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技術 ポリカーボネート系樹脂組成物

出願人 出光興産株式会社
発明者 鳥居孝洋山崎康宣
出願日 2018年9月14日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-173124
公開日 2020年3月26日 (7ヶ月経過) 公開番号 2020-045392
状態 未査定
技術分野 ポリエステル、ポリカーボネート 高分子組成物
主要キーワード アクリル被覆 表示器具 環状ポリエーテル化合物 トリヒドリド ディスプレイカバー 初期色調 ジャケット部分 プロペノイル基
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課題

色調に優れると共に、難燃性、特に薄肉難燃性に優れるポリカーボネート系樹脂組成物を提供する。

解決手段

分岐率が0.01モル%以上3.0モル%以下であるポリカーボネート系樹脂(A)と、特定構造を有するジホスファイト化合物(B)とを含み、前記ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対して、前記ジホスファイト化合物(B)を0.005〜0.5質量部含む、ポリカーボネート系樹脂組成物。

概要

背景

ポリカーボネート樹脂は、透明性、機械的性質熱的性質電気的性質及び耐候性等に優れる。この特性を活かして、各種照明カバーディスプレイカバー等の樹脂照明機器拡散カバーレンズ等の光学成形品に使用されている。これら光学成形品には、薄肉難燃性に加え、高透過率全光線透過率が高い)、高色調(黄色味が少ない)、高耐久性高湿度高温の環境下で性能低下が小さい)等が求められている。高い難燃性が得られる樹脂組成物として、ポリテトラフルオロエチレン等の難燃剤を含む分岐状ポリカーボネート系樹脂組成物報告されているが、これらの添加剤による影響で、一般的に透過率が低下するとともに、黄色味が増加してしまうため、薄肉難燃性と高透過率、高色調を同時に満たすことが困難であった。
例えば、特許文献1は、芳香族ポリカーボネート樹脂と、有機金属塩化合物と、ポリテトラフルオロエチレンとを含む難燃光拡散ポリカーボネート樹脂組成物に関する。特許文献2は、分岐状ポリカーボネート芳香族ポリカーボネートからなるポリカーボネートと、難燃剤、ポリテトラフルオロエチレンを含む難燃光拡散ポリカーボネート樹脂組成物に関する。特許文献3は、特定の要件を満たすポリカーボネート樹脂組成物と任意成分としてポリエーテル化合物を含むポリカーボネート樹脂組成物を開示する。特許文献4は、特定のポリオキシアルキレングリコールを含有させることにより、光線透過率及び輝度を向上させた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物に関する。特許文献5は、芳香族ポリカーボネート樹脂と、ポリアルキレングリコール又はその脂肪酸エステルとを含む導光板用芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関する。

概要

色調に優れると共に、難燃性、特に薄肉難燃性に優れるポリカーボネート系樹脂組成物を提供する。分岐率が0.01モル%以上3.0モル%以下であるポリカーボネート系樹脂(A)と、特定構造を有するジホスファイト化合物(B)とを含み、前記ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対して、前記ジホスファイト化合物(B)を0.005〜0.5質量部含む、ポリカーボネート系樹脂組成物。なし

目的

本発明は、優れた色調と難燃性、特に薄肉難燃性を両立したポリカーボネート系樹脂組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

分岐率が0.01モル%以上3.0モル%以下であるポリカーボネート系樹脂(A)と、下記一般式(I)示されるジホスファイト化合物(B)とを含み、前記ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対して、前記ジホスファイト化合物(B)を0.005〜0.5質量部含む、ポリカーボネート系樹脂組成物。[式中、RB1〜RB8はそれぞれ独立して、アルキル基又はアルケニル基であり、同一であっても異なっていてもよい。RB1とRB2、RB3とRB4、RB5とRB6、RB7とRB8とは、互いに結合して環を形成してもよい。RB9、RB10、RB11及びRB12はそれぞれ独立して、水素原子又はアルキル基であり、同一でも異なっていてもよい。m1〜m4は0以上5以下の整数であり、同一であっても異なっていてもよい。m1〜m4が2以上である場合、複数のRB9、RB10、RB11、RB12は同一でも異なっていてもよい。]

請求項2

前記ポリカーボネート系樹脂(A)が、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)10〜100質量%と、該(A−1)以外の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A−2)90〜0質量%とからなる、請求項1に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。

請求項3

前記ポリカーボネート系樹脂(A)が、280℃、せん断速度10s-1における溶融粘度3000〜6000Pa・sを有する、請求項1または2に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。

請求項4

前記ポリカーボネート系樹脂(A)の粘度平均分子量が10,000〜50,000である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。

請求項5

有機アルカリ金属塩及び有機アルカリ土類金属塩(C)からなる群から選択される少なくとも1種を、ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対し、0.001質量部以上1質量部以下含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。

請求項6

ポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテル(D)を、ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対し、0.02質量部以上2.0質量部以下含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。

請求項7

ポリテトラフルオロエチレン(E)をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。

請求項8

前記ポリテトラフルオロエチレン(E)が、水性分散型またはアクリル被覆されたポリテトラフルオロエチレンである、請求項7に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。

請求項9

脂環式エポキシ化合物(F)をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。

請求項10

前記脂環式エポキシ化合物(F)が3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである、請求項9に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。

請求項11

紫外線吸収剤(G)をさらに含有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。

請求項12

拡散剤(H)をさらに含有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。

請求項13

1.0mm厚に成形した際の、UL94規格における難燃性がV−0である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。

請求項14

ポリテトラフルオロエチレンを含まず、1.0mm厚に成形した際の初期YI値が1.3以下である、請求項1〜13のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。

請求項15

ポリテトラフルオロエチレン(E)を0.10質量部以下含み、1.0mm厚に成形した際の初期YI値が3.5以下である、請求項7〜13のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。

請求項16

ポリテトラフルオロエチレン(E)を0.15質量部以下含み、1.0mm厚に成形した際の初期YI値が4.6以下である、請求項7〜13のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。

請求項17

請求項1〜16のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物からなる成形品

技術分野

0001

本発明は、ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形品に関する。

背景技術

0002

ポリカーボネート樹脂は、透明性、機械的性質熱的性質電気的性質及び耐候性等に優れる。この特性を活かして、各種照明カバーディスプレイカバー等の樹脂照明機器拡散カバーレンズ等の光学成形品に使用されている。これら光学成形品には、薄肉難燃性に加え、高透過率全光線透過率が高い)、高色調(黄色味が少ない)、高耐久性高湿度高温の環境下で性能低下が小さい)等が求められている。高い難燃性が得られる樹脂組成物として、ポリテトラフルオロエチレン等の難燃剤を含む分岐状ポリカーボネート系樹脂組成物報告されているが、これらの添加剤による影響で、一般的に透過率が低下するとともに、黄色味が増加してしまうため、薄肉難燃性と高透過率、高色調を同時に満たすことが困難であった。
例えば、特許文献1は、芳香族ポリカーボネート樹脂と、有機金属塩化合物と、ポリテトラフルオロエチレンとを含む難燃光拡散ポリカーボネート樹脂組成物に関する。特許文献2は、分岐状ポリカーボネート芳香族ポリカーボネートからなるポリカーボネートと、難燃剤、ポリテトラフルオロエチレンを含む難燃光拡散ポリカーボネート樹脂組成物に関する。特許文献3は、特定の要件を満たすポリカーボネート樹脂組成物と任意成分としてポリエーテル化合物を含むポリカーボネート樹脂組成物を開示する。特許文献4は、特定のポリオキシアルキレングリコールを含有させることにより、光線透過率及び輝度を向上させた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物に関する。特許文献5は、芳香族ポリカーボネート樹脂と、ポリアルキレングリコール又はその脂肪酸エステルとを含む導光板用芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関する。

先行技術

0003

特許6133644号公報
特許5714576号公報
特開2015−93913号公報
国際公開第2011/083635号
特許4069364号公報

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1は、難燃性に優れる一方、酸化防止剤として主にフェノール系酸化防止剤を使用しており、色調が劣るものである。また、蛍光増白剤を併用することで、色調改善を行っており、全光線透過率と耐久性が低下するという課題がある。特許文献2では、酸化防止剤は公知のものを使用することができるとして、特に限定しておらず、優れた色調を得るには不十分である。特許文献3〜5に開示される組成物では、難燃性、特に優れた薄肉難燃性を得るには不十分である。
従って、本発明は、優れた色調と難燃性、特に薄肉難燃性を両立したポリカーボネート系樹脂組成物を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0005

本発明者らは鋭意検討を進めた結果、分岐状ポリカーボネート系樹脂と特定の化合物とを特定量の組み合わせで含むポリカーボネート系樹脂組成物が、上記目的を達成することを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、下記のポリカーボネート系樹脂組成物とその成形品とを提供する。

0006

[1]分岐率が0.01モル%以上3.0モル%以下であるポリカーボネート系樹脂(A)と、下記一般式(I)示されるジホスファイト化合物(B)とを含み、前記ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対して、前記ジホスファイト化合物(B)を0.005〜0.5質量部含む、ポリカーボネート系樹脂組成物。




