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技術 液晶組成物及びその用途

出願人 フェイスラボ株式会社
発明者 杉村亜季原一茂
出願日 2018年9月14日 (2年5ヶ月経過) 出願番号 2018-172288
公開日 2020年3月26日 (10ヶ月経過) 公開番号 2020-045377
状態 未査定
技術分野 化粧料 医薬品製剤 液晶物質
主要キーワード 試験開始当初 油連続相 キュービック液晶 薬剤含有液 薬剤水溶液 水連続相 光学組織 浸透現象
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年3月26日)のものです。
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図面 (6)

課題

イソステアリルグリセリルエーテルベースとし、薬剤キャリアとしての特性を有する液晶組成物を提供する。

解決手段

本発明の液晶組成物は、(A)イソステアリルグリセリルエーテル、(B)炭素数が8〜22の脂肪酸モノグリセリド及び炭素数が8〜22の脂肪族アルコールからなる群から選ばれる少なくとも一種の油分並びに(C)水性溶媒を含み、液晶キュービック型液晶相を含む。

概要

背景

固体は、三次元分子規則正しく配列し、流動性がない。液体は、分子が不規則バラバラであるため、流動性がある。液晶は、結晶と液体の中間の状態、すなわち固体のように分子配列規則性を有しながら、液体のように流動性も有するという、固体と液体の性質を併せ持つ物質である。分子内に親水基親油基を有する界面活性剤のような両親媒性分子は、水の存在下では、親水基は親水基同志で集合し、親油基は親油基同志で集合しようとする疎水性相互作用によって、分子集合体を形成する。

濃度転移型のリオトロピック液晶の多くは、界面活性剤、溶剤及び水からなり、溶剤濃度組成条件によって、キュービック相ヘキサゴナル相ラメラ相等の液晶相へ転移する。光学方性を示すヘキサゴナル相やラメラ相は、偏光顕微鏡特有光学組織像が見られる。光学異方性を示さないキュービック相では、偏光顕微鏡で結像しない。

リオトロピック液晶の浸透性を利用した製品が、保湿化粧品のような化粧品や医薬品に使用されている。リオトロピック液晶を用いた液晶の浸透性に関して、モノオレイン酸グリセリルベースの液晶によるアスピリンビタミンE等の浸透抑制非特許文献1)を報告している。また、モノオレイン酸グリセリルベース液晶によるアシクロビル(非特許文献2)、パエノール(非特許文献3)等の浸透促進もまた報告されている。

リオトロピック液晶の相変化に関して、モノオレイン酸グリセリルにCa2+を添加することでラメラ液晶からキュービックへの転相(非特許文献4)、モノオレイン酸グリセリルのpHを7から2に変化させることでキュービック液晶から逆ヘキサゴナル液晶(H2)への転相(非特許文献5)、そして、モノオレイン酸にテトラデカンを加えることでキュービック→逆ヘキサゴナル液晶への転相(非特許文献6)が起こることが知られている。

概要

イソステアリルグリセリルエーテルをベースとし、薬剤キャリアとしての特性を有する液晶組成物を提供する。本発明の液晶組成物は、(A)イソステアリルグリセリルエーテル、(B)炭素数が8〜22の脂肪酸モノグリセリド及び炭素数が8〜22の脂肪族アルコールからなる群から選ばれる少なくとも一種の油分並びに(C)水性溶媒を含み、液晶がキュービック型液晶相を含む。

目的

本発明の課題は、イソステアリルグリセリルエーテルをベースとし薬剤キャリアとして優れた機能を発揮する液晶組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

(A)イソステアリルグリセリルエーテル、(B)炭素数が8〜22の脂肪酸モノグリセリド及び炭素数が8〜22の脂肪族アルコールからなる群から選ばれる少なくとも一種の油分、並びに(C)水性溶媒を含む液晶組成物であって、前記液晶キュービック型液晶相を含むことを特徴とする前記液晶組成物。

