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技術 全固体型イオン選択性電極、および全固体型イオン選択性電極の製造方法

出願人 KOA株式会社学校法人東京理科大学
発明者 高山利治武居祐子駒場慎一堀場達雄土屋和彦
出願日 2018年9月20日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-176543
公開日 2020年3月26日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-046364
状態 未査定
技術分野 電気化学的な材料の調査、分析
主要キーワード 都度校正 クロノポテンショメトリー ネルンスト式 電気化学応答 内部液 ナイキストプロット イオン感応膜 塩化マグネシウム水溶液
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (18)

課題

電位の安定性検出値の長期安定性を向上させた全固体型イオン選択性電極を提供する。

解決手段

全固体型マグネシウムイオン選択性電極1は、導体2と、導体2の表面に形成されたインサーション材料10と、インサーション材料10を覆うマグネシウムイオン感応膜20とを備える。インサーション材料10は、構造式MgxFe[Fe(CN)6]y・nH2Oで表されるプルシアンブルー類似体を少なくとも含み、xは、0以上1以下の数であり、yは、0よりも大きく1以下の数であり、nは、0以上の数である。

概要

背景

イオン選択性電極は、溶液中のイオン濃度を測定するために用いられる。イオン選択性電極を参照電極と共に被測定物である溶液(被検液)に接触させることによって、イオン選択性電極と、参照電極との間に電位差を発生させ、発生した電位差に基づいて、溶液中の特定のイオン濃度を測定することができる。このようなイオン選択性電極は、環境・医療などの分野で用いられている。

一般的なイオン選択性電極は、イオン感応膜内部液内部参照電極から構成されているが、小型化のために、内部液と内部参照電極を使用しない全固体型のイオン選択性電極が提案されている。このような全固体型のイオン選択性電極として、例えば、電極基板をイオン感応膜で直接被覆したイオン選択性電極が提案されている。

概要

電位の安定性検出値の長期安定性を向上させた全固体型イオン選択性電極を提供する。全固体型マグネシウムイオン選択性電極1は、導体2と、導体2の表面に形成されたインサーション材料10と、インサーション材料10を覆うマグネシウムイオン感応膜20とを備える。インサーション材料10は、構造式MgxFe[Fe(CN)6]y・nH2Oで表されるプルシアンブルー類似体を少なくとも含み、xは、0以上1以下の数であり、yは、0よりも大きく1以下の数であり、nは、0以上の数である。

目的

本発明は、電位の安定性や検出値の長期安定性を向上させた全固体型イオン選択性電極を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

導体と、前記導体の表面に形成されたインサーション材料と、前記インサーション材料を覆うマグネシウムイオン感応膜とを備え、前記インサーション材料は、構造式MgxFe[Fe(CN)6]y・nH2Oで表されるプルシアンブルー類似体を少なくとも含み、xは、0以上1以下の数であり、yは、0よりも大きく1以下の数であり、nは、0以上の数である、全固体型マグネシウムイオン選択性電極

請求項2

導体と、前記導体の表面に形成されたインサーション材料と、前記インサーション材料を覆うカルシウムイオン感応膜とを備え、前記インサーション材料は、構造式CaxFe[Fe(CN)6]y・nH2Oで表されるプルシアンブルー類似体を少なくとも含み、xは、0以上1以下の数であり、yは、0よりも大きく1以下の数であり、nは、0以上の数である、全固体型カルシウムイオン選択性電極。

請求項3

全固体型マグネシウムイオン選択性電極の製造方法であって、構造式KzFe[Fe(CN)6]y・nH2Oで表されるプルシアンブルーを含むスラリーを製造し、yは、0よりも大きく1以下の数であり、zは、0以上2以下の数であり、nは、0以上の数であり、前記スラリーを導体上に供給し、前記スラリーを乾燥させることによって、前記導体の表面に合剤膜を形成し、前記合剤膜を第1の塩化マグネシウム水溶液に浸漬させ、前記プルシアンブルーのK+をMg2+で置換することによって、前記導体の表面にインサーション材料を形成し、前記インサーション材料の表面にマグネシウムイオン感応膜原液を供給し、前記マグネシウムイオン感応膜原液を乾燥させることによって、前記インサーション材料の表面に、イオン感応原膜を形成し、前記イオン感応原膜を、第2の塩化マグネシウム水溶液に浸漬させることによって、前記インサーション材料の表面にマグネシウムイオン感応膜を形成する、製造方法。

