機能の構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。

0060

電気化学システム1Aでは、電気化学セル10Aが二次電池(蓄電池)10Aである。電池10Aは、例えば、リチウムコバルト酸化物等を含有する正極と、炭素材料等を含有する負極と、LiPF6を環状及び鎖状カーボネートに溶解した電解質と、を含むリチウムイオン電池である。なお、電気化学セルは、電気を蓄え放電できる蓄電部であれば、二次電池10Aに限られるものではなく、例えば、電気二重層コンデンサ等でもよい。

0061

電気化学システム1Aが電気自動車蓄電システムの場合には、モーター負荷25となる。AD変換部(AD変換回路)と記憶部30とを構成するCPUとが、1つの半導体チップに集積されている。さらに、記憶部30、選択部40、算出部50、および解析部60が、モニタおよびキーボードを含む1つのコンピュータによって構成されている。複数の機能部を高速に動作するため、コンピュータのCPUはマルチコアプロセッサであることが好ましい。

0062

図16は、電気化学システム1Aにより取得された第1信号が充電信号の場合の応答信号を示している。第1信号は、電圧が3V以上4.2V以下に制限された定電流信号である。補助信号は、周波数f1=5Hz、振幅ΔIs=0.5Aの電流制御された第1の矩形波信号と、周波数f1=50Hz、振幅ΔIs=0.5Aの電流制御された第2の矩形波信号と、の重畳信号である。第1の矩形波信号と第2の矩形波信号とが重畳された補助信号の振幅ΔIsは1Aである。

0063

サンプリングレートは、10kHz、ビットレートは、24ビットである。応答信号は、充電の進行にともなって徐々に電圧が増加している。

0064

図17に、充電時間によって変化したコールコールプロットを、図18にコールコールプロットの解析により取得された、R1およびR2を示す。

0065

充電により、R1(Rs)およびR2(Rct)が減少しており、充電に伴う電池特性の変化が得られた。

0066

なお、電気化学システム1Aでは、第1信号が放電信号の場合にも、充電信号の場合と同じように、電池10Aの解析が可能である。

0067

図19は、電気化学システム1Aにより取得された第1信号が、二次電池10Aの放電信号の場合の応答信号を示している。放電信号は定電流信号である。補助信号は、周波数f1=50Hzおよび50Hzの電流制御された矩形波重畳信号である。放電信号は、充電の進行にともなって徐々に電圧が減少している。

0068

図20に、放電時間によって変化したコールコールプロットを、図21にコールコールプロットの解析により取得された、R1およびR2を示す。

0069

放電により、R1およびR2が変化しており、放電に伴う電池特性の変化が得られた。

0070

図17図20を比べると、両者は変化が同一では無いことから、静的変化では無く動的変化が取得されていることがわかる。

0071

なお、説明を簡単にするため、電気化学システム1Aは電気化学セルとして、1個の電池10Aを有していた。しかし、電気化学セルが、複数の電池10Aが直列接続された電池ユニット、複数の電池10Aが並列接続された電池ユニット、または、複数の電池10Aが直列及び並列に接続された電池ユニットであっても、電池ユニットの全体としての特性変化を検出することもできる。

0072

また、電気化学システム1、1Aは、ナイキストプロットをもとに、等価回路モデルを用いて電気化学セル10、10Aの特性を解析する解析部60を具備していた。

0073

しかし、実施形態の電気化学システムは、等価回路モデルを用いて解析する解析部60を有していなくともよい。例えば、特定の周波数のインピーダンスを少なくとも1つ取得できれば、以前に取得したインピーダンスと比較することによって、電気化学セルの大凡の特性変化を把握することが可能である。

0074

本発明は、上述した実施形態等に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変、例えば、実施形態の構成要素の組み合わせ等が可能である。

0075

1、1A…電気化学システム
10、10A…電気化学セル
11、12、13…電極
14…電解質
20…電源
21…第1信号発生部
22…補助信号発生部
23…重畳部
25…負荷
30…記憶部
40…選択部
50…算出部
60…解析部

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