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技術 偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルムの製造装置

出願人 住友化学株式会社
発明者 住田幸司武藤清
出願日 2018年9月14日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-172073
公開日 2020年3月26日 (7ヶ月経過) 公開番号 2020-046448
状態 未査定
技術分野 偏光要素
主要キーワード ヨウ化水素溶液 減圧脱気処理 超音波脱気 ヨウ化水素水溶液 真空脱気処理 遮光性容器 エアストーン 吸引ロール
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図面 (2)

課題

光学性能の良好な偏光フィルムを製造することができる偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルムの製造装置を提供する。

解決手段

偏光フィルムの製造方法は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する工程と、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に、波長470nmにおける吸光度が2以下のヨウ化水素を含有する液を添加して第1架橋処理液を得る工程と、第1架橋処理液を含む架橋処理液に、染色処理液で処理する工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する工程と、を含む。

概要

背景

偏光フィルムとして、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムヨウ素のような二色性色素吸着配向させたものが従来用いられている。一般に偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する染色処理架橋剤で処理する架橋処理、及びフィルム乾燥処理を順次施すとともに、製造工程の間にポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対して延伸処理を施すことによって製造される(例えば、特許文献1、2等)。

偏光フィルムを製造する際の染色処理工程や架橋処理工程では、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを処理液と接触させて各処理が行われる。このような処理液では、そのpH値を適切な範囲に制御することが求められることがあり、例えば架橋液に硫酸を添加することがある(例えば、特許文献2)。

概要

光学性能の良好な偏光フィルムを製造することができる偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルムの製造装置を提供する。偏光フィルムの製造方法は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する工程と、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に、波長470nmにおける吸光度が2以下のヨウ化水素を含有する液を添加して第1架橋処理液を得る工程と、第1架橋処理液を含む架橋処理液に、染色処理液で処理する工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する工程と、を含む。

目的

本発明の目的は、光学性能の良好な偏光フィルムを製造することができる偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルムの製造装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造する偏光フィルムの製造方法であって、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する工程と、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に、波長470nmにおける吸光度が2以下のヨウ化水素を含有する液を添加して第1架橋処理液を得る工程と、前記第1架橋処理液を含む架橋処理液に、前記染色処理液で処理する工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する工程と、を含む、偏光フィルムの製造方法。

請求項2

前記ヨウ化水素を含有する液は、波長470nmにおける吸光度の上昇速度が0.15/day以下となるように調整されている液である、請求項1に記載の偏光フィルムの製造方法。

請求項3

前記ヨウ化水素を含有する液の溶存酸素量は、3mg/L以下である、請求項1又は2に記載の偏光フィルムの製造方法。

請求項4

前記ヨウ化水素を含有する液は、脱酸素処理が行われた液である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造方法。

請求項5

前記脱酸素処理は、不活性気体を用いたバブリング処理である、請求項4に記載の偏光フィルムの製造方法。

請求項6

前記バブリング処理は、気泡径が10mm以下の気泡を発生させて行う、請求項5に記載の偏光フィルムの製造方法。

請求項7

前記バブリング処理は、前記ヨウ化水素を含有する液1kg当たりの前記不活性気体の流量が0.5L/min以上となるように行う、請求項5又は6に記載の偏光フィルムの製造方法。

請求項8

前記脱酸素処理は、遮光条件下で行う、請求項4〜7のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造方法。

請求項9

前記第1架橋処理液を得る工程は、前記架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を活性炭処理する工程を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造方法。

請求項10

前記浸漬する工程は、前記架橋処理液を収容する架橋槽に、前記染色処理液で処理する工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する工程であり、前記第1架橋処理液を得る工程は、前記架橋槽の外部にある外部槽で行う、請求項1〜9のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造方法。

請求項11

前記架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液は、前記架橋槽内の前記架橋処理液から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液であり、前記抜き出される少なくとも一部の架橋処理液を、前記外部槽に供給する工程と、前記外部槽から前記架橋槽に前記第1架橋処理液を供給する工程と、をさらに含む、請求項10に記載の偏光フィルムの製造方法。

請求項12

前記架橋槽に収容されている前記架橋処理液のpHは2以上4以下である、請求項10又は11に記載の偏光フィルムの製造方法。

請求項13

ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用いて偏光フィルムを製造する偏光フィルムの製造装置であって、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する染色処理部と、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に、波長470nmにおける吸光度が2以下のヨウ化水素を含有する液を添加して第1架橋処理液を得る第1架橋処理液調製部と、前記第1架橋処理液を含む架橋処理液に、前記染色処理部で処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する架橋槽と、を含む、偏光フィルムの製造装置。

請求項14

さらに、前記ヨウ化水素を含有する液の波長470nmにおける吸光度の上昇速度が0.15/day以下となるように調整する調整部を有する、請求項13に記載の偏光フィルムの製造装置。

請求項15

前記調整部は、前記ヨウ化水素を含有する液の溶存酸素量が3mg/L以下となるように調整する、請求項14に記載の偏光フィルムの製造装置。

請求項16

前記調整部は、前記ヨウ化水素を含有する液の脱酸素処理を行う、請求項14又は15に記載の偏光フィルムの製造装置。

請求項17

前記第1架橋処理液調製部は、前記架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を活性炭処理する活性炭処理部をさらに含む、請求項13〜16のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造装置。

請求項18

前記第1架橋処理液調製部は、前記架橋槽の外部に設けられている、請求項13〜17のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造装置。

請求項19

前記架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液は、前記架橋槽内の架橋処理液から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液であり、前記抜き出される少なくとも一部の架橋処理液を、前記第1架橋処理液調製部に供給する第1供給部と、前記第1架橋処理液調製部から前記架橋槽に前記第1架橋処理液を供給する第2供給部と、をさらに含む、請求項18に記載の偏光フィルムの製造装置。

技術分野

0001

本発明は、偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルムの製造装置に関する。

背景技術

0002

偏光フィルムとして、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムヨウ素のような二色性色素吸着配向させたものが従来用いられている。一般に偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する染色処理架橋剤で処理する架橋処理、及びフィルム乾燥処理を順次施すとともに、製造工程の間にポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対して延伸処理を施すことによって製造される(例えば、特許文献1、2等)。

0003

偏光フィルムを製造する際の染色処理工程や架橋処理工程では、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを処理液と接触させて各処理が行われる。このような処理液では、そのpH値を適切な範囲に制御することが求められることがあり、例えば架橋液に硫酸を添加することがある(例えば、特許文献2)。

先行技術

0004

特開2016−27386号公報
特表2006−509250号公報

発明が解決しようとする課題

0005

偏光フィルムは工業的には、長尺のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、偏光フィルムの製造装置が有するフィルムの搬送経路に沿って連続的に搬送させながら、該搬送経路上において染色処理、架橋処理、延伸処理等を施すことによって製造される。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送しながら偏光フィルムを製造する場合、架橋液に硫酸を添加すると、搬送時の張力が上昇することが見出された。搬送時の張力の上昇は、得られる偏光フィルムの光学性能の低下を引き起こす原因となり得ると考えられる。

0006

そこで、本発明者らは、硫酸に代えてヨウ化水素水溶液を用いることを検討したところ、搬送時の張力の上昇は抑制できるものの、架橋液中ヨウ素濃度が上昇することを見出した。架橋液中のヨウ素濃度の上昇は、得られる偏光フィルムの光学性能の低下を引き起こす原因となり得ると考えられる。

0007

本発明の目的は、光学性能の良好な偏光フィルムを製造することができる偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルムの製造装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、以下に示す偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルムの製造装置を提供する。

