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技術 電気粘性流体内蔵機器

出願人 日立オートモティブシステムズ株式会社
発明者 五十嵐大介南部達郎浅沼道裕
出願日 2017年1月17日 (3年9ヶ月経過) 出願番号 2017-005483
公開日 2020年3月26日 (7ヶ月経過) 公開番号 2020-045905
状態 未査定
技術分野 油圧・電磁・流体クラッチ・流体継手 流体減衰装置
主要キーワード 増加係数 電気定数 比例制御器 内蔵機器 想定値 静電容量成分 ソフトスタート制御 時間超過
関連する未来課題
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図面 (16)

課題

電気粘性流体電気定数バラツキ経年変化があった場合に、負荷電圧応答性の低下やオーバーシュートが発生する。

解決手段

上記の問題を解決するため、本発明の電気粘性流体内蔵機器は、印加電圧に応じて粘性が変化する電気粘性流体を内蔵した電気粘性流体内蔵機器であって、前記電気粘性流体に負荷電圧を印加する電圧印加手段と、負荷電圧指令値に基づいて前記電圧印加手段を制御する負荷電圧制御手段と、前記電気粘性流体の負荷電圧を検出する負荷電圧検出手段と、前記電気粘性流体の充電時の充電電流値補正する充電電流制限手段と、を備え、該充電電流制限手段は、前記負荷電圧検出手段が検出した負荷電圧の変化率に基づいて、前記充電電流値を補正するものとした。

概要

背景

電気粘性流体(Electro-Rheological Fluid、以下「ERF」と称する。)は、外部から電場印加することでその粘性を変化させることができる流体である。ERFは、可動部を用いることなく、電場制御によって流体の粘性を直接制御できるため、応答性が高いという利点がある。ERFの応用目的としては、衝撃吸収トルク制御振動制御などが挙げられ、ERFを利用した具体的な電気粘性流体内蔵機器として、ERFダンパ、ERFクラッチ、ERFエンジンマウントなどが挙げられる。

特許文献1では、上述した電気粘性流体に代え、磁場を印加することでその粘性を変化させることができる磁気粘性流体を用いて、コイルに流れる電流に応じた減衰力を出力する減衰力可変ショックアブソーバが開示されている。例えば、同文献の段落0012には「磁性流体や磁気粘性流体を作動液としてコイルに印加する電流により減衰力を設定してもよく」との記載があり、コイル温度の変化による減衰力可変ショックアブソーバの応答性の低下を磁性流体や磁気粘性流体の減衰力を調整することで抑制する方法が開示されている。

概要

電気粘性流体の電気定数バラツキ経年変化があった場合に、負荷電圧の応答性の低下やオーバーシュートが発生する。 上記の問題を解決するため、本発明の電気粘性流体内蔵機器は、印加電圧に応じて粘性が変化する電気粘性流体を内蔵した電気粘性流体内蔵機器であって、前記電気粘性流体に負荷電圧を印加する電圧印加手段と、負荷電圧指令値に基づいて前記電圧印加手段を制御する負荷電圧制御手段と、前記電気粘性流体の負荷電圧を検出する負荷電圧検出手段と、前記電気粘性流体の充電時の充電電流値補正する充電電流制限手段と、を備え、該充電電流制限手段は、前記負荷電圧検出手段が検出した負荷電圧の変化率に基づいて、前記充電電流値を補正するものとした。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

印加電圧に応じて粘性が変化する電気粘性流体を内蔵した電気粘性流体内蔵機器であって、前記電気粘性流体に負荷電圧印加する電圧印加手段と、負荷電圧指令値に基づいて前記電圧印加手段を制御する負荷電圧制御手段と、前記電気粘性流体の負荷電圧を検出する負荷電圧検出手段と、前記電気粘性流体の充電時の充電電流値補正する充電電流制限手段と、を備え、該充電電流制限手段は、前記負荷電圧検出手段が検出した負荷電圧の変化率に基づいて、前記充電電流値を補正することを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項2

請求項1に記載の電気粘性流体内蔵機器において、前記負荷電圧の変化率とは、負荷電圧充電時の負荷電圧の変化率であることを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項3

請求項2に記載の電気粘性流体内蔵機器において、前記負荷電圧の変化率の低下時に前記充電電流値を増加させることを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項4

請求項2に記載の電気粘性流体内蔵機器において、前記負荷電圧の変化率の上昇時に前記充電電流値を減少させることを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項5

請求項1に記載の電気粘性流体内蔵機器において、前記負荷電圧の変化率とは、負荷電圧放電時の負荷電圧の変化率であることを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項6

請求項5に記載の電気粘性流体内蔵機器において、前記負荷電圧の変化率の上昇時に前記充電電流値を増加させることを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項7

請求項5に記載の電気粘性流体内蔵機器において、前記負荷電圧の変化率の低下時に前記充電電流値を減少させることを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項8

請求項1から7の何れか一項に記載の電気粘性流体内蔵機器において、前記負荷電圧指令値と負荷電圧検出手段が検出した負荷電圧の差が一定値以上のときの負荷電圧の変化率を用いて前記充電電流値を補正することを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項9

請求項1から7の何れか一項に記載の電気粘性流体内蔵機器において、前記電気粘性流体の温度が一定値以下もしくは一定値以上のときの前記負荷電圧の変化率を用いて前記充電電流値を補正することを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項10

請求項1から7の何れか一項に記載の電気粘性流体内蔵機器において、前記負荷電圧検出手段の遅れ時間が負荷電圧の充電時間の2分の1以下であることを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項11

請求項1から7の何れか一項に記載の電気粘性流体内蔵機器において、前記負荷電圧の変化率の過度な上昇や低下が検出された場合に前記電気粘性流体の劣化が発生したと診断して、外部出力手段を用いて外部にアラームを出力することを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項12

印加電圧に応じて粘性が変化する電気粘性流体を内蔵した電気粘性流体内蔵機器であって、前記電気粘性流体に負荷電圧を印加する電圧印加手段と、負荷電圧指令値に基づいて前記電圧印加手段を制御する負荷電圧制御手段と、前記電気粘性流体の抵抗値を測定する抵抗値測定手段と、前記電気粘性流体の充電時の充電電流値を補正する充電電流制限手段と、を備え、該充電電流制限手段は、前記抵抗値測定手段が検出した抵抗値に基づいて、前記充電電流値を補正することを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項13

請求項12に記載の電気粘性流体内蔵機器において、前記抵抗値の減少時に前記充電電流値を増加させることを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項14