請求項2

前記液晶がキュービック型液晶相からなる、請求項1に記載の液晶組成物。

請求項3

前記成分(A)と前記成分(B)との質量比が、1:0.01〜1である、請求項1又は2に記載の液晶組成物。

請求項4

前記成分(B)が、カプリル酸グリセリルカプリン酸グリセリルラウリン酸グリセリルイソステアリルアルコールカプリルグリコール、1,2−デカンジオール、1,2−ドデカンジオール、カプリリルアルコールカプリンアルコール、及びラウリルアルコールから選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれかに記載の液晶組成物。

請求項5

請求項1〜4のいずれかの液晶組成物を含む皮膚外用剤

請求項6

皮膚外用剤が化粧料である、請求項5に記載の皮膚外用剤。

技術分野

0001

本発明は、液晶組成物及びその用途に関し、より詳細にはイソステアリルグリセリルエーテルを用いた液晶を含む組成物及びその用途に関する。

背景技術

0002

固体は、三次元分子規則正しく配列し、流動性がない。液体は、分子が不規則バラバラであるため、流動性がある。液晶は、結晶と液体の中間の状態、すなわち固体のように分子配列規則性を有しながら、液体のように流動性も有するという、固体と液体の性質を併せ持つ物質である。分子内に親水基親油基を有する界面活性剤のような両親媒性分子は、水の存在下では、親水基は親水基同志で集合し、親油基は親油基同志で集合しようとする疎水性相互作用によって、分子集合体を形成する。

0003

濃度転移型のリオトロピック液晶の多くは、界面活性剤、溶剤及び水からなり、溶剤濃度組成条件によって、キュービック相ヘキサゴナル相ラメラ相等の液晶相へ転移する。光学方性を示すヘキサゴナル相やラメラ相は、偏光顕微鏡特有光学組織像が見られる。光学異方性を示さないキュービック相では、偏光顕微鏡で結像しない。

0004

リオトロピック液晶の浸透性を利用した製品が、保湿化粧品のような化粧品や医薬品に使用されている。リオトロピック液晶を用いた液晶の浸透性に関して、モノオレイン酸グリセリルベースの液晶によるアスピリンビタミンE等の浸透抑制非特許文献1)を報告している。また、モノオレイン酸グリセリルベース液晶によるアシクロビル(非特許文献2)、パエノール(非特許文献3)等の浸透促進もまた報告されている。

0005

リオトロピック液晶の相変化に関して、モノオレイン酸グリセリルにCa2+を添加することでラメラ液晶からキュービックへの転相(非特許文献4)、モノオレイン酸グリセリルのpHを7から2に変化させることでキュービック液晶から逆ヘキサゴナル液晶(H2)への転相(非特許文献5)、そして、モノオレイン酸にテトラデカンを加えることでキュービック→逆ヘキサゴナル液晶への転相(非特許文献6)が起こることが知られている。

先行技術

0006

D.Wyatt et.al.,“A cubic-phase delivery system composed of glyceryl monooleate and water for sustained release of water-soluble drugs”,Pharmaceutical Technology,vol.16,no.10,pp.116−130,1992
L.S.Helledi et.al.,“Release kinetics of acyclovir from a suspension of acyclovir incorporated in a cubic phase delivery system”,Drug Development and Industrial Pharmacy,vol.27,no.10,pp.1073−1081,2001
M.Luo et.al.,“Transdermal delivery of paeonol using cubic gel and microemulsion gel”,International journal of nanomedicine,vol.6,pp.1603−1610,2011
AS.Sallam,“Formulation of an oral dosage form utilizing the properties of cubic liquid crystalline phases of glyceryl monooleate”,European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics,vol.53,no.3,pp.343−352,2002
A.Yaghmur,“In situ characterization of lipidic bupivacaine-loaded formulations”,Soft Matter,vol.7,no.18,pp.8291−8295,2011
A.Yaghmur,“Control of the internal structure of MLO-based isasomes by the addition of diglycerol monooleate and soybean phosphatidylcholine”,Langmuir,vol.22,no.24,pp.9919−9927,2006

