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技術 活物質、電極、二次電池、電池パック、及び車両

出願人 株式会社東芝
発明者 原田康宏高見則雄山下泰伸吉間一臣
出願日 2018年9月14日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-172323
公開日 2020年3月26日 (7ヶ月経過) 公開番号 2020-047374
状態 未査定
技術分野 りん、その化合物 電池の電極及び活物質 電池及び電池容器の装着・懸架
主要キーワード 外周端近傍 スチレンブタジェンゴム 結晶格子体積 ガラスホルダー 電子相関 重心付近 ポリアクリル酸化合物 炭素含有層
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題

レート特性に優れる二次電池を実現することができる活物質を提供すること。

解決手段

1つの実施形態によると、活物質が提供される。この活物質は、リン含有単斜晶ニオブチタン複合酸化物を含む一次粒子を含む。一次粒子は、リンの濃度が、一次粒子の重心から表面に向かって増加する濃度勾配を有する。

概要

背景

概要

レート特性に優れる二次電池を実現することができる活物質を提供すること。 1つの実施形態によると、活物質が提供される。この活物質は、リン含有単斜晶ニオブチタン複合酸化物を含む一次粒子を含む。一次粒子は、リンの濃度が、一次粒子の重心から表面に向かって増加する濃度勾配を有する。

目的

特開2017−059397号公報
特開2018−092955号公報




M.Gasperin, Journal of Solid State Chemistry 53, pp144-147 (1984)






レート特性に優れる二次電池を実現することができる活物質、この活物質を含む電極、この電極を具備する二次電池、この二次電池を具備する電池パック、及び、この電池パックを具備する車両を提供する

効果

実績

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請求項1

リン含有単斜晶ニオブチタン複合酸化物を含む一次粒子を含み、前記一次粒子は、リンの濃度が、前記一次粒子の重心から表面に向かって増加する濃度勾配を有する活物質

請求項2

前記リン含有単斜晶型ニオブチタン複合酸化物は、一般式Ti1-xM1xNb2-y-zM2yPzO7で表される平均組成を有する請求項1に記載の活物質:前記一般式において、0≦x<1であり、0≦y<1であり、0<z≦0.5であり、元素M1及びM2は、それぞれ、V、Ta、Fe、Bi、Cr、Mo、W、B、K、Na、Mg、Al及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、元素M1と元素M2とは、同じ元素であってもよく、互いに異なる元素であってもよい。

請求項3

前記一次粒子の重心の位置におけるリンの濃度(C1)に対する、前記重心から前記一次粒子の表面までの長さのうち、前記重心から8割の長さの位置におけるリンの濃度(C2)の比(C2/C1)は、1.05〜100の範囲内にある請求項1又は2に記載の活物質。

請求項4

前記一次粒子の表面の少なくとも一部がリン酸化合物である請求項1〜3の何れか1項に記載の活物質。

請求項5

複数の前記一次粒子からなる二次粒子を含み、前記複数の前記一次粒子の間に前記リン酸化合物が存在する請求項4に記載の活物質。

請求項6

前記リン酸化合物は、酸化リンリン酸鉄及びリン酸カリウムからなる群より選択される少なくとも1つを含む請求項4又は5に記載の活物質。

請求項7

前記リン酸化合物は、リン酸鉄及びリン酸カリウムからなる群より選択される少なくとも1つを含む請求項6に記載の活物質。

請求項8

請求項1〜7の何れか1項に記載の活物質を含む電極

請求項9

前記電極は、前記活物質を含む活物質含有層を含む請求項8に記載の電極。

請求項10

正極と、負極と、電解質とを具備する二次電池であって、前記負極は、請求項8又は9に記載の電極である二次電池。

請求項11

請求項10に記載の二次電池を具備する電池パック

請求項12

通電用外部端子と、保護回路とを更に含む請求項11に記載の電池パック。

請求項13

複数の前記二次電池を具備し、前記二次電池が直列並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている請求項11又は12に記載の電池パック。

請求項14

請求項11〜13の何れか1項に記載の電池パックを具備する車両。

請求項15

前記車両の運動エネルギー回生エネルギーに変換する機構を含む請求項14に記載の車両。

技術分野

0001

本発明の実施形態は、活物質電極二次電池電池パック、及び車両に関する。

0002

近年、高エネルギー密度電池として、リチウムイオン二次電池のような非水電解質二次電池などの二次電池の研究開発が盛んに進められている。非水電解質二次電池などの二次電池は、ハイブリッド電気自動車電気自動車等の車両用携帯電話基地局無停電電源用などの電源として期待されている。そのため、二次電池は、高エネルギー密度に加えて、急速充放電性能、長期信頼性のような他の性能にも優れていることも要求されている。例えば、急速充放電が可能な二次電池は、充電時間が大幅に短縮されるだけでなく、ハイブリッド電気自動車等の車両の動力性能の向上や動力回生エネルギーの効率的な回収も可能である。

0003

急速充放電を可能にするためには、電子及びリチウムイオンが正極と負極との間を速やかに移動できることが必要である。しかしながら、カーボン系負極を用いた電池は、急速充放電を繰り返すと、電極上に金属リチウムデンドライト析出が生じ、内部短絡による発熱発火の虞があった。

0004

そこで、炭素質物の代わりに金属複合酸化物を負極に用いた電池が開発された。中でも、チタン酸化物を負極に用いた電池は、安定的な急速充放電が可能であり、カーボン系負極を用いた場合に比べて寿命も長いという特性を有する。

0005

しかしながら、チタン酸化物は炭素質物に比べて金属リチウムに対する電位が高い、すなわち貴である。その上、チタン酸化物は、重量あたりの容量が低い。このため、チタン酸化物を負極に用いた電池は、エネルギー密度が低いという問題がある。

0006

例えば、チタン酸化物の電極電位は、金属リチウム基準で約1.5V(vs.Li/Li+)であり、カーボン系負極の電位に比べて高い(貴である)。チタン酸化物の電位は、リチウム電気化学的に挿入脱離する際のTi3+とTi4+の間での酸化還元反応に起因するものであるため、電気化学的に制約されている。また、1.5V(vs.Li/Li+)程度の高い電極電位においてリチウムイオンの急速充放電が安定的に行えるという事実もある。従って、エネルギー密度を向上させるために電極電位を低下させることは従来困難であった。

0007

一方、単位重量あたりの容量については、二酸化チタンアナターゼ構造)の理論容量は165mAh/g程度であり、Li4Ti5O12のようなスピネル型リチウムチタン複合酸化物の理論容量も180mAh/g程度である。一方、一般的な黒鉛系電極材料の理論容量は385mAh/g以上である。このように、チタン酸化物の容量密度はカーボン系負極のものと比較して著しく低い。これは、チタン酸化物の結晶構造中に、リチウムを吸蔵するサイトが少ないことや、構造中でリチウムが安定化し易いため、実質的な容量が低下することによるものである。

0008

以上に鑑みて、Ti及びNbを含む新たな電極材料が検討されている。このようなニオブチタン複合酸化物材料は、高い充放電容量を有すると期待されている。特に、TiNb2O7で表される複合酸化物は380mAh/gを超える高い理論容量を有する。それ故、ニオブチタン複合酸化物は、Li4Ti5O12に代わる高容量材料として期待されているが、充放電サイクル時に格子体積が変動して粒子間の接触が悪くなり、電極中の電子導電ネットワークが悪化するという問題がある。

0009

特開2017−059397号公報
特開2018−092955号公報

先行技術

0010

M.Gasperin, Journal of Solid State Chemistry 53, pp144-147 (1984)

発明が解決しようとする課題

0011

レート特性に優れる二次電池を実現することができる活物質、この活物質を含む電極、この電極を具備する二次電池、この二次電池を具備する電池パック、及び、この電池パックを具備する車両を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

第1の実施形態によると、活物質が提供される。この活物質は、リン含有単斜晶型ニオブチタン複合酸化物を含む一次粒子を含む。一次粒子は、リンの濃度が、一次粒子の重心から表面に向かって増加する濃度勾配を有する。

0013

第2の実施形態によると、第1の実施形態に係る活物質を含む電極が提供される。

0014

第3の実施形態によると、正極と負極と電解質とを具備する二次電池が提供される。負極は、第2の実施形態に係る電極である。

0015

第4の実施形態によると、第3の実施形態に係る二次電池を具備する電池パックが提供される。

0016

第5の実施形態によると、第4の実施形態に係る電池パックを具備する車両が提供される。

図面の簡単な説明

0017

ニオブチタン複合酸化物Nb2TiO7の結晶構造を示す模式図。
図1の結晶構造を他の方向から示す模式図。
透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)観察における測定対象の粒子を概略的に示す平面図。
実施形態に係る二次電池の一例を概略的に示す断面図。
図4に示す二次電池のA部を拡大した断面図。
実施形態に係る二次電池の他の例を模式的に示す部分切欠斜視図。
図6に示す二次電池のB部を拡大した断面図。
実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図。
実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図。
図9に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図。
実施形態に係る車両の一例を概略的に示す断面図。
実施形態に係る車両の他の例を概略的に示した図。

実施例

0018

以下に、実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。

0019

(第1の実施形態)
第1の実施形態によると、活物質が提供される。この活物質は、リン含有単斜晶型ニオブチタン複合酸化物を含む一次粒子を含む。一次粒子は、リンの濃度が、一次粒子の重心から表面に向かって増加する濃度勾配を有する。

0020

以下、実施形態に係る活物質が、優れたレート特性を達成可能な二次電池を実現できる理由を説明する。

0021

まず、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の一例として、Nb2TiO7相について説明する。
実施形態に係る活物質が含む主相は、Nb2TiO7を代表組成として示されるニオブチタン複合酸化物相である。ニオブチタン複合酸化物の組成はこれに限定されないが、空間群C2/mの対称性を持ち、非特許文献1(Journal of Solid State Chemistry 53, pp144-147 (1984))に記載の原子座標を有する結晶構造を有することが好ましい。

0022

単斜晶型Nb2TiO7の結晶構造の模式図を図1及び図2に示す。

0023

図1に示すように、単斜晶型Nb2TiO7の結晶構造は、金属イオン101と酸化物イオン102が骨格構造部分103を構成している。金属イオン101の位置には、NbイオンTiイオンとがNb:Ti=2:1の比でランダムに配置されている。この骨格構造部分103が三次元的に交互に配置されることで、骨格構造部分103同士の間に空隙部分104が存在する。この空隙部分104がリチウムイオンのホストとなる。リチウムイオンは、この結晶構造中に0モルから最大で5.0モルまで挿入され得る。従って、リチウムイオンが0〜5.0モル挿入された場合の組成は、LixNb2TiO7(0≦x≦5)と表すことができる。

0024

図1において、領域105及び領域106は、[100]方向と[010]方向に2次元的なチャネルを有する部分である。それぞれ図2に示すように、単斜晶型Nb2TiO7の結晶構造には、[001]方向に空隙部分107が存在する。この空隙部分107は、リチウムイオンの導電に有利なトンネル構造を有しており、領域105と領域106とを繋ぐ[001]方向の導電経路となる。この導電経路が存在することによって、リチウムイオンは領域105と領域106を行き来することが可能となる。また、ニオブチタン複合酸化物は、1.5V(対Li/Li+)程度のリチウム吸蔵電位を有する。それ故、ニオブチタン複合酸化物を活物質として含む電極は、安定した繰り返し急速充放電が可能な電池を実現できる。