0009

〔1〕ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造する偏光フィルムの製造方法であって、
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する工程と、
架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に、波長470nmにおける吸光度が2以下のヨウ化水素を含有する液を添加して第1架橋処理液を得る工程と、
前記第1架橋処理液を含む架橋処理液に、前記染色処理液で処理する工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する工程と、を含む、偏光フィルムの製造方法。

0010

〔2〕 前記ヨウ化水素を含有する液は、波長470nmにおける吸光度の上昇速度が0.15/day以下となるように調整されている液である、〔1〕に記載の偏光フィルムの製造方法。

0011

〔3〕 前記ヨウ化水素を含有する液の溶存酸素量は、3mg/L以下である、〔1〕又は〔2〕に記載の偏光フィルムの製造方法。

0012

〔4〕 前記ヨウ化水素を含有する液は、脱酸素処理が行われた液である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。

0013

〔5〕 前記脱酸素処理は、不活性気体を用いたバブリング処理である、〔4〕に記載の偏光フィルムの製造方法。

0014

〔6〕 前記バブリング処理は、気泡径が10mm以下の気泡を発生させて行う、〔5〕に記載の偏光フィルムの製造方法。

0015

〔7〕 前記バブリング処理は、前記ヨウ化水素を含有する液1kg当たりの前記不活性気体の流量が0.5L/min以上となるように行う、〔5〕又は〔6〕に記載の偏光フィルムの製造方法。

0016

〔8〕 前記脱酸素処理は、遮光条件下で行う、〔4〕〜〔7〕のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。

0017

〔9〕 前記第1架橋処理液を得る工程は、前記架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を活性炭処理する工程を含む、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。

0018

〔10〕 前記浸漬する工程は、前記架橋処理液を収容する架橋槽に、前記染色処理液で処理する工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する工程であり、
前記第1架橋処理液を得る工程は、前記架橋槽の外部にある外部槽で行う、〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。

0019

〔11〕 前記架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液は、前記架橋槽内の前記架橋処理液から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液であり、
前記抜き出される少なくとも一部の架橋処理液を、前記外部槽に供給する工程と、
前記外部槽から前記架橋槽に前記第1架橋処理液を供給する工程と、をさらに含む、〔10〕に記載の偏光フィルムの製造方法。

0020

〔12〕 前記架橋槽に収容されている前記架橋処理液のpHは2以上4以下である、〔10〕又は〔11〕に記載の偏光フィルムの製造方法。

0021

〔13〕ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用いて偏光フィルムを製造する偏光フィルムの製造装置であって、
前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する染色処理部と、
架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に、波長470nmにおける吸光度が2以下のヨウ化水素を含有する液を添加して第1架橋処理液を得る第1架橋処理液調製部と、
前記第1架橋処理液を含む架橋処理液に、前記染色処理部で処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する架橋槽と、を含む、偏光フィルムの製造装置。

0022

〔14〕 さらに、前記ヨウ化水素を含有する液の波長470nmにおける吸光度の上昇速度が0.15/day以下となるように調整する調整部を有する、〔13〕に記載の偏光フィルムの製造装置。

0023

〔15〕 前記調整部は、前記ヨウ化水素を含有する液の溶存酸素量が3mg/L以下となるように調整する、〔14〕に記載の偏光フィルムの製造装置。

0024

〔16〕 前記調整部は、前記ヨウ化水素を含有する液の脱酸素処理を行う、〔14〕又は〔15〕に記載の偏光フィルムの製造装置。

0025

〔17〕 前記第1架橋処理液調製部は、前記架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を活性炭処理する活性炭処理部をさらに含む、〔13〕〜〔16〕のいずれかに記載の偏光フィルムの製造装置。

0026

〔18〕 前記第1架橋処理液調製部は、前記架橋槽の外部に設けられている、〔13〕〜〔17〕のいずれかに記載の偏光フィルムの製造装置。

0027

〔19〕 前記架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液は、前記架橋槽内の架橋処理液から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液であり、
前記抜き出される少なくとも一部の架橋処理液を、前記第1架橋処理液調製部に供給する第1供給部と、
前記第1架橋処理液調製部から前記架橋槽に前記第1架橋処理液を供給する第2供給部と、をさらに含む、〔18〕に記載の偏光フィルムの製造装置。

発明の効果

0028

本発明によれば、光学性能の良好な偏光フィルムを製造することができる。

図面の簡単な説明

0029

本発明の偏光フィルムの製造方法及びそれに用いる偏光フィルムの製造装置の一例を示す模式図である。

0030

以下、図面を参照して、本発明の偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルムの製造装置の好ましい実施形態について説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。

0031

本実施形態に係る偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルムの製造装置は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(以下、「PVA系樹脂フィルム」ということがある。)を用いて偏光フィルムを製造するものである。偏光フィルムは、例えば、原料フィルムである長尺のPVA系樹脂フィルムから連続的に長尺物として製造することができる。

0032

<偏光フィルムの製造方法>
図1は、本実施形態の偏光フィルムの製造方法及びそれに用いる偏光フィルムの製造装置の一例を示す模式図である。図1中の矢印は、フィルム搬送方向又は液の流れ方向を示す。図1に示す偏光フィルム25の製造方法では、長尺のPVA系樹脂フィルム10から連続的に長尺の偏光フィルム25を得ることができる。具体的には、PVA系樹脂フィルム10を巻出ロール11から連続的に巻き出しつつ、膨潤槽13での膨潤処理工程、染色処理液を収容する染色槽15(染色処理部)での染色処理工程、架橋処理液を収容する架橋槽17での架橋処理工程、及び、洗浄槽19での洗浄処理工程を順に行い、最後に乾燥炉21を通すことにより乾燥処理を行って偏光フィルム25を得ることができる。長尺物として製造される偏光フィルム25は、巻取ロール27に順次巻き取ってもよいし、巻き取ることなく、偏光フィルム25の片面又は両面に保護フィルム等の熱可塑性樹脂フィルム接着する偏光板作製工程に供されてもよい。

0033

本実施形態の偏光フィルム25の製造方法は、
PVA系樹脂フィルム10を用いて偏光フィルム25を製造する偏光フィルム25の製造方法であって、
PVA系樹脂フィルム10を、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する工程と、
架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に、波長470nmにおける吸光度(以下、「吸光度(470)」ということがある。)が2以下のヨウ化水素(HI)を含有する液(以下、「HI含有液」ということがある。)を添加して第1架橋処理液を得る工程と、
第1架橋処理液を含む架橋処理液に、染色処理液で処理する工程後のPVA系樹脂フィルム10を浸漬する工程と、を含む。

0034

上記の工程により、PVA系樹脂フィルム10の架橋処理に用いる架橋処理液の少なくとも一部となる第1架橋処理液を得、この第1架橋処理液を含む架橋処理液を用いて、染色処理が施されたPVA系樹脂フィルム10の架橋処理を好適に行うことができる。以下、各工程について説明する。

0035

(染色処理液で処理する工程)
染色処理液で処理する工程は、PVA系樹脂フィルム10を、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する染色処理工程であり、PVA系樹脂フィルム10にヨウ素を吸着、配向させる等の目的で行われる。染色処理液で処理するPVA系樹脂フィルム10は、図1に示す膨潤槽13において膨潤処理が行われた後のフィルムであることが好ましい。ヨウ素を含有する染色処理液で処理する方法としては、例えば図1に示すように、フィルム搬送経路に沿ってPVA系樹脂フィルム10を搬送しながら、染色処理液に所定時間浸漬した後、染色処理液から引き出すことによって行うことができる。染色処理液で処理する方法は、PVA系樹脂フィルム10に染色処理液を塗布する方法によって行ってもよい。

