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技術 高強度7XXXアルミニウム合金及びその作製方法

出願人 ノベリス・インコーポレイテッド
発明者 ラジーブ・ジー・カマットドゥルバ・ジェイ・チャクラバルティラシュミ・ランジャン・モハンティラフル・ヴィラス・クルカルニデュエイン・イー・ベンジンスキーユルゲン・ティム
出願日 2019年11月25日 (1年1ヶ月経過) 出願番号 2019-212143
公開日 2020年3月26日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-045575
状態 未査定
技術分野 非鉄金属または合金の熱処理
主要キーワード オリジナル機 輸送手段用 熱間形成 航空宇宙機 シートブランク 特定合金 破断靭性 方性挙動
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年3月26日)のものです。
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図面 (20)

課題

新規な7xxxシリーズアルミニウム合金およびその合金を作製及び加工する方法を提供する。

解決手段

インゴットを形成するためにアルミニウム合金を鋳造することと、インゴットを均質化することと、ホットバンドを製造するためにインゴットを熱間圧延することと、ホットバンドを最終ゲージ金属シート冷間圧延することと、を含む金属シートの製造方法。その合金は、自動車輸送手段電子機器航空宇宙機、及び工業用途を含む様々な用途において使用することができる。

概要

背景

高強度アルミニウム合金は、自動車構造的な用途における使用にとって望ましい。例えば、6xxxシリーズ名称アルミニウム合金は、主に、自動車の構造的な用途に使用されている。しかしながら、現行の6xxxシリーズ合金は、オリジナル機生産業者OEM)の高強度の要望を満たすことができない。例えば、AA6111及びAA6013タイプの合金は、T6焼戻しにおいて300〜350MPaの降伏強度しか達成しない。自動車の構造的な用途において所望の高強度を達成するために、ホウ素鋼などの様々な鋼グレードが使用されている。しかしながら、そのような鋼グレードのシートは、軽量の材料を必要とする現代の自動車設計での使用には過度に重く、不適切である。

具体的には、政府法律は、車両に対して義務的走行距離要件を課しており、また、車両のテールパイプからの許容排出物を低下させてきた。それ故、これらの制約を満たすためには、より低い密度の材料が自動車設計に必要である。鋼よりも2.8倍低い密度であるアルミニウム合金は、大幅な車両重量減少を付与するため、自動車の生産においてますます使用されている。しかしながら、十分な重量減少を達成し、鋼(及び他のより低い強度の部品)の効果的な代替品であるためには、材料は、約2mmのシートゲージの場合は500MPa以上の降伏強度を呈さなければならない。

2mmのアルミニウム合金シートの場合の500MPaの降伏強度の狙いは、はるかに高い強度で知られている航空宇宙機用アルミニウム合金の場合であっても重大な課題である。これは、部分的には、部品の厚さと達成可能な強度との関係に起因する。プレートは概して厚さが10mmを超える。典型的には、プレートセクションの厚さが低下するにつれて、そのセクション溶体化熱処理温度からの焼入れがより速くなるため、対応して強度が増加する。これは、元素を合金にするより高い過飽和を保持するのに役立ち、強度を増大させる。

しかしながら、およそ100〜150mmの厚さ未満では、プレートの微細構造は概して再結晶化していない構造から再結晶化した構造に変化する。この点で、強度は低下し始める。シートゲージへの減少が続くにつれて、強度の減少は弱まることなく続き、これにより典型的には同じ合金のプレートよりもはるかに低い強度の薄いシートが作製される。所望の2mmゲージでは、シートは事実上完全に再結晶化し、再結晶化していない構造を有するプレートゲージとしてのその強度機能のごく一部しか付与することができない。

プレートゲージであっても500MPa以上の降伏強度の目標が課題である。それ故、そのような目標を達成することは、自動車OEMにより望まれるように、2mmのシートゲージの場合は更により困難である。そのため、OEMの高強度の要望を満たすことができる新しい軽量合金が必要とされている。

概要

新規な7xxxシリーズアルミニウム合金およびその合金を作製及び加工する方法を提供する。インゴットを形成するためにアルミニウム合金を鋳造することと、インゴットを均質化することと、ホットバンドを製造するためにインゴットを熱間圧延することと、ホットバンドを最終ゲージ金属シート冷間圧延することと、を含む金属シートの製造方法。その合金は、自動車、輸送手段電子機器、航空宇宙機、及び工業用途を含む様々な用途において使用することができる。

目的

2mmのアルミニウム合金シートの場合の500MPaの降伏強度の狙いは、はるかに高い強度で知られている航空宇宙機用アルミニウム合金の場合であっても重大な課題である

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

約4〜15重量%のZn、0.1〜3.5重量%のCu、1.0〜4.0重量%のMg、0.05〜0.50重量%のFe、0.05〜0.30重量%のSi、0.05〜0.25重量%のZr、最大で0.25重量%のMn、最大で0.20重量%のCr、最大で0.15重量%のTi、及び最大で0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである、アルミニウム合金

請求項2

約5.6〜9.3重量%のZn、0.2〜2.6重量%のCu、1.4〜2.8重量%のMg、0.1〜0.35重量%のFe、0.05〜0.2重量%のSi、0.05〜0.15重量%のZr、0.01〜0.05重量%のMn、0.01〜0.05重量%のCr、0.001〜0.05重量%のTi、及び最大で0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである、請求項1に記載のアルミニウム合金。

請求項3

約5.8〜9.2重量%のZn、0.3〜2.5重量%のCu、1.6〜2.6重量%のMg、0.1〜0.25重量%のFe、0.07〜0.15重量%のSi、0.09〜0.15重量%のZr、0.02〜0.05重量%のMn、0.03〜0.05重量%のCr、0.003〜0.035重量%のTi、及び最大で0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである、請求項1に記載のアルミニウム合金。

請求項4

約8.9〜9.2重量%のZn、0.2〜2.1重量%のCu、2.2〜2.4重量%のMg、0.18〜0.23重量%のFe、0.09〜0.12重量%のSi、0.05〜0.15重量%のZr、0.04〜0.09重量%のMn、0.03〜0.09重量%のCr、0.01〜0.02重量%のTi、及び最大で0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである、請求項1に記載のアルミニウム合金。

請求項5

約9重量%のZn、0.3%のCu、2.3重量%のMg、0.2重量%のFe、0.1重量%のSi、0.1重量%のZr、0.05重量%のMn、0.04重量%のCr、0.02重量%のTi、及び最大で0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである、請求項1に記載のアルミニウム合金。

請求項6

約9.2重量%のZn、1.2重量%のCu、2.3重量%のMg、0.23重量%のFe、0.1重量%のSi、0.11重量%のZr、0.04重量%のMn、0.04重量%のCr、0.01重量%のTi、及び最大で0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである、請求項1に記載のアルミニウム合金。

請求項7

約9.2重量%のZn、2.4%のCu、1.9重量%のMg、0.19重量%のFe、0.08重量%のSi、0.1重量%のZr、0.02重量%のMn、0.03重量%のCr、0.03重量%のTi、及び最大で0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである、請求項1に記載のアルミニウム合金。

請求項8

Mo、Nb、Be、B、Co、Sn、Sr、V、In、Hf、Ag、Sc、及びNiのうちの1種以上を最大で0.20%更に含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。

請求項9

Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuからなる群から選択される希土類元素を最大で0.10%更に含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。

請求項10

請求項1〜9のいずれか1項に記載のアルミニウム合金を含む自動車ボディ部品

請求項11

前記自動車ボディ部品は、動力車両用のボディ部品である、請求項10に記載の自動車ボディ部品。

請求項12

請求項13

請求項1〜9のいずれか1項に記載のアルミニウム合金を含む電子デバイスハウジング

請求項14

請求項1に記載のアルミニウム合金を含む航空宇宙機用ボディ部品。

請求項15

前記航空宇宙機用ボディ部品は、構造的部品または非構造的な部品である、請求項14に記載の航空宇宙機用ボディ部品。

請求項16

構造的な航空宇宙機用ボディ部品は、胴体補助翼エレベータカウリング、または支持体である、請求項15に記載の航空宇宙機用ボディ部品。

請求項17

前記非構造的な航空宇宙機用ボディ部品は、シートトラックシートフレームパネル、またはヒンジである、請求項15に記載の航空宇宙機用ボディ部品。

請求項18

請求項1〜9のいずれか1項に記載のアルミニウム合金を含む製品であって、シートプレート押出物鋳造物、または鍛造物である、製品。

請求項19

前記製品は、約40ミクロン未満の最大ピット深さを有する、請求項18に記載の製品。

請求項20

前記製品は、約20ミクロン未満の平均ピット深さを有する、請求項18に記載の製品。

請求項21

前記製品は、約550MPaを超える降伏強度を有する、請求項18に記載の製品。

請求項22

前記製品は、約600MPaを超える降伏強度を有する、請求項18に記載の製品。

請求項23

前記アルミニウム合金は約0.30重量%を超えるCuを含み、前記製品は約600MPaを超える降伏強度を有する、請求項18に記載の製品。

請求項24

前記アルミニウム合金は、約0.80重量%を超えるCuを含む、請求項23に記載の製品。

請求項25

金属製品を製造する方法であって、インゴットまたはスラブを形成するために請求項1に記載のアルミニウム合金を鋳造することと、前記インゴットまたは前記スラブを均質化することと、ホットバンドを製造するために前記インゴットまたは前記スラブを熱間圧延することと、前記ホットバンドを、最終ゲージを備える金属製品に冷間圧延することと、を含む、方法。

