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技術 金属ないしは合金の性質と自己発火せず着火しない不燃性を兼備する熱可塑性エラストマーからなる成形体の成形方法

出願人 小林博
発明者 小林博
出願日 2018年9月17日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-173156
公開日 2020年3月26日 (7ヶ月経過) 公開番号 2020-045393
状態 未査定
技術分野 粉末冶金 高分子物質の処理方法
主要キーワード 粒状微粒子 気化点 mPa秒 連続経路 ガラス繊維強化合成樹脂 モル濃度比率 配位結合部位 難燃性ゴム
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (3)

課題

第一に、金属ないしは合金からなる物質で覆われた熱可塑性エラストマー原料集まりを製造する。第二に、前記原料の集まりを、安価な原料を用い、極めて簡単な処理で製造する。第三に、熱融解し、圧縮変形した原料を、金属ないしは合金からなる物質が、継続して覆い続ける。第四に、隣り合う圧縮変形した原料を覆う金属ないしは合金からなる物質が互いに金属結合し、隣り合う圧縮変形した原料同士が結合する。

解決策

熱可塑性エラストマーの原料が、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりで覆われるとともに、隣り合う原料の双方の原料を覆う金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりが金属結合することで、隣り合う原料同士が結合され、熱可塑性エラストマーの原料の集まりが製造される。

概要

背景

本発明に近い第一の従来技術に、導電性ゴムがある。例えば、特許文献1に、ベースゴムに、導電性粒子又は導電性フィラーのいずれかと可塑剤とを添加して、導電性基材成形し、この導電性基材から可塑剤を取り除くことにより導電性ゴムを製造する方法において、前記した導電性基材に、可塑剤受けゴムを接触させることで可塑剤を可塑剤受けゴムへ移行させ、導電性ゴムを製造する方法が記載されている。
しかし、この導電性ゴムの製造方法では、可塑剤を可塑剤受付ゴムへ移行させても、導電性粒子又は導電性フィラーのいずれかが、導電性基材に連続した導電経路を形成できない。このため、この導電性ゴムの導電性は、ベースゴムにおける導電性粒子又は導電性フィラーのいずれかの充填割合に準じる。従って、導電率を高めるには、導電性基材を成形する際に、導電性粒子又は導電性フィラーのいずれかの充填割合を高めなければならならず、充填割合を高めるほど導電性基材を成形する際の粘度が高まり、導電性基材の成形が困難になる。従って、金属に近い導電性を実現することはできない。

また、本発明に近い第二の従来技術に、熱伝導性ゴムがある。例えば、特許文献2に、極性ゴムベースポリマーとし、所定量の熱伝導性フィラーを含有させ、更にチタネート系カップリング剤またはシラン系カップリング剤を配合することによって、高い熱伝導性を有し、かつ柔らかくて、硬度が適度に小さく、凹凸段差のある面に対しても高い密着性を有する熱伝導性ゴムの製造方法が記載されている。
しかし、この熱伝導性ゴムは、冷却される基材ないしは部品に対する密着性を主な目的とするため、高い熱伝導性は得られない。つまり、特許文献1と同様に、熱伝導性フィラーが連続した熱伝導経路を、熱伝導性ゴムに形成することができない。従って、特許文献1と同様に、高い熱伝導率を得るには、熱導電性ゴムを成形する際に、熱伝導性フィラーの充填割合を高めなければならず、充填割合を高めると、熱伝導性ゴムの成形が困難になる。従って、金属に近い熱伝導性を実現することはできない。

さらに、本発明に近い第三の従来技術に、導電性熱可塑性エラストマーがある。例えば、特許文献3に、熱可塑性エラストマーに導電性を付与させるため、エラストマー性ポリマークレイパラフィンオイルカーボン系フィラーとを含有する組成物とする、導電性熱可塑性エラストマーが記載されている。
しかし、特許文献1および2と同様に、導電性のカーボン系フィラーを他の3種類の原料と混合し、熱可塑性エラストマーを製造する方法では、カーボン系フィラーが、連続した導電経路を熱可塑性エラストマーに形成することができないため、製造された熱可塑性エラストマーは高い導電率を持たない。さらに、特許文献3に記載されたカーボン系フィラーとして用いるカーボンブラックおよびカーボンナノチューブの導電率は、金属の導電率より低い。このため、特許文献3に記載された熱可塑性エラストマーは、金属の導電率より著しく低い。このような熱可塑性エラストマーを用いて成形した成形体の導電率も、金属の導電率より著しく低い。
また、本発明に近い第四の従来技術に、難燃性ゴムがある。例えば、特許文献4に、クロロプレンゴム膨張化黒鉛セラミック素材粉末無機物からなる耐熱性繊維状物を混合し、この後、クロロプレンゴムを加硫して難燃性ゴムを製造することが記載されている。なお、加硫した分子の主鎖が、熱によって劣化し切断される温度を、ゴムの耐熱限界温度と言い、クロロプレンゴムの耐熱限界は120℃である。従って、合成樹脂ガラス繊維充填して耐熱性を高めるガラス繊維強化合成樹脂のように、クロロプレンゴムに耐熱性の高い無機物を混合して、クロロプレンゴムの耐熱性を高める事例であると考える。従って、この難燃性ゴムは、クロロプレンゴムが大気雰囲気遮断されていないため、不燃性ゴムではない。

いっぽう、熱可塑性エラストマーは、室温付近ではゴムの性質を持ち、高温ではプラスチックの性質を持つ物質で、熱で変形する性質を持つものの、加硫ゴムとは異なり、熱劣化しない。また、加硫ゴムとは異なり、架橋構造を持たないため、熱融解によって成形加工ができ、熱可塑性樹脂と同様に、リサイクルが可能な材料である。つまり、熱可塑性エラストマーは、ゴム弾性を示す柔軟性成分(ソフトセグメント)と、塑性変形を防止する架橋ゴム架橋点の役目を果たす分子拘束成分ハードセグメント)より構成され、常温ではハードセグメントが寄り集まってドメインを形成する。このドメインが架橋点および補強の役目を果たすため、熱可塑性エラストマーは架橋ゴムと同様に弾性発現する。しかし高温下ではドメインが溶融し、架橋点の働きができなくなり、熱可塑性樹脂と同じように塑性変形して自由に流動でき、成形が可能となる。このため、熱可塑性樹脂と同様に、熱可塑性エラストマーの原料を熱融解し、射出成型押出成形ブロー成形圧空成形などの安価な成形方法で、様々な形状の成形体が製造できる。これに対し、加硫ゴムの製造は、原料ゴム補強充填材加硫剤加硫促進剤老化防止剤加工助剤などを添加・混練して得られる配合ゴム予備成形した後に、加熱により架橋させる多段階の工程を経るが、熱可塑性エラストマーはこうした多段階の工程が不要になるため、安価な成形体が成形できる。さらに、熱可塑性エラストマーの原料は、熱可塑性樹脂の原料と同様に安価な材料である。このように、熱可塑性エラストマーは、弾性を持つ成形体を製造する上で、加硫ゴムより多くの長所を持つ。いっぽう、熱可塑性樹脂に比べると融点が低く、高温で塑性変形するため、耐熱性は熱可塑性樹脂に比べて劣る。さらに、加硫ゴムに比べると、ゴム弾性が不足し、永久歪が大きい課題がある。

前記したように、熱可塑性エラストマーは、熱可塑性樹脂と同様に、複雑な形状の成形体が安価に成形できるため、成形体が金属ないしは合金の性質を持てば、金属ないしは合金からなる部品を、軽量で安価な熱可塑性エラストマーの成形体に置き換えられる。しかしながら、成形体が金属ないしは合金の性質を持つには、金属ないしは合金からなる物質が、成形体に連続した経路を形成しなければならない。このため、第一に、熱可塑性エラストマーの原料が、金属ないしは合金からなる物質で覆われ、第二に、熱融解し、さらに、圧縮変形した原料を、金属ないしは合金からなる物質が覆い続け、第三に、金属ないしは合金からなる物質が金属結合し、この金属結合によって、圧縮変形した原料同士が結合すれば、圧縮変形した原料の集まりからなる成形体が成形される。この成形体は、金属ないしは合金からなる物質が、連続した経路を形成するため、金属ないしは合金の性質を持つ軽量で安価な成形体になる。なお、熱可塑性エラストマーの密度は、フッ素系エラストマーが1.89g/cm3で最も大きく、その他の熱可塑性エラストマーは0.9−1.3g/cm3である。従って、熱可塑性エラストマーの成形体は、金属ないしは合金からなる部品の重量を大幅に軽減させることができる。
さらに、前記した成形体は、金属ないしは合金からなる物質が、気密性を以て全ての熱可塑性エラストマーの原料を覆うため、原料が外界から遮断され、成形体は自己発火せず着火しない不燃性を持つ。つまり、熱可塑性エラストマーが有機材料であり、その分子の骨格炭素水素が主たる構成元素であるため、燃えやすい。また、熱可塑性エラストマーの熱分解によって黒煙可燃性物質有害ガスを生成し、黒煙が視界遮り、可燃性物質が自己発火して火災の起点を作り、また、着火して火災を延焼させ、有害ガスは災害をもたらす。いっぽう、前記した成形体において、全ての熱可塑性エラストマーの原料は、金属ないしは合金からなる物質で覆われる。このため、第一に、成形体を構成する全ての原料に、酸素ガスが供給されない。従って、全ての原料は、酸素ガスとの酸化反応である燃焼が起こらない。第二に、成形体が火災時に昇温され、原料が熱分解を始めるが、金属ないしは合金からなる物質が、気密性を以て原料を覆うため、原料の熱分解反応は、大気雰囲気や還元雰囲気に比べて著しく遅い。第三に、金属ないしは合金からなる物質の内側は、原料が占有するため、空隙は極めて僅かしか存在しない。このため、原料が低分子量の物質に熱分解し、この物質が気化しようとしても、気化できる空間が殆どないため、原料の熱分解が進まない。第四に、一部が熱分解された原料は、金属ないしは合金からなる物質の内側に留られるため、一部が熱分解した原料は、火災の起点を作らず、火災時に視界を妨げず、火災が延焼する要因を作らない。この結果、成形体は、火災の火炎に対して、自己発火せず着火しない不燃性を持つ。

概要

第一に、金属ないしは合金からなる物質で覆われた熱可塑性エラストマーの原料の集まりを製造する。第二に、前記原料の集まりを、安価な原料を用い、極めて簡単な処理で製造する。第三に、熱融解し、圧縮変形した原料を、金属ないしは合金からなる物質が、継続して覆い続ける。第四に、隣り合う圧縮変形した原料を覆う金属ないしは合金からなる物質が互いに金属結合し、隣り合う圧縮変形した原料同士が結合する。熱可塑性エラストマーの原料が、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりで覆われるとともに、隣り合う原料の双方の原料を覆う金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりが金属結合することで、隣り合う原料同士が結合され、熱可塑性エラストマーの原料の集まりが製造される。

目的

前記したように、熱可塑性エラストマーからなる成形体が、金属ないしは合金の性質を持つには、金属ないしは合金からなる物質が、連続した経路を成形体に形成すればよい。つまり、金属ないしは合金の自由電子が、成形体に形成された連続経路を自由に移動し、これによって、成形体は金属ないしは合金の性質を示す。また、成形体が、自己発火せず着火しない不燃性を持つには、熱可塑性エラストマーからなる原料が、金属ないしは合金からなる物質で覆われればよい。つまり、金属ないしは合金からなる物質が、熱可塑性エラストマーからなる原料を、外界と遮断する気密性を以て覆うため、成形体は、自己発火せず着火しない不燃性を持つ。
従って、本発明における第一の課題は、金属ないしは合金からなる物質で覆われた熱可塑性エラストマーの原料の集まりを製造することにある。これによって、成形の際に用いる成形材料の集まりが製造できる。第二の課題は、安価な原料を用い、極めて簡単な処理で、金属ないしは合金からなる物質で覆われた熱可塑性エラストマーの原料の集まりを製造することにある。これによって、安価な原料を用い、安価な方法で、成形材料の集まりが製造できる。第三の課題は、前記した成形材料の集まりを用いて成形体を成形する際に、第一に、熱融解し、さらに、圧縮変形した熱可塑性エラストマーの原料を、金属ないしは合金からなる物質が、継続して覆い続けることにある。第四の課題は、前記した成形材料の集まりを用いて成形体を成形する際に、第二に、隣り合う圧縮変形した原料の双方の圧縮変形した原料を覆う金属ないしは合金からなる物質が金属結合し、この金属結合によって、隣り合う圧縮変形した原料同士が結合することにある。これによって、金属ないしは合金からなる物質が、隣り合う圧縮変形した原料を覆うとともに、金属ないしは合金からなる物質の金属結合で、隣り合う圧縮変形した原料同士が結合し、圧縮変形した原料の集まりからなる成形体が形成される。この成形体は、金属ないしは合金からなる物質が、連続した経路を成形体に形成し、成形体は金属ないしは合金の性質を持つ。さらに、金属ないしは合金からなる物質が、外界を遮断する気密性を以て、全ての圧縮変形した原料を覆うため、成形体は自己発火せず着火しない不燃性を持つ。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