0036

(第1架橋処理液を得る工程)
第1架橋処理液を得る工程は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に、吸光度(470)が2以下のHI含有液を添加する工程を含む。第1架橋処理液を得る工程は、架橋槽17での架橋処理に用いる架橋処理液の一部をなす第1架橋処理液を得るために行われる。架橋処理に用いる架橋処理液は、架橋剤及びヨウ化物塩を含むため、第1架橋処理液を得る工程では、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に、吸光度(470)が2以下のHI含有液を添加する。

0037

第1架橋処理液を得る工程は、架橋槽17で架橋処理に使用された後の架橋処理液(以下、「使用済みの架橋処理液」ということがある。)を、使用可能な架橋処理液として再利用するために行ってもよい。この場合、HI含有液が添加される架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液は、使用済みの架橋処理液であり、第1架橋処理液を得る工程で行うHI含有液の添加は、使用済みの架橋処理液を、架橋処理のために使用可能な架橋処理液に再生するために行う処理となり得る。使用済みの架橋処理液を用いて第1架橋処理液を得る工程を行う場合、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液は、例えば架橋槽17内の架橋処理液から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液であってもよく、この場合、第1架橋処理液を得る工程は、図1に示すように、架橋槽17の外部にある外部槽31で行えばよい。外部槽31で第1架橋処理液を得る工程を行う場合、偏光フィルム25の製造方法は、架橋槽17から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液を外部槽31に供給する工程を含んでいてもよく、また、外部槽31で調製された第1架橋処理液を架橋槽17に供給する工程を含んでいてもよい。

0038

第1架橋処理液を得る工程は、上記したように、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液にHI含有液を添加する工程を含む。HI含有液は、ヨウ化水素(HI)と液体とを含み、ヨウ化水素が液体に溶解しているヨウ化水素溶液であることが好ましい。液体としては、水;エタノール等のアルコール;これらの混合物等が挙げられるが、水を含むことが好ましい。HI含有液は、ヨウ化水素水溶液であることが好ましい。HI含有液中のヨウ化水素の濃度は、特に限定されないが、通常、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であってもよく、30質量%以上であってもよく、また、通常58質量%以下であり、57質量%以下であってもよく、55質量%以下であってもよく、50質量%以下であってもよい。

0039

第1架橋処理液を得る工程において、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液にHI含有液を添加することにより、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液のpHを調整して、第1架橋処理液を含む架橋処理液のpHを適切な範囲に制御することができる。架橋処理液のpHは、得られる偏光フィルムの光学性能を良好なものとする等の観点から通常2以上4以下に維持されることが好ましいが、例えば架橋処理液に亜硫酸カリウム等の添加剤を添加した場合や、後述するように使用済みの架橋処理液の活性炭処理を行った場合等には、架橋処理液のpHが上昇しやすい。HI含有液は酸性を示す液であるため、HI含有液を添加することにより、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液のpHを低下させて、架橋処理液に用いるために好適なpH値を有する第1架橋処理液を調製することができる。

0040

架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に添加されるHI含有液は、吸光度(470)が2以下である。吸光度(470)は、1.7以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1.2以下であってもよく、0であってもよく、通常0.05以上である。吸光度(470)は、HI含有液中に含まれるI3−の含有量(I3−の濃度)に略比例し、吸光度(470)の値が大きいほどI3−濃度が高いことを示す。HI含有液中のI3−は、HI含有液中のI−の酸化によりヨウ素(I2)が生じ、このヨウ素が液中のI−と結合して生じたものである。HI含有液中のI3−濃度が高い場合、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に添加して得られる第1架橋処理液中のI3−濃度の上昇を引き起こしやすくなる。また、第1架橋処理液は、PVA系樹脂フィルム10を浸漬する架橋処理液の少なくとも一部となるものであり、第1架橋処理液におけるI3−濃度の上昇は、架橋処理液におけるI3−濃度の上昇を引き起こす。そして、架橋処理液中のI3−濃度の上昇は、得られる偏光フィルム25の光学性能、特に透過率を低下させる原因となり得る。したがって、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に添加されるHI含有液として、吸光度(470)が2以下のHI含有液を用いることにより、架橋処理液におけるI3−濃度の上昇を抑制することができる。これにより、良好な光学性能を有する偏光フィルム25を得ることができると考えられる。

0041

また、本発明者らは、図1に示すようにPVA系樹脂フィルム10を搬送しながら架橋処理液にPVA系樹脂フィルム10を浸漬する工程を行う際に、架橋処理液に硫酸等を添加してpH調整を行うと、架橋槽17及び架橋槽17以降の工程においてPVA系樹脂フィルム10の張力が上昇することを見出した。このようなPVA系樹脂フィルム10の張力の上昇により、架橋槽17や乾燥炉21においてPVA系樹脂フィルム10に良好なネックインが生じにくくなり、得られる偏光フィルム25の光学性能の低下を引き起こすことが推測される。硫酸の添加によって引き起こされる上記した張力の上昇は、架橋処理液に含まれる硫酸イオンが原因と考えられる。本実施形態では、第1架橋処理液を含む架橋処理液のpHを調整のためにHI含有液を用いているため、上記した張力の上昇は生じにくく、その結果、得られる偏光フィルム25の光学性能が低下しにくいと推測される。

0042

HI含有液は、吸光度(470)の上昇速度が0.15/day以下となるように調整されていることが好ましく、吸光度(470)の上昇速度は、0.1/day以下であることが好ましく、0.07/day以下であることがより好ましく、0.05/day以下であることがさらに好ましく、通常、0/day超である。吸光度(470)の上昇速度が0.15/day以下のHI含有液を用いることにより、第1架橋処理液を含む架橋処理液におけるI3−濃度の上昇を抑制し、光学性能が良好な偏光フィルム25を得ることができる。

0043

HI含有液の吸光度(470)や、吸光度(470)の上昇速度は、例えば、HI含有液中の溶存酸素量を調整する、HI含有液の脱酸素処理を行う等によって調整することができる。HI含有液中の溶存酸素量は、3mg/L以下であることが好ましく、2.5mg/L以下であることがより好ましく、2.2mg/L以下であることがさらに好ましく、1.8mg/L以下であってもよい。HI含有液中の溶存酸素量が上記の範囲であることにより、HI含有液中の溶存酸素量や、HI含有液の吸光度(470)、吸光度(470)の上昇速度等を低減しやすい。第1架橋処理液を含む架橋処理液におけるI3−濃度の上昇を抑制し、光学性能が良好な偏光フィルム25を得ることができる。

0044

HI含有液として脱酸素処理を行った液を用いることにより、HI含有液中の溶存酸素量や、HI含有液の吸光度(470)、吸光度(470)の上昇速度等を低減しやすい。脱酸素処理は遮光条件下で行うことが好ましい。遮光条件下で脱酸素処理を行うことにより、ヨウ化水素が光によって酸化されてヨウ素(I2)を遊離し、このヨウ素が液中のI−と結合してHI含有液中のI3−濃度が上昇することを抑制することができる。本明細書において遮光条件下とは、HI含有液に照射される波長250〜550nmの光の照射強度が10mW/m2以下であることをいう。

0045

脱酸素処理としては、例えば、窒素希ガスヘリウムネオンアルゴン)等の不活性気体を用いたバブリング処理、減圧脱気処理真空脱気処理超音波脱気処理等を挙げることができ、このうち処理の簡易性の点からバブリング処理が好ましい。

