図面 (/)

技術 ハイブリッド車両の制御装置

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 江渕弘章今村達也志村壮一朗勇陽一郎平田拓也酒谷昇吾萩本大河
出願日 2018年9月19日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-174627
公開日 2020年3月26日 (7ヶ月経過) 公開番号 2020-044967
状態 未査定
技術分野 車両の電気的な推進・制動 ハイブリッド電気車両
主要キーワード 切り替え過程 固定段 切り替え線 Loモード 積算電流値 消費エネルギー量 走行マップ 分割率
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年3月26日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題

EV走行中エンジンを適切に始動することが可能なハイブリッド車両制御装置を提供する。

解決手段

EV走行モードでエンジンを始動する場合における第1モータ発電電力が、第1EV走行モードの方が第2EV走行モードより大きくなるように構成されたハイブリッド車両の制御装置において、第1モータによってエンジンを始動する場合に、蓄電装置入力可能な電力閾値未満か否かを判断し、蓄電装置に入力可能な電力が閾値未満であると判断された場合に、第1EV走行モードの設定を禁止する。

概要

背景

特許文献1には、エンジン出力トルクを、動力分割機構により第1モータ側と出力側とに分割し、第1モータ側に伝達された動力電力として第2モータに伝達し、第2モータから出力されたトルクを、エンジンから直接伝達されるトルクに加算して走行するハイブリッド車両が記載されている。この動力分割機構は、第1クラッチ機構と第2クラッチ機構とを選択的に係合することにより第1モータ側に伝達する動力に対する出力側に伝達する動力の割合が比較的大きいハイブリッドローモードと、前記割合がハイブリッド・ローモードよりも小さいハイブリッド・ハイモードとを設定することができるように構成されている。また、この特許文献1に記載された車両は、ブレーキ機構を係合するとともに、前記第1クラッチ機構と第2クラッチ機構とのいずれか一方のクラッチ機構を係合することにより、エンジンを停止した状態で、駆動モータから第2リングギヤ駆動トルクを伝達して走行するEV走行モードを設定することができるように構成されている。

概要

EV走行中にエンジンを適切に始動することが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供する。EV走行モードでエンジンを始動する場合における第1モータの発電電力が、第1EV走行モードの方が第2EV走行モードより大きくなるように構成されたハイブリッド車両の制御装置において、第1モータによってエンジンを始動する場合に、蓄電装置入力可能な電力が閾値未満か否かを判断し、蓄電装置に入力可能な電力が閾値未満であると判断された場合に、第1EV走行モードの設定を禁止する。

目的

この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、EV走行中にエンジンを適切に始動することが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

エンジンと、発電機能を有する第1モータと、前記エンジンが連結された入力要素と、前記第1モータが連結された反力要素と、駆動輪トルクを伝達可能に連結された出力要素とを有する差動機構と、前記第1モータに電力を供給するとともに、前記第1モータが発電した場合に発電された電力が供給される蓄電装置とを備え、前記差動機構は、前記第1モータから駆動トルクを出力して走行する際における前記駆動輪の回転数に対する前記第1モータの回転数である回転数比が第1所定値となる第1EV走行モードと、前記回転数比が前記第1所定値よりも小さい第2所定値となる第2EV走行モードとの二つのEV走行モードを設定可能であって、かつ前記EV走行モードで前記エンジンを始動する場合における前記第1モータの発電電力が、前記第1EV走行モードの方が前記第2EV走行モードより大きくなるように構成されたハイブリッド車両制御装置において、前記第1EV走行モードと前記第2EV走行モードとを選択するコントローラを備え、前記コントローラは、前記第1EV走行モードと前記第2EV走行モードとを車速に応じて切り替わるように構成し、前記第1EV走行モードもしくは前記第2EV走行モードで前記第1モータによって前記エンジンをクランキングして前記エンジンを始動する場合に、前記蓄電装置に入力可能な電力が予め定められた閾値未満か否かを判断し、前記蓄電装置に入力可能な電力が前記閾値未満であると判断された場合に、前記第1EV走行モードの設定を禁止するように構成されていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

請求項2

請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記閾値は、前記エンジンを前記第1EV走行モードで始動する場合に要する電力であることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

請求項3

請求項1または2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記閾値は、第1閾値および第2閾値を含み、前記第1閾値は、現在の前記蓄電装置に入力可能な電力に対する閾値であって、前記第2閾値は、前記第1閾値より大きい前記蓄電装置に入力可能な電力が変化した場合における閾値であり、前記コントローラは、前記第1EV走行モードもしくは前記第2EV走行モードで前記エンジンを始動する場合に、前記蓄電装置に入力可能な電力の変化を予測し、前記予測された前記蓄電装置に入力可能な電力が前記第2閾値未満であるか否かを判断し、前記予測された前記蓄電装置に入力可能な電力が、前記第2閾値未満であると判断された場合に、前記第1EV走行モードの設定を禁止するように構成されていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

請求項4

請求項1から3のいずれか一項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記コントローラは、前記第1EV走行モードで走行している場合に、前記蓄電装置に入力可能な電力が前記閾値未満であると判断された場合に、前記第1EV走行モードの設定を禁止して前記第2EV走行モードを設定し、前記第2EV走行モードで走行している場合に、前記蓄電装置に入力可能な電力が前記閾値未満であると判断された場合に、前記第2EV走行モードを維持するように構成されていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

請求項5

請求項1から4のいずれか一項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記コントローラは、前記エンジンを前記第2EV走行モードから前記第1EV走行モードへの移行過渡期に始動する場合に、前記蓄電装置に入力可能な電力が前記閾値未満か否かを判断し、前記蓄電装置に入力可能な電力が前記閾値未満であると判断された場合に、前記第1EV走行モードへの移行を中止し、かつ前記第2EV走行モードへ再度移行するように構成されていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

請求項6

請求項1から5のいずれか一項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記蓄電装置は、出力密度およびエネルギ密度が異なる二つの蓄電デバイスを備え、前記コントローラは、前記エンジンを始動する場合に、前記蓄電装置における一方の蓄電デバイスにおける前記入力可能な電力が前記閾値未満であると判断された場合に、前記一方の蓄電デバイスの電力を前記蓄電装置における他方の蓄電デバイスに移動するように構成されていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

請求項7

請求項1から6のいずれか一項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記コントローラは、前記ハイブリッド車両が減速して前記第1EV走行モードを設定する場合、前記ハイブリッド車両の停止を待って前記第1EV走行モードを設定するように構成されていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

請求項8

請求項1から7のいずれか一項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記閾値は、前記車速に比例して変化するように構成されていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

請求項9

請求項1から8のいずれか一項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記駆動輪にトルクを伝達可能に連結された第2モータを更に備え、前記差動機構は、第1入力要素、第1反力要素、および、第1出力要素の3つの回転要素によって差動作用を行う第1遊星歯車機構と、第2入力要素、第2反力要素、および、第2出力要素の3つの回転要素によって差動作用を行う第2遊星歯車機構と、前記第1入力要素と前記第2入力要素とを選択的に連結する第1係合機構と、前記第2遊星歯車機構における少なくともいずれか2つの前記回転要素を選択的に連結して前記第2遊星歯車機構を一体化させる第2係合機構と、前記エンジンおよび前記第1入力要素の回転を選択的に止める第3係合機構とを備え、前記第1入力要素は、前記エンジンに連結され、前記第1反力要素は、前記第1モータに連結され、前記第1出力要素は、前記第2入力要素に連結され、前記第2出力要素は、前記駆動輪側の部材に連結されていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

技術分野

0001

この発明は、エンジンモータとを駆動力源として備えたハイブリッド車両制御装置に関するものである。

背景技術

0002

特許文献1には、エンジンの出力トルクを、動力分割機構により第1モータ側と出力側とに分割し、第1モータ側に伝達された動力電力として第2モータに伝達し、第2モータから出力されたトルクを、エンジンから直接伝達されるトルクに加算して走行するハイブリッド車両が記載されている。この動力分割機構は、第1クラッチ機構と第2クラッチ機構とを選択的に係合することにより第1モータ側に伝達する動力に対する出力側に伝達する動力の割合が比較的大きいハイブリッドローモードと、前記割合がハイブリッド・ローモードよりも小さいハイブリッド・ハイモードとを設定することができるように構成されている。また、この特許文献1に記載された車両は、ブレーキ機構を係合するとともに、前記第1クラッチ機構と第2クラッチ機構とのいずれか一方のクラッチ機構を係合することにより、エンジンを停止した状態で、駆動モータから第2リングギヤ駆動トルクを伝達して走行するEV走行モードを設定することができるように構成されている。

先行技術

0003

特開2017−007437号公報

発明が解決しようとする課題

0004

上述したように、特許文献1に記載された車両は、ハイブリッド・ローモードとハイブリッド・ハイモードとを設定することができるように構成されている。また、特許文献1に記載された車両では、EV走行モードにおいても、同様にローモードとハイモードとを設定することができる。具体的には、ブレーキ機構を係合するとともに、第1クラッチ機構を係合することにより、EV・ローモードを設定し、一方、ブレーキ機構を係合するとともに、第2クラッチ機構を係合することにより、EV・ハイモードを設定することができる。

0005

また、このEV・ローモードもしくはEV・ハイモードで走行中にエンジンの始動要求があった場合には、第1モータでエンジンをクランキングする。そのエンジンのクランキングにおいて、第1モータは発電(すなわち回生)しつつ、エンジンをクランキングするものの、その際の発電パワーはEV・ローモードの方がEV・ハイモードより大きくなる。そのため、例えばEV・ローモードで走行している際に、蓄電装置入力可能な電力(蓄電装置に受け入れ可能な電力)の上限値が低い場合(すなわち制限されている場合)には、その制限によりエンジンの始動要求があるにも拘わらず、エンジンをクランキングできない、あるいは、スムーズにエンジンをクランキングできないおそれがある。なお、上記の蓄電装置に入力可能な電力の上限値は、例えば蓄電装置の充電残量や蓄電装置の温度に応じて刻々と変化する。したがって、このような状況下において、適切にエンジンを始動するには、未だ改善の余地があった。

0006

この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、EV走行中にエンジンを適切に始動することが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0007

