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技術 聴診トレーニングシステムおよび聴診トレーニングプログラム

出願人 学校法人立命館株式会社国際電気通信基礎技術研究所
発明者 野間春生松村耕平西本騰村田賢弥足立隆弘
出願日 2018年9月20日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-176106
公開日 2020年3月26日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-046573
状態 未査定
技術分野 聴診機器 教示用装置 電気的に作動する教習具
主要キーワード 部品部材 軟素材 心拍音 スタート入力 新生児室 専門施設 簡易モデル チェック結果情報
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年3月26日)のものです。
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図面 (13)

課題

導人コストを抑えながら、講習生の主体的な“気付き”を効率よく導き出せ、しかも、“どこから”でも“いつ”でも受講できる聴診講習生ングシステムを提供する。

解決手段

聴診講習生ングシステム1000において、講習生の聴診器に装着可能な模擬聴診モジュール200は、人体モデル表皮への接触の程度を検知するためのセンサを備え、接触状態であると判断した場合に、コントローラ2000からネットワーク4100経由で送信された心音データに対応する音を再生する。講習生ング後において、模擬医療機器3000とコントローラ2000とで、講習生ング中にカメラ80で撮像された画像やチェック項目などが再生されて、講師と講習生が振り返りを実施できる。

概要

背景

医師が、病状、病名を診断するに際して、診察一環として聴診器(正確には採音部)を患者患部に当てて生体音呼吸音心音、腸雑音等)を聴き、その異常性を判断することが行われる。

ここで、聴診器は大きく分けて採音部、チューブゴム管とも呼ばれる)及び耳管からなる。

従来から、医師を目指す医学生や看護師を目指す看護学生などの実習生に対して、聴診の技術を修得させるための聴診トレーニングシステム報告されている。

たとえば、特許文献1に開示の聴診教育用装置は、人体上半身を模して形成された人体モデルと、人体モデルに対して模擬的聴診動作を行うための模擬聴診器と、模擬聴診器による聴診動作を検知する聴診検知センサと、模擬聴診器及び聴診検知センサとそれぞれ接続され、聴診動作を検知した聴診検知センサから送出される検知シグナルを受付け、模擬聴診器の耳管部に設けられた生体音再生部から、検知シグナルに対応する聴診位置の心音及び呼吸音等の生体音を再生させるための処理を行う制御部とを主に具備している。

ただし、このような聴診トレーニングシステムは、基本的には、成人の患者に対する聴診をトレーニングすることを目的としている。

一方で、日本における出生時の新生児死亡率早期新生児死亡率)は、出生数1000人に対して0.7人である。この数字は他の先進国(米国で3.7人)と比しても圧倒的に低く、日本の分娩環境は高いレベルでの安全性が確保されているといえる。もちろん日本における医療水準の高さが背景にあるが、その実情である日本の分娩環境の特徴をまとめると、以下の様な状態にある。

・多くの分娩は総合病院ではなく、産科医院か助産院で行われている。

・総合病院以外では小児科医(新生児科医)は基本的に不在である。

・総合病院ではハイリスク母体の割合が高いが、すべての分娩に小児科医が立ち会うわけではない。

そして、日本における分娩に関わる医療従事者の数は、非特許文献2に示すような統計によれば、平成26年において、たとえば、産科医師510人、助産師36,000人、新生児科医1,238人、麻酔科医8,625人、産婦人科10,575人というような内訳となっている。

ここに日本の医療体制の潜む課題が存在する。過去数年の日本の出生数は100万人を割る程度であるが、新生児の専門医である新生児科医師数はその千分の一しかおらす、多くの分娩で新生児蘇生専門家は立ち会えていない。さらに多くの産科医師と助産師はあくまで妊娠から分娩までの専門家であり、新生児蘇生のための専門的なスキルは不十分である。その様な医療体制の中で、先に述べた新生児の死亡率を1000人あたり0.7人にまで抑えている事実は、医療現場のたゆまない努力成果と言える。

その具体的な活動が、日本周産期・新生児医学会が2008年から展開している新生児(心肺蘇生法NCPR:Neonatal Cardio-pulmonary Resuscitation)普及事業である。現実には、2015年の厚生労働省の統計によると、国内での出産数100万人に対して約10万人の新生児が出産直後に呼吸循環が不安定な仮死状態となり蘇生施術を要としている。前述のように専門医だけで全ての新生児の出産に対応するには到底間に合っておらず、出産に立ち会う全ての医療従事者が、質の高い安全なケア提供のためリアリティがあり医療者連携を含めたスキルアップのためのNCPRトレーニングを継続的に実施し、技術を維持しなければならないことを意味する。そのために全国で定期的に新生児蘇生法講習会が展開されている。

NCPR講習目標には『(シミュレータを用いた)蘇生シナリオ演習で講習生の“気づき”を導き出し、効果的な振り返りをすること』が掲げられ、座学、手技演習、シナリオ実習の3つから講習会が構成されている。座学においては新生児蘇生の施術法、基礎知識などの学習を行う。手技演習、シナリオ実習においては新生児を模擬したシミュレータを用い、人工呼吸胸骨圧迫などの手技の学習やシナリオに沿った実習が行われる。

このシナリオ実習で使用されるシミュレータは新生児の身体の構造だけでなく、様々なパイタル再現できる高性能シミュン一タから、新生児の身体の構造だけを再現した簡素な新生児モデルまで各種実用化されている。

(高性能シミュレータ)
高性能シミュレータの一例であるのLeardl社のSimBaby(登録商標)では、心拍音、呼吸音、皮膚の色など新生児の状態をシミュレータが再現し、コントローラによって講師が状態を操作することができる。また、このシステムには様々な訓練シナリオが用意されており、講習生はそのシナリオをシミュレートすることができる。これらの機能はコンピュータで制御している。心拍音やチアノーゼなどのよりリアルなパイタル(生体)の情報を提示でき、再現できる状況も多く、効果的な実習には望ましいことは言うまでもない。しかし、シミュン一タ本体が高価格であること、定期的なメンテナンスが要なこと、さらにシナリオ演習を円滑に進めるために講師がシミュレータの操作に熟練していなければならないなど、導人・維持のためのコストが高く、結果として普及は十分に進んでいない。

(新生児蘇生モデル)
そこで、実際のNCPR講習現場で用いられているシミュン一タは、新生児の一部構造のみを再現した簡易で安価な新生児モデルが主流である。このような簡易新生児モデルはパイタルを再現することができないため、講師がを叩いて心拍数を伝える、口頭で心拍数を伝えるなど、実際とはかけ離れた方法でパイタルを講習生に伝えている。

このため講習生はシナリオ演習中に適切なフィードバックを得ることが難しく、結果的に講習において重要視されている主体的な行動阻害され、講習における学習効果に影響が出ることが懸念されている。そのためより現実に近い緊迫感を伴った訓練を実現するには講師・講習生双方の十分なモティベーションと努力を要する。またこの簡易モデルにおいては、“講習シナリオの再現”、“受講生指導”、“講習結果の評価”を同時に実施する質の高い講習を実現するには、講師の講習スキルに依存せざる得ない。

このような問題に対応するために、特許文献2には、聴診トレーニングシステムが開示されている。この聴診トレーニングシステムおいて、新生児の人体を模して形成された人体モデルに対して模擬的に聴診を行うための模擬聴診器の模擬採音部は、一般の聴診器のゴムチューブ着脱可能である。制御コンピュータは、模擬採音部のセンサにより模擬採音部が人体モデルの表皮密着していると判断した場合、心音データを模擬採音部に送信し、模擬採音部は対応する心音を再生する。

このような構成により、新生児蘇生法の訓練用の聴診トレーニングシステムにおいて、導入コストが低減し、同時に、訓練効果を高めることが可能であるものの、広い地域散在する分娩に関わる医療従事者に対して「リアルさ」に基づく訓練効果を高めるには、まだ課題があった。

2008年から始まったNCPR普及事業によって2011年9月現在までに118,805人の講習会受講があったが、これは本邦における分娩従事者総数を優に超す数である。その一方で、この期間における早期新生児死亡率は明らかな低下を示していない。これに対し、NCPR事業を管轄する日本周産期新生児医学会で『リアルで質の高い新生児蘇生教育が受けられるのは、高機能シミュレータを有する一部の専門施設のみであり、十分に教育環境が整備されていない』こと、そして『分娩従事者が質の高い新生児蘇生トレーニングを受け、技術維特のための十分な教育を受けるにはどうすれはよいか?』という課題が問題視されてきた。これに対し2015年に日本蘇生協議会は新たに“リアリティのあるシミュレータを使用したトレーニング”を推奨し、非特許文献2のガイドラインでも“年一回以上の継続したトンニング”が提案されることとなった。