0025

更に、上記の結晶構造は、リチウムイオンが空隙部分104に挿入されたとき、骨格を構成する金属イオン101が3価に還元され、これによって結晶電気的中性が保たれる。ニオブチタン複合酸化物においては、Tiイオンが4価から3価へ還元されるだけでなく、Nbイオンが5価から3価へと還元される。このため、活物質重量あたりの還元価数が大きい。それ故、多くのリチウムイオンが挿入されても結晶の電気的中性を保つことが可能である。このため、4価カチオンだけを含む酸化チタンのような化合物に比べて、エネルギー密度が高い。

0026

実施形態に係る活物質は、リンを含有した単斜晶型ニオブチタン複合酸化物を含んだ一次粒子を含む。リンの濃度が、一次粒子の重心から表面に向かって徐々に増加していると、実用的な電池容量を確保しつつ、一次粒子内部へのリチウムイオン拡散速度を向上することができる。この理由を説明する。

0027

リン原子は、酸化物中で酸化物イオンと強い共有結合性を示す。リチウムイオンがニオブチタン酸化物中で拡散する際には、Li−O間の電子相関障壁となり得るが、リン原子と酸化物イオンとの共有結合性が強いために、Li−O間の電子相関は弱まる傾向にある。その結果、リチウムイオンの拡散速度が向上する。

0028

一方、ニオブチタン複合酸化物がリン原子を含んでいると、充放電時に還元され得るNb量が減るため、充放電容量の低下を招く。そこで、一次粒子内に濃度勾配を生じさせることによって、リン濃度が高い部分ではリチウムイオンの拡散速度を向上させ、リン濃度の低い部分(粒子の重心付近)では実用的な充放電容量を達成することができる。

0029

リチウムイオンが一次粒子中で拡散する際には、粒子表面付近から粒子内部(粒子中心付近)への拡散距離が長く、拡散に関する活性化エネルギーが高い。それ故、粒子表面付近のリン濃度を高めて、粒子表面付近から粒子内部に向かってリチウムイオンを拡散し易くすることにより、一次粒子内全体にリチウムイオンを効率良く拡散させることができる。更に、粒子内部は、リン濃度が低いことからより多くのリチウムイオンが挿入されうるため、高い充放電容量を達成することができる。

0030

リンの濃度勾配に関して、比(C2/C1)が1.05〜100の範囲内にあることが好ましい。ここで、C1は、一次粒子の重心の位置におけるリンの濃度であり、C2は、一次粒子の重心から一次粒子の表面までの長さのうち、重心から8割の長さの位置におけるリンの濃度である。比(C2/C1)は、1.05〜10.0の範囲内にあることがより好ましい。

0031

濃度C1及び濃度C2は、エネルギー分散X線分光(EDX:Energy Dispersive X-ray spectrometry)機能付き透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)観察で確認することができる。TEM−EDX観察によると、混相を有する材料(活物質)における各結晶の分布を確認することができ、それぞれの元素の分布を可視化したり、元素濃度を求めたりすることができる。具体的なTEM−EDX観察の方法は後述する。

0032

濃度C1は、例えば0.01atm%〜6atm%の範囲内にあり、好ましくは0.1atm%〜1.0atm%の範囲内にある。濃度C2は、例えば0.0105atm%〜15atm%の範囲内にあり、好ましくは0.0105atm%〜5.5atm%の範囲内にある。

0033

一次粒子内に存在するリンは、例えば、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の結晶構造中のNbイオンのサイトにリンが置換されている状態、及び、結晶粒界にリンが析出している状態で存在し得る。或いは、一次粒子の表面の少なくとも一部がリン酸化合物であってもよい。

0034

Nbイオンのサイトにリンが置換されている場合、上述したように、リン原子と酸化物イオンとの共有結合性が高いことから、リチウムイオンの拡散速度を向上させることができる。一次粒子の結晶粒界に存在するリンは、酸化リン及び/リン酸化合物の形態で存在し得る。酸化リン及び/リン酸化合物が結晶粒界に存在する場合、粒子間の結着がより強固なものとなり、充放電サイクル中に結晶格子体積が変動しても粒子間が離れにくいため、良好な電子導電パスを形成することができる。

0035

一次粒子の表面の少なくとも一部がリン酸化合物であると、後述するように、二次粒子化した際の一次粒子同士の結着性を高めて、良好な電子導電パスを形成することができるため好ましい。また、一次粒子の表面にリン酸化合物が存在していると、活物質が電解質と直接接触しないため、充放電時における電解質の分解反応副反応)が生じにくいという利点がある。

0036

一次粒子の結晶粒界及び一次粒子の表面に存在するリン酸化合物の種類は特に限定されないが、例えば、リン酸リチウムリン酸カリウムリン酸ナトリウムリン酸マグネシウムリン酸チタンリン酸ジルコニウムリン酸マンガンリン酸鉄リン酸アルミニウムリン酸タンタル、リン酸タングステン、リン酸ニオブ、リン酸モリブデン及びリン酸ビスマスなどのリン酸塩が挙げられる。

0037

一次粒子の表面の少なくとも一部に存在するリン酸化合物は、酸化リン、リン酸鉄及びリン酸カリウムからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。一次粒子の表面の少なくとも一部に存在するリン酸化合物は、リン酸鉄及びリン酸カリウムからなる群より選択される少なくとも1つであってもよい。

0038

一次粒子の表面に酸化リンが存在すると、非水電解質が含む微量な水分と酸化リンが反応する脱水効果が得られる。これにより、充放電中水素生成量が抑制され長期充放電サイクルにおける電池の膨れを抑制することができる。

0039

一次粒子の表面にリン酸鉄が存在すると、粒子表面の電子伝導性を高めることができる。これは、充放電の際に鉄イオンが還元されて電子導電性発現するためである。

0040

一次粒子の表面にリン酸カリウムが存在すると、この一次粒子とリチウムイオンとの親和性を高めることができる。これは、カリウムが、リチウムと同じアルカリ金属元素であるためである。

0041

実施形態に係るリン含有単斜晶型ニオブチタン複合酸化物は、例えば、一般式Ti1-xM1xNb2-y-zM2yPzO7で表される平均組成を有している。上記一般式において、0≦x<1であり、0≦y<1であり、0<z≦0.5である。元素M1及びM2は、それぞれ、V、Ta、Fe、Bi、Cr、Mo、W、B、K、Na、Mg、Al及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種である。元素M1と元素M2とは、同じ元素であってもよく、互いに異なる元素であってもよい。

0042

元素M1としては、Cr、Fe及びAlの少なくとも一方の元素を用いることが好ましい。これらの元素は、3価の元素である。従って、元素M1としてこれらの元素を用いると、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の電子伝導性を向上させることができる。それ故、元素M1としてこれらの元素を用いると、電池の容量及び急速充放電性能を向上させることができる。

0043

また、電子伝導性の向上という観点からは、元素M1としては、V、Ta及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を用いることがより好ましい。これらの元素は、5価の元素であるため、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の電子伝導性を更に向上させることができる。

0044

また、元素M1としては、B、K、Na、Mg、及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を用いることが好ましい。これらの元素の原子量は、それぞれ、Tiの原子量よりも小さい。したがって、元素M1としてこれらの元素を用いると、電池の容量を高めることができる。

0045

元素M2としては、Mo、及びWからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を用いることが好ましい。これらの元素は、6価の元素であるため、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の電子伝導性を向上させることができる。

0046

元素M2としてTaを用いた場合、元素M2としてNbを用いた場合と同等の性能を有する単斜晶型ニオブチタン複合酸化物を得ることができる。これは、NbとTaとは、同様の物理的、化学的及び電気的な性質を有しているためと考えられる。

0047

元素M1及びM2としては、Mo、W及びVからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を用いてもよい。これらの元素は、焼結助剤としての効果を奏する。したがって、これらの元素をM1及びM2の少なくとも一方に用いた場合、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の製造時の焼成温度下げることができる。

0048

一般式Ti1-xM1xNb2-y-zM2yPzO7で表される化合物における元素M1及びM2の含有量は、例えば誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)分光分析によって定量することができる。

0049

なお、第1実施形態に係る活物質は、一般式Ti1-xM1xNb2-y-zM2yPzO7で表される化学量論比から外れた組成を有する酸化物を含んでいてもよい。このような酸化物は、一般式Ti1-xM1xNb2-y-zM2yPzO7+δ(0≦x<1、0≦y<1、0<z≦0.5、−0.3≦δ≦0.3)と表すことができる。

0050

即ち、リン含有単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の調製中、原材料又は中間生成物酸素欠損が生じることがある。また、原材料中に含まれていた不可避不純物及び調製中に混入した不純物などが、複合酸化物中に存在することもある。このような不可避要因により、化学量論比から外れた組成を有する酸化物を含むリン含有単斜晶型ニオブチタン複合酸化物が調製されることがある。このように化学量論比から外れた組成を有する酸化物は、化学量論比の組成を有する酸化物と同様に、リチウムイオンの挿入安定性に優れている。それゆえ、リン含有単斜晶型ニオブチタン複合酸化物が、このような化学量論比から外れた組成を有する酸化物を含んでいたとしても、リチウムイオン吸蔵能への影響は少ない。

0051

また、実施形態に係る一次粒子は、リンを含有しない単斜晶型ニオブチタン複合酸化物相を含んでいても良い。リンを含有しない単斜晶型ニオブチタン複合酸化物相は、例えば、一般式Ti1-xM3xNb2-yM4yO7で表される。上記一般式において、0≦x<1であり、0≦y<1であり、元素M3及びM4は、それぞれ、V、Ta、Fe、Bi、Cr、Mo、W、B、K、Na、Mg、Al及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、元素M3と元素M4とは、同じ元素であってもよく、互いに異なる元素であってもよい。実施形態に係る一次粒子は、この一般式とはNb/Ti比の異なる異相を含んでいてもよい。このような異相としては、例えば、ルチル型TiO2、Nb24TiO62、Nb14TiO37、及びNb10Ti2O29を挙げることができる。

0052

ニオブチタン複合酸化物は、充放電によって格子体積が変動する。従って、ニオブチタン複合酸化物が電極中で一次粒子として存在する場合、活物質含有層を構成するバインダ及び導電助剤活物質粒子との接触状態が変化しやすい。それ故、充放電を繰り返すうちに、集電体からの活物質含有層の剥離や、導電助剤からの活物質粒子の剥離が起きるため、電極中の電子導電パスが寸断されやすい。

0053

そこで、実施形態に係る活物質は、リン酸化合物を介して複数の一次粒子が造粒してなる二次粒子を含むことが好ましい。言い換えると、このような二次粒子が含む複数の一次粒子の間には、リン酸化合物が存在している。これにより、充放電中の格子体積変化による電子導電パスの寸断を抑制することができる。リン酸化合物は一次粒子同士を強固に結着するだけでなく、リチウムイオンを動きやすくする。それ故、複数の一次粒子をリン酸化合物によって結着してできた二次粒子は、電子導電パスが寸断されにくいだけでなく、粒子間に介在するリン酸化合物によりリチウムイオンの動きをスムーズにすることができる。つまり、リチウムイオンは一次粒子間を速やかに移動することができる。従って、実施形態に係る活物質が、複数の一次粒子からなる二次粒子を含んでおり、複数の一次粒子の間にリン酸化合物が存在していると、レート特性に優れる二次電池を実現することができることに加えて、充放電を繰り返した際の電極の劣化を抑制できる。即ち、この場合、優れた寿命特性を有する二次電池を実現することができる。複数の一次粒子の間に存在するリン酸化合物が、リン酸鉄及びリン酸カリウムから選択される少なくとも1つを含んでいると、粒子間のリチウムイオン伝導性を高めることができるためより好ましい。