請求項4

前記インサーション材料は、構造式MgxFe[Fe(CN)6]y・nH2Oで表されるプルシアンブルー類似体を少なくとも含み、xは、0以上1以下の数であり、yは、0よりも大きく1以下の数であり、nは、0以上の数である、請求項3に記載の製造方法。

請求項5

前記スラリーを製造する工程は、前記プルシアンブルーと、アセチレンブラックと、ポリフッ化ビニリデンとを8:1:1で混合させる工程を含む、請求項3または4に記載の製造方法。

請求項6

全固体型カルシウムイオン選択性電極の製造方法であって、構造式KzFe[Fe(CN)6]y・nH2Oで表されるプルシアンブルーを含むスラリーを製造し、yは、0よりも大きく1以下の数であり、zは、0以上2以下の数であり、nは、0以上の数であり、前記スラリーを導体上に供給し、前記スラリーを乾燥させることによって、前記導体の表面に合剤膜を形成し、前記合剤膜を第1の塩化カルシウム水溶液に浸漬させ、前記プルシアンブルーのK+をCa2+に置換することによって、前記導体の表面にインサーション材料を形成し、前記インサーション材料の表面にカルシウムイオン感応膜原液を供給し、前記カルシウムイオン感応膜原液を乾燥させることによって、前記インサーション材料の表面にイオン感応原膜を形成し、前記イオン感応原膜を、第2の塩化カルシウム水溶液に浸漬させることによって、前記インサーション材料の表面にカルシウムイオン感応膜を形成する、製造方法。

請求項7

前記インサーション材料は、構造式CaxFe[Fe(CN)6]y・nH2Oで表されるプルシアンブルー類似体を少なくとも含み、xは、0以上1以下の数であり、yは、0よりも大きく1以下の数であり、nは、0以上の数である、請求項6に記載の製造方法。

請求項8

前記スラリーを製造する工程は、前記プルシアンブルーと、アセチレンブラックと、ポリフッ化ビニリデンとを8:1:1で混合させる工程を含む、請求項6または7に記載の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、インサーション材料を備えた全固体型イオン選択性電極、およびそのような全固体型イオン選択性電極の製造方法に関する。

背景技術

0002

イオン選択性電極は、溶液中のイオン濃度を測定するために用いられる。イオン選択性電極を参照電極と共に被測定物である溶液(被検液)に接触させることによって、イオン選択性電極と、参照電極との間に電位差を発生させ、発生した電位差に基づいて、溶液中の特定のイオン濃度を測定することができる。このようなイオン選択性電極は、環境・医療などの分野で用いられている。

0003

一般的なイオン選択性電極は、イオン感応膜内部液内部参照電極から構成されているが、小型化のために、内部液と内部参照電極を使用しない全固体型のイオン選択性電極が提案されている。このような全固体型のイオン選択性電極として、例えば、電極基板をイオン感応膜で直接被覆したイオン選択性電極が提案されている。

先行技術

0004

特公平8−23544号公報
特公平7−50059号公報
国際公開第2017/047374号
実用新案登録第2546786号公報

発明が解決しようとする課題

0005

電極基板にイオン感応膜を直接被膜したイオン選択性電極(以下、従来の電極と呼ぶ)は、一般に電位安定性が低いという問題があった。電位安定性が低い場合、ポテンショスタットから流れてくる暗電流や、測定系周辺振動などが原因で、検出値が変動してしまう。さらに、従来の電極は、検出値の長期安定性が低いという問題もあった。すなわち、同じ濃度の被検液に浸漬していたとしても、数日後には検出値が大きく変動してしまう。したがって、このようなイオン選択性電極を使用する際には、その都度校正が必要であった。