発明が解決しようとする課題

0007

分子量が500Da以上の大きな分子は、皮膚内に浸透し難いといわれている。このような薬剤を液晶内に内包することによって、薬剤の皮膚内への浸透性を改善できることが期待される。薬剤を内包する液晶が皮膚内に一定期間留まり、そこから薬剤を徐々に放出することができれば、そのような液晶は徐放性製剤キャリアとして有用である。

0008

非イオン性界面活性剤一種であるイソステアリルグリセリルエーテルを水中に加えると脂質二重層構築され、逆ヘキサゴナ型液晶へと自己形成することが知られている。この液晶は、高含水のW/Oエマルジョンとして利用される。しかし、イソステアリルグリセリルエーテルの液晶の相変化の挙動やその相変化後の液晶の応用は、検討されていない。

0009

そこで、本発明の課題は、イソステアリルグリセリルエーテルをベースとし薬剤キャリアとして優れた機能を発揮する液晶組成物を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、上記課題を鋭意検討した結果、イソステアリルグリセリルエーテル、特定の油分及び水を含む液晶組成物によれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、(A)イソステアリルグリセリルエーテル、(B)炭素数が8〜22の脂肪酸モノグリセリド及び炭素数が8〜22の脂肪族アルコールからなる群から選ばれる少なくとも一種の油分、並びに(C)水性溶媒を含む液晶組成物であって、前記液晶がキュービック型液晶相を含むことを特徴とする前記液晶組成物に関する。

0011

前記液晶は、キュービック型液晶相からなることが好ましい。

0012

前記成分(A)と前記成分(B)と質量比(A:B)は、特に1:0.01〜1である。

0013

前記成分(B)は、カプリル酸グリセリルカプリン酸グリセリルラウリン酸グリセリルイソステアリルアルコールカプリリルグリコール、1,2−デカンジオール、1,2−ドデカンジオール、カプリリルアルコールカプリンアルコール、及びラウリルアルコールから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。

0014

本発明は、また、上記液晶組成物を含む皮膚外用剤を提供する。

0015

前記皮膚外用剤は、特に化粧料である。

発明の効果

0016

本発明の液晶組成物は、水溶液と比べて皮膚へ浸透し易いため、薬剤キャリアとしての有用性が高い。しかも、本発明の液晶組成物は、分子量の大きな皮膚難浸透性薬剤表皮内に取り込ませることができる。さらに、本発明の液晶組成物は、水溶性機能性成分(例えばトラネキサム酸)や油溶性の機能性成分(例えばコエンザイムQ10)を液晶内に内包可能であり、薬剤キャリアしての汎用性が高い。

0017

表皮内に取り込まれた液晶組成物は、そこで薬剤を放出するため、表皮内で薬剤の効果を望む皮膚外用剤の用途に有用である。

0018

本発明の液晶組成物に分子量の大きい薬剤を内包させると、薬剤は表皮中に比較的長く停滞する。薬剤が表皮内に長く滞在することは、表皮内で機能させたい成分を含む保湿化粧品や美白化粧品のような皮膚外用剤に有用である。また、真皮内で機能を徐々に発揮させたい成分を含むアンチエイジング化粧品のような皮膚外用剤の用途も期待される。皮膚外用剤の機能性成分の放出を遅延又は抑制することで、機能性成分の効能を長期にわたって持続させる、投与量を削減する、過剰投与とそれによる副作用を低減する等の効果が期待される。