概要

導人コストを抑えながら、講習生の主体的な“気付き”を効率よく導き出せ、しかも、“どこから”でも“いつ”でも受講できる聴診講習生ングシステムを提供する。聴診講習生ングシステム1000において、講習生の聴診器に装着可能な模擬聴診モジュール200は、人体モデルの表皮への接触の程度を検知するためのセンサを備え、接触状態であると判断した場合に、コントローラ2000からネットワーク4100経由で送信された心音データに対応する音を再生する。講習生ング後において、模擬医療機器3000とコントローラ2000とで、講習生ング中にカメラ80で撮像された画像やチェック項目などが再生されて、講師と講習生が振り返りを実施できる。

目的

特開2005−77521号公報


特開2017−153640号公報




Unicef,ChildMortality,report2017 https://www.unicef.org/publications/files/Child−Mortality-Report_2017.pdf


JRC蘇生ガイドライン2015オンライン版:http://www.NCPR.jp/guideline_update/pdf/jrc_guideline_2015.pdf






上述した通り、新生児領域では“安価”で“リアル”を同時に満たす蘇生シミュレーションを有効な訓練として広範な地域にわたって提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

聴診トレーニングシステムであって、人体を模して形成された人体モデルと、講習生の聴診器に装着可能な模擬聴診モジュールとを備え、前記模擬聴診モジュールは、前記聴診器の採音部を収容して固定可能な収納部と、前記模擬聴診モジュールが前記人体モデルの表皮への接触の程度を検知するためのセンサと、前記センサの検知結果に応じて、接触状態であると判断した場合に、生体音データに対応する音を再生するための第1の再生部と、前記生体音データを受信するための第1の通信部とを含み、聴診トレーニングシステムの動作を制御するための制御装置をさらに備え、前記制御装置は、前記第1の通信部との間でデータの送受を行うための第2の通信部と、前記人体から発せられる心音を含む生体音に対応する生体音データを記憶する記憶手段と、前記生体音データを前記第2の通信部を介して、前記第1の再生部に対して送出する生体音送出部とを含む、聴診トレーニングシステム。

請求項2

前記人体は、新生児の人体である、請求項1記載の聴診トレーニングシステム。

請求項3

前記制御装置から前記第2の通信部を介して送出される生体情報を表示するための模擬医療機器として機能する端末装置をさらに備え、前記端末装置は、前記制御装置との間のデータの送受信をするための第3の通信部と、前記生体情報を表示する第1の表示装置とを含む、請求項1または2記載の聴診トレーニングシステム。

請求項4

前記制御装置は、入力手段と、前記第1の表示装置に対して、前記生体情報として、動脈血酸素飽和度の値と脈拍数の値とを表示させるためのデータを前記第2の通信部を介して前記第3の通信部に送信するテスト情報管理手段をさらに含み、前記テスト情報管理手段は、前記入力手段からの入力に応じて、前記動脈血酸素飽和度の値および前記脈拍数の値を更新する、請求項3記載の聴診トレーニングシステム。

請求項5

前記生体音データは、新生児の泣き声に対応する音データを含み、前記テスト情報管理手段は、前記入力手段からの入力に応じて、前記泣き声に対応する音データを更新し、前記端末装置は、第2の再生部を含み、前記第2の再生部は、前記第3の通信部を介して受信した前記泣き声に対応する音データを再生する、請求項4記載の聴診トレーニングシステム。

請求項6

前記制御装置は、入力手段と、第2の表示装置と、複数のステップからなる所定の対処アルゴリズムに従って、前記第2の表示装置に前記対処アルゴリズム中の現在のステップおよび当該現在のステップに対応するチェック項目入力画面を表示させるテスト情報管理手段とを備え、前記テスト情報管理手段は、i)前記入力手段から入力される前記チェック項目に対応するチェック情報を、前記ステップを関連付けて前記記憶手段に格納し、ii)前記入力手段から入力される指示に応じて、前記対処アルゴリズムのステップに応じて、前記記憶手段に格納された前記チェック情報を前記第1および第2の表示装置に順次再生させる、請求項3記載の聴診トレーニングシステム。

請求項7

前記講習生の動画像トレーニング期間中にわたって撮像する撮像手段をさらに備え、前記テスト情報管理手段は、i)前記入力手段からの入力に応じて、前記動画像に対するチャプタマークを設定し、ii)前記入力手段から入力される指示に応じて、前記対処アルゴリズムのステップに応じて、前記動画像において前記チャプタマークに対応する画像を、前記チェック情報とともに、前記第1および第2の表示装置に順次再生させる、請求項6記載の聴診トレーニングシステム。

請求項8

聴診トレーニングシステムを制御するための聴診トレーニングプログラムであって、前記聴診トレーニングシステムは、人体を模して形成された人体モデルと、講習生の聴診器に装着可能な模擬聴診モジュールと、前記模擬聴診モジュールとネットワークを介して通信可能な制御装置とを有し、前記模擬聴診モジュールの収納部には、前記聴診器の採音部を収容して固定可能であり、前記模擬聴診モジュールは、前記人体モデルの表皮への接触の程度を検知するためのセンサと、前記センサの検知結果に応じて、接触状態であると判断した場合に、前記生体音データに対応する音を再生するための第1の再生部とを有しており、前記プログラムは、前記制御装置が、前記人体から発せられる心音を含む生体音に対応する生体音データを記憶装置からの読出すことを指示するステップと、前記制御装置が、前記第1の再生部に対して、前記生体音データを送信を指示するステップとを、実行させる、聴診トレーニングプログラム。

請求項9

前記聴診トレーニングシステムは、前記制御装置から送出される生体情報を表示するための第1の表示装置を有し、模擬医療機器として機能する端末装置をさらに備え、前記制御装置は、入力手段と、第2の表示装置とを有し、前記聴診トレーニングプログラムは、複数のステップからなる所定の対処アルゴリズムに従って、前記第2の表示装置に前記対処アルゴリズム中の現在のステップおよび当該現在のステップに対応するチェック項目の入力画面を表示させるステップと、前記入力手段から入力される前記チェック項目に対応するチェック情報を、前記ステップを関連付けて前記記憶装置に格納するステップと、前記入力手段から入力される指示に応じて、前記対処アルゴリズムのステップに応じて、前記記憶装置に格納された前記チェック情報を前記第1および第2の表示装置に順次再生させる、請求項8記載の聴診トレーニングプログラム。

請求項10

前記聴診トレーニングシステムは、前記講習生の動画像をトレーニング期間中にわたって撮像する撮像手段をさらに備え、前記聴診トレーニングプログラムは、前記入力手段からの入力に応じて、前記動画像に対するチャプタマークを設定するステップと、前記入力手段から入力される指示に応じて、前記対処アルゴリズムのステップに応じて、前記動画像において前記チャプタマークに対応する画像を、前記チェック情報とともに、前記第1および第2の表示装置に順次再生させるステップとを実行させる、請求項9記載の聴診トレーニングプログラム。

技術分野

0001

この発明は、新生児蘇生法の訓練するためのシミュレーション装置の技術に関する。

背景技術

0002

医師が、病状、病名を診断するに際して、診察一環として聴診器(正確には採音部)を患者患部に当てて生体音呼吸音心音、腸雑音等)を聴き、その異常性を判断することが行われる。

0003

ここで、聴診器は大きく分けて採音部、チューブゴム管とも呼ばれる)及び耳管からなる。

0004

従来から、医師を目指す医学生や看護師を目指す看護学生などの実習生に対して、聴診の技術を修得させるための聴診トレーニングシステム報告されている。

0005

たとえば、特許文献1に開示の聴診教育用装置は、人体上半身を模して形成された人体モデルと、人体モデルに対して模擬的聴診動作を行うための模擬聴診器と、模擬聴診器による聴診動作を検知する聴診検知センサと、模擬聴診器及び聴診検知センサとそれぞれ接続され、聴診動作を検知した聴診検知センサから送出される検知シグナルを受付け、模擬聴診器の耳管部に設けられた生体音再生部から、検知シグナルに対応する聴診位置の心音及び呼吸音等の生体音を再生させるための処理を行う制御部とを主に具備している。

0006

ただし、このような聴診トレーニングシステムは、基本的には、成人の患者に対する聴診をトレーニングすることを目的としている。

0007

一方で、日本における出生時の新生児死亡率早期新生児死亡率)は、出生数1000人に対して0.7人である。この数字は他の先進国(米国で3.7人)と比しても圧倒的に低く、日本の分娩環境は高いレベルでの安全性が確保されているといえる。もちろん日本における医療水準の高さが背景にあるが、その実情である日本の分娩環境の特徴をまとめると、以下の様な状態にある。