請求項26

前記金属製品はシートである、請求項25に記載の方法。

請求項27

前記シートを約430℃〜約600℃の温度で溶体化熱処理に付すことを更に含む、請求項26に記載の方法。

請求項28

前記シートを約430℃〜約500℃の温度で溶体化熱処理に付すことを更に含む、請求項26に記載の方法。

請求項29

前記シートを約25℃〜約120℃の温度に冷却することを更に含む、請求項27〜28のいずれか1項に記載の方法。

請求項30

前記シートを冷却する前記工程は、1秒当たり約200℃〜1秒当たり約600℃の冷却速度で実施される、請求項29に記載の方法。

請求項31

前記シートを冷却する工程は、1秒当たり約2000℃〜1秒当たり約3000℃の冷却速度で実施される、請求項29に記載の方法。

請求項32

前記シートを時効プロセスに付すことを更に含む、請求項29に記載の方法。

請求項33

前記時効プロセスは、前記シートを約100℃〜約140℃の温度に加熱することと、前記シートを約100℃〜約140℃の温度においてある期間維持することと、前記シートを室温に冷却することと、を含む、請求項32に記載の方法。

請求項34

前記時効プロセスは、前記シートを約100℃〜約140℃の温度に加熱することと、前記シートを約100℃〜約140℃の温度において第1の期間維持することと、前記シートを約140℃を超える温度に加熱することと、前記シートを約140℃を超える温度において第2の期間維持することと、前記シートを室温に冷却することと、を含む、請求項32に記載の方法。

請求項35

前記シートを塗料焼き付け熱処理に付すことを更に含む、請求項26に記載の方法。

請求項36

請求項25に記載の方法に従って作製されたアルミニウムシート

請求項37

前記シートは、T6焼戻しまたはT7焼戻しにある、請求項36に記載のシート。

請求項38

前記シートは、約5nm〜約50nmの直径を有するAl3Zr分散質を含む、請求項36に記載のシート。

請求項39

前記シートは、約8nm〜約20nmの直径を有するAl3Zr分散質を含む、請求項36に記載のシート。

請求項40

前記シートは、約10nm未満の直径を有するAl3Zr分散質を含む、請求項36に記載のシート。

請求項41

前記シートは、約500MPaを超える降伏強度を有する、請求項36〜40のいずれか1項に記載のシート。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、2015年10月30日に出願された米国仮特許出願第62/248,796号及び2016年4月25日に出願された米国仮特許出願第62/326,858号に対する優先権及びそれらの出願の利益を主張するものであり、いずれもそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。

0002

本明細書では、新規アルミニウム合金組成物及びその作製及び加工方法が提供される。本明細書に記載の合金は、高強度を呈し、自動車輸送手段電子機器、及び工業用途において使用され得る。

背景技術

0003

高強度アルミニウム合金は、自動車の構造的な用途における使用にとって望ましい。例えば、6xxxシリーズ名称のアルミニウム合金は、主に、自動車の構造的な用途に使用されている。しかしながら、現行の6xxxシリーズ合金は、オリジナル機生産業者OEM)の高強度の要望を満たすことができない。例えば、AA6111及びAA6013タイプの合金は、T6焼戻しにおいて300〜350MPaの降伏強度しか達成しない。自動車の構造的な用途において所望の高強度を達成するために、ホウ素鋼などの様々な鋼グレードが使用されている。しかしながら、そのような鋼グレードのシートは、軽量の材料を必要とする現代の自動車設計での使用には過度に重く、不適切である。

0004

具体的には、政府法律は、車両に対して義務的走行距離要件を課しており、また、車両のテールパイプからの許容排出物を低下させてきた。それ故、これらの制約を満たすためには、より低い密度の材料が自動車設計に必要である。鋼よりも2.8倍低い密度であるアルミニウム合金は、大幅な車両重量減少を付与するため、自動車の生産においてますます使用されている。しかしながら、十分な重量減少を達成し、鋼(及び他のより低い強度の部品)の効果的な代替品であるためには、材料は、約2mmのシートゲージの場合は500MPa以上の降伏強度を呈さなければならない。

0005

2mmのアルミニウム合金シートの場合の500MPaの降伏強度の狙いは、はるかに高い強度で知られている航空宇宙機用アルミニウム合金の場合であっても重大な課題である。これは、部分的には、部品の厚さと達成可能な強度との関係に起因する。プレートは概して厚さが10mmを超える。典型的には、プレートセクションの厚さが低下するにつれて、そのセクション溶体化熱処理温度からの焼入れがより速くなるため、対応して強度が増加する。これは、元素を合金にするより高い過飽和を保持するのに役立ち、強度を増大させる。

0006

しかしながら、およそ100〜150mmの厚さ未満では、プレートの微細構造は概して再結晶化していない構造から再結晶化した構造に変化する。この点で、強度は低下し始める。シートゲージへの減少が続くにつれて、強度の減少は弱まることなく続き、これにより典型的には同じ合金のプレートよりもはるかに低い強度の薄いシートが作製される。所望の2mmゲージでは、シートは事実上完全に再結晶化し、再結晶化していない構造を有するプレートゲージとしてのその強度機能のごく一部しか付与することができない。

0007

プレートゲージであっても500MPa以上の降伏強度の目標が課題である。それ故、そのような目標を達成することは、自動車OEMにより望まれるように、2mmのシートゲージの場合は更により困難である。そのため、OEMの高強度の要望を満たすことができる新しい軽量合金が必要とされている。

0008

本発明の対象となる実施形態は、この概要ではなく、特許請求の範囲によって定義される。この概要は、本発明の様々な態様の高レベル概説であり、以下の発明を実施するための形態のセクションで更に記載するコンセプトの一部を紹介している。この概要は、特許請求された主題の肝要なまたは本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求された主題の範囲を決定するために分離して使用されることも意図していない。主題は、明細書全体の適切な部分、任意のまたは全ての図面、及び各請求項を参照することによって理解されるべきである。

0009

本明細書では、新規な7xxxシリーズアルミニウム合金が提供される。その合金は、高強度を呈し、自動車、輸送手段、電子機器、及び工業の用途を含む様々な用途において使用され得る。本明細書に記載のアルミニウム合金は、約4〜15重量%のZn、0.1〜3.5重量%のCu、1.0〜4.0重量%のMg、0.05〜0.50重量%のFe、0.05〜0.30重量%のSi、0.05〜0.25重量%のZr、最大で0.25重量%のMn、最大で0.20重量%のCr、最大で0.15重量%のTi、及び最大で0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである。この出願を通して、全ての元素は、合金の全重量を基準として重量百分率(wt.%)で記載されている。いくつかの場合では、アルミニウム合金は、約5.6〜9.3重量%のZn、0.2〜2.6重量%のCu、1.4〜2.8重量%のMg、0.1〜0.35重量%のFe、0.05〜0.2重量%のSi、0.05〜0.15重量%のZr、0.01〜0.05重量%のMn、0.01〜0.05重量%のCr、0.001〜0.05重量%のTi、及び最大で0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである。いくつかの場合では、アルミニウム合金は、約5.8〜9.2重量%のZn、0.3〜2.5重量%のCu、1.6〜2.6重量%のMg、0.1〜0.25重量%のFe、0.07〜0.15重量%のSi、0.09〜0.15重量%のZr、0.02〜0.05重量%のMn、0.03〜0.05重量%のCr、0.003〜0.035重量%のTi、及び最大で0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである。いくつかの場合では、アルミニウム合金は、約8.9〜9.2重量%のZn、0.2〜2.1重量%のCu、2.2〜2.4重量%のMg、0.18〜0.23重量%のFe、0.09〜0.12重量%のSi、0.05〜0.15重量%のZr、0.04〜0.09重量%のMn、0.03〜0.09重量%のCr、0.01〜0.02重量%のTi、及び最大で0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである。いくつかの場合では、アルミニウム合金は、約9重量%のZn、0.3重量%のCu、2.3重量%のMg、0.2重量%のFe、0.1重量%のSi、0.1重量%のZr、0.05重量%のMn、0.04重量%のCr、0.02重量%のTi、及び最大で0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである。いくつかの場合では、アルミニウム合金は、約9.2重量%のZn、1.2重量%のCu、2.3重量%のMg、0.23重量%のFe、0.1重量%のSi、0.11重量%のZr、0.04重量%のMn、0.04重量%のCr、0.01重量%のTi、及び最大で0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである。いくつかの場合では、アルミニウム合金は、約9.2重量%のZn、2.4重量%のCu、1.9重量%のMg、0.19重量%のFe、0.08重量%のSi、0.1重量%のZr、0.02重量%のMn、0.03重量%のCr、0.03重量%のTi、及び最大で0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである。いくつかの例では、アルミニウム合金は、Mo、Nb、Be、B、Co、Sn、Sr、V、In、Hf、Ag、Sc、及びNiのうちの1種以上を最大で0.20%含み得る。いくつかの例では、アルミニウム合金は、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuからなる群から選択される希土類元素を最大で0.10%含み得る。

0010

また、本明細書では、本明細書に記載のアルミニウム合金を含む製品が提供される。製品は、シート、プレート、押出物鋳造物、または鍛造物を含み得る。いくつかの例では、製品は約40ミクロン未満の最大ピット深さを有し得る。いくつかの例では、製品は約20ミクロン未満の平均ピット深さを有し得る。いくつかの場合では、製品は約550MPaを超える降伏強度を有し得る。いくつかの場合では、製品は約600MPaを超える降伏強度を有し得る。いくつかの例では、アルミニウム合金を含む製品は、約0.30重量%を超えるCu(例えば、約0.80重量%を超えるCuまたは約1.1重量%を超えるCu)を有するアルミニウム合金を含み得、製品は約600MPaを超える降伏強度を有する。

0011

いくつかの例では、製品は、動力車両用のボディ部品(例えば、バンパーサイドビームルーフビームクロスビームピラーレインフォースメントインナーパネルアウターパネルサイドパネルフードインナーフードアウター、及びトランクリッドパネル)を含む自動車及び/または輸送手段用ボディ部品を含み得る。製品は、電子デバイスハウジングなどの電子製品も含み得る。製品は、構造的な部品(例えば、胴体補助翼エレベータカウリング、または支持体)または非構造的な部品(例えば、シートトラックシートフレームパネル、またはヒンジ)を含む航空宇宙機用ボディ部品を含み得る。