上記の目的を達成するために、この発明は、エンジンと、発電機能を有する第1モータと、前記エンジンが連結された入力要素と、前記第1モータが連結された反力要素と、駆動輪にトルクを伝達可能に連結された出力要素とを有する差動機構と、前記第1モータに電力を供給するとともに、前記第1モータが発電した場合に発電された電力が供給される蓄電装置とを備え、前記差動機構は、前記第1モータから駆動トルクを出力して走行する際における前記駆動輪の回転数に対する前記第1モータの回転数である回転数比が第1所定値となる第1EV走行モードと、前記回転数比が前記第1所定値よりも小さい第2所定値となる第2EV走行モードとの二つのEV走行モードを設定可能であって、かつ前記EV走行モードで前記エンジンを始動する場合における前記第1モータの発電電力が、前記第1EV走行モードの方が前記第2EV走行モードより大きくなるように構成されたハイブリッド車両の制御装置において、前記第1EV走行モードと前記第2EV走行モードとを選択するコントローラを備え、前記コントローラは、前記第1EV走行モードと前記第2EV走行モードとを車速に応じて切り替わるように構成し、前記第1EV走行モードもしくは前記第2EV走行モードで前記第1モータによって前記エンジンをクランキングして前記エンジンを始動する場合に、前記蓄電装置に入力可能な電力が予め定められた閾値未満か否かを判断し、前記蓄電装置に入力可能な電力が前記閾値未満であると判断された場合に、前記第1EV走行モードの設定を禁止するように構成されていることを特徴とするものである。

0008

また、この発明では、前記閾値は、前記エンジンを前記第1EV走行モードで始動する場合に要する電力であってよい。

0009

また、この発明では、前記閾値は、第1閾値および第2閾値を含み、前記第1閾値は、現在の前記蓄電装置に入力可能な電力に対する閾値であって、前記第2閾値は、前記第1閾値より大きい前記蓄電装置に入力可能な電力が変化した場合における閾値であり、前記コントローラは、前記第1EV走行モードもしくは前記第2EV走行モードで前記エンジンを始動する場合に、前記蓄電装置に入力可能な電力の変化を予測し、前記予測された前記蓄電装置に入力可能な電力が前記第2閾値未満であるか否かを判断し、前記予測された前記蓄電装置に入力可能な電力が、前記第2閾値未満であると判断された場合に、前記第1EV走行モードの設定を禁止するように構成されてよい。

0010

また、この発明では、前記コントローラは、前記第1EV走行モードで走行している場合に、前記蓄電装置に入力可能な電力が前記閾値未満であると判断された場合に、前記第1EV走行モードの設定を禁止して前記第2EV走行モードを設定し、前記第2EV走行モードで走行している場合に、前記蓄電装置に入力可能な電力が前記閾値未満であると判断された場合に、前記第2EV走行モードを維持するように構成されてよい。

0011

また、この発明では、前記コントローラは、前記エンジンを前記第2EV走行モードから前記第1EV走行モードへの移行過渡期に始動する場合に、前記蓄電装置に入力可能な電力が前記閾値未満か否かを判断し、前記蓄電装置に入力可能な電力が前記閾値未満であると判断された場合に、前記第1EV走行モードへの移行を中止し、かつ前記第2EV走行モードへ再度移行するように構成されてよい。

0012

また、この発明では、前記蓄電装置は、出力密度およびエネルギ密度が異なる二つの蓄電デバイスを備え、前記コントローラは、前記エンジンを始動する場合に、前記蓄電装置における一方の蓄電デバイスにおける前記入力可能な電力が前記閾値未満であると判断された場合に、前記一方の蓄電デバイスの電力を前記蓄電装置における他方の蓄電デバイスに移動するように構成されてよい。

0013

また、この発明では、前記コントローラは、前記ハイブリッド車両が減速して前記第1EV走行モードを設定する場合、前記ハイブリッド車両の停止を待って前記第1EV走行モードを設定するように構成されてよい。

0014

また、この発明では、前記閾値は、前記車速に比例して変化するように構成されてよい。

0015

そして、この発明では、前記駆動輪にトルクを伝達可能に連結された第2モータを更に備え、前記差動機構は、第1入力要素、第1反力要素、および、第1出力要素の3つの回転要素によって差動作用を行う第1遊星歯車機構と、第2入力要素、第2反力要素、および、第2出力要素の3つの回転要素によって差動作用を行う第2遊星歯車機構と、前記第1入力要素と前記第2入力要素とを選択的に連結する第1係合機構と、前記第2遊星歯車機構における少なくともいずれか2つの前記回転要素を選択的に連結して前記第2遊星歯車機構を一体化させる第2係合機構と、前記エンジンおよび前記第1入力要素の回転を選択的に止める第3係合機構とを備え、前記第1入力要素は、前記エンジンに連結され、前記第1反力要素は、前記第1モータに連結され、前記第1出力要素は、前記第2入力要素に連結され、前記第2出力要素は、前記駆動輪側の部材に連結されてよい。

発明の効果

0016

この発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、第1EV走行モードもしくは第2EV走行モードにおいて、第1モータによってエンジンをクランキングして前記エンジンを始動する場合に、蓄電装置に入力可能な電力(すなわち許容電力)が予め定められた閾値未満か否か判断するように構成されている。そして、その入力可能な電力が閾値未満の場合には、エンジンをクランキングする際の発電電力(発電パワー)が大きい第1EV走行モードの設定を禁止するように構成されている。すなわち、第1EV走行モードを禁止して、第2EV走行モードを設定するように構成されている。したがって、この状況において、エンジンの始動要求があった場合には、エンジンの始動に要する発電パワー(すなわち充電パワー)は第1EV走行モードに比べて小さくなる。そのため、蓄電装置に受け入れ可能な電力の制限によってエンジンの始動ができなくなること、ならびに、エンジンのクランキングをスムーズにできなくなることを抑制もしくは回避できる。

0017

また、この発明によれば、走行モードを切り替え過程における前記蓄電装置に入力可能な電力の変化を予測して、第1EV走行モードの設定を許可するか否かを判断するように構成されている。上述したように、蓄電装置に入力可能な電力は蓄電装置の充電残量や蓄電装置の温度によって刻々と変化するから、走行モードの切り替え過程においても変化する。具体的には、例えばリチウム析出要因として急激に蓄電装置に入力可能な電力が低下することが予測され、その予測された蓄電装置に入力可能な電力が、閾値未満になると判断される場合には、第1EV走行モードの設定を禁止するように構成されている。したがって、この場合においても、第1EV走行モードでのエンジンの始動を禁止して、第2EV走行モードでエンジンを始動するから蓄電装置の制限によりエンジンの始動ができない、あるいは、エンジンの始動がスムーズにできなくなることを抑制もしくは回避できる。

0018

また、この発明によれば、車速が低下して、第2EV走行モードから第1EV走行モードへの移行の過渡期において、前記蓄電装置に入力可能な電力が閾値未満であると判断された場合には、前記第1EV走行モードの設定を禁止して、再度第2EV走行モードへ移行するように構成されている。つまり、走行モードの切り替えの過渡期においても第1EV走行モードでのエンジンの始動を禁止して、第2EV走行モードでエンジンを始動するように構成されている。そのため、蓄電装置の制限によりエンジンの始動ができない、あるいは、エンジンの始動がスムーズにできなくなることを抑制もしくは回避できる。

0019

また、この発明によれば、蓄電装置は二つの蓄電デバイスを備え、一方の蓄電デバイスにおける入力可能な電力が閾値未満であると判断された場合には、その一方の蓄電デバイスの電力を他方の蓄電デバイスに移動(供給)するように構成されている。その結果、互いの蓄電デバイスにおける入力可能な電力が閾値以上となるので、車速に応じた走行モードでのエンジンの始動およびエンジンのクランキングが可能となる。

図面の簡単な説明

0020

第1駆動装置の一例を説明するためのスケルトン図である。
第2駆動装置の一例を説明するためのスケルトン図である。
蓄電装置の特性を説明する図である。
蓄電装置を複数の蓄電デバイスから構成した例を説明する図である。
電子制御装置(ECU)の構成を説明するためのブロック図である。
各走行モードでのクラッチ機構、ブレーキ機構の係合および解放の状態、モータの運転状態、エンジンの駆動の有無をまとめて示す図表である。
HV-Hiモードでの動作状態を説明するための共線図である。
HV-Loモードでの動作状態を説明するための共線図である。
直結モードでの動作状態を説明するための共線図である。
EV-Loモードでの動作状態を説明するための共線図である。
EV-Hiモードでの動作状態を説明するための共線図である。
シングルモードでの動作状態を説明するための共線図である。
CSモードが選択されている際に各走行モードを定めるためのマップの一例を示す図である。
CDモードが選択されている際に各走行モードを定めるためのマップの一例を示す図である。
この発明の実施形態における制御例(第1実施例)を説明するフローチャートである。
車速と閾値との関係を説明する図である。
図15に示す制御例を実行した場合における各パラメータの変化を説明するためのタイムチャートである。
この発明の実施形態における他の制御例(第2実施例)を説明するフローチャートである。
図18に示す制御例を実行した場合における各パラメータの変化を説明するためのタイムチャートである。
この発明の実施形態における他の制御例(第3実施例)を説明するフローチャートである。
図20に示す制御例を実行した場合における各パラメータの変化を説明するためのタイムチャートである。
この発明の実施形態における他の制御例(第4実施例)を説明するタイムチャートである。
第3駆動装置の一例を説明するためのスケルトン図である。
図23に示すギヤトレーンを用いた車両における各走行モードでの各係合機構の係合および解放の状態をまとめて示す図表である。

実施例

0021

この発明の実施形態におけるハイブリッド車両(以下、車両と記す)Veの一例を図1および図2を参照して説明する。図1は、前輪1R,1Lを駆動するための第1駆動装置2を示し、図2は、後輪3R,3Lを駆動するための第2駆動装置4を示している。第1駆動装置2は、エンジン5と二つのモータ6,7とを駆動力源として備えたいわゆる2モータタイプの駆動装置であって、第1モータ6は発電機能のあるモータ(すなわちモータ・ジェネレータ:MG1)によって構成され、エンジン5の回転数を第1モータ6によって制御するとともに、第1モータ6で発電された電力により第2モータ7を駆動し、その第2モータ7が出力する駆動力を走行のための駆動力に加えるように構成されている。なお、第2モータ7は発電機能のあるモータ(すなわちモータ・ジェネレータ:MG2)によって構成することができる。