0054

次に、実施形態に係る活物質についての形態、粒子径及び比表面積を説明する。

0055

<形態>
実施形態に係る活物質の形態は、例えば、一次粒子の表面がリン酸化合物であり、このリン酸化合物を介して一次粒子が結着している二次粒子の形態をとるが、すべて二次粒子である必要はない。活物質は、一次粒子と、二次粒子との混合物であってもよい。

0056

ニオブチタン複合酸化物の粒子は、一次粒子表面及び二次粒子表面に炭素含有層を有していてもよい。活物質は、リン酸化合物が表面に存在する一次粒子に、炭素含有層が付着して造粒された二次粒子を含んでいてもよい。このような二次粒子は、一次粒子間に炭素が存在しているため、優れた導電性を示すことができる。このような二次粒子を含む態様は、リン酸化合物を介して強固に結着した二次粒子と、炭素含有層を介して結着した二次粒子とが混在することで寿命性能を高めると共により低い抵抗を示すことができる。

0057

活物質の重量に対して、二次粒子の形態で存在するニオブチタン複合酸化物の重量の割合は、例えば、5.0重量%〜99.0重量%の範囲内にある。

0058

<粒子径>
ニオブチタン複合酸化物の一次粒子又は二次粒子である活物質粒子の平均粒子径は特に制限されない。活物質粒子の平均粒子径は、例えば0.1μm〜50μmの範囲内にある。平均粒子径は、必要とされる電池特性に応じて変化させることができる。例えば、急速充放電性能を高めるためには、平均粒子径を1.0μm以下とすることが好ましい。このようにすると、結晶中のリチウムイオンの拡散距離を小さくすることができるため、急速充放電性能を高めることができる。平均粒子径は、例えばレーザー回折法によって求めることができる。

0059

BET比表面積
実施形態に係る活物質のBET(Brunauer, Emmett, Teller)比表面積は、特に制限されない。しかしながら、BET比表面積は、5m2/g以上、200m2/g未満であることが好ましい。

0060

比表面積が5m2/g以上であれば、電解質との接触面積を確保することができ、良好な放電レート特性が得られやすく、また充電時間を短縮できる。一方、比表面積が200m2/g未満であれば、電解質との反応性が高くなり過ぎず、寿命特性を向上させることができる。また、後述する電極の製造に用いる、活物質を含むスラリーの塗工性を良好なものにすることができる。

0061

ここで、比表面積の測定は、粉体粒子表面に吸着占有面積既知である分子液体窒素の温度で吸着させ、その量から試料の比表面積を求める方法を用いる。最も良く利用されるのが不活性気体低温低湿物理吸着によるBET法であり、単分子層吸着理論であるLangmuir理論を多分子層吸着に拡張した、比表面積の計算方法として最も有名な理論である。これにより求められた比表面積のことをBET比表面積と称する。

0062

<TEM−EDX観察>
続いて、エネルギー分散型X線分光機能付き透過型電子顕微鏡(TEM−EDX)観察の方法を説明する。上述したように、TEM−EDX観察によると、混相を有する材料(活物質)における各結晶の分布を確認することができる。また、元素の分布を可視化したり、元素濃度を求めたりすることができる。

0063

電極に含まれる活物質についてTEM−EDX観察を行う場合は、例えば以下のように行うことができる。

0064

まず、活物質の結晶状態を把握するために、活物質からリチウムイオンが完全に離脱した状態にする。例えば、活物質が負極において用いられている場合、電池を完全に放電状態にする。例えば、電池を25℃環境において0.1C電流で定格終止電圧又は電池電圧が1.0Vに到達するまで放電させることを複数回繰り返し、放電時の電流値定格容量の1/100以下となるようにすることで、電池を放電状態にすることができる。放電状態でも残留したリチウムイオンが存在することもある。

0065

次に、アルゴン充填したグローブボックス中で電池を分解し、電極を取り出して、適切な溶媒洗浄する。適切な溶媒としては、例えばエチルメチルカーボネートを用いることができる。電極の洗浄が不十分であると、電極中に残留したリチウムイオンの影響で、炭酸リチウムやフッ化リチウムなどの不純物相が混入することがある。その場合は測定雰囲気不活性ガス中で行える気密容器を用いるとよい。このとき、集電体である金属箔導電剤及びバインダなどに由来するピークを、EDXを用いてあらかじめ測定して把握しておく。もちろん、これらを事前に把握できているのであれば、この操作は省略することができる。集電体のピークと活物質のピークとが重なる場合、集電体から活物質含有層を剥離して測定することが望ましい。これは、ピーク強度を定量的に測定する際、重なったピークを分離するためである。活物質含有層を物理的に剥離しても良い。活物質含有層は、適切な溶媒中で超音波をかけると剥離しやすい。集電体から活物質含有層を剥離するのに超音波処理を行った場合、溶媒を揮発させることで、電極体粉末(活物質、導電剤、バインダを含む)を回収することができる。

0066

TEM−EDX測定にあたっては、対象とする試料粉体樹脂などに埋め込み、機械研磨及びイオンミリングなどで検体内部を削り出すことで粒子断面を観察することが望ましい。また、対象とする試料が電極体でも同様の処理を行うことができる。電極体を電極体のまま樹脂に埋め込み、所望の箇所を観察することもできるし、電極体から集電体(金属箔)を剥離し、導電剤やバインダが混在した電極粉末として観察することもできる。このようにすることで、ニオブチタン複合酸化物と、酸化リン及び/又はリン酸化合物とが一次粒子内でどのように分布しているかを知ることができる上、粒子内の組成を知ることができる。例えば、一次粒子の表面がリン酸化合物である場合、このリン酸化合物よりも内側に存在するニオブチタン複合酸化物相と、リン酸化合物との境界部分を観察することも可能である。また、比較的低い倍率で一次粒子間の接触部分を観察することにより、測定対象の粉末に二次粒子が含まれているか否かを確認することができる。

0067

図3を参照しながら具体例を説明する。図3は測定対象の粒子断面を概略的に示す平面図である。まず、測定対象とする一次粒子50の重心点を粒子の中心(測定点A)とみなす。次に、粒子重心と粒子表面の任意の点とを結んだ直線上で等間隔に5点の点Xを設定する。それぞれの点Xに直交する領域において、重心から外殻(表面)に向かって、粒子表面までの距離の80%に相当する箇所を測定点Bとみなす。各測定点Bについて、電子線回折パターン観測をする。このとき多波干渉像を調べることで、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物相から酸化リン又はリン酸化合物を分離して探すことができる。例えば、電子線回折パターンを予めシミュレーションすることで単斜晶型ニオブチタン複合酸化物相、酸化リン、リン酸化合物及びそれ以外の相を容易に判別することができる。次に、EDXを用いて粒子断面におけるリン量マッピングを行う。そして、粒子の中心部分(測定点A)の濃度(atm%)と、5箇所の測定点Bにおける濃度(atm%)とを測定する。測定点Bについては、5箇所の濃度の平均値を算出する。この測定を、ランダムに選出した10個の粒子に対して行う。

0068

濃度C1は、ランダムに選出した10個の粒子について測定した、測定点Aのリンの濃度を平均した平均濃度(atm%)である。濃度C2は、ランダムに選出した10個の粒子について測定した、5箇所の測定点Bにおけるリンの濃度の平均値を、更に平均した平均濃度(atm%)である。濃度C2が濃度C1よりも高い場合、測定対象の活物質粒子は、粒子の重心から表面に向かって連続的に増加する濃度勾配を有しているとみなすことができる。

0069

活物質に含まれるリン酸化合物及び一次粒子部分(コア粒子部分)のニオブチタン複合酸化物の結晶構造は、例えば、粉末X線回折測定及び透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)観察などにより確認することができる。

0070

<活物質の粉末X線回折測定>
活物質の粉末X線回折測定は、例えば次のように行うことができる。
まず、対象試料を平均粒子径が5μm程度となるまで粉砕する。粉砕した試料を、ガラス試料板上に形成された深さ0.2mmのホルダー部分に充填する。このとき、試料が十分にホルダー部分に充填されるように留意する。また、ひび割れ、空隙等が生じないように、過不足ない量の試料を充填するように注意する。次いで、外部から別のガラス板押し付けて、ホルダー部分に充填された試料の表面を平らにする。充填量の過不足により、ホルダーの基準面より凹凸が生じることのないように注意する。

0071

次いで、試料が充填されたガラス板を粉末X線回折装置に設置し、Cu−Kα線を用いて回折パターンXRDパターン;X‐Ray Diffraction pattern)を取得する。

0072

なお、試料の粒子形状により粒子の配向が大きくなる場合がある。試料の配向性が高い場合は、試料の充填の仕方によってピークの位置がずれたり、強度比が変化したりする可能性がある。このように配向性が著しく高い試料は、ガラスキャピラリを用いて測定する。具体的には、試料をキャピラリに挿入し、このキャピラリを回転式試料台に載置して測定する。このような測定方法により、配向性を緩和することができる。ガラスキャピラリとしては、直径1mm〜6mmφのリンデマンガラス製キャピラリを用いることが好ましい。

0073

電極に含まれる活物質について粉末X線回折測定を行う場合は、例えば以下のように行うことができる。
まず、活物質の結晶状態を把握するために、活物質からリチウムイオンが完全に離脱した状態にする。この操作として、例えば、TEM−EDX観察の項で説明した方法で電池を放電状態とすることができる。

0074

次に、アルゴンを充填したグローブボックス中で電池を分解し、電極を取り出して、適切な溶媒で洗浄する。適切な溶媒としては、例えばエチルメチルカーボネートを用いることができる。電極の洗浄が不十分であると、電極中に残留したリチウムイオンの影響で、炭酸リチウムやフッ化リチウムなどの不純物相が混入することがある。その場合は測定雰囲気を不活性ガス中で行える気密容器を用いるとよい。洗浄した電極を、粉末X線回折装置のホルダーの面積と同程度の面積となるように切断して測定試料とする。この試料を直接ガラスホルダーに貼り付けて測定を行う。

0075

このとき、集電体である金属箔、導電剤及びバインダなどに由来するピークを、XRDを用いてあらかじめ測定して把握しておく。もちろん、これらを事前に把握できているのであれば、この操作は省略することができる。集電体のピークと活物質のピークとが重なる場合、集電体から活物質含有層を剥離して測定することが望ましい。これは、ピーク強度を定量的に測定する際、重なったピークを分離するためである。活物質含有層を物理的に剥離しても良い。活物質含有層は、適切な溶媒中で超音波をかけると剥離しやすい。集電体から活物質含有層を剥離するのに超音波処理を行った場合、溶媒を揮発させることで、電極体粉末(活物質、導電剤、バインダを含む)を回収することができる。回収した電極体粉末を、例えばリンデマンガラス製キャピラリ等に充填して測定することで、活物質の粉末X線回折測定を行うことができる。なお、超音波処理を行って回収した電極体粉末は、粉末X線回折測定以外の各種分析に供することもできる。

0076

得られる回折ピークにおいて、最大のピーク強度を有するニオブチタン複合酸化物相に帰属されるピークと、リン酸化合物に帰属されるピークとの混合チャートが観測される。

0077

<ICP発光分光法
活物質の組成は、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光法を用いて分析することができる。このとき、各元素の存在比モル比)は、使用する分析装置感度に依存する。従って、測定されるモル比が、実際のモル比から測定装置誤差分だけ数値がずれることがある。しかしながら、分析装置の誤差範囲で数値が逸脱したとしても、実施形態に係る活物質の性能を十分に発揮することができる。