金属結合した金属微粒子集まり熱可塑性エラストマー原料を覆うとともに、隣り合う前記熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う前記金属結合した金属微粒子の集まりが金属結合することで、該隣り合う原料同士が結合され、前記熱可塑性エラストマーの原料の集まりが製造される、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法は、熱分解で金属を析出する金属化合物を、メタノールに分散してメタノール分散液を作成する第一の工程と、前記メタノールに溶解ないしは混和する第一の性質と、粘度が前記メタノールの粘度より5倍以上高い第二の性質と、沸点が熱可塑性エラストマーの融点より高く、かつ、前記金属化合物の熱分解が開始する温度より低い第三の性質を兼備する有機化合物を、前記メタノール分散液に混合して混合液を作成する第二の工程と、熱可塑性エラストマーの原料の集まりを、前記混合液に混合して混合物を作成する第三の工程と、前記混合物を前記メタノールの沸点に昇温する第四の工程と、前記メタノールが気化した混合物を前記熱可塑性エラストマーの融点に昇温する第五の工程と、前記熱可塑性エラストマーが融解した混合物を前記有機化合物の沸点に昇温する第六の工程と、前記有機化合物が気化した混合物を前記金属化合物の熱分解が完了する温度に昇温する第七の工程からなり、これら7つの工程を連続して実施することで、前記熱可塑性エラストマーの原料が、金属結合した金属微粒子の集まりで覆われるとともに、隣り合う前記熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う前記金属結合した金属微粒子の集まりが金属結合することで、該隣り合う原料同士が結合され、前記熱可塑性エラストマーの原料の集まりが製造される、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法である。

請求項2

請求項1に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法は、前記金属化合物が、無機物分子ないしはイオンからなる配位子が、金属イオン配位結合した金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体であり、前記有機化合物が、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属するいずれか1種類の有機化合物である、請求項1に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法である。

請求項3

請求項1に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法は、前記金属化合物が、オクチル酸カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合するオクチル酸金属化合物であり、前記有機化合物が、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属するいずれか1種類の有機化合物である、請求項1に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法である。

請求項4

請求項1に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法が、金属結合した合金微粒子の集まりが熱可塑性エラストマーの原料を覆うとともに、隣り合う前記熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う前記金属結合した合金微粒子の集まりが金属結合することで、該隣り合う原料同士が結合され、前記熱可塑性エラストマーの原料の集まりが製造される、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する第一の方法であって、該第一の方法は、請求項1に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法において、前記熱分解で金属を析出する金属化合物が、無機物の分子ないしはイオンからなる同一の配位子が、互いに異なる金属イオンに配位結合した互いに異なる金属錯イオンを有する複数種類の無機金属化合物の錯体であり、前記有機化合物がグリコール類ないしはグリコールエーテル類に属するいずれか1種類の有機化合物であり、請求項1に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法に従って、前記7つの工程を連続して実施する方法が、金属結合した合金微粒子の集まりが熱可塑性エラストマーの原料を覆うとともに、隣り合う前記熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う前記金属結合した合金微粒子の集まりが金属結合することで、該隣り合う原料同士が結合され、前記熱可塑性エラストマーの原料の集まりが製造される、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する第一の方法である。

請求項5

請求項1に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法が、金属結合した合金微粒子の集まりが熱可塑性エラストマーの原料を覆うとともに、隣り合う前記熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う前記金属結合した合金微粒子の集まりが金属結合することで、該隣り合う原料同士が結合され、前記熱可塑性エラストマーの原料の集まりが製造される、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する第二の方法であって、該第二の方法は、請求項1に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法において、前記熱分解で金属を析出する金属化合物が、オクチル酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、互いに異なる金属イオンに共有結合した複数種類のオクチル酸金属化合物であり、前記有機化合物が、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属するいずれか1種類の有機化合物であり、請求項1に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法に従って、前記7つの工程を連続して実施する方法が、金属結合した合金微粒子の集まりが熱可塑性エラストマーの原料を覆うとともに、隣り合う前記熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う前記金属結合した合金微粒子の集まりが金属結合することで、該隣り合う原料同士が結合され、前記熱可塑性エラストマーの原料の集まりが製造される、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する第二の方法である。

請求項6

請求項2、請求項3、請求項4ないしは請求項5に記載したいずれか一つの製造方法で製造した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを、成形体成形する際の成形材料の集まりとして用い、金属ないしは合金の性質と、自己発火せず着火しない不燃性とを兼備する熱可塑性エラストマーからなる成形体を成形する方法は、熱可塑性エラストマーの融点より高い温度に昇温された成形機ないしは金型に、成形材料の集まりを充填し、熱可塑性エラストマーの原料を熱融解させ、さらに、前記成形機ないしは前記金型によって、前記成形材料の集まりに圧縮応力を加え、該成形材料の集まりを圧縮変形させる、この際、前記熱融解した原料は、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりで継続して覆われ、また、前記圧縮変形した成形材料も、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりで継続して覆われ、さらに、前記成形材料の集まりが圧縮変形する際に、隣り合う成形材料の双方の成形材料を覆う前記金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりが金属結合することで、該隣り合う成形材料同士が結合され、前記成形機内ないしは前記金型内に、前記圧縮変形した成形材料の集まりからなる成形体が成形される、金属ないしは合金の性質と、自己発火せず着火しない不燃性を兼備する熱可塑性のエラストマーの成形体が成形される方法である。

技術分野

0001

本発明は、成形機内ないしは金型内で、熱融解させ、圧縮変形させた熱可塑性エラストマー原料を、金属結合した金属ないしは合金微粒子集まりで覆うとともに、隣り合う圧縮変形した原料の双方の原料を覆う金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりが、金属ないしは合金の微粒子同士の金属結合によって結合し、圧縮変形した原料同士が結合し、圧縮変形した原料の集まりからなる成形体を、成形機内ないしは金型内に成形する方法に関する。この成形体は、金属ないしは合金の微粒子が連続した経路を成形体内に形成するため、金属ないしは合金の性質を持つ。また、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりが、全ての圧縮変形した原料を、気密性を以て覆うため、圧縮変形した原料が外界から遮断され、成形体は、自己発火せず着火しない不燃性を持つ。

背景技術

0002

本発明に近い第一の従来技術に、導電性ゴムがある。例えば、特許文献1に、ベースゴムに、導電性粒子又は導電性フィラーのいずれかと可塑剤とを添加して、導電性基材を成形し、この導電性基材から可塑剤を取り除くことにより導電性ゴムを製造する方法において、前記した導電性基材に、可塑剤受けゴムを接触させることで可塑剤を可塑剤受けゴムへ移行させ、導電性ゴムを製造する方法が記載されている。
しかし、この導電性ゴムの製造方法では、可塑剤を可塑剤受付ゴムへ移行させても、導電性粒子又は導電性フィラーのいずれかが、導電性基材に連続した導電経路を形成できない。このため、この導電性ゴムの導電性は、ベースゴムにおける導電性粒子又は導電性フィラーのいずれかの充填割合に準じる。従って、導電率を高めるには、導電性基材を成形する際に、導電性粒子又は導電性フィラーのいずれかの充填割合を高めなければならならず、充填割合を高めるほど導電性基材を成形する際の粘度が高まり、導電性基材の成形が困難になる。従って、金属に近い導電性を実現することはできない。

0003

また、本発明に近い第二の従来技術に、熱伝導性ゴムがある。例えば、特許文献2に、極性ゴムベースポリマーとし、所定量の熱伝導性フィラーを含有させ、更にチタネート系カップリング剤またはシラン系カップリング剤を配合することによって、高い熱伝導性を有し、かつ柔らかくて、硬度が適度に小さく、凹凸段差のある面に対しても高い密着性を有する熱伝導性ゴムの製造方法が記載されている。
しかし、この熱伝導性ゴムは、冷却される基材ないしは部品に対する密着性を主な目的とするため、高い熱伝導性は得られない。つまり、特許文献1と同様に、熱伝導性フィラーが連続した熱伝導経路を、熱伝導性ゴムに形成することができない。従って、特許文献1と同様に、高い熱伝導率を得るには、熱導電性ゴムを成形する際に、熱伝導性フィラーの充填割合を高めなければならず、充填割合を高めると、熱伝導性ゴムの成形が困難になる。従って、金属に近い熱伝導性を実現することはできない。

0004

さらに、本発明に近い第三の従来技術に、導電性熱可塑性エラストマーがある。例えば、特許文献3に、熱可塑性エラストマーに導電性を付与させるため、エラストマー性ポリマークレイパラフィンオイルカーボン系フィラーとを含有する組成物とする、導電性熱可塑性エラストマーが記載されている。
しかし、特許文献1および2と同様に、導電性のカーボン系フィラーを他の3種類の原料と混合し、熱可塑性エラストマーを製造する方法では、カーボン系フィラーが、連続した導電経路を熱可塑性エラストマーに形成することができないため、製造された熱可塑性エラストマーは高い導電率を持たない。さらに、特許文献3に記載されたカーボン系フィラーとして用いるカーボンブラックおよびカーボンナノチューブの導電率は、金属の導電率より低い。このため、特許文献3に記載された熱可塑性エラストマーは、金属の導電率より著しく低い。このような熱可塑性エラストマーを用いて成形した成形体の導電率も、金属の導電率より著しく低い。
また、本発明に近い第四の従来技術に、難燃性ゴムがある。例えば、特許文献4に、クロロプレンゴム膨張化黒鉛セラミック素材粉末無機物からなる耐熱性繊維状物を混合し、この後、クロロプレンゴムを加硫して難燃性ゴムを製造することが記載されている。なお、加硫した分子の主鎖が、熱によって劣化し切断される温度を、ゴムの耐熱限界温度と言い、クロロプレンゴムの耐熱限界は120℃である。従って、合成樹脂ガラス繊維充填して耐熱性を高めるガラス繊維強化合成樹脂のように、クロロプレンゴムに耐熱性の高い無機物を混合して、クロロプレンゴムの耐熱性を高める事例であると考える。従って、この難燃性ゴムは、クロロプレンゴムが大気雰囲気と遮断されていないため、不燃性ゴムではない。

0005

いっぽう、熱可塑性エラストマーは、室温付近ではゴムの性質を持ち、高温ではプラスチックの性質を持つ物質で、熱で変形する性質を持つものの、加硫ゴムとは異なり、熱劣化しない。また、加硫ゴムとは異なり、架橋構造を持たないため、熱融解によって成形加工ができ、熱可塑性樹脂と同様に、リサイクルが可能な材料である。つまり、熱可塑性エラストマーは、ゴム弾性を示す柔軟性成分(ソフトセグメント)と、塑性変形を防止する架橋ゴム架橋点の役目を果たす分子拘束成分ハードセグメント)より構成され、常温ではハードセグメントが寄り集まってドメインを形成する。このドメインが架橋点および補強の役目を果たすため、熱可塑性エラストマーは架橋ゴムと同様に弾性発現する。しかし高温下ではドメインが溶融し、架橋点の働きができなくなり、熱可塑性樹脂と同じように塑性変形して自由に流動でき、成形が可能となる。このため、熱可塑性樹脂と同様に、熱可塑性エラストマーの原料を熱融解し、射出成型押出成形ブロー成形圧空成形などの安価な成形方法で、様々な形状の成形体が製造できる。これに対し、加硫ゴムの製造は、原料ゴム補強充填材加硫剤加硫促進剤老化防止剤加工助剤などを添加・混練して得られる配合ゴム予備成形した後に、加熱により架橋させる多段階の工程を経るが、熱可塑性エラストマーはこうした多段階の工程が不要になるため、安価な成形体が成形できる。さらに、熱可塑性エラストマーの原料は、熱可塑性樹脂の原料と同様に安価な材料である。このように、熱可塑性エラストマーは、弾性を持つ成形体を製造する上で、加硫ゴムより多くの長所を持つ。いっぽう、熱可塑性樹脂に比べると融点が低く、高温で塑性変形するため、耐熱性は熱可塑性樹脂に比べて劣る。さらに、加硫ゴムに比べると、ゴム弾性が不足し、永久歪が大きい課題がある。

0006

前記したように、熱可塑性エラストマーは、熱可塑性樹脂と同様に、複雑な形状の成形体が安価に成形できるため、成形体が金属ないしは合金の性質を持てば、金属ないしは合金からなる部品を、軽量で安価な熱可塑性エラストマーの成形体に置き換えられる。しかしながら、成形体が金属ないしは合金の性質を持つには、金属ないしは合金からなる物質が、成形体に連続した経路を形成しなければならない。このため、第一に、熱可塑性エラストマーの原料が、金属ないしは合金からなる物質で覆われ、第二に、熱融解し、さらに、圧縮変形した原料を、金属ないしは合金からなる物質が覆い続け、第三に、金属ないしは合金からなる物質が金属結合し、この金属結合によって、圧縮変形した原料同士が結合すれば、圧縮変形した原料の集まりからなる成形体が成形される。この成形体は、金属ないしは合金からなる物質が、連続した経路を形成するため、金属ないしは合金の性質を持つ軽量で安価な成形体になる。なお、熱可塑性エラストマーの密度は、フッ素系エラストマーが1.89g/cm3で最も大きく、その他の熱可塑性エラストマーは0.9−1.3g/cm3である。従って、熱可塑性エラストマーの成形体は、金属ないしは合金からなる部品の重量を大幅に軽減させることができる。
さらに、前記した成形体は、金属ないしは合金からなる物質が、気密性を以て全ての熱可塑性エラストマーの原料を覆うため、原料が外界から遮断され、成形体は自己発火せず着火しない不燃性を持つ。つまり、熱可塑性エラストマーが有機材料であり、その分子の骨格炭素水素が主たる構成元素であるため、燃えやすい。また、熱可塑性エラストマーの熱分解によって黒煙可燃性物質有害ガスを生成し、黒煙が視界遮り、可燃性物質が自己発火して火災の起点を作り、また、着火して火災を延焼させ、有害ガスは災害をもたらす。いっぽう、前記した成形体において、全ての熱可塑性エラストマーの原料は、金属ないしは合金からなる物質で覆われる。このため、第一に、成形体を構成する全ての原料に、酸素ガスが供給されない。従って、全ての原料は、酸素ガスとの酸化反応である燃焼が起こらない。第二に、成形体が火災時に昇温され、原料が熱分解を始めるが、金属ないしは合金からなる物質が、気密性を以て原料を覆うため、原料の熱分解反応は、大気雰囲気や還元雰囲気に比べて著しく遅い。第三に、金属ないしは合金からなる物質の内側は、原料が占有するため、空隙は極めて僅かしか存在しない。このため、原料が低分子量の物質に熱分解し、この物質が気化しようとしても、気化できる空間が殆どないため、原料の熱分解が進まない。第四に、一部が熱分解された原料は、金属ないしは合金からなる物質の内側に留られるため、一部が熱分解した原料は、火災の起点を作らず、火災時に視界を妨げず、火災が延焼する要因を作らない。この結果、成形体は、火災の火炎に対して、自己発火せず着火しない不燃性を持つ。