0046

バブリング処理は、HI含有液中に気泡径が10mm以下の気泡を発生させて行うことが好ましい。バブリング処理で発生させる気泡径は、8mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがさらに好ましく、3mm以下であってもよい。バブリング処理で発生する気泡の気泡径が小さいほど、HI含有液中の溶存酸素量や、HI含有液の吸光度(470)、吸光度(470)の上昇速度等を低減しやすい。気泡径は、実施例に記載の方法で測定することができる。

0047

バブリング処理は、HI含有液1kg当たりの不活性気体の流量が0.5L/min以上となるように行うことが好ましく、0.7L/min以上であることがより好ましく、1L/min以上であってもよく、1.2L/min以上であってもよい。上記の流量が0.5L/min以上であることにより、HI含有液中の溶存酸素量や、HI含有液の吸光度(470)、吸光度(470)の上昇速度等を低減しやすい。

0048

架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に添加されるHI含有液の添加量は、HI含有液中のヨウ化水素の濃度に応じて設定すればよいが、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液のpHが所望のpHとなるように設定すればよい。図1に示すように、第1架橋処理液を得る工程を外部槽31で行う場合、架橋槽17に収容されている架橋処理液のpHは2以上4以下に保たれることが好ましい。そのため、外部槽31内の第1架橋処理液を架橋槽17に供給したときに、架橋槽17内の架橋処理液のpHが上記の範囲内に保たれるように、HI含有液の添加量を調整することが好ましい。架橋槽17に収容されている架橋処理液のpHは、2.3以上であることがより好ましく、2.5以上であってもよく、また、3.7以下であることがより好ましく、3.5以下であってもよい。架橋槽17内の架橋処理液のpHが4を超えると、得られる偏光フィルム25の光学性能が低下する傾向にある。

0049

第1架橋処理液を得る工程は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を活性炭処理する工程を含んでいてもよい。活性炭処理する工程は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を少なくとも含む液に対して行うものであればよく、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液とHI含有液が添加された液とが混在した液に対して行ってもよい。

0050

活性炭処理する工程は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液が使用済みの架橋処理液である場合、例えば、架橋槽17内の架橋処理液から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液である場合に行うと効果的である。これは、活性炭処理により、架橋処理液中の過剰なI3−を除去することができるためである。図1に示す染色槽15内の染色処理液は、ヨウ素を含むとともに通常、ヨウ素を水に溶解させるためにヨウ化物塩を含む。また、架橋槽17内の架橋処理液には、染色槽15を通過したPVA系樹脂フィルム10が浸漬されるため、架橋処理が行われた架橋処理液は、当該架橋処理液に含まれる架橋剤及びヨウ化物塩に加えて、染色槽15を通過したPVA系樹脂フィルム10によって持ち込まれたヨウ素やヨウ化物塩も含むことになる。そのため、PVA系樹脂フィルム10の架橋処理が繰返し行われると、架橋槽17内の架橋処理液は、染色処理液からのヨウ素の持込みやヨウ化物塩の空気酸化により架橋処理液内のI3−濃度が上昇する傾向にある。架橋処理液におけるI3−濃度の上昇は、得られる偏光フィルム25の光学性能、特に透過率を低下させる原因となり得る。そこで、使用済みの架橋処理液(例えば、架橋槽17内の架橋処理液から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液)に対して活性炭処理を行うことにより、架橋処理液内のI3−を除去して架橋処理液におけるI3−濃度の上昇を抑制することができる。

0051

活性炭処理する工程は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を活性炭と接触させることにより行うことができる。活性炭処理を行う方法としては、例えば、架橋槽17や外部槽31に活性炭を添加して撹拌する方法、図1に示すように外部槽31中の架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液の少なくとも一部を抜き出して、活性炭処理部33において活性炭と接触させる方法、架橋槽17から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液を外部槽31に供給する工程の途中で活性炭と接触させる方法等を挙げることができる。

0052

活性炭処理が施された架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液は、pHが上昇しやすい傾向にある。そのため、活性炭処理が施された架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に、HI含有液を添加してpHの上昇を抑制することが好ましい。架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液が使用済みの架橋処理液である場合、添加するHI含有液の吸光度(470)が大きいと、活性炭処理によりI3−濃度を低減した架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液中のI3−濃度を再び高めることになる。そのため、活性炭処理が施された架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液にHI含有液を添加する場合には、I3−濃度が低い、吸光度(470)が2以下のHI含有液を添加することが好適である。

0053

第1架橋処理液を得る工程を、図1に示すように外部槽31で行う場合には、外部槽31内で第1架橋処理液が調製される。そのため、偏光フィルム25の製造方法は、得られた第1架橋処理液を外部槽31から架橋槽17に供給する工程をさらに含んでいてもよい。

0054

(浸漬する工程)
浸漬する工程は、第1架橋処理液を含む架橋処理液に、染色処理液で処理する工程後のPVA系樹脂フィルム10を浸漬する工程であり、PVA系樹脂フィルム10に架橋処理を行う架橋処理工程とすることができる。架橋処理工程は、架橋による耐水化や色相調整等の目的で行われる。架橋処理液にPVA系樹脂フィルム10を浸漬する方法としては、架橋槽17に収容されている、上記した第1架橋処理液を得る工程で得た第1架橋処理液を含む架橋処理液に、PVA系樹脂フィルムを浸漬する方法を挙げることができる。

0055

第1架橋処理液を得る工程で得られた第1架橋処理液は、吸光度(470)が2以下のHI含有液が添加されており、このHI含有液によりpH調整が行われている。そのため、得られた第1架橋処理液を含む架橋処理液におけるI3−濃度の上昇を抑制することができる。これにより、この架橋処理液を用いて、染色処理が行われたPVA系樹脂フィルム10の架橋処理を行っても、光学性能が良好な偏光フィルム25を得ることができる。

0056

本実施形態の偏光フィルム25の製造方法における第1架橋処理液を得る工程は、図1に示す架橋槽17中で行ってもよく、図1に示すように架橋槽17の外部、例えば外部槽31で行ってもよい。また、第1架橋処理液を得る工程は、浸漬する工程(架橋処理を行う工程)と並行しながら行ってもよく、架橋槽17と外部槽31との間で架橋処理液や第1架橋処理液を循環させながら行ってもよい。例えば、図1に示すように、架橋槽17内の架橋処理液の抜き出し、外部槽31での第1架橋処理液の調製、得られた第1架橋処理液の架橋槽17への供給を連続的に行いつつ、架橋槽17では、染色処理液で処理する工程後のPVA系樹脂フィルム10を、第1架橋処理液を含む架橋処理液に浸漬して架橋処理を行ってもよい。また、活性炭処理及びHI含有液の添加の各処理は、これらを並行して行ってもよい。この場合、活性炭処理する工程では、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液とHI含有液が添加された液とが混在した液に対して行えばよい。

0057

<偏光フィルムの製造装置>
本実施形態の偏光フィルム25の製造装置は、上記した偏光フィルム25の製造方法に用いる装置である。図1に示す偏光フィルム25の製造装置では、長尺のPVA系樹脂フィルム10に対して連続的に、膨潤槽13内の膨潤処理液、染色槽15(染色処理部)内の染色処理液、架橋槽17内の架橋処理液、及び、洗浄槽19内の洗浄処理液に順次浸漬する処理を行い、最後に乾燥炉21を通すことにより乾燥処理を行って、長尺の偏光フィルム25を得ることができる。