0006

そこで、本発明は、電位の安定性や検出値の長期安定性を向上させた全固体型イオン選択性電極を提供する。さらに、本発明は、そのような全固体型イオン選択性電極の製造方法を提供する。

課題を解決するための手段

0007

一態様では、導体と、前記導体の表面に形成されたインサーション材料と、前記インサーション材料を覆うマグネシウムイオン感応膜とを備え、前記インサーション材料は、構造式MgxFe[Fe(CN)6]y・nH2Oで表されるプルシアンブルー類似体を少なくとも含み、xは、0以上1以下の数であり、yは、0よりも大きく1以下の数であり、nは、0以上の数である、全固体型マグネシウムイオン選択性電極が提供される。

0008

一態様では、導体と、前記導体の表面に形成されたインサーション材料と、前記インサーション材料を覆うカルシウムイオン感応膜とを備え、前記インサーション材料は、構造式CaxFe[Fe(CN)6]y・nH2Oで表されるプルシアンブルー類似体を少なくとも含み、xは、0以上1以下の数であり、yは、0よりも大きく1以下の数であり、nは、0以上の数である、全固体型カルシウムイオン選択性電極が提供される。

0009

一態様では、全固体型マグネシウムイオン選択性電極の製造方法であって、構造式KzFe[Fe(CN)6]y・nH2Oで表されるプルシアンブルーを含むスラリーを製造し、yは、0よりも大きく1以下の数であり、zは、0以上2以下の数であり、nは、0以上の数であり、前記スラリーを導体上に供給し、前記スラリーを乾燥させることによって、前記導体の表面に合剤膜を形成し、前記合剤膜を第1の塩化マグネシウム水溶液に浸漬させ、前記プルシアンブルーのK+をMg2+で置換することによって、前記導体の表面にインサーション材料を形成し、前記インサーション材料の表面にマグネシウムイオン感応膜原液を供給し、前記マグネシウムイオン感応膜原液を乾燥させることによって、前記インサーション材料の表面に、イオン感応原膜を形成し、前記イオン感応原膜を、第2の塩化マグネシウム水溶液に浸漬させることによって、前記インサーション材料の表面にマグネシウムイオン感応膜を形成する、製造方法が提供される。

0010

一態様では、前記インサーション材料は、構造式MgxFe[Fe(CN)6]y・nH2Oで表されるプルシアンブルー類似体を少なくとも含み、xは、0以上1以下の数であり、yは、0よりも大きく1以下の数であり、nは、0以上の数である。
一態様では、前記スラリーを製造する工程は、前記プルシアンブルーと、アセチレンブラックと、ポリフッ化ビニリデンとを8:1:1で混合させる工程を含む。

0011

一態様では、全固体型カルシウムイオン選択性電極の製造方法であって、構造式KzFe[Fe(CN)6]y・nH2Oで表されるプルシアンブルーを含むスラリーを製造し、yは、0よりも大きく1以下の数であり、zは、0以上2以下の数であり、nは、0以上の数であり、前記スラリーを導体上に供給し、前記スラリーを乾燥させることによって、前記導体の表面に合剤膜を形成し、前記合剤膜を第1の塩化カルシウム水溶液に浸漬させ、前記プルシアンブルーのK+をCa2+に置換することによって、前記導体の表面にインサーション材料を形成し、前記インサーション材料の表面にカルシウムイオン感応膜原液を供給し、前記カルシウムイオン感応膜原液を乾燥させることによって、前記インサーション材料の表面にイオン感応原膜を形成し、前記イオン感応原膜を、第2の塩化カルシウム水溶液に浸漬させることによって、前記インサーション材料の表面にカルシウムイオン感応膜を形成する、製造方法が提供される。

0012

一態様では、前記インサーション材料は、構造式CaxFe[Fe(CN)6]y・nH2Oで表されるプルシアンブルー類似体を少なくとも含み、xは、0以上1以下の数であり、yは、0よりも大きく1以下の数であり、nは、0以上の数である。