0008

・多くの分娩は総合病院ではなく、産科医院か助産院で行われている。

0009

・総合病院以外では小児科医(新生児科医)は基本的に不在である。

0010

・総合病院ではハイリスク母体の割合が高いが、すべての分娩に小児科医が立ち会うわけではない。

0011

そして、日本における分娩に関わる医療従事者の数は、非特許文献2に示すような統計によれば、平成26年において、たとえば、産科医師510人、助産師36,000人、新生児科医1,238人、麻酔科医8,625人、産婦人科10,575人というような内訳となっている。

0012

ここに日本の医療体制の潜む課題が存在する。過去数年の日本の出生数は100万人を割る程度であるが、新生児の専門医である新生児科医師数はその千分の一しかおらす、多くの分娩で新生児蘇生の専門家は立ち会えていない。さらに多くの産科医師と助産師はあくまで妊娠から分娩までの専門家であり、新生児蘇生のための専門的なスキルは不十分である。その様な医療体制の中で、先に述べた新生児の死亡率を1000人あたり0.7人にまで抑えている事実は、医療現場のたゆまない努力成果と言える。

0013

その具体的な活動が、日本周産期・新生児医学会が2008年から展開している新生児(心肺蘇生法NCPR:Neonatal Cardio-pulmonary Resuscitation)普及事業である。現実には、2015年の厚生労働省の統計によると、国内での出産数100万人に対して約10万人の新生児が出産直後に呼吸循環が不安定な仮死状態となり蘇生施術を要としている。前述のように専門医だけで全ての新生児の出産に対応するには到底間に合っておらず、出産に立ち会う全ての医療従事者が、質の高い安全なケア提供のためリアリティがあり医療者連携を含めたスキルアップのためのNCPRトレーニングを継続的に実施し、技術を維持しなければならないことを意味する。そのために全国で定期的に新生児蘇生法講習会が展開されている。

0014

NCPR講習目標には『(シミュレータを用いた)蘇生シナリオ演習で講習生の“気づき”を導き出し、効果的な振り返りをすること』が掲げられ、座学、手技演習、シナリオ実習の3つから講習会が構成されている。座学においては新生児蘇生の施術法、基礎知識などの学習を行う。手技演習、シナリオ実習においては新生児を模擬したシミュレータを用い、人工呼吸胸骨圧迫などの手技の学習やシナリオに沿った実習が行われる。

0015

このシナリオ実習で使用されるシミュレータは新生児の身体の構造だけでなく、様々なパイタル再現できる高性能シミュン一タから、新生児の身体の構造だけを再現した簡素な新生児モデルまで各種実用化されている。

0016

(高性能シミュレータ)
高性能シミュレータの一例であるのLeardl社のSimBaby(登録商標)では、心拍音、呼吸音、皮膚の色など新生児の状態をシミュレータが再現し、コントローラによって講師が状態を操作することができる。また、このシステムには様々な訓練シナリオが用意されており、講習生はそのシナリオをシミュレートすることができる。これらの機能はコンピュータで制御している。心拍音やチアノーゼなどのよりリアルなパイタル(生体)の情報を提示でき、再現できる状況も多く、効果的な実習には望ましいことは言うまでもない。しかし、シミュン一タ本体が高価格であること、定期的なメンテナンスが要なこと、さらにシナリオ演習を円滑に進めるために講師がシミュレータの操作に熟練していなければならないなど、導人・維持のためのコストが高く、結果として普及は十分に進んでいない。

0017

(新生児蘇生モデル)
そこで、実際のNCPR講習現場で用いられているシミュン一タは、新生児の一部構造のみを再現した簡易で安価な新生児モデルが主流である。このような簡易新生児モデルはパイタルを再現することができないため、講師がを叩いて心拍数を伝える、口頭で心拍数を伝えるなど、実際とはかけ離れた方法でパイタルを講習生に伝えている。

0018

このため講習生はシナリオ演習中に適切なフィードバックを得ることが難しく、結果的に講習において重要視されている主体的な行動阻害され、講習における学習効果に影響が出ることが懸念されている。そのためより現実に近い緊迫感を伴った訓練を実現するには講師・講習生双方の十分なモティベーションと努力を要する。またこの簡易モデルにおいては、“講習シナリオの再現”、“受講生指導”、“講習結果の評価”を同時に実施する質の高い講習を実現するには、講師の講習スキルに依存せざる得ない。

0019

このような問題に対応するために、特許文献2には、聴診トレーニングシステムが開示されている。この聴診トレーニングシステムおいて、新生児の人体を模して形成された人体モデルに対して模擬的に聴診を行うための模擬聴診器の模擬採音部は、一般の聴診器のゴムチューブ着脱可能である。制御コンピュータは、模擬採音部のセンサにより模擬採音部が人体モデルの表皮密着していると判断した場合、心音データを模擬採音部に送信し、模擬採音部は対応する心音を再生する。

0020

このような構成により、新生児蘇生法の訓練用の聴診トレーニングシステムにおいて、導入コストが低減し、同時に、訓練効果を高めることが可能であるものの、広い地域散在する分娩に関わる医療従事者に対して「リアルさ」に基づく訓練効果を高めるには、まだ課題があった。

0021

2008年から始まったNCPR普及事業によって2011年9月現在までに118,805人の講習会受講があったが、これは本邦における分娩従事者総数を優に超す数である。その一方で、この期間における早期新生児死亡率は明らかな低下を示していない。これに対し、NCPR事業を管轄する日本周産期新生児医学会で『リアルで質の高い新生児蘇生教育が受けられるのは、高機能シミュレータを有する一部の専門施設のみであり、十分に教育環境が整備されていない』こと、そして『分娩従事者が質の高い新生児蘇生トレーニングを受け、技術維特のための十分な教育を受けるにはどうすれはよいか?』という課題が問題視されてきた。これに対し2015年に日本蘇生協議会は新たに“リアリティのあるシミュレータを使用したトレーニング”を推奨し、非特許文献2のガイドラインでも“年一回以上の継続したトンニング”が提案されることとなった。

0022

特開2005−77521号公報

0023

特開2017−153640号公報

0024

Unicef,ChildMortality,report2017 https://www.unicef.org/publications/files/Child−Mortality-Report_2017.pdf

先行技術

0025

JRC蘇生ガイドライン2015オンライン版:http://www.NCPR.jp/guideline_update/pdf/jrc_guideline_2015.pdf

発明が解決しようとする課題

0026

上述した通り、新生児領域では“安価”で“リアル”を同時に満たす蘇生シミュレーションを有効な訓練として広範な地域にわたって提供するシステムが存在せす、現状では一部の施設を除いて質の高いリアルな教育を広く継続的に行うことが困難であり、特に地域でのインストラクターを活動支援する体制が十分には整備されていない。

0027

現状では、“講習生が蘇生用マネキンに聴診器を当てながら講師が示す心拍数を聴覚情報ではなく視覚的に判断する”形態であり、推奨されている「リアリティのあるシミュレータを使用したトン一ニング」からはほど遠いのが現状である。また、多くの場合、NCPR講習会では、受講者は地域の分娩施設からの寄せ集めの集団であるために、自施設スタッフ間でのノンテクカルスキル養成が困難な状態にあった。

0028

さらに講師はシナリオ演習中に講習生の行動を観察し、手技の進め方に問題点があった際にはチェックを行いその場でアドバイス(デブリーフィング)を行うが、シナリオを進めるために講習生に対して情報を伝える等、同時に行うべきタスクが非常に多い。したがって熟練した講師でなければ講習をスムーズに進めることも困難である。

0029

そこで、このようなNCPR講習の直面している問題への対処として、既存の簡易新生児モデルを利用できるような解決策が望ましい
本発明の目的は、導人コストを抑えながら、講習生の主体的な“気付き”を効率よく導き出せ、しかも、“どこから”でも“いつ”でも受講できる聴診トレーニングシステムを提供することである。

課題を解決するための手段

0030

この発明の1つの局面に従うと、聴診トレーニングシステムであって、聴診トレーニングシステムであって、人体を模して形成された人体モデルと、講習生の聴診器に装着可能な模擬聴診モジュールとを備え、模擬聴診モジュールは、聴診器の採音部を収容して固定可能な収納部と、模擬聴診モジュールが人体モデルの表皮への接触の程度を検知するためのセンサと、センサの検知結果に応じて、接触状態であると判断した場合に、生体音データに対応する音を再生するための第1の再生部と、生体音データを受信するための第1の通信部とを含み、聴診トレーニングシステムの動作を制御するための制御装置をさらに備え、制御装置は、第1の通信部との間でデータの送受を行うための第2の通信部と、 人体から発せられる心音を含む生体音に対応する生体音データを記憶する記憶手段と、 生体音データを第2の通信部を介して、第1の再生部に対して送出する生体音送出部とを含む。