0058

偏光フィルム25の製造装置は、例えば図1に示すように、フィルム搬送経路(PVA系樹脂フィルム10及び偏光フィルム25が搬送される経路)の上流側から順に、膨潤槽13、染色槽15(染色処理部)、架橋槽17、洗浄槽19、及び乾燥炉21を含む。また、偏光フィルム25の製造装置は、さらに第1架橋処理液調製部30及び調整部を有する。第1架橋処理液調製部30は、外部槽31、HI含有液供給部32、及び活性炭処理部33を有することができる。調整部は、HI含有液の吸光度(470)の上昇速度を0.15/day以下となるように調整したり、HI含有液の溶存酸素量が3mg/Lとなるように調整したり、脱酸素処理を行ったりするためのものであり、第1架橋処理液調製部30に設けられていてもよい。製造装置は、架橋槽17内の架橋処理液を外部槽31に供給する第1供給部35、及び、外部槽31から架橋槽17に第1架橋処理液を供給する第2供給部36を含むことができ、これにより、架橋槽17と第1架橋処理液調製部30との間を架橋処理液及び第1架橋処理液が循環するようになっている。また、偏光フィルム25の製造装置は、得られた偏光フィルム25の片面又は両面に保護フィルム等を貼合して偏光板を作製する偏光板作製部を有していてもよい。

0059

上記したように、偏光フィルム25の製造装置は、長尺のPVA系樹脂フィルム10を搬送しながら各種の処理を行うものであり、フィルム搬送経路には、上記した各槽や各部を通るように、搬送中のフィルムを支持・案内する複数のロールが設けられている。複数のロールは、フィルムの片面を支持しフィルムに駆動力を与えないガイドロール、フィルムの両面に配置されてフィルムを挟み込む1対のロールからなるニップロール(通常は、フィルムに駆動力を与えることができる駆動ロール)を含む。図1に示す製造装置では、フィルム搬送経路に、ガイドロール1a〜1k及びニップロール2a〜2fが設けられている。ガイドロールの一部やニップロールの一部は、駆動ロールとすることができるサクションロール吸引ロール)であってもよい。これら複数のロールは、フィルム搬送経路の任意の位置に設けることができる。

0060

本実施形態の偏光フィルム25の製造装置は、
PVA系樹脂フィルム10を用いて偏光フィルム25を製造する偏光フィルム25の製造装置であって、
PVA系樹脂フィルム10を、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する染色槽15(染色処理部)と、
架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に吸光度(470)が2以下のHI含有液を添加して第1架橋処理液を得る第1架橋処理液調製部30と、
1架橋処理液を含む架橋処理液に、染色槽15で処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する架橋槽17と、を含む。

0061

上記の製造装置は、上記した偏光フィルム25の製造方法に用いることができる。上記の製造装置によれば、PVA系樹脂フィルム10の架橋処理に用いる架橋処理液の少なくとも一部となる第1架橋処理液を調製し、この第1架橋処理液を含む架橋処理液を用いて、染色処理が施されたPVA系樹脂フィルム10の架橋処理を好適に行うことができる。以下、偏光フィルム25の製造装置の各部について説明する。

0062

(染色槽)
図1に示す染色槽15は、偏光フィルム25の製造方法における、PVA系樹脂フィルム10を、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する工程を行うために用いることができる。染色槽15は、その内部に染色処理液を収容しており、例えば膨潤槽13で膨潤処理されたPVA系樹脂フィルム10を染色処理液に浸漬するために用いられる。PVA系樹脂フィルム10は、染色槽15内の染色処理液内に設けられたガイドロール1d,1eに支持されて搬送されながら、染色処理液により染色処理される。染色処理液で処理されて染色槽15から引き出されたPVA系樹脂フィルム10は、ガイドロール1f、ニップロール2cを順に通過して架橋槽17に導入される。

0063

なお、PVA系樹脂フィルム10を、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する工程を、PVA系樹脂フィルム10に染色処理液を塗布することによって行う場合、染色槽15に代えて、スプレー等の塗布装置を用いればよい。

0064

(第1架橋処理液調製部)
第1架橋処理液調製部30は、偏光フィルム25の製造方法における第1架橋処理液を得る工程を行うために用いることができ、第1架橋処理液調製部30は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に、吸光度(470)が2以下のHI含有液を添加することができる。これにより、第1架橋処理液調製部30は、架橋槽17での架橋処理に用いる架橋処理液の一部をなす第1架橋処理液を調製する。第1架橋処理液調製部30は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に、吸光度(470)が2以下のHI含有液を添加するためのHI含有液供給部を備えることができる。また、第1架橋処理液調製部30は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に対して活性炭処理を行う活性炭処理部33を備えていてもよい。

0065

第1架橋処理液調製部30は、架橋槽17で用いる架橋処理液の一部となる第1架橋処理液を調製するものであるため、架橋槽17に設けられていてもよいが、架橋槽17の外部に設けられていてもよい。例えば、図1に示す第1架橋処理液調製部30は、架橋槽17の外部に設けられており、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を内部に収容する外部槽31と、外部槽31内の架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液にHI含有液を添加するHI含有液供給部32とを備えている。また、第1架橋処理液調製部30は、外部槽31の外部に活性炭処理部33を備えていてもよい。

0066

また、上記したように、第1架橋処理液調製部30で用いる架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液は、使用済みの架橋処理液であってもよく、架橋槽17内の架橋処理液から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液であってもよい。そのため、例えば図1に示すように、第1架橋処理液調製部30が架橋槽17の外部に設けられている場合には、偏光フィルム25の製造装置は、架橋槽17内の架橋処理液を外部槽31に供給するための第1供給部35、及び、外部槽31から架橋槽17に第1架橋処理液を供給する第2供給部36を有することができる。第1供給部35及び第2供給部36は、例えば架橋槽17と外部槽31とを繋ぐ配管としてもよい。また、第1供給部35は、架橋槽17から溢流した架橋処理液を、直接又は配管等を介して外部槽31に供給するものであってもよく、第2供給部36は、外部槽31から溢流した第1架橋処理液を、直接又は配管等を介して架橋槽17に供給するものであってもよい。

0067

図1に示す外部槽31は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液として、架橋槽17内の架橋処理液から、第1供給部35を通じて抜き出される少なくとも一部の架橋処理液を収容することができる。外部槽31は、その内部に収容する架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に、HI含有液を添加して混合するために用いることができる。外部槽31には、内部の液を撹拌するための撹拌羽根スターラ等の撹拌装置が設けられていてもよい。

0068

図1に示すHI含有液供給部32は、外部槽31内の架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に添加する吸光度(470)が2以下のHI含有液を供給することができる。これにより、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液のpHを調整することができる。HI含有液供給部32は、その内部にHI含有液を収容し、必要量のHI含有液を外部槽31内に供給することができる。HI含有液供給部32からのHI含有液の供給量は、例えば、第1架橋処理液調製部30で調整される第1架橋処理液のpHが、架橋槽17内の架橋処理液に必要とされているpH値(例えば、pHが2以上4以下)となるように予め設定されていてもよく、外部槽31内の架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液について測定されたpH値に基づいて調整されるようになっていてもよい。

0069

HI含有液供給部32は、例えばHI含有液を収容する容器を有し、当該容器は遮光性容器とする、あるいは、当該容器を遮光性の布やシート等で被覆することにより、HI含有液を遮光条件下で保存できるようにすることが好ましい。これにより、HI含有液中のヨウ化水素が分解等してヨウ素が生じ、吸光度(470)が上昇することを抑制することができる。

0070

図1に示す活性炭処理部33は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を活性炭と接触させる処理を行うものである。活性炭処理部33は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を少なくとも含む液に対して行うものであればよく、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液とHI含有液が添加された液とが混在した液に対して行ってもよい。活性炭処理部33は、例えば図1に示すように、外部槽31の外部に設けられており、外部槽31から抜き出された架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液の少なくとも一部を活性炭と接触させる。活性炭処理部33は、例えば活性炭のフィルタであってもよく、この場合、図1に示すように、外部槽31から抜き出された架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を活性炭処理部33に通して活性炭処理を行った後、外部槽31に戻すようにしてもよい。

