図面 (/)

技術 試料収容ディスクおよびそれを用いた蛍光検出装置

出願人 パナソニック株式会社
発明者 永冨謙司間宮靖裕石橋正教
出願日 2017年1月19日 (3年9ヶ月経過) 出願番号 2017-007175
公開日 2020年3月26日 (6ヶ月経過) 公開番号 2020-046178
状態 未査定
技術分野 自動分析、そのための試料等の取扱い 光学的測定セル 蛍光または発光による材料の調査,分析
主要キーワード 同期調整用 アウター領域 同期補正処理 初期設定位置 インナー領域 同期調整 同期補正 最外周位置
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年3月26日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (16)

課題

回転ムラが生じた場合においても、蛍光画像を良好に生成することが可能な試料収容ディスクおよびそれを用いた蛍光検出装置を提供する。

解決手段

試料収容ディスク100は、第2基板102と、ディスク中心周り旋回するように第2基板102の上面に形成されたトラック102cと、トラック102cの上側にディスク周方向に並ぶように配置され試料を収容する複数の試料収容部101bと、を備える。試料収容部101bを跨ぐトラック部分には、トラック102cの走査方向における試料収容部101bの上手側と下手側に、それぞれ、同期調整用の信号がディスク径方向に揃うように記録されている。

概要

背景

多数の細胞から、病原菌に感染した細胞や所定の態様を有する細胞を検出することは、特に、臨床現場等の医療の分野において重要である。このような細胞の検出を迅速かつ簡便に行うための手法として、たとえば、特許文献1に記載の手法が紹介されている。

この手法では、抗原−抗体反応を用いたサンドイッチ法による原理を用いて、蛍光標識された検出対象抗原ディスク上のトラックに固定される。その後、励起光となるレーザ光でトラックを走査することにより、検出対象の抗原から蛍光を生じさせ、検出対象の抗原が検出され計数される。

また、特許文献1には、試料が流入される流路に接続していないトラック部分に予めアドレス信号を記録しておくことで、ディスクから、半径方向とトラック方向のアドレス情報を得ることができ、これにより、アドレス情報に基づき、蛍光が検出された位置を特定できることが記載されている。

概要

回転ムラが生じた場合においても、蛍光画像を良好に生成することが可能な試料収容ディスクおよびそれを用いた蛍光検出装置を提供する。試料収容ディスク100は、第2基板102と、ディスク中心周り旋回するように第2基板102の上面に形成されたトラック102cと、トラック102cの上側にディスク周方向に並ぶように配置され試料を収容する複数の試料収容部101bと、を備える。試料収容部101bを跨ぐトラック部分には、トラック102cの走査方向における試料収容部101bの上手側と下手側に、それぞれ、同期調整用の信号がディスク径方向に揃うように記録されている。

目的

本発明は、回転ムラが生じた場合においても、蛍光画像を良好に生成することが可能な試料収容ディスクおよびそれを用いた蛍光検出装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

試料を収容する試料収容ディスクであって、基板と、ディスク中心周り旋回するように前記基板の上面に形成されたトラックと、前記トラックの上側に配置され試料を収容する試料収容部と、を備え、前記試料収容部を跨ぐ各トラック部分には、前記トラックの走査方向における前記試料収容部の上手側と下手側に、それぞれ、同期調整用の信号がディスク径方向に揃うように記録されている、ことを特徴とする試料収容ディスク。

請求項2

請求項1に記載の試料収容ディスクにおいて、前記試料収容部は、ディスク周方向の2つの境界がそれぞれディスク中心から放射状に延びている、試料収容ディスク。

請求項3

請求項1または2に記載の試料収容ディスクにおいて、前記トラックが形成された前記試料収容ディスクの領域は、ディスク周方向に複数のエリア区分され、前記各エリアは、ディスク周方向に並ぶ2つの境界がそれぞれディスク中心から放射状に延びており、前記複数のエリアにそれぞれ前記試料収容部が配置され、前記各エリアに含まれる前記トラックの部分が、前記試料収容部を跨ぐ前記トラック部分を構成する、試料収容ディスク。

請求項4

請求項3に記載の試料収容ディスクにおいて、前記複数のエリアは、ディスク周方向における角度範囲が互いに等しく設定されている、試料収容ディスク。

請求項5

請求項1ないし4の何れか一項に記載の試料収容ディスクにおいて、前記トラックは、ディスク径方向に複数のゾーンに区分され、各ゾーンの前記トラック部分には、角速度一定で信号が記録されている、試料収容ディスク。

請求項6

請求項5に記載の試料収容ディスクにおいて、前記各ゾーンの角速度は、各ゾーンのディスク径方向の中央位置にある前記トラックの線速度が互いに同じとなるように設定されている、試料収容ディスク。

請求項7

試料を収容する試料収容ディスクに対し光を照射するとともに、当該光の照射により生じる蛍光を検出する蛍光検出装置であって、前記試料収容ディスクは、基板と、ディスク中心の周りを旋回するように前記基板の上面に形成されたトラックと、前記トラックの上側に配置され試料を収容する試料収容部と、を備え、前記試料収容部を跨ぐ各トラック部分には、前記トラックの走査方向における前記試料収容部の上手側と下手側に、それぞれ、同期調整用の信号がディスク径方向に揃うように記録され、前記光で前記トラックを走査する走査部と、前記試料収容ディスクから反射された前記光を受光する光検出部と、前記光検出部からの信号に基づいて前記トラック部分に記録された信号を取得する信号取得部と、前記光で前記トラックを走査することにより前記試料収容部に収容された前記試料から生じた前記蛍光を受光して受光量に応じた蛍光信号を出力する蛍光検出部と、前記蛍光検出部から出力された前記蛍光信号を所定の間隔でサンプリングして切出す切出し部と、前記切出し部によって切出された前記各トラック部分に対応する信号群を、これらトラック部分が前記ディスクの径方向に並ぶ順番で配置して、前記試料収容部全体の蛍光画像を生成する画像処理部と、を備え、前記画像処理部は、前記上手側の前記同期調整用の信号が前記信号検出部により検出されてから前記下手側の前記同期調整用の信号が前記信号検出部により検出されるまでの時間を測定し、測定した時間に基づいて、前記切出し部によって切出された前記各トラック部分に対応する前記信号群の同期ずれ補正して、前記蛍光画像を生成する、ことを特徴とする蛍光検出装置。

請求項8

請求項7に記載の蛍光検出装置において、前記切出し部は、前記信号取得部によって前記上手側の前記同期調整用の信号が取得されたことに基づいて前記蛍光信号のサンプリングを開始し、前記信号取得部によって前記下手側の前記同期調整用の信号が取得されたことに基づいて前記蛍光信号のサンプリングを終了する、蛍光検出装置。

請求項9

請求項7または8に記載の蛍光検出装置において、前記画像処理部は、前記トラック部分に対応する前記蛍光画像上のラインを複数の領域に分割し、各分割領域割り当てる前記信号群の抽出範囲を、測定した前記時間に基づいて設定する、蛍光検出装置。

請求項10

請求項9に記載の蛍光検出装置において、前記画像処理部は、前記試料収容部を横切る前記トラック部分のうち、基準となる第1のトラック部分に対して測定した時間と、その他の第2のトラック部分に対して測定した時間とに基づいて、前記第2のトラック部分の前記分割領域にそれぞれ割り当てる前記抽出範囲を、前記第2のトラック部分の前記信号群に対して設定する、蛍光検出装置。

技術分野

0001

本発明は、細胞等の被検体蛍光染色することにより調製された試料を収容する試料収容ディスクおよびそれを用いた蛍光検出装置に関する。

背景技術

0002

多数の細胞から、病原菌に感染した細胞や所定の態様を有する細胞を検出することは、特に、臨床現場等の医療の分野において重要である。このような細胞の検出を迅速かつ簡便に行うための手法として、たとえば、特許文献1に記載の手法が紹介されている。

0003

この手法では、抗原−抗体反応を用いたサンドイッチ法による原理を用いて、蛍光標識された検出対象抗原がディスク上のトラックに固定される。その後、励起光となるレーザ光でトラックを走査することにより、検出対象の抗原から蛍光を生じさせ、検出対象の抗原が検出され計数される。

0004

また、特許文献1には、試料が流入される流路に接続していないトラック部分に予めアドレス信号を記録しておくことで、ディスクから、半径方向とトラック方向のアドレス情報を得ることができ、これにより、アドレス情報に基づき、蛍光が検出された位置を特定できることが記載されている。