0013

一態様では、前記スラリーを製造する工程は、前記プルシアンブルーと、アセチレンブラックと、ポリフッ化ビニリデンとを8:1:1で混合させる工程を含む。

発明の効果

0014

全固体型イオン選択性電極は、導体と、イオン感応膜との間にインサーション材料を備えているため、導体と、イオン感応膜との間の電子の授受は、インサーション材料を介して行われる。インサーション材料により、導体と、イオン感応膜との間の電子の授受性能を向上させることができ、電極の抵抗値下げることができる。また、インサーション材料は内部参照電極として機能し、検出値の長期安定性を向上させることができる。結果として、全固体型イオン選択性電極は、電位の安定性や検出値の長期安定性を向上させることができる。

図面の簡単な説明

0015

全固体型イオン選択性電極の一実施形態を示す平面図である。
図1のA−A線断面図である。
全固体型マグネシウムイオン選択性電極の製造方法の一実施形態を説明するフローチャートである。
全固体型カルシウムイオン選択性電極の製造方法の一実施形態を説明するフローチャートである。
スラリーの製造方法の一実施形態を説明するフローチャートである。
溶液中のイオン濃度測定方法の一実施形態を示す模式図である。
全固体型イオン選択性電極の他の適用例を示す模式図である。
図7に示す全固体型イオン選択性電極を用いたイオン濃度測定方法の一実施形態を示す模式図である。
異なる濃度のMgCl2水溶液中での全固体型マグネシウムイオン選択性電極の電位を測定して得られた検量線を示す図である。
クロノポテンショメトリーによる、電極基板にイオン感応膜を直接被膜したイオン選択性電極(従来の電極)と、全固体型マグネシウムイオン選択性電極の電位安定性の評価結果を示すグラフである。
図10における全固体型マグネシウムイオン選択性電極の評価結果の拡大図である。
クロノポテンショメトリーによる、従来の電極と、全固体型カルシウムイオン選択性電極の電位安定性の評価結果を示すグラフである。
図12における全固体型カルシウムイオン選択性電極の評価結果の拡大図である。
交流インピーダンス測定による、従来の電極と、全固体型マグネシウムイオン選択性電極の抵抗値の評価結果を示すグラフである。
図14における全固体型マグネシウムイオン選択性電極の評価結果の拡大図である。
従来の電極と、全固体型マグネシウムイオン選択性電極の電位変化の評価結果を示すグラフである。
従来の電極と、全固体型カルシウムイオン選択性電極の電位変化の評価結果を示すグラフである。

実施例

0016

以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、全固体型イオン選択性電極1の一実施形態を示す平面図であり、図2は、図1のA−A線断面図である。以下、本明細書において、全固体型イオン選択性電極1を単に電極1と呼ぶことがある。

0017

図1および図2に示すように、電極1は、絶縁体である基板5に固定された導体2と、導体2の表面に形成されたインサーション材料10と、インサーション材料10の表面に形成されたイオン感応膜20とを備えている。導体2は、導線7に接続されている。インサーション材料10は、イオン感応膜20で覆われている。一例として、導体2は白金(Pt)から構成されている。

0018

本実施形態のイオン感応膜20は、マグネシウムイオン(Mg2+)を通過させるマグネシウムイオン感応膜である。インサーション材料10は、プルシアンブルー類似体を含んでいる。本実施形態のプルシアンブルー類似体の構造式は、
MgxFe[Fe(CN)6]y・nH2O (1)
で表され、xは、0以上1以下の数であり、yは、0よりも大きく1以下の数であり、nは、0以上の数である。以下、本明細書では、マグネシウムイオン感応膜と、上記構造式(1)で表されるプルシアンブルー類似体を備えた電極1を、全固体型マグネシウムイオン選択性電極1と定義する。