0031

好ましくは、人体は、新生児の人体である。

0032

好ましくは、制御装置から第2の通信部を介して送出される生体情報を表示するための模擬医療機器として機能する端末装置をさらに備え、端末装置は、制御装置との間のデータの送受信をするための第3の通信部と、生体情報を表示する第1の表示装置とを含む。

0033

好ましくは、制御装置は、入力手段と、第1の表示装置に対して、生体情報として、動脈血酸素飽和度の値と脈拍数の値とを表示させるためのデータを第2の通信部を介して第3の通信部に送信するテスト情報管理手段をさらに含み、テスト情報管理手段は、入力手段からの入力に応じて、動脈血酸素飽和度の値および脈拍数の値を更新する。

0034

好ましくは、生体音データは、新生児の泣き声に対応する音データを含み、テスト情報管理手段は、入力手段からの入力に応じて、泣き声に対応する音データを更新し、端末装置は、第2の再生部を含み、第2の再生部は、第3の通信部を介して受信した泣き声に対応する音データを再生する。

0035

好ましくは、制御装置は、入力手段と、第2の表示装置と、複数のステップからなる所定の対処アルゴリズムに従って、第2の表示装置に対処アルゴリズム中の現在のステップおよび当該現在のステップに対応するチェック項目入力画面を表示させるテスト情報管理手段とを備え、テスト情報管理手段は、i)入力手段から入力されるチェック項目に対応するチェック情報を、ステップを関連付けて記憶手段に格納し、ii)入力手段から入力される指示に応じて、対処アルゴリズムのステップに応じて、記憶手段に格納されたチェック情報を第1および第2の表示装置に順次再生させる。

0036

好ましくは、講習生の動画像トレーニング期間中にわたって撮像する撮像手段をさらに備え、テスト情報管理手段は、i)入力手段からの入力に応じて、動画像に対するチャプタマークを設定し、ii)入力手段から入力される指示に応じて、対処アルゴリズムのステップに応じて、動画像においてチャプタマークに対応する画像を、チェック情報とともに、第1および第2の表示装置に順次再生させる。

0037

この発明の他の局面に従うと、聴診トレーニングシステムを制御するための聴診トレーニングプログラムであって、聴診トレーニングシステムは、人体を模して形成された人体モデルと、講習生の聴診器に装着可能な模擬聴診モジュールと、模擬聴診モジュールとネットワークを介して通信可能な制御装置とを有し、模擬聴診モジュールの収納部には、聴診器の採音部を収容して固定可能であり、模擬聴診モジュールは、人体モデルの表皮への接触の程度を検知するためのセンサと、センサの検知結果に応じて、接触状態であると判断した場合に、生体音データに対応する音を再生するための第1の再生部とを有しており、プログラムは、制御装置が、人体から発せられる心音を含む生体音に対応する生体音データを記憶装置からの読出すことを指示するステップと、制御装置が、第1の再生部に対して、生体音データを送信を指示するステップとを、実行させる。

0038

好ましくは、聴診トレーニングシステムは、制御装置から送出される生体情報を表示するための第1の表示装置を有し、模擬医療機器として機能する端末装置をさらに備え、制御装置は、入力手段と、第2の表示装置とを有し、聴診トレーニングプログラムは、複数のステップからなる所定の対処アルゴリズムに従って、第2の表示装置に対処アルゴリズム中の現在のステップおよび当該現在のステップに対応するチェック項目の入力画面を表示させるステップと、入力手段から入力されるチェック項目に対応するチェック情報を、ステップを関連付けて記憶装置に格納するステップと、入力手段から入力される指示に応じて、対処アルゴリズムのステップに応じて、記憶装置に格納されたチェック情報を第1および第2の表示装置に順次再生させる。

0039

好ましくは、聴診トレーニングシステムは、講習生の動画像をトレーニング期間中にわたって撮像する撮像手段をさらに備え、聴診トレーニングプログラムは、入力手段からの入力に応じて、動画像に対するチャプタマークを設定するステップと、入力手段から入力される指示に応じて、対処アルゴリズムのステップに応じて、動画像においてチャプタマークに対応する画像を、チェック情報とともに、第1および第2の表示装置に順次再生させるステップとを実行させる。

発明の効果

0040

本発明では、新生児蘇生法の訓練用の聴診トレーニングシステムにおいて、広範囲の地域における講習生を対象として、導入コストが低減し、同時に、訓練効果を高めることが可能である。

図面の簡単な説明

0041

本実施の形態の聴診トレーニングシステムの一例を説明するための概念図である。
聴診トレーニングシステム1000の構成を説明するための模式図である。
聴診器100の構成を説明するための外観図である。
模擬聴診モジュール200およびチェストピース10の外観を示す外観図である。
コントローラ2000および模擬医療機器3000の構成を説明するための機能ブロック図である。
模擬聴診モジュール200の構成を説明するための機能ブロック図である。
コントローラ2000のハードウェア構成を示すブロック図である。
「新生児蘇生法アルゴリズム」を説明するためのアルゴリズム図である。
トレーニング中のコントローラ2000、模擬医療機器3000および模擬聴診モジュール200の動作を説明するためのフローチャートである。
トレーニング中のコントローラ2000、模擬医療機器3000および模擬聴診モジュール200の動作を説明するためのフローチャートである。
表示装置2120における表示画面例を示す図である。
従来使用されているシミュレータと本実施の形態の聴診トレーニンングシステムとの比較を示す概念図である。

実施例

0042

以下、本発明の実施形態に係る聴診トレーニングシステムについて、図に従って説明する。
[本実施の形態]
図1は、本実施の形態の聴診トレーニングシステム1000の一例を説明するための概念図である。

0043

本実施形態の聴診トレーニングシステムは、図1に示すように、新生児の人体を模したモデル人形に対し、講習生(トレーニー)が模擬的に聴診動作を行うために使用するIoT型聴診器(以下、「模擬聴診モジュール200」と呼ぶ)と、講師側において、聴診トレーニングを制御するためのコントローラ2000とを備える。

0044

特に限定されないが、たとえば、講師側のコントローラ2000は、地域の拠点病院などから、通信回線を介して、地方病院や海外病院においてトレーニングをする講習生側の模擬聴診モジュール200や模擬医療機器3000との間で、データの授受を行う。

0045

すなわち、聴診トレーニングシステム1000は、講習生が使う聴診器100に装着され、後述するようなセンサおよび通信機能部分を内蔵する模擬聴診モジュール200と、新生児シミュレータの模凝バイタルサイン(生体情報)を講習生に提示するための模擬医療機器3000と、講師が新生児シミュレータのパイタルを制御するコントローラ2000とを備え、模擬聴診モジュール200以外の機能は、いずれもアプリケーションソフトウェアとして実現することができる。

0046

講習生は、普段、自分自身が使用している自身の聴診器をそのまま使用することができる。また、模擬医療機器3000およびコントローラ2000は、パーソナルコンピュータタブレット端末、あるいは、スマートフォンなど、アプリケーションソフトウェアを実行する機能を有するハードウェアを使用することが可能である。

0047

提示する生体情報は、NCPR講習のガイドラインに示されている医療者の蘇生行動の選択基準となる心拍数、酸素飽和度啼泣心電などに対応している。患者の体に当てる聴診器100のチェストビース部に装着される模擬聴診モジュール200には、自身が射出した光の反射光量を計測する接触センサ18(図示せず)を組み込んである。模擬聴診モジュール200は、模擬聴診モジュール200の底面を新生児モデルの体表にあてると、接触センサ18で光量の変化を計測して接触状態にあるか否かを判断する。そして、模擬聴診モジュール200は、近距離無線方式、たとえば、Bluetooth(登録商標)方式の無線回線で、近接無線通信装置4000(図示せず)または模擬医療機器3000との間で情報を送受信し、近接無線通信装置4000または模擬医療機器3000は、無線LAN(Local Area Network)アクセスポイント4010(図示せず)などを介してインターネットまたは携帯電話回線などの通信回線を経由して、コントローラ2000との間でデータを授受する。

0048

コントローラ2000は、講師の設定する心拍数で心音を表示および再生する指示を生成して、通信回線経由で、模擬医療機器3000に表示の指示を送るとともに、模擬聴診モジュール200に心音のデータを送る。近接無線通信装置4000または模擬医療機器3000とBluetooth(登録商標)接続される模擬聴診モジュール200には、心音を再生するスピーカとして小型のイヤフォンが設けられており、接触センサ18により接触状態であることが検出されている期間は、模擬聴診モジュール200に固定されている聴診器100に対して、再生された心音を出力する。