先行技術

0005

特開2013−64722号公報

発明が解決しようとする課題

0006

病原菌に感染した細胞や所定の態様を有する細胞を検出する場合の有効な手法として、検出対象の細胞を蛍光色素で染色して流路に収容し、流路全体の蛍光画像を取得する方法を用いることができる。この場合、取得した蛍光画像を解析処理することにより、検出対象細胞の有無および数を取得でき、これに基づき病原菌の感染率等を取得することができる。また、取得した蛍光画像を適宜表示して蛍光の発生状況目視により確認することもできる。

0007

レーザ光を案内するためのトラックが形成された試料収容ディスクから蛍光画像を生成する場合、レーザ光が流路を走査する間に取得された蛍光信号を、流路を横切り且つ径方向に並ぶトラックについて統合することにより、流路全体の蛍光画像を生成することができる。しかし、この方法では、ディスクに回転ムラが生じた場合に、各トラック部分から取得された蛍光信号に同期ずれが生じ、これにより、蛍光画像の品質が低下するとの問題がある。上記特許文献1では、そもそも蛍光画像を生成するものではないため、このような問題は全く想定されていない。

0008

このような課題に鑑み、本発明は、回転ムラが生じた場合においても、蛍光画像を良好に生成することが可能な試料収容ディスクおよびそれを用いた蛍光検出装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明の第1の態様は、試料収容ディスクに関する。本態様に係る試料収容ディスクは、基板と、ディスク中心周り旋回するように前記基板の上面に形成されたトラックと、前記トラックの上側に配置され試料を収容する試料収容部と、を備える。ここで、前記試料収容部を跨ぐ各トラック部分には、前記トラックの走査方向における前記試料収容部の上手側と下手側に、それぞれ、同期調整用の信号がディスク径方向に揃うように記録されている。

0010

本態様に係る試料収容ディスクによれば、試料収容ディスクに回転ムラが生じた場合に、上手側の同期調整用の信号が検出されてから下手側の同期調整用の信号が検出されるまでの時間によって、各トラック部分から取得された蛍光信号の同期ずれを検出できる。すなわち、試料収容ディスクの回転速度が遅くなるほど、上手側の同期調整用の信号が検出されてから下手側の同期調整用の信号が検出されるまでの時間が長くなる。この時間をトラック部分の間で比較することにより、各トラック部分から取得された蛍光信号の間にどの程度の同期ずれが生じているかを検出でき、検出結果に応じて、蛍光信号間の同期ずれを補正できる。よって、より高品質の蛍光画像を取得することができる。

0011

本発明の第2の態様は、試料を収容する試料収容ディスクに対し光を照射するとともに、当該光の照射により生じる蛍光を検出する蛍光検出装置に関する。この態様において、前記試料収容ディスクは、基板と、ディスク中心の周りを旋回するように前記基板の上面に形成されたトラックと、前記トラックの上側に配置され試料を収容する試料収容部と、を備える。ここで、前記試料収容部を跨ぐ各トラック部分には、前記トラックの走査方向における前記試料収容部の上手側と下手側に、それぞれ、同期調整用の信号がディスク径方向に揃うように記録されている。本態様に係る蛍光検出装置は、前記光で前記トラックを走査する走査部と、前記試料収容ディスクから反射された前記光を受光する光検出部と、前記光検出部からの信号に基づいて前記トラック部分に記録された信号を取得する信号取得部と、前記光で前記トラックを走査することにより前記試料収容部に収容された前記試料から生じた前記蛍光を受光して受光量に応じた蛍光信号を出力する蛍光検出部と、前記蛍光検出部から出力された前記蛍光信号を所定の間隔でサンプリングして切出す切出し部と、前記切出し部によって切出された前記各トラック部分に対応する信号群を、これらトラック部分が前記ディスクの径方向に並ぶ順番で配置して、前記試料収容部全体の蛍光画像を生成する画像処理部と、を備える。ここで、前記画像処理部は、前記上手側の前記同期調整用の信号が前記信号検出部により検出されてから前記下手側の前記同期調整用の信号が前記信号検出部により検出されるまでの時間を測定し、測定した時間に基づいて、前記切出し部によって切出された前記各トラック部分に対応する前記信号群の同期ずれを補正して、前記蛍光画像を生成する。

0012

本態様に係る蛍光検出装置によれば、切出し部によって切出された各トラック部分に対応する信号群の同期ずれが、上手側の同期調整用の信号が検出されてから下手側の同期調整用の信号が検出されるまでの時間に基づいて補正されて、蛍光画像が生成される。よって、蛍光画像の品質を高めることができ、試料に含まれた対象細胞を画像処理により精度良く検出することができる。

発明の効果

0013

以上のとおり、本発明によれば、回転ムラが生じた場合においても、蛍光画像を良好に生成することが可能な試料収容ディスクおよびそれを用いた蛍光検出装置を提供することができる。

0014

本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態によって何ら制限されるものではない。

図面の簡単な説明

0015

図1(a)は、実施形態1に係る試料収容ディスクの構成を模式的に示す平面図である。図1(b)は、実施形態1に係る試料収容ディスクの断面の一部拡大図である。
図2は、実施形態1に係るグルーブおよびランドと、ピットの構造を模式的に示す図である。
図3(a)は、実施形態1に係る試料収容ディスクの周方向エリア割りを模式的に示す平面図である。図3(b)は、実施形態1に係る試料収容ディスクの径方向のゾーン割りを模式的に示す平面図である。
図4は、実施形態1に係る各ゾーンのグルーブとランドを直線状に展開して示す図である。
図5(a)は、実施形態1に係る1エリアのトラック部分(グルーブ)に設定される各フィールドフォーマットを示す図である。図5(b)は、実施形態1に係る各フィールドの角度範囲を模式的に示す図である。
図6(a)〜(f)は、実施形態1に係る各フィールドの信号フォーマットを示す図である。
図7は、実施形態1に係る、試料収容ディスクから蛍光を読み取るための蛍光検出用ピックアップの構成を示す図である。
図8は、実施形態1に係る信号演算回路の構成を示す図である。
図9は、実施形態1に係る蛍光検出装置の構成を示す図である。
図10(a)は、実施形態1に係る蛍光信号の切出し処理を示すフローチャートである。図10(b)は、実施形態1に係る切出し信号の無効化処理を示すフローチャートである。
図11は、実施形態1に係る蛍光信号の切り出し処理を説明するための図である。
図12は、実施形態1に係る蛍光画像の生成方法を模式的に示す図である。
図13(a)、(b)は、それぞれ、実施形態1に係る抽出範囲の設定例を示す図である。
図14は、変更例1に係る抽出範囲の再設定方法を示す図である。
図15は、他の変更例に係る半透過膜の構造を模式的に示す図である。

実施例

0016

以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。

0017

<試料収容ディスク>
まず、試料収容ディスク100の構成について、図1〜6を参照して説明する。試料収容ディスク100は、たとえば、マラリア原虫に感染した赤血球を検出するために用いられる。

0018

図1(a)は、試料収容ディスク100の外観構成を模式的に示す平面図である。図1(b)は、ディスク面に垂直で且つディスク中心を通る平面で試料収容ディスク100を切断したときの断面の一部拡大図である。

0019

図1(a)に示すように、試料収容ディスク100は、光ディスク(CDやDVD等)と同様の円盤形状を有しており、中心に円形状の開口101aが形成されている。図1(b)に示すように、試料収容ディスク100は、試料収容部101bを構成するための第1基板101を、ベースとなる第2基板102の上面に接合した構成となっている。第1基板101および第2基板102は、何れも、樹脂材料により構成される。第2基板102は、光を透過可能な材料からなっている。

0020

第1基板101を第2基板102に接合することにより、図1(a)に示すように9つの試料収容部101bが形成される。これら試料収容部101bは、ディスク周方向一定間隔で並んでいる。また、試料収容部101bのディスク周方向に並ぶ2つの境界は、それぞれディスク中心から放射状に延びている。9つの試料収容部101bの角度範囲は、何れもWaである。図1(b)に示すように、試料収容部101bは、所定高さの空間となっている。平面視において、試料収容部101bは、台形の角が丸められた形状である。9つの試料収容部101bは、同じ形状であり、ディスク径方向において同じ位置に配置されている。

0021

試料収容部101bの内周側には、上面へと続く2つの孔101cが形成されている。2つの孔101cを開放した状態で、一方の孔101cから試料が試料収容部101bに充填される。試料は、赤血球中のマラリア原虫が蛍光色素によって標識されるように調製される。試料収容部101bに試料を充填した後、2つの孔101cが図示しない蓋で閉じられる。図1(a)の構成例では、9種類の検体から調製された試料が、それぞれの試料収容部101bに充填される。