請求項12に記載の電気粘性流体内蔵機器において、前記抵抗値の増加時に前記充電電流値を減少させることを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項15

請求項12から14の何れか一項に記載の電気粘性流体内蔵機器において、前記電気粘性流体の温度が一定値以下もしくは一定値以上のときの前記抵抗値を用いて前記充電電流値を補正することを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項16

請求項12から14の何れか一項に記載の電気粘性流体内蔵機器において、前記抵抗値の過度な上昇や低下が検出された場合に電気粘性流体の劣化が発生したと診断して、外部出力手段を用いて外部にアラームを出力することを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項17

請求項1から7または請求項11から13の何れか一項に記載の電気粘性流体内蔵機器において、前記充電電流値の補正は、前記充電電流値を制限する充電電流制限値を補正することで実現したことを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項18

請求項17に記載の電気粘性流体内蔵機器において、前記充電電流制限値の補正は、段階的に増加する充電電流制限値の各段階を正常時よりも増加または減少させることで実現したことを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項19

請求項17に記載の電気粘性流体内蔵機器において、前記充電電流制限値の補正は、漸次増加する充電電流制限値の傾きを正常時よりも増加または減少させることで実現したことを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項20

請求項1から7または請求項11から13の何れか一項に記載の電気粘性流体内蔵機器において、前記充電電流値の補正は、前記電気粘性流体の充電時の負荷電圧指令制限値を補正することで実現したことを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項21

請求項20に記載の電気粘性流体内蔵機器において、前記負荷電圧指令制限値の補正は、漸次増加する負荷電圧指令制限値の傾きを正常時よりも増加または減少させることで実現したことを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

請求項22

請求項20に記載の電気粘性流体内蔵機器において、前記負荷電圧指令制限値の補正は、段階的に増加する負荷電圧指令制限値の各段階を正常時よりも増加または減少させることで実現したことを特徴とする電気粘性流体内蔵機器。

技術分野

0001

本発明は、電気粘性流体を内蔵したダンパクラッチエンジンマウントなどの電気粘性流体内蔵機器に関する。

背景技術

0002

電気粘性流体(Electro-Rheological Fluid、以下「ERF」と称する。)は、外部から電場印加することでその粘性を変化させることができる流体である。ERFは、可動部を用いることなく、電場制御によって流体の粘性を直接制御できるため、応答性が高いという利点がある。ERFの応用目的としては、衝撃吸収トルク制御振動制御などが挙げられ、ERFを利用した具体的な電気粘性流体内蔵機器として、ERFダンパ、ERFクラッチ、ERFエンジンマウントなどが挙げられる。

0003

特許文献1では、上述した電気粘性流体に代え、磁場を印加することでその粘性を変化させることができる磁気粘性流体を用いて、コイルに流れる電流に応じた減衰力を出力する減衰力可変ショックアブソーバが開示されている。例えば、同文献の段落0012には「磁性流体や磁気粘性流体を作動液としてコイルに印加する電流により減衰力を設定してもよく」との記載があり、コイル温度の変化による減衰力可変ショックアブソーバの応答性の低下を磁性流体や磁気粘性流体の減衰力を調整することで抑制する方法が開示されている。

先行技術

0004

特開2015−120413号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1に開示の技術では、コイル温度の変化を踏まえた磁気粘性流体の補正が開示されているものの、磁気粘性流体の特性のバラツキ経年変化に応じた補正は考慮されていないため、磁気粘性流体の特性にバラツキがあった場合や経年変化があった場合に、ダンパ、クラッチ、エンジンマウント等の機器の応答性の低下やオーバーシュートが発生するという問題がある。

課題を解決するための手段

0006

上記の問題を解決するため、本発明の電気粘性流体内蔵機器は、印加電圧に応じて粘性が変化する電気粘性流体を内蔵した電気粘性流体内蔵機器であって、前記電気粘性流体に負荷電圧を印加する電圧印加手段と、負荷電圧指令値に基づいて前記電圧印加手段を制御する負荷電圧制御手段と、前記電気粘性流体の負荷電圧を検出する負荷電圧検出手段と、前記電気粘性流体の充電時の充電電流値を補正する充電電流制限手段と、を備え、該充電電流制限手段は、前記負荷電圧検出手段が検出した負荷電圧の変化率に基づいて、前記充電電流値を補正するものとした。

0007

また、印加電圧に応じて粘性が変化する電気粘性流体を内蔵した電気粘性流体内蔵機器であって、前記電気粘性流体に負荷電圧を印加する電圧印加手段と、負荷電圧指令値に基づいて前記電圧印加手段を制御する負荷電圧制御手段と、前記電気粘性流体の抵抗値を測定する抵抗値測定手段と、前記電気粘性流体の充電時の充電電流値を補正する充電電流制限手段と、を備え、該充電電流制限手段は、前記抵抗値測定手段が検出した抵抗値に基づいて、前記充電電流値を補正するものとした。

発明の効果

0008

本発明によれば、電気粘性流体内蔵機器が内蔵するERFのバラツキや経年変化などで、ERFの電気定数想定値実際値との間に差異が生じた場合であっても、負荷電圧の応答性の低下やオーバーシュートの発生を抑制し、電気粘性流体内蔵機器としての性能劣化を抑制することができる。

図面の簡単な説明

0009

実施例1の電気粘性流体内蔵機器の基本構成図。
従来技術の課題を説明するための図。
実施例1における充電電流の補正方針(負荷電圧変化率の低下時)を説明するための図。
実施例1における充電電流の補正方針 (負荷電圧変化率の上昇時)を説明するための図。
実施例1における充電電流制限値漸次変化させたときの充電電流の補正方針 (負荷電圧変化率の低下時)を説明するための図。
実施例1における負荷電圧充電時の負荷電圧変化率の測定方法を示す図。
実施例1における負荷電圧放電時の負荷電圧変化率の測定方法を示す図。
実施例1における充電電流制限値増加率係数算出方法フローチャートを示す図。
ERFの抵抗成分にバラツキがない場合とバラツキが−20%あった場合(補正なし)の負荷電圧、充電電流制限値、充電電流の時間変化の様子を示す図。
ERFの抵抗成分にバラツキがない場合とバラツキが−20%あった場合(補正あり)の負荷電圧、充電電流制限値、充電電流の時間変化の様子を示す図。
実施例2の電気粘性流体内蔵機器の基本構成図。
実施例2における充電電流の補正方針 (負荷電圧変化率の低下時)を説明するための図。
実施例2における負荷電圧指令制限値増加率係数の算出方法のフローチャートを示す図。
実施例3の電気粘性流体内蔵機器の基本構成図。
実施例3における充電電流制限値増加率係数の算出方法のフローチャートを示す図。