0012

更に、本明細書では、金属製品の製造方法が提供される。金属製品の製造方法は、インゴットまたはスラブを形成するために本明細書に記載のアルミニウム合金を鋳造する工程と、インゴットまたはスラブを均質化する工程と、中間ゲージのホットバンドを製造するためにインゴットまたはスラブを熱間圧延する工程と、ホットバンドを最終ゲージの金属製品に冷間圧延する工程と、を含むがこれらに限定されない。任意に、その金属製品はシートである。これらの場合、方法は、シートを約430℃〜約600℃の温度(例えば、約430℃〜約500℃、約440℃〜約490℃、約450℃〜約480℃、または約460℃〜約475℃)で溶体化熱処理に付す工程を更に含み得る。方法は、シートを約25℃〜約120℃の温度に冷却することも含み得る。いくつかの場合では、冷却工程の間の冷却速度は、任意に、1秒当たり約200℃〜1秒当たり約600℃であり得る。他の場合では、冷却工程の間の冷却速度は、1秒当たり約2000℃〜1秒当たり約3000℃である。本明細書に記載の方法は、シートを時効プロセスに付すことを任意に含み得る。いくつかの場合では、時効プロセスは、シートを約100℃〜約170℃の温度に加熱することと、シートを約100℃〜約140℃の温度においてある期間維持することと、シートを室温に冷却することと、を含み得る。他の場合では、時効プロセスは、シートを約100℃〜約140℃の温度に加熱することと、シートを約100℃〜約140℃の温度においてある期間維持することと、シートを約140℃を超える温度に加熱することと、シートを約140℃を超える温度(例えば、約140℃〜170℃)においてある期間維持することと、シートを室温に冷却することと、を含み得る。いくつかの場合では、シートは塗料焼き付け熱処理、例えば、シートを約140℃を超える温度(例えば、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、またはそれ以上)に加熱し、140℃を超える温度(例えば、約150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、またはそれ以上の間)においてある期間(例えば、10分、20分、30分、40分、50分、60分、70分、80分、90分、100分、110分、または120分)維持することに付され得る。

0013

あるいは、冷間圧延されたF焼戻しシートブランクは、溶体化熱処理温度に加熱され、続いて冷ダイを使用して部品に熱間形成され得る。冷ダイは、その後の人工的時効応答のために溶液中で合金になる元素を維持するのに必要な速い焼入れ速度を提供し得る。ホットスタンピング及びダイ焼入れに続いて、形成された部品は、上述のように人工時効され得る。

0014

また、本明細書では、本明細書に記載の方法に従って調製された7xxxシリーズ合金を含むアルミニウムシートが提供される。シートは、任意に、T1からT9焼戻しにあり得る。いくつかの場合では、シートはT6焼戻しにあり得る。いくつかの場合では、シートはT7焼戻しにあり得る。いくつかの例では、シートは約500MPaを超える降伏強度を有し得る。いくつかの場合では、アルミニウムシートはAl3Zr分散質を含み得る。いくつかの場合では、Al3Zr分散質は、約5nm〜約50nm(例えば、約5nm〜約20nm、約8nm〜約20nm、または約5nm〜約10nm)の直径を有し得る。いくつかの場合では、Al3Zr分散質は、約20nm未満(例えば、約15nm未満、約10nm未満、または約8nm未満)の直径を有し得る。更に、本明細書では、本明細書に記載の7xxxシリーズ合金を含むアルミニウムプレート、押出物、鋳造物、及び鍛造物が提供される。

0015

本発明の他の目的及び利点は、以下の本発明の非限定的な例の詳細な説明から明らかである。

図面の簡単な説明

0016

溶体化熱処理及び異なる条件下で時効の後の、比較合金及び本明細書に記載の例示的な合金の降伏強度を示すグラフである。
溶体化熱処理及び異なる条件下で時効の後の、比較合金及び本明細書に記載の例示的な合金の極限引張強度を示すグラフである。
合金7075シート(頂部及び底部の左パネル)、合金V6シート(頂部及び底部の中央パネル)、及び合金V12シート(頂部及び底部の右パネル)において形成された抵抗スポット溶接ナゲット写真を含有する。
57g/LのNaCl及び10mLのH2O2を含有する溶液に24時間浸漬した後の合金7075(サンプル1及び2)、合金V6、及び合金V12から調製されたシートの断面の写真を含有する。
57g/LのNaCl及び10mLのH2O2を含有する溶液に24時間浸漬した後の合金7075(サンプル1及び2)、合金V6、及び合金V12から調製されたシートにおける平均及び最大ピット深さのグラフである。
溶体化熱処理温度からの水焼入れ後にシートを室温で10日間保持することにより得られたT4焼戻しにおける合金K303、K304、K305、K306、K307、K308、K309、及びK311の降伏強度及び全伸長を示すグラフである。
(溶体化熱処理温度からの水焼入れ後にシートを室温で10日間保持することにより得られた)T4焼戻しにおける合金K303、K304、K305、K306、K307、K308、K309、及びK311の圧延方向に対する角度0°、45°、及び90°での降伏強度を示すグラフである。
(溶体化熱処理温度からの水焼入れ後にシートを室温で10日間保持することにより得られた)T4焼戻しにおける合金K303、K304、K305、K306、K307、K308、K309、及びK311の圧延方向に対する角度0°、45°、及び90°での全伸長を示すグラフである。
(溶体化熱処理温度からの水焼入れ後にシートを室温で10日間保持することにより得られた)T4焼戻しにおける合金K303、K304、K305、K306、K307、K308、K309、及びK311の圧延方向に対する角度0°、45°、及び90°でのr値を示すグラフである。
T4焼戻しにおいて(全て溶体化熱処理温度から空気冷却された)合金K303、K304、K305、K306、K307、K308、K309、K310、K311、K312、K313、及びK314の降伏強度及び全伸長を示すグラフである。値は3つの試験方向(圧延方向に対する角度0°、45°、及び90°)の平均値を表す。
T4焼戻しにおける合金K303、K304、K305、K306、K307、K308、K309、K310、K311、K312、K313、及びK314の合金の圧延方向に対する角度0°、45°、及び90°でのr値を示すグラフである。T4焼戻しは、溶体化熱処理温度から空気冷却した後、シートを室温で7日間保持し、次いで70℃で4日間加熱することにより達成された。
(全て溶体化熱処理温度から空気冷却された)合金K303、K304、K305、K306、K307、K308、K309、K310、K311、K312、K313、及びK314の圧延方向に対して角度0°、45°、及び90°での曲げ角度を示すグラフである。
T6焼戻しにおいて(全て溶体化熱処理温度から空気冷却された)合金K303、K304、K305、K306、K307、K308、K309、K310、K311、K312、K313、及びK314の降伏強度及び全伸長を示すグラフである。測定は横の試験方向で得られた。
3つの別の条件で得られたT6焼戻しにおいて(全て溶体化熱処理温度から空気冷却された)合金K303、K304、K305、K306、K307、K308、K309、K310、K311、K312、K313、及びK314の降伏強度を示すグラフである。測定は横の試験方向で得られた。各セットの左のヒストグラムバーは、95℃に加熱し、8時間浸漬し、続いて145℃に加熱し、6時間浸漬することにより得られたT6焼戻しを表す。各セットの中央のヒストグラムバーは、溶体化熱処理されたシートを室温で1日間保持し、次いでシートを120℃に更に加熱し、24時間浸漬することにより得られたT6焼戻しを表す。各セットの右のヒストグラムバーは、溶体化熱処理されたシートを室温で1日間保持し、シートを120℃に加熱し、シートを1時間浸漬し、シートを180℃に更に加熱し、30分間浸漬して塗料焼き付けを表すことにより得られたT6焼戻しを表す。
第1のジルコニウム(Zr)含有量を含むアルミニウム合金の再結晶化した微細構造を示す偏光顕微鏡写真である。
第2のZr含有量を含むアルミニウム合金の再結晶化した微細構造を示す偏光顕微鏡写真である。
第3のZr含有量を含むアルミニウム合金の再結晶化した微細構造を示す偏光顕微鏡写真である。
加工後のアルミニウム合金の再結晶化した微細構造を示す偏光顕微鏡写真である。
加工後のアルミニウム合金の再結晶化した微細構造を示す偏光顕微鏡写真である。
Al3Zr分散質を示す加工後に再結晶化したアルミニウム合金のSEM画像である。
Al3Zr分散質を示す加工後に再結晶化しなかったアルミニウム合金のSEM画像である。
比較合金AA7075の応力歪み曲線を示すグラフである。
異なる温度で試験した例示的な合金V6の応力−歪み曲線を示すグラフである。

実施例

0017

本明細書には、新規な7xxxシリーズアルミニウム合金が記載されている。その合金は、いくつかの焼戻しで、特にT6焼戻しで高強度を呈する。驚くべきことに、低い銅(Cu)含有量(例えば、0.5重量%未満)を有する本明細書に記載の合金は、高い降伏強度及び極限引張強度値をもたらし、より多くの量のCuを含有する合金の強度に匹敵するかまたはそれを上回ることさえした。これは、航空宇宙機用途において使用される高強度7xxx合金とは対照的であり、追加的な強度の獲得はCuの包含を通じて達成された。また、本明細書においていくつかの場合に記載されている合金は、リサイクルされた金属の使用を可能にし、これによりコスト節約の利点がもたらされる。予想外にも、本明細書に記載のいくつかの合金は、冷間圧延による75%のゲージ減少にもかかわらず、再結晶化していない粒構造を呈する。再結晶化していない粒構造は合金の強度に寄与する。

0018

定義及び説明
本明細書で使用される「発明」、「その発明」、「この発明」、及び「本発明」という用語は、この特許出願及び以下の特許請求の範囲の主題の全てを広く指すことを意図している。これらの用語を含有する記述は、本明細書に記載の主題を限定するものではなく、または以下の特許請求の範囲の意味または範囲を限定するものではないと理解すべきである。

