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技術 内燃機関の排気浄化装置

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 白澤健
出願日 2018年9月18日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-173848
公開日 2020年3月26日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-045796
状態 未査定
技術分野 排気の後処理
主要キーワード 予備条件 検出目標 変化代 濃度マップ 判定時期 最大吸着量 実施フラグ 触媒制御
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

選択還元型NOx触媒の温度が変化する場合であっても、劣化判定処理を精度良く行えるようにした内燃機関排気浄化装置を提供する。

解決手段

内燃機関の排気浄化装置は、SCR触媒と、SCR触媒の上流アンモニアの前駆体又はアンモニアを還元剤として供給する還元剤供給装置と、アンモニアスリップ濃度を検出するセンサと、触媒劣化時にアンモニアスリップが発現する量の還元剤をSCR触媒に供給しつつ、検出されるアンモニアスリップ濃度が判定閾値を超える場合にSCR触媒が劣化していると判定する劣化判定処理を実行する判定装置と、を備える。判定装置は、正常時濃度上限値が劣化時濃度下限値を下回るという判定条件成立するときに劣化判定処理を実行する。判定閾値は、正常時濃度上限値以上、かつ、劣化時濃度下限値未満である。

概要

背景

例えば、特許文献1には、内燃機関排気浄化装置が開示されている。この排気浄化装置は、排気通路に配置された選択還元型NOx触媒と、NOxの還元剤としてのアンモニアの前駆体である尿素水を選択還元型NOx触媒の上流に供給する還元剤供給装置とを備えている。そして、排気浄化装置は、選択還元型NOx触媒の劣化判定処理を実行する。

具体的には、上記の劣化判定処理では、選択還元型NOx触媒におけるNOxの浄化に必要な消費アンモニア量と、選択還元型NOx触媒の下流を流れる排気中のアンモニア量であるアンモニアスリップ量とが算出される。そして、消費アンモニア量とアンモニアスリップ量との比較結果に基づいて、選択還元型NOx触媒の劣化の有無が判定される。

概要

選択還元型NOx触媒の温度が変化する場合であっても、劣化判定処理を精度良く行えるようにした内燃機関の排気浄化装置を提供する。内燃機関の排気浄化装置は、SCR触媒と、SCR触媒の上流にアンモニアの前駆体又はアンモニアを還元剤として供給する還元剤供給装置と、アンモニアスリップ濃度を検出するセンサと、触媒劣化時にアンモニアスリップが発現する量の還元剤をSCR触媒に供給しつつ、検出されるアンモニアスリップ濃度が判定閾値を超える場合にSCR触媒が劣化していると判定する劣化判定処理を実行する判定装置と、を備える。判定装置は、正常時濃度上限値が劣化時濃度下限値を下回るという判定条件成立するときに劣化判定処理を実行する。判定閾値は、正常時濃度上限値以上、かつ、劣化時濃度下限値未満である。

目的

本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、選択還元型NOx触媒の温度が変化する場合であっても劣化判定処理を精度良く行えるようにした内燃機関の排気浄化装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

内燃機関排気通路に配置され、アンモニアによって排気中のNOxを還元する選択還元型NOx触媒と、前記選択還元型NOx触媒よりも上流側において前記排気通路に配置され、前記排気通路内にアンモニアの前駆体又はアンモニアを還元剤として供給する還元剤供給装置と、前記選択還元型NOx触媒よりも下流を流れる排気中のアンモニア濃度であるアンモニアスリップ濃度を検出するセンサと、前記選択還元型NOx触媒が劣化している場合にアンモニアスリップが発現する量の前記還元剤を前記選択還元型NOx触媒に供給しつつ、前記センサにより検出される前記アンモニアスリップ濃度が判定閾値を超える場合に前記選択還元型NOx触媒が劣化していると判定する劣化判定処理を実行する判定装置と、を備える内燃機関の排気浄化装置であって、前記判定装置は、前記選択還元型NOx触媒が正常であると仮定したときに前記選択還元型NOx触媒の温度を考慮して推定される前記アンモニアスリップ濃度の上限値を正常時濃度上限値と称し、前記選択還元型NOx触媒が所定の劣化度で劣化していると仮定したときに前記選択還元型NOx触媒の温度を考慮して推定される前記アンモニアスリップ濃度の下限値を劣化時濃度下限値と称した場合、前記正常時濃度上限値が前記劣化時濃度下限値を下回るという判定条件成立するときに前記劣化判定処理を実行し、前記判定閾値は、前記正常時濃度上限値以上、かつ、前記劣化時濃度下限値未満であることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。