0010

以下、本発明の実施例を図面ともに説明する。なお、以下の実施例は本発明の一形態を示すものであり、本発明は要旨を逸脱しない限り、他の形態を含むものである。

0011

まず、図1図10を用いて、実施例1の電気粘性流体内蔵機器について説明する。

0012

図1は、実施例1の電気粘性流体内蔵機器11の基本構成を示す図であり、これを用いて、電気粘性流体内蔵機器11の基本構成、および、負荷電圧充電時と放電時の動作を説明する。なお、電気粘性流体内蔵機器11は具体的には、ERFダンパ、ERFクラッチ、ERFエンジンマウントなどであるが、これらとして機能するために必須の構成は周知であるので、以下では、それらの詳細な説明を省略している。

0013

図1に示すように、電気粘性流体内蔵機器11は、印加電圧に応じて粘性が変化するERF14と、ERF14に負荷電圧を印加する昇圧回路10と、昇圧回路10を制御する負荷電圧制御部20と、負荷電圧制御部20に負荷電圧指令値Vrefを与える負荷電圧指令値算出部15とから構成されている。また、電気粘性流体内蔵機器11は、直流電源1から直流電力が供給されるとともに、ERF粘度指令値μrefが図示しない上位制御装置から入力される。以下、各々の構成を詳細に説明する。

0014

昇圧回路10は、入力側平滑コンデンサ2、昇圧トランス3、半導体スイッチング素子4、半導体スイッチング素子駆動回路5、整流ダイオード6、出力側平滑コンデンサ7、放電抵抗8、負荷電圧Vloadを検出する負荷電圧検出部9、および、充電電流Iloadを検出する充電電流検出部16を備え、直流電源1から供給される直流電力を昇圧し、ERF14に印加する負荷電圧Vloadを出力するものである。

0015

ERF14は、静電容量成分12と抵抗成分13を有する、昇圧回路10の負荷であり、昇圧回路10によって高電圧直流電圧である負荷電圧Vloadが印加される。ERF14に印加する直流電圧を制御することで、ERFダンパ、ERFクラッチ、ERFエンジンマウント等に内蔵される電気粘性流体の特性を適切に制御することができる。

0016

負荷電圧指令値算出部15は、図示しない上位制御装置から入力された、ERF粘度指令値μrefが指定する粘度を実現するための負荷電圧指令値Vrefを算出するものである。

0017

負荷電圧制御部20は、充電電流指令算出部21、PWMパルス生成部22、負荷電圧変化率測定部23、充電電流制限部27からなる。また、充電電流制限部27は、充電電流制限値増加係数算出部24、充電電流制限値算出部25、制限後の充電電流指令値算出部26を備える。この負荷電圧制御部20は、負荷電圧指令値算出部15が出力した負荷電圧指令値Vrefと、負荷電圧検出部9が検出した負荷電圧Vloadが入力され、ERF14に印加する負荷電圧Vloadを負荷電圧指令値Vrefの指定値に制御するオンオフ信号Vgを出力する。これにより、電気粘性流体内蔵機器11に内蔵されたERF14の粘度を、ERF粘度指令値μrefが指定する値に制御することができる。

0018

次に、昇圧回路10の負荷電圧充電時の動作について説明する。上述したように、負荷電圧制御部20には負荷電圧指令値Vrefと負荷電圧Vloadが入力される。負荷電圧制御部20は、比例制御器(P制御器)や比例積分制御器PI制御器)などにより負荷電圧指令値と負荷電圧の差Verrがなくなるように、充電電流指令算出部21にて充電電流指令値(制限なし)Iload_refを算出し、充電電流制限部27に出力する。充電電流制限部27では、充電電流指令値(制限なし)Iload_refを充電電流制限値Iload_limで制限し、充電電流指令値(制限あり)Iload_ref’を出力する。また、充電電流制限部27では負荷電圧変化率Vcrに基づいて、充電電流制限値Iload_limを補正する。

0019

ここで、負荷電圧変化率Vcrは、負荷電圧Vloadと負荷電圧指令値と負荷電圧の差Verrから負荷電圧変化率測定部23で測定されるものである。負荷電圧変化率測定部23は測定した負荷電圧変化率Vcrを充電電流制限値増加係数算出部24に出力する。充電電流制限値増加係数算出部24は、負荷電圧変化率Vcrに基づいて、充電電流制限値増加率係数Ki_loadを算出し、充電電流制限値算出部25に出力する。充電電流制限値算出部25は、充電電流制限値増加率係数Ki_loadに応じて、充電電流制限値Iload_limを補正し、制限後の充電電流指令値算出部26に出力する。制限後の充電電流指令値算出部26は、充電電流指令値(制限なし)Iload_refを充電電流制限値Iload_limで制限した制限後の充電電流指令値(制限あり)Iload_ref’をPWMパルス生成部22に出力する。

0020

PWMパルス生成部22は、制限後の充電電流指令値(制限あり)Iload_ref’を元に半導体スイッチング素子4へのオンオフ信号Vgを生成し、半導体スイッチング素子駆動回路5に出力する。半導体スイッチング素子駆動回路5は、オンオフ信号Vgに応じて半導体スイッチング素子4をオンオフ駆動させる。半導体スイッチング素子4のオン時は入力側平滑コンデンサ2から昇圧トランス3の励磁インダクタンスエネルギーが蓄えられる。そして、半導体スイッチング素子4のオフ時に昇圧トランス3の励磁インダクタンスに蓄積されたエネルギーが二次側に放出され、このエネルギーによって整流ダイオード6を介して、出力側平滑コンデンサ7とERF14の両端に負荷電圧Vloadが充電される。なお、負荷電圧変化率測定部23や充電電流制限部27は演算ではなく電気回路によって実現してもよい。

0021

図1の昇圧回路10の負荷電圧放電時は、ERF14の静電容量成分12および出力側平滑コンデンサ7に充電された負荷電圧Vloadが、ERF14の抵抗成分13と、放電抵抗8によって放電される。放電時間は、ERF14の静電容量成分12と抵抗成分13および出力側平滑コンデンサ7、放電抵抗8による放電時定数によって決まる。放電期間中は、半導体スイッチング素子4はオフ状態となり、昇圧トランス3からのエネルギーの供給は停止される。