[式中、RB1〜RB8はそれぞれ独立して、アルキル基又はアルケニル基であり、同一であっても異なっていてもよい。RB1とRB2、RB3とRB4、RB5とRB6、RB7とRB8とは、互いに結合して環を形成してもよい。RB9、RB10、RB11及びRB12はそれぞれ独立して、水素原子又はアルキル基であり、同一でも異なっていてもよい。m1〜m4は0以上5以下の整数であり、同一であっても異なっていてもよい。m1〜m4が2以上である場合、複数のRB9、RB10、RB11、RB12は同一でも異なっていてもよい。]
[2]前記ポリカーボネート系樹脂(A)が、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)10〜100質量%と、該(A−1)以外の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A−2)90〜0質量%とからなる、上記[1]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[3]前記ポリカーボネート系樹脂(A)が、280℃、せん断速度10s-1における溶融粘度3000〜6000Pa・sを有する、上記[1]または[2]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[4]前記ポリカーボネート系樹脂(A)の粘度平均分子量が10,000〜50,000である、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[5]有機アルカリ金属塩及び有機アルカリ土類金属塩(C)からなる群から選択される少なくとも1種を、ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対し、0.001質量部以上1質量部以下含む、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[6]ポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテル(D)を、ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対し、0.02質量部以上2.0質量部以下含む、上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[7]ポリテトラフルオロエチレン(E)をさらに含む、上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[8]前記ポリテトラフルオロエチレン(E)が、水性分散型またはアクリル被覆されたポリテトラフルオロエチレンである、上記[7]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[9]脂環式エポキシ化合物(F)をさらに含む、上記[1]〜[8]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[10]前記脂環式エポキシ化合物(F)が3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである、上記[9]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[11]紫外線吸収剤(G)をさらに含有する、上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[12]拡散剤(H)をさらに含有する、上記[1]〜[11]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[13]1.0mm厚に成形した際の、UL94規格における難燃性がV−0である、上記[1]〜[12]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[14]ポリテトラフルオロエチレンを含まず、1.0mm厚に成形した際の初期YI値が1.3以下である、上記[1]〜[13]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[15]ポリテトラフルオロエチレン(E)を0.10質量部以下含み、1.0mm厚に成形した際の初期YI値が3.5以下である、上記[7]〜[13]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[16]ポリテトラフルオロエチレン(E)を0.15質量部以下含み、1.0mm厚に成形した際の初期YI値が4.6以下である、上記[7]〜[13]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[17]上記[1]〜[16]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物からなる成形品。

発明の効果

0007

本発明のポリカーボネート系樹脂組成物からなる成形体は、低いYI値を有し、高温高湿熱下でも低YI値を保つため、非常に色調に優れる。さらに、当該成形体は、優れた色調と難燃性、特に薄肉難燃性を両立することができる。当該成形体は、各種照明カバー、ディスプレイカバー等の樹脂製照明機器拡散カバー、レンズ等の光学成形品として好適である。

0008

本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、分岐率が0.01モル%以上3.0モル%以下であるポリカーボネート系樹脂(A)と、特定構造を有するジホスファイト化合物(B)とを含み、前記ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対して、前記ジホスファイト化合物(B)を0.005〜0.5質量部含むことを特徴とする。
以下、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形品について詳細に説明する。本明細書において、好ましいとされている規定は任意に採用することができ、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましいといえる。本明細書において、「XX〜YY」の記載は、「XX以上YY以下」を意味する。

0009

[ポリカーボネート系樹脂(A)]
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、分岐率が0.01モル%以上3.0モル%以下であるポリカーボネート系樹脂(A)を含む。具体的には、上記ポリカーボネート系樹脂(A)は、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)10〜100質量%と、該(A−1)以外の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A−2)90〜0質量%とからなることが好ましい。

0010

<分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)>
分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)は、分岐構造を有するポリカーボネート系樹脂であれば特に限定されないが、例えば、下記一般式(II)で表される繰り返し単位を有し、かつ下記一般式(III)で表される分岐構造を有するものを挙げることができる。

0011

[式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。Xは単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−を示す。a及びbはそれぞれ独立に、0〜4の整数を示す。]




[式中、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、R11〜R16はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲン原子を示す。PCはポリカーボネート部分を示し、f、g及びhは整数を表す。]

0012

上記一般式(II)中、R1及びR2がそれぞれ独立して示すハロゲン原子としては、フッ素原子塩素原子臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
R1及びR2がそれぞれ独立して示すアルキル基としては、メチル基エチル基、n−プロピル基イソプロピル基、各種ブチル基(「各種」とは、直鎖状及びあらゆる分岐鎖状のものを含むことを示す。以下、明細書中同様である。)、各種ペンチル基、及び各種ヘキシル基が挙げられる。R1及びR2がそれぞれ独立して示すアルコキシ基としては、アルキル基部位として前記アルキル基を有するものが挙げられる。

0013

Xが表すアルキレン基としては、例えば、メチレン基エチレン基トリメチレン基テトラメチレン基ヘキサメチレン基等が挙げられ、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましい。Xが表すアルキリデン基としては、エチリデン基、イソプロピリデン基等が挙げられる。Xが表すシクロアルキレン基としては、シクロペンタンジイル基シクロヘキサンジイル基、シクロオクタンジイル基等が挙げられ、炭素数5〜10のシクロアルキレン基が好ましい。Xが表すシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロヘキシリデン基、3,5,5−トリメチルシクロヘキシリデン基、2−アダマチリデン基等が挙げられ、炭素数5〜10のシクロアルキリデン基が好ましく、炭素数5〜8のシクロアルキリデン基がより好ましい。

0014

a及びbは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0〜2、より好ましくは0または1である。中でも、a及びbが0であり、Xが単結合または炭素数1〜8のアルキレン基であるもの、またはa及びbが0であり、Xが炭素数3のアルキレン基、特にイソプロピリデン基であるものが好適である。

0015

分岐構造について説明する。式(III)中PCで表されるポリカーボネート部分は、上述した一般式(II)で表される繰り返し単位を有する。一例を示すと、下記の式(IV)で表されるビスフェノール由来の繰り返し単位を有する。分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)を得る際に使用される分岐剤原料二価フェノールに関しては後述する。

0016

分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)は、上記一般式(III)で表される分岐構造を有し、分岐率が0.01モル%以上3.0モル%以下であることが好ましい。分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)の分岐率が上記範囲となることにより、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物の難燃性をより高めることができ、重合中にゲル化しにくく、ポリカーボネートの製造が容易である。分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)の分岐率は、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)の製造に用いた二価フェノール由来の構造単位、分岐剤由来の構造単位及び末端単位総モル数に対する分岐剤由来の構造単位のモル数(分岐剤由来の構造単位のモル数/(二価フェノール由来の構造単位+分岐剤由来の構造単位+末端単位)の総モル数×100(mol%で表す))を意味する。分岐率は1H−NMR測定により実測することができる。
ポリカーボネート系樹脂の製造時に、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)の原料である二価フェノール化合物、分岐剤及び末端停止剤の総モル数に対して、後述する分岐剤を0.01モル%以上3.0モル%以下加えることにより、上記範囲の分岐率を有する分岐状ポリカーボネート系樹脂を得ることができる。

0017

より優れた難燃性を得る観点から、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)の分岐率は、より好ましくは0.3モル%以上、さらに好ましくは0.4モル%以上、よりさらに好ましくは0.7モル%以上、よりさらに好ましくは0.9モル%以上、よりさらに好ましくは1.0モル%以上、よりさらに好ましくは1.4モル%以上、特に好ましくは1.5モル%以上である。良好な物性を得る観点、また製造容易性の観点から、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)の分岐率は、より好ましくは2.8モル%以下、さらに好ましくは2.6モル%以下、よりさらに好ましくは2.3モル%以下、よりさらに好ましくは2.0以下である。分岐構造は、単独の分岐剤に由来してもよいし、2種以上の分岐剤に由来してもよい。中でも、上記一般式(III)で表される分岐構造が、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニルエタンに由来する構造である分岐構造を有することがさらに好ましい。

0018

分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)は、好ましくは10,000〜50,000、より好ましくは15,000〜30,000、さらに好ましくは17,000〜28,000の粘度平均分子量(Mv)を有する。上記粘度平均分子量は、分子量調節剤(末端停止剤)等を用いることや、反応条件により調整することができる。分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)の粘度平均分子量が上記範囲にあると、難燃性に優れ、かつ成形性に優れるポリカーボネート系樹脂組成物を得ることができる。

0019

上記粘度平均分子量(Mv)は、20℃における塩化メチレン溶液極限粘度〔η〕を測定し、下記Schnellの式から算出した値である。

0020

<芳香族ポリカーボネート系樹脂(A−2)>
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A−2)は、上記分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)以外の非分岐状ポリカーボネート系樹脂であり、好ましくは下記一般式(V)で表される繰り返し単位を有する。




[式中、R21及びR22はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示し、X’は単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−を示し、t及びuは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。]

0021

上記式(V)中のR21及びR22がそれぞれ示すハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基の具体例は、R1及びR2について上述したものと同一である。X’が示す炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基の具体例は、Xについて上述したものと同一である。t及びuは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0〜2、より好ましくは0または1である。

0022

中でも、t及びuが0であり、X’が単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基であるもの、又はt及びuが0であり、X’がアルキリデン基、特にイソプロピリデン基であるものが好適である。芳香族ポリカーボネート系樹脂(A−2)として、複数種ポリカーボネートブロックを含んでいてもよい。
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A−2)として複数種のポリカーボネートブロックを含む場合には、a及びbが0であり、Xがイソプロピリデン基であるものが好ましくは90質量%以上、より好ましくは90.9質量%以上、さらに好ましくは93.3質量%以上、特に好ましくは95質量%以上、最も好ましくは100質量%であることが透明性及び色調の観点から好ましい。

0023

芳香族ポリカーボネート樹脂(A−2)の粘度平均分子量(Mv)は、通常10,000〜50,000、好ましくは13,000〜35,000、より好ましくは14,000〜28,000である。
粘度平均分子量(Mv)は、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)と同様に、Schnellの式にて算出した。

0024

<ポリカーボネート系樹脂(A)>
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物に含まれるポリカーボネート系樹脂(A)は、分岐率が0.01モル%以上3.0モル%以下であることを要件とする。
ポリカーボネート系樹脂(A)は、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)を含む。ポリカーボネート系樹脂(A)の分岐率は、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)及び該樹脂(A−1)以外の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A−2)の製造に用いた二価フェノール由来の構造単位、分岐剤由来の構造単位及び末端単位の総モル数に対する分岐剤由来の構造単位のモル数(分岐剤由来の構造単位のモル数/(二価フェノール由来の構造単位+分岐剤由来の構造単位+末端単位)の総モル数×100(mol%で表す))を意味する。分岐率は1H−NMR測定により実測することができる。