技術分野

0001

この発明は、内燃機関排気浄化装置に関し、より詳細には、内燃機関の排気通路選択還元型NOx触媒を備える排気浄化装置に関する。

背景技術

0002

例えば、特許文献1には、内燃機関の排気浄化装置が開示されている。この排気浄化装置は、排気通路に配置された選択還元型NOx触媒と、NOxの還元剤としてのアンモニアの前駆体である尿素水を選択還元型NOx触媒の上流に供給する還元剤供給装置とを備えている。そして、排気浄化装置は、選択還元型NOx触媒の劣化判定処理を実行する。

0003

具体的には、上記の劣化判定処理では、選択還元型NOx触媒におけるNOxの浄化に必要な消費アンモニア量と、選択還元型NOx触媒の下流を流れる排気中のアンモニア量であるアンモニアスリップ量とが算出される。そして、消費アンモニア量とアンモニアスリップ量との比較結果に基づいて、選択還元型NOx触媒の劣化の有無が判定される。

先行技術

0004

特開2013−227930号公報
特開2011−220142号公報

発明が解決しようとする課題

0005

選択還元型NOx触媒の温度が高い場合には、触媒が正常であっても、アンモニアスリップが生じ易くなる。逆に、触媒の温度が低い場合には、触媒の劣化が進んでいたとしても、アンモニアスリップは生じにくくなる。このように、アンモニアスリップの発現仕方は、選択還元型NOx触媒の温度によって変化する。しかしながら、特許文献1に記載の劣化判定処理には、選択還元型NOx触媒の温度が判定に与える影響が考慮されていない。このため、当該触媒の温度次第では、触媒の劣化の有無を誤判定してしまう可能性がある。

0006

本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、選択還元型NOx触媒の温度が変化する場合であっても劣化判定処理を精度良く行えるようにした内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明に係る内燃機関の排気浄化装置は、内燃機関の排気通路に配置され、アンモニアによって排気中のNOxを還元する選択還元型NOx触媒と、前記選択還元型NOx触媒よりも上流側において前記排気通路に配置され、前記排気通路内にアンモニアの前駆体又はアンモニアを還元剤として供給する還元剤供給装置と、前記選択還元型NOx触媒よりも下流を流れる排気中のアンモニア濃度であるアンモニアスリップ濃度を検出するセンサと、前記選択還元型NOx触媒が劣化している場合にアンモニアスリップが発現する量の前記還元剤を前記選択還元型NOx触媒に供給しつつ、前記センサにより検出される前記アンモニアスリップ濃度が判定閾値を超える場合に前記選択還元型NOx触媒が劣化していると判定する劣化判定処理を実行する判定装置と、を備える。
前記判定装置は、前記選択還元型NOx触媒が正常であると仮定したときに前記選択還元型NOx触媒の温度を考慮して推定される前記アンモニアスリップ濃度の上限値を正常時濃度上限値と称し、前記選択還元型NOx触媒が所定の劣化度で劣化していると仮定したときに前記選択還元型NOx触媒の温度を考慮して推定される前記アンモニアスリップ濃度の下限値を劣化時濃度下限値と称した場合、前記正常時濃度上限値が前記劣化時濃度下限値を下回るという判定条件成立するときに前記劣化判定処理を実行する。
前記判定閾値は、前記正常時濃度上限値以上、かつ、前記劣化時濃度下限値未満である。

発明の効果

0008

本発明によれば、選択還元型NOx触媒の劣化判定処理は、正常時濃度上限値が劣化時濃度下限値を下回るという判定条件が成立する場合に実行される。つまり、劣化判定処理は、仮に選択還元型NOx触媒が劣化しているとしたならば、正常触媒想定時に生じ得るアンモニアスリップ濃度の上限値(正常時濃度上限値)よりも高いアンモニアスリップ濃度が得られると考えられる状況下において実行されることになる。また、正常時濃度上限値及び劣化時濃度下限値は、それぞれ、選択還元型NOx触媒の温度を考慮して推定されている。

0009

そのうえで、本発明に係る劣化判定処理では、上記の判定条件が成立する場合において、検出されるアンモニアスリップ濃度が正常時濃度上限値以上かつ劣化時濃度下限値未満である判定閾値を超える場合に、選択還元型NOx触媒が劣化していると判定される。このような処理によれば、正常時濃度上限値よりも高いアンモニアスリップ濃度が検出されない限り、選択還元型NOx触媒が正常である場合に劣化判定がなされないようにすることができる。また、劣化時濃度下限値以上のアンモニアスリップ濃度が検出されない限り、選択還元型NOx触媒が劣化している場合に正常判定がなされないようにすることができる。