先行技術

0007

特開2009−138141号公報
特開2012−211250号公報
特開2018−083894号公報
特開平8−311247号公報

発明が解決しようとする課題

0008

前記したように、熱可塑性エラストマーからなる成形体が、金属ないしは合金の性質を持つには、金属ないしは合金からなる物質が、連続した経路を成形体に形成すればよい。つまり、金属ないしは合金の自由電子が、成形体に形成された連続経路を自由に移動し、これによって、成形体は金属ないしは合金の性質を示す。また、成形体が、自己発火せず着火しない不燃性を持つには、熱可塑性エラストマーからなる原料が、金属ないしは合金からなる物質で覆われればよい。つまり、金属ないしは合金からなる物質が、熱可塑性エラストマーからなる原料を、外界と遮断する気密性を以て覆うため、成形体は、自己発火せず着火しない不燃性を持つ。
従って、本発明における第一の課題は、金属ないしは合金からなる物質で覆われた熱可塑性エラストマーの原料の集まりを製造することにある。これによって、成形の際に用いる成形材料の集まりが製造できる。第二の課題は、安価な原料を用い、極めて簡単な処理で、金属ないしは合金からなる物質で覆われた熱可塑性エラストマーの原料の集まりを製造することにある。これによって、安価な原料を用い、安価な方法で、成形材料の集まりが製造できる。第三の課題は、前記した成形材料の集まりを用いて成形体を成形する際に、第一に、熱融解し、さらに、圧縮変形した熱可塑性エラストマーの原料を、金属ないしは合金からなる物質が、継続して覆い続けることにある。第四の課題は、前記した成形材料の集まりを用いて成形体を成形する際に、第二に、隣り合う圧縮変形した原料の双方の圧縮変形した原料を覆う金属ないしは合金からなる物質が金属結合し、この金属結合によって、隣り合う圧縮変形した原料同士が結合することにある。これによって、金属ないしは合金からなる物質が、隣り合う圧縮変形した原料を覆うとともに、金属ないしは合金からなる物質の金属結合で、隣り合う圧縮変形した原料同士が結合し、圧縮変形した原料の集まりからなる成形体が形成される。この成形体は、金属ないしは合金からなる物質が、連続した経路を成形体に形成し、成形体は金属ないしは合金の性質を持つ。さらに、金属ないしは合金からなる物質が、外界を遮断する気密性を以て、全ての圧縮変形した原料を覆うため、成形体は自己発火せず着火しない不燃性を持つ。

課題を解決するための手段

0009

金属結合した金属微粒子の集まりが熱可塑性エラストマーの原料を覆うとともに、隣り合う前記熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う前記金属結合した金属微粒子の集まりが金属結合することで、該隣り合う原料同士が結合され、前記熱可塑性エラストマーの原料の集まりが製造される、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法は、
熱分解で金属を析出する金属化合物を、メタノールに分散してメタノール分散液を作成する第一の工程と、前記メタノールに溶解ないしは混和する第一の性質と、粘度が前記メタノールの粘度より5倍以上高い第二の性質と、沸点が熱可塑性エラストマーの融点より高く、かつ、前記金属化合物の熱分解が開始する温度より低い第三の性質を兼備する有機化合物を、前記メタノール分散液に混合して混合液を作成する第二の工程と、熱可塑性エラストマーの原料の集まりを、前記混合液に混合して混合物を作成する第三の工程と、前記混合物を前記メタノールの沸点に昇温する第四の工程と、前記メタノールが気化した混合物を前記熱可塑性エラストマーの融点に昇温する第五の工程と、前記熱可塑性エラストマーが融解した混合物を前記有機化合物の沸点に昇温する第六の工程と、前記有機化合物が気化した混合物を前記金属化合物の熱分解が完了する温度に昇温する第七の工程からなり、これら7つの工程を連続して実施することで、前記熱可塑性エラストマーの原料が、金属結合した金属微粒子の集まりで覆われるとともに、隣り合う前記熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う前記金属結合した金属微粒子の集まりが金属結合することで該隣り合う原料同士が結合され、前記熱可塑性エラストマーの原料の集まりが製造される、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法である。

0010

本方法に依れば、極めて簡単な7つの工程からなる処理を連続して実施すると、熱可塑性エラストマーの原料が、金属結合した金属微粒子の集まりで覆われるとともに、隣り合う熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う前記金属結合した金属微粒子の集まりが金属結合することで、該隣り合う原料同士が結合され、熱可塑性エラストマーの原料の集まりが製造される。この後、熱可塑性エラストマーの原料の集まりを冷却すると、熱融解した原料が固化し、熱可塑性エラストマーからなる成形体を成形する際に用いる成形材料の集まりが製造される。また、メタノール、有機化合物および金属化合物は、汎用的な工業用薬品であり、熱可塑性エラストマーの原料は、汎用的な工業用原料である。従って、成形体を成形する際に用いる成形材料が、安価な材料を用い、安価な方法で大量に製造できる。これによって、8段落に記載した第一と第二の課題とが同時に解決される。なお、熱可塑性エラストマーの融点は、熱可塑性樹脂の融点より低く、70−225℃である。また、熱可塑性エラストマーの原料は、ペレットクラムないしは粉体から構成される。
ところで、金属化合物は、無機物ないしは有機物金属イオン共有結合した化合物であるため、金属化合物の熱分解が始まると、金属化合物は、無機物ないしは有機物と、金属とに分離する。さらに、昇温すると、無機物ないしは有機物が気化熱を奪って気化し、無機物ないしは有機物の気化が完了すると、金属化合物の熱分解が完了し、金属が析出する。いっぽう、メタノールと有機化合物との沸点と、金属化合物の熱分解が開始する温度との3種類の温度に温度差があるため、気化したメタノールと気化した有機化合物と、金属化合物の熱分解によって気化する無機物ないしは有機物とからなる3種類の気体の各々を、個別に回収装置回収する。
すなわち、第一の工程は、金属化合物をメタノールに分散する処理である。第二の工程は、メタノール分散液に有機化合物を混合する処理である。第三の工程は、熱可塑性エラストマーの原料となるペレット、クラムないしは粉体の集まりを、混合液に混合する処理である。第四の工程は、混合物をメタノールの気化点に昇温する処理である。第五の工程は、メタノールが気化した混合物を、熱可塑性エラストマーの融点に昇温する処理である。第六の工程は、熱可塑性エラストマーの原料が融解した混合物を、有機化合物の沸点に昇温する処理である。第七の工程は、有機化合物が気化した混合物を、金属化合物の熱分解が完了する温度に昇温する処理である。従って、これら7つの工程は、いずれも極めて簡単な処理である。
つまり、第一の工程で、金属化合物を液相化させ、メタノール中に金属化合物の分子を均一に分散させる。第二の工程で、有機化合物がメタノールに溶解ないしは混和する性質を持つため、メタノールより粘度の高い混合液中に、金属化合物の分子を均一に分散させる。第三の工程で、混合液に熱可塑性エラストマーの原料となるペレット、クラムないしは粉体の集まりを混合させ、全てのペレット、クラムないしは粉体の表面に混合液を付着させる。第四の工程で、混合物をメタノールの気化点に昇温し、全てのペレット、クラムないしは粉体を、金属化合物の微細結晶の集まりが有機化合物中に析出した懸濁液で覆う。つまり、金属化合物はメタノールに分散するが、有機化合物には分散しない。このため、メタノールが気化すると、混合液に分散していた金属化合物の分子が、有機化合物中に金属化合物の微細結晶として一斉に析出し、金属化合物の微細結晶の集まりが、有機化合物中に析出した懸濁液となり、全てのペレット、クラムないしは粉体が懸濁液で覆われる。
第五の工程で、メタノールが気化した混合物を、熱可塑性エラストマーの原料の融点に昇温する。この際、熱可塑性エラストマーの原料は一斉に熱融解し、極めて粘度の高い液体からなる小さな塊になる。すなわち、熱融解した熱可塑性エラストマーは、高分子材料であるため、極めて高い粘度を持つ。例えば、スチレン系熱可塑性エラストマーの中でも、相対的に粘度が低いスチレン系熱可塑性エラストマーは、160℃で4200mPa秒融解粘度を持つ。さらに、このスチレン系熱可塑性エラストマーを、低粘度化させたスチレン系熱可塑性エラストマーであっても、160℃で1490mPa秒の融解粘度を持つ。この粘度は、20℃のメタノールの粘度の2500倍を超える。従って、熱融解の際に原料が変形し、体積が僅かに増大するが、極めて粘度の高い液体の小さな塊を、前記した懸濁液が覆う。つまり、有機化合物の沸点が熱可塑性エラストマーの融点より低い場合は、固体のペレット、クラムないしは粉体を、金属化合物の微細結晶の集まりが覆うが、有機化合物が気化する際に、金属化合物の微細結晶の集まりが、固体の原料の表面から崩れる。これに対し、有機化合物の沸点が熱可塑性エラストマーの融点より高く、有機化合物が一定の粘度、すなわち、メタノールの粘度より5倍以上の粘度を持つため、熱融解した極めて粘度の高い液体からなる小さな塊を、前記した懸濁液が確実に覆う。このため、沸点が、熱可塑性エラストマーの融点より高い有機化合物を用いることにした。また、有機化合物の沸点が、金属化合物の熱分解が始まる温度より低いため、有機化合物が気化する温度と、金属化合物が無機物ないしは有機物と金属とに分解する温度とに温度差がある。従って、気化した有機化合物と、気化した無機物ないしは有機物とからなる2種類の気体の各々を、分離して回収することができる。このため、沸点が、金属化合物の熱分解が始まる温度より低い有機化合物を用いることにした。
第六の工程で、熱融解した原料からなる混合物を、有機化合物の沸点に昇温する。この際に、熱融解した原料が僅かに体積膨張するが、熱融解した原料が極めて粘度の高い液体の小さな塊であるため、金属化合物の微細結晶の集まりで覆われ続ける。第七の工程で、有機化合物が気化した混合物を、金属化合物の熱分解が完了する温度に昇温する。金属化合物の熱分解が完了すると、40−60nmの大きさからなる粒状の金属微粒子の集まりが一斉に析出する。析出した金属微粒子の金属が不純物を持たない活性状態にあるため、互いに接触する局所的な多数の部位で金属微粒子同士が金属結合する。このため、金属結合した金属微粒子の集まりが、熱融解した原料を覆うとともに、隣り合う熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う金属結合した金属微粒子の集まりは、金属微粒子同士が接触する多数の部位で金属結合し、この隣り合う熱可塑性エラストマーの原料同士が結合され、原料の集まりが製造される。この後、熱可塑性エラストマーの原料の集まりを冷却させ、熱融解した原料が固化し、熱可塑性エラストマーの成形体を成形する際に用いる成形材料が大量に製造される。
以上に説明したように、前記した7つの工程からなる処理を連続して実施すると、熱可塑性エラストマーの原料同士が、金属結合した金属微粒子の集まりによって結合された熱可塑性エラストマーの原料の集まりが製造され、熱可塑性エラストマーからなる成形体を成形する際に用いる成形材料の集まりが得られる。

0011

9段落に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法は、前記金属化合物が、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体であり、前記有機化合物が、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属するいずれか1種類の有機化合物である、9段落に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法である。