0022

図1(b)に示すように、第2基板102の上面には、ディスク中心の周りを旋回するトラック102cが形成され、このトラック102cの上面に、半透過膜102dが形成されている。図1(b)には、試料収容部101bに収容された赤血球RCが模式的に示されている。図1(a)に示すように、トラック102cは、螺旋状に旋回する一連のグルーブ111からなっている。グルーブ111は、図1(a)においてハッチングで示されたトラック領域102aにおいて、最外周から最内周まで形成されている。第2基板102は、CDやDVDと同様の工程により射出成形により形成される。半透過膜102dは、スパッタリング工程により形成される。

0023

半透過膜102dは、第2基板102の下面から入射されたレーザ光の一部を反射し残りのレーザ光を試料収容部101bへと導く。また、半透過膜102dは、試料収容部101b内で生じた蛍光を第2基板102へと透過させる。より多くのレーザ光を試料収容部101bへと導き、且つ、より多くの蛍光を第2基板102の基部102bへと透過させ得るように、半透過膜102dの反射率は、5〜20%程度に設定されている。

0024

図1(a)に一点鎖線で示すように、試料収容ディスク100は、周方向に9つのエリアに区分される。各エリアは、1つの試料収容部101bを含んでいる。後述のように、各エリアの1つのトラック部分Taは、1単位の情報記録領域を構成している。トラック部分Taの試料収容部101bに重ならない部分に、種々の信号が記録されている。本実施形態では、これらの信号がピット列によって記録される。

0025

図2は、グルーブ111およびランド112と、ピット113の構造を模式的に示す図である。便宜上、図2には、半透過膜102dのみが示されている。なお、図2では、上側が第2基板102側となっている。

0026

図2に示すように、トラック部分Taの試料収容部101bに重ならない部分に相当するグルーブ111にピット113が形成され、所定の信号が記録されている。記録される信号のフォーマットは、追って、図5(a)を参照して説明する。隣り合うグルーブ111の間のランド112には、信号が記録されない。また、グルーブ111とランド112は、蛇行することなく螺旋状に延びている。

0027

ビームスポットB1は、グルーブ111に沿って走査される。ビームスポットB1は、グルーブ111の最外周側から内周に向かって走査される。ビームスポットB1がピット113に掛かると、グルーブ111からの反射光の強度が低下する。こうして変調された反射光を光検出器で受光し、その検出信号復調することにより、ピット113で記録された各種情報再生される。ビームスポットB1の径は、グルーブ111のトラックピッチと略同程度である。グルーブ111のトラックピッチは、0.3〜2.0μm程度である。

0028

図3(a)は、試料収容ディスク100の周方向のエリア割りを模式的に示す平面図である。図3(b)は、試料収容ディスク100の径方向のゾーン割りを模式的に示す平面図である。

0029

なお、図3(a)のエリアA0〜A8および図3(b)のゾーンZ0〜Znは、試料収容部101bとの関係においてトラック102cに後述の信号フォーマットを設定するために論理的に試料収容ディスク100に割り当てられたものであって、物理的な障壁等によりエリアA0〜A8とゾーンZ0〜Znが区画されているわけではない。

0030

図3(a)に示すように、試料収容ディスク100は、40度ごとに9つのエリアA0〜A8に区分されている。各エリアに含まれるトラック部分が、図1(a)のトラック部分Taである。図1(a)に示すトラック領域102aは、アウター領域102eと、インナー領域102fと、検出領域102gに区分されている。アウター領域102eは、リードイン領域となっており、インナー領域102fは、リードアウト領域外観識別領域となっている。

0031

リードイン領域(アウター領域102e)のグルーブ111には、ピット列によって、試料収容ディスク100の走査に必要な各種情報が記録されている。リードアウト領域(インナー領域102f)には、ピット列によって、リードアウト領域であることを示す信号が記録されている。外観識別領域(インナー領域102f)には、グルーブ111を不連続にすることにより、試料収容ディスク100の種別等を視覚的に表示するための構造が適用されている。外観識別領域は、リードアウト領域の内周側に設定されている。

0032

検出領域102gのグルーブ111には、図5(a)に示すフォーマットで各種信号が記録されている。検出領域102gのグルーブ111のフォーマットについては、追って説明する。

0033

図3(b)に示すように、試料収容ディスク100の検出領域102gは、径方向に複数のゾーンZ0〜Znに区分されている。試料収容ディスク100は、たとえば、75のゾーンに区分される。各ゾーンに含まれるディスク径方向のトラック数は同じである。1つのゾーンのトラック102c(グルーブ111)は、同じ角速度でビームスポットB1により走査される。また、各ゾーンの角速度は、ディスク径方向におけるゾーンの中心位置のトラック102c(グルーブ111)が、互いに同じ線速度でビームスポットB1により走査されるように設定される。

0034

図4は、各ゾーンのグルーブ111とランド112を直線状に展開して示す図である。図4には、1周分のグルーブ111およびランド112が1つの直線で示されている。また、図4に示すグルーブ111およびランド112の長さは、物理的な長さでなく、便宜上、1周の長さが全てのグルーブ111およびランド112において同じとなるように規格化されて示されている。

0035

図4に示すように、検出領域102gは、ディスク径方向に複数のゾーンZ0〜Znに区分されている。各ゾーンには、ディスク径方向に複数のトラック102c(グルーブ111)が含まれる。図4では、便宜上、1つのゾーン内のトラック102cに、外周側からのトラック番号T0〜Tmが示されている。1つのゾーンに含まれるトラック102cの数は、たとえば800である。

0036

図5(a)は、1エリアのトラック部分Ta(グルーブ111)に設定される各フィールドのフォーマットを示す図である。図5(b)は、各フィールドの角度範囲を模式的に示す図である。

0037

図5(a)に示すように、1エリアのトラック部分Ta(グルーブ111)には、フィールドF1〜F8が設定される。フィールドF2、F5、F6には、信号が記録されておらず、単調に延びるグルーブ111のみが形成されている。フィールドF5は、全長において試料収容部101bに重なっている。すなわち、フィールドF5の両端は、試料収容部101bのディスク周方向に並ぶ2つの境界に一致している。試料収容部101bに重なるトラック部分には、信号が記録されておらず、単調に延びるグルーブ111のみが形成されている。

0038

フィールドF1、F3、F4、F7、F8には、図2に示すピット113により信号が記録されている。図5(b)に示すように、同一エリア内にある全てのトラック部分Taの始端SPと終端EPは、それぞれ、ディスク径方向に揃っており、また、フィールドF5の始端と終端も、同一エリア内にある全てのトラック部分Taにおいて揃っている。フィールドF1、F3、F4、F7、F8は、同一ゾーン且つ同一エリア内にある全てのトラック部分Taにおいてディスク径方向に揃っている。

0039

図6(a)〜(f)は、各フィールドの信号フォーマットを示す図である。図6(a)〜(c)、(f)において、斜線ハッチングが付された部分はグルーブ111にピット113が形成された領域を示し、白抜きの部分はグルーブ111のみの領域を示している。また、1Tは、上記のように角速度一定でグルーブ111が走査された場合の最小ピットの時間長を示している。図6(a)〜(f)の説明において、ピット113が形成されていないグルーブ111の部分を単にスペースといい、ピット113が形成されたグルーブ111の部分を単にピットという。

0040

図6(a)に示すように、フィールドF1、F8には、2Tのピットと2Tのスペースが10回繰り返された信号Enが記録されている。フィールドF1に記録された信号Enは、図5(a)に示す1エリアのトラック部分Taの始端を示す信号であり、フィールドF9に記録された信号Enは、図5(a)に示す1エリアのトラック部分Taの終端を示す信号である。

0041

図6(b)に示すように、フィールドF2、F5、F6には、ピットが形成されていない。これらのフィールドは、スペースのみからなっている。

0042

図6(c)に示すように、フィールドF4には、8Tのスペースの後に、1Tのピットと1Tのスペースが交互に4回繰り返された信号V3が記録されている。この信号V3は、蛍光画像の生成時に蛍光信号の同期ずれを補正するための同期調整用の信号である。信号V3を用いた同期調整については、追って、図12を参照して説明する。