0019

一実施形態では、イオン感応膜20は、カルシウムイオン(Ca2+)を通過させるカルシウムイオン感応膜でもよい。この場合、インサーション材料10のプルシアンブルー類似体の構造式は、
CaxFe[Fe(CN)6]y・nH2O (2)
で表され、xは、0以上1以下の数であり、yは、0よりも大きく1以下の数であり、nは、0以上の数である。以下、本明細書では、カルシウムイオン感応膜と、上記構造式(2)で表されるプルシアンブルー類似体を備えた電極1を、全固体型カルシウムイオン選択性電極1と定義する。

0020

以下、全固体型マグネシウムイオン選択性電極1の製造方法の一実施形態について、図3に示すフローチャートに沿って説明する。ステップ1−1では、基板5に形成された導体2上に、プルシアンブルーを含むスラリー(詳細は後述する)を供給する。具体的には、1μLのスラリーを導体2上に滴下する。本実施形態のスラリーのプルシアンブルーの構造式は、
KzFe[Fe(CN)6]y・nH2O (3)
で表される。zは、0以上2以下の数であり、yは、0よりも大きく1以下の数であり、nは、0以上の数である。

0021

ステップ1−2では、スラリーを室温環境で乾燥させ、導体2の表面に合剤膜を形成する。導体2は、合剤膜で覆われる。
ステップ1−3では、導体2を覆う合剤膜を、塩化マグネシウム水溶液に浸漬させ、合剤膜に含まれるプルシアンブルーのK+をMg2+で置換する。具体的には、合剤膜を、1mol/Lの塩化マグネシウム水溶液に24時間浸漬させる。
ステップ1−4では、導体2および合剤膜を、塩化マグネシウム水溶液から取り出し、合剤膜をイオン交換水洗浄する。

0022

ステップ1−5では、プルシアンブルーのK+がMg2+に置換された合剤膜を乾燥させる。具体的には、上記合剤膜を、室温環境で12時間乾燥させる。上記ステップ1−3〜1−5により、合剤膜からなるインサーション材料10が導体2の表面に形成される。導体2は、インサーション材料10で覆われる。上記ステップ1−3〜1−5により形成されたインサーション材料10は、上述した構造式(1)で表されるプルシアンブルー類似体を含んでいる。

0023

ステップ1−6では、インサーション材料10の表面にマグネシウムイオン感応膜原液(詳細は後述する)を供給する。具体的には、50μLのマグネシウムイオン感応膜原液をインサーション材料10の表面に滴下する。ステップ1−7では、マグネシウムイオン感応膜原液を室温環境で乾燥させ、インサーション材料10の表面にイオン感応原膜を形成する。インサーション材料10は、イオン感応原膜で覆われる。

0024

ステップ1−8では、インサーション材料10を覆うイオン感応原膜を、塩化マグネシウム水溶液に浸漬させる。具体的には、上記イオン感応原膜を、0.01mol/Lの塩化マグネシウム水溶液に24時間浸漬させる。上記ステップ1−8により、インサーション材料10の表面にマグネシウムイオン感応膜20が形成される。インサーション材料10は、マグネシウムイオン感応膜20で覆われる。ステップ1−8で形成されるマグネシウムイオン感応膜20は、マグネシウムイオン(Mg2+)を通過させるイオン感応膜である。上記ステップ1−1〜1−8により、全固体型マグネシウムイオン選択性電極1が製造される。

0025

次に、全固体型カルシウムイオン選択性電極1の製造方法の一実施形態について、図4に示すフローチャートに沿って説明する。特に説明しない本実施形態のフローチャートの説明は、図3に示すフローチャートの説明と同じである。

0026

ステップ2−1,2−2では、図3を参照して説明したステップ1−1,1−2と同様の方法で、導体2の表面に合剤膜を形成する。
ステップ2−3では、導体2を覆う合剤膜を、塩化カルシウム水溶液に浸漬させ、合剤膜に含まれるプルシアンブルーのK+をCa2+で置換する。具体的には、合剤膜を、1mol/Lの塩化カルシウム水溶液に24時間浸漬させる。
ステップ2−4では、導体2および合剤膜を、塩化カルシウム水溶液から取り出し、合剤膜をイオン交換水で洗浄する。