0019

この明細書では、「シリーズ」または「7xxx」などのAA番号及び他の関連名称によって特定される合金について述べる。アルミニウム及びその合金の命名及び特定に最も一般的に使用される番号名称システムの理解については、いずれもThe Aluminium Associationにより発行された「International Alloy Designations and Chemical Composition Limits for Wrought Aluminum and Wrought Aluminum Alloys」または「Registration Record of Aluminum Association Alloy Designations and Chemical Compositions Limits for Aluminum Alloys in the Form of Castings and Ingot」を参照。

0020

本明細書で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」の意味は、文脈が他に明確に指示していない限り、単数及び複数の言及を含む。

0021

以下の例において、アルミニウム合金は、それらの元素組成に関して重量パーセント(wt.%)で記載される。各合金において、全ての不純物の総和について0.15%の最大重量%を有し、残りはアルミニウムである。

0022

本明細書において他に明記されない限り、室温は、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、または25℃を含む約20℃〜約25℃の温度のことを指す。

0023

合金組成
本明細書に記載の合金は、新規な7xxxシリーズアルミニウム合金である。その合金は、ゲージが、正常な再結晶化したまたは再結晶化していない微細構造を有するかどうかにかかわらず、薄いゲージ(例えば、10mm以下)において予想外に高い強度値を呈する。合金の特性は、合金を作製する組成及び方法に起因して達成される。本明細書に記載の合金は、表1に提供されるように以下の元素組成を有し得る。

0024

いくつかの例では、合金は、表2に提供されるように以下の元素組成を有し得る。

0025

いくつかの例では、合金は、表3に提供されるように以下の元素組成を有し得る。

0026

いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量を基準として、4%〜15%(例えば、5.4%〜9.5%、5.6%〜9.3%、5.8%〜9.2%、または4.0%〜5.0%)の量の亜鉛(Zn)を含む。例えば、合金は、4.0%、4.1%、4.2%、4.3%、4.4%、4.5%、4.6%、4.7%、4.8%、4.9%、5.0%、5.1%、5.2%、5.3%、5.4%、5.5%、5.6%、5.7%、5.8%、5.9%、6.0%、6.1%、6.2%、6.3%、6.4%、6.5%、6.6%、6.7%、6.8%、6.9%、7.0%、7.1%、7.2%、7.3%、7.4%、7.5%、7.6%、7.7%、7.8%、7.9%、8.0%、8.1%、8.2%、8.3%、8.4%、8.5%、8.6%、8.7%、8.8%、8.9%、9.0%、9.1%、9.2%、9.3%、9.4%、9.5%、9.6%、9.7%、9.8%、9.9%、10.0%、10.1%、10.2%、10.3%、10.4%、10.5%、10.6%、10.7%、10.8%、10.9%、11.0%、11.1%、11.2%、11.3%、11.4%、11.5%、11.6%、11.7%、11.8%、11.9%、12.0%、12.1%、12.2%、12.3%、12.4%、12.5%、12.6%、12.7%、12.8%、12.9%、13.0%、13.1%、13.2%、13.3%、13.4%、13.5%、13.6%、13.7%、13.8%、13.9%、14.0%、14.1%、14.2%、14.3%、14.4%、14.5%、14.6%、14.7%、14.8%、14.9%、または15.0%のZnを含み得る。全て重量%で表示されている。

0027

いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量を基準として、0.1%〜3.5%(例えば、0.2%〜2.6%、0.3%〜2.5%、または0.15%〜0.6%)の量の銅(Cu)を含む。例えば、合金は、0.1%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、0.2%、0.21%、0.22%、0.23%、0.24%、0.25%、0.26%、0.27%、0.28%、0.29%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.55%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、0.95%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、または3.5%のCuを含み得る。全て重量%で表示されている。

0028

いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量を基準として、1.0%〜4.0%(例えば、1.0%〜3.0%、1.4%〜2.8%、または1.6%〜2.6%)の量のマグネシウム(Mg)を含む。いくつかの場合では、合金は、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、または4.0%のMgを含み得る。全て重量%で表示されている。

0029

任意に、Zn、Cu、及びMgを組み合わせた含有量は、5%〜14%(例えば、5.5%〜13.5%、6%〜13%、6.5%〜12.5%、または7%〜12%)の範囲であり得る。例えば、Zn、Cu、及びMgを組み合わせた含有量は、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、または14%であり得る。全て重量%で表示されている。

0030

いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量を基準として、0.05%〜0.50%(例えば、0.10%〜0.35%または0.10%〜0.25%)の量の鉄(Fe)も含む。例えば、合金は、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、0.20%、0.21%、0.22%、0.23%、0.24%、0.25%、0.26%、0.27%、0.28%、0.29%、0.30%、0.31%、0.32%、0.33%、0.34%、0.35%、0.36%、0.37%、0.38%、0.39%、0.40%、0.41%、0.42%、0.43%、0.44%、0.45%、0.46%、0.47%、0.48%、0.49%、または0.50%のFeを含み得る。全て重量%で表示されている。

0031

いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量を基準として、0.05%〜0.30%(例えば、0.05%〜0.25%または0.07%〜0.15%)の量のケイ素(Si)を含む。例えば、合金は、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、0.20%、0.21%、0.22%、0.23%、0.24%、0.25%、0.26%、0.27%、0.28%、0.29%、または0.30%のSiを含み得る。全て重量%で表示されている。

0032

いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量を基準として、0.05%〜0.25%(例えば、0.05%〜0.20%または0.09%〜0.15%)の量のジルコニウム(Zr)を含む。例えば、合金は、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、0.20%、0.21%、0.22%、0.23%、0.24%、または0.25%のZrを含み得る。他の例では、合金は、合金の全重量を基準として、0.05%未満(例えば、0.04%、0.03%、0.02%、または0.01%)の量のZrを含み得る。全て重量%で表示されている。

0033

いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量を基準として、最大で0.25%(例えば、0.01%〜0.10%または0.02%〜0.05%)の量のマンガン(Mn)を含み得る。例えば、合金は、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、0.20%、0.21%、0.22%、0.23%、0.24%、または0.25%のMnを含み得る。いくつかの場合では、Mnは合金中に存在しない(すなわち、0%)。全て重量%で表示されている。

0034

いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量を基準として、最大で0.20%(例えば、0.01%〜0.10%、0.01%〜0.05%、または0.03%〜0.05%)の量のクロム(Cr)を含む。例えば、合金は、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、または0.20%のCrを含み得る。いくつかの場合では、Crは合金中に存在しない(すなわち、0%)。全て重量%で表示されている。

0035

いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量を基準として、最大で0.15%(例えば、0.001%〜0.10%、0.001%〜0.05%、または0.003%〜0.035%)の量のチタン(Ti)を含む。例えば、合金は、0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.010%、0.011%、0.012%、0.013%、0.014%、0.015%、0.016%、0.017%、0.018%、0.019%、0.020%、0.021%、0.022%、0.023%、0.024%、0.025%、0.026%、0.027%、0.028%、0.029%、0.03%、0.031%、0.032%、0.033%、0.034%、0.035%、0.036%、0.037%、0.038%、0.039%、0.04%、0.041%、0.042%、0.043%、0.044%、0.045%、0.046%、0.047%、0.048%、0.049%、0.05%、0.055%、0.06%、0.065%、0.07%、0.075%、0.08%、0.085%、0.09%、0.095%、0.1%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、または0.15%のTiを含み得る。いくつかの場合では、Tiは合金中に存在しない(すなわち、0%)。全て重量%で表示されている。

0036

いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量を基準として、最大で0.10%(例えば、0.01%〜0.10%、0.01%〜0.05%、または0.03%〜0.05%)の量の1種以上の希土類元素(すなわち、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuのうちの1種以上)を含み得る。例えば、合金は、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、または0.10%の希土類元素を含み得る。全て重量%で表示されている。

0037

いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量を基準として、最大で0.20%(例えば、0.01%〜0.20%または0.05%〜0.15%)の量の、Mo、Nb、Be、B、Co、Sn、Sr、V、In、Hf、Ag、及びNiのうちの1種以上を含み得る。例えば、合金は、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、または0.20%の、Mo、Nb、Be、B、Co、Sn、Sr、V、In、Hf、Ag、及びNiのうちの1種以上を含み得る。全て重量%で表示されている。

0038

任意に、本明細書に記載の合金組成物は、0.05%以下、0.04%以下、0.03%以下、0.02%以下、または0.01%以下の量で、時に不純物と称される他のマイナー元素を更に含み得る。これらの不純物は、Ga、Ca、Bi、Na、Pb、またはそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。したがって、Ga、Ca、Bi、Na、またはPbは、0.05%以下、0.04%以下、0.03%以下、0.02%以下、または0.01%以下の量で合金中に存在していてよい。全ての不純物の総和は0.15%を超えない(例えば、0.10%)。全て重量%で表示されている。合金の残りの百分率はアルミニウムである。

0039

作製方法
本明細書に記載の合金は、当業者に知られているようなアルミニウム工業において一般的に使用される規格に従って実施される任意の鋳造プロセスを使用して鋳造され得る。例えば、合金は、二重ベルト鋳造機、二重ロール鋳造機、またはブロック鋳造機の使用を含み得るがこれらに限定されない連続鋳造(Continuous Casting)(CC)プロセスを使用して鋳造され得る。いくつかの例では、鋳造プロセスはCCプロセスにより実施されて、ビレット、スラブ、シェート(shate)、ストリップなどを形成する。いくつかの例では、鋳造プロセスは直接冷却(Direct Chill)(DC)鋳造プロセスにより実施され、鋳造インゴットを形成する。いくつかの例では、溶融合金を鋳造前に処理してよい。その処理は、脱気インラインフラクシング、及び濾過を含み得る。

0040

次いで、鋳造インゴット、ビレット、スラブ、またはストリップは更なる加工工程に付され得る。任意に、加工工程を使用してシートを調製することができる。そのような加工工程は、均質化工程、熱間圧延工程、冷間圧延工程、溶体化熱処理工程、及び任意に人工時効工程を含むがこれらに限定されない。鋳造インゴットに関して加工工程を以下に記載する。しかしながら、加工工程は、当業者に知られているような改変を使用して、鋳造ビレット、スラブ、またはストリップに使用することもできる。