0012

つまり、無機金属化合物からなる錯体は、メタノールに分子状態になって分散し、また、還元雰囲気の180−220℃で熱分解が完了し、金属を析出する。この熱分解が完了する温度は、熱可塑性エラストマーの原料の融点より高く、かつ、有機化合物の沸点より高い。このため、9段落に記載した第七の工程において、混合物を還元雰囲気の180−220℃に昇温すると、40−60nmの大きさの粒状の金属微粒子の集まりが、一斉に析出する。この際、析出した粒状の金属微粒子の金属は、不純物を持たない活性状態にあるため、粒状微粒子は互いに接触する多数の部位で金属結合する。このため、金属結合した粒状の金属微粒子の集まりが、熱融解した熱可塑性エラストマーの原料を覆うとともに、隣り合う熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う金属結合した金属微粒子の集まりが、金属微粒子同士が接触する多数の部位で金属結合し、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりが製造される。このため、9段落に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法において、無機金属化合物からなる錯体は、熱分解で金属を析出する原料になる。なお、メタノールと有機化合物との沸点と、錯体の熱分解が開始する温度との3種類の温度に温度差があるため、気化したメタノールと気化した有機化合物と、錯体の熱分解時に気化する無機物とからなる3種類の気体の各々は、個別に回収装置で回収する。
すなわち、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体を、還元雰囲気で熱処理すると、配位結合部が最初に分断され、無機物と金属とに分解される。さらに昇温すると、無機物が気化熱を奪って気化し、すべての無機物の気化が完了した後に金属が析出する。つまり、錯体を構成するイオンの中で、分子の中央に位置する金属イオンが最も大きい。このため、金属イオンと配位子との距離が最も長い。従って、錯体を還元雰囲気で熱処理すると、金属イオンが配位子と結合する配位結合部が最初に分断され、金属と無機物とに分解する。さらに温度が上がると、無機物が気化熱を奪って気化し、気化が完了した後に金属が析出する。この際、配位子を構成する無機物と、無機金属化合物を構成する無機物とが、低分子量であるため、2種類の無機物の分子量に応じて、180−220℃の温度で無機物の気化が完了する。このような錯体として、アンモニアNH3が配位子となって金属イオンに配位結合するアンミン金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体、塩素イオンCl−が、ないしは塩素イオンCl−とアンモニアNH3とが配位子となって金属イオンに配位結合するクロロ金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体、シアノ基CN−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するシアノ金錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体、臭素イオンBr−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するブロモ金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体、沃素イオンI−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するヨード金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体などが存在する。また、分子量が小さな無機金属化合物からなる錯体は、合成が容易で最も安価な金属錯イオンを有する金属錯体である。
また、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属する有機化合物の中に、メタノールに溶解ないしは混和する第一の性質と、粘度がメタノールの粘度より5倍以上高い第二の性質と、沸点が熱可塑性エラストマーの原料の融点より高く、かつ、無機金属化合物からなる錯体の熱分解が開始する温度より低い第三の性質とを兼備する有機化合物が存在する。このような有機化合物は、いずれも汎用的な工業用薬品である。このため、9段落に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法において、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属する有機化合物は、無機金属化合物からなる錯体のメタノール分散液ともに混合液を形成する。
従って、無機金属化合物からなる錯体のメタノール分散液に、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属するいずれか1種類の有機化合物を混合すると、分子状態の錯体が有機化合物と均一に混ざり合う。この混合液に、熱可塑性エラストマーの原料の集まりを混合すると、原料の表面に混合液が付着する。この後、原料の集まりを還元雰囲気で昇温する。最初にメタノールが気化し、次いで原料が熱融解し、さらに有機化合物が気化し、熱融解した原料の表面を、無機金属化合物からなる錯体の微細結晶の集まりが覆う。さらに昇温すると、180−220℃で錯体の熱分解が完了し、微細結晶の大きさに応じた40−60nmの粒状の金属微粒子が一斉に析出する。この際、熱分解で析出した金属微粒子の金属は不純物を持たない活性状態にあるため、粒状の金属微粒子は互いに接触する多数の部位で金属結合する。このため、金属結合した金属微粒子の集まりが、熱融解した原料を覆うとともに、隣り合う熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う金属結合した金属微粒子の集まりが、金属微粒子同士が接触する多数の部位で金属結合し、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりが製造される。この後、熱可塑性エラストマーの原料の集まりを冷却すると、熱融解した原料が固化し、熱可塑性エラストマーの成形体を成形する際に用いる成形材料が大量に製造される。
以上に説明したように、無機金属化合物からなる錯体とグリコール類ないしはグリコールエーテル類に属する有機化合物とは、9段落に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する際の第一の原料になる。これによって、8段落に記載した第一と第二の課題とが、具体的に解決される。

0013

9段落に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法は、前記金属化合物が、オクチル酸カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合するオクチル酸金属化合物であり、前記有機化合物が、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属するいずれか1種類の有機化合物である、9段落に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法である。

0014

つまり、オクチル酸金属化合物は、メタノールに分子状態になって分散し、また、大気雰囲気の290℃で熱分解が完了し、金属を析出する。この熱分解が完了する温度は、熱可塑性エラストマーの原料の融点より高く、かつ、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属する有機化合物の沸点より高い。このため、9段落に記載した第七の工程において、混合物を大気囲気の290℃に昇温すると、40−60nmの大きさの粒状の金属微粒子の集まりが、一斉に析出する。この際、析出した粒状の金属微粒子の金属は、不純物を持たない活性状態にあるため、粒状微粒子は互いに接触する多数の部位で金属結合する。このため、金属結合した粒状の金属微粒子の集まりが、熱融解した熱可塑性エラストマーの原料を覆うとともに、隣り合う熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う金属結合した金属微粒子の集まりが、金属微粒子同士が接触する多数の部位で金属結合し、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりが製造される。このため、9段落に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法において、オクチル酸金属化合物は、熱分解で金属を析出する原料になる。なお、オクチル酸金属化合物の熱分解が完了する温度は、12段落に記載した無機金属化合物からなる錯体の熱分解が完了する温度より高くなるが、オクチル酸金属化合物は錯体より安価な有機金属化合物である。また、メタノールと有機化合物との沸点と、オクチル酸金属化合物の熱分解が開始する温度との3種類の温度に温度差があるため、気化したメタノールと気化した有機化合物と、オクチル酸金属化合物の熱分解時に気化するオクチル酸とからなる3種類の気体の各々は、個別に回収装置で回収する。
すなわち、熱分解で金属を析出する有機金属化合物として、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合する第一の特徴と、カルボン酸が飽和脂肪酸からなる第二の特徴を兼備するカルボン酸金属化合物がある。つまり、2つの特徴を兼備するカルボン酸金属化合物は、金属イオンが最も大きいイオンを形成し、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの距離が、他のイオン同士の距離より長い。こうした分子構造上の特徴を持つカルボン酸金属化合物を大気雰囲気で熱処理すると、カルボン酸の沸点を超えると、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの結合部が最初に分断され、カルボン酸と金属とに分離する。さらに、カルボン酸が飽和脂肪酸から構成される場合は、炭素原子水素原子に対して過剰となる不飽和構造を持たないため、カルボン酸の分子量と数とに応じて、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、気化が完了すると金属が析出する。こうした熱分解で金属を析出するカルボン酸金属化合物として、オクチル酸金属化合物、ラウリン酸金属化合物、ステアリン酸金属化合物などが存在する。
いっぽう、カルボン酸金属化合物の熱分解が完了する温度が低いほど、9段落に記載した第七工程の昇温温度が低くなり、9段落に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する費用が安価になる。また、カルボン酸金属化合物の熱分解が完了する温度が低ければ、熱可塑性エラストマーの熱分解が開始せず、カルボン酸金属化合物の熱分解によって、熱可塑性エラストマーの性質は不可逆変化しない。ところで、カルボン酸金属化合物の熱分解が完了する温度は、飽和脂肪酸からなるカルボン酸の沸点が低いほど、熱分解が完了する温度が低くなる。従って、飽和脂肪酸を構成する炭化水素長鎖構造である場合は、長鎖が長いほど、つまり、飽和脂肪酸の分子量が大きいほど、飽和脂肪酸の沸点は高い。ちなみに、分子量が200.3であるラウリン酸の大気圧での沸点は296℃で、分子量が284.5であるステアリン酸の大気圧での沸点は361℃である。従って、長鎖構造の飽和脂肪酸の分子量が相対的に小さい飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物は、熱分解が完了する温度が相対的に低い。なお、前記したラウリン酸金属化合物は大気雰囲気の360℃で熱分解が完了し、前記したステアリン酸金属化合物は大気雰囲気の430℃で熱分解が完了し、金属を析出する。
これに対し、飽和脂肪酸が分岐鎖構造である場合は、直鎖構造より鎖の長さが短く、沸点がさらに低くなり、金属が析出する温度も低くなる。さらに、分岐鎖構造の飽和脂肪酸は極性を持ち、分岐鎖構造の飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物も極性を持ち、相対的に高い割合で極性物質であるメタノールに分散する。こうした分岐構造の飽和脂肪酸としてオクチル酸がある。オクチル酸は、CH3(CH2)3CH(C2H5)COOHの構造式であり、CHでCH3(CH2)3とC2H5とのアルカン分岐され、CHにカルボキシル基COOHが結合する。オクチル酸の大気圧での沸点は228℃であり、前記したラウリン酸より沸点が68℃低い。このため、オクチル酸金属化合物はカルボン酸金属化合物の中で最も低い温度で熱分解する。ちなみに、オクチル酸金属化合物は、大気雰囲気において290℃で熱分解が完了し、金属を析出する。
従って、カルボン酸金属化合物の中で熱分解が完了する温度が最も低いオクチル酸金属化合物が、熱分解で金属を析出する有機金属化合物として適している。このオクチル酸金属化合物の熱分解が完了する温度は、熱可塑性エラストマーの熱分解が開始する温度より低いため、オクチル酸金属化合物を用いて、熱可塑性エラストマーの原料の集まりを製造する際に、熱可塑性エラストマーの性質は不可逆変化しない。
さらに、オクチル酸金属化合物は、容易に合成できる安価な工業用薬品である。すなわち、最も汎用的な有機酸であるオクチル酸を、強アルカリと反応させるとオクチル酸アルカリ金属化合物が生成され、オクチル酸アルカリ金属化合物を無機金属化合物と反応させると、様々な金属からなるオクチル酸金属化合物が生成される。従って、有機金属化合物の中で最も安価な有機金属化合物である。このため、12段落で説明した無機金属化合物からなる錯体より熱処理温度が高いが、錯体より安価な有機金属化合物である。
なお、カプリル酸オクタン酸とも言う)は、オクチル酸と同じ化学式C8H16O2であるが、直鎖構造の飽和脂肪酸からなるカルボン酸である。カプリル酸金属化合物は、カプリル酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが配位子になって、金属イオンに近づいて配位結合する有機金属化合物からなる錯体を形成するカルボン酸金属化合物であり、こうしたカルボン酸金属化合物は、熱分解によって金属酸化物を析出する。つまり、最も大きいイオンである金属イオンに酸素イオンが近づいて配位結合するため、両者の距離は短くなる。これによって、金属イオンに配位結合する酸素イオンが、金属イオンの反対側で共有結合するイオンとの距離が最も長くなる。こうした分子構造上の特徴を持つカルボン酸金属化合物は、カルボン酸金属化合物を構成するカルボン酸の沸点を超えると、カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンの反対側で共有結合するイオンとの結合部が最初に分断され、金属イオンと酸素イオンとの化合物である金属酸化物とカルボン酸とに分解する。さらに昇温すると、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、カルボン酸の気化が完了した後に金属酸化物が析出する。こうしたカルボン酸金属化合物に、酢酸金属化合物、カプリル酸金属化合物、安息香酸金属化合物、ナフテン酸金属化合物などがある。
また、不飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物は、飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物に比べて、炭素原子が水素原子に対して過剰になるため、熱分解によって金属酸化物、例えば、オレイン酸銅の場合は、酸化第一銅Cu2Oと酸化第二銅CuOとが同時に析出し、酸化第一銅Cu2Oと酸化第二銅CuOとを銅に還元する処理費用を要する。特に、酸化第一銅Cu2Oは、大気雰囲気より酸素リッチ雰囲気で一度酸化第二銅CuOに酸化させ、さらに、還元雰囲気で銅に還元させるため、処理費用がかさむ。
いっぽう、グリコール類ないしはグリコールエーテル類の中に、メタノールに溶解ないしは混和する第一の性質と、粘度がメタノールの粘度より5倍以上高い第二の性質と、沸点が熱可塑性エラストマーの原料の融点より高く、かつ、オクチル酸金属化合物の熱分解が開始する温度より低い第三の性質を兼備する有機化合物がある。このような有機化合物は、いずれも汎用的な工業用薬品である。このため、9段落に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法において、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属する有機化合物は、オクチル酸金属化合物のメタノール分散液とともに混合液を形成する。
従って、オクチル酸金属化合物のメタノール分散液に、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属するいずれか1種類の有機化合物を混合すると、分子状態のオクチル酸金属化合物が有機化合物と均一に混ざり合う。この混合液に、熱可塑性エラストマーの原料の集まりを混合すると、原料の表面に混合液が付着する。この後、原料の集まりを大気囲気で昇温する。最初にメタノールが気化し、次いで原料が熱融解し、さらに有機化合物が気化し、熱融解した原料の表面は、オクチル酸金属化合物の微細結晶の集まりで覆われる。さらに昇温すると、290℃でオクチル酸金属化合物の熱分解が完了し、微細結晶の大きさに応じた40−60nmの粒状の金属微粒子が一斉に析出する。この際、熱分解で析出した金属は不純物を持たない活性状態にあるため、粒状の金属微粒子は互いに接触する多数の部位で金属結合する。このため、金属結合した金属微粒子の集まりが、熱融解した原料を覆うとともに、隣り合う熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う金属結合した金属微粒子の集まりが、金属微粒子同士が接触する多数の部位で金属結合し、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりが製造される。この後、熱可塑性エラストマーの原料の集まりを冷却すると、熱融解した原料が固化し、熱可塑性エラストマーの成形体を成形する際に用いる成形材料が大量に製造される。
以上に説明したように、オクチル酸金属化合物と、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属する有機化合物とは、9段落に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する際の第二の原料になる。これによって、8段落に記載した第一と第二の課題とが、具体的に解決される。