0010

したがって、本発明に係る劣化判定処理によれば、選択還元型NOx触媒の温度変化を考慮しつつ、適切な判定時期において適切な判定閾値を用いて選択還元型NOx触媒の劣化の有無を判定できるようになる。このため、選択還元型NOx触媒の温度が変化する場合であっても劣化判定処理を精度良く行えるようになる。

図面の簡単な説明

0011

本発明の実施の形態に係る内燃機関の排気浄化装置のシステム構成例を説明するための図である。
正常触媒のSCR床温とNH3吸着量との関係を示す図である。
劣化触媒のSCR床温とNH3吸着量との関係を示す図である。
NH3吸着量の推定手法の一例を説明するためのブロック図である。
通常時におけるOBDアクティブ添加の実施に伴うNH3スリップ濃度の挙動の一例を表したタイムチャートである。
OBDアクティブ添加の実施後にSCR床温が変化する状況下におけるNH3スリップ濃度の挙動の一例を表したタイムチャートである。
本発明の実施の形態に係る劣化判定処理の特徴部(判定時期の選定及び判定閾値の算出方法)を説明するためのタイムチャートである。
本発明の実施の形態に係る選択還元型NOx触媒の劣化判定処理に関するルーチンを示すフローチャートである。

実施例

0012

以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、この発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造やステップ等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。

0013

1.システム構成例
図1は、本発明の実施の形態に係る内燃機関の排気浄化装置のシステム構成例を説明するための図である。図1に示すシステムは、一例として圧縮着火式の内燃機関(ディーゼルエンジン)10を備えている。内燃機関10は、例えば、車両に搭載される。内燃機関10の各気筒には、排気通路12が連通している。排気通路12には、上流側から順に、ディーゼル酸化触媒DOC)14、ディーゼルパティキュレートフィルタDPF)16、及び選択還元型NOx触媒(SCR(Selective Catalytic Reduction)触媒)18が配置されている。

0014

DOC14は、排気中の未燃焼ガスであるHC等を酸化処理するように構成されている。DPF16は、排気中の粒子状物質(PM)を捕集する部材であって、例えば多孔質セラミックで構成されている。DPF16には、PMの酸化を促進するための触媒が担持されている。DOC14の上流(排気マニホールド)には、DOC14及びDPF16に未燃燃料を供給するための燃料添加弁20が設置されている。

0015

DPF16の下流側かつSCR触媒18の上流側の排気通路12には、「還元剤供給装置」の一例である尿素添加弁22が設置されている。尿素添加弁22は、アンモニア(NH3)の前駆体である尿素水を排気通路12内に供給する添加弁であり、図示しない尿素水タンクに接続されている。尿素添加弁22から排気通路12に噴射された尿素水は、加水分解されてNH3となり、SCR触媒18に供給される。SCR触媒18は、供給された尿素水由来のNH3を還元剤として、排気中の窒素酸化物(NOx)を還元する。なお、NOxの還元のために、尿素水に代えてアンモニア自体が添加されてもよい。

0016

DOC14よりも上流側の排気通路12には、第1NOxセンサ24が設置されている。また、DPF16よりも下流側かつSCR触媒18よりも上流側の排気通路12には、第2NOxセンサ26と排気温度センサ28とが設置されている。NOxセンサ24、26は、それぞれ、各気筒から排出された排気中のNOx濃度、及びSCR触媒18に流入する排気中のNOx濃度を検出するためのセンサの一例として用いられる。排気温度センサ28は、排気の温度に応じた信号を出力し、本実施形態ではSCR触媒18の温度(以下、「SCR床温」とも称する)を推定するためのセンサの一例として用いられる。

0017

また、SCR触媒18よりも下流側の排気通路12には、第3NOxセンサ30が設置されている。第3NOxセンサ30は、SCR触媒18の下流を流れる排気中のNOx濃度に応じた信号を出力し、本実施形態ではSCR触媒18の下流を流れる排気中のNH3濃度を検出するためのセンサ(本発明に係る「センサ」に相当)の一例として用いられる。このNH3濃度は、第3NOxセンサ30に代え、NH3センサを用いて検出されてもよい。さらに、内燃機関10の吸気通路32の入口付近には、エアフローセンサ34が設置されている。エアフローセンサ34は、吸気通路32を流れる空気の流量に応じた信号を出力し、本実施形態ではSCR触媒18を通過する排気の流量を検出するためのセンサの一例として用いられる。