0022

図2を用いて、従来技術の課題を説明する。図2(a)には負荷電圧検出部9で検出した負荷電圧Vload、図2(b)には充電電流検出部16で検出した充電電流Iloadの時間変化を示す。なお、図2図4では、負荷電圧変化率正常時の充電電流Iload_typ.に示すように、充電時の充電電流の制限値を段階的に増加させる電流型ソフトスタート制御を用いることを想定している。

0023

ERF14の静電容量成分12や抵抗成分13のバラツキや経年変化により、想定値に対して、静電容量成分12が大きかった場合もしくは抵抗成分13が小さかった場合は、図2(a)の負荷電圧変化率低下時の負荷電圧(補正なし)Vload_dec(点線)のように、負荷電圧変化率正常時の負荷電圧Vload_typ.(実線)と比較して、負荷電圧Vloadの応答性が低下し、目標充電時間Ttargetを超過してしまっている。つまり、想定時間内にERF14の特性を切り替えることに失敗してる。この充電時間超過の原因は、図2(b)の負荷電圧変化率正常時の充電電流Iload_typ.(実線)と比較して、負荷電圧変化率低下時の充電電流(補正なし)Iload_dec(点線)が増加していることからもわかるように、負荷電圧Vloadを負荷電圧指定値Vrefまで充電するために必要な電荷量が増加したためである。

0024

また、ERF14の静電容量成分12や抵抗成分13のバラツキや経年変化により、想定値に対して、静電容量成分12が小さかった場合もしくは抵抗成分13が大きかった場合は、図2(a)の負荷電圧変化率上昇時の負荷電圧(補正なし)Vload_ri(一点鎖線)のように、オーバーシュートが発生する恐れがある。この負荷電圧のオーバーシュートの原因は、図2(b)の負荷電圧変化率正常時の充電電流Iload_typ.(実線)と比較して、負荷電圧変化率上昇時の充電電流(補正なし)Iload_ri(一点鎖線)が減少していることからもわかるように、負荷電圧Vloadを負荷電圧指定値Vrefまで充電するために必要な電荷量が減少したためである。

0025

図2の考察を踏まえ、本実施例に係る図3を用いて、負荷電圧変化率が低下した場合における充電電流の補正方針を説明する。図3(a)には負荷電圧Vload、図3(b)には充電電流Iload、図3(c)には充電電流制限値Iload_limの時間変化を示す。充電電流制限部27では、ERF14の電気定数が想定と異なったことが原因で負荷電圧変化率が低下したことを検出し、負荷電圧変化率低下時の充電電流制限値(補正なし)Iload_lim_dec(点線)と比較して、負荷電圧変化率低下時の充電電流制限値(補正あり)Iload_lim_dec’の各段階における充電電流制限値Iload_lim(破線)を増加させる方向に補正している。なお、図3(c)では、負荷電圧変化率正常時の充電電流制限値Iload_lim_typ.が負荷電圧変化率低下時の充電電流制限値(補正なし)Iload_lim_decと同等であるため図示は省略する。

0026

図3(c)に示した充電電流制限値Iload_limの補正により、図3(b)の負荷電圧変化率低下時の充電電流(補正あり)Iload_dec’(破線)では、負荷電圧変化率低下時の充電電流(補正なし)Iload_dec(点線)と比較して各段階における充電電流値が増加している。そして、図3(b)に示した充電電流Iloadの補正により、図3(a)の負荷電圧変化率低下時の負荷電圧(補正あり)Vload_dec’(破線)に示すように、負荷電圧変化率低下時の負荷電圧(補正なし)Vload_dec(点線)に比べ、負荷電圧Vloadの応答性の低下を抑制し、目標充電時間Ttarget以内に負荷電圧指令値Vrefが指定する電圧への充電を完了している。

0027

このように、本実施例により従来技術では考慮されていなかったバラツキや経年変化などでERF14の電気定数の想定値と実際値との間に差異が生じた場合の負荷電圧の応答性低下を抑制することができる。さらに、本実施例では負荷電圧変化率Vcrから負荷電圧Vloadの応答性低下を検出するため、ERFの電気定数のバラツキや経年変化だけでなく、出力側平滑コンデンサ7や放電抵抗8などの負荷電圧Vloadの応答性に影響する部品定数のバラツキや経年変化による負荷電圧Vloadの応答性低下も抑制することができる。

0028

次に、図4を用いて、負荷電圧変化率が上昇した場合における充電電流の補正方針を説明する。図4(a)には負荷電圧Vload、図4(b)には充電電流Iload、図4(c)には充電電流制限値Iload_limの時間変化を示す。充電電流制限部27では、ERF14の電気定数が想定と異なったことが原因で負荷電圧変化率が増加したことを検出し、図4(c)の負荷電圧変化率上昇時の充電電流制限値(補正なし)Iload_lim_ri(点線)と比較して、負荷電圧変化率上昇時の充電電流制限値(補正あり)Iload_lim_ri’(破線)の各段階における充電電流制限値Iload_limを減少させる方向に補正している。なお、図4(c)では、負荷電圧変化率正常時の充電電流制限値Iload_lim_typ.が負荷電圧変化率上昇時の充電電流制限値(補正なし)Iload_lim_riと同等であるため図示は省略する。

0029

図4(c)に示した充電電流制限値Iload_limの補正により、図4(b)の負荷電圧変化率上昇時の充電電流(補正あり)Iload_ri’(破線)では、負荷電圧変化率上昇時の充電電流(補正なし)Iload_ri(点線)と比較して各段階における充電電流値が減少している。そして、図4(b)に示した充電電流Iloadの補正により、図4(a)の負荷電圧変化率上昇時の負荷電圧(補正あり)Vload_ri’(破線)に示すように、負荷電圧変化率上昇時の負荷電圧(補正なし)Vload_ri(点線)に比べ、負荷電圧Vloadのオーバーシュートを抑制することができている。

0030

このように、本実施例により従来技術では考慮されていなかったバラツキや経年変化などでERF14の電気定数の想定値と実際値との間に差異が生じた場合の負荷電圧Vloadのオーバーシュートを抑制することができる。

0031

次に、図5を用いて、負荷電圧変化率が低下した場合における充電電流制限値Iload_limを漸次変化させたときの充電電流の補正方針を説明する。図5(a)には負荷電圧Vload、図5(b)には充電電流Iload、図5(c)には充電電流制限値Iload_limの時間変化を示す。充電電流制限部27では、ERF14の電気定数が想定と異なったことが原因で負荷電圧変化率Vcrが低下したことを検出し、図5(c)の負荷電圧変化率低下時の充電電流制限値(補正なし)Iload_lim_dec(点線)と比較して、負荷電圧変化率低下時の充電電流制限値(補正あり)Iload_lim_dec’(破線)の漸次増加させる充電電流制限値Iload_limの傾きを増加させる方向に補正している。なお、負荷電圧変化率正常時の充電電流制限値Iload_lim_typ.は、負荷電圧変化率低下時の充電電流制限値(補正なし)Iload_lim_decと同等であるため図示は省略する。