0015

9段落に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法が、金属結合した合金微粒子の集まりが熱可塑性エラストマーの原料を覆うとともに、隣り合う前記熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う前記金属結合した合金微粒子の集まりが金属結合することで、該隣り合う原料同士が結合され、前記熱可塑性エラストマーの原料の集まりが製造される、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する第一の方法であって、該第一の方法は、
9段落に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法において、前記熱分解で金属を析出する金属化合物が、無機物の分子ないしはイオンからなる同一の配位子が、互いに異なる金属イオンに配位結合した互いに異なる金属錯イオンを有する複数種類の無機金属化合物の錯体であり、前記有機化合物がグリコール類ないしはグリコールエーテル類に属するいずれか1種類の有機化合物であり、9段落に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法に従って、前記7つの工程を連続して実施する方法が、金属結合した合金微粒子の集まりが熱可塑性エラストマーの原料を覆うとともに、隣り合う前記熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う前記金属結合した合金微粒子の集まりが金属結合することで、該隣り合う原料同士が結合され、前記熱可塑性エラストマーの原料の集まりが製造される、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する第一の方法である。

0016

つまり、複数種類の無機金属化合物の錯体を還元雰囲気で熱処理すると、180−220℃の比較的低い温度で、複数種類の錯体を構成する複数種類の金属が同時に析出し、複数種類の金属が活性状態にあるため、複数種類の錯体のモル数比率に応じた組成からなる合金が生成される。このため、9段落に記載した第七の工程において、混合物を還元雰囲気で180−220℃まで昇温すると、40−60nmの大きさの粒状の合金微粒子の集まりが、一斉に析出する。この際、析出した粒状の合金微粒子の合金は、不純物を持たない活性状態にあるため、粒状の合金微粒子同士が互いに接触する多数の部位で金属結合する。このため、金属結合した粒状の合金微粒子の集まりが熱可塑性エラストマーの原料を覆うとともに、隣り合う熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う金属結合した合金微粒子の集まりが、粒状の合金微粒子同士が接触する多数の部位で金属結合し、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりが製造される。なお、メタノールと有機化合物との沸点と、複数種類の無機金属化合物の錯体が同時に熱分解を開始する温度との3種類の温度に温度差があるため、気化したメタノールと有機化合物と、複数種類の無機金属化合物の錯体の熱分解時に気化する無機物とからなる3種類の気体の各々は、個別に回収装置で回収する。
すなわち、複数種類の無機金属化合物の錯体は、12段落で説明した無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が同一の配位子で構成され、この同一の配位子が互いに異なる金属イオンに配位結合する互いに異なる金属錯イオンを有する複数種類の無機金属化合物の錯体である。このため、還元雰囲気で熱処理すると、複数種類の錯体の配位結合部が同時に分断され、無機物と複数種類の金属に分解され、無機物の分子量に応じて、無機物が180−220℃の温度で気化が完了し、複数種類の無機金属化合物の錯体のモル濃度に応じて複数種類の金属が同時に析出する。これら金属は不純物を持たない活性状態にあるため、錯体のモル濃度の比率に応じた組成からなる合金が生成される。
また、12段落で説明したグリコール類ないしはグリコールエーテル類に属する有機化合物と同様に、メタノールに溶解ないしは混和する第一の性質と、粘度がメタノールの粘度より5倍以上高い第二の性質と、沸点が熱可塑性エラストマーの原料の融点より高く、かつ、複数種類の無機金属化合物の錯体が同時に熱分解を開始する温度より低い第三の性質を兼備する、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属する有機化合物が存在する。このようなグリコール類ないしはグリコールエーテル類に属する有機化合物は、いずれも汎用的な工業用薬品である。このため、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属する有機化合物は、複数種類の無機金属化合物の錯体のメタノール分散液とともに混合液を形成する。
従って、複数種類の無機金属化合物の錯体のメタノール分散液に、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属する有機化合物を混合すると、複数種類の無機金属化合物の錯体と有機化合物とが分子状態で均一に混ざり合う。この混合液に、熱可塑性エラストマーの原料の集まりを混合すると、原料の表面に混合液が付着する。この後、原料の集まりを還元雰囲気で昇温する。最初にメタノールが気化し、次いで原料が熱融解し、さらに有機化合物が気化し、熱融解した原料の表面は、複数種類の無機金属化合物の錯体の微細結晶の集まりで覆われる。さらに昇温すると、180−220℃で微細結晶の大きさに応じた40−60nmの粒状の合金微粒子が一斉に析出する。この際、熱分解で析出した合金は不純物を持たない活性状態にあるため、粒状の合金微粒子は互いに接触する多数の部位で金属結合する。このため、金属結合した合金微粒子の集まりが、熱融解した原料を覆うとともに、隣り合う熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う金属結合した合金微粒子の集まりが、粒状の合金微粒子同士が接触する多数の部位で金属結合し、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりが製造される。この後、熱可塑性エラストマーの原料の集まりを冷却すると、熱融解した原料が固化し、熱可塑性エラストマーの成形体を成形する際に用いる成形材料が大量に製造される。
以上に説明したように、複数種類の無機金属化合物の錯体と、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属する有機化合物とは、合金微粒子の金属結合によって、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する際の第一の原料になる。これによって、8段落に記載した第一と第二の課題とが、具体的に解決される。

0017

9段落に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法が、金属結合した合金微粒子の集まりが熱可塑性エラストマーの原料を覆うとともに、隣り合う前記熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う前記金属結合した合金微粒子の集まりが金属結合することで、該隣り合う原料同士が結合され、前記熱可塑性エラストマーの原料の集まりが製造される、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する第二の方法であって、該第二の方法は、
9段落に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法において、前記熱分解で金属を析出する金属化合物が、オクチル酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、互いに異なる金属イオンに共有結合した複数種類のオクチル酸金属化合物であり、前記有機化合物が、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属するいずれか1種類の有機化合物であり、9段落に記載した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する製造方法に従って、前記7つの工程を連続して実施する方法が、金属結合した合金微粒子の集まりが熱可塑性エラストマーの原料を覆うとともに、隣り合う前記熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う前記金属結合した合金微粒子の集まりが金属結合することで、該隣り合う原料同士が結合され、前記熱可塑性エラストマーの原料の集まりが製造される、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する第二の方法である。

0018

つまり、14段落で説明したように、オクチル酸金属化合物が大気雰囲気の290℃で熱分解して金属を析出するため、複数種類のオクチル酸金属化合物を大気雰囲気で熱処理すると、290℃で複数種類のオクチル酸金属化合物を構成する複数種類の金属が同時に析出し、複数種類の金属が活性状態にあるため、複数種類のオクチル酸金属化合物のモル数の比率に応じた組成からなる合金が生成される。このため、9段落に記載した第七の工程において、混合物を大気雰囲気で290℃まで昇温すると、40−60nmの大きさの粒状の合金微粒子の集まりが、一斉に析出する。この際、析出した粒状の合金微粒子の合金は、不純物を持たない活性状態にあるため、粒状の合金微粒子同士が互いに接触する多数の部位で金属結合する。このため、金属結合した粒状の合金微粒子の集まりが熱可塑性エラストマーの原料を覆うとともに、隣り合う熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う金属結合した合金微粒子の集まりが、粒状の合金微粒子同士が接触する多数の部位で金属結合し、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりが製造される。なお、メタノールと有機化合物との沸点と、複数種類のオクチル酸金属化合物が同時に熱分解を開始する温度との3種類の温度に温度差があるため、気化したメタノールと有機化合物と、複数種類のオクチル酸金属化合物の熱分解時に気化するオクチル酸とからなる3種類の気体の各々は、個別に回収装置で回収する。
すなわち、オクチル酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、互いに異なる金属イオンに共有結合する複数種類のオクチル酸金属化合物を大気雰囲気で熱処理すると、オクチル酸の沸点を超えると、オクチル酸と複数種類の金属とに分解し、さらに、290℃でオクチル酸の気化が完了し、複数種類の金属が同時に析出し、これらの金属はいずれも不純物を持たない活性状態にあるため、複数種類のオクチル酸金属化合物のモル数の比率に応じた組成からなる合金が生成される。このため15段落で説明した複数種類の無機金属化合物の錯体より熱処理温度が高いが、錯体より安価なオクチル酸金属化合物を用いて様々な合金が生成される。
また、13段落で説明したグリコール類ないしはグリコールエーテル類に属するいずれか1種類の有機化合物と同様に、メタノールに溶解ないしは混和する第一の性質と、粘度がメタノールの粘度より5倍以上高い第二の性質と、沸点が熱可塑性エラストマーの原料の融点より高く、かつ、複数種類のオクチル酸金属化合物が同時に熱分解を開始する温度より低い第三の性質とを兼備する、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属する有機化合物が存在する。このようなグリコール類ないしはグリコールエーテル類に属する有機化合物は、いずれも汎用的な工業用薬品である。このため、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属する有機化合物は、複数種類のオクチル酸金属化合物のメタノール分散液とともに混合液を形成する。
従って、複数種類のオクチル酸金属化合物のメタノール分散液に、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属するいずれか1種類の有機化合物を混合すると、複数種類のオクチル酸金属化合物とグリコール類ないしはグリコールエーテル類に属するいずれか1種類の有機化合物とが分子状態で均一に混ざり合う。この混合液に、熱可塑性エラストマーの原料の集まりを混合すると、原料の表面に混合液が付着する。この後、原料の集まりを大気雰囲気で昇温する。最初にメタノールが気化し、次いで原料が熱融解し、さらにグリコール類ないしはグリコールエーテル類に属するいずれか1種類の有機化合物が気化し、熱融解した原料の表面は、複数種類のオクチル酸金属化合物の微細結晶の集まりで覆われる。さらに昇温すると、290℃で微細結晶の大きさに応じた40−60nmの粒状の合金微粒子が一斉に析出する。この際、熱分解で析出した合金は不純物を持たない活性状態にあるため、粒状の合金微粒子は互いに接触する多数の部位で金属結合する。このため、金属結合した合金微粒子の集まりが、熱融解した原料を覆うとともに、隣り合う熱可塑性エラストマーの原料の双方の原料を覆う金属結合した合金微粒子の集まりが、粒状の合金微粒子同士が接触する多数の部位で金属結合し、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりが製造される。この後、熱可塑性エラストマーの原料の集まりを冷却すると、熱融解した原料が固化し、熱可塑性エラストマーの成形体を成形する際に用いる成形材料が大量に製造される。
以上に説明したように、複数種類のオクチル酸金属化合物と、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属するいずれか1種類の有機化合物とは、合金微粒子の金属結合によって、熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを製造する際の第二の原料になる。これによって、8段落に記載した第一と第二の課題とが、具体的に解決される。

0019

11段落、13段落、15段落ないしは17段落に記載したいずれか一つの製造方法で製造した熱可塑性エラストマーの原料同士が結合した該原料の集まりを、成形体を成形する際の成形材料の集まりとして用い、金属ないしは合金の性質と、自己発火せず着火しない不燃性とを兼備する熱可塑性エラストマーからなる成形体を成形する方法は、
熱可塑性エラストマーの融点より高い温度に昇温された成形機ないしは金型に、成形材料の集まりを充填し、熱可塑性エラストマーの原料を熱融解させ、さらに、前記成形機ないしは前記金型によって、前記成形材料の集まりに圧縮応力を加え、該成形材料の集まりを圧縮変形させる、この際、前記熱融解した原料は、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりで継続して覆われ、また、前記圧縮変形した成形材料も、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりで継続して覆われ、さらに、前記成形材料の集まりが圧縮変形する際に、隣り合う成形材料の双方の成形材料を覆う前記金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりが金属結合することで、該隣り合う成形材料同士が結合され、前記成形機内ないしは前記金型内に、前記圧縮変形した成形材料の集まりからなる成形体が成形される、金属ないしは合金の性質と、自己発火せず着火しない不燃性を兼備する熱可塑性のエラストマーの成形体が成形される方法である。