0022

エンジン5には、この発明の実施形態における差動機構に相当する動力分割機構8が連結されている。この動力分割機構8は、エンジン5から出力されたトルクを第1モータ6側と出力側とに分割する機能を主とする分割部9と、そのトルクの分割率を変更する機能を主とする変速部10とにより構成されている。

0023

分割部9は、三つの回転要素によって差動作用を行う構成であればよく、遊星歯車機構を採用することができる。図1に示す例では、シングルピニオン型の遊星歯車機構(第1遊星歯車機構)によって構成されている。図1に示す分割部9は、サンギヤ11と、サンギヤ11に対して同心円上に配置された、内歯歯車であるリングギヤ12と、これらサンギヤ11とリングギヤ12との間に配置されてサンギヤ11とリングギヤ12とに噛み合っているピニオンギヤ13と、ピニオンギヤ13を自転および公転可能に保持するキャリヤ14とにより構成されている。そのサンギヤ11が主に反力要素(第1反力要素)として機能し、リングギヤ12が主に出力要素(第1出力要素)として機能し、キャリヤ14が主に入力要素(第1入力要素)として機能する。

0024

エンジン5が出力した動力が前記キャリヤ14に入力されるように構成されている。具体的には、エンジン5の出力軸15に、動力分割機構8の入力軸16が連結され、その入力軸16がキャリヤ14に連結されている。なお、キャリヤ14と入力軸16とを直接連結する構成に替えて、歯車機構などの伝動機構を介してキャリヤ14と入力軸16とを連結してもよい。また、その出力軸15と入力軸16との間にダンパ機構トルクコンバータなどの機構を配置してもよい。

0025

サンギヤ11に第1モータ6が連結されている。図1に示す例では、分割部9および第1モータ6は、エンジン5の回転中心軸線と同一の軸線上に配置され、第1モータ6は分割部9を挟んでエンジン5とは反対側に配置されている。この分割部9とエンジン5との間で、これら分割部9およびエンジン5と同一の軸線上に、その軸線の方向に並んで変速部10が配置されている。

0026

変速部10は、シングルピニオン型の遊星歯車機構(第2遊星歯車機構)によって構成されており、サンギヤ17と、サンギヤ17に対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ18と、これらサンギヤ17とリングギヤ18との間に配置されてこれらサンギヤ17およびリングギヤ18に噛み合っているピニオンギヤ19と、ピニオンギヤ19を自転および公転可能に保持しているキャリヤ20とを有し、サンギヤ17、リングギヤ18、およびキャリヤ20の三つの回転要素によって差動作用を行う差動機構である。この変速部10におけるサンギヤ17に分割部9におけるリングギヤ12が連結されている。また、変速部10におけるリングギヤ18に、出力ギヤ21が連結されている。なお、上記のサンギヤ17がこの発明の実施形態における「第2反力要素」に相当し、キャリヤ20がこの発明の実施形態における「第2入力要素」に相当し、リングギヤ18がこの発明の実施形態における「第2出力要素」に相当する。

0027

上記の分割部9と変速部10とが複合遊星歯車機構を構成するように第1クラッチ機構(第1係合機構)CL1が設けられている。第1クラッチ機構CL1は、変速部10におけるキャリヤ20を、分割部9におけるキャリヤ14に選択的に連結するように構成されている。具体的には、入力軸16に回転盤14aが設けられ、その回転盤14aと変速部10におけるキャリヤ20とを係合するように第1クラッチ機構CL1が設けられている。この第1クラッチ機構CL1は、湿式多板クラッチなどの摩擦式のクラッチ機構であってもよく、あるいはドグクラッチなどの噛み合い式のクラッチ機構であってもよい。または、制御信号が入力されることにより連結状態解放状態とを切り替え、かつ制御信号が入力されていない場合に、制御信号が入力されなくなる直前の状態(連結状態または解放状態)を維持するように構成されたいわゆるノーマルステイ型のクラッチ機構であってもよい。この第1クラッチ機構CL1を係合させることにより分割部9におけるキャリヤ14と変速部10におけるキャリヤ20とが連結されてこれらが入力要素となり、また分割部9におけるサンギヤ11が反力要素となり、さらに変速部10におけるリングギヤ18が出力要素となった複合遊星歯車機構が形成される。すなわち、入力軸16と第1モータ6の出力軸6aと、後述するドリブンギヤ23とが差動回転できるように複合遊星歯車機構が構成されている。

0028

さらに、変速部10の全体を一体化させるための第2クラッチ機構(第2係合機構)CL2が設けられている。この第2クラッチ機構CL2は、変速部10におけるキャリヤ20とリングギヤ18もしくはサンギヤ17、あるいはサンギヤ17とリングギヤ18とを連結するなどの少なくともいずれか二つの回転要素を連結するためのものであって、摩擦式、噛み合い式、あるいは、ノーマルステイ型のクラッチ機構によって構成することができる。図1に示す例では、第2クラッチ機構CL2は、変速部10におけるキャリヤ20とリングギヤ18とを連結するように構成されている。具体的には、キャリヤ20と一体に回転する回転盤20aが設けられ、その回転盤20aと変速部10におけるリングギヤ18とを係合するように第2クラッチ機構CL2が設けられている。

0029

そして、第1クラッチ機構CL1および第2クラッチ機構CL2は、エンジン5および分割部9ならびに変速部10と同一の軸線上に配置され、かつ変速部10を挟んで分割部9とは反対側に配置されている。なお、各クラッチ機構CL1,CL2同士は、図1に示すように、半径方向で内周側と外周側とに並んだ状態に配置されていてもよく、あるいは軸線方向に並んで配置されていてもよい。図1に示すように半径方向に並べて配置した場合には、第1駆動装置2の全体としての軸長を短くすることができる。また、軸線方向に並べて配置した場合には、各クラッチ機構CL1,CL2の外径制約が少なくなるので、摩擦式のクラッチ機構を採用した場合には、摩擦板枚数を少なくすることができる。

0030

上記のエンジン5や分割部9あるいは変速部10の回転中心軸線と平行にカウンタシャフト22が配置されている。前記出力ギヤ21に噛み合っているドリブンギヤ23がこのカウンタシャフト22に取り付けられている。また、カウンタシャフト22にはドライブギヤ24が取り付けられており、このドライブギヤ24が終減速機であるデファレンシャルギヤユニット25におけるリングギヤ26に噛み合っている。さらに、前記ドリブンギヤ23には、第2モータ7におけるロータシャフト27に取り付けられたドライブギヤ28が噛み合っている。したがって、前記出力ギヤ21から出力された動力もしくはトルクに、第2モータ7が出力した動力もしくはトルクを、上記のドリブンギヤ23の部分で加えるように構成されている。このようにして合成された動力もしくはトルクをデファレンシャルギヤユニット25から左右のドライブシャフト29に出力し、その動力やトルクが前輪1R,1Lに伝達されるように構成されている。

0031

さらに、第1駆動装置2は、第1モータ6から出力された駆動トルクを、前輪1R,1Lに伝達することができるように、出力軸15または入力軸16を選択的に固定可能に構成された、摩擦式あるいは噛み合い式の第1ブレーキ機構(第3係合機構)B1が設けられている。すなわち、第1ブレーキ機構B1を係合して出力軸15または入力軸16を固定することにより、分割部9におけるキャリヤ14や、変速部10におけるキャリヤ20を反力要素として機能させ、分割部9におけるサンギヤ11を入力要素として機能させることができるように構成されている。なお、第1ブレーキ機構B1は、第1モータ6が駆動トルクを出力した場合に、反力トルクを発生させることができればよく、出力軸15または入力軸16を完全に固定する構成に限らず、要求される反力トルクを出力軸15または入力軸16に作用させることができればよい。または、出力軸15や入力軸16が、エンジン5の駆動時に回転する方向とは逆方向に回転することを禁止するワンウェイクラッチを第1ブレーキ機構B1に代えて設けてもよい。

0032

第2駆動装置4は、リアモータ30の動力もしくはトルクを後輪3R,3Lに伝達するように構成されている。なお、便宜上、左側の後輪3Lは図示していない。このリアモータ30は、第1モータ6および第2モータ7と同様に、発電機能のあるモータ(すなわちモータ・ジェネレータ:MGR)によって構成されている。リアモータ30には、リアモータ30のトルクを増幅する減速段と、リアモータ30のトルクを変化させずにそのまま出力する固定段とを選択的に切り替えることができるように構成された変速機構31が連結されている。

0033

図2に示す変速機構31は、サンギヤ32と、サンギヤ32に対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ33と、これらサンギヤ32とリングギヤ33との間に配置されてサンギヤ32とリングギヤ33とに噛み合うピニオンギヤ34と、ピニオンギヤ34を自転および公転可能に保持しているキャリヤ35とを有する、シングルピニオン型の遊星歯車機構により構成されている。

0034

変速機構31のサンギヤ32は、リアモータ30に連結されており、入力要素として機能する。キャリヤ35は、出力軸36に連結されており、反力要素として機能する。そして、変速機構31を固定段として機能させるための第3クラッチ機構CL3が設けられている。この第3クラッチ機構CL3は、変速機構31におけるサンギヤ32とリングギヤ33もしくはキャリヤ35、あるいはリングギヤ33とキャリヤ35とを連結するなどの少なくともいずれか二つの回転要素を連結するためのものであって、摩擦式あるいは噛み合い式のクラッチ機構によって構成することができる。図2に示す例では、第3クラッチ機構CL3は、変速機構31におけるリングギヤ33とキャリヤ35とを連結するように構成されている。

0035

さらに、変速機構31を減速段として機能させるための第2ブレーキ機構B2が設けられている。この第2ブレーキ機構B2は、変速機構31におけるリングギヤ33を選択的に固定するように構成された、摩擦式あるいは噛み合い式の係合機構によって構成することができる。図2に示す第2ブレーキ機構B2は、第2駆動装置4を収容するケースなどの固定部Cとリングギヤ33とを係合することにより、リングギヤ33を固定するように構成されている。このように第2ブレーキ機構B2によりリングギヤ33が固定されることでリングギヤ33が反力要素として機能する。なお、第2ブレーキ機構B2は、リングギヤ33を完全に固定するものに限らない。