0027

ステップ2−5では、プルシアンブルーのK+がCa2+に交換された合剤膜を乾燥させる。具体的には、上記合剤膜を、室温環境で12時間乾燥させる。上記ステップ2−3〜2−5により、合剤膜からなるインサーション材料10が導体2の表面に形成される。導体2は、インサーション材料10で覆われる。上記ステップ2−3〜2−5により形成されるインサーション材料10は、上述した構造式(2)で表されるプルシアンブルー類似体を含んでいる。

0028

ステップ2−6では、インサーション材料10の表面にカルシウムイオン感応膜原液(詳細は後述する)を供給する。具体的には、50μLのカルシウムイオン感応膜原液をインサーション材料10の表面に滴下する。ステップ2−7では、カルシウムイオン感応膜原液を室温環境で乾燥させ、インサーション材料10の表面にイオン感応原膜を形成する。インサーション材料10は、イオン感応原膜で覆われる。

0029

ステップ2−8では、インサーション材料10を覆うイオン感応原膜を、塩化カルシウム水溶液に浸漬させる。具体的には、上記イオン感応原膜を、0.01mol/Lの塩化カルシウム水溶液に24時間浸漬させる。上記ステップ2−8により、インサーション材料10の表面にカルシウムイオン感応膜20が形成される。インサーション材料10は、カルシウムイオン感応膜20に覆われる。ステップ2−8で形成されるカルシウムイオン感応膜20は、カルシウムイオン(Ca2+)を通過させるイオン感応膜である。上記、ステップ2−1〜2−8により、全固体型カルシウムイオン選択性電極1が製造される。

0030

次に、上記全固体型マグネシウムイオン選択性電極および上記全固体型カルシウムイオン選択性電極の製造に使用される上記スラリーの製造方法の一実施形態について、図5に示すフローチャートに沿って説明する。ステップ3−1では、上述した構造式(3)で表されるプルシアンブルーを用意する。ステップ3−2では、アセチレンブラックを、プルシアンブルーに混合させる。プルシアンブルーは正極活物質、アセチレンブラックは導電剤として機能する。

0031

ステップ3−3では、プルシアンブルーとアセチレンブラックとの混合物に、ポリフッ化ビニリデンを混合させる。ポリフッ化ビニリデンはバインダーとして機能する。ステップ3−3におけるプルシアンブルーと、アセチレンブラックと、ポリフッ化ビニリデンとの混合比は、8:1:1である。
ステップ3−4では、プルシアンブルーと、アセチレンブラックと、ポリフッ化ビニリデンの混合物に、N−メチルピロリドンを混合させる。上記ステップ3−1〜3−4により、スラリーが製造される。N−メチルピロリドンは、分散媒として機能する。

0032

マグネシウムイオン感応膜原液およびカルシウムイオン感応膜原液は、イオノフォアアニオン排除剤可塑剤、膜マトリクス、および分散媒の混合体である。より具体的には、マグネシウムイオン感応膜原液は、イオノフォアであるN,N″-オクタメチレン-ビス(N′−ヘプチル−N′−メチルマロンアミド)と、アニオン排除剤であるテトラキス(4−クロロフェニルホウ酸カリウムと、可塑剤であるo−ニトロフェニルオクチエーテルと、膜マトリクスであるポリ塩化ビニルと、分散媒であるテトラヒドロフランとを2時間混合させることによって製造される。o−ニトロフェニルオクチルエーテルと、N,N″-オクタメチレン-ビス(N′−ヘプチル−N′−メチルマロンアミド)と、テトラキス(4−クロロフェニル)ホウ酸カリウムと、ポリ塩化ビニルとの混合比(重量比)は、65.0:1.36:0.64:33.0である。