0018

図1に示すシステムは、さらに電子制御ユニット(ECU)40を備えている。ECU40には、NOxセンサ24、26、30、排気温度センサ28及びエアフローセンサ34とともに、内燃機関10に搭載された各種センサ(図示省略)が電気的に接続されている。また、ECU40には、燃料添加弁20及び尿素添加弁22とともに、内燃機関10の運転を制御するための各種アクチュエータ(図示省略)が電気的に接続されている。

0019

ECU40は、プロセッサ40aとメモリ40bとを有する。メモリ40bには、上記
の各種アクチュエータを制御するためのプログラム及びマップが記憶されている。また、ECU40には、上記の各種センサから様々な情報が入力される。プロセッサ40aは、これらの情報を利用しつつ、プログラムをメモリから読み出して実行することにより、各アクチュエータ操作量を決定する。その結果、ECU40は、内燃機関10の制御装置として機能する。

0020

2.SCR触媒の劣化判定処理
2−1.劣化判定処理の基本構成
上述のECU40は、SCR触媒18に関する「劣化判定処理」を行う「判定装置」の一例としても機能する。すなわち、ECU40は、SCR触媒18の劣化の有無を自己診断するOBD(On-Board Diagnostics)機能を有する。図2は、正常触媒のSCR床温とNH3吸着量との関係を示す図であり、図3は、劣化触媒のSCR床温とNH3吸着量との関係を示す図である。ここでいう「正常触媒」とは、新品の(すなわち、浄化性能の劣化が生じていない)SCR触媒を意味し、「劣化触媒」とは、所定の検出目標の劣化度で浄化性能に劣化が生じているSCR触媒を意味する。

0021

図2中に実線で示す曲線は、正常触媒が吸着可能なNH3の上限値である最大吸着量を表している。一方、図3中に実線で示す曲線は、劣化触媒が吸着可能なNH3吸着量の上限値である最大吸着量を示している。NH3がSCR触媒18から脱離する現象であるNH3スリップは、正常触媒又は劣化触媒のそれぞれにおいてNH3吸着量が上記曲線を超える場合に発現すると考えられる。

0022

劣化判定処理では、ECU40は、SCR触媒18が劣化している場合にのみNH3スリップが発現するように決定された量(以下、「アクティブ供給NH3量A」と称する)でNH3をSCR触媒18に対して供給する「OBDアクティブ添加」を実行する。そして、ECU40は、このOBDアクティブ添加を行った結果としてNH3スリップが発現するか否かに基づいて、SCR触媒18の劣化の有無を判定する。

0023

より具体的には、OBDアクティブ添加によるNH3の供給量であるアクティブ供給NH3量Aは、NOxの浄化を目的として供給されるNH3量よりも多い(余剰な)量である。また、図2、3に示すようにNH3吸着量はSCR床温に応じて変化するため、アクティブ供給NH3量Aは、SCR床温に応じた値として算出される。なお、本実施形態では、OBDアクティブ添加は、一例として、アクティブ供給NH3量Aを満足する量の尿素水の供給によって実行される。

0024

SCR触媒18が正常触媒である場合には、図2に示されるように、最大吸着量が大きいため、現在の推定NH3吸着量と最大吸着量との差が大きくなる。このため、アクティブ供給NH3量AのNH3が供給された場合であっても、図2に例示されるように最大吸着量を超える事態は起こりにくく、NH3スリップは発現しないと考えられる。一方、SCR触媒18が劣化触媒である場合には、図3に示されるように、最大吸着量が小さいため、現在の推定NH3吸着量と最大吸着量との差が小さくなる。このため、NOxの浄化で消費されるNH3量よりも多いNH3が供給されれば、NH3スリップが生じ易い。このため、図3に例示されるように、OBDアクティブ添加によってアクティブ供給NH3量AのNH3が供給されると、劣化触媒のNH3吸着量が最大吸着量に達し、NH3スリップが発現する。このように、OBDアクティブ添加を行った結果としてSCR触媒18の下流でNH3スリップが発現するか否かに基づいて、SCR触媒18の劣化の有無を判定できる。

0025

NH3スリップが発現すると、スリップしたNH3は、SCR触媒18の下流側に流出することになる。このため、NH3スリップの発現の有無は、SCR触媒18の下流側に排出される排気中のNH3濃度(NH3スリップ濃度)が判定閾値よりも高いか否かに基づいて判定できる。