0043

図6(d)に示すように、フィールドF3は、2つのヘッダー領域HE1、HE2からなっている。ヘッダー領域HE1には、ヘッダー領域HE1を識別するための識別信号と、当該トラック部分Taの位置を示すアドレス信号と、アドレス信号に対する誤り検出または誤り訂正を行うための誤り訂正信号が記録される。これら信号のビット長は固定である。アドレス信号として、当該トラック部分Taのトラック番号(図4に示すT0〜Tmの何れか)と、当該トラック部分Taを含むゾーンのゾーン番号図3(b)に示すZ0〜Znの何れか)と、当該トラック部分Taを含むエリアのエリア番号図3(a)に示すA0〜A9の何れか)が含まれる。また、ヘッダー領域HE2には、ヘッダー領域HE1と同様の信号が記録される。

0044

図6(e)に示すように、フィールドF7は、2つのフッター領域FT1、FT2からなっている。フッター領域FT1には、識別信号と、アドレス信号と、誤り訂正信号が記録される。これら信号のビット長は固定である。アドレス信号として、当該トラック部分Taのトラック番号(図4に示すT0〜Tmの何れか)と、当該トラック部分Taを含むゾーンのゾーン番号(図3(b)に示すZ0〜Znの何れか)と、当該トラック部分Taを含むエリアのエリア番号(図3(a)に示すA0〜A9の何れか)が含まれる。フッター領域FT2には、フッター領域FT1と同様の信号が記録される。

0045

なお、フッター領域FT1、FT2の識別信号は、ヘッダー領域HE1、HE2の識別信号と異なっている。フッター領域FT1、FT2のアドレス信号は、ヘッダー領域HE1、HE2のアドレス信号と同じである。ヘッダー領域HE1、HE2とフッター領域FT1、FT2には、ピットとスペースによって、1、0のデジタル信号ビット信号)が記録されている。

0046

フッター領域FT1の識別信号は、蛍光画像の生成時に蛍光信号の同期ずれを補正するための同期調整用の信号でもある。図6(f)に示すように、フッター領域FT1の識別信号は、5Tのピットと5Tのスペースが4回繰り返された後、1Tのピットと1Tのスペースが20回繰り返されたユニークな信号となっている。この識別信号と、上記信号V3とを用いて、蛍光信号の同期ずれが補正される。フッター領域FT1の識別信号とフィールドF4の信号V3を用いた同期調整については、追って、図12を参照して説明する。

0047

フィールドF3、F7以外の各フィールドの形成されたピットとスペースは、同一ゾーン且つ同一エリア内の全てのトラック部分Taにおいてディスク径方向に揃っている。フィールドF1、F8に形成されたピットとスペースは、同一エリアの全てのゾーンに含まれるトラック部分Taにおいてディスク径方向に揃っている。フィールドF3、F7に形成されたピットとスペースは、アドレス信号の内容に応じてピットとスペースの長さが変わるため、トラック部分Ta間において、周方向の位置がずれている。

0048

フィールドF4に記録された信号V3の終端は、同一エリアの全てのゾーンに含まれるトラック部分Taにおいてディスク径方向に揃っている。また、フッター領域FT1の識別信号の終端は、同一エリアの全てのゾーンに含まれるトラック部分Taにおいてディスク径方向に揃っている。

0049

<蛍光検出装置>
図7は、試料収容ディスク100から蛍光を読み取るための蛍光検出用ピックアップ200の構成を示す図である。

0050

図7に示すように、本実施形態では、蛍光検出用ピックアップ200を用いて、試料収容ディスク100の試料収容部101bから蛍光が検出される。ここでは、赤血球がマラリア原虫に感染しているかを判定するために、試料収容ディスク100から蛍光が検出される。この場合、赤血球中のマラリア原虫が蛍光色素で標識されるように試料が調製される。蛍光色素は、たとえば、波長405nmの光が照射されると、波長450〜540nm程度の蛍光を発する。こうして調製された試料が、検体ごとに、試料収容ディスク100の9つの試料収容部101bに充填される。その後、試料収容ディスク100の開口101a(図1(a)参照)が、スピンドルモータ220に軸支されたターンテーブル230にセットされる。

0051

蛍光検出用ピックアップ200は、半導体レーザ201と、1/2波長板202と、偏光ビームスプリッタPBS)203と、コリメータレンズ204と、1/4波長板205と、対物レンズ206と、対物レンズアクチュエータ207と、ダイクロイックプリズム208と、アナモレンズ209と、光検出器210と、蛍光検出器211とを備えている。

0052

半導体レーザ201は、波長405nm程度のレーザ光を出射する。半導体レーザ201から出射されたレーザ光は、1/2波長板202によって、PBS203に対しS偏光となるように偏光方向が調整される。これにより、レーザ光は、PBS203によって反射され、コリメータレンズ204に入射する。PBS203は、波長405nm付近の光に対してのみ偏光依存性を有し、波長450〜540nm程度の光には偏光依存性を有していない。

0053

コリメータレンズ204は、PBS203側から入射するレーザ光を平行光に変換する。1/4波長板205は、コリメータレンズ204側から入射するレーザ光を円偏光に変換するとともに、対物レンズ206側から入射するレーザ光を、コリメータレンズ204側から入射する際の偏光方向に直交する直線偏光に変換する。これにより、試料収容ディスク100の半透過膜102dによって反射されたレーザ光は、PBS203を透過する。

0054

対物レンズ206は、1/4波長板205側から入射するレーザ光を試料収容ディスク100の半透過膜102dに収束させる。対物レンズアクチュエータ207は、後述するサーボ回路50(図9参照)によって、試料収容ディスク100のグルーブ111に対してレーザ光が収束するように、フォーカス方向およびトラッキング方向に対物レンズ206を駆動する。

0055

なお、レーザ光がグルーブ111に収束されると、レーザ光の80%程度がグルーブ111の半透過膜102dを透過して試料収容部101b内に進入する。このとき、試料収容部101b内に進入したレーザ光がマラリア原虫に感染している赤血球に照射されると、蛍光標識されたマラリア原虫から蛍光が生じる。こうして生じた蛍光は、半透過膜102dを透過して、対物レンズ206へと進む。このように、試料収容ディスク100からは、グルーブ111(半透過膜102d)によって反射されたレーザ光と、マラリア原虫によって生じた蛍光の両方が、対物レンズ206へ入射する。これら2つの光は、1/4波長板205、コリメータレンズ204およびPBS203を通って、ダイクロイックプリズム208に入射する。

0056

ダイクロイックプリズム208は、波長405nm程度の光を透過し、波長450〜540nm程度の光を反射するよう構成されている。これにより、PBS203側から入射する蛍光は、ダイクロイックプリズム208によって反射され、PBS203側から入射するレーザ光は、ダイクロイックプリズム208を透過する。

0057

アナモレンズ209は、ダイクロイックプリズム208を透過したレーザ光に非点収差を導入する。アナモレンズ209を透過したレーザ光は、光検出器210に入射する。光検出器210は、受光面上にレーザ光を受光するための4分割センサを有している。光検出器210から出力される検出信号は、後述する信号演算回路300(図8参照)によって処理される。

0058

ダイクロイックプリズム208で反射された蛍光は、コリメータレンズ204によって収束された状態のまま、蛍光検出器211に導かれる。蛍光検出器211は、受光面上に蛍光を受光するためのセンサを有している。蛍光検出器211の検出信号(蛍光信号)は、図示しない信号増幅回路によって増幅される。

0059

なお、試料収容ディスク100から生じる蛍光は微弱であるため、図7光学系においては、半導体レーザ201から出射されたレーザ光が蛍光検出器211に入射しないようにするための障壁等を適宜光学系に配置することが好ましい。

0060

図8は、信号演算回路300の構成を示す図である。

0061

光検出器210は、上述のように、レーザ光を受光するための4分割センサを有している。4分割センサの左上、右上、右下、左下のセンサは、それぞれ受光したレーザ光のビームスポットに基づいて検出信号S1〜S4を出力する。信号演算回路300は、これら検出信号S1〜S4を処理して、フォーカスエラー信号トラッキングエラー信号および再生RF信号を生成する。フォーカスエラー信号FEとトラッキングエラー信号TEは、既存の光ディスク装置において用いられる非点収差法と1ビームプッシュプル法に従って生成される。

0062

信号演算回路300は、加算器301〜304、307と、減算器305、306とを備えている。加算器301は、検出信号S1、S3を加算した信号を減算器305に出力し、加算器302は、検出信号S2、S4を加算した信号を減算器305に出力する。加算器303は、検出信号S1、S4を加算した信号を減算器306と加算器307に出力し、加算器304は、検出信号S2、S3を加算した信号を減算器306と加算器307に出力する。