0071

なお、図1に示す製造装置では、活性炭処理部33を外部槽31の外部に設ける場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、外部槽31内の架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液中に活性炭を添加して撹拌する等により、活性炭処理を行ってもよい。また、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液が使用済みの架橋処理液である場合は、架橋槽17の架橋処理液中に活性炭を添加してもよい。架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液が架橋槽17内の架橋処理液から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液である場合は、架橋槽17と外部槽31とを繋ぐ第1供給部35をなす配管の途中に活性炭処理部を設けてもよい。

0072

(調整部)
調整部は、HI含有液の吸光度(470)の上昇速度を0.15/day以下となるように調整したり、HI含有液の溶存酸素量が3mg/Lとなるように調整したり、脱酸素処理を行ったりするために用いることができる。調整部は、HI含有液の吸光度(470)の上昇速度や、HI含有液の溶存酸素量を調整するために、脱酸素処理を行う脱酸素処理部であってもよい。

0073

脱酸素処理部としては、不活性気体を用いたバブリング処理を行うバブリング処理部、減圧脱気を行う減圧脱気部、真空脱気を行う真空脱気部、超音波脱気を行う超音波脱気部等を挙げることができる。このうち、装置の簡便性の点から、脱酸素処理部としてはバブリング処理部が好ましい。バブリング処理部は、不活性気体を送気することができるガス管チューブエアストーンディフューザ散気管散気板)等の散気装置とすることができる。散気装置としては、特に限定されないが、気泡径の小さい気泡を発生させやすいエアストーンを用いることが好ましい。

0074

調整部は、上記した第1架橋処理液調製部30に設けられていてもよく、HI含有液供給部32に設けられていてもよい。脱酸素処理を遮光条件下で行う場合は、HI含有液供給部32のHI含有液を収容する容器を、上記したように遮光性容器とする、又は、当該容器を遮光性の布やシート等で被覆する等とし、この容器に脱酸素処理部を設けることが好ましい。

0075

図1に示す第1架橋処理液調製部30で調製された第1架橋処理液は、第2供給部36を通じて、外部槽31から架橋槽17に供給することができる。

0076

(架橋槽)
架橋槽17は、偏光フィルム25の製造方法における、第1架橋処理液を含む架橋処理液に、染色処理液で処理する工程後のPVA系樹脂フィルム10を浸漬する工程を行うために用いることができる。架橋槽17は、その内部に第1架橋処理液を含む架橋処理液を収容しており、染色槽15で染色されたPVA系樹脂フィルム10を架橋処理液に浸漬するために用いられる。PVA系樹脂フィルム10は、架橋槽17内の架橋処理液内に設けられたガイドロール1g,1hに支持されて搬送されながら、架橋処理液で処理される。架橋処理液で処理されて架橋槽17から引き出されたPVA系樹脂フィルム10は、ガイドロール1i、ニップロール2dを順に通過して洗浄槽19に導入される。

0077

本実施形態の偏光フィルム25の製造装置における第1架橋処理液調製部30は、図1に示す架橋槽17に設けてもよく、図1に示すように架橋槽17の外部に設けてもよい。また、第1架橋処理液調製部30での第1架橋処理液の調製は、架橋槽17での架橋処理と並行しながら行ってもよく、第1架橋処理液調製部30が架橋槽17の外部にある場合は、架橋槽17と第1架橋処理液調製部30との間で架橋処理液や第1架橋処理液を循環させるようにしてもよい。例えば、図1に示すように、架橋槽17からの架橋処理液の抜き出し、第1架橋処理液調製部30での第1架橋処理液の調製、得られた第1架橋処理液の架橋槽17への供給を連続的に行いつつ、架橋槽17では、染色槽15から引き出されたPVA系樹脂フィルム10を架橋処理液に浸漬して架橋処理を行ってもよい。また、図1に示す第1架橋処理液調製部30では、HI含有液供給部32、活性炭処理部33、及び脱酸素処理部を並行して稼働するようにしてもよい。

0078

以下、偏光フィルムの製造方法をなす各工程、及び、偏光フィルムの製造装置をなす各部材等について詳細に説明する。

0079

(PVA系樹脂フィルム)
本実施形態の偏光フィルムの製造方法で用いるPVA系樹脂フィルム10は、ポリビニルアルコール系樹脂を用いて形成されたフィルムである。ポリビニルアルコール系樹脂とは、ビニルアルコール由来構成単位を50質量%以上含む樹脂をいう。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂鹸化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂の鹸化度は、JIS K 6727(1994)に準拠して求めることができ、例えば80.0〜100.0モル%の範囲とすることができる。

0080

ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニル単独重合体であるポリ酢酸ビニル、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体等を挙げることができる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば不飽和カルボン酸類オレフィン類ビニルエーテル類不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有する(メタアクリルアミド類等を挙げることができる。本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルからなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。その他の「(メタ)」を付した用語においても同様である。

0081

PVA系樹脂フィルム10の一例は、ポリビニルアルコール系樹脂を製膜してなる未延伸フィルムであってもよく、この未延伸フィルムを延伸した延伸フィルムであってもよい。PVA系樹脂フィルム10が延伸フィルムである場合、縦一軸延伸された延伸フィルムであることが好ましく、乾式延伸された延伸フィルムであることが好ましい。PVA系樹脂フィルム10が延伸フィルムである場合の延伸倍率は、通常は1.1〜8倍である。

0082

本実施形態の偏光フィルムの製造方法で用いるPVA系樹脂フィルム10の厚みは、通常10〜150μmであり、得られる偏光フィルム25の薄膜化の観点から、100μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましく、30μm以下であってもよい。

0083

(偏光フィルム)
本実施形態の偏光フィルムの製造方法で得られる偏光フィルム25は、延伸されたPVA系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向されているものである。偏光フィルム25の厚みは、通常2〜40μmであり、偏光フィルムの薄膜化の観点から、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。

0084

得られる偏光フィルム25の視感度補正単体透過率Tyは、視感度補正偏光度Pyとのバランスを考慮して、40〜47%であることが好ましく、41〜45%であることがより好ましい。視感度補正偏光度Pyは、99.9%以上であることが好ましく、99.95%以上であることがより好ましい。Ty及びPyは、積分球付き吸光光度計を用いて、得られた透過率、偏光度に対してJIS Z 8701の2度視野C光源)により視感度補正を行うことによって求めることができる。

0085

(膨潤処理工程及び膨潤槽)
膨潤処理工程は、PVA系樹脂フィルム10の異物除去可塑剤除去、易染色性の付与、フィルムの可塑化等の目的で必要に応じて実施される処理である。図1に示すように、膨潤処理工程は、PVA系樹脂フィルム10を、膨潤処理液を収容する膨潤槽13に所定時間浸漬した後、引き出すことによって実施することができる。

0086

膨潤槽13に収容される膨潤処理液は、例えば水(純水等)であってもよく、アルコール等の水溶性有機溶媒を添加した水溶液であってもよい。また、膨潤処理液は、ホウ酸ホウ砂等のホウ素化合物塩化物無機酸、無機塩等を含有していてもよい。膨潤処理液の温度は、通常10〜70℃であり、15〜50℃であることが好ましく、15〜35℃であることがより好ましい。PVA系樹脂フィルム10の浸漬時間(膨潤処理液中での滞留時間)は、通常10〜600秒であり、15〜300秒であることが好ましい。PVA系樹脂フィルム10が延伸フィルムである場合、膨潤処理液の温度は、例えば20〜70℃程度であり、30〜60℃であってもよい。