0032

図5(c)に示した充電電流制限値Iload_limの補正により、図5(b)の負荷電圧変化率低下時の充電電流(補正あり)Iload_dec’(破線)では、負荷電圧変化率低下時の充電電流(補正なし)Iload_dec(点線)と比較して充電電流値の傾きが増加している。そして、図5(b)に示した充電電流Iloadの補正により、図5(a)の負荷電圧変化率低下時の負荷電圧(補正あり)Vload_dec’(破線)に示すように、負荷電圧変化率低下時の負荷電圧(補正なし)Vload_dec(点線)に比べ、負荷電圧Vloadの応答性の低下を抑制し、目標充電時間Ttarget以内に負荷電圧指令値Vrefが指定する電圧への充電を完了している。

0033

このように、充電電流制限値Iload_limを漸次変化させる場合でも、ERF14の電気定数が想定と異なったことが原因で負荷電圧変化率Vcrが上昇したことを検出し、漸次増加させる充電電流制限値Iload_limの傾きを減少させる方向に補正することで、負荷電圧Vloadのオーバーシュートを抑制することができる。

0034

次に、図6を用いて、本実施例における負荷電圧充電時の負荷電圧変化率Vcrの測定方法について説明する。図6(a)は負荷電圧Vloadと負荷電圧指令値と負荷電圧の差Verrの時間変化を示し、図6(b)はカウント値NTの時間変化を示してる。なお、図中のサンプリング周期tsは、電気粘性流体内蔵機器の特性に応じて任意幅に設定したものである。

0035

図1の負荷電圧制御部20は、負荷電圧指令値Vref(破線)を上げた後の各サンプリングのタイミングで、負荷電圧指令値と負荷電圧の差Verr(点線)が充電時の負荷電圧変化率の測定開始閾値Vth1より大きいかを判定する。そして、Verrが閾値以上となった後の最初のサンプリング点Ps1における負荷電圧Vload(実線)を測定開始時の負荷電圧Vload_stとするとともに、このサンプリング点Ps1からカウント値CNTのカウントアップを開始する。

0036

次に、各サンプリングのタイミングで、負荷電圧指令値と負荷電圧の差Verrと充電時の負荷電圧変化率の測定終了閾値Vth2を比較する。Verrが大きい場合は、カウント値CNTをアップする。一方、Verrが小さい場合は、Verrが閾値以下となった後の最初のサンプリング点Ps2における負荷電圧Vload(実線)を測定終了時の負荷電圧Vload_endとするとともに、測定終了時の負荷電圧Vload_endと測定開始時の負荷電圧Vload_stとの差をサンプリング周期tsとカウント値CNTの積で除することで、負荷電圧充電時の負荷電圧変化率Vcrを算出する。負荷電圧変化率Vcrの測定後は、カウント値CNTをリセットする。

0037

このとき、負荷電圧変化率Vcrを測定するために負荷電圧検出部9の遅れ時間は、充電時間よりも短くなくてはならず、少なくとも目標充電時間Ttargetの1/2未満である必要がある。ERF14の抵抗成分13には負の温度依存性があり、ERF14の静電容量成分12には正の温度依存性があるため、ERF14の高温時に負荷電圧変化率の低下が検出される可能性が高く、ERF14の低温時に負荷電圧変化率の上昇が検出される可能性が高いことから、負荷電圧変化率の測定は、ERF14がある一定温度以下もしくは一定温度以上のときに限定してもよい。また、負荷電圧変化率の測定によって、負荷電圧変化率の過度な上昇や低下が検出された場合にERF14の劣化が発生したと診断して、スピーカーなどの外部出力手段を用いて外部にアラームを出力することもできる。

0038

ERF14の電気定数の異常を検出するための負荷電圧変化率は、放電時のもので代用できる。ERF14の抵抗成分13のバラツキや経年変化により、想定値に対して抵抗成分13が小さかった場合は、放電時定数が短くなり、放電時の負荷電圧変化率が大きくなるため、放電時の負荷電圧変化率の上昇からERF14の抵抗成分13が想定値よりも小さいことを推定できる。また、想定値に対して抵抗成分13が大きかった場合は、放電時定数が長くなり、放電時の負荷電圧変化率が小さくなるため、放電時の負荷電圧変化率の低下からERF14の抵抗成分13が想定値よりも大きいことを推定できる。そのため、放電時の負荷電圧変化率をもとに充電電流を補正する場合は、想定値に対して負荷電圧変化率が上昇した場合に、充電電流を増加させる方向に補正することで負荷電圧の応答性の低下を抑制し、想定値に対して負荷電圧変化率が低下した場合には、充電電流を減少させる方向に補正ことで負荷電圧のオーバーシュートを抑制することができる。ただし、ERF14の静電容量成分12が想定値よりも大きかった場合は、放電時定数は逆に長くなるため、ERF14の電気定数の異常を放電時の負荷電圧変化率の放電時のもので代用する場合は、ERF14の電気定数のバラツキや経年劣化が抵抗成分によるものが支配的であることが前提となる。

0039

次に、図7を用いて、本実施例における負荷電圧放電時の負荷電圧変化率Vcrの測定方法について説明する。図7(a)は負荷電圧Vloadと負荷電圧指令値と負荷電圧の差Verrの時間変化を示し、図7(b)はカウント値CNTの時間変化を示してる。なお、図中のサンプリング周期tsは、図6と同様に、電気粘性流体内蔵機器の特性に応じて任意幅に設定したものである。

0040

図1の負荷電圧制御部20は、負荷電圧指令値Vref(破線)を下げた後の各サンプリングのタイミングで、負荷電圧指令値と負荷電圧の差Verr(点線)が負荷電圧変化率の測定開始閾値Vth3より小さいかを判定する。そして、Verrが閾値以下となった後の最初の負荷電圧制御部20のサンプリング点Ps3における負荷電圧Vload(実線)を測定開始時の負荷電圧Vload_stとするとともに、このサンプリング点Ps3からカウント値CNTのカウントアップを開始する。