0063

減算器305は、加算器301、302の出力信号を減算して、フォーカスエラー信号FEを出力する。減算器306は、加算器303、304の出力信号を減算して、トラッキングエラー信号TEを出力する。加算器307は、加算器303、304の出力信号を加算して、再生RF信号(SUM信号)を出力する。

0064

ここで、対物レンズ206の焦点位置が試料収容ディスク100の半透過膜102dに位置付けられているとき、光検出器210の4分割センサ上のビームスポットは最小錯乱円となり、フォーカスエラー信号FEの値が0となる。また、対物レンズ206の焦点位置が試料収容ディスク100のトラック102c(グルーブ111)の中央位置に位置付けられているとき、光検出器210の4分割センサ上のビームスポットは、左側の2つのセンサと右側の2つのセンサに対して等しく掛かり、トラッキングエラー信号TEの値が0となる。図7に示す対物レンズアクチュエータ207は、図9に示すサーボ回路50の制御のもと、フォーカスエラー信号FEおよびトラッキングエラー信号TEが共にゼロになるように、対物レンズ206をフォーカス方向およびトラッキング方向に駆動する。

0065

図9は、蛍光検出装置1の構成を示す図である。

0066

蛍光検出装置1は、図7に示す蛍光検出用ピックアップ200、スピンドルモータ220およびターンテーブル230の他に、信号処理回路10と、画像処理回路20と、入出力ユニット30と、コントローラ40と、サーボ回路50と、スレッドモータ240とを備えている。図8の信号演算回路300は、蛍光検出用ピックアップ200側に設けられている。

0067

信号処理回路10は、蛍光検出用ピックアップ200から出力される蛍光信号(FL)および再生RF信号(RF)を処理する。蛍光信号は、図7の蛍光検出器211から出力され、再生RF信号は、図8の加算器307から出力される。信号処理回路10は、信号検出部11と、信号再生部12と、切出し部13と、重畳部14とを備える。

0068

信号検出部11は、蛍光検出用ピックアップ200から入力された再生RF信号を処理して、図6(a)〜(f)に示す各種信号を検出し、検出した信号を信号再生部12、切出し部13およびコントローラ40に出力する。信号再生部12は、信号検出部11から入力されたフィールドF3、F7の信号、すなわち、ヘッダー領域HE1、HE2およびフッター領域FT1、FT2の信号を再生し、アドレス信号を取得する。信号再生部12は、取得したアドレス信号を重畳部14に出力する。

0069

切出し部13は、蛍光検出用ピックアップ200から入力された蛍光信号を所定周期でサンプリングし、各サンプル値をデジタル信号に変換して重畳部14へと出力する。切出し部13は、信号検出部11によって信号V3(図5(a)参照)が検出されたことに応じて蛍光信号のサンプリングを開始し、信号検出部11によってフッター領域FT1の識別信号(図6(e)、(f)参照)が検出されたことに応じて蛍光信号のサンプリングを終了する。

0070

上記のように、試料収容ディスク100は、ゾーンごとに異なる角速度で回転される。したがって、トラック部分Taがレーザ光で走査される時間は、ゾーンごとに異なる。このため、各ゾーンに対して同じ周期タイミング信号で蛍光信号を切出すと、切出された信号群の数がゾーンごとに異なる。本実施形態では、各ゾーンのトラック部分Taから同じ数の信号群が切出されるように、切出し部13におけるサンプリングのタイミング信号の周期が調整される。これにより、各ゾーンにおいて、略同じ角度間隔で蛍光信号が切出される。

0071

重畳部14は、切出し部13によって取得された信号群に信号再生部12から入力されたアドレス信号を付加して、画像処理回路20に出力する。画像処理回路20は、入力された信号群を繋ぎ合わせて、エリアA0〜A8ごとに蛍光画像を生成する。また、画像処理回路20は、蛍光画像を画像処理して、蛍光の輝点を計数し、赤血球におけるマラリアの感染率等を算出する。これらの蛍光画像、計数値および感染率等は、随時、画像処理回路20から入出力ユニット30に出力される。画像処理回路20は、プログラマブル演算処理回路メモリを備えている。

0072

入出力ユニット30は、キーボードマウスタッチパネルなどの入力手段と、モニタスピーカ等の出力手段を備える。入出力ユニット30を介して、蛍光検出を開始するための指示が入力される。また、蛍光画像や輝点の計数値、マラリアの感染率等が、入出力ユニット30に表示される。

0073

コントローラ40は、CPU(Central Processing Unit)等の処理回路やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリを備え、メモリに格納されたプログラムに従って各部を制御する。

0074

サーボ回路50は、図8の信号演算回路300で生成されたフォーカスエラー信号FEおよびトラッキングエラー信号TEに基づいて、対物レンズアクチュエータ207を制御する。また、サーボ回路50は、図3(b)に示すゾーンZ0〜Znが、各ゾーンに設定された角速度でビームスポットB1により走査されるように、スピンドルモータ220を制御する。さらに、サーボ回路50は、ビームスポットB1がトラック102cの最外周位置から最内周位置まで走査可能となるように、蛍光検出用ピックアップ200を試料収容ディスク100の径方向に送るためのスレッドモータ240を制御する。

0075

図10(a)は、蛍光信号の切出し処理を示すフローチャートである。

0076

信号検出部11が信号V3(図5(a)参照)を検出すると(S11:YES)、切出し部13は、蛍光信号の切出しを開始する(S12)。その後、信号検出部11がフッター領域FT1の識別信号(図6(e)、(f)参照)を検出すると(S13:YES)、切出し部13は、蛍光信号の切出しを終了する(S14)。

0077

図10(b)は、切出し信号の無効化処理を示すフローチャートである。

0078

コントローラ40は、1つのトラック部分Taを走査する間に、ヘッダー領域HE1、HE2から再生されたアドレス信号と、フッター領域FT1、FT2から再生されたアドレス信号をそれぞれ取得する(S21、22)。コントローラ40は、こうして取得した2つのアドレス信号が不一致であるか否かを判定する(S23)。2つのアドレス信号が不一致である場合(S23:YES)、コントローラ40は、当該トラック部分Taから切り出された蛍光信号群を無効化し(S24)、当該トラック部分Taをレーザ光で再度走査して蛍光信号を切り出す処理を実行する(S25)。2つのアドレス信号が一致する場合(S23:NO)、コントローラ40は、当該トラック部分Taから切り出された蛍光信号群を無効化することなく、処理を終了する。

0079

テップS21、S22で取得したアドレス信号が一致しない場合、試料収容部101bに重なるグルーブ111を走査する間に、レーザ光のビームスポットB1がグルーブ111から外れて他のグルーブに移動したと考えられる。この場合、その間に切り出した蛍光信号群は、2つのトラック部分に跨がって取得されており、1つのトラック部分から取得された1群の蛍光信号とはならない。

0080

そこで、本実施形態では、図10(b)の処理を実行し、試料収容部101bに重なるグルーブ111を走査する間に、レーザ光のビームスポットB1がグルーブ111から外れて他のグルーブに移動した恐れがある場合は、その間に取得された信号群は無効化され、再度、蛍光信号の切出しが行われる。これにより、1つのトラック部分Taから適正に蛍光信号が取得される。

0081

図11は、蛍光信号の切り出し処理を説明するための図である。

0082

切出し部13は、レーザ光がフィールドF5を走査する間に、蛍光検出用ピックアップ200から出力される蛍光信号を、一定周期のタイミング信号(サンプリングクロック)に同期してサンプリングし、各タイミングにおけるサンプル値を取得する。図11上段には、サンプリングのためのタイミング信号が示されており、図11下段には、同じゾーンで同じエリアに含まれる一群のトラック部分Ta(トラック番号T0〜Tm)から切り出された信号群が模式的に示されている。ここでは、1つのトラック部分Taから、k個の信号群SP1〜SPkが取得される。

0083

図11の例では、トラック番号T1のトラック部分Taがレーザ光で走査される間の、信号SPnの走査タイミングにおいて、試料中に、マラリアに感染した赤血球が存在していることが想定されている。この場合、トラック番号T1の信号SPnのサンプリング値は高く、この信号の周囲の信号のサンプル値も高くなっている。図11では、サンプル値が高いほどハッチングの濃度が高くなっている。

0084

図9の画像処理回路20は、重畳部14から入力された信号群とアドレス信号に基づいて、同じゾーンで同じエリアに含まれる一群のトラック部分Taの信号群を、走査順およびトラック番号順に並べて1つの試料収容部101bに対する蛍光画像を生成する。蛍光画像の生成において、信号群間の同期ずれが補正される。蛍光画像の生成方法の詳細は、追って、図12を参照して説明する。