0025

また、上記ポリカーボネート系樹脂(A)は、優れた難燃性が得られることから、280℃、せん断速度10s-1における溶融粘度3000〜6000Pa・sを有することが好ましい。しかし、ポリカーボネート系樹脂がこのように高い溶融粘度を有する場合、せん断発熱により樹脂温度が上昇するため、混練等の際に樹脂が熱変性して黄変を起こしやすいという問題を有する。本発明においては、ポリカーボネート系樹脂(A)の分岐率が高く、280℃、せん断速度10s-1における溶融粘度が3000〜6000Pa・sと高い場合でも、後述するジホスファイト化合物(B)を特定量含むことにより、せん断発熱による成形品の黄変を抑制でき、優れた難燃性と両立できることを見出した。溶融粘度の測定方法は、実施例に具体的に示すが、上記ポリカーボネート系樹脂(A)を120℃で4時間以上乾燥した後、キャピラリレオメータを用い、測定温度280℃、せん断速度1s-1〜100s-1の範囲で、JIS K 7199:1999に準拠して測定した。得られた測定結果から、せん断速度10s-1におけるポリカーボネート樹脂組成物の溶融粘度を求めた。

0026

ポリカーボネート系樹脂(A)の280℃、せん断速度10s-1における溶融粘度は、より好ましくは3100Pa・s以上、さらにより好ましくは3500Pa・s以上、さらにより好ましくは4000Pa・s以上であり、より好ましくは5500Pa・s以下、さらにより好ましくは5000Pa・s以下、さらにより好ましくは4800Pa・s以下である。

0027

本発明のポリカーボネート系樹脂組成物に含まれるポリカーボネート系樹脂(A)は、上述した分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)と、該樹脂(A−1)以外の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A−2)とからなるが、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)の含有量が10〜100質量%であることが、高い難燃性を得る観点から好ましい。分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)の含有量は、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらにより好ましくは65質量%以上、特に好ましくは70質量%以上であり、100質量%であってもよい。芳香族ポリカーボネート系樹脂(A−2)の含有量は、上記分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)の残部である。

0028

本発明のポリカーボネート系樹脂(A)中の分岐率は、好ましくは0.01モル%以上3.0モル%以下である。より好ましくは0.3モル%以上、さらに好ましくは0.5モル%以上、よりさらに好ましくは0.7モル%以上、よりさらに好ましくは1.0モル%以上、よりさらに好ましくは1.4モル%以上、特に好ましくは1.5モル%以上であり、より好ましくは2.8モル%以下、さらに好ましくは2.6モル%以下、よりさらに好ましくは2.3モル%以下、よりさらに好ましくは2.0モル%以下である。ポリカーボネート系樹脂(A)中の分岐率が上記範囲にあると、優れた難燃性、具体的には薄肉難燃性に優れるポリカーボネート系樹脂組成物が得られる。

0029

ポリカーボネート系樹脂(A)の粘度平均分子量は、好ましくは10,000〜50,000、より好ましくは13,000〜35,000、さらに好ましくは15,000〜30,000、よりさらに好ましくは17,000〜28,000、よりさらに好ましくは22,000〜26,000である。ポリカーボネート系樹脂(A)の粘度平均分子量が上記範囲にあることにより、優れた難燃性と成形性とを得ることができる。粘度平均分子量は、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)と同様に、Schnellの式にて算出した。

0030

<ポリカーボネート系樹脂(A)の製造方法>
ポリカーボネート系樹脂(A)を構成する分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)と、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A−2)とは、それぞれ、有機溶媒中、二価フェノールとホスゲンとを反応させてポリカーボネートオリゴマーを製造する工程(1)、続く該ポリカーボネートオリゴマーと二価フェノールと末端停止剤とを反応させてポリカーボネート系樹脂を製造する工程(2)から製造することができる。

0031

<工程(1)>
本工程においては、有機溶媒中、二価フェノールとホスゲンとを反応させて、クロロホーメート基を有するポリカーボネートオリゴマーを製造する。
二価フェノールとしては、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)の場合は、下記一般式(i)で表される化合物を、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A−2)の場合は、下記一般式(ii)であらわされる化合物を用いることが好ましい。




[式中、R1、R2、a、b及びXは上述した通りである。]




[式中、R21、R22、t、u及びX’は上述した通りである。]

0032

上記一般式(i)及び(ii)でそれぞれ表される二価フェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。これらの二価フェノールは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系二価フェノールが好ましく、ビスフェノールAがより好ましい。二価フェノールとしてビスフェノールAを用いた場合、上記一般式(II)において、Xがイソプロピリデン基であり、且つa=b=0の分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)、上記一般式(V)においてX’がイソプロピリデン基であり、且つt=u=0の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A−2)が得られる。

0033

ビスフェノールA以外の二価フェノールとしては、例えば、ビス(ヒドロキシアリールアルカン類、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、ジヒドロキシアリールエーテル類、ジヒドロキシジアリールスルフィド類、ジヒドロキシジアリールスルホキシド類、ジヒドロキシジアリールスルホン類ジヒドロキシジフェニル類、ジヒドロキシジアリールフルオレン類、ジヒドロキシジアリールアダマンタン類等が挙げられる。これらの二価フェノールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。

0034

ビス(ヒドロキシアリール)アルカン類としては、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン等が挙げられる。

0035

ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類としては、例えば1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン等が挙げられる。ジヒドロキシアリールエーテル類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル等が挙げられる。

0036

ジヒドロキシジアリールスルフィド類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等が挙げられる。ジヒドロキシジアリールスルホキシド類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等が挙げられる。ジヒドロキシジアリールスルホン類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等が挙げられる。

0037

ジヒドロキシジフェニル類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。ジヒドロキシジアリールフルオレン類としては、例えば9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等が挙げられる。ジヒドロキシジアリールアダマンタン類としては、例えば1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等が挙げられる。

0038

上記以外の二価フェノールとしては、例えば4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、10,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−9−アントロン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2,3−ジオキサペンタン等が挙げられる。

0039

ホスゲンは、通常、塩素および一酸化炭素を、塩素1モルに対し一酸化炭素1.01〜1.3モルの割合で触媒として活性炭を使用して反応させて得られる化合物である。使用するホスゲン中には、ホスゲンガスとして使用する場合、未反応の一酸化炭素を1〜30容量%程度含んだホスゲンガスを使用することができる。また、液化状態のホスゲンも使用することができる。

0040

工程(1)においてポリカーボネートオリゴマーを製造するには、二価フェノールのアルカリ水溶液、ホスゲン、有機溶媒を反応器内に導入して反応させる。有機溶媒の使用量は、有機溶媒相水相容量比が5/1〜1/7、好ましくは2/1〜1/4となるように選定するのが望ましい。反応器内では、二価フェノールの末端基をホスゲンによりクロロホーメート化させる反応や、ホスゲンがアルカリにより分解される反応により発熱が起こり、反応生成物の温度が高くなる。従って、反応生成物の温度が0〜50℃、好ましくは5〜40℃となるように冷却することが好ましい。ホスゲンの使用量は、二価フェノール1モルに対して、1.1〜1.5モルとホスゲンを過剰となるように使用することが好ましい。反応後得られた反応液は、水相と有機相とに分離し、ポリカーボネートオリゴマーを含む有機相を得る。得られたポリカーボネートオリゴマーの重量平均分子量は、通常5,000以下であり、重合度は、通常20量体以下、好ましくは2〜10量体である。

0041

上記ポリカーボネートオリゴマーの製造時には、反応を促進するために、続く工程(2)において用いられるアミン重合触媒を用いることもできる。ポリカーボネートの分子量調節剤として用いられる末端停止剤を用いてもよい。末端停止剤に用いられる化合物としては、例えば、フェノール,p−クレゾール,p−tert−ブチルフェノール,p−tert−オクチルフェノール,p−クミルフェノール,3−ペンタデシルフェノール,ブロモフェノールトリブロモフェノールノニルフェノールなどの一価フェノールを挙げることができる。これらの中で、経済性入手の容易さなどの点から、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびフェノールが好ましい。また、3−ペンタデシルフェノールを用いることにより得られるポリカーボネートの流動性を大きく向上させることができる。

0042

ポリカーボネートオリゴマーを製造する際に使用される反応器は、静止型混合器、即ちスタティックミキサーであることが好ましい。静止型混合器は、流体を分割、転換反転させる作用を有するエレメントを内部に有した管状の反応器であることが好ましい。静止型混合器の後に撹拌機を有する槽型の撹拌槽をさらに用いることにより、オリゴマー化を促進することができるので、このような反応器を組合せて用いることが好ましい。

0043

工程(1)によりクロロホーメート基を有するポリカーボネートオリゴマーを含む反応混合液が得られる。反応混合液は、静置分離等の分離手段を用いることにより、ポリカーボネートオリゴマーを含む有機相と水相とに分離され、ポリカーボネートオリゴマーを含む有機相は、後述する工程(2)に使用される。

0044

<工程(2)>
工程(2)においては、工程(1)で得られたポリカーボネートオリゴマー、及び二価フェノールと末端停止剤とを反応させてポリカーボネート系樹脂を製造する。ポリカーボネートオリゴマーと二価フェノールとを重縮合反応させて、分子量を目的の分子量範囲に調整する。得られるポリカーボネート系樹脂の粘度平均分子量が上述した範囲内となるまで、重縮合反応を行う。
具体的には、工程(1)で分離されたポリカーボネートオリゴマーを含む有機溶媒相と、所望により用いられる末端停止剤と、所望により用いられる重合触媒と、有機溶媒と、アルカリ水溶液と、二価フェノールのアルカリ水溶液とを混合し、通常0〜50℃、好ましくは20〜40℃の範囲の温度において界面重縮合させる。

0045

本工程で使用するアルカリ水溶液のアルカリ、有機溶媒、末端停止剤としては、上記工程(1)で説明したものと同じものを挙げることができる。工程(2)における有機溶媒の使用量は、通常、有機相と水相との容量比が、好ましくは7/1〜1/1、より好ましくは5/1〜2/1となるように選択する。
工程(2)で使用される反応器は、反応器の処理能力次第では1基の反応器のみで反応を完結することができるが、必要に応じて、後続する2基目の反応器、さらには3基目の反応器等の複数の反応器を使用することができる。これらの反応器としては、撹拌槽、多段型撹拌槽、無撹拌槽、スタティックミキサー、ラインミキサーオリフィスミキサー、及び/又は配管などを用いることができる。