0026

付け加えると、図2、3に示すように、SCR床温が高くなるとNH3吸着量が減少する。したがって、同一量のNH3を供給した場合、SCR床温が高い環境である場合ほど、SCR触媒18下流へのNH3スリップが発現し易くなる。また、図2、3を比較すると分かるように、SCR床温の変化に応じたNH3吸着量の変化の大きさは、劣化触媒よりも正常触媒の方が大きくなる。

0027

2−2.OBDアクティブ添加の実行条件
図2中に破線で示す曲線は、SCR触媒18が正常である場合にNH3スリップが発現しないNH3吸着量の下限値に相当する。より詳細には、この下限値は、正常触媒において生じ得る誤差を加味した場合に得られる最大吸着量(実線)の下限値に相当する。したがって、SCR触媒18が正常であれば、NH3スリップは、この下限値を上回らない限り発現しないと考えられる。

0028

図3中に破線で示す曲線は、SCR触媒18が劣化している場合にNH3スリップが確実に発現するNH3吸着量の上限値に相当する。より詳細には、この上限値は、劣化触媒において生じ得る誤差を加味した場合に得られる最大吸着量(実線)の上限値に相当する。上述のアクティブ供給NH3量Aは、現在の推定NH3吸着量と上記の上限値(破線)との差分よりも確実に大きくなる値に設定される。これにより、SCR触媒18が劣化している場合にOBDアクティブ添加によって確実にNH3スリップを生じさせることができる。

0029

図2中の「限界アクティブ供給NH3量B」は、現在のSCR床温T1におけるNH3吸着量と上記の下限(破線)との差分に相当する。この限界アクティブ供給NH3量Bは、SCR触媒18が正常であればNH3スリップが発現せずに正常判定がなされるアクティブ供給NH3量Aの範囲内の上限値を意味する。換言すると、限界アクティブ供給NH3量Bよりも多くのNH3が供給された場合には、正常触媒であってもNH3スリップが発現する可能性がある。したがって、本実施形態の劣化判定処理では、アクティブ供給NH3量Aが限界アクティブ供給NH3量Bよりも多いこと(アクティブ供給NH3量A<限界アクティブ供給NH3量B)がOBDアクティブ添加の実行条件とされる。これにより、SCR触媒18が正常である場合に、劣化が生じていると誤判定されることを回避できる。

0030

2−3.NH3吸着量の推定手法
上述したOBDアクティブ添加の実行条件(アクティブ供給NH3量A<限界アクティブ供給NH3量B)の成立の有無の判断のためには、SCR触媒18のNH3吸着量を把握する必要がある。NH3吸着量の算出(推定)は、オンボードでECU40によって行われる。

0031

図4は、NH3吸着量の推定手法の一例を説明するためのブロック図である。本推定手法によれば、以下の(1)式に示すように、NH3吸着量は、供給NH3量から消費NH3量及び脱離NH3量を減じることにより算出される。
NH3吸着量=供給NH3量−消費NH3量−脱離NH3量 ・・・(1)

0032

まず、(1)式中の供給NH3量は、尿素添加弁22による尿素水の添加量に応じた値として算出される。尿素水の添加量は、SCR触媒18を用いてNOxを浄化させる場合にはNOxの浄化を目的として供給されるNH3量に応じた値となるように決定され、OBDアクティブ添加を行う場合には上述のアクティブ供給NH3量Aに応じた値となるように決定される。

0033

次に、消費NH3量は、SCR流入NOx量とSCR触媒18によるNOx浄化率とに応じた値となるように算出される。SCR流入NOx量は、SCR触媒18に流入するNOxの量である。NOx浄化率は、例えば、空気量(SCR触媒18に流入する排気の流量)と、SCR床温と、NH3吸着量(メモリ40bに記憶された前回値)とを引数とするNOx浄化率マップを用いて算出できる。

0034

より詳細には、NOx浄化率は、SCR触媒18が正常であるか劣化しているかに応じて異なる。そこで、本推定手法では、SCR触媒18が正常触媒である場合と劣化触媒である場合の両方が想定され、正常触媒及び劣化触媒のそれぞれの特性に応じてNOx浄化率のマップが個別に準備される。ECU40は、それぞれのマップを用いて、SCR触媒18が正常であると想定した場合の消費NH3量と、それが劣化していると想定した場合の消費NH3量とをそれぞれ算出する。