0049

したがって、講習生が新生児モデル人形の体表に模擬聴診モジュール200をあてたときだけ、講師の設定する心拍数での心音を講習生は聞くことになり、通常の聴診器100による聴診動作とほぼ同様の動作により、“実際の聴診”と同様に聴診を疑似体験できる。

0050

もちろん、この方式ではどこに聴診器をあてても心音が再生されてしまう。ただし、講習生にとっては、聴診器100をあてるのは、心拍数を診察する程度ならば新生児の心臓付近の何処でも良いし、講習中にわざわざ異なる部位に置くことはないので、トレーニング上で、問題となることはない。

0051

むしろ、新生児のモデルのそれ以外の場所に置いて心拍音が聞こえる不自然さよりも、従来の講習のように講師が口頭や机を叩く音で心拍音を与える不自然さの方が、実習の効果とモティベーションを阻害することになる。これは講習生が主体的に心音を聞いて判断するという行動につながり、従来の簡易モデルを使った講習とは全く異なる体験をもたらすことになる。

0052

さらに、模擬聴診モジュール200以外は、コントローラ2000も模擬医療機器3000も、たとえば、全てスマートフォンやタブレット端末にアプリケーションソフトウェアをインストールするだけでも、使用が可能であるため、導人コストは極めて安価である。

0053

なお、以下では、模擬聴診モジュール200は、近接無線方式、たとえば、Bluetooth(登録商標)方式の無線回線で、近接無線通信装置4000との間で情報を送受信するものとして説明を行う。ただし、上述のとおり、模擬聴診モジュール200は、近接無線方式、たとえば、Bluetooth(登録商標)方式の無線回線で、模擬医療機器3000を介してコントローラ2000との間で情報を送受信する構成であってもよい。

0054

図2は、聴診トレーニングシステム1000の構成を説明するための模式図である。

0055

本実施形態の聴診トレーニングシステム1000は、図2に示すように、新生児の人体を模したモデル人形2に対し、講習生(トレーニー)が模擬的に聴診動作を行うために使用する聴診器100および模擬聴診モジュール200と、後述するように生体音データベースを内蔵し、模擬聴診モジュール200に対して適切な生体音を生成して送信するためのコントローラ2000と、コントローラ2000から送信される信号に応じて、模擬的にパルスオキシメータを模して脈拍数および酸素飽和度の値を表示するための模擬医療機器3000とを含む。

0056

模擬医療機器3000はアクセスポイント4010を介して、ネットワーク4100に接続しており、コントローラ2000は、アクセスポイント4200を介して、ネットワーク4100に接続している。なお、ビデオカメラ80は、アクセスポイント4010を介してネットワーク4100と接続するウェブカメラであってもよいし、模擬医療機器3000を介して、ネットワーク4100と接続する構成であってもよい。後者の場合、模擬医療機器3000とビデオカメラ80とは有線で接続されてもよいし、あるいは、無線で接続されてもよい。

0057

なお、模擬医療機器3000は、以下では、一例として、いわゆるタブレット型端末を使用するものとして説明する。

0058

ここで、「パルスオキシメーター(pulse oximeter)」とは、プローブ指先などに付けて、侵襲せずに脈拍数と経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)をモニターする医療機器である。「経皮的動脈血酸素飽和度」とは、ヘモグロビンに何%の酸素が結合しているのかを表す指標である。それにより、動脈血酸素分圧が推測できる。経皮的動脈血酸素飽和度が90%以下となると、一般に、臨床症状としては、呼吸困難血圧上昇または低下、脈拍上昇、意識混濁などの症状が出現する。

0059

なお、コントローラ2000からは新生児の泣き声に相当する模擬的な音声データを、模擬医療機器3000に対して送信し、模擬医療機器3000のスピーカで再生するという構成とすることも可能である。

0060

また、ビデオカメラ80により、講習生および新生児モデル人形の双方を含む動画像を撮像して、リアルタイムで、講師側の表示装置に画像を再生する構成とすることも可能である。この場合、たとえば、動画像データは、講師からの入力により、適宜、チャプターマーク等の目印となるデータを付加しつつ、コントローラ2000における記憶装置に格納される構成とすることができる。このようなチャプターマーク付の動画像データにより、講師と講習正側とで、動画の再生を共有しつつ、振り返りを行って、訓練効果をより高めることも可能である。

0061

なお、チャプターマークを付与した動画像データを格納するのは、必ずしも、コントローラ2000内の記憶装置に限定されるものではなく、模擬医療機器3000側の記憶装置であってもよいし、あるいは、ネットワーク4100に接続されるサーバ内の記憶装置(図示せず)であってもよい。また、チャプターマークだけでなく、アプリ側でステップに応じて表示されるもののうちから講師の選択した「コメント」等を、動画像に関連付けて、このような記憶装置に格納する構成としてもよい。

0062

図3は、聴診器100の構成を説明するための外観図である。

0063

一般的な聴診器は大きく分けて採音部、チューブ(たとえば、ゴム素材とした場合は、ゴム管とも呼ばれる。以下、「管部」と呼ぶ)および耳管からなる。なお、採音部は、チェストピースとも呼ばれる。

0064

聴診器100は、図3に示すように、実際の医療現場において医師や看護師が聴診の際に利用する。聴診器100の構成において、採音部であるチェストピース10を、後述するように、模擬聴診モジュール200に装着する。

0065

したがって、図3に示すように、聴診器100は、モデル人形2の体表に対して当接される聴診面を有する模擬聴診モジュール200に装着される採音部10と、採音部10に着脱可能に接続され二つに分岐した軟素材製のY字管部20と、Y字管部20の分岐したY字部のそれぞれの端部に取着され、講習生の耳孔部に挿着可能な耳管部30aおよび30bを備える。

0066

図4は、模擬聴診モジュール200およびチェストピース10の外観を示す外観図である。

0067

模擬聴診モジュール200の上面には、チェストピース10を収容して固定することが可能な形状を有する収容部210を有し、収容部210内の上面側には、スピーカ16が設けられている。

0068

さらに、模擬聴診モジュール200の底面には、後述するような接触センサ18が設けられている。

0069

図5は、コントローラ2000および模擬医療機器3000の構成を説明するための機能ブロック図である。

0070

図5において、コントローラ2000または模擬医療機器3000の実行する機能は、後述するように、コントローラ2000または模擬医療機器3000内の中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)により、プログラムに基づいて、実行される。

0071

図5を参照して、模擬医療機器3000内の無線インタフェース3090は、アクセスポイント4010を介して、コントローラ2000との間で、無線通信によりデータの授受を行う。

0072

無線インタフェース3090とアクセスポイント4010との間の無線通信方式としては、特に限定されないが、たとえば、無線LANを使用することができる。アクセスポイント4010、ネットワーク4100およびアクセスポイント4200を介することで、無線インタフェース3090は、コントローラ2000と模擬医療機器3000との間のデータの授受のための通信を実行する。

0073

演算装置3200は、無線インタフェース3090を介して受信する信号に対応する画像を、模擬医療機器3000の表示装置3120に表示させる処理や、入力装置3100からの入力に応じて、所定の処理を実行する。メモリ3080は、模擬医療機器3000の実行する機能のためのプログラムを格納したり、あるいは、トレーニング中にコントローラ2000から受信される信号に対応するデータや模擬医療機器3000の状態フラグなどの一時記憶に使用される。

0074

また、メモリ3080には、模擬医療機器3000に、カメラ80からの動画像データが格納される構成である場合には、当該データの格納が行われる。

0075

一方、コントローラ2000の無線インタフェース2090は、アクセスポイント4200、ネットワーク4100およびアクセスポイント4010を介することで、模擬医療機器3000だけでなく、模擬聴診モジュール200との間で、無線通信によりデータの授受を行う。

0076

模擬聴診モジュール200からは、近接無線通信装置4000を経由して、模擬聴診モジュール200がモデル人形2の体表に密着されているか否かを示す接触センサ18の検知結果がコントローラ2000に送信される構成としてもよい。この場合、コントローラ2000内の密着性検知部2420は、受信した接触センサ18からの信号により、模擬聴診モジュール200がモデル人形2の体表に密着されたと判断した場合は、時刻情報と関連付けて当該状態をテスト履歴情報DB2450dに格納する。

0077

一方、コントローラ2000からは、現在設定されている生体音データが、模擬聴診モジュール200に、アクセスポイント4010および近接無線通信装置4000を経由して送信される。

0078

コントローラ2000から模擬医療機器3000へは、現在設定されている脈拍数および酸素飽和度の値が送信され、模擬医療機器3000は、受信したデータを表示する。

0079

生体音送出部2430は、所定のタイミングで、現在設定されている生体音データ(たとえば、設定されている心拍数に対応する心音データ)を、無線インタフェース2090経由で、模擬聴診モジュール200に向けて送信する。ここで、所定のタイミングの1つとしては、たとえば、システムが起動した後に最初に通信が確立したときでもよいし、あるいは、模擬聴診モジュール200から、模擬聴診モジュール200がモデル人形2の体表に密着しているとの検知結果がコントローラ2000に初めて送信されたときでもよい。