0046

得られた反応液は、ポリカーボネート系樹脂を含む有機溶媒相と未反応の二価フェノールを含む水相とを有するため、油水分離を行う。分離装置としては、静置分離槽遠心分離機を挙げることができる。分離されたポリカーボネート系樹脂を含む有機溶媒相についてアルカリ洗浄酸洗浄及び純水洗浄を順に行い、精製されたポリカーボネート系樹脂を含む有機溶媒相を得る。精製されたポリカーボネート系樹脂を含む有機溶媒相は、必要に応じて濃縮され、続いてニーダー処理や温水造粒等を行うことにより、ポリカーボネート系樹脂の粉体を得ることができる。得られたポリカーボネート系樹脂の粉体中には有機溶媒が残留しているので、加熱処理等の乾燥処理を行うことにより、有機溶媒を除去したポリカーボネート系樹脂粉体を得ることができる。得られたポリカーボネート系樹脂粉体は、ペレタイザー等を使用してペレット化して、各種の成形体とすることができる。

0047

<分岐剤>
任意の分岐剤を加えることにより、分岐ポリカーボネート系樹脂(A−1)を製造することができる。分岐剤を加えないことにより、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A−2)を製造することができる。分岐剤は上記工程(1)及び/または(2)のいずれにも加えることができる。工程(1)で加える際は、二価フェノール及びホスゲンと共に加えて反応させる。使用する分岐剤により相違するが、後述する一般式(iii)で表わされる分岐剤は、アルカリ水溶液に溶解させることができるので、アルカリ水溶液に溶解させて導入することが望ましい。また、アルカリ水溶液に溶解させることが困難な分岐剤は、塩化メチレン等の有機溶媒に溶解させて導入することが望ましい。

0048

分岐剤は工程(1)若しくは工程(2)のいずれか、又は工程(1)及び(2)の双方に加えることができる。分岐剤を工程(2)においてさらに加えることもできる。分岐剤の添加量は、工程(1)及び工程(2)で加える分岐剤の合計量で、原料である二価フェノール化合物、分岐剤及び末端停止剤の総モル数に対して、最終的に0.01モル%以上3.0モル%以下加えることが好ましい。上記添加量とすることで、上述した好ましい分岐率を有する分岐ポリカーボネート系樹脂(A−1)を得ることができる。二価フェノール化合物、分岐剤及び末端停止剤の総モル数に対する上記分岐剤の添加量は、より優れた難燃性を得る観点から、より好ましくは0.3モル%以上、さらに好ましくは0.4モル%以上、よりさらに好ましくは0.7モル%以上、よりさらに好ましくは0.9モル%以上、よりさらに好ましくは1.0モル%以上、よりさらに好ましくは1.4モル%以上、特に好ましくは1.5モル%以上であり、より良好な物性を得る観点、また製造容易性の観点から、より好ましくは2.8モル%以下、さらに好ましくは2.6モル%以下、よりさらに好ましくは2.3モル%以下、よりさらに好ましくは2.0モル%以下である。分岐剤の添加量を上記範囲内とすることで、より優れた難燃性を得ることが出来る。

0049

具体的には上記一般式(III)で表される分岐ポリカーボネート系樹脂を製造する際には、下記一般式(iii)で表される分岐剤を用いる。




[式中、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、R11〜R16はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲン原子を示す。]

0050

上記一般式(iii)で表される分岐剤についてより詳述する。
Rが示す炭素数1〜5のアルキル基とは、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基若しくはn−ペンチル基等である。R11〜R16が示す炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等を挙げることができ、ハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子等を挙げることができる。

0051

一般式(iii)で表される分岐剤は、さらに具体的には、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン;1,1,1−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1,1−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン;1,1,1−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1,1−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン;1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン;1,1,1−トリス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1,1−トリス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン;1,1,1−トリス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1,1−トリス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン;1,1,1−トリス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1,1−トリス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン;1,1,1−トリス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1,1−トリス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチルフェニル]エチリデン]ビスフェノール;α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン;1−[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−[α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンフロログルシントリメリット酸イサチンビス(o−クレゾール)等の官能基を3つ以上有する化合物などである。上記のうち、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(以下、THPEと略記することもある)を用いることが入手性、反応性及び経済性の観点から好ましい。

0052

<重合触媒>
重合触媒は、上記工程(1)及び工程(2)のいずれにおいても用いることができ、例えばアミン系触媒を用いることができる。
アミン系触媒としては第三級アミン若しくはその塩、又は第四級アンモニウム塩を用いることができる。第三級アミンとしては、例えばトリエチルアミントリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンピリジンジメチルアニリンなどが挙げられ、また三級アミン塩としては、これらの三級アミン塩酸塩臭素酸塩などが挙げられる。第四級アンモニウム塩としては、例えばトリメチルベンジルアンモニウムクロリドトリエチルベンジルアンモニウムクロリド、トリブチルベンジルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリドテトラブチルアンモニウムクロリドテトラブチルアンモニウムブロミドなどを挙げることができる。アミン系触媒としては、第三級アミンが好ましく、特にトリエチルアミンが好適である。これらの触媒は、液体状態ものであればそのまま、または有機溶媒や水に溶解させて導入することができる。また固体状態ものは、有機溶媒や水に溶解させて導入することができる。

0053

工程(2)において重合触媒を用いる場合には、工程(1)で得られるポリカーボネートオリゴマーのクロロホーメート基に対して、モル比で、通常0.0005以上0.030以下である。工程(2)において加える重合触媒の量が上記範囲内にあると、得られるポリカーボネート系樹脂の難燃性を高めることができる。

0054

工程(2)において加える重合触媒の量は、ポリカーボネートオリゴマーのクロロホーメート基に対して、モル比で、より好ましくは0.001以上、さらに好ましくは0.002以上、よりさらに好ましくは0.004以上、よりさらに好ましくは0.006以上であり、より好ましくは0.025以下、さらに好ましくは0.020以下である。

0055

<ジホスファイト化合物(B)>
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、下記一般式(I)で示されるジホスファイト化合物(B)を、上記ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対して、当該ジホスファイト化合物を0.005〜0.5質量部含む。ジホスファイト化合物(B)としては、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。

0056

[式中、RB1〜RB8はそれぞれ独立して、アルキル基又はアルケニル基であり、同一であっても異なっていてもよい。RB1とRB2、RB3とRB4、RB5とRB6、RB7とRB8とは、互いに結合して環を形成してもよい。RB9、RB10、RB11及びRB12はそれぞれ独立して、水素原子又はアルキル基であり、同一でも異なっていてもよい。m1〜m4は0以上5以下の整数であり、同一であっても異なっていてもよい。m1〜m4が2以上である場合、複数のRB9、RB10、RB11、RB12は同一でも異なっていてもよい。]

0057

一般式(I)中、RB1〜RB8は、好ましくは炭素数1以上5以下のアルキル基又は炭素数2以上5以下のアルケニル基であり、より好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基である。RB1〜RB8のすべてがメチル基であることがより更に好ましい。
RB9〜RB12は、好ましくは水素原子又は炭素数1以上5以下のアルキル基、より好ましくは水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基、更に好ましくは水素原子であり、RB9〜RB12のすべてが水素原子であることがより更に好ましい。
m1〜m4は、0以上3以下が好ましく、より好ましくは0以上1以下であり、更に好ましくは0である。

0058

上記一般式(I)で表されるジホスファイト化合物の中でも、ポリカーボネート系樹脂組成物に長期耐湿熱性及び長期耐熱性を付与することができ、また入手容易であることから、下記式(I−1)で表されるビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが特に好適である。この化合物は市販品として入手可能であり、例えばDover Chemical社製の「Doverphos S−9228PC」を使用することができる。

0059

0060

本発明のポリカーボネート系樹脂組成物中は、ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対し、ジホスファイト化合物(B)を0.005〜0.5質量部含む。ジホスファイト化合物(B)の含有量が0.005未満であると、樹脂組成物の溶融混練時や、成形品を成形する際の熱劣化による色調の低下を抑制する効果が不十分である。また、ジホスファイト化合物(B)の含有量が0.5質量部を超えると、耐湿熱性等の耐久性が低下する傾向があるため、好ましくない。本発明のポリカーボネート系樹脂組成物中におけるジホスファイト化合物(B)の含有量は、ポリカーボネート系樹脂100質量部に対し、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上、さらに好ましくは0.05質量部以上であり、好ましくは0.40質量部以下、より好ましくは0.30質量部以下、さらに好ましくは0.25質量部以下、さらにより好ましくは0.20質量部以下である。

0061

<その他添加剤>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、上述の成分(A)及び(B)の他に、色調、難燃性に悪影響を与えない範囲で、各種の添加剤を含有させることができる。これらの添加剤として、例えば、有機アルカリ金属塩及び有機アルカリ土類金属塩、ポリエーテル、ポリテトラフルオロエチレン、脂環式エポキシ化合物、紫外線吸収剤、拡散剤等を挙げることができる。

0062

<有機アルカリ金属塩及び有機アルカリ土類金属塩(C)>
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、有機アルカリ金属塩及び有機アルカリ土類金属塩(以下、両者を合わせて「アルカリ(土類)金属」と記載することがある)からなる群から選択される少なくとも1種(C)を含むことができる。これらは、1種を単独でも又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機アルカリ(土類)金属塩として、アルカリ(土類)金属の有機スルホン酸塩を挙げることができる。上記アルカリ(土類)金属の有機スルホン酸塩としては、パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属又はアルカリ土類金属との金属塩のようなフッ素置換アルキルスルホン酸の金属塩、並びに芳香族スルホン酸とアルカリ金属又はアルカリ土類金属との金属塩等が挙げられる。

0063

アルカリ金属としてはリチウムナトリウムカリウムルビジウム及びセシウムが挙げられる。アルカリ土類金属としては、ベリリウムマグネシウムカルシウムストロンチウム及びバリウムが挙げられる。より好ましくはアルカリ金属である。
これらのアルカリ金属の中でも、難燃性と熱安定性の観点からカリウム及びナトリウムが好ましく、特にカリウムが好ましい。カリウム塩と他のアルカリ金属からなるスルホン酸アルカリ金属塩とを併用することもできる。