0078

電池に組み込まれている活物質の組成をICP発光分光法により測定するには、具体的には以下の手順により行う。

0079

まず、粉末X線回折測定の項で説明した手順により、二次電池から、測定対象たる活物質を含んだ電極を取り出し、洗浄する。洗浄した電極から、活物質含有層など電極活物質が含まれている部分を剥離する。例えば、超音波を照射することにより電極活物質が含まれている部分を剥離することができる。具体例として、例えば、ガラスビーカー中に入れたエチルメチルカーボネートに電極を入れ、超音波洗浄機中で振動させることで、電極集電体から電極活物質を含む活物質含有層を剥離させることができる。

0080

次に、剥離した部分を大気中で短時間加熱して(例えば、500℃で1時間程度)、バインダ成分カーボンなど不要な成分を焼失させる。この残渣を酸で溶解することで、活物質を含む液体サンプルを作成できる。このとき、酸としては塩酸硝酸硫酸フッ化水素などを使用できる。この液体サンプルをICP分析に供することで、活物質中の組成を知ることができる。

0081

<製造方法>
実施形態に係る活物質は、以下に説明する第1の合成方法により製造することができる。

0082

(第1の合成方法)
まず、酸化ニオブ、酸化チタン、その他添加元素(下記M1及びM2)の酸化物又は炭酸塩などの各種塩に加え、リン源であるP2O5を用意する。このとき、例えば、目的とする組成である一般式Ti1-xM1xNb2-y-zM2yPzO7に示すモル量よりも、リンが10モル%〜500モル%過剰となるようにリン源を加える。次に、350℃で2時間加熱を行った後、800℃で12時間、1000℃で2時間焼成する。

0083

その後、室温以下に急冷却することで、リンの濃度勾配を有するリン含有ニオブチタン複合酸化物粒子が得られる。室温以下への急冷却は、例えば、焼成後の粉末を液体窒素に投入することにより行うことができる。350℃の加熱によりリン酸化物を分解して、800℃の加熱によりリン酸化物を原料粒子の内部に均一に分散させ、1000℃の加熱により、リンの濃度勾配及び目的とする組成を有したリン含有ニオブチタン複合酸化物を得ることができる。粒子内部に存在する過剰なリンは、焼成の際に一次粒子間の粒界部(一次粒子表面)に向かって析出し得る。この過程において急冷却することで、リンの濃度勾配を有するリン含有ニオブチタン複合酸化物を含む一次粒子を得ることができる。

0084

第1の合成方法によると、一次粒子の表面が酸化リンである粒子も製造され得る。また、第1の合成方法によると、複数の一次粒子の間にリン酸化合物が存在し、これら一次粒子が造粒してなる二次粒子も製造され得る。

0085

更に、以下に説明する第2の合成方法によると、リン含有単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の一次粒子表面が、酸化リン以外のリン酸化合物である粒子を製造することができる。リン酸化合物としては、上述したように、例えばリン酸リチウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウム、リン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リン酸マンガン、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸タンタル、リン酸タングステン、リン酸ニオブ、リン酸モリブデン及びリン酸ビスマスなどが挙げられる。

0086

(第2の合成方法)
まず、酸化ニオブ、酸化チタン、その他添加元素(下記M1及びM2)の酸化物又は炭酸塩などの各種塩に加え、リン源であるP2O5を用意する。このとき、例えば、目的とする組成である一般式Ti1-xM1xNb2-y-zM2yPzO7に示すモル量よりも、リンが10モル%〜500モル%過剰となるようにリン源を加える。次に、350℃で2時間加熱を行った後、室温まで冷却する。

0087

冷却後に得られた粉末に対して、例えば、リチウム、カリウム、ナトリウムマグネシウムチタンジルコニウムマンガン、鉄、アルミニウム、タンタル、タングステン、ニオブ、モリブデン及びビスマスの酸化物又は炭酸塩を所定のモル数加える。例えば、一次粒子の表面がリン酸鉄及び/又はリン酸カリウムを含む活物質粒子を製造する場合は、所定のモル数の酸化鉄及び/又は炭酸カリウムを添加する。

0088

その後、800℃で12時間、1000℃で2時間焼成する。その後、室温以下に急冷却することで、リンの濃度勾配を有するニオブチタン複合酸化物粒子が得られる。室温以下への急冷却は、例えば、焼成後の粉末を液体窒素に投入することにより行うことができる。350℃の加熱によりリン酸化物を分解して、800℃の加熱によりリン酸化物を原料粒子の内部に均一に分散させ、1000℃の加熱により、リンの濃度勾配及び目的とする組成を有したリン含有ニオブチタン複合酸化物の一次粒子を得ることができる。粒子内部に存在する過剰なリンが、焼成の際に一次粒子間の粒界部(一次粒子表面)に向かって析出する際に、鉄及びカリウムとリンが反応して、一次粒子の表面にリン酸鉄及び/又はリン酸カリウムが生成する。一方、この過程において急冷却することで、リンの濃度勾配を有するリン含有ニオブチタン複合酸化物を含んだ一次粒子を得ることができる。

0089

また、第2の合成方法によると、複数の一次粒子の間にリン酸化合物が存在し、これら一次粒子が造粒してなる二次粒子も製造され得る。

0090

第1の実施形態によると、活物質が提供される。この活物質は、リン含有単斜晶型ニオブチタン複合酸化物を含む一次粒子を含む。一次粒子は、リンの濃度が、一次粒子の重心から表面に向かって増加する濃度勾配を有する。この活物質によると、優れたレート特性を達成可能な二次電池を実現できる。

0091

(第2の実施形態)
第2の実施形態によると、電極が提供される。

0092

第2の実施形態に係る電極は、第1の実施形態に係る活物質を含む。この電極は、第1の実施形態に係る活物質を電池用活物質として含む電池用電極であり得る。電池用電極としての電極は、例えば、第1の実施形態に係る活物質を負極活物質として含む負極であり得る。

0093

第2の実施形態に係る電極は、集電体と活物質含有層とを含むことができる。活物質含有層は、集電体の片面又は両面に形成され得る。活物質含有層は、活物質と、任意に導電剤及び結着剤とを含むことができる。

0094

活物質含有層は、第1の実施形態に係る活物質を単独で含んでもよく、第1の実施形態に係る活物質を2種類以上含んでもよい。さらに、第1の実施形態に係る活物質を1種又は2種以上と、更に1種又は2種以上の他の活物質とを混合した混合物を含んでもよい。

0095

例えば、第1の実施形態に係る活物質を負極活物質として含む場合は、他の活物質の例には、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウム(例えばLi2+yTi3O7、0≦y≦3)、スピネル構造を有するチタン酸リチウム(例えば、Li4+xTi5O12、0≦x≦3)、単斜晶型二酸化チタン(TiO2)、アナターゼ型二酸化チタンルチル型二酸化チタンホランダイト型チタン複合酸化物及び直方晶型(orthorhombic)チタン含有複合酸化物が挙げられる。

0096

上記直方晶型チタン含有複合酸化物の例として、Li2+aM(I)2-bTi6-cM(II)dO14+σで表される化合物が挙げられる。ここで、M(I)は、Sr,Ba,Ca,Mg,Na,Cs,Rb及びKからなる群より選択される少なくとも1つである。M(II)はZr,Sn,V,Nb,Ta,Mo,W,Y,Fe,Co,Cr,Mn,Ni,及びAlからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦a≦6、0≦b<2、0≦c<6、0≦d<6、−0.5≦σ≦0.5である。直方晶型チタン含有複合酸化物の具体例として、Li2+aNa2Ti6O14(0≦a≦6)が挙げられる。

0097

導電剤は、集電性能を高め、且つ、活物質と集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック及び黒鉛のような炭素質物が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。あるいは、導電剤を用いる代わりに、活物質粒子の表面に、炭素コートや電子導電性無機材料コートを施してもよい。

0098

結着剤は、分散された活物質の間隙を埋め、また、活物質と集電体を結着させるために配合される。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、フッ素系ゴムスチレンブタジェンゴムポリアクリル酸化合物イミド化合物カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose;CMC)、及びCMCの塩が含まれる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。

0099

活物質含有層中の活物質、導電剤及び結着剤の配合割合は、電極の用途に応じて適宜変更することができる。例えば、電極を二次電池の負極として用いる場合は、活物質(負極活物質)、導電剤及び結着剤を、それぞれ、68質量%以上96質量%以下、2質量%以上30質量%以下及び2質量%以上30質量%以下の割合で配合することが好ましい。導電剤の量を2質量%以上とすることにより、活物質含有層の集電性能を向上させることができる。また、結着剤の量を2質量%以上とすることにより、活物質含有層と集電体との結着性が十分となり、優れたサイクル性能を期待できる。一方、導電剤及び結着剤はそれぞれ30質量%以下にすることが高容量化を図る上で好ましい。

0100

集電体は、活物質にリチウム(Li)が挿入及び脱離される電位において電気化学的に安定である材料が用いられる。例えば、活物質が負極活物質として用いられる場合は、集電体は、銅、ニッケルステンレス又はアルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金から作られることが好ましい。集電体の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましい。このような厚さを有する集電体は、電極の強度と軽量化のバランスをとることができる。

0101

また、集電体は、その表面に負極活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、負極集電タブとして働くことができる。

0102

電極は、例えば次の方法により作製することができる。まず、活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に懸濁してスラリーを調製する。このスラリーを、集電体の片面又は両面に塗布する。次いで、塗布したスラリーを乾燥させて、活物質含有層と集電体との積層体を得る。その後、この積層体にプレスを施す。このようにして、電極を作製する。

0103

或いは、電極は、次の方法により作製してもよい。まず、活物質、導電剤及び結着剤を混合して、混合物を得る。次いで、この混合物をペレット状に成形する。次いで、これらのペレットを集電体上に配置することにより、電極を得ることができる。

0104

第2の実施形態に係る電極は、第1の実施形態に係る活物質を含んでいる。それ故、この電極は、優れたレート特性を達成可能な二次電池を実現できる。

0105

(第3の実施形態)
第3の実施形態によると、負極と、正極と、電解質とを含む二次電池が提供される。この二次電池は、負極として、第2の実施形態に係る電極を含む。つまり、第3の実施形態に係る二次電池は、第1の実施形態に係る活物質を電池用活物質として含む電極を、負極として含む。

0106

第3実施形態に係る二次電池は、正極と負極との間に配されたセパレータを更に具備することもできる。負極、正極及びセパレータは、電極群を構成することができる。電解質は、電極群に保持され得る。

0107

また、第3の実施形態に係る二次電池は、電極群及び電解質を収容する外装部材を更に具備することができる。

0108

さらに、第3の実施形態に係る二次電池は、負極に電気的に接続された負極端子及び正極に電気的に接続された正極端子を更に具備することができる。

0109

第3の実施形態に係る二次電池は、例えばリチウムイオン二次電池であり得る。また、二次電池は、非水電解質を含んだ非水電解質二次電池を含む。

0110

以下、負極、正極、電解質、セパレータ、外装部材、負極端子及び正極端子について詳細に説明する。

0111

(1)負極
負極は、負極集電体と、負極活物質含有層とを含むことができる。負極集電体及び負極活物質含有層は、それぞれ、第2の実施形態に係る電極が含むことのできる集電体及び活物質含有層であり得る。負極活物質含有層は、第1の実施形態に係る活物質を負極活物質として含む。

0112

負極の詳細のうち、第2の実施形態について説明した詳細と重複する部分は、省略する。

0113

負極活物質含有層の密度(集電体を含まず)は、1.8g/cm3以上3.5g/cm3以下であることが好ましい。負極活物質含有層の密度がこの範囲内にある負極は、エネルギー密度と電解質の保持性とに優れている。負極活物質含有層の密度は、2.5g/cm3以上2.9g/cm3以下であることがより好ましい。