0087

膨潤処理中に、PVA系樹脂フィルム10に対して湿式延伸処理(通常は一軸延伸処理)を施してもよい。その場合の延伸倍率は、通常1.2〜3倍であり、1.3〜2.5倍であることが好ましい。図1に示す偏光フィルム25の製造装置では、例えば、ニップロール2aとニップロール2bとの周速差を利用して膨潤槽13中で一軸延伸処理を施すことができる。

0088

図1に示す偏光フィルム25の製造装置では、膨潤槽13から引き出されたフィルムは、ガイドロール1c,ニップロール2bを順に通過して染色槽15へ導入される。

0089

(染色処理工程及び染色槽)
染色処理工程及び染色槽15について、上記で説明した以外の点について説明する。染色処理工程で用いる染色処理液としては、ヨウ素及びヨウ化物塩を含有する水溶液を用いることができる。ヨウ化物塩としては、例えば、アルカリ金属のヨウ化物塩、アルカリ土類金属のヨウ化物塩、ヨウ化亜鉛等が挙げられ、ヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛であることが好ましく、ヨウ化カリウムであることがより好ましい。ヨウ化カリウムと他のヨウ化物塩とを併用してもよい。

0090

染色処理液は、ホウ酸やホウ砂等のホウ素化合物、塩化亜鉛塩化コバルト等のヨウ化物塩以外の化合物を含んでいてもよい。ホウ素化合物を添加する場合は、ヨウ素を含む点で後述する架橋処理液と区別される。例えば、水溶液が水100質量部に対し、ヨウ素を約0.003質量部以上含んでいるものであれば、染色処理液とみなすことができる。染色処理液におけるヨウ素の含有量は、水100質量部あたり、通常0.003〜1質量部である。染色処理液におけるヨウ化カリウム等のヨウ化物塩の含有量は、水100質量部あたり、通常0.1〜20質量部である。

0091

染色処理液の温度は、通常10〜45℃であり、10〜40℃であることが好ましく、20〜35℃であることがより好ましい。PVA系樹脂フィルム10の浸漬時間(染色処理液中での滞留時間)は、通常20〜600秒であり、30〜300秒であることが好ましい。

0092

偏光フィルム25の製造装置は、染色槽15を2槽以上含んでいてもよい。この場合、各染色処理液の組成及び温度は、それぞれ独立して互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。

0093

ヨウ素の染色性を高めるために、染色処理に供されるPVA系樹脂フィルム10は、少なくともある程度の延伸処理(通常は一軸延伸処理)が施されていることが好ましい。染色処理前の延伸処理の代わりに、あるいは染色処理前の延伸処理に加えて、染色処理を行いながら延伸処理を施してもよい。染色処理までの積算の延伸倍率(染色処理までに延伸工程がない場合は染色処理での延伸倍率)は、通常1.6〜4.5倍であり、1.8〜4倍であることが好ましい。図1に示す偏光フィルム25の製造装置では、例えば、ニップロール2bとニップロール2cとの間の周速差を利用して染色槽15中で一軸延伸処理を施すことができる。

0094

図1に示す偏光フィルム25の製造装置では、染色槽15から引き出されたフィルムは、ガイドロール1f,ニップロール2cを順に通過して架橋槽17へ導入される。

0095

(架橋処理工程及び架橋槽)
染色処理工程及び染色槽15について、上記で説明した以外の点について説明する。架橋処理工程で用いる架橋処理液は、ヨウ化物塩及び架橋剤を含有する液(通常は水溶液)を用いることができる。ヨウ化物塩としては、例えば、アルカリ金属のヨウ化物塩、アルカリ土類金属のヨウ化物塩、ヨウ化亜鉛等が挙げられ、ヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛であることが好ましく、ヨウ化カリウムであることがより好ましい。ヨウ化カリウムと他のヨウ化物塩とを併用してもよい。架橋剤としては、例えば、ホウ酸やホウ砂等のホウ素化合物、グリオキザールグルタルアルデヒド等が挙げることができ、ホウ酸であることが好ましい。2種以上の架橋剤を併用することもできる。

0096

架橋処理液は、ヨウ化物塩及び架橋剤以外の化合物を含有していてもよい。該化合物としては、例えば、塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化ジルコニウムチオ硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。

0097

架橋処理液におけるヨウ化物塩の含有量は通常、水100質量部あたり、通常0.1〜20質量部であり、5〜15質量部であることが好ましい。架橋処理液における架橋剤の含有量は通常、水100質量部あたり、通常0.1〜15質量部であり、1〜12質量部であることが好ましい。架橋処理液の温度は、通常20〜85℃であり、30〜70℃であることが好ましい。PVA系樹脂フィルム10の浸漬時間(架橋処理液中での滞留時間)は、通常10〜600秒であり、20〜300秒であることが好ましい。

0098

偏光フィルム25の製造装置は、架橋槽17を2槽以上含んでいてもよい。この場合、各架橋処理液の組成及び温度は、それぞれ独立して互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。架橋槽17を複数含む場合、それぞれの架橋槽に、第1架橋処理液調製部を設けてもよい。

0099

架橋処理を行いながら延伸処理(通常は一軸延伸処理)を施してもよい。図1に示す偏光フィルム25の製造装置では、例えば、ニップロール2cとニップロール2dとの間の周速差を利用して架橋槽17中で一軸延伸処理を施すことができる。

0100

図1に示す偏光フィルム25の製造装置では、架橋槽17から引き出されたフィルムは、ガイドロール1i、ニップロール2dを順に通過して洗浄槽19へ導入される。

0101

(洗浄処理工程及び洗浄槽)
洗浄処理工程は、架橋処理工程後のPVA系樹脂フィルム10に付着した余分な薬剤を除去する等の目的で実施される処理である。図1に示すように、洗浄処理工程は、架橋処理工程(架橋槽17に浸漬された)後のPVA系樹脂フィルム10をフィルム搬送経路に沿って搬送させ、洗浄処理液を収容する洗浄槽19に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。

0102

洗浄処理工程は、図1に示す洗浄槽19に浸漬する処理に代えて、架橋処理工程後のPVA系樹脂フィルム10に対して洗浄処理液を例えばシャワーとして噴霧する処理であってもよい。また、洗浄処理工程は、洗浄槽19への浸漬と洗浄処理液の噴霧とを組み合わせて行ってもよい。

0103

洗浄処理液は、例えば水(純水等)であることができるほか、アルコール類等の水溶性有機溶媒を添加した水溶液であってもよい。洗浄浴の温度は、例えば2〜40℃である。

0104

洗浄処理工程を行いながら延伸処理(通常は一軸延伸処理)を施してもよい。図1に示す偏光フィルム25の製造装置では、例えば、ニップロール2dとニップロール2eとの間の周速差を利用して洗浄槽19中で一軸延伸処理を施すことができる。

0105

図1に示す偏光フィルム25の製造装置では、洗浄槽19から引き出されたフィルムは、ガイドロール1l、ニップロール2eを順に通過して乾燥炉21へ導入される。

0106

(延伸処理工程及び延伸処理部)
上記した膨潤処理工程、染色処理工程、架橋処理工程、及び洗浄処理工程の少なくとも1つの工程で処理を行いながら延伸処理を行ってもよい。これらの工程で行われる延伸処理は、湿式延伸であり、通常一軸延伸である。延伸処理工程は、架橋処理工程又はそれより前の1又は2以上の段階で行われることが好ましい。ヨウ素の染色性を高めて良好な偏光特性を有する偏光フィルム25を得るために、染色処理工程に供されるPVA系樹脂フィルム10は、少なくともある程度延伸処理が施されていることがより好ましい。