0085

画像処理回路20は、こうして生成した蛍光画像を解析して、蛍光の輝点の数、すなわち、マラリアに感染した赤血球の数を計数し、その計数値に基づき、試料に含まれる赤血球のマラリア感染率を算出する。画像処理回路20は、取得した計数値、感染率を蛍光画像とともに、入出力ユニット30に出力する。これにより、入出力ユニット30に、蛍光画像やマラリアの検出数およびマラリア感染率等が表示される。

0086

次に、フィールドF4に記録された信号V3と、フッター領域FT1の識別信号とを用いた同期補正について説明する。

0087

図11を参照して説明したように、蛍光信号の切出し処理においては、一定周期のタイミング信号に応じて蛍光信号がサンプリングされ、信号群SP1〜SPkが取得される。この場合、試料収容ディスク100は、上記のようにゾーンごとに角速度一定で回転される。しかしながら、試料収容ディスク100の回転駆動の際に、角速度にムラが生じることが起こり得る。このため、図11の処理により蛍光画像を生成した場合に、回転ムラによって、各トラック部分Taの蛍光信号に走査方向の歪みが生じ、その結果、蛍光画像の精度が低下することが起こり得る。

0088

そこで、本実施形態では、フィールドF4に記録された信号V3と、フッター領域FT1の識別信号とを用いて、蛍光信号の同期補正が行われる。

0089

図12は、同期補正を行いながら蛍光画像を生成する方法を模式的に示す図である。

0090

図12の上段は、1つのエリアの1つのゾーンから取得した蛍光信号を切出し部13で切出した信号群をメモリ上に展開した図であり、図12の下段は、上段の信号群から所定範囲の信号を抽出して蛍光画像用のメモリ領域に展開した図である。

0091

図12上段において、左右に延びる3つの破線は、トラック部分Ta(トラック番号T0、Tk、Tm)から取得した信号群を示している。便宜上、図12の上段では、トラック番号T0、Tk、Tm以外のトラック部分Taから取得した信号群を示す破線が省略されている。図12の上段に示すように、各トラック部分Taから取得した信号群は、トラック部分Taが試料収容ディスク100の径方向に並ぶ順番で、メモリ上に展開される。図12の上段では、トラック部分Taとの関係において、走査方向上流側とディスク外周側が、それぞれ、破線の矢印で示されている。

0092

トラック番号T0、Tkに対応する信号群には、蛍光画像の生成のために抽出される範囲(抽出範囲)が、横長長方形の箱で示されている。ここでは、説明の便宜上、1つのトラック部分Taの信号群に対して10個の抽出範囲が設定されているが、抽出範囲の数はこれに限られるものではない。その他のトラック部分Taの信号群にも、同じ数(ここでは、10個)の抽出範囲が設定される。各抽出範囲に含まれる信号(蛍光信号を切出した信号)の数は、互いに同一である。

0093

図10(a)を参照して説明したように、各トラック部分Taから信号群が切出される期間(切出し期間)は、フィールドF4に記録された信号V3が検出されてから、フッター領域FT1の識別信号が検出されるまでの期間である。この切出し期間は、試料収容ディスク100における回転ムラに応じて変化する。すなわち、試料収容ディスク100の回転速度が速いほど、切出し期間は短くなる。

0094

たとえば、図12上段では、トラック番号T0のトラック部分Taにおける切出し期間C0に比べて、トラック番号Tkのトラック部分Taにおける切出し期間Ckが短くなり、これらトラック部分から取得された信号群間に同期ずれが生じる。この場合、上記のように切出しタイミングの周期は一定であるため、トラック番号T0のトラック部分Taから取得した信号の数は、トラック番号Tkのトラック部分Taから取得した信号の数よりも多くなる。

0095

このように、試料収容ディスク100に回転ムラが生じると、トラック部分Taから取得した信号群に同期ずれが生じる。本実施形態では、この同期ずれを解消するように、各トラック部分Taから取得した信号群に対する抽出範囲を、切出し期間に応じて変化させる。たとえば、図12上段に示すように、トラック番号Tkの信号群に対する抽出範囲は、トラック番号T0の信号群に対する抽出範囲から左にシフトしている。

0096

本実施形態では、トラック番号T0の信号群を基準に、その他のトラック番号の信号群に対する抽出範囲のシフト量およびシフト方向が決定される。ここでは、対象トラック番号の切出し期間が、トラック番号T0の切出し期間C0よりも短い場合に、抽出範囲が左にシフトされ、2つの切出し期間の比率に応じて、抽出範囲のシフト量が決定される。図12の上段では、トラック番号Tkの切出し期間Ckが切出し期間C0よりも短いため、トラック番号Tkの信号群に設定される抽出範囲が左にシフトしている。対象トラック番号の切出し期間が、トラック番号T0の切出し期間C0よりも長い場合は、抽出範囲が右にシフトされる。

0097

こうして各トラック番号の信号群に設定された抽出範囲の信号部分が、図12の下段に示すように、蛍光画像用のメモリ領域に展開される。図12下段において、L0、Lk、Lmは、それぞれ、トラック番号T0、Tk、Tmに対応するラインを示している。蛍光画像用のメモリ領域には、トラック番号と同じ順番で、各トラック部分の信号群から抽出された信号が、各ラインにマッピングされる。蛍光画像用のメモリ領域は、10の分割領域Wに分割されている。ラインLiの分割領域Wに、ラインLiに対応するトラック番号Tiの信号群のうち抽出範囲に含まれる信号がマッピングされる。

0098

このように、本実施形態では、同期ずれが補正された信号を蛍光画像用のメモリ領域にマッピングして蛍光画像が生成される。これにより、歪みのない蛍光画像を得ることができる。

0099

以下に、抽出範囲の具体的な設定方法について説明する。ここでは、便宜上、図12上段の図において、蛍光信号から切出された各信号のメモリ上の位置が画素と称され、メモリ上の各ラインにおいて、最も上流側から下流側に向かって各画素の順番が規定されている。

0100

まず、基準となるトラック番号T0の信号群に対して抽出範囲が設定される。ここでは、P1番目からP11番目の画素範囲に、10の抽出範囲が設定される。P1番目よりも上流側の画素範囲とP11番目よりも下流側の画素範囲は、試料収容部101bの周方向の境界の影響により信号が劣化する可能性があるため、蛍光画像の生成対象から除かれる。P1番目からP11番目の画素範囲は、試料収容ディスク100に回転ムラが生じたとしても、信号が試料収容部101bの境界付近による影響を受けることがなく、信号の品質を確保できると想定される範囲に設定される。

0101

次に、トラック番号Ti(i:2〜mの整数)の信号群に対して、抽出範囲を設定する。ここでは、トラック番号Tiの切出し期間Ciとトラック番号T0の切出し期間C0とに基づいて、以下の演算式により、トラック番号T0の各抽出範囲に対するトラック番号Tiの各抽出範囲のシフト値Dnが設定される。

0102

Dn={(Ci/C0)−1}×Vn … (1)

0103

ここで、Dnは、上流側からn番目(n:1〜10の整数)の抽出範囲のシフト値である。また、Vnは、トラック番号T0の上流側からn番目の抽出範囲の中心の画素位置である。たとえば、上流側から3番目の抽出範囲がシフト値Dn(n=3)の算出対象である場合、Vn(n=3)は、画素位置P3と画素位置P4の中間の画素位置、すなわち、P3+{(P4−P3)/2}で算出される画素位置となる。より詳細には、画素位置P3が10240画素目の位置であり、画素位置P4が14336画素目の位置である場合、Vn(n=3)は、12288となる。

0104

なお、式(1)の算出において、シフト値Dnは、小数点以下が四捨五入される。

0105

式(1)により算出されるシフト値Dnは、切出し期間Ciが切出し期間C0よりも長い場合に正となり、切出し期間Ciが切出し期間C0よりも短い場合に負となる。シフト値Dnが正の場合、n番目の抽出範囲は、トラック番号T0のn番目の抽出範囲に対して上流側にシフト値Dnの絶対値だけシフトした位置に設定され、シフト値Dnが負の場合、n番目の抽出範囲は、トラック番号T0のn番目の抽出範囲に対して下流側にシフト値Dnの絶対値だけシフト位置に設定される。切出し期間Ciが切出し期間C0と同一である場合、シフト値Dnは、ゼロになる。この場合、n番目の抽出範囲は、トラック番号T0のn番目の抽出範囲に対して、走査方向に同じ位置に設定される。