0033

カルシウムイオン感応膜原液は、イオノフォアであるN,N−ジシクロヘキシル−N′,N′−ジオタデシル−3−オキサペンタンジアミド,N,N−ジシクロヘキシル−N′,N′−ジオクタデシル−ジグリコールジアミドと、アニオン排除剤であるテトラキス(4−クロロフェニル)ホウ酸カリウムと、可塑剤であるo−ニトロフェニルオクチルエーテルと、膜マトリクスであるポリ塩化ビニルと、分散媒であるテトラヒドロフランとを2時間混合させることによって製造される。o−ニトロフェニルオクチルエーテルと、N,N−ジシクロヘキシル−N′,N′−ジオクタデシル−3−オキサペンタンジアミド,N,N−ジシクロヘキシル−N′,N′−ジオクタデシル−ジグリコールジアミドと、テトラキス(4−クロロフェニル)ホウ酸カリウムと、ポリ塩化ビニルとの混合比(重量比)は、65.82:1.00:0.28:32.90である。

0034

図6は、溶液中のイオン濃度測定方法の一実施形態を示す模式図である。電極1と参照電極33は電圧計35に接続されている。この状態で、電極1および参照電極33を被検液30に接触させる。電極1と、参照電極33との間には、被検液30中の測定対象のイオン濃度に応じた電位差が発生する。この電位差は電圧計35で測定され、図示しないイオン濃度変換部により電位差はイオン濃度に換算される。

0035

図6に示す例では、電極1は、全固体型マグネシウムイオン選択性電極であり、被検液30は、MgCl2水溶液である。電極1のイオン感応膜20では、被検液30とインサーション材料10のMg2+の活量差に応じて膜電位が生じる。これにより、電極1と、参照電極33との間に、被検液30中のマグネシウムイオン濃度に応じた電位差が発生する。

0036

電極1を全固体型カルシウムイオン選択性電極1とした場合は、例えば、被検液30としてCaCl2水溶液が用いられる。電極1のイオン感応膜20では、被検液30とインサーション材料10のCa2+の活量差に応じて膜電位が生じる。これにより、電極1と、参照電極33との間に、被検液30中のカルシウムイオン濃度に応じた電位差が発生する。

0037

図7は、全固体型イオン選択性電極1の他の適用例を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図1および図2を参照して説明した構成と同じであるのでその重複する説明を省略する。参照電極33は、基板5上に形成されている。導線7および導線37は、基板5に固定されており、電極1の導体2および参照電極33にそれぞれ接続されている。導線7および導線37の一部は、絶縁体の保護膜39で覆われている。保護膜39の一例としてエポキシコートが挙げられる。

0038

図8は、図7に示す全固体型イオン選択性電極1を用いたイオン濃度測定方法の一実施形態を示す模式図である。電極1と参照電極33は電圧計35に接続されている。この状態で、電極1および参照電極33を被検液30に接触させる。電極1と、参照電極33との間には、被検液30中の測定対象のイオン濃度に応じた電位差が発生する。この電位差は電圧計35で測定され、図示しないイオン濃度変換部により電位差はイオン濃度に換算される。

0039

図9は、異なる濃度のMgCl2水溶液中での全固体型マグネシウムイオン選択性電極1の電位を測定して得られた検量線を示す図である。図9に示すように、全固体型マグネシウムイオン選択性電極1は、10−5〜10−1mol/LのMg2+濃度範囲において、良好な直線性を示し、公知のネルンスト式より得られる理論値の29.6mV/decadeに近い勾配が得られた。これにより、全固体型マグネシウムイオン選択性電極1は、Mg2+に対して良好な電気化学応答を示すことが確認できた。

0040

図10は、クロノポテンショメトリーによる、電極基板にイオン感応膜を直接被膜したイオン選択性電極(従来の電極)と、全固体型マグネシウムイオン選択性電極1の電位安定性の評価結果を示すグラフであり、図11は、図10における全固体型マグネシウムイオン選択性電極1の評価結果の拡大図である。図10および図11に示す評価試験では、従来の電極、および全固体型マグネシウムイオン選択性電極1を0.01mol/LのMgCl2水溶液に浸漬させた状態で、それぞれの電極に1nAの電流を300秒流した後、−1nAの電流を300秒流した。図10および図11に示すように、従来の電極は、±100mV以上の分極を示すのに対し、全固体型マグネシウムイオン選択性電極1の分極は、±5mV以下に抑えられていることが確認できた。