0107

延伸処理工程における延伸倍率は、得られる偏光フィルム25の偏光特性の観点から、偏光フィルム25の最終的な累積延伸倍率原反フィルムとしてのPVA系樹脂フィルム10が延伸フィルムである場合には、この延伸も含めた累積延伸倍率)が3〜8倍となるように調整される。

0108

延伸処理工程を実施するために、偏光フィルムの製造装置は、PVA系樹脂フィルム10を延伸するための延伸処理部を含む。延伸処理部は、ロール間で延伸を行うものであることが好ましく、例えば図1に示す各槽の前後に配置される2つのニップロールを挙げることができる。

0109

(乾燥処理工程及び乾燥炉)
乾燥処理部は、PVA系樹脂フィルム10のフィルム搬送経路上であって、図1に示す製造装置では、洗浄槽19の下流側に配置され、洗浄処理工程後のPVA系樹脂フィルム10を乾燥させるためのゾーンである。乾燥処理工程では、洗浄処理工程後のPVA系樹脂フィルム10を引き続き搬送させながら、乾燥炉21に当該フィルムを導入することによって乾燥処理を施すことができ、これにより偏光フィルム25が得られる。

0110

乾燥炉21は、例えば、熱風の供給等により炉内温度を高めることができる熱風オーブンである。乾燥炉21に代えて、湿式処理工程後のPVA系樹脂フィルム10を密着させる凸曲面を有する1又は2以上の加熱体や、ヒーター等を用いて乾燥処理を行ってもよい。加熱体としては、熱源(例えば、温水等の熱媒赤外線ヒーター)を内部に備え、表面温度を高めることができるロール(例えば熱ロールを兼ねたガイドロール)を挙げることができる。ヒーターとしては、赤外線ヒーター、ハロゲンヒーターパネルヒーター等を挙げることができる。乾燥処理の温度(例えば、乾燥炉21の炉内温度、熱ロールの表面温度等)は、通常30〜100℃であり、50〜90℃であることが好ましい。

0111

以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「%」及び「部」は、特記しない限り、質量%及び質量部である。

0112

[吸光度(470)の測定]
各実施例及び各比較例で得た添加用HI含有液について、吸光度(470)(波長470nmにおける吸光度)を測定した。吸光度(470)は、吸光光度計(UV−2450、(株)島津製作所製)を用いて測定し、波長470nmで測定を行った。

0113

[吸光度(470)の上昇速度の測定]
各実施例及び各比較例で用意したHI含有液について、まず、吸光度(470)を測定した。その後、この測定からさらに1日間、各実施例及び各比較例の環境下(バブリング処理を行う場合はバブリング処理も行う。)にHI含有液を置いた後に吸光度(470)を測定した。この操作を連続7日間行い、これら8つの測定値から、HI含有液の1日当たりの吸光度(470)の上昇速度の平均値を算出した。吸光度(470)の測定は、上記[吸光度(470)の測定]と同様の手順で行った。

0114

[溶存酸素量の測定]
各実施例及び各比較例で得た添加用HI含有液について、溶存酸素量を測定した。溶存酸素量は、溶存酸素計(B−506、飯島電子工業(株)製)を用いて行った。

0115

[バブリング処理における気泡径の測定]
バブリング処理に用いたエアストーン又はガス管チューブによって発生する気泡の気泡径は、次の手順で測定した。瓶にHI含有液を入れてバブリング処理を行いながら、瓶及びバブリング処理によって発生した気泡が含まれるように写真撮影した。得られた写真画像において、瓶の特定箇所(直径等)の長さ及び気泡径を計測し、瓶の上記特定箇所の長さに対する気泡径の割合、及び、上記特定箇所に対応する部分の長さと当該部分の実際(実物)の瓶の長さとの比に基づいて、実際の気泡の気泡径を算出した。

0116

[架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液における吸光度(470)の測定]
純水に、ホウ酸及びヨウ化カリウムを加えて、ホウ酸濃度が3.5%、ヨウ化カリウム濃度が10.1%となるようにして、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を調製した。調製した架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液の吸光度(470)を測定した。次に、調製した架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に、各実施例及び各比較例で得た添加用HI含有液を、ヨウ化水素濃度が0.1%となるように添加し、この添加用HI含有液を添加した液について、吸光度(470)を測定した。架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液の吸光度(470)と、添加用HI含有液を添加した液の吸光度(470)とを比較して、吸光度(470)の上昇が小さく許容範囲内である場合をAと評価し、吸光度(470)の上昇が大きく許容範囲外である場合をBと評価した。

0117

〔実施例1〕
濃度10%のヨウ化水素水溶液を用意し、これをHI含有液とした。このHI含有液を、温度23℃、遮光条件下(HI含有液に照射される波長250〜550nmの光の照射強度が10mW/m2以下の環境下)に置き、HI含有液中にエアストーン(粒度#60)を入れ、窒素の流量がHI含有液1kg当たり0.5mL/minの条件でバブリング処理を行いながら30日間保管し、この保管した液を、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に添加するための添加用HI含有液とした。バブリング処理における気泡径は3mmであった。添加用HI含有液について、吸光度(470)の測定及び溶存酸素量の測定を行い、用意したHI含有液を用いて吸光度(470)の上昇速度の測定を行った。また、添加用HI含有液を、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に添加して、吸光度(470)の上昇を評価した。その結果を表1に示す。

0118

〔実施例2〕
実施例1のバブリング処理の窒素流量を、HI含有液1kg当たり1.5mL/minに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、添加用HI含有液を得た。添加用HI含有液について、吸光度(470)の測定及び溶存酸素量の測定を行い、用意したHI含有液を用いて吸光度(470)の上昇速度の測定を行った。また、添加用HI含有液を、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に添加して、吸光度(470)の上昇を評価した。その結果を表1に示す。

0119

〔比較例1〕
実施例1で用意したHI含有液を、温度23℃、遮光条件下(HI含有液に照射される波長250〜550nmの光の照射強度が10mW/m2以下の環境下)で、バブリング処理を行わずに30日間保管し、添加用HI含有液とした。添加用HI含有液について、吸光度(470)の測定及び溶存酸素量の測定を行い、用意したHI含有液を用いて吸光度(470)の上昇速度の測定を行った。また、添加用HI含有液を、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に添加して、吸光度(470)の上昇を評価した。その結果を表1に示す。

0120

〔比較例2〕
実施例1のエアストーンに代えてガス管チューブ(直径φ6mm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、添加用HI含有液を得た。バブリング処理における気泡径は15mmであった。添加用HI含有液について、吸光度(470)の測定及び溶存酸素量の測定を行い、用意したHI含有液を用いて吸光度(470)の上昇速度の測定を行った。また、添加用HI含有液を、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に添加して、吸光度(470)の上昇を評価した。その結果を表1に示す。

0121

実施例

0122

表1に示すように、吸光度(470)が2以下の添加用HI含有液を、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に添加した場合には、HI含有液添加後の架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液のI3−濃度の上昇が抑制されていることがわかる。このことから、吸光度(470)が2以下のHI含有液を架橋処理液の一部として用いて製造された偏光フィルムは、良好な光学性能を有すると考えられる。

0123

1a〜1lガイドロール、2a〜2fニップロール、10ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(PVA系樹脂フィルム)、11巻出ロール、13膨潤槽、15 染色槽、17架橋槽、19洗浄槽、21乾燥炉、25偏光フィルム、27巻取りロール、30 第1架橋処理液調製部、31 外部槽、32 HI含有液供給部、33活性炭処理部、35 第1供給部、36 第2供給部。

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