図面の簡単な説明

0019

本発明に従う液晶組成物に薬剤を内包させ、それを三次元培養皮膚モデルに適用したときの皮膚への浸透性を評価するために使用した実験装置概略模式図である。
図1の三次元培養皮膚モデルにおいて、皮膚への浸透性を評価するための薬剤モデルとして採用したフルオレセインNa(FL−Na)の培養皮膚を透過した量の経時変化を示す折れ線グラフである。試験開始当初は、水溶液及び比較例の組成物の培養皮膚透過量が高かったが、試験24時間後では、水溶液よりも3種の液晶組成物の方が培養皮膚透過量は高くなった。
図1の三次元培養皮膚モデルにおいて、FL−Na系の皮膚中量の測定結果を示す棒グラフである。皮膚中量は、水溶液と液晶組成物と間でほとんど差がなかった。
図1の三次元培養皮膚モデルにおいて、難皮膚浸透性の薬剤モデルとして採用したカルセインNa(CA−Na)の培養皮膚透過量の経時変化を示す折れ線グラフである。試験開始当初は、水溶液及び比較例の組成物の培養皮膚透過量が高かったが、試験24時間後では、比較例のみが、実施例及びや水溶液より高くなった。
CA−Na系の24時間後の皮膚中量の測定結果を示す棒グラフである。皮膚中量は、水溶液よりも3種の液晶組成物の方が高かった。さらに、液晶組成物同志を対比すると、比較例(逆ヘキサゴナル液晶相)よりも実施例(キュービック相)の方が有意に高かった。図4から、液晶組成物は、難皮膚浸透性の薬剤の皮膚への浸透量を上げるといえる。そして、図4及び5から、実施例1及び2の組成物は、表皮に取り込まれた薬剤を徐々に放出するといえる。

0020

本発明の液晶組成物は、(A)イソステアリルグリセリルエーテル、(B)炭素数が8〜22の脂肪酸モノグリセリド及び炭素数が8〜22の脂肪族アルコールからなる群から選ばれる少なくとも一種の油分、及び(C)水性溶媒を含み、前記液晶が、キュービック型液晶相を含むことを特徴とする。

0021

本発明では、前記液晶は、キュービック型液晶相を含む限り、逆ヘキサゴナル相のような他の液晶相との混晶でもよい。逆ヘキサゴナル型液晶及びキュービック型液晶は、いずれも高い粘度を有するゲル状を呈する。逆ヘキサゴナル型液晶は、偏光顕微鏡で光学組織像が見られる。一方、キュービック型液晶は、光学的に等方性であり、光学組織像は観察されない。キュービック液晶又はそれを含む混晶は、簡易には偏光顕微鏡での観察、詳細には液晶の小角X線散乱データのピーク値電気伝導度等から同定可能である。

0022

キュービック液晶の空間群は、Pn3m相、Im3m相又はIa3d相等のいずれでもよく、好ましくはPn3m相及びIm3m相であり、より好ましくはPn3m相である。

0023

上記キュービック液晶の構造は、球状ミセル又は逆ミセル立方晶を形成している不連続型(discontinuous、I型)、又は球状ミセル又は逆ミセルが連続的に広がった両連続型(bicontinuous、V型)のいずれでもよい。キュービック型液晶の構造は、また、水連続相1型)又はそれと逆構造の油連続相2型)のいずれでもよい。

0024

本発明の液晶組成物は、キュービック型液晶相を含むことが必須であるが、キュービック型液晶相と他の液晶相(例えば逆ヘキサゴナル液晶)との混晶でもよい。キュービック液晶と逆ヘキサゴナル液晶とでは、後述の実施例及び比較例に示すように、一定時間(例えば24時間)後の表皮からの透過率分配率)で示される薬剤の徐放性相違する。キュービック液晶と逆ヘキサゴナル液晶との混晶は、用途に適した徐放性を制御するのに有用である。キュービック液晶と逆ヘキサゴナル液晶との混晶の作製には、混晶の得られる液晶条件で混晶を一段階で作成する方法、あるいは各液晶を予め作製した後、任意の割有りで混合する二段階で作製する方法が挙げられる。

0025

成分(A)のイソステアリルグリセリルエーテルは、本発明の液晶組成物の液晶を形成するためのベース成分である。イソステアリルグリセリルエーエルは、水との共存系において逆ヘキサゴナル相型液晶(H2)を形成する。本発明に従って、イソステアリルグリセリルエーエルとともに、炭素数8〜22、好ましくは8〜18、より好ましくは8〜12の脂肪酸モノグリセリド、及び炭素数8〜22、好ましくは8〜18、より好ましくは8〜12の脂肪族アルコールからなる群から選ばれる少なくとも一種の油分を含む系では、キュービック型液晶を含む液晶を作製可能である。前記脂肪酸モノグリセリドや脂肪族アルコールの炭素数が8未満であると液晶を形成せず、逆に炭素数が22を超えると結晶化してしまう。