0020

熱可塑性エラストマーは、熱可塑性樹脂の成形方法と同様の成形方法で、成形体が成形できる。つまり、射出成形、押出成形、ブロー成形、カレンダー成形、圧空成形などの様々な成形方法に依って、熱可塑性エラストマーからなる成形体が成形できる。これらの成形方法に共通する事項は、第一に、成形材料の集まりを、成形材料の融点を超える温度に昇温した成形機ないしは金型に充填し、第二に、成形材料を熱融解させ、第三に、熱融解した成形材料に、成形機ないしは金型によって圧縮応力を加え、成形材料を変形させ、第四に、変形した成形材料同士が融着し、第五に、成形機内ないしは金型内に、融着した成形材料の集まりからなる成形体を成形する点にある。従って、19段落に記載した成形方法が、これら5つの共通事項を満たせば、熱可塑性エラストマーの各種成形方法を包括する成形方法になり、熱可塑性エラストマーの各種成形方法を包括する成形方法に依って成形体が成形できる。
いっぽう、19段落に記載した成形方法が、さらに、金属ないしは合金の性質と、自己発火せず着火しない不燃性を兼備する成形体を成形する成形方法であるためには、次の3つの要件を満たす必要がある。第一の要件は、熱可塑性エラストマーの融点を超える温度に昇温した成形機ないしは金型に充填された成形材料は、熱融解した熱可塑性エラストマーの原料を、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりが継続して覆う。この第一の要件は、前記した第一と第二との共通事項に該当する。第二の要件は、成形機ないしは金型によって、成形材料の集まりに圧縮応力が加えられ、成形材料が圧縮変形するが、圧縮変形した成形材料を、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりが継続して覆う。この第二の要件は、前記した第三の共通事項に該当する。さらに、第三の要件は、成形材料が圧縮変形する際に、隣り合う成形材料の双方の成形材料を覆う金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりが、継続して金属結合し、これによって、隣り合う成形材料同士が継続して結合され、成形機内ないしは金型内に、圧縮変形した成形材料の集まりからなる成形体が形成される。この第三の要件は、前記した第四と第五との共通事項に該当する。また、19段落に記載した成形方法が、これら3つの要件を満たすことで、第一に、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりが、成形体を構成する全ての成形材料を覆い、全ての成形材料が気密性を以て外界から遮断される。第二に、隣り合う成形材料の双方の成形材料を覆う金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりが、継続して金属結合し、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりは、成形体に連続した経路を形成する。この結果、成形体は、金属ないしは合金の性質と、自己発火せず着火しない不燃性を兼備する。
従って、19段落に記載した成形方法が、前記した3つの要件を満たせば、熱可塑性エラストマーの各種成形方法に共通する5つの事項を満たし、熱可塑性エラストマーの各種成形方法を包括する成形方法に依って成形体が成形でき、かつ、この成形体は、金属ないしは合金の性質と、自己発火せず着火しない不燃性を兼備する。
ところで、熱可塑性エラストマーの原料を覆う、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりは、次の5つの性質を持つ。第一に、金属ないしは合金の微粒子の大きさは、熱可塑性エラストマーの原料の大きさに比べ、5桁も小さい。第二に、金属ないしは合金の微粒子が粒状であり、金属ないしは合金の微粒子が一斉に析出する際に、金属ないしは合金の微粒子同士が、局部的な複数の部位で接触し、析出した金属ないしは合金が不純物を持たない活性状態にあり、局部的な複数の部位で、微粒子同士が金属結合する。第三に、微粒子同士が金属結合する局部的な複数の部位が、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりに数多く存在する。第四に、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりに応力が加わると、第一から第三の性質によって、自在に塑性変形する。また内側の原料が変形すると、この変形に追従して変形する。第五に、第三の性質によって、微粒子同士の金属結合力に基づく一定の結合強度を持って、熱可塑性エラストマーの原料を覆う。
19段落に記載した成形方法は、最初に、成形材料の集まりを、熱可塑性エラストマーの融点を超える温度に昇温した成形機ないしは金型に充填する。この際、熱可塑性エラストマーの原料が熱融解し、原料が変形するとともに、体積が僅かに増大するが、原料を覆う金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりは、前記した第四の性質によって、原料の変形に追従して塑性変形し、熱融解した原料を覆い続ける。従って、本成形方法は、前記した第一の要件を満たす。また、成形機ないしは金型の温度が、金属化合物の熱分解温度より低いため、金属ないしは合金の微粒子の大きさは変わらない。従って、金属ないしは合金の微粒子同士の金属結合力は、金属ないしは合金の微粒子の集まりが一斉に析出する際に形成される金属結合力と変わらない。
次に、19段落に記載した成形方法は、成形材料の集まりに圧縮応力を加える。これによって、成形材料は変形する。この際、前記した第四の性質によって、最初に、原料を覆う金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりが塑性変形し、この塑性変形に追従して、内部の熱融解した原料が変形する。このため、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりが、継続して圧縮変形した成形材料を覆う。従って、本成形方法は、前記した第二の要件を満たす。
また、成形材料が圧縮変形する際に、隣り合う圧縮変形した成形材料の双方の成形材料を覆う金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりは塑性変形し、隣り合う圧縮変形した成形材料同士を継続して結合する。このため、成形機内ないしは金型内に、圧縮変形した成形材料の集まりからなる成形体が形成される。従って、本成形方法は、第三の要件を満たす。なお、圧縮成形時の温度が、金属化合物の熱分解温度より低いため、金属ないしは合金の微粒子の大きさは変わらない。従って、金属ないしは合金の微粒子同士の金属結合力は、金属ないしは合金の微粒子の集まりが一斉に析出する際に形成される金属結合力と変わらない。
以上に説明したように、19段落に記載した成形方法は、熱可塑性エラストマーの各種成形方法に共通する5つの事項を満たす成形方法であり、熱可塑性エラストマーの各種成形方法を包括する成形方法に依って成形体が成形できる。さらに、本成形方法は、前記した3つの要件を満たす成形方法であるため、本成形方法で成形した成形体は、金属ないしは合金の性質と、自己発火せず着火しない不燃性を兼備する。また、8段落で説明した第三と第四の課題が、本成形方法に依って同時に解決される。
この後、熱融解した原料を冷却して固化すると、成形体が形成される。なお、原料が固化する際に、原料の体積が僅かに収縮するが、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりは、原料の変形に追従して塑性変形し、固化した原料を覆い続ける。また、隣り合う固化した原料の双方の原料を覆う金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりは塑性変形し、隣り合う固化した原料同士を継続して結合する。このため、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりは、成形体に連続した経路を形成し、成形体は、金属微粒子を構成する金属の性質、ないしは、合金微粒子を構成する合金の性質を持つ。さらに、金属微粒子は様々な金属元素で構成され、また、合金微粒子は様々な金属元素によって様々な組成で構成される。このため、成形体は、様々な金属の性質を持ち、ないしは、様々な合金の性質を持つ。
また、成形体は、自己発火せず着火しない不燃性を持つ。つまり、成形体は、第一に、全ての固化した原料が、一定の結合強度を有する金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりで覆われ、固化した原料に酸素ガスが供給されない。このため、全ての固化した原料は、酸素ガスとの酸化反応である燃焼が起こらず、原料は自己発火せず着火しない。第二に、固化した原料が熱分解しても、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりの内部に留られる。このため、原料が熱分解しても、火災の起点を作らず、火災時に視界を妨げず、火災が延焼する要因を作らない。しかしながら、火災時に成形体は高温に昇温される。しかし、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりが、気密性を以て原料を覆うため、原料の熱分解は、大気雰囲気や還元雰囲気に比べて極めて遅い。さらに、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりの内側は原料で占有され、極めて僅かな空隙しか存在しない。このため、原料の熱分解で低分子量の物質が生成され、この物質が気化する際に、気化できる体積が制約され、原料の熱分解が進まない。しかしながら、成形体は火災によって極めて高い温度に確実に昇温される。このため、第三に、成形体は、炭化した原料が、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりで覆われた集まりになる。この結果、成形体は、火災時の火炎に対して、自己発火せず着火しない不燃性を持つ。
以上に説明したように、19段落に記載した成形体の成形方法は、熱可塑性エラストマーの各種成形方法を包括する成形方法であり、かつ、金属ないしは合金の性質と、自己発火せず着火しない不燃性とを兼備する成形体を成形する成形方法である。

図面の簡単な説明

0021

銅微粒子の集まりがオレフィン系エラストマーのペレットを覆う状態を模式的に説明する図である。
銅微粒子の集まりが加熱圧縮されたオレフィン系エラストマーのペレットを覆うとともに、加熱圧縮されたペレットが銅微粒子の金属結合で結合された状態を模式的に説明する図である。

実施例

0022

実施形態1
本実施形態は、11段落と15段落とに記載した無機金属化合物からなる錯体に関わる実施形態である。熱分解で金属を析出する金属化合物は、第一にメタノールに分散し、第二に熱分解で金属を析出する2つの性質を兼備する必要がある。ここでは金属を銅とし、銅化合物を例にして説明する。
最初に、メタノールに分散する銅化合物を説明する。塩化銅硫酸銅硝酸銅などの無機銅化合物はメタノールに溶解し、銅イオン溶出してしまい、多くの銅イオンが銅微粒子の析出に参加できなくなる。従って、銅化合物は溶剤に溶解せず、溶剤に分散する性質を持つことが必要になる。また、酸化銅、塩化銅、硫化銅などの無機銅化合物は、最も汎用的な溶剤であるメタノール類に分散しない。このため、これらの無機銅化合物は、メタノールに分散する性質を持つ銅化合物として適切でない。
いっぽう、銅化合物は銅を析出する性質を持つ。銅化合物から銅が生成される化学反応の中で、最も簡単な化学反応に熱分解反応がある。さらに、銅化合物の熱分解が完了する温度が低ければ、安価な費用で熱可塑性エラストマーの原料を金属ないしは合金の微粒子で覆うことができ、また、熱可塑性エラストマーの熱分解が始まらない。このような銅化合物として、無機物からなる分子ないしはイオンが配位子となって、銅イオンに配位結合する銅錯イオンを有する無機金属化合物からなる銅錯体がある。つまり、配位子が低分子量で、配位子の数が少なく、無機金属化合物を形成する無機物の分子量が小さいため、銅錯体の熱分解温度は低い。さらに、銅錯体は分子量が小さく、他の銅錯イオンからなる銅錯体より合成が容易で安価な工業用薬品である。
すなわち、銅錯体を構成する分子の中で、銅イオンが最も大きい。ちなみに、銅原子二重結合共有結合半径は115pmであり、窒素原子単結合の共有結合半径の71pmであり、酸素原子の単結合の共有結合半径は63pmである。このため、配位子が銅イオンに配位結合する配位結合部の距離が最も長い。従って、還元雰囲気の熱処理では、最初に配位結合部が分断され、銅と無機物とに分解し、無機物の気化が完了した後に銅が析出する。
このような無機金化合物からなる銅錯体として、アンモニアNH3が配位子となって銅イオンに配位結合するテトラアンミン銅イオン[Cu(NH3)4]2+や、ヘキサアンミン銅イオン[Cu(NH3)6]2+を有する銅錯体や、塩素イオンCl−が配位子になって銅イオンに配位結合するテトラクロロ銅イオン[CuCl4]2—を有する銅錯体は、配位子が低分子量で、配位子の数が少ないため、他の銅錯イオンを有する錯体に比べて合成が容易で安価である。また、こうした銅錯イオンを有する無機金属化合物からなる銅錯体は、還元性雰囲気で熱処理すると、配位結合部位が最初に分断され、200℃程度の比較的低い温度で熱分解が完了する。さらに、メタノールに10重量%近くの分散濃度まで分散する。このような銅錯体として、例えば、テトラアンミン銅硝酸塩[Cu(NH3)4](NO3)2やヘキサアンミン銅硫酸塩[Cu(NH3)6]SO4がある。
さらに、熱分解でニッケルを析出する無機ニッケル化合物からなるニッケル錯体として、アンモニアNH3が配位子となってニッケルイオンに配位結合するヘキサアンミンニッケルイオン[Ni(NH3)6]2+からなるニッケル錯体は、配位子が低分子量で、配位子の数が少ないため、他のニッケル錯イオンを有する錯体に比べて合成が容易で安価である。こうしたニッケル銅錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体は、無機物の分子量が小さいため、還元性雰囲気で熱処理すると配位結合部位が最初に分断され、200℃前後の温度で熱分解が完了する。また、メタノールに10重量%近くの分散濃度まで分散する。このようなニッケル錯錯体として、例えば、ヘキサアンミンニッケル塩化物[Ni(NH3)6]Cl2がある。
また、無機金化合物からなる銀錯体として、アンモニアNH3が配位子となって銀イオンに配位結合するジアンミン銀イオン[Ag(NH3)2]+を有する銀錯体と、シアン化物イオンCN−が配位子となって銀イオンに配位結合するジシアノ銀イオン[Ag(CN)2]−を有する銀錯体は、配位子が低分子量で、配位子の数が少ないため、他の銀錯イオンを有する銀錯体に比べて、合成が容易で安価に製造できる。こうした銀錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体は、無機物の分子量が小さいため、還元性雰囲気で熱処理すると、配位結合部位が最初に分断され、200℃程度の低い温度で無機物の気化が完了して銀が析出する。また、メタノールに10重量%近くの分散濃度まで分散する。このような銀錯体として、例えば、塩化ジアンミン銀[Ag(NH3)2]Cl、硫酸ジアンミン銀[Ag(NH3)2]2SO4、硝酸ジアンミン銀[Ag(NH3)2]NO3などが存在する。
以上に説明したように、無機金属化合物からなる錯体は、配位子が低分子量で、配位子の数が少なく、無機金属化合物を形成する無機物の分子量が小さいため、熱分解温度が低く、合成が容易で最も安価な金属錯体である。従って、無機金属化合物からなる錯体は、熱可塑性エラストマーの融点より高く、グリコール類ないしはグリコールエーテル類の沸点より高いため、11段落に記載した熱可塑性エラストマーの原料を金属微粒子で覆う原料になる。
また、無機物の分子ないしはイオンからなる同一の配位子が、互いに異なる金属イオンに配位結合する、互いに異なる金属錯イオンを有する複数種類の無機金属化合物の錯体は、還元雰囲気で熱処理すると、複数種類の錯体の配位結合部が同時に分断され、無機物と複数の金属とに分解され、無機物の気化が完了すると、錯体のモル濃度に応じて複数種類の金属が同時に析出し、これら金属は不純物を持たない活性状態にあるため、錯体のモル濃度比率に応じた組成割合からなる合金が生成される。このため、複数種類の無機金属化合物の錯体は、熱可塑性エラストマーの融点より高く、グリコール類ないしはグリコールエーテル類の沸点より高いため、15段落に記載した熱可塑性エラストマーの原料を合金微粒子で覆う原料になる。

0023

実施形態2
本実施形態は、11段落、13段落、15段落、17段落に記載した有機化合物に関わる実施形態で、有機化合物は、第一にメタノールに溶解ないしは混和し、第二にメタノールより粘度が5倍以上高く、第三に沸点が熱可塑性エラストマーの融点より高く、かつ、金属化合物の熱分解温度より低いこれら3つの性質を兼備する。このような有機化合物に、グリコール類ないしはグリコールエーテル類に属する有機化合物がある。
なお、無機金属化合物からなる錯体は還元性雰囲気の180−220℃で熱分解する。また、オクチル酸金属化合物は大気雰囲気の290℃で熱分解する。従って、沸点が180℃より低い有機化合物は、錯体およびオクチル酸金属化合物が分散された混合液を構成する。また、沸点が290℃より低い有機化合物は、オクチル酸金属化合物が分散された混合液を構成する。なお、熱可塑性エラストマーの融点は70−225℃である。