0064

パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩の具体例としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸カリウムノナフルオロブタンスルホン酸カリウムパーフルオロヘキサンスルホン酸カリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウムペンタフルオロエタンスルホン酸ナトリウムパーフルオロブタンスルホン酸ナトリウムパーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、パーフルオロヘプタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸セシウム、パーフルオロオクタンスルホン酸セシウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸ルビジウム及びパーフルオロヘキサンスルホン酸ルビジウム等が挙げられ、これらは1種若しくは2種以上を併用して使用することができる。
パーフルオロアルキル基の炭素数は、1〜18が好ましく、1〜10がより好ましく、更に好ましくは1〜8である。これらの中でも、特にノナフルオロブタンスルホン酸カリウムが好ましい。

0065

スルホン酸アルカリ(土類)金属塩の具体例としては、例えば、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジナトリウム、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジカリウム、5−スルホイソフタル酸カリウム、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、ポリエチレンテレフタル酸ポリスルホン酸ポリナトリウム、1−メトキシナフタレン−4−スルホン酸カルシウム、4−ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,3−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,4−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(2,6−ジフェニルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリカリウム、ポリ(2−フルオロ−6−ブチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸リチウム、ベンゼンスルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウムp−トルエンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ストロンチウム、ベンゼンスルホン酸マグネシウム、p−ベンゼンジスルホン酸ジカリウム、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸ジカリウム、ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸カルシウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3,4’−ジスルホン酸ジカリウム、α,α,α−トリフルオロアセトフェノン−4−スルホン酸ナトリウム、ベンゾフェノン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジナトリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸カルシウム、ベンゾチオフェンスルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホサイド−4−スルホン酸カリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物、及びアントラセンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物等が挙げられる。これらスルホン酸アルカリ(土類)金属塩では、特にナトリウム塩及びカリウム塩が好適である。

0066

本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、有機アルカリ(土類)金属塩を、ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対して、通常0.001〜1質量部、好ましくは0.01〜0.1質量部、さらに好ましくは0.02〜0.08質量部含むことが望ましい。有機アルカリ(土類)金属塩の含有量が0.001質量部以上であれば十分な難燃性が得られ、1質量部以下であれば金型汚染を抑制できる。上記有機アルカリ(土類)金属塩は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。複数種の有機アルカリ(土類)金属塩を含む場合は、合計量が上記範囲となる。

0067

<ポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテル(D)>
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、ポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテル(D)を含むことができる。当該ポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテル(D)は、(RD1O)pで表されるポリオキシアルキレン構造及び(RD2O)qで表されるポリオキシアルキレン構造を有することが好ましい。ここで、RD1及びRD2はそれぞれ独立に、炭素数1以上のアルキレン基を示す。p+qは5以上300未満であり、好ましくは10〜200、より好ましくは20〜100である。

0068

RD1及びRD2で示されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましい。
p個のRD1O基において、複数のRD1は互いに同一のアルキレン基でもよく、炭素数の異なるアルキレン基であってもよい。すなわち、(RD1O)pで表されるポリオキシアルキレン基は、ポリオキシエチレン基ポリオキシプロピレン基等の単一のオキシアルキレン単位を繰り返し単位として有するものに限定されず、オキシエチレン単位及びオキシプロピレン単位など炭素数の異なる複数のオキシアルキレン単位を繰り返し単位として有するものであってもよい。
RD2もRD1と同様であり、q個のRD2O基において、複数のRD2は互いに同一のアルキレン基でもよく、炭素数の異なるアルキレン基であってもよい。
上記RD1及びRD2で示されるアルキレン基の中でも、特に、RD1及びRD2が、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基から選択されたアルキレン基であり、かつ、RD1及びRD2の少なくとも1つは、エチレン基又はプロピレン基のいずれかであることが、初期色調を改善する観点から好ましい。

0069

ポリエーテル(D)は、下記一般式(VI)で表される化合物(D−1)、多価アルコールアルキレンオキサイド付加物及びそのエステル(D−2)、並びに環状ポリエーテル化合物(D−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
RD3O−(RD1O)p−A−(RD2O)q−RD4 (VI)
(式中、RD1及びRD2はそれぞれ独立に、炭素数1以上のアルキレン基を示す。p+qは5以上300未満である。RD3及びRD4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜30のアルカノイル基、炭素数2〜30のアルケノイル基、又はグリシジル基を示す。Aは、単結合又は2価の有機基を示す。)

0070

RD1及びRD2で示されるアルキレン基については上述のとおりである。(RD1O)pで表されるポリオキシアルキレン構造及び(RD2O)qで表されるポリオキシアルキレン構造についても上述のとおりである。

0071

RD3及びRD4で示される炭素数1〜30の炭化水素基としては、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基等が挙げられる。
アルキル基及びアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基アリル基プロペニル基、各種ブテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル基トリル基キシリル基等が挙げられる。アラルキル基としては、例えばベンジル基フェネチル基、メチルベンジル基等が挙げられる。

0072

RD3及びRD4で示される炭素数1〜30のアルカノイル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えばメタノイル基、エタノイル基、n−プロパノイル基、イソプロパノイル基、n−ブタノイル基、tert−ブタノイル基、n−ヘキサノイル基、n−オクタノイル基、n−デカノイル基、n−ドデカノイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。中でも、相溶性や、熱安定性及び製造容易性の観点から、炭素数1〜20のアルカノイル基が好ましい。
RD3及びRD4で示される炭素数2〜30のアルケノイル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えばエテノイル基、n−プロペノイル基、イソプロペノイル基、n−ブテノイル基、tert−ブテノイル基、n−ヘキセノイル基、n−オクテノイル基、n−デセノイル基、n−ドデセノイル基等が挙げられる。中でも、低分子量とする観点、相溶性や溶解性の観点及び製造容易性の観点から、炭素数2〜10のアルケノイル基が好ましく、炭素数2〜6のアルケノイル基がより好ましい。

0073

Aで示される2価の有機基としては、例えば下式(a)で表される基が挙げられる。

0074

0075

前記一般式(VI)で表される化合物(D−1)の具体例としては、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールポリオキシテトラメチレンポリオキシエチレングリコールポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールポリオキシエチレンモノメチルエーテルポリオキシエチレンジメチルエーテル、ポリオキシエチレン−ビスフェノールAエーテルポリオキシプロピレン−ビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ビスフェノールAエーテル、ポリエチレングリコール−アリルエーテル、ポリエチレングリコール−ジアリルエーテル、ポリプロピレングリコール−アリルエーテル、ポリプロピレングリコール−ジアリルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−アリルエーテル、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジステアレート等が挙げられる。これらは市販品として入手可能であり、例えば日油(株)製の「ユニオックス登録商標)」、「ユニオール(登録商標)」、「ユニルーブ(登録商標)」、「ユニセーフ(登録商標)」、「ポリセリン(登録商標)」、「エピオール(登録商標)」等を使用することができる。

0076

多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物及びそのエステル(D−2)における多価アルコールとしては、グリセリンジグリセリルエーテルソルビトール等が挙げられる。
環状ポリエーテル化合物(D−3)の具体例としては、18クラウン6、ジベンゾ18クラウン6等が挙げられる。
前記ポリエーテル(D)としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシトリメチレングリコールポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール−ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール−ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール−ポリオキシエチレングリコールから選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。

0077

前記ポリエーテル(D)の数平均分子量としては、特に限定されないが、好ましくは200〜10,000、より好ましくは500〜8,000、更に好ましくは1,000〜5,000である。

0078

本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.02質量部以上2.0質量部以下のポリエーテル化合物(D)を含むことができる。ポリエーテル化合物(D)の含有量が上記範囲にあれば、優れた色調を有する成形体を得ることができるため光学成形用途にも好ましく用いることができ、かつ難燃性を良好に保つことができる。優れた色調を得る観点から、ポリエーテル化合物(D)の含有量は、ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対し、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.10質量部以上、さらにより好ましくは0.15質量部以上であり、優れた難燃性を維持する観点から、好ましくは1.50質量部以下、より好ましくは1.2質量部以下、さらに好ましくは0.9質量部以下である。上記ポリエーテル化合物(D)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。複数種のポリエーテル化合物を含む場合は、合計量が上記範囲となる。

0079

<ポリテトラフルオロエチレン(E)>
ポリテトラフルオロエチレン(E)は特に限定されず、公知のものを使用することができるが、水性分散型のポリテトラフルオロエチレン、アクリル被覆されたポリテトラフルオロエチレンが好ましい。水性分散型またはアクリル被覆されたポリテトラフルオロエチレンを用いることにより、外観不良を抑制することができる。例えば粉体のポリテトラフルオロエチレンを一定量用いると、凝集を起こして凝集体を生成し、成形品の外観を損なうおそれがある。水分散型またはアクリル被覆されたポリテトラフルオロエチレンとしては、三菱レイヨン(株)の「メタブレンA3000」(商品名)「メタブレン A3750」(商品名)、「メタブレン A3800」(商品名)で代表されるメタブレンAシリーズ、Shine Polymer社のSN3705(商品名)、GEスペシャリティーケミカルズ社製BLENDEX B449」(商品名)、ダイキン工業(株)製の「ポリフロンPTFE D−210C」(商品名)、およびAGC(株)製の「フルオンPTFE AD939E」(商品名)に代表されるフルオン PTFE ADシリーズなどが例示される。

0080

ポリテトラフルオロエチレン(E)は粒子状であることが好ましい。ポリテトラフルオロエチレン(E)の平均粒子径は、0.05μm以上1.0μm以下であることが好ましい。平均粒子径が上記範囲内にあると、組成物中でのポリテトラフルオロエチレンの凝集を抑制し、また組成物中に均一に分散させることができる。ポリテトラフルオロエチレン(E)の平均粒子径は、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.15μm以上、よりさらに好ましくは0.20μm以上であり、より好ましくは0.50μm以下、さらに好ましくは0.40μm以下、さらにより好ましくは0.35μm以下である。ポリテトラフルオロエチレンの平均粒子径は、具体的には、電気泳動光散乱法により測定される。