0114

負極は、例えば、第2の実施形態に係る電極と同様の方法により作製することができる。

0115

(2)正極
正極は、正極集電体と、正極活物質含有層とを含むことができる。正極活物質含有層は、正極集電体の片面又は両面に形成され得る。正極活物質含有層は、正極活物質と、任意に導電剤及び結着剤を含むことができる。

0116

正極活物質としては、例えば、酸化物又は硫化物を用いることができる。正極は、正極活物質として、1種類の化合物を単独で含んでいてもよく、或いは2種類以上の化合物を組み合わせて含んでいてもよい。酸化物及び硫化物の例には、Li又はLiイオンを挿入及び脱離させることができる化合物を挙げることができる。

0117

このような化合物としては、例えば、二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅酸化ニッケルリチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn2O4又はLixMnO2;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoyO2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-yO2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiyO4;0<x≦1、0<y<2)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLixFePO4;0<x≦1、LixFe1-yMnyPO4;0<x≦1、0<y<1、LixCoPO4;0<x≦1)、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)、バナジウム酸化物(例えばV2O5)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnzO2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。

0118

上記のうち、正極活物質としてより好ましい化合物の例には、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn2O4;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoyO2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiyO4;0<x≦1、0<y<2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-yO2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムリン酸鉄(例えばLixFePO4;0<x≦1)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnzO2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。これらの化合物を正極活物質に用いると、正極電位を高めることができる。

0119

電池の電解質として常温溶融塩を用いる場合、リチウムリン酸鉄、LixVPO4F(0≦x≦1)、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、又はこれらの混合物を含む正極活物質を用いることが好ましい。これらの化合物は常温溶融塩との反応性が低いため、サイクル寿命を向上させることができる。常温溶融塩の詳細については、後述する。

0120

正極活物質の一次粒子径は、100nm以上1μm以下であることが好ましい。一次粒子径が100nm以上の正極活物質は、工業生産上の取り扱いが容易である。一次粒子径が1μm以下の正極活物質は、リチウムイオンの固体内拡散をスムーズに進行させることが可能である。

0121

正極活物質の比表面積は、0.1m2/g以上10m2/g以下であることが好ましい。0.1m2/g以上の比表面積を有する正極活物質は、Liイオンの吸蔵・放出サイトを十分に確保できる。10m2/g以下の比表面積を有する正極活物質は、工業生産の上で取り扱い易く、かつ良好な充放電サイクル性能を確保できる。

0122

結着剤は、分散された正極活物質の間隙を埋め、また、正極活物質と正極集電体とを結着させるために配合される。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、フッ素系ゴム、ポリアクリル酸化合物、イミド化合物、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose;CMC)、及びCMCの塩が含まれる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。

0123

導電剤は、集電性能を高め、且つ、正極活物質と正極集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック及び黒鉛のような炭素質物が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。また、導電剤を省略することもできる。

0124

正極活物質含有層において、正極活物質及び結着剤は、それぞれ、80質量%以上98質量%以下、及び2質量%以上20質量%以下の割合で配合することが好ましい。

0125

結着剤の量を2質量%以上にすることにより、十分な電極強度が得られる。また、結着剤は、絶縁体として機能し得る。そのため、結着剤の量を20質量%以下にすると、電極に含まれる絶縁体の量が減るため、内部抵抗を減少できる。

0126

導電剤を加える場合には、正極活物質、結着剤及び導電剤は、それぞれ、77質量%以上95質量%以下、2質量%以上20質量%以下、及び3質量%以上15質量%以下の割合で配合することが好ましい。

0127

導電剤の量を3質量%以上にすることにより、上述した効果を発揮することができる。また、導電剤の量を15質量%以下にすることにより、電解質と接触する導電剤の割合を低くすることができる。この割合が低いと、高温保存下において、電解質の分解を低減することができる。

0128

正極集電体は、アルミニウム箔、又は、Mg、Ti、Zn、Ni、Cr、Mn、Fe、Cu及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金箔であることが好ましい。

0129

アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。アルミニウム箔の純度は99質量%以上であることが好ましい。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔に含まれる鉄、銅、ニッケル、及びクロムなどの遷移金属の含有量は、1質量%以下であることが好ましい。

0130

また、正極集電体は、その表面に正極活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、正極集電タブとして働くことができる。

0131

正極は、例えば、正極活物質を用いて、第2の実施形態に係る電極と同様の方法により作製することができる。

0132

(3)電解質
電解質としては、例えば液状非水電解質又はゲル状非水電解質を用いることができる。液状非水電解質は、溶質としての電解質塩有機溶媒に溶解することにより調製される。電解質塩の濃度は、0.5 mol/L以上2.5 mol/L以下であることが好ましい。

0133

電解質塩の例には、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、及びビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CF3SO2)2)のようなリチウム塩、及び、これらの混合物が含まれる。電解質塩は、高電位でも酸化し難いものであることが好ましく、LiPF6が最も好ましい。

0134

有機溶媒の例には、プロピレンカーボネート(propylene carbonate;PC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate;EC)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate;VC)のような環状カーボネートジエチルカーボネート(diethyl carbonate;DEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate;DMC)、メチルエチルカーボネート(methyl ethyl carbonate;MEC)のような鎖状カーボネートテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2-methyl tetrahydrofuran;2MeTHF)、ジオキソラン(dioxolane;DOX)のような環状エーテルジメトキシエタン(dimethoxy ethane;DME)、ジエトキシエタン(diethoxy ethane;DEE)のような鎖状エーテルγ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone;GBL)、アセトニトリル(acetonitrile;AN)、及びスルホラン(sulfolane;SL)が含まれる。これらの有機溶媒は、単独で、又は混合溶媒として用いることができる。

0135

ゲル状非水電解質は、液状非水電解質と高分子材料とを複合化することにより調製される。高分子材料の例には、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile;PAN)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide;PEO)、又はこれらの混合物が含まれる。

0136

或いは、非水電解質としては、液状非水電解質及びゲル状非水電解質の他に、リチウムイオンを含有した常温溶融塩(イオン性融体)、高分子固体電解質、及び無機固体電解質等を用いてもよい。

0137

常温溶融塩(イオン性融体)は、有機物カチオンアニオンとの組合せからなる有機塩の内、常温(15℃以上25℃以下)で液体として存在し得る化合物を指す。常温溶融塩には、単体で液体として存在する常温溶融塩、電解質塩と混合させることで液体となる常温溶融塩、有機溶媒に溶解させることで液体となる常温溶融塩、又はこれらの混合物が含まれる。一般に、二次電池に用いられる常温溶融塩の融点は、25℃以下である。また、有機物カチオンは、一般に4級アンモニウム骨格を有する。

0138

高分子固体電解質は、電解質塩を高分子材料に溶解し、固体化することによって調製される。

0139

無機固体電解質は、Liイオン伝導性を有する固体物質である。

0140

(4)セパレータ
セパレータは、例えば、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、セルロース、若しくはポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)を含む多孔質フィルム、又は合成樹脂製不織布から形成される。安全性の観点からは、ポリエチレン又はポリプロピレンから形成された多孔質フィルムを用いることが好ましい。これらの多孔質フィルムは、一定温度において溶融し、電流を遮断することが可能なためである。

0141

(5)外装部材
外装部材としては、例えば、ラミネートフィルムからなる容器、又は金属製容器を用いることができる。

0142

ラミネートフィルムの厚さは、例えば、0.5mm以下であり、好ましくは、0.2mm以下である。

0143

ラミネートフィルムとしては、複数の樹脂層とこれらの樹脂層間に介在した金属層とを含む多層フィルムが用いられる。樹脂層は、例えば、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ナイロン、及びポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)等の高分子材料を含んでいる。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔からなることが好ましい。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行うことにより、外装部材の形状に成形され得る。

0144

金属製容器の壁の厚さは、例えば、1mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下であり、更に好ましくは、0.2mm以下である。

0145

金属製容器は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等から作られる。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、及びケイ素等の元素を含むことが好ましい。アルミニウム合金は、鉄、銅、ニッケル、及びクロム等の遷移金属を含む場合、その含有量は100質量ppm以下であることが好ましい。

0146

外装部材の形状は、特に限定されない。外装部材の形状は、例えば、扁平型薄型)、角型、円筒型コイン型、又はボタン型等であってもよい。外装部材は、電池寸法や電池の用途に応じて適宜選択することができる。

0147

(6)負極端子
負極端子は、上述の負極活物質のLi吸蔵放出電位において電気化学的に安定であり、かつ導電性を有する材料から形成することができる。具体的には、負極端子の材料としては、銅、ニッケル、ステンレス若しくはアルミニウム、又は、Mg,Ti,Zn,Mn,Fe,Cu,及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。負極端子の材料としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることが好ましい。負極端子は、負極集電体との接触抵抗を低減するために、負極集電体と同様の材料からなることが好ましい。

0148

(7)正極端子
正極端子は、リチウムの酸化還元電位に対し3V以上5V以下の電位範囲(vs.Li/Li+)において電気的に安定であり、且つ導電性を有する材料から形成することができる。正極端子の材料としては、アルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。正極端子は、正極集電体との接触抵抗を低減するために、正極集電体と同様の材料から形成されることが好ましい。

0149

次に、第3の実施形態に係る二次電池について、図面を参照しながらより具体的に説明する。

0150

図4は、第3の実施形態に係る二次電池の一例を概略的に示す断面図である。図5は、図4に示す二次電池のA部を拡大した断面図である。

0151

図4及び図5に示す二次電池100は、図4及び図5に示す袋状外装部材2と、図4に示す電極群1と、図示しない電解質とを具備する。電極群1及び電解質は、袋状外装部材2内に収納されている。電解質(図示しない)は、電極群1に保持されている。

0152

袋状外装部材2は、2つの樹脂層とこれらの間に介在した金属層とを含むラミネートフィルムからなる。

0153

図4に示すように、電極群1は、扁平状の捲回型電極群である。扁平状で捲回型である電極群1は、図5に示すように、負極3と、セパレータ4と、正極5とを含む。セパレータ4は、負極3と正極5との間に介在している。

0154

負極3は、負極集電体3aと負極活物質含有層3bとを含む。負極3のうち、捲回型の電極群1の最外殻に位置する部分は、図5に示すように負極集電体3aの内面側のみに負極活物質含有層3bが形成されている。負極3におけるその他の部分では、負極集電体3aの両面に負極活物質含有層3bが形成されている。

0155

正極5は、正極集電体5aと、その両面に形成された正極活物質含有層5bとを含んでいる。

0156

図4に示すように、負極端子6及び正極端子7は、捲回型の電極群1の外周端近傍に位置している。この負極端子6は、負極集電体3aの最外殻に位置する部分に接続されている。また、正極端子7は、正極集電体5aの最外殻に位置する部分に接続されている。これらの負極端子6及び正極端子7は、袋状外装部材2の開口部から外部に延出されている。袋状外装部材2の内面には、熱可塑性樹脂層が設置されており、これが熱融着されていることにより、開口部が閉じられている。

0157

第3の実施形態に係る二次電池は、図4及び図5に示す構成の二次電池に限らず、例えば図6及び図7に示す構成の電池であってもよい。

0158

図6は、第3の実施形態に係る二次電池の他の例を模式的に示す部分切欠斜視図である。図7は、図6に示す二次電池のB部を拡大した断面図である。

0159

図6及び図7に示す二次電池100は、図6及び図7に示す電極群1と、図6に示す外装部材2と、図示しない電解質とを具備する。電極群1及び電解質は、外装部材2内に収納されている。電解質は、電極群1に保持されている。