0041

図12は、クロノポテンショメトリーによる、従来の電極と、全固体型カルシウムイオン選択性電極1の電位安定性の評価結果を示すグラフであり、図13は、図12における全固体型カルシウムイオン選択性電極1の評価結果の拡大図である。図12および図13に示す評価試験では、従来の電極、および全固体型カルシウムイオン選択性電極1を0.01mol/LのCaCl2水溶液に浸漬させた状態で、それぞれの電極に1nAの電流を300秒流した後、−1nAの電流を300秒流した。図12および図13に示すように、全固体型カルシウムイオン選択性電極1の分極は、±8mV以下に抑えられていることが確認できた。

0042

図14は、交流インピーダンス測定による、従来の電極と、全固体型マグネシウムイオン選択性電極1の抵抗値の評価結果を示すグラフであり、図15は、図14における全固体型マグネシウムイオン選択性電極1の評価結果の拡大図である。図14および図15のグラフは、従来の電極、および全固体型マグネシウムイオン選択性電極1を0.01mol/LのMgCl2水溶液に浸漬させたときのそれぞれの電極のナイキストプロットである。図14および図15に示すように、全固体型マグネシウムイオン選択性電極1では、従来の電極と比較して、半円の直径が大幅に小さくなり、抵抗値の大幅な低減が確認できた。

0043

従来の電極の場合、導体とイオン感応膜の界面では電荷移動が起こりにくいブロッキング界面が形成されて抵抗値が非常に大きくなり、電位安定性が低くなったと考えられる。一方、全固体型マグネシウムイオン選択性電極1では、導体2とインサーション材料10との界面において、Feイオン酸化還元に基づく電子の授受が可能で、さらにインサーション材料10とイオン感応膜20との界面ではMgイオン交換に基づく電荷移動が可能となるため、界面抵抗が大幅に低減されて電位安定性が大きく向上した。

0044

図16は、従来の電極と、全固体型マグネシウムイオン選択性電極1の電位変化の評価結果を示すグラフである。図16に示す評価試験では、それぞれの電極の長期安定性を評価するために、それぞれの電極を0.01mol/LのMgCl2水溶液に浸漬させた。図16に示すように、従来の電極では、10日間で±50mV程度の電位変化が生じているのに対して、全固体型マグネシウムイオン選択性電極1の電位変化は、10日間で+10mV以下に抑えられており、長期安定性の向上が確認できた。

0045

図17は、従来の電極と、本発明の全固体型カルシウムイオン選択性電極の電位変化の評価結果を示すグラフである。図17に示す評価試験では、それぞれの電極の長期安定性を評価するために、それぞれの電極を0.01mol/LのCaCl2水溶液に浸漬させた。図17に示すように、従来の電極では、6日間で−50mV程度の電位変化が生じているのに対して、全固体型マグネシウムイオン選択性電極1の電位変化は、6日間で+10mV以下に抑えられており、長期安定性の向上が確認できた。

0046

上述した各実施形態における全固体型イオン選択性電極1は、導体2とイオン感応膜20との間に、インサーション材料10を備えているため、導体2と、イオン感応膜20との間の電子の授受は、インサーション材料10を介して行われる。インサーション材料10は、導体2と、イオン感応膜20との間の電子の授受性能を向上させることができ、電極1の抵抗値を下げることができる。結果として、電極1は、電位の安定性を向上させることができる。すなわち、電極1の検出値は、ポテンショスタットから流れてくる暗電流や、測定系周辺の振動などの影響を受けにくい。

0047

さらに、上述した各実施形態における全固体型イオン選択性電極1は、検出値の長期安定性を向上させることができる。すなわち、同じ濃度の被検液に浸漬していたとしても、数日間は検出値の変動が少ない。

0048

これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。

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