0081

本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対し、ポリテトラフルオロエチレン(E)を、1.0質量部以下含むことが好ましい。ポリテトラフルオロエチレン(E)の含有量が上記範囲であれば、優れた色調を維持することができる。ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対し、ポリテトラフルオロエチレン(E)の量は、より好ましくは0.50質量部以下、さらに好ましくは0.30質量部以下、よりさらに好ましくは0.15質量部以下、さらにより好ましくは0.10質量部以下、さらにより好ましくは0.09質量部以下、さらにより好ましくは0.06質量部以下である。また、難燃性の観点から、ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対し、ポリテトラフルオロエチレン(E)を、0.01質量部以上含むことが好ましく、より好ましくは0.03質量部以上、さらに好ましくは0.05質量部以上である。上記ポリテトラフルオロエチレン(E)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。複数種のポリテトラフルオロエチレンを含む場合は、合計量が上記範囲となる。
なお、アクリル被覆されたポリテトラフルオロエチレンや、水分散型ポリテトラフルオロエチレンである場合には、アクリル被覆部分や分散媒である水部分を除く、ポリテトラフルオロエチレンの量が上記範囲となる。本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、当該樹脂組成物を用いた成形品の用途等によっては、ポリテトラフルオロエチレン(E)を含まなくてもよく、その場合にはポリテトラフルオロエチレン(E)を含むことで色調が低下する問題を有しない。

0082

<脂環式エポキシ化合物(F)>
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、脂環式エポキシ化合物(F)を含んでいてもよい。脂環式エポキシ化合物(F)を含むことにより、得られる成形体の長期耐湿熱性及び長期耐熱性をより向上させることができ、黄変が少なく、良好な色調を維持することができる。
脂環式エポキシ化合物とは、脂環式エポキシ基、すなわち脂肪族環内のエチレン結合酸素原子が付加したエポキシ基を有する環状脂肪族化合物をいい、具体的には下記式(F−1)〜(F−10)で表されるものが好適に用いられる。

0083

(式中、RはH又はCH3である。)

0084

(式中、RはH又はCH3である。)

0085

(式中、a+b=1又は2である。)




(式中、a+b+c+d=1以上3以下である。)

0086

(式中、a+b+c=n(整数)であり、Rは炭化水素基である。)




(式中、nは整数である。)

0087

(式中、Rは炭化水素基である。)




(式中、nは整数,Rは炭化水素基である。)

0088

上記脂環式エポキシ化合物の中でも、ポリカーボネート系樹脂(A)への相溶性に優れ、透明性や色調を損なうことがない点で、式(F−1)、式(F−7)及び式(F−10)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、式(F−1)及び式(F−10)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、式(F−1)で表される化合物が更に好ましい。例えば、式(F−1)で表される化合物は、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート((株)ダイセル製「セロキサイド2021P」)として入手することができる。式(F−10)で表される化合物として、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物((株)ダイセル製「EHPE3150」)として入手することができる。
セロキサイド2021PとEHPE3150との混合物として、(株)ダイセルから市販されている「EHPE3150CE」も好ましく用いることができる。

0089

ポリカーボネート樹脂組成物中の脂環式エポキシ化合物(F)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上、さらに好ましくは0.04質量部以上であり、好ましくは0.15質量部以下、より好ましくは0.10質量部以下である。ポリカーボネート樹脂組成物中の脂環式エポキシ化合物(F)成分の含有量が上記範囲であると、長期耐湿熱性及び長期耐熱性の向上効果が十分に得られる。上記脂環式エポキシ化合物(F)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。複数種の脂環式エポキシ化合物を含む場合は、合計量が上記範囲となる。

0090

<紫外線吸収剤(G)>
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、紫外線吸収剤(G)を含んでいてもよい。紫外線吸収剤(G)としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシフェニルトリアジン系環状イミノエステル系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤を用いることができる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリヒドリドベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。

0091

ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(G)としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、並びに2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能ビニル系モノマーとの共重合体や2−(2’—ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体などの2−ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール骨格を有する重合体などを挙げることができる。中でも2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールを用いることが好ましい。

0092

ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−メチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−エチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−プロピルオキシフェノール、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ブチルオキシフェノールなどが例示される。さらに2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなど、上記例示化合物のフェニル基が2,4−ジメチルフェニル基となった化合物を挙げることができる。

0093

環状イミノエステル系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−m−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p,p’−ジフニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン]などを挙げることができる。中でも2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン]を用いることが好ましい。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイルオキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチルプロパン、および1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどを挙げることができる。

0094

上記紫外線吸収剤(G)がラジカル重合可能な単量体化合物の構造を有し、かかる紫外線吸収性単量体と、アルキルメタアクリレートなどの単量体とを共重合したポリマー型の紫外線吸収剤であってもよい。このような紫外線吸収性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルエステル置換基中にベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格トリアジン骨格、環状イミノエステル骨格、およびシアノアクリレート骨格を含有する化合物が好適である。中でも環状イミノエステル骨格を含有する化合物が好ましく、紫外線吸収剤による着色を抑え、色調を改善できるため、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン]用いることが好ましい。紫外線吸収剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を用いることが好ましく、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤をそれぞれ単独で用いるか、あるいは併用して用いることが好ましい。

0095

本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、成形品の厚みにより最適値は変わるが、ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.10質量部以上、さらに好ましくは0.15質量部以上であり、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.50質量部以下、さらに好ましくは0.30質量部以下の紫外線吸収剤(G)を含む。紫外線吸収剤(G)の含有量が上記範囲にあると、耐候性を良好に保つことができる。上記紫外線吸収剤(G)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。複数種の紫外線吸収剤を含む場合は、合計量が上記範囲となる。

0096

<拡散剤(H)>
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、拡散剤(H)を含んでいてもよい。拡散剤(H)は、光拡散効果を付与するために配合するものであり、特に限定されず、公知のものを使用することができる。例えば、架橋アクリル樹脂架橋ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂フッ素系樹脂シリカ石英酸化チタン酸化亜鉛等が挙げられる。
中でも、難燃性発現補助及び光拡散効果を付与できることから、Si系光拡散剤が好ましい。Si系光拡散剤は、ケイ素(Si)を含有するものであれば特に限定されず、公知のものを使用することができ、例えば、シリコーン系エラストマー、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの中でも成形等の滞留熱安定性が良く、難燃性向上効果があることから、シリコーン樹脂からなる有機微粒子が好ましく、好ましい粒径は0.5〜10μm、より好ましくは1〜5μmである。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物中の拡散剤(H)の含有量は、成形品の厚みにより最適値は変わるが、ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは0.1〜5.0質量部であり、より好ましくは0.1〜4.0質量部、さらに好ましくは0.1〜3.0質量部である。拡散剤の含有量が上記範囲にあると、十分な拡散性能を得られると共に、成形品の強度を十分に保つことができる。

0097

<酸化防止剤>
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、必要に応じて酸化防止剤を含んでいてもよい。酸化防止剤としては公知のものを用いることができ、好ましくはフェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤を用いることができる。酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、式(I)で表されるジホスファイト化合物(B)は以下の酸化防止剤には含まれない。

0098

フェノール系酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネートジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。

0099

具体的には、フェノール系酸化防止剤としては、Irganox1010(BASFジャパン(株)製、商標)、Irganox1076(BASFジャパン(株)製、商標)、Irganox1330(BASFジャパン(株)製、商標)、Irganox3114(BASFジャパン(株)製、商標)、Irganox3125(BASFジャパン(株)製、商標)、BHT(武田薬品工業(株)製、商標)、Cyanox1790(サイアナミド社製、商標)及びSumilizerGA−80(住友化学(株)製、商標)などの市販品を挙げることができる。

0100

リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルノニルホスファイト、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルモノトリデシル)ホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジブチルハイドロジェンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールドデシルホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールトリデシルホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールテトラデシルホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールペンタデシルホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリル−ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、3,4,5,6−ジベンゾ−1,2−オキサホスファントリフェニルホスフィン、ジフェニルブチルホスフィン、ジフェニルオクタデシルホスフィン、トリス(p−トリル)ホスフィン、トリス(p−ノニルフェニル)ホスフィン、トリス(ナフチル)ホスフィン、ジフェニル(ヒドロキシメチル)ホスフィン、ジフェニル(アセトキシメチル)ホスフィン、ジフェニル(β−エチルカルボキシエチル)ホスフィン、トリス(p−クロロフェニル)ホスフィン、トリス(p−フルオロフェニル)ホスフィン、ベンジルジフェニルホスフィン、ジフェニル(β−シアノエチル)ホスフィン、ジフェニル(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル(1,4−ジヒドロキシフェニル)−2−ホスフィン、フェニルナフチルベンジルホスフィン等が挙げられる

0101

具体的には、リン系酸化防止剤として、Irgafos168(BASFジャパン(株)製、商標)、Irgafos12(BASFジャパン(株)製、商標)、Irgafos38(BASFジャパン(株)製、商標)、ADKSTAB329K((株)ADEKA製、商標)、ADKSTAB PEP−36((株)ADEKA製、商標)、ADKSTAB PEP−8((株)ADEKA製、商標)、Sandstab P−EPQ(クラリアント社製、商標)、Weston 618(GE社製、商標)、Weston 619G(GE社製、商標)及びWeston 624(GE社製、商標)などの市販品を挙げることができる。

0102

上記酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ポリカーボネート系樹脂組成物における酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.02質量部以上であり、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.2質量部以下である。含有量が上記範囲にあると、成形工程などでの熱安定性、成形品の長期熱安定性を維持でき、分子量低下を引き起こしにくいため好ましい。酸化防止剤を複数種用いる場合は合計量が上記範囲となる。

0103

本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、上記組成を有することにより、優れた色調と難燃性、特に薄肉難燃性を両立させることができる。実施例で詳述するが、具体的には以下の通りである。
<<色調>>
ポリテトラフルオロエチレンを含まず、1.0mm厚に成形した際の初期YI値を1.3以下とすることができる。ポリテトラフルオロエチレンを含まない場合は、1.0mm厚に成形した際の初期YI値はより好ましくは1.2以下である。
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物がポリテトラフルオロエチレンを含む場合には、ポリテトラフルオロエチレン(E)を0.10質量部以下含み、1.0mm厚に成形した際の初期YI値を3.5以下とすることができ、ポリテトラフルオロエチレン(E)を0.15質量部以下含み、1.0mm厚に成形した際の初期YI値を4.6以下とすることができる。ここで「ポリテトラフルオロエチレン」の量とは、アクリル被覆部分や水部分を除く、実質的な含フッ素化合物の量を意味する。優れた難燃性と良好な色調を両立する観点から、1.0mm厚に成形した際の初期YI値は、ポリテトラフルオロエチレン(E)を0.09質量部以下含む場合に好ましくは4.6以下、より好ましくは3.7以下、さらに好ましくは3.0以下、さらにより好ましくは2.5以下である。
<<難燃性>>
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、1.0mm厚に成形した際に、UL94規格においてV−0と、非常に高度な薄肉難燃性を達成することができる。本発明のポリカーボネート系樹脂組成物の取り得る組成によっては、0.75mm厚に成形した際にもUL94規格においてV−0を達成することができる。