0026

前記脂肪酸モノグリセリドの構成脂肪酸は、飽和及び不飽和脂肪酸のいずれでもよい。前記脂肪酸モノグリセリドの具体例としては、カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル等が挙げられる。

0027

前記脂肪酸アルコールの構成脂肪酸は、飽和及び不飽和脂肪酸のいずれでもよい。前記脂肪族アルコールは、また、一価アルコール又は多価アルコールのいずれでもよい。前記脂肪族アルコールの具体例としては、イソステアリルアルコール、カプリリルグリコール、1,2−デカンジオール等が挙げられる。

0028

前記成分(A)の含有量は、成分(B)に応じて、適宜決められるが、組成物全体に対して、通常、0.01〜99.9質量%でよく、好ましくは0.01〜20質量%、特に好ましくは0.01〜10質量%である。

0029

前記成分(B)の含有量は、成分(B)に応じて、適宜決められるが、通常、組成物全体に対して、0.01〜99.9質量%でよく、好ましくは0.01〜20質量%であり、特に好ましくは0.01〜10質量%である。

0030

前記成分(A)と前記成分(B)と質量比(A:B)は、通常、1:0.01〜1でよく、好ましくは1:0.05〜1であり、特に好ましくは1:0.1〜1である。

0031

成分(C)の水性溶媒は、水であれば海水や植物から抽出した水であっても問題がない。水性溶媒の例には、超純水イオン交換水蒸留水滅菌水精製水硬水軟水天然水等が挙げられる。

0032

前記成分(C)の含有量は、組成物全体に対して、通常、0.01〜99.9質量%でよく、好ましくは1〜99.9質量%であり、特に好ましくは10〜99.9質量%である。

0033

本発明の液晶組成物には、液晶の形成及び保持を阻害しない限り、液晶作製に公知の助剤を添加可能である。そのような助剤の例として、分散剤(例えばPEG/PPG−200/70コポリマー)等が挙げられる。分散剤は、ゲル状態の液晶を微細化するのに有効である。

0034

本発明の液晶組成物は、公知の液晶製造方法に従って、成分(A)〜(C)及び適宜の助剤の混合物攪拌して混合することによって製造することができる。混合装置の例には、プロペラミキサータービンミキサーコロイドミルホモジナイザー超音波式ホモジナイザー、超高圧乳化分散装置等が挙げられる。

0035

超音波処理を用いた液晶組成物の製造例を以下に説明する。まず、成分(A)及び(B)を加熱混合した後、混合物を冷却する。その後、さらに成分(C)及び適宜の助剤を添加して、プローブ型超音波ホモジナイザーで超音波処理する。超音波処理時の温度は、特に制限がないが、冷却すると、液晶の粒径分布が狭くなるので分散時に系を冷却することが好ましい。超音波処理時間は、特に制限がないが、好ましくは10分間以上、好ましくは15分間以上である。超音波処理が5分間よりも短か過ぎると、ダマが存在することがある。

0036

本発明の液晶組成物中の液晶の粒径は、特に限定されないが、通常、10nm〜5,000nmでよく、好ましくは10〜1,000nmである。

0037

本発明の液晶組成物は、液晶の融点以下の温度で保存され、通常、5〜40℃でよく、好ましくは5〜25℃の温度で保存される。

0038

本発明は、上記液晶組成物の液晶内に皮膚外用剤の機能性成分(例えば保湿剤美白剤抗老化剤)を内包させた皮膚外用剤もまた提供する。上記皮膚外用剤には、化粧料や皮膚外用薬が含まれる。

0039

上記化粧料の例としては、保湿化粧品、美白化粧品、アンチエイジング化粧品、UV化粧品、クレンジング化粧品等スキンケア化粧品ヘアケア化粧品;ボディケア化粧品;ファンデーション等のメークアップ化粧品フレグランス化粧品等が挙げられる。