0041

均質化工程では、本明細書に記載の合金組成物から調製されたインゴットを加熱して、少なくとも450℃(例えば、少なくとも455℃、少なくとも460℃、または少なくとも465℃)のピーク金属温度を達成する。いくつかの場合では、インゴットを450℃〜480℃の範囲の温度に加熱する。ピーク金属温度までの加熱速度は、70℃/時間以下、60℃/時間以下、または50℃/時間以下であり得る。次いで、インゴットをある期間浸漬する(すなわち、示された温度で保つ)。いくつかの場合では、インゴットを最大で15時間(例えば、包括的に30分〜15時間)浸漬する。例えば、少なくとも450℃の温度で、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、または15時間、インゴットは浸漬され得る。

0042

任意に、本明細書に記載の均質化工程は二段階の均質化プロセスであり得る。これらの場合、均質化プロセスは、第1段階と称され得る上述の加熱及び浸漬工程を含み得、更に第2段階を含み得る。均質化プロセスの第2段階において、インゴットの温度は、均質化プロセスの第1段階に使用される温度よりも高い温度に上げられる。インゴットの温度は、例えば、均質化プロセスの第1段階の間のインゴットの温度よりも少なくとも5度セルシウス高い温度に上げられる。例えば、インゴットの温度は、少なくとも455℃(例えば、少なくとも460℃、少なくとも465℃、または少なくとも470℃)の温度に上げられ得る。第2段階の均質化温度までの加熱速度は、5℃/時間以下、3℃/時間以下、または2.5℃/時間以下であり得る。次いで、インゴットを第2段階の間である期間浸漬する。いくつかの場合では、インゴットを最大で10時間(例えば、包括的に30分〜10時間)浸漬する。例えば、少なくとも455℃の温度で、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、または10時間、インゴットは浸漬され得る。均質化に続いて、インゴットは空気中で室温に冷却され得る。

0043

均質化工程の終わりに、熱間圧延工程が実施される。熱間圧延工程は、熱逆(hot reversing)ミル操作及び/または熱直列(hot tandem)ミル操作を含み得る。熱間圧延工程は、約250℃〜約550℃(例えば、約300℃〜約500℃または約350℃〜約450℃)の範囲の温度で実施され得る。熱間圧延工程では、インゴットは12mm以下の厚さゲージ(例えば、3mm〜8mmの厚さゲージ)に熱間圧延され得る。例えば、インゴットは、11mm以下の厚さゲージ、10mm以下の厚さゲージ、9mm以下の厚さゲージ、8mm以下の厚さゲージ、7mm以下の厚さゲージ、6mm以下の厚さゲージ、5mm以下の厚さゲージ、4mm以下の厚さゲージ、または3mm以下の厚さゲージに熱間圧延され得る。

0044

熱間圧延工程に続いて、圧延されたホットバンドは、0.2mm〜10mm(例えば、2mm)の最終ゲージ厚さを有するシートに冷間圧延され得る。例えば、圧延されたホットバンドは、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2mm、2.1mm、2.2mm、2.3mm、2.4mm、2.5mm、2.6mm、2.7mm、2.8mm、2.9mm、3mm、3.1mm、3.2mm、3.3mm、3.4mm、3.5mm、3.6mm、3.7mm、3.8mm、3.9mm、4mm、4.1mm、4.2mm、4.3mm、4.4mm、4.5mm、4.6mm、4.7mm、4.8mm、4.9mm、5mm、5.1mm、5.2mm、5.3mm、5.4mm、5.5mm、5.6mm、5.7mm、5.8mm、5.9mm、6mm、6.1mm、6.2mm、6.3mm、6.4mm、6.5mm、6.6mm、6.7mm、6.8mm、6.9mm、7mm、7.1mm、7.2mm、7.3mm、7.4mm、7.5mm、7.6mm、7.7mm、7.8mm、7.9mm、8mm、8.1mm、8.2mm、8.3mm、8.4mm、8.5mm、8.6mm、8.7mm、8.8mm、8.9mm、9mm、9.1mm、9.2mm、9.3mm、9.4mm、9.5mm、9.6mm、9.7mm、9.8mm、9.9mm、または10mmの最終ゲージ厚さに冷却圧延され得る。冷間圧延は、20%、50%、75%、または85%の全体ゲージ減少を表す最終ゲージの厚さを有するシートがもたらされるように実施され得る。

0045

次いで、冷間圧延されたシートは溶体化熱処理工程を受け得る。溶体化熱処理工程は、シートを室温から約430℃〜約500℃の温度に加熱することを含み得る。例えば、溶体化熱処理工程は、シートを室温から約440℃〜約490℃、約450℃〜約480℃、または約460℃〜約475℃の温度に加熱することを含み得る。

0046

いくつかの例では、溶体化熱処理工程の加熱速度は、約250℃/時間〜約350℃/時間(例えば、約250℃/時間、約255℃/時間、約260℃/時間、約265℃/時間、約270℃/時間、約275℃/時間、約280℃/時間、約285℃/時間、約290℃/時間、約295℃/時間、約300℃/時間、約305℃/時間、約310℃/時間、約315℃/時間、約320℃/時間、約325℃/時間、約330℃/時間、約335℃/時間、約340℃/時間、約345℃/時間、または約350℃/時間)であり得る。

0047

加熱速度は、特に連続溶体化熱処理ラインを通じて加工されたシートの場合には、大幅により高くてよい。連続熱処理ラインにおける加熱速度は、5℃/秒〜20℃/秒(例えば、5℃/秒、6℃/秒、7℃/秒、8℃/秒、9℃/秒、10℃/秒、11℃/秒、12℃/秒、13℃/秒、14℃/秒、15℃/秒、16℃/秒、17℃/秒、18℃/秒、19℃/秒、または20℃/秒)の範囲であり得る。

0048

シートはその温度においてある期間浸漬され得る。いくつかの例では、シートを最大で6時間(例えば、包括的に10分〜6時間)浸漬する。例えば、シートは、約430℃〜約600℃の温度で、10分、20分、30分、40分、50分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、または6時間、浸漬され得る。例えば、シートは、約430℃〜約500℃の温度で、10分、20分、30分、40分、50分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、または6時間、浸漬され得る。

0049

他の例では、溶体化熱処理工程の加熱速度は、約300℃/分〜約500℃/分(例えば、約300℃/分、約325℃/分、約350℃/分、約375℃/分、約400℃/分、約425℃/分、約450℃/分、約475℃/分、または約500℃/分)であり得る。これらの場合、シートはその温度で包括的に5秒〜5分の期間浸漬され得る。例えば、シートは、約430℃〜約500℃の温度で、10秒、20秒、30秒、40秒、50秒、1分、2分、3分、4分、または5分の間浸漬され得る。

0050

次いで、シートは、焼入れまたは冷却工程において、約25℃〜約120℃の温度に冷却され得る。焼入れ工程は、急速焼入れ方式または低速焼入れ方式を使用して実施され得る。急速焼入れ方式における冷却速度は、1秒当たり約2000℃/秒〜1秒当たり約3000℃(例えば、1秒当たり約2500℃)の範囲であり得る。低速焼入れ方式における冷却速度は、1秒当たり約200℃/秒〜1秒当たり約600℃(例えば、1秒当たり約300℃〜1秒当たり約500℃または1秒当たり約350℃〜1秒当たり約450℃)の範囲であり得る。焼入れは、液体焼入れ、ガス焼入れ、またはこれらの組み合わせを使用して実施され得る。いくつかの場合では、焼入れ工程は水を使用して実施される。いくつかの場合では、焼入れ工程は強制空気を使用して実施される。

0051

任意に、シートは室温に焼入れされ得る。焼入れ後に得られるシートはW焼戻しにある。そのようなW焼戻しシートは、部品を形成するのに好適な十分な室温延性を有し得る。そのため、室温に焼入れされたシートを使用して部品を形成することができる。

0052

溶体化熱処理及び焼入れ/冷却工程は、合金中のS相(Al2CuMg)及びM相[Mg(Zn、Al、Cu)2またはMgZn2]などの溶体共晶相が溶解するような手法で実施され、これにより合金に添加された溶質強化効果最大化される。これらの場合、未溶解のMgZn2、Mg(Zn,Al,Cu)2、またはAl2CuMg相は、溶体化熱処理されたシート中に観察されない。溶体化熱処理されたシート中に存在する相は、Feを有する相(例えば、 Al7Cu2Fe)及びSiを有する相(例えば、Mg2Si)の不可避不溶性構成粒子を含む。

0053

任意に、溶体化熱処理されたシートは時効され得る。人工時効プロセスは、高強度を進展させ、合金における他の所望の特性を最適化する。最終製品機械的特性は、所望の使用に応じて様々な時効条件によって制御される。いくつかの場合では、本明細書に記載のシートは、例えば、T4焼戻し、T6焼戻し、T7焼戻し、またはT8焼戻しで顧客に供給され得る。

0054

いくつかの例では、T6焼戻しは以下の時効プロセスを使用して達成される。シートは、約100℃〜約140℃(例えば、約105℃〜約135℃または約110℃〜約130℃)の温度に加熱され得る。時効プロセスは、シートを約100℃〜約140℃(例えば、約105℃〜約135℃または約110℃〜約130℃)の温度においてある期間維持することも含み得る。時効プロセスにおいてシートを維持する工程は、約5分〜約72時間(例えば、30分〜24時間または1時間〜10時間)の期間、実施され得る。任意に、時効プロセスは、シートを約140℃を超える温度(例えば、145℃、150℃、または155℃)に更に加熱する工程を追加的に含み得る。シートは、約140℃を超える温度(例えば、約140℃〜180℃)において約5分〜約72時間の期間(例えば、30分〜24時間または約1時間〜10時間)維持され得る。時効プロセスは、シートを約30分〜48時間の継続期間にかけて室温に冷却することを更に含み得る。