0106

なお、式(1)では、抽出領域ごとに個別にシフト値Dnが算出されるため、シフト値Dnによりシフトされた後の隣り合う抽出範囲の端が、互いに重なり合うことが起こり得る。

0107

図13(a)、(b)は、それぞれ、トラック番号Tiの1番目の抽出範囲Ri1の設定例を示す図である。図13(a)は、切出し期間Ciが切出し期間C0よりも短い場合の設定例であり、図13(b)は、切出し期間Ciが切出し期間C0よりも長い場合の設定例である。

0108

図13(a)に示すように、切出し期間Ciが切出し期間C0よりも短い場合、トラック番号Tiの1番目のシフト値D1が負となるため、抽出範囲Ri1は、トラック番号T0の1番目の抽出範囲R01に対して上流側に、シフト値D1の絶対値だけシフトした位置に設定される。また、図13(b)に示すように、切出し期間Ciが切出し期間C0よりも長い場合は、トラック番号Tiの1番目のシフト値D1が正となるため、抽出範囲Ri1は、トラック番号T0の1番目の抽出範囲R01に対して下流側に、シフト値D1の絶対値だけシフトした位置に設定される。

0109

こうして、トラック番号T0以外の全てのトラック番号の信号群に対して、それぞれ、10の抽出範囲が設定される。そして、設定された各抽出範囲に含まれる信号が、上記のように、蛍光画像用のメモリ領域にマッピングされる。これにより、蛍光画像が生成される。

0110

抽出範囲の設定および蛍光画像の生成は、図9に示す画像処理回路20により行われる。画像処理回路20は、蛍光信号から切出した信号群を内部メモリに展開し、上述の方法に従って、信号群に抽出範囲を設定する。ここで、画像処理回路20は、各トラック番号の切出し期間を、たとえば、内部の固定クロックカウントすることにより取得し、取得した切出し期間(クロック数)に基づいて、式(1)の演算を実行する。そして、画像処理回路20は、算出したシフト値に基づいて、各トラック番号の信号群に対して抽出範囲を設定する。そして、各抽出範囲の信号を内部メモリ上の蛍光画像用のメモリ領域にマッピングして、蛍光画像を生成する。

0111

なお、図12には、1つのエリアの1つのゾーンから取得した蛍光信号を切出し部13で切出した信号群から蛍光画像を生成する方法を示したが、1つのエリアに配置された試料収容部101bに対応する領域には、径方向に複数のゾーンが設定されている。したがって、試料収容部101b全体の蛍光画像を取得する場合は、各ゾーンについて取得した蛍光画像を、径方向に統合する処理が行われる。画像処理回路20は、各ゾーンについて取得した蛍光画像を径方向に統合して、試料収容部101b全体の蛍光画像を生成する。

0112

また、図12には、1つのトラック番号の信号群に対して、10の抽出範囲が設定されたが、1つのトラック番号の信号群に対して設定される抽出範囲の数は、10に限られるものではなく、実際の処理においては、数段多い数の抽出範囲が信号群に設定される。この場合、蛍光画像用のメモリ領域に設定される分割領域Wの数もまた、抽出範囲の数に応じて変更される。

0113

<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。

0114

図5(a)〜図6(f)を参照して説明したとおり、試料収容ディスク100は、試料収容部101bを跨ぐ各トラック部分Taに、トラック102cの走査方向における試料収容部101bの上手側と下手側に、それぞれ、同期調整用の信号(フィールドF4の信号V3、フッター領域FT1の識別信号)がディスク径方向に揃うように記録されている。このため、試料収容ディスク100に回転ムラが生じた場合に、上手側の同期調整用の信号(フィールドF4の信号V3)が検出されてから下手側の同期調整用の信号(フッター領域FT1の識別信号)が検出されるまでの時間(切出し期間)によって、各トラック部分Taから取得された蛍光信号の同期ずれを検出できる。

0115

すなわち、試料収容ディスク100の回転速度が遅くなるほど、上手側の同期調整用の信号(フィールドF4の信号V3)が検出されてから下手側の同期調整用の信号(フッター領域FT1の識別信号)が検出されるまでの時間が長くなる。この時間をトラック部分Ta間で比較することにより、各トラック部分Taから取得された蛍光信号の間にどの程度の同期ずれが生じているかを検出でき、検出結果に応じて、蛍光信号間の同期ずれを補正できる。よって、より高品質の蛍光画像を取得することができる。

0116

具体的には、蛍光検出装置1の画像処理回路20は、上手側の同期調整用の信号(フィールドF4の信号V3)が検出されてから下手側の同期調整用の信号(フッター領域FT1の識別信号)が検出されるまでの時間(切出し期間)を測定し、測定した時間(切出し期間)に基づいて、切出し部13によって切出された各トラック部分Taに対応する信号群の同期ずれを補正して、蛍光画像を生成する。これにより、蛍光画像の品質を高めることができ、試料に含まれた対象細胞を画像処理により精度良く検出することができる。

0117

ここで、画像処理回路20は、図12に示すように、蛍光画像上のラインL0〜Lmを複数の領域に分割し、各分割領域Wに割り当てる信号群の抽出範囲を、測定した時間(切出し期間)に基づいて設定する。

0118

具体的には、画像処理回路20は、試料収容部101bを横切るトラック部分Taのうち、基準となるトラック部分Ta(トラック番号T0)に対して測定した時間(切出し期間C0)と、その他のトラック部分Ta(トラック番号T2〜Tm)に対して測定した時間(切出し期間C2〜Cm)とに基づいて、式(1)によりシフト値Dnを求め、求めたシフト値Dnに従って、トラック部分Ta(トラック番号T2〜Tm)から取得した信号群に抽出範囲を設定し、各抽出範囲に含まれる信号を、それぞれ、対応する分割領域にマッピングする。これにより、各分割領域Wに配置される信号間の同期ずれを効果的に解消できる。よって、高品質の蛍光画像を取得することができる。

0119

試料収容ディスク100は、ディスク周方向にエリアA0〜A8に区分され、各エリアは、ディスク周方向の2つの境界がそれぞれディスク中心から放射状に延びている。そして、エリアA0〜A8にそれぞれ試料収容部101bが配置され、各エリアに含まれるトラック部分Taが試料収容部101bを跨いでいる。これにより、試料収容ディスク100を角速度一定で回転させると、各エリアに含まれるトラック部分Taは、全て同じ時間長で走査される。よって、全てのトラック部分Taに対して一律に同じ信号フォーマットを適用することができる。

0120

ディスク周方向におけるエリアA0〜A8の角度範囲は、互いに等しく設定されている。このため、全てのエリアA0〜A8から同様の処理により、蛍光信号を切出すことができる。

0121

また、図3(b)に示すように、試料収容ディスク100は、ディスク径方向に複数のゾーンZ0〜Znに区分され、各ゾーンのトラック部分Taには、角速度一定で信号が記録されている。ここで、ゾーンZ0〜Znの角速度は、各ゾーンのディスク径方向の中央位置にあるトラック部分Taの線速度が互いに同じとなるように設定されている。このように複数のゾーンZ0〜Znを設定してゾーン間の角速度を調整することにより、ディスク内周側の線速度とディスク外周側の線速度の差を抑制することができ、何れのゾーンに対しても、蛍光信号の切出しと、トラック部分Taからの信号の読み出しを、安定的に行うことができる。

0122

<変更例1>
上記実施形態では、式(1)の演算により求めたシフト値Dnに基づいて、それぞれの抽出範囲が設定された。本変更例では、こうして設定された抽出範囲とその上段の抽出範囲との間で信号間の相関係数が求められ、最も相関係数が高い位置に、抽出範囲が再設定される。

0123

図14は、抽出範囲の再設定方法を示す図である。

0124

図14の上段には、トラック番号T0の抽出範囲R01とトラック番号T1の抽出範囲R11との関係が模式的に示され、図14の下段には、抽出範囲R11を1画素ずつずらしたときの抽出範囲R11の信号群と抽出範囲R01の信号群との相関係数の一例が示されている。

0125

たとえば、トラック番号T1の信号群に対して式(1)の演算により上流側から1番目の抽出範囲(以下、「対象抽出範囲」という)R11が設定されたとする。この場合、対象抽出範囲R11の信号とその上段の抽出範囲、すなわち、トラック番号T0の上流側から1番目の抽出範囲(以下、「参照抽出範囲」という)R01の信号との間で、相関係数が求められる。さらに、所定の探索範囲において、対象抽出範囲R11を初期の設定位置PD0から上流側および下流側に1画素ずつずらしながら、参照抽出範囲R01との相関係数がそれぞれ求められる。そして、相関係数が最大となる対象抽出範囲R11の位置が探索される。