0160

外装部材2は、2つの樹脂層とこれらの間に介在した金属層とを含むラミネートフィルムからなる。

0161

電極群1は、図7に示すように、積層型の電極群である。積層型の電極群1は、負極3と正極5とをその間にセパレータ4を介在させながら交互に積層した構造を有している。

0162

電極群1は、複数の負極3を含んでいる。複数の負極3は、それぞれが、負極集電体3aと、負極集電体3aの両面に担持された負極活物質含有層3bとを備えている。また、電極群1は、複数の正極5を含んでいる。複数の正極5は、それぞれが、正極集電体5aと、正極集電体5aの両面に担持された正極活物質含有層5bとを備えている。

0163

各負極3の負極集電体3aは、その一辺において、いずれの表面にも負極活物質含有層3bが担持されていない部分3cを含む。この部分3cは、負極集電タブとして働く。図7に示すように、負極集電タブとして働く部分3cは、正極5と重なっていない。また、複数の負極集電タブ(部分3c)は、帯状の負極端子6に電気的に接続されている。帯状の負極端子6の先端は、外装部材2の外部に引き出されている。

0164

また、図示しないが、各正極5の正極集電体5aは、その一辺において、いずれの表面にも正極活物質含有層5bが担持されていない部分を含む。この部分は、正極集電タブとして働く。正極集電タブは、負極集電タブ(部分3c)と同様に、負極3と重なっていない。また、正極集電タブは、負極集電タブ(部分3c)に対し電極群1の反対側に位置する。正極集電タブは、帯状の正極端子7に電気的に接続されている。帯状の正極端子7の先端は、負極端子6とは反対側に位置し、外装部材2の外部に引き出されている。

0165

第3の実施形態に係る二次電池は、第1の実施形態に係る活物質を負極活物質として含んでいる。それ故、この二次電池は、優れたレート特性を示すことができる。

0166

(第4の実施形態)
第4の実施形態によると、組電池が提供される。第4の実施形態に係る組電池は、第3の実施形態に係る二次電池を複数個具備している。

0167

第4の実施形態に係る組電池において、各単電池は、電気的に直列若しくは並列に接続して配置してもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて配置してもよい。

0168

次に、第4の実施形態に係る組電池の一例について、図面を参照しながら説明する。

0169

図8は、第4の実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図である。図8に示す組電池200は、5つの単電池100a〜100eと、4つのバスバー21と、正極側リード22と、負極側リード23とを具備している。5つの単電池100a〜100eのそれぞれは、第3の実施形態に係る二次電池である。

0170

バスバー21は、例えば、1つの単電池100aの負極端子6と、隣に位置する単電池100bの正極端子7とを接続している。このようにして、5つの単電池100は、4つのバスバー21により直列に接続されている。すなわち、図8の組電池200は、5直列の組電池である。

0171

図8に示すように、5つの単電池100a〜100eのうち、左端に位置する単電池100aの正極端子7は、外部接続用の正極側リード22に接続されている。また、5つの単電池100a〜100eうち、右端に位置する単電池100eの負極端子6は、外部接続用の負極側リード23に接続されている。

0172

第4の実施形態に係る組電池は、第3の実施形態に係る二次電池を具備する。従って、この組電池は、優れたレート特性を示すことができる。

0173

(第5の実施形態)
第5の実施形態によると、電池パックが提供される。この電池パックは、第4の実施形態に係る組電池を具備している。この電池パックは、第4の実施形態に係る組電池の代わりに、単一の第3の実施形態に係る二次電池を具備していてもよい。

0174

第5の実施形態に係る電池パックは、保護回路を更に具備することができる。保護回路は、二次電池の充放電を制御する機能を有する。或いは、電池パックを電源として使用する装置(例えば、電子機器自動車等)に含まれる回路を、電池パックの保護回路として使用してもよい。

0175

また、第5の実施形態に係る電池パックは、通電用外部端子を更に具備することもできる。通電用の外部端子は、外部に二次電池からの電流を出力するため、及び/又は二次電池に外部からの電流を入力するためのものである。言い換えれば、電池パックを電源として使用する際、電流が通電用の外部端子を通して外部に供給される。また、電池パックを充電する際、充電電流(自動車などの動力の回生エネルギーを含む)は通電用の外部端子を通して電池パックに供給される。

0176

次に、第5の実施形態に係る電池パックの一例について、図面を参照しながら説明する。

0177

図9は、第5の実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図である。図10は、図9に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図である。

0178

図9及び図10に示す電池パック300は、収容容器31と、蓋32と、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35と、図示しない絶縁板とを備えている。

0179

図9に示す収容容器31は、長方形の底面を有する有底角型容器である。収容容器31は、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35とを収容可能に構成されている。蓋32は、矩形型の形状を有する。蓋32は、収容容器31を覆うことにより、上記組電池200等を収容する。収容容器31及び蓋32には、図示していないが、外部機器等へと接続するための開口部又は接続端子等が設けられている。

0180

組電池200は、複数の単電池100と、正極側リード22と、負極側リード23と、粘着テープ24とを備えている。

0181

単電池100は、図4及び図5に示す構造を有している。複数の単電池100の少なくとも1つは、第3の実施形態に係る二次電池である。複数の単電池100は、外部に延出した負極端子6及び正極端子7が同じ向きになるように揃えて積層されている。複数の単電池100の各々は、図9に示すように電気的に直列に接続されている。複数の単電池100は、電気的に並列に接続されていてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されていてもよい。複数の単電池100を並列接続すると、直列接続した場合と比較して、電池容量が増大する。

0182

粘着テープ24は、複数の単電池100を締結している。粘着テープ24の代わりに、熱収縮テープを用いて複数の単電池100を固定してもよい。この場合、組電池200の両側面に保護シート33を配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて複数の単電池100を結束させる。

0183

正極側リード22の一端は、単電池100の積層体において、最下層に位置する単電池100の正極端子7に接続されている。負極側リード23の一端は、単電池100の積層体において、最上層に位置する単電池100の負極端子6に接続されている。

0184

プリント配線基板34は、収容容器31の内側面のうち、一方の短辺方向の面に沿って設置されている。プリント配線基板34は、正極側コネクタ341と、負極側コネクタ342と、サーミスタ343と、保護回路344と、配線345及び346と、通電用の外部端子347と、プラス側配線348aと、マイナス側配線348bとを備えている。プリント配線基板34の一方の主面は、組電池200において負極端子6及び正極端子7が延出する面と向き合っている。プリント配線基板34と組電池200との間には、図示しない絶縁板が介在している。

0185

正極側コネクタ341には、貫通孔が設けられている。この貫通孔に、正極側リード22の他端が挿入されることにより、正極側コネクタ341と正極側リード22とは電気的に接続される。負極側コネクタ342には、貫通孔が設けられている。この貫通孔に、負極側リード23の他端が挿入されることにより、負極側コネクタ342と負極側リード23とは電気的に接続される。

0186

サーミスタ343は、プリント配線基板34の一方の主面に固定されている。サーミスタ343は、単電池100の各々の温度を検出し、その検出信号を保護回路344に送信する。

0187

通電用の外部端子347は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。通電用の外部端子347は、電池パック300の外部に存在する機器と電気的に接続されている。

0188

保護回路344は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。保護回路344は、プラス側配線348aを介して通電用の外部端子347と接続されている。保護回路344は、マイナス側配線348bを介して通電用の外部端子347と接続されている。また、保護回路344は、配線345を介して正極側コネクタ341に電気的に接続されている。保護回路344は、配線346を介して負極側コネクタ342に電気的に接続されている。更に、保護回路344は、複数の単電池100の各々と配線35を介して電気的に接続されている。

0189

保護シート33は、収容容器31の長辺方向の両方の内側面と、組電池200を介してプリント配線基板34と向き合う短辺方向の内側面とに配置されている。保護シート33は、例えば、樹脂又はゴムからなる。

0190

保護回路344は、複数の単電池100の充放電を制御する。また、保護回路344は、サーミスタ343から送信される検出信号、又は、個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号に基づいて、保護回路344と外部機器への通電用の外部端子347との電気的な接続を遮断する。

0191

サーミスタ343から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の温度が所定の温度以上であることを検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の過充電過放電及び過電流を検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100について過充電等を検出する場合、電池電圧を検出してもよく、正極電位又は負極電位を検出してもよい。後者の場合、参照極として用いるリチウム電極を個々の単電池100に挿入する。

0192

なお、保護回路344としては、電池パック300を電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を用いてもよい。

0193

また、この電池パック300は、上述したように通電用の外部端子347を備えている。したがって、この電池パック300は、通電用の外部端子347を介して、組電池200からの電流を外部機器に出力するとともに、外部機器からの電流を、組電池200に入力することができる。言い換えると、電池パック300を電源として使用する際には、組電池200からの電流が、通電用の外部端子347を通して外部機器に供給される。また、電池パック300を充電する際には、外部機器からの充電電流が、通電用の外部端子347を通して電池パック300に供給される。この電池パック300を車載用電池として用いた場合、外部機器からの充電電流として、車両の動力の回生エネルギーを用いることができる。

0194

なお、電池パック300は、複数の組電池200を備えていてもよい。この場合、複数の組電池200は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。また、プリント配線基板34及び配線35は省略してもよい。この場合、正極側リード22及び負極側リード23を通電用の外部端子として用いてもよい。

0195

このような電池パックは、例えば大電流を取り出したときにサイクル性能が優れていることが要求される用途に用いられる。この電池パックは、具体的には、例えば、電子機器の電源、定置用電池、各種車両の車載用電池として用いられる。電子機器としては、例えば、デジタルカメラを挙げることができる。この電池パックは、車載用電池として特に好適に用いられる。

0196

第5の実施形態に係る電池パックは、第3の実施形態に係る二次電池又は第4の実施形態に係る組電池を備えている。従って、この電池パックは、優れたレート特性を示すことができる。

0197

(第6の実施形態)
第6の実施形態によると、車両が提供される。この車両は、第5の実施形態に係る電池パックを具備している。

0198

第6の実施形態に係る車両において、電池パックは、例えば、車両の動力の回生エネルギーを回収するものである。車両は、この車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含んでいてもよい。

0199

第6の実施形態に係る車両の例としては、例えば、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車、及び鉄道用車両が挙げられる。

0200

第6の実施形態に係る車両における電池パックの搭載位置は、特には限定されない。例えば、電池パックを自動車に搭載する場合、電池パックは、車両のエンジンルーム車体後方又は座席の下に搭載することができる。

0201

第6の実施形態に係る車両は、複数の電池パックを搭載してもよい。この場合、電池パックは、電気的に直列に接続されてもよく、電気的に並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。

0202

次に、第6の実施形態に係る車両の一例について、図面を参照しながら説明する。

0203

図11は、第6の実施形態に係る車両の一例を概略的に示す断面図である。

0204

図11に示す車両400は、車両本体40と、第5の実施形態に係る電池パック300とを含んでいる。図11に示す例では、車両400は、四輪の自動車である。

0205

この車両400は、複数の電池パック300を搭載してもよい。この場合、電池パック300は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。

0206

図11では、電池パック300が車両本体40の前方に位置するエンジンルーム内に搭載されている例を図示している。上述したとおり、電池パック300は、例えば、車両本体40の後方又は座席の下に搭載してもよい。この電池パック300は、車両400の電源として用いることができる。また、この電池パック300は、車両400の動力の回生エネルギーを回収することができる。

0207

次に、図12を参照しながら、第6の実施形態に係る車両の実施態様について説明する。

0208

図12は、第6の実施形態に係る車両の一例を概略的に示した図である。図12に示す車両400は、電気自動車である。

0209

図12に示す車両400は、車両本体40と、車両用電源41と、車両用電源41の上位制御手段である車両ECU(ECU:Electric Control Unit;電気制御装置)42と、外部端子(外部電源に接続するための端子)43と、インバータ44と、駆動モータ45とを備えている。