0080

そして、生体音送出部2430は、不揮発性記憶装置2080に格納されている生体音データベース(以下、生体音DB)2450aから、生体状態情報2450bにより現在設定されている生体音データを読み出し、模擬聴診モジュール200に向けて送信する。

0081

なお、生体音DB2450aには、たとえば、症状に応じた心音のデータや、その他、新生児の蘇生において聴診されることが想定される生体音のデータや泣き声のデータが格納されているものとする。心音のデータは、心拍数ごとに、予め格納されていてもよいし、所定の基準の心拍数の音データが格納されており、生体音送出部2430が、基準の心拍数の音データを指定された心拍数のデータに変換してもよい。

0082

また、生体音DB2450aは、上述したネットワーク4100に接続されるサーバ内の記憶装置に格納されており、生体音送出部2430の指示に応じて、このサーバから模擬聴診モジュール200に向けて送信される構成であってもよい。

0083

不揮発性記憶装置2080に格納されているテストアルゴリズム情報2450cには、後述するような新生児蘇生アルゴリズムに対応するシナリオ情報が格納されており、生体状態情報2450bには、現在の訓練対象となる新生児モデルの心拍数、経皮的動脈血酸素飽和度の値などが格納される。生体状態情報2450bには、初期値の他、現在値が格納されており、現在値は、入力装置2100からの講師による入力操作により変更可能であるものとする。

0084

テスト情報管理部2460は、テストアルゴリズム情報2450cおよび生体状態情報2450bとして格納されている情報に基づき、コントローラ2000の表示装置2120に画像を表示するための情報および模擬医療機器3000に画像を表示するための情報を生成する。模擬医療機器3000には、無線インタフェース2090を介して、表示する画像に関する情報が送信される。

0085

なお、模擬医療機器3000がタブレット型端末等であって、スピーカを内蔵している場合は、生体音送出部2430は、現在設定されている生体音データの一部として呼吸音データや泣き声のデータを、無線インタフェース2090を介して模擬医療機器3000に送信して、模擬医療機器3000において、新生児の呼吸音や泣き声を模擬的に再生する構成としてもよい。この場合は、講師の入力装置2100からの入力に応じて、呼吸数を変更することを可能な構成とする。設定された呼吸数は、生体状態情報2450bに格納される。

0086

テスト履歴記録部2470は、タイマー2470からの時刻情報を基に、トレーニング開始からの時刻情報と関連付けて、トレーニング中の講習生についてのテスト履歴情報を、テスト履歴データベース(以下、テスト履歴DB)2450dに、講習生ごとに格納する。テスト履歴情報としては、たとえば、テスト開始からの時刻に従った訓練ステップの進行の履歴(心拍数の情報、経皮的動脈血酸素飽和度の履歴情報を含む。好ましくは、呼吸数の履歴を含んでもよい)に関する情報や、後述する講師による「チェック結果情報」が含まれ、さらに、カメラ80で撮像された動画像データあるいは動画像データからチャプターマークに応じて切り出された静止画などが含まれてもよい。

0087

テスト履歴再現部2490は、トレーニング終了後において、入力装置2100からの指定に基づき、指定された講習生についてのテスト履歴情報を、テスト履歴DB2450dから読出し、表示装置2120に再現して表示する。このとき、無線インタフェース2090を介して、テスト履歴情報が模擬医療機器3000にも送信されて、模擬医療機器3000においても再生され、講師と受講生とで、情報を共有しながら、振り返りを行うことができる構成とすることができる。このときには、テスト履歴情報の送受だけでなく、模擬医療機器3000とコントローラ2000との間で、相互の通話を可能とするための通話データや、共有されるべき講師のコメントデータなども送受される構成とすることができる。

0088

なお、上述したとおり、チャプターマークを付与した動画像データが、コントローラ2000内の記憶装置ではなく、模擬医療機器3000側の記憶装置、あるいは、ネットワーク4100に接続されるサーバ内の記憶装置(図示せず)である場合は、テスト履歴再現部2490からの指示にしたがって、このような記憶装置に格納されている情報が、模擬医療機器3000およびコントローラ2000において再生される構成とすることも可能である。

0089

図6は、模擬聴診モジュール200の構成を説明するための機能ブロック図である。

0090

模擬聴診モジュール200は、チェストピース10を収容して固定するための形状を有する収容部210を備える。

0091

模擬聴診モジュール200の収容部210とは反対側の表面(底面)の中心付近には、接触センサ18が設けられる。模擬聴診モジュール200が、光の非透過性材質で構成されているため、モデル人形2の体表に当該表面が密着すると、接触センサ18の発光素子から射出された光で接触センサ18の受光センサ入射する光量が所定値以下に減少する。したがって、接触センサ18により検知される値により、模擬聴診モジュール200の密着の程度を判断することができる。

0092

なお、模擬聴診モジュール200の密着の程度を検出するためのセンサとしては、このような接触センサに限定されることなく、他の圧力センサなどを利用してもよい。

0093

模擬聴診モジュール200の内部には、近接無線通信装置4000と無線通信するための無線通信部12と、無線通信部12により受信された生体音データを格納して、接触センサ18により接触状態であることが検知されている期間について、音声信号に変換して再生するための音声再生部14と、音声再生部14の出力を音として出力するための小型スピーカ16と、接触センサ18からの信号を、無線通信部12を介してコントローラ2000に送信するデータ形式に変換するためのセンスデータ送信部21と、電力を各部に供給するためのバッテリ部20とを含む。小型スピーカ16は、収容部210に収容されたチェストピース10の採音側に対して、再生音を出力する。

0094

(ハードウェアの構成)
図7は、コントローラ2000のハードウェア構成を示すブロック図である。

0095

ここでは、コントローラ2000がパーソナルコンピュータであるものとして説明する。

0096

図7において、コントローラ2000のコンピュータ本体2010は、メモリドライブ2020と、ディスクドライブ2030と、CPU2040と、ディスクドライブ2030及びメモリドライブ2020に接続されたバス2050と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM2060と、アプリケーションプログラム命令を一時的に記憶するとともに一時記憶空間を提供するためのRAM2070と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するための不揮発性記憶装置(たとえば、SSD:Solid State Drive)2080と、ネットワーク等を介して外部機器と通信するための無線通信インタフェース2090とを含む。

0097

CPU2040が、プログラムに基づいて実行する演算処理により、上述した図5の各機能が実現される。

0098

コントローラ2000に、上述した実施の形態の情報処理等の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM2200、またはメモリ媒体2210に記憶されて、ディスクドライブ2030またはメモリドライブ2020に挿入され、さらに不揮発性記憶装置2080に転送されても良い。これに代えて、プログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ本体2010に送信され、不揮発性記憶装置2080に記憶されても良い。プログラムは実行の際にRAM2070にロードされる。

0099

コントローラ2000は、さらに、入力装置2100としてのキーボード2100aおよびマウス2100bと、出力装置としてのディスプレイ2120とを備える。

0100

上述したような機能を実現するためのプログラムには、コンピュータ本体2010に、情報処理装置等の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)は、必ずしも含まなくても良い。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいれば良い。コントローラ2000がどのように動作するかは周知であり、詳細な説明は省略する。

0101

また、CPU2040は、単一コアの構成であってもよいし、いわゆるマルチコアの構成であってもい。上記プログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。

0102

なお、コントローラ2000も、いわゆるタブレット型端末やスマートフォンであってもよい。その場合、入力装置2100としては、ディスプレイ2120に組み込まれたタッチセンサ式ディスプレイとすることができる。また、ディスクドライブは省略される。

0103

さらに、模擬医療機器3000のハードウェア構成もコントローラ2000と基本的に同様であり、上述のとおり、模擬医療機器3000も、タブレット型端末としてもよい。
[新生児蘇生法アルゴリズム]
図8は、非特許文献2に開示された「新生児蘇生法アルゴリズム」を説明するためのアルゴリズム図である。

0104

この「新生児蘇生法アルゴリズム」については、非特許文献2に詳しいので、以下では、その概略について、説明する。

0105

まず、この「新生児蘇生法アルゴリズム」の対象となるのは、分娩室新生児室と新生児集中治療室(Neonatal Intensive Care Unit:NICU入院中の(修正月齢1か月未満)児の蘇生である。

0106

病院前救護小児科病棟ならびに小児集中治療部門をはじめ、病棟や外来における救急
蘇生において、28日未満の乳児(新生児)の心停止には、乳児に対する心肺蘇生法適応しても良い。