0040

前記皮膚外用薬の例としては、鎮痛薬皮膚炎症治療薬皮膚感染症治療薬、局所麻酔薬ホルモン補充療法治療薬、狭心症治療薬、過活動膀胱治療薬、注意欠陥多動性障害治療薬アルツハイマー型痴ほう症治療薬、尿崩症治療薬、避妊薬等が挙げられる

0041

上記皮膚外用剤の用途に基づいて選定される機能性成分は、分子量が500Da未満の皮膚に浸透し易い化合物、又は分子量が500Da以上の皮膚に浸透し難い化合物のいずれでもよい。また、これらの機能性成分は、水溶性(例えばトラネキサム酸)や油溶性(例えばコエンザイムQ10)であり得る。

0042

上記皮膚外用剤には、上記液晶組成物及び有効成分以外に、皮膚外用剤の分野で汎用の助剤を液晶の形成及び保持に障害とならない範囲で添加してもよい。そのような助剤の例として、水溶性高分子粘度調整剤pH調整剤キレート剤還元剤酸化剤、酸化防止剤防腐剤殺菌剤清涼剤収れん剤着色剤色素顔料染料香料等が挙げられる。

0043

本発明の皮膚外用剤中の有効成分の含有量は、液晶の形成や保持を阻害しない限り、皮膚外用剤の用途に応じて適宜決められる。

0044

本発明の皮膚外用剤において、液晶組成物への有効成分(例えば抗皮膚老化剤)及び適宜の助剤の配合は、上記液晶組成物の作製時又は作成後に行われる。好ましくは、本発明の液晶組成物の作製時に上記有効成分を添加して液晶内に有効成分が内包された液晶組成物を得、次いで、液晶組成物に適宜の助剤を配合して皮膚外用剤に仕上げる。

0045

上記皮膚外用剤の形態は、用途に応じて、水剤ローションスプレー液剤乳液ジェルクリーム軟膏等のような液状、半固形状又は固形状である。

0046

本発明に従う実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜10〕液晶組成物の調製と物性評価
(A)イソステアリルグリセリルエーテル/(B)各種油分/(C)水をベースとする系において、超音波処理操作による液晶の形成を調べる試験を行った。なお、各系での試験は、25℃にて3回行った。

0047

成分(A)としてイソステアリルグリセリルエーテル(製品名ペネトールGE−IS、花王株式会社製)、及び成分(B)として表1に示す各種油性組成物を表1に示す割合で混合した後、70℃の温度の水浴中で溶解した。この溶液を室温に戻した後、PEG/PPG−200/70コポリマー(製品名ユニルーブ70DP−950B、日油株式会社製、以下、分散剤という)、及び1,3−ブチレングリコール(以下、BGという)を、表1に示す割合で配合した。最後に、成分(C)として蒸留水を表1に示す割合で添加した。得られた混合物に対して、プローブ型超音波分散機(製品名:超音波ホモジナイザーUS−300T、株式会社日本精機製作所製)で15分間処理を行った。

0048

上記で得られた組成物の液晶相を偏光顕微鏡又は小角X線散乱法(SAXS)により同定した。結果を表1に示す。表中、逆ヘキサゴナル液晶相をH2と略記する。キュービック液晶相のうち空間群が判明しているものは、その空間群に基づいてPn3m又はIm3mと略記する。

0049

0050

表1の対照に示すように、イソステアリルグリセリルエーテル/水をベースとする液晶は、H2(逆ヘキサゴナル相)となることが確認された。イソステアリルグリセリルエーテル/油分/水をベースとする液晶を作製する場合、油分がシリコーンエステルでは液晶が得られず、脂肪族アルコール又は脂肪族モノグリセリドの添加が必要であることが判明した。さらに、前記脂肪族アルコール又は脂肪族モノグリセリドの炭素数が8〜22の範囲内でキュービック液晶が得られることが判明した。