0104

<ポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法>
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物からなる成形品は、上記した各成分を配合し、混練したものを成形して得ることができる。
混練方法としては、特に制限されず、例えば、リボンブレンダーヘンシェルミキサーバンバリーミキサードラムタンブラー単軸スクリュー押出機二軸スクリュー押出機コニーダ多軸スクリュー押出機等を用いる方法が挙げられる。また、混練に際の加熱温度は、通常240〜330℃、好ましくは250〜320℃の範囲で選択される。
このとき、ポリカーボネート系樹脂(A)の分岐率が、0.01モル%以上3.0モル%以下となるように配合することが好ましい。分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)、及び該樹脂(A−1)以外の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A−2)は、ポリカーボネート系樹脂(A)の分岐率が、より好ましくは0.3モル%以上、さらに好ましくは0.5モル%以上、よりさらに好ましくは0.7モル%以上、よりさらに好ましくは1.0モル%以上、よりさらに好ましくは1.4モル%以上、特に好ましくは1.5モル%以上であり、より好ましくは2.8モル%以下、さらに好ましくは2.6モル%以下、よりさらに好ましくは2.3モル%以下、よりさらに好ましくは2.0モル%以下となるように配合することができる。ポリカーボネート系樹脂(A)中の分岐率が上記範囲にあると、優れた難燃性、具体的には薄肉難燃性に優れるポリカーボネート系樹脂組成物が得られる。
ポリカーボネート系樹脂以外の含有成分は、あらかじめ、ポリカーボネート系樹脂又は他の熱可塑性樹脂溶融混練、即ち、マスターバッチとして添加することもできる。

0105

<成形品>
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物からなる成形品は、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物を成形することにより得ることができる。
成形方法としては、従来公知の各種成形方法を用いることができ、例えば、射出成形法射出圧縮成形法押出成形法異形押出成形法、ブロー成形法プレス成形法真空成形法及び発泡成形法等が挙げられる。

0106

ポリカーボネート系樹脂以外の含有成分は、あらかじめ、ポリカーボネート系樹脂又は他の熱可塑性樹脂と溶融混練、即ち、マスターバッチとして添加することもできる。
ポリカーボネート系樹脂組成物をペレット化させ、このペレットを用いて成形することが好ましく、射出成形法、射出圧縮成形法又は押出成形法等の一般的な成形法や、そしてガスアシスト成形法、異形押出成形法等の特殊成形法を用いることができ、各種成形品を製造することができる。
本発明の成形体を外観部材として使用する場合には、ヒートサイクル成形法高温金型断熱金型等の外観を向上させる成形技術を用いることが好ましい。

0107

本発明のポリカーボネート系樹脂組成物を成形して得られる成形体は、難燃性及び透明性や色調に優れるため、各種照明カバー、ディスプレイカバー等の樹脂製照明機器拡散カバー、レンズ等の光学成形品として好適に使用することができる。さらに高温、高湿環境で使用される、例えば街灯用の照明カバーや、レンズとしても好適に用いられる。

0108

以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、これら実施例に本発明は何ら限定されない。

0109

実施例及び比較例において以下の原料を使用した。
(A)ポリカーボネート(PC)系樹脂
(A−1)分岐状ポリカーボネート系樹脂(分岐PC)
製造例1(分岐PC1:THPE2.30mol%の製造)
(ポリカーボネートオリゴマー(i)合成工程)
5.6wt%水酸化ナトリウム水溶液に、後から溶解するBPA(ビスフェノールA)に対して2000質量ppmの亜二チオン酸ナトリウムを加え、これにBPA濃度が13.5wt%となるようにBPAを溶解し、BPAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。
5.6wt%水酸化ナトリウム水溶液に、後から溶解するTHPE(1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニルエタン))に対して2000質量ppmの亜二チオン酸ナトリウムを加え、これにTHPE濃度が11.3wt%となるようにTHPEを溶解し、THPEの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。
上記BPAの水酸化ナトリウム水溶液42L/hr、THPEの水酸化ナトリウム水溶液2.32L/hr、塩化メチレン15L/hrの流量で、ホスゲンを4.0kg/hrの流量で、内径6mm、管長30mの管型反応器に連続的に通した。管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケット冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。
管型反応器を出た反応液を、後退翼を備えた内容積40Lのバッフル付き槽型反応器へ連続的に導入し、ここにBPAの水酸化ナトリウム水溶液2.8L/hr、25wt%水酸化ナトリウム水溶液0.07L/hr、水17L/hr、1wt%トリエチルアミン水溶液を0.69L/hr、PTBP(p−tert−ブチルフェノール)の塩化メチレン溶液(濃度4.0wt%)6.5L/hrをさらに添加して反応を行った。
槽型反応器から溢れ出る反応液を連続的に抜き出し、静置することで水相を分離除去し、塩化メチレン相採取した。
得られたポリカーボネートオリゴマーは濃度334g/L、クロロホーメート基濃度0.73mol/Lであった。

0110

(ポリカーボネート系樹脂の製造工程)
邪魔板パドル型攪拌翼及び冷却用ジャケットを備えた50L槽型反応器に、先に得られたポリカーボネートオリゴマー溶液15L、塩化メチレン10.2L及びトリエチルアミン2.8mLを仕込み、混合した。
この混合液に、BPAの水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:639gと亜二チオン酸ナトリウム:2.3gを水:9.3Lに溶解した水溶液に、BPA:1166gを溶解させたもの)を添加し60分間重合反応を実施した。
希釈のために塩化メチレン10Lを加え10分間攪拌した後、ポリカーボネート樹脂を含む有機相と、過剰のBPA及びNaOHを含む水相とに分離し、有機相を単離した。
得られたポリカーボネートの塩化メチレン溶液を、その溶液に対して順次、15容積%の0.03mol/L水酸化ナトリウム水溶液、0.2N塩酸洗浄し、次いで洗浄後の水相中の電気伝導度が0.01μS/m以下になるまで純水で洗浄を繰り返した。洗浄により得られたポリカーボネート系樹脂の塩化メチレン溶液を濃縮・粉砕し、このフレーク減圧下120℃で乾燥した。
得られた分岐PC1の1H−NMRにより求めた分岐率は2.30mol%、ISO 1628−4(1999)に準拠して測定した粘度平均分子量Mvは23,000であった。

0111

製造例2:(分岐PC2:THPE0.90mol%の製造)
ポリカーボネートオリゴマー合成工程において、THPEの水酸化ナトリウム水溶液の供給量を0.87L/hr、PTBPの塩化メチレン溶液(濃度4.0wt%)の供給量を4.6L/hrとしたこと以外は、製造例1と同様の方法で、分岐状ポリカーボネート系樹脂2を得た。なお、ポリカーボネートオリゴマー合成工程において得られたポリカーボネートオリゴマーは濃度330g/L、クロロホーメート基濃度0.72mol/Lであった。
1H−NMRにより求めた分岐率は0.90mol%、ISO 1628−4(1999)に準拠して測定した粘度平均分子量Mvは22,800であった。

0112

(A−2):芳香族ポリカーボネート系樹脂
・タフロンFN2500A[出光興産(株)製、ビスフェノールAから製造されたホモポリカーボネート、粘度平均分子量=23,500]
・タフロンFN1700[出光興産(株)製、ビスフェノールAから製造されたホモポリカーボネート、粘度平均分子量=17,700]
(B):ジホスファイト化合物
・「Doverphos S−9228PC」(Dover Chemical社製、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト,表中Dover28と略記)

0113

<その他添加剤>
(C)有機アルカリ(土類)金属塩
・ノナフルオロブタンスルホン酸カリウム塩[三菱マテリアル(株)製,商品名「エフトップKFBS」]
(D)ポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテル
・PEG−PPG「ユニルーブ50DE−25」(日油(株)製、ポリオキシエチレングリコール−ポリオキシプロピレングリコール、Mn=1,750)
(E)ポリテトラフルオロエチレン
・PTFE(PTFE水分散体),ポリフロンD210C[ダイキン工業(株)製:ポリテトラフルオロエチレン60質量%,平均粒径:0.22μm]
(F)脂環式エポキシ化合物
・「セロキサイド2021P」(ダイセル化学工業(株)製、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート,表中2021Pと略記)

0114

(G)紫外線吸収剤
・(G1)「ケミソーブ79」(ケミプロ化成(株)製,2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール)
・(G2)「Cyasorb UV−3638」(Cytec社製,2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン]),表中UV−3638と略記)
(H)拡散剤
・「KMP590」(信越化学工業(株)製,架橋シリコーン樹脂粒子,平均粒径:5μm)
<酸化防止剤>
・「Irgafos 168」[(BASFジャパン(株)製,トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト,表中Irg 168と略記]
・「アデカスタブPEP−36」((株)ADEKA製、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト,表中PEP−36と略記)

0115

以下、各実施例及び比較例において、(1)〜(4)までの評価を次の通り行った。

0116

(1)ポリカーボネート系樹脂(A)の溶融粘度
後述する各実施例及び比較例の割合で、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−1)と、該樹脂(A−1)以外の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A−2)とを混合して、ポリカーボネート系樹脂(A)のフレークを得た。得られたフレークを120℃で4時間以上乾燥した後、キャピラリレオメータ((株)東洋精機製作キャピログラフ1C)を用い、測定温度280℃、せん断速度1s-1〜100s-1の範囲で、JIS K 7199:1999に準拠して溶融粘度を測定した。得られた測定結果から、せん断速度10s-1におけるポリカーボネート系樹脂(A)の溶融粘度を求めた。

0117

(2)ポリカーボネート系樹脂(A)の分岐率
ポリカーボネート系樹脂(A)の分岐率を1H−NMR測定により求めた。分岐剤由来の構造単位のモル数/(二価フェノール由来の構造単位+分岐剤由来の構造単位+末端単位)の総モル数×100(mol%で表す)として求めた。