0107

(蘇生の流れ)
出生直後の新生児において蘇生が必要かどうかの判断は、i)早産児、ii)弱い呼吸・弱い啼泣、iii)筋緊張の低下、の3項目で行う(S100)。

0108

それらすべてを認めない児に対しては母のそばでルーチンケアを行う(S110)。

0109

ルーチンケアでは、保温気道開通、皮膚の乾燥を行い、その後、さらに児の評価を行う。

0110

(蘇生のステップ)
一方、S100において、3項目のうち1つでも当てはまる場合は、蘇生のステップに入りる。

0111

すなわち、S100で、蘇生が必要と判断された場合、蘇生の必要な乳児は、順番に以下の処置が必要かどうかを評価する。
(1) 蘇生の初期処置(皮膚の羊水を拭き取り、保温し,気道確保体位をとらせ、必要であれば気道を吸引して、呼吸を誘発するように皮膚刺激をする)(S120)
(2)人工呼吸および呼吸補助(S132)
(3)胸骨圧迫(S136)
(4)薬物投与または補液(S140)
次のステップに進むかどうかは,まず2つのバイタルサイン(心拍数と呼吸)を同時に評価して決定する。次のステップへは,前のステップを完了してから進む。各々のステップでその処置の実施に概ね30秒を割り当てて処置の効果を再評価し、次へ進むかどうかを決める。

0112

1)蘇生の初期処置とその評価(S120〜S130)
蘇生の初期処置(S120)では、皮膚の羊水を拭き取り、保温し、気道確保の体位をとらせ、必要であれば気道を吸引し、呼吸誘発のために皮膚刺激をする。

0113

蘇生の初期処置終了後、概ね生後330秒後に、その効果を心拍数と呼吸で評価する(S130)。心拍数の確認は臍帯拍動の触知よりも聴診がより確実である。また、蘇生が必要と予見される児では心拍数と酸素化の評価のためにパルスオキシメータの装着を考慮する。

0114

自発呼吸があり、かつ心拍数が100/分以上の場合は、努力呼吸と中心性チアノーゼの有無を評価する(S150)。特に人工呼吸を受ける児に対し、より早く正確な心拍数の測定を目的に、必要に応じECG(心電図)モニターの装着を検討する。

0115

努力呼吸と中心性チアノーゼを認める場合はパルスオキシメータを装着した上で、空気を用いた持続的気道陽圧(Continuous Positive Airway Pressure:CPAP)かフリーフロー酸素投与を開始する(S152)。

0116

SpO2値は生後時間に対応して、生後1分で60%、生後3分で70%、生後5分で80%、生後10分で90%を概ねの目安とするが、SpO2値の結果を必ずしも待つ必要はない。

0117

さらに概ね30秒後に心拍数と呼吸を評価し(S154)、心拍数が100/分以上にもかかわらず努力呼吸と中心性チアノーゼの改善が認められない場合には人工呼吸を開始する(S156)。

0118

人工呼吸の回数は40〜60回/分とする。どちらか一方だけが持続する場合(S154で、「なし」)は、原因検索先天性心疾患新生児一過性多呼吸呼吸窮迫症候群等)をしながら適切な対応を選ぶ(S158,S160)。

0119

一方、初期処置後の評価で自発呼吸がないか心拍数が100/分未満の場合(S130)は、人工呼吸を開始した上でパルスオキシメータを装着する(S132)。喘ぎ呼吸も無呼吸と同様に扱う。人工呼吸の回数は40〜60回/分とする。

0120

有効な人工呼吸開始後、概ね30秒後に心拍数と呼吸を評価し(S134)、心拍数が60〜100/分未満の場合には換気が適切か確認し、気管挿管施行を検討する。

0121

有効な人工呼吸を30秒以上施行しても心拍数が60/分未満の場合には(S134)、胸骨圧迫と人工呼吸を連動して開始する(S136)。ただし人工呼吸の実施にあたり、適切に換気できていない場合は、胸骨圧迫にはステップを進めず、換気の確保・実施に専念する。胸骨圧迫と人工呼吸の比は3:1とし,1サイクル2秒間を目安に行う。

0122

(薬物投与または補液)
有効な人工呼吸と胸骨圧迫にもかかわらず心拍数が60/分未満の場合(S138)には、アドレナリン投与を検討する(S140)。ただしアドレナリンのエビデンスは乏しく、人工呼吸と胸骨圧迫を中断してまで実施する処置ではない。人工呼吸と胸骨圧迫を優先しながらその投与を検討する。アドレナリンは0.01〜0.03mg/kgの静脈内投与第一選択とする。

0123

児の失血が疑われる場合には,循環血液増量剤生理食塩液など)10ml/kgを5〜10分かけて静脈内投与する。薬物投与の際にも胸骨圧迫と人工呼吸は連動して続ける。

0124

以下に説明するように、本実施の形態の聴診トレーニングシステムは、このような「新生児蘇生法アルゴリズム」の手順を、講習生が適切に実行できるようなトレーニングを提供する。

0125

図9および図10は、トレーニング中のコントローラ2000、模擬医療機器3000および模擬聴診モジュール200の動作を説明するためのフローチャートである。

0126

図9を参照して、処理が開始されると、まず、講師は、コントローラ2000から、訓練日時、講師名の入力を行い(S200)、講習生は、模擬医療機器3000から、トレーニー名の入力等を行って、相互に情報を交換する(S300)。

0127

なお、講師名の入力、トレーニー名の入力等は、これらの個人を特定できる情報であれば、IDの入力などでもよい。入力された訓練日時、講師名の入力、トレーニー名の情報は、テスト履歴DB2450dに格納される。

0128

続いて、講師によるスタート入力により、コントローラ2000は、画面表示や変数初期化し、タイマー2480によう計時を開始する(S202)。

0129

次に、テスト情報管理部2460は、図8に示した新生児蘇生アルゴリズム図を表示装置2120に表示するとともに、現在は、この新生児蘇生アルゴリズム図のどのステップに相当しているか識別可能に表示する(S204)。さらに、このようなアルゴリズム図および現在ステップの状態を示す図の情報を模擬医療機器3000に向けて送信し、模擬医療機器3000は、対応する情報を表示する(S302)。

0130

テスト情報管理部2460は、生体状態情報2450bから、現在の心拍数およびパルスオキシメータによる経皮的動脈血酸素飽和度の値を読出し、表示装置2120に対応する値を表示する(S206)。

0131

また、テスト情報管理部2460は、表示装置3120にも現在の心拍数および経皮的動脈血酸素飽和度の値を表示させる。

0132

なお、初期状態では、パルスオキシメータの装着がされていないので、この時点では、具体的な値の表示ではなく、未装着状態であることを示す表示がされる。

0133

さらに、コントローラ2000においては、生体音送出部2430は、生体状態情報2450bから現在の心拍数を読出し、対応する心音データを生成して、模擬聴診モジュール200に対して送出する(S206)。模擬聴診モジュール200では、心音データを受信し、音声再生部14は音声データを格納する(S402)。

0134

模擬聴診モジュール200では、心音データを受信すると、音声再生部14が、接触センサ18からの信号に基づいて接触判定を行い(S404)、接触状態であると判断すると(S408でY)、格納された心音データを再生し(S410)、処理は接触判定を行うS404に復帰する。一方で、音声再生部14は、接触状態でないと判断すると(S408でN)、接触状態であると判断されるまで、音声を再生せずに待機状態となる。ただし、待機状態であっても、心音データを受信したと判断すると(S406でY)、処理は、ステップS402に復帰する。

0135

続いて、テスト情報管理部2460は、表示装置2120に、現在のステップにおけるチェック項目を表示する(S210)。

0136

図11は、このような状態での表示装置2120における表示画面例を示す図である。

0137

図11の左側には、図8に示した「新生児蘇生法アルゴリズム」が表示され、現在のステップが太枠や色の変化により表示される。図11の右側には、チェック項目が表示されるとともに、現在の心拍数および経皮的動脈血酸素飽和度の値、現在のステップになってからの経過時間、呼吸音の再生の有無などが表示される。

0138

なお、心拍数および経皮的動脈血酸素飽和度の値については、表示バーを移動させることで、講師がこれらの値を変更することができる。

0139

チェック項目については、表示した内容について講師によりチェックされた結果が入力される。また、図8のフローにおける次のステップに進むかについての入力についても表示される。なお、図8のフローにおける前のステップに戻るかを入力して、処理を現在のステップから前のステップにもどすことを可能としてもよい。