0051

〔実施例11〜12〕薬剤含有液晶組成物の皮膚浸透試験
比較例4(H2)、実施例11(Pn3m)及び実施例12(Im3m)の液晶組成物の液晶内に薬剤を内包させた薬剤含有液晶組成物を作製し、その皮膚浸透試験を行った。対照として、薬剤水溶液の皮膚浸透試験も行った。

0052

(1)液晶に内包させる薬剤モデルの選定
皮膚の薬物透過性には、分子量500Da以下の分子は皮膚へ浸透し難いという500ダルトンルールが存在する。そこで、皮膚へ浸透し易い薬剤モデルとして蛍光試薬フルオレセインNa(分子量376.27、富士フイルム和光純薬株式会社製、以下、FL−Naという)、そして皮膚に浸透し難い薬剤モデルとして蛍光試薬カルセインNa(分子量644.51、東京化成工業株式会社製、以下、CA−Naという)を用意した。

0053

(2)薬剤含有液晶組成物の調製
液晶内に上記薬剤を内包する液晶組成物を、以下の手順で調製した。まず、イソステアリルグリセリルエーテルとカプリン酸グリセリルとを表2に示す質量比で混合した後、70℃の温度で加熱溶解した。この溶液を室温に戻した後、FL−Na水溶液又はCA−Na水溶液(いずれも濃度10mM)、ユニルーブ(分散剤)の5%水溶液、及び蒸留水を表2に示す質量比で配合した。得られた混合物を、前記プローブ型超音波分散機で15分間の処理を行った。対照として、前記蛍光試薬の10mM水溶液を用意した。

0054

0055

(3)皮膚浸透試験
薬剤の皮膚への浸透現象には、薬剤が表皮まで入る皮膚浸透(skin penetration)と、薬剤が表皮を通過する皮膚透過(skin permeation)の態様がある。薬剤の適用から一定時間後に表皮中に留まった薬剤量を「皮膚中量」と呼ぶ。薬剤の適用から一定時間後に表皮を通過した薬剤量を「皮膚透過量」と呼ぶ。さらに、一定時間後の皮膚中量と皮膚透過量の合計量を「総浸透量」と呼ぶ。

0056

上記薬剤含有液晶組成物の皮膚浸透試験を行うために、三次元培養皮膚モデル(製品名:ラボイトエピモデル、株式会社ジャパンティッシュエンジニアリング製)を用意した。三次元培養皮膚モデル実験装置である24穴マルチウェルプレート1の一ウェルプレート部分の概略断面図を、図1に示す。ウェルプレート1は、底面に多孔膜3を有するトランスウェルインサート2(以下、カップという)、及びそれを収めたウェル4からなる。上記カップ内に載置された培養細胞に薬剤を含有する水溶液又は液晶組成物を適用後、多孔膜3上の上方コンパートメント5内に保持された培養皮膚細胞X中に存在する薬剤量が皮膚中量に相当し、そして培養皮膚細胞Xを透過して多孔膜3下の下方コンパートメント6内に存在する薬剤量が皮膚透過量に相当する。

0057

マルチウェルプレートの各ウェル内に、レシーバー液PBS)1mLを添加した。三次元培養皮膚モデル製品の寒天培地から三次元培養皮膚モデルを取り出しPBSで洗浄した。洗浄後の各カップに薬剤水溶液(対照)又は薬剤含有液晶組成物を300μL添加した。

0058

薬剤水溶液又は薬剤含有液晶組成物の添加から、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、5、及び24時間後、各ウェル内のサンプル(薬剤を含有するPBS)を各200μL抜き取った。抜き取ったサンプル溶液内の薬剤濃度マイクロプレートリーダーで測定した。マイクロプレートリーダーの励起波長測定波長は、FL−Na:495nm/520nm、そしてCA−Na:488nm/525nmであった。マイクロプレートリーダーの測定値から、薬剤適用から一定時間後の薬剤の皮膚透過量を求めた。結果を図2及び4に示す。