0126

この探索では、たとえば、対象抽出範囲R11を所定位置から上流側に10画素シフトさせる範囲において連続的に相関係数が減少し続け、且つ、この所定位置から対象抽出範囲R11を下流側に10画素シフトさせる範囲においても連続的に相関係数が減少し続けた場合に、当該所定位置が、相関係数が最大となる位置に特定される。図14の例では、初期設定位置PD0から上流側にΔPだけシフトした位置PDaが、相関係数が最大となる位置である。そして、当該所定位置における相関係数が、所定の閾値SH(たとえば、0.9)を超えている場合に、当該所定位置における対象抽出範囲R11が、トラック番号T1の信号群に対する上流側から1番目の抽出範囲に設定される。当該所定位置における相関係数が閾値を超えていない場合は、探索範囲を広げて、再度、同様の探索が行われる。

0127

同様の処理が、トラック番号T1のその他の抽出範囲に対して行われ、各抽出範囲が再設定される。あるいは、トラック番号T1の最も下流側(図12の例では上流側から10番目)の抽出範囲に対して同様の処理が行われ、トラック番号T1のその他の抽出範囲に対しては、最も上流側の抽出範囲の補正量と最も下流側の抽出範囲の補正量を比例分配した補正量で、再設定が行われてもよい。

0128

たとえば、最も上流側にある1番目の抽出範囲が、式(1)により設定した位置から、相関係数による処理により下流側に1画素シフトした位置に再設定され、最も下流側にある10番目の抽出範囲が、式(1)により設定した位置から、相関係数による処理により下流側に10画素シフトした位置に再設定された場合、2番目〜9番目の抽出範囲は、それぞれ、式(1)により設定した位置から、2、3、4、5、6、7、8、9画素だけ下流側にシフトした位置に再設定される。なお、各抽出範囲に比例分配される補正量は、小数点以下が四捨五入されて、各抽出範囲に適用される。

0129

トラック番号T2〜Tmの信号群に設定される抽出範囲も、同様の処理により補正される。すなわち、トラック番号Tiのn番目の抽出範囲に対しては、トラック番号Ti−1のn番目の抽出範囲を参照抽出範囲として上記の処理が行われ、式(1)により設定された抽出範囲から補正される。

0130

変更例1によれば、相関係数に基づく処理により、信号群間の同期ずれがさらに抑制されるため、より高品質の蛍光画像を生成できる。また、予め、式(1)による処理により抽出範囲が設定された状態で相関係数による処理が行われるため、相関係数の探索範囲をさほど広げなくとも、相関係数が最大となる位置を円滑に探索できる。よって、処理負荷を抑えながら円滑に、相関係数に基づく抽出範囲の再設定処理を行うことができる。

0131

なお、変更例1における相関係数に基づく同期補正処理も、図9の画像処理回路20によって行われる。

0132

<変更例2>
上記実施形態では、式(1)により求めたシフト値Dnにより各抽出範囲を調整して、信号群の同期ずれを補正するようにした。これに対し、変更例2では、図12上段の信号群を、切出し期間に基づいて、間引きあるいは補間することにより、信号群の同期ずれが補正される。ここでは、まず、以下の式により、基準となるトラック番号T0の切出し期間C0と、補正対象のトラック番号Tiの切出し期間Ciとの関係を示す指標Giが求められる。

0133

Gi={(Ci/C0)−1} … (2)

0134

次に、求めた指標Giに基づいて、トラック番号Tiの信号群に対して間引きまたは補間の処理が実行される。ここで、指標Giが正であれば間引き処理が行われ、指標Giが負であれば補間処理が行われる。間引きおよび補間は、指標Giの絶対値の逆数により求まる画素数ごとに行われる。

0135

たとえば、指標Giが+0.001の場合、トラック番号Tiの信号群に対して、最上流側の画素位置から1000画素ごとに信号を間引く処理が行われ、間引かれた信号の位置より下流側の信号が1画素ずつ上流側にシフトされる。また、指標Giが−0.001の場合、トラック番号Tiの信号群に対して、最上流側の画素位置から1000画素ごとに信号を補間する処理が行われ、補間された信号の位置より下流側の信号が1画素ずつ下流側にシフトされる。補間される信号は、たとえば、補間位置の両隣にある信号の平均値とされる。

0136

変更例2では、トラック番号T2〜Tmの信号群に対してそれぞれ上述の間引きまたは補間の処理が行われた後、全てのトラック番号の信号群に対して、画素位置P1と画素位置P11との範囲の信号が抽出されて、蛍光画像用のメモリ領域にマッピングされる。すなわち、変更例2では、図12の下段のように、蛍光画像用のメモリ領域が複数の分割領域Wに分割されることなく、画素位置P1と画素位置P11との範囲の信号が、それぞれ、対応するラインにそのままマッピングされる。

0137

変更例2による補正処理によっても、上記実施形態と同様、高品質の画像を得ることができる。ただし、上記実施形態では、分割領域Wに対応する抽出範囲ごとに同期ずれが補正されるため、より適切な同期補正が実現され得る。よって、より高品質の蛍光画像を得るためには、上記実施形態による同期補正を用いることが好ましく、さらに変更例1による相関係数による処理を適用することにより、より一層高品質の蛍光画像を得ることができる。

0138

なお、変更例2による同期補正処理も、図9の画像処理回路20によって行われる。

0139

<その他の変更例>
上記実施形態では、試料収容ディスク100の領域がディスク周方向に9つに区分されたが、試料収容ディスク100の領域がディスク周方向において区分される数はこれに限られるものではない。

0140

また、試料収容部101bの形状や試料収容部101bの内部構造も、図1(a)、(b)に示した形態以外に適宜変更可能である。さらに、1つのトラック部分Taに設定する信号フォーマットも、図5(a)のフォーマットから適宜所定のフィールドを削除または変更し、あるいは、新たなフィールドを追加することも可能である。また、各フィールドに記録される信号の内容も、図6(a)〜(f)に示したものから適宜変更可能である。

0141

また、平面視における試料収容部101bの形状は、必ずしも台形でなくてもよく、他の形状であってもよい。また、上記実施形態では、レーザ光がグルーブを走査する構成であったが、レーザ光がランドを走査する構成や、レーザ光がグルーブとランドの両方を走査する構成であってもよい。

0142

また、図15に示すように、第2基板102(半透過膜102d)にグルーブとランドを形成することなく螺旋状に並ぶピット113の列を形成し、このピット113の列によってトラック102cを形成する構造であってもよい。この場合も、上記実施形態と同様、ピット113と、周方向に隣り合うピット113間のスペースとによって、信号が記録される。

0143

本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。

0144

1 …蛍光検出装置
11 …信号検出部
13 … 切出し部
20 …画像処理回路(画像処理部)
100 …試料収容ディスク
101b … 試料収容部
102 … 第2基板(基板)
102c …トラック
111 …グルーブ
113 …ピット
200 …蛍光検出用ピックアップ(走査部)
210 …光検出器
211 …蛍光検出器
220 …スピンドルモータ(走査部)
240 …スレッドモータ(走査部)
Ta …トラック部分
A0〜A8 …エリア
Z0〜Zn … ゾーン

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 国立研究開発法人国立成育医療研究センターの「 非破壊的な細胞解析方法」が 公開されました。( 2020/08/31)

    【課題】本発明は、分化細胞、間葉系幹細胞など多能性細胞等の細胞種等を非破壊的に検査及び解析する方法を提供することを目的とする。また、本発明は細胞の状態、例えば、老化、活性度、多能性、分化指向性、有効性... 詳細

  • 株式会社フコクの「 マイクロ流路チップ」が 公開されました。( 2020/08/31)

    【課題】簡易な構成によって試験液のオーバーフローを防止することのできる、マイクロ流路チップを提供する。【解決手段】試験液導入口と、1つの前記試験液導入口に対し、試験液と反応する薬剤が配置される複数の反... 詳細

  • 大学共同利用機関法人自然科学研究機構の「 測定装置」が 公開されました。( 2020/08/31)

    【課題】複数の測定試料について例えば酸素濃度等に基づく光合成活性や呼吸活性等の活性を同時に測定できる測定装置を提供することを目的とする。【解決手段】測定装置1は、試料測定室となる凹部10を複数備えた測... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