0035

次に、脱離NH3量(NH3スリップ量)は、空気量と脱離NH3濃度(NH3スリップ濃度)とに応じた値となるように算出される。ここで、脱離NH3濃度とSCR床温とNH3吸着量とは相関を有している。より詳細には、NH3吸着量が同一であれば、SCR床温が高いほど脱離NH3濃度も多くなり、SCR床温が同一であれば、NH3吸着量が多いほど脱離NH3量も多くなる。具体的な相関関係は、予め実験等により求めることができる。ここでは、このような相関関係を一例として利用して、脱離NH3量は、SCR床温と、NH3吸着量(メモリ40bに記憶された前回値)とを引数とする脱離NH3濃度マップを用いて算出される。そして、このように算出される脱離NH3量に対して空気量を乗算することで、脱離NH3量を算出できる。

0036

上述のNOx浄化率と同様に、脱離NH3濃度も、SCR触媒18が正常であるか劣化しているかに応じて異なる。そこで、本推定手法では、SCR触媒18が正常触媒である場合と異常劣化触媒である場合の両方が想定され、正常触媒及び異常劣化触媒のそれぞれの特性に応じて脱離NH3濃度マップが個別に準備される。ECU40は、それぞれのマップを用いて、SCR触媒18が正常であると想定した場合の脱離NH3濃度と、それが劣化していると想定した場合の脱離NH3濃度とをそれぞれ算出する。

0037

NH3吸着量は、以上説明したように算出される供給NH3量、消費NH3量及び脱離NH3量を上記(1)式に代入することにより算出される。本実施形態の劣化判定処理では、このように算出されるNH3吸着量がNH3吸着量の推定値として用いられる。

0038

2−4.SCR触媒の劣化判定に関する課題
上述のように、本実施形態の「劣化判定処理」は、SCR触媒18が劣化している場合にのみNH3スリップが発現するように実行されるOBDアクティブ添加を利用して、NH3スリップ濃度が判定閾値を超えたか否かに基づいて実行される。ここで、以下に図5、6を参照して例示するように、NH3スリップの発現の仕方は、SCR床温(より詳細には、劣化判定のためのOBDアクティブ添加の実行後のSCR床温の変化)によって変化する。

0039

図5は、通常時(SCR床温の変化が比較的緩やかな条件)におけるOBDアクティブ添加の実施に伴うNH3スリップ濃度の挙動の一例を表したタイムチャートである。図5に示す例では、OBDアクティブ添加は、OBDアクティブ添加実施フラグがONとなっている時に実行される。OBDアクティブ添加による尿素水の添加量(アクティブ供給NH3量A)は、このOBDアクティブ添加実施フラグがONとなった時のSCR床温及び推定NH3吸着量に基づいて算出される。

0040

図2、3を参照して既述したように、SCR触媒18のNH3吸着量はSCR床温によって変化する。このため、NH3スリップが発現するNH3吸着量は、SCR床温によって変化する。図5に示す例では、OBDアクティブ添加による尿素水の添加量の算出の前後における車速の変化は比較的緩やかであり、その結果、SCR床温の変化も比較的緩やかなものとなっている。このようにSCR床温が安定している状況下では、SCR触媒18が正常であればNH3スリップが発現せず、一方、SCR触媒18が劣化しているとNH3スリップが発現すると考えられる。このため、本実施形態の劣化判定処理により、SCR触媒18の劣化の有無を正確に判定できる。

0041

図6は、OBDアクティブ添加の実施後にSCR床温が変化する状況下におけるNH3スリップ濃度の挙動の一例を表したタイムチャートである。より詳細には、図6に示す例では、OBDアクティブ添加の実施後に急加速に伴ってSCR床温が急上昇している。このような例では、OBDアクティブ添加実施フラグがONとなった時のSCR床温に応じた尿素水の添加量(アクティブ供給NH3量A)が用いられると、SCR床温の急上昇後にNH3スリップが発現し易くなる。このため、図6に示す例では、SCR触媒18が劣化している場合だけでなく、それが正常である場合であっても、NH3スリップが発現してしまっている。このような例では、SCR触媒18が正常であっても、SCR触媒18が劣化しているという誤判定がなされてしまう。

0042

また、図6に示す例とは逆にOBDアクティブ添加の実行後にSCR床温が急低下した状況下では、SCR触媒18が劣化している場合であっても、NH3スリップが発現しなくなることがある。このような例では、SCR触媒18が劣化していても、SCR触媒18が正常であるという誤判定がなされてしまう。