0024

グリコール類にエチレングリコールジエチレングリコールトリエチレングリコールプロピレングリコールジプロピレングリコールトリプロピレングリコールがある。
エチレングリコールは、メタノールに溶解し、粘度がメタノールの34倍と高く、沸点が197℃の液状モノマーである。ジエチレングリコールは、メタノールに溶解し、粘度がメタノールの61倍と高く、沸点が244℃の液状モノマーである。プロピレングリコールは、メタノールと混和し、粘度がメタノールの95倍と高く、沸点が188℃の液状モノマーである。ジプロピレングリコールは、メタノールと混和し、粘度がメタノールの127倍と高く、沸点が232℃の液状モノマーである。トリプロピレングリコールは、メタノールと混和し、粘度がメタノールの97倍と高く、沸点が265℃の液状モノマーである。なお、液状モノマーからなるグリコール類は、溶剤として用いるため、重合反応を起こさせない禁止剤ないしは防止剤が添加され、昇温しても重合反応は起こらない。

0025

グリコールエーテル類は、エチレングリコール系エーテルと、プロピレングリコール系エーテルと、エチレングリコール、ジエチレングリコールないしはトリエチレングリコールの末端の水素をアルキル基置換したジアルキルグリコールエーテルがある。
エチレングリコール系エーテルの中で、メタノールに溶解し、沸点が220℃より低いグリコールエーテル類に、粘度がメタノールの5倍で沸点が142℃のイソプロピルグリコール、粘度がメタノールの6倍で沸点が171℃のブチルグリコール、粘度がメタノールの5倍で沸点が161℃のイソブチルグリコール、粘度がメタノールの7倍で沸点が194℃のメチルジグリコール、粘度がメタノールの8倍で沸点が207℃のイソプロピルジグリコールが存在する。
エチレングリコール系エーテルの中で、メタノールに溶解し、沸点が290℃より低いグリコールエーテル類に、粘度がメタノールの13倍で沸点が249℃のメチルトリグリコール、粘度がメタノールの11倍で沸点が231℃のブチルジグリコール、粘度がメタノールの14倍で沸点が271℃のブチルトリグリコール、粘度がメタノールの9倍で沸点が220℃のイソブチルジグリコールが存在する。
次に、プロピレングリコール系エーテルの中で、メタノールに溶解し、沸点が220℃より低いグリコールエーテル類に、粘度がメタノールの5倍で沸点が150℃のプロピルプロピレングリコール、粘度がメタノールの7倍で沸点が187℃のメチルプロピレンジグリコールが存在する。
最後に、ジアルキルグリコールエーテルの中で、メタノールに溶解し、沸点が220℃より低いグリコールエーテル類に、粘度がメタノールの6倍で沸点が216℃のジメチルトリグリコールが存在する。
以上に説明したように、グリコール類、グリコールエーテル類の中に、11段落、13段落、15段落、17段落に記載した3つの性質を兼備する有機化合物が多く存在する。

0026

実施形態3
本実施形態は、熱可塑性エラストマーに関する実施形態である。熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントの化学的組成によって分類された次の9種類がある。
スチレン系エラストマーは、ハードセグメントがポリスチレンPSからなり、ソフトセグメントは、ポリブタジエンBR、ポリイソプレンIR、水素添加のBR、水素添加のIRの4種類からなる。熱可塑性エラストマーの中で最も加硫ゴムに近い性質を持つ。短所は、耐熱性が80℃と低く、耐候性耐油性に劣る点である。水素添加のBRからなるエラストマーに、強度、耐熱性、耐候性を改良したものがある。また、ハードセグメントのPSを、ポリエチレンPEの結晶に置き換えたものや、ポリシクロヘキサンに変えたものが存在する。このように、様々な改良がなされている。
オレフィン系エラストマーは、ハードセグメントがPPからなり、ソフトセグメントがポリエチレンプロピレンジエンEPDMからなるエラストマーが量的に主流で、比重が軽く、耐候性、耐オゾン性に優れる。短所は、圧縮永久ひずみが大きく、耐油性、耐摩耗性が不充分な点にある。この短所を改良するため、PPとEPDMを混合する際に架橋剤を加えることで、PPマトリックス中に完全架橋した、あるいは、部分架橋されたEPDM粒子ミクロ分散させた材料が開発されている。また、EPDMの代わりに、ニトリルゴムNBRやクロロプレンゴムCRやブチルゴムIIRを用い、圧縮永久歪耐熱老化性、耐油性などを改良した材料が開発されている。このように、オレフィン系エラストマーについても様々な改良がなされている。また、ハードセグメントがPEからなるエラストマーも存在する。
塩化ビニル系エラストマーは、高重合度PVCと可塑剤とのブレンド、部分架橋PVCと可塑化PVCとのブレンド、PVCとNBRやウレタンゴムUとのブレンドがある。耐候性、耐オゾン性、耐薬品性に優れるが、ゴム弾性が低い欠点を持つ。
ウレタン系エラストマーは、ハードセグメントがポリウレタンからなり、ソフトセグメントが、脂肪族ポリエステルないしは脂肪族ポリエーテルからなる。耐摩耗性、耐屈曲性、耐油性に優れる反面、永久歪性耐黄変性に劣り、金型粘着性の欠点もある。
エステル系エラストマーは、ハードセグメントが芳香族ポリエステルからなり、ソフトセグメントが、脂肪族ポリエステルないしは脂肪族ポリエーテルからなり、とりわけ耐熱性に優れ、また、耐屈曲性、耐油性にも優れるが、低硬度の製品の製造が難しい。このため、ブレンド時の動的架橋で架橋ゴム粒子を微分散させ、柔軟性と耐熱性、耐油性を両立さる材料開発がなされている。
アミド系エラストマーは、ポリアミドをハードセグメントとし、脂肪族ポリエステルないしは脂肪族ポリエーテルをソフトセグメントとする。ハードセグメントを構成するポリアミドによって、耐油性、耐熱性は、エステル系エラストマーに次ぐ性能を持ち、離型性と成形性では、エステル系エラストマーを凌ぐ。さらに、消音性、耐薬品性、耐摩耗性、強靭性耐ガス透過性にも優れるが、ゴム弾性に乏しいのが難点である。また、他の高分子材料との熱融着性に優れる材料開発がなされている。
ポリブタジエン系エラストマーは、シンジオタック1、2−ブタジエンをハードセグメントとし、非結晶ブタジエンをソフトセグメントとし、結晶化度を抑えることで融点を下げ溶融成形を可能としたエラストマーである。ガス透過性と透明性に優れるため、フィルムシートに用いられている。なお、融点が70−125℃と低く、耐熱性は低い。
アクリル系エラストマーは、メタクリル酸メチルMMAをハードセグメントとし、アクリル酸ブチルBAをソフトセグメントとする、ブロック共重合体からなる。MMAが持つ透明性と耐候性と、BAが持つ柔軟性と接着性との双方を有する熱可塑性エラストマーである。なお、ABSやPCとの2色成形性に優れ、プライマーを不要とする塗装が可能で、射出成形性に優れた材料が開発されている。また、アクリル系エラストマーとPBT樹脂とを、ナノレベルに近い分散形態とし、柔軟性を維持し、耐熱性を高めた材料が開発されている。
フッ素系エラストマーは、フッ素ゴムの部分とフッ素樹脂の部分が結合したブロックポリマーで、常温では結晶性のフッ素樹脂相により、擬似架橋構造によってゴム弾性を示すが、融点以上の高温では熱可塑性樹脂と同じような流動性を示す。このため、他の熱可塑性エラストマーと同様に、溶融成形が可能である。融点は225℃で、180℃の耐熱性を持ち、耐薬品性、電気的特性機械的特性に優れたエラストマーであるが、価格が高いのが難点である。

0027

実施例1
本実施例は、オレフィン系エラストマーのペレットを、銅微粒子の集まりで覆う事例である。オレフィン系エラストマーとして、動的架橋型であるが流動性に優れたグレードを用いた(例えば、JSR株式会社のEXCELINK1800)。なお、オレフィン系エラストマーのペレットの密度は、0.89g/cm3である。また、銅微粒子の原料として、22段落に記載したテトラアンミン銅硝酸塩(例えば、三津和化学薬品株式会社の製品)を用いた。有機化合物は、25段落に記載したイソプロピルグリコール(例えば、日本乳化剤株式会社の製品)を用いた。
最初に、テトラアンミン銅硝酸塩の51g(0.2モルに相当)が10重量%になるようにメタノールに分散し、この分散液にイソプロピルグリコールが20重量%になるように混合した。この混合液に、予め除湿乾燥機予備乾燥させた1.3kgのペレットを混合して撹拌した。
次に、混合物を容器に入れ、水素ガス雰囲気焼成した。最初に65℃に昇温してメタノールを気化し、さらに130℃に昇温してペレットを熱融解した。次に、142℃に昇温し、イソプロピルグリコールを気化した。最後に、200℃に5分間放置し、テトラアンミン銅硝酸塩を熱分解し、その後、冷却して、試料製作した。なお、メタノールとイソプロピルグリコールと、テトラアンミン銅硝酸塩が熱分解する際に気化した無機物とを、各々回収機で回収した。
さらに、作成した試料を、表面と切断した複数の断面について電子顕微鏡で観察した。電子顕微鏡は、JFEテクノリサーチ株式会社が所有する極低加速電圧EMを用いた。この装置は、100Vからの極低加速電圧による表面観察が可能で、さらに導電性の被膜を形成せずに直接試料の表面が観察できる。
最初に、試料の表面と複数の断面からの反射電子線について、900−1000Vの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。試料表面はいずれの部位も、40−60nmの大きさからなる粒状微粒子の集まりが、表面全体に満遍なく形成されていた。また、試料の断面は、微粒子が30層前後の厚みでペレットの表面に積層していた。
次に、試料の表面と複数の断面からの反射電子線について、900−1000Vの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡で粒子の材質分析した。いずれの粒状微粒子にも濃淡が認められなかったので、単一原子から構成されていた。
さらに、試料の表面と複数の断面からの特性エックス線のエネルギーとその強度を画像処理し、粒子を構成する元素の種類を分析した。粒状微粒子は銅原子のみで構成されていたため、銅の粒状微粒子である。
以上の観察結果から、金属結合した銅微粒子の集まりが、30層前後の厚みでペレットの表面に積層し、ペレットを覆った。試料の断面を図1に模式的に示した。1はオレフィン系エラストマーのペレットで、2は銅微粒子である。
また、試料表面の複数個所の表面抵抗を、表面抵抗計によって測定した(例えば、シムコジパン株式会社の表面抵抗計ST−4)。表面抵抗値は1×103Ω/□未満であったため、試料は銅に近い表面抵抗を有した。
以上の結果から、本実施例で作成した試料は銅に近い導電性を持つ。なお、本実施例は一例に過ぎない。26段落で説明した熱可塑性エラストマーと、沸点が熱可塑性エラストマーの融点より高く、22段落に記載した無機金属化合物からなる錯体の熱分解が完了する温度より低い有機化合物を、25段落と26段落に記載したグリコール類ないしはグリコールエーテル類より選択し、前記した方法に従って試料を作成すると、様々な材質からなる熱可塑性エラストマーの原料が、様々な金属微粒子の集まりで覆われる。

0028

実施例2
本実施例は、実施例1で作成した銅微粒子の集まりで覆われたオレフィン系エラストマーのペレットの集まりを用いて、カレンダー成形によって、1.0mmの厚みのシートを成形した。
作成した試料の切断面を、実施例1と同様に電子顕微鏡で観察した。熱融解し、圧縮されたペレットは薄いシート状に引き伸ばされ、その表面が銅微粒子の集まりで覆われるとともに、銅微粒子の集まりで結合されていた。試料の断面を図2に模式的に示した。3は加熱圧縮されたオレフィン系エラストマーのペレットで、4は銅微粒子である。
次に作成した試料を小片として切り出し、実施例1と同様に、小片の表面抵抗を表面抵抗計で測定した。この結果、表面抵抗値は1×103Ω/□未満であった。またペレットと銅との重量比は102対1であるため、オレフィン系エラストマーからなるシートの比重は、ペレットの比重0.89g/cm3に近く、銅の比重8.96より著しく小さい。このため、本実施例で製作したシートは、銅より著しく軽いシートになる。このため、極めて軽量な銅に近い導電性を持つ導電性シート、極めて軽量な銅に近い熱伝導性を持つ熱伝導性シート、ないしは、極めて軽量な静電シールドシートとして用いることができる。
なお、電磁波の反射損失度合いは、比透磁率bに対する比導電率aの比率a/bに比例する。また、電磁波の吸収損失の度合いは、比導電率と比透磁率との積a・bに比例する。なお、比導電率は、銅の導電率を1とした場合の金属の導電率である。銅の比率a/bは1.00で、銀の比率1.06に次いで高く、銅の積a・bは1.00で、銀の積1.06に次いで高い。このため、実施例2で作成したシートは、電磁波のシールド性能が高い極めて軽量なシートやパッキンとして、用いることができる。なお、鉄の比率a/bが0.0017で、積a・bが17であるため、電磁波の反射損失の度合いは著しく低いが、電磁波の吸収損失の度合いが著しく高い金属である。
なお、用いたオレフィン系エラストマーの流動性は、230℃、21Nで80g/10分の高い流動性を持つグレードであり、カレンダー成形のみならず、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧空成形などによって、様々な形状の成形体が成形できる。