0055

あるいは、冷間圧延されたF焼戻しシートブランクは、溶体化熱処理温度に加熱され、続いて冷ダイを使用して部品に熱間成形される。冷ダイは、その後の人工的時効応答のために溶液中で合金になる元素を維持するのに必要な速い焼入れ速度を提供し得る。ホットスタンピング及びダイ焼入れに続いて、形成された部品は、上述のように人工時効され得る。

0056

本明細書に記載の合金から調製されたシートは並外れた降伏強度を示す。いくつかの例では、シートがT6焼戻しである場合、そのシートは約500MPaを超える降伏強度を有する。例えば、シートは、T6焼戻しの場合、510MPa以上、515MPa以上、520MPa以上、525MPa以上、530MPa以上、または535MPa以上の降伏強度を有し得る。

0057

本明細書に記載の合金から調製されたシートは、高い塑性歪み比(r−値またはランクフォード(Lankford)値と称される)を示す。いくつかの例では、本明細書に記載のシートは、圧延方向に対して45°の角度で高いr−値を示す。例えば、圧延方向に対して45°でのr−値は、少なくとも0.75、少なくとも1.0、少なくとも1.25、少なくとも1.5、少なくとも1.75、少なくとも2.0、または少なくとも2.25であり得る。高いr−値はシートの異方性挙動を示す。

0058

本明細書に記載の合金は、プレート、押出物、鋳造物、及び鍛造物の形態の製品、または他の好適な製品を作製するために使用され得る。製品は当業者に知られている技術を使用して作製され得る。例えば、本明細書に記載の合金を含むプレートは、均質化工程とこれに続く熱間圧延工程において鋳造インゴットを加工することにより調製され得る。熱間圧延工程では、インゴットは200mm以下の厚さゲージ(例えば、10mm〜200mm)に熱間圧延され得る。例えば、インゴットは、10mm〜175mm、15mm〜150mm、20mm〜125mm、25mm〜100mm、30mm〜75mm、または35mm〜50mmの最終ゲージ厚さを有するプレートに熱間圧延され得る。

0059

本明細書に記載の合金及び方法は、動力車両、航空機、及び鉄道の用途を含む自動車及び/または輸送手段用途、または任意の他の所望の用途において使用され得る。いくつかの例では、合金及び方法は、バンパー、サイドビーム、ルーフビーム、クロスビーム、ピラーレインフォースメント(例えば、A−ピラー、B−ピラー、及びC−ピラー)、インナーパネル、アウターパネル、サイドパネル、インナーフードアウターフード、またはトランクリッドパネルなどの動力車両用のボディ部品製品を調製するために使用され得る。本明細書に記載のアルミニウム合金及び方法は、例えば、外部及び内部パネルを調製するために、航空機または鉄道車両の用途においても使用され得る。

0060

本明細書に記載の合金及び方法は、電子機器用途においても使用され得る。例えば、本明細書に記載の合金及び方法は、携帯電話及びタブレットコンピュータを含む電子デバイス用のハウジングを調製するためにも使用され得る。いくつかの例では、合金は、携帯電話(例えば、スマートフォン)の外側ケーシング及びタブレットボトムシャーシ用のハウジングを調製するために使用され得る。

0061

いくつかの例では、本明細書に記載の合金及び方法は、工業用途において使用され得る。例えば、本明細書に記載の合金及び方法は、一般流通市場用の製品を調製するために使用され得る。

0062

以下の実施例は本発明を更に解説する役割を果たすが、それと同時にそのいかなる限定も構成しない。それどころか、本明細書の記載を読んだ後に、本発明の趣旨から逸脱することなく当業者に示唆され得る様々な実施形態、改変、及びその等価物に対して手段が与えられ得ることが明確に理解されるべきである。

0063

実施例1
12種の合金を強度及び伸長試験のために調製した(表4参照)。合金V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、及びV12は、本明細書に記載の方法に従って調製した。試験した合金の元素組成を表4に示しており、残部はアルミニウムである。元素組成は重量百分率で提供されている。合金V3は既存のAA7075合金であり、比較目的のために使用されている。合金V1、V2、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、及びV12は、本明細書に記載の方法に従って調製された試作合金である。



全て重量%で表示されている。

0064

表4において上で示された合金組成を有するインゴットを、表5に規定された条件を使用して本明細書に記載の手順に従って均質化した。具体的には、表5に示すように、インゴットを8時間かけて460℃または465℃に加熱し、次いである期間浸漬した。第1の加熱及び浸漬は表5における「段階1」と称される。任意に、インゴットを第2の均質化工程において更に加熱し、ある期間浸漬したが、これは表5における「段階2」と称される。

0065

次いで、インゴットを14回の熱間圧延通過を使用して、65mmの初期厚さから8mmの最終厚さまで熱間圧延した。熱間圧延工程用の横たわらせ(laydown)温度は400℃〜425℃の範囲であり、出口温度は315℃〜370℃の範囲であった。ホットバンドを直ちに炉内に置き、コイル冷却をシミュレートした。次いで、ホットバンドをおよそ2mmの最終ゲージ厚さまで冷間圧延した(全体ゲージ減少75%)。次いで、冷間圧延されたシートを1時間当たりおよそ283℃の速度で465℃に加熱し、1時間浸漬した。次いで、冷水または温水を使用して焼入れ工程においてシートを室温(およそ25℃)に冷却し、次いで時効させた。

0066

具体的には、合金V4、V6、V7、V8、V9、及びV10をおよそ20℃の水を使用して焼入れした(この例では「冷水焼入れ(cold water quench)」または「冷水で焼入れること(cold water quenching)」と称される。)。冷水焼入れのため、シートを1秒当たりおよそ2000℃〜1秒当たり3000℃の速度で冷却した。次いで、以下の表6に記載の条件A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A11、A12、A13、またはA14のうちの1つに従って合金を時効させた。

0067

冷水焼入れ及び表6に記載の条件に従う時効後の合金V4、V6、V7、V8、V9、及びV10から調製されたシートの硬度値を、ロックウェル硬度試験(Rockwell Hardness Test)を使用して測定した。データを以下の表7に提供する。

0068

また、合金V4、V6、V7、V8、V9、及びV10を、温水を使用して焼入れした。温水焼入れのため、およそ95℃の水を使用して1秒当たりおよそ350℃の速度で冷却した。次いで、以下の表8に記載の条件D1、D2、D3、D4、D5、D6、またはD7のうちの1つに従って合金を時効させた。

0069

温水焼入れ及び表8に記載の条件に従う時効後の合金V4、V6、V7、V8、V9、及びV10から調製されたシートの硬度値を、ロックウェル硬度試験を使用して測定した。データを以下の表9に提供する。

0070

冷水焼入れ及び温水焼入れの効果を、上記の表7及び9のデータを使用して比較した。具体的には、同じ合金から同じ時効条件に従って調製された焼入れ方式により変動するシートを比較した。合金V6から調製され、温水を使用して焼入れされ、方式D3に従って時効させたシートは、冷水を使用して焼入れした対応するシート(すなわち、合金V6から調製され、方式A3に従って時効させたシート)よりも5ポイント高いロックウェルB硬度値を有していた。同様に、合金V6から調製され、温水を使用して焼入れされ、方式D7に従って時効させたシートは、冷水を使用して焼入れした対応するシート(すなわち、合金V6から調製され、方式A7に従って時効させたシート)よりも5.1ポイント高いロックウェルB硬度値を有していた。追加的に、合金V7から調製され、温水を使用して焼入れされ、方式D2に従って時効させたシートは、冷水を使用して焼入れした対応するシート(すなわち、合金V7から調製され、方式A2に従って時効させたシート)よりも5.5ポイント低いロックウェルB硬度値を有していた。

0071

実施例2
実施例1において温水焼入れを使用して調製されたシートを以下の表10に記載の条件(すなわち、B1、B3、B4、B5、B6、B8、B10、B12、B14、及びB16)に従って時効させた。具体的には、合金V1、V2、V3、V5、V11、及びV12から調製されたシートを時効方式B1、B3、B4、B5、及びB6について規定された条件の各々に従って時効させた。合金V4、V6、V7、V8、V9、及びV10から調製されたシートを時効方式B8、B10、B12、B14、及びB16について規定された条件の各々に従って時効させた。表10に記載されているように、シートを16℃/時間の速度で室温(約25℃)から約120℃まで加熱した。次いで、シートを約120℃で6時間維持した。時効方式B4、B5、B6、B12、B14、及びB16に従って時効させたシートを11.7℃/時間の速度で120℃から155℃まで更に加熱した。そのシートを表10の「第2の浸漬時間」として示された期間、約155℃で維持した。次いで、シートを室温(約25℃)に冷却した。時効方式の開始から時効方式の終わりまでに経過した時間を全時効時間として表10に示す。

0072

時効方式B1、B3、B4、B5、及びB6の各々に従って時効させた合金V1、V2、V3、V5、V11、及びV12から調製されたシート、及び時効方式B8、B10、B12、B14、及びB16の各々に従って時効させた合金V4、V6、V7、V8、V9、及びV10から調製されたシートについて、降伏強度(YS)、極限引張強度(UTS)、均一伸長率(UE)、全伸長率(TE)、及び極限破断歪み率(CFS)のデータを得た。試験方法ASTMB557及びASTM E8−11に従って、INSTRON試験機(Instron、Norwood、MA)を使用して室温において引張試験を実施した。歪み硬化指数n−値)及びランクフォード値(r−値)のデータも得た。特性は縦(L)方向で測定した。データを表11に表形式掲載する。降伏強度のデータ及び極限引張のデータも図1及び図2にそれぞれ図示されている。

0073

表11に示されているように、合金V3(すなわち、比較目的のために使用されたAA7075合金)から調製されたシートと比較して、合金V1、V2、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、及びV12から調製されたシートについては大幅な強度の増加が得られた。

0074

上述の時効方式のうちの1つに従って合金V1〜V12から調製されたシートの最高達成降伏強度(すなわち、ピーク時効降伏強度)は、表12において表題「ピーク時効降伏強度」で掲載されている。比較合金AA7075(すなわち、V3)から調製されたシートの降伏強度と比較した降伏強度の変化も表12に示されている。対応する全伸長率(T.Elong)、均一伸長率(U.Elong)、及び極限破断歪み(CFS)が表12において再現されている。