0043

2−5.劣化判定処理の特徴部
図7は、本発明の実施の形態に係る劣化判定処理の特徴部(判定時期の選定及び判定閾値の算出方法)を説明するためのタイムチャートである。図7には、OBDアクティブ添加がなされる状況下(OBDアクティブ添加実施フラグON)における5つの推定NH3スリップ濃度の波形1〜5が表されている。

0044

波形1は、所定の検出目標の劣化度を有する劣化触媒を対象として、「生じ得る誤差」を考慮していない場合の推定NH3スリップ濃度の波形に相当する。このような波形1は、劣化触媒用のマップを利用しつつ図4に示す推定手法を用いて推定NH3スリップ濃度を算出することにより得られる。なお、ここでいう「生じ得る誤差」とは、具体的には、尿素添加弁22による尿素水の添加量の誤差、及びSCR流入NOx量の誤差等を意味する。

0045

波形2は、上記の劣化触媒を対象として、「生じ得る誤差」を考慮した場合に確実に生じ得る推定NH3スリップ濃度の下限値の波形に相当する。このような波形2は、劣化触媒用のマップを利用しつつ図4に示す推定手法により算出される推定NH3スリップ濃度を「生じ得る誤差」に基づく所定の補正量によって補正することにより得られる。この波形2のNH3スリップ濃度は、本発明に係る「劣化時濃度下限値」の一例に相当する。

0046

波形3は、正常触媒を対象として、「生じ得る誤差」を考慮していない場合の推定NH3スリップ濃度の波形に相当する。このような波形3は、正常触媒用のマップを利用しつつ図4に示す推定手法を用いて推定NH3スリップ濃度を算出することにより得られる。したがって、当該推定NH3スリップ濃度は実質的にゼロとなる。

0047

波形4は、正常触媒を対象として、「生じ得る誤差」を考慮した場合に生じ得る推定NH3スリップ濃度の上限値の波形に相当する。このような波形4は、正常触媒用のマップを利用しつつ図4に示す推定手法により算出される推定NH3スリップ濃度を「生じ得る誤差」に基づく所定の補正量によって補正することにより得られる。この波形4のNH3スリップ濃度は、本発明に係る「正常時濃度上限値」の一例に相当する。

0048

上述の課題に鑑み、本実施形態に係る劣化判定処理は、上述の「正常時濃度上限値」が「劣化時濃度下限値」を下回るという「判定条件」が成立する場合に実行される。図7中に示す「判定時期」は、OBDアクティブ添加の実行に伴い、波形2(劣化触媒;生じ得る誤差の考慮あり)の値(すなわち、劣化時濃度下限値)が波形4(正常触媒;生じ得る誤差の考慮あり)の値(すなわち、正常時濃度上限値)よりも大きくなる期間に相当する。したがって、劣化判定処理は、図7中の判定時期が到来した場合に実行されることになる。

0049

また、図7中の波形5は、波形2の劣化時濃度下限値と波形4の正常時濃度上限値との平均値の波形に相当する。本実施形態では、上記判定時期における波形5のNH3スリップ濃度の値(上記平均値)が、劣化判定処理の判定閾値として用いられる。そして、第3NOxセンサ30により検出された(実)NH3スリップ濃度がこの判定閾値を超える場合に、SCR触媒18が劣化していると判定される。

0050

なお、OBDアクティブ添加の実施後のSCR床温の変化代が大きいために上記の判定時期が成立しない場合には、劣化判定処理は実施されない。

0051

2−6.判定装置(ECU)の処理
図8は、本発明の実施の形態に係るSCR触媒18の劣化判定処理に関するルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンは、内燃機関10の運転中に繰り返し実行される。

0052

図8に示すルーチンでは、まず、ECU40は、SCR触媒18の現在の(推定)NH3吸着量を算出する(ステップS100)。具体的には、図4に示す推定手法を利用して、触媒正常想定時と触媒劣化想定時の双方についての推定NH3吸着量を算出する。

0053

次に、ECU40は、OBDアクティブ添加の実施に関する予備条件が成立するか否かを判定する(ステップS102)。この予備条件は、劣化判定に関連する部品の異常が検出されていないこと、車両のバッテリ電圧がECU40の所定の必要電圧値以上であること、触媒制御モードが通常モードであること(PM再生実施中でないこと)、大気圧が劣化判定に用いられるセンサの信頼性の確保に必要な所定値以上であること、劣化判定に用いられるNOxセンサ26、30が活性状態にあること、及び、1トリップ内でOBDアクティブ添加及び劣化判定の何れも未実施であること(意図したNH3スリップが劣化時に発現することを保証するため)を含む。