0036

変速機構31の出力軸36には、ドライブギヤ37が取り付けられている。出力軸36と平行にカウンタシャフト38が配置されており、そのカウンタシャフト38の一方の端部に、ドライブギヤ37と噛み合うドリブンギヤ39が取り付けられている。このドリブンギヤ39は、ドライブギヤ37よりも大径に形成されており、変速機構31の出力トルクを増幅するように構成されている。カウンタシャフト38の他方の端部には、ドライブギヤ40が取り付けられており、このドライブギヤ40が終減速機であるデファレンシャルギヤユニット41におけるリングギヤ42に噛み合っている。デファレンシャルギヤユニット41には、ドライブシャフト43が連結されており、そのドライブシャフト43を介して後輪3R,3Lに、リアモータ30から出力された動力が伝達されるように構成されている。

0037

第1モータ6にインバータコンバータなどを備えた第1電力制御装置44が連結され、第2モータ7にインバータやコンバータなどを備えた第2電力制御装置45が連結され、リアモータ30にインバータやコンバータなどを備えた第3電力制御装置46が連結され、それらの各電力制御装置44,45,46が、リチウムイオン電池キャパシタ全固体電池などから構成された蓄電装置47に電気的に連結されている。また、上記第1電力制御装置44と第2電力制御装置45および第3電力制御装置46とが相互に電力を供給できるように構成されている。具体的には、第1モータ6が反力トルクを出力することに伴って発電機として機能する場合には、第1モータ6で発電された電力を蓄電装置47を介することなく、第2モータ7やリアモータ30に電力を供給することができるように構成されている。

0038

なお、上記の蓄電装置47は、上述したようにリチウムイオン電池、キャパシタ、全固体電池などによって構成されるものの、それら蓄電デバイスは、それぞれ特性が異なる。具体的には、単位体積当たりの出力密度およびエネルギ密度が異なり、言い換えれば充放電の速度(あるいは効率)および容量が異なる。図3は、キャパシタ、リチウムイオン電池、および、全固体電池の特性を説明する図であって、縦軸に出力密度を示し、横軸にエネルギ密度を示している。この図3から把握できるように、キャパシタは特に出力密度が高く(出力型)、また全固体電池は特にエネルギ密度が高く(容量型)、そしてリチウムイオン電池はキャパシタおよび全固体電池の特徴をそれぞれ備えている(中間型)。

0039

したがって、車両Veは、蓄電装置47を単一の蓄電デバイスから構成するに限られず、上記の各蓄電デバイスの特性を考慮して複数の蓄電デバイスから構成してもよい。この発明の実施形態における車両Veでは、図4に示すように高出力の蓄電装置(例えばキャパシタ)47aと、大容量の蓄電装置(例えば全固体電池)47bと、それら蓄電デバイスを切り替えるスイッチSW1と、蓄電装置47aと蓄電装置47bとの間で電力の移動を可能にするスイッチSW2とを備えている。そのため、例えばアクセル操作されることにより出力が要求される場合には、スイッチSW1で高出力の蓄電装置47aを駆動回路へ接続する。一方、例えば定常走行の際には、大容量の蓄電装置47bに接続されるようにスイッチSW1を切り替える。

0040

そして、例えば蓄電装置47aのSOCが満充電に近い場合など所定値以上の場合には、スイッチSW2をオンにすることで蓄電装置47aから蓄電装置47bに電力が移動する。つまり、蓄電装置47を複数の蓄電デバイスから構成することにより、一方の蓄電デバイスの特性(例えばSOC)が過多になった場合であっても、他方の蓄電デバイスで、その特性を補うように構成されている。図4の例で言えば、蓄電装置47aから蓄電装置47bに電力を供給することにより、蓄電装置47aのSOCが低下し、入力可能な電力(Win)が制限されることを抑制できる。なお、図4に示す例では、スイッチSW1は駆動回路と蓄電装置47aとを接続し、スイッチSW2はオフとされている。また、この図4に示す例では、蓄電装置47は、高出力のキャパシタと大容量の全固体電池とから構成された例を説明したものの、この構成は、車種や車両の構造等によって適宜の構成としてよい。

0041

上記の各電力制御装置44,45,46におけるインバータやコンバータ、エンジン5、各クラッチ機構CL1,CL2,CL3、および各ブレーキ機構B1,B2を制御するための電子制御装置(ECU)48が設けられている。このECU48は、この発明の実施形態における「コントローラ」に相当するものであり、マイクロコンピュータ主体にして構成されている。図5は、ECU48の構成の一例を説明するためのブロック図である。図5に示す例では、統合ECU49、MG-ECU50、エンジンECU51、クラッチECU52、および、バッテリECU53によりECU48が構成されている。

0042

統合ECU49は、車両Veに搭載された種々のセンサからデータが入力され、その入力されたデータと、予め記憶されているマップや演算式などとに基づいて、MG-ECU50、エンジンECU51、およびクラッチECU52に指令信号を出力するように構成されている。統合ECU49に入力されるデータの一例を図5に示してあり、車速、アクセル開度、第1モータ(MG1)6の回転数、第2モータ(MG2)7の回転数、リアモータ(MGR)30の回転数、エンジン5の出力軸15の回転数(エンジン回転数)、変速部10におけるカウンタシャフト22の回転数である出力回転数、各クラッチ機構CL1,CL2,CL3や各ブレーキ機構B1,B2に設けられたピストンストローク量、蓄電装置47の温度、各電力制御装置44,45,46の温度、第1モータ6の温度、第2モータ7の温度、リアモータ30の温度、分割部9や変速部10あるいは変速機構31などを潤滑するオイル(ATF)の温度、蓄電装置47の充電残量(SOC)などのデータが、統合ECU49に入力される。

0043

そして、統合ECU49に入力されたデータなどに基づいて第1モータ6の運転状態(出力トルクや回転数)、第2モータ7の運転状態(出力トルクや回転数)、リアモータ30の運転状態(出力トルクや回転数)を求めて、それらの求められたデータを指令信号としてMG-ECU50に出力する。同様に、統合ECU49に入力されたデータなどに基づいてエンジン5の運転状態(出力トルクや回転数)を求めて、その求められたデータを指令信号としてエンジンECU51に出力する。同様に、統合ECU49に入力されたデータなどに基づいて各クラッチ機構CL1,CL2,CL3、および各ブレーキ機構B1,B2の伝達トルク容量(「0」を含む)を求めて、それらの求められたデータを指令信号としてクラッチECU52に出力する。さらに、統合ECU49に入力されたデータなどに基づいて蓄電装置47のSOCや電流値(ならびに電力)を求めて、その求められたデータを指令信号しとしてバッテリECU53に出力する。

0044

MG-ECU50は、上記のように統合ECU49から入力されたデータに基づいて各モータ6,7,30に通電するべき電流値を求めて、各モータ6,7,30に指令信号を出力する。各モータ6,7,30は、交流式のモータであるから、上記の指令信号は、インバータで生成するべき電流周波数や、コンバータで昇圧するべき電圧値などが含まれる。

0045

エンジンECU51は、上記のように統合ECU49から入力されたデータに基づいて電子スロットルバルブ開度を定めるための電流、点火装置燃料着火するための電流、EGR(Exhaust Gas Recirculation)バルブの開度を定めるための電流、吸気バルブ排気バルブの開度を定めるための電流値などを求め、それぞれのバルブや装置に指令信号を出力する。すなわち、エンジン5の出力(パワー)や、エンジン5の出力トルク、もしくはエンジン回転数を制御するための指示信号を、エンジンECU51から出力する。

0046

クラッチECU52は、上記のように統合ECU49から入力されたデータに基づいて各クラッチ機構CL1,CL2,CL3、および各ブレーキ機構B1,B2の係合圧を定めるアクチュエータに通電するべき電流値を求めて、それぞれのアクチュエータに指令信号を出力する。

0047

バッテリECU53は、上記のように統合ECU49から入力されたデータに基づいて、蓄電装置47(蓄電装置47a,47b)のSOCや電流値(ならびに積算電流値)を求め、切り替えスイッチSW1,SW2へ指令信号を出力する。

0048

上記の第1駆動装置2は、エンジン5から駆動トルクを出力して走行するHV走行モードと、エンジン5から駆動トルクを出力することなく、第1モータ6や第2モータ7から駆動トルクを出力して走行するEV走行モードとを設定することが可能である。さらに、HV走行モードは、第1モータ6を低回転数で回転させた場合(「0」回転を含む)に、変速部10におけるリングギヤ18の回転数よりもエンジン5(または入力軸16)の回転数が高回転数となるHV-Loモードと、変速部10におけるリングギヤ18の回転数よりもエンジン5(または入力軸16)の回転数が低回転数となるHV-Hiモードと、変速部10におけるリングギヤ18の回転数とエンジン5(または入力軸16)の回転数が同一である直結モードとを設定することが可能である。

0049

またさらに、EV走行モードは、第1モータ6および第2モータ7から駆動トルクを出力するデュアルモードと、第1モータ6から駆動トルクを出力せずに第2モータ7のみから駆動トルクを出力するシングルモードとを設定することが可能である。更にデュアルモードは、第1モータ6から出力されたトルクの増幅率が比較的大きいEV-Loモードと、第1モータ6から出力されたトルクの増幅率が比較的小さいEV-Hiモードとを設定することが可能である。なお、シングルモードでは、第1クラッチ機構CL1を係合した状態で第2モータ7のみから駆動トルクを出力して走行することや、第2クラッチ機構CL2を係合した状態で第2モータ7のみから駆動トルクを出力して走行すること、あるいは各クラッチ機構CL1,CL2を解放した状態で第2モータ7のみから駆動トルクを出力して走行することが可能である。

0050

それらの各走行モードは、第1クラッチ機構CL1、第2クラッチ機構CL2、第1ブレーキ機構B1、およびエンジン5、各モータ6,7を制御することにより設定される。図6に、これらの走行モードと、各走行モード毎における、第1クラッチ機構CL1、第2クラッチ機構CL2、第1ブレーキ機構B1の係合および解放の状態、第1モータ6および第2モータ7の運転状態、エンジン5からの駆動トルクの出力の有無の一例を図表として示してある。図中における「●」のシンボルは係合している状態を示し、「−」のシンボルは解放している状態を示し、「G」のシンボルは主にジェネレータとして運転することを意味し、「M」のシンボルは主にモータとして運転することを意味し、空欄はモータおよびジェネレータとして機能していない、または第1モータ6や第2モータ7が駆動のために関与していない状態を意味し、「ON」はエンジン5から駆動トルクを出力している状態を示し、「OFF」はエンジン5から駆動トルクを出力していない状態を示している。