0059

薬剤水溶液(対照)又は液晶組成物添加から24時間後に、カップ内の培養細胞を抜き取った。抜き取った細胞超音波破砕後、細胞と細胞内液とを遠心分離機で分離した。遠心分離後の上清の薬剤濃度を、前記マイクロプレートリーダーで測定した。マイクロプレートリーダーの測定値から、薬剤適用から24時間後の薬剤の皮膚中量を求めた。結果を図3及び5に示す。

0060

FL−Na系の皮膚透過量の経時変化(図2)を見ると、試験開始当初は、薬剤水溶液及び比較例の液晶組成物の皮膚透過量が高かった。適用24時間後では、薬剤水溶液よりも3種の液晶組成物の方が高くなった。

0061

FL−Na系の皮膚中量(図3)を見ると、皮膚中量は、対照の薬剤水溶液と3種の液晶組成物との間でほとんど差がなかった。

0062

CA−Na系の皮膚透過量の経時変化(図4)を見ると、薬剤適用開始当初は、薬剤水溶液及び比較例の液晶組成物の皮膚透過量が高かった。適用24時間後では、比較例の液晶組成物は、実施例の液晶組成物や対照の薬剤水溶液よりも高くなった。

0063

CA−Na系の24時間後の皮膚中量(図5)を見ると、皮膚中量は、水溶液よりも3種の液晶組成物の方が高かった。液晶組成物同志を対比すると、比較例(逆ヘキソゴナル相)よりも実施例(キュービック相)の方が有意に高かった。図4及び5から、実施例の液晶組成物は、24時間後の薬剤の総浸透量が多いにもかかわらず、表皮内中に薬剤を長く留めることができ、結果的に皮膚透過量が低くなった。

0064

FL−Na系及びCA−Na系の薬剤適用から24時間後の皮膚中量、皮膚透過量及び総浸透量を、表3に示す。また、薬剤適用から24時間後の表皮からの皮膚透過率を、下記式:



により求めた。結果を表3に示す。

0065

0066

表3に示すとおり、薬剤の総浸透量は、FL−Na系、CA−Na系ともに、実施例11及び12並びに比較例4の液晶組成物の方が、対照の薬剤水溶液よりも高くなった。これは、液晶の表面の親油性が高く、皮膚と馴染み易いため、薬剤の皮膚への取り込みが促進されたためと考えられる。特に、FL−Na系のような低分子量の薬剤と同様に、CA−Na系のような分子量が500を超える難皮膚浸透性の薬剤の皮膚への取り込みが促進されたことは、本発明を含む液晶組成物の有用性を示す。

0067

表皮内に取り込まれた液晶組成物は、表皮内で薬剤を放出するか、又は真皮へ透過する。FL−Na系の24時間後の表皮からの皮膚透過率を見ると、実施例11及び12並びに比較例4の液晶組成物と対照の薬剤水溶液とであまり差がなかった。すなわち、表皮内に留まっている液晶組成物から低分子量の薬剤が比較的速やかに放出されたと考えられる。

0068

一方、CA−Na系の24時間後の薬剤の表皮からのの皮膚透過率を見ると、実施例11及び12の液晶組成物は、対照の薬剤水溶液や比較例4の液晶組成物と比べて、有意に低い透過率を示した。これから、実施例11及び12は比較例4と比べて、薬剤が表皮中により長く停滞し、徐々に真皮へ移行したと考えられる。すなわち、本発明に従う液晶組成物によれば、難皮膚浸透性の薬剤を表皮に取り込むことができ、しかも表皮内に取り込まれた液晶及び薬剤を徐々に放出することができる。

実施例

0069

また、実施例11と実施例12とを対比すると、キュービック型の液晶相(Pn3m相やIm3m相)の相違によって一定時間後の薬剤の表皮透過率が異なる。キュービック相の選択は、表皮からの徐放性をより精緻に調整可能にする。これは、徐放性の必要な化粧料、皮膚外用剤、及び薬剤送達システムDDS)に極めて有用である。

0070

1マルチウェルプレート(一ウェルプレート部分)
2トランスウェルインサート
3多孔膜
4ウェル
5上方コンパートメント
6下方コンパートメント
X 培養皮膚細胞

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