0029

実施例3
本実施例は、アクリル系エラストマーのペレットを、アルミニウム微粒子の集まりで覆う事例である。アクリル系エラストマーは、アクリル系エラストマーとPBT樹脂とを、ナノレベルに近い分散形態とし、柔軟性を維持し、耐熱性を高めたアクリル系エラストマーを用いた(例えば、アロン化成株式会社のXB−A60)。アクリル系エラストマーのペレットの密度は、1.15g/cm3である。アルミニウム微粒子の原料として、14段落に説明したオクチル酸金属化合物に属するオクチル酸アルミニウムAl(C7H15COO)3を用いた(例えば、ホープ製薬株式会社の製品)。有機化合物は、25段落に記載したメチルトリグリコール(例えば、日本乳化剤株式会社の製品)を用いた。
最初に、オクチル酸アルミニウムの91g(0.2モルに相当)が10重量%になるようにメタノールに分散し、この分散液にメチルトリグリコールが10重量%になるように混合した。この混合液に、予め除湿乾燥機で予備乾燥させた1.7kgのペレットを混合して撹拌した。
次に、混合物を容器に入れ、大気雰囲気で焼成した。最初に65℃に昇温してメタノールを気化し、さらに220℃に昇温してペレットを熱融解した。次に、249℃に昇温し、メチルトリグリコールを気化した。最後に、290℃に1分間放置し、オクチル酸アルミニウムを熱分解し、その後、冷却して、試料を作成した。なお、メタノールとメチルトリグリコールと、オクチル酸アルミニウムが熱分解する際に気化したオクチル酸とを、各々回収機で回収した。
さらに、実施例1と同様に、作成した試料を、表面と切断した複数の断面について電子顕微鏡で観察した。実施例1の銅微粒子の事例と同様に、金属結合したアルミニウムの微粒子の集まりが、30層前後の厚みでペレットの表面に積層し、ペレットを覆った。
また、試料表面の複数個所の表面抵抗を、実施例1と同様に、表面抵抗計によって測定した。表面抵抗値は1×103Ω/□未満であったため、試料はアルミニウムに近い表面抵抗を有した。
以上の結果から、本実施例で作成した試料はアルミニウムに近い導電性を持つ。なお、本実施例は一例に過ぎない。26段落で説明した熱可塑性エラストマーと、沸点が熱可塑性エラストマーの融点より高く、14段落に記載したオクチル酸金属化合物の熱分解が完了する温度より低い有機化合物を、25段落と26段落に記載したグリコール類ないしはグリコールエーテル類より選択し、前記した方法に従って試料を作成すると、様々な材質からなる熱可塑性エラストマーの原料が、様々な金属微粒子の集まりで覆われる。

0030

実施例4
本実施例は、実施例3で作成したアルミニウム微粒子の集まりで覆われたアクリル系エラストマーのペレットの集まりを用いて、カレンダー成形によって、0.5mmの厚みのシートを成形した。
作成した試料の切断面を、実施例1と同様に電子顕微鏡で観察した。実施例2の銅微粒子の事例と同様に、熱融解し、圧縮されたペレットは薄いシート状に引き伸ばされ、その表面がアルミニウム微粒子の集まりで覆われるとともに、アルミニウム微粒子の集まりで結合されていた。
さらに作成した試料を小片として切り出し、実施例1と同様に、小片の表面抵抗を表面抵抗計で測定した。この結果、表面抵抗値は1×103Ω/□未満であった。またペレットとアルミニウムとの重量比は315対1であるため、アクリル系エラストマーからなるシートの比重は、ペレットの比重1.15g/cm3に近い。このため、本実施例で製作したシートは、アルミに近い導電性を持つ導電性シート、アルミに近い熱伝導性を持つ熱伝導性シート、ないしは、軽量な静電気シールドシートとして用いることができる。
さらに、本実施例で作成したシートは、透明導電性シートとして用いることができる。つまり、PBT樹脂は結晶性樹脂で透明性に劣るが、PBT樹脂をナノレベルに微細化させ、アクリル系エラストマーとの分散形態にしたため、本実施例で用いたアクリル系エラストマーは、全光線透過率が92%で、ヘイズが2%であり、入射光に対する高い透過率を持つ。また、アルミニウムの屈折率は1.48であり、表面反射率が3.7%で、全光線透過率は93%になり、入射光に対する高い透過率を持つ。いっぽう、本シートの表面を透過した光は、シートの内部で散乱する。シートが透明体であるためには光の散乱が起こりにくい、つまり、散乱係数が小さいことが必要になる。光の散乱はレイリー散乱に基づき、シートが固化したペレットに微粒子の集まりが分散された形態とすれば、ペレットの屈折率に対するアルミニウムの屈折率の比率mについて、レイリー散乱係数は{(m2−1)/(m2+1)}2に比例する。比率mは0.98になり、{(m2−1)/(m2+1)}2は4.1×10−4と小さい。さらに散乱係数は、可視光波長λに対する粒子径Dの比率D/λの4乗と、粒子径Dの2乗とに比例する。アルミニウム微粒子の平均粒径を50nmとすると、可視光の波長380−780nmに対する比率D/λの4乗は、1.3×10−5−2.9×10−4になり、粒子径Dの2乗が2.5×10−15になる。従って、4.1×10−4と1.3×10−5−2.9×10−4と2.5×10−15との積からなる散乱係数は極めて小さな値になる。この結果、本実施例におけるシートは高い透明性を示す。従って、本実施例におけるシートは、アルミニウムに近い導電性を持つ透明導電性シートになる。
なお、用いたアクリル系エラストマーの流動性は、230℃、21Nで12g/10分と優れるので、カレンダー成形のみならず、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧空成形などによって、様々な形状の成形体が成形できる。

0031

実施例5
本実施例は、フッ素系エラストマーのペレットを、パーマロイと呼ばれる、ニッケルと鉄とを主成分とする合金の微粒子の集まりで覆う事例である。なお、製品化されているフッ素系エラストマーは限られていて、本実施例では、ダイキン工業株式会社のダイエルT−530を用いた。このフッ素系エラストマーのペレットは、密度が1.89g/cm3で、流動性は、230℃、10Nで20g/10分の値を持ち、熱可塑性樹脂と同様に、射出成形、押出成形、カレンダー成形、ブロー成形、圧空成形などによって、様々な形状の成形体が成形できる。
本実施例におけるパーマロイは、モル比がニッケル80、モリブデン5、鉄15の割合からなるPCパーマロイである。このPCパーマロイの直流磁気特性は、初透磁率が60,000、最大透磁率が180,000、飽和磁束密度が0.65テスラ保持力が1.2A/mの特性を持つ。交流インダクタンスは、板厚が薄いほど高く、0.35mmの板厚では、0.3kHzで15,000、1kHzで8,000、30kHzで3,300のインダクタンスを持つ。このため、100kHz付近までの電磁波を吸収する性能を持つ。なお、従来のPBパーマロイないしはPCパーマロイからなる薄体は、パーマロイを水素雰囲気の1100℃で磁気焼鈍し、溶製材の表面の酸化膜や内部に存在する不純物としての酸化物を除去し、さらに、圧延して箔状に引き伸ばした後に、加工に伴う歪を除去する歪取焼鈍を行う。これに対し本実施例では、3種類の金属化合物の熱分解でニッケルとモリブデンと鉄とを同時に析出させ、不純物を持たない合金が生成するため、従来のパーマロイの製造における水素焼鈍と歪取焼鈍との双方が不要になる。
ニッケルの原料としてオクチル酸ニッケルNi(C7H15COO)2を用い、鉄の原料としてオクチル酸鉄Fe(C7H15COO)3を用いた(例えば、日本化学産業株式会社の製品)また、モリブデンの原料としてオクチル酸モリブデンMo(C7H15COO)6を用いた(CAS番号が34041−09−3に相当する輸入品)。なお、有機化合物は、実施例3と同様にメチルトリグリコールを用いた。
最初に、オクチル酸ニッケルの55g(0.16モルに相当する)と、オクチル酸モリブデンの10g(0.01モルに相当する)とオクチル酸鉄の15g(0.03モルに相当する)の各々が、10重量%になるようにメタノールに分散し、これらのメタノール分散液を混合した。この混合液にメチルトリグリコールが10重量%になるように混合した。さらに、予め除湿乾燥機で予備乾燥させた2.8kgのペレットを混合して撹拌した。
次に、この混合物を容器に入れ、大気雰囲気で焼成した。最初に65℃に昇温してメタノールを気化し、さらに230℃に昇温してペレットを熱融解した。次に、249℃に昇温し、メチルトリグリコールを気化した。最後に、290℃に1分間放置し、3種類のオクチル酸金属化合物を熱分解した。
さらに、作成した試料を、表面と切断した複数の断面について、実施例1と同様に電子顕微鏡で観察した。
最初に、試料の表面と複数の断面からの反射電子線について、900−1000Vの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。試料表面はいずれの部位も、40n−60nmの大きさからなる粒状微粒子の集まりが、表面全体に満遍なく形成されていた。また試料の断面は、30層前後の厚みで粒状微粒子がペレットの表面に積層されていた。
次に、試料の表面と複数の断面からの反射電子線について、900−1000Vの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡で粒子の材質を分析した。いずれの粒状微粒子にも濃淡が認められたため、複数種類の原子から構成されていることが分かった。
さらに、試料の表面と複数の断面からの特性エックス線のエネルギーとその強度を画像処理し、微粒子を構成する元素を分析した。多量のニッケル原子と少量の鉄原子と僅かなモリブデン原子とで構成されていたため、使用したオクチル酸金属化合物のモル比から、粒状微粒子はニッケル80、モリブデン5、鉄15の割合からなる粒状微粒子である。
以上の観察結果から、フッ素系エラストマーのペレット表面が多数のPCパーマロイ微粒子で覆われ、PCパーマロイ微粒子の金属結合でペレットが結合されていることが分かった。
また、実施例1と同様に、試料表面の複数個所の表面抵抗を表面抵抗計で測定した。表面抵抗値は1×103Ω/□未満であり、試料はPCパーマロイに近い表面抵抗を有した。なお、PCパーマロイの比抵抗は55μΩcmである。
以上の結果から、本実施例で製造した試料は、PCパーマロイに近い性質を持つ。なお、本実施例は一例に過ぎない。26段落で説明した熱可塑性エラストマーと、沸点が熱可塑性エラストマーの融点より高く、18段落に記載した複数種類のオクチル酸金属化合物が同時に熱分解を完了する温度より低い有機化合物を、25段落と26段落に記載したグリコール類ないしはグリコールエーテル類より選択し、18段落で説明した様々な金属イオンからなる複数種類のオクチル酸金属化合物を組み合わせ、前記した方法に従って試料を作成すると、様々な材質からなる熱可塑性エラストマーの原料が、様々な組成からなる合金微粒子の集まりで覆われる。

0032

実施例6
本実施例は、実施例5で製造したフッ素系エラストマーのペレットを用いて、カレンダー成形によって0.5mmの厚みのシートを成形した実施例である。
作成した試料の切断面を、実施例1と同様に電子顕微鏡で観察した。実施例2および4の事例と同様に、熱融解し、圧縮されたフッ素系エラストマーのペレットは、薄いシート状に引き伸ばされ、その表面がPCパーマロイの微粒子の集まりで覆われるとともに、液晶ポリマーはPCパーマロイの微粒子の集まりで結合されていた。
さらに、作成した試料を小片として切り出し、実施例1と同様に、小片の表面抵抗を表面抵抗計によって測定した。この結果、表面抵抗値は1×103Ω/□未満であった。このため、フッ素系エラストマーからなるシートは、電磁波を遮蔽するシートとして用いることができる。なお、PCパーマロイの比重は8.76であるが、本実施例で製造したシートの比重はフッ素系エラストマーの密度1.89に近くなる。さらに、フッ素系エラストマーの熱分解開始温度が380℃であるため、380℃に近い耐熱性を持つ極めて軽量の電磁波遮蔽シートが製造できる。
なお、本実施例は一例に過ぎない。フッ素系エラストマーは、230℃、10Nで20g/10分の流動性を持つため、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧空成形などによって様々な形状の成形体が製造できる。

0033

以上に説明した6つの実施例は一部の事例に過ぎない。つまり、11段落、13段落、15段落ないしは17段落に記載した製造方法に依れば、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりで覆われた、熱可塑性エラストマーの原料の集まりが製造できる。また、熱可塑性エラストマーの原料は、成形体の用途に応じて、26段落で説明した様々な材質を選択できる。さらに、金属微粒子を構成する金属は、成形体の用途に応じて、12段落で説明した様々な金属錯イオンを有する金属錯体を、ないしは、14段落で説明した様々な金属イオンからなるオクチル酸金属化合物を選択できる。また、合金微粒子を構成する合金は、成形体の用途に応じて、16段落で説明した様々な金属錯イオンを有する複数種類の金属錯体を、ないしは、18段落で説明した様々な金属イオンからなる複数種類のオクチル酸金属化合物を選択できる。さらに、熱可塑性エラストマーは、20段落で説明したように、熱可塑性樹脂と同様に、射出成形、押出成形、ブロー成形、カレンダー成形、圧空成形などによって様々な形状の成形体が製造できる。このため、熱可塑性エラストマーの原料を、金属結合した金属ないしは合金の微粒子の集まりで覆う事例は、実施例1,3,5の3つの事例に限定されない。また、金属ないしは合金の性質を持つ熱可塑性エラストマーの成形体を製造する事例は、実施例2,4,6の3つの事例に限定されない。

0034

1及び3オレフィン系エラストマーのペレット
2及び4 銅微粒子

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