0051

各走行モードを設定した場合における動力分割機構8の各回転要素の回転数、およびエンジン5、各モータ6,7のトルクの向きを説明するための共線図を図7ないし図12に示している。共線図は、動力分割機構8における各回転要素を示す直線をギヤ比の間隔をあけて互いに平行に引き、これらの直線に直交する基線からの距離をそれぞれの回転要素の回転数として示す図であり、それぞれの回転要素を示す直線にトルクの向きを矢印で示すとともに、その大きさを矢印の長さで示している。

0052

図7に示すようにHV-Hiモードでは、エンジン5から駆動トルクを出力し、第2クラッチ機構CL2を係合するとともに、第1モータ6から反力トルクを出力する。また、図8に示すようにHV-Loモードでは、エンジン5から駆動トルクを出力し、第1クラッチ機構CL1を係合するとともに、第1モータ6から反力トルクを出力する。上記HV-HiモードやHV-Loモードが設定されている場合の第1モータ6の回転数は、エンジン5の燃費や第1モータ6の駆動効率などを考慮した第1駆動装置2全体としての効率(消費エネルギー量を前輪1R,1Lのエネルギー量で除算した値)が最も良好となるように制御される。上記の第1モータ6の回転数は連続的に変化させることができ、その第1モータ6の回転数と車速とに基づいてエンジン回転数が定まる。したがって、動力分割機構8は、無段変速機として機能できる。

0053

上記のように第1モータ6から反力トルクを出力することにより、第1モータ6が発電機として機能する場合には、エンジン5の動力の一部が第1モータ6により電気エネルギーに変換される。そして、エンジン5の動力から第1モータ6により電気エネルギーに変換された動力分を除いた動力が変速部10におけるリングギヤ18に伝達される。その第1モータ6から出力する反力トルクは、動力分割機構8を介してエンジン5から第1モータ6側に伝達されるトルクの分割率に応じて定められる。この動力分割機構8を介してエンジン5から第1モータ6側に伝達されるトルクと、リングギヤ18側に伝達されるトルクとの比、すなわち動力分割機構8におけるトルクの分割率は、HV-LoモードとHV-Hiモードとで異なる。

0054

具体的には、第1モータ6側に伝達されるトルクを「1」とした場合、HV-Loモードではリングギヤ18側に伝達されるトルクの割合であるトルク分割率は、「1/(ρ1×ρ2)」となり、HV-Hiモードではそのトルク分割率は、「1/ρ1」となる。すなわち、エンジン5から出力されたトルクのうちリングギヤ18に伝達されるトルクの割合は、HV-Loモードでは、「1/(1−(ρ1×ρ2))」となり、HV-Hiモードでは、「1/(ρ1+1)」となる。ここで、「ρ1」は分割部9のギヤ比(リングギヤ12の歯数とサンギヤ11の歯数との比率)であり、「ρ2」は変速部10のギヤ比(リングギヤ18の歯数とサンギヤ17の歯数との比率)である。なお、ρ1およびρ2は、「1」よりも小さい値に設定されている。したがって、HV-Loモードが設定されている場合には、HV-Hiモードが設定されている場合と比較して、リングギヤ18に伝達されるトルクの割合が大きくなる。なお、エンジン5で発生させるトルクによりエンジン5の回転数を増大させている場合には、エンジン5で発生させたトルクからエンジン5の回転数を増大させるために要するトルクを減算したトルクが、エンジン5から出力されるトルクとなる。

0055

そして、第1モータ6により発電された電力が第2モータ7に供給される。その場合、必要に応じて蓄電装置47に充電されている電力も第2モータ7に供給される。なお、第2モータ7とリアモータ30とは、エンジン5から伝達される駆動トルクに、さらに駆動トルクを加算するように機能するものであって、車両Ve全体としての駆動力を制御する上では、第2モータ7とリアモータ30とを同一のものとみなすことができるため、第2モータ7に代えて、または第2モータ7に加えてリアモータ30に電力を供給するように構成してもよい。以下では、加算するための駆動トルクを第2モータ7のみから出力する例を挙げて説明している。

0056

直結モードでは、各クラッチ機構CL1,CL2が係合されることにより、図9に示すように動力分割機構8における各回転要素が同一回転数で回転する。すなわち、エンジン5の動力の全てが動力分割機構8から出力される。言い換えると、エンジン5の動力の一部が、第1モータ6や第2モータ7により電気エネルギーに変換されることがない。したがって、電気エネルギーに変換する際に生じる電気抵抗などを要因とした損失がないため、動力の伝達効率を向上させることができる。

0057

さらに、図10および図11に示すようにEV-LoモードとEV-Hiモードとでは、第1ブレーキ機構B1を係合するとともに各モータ6,7から駆動トルクを出力して走行する。具体的には、図10に示すようにEV-Loモードでは、第1ブレーキ機構B1および第1クラッチ機構CL1を係合するとともに、各モータ6,7から駆動トルクを出力して走行する。すなわち、第1ブレーキ機構B1により、出力軸15またはキャリヤ14が回転することを制限するための反力トルクを作用させる。その場合における第1モータ6の回転方向は、正方向になり、かつ出力トルクの向きは、その回転数を増大させる方向となる。また、図11に示すようにEV-Hiモードでは、第1ブレーキ機構B1および第2クラッチ機構CL2を係合するとともに、各モータ6,7から駆動トルクを出力して走行する。すなわち、第1ブレーキ機構B1により、出力軸15またはキャリヤ14が回転することを制限するための反力トルクを作用させる。その場合における第1モータ6の回転方向は、エンジン5の回転方向(正方向)とは反対方向(負方向)になり、かつ出力トルクの向きは、その回転数を増大させる方向となる。

0058

また、変速部10のリングギヤ18の回転数と第1モータ6の回転数との回転数比は、EV-Loモードの方がEV-Hiモードよりも大きくなる。すなわち、同一車速で走行している場合には、EV-Loモードを設定する場合の方が、EV-Hiモードを設定する場合よりも第1モータ6の回転数が高回転数になる。つまり、EV-Loモードの方が、EV-Hiモードよりも減速比が大きい。そのため、EV-Loモードを設定することにより大きな駆動力を得ることができる。なお、上記のリングギヤ18の回転数は、出力部材(あるいは出力側)の回転数であって、図1のギヤトレーンでは、便宜上リングギヤ18から駆動輪までの各部材のギヤ比は1とする。そして、シングルモードでは、図12に示すように第2モータ7のみから駆動トルクを出力しており、かつ各クラッチ機構CL1,CL2が解放されていることにより、動力分割機構8の各回転要素は停止した状態になる。したがって、エンジン5や第1モータ6を連れ回すことによる動力損失を低減することができる。なお、上記のEV-Loモードが、この発明の実施形態における「第1EV走行モード」に相当し、EV-Hiモードが、この発明の実施形態における「第2EV走行モード」に相当する。また、EV-Loモードを設定した場合における上記の回転数比が、この発明の実施形態における「第1所定値」に相当し、EV-Hiモードを設定した場合における上記回転数比が、この発明の実施形態における「第2所定値」に相当する。

0059

蓄電装置47の充電残量(SOC)、車速、要求駆動力などに基づいて上記の各走行モードを定めるように構成されている。この発明の実施形態では、蓄電装置47の充電残量を維持するように各走行モードを設定するCS(Charge Sustain)モードと、蓄電装置に充電された電力を積極的に使用するCD(Charge Depleting)モードとを、蓄電装置47の充電残量に応じて選択するように構成されている。具体的には、蓄電装置47の充電残量が低下している場合などに、CSモードを選択し、蓄電装置47の充電残量が比較的多い場合などにCDモードを選択するように構成されている。

0060

図13には、CSモードが選択されている際に各走行モードを定めるためのマップの一例を示している。このマップの横軸は車速を示し、縦軸は要求駆動力を示している。なお、車速は車速センサにより検出されたデータから求めることができ、要求駆動力はアクセル開度センサにより検出されたデータから求めることができる。

0061

図13に示す例では、後進走行している場合には、要求駆動力の大きさに関わらずシングルモードを設定し、また前進走行しており、要求駆動力が比較的小さい場合(減速要求を含む)に、シングルモードを設定するように構成されている。このシングルモードを設定する領域は、第2モータ7やリアモータ30の特性に基づいて定められている。なお、シングルモードを設定する領域にハッチングを付してある。

0062

また、前進走行しており、かつ要求駆動力が比較的大きい場合には、HV走行モードが設定される。なお、HV走行モードは、低車速域から高車速域に亘って駆動力を出力できるため、蓄電装置47の充電残量が下限値近傍となった場合などには、シングルモードが設定されるべき領域であっても、HV走行モードを設定することがある。

0063

さらに、HV走行モードを設定する場合においては、車速と要求駆動力に応じてHV-LoモードやHV-Hiモード、あるいは直結モードのいずれかのモードを選択するように構成されている。具体的には、比較的低車速の場合や要求駆動力が比較的大きい場合に、HV-Loモードが選択され、比較的高車速でかつ要求駆動力が比較的小さい場合に、HV-Hiモードが選択され、車両Veの運転状態がHV-LoモードとHV-Hiモードとを設定する領域の間の運転点(車速と要求駆動力とに基づいた値)の場合に、直結モードが選択されるように構成されている。

0064

また、上記のHV-Loモード、直結モード、HV-Hiモードは、図13に示す各ラインを運転点が横切ることにより切り替えるように構成されている。具体的には、図13における「Lo←Fix」のラインを運転点が右側から左側に向けて横切った場合や、下側から上側に向けて横切った場合に、直結モードからHV-Loモードに切り替えるように構成され、「Lo→Fix」のラインを運転点が左側から右側に向けて横切った場合や、上側から下側に向けて横切った場合に、HV-Loモードから直結モードに切り替えるように構成されている。同様に、図13における「Fix←Hi」のラインを運転点が右側から左側に向けて横切った場合や、下側から上側に向けて横切った場合に、HV-Hiモードから直結モードに切り替えるように構成され、「Fix→Hi」のラインを運転点が左側から右側に向けて横切った場合や、上側から下側に向けて横切った場合に、直結モードからHV-Hiモードに切り替えるように構成されている。

0065

図14には、CDモードが選択されている際に各走行モードを定めるためのマップの一例を示している。このマップの横軸は車速を示し、縦軸は要求駆動力を示している。なお、車速は車速センサにより検出されたデータから求めることができ、要求駆動力はアクセル開度センサにより検出されたデータから求めることができる。