0210

車両400は、車両用電源41を、例えばエンジンルーム、自動車の車体後方又は座席の下に搭載している。なお、図12に示す車両400では、車両用電源41の搭載箇所については概略的に示している。

0211

車両用電源41は、複数(例えば3つ)の電池パック300a、300b及び300cと、電池管理装置(BMU:Battery Management Unit)411と、通信バス412とを備えている。

0212

3つの電池パック300a、300b及び300cは、電気的に直列に接続されている。電池パック300aは、組電池200aと組電池監視装置301a(例えば、VTM: Voltage Temperature Monitoring)とを備えている。電池パック300bは、組電池200bと組電池監視装置301bとを備えている。電池パック300cは、組電池200cと組電池監視装置301cとを備えている。電池パック300a、300b、及び300cは、それぞれ独立して取り外すことが可能であり、別の電池パック300と交換することができる。

0213

組電池200a〜200cのそれぞれは、直列に接続された複数の単電池を備えている。複数の単電池の少なくとも1つは、第3の実施形態に係る二次電池である。組電池200a〜200cは、それぞれ、正極端子413及び負極端子414を通じて充放電を行う。

0214

電池管理装置411は、車両用電源41の保全に関する情報を集めるために、組電池監視装置301a〜301cとの間で通信を行い、車両用電源41に含まれる組電池200a〜200cに含まれる単電池100の電圧、及び温度などに関する情報を収集する。

0215

電池管理装置411と組電池監視装置301a〜301cとの間には、通信バス412が接続されている。通信バス412は、1組の通信線を複数のノード(電池管理装置と1つ以上の組電池監視装置と)で共有するように構成されている。通信バス412は、例えばCAN(Control Area Network)規格に基づいて構成された通信バスである。

0216

組電池監視装置301a〜301cは、電池管理装置411からの通信による指令に基づいて、組電池200a〜200cを構成する個々の単電池の電圧及び温度を計測する。ただし、温度は1つの組電池につき数箇所だけで測定することができ、全ての単電池の温度を測定しなくてもよい。

0217

車両用電源41は、正極端子413と負極端子414との接続を入り切りするための電磁接触器(例えば図12に示すスイッチ装置415)を有することもできる。スイッチ装置415は、組電池200a〜200cへの充電が行われるときにオンするプリチャージスイッチ(図示せず)、及び、電池出力負荷へ供給されるときにオンするメインスイッチ(図示せず)を含んでいる。プリチャージスイッチおよびメインスイッチは、スイッチ素子の近傍に配置されたコイルに供給される信号によりオン又はオフされるリレー回路(図示せず)を備えている。

0218

インバータ44は、入力された直流電圧を、モータ駆動用3相交流(AC)の高電圧に変換する。インバータ44の3相の出力端子は、駆動モータ45の各3相の入力端子に接続されている。インバータ44は、電池管理装置411、あるいは車両全体の動作を制御するための車両ECU42からの制御信号に基づいて、出力電圧を制御する。

0219

駆動モータ45は、インバータ44から供給される電力により回転する。この回転は、例えば差動ギアユニットを介して車軸および駆動輪Wに伝達される。

0220

また、図示はしていないが、車両400は、回生ブレーキ機構を備えている。回生ブレーキ機構は、車両400を制動した際に駆動モータ45を回転させ、運動エネルギーを電気エネルギーとしての回生エネルギーに変換する。回生ブレーキ機構で回収した回生エネルギーは、インバータ44に入力され、直流電流に変換される。直流電流は、車両用電源41に入力される。

0221

車両用電源41の負極端子414には、接続ラインL1の一方の端子が、電池管理装置411内の電流検出部(図示せず)を介して接続されている。接続ラインL1の他方の端子は、インバータ44の負極入力端子に接続されている。

0222

車両用電源41の正極端子413には、接続ラインL2の一方の端子が、スイッチ装置415を介して接続されている。接続ラインL2の他方の端子は、インバータ44の正極入力端子に接続されている。

0223

外部端子43は、電池管理装置411に接続されている。外部端子43は、例えば、外部電源に接続することができる。

0224

車両ECU42は、運転者などの操作入力応答して他の装置とともに電池管理装置411を協調制御して、車両全体の管理を行なう。電池管理装置411と車両ECU42との間では、通信線により、車両用電源41の残容量など、車両用電源41の保全に関するデータ転送が行われる。

0225

第6の実施形態に係る車両は、第5の実施形態に係る電池パックを搭載している。それ故、本実施形態によれば、優れたレート特性を示すことができる電池パックを具備する車両を提供することができる。

0226

[実施例]
以下、実施例に基づいて上記実施形態をさらに詳細に説明する。

0227

<実施例1>
(活物質粒子の調製)
まず、二酸化チタン、五酸化ニオブ及び五酸化リンを、それぞれモル比1.0000:0.9995:0.000525で混合し、ボールミルを用いて原料混合粉末を調製した。次に、この混合物を金ボート(金からなるボート)に入れ、350℃で2時間に亘り仮焼成を行った。次いで、仮焼成後の粉末を白金るつぼに移して、1回目の本焼成に供した。1回目の本焼成は、800℃で12時間に亘り行った。その後、得られた粉末を、再びボールミルを用いて1時間に亘り粉砕した。この粉末を白金るつぼに入れ、2回目の本焼成に供した後に、液体窒素を用いて急冷処理を行って、実施例1に係る活物質を得た。得られた活物質粒子は、一次粒子及び二次粒子を含んでいた。2回目の本焼成及び急冷処理は、昇温速度を10℃/minとして、焼成温度1000℃で2時間に亘り焼成した後、速やかに電気炉から取り出し、白金るつぼごと液体窒素中に入れて行った。

0228

(粒子表面への炭素含有層の形成)
次に、上述した方法で得られた活物質粒子に、炭素体を担持させて、一次粒子表面及び二次粒子表面に炭素含有層を有した活物質粉末を得た。具体的には、まず、ポリビニルアルコール(PVA)と純水とを混合して、PVA水溶液を調製した。PVA水溶液におけるPVAの濃度は15質量%とした。次いで、このPVA水溶液に活物質粒子を加え、撹拌して分散液を調製した。次いで、この分散液を噴霧乾燥に供して、粉末試料を得た。この粉末試料を、100℃の温度で12時間に亘って更に乾燥させ、未焼成の炭素体を担持した活物質粒子を得た。次いで、この活物質粒子を、還元雰囲気下、700℃の温度で1時間に亘って炭素化処理に供して、粒子表面に炭素含有層を有した活物質粉末を得た。

0229

(負極の作製)
以下のようにして負極を作製した。
まず、100質量部の活物質粒子、6質量部の導電剤及び4質量部の結着剤を、溶媒に分散してスラリーを調製した。活物質粒子としては、上述した方法で得られた、粒子表面に炭素含有層を有した活物質粉末を用いた。導電剤としては、アセチレンブラックとグラファイトとの混合物を用いた。この混合物において、アセチレンブラックとグラファイトとの質量比は、1:2であった。結着剤としては、カルボキシルメチルセルロース(CMC)とスチレンブタジエンゴムSBR)との混合物を用いた。この混合物において、CMCとSBRとの質量比は、1:1であった。溶媒としては、純水を用いた。

0230

次いで、得られたスラリーを、集電体の両面に塗布し、塗膜を乾燥させることで活物質含有層を形成した。集電体としては、厚さ12μmのアルミニウム箔を用いた。これを真空下130℃で12時間乾燥したのち、集電体と活物質含有層とをロールプレス機にて圧延して、負極を得た。プレス圧力は、実施例及び比較例を通じて共通のものとした。

0231

この負極における単極容量を測定するため、上述した方法で得られた電極(負極)を作用極とし、金属リチウム箔対極及び参照極とし、後述する方法で調製した非水電解質を用いて、三電極式ビーカーセルを作製した。

0232

なお、この測定用の三電極式ビーカーセルでは、リチウム金属を対極としているため、実施例及び比較例で作製した電極(負極)の電位は対極に比して貴となる。それ故、作製した電極(負極)は、正極として作動する。このため、実施例及び比較例の電極を負極として用いたときの充放電の定義は反対になる。ここで、混乱を避けるため、本実施例では、電極にリチウムイオンが挿入される方向を充電、脱離する方向を放電という呼称統一する。なお、本実施形態の活物質は、公知の正極材料と組み合わせることで負極として作動する。

0233

(非水電解質の調製)
混合溶媒として、エチレンカーボネート及びジエチルカーボネートの混合溶媒(体積比1:1)を準備した。この溶媒中に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1Mの濃度で溶解させて、非水電解質を調製した。

0234

<実施例2>
二酸化チタン、五酸化ニオブ及び五酸化リンを、それぞれモル比1.000:0.995:0.05で混合し、ボールミルを用いて原料混合粉末を調製したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で活物質を得た。得られた活物質粒子は、一次粒子及び二次粒子を含んでいた。その後、この活物質を用いたことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で三電極式ビーカーセルを作製した。

0235

<実施例3>
二酸化チタン、五酸化ニオブ及び五酸化リンを、それぞれモル比1.000:0.995:0.25で混合し、ボールミルを用いて原料混合粉末を調製したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で活物質を得た。得られた活物質粒子は、一次粒子及び二次粒子を含んでいた。その後、この活物質を用いたことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で三電極式ビーカーセルを作製した。

0236

<実施例4>
二酸化チタン、五酸化ニオブ及び五酸化リンを、それぞれモル比1.000:0.995:0.5で混合し、ボールミルを用いて原料混合粉末を調製したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で活物質を得た。得られた活物質粒子は、一次粒子及び二次粒子を含んでいた。その後、この活物質を用いたことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で三電極式ビーカーセルを作製した。

0237

<実施例5>
二酸化チタン、五酸化ニオブ及び五酸化リンを、それぞれモル比1.000:0.975:0.53で混合し、ボールミルを用いて原料混合粉末を調製したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で活物質を得た。得られた活物質粒子は、一次粒子及び二次粒子を含んでいた。その後、この活物質を用いたことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で三電極式ビーカーセルを作製した。

0238

<実施例6>
二酸化チタン、五酸化ニオブ及び五酸化リンを、それぞれモル比1.000:0.95:0.25で混合し、ボールミルを用いて原料混合粉末を調製したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で活物質を得た。得られた活物質粒子は、一次粒子及び二次粒子を含んでいた。その後、この活物質を用いたことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で三電極式ビーカーセルを作製した。

0239

<実施例7>
二酸化チタン、五酸化ニオブ及び五酸化リンを、それぞれモル比1.000:0.95:0.25で混合し、ボールミルを用いて原料混合粉末を調製した。この混合物を金ボートに入れ、350℃で2時間に亘り仮焼成を行った後に、得られた粉末を室温まで冷却した。次に、炭酸カリウムを、原料として使用した五酸化リンと等モルとなるように、得られた粉末に加えて、ボールミルで混合した粉末を準備した。この粉末を、実施例1に記載したのと同様の方法で1回目の本焼成、2回目の本焼成及び急冷処理に供して、更に炭素含有層を形成して、実施例7に係る活物質を得た。得られた活物質粒子は、一次粒子及び二次粒子を含んでいた。この活物質を用いたことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で三電極式ビーカーセルを作製した。

0240

<実施例8>
仮焼成後に添加する粉末として、炭酸カリウムの代わりに酸化第二鉄を添加したことを除いて、実施例7に記載したのと同様の方法により活物質を作製した。得られた活物質粒子は、一次粒子及び二次粒子を含んでいた。この活物質を用いたことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で三電極式ビーカーセルを作製した。