0118

(3)ポリカーボネート系樹脂組成物の粘度平均分子量
ポリカーボネート系樹脂組成物の粘度平均分子量Mvは、ウベローデ型粘度管にて、20℃におけるメチレンクロライド溶液の極限粘度[η]を測定し、以下のSchnellの式により計算した。「ポリカーボネート系樹脂組成物」の粘度平均分子量は、後述する各実施例及び比較例の割合で、各成分を混合及び溶融混練して得られるポリカーボネート樹脂組成物のペレットを塩化メチレンで溶解し、これを固液分離して得られた樹脂溶液を得ることにより、粘度平均分子量を測定した。

0119

(4)難燃性
後述する各実施例及び比較例の割合で、各成分を混合及び溶融混練し、ペレットを得た。得られたペレットからUL規格94に準じて、長さ127mm、幅12.7mm、厚さ1mmの試験片を作成し垂直燃焼試験を行った。後述する実施例1−9〜1−13、比較例1−3〜1−4については、長さ127mm、幅12.7mm、厚さ0.75mmの試験片を用いて垂直燃焼試験も行った。試験の結果に基づいてV−0、V−1、V−2又はNot−Vの等級分類し、難燃性を評価した。
なお、UL規格94とは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を接炎した後の残炎時間から難燃性を評価する方法である。

0120

実施例1−1〜1−8,比較例1−1〜1−2
表1に示す割合で各成分を混合し、ベント二軸押出成形機[東機械(株)製:TEM37SS]に供給し、バレル温度270〜280℃、スクリュー回転数300回転、吐出量50kg/hrにて溶融混練し、評価用ペレットサンプルを得た。得られたペレットを120℃で5時間乾燥した後、上記各種測定と、後述する各種YI値評価を行った。結果を表1に示す。

0121

(5−1)成形体の初期YI値
乾燥後のペレットを、射出成形機[ニイガタマシンテクノ社製 MD50X]を用いて、310℃の成形温度、95℃の金型温度で、3段プレート90mm×50mm(3mm厚部分:45mm×50mm、2mm厚部分:22.5mm×50mm、1mm厚部分:22.5mm×50mm)の試験片を作製した。
得られた試験片について、ビデオジェット・エックスライト(株)製 Color−Eye 7000Aにて、C光源、2度視野の条件でYI値(初期YI値:YI1)を測定した。結果を表1に示す。評価として、YI1が3.0以下であるものをAA,3.0を超え3.5以下であるものをA、3.5を超えるものをBとした。

0122

(5−2)成形体の耐湿熱試験
YI1測定後の上記平板状試験片を温度85℃、相対湿度85%に設定した恒温恒湿槽に500時間及び1000時間入れた。試験後の試験片について上記と同様に500時間後のYI値(YI2500)及び1000時間後のYI値(YI21000)をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。評価として、YI2500及びYI21000それぞれについて、3.0以下であるものをAA,3.0を超え3.5以下であるものをA、3.5を超え4.0以下であるものをB、〜4.0を超え4.5以下であるものをC、4.5を超えるものをDとした。

0123

(5−3)成形体の耐熱試験
YI1測定後の上記平板状試験片を、温度120℃に調整したオーブン内に1000時間入れた。試験後の試験片について上記と同様に1000時間後のYI値(YI3)を測定した。結果を表1に示す。YI3が3.0以下であるものをAA,3.0を超え3.5以下であるものをA、3.5を超え4.0以下であるものをB、4.0を超え4.5以下であるものをC、4.5を超えるものをDとした。

0124

(5−4)成形体の耐湿熱評価(ΔYI)
成形体の耐湿熱評価を以下の通り行った。上記(5−1)で得られた成形体の初期YI値(YI1)と(5−2)成形体の耐湿熱試験後に得られたYI値:(YI2500)及び(YI21000)それぞれとの差により評価した。耐湿熱評価の合格基準は、Δ(YI2500−YI1)及びΔ(YI21000−YI1)それぞれについて、0.4以下であるものをAA、0.4を超え0.9以下であるものをA、0.9を超えるものをBとした。

0125

(5−5)成形体の耐熱評価(ΔYI)
成形体の耐熱評価を以下の通り行った。上記(5−1)で得られた成形体の初期YI値(YI1)と(5−3)成形体の耐熱試験後に得られたYI値(YI3)との差により評価した。耐熱評価の合格基準は、Δ(YI3−YI1)が0.4以下であるものをAA、0.4を超え0.9以下であるものをA、0.9を超えるものをBとした。

0126

0127

実施例1−9〜1−13,比較例1−3〜1−4
表2に示す割合で各成分を混合し、ベント式二軸押出成形機[東芝機械(株)製:TEM37SS]に供給し、バレル温度270〜280℃、スクリュー回転数300回転、吐出量50kg/hrにて溶融混練し、評価用ペレットサンプルを得た。得られたペレットを120℃で5時間乾燥した後、各種評価を行った。なお、各種YI値評価については次の通り行った。結果を表2に示す。

0128

(5’−1)成形体の初期YI値
上記(5−1)と同様の条件でYI値(初期YI値:YI1)を測定した。結果を表2に示す。評価として、YI1が4.0以下であるものをAA,4.0を超え5.0以下であるものをA、5.0を超えるものをBとした。

0129

(5’−2)成形体の耐湿熱試験
YI1測定後の上記平板状試験片を上記(5−2)と同様の条件で処理して、500時間後のYI値(YI2500)及び1000時間後のYI値(YI21000)をそれぞれ測定した。結果を表2に示す。評価として、YI2500及びYI21000それぞれについて、4.0以下であるものをAA,4.0を超え5.0以下であるものをA、5.0を超え6.0以下であるものをB、6.0を超えるものをCとした。

0130

(5’−3)成形体の耐熱試験
YI1測定後の上記平板状試験片を、上記(5−3)と同様に処理して、1000時間後のYI値(YI3)を測定した。結果を表2に示す。YI3が4.0以下であるものをAA,4.0を超え5.0以下であるものをA、5.0を超え6.0以下であるものをB、6.0を超え7.0以下であるものをC、7.0を超えるものをDとした。

0131

(5’−4)成形体の耐湿熱評価(ΔYI)
成形体の耐湿熱評価を上記(5−4)と同様に行った。結果を表2に示す。耐湿熱評価の判定基準は、Δ(YI2500−YI1)及びΔ(YI21000−YI1)それぞれについて、0.4以下であるものをAA、0.4を超え0.9以下であるものをA、0.9を超え1.4以下であるものをB、1.4を超え1.9以下であるものをC、1.9を超えるものをDとした。

0132

(5’−5)成形体の耐熱評価(ΔYI)
成形体の耐熱評価を上記(5−5)と同様に行った。結果を表2に示す。耐熱評価の判定基準は、Δ(YI3−YI1)が0.4以下であるものをAA、0.4を超え0.9以下であるものをA、0.9を超え1.4以下であるものをB、1.4を超え1.9以下であるものをC、1.9を超えるものをDとした。

0133

0134

実施例2−1〜2−5,比較例2−1〜2−4
表3に示す割合で各成分を混合し、ベント式二軸押出成形機[東芝機械(株)製:TEM35]に供給し、バレル温度270〜280℃、スクリュー回転数300回転、吐出量50kg/hrにて溶融混練し、評価用ペレットサンプルを得た。得られたペレットを120℃で5時間乾燥した後、各種評価を行った。なお、各種YI値評価については次の通り行った。結果を表3に示す。

0135

(5’’−1)成形体の初期YI値
上記(5−1)と同様の条件でYI値(初期YI値:YI1)を測定した。結果を表3に示す。評価として、YI1が1.0未満であるものをAA,1.0〜1.4であるものをA、1.4を超えるものをBとした。

0136

(5’’−2)成形体の耐湿熱試験
測定は(5−2)に記載した通りである。評価として、YI3500及びYI31000が1.5以下であるものをAA,1.5を超え2.0以下であるものをA、2.0を超え2.5以下であるものをB、2.5を超え4.0以下であるものをC、4.0を超えるものをDとした。

0137

(5’’−3)成形体の耐熱試験
YI1測定後の上記平板状試験片を上記(5−3)と同様の条件で処理して、1000時間後のYI値(YI3)をそれぞれ測定した。結果を表3に示す。YI3が2.0以下であるものをA、2.0を超え3.0以下であるものをB、3.0を超え4.0以下であるものをC、4.0を超えるものをDとした。

0138

(5’’−4)成形体の耐熱評価及び(5’’−5)成形体の耐湿熱評価(ΔYI)
(5−4)及び(5−5)と同様に行った。判定基準は以下の通りである。耐湿熱評価は、Δ(YI2500−YI1)及びΔ(YI21000−YI1)それぞれについて、0.4以下であるものをAA、0.4を超え0.9以下であるものをA、0.9を超え1.4以下であるものをB、1.4を超え1.9以下であるものをC、1.9を超え2.4以下であるものをD、2.4を超えるものをEとした。耐熱評価は、Δ(YI3−YI1)が0.4以下であるものをAA、0.4を超え0.9以下であるものをA、0.9を超え1.4以下であるものをB、1.4を超え1.9以下であるものをC、1.9を超え2.4以下であるものをD、2.4を超えるものをEとした。

0139

実施例

0140

表1〜3の結果から、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、低いYI値を有し、優れた色調を有すること、及び1mm厚での薄肉難燃性にも優れることがわかる。特に、実施例1−9〜1−13の系では厚さ0.75mm厚でも優れた難燃性を実現しており、高度な薄肉難燃性を得ることができる。
色調についてはさらに、初期YI値に優れる他、耐湿耐熱試験及び耐熱試験後も優れたYI値を保ち、ΔYIの値からも耐熱性だけでなく、耐湿熱性に優れることがわかる。

0141

以上詳細に説明したように、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を用いると、色調に優れると共に優れた難燃性、特に薄肉難燃性を有するポリカーボネート樹脂成形体が得られる。このため、本発明のポリカーボネート樹脂成形体は、照明器具用カバー表示器具用拡散カバー、液晶ディスプレー拡散板等の表示器具用拡散板およびレンズとして有用である。

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