0066

図14に示す例では、後進走行している場合には、要求駆動力の大きさに関わらずシングルモードを設定し、また前進走行しており、要求駆動力が第1駆動力F1よりも小さい場合(減速要求を含む)に、シングルモードを設定するように構成されている。このシングルモードを設定する領域は、第2モータ7やリアモータ30の特性などに基づいて定められている。なお、シングルモードを設定する領域にハッチングを付してある。

0067

また、前進走行しており、かつ要求駆動力が第1駆動力F1よりも大きい場合には、デュアルモードが設定される。さらに、第1車速V1よりも高車速である場合や、第2車速V2よりも高車速でありかつ要求駆動力が第2駆動力F2よりも大きい場合には、HV走行モードが設定される。なお、HV走行モードは、低車速域から高車速域に亘って駆動力を出力できるため、蓄電装置47の充電残量が下限値近傍となった場合などには、シングルモードやデュアルモードが設定されるべき領域であっても、HV走行モードを設定することがある。

0068

さらに、HV走行モードを設定する場合においては、車速と要求駆動力に応じてHV-LoモードやHV-Hiモード、あるいは直結モードのいずれかの走行モードを選択するように構成されている。具体的には、比較的低車速の場合や要求駆動力が比較的大きい場合に、HV-Loモードが選択され、比較的高車速でかつ要求駆動力が比較的小さい場合に、HV-Hiモードが選択され、車両Veの走行状態がHV-LoモードとHV-Hiモードとを設定する領域の間の運転点(車速と要求駆動力とに基づいた値)の場合に、直結モードが選択されるように構成されている。

0069

また、上記のHV-Loモード、直結モード、HV-Hiモードは、図14に示す各ラインを運転点が横切ることにより切り替えるように構成されている。具体的には、図14における「Lo⇔Fix」のラインを運転点が横切った場合に、直結モードとHV-Loモードとが相互に切り替えられるように構成されている。同様に、図14における「Fix⇔Hi」のラインを運転点が横切った場合に、HV-Hiモードと直結モードとが相互に切り替えられるように構成されている。

0070

なお、図13図14に示す走行モードを設定する領域や、HV走行モードを設定する条件下におけるモードの切り替えを行うためのラインは、第1駆動装置2を構成する各部材の温度や、蓄電装置47あるいは電力制御装置44,45,46の温度、もしくは蓄電装置47の充電残量などに応じて変動するように構成してもよい。

0071

このように構成された車両Veは、上述したようにEV走行モードおよびHV走行モードで走行することが可能であるから、例えばEV走行中にエンジン5の始動要求があった場合には、エンジン5を第1モータ6でクランキングしてHV走行に移行する。また、そのエンジン5をクランキングする際は、上述した共線図から把握できるように第1モータ6は発電(すなわち回生)しつつエンジン5をクランキングすることになる。また、その際の発電パワー(あるいは発電量)はEV-LoモードとEV-Hiモードとでは、EV-Loモードの方が大きい。したがって、例えば、EV-Loモードの状態でエンジン5の始動要求があった場合にはエンジン5を始動できないおそれがある。具体的には、蓄電装置47のSOCが所定値以上である場合や蓄電装置47の温度が低下していることなどを要因として、その蓄電装置47に入力可能な電力(以下、単にWinとも記す)が制限されている場合には、エンジン5の始動要求があるにも拘わらず、エンジン5をクランキングできない、あるいは、スムーズにエンジン5をクランキングできないおそれがある。そこで、この発明の実施形態では、エンジン5の始動要求があった場合にエンジン5の始動ないしクランキングを行うことができないことを抑制もしくは回避するように構成されている。なお、上記の第1モータ6により発電される発電パワー(すなわち発電電力)は、第1モータ6の回転数とトルクとの積で求められる。以下に、ECU48で実行される制御例について説明する。

0072

図15は、その制御の一例(第1実施例)を示すフローチャートであって、EV走行モードで走行中にエンジン5の始動を考慮して、EV-Loモードの設定を許可するか否かを判断するように構成されている。具体的には先ず、蓄電装置47に入力可能な電力(Win)が、閾値α未満か否かを判断する(ステップS1)。これは、現在の蓄電装置47に入力可能な電力(言い換えれば許容電力)が、EV-Loモードでエンジン5を始動する場合に要する発電電力(発電パワー)である閾値αより小さいか否かを判断するステップであって、つまり、現在の車両Veの状態で、発電パワーが比較的大きいEV-Loモードでのエンジン5の始動を許可するか否かを判断する。なお、この閾値αが、この発明の実施形態における「第1閾値」に相当する。

0073

また、閾値αは、図16に示すように車速に比例して大きくなり、すなわち車速が高いほど、その閾値αの値も大きくなる。また、蓄電装置47に入力可能な電力は、例えば蓄電装置47の充電残量が満充電に近い場合や蓄電装置47の温度が低温の場合、あるいは、蓄電装置47の温度が上限温度近傍である場合に制限される。すなわち、この蓄電装置47に入力可能な電力(Win)は、蓄電装置47の状態に応じて刻々と変化する。したがって、このステップS1で肯定的に判断された場合、すなわち現在のWinがEV-Loモードでエンジン5を始動する場合に要する電力(閾値α)より小さい場合には、EV-Loモードの設定を禁止する(ステップS2)。言い換えれば、この状態でエンジン5の始動要求があった場合には、EV-Hiモードでエンジン5を始動する。

0074

これとは反対に、このステップS1で否定的に判断された場合、すなわち現在のWinが閾値α以上の場合には、将来Winの予測を行う(ステップS3)。上述したようにWinは刻々と変化するから、走行モードを切り替える過程においても、そのWinは変化する。したがって、走行モードを切り替え中(すなわち変速中)にWinが低下した場合には、エンジン5を始動できない、あるいは、スムーズにエンジン5を始動できないおそれがある。そこで、このステップS3では、将来Winとして、走行モードの切り替え中におけるWinの変化を予測する。その将来Winを予測するパラメータの例として、リチウム析出を抑制するための入力電力制限値(IWin)について説明する。リチウム析出は、蓄電装置47の充電を継続している時間、電流の積算値、車両Veの減速時間や減速度などから、その発生を判断でき、例えば電流の積算値が予め定められた所定値以上の場合にはリチウム析出のおそれがあると判断される。したがって、この発明の実施形態では、予め走行モードの切り替え過程におけるWinの変化を予測するように、言い換えればWinの余裕白を予測するように構成されている。なお、この将来Winの予測は、上記のリチウム析出の他、例えばナビゲーションシステム等から予測される先のルートや道路状態によってエネルギ回生量などを基に判断してもよい。

0075

ついで、ステップS3で予測した将来Winが閾値β未満か否かを判断する(ステップS4)。この閾値βは、この発明の実施形態における「第2閾値」に相当し、閾値αと同様にEV-Loモードでエンジン5を始動する場合に要する発電電力であって、かつ車速に比例して変化する。なお、この閾値βは、将来のWinに対する閾値であるため所定の誤差を考慮して、閾値αより大きい値に設定される(閾値β>閾値α)。したがって、このステップS4で肯定的に判断された場合、すなわちステップS3で予測した将来Winが閾値βより小さい場合には、EV-Loモードの設定を禁止する(ステップS2)。つまり、走行モードを切り替える過程において、Winが閾値β(ならびに閾値α)を下回ると予測できるため、EV-Loモードの設定を禁止する。言い換えれば、将来Winがエンジン5を始動する場合に要する電力を下回ると予測されるから、EV-Loモードの設定を禁止する。そのため、この状態でエンジン5の始動要求があった場合には、車速が低下してEV-Loモードの走行領域であってもEV-Hiモードに移行してエンジン5を始動あるいはクランキングする。

0076

一方、このステップS4で否定的に判断された場合、すなわち将来Winが閾値β以上の場合には、EV-Loモードの設定を許可する(ステップS5)。つまり、将来予測されるWinがEV-Loモードでエンジン5を始動する場合に要する電力以上であるため、EV-Loモードでのエンジン5の始動を許可する。

0077

つぎに、図15で説明した制御例を実行した場合におけるタイムチャートについて説明する。図17は、そのタイムチャートを説明する図であって、EV-Loモードの設定の判定、車速、エンジン5、第1モータ6、および、第2モータ7の各回転数、Win、クラッチ機構CL1、および、クラッチ機構CL2の変化をそれぞれ示している。なお、この図17に示すタイムチャートは、特にEV-Hiモードで減速中に、エンジン5の始動を想定(あるいはエンジン5の始動要求を考慮)して、EV-Loモードの設定を許可するか否かを判断する例である。

0078

先ず、t0時点では、車速が所定のEV-Hiモードの走行領域であって、またこの時点ではWinは、上述したEV-Loモードでエンジン5を始動する場合に要する発電電力である閾値αより大きい。したがって、EV-Loモードの設定フラグは許可の状態である。なお、このt0時点では、上述したように走行モードはEV-Hiモードであるから、第1クラッチ機構CL1は解放状態、第2クラッチ機構CL2は係合状態である。また、エンジン5の回転数は、EV走行中であるため、このタイムチャートでは、「0」のままである。また、第2モータ7の回転数は、第2モータ7が駆動用モータとして機能するため、車速に比例して変化する。そして、第1モータ6の回転数は、EV-HiモードとEV-Loモードとの切り替えに応じて制御される。

0079

ついで、t1時点でWinが低下する変化率が大きくなる。これは、例えばエネルギの回生などにより蓄電装置47のSOCが満充電に近い所定値以上になりWinが制限されるためである。そして、t2時点で、低下していた車速がEV-HiモードからEV-Loモードへの切り替え判定線を跨ぐ。しかしながら、Winがこのt2時点で閾値αに達し、閾値α未満になるため、エンジン5の始動を考慮してEV-Loモードの設定フラグが禁止となる。そのため、車速の変化においてEV-HiモードからEV-Loモードへの切り替え判定線を跨いだ場合であっても、EV-Loモードの設定を禁止し、すなわちEV-Hiモードが継続される。つまり、この時点で、エンジン5の始動要求があった場合には、EV-Hiモードを維持してエンジン5を始動させる。なお、閾値αは、図16で説明したように車速に比例して変化するから、車速の変化と閾値αの変化とは比例(あるいは相似)している。