0241

<実施例9>
二酸化チタン、五酸化ニオブ及び五酸化リンを、それぞれモル比1.000:0.75:1.25で混合し、ボールミルを用いて原料混合粉末を調製したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で活物質を得た。得られた活物質粒子は、一次粒子及び二次粒子を含んでいた。その後、この活物質を用いたことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で三電極式ビーカーセルを作製した。

0242

<実施例10>
原料混合粉末として、二酸化チタン、五酸化ニオブ、五酸化タンタル五酸化バナジウム酸化ビスマス(III)及び五酸化リンを、それぞれのモル比が1.00:0.98:0.005:0.005:0.005:0.01となるように混合したものを用いたことを除いて、実施例7に記載したのと同様の方法で活物質を得た。得られた活物質粒子は、一次粒子及び二次粒子を含んでいた。その後、この活物質を用いたことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で三電極式ビーカーセルを作製した。

0243

<実施例11>
原料混合粉末として、二酸化チタン、五酸化ニオブ、炭酸カリウム、酸化ケイ素及び五酸化リンを、それぞれのモル比が0.95:0.99:0.005:0.01:0.05となるように混合したものを用いたことを除いて、実施例7に記載したのと同様の方法で活物質を得た。得られた活物質粒子は、一次粒子及び二次粒子を含んでいた。その後、この活物質を用いたことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で三電極式ビーカーセルを作製した。

0244

<実施例12>
原料混合粉末として、二酸化チタン、五酸化ニオブ、三酸化モリブデン炭酸ナトリウム酸化マグネシウム三酸化タングステン及び五酸化リンを、それぞれのモル比が0.93:0.985:0.02:0.005:0.01:0.03:0.0125となるように混合したものを用いたことを除いて、実施例7に記載したのと同様の方法で活物質を得た。得られた活物質粒子は、一次粒子及び二次粒子を含んでいた。その後、この活物質を用いたことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で三電極式ビーカーセルを作製した。

0245

<実施例13>
原料混合粉末として、二酸化チタン、五酸化ニオブ、三酸化モリブデン、三酸化クロム、酸化鉄(III)、酸化アルミニウム酸化ホウ素及び五酸化リンを、それぞれのモル比が0.7:0.845:0.15:0.025:0.025:0.05:0.05:0.015となるように混合したものを用いたことを除いて、実施例7に記載したのと同様の方法で活物質を得た。得られた活物質粒子は、一次粒子及び二次粒子を含んでいた。その後、この活物質を用いたことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で三電極式ビーカーセルを作製した。

0246

<比較例1>
二酸化チタン及び五酸化ニオブを、それぞれモル比1:1で混合し、ボールミルを用いて原料混合粉末を調製した。次に、この混合物を焼成温度1200℃で12時間加熱し、比較例1に係る活物質を得た。得られた活物質粒子は、一次粒子及び二次粒子を含んでいた。この活物質を用いたことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で三電極式ビーカーセルを作製した。

0247

<比較例2>
2回目の本焼成に際して、昇温速度を10℃/minとして、焼成温度1000℃で10時間に亘り焼成した後、電気炉の降温速度を10℃/minとして、ゆっくりと室温まで冷却したことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で比較例2に係る活物質を得た。得られた活物質粒子は、一次粒子及び二次粒子を含んでいた。この活物質を用いたことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で三電極式ビーカーセルを作製した。

0248

<比較例3>
二酸化チタン、五酸化ニオブ及び五酸化リンを、それぞれモル比1:0.9:0.1で混合し、ボールミルを用いて原料混合粉末を調製した。次に、この混合物を焼成温度1200℃で12時間加熱し、化学式Nb1.8P0.2TiO7で表される活物質を得た。次に、チタンテトライソプロポキシド塩化ニオブ及びリン酸を、それぞれモル比1:0.95:0.05としてエタノール中で混合しゾルゲル溶液を準備した。このゾルゲル溶液を、転動流動装置を用いて化学式Nb1.8P0.2TiO7で表される活物質粉末表面に噴霧コートした後、800℃で5時間焼成することで、化学式Nb1.9P0.1TiO7で表される層を形成した。このとき得られたNb1.9P0.1TiO7層はコア層であるNb1.8P0.2TiO7粒子に対して30重量%であった。この複合粒子を比較例3の活物質とした。得られた活物質粒子は、一次粒子及び二次粒子を含んでいた。この活物質を用いたことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で三電極式ビーカーセルを作製した。

0249

<比較例4>
比較例1で得られた活物質粉末の粒子表面に、以下の手順でリン酸リチウム化合物被覆した。まず、チタンテトライソプロポキシドと無水エタノールとの混合溶液に、撹拌しながらリン酸を溶解させて、PとLiとを含むゾルゲル溶液を得た。このゾルゲル溶液におけるP及びLiのモル比は、P:Li=1:3とした。また、この溶液は、リン酸及びチタンテトライソプロポキシドを固形分として算出した固形分を30wt%含んでいた。転動流動装置を用いて、比較例1のコア粒子の粒子表面にこのゾルゲル溶液をコートして、前駆体を得た。この前駆体を400℃で1時間に亘り、大気中での焼成に供した。かくして、比較例4の活物質を得た。得られた活物質粒子は、一次粒子及び二次粒子を含んでいた。この活物質を用いたことを除いて、実施例1に記載したのと同様の方法で三電極式ビーカーセルを作製した。

0250

<各種分析>
実施例及び比較例で得られた活物質について、第1の実施形態に記載した方法で粉末X線回折及びICP分析を行い、活物質の平均組成と、一次粒子表面に存在するリン酸化合物を特定した。また、第1の実施形態に記載した方法でTEM−EDX観察を行い、濃度比(C2/C1)を算出した。その結果を表1に示す。

0251

<電池特性評価>
実施例及び比較例に係るビーカーセルについて、充放電特性を評価した。充放電容量は、時間充電率0.2Cで10時間充電を行い、時間放電率0.2Cで放電したときの初回容量(0.2C放電容量)を測定した。また、初回充放電後に1KHzの抵抗を測定し、この値を初期抵抗値とした。

0252

次に、時間充電率0.2Cで10時間充電した後、時間放電率3Cで放電を行い、このときの容量を初回容量で除して、3C/0.2C放電容量比を算出した。3C/0.2C放電容量比は、レート特性の指標となる。

0253

更に、時間充放電率1Cで充放電サイクルを100回行い、100サイクル後の時間充放電率0.2Cにおける放電容量を測定した。この放電容量の値を初回容量の値で除して100を乗じたものをサイクル容量維持率とした。容量維持率は、寿命特性の指標となる。また、100サイクル後の1KHz抵抗を測定し、初期抵抗値で除したものを抵抗比とし、これらの値を表1に記した。抵抗比は寿命特性の指標となる。

0254

0255

表1中、「合成方法」の列には、第1の実施形態で説明した第1及び第2の合成方法のうち、いずれの合成方法に相当するかを示している。「一次粒子表面リン酸化合物」の列には、一次粒子表面に、主に存在するリン酸化合物の種類を記載している。「濃度勾配」の列には、リンの濃度が、一次粒子の重心の位置から粒子表面に向かって増加する濃度勾配を有した一次粒子を含む例については「有」を示している。また、濃度勾配を有していない例には「無」を示している。また、リンの濃度が、一次粒子の重心の位置から粒子表面に向かって低くなる濃度勾配を有した一次粒子を含む例については「逆」を示している。

0256

表1から以下のことが分かる。
リンの濃度が、一次粒子の重心の位置から粒子表面に向かって増加する濃度勾配を有した一次粒子を含む実施例1〜13は、実用的な電池容量を維持しつつ、レート特性に優れていた。

0257

比較例1及び比較例4は、リンを含まない単斜晶型ニオブチタン複合酸化物である。比較例4に係る活物質は、更に、一次粒子表面に、リン酸化合物としてのリン酸リチウムを有している。これら活物質は、放電容量及びレート特性が実施例1〜13よりも劣っていた。

0258

比較例2は、リンを含む単斜晶型ニオブチタン複合酸化物であるが、一次粒子の重心の位置におけるリンの濃度と、粒子の重心から表面までの長さのうち、重心から8割の長さの位置におけるリンの濃度が同一である。即ち、比較例2に係る活物質はリンの濃度勾配を有していない。この比較例2に係る活物質は、放電容量が比較的優れていたが、レート特性は実施例1〜13と比較して劣っていた。

0259

比較例3は、リンの濃度が、一次粒子の重心の位置から粒子表面に向かって低くなる濃度勾配を有した一次粒子を含んでいた。この比較例3も、比較例1及び4と同様に、容量及びレート特性の双方において実施例1〜13と比較して劣っていた。

0260

濃度比C2/C1が1.05〜100の範囲内にある実施例1〜13は、比較例1〜4と比較して、実用的な電池容量を維持しつつ、レート特性に優れていた。この理由は、リン濃度が高い粒子表面近傍ではリチウムイオンの拡散速度が高いことと、リン濃度の低い粒子の重心付近では、相対的に多くのリチウムイオンを吸蔵できたためと考えられる。

0261

また、実施例1〜13で製造された活物質は、複数の一次粒子からなる二次粒子を含んでおり、これら一次粒子の間にリン酸化合物が存在していた。これら実施例1〜13に係る容量維持率及び抵抗比は、いずれも比較例に比して優れていた。これは、充放電サイクルを繰り返した場合であっても、一次粒子間のリチウム導電パスが寸断されるのを抑制して、導電経路を維持することができたためと考えられる。

0262

実施例7、8及び10〜13に示しているように一次粒子の表面の少なくとも一部がリン酸カリウム又はリン酸鉄である場合、レート特性がより優れる傾向にあり、寿命特性も優れていた。この理由は、一次粒子間がリン酸塩によって強く結着されており、且つ、鉄及びカリウムがリチウムイオン伝導性を高めるのに寄与したためであると考えられる。

0263

以上説明した少なくとも1つの実施形態及び実施例によると、活物質が提供される。この活物質は、リン含有単斜晶型ニオブチタン複合酸化物を含む一次粒子を含む。一次粒子は、リンの濃度が、一次粒子の重心から表面に向かって増加する濃度勾配を有する。この活物質は、優れたレート特性を達成可能な二次電池を実現できる。

0264

本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

0265

1…電極群、2…外装部材、3…負極、3a…負極集電体、3b…負極活物質含有層、3c…負極集電体の部分、4…セパレータ、5…正極、5a…正極集電体、5b…正極活物質含有層、6…負極端子、7…正極端子、21…バスバー、22…正極側リード、23…負極側リード、24…粘着テープ、31…収容容器、32…蓋、33…保護シート、34…プリント配線基板、35…配線、40…車両本体、41…車両用電源、42…電気制御装置、43…外部端子、44…インバータ、45…駆動モータ、50…一次粒子、100…二次電池、101…金属イオン、102…酸化物イオン、103…骨格構造部分、104…空隙部分、105、106…領域、200…組電池、200a…組電池、200b…組電池、200c…組電池、300…電池パック、300a…電池パック、300b…電池パック、300c…電池パック、301a…組電池監視装置、301b…組電池監視装置、301c…組電池監視装置、341…正極側コネクタ、342…負極側コネクタ、343…サーミスタ、344…保護回路、345…配線、346…配線、347…通電用の外部端子、348a…プラス側配線、348b…マイナス側配線、400…車両、411…電池管理装置、412…通信バス、413…正極端子、414…負極端子、415…スイッチ装置、L1…接続ライン、L2…接続ライン、W…駆動輪。

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