0041

次に、各サンプリングのタイミングで、負荷電圧指令値と負荷電圧の差Verrが放電時の負荷電圧変化率の測定終了閾値Vth4を比較する。Verrが小さい場合は、カウント値CNTをアップする。一方、Verrが大きい場合は、Verrが閾値以上となった後の最初のサンプリング点Ps4における負荷電圧Vload(実線)を測定終了時の負荷電圧Vload_endとするとともに、測定開始時の負荷電圧Vload_stと測定終了時の負荷電圧Vload_endとの差の絶対値をサンプリング周期tsとカウント値CNTの積で除することで、負荷電圧放電時の負荷電圧変化率Vcrを算出する。負荷電圧変化率Vcrの測定後は、カウント値CNTをリセットする。

0042

次に、図8のフローチャートを用いて、本実施例における充電電流制限値増加率係Ki_loadの算出方法を説明する。ステップS11では、図6または図7で求めた負荷電圧変化率Vcrと負荷電圧変化率の前回値Vcr_preが異なるかを判定する。その結果、両者が異なる場合は、負荷電圧変化率Vcrの更新ありと判定してステップS12へ処理を進める。一方、両者が同じ値の場合は、負荷電圧変化率Vcrの更新なしと判定して図8の処理を終了する。負荷電圧変化率Vcrの更新がない場合は、前回の充電電流制限値増加率係数Ki_loadの補正の効果が反映されておらず、追加の補正が必要かどうかを判定できないため、補正は行わない。

0043

両者が異なっていた場合、ステップS12で、負荷電圧変化率の前回値Vcr_preを負荷電圧変化率Vcrに上書きして、ステップS13へ処理を進める。

0044

ステップS13では、負荷電圧変化率Vcrが負荷電圧変化率の下限閾値Vcr_th_low以下かを判定する。その結果、VcrがVcr_th_low以下の場合は、ステップS14へ処理を進め、VcrがVcr_th_lowより大きいの場合は、ステップS17へ処理を進める。

0045

ステップS14では、充電電流制限値増加率係数Ki_loadが充電電流制限値増加率係数の最大値Ki_load_maxよりも小さいか否かを判定する。その結果、Ki_loadがKi_load_max未満の場合は、ステップS15へ処理を進め、Ki_loadがKi_load_max以上の場合は、ステップS16へ処理を進める。

0046

ステップS15では、充電電流制限値増加率係数Ki_loadに充電電流増加補正定数Kci_loadを加算したものを新たなKi_loadとして、図8の処理を終了する。

0047

ステップS16では、充電電流制限値増加率係数最大値Ki_load_maxを新たな充電電流制限値増加率係数Ki_loadとして、図8の処理を終了する。

0048

ステップS17では、負荷電圧変化率Vcrが負荷電圧変化率の上限閾値Vcr_th_hi以上かを判定する。その結果、VcrがVcr_th_hi以上の場合は、ステップS18へ処理を進め、VcrがVcr_th_hiよりも小さい場合は、図8の処理を終了する。

0049

ステップS18では、充電電流制限値増加率係数Ki_loadが充電電流制限値増加率係数の最小値Ki_load_minよりも大きいかを判定する。その結果、Ki_loadがKi_load_minよりも大きいの場合は、ステップS19へ処理を進め、Ki_loadがKi_load_min以下の場合はステップS20に処理を進める。

0050

ステップS19では、充電電流制限値増加率係数Ki_loadから充電電流増加率補正定数Kci_loadを減算したものを新たなKi_loadとして、図8の処理を終了する。

0051

ステップS20では、充電電流制限値増加率係数最小値Ki_load_minを新たな充電電流制限値増加率係数Ki_loadとして、図9の処理を終了する。

0052

次に、図9図10を用いて、図3で示した電流型ソフトスタート制御に本実施例の充電電流補正を適用した効果を説明する。なお、両図面において、縦軸の負荷電圧Vloadと充電電流Iload、および、横軸の時間は任意単位(arbitrary unit、以下「a.u.」と称する)で表現されており、縦軸の充電電流制限値Iload_limは%で表現されている。

0053

まず、図9にて本実施例を適用しない場合のERF14の抵抗成分13のバラツキが負荷電圧Vloadの応答性に与える影響を説明する。図9(a)に示すように、ERF14の抵抗成分13のバラツキがない場合の負荷電圧Vloadの充電時間(10〜90%まで)が7.3[a.u.]であるのに対して、図9(b)に示すように、ERF14の抵抗成分13のバラツキが−20%(補正なし)の場合の負荷電圧Vloadの充電時間(10〜90%まで)は8.1[a.u.]と、ERF14の抵抗成分13のバラツキが原因で、負荷電圧Vloadの応答性が低下していることがわかる。図9(a)の充電電流Iloadと比較して、図9(b)の充電電流Iloadが増加していることからもわかるように、応答性が低下したのは、負荷電圧指定値Vrefまで負荷電圧Vloadを充電するために必要な電荷量が増加したためである。なお、このとき、図9(a)と図9(b)の充電電流制限値Iload_limの各段階における制限値は同じである。

0054

これに対し、図10にて本実施例を適用した場合の効果を説明する。図10(a)(図9(a)と同じグラフ)に示すように、ERF14の抵抗成分13のバラツキがない場合の負荷電圧Vloadの充電時間(10〜90%まで)が7.3[a.u.]であるのに対して、図10(b)に示すように、ERF14の抵抗成分13のバラツキが−20%(補正あり)の場合の負荷電圧Vloadの充電時間(10〜90%まで)は7.1[a.u.]となっている。これは、図10(b)の充電電流制限値Iload_limに示すように、各段階における制限値を図10(a)の充電電流制限値Iload_limと比較して増加させる方向に補正することで、ERF14の抵抗成分13のバラツキによる負荷電圧Vloadの応答性の低下を抑制できたからである。すなわち、図9(b)と図10(b)の比較から、ERF14の抵抗成分13にバラツキ−20%が存在する場合、図3(c)に示した補正を適用することで、負荷電圧Vloadの応答性の低下を抑制できることが確認された。

0055

以上で説明したように、実施例1によれば、電気粘性流体内蔵機器に内蔵した電気粘性流体のバラツキや経年変化などで、電気粘性流体の電気定数の想定値と実際値との間に差異が生じた場合であっても、負荷電圧の応答性の低下やオーバーシュートの発生を抑制することができ、ERFダンパ、ERFクラッチ、ERFエンジンマウントなどとして求めらている特性を満たすことができる。