0075

実施例3
合金V1〜V12から調製されたシートを125℃の温度に24時間加熱することによって時効させた。生じた降伏強度を測定し、その結果を以下の表13に示している。比較目的のために、ピーク時効降伏強度も表13に掲載している。

0076

125℃で24時間時効させた後に得られた強度データ(「125℃データ」)は、ピーク時効強度データと比較して相当な変動性を示している。例えば、V6サンプルは、ピーク時効強度データと比較して125℃データの降伏強度の大幅な増加を示した。しかしながら、V5サンプルは、ピーク時効強度データと比較して125℃データの降伏強度の大幅な低下を示した。他のサンプルも、ピーク時効強度データと比較して高いまたは低い125℃データの降伏強度を生成することにより変動した。これらの変化は個々の合金の異なる時効動態から発生する。理論に束縛されるものではないが、125℃で24時間時効させた後に得られる相対的に低い値は、時効不足効果から生じた可能性がある。

0077

実施例4
試験方法ASTMB557及びASTM E8−11に従って、合金V6及びV12の引張特性も横(T)方向で測定した。以下の表14は、合金V6及びV12から調製されたシートについてのT方向での降伏強度、極限引張強度、均一伸長率、引張伸長率、及び極限破断歪みを示している。比較目的のため、合金V6及びV12から調製されたシートについて、表11からの縦(L)方向でのデータ値を再現した。

0078

実施例5
同じパラメータを使用して合金7075、合金V6、及び合金V12から調製されたシートについて抵抗スポット溶接を実施した。図3を参照。具体的には、一対の対向する溶接電極を直径方向に共通のスポットシート金属層の対向側に接触させた。次いで、電流を、シート金属層を通じて送り、これにより溶融した溶接プールが形成した。電流を止め、溶融した溶接プールを凝固させて溶接ナゲットにした。シートの各々において溶接から形成されたナゲットは、同様の直径及びくぼみを有していた。図3に示されているように、合金V6及びV12は、合金7075よりもはるかに少ない柱状粒領域を溶接中に有していた。そのため、合金V6及びV12は合金7075よりも亀裂耐性が高かったが、その理由は、ほとんどの亀裂が柱状粒領域の粒界に沿って形成するからである。

0079

実施例6
合金7075(2つのサンプル)、合金V6、及び合金V12について腐食試験を実施した。57g/LのNaCl及び10mLのH2O2を含有する溶液にシートを24時間浸した。図4に示されているように、合金は異なる種類及び程度の腐食攻撃を呈する。24時間の浸漬期間の後、V6サンプルは粒間腐食(IGC)に対して最も高い耐性を呈した。IGCの代わりに、合金V6にピッティングモルホロジーが観察された。図4を参照。

0080

V12サンプルは、ある程度のIGCを示したが、その重大度は合金7075サンプルよりはるかに小さかった。図4を参照。7075サンプルでは、バルク金属において相当な粒間攻撃及び浸透が観察され、これらのサンプルは特許請求されたサンプルの中で最小量のIGCに対する耐性を提供することを示す。

0081

サンプルのピット深さは光学顕微鏡を使用して測定した。V6サンプルは、6時間、24時間、及び48時間を含む、全ての選択された浸漬間隔にわたって最も低い平均ピット深さを一貫して示した。平均ピット深さは20ミクロン未満であり、最大ピット深さは40ミクロン未満であった。図5を参照。

0082

V6サンプルと比較して、V12サンプルはIGCに対してわずかな感受性を示した。しかしながら、その重大度は7075合金よりもはるかに低く、40ミクロンを超える平均ピット深さ値、及び75ミクロン〜およそ135ミクロンの最大ピット深さを示した。図5を参照。

0083

上記のように、V6は少量の銅の類型である一方で、V12はより多くの量の銅を含有している。驚くべきことに、少量の銅の類型及びより多くの量の類型の両方が、基準合金7075よりも低い腐食攻撃深さを呈した。

0084

実施例7
8種の合金を強度及び伸長試験のために調製した(表15参照)。合金K303 K304、K305、K306、K307、K308、K309、及びK311を本明細書に記載の方法に従って調製した。試験した合金の元素組成を表15に示しており、残部はアルミニウムである。元素組成は重量百分率で提供されている。合金の各々を本明細書に記載の方法に従って調製した。



全て重量%で表示されている。

0085

上の表15に示された合金組成を有するインゴットを、約30℃/時間の加熱速度で約460℃に加熱することにより均質化した。インゴットを6時間浸漬した。次いで、インゴットを10〜11回の熱間圧延通過を使用して、10mmの最終厚さまで熱間圧延した。熱間圧延工程の出口温度は370℃〜380℃の範囲であった。ホットバンドを直ちに炉内に置き、コイル冷却をシミュレートした。次いで、ホットバンドをおよそ1.0mmの最終ゲージ厚さまで冷間圧延した。次いで、冷間圧延されたシートを460℃に加熱し、塩浴中で60秒間浸漬した。次いで、シートを水または強制空気を使用して焼入れし、次いで以下に記載の条件を使用して時効させた。

0086

T4焼戻しに達するために、冷間圧延されたシートを水焼入れ後に室温で10日間保持した(「T4−1条件」)か、または室温で7日間保持し、次いで70℃で4日間加熱した(「T4−2条件」)。後者の条件は、室温において90日間の時効プロセスをシミュレートしている。

0087

T6焼戻しに達するために、T4焼戻し材料を95℃に更に加熱し、8時間浸漬し、次いで145℃に更に加熱し、6時間浸漬した(「T6−1条件」)。あるいは、冷間圧延されたシートを室温で1日間保持し、次いでシートを120℃に更に加熱し、シートを24時間浸漬することによりT6焼戻しに達した(「T6−2条件」)。第3の選択肢として、冷間圧延されたシートを室温で1日間保持し、シートを120℃に加熱し、シートを1時間浸漬し、シートを180℃に更に加熱し、30分間浸漬して自動車用途用の塗料焼き付け条件をシミュレートすることによりT6焼戻しに達した(「T6−3条件」)。

0088

次いで、シートをISO6892に従う引張特性、VDA238−100に従う曲げ挙動、及び時効硬化特性についてシートを試験した。具体的には、降伏強度(YS)、極限引張強度(UTS)、均一伸長、全伸長、及び塑性歪み比比(r−値またはランクフォード値と称される)について、圧延方向に対して0°、45°、90°の角度で、条件T4−1を使用するT4焼戻しの水で焼入れしたシートを試験した。データは以下の表16に提供されており、図6〜9にも図示されている。銅を含まない類型は、高いr45値を通じて示されるように、非常に異方性の高い挙動を示した。

0089

降伏強度(YS)、全伸長、及び塑性歪み比(r−値)について圧延方向に対して0°、45°、及び90°で、T4焼戻しに達するための条件T4−2で時効したシートを試験した。データを図10及び11に図示する。条件T4−1で時効させたシートと同様に、銅を含まない類型は、高いr45値を通じて示されるように非常に異方性の挙動を示した。図12に示されているように曲げ性も測定した。

0090

上述の3つの別個のT6条件で時効させたシートも降伏強度及び全伸長について試験した。結果を図13及び14に示す。

0091

結果は、高いr45値により実証されるように、銅を含まない類型が非常に異方性の高い挙動を呈したことを示した。銅を含まない合金のT6強度レベルは、390〜430MPaであり、銅含有合金のT6強度レベルは450〜460MPaの範囲であった。銅の包含によりT6焼戻し強度の増加が引き起こされたが成形性はより低くなった。

0092

実施例8
8種の合金を本明細書に記載の方法に従って調製した(表17参照)。試験した合金の元素組成を表17に示しており、残部はアルミニウムである。元素組成は重量百分率で提供されている。



全て重量%で表示されている。

0093

実施例9
合金V6の3つの類型を鋳造し、比較のために同一の加工条件に付した。合金V6の元素組成を表4に示しており、残部はアルミニウムである。元素組成は重量百分率で提供されている。更に調査した合金V6の類型の化学組成は表19に示されている。全ての合金を同じ溶体化処理に付した。



全て重量%で表示されている。

0094

合金中のZrの量を変動させると微細構造が変わる。図15A、15B、及び15Cは、合金の微細構造に対するZr量の効果を示している。合金V6−6(図15A、0.05重量%のZr)は再結晶化し、合金V6(図15B、0.10重量%のZr)及びV6−7(図15C、0.15重量%のZr)は再結晶化しなかった。いくつかの場合では、0.10重量%を超えるZrの量は、再結晶化を抑制するのに十分である。

0095

実施例10
合金V4及びV6の元素組成を表4に示しており、残部はアルミニウムである。元素組成は重量百分率で提供されている。2つの合金を鋳造し、実験室で同様に加工した。しかしながら、2つの合金の最終微細構造は、図16A及び16Bに示されるように、溶体化後に大幅に異なっている。図17Aは、完全に再結晶化されている合金V4のSEM画像を示している一方で、図17Bは、溶体化後に完全に再結晶化していない合金V6のSEM画像である。