0080

そして、その閾値αが車速の低下に伴って低下し、Winが閾値αを上回るあるいは閾値αに達したら、EV-Loモードの設定フラグが禁止から許可になる(t3時点)。また、このタイミングで第2クラッチ機構CL2を解放し、すなわちニュートラル状態にしてから、走行モードをEV-HiモードからEV-Loモードへ移行すべく、第1クラッチ機構CL1を係合する(t3時点からt4時点)。さらに、その際に、第1クラッチ機構CL1の係合要素における差回転数(すなわち同期回転数)を係合時のショックを抑制可能な所定値以下にすべく第1モータ6を制御する。

0081

また、この図17に示すタイムチャートでは、車速が「0」まで低下するため(t5時点)、このt5時点では、エンジン5、各モータ6,7の各回転数は「0」になり、また車速に比例して変化するWinの閾値αも「0」になる。そして、再度アクセル操作されることにより、車速が増大し、それに対応して各モータ6,7の回転数、ならびに、閾値αが変化する。なお、この図17に示す例では、車速は「0」まで低下しているものの、これは減速した場合の一例であるから、車速が「0」に到る前にアクセル操作された場合には、その時点から車速は増大し、各パラメータはそれに応じて変化する。

0082

なお、特には図示しないが、図15の制御例で説明した将来Winをこの図17のタイムチャートに反映させてもよい。その場合には、ステップS4で説明したように、将来Winに対する閾値(閾値β)は、閾値αより所定の誤差を考慮して高めに設定され、将来Winが閾値βを下回った場合に、EV-Loモードの設定フラグが禁止となる。

0083

つぎに、この発明の実施形態における作用について説明する。上述したように、この発明の実施形態では、車速が低下してEV-HiモードからEV-Loモードに切り替える判定線を跨いだ場合であっても、蓄電装置47の状態によってエンジン5をクランキングできないことを抑制もしくは回避すべく、EV-Loモードの設定を禁止するように構成されている。具体的には、蓄電装置47の入力可能な電力(Win)がEV-Loモードでエンジン5を始動する場合に要する電力閾値αより小さい場合には、車速が低下して走行領域がEV-Loモードの領域になった場合であっても、EV-Loモードの設定を禁止して、EV-Hiモードを設定するように構成されている。そのため、この状況において、エンジン5の始動あるいはエンジン5の始動要求があった場合には、エンジン5の始動に要する発電パワー(すなわち充電パワー)はEV-Loモードに比べて小さくなる。そのため、蓄電装置47に受け入れ可能な電力(Win)の制限によってエンジン5の始動ができなくなること、ならびに、エンジン5のクランキングをスムーズにできなくなることを抑制もしくは回避できる。

0084

また、この発明の実施形態によれば、走行モードを切り替える過程におけるWin(将来Win)を予測して、EV-Loモードの設定を許可するか否か判断するように構成されている。例えばリチウム析出を要因として急激にWinが低下することが予測され、その予測されたWinが閾値β未満になると判断される場合には、EV-Loモードの設定を禁止するように構成されている。そのため、その将来Winを予測することにより、EV-Loモードでエンジン5をクランキングした場合に、蓄電装置47の制限(すなわちWinの制限)によりエンジン5の始動ができない、あるいは、エンジン5の始動がスムーズにできなくなることを抑制もしくは回避できる。

0085

つぎに、この発明の実施形態における他の例(第2実施例)について説明する。上述した例では車速が低下してEV-HiモードからEV-Loモードへの切り替え判定がなされた際(すなわち走行マップ上の切り替え線を跨いだ際)に、Winが閾値αあるいは閾値β未満となる場合にEV-Loモードの設定を禁止するように構成されていた。一方、例えばEV-Loモードへの切り替え判定がなされ、EV-Loモードへ移行している過渡期(例えば第2クラッチCL2を解放中)において、Winが閾値αや閾値βを下回った場合に強制的にEV-Hiモードへ移行するように制御してもよい。

0086

図18は、その制御例を説明するフローチャートであって、先ず、EV-HiモードからEV-Loモードへの切り替えの過渡期において、Winが閾値α未満か否かを判断する(ステップS100)。つまり、現在のWinがEV-Loモードでエンジン5を始動する場合に要する電力より小さいか否かを判断する。したがって、このステップS100で肯定的に判断された場合、すなわちWinが閾値α未満の場合には、EV-Hiモードに強制的に移行する(ステップS110)。すなわち、EV-Loモードへの移行を止めて、EV-Hiモードに移行する。言い換えれば再度EV-Hiモードに戻す。

0087

一方、このステップS100で否定的に判断された場合、すなわちWinが閾値α以上の場合には、ついで将来Winを予測する(ステップS120)。これは、上述したように、走行モードを切り替え中におけるWinの変化を予測するステップであって、例えばリチウム析出やこの先の走行経路や道路状態を考慮して、Winの変化を予測する。そして、その予測したWinが閾値β未満となるか否かを判断する(ステップS130)。なお閾値βは、上述したように予測される将来Winとの対比であるため、所定の誤差を考慮して閾値αより高めに設定される。

0088

したがって、このステップS130で肯定的に判断された場合、すなわち、EV-HiモードからEV-Loモードへの切り替えの過渡期において、将来Winが閾値β未満であると判断された場合には、EV-Hiモードに強制的に移行する(ステップS110)。つまり、EV-Loモードへの移行を止めて、再度EV-Hiモードに移行する。一方、将来Winが閾値β以上である場合には、そのままEV-Loモードへの移行を継続し、リターンする。

0089

図19は、上記の図18の制御例を実行した場合のタイムチャートであって、図17のタイムチャートと同様に、EV-Loモードの設定の判定、車速、エンジン5、第1モータ6、および、第2モータ7の各回転数、Win、クラッチ機構CL1、および、クラッチ機構CL2の変化をそれぞれ示している。なお、図17のタイムチャートと同様の説明については、簡略化あるいは省略する。

0090

先ずt10時点では、EV-Hiモードであるから、第1クラッチ機構CL1は解放状態、第2クラッチ機構CL2は係合状態である。また、Winは、閾値αより大きいため、EV-Loモードの設定フラグは許可の状態である。

0091

ついで、車速が低下することにより、EV-HiモードからEV-Loモードへの切り替え判定線を跨ぐ(t11時点)。そのため、EV-Loモードへ移行すべく、第2クラッチ機構CL2を解放する。また、それに併せて第1モータ6を制御する(t11時点からt12時点)。

0092

そして、この図19に示す例では、その第2クラッチ機構CL2を解放している過渡期において、Winが閾値αに達して閾値α未満となり、それに対応してEV-Loモードの設定フラグが禁止となる(t12時点)。つまり、EV-Loモードへの移行を禁止して、再度(強制的に)EV-Hiモードへ移行する。また、EV-Hiモードへ移行すべく、第1モータ6を制御する(t12時点からt13時点)。そして、係合要素の差回転数が所定値以下になったら、第2クラッチ機構CL2を係合する(t13時点)。なお、図19に示すようにEV-Loモードへの移行の過渡期において、再度EV-Hiモードに移行する場合には、第1モータ6は回生制御を含むものの、この回生制御における発電パワー(および発電量)は、比較的小さく、Winの制限値に影響を与えるものではない。つまり、エンジン5を始動させる場合には、第1モータ6は、エンジン5のイナーシャフリクショントルクを考慮してトルクを出力するから、その発電パワー(および発電量)は、EV-LoモードとEV-Hiモードとで走行モードを切り替える際の値より大きくなる。したがって、Winの制限によりEV-Loモードでエンジン5を始動できないおそれがある場合にはEV-Hiモードに移行する。

0093

ついで、車速の低下に伴って閾値αが低下することにより、Winが再度、閾値α以上になった際に、EV-Loモードの設定フラグが許可される(t14時点)。なお、このt14時点で、EV-Loモードへ移行、すなわち第2クラッチ機構CL2を解放して、第1クラッチ機構CL1を係合するように制御しても良いものの、この図19に示す例は、減速中であって車速が「0」になることが予測できる。すなわち車両Veが停止することが予測できるため、車両Veの停止を待って、EV-Loモードへ移行するように構成されている。つまり、車速が「0」の状態であれば、エネルギの回生は「0」になるから、それにより過度にSOCが増大することを抑制するように構成されている。また、第1クラッチ機構CL1を係合する際の係合ショックも車両Veが停止状態であればそのショックを最小限に留めることができる。

0094

したがって、図19に示す例では、車両Veの停止を待って第2クラッチ機構CL2の解放、ならびに、第1クラッチ機構CL1の係合を行うように構成されている(t15時点)。そして、再度アクセル操作されることにより、車速が増大し、それに対応して各モータ6,7の回転数、ならびに、閾値αが変化する。なお、特には図示しないが、図18の制御例で説明した将来Winをこの図19のタイムチャートに反映させてもよい。その場合には、ステップS130で説明したように、将来Winに対する閾値(閾値β)は、閾値αより所定の誤差を考慮して高めに設定され、将来Winが閾値βを下回った場合に、EV-Loモードの設定フラグが禁止となる。

0095

このように、図18および図19の例によれば、EV-HiモードからEV-Loモードへの切り替えの過渡期において、Winが閾値α(ならびに閾値β)未満か否かを判断し、そのWinが閾値未満の場合には、EV-Loモードへの移行を禁止して、再度EV-Hiモードへ移行するように構成されている。そのため、そのタイミングで、エンジン5の始動がされた場合であっても、エンジン5の始動に要する発電パワー(すなわち充電パワー)を抑制できるから、Winの制限を要因として、エンジン5の始動ができなくなること、ならびに、エンジン5をスムーズにクランキングできなくなることを抑制もしくは回避できる。

0096

つぎに、この発明の実施形態における更に他の例(第3実施例)について説明する。上述したように、車両Veは、複数の蓄電装置47a,47bを備えている。したがって、例えば、上述したEV-Loモードの設定を許可するか否かを判断する際に、Winが閾値α未満に低下した場合に、所定の蓄電装置47a(47b)のWinが制限される場合には、蓄電装置47aと蓄電装置47bとの間で電力を移動させるように制御してもよい。

0097

図20は、その制御例を説明するフローチャートであって、例えば高出力の蓄電装置47aのWinが閾値α未満か否かを判断する(ステップS200)。つまり、蓄電装置47aの現在のWinがEV-Loモードでエンジン5を始動する場合に要する電力より小さいか否かを判断する。したがって、このステップS100で否定的に判断された場合、すなわちWinが閾値α以上の場合には、リターンする。