0056

次に、図11図13を用いて、本発明の実施例2について説明する。なお、実施例1と同等の点は重複説明を省略する。

0057

図11は、実施例2の電気粘性流体内蔵機器の基本構成図である。先ず、図11を用いて、実施例1と本実施例の相違点について説明する。実施例1の電気粘性流体内蔵機器11は、充電時に充電電流指令値(制限なし)Iload_refを直接制限する電流型ソフトスタート制御を用いる場合の構成であったが、本実施例の電気粘性流体内蔵機器11は、充電時に負荷電圧指令Vrefを制限する電圧型ソフトスタート制御を用いる場合の構成である点で異なる。すなわち、本実施例の充電電流制限部27では、図11に示すように、負荷電圧指令Vrefを負荷電圧指令制限値Vref_limに制限することで間接的に充電電流Iloadを制限する電圧型ソフトスタート制御を実現するものである。

0058

ここで、本実施例の充電電流制限部27は、負荷電圧変化率測定部23が出力する負荷電圧変化率Vcrに基づいて、負荷電圧指令制限値Vref_limを補正するものであり、負荷電圧指令制限値増加係数算出部28、負荷電圧指令制限値算出部29および制限後の負荷電圧指令値算出部30を備える。負荷電圧指令制限値増加係数算出部28は、負荷電圧変化率測定部23から入力される負荷電圧変化率Vcrに応じて、負荷電圧指令制限値増加率係数Kv_loadを算出し、負荷電圧指令制限値算出部29に出力する。負荷電圧指令制限値算出部29は、負荷電圧指令制限値増加率係数Kv_loadに応じて、負荷電圧指令制限値Vref_limを補正して、制限後の負荷電圧指令値算出部30に出力する。制限後の負荷電圧指令値算出部30では、負荷電圧指令値Vrefを負荷電圧指令制限値Vref_limで制限した制限後の負荷電圧指令値Vref’を出力する。

0059

図12を用いて、実施例2における充電電流の補正方針(負荷電圧変化率の低下時)を説明する。なお、図12では負荷電圧変化率正常時の負荷電圧指令制限値Vref_lim_typ.に示すように負荷電圧指令制限値Vref_limを漸次増加させる電圧型ソフトスタート制御を用いることを想定している。

0060

想定値に対して、静電容量成分12が大きかった場合もしくは抵抗成分13が小さかった場合は、図12(b)に示す負荷電圧変化率低下時の負荷電圧(補正なし)Vload_dec(点線)のように、負荷電圧Vloadの応答性が低下してしまうため、負荷電圧変化率正常時の負荷電圧指令制限値Vref_lim_typ.(実線)と比較して充電時間が長くなり、目標充電時間Ttargetを超過してしまっている。

0061

このように、ERF14の電気定数が想定と異なったことが原因で負荷電圧変化率Vcrが低下したことを検出したときは、図12(a)に示す負荷電圧変化率低下時の負荷電圧指令制限値(補正なし)Vref_lim_dec(点線)の傾きを、負荷電圧変化率低下時の負荷電圧指令制限値(補正あり)Vref_lim_dec’(破線)のように増加させる方向に補正することで、図12(b)の負荷電圧変化率低下時の負荷電圧(補正あり)Vload_dec’(破線)のように、負荷電圧Vloadが負荷電圧指定値Vrefに充電するまでの応答性の低下を抑制し、目標充電時間Ttarget以内に充電を完了させることができる。

0062

一方、図示しないが、電流型ソフトスタート制御時と同様に、ERF14の電気定数が想定と異なったことが原因で負荷電圧変化率Vcrが上昇したことを検出した場合は、漸次増加させる負荷電圧指令値の傾きを減少させる方向に補正することで、負荷電圧Vloadのオーバーシュートを抑制することができる。そして、電圧型ソフトスタート制御においても、負荷電圧指令制限値Vref_limを段階的に増加させ、各段階における負荷電圧指令制限値を補正することで、充電時の充電電流値Iloadを補正してもよい。

0063

図13のフローチャートに示す本実施例の負荷電圧指令制限値増加率係数Kv_loadの算出方法は、実施例1の充電電流制限値増加率係数Ki_loadの算出方法と同様であるため、詳細な説明は省略するが、電流型ソフトスタート制御を実現する図8のステップS14〜S16、S18〜S20における、充電電流制限値増加率係数Ki_load、充電電流増加率補正定数Kci_load、充電電流制限値増加率係数の最大値Ki_load_max、充電電流制限値増加率係数の最小値Ki_load_minを、電圧型ソフトスタート制御を実現する図13では、負荷電圧指令制限値増加率係数KV_load、負荷電圧指令制限値増加率補正定数Kcv_load、負荷電圧指令制限値増加率係数の最大値KV_load_max、負荷電圧指令制限値増加率係数の最小値KV_load_minに置換したものである。

0064

本実施例のように、負荷電圧変化率Vcrに基づいて、負荷電圧指令制限値Vref_limを補正し、充電時の充電電流Iloadを補正することによっても、実施例1と同様の効果が得られる。さらに、本実施例によれば負荷電圧制御部20に集積回路を用いた場合など、オンラインで直接的に充電電流制限値Iload_limを変更することが困難な場合であっても、好適な効果を得ることができる。

0065

次に、図14図15を用いて、本発明の実施例3について説明する。なお、実施例1または実施例2と同等の点は重複説明を省略する。

0066

図14は、実施例3の電気粘性流体内蔵機器の基本構成図である。先ず、図14を用いて、実施例1と本実施例の相違点について説明する。実施例1の電気粘性流体内蔵機器11は、負荷電圧変化率測定部23が出力する負荷電圧変化率Vcrに基づいて負荷電圧の応答性低下を検出するものであったが、本実施例の電気粘性流体内蔵機器11は、ERF14の抵抗成分13を測定する抵抗値測定部31が出力する抵抗値Rloadに基づいて負荷電圧の応答性低下を検出するものである。

0067

ここで、図14に示すように、本実施例の抵抗値測定部31は、入力された負荷電圧Vloadと充電電流Iloadから、ERFの抵抗成分の抵抗値Rloadを測定し、充電電流制限部27に入力している。抵抗値測定部31では、ERFの静電容量成分12に流れる電流の影響を抑えるために、負荷電圧指令値と負荷電圧の差Verrが0に近いときの負荷電圧Vloadの平均値から充電電流Iloadの平均値を除することで、ERFの抵抗成分の抵抗値Rloadを算出する。また、ERFの抵抗成分の抵抗値Rloadの測定結果が想定値よりも小さいことを検出することで、負荷電圧Vloadの応答性低下を推定し、実施例1と同様に充電電流制限部27により、充電時の充電電流値制限値Iload_limを増加させる方向に補正する。