0096

Zrの再結晶化動態への効果は、均質化の間に形成されるAl3Zr分散質に起因し得る。Al3Zr分散質は、粒界をピンニングすることにより再結晶化を抑制し得る。しかしながら、効果的であるために、これらのAl3Zr分散質は、マトリックス密着すべきであり、サイズが小さくあるべきであり、数が多くあるべきであり、微細構造に全体わたって均一に分布しているべきである。再結晶化した合金V4中のAl3Zr分散質(例えば、図17Aに示されるもの)は、より大きく(約20nmの直径)、よりまばらである。再結晶化していない合金V6中のAl3Zr分散質(例えば、図17Bに示されるもの)は、より小さく(約8nmの直径)、数密度がより高い。合金V4中の分散質のサイズがより大きく、数密度が低いと、粒界を十分にピン止めしない場合があり、高い再結晶化速度が可能となる。それどころか、合金V6中の十分に分散した分散質は、広範囲の粒界のピンニングを引き起こし得、それ故再結晶化を抑制する。図16A及び16Bは、図17A及び17Bにおける顕微鏡写真に示された合金の再結晶化動態を例示している。図16Aは、加工後に生じた再結晶化を示しており、図16Bは、少なくとも一部がAl3Zr分散質に起因する抑制された再結晶化を示している。いくつかの場合では、Al3Zr分散質は、約5nm〜約50nm(例えば、約5nm〜約20nm、約8nm〜約20nm、または約5nm〜約10nm)の直径を有し得る。いくつかの場合では、Al3Zr分散質は、約20nm未満(例えば、約15nm未満、約10nm未満、または約8nm未満)の直径を有し得る。いくつかの場合では、Al3Zr分散質は、より高い強度につながり得る固有の再結晶化していない微細構造を提供し得る。例えば、Al3Zr分散質を含むシートにおいて、シートは、約500MPaを超え、約525MPaを超え、約550MPaを超え、約575MPaを超え、または約600MPaを超える降伏強度を有し得る。

0097

Al3Zr分散質のサイズ、数、及び分布は、7xxx合金における再結晶化挙動に大幅に影響を及ぼし得る。いくつかの場合では、Al3Zr分散質のサイズ、数、及び/または分布は、合金の組成及び加工を通じて制御され得る。いくつかの場合では、約10nm未満のサイズの均一に分布したAl3Zr分散質は、標準的な溶体化処理(例えば、430〜500℃で10秒〜6時間)中に冷間圧延された7xxx合金の再結晶化を完全に停止させることができる。7xxxシリーズAl合金の組成及び加工を採用して、その合金の微細構造を制御することができる。微細構造を制御することにより、7xxx合金における強度及び延性を調整する能力利用可能にすることができる。

0098

実施例11
合金V6の8種の類型を鋳造し、比較のために同一の加工条件に付した。合金V6を含む8種の類型の元素組成を表20に示しており、残部はアルミニウムである。元素組成は重量百分率で提供されている。



全て重量%で表示されている。

0099

表20において上で示された合金組成を有するインゴットを、表5に規定された条件を使用して本明細書に記載の手順に従って均質化した。具体的には、表5に示すように、インゴットを8時間かけて460℃または465℃に加熱し、次いである期間浸漬した。第1の加熱及び浸漬は表5における「段階1」と称される。任意に、インゴットを第2の均質化工程において更に加熱し、ある期間浸漬したが、これは表5における「段階2」と称される。

0100

次いで、インゴットを14回の熱間圧延通過を使用して、65mmの初期厚さから8mmの最終厚さまで熱間圧延した。熱間圧延工程用の横たわらせ(laydown)温度は400℃〜425℃の範囲であり、出口温度は315℃〜370℃の範囲であった。ホットバンドを直ちに炉内に置き、コイル冷却をシミュレートした。次いで、ホットバンドをおよそ2mmの最終ゲージ厚さまで冷間圧延した(全体ゲージ減少75%)。次いで、冷間圧延されたシートを1時間当たりおよそ283℃の速度で465℃に加熱し、1時間浸漬した。次いで、冷水または温水を使用して焼入れ工程においてシートを室温(およそ25℃)に冷却し、次いで時効させた。

0101

具体的には、およそ55℃の水を使用して合金を焼入れした(この実施例において「温水焼入れ」と称される)。温水焼入れのため、シートを1秒当たりおよそ150℃〜1秒当たり350℃の速度で冷却した。合金V6−1〜V6−8から調製されたシートを125℃の温度に24時間加熱することにより時効させた(この実施例において「T6」焼戻しと称される)。縦方向で測定した生じた降伏強度を以下の表21に示している。比較目的のために、合金V6(表13に示す)の降伏強度も表21に掲載されている。T6焼戻し合金を180℃の温度に0.5時間加熱することにより更に時効させた(この実施例では「塗料焼き付け」または「PB」条件と称される)。T6+PB処理後の生じた降伏強度も表21に示されている。

0102

表21に見られるように、合金V6は、T6焼戻しにおいて高い降伏強度(すなわち、624MPa)を示した。しかしながら、追加的なPB処理は、降伏強度の大幅な低下、すなわち77MPaの低下を引き起こして547MPaとなった。本明細書で論じた8種の類型は、PB後の強度減少を緩和しながらT6焼戻しの降伏強度を約600MPa以上に依然として維持するように設計された。合金類型V6−3がこの基準を満たし、T6焼戻しにおいて623MPa及び追加的なPB処理後で597MPaのYSを示したことが表21に示された結果から明らかである。合金V6−3は、600MPaを超えるT6強度を有していた他の2つの合金であるV6及びV6−7についてのそれぞれ77MPa及び86MPaの低下と比較して、追加的なPB処理後のわずか26MPaの降伏強度の低下しか有していなかった。

0103

別の例として、合金V12は、T6焼戻しからの塗料焼き後の降伏強度の非常に小さい低下を有する合金(表4に示す組成)である。降伏強度は、T6焼戻しにおける613MPaから塗料焼き付け後での605MPaに低下した(8MPaの低下のみ)。そのような合金は、高強度に寄与する十分に再結晶化していない微細構造を有する。この合金は、良好な破壊靭性及び疲労性能を必要とする用途において使用され得る。

0104

実施例12
本明細書で論じられる合金は、所望の部品を形成するために熱間成形またはホットスタンピングプロセスを受け得る。熱間成形プロセスでは、合金シートは、典型的には、特定合金溶体化温度よりも高い温度に加熱される。溶体化温度は、およそ400℃〜およそ600℃の範囲であり得る。溶体化の後、合金シートをプレスに移し、そこで所望の形状に成形され、同時にダイにより冷却される。そのため、複雑な形状に成形できるようにするためには、合金が上昇した温度で良好な延性または成形性を有することが重要である。いくつかの場合では、7xxx合金、例えば合金7075は、図18Aに示されているように、所定の温度を超えて加熱すると延性の低下を示す。他の場合では、図18Bに示されているように、合金V6は高温での延性の低下を示さず、合金を熱間成形用途にとってより適したものにする。

0105

自動車分野での使用に加えて、本発明の合金は、航空宇宙機及び家庭用電子機器分野においても同様に使用することもできる。航空宇宙機の場合、合金は構造的な及び非構造的な用途における使用が見出され得る。構造的なボディ部品の場合、その構造的なボディ部品は、翼、胴体、補助翼、舵、エレベータ、カウリング、または支持体であり得る。非構造的なボディ部品の場合、非構造的なボディ部品は、例えば、シートトラック、シートフレーム、パネル、またはヒンジであり得る。再結晶化していない微細構造は、改善された破断靭性及び疲労性能を可能にする。家庭用電子機器の場合、本発明の合金は、携帯電話のケースラップトップ、タブレット、テレビなどに使用され得る。

0106

実施例13
表20において上で示された合金組成V6−3及びV6−7を有するインゴットを、表5に規定された条件を使用して本明細書に記載の手順に従って均質化した。具体的には、表5に示すように、インゴットを8時間かけて460℃または465℃に加熱し、次いである期間浸漬した。第1の加熱及び浸漬は表5における「段階1」と称される。任意に、インゴットを第2の均質化工程において更に加熱し、ある期間浸漬したが、これは表5における「段階2」と称される。

0107

次いで、インゴットを14回の熱間圧延通過を使用して、65mmの初期厚さから8mmの最終厚さまで熱間圧延した。熱間圧延工程用の横たわらせ(laydown)温度は400℃〜425℃の範囲であり、出口温度は315℃〜370℃の範囲であった。ホットバンドを直ちに炉内に置き、コイル冷却をシミュレートした。次いで、ホットバンドをおよそ2mmの最終ゲージ厚さまで冷間圧延した(全体ゲージ減少75%)。次いで、冷間圧延されたシートを1時間当たりおよそ283℃の速度で465℃に加熱し、1時間浸漬した。次いで、冷水または温水を使用して焼入れ工程においてシートを室温(およそ25℃)に冷却し、次いで時効させた。

0108

具体的には、およそ55℃の水を使用して合金を焼入れした(この実施例において「温水焼入れ」と称される)。温水焼入れのため、シートを1秒当たりおよそ150℃〜1秒当たり350℃の速度で冷却した。実施例11とは対照的に、実施例13における合金V6−3及びV6−7から調製されたシートは、T6焼戻しを形成するために加熱により時効させなかったが、代わりに熱間成形され、次いでT6焼戻しを受けることなく直接的に塗料焼き付けされた。実施例12のV6−3及びV6−7合金を180℃の温度に0.5時間加熱することによって更に時効させた(この実施例では「塗料焼き付け」または「PB」条件と称される)。PB処理後の生じた降伏強度も表22に示されている。

0109

表21及び22に見られるように、T6焼戻しへの合金の時効及び追加的なPB処理の後に597MPaの降伏強度を示す実施例11に従って加工された合金V6−3と比較して、実施例13に従って加工された合金V6−3は、T6処理を受けることなく熱間成形の直後において180℃の温度に0.5時間加熱する(この実施例では「塗料焼き付け」または「PB」条件と称される)ことによる時効の後に580MPaの降伏強度を示す。T6焼戻しへの合金の時効及び追加的なPB処理の後に544MPaの降伏強度を示す実施例11に従って加工された合金V6−7と比較して、実施例13に従って加工された合金V6−7は、T6処理を受けることなく熱間形成した直後において塗料焼き付けにより時効させた後に560MPaの降伏強度を示す。表22に見られるように、合金V6−3及びV6−7は、T6を受けずに熱間成形の直後に塗料焼き付け処理を行うことによって高い降伏強度を示した。

0110

上で引用した全ての特許、特許出願、刊行物、及び要約は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本発明の様々な実施形態は、本発明の様々な目的の実現において記載されている。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる例示であることを認識すべきである。以下の特許請求の範囲に定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、数多くの改変及びその適合が当業者には容易に明らかであろう。

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