0098

一方、このステップS200で肯定的に判断された場合、すなわち蓄電装置47aの現在のWinが閾値α未満の場合には、蓄電装置47aの電力を大容量の蓄電装置47bに移動させる(ステップS210)。これは、上述したように、Winは例えばSOCが満充電に近い場合など所定値以上の場合に制限されるから、SOCを要因としてWinが制限されている場合には、一方の蓄電装置47bに電力を供給することにより、制限された蓄電装置47aのWinを増大させ、すなわちWinの制限を緩和させる。なお、図20の例では特には図示しないが、この制御例においても、併せて将来Winを予測してもよい。その場合には、その予測した将来Winに基づいて、蓄電装置47aと蓄電装置47bとの間で電力を移動させるか否かを判断する。

0099

図21は、上記の図20の制御例を実行した場合のタイムチャートであって、図17および図19のタイムチャートと同様に、EV-Loモードの設定の判定、車速、エンジン5、第1モータ6、および、第2モータ7の各回転数、Win、クラッチ機構CL1、および、クラッチ機構CL2の変化をそれぞれ示している。なお、図17および図19のタイムチャートと同様の説明については、簡略化あるいは省略する。

0100

先ず、蓄電装置47aのWinが閾値α未満になると、この状態でエンジン5の始動要求があった場合には、エンジン5を始動できないおそれがあるため、蓄電装置47aと蓄電装置47bとの間で電力を移動する(t20時点)。つまり、大容量の蓄電装置47bに電力を移動する。したがって、蓄電装置47aのWinは増大するため、EV-Loモードの設定フラグは許可の状態である。なお、このt20時点では、車速はEV-Hiモードの走行領域であるため、第2クラッチ機構CL2は係合状態、第1クラッチ機構CL1は解放状態である。

0101

ついで、車速が低下することにより、EV-HiモードからEV-Loモードへの切り替え判定線を跨ぐ(t21時点)。そのため、EV-HiモードからEV-Loモードへ移行すべく、第2クラッチ機構CL2を解放する。また、それに併せて第1モータ6を制御する(t21時点からt22時点)。そして、係合要素の差回転数が所定値以下になったら、第1クラッチ機構CL1を係合する(t22時点)。なお、この走行モードをEV-HiモードからEV-Loモードへ切り替える際に、第1モータ6によりエネルギを回生することによりWinは低下するものの、この図21に示す例ではWinは閾値α未満とならないため、EV-Loモードの設定フラグは許可のままである。

0102

そして、車速が低下して「0」になり(t23時点)、再度アクセル操作されることにより、その車速が増大し、それに対応して各モータ6,7の回転数、ならびに、閾値αが変化する。なお、特には図示しないが、この図21のタイムチャートにおいても将来Winを反映させてもよい。その場合には、将来Winが所定の閾値未満となった場合に、蓄電装置47aと蓄電装置47bとの間で電力が移動される。

0103

このように、図20および図21の例によれば、Winが閾値α未満になった場合に、蓄電装置47aと蓄電装置47bとの間で電力を移動させるように構成されている。具体的には、この発明の実施形態では、高出力の蓄電装置47aのWinが制限され、蓄電装置47aから大容量の蓄電装置47bへ電力を移動させるように構成されている。そのため、互いの蓄電装置47aおよび蓄電装置47bのWinが閾値α未満にならないので、車速に応じた走行モードでのエンジン5の始動およびエンジン5のクランキングが可能となる。言い換えれば、エンジン5の始動ができなくなること、ならびに、エンジン5のクランキングがスムーズにできなくなることを回避できる。

0104

上述した実施形態では、いずれもEV-HiモードからEV-Loモードへ切り替え判定を行う制御例について説明したものの、要はこの発明は、EV-Loモードの設定を禁止するか否かを判定できればよく、したがって例えば、EV-Loモードで走行中にWinが閾値α未満になった場合に、EV-Loモードの設定を禁止するように構成してもよい。

0105

図22は、その一例(第4実施例)を説明するタイムチャートであって、EV-Loモードで定常走行している場合に、Winが閾値α未満となった場合の例である。なお、図17図19,および、図21のタイムチャートと同様の説明については、簡略化あるいは省略する。先ず、t30時点では、Winは閾値α以上であるから、EV-Loモードの設定フラグは許可されている。したがって、第1クラッチ機構CL1は係合状態、第2クラッチ機構CL2は解放状態である。なお、この図22の例は、EV-Loモードで定常走行している場合の例であるから、車速、第2モータ7の回転数、および、閾値αは一定である。

0106

ついで、Winが低下して閾値αに達すると、EV-Loモードの設定フラグが禁止になる(t31時点)。そのため、EV-LoモードからEV-Hiモードへ移行すべく、第1クラッチ機構CL1を解放する。また、それに併せて第1モータ6を制御する(t31時点からt32時点)。そして、係合要素の差回転数が所定値以下になったら、第2クラッチ機構CL2を係合する(t32時点)。

0107

そして、例えば駆動トルクとして電力を消費することによりSOCが低下し、Winが閾値α以上となる(t33時点)。それにより、EV-Loモードの設定フラグが許可になる。したがって、EV-HiモードからEV-Loモードへ移行すべく、第2クラッチ機構CL2を解放する。また、それに併せて第1モータ6を制御する(t33時点からt34時点)。そして、係合要素の差回転数が所定値以下になったら、第1クラッチ機構CL1を係合する(t34時点)。

0108

このように、EV-Loモードで走行中にWinが閾値α未満になった場合においても、EV-Loモードの設定を禁止するように構成されている。つまり、Winが閾値α未満になった場合には、EV-Hiモードに移行するように構成されている。したがって、Winが閾値α未満の場合に、エンジン5の始動要求があった場合であっても、エンジン5の始動に要する発電パワー(充電パワー)を抑制できるから、Winの低下を要因としてエンジン5の始動ができなくなること、ならびに、エンジン5のクランキングがスムーズにできなくなることを抑制もしくは回避できる。なお、この図22の例においても、上述した各実施形態と同様に将来Winを考慮してもよい。

0109

以上、この発明の複数の実施形態について説明したが、この発明は上述した例に限定されないのであって、この発明の目的を達成する範囲で適宜変更してもよい。具体的には、車両Veの構成は、上述した構成に限られず、すなわち複数の係合機構を備え、所定の係合機構を選択して係合することにより、各種走行モードを切り替えることができる車両であればよい。

0110

図23は、その車両Veの他の構成(第3駆動装置54)を説明するためのスケルトン図である。なお、図1に示す例と同様の構成については同一の参照符号を付してその説明を省略する。図23に示す車両Veは、ダブルピニオン型の遊星歯車機構(以下、第3遊星歯車機構PL3と記す)とシングルピニオン型の遊星歯車機構(第4遊星歯車機構PL4と記す)とにより構成された差動作用のある伝動機構を備え、また第2モータ7が複合遊星歯車機構の入力側に連結されている。具体的には、第3遊星歯車機構PL3におけるリングギヤR3にエンジン5が連結され、サンギヤS3に第1モータ6が連結されている。また、第3遊星歯車機構PL3を挟んでエンジン5とは反対側に並んで第4遊星歯車機構PL4が配置されており、その第4遊星歯車機構PL4におけるサンギヤS4が第2モータ7および第3遊星歯車機構PL3におけるキャリヤC3に連結され、第4遊星歯車機構PL4におけるキャリヤC4が出力部材55に連結されている。

0111

そして、第3遊星歯車機構PL3におけるリングギヤR3とキャリヤC3とを連結できる第4クラッチ機構CL4、および、第3遊星歯車機構PL3におけるサンギヤS3と第4遊星歯車機構PL4におけるリングギヤR4とを連結できる第5クラッチ機構CL5が設けられている。さらに、第4遊星歯車機構PL4におけるリングギヤR4とケースなどの固定部Cとを連結できる第3ブレーキ機構B3、および、第4遊星歯車機構PL4におけるサンギヤS4とケースなどの固定部Cとを連結できる第4ブレーキ機構B4が設けられている。なお、上記第4クラッチ機構CL4、第5クラッチ機構CL5、第3ブレーキ機構B3、および、第4ブレーキ機構B4は、第1クラッチ機構CL1や第2クラッチ機構CL2と同様に摩擦式の係合機構であってもよく、噛み合い式の係合機構であってもよい。

0112

図23における車両Veは、図24に示す係合表のように係合させる係合機構(第4クラッチ機構CL4、第5クラッチ機構CL5、第3ブレーキ機構B3、第4ブレーキ機構B4)を選択することで、複数の走行モードを設定することができる。なお、図中における「○」のシンボルは係合している状態を示し、「−」のシンボルは解放している状態を示している。具体的には、第3ブレーキ機構B3のみを係合した第1走行モードと、第5クラッチ機構CL5のみを係合した第2走行モードと、第3ブレーキ機構B3および第4クラッチ機構CL4を係合した第3走行モードと、第3ブレーキ機構B3および第5クラッチ機構CL5を係合した第4走行モードと、第4クラッチ機構CL4および第5クラッチ機構CL5を係合した第5走行モードと、第5クラッチ機構CL5および第4ブレーキ機構B4を係合した第6走行モードとを設定することができる。

0113

なお、上述したように図19の例では、車両Veの停止を待って、第1クラッチ機構CL1を係合し、EV-Loモードの設定を行うように構成されていたものの、この制御は、他の例(すなわち図17図21の例)に適用してもよい。

0114

1R,1L…前輪、 2,4,54…駆動装置、 3R,3L…後輪、 5…エンジン、 6…第1モータ、 7…第2モータ、 6a,15,36…出力軸、 8…動力分割機構、 9…分割部、 10…変速部、 11,17,32…サンギヤ、 12,18,26,33,42…リングギヤ、 13,19,34…ピニオンギヤ、 14,20,35…キャリヤ、 16…入力軸、 21…出力ギヤ、 22,38…カウンタシャフト、 23,39…ドリブンギヤ、 24,28,37,40…ドライブギヤ、 25,41…デファレンシャルギヤユニット、 27…ロータシャフト、 29,43…ドライブシャフト、 30…リアモータ、 31…変速機構、 44,45,46…電力制御装置、 47…蓄電装置、 48,49,50,51,52,53…ECU、 55…出力部材、 B1,B2,B3,B4…ブレーキ機構、 CL1,CL2,CL3,CL4,CL5…クラッチ機構、 C…固定部、PL3,PL4…遊星歯車機構、 SW1,SW2…スイッチ、 Ve…車両。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