0054

ステップS102の判定結果が否定的である場合には、ECU40は本ルーチンを終了する。一方、ECU40がステップS102において予備条件が成立すると判定した場合には、処理はステップS104に進む。

0055

ステップS104では、ECU40は、OBDアクティブ添加の実施が可能であるか否かを判定する。具体的には、上述のOBDアクティブ添加の実行条件(アクティブ供給NH3量A<限界アクティブ供給NH3量B)の成立の有無が判定される。その結果、ステップS104の判定結果が否定的である場合には、ECU40は本ルーチンを終了する。

0056

ECU40がステップS104においてOBDアクティブ添加の実行条件が成立すると判定した場合には、処理はステップS106に進む。ステップS106では、ECU40は、上述のOBDアクティブ添加を実行する。

0057

次に、ECU40は、上述の判定条件(正常時濃度上限値<劣化時濃度下限値)が成立するか否かを判定する(ステップS108)。その結果、ステップS108の判定結果が否定的である場合(つまり、図7に示す判定時期が到来していない場合)には、ECU40は本ルーチンを終了する。

0058

一方、ECU40がステップS108において判定条件が成立すると判定した場合(つまり、上記判定時期が到来している場合)には、処理はステップS110に進む。ステップS110では、ECU40は、(実)NH3スリップ濃度が上述の判定閾値以下であるか否かを判定する。

0059

ステップS110の判定結果が肯定的である場合(NH3スリップ濃度≦判定閾値)には、ECU40は、SCR触媒18が正常であると判定する(ステップS112)。一方、ステップS110の判定結果が否定的である場合(NH3スリップ濃度>判定閾値)には、ECU40は、SCR触媒18が劣化していると判定する(ステップS114)。

0060

3.効果
以上説明したように、本実施形態の劣化判定処理は、上述の「正常時濃度上限値」が「劣化時濃度下限値」を下回るという「判定条件」が成立する場合に実行される。つまり、劣化判定処理は、仮にSCR触媒18が劣化しているとしたならば、正常触媒想定時に生じ得るNH3スリップ濃度の上限値よりも高いNH3スリップ濃度が得られると考えられる状況下において実行されることになる。また、正常時濃度上限値及び劣化時濃度下限値の算出の基礎とされる推定NH3スリップ濃度の算出には、図4を参照して説明した推定手法の利用によってSCR床温の影響が逐次考慮される。

0061

そのうえで、本実施形態の劣化判定処理では、上記の「判定条件」が成立する場合において、(実)NH3スリップ濃度が、劣化時濃度下限値と正常時濃度上限値との平均値である「判定閾値」を超える場合に、SCR触媒18が劣化していると判定される。このような処理によれば、正常時濃度上限値よりも大きな判定閾値が利用されるため、SCR触媒18が正常である場合に劣化判定がなされないようにすることができる。また、劣化時濃度下限値よりも小さな判定閾値が利用されるため、SCR触媒18が劣化している場合に正常判定がなされないようにすることができる。

0062

したがって、本実施形態の劣化判定処理によれば、SCR床温の変化を考慮しつつ、適切な判定時期において適切な判定閾値を用いてSCR触媒18の劣化の有無を判定できるようになる。このため、SCR床温が変化する場合であっても劣化判定処理を精度良く行えるようになる。

0063

ところで、上述した実施の形態1においては、劣化判定処理で用いられる「判定閾値」の一例として、劣化時濃度下限値と正常時濃度上限値との平均値が用いられた。しかしながら、本発明に係る「判定閾値」は、正常時濃度上限値以上、かつ、劣化時濃度下限値未満となる範囲内の値であれば、上記の平均値以外の任意の値であってもよい。また、判定閾値は、例えば、次のように設定されてもよい。すなわち、車両の積算走行距離が短い場合(すなわち、SCR触媒18が新品に近い状態である場合)には、判定閾値として正常時濃度上限値が用いられ、積算走行距離が長くなるにつれ、劣化時濃度下限値に近づくように判定閾値が変更されてもよい。

0064

10内燃機関
12排気通路
18選択還元型NOx触媒(SCR触媒)
22尿素添加弁
24、26、30NOxセンサ
28排気温度センサ
34エアフローセンサ
40電子制御ユニット(ECU)

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