0068

一方、ERFの抵抗成分の抵抗値Rloadの測定結果が想定値よりも大きいことを検出することで、負荷電圧のオーバーシュートが発生しやすくなっていると推定して、実施例1と同様に充電電流制限部27により、充電時の充電電流制限値Iload_limを減少させる方向に補正する。

0069

図15のフローチャートに示す本実施例の充電電流制限値増加率係数Ki_loadの算出方法は、判定対象が実施例1の負荷電圧変化率Vcrから本実施例のERFの抵抗成分の抵抗値Rloadに代わっているだけで、実施例1と同様であるため、詳細な説明は省略するが、図8のステップS11〜S13、S17における、負荷電圧変化率Vcr、負荷電圧変化率の前回値Vcr_pre、荷電圧変化率の下限閾値Vcr_th_low、負荷電圧変化率の上限閾値Vcr_th_hiを、ERFの抵抗成分の抵抗値Rload、ERFの抵抗成分の抵抗値の前回値Rload_pre、ERFの抵抗成分の抵抗値の上限閾値Rload_th_hi、ERFの抵抗成分の抵抗値の下限閾値Rload_th_lowに置換したものである。

0070

本実施例のように、抵抗値Rloadに基づいて、充電電流制限値Iload_limを補正し、充電時の充電電流Iloadを補正することによっても、実施例1と同様の効果が得られる。さらに、本実施例によれば負荷電圧変化率測定部23の演算処理速度都合などで負荷電圧変化率Vcrの測定が困難な場合であっても、好適な効果を得ることができる。

0071

なお、ERFの抵抗成分の抵抗値Rloadを観測することで、Rloadの過度な上昇や低下が検出された場合にERF14の劣化が発生したと診断して、外部出力手段を用いて外部にアラームを出力しても良い。

実施例

0072

また、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。

0073

1直流電源、
2 入力側平滑コンデンサ、
3昇圧トランス、
4半導体スイッチング素子、
5半導体スイッチング素子駆動回路、
6整流ダイオード、
7出力側平滑コンデンサ、
8放電抵抗、
9負荷電圧検出部、
10昇圧回路、
11電気粘性流体内蔵機器、
12ERFの静電容量成分、
13 ERFの抵抗成分、
14 ERF(Electro-Rheological Fluid)、
15負荷電圧指令値算出部、
16充電電流検出部、
20 負荷電圧制御部、
21充電電流指令算出部、
22PWMパルス生成部、
23 負荷電圧変化率測定部、
24充電電流制限値増加係数算出部、
25 充電電流制限値算出部、
26 制限後の充電電流指令値算出部、
27 充電電流制限部、
28 負荷電圧指令制限値増加係数算出部、
29 負荷電圧指令制限値算出部、
30 負荷電圧指令制限部、
31抵抗値測定部、
μref ERF粘度指令値、
Vg 半導体スイッチング素子4へのオンオフ信号、
Vload 負荷電圧、
Vref 負荷電圧指令値、
Vref_lim_typ.負荷電圧変化率正常時の負荷電圧指令制限値、
Vref_lim_dec 負荷電圧変化率低下時の負荷電圧指令制限値(補正なし)、
Vref_lim_dec’負荷電圧変化率低下時の負荷電圧指令制限値(補正あり)、
Verr 負荷電圧指令値と負荷電圧の差、
Vcr 負荷電圧変化率、
Vcr_th_low 負荷電圧変化率の下限閾値、
Vcr_th_hi 負荷電圧変化率の上限閾値、
Vload_typ. 負荷電圧変化率正常時の負荷電圧、
Vload_ri 負荷電圧変化率上昇時の負荷電圧(補正なし)、
Vload_ri’ 負荷電圧変化率上昇時の負荷電圧(補正あり)、
Vload_dec 負荷電圧変化率低下時の負荷電圧(補正なし)、
Vload_dec’ 負荷電圧変化率低下時の負荷電圧(補正あり)、
Iload 充電電流、
Iload_ref 充電電流指令値(制限なし)、
Iload_ref’ 充電電流指令値(制限あり)、
Iload_lim 充電電流制限値、
Iload_typ. 負荷電圧変化率正常時の充電電流、
Iload_ri 負荷電圧変化率上昇時の充電電流(補正なし)、
Iload_ri’ 負荷電圧変化率上昇時の充電電流(補正あり)、
Iload_dec 負荷電圧変化率低下時の充電電流(補正なし)、
Iload_dec’ 負荷電圧変化率低下時の充電電流(補正あり)、
Iload_lim_typ. 負荷電圧変化率正常時の充電電流制限値、
Iload_lim_ri 負荷電圧変化率上昇時の充電電流制限値(補正なし)、
Iload_lim_ri’負荷電圧変化率上昇時の充電電流制限値(補正あり)、
Iload_lim_dec負荷電圧変化率低下時の充電電流制限値(補正なし)、
Iload_lim_dec’ 負荷電圧変化率低下時の充電電流制限値(補正あり)、
Rload ERFの抵抗成分の抵抗値、
Rload_pre ERFの抵抗成分の抵抗値の前回値、
Rload_th_low ERFの抵抗成分の抵抗値の下限閾値、
Rload_th_hi ERFの抵抗成分の抵抗値の上限閾値、
Ki_load 充電電流制限値増加率係数、
Ki_load_max 充電電流制限値増加率係数の最大値、
Ki_load_min 充電電流制限値増加率係数の最小値、
Kci_load充電電流増加率補正定数、
Kv_load 負荷電圧指令制限値増加率係数、
Kv_load_max 負荷電圧指令制限値増加率係数の最大値、
Kv_load_min 負荷電圧指令制限値増加率係数の最小値、
Kcv_load 負荷電圧指令制限値増加率補正定数、
Vload_st 負荷電圧変化率の測定開始時の負荷電圧、
Vload_end 負荷電圧変化率の測定終了時の負荷電圧、
Vth1充電時の負荷電圧変化率の測定開始閾値、
Vth2 充電時の負荷電圧変化率の測定終了閾値、
Vth3放電時の負荷電圧変化率の測定開始閾値、
Vth4 放電時の負荷電圧変化率の測定終了閾値、
Ps1 VerrがVth1以上となった後の最初のサンプリング点、
Ps2 VerrがVth2以下となった後の最初のサンプリング点、
Ps3 VerrがVth3以下となった後の最初のサンプリング点、
Ps4 VerrがVth4以上となった後の最初のサンプリング点、
Ttarget目標充電時間、
tsサンプリング周期、
CNTカウント値

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