0140

図9にもどって、テスト情報管理部2460は、講師により、心拍数および経皮的動脈血酸素飽和度の値の変更が入力されたかを判断し、変更入力がされていれば(S212でY)、生体状態情報2450bの情報を更新して記録し、表示装置2120に対応する値を表示する(S214)。また、テスト情報管理部2460からの信号に基づいて、模擬医療機器3000の表示部3120は、更新された心拍数および経皮的動脈血酸素飽和度の値を表示する(S316)。生体音送出部2430は、生体状態情報2450bから更新された心拍数を読出し、対応する心音データを生成して、模擬聴診モジュール200に対して送出する(S214)。

0141

模擬聴診モジュール200では、S406において、ネットワーク4100経由で心音データの受信があると判断すると、心音データを受信し格納する(S402)。

0142

続いて、テスト情報管理部2460は、講師により、チェック項目について入力があったかどうかを判断し(S218)、入力があれば、表示装置2120についてチェックがあったことを示す表示に表示内容を変更し(S220)、テスト履歴記録部2470は、現在のステップ、現在の時刻、およびチェック項目の内容を、テスト履歴DB2450dに格納する(S222)。

0143

次に、図10を参照して、テスト情報管理部2460は、講師により、中断を指示する入力があったかどうかを判断し(S224でY)、入力があれば、テスト履歴記録部2470は、中断時刻をテスト履歴DB2450dに記録する(S226)。さらに、テスト情報管理部2460は、中断の解除の入力があるまで待機し(S228でN)、中断の解除があれば(S228でY)、テスト履歴記録部2470は、解除時刻をテスト履歴DB2450dに記録する(S230)。

0144

続いて、テスト情報管理部2460は、講師により次のステップへの移行が入力されているかを判断し(S232)、移行が入力されていれば、図8のフローにおけるステップを次に進め、テスト履歴記録部2470は、当該ステップが終了した時刻をテスト履歴DB2450dに記録して(S234)、処理をステップS204に復帰させる。

0145

一方で、テスト情報管理部2460は、講師により終了が指示されていれば(S240でY)、処理を終了し、終了が指示されいなければ(S240でN)、処理をステップS206に復帰させる。

0146

以上、説明したように、本実施形態の聴診トレーニングシステムによれば、通常の聴診器に、模擬聴診モジュール200を装着することで、新生児の蘇生の手続きにおける聴診動作や蘇生に必要な処理の流れを、モデル人形2に対して行うことにより、実際の処置と同等の緊張感のもとで講習生が体感することができる。

0147

また、トレーンング中において講師が、模擬的に新生児の状態を適宜変更できるため、一層、実際の処置に近い状態で訓練を行うことができる。

0148

また、トレーニング中の履歴データが逐一保存されているので、トレーニングが一通り終了した後に、講師と講習生とが、トレーニング中の処置を、動画像または動画像から抽出された静止画を共有して見ながら、振り返ることが容易で、トレーニング効果を高めることが可能である。

0149

また、トレーニングシステムを構成する部品が簡単・低コスト部品部材から成る構成であるため、特定の講習生がある程度習熟すれば、講習生同志で、聴診トレーニングを実施することも容易である。

0150

以下では、本実施の形態の聴診トレーニンングシステムの奏する効果について、補足して説明する。

0151

図12は、上述したような従来使用されているシミュレータと本実施の形態の聴診トレーニンングシステムとの比較を示す概念図である。

0152

図12においては、導入性と訓練効果の軸によって示している。訓練効果と導入性はトレードオフの関係にあり、本実施の形態の聴診トレーニンングシステムは、導入が容易で訓練効果が高い。

0153

ここで、訓練効果を高めるためには、単純にはシミュレータがより現実に近づくことで達成できると考える。

0154

新生児蘇生訓練において、単純に新生児の形状をだけを模擬したシミュレータにより現実の新生児に近い応答をさせるには以下のようなバイタルの再現手法が考えられる。

0155

a)聴診によって心拍数を測定可能
b)パルスオキシメータによって動脈血酸素飽和度(SpO2)が表示・確認可能
c)新生児の状態が講習生の処置によって変動する
したがって、本実施の形態の聴診トレーニンングシステムでは、これらの再現を要する内容を模擬的に実現できている。

0156

また、本実施の形態の聴診トレーニンングシステムでは、上述したように、訓練効果を高めるために、講師から離れた場所でのトレーニングであっても、講習生が臨床現場と同じように聴診を行える必要がある。また講習生は心拍数によって処置を行い、その処置によって心拍数は変化する。そのため、講師は講習生の処置を見ながら心拍数を変更する。

0157

これらを解決するために、本実施の形態の聴診トレーニンングシステムでは以下のような機能が達成されている。

0158

機能1)講習生が聴診を主体的に行えるシミュレータ
機能2)講師が講習生の処置によって自由に心拍数を操作するコントローラ
機能3)講師と講習生とが離れた場所にいても、臨場感をもってトレーニングができる通信環境
(講習生側のシミュレータ)
既述のとおり、講習生側のシミュレータは新生児蘇生モデルとセンサが組み込まれた模擬聴診モジュールから構成されている。実際の診断において、チェストピース部分に装着される模擬聴診モジュールの底面を新生児のに密着させなければ正しく聴診できない。

0159

接触センサの検出値が一定の値以下になった場合密着していると判定し、模擬聴診モジュールに組み込んだスピーカより講師が設定した心拍音を流すことで、講習生が聴診を行えるシミュレータが実現される。
(講師側のコントローラ)
一方で、コントローラ2000のコントローラ画面には日本蘇生協議会が作成した新生児蘇生法のアルゴリズムを表現したフローチャート、新生児蘇生法普及事業が提供しているフローチャートの項目ごとのチェックリスト、心拍数の選択バー、動脈血酸素飽和度の選択バー、経過時間が表示される。

0160

シナリオベースの訓練ではフローチャートにそってシナリオが運行するため、講師が訓練の進行をフローチャートで確認できる。 また、進行中の処置に対する講習生の行動を直ちに評価できるように、各処置項目にあわせてチェックリストを切り替えて表示する。また、講師はシナリオに応じて、講習生の処置を見ながら心拍数や動脈血酸素飽和度を随時変更できるように、チェストピースから聞こえる心拍数や動脈血酸素飽和度を操作する入カバーを用意されている。

0161

さらに、新生児蘇生法のアルゴリズムでは処置を行う目安の時間が設定されており、目安の時間通りに講習生の処置が行われているかどうか講師が確認できるように訓練の経過時間も表示される。

0162

さらに、講習生は訓練終了後に自らのシミュレーション結果を振り返ることを推奨されている。

0163

そこで、講習生がシミュレーションを振り返るための資料を提供するため、講師が訓練の過程で講習生の行動をチェックしたチェックリストの結果を、トレーンング終了後に提示することが可能である。たとえば、項目ごとにあるチェックリストが全てチェックしているかどうかを○×で示したり、全てのチェックリストのチェック状態を一覧で示すことができる。

0164

さらに、講習会でのシナリオを用いた訓練では講師が講習生に問いかけながら進めていくので、訓練を一時的に停止・再開し、それにあわせた経過時間を表示する機能も備える。

0165

また、講習生への効果的なフィードバックとして、振り返りの際に提示するフローチャートに、講師が予定していたシナリオの流れと、講習生が実際に行った処置の結果を流れとして表示する構成としてもよい。

0166

さらに、どのような呼吸しているかは新生児の声から判断できるので、シナリオにあわせて新生児の声を再現する構成としてもよい。

0167

また、以上の説明では、モデル人形は、新生児であるものとして説明したが、たとえば、モデル人形が成人に対応するものであるとして、成人に対して所定の対処アルゴリズムに従って蘇生を行ったり、あるいは、所定の疾患の症状に対する所定の対処アルゴリズムに従う対処を行ったりする際のトレーニングを行うものとして、本実施の形態の聴診トレーニングシステム1000を使用する構成とすることも可能である。

0168

今回開示された実施の形態は、本発明を具体的に実施するための構成の例示であって、本発明の技術的範囲を制限するものではない。本発明の技術的範囲は、実施の形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲の文言上の範囲および均等の意味の範囲内での変更が含まれることが意図される。

0169

2モデル人形、10模擬採音器、11ヘッド部、12無線通信部、14音声再生部、16小型スピーカ、18照度センサ、19 マーカ読取センサ、20 管部、21センスデータ送信部、22 接触部、24結合部材、30a,30b耳管部、32接続管、100聴診器、200 模擬聴診モジュール、1000聴診トレーニングシステム、2000コントローラ、2080不揮発性記憶装置、2090無線インタフェース、2100入力装置、2120表示装置、2420密着性判断部、2430生体音送出部、2430 生体音送出部、2450a 生体音DB、2450b生体状態情報、2450cテストアルゴリズム情報、2450dテスト履歴DB、2460テスト情報管理部、2470 テスト履歴記録部、2480タイマー、3